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2011-06-16 第177回国会 参議院 財政金融委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年六月十六日(木曜日)    午後一時一分開会     ─────────────    委員異動  六月十四日     辞任         補欠選任      徳永 エリ君     川上 義博君      安井美沙子君     水戸 将史君  六月十五日     辞任         補欠選任      中西 健治君     上野ひろし君  六月十六日     辞任         補欠選任      金子 洋一君     梅村  聡君      上野ひろし君     中西 健治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤田 幸久君     理 事                 大久保 勉君                 舟山 康江君                 愛知 治郎君                 佐藤ゆかり君                 荒木 清寛君     委 員                 梅村  聡君                 尾立 源幸君                 風間 直樹君                 川上 義博君                 櫻井  充君                 田中 直紀君                 中谷 智司君                 水戸 将史君                 鴻池 祥肇君                 塚田 一郎君                 西田 昌司君                 野上浩太郎君                 古川 俊治君                 丸川 珠代君                 竹谷とし子君                 中西 健治君                 大門実紀史君                 中山 恭子君    国務大臣        財務大臣     野田 佳彦君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        自見庄三郎君    内閣官房長官        内閣官房長官  福山 哲郎君    副大臣        財務大臣    櫻井  充君        経済産業大臣  松下 忠洋君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        和田 隆志君        財務大臣政務官  尾立 源幸君    事務局側        常任委員会専門        員        大嶋 健一君    政府参考人        金融庁総務企画        局長       森本  学君        厚生労働省職業        安定局次長    黒羽 亮輔君        中小企業庁長官  高原 一郎君        中小企業庁事業        環境部長     伊藤  仁君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○東日本大震災対処して金融機関等経営基盤  の充実を図るための金融機能強化のための特  別措置に関する法律及び金融機関等組織再編  成の促進に関する特別措置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○現下の厳しい経済状況及び雇用情勢対応して  税制の整備を図るための所得税法等の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十四日、安井美沙子さん及び徳永エリさんが委員辞任され、その補欠として水戸将史君及び川上義博君が選任されました。  また、本日、金子洋一君が委員辞任され、その補欠として梅村聡君が選任されました。     ─────────────
  3. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  東日本大震災対処して金融機関等経営基盤充実を図るための金融機能強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等組織再編成の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁総務企画局長森本学君外三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 東日本大震災対処して金融機関等経営基盤充実を図るための金融機能強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等組織再編成の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 風間直樹

    風間直樹君 よろしくお願いします。  今日は、時間配分の関係最初復興財源についてお尋ねをさせていただきます。その後、付託法案について質疑をさせていただきます。  まず震災復興財源ですが、この間、衆議院でも参議院でも、この復興財源措置をどう手当てするか、いろんな議論がなされております。特に、いわゆる埋蔵金の活用について、みんなの党の議員方々中心に、国債整理基金とそれから労働保険特別会計、この二つ剰余金を活用すべきという意見が出ているところであります。  私も議事録随分目を通してみたんですが、どうも質疑者の求める趣旨とそれから答弁とがいま一つかみ合っていないという感を強くしておりまして、今日は、この特別会計それぞれのいわゆる剰余金をもし活用しようとした場合に本当のところ何が問題なのか、その核心を是非分かりやすく御答弁をいただきたいというふうに思っております。  今日は、大臣衆議院委員会に御出席ということで、櫻井大臣から御出席をいただきました。櫻井大臣には、日ごろ腹蔵なくいろんな御相談を私させていただいているところでございますので、今日の質疑でも腹蔵なくよろしくお願いいたします。  まず国債整理基金なんですが、これまでの国会における議論を簡単に整理すると、こういうことだと思います。  平成二十二年の三月末現在で、配付資料の二枚目でございますが、国債整理基金特別会計貸借対照表を見ますと、右側負債合計のところ、資産負債差額の部というところで、約二十八兆円の基金が積み上げられております。専門家のいろんなお話を総合しますと、このうち約十兆円分が剰余金として毎年毎年繰り延べられている、なのでこの十兆円は今回の復興財源として時限的に活用できるのではないかと、こういう趣旨国会で度々問われております。  これに対して財務省の答弁としましては、国債の信認上、会計制度を変更することは望ましくないという点に集約されるかと思うんですが、どうもそこがちょっとかゆいところを靴の上からかくような感じで分かりにくい部分があると思いますので、この点、櫻井大臣より分かりやすく御説明をお願いできますでしょうか。
  7. 櫻井充

    ○副大臣櫻井充君) 分かりやすく説明できるかどうかちょっと自信がありませんが、私なりに基本的なことをちょっと整理させていただいて御説明させていただきたいと思います。  委員も御承知のとおり、国債というのは六十年償還ルールですから、六十年間掛けて返却する、償還することになります。そうすると、国としては毎年六十分の一ずつをその償還財源としてこの国債整理基金の中に繰り入れていくことになります。例えば、十年国債ですとどうなるかというと、六十分の一ずつずっと積み立ててきて十年後にこれをまとめて償還すると。ですから、言わばここにあるものは償還財源としてプールされていることになります。ですので、例えばここからお金を取り崩すと何が起こるかというと、例えば十年国債であれば、十年後に償還する部分が一部欠損しますから、何らかの形で手当てをせざるを得なくなってしまうということになるわけです。  それからもう一つは、その国債整理基金というのはどういう働きをしているのかというと、言わばバッファー機能を果たしておりまして、それはどういうことかというと、例えば、国債を本来は発行しなければいけない、発行しないとその支出に堪えられないというような場合があったといたします。その際に、仮にシステムトラブルなどが起こった際にはどうなるかというと、支払は生じるわけですがその財源がなくなってしまうということが起こるわけです。その際には、ここの国債整理基金特別会計の方から一時借入れをして支払を行うと、こういうバッファー機能もございます。  現時点で一日当たり最大で幾らの国債を発行しているのかというと、九・二兆円の国債の発行を予定しておりますので、万が一万が一システムトラブルなどが起こった際に、こういったものが発行できなくなった際に担保するだけのお金がここに用意されている必要性があるので、この分については絶えず残しておくべきであろうという判断をさせていただいているわけでございます。  ですから、もう一度申し上げますが、これは償還のために毎年毎年積んできているお金であって、十年国債であれば今申し上げたとおり十年後にまとめて全部償還するというお金ですから、ここから何らかの形で持っていかれてしまうと毀損してしまうので、最終的には、ほかの財源があってそこから充てられれば構いませんが、そうでなければ結果的には国債を発行してここの穴埋めをするような形になってしまうので、そうであれば、ここの財源のところが埋蔵金のようなものではないんだということになるんだろうというふうに判断しているところでございます。
  8. 風間直樹

    風間直樹君 分かりやすい御答弁いただきまして、ありがとうございます。  今副大臣がおっしゃった一日に今九・二兆円国債を発行しているというこの数字は、これまでの国会議論ではまだ出てきていない数字かと思いますので、参考になるかと思います。  今副大臣がおっしゃったのは、恐らくその九・二兆というのはロールオーバーを含めた金額だと思うんですけれども、これ、あれでしょうか、この十兆円剰余金を積んでおくというのは、今御指摘の点と加えて、国債金利上昇リスクなども担保しているというふうに私は推測しているんですが、そこはそういう理解で正しいんでしょうか。
  9. 櫻井充

    ○副大臣櫻井充君) 金利リスクについても、それはどういう形でかは見なければいけないと思っていますが、ただ、これは発行した時点基本的には金利は決まっているものでございます。ですから、何らかの特別な償還のようなものがない限りは、金利に対しての手当てというのは、これはする必要がないとそれは認識しております。
  10. 風間直樹

    風間直樹君 ありがとうございます。  国債整理基金につきましてはおおむね私の疑問は氷解いたしましたので、次に移らせていただきたいと思います。  今日は時間が二十分ということで限られておりまして、次に何をお尋ねしようかちょっと今悩んでいるんですが、もう一つ復興財源にかかわる埋蔵金一つの争点として、労働保険特別会計が随分取り上げられております。  私も事前に厚労省からちょっと聞かせてもらったんですが、今六兆円ぐらいあるんですよね、BSを見ますと。配付資料、たしか三枚目だと思いますが、三枚目のこの貸借対照表右下資産負債差額六兆四千億円、平成二十二年の三月末です。これを今回、復興財源の一部として使えるのではないかという議論がなされております。  いろいろ聞きますと使えない理由があるようですけれども、一つは、そもそもこれ、労働保険特別会計ということで、労働災害に備えて積み立てた保険金であるということで、それを地震の復興に使うのは当然法改正も必要だと、あるいはそもそもそれを拠出した被保険者方々に対して説明が付かないと。こういう理由と、それからもう一点、それにしては随分たまり過ぎているから、これ、どうなんだということを聞きましたら、料率を改定する今法案衆議院に出されているというようなお話でしたけれども、この二点、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  11. 黒羽亮輔

    政府参考人黒羽亮輔君) まず最初に、資産負債差額六・五兆円の関係についてお答え申し上げます。  資産の方は、積立金とか雇用安定資金のほかに固定資産なども入っておりまして、現金換価することが困難な資産が含まれております。負債の方は、支払義務が確定しております平成二十二年三月三十一日時点支払債務計上しているだけでありまして、翌年度四月一日以降の失業等給付金等支払見込額を示しておるものではございません。したがって、これは特別会計財務書類上において資産負債差額として計上しているというものでございまして、実際の積立金残額とは異なるものでございます。  それで、積立金残額の方は、今回の対策で、先般の第一次補正予算によりまして対応を図っておりまして、第一次補正予算で一億円強を計上しておりまして、二十三年度末における積立金残高が約三兆円になるということでございますけれども、今後も震災によります給付費が増加することが見込まれることから、現在の積立金が積み立て過ぎということにはならないと考えております。  それから、もう一つお尋ねがありました雇用保険料率でございますが、これは、各年度保険料率というのは、積立金残高等を勘案しながら法定料率基本とする一定の幅の中で弾力的に決定できる仕組みとなっておりまして、現在の適用料率はその下限となります一・二%でございます。  来年度以降の保険料率につきましては、審議中というお話でございましたが、先般成立いたしまして、来年度以降の法定基本料率を引き下げたところでございます。制度的には一・〇%まで引き下げることが可能になりますけれども、ただ、具体的には、震災影響によります給付増大等を勘案して、この秋以降に労働政策審議会において御議論をいただきまして決定することとなっております。  以上でございます。
  12. 風間直樹

    風間直樹君 ありがとうございます。  では、続いて付託法案についての質疑に入ります。  金融機能強化法ですが、この法律運用に当たって、被災した地域金融機関、これらの自主的な取組を支援することが基本だというふうに思っています。こうした金融機関に過度な負担を求めることのないよう監督体制においても是非お願いしたいところでありますが、この法案の中で事業構築、それから参加資本整理、こういった文言が出てきます。これらについて、合併再編が必ずしも前提とされるわけではなくて、単独による再建だからといって合併再編と比べて大臣認定が不利に働くことがないということが必要だと思うんですが、その点を確認させていただきたいと思います。
  13. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 風間議員お答えをいたします。  先生御存じのように、金融機能強化法資本参加を受ける金融機関経営判断前提とする枠組みでございまして、その運用に当たっては、先生も今御指摘がございましたように、あくまで金融機関自主性を尊重してまいるということが大原則でございます。  今お話がございました協同組織金融機関、信金、信組の場合が多いと思いますけれども、向け特例に関しましては、今お話がございましたように、事業の再構築あるいは資本参加整理を行う場合には、それが将来的につながる形として、まず一つ、今先生お話しになりましたように、合併事業譲渡による場合のほか、二つ目として、出資を初めとする地域からのしっかりとした支援が得られて単独再建する場合を想定をいたしております。そのいずれの場合であっても、事業構築認定に当たっては、事業の再構築地域における金融機能維持強化に資するものであるということを審査することとしておりまして、まさに先生御心配の点がないように、公平、公正、適切にきちっと対応してまいりたいというふうに思っております。
  14. 風間直樹

    風間直樹君 ありがとうございます。  被災地域金融機関の中には、この点、今回の法案の中で一体どうなんだろうかと、こういう強い懸念を持っているところが非常に多いというふうに聞いております。そういう意味で、合併再編前提に必ずしもなるわけではないと、自主的な再建もこれはしっかり応援していくんだという今自見大臣からの御答弁、大変心強く感じたところであります。  ひとつ、その方向で被災地域金融機関に対する一層の支援をお願いしまして、質問を終わらせていただきます。
  15. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 自由民主党の佐藤ゆかりでございます。  本日は、金融機能強化法中心に、あとは被災地被災者方々の二重ローン問題に対する政府対応等も含めまして、統括的に質疑をさせていただきたいというふうに思います。  まず、金融機能強化法改正案について話を進めたいというふうに思います。  今回の金融機能強化法改正案では、被災地域金融機関中心といたしまして、東日本大震災によります貸倒れによって毀損する資本未然強化をすることで早期健全化に向かわせる、そういう趣旨でこの改正法案が策定されたというふうに理解をいたしております。  法改正の主な骨子は、金融機関への経営責任を問わないということですとか、あるいは健全化期間期間を延長するなどの、いわゆる経営者にとりまして、被災状況にかんがみ緩やかな規制に変えるというものが主な中身となっているわけであります。  しかしながら、今回の法改正をする主な考え方趣旨ということで考えますと、やはり重要なポイントは、私は、金融機関債務超過に陥る前に未然自己資本比率低下を防ぐということで対処を行ってそして早期健全化に向かわせると、そのことがこの法改正一つの大きな理念ではなかろうかというふうに考えるわけであります。  実際に、お手元配付をさせていただきました資料の一ページ目でございますけれども、この被災三県の地域銀行における今年三月期の決算概要でありますが、一番右側自己資本比率を御覧いただきましても、すべての銀行におきまして国内基準であります四%をはるかに超えていると。そしてまた、国際基準の八%も上回る銀行が多々あるわけでございます。  そこで、今回の法改正のまず基本的な考え方について自見大臣一言でお伺いをしたいというふうに思いますが、債務超過に陥る前に未然自己資本比率低下等を防ぐという早期健全化の発想に基づいた法改正という理解でよろしいでしょうか。一言でお願いいたします。
  16. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 佐藤先生お答えをいたします。  まさに今先生が御指摘のように、東日本大震災によりまして、今後、今もう御存じのように自己資本比率先生指摘のとおり、全てきちっとクリアしておりますけれども、今後金融機関に様々な影響が生じることを踏まえまして、地域における面的な金融機能維持強化するとともに、当然金融機関でございますから預金者に安心していただけるということを主な目的として万全の枠組みを設けることが適切と考え、この金融機能強化法を改正するための法律案国会に提出させていただいたところでございます。
  17. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 お答えが明確でございませんでしたので、もう一度、再度確認を取らさせていただきたいと思いますが、債務超過に至る前の未然防止策に主軸を置いた法改正であるということでよろしいでしょうか。
  18. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 私の方からもう少し詳しくお答えしたいと思います。  今、佐藤委員指摘のように、債務超過になっているかどうかということをメルクマールとすれば、債務超過になった金融機関を救う仕組みではございません。  しかし、先ほどおっしゃっていただいたように、未然に防止するという表現の仕方になりますと、私どもこの強化法によって担保したいのは、金融機関が健全であっても、その地域金融機関地域経済復興活性化に資する決意を持って我々に申請を出していただければ、そこは債務超過になるおそれがあるかないかとは別に、是非貢献していただきたいという積極的な視点を持ってこの資本注入を行ってまいりたいと思っておりますので、未然に防止するという表現の中には、陥るかも分からないが、それを要するに何とか防ぐという視点がおありのようにもちょっと受け取れましたので、そこは是非、もう少し我々積極的にとらえているということを御理解いただければと思います。
  19. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 最終的には地域経済の方を活性化、特に東日本地域復興に資する金融機能強化でなければならないわけでありますので、今、和田政務官答弁いただいたとおりではなかろうかというふうに思うわけであります。  そこで、少し具体的な財務諸表に触れたいと思いますが、お手元資料で一枚おめくりいただきまして、数字は四ページと書いてありますが、これは岩手県の北日本銀行、そして次が七十七銀行と、被災地に本店を置く、拠点を置く地域銀行の今年二十三年三月期末決算短信から引っ張り出してきたものであります。  御案内のとおり、おめくりいただきますと、例えば、岩手銀行では、連結ベースですが、二十三年三月期末決算におきまして貸倒引当金繰入額が、昨年三月期は三十億六千二百万円であったものが二十三年三月期には十三億千四百万円へ減少。その一方で、七十七銀行を御覧いただきますと、昨年三月期末時点で五億四千万円であったものが今年三月期末には八十六億千三百万円へ大幅に拡大。また、こちら添付資料にございませんが、福島の東邦銀行では、昨年三月期末時点二十四億八百万円であったものが今年三月期末で三十六億八千九百万円へと貸倒引当金繰入額を増額している状況でございます。  また、一方で、特別損失のところを御覧いただきますと、大方これは災害による損失計上でありますけれども、岩手銀行は、その他特損という項目で計上をしておりますが、六十九億千九百万円の計上七十七銀行は、災害による損失という計上で、五百六億八千七百万円の計上東邦銀行も二十一億三千万円の計上ということで、この災害損失は、昨年三月決算期には全く掲載がございませんでしたけれども、今年の三月末で一気に計上額が出ているという現状でございます。  ただ、御案内のとおり、岩手銀行では貸倒引当金繰入額は昨年より今年は減少させている。その一方で、七十七銀行は大幅に拡大していると。このように、まだ三月期末時点では、発災直後でありましたので個別行の貸倒引当金対応もまだら模様であったというのが現状であるというふうに思われます。  いよいよ、これから来年の二十四年三月期末決算に向けまして、当然今年九月には中間決算がありますが、そういう中で、来年の三月期末決算に向けて、徐々にこの債務超過状況若しくは資本の毀損の現状というものが露呈をしてくるわけでございまして、今回の金融機能強化法に基づく対処というのも、一段階やはり来年の三月期末決算までにある程度のめどを付けて対処をしておく、早期健全化を行ってしまうこと、これが勝負ではないかというふうに思われるわけでございます。  そこでお伺いしたいと思いますが、個別の各行に対する資本注入の規模に関してどういう判断基準を用いるのか、また、個別行検査審査を進めるに当たりまして、この仙台、東北財務局等中心に何人体制でいつまでに検査審査を終えるおつもりでおられるのか、その辺りの工程について手短にお伺いいたします。
  20. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 人的体制等については後でちょっと参考人お答えいただきたいと思いますが、資本注入視点のお問合せがございました。  個別金融機関について、先ほど来御指摘いただいているように、確かに発災から期間がたつにつれて自分たちの融資している債務企業の状態が明らかになってまいりますので、その分だけ貸倒引当金をたくさん積まなければいけなかったり、実際に債権償却をしなければいけなかったりする事態は当然生じ得るものだと考えています。  私ども、今回この法律審議をお願いしましたのは、金融機関はあくまで健全な範囲でしっかりとオペレーションしていただいているということで考えておりますが、むしろ被災された企業の方々に対して金融機関がより積極的に、早くその債務企業との間で抱えている債権の処理について積極的に考えられるように、いろんなツールを持って考えられるように、それは債権の放棄も含みますし返済猶予も含みますし、いろんなツールを含むんだと思いますが、そういうことを考えやすいような環境を整えるということが一番の法律改正をお願いしている主眼でございまして、債務超過となるかどうかということは、むしろ抱えていらっしゃる債務企業の幅がたくさんあって、その方々を次に復興を遂げさせるために今ある債務についてどのような決断を下すのが一番いいのかということを金融機関に最も積極的に考えていただきやすくするようにという視点でとらえておりまして、結果的にそれが債務超過に近づいていくということはあり得るんだろうと思いますが、そのレベルで申し上げると、佐藤委員が御指摘になったように、あくまで債務超過にならないようにならないように考えていくということではないかと考えています。
  21. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 何人体制ということを。じゃ手短に。
  22. 森本学

    政府参考人森本学君) お答えいたします。  金融機能強化法に基づきます資本参加審査いたしますのは、基本的に金融庁本庁でございまして、地域銀行を所管いたします銀行二課でありますとか協同組織金融室というところが担当いたします。もちろん東北財務局の協力も得て行うわけでございます。  そうした審査に対する体制は、先生指摘の迅速な審査ができますように十分に配意してまいりたいというふうに考えております。
  23. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 この法案を今審議して、まさに通過する直前といいますか、そういう中での審議時点で、まだ何人体制でどこがどういう枠組みでやるかというのが全くお答えに入っていないということは、決まっていないということですね。これはいかにも遅過ぎませんか。法案を通すと同時に、やはりこれは計画として工程表ぐらい出さないと、法案に添付するぐらいの、そういう作業が必要ではないでしょうか。  自見大臣、ちょっと、一言でいいんですが、感想をお聞かせください。
  24. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) では自見大臣一言感想をお願いします。
  25. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 金融機能強化法ですね、これ私自身も仙台あるいは福島に行かせていただきまして、いろいろな金融機関の方とお話をさせていただきました。やはり、これは大変ある意味で震災特例でございまして、従来の法律とは少し、私は法律そのものに関してはやや詳しくはないのでございますけれども、やはりこの地域のまさに中小企業、あるいは住宅ローンで、流れた人たち、そういった方を救うということは、やはり金融機関にしっかり金融機能強化あるいは金融機能の面的な強化をしていただくことが是非必要だということで、そういったことで大変夜も寝ず連休も返上してこの法律を作ったということを聞いておりますので、しっかり今この体制、何人でどうしているんだという話がございましたが、ちょっと私はそこは聞いておりませんけれども、しっかりそれも万事抜かりなくやっているというふうに私は信じております。
  26. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 やはり枠組みだけつくるのではなくて、これまでのいろんな現政権の対応にも見られますが、枠組みだけ口先で出して実際に実施していないという現状がよく見られるんですよね。ですから、やはり工程表も同時に出していただいて採決いただくぐらいの、そのぐらいのスピードで準備をしていただきたいと思いますが、再度お伺いしてもお答えいただけないと思いますので、申し述べて、この質問を終わりにしたいと思います。  次に移りたいと思います。  今回、この関連で、いわゆる再建できなかった金融機関について公的資金の債務免除というのを一定の条件の下で行う特例措置を付けると。例えば、ほかの金融機関合併をするとか、こういう条件の下で公的資金の債務免除、返済免除を行うという特例措置が付くというふうに聞いているんですが、和田政務官、この事実確認だけさせてください。
  27. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) お答えいたします。  委員今御指摘いただいた部分は、私どもが法案として書いている中で、今回、各地域に根差して活動していただいている協同組織金融機関向けに考えているものでございます。先ほどおっしゃったように、事業構築の手段として合併を選んでいただく場合もあれば、地域の信頼に基づいて出資を更に強化していただいて次に向けて活動するという場合もございます。
  28. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 こういった税金投入につながるような返済免除ということになれば、当然ながら十分にその条件等はやはり明確化をしていかなければいけないというふうに思いますし、先ほど来挙がっておりますように、私は、この金融機能強化というのは本質的には二段階で考えなければいけないと思っているんですね。  一つはやはり、旧債務についてきちっと処理を進めて、そして金融機関財務体質をもう一度改善させてリスクを取れる体質に戻していくということ、これが一段階目。そしてその上で、次の二段階目を忘れてはならないと思いますが、強化された財務体質の上でしっかりと復興のために地域の産業を興し、そのために与信を行う。そのリスク査定を行いながら、きっちりと、与信を行う能力を金融機関がきちっと身に付けること。このことにおいて、実は金融機能強化法改正案はこの二番目の段階について余り対策が講じられていないように思うんですが、この点の強化についてどうお考えか、和田政務官、お願いします。
  29. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 委員指摘のように、この法案の中に何かそのような趣旨が盛り込まれているということではないように私も思いますが、しかし、私ども、ふだんの金融行政の中で各地域金融機関に対しまして、基本的な与信能力をもっと高めてほしいという趣旨から、地域地域での取組をほかの金融機関方々にも参考になさっていただきたいという、リレーショナルバンキングの知恵を出し合うようなシンポジウム等を開催しておりまして、そういった中でそれぞれの金融機関が別の金融機関の成功事例を聞いていただくというようなことで与信能力を高めるという活動は行っているつもりでございます。  しかし、御指摘部分というのは、恐らくその被災地域でもうぎりぎり、被災企業についても、実際に与信を行っている協同組織金融機関につきましても、ぎりぎりのところまで追い込まれた段階での話ということもありまして、将来の与信能力の部分は、当然、我々頭を使って、頭を配りながら行政を展開してまいりたいと思いますが、その部分に今かなりの重点を置き過ぎますと現状を早く解決することにちょっとスピード感を持てなくなってしまうんじゃないかと思いまして、現在の金融機能強化法をお願いしております。
  30. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 名称が金融機能強化ですから、この二つの段階が必要であるというふうに思われますし、それをちぐはぐに、最初にこの一段階目、その後二段階目を考えるとなりますと、結局はパッケージとして整合性のないものにもなりかねないと、そういうリスク指摘させていただきたいと思います。  時間も限られておりますので、次の観点、二重債務問題への対応について進めさせていただきたいと思います。  今回、民主党からは、例えば中小企業ファンドを活用した債権買取りや、いわゆるデット・エクイティー・スワップなど、あるいは社債買取り等を行うスキームの案も出ているようであります。しかしながら、実際に、この参議院の財政金融委員会で五月二十六日に被災地を視察いたしまして各金融機関からヒアリングを行いました結果、実は、デット・エクイティー・スワップや社債買取りなどを行えるような、ある程度の規模の中小企業あるいは財務体質を有した企業というのは地元には本当に少ないんだと、ごく一握り、二、三社しか恐らくないだろうという指摘が地元金融機関から上がってまいりました。  果たして本当に、この買取りスキーム、デット・エクイティー・スワップや社債買取りスキームが活用できるのかどうか、政府としてこの民主党案をどのように御覧になっておられるか、お考えをお伺いしたいと思います。
  31. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) お尋ねの件でございますけれども、中小企業再生ファンドというのは、これは中小企業を主な対象として、今おっしゃったような数々の手法を使ってその再生支援を行うもの、これはもうそのとおりでございますが、これまでに二十二のファンドが組成、つくられておりまして、百五十六社に対して約三百三十億円の投資が行われています。内容を調べてみますと、二十人以下の小さな企業、これが約三割、それから……
  32. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 済みません、大臣、民主党案に対して政府の見解をというのが質問の趣旨でございますので。
  33. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) ええ。それで、小さいところに行っていないんじゃないかと、こうおっしゃっていますので、その点については、百名以下についても八五%という形で貸出しが行われておりますので、その点について御報告を申し上げておきます。
  34. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 実際に、産活法が導入された後、平成十五年十月から平成二十三年三月までの累計で、例えばこの産活法の下で中小企業再生ファンドというのが設置されておりますが、この約七年半の期間にデット・エクイティー・スワップが使われたのは僅か九社、全体の件数の三・六%、そして、債権買取りがやはり圧倒的に多いんですね、百十社で全体の四三・八%、こういう実態にあります。  これを一つ参考にすれば、やはりこの社債の買取りやデット・エクイティー・スワップよりは、私ども自民党が提唱をしております買取り機構の設置、こちらがやはり是非有力な提案としてお考えいただきたいなというふうに思うわけでございます。  実際に、自民党では独自案として、債権買取り機構の実績が過去、これまで高いことから、債権買取り機構の設置ですとか、あと債務免除の際も、リース会社やクレジット会社、信販会社などのノンバンクに向けても、銀行に限定せずに無税償却を弾力活用するというようなことも自民党案には入れさせていただいております。  これらの提案について最後に一言、どうお考えになるか、経産副大臣、お願いします。
  35. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 二重債務問題につきましては、民主党では復興ビジョンチームで検討してもらっているということでございまして、その提言も含めて、今おっしゃったように様々な提言もございますので、それもしっかりと御意見を伺いながら今取り組んでいるということでございます。いつまでも時間掛けるわけにもいきませんし、これは答えをしっかり出していかなきゃいかぬと、そう考えています。
  36. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 実際、今回被災地に視察に財金委員会で参りましたときも、やはり、一番政府対応が遅れている問題として地域金融機関から指摘がありましたのは、リースの債権処理の問題でございます。  金融機能強化法では、銀行財務状況を改善する趣旨で改正案が出されているわけでありますが、このリース債務に対する対処策、これは政府対応としていまだに出てきていないわけでありまして、これは非常に二次元的に連鎖する問題で、もっと早急な対処が必要であると思われます。  一つには、やはりリース会社に対して事業主がまず、いわゆる債務不履行になるという問題ですが、そこから次に、今度は債務不履行になったこの事業主を持つリース会社などが設備資金を借り入れている銀行にも今度は債務不履行という形で跳ね返ってくるわけであります。  実際調べたところ、被災三県の地域金融機関においては、物品賃貸業向けの貸出割合というのは平均一・七%、この添付資料で一番最後のページに付けさせていただいているかと思いますが、比較的それほど割合は高くないんですが、ただメーカーと連動したリース会社などになりますと、被災地域金融機関ではなくて全国の大手行と直接つながっている場合もありますので、まさにこのリース債務の問題というのは、早くしないと全国各地の金融機関に飛び火してくる可能性があるということを指摘させていただきたいというふうに思います。  さて、次の問題になりますが、一言中小企業庁長官にお伺いをしたいと思いますが、今回、被災企業の事業再開について、再開はしたいんだけれども本当に再生してやっていけるだろうかという不安を感じておられる事業主の方々というのは、大変おられるというふうに思っております。特に、デューデリジェンスなどの専門的な知見を要するケースの場合には、今回、中小企業支援ネットワーク強化事業で巡回対応相談員というものが対応するというふうに伺っているわけであります。  しかしながら、このネットワーク強化事業は、そもそもその前身でありました中小企業応援センター事業というものが私ども自公政権時代には存在していたわけでありますが、あいにくこれが民主党政権の事業仕分によって廃止をされてしまったということでございます。その代わりにネットワーク強化事業というものが生まれたということですが、このいわゆる中小企業応援センター事業のかつてとの比較で、具体的に何が強化され改善されたのか、今回の対応についてどういう対応を組んでいるのか、手短にお答えいただきたいと思います。
  37. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) 被災企業の事業再開に関する御相談につきましては、御指摘のとおり中小企業支援ネットワーク強化事業で実施させていただいておりますけれども、この度被災をされたところでは、例えば商工会議所とか商工会、そこの窓口に今まで巡回指導員が伺うことにしていたわけですけれども、大変な被災をされたためにその巡回指導員の方が足りない、あるいはそこで相談体制を組めないということがございますので、今回、他の地域の相談員でございますとかあるいは地元の指導員のOBの方、この方々に緊急に今巡回指導に対応していただく、そういう体制を取らせていただいています。  これまでの派遣では、六月十三日時点でございますけれども、延べ六十名を超える方々に巡回指導の応援ということで派遣をさせていただくということで体制強化いたしております。  以上でございます。
  38. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 十分にこういった相談先の窓口を増やしていただくことを確実にやっていただきまして、やはり思い悩むところでとどまってしまっては復興につながらない、気持ちも折れてしまうという、非常に今クリティカルな過渡期に事業経営者方々は置かれていると思いますので、その辺の万全な体制を中小企業庁にもお願いを申し上げたいというふうに思います。  さて、最後になりますけれども、このように今日の質疑では、金融機能強化法から二重債務の問題、そしてリース債務の処理の問題等、様々多岐にわたりましてこの被災事業者が抱える問題というものについて質疑をさせていただいたわけでございますが、どうも伺っておりますと、今この時点で私どもは金融機能強化法案を審議をさせていただいている、そしてまた政府側からは、六月末までには二重債務問題に対する対処策を今度は打ち出すというふうに言っておられる、そしてリース債務の問題対処についてはまだ何ら方向性が出ていないと。そういう状況でございまして、どうも金融機関に対する対処は機能強化法で今やるんだと、二重債務については後でやるんだと、リース債務についてはやっていないと。  それぞれ、実際の被災事業者にすれば全部つながっている問題なんです。しかしながら、一つ一つばらばらの法案で、ばらばらの施策で、ばらばらのタイミングで一個一個出してくる。これが現政権なんですよ。何でこれをパッケージとして一つにしないんですか。こういった全体的なことを統括しているのは現政権内で誰なんですか。官房副長官、お願いします。
  39. 福山哲郎

    内閣官房長官(福山哲郎君) 佐藤委員お答え申し上げます。  佐藤委員の御指摘になりました企業の再生支援やリースの問題や金融機関資本増強、それぞれ被災地の迅速な復興に対しては我々も不可欠な問題であるというふうに思っておりまして、個別の問題については、今日は自見大臣も野田大臣もいらっしゃいますし、経産副大臣来られておられますが、それぞれの所掌の範囲内で責任を持って進めていただいているというふうに考えております。  しかし、一方で、復興の問題というのは全体を見渡さなければいけませんので、そこは御指摘いただいたように官房を中心として、そこは全体を見ながらそれぞれの大臣と連携をして進めてまいりたいと考えております。
  40. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 要するに、この手の問題というのは復興全体にかかわる問題であるので官房を中心に責任を持ってやるという御答弁だったと思いますが、そういう意味では、これまで、今の現時点では全てがばらばらのタイミングでばらばらの個別の案件として出されているということは、官房としてこれまで責任を取ってこられなかったということですね。
  41. 福山哲郎

    内閣官房長官(福山哲郎君) 先ほど申し上げましたように、官房としても全体を見渡しながら対応したいと思っておりますが、それぞれの所管の段階、個別の課題については各大臣がそれぞれ責任を持ってしっかり対応いただいているというふうに思っておりまして、復興全体としては、我々官房も懸命に対応していきたいと思っております。
  42. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 こういう形で被災者に対して混乱を及ぼすようなばらばらの政策というのは是非やめていただきたい。それが改善できない、責任取れない官房であるならば、やはり内閣替えてください。そのことを最後にお願いして、トップを替えることもお願いをして、私の質疑を終えます。
  43. 古川俊治

    ○古川俊治君 続きまして、自由民主党、古川俊治の方から質問をさせていただきます。  最初に、自見大臣、お聞きいたしますが、現在の被災地域の企業、特に中小企業でございますけれども、その企業における資金のニーズの状況について、どのような根拠に基づいてどのように把握されているのか、お話しください。
  44. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 今委員お尋ねの、状況でございますので私の方からちょっと御報告申し上げたいと思います。  先ほどお話が出ておりましたが、参議院の財政金融委員会の方でも現地の方にいらっしゃってお聞きいただいたことだと承知いたしております。その際にも同様のお話が出たようにもお伺いしておるのでございますが、私どもが金融機関を通じて聞いております範囲では、まだまだ被災地におきましては生活再建の途上におありになる方々が多く、かつ各地域での復興計画を、例えば地方自治体また地域の産業界挙げて考えていかなきゃいけないんだと思いますが、それがなかなか定まっていないこと、さらには、浸水地域につきましては、なかなか建屋を建てようと思ってもそれを許されない、若しくは自粛してくれというような自治体の動きもございまして、本当に復興に向けた資金需要がなかなか出てきにくい状態だというふうに伺っています。  ただし、運転資金につきましては、そうはいえ、いろんなつなぎ資金として必要でございますので、トータルでいえば、設備投資需要はなかなかまだ出てまいっておりませんが、運転資金としての資金需要はおありになるというふうにお伺いしております。
  45. 古川俊治

    ○古川俊治君 先日、私どもも委員会の方で現地へ行ってきたわけなんですが、まさに今政務官がおっしゃったようなことを聞いてきたわけです。  今回の法案でございますけれども、政務官の答弁では、金融機関地域経済の再生のために貢献したい、そういう意欲を持ってもらう趣旨で作成されていると、これは本日、佐藤委員の御答弁にもあっておりますし、先日、衆議院の御答弁でもありました。そういう趣旨で作られているということであれば、被災によって多大な損失が現に被災地域で起こっている中で、地域経済を再生していくということについては、やはり各企業がどうしても設備投資をしていかなければ、これ被災地域の経済の再生はないわけですね。  先日の御答弁では、被災地域の企業もそろそろ復興を果たしていきたいという機運、動機が高まっていると認識されているというふうに言っているんですけれども、それが本当かどうかということも含めてなんですが、今の状況で、そういう趣旨で、どうしても金融機関地域再生のために頑張ってほしいという趣旨で作られているんであれば、本当に設備投資を起こしていくと、そういう根拠が何かあるんでしょうか。この法案を通すことによって地域が再生してくる、すなわちそこには設備投資が必要なんですけれども、どういうふうな因果関係でそれが達成できるというふうにお考えで今回の法案を提出されているのか。
  46. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 今るる古川委員指摘になったとおり私も答弁してまいっております。そろそろ復興需要が起きてくるのではないかというふうに申し上げた背景としましては、私自身も被災地に入らせていただいたときに、企業の経営者方々からお伺いしたこととしまして、やはりどうしても自分の手掛けていた業をもう一回やりたいんだというお声としては非常に高いというふうに実感いたしました。  そこの部分を申し上げたつもりでございますが、しかし、そうはいえ、自分としては早く建屋を借金してでも建ててやりたいんだけれども、周りの環境が整わないんだということもそのとき同時にお伺いいたしておりまして、そういった課題を、先ほど福山副長官の方から御答弁ございましたが、政府を挙げて関係省庁にもいろいろ工夫していただきながら解決していかなきゃいけないというふうに思っています。  金融機能強化法の改正案を今回お願いしているこのタイミングにつきましては、私どもは、金融機関とそれからその先にある貸出先である債務企業との間で、こういった法律の備えがあればもっともっと積極的に次の業再開に向けていろんな債務の返済条件について交渉もしやすくなるであろうと、その環境として早く整備しておきたいという趣旨からお願いしているものでございます。
  47. 古川俊治

    ○古川俊治君 今のお答えからしますと、今回のこの法案趣旨でございますが、すなわち地域経済を再生するために金融機関に頑張ってほしいというのだと、今回の法案を通しただけではまさにそれが達成されないということですね。中小企業が頑張っていくようなスキームがほかの部署で作られない限りは無理だというふうに今お聞きしたんですけど、それでよろしいですか。
  48. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 全面的に駄目だというふうには思っておりませんで、幾つかはそうした法の仕組みがあれば、例えば被災地域にもいろいろございますので、別途大丈夫な地域を見付けて、そこに建屋を建てて事業を再開されるところも出ていらっしゃるでしょうし、しかし、先ほど申し上げたように、被災地域そのものでもう一回やり直したいという方々のためには別途手当ても必要であろうというふうに考えています。そこら辺は、大分状況がかなり幅広くわたっておるものと考えています。
  49. 古川俊治

    ○古川俊治君 具体的に、その事業再生の資金投資が起こっていると、設備投資が進むような環境にある地域を教えてください。
  50. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 具体的にどこの地域からどれだけの設備投資資金需要が起こってきているかということを今把握しているわけではございません。
  51. 古川俊治

    ○古川俊治君 根拠のない憶測で話をしてもしようがないと思うんですね。やはりしっかりとした産業をつくっていくためには何ができるかということを政府の方でよく御検討されて、その上でしっかりとした総合的な政策をお作りいただきたいと、これを是非お願いしたいと思います。今日お聞きしていた答弁では全くその政策がばらばらになっている、先ほど御指摘がありましたけれども。本当に復興させるためには、まず地域の企業が頑張らないと、幾ら金融機関が頑張ったところでそれだけでは産業がつくれないのは明らかでありまして、その点を十分勘案した上でタイミング、政策のパッケージ、そういうものを考えていただきたいと思います。  次に行きたいんですが、この三月から六月までの三か月間でありますけれども、政府の方は債務の返済猶予それから利子の猶予というものを各金融機関にお願いしてきた、これは存じているところなんですけれども、現在それでも運転資金のニーズがある。ということは、これは平時でも今赤字になっているということですね、返済がなくて利息がないわけですから。ということは、平時の収支でこれは残念ながら現体制を維持するだけでもやはりそこでまた借財が増えていくという構造になっていると、こういうふうに理解されるんですけれども。  そうすると、これからやはり設備投資を起こしていくということでは、やはり既存の債務、すなわち震災前にあった債務というのがかなり企業にとって重荷になっていくんではないか、これはどこでも言われている話だと思うんですけど、どういう御認識なんでしょうか。
  52. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 今おっしゃられた問題意識は私どもも共有いたしているところでございます。実際に、その過去債務について今抱えていらっしゃる状況でございますので、それをどうやってもう一回復興事業につなげていって、さりとて全面的にその過去債務を全部帳消しにするような形になりますと、逆に貸し出している金融機関の側からすれば全てそこが回収不能というふうに登録されますので、そこは誰が負担することになるのかということになりますと、金融機関だけでも駄目でしょうし、またいろいろと御議論いただいているところでございますが、国民の税金を使って買い取ってそこの損失部分をカバーするということに、それだけにしてしまうのも私たちいかがなものかというふうに考えているものですから、今現在、そこのところは悩んでいるところでございます。
  53. 古川俊治

    ○古川俊治君 そこはまだ決まっていないということですけれども、それでは、今回の法案におけるスキームで、金融機関から資本参加に対する要請があったという場合に国が資本参加するに際しまして、各金融機関の中小企業に対する既存債務の取扱いについてどういう考慮をされるんでしょうか。
  54. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 資本参加を受けようとする金融機関は、申請に際しまして、中小企業に対する信用供与の円滑化等地域経済活性化に資する方策を含む経営強化計画を策定することになり、省令において震災から復興に資する方策を始めとする内容を求めることとしております。  震災からの復興に資する方策の内容についてでございますけれども、各金融機関がそれぞれの地域の実情等を踏まえて策定すべきものであり、特定の方策の記載を一律に求めるものではないが、例えば復興需要に対応するための信用供与、あるいはニューマネーと申しますか信用供与、それから、被災した顧客の既往債務に関する貸付条件の変更等にかかわる取組といったことを記載することも考えられます。  いずれにしましても、その内容につきましては、まさに震災、その復興の現場にある各金融機関経営者が、それぞれの地域被災状況や経営状態、あるいは復興のために努力している企業の実態など、これは実に様々な地域、様々な企業があるわけでございます。それに一々きちっと対応ができるというのがやっぱり私は自由主義経済と申しますか民間経営のダイナミックなところだと、こういうふうに思っておりますので、復興のために努力している企業の実態など様々な実情を踏まえて、それぞれの金融機関経営者が自分のまさに経営的判断として創意工夫の上で策定するものが適当であるというふうに考えています。  いずれにいたしましても、国の資本参加に対して当該方策の適切性を当局が審査をすることになるが、金融庁といたしましては、資本参加を受けようとするような金融機関が経営強化計画を策定する過程において、今までも、でき上がってきた書類を審査するということでなくて、被災からの復興に資する方法についてお互いにどういうのを作れば……
  55. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 大臣、簡潔に質問の趣旨に応じて答弁をお願いします。
  56. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) はい。よく議論をしてまいりたいというふうに思っております。
  57. 古川俊治

    ○古川俊治君 私が申し上げているのは、復興していくためには既存債務の取扱いが重要だろうと申し上げているんですね。だから、国が資本参加において金融機関の評価をするに当たって既存債務の取扱いについてどういう基準でどういうふうに見ていくのかと、その評価の方法をお聞きしているんです、具体的に。お願いします。
  58. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 方法としてはいろんなバリエーションが考えられるものだと思っています。  つまり、そこの部分こそ、今大臣答弁なさいましたが、各金融機関の方が債権放棄やまた返済猶予そして返済条件の変更、そうしたメニューの中で様々自分たち債務企業の分布を考え合わせ、どれぐらいの規模でやろうと考えているのかというのがおありだと思います。それをもって判断するというだけでもなく、先ほど、佐藤委員でしたでしょうか、御指摘いただきましたが、私どもがこの強化法をお願いしてきちんと担保しなきゃいけないのは、その過去の債務の部分をきれいにするだけではなくて、将来の復興事業のための与信もしっかり行えるように金融機関の体力、基盤を整える必要もございますので、そこの部分でどのぐらいの資本が必要かとお考えになる部分もあっていただきたいと考えていまして、そういったものをもろもろ全部考え合わせた上で、金融機関から自分の金融機関においてはこれぐらいの資本注入が欲しいのであるというふうに申請していただくということであろうと考えています。
  59. 古川俊治

    ○古川俊治君 客観的に国が何かの基準を持って判断していかなきゃこれは不公平になるわけですね。  それなので、今るるおっしゃったようなことについて、国が資本参加の額あるいは是非を決める上でどういう視点で見ていくか、その評価の方法を教えてくださいと。何でも書いてあればいいというふうに聞こえるんですが、もう少し明確に、どういうふうな公平性を保つのか、序列を付けていくのか、そういう基準をお考えじゃないんですか。現に上がってくるわけですよ、これから申請が。それについて、どういう評価、どういう方法で見ていくのか。その基準もなかったらそれは分からないですよ、金融機関の方だって。是非お答えください。
  60. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 今、古川委員お話をお伺いしておりますと、各地に存在している協同組織金融機関、信用金庫、信用組合の類いを、何かの基準を当てはめて、公平にしっかりとその資本注入申請に対して我々が処理しなければいけないではないかというような問題意識を御提示いただいたように思いますが、当然のことながら、私どもが資本注入の額を決めていくときには必要かつ十分だということが担保されていなければいけないと思います。  しかし、今回の場合は、相手が協同組織金融機関というところが主になっている、地方銀行もございますが、各地域に対してそれぞれの実情に応じて資金を出していたり、今までもいろんな返済条件を設定していたりする金融機関がかなりの中心を占めるということから、各地域ごとに事情は異なるものだと考えていまして、それらに一律の基準を設定することはいかがなものかと考えています。
  61. 古川俊治

    ○古川俊治君 その場合に、そうすると、一律の基準がないというんですけれども、どうやって評価するんでしょうか、それでは。額を決めるときにも、十分な額と言いましたけれども、申請どおりに認めるということですか。どうやって国の方が評価していくのか、その評価の方法です。これは客観性に堪えるものじゃなきゃいけないと思うんですが。
  62. 森本学

    政府参考人森本学君) お答えさせていただきます。  金融機能強化法に基づきます国の資本参加を申請いたしますときには、金融機関から経営強化計画及びその添付書類を出していただきまして、資本参加を得た後の期間においてどのような経営を行い、その結果、どのように地域金融機能強化していくのかといった計画を示していただきますので、そうしたものを全体として評価いたしまして資本参加の額が適切かどうか審査するというふうにやっております。
  63. 古川俊治

    ○古川俊治君 正直言って分からないんですけど、これ以上お聞きしても時間の無駄になりますから。全体的に評価するというのは評価していないのと同じなんですよ、正直申し上げて。そこをよくお考えいただくということで。  しかしながら、私は、是非、既存債務の取扱い、やはり中小企業に対してインセンティブを起こすような既存債務の取扱いをこの計画に入れてきたところには是非しっかりとした資本注入をお願いしたいと思っておりまして、やはり被災地の企業が事業再生のために投資していく意思を持つためには、ある程度の、私は、経済的な気持ちの余裕ですね、これがどうしても前向きにチャレンジしていくためには必要だと思うんですね。投資というのは、今後の投資についてはやっぱりリスクを伴います。失敗したらもう全てを失うというのでは、なかなかこのリスクを取って投資をしていくという気にはなれないんですね。  そういう意味で、今回資本注入を行う金融機関地域経済復興のために貢献しようというのであれば、必ずしも既存債務の返済能力が不足してしまった企業についてだけではなくて、既存債務は何とか返済できる力はまだあるけれども、なお頑張ってもらいたいという企業に対して積極的に債務の免除等を考慮するという必要があると思うんですね。そのためには、そのような当事者間の任意の合意による債務免除等についてもやはり税法上損金として扱っていただく必要があると思うんですけれども、この点についてどのように対応されているのか、野田大臣、お願いを申し上げます。
  64. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) まず、債務免除をした金融機関の税務上の取扱いから申し上げますと、法人すなわち金融機関が債務免除を行った場合において、その債務免除が合理的な再建計画に基づくものであるときは、これにより生ずる損失の額は寄附金課税の対象とはならず、損金の額に算入されます。  次に、債務免除を受けた法人の税務上の取扱いについて申し上げます。  法人税法上、法人が債務免除を受けた場合の債務免除益は、益金の額に算入されます。他方、災害により資産に生じた損失の額が損金の額に算入されるほか、過年度、すなわち過去の年度でありますね、過年度に生じた青色欠損金や一定の場合におけるいわゆる期限切れ欠損金が損金の額に算入される結果、通常、法人税の課税所得は生じないものと考えられます。  さらに、債務免除を受けた個人の税務上の取扱いについて申し上げます。  所得税法上、個人が債務免除を受けた場合の債務免除益は、経済的利益として課税対象となります。ただし、個人事業者であるか給与所得者であるかにかかわらず、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合に免除された場合の債務免除益については、これは課税しないものとして取り扱っているというのが状況でございます。
  65. 古川俊治

    ○古川俊治君 私がお聞きしているのは金融機関についてなんですけど、債務免除した方についてなんですけど、今お聞きしていると違う方もお答えになっているようなんですが、いかがですか。金融機関についてなんですけど、今のお答え金融機関についてでよろしいですか。
  66. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 今、三類型で申し上げました。免除を受けた法人と個人、一番最初言ったのが、いわゆる債務免除をした金融機関の取扱いをまず申し上げました。
  67. 古川俊治

    ○古川俊治君 最初のだけをお聞きしたんですけれども。  その場合に、これ、任意の合意による、当事者間の合意による、すなわち金融機関の方がこの企業に頑張ってくれという意味で債務免除をすると。これは税法上の取扱いとして損金として処理できますね。もう一回重ねて御質問でございます。
  68. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 先ほど申し上げたとおり、金融機関が債務免除を自発的に行う、その債務免除が合理的な再建計画に基づくものであるときは、これによる損失については損金扱いとなるということです。
  69. 古川俊治

    ○古川俊治君 合理的な再建計画とはどのような再建計画でしょうか。
  70. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) まさにその再建計画を見なければいけないと思いますけれども、個々によると思いますが、合理的と判断をされたときであります。
  71. 古川俊治

    ○古川俊治君 当事者同士で話し合って、これは合理的というふうに認められればよいということですね。
  72. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 今は、要は、当事者間のいろいろ情報交換もあるでしょうけれども、金融機関が独自に債務免除を自発的に判断をしたときには今の合理性が求められると。ただ、債務免除をする際にも、第三者のあっせんとかいろんなケースがあると思いますが、自発的な場合は今申し上げたとおりの措置でございます。
  73. 古川俊治

    ○古川俊治君 ですから、その合理的な評価というのは、当事者間の合理的な評価であればよろしいということですね。合理的かどうかは評価が要りますから、それに対しては誰がそう評価したかの観点の問題が入ると思いますのでお聞きしているんです。
  74. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) これは今、通達の文書を申し上げているので、その通達の運用で、まさに合理性を感じることができるかということが判断基準になると思います。
  75. 古川俊治

    ○古川俊治君 私、先日のレクチャーでお聞きしたときには、まず第三者が入るあっせん等が行われた場合、あるいは行政機関や弁護士等の仲介者というふうに伺ったんですが、そうではなくて、当事者間の合意でいいということですね。
  76. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 当事者間の合意で結構でございます。
  77. 古川俊治

    ○古川俊治君 では分かりました。それでは、当事者間の合意に基づき、その合理性にいろいろ判断がありますけれども、これは当事者間の合理性の判断でよろしいということですから、それで積極的に債務免除をしていただくということになると思います。  今回のその法律に言う震災特例金融機関の定義ですけれども、東日本大震災影響により自己の資本充実を図ることが主として業務を行っている地域における円滑な信用供与を実施するために必要となった金融機関とされていますけれども、これは、今回の震災影響によりというところなんですけれども、今回の震災影響によって全国的にいろんな企業で経営状況が悪化していると思うんですね。例えば、旅行なんか、日本に来たくないという人はもう九州でもどこでも来なくなっちゃっていますから、そういう意味では日本の観光業というのはどこもかしこもかなり影響を受けているんですね。  この因果関係なんですね、この震災特例金融機関と言う場合のこの因果関係なんですが、どのように解釈をするんですか、この法律上。
  78. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 今おっしゃったようなところは、確かに本当に一番震災影響というものを広く取れば影響がなくはないんだと思いますけれども、この資本注入を申請してくる金融機関として地域経済に貢献していただくことを前提にいろいろなツールを用意したいと思い、それを用意して実行しようと思うとこれだけの資本充実が必要であるという論理をしっかりと書き込んで申請していただかなければなりませんので、そこは相当程度震災から、直接という限定は付けてはおりませんが、震災から相当程度、普通の感覚で考えて被害を受けていらっしゃるといった人たちを対象にしている金融機関だと思います。
  79. 古川俊治

    ○古川俊治君 相当程度というのをもうちょっと別の言葉で言ってください。相当程度というとちょっと分からないんですけれども。
  80. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 私自身、今問いかけられて想起しますイメージで申し上げれば、例えば今サプライチェーンなどの問題も震災によって惹起いたしましたが、そういったものが相当深刻に残り、それがためにその地域経済がそのままではなかなか要するに復興を遂げられないというようなことに依拠して資本注入の申請が行われ、またその資本注入がありさえすればそういった対処が行えるというようなことであれば、私どもとして考えていきたいというふうに思います。
  81. 古川俊治

    ○古川俊治君 そうすると、その被災地関係したこの東日本大震災影響で、特にその地域金融ということから考えると、被災地以外の企業を対象としている金融機関でもそれはよろしいということですね。そこの、ある地域被災地以外の地域復興ということにそれが必要であるという場合でもよろしいということですか。
  82. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 今意識してお答えしたつもりでございますが、今回いろいろと法案をお願いする際に検討しましたのは、地域を限定するかどうかということは随分悩んだのでございますが、やはりそこは本当にケース・バイ・ケースで金融機関から実情をお伺いしてみて決めるべきであろうということで、今被災地域の企業だけを相手にしている金融機関でもなければ被災地域にある金融機関だけでもないということだけは申し上げられると思います。
  83. 古川俊治

    ○古川俊治君 そうすると、被災地域に一切ない金融機関では駄目ということでしょうか。一切取引企業がない金融機関では駄目ということですか。
  84. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) そこは蓋然性として申し上げれば極めて確率は低いものだと申し上げたいと思いますが、しかし論理的には、例えば自分の貸し出している企業が全部被災地以外にあって、だけれどもその企業は全て被災地企業との間でサプライチェーンなどで大きな打撃を被っているというようなことが存在するとすれば、そこは排除するものではないということはあると思います。
  85. 古川俊治

    ○古川俊治君 これは法解釈の場合の、まさに答弁趣旨考え方になりますから、後に裁判等になった場合これは結構問題になりますのでその点をはっきりしておきたかったので、今の御答弁でいいと思います。分かりました。ありがとうございます。  今回の法案では、震災特例金融機関については、経営強化計画において、収益性、効率性の目標は求めないが収益の見通しは求めるとされているんですね。この目標と見込みというのは具体的にどう違うんでしょうか。
  86. 森本学

    政府参考人森本学君) お答えいたします。  先生指摘の収益性、効率性の目標の目標と申しますのは、金融機関自身がその達成に向けて努力いたしまして実現するということが求められるものでございます。それに対しまして、今回の震災特例金融機関の経営強化計画では収益の見通しだけ求めておりますが、この見通しと申しますのは、将来の予測という意味でその提出を求めるものでございます。
  87. 古川俊治

    ○古川俊治君 この収益性の見込みをお求めになるんですけれども、効率性の見込みは問わないことになっているんですね。しかし、金融機能強化法におけるこの収益性指標と効率性指標というのを見ますと、論理的に効率性指標が計算できなければ収益性指標も計算できない、そういう論理関係になっているんですけれども、なぜ収益性の見込みだけ求めるのに効率性の見込みは求めないんでしょうか。お答えをお願いします。
  88. 森本学

    政府参考人森本学君) お答えいたします。  先生指摘のように、収益の見通しを金融機関においてつくる過程で効率性の数字というものも金融機関においては把握可能ということは十分あり得ると思います。  ただ、今回の法律におきまして収益の見通しを求めますのは、国の参加資本償還確実性の判断材料といたしまして収益の見通しを求めるという考え方でございまして、通常の場合の収益性、効率性の向上等の具体的な目標は、東日本大震災への対応ということを考えますと、必ずしもそれを求めるのは適当でないということで記載事項から外しております関係上、効率性の見通しまでは提出を求めておらないところでございます。
  89. 古川俊治

    ○古川俊治君 私が言っているのは、収益性の見通しを出すときに、必ず効率性の見通しが出てきちゃうんですよ、論理関係からいって。それなのに何でそれは省かれているのかということを聞いているんです。
  90. 森本学

    政府参考人森本学君) お答えいたします。  繰り返しになって恐縮でございますが、今回収益の見通しを求めますのは、参加資本償還確実性の判断材料として求めておりますので、それに必要ない項目は要求資料に入っておらないところでございます。
  91. 古川俊治

    ○古川俊治君 収益性の見通しが出なければ、計算できなければ効率性の見通しが計算できないという式になっていますけど、ここには、いただいた式では。何でそれなのに見通しが計算できるんですかということをお聞きしているんです。算数の問題ですよ、これは。明確に説明してください。
  92. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 森本局長、手短にお願いします。
  93. 森本学

    政府参考人森本学君) 金融機関の計算の過程において、効率性の数字も収益の見通しを計算する過程で把握可能であるというのは、先生おっしゃるとおりでございます。
  94. 古川俊治

    ○古川俊治君 平素は、平時の場合は収益性も効率性もだから目標値を定めなさいと言っているんですよ。これは矛盾なくできる、やるわけですね。だから、今回だって効率性の見込みを求めた後、矛盾なくできますよ。同じことですよ。どのみち途中で出さなきゃいけないんですから。だから、両方求めたらいいんじゃないですか。
  95. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 森本局長、時間が過ぎていますので、手短にお願いします。
  96. 森本学

    政府参考人森本学君) 今回の特例措置は大震災対応ということでございますので、収益性、効率性の向上を通じて地域金融機能の維持向上を図るということを求めるのは必ずしも適当でないという考え方でございます。
  97. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 古川俊治君、時間ですので。
  98. 古川俊治

    ○古川俊治君 はっきり言ってそれは両方出るんですよ、計算すれば。だから、今のは御答弁になっていないんですけれども、時間が来たのでここで終わりにします。
  99. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まず、自見大臣お尋ねします。  金融機能強化法はリーマン・ショックを受けまして平成二十年の国会で改正をされ、平成二十年十二月に改正されたわけでありますが、その二十年改正の目的と、そしてその所期の成果は達成できたのか、確認をしておきます。
  100. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 私の方からお答えいたします。  金融機能強化法の制定の目的と経緯というふうに御質問いただいたものだと思っています。  金融機能強化法は、平成十六年六月に、地域経済活性化が重要となっている一方、金融機関の自己資本の自力調達が必ずしも容易でない状況対応しまして、健全な金融機能の発揮に向けた金融機関の自主的な取組を国の資本参加という形で公的にサポートするために制定されたものでございます。  そして、平成二十年三月に申請期限が終了したところではございますが、平成二十年十二月、世界的な金融市場の混乱という外的な環境の変化の下、厳しい状況に直面する地域経済、中小企業を支援するための適切な金融仲介機能が発揮できるよう、金融機関資本基盤強化を積極的に推進するとの考え方に基づいて改正が行われたものでございます。  以上でございます。
  101. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それで、二十年改正によって多くの金融機関資本注入されたんですが、今言われたこの目的が、この法律では、当局が資本注入した場合には事後のチェックをする、フォローアップをするというふうになっているわけですので、二十年改正によって注入を受けた金融機関が、今言われた地域における中小企業に対する信用供与、金融の円滑化ですね、こういうことをきちんと達成したというふうに金融庁としてフォローアップしているのかということをお聞きしたいんです。
  102. 森本学

    政府参考人森本学君) 金融機能強化法に基づきまして国が資本参加を行いました金融機関に対しましては、各決算期ごとに経営強化計画の実施状況等をモニタリングを行っておりまして、その結果はおおむね金融機能維持強化の機能を果たしておるというふうに考えております。
  103. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そして、今回の改正ですが、大臣は、先ほども答弁の中にもございましたが、被災地における面的な金融機能維持強化するということですとか、あるいは預金者に安心していただける、こういう言葉を述べておられます。  特に面的な金融機能ということで、もう少し具体的に、大臣としては今回の改正でどういうことを企図しているのか、もう少し敷衍していただきたいと、このように思います。
  104. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 先生、今回の法改正では、今質問もございましたように、資本参加を受けようとする場合、従来と違いまして経営参加の責任は問われないということを明確化することなど震災の特例を設けることが一点と、二点目は、震災の著しい影響を受けた特に協同組織金融機関、信金、信組が主でございますが、その実情及び協同組織金融機関の特性に応じた特例を設けること等の措置を講じております。  こういったことを含めて、まさに先生被災地へ行かれて分かるように、本当に津波で一面全て流されておりまして、中小企業あるいは新しく機械を入れた中小企業も流れているのを私も見ましたし、また、新しく住宅ローンで自宅を建てたけれども完全に流れたというような地域が延々と言葉を失うように続いておるわけでございますから、そういった被災地域はまさに面的な広がりが大変あるわけでございますから、そういった被災地域を含めて面的に地域金融仲介機能が確保されるとともに、金融機関財務の健全性を維持していくことを通じて預金者お金を預ける方の安心が得られることになることを考えておりまして、また、金融機能強化されることによりまして、いずれ復興需要が起きてくるわけでございますけれども、それにしっかり対応するための信用供与や、被災した顧客の既往債務に係る、これはもう二重債務の問題、ゼロからのスタートじゃなくてマイナスからのスタートだ、何とかしてくれと大変強い御要請をいただいておるわけでございますから、政府全体として、今さっきからの話にございましたように、金融庁もしっかりそのメンバーの一人でございますが、内閣官房中心に、そして公明党さんも自民党さんも民主党さんもいろいろ案を出されたようでございまして、そういったことをしっかり参考にしながら、既往債務に係る貸付条件の変更、二重ローンの問題、それからそれを含めて、既往債務に係る貸付条件の変更等、金融機関被災地の実情に合った対応を行いやすい金融機能強化すれば、例えば債権放棄なんかもしやすくなる確率が高くなるわけでございますから、そういった環境をつくることになるふうにこの法律を提出したような次第でございます。
  105. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、大臣のお考えとしては、今回改正して、協同組織金融機関も含めて相当多くの金融機関にこの制度を利用していただきたいというそういう思いがあるという、こういう趣旨でいいんですか。
  106. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) これはもう最終的に、今先生御存じのように民間の金融機関でございますから、その民間金融機関経営者がこれ是非金融機能強化したいということを手を挙げていただければ、当然我々としてしっかりそれを応援するために今法律を作らせていただいておるわけでございます。
  107. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、今大臣からも二重債務問題という言及がございました。  今回の改正案でも、震災の特例により資本増強を受ける場合には、震災特例金融機関等が策定する経営強化計画には震災からの復興に資する方策を含むように主務省令で対応する方針であると、このように承知をしております。  先ほどから何回も議論になっているんですけれども、この場合、主務省令の定め方も含めて具体的にどういうことを経営強化計画に盛り込むように金融庁としては持っていくつもりなのか。特に、今の二重債務問題を含めて具体的な内容を説明していただきたいと考えます。
  108. 森本学

    政府参考人森本学君) お答えいたします。  先生指摘震災からの復興に資する方策の内容についてでございますが、これは各金融機関がそれぞれの地域の実情等を踏まえて策定すべきものと考えておりまして、一律にどういう方策を記載しろということは考えておりませんが、例えば先生今御指摘になりました被災した顧客の既往債務に係る貸付条件の変更等にどう取り組むのかといったことや、復興に係る資金需要への信用供与への取組といったことも記載事項になるというふうに考えております。
  109. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 先ほど大臣からは、今回の改正で二重債務問題につきまして既往の債権の債権放棄がしやすくなるような環境になる、こういうお話がございました。  それは、結果的にそうなるという話なのか、むしろ金融庁として、今局長答弁もあったんですが、そういう既往債務についての考え方もきちんと記載してもらうことによって金融庁としてそういう債権放棄をしやすい環境をつくっていきたいという、そういう指導方針というふうに受け止めてよろしいんですか。
  110. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 今お話をお伺いしておりますと、私どもとして、金融機関が債権放棄も含め、また返済条件の変更等も含めて早く早く決断をしやすくなるようにと考えてこの法案をお願いしているということでございまして、やはり債権放棄をするためにこの金融機能強化法を使うという、そういう表現金融機関に使っていただいてはいけないものだというふうに考えています。  なぜならば、我々が資本注入させていただくお金の源泉は国民の皆様方の税金でございますので、それを最初から債権放棄をするために使うのであるということをおっしゃられると、それは少し私どもとして認め難いところだと考えています。  結果として、債権放棄も含めていろんなツールを使って債務企業に対して早く決断をすることが次の復興を早く始めることにつながるという意味では、おっしゃるとおりだと思います。
  111. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 ちょっと趣旨が私もにわかに分からないんですが、政府から二重債務問題についてどういう対策を取るんですかというヒアリングをしたときには、こういう金融機能強化法の改正も考えておりますということもいろんなそういう説明の中の一つにあったわけですので、これはもう、そういう二重債務問題解決の一つのツールという位置付けはやはりできるんじゃないですか。
  112. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 今おっしゃったところはそのとおりだというふうに思います。
  113. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 時間もあれですので、今日は経済産業省にも来ていただいておりますので、ちょっと関連しまして、信用保証協会における債権放棄についてお尋ねいたします。  当然、被災地におきましても各県に信用保証協会があるわけでございますが、今般の震災による被災中小企業者の既往債務につきましては、金融機関による条件変更、返済猶予等を進めていくことが有益でありますけれども、その際、信用保証協会の保証が付いた債務についても、信用保証協会が保証しているということが金融機関が条件変更する際の何か妨げになってはならないことはもちろんでありますので、そうした配慮を各県の信用保証協会でしっかりしていただきたいということが一つ。  もう一つは、保証協会が代位弁済をしますと債権が保証協会に移るわけでありますので、その後においては保証協会と債務者の関係になって、金融機関が外れるわけですね。その保証協会が債権者になったときも、やはり条件変更のみならず債権放棄も含めて柔軟な対応をするように、所管、経産省としてもしっかりと指導してもらいたいと考えますが、いかがでしょうか。
  114. 伊藤仁

    政府参考人(伊藤仁君) 保証協会における既往債務の条件変更の関係でございます。  三月十一日の震災直後、信用保証協会に対しましては、個別企業の実情に応じまして条件変更に柔軟に対応するよう要請をしております。保証協会では、本年三月、四月の二か月で八万六千件、一兆一千億円の条件変更に応じてきておりました。お尋ねのような、基本的に金融機関が条件変更に応じるとしている場合について信用保証協会も条件変更に応じているものというふうに認識しておりまして、障害になっているような状況にはないというふうには認識しております。  また、もう一つお尋ねの代位弁済した場合のことでございますけれども、元々、もちろん代位弁済に陥らないように、金融機関におかれましても安易に代位弁済請求を行わないよう、期中管理とかしっかりしてもらうように中小企業庁からも取組をお願いしているところでありますが、様々な理由でやむなく代位弁済となってしまった場合に、中小企業者の再生を支援する観点から、保証協会の方でも再生支援協議会の枠組みなどを使いまして、言わば求償権となっている債務の完済と新たな事業資金の確保を目的とした借入れに対して新しい保証を行う求償権消滅保証といったような制度もございます。先般の被災中小企業の再生を支援する観点から、こうした取組の一層の活用も改めて要請しております。    〔委員長退席、理事大久保勉君着席〕  いずれにしても、御指摘のような被災企業の観点から、資金繰りの対策については万全を期していきたいと考えております。  以上です。
  115. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後にまた二重債務問題に戻りますが、この数日来、政府としては二次補正を七月中旬に出すというように報道といいますか承知をしておりますし、その中に二重債務問題に対処する予算も含めるんだ、このように言われております。  しかし、その割には、今日質疑を聞いておりましても、特段、政府としてこの二重債務問題について内閣府なりあるいは金融庁なり、どこそこが責任を持って取りまとめて対応するというようなどうもことではないようであれば、今、昨日与党民主党を含めた三党の二重債務問題についての第一回の協議が行われたわけでありますので、そうであれば政府として、この三党でまとまった内容については、きちんとこれは政府として採用する、こういう考え方をここで表明していただきたいと思いますが、大臣お尋ねいたします。
  116. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 二重債務問題につきましては、公明党さんもまた民主党さんも自民党さんも対応策を取りまとめたことは、私は大変時宜を得たものだと考えておりまして、取りまとめをされた各議員の努力に敬意を表したいと思っています。  この問題は、もう本当に早い時期から各委員会でいろいろな御質問がございまして、これは政治として取り組むべき極めて重要な問題であるというふうに認識しておりまして、政府といたしましても、これは特別に総理大臣の御指示もございまして、内閣官房を、いろんな各省にまたがりますから、財務大臣、それから金融庁、そして政策金融を持ったところ、中小企業庁、経産省、これは予算を第一次補正予算でも付けさせていただきまして利子の補給ということをしましたから、据置き、無利子ということも可能でございますし、そういったところ、経産省、農水省、国土交通省というのは政策金融を持っていますし、それに同時に、予算的措置も場合によっては必要でございますから財務大臣もおります。  今、非常に遅れているんじゃないかというお叱りをいただきましたが、実は水面下で大変非常にしっかり各省一生懸命やっておりまして、各党の御意見も出そろったところでございますから、そろそろしっかりそれを参考にして政府の責任においてきちっと取りまとめていきたいというふうに思っております。
  117. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  118. 中西健治

    中西健治君 みんなの党の中西健治です。  まず、付託された法案についてですけれども、法律の文言上、特例の対象金融機関の範囲について、財務状況東日本大震災により相当程度悪化したこととして、東日本大震災影響ということが明文化、明示されているわけですけれども、実際には震災が主たる原因ではなく財務状況が相当程度悪化している、そのような金融機関が、この改正に乗じてというか、この改正を機に公的資金の要請をしてくる、こういった可能性も排除できないということだと思いますけれども、安易な資金注入とならないようにするために、運用段階において、実際にはどのようにこうした条件に合致しているのかどうかということについて見極めていくのでしょうか。お願いします。
  119. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 今、中西委員指摘いただいたことも、また各委員の方から御指摘いただいたことも含めまして、今回の金融機能強化法の改正案において資本注入を図っていくのは、まさに震災影響によって各地の中小企業が大変債務に困っていらっしゃると、しかし、そういった企業を今まで助けてきて地域の経済をしっかりと支えてきた金融機関としては、そこをもう一度何とか復興を遂げたいという意識を持っていただいている金融機関が対象だということでございます。  安易な資本注入を避けなければならないという御指摘、そのとおりでございまして、今までのオペレーションで大変問題のある債務企業を抱えていてそれが資本の毀損につながるようなところが非常に大きいという金融機関では、私どもそれだけをもって今回の手当てしていただく資本注入を考えるわけにはまいらないということでございまして、あくまで震災影響を被っている企業に対してしっかりと手を差し伸べて地域活性化したいという意思をしっかりと示していただき、そのツールを、先ほど来御議論いただいているように債権放棄や返済猶予、条件変更等を駆使しながらやっていくために必要な資本充実を図ると、そのところで私ども判断したいと思っています。
  120. 中西健治

    中西健治君 信用金庫、信用組合等の協同組織金融機関向けに対する資本参加に関して、国と中央機関の負担割合に関する基準は法文上全くございませんし、金融庁に聞いてみると、まだ決まっていないというようなことをお答えをいただいておりますけれども、全く決まっていないということは問題なのではないかというふうに考えています。細かな基準ではなくても、何らかの目安が必要なのではないでしょうか。
  121. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 御指摘のとおり、考えているところはございますが、それぞれ各地の金融機関等、またそれを指導している中央機関、そして国の在り方というのはケース・バイ・ケースで考えていくべきだろうと考えています。  しかし、まず、資本参加を中央機関と国とが共同で行う場合に、その参加した資本について同順位でその責任を持つということはしっかりと決めてございます。    〔理事大久保勉君退席、委員長着席〕  さらには、先ほどおっしゃっていただいたように、最終的に負担をどうするのかということを考える際には二つ視点がございまして、実際にその協同組織金融機関の経営について中央機関のコミットメントをしっかりと担保しなければいけない、そのために、実質的に意味のある程度中央機関に御負担いただく必要があるというところの視点一つ。もう一つは、リスクを共有する中央機関にとって余り過度な負担になるようであれば、そもそも中央機関が指導しようというインセンティブを失ってしまいますので、そこまで過度になってはいけないという視点。この二つのバランスを取って総合的に決めていくということになろうかと思います。
  122. 中西健治

    中西健治君 二つ視点はもっともだと思うんですけれども、それから出てくる答えがどうなってくるのかということについて、今のところはちょっとよく分からなかったと思いますので、今後、何らかの目安というものができるのであれば是非とも公表していただきたいと思います。  そして、この信金中金、全信組連は対象の協同組織金融機関と経営指導契約を締結するということになっていますけれども、具体的には何をどのような体制で指導していくのでしょうか。想定していることについて具体的にお答えいただきたいと思います。
  123. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 今回法案の中でお願いしておりますのは、今まで現行法でも中央機関の経営指導は行っていただくようにしておりました、そして、行っていく中身についても今回ほぼ同様のものを考えておりますが、まず第一点の経営指導を行うということにつきましても、今回はしっかりと両当事者間、つまり中央機関と実際のその当該金融機関との間で経営指導契約を結んでいただきましょうということでございます。  その契約を結んだところによってしっかりとした指導を行い、それを受けて実践するという関係を確立したいと思いますが、さらには、今回、震災対応ということで法案の改正をお願いしている以上、被災債権についてどのような管理が行われているのかということをしっかりと見ていただくということは一つ重要な要素であろうと考えています。
  124. 中西健治

    中西健治君 次に、これまでもずっと出てきております二重債務問題ですけれども、当然のことながらこれ非常に難しい問題です。何らかの救済を行うということは当然必要ということになりますけれども、一方では被災者間の公平性の確保という視点も大変重要だと思います。いたずらに金融機関の債権放棄を求めるということですと、借金をせずに自己資金で資産を購入してきた人、あるいは長年にわたって地震保険の支払を続けてきた人が相対的に損をしてしまうということにもなりかねません。  ここで自見金融担当大臣にお伺いしますけれども、この公平性の担保についてどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  125. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) いわゆる二重債務問題について、政府で、今さっきから私も答弁しておりますように、内閣官房中心関係省庁において、また自民党さんも公明党さんも民主党さんも各党の対案を出されたわけでございますけれども、そういったことを参考にしつつ幅広く政策手段について検討しているところでございますが、大変重要な点を中西議員指摘でございます。  まさに被災者間の公平性の確保ということは政府全体で十分留意して検討すべき重要な視点だというふうに認識をいたしておりまして、例えば、民間金融機関に対して一律に債権放棄を求めるということは、被災者状況は千差万別であるために被災者間の公平性の問題を生じること等に鑑み困難と考えておりまして、こういった点も踏まえながら、やはり全体としては、そういうお困りの方々を助けさせていただくということが政府のこういったまさに災害有事というときに大変重要な任務でもございますから、引き続き関係大臣と力を合わせて、政府全体として、そう遅くない時期にきちっと検討して結果を出したいというふうに思っております。
  126. 中西健治

    中西健治君 是非、公平性の担保についてはしっかり考えていただきたいと思います。  二次補正か一・五次補正か分かりませんが、今週、首相の方から財務大臣の方に補正を出すようにと、作るようにという指示があったようですけれども、その中に二重ローン問題への対処が含まれているということですが、この小粒と言われている二次補正で対処し切れるような本当は問題なのかということについて私は疑問点を持っております。  今申し上げました公平性を担保するという観点からしますと、債権放棄よりも土地の買上げ、こうしたことがより有効なんではないかというふうに考えておりますが、政府の検討課題からこの土地の買上げということが落ちてしまっているようにも見えるわけですが、例えば震災が発生する前の固定資産税の基準、公示価格の何割とかで一律に国が被災地の土地を買い上げる、そうすることによって国が土地保有者に対して対価を支払う、ローンを抱えている人はそれを原資にして債務を返済する、ローンを抱えていない人はそれで新しい土地を購入する、こんなことができると思いますし、国にとってみれば、今後実施する被災地復興都市計画を策定していく中で国有化された土地を有効に活用していくこともできますし、また、最終的には、そうした土地を再度売却するということができれば、一部資金の回収によって最終的には財政負担も一部軽くなってくるということになるのではないかと思いますが、こうしたことを検討する余地があるのかどうか。これは財務大臣にお聞きしたいと思います。
  127. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) まず、次の補正予算、二次か一・五次かというお話ございましたが、いずれにしても二回目の補正予算なので、二次補正ということで御理解いただきたいというふうに思います。  その中で、被災地の土地の取扱いなんですが、ちょうど今復興構想会議の中でもこれ活発に御議論をいただいているところでございまして、委員の御提起の被災地の土地の買上げについても、その方向性が出てきた中でどうするかということを判断をしていくことになりますので、現時点で今私の立場で確たることを申し上げられないということですが、復興構想会議の全体方針、提言というのも今月中に出てきますので、それを踏まえた適切な対応をしていきたいと思います。  その中で、それだけじゃ余りにもちょっとつまらないと思いますので、どういう、でも検討課題があるかだけは申し上げたいと思うんですが、広く被災地の土地を買い上げるというときに、まず第一に、買取り対象となるその土地の基準をどのように設定するかというのが、これは重要な検討課題ではないかと思います。それから、買取り価格や事後的に生ずる損失、いわゆる二次ロスをどうするかということも大事な観点だと思いますので、こうした検討が、どういう形で全体方針出てくるか分かりませんが、大事な検討課題だというふうに受け止めております。
  128. 中西健治

    中西健治君 是非、土地の買上げは前向きに検討していただきたいと思います。  続きまして、原発事故の損害賠償スキームについてお伺いいたします。  五月十七日の本委員会での私の質問に対しまして、自見大臣は個別の企業にかかわることのコメントは差し控えるとの答弁に終始されました。そのことに関して質問主意書を提出したところ、五月二十七日に返ってきた答弁書によりますと、原子力損害の賠償に関する政府の支援枠組みについて広く国会議論してほしいという趣旨の回答をいただきました。私自身は、個別企業のことを聞きたいということではなくて、市場へのインパクトは非常に大きいので、市場への影響についてのコメントをお伺いしているところであります。  そこで、まず自見大臣にお伺いいたしますが、今日以降、原発の賠償スキームに対する質疑において、コメントを差し控えるですとか個別企業の問題という答弁は行わないということを約束していただきたいと思います。
  129. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 国会における政策の在り方についてしっかり議論いただくためには、私としては誠実な答弁に努めたところだと、こう思っていまして、一方、先生御存じのように、私は金融を担当させていただいておる責任者でございますから、金融資本市場全体のやっぱり安定とそれから不要不測の悪影響を生じさせないような配慮をする責任も私は負っていると、こう思っていまして、そういった観点から、この前は先生個別金融機関経営判断にかかわる事項などについては御質問の内容によってはお答えできないことがあるということを申し上げたことも、是非そういった点も御理解いただければと、こう思っておりますけれども、今後ともできる限り誠実に答弁に努めてまいりたいというふうに思っております。
  130. 中西健治

    中西健治君 是非ともお願いしたいと思います。  金融庁、そして金融担当大臣に我々が期待しているのは、金融機関を守ってくれということではなくて、金融秩序、市場を守ってくれ、その秩序を守ってほしい、その番人としてやっていただきたいということでございます。  そうしますと、昨日、一昨日ですか、政府が閣議決定いたしました賠償スキームに関してですけれども、かつて産業再生機構の社長も務められた東証の斉藤社長、こちらも、この方も法的整理をすべきであると主張するなど、反対する声が大きく上がっております。また、一昨日の閣議決定を見ますと、「原子力事業者を債務超過にさせない。」という文言が入っておりますが、一民間企業を債務超過にさせないと政府が宣言をする、こんなことは全く市場のルールを無視していることなんではないかというふうに私は思います。  金融大臣の目から見て、これは問題ないのでしょうか。
  131. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 先生御質問の本賠償スキームでございますけれども、五月十三日の関係閣僚会議において決定された支援枠組みに基づき、海江田原子力経済被害担当大臣中心に作業を行い、六月十四日に法案が閣議決定されたものと承知をいたしております。本賠償スキームを策定する中で、金融資本市場を注視する観点から、私も委員のメンバーの一人でございますから、強く実は金融資本市場の安定等についての必要な意見は申し上げてきており、本法案にもその意見は盛り込まれております。  いずれにいたしましても、本法案は、東京電力の賠償問題について、迅速かつ適切なまず損害賠償の実施や電力の同時に安定供給ということが、大変経済の基礎でもございますから、確保等を図るためのものであり、国会において早期の御審議、成立を図っていただければというふうに思っております。
  132. 中西健治

    中西健治君 今の答弁でも、やはり「債務超過にさせない。」という言葉自体はおかしいのではないかという疑念は私としては拭い得ないというふうに思っています。  最後の質問です。  関西電力、九州電力が相次いで六月中に予定していた起債を見送りました。電力債市場では、大震災以前の三月二日に発行条件を決定した北海道電力債以降、原発を運転、保有する電力会社による起債は三か月以上途絶えておりまして、機能不全の状況に陥っております。  今回も結局のところ見送るということになったわけですが、これは、政府が東電の賠償に関して事故には責任のない他の電力会社に資金負担を求めたこと、加えて法的根拠のない浜岡原発の停止要請によって他原発への影響が出てきた、こうしたことが市場の不信認を買っているのではないかというふうに考えられますが、それについてどうお考えでしょうか。
  133. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 御指摘の事情の背景については承知していませんが、一般論として申し上げれば、電力債の発行については、市場の状況、それから資金の使途、それからニーズ等様々な要因を勘案しつつ、各電力会社、これ今、御存じのように民間企業、株式会社でございますから、各電力会社がこれは経営者判断として起債の適否を判断するものというふうに私は認識しております。  また、現在の市場の状況は、例えば市場の流動性自体が枯渇したあのリーマン・ショックの後のような状況とは異なるものというふうに認識しておりまして、いずれにいたしましても、当局といたしましては、電力債の市場を含めて金融市場の動向を注視してまいりたいというふうに思っております。
  134. 中西健治

    中西健治君 一方では民間企業といい、一方では民間企業でないような企業の扱いということをしている、そこに非常に違和感を感じる、ちぐはぐさを感じるということを申し述べまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  135. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  今日もございましたとおり二重債務の解消が大問題になっておりますけれども、この法案でいえば、この強化法が単に被災地金融機関を救済するだけではなくて、やはり本当に借り手の被災者支援するものになるかどうか、もっと言えば既往債務ですね、震災前の既往債務の負担軽減になるかどうかということがポイントではないかと思っておりますが、ちょっと先ほどから聞いていてよく分からないところがありますので、ちょっと改めてですけど、確認したいんですけど。  私は、事務方にレクを受けたときは、今日、森本局長からも答弁ございましたけれども、国が資本参加する条件として経営強化計画を出してもらうと。個々に、今回ございますとおり、震災からの復興に資する方策を含むということを省令で書くわけですから、森本局長からあったとおり、例えばですけれども、これは上から言うわけじゃなくて出してくるわけですが、金融機関の方からこの計画に、被災地金融機関の方から、被災した借り手とか中小企業などの再建支援するために、既往債務の一部債務免除や長期凍結とか、そういうことを金融機関の方から入れてくることはあるんではないかという、例示として局長からございました。  ところが、さっき和田さんのちょっと答弁気になったんですけれども、これはそもそもそういう債務免除のためにやる法案ではないということがあるので認められないみたいな言い方をちらっとされて、またちょっと結果的にはあり得ると言われたんですけれども。大事なことは、こういう経営強化計画に、金融機関の側から被災地の中小企業、借り手を支援するためにこういう計画の下に一部債務免除あるいは凍結をいたしますということを計画に入れてきた場合、具体的な話ですね、それを認めるのかどうかということをはっきりしてほしいんですけれども、その辺、いかがですか。
  136. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) まず、もう少し明確にお答えするために結論部分から申し上げると、申請の中にそういった事項を書き込んでいただくことは可能でございます。可能でありますし、それが書かれているからといって資本注入をやらないというわけでは決してございません。  しかし、御指摘いただいたように、私、先ほどの答弁では、債務免除を目的として書いていただいたのでは困りますということを申し述べましたが、債務免除で止まるだけでは地域経済復興活性化するというふうにはなかなか申し上げにくいということを申し上げたのであって、債務免除をした結果、債務企業に対して更にそこで頑張っていただく、復興を遂げていただくためにどういったツールを用意するのかということも含めて考えていただく必要があるということだろうと思います。  そういった意味におきまして、震災からの復興に資する方策として書いていただく内容の中に、債務免除も返済猶予もそして貸付条件の変更も様々織り込んでいただいて結構なのですが、それらが全体として震災からの復興に役立つものだというふうに、我々がしっかりと感じ取れるように書いていただきたいということを申し上げたつもりでございます。
  137. 大門実紀史

    大門実紀史君 当然そんな金融機関はばかじゃないですよ。こういう一部債務免除をすれば、ちょっと余裕を与えれば再建できる企業だけあるいは中小業者だけやりたいということで当然書いてくるはずで、そんな何でもかんでもやりますなんて書いてくるわけないんで、そこでがちがちなことを今から余り言い過ぎますと、もう書けなくなってしまうわけですよね。  逆に、ではちょっとお聞きしますけれども、そういうことを書いてきて、金融庁が経営強化計画として認めない場合というのはどういう場合ですか。
  138. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) そういった、おっしゃるような債務免除等が書き込まれていてそれでも審査の上認められないとすれば、そこは、債務免除を行った企業がそのまま操業をストップしてしまい、そういったものばかりになってしまって地域復興を担う企業がこれではいないではないかと思えるようなときには、そもそもそれでは資本注入する意味がございませんので認められないと、例えばこういうことだと思います。
  139. 大門実紀史

    大門実紀史君 しつこいようですけど、今の被災地状況で、金融機関だってそこまで見通せない部分もありますよね。しかし、何でもかんでも債務免除とか、一部も含めてですね、やったら金融機関も大変になりますからそんな愚かな判断はしないと思うんですけれども、その見通しが全て立たないと経営強化計画認めないみたいな厳しいことになりますとなかなか借り手を助けるということにならないから、私はちょっと、事務方の方がもう少し柔軟な対応をされているのに、どうも和田政務官のところで、今日聞いていると、頑固な判断ばっかり言われているような気がするんですけれども、どうもちょっと財務省的なところがまだ残っているのかと思いますけど。  やっぱり、もうこういう非常事態でございますので、余りがちがちなこと前もって言って、見通せないところは駄目だみたいなことを言っちゃうと、もう使えなくなるんですよね。むしろ、公的資金の申請そのものがなくなってくるんじゃないかということもありますから、そこはもう少し現場を見て柔軟に考えてほしいと思いますが、いかがですか。
  140. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 大門委員の御指摘は私も重々踏まえて御答弁申し上げているつもりなのですが、今おっしゃったようなところは協同組織金融機関に対する特例としてきちっと定義しているつもりでございまして、財務がなかなかそんなに全てすぐ見通せるはずがないと私も思っております。  そういったところにつきましては、そこまで、今おっしゃったようながちがちなところまで求めるわけではなく、今現在見通せる状況の中で書いていただきさえすれば、そこは我々として積極的に検討できると考えています。
  141. 大門実紀史

    大門実紀史君 それで結構でございます。  もう一つ、先ほどからあったファンドの買取りの問題は私も予算委員会でやってきておりますので別の機会にやりたいと思うんですが、与党案の中に出てきたもので、私的整理のガイドラインというのが出てきております。  実際問題、まだ金融庁に私的整理ガイドラインを検討しろという指示が出たばかりで具体的なものはないというのをお聞きしておりますが、与党案の中では、個人あるいは住宅ローンに対する私的整理ガイドラインを検討するようにということで指示が行っているみたいですが、今までも私的整理ガイドラインはありましたけれども、これは私よく論争いたしましたが、竹中さんがおられたときのいわゆる竹中プランの中で、不良債権処理を早くやるために私的整理ガイドラインを作って、特に大きな企業を想定したものですが、今それしかないので今度は個人とか住宅ローンの私的整理ガイドラインを作れということだと思うんですけれども、これはただ使いようによっては大変恐ろしいことにもなるわけですけれども、どういう目的でどういう方向で検討を始めておられるのか、まず大臣にお聞きしたいと思います。
  142. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 大門議員の御指摘のとおり、今回の東日本大震災により債務の返済が不可能となった債務者のうち、個人の債務者に関して私的な債務整理プロセスが存在はしておりません。そこで、住宅ローンを借りている被災者や、それから個人で事業性の資金を借りている個人事業主の被災者に対して金融機関が債務免除を行いやすい環境を整備するために個人向けの私的整理ガイドラインを策定できないか、それに基づく債務免除にかかわる税制上の取扱いも含めて今鋭意関係者と協議をしているところでございまして、関係者には、経産省、法務省、国税庁、金融界ほかいろんなところと協議をしているところでございます。  したがって、現時点においては、本ガイドラインは基本的にはまずは今回の大震災に適用することを前提として考えているところでございまして、いずれにしても、この点につきましては国会論議を含めて関係者と十分に、今さっき言いました関係者ともしっかり協議をしてまいりたいというふうに思っております。
  143. 大門実紀史

    大門実紀史君 私がお聞きしたのはどういう方向で検討が始まっているのかということで、もう時間がないので、和田政務官に若干お願いも含めて申し上げておきますが、法的整理と私的整理があるわけですけれども、法的整理よりは私的整理の方がいろんな点でプラスなことは分かっております。ただし、それは単に、今の被災地を見ると、法的整理を回避するためだけ、いずれにせよ破産状態は変わらないということでとどまらないで、やはり再生できるような、私的整理の中には再建という概念もあるわけですから、再生に結び付くような私的整理ガイドラインをまとめていただきたいということです。  そのためには、私的整理というのは、今のガイドラインもそうですけれども、何らかのあっせん機関が必要でございます。それが、先ほどもございましたけれども、各県にあります、今の段階ですと中小企業再生支援協議会がやっているわけですが、個人とか住宅ローンとか非常に小さいところになりますとあそこでは扱いません。したがって、きめ細やかなあっせん機関、調整機関がない限り、単なる私的整理、破産よりはましというような、ただの、何といいますかね、処分の違いだけになってしまいますので、本当に再生するための私的ガイドラインを作ってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  144. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 今の大門委員の御指摘は私自身ももうそのとおりだというふうに思います。  そのため、これから私的整理ガイドラインの検討に入ってまいりますが、例えば破産法制とのバランスは取らなければいけないのですが、とはいえ今回は震災対応ということで、まずこの私的整理ガイドラインを個人の方や零細事業者の方々にも行き渡らすことができるようにという視点を持っているものですから、あの被災地状況を見ると、例えば手持ち資金が三か月程度でいいのかということもございましょう。それは、もっと長くした方がよいのではないかというもう御意見を多数いただいているところでございますので、こうしたところを実態として把握しながら、本当にそれぞれの当事者がおっしゃったような再興を期すことができるような視点を持って取り組みたいと考えています。
  145. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  今日はこれで終わります。
  146. 中山恭子

    ○中山恭子君 たちあがれ日本・新党改革の中山でございます。  先日、私ども本委員会のメンバーが仙台に参りまして、現地で地域金融機関の皆様と懇談の機会を持ちました。そのとき、どの方からもまず出てきた言葉が、この地域復興のために銀行が何ができるかという、そういった観点からのお話でございました。金融機関自身が被災している中にあって、その地域全体の復興と、そういったことを自らのことととらえて地域のために役に立とう、一緒に立ち直ろうとしている様子を伺うことができました。日本の地域金融の在り方について、収益のみを追求していくというグローバルな金融ビジネスと違うということを改めて認識いたしました。そういった立場でその対応についてもいろいろと考えていく必要があろうというように感じたところでございました。  先日、五月十七日のこの委員会大臣から、被災地金融機関について、地震発生直後の三月十四日に比べて大幅にこの五月の段階で復旧しているとの御答弁いただきましたが、その後はどうもほとんどその状態が続いているようでございまして、六月十日現在でも、東北六県、それから茨城県に本店のある七十二金融機関の営業店数約二千七百のうち、約三%である七十二の営業店が閉鎖されているということをお聞きしております。また、金融庁のホームページでは、ATMについても相当数が停止しているというようになっております。多くの利用者が不便を被っているのではないかと心配しております。  被災地金融機関の被害状況等について金融庁としてどのように把握していらっしゃるのでしょうか、お伺いいたします。
  147. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 今、中山委員の方から御指摘いただいたところ、おおむねそのとおりでございまして、もっと申し上げれば、残念ながら、三月発災以降、本当に鋭意再開に向けて努力していただいたところではございますが、この直近、六月十五日時点でも依然七十二の営業店舗が閉鎖されたままであることは事実でございます。  実際に被災地状況を御覧になったかと思いますが、そういったものの大半は、普通の企業と同じように建屋そのものももう流されてしまっているとか、物理的にもう営業することは誰が見ても不可能であろうというようなものがほとんどというふうに聞いておりますので、そこから先は本当にその金融機関の実情に従って、建屋を建てる余力なり、それから、実際に被災された金融機関の行員の方々がもう少しそれぞれ自分の生活を取り戻して職場に戻ってきてくださるようなときに、これから先は、申し訳ございませんが、徐々に回復していくんだろうというふうに思っております。
  148. 中山恭子

    ○中山恭子君 金融庁のヒアリングベースで、昨年九月の金融機関の貸出残高、被災地でのですが、これは約二兆八千億円というように出ております。  昨日の日経新聞にも、気仙沼信金の理事長、宮古信金の理事長などもおっしゃっていますように、取引先とのコンタクトができない、債務全体像を把握するということ自体非常に難しい状況であろうと考えておりまして、今回この法律によって金融機関の体力を強化した上で、地域の中小企業に対し是非力になってもらいたいというように考えているところでございます。  今回の改正案では対象金融機関地域を限定しておりません。これまでにも、今日何度も話が出ておりますけれども、東日本大震災影響というのは、東北、関東に限らず全国に及んでいるわけでございまして、特例を受けることができるという金融機関を広くとらえるということは大事だろうとは思いますが、具体的な基準はあるんでしょうかとお伺いしようと思ったんですが、先ほど和田政務官からるる御説明がありましたので、まあ大変だろうと思いながら、ただ、この場合に、やはり個別に判断していくということになってくるんだろうと、いろんな事情がございます、違いますので、考えております。  そのとき、やはり適正に迅速に判断してこの法律の目的を遂行してもらいたいと思っておりまして、こういった場合、行政の在り方というのが非常に重要な意味を持ってくると考えております。また、計画の柔軟化につきましても、数値目標などは課さないということになっていると思いますが、今後の復興に向けて、資本注入を受けた金融機関の貸出し状況などに関しては金融庁が個別にフォローしていく必要があると考えておりますが、いかがでしょうか。
  149. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 今御指摘いただいたところ、おおむね二つ視点としてとらえさせていただきますと、まず被災している地域中心金融機関と企業との取引関係というのは、震災影響被災地域にとどまらず全国に広がっていると。しかし、全国に広がっているからといって、みんなに同じ条件で一律に何かをするということはなかなか難しいし、実際上、被災地域のあの実情とそうでない地域の実情とは異なりますということだと思います。  ですから、資本注入に当たって、個別金融機関が、御自身が創意工夫を凝らして書いてきてくださったいろんなツールによってその地域の経済を再興したいということを、我々としても地域の実情をできるだけ我々の行政組織も使いながら把握した上で、それを突き合わせてみて、おっしゃっていることが妥当だと、適正だと考えられるなら資本注入に踏み切るということであろうと考えています。  そして、資本注入を行った後、当然それは国民の皆様方の税金を使って資本注入するわけでございますので、一円たりとも無駄に使っていただくことでは駄目なわけでございます。そういった意味で、それぞれの資本注入を行った金融機関のオペレーションにつきましては、先ほどいろいろ局長からも御答弁ありましたが、収益性、効率性というものは、今回の場合は震災が発端となっているがために、つまり経営の問題があるということが発端となっているのではないために、そういった数値的な基準を設けるのでは非常に金融機関に対して心理的圧迫も与えるということから今回取り上げていないということだと思います。  しかし、それであるがゆえに、さらに本当の意味での実情を細かに把握していく必要はあるという意味において、中山委員の御指摘どおり、個別にしっかり見るということだと考えています。
  150. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございます。  やはり金融の安定のために、今回特に金融庁、行政組織の役割というものが非常に大きなものになっていると考えますので、適切に、公平、公正に措置をとっていただきたいと考えております。  信用金庫、信用組合などの協同組織金融機関向けの特例では、国と中央機関が共同して個別の信金、信組に資本参加できる仕組みが設けられました。今回の新しい仕組みの特徴、その趣旨について御説明いただけますでしょうか。
  151. 和田隆志

    大臣政務官和田隆志君) 先ほどもどこかの質疑お話し申し上げたような気がしますが、今までの現行法上も中央機関と各金融機関との間で経営指導を行っていただくということにはなっております。しかし、今回改正をお願いしている法案ではそれを更に進めまして、きちんとその両当事者間で経営指導契約を結んでいただきましょうということを盛り込んでいます。そして、もう一つ、国と中央機関とがそれぞれ共同して各地域協同組織金融機関等の指導に当たるということを盛り込んでおる次第でございます。  実際に行っていく指導の中身につきましては今までとほぼ同様のことをやっていただきますが、今回、震災を発端として震災対応として法制を組んでおる関係で、被災企業に対する債権の管理がしっかりできているかどうかということは、その中でも重要な要素だと考えています。
  152. 中山恭子

    ○中山恭子君 これまで、国から中央組織に対して資金を入れるという仕組みは既にあったということでございますので、今回、国が直接個別企業、個別の金融機関に対して資金を注入するという、このシステムを今回お考えいただいたということについて、私は大変高い評価をしております。いろんなアイデアの中で知恵を絞っていただけたと考えております。  今回の新しい仕組みでは、まあこれは望ましいことではないかもしれませんが、再構築となる場合、預金保険機構の一般勘定それから早期健全化勘定の資金を活用して損失分に充当することができるという仕組みになっていると考えております。これは、ある意味では税金を使わないで対応できるという可能性があるわけでございますので、この仕組みは、非常にある意味で今回の改正の大変知恵を出していただいた部分ではないかと考えております。  ただ、早期健全化勘定の資金を財源として活用するということについては、やはりこれは、本来別の法律に基づく勘定を利用するということですので、ある意味で明確な位置付けというのが必要になってくるはずだと思います。ただ今回は、国民負担というものを生じさせることなく処理が可能となるという意味でこのような知恵を出されて、知恵を絞ってこういう仕組みを考えてくださったということは、素直に評価したいと考えております。その点についてもお話伺いたいとは思いますが、余り時間がございませんで、そういった意味で、金融機関の体力を強めるという形が今回取られたと考えております。  自見大臣に御確認ですけれども、今般この特例法により、どの金融機関、全ての金融機関と言いたいんですが、どの金融機関地域のために引き続き役割を存分に果たしていけるという、そういう基盤ができたと考えたいと思いますが、この点についていかがでしょうか。
  153. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 中山議員お答えをいたします。  まさに千年に一遍の津波だと、こう表現もされるわけでございまして、やはり今回の大震災、非常に私は災害有事だと、こう申し上げておるわけでございますけれども。あの三月十一日の発災以来、その日に日本銀行総裁と私の名前で、今先生お話がございました東北地方、茨城県一帯に七十二の金融機関がございまして、二千七百の地方銀行であれば本店また支店、営業所に、あるいは生命保険会社、損保会社含めて全金融機関にお願いをさせていただいたわけでございまして、その日のうちに何とか、これも先生今言われたように、金融機関というのはまさに自由主義経済においては地域の経済活性化あるいは個人の生活の安定の鍵でございますから、そこにしっかり強化するような方法を考えていただきたいということを強く金融長官に指示をさせていただきました。  今、大変お褒めをいただいて有り難いのでございますけれども、彼らが非常に知恵を絞りまして、預金保険機構の一般勘定あるいは早期健全化勘定、この信用金庫、信用組合等には中央機関がございますから、そこと共通な、対等な位置へきちっと資本注入をさせていただくと。非常にそういった意味で、先輩からお褒めをいただきましたが、やはり政治は結果でございますから、この法律を作らせていただいて、早くきちっとこの地域の経済、あるいは個人の生活が復旧し回復することを、担当大臣としてもいろいろな御指導をいただきながらしっかり責任を果たしていきたいというふうに思っております。
  154. 中山恭子

    ○中山恭子君 もう時間が参りました。金融機関が今回強くなる可能性が出てきているわけですので、今後は更にこの地域の企業それから個人をしっかりと支えるという、その対応をリードしていただきたいと思いますし、自見大臣、政府の中で一刻も早く、二重ローンですとかそれから企業の再生のための措置をとるように御尽力、政府の中でも強く主張していただきたいと考えております。  ありがとうございました。
  155. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  自見内閣特命担大臣は御退席いただいて結構でございます。     ─────────────
  156. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 次に、現下の厳しい経済状況及び雇用情勢対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。野田財務大臣
  157. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) ただいま議題となりました現下の厳しい経済状況及び雇用情勢対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、現下の厳しい経済状況及び雇用情勢対応して税制の整備を図る観点から、所要の措置を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  まず、政策税制として、雇用促進税制の創設等を行うこととしております。  次に、寄附金税制について、認定特定非営利活動法人等に寄附をした場合の所得税の税額控除制度の創設等を行うこととしております。  その他、年金所得者の申告手続等を簡素化する措置及び航空機燃料税の税率を軽減する措置の創設、上場株式等の配当等に係る軽減税率の特例の適用期限の延長等を行うほか、既存の租税特別措置整理合理化を図り、あわせて住宅用家屋に係る所有権の移転登記に対する登録免許税の特例等の適用期限を延長するなど、所要の措置を講ずることとしております。  以上が、現下の厳しい経済状況及び雇用情勢対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
  158. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十四分散会