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2011-04-26 第177回国会 参議院 財政金融委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年四月二十六日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十二日     辞任         補欠選任      青木 一彦君     丸川 珠代君  四月二十六日     辞任         補欠選任      鴻池 祥肇君     渡辺 猛之君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤田 幸久君     理 事                 大久保 勉君                 舟山 康江君                 愛知 治郎君                 佐藤ゆかり君                 荒木 清寛君     委 員                 尾立 源幸君                 風間 直樹君                 金子 洋一君                 川上 義博君                 櫻井  充君                 田中 直紀君                 中谷 智司君                 水戸 将史君                 塚田 一郎君                 西田 昌司君                 野上浩太郎君                 林  芳正君                 古川 俊治君                 丸川 珠代君                 渡辺 猛之君                 竹谷とし子君                 中西 健治君                 大門実紀史君                 中山 恭子君    国務大臣        財務大臣     野田 佳彦君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        自見庄三郎君    副大臣        財務大臣    櫻井  充君        厚生労働大臣  大塚 耕平君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        和田 隆志君    事務局側        常任委員会専門        員        大嶋 健一君    政府参考人        総務大臣官房審        議官       滝本 純生君        国税庁次長    田中 一穂君        厚生労働省職業        安定局次長    黒羽 亮輔君        中小企業庁長官  高原 一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○東日本大震災被災者等に係る国税関係法律の  臨時特例に関する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○株式会社国際協力銀行法案内閣提出、衆議院  送付)     ─────────────
  2. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十二日、青木一彦君が委員辞任され、その補欠として丸川珠代さんが選任されました。     ─────────────
  3. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  東日本大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として総務大臣官房審議官滝本純生君外三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 東日本大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。野田財務大臣
  6. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) おはようございます。  ただいま議題となりました東日本大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、今般の東日本大震災による被害が未曽有のものであることに鑑み、被災納税者実態等に照らし、緊急対応措置として、現行税制を適用した場合の負担を軽減する等の措置を講ずることとし、本法律案提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、所得税について、雑損控除及び雑損失繰越控除特例災害被害者に対する租税の減免徴収猶予等に関する法律による軽減免除特例被災事業用資産損失必要経費算入及び純損失繰越控除特例住宅借入金等に係る所得税額控除適用期間に係る特例震災関連寄附金を支出した場合の寄附金控除特例等措置を講ずることとしております。  第二に、法人税について、震災損失の繰戻しによる法人税額還付、仮決算の中間申告による所得税額還付被災代替資産等特別償却、特定の資産買換えの場合等の課税特例代替資産取得期間等延長特例等措置を講ずることとしております。  第三に、資産税について、相続税等における指定地域内の土地等の評価に係る基準時の特例及び申告期限延長住宅取得等資金贈与税特例措置に係る居住要件免除被災した建物の建て替え及び船舶・航空機の再建造等に係る登録免許税免税等措置を講ずることとしております。  第四に、消費課税について、消費税課税事業者選択届出書提出等に係る適用期間特例被災者が作成する不動産の譲渡に関する契約書等印紙税の非課税被災自動車に係る自動車重量税還付被災者買換え車両に係る自動車重量税免税揮発油税等に係るいわゆるトリガー条項適用停止等措置を講ずることとしております。  以上が、東日本大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  7. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 愛知治郎

    愛知治郎君 自民党の愛知治郎でございます。よろしくお願いいたします。  今回の法案については、被災納税者皆さんの基本的に救済措置だということで、私の地元宮城県も相当な被害を受けておるということもございまして、一日でも早くこの法案成立をさせて、しっかりとした政策を講じていただきたいというふうに考えております。  一方で、ですけれども、やはり国会としてしっかりとこういった政策について一つ一つチェックをしなくちゃいけない、議論をしなくてはいけないということもございますので、今日は何点かについて議論をさせていただきたいというふうに思います。  ただ、その議論に入る前に、野田大臣にお伺いをしたかったんですが、先日、二十三日に、私の出身県であります宮城県、あと岩手県でしたっけ、に視察に行っていただいたということを伺っています。いろんな現地状況や、またいろんな関係者お話を聞いていただいたと思うんですけれども、率直に、あの状況を見て、話を聞いてどのようにお感じになったか、どのような今見解を持っているか、その点を伺いたいと思います。
  9. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 国会審議で、ほかの閣僚の皆さん現場へ行けても私だけ残ってということが多かったということ、あるいは国際会議等があってなかなか行けなかったんですが、その分、お隣の櫻井大臣だとか吉田政務官被災地出身でございますので的確な情報をいただいておりましたが、実際に委員の御地元も含めて現場に行かせていただきまして、やっぱり聞くのと見るのとは全く違うなということを痛感をいたしました。  特に、国道六号線沿いをずっと車で走りましたけれども、この被害が本当に広範で大規模であること、よく分かりました。特に福島の場合は大津波による震災以外に原発の問題がありますので、県民の持っているストレスはまたほかの県とも違うなということも感じました。  また、瓦れき処理であるとか仮設住宅建設、これ本当に早急にしなければならないということを改めて実感をしまして、今般、二十八日に提出をさせていただく第一次補正予算にこうした内容を含んでおりますので、また現場からも一日も早い成立をお願いをされました。まさにそうだと思っております。  一日も早くこの第一次補正予算成立をさせていただいた後、その暁に速やかに復興に向けての準備をしていかなければいけないということを体感した次第でございます。
  10. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございました。  これは、時期の問題とか早いとか遅いとかありますけれども、いずれにせよ現場をしっかり見ていただいて、マスコミ等々では非常に多くの情報を流していただいておりますけれども、御承知のとおりに、これは一朝一夕に復旧復興もできる話ではありません。相当多くの時間、労力、またお金も掛かることでありますし、マスコミ、特にテレビ等報道がなくなってしまうとこういった事態、風化してしまう可能性がありますし、現地では継続的にずっとやっていかなくちゃいけないということもありますので、そこに訪れていただいて、現場を見て話を聞いていただくというのは大事なことだと思いますので、また機会があったら是非行っていただいて対応していただきたいと思います。  今大臣からも御答弁の中で仮設住宅必要性、言っていただきました。私自身避難所に訪れるたびに、そこに避難している皆さん、本当によく頑張っているなと思うんです。私自身が多分そこに避難生活を一緒にしていたら一週間ともたないんじゃないかというぐらいの状況でもありますし、皆さんよく耐えて、またいろんな面で前向きに物事を考えるようにしているところだと思うんですけれども、実は仮設、一日でも早くやってほしいんですが、また、これも伺いたかったんですけれども、用地がなかなか確保できないということで、財務省としても、それほど大きな土地ではないとは思うんですけれども、その用地提供もしていただいているというふうに聞いているんですが、その点はどうですか。
  11. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 東北財務局中心に、東北地方国有地、これについての情報提供利用可能な国有地について情報提供をしながら自治体皆さんに投げかけをさせていただいておりまして、福島でも今少しマッチングができてまいりました。委員の御地元仙台市においても仮設住宅用国有地、これ公園でありますけれども、これが見付かり、これを御利用いただく方向になってまいりました。  これからもこういう未利用国有地であるとかあるいは公務員の宿舎等々の情報提供は随時行っていきたいというふうに思います。
  12. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  もちろん一日でも早く完成するという、こういう結果が必要なんですけれども、ベストを尽くしているというその姿勢被災者皆さんに示すというのもやっぱり大事なことですから、継続的にこれからも頑張っていただきたいと思います。  一方で、先日、我々地元被災出身の、櫻井大臣もそうですけれども、とにかく何でもやってほしいというのが願いではあるんですけれども、一方で、こういった被災者を救済したり復旧復興に掛かる費用というのは、巡り巡ってこれは納税者皆さん国民皆さん負担することですから、先日、竹谷委員指摘したのは非常に重要な視点で、コストもしっかり考えた上で政策を講じていかなくてはいけないというふうに考えておりますが、この点について改めて財務省姿勢を伺いたいと思います。
  13. 櫻井充

    ○副大臣櫻井充君) おはようございます。  愛知議員とは地元の新年会で度々、先輩、しっかり議論させてもらいますからねと、そういうことを言われておりましたので、こういう日が実現しまして非常にうれしく思っております。  今の点については非常に大切なことだと思っております。先日の竹谷委員からの御指摘もございまして、少しまず個別に調べさせていただきましたが、仮設住宅などの場合にはやっぱり寒冷地仕様などの費用がどうしても上乗せされてしまうとか、それから今、県の方でなかなか進んでいかない、仮設住宅建設が進んでいかないというのは、水道であるとかそれから電気であるとか、こういったものがなかなか引けていないので、こういったものを全部準備しなければいけないとか、そういったことに対してかなりお金が掛かってきているので、一概にその比較はできないんだろうと、そう思います。  それから、瓦れきの問題に関してですが、これ、海中にある瓦れき処理コストというのは、我々余り経験したことがないので、果たしてどの程度掛かるのかということがよく分からない。ですから、これまでのものと単純に比較できるとはなかなか言い難いものがあるのではないかというふうに思っています。  ただ一方、この間御指摘があったとおり、今委員からも御指摘がございましたが、これ最終的には国民皆さんに御負担をいただくということになるんだろうと思っておりますから、そういう点でいうと、きちんとした形でコストの管理も行っていかなければいけないと、そう考えているところでございます。
  14. 愛知治郎

    愛知治郎君 そのとおりで、しっかりとこれは継続的にチェックをしながらやっていかなくてはいけないというふうに思います。  一方で、とにかく今できることはしていかなくてはいけないということで、私自身もいろいろ御提言をさせていただきました。仮設はいろんな条件があってすぐに全てが提供できるわけではないですから、その過渡的な措置ということ、また現実も踏まえてもっと賃貸住宅等を活用したらどうかというお話をさせていただきました。  仮設については、阪神のときに、これ私が聞いた話ですのでよく分からないですけれども、正確じゃないかもしれないですが、最終的に四百万以上、二年間でコストが掛かったという話も聞いておりますが、例えば賃貸住宅、同じように国費で助成するということであったとしたら、例えば月々十万円補助するというだけでも相当助かるとは思うんですけれども、二年間で二百四十万、コストとしては単純計算で二百四十万ということになります。相当これだけでもコストは抑えられる、こういった賃貸住宅をやはり活用していくべきではないかというふうに思いまして、御提案をしました。  また、これは後で分かる話だとは思うんですけれども、実際にこういった補助をしたときにそれがどれだけ使われるかということではあると思うんですけれども、宮城一つ取ってみてもそうなんですけれども、避難所生活避難所にいる方がピーク時で三十二万人、現在は四万八百七人と聞いておりますが、二十八万人の方は避難所ではなくてもう多分、その民間賃貸住宅借りたり、あとは親戚の方々のところに身を寄せたり、あとは帰宅できる方は帰宅して、状況を調べた上で御自宅で何とか生活しているかと思うんですけれども、相当数の方は賃貸生活されていると思うんですね。  いずれにせよ、こういったことに対しても補助がいただければということで提案したんですが、この検討状況、今の政府の考え方というのを、これは厚生労働省だと思うんですけれども、お伺いしたいと思います。
  15. 大塚耕平

    ○副大臣大塚耕平君) 愛知委員から四月十八日の予算委員会でも厚生労働大臣に御質問をいただいた件でございます。  この件につきましては、結論から申し上げますと、応急仮設住宅の代わりに民間賃貸住宅借り上げて救助を要する被災者に御提供いただければ災害救助法対象となり、国庫負担対象ともなるということでございます。  また、委員の御提案等もございまして、被災三県とも各県の宅建協会不動産協会協議を始めておりまして、四月二十日ごろから被災者入居希望に応じて民間賃貸住宅のあっせんも開始をいたしております。これは、自治体による借り上げ方式で敷金や礼金等負担をするということで、被災者負担はないということでございます。ただし、今自治体による借り上げ方式と申し上げましたが、やはり救助を要する被災者提供するという各県の枠組みの中で民間賃貸住宅を御活用いただくということでありますので、その点は御理解をいただきたいというふうに思っております。
  16. 愛知治郎

    愛知治郎君 各県それぞれ違うということですか。宮城県は、これは報道ベースで私は伺ったんですが、既に契約している部分もその仮設入居要件を満たせばしっかり払うということは聞いているんですけれども、これは県によって違うということですか。
  17. 大塚耕平

    ○副大臣大塚耕平君) 若干違う部分はあると聞いております。ただ、今先生御自身が御説明してくださいましたように、御自分でお借りになった賃貸物件、県がそれを応急仮設住宅扱いにするという各県の判断があれば可能だという理解であります。
  18. 愛知治郎

    愛知治郎君 いずれにせよ、前向きに検討していただいて一つ方針を出していただいた、しかも、私が十八日に質問して、二十二日ぐらいですかね、四日後にはもうそういう方針を出していただいたということで、これは本当に有り難い話ですし、こういったことを国民は多分求めているんだと思います。いろんなアイデアが出てくると思うんですけれども、一つ一つ検討して時間を掛けるんではなくて、政治的にどんどん決断をして前に進んでいく、問題があれば修正していけばいいですし、是非そういう姿勢で前向きに取り組んでいただきたいと思います。  また、せっかくですので、いろんな問題点まだありますから改めてちょっと御提言をさせていただきたいと思うんですが。  実は、これは櫻井大臣はよく分かっていると思うんですけれども、例えば女川であるとか石巻であるとか北の地域で家が流されてしまって、一時的に仙台市内でもう物件を見付けて住んでいる方がおられます。ただ、そういう方も実は、自分の郷土の女川であるとか北の地域ですね、の近くに仮設ができれば戻って自分地元でやはり仕事を探して生活がしたいという方、おられます。  そういう方、もし一度仮設の認定を受けて仙台市内で住居を借りたときに、また仮設に戻るとなると二重になってしまいますよね、申請が。それを、例えば二年だったら、半年間仙台で過ごして、あとの一年半、地元仮設が空けばそっちに入れる、そこは応用が利くように制度設計をしていただきたいんですが、突然の指摘というか提案ですけれども是非検討していただきたいと思います。どうですか。
  19. 大塚耕平

    ○副大臣大塚耕平君) 今もう具体的な事例に基づいて御提案いただいたんですが、確かに、例えば岩手県とかあるいは宮城県の北部の方が、都市部の方が物件がいろいろあるだろうということで、もう既にお借りになっている。これを仮に県が応急仮設住宅として認めるということになった場合にはやはりこれは応急仮設住宅枠組みの中で運用していただくことになりますので、そうすると、民間賃貸住宅借り上げていただく期間も、例えば仮設が二年ということであれば二年でやはりそういう状態が解消されます。  そうすると、その先どうするのかということになりますので、例えば、その先、仮に民間賃貸応急仮設としては認定するということはやめて、仮設住宅そのものは更に延長してしばらく三年、四年と続けるということになれば、その段階からそちらに移っていただく、その場合の切れ目のない形でのその方の利用民間賃貸住宅から仮設に移行して認めるというようなことも当然検討課題になってくると思います。  いずれにいたしましても、先ほど県によって若干違う部分もあると認識していると申し上げましたが、被災者個々人によってかなりいろんなケースがありますので、被災者の方の立場になって最大限の弾力的運用をしていくというのが私どもの立場でございますので、今の御指摘の点もしっかり検討させていただきます。
  20. 愛知治郎

    愛知治郎君 いや、とても心強い、いい御答弁をいただきました。弾力的に迅速に対応していただきたいと思います。  この点については、とにかくまたいろんな事情が分かり次第我々も提言をしていきたいと思いますし、また財務省にも地元出身櫻井大臣いますので、しっかりと連携をしていきたいというふうに思います。  もう一点ですけれども、今度は、被災者個人お話をさせていただきましたけれども、一方で企業も相当なダメージを受けております。今一番心配しているのは、もちろん地元企業地元の元々の企業というのもあるんですけれども、県外から多くの企業宮城県内には入ってきておりますが、今回被災をして営業活動もできないということで、地元の人はその企業がみんな撤退してしまうのではないかということを危惧しております。  こういった企業活動をしっかりつなぎ止めるためにも様々な税制への優遇措置というのは必要だと考えておるんですが、今回、財務省ではなく地方税の方ですけれども、今日は総務省にも来ていただきました。法人事業税住民税について何らかの措置があると聞いておるんですが、この概要について伺いたいと思います。
  21. 滝本純生

    政府参考人滝本純生君) お答え申し上げます。  地方法人関係税軽減措置でございますが、今回法人税において講じようとしております被災代替資産等特別償却等特例措置、これにつきましては法人事業税住民税にそのまま反映されることになります。  それからまた、地方税法に基づきます法人事業税住民税災害減免につきましても、各地方公共団体で適切に対応するように既に通知をしているところでございます。また、被災企業に関する固定資産税軽減措置といたしましては、地方税法に基づきます個々の資産被害状況に応じました減免措置を講ずるように既に地方団体に通知しておりますし、また今回の地方税法の改正で、津波によって甚大な被害を受けた区域内の土地家屋に関する平成二十三年度分の固定資産税課税免除、また被災代替家屋償却資産に関する軽減措置を講じることとしているところでございます。
  22. 愛知治郎

    愛知治郎君 固定資産税についてもお答えいただいたんですが、それについてもなんですけれども、直接被害を受けた企業対象ということは分かるんですけれども、それ以外にも、その地域経済活動全体が停滞しておりますので、企業というのはそういうときには本当に企業的に撤退しちゃうことが多いんですよ。だから、直接的な被害を受けていない企業に対しても、その大きな地域の中であればしっかりとしたこういった優遇措置対象にすべきだと思うんですが、その点はいかがですか。
  23. 滝本純生

    政府参考人滝本純生君) 失礼いたしました。  今回の法案におきましては、緊急の対応といたしまして、直接被災した企業に対する様々な特例措置を講ずることとしているところでございます。ただ、御指摘のように、直接被災した企業以外の企業を含みます被災地企業全体に対する税制上の支援などにつきましては、今後の復旧復興状況あるいは関係省庁の要望などを踏まえまして復興支援策全体の中で検討してまいりたいと、このように考えております。
  24. 愛知治郎

    愛知治郎君 私の問題提起というか問題意識自体は御理解をいただいたと思うんですけれども、この点について、様々な角度からいろんな政策が講じられると思うんですけれども、是非検討していただきたいんですが、じゃ、大臣か副大臣にちょっとこの点について、今のは地方税ですけれども、税全体の観点から何らかの措置ができないか、お答えいただきたいと思います。
  25. 櫻井充

    ○副大臣櫻井充君) 今の愛知議員指摘というのは非常に大切なことだと思っているんです。要するに、直接被害だけではなくて、いわゆる間接的な被害を受けている企業に対してどうしていくのかと。それからもう一点、風評被害で困っているという企業があるんだろうと、そう考えております。  ですから、今回、信用保証の枠をつくらせていただきました。これは経産省にお願いしてやっていただきましたが、あれは、一〇%程度の売上げが落ちた場合、これは間接被害として認めていきますと、それから風評被害の場合には一五%だったと思いますけれども、一か月それだけ売上げが落ちた場合には信用保証の適用にするというように、金融の面ではかなりこういった分についてはきちんと担保させていただいております。  ですから、今委員から御指摘がありましたので、税制上の問題であるとか、それから社会保険料の問題であるとか様々な点について今後検討が必要であれば検討させていただきたいと、そう思っております。
  26. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  企業はやはり雇用をしっかり今守らなくてはいけないという使命感を持って営業されている中小企業の社長さんたちも大勢いるんですけれども、やっぱり厳しいというのが正直なところだと思います。この雇用調整助成金等々も要件を緩和し、また額自体ももう少し上積みができないか、その点についてお伺いしたいと思います。
  27. 黒羽亮輔

    政府参考人(黒羽亮輔君) お答え申し上げます。  雇用調整助成金につきましては、これまで、震災以降、様々な特例措置を設けるなど、また手続面でも柔軟な措置を講じているところでございますけれども、この上限額につきましては、現在、対象労働者一人当たり七千五百五円でございまして、これは雇用保険の失業等給付における基本手当日額の上限額に合わせたものでございます。  この助成金でございますけれども、在職者の雇用維持を支援するための制度ではございますけれども、雇用保険の保険料を財源とする雇用保険制度の中で運営されている以上、失業者に対する給付を上回るというのは難しいと考えているところでございます。
  28. 愛知治郎

    愛知治郎君 その点、失業手当自体と大体合わせるということだったんですけれども、その失業手当そのものも今回特例で少し上積みすることはできないのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  29. 黒羽亮輔

    政府参考人(黒羽亮輔君) 雇用保険の失業等給付における基本手当の日額の算定の基礎となる賃金日額につきましては、その上限額につきましては賃金分布の上位階層の額を基に決定しておりまして、今国会におきまして、この賃金日額の引上げ等を内容とする改正雇用保険法案の御審議を今お願いしているところでございます。  この法律案成立いたしました場合には、失業等給付に係ります基本手当日額の上限額が七千五百五円から七千八百六十五円に、三百六十円引き上がることとなりまして、雇用調整助成金の上限額もこれに連動いたしまして、同じく一日当たり三百六十円引き上げられまして七千八百六十五円となるところでございます。
  30. 愛知治郎

    愛知治郎君 前向きに検討して上げていただくということだったんですけれども、さすがにその額ではちょっとスズメの涙的なところがあるんで、もう少し検討していただきたいというふうに思います。  いずれにせよ、今回の事態は本当に未曽有の大惨事でありますので、あらゆる手段を講じていかなければいけない、また前例にとらわれることなく大胆にやってほしいと思うんですが。もちろん、先ほどのコスト管理というのもしっかりしなくちゃいけないですし、何よりも財源をしっかり確保して様々な政策講じていかなければいけないと思うんですが。  この財源論については、それこそ十人いれば十通りの意見があるような今状況だと思うんですけれども、現時点で財務省の考えている、この財源どのように確保していくのか、その考え方をお伺いしたいと思います。
  31. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 二十八日に提出する予定の第一次補正予算については、規模としては約四兆円ですが、これは基本的には追加的に国債発行せずに、既存の予算の見直し、歳出の見直しをするという形での財源確保をさせていただきました。  その後の復興に向けてでございますけれども、今復興の構想会議というところで青写真づくりの議論をされています。これ、六月末までにその青写真が出てくると思いますが、どういう形の復興対策が必要なのか、それに見合った予算はどういう形になるのか、財源はどうするかという、そういうプロセスをたどるということになると思います。  一部報道等で何かいろいろ具体的な税目とか率とか出ていますが、確定的に今何か政府で決めているという状況ではありません。歳出歳入両面からの見直しをしっかりやっていき、与野党の議論も踏まえながら対応していきたいというふうに思います。
  32. 愛知治郎

    愛知治郎君 この点については多分相当な議論になると思うんですけれども、私自身は、今回あらゆる手段を講じていくべきだと思いますし、一方で、全体の社会保障含めて国の在り方というのは、税制、税の負担もどのようにしていくか、しっかりとした議論をしなくちゃいけないと思います。今回の震災ということの財源含めてその税全体の議論がいいかげんになってはいけないと思いますので、今回の震災対策に関しては、切り離して、やはり復興債のようなものを発行してそれで財源を賄う方がいいとは私は考えているんですが、是非いろんな角度から検討していただいて、またこれは事前に、しっかり与野党ともに協力しなくてはいけない話ですので、相談をさせていただければというふうに思います。  最後に、今日、本来ならばこの議論をしっかりしたかったんですけれども、被災者被災納税者皆さんに対していろいろ優遇措置をするのは本当に結構なことだと思うんですけれども、一点だけ、それに併せてトリガー条項についての今回規定があるんですが、この概要というか中身についてお伺いしたいと思います。まず、どのような措置をするのか伺いたいと思います。
  33. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 今回の法案でのトリガー条項についての扱いについてのお尋ねでございますけれども、東日本大震災の発生による一部製油所の機能停止や流通の障害等により燃料の需給が逼迫し、被災者を始め関係者の皆様は大変御苦労をされました。そうした中、仮にトリガー条項が発動された場合、全国的に燃料需給が更に逼迫するとともに流通が混乱し、被災地復旧復興の妨げになるおそれがあるため、早急に対応する必要があると認識をしておりました。ただし、廃止ということについては民主党内にも様々な議論がございました。  そういう議論もあり、また先日の政府税調における意見交換も踏まえまして、一時凍結、トリガー条項については一時凍結、すなわち復旧復興に必要な期間、適用を停止するという内容とさせていただきながら今回の法案に盛り込まさせていただいているという次第であります。  自民党からの御提言では廃止だということで、その廃止の理由として、一つ被災地の混乱回避、二つ目に財源の確保といった趣旨、目的で御提起がございました。この趣旨、目的においては整合的ではないのかなというふうに思っております。
  34. 愛知治郎

    愛知治郎君 これはもう三年前からいろんな議論がありまして、私自身もこの議論は徹底的にやりたいというふうに思ってもおったんですが、現状、やはり被災者の救援措置を最優先ということで、今回はこの議論、いずれにせよ凍結ということでありましたので、今後しっかり見直し、そして廃止ということを含めて改めて議論をさせていただきたいと思います。  また、いろんなこの税制についての提言等々もございますので、今日の質疑はこれぐらいにしたいと思うんですが、いずれにせよ、先ほどから答弁ございましたとおりに、是非これは与野党を超えて、また今権限を持って責任を持っているのは現民主党の与党の皆さんですから、是非政治決断早くしていただいて万全の対応をしていただきたいと、そのことを最後に御提言を申し上げて、ちょっと早いですけれども、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  35. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 自由民主党の佐藤ゆかりでございます。  本日は東日本大震災特例税制について質問をさせていただきたいと思いますが、この東日本大震災特例税制は、やはりこの震災の規模から申しまして、阪神・淡路大震災の際に作られた特例より更に拡充をする措置が早急に整備が必要であるということで策定を急いでいるものだというふうに理解をいたしております。  そこで、税制救済措置に入る前に、個人や小規模事業経営者を取り巻く金融絡みの、中小企業金融絡みの現状について救済措置がどのような検討状況にあるか、そちらの方をまず伺ってみたいと思います。  実際のところ、住宅ローンや事業用ローンを抱える被災者がこれから住宅や事業所などの建て替えあるいは設備の買換えなどを行う際に、当然新たな借入金が必要となる場合が多いのが現状でありますけれども、こうした被災者の二重ローンの生じる可能性の問題について、中小企業や小規模事業主に対してどのような救済措置があるか、中小企業庁長官にお伺いします。
  36. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) お答え申し上げます。  被災中小企業者の方々のいわゆる二重ローンの問題につきましては、債務者の債務を一律にカットすることは困難であると考えておりますけれども、被災された中小企業の方々の返済負担を軽減するために大胆な施策を講じなくてはいけないというふうに思っております。  これまでも返済猶予につきまして、政府金融機関あるいは金融庁から民間金融機関に様々な指導をさせていただいておりますけれども、今般、日本公庫などが実施する融資制度につきましては、補正予算を活用させていただきまして必要な融資枠を確保するとともに、金利の引下げ措置、そして貸付限度額及び特に据置期間の大幅に拡充した東日本大震災復興特別貸付けを創設しようと思っております。特に著しい被害を受けた中小企業者の方々には貸付け後三年間、一定額まで無利子ということをすることを可能とするための予算として百億円を計上させていただいております。また、特に据置期間、これ非常に重要だと思っておりますけれども、特に震災で直接的な被害を受けた中小企業の方々に対しては、現行二年なんでございますけれども、これを五年に延ばすという方向で検討を進めているところでございます。  以上でございます。
  37. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 基本的には金利の減免ですとか据置期間延長、無利子の融資枠ということなんですが、実際のところ、既に中小企業経営者の方々でかなり債務残高を抱えておられる、そして被災されたという現状で更に追加の借入金を起こすとなると、まず信用保証の観点で、例えば債務者の中にはこれまでの信用保証協会が提供した信用保証の上限まで既に債務残高が達してしまっていると、これ以上信用保証が、幾ら制度はあってもその個人においては提供できないというようなケースも恐らく生じているんだろうというふうに理解するわけでありますが、その辺りの救済措置というのはお考えでしょうか。
  38. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) 今御指摘のように、信用保証のこれまでの枠を限度枠までお使いになっておられるという方も、中小企業者の方もおられると思います。このため、今回、震災対応の新たな保証制度といたしまして、災害関係保証でございますとかセーフティーネット保証、これは言わば既存のものでございますけれども、これと合わせて無担保で一億六千万円、最大で五億六千万円の枠を利用可能とする東日本の大震災復興緊急保証を創設したいと考えております。  以上でございます。
  39. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 ありがとうございます。  やはり金融周りが中小企業の大きな今、目下の懸念の一つになっているというところでありますので、是非早急な整備をお願い申し上げたいと存じます。  それでは、そのお答えを受けまして、税制の方に質問を移らさせていただきたいと思いますが、個人事業主におきましてはこうしたローンの借入れの問題もありまして、今後の担税力について相応の税制上の配慮が必要になってくるというふうにも思われるわけでございます。通常、日本の税制というのは所得税の扱い等は個人よりも法人が優遇が多いという側面があるわけでありますが、これは、平時には設備投資を促進したり減価償却を加速させ、雇用の拡大や更なる生産の拡大につなげて企業が活性化することで、願わくば経済の隅々に効果が波及するという考えにのっとった間接支援の制度であるわけであります。しかしながら、今回この大規模地震、今回、東日本大震災のような大規模災害が起きた今の現況にありましては、被災者企業の活性化を経た間接支援などを待てる状況にないというのは一目瞭然であるわけであります。ですから、やはり被災者個人個人に対してどれだけ直接支援に切り替えるべきところは切り替えられるかと、そういう観点も今回の震災税制には必要になってくるというふうに思うわけでございます。  そこで、まず東日本大震災に係る今回の政府臨時特例税制の第一弾において、震災で失われた住宅、家財などの個人や個人事業主の雑損失に対する特例措置についてどのように整備されているか、お伺いいたします。野田大臣、お願いします。
  40. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 今回の大震災は、その被害が、同時、大量、集中的に発生をした極めて甚大なものでございます。広範な地域にわたりまして生活基盤や事業基盤が根こそぎ失われ、その再建には相当な期間が必要になるというふうに考えられております。  こうしたことを踏まえまして、委員指摘のように、雑損控除及び被災事業用資産に係る純損失について繰越控除期間を現行の三年から五年に延長することとさせていただきました。さらに、保有する資産に占める被災した資産の割合が一割以上の事業所得者にあっては、被災事業用資産以外の一定の損失についても繰越控除期間を現行の三年から五年に延長することとさせていただきました。
  41. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 今まさにお答えいただいた、この繰越期間の現行三年から五年への延長、それから、今回改正案に盛り込んでいただいていると思いますが、雑損控除災害減免法の減免措置について、二十二年分の所得から適用を認める特例措置、こうしたものは、実はまさに自民党の東日本大震災災害対策プロジェクトチームで私もその一員として何度か提言をさせていただいていたものでありまして、自民党から官邸へも提言を提示させていただいて織り込んでいただいたという認識でもあるわけでございます。ただし、これらの提言というのはあくまでまだ一部分にすぎないということでありまして、政策のパーツが抜けていれば、被災者にも使い勝手が悪く、そしてまた効果も希薄な政策になってしまうということだと思います。  例えば一つ例を申し上げますが、青色申告をしていない個人、いわゆる一般の個人が所有する損壊家屋損失額は、この震災税制に基づけば、雑損控除の繰越しで五年間所得控除が可能なものの、青色申告者の事業用資産で仮にあるならば、五年間の繰越控除とともに、過去二年間の所得税の繰戻し還付も可能な設計になっています。  住居を失った被災者には、自民党では追加で新たな住宅の取得支援として五百万円の給付も提言をしているわけでありますが、仮にこうした提言が通った場合でも、住居を失った被災者にしてみれば、事業を営まない年金生活者などの住居の買換えには、所得税の繰戻し還付も含めて弾力的な特例措置補助が必要ではないかと思われるんですが、この辺りは野田大臣、いかがでしょうか。
  42. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 佐藤委員の御指摘のとおり、御党からも様々な税制に対する御提起ございました。相当取り入れているというふうに私は思っているんですが、まだ更に第二弾の税制措置のときにも引き続き参考として検討させていただきたいと思います。  そこで、白色申告者についても純損失の繰戻し還付が可能とするようにと、青色申告者と同様にという今御提起でございますが、そもそもこれ事業上の損失は、事業に係る収入、支出、さらには保有資産等の記帳を正確にしていることによって初めて認識できるものでございます。加えて、損失を繰り戻す場合には、欠損年及び繰戻し年の双方について十分な記帳を得ていなければ正しい計算が困難でございます。このため、制度の濫用防止及び納税者間の公平確保の観点から、純損失の繰戻し還付は青色申告者に限ることとされております。  被災事業者への臨時異例の措置としても、納税道義や納税者間の公平感を維持する観点から適切な記帳を前提とすることが必要であり、白色申告者と青色申告者の取扱いを完全に同じにすることについては慎重に考える必要があるのではないかというふうに思います。
  43. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 当然ながら、適切な記帳があって公平性の担保をするということは大切でありますが、しかしながら、白色申告若しくは青色申告をした段階でその申告書上で適切な計上がされているものと、それが前提であります。その上では適切な公平な措置が担保できるものというふうに考えられるわけでありますが、まさに今、野田大臣がおっしゃられましたとおりでして、要するに、青色申告者と白色申告者と、このように従来の枠組みで今回の震災対策を考えていれば、いつまでたっても被災者にとって使い勝手の悪い、効果の薄い制度になりかねないということであります。そうした従来の区分というものを今回見直して、大規模災害に対するきちっとした措置を設計すべきではないかということを一点申し上げたいと思います。  そこで、もう一つ例を申し上げますが、例えば商店などを営んでいる小規模事業経営者の中には、家屋の一階部分が店舗、二階部分が住居用途というように使っている場合も多いのが現実であります。家屋全体が仮に滅失した場合に、この震災特例では、一階部分は事業用資産損失特例で過去二年分まで所得税還付を受けられることができる、向こう五年間も雑損控除ができる手厚い特例となります。しかしながら、二階部分の住居は、同じ所有者でありますけれども、住居や家財は税還付ができず、五年間の雑損控除の繰越しだけとなるわけであります。  一部分だけ、一階部分だけ手厚い補助をしても、結局資金不足で建物全体の建て替えができずに家屋全体が半分の部分だけ建て替えするということは使い物にならないわけでありますから、全体を建て替えなければ店舗も住居も使えないということになります。そういう意味では、やはり一元化した税制を使わなければ今回は被災者復興に向けた対策にならない部分もかなりあるのではないかというふうに思われるわけであります。  そこで、被災者に煩雑な申告手続というのはやはり極力回避して、そして将来に向けて資産形成の再構築を見通しやすい特例設計にすべきという観点から、例えば家屋が店舗と住居の混合用途であるような小規模事業者においては、家屋全体で同一租税というような原則で税還付特例に入れるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  44. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 一つの御提起として受け止めさせていただきたいと思います。  要は、被災者の実情に合わせてきめ細やかにきちっと細心の対応ができるようにするということが何より大事だと思いますので、私どもが抜け落ちている視点についてはこれからも御提起をいただければ検討させていただきたいというふうに思います。
  45. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 ありがとうございます。積極的な検討をお願い申し上げたいと思います。  そしてまた、この雑損控除については、いろいろ歴史的に振り返ってみますと、まだまだ問題点が多いような税制のように感じるわけでございます。特に個人が行える雑損控除は使い勝手が悪いわけでありまして、実際様々な物的、人的控除、十四種類あるわけでありますが、実際十四種類ある所得控除のうちで、所得税法第八十七条では雑損控除を一番先に行うものという規定をしているわけであります。  したがいまして、震災特例所得税法第八十七条を適用除外するという要項をセットで入れないと、今の現状のまま繰越期間の五年への延長等だけを組み込んだ特例税制になりますと、仮に巨大津波で被った甚大被害雑損控除として先に引かなければならない、そして逆に繰越しができない基礎控除、扶養控除、配偶者控除などの人的控除を順番として後回しにせざるを得ない状況になる結果、所得回復のめどが立たないような被災者にとっては、雑損控除だけでその年の課税標準を使い切ってしまうことになりかねません。結果として、人的控除が事実上使えない状況にする制度設計になっているわけでありますが、これは私は問題であるというふうに思います。  雑損控除の繰越期間を今回現行三年から五年へ延長するというそもそもの今回の特例措置の趣旨、その背景には、甚大な被害があって、その被害損失計上するには複数年にわたるという、その甚大な被害という認識があるわけでありますが、そうした意味では、繰越しを活用させるためにも、所得税法第八十七条を適用除外として雑損控除の順位を最後にする措置の併用が特例で必要ではないかと思われます。  さらに、この八十七条なんですが、実は成立した経緯も私少し調べてみましたが、極めて曖昧でございます。所得税法第八十七条は、国会議事録で遡ってみますと、昭和二十五年度の税制改正で、雑損控除、医療費控除、そして今でいう障害者控除の創設に伴い、所得税法の施行規則で雑損控除をまず最初に行う規定が定められたのが現実であります。したがいまして、あくまで大蔵省の政令として始まった規定であります。そして、翌年の二十六年秋に行われた国会審議では、農業団体などから雑損控除を最後の順位に変更するよう求める反対意見が少なくとも議事録では二回出されております。逆に、政令のままで賛成した意見は一つもありませんでした。にもかかわらず、その直後の昭和二十七年度税制改正で強引にこの政令が所得税法と化した経緯があるわけでございます。  今日でいえば、企業会計に置き直しても、この雑損控除の順位の概念というのは、会社経営の基本的営業に係る経費であれば最初に計上して営業利益を算出するわけでありまして、経常経費ではない特別損失のようなものは一番最後に計上するのが会社の会計の常であります。  そうした規定概念からなぞらえても、少なくともこの基本的生活の営みという経費を基本的に控除する人的控除は被災者にとって権利として与えられるべきものであるというふうに考えるわけでありますが、八十七条を適用除外とし雑損控除を最後に置く特例をセットとして設定すべきではないか。野田大臣、お答えをお願いいたします。
  46. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 雑損控除については、直接的な担税力の減殺要因として、個々の納税者の固有の事情に配慮する人的控除よりも先に引く方がむしろ自然と考えております。また、実務においてもそのような取扱いが確立をしているところでございます。  今回の大震災被災者についてのみ所得税法第八十七条の適用除外とすることについては、申告書を始めとする既存の徴税システムの変更を要し、しかもその変更に相当な期間が必要となりかねず、納税者にも課税当局にも混乱が生じるおそれがあるほか、納税者や税理士への周知、既に申告している納税者への対応など各方面に混乱が生ずるおそれがあることから、今のこの段階では慎重に考えるべきだと思います。  いずれにしても、今の御指摘の点は、沿革から御説明いただきました、お話しいただきましたけど、所得控除の在り方そのもの、所得税そのものを根本的にどう考えていくかという話になります。したがって、この第一弾の税制措置においてはそこまでの議論を今ちょっとしている余裕がございませんので、これはある種、どっちが絶対真理かという話では私はないと思います。その議論はこれからじっくりとやっていければというふうに思います。
  47. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 まさに今、野田財務大臣自身がお認めになられましたように、どちらが真理かという絶対真理がない。そういう中で、大蔵省政令として発達したのがこの第八十七条であります。十分な国会審議を経ずに法律になっているのが今の現状である。まさに絶対的な真理がないのであるならば、しっかりと、少なくとも東日本大震災被災者向けに特例として考えないかと、それをじっくりとではなく早急に検討をお願いしたいということで、政府の第二弾に向けての検討をお願い申し上げたいというふうに思います。  そして、そこでさらにその裏付けとしてなんですが、お伺いしたいと思いますが、この人的控除の位置付け、雑損控除との関係で、大臣、若干今触れられましたけれども、人的控除の意味合いをお伺いしたいと思います。  最低生活費の考慮として人的控除があるということでありますが、最低生活費として基礎控除、扶養控除、配偶者控除などは通常どのくらいの控除金額になっているか、まず金額からお答えください。
  48. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 現行の控除額は、基礎控除、一般の扶養控除、配偶者控除共に三十八万円となっています。
  49. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 年間三十八万円の基礎控除で、加えて、扶養者がいる家庭ですと扶養控除や配偶者控除を加えるわけでありますが、仮にこの三つの控除を足し合わせても年間計百十四万円になるわけであります。  一方で、実は二〇〇九年の民主党のマニフェスト、衆議院選挙のときの政権公約でありますけれども、民主党のマニフェストでは年金について最低保障年金七万円を公約されました。これは最低限の年金受給者の生活設計に対して、守るために最低保障年金を七万円として支給するんだという公約で当時あったわけであります。この七万円が仮に年金受給者に支給されますと、年間八十四万円になるわけであります。一人基礎控除三十八万円の人的控除額というのは、まさに最低保障年金で民主党が政権公約に掲げた基礎的な生活費である八十四万円をはるかに下回る金額でありまして、到底これでは、三十八万円では一人当たりの最低生活費にも満たない金額であります。  そうしたもう下限を下回るような最低生活費の保障について、私は、やはりこれは基本的な生活の営みの確保、それを被災者に対してきっちりと税制から優先して制度設計をすること、これは極めて大切であって、特にまだまだ復旧まで至っていない被災者立場を考えれば、被災者の生存権という基本的人権に照らしても、最低生活費の控除は毎年認められるべき制度設計に改めるべきではないかと思いますが、御意見をお伺いします。
  50. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 基礎控除などの人的控除というのは、世帯構成に応じて、扶養人数などに応じた金額を所得から差し引き、納税者の担税力を調整をするものでございます。その金額については、課税最低限や物価水準などを勘案し決められてきたものでございますが、現行の三十八万円という人的控除額自体、先ほど、今民主党の最低保障年金の金額とのバランスのお話で御指摘ございましたけれども、生活に最低限必要な金額を直接表しているものではないというふうに理解をしています。
  51. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 それでは、この三十八万円というのはどういう根拠で決められたんでしょうか。
  52. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 金額は、課税最低限や物価水準などを勘案し決められたということでございます。
  53. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 課税最低限という担税能力というのはどのように決められたんですか。
  54. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) さっき申し上げたとおり、世帯構成に応じて、扶養人数などに応じて所得から差し引くという計算でやっているということです。
  55. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 この基礎控除や扶養控除、配偶者控除の三十八万円というのは、基本的に最低の生活資金を担税力から外すという意味で設けられた制度設計ではないんですか。
  56. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 先ほど年金のお話がございましたけれども、公的年金の控除六十五万円がありますので、それを含めると、さっき単純に合わせた百三万円を上回るということでございますので、ちょっと今の直接の答弁じゃないんですが、事実関係として数字は申し上げておきたいと思います。
  57. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 年金受給者との関連であればそのようなお答えになるかもしれませんが、今回はある意味、被災者立場で今震災特例審議しているわけであります。ですから、年金控除の話は少し横に置いておく必要があるのではないかなと思うわけであります。純粋に被災者立場で考えると、この三十八万円という控除、十分な生活費の年間の経費だと思われますか。
  58. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 先ほど申し上げたとおり、最低生計費を表すという、そういうものではございませんで、物価水準等を勘案して決められたものでございます。
  59. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 物価水準を勘案してというのがよく分からない説明でありまして、今三十八万円というと、じゃ本当に一年間の経費になるか、これはもう誰が見ても明らかなことで、人間一人一年間三十八万円で生活できないのは当たり前のことなんです。  ですから、私が申し上げたいのは、本当の基礎的な基礎的な、人間個人一人として生活の営みを行うに当たって基礎的な控除額の最低限であるという位置付けだと思いますけれども、その控除を繰越しできないわけですから、毎年毎年まず基礎的な営みを税制上優遇して控除をして、その後に雑損控除という、繰越しが五年間に今回延びる、それだけ甚大である、そういう雑損控除を後に順位として設計することによって、まずは基礎的控除をきちっと保障すると、そして基本的な生活の営みを被災者の方々に行っていただく、そういう税法上の理念の方が正しいように思われるわけであります。先ほど大臣は絶対的な真理はないと明言されたわけでありますので、そのことについて御検討をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  60. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 御指摘のようなケースで例えば具体例で考えてみると、例えば人的控除から先に差し引くこととした場合、例えば同じ金額の損失を被った独身者と例えば子持ちの夫婦世帯を比べますと、独身者は自らの基礎控除しか人的控除はないんですね。一方で、子持ちの夫婦世帯は納税者の基礎控除に加えて扶養控除や配偶者控除の適用を受けることができますので、単年で引き切れないことによる翌年以降への繰越額は独身者の方が小さくなるということになります。等々、いろんなちょっと個別のケースがありますので、これはちょっと多角的な議論が必要だろうというふうに思います。
  61. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 必ずしも私は今おっしゃられた単身者と夫婦世帯の不公平という点は当たらないというふうに思うんですね。  要は、じゃ税とは何なのかと、担税力とは何なのかというふうに考えたときに、個人個人の納税者にとって、生涯所得、生涯その人が稼いで得る所得に対して生涯にわたって起こり得る損失や経費を差し引いて、個人として生涯において担税能力をきちっと定め、それを理論的には毎年毎年の担税力に置き換えるというのが税制上は正しい考え方であるはずなんです。ただ、当然、その生涯所得の算定や生涯に行き渡る損失や経費の計上というのは、これは技術的には不可能でありますから、そして便宜上こうした形で形式控除も含めて人的控除、物的控除のようなものを設定し、そして差し引いた残りを担税力として負担してくださいというような設計になっているものというふうに私は理解をしているわけであります。  ですから、税の根本に戻れば、今回単年度で控除できるできない、そういう議論ではなくて、今回の被災者の方々にとってこの失われた雑損失についてはやはりリカバリーするのに数年にわたる大きな案件になるわけでありますから、例えば控除期間、今回延長いただく五年間、五年間においての見込みの総所得とそれから損失はこの繰越しによる損失、これを全部差し引いて、この時間的な期間において、そして担税力が個人個人においてどのぐらいあるかと、そういう判断をしていかなければいけないのではないかというふうに思われるわけであります。  ですから、単身者が単年度において単身の基礎控除しかなくて、夫婦世帯は扶養控除や配偶者控除が家族にとってはあると、それが不公平だという議論には必ずしもならない。この雑損控除は単身者の方が繰越しできる金額がその分控除の数が少ないだけ減るので不公平であるという大臣の御答弁でありましたけれども、それは将来にわたって逆に単身者の方が加速度的に償却できるというような概念にもつながるわけでありまして、そういう意味で必ずしも不公平とは見られないわけであります。大事なのはその期間、五年なりなんなり、再建期間においてトータルの所得に対してトータルの損失をどうやって埋め合わせをするか、そういう視点にある意味戻るべきではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
  62. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) だから、そもそも雑損控除とは何ぞやというところだと思うんです。雑損控除というのは、災害など異常かつ不可避な事由によって住宅であるとかあるいは生活必需品など生活の基盤に損害が生じた場合、直接的な担税力の減殺を調整をすると、これが雑損控除のまさにそのものの性格だと思います。  したがって、世帯構成等による担税力への配慮としての人的控除よりも先に収入から必要な経費を差し引くのと同じように、まず雑損控除を差し引くというのは、私はやっぱりむしろ自然な考え方だと思います。  委員のその順番の話あるいは今回の大震災を受けての議論所得税の、さっき申し上げたとおり、根本的な在り方からの議論になると思います。その議論はこれから並行してやっていきたいと思いますけれども、今回のいわゆる第一次税制措置については、この対応で是非御理解をいただきたいと思います。
  63. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 それでは、第二弾に向けて御検討いただけますでしょうか。
  64. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 第二弾というのも、これも可及的速やかに早くだと思います。それまでにこの根本的な議論が終了し結論を得られるかどうか、これは分かりませんが、いずれにしても議論は続けていきたいというふうに思います。
  65. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 被災者対策ですので、本則を変えるという話をしているんじゃないんですね。所得税法第八十七条を被災者に向けて適用除外にしてはどうですかという御提案をさせていただいているんであって、第八十七条の本則そのものを改正してくださいというお話はしていないんですね。  ですから、その根本的な議論というよりは、被災者対策として早急に議論を進めるべきだと思いますが、もう一度お伺いします。大臣、いかがですか。
  66. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 御提起でございますので、その議論を避けるということはございません。引き続き検討させていただきたいと思います。
  67. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 前向きな検討を早急にお願いしたいと思います。  それでは、最後になりますが、今お伺いしたようなこういう議論の中で少し話を整理して、私なりにこの税制雑損控除の繰越しについて、繰越し若しくは繰戻しの可能性も含めて提言を申し上げたいというふうに思います。  一、提言一つとしては、今回、このように大臣もおっしゃられましたように、根本的な議論が必要であるというふうにも思われるこの所得税法第八十七条に係る雑損控除の取扱いですけれども、むしろそういう根本的な議論云々の議論そのものをなくすために区分を分けてしまってはどうかという御提案であります。雑損控除を、通常起こり得る災害や盗難や横領など、こういう一般的に起こり得る損失を計上する一般雑損控除と、それから今回のような東日本大震災で起きたような大規模広域災害による損失を計上する大規模損害控除の二区分に分けると。そして、この大規模損害控除の区分について雑損控除の順位の取扱いを特例として考えるということをまず御提案申し上げたいと思います。  そして、もう一つ提言は、この大規模災害控除の方の区分の適用者について、被災者についてですけれども、雑損の所得控除又は給付付き税額控除の選択肢を設けるということを御提案します。所得が生じない納税者については、大規模災害控除額に一定割合を乗じた税額を還付するものとする、そして緊急性のある対応策を打つということが重要であるというふうに思います。  そして、さらにもう一つ提言として、大規模災害控除の適用者のうち緊急な被災者支援を必要とする納税者に対しては所得税の繰戻し還付制度も創設するということで緊急対応を更に強めていくという、この三つの提言を申し上げたいと思いますが、この提言に対して最後に大臣の御所見をお伺いいたします。
  68. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) まず、単年で引き切れない雑損控除額について、雑損失として現行制度上、翌年以降三年間繰り越すことが可能になっていますけれども、それについての拡充のいろいろ御提起があったというふうに受け止めさせていただきます。よくそれぞれの中身、三点について検討させていただきたいというふうに思います。
  69. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 しっかりとした検討を第二弾までによろしくお願いいたします。  被災者第一優先で御対応をお願い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
  70. 西田昌司

    ○西田昌司君 自民党の西田昌司でございます。  まず私は、今回のこの臨時特例に関する法律、国税の臨時特例に関する法律の中で、ちょっと一つ、一番初めに気になるところがありますので、そのことについて質問させていただきたいと思います。  それは国税通則法、第十二条なんですけれども、要するに、この法律の中には今衆議院で審議されているその条文が前提となって入っているわけなんですよ。本来、我々が今議論している中には国税通則法そのままであるんですけれども、それが国税に係る共通的な手続並びに納税者の権利及び義務に関する法律というふうに今審議がされていると。だから、そういうふうに読み替えるという、こういう規定が入っているんですけれども、私はこれちょっとおかしいんじゃないかなと思うんですよ。  といいますのは、それは、これが通ればですよ、通ればこれに直せばいいだけの話でありまして、今現在できもしない法律をこの条文の中に挙げるということ自体おかしいと思うんですが、これはこの中から修正して削除すべきだと思うんです。いかがでしょうか。
  71. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 平成二十三年度の税制改正案は、今衆議院の財務金融委員会で様々な観点から御審議をいただいている、いわゆるアイ・エヌ・ジーの進行中でございます。そうした中で、政府から今般の震災に対する、今御審議をいただいている緊急の対応としての震災税特法案提出をさせていただきました。  税制に関する法律を同時に二本国会提出をしていることになりますので、政府から提出している両法案が整合的でなければ形式的な不備があるものとなりかねないために、後から提出をした震災税特法において両法案が整合性の取れたものとなるよう法制上の技術的な調整を図る必要があるということから、附則第十二条の規定をさせていただいているということでございます。  これによって、この附則十二条によって、法制上の技術的な規定の整理でございますので、二十三年度税制改正法案審議を前取りするものではございません。拘束するものでもございません。ましてや二十三年度税制改正法案成立を前提としているということではないということは是非御理解をいただきたいと思います。
  72. 西田昌司

    ○西田昌司君 それは、そういう言い訳というか、説明されるんです。役人の方もそう言うんですよ。しかし、それは根本的に間違っていますね。  なぜかといいますと、確かに二本同時に出す場合、そういう手続をすることもあるんですね。あるんですけれども、今回、なぜこれ二本同時になっているんです。私はそもそもそこのことを問題にしたいと思うんですよ。  というのは、本来、これは予算が審議されるときに歳入と歳出一緒になって提案されるべきものだったんですよ。ところが、皆さん方が予算案だけ参議院の方に回してきて、衆から参に、いまだにですよ、いまだにこの税制の改正については全くこちらに来ていないんですよ。それでまだ、いまだに衆議院でとどまっていると。  ですから、本来、正しい手続をしておればこういうことにならなかったんです。その間違った手続をしたものを、まあごまかそうといいましょうか、その間違った手続を糊塗するためと申しましょうか、そのための手続としてこの附則十二条があるとしか思えないんですよ。だから、私はこれは今回削除すべきであると。  そして、削除したからといって、別に今回の税制特例について何の問題も起きない。もしも仮に今衆議院で出てきている法案が通れば、それはそのときもう一度直せばいいだけの話で、手続を踏めばいいだけの話でありまして、要はあなた方が一番最初にやった手続が間違っているのを、それを、そのことをそのまま間違っていませんよという形で通すためにこういう附則を付けているんですよ。だから駄目だと言っているんです。  だから、これはやはり、今までの経緯から考えると、もう一度皆さん方、政府側が真摯に対応してもらわなきゃならないから、これは一旦取下げをして、そして新たに、もし衆議院で今やっている税制改正が通れば、それはそれで書き換えればいいんですよ。そういうふうにすべきだと思いませんか。
  73. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 歳入と歳出が一体でいわゆる御審議いただいて結論が出なかったという、そもそもに始まれば御指摘の点、政治論としてはそういう思いになられることはよく分かるんです。  ただ、この規定はあくまで技術的な規定であって、そのことをまさに糊塗するという意味で作っているものではないんです。そこを是非御理解をいただきたいというふうに思います。
  74. 西田昌司

    ○西田昌司君 いや、だから、提案してとおっしゃったけれども、提案されなかったから我々言っているんです。本来、だから、審議される参議院では税法が来なかったんですよ。だから、これは与野党関係なしに、参議院の院としてとんでもない話なんです。  予算の方は、予算の方も本当はしっかり審議したかったんですが、三月十一日の例の大震災がありましたから、これはほとんどもう審議を省略して短期間の間に上げていこうという形で、これは予算の執行を妨げないようにするためにやったんですよ。しかし、それ以前に、そもそもあなた方がこちらの方に提案して、審議していただいてその結論が出なかったというような大臣答弁されたけれども、そうじゃないんですよ、来ていないんですから。参議院にはないんです。どれを議論するんですか、審議するんですか。  だから、我々はここに出ている附則十二条がおかしいじゃないかと言っているんですよ。だから、手続としてはおかしい。だから、これは民主党の皆さん方にも是非考えていただきたいんです。これは与野党じゃないんです。参議院の院として、こういう形の提案のされ方すると、元々、予算審議のときに、審査のときに、皆さん方から参の方には予算の執行だけで財源がないまま来てしまって、そのこと自体が院のこの権威を非常に著しく失墜させているというか、本当になめた話ですよ。  それを今回また繕うかのような形でこういう附則を付けてやってきているというのは全くおかしくて、やるんだったら、そのことを反省しているというんだったら、一旦これは取り下げて、今、衆が上がってきたらまたその衆で上がってきたときに名前は変えたらいいだけの話。ただ、私は中身の話言っているんじゃないんです。中身に入る前に、そういう言えば横着なやり方はまずいんじゃないのかということですよ。だから、やっぱりこれは政府として考えていただきたい。  もう一度御答弁お願いします。
  75. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 参議院でのいわゆるお考え、そのお気持ちは分かります。おっしゃるとおりで、その順番が入れ替わってしまってきているということです。現実そうなっているということは理解できます。  ただ、それは、まさにそれを糊塗するためにこれを入れているわけではないということを御理解いただきたいんです。これはあくまで技術的な規定であって、これは単純に後でそれは調整すればできることです、法案通った後にですね、それも事実です。  ですから、その意図としては、その前後しちゃったことについてはいろいろあると思います、御意見あろうと思います、私も真摯に受け止めたいと思いますが、逆に、技術的な規定の問題で修正をしてまた衆議院に戻すと成立が遅くなってしまいます。そこはやっぱり被災者の救済という観点からも、是非その点は御理解をいただきたいというふうに思います。
  76. 西田昌司

    ○西田昌司君 いやいや、そんな何も被災者の救済を担保にして自分たちのまずい手続を、それをこちらに押し付けてもらっちゃ困るんですよ。  だから、私は中身については基本的に賛成です、今、ほかの質問もしますが。しかし、だからこそ、早く成立させるためにも、皆さん方が今までやってきた手続的な問題点、これはやっぱり真摯に改めるべきだと言うんです。  今大臣お話聞いていましたら、半分白旗を上げておられるというふうに私は理解しました。つまり、手続的にちょっとまずかったところがあったと、一番最初の当初の予算について。そういうことを是非与党側の民主の皆さん方にも御理解いただきまして、今政府が直さないんだったら我々野党の方でこれは修正を出したいと思いますけれども、是非そういうことも含めて、今の答弁の中の大臣が言わんとされていたこと、手続的には白旗を上げておられるということを是非御理解をいただきたいと思います。  それで、ここから質問に入るんですね。まず、野田大臣にお聞きしたいんです。  復興税ですね、これが先ほどほかの委員からも質問ありましたけれども、復興税というのが何かちまたで新聞報道などで出てくるんですね。何か実態分からないんですが、恐らくまだ、先ほどの答弁によりますと、政府では何もこれとしては決めていないと、ただ復興会議の中で一つの案として出てきたと、そういうことだろうと思うんです。  それで、これは、例えばマスコミなんかの調査をしますね、アンケートで。そうすると、復興税というのは意外と信任が厚いといいましょうか、賛成される方多いですね。それは当然なんですよ。それはなぜかというと、あれだけの被災を見ると、これはみんなが助け合わなきゃならないと思うので、それで何か新たな税で復興財源にすべきだと、こういうふうに思われるのは、それは国民として素直な気持ちとして当然だと思うんです。しかし、だからといって、それが本当に正しいかというのは、これは財政、経済含めてしっかり考えなきゃならないところだと思うんです。  私は、先日、日銀の白川総裁にもお話をしたんです。そのときは大臣がおられなかったんですが、要するに、今、日本の状況はどういうことかというと、そもそも今震災が大変で復興ということを言っていますが、三月十一日以前にちょっと戻ってください。今の日本の状況というのは、要するに大変なデフレだったんですよ。デフレで税収も落ちてくる。それは当然なんですよ。名目のGDPがどんどん落ちてくるんですから、税収も落ちてきちゃうんですね。そんな中で足らない財源を民主党政権は、赤字国債を出さないでおこうと思ったんだ、そのために無駄をなくしていくんだと言っていたんだけれども、結局デフレですから、どんどんどんどん赤字国債を出さざるを得ない状況になってきたんですね。  我々は、その中で赤字国債、それもばらまきと言われる四Kとかは反対ですが、大事なことは、そういう赤字国債を出していたにもかかわらず、結局、国債は建設国債、赤字国債関係なしに、要は内国債で、国の中で全部引き受けられていたと、しかも長期的に金利が低いまま行っていましたと、なぜですかという話を日銀総裁に私は質問してきたわけです。  それはなぜかというと、要は、私がそれを解説しますと、民間の需要というのが少ない、公的需要の方が多いですから、民間需要が少なくて銀行に預金超過の状態でたくさんあると、そのお金が結局、赤字だろうが建設国債であろうが国債という形で公需の方に回ってきていると、こういうことだったわけです。つまり、何が申し上げたいかというと、今市場は民間需要が少ない、だから国債、公需の方がまだまだそれを市場消化できる、そういう状況があるということですねと日銀総裁に確認して、そういう状況でありますということなんですよ。  そういうことを考えてくると、今復興に掛ける様々な財源は必要なんですが、まず復興税というのは、国民の感情からいうと分かりやすいように見えるけれども、先ほど言いましたように、デフレのときに、経済の規模が落ち込んできちゃっているときに税を取るなんということはデフレの加速につながってしまって、一番これは愚の下策なんですよね。そうじゃなしに、元々震災前から言われていたように、これは公的需要でまだまだ本当はあったと、それを今までしてこなかったと。これは不幸なことですけれどもああいう大震災が起きた、その結果として復興のための大きな公的需要が様々な形で出てくる、それをどうやって財政するかといえば、まさに今言っているように、市場から国債という形で吸収してやるというのが一番私は真っ当な形だと思うんです。  そのことについて、財務大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  77. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 復興財源の在り方は、さっきも愛知委員との答弁の中でお話しさせていただいたとおり、復興構想会議で青写真をまずつくると。その青写真に基づいて、どういう対策が必要であり、そのためにどういう財源をつくっていくかという議論になると思うんです。  一つは、やっぱり国債発行という考え方もあると思います。発行の仕方もいろいろ形態があると思います。税を充てていくという議論もあります。これはまだ我々、確定的には考えていません。三月十一日以前の状況委員の御指摘のとおりだと思います。この震災を踏まえて、いずれにしても一定規模の財政需要が間違いなくあるわけですから、そこで財政需要を満たし、むしろ東北地方、日本の再生というか発展につなげていく生きたお金にしていかなければなりません。その財源をどうするか。経済状況もよく勘案しなければならないと思います。  そういうことを含めて、今委員の御意見は一つの御意見だと思いますが、これから意見交換をしながら定めていきたいと思います。何度も申し上げますけど、よく一面に出るような話を我々が確定的に考えているわけではないということは御理解いただきたいと思います。
  78. 西田昌司

    ○西田昌司君 当然、確定的じゃないんですけれどもね。しかし、菅総理がいろんな形でいろんな会議をつくられるんですね。復興構想会議というのもその一つでしょう。そこで五百旗頭さんという防大の校長を呼んできて、その方が高らかに復興税だと、こうおっしゃるんですね。そうすると、先ほど言いましたように、国民の素人的な国民感情からしたら、これをみんなで救っていこうというので復興税というのは受け入れやすいんです。そして、ある種、素人と言えば本当に失礼なんですけれども、分かりやすい話なんですよ。しかし、今言っているように、そういう形で税を導入しちゃうと、デフレ状況大臣も認めておられたように、まさにそういう状況なんですから、とんでもない方向に行きますよということです。  だから、私が言いたいのは、財務大臣というのは財政・経済運営、この国の一番の根幹を担っておられるわけですよ。だから、そのことを考えると、まだ今決まってないんだけれども、ちょっと待てよと。五百旗頭さんがそういうことをおっしゃる、いろんな方がそういう話されるけれども、まず今しなくちゃならないのはデフレを止めていくということを考えなきゃならないから、その復興財源はデフレをそれによってつくり出すようなものはしちゃ駄目だと、そういうメッセージはやっぱりしておくべきじゃないですか。いかがですか。
  79. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) デフレから脱却できない状況が続くとか、あるいはデフレを助長するようなことはあってはいけないと思います。  加えてもう一方で、やっぱり財政健全化の道筋を中長期でどうやって日本がたどっていくかというメッセージもないと、これはいわゆる為替ではなくて、いわゆる国債の方のマーケット、もうこれも気にしなければなりませんということを総合的に判断しながらどう対応するかだと思います。
  80. 西田昌司

    ○西田昌司君 確かに、財政の健全化ということはもちろん大事なんです。  それでいいますと、私は基本的にはこの財政がなぜ悪くなってきたかというと、これは昭和の終わりから平成にかけて様々な税制改革やりました。そのときに、はっきり言いまして全部減税しているんですよ。消費税を入れるときにもこの法人税所得税は減税していますし、その後ずっと景気がバブルが終わってから悪かったですから、減税減税で来ているんですよ。減税して、要は減税した結果企業が活力を持ってくれて、そして経済が良くなればそれでよかったんです。そう思って減税してきたんですね。  ところが、結果違ったんですよ。なぜ違ったかというと、昭和から平成になったときにやっぱり世界経済がグローバル化してきたと。国内で成長率が低い日本の中でそのお金を投資するよりも、海外に投資する方がいいんじゃないかというような方向に企業も動いてきてしまったわけですよね。  そうすると、どういうことになってくるかというと、結局は減税したけれども税収が伸びないと。だから今は、たしか昭和六十一年の税収と今の平成二十三年の税収は四十一兆円ぐらいで同じぐらいの予想なはずですよね。ところが、GDPは今年が多分四百七十兆円ぐらいですか、昔はそのぐらいでしたら三百五、六十兆だと思うんですよ。どういうことかというと、これは、経済は何だかんだ言いながら、途中でもうちょっと、五百兆超えていたんですけど、落ちてきているんだけれども、昭和六十一年と比べたら経済は規模は大きくなっている。ところが、税収は同じ。これはまさにそういう意味からいうと税制を誤ったと。  だから、そういう意味で税を、もう一度この税制を考え、抜本的に見直して、負担率を上げていくという話は当然必要だと思います。その中で、我々自民党政権であった時代にそういう減税も含めてあったんですから、これは我々も反省しなければならないところがあると、これは度々私が言っているとおりなんですよ。だから、これはこれで当然しなけりゃならない。だから、我々自民党もそれはずっと言い続けているんです。  しかし、だからといって、今この一番デフレで困って、しかも震災で日本の経済どうなるんだと言っているときに税を上げる話をするのは、もう瀕死の患者を前にしてまだこれから過酷なことを、手術をしますと言っているのと同じなんです。今はここは養生しなきゃ駄目なんですよ。  だから、そのことを、大臣もよく分かっておられると思うけれども、やはりしっかりとメッセージしてあげないと、あなたがそういうことをちょっと言っておかないと、周りは素人さん多いんですから、要するに、これは国民の変な感情だけで言ってしまうとおかしくなりますよということを言っているんです。だから、もう一度お答えください。
  81. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 現時点で私が余り確定的なことを言うというよりは、委員指摘のとおり、経済と財政、これをよく見ながら判断をしていくということに尽きると思います。バランスを取るしかないというふうに思います。
  82. 西田昌司

    ○西田昌司君 これは引き続きいろいろ議論をしていきたいと思いますが、とにかく誤ったメッセージを出さないように、これは誤ったメッセージを出す人がいたらこれこれと牽制してあげないといけないと、こういうことなんですよ、私が申し上げたいのは。  それでもう一つ、じゃ質問に入りますね。今回のこの臨時特例に関する法律の中でも一つ住宅ローン控除の適用に係る特例措置というのがありまして、当然私も賛成なんですけれども、これは、要は、本当は住宅ローンといいますのはその年の十二月三十一日までその家に住んでいた、そのときにその十二月三十一日の残高について一定割合を掛けた分が税額控除できるという仕組みなんですね。  ところが、今回の震災では家が流れちゃったじゃないと。家が流れちゃったら税額控除はできない、できないからかわいそうだからその家がなくても税額控除してあげようと、こういうことだと思うんですけれども、こういう理解でよろしいですか。
  83. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 委員の御指摘のとおりでございます。
  84. 西田昌司

    ○西田昌司君 それはなかなか有り難い。それでいいんです。神戸のときもそういうことをたしかやったと思うんですね。  ところが、一番私が疑問に思うのは、そもそも、家が流れちゃって借金残っている分あるから借金の分の一%とか引いてあげましょうと、税金、という以前に、家がないのにどうやって借金を返すんですかという話なんですよ、そもそも。これはどうしたらいいんですか、こういう方々は。
  85. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 西田議員、今回の二重ローンですか、二重ローンの話をされたと、こう思うわけでございますけれども、今回、東日本大震災の発生以降、三月十一日でございましたか、私と日本銀行総裁で各全金融機関にお願いをいたしまして、まさにこういった問題が起きることは当然予想されましたから、中小企業金融円滑化法案、この委員会でも通していただきましたけれども、あれは貸出条件の変更というのを中小企業あるいは住宅ローンを持っている人に積極的に取りあえずやっていただきたいという法律でございますけれども、更なるお願いをさせていただいたわけでございまして。  先般のこういった会議でも中小企業あるいは住宅とかの二重ローンの問題をどうするんだという御質問をいただきましたから、私は民間金融機関が所掌でございますから、民間金融機関というのは当然原資はお一人お一人のいろいろな個人から預かった預金でございますから、これはなかなかリスクを取りにくいところもございますし、またそれぞれの住宅ローンを借りている人もいろいろな状況、あるいは中小企業においてもいろいろな事情がございますから、これは一律ということはなかなか難しいわけでございますけれども。当時、私が政府金融機関、政策金融ですね、これは思い切って阪神・淡路大震災のときもいたしましたから、そういった意味で今回も住宅金融支援機構が、これ当初五年間無利子、当初五年間、据置き五年以内、当初、これ金利はゼロでございまして、これは復興ですね、災害復興住宅融資ということで、これは一万戸ですけれども。  そういったことと組み合わせて、きちっと本当にできるだけ被災に遭った方々の気持ちに立ってやっていくことが私は大事であるというふうに思っております。
  86. 西田昌司

    ○西田昌司君 二重ローンへ行く前にお答えいただきまして恐縮なんですが。私が申し上げたかったのは、今大臣の方が、要は金融強化法とかによって、結局、それは金融機関に資本注入して資本を増強するということなんですよね。  問題は、だから今言ったように、家流れましたと、で、仕事もなくなっちゃいました、事実上この方は返せません。返せないから、結局支援もくそもないんですよ、初めから返せないんですから。銀行の方は、それで不良債権というか、貸倒れしなくちゃ仕方ないんです。じゃ、そのままでこの方はどうなるんですかというと、後は生活保護で生きるんですかという話ですよ。そうはできないんです。やっぱりその中でも一生懸命、自分資産も家族も職業もなくなったけど、もう一度復活していこうと。じゃ、今までやっていた仕事をもう一度やるなりするんですね。そのときのお金が必要なんですよ。  そうすると、問題は、簡単に、要するに負債をそのまま切ってしまうのは、自分がもう諦めたらすぐ切れるんです。返さなくていいんですよ、破産ですから。ところが、もう一度、生活保護やるんじゃなくて自分で本当にやっていこうという人は、二重で、つまり今までのローンも、それから次のローンも発生しちゃうと、こういう話なんですよ。二重ローンというのはこういうことなんですね。だから、切ってしまったら初めからもう出てこないんです。諦めたらそれで終わり。ところが、諦めずにやっていこうと思うと、前のも返さなきゃならない。それをどうするかといったら、一旦前のは切らなきゃ駄目なんです。事実上取れないんですから、はっきり言いまして、これは。  例えて言えば、私が言いたいのは、バブルのときの話なんですよ。バブルで土地を、物すごい債務になりましたと。それは整理しながらやっていきまして、RCCで回収したりしましたけれども。要は、一体今、一億借りたけれども、それは実際問題幾らのものなんですかといえば、家の分がもうないから本当はもう一千万ぐらいですねと。プラスしてもうあと九千万借りて一億返済しましょうという形ならこれ返せるわけなんですね、要は。一旦前のをどこかで切る形なんです。それが、言えば、債権を買取りして、RCCが例えば買取りして、銀行からやってきたように、分けてあげるとこれはできるんですよ。  ところが、今までの制度ですと、これはRCCは、銀行が破綻しているんですね、不良債権をたくさん持っちゃったと。バブルで失敗した事業者が多くて、その破綻した銀行を助けるというか、その不良債権を全部吸収して、正常債権はどこかに合併させましょうという形の処理の流れでできた方策なんですね。ところが、今度は銀行には破綻させないように皆さん方がこの金融強化法で入れられるんですよ。それはそれでいいんです。ところが、強化してあげても、その一般銀行を強化してあげても、一番困っている人にはお金行かないんです、これは。行くときには、全部返せという話、全部正常債権だという話にならざるを得ないんじゃないですか。そうすると、二重ローンというのは、これずっと背負っていかなきゃいけないという話になっちゃうんです。  だから、私は、もう少し知恵の使い方があるんじゃないのと。バブルのときもやったようなやり方で、一旦買い取らすと。仕組みは違う仕組みつくらなきゃいけませんが、そういう方法があるんじゃないかということを皆さん方にこれ提言しているんですよ。いかがでしょう。
  87. 櫻井充

    ○副大臣櫻井充君) まず、ちょっと大きな話からさせていただくと、今回の被災で失ったその財産を誰がやはり負担していくのかということになるんだと思います。つまり、民間でなのか、それからそれが、今、西田さんがおっしゃるようなところは公的な分野がそこを、損を見ていくのかという話になる。  まず、今財務省の中で、私のところで議論させていただいていることだけ簡単に話をさせていただきますと、まず一義的にはやはり民間の方でどこまで負担できるのかを検討するべきだろうと。しかも、その中で個人の方がどれだけ負えるのかと、これは企業も含めてです。そして、銀行がどれだけ負えるのかということを今検討してもらっています。そこで負えない分については、やはりどうしても企業なり、それから個人が生活再建していく際には公的分野で負っていかなければいけないんではないだろうかと。どこまで国が関与すべきなのかということについては検討させていただいています。今具体的なお話がありましたが、どういうやり方について考えていくべきなのかということについても、今、西田議員からお話があったようなことも含めて実は議論はさせていただいております。  ですから、まだ済みませんが結論は出ておりませんが、生活再建のためには様々なことを国としてやっていかなければいけないんではないかという問題意識は持っているということについては、御理解をいただきたいと思います。  それから、住宅ローンに関してですが、幸いなことに三〇%程度の方々が保険に入ってくださっておりますので、まずこの方々については何とかできるんではないかと。あとは、残りの資産について、これは銀行の不良債権を買い取っていくようなやり方にするのか、元々国がそれを最初から買ってしまうのかとか、これは先ほど申し上げたとおり、全体として国の負担をどうするのかということも含めて、これから検討していきたいと思っております。
  88. 西田昌司

    ○西田昌司君 非常に具体的、前向きに検討していただいているということで、是非進めていただきたいんです。  私はなぜこのことを言うかといいますと、今被災地の方が一番本当に先に何も見えないんですよね。とにかくまともに生きていこうと思ったらですよ。だから、借金のことを思ったら、全部捨てたら、それは生きられるんです、最後、生活保護という制度もあるんですから。しかし、それにはなりたくないんですよ、やっぱりみんな。もう一度自分で再建したい、再建しようと思うと全部背負わなけりゃならない仕組みなんです。  だから、それがそうじゃなくて、何らかの形でできるよという、そういうやっぱりメッセージなんですよね。そのメッセージがあると生きられるんですよ。一番みんなが困っているときにその一つの光があると、それが希望になるんですよ。だから、今一番政治がしなくちゃならないのはそこなんです。制度をつくっていくというのも大事なんですね。しかし、メッセージですから、方向性の話ですから。だから、大臣たちにお願いしたいのは、必ずあなた方、見殺しにしません、大丈夫なんですよと、これをやっぱり示さなきゃ、言わなきゃならないんですよ。これを是非お願いしたい。  そして、方法はいろいろあると思うんです。今の方法もそうだし、例えば、今回、阪神・淡路よりも物すごくたくさんの今、あのときもたくさんの義援金集まりましたけれども、来ていますよね。小さな災害のときは、こういう資産損失しても大概義援金でいけちゃうんですよね。義援金をそれぞれ分配してあげるとそういう損失の分は賄える、二重債務の分はですね、カバーできるところがあるんですけれども、これだけ大きな大震災被害になると、なかなか、義援金もたくさん来ているけれども、なかなかそれがどこまでなるのかというのがちょっと私にも見えません、それにまたプラス原子力災害、被害というものもありますからね、よく分からないんですけれども。しかし、少なくとも、いろんな方法を組み合わせることによって、あなた方の負った損失はあなた方一人に絶対背負わせません、生活再建のためにはあらゆる手段を使ってやりますからと。やっぱりこれは与野党を含めてみんな思っていることなんですから、これはやっぱりしっかりメッセージとして言っていただきたいんですよ。  最後にもう一度、だから大臣の方から言ってくださいよ、これは。
  89. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 実は、今日、閣議の後の閣僚懇で、今の委員の御指摘の二重ローンの問題、どうするかという議論しました。閣僚懇で誰がどう言ったかというのは言えません。だけど、強烈に政府としてもそれについての問題意識を持っています。やっぱり被災された皆さんが元の事業に復するように、働けるように、生活再建できるように、全力で頑張っていきたいと思います。
  90. 西田昌司

    ○西田昌司君 もう時間が来ちゃったので終わりますけれども、こういうのは与野党関係なしにしっかり我々も支援していきます。ただ、そのときに変な政治的な間違ったやつを一緒に押し込んでくるとか、冒頭言いました、そういうのはやめていただきたいと、このことを申し上げて、終わります。  ありがとうございました。
  91. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 未曽有被害をもたらした東日本大震災であります。まずは、被災者生活再建また復旧を早急に進めることが重要でありますので、今回の緊急対応としての税制改正は評価をするものであります。  そこで、改めて大臣に、一次補正に先駆けて本法律案国会提出をした狙い、また、これは緊急対応ですから第二弾の税制改正が出るわけでありますが、いつごろのタイミングで、そしてかなり大きな支援策として第二弾の税制改正が出てくると考えてよいのか、お尋ねします。
  92. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 今般の東日本大震災に対する税制上の対応、これはまず取りあえず緊急的にできることということで第一弾の措置をとらさせていただきました。  現行税制を適用した場合の負担を軽減する等の措置というのが今回の全体的な内容でございますけれども、今般の措置は、阪神・淡路大震災における対応に加えて、今般の震災状況に鑑みて、被災地域において重要な交通手段、生活手段である自動車や船の被害が大きいことを踏まえ、これらの買換えや再建造に係る自動車重量税登録免許税免税措置をとりました。ということは、阪神・淡路大震災のときの最初の対応よりもむしろ拡充をする内容が中心であります。  復旧復興に掛かる期間の長さを考慮し、被災事業用資産損失による純損失の繰越可能期間雑損控除の繰越可能期間を現行三年から五年に延長する措置など、あるいはボランティアが重要な活動をしていただけるよう大震災関連寄附に係る寄附金控除の拡充措置など、思い切った特別措置を入れています。  これから、引き続き復興に向けて、もういろいろな予算措置、そして金融措置ありますが、税制措置も必要だと思いますので、いろいろな各党からの御提言もちょうだいをしながらまとめていきたいというふうに思います。
  93. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、法人税を中心として被災中小企業への税制優遇措置の拡充の必要性についてお尋ねをいたします。  今回の法案の中には、被災代替資産等特別償却制度等、中小企業への配慮は見られますけれども、しかしこの度の被害の規模からするとまだ力不足と言わざるを得ません。そこで、今後、特に中小企業優遇税制について第二弾、第三弾ということでどういう税制上の対策を考えていくのか、お尋ねいたします。  例えば、フランスのように、法人税につきまして、欠損金の繰戻し還付期間が三年、また欠損金の繰越控除期間が無制限であるという、こういう制度も十分に参考にしまして支援措置の拡大をすべきであると考えますが、いかがですか。
  94. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 荒木委員指摘のとおり、この第一弾では、中小企業に限定した特例措置としては被災代替資産等特別償却について高い償却率を設ける、こういうことをやったりとかしております。  引き続き、今の御提言なども踏まえまして、税制の第二弾、その策定に臨んでいきたいと思いますけれども、これ、やっぱり中小企業対策、税制もあります。税制については引き続きまたいろいろ御提言いただきたいと思いますが、予算措置もきちっとやっていることは、あるいは政策金融においても対応していることは是非御理解いただきたいと思います。  今回は、間もなく提出する補正予算において、災害関係保証やセーフティーネット保証といった一〇〇%保証の充実、日本政策金融公庫等による無利子化も含めた低利融資の充実など、被災中小企業に対する資金繰り支援なども行いますし、被災企業の社会保険料についての免除のための特例措置も講じます。  税制のみならず、総合的に中小企業支援はこれからもやっていきたいというふうに思います。
  95. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、被災地の医療機関等への税制支援必要性についてお尋ねいたします。  被災地では、生活インフラの崩壊とともに、医療、介護等の施設も相当大きな被害を受けております。今後の被災者生活再建を考えますと、住民の健康やお年寄りの介護等の医療、福祉の分野で早急にこのインフラを再建をする必要がございます。  そこで、一次補正予算を含めまして、被災した医療、介護、障害者の施設等に対する政府税制のみならず財政上の支援策についてどういう対策を講じているのか、あるいはまた今後どういうことを検討しておるのか、お尋ねいたします。
  96. 櫻井充

    ○副大臣櫻井充君) 医療の方のことなので私の方からも答えさせていただきたいと思うんですが、今回、公的病院やそれから精神科の病院に関しての補助率のかさ上げを行ってくるとか、それから介護施設などについての補助率のかさ上げを行うこと等をまず決めております。たしか、私の記憶が正しければですけど、公的病院に関しては三分の二で民間病院に対しては二分の一ということに決まっているかと思いますが、それだけでは不十分であると思っておりまして、直接的にお金を入れることはなかなか難しいんですが、例の地域医療再生基金のお金がございます。これ、各県に十五億ずつ均等に分配されることになっているんですが、今回の被災の本当に多かった岩手県、宮城県、それから福島県に関してはこの基金から百二十億拠出することを決めさせていただいております。  それから、税の繰戻しの制度もございまして、法人税のですね、二年に遡って今年損失があった場合については繰戻しができるとか、そういう形で税制上の措置もやらせていただいておりますし、それから代替として取得する資産特別償却措置も講じさせていただいています。それだけではなくて、融資のことについても、ランニングコストに関しても何とかしてほしいという御要望がございました。現在、その福祉医療機構からの設備投資に関しての融資だけではなくて、それからランニングコストに関しても、なるべく低利で、それから長期間にわたっての融資ができるように検討させていただいているということでございます。  それから、これは復興した後の病院のことについてでございますが、一方で、開業されている先生方の医院がこれも流されてしまって診療が今できなくなっているという現状がございますので、取りあえずのところは仮設の診療所を造って診療が継続できるようにも考えておりますし、それから今後ですね、今後、医療モールのようなものを造るような形にして、その開業されている先生方も将来にわたって継続的に診療ができるように今検討させていただいているところでございます。
  97. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 是非きめ細かい対策をお願いいたします。  次に、揮発油税等トリガー条項の一時凍結の件でございますが、これは公明党も凍結ではなくて廃止をすべきである、このように強く申し上げます。  いわゆるこのトリガー条項というのは、総選挙における国民との契約とまで言い切ったマニフェストを守れずに、ガソリン税の旧暫定税率を廃止できず、維持する代わりの措置として創設されたものということでございます。それで、しかし実際このトリガー条項が発動されそうになった途端に凍結をするという事態になったわけでありまして、まさに迷走というか、この制度がおかしいということをもう証明しているわけでありますね。  したがいまして、もうこれは凍結ではなくて廃止をすべきである、このように考えますが、財務大臣いかがですか。
  98. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) このトリガー条項は、平成二十年度の上半期における石油高騰、こういう異常な高騰時に対応するために揮発油税等トリガー条項を創設をさせていただきました。  これは、発動される寸前になってからやめるという考えではありません。基本的には、震災の前と後では政策の優先順位を変えざるを得ないというのが判断でございまして、これはマニフェストの破綻ではなくて、三月十一日から状況が変わったことに対する現実対応であります。すなわち、これを発動した場合には、被災地における需給の逼迫等、あるいは流通の混乱等が悪影響を及ぼすだろうと。加えて、膨大な財政需要が考えられるときに財政において大きな減収が見込まれることを今やっていいのかどうか、そういうことも含めて一時凍結という判断をさせていただいた次第であります。
  99. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そもそも、ガソリンの高騰ということは、需給関係が逼迫をしまして将来不足をするであろうという予測が成立するから上がるわけですね。そういうときにはやはりこの需要を抑えなきゃいけないわけでして、そのときに、この税金を下げて更に需要を刺激するような考え方というのはやっぱりおかしいんじゃないんですか。そう思いませんか。
  100. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) そもそも論でいうと、そういういろんなまた、元に戻った議論になるかもしれませんけれども、要は、さっき申し上げたとおり、三月十一日以降と、前と後ではやっぱり状況変わった中での対応ということであって、自民党さんからも廃止という御提起いただきました。その理由は、まずは現場の混乱を避けることと、そしてやっぱり財政の問題という二つの理由からでございました。  そういうことも踏まえると、やっぱり復旧復興の間については一時凍結というのは、結論的には、その状況の心配に対する対応ですから同じことになるんではないか。御党からも基本的にはそういう御意見だったというふうに承知をしています。
  101. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、先ほどもございましたが、復興会議の五百旗頭議長の復興税発言が発端で、消費税の三%増税という、いわゆる復興財源の確保のための増税論が独り歩きをしている感がございます。もちろん、政府として正式に決めたわけではないんですが、しかし、これは政府会議の議長が言っているわけでありまして、メッセージとしては非常に大きいわけです。    〔委員長退席、理事大久保勉君着席〕  私は、菅総理の消費税一〇%発言のあの教訓を全く政府は学んでいないなというふうに思いました。要するに、あのときは社会保障充実の青写真を示さずにいきなり増税の話が出てきて、これはもう国民、有権者が総反発をしたわけであります。今回も、当然これは復興お金が掛かることは当たり前の話でありまして、国民はある意味ではそういう覚悟もあるとは思いますが、しかし、まずはこの復興の青写真を示して、一体幾らお金が掛かるのかと、そのことをきちんと示した上で財源論になる話でありまして、全くこれは議論があべこべではないですか。
  102. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 三%だとか、五百旗頭先生の御発言とか、確かにそれは先行的に出てきています。ただ、これが政府で確定的に考えていることではありません。これはくれぐれも御理解をいただきたいと思います。  委員指摘のとおり、復興構想会議復興に向けての青写真をつくります。与野党間のいろんな議論もあると思います。復興のために何が必要か、そこでどれだけの財政需要が出てくるのか、じゃその財源はどうするのかというのが議論のプロセスでございまして、最初からどの税目をどれだけ上げるとか被災地域に還付するとか、そんな具体的、技術的なことを今議論している状況ではないということは御理解いただきたいと思います。
  103. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に、平成二十三年度税制改正法案の取扱いについて指摘、お尋ねをいたします。  とっくに本予算が成立をしておるのに財源確保法案、また税制法案成立をしないという異常事態であります。これは、やはりこのねじれ国会の中で野党の協力を得て成立をさせなければいけないというこの政府また与党民主党の努力不足であると言わざるを得ません。  そういう意味で、先ほどトリガー条項の凍結は三・一一以降の事態の変化に伴うものだと、このように言われました。二十三年度税制改正も成立させなければ、内容はともかく、これはいつまでもつなぎで延ばすわけにはいけないわけでありますから、税制改正をしなければいけません。これはきちんと我々野党が賛成できるような内容にしていただきたいわけで、そういう意味ではひとつ、法人税の税率の引下げ等は、この大震災等の事態の急変を受けて、これはもうすぐに抜本的に見直しをして新たな提案というのを政府としてすべきであると考えますが、要するに我々がきちんと賛成できるような条件を早くつくってもらいたいわけでありますが、大臣、いかがでしょうか。
  104. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 平成二十三年度税制改正法案、これは経済活性化と財政健全化、両方をにらみながらまとめた案でございまして、一方で税制の抜本改革との一貫性も持ったそういう緊要性の高いものを措置をしている内容でございます。  その意味では、きちっとした税制改正法案を出したつもりでございますが、これまた震災の前と後ではいろんな状況が変わってきたということがあります。委員の御指摘の点も含めて、丁寧な国会議論をしていきたいというふうに考えています。
  105. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  106. 中西健治

    ○中西健治君 みんなの党の中西健治です。よろしくお願いいたします。  震災税制上の対応につきましては速やかに行うべきであると我々も思っているわけですけれども、そこで野田財務大臣にお伺いいたします。  大臣は、これまでも答弁の中で、阪神・淡路の震災の後のスケジュールと対比してよく答弁をされるということがあったわけですけれども、今回の税制上の対応、阪神・淡路の際には一月十七日に震災があって、こうした税制上の対応はもう二月二十日には出てきております。ところが、今回はそれに比べても二週間も遅れてきているということですけれども、どうしてこういうふうに遅れてきてしまっているんでしょうか。
  107. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 今委員指摘の阪神・淡路大震災時の二月二十日に公布された税制上の措置というのは、その年の確定申告の開始時期に間に合うよう、雑損控除及び災害減免法による減免並びに事業用資産等の損失特例平成六年分所得でできるようにと、あれは平成七年の一月十七日発災ですから、平成六年分にも適用できるという、そういう特例措置を取り急ぎやったのが二月二十日なんです。それはもうとっくに我々は発令を発表しています。  その上で、今回の震災は確定申告期間の終盤で起こったものでございますので、震災発生後直ちに国税通則法第十一条に基づく申告納付期限の延長を行いましたけれども、それと併せて、今回御審議をいただいている未曽有の災害に対する第一弾の税制上の対応として、阪神・淡路大震災のその後の措置で出てきたものを参考にしながら、むしろそれを拡充したり、あるいは新たなものを作ったりしながら出しているということであって、これはスピード感としては、対応としては決して遅くないというふうに是非御理解いただきたいというふうに思います。
  108. 中西健治

    ○中西健治君 それは了解いたしました。  今回第一弾ということですので、第二弾、第三弾が出てくるということになるかと思いますが、じゃ、そのスケジュール感について、そしてどういったことが出てくるのかについて少し教えてください。
  109. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) まず、この第一弾、速やかにこれを成立させていただくということが何よりでございますけれども、当然のことながら、これからいよいよ復興議論をしていく中で、復興対策として税制上のどういう措置が必要なのかという議論もしていかなければならないと思いますし、現時点で考えられる具体的な対策として、例えば被災者が住宅の再取得等をした場合の住宅ローン控除の特例であるとか、事業承継税制の認定会社が大震災により事業継続が困難となった場合について納税猶予の継続等を認める措置など考えられますが、これ随時、なるべくスピーディーにいろんな措置をどんどんと講じていきたいというふうに思います。
  110. 中西健治

    ○中西健治君 先週、菅首相の方から、税と社会保障の一体改革は予定どおり六月に政府・与党の成案を得るという話がありました。そして、これは野田財務大臣はずっと言ってきたことですけれども、となりますと、復旧復興に関する青写真、グランドデザインが決まって、必要な費用もおおむね六月までに確定をする。そしてまた、あるべき社会保障制度の姿に基づいて必要な額も確定して、両方の必要額併せて今度の財源論と、六月に出てくる税と社会保障の一体改革というのは、その二つ併せた財源について手当てをするというものが当然出てくるのであろうというふうにも推測されるわけですけれども、この二つを併せているという理解でよろしいでしょうか。
  111. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 復興構想会議が青写真をまとめられるのは六月末というふうに聞いていますので、その青写真を実現をするためにどういう財源という議論も当然基本方針の中で現れてくるだろうと思います。  それから、委員指摘のとおり、社会保障と税の一体改革についてもスケジュールどおり成案を得るということを総理が方針として示されましたので、税と社会保障の一体改革の成案、これも六月末までには出てくるということです。  もう一つは、私の方の担当になると思いますが、財政運営戦略、向こう十年間、財政健全化の道筋を定めております。そのうち、向こう三年間の中期財政フレームについては、ローリングをしながら所期の目的を実現できるように工夫をすることになっていますが、これも時期としては年央なんですね。年央ということはやっぱり六月なんで、これらの様々な取組というのが整合的にならなければ基本的にはいけないだろうというふうに思っています。
  112. 中西健治

    ○中西健治君 整合性を取るということは大変大事なことだと思いますが、今のお話でいきますと、この税と社会保障の一体改革の成案を取りまとめるに当たっては、復興構想会議などが財源についてどうするかというようなことは反映されてこないだろうと、今のスケジュール感だと反映されづらいと思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。    〔理事大久保勉君退席、委員長着席〕
  113. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 復興構想会議が何を決めるかまではちょっとまだ、重要な議論が行われているので、財源まで具体的に入るのかどうか、基本方針に入れるのかどうか、これは分かりませんが、いずれにしても、その復興の財源も、あるいは税と社会保障で何か成案を得たときに、じゃ、税としてはどうするかという議論、あるいは財政運営戦略に絡んでの中期財政フレーム、これは最終的には税にかかわる部分政府税調で決めることになりますので、様々な機関で議論がありますけれども、税としての対応政府税調で取りまとめていくということになります。
  114. 中西健治

    ○中西健治君 再建のグランドデザインすら決まっていない中で、政府あるいは与党内から財源についての発言というのも相次いでいるわけですけれども、財務大臣はこうした状況についてどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  115. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) どうしても、阪神・淡路大震災に比べて第一次補正でも、比べれば第一次分だけでも四倍ですから相当に復興に向けての財源も必要だろうという皆さん御認識を持っている上で、青写真よりも先行して若干財源が進んでいる部分はあると思います。でも、やっぱり基本は青写真であって、それをどう支えるかという議論、そのプロセスをたどっていかなければいけないと思いますが、私の立場ではまだ確定的なことは申し上げられませんとずっと申し上げています。幅広く皆さんの声を聞きながら、いずれにしても歳入歳出両面からのやっぱり改革、財源づくりが必要だろうというふうに思います。
  116. 中西健治

    ○中西健治君 よく分かるんですが、しかしながら、政府内から所得税の増税だというような声が上がっているということについてはどう考えられますか。
  117. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 消費税所得税も、いろいろ出ています。ただ、これは最終的に、さっき申し上げたとおり、基本的には政府税調で決める話でございますので、まだ、それぞれ個々の発言がありますけれども、それをもって確定的、固定的に政府が考えているわけではないということは重ねて申し上げたいと思います。
  118. 中西健治

    ○中西健治君 確定的なことは今の時点ではおっしゃれないということだと思いますけれども、今後、国債を発行するのか、それとも税制改革なのかということについて判断をしていかなきゃいけないということになるわけですけれども、今考える判断のポイントというのはどういうところにあるでしょうか。
  119. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 極力、今回の第一次補正予算も、極力というか追加的に国債発行をしないで約四兆円規模のものを編成をさせていただきました。  基本姿勢は、復興のときも同じであって、やっぱり既存の歳出の見直しであるとか、あるいは、よく御党からも御指摘いただきますけれども、できるものとできないものがありますが、一般会計、特別会計総ざらいしながら見直していくとか、そういうことを前提としながらも、その上でやっぱり、じゃ、どうしても足りない分はどうなるかというときには国債発行せざるを得ない。じゃ、国債の発行の仕方はどうすると、あるいはその財源、国債の償還ルールをどうするとか、税はどうすると、そういう議論、そういう順番で物事を整理していかなければいけないんだろうと思います。
  120. 中西健治

    ○中西健治君 その国債の発行にもかかわるところなんですけれども、今回、一次補正予算案の財源として年金国庫負担の引下げで二・五兆円程度を捻出するとしていますけれども、これは積立金を一時的に取り崩して資金を借りてくるという性質のものかなというふうに思います。これは埋蔵金、剰余金というものとは全く別なんではないかというふうに考えておりますが、これは実体としてはつなぎ公債を短期で発行していることと何ら変わらないではないかというふうに私は考えますが、そこのところについてはいかがでしょうか。
  121. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 年金国庫負担の臨時財源ですね、鉄運機構から国庫に納付してもらった一・二兆円含めて二・五兆円の臨時財源を年金ではなくて今回は震災対応に使わせていただくということをさせていただくことになります。  それは、元々、年金国庫負担については臨時財源では駄目だと、恒久財源にすべきだという御意見もございました。そういうことも踏まえまして、税制抜本改革で確保される財源を活用して年金財政に繰り入れることによって今後の社会保障一体改革の検討を進めていく中で、具体的な対応については検討を進めていくことになるかと思いますが、いずれにしても、これは年金額あるいは保険料等に直接影響するわけではなくて、年金財政に対して支障が生ずるものとは思っておりません。
  122. 中西健治

    ○中西健治君 とはいえ、年金財政に後でお返しをしようという気持ちは持っていらっしゃるということだろうと思います、そういうふうに報道もされておりますので。やはり、公債を発行してお金を返すと、借金をして返すのとまるっきり変わらないと私は思うわけでございますが、今回、もうちょっと時間も来てしまいましたので、私の意見だけ申し上げて、質問の方はこれで終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  123. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  ちょっと通告はしておりませんけれども、先ほど佐藤ゆかりさんの質疑の中で野田大臣答弁がおかしいなと思いましたので一言言いたくなりましたけれども、佐藤ゆかりさん、大変重要な指摘をされまして、中小業者の純損失の繰越しとか繰戻しというのがありますけれども、これ認めるべきだと大変重要な指摘をされました。そのときに大臣が、青色申告は記帳しているから認めるけれども、白色は記帳していないんで認められないというような趣旨を言われました。  あの大津波は、別に青色、白色区別して襲ったわけでも何でもありません。申告制度そのものから物を見るんじゃなくて、今の制度からじゃなくて、やっぱり被災者、人間から物を見るべきなんですよね。人間に合わなければ制度を特例で変えなきゃいけないんですよ。そのための今回提案されているのは当たり前みたいなことばかりで何も踏み込んだことがなくて、こんなものでいいのかと。賛成はしますけれども、もう本当に最初の取っかかりだと思いますが、まさにやらなきゃいけないのは、佐藤さん指摘されたし、私も思いますけれども、踏み込んだ措置をやらなきゃいけないんですよね。  それを、青色申告、白色申告、記帳している、していないとか、そんなレベルの答弁がこのときに出るのかと。さっき野田さんは答弁書をお読みになっていましたけれども、あんな答弁書を書いた役人の顔が見たいと。いるんですか、そこに。本当に恥ずかしくないのかと、こんなときにそんな答弁書しか書かないということ自体を。  そもそも、私、この白色申告問題を取り上げてきましたけれども、記帳している、していないなんて細かいことを言うんだったら、八四年から白色申告者も記帳義務になっているわけです。記帳しています、みんな。帳面付けています。損失額ぐらい分かりますよ。記帳していないから分からないから認められないなんて、そんなことを言っている段階なのかと。  とにかく、お店や家を失った人に白も青も違いはありませんから、もうそんなレベルの低いことを言っていないで、これはもう早く特例措置で、純損失の繰越しと繰戻しに関しては申告形態にかかわらず措置するとお出しになるべきじゃないですか。大臣、いかがですか。
  124. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) さっきの答弁の中で完全に白と青を分けているかのような印象が与えたとすれば、ちょっと私の答弁が至らなかったということでありまして、白色申告者であっても被災事業用資産に係る損失とか変動所得に係る損失については繰越期間延長は可能でございますし、白色申告者であっても、平成二十二年分の確定申告期限までに青色承認申請書を税務署長に提出すれば平成二十三年分の所得税について青色申告の承認を受けることができる等々、同様の改善というのはしてきておりますので、完全に白と青を分けているわけではないんです。  その上で、今委員の御指摘のように、人間から見ろという御指摘よく分かりますので、もっと可能なところは検討させていきたいというふうに思います。
  125. 大門実紀史

    大門実紀史君 また後ろからペーパーが来てつまらないことを読まないで、関係ないんです、そんなことは。青にしたらどうかとか、そんなことを言っている場合じゃないんですよ。後ろからそんなつまらないのを出すからおかしな議論になるんですよ。政治家が判断すればいいんです、こんなことは。  今のペーパーによると、ペーパーの範囲だと、やっぱり今の制度を前提にしているんです。青と白との区別を前提にした話なんですよ、今来たのもね。今だって事業用資産の災害による損失は白でも繰越控除ができるんですけれども、繰戻しができないとか、まだ違いがあるんです。そんなものを取っ払ってくださいと言っているんです、この場合は。  ということなので、引き続きやりますけれども、こんなさっきも言ったレベルでは、そういう考え方、もうちょっと財務省の役人ね、いい人もいますけれども、ちょっと本当に考え直した方がいいです、税の部分は。是非、至急、特例措置を考えてもらいたいというふうに思います。  本題の方に入りますが、資料をお配りいたしましたけれども、今日もありました二重ローンの解決は、以前から指摘しているように、やっぱり新たなスキームが、どうしても新たな枠組みが必要だというふうに思いますけれども、これは何か閣僚懇でも議論が始まったということなので、是非踏み出してほしいと思いますが。  当面のそういう二重ローンを抱えるであろう方々の融資の問題で、前回の委員会でも取り上げましたけれども、資料をお配りいたしました。原発被害中小企業への支援ということでは、無利子、無担保、貸付期間最大二十年という今考え得る一番いい制度が提案されることになりましたし、二枚目の資料の震災復興特別貸付、これもこの前無利子にすべきだということを申し上げたら、無利子にする方向の基金を創設するということで踏み出されました。この辺は大変評価をしておりますし、この間、この分野のですね、この分野の、中小企業分野の経済産業省の役人の方、あるいは財務省の役人の方は大変非常に頑張っておりますから、この点は本当に評価をしておりますので、是非大臣からも、長官からも、頑張っている官僚の方々ですね、褒めてあげてほしいなというふうに思います。更に踏み込んで頑張ってもらいたいと思いますが。  その中で、時間の関係でもう絞って申し上げますけれども、二枚目の方なんですが、一枚目で申し上げたように、最大、この原発の方ですね、原発の方の被災中小企業に対しては貸付期間最大二十年というふうに踏み出されました。ところが、その公庫の方、公庫、商工中金の全被災地にかかわる復興特別貸付の方ですけれども、先ほど評価したように、無利子の方向というのは評価しておりますが、貸付期間十年は、前回この委員会指摘したんですけれども、ダブルローンの場合は十年では返せないと。ですから、二十年とか延ばす必要があるということを申し上げたんですが、今の段階ではここはやっぱりまだ十年のままというふうにお聞きをいたしました。  原発の方の一枚目の方はどういう考え方で二十年ということにしているかというと、つまり原発の避難で移転を余儀なくされる中小企業、つまり営業手段を事実上失った中小企業だから二十年、最大二十年という考え方に踏み出されたんだと思います。これは、原発で避難と、津波でお店や事業所がなくなってしまった方も、同じように営業手段を失ったという点では同じでございますので、この災害復興の特別貸付も十年というのをやっぱり最大二十年という考え方に是非変えてほしいと。いろいろあるわけですね。全壊もあれば半壊もあれば床上浸水もあると。いろんな被害状況があります。全壊の場合を想定して、この原発と同じように、営業手段を失った点では同じでございますので、同じようにやっぱり最大二十年という考え方に変えていただきたいと思いますが、まず長官、いかがですか。
  126. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) 津波資産の大宗を失われた方、大変厳しい状況におられること、これはもう委員の御指摘のとおりでございます。今般創設いたします東日本大震災復興特別貸付、これ補正予算に盛り込まさせていただいておりますけれども、御指摘を踏まえまして、融資期間につきましても、例えば特に設備資金などのようなものにつきましては長期の資金が必要であると考えておりまして、御指摘も踏まえつつしっかりと拡充していきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  127. 大門実紀史

    大門実紀史君 野田大臣にも伺いますけれども、公庫全体で財務省もかかわりますので、やっぱり十年というのは、ゼロからのスタートだったら返せなくはないと思うんですけれども、さっき、今日もあったように、過去の借金と合わせて返すというと、十年だと倍の返済額になって返済計画の見込みが立たないので貸せないということが起きているわけですね。最大二十年、全壊の場合はもうそれぐらい考えるべきだと思いますが、半壊、床上浸水、いろいろあるんですけれども、全部二十年って言っているんじゃないんですよ。最大二十年ぐらいのスパンで期間延長しないと、実際にこの制度、せっかくの制度が使われないと思いますので、最大二十年ということを是非検討してほしいと思いますが、大臣からもお考えを。
  128. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 委員指摘のとおり、現行貸付期間十年でありますけれども、今、中小企業庁長官お話されたように、今回の補正予算で取り入れる新たな貸付制度の創設においては、その中で、貸付期間については最大二十年に延長する方向で検討を行っておりまして、関係省庁と連携してしっかり実現をしていきたいと思います。
  129. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう時間が来たので終わりますが、是非全体の方も二十年ということで実現してほしいと思います。  終わります。ありがとうございました。     ─────────────
  130. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、鴻池祥肇君が委員辞任され、その補欠として渡辺猛之君が選任されました。     ─────────────
  131. 中山恭子

    ○中山恭子君 たちあがれ日本・新党改革の中山恭子でございます。  今回、この臨時特例法、被災者の方々にとっては必要最小限の措置であると考えております。将来に向けて少しでも見通しが立てられるように、一日も早く成立させることが必要であろうと考えています。  まず、災害の定義、それから適用範囲についてお伺いしたいと思います。  この法律案第二条第一項には、「「東日本大震災」とは、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう。」と規定されております。  ただ、三月十一日以降も大きな余震が発生しており、被害が出ておりますし、また、少し離れた地域の静岡や長野でも地震の被害が出ております。また、まだ余震が続いておりますから、今後の地震が発生することも考えられます。  こういった問題がありますので、余震ですとか地域の広がりですとか、今後の余震についてもこの特例法が対象としているのかどうか、確認というか、お伺いしたいと思います。
  132. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 三月十一日に発災した東北地方太平洋沖地震と、その後の余震であるとか十二日に発生した長野県北部の地震など、これは関連性は否定できないというふうに思いますので、一連の災害として特例措置対象に含まれるということでございます。
  133. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございます。確認しておきたかったものですから。それから、そうですね、この法律だけ見ますとその辺りがはっきりしませんので、何らかの形でメッセージを出しておいた方がいいかなというようにも考えております。  また、今回の大震災では原発事故の問題というのが大きいかと思っております。その被災した方々の生活やまた企業の活動についても大きな影響が出ておりますので、この法律案がこの原発の関係で生じる損害についてどのような手当てがなされているのか。例えば、農作物の出荷制限など、又は風評被害による営業損失など、目に見える損害、目に見えない損害、いろいろ損失が出てくると思いますが、この法律でカバーできるのかどうか、その辺りについてお伺いしたいと思います。
  134. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 今回の震災特例法案対象には、福島県の原発事故による災害も対象となります。例えば、原子力災害対策特別措置法に基づいて行われた避難指示であるとか、食品の出荷制限について廃棄を余儀なくされた農作物等の棚卸資産に係る損失など、地震や津波などによる事業用資産の滅失と同様の損失と認識できるものについては、それぞれ所得税特例措置あるいは法人税特例措置が適用をされることになります。  ただ、現段階において、原発事故、これ収束をしておりません。原子力損害賠償制度に基づく賠償についても今後検討される状況になると思いますが、委員指摘のような風評被害などは、これは原発事故とは直接的な因果関係、その取扱い、どうなるかということは、今後のその損失の実態とか原子力損害賠償法の補償の範囲や指針に関する今後の議論などを踏まえて適切に対応していきたいというふうに考えております。
  135. 中山恭子

    ○中山恭子君 確かに判断の難しいところかと思いますが、この法律で救済されないケースが多く出てくることもあり得るのではないかと心配しておりまして、納税者の方々にこの特例措置の適用について何らかの指針というものを明確に示しておかれる必要があるのではないかと考えています。  また、今、野田大臣おっしゃられましたように、税で救済できる部分というのは、この大きな災害の被害の救済という面ではある程度限られるもので、所得あっての問題でございますから、限られるところが多いかと思っております。  原子力損害賠償法、今おっしゃられたような、その損害賠償法で救っていくということが今後大きなテーマとなるかと思いますが、この損害賠償法で支払われる賠償金に対しては税は掛からないと考えております。確認ですけれども、それでよろしいでしょうか。
  136. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 原子力損害賠償制度に基づく賠償については、今後検討される状況を見守りたいと思うんですが、その課税上の取扱いについても、その範囲とか指針に関する今後の議論なども踏まえながら対応したいと思います。  現段階で言えることは、例えば所得税法上、心身に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金、あるいは突発的な事故により資産に加えられた損害について支払を受ける損害賠償金などについては非課税とされているところでございます。
  137. 中山恭子

    ○中山恭子君 例えば、さらに見舞金ですとか給付金も同じ扱いと考えてよろしいでしょうか。
  138. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 同じでございます。
  139. 中山恭子

    ○中山恭子君 そうですね、もう一つ、先ほど風評被害というのがありましたが、今回、計画停電が行われました。ちょっと話が戻りますが、計画停電などによって生ずる損害というのはこの特例法の対象となり得るのでしょうか。
  140. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 計画停電によって例えば損失が出たというケースは、いわゆる政策金融等での対応では今回措置していますが、税制上の対応については今後の検討課題ということになっております。
  141. 中山恭子

    ○中山恭子君 税制上はそれでやっていくのであろうと考えておりますが、ちょっと話がそれますけれども、例えば農作物の出荷制限をした場合には、例えば国がこの農作物を買い上げる、買い取ってしまうというようなやり方もあったであろうと思いますし、今後出てくると思っています。そういった措置をとっていれば、ある意味では今回の特例法から外れるかどうかというような問題は生じていないんだと考えておりまして、政府措置として農作物についての買上げ措置をとってはいかがかなと、そういうふうなことも考えられますので、いろんなことを政府としては考えていただきたいと思っておりますし、計画停電というのも、突如として停電します、計画的にやりますというようなお話がありましたが。  これはちょっとこの会議から外れるかもしれません、テーマから外れるかもしれませんが、あのやり方を見たときに、計画停電あしたからやりますというふうなことを言われましたとき、私自身は中央アジアで住んでおりましたときのソ連のやり方というのを一瞬感じました。それは、モスコーで決めたことを、現地がどういう状態か、そういったことを一切お構いなしにモスコーが決めて、それを指示を出してくるというやり方がソ連の中では通常行われておりまして、今回の計画停電でも、日本でやるのであれば、例えばまず節電を皆さんお願いします。日本人はもう本当に一生懸命節電しますのでまずその節電をお願いして、それでもどうしようもなければ停電ということをみんなで考えなければいけませんというのがやり方としては日本的なやり方ではないかと思うんですが、ああいう計画経済的な問題がぼんと出てくるというのは、やはり少しお考え、政府の中でも御意見を言っていただいて、ちょっと違うのではないかというようなことを言っていただけたら有り難いと考えています。  時間が来ておりますけれども、今回の特例法、非常にいい法案法律になっていると思いますので、分かりやすくみんなに説明をしていくということも非常に大事だと思っておりますので、この法案成立しましたときに財務大臣からもう少し分かりやすい形の御説明なり、又は職員の方から、又は現場で国税の職員から御説明いただくということが必要であろうかと考えていますし、税の本当の課税原則、公平、中立、簡素というような課税原則をもう一度職員の方々はしっかり考えて行動を取っていただきたいと思っております。  もし何か御意見がありましたら、どうぞ、時間が来ておりますので。
  142. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) では、簡潔にお願いいたします。
  143. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 委員のアドバイスのように、しっかり分かりやすく周知徹底をするように努めていきたいと思います。  ありがとうございました。
  144. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について佐藤ゆかりさんから発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤ゆかりさん。
  145. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 私は、自由民主党を代表して、東日本大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。  その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  まず、提案の趣旨について御説明いたします。  今回の法律案には、現在、衆議院の財務金融委員会審議中の所得税法等の一部を改正する法律案の改正規定が含まれております。しかしながら、所得税法等の一部を改正する法律案内容をめぐっては各党において様々な議論があり、その成立を前提とした改正規定は極めて問題であります。  以下、修正案の概要を申し上げます。  修正案の概要は、所得税法等の一部を改正する法律に関する附則第一条ただし書の規定及び附則第十二条の規定を削るものであります。  以上、修正案の提案の趣旨及びその概要を御説明いたしました。  何とぞ、委員各位の御賛同をいただきますようお願い申し上げます。
  146. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) これより原案及び修正案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに東日本大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律案について採決に入ります。  まず、佐藤ゆかりさん提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  147. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 少数と認めます。よって、佐藤ゆかりさん提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  148. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  150. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 次に、株式会社国際協力銀行法案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。野田財務大臣
  151. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) ただいま議題となりました株式会社国際協力銀行法案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  我が国の更なる経済成長を実現するためには、官民が一体となって我が国産業の国際競争力を強化し、海外の膨大なインフラ需要等を取り込むことが重要であります。本法律案は、経済界等からの要望も踏まえ、国際協力銀行について、必要な機能強化を行うとともに、その実を上げるため、日本政策金融公庫から分離し、株式会社国際協力銀行として設立するものであります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、株式会社国際協力銀行の目的につきまして、一般の金融機関が行う金融を補完することを旨としつつ、重要資源の開発及び取得の促進、我が国産業の国際競争力の維持及び向上、地球環境保全事業の促進並びに国際金融秩序の混乱への対処を行うこととしております。  第二に、業務につきましては、民業補完原則を堅持しつつ、我が国企業の海外展開をより積極的に支援するため、先進国向け輸出金融、短期つなぎ資金の供与、外国企業を買収するための資金等の供与などを内容とする機能強化を行うこととしております。  第三に、こうした機能強化の効果を最大限に発揮させるためには、業務の機動性、専門性等を強化するとともに、財務の独立性、明確性の確保により資金調達の安定性を向上させる必要があり、このため、国際協力銀行を日本政策金融公庫から分離することとし、必要な経過措置等を規定しております。  第四に、業務の適切な実施を図るため、株式会社国際協力銀行の発行済株式の総数を政府が常時保有することとするほか、財務及び会計、監督等につきまして所要の規定を整備しております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  152. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十七分散会