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佐藤ゆかり君 リーマン・ショックの直後には
日本は
米国に協力をしてドル供給オペを行ったわけであります。
是非日本も、今の
通貨危機、危機と言ってふさわしいと思いますが、そういう
状況の中で決済の問題も
懸念されるわけでありますから、アジアも含めた諸外国に対して円供給オペの要請を検討していただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。
さて、中長期的な
空洞化対策の方に最後の時間、五、六分割きたいと思いますが、この
空洞化は当然税制が重要な問題になってくるわけでございます。
そこで、最近のアンケート
調査を見てみますと、まず、七月十四日の日経新聞の社長百人アンケート
調査ですけれども、経営者の回答者四割が、
円高の是正や税制の見直しが進まなければ今後三年以内に
生産拠点を
海外へ移転すると、約四割が回答をしています。
そして、今月八月三日、帝国データバンクがまとめた
産業空洞化に対する意識
調査では、
産業空洞化に大変
懸念をしている、七六・五%。そして、
海外流出を加速させると答えた
方々の要因として、
円高が五〇%で
最大の要因に上っています。そして、エネルギーの供給問題も三八%と大きな要因になっているわけでありますが、しかしながら、こうした中で、八月五日に閣議決定された
政府の新
成長戦略「
日本再生のための戦略に向けて」の中で
政府は
空洞化防止策を織り込むと約束をし、織り込んだわけでありますが、実際に中を見てみると非常に抽象論の羅列で、これで第三次補正を組むまでには到底至らないわけであります。
そこで、お伺いをしなければならないんですが、
円高といいましても、実は、燃料コストのように仕入れコストが安くなる、
円高メリットを享受する
産業もあるわけでありまして、賛否両論あるというのが現状だと思います。
そこで、実際に今、現状はどうなのかと。このページ三の配付資料のところで、損益分岐点比率を少し用意しましたので御覧いただきたいと思います。青線が製造業、赤線が非製造業ですが、点線の部分が
中小企業、実線が大
企業。そうしますと、この点線の赤と青線の部分、これは
中小企業の製造業、非製造業ですが、足下九五%ぐらいまで上がってきているわけであります。
この損益分岐点比率というのは、実際に売上高が下がってきて、そして
生産コストと同じになる、いわゆる採算割れの
状態になる売上高に対して今の実際の売上高がどのぐらいの比率であるかという指標であります。ですから、この比率が下がれば下がるほど
円高などの要因によって今現在の売上高が低下をしても採算割れになるまで余裕があるということでありますので、これが一〇〇%に向かって上がっていくと、一〇〇%がちょうどこれは採算割れになるわけでありますが、大変な
状況になってくる。
そして、これはデータの最後のポイントが今年一—三月期ですから、この四—六月期、七—九月期までデータを延ばしますと、恐らくもう
中小企業は九〇%台後半まで今現在来ているであろう、大
企業においても九〇%台ぐらいまで乗せてきているということで、
産業間では
円高メリット、
円高デメリット、両方立場がおありになるでしょうが、全体像として見ると、あとこのデータポイントでいえば二ポイント進むぐらい、今年の秋ぐらいまでには徹底した
空洞化防止策を打っていかないと大変になるということがこの図表からもお分かりいただけるというふうに思います。
そんな
指摘をしながら、それでは、目先のまず電力の問題、電力価格の問題に移りたいと思いますが、電力料金の引上げ観測が
空洞化を引き起こす一つの大きな理由になっております。
そこで、次の資料の四ページ目ですけれども、いわゆる電力各社は実は自主的に原価
変動調整積立金と別途積立金というものを積み立てております。これはそれぞれ、石油価格が高騰したときに価格を安定化させるための積立金、そしてまた
円高が生じたときの差益を積み立てておくというようなものでありますが、これまで取崩しをされたことというのは余りないであろうと思っております。
ただ、これを取り崩して、実際の残高は九社合計で今、二〇一〇年合計ですと三兆九千六百八十七億円あるわけでありますけれども、これを取り崩すと、大体一・四年分ぐらいは電力料金を引き上げなくても大丈夫だろう。仮に来年の春までに原発の五十四基が再開できずに全部止まって、その三割分の電力を火力発電で全部賄ったと、その結果燃料コストが
日本の
経済全体で三兆円増加すると予想されますが、それが起きても、この取崩しによって一・四年分ぐらいは電力料金を引き上げなくても大丈夫だという計算になるわけであります。
そこで、会計上、原価主義に基づきますと、赤字を
前提とした積立金の取崩しはできないというふうにも言われているわけでありますが、むしろ
政府が率先して、電力会社に対して、こういう非常事態であるからこの二つの積立金を取り崩して電力料金の平準化に努めるべきであるという指示を早急に出すべきではありませんか。