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2011-04-28 第177回国会 参議院 財政金融委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年四月二十八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     姫井由美子君      渡辺 猛之君     鴻池 祥肇君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤田 幸久君     理 事                 大久保 勉君                 舟山 康江君                 愛知 治郎君                 佐藤ゆかり君                 荒木 清寛君     委 員                 尾立 源幸君                 風間 直樹君                 金子 洋一君                 川上 義博君                 田中 直紀君                 中谷 智司君                 姫井由美子君                 水戸 将史君                 鴻池 祥肇君                 塚田 一郎君                 西田 昌司君                 野上浩太郎君                 林  芳正君                 古川 俊治君                 丸川 珠代君                 竹谷とし子君                 中西 健治君                 大門実紀史君                 中山 恭子君    国務大臣        財務大臣     野田 佳彦君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        自見庄三郎君    副大臣        内閣府副大臣   東  祥三君        総務副大臣    鈴木 克昌君        財務大臣    五十嵐文彦君        経済産業大臣  松下 忠洋君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        阿久津幸彦君        内閣大臣政務        官        和田 隆志君        経済産業大臣政        務官       中山 義活君    事務局側        常任委員会専門        員        大嶋 健一君    政府参考人        外務大臣官房審        議官       石井 正文君        外務大臣官房参        事官       石兼 公博君        厚生労働大臣官        房審議官     金谷 裕弘君        経済産業大臣官        房技術総括審議        官        西本 淳哉君        経済産業省貿易        経済協力局長   厚木  進君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      横尾 英博君        中小企業庁事業        環境部長     伊藤  仁君        国土交通大臣官        房審議官     田村明比古君    参考人        株式会社日本政        策金融公庫代表        取締役総裁    安居 祥策君        株式会社日本政        策金融公庫代表        取締役総裁   渡辺 博史君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○株式会社国際協力銀行法案内閣提出衆議院  送付) ○預金保険法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、渡辺猛之君及び櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として鴻池祥肇君及び姫井由美子さんが選任されました。     ─────────────
  3. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  株式会社国際協力銀行法案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として外務大臣官房審議官石井正文君外七名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  株式会社国際協力銀行法案審査のため、本日の委員会参考人として株式会社日本政策金融公庫代表取締役総裁安居祥策君及び同代表取締役総裁渡辺博史君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 株式会社国際協力銀行法案議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 田中直紀

    田中直紀君 おはようございます。民主党田中直紀でございます。  ただいま議題になりました株式会社国際協力銀行法につきまして質問をいたします。  今回の国際協力銀行法は、いわゆるJBICがまた日本政策金融公庫から独立をいたしまして機能強化を図るということでございますし、日本企業海外活動をしやすくすることを国が後押しをしていくと、こういう内容になっておりますから、我が国企業海外インフラ輸出を受注していってもらいたいという大変期待を持った法案だと思いますので、私は賛成をしていきたいと思っております。  今日は日本政策金融公庫総裁にお出かけをいただきましたので、私からも東日本大震災について、冒頭、後で法案質問いたしますが、お願いをいたしたいと思います。  お手元にございます、先般、四月の二十一日でしょうか、政府が今の原発避難対応につきまして正式に位置付けをしたわけでありまして、これからいろいろな原発被害避難方々に対する補償の問題も具体的に出てくると思っておりますし、スピーディーに生活再建をしていただく、あるいは雇用の創出をしてもらうということが今政府にとって最優先の課題であると私は認識をしておりますし、御努力関係者方々にはお願いをしたいと思います。  地域的には、御存じのとおり、福島県の浜通り双葉郡とそして一部南相馬市が入っておりますが、相馬市を加えますと、この福島県の浜通りというのは、地域的には面積としては香川県と同じぐらいの面積でありますから、国土活用の中で大変なそういう面では大きな不安を抱えての今状況ではないかと認識をいたしております。  既に、一時帰宅禁止ということから二十キロ、三十キロ圏内の皆さん方避難をされておる。この双葉郡は七万二千人の人口を抱えておりますが、既に十四万の方々避難をされておりますし、企業も休止をしておるという状況に立ち至っています。  一次産業、二次産業、三次産業、それぞれ、一次産業も重要でありますし、また製造業もございます。そしてまた、商店街、いろいろ報道されますが、大変この姿は痛ましい状況になってきておるところでありますので、今、日本政策金融公庫福島市といわき市に支店を置かれておると、こういうことであります。この事態生活圏経済圏が失われてしまったと、こういう事態の中で、今までお仕事支援もしていただいてきていたわけでありますが、資本のストックの毀損もあるわけであります。どういうふうにとらえられておりますか、御説明をいただければと思います。
  9. 安居祥策

    参考人安居祥策君) まず、今回の大震災によりまして被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げます。  初めに日本公庫としての取組について御説明させていただきまして、その後、今おっしゃった双葉郡の状況につきましてお答えいたします。  まず、日本公庫では、東日本大震災により被害を受けられました中小小規模企業農林事業者等皆様からの御相談政策金融機関として迅速かつきめ細やかに今対応しております。  具体的には、大震災の起きました三月十一日付けで全国の支店特別相談窓口を設置し、被害、影響を受けた方々からの融資相談及び返済相談対応するとともに、土曜日、日曜日、祝日を含め事業資金相談ダイヤルによる電話相談も受け付けております。とりわけ被害の大きかった青森、岩手、宮城、福島、茨城の各県におきましては、これまで百十一か所で関係団体とともに連携して出張相談をしてまいりました。こうした出張相談取組は今後とも継続し、お客様の利便性を高めていきたいというふうに思っております。  また、これらの県の支店では元々約五百名の職員が勤務しているところでございますが、本店やほかの支店から延べ約百人の応援部隊を派遣いたしまして人員の増強を図るなど、日本公庫が一丸となって万全の支援体制を整備しております。これらの取組などによりまして、四月二十六日現在で累計の相談件数は三万七千五十五件となっております。  今後も、災害復旧付けセーフティーネット付け農林漁業セーフティーネット資金や、担保、保証人に依存しない制度最大限活用など、政策金融機関として総力を挙げて対応していく所存でございます。  また、返済条件の……
  10. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 簡潔にお願いを申し上げます。
  11. 安居祥策

    参考人安居祥策君) はい。
  12. 田中直紀

    田中直紀君 ちょっと済みません、次また質問いたしますので、済みません。ちょっと時間が。
  13. 安居祥策

    参考人安居祥策君) はい。  それでは、続いて双葉郡の状況について申し上げますと……
  14. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 簡潔にお願いをしたいということでございます。
  15. 安居祥策

    参考人安居祥策君) はい。  福島県のデータによりますと、郡の総生産が六千五百億円ということで、福島県の中では第三次産業割合が多い、特にエネルギー等の総生産額割合が高いという特性でございます。  双葉郡における日本公庫取引先は七百六十五先ございまして、これらの取引先については、当方からの接触や、先ほど御説明した特別相談窓口出張相談等により被害状況の把握に努めているところでございます。こうした取組などを通じた四月二十六日現在の双葉郡における相談件数は百四十件となっております。  具体的な相談事例といたしましては、例えば工場や農場が避難区域に指定され、避難区域外へ移転するための移転費用が必要だと、また工事中の現場が避難区域に指定されたことに伴い工場がストップしたため、工事代金回収の見込みが立たなくなったので、資金繰りに……
  16. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 総裁、そろそろおまとめいただいてよろしゅうございますか。
  17. 安居祥策

    参考人安居祥策君) はい、よろしいですか。
  18. 田中直紀

    田中直紀君 また後でじっくり聞かせていただきます。  この図面からいいまして、経済産業省から来ていただいておりますが、この緊急時避難準備区域というのを指定されましたけれども、既に政府自主避難というものをまずやっておるということでありますから、もう既に避難をしているんですね。これは私は変更すべきだと思います。七万の方々避難に加えて、既に自主避難で十四万人も避難をしておるのを今更緊急時避難準備区域というのはこれは当たらないということで、そういう面では正式な避難をする。そして、一次産業、二次産業、三次産業、これらはなかなか経済の裏付けもなければそこに帰れないわけですから、そういう面では、この二十二キロぐらいのところに原町、旧原町ですね、南相馬工場がたくさんありますよ。工場を再開するというような指示が来ないと、こういうふうに言っておりますから、既に、国としては、二十キロから三十キロの生活圏経済圏というのはもう失われてきておると、自主避難でですね、そういうことを認識をして、さらに政府が正式な対応をすることを要望をいたします。  それから、避難されている方々に、ついでに聞いちゃいますから、一世帯当たり百万円お支払いをしておるという東電対応ですが、これはどこからお金が出ているということかということでありますが、五百億円の支払ということでありますけれども東電が、この次の資料を見ていただきますと、連結ですが、一兆八千三百十四億の利益剰余金があるわけですよ。もうこのような事態の中では、これ全部、今回の株主総会でこれは避難者救済引当金にこれしなきゃ駄目ですよ。これだけの被害、大変な被害ですから、まず、東電を救うかどうかはこれはこれから政府なり株主相談するわけでありますが、今できることは利益剰余金を全部被災者皆さん方にお支払いをすると。  こういうことで、世帯当たりなんということは大変現実離れしておるわけでありまして、学校に行く若い子供を持った方々はお年寄りの夫婦と別れて避難しているわけでありますし、夫婦でも、病院に奥さんが入っていて見舞いに行きたいということで別に避難している方も、もう散り散りばらばらになっているわけですから、現実からいうと、世帯当たりで百万円なんというのは、これは一桁違うんですよ。そんなことを今やっておるときではありません。そういう面では、経済産業省もちゃんと視点を変えて、そして避難している方々には東電最大限利益を還元する。  この福島の第一原発は、今年の二月に五十年の継続を国が認めているんですね。避難しておる方々に聞きますと、いや、そのときちょっと心配だったんだと。もう三十年が、耐用年数は正式には決めてないようでありますけれども、三十年が四十年になって、また五十年この二月に認めた途端にこういう事故になっているわけです。  ですから、地震津波ないしは、プラス、これからの判断でしょうけれども、設備の老朽化によってこの事故が起きているわけですね。そういう面では、国が国策でやっていて、そして責任が所在が分かっているわけでありますから、もう至急私は賠償を国がやるべきだと、こういうふうに思いますが、経済産業省、簡単に、そして財務大臣にも御質問申し上げます。
  19. 横尾英博

    政府参考人横尾英博君) お答え申し上げます。  今回の原子力発電所事故に関しましては、原子力損害に関して一義的には原子力事業者である東京電力責任を負うものと考えておりますが、被害者保護観点から国としても万全を期すということでございます。  具体的には、原子力損害賠償法に基づきまして、原子力損害賠償補償契約範囲、これは東京電力との契約に基づきますし、この契約額を上回る部分、これは東京電力責任を負いますが、被害者保護観点から、国が、政府が必要な援助を行うということで対応してございます。  今御指摘のありました東京電力による仮払い補償金でございますが、この金額でございますが、これは被災者生活再建支援制度に基づいて震災被災者支払われる支援金、これが世帯単位であることも踏まえまして、この並び東京電力として判断したものでございます。  他方、この仮払い補償金はあくまでも第一弾の緊急的な措置として実施をしておるものでございまして、今後、原子力損害賠償法に基づきまして、今原子力損害賠償紛争審査会賠償範囲等指針を取りまとめる作業を行ってございます。これに基づきまして東京電力から可及的速やかに賠償金支払が行われるようにしていきたいというふうに考えてございます。
  20. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 先生、余りお時間もないので端的にお答えしたいと思いますけれども政府補償契約支払については、実施時期や使途などについては東京電力の行う損害賠償を踏まえて検討する必要がございます。今日も三回目の審査会が開かれて、第一次指針が出るのではないかと言われています。こういう検討を踏まえて対応していきたいというふうに思います。
  21. 田中直紀

    田中直紀君 前に大門議員から原子力損害賠償制度の概要ということで配られておりましたので、それを拝見しておりましたけれども、あくまでも地震、噴火、津波という原因に基づいて発生した原子力発電事故というのは千二百億円、これは電力会社が、一般会計の方なんでしょうか、この保険金、どの程度払っているか私は確認しておりませんが、保険としては国との話でできている制度ですからね、これはもう支払っているんだと思いますが、ここで確認してもらいたいと思います。  ですから、その支給はもう検討じゃなくて当たり前に千二百億円すぐ国が出さないと、そして、その上にどれだけのものを国が負担していくかというのはあるわけですから、この制度の見方がちょっと違っておるのではないかと思いますし、それから、生活再建支援法原発関係というのは一切、地震はありますけれども原発関係する生活支援法というものはまだできていないんですよ。それを適用しているというのはちょっとおかしな話で、もうこれは基本的人権であります。原発で、そして避難しているわけでありますから、一人一人の生活圏経済圏が失われたわけでありますから、これはもう必ず一人当たりまず支給をする。そしてまた、金額も、六か月から九か月という期間を国が東電が出したのを認めたわけでありますから、まず九か月の生活費を払わなきゃいけないんじゃないですか。いかがですか。
  22. 横尾英博

    政府参考人横尾英博君) 東京電力の仮払い補償金は第一弾の緊急措置として取りあえず支払ったもので、その意味で、先ほど申し上げました被災者生活再建支援制度との並び東京電力の方で払ったものでございます。  これはあくまで第一弾でございますので、今財務大臣からも御答弁ございました原子力損害賠償紛争審査会、これ今日第一次指針が出るように伺っておりますが、これを踏まえまして東京電力がこの指針に従って損害賠償を行っていくということで、これが可及的速やかに行われるよう私どもとしても取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  23. 田中直紀

    田中直紀君 大臣、いかがですか、見解は。
  24. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 今の経産省の答弁のとおりだというふうに思います。
  25. 田中直紀

    田中直紀君 経産省の考え方は私は間違っておると思いますし、東京電力がこれは事業者でありますから、事業者利益は速やかに還元を、この被害に対して対処をするということでありますし、国策でやってきたわけでありますから、まず国が責任を果たす。その制度があるわけですから、その責任を、千二百億というものは今の事態の中では速やかに予算化して、そして実行するというのが今被災者に対する責務ではないかと思いますので、御検討をいただきたいと思います。  じゃ、JBICの問題が一問だけ、時間がありませんので質問をいたしたいと思います。  JBICをめぐっては、昨年の常会にも、株式会社日本政策金融公庫法改正によりまして地球温暖化防止等地球環境保全目的機能が追加されております。これは、京都議定書残存期間平成二十四年までの三年間に官民合わせて百五十億ドルの支援を行うことといたしておりまして、鳩山イニシアティブの中核を成すものでありまして、民主党としても大いにこの実行をしていければと思っております。  これを踏まえてJBICとしては、この一年間、地球温暖化防止等にこれまでどのような実績を尽くしていただきましたか、JBICの副総裁にお伺いいたしたいと思います。  そして、これは、民主党といたしましては、地球温暖化対策というのは最優先でこれは政治の中で責任を果たしていこうということで、政権のスタートで大いに高らかに世界に約束をしたところでありますし、それを担っていただいておるのがJBICでありますから、是非引き続き環境対策努力をしていただきたいと思いますが、現況をお伺いをいたしまして質問を終わらせていただきます。
  26. 渡辺博史

    参考人渡辺博史君) お答え申し上げます。  二〇一〇年、一一年、一二年の三年間で百五十億ドルの資金供与をするということでございまして、ODAのチャネルと合わせまして私どもの方も仕事をするということで今行わさせていただいております。  そのために、いろんな関係機関、例えば外国政府の中で特にこういう環境問題について積極的なところ、あるいは日本国内でもこういう問題について積極的に行われている地方公共団体、それから世界銀行、アジア開発銀行などと業務協力協定を結ぶ中で実施に努めておりまして、この一年強の間に既に三十二億ドルという資金供与をさせていただいているというところでございます。  引き続き、こういう形で世界中の問題のあるところ、あるいは重要なところになるべく効率の上がる形で資金供与をしていきたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  27. 田中直紀

    田中直紀君 原発輸出はちょっと難しくなりましたけれども、水の問題あるいは環境高速道路、そしてまた鉄道、いろいろと海外のインフラ輸出見込めるわけでありますから、大いに、この法案を改正した後、JBIC皆さん方にも頑張っていただきたいと思います。  質問を終わります。
  28. 塚田一郎

    塚田一郎君 おはようございます。自由民主党塚田一郎です。よろしくお願いをいたします。  初めに、震災を受けての輸出減少に伴う問題点について一問質問をさせていただきたいと思います。  震災以降、非常に日本サプライチェーン問題等指摘されているわけでありますけれども、元気な地域からの輸出についても、その輸入を受け入れる国から、いろいろなこの放射線の問題についての懸念があるために輸入が、受け入れないというか輸出ができなくなっているというような問題が出てきております。私の地元も燕三条地域のような輸出品生産地を抱えているわけでありますが、そうした地域から従来どおり安全である商品を輸出しようとしても、相手から、それは本当に放射能汚染されていないのかをきちっと証明をしてもらわないと受け入れられないというようなことを言われるという声が上がっているわけであります。  こうしたことに対して、そうはいっても、各自が自分たちでこうしたことの証明をきちっと取って、中小企業皆さんがやるということはなかなか難しいわけでありますから、この辺りについて政府としてどのような対応を取られているのか、経済産業省、御説明いただきます。
  29. 厚木進

    政府参考人厚木進君) お答え申し上げます。  政府といたしましては、各国政府や、あるいは今御指摘のあったような海外企業が過剰に反応をして科学的、合理的な判断に基づかない不当な措置を採用することを防止することが必要だと考えております。そのために、放射線物質の拡散について正確な情報を内外に提供するとともに、不当な要求がないか、各国の動向について情報収集を行い、必要に応じ各国政府に働きかけを行っております。  また、我が国製品放射能検査証明を求められた場合に備え、国内企業向け放射線検査機関の紹介や商工会議所による簡便な証明サービスの周知を行っております。このうち商工会議所の簡便な証明は、文部科学省が公表しております都道府県別環境放射能水準データに基づきまして、輸出産品生産された都道府県環境放射能水準について、それが国際的な勧告のレベルを下回ることを証明するものでありまして、主要会議所において先週末までに既に千四百件以上が発給されたというふうに承知しております。  また、検査機関を利用する場合に事業者側検査料を負担しなければならないということから、輸出事業者の負担を軽減するため、放射線検査料の一部を補助する事業を今般の補正予算に盛り込んでいるところでございます。これにより、中小企業については通常の検査料の一割の負担で検査を受けることが可能となります。  今後とも、先生おっしゃられたように、我が国輸出者が不利な立場に置かれることがないよう、全力で取り組んでまいりたいと思っております。
  30. 塚田一郎

    塚田一郎君 御説明をいただいたその商工会議所等の証明ということは、それは一つの方法論だと思います。しかし、これは放射線地域のレベルを示したという内容なわけですよね。その負担をしていただいて検査を受けていただくための負担をするということも、それは制度としてはいいと思いますが、むしろ輸出される方は、こういう地域の製品であれば安全だということをもう国が証明書を、商品の保証を出すみたいなことぐらい思い切ってやってもらえないかということで、その地域の放射能レベルの話を客観的に表現するだけではなくて、国が、もう経済産業省が主導してそういった保証を付けるぐらいのことをやってくれないかと、そういう声も上がっているわけですが、中山務官、来ていただいているんで、いかがですか、前向きにその辺り検討していただけないでしょうか。
  31. 中山義活

    大臣政務官中山義活君) 今委員のお話、これはいろんな委員会でも同じような意見も要望として大変出ております。中には、検査機械を外国に貸与するとか、差し上げるとか、そういうこともしたらどうかというふうなアイデアも出ておりまして、今後の問題として今お話にあったことを重く受け止めまして、よく研究をしてみたいというふうに思います。早急に研究をします。
  32. 塚田一郎

    塚田一郎君 前向きな御答弁をいただきましたので、是非その点も含めて、現場の声をきちっと反映した形で前向きにやっていただきたいというふうに思います。  次に、今回の法改正の目的の一つとして、我が国産業の国際競争力の維持及び向上ということでありますが、これは例えばインフラ輸出などで各国と競合するときにどのようにして我が国産業が打ち勝っていくかということを支援するということを意味しているんだというふうに思いますが、この点について、今回の改正がどのように資するのか、財務省から御説明をいただきたいと思います。
  33. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 海外で膨大なインフラ需要が今出てきていると。二〇二〇年から二〇三〇年にこれ二兆一千億ドルの規模になるんではないかという、そういう需要がある中で、先進国のみならず、中国、韓国等がその取組に向けて大変熱心に行っています。それに比べると、我が国は残念ながら周回遅れの感がございます。この立て直しのためにも、JBIC機能強化させて、その需要を取り込んでいくということが大事だと思います。  先進国向けの輸出金融であるとか短期のつなぎの融資とか、MアンドAを実践するための投資とか含めて、そういう機能強化をさせていただきたいというのが今回の趣旨でございまして、委員指摘のとおり、我が国産業の国際競争力の維持向上に資するものだと確信をしています。
  34. 塚田一郎

    塚田一郎君 今大臣の方から、中国とか韓国は一生懸命やっているので我々は周回遅れだと、頑張らなきゃいけないというお話があったんですが、まさに過去のケースを検証していくということがこうした意味で重要だと思うんですが、UAEの原発の受注のときに韓国に負けてしまったということが非常に日本のメディアでも大きく取り上げられまして、それ以降、このインフラ輸出についてどうあるべきかという議論が非常に積極的に行われてきているんだと思います。  その後、ベトナムの二つ目の受注などの成功例も出ているようでありますけれども経済産業省に過去のインフラ輸出のこうした成果と課題ということで御説明をいただきたいと思います。
  35. 中山義活

    大臣政務官中山義活君) 一つは、これ過去の負けてきた例というのはトップセールスが足らなかったということで、少なくとも総理大臣、外務大臣、そして財務大臣、そして経済産業大臣、一丸となってやっていく必要があるというふうに思うんですね。  その点で、前回のベトナムでは、前総理の鳩山先生から親書を送ってもらったり、経済産業大臣も行きました。我々も、事務的な手続をできるだけ早くやれるように何回も行ってまいりました。それと同時に、やはり最終的には、インフラも輸出するときには設計からメンテまでというようなパッケージで売っていくということが大事だということがすごく分かりまして、実はベトナムへ行ったら、もう電線がこんな太くなって、送電、いわゆるスマートグリッドとかそういう部分がすごく遅れていて、これ発電しても送電できるのかなというような問題もありましたんです。それで、パッケージでいろんな説明をいろいろ行ったところ、ああ、そこまでやってくれるならということでございますので、ただオペレーションの会社が電力会社でございますので、ここは、原発に関しては一旦やはり相当我々も見直しをしながら安全性を確保する必要があるというふうに思います。
  36. 塚田一郎

    塚田一郎君 UAEのときは、李明博大統領は現地、UAEに行かれてトップセールスを行われたと、一方で鳩山総理は電話しか掛けなかったと、普天間問題でお忙しかったのかもしれませんが、そんなことを報道されておりまして、そういう反省を持って今度ベトナムで頑張っていただいたということはよく分かるんですが。  そこで、気になることは、韓国がどういう条件でこの受注を勝ち取ったかということを少し見ていきたいんですが、この中に、建設費等の問題もありますけれども、六十年間の運転支援保証みたいなことが盛り込まれているというような話が報道等に出ております。この辺りの特に気になるところは、六十年間の運転保証というのはどういうものなのか、把握されているんでしょうか、経産省は。
  37. 中山義活

    大臣政務官中山義活君) 御存じのように、第一原発の一号機のプラントは四十年たっております。本当に六十年という、格納容器や何かが耐え得るのかどうか。私、日本製鋼にも行っていろんな話を聞いてまいりました。日本の場合も、今は大体一体鋳造が多いんですが、四つか五つのやつを組み合わせて造るようなものは非常に危ないと。ですから、韓国の方にそういう技術があるのかどうかというところもかなり議論をいたしまして、やはり本当に安全ならば六十年ということを言えるというふうに思うんですが、私たちはどういう交渉をしたとかそういう内容まではちょっと実は分からないんです、本当に六十年って言ったのかどうか。韓国自身がまだ六十年の経験をいたしておりませんので、果たしてそういうことが言えたのかどうか、この辺は定かではありません。
  38. 塚田一郎

    塚田一郎君 はっきり分からないということでありますが、そのように報道もされておりますし、何らかのそういう長期の運転保証のようなものがあっただろうと推測されるわけでありますね。  そうすると、私は問題提起をしなきゃいけないのは、そういったことと競合をしてやっていくのかということなんですね。まさに、今おっしゃっている四十年たった原発の現状というものを、今我々はこの日本の中で、福島の第一原発という形で、この地震という、津波という災害の中で直面をしているわけでありまして、仮にこういう長期保証がこうしたプラント輸出の競合条件になってきたときに、それを本当に我々は競合の条件として、日本としても、そういうものを保証するということを言ってまでそういうものを受注をしていくのか。しかし、相手はそういうことを言っているわけですから、本当にそれで競合していけるのか、この辺りどのようにお考えですか。
  39. 中山義活

    大臣政務官中山義活君) 今回で分かったことは、やはり何かあったときに外部からすぐ緊急でできる電力を供給するということがまず一番大事であると。止める、冷やす、閉じ込めるというこの安全の三原則をしっかりできるかどうか。  ですから、継続的に保証することも一つなんですが、私たちは、もう一つはJBIC等を使って、それからNEXIを使って、本当に外国が日本のを受注しやすいような条件を逆につくってあげるということで、長期に保証するだけではないと思うんですね。これ、発電というのは必ず送電と配電が伴うんです。ですから、この辺のサービスもしっかりやっていくということが大事で、果たして六十年のそういう約束をすることが本当にいいのかどうか。  やはり、我々は設計の段階で教育も含めてやろうと。ですから、あるときには皆さんの国の事業として独立してやってくださいよということですから、教育も含めて私たちは設計もやっていこうと。この教育の中で、やはり最終的に責任を負うのは買った国の方だというふうに思いますし、その安全性について我々が、今回のことも含めてもう最大限アドバイスするということになるというふうに思います。
  40. 塚田一郎

    塚田一郎君 政務官は保証ということには少し慎重であるというようなトーンに承ったわけですが、この辺りが、今ごろ韓国慌てているかもしれませんけれども、非常に私はこれからのインフラ輸出、特に原発の問題では大きなポイントになってくるんだと思うんですね。  ある程度のそういう保証を付けざるを得ないとした場合に、それに伴う事業リスクというものは非常に大きくなっていく。国によって実は原子力損害賠償制度というのは異なっていまして、日本の場合は無限責任事業者に問われるわけですが、有限責任の国もあるんです。それはそれぞれの国ですから、それも含めていろいろ見ていかなければいけないわけですが、ただその相手国がどういう原子力発電に対しての制度を持っているのかということもきちっと認識をしながら、これからやっていかなければならない。  しかし、受注をするときにはそういう高いハードルを出してくる国もあるかもしれないんですね。仮に、そういう保証をある程度受けざるを得ない、六十年ということは少し長い期間過ぎると思いますが、ときに、その財政的なリスクということがこれ伴ってくるわけですね。あるいは運転ができない場合の違約みたいなことでお金を払わされるようなことも発生しないとは限らない。この辺りの財政的なリスクもこうしたJBIC制度で考え得るものなのか、財務大臣、どうですか。
  41. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 政策金融を推進する上で国民に負担を生じさせることのないように、より一層のリスク審査、リスク管理、万全を期していかなければいけないと思います。機能を強化する分、そのリスク管理は併せてしっかりやっていかなければいけないということで、外部にもこういう審査する機関を設ける等々、これまでも内部ではきちっとした牽制、統制はしてまいりましたけれども、外部にもそういう機関をつくってリスク管理をしていくと、そういう方向性を打ち出しております。
  42. 塚田一郎

    塚田一郎君 是非、これは問題提起でありますが、こういう大きなインフラ輸出に伴う事業、リスクというのは非常に大きくなるわけですから、それがゆえに民間だけではやり切れない部分も出てくるわけで、こうした政府系の金融機関の役割があるんでしょうけれども、その辺りが通常のレベルの輸出とはまた違ってくるインフラ輸出なんで、きちっとその辺りのリスク管理をどこまで負えるのか、その辺りもきちっとこうした制度の中で考えていっていただきたいということをお願いをさせていただきます。  さはさりながら、今回の原発事故に伴って、世界が原子力発電の見直しという方向に今動いている状況も見えてくるわけであります。経産省にまずお伺いをしたいんですが、今回の福島第一原発事故を受けて、世界の原発推進に向けた計画等の変更が生じていないのか、動向について御説明願います。
  43. 横尾英博

    政府参考人横尾英博君) お答え申し上げます。  まず、アメリカ、フランス、イギリス、ロシア等、いわゆる原子力の先進国につきましては、安全性の再点検等の動きはございますが、原子力発電そのものに対する基本的なこれを活用しようという姿勢、これは変化がないものというふうに承知をしております。  他方におきまして、ヨーロッパの一部の諸国、ドイツ、イタリア等におきましては、原子力発電を再開なり延長する動きがあったのが、もう一度見直しをして、場合によっては凍結をしようという動きがあるというふうに承知をしております。  それから、委員これも御指摘になりました、いわゆるこれから原子力発電を導入しようとするベトナム、トルコ、ヨルダン等につきましては、計画を維持を表明をしているというふうに認識をしております。
  44. 塚田一郎

    塚田一郎君 慎重になる国も出てきているということだと思いますが、じゃ我が国として、この原子力輸出を、インフラの輸出の中で大きなウエートを占めていると思うわけですが、まあ今の現状は当然のことでありますが、今後こうした原発輸出の戦略を見直していくのか、経済産業省、政務官お願いします。
  45. 中山義活

    大臣政務官中山義活君) 実はヨルダンのリファーイ首相とも私ども交渉しまして、実際いろんなお話をしてまいりました。そのときに、柏崎の問題を出して、日本原発は震度六にも十分耐え得るし、IAEAが一番早く安全宣言してくれたというようなことを売りにしてお話をしてまいりました。かなり、抱き合って協力を頼むと言われて、私たちもこれは受注を受けたという確信を持って帰ってきたんですが。  しかしながら、こうやっていろんな事故がありますと、本当にその安全というのはどうやってやったらいいかということ、これをもう一度緊急に見直していかない限り次には進めないというふうに思います。それにはやはり福島第一の原発のこの収束を少しでも早くやる、それをやらないうちはなかなか前に出られない、こう思います。しかし同時に、外国の経済が止まっているわけではありません。それもしっかり考えながら、少しでも早く安全の方法を的確につかんでいくということだと思います。
  46. 塚田一郎

    塚田一郎君 厳しい現状を踏まえつつも、また推進に向けていきたいということだと思うんですが、いい話ばかりではありませんで、実は既に日本の東芝と東京電力が進めていた原発増設計画が、アメリカ電力大手のNRGエナジーからこれについては今回は取りやめるという発表をされているということも事実出てきているわけでありますから、今回のこうした状況でやはり大きな影響が出てくると考えざるを得ないのかなというふうにも思うわけであります。  そうすると、原子力の部分については慎重に取り扱いながら今後また頑張っていくということになると、ほかにどういう分野で戦略として伸ばしていくのかということが次に議題になってくるわけですが、新幹線のようなすばらしい技術もありますけれども、ほかにどういう分野を輸出の目玉と考えられているんでしょうか。
  47. 中山義活

    大臣政務官中山義活君) ベトナムとかインドネシアへ行きますと、やっぱり何より大切なのは電気なんですね。私たちは電気があるのを当たり前と思っておりますが、外国へ行きますと、まだ停電とかいろいろありまして、本当に工業を興していくためにはもう電気以外はないんです、考えられません。  そういう面では、石炭火力、こういうものについても、日本の石炭火力はこれ大変超臨界、超々臨界、ガス化をしてできる限りガスに近い形でやっていく、これCO2も出ないんです。で、CCSなんか加えますと全くCO2の出ない石炭火力ということが可能になってまいりましたので、これはまず第一だと思うんですね。  かなり、インドネシアでも電力に関してはやっぱりどうしてもやりたいと、やらなければ国の工業の発展が止まってしまう、これはもう厳然たる事実です。それと、やはり水がすごい汚れているというのを感じるんですね。それから中東なんかは、水の問題でも何が問題かといいますと、海水を淡水に変えるんですが、その水を送る、我々でいえば水道管なんですが、その水道管から四〇%も水が漏れているというんですね。これを何とか日本の技術で漏水率をなくしてもらいたい。  ですから、もう数限りなく私はインフラ輸出というのはあると思います。ですから、やっぱりあとは、JBIC、NEXI、相手にお金の心配させないような方向があるんではないか。特にNEXIは民間の金融機関も引き入れて、何とか民間の融資もうまく誘導してやっていくために是非、大変有力なものだというふうに思っております。
  48. 塚田一郎

    塚田一郎君 まだまだ電力供給のニーズは世界で高いと、いろんな安全な技術もある、また水も日本は非常にこういう水の技術も進んでいると、そんなようなお話でありました。  新幹線のお話が出ませんでしたが、国交省だからというわけではないと思いますけれども、私はやっぱり新幹線の技術というのは世界に誇れる技術だというふうに思っております。今回の地震でも新幹線はもうぴたっと止まったわけですね。この地震に対する対応力というのは、私は非常に高いものだと思いますし、こうした技術をやはり世界に認めていただけるべきではないかというふうに思うわけですが、一方で、新幹線などの技術が海外に流出をしているという、こういうケースが散見をされるわけであります。  以前、海外のホテルに泊まってあちらのテレビを見ていましたら、CMをやっているんですね。日本の新幹線が走って、日本のような景色の中で、英語でアナウンスしているわけですが、すばらしいシステムを持っていると、これを海外に売り込んでいくみたいなコマーシャルだったわけですが、私はてっきり日本の新幹線をPRをしているCMだと思ってずっと見ていたら、最後に、何とチャイナなんですね、クレジットが出まして、これは中国の新幹線をPRをしているコマーシャルだったわけです。これを見て愕然としたのは、まさに我々がふだん見ている日本の新幹線と同じ形の車両がそこに出ているわけで、今日ちょっと資料をお付けできなかったんですが、例えば川崎重工が技術協力をして日本の新幹線と全く同じような形の中国で国産の新幹線が既にできているわけです。こういうものがこれ、中国で日本のものを作られちゃって、しかも価格も安く競合されたりすると、これは競争になりませんね。  だから、こういうことを私はしっかり、どこかでこの技術の流出の問題、まあ実は中国はヨーロッパからもこのような技術を取ってきているわけですから同じようなことをやられているわけでありますが、こういうことに対してどのような対応を取っていかれるのか、国土交通省、御説明いただけますか。
  49. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) 先生御指摘のように、我が国の新幹線を始めとする優れた鉄道システムというものを海外輸出していくということ、これ我が国の成長にとっても非常に重要なことだと思っております。そして、その際に今御指摘がありましたような技術流出のリスクというのは当然考えていかなければいけないということでございます。優れた技術というものを他国としっかり差別化し、そしてその優位性を確保していく、これは、例えばその運行システムのノウハウでございますとか、あるいは製造の設計、あるいは製造のノウハウ、あるいはその品質管理のノウハウ、こういったものにつきましてしっかり知的財産のマネジメントをする、技術情報の管理をやるということが非常に重要であるというふうに思っております。  知的財産戦略本部でもいろいろ御検討いただいているところではございますけれども国土交通省といたしましても、この技術情報の管理、知的財産の保護というものを官民連携してしっかりとやって海外への輸出というものを推進してまいりたいというふうに考えております。
  50. 塚田一郎

    塚田一郎君 ちょっと具体的に納得できないところがありますが、実際に、だってこれ川崎重工が中国に技術を供与してそういうものができているわけじゃないですか。もう現在はこういうことに対しての法的規制がないということですよね、行われているわけですから。この辺りを問題意識を持たないといけないんじゃないかと思うんですが、経産省、政務官、どうですか、これ。
  51. 中山義活

    大臣政務官中山義活君) パッケージで我々はやっていくという視点で今考えておりますので、今言ったそのオペレーションの技術とか、日本の場合、時間が全然遅れないとか、例えば東京駅に新幹線が入ってきて、それで中で掃除をぱっとして全くきれいにして滅菌して出ていく、こういうようなことはやっぱりほかの国じゃ考えられなかったようなことらしいんですね。  それで、私たちは、今言ったような技術提携も、中国の場合は純国産と言っているんです、言い切っちゃっているんですね。だから、日本に技術提携をしてもらったというような謙虚さが全く私たちはなかったので残念だなと思っているんですね。やっぱり日本との技術協定によってこういうことができたということを言ってほしかったと思うんですが、やはりその辺は、今後戦略的な知的財産の本部でその辺はどうやってやっていくか。ただただその技術を差し上げて、それをそのまま使われたんでは日本のこのインフラ輸出はなかなかうまくいかないものですから、そういうパテント系のものとか知的財産のやつについては、本当に戦略的に官邸で本当は総理がトップに立ってしっかりこれをやらなきゃいけない仕事だと思います。
  52. 塚田一郎

    塚田一郎君 いや、本当、しっかりやってください。  中国に謙虚さを求めることがどうなのかと私はちょっと思いますが、実際、日本からもドイツからも、ドイツの場合はシーメンスが技術協力をしたり、いろんなところから中国は技術を得ているわけであります。そうすると、そういういろんな技術を融合して、いつかこれは中国のオリジナルだと言って必ず海外に売り出していくことは、私は目に見えるというふうに思うんですね。  確かに、日本の新幹線は何もハードだけではなくてソフトの一体の技術力が高いということは分かりますけれども、そういうものだっていつの間にか海外にそうした技術が出ていかないとは限りませんから、是非これ政府一体として、特にこのインフラ輸出などにはいろんな知的財産の重要な要素が含まれるわけですから、この辺りの流出についてきちっとした対策を具体的に講じるということを強く要望させていただきたいと思います。  次に、時間もだんだん迫ってまいりましたので、今日は阿久津政務官から来ていただいておりますが、内閣官房の方にお尋ねをしたいわけですけれども。  新成長戦略で二〇二〇年までに十九・七兆円の市場規模をこうしたインフラ輸出等で目指すとおっしゃっていますが、一方で玄葉国家戦略担当大臣原発輸出の見直しということも最近表明をされています。そうすると、この十九・七兆円の中には、当然、いろんな分野での積み上げですから、原発輸出ども想定をして、今後、こうした数字を作られていると思いますが、この新成長戦略に見直しが必要になってくるんではないかというふうに思うんですが、その辺りいかがですか。
  53. 阿久津幸彦

    大臣政務官阿久津幸彦君) アジアや世界の活力を取り込むことは我が国の成長にとって不可欠であるため、我が国の優れた技術をシステムとして海外展開する取組を今後もしっかり推進してやっていかなければならないというふうに認識しております。  東日本大震災によるサプライチェーンの障害とか、それから電力不足、原発事故による風評被害我が国輸出全体に大きな負の影響を与えるおそれがあると思います。まずはエネルギー政策やサプライチェーンの復興に取り組みつつ、原子力発電所等のインフラ輸出についても、その安全性を確認していくことにより日本ブランドへの信認を回復することがまずは重要だと考えております。  御指摘の目標達成の見通しに関しては、今後その実現の可能性をしっかりと検証しつつ、更にどのような取組が必要か検討していくことが重要であると認識しております。
  54. 塚田一郎

    塚田一郎君 まさにいい機会なんで、立ち止まってその安全性も含めて考えられるということは大事だと思います。  目標を求めていくことも大事ですけれども、質の部分も当然重要なわけですから、そうしたことをしっかりと踏まえてやられるべきだと思いますが、さはさりながら、政府として目標を立てられているわけですから、これが今後どうなっていくかということはきちっとやはり我々にもお示しをいただきたいと思いますし、今後の原発についても、その辺りのことを含めてきちっとした議論をしていただきたいということをお願いをさせていただきます。  これは法案に関連して一点ちょっと確認をしておきたいんですが、先進国と開発途上国ということで基準を分けられているんですが、これはどういうところで、例えば私がぱっと浮かぶのは、中国はどっちなのと。普通考えると、もう我々の意識では、今お話ししてきたように、もう十分先進国のレベルで、まあODAを出すべきかどうかという議論もありますけれども、思うわけですが、このルール上はどうなっているのかということを教えていただきたいと思います。
  55. 五十嵐文彦

    ○副大臣五十嵐文彦君) お答えをいたします。  中国は、先進国にはこのJBIC金融支援では入っていないということで、日本と二十九か国、日本以外の二十九か国をリストアップしておりまして、それ以外の国は実は開発途上国というJBICの業務方法書に定められた、これは内規でございますけれども定められております。これはどういうことかといいますと、OECDの公的輸出信用アレンジメントというものがございまして、そのリスク評価に応じて定められておるところでございます。
  56. 塚田一郎

    塚田一郎君 まあ国際的な基準にもあるのかもしれませんが、中国が先進国じゃないというのはどう考えてもおかしいし、私はやっぱりODAの対象先にはなり得ないと思うんですね。そういうことを、今回のこの切り分けはいろんな形があるのかもしれませんが、もう少し実態に即してそういうこともやっていっていただきたいということも、さっき言ったとおり、日本の技術が中国に行っているわけですし、そういう現状も踏まえていろいろこの辺りの制度もつくっていっていただきたいと思います。  もうあと残り僅かで最後の質問なんですけれども、今回のこのJBICの改正ということは、実は三年前ぐらいのときにつくった形をまた改めるということでありますから、非常に短期的に見直しが行われたと。正しい方向であれば状況の変化に応じてそれをすることもそれは政治的には重要なことだと思いますけれども、しかしながら、制度をやはり短期間で見直しを続けていくということはいいことではないと思うんですね。  そこで、ぱっと思うところは、そもそも政府金融機関の在り方というのを今の内閣はどのようにとらえられているのか、このJBICのことだけに限らず、その辺りをお伺いをしたいと思うんですね。特に、この被災を受けて、まさに民間の金融機関だけではなく、政府金融機関の果たす役割、こういうものの見直しの声も上がっていると思います。特に、例えば景気後退局面とかこういう災害時に政府系の金融機関の在り方というものが評価があるわけです。民業圧迫という要素はこれは避けなければいけないけれども、一方で政府金融機関が果たす役割というものも必ずあるわけであります。  この辺りについて、今の内閣として、財務大臣JBICのことに限らず、ほかの政府金融機関の在り方についてもここでもう一度考えを見直していくような方向で考えられているのか、それとも今回のJBICだけのことでほかの部分については白紙の状況なのか、その辺りを教えてください。
  57. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 従前の政府金融機関の改革というのは、思い返してみると、政策金融は必要ですと、いろいろ機能はなきゃ駄目だと、ただ、それを実践をする機関についてはいろいろ整理統合した方がいいんじゃないかという議論だったと思うんです。政策金融は、これはいつの時代でも私は必要だろうと。特に、あのリーマン・ショックのような金融危機があった後とか、あるいは今般のような未曽有の大震災があった後などは、政策金融の出番というのはこれは今まで以上に強まってくるだろうと思います。ということは、政策金融は常に必要、あとはその状況に応じてどう対応するかという現実的な対応をせざるを得ないと思います。  私、たまたま今JBIC法の議論でありますけれども、基本的にはそのほかの政策金融機関についてもこの震災を受けてどうしたらいいかという議論を全体としてやっていかなければいけないんではないかなというふうに考えております。
  58. 中山義活

    大臣政務官中山義活君) ちょっと委員長、補足して。ちょっと補足を。  今回、ツーステップローンとかいろんな新しい考え方も今持っているんですが、これはあくまでも民間の金融機関を指定金融機関にして民間の力を引き出そうというのが目的でございまして、あくまでも政策金融というのは民間金融機関の補完であるというふうに私たちは思っています。  できれば、金融庁がBIS規制をもっとやりやすいように、お金が出やすいような状況をつくるとか、果たして、じゃ、BIS規制というのはそのままやっていて本当にいいのかどうかと思うくらいの、我々はお金が出ていないというふうに思うんですね。ですから、どうしても民間金融機関からお金を出したいということがまず一番大きな目的です。  それから、外国へ行ったときに、やっぱりJBICは使い勝手いいねというのは商社の方にみんな言われるんですね。それは、十五年、二十年、長いんです。外国はかなり短い期間でお金を貸しているんで、やっぱり政策金融機関のいいところというのは、長期でお金が貸せる、つまりみなし投資でお金が貸せるということで、借りているというよりも投資的な要素が強いわけで、長期間ありますよ、その間に研究や仕事をうんとやってくださいよというのが私たちの趣旨でございまして、特にツーステップローンは今度活用して、できる限り災害の地にお金が回るようにしていきたい。それから、金融庁にもできる限り中小企業金融検査マニュアル等を、考え方を変えてもらえばお金が出ていくんじゃないかと、こう思います。
  59. 塚田一郎

    塚田一郎君 何か野田財務大臣中山務官は少しトーンが違ったように聞こえたわけでありますが、ここはよく政府内で整理をしていただきたいと思いますが、私が言いたいことは、残念ながら我が国は非常に災害というものを多く、こうした直面をしなければいけないという状況な国でありますから、まさにそうしたことを考えながら、政府金融の在り方ということも議論していくことは悪いことではないと思います。  また一方で、民間ができることは民間がやるべきだということも当然そのとおりでありまして、特に今、海外での話が出ましたが、よく民間金融機関からあるのは、外貨の調達が難しいということなんですね。なので、ここを、要するに外貨が調達できないために思い切って海外での投資ができていかない。これは、例えば政府日本のJGBか何かを担保に民間金融機関から外貨を、政府が持っているわけですから、ドルなどを、こういうものを資金供給をするようなスキームを例えば考えることも私は方法論だと思いますので、これは答弁は結構ですけれども、そういうことも研究をしていただいて、民間でできることは民間に、しかし、最後の部分ではやはり政府金融機関がしっかりと守っていくと、そういう仕組みづくりをやっていっていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  60. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 公明党の竹谷とし子です。  本日は、国際協力銀行法案について、国民に対する適切な情報開示という観点から質問させていただきます。  本法律案は、パッケージ型インフラ輸出政府として推進するに当たりJBICのファイナンス機能を強化する必要があるとして提出をされました。しかしながら、東日本大震災からの復旧復興が最優先課題である現在、本法律案の成立を急ぐ必要があるのかと、国民の目線からは厳しいものがあるということも否定はできません。本法律案によって、JBICがこれまで行うことができなかった先進国向け輸出金融を可能にすることなど業務が拡大をされ、一部は公布日より施行されます。  この業務拡大について、本法律案の成立を急がなければならないほどの具体的案件があるのか、財務大臣の御見解、お伺いしたいと思います。
  61. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 今、直接の御質問に入る前に、前段のところで、何でこんなJBICを急がなければいけないのかという国民の声があるというお話ございました。前にもどなたかにお答えしたかと思うんですけれども大震災からの復旧復興が最優先であることは間違いございません。一方で、経済成長を実現をするために様々な政策をつくっていくということも大事であって、東日本大震災の復旧復興を通じて日本がもっとすばらしい国にしていくという発想と、日本全体が元気になることが復旧復興に資するという、これ相互に関連をする話だというふうに思います。  その中で、なぜ急がなければいけないのかという個別の案件なんですが、これ実はいろいろあるんです。具体的な案件を会社とか何か挙げて言うことは差し控えたいと思いますけれども、航空機とか船舶、輸出で現在決定的な局面にあるということで、これら、激しい競争を今している最中で、この法案が早期に成立をすると、相当にこれらのプロジェクトを日本が獲得する後押しになるというふうに思います。
  62. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 ありがとうございます。  本法律案に対する国民の視線、このようなときになぜとやはり厳しいものがありますので、国民が納得できる説明をと申し上げておきたいと思います。  JBICは国民の税金により運営されている以上、民間の金融機関よりも透明性の高い情報開示が求められると私は思います。現在、四半期ごとに具体的な融資先等について原則開示を行っているとのことでありますが、秘匿性の高い案件は公開されないこともあると説明を受けました。しかし、そのような案件ほどハイリスクで国民に開示すべき案件が多い可能性があります。  今回の業務拡大を踏まえ、より一層の積極的な情報開示が求められると考えますが、情報開示について、現状と、また今後の取組についてJBICの見解をお伺いしたいと思います。
  63. 渡辺博史

    参考人渡辺博史君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、JBICとしても公的機関として説明責任を国民に対して果たすということは非常に必要だということで、今委員指摘のように、ホームページを通じまして、これまでに行ってきました出融資について四半期ごとに開示をしているということでございます。中身については、どういう金融の種類、出資であったか融資であったか、あるいは保証であったか、あるいは契約の調印日、それから仕向け国、どこの国で実際にプロジェクトが起こっているか、それから顧客の名前、それから資金の使い道、金額というのを公表させていただいております。  ただ、委員が御指摘のように、リスクが高いかどうかというよりも、その企業自体がどういうファイナンスをしているかということを今出すこと自体が企業との競争関係の中で多少問題を生じるものについては今公開を控えているという状況にはございますけれども、方向としてはなるべく一般的に開示ができるようなことをこれからも努めていきたいというふうに思っております。  それから、それと併せまして、金融のみならず、今日の御議論もございましたように環境の問題というのが非常に大きくなっておりますので、それぞれの資金が使われたプロジェクトがどういう環境の問題を起こすのか、あるいはそれを起こさないようなチェックがされているかということについての評価についても我々が入手したものについては公開をさせていただいているということでございますが、今後ともその方向で進めていきたいというふうに思っております。
  64. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 ありがとうございます。  今回の法案で、JBICの投資金融について中堅・中小企業海外投資案件に邦銀経由でツーステップローンを供与できるようになります。この点は評価しているところでございますので、今後、それが活用され、中堅・中小企業海外展開に対してJBICが貢献をしているということ、その取組についても積極的に開示をしていただきたいというふうに思います。  次に、朝鮮半島エネルギー開発機構、KEDOについてお伺いいたします。  JBICは、一九九四年の米朝枠組み合意に基づいたKEDOの軽水炉プロジェクトに対して政府方針で総額四百七十三億円の貸付けを行いましたが、現在、プロジェクトは停止し、この貸付けは事実上回収不能です。この事態に対して外務省は、お配りした資料の、この資料ですけれども、このスキームで資金返済を実施しています。これは外務省が拠出した資金でKEDOがJBICに債務を返済するというもので、事実上、北朝鮮の債務を日本政府が肩代わりしている形になっています。  ここで指摘したいのは、この国民負担が明確に情報開示をされていないということです。外務省のホームページのKEDOのページでもこのスキームについては書かれておらず、予算書、決算書上では経済協力国際機関等拠出金の内数でしか記載されておらず、正確な国民負担の額、これは明確にされていません。このスキームには、平成十九年度から二十二年度まで約三百六十億円の国民の税金が支出されております。  外務省として、国民負担が幾ら発生しているか、透明性の高い情報開示を行うべきと考えますが、外務省の見解、お伺いしたいと思います。
  65. 石井正文

    政府参考人石井正文君) お答え申し上げます。  私ども説明責任は極めて重要だと考えております。そういう観点から、平成十五年より、関係省庁の御協力も得ながら、政府全体としての国際機関などへの拠出金、出資金など、これはKEDOも含むものでございますけれども、に関しまして報告を作成いたしまして、個々の国際機関への拠出金額を公表してきております。これはホームページの中で金額及びその目的などについて公表するようにしております。  また、昨年、平成二十二年には行政事業レビューを実施いたしまして、その点検結果を反映した行政事業レビューシートの中で個々の国際機関への拠出金額、これはKEDOもでございますが、を公表しております。
  66. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 ありがとうございます。  今後も、情報の透明性を高めて国民への説明責任を果たしていっていただけますようにお願いをいたします。  さて次に、前回に引き続きまして、喫緊の課題である東日本大震災に関連する質問をさせていただきます。  この度の震災で大きな被害を受けた企業、多くが早期の再建を期して従業員の雇用の維持に努力をされています。このような企業にとって雇用調整助成金は大変有効な制度ですが、被災地の企業状況を熟知している商工会議所から、雇用調整助成金を申請してから支給されるまでに三か月程度掛かってしまう、この間のつなぎの資金を何とか政府支援をしていただけないかとの要望をいただいております。  日本政策金融公庫は、リーマン・ショック後の中小企業資金繰り支援策の一つとして、雇用調整助成金を申請した企業に対し、届出受理書を持参すれば手続ができるという長期運転資金の貸付けを行っておりました。本日皆様にお渡しした日本政策金融公庫の資料、こちらですね、こちらの資料にも、また、厚生労働省の雇用調整助成金のガイドブック、こちらですが、こちらにもこの制度が紹介をされています。しかし、残念なことに、この貸付制度は本年の三月三十一日をもって打ち切られています。  雇用調整助成金を申請する企業の多くが仕事が減って資金繰りに苦労されています。このような企業は既存のセーフティーネット保証を利用することは可能ですが、申請手続、これが煩雑です。より簡便な手続で利用できる貸付制度が望まれています。  国は、被災地の企業の負担を軽減するために雇用調整助成金の申請手続を簡便にするなど配慮しています。雇用調整助成金とそれが支給されるまでのつなぎに使える融資、これをセットで利用できるように、無利子を前提にした利子補給が必要と考えますが、中小企業庁のお考えを伺いたいと思います。
  67. 伊藤仁

    政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。  被災によりまして従業員の給与や雇用の対応に苦慮されていらっしゃいます中小企業者に対しまして、御指摘の雇用調整助成金の支給に係る運転資金も含めて、被災地の資金繰りに係る様々なニーズに対応できる融資制度というものを創設しているところでございます。今御指摘セーフティーネット付けもその一部でございますけれども、さらに、今後、補正予算活用させていただきまして、セーフティーネット付けの内容を更に拡充した東日本大震災復興特別貸付けを創設する予定でございます。  御指摘の運転資金への対応も含めて、被災地からの様々な資金ニーズへの対応、それから手続の簡素化についてしっかり努めてまいりたいと思います。
  68. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 是非お願いいたします。  続きまして、避難されておられる方の生活環境の整備について伺いたいと思います。  大震災から一か月半が過ぎましたが、残念なことに避難所を始めとする被災者皆様の生活が大きく改善されたとは言えないと思います。国の被災者生活支援特別対策本部が行った三県全避難所に対する実態把握の結果が先日発表されました。それを見ますと、避難所の四割弱で入浴ができない、また入浴が週一回程度、同じく、温かい食事がほとんど提供されていないところが四割、着替えの下着がない、又は洗濯ができないところは半分近く、プライバシーが確保されていないところが七割以上という厳しい結果です。この調査は回収率僅か三〇・九%で、回答できない避難所は更に厳しい環境にあるということが容易に想像できます。  また、宮城県の栄養士さんらの調査では、避難所の九割でカロリー不足、七割から八割でたんぱく質の不足、ビタミンが欠乏。さらに、五百人以上の大型避難所では一日二食しか支給されていないところが四五・五%にもなることが明らかになっています。  先週末、陸前高田市で仮設風呂の設置をされたボランティアの方からお話を伺いました。設置されたところでは六十人ほどが公民館で避難生活を送っておられて、これまでお風呂は四日に一回、自衛隊の送迎をしていただいて行かれていたということです。しかし、お風呂に入れるのは着替えも入れて僅か三十分。湯舟にゆっくり入ることもできず、一度お風呂に行った高齢者は何かと理由を付けて次からは行かなくなったそうです。そんな避難所にボランティアの皆様が簡易風呂を設置してくださったのですが、水も不足していて一日二百リットルだけですので、お風呂に使う水は近くの沢水をくんで利用されているそうです。  また、NHKのニュースによると、今回の震災で壊滅的な被害を受けた地域避難所では、エコノミークラス症候群を発症するおそれのある人の割合がほかの地域避難所に比べて最大で十倍近くに上ることが分かり、調査を行った医師が簡易ベッドを導入するなど避難所の環境の改善が必要だと呼びかけています。このエコノミークラス症候群は、長時間同じ姿勢を続けるうちに足にできた血の塊が肺の血管に達して詰まるもので、最悪の場合、死亡することもあるというものです。  避難所で苦労されている話が連日新聞にも報道されており、多くの国民の皆様が一体いつまでこんな生活をさせるのだと国に対し不満を抱いています。地元の自治体は当然のこと、厚生労働省など関係省庁の皆様震災以来努力をしてくださっておりますが、とても先進国の避難所とは胸を張って言えない状況が続いています。東北地方の方は我慢強くて要求や要望を口に出されないと伺いますが、それに国や自治体が甘えてはいけないと思います。我慢してくださっているのではなくて我慢を強いているのだと思います。  先日の予算委員会の総理の説明では、お盆くらいまでには仮設住宅に希望者全員が入居できるようにするということですが、それまでの約三か月、今のままの避難所生活が続けば命にかかわる問題です。これからは夏に向かって暑さや湿気も心配な季節になります。  そこで、国として、避難生活が今回のように長期に続く場合の避難所の最低基準、例えばお風呂は週二回以上とか、バランスに配慮した食事の目安としてカロリーやたんぱく質、ビタミンの量、温かい食事は日に一、二回、また一人当たりの広さ、マットレス、畳、簡易ベッドなど、ガイドラインを示して、市町村がそれを達成できるように後押しすることが必要と考えますが、いかがでしょうか。厚生労働省、いかがでしょうか。
  69. 金谷裕弘

    政府参考人(金谷裕弘君) お答えいたします。  今般の震災におきまして、お話ございましたように、多くの避難所が設置されておりまして、まだ多くの避難者方々が厳しい生活を余儀なくされていると、そういう状況にあるということは承知をいたしております。避難所それぞれの状況は、ライフラインが復旧したところなどはかなり改善が見られますものの、やはりライフラインが十分でない等のところについてはまだまだ厳しい状況があるというふうに認識しております。  そういった状況におきまして、まず厚生労働省として取り組んでまいりましたことは、まず生活環境の改善といたしましてプライバシーの確保、あるいは栄養バランスを十分確保した食事。さらには、特に災害のときに厳しい状況に置かれます高齢者あるいは障害者といった要支援皆様方、そういった方々に対して特別な配慮をすることができます福祉避難所の設置など、そういった避難所の生活環境の整備について被災県に対しまして発災後直ちに事務連絡を出しまして、その対応を要請したところでございます。  また、そういった中におきまして、特に高齢者の方々、配慮を要する方々避難のためにホテルあるいは旅館などを借り上げて避難所とすると、そのようなことができるということを通知を発出いたしまして、積極的な対応お願いをしておるところでございます。  また、先ほど入浴のお話もございましたけれども避難者の入浴機会の確保をするということのために、近隣の例えば銭湯などの入浴施設の利用料、あるいはその送迎に要する費用、あるいは仮設風呂の設置、そういった費用につきましても災害救助法の対象となるというふうなことを周知をしてきたところでございます。  また、避難所におきます健康、衛生管理対策ということで、全国の保健師の方々に現地に入っていただきまして、現在でも、昨日現在ですが、百三十二チーム四百四十一人の保健師の方が現地でずっと活動をしていただいておりまして、お話にございましたような衛生対策、あるいはエコノミー症候群にならないようにということで体操の御指導とか、そういったことにも心掛けておるところでございます。  こうした避難所におきます費用につきましては、災害救助法によりまして国庫負担の対象となるところでございまして、引き続き避難をされている方々のニーズに対応できますよう、被災自治体に対しまして私ども適切に助言をさせていただくとともに、先ほどお話のございました応急仮設住宅等の早期の整備など、避難所の早期解消に向け支援してまいりたいというふうに存じております。  以上でございます。
  70. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 ありがとうございます。  これまで様々厚労省が通知を出してくださっていることは承知をしておりますけれども、自治体側でそれを受け止めて、避難所の方々のケアをする人的な部分について圧倒的に不足しているということを認識しております。  この件にも関連をいたしまして、次に被災自治体の現状について総務省に伺いたいと思います。  被災された皆様、特に一家の大黒柱を亡くされた方にとってすぐに手にすることのできるお金の一つが災害弔慰金です。生計維持者が亡くなられた場合に、御家族、二親等以内の方に対して五百万円が支給されるという制度ですが、その支給が大変遅れています。今回の大震災で亡くなられた方は二十七日現在で一万四千五百十七人、それに対して弔慰金が支払われたのは、四月二十二日現在で見込み数も含めて僅か百二十四件です。大震災から既に一か月半以上が経過しておりますが、ほとんどの方が弔慰金を受け取っておられないというわけです。地元自治体において災害弔慰金の支給が遅れている理由、原因を総務省はどのように考えておられるでしょうか。  災害弔慰金の支給が遅れていることは一つの例にすぎないと思います。被災地の自治体は、役所の建物も被災して、役所機能が著しく低下したところも少なくありません。職員の方も多くが被災者で、亡くなられた職員もおられます。そのような中、震災直後から避難所の運営、支援物資の受入れ、戸籍や住民票の復旧、罹災証明を始めとする各種証明書の発行、さらに災害弔慰金や見舞金の手続、仮設設置場所の用地確保等、まさに不眠不休で働いてくださってもなお様々なところで手続が滞っているという現状です。  専門家は、職員の方の過労死や心の病気を心配されています。ある町では、職員の三名がもう既に退職したとの報告もありました。総務省も、被災地の自治体に対して都道府県や政令市からの職員派遣を要請され、さらに総務省からも人を派遣されています。それでもまだ今のような状況が続いています。総務省が取り組んでおられる市町村職員の派遣スキームも、被災市町村の派遣要望人数六百七十三人に対して全国から二千五百六十二人もの申出があったそうです。これは、三月二十八日第一次の締切りで、今もまだマッチング中とのこと。迅速に機能しているとは言い難い状況です。  被災地の自治体の人員不足や被災自治体への支援の遅れは、被災地、被災された皆様の命と生活に直結する問題です。その意味で、自治体への支援が遅れることは人の命の問題だと私は思います。全国には自治体職員をリタイアされた元気で意欲のある、また経験豊富なOBの職員の方もたくさんいます。このOB職員を臨時に雇用して、即戦力として活用できるように国が後押しすることも提案したいと思います。  国は、三県全避難所に対する実態把握の調査の結果を踏まえて、環境改善が特に必要な避難所への支援強化について県、市町村に対して要請し、さらに回答のなかった避難所について把握を進めるということですが、被災自治体が……
  71. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 竹谷さん、時間が過ぎておりますので簡潔にお願いします。
  72. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 はい、済みません。  国からの要請を受けただけで十分に取り組めるとは考えられません。総務省の更なるバックアップが不可欠だと考えますが、いかがでしょうか。
  73. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 総務省鈴木副大臣、時間過ぎておりますので簡潔に。
  74. 鈴木克昌

    ○副大臣(鈴木克昌君) 限られた時間でございますので、端的に御答弁をさせていただきます。  今委員おっしゃったように、本当に今回の大災害、家族も失い家も失い仕事も失い、本当に頼りの綱はまずお金ということだと思います。その支給が遅れておるということについては、本当にこれは私どもも心を痛めておるわけでありますが、ただ端的に申し上げると、やっぱり現在まだ行方不明の方々がたくさんお見えになるということで、どうしてもそういった方を捜し、そして御遺族を捜していくということをきちっとやっていかないと、このことについては亡くなった方の御遺族の感情なんかもありまして、非常に難しいところがあります。しかし、必要性は十分感じておりますので、理屈はともかくとしても、なるべく早く正確に実施をさせていただくように最善の努力をさせていただきたいというふうに思います。  それから、連携でございますけれども、応援でございますが、今おっしゃったように、本当に県を、そしてまた県と市町村、そしてまた国と県、国と市町村、もういろいろなスキームでやっておりますが、結論からいうと、やっぱりニーズなんですね。やっぱり数だけでは、マンパワーだけではなくて、どういうニーズがあって、どういう人を送ることが大事なのかと。その辺のところで確かに、現地からの要望と応援してもいいよという、先ほどのマッチングの数の違い等も出てきておりますが、その辺も今かなり進んできておるというふうにも思っております。しかし、さらに我々はどういった要求があるのか、どういう人を送り込むことが一番手助けになるのかということをきちっとわきまえて対処をしてまいりたいというふうに思います。  それから、いわゆるOB職員の派遣等も含めてのことでございますが、これも十分、県そして市、町で考えていただいておりまして、例えば岩手県においては県で四百五十人、市町村で三千五百人、宮城県においては県と市町村で四百人、福島県では沿岸部の十三市町村で六百人、新たな雇用をつくっていただいておるわけでありますけれども、もちろんそれは全てOBということではありません。その中にもやっぱりOBや経験者を極力生かさせていただいて、従前の持つノウハウといいますか能力を発揮していただけるような、そういうことも十分考えてまいりたいというふうに思っております。  時間があれば詳しく御説明しますが、これぐらいにさせていただきたいと思います。
  75. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 済みません。ありがとうございました。  時間超過して申し訳ありません。終わります。
  76. 中西健治

    ○中西健治君 みんなの党の中西健治です。よろしくお願いします。  国際協力銀行法案につきまして、野田財務大臣にお伺いいたします。  本法案は、大まかに言いますと、JBIC機能強化と組織分離の二つを行おうとするものであると理解しておりますけれども、この機能強化と組織分離は各々別の問題であるというふうに考えております。  そこで、まずは機能強化についてお伺いしたいと思います。  JBIC、この十年間業績を見ておりますと、見事なまでにほぼ一本調子で右肩下がりという業績になっております。当期の純利益、そして国庫納付実績ともにこの十年間で二分の一以下になってしまっている。むしろ官製金融としてJBICは役割を終えつつあるのではないかと思いますが、そこについてどうお考えでしょうか。
  77. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) JBICのそもそもの目的というのは、政策金融機関として重要な海外資源を確保することであるとか、我が国産業の国際競争力の維持向上、こういうことが目的でありまして、利益を最大化するということではございません。また、実績として今たまたま当期純利益とか国庫納付実績のお話をされましたけれども、出融資等の承諾額は十年前に比して約三倍に伸びております。  先ほど来ずっとお話をさせていただいたとおり、インフラに向けての需要がこれからもっと増えていくという中、海外での競争が強まっている。そして、ドル資金を獲得することは民間だけでは困難になってきているという状況を考えると、ますます役割は大きくなってきているのであって、役割を終えつつあるという認識では私どもはないということでございます。
  78. 中西健治

    ○中西健治君 先週の本委員会野田財務大臣は、政策金融改革の経緯にも言及されまして、今後もJBICの民営化はあり得ないということを明言されたわけですけれどもJBIC、業績は下がっていながらも黒字であることは変わらないということでございます。この黒字経営の組織を民営化させないとするその理由は何なんでしょうか。黒字ですから株式を上場させる、そうしたものを財政に充てていく、そうしたことは十分に考えられるわけですが、なぜそういうことをしないのでしょうか。
  79. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) JBICのそもそもの目的はさっき申し上げたので、重ねては申し上げません。  株主利益を追求することを目的とする機関ではないということがこれ大前提でございまして、また外債発行に対する政府保証など、長期、巨額の資金供与といった業務遂行に必要な資金調達について国の支援が必要でございます。このように、政策金融としての業務を適切に実施をするということ、そのことを確保するという観点から、政府が一〇〇%株式を保有する旨を法定をしているところでございます。黒字経営だから民営化するとの議論は、これは当たらないと。  逆の場合をちょっとお考えいただきたいと思うんですけれども、仮にJBICを民営化した場合、資金調達については政府保証を行うことができなくなるわけでございますので、資金調達コストが上昇して、採算を維持しながら他国の類似機関と競争をするということは難しくなるのではないかと思います。
  80. 中西健治

    ○中西健治君 ありがとうございます。  やはり、先週の本委員会野田財務大臣は、JBICの行う業務について民業補完だということを強調されたわけですけれども、今法案で掲げられております先進国向けの輸出金融ですとか短期のつなぎ資金供与、あとMアンドAの支援付けなどは民間でも十二分にできるところであるということだと思います。民業の補完をしなければいけないというのは、十二分にできないから政府が関与するんですよということを意味しているととらえられますけれども、こうしたことにJBICが関与することは民業の圧迫にほかならないと私は考えますが、いかがでしょうか。
  81. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 先ほど、竹谷委員の御質問の中で、緊急に迫っているいろいろ案件を申し上げました。これは先進国向けの輸出金融です。ここでの厳しい競争は、それぞれのライバルの国が官民挙げての競争で来ています。ここでやっぱりJBICが入ることによって競争条件が改善をされるということは、これ間違いありません。個々の案件は最近、やっぱり大型化、長期化しているわけであって、民間だけで外貨の資金を獲得するということは困難な状況の中で、どうしてもこれは乗り出していかなければならない状況になっているということが根底にあるということでございまして、第一条には、これは民業を補完をするという旨を書いています。第二条は、第十二条だったですかね、これは協調融資ということを原則とすることと書いてございますので、この法律上の立て付けからしても、民業を圧迫するんじゃなくて民業を補完する役割であると。民を除いて官で乗り出すということではなくて、民業をサポートしていくんだという、そういう立て付けであるということを御理解いただきたいと思います。
  82. 中西健治

    ○中西健治君 民業の補完であるというところにとどまるという位置付けであるということを、是非ともこれからも守っていただきたいというふうに思いますが。  そうしましたら、今度は組織分離について伺いたいと思います。  機能強化イコール組織分離というふうにはつながらないというふうに私は考えておりますけれども、この法案によりますと、会社の目的、組織、会計経理等、現行の株式会社日本政策金融公庫法の規定を引き継ぐ形となっております。それであれば日本公庫内にとどまっておればよく、組織の分離独立の必然性が非常に乏しいと言わざるを得ないと思います。  民営化を前提としない政策金融日本公庫でやるという、現行の枠組みの中で必要な機能強化があるのであればそれだけ行えばいいのではないかと思います。民営化しないのであれば分離独立の必然性がないのではないでしょうか。
  83. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 機能強化最大限に発揮させていくというために組織の分離というのが必要になってくると、そういうことでございまして、例えば財務の独立性、明確性の確保により資金調達の安定性を向上させる、あるいは業務の機動性、専門性等を強化することが必要であり、そのためにもこれは組織分離した方がその効果が効果的に現れてくると、そういうことでございます。
  84. 中西健治

    ○中西健治君 今の説明は全く説得力に欠けていると私は思います。  今おっしゃられた、組織分離の理由として機動性、専門性等の確保ということと多額の外貨を外国投資家から安定的に調達するための独自の財務管理を行う必要性、こうしたことを財務省の方は言ってきているわけですけれども、まず一つ目の機動性、専門性の確保、これはJBIC内部の体制強化でやりくりすればいいだけの話じゃないですか。どうして分離独立が必要なんですか。
  85. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) そもそも国際金融業務には国内金融業務とは全く異なる専門性が必要であるということ、また、海外インフラ等の大型かつリスクの大きい分野では、専門性と対外交渉力のある役員が適切なリスク評価に基づく機動的な判断を行う必要があるということ、そういう意味からも分離が必要であるということと、必要となる多額の外貨を安定的に調達していくために、これ国際会計基準も含めて各国要求されるような基準で海外の投資家にとって明確な財務内容の開示を行う必要性が高まるということも予想される。そういう意味で、これに対応するためにも独立した財務管理を行う必要があると、こういう理由でございます。
  86. 中西健治

    ○中西健治君 やはり説得力を欠いていると私は思います。機動性、専門性、大事です。国際金融では非常に大事ですが、そうした人を中で登用していけばいいというふうに思います。  分離独立の必然性はないだろうと思いますし、後段の外貨調達ということに関してですが、国際会計基準にのっとる財務諸表というのを作ろうということですけれども、どんな財務諸表を作ろうとも、結局のところ、投資家は財務諸表に依拠してJBICの発行する政府保証外債や財投機関債を購入するわけでは決してありません。私はずっとこの仕事をやってきました。そして、海外そして国内の投資家に対してJEXIMそしてJBICの債券を販売してまいりました。こうした外国人投資家は、政府保証そして政府機関としての日本国の信用度に依拠して購入するというだけでございますので、組織が分離されていようがいまいが全く関係ないというふうに思いますが、この財務諸表を作るということも取って付けた理由でしかないと私は思いますが、いかがでしょうか。
  87. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 取って付けた理由じゃなくて、委員のおっしゃるような政府の信用力の問題というのももちろんあると思いますよ。  ただ、政府の信用力以前の問題というのがあって、以前の問題、それはさっき申し上げたとおり、JBICの多額の外貨の安定調達には各国の証券市場で求められている財務のディスクロージャーなどに関するルールの遵守、これは信用力の以前の問題です。ルールの遵守というのが必要であって、国際会計基準への対応も含めてこうした諸外国のルールに機動的に対応しつつ、多額の外貨を安定的に調達をしていくことを可能にするために分離をし、独立した財務管理を行うということでありまして、例えば我が国企業にとって重要な展開先である中国は既に二〇一〇年より、人民元債券を発行する際には中国の企業会計準則又は国際会計基準に基づき財務諸表を作成する必要がある旨のルールを導入をしています。  JBICとしても、このような諸外国の動向に柔軟に対応できるようにしなければならないというふうに考えております。
  88. 中西健治

    ○中西健治君 中国のことはパンダ債のことも私はよく存じておりますけれども、そうしたことに分離独立しなくても対応ができるのではないかと私は考えているということでございます。  いろいろ理由が付けられていますけれども、今法案では、機能強化のうち先行実施可能なものについては会社の設立に先立ち平成二十三年度中から行うというふうに言っているわけでございます。組織分離しなくても十分に業務が実施可能ということをこれは表しているじゃないですか。組織分離は必ずしも必要ないということではないでしょうか。
  89. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) これはもう各方面からの要請に基づいて平成二十三年度から先行実施するものが幾つかございます。一つは、先進向け輸出金融、短期のつなぎ資金供与する投資金融、MアンドAを行うための投資金融等々ございます。これらは、もちろんそれはやっていくわけでありますけれども、これらをより力強く推進をするためには、先行しているこういう対象業務を始めとするまた新しい業務等を推進をするためには、相当規模で本格的に実施していく体制の整備が必要であるということで、今回の法案の提出に至っているということでございます。
  90. 中西健治

    ○中西健治君 組織分離の理由にはならないのではないかと思います。  そして、JBICにはかねてより財務省の有力官僚の天下りポストを提供しているという指摘がございます。今のJBICでも、専任、専担と企画部門を合わせてJBICの経営に携わっている役員の数は十名いるわけですけれども、経営責任者を含めて四名が元官僚、うち三名は財務省、そしてうち一名は元財務次官ということになっております。  天下っている先輩官僚に肩身の狭い思いをさせない、そして将来的に居心地の良い天下り先を確保するために、要するに財務省のための組織の分離なのではないでしょうか。
  91. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 天下り先の確保を目的とした法改正ではございません。先ほど来申し上げているとおり、機能強化、これが柱となっています。  新JBICを含む特殊会社の常勤役員人事に関しては、閣議決定におきまして、民間企業に近い形態であり経営の自主性を尊重するのは基本としながらも、特殊会社の常勤役員のうち公務員OBが占める割合については、省庁ごとに主管の特殊法人、特殊会社を通じて三分の一以内となるよう公務員OBの数を削減するという、こういうルールを設けております。  こういうルールに沿ってこれから適材適所の人事を行っていきたいというふうに思いますし、最終的には株主総会を経た後に財務大臣の認可という形になります。御指摘のようなことにならないように十分注意をしていきたいと思います。
  92. 中西健治

    ○中西健治君 十分注意していくのであれば、財務省のための組織の分離ではないということであるのであれば、今後、財務官僚経験者がJBICの役職に就任しないことを明言できますでしょうか。
  93. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 今申し上げたルールに沿って対応し、最終的には財務大臣が認可をするということでございますから、その中で判断をさせていただきたいと思います。
  94. 中西健治

    ○中西健治君 それでは手ぬるいのではないかと私は思うわけです。  今回の原発事故に関しても、経産省の資源エネルギー庁の長官が東電の顧問として天下っていたということに関して我々は何度も質問をしたわけですが、政府はそのときには天下りではないと、あっせんがなかったから天下りではないという判断、そういう答弁をしていたわけですが、結局のところ、今は不適切だというふうに言っているわけでございます。  ですので、事が起こってから判断を変えるというようなことになりかねないので、初めのところから、所管官庁からは一切官僚、元官僚を送り込まないと、そういったものは認めないということにしなければいけないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  95. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 政府全体として閣議決定しているルールがあるわけであります。さっき申し上げたとおり、三分の一以内となるように収めるというのが今当面の、これは閣議決定です。私も政府の一員ですから、その閣議決定に基づいて適切な対応をするということでございます。
  96. 中西健治

    ○中西健治君 李下に冠を正さずという言葉がありますので、この財務省とJBIC関係ということに関しては世間が厳しく見ているということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  97. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  法案については後の討論で触れたいと思いますので、先ほど民主党田中直紀先生からあった原発の仮払い補償金制度の問題ですが、種々田中さんが指摘された問題点がありますが、その中の一つなんですけれども、二十六日から原発事故による避難者に対して東電から仮払い補償金支払が開始をされました。対象は、避難区域、屋内避難地域など、要するに原発から三十キロ圏内の方々でございます。  ところが、地図をお配りいたしましたけれども田中さんの地図の方が詳しいですが、そちらの方を見てもらっても結構ですけど、要するに、同じ市、同じ町の中で三十キロ圏内と圏外を抱えるところがございます。これらのところでは、もう最初のこの三十キロの線引きで仮払い補償金支払われる支払われないで、住民感情をもうそもそも無視した話だということと、実際に開始手続が始まって大混乱が生まれております。  ところが市としては、その三十キロの線で、この線そのものがいいかげんな話で、放射能がこんなきれいに拡散するわけじゃありませんからおかしな話なんですけれども、市としては、そんな三十キロで住民を差別することはできないということで、例えば地図にあります南相馬市では、ここは二十キロ圏、三十キロ圏、三十キロ圏外と分かれるわけですけれども原発の影響は全市民に及んでおります。そういうことから、三十キロ圏外の南相馬の市民に対しても圏内の方々と同じ同額の義援金四十万円を支払っております。差別なんかできないわけですよね、それぞれの市町村では。浪江町も同じように、浪江町は少し三十キロ圏外があるんですけれども、三十七世帯そこにいらっしゃいますが、そこにも同じように、町の中、ほかの方と同様に義援金を支払っております。それぞれの市町村では三十キロで区別などできるわけではございません。  今回、東京電力が仮払い補償金の対象を三十キロ圏内に限定したのは、実は政府が、十五日に政府原発経済被害対応本部が指示を出したと。そこに、三十キロ以内の避難区域方々に限定して仮払い補償金を出すよう、指示といいますか促したわけですね。それを基に東電はやっているということでございます。  しかし、そもそもこの避難区域の線引きと原子力損害賠償法に基づく損害賠償とは直接の関係がございません。こんな圏外、何の関係もなく、とにかく東電から被害を受けた人はみんな損害賠償できるわけですから、この避難区域とは直接何の関係もないわけでございます。  しかし、政府の指示があったからといって東電はそのとおり今やっているわけですが、この政府の指示も別に、確認してみましたら、東電がなかなか自主的に仮払いとかやらないものだから、まず取りあえずこの避難を指示した地域の人たちに仮払いをしなさいというか促すための指示だったということ、そういうふうにお聞きをいたしました。  したがって、その四月十五日の政府の指示というのは、決定というのは、何か法的拘束力があるとか、それ以上東電はやっちゃいけないとか、そういうものではないというふうに思いますが、その点ちょっと確認をお願いしたいと思います。
  98. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) お答えいたします。  委員指摘のとおりに、今月十五日に原子力発電所事故による経済被害対応本部で決定しました原子力災害被害者に対する緊急支援措置、これは、避難区域の設定に伴いまして着のみ着のままでとにかく大急ぎで避難している方々の窮状に鑑みまして、東京電力が生活資金としての仮払い補償金を速やかに交付する必要性を政府として示したものと、こういうことでございます。  この決定は東京電力を法的に拘束するものではありませんけれども、同日に東京電力は厳しい生活を余儀なくされている避難住民の方々に対して仮払い補償金支払を決定して、今月の二十六日から実際の振り込みを開始したものというふうに承知をしております。
  99. 大門実紀史

    大門実紀史君 今言われたとおり、政府の四月十五日の話というのは法的拘束力とか強制力とかがあるわけではないと。促したといいますか、早くやれということだったと思います。したがって、それならば東京電力が自分の判断で、この政府の指示の範囲を超えて独自の判断で、例えば三十キロ圏外の人にも仮払い補償金を出すとか、要するに東京電力独自の判断で、政府の四月十五日の指示を超えて仮払い補償をやることは十分東電判断でやっていいわけですね。
  100. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 先ほどもお答えいたしましたけれども、この第一原子力発電所の半径三十キロメートル圏内の住民の方々には、いわゆる最初に避難区域を設定いたしまして、それで、避難を余儀なくされて本当に生活資金にも事欠くということで、大変厳しい生活を強いられているということは御説明いたしました。  この決定は、このような方々に対して生活資金としての仮払い補償金を一刻も早くお届けするという必要性を示したものでございまして、これ以外の住民の方々に対して東京電力判断で仮払い補償金支払を妨げるものではないのではないかというふうに思っています。同時に、この圏内で新しくまた計画的避難区域というのも設定いたしましたし、そこも同じようにこの判断に基づいていくと。  三十キロにしていますけれども、その市町村の判断で、それに接続している一つの字とか一つの市町村の区切りとかありますから、はみ出している部分についても、これは正当な理由もございますので、そういうところについてはきちっと柔軟に対応していこうというふうにしているところでございます。
  101. 大門実紀史

    大門実紀史君 要するに、東電が自分の判断でこの四月十五日の政府の話を超えて仮払い補償金を出すことは可能だということだというふうに今お聞きいたしました。  今回、この線引きによる混乱はもう東電が自主的に解決すべき問題だと、この線引きで分断された市町村の混乱とかいうものは、収束する責任東電にあると私は思います。  ところが、東京電力、何言っているかといいますと、この地元の我が党の県委員会東京電力に、こういう町が分断されている南相馬とか田村とかそういうところは、もう市としてはみんなに対して避難の呼びかけもしているわけだから差別しないでくれというようなことを申し入れたときに、東京電力の副社長は何と言っているかというと、これはもうそういうふうに思っていると、三十キロで区別できるものじゃないと、何と、それ以外の方にもやりたいんだけれど国の方針があるからできないんだというふうに国に責任を転嫁しているんですよ。今のお話だと、東京電力が、なるほどと、南相馬は全住民に市として指示をしているわけだから、出してほしいと言っていることに対して、国が指示しているからできないというようなことを答えているんですね。国の責任にして逃れちゃっているわけです、東京電力は。  今の話だと十分東京電力判断すればできるわけですし、特に南相馬とか、今度、飯舘の方は計画的避難区域に入れば対象になると思いますけど、南相馬のこの三十キロ圏外のところはずっとならないんです、このまま行くと、この線引きを守られちゃうと。しかし、南相馬市としては全住民に避難を呼びかけているということは、住民にとっては公の指示が出ているわけです、避難してほしいと。  したがって、これは南相馬の市長さんがそういうふうに求められておられるんですけれども、全住民に対して仮払い補償金を出してくれと言っていることに対して東電がこたえたっていいわけですよね、今の話ですと、東電の独自の判断で。だから、そういうことですね、さっき独自で判断できるということは。いかがですか。
  102. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 三十キロという区域を一応国が設定して、そして屋内退避区域ということで設定したことがあるわけですから、それに関連してそこも同等に扱おうということ。同時に、やっぱり字とか、そういうことで一つの市町村で三十キロを超えて少しはみ出している部分もありますので、そういうところについては、市町村長が明らかに一緒に行動してほしいというような指示を出して、それで一緒に納得して出ていったということであれば、これは当然そういうものの対象になると思っていますし、現に今度の緊急時の避難の準備区域を設定するに当たりましても、そういうところは十分市町村長さんたちのお話も伺いながらその地域を決めていったと、そのことで東電との話合いが行われているんだというふうに私は承知しております。
  103. 大門実紀史

    大門実紀史君 いやいや、そうじゃなくって、話合いは行われていないんですよ、拒否しているんですから。  東電は、国の方針では三十キロと言われていますからといって南相馬から言われている全住民を対象にしてほしいということを拒否しているんですから、話合いなんか行われていないです。拒否したままなんですよ。しかも、国の責任にしちゃっているわけです。  副大臣、松下さん言われたように、東電判断でそういう部分は、出っ込み引っ込みも含めて、あるいは市全体で避難指示出しているわけだから、そういうところを市長さんが対象にしてほしいと言えば独自の判断でできるとおっしゃったから聞いているわけですけれども、それを拒否しているから、そうじゃなくって、分かっていないのか、国に責任を押し付けているわけですから、経済産業省からも東京電力に、そういうときにはちゃんと話合いに乗れと、独自で判断していいんだということをきちっと伝えてほしいんですよ。いかがですか。
  104. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 現在、原子力損害賠償紛争審査会で、そこで賠償の対象となる原子力損害範囲の判定に係る指針を今策定中でございます。ですから、その指針に従ってその適切な損害賠償を行っていくことになるというふうには考えています。
  105. 大門実紀史

    大門実紀史君 あなた、副大臣なのに全然話が分からないんですか。その指針は農業の出荷停止とかそういう部分に行く話で、この三十キロの話は出てこないんですよ、いつまでたっても。だから言っているんですよ。その指針を待ったらここの三十キロを超えるということじゃないんです。だから言っているわけです。この部分はその指針が出ようが出まいがこれからどう推移しようが残る問題だから、しかも独自で判断できるんだから、あなたおっしゃったとおりね、副大臣おっしゃったとおりですね。だから、東電にちゃんと、南相馬なり田村なりそういうところを市として避難指示出したところに対して、東電がきちっとそれに話を聞いて、国の責任にしないで、独自の判断できるんだったら独自の判断すべきだという指導ぐらい経産省するのは当たり前じゃないですか。これみんな被害者ですよ。いかがですか。そういうことを言っているんですよ。
  106. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 三十キロという範囲を一応決めました。そして、その人たちは、二十キロは全員避難、そして二十から三十の間はこれは屋内退避という措置を取ったわけです。それで出ていってもらったわけです。あるいは屋内退避、自主避難があったわけです。その中で、三十キロを超過して、超えて、一つの字、そういう地域がまとまってありまして、それに対して、その首長が明らかに一緒に、首長が出ていってほしいと、避難しましょうということが、一体としてそういうことがきちっとあったということであれば、それは、私たちもそれは当然その範囲になるということで、いわき市なんかもそれがありますし、田村市もありますし、そしてまた他の地域についてもいろんな議論になっていくことだと思っています。一体としてきちっと指示が出てそして動いたのかどうかということが判断になると思っています。妨げられないというのはそういう意味だと思っています。
  107. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非、そういうのをただ言っているだけじゃなく指導してほしいなといいますか、困っていらっしゃいますから、住民みんな一緒だと思って義援金も全部に出されているわけですから、指導してほしいなということでございます。  野田大臣もこの経済被害対応本部の副本部長をやられております。今お話ししてお分かりだと思うんですけれども、三十キロのところで分けられる話ではないんですよね、みんな被害を受けているわけですので、是非この三十キロを超えても、一つの市町村をまとめてきちっとした対応東電にしてほしいと、是非副本部長として会議でもそういうことを議論してほしいし東電に指導してほしいと思いますけど、いかがですか。
  108. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 先般の十五日の会議のとき、ちょうどワシントンの会議に出ていましたので出れませんでした。次のそういう会議があるときには私なりの発言をしたいと思いますが、やっぱり三十キロで壁がある、バリアがあるわけではないんで、しゃくし定規に切れないということはこれは間違いないと思います。どういう一体となったコミュニティーでどういう対応をしているかということを踏まえながら対応するのが基本だろうというふうに思います。
  109. 大門実紀史

    大門実紀史君 この問題は、勘違いなさらないように、この審査会が行われて指針が幾つ出ていってもほっておかれる問題でございますので、是非そういう認識を持って経産省としても動いていただきたいと、大臣も是非よろしくお願いしたいということを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  110. 中山恭子

    中山恭子君 たちあがれ日本・新党改革の中山でございます。  今日、国際協力銀行法案というのをお出しいただきまして、一つは、実は一九九九年、古い話ですが、もう十年以上前に輸銀と海外経済協力基金が一緒になるという段階で、余りいい動きではないなという印象を持ったことが思い出されます。  また、その後二〇〇八年十月一日に、改革という美しい名前の下にこのJBIC日本政策金融公庫に含まれるということを聞きましたときに、びっくりしたというか、違うのではないかという印象を受けました。そのとき受けた印象を素直に申し上げますと、例え話でただ自分の頭に浮かんだ事柄ですが、何本かの色鉛筆を、短いのやら長いのやらそれを輪ゴムでくくったという、そういう政策の取り方だという印象が素直にそれを思い描きました。そういったこともありまして、今回国際協力銀行という株式会社として設立されるということは大変私は良かった、いい方向であると考えております。  組織の在り方が二転三転したということは、これまでの厳しい国際競争の中で弊害があったと思っております。まあ、これまでのマイナス面を取り戻して、今後その本来の業務に専念できる状況がつくられるわけでございますので、日本に対する国際的な信用を確立する、さらには日本経済の発展に寄与する、そして相手国との友好関係の構築にも寄与するという、そういう仕事を、もちろん一般の金融機関が行う金融を補填するということは旨でございますけれどもJBICの本来のその務めをしっかり果たしていただきたいと考えております。  また、このJBICが今後日本にとっても国際社会にとっても大きな役割を果たし貢献していく上で、私自身は、そこのリーダーなり、政策を決定していくのはやはり人が大きな役割を果たすと考えております。その上で、どういう人がここに当たるかということは、それはまさにその人の識見が大事な問題であると考えておりまして、その方が財務省に勤務していたから駄目だとか、じゃ文部科学省に勤務していた人ならいいんだとか、又は商社に勤めていた人だからそれならいいとか、そういう話ではないと思っておりまして、まさに非常に重要な問題でございますから、それぞれの方の識見や見識に従って、今回のこの国際協力銀行というものが果たす役割をしっかり行ってくれる方に就いていただきたいと考えております。  この今回の分離、そして機能強化、人材について、財務大臣、どのようにお考えなのか。これまでにもお話ありましたが、もう一度簡単にお答えいただけたらと思います。
  111. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 九九年当時の輸銀とどうのというところまで遡ると私も余りちょっと記憶にないんですけれども、少なくとも平成二十年の政策金融改革において統合を図ったときの所期の目的的な議論では、業務の一元化をしていくことによって簡素になっていくであるとか、役員が減っていくだとか、リスク管理が一元化できるとか、支店が減るだとか、いろんな議論があったというふうに思いますけれども、先ほど色鉛筆の例えがございましたけれども、必ずしもこの日本政策金融公庫の中のJBICの部分がそういう形になったかというとそうではなかったということが言えるだろうと思います。  加えて、やっぱり膨大なインフラの需要が出てきている中で、国際競争が厳しくなってきているときに、やっぱりこういう時期こそその機能強化を図ることが大事であると、そういう認識の下に、言ってみれば、統合による総括的な部分もありますけれども、むしろこの三年間による世界の環境の劇的な変化に対応していくという趣旨の下の今回は法改正であるというふうに御理解をいただきたいと思います。  しかも、JBICの担当するものは大型化し、長期化して、しかも少数ですから、委員指摘のとおり、目利きのできる、適材適所というのが基本だろうというふうに思いますので、そのことを心掛けていきたいというふうに思います。
  112. 中山恭子

    中山恭子君 今の国際社会の厳しい状況を考えますと、これからの日本にとってこの国際協力銀行の果たす役割というのは非常に大きいと思っておりますので、是非しっかりした仕事をしていただきたいと思っております。  また、今回、大型のインフラ案件についての対応がいろいろ考えられているということでございまして、また重点国、重点分野を中心に作業をしていくということでございます。  実は昨日、国際・地球環境・食糧問題に関する調査会というのを参議院の中で持っておりまして、JBICの方にも参加していただきまして、水インフラ事業というものについていろいろお話を伺いました。  水インフラというものが、水の問題というのはこれから世界で非常に大きなテーマになると考えておりますし、この水インフラ事業というものも大きな伸びを示すであろうと考えておりますので、そういった、今後インフラ投資の大きな増大が見込まれるこういった問題で、是非、日本が持っている技術、それから地方公共団体も入ると思いますが、そういったところを統合した形で各地で仕事をしていただきたいと思っております。  それともう一つ、ついででお伺いしますが、重点分野、重点国というのが入っているんですが、これまでのJBICの動きを見ておりますとある程度場所が限られていて、例えば旧ソ連圏の各国に対するJBIC仕事というのは非常に限られているものではないかと考えておりますが、ソ連圏に含まれていた地域というのは経済的にもモノカルチャーで仕切られていたとか、ただ開発途上というだけではない問題を抱えておりますので、そういった意味で、日本からの支援というのはこの地域の国の発展に大変大きな役割を果たすと考えています。  そういった意味で、重点分野、水インフラ事業の問題、それから地域の拡大についても偏らない形で日本が大きな役割を果たせる地域に対してもっと積極的に仕事をしていただきたいと思っております。これは大臣がいいのか副総裁がいいのか、どちらかでお答えいただければと思います。
  113. 渡辺博史

    参考人渡辺博史君) お答え申し上げます。  まず、前段の水の方の問題でございますけれども、やはり世界的にまだ山間部等貧しい人たちに水が行かないという問題、それから各国で都市化が進行することによって下水の処理が非常に問題が起こっているということがいろんな局面で起こっているわけでございます。  こういうものに対する対応としてこれからどういう需要が出てくるかといいますと、いろんな予測があるんですが、例えば二〇二五年においては八十七兆円ぐらいのニーズが世界的に起こるということが言われているところでございます。  そういう中で、私どもも、これまで経産省の水のインフラ、あるいは国交省も同様の会議をやっておりますから、そこに参加していく中で幾つか仕事をさせていただいておりますけれども、例えば中東で水をつくるという仕事、まずこれがございまして、これについては既に幾つかの実績がございます。それから、最近でございますと、モルディブといういわゆるインド洋の島国において上下水道の処理を日本企業がやることになりましたけど、それについてのファイナンスもさせていただいているというところがございます。それから、中米あるいは南米あるいはその他のアジアの国におきましてもいろんな需要が出てまいりますので、それについて、海外企業、あるいは日本の中でも例えば北九州市のように非常に積極的に対応されている地方公共団体とも相談をしながら、それにどういう形での支援を私どもができるかということを今一生懸命やらさせていただいているというところでございます。  それから二つ目の方は、後ほど大臣からもあるかもしれませんが、旧ソ連圏、CISの、特にスタン五つの国と言われている中央アジアの国について、確かに、これまで五つの国合わせまして四千億円強の融資をしているというところでございますけれども、ただ、現状を眺めてみますと、やはりどちらかというと紡績業といった古典的なものにやや集中をしておりましたけれども、実際の現地の状況を見ておりますと、天然ガスあるいはウランといったいろんな意味での天然資源、それから場合によってはレアメタルというものについても非常に大きなポテンシャルがあるということでございますので、日本企業も、まあ韓国の企業と競争しながらというところもございますけれども、非常に関心を持ち始めておりますので、そういう点についても我々としては考えていきたいと思っております。  去年五月にタシケントに行きまして、現地で閣僚あるいは大統領ともお話をしまして、非常に日本に対する期待が大きいということを私どもも受け止めましたので、それを踏まえて対応をさせていただければというふうに思っております。  以上でございます。
  114. 中山恭子

    中山恭子君 もう一問よろしいでしょうか。  中央アジア、ウズベキスタンなども、水道管なども、ソ連時代、もう四、五十年前に造られたもので、ちょっと飲めないような状況でございまして、水の問題と併せて中央アジアというのは非常に大きな市場であると考えておりますので、その点よろしくお願いいたします。さらに言えば、日本も本当は上下水道の更新しなければいけないということでございますが、中央アジアの方はもうちょっとひどい状況ですので、お願いしたいと思います。  また、もう一点だけ。サムライボンドについて、これはやはり円の国際通貨としての位置や信用性を確保していく上で非常に重要な問題だと思っておりますので、この点についてどのようにお考えか、お話しいただければと思います。
  115. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 今の御質問の前に、ウズベキスタン等いわゆるスタンというのは、JBICを通じての貢献も必要だと思いますが、それは私はやっぱり外交を考えたときも、対中、対ロ外交を考える上でもあのスタンについては細心の注意を払いながら協力をしなければと思います。  加えて、今のサムライ債についてのお尋ねでございますが、JBICによるサムライ債発行支援は、海外発行体の東京市場への呼び込み、定着、日本の投資家の投資機会拡大に寄与し、ひいては東京市場の活性化につながるものであり、今後とも引き続き継続をすべきものである、拡充すべきものだと考えております。
  116. 中山恭子

    中山恭子君 ありがとうございました。
  117. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  118. 中西健治

    ○中西健治君 ありがとうございます。  私は、本法案に対しまして、反対の立場から討論を行わせていただきます。  元々、平成二十年、二〇〇八年に行われました政府金融機関改革は、政策金融中小零細企業、個人の資金調達支援国策上重要な海外資源確保、国際競争力確保に不可欠な金融、円借款における機能に限定し、それ以外は撤退するという基本方針の下、簡素で効率的な政府を実現するため行われたものであります。  かかる方針の下に、日本政策投資銀行、商工組合中央金庫は株式会社化され民営化を目指すこととした一方、民営化を前提としない国際協力銀行の国際金融部門については株式会社日本政策金融公庫の中に組み入れるということとしたものであります。  しかるに、ただでさえ政府日本政策投資銀行等の株式売却の時期を遅らせようとしている中、今般の法案は国際協力銀行を機能強化の名の下に組織まで分離して、再び大きな政府金融、政策金融に戻そうというものであり、さきの国会で政策金融改革の着実な達成を図るための法案を提出しておりますみんなの党としては、とても賛成できるものではありません。  まず、機能強化については、我が国企業のインフラ分野その他の戦略的海外投融資の重要性を勘案したとしても、本法案で掲げられている機能強化は、民間金融機関が業務として行っているものであり、先進国輸出金融、短期のつなぎ資金供与、MアンドA支援付けなどにJBICが関与することは民業の圧迫になりかねないと懸念をするところであります。  次に、組織分離ですが、財務大臣JBICの将来的な民営化について明確に否定しておられます。民営化されない組織の分離独立の必然性はありません。本法案で、会社の目的、組織、会計経理等が現行の株式会社日本政策金融公庫法の規定をそのまま引き継ぐ形となっていることからも、また機能強化のうち先行実施可能なものについては会社の設立に先立ち平成二十三年度中から行うと法案にあることからしても、組織分離をしなくても十分に実施可能であることは明らかだと思います。  本法案は、財務省の先輩に肩身の狭い思いをさせない、そして将来的に居心地の良い天下り先を確保するため、財務省が財務省自身のために行っている制度改正と言わざるを得ず、みんなの党としては本法案に反対するものであります。  以上です。
  119. 大門実紀史

    大門実紀史君 本法案に反対の討論を行います。  本法案は、現行法では途上国向けに限定されているインフラ関連の輸出金融を先進国向けにも可能とするものであり、その輸出金融の対象には原子力発電も含まれております。福島第一原発事故を契機に従来の原発推進行政の見直しが求められているときに、海外への原発販売を支援する法案に強く反対をいたします。  以上。
  120. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  株式会社国際協力銀行法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  121. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、佐藤ゆかりさんから発言を求められておりますので、これを許します。佐藤ゆかりさん。
  122. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 私は、ただいま可決されました株式会社国際協力銀行法案に対し、自由民主党及び公明党の両派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     株式会社国際協力銀行法案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 東日本大震災により影響を受けた我が国企業のグローバルサプライチェーンの復旧・復興に向け、国際協力銀行は、株式会社日本政策金融公庫法又は株式会社国際協力銀行法の下で可能なあらゆるツールを駆使し、十全の金融支援実施すること。  一 国際協力銀行役員等人事においては、所管省庁からの「天下り」を控えるなど、政府として不適切な人事の厳格な監視・監督を行うこと。  一 外国為替資金特別会計の外貨資金等を積極的に活用し、国際協力銀行が民間金融機関を補完するためのパッケージ型インフラ海外展開案件を始めとする我が国企業海外ビジネス支援を一層積極化させるよう努めること。  一 我が国企業海外事業に対する効率的かつ効果的な支援実施するため、国際協力銀行は、世界で活躍できる専門的人材の採用、育成を進める一方、内部組織を簡素かつ効率的なものとし、無用な組織の肥大化が生じることのないよう適切に配慮すること。  一 国際協力銀行が政府全額出資であることを踏まえ、長期・大型案件等に係るバランスシート上のリスク管理に留意するとともに、リスク資産の流動化等による一層のバランスシートの効率化に努めること。  一 我が国の中堅・中小企業海外進出支援については、融資スキームの活用のみならず、情報提供や相談事業の拡充を図ること。  一 株式会社日本政策金融公庫は、株式会社国際協力銀行の設立の準備期間において、円滑な分離を実現するため最大限の配慮を行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  123. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) ただいま佐藤さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  124. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 多数と認めます。よって、佐藤さん提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、野田財務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。野田財務大臣
  125. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえまして配慮してまいりたいと存じます。
  126. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  128. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 次に、預金保険法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。自見内閣特命担大臣
  129. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) ただいま議題となりました預金保険法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法に基づき、整理回収機構において、住専債権の回収等が平成二十三年十二月を目途として完了するものとされていることを踏まえ、新たな予算措置を回避しつつ、住専債権の回収等の業務を円滑に終了するための措置を講ずるとともに、当該業務の終了に伴い整理回収機構の機能を見直す等の措置を講ずるため、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  住専債権の回収等に伴い生じたいわゆる二次損失の政府負担分の処理について、住専債権の簿価超回収益等のほか、整理回収機構の協定後勘定の利益活用することとしております。また、善良な借り手に配慮するとともに悪質な債務者に対して厳正な回収を継続するため、この法律案の施行の際に整理回収機構の住専勘定に属する住専債権について、同機構の協定後勘定への移管を可能にすることとしております。  次に、整理回収機構の業務について公的に求められる代替困難な機能に整理することとし、破綻処理の円滑化を図るため、同機構に承継銀行機能を付与するとともに、反社会的勢力等に対する厳正な回収を行うため、同機構に民間金融機関の保有する反社会的勢力等向け債権の買取り及び回収機能を付与することとしております。  このほか、破綻時に預金の払戻しを迅速に行うための所要の規定の整備、預金保険機構の役員の任期満了時の職務継続に関する所要の規定の整備等を行うこととしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  130. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十二分散会