○
大門実紀史君 昨日から日銀の国債引受けが
議論になっております。先ほ
ども西田さんからございました。私は大体
西田さんとは
意見がほとんど合うんですけれ
ども、この問題だけはかなり見解が違うなと
思います。
振り返れば、日銀に国債を引き受けさせろという話は、もうこの十年来絶えず出てきている話で、速水さんのときからあった話でございます。何かあるたびに日銀に国債を買えという圧力といいますか、これがずっとありまして、その都度私は日銀の味方をして、圧力に屈すべきではないということを一貫して申し上げてまいりましたけれ
ども、日銀は迫られて迫られて、結局今六十兆ですか、何だかんだいって六十兆ですかね、引き受けている、持っているわけですね。
もちろん、今回の大
震災の規模というのは国債発行は避けられないという
認識は私も持っております。いわゆる
復興国債ということですね。それをどこが引き受けるかということなんですが、先ほど
予算委員会の
公聴会の話がありましたが、
西田さんから言われたとおり、日銀が積極的にというのもありましたけれ
ども、私も提案いたしましたが、今余剰資金のあるところ、企業にしろ個人でも一億、三億持っている、
金融資産を持っている人が百何十万人になってきているわけですから、国難ですからね、そういう
方々の余剰資金にもお願いするということも含めて、
国民みんなでまずやるべきだと、我が党はそういう
考えでございます。
ところが、そういう中で、まず日銀にという話がこれだけわあわあ出てくるのが私ちょっと異常じゃないかなと思っておりまして、
一つは産経新聞が火を付けたようなところがありますけれ
ども、従来から日銀に、こういうことがなくても日銀に国債を買わせようという、リフレ派というんですか、よく分かりませんけれ
ども、何
考えているのかよく分からない人たちですけれ
ども、そういう人たちがこれを機会にやらせてしまおうと、どさくさ紛れに言っているようなところが多分に感じられます、はっきり申し上げてですね。
場合によっては、日銀法を変えて日銀に言うことを聞かせようなんてとんでもないことを
考えたりする議員連盟もあるわけですね。私はそれはとんでもないことだと思っておりますし。あえてもう少し良識的な方でも、こういうときなんだから日銀がアコードという形でいざというときには引き受けますというようなメッセージも含めてやるべきじゃないか、若干良識的な
意見もあるんですけれ
ども。
どうしても、私はこういうことだと思うんですね、
復興は必ずやり遂げなければなりません。人の命も救わなければなりません。お金が掛かります。国債発行が必要です。しかし、市中で吸収できない、消化できないという事態になればこれは日銀が引き受けるという、まさに非常事態ですからこれはあり得ることかなと。そこまで私は否定するつもりはございませんけれ
ども、今市中で吸収できる力はあるわけですね。その時点でいきなり日銀に先に引き受けろとか、あるいは引き受けることをあらかじめメッセージ出せとか、私はこれは大変、何といいますか、後々何をもたらすのか大変恐れるところでございます。
高橋是清の話もよく分かっておっしゃっているのかどうかと思うんだけれ
ども、よく出てくるんですけれ
ども、高橋是清というのは物すごい
財政規律論者でございました。だからこそ二・二六で命を奪われたわけですよね、軍部にですね。
要するに、あのときは大恐慌がありまして景気対策をやらなきゃいけないと、しかし市中に引き受ける力がないから日銀に国債を引き受けさせた。そして、当時は
公共事業といっても軍需産業が最大の
公共事業ですから軍事費を拡大するという形になって、もちろんそこで雇用は生まれたわけですけれ
ども。高橋是清は、一定景気が回復したところで、やはり国債をこれ以上どんどん発行するのはまずい、歯止めを掛けなければいけない、
財政規律をやっぱり戻さなきゃいけないということをやったんですけれ
ども、軍事費拡大というのは軍部の言うことの表裏一体なものでございましたから、そういうことを言うともう軍部から反発を食って命を奪われたわけですね。
したがって、
財政規律を守るために高橋是清は命を奪われたわけでございます。高橋是清が殺されたものですから、どんどんどんどん国債が発行されて、軍事費が膨脹して、戦争に突入して
日本を破滅させたと、こういう流れになるわけですから、高橋是清から学ぶべきは、命懸けで
財政規律を守ったということだと私は思っているわけでございます。
この点で、私は、日銀が引き受けると簡単にハイパーインフレになるとか、金利がどうなるとか、それは大丈夫だとか、そんな話よりも、まず中央銀行の信頼とか通貨の信認とかがどういうふうになってしまうのかと私大変危惧を抱いておりますけれ
ども、それをもう少しやっぱり
白川さんの方から踏み込んで、メッセージとしてきちっと
説明してもらうことが必要かと
思いますが、いかがですか。