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2011-08-09 第177回国会 参議院 財政金融委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年八月九日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  七月二十五日     辞任         補欠選任      安井美沙子君     風間 直樹君  八月八日     辞任         補欠選任      風間 直樹君     川崎  稔君      水戸 将史君     姫井由美子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤田 幸久君     理 事                 大久保 勉君                 愛知 治郎君                 佐藤ゆかり君                 荒木 清寛君     委 員                 尾立 源幸君                 金子 洋一君                 川上 義博君                 川崎  稔君                 櫻井  充君                 田中 直紀君                 中谷 智司君                 姫井由美子君                 鴻池 祥肇君                 塚田 一郎君                 西田 昌司君                 野上浩太郎君                 林  芳正君                 古川 俊治君                 丸川 珠代君                 竹谷とし子君                 中西 健治君                 大門実紀史君                 中山 恭子君    国務大臣        財務大臣     野田 佳彦君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        自見庄三郎君    副大臣        財務大臣    櫻井  充君        経済産業大臣  池田 元久君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        和田 隆志君    事務局側        常任委員会専門        員        大嶋 健一君    政府参考人        金融庁総務企画        局長       森本  学君        中小企業庁長官  高原 一郎君    参考人        日本銀行総裁   白川 方明君        日本銀行総裁  山口 廣秀君        日本銀行政策委        員会審議委員   白井さゆり君        日本銀行政策委        員会審議委員   石田 浩二君        日本銀行理事   山本 謙三君        日本銀行理事   田中 洋樹君        日本銀行理事   雨宮 正佳君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく  通貨及び金融調節に関する報告書に関する件  )     ─────────────
  2. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、安井美沙子さん及び水戸将史君が委員辞任され、その補欠として川崎稔君及び姫井由美子さんが選任されました。     ─────────────
  3. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁総務企画局長森本学君外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁白川方明君、同副総裁山口廣秀君、同政策委員会審議委員白井さゆりさん、同政策委員会審議委員石田浩二君、同理事山本謙三君、同理事田中洋樹君及び同理事雨宮正佳君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 財政及び金融等に関する調査のうち、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融調節に関する報告書に関する件を議題といたします。  日本銀行から説明を聴取いたします。白川日本銀行総裁
  8. 白川方明

    参考人白川方明君) 日本銀行は、本年六月に、平成二十二年度下期の通貨及び金融調節に関する報告書を国会に提出いたしました。今回、日本経済動向日本銀行金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚くお礼を申し上げます。  まず、我が国経済金融情勢について御説明申し上げます。  我が国経済の現状を見ますと、関係者努力によって震災による供給面の制約が和らぐ中で、着実に持ち直してきています。先行きについても、生産活動が回復していくにつれ、輸出の増加や資本ストックの復元に向けた需要顕現化などから、緩やかな回復経路に復していくと見られます。  しかしながら、日本銀行としては、こうした見通しをめぐる不確実性が高いことも認識しており、このところ、景気の下振れリスクにより留意すべき情勢になっていると判断しています。海外経済を見ますと、米国においては債務上限問題が一応の決着を見た後も、市場では、財政健全化をめぐる懸念は払拭されておらず、景気先行きに関する見方も慎重化しています。これに加えて、欧州では周縁国のソブリンリスク問題が、また新興国については物価安定と成長の両立という課題があるなど、海外経済には大きな不確実性があります。こうした海外情勢や、それらに端を発する為替金融資本市場変動は、我が国企業マインド、ひいては経済活動にマイナスの影響を与える可能性があります。  物価面では、消費者物価の前年比は、小幅のプラスで推移していますが、今月に予定されています物価指数基準改定に伴い、下方改定される可能性が高いと認識しています。その点も踏まえますと、物価安定の実現までにはなお時間を要すると見られます。  この間、最近の国際金融市場の緊張に対して、G7の財務大臣中央銀行総裁は、緊密な連絡と適切な協力の下で、金融市場の安定と流動性確保するため行動を取る準備があることを、昨日、明らかにしました。  次に、日本銀行金融政策運営について御説明申し上げます。  第一に、日本銀行は、包括的な金融緩和政策を通じた強力な金融緩和を推進しています。この包括的な金融緩和政策の下では、資産買入れ等の基金を通じて長めの市場金利の低下と各種リスクプレミアムの縮小を促しています。先週開催しました金融政策決定会合では、先ほど述べた景気の下振れリスクに対応するため、資産買入れ等の基金を十兆円程度増額し、五十兆円程度とすることを決定しました。  第二に、日本銀行は、金融市場安定確保に努めています。  第三に、日本経済最大課題である成長基盤の強化については、この目的に資する融資投資を実施した金融機関に対し、日本銀行は、国債等担保を裏付けとして極めて低い金利資金を供給しています。本年六月には、この枠組みを更に効果的なものとする観点から、金融機関による出資や動産・債権担保融資、いわゆるABLなどの取組に対して新たに五千億円の貸付枠を設定することを決定しました。  日本銀行は、日本経済デフレから脱却し、物価安定の下での持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題と認識しています。そうした強い認識の下に、以上述べました三つの措置を通じて、今度とも中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく方針です。  ありがとうございました。
  9. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 金子洋一

    金子洋一君 おはようございます。民主党金子洋一でございます。  今日は私、三十分しか時間がございませんので、大変恐縮でございますけれども、御答弁は簡潔にお願いをしたいと存じます。  まず、財務大臣お尋ねを申し上げます。  国債繰上償還、つまり変動利付国債物価連動債の買入れ償還につきまして、これは国債整理特別会計の中から支出をされておりまして、本年度は約三兆円、そして既に一兆円が繰上償還に使われたということになっております。ただし、この特別会計は元々原資が借金であるということでありまして、言わば国債発行国債償還をするというものになっておりますので、国債の需給に対してはこれは中立であるという性質を持っておりますので、国債管理政策としての効果は限定をされていると考えております。  ですから、この非常な状態でございますので、今、二兆円分今年度の割当てが残っております。この二兆円分を復興財源に回していただきたいと思っておりますが、御所見はいかがでしょうか。
  11. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 金子委員お尋ねお答えをしたいと思います。  国債整理基金残高による買入れ消却は、国債償還資金に充てるという基金の本来の目的に沿ったものであり、委員指摘のとおり、平成二十三年度において総額三兆円程度行うこととなっておりまして、これも委員指摘のとおり、既に約一兆円実施をしているところでございます。  復興財源に活用すべきという御主張についての私の見解でございますが、幾つかの観点から検討しなければいけないということがあると思います。  それは、市場からの信認を損なうおそれがあるかどうか、これはよく慎重に検討しなければなりません。加えて、流用に伴い買入れ消却を停止すると、もうマーケットによっては織り込み済みのところもございますので、そうしたところに不測の影響を与えかねないのではないか、こういう観点からの議論をしなければいけないと思いますけれども、復興財源について、政府税調ではいわゆる税制措置をどうとるかという議論を始めます、これから。この間キックオフが始まったんですが。  一方、党内で、城島光力座長の下で、それ以外の、例えば歳出削減であるとか税外収入確保であるとか、様々な観点から何が財源として確保できるかという御議論をいただいています。その中に特会という項目があって、この国債整理基金についても、委員も大変強く御主張されていると承知しておりますけれども、今そういう党内議論なども踏まえて対応させていただきたいというふうに思います。
  12. 金子洋一

    金子洋一君 国債信認、大変重要なことでありますけれども、現時点で十年物の長期国債が大体一・〇%程度で取引をされております。大変高い値段であるということを是非とも前提に置いてお考えをいただきたいと思っております。  さらに、財務大臣に、これは通告を申し上げていないんですが、昨日、新聞報道などを見てまいりますと、今後の民主党代表選に向けて決意を固められたという報道がございます。そして、経済政策では財政規律の維持、そして対外政策では日米関係重視ということで承りました。  日米関係重視につきましては全く異存はございませんけれども、財政規律の問題です。私は、財政規律財政規律といいながら景気の悪いときに増税をすべきではない、なぜならば、増税をしても税収が伸びるとは限らないというのがこれまでの歴史の教訓であると私は考えております。  その点を考えますと、私これまでも野田財務大臣を尊敬申し上げてまいりましたけれども、万が一不景気の下で増税を行うというようなことをおっしゃるのであれば、今後御支持申し上げるかどうかということはちょっと考えなければならないなと思っておるんですが、増税財政再建在り方とそして景気の問題につきまして一言所見をいただければと思います。
  13. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 今、ちょっと一定前提に立った御質問だと思いますけれども、確かに、日本の今の財政であるとかあるいは電力の問題を含めて、あるいは円高の問題を含めて、いかに産業空洞化を回避するかとか、あるいは外交・安保関係のいわゆる基本的な考え方を考え文章を寄稿をしたということは事実でありますけれども、具体的に代表選云々という言及をしている文章ではございませんので、そこは前提は違うということで、あくまで、こういう今厳しい状況ですので、私は菅内閣の一員として職責を果たすということが基本であることを御理解をいただきたいと思います。  その上で、お尋ねでございますけれども、あの大きな震災があって、そのことによってむしろ国際社会日本がしっかり立ち直ってほしいという思いを持つとともに、一方で、財政規律はどう守っていくのかと。今、欧州でも米国でも債務の問題が大きな問題になっています。ですから、日本にとってもそういう注目が集まっているという中で、きちっと財政規律は守っていく国なんだということをしっかりとメッセージとして打ち出し、取り組んでいくことは私は肝要だと思います。一方で、仮に増税をする場合には、もちろん景気動向をよく勘案しながら対応するというのはこれは基本だというふうに思います。
  14. 金子洋一

    金子洋一君 ありがとうございました。  クルーグマンに言わせますと、米国もEUも非常に財政緊縮方向に向かっていて、言わば小恐慌だと、小さな恐慌状態にあると言っております。我が国が更に財政引締めに陥って小恐慌が中恐慌になり大恐慌にならないように、是非ともかじ取りをよろしくお願い申し上げたいと思います。  それでは、次に日銀の皆様にお尋ねをしたいと存じます。今日は大変お忙しいところ、白井審議委員石田審議委員、今年度になられて御就任いただいたお二方にもおいでをいただきまして、ちょっとお尋ねをさせていただきたいと存じます。  まず、白井審議委員お尋ねを申し上げます。  昨年、これは審議委員に御就任の前の論文ですので恐縮なんですけれども、昨年の週刊エコノミストの十月二十六日号の掲載の論文で、政府日銀による昨年九月十五日の為替介入は、これは文中にある表現なんですが、為替相場への影響は限定的だというふうに書かれておられます。これは、非不胎化介入となった場合にも相場への影響は限定的だとお考えでしょうか。
  15. 白井さゆり

    参考人白井さゆり君) 御質問お答えいたします。  まずその前に、その論文を書いた趣旨を申し上げたいと思います。  当時、去年の十月ですけれども、その当時は、円高というのが非常に日本で心配されていた、その一方で、海外の中には日本の円という為替相場日本経済ファンダメンタルズから見て大きくずれていないという見解幾つかあった。そこで、その論文ではその背景にあるマクロ経済的なアプローチというものを御紹介いたしました。その上で、もし日本為替相場が中長期的に見てファンダメンタルズから大きくずれていないと仮定するのであれば、円為替介入というのは、一定の水準に上げる下げるというよりも過度な為替相場変動あるいは無秩序な変動があるときにより効果があるというようなことを意識して執筆いたしました。ですので、そのときには御質問のような不胎化、非不胎化ということを特段意識して書いたわけではございません。  その上で、その非不胎化、不胎化についてお答えいたします。  確かに、学界や理論上では、円為替介入というのは日銀当座預金を増やします。ですから、全ての条件一定の下でもし日本銀行がそれを吸収しなければ金融緩和と同じ効果を持つと、そのことに関してはその見解があるということは私も承知しております。  しかし、私が主張したいことは、日本銀行はかねてより包括的金融緩和政策というのをやっておりまして、大量に金融市場資金を出しているんですね。その円為替介入によって市場に放出された追加的な資金というのは、そういう膨大な金融市場資金の中の一部なわけです。私たちは、それも生かしながら大量に出す、資金を出していくというスタンスを今後も維持していきます、事実上のゼロ金利政策を取っていますので。ですので、その中で、そういう緩和的なスタンスを維持している中で不胎化か非不胎化かということだけを見るというのは、識別するのは難しいというふうに思います。  とはいえ、今後もそういう為替資金によって生み出されたマネーも、資金も生かしながら、潤沢な資金金融市場に出していくつもりでございます。
  16. 金子洋一

    金子洋一君 ありがとうございました。  ただ、不胎化でも非不胎化でもレート影響する度合いはさほど変わらない、本質的に大きな問題じゃないんだというようなお話、御答弁だったかと承るんですが、果たしてそうでしょうか。本当に非不胎化の場合でも不胎化の場合でもそのレートに与える影響というのはないと考えてもよろしいんでしょうか。  仮にそうだとすれば、非不胎化した形の介入でも不胎化介入でも市場の主体に与える期待の変化、それが変わらないということをそれはおっしゃっているんだと思いますから、そうなりますと、世間でのマーケットの常識と随分と乖離をしてくるんじゃないかなと思いますし、その辺り、マーケットとの対話という意味では、今おっしゃった内容というのはいささか理解できないなと私個人は思っております。  続きまして、また白井審議委員お尋ねを申し上げます。  同じ論文の中で、世界最大の純対外資産を持ち、経常収支黒字である日本では現在の円高国際価格競争力を大きく失わせていないという表現がございました。この経常収支黒字デフレ不況原因我が国の国内の経済過少消費に陥ったことが原因であるということは、これは明らかであろうと思います。同時に、このデフレ不況原因企業収益が落ち、そして失業者が増えた状態であります。そういう状態輸出が僅かでも減少すれば、企業収益にもあるいは労働者にも大きな悪影響をもたらす、これは明白だと思います。  こういう状況でも国際価格競争力を失っていないというふうにお考えなんでしょうか。
  17. 白井さゆり

    参考人白井さゆり君) 御質問お答えします。  まず、先ほどのことを一言だけ申し上げますと、私はその不胎化、非不胎化について否定しているわけではなくて、私たち日本銀行は大量に日々資金供給をするときに、その資金も生かしながらやっているということを申し上げます。  その上で二つ目質問お答えいたしますけれども、私がそこで申したのは、確かに日本はすごく円高です。その円高にもかかわらず、長い間、日々の変動はありますけれども、経常収支黒字を維持し、世界最大の純対外資産国として長い間維持しているという事実が日本経済国際競争力を持っているということを申し上げただけです。これはあくまでもマクロ経済的な見方で、そこにはやっぱりミクロ的な見方が大事で、その背景には、企業が物すごく努力して、リストラもやり、新しい商品開発もし、生産拠点を分散し、様々な努力をした結果だというふうに理解しています。  私が申し上げたいのは、私は円の過度な円高というものは大変心配しております。といいますのは、今は震災後にようやくサプライチェーンの寸断から立ち直ってきているわけですね。企業生産が増えている。ようやく企業マインドが改善している中で、アメリカ、欧州を発端にして起きた急激な円高企業に大変な負担をもたらしている。それがその企業マインドを低下させ、ひいては設備投資生産輸出にまで影響してしまうかもしれない。そういう懸念があるからこそ、先週の八月の四日に金融政策決定会合で追加的な緩和を決めたわけです。ですから、その為替変動がもたらす実物経済への影響というのは大変心配しております。
  18. 金子洋一

    金子洋一君 非不胎化効果については否定をされておらないということで安心をいたしました。また、今のお答えをちょうだいいたしましたけれども、これは学問の世界おいでの方、あるいはこれは役所もそうですけれども、やはり現場中小企業の、特にそういった方々努力というのは分からない傾向にございます。ですから、そういった皆さん声なき声是非ともすくい上げていただきたいなと思っておりますので、その点、今後ともよろしくお願いします。  続きまして、石田審議委員お尋ねを申し上げます。  復興財源につきまして、先月の山本幸三衆議院議員への答弁で、市中消化ができるのであれば、日銀消化日銀引受けをすべきではないというふうに御答弁をなさっておられます。  そこでお尋ねをいたしますけれども、ほかの条件一定だとする場合に、単に市中消化だけをした場合に、一体何が起こるとお考えでしょうか。
  19. 石田浩二

    参考人石田浩二君) お答えいたします。  市中消化をする、すなわち新たに債券を市中発行いたしますと資金需要が起こるわけでございますから、限界的には金利の上への上昇圧力が発生するということになりますが、現実には、これだけ大きな国で、かつ貯蓄の超過が非常に大きい、それが銀行部門にも大変滞留しているという中で、今現実に大量の国債が非常に低いレートで高値で吸収され、問題なく発行、流通されているということでございますので、こういう条件が続きますこと、すなわち我々の財政規律が維持されるというような前提を基に、今後発行される分についても円滑に吸収されていくというふうに考えております。
  20. 金子洋一

    金子洋一君 何となくお尋ねに直接お答えいただいていない気がするんですが、まあちらっとおっしゃいましたけれども、市中消化をした場合に金利が上昇するということをおっしゃったんだなと受け止めさせていただきます。  金利が上昇しますと、これは当然米国日本金利差が小さくなるわけですから、円高方向に振れると思います。そうなりますと、先ほど白井審議委員お尋ねをいたしましたけれども、非不胎化介入、つまり金融緩和方向に持っていかないと円安方向に持っていけないんだろうというふうに思います。  ですから、今申し上げたことは、石田審議委員にも是非ともそういった現場皆さんの苦労を引き受けていただいて、特に石田審議委員民間企業の御出身でいらっしゃいますので、そういった方々の声をきちんと日本銀行での議論につなぎ合わせていただきたいなと思っておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。  両審議委員、もし委員長の御許可が得られれば御退席していただいても結構です。
  21. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) それでは、白井審議委員及び石田審議委員、どうぞ御退席ください。
  22. 金子洋一

    金子洋一君 それでは、日銀総裁お尋ねを申し上げたいと思います。  これは前回の附帯決議でもございましたけれども、外貨資産の問題でございます。  外貨資産在り方について、日本銀行外貨資産在り方について検討をしていただくということで附帯決議が付いたわけでございますが、約五兆円という外貨資産を持っておられます。これは日銀埋蔵金とでもいうんでしょうか、そういったものであると私は考えておりますけれども、これがほとんど活用をされていない。それにもかかわらず、円高原因で昨年度は、二十二年度は四千八百十億円もの為替差損を出しておるわけであります。  これは全額処分をしていただいて震災復興財源とすべきであると私は考えておりますが、総裁の御所見を伺いたいと思います。簡潔にお願いいたします。
  23. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えします。  先進国中央銀行はどの中央銀行外貨資産を保有しておりますけれども、日本銀行も、日銀法第四十条又は四十二条に基づく国際金融協力の実施等に備えるために外貨資産を保有しております。  日本銀行外貨資産は、様々なケースを想定しましてこれを活用している、あるいは活用することが想定されております。  これまでにも、海外における通貨危機のようなケースにおきまして、国際金融支援その他の国際金融面での協力の観点から、他の中央銀行と協調しながら信用供与などを行っております。また、万が一、日本金融機関が外貨流動性不足に直面した場合には、緊急時の対応として、日本銀行が保有する外貨資産を活用しまして外貨供給を行うケースもあり得るというふうに考えております。  サブプライムローン問題以降の国際金融危機を振り返ってみてもそうでございますけれども、これはアメリカのみならず、どこの主要国、どの国もそうでしたけれども、金融機関が、自国通貨もさることながら、ドル資金、外貨資金での流動性不足、資金繰り困難という事態に直面しました。そういう事態に備えていろんな手当てを講じておりますけれども、その手段の一つとして、各国の中央銀行がそれぞれ自国の金融機関の外貨の不足にも対応し得るという体制を整えておくということは、これは実際に活用があるなしにかかわらず、これは日本経済にとって大きな意味のあることだというふうに考えております。  いずれにしましても、日本銀行としましては、日本銀行外貨資産を保有する必要性も念頭に置きつつ、先般の附帯決議を踏まえまして、外貨資産の保有及びリスク管理の在り方について真摯に検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
  24. 金子洋一

    金子洋一君 物事には、メリット、デメリットを考えませんと実現ができないわけでありまして、昨年度、二十二年度だけで四千八百十億円の為替差損が生じている。そして、FRBとのドルと円のスワップ協定があることを前提とすれば、果たして一年間に四千八百十億円もの為替差損を払いながらそれだけ膨大な外貨資産日本銀行がお持ちになる必要があるのかということになりますと、これはどう考えてもないと思いますので、そこのところは厳密にお考えをいただいて、必要であれば与党内日銀仕分でも立ち上げて取り組んでいかなければならないと私は考えます。  続きまして、時間も残り少なくなってまいりました、総裁に引き続きお尋ねをいたしたいと思います。  為替介入につきましてですが、決定会合で基金の増額をなさったということでありますけれども、まずこの件につきまして、米、英、EUなどで、日本銀行で言うところの銀行券ルールというものに相当するルールを持っている中央銀行はあるんでしょうか。そしてまた、あるんでしたら、その詳細を教えていただきたいと思います。
  25. 雨宮正佳

    参考人雨宮正佳君) お答え申し上げます。  今お尋ねのございました銀行券と長期国債の保有を対応させるという考え方の基本的な考え方を申し上げますと、銀行券は中央銀行にとりまして長期固定的な負債でございますので、その負債に見合うように長期固定的な資産を保有し対応させるという考え方自体は世界中央銀行共通の考え方でございます。  具体的に申し上げますと、短く申し上げますと、ヨーロッパの中央銀行、ECBは元々固定的な資産として金や外貨資産を多く保有してございますので、そもそも国債を余り買ってございません。最近になりまして、ソブリンリスク問題がある下で、金融政策の波及経路を修復するために買い始めたという段階でございます。  一方、米国のフェデラル・リザーブでございますけれども、これは以前から、国債の買入れは人々の銀行券需要の増加に対応するものと位置付けまして、銀行券発行高の増加におおむね見合うように国債の保有残高を調整してございますし、イングランド銀行、英国のBOEにつきましても、この債券買入れの導入、二〇〇六年でございますけれども、やはり銀行券発行高に応じて調整していくということを基本的な考え方としてございます。このように、米国、英国共に、日本銀行の銀行券ルールと同様の考え方を取っていたということでございます。  ただし、リーマン・ショック以降、これはアメリカ、FRBも臨時異例の措置として長期証券の保有残高を増やしておりまして、銀行券残高を上回る措置を講じておりますし、英国も同様でございます。  この点は日本銀行も同様でございまして、昨年導入いたしました包括的な金融緩和の一環としての資産買入れ等の基金を通じまして新たに長期国債の買入れを実行してございますけれども、この長期国債の買入れにつきましては銀行券ルールの適用対象外としているということでございますので、繰り返しになりますが、銀行券と国債を見合わせるという考え方は海外も共通であるということと、金融危機後、対応しないような長期資産保有も行っているという二点において考え方は共通しているというふうに考えてございます。  以上でございます。
  26. 金子洋一

    金子洋一君 まず一点、銀行券ルール、今最後のお答えにありました銀行券ルール以外の分も長期国債を購入しておられるということなんですが、じゃ、その残高がどのくらいかと申しますと、これ一・三兆円にすぎないんですね。銀行券ルールというのは八十兆円を上限にということでありますので、一・三兆円分出しましたと、しかも合計をしても六十一兆円、六十二兆円にすぎません。あと十八兆円、銀行券ルールの天井まであるわけです。そうなりますと、銀行券ルールを見直したとおっしゃるその表現はいささか羊頭狗肉の類いではないかと私は思います。  さらにもう一点ですが、まさにそのリーマン・ショックの後の対応を我々は日本銀行にも求めているわけです。米国もそしてイギリスも、リーマン・ショック後にどおんとバランスシートを拡大をした。それを我が国はやっていないから、先ほどお話を申し上げましたけれども、円高が大変急速に進む。だから、それを我が国でもやりましょうと。  これは、この財金委員会の中でも同僚議員が何回も何回も日本銀行に対してお尋ねをしているところです。どうしてそれをやっていただけないのか。バランスシートを拡大をして、それでもし弊害があったとすれば、それは我々がやってくださいとお願いをしたんですから、政治の責任になるわけです。今のままですと、バランスシート拡大しません、しませんということになりますと、この十三年、日銀法改正以降ずっと続いているデフレ、これは日本銀行の完全に責任ですよと言われても、これは答えられないんじゃないかと思います。  バランスシートを是非拡大すべきだと思いますが、この点について簡潔に御所見をお願いします。
  27. 白川方明

    参考人白川方明君) 簡潔にということで申し上げますと、日本銀行は極めて潤沢に資金を供給しております。  その上で、少し簡潔でない部分になってまいりますけれども、日本銀行は、今議員が御指摘のリーマン・ショックが起こる以前から、リーマン・ショック後にほかの中央銀行が展開したのと同じような規模の金融緩和を既に実行しておりました。つまり、リーマン・ショックの前からそれだけの潤沢な資金供給を行い、さらに、この数年間の変化という面でも、日本銀行は潤沢な資金供給に努めております。  先般、包括的な金融緩和の下で、更に基金の総額を四十兆円から五十兆円に増額していまして、これは着実に潤沢な資金供給にも努めておるところでございます。
  28. 金子洋一

    金子洋一君 そろそろ時間がなくなってまいりましたので一言申し上げますけれども、総裁の今のお話、GDP比で大きいんだというようなお話をいただいておりますけれども、それは貨幣の流通速度を無視すればそういうことになる。つまり、日本というのはデフレで、資金の巡りが悪いわけです。資金の巡りが元々悪いところに、いや、それはほかの国よりは資金たくさん出していますと言っても、それは全然説明にも何もなっていません。変化率で見なきゃ駄目です。二〇〇八年の九月以前と比較をしてどれだけバランスシートを拡大させたのかというその変化率が我が国は全く劣っているし、ですから緊急時に有事の対応ができていないということになるわけです。  どうかその点をお考えをいただきたいということを強調させていただきまして、私からの質疑は終了させていただきます。
  29. 中谷智司

    ○中谷智司君 皆さん、おはようございます。民主党の中谷智司です。  まず最初に、白川日本銀行総裁にお伺いをいたします。  ニューヨーク・ダウ平均株価が一日で六百ドル以上下落をいたしました。米国欧州、そして新興国あるいは資源国、世界中を巻き込んで、今、日本円高となっています。  日本経済に対する円高影響についてどのようにお考えか、白川総裁お答えください。
  30. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  為替円高につきまして、これはプラスの面、もちろんマイナスの面もございますし、それから短期と長期では異なってまいりますけれども、取りあえず私どもが今考えていますことを申し上げますと、原材料などの輸入コストを引き下げ、企業や消費者にプラスの影響を及ぼす面もこれはございますけれども、現在の状況考えてみますと、海外経済先行きをめぐる不確実性が大きいこの局面においては、円高の動きが、輸出企業収益の減少、企業マインドの悪化などを通じまして、震災後の落ち込みから立ち直る途上のこの日本経済に対しマイナスの影響を及ぼす可能性に特に注意する必要があるというふうに考えております。  それから、もう少し長い目で見ましても、電力の供給制約など震災後の日本経済には様々な不確実性が残る下で、円高の進行などを背景に、企業生産海外シフトの加速や中長期的な成長期待の低下が生じる可能性に注意が必要でございます。  日本銀行としては、こうした円高のマイナスの影響にも十分配慮しまして、先週末、金融政策決定会合で包括基金の増額という措置を講じたところでございます。
  31. 中谷智司

    ○中谷智司君 今の白川総裁のお話からすると、日本経済にとっては円高というのは総合的に見てマイナス面が大きいと、そういうふうに御判断されたんだと思います。  政府が八月四日に為替介入をいたしました。このタイミングについてどういうふうにお考えか、そして、先ほど白川総裁お話しされましたけれども、同じ日に日本銀行金融緩和をされましたが、この目的についてお聞かせください。
  32. 山口廣秀

    参考人山口廣秀君) お答えいたします。  為替介入自体は、先生も御承知のとおり財務大臣の所管事項でありますので、私の立場からはコメントすることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。  その上で、今回の日本銀行による金融緩和の強化についてでありますが、幾つ背景になるポイントがあると思っております。  一つは、海外経済の不確実性が高まっているということであります。それからもう一点が、それに端を発しまして、為替市場ですとかあるいは金融資本市場が不安定な動きを見せていること、これが二点目であります。それから三点目ということになりますが、そうしたことを踏まえまして、先行き景気が下振れるリスクにより留意すべきと判断したということでございます。更に加えて言いますと、これが最後でありますが、消費者物価の前年比が近々政府が公表する基準改定により下方修正される可能性が高く、物価安定の実現までにはなお時間を要すると見られること、これらの点を十分考慮に入れたものであるということであります。  したがいまして、今回の措置につきましては、先行きの様々な不確定要因を前もって踏まえた上で、この時点で十分な措置を講じたものというふうに考えております。日本銀行の政策姿勢を今回は特に明確に示すという観点に立ちまして、資産買入れ等の基金の増額幅については従来の五兆円刻みを変えまして十兆円という思い切った規模にしたものでございます。
  33. 中谷智司

    ○中谷智司君 経済界では、政府為替介入やあるいは日本銀行金融緩和を歓迎をしています。  そこで、改めてここでそもそものお話をお伺いをしたいんですけれども、日本では、円高になると輸出型製造業を中心に収益にマイナスと、そういった叫び声一色になります。日本輸出型の企業からすれば、業績に影響を及ぼすのは間違いありませんし、円高が続くと生産拠点海外移転やそれに伴う雇用の流出にもつながりかねません。しかし一方、円高のときには、私たち海外に行くと何でも安く買えますし、輸入企業にとっては収益押し上げ要因ということにもなります。もちろん歓迎をする企業というのもあります。つまり、円高というのは見方によってプラスにもマイナスにも作用します。  そこで、円高、つまり自国の通貨が強いということがそもそも日本経済にとって本当に悪いことなのかどうか、この件を日本銀行総裁そして野田財務大臣にお伺いいたしたいと思います。
  34. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えします。  円高あるいはその逆の円安もそうですけれども、この問題を考えますときには、時間の軸というのをやっぱりはっきりさせる必要があるというふうに思います。短期での問題、それから少し長い時間を掛けた調整後の姿ということによってもやっぱり違ってまいります。  確かに、先生御指摘のとおり、円高は、これは実質的な日本の購買力を高めるという効果をこれは長期的には持っているわけでございます。それが、消費者が例えば海外に行って旅行で安く物を買えることもそうですし、様々な形で、それから日本企業にとっても原材料が下がってその結果収益が上がるというプラス効果は、これはあると思います。そういう意味で、長い目で見た場合には、その円高の持っているプラスの効果というのが経済に徐々に浸透していくということになってくると思います。ただ、短期的には、これは輸出関連企業に対して収益あるいは輸出の下振れというものをもたらすことを通じて悪影響を及ぼします。  今起きています円高は、これは円高ではございますけれども、これは今ドルの全面安という形でございます。ドル安がどういう背景の下で起きているのかという文脈と照らし合わせてやはりこの円高考えていく必要があるというふうに思います。世界経済全体の回復の弱さ、それから欧州米国財政不安、こうしたものがベースにあっての円高でございます。そういう下で、円高の短期的なマイナス効果が付け加わってきますと、景気先行きに対してどうしてもマインドが冷えてくるということでございます。  したがいまして、先生御指摘のとおり、長期的に見ればもちろんプラスの効果がありますし、中央銀行総裁として、プラスもマイナスも、短期も長期も十分認識した上でしっかり政策運営を行ってまいりたいというふうに思っております。
  35. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 一般論で言えば円高には、先ほど来の御議論にもあるとおり、輸入価格の低下による企業収益の増加要因となるほか、国内投資家、消費者の購買力の増加につながるなどのメリットがある一方、外需の減少であるとか、設備投資や雇用の停滞、さらには企業海外移転等を通じて経済成長の下押し要因になるというようなことがあると思います。  先ほど八月四日の為替介入について日銀お尋ねがございましたけれども、これは、やはり昨今のマーケット動向というのは明らかに一方的な円高の動きに偏っているということの中で、せっかく震災からみんなで全力で立ち上がろうとしているときに日本経済金融の安定に悪影響を及ぼすと、そういう観点から介入を実施をさせていただいたという次第でございます。
  36. 中谷智司

    ○中谷智司君 今、白川総裁もお話をされましたけれども、今の日本経済にとって、つまり短いスパンでいうところの日本経済にとっては円高というのはマイナス面の方が大きいんだと思います。しかし、やはりこの円高というのは、円高が良いあるいは悪いというよりも、経済のグローバル化の中で、日本円高など様々な変化に対応できる強い経済、こういったものに対応できていないことが問題なんだと思います。  もちろん短期的にどういうふうに対処をしていくか、このことも重要ですけれども、これから日本は人口減少に向かいます。世界の人口構成も変わっていきます。世界マーケットが大きく動いていく中で、これからの日本経済をどういうふうにしていくか、このことをきちんと中長期的なビジョンを持って議論をしていくことが何よりも重要なんだと思います。  そこで、政府財政の責任者、そして経済の責任者である野田財務大臣にお伺いしたいんですけれども、日本経済円高など様々な変化に耐え得る柔軟な構造に転換をしていくことが何よりも重要だと思いますけれども、この点についてどのようにお考えでしょうか。
  37. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 基本的には中谷委員の御指摘のとおりだというふうに認識をしています。日本経済円高による経済の下振れリスクに耐え得る構造にしていくためには、雇用、投資、消費の基盤づくりなどにより、内需の下支えを図ることが重要であります。  具体的には、新成長戦略等の考え方に基づいて、産業空洞化を食い止めるための立地競争力の強化や、環境、医療、介護などの分野における潜在需要の顕在化と安心できる社会保障制度の確立などによる雇用、消費の拡大によって、円高による影響に耐える構造の構築を図っていくことが必要だと思います。加えて、円高に対応するためには、資源関連を含め海外の資産購入を進めるなど、円高メリットを活用する観点も併せて必要ではないかというふうに思います。  なお、昨年の六月にまとめました新成長戦略については、先日、震災後の状況変化を踏まえた戦略の方針を示す「日本再生のための戦略に向けて」が決定をされたところでありまして、日本再生のための戦略の具体像をこれから提示をしていきたいと政府としては考えているところでございます。
  38. 中谷智司

    ○中谷智司君 今、野田財務大臣から、円高メリットを活用した経済対策も考えていかなければいけないというお話がありました。この件については、政府も以前から様々な取組をしようとおっしゃられていますけれども、ただ、まだまだこの件に対する取組というのは私は甘いと思っていますし、政府として、これから様々な条件に対応できるような構造に転換をしていくために、もっともっと真剣に中長期的な日本経済のモデルというのを考えていただきたい、そしてその議論是非とも参加をさせていただきたいと思います。  今、世界の中における日本経済についてお話をさせていただきましたけれども、今度は国内における日本経済のことをお話をさせていただきたいと思います。  時間がありませんので、大きなお話だけさせていただきたいんですけれども、三月十一日の東日本震災から五か月がたちました。日本国民を始め世界各国の皆様方が、被災地域はもちろんのこと、私たち日本経済のことについて心配をしてくださっています。  白川総裁日本経済に関する今の認識と、そしてこれからの見通しについてお聞かせください。
  39. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えします。  議員御指摘のとおり、三月十一日の東日本震災によりまして、日本経済は突然の供給制約に直面しました。資本設備の毀損、サプライチェーンの寸断、それから電力の不足であります。  こうした供給面の制約につきましては、これは関係者の懸命の努力現場力ともいうべき努力の結果、着実に持ち直してきております。電力につきましても、この夏場に関する限りは、様々なみんなの努力によって生産活動を大きく制約するということではなくなりつつあるわけでございます。こうした下で個人消費は持ち直し方向に転じていますし、企業設備投資も計画数字で拝見しますと、比較的しっかりしたものになっております。  ただ、先行きについては、先ほど来申し上げていますとおり、様々な不確実性があるというふうに認識しております。一つは、欧米経済財政の問題もそうでございますけれども、バブル崩壊後の欧米経済の回復、それから新興国も、これは物価と成長の両立、これが果たしてうまくソフトランディングできるのかということもございますし、そうしたことを背景に欧米の金融市場もこのところ不安定な動きを示しているということでございます。  したがいまして、日本経済への構えとしては、現在、震災後のこの復旧復興の過程をしっかりしたものにしていくという努力が必要でございます。と同時に、先ほど議員が御指摘のとおり、日本経済震災の前から抱えていた積年の課題がございます。急速な少子高齢化が進む下で日本生産性も徐々に低下をしてきていると、この事態に対してしっかり歯止めを掛けていくという取組がない限り、日本経済が本格的に成長するということは難しいと思います。  したがいまして、日本経済については、ごく短期の供給制約の問題、その後の復興の問題、それからより根本的な構造的な改革に取り組むということが大事だというふうに認識しております。
  40. 中谷智司

    ○中谷智司君 こういった深刻なそして大変大きな問題が起こったときには、大きく見る目と、そして小さく、つまり局所的に見ていく、その二つが重要なんだと思います。日本経済については、大きな目で見ていくと日本経済というのは将来的には回復をしていくんでしょうけれども、ただ、お一人お一人の被災された方々の生活を取ってみると、家族の方を亡くされたり、あるいは家や会社を津波によって流されてしまったり、深刻な問題がまだまだたくさんあります。こういったお一人お一人の生活のことも考えながら、これからの日本経済の再建のことを是非ともお考えをいただきたいと思います。  そして、白川総裁がお話をされましたけれども、私たちのこの日本経済は、東日本の大震災が起こる以前から、とりわけ地方と言われる地域では経済が良くなかった。そこに建築基準法の改正やあるいは原油高騰やあるいはリーマン・ショックや円高株安、こういったいろいろなマイナスの要因が積み重なっていました。つまり、まだまだ被災地域以外の地方も大変深刻な状況が続いていると思います。  私の地元徳島でも、もちろん何よりも被災地域の皆様方の復旧復興、皆様方の生活こそが大切だと歯を食いしばって仕事をされたり生活をされていますけれども、今の被災地域以外の地方の状況をどのようにお考えか、白川総裁、お聞かせください。
  41. 山口廣秀

    参考人山口廣秀君) お答えいたします。  各地の景気動向を見ますと、このところ持ち直し方向の動きが出ているというふうに思っております。私ども、七月に地域経済に関するレポートというのを取りまとめておりますが、それは全国九地域に分けまして経済状況を見ているわけでありますが、七月時点ではかなりの地域で持ち直しの動きが出ているということでありました。  ただし、同じ地域の中でも動きが一様ではないというふうにしっかり認識しておるつもりであります。業種ですとかあるいは企業規模、あるいは企業間で見た場合に業況の差というのはかなり見られるということでありますし、更に細かく見てみますと、人口が減少する地区における中小企業などでは大変厳しい状況にあることも認識しております。  金融政策運営に当たっては、あくまでも日本経済全体を見ていくことがベースになるわけでありますが、地域経済状況についても私どもの本店それから支店の調査機能などを十分に生かしながら引き続ききめ細かく点検してまいりたいと、かように思っております。
  42. 中谷智司

    ○中谷智司君 先ほどもお話を申し上げましたけれども、私たちのこの日本という国は東日本震災という深刻な問題を抱えています。そして、それに加えて従来からの経済の様々な課題を抱えています。  リーマン・ショック後そして東日本震災後の経済対策をどのように総括し、どのようなシナリオでこれから日本経済を再生させていくか、野田財務大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
  43. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) リーマン・ショック後の厳しい経済情勢については、昨年の秋以降の予備費やあるいは補正予算を活用した経済対策等によりまして、今年の初めには景気の足踏み状態を脱して持ち直しに転じており、一定景気の下支え効果があったというふうに認識をしています。  また、三月に起こった東日本震災からの復旧復興については、早期の立ち直りのため、災害復旧等の公共事業費を盛り込んだ第一次補正予算や、被災者の債務問題への対応等を盛り込んだ第二次補正予算を成立をさせていただきました。  その着実な執行に取り組んでいきたいと思いますが、今後においては、まずは震災からの施設、設備、サプライチェーンの復旧、再構築などの本格復興に向けた施策に全力で取り組んでいきたいと思います。また、長期的には新たな成長分野の拡大、革新的エネルギーの創造といった成長力の強化に努めていくことが肝要だというふうに思います。
  44. 中谷智司

    ○中谷智司君 今日のこの質疑の中でお話をさせていただきましたが、今、日本は内外に様々な課題を抱えています。  とりわけ、東日本震災日本に甚大な被害をもたらすとともに、私たち国民の心にも大きなショックを与えました。しかし、この大変なピンチを是非ともこれからチャンスに変えていかなければなりません。そして、私たちの国が希望や誇りを持って国民が生活をしていけるような国づくりに取り組んでいかなければならない。そのために是非とも、日銀総裁あるいは財務大臣、そういったことを胸に刻んで職務に取り組んでいただきたいと思います。  ありがとうございました。
  45. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 自由民主党佐藤ゆかりでございます。  大変金融市場が荒れておりまして、G7で緊急電話会議、月曜の早朝ですけれども、行われた模様でありますが、その努力にもかかわらず、米国では株式市場が既に大幅に下落をしている、円も高値水準で一向に反転の兆しが見られない、そのような状況が続いているわけでございます。まさに、S&Pの米国債初の格下げ、そしてまた同時に米欧の債務懸念景気減速懸念で、いわゆるファンダメンタルズにやや基づく形で連鎖的な世界同時株安、そして円高というものが消去法的に続いているということであると思います。  まさに、日本経済にとりましては、復興のやさきでありましたけれども、この円高の持続、それに加えまして今後電力料金が上がるであろうという高い電力料金、そしてまた政府が今方向性を出しております今後増税をしないと復興財源が出ない、社会保障と税の一体改革でも増税があるということで高い税金の見通し、高い円、高い電力料金、高い税金の見通しと三重苦で、まさにこれで日本企業というのは空洞化を加速しかねないというところにあるわけでございます。  そこでまず、月曜早朝に行われましたG7緊急電話会合についてお伺いをしたいと思いますが、イタリアのベルルスコーニ首相は議長国であるフランスのサルコジ大統領に五日の日に電話会談で開催を要請したという報道がなされております。為替問題の当事者としては、我が国日本も当然菅総理がそのような要請を開催に向けて行ったと思われますが、野田財務大臣、それでよろしいでしょうか。
  46. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 先週、金融市場、本当に様々な荒れた動きがございました。そういう中で、私ども八月四日に為替介入をいたしましたので、その前後については関係当局と緊密なコミュニケーションを取っております。あくまでこの経済外交という役割の中で、政府の中では私を中心に緊密に連絡を取りました。その御報告を随時総理には上げておりましたけれども、総理から直接的に、例えばG7の会合を呼びかけたという事実はございません。
  47. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 総理は今、出せずにいるような、日本の国汚しのような状況でございますから、出したくても出せないというお気持ちは分かるわけでありますが、しかしながら経済外交に大きな影響を及ぼすということは間違いないと思います。  それで、日本当局は為替に対してどのような問題提起をして、そして結果を得たのか、また協調介入についての段取りはできたのか、その点を野田大臣お答えください。
  48. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 先週の八月四日に、結果的には単独介入という形になりましたけれども、先ほどの御質疑の中にも御答弁させていただいたとおり、一方的な円の動き、これは日本経済にあるいは金融に悪影響を及ぼすというような観点からの介入、特に投機的な無秩序な動きがあったということ、それに対する対策として介入をさせていただきました。関係当局にはそれぞれしっかりと連絡を取りながら対応させていただきましたけれども、今回は単独介入という形になりました。  こういうことを踏まえた対応を、まずG7の、昨日の日本時間で六時でありますけれども、会談で、日本のやった介入についての意味、その説明をさせていただいた上で、G7として共同声明をまとめるときには是非これ為替についての言及が必要であるということを強く主張させていただきまして、従来からG7で声明に盛られてきたことの内容を再確認をしながら、そしてお互いにしっかり連絡を取りながら適切に協力をするという、こうした文章を入れるために強く主張をさせていただいた次第であります。
  49. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 発表された共同声明は、従来的な為替に対するコメントのくだりで特に危機意識の高いものが盛り込まれたというふうにはとてもお見受けできないわけであります。まさに協調介入の段取りまでは、野田大臣、付けることができなかったということですか。
  50. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 介入の具体的な方針を定めるということではありません。基本的な姿勢ですね。マーケットが安定をするために、世界の多くのアクターが安心をしていただくために、為替市場における行動に関して緊密に協議し適切に協力をすると、そういう合意を踏まえて、これから特にこの数週間にわたっては特に緊密に連携をしていくということが確認をされたということでございます。
  51. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 G7の会議でありますから、中央銀行同士の連携というのも当然かかわってくるわけであります。  そこで、日銀白川総裁にお伺いしたいと思いますが、リーマン・ショックの発生直後は各国の中銀が協力をし合って大量な流動性の供給に至ったという連携があったわけでございます。今回はたまたま、本日九日、アメリカでFOMCが開催される予定になっておりまして、市場ではアメリカがQE3に踏み切るかどうかと、可能性は低いとも言われておりますが、そんな観測も取りざたされている中での昨日のG7会議であったと思われます。  そこで、白川総裁、米景気下支えのために更なる追加金融緩和というものが望ましいという要請は日本として行ったのでしょうか。
  52. 白川方明

    参考人白川方明君) 米国中央銀行であるFRBとは、これは様々なレベルで意見交換、情報交換を行っております。私自身も、バーナンキ議長を始め、直接いろんな形で意見交換を行っております。そこでは、お互いに自国の経済状況、それからグローバル経済に潜むリスク、こうしたことについての意見交換を行っております。私自身が他国の金融政策について直接注文を付けるということは、これは中央銀行間のルールとしてそういう直接の形では行っておりません。  ただ、先ほどの野田大臣の御答弁にもございましたとおり、これだけ経済のグローバル化が進行し、その下で、金融市場が不安定になっている下で、各国間の緊密な情報交換、各国間の協力、これが重要であることは、これは双方認識を共有しているというふうに思っております。
  53. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 まさにリーマン・ショックの後には、アメリカが主導になって各国の中央銀行流動性を供給しましょうということで、やはり連携というのはなされているわけですね。ですから、今回は円高で、日本が非常にその課題を抱えている当事国であるわけですから、そこは日銀としてももう少し政治力を発揮していただきたい、そのように思うわけであります。  実際に、このS&Pの米国債の初の格下げを受けまして、中国は米国債最大保有国でありますけれども、その中国はアメリカの財政健全化に向けて早くも注文を付けているんですね。そういうことがマスコミで堂々と報道されているわけでありますが、そして、こういう形で中国は米国の債務問題という目下の問題を早くも次の外交交渉のカードに利用するようなねらいが見られるというふうに思われるわけであります。  こうした、ある意味、したたかさといいましょうか、そういうものが日本金融財政の外交でも必要ではないかというふうに思われるわけでありますが、そういう意味で、このG7の電話会合の会議の開催要請を菅総理ができなかったということは、やはり我が国の外交、経済外交上も非常に致命的であると思います。政治空白がどれだけ無作為を呼んでいるかということの表れが今回示されたというふうに思います。  さて、そこで、昨年十一月、G20ソウル・サミットでは、過度の為替変動への監視体制を組むと、そしてまた経常収支の不均衡を判定するガイドラインを作成して、そして今年、二〇一一年からガイドラインに基づく最初のこの判定を実施するんだということが既に決定されているわけであります。  日本は今、為替問題を抱えているさなかでありますから、そのような立場をむしろ逆に活用して、そして率先してこの不均衡評価の推進役を買って出る、そして交渉力を獲得するべきであるとも思われますが、野田大臣、いかがでしょうか。
  54. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) G20においては、強固でそして持続可能かつ均衡ある成長を目指して各国の経済対策の相互評価を実施をしています。この取組の一環として、佐藤委員の御指摘のとおり、二〇一〇年十一月のソウル・サミットで、対外的な持続可能性を促進するための多角的協調を強化し、過度な不均衡を削減し、経常収支を持続可能な水準で維持することに資するあらゆる政策を追求することとされました。このような相互評価を通じて対外的な持続可能性を推進することはG20として重要な取組であることから、我が国としてもこの議論に積極的に参画をしてまいりたいというふうに思います。  ちなみに、今行われている作業は、G20のうち日本を含むシステム上重要な国を対象として、対外不均衡の性質や調整の障害となっている原因についての今評価を行っているという最中でございます。
  55. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 今、野田大臣お答えに積極的に参画をしていくというお答えがあるわけでありますが、私がお伺いしたのは、積極的に日本が推進役を買って出るべきではないかと、やはりリーダーシップを取るべきではないかという、そこの政治力の発想が今我が国日本政府に問われているのではないかということであります。是非、参画というワン・オブ・ゼムではなくて、やはりリーダーシップを取る、自分が率先して議論をリードするんだと、そういうことを野田大臣が役割として担っているということを是非認識を深めていただきたいというふうに思うわけであります。  時間もありますので次の観点にまいりたいと思いますが、今回のこの円高ですけれども、短期的な投機筋の動きの抑制、そうした短期的な政策、そして中長期的には空洞化を防止するにはどうしたらいいかというような税制まで含んだ対策、この二段階での対策が当然必要になるわけであります。  そこで、まず短期的な投機抑制に向けて、金融規制の方からお伺いをしたいと思います。  実際に配付資料の一ページ目を御覧いただきますと、これは日米間で対外対内証券投資の動きを表したものでありますが、直近、下の方の二〇一一年四月、五月、これ速報値ですけれども、中長期債の対米買い越し額を御覧いただきますと、これはプラスの表示で、かなり大額の表示が出ているわけであります。一兆円台、一兆九千億円台の日本に対する資金の流入が起きている。実際にアメリカの景気が悪くなるぞというような観測の下で、外貨建ての投信への資本流入が減少していて、それに伴う外貨需要の減少がファンダメンタルズ的には今の円高にも効いているという観測があるわけであります。  通常であれば、景気減速見通しがあれば株安になり、株安になれば債券投資の方に、例えば同じドル建て資産であれば株から米国債券にポートフォリオがシフトするということで、同一通貨内でのシフトがまず起こる、その結果ドルは下支えされるというわけでありますが、今回はアメリカもヨーロッパも景気の見通しが悪い、そして両方とも米欧で債務問題も抱えている、そのような状況の中で米欧債共々価値下落リスクが高まっている結果、グローバルなポートフォリオシフトが起き、円資金や金へ質への逃避が起きているという問題であります。  そこで、この金融規制についてまず、これに乗じた投機的な動きをできるだけ抑制していく必要があるというのが短期策でありますが、金融庁にお伺いしたいと思います。  現在、日本は、八月一日以降、外国為替証拠金取引の証拠金倍率を五十倍から二十五倍へ引き下げ、規制強化を行いました。しかしながら、実際には、国内個人投資家の趨勢としては、それまでドルロング、円ショートのポジションが積み上がっていたことから、介入をして逆に円の買戻し需要が発生したと、まあ利食いチャンスを提供したということでありまして、なかなか一国の努力だけでは難しいというわけであります。  そこで、現在、ほかの国、米国、ユーロ圏、イギリスにおいて外為証拠金取引の証拠金倍率はそれぞれ何倍か、金融庁、お答えください。
  56. 森本学

    政府参考人森本学君) お答えいたします。  米国におきましては、個人向け店頭外為証拠金取引につきましては証拠金規制が定められております。具体的には、業者が顧客から受け入れます証拠金の比率につきまして下限を定めております。その下限は、主要通貨ペアにつきましては二%、レバレッジで申しますと五十倍、それ以外の通貨ペアにつきましては五%、レバレッジで二十倍と、それ以上の証拠金を受け入れるようにという規制になっております。  なお、ユーロ圏、イギリスにつきましては、そうした個人向けの証拠金規制があるということは承知しておりません。
  57. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 問題は、この為替市場、三百兆円規模とグローバルには言われますけれども、ユーロ圏、イギリスの動きなんですね。アメリカでは証拠金の倍率があるわけでありますが、金融庁においてこの海外金融規制の動きというものを正確に把握をしていないということであれば、まさにこれは今の局面で問題だと思います。  やはりしっかりと把握しなければ、ほかの国と連携できない。やはりほかの国も、イギリスもユーロ圏も、外為証拠金取引の証拠金倍率を引き下げてくれと言うぐらい要請をすることが必要ではないかと思いますが、その把握ができていないということは、まさに連携する発想が日本の行政にないということですね。あくまで日本国家として単独プレーに陥っていると、そういう印象を受けて仕方がないわけであります。やはりここも政治力を発揮して連携をする、そのために相手の国の規制が何であるか、きっちりと情報をつかんでいるということがまず大事ではないかというふうに思われるわけであります。  そこで、自見大臣、本当に三十秒以内でお答えいただきたいと思いますが、この証拠金倍率引下げをユーロ圏やイギリスあるいは米国に対して申入れをすることはありませんか。一言でお願いします。
  58. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 国際的な金融規制に関する議論の場において、国際的な資本取引を規制する観点から個人向けのFX取引に対して証拠金倍率に統一的な上限規制を設けるという議論があることは認識しておらず、我が国から米国等の他国に対して引下げを申し入れることは考えておりません。
  59. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 このように、本当に日本というのは言われるとやるんですけれども、対外的に申し入れるということは一切しないと、こういう本当に単独外交なものですから、どんどんどんどん不利な状況に押し込まれていくということではないでしょうか。結果として国民の税金に跳ね返ってくるわけですね。そのことを十分に行政側の方々も認識をいただいて、行政も政治力を発揮するんだということを、是非これを機会に行政の在り方というのを転換しなければいけないというふうに申し添えておきたいと思います。  さて、時間が限られておりますので、日銀の対処策について今度はお伺いをいたします。  もう一つ、金融規制のほかに、日銀金融政策でも短期的に円高を抑えなければいけないということだと思います。既に金融緩和介入と同時に発表はいただいているわけでありますが、そこであえて、その緩和策ではなくて通貨スワップ協定の活用についてお伺いをしたいというふうに思います。  リーマン・ショックの後から日本は既にアメリカと通貨スワップ協定においてドル供給オペというものを国内で実施をしております。これはドル建て担保資産と交換にドルを国内市場で供給する、そういうオペを日銀が行っているわけでありますが、このドル供給オペを日銀が実施したその根拠、まあ決済の安定性の維持というのが目的だと思いますが、その点をもう一度確認させてください。
  60. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  リーマン・ショックのときを思い起こしてみますと、金融機関間、グローバルに見て金融機関の間でこれは信認が崩れるということになりまして、ドル資金の調達が著しく困難になるという状況になりました。ドルの短期金融市場における流動性が枯渇をするという状況になりました。こういう状況を放置いたしますと、海外で活動する日本企業もそうですし、それから日本企業にドル資金を提供する日本金融機関もそうでございますけれども、これは正常に業務ができません。その結果、日本経済にとってこれは安定的な成長の実現が難しいということになってまいります。  したがいまして、日本銀行は、FRBとスワップを結んで、その上でドル資金を供給することによって、物価安定の下での持続的な経済成長の実現という日銀法に定められた使命達成に努めた次第でございます。
  61. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 まさに、白川総裁おっしゃられましたように、決済の問題が絡んでくるわけです。実際、この間、対アジア通貨で見てみましても、対アジア通貨でも全面高なんですね。今、円高は、対ドルだけの問題ではありません。  そこで、配付資料二ページ目を御覧いただきたいと思いますが、これは日本輸出と輸入それぞれにおいて円建て決済がどれだけの割合で行われているか、地域別に示したものであります。上の表が日本からの輸出。そこで、御覧いただきたいのはアジアの欄で、通貨名のところ。円が一番高いんです、決済通貨でほぼ五〇%。四九・三%の対アジアの日本からの輸出は円建てで取引をされている。米ドル建てが四八・六%。円建てが圧倒的に大半であるという事実があるわけであります。全世界で見ても円建てが四二・二%、日本の総輸出の四二・二%が円建てで輸出されているということであります。  そして、この対アジア通貨でも、今、日本円は全面高の状況で、毎日毎日円高になっているということでありますので、貿易の決済という観点からも、そろそろ決済の安定性を担保する意味での金融政策というものが意識されなければならないと思います。既にアジア諸国。日本、韓国、中国を含むASEANプラス3で互いに通貨スワップを行うチェンマイ・イニシアチブというものが施行されているわけでありまして、これはアジア通貨危機再来を抑制する枠組みとして導入されました。しかしながら、これは、だからといって円の供給という、いわゆる現地アジア通貨ではなくて円の供給を行うスワップという逆方向の活用の枠組みを除外しているものでもありません。  そこで、日銀白川総裁にお伺いします。  アジア諸国のチェンマイ・イニシアチブや、あるいは対米でやりましたような先進諸国間の通貨スワップ協定、これらを全て活用して、海外日本からの輸入による仕入れ代金などの円建て債務の不履行問題を未然に防ぐという大義名分から、未然防止策として各国中銀にこれら通貨スワップによる円供給オペを要請すべきであると考えませんか。
  62. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  アジアとの貿易の中で円建ての取引のウエートが高まっているという事実認識については、私どもも全く同じように認識を持っております。  円資金を用いました民間取引は、これは今先生御指摘の貿易決済も含めまして、金融資本市場から調達された資金で行われるということが、これがまず基本だというふうに思います。そう申し上げた上で、万が一市場からの資金調達が困難となる場合には、これは政府中央銀行資金を供給する仕組みが必要であります。  この観点から、日本銀行は、財務省とともに、ASEAN十か国と、それから日本、中国、韓国によるいわゆるASEANプラス3の各種会議に参画しまして、通貨危機などの対応を目的とするいわゆるチェンマイ・イニシアチブにこれは深くかかわっております。また、日本銀行自身は、これはチェンマイ・イニシアチブの枠組みに沿って、中国とは既に円と元、韓国とは円とウォンのスワップ取決めを締結しております。このほか、日本銀行は、アジアを始めとする海外中央銀行との間で日ごろから綿密な意見交換を行っておりまして、例えば、ASEANプラス3の会合では危機予防の観点からスキームの検討を行っております。  先生の御指摘の、中央銀行として中央銀行の持てる銀行業務の機能を使ってどのような取組ができるのかという問題意識は私どもも十分に持っております。
  63. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 リーマン・ショックの直後には日本米国に協力をしてドル供給オペを行ったわけであります。是非日本も、今の通貨危機、危機と言ってふさわしいと思いますが、そういう状況の中で決済の問題も懸念されるわけでありますから、アジアも含めた諸外国に対して円供給オペの要請を検討していただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。  さて、中長期的な空洞化対策の方に最後の時間、五、六分割きたいと思いますが、この空洞化は当然税制が重要な問題になってくるわけでございます。  そこで、最近のアンケート調査を見てみますと、まず、七月十四日の日経新聞の社長百人アンケート調査ですけれども、経営者の回答者四割が、円高の是正や税制の見直しが進まなければ今後三年以内に生産拠点海外へ移転すると、約四割が回答をしています。  そして、今月八月三日、帝国データバンクがまとめた産業空洞化に対する意識調査では、産業空洞化に大変懸念をしている、七六・五%。そして、海外流出を加速させると答えた方々の要因として、円高が五〇%で最大の要因に上っています。そして、エネルギーの供給問題も三八%と大きな要因になっているわけでありますが、しかしながら、こうした中で、八月五日に閣議決定された政府の新成長戦略「日本再生のための戦略に向けて」の中で政府空洞化防止策を織り込むと約束をし、織り込んだわけでありますが、実際に中を見てみると非常に抽象論の羅列で、これで第三次補正を組むまでには到底至らないわけであります。  そこで、お伺いをしなければならないんですが、円高といいましても、実は、燃料コストのように仕入れコストが安くなる、円高メリットを享受する産業もあるわけでありまして、賛否両論あるというのが現状だと思います。  そこで、実際に今、現状はどうなのかと。このページ三の配付資料のところで、損益分岐点比率を少し用意しましたので御覧いただきたいと思います。青線が製造業、赤線が非製造業ですが、点線の部分が中小企業、実線が大企業。そうしますと、この点線の赤と青線の部分、これは中小企業の製造業、非製造業ですが、足下九五%ぐらいまで上がってきているわけであります。  この損益分岐点比率というのは、実際に売上高が下がってきて、そして生産コストと同じになる、いわゆる採算割れの状態になる売上高に対して今の実際の売上高がどのぐらいの比率であるかという指標であります。ですから、この比率が下がれば下がるほど円高などの要因によって今現在の売上高が低下をしても採算割れになるまで余裕があるということでありますので、これが一〇〇%に向かって上がっていくと、一〇〇%がちょうどこれは採算割れになるわけでありますが、大変な状況になってくる。  そして、これはデータの最後のポイントが今年一—三月期ですから、この四—六月期、七—九月期までデータを延ばしますと、恐らくもう中小企業は九〇%台後半まで今現在来ているであろう、大企業においても九〇%台ぐらいまで乗せてきているということで、産業間では円高メリット、円高デメリット、両方立場がおありになるでしょうが、全体像として見ると、あとこのデータポイントでいえば二ポイント進むぐらい、今年の秋ぐらいまでには徹底した空洞化防止策を打っていかないと大変になるということがこの図表からもお分かりいただけるというふうに思います。  そんな指摘をしながら、それでは、目先のまず電力の問題、電力価格の問題に移りたいと思いますが、電力料金の引上げ観測が空洞化を引き起こす一つの大きな理由になっております。  そこで、次の資料の四ページ目ですけれども、いわゆる電力各社は実は自主的に原価変動調整積立金と別途積立金というものを積み立てております。これはそれぞれ、石油価格が高騰したときに価格を安定化させるための積立金、そしてまた円高が生じたときの差益を積み立てておくというようなものでありますが、これまで取崩しをされたことというのは余りないであろうと思っております。  ただ、これを取り崩して、実際の残高は九社合計で今、二〇一〇年合計ですと三兆九千六百八十七億円あるわけでありますけれども、これを取り崩すと、大体一・四年分ぐらいは電力料金を引き上げなくても大丈夫だろう。仮に来年の春までに原発の五十四基が再開できずに全部止まって、その三割分の電力を火力発電で全部賄ったと、その結果燃料コストが日本経済全体で三兆円増加すると予想されますが、それが起きても、この取崩しによって一・四年分ぐらいは電力料金を引き上げなくても大丈夫だという計算になるわけであります。  そこで、会計上、原価主義に基づきますと、赤字を前提とした積立金の取崩しはできないというふうにも言われているわけでありますが、むしろ政府が率先して、電力会社に対して、こういう非常事態であるからこの二つの積立金を取り崩して電力料金の平準化に努めるべきであるという指示を早急に出すべきではありませんか。
  64. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 池田副大臣、時間が参っておりますので、手短に答弁をお願いいたします。
  65. 池田元久

    ○副大臣(池田元久君) 佐藤委員お答えをいたします。  原価変動調整積立金や別途積立金は会社法上の任意積立金でありまして、料金の長期安定のために活用するという趣旨で積み立てられているものと承知をしております。したがって、基本的には、値上げが問題になるときには原価変動調整積立金や別途積立金が取り崩されるものと理解をしております。  なお、先生御指摘の今の電力各社の状況でございますが、三兆九千億とおっしゃいましたが、六月末では、東電が繰越利益剰余金がマイナス一兆九百六十四億円でございますので、約、トータルすると三兆円あるということを申し上げたいと思います。
  66. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 佐藤ゆかりさん、時間でございますので。
  67. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 最後になりますけれども、野田大臣一言だけお伺いをしたいと思いますが、こうした円高の中で、いい円高、悪い円高、いい海外流出、悪い海外流出あると思います。円高、電力料金引上げ、増税等で空洞化は、悪い空洞化。仕方がない空洞化というのは、海外市場獲得のために生産拠点を拡大する意味で出ていく空洞化。これはある意味、市場拡大として必要であろう。大事なことは、海外に出ていったときにその利益を国内にいかに還元させるか、それを支える税制がきちっとしっかりしているかどうか、これが大事であります。  民主党政権は、二十三年度税制改正で、法人税の実効税率五%引下げの財源がないために、研究開発促進税制を削減するということを打ち出したわけであります。こうした税制をきちっと促進するおつもりか、そしてまた同時に、復興増税で十兆円必要と言われておりますが、法人税の実効税率五%の引下げは死守をされるのか。野田大臣、これから政権構想を発表されると伺っておりますので、個人的な見解でも結構ですが、お答えください。
  68. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 野田財務大臣、手短にお願いいたします。
  69. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 政権構想、別に発表しません。  ということの中で、今、税制については、衆議院で特例公債法案と同時に法人の実効税率の中身の議論も今行われているところでございますが、これについては二十三年度の復興のための予算と併せて各党間で協議をすることになるということでございます。それを踏まえた対応をしたいと思いますが、この間まとめた復興の基本方針では、これは五%引き下げるということを書いてございます。その上で、復興財源としての基幹税を検討することになっていますので、その方針と整合的にどうするかという議論政府税調の中で議論していきたいというふうに思います。
  70. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 これで終わります。
  71. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 自由民主党野上浩太郎でございます。よろしくお願いいたします。  まず、マニフェストの見直しということからお聞きをしたいというふうに思います。  野田財務大臣、今日の報道では、代表選へ出られるという決意を固められたという報道がありましたし、月刊誌に何か政権構想を発表されると。これはされないんですかね、まあ誤報なのかもしれませんが、そういう報道が相次いでおります。そういう意味では、このマニフェストをどうするのかというのは、次の政権のそれは大きな課題になってくるというふうに思います。そういう意味で、このマニフェストをどのような形にしていくのか、野田財務大臣の思いをしっかりと聞かせていただきたいというふうに思っております。  先般、マニフェストが実現できないということについて、岡田幹事長、そしてまた菅総理が謝罪をされました。野田財務大臣、このマニフェストの見直し等についてどう考えておられるか、お聞かせください。
  72. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 元々、この九月をもって政権交代をして丸二年、任期四年とするならばその折り返し点までにマニフェストについてはその総括をしていくというのが既定の方針でございました。ということは、どこまでできるのか、進捗状況どうなのか等々を踏まえた検証を行うということが元々既定路線でございました。  その上に、三月の十一日の東日本の大震災の発災という、こういう新たな事情が生まれました。それを踏まえてなおさら政策の優先順位を変えていかなければならないという事態、復旧復興が大優先という、そういう状況の中で、もう既に子ども手当については三党の政策責任者間で協議が調って合意をしたと承知をしていますし、例えば高速道路の無料化についても既に第一次補正の財源として活用するべくもう凍結をさせていただきました。  こういう議論を今後も真摯にやっていく。もちろん、マニフェストにはそれぞれ理念があります。理念がありますけれども、今の現実を踏まえた対応が私は必要であって、理念は大事であるけれども、これはいわゆる幻想であってはいけないというふうに思いますので、しっかり現実を踏まえた対応をしていくということが大事だというふうに思います。
  73. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 ですから、幻想だったということが明らかになったんだというふうに思います。  少し歯切れが悪かったんですが、個々の政策ももちろんなんですが、その前提となる財源の問題、二十五年度までに十六・八兆円を生み出す、これはできないということでよろしいんですね。
  74. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) その財源を見付けながらマニフェストを実行するということは、既に、今までは三・六兆円の財源確保しながらマニフェストの主要事項を着実に実施をしてまいりましたけれども、新たに財源確保するとしても復旧復興に優先を今せざるを得ないという状況になっているというふうに思います。  加えて、ワンショットの税外収入においては過去最大の規模の財源確保等はして、つくってまいりましたけれども、いわゆる十六・九兆円という、いわゆるその見通しというのはなかなか厳しくなってきたというのが率直なところだというふうに思います。
  75. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 今、十六・九兆円、八兆円ということについては厳しいと、こういう表明がありましたので、そのとおりだと思います。本当に、できないことはもうできないと言った方がいいんですよ。そうしないと政治に対する信頼というのは本当に低下をしていくと。できないことはできないんだということを今のようにはっきりと言ってもらいたいと思います。  そういう中で、子ども手当について見直しということが合意をされました。これはもうまさに民主党政権の一丁目一番地の政策だったと思いますが、これが見直しをされたということについてどうお考えか、見解をお聞かせください。
  76. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 去る八月四日に、民主、自民、公明の三党の幹事長、政調会長の間で見直し案が合意をされたところでございます。元々、こうした政策責任者の皆さん等の、まさに要路にある方々に一任をしておりましたので、その結果についてはしっかりと踏まえて、今後これに沿って内容の検討や法制化が進むものと承知をしています。
  77. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 この子ども手当の見直しというのは、要は、いろんな報道では、これは子ども手当を見直したんではないんだと、子ども手当の見直しではなくて、子ども手当をしっかりと続けていくんだというような中での見直しなんだというふうな報道もありますが、そういうことではないんですよね、これはもう子ども手当は撤回をしたということでよろしいでしょうか。
  78. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 子ども手当を撤回したというか、子ども手当の見直しを行ったというふうに承知をしています。
  79. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 この見直しで全く理念が変わったんですよ。所得制限が入ったということなんですね。民主党政権は子供を社会で育てるということを理念としてやってきた、所得制限を掛けないでやるということでやってきました。今回の見直しで所得制限が入って、我々が常々主張をしてきた子供は家庭で育てるんだと、足らざる部分を社会がサポートしていくんだと、これは全く別のことになった。法律的にも児童手当の拡充ということになるわけですから、今までの子ども手当ということは考え方からもなくなったということでよろしいでしょうか。
  80. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 三党の合意で、あくまでその事実を申し上げると、平成二十四年度以降の子どものための現金給付については、児童手当法に所要の改正を行うことを基本とするということで、それを踏まえて対応するということだと思います。
  81. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 なかなかはっきりしたお答えをいただけませんが、もうそのとおりなんです。児童手当の拡充だということをはっきりとこれは申し上げておきたいというふうに思います。  そして、この子ども手当についてもそうなんですが、今、特例公債法案というものが一つの焦点となっております。それの前提として、この子ども手当の見直し、それから我々はその他の三Kの見直しということも主張をいたしております。昨日、政調会長会談で、民主党さんの方から高速道路無料化についてはこれはもう来年度は凍結をすると。国土交通省の副大臣の方も、これは来年度凍結すると言っているけれども、実質的にはできないんだというようなことを記者会見で言っておられるというふうに思います。戸別補償についても検証と改善を加えるというような話、高校の無償化については実質的に続けるというような話をされているんですが、こういうとにかくばらまき政策の撤回が我々は特例公債法案の前提だという話をいたしております。  そういう中で、一方で、今日の報道にもあったんですが、野田財務大臣はこの特例公債法案が成立をすれば辞任をするんだと、こういう意向があるというような報道がございました。六月十五日にも衆議院の財務金融委員会で、この特例公債法案ができれば自分の首を差し出してもいいんだというような御答弁もされているということでありますが、この特例公債法案の成立に向けて今こういうマニフェストの見直しがなされている、さらには野田財務大臣が出処進退について言及をされるかのような報道があると。  こういうことも踏まえて、この特例公債法案についてどういうような思いで対応されているのか、お聞かせください。
  82. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 本来ですと、この委員会でも何度も御質問いただいて答弁させていただきましたけれども、本来ですと予算と関連法案は一体として年度内に成立をすべきでございました。そこまでしっかり説明できずに今日に至ったこと、本当に皆様に御迷惑をお掛けしたこと、深くおわび申し上げたいというふうに思います。  その上で、今、特例公債成立のために政策責任者間で今ぎりぎりの調整が行われております。この合意形成ができることを私も期待をしたいと思いますし、お願いをさせていただきたいというふうに思います。  その上で、一部報道で、私が特例公債法案が通ったら辞めると、そういうお話をしたことは一切ございません。出処進退をそこで語ったことはありません。衆議院の財務金融委員会で覚悟を問われたときがございました。これは御党の一年生の衆議院議員の方でございました。覚悟があるかというと、常にその覚悟を持って職責に当たっているという趣旨で言及をしたことがございますけれども、特例公債はまだ今極めて微妙な時期でございますので、自分は通ったら辞めるとか通らないと辞めるとかじゃなくて、あくまで菅内閣の一員としてこの法案が通ることに全力を尽くすのが私の役割だというふうに思っています。
  83. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 こういう報道があったということでお聞きをしたんですが、そのほかにも、他の閣僚の皆さんも集団で辞めるんではないかというような憶測も流れたりしておる。そういう意味では、もう本当に政権の体を成していないんですね。さらには、今申し上げたような子ども手当を始めとした看板政策が見直されるということになると、これは、もう本来は信を問うということがなければこれは政権は先行き続かないということになろうかと思いますので、そのことを申し上げて、次の質問に移っていきたいというふうに思います。  円高への対応ということでありますが、先ほど佐藤理事からもお話がありましたけれども、このG7の電話会談に向けて、菅総理が何か各国首脳と関与をしてこの電話会談にこぎ着けたというような経緯があったかどうか、もう一度お聞かせください。
  84. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 今回はG7の財務相・中央銀行総裁会議の電話会談でありますので、あくまで主体的に動いたのは私でございます。随時、菅総理にはその御報告はさせていただいておりました。したがって、菅総理自らが各国に働きかけたということはございません。
  85. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 これは、菅総理自ら働きかけなかったというのも大問題ですし、その電話会談の前に、やっぱり各国首脳、オバマ大統領を始め欧州の首脳も頻繁に連絡を取り合いながら対応を協議をしていたわけです。そのときに、やっぱり菅総理には一切何も連絡がなかったということなんですね。これはもう明らかに菅総理は相手にされていないんだと、これはもう日本パッシング極まれりというような状況になっている。本当に日本の外交は機能していないと、菅総理は相手にされていないと、こういう状況が明らかにこの中でも現れたというふうに思いますが、この状況についてどう思われますか。
  86. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 先ほど申し上げたとおり、我が国としては、関係当局とは、中央銀行もそうだったと思いますけれども、緊密に連携を取りながら今回の会議に臨んだということで、そのことは随時総理に御報告をしておりましたので特段の支障があったとは思いません。
  87. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 いや、支障があったかどうかということではなくて、もう菅総理が完全に相手にされていないということを問題だと私は申し上げているわけであります。  それで、このG7の会談の内容についてでありますが、この会談があって声明が発表された後、今日の十時四十七分の日本の株はもう八千六百六十五円まで下落をしてきていると、円高は七十七円二十四銭ということであります。それから、アジアも全面安、アメリカでも六百ドルの下落がある、欧州も大変厳しいと、こういう状況になっているんですが、これはやっぱりこの声明に非常に具体策が乏しかったということで、金融市場の安定化に向けての踏み込んだ対応がなかったというのがこれは市場の反応だったんだというふうに思いますが、どうでしょうか、見解をお聞きをしたいと思います。
  88. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 昨日の日本時間六時のいわゆるG7の電話会談でありますけれども、これは声明にもまとめられておりますが、まず米国から八月二日に法案が成立した財政赤字削減策の詳細な取組についての説明があり、加えてEUにおいても七月二十一日のユーロ圏首脳会議において決定されたギリシャ支援などの包括的なパッケージについての説明があり、これをG7各国として歓迎をするということをまず文書で明記をさせていただき、必要な場合には、流動性確保し、金融市場の機能や金融の安定、経済成長を支えるために協調行動を取ることにコミットすること、そして為替については、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与えることを確認し、為替市場における行動に関して緊密に協議し、適切に協力することを声明としてまとめました。  大事なところは、一番最後のパラグラフに書いてあるとおり、具体的な行動がないというお話でございますが、問題意識をこういう形で共有をしながらこの数週間にわたっては緊密に連携を取る、連絡を取りながら対応するというところが書いてございます。今、マーケットについてはなかなか今厳しい状況でありますが、緊密な連携を取りながら引き続きG7において適切な協力行動をしていきたいというふうに考えております。
  89. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 とにかく具体策がないんでマーケットはこういう反応をしていると、もうこれは明らかだというふうに思います。  それで、為替介入についてもいろいろと各国の思惑の違いがあるんではないかなというふうに思います。  日本の主張で、過度の変動や無秩序な動きは経済に悪影響があるという表現が入り、適切に協力するというふうになりました。これをもって協調介入への含みというふうなこともあるんですが、一方で、市場において決定される為替レートを支持すると、この逆の意味合いの言葉も入っているわけであります。そういう意味では、このG7声明の中で介入について足並みの乱れがあるんではないかと、こういう指摘をせざるを得ないんですが、いかがでしょうか。
  90. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 御指摘のとおり、我が国が強く主張することによって、従来からG7で確認してきたこと、声明に盛り込まれてきたことの表現が入りました。これは今、市場云々という話も、これも従来からG7の中では行われている議論でありますので、そこに整合性がないということはないと思います。  ただ、具体的に、介入の方針を具体的に議論した場ではなくて、あくまで、あの文書で書いてあるとおり、為替市場における行動に関して緊密に協議し、適切に協力をすることでございますので、何かあれば常に連絡を取りながら適切な協力関係をこれからも引き継いでいくということが大事なところでございますので、そうしたことをこれからもやっていきたいというふうに思います。
  91. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 この声明文を読めば、やはり相反するような趣旨のことが入っているということもこれは明らかなんだと思います。  そして、とにかくこの円高をしっかりと措置をしていくということについて、やはり財務大臣を始め当局の断固たる決意というものが示されるかどうかというのはこれは非常に大きな要素でありますが、今後、介入等について、具体的な話はなかなかできないんでしょうが、どういう思いでこの円高について対応していくのか、そのことをお聞かせください。
  92. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 震災のショックから懸命に国民挙げて、そして政府も挙げて力を尽くして立ち上がろうとしているときに、円高も含めて経済の大きな津波が押し寄せようとしているときに手をこまねいているということはできません。マーケットを注視しながら適切な対応をしていきたいというふうに思います。
  93. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 余り強い決意とは聞こえなかったんですが、財務大臣とされて特定の相場とかレンジについて言及はしないというようなことも理解はできますし、過度の変動や無秩序な動きに対して断固たる措置をとるというのもそのとおりだと思うんですが、ここ最近は、過度の変動もそうなんですが、やっぱり基調として、じりじりじりじりと円高が進んできているということになるんですね。  そうすると、今、日本企業の想定レート、大体八十円ぐらいにしてきているというような状況でありますから、そういう、何といいますか、具体的な相場、レンジを示さないでも、日本にとって円高というのは許容できるものではないんだと、このことをやっぱりもっと強く表現をされるということは必要なんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  94. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 基本的には、過度な変動、無秩序な動きがあったときへの対応というのが基本であって、特に、あの三月十八日です、協調介入をしましたけど、その前日の三月十七日の動きは、いわゆる生損保等々で円資金を必要としているんではないかという思惑で動いた過度な変動がありました。あのときは協調介入取らさせていただきましたが、基本的にはそういう形で、短期的な円高対策としてそういう介入というのはあるだろうと思います。  一方で、やっぱり円高がずっと定着してしまうということは、震災から立ち直ろうとしているときに大変今はマイナスの方が大きいと思います。加えて、先ほども電力のお話がございました。様々な要素によって日本企業海外に逃避すると、雄飛するんじゃなくて逃避するという状況になっていくならば、それはいずれ日本はお年寄りと中小企業ばっかりの元気のない島国になりかねないと思います。  そういうことを回避するためにも、介入だけではなくて、しっかりとしたやっぱり円高対策ということは講じていかなければいけないだろうというふうに思います。
  95. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 とにかく、その強い決意というものを常に示し続けていただきたいというふうに思っております。  今後注目なのは、恐らく九日、今日ですか、に行われるFOMCの中で、QE3、量的緩和第三弾、こういうことに前向きな姿勢が示されるかどうかだと思います。当初はこれはないだろうというような憶測も多かったんですが、昨日も、オバマ大統領が演説をしても、その演説の途中から更に株価が加速をして下がっていったというようなこともあって、いろいろな動きが大変厳しいという中でそれもあり得るんではないかというような動きも出てきておりますが、もしこういう量的緩和追加のものがあったとしたときに、本当にこれはもう日本にとっても正念場を迎えると思うんですね。円高はもう加速度的に加速をするというふうに思っておりますし、そのような本当に最悪の展開になる可能性もあるわけです。  そういう意味で、このFOMCでの量的緩和第三弾に踏み切った場合、この影響とその対応について、財務大臣日銀総裁、それぞれお聞きをさせていただきたいと思います。
  96. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 九日に予定をされています米国連邦公開市場委員会、いわゆるFOMCの動向については、これ市場関係者の関心は大変強く集まっていると承知をしています。  これどうなるかというちょっと仮定の質問にはお答えし難いところがあるんですが、FRBの対応やそれによる米国経済動向日本経済に与える影響については様々な波及効果考えられますので、その行方については引き続き注視をしてまいりたいというふうに思います。
  97. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  他国の中央銀行金融政策運営の見通しや、それを前提としました為替等につきましては、私の立場からコメントすることはこれは差し控えさせていただきたいと思います。  先週、中央銀行は定期的に金融政策決定会合を開いておりますけれども、日本銀行は先週の木曜日に会合を開きまして、FRBは現地の時間で昨日、今日と二日間の会合があるわけでございます。日本銀行は、先週木曜日の決定会合に当たりまして、世界経済をめぐる不確実性が高まっている、そうした下で金融市場の不安定性も高まっているということで思い切った金融緩和を実行いたしました。  中央銀行として私常々思っていますことは、海外経済の動きや為替金融資本市場の動きを予断を持つことなく注視しまして、それらの影響も含めまして、先行き経済・物価動向について注意深く点検していくという、そういう姿勢が大事だと思っています。  そうした点検の結果、これは、中央銀行としてはこれはいつもそうでございますけれども、必要と判断される場合には適切な措置を講じていくという姿勢を、これを私自身いつも肝に銘じているところでございます。
  98. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 この政策のいかんにおいて、これは本当に大きな影響があるわけですから、この場で具体的なことはなかなか言えないんでしょうが、その対応策について、これはもう本当に注意深く見守りながら果断なくやるということをお願いを申し上げておきたいと思います。  日銀総裁にお聞きをしたいんですが、これまで四十兆円の資産買入れをやってこられたと、そしてその資産買入れの実績についてちょっとお聞きをしようと思ったんですが、ちょっと時間がありませんので私の方から申し上げますが、固定金利オペの三十兆円以外のいわゆる十兆円に対してはやっぱり六割から七割、六五%ぐらい、こういう進捗になっているんですね。やっぱりこの資産購入のペースをどれだけ加速できるのかというのも一つ大きなポイントだと思いますが、この資産購入のペースについてどう考えておられるのか、お聞かせください。
  99. 雨宮正佳

    参考人雨宮正佳君) お答え申し上げます。  ただいま、これまでの基金の買入れ実施実績につきましては御指摘のとおりでございます。合計五十兆、今は五十兆円に拡大してございますので、五十兆円に対しまして三十八兆円まで来ている段階でございます。  今後につきましても、市場状況を踏まえつつ、これ最終めどが平成二十四年、来年末でございますので、二十四年末までをめどに各資産の買入れ残高を買入れ予定額まで積み上げていくという予定でございます。
  100. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 これはどんどん加速をしてください。  それで、時間がありませんので、ちょっと質問を飛ばしてお聞きをしますが、この円高について、やはり介入あるいは緩和ということも大切なんですが、基本的には総合的な対策をやってデフレを止めて円高を阻止をしていく、さらに空洞化を阻止をしていくということが大事なんです。これはもうずっと今まで基調として続いてきたんですから、その対応策というのはもう既に動き始めていなければいけないということだと思うんですが、これが全く今まだ見えてきていないということなんですね。  我々自民党は、二次補正で十七兆円の提案をいたしております。その中でそれらの対応についても言及をしておるんですが、今回の二次補正は二兆円と、こういうような規模になっておりますし、そういうような対応は全くないということであります。  この円高対策について、いつごろどういうふうな規模でどういうふうにやっていこうと思っているのか、ちょっとお聞かせください。
  101. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 元々、その円高対策の一環として、例えば、先ほど税制の話が出ましたけれども、法人税の実効税率を引き下げるとか、あるいは国内の企業の立地促進の環境整備等々の様々な制度自体についてはチャレンジをさせてきていただいております。  ただ、今またいろんな要因で生まれている円高、これがどこまで進むかあるいは定着するのか、そこをよく勘案をしながら、例えば、三次補正は本来復興型の予算であって復興をベースに考えていきますが、更に予算措置が必要なものが生じるならばその段階でしっかり検討させていただきたいというふうに思います。
  102. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 三次補正でひとつ考えていくというような御答弁でありましたが、その三次補正、誰がやられるのかよく分かりませんが、今のままの政治空白が続くということであれば、この三次補正もこれは全く意義のあるものにはならない、経済無策が続くということになりますので、早期に今の体制をしっかりと立て直す、そして信を問うということを要請をして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  103. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まず、白川総裁お尋ねをいたします。    〔委員長退席、理事大久保勉君着席〕  一ドル七十七円台の超円高が続いております。なぜ円だけがこう買われるのか。財政不安ということでいえば先進国の中で我が国は最悪だと言われておりますし、経済の見通しについても不透明であります。しかしながら円高が続いているわけでありますので、この背景について日銀としてはどう分析をしているのか、まずお尋ねします。
  104. 山口廣秀

    参考人山口廣秀君) お答えいたします。  最近の円高背景ということでございますが、幾つかの点が指摘できるだろうと思っております。  まず一つでありますが、アメリカ経済を見ますと、債務上限問題が一応の決着を見たわけでありますけれども、財政をめぐっては引き続き厳しい情勢にあるということであります。これに加えまして、このところアメリカの経済指標について弱いものが目立つということでございまして、米国経済に対する市場見方というのが慎重化してきております。これが背景の一点であります。  それからもう一点は、欧州の方でありますけれども、御承知のとおり、周縁国のソブリンリスク問題については七月の二十一日にEUとIMFによるギリシャへの追加金融支援が決定されたわけでありますが、にもかかわらず、全体として見ますと依然として緊張した状態が続いているということも欧州については言えようかと思っております。これが二点目であります。  それから三点目でありますが、以上のようなアメリカとヨーロッパの情勢の下で世界市場参加者はリスク回避の姿勢を強めておるということでございます。為替市場においては、相対的にリスクの小さいと見られていますスイス・フランですとかあるいは円などが消去法的に買われるという結果になっているということでございます。  以上のようなことが昨今の円高背景というふうに認識しております。
  105. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 円高につきましてはもちろんメリットもあるということでして、原発を全部やめて火力発電にするということであればそれは円高もメリットがあるとは思います。しかし、六月の日銀短観によりますと、二〇一一年度の事業計画の前提となる想定為替レートは、大企業、製造業平均で一ドル八十二円五十九銭ということであります。  私は名古屋市に住んでおりますが、愛知県は製造品出荷額が全国一位というもう不動の地位を占めているわけでありますが、県内の大企業中小企業から聞こえてくる声はもう悲鳴だけであります。幾ら海外旅行に安く行けるといっても、仕事がなくなってしまっては元も子もないわけでありまして、財務大臣日銀総裁に、この円高が当面の我が国経済に与える深刻な影響についてはどういう認識であるのか、改めてお尋ねします。
  106. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 円高についてのプラス、マイナスは、もう先ほど来議論がありますので重複は避けたいと思います。一般論ではそういう状況ですが、ただし、震災からの復旧復興に懸命に取り組んでいるときに、先ほどの日銀総裁の御説明があったとおり、ちょっと一方的な円高の動きということは、これは明らかに日本経済についてはマイナスの影響が出てくるというふうに思います。特に委員の御当地のような輸出型の産業が集積をしているところには、当然のことながら関連する中小企業もあるし、そこで働いている皆さんへの影響も出てくるだろうというふうに思いますので、そのことを十分認識した上での対応をしていかなければいけないというふうに思います。
  107. 白川方明

    参考人白川方明君) 円高影響をどのように見ているかというお尋ねでございますけれども、多少答弁が重複する点はお許しくださいませ。  為替円高は、これは確かに先生御指摘のとおり、短期的には原材料などの輸入コストを引き下げて企業や消費者にプラスの影響をもたらすという面もございますけれども、この円高がどのような局面で生じているのかということにやはり我々としては注目をしております。海外経済先行きをめぐる不確実性が高い局面において、円高の動きが、輸出企業収益の減少、企業マインドの悪化などを通じまして、せっかくこの震災から立ち直りつつあるこの局面で、言わば冷や水を浴びせていくということになってまいります。それから中長期的にも、この足下の円高海外シフトを更に加速するという側面にも注意する必要があるというふうに思っております。  先生御指摘の名古屋地区の状況につきましては、日本銀行の名古屋支店を通じて詳細な報告が上がっておりますけれども、そうした地域による差も含めまして、日本銀行として状況を丹念に見ていきたいというふうに思っておりますし、先週は金融緩和の強化を決定したところでございます。
  108. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今月四日の為替介入につきましては、評価する声がある一方で遅きに失したという指摘もあります。この四日という時点で為替介入に至った経過について、野田大臣お尋ねします。
  109. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 最近の為替市場では一方的に偏った円高の動きが見られたということ、こうした動きが続くと、日本経済が先ほど申し上げたとおり震災からようやく復興に向かいつつある中、経済金融の安定に影響を及ぼしかねない、このような観点から八月四日に介入をしたということでございます。一方的に偏った円高の動きが続いているという認識に基づいて判断を行った結果でございます。  遅きに失したという御指摘があるということでございますが、少なくとも八月二日のいわゆる債務上限問題がアメリカでどうなるかということを見極める必要は私はあったというふうに思っております。
  110. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今月二日の衆議院財金委員会では、野田大臣は、各国とコミュニケーションを取っていると述べ、為替介入も視野に入れて欧米の通貨当局と連携していることを明らかにしております。  そこで、今回の為替介入は単独介入ではありましたけれども、それにつきましては欧米の金融当局から理解を得られた上での介入であったというふうに理解していいんでしょうか。
  111. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 我が国は、特にまた最近のこういう金融市場の動きなどを踏まえまして、常日ごろから関係通貨当局との連絡は取り合っております。特に、あの介入前後についてはしっかりと様々なレベルで連絡を取り合ってまいりました。    〔理事大久保勉君退席、委員長着席〕  ただ、それぞれの国がどういうことを言っているかについてのコメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしろ、今回の電話会談でのコミュニケにも出ているとおり、為替市場における行動に関して緊密に協議し適切に協力するとのG7声明の合意も踏まえまして、市場を注視しつつ適切に対応していくということに尽きるというふうに思います。
  112. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 先ほどから昨日のG7の財務相・中央銀行総裁緊急電話会議の件が議論をされておりますが、この会議におきまして特に我が国はどうしたことを強調したのか、野田大臣白川総裁から説明を求めます。
  113. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 昨日のG7財務大臣中央銀行総裁の電話会談でありますが、これ、米国欧州における金融経済状況について幅広く意見交換をさせていただいた中で、私の方からは、先週八月四日に実施した介入について、先ほど、今委員との答弁の中でやり取りさせていただきましたけれども、その内容の御説明をさせていただいた上で、今回のG7で取りまとめるコミュニケについても、為替についてお互いG7として適切に協力することが重要であるということをしっかり表記しましょうという提案を強く主張させていただいたということでございます。  日銀日銀でまた御主張がございましたので、お譲りしたいと思います。
  114. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  昨日のG7には、野田大臣とともに私も参加をいたしました。最近の国際金融市場動向やその影響につきまして各国間で意見を交換いたしました。私からは、特に我が国経済の現状につきまして、震災による供給面の制約が和らぐ中で着実に持ち直してきていますけれども、この最近の急激な円高の進行が我が国企業マインドの悪化などを通じて経済にマイナスの影響を及ぼすリスクがあるということについて説明を行いました。  また、このG7の場、これは大変重要な場でございますけれども、G7以外にもこれは各国の中央銀行間には様々な太いパイプがございます。そうしたパイプも使いながら、日本経済の置かれた状況日本銀行がどういう構えで政策に臨んでいるのかについてはっきり説明するということを行っております。
  115. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 お二方からは、急激な円高についての危機感を政府日銀が共有しているということが分かるわけでありますけれども、今後、こうした円高の是正に向け、あるいは為替の安定に向けて政府日銀はどう取り組むのか、決意をお尋ねします。
  116. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) まさにそういう意味で先週は、私ども政府日本銀行が問題意識を共有しながら、同じ八月四日に為替介入と併せて金融政策の強化策、同時に実施をするということで歩調を合わせて対応させていただきました。  今後も、マーケット動向をしっかりと見極めながら、見詰めながら、お互いに協力しながら対応していきたいというふうに考えております。
  117. 白川方明

    参考人白川方明君) 円高でございますけれども、先ほど申し上げたとおり、日本銀行として強い問題意識を持っております。  先週日本銀行が決定しましたこの金融緩和の強化でございますけれども、先行きの様々な不確実性を前もって相当意識した上で、その時点で十分な措置を講じたものというふうに考えております。日本銀行としては、今回のこの金融緩和措置金融市場全体に効果を及ぼすとともに、今回日本銀行がこうした構えでいる、こうした緩和措置をとるということ、それ自体が企業マインドにも好影響を与えて経済活動金融面からしっかり下支えしていくということにつながることを期待しております。  それから、現在の円高ということを考えた場合に、これは先ほど副総裁山口から御説明しましたとおり、現在はドル安という色彩が強うございます。したがって、このドル安の根源にあります世界経済それ自体の不確実性を取り除いていくという努力も重要でございます。この点につきましては、日本自身がしっかり取り組むとともに、関係する国に対してもそうした取組の必要性を強く主張していきたいというふうに思っております。
  118. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 各国の財政不安ということに関連しまして、野田大臣に私からも財政再建についての決意をお聞きします。  大臣、これからどういうお立場になるかは分かりません、しかし現在は財務大臣ですし、与党の有力政治家であることは今後も間違いないわけであります。  それで、財政再建についてはいろいろお考え方があると思いますし、また復旧復興を第一にしなければならないということも当然であります。しかし、今のように税収よりも借金が多いという予算をそう何年も組めるわけはないわけでありまして、私は、財源がないのに大盤振る舞いをするという姿勢は戒めて、改めて、大臣にはもう泥をかぶってでも財政再建に取り組んでもらいたい、このように考えておりますが、大臣はどういう決意なんですか。
  119. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 私は、平成二十一年度の第二次補正予算と平成二十二年度の本予算、副大臣として予算編成にかかわりました。それ以降、平成二十二年度の補正予算、二十三年度の本予算、そして今回、皆様にも御支援をいただいた一次補正、二次補正、六回予算編成を行ってまいりました。  安易にこれ以上国債発行するということはもう許されないというふうに思いますし、三十兆、四十兆、国債発行することが常態化をしてきたことに慣れてしまってはいけないだろうと思います。EUの中でも債務の問題が大きな問題、アメリカにおいても債務の問題が大きな問題のときに、日本が、主要国の中では最悪の水準である日本が、そこにライトが浴びせられたときには大変いろんな影響が出るだろうと思います。  したがいまして、そういう国際社会動向というか注目も意識しながら、やっぱり財政規律をきちっと守る国なんだと、復旧復興もしっかりやらなければいけないけど、一方で逆に、財政規律を守る国なんだという取組とメッセージをしっかりと出していくことが肝要だというふうに考えております。
  120. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今後も大臣動向には注目してまいります。  そこで、今日、中小企業庁長官にも来ていただいておりますので、こうした急激な円高に入りまして、特に第三次補正予算でこの中小企業金融支援等が不可欠である、このように考えます。そこで、先般の今年の一次補正では、中小企業金融支援が、事業規模で十兆円規模、予算措置は五千百億円であったわけでありましたけれども、行われました。これについては我々も評価しますが、地震の影響はまだ長期化するわけでありますし、さらにこうした急激な円高という局面になったわけでありますから、中小企業に対する金融支援の事業規模の拡大ということを第三次補正の中にしっかり盛り込んでもらいたい、このように考えますが、経済産業省としてはどう対処しますか。
  121. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) お答えを申し上げます。  今御指摘ありましたとおり、十兆円の事業規模というのはこの上半期ということに対応するものでございます。先般、七月の二十九日に東日本震災復興対策本部で決定をされました東日本震災からの復興の基本方針というのがございますけれども、そこにおきましても、資金繰り支援につきましては十分な規模を確保するという旨の記述がございます。御指摘を踏まえまして、今後、震災からの復旧復興、本格化していくと思いますけれども、その中で中小企業方々の事業が滞ることのないように、この復興の基本方針というものを十分踏まえまして円滑な資金の供給に万全を期していきたいと思っております。  以上でございます。
  122. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 原則全業種のセーフティーネット保証も本年九月三十日まででありますが、これも当然延長すべきであると考えますが、どうですか。
  123. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) 実は、セーフティーネット保証五号につきましては、一月の二十八日、今年でございますけれども、発表させていただきまして、業種を言わば絞る形で、八十二業種から四十八業種に対象を絞るということの発表をさせていただきました後に今般の震災があったということでございまして、委員の御指摘も踏まえながら、業種の判断基準を据え置いて現在八十二業種、全業種そのままで据え置くということで、今年の上半期はそういう措置をさせていただくということを三月の二十三日に発表させていただいておるわけでございます。  本年の十月以降の取扱いでございますけれども、今後の業況を見極めながら判断をしていきたいと思っておりますけれども、ただ、御理解賜りたいのは、東日本の大震災によりまして直接の被害を受けられた中小企業方々だけではなくて、風評被害でございますとかあるいは間接的にこの被害を受けられた方々、そして著しく業況の悪化をしておられる中小企業方々に対しましても、原則全業種を対象といたしまして現在の東日本震災復興緊急保証というのを実施しているところでございます。  いずれにいたしましても、本年度下半期以降も中小企業資金ニーズというものを十分把握いたしまして、その上で適切な措置をとっていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  124. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に金融庁に、こうした局面でありますので、金融円滑化法の趣旨に沿った運用について、しっかりと金融機関を監督してもらいたい。私、つい先日お聞きした話は、来年の三月三十一日までなんですけど、それが終わったら途端に貸し剥がしをするような銀行の対応だという、そんな話も聞いておりまして、大臣のこの法に懸ける思いを踏まえて運用するようにしっかり指導してもらいたいと考えますが、いかがですか。
  125. 和田隆志

    大臣政務官(和田隆志君) 荒木委員お答えいたします。  先般、円滑化法の期限の延長の際にもいろいろ御議論いただきまして、私どもとしましても、震災復興に向けての中小企業者向けの民間金融機関融資につきましては、累次要請を出しまして、今までのところ、例えば、三か月や半年の元本や支払の停止若しくは猶予、そして支払期間の長期化、そうしたあらゆる方策を講じていただくよう要請してまいっております。  それらの効果は確実に表れていると考えておるんですが、委員指摘のように、その当時から、どうして一年長期化しないんだとか、もっと長期化しないんだとか、そんな御議論もございました。その際に御説明申し上げたのは、金融機関が各債務事業者との間でそのときそのときの情勢をしっかりと見極めて、寄り添って考えていくことが必要であろうということを考えておりまして、その意味で、半年の期限が来ます九月というのは非常な重要な時期であるということは委員の御指摘のとおりだと思っています。  そういった意味におきまして、金融庁としても、民間金融機関がこの期限に向けましてどのような姿勢を示していくのかはしっかりと指導監督を行っていきたいと思っています。  それにつけましても、先般御議論いただきました中の法改正事項の中に盛り込まれておりましたが、金融機関が事業者との間でコンサルティング機能を思う存分発揮していただけるように金融庁としてサポートしていきたいと考えています。  以上です。
  126. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  127. 中西健治

    ○中西健治君 みんなの党の中西健治です。  今日の委員会質疑答弁を聞きながら、まず野田財務大臣に一点確認をさせていただきたいと思います。  今朝の報道で、特例公債法案が通過した、成立した暁には野田財務大臣辞任をするということを今日中にも発表をするということが報道をされておりました。  大臣は、そんなことは言っていないということでございましたけれども、今金融市場、まさに緊迫しているという状況の中です。そして、G7の電話会議も行われて、その後の声明では、我々は今後数週間緊密に連絡を取り適切に協力するということをうたっている中で、もし辞任を今の時期に表明するなんということになりますと、全くナンセンス、無責任だというそしりは免れないんじゃないかなというふうに思っております。  今内閣が機能していないから閣僚はどんどん辞めた方がいいという、こんなような意見もあるにはありますけれども、こういうマーケット状況ですので、こうした辞任をすると、辞任の表明をするということは全くの誤報であり、表明はあり得ないということでよろしいでしょうか。
  128. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 中西委員の御指摘のとおりで、特例公債と絡めて自分の出処進退について今日明らかにするようなことは全く考えていません。  御指摘のとおり、大変今経済情勢厳しい中、加えて特例公債についてもまだこれから引き続き審議していただくという状況の中でありますので、あくまで私は職責を果たしていくということが全てでございます。
  129. 中西健治

    ○中西健治君 野田財務大臣がこのままいらっしゃるということを前提質問をさせていただきます。  日本と同じように自国通貨が高くなって今非常に困っているのがスイスということでございます。そして、スイス中央銀行、今皆さんに資料をお配りいたしましたけれども、八月三日のヨーロッパの早朝に、スイス・フランが非常に強くなっていることを受けて、極めて強いステートメントを公表しています。  その中で、和訳しますと、スイス中央銀行は、現在のスイス・フランは極めて過大評価されていると考えている。マッシブリー・オーバーバリュードという言葉を使っています。このスイス・フラン高はスイスの経済発展を危うくし、物価下落のリスクを増大させている。スイス中央銀行金融状況のこれ以上の逼迫を容認するつもりはなく、スイス・フラン高に対する措置をとるものであるというふうに表明をしております。  これと比べて、四日の介入後の野田財務大臣の発言というのは、直接的ではない慎重な言い回しに終始しているかなと。これ後で白川総裁にもお聞きいたしますけれども、大臣は、一方的な動きが続いていることによる判断、少なくとも投機的、無秩序な動きには断固たる対応を取らなければならないということをおっしゃっておられましたけれども、こうしますと、為替レートの水準自体は問題と考えていない、動き方が問題である、円高は問題ではないというふうにも考え取られ得るということになっておりますけれども、大臣為替水準を問題ではないとお考えでいるんでしょうか。
  130. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) スイス・フランが極めて過大に評価されているというステートメントと、円が一方的に偏っていわゆる評価されているというふうな私どもの認識は、基本的にこれ一緒だというふうに思っています。  したがって、今の根拠のない円高は問題であるという認識の下で、その上で投機的な動き、無秩序な動きについては特に対応が必要であるということで介入をさせていただいたということでございます。
  131. 中西健治

    ○中西健治君 そうすると、確認ですが、為替レートの水準そのものも問題であるというふうに考えているということですね。
  132. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 根拠のない、いわゆる思惑でのそういう評価というのは問題だということで、一定の水準を目指した介入ということではございません。
  133. 中西健治

    ○中西健治君 私自身は一定の水準を言っていただきたいと、そういうわけではありませんが、今円高であるということをすごく問題視しているということだというふうに私は受け止めさせていただきました。  同じことを日銀総裁にもお伺いしたいと思いますけれども、日銀総裁も、先週の決定会合のステートメントでは、為替変動我が国企業マインドひいては経済活動にマイナスの影響を与える可能性がある、こんな言葉を使っています。一般論ということを出ないのではないかというふうに思っておりますし、また記者会見ではこの時点での円高にはコストがあるという言葉を使っておりますけれども、これも第三者的に過ぎるのではないかというふうに私は考えております。  スイス中央銀行のように、若しくは日銀も、人口減少や高齢化については最近言及することが非常に多いかなというふうな私は印象を持っているわけでございますが、それによる経済への悪影響ということについてはしばしばコメントしているわけでございますので、この円高経済に対する、短期的なということで先ほどお答えになっていらっしゃいましたけれども、やはり大きな影響があるということはもっとアピールすべきなんではないでしょうか。
  134. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  日本銀行として、現在の円高日本経済にもたらす影響については、これは十分な問題意識を持っております。したがいまして、先週、日本銀行は、財務省が為替相場の安定的な形成に向けて介入を行ったそのタイミングをとらえまして、金融政策決定会合の開催、これは元々二日間の予定でございましたが、これを二日間を一日に短縮し、かつ開始時刻も繰り上げまして、その日のうちに金融緩和措置を発表いたしました。この緩和措置の中身、もう議員十分御存じのことではございますけれども、これはリスク性資産をも含む資産の買入れの基金です。これを十兆円、もうこれ大幅に増額をしました。  こうした措置をこういうタイミングで繰り上げて発表するということ自体が日本銀行の強い問題意識を表したものでございます。そういう意味で、議員の問題意識と日本銀行の問題意識がずれているということではこれはないというふうに認識しております。
  135. 中西健治

    ○中西健治君 ずれているというふうに申し上げているわけではありませんが、もっともっと、まあプロアクティブという言葉は後でちょっと質問させていただきますけれども、言っておられる以上は、能動的な行為というのが、言動というのが必要になってくるのではないかというふうに問題意識を持っているということでございます。  野田財務大臣にお伺いいたします。  今回の介入の総額は四・五兆円にも上るというふうに言われております。この介入資金は、これまでのように外為特会において国庫短期証券を発行し借入れを行った国内資金が原資になっています。そして、この四・五兆円もまた、これまでの外為資金と同様にヨーロッパやアメリカなどの海外先進国財政赤字を支えるために使うのでしょうかと。  四・五兆円といえば、必要とされる震災復興資金の五分の一にも当たるような金額になります。ドル建てであれユーロ建てであれ、復興外貨建て国債や外貨建て財投機関債を発行して、それを外為特会で引き受けることによって国内での利用を考えるべきなんではないでしょうか。
  136. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 四・五兆と、ちょっと明示的な御指摘ございましたけれども、正確な金額は月末に公表させていただきたいというふうに思います。  その上で、外為特会についてのお尋ねでございますが、外為特会が保有する外貨資産は、元々はこれは、外為法第七条三項に規定をしているように、本邦通貨の外国為替相場の安定を実現をするために政府短期証券を発行して調達した円資金により介入を行った結果として得たものでございます。  これらの外貨資産については、必要な為替介入等に備えて保有しています。そのため、流動性及び安全性に最大限留意し、その制約の範囲内で可能な限り収益性を追求する観点から、米国債を中心とした外貨証券等により運用をさせていただいております。また、IMFへの融資やアジア諸国との通貨スワップ取決め等、為替市場の安定という外為特会の設置目的に資する場合には、外貨資産による金融危機対応等の施策を講じてきているところでもございます。  中西議員の御提案は、外為特会において日本政府やあるいは財投機関が発行したドル建て債券を購入し、為替スワップ等を通じてドル資金を円資金に替えた上で復興財源に充てるものという御提案だと承知をしていますが、この提案については、外為特会の外貨資産を復興支援に用いることは、本邦通貨の外国為替相場の安定という外為特会の目的以外の使途に用いることになるため、問題ではないかと考えられます。  加えて、ドル建て国債については、結局のところ、外為特会が政府短期証券を発行して調達した資金を復興の財源に充てることになり、財政規律上の問題もあるのではないかと思いますので、慎重に考える必要があると考えています。
  137. 中西健治

    ○中西健治君 安全性、流動性ということをおっしゃられましたけれども、今回の格下げによって、米国債も安全だリスクフリーだということは言い切れないということが再認識されたのではないかと思います。  さらには、今回の格下げによって、これは私の意見ですけれども、アメリカ政府日本政府介入を行うことに、より強固に反対することになるのではないかというふうに私自身は思っています。というのは、介入を行うイコール米国債の買い支えという図式になってしまっている。本来であれば、米国政府としては、市中で米国債に対する強い需要があるということを示したいということですので、これは更に日本介入に対して反対論が強まるのではないかというふうに考えております。  基金について、日銀総裁にお伺いいたします。  四日の金融政策決定会合総裁もおっしゃられたとおり、四十兆円から五十兆円に基金が増額決定されました。為替市場には一時的には影響がありましたけれども、金利市場ではほとんど反応がなかったというふうに考えております。  今週は米国でFOMCも開催されて、米国債の再投資年限の長期化も予想される、見込まれるという中で、今回の日銀基金ということに関しますと、長期国債、買入れ金額が倍増されたとはいえ、二兆円が四兆円になった、二兆円が二兆円増えただけというやはり小さいものと言わざるを得ないのかなというふうに思っておりますし、この長期国債長期国債とはいいますけれども年限二年までという話でございますので、本当の意味で長期というようなことは言いにくいものなのではないかというふうに考えております。  今回の政策決定会合、二日の予定を一日に繰り上げて市場に驚きを与えたということでございますけれども、こうしたことは今回一回限りしか市場には影響を与えられないだろう、サプライズを与えられないだろうというふうに思いますし、規模、内容についても、やはり小出しにカードを切っているという感が否めないというふうに思っておりますが、これが日銀の言うところのプロアクティブなアクションということなんでしょうか。亀崎審議委員もプロアクティブなアクションということをおっしゃったかと思いますけれども、これが本当にプロアクティブと言えるようなものなのか、御答弁いただきたいと思います。
  138. 白川方明

    参考人白川方明君) 今回の金融緩和の強化措置は、講演でプロアクティブという言葉を使われた亀崎委員も含めまして、これは全員一致でこの措置を採用しております。  これはもう議員十分御存じのことでございますけれども、金融緩和政策効果というのはその瞬間に出てくるというわけではございません。金融政策の効果が出てくるのは一年から二年のかなり長いタイムラグを経て実現してくる、これがほぼ一致した見方だと。したがいまして、今日のこの時点で効果があるかというその点だけではなくて、少し長い目で効果を見ていただきたいというふうに思っておりますし、それから、今御指摘のFRBの政策は、これは昨年の秋にいわゆるQE2を採用しまして、この六月にQE2をこれは終了させております。  日本銀行金融緩和の方は、これは着実に推し進めているという段階でございます。長期国債について先ほど二兆円という数字がございました。日本銀行は、趨勢的な銀行券の需要増加に対応するという形で長期国債の買入れをこれは大量に行っております。これも、目的は銀行券の趨勢的な需要増加に対応したものでございますけれども、しかし、経済に与える影響という意味ではこれは全く同じでございます。これは、FRBは現在買っておりません。日本銀行は年間二十一・六兆円のペースで買っております。そうした措置を現に進めていると。加えて、先般の金融緩和措置を強化をしたということでございます。  昨年秋にこの措置を発表しました段階では、多くの方が当日の、翌日の新聞の反応もそうでございましたけれども、日本銀行が相当思い切った措置をとったということでかなりの驚きをもって迎えられておりました。  今回は、買入れの基金の規模を五兆円じゃなくて十兆円ということでこれを増やしております。だんだん、思い切った政策をやっていますと皆さんマーケットを含めてやや慣れてしまうという面があるかもしれません。しかし、日本銀行が行っている措置は、これは相当思い切った措置で、しかもそれは時間を掛けて効果が出ていくというものだというふうに認識しております。
  139. 中西健治

    ○中西健治君 最後の質問をさせていただきます。  これは日銀総裁及び野田財務大臣、それぞれにお答えいただきたいんですが、私自身はこの基金、さらに内容も拡充する、増額もしていかなければならないというふうに考えておりますが、この現在五十兆円に達した基金が今後どこまで増加させることができると考えるのか。財政との境界の観点というのもあると思います。中央銀行リスク性資産を保有することによって資本の充実性を求められたり国庫納付金が減少するなどして国民負担を生じさせる可能性と、こういった観点もあるかと思います。財政との際どいところだと思いますので、それぞれについて、それぞれお答えいただきたいと思います。
  140. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 基金の増額については、私ども適時適切な対応だったと評価をしています。その上で、今後どこまでという話があると思いますが、政府としては、日銀財務の健全性を維持する観点から、今般増額された基金の買入れ資産のうちETF、J—REITについては時価と簿価の差額を引当金として計上することを認める等の措置をとっています。また、日銀財務の健全性の観点から、剰余金の処分について、日銀法五十三条により義務付けられている当期剰余金の五%相当額を超える一五%相当額を法定準備金に積み立てることにつき認可をしたところでございます。  いずれにしても、緊密に連携を取っていきたいというふうに思います。
  141. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 白川総裁、手短にお願いいたします。
  142. 白川方明

    参考人白川方明君) 議員の問題意識は、私どもとしても十分これは受け止めております。  リスク性資産の買入れは、日本銀行として個別の資源配分に関与する度合いがその分強い上、最終的に損失が発生しますと、これは納税者、国民に御負担をお掛けするという可能性があることを考えますと、中央銀行として異例の領域に踏み込んでいるという認識はこれは強く持っております。  日本銀行では、そうした措置の性格を踏まえまして、買入れに当たりましてはリスク管理上の様々な工夫を行っております。また、将来において万が一損失が発生した場合でも、引き当て等の処理を適切に行っていくことを通じまして財務の健全性を確保していく方針でございます。この点につきましては、ただいま大臣からも御答弁がございましたけれども、日本銀行考え方につきまして政府からも十分な御理解をいただいているというふうに思っております。  日本銀行としては、この長引く低成長の下でデフレ脱却という大きな政策目的のために中央銀行としてどのような対応が望ましいのかということにつきましては、これはしっかりと考えて、中央銀行として適切に対応していきたいというふうに思っております。
  143. 中西健治

    ○中西健治君 ありがとうございました。
  144. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  こういうときですから、円高為替政策について議論したいところなんですけれども、被災地の二重債務の解消がちょっと一刻を争う局面に来ておりますので、この問題について、日銀含めて質問させていただきます。要するに、大震災以降多くの金融機関は被災事業者の震災前の借金については半年程度の返済猶予や条件変更を実施したりしてきてくれているわけですが、その半年の期限が間もなくやってくるということでございます。  この点では、参議院では二重債務解消のための買取り機構、野党案を賛成多数で可決をいたしました。我が党も独自案を提案してきましたけれども、小異を除けば野党案が一刻も早く実現することを願っているわけです。野党案が実現するのか、政府のスキームがこのまま進むのか、いずれにせよ被災地の中小事業者にとってはこの二、三か月が、廃業、倒産になるのか、あるいは再建に踏み出せるのかの分かれ目になるときでございまして、それはもう目の前に迫っているということでございます。  どのスキームであっても、目の前の被災事業者を一人でも多く早く救済支援できるように、日本銀行金融庁も全面支援をお願いしたいという点で伺いたいと思います。  まず、日本銀行ですけれども、秋以降、この秋以降ですね、機構による債権買取りが進行していくとすると、その買取り価格が簿価以下の場合、金融機関がその分損失を引き受けるという形になります。なおかつ、政府のスキームも野党案も、金融機関にニューマネーを出せと、新規融資をしろということでございますので、全体として地域金融全体の資金繰りは厳しい方向には行っても楽になる方向ではございません。  その点で、日本銀行が四月に被災地地域金融機関支援のための資金供給オペというのを実施されました。私、大変いいことだと思っておりますけれども、これは一応十月末までが貸付受付期間ということでございますが、こういう状況になってまいりましたので、秋以降も必要に応じてこういう資金供給対策、あるいは場合によってはこういうものの拡充ということも日本銀行として考えていただきたいと思いますが、いかがですか。
  145. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  議員御指摘のとおり、日本銀行では、震災後間もない本年四月に、被災地の金融機関金融仲介機能を支援することを通じまして、被災地の復旧復興が円滑に進むことを目的としまして、期間一年の資金金利〇・一%の低利で供給するオペレーションを導入しました。  この資金供給のオペレーションも大事でございますけど、あと、担保の面も大変大事でございます。担保の面でも、これは先生御案内のとおりでございますけれども、被災地の金融機関日本銀行から資金調達を行う際の担保の要件基準を、これを緩和するという措置を行いました。  この間、その問題の被災地の金融機関動向でございます。これは私どもとして丹念に見ております。今、足下の資金繰りの状況、これはもちろん個別の金融機関によって違っておりますけれども、全体としては被災関連の支援資金の流入もありまして、今資金繰りが懸念すべき状況にあるということではないというふうに認識しております。  ただ、先生御指摘のとおり、この秋以降を考え日本銀行としてどのような対応があり得るのかということでございます。日本銀行としましては、かねてから申し上げていますけれども、被災地金融機関資金繰りにつきましては、復興資金需要状況等も踏まえながら適切に対応していきたいという方針を、これはいろんな場で明らかにしております。具体的にどういうふうな対応がいいのかということにつきましては、これは状況に即して考えていくということだというふうに思います。
  146. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非よろしくお願いします。  もう一つは、金融庁に是非今月中辺りに手を打ってもらいたいなと思うのは、先ほど申し上げましたとおり、秋、九月ごろまで取りあえず返済猶予とかで待ってあげていると、手形もちょっと待っているという状況があるんですけれども、既に私の部屋にも、もう九月以降金利だけでも払ってくれとか、いろいろ返済が迫られている事例が増えてきております。  政府のスキームとしては、今、岩手で九月から発足ということで、軌道に乗るのはやっぱり十月以降になると思うんですよね。ほかの県はこれからでございますから、仮に野党案が通っても二、三か月後になりますので、いずれにせよ、この二、三か月の間はそういう買取り機構がスタートしない状況が続きます。  したがって、今返済猶予、待ってもらっている方々が、その買取り機構、政府案にしろ野党案にしろ、発足、実施がされる前に返済迫られて倒産、廃業に追い込まれるともう元も子もないわけですので、是非金融機関に、そういう買取りスキームが発足するということを踏まえて、返済猶予を柔軟にやってもらうようにやっぱり特別の要請を金融庁としてこの段階で出されるべきであると思うんですが、いかがですか。
  147. 和田隆志

    大臣政務官(和田隆志君) 大門委員お答えします。  先ほど荒木委員の御質疑でもちょっとお答えしたんですが、金融円滑化法の趣旨にのっとっていろんな条件変更に応じていただくことは、先ほど委員指摘の買取り機構ができるできないにかかわらず、そのときそのときの債務企業の実情に応じて本当に金融機関として真摯に寄り添って考えてほしいという趣旨で設けておりますので、そこは、先ほどもおっしゃられた九月の期限というのが確かに私どもも非常に大事なメルクマールになっているんだろうというふうに思いますので、再度金融庁として金融機関の方に要請することを含めて検討していきたいなというふうに思っています。  あとは、買取り機構ができるまでの間というふうにおっしゃられたかと思うんですが、私どもとしては、債務企業金融機関との間というのは、あくまでいろんなその解決方法のツールを用意した上で、当事者間の話合いで何がベストかを考えていただける環境を整えておくということが使命だと思っておりますので、できるまでの間ではなく、できてから後もしっかりとそういった要請は続けていきたいと考えています。
  148. 大門実紀史

    大門実紀史君 その点は、もうおっしゃるとおりでございます。  もう一つは、金融検査マニュアルの問題もこの買取り機構で支援本当にできるのかにかかわる重要な問題でございまして、要するに、買取り機構が金融機関から買い取ると。当然、被災事業者ですから、ほとんどは破綻懸念先か実質破綻先に区分されているだろうと思われます。その買い取った後、引き続きその金融機関はその被災事業者に追加融資、新規融資をしろというのが野党案でも政府案でもそうなっておりますから、引き続き融資をしなきゃいけないわけですね。その融資をするときに、債権は機構が買い取ったとしても凍結しているとしても、その被災事業者を金融検査マニュアル上どこに区分するかによって新規融資ができるのかできないかの分かれ目になります。  つまり、破綻懸念先あるいは実質破綻先のままですと、そこに新規融資というのはしちゃいけないといいますか、できないことになっておりますので、お金が貸せないわけですね。そうすると、せっかく買い取ってもらっても再建に踏み出せないということになるわけでございまして、申し上げたいことは、機構が買い取った場合はその被災事業者の金融検査マニュアル上の債務者区分はランクアップして当然だし、そうしなければこの機構に買い取ってもらおうというインセンティブも働きませんから、このスキーム全体が失敗してしまうことになると思います。そういう点で、金融検査マニュアルというのは、実務的な話かも分かりませんが、この買取り機構の最大のポイントの一つだと思います。  金融庁として、この機構との関係で、検査マニュアル、今言った点どうお考えか、教えてください。
  149. 和田隆志

    大臣政務官(和田隆志君) 簡潔にお答えしたいと思うんですが、まず一つ、重要な前提として、委員がおっしゃっていた御認識と我々とが少し違うのかなと思いますので、ここの部分を最初に御説明します。  金融検査マニュアルの運用につきましては、震災の発生とその影響については本当にそこを真摯に考えなきゃいけないと思っておりますので、実は、今おっしゃっておられました延滞になっているからといって必ず債務者区分がランクダウンしているものではございませんで、一過性のものだと……
  150. 大門実紀史

    大門実紀史君 被災事業者。
  151. 和田隆志

    大臣政務官(和田隆志君) 被災事業者ですね、その被災事業者の債務者区分というのがランクダウンしていることが前提であれば、委員のおっしゃったところの御議論はあろうかと思うんですが、その震災影響を一過性のものと見ている場合には債務者区分をランクダウンしておりませんので……
  152. 大門実紀史

    大門実紀史君 それは前の話です。それは前のマニュアル。前の指針でしょう。そんな話じゃないです。
  153. 和田隆志

    大臣政務官(和田隆志君) それを、今そのように、債務者区分は債務企業の総合的な資金力、そして収益性、そして債務償還性、そういったものを判断しながら決めておりますので、一義的にそれが必ずランクダウンするものでもなくランクアップするものでもないことは御理解いただければと思います。
  154. 大門実紀史

    大門実紀史君 それは和田さん、もう二、三か月前の議論ですよ。それは最初の段階で出された指針について言われて、私が言っているのは、もう繰り返しませんけど、何度も議論をしているから、要するに、もう実質破綻とか破綻懸念先になっているところの話をしているわけです。それがほとんど多いわけですから、実際に、店が流された、工場が潰れた場合はほとんどそういうふうになる場合が多いわけですからその話をしているんで、その次の話をしているわけですね。  簡単に言います。  要するに、申し上げたいのは、じゃ、もう限定して、いろんなことを言われるので限定します。破綻懸念先、実質破綻先だとします、今ですね、そういうケースといたします、ほとんど多いですから。そういう方々の債権が、機構が買い取った場合、買い取って再生支援するわけですね。で、政府のスキームはどうなっているかというと、御存じのとおり、最初に金融機関一定の債務免除を、というか買取り金額を減額することで一定減らさせて、出ていくときにも債権放棄をして、国会で答弁があったように、再出発、出口のところでは本人が返済可能な額で考えて、それで出してあげると。つまり、本人の再生できるスキームなんですね、このスキームそのものが。いいですか。  ですから、破綻懸念先、実質破綻先でもそこのスキームを通っていくことによって再生可能になってくるわけですね。再建していける、そのためのスキームなわけですよ。  そうしますと、それが同じように、今までの金融検査マニュアルの厳しい物の見方で、いろんな資本性が不十分だとかいろんなことを言って、そのままだということはあり得ないわけですよね。だって、破綻懸念先というのは、破綻するであろう可能性が大のところを破綻懸念先としてランク付けるわけですよ。このスキームで買い取られて出ていくのは破綻懸念がないようにするスキームですから。分かりますよね。ですから、簡単に言えば、このスキームに乗っかって出ていくときは最低でも要注意先になるだろうと、そういう簡単な話をしているんですよ。  しかし、それを今金融庁が何らかのところで、そんなぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃさっきみたいに言わないで、はっきりとメッセージとして出しておかないと、金融機関の方はマニュアル上どう扱われるか分からないみたいなことをぐちゃぐちゃ言い出しておりますので、そういうメッセージが必要だという意味で政治的な話をしているんですよ。いかがですか。
  155. 和田隆志

    大臣政務官(和田隆志君) 今もう一度委員のお話をお聞きしてみましたが、やはり、前提として先ほど委員はもうこの場合に限定するとおっしゃっておられましたのでその部分についてのみお答えいたしたいと思いますが、金融機関が債務者区分として引き下げていることが前提で、これから先、この買取り機構などの仕組みの際にもう一回事業再生を図っていくことをいろんな関係当事者間で話し合っていく、その過程の中で再生が可能だと判断するがゆえに買い取られるのであり、また、その買い取るときには新しく事業を始めるための事業性資金が必要であると思うからこそ新規融資が必要になってくるわけでございますので、そういったトータルの像を関係当事者間、しかも金融機関が入った状態考えていく以上は、そこから先、債務者区分はおのずとまともな方に向かっていく方が普通だろうというように考えます。  つまり、金融機関もその中に入って考えている中で、債務者区分が破綻懸念先のようなところにとどまっているその解釈を維持しつつ、だけれども新規融資を行うということはおよそ考えようがないわけでございまして、債権を買い取り、新規融資を行うという決断を関係当事者間で行っていく際には、債務者区分をそのまま維持していたのでは逆に概念矛盾が起こるということだろうと思いますが。
  156. 大門実紀史

    大門実紀史君 どうも分からない人だな。そうじゃないんですよ。専門家でしょう。普通、破綻懸念先の債権が買い取られたからといって、すぐはならないんです、すぐそういうふうに。おっしゃったように、その後の再生のいろいろなことがあってランクアップしていくわけですよね。しかし、すぐ新規融資はさせられるわけですよ。分かりますか。だから、おっしゃっているのは一般論で僕が言っているのと何も変わらないですよね、それはみんなが助けたら破綻懸念先じゃなくなるでしょうということでしょう。  そうじゃないですよ。買い取るときの、そのときに金融庁は、もう時間ないからあれですけど、マニュアル上、資本性があるかないかとか細かいことをぐだぐだ言うから、そういうのはおやめなさいということを言っているだけのことなんですよ。和田さんが言ったとおりのことをやってもらえばいいことなんだけれども、マニュアルというのはそんな簡単なものじゃないでしょう。また議論しましょうね。  ありがとうございました。
  157. 中山恭子

    ○中山恭子君 たちあがれ日本・新党改革の中山恭子でございます。  今日、多くの委員の皆様から円高についていろいろ御発言がありました。今回の介入ですが、この円高について財務大臣は、一方的に円高の動きがあったとおっしゃって、無秩序な動きがあったというようなことをおっしゃっていますし、それから日銀からは、白川総裁山口総裁からるる御説明がありました。その場合、投機資金の動きがあるかもしれないというようなお話もありました。この短期的な理由で円高が生じているという場合であっても、単独介入については非常に巨額な資金を要しない限りこの円高を止めるということは非常に困難な状況なのではないかと考えています。また、諸外国の経済情勢、アメリカや欧州経済状況なども理由に挙がっておりました。  そういったことを考えてみますと、趨勢として、先ほど委員からもありましたが、円高の流れが出ているのではないかということも考えられるわけでして、この場合には、まさに単独介入ではとてもこの円高を止めるというのは難しいだろうと考えております。  どうしても協調介入に持っていく必要があると思いますが、このスイスと一緒になってというんでしょうか、協調介入に向けての努力、前回のG7では緊密な連絡、それから協議を行っていくということですが、もっと積極的に協調介入に向けての努力をしてはいかがかと思いますが、財務大臣、それから総裁、いかがでしょうか。
  158. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 介入在り方論だというふうに思います。  まず、三月の十八日が、これ協調介入でございました。これは明らかに、生損保等々含めて円資金を必要としているんではないかと、実態はそうではなかったにもかかわらず、根拠のない思惑、投機的な動きがあって、当時、一挙に七十六円台に早朝のシドニーのマーケットで始まるという状況の中を受けて、いずれにしろそのときも単独介入でもやろうという思いがございましたけれども、各国に協調を呼びかけて、協調介入できました。  毎回ちょっと円高の要因というのは状況が違うんですが、今回の場合は、御指摘のとおり、欧州の問題もある、アメリカの問題もあるという中で、相対的な評価で円が強く出てきているというふうに思いますけれども、それにしても震災から日本が必死に立ち直ろうとしているときに、明らかに影響はマイナスの影響が出ますので、今回も各国と緊密な連携を取りましたけれども、最終的には単独介入になりました。  これからも、昨日の朝の電話会談の声明にあるとおり、緊密に連絡を取りながら適切に協力をするという形で進めさせていただきたいというふうに思います。
  159. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  協調介入につきましてというか、為替市場への介入につきましては、これは財務大臣の所掌事項ですので、私の立場でコメントをするということは差し控えたいというふうに思います。  ただ、いずれにしましても、現在の円高についての問題意識は、先ほど来申し上げているとおりでございます。  それからもう一つ、現在の円高背景ということについてお答えしたいというふうに思います。  思い起こしてみますと、昨年の夏も、八月に入りまして、円高の急激な進行ということで大変な議論がなされましたし、日本銀行も政策措置をとりました。この一年間の為替相場の動きを改めて振り返ってみますと、各国通貨の対ドルレートを見ますと、どの通貨もドルに対して上がっているということで、ドルのそういう意味では全面安でございます。  この一年間ということで見て、一番通貨が上がりましたのはスイス・フラン、これは三六%、次いでニュージーランド一六%、オーストラリア・ドル一五%、韓国・ウォン一二%、ブラジル・レアル一一%、それから日本の円が一〇%、ユーロは九%でございます。この数字が示しますように、これは、現在はこれ、ドルの全面安でございます。それで、ドルの全面安の下で相対的にドルから見て安全だと思われる通貨の方にシフトをしておるという動きがございます。  したがいまして、この現在の相場の基調を変えていくために、これは回りくどい方法ではありますけれども、しかし欧州の諸国がしっかり財政の問題に取り組む。それから、米国も今回はこれ格下げでございました。それから、バブル崩壊後の様々な調整がまだ終わってないということがございます。したがいまして、この世界経済の問題に対して日本も含めて各国がそれぞれしっかり取り組むという中で世界経済の不安定性もだんだんに小さくなり、その結果為替市場にもこれは相応の影響が出てくるということで、当面の政策とそれから各国の抜本的な対策と、この両方が必要だというふうに思っております。
  160. 中山恭子

    ○中山恭子君 国内の経済情勢を見ておりまして、日銀は強力な金融緩和を推進しているというお話でございました、本当に努力していらっしゃると考えています。もちろん、相対的に他の諸国とまだ通貨量が少ないというようなことはよく言われておりますが、それでも今、日銀から通貨の供給というのは、資金供給というのは非常に積極的に行われていると考えております。  ただ、その日銀からの資金供給に対して、国内の動きでは、この通貨が不活動残高に保蔵されてしまっているという可能性があるのではないかと思っております。もちろん、専門家の方に分析していただかなければいけませんが、いわゆる流動性のわなに掛かっているという一面もあるのではないかと考えております。そういった場合には、例のIS曲線の方を動かす必要があるということだと思いますので、この場合には、今やらなければいけないことというのは財政の出動だと見ております。  ちょっと話が飛びますが、先日、東日本震災からの復興の基本方針が出されました。復興期間十年、復興需要が高まる当初の五年間を集中復興期と位置付け、事業規模はこの五年間で少なくとも十九兆円程度、十年間で少なくとも二十三兆円程度と示されております。  これは、この後の五年間で、既に一次補正、二次補正で六兆円もう予定しておりますので、残りは十三兆円、五年間で十三兆円、一年間で二・五兆円でしょうか、二・六兆円程度。しかも、その後の五年後から十年までの間は少なくとも二十三兆円程度となっておりまして、これは言えば四兆円しかないという、それが今回の復興の基本方針ということだとその出された方針からは読み取れます。さらに、この場合の税制措置は、基幹税などを多角的に検討するとなっております。  この復興事業の規模というのは余りにも小さ過ぎるのではないでしょうか。内容がしかも魅力的なものというのは含まれておりません、言い難いと思います。大規模な公共事業等、目玉施策が全く見当たらないというのが今回の方針でした。  それから、財源を見ますと、これまでは、この方針では通貨の供給増につながることは一切期待できない形になっております。税制措置によって復興財源確保するということが書かれておりますが、これでは経済の一層の停滞を招き、景気回復にはつながらないと考えております。  一層の大規模な復興というものを、財務大臣考えていただけないでしょうか、いかがでしょうか。
  161. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 復興基本方針に示された当初五年間の復興集中期間における事業規模、委員指摘のとおり、十九兆円という形の試算をさせていただきました。これは、阪神・淡路大震災の際における当初の五年間の国及び地方公共団体負担分を踏まえながら、今回の被害総額の規模の違いなどを勘案、さらに、全国の緊急防災・減災事業について阪神・淡路大震災の直後に講じられたものと同程度は必要と見込んだ結果、全体として五年間で十九兆円程度は必要と見込んだわけでございます。  ただ、これが確定的ではありません。例えば、この十九兆円を、既におっしゃるとおり、第一次補正と第二次補正のところを差っ引いた対応になりますが、年度ごとに平均していくのかというと、これはやり方は違ってくると思います。規模感は年度ごとに違うという中で、十九兆、十三兆ありきではなくて、被災県からの、被災地からのいろんな御要望も受けながら、あるいは各省の様々な要望の積み上げの議論もこれからあるわけで、まずはマクロ的にざくっと数字出しましたけれども、積み上げた議論もやっていくわけで、それぞれの事業の進捗に合わせながら見直しもしていきますので、委員は余りにも多分財務省がまた悪知恵で上を決めているんだろうとお考えでしょうけど、これ、進捗に応じて手直し、見直しをしていきますので、実態に即した対応をさせていただきたいというふうに思います。
  162. 中山恭子

    ○中山恭子君 それでは、今後、各地から要望が出てきたり、いろんな案が出て、私、今回のこの特に東日本の復興というのは、単に戻せばいいというのではなく、大臣もよくおっしゃっていますが、この復興事業によって東日本世界の中でも魅力ある地域に再生する、最良の復興事業を行う、これが今回の震災で亡くなられた方々への鎮魂であると考えております。五年間で十三兆、更にその後、四兆というような数字ではなく、場合によっては、一年度で二十兆とか五年間で百兆というくらいの、そのくらいまで可能だということを方針として打ち出していただく、それが今必要なことではないだろうかと考えております。  先ほども流動性のわなに掛かっているのではないかという思いを申し上げました。今は、日銀が必死でやっている資金供給だけではこのデフレ脱却、それから景気回復、復興へつなげていくことというのは非常に難しいと思っております。今やらなければいけないのは公共事業。この東日本の復興、それから全国的な社会インフラの更新、再生といったようなことを含めて大規模に全国的に公共事業を展開するということが日本にとって非常に重要であろうと考えております。財源がないではないかとおっしゃるかもしれませんが、この財源は、建設国債でもよし、日銀の引受けでもよし、借入れでもいいと考えています。あらゆる知恵を絞って財源の手当てをするべきだと思っております。  先ほど財務大臣財政規律を守る国ということを維持していくとおっしゃいましたが、この復興のため、社会インフラ更生のための事業というのは、これは子ども手当のようなばらまきではありません。長期にわたって、ここから二十年、三十年にわたって必要となる施設というんでしょうか、そういったものを造っていくものですから、赤字公債ではなくやっていけるはずでして、決して財政規律を侵すものではないと考えております。  是非その点を、時間が来てしまいました、いずれまた多くの皆様の議論をしていただきたいと思っております。そのことを申し上げて、今後の円高日本の復興につながるのは日本の公共事業であると考えておりますので、その点だけ申し上げて終わります。
  163. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四分散会