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2011-05-18 第177回国会 参議院 国民生活・経済・社会保障に関する調査会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年五月十八日(水曜日)    午後一時一分開会     ─────────────    委員異動  五月十一日     辞任         補欠選任      難波 奨二君     高橋 千秋君  五月十二日     辞任         補欠選任      姫井由美子君     増子 輝彦君  五月十七日     辞任         補欠選任      平山  誠君     金子 洋一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         山崎  力君     理 事                 梅村  聡君                 舟山 康江君                 関口 昌一君                 古川 俊治君                 山本 博司君                 寺田 典城君     委 員                 金子 洋一君                 佐藤 公治君                 谷  亮子君                 津田弥太郎君                 藤田 幸久君                 増子 輝彦君                 松井 孝治君                 柳澤 光美君                 石井 準一君                 岸  宏一君                 中原 八一君                 牧野たかお君                 松村 祥史君                三原じゅん子君                 竹谷とし子君    事務局側        第二特別調査室        長        近藤 俊之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国民生活経済社会保障に関する調査  (「持続可能な経済社会社会保障在り方」  について)     ─────────────
  2. 山崎力

    会長山崎力君) ただいまから国民生活経済社会保障に関する調査会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一日、難波奨二君が委員辞任され、その補欠として高橋千秋君が選任されました。  また、去る十二日、姫井由美子君が委員辞任され、その補欠として増子輝彦君が選任されました。  また、昨日、平山誠君が委員辞任され、その補欠として金子洋一君が選任されました。     ─────────────
  3. 山崎力

    会長山崎力君) 国民生活経済社会保障に関する調査を議題とし、「持続可能な経済社会社会保障在り方」について委員間の意見交換を行います。  本調査会は、これまで「持続可能な経済社会社会保障在り方」のテーマの下、社会保障中心に精力的に調査を進めてまいりました。  本日は、中間報告書を取りまとめるに当たり、これまでの調査を踏まえ、委員各位の御意見をお述べいただきたいと存じます。  議事の進め方でございますが、二時間程度を目途に、まず各委員からお一人三分程度意見表明を行っていただきました後、委員相互間で意見交換を行っていただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、これより各委員から意見表明を行っていただきます。私から適宜指名いたしますので、御意見をお述べいただきます。  竹谷とし子君。
  4. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 公明党の竹谷とし子でございます。  二月からこれまで、政府からの説明聴取及び質疑、そして参考人からの意見聴取及び質疑ということで、非常に充実したお話を聞かせていただいたことに感謝申し上げたいと思います。  三点、私はこの中から重要な点だと思われるものをまとめました。  まず一つ目は、喫緊の課題として優先的にやらなければいけない社会保障問題点として、貧困格差是正が私はあると思っています。  働いても生活保護受給世帯以下の生活しかできない世帯や、年金をこれまでずっと納めてきて、それでも国民年金だけで暮らすには生活保護以下になってしまうという、そういった問題。また、手厚く支援すべきワーキングマザーやワーキングファーザーの世帯所得分配後にマイナスとなってしまっているような、そういった問題点については喫緊に是正すべき問題だというふうに私は強く感じました。  そして二つ目は、今後、日本社会が持続可能な社会となっていくために重点投資する分野として、私は二つ、特に強くこの調査会で感じたものがあります。一つ幼児教育分野であります。そして二つ目女性社会進出。  この部分に対する支出というのは、単に使ってなくなってしまうものではなくて、将来に生きてくる、そういうものだと思いますので、私はあえて投資というふうに位置付けたいというふうに思うんですが、これについてもっと制度設計予算配分をしていくべきだというふうに考えました。  そして三つ目が、やはり給付負担の問題であります。  これまで、旧政権、そして現政権共にいまだに先送りしている問題があるのではないかというふうに思います。  これについては国民理解を得るということが非常に難しい問題であるということも政治家自身理解している分野だと思いますので、政権交代影響を受けない社会保障考える組織というものが必要なのではないかというふうに思っております。  以上です。ありがとうございました。
  5. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、続きまして谷亮子君。
  6. 谷亮子

    谷亮子君 民主党・新緑風会、谷亮子と申します。本日はよろしくお願いいたします。  国民生活の観点から、三月十一日に発生をいたしました東日本大震災から二か月と六日が過ぎました。多くの尊い命が失われましたことに心よりお悔やみを申し上げます。罹災され、避難所生活を余儀なくされている多くの皆様にお見舞いを申し上げます。  復旧復興へ向けて支援、義援の輪が大きく広がりを見せ、被災地での支援活動におきまして御協力をいただいております国民の多くの皆様に感謝を申し上げますとともに、国といたしましても最善策を尽くしていかなければなりません。  先般の調査会におきまして、医療と生涯スポーツ在り方につきまして質疑機会をいただきました。参考人先生に貴重な御見解を拝聴させていただきました。時間が限られておりましたので資料のみのお配りをいたしましたが、我が国世界トップレベル長寿国であると考えられておりますが、健康寿命を延ばすのに生涯スポーツの奨励が有効であると考えられております。十代から三十代にかけて体を鍛えていた人はゆっくり穏やかに身体機能が低下していくと考えられておりますが、病気やけがの回復のためには運動療法が有効であるということは周知のこととなっております。  この度の大震災におきましても、避難所内では運動不足による健康被害が多々見られております。運動不足による過剰医療費、これは二・五兆円にも及ぶという試算が第二十五回文部科学省政策会議報告をされております。  私は、常々スポーツとは医療費の削減のみならず、体力を向上させ、フェアな精神、そしてガバナンスを培い、克己心を高め、またライフステージに応じたスポーツ活動によって豊かな人間性を育む基礎となるものであると考えております。医療と生涯スポーツ在り方につきましては、国民の誰もが家族や社会との目的に応じたスポーツ機会を育むことによって、健康維持増進、そして体力の向上につながり、国民生活の一助となり得ると考えております。  私は、今後、この調査会におきましてもそうですけれども、国民生活に合ったスポーツ振興支援に力を注ぎ、さらに、スポーツによってこの社会を、振興支援について取り組んでまいりたい、努めてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。  以上です。
  7. 山崎力

    会長山崎力君) ありがとうございました。  続きまして、三原じゅん子君。
  8. 三原じゅん子

    三原じゅん子君 自民党の三原じゅん子でございます。  参考人からの貴重な意見を数多く聴取できましたことにまず感謝しております。  持続可能な社会保障在り方につきまして、参考人お話から何点か問題点があるかと思いました。  日本福祉労働施策の改革とその連携にもかかわりますが、トータルして考えたところによりますと、ソーシャルインクルージョンというこの理念が主に大切な深いテーマになっているのではないかと感じました。  持続可能な社会保障には、やはり支え手として、女性、そして高齢者等就労の促進、これを図るべきなのかと思っております。そのためにも、ワークライフバランス、仕事と生活の調和ということへの取組を考え女性継続就労ですね。例えば、子育ての間に一旦休業したとして、しかし、復職したときにまた同じ立場から同じポジションで復職できる、そのような継続就労の形、そして女性潜在労働力を発揮していくということが非常に大切なことではないかと感じました。  と同時に、シングルマザーのワーキングプアの増加ということにやはり歯止めを掛けていかなければならないと思っております。貧困率の税・社会保障制度による所得分配後の上昇ということ、このことが非常に問題である。ここには、やはり非正規雇用の拡大という社会的な背景、生活保護の近年の増加ということもかかわってきていると思っております。求職者支援制度生活保護の関連、このことについてどう考えていくかということ、これが今後の課題として大きく取り上げられなければいけないことではないかと思っております。  そして、近年の社会福祉の再編に当たりまして、社会的排除、いわゆる失業技術及び所得の低さとか犯罪率の高さ、健康状態の悪さ及び家庭崩壊などの互いに関連する複数の問題を抱えた個人、地域に対処する戦略として、その中心的政策課題一つであります、繰り返しになりますが、ソーシャルインクルージョン理念を大切に考えていきたいと思っております。  今日はありがとうございました。
  9. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、金子洋一君。
  10. 金子洋一

    金子洋一君 民主党金子洋一でございます。  特に、将来の財源につきまして所見を述べさせていただきたいと思います。  五月の十一日に小黒一正さん、あるいは土居丈朗さんといった方々からヒアリングがあったということでございますけれども、私はこういった方々と将来の財源について随分と意見を異にいたしますので、その点について申し上げたいと思います。  まず、現在、確かに国と地方債務残高が一千兆円を超えるというひどい状況になっているという、これは確かであります。そして、毎年毎年、社会保障関係費用が一兆円自然増をしている、これも確かであります。  しかし、この状況がどういうことで起きたのかということを考えてみますと、特に今、我々が意識をしなければならないのは、一九九八年の日銀法の改正以降、デフレが本格化をいたしました。そして、同じ一九九八年以降、これまで民間企業というものは借入れ主体であったものが、逆に手元資金を余すようになってしまった、貯蓄の主体になったということが大きな要因として挙げられると思います。そして、それ以降、民間企業手元資金あるいは預金合計、昨年末は二百兆円以上になっております。こうした形で、一方では資産が積み上がる、一方では国債という形、地方債という形で借金が積み上がるという状況になっている。これは、世界各国を見ましても我が国だけ、ギリシャの危機などは借入れだけが一方的に積み上がるものですから、そういったものとは本来性質が違うと。性質が違う問題に同じ処方箋を使っても有効なわけがないというふうに私は考えておりますので、五月十一日の先生方の御発言には私は賛成をしません。  具体的にどういった点で意見が違うのかということでございますけれども、例えば財務省平成二十三年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算というものを発表しております。そのペーパーを見ますと、増税がやむなしというような書きぶりになっておるんですが、この試算は次の二つの点で完全に誤っております。一つには、税収弾性値の取り方が極めて低い。もう一つには、景気回復をした場合、あるいは名目GDPの伸びが上がった場合の金利上昇が極めて早い、成長率が上がったのと同時に金利が上がるという取り方になっております。  まず第一の税収弾性値の取り方が低過ぎるという点につきましてですが、財務省は常に税収弾性値を一・一で計算をしております。ところが、私が過去の十五年の平均計算を、計算といいましてもエクセルで足し算割り算で出せるんですが、やってみますと四・〇ございます。過去五年間の平均でも三・八です。一・一と四・〇では四倍違います。つまり、名目GDPが一%伸びたとしても税収は一・一%しか伸びませんよというのが財務省計算。ところが、過去十五年の平均で見ますと、名目GDPが一%伸びますと税収が四%伸びますというのが過去十五年間の平均です。これだけ違う数字を取っておりますと、どう考えましても、経済回復をしたとしても増税をしなければ財政再建が不可能であるという五月十一日の先生方の御意見、これが明らかであることは言うまでもないと思います。  第二点ですが、金利上昇を早くこの財務省試算が置き過ぎているということであります。  つまり、金利上昇名目GDP上昇が一遍に、同時に起きるという計算をしておりますけれども、先ほど申し上げましたように、企業手元には預貯金が、現金と預金合計が二百兆円ございます。その場合、例えば物価上昇をした場合に企業がその二百兆円から手を付けるはずでして、ところが、銀行の貸出しは物価上昇しても増えませんから、その場合に銀行預金金利は上がらない。一方で、物価上昇率が上がるということで、実質的にマイナス銀行金利預金金利になります。そうなりますと、企業はそこから、自分の現預金からお金を引き下ろして投資をすると、あるいは実物資産、土地や株を買うということになりますので、何を申し上げたいのかと申しますと、名目GDP上昇スピード金利上昇スピードは違うということです。恐らく三、四年、金利上昇スピード、これはすなわち企業銀行から借りるということがそれまで起きないでしょうから、ですから貸出金利が上がらないわけですけれども、そのタイムラグがあるわけです。
  11. 山崎力

    会長山崎力君) そろそろおまとめ願います。
  12. 金子洋一

    金子洋一君 はい。  ということで、財務省試算というのは誤っているということで、税と社会保障の問題を考える上でも、今後の税収の見積りについてはきちんとした数字、きちんとしたシナリオに基づいて考えるべきだというのが私の意見でございます。  延びまして済みませんでした。
  13. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、中原八一君、お願いします。
  14. 中原八一

    中原八一君 自由民主党中原八一でございます。  私は、社会保障費の不足する財源を賄うのは、景気の変動を受けずに安定的に税収確保できる消費税引上げで行うべきだと考えています。  消費税引上げに対する国民考えは、皆さん御承知のように、世論調査においても明らかなように、消費税を引き上げて日本社会保障制度を充実すべきであると考える人が約六割を超えていると認識しています。  しかしながら、東日本大震災が発生し、日本国内状況は一変してしまいました。当面は、東日本大震災による被災地への復旧復興ということを日本の国の総力を傾注し果たしていかなければならず、国の最優先課題になると考えられます。  消費税引上げは、日本全体の経済影響するばかりでなく、国民生活、とりわけ東北地方被災者生活に大きな影響を与えることから、消費税引上げについては、今後の日本経済状況東北地方復旧復興進捗状況を慎重に検討し、見極めていかなければならないと考えています。  一方、東日本大震災による被災地復旧復興をするための財源は十兆円から数十兆円と言われており、多額の負担国民に課すことになることから、東日本大震災復旧復興財源と、社会保障費を賄うための消費税引上げのタイミングと内容目的について今後十分な整理を行い、国民に分かりやすい説明理解を得ることが極めて重要であると考えます。  本調査会慶應大学土居丈朗教授からお話をいただきました。復旧復興財源については、道路、橋、港湾など将来世代も受益を受けるインフラの復旧復興等財源建設国債で行う、そして現在の被災者が受益する生活支援などの給付補助金は既存の歳出カット等で行う、そのほか足りない分は建設国債を新設するという整理されたお考えは、私にとりまして大変整理されたものであり、分かりやすく、参考になりました。  もう一点は、かつては中流階級が一番多く、住みやすい国と考えられてきた日本が、今出生率が最低、世界一の長寿国と言われながら、高齢化社会に対する思いは不安ばかりで、悪いイメージばかりが充満をしている。実際、天寿を全うするのも難しく、子供を産み育てる環境も非常に未成熟である。貧困率先進国で最悪のレベルであるという今日の日本現状をお聞かせをいただき、大変寂しい思いもしながら、改めて認識を新たにした次第であります。  こうした課題社会保障を充実させて解決をしていくことが急務でありますが、それには当然国民負担が求められるわけでありまして、どちらかというと負担サービス関係について希薄である状況の中で、負担サービス関係について国民に明確に説明する必要があると考えています。どれだけ負担すればどういうサービスが増えて、こうした課題がどれだけ前進するのかということを国民が実感することができなければならないのではないでしょうか。  今回、東大の大沢教授からお話をいただきました。日本は公的な社会支出が小さいけれども、年金偏重度が非常に世界の中でトップクラスで高く、公的社会支出年金偏重を改めて、年金以外の社会サービスを拡充する必要があるという指摘をいただいたことも大変参考になりました。  以上でございます。
  15. 山崎力

    会長山崎力君) ありがとうございました。  それでは、続きまして佐藤公治君、お願いします。
  16. 佐藤公治

    佐藤公治君 佐藤公治でございます。  この調査会で何回もの参考人方々お話を聞いたことは、大変有意義なことだったと思います。大変ためにもなりましたけれども、ただ一つ私として思うことは、今までの議論といったものが方法論技術論又は制度論テクニック論に陥りがちなところがあり、やはり持続可能な社会をつくるということは、まさに、一番最初に私がお話をさせていただきました内容とも重なるんですけれども、どういった日本国日本人をつくっていくのかということ、そこがあって初めて、やはり持続可能な社会というものがどうあるべきかという議論になっていかなくてはいけないんではないかというふうに思うところを多く感じました。  その意味では、大変参考になりためにもなりましたけれども、参考人方々の、やはりよりこの国のあるべき姿や日本人のあるべき姿というものをもっともっと教えていただきたかった、聞きたかったという思いがあったことは事実でございます。  中間報告へ向けての取りまとめということで今日こういう機会をいただいておりますけれども、私自身、またこの調査会を通じて、まさに今までの日本社会のシステム、そういったものが本当にどういった国をつくろうとしているのが曖昧なまま来てしまっている。まさにこの震災といったものが、大変不幸なことであると同時に大きなきっかけとなり、この国のどうあるべき、そういったことを後半に向けて議論をし、そしてより話を深めていく重要な調査会になると、私はそう確信しております。  以上でございます。ありがとうございました。
  17. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、続きまして松村祥史君。
  18. 松村祥史

    松村祥史君 自由民主党松村祥史でございます。  この調査会会長を始め委員皆様は、毎週ごとに活発に議論をしていただいておりますことにまず敬意を表したいと思います。  まず、テーマが大変広うございまして、社会保障の問題については、やはりこの調査会参考人意見を基にした財源確保、これをしっかりと今後調査研究していく必要があると私も考えております。そのときに必要なのは、やはり現役世代負担、これをしっかりと検討していかなければならないなと改めて思ったところでございます。  また、持続可能な経済社会という意味では、雇用に関していささか危惧をいたしております。同資格を持ちながらも、大企業中小企業、就職する先によってその所得は変わってまいりますし、地域によっても変わってまいります。また、雇用する側からいえば、現在我が国が抱える課題というのは一極集中、そして地方少子高齢高校を卒業しても働く場所がないといったような現状過疎化がまた加速してまいります。そのことを考えますと、経済の源泉たるやっぱり中小企業の育成というものにはもっと尽力をすべきであろうと思います。  中小企業といっても、四百十万社ある中小企業のうち八七%の三百六十七万社というのは小規模事業者であります。ここは恐らく法人税を大半が払っていないところであります。そういう意味から考えますと、雇用をした場合、やはり社会保障負担というのはこの五十万社が担っていると言っても過言ではありませんので、この五十万社が担う社会保障制度というのは大企業と一緒でございますから、それぞれの成長段階に合った雇用する側の保障制度というのも、負担率というのも今後検討をしていくべきだろうと考えております。  また、我が国においては、残念なことに、二十五歳以上の就学機会というのは若干薄いというような参考人の御意見もございました。そのことを考えますと、今般、財団法人の撤廃で職業能力開発センターでありますとかこういったものは県に移管されましたが、県の方もいまだその財源確保や、なかなかままならない状態でありますので、就学の、また技術を習得する機会、こういった我が国の文化をつくっていくべきだろうと思います。  その一つとして、高校三年間の後の文科省が進めておりますスーパー専門学校地方は今高校の再編問題も抱えております。就学機会を増やす、そして人材を育てる、そのことによって経済社会の構築を図っていくことも一つ研究テーマの中にまた入れていくべきかと考えております。  以上でございます。
  19. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、柳澤光美君、お願いします。
  20. 柳澤光美

    柳澤光美君 準備を余りしてきておりませんで、ちょっと視点が変わるかもしれませんが、私は労働組合の出身でございまして、二〇〇四年に当選して最初に取り組んだのが実は自殺問題でした。  一九八九年にスウェーデン、ドイツ、アメリカと、欧米生活を見ようということで一か月回ってくる中で、スウェーデンである家庭で奥様から、日本皆さんは働くために生きているんですか、生きるために働いているんですかという質問を受けたところからワークライフバランス議論というのも持ってきたんですが。  実は、一九九七年の秋に三洋証券、北海道拓殖銀行、そして山一証券が廃業されるという危機が起きて、特に中小企業に大きな影響が出て、年末は何とか乗り切ったんですが、九八年の三月の決算が乗り切れないということでかなり倒産が出ました。それだけではなくて、大手もリストラという名前で合理化を進める。失業が初めて四%を超えました。その九八年の三月に自殺者が急激に増えまして、これ僕らは九八・三ショックと言っているんですが、そこから昨年まで十三年間、自殺者が三万人を超えているのが実態です。  一つ交通事故が一万二千名を超えたときには道路交通法を強化をしていわゆる酒飲み運転を徹底的に厳しくする、その中で五千名を切りました。自殺対策は、二〇〇六年に自殺対策基本法を入れる、内閣府に推進室をつくる。法案を作ったり対策を作っても簡単にはいきません。  自殺は個人的な問題だとよく言われるんですが、確かに個人的な問題なんですが、奥は非常に深くて、むしろこれは社会的な問題であって、社会構造上の問題なんですね。特に、日本が新自由主義の中でグローバルスタンダードと言われて、弱肉強食、強い者しか生き残れないという流れの中で、人に対する思いというのがなくなってしまう。その究極のしわ寄せが自殺のところに来ている。  ですから、自殺者が一番多いのは、三月がピークで、三、四、五と三か月がピークになります。これは、倒産等によって失業に追い込まれる、もちろんリストラに遭って失業になる。ただ、もっと言えば、残った人たちが足りない人数で同じだけの仕事量をこなす。それが過労死とか過労自殺、特に過労死なんという言葉は世界にはなくて、働き過ぎて死んでしまうという言葉、それがローマ字になって世界に発信されている。この辺のところからきちんと直さないと駄目だろうということでやってきて、今しみじみ思うんですが、いろんな仕組みを考えていく中で、もう一度この国民生活あるいは経済社会保障在り方というものを、日本という歴史と伝統と文化の中で日本らしいというものをもう一回再構築すべきときだろうと逆に考えています。  特に、アメリカでいえば、世界の各国から移民の皆さんが集まって短い期間でできた国です。ですから、もちろん強い者しか生き残れないというルールの中で動いてきた。しかし、日本は宗教問題も大きな人種問題もなく二千年の歴史を築いてきた。その根幹に人に対する思いやりとか助け合いとか血縁、地域の縁、もう一つ、私からすれば、労働組合の中で日本は働く縁というのが大きな柱であったわけです。企業別に労働組合があって、長期雇用必要ない、年功型もおかしい、でも福祉企業の労使関係の中にあったと。生活できるだけの賃金が配分される、あるいは企業年金、あるいは厚生年金、それから健康保険組合。  実は、千八百五十あった民間の健康保険組合も次々解散に追い込まれて、今千五百を切りまして、その九割以上が赤字になってしまうというようなところからもう一度、私は、確かに会社というのは株主のためにあるとしても、日本は経営者の中にもステークホルダーはたくさんいて、顧客のために、そしてどこかに従業員のために、そして地域社会のために、自分だけいいんではなくて、取引先との関係も良くする、国のためにもあるんだという流れが分断をされてくるという辺りのところから、今回はやはり日本社会構造、特に国民皆さんに、今回の未曽有の大震災も踏まえて、もう一度日本の良さというのに戻るということが大きな柱になってくるんではないかなということを強く今感じていまして、そんな中で日本らしい仕組みづくりというのをこの調査会でももう一歩踏み込んで検討していく必要があるんではないかなというようなことを感じています。  以上です。
  21. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、続きまして石井準一君、お願いします。
  22. 石井準一

    ○石井準一君 自由民主党の石井準一でございます。  本調査会におけます「持続可能な経済社会社会保障在り方」は、我々国政を託された国会議員の喫緊の課題であると同時に、国民が一番関心を持っている事項ではないのでしょうか。特に私も、選挙の審判を受けてきたときに、年金医療、介護、福祉雇用、この制度国民の安心の生活、安定を支えるための制度であるということが今や不安の種をまいているとまでやゆされる制度に変わってしまったと、これをしっかりと制度改革をしてきてもらいたいということを託されて今活動しておるわけであります。  特に、政府参考人の方から、そうした課題を直面する形の中で、現状課題をしっかりと認識をした形の中で詳細な説明を受けたということは、厚生労働委員会の一員でもある私にとりましても、厚生労働委員会での質疑に大きな幅を持つような議論ができるということに感謝を申し上げる次第でございます。  また、参考人からの意見聴取及び質疑に関しましても、やはり社会保障制度の改革の難しさを改めて認識をさせられました。  社会保障制度は、私があえて言うまでもなく、国民にとって最も大きな生活インフラであるわけであります。国民の生涯設計における重要なセーフティーネットであり、これに対する信頼なしには国民の安心と安定はあり得ないわけであります。先ほども佐藤先生の方からお話ありましたとおり、社会保障制度を語るに当たり、国の在り方そのものをしっかりと議論していく、社会保障制度を前提として国のあるべき姿についての議論の必要性も改めて認識をさせられました。長期にわたって社会保障制度を拡大していくということは事実上不可能であるということも各参考人から意見を承ったわけであります。  社会保障制度の三本柱であります年金医療、介護、自助と自立の精神を基本として私は安心できる制度として再構築をしていかなければならないというふうに、私はこの辺を重視してこれから活動していきたいなというふうに思っております。  世代間の給付負担の均衡、どのような水準で図り、相互に支え合い、将来にわたり持続可能な安心できる社会保障制度の再構築をしていくために、やはり国民一人一人が社会保障の意義、役割、内容をよく理解し、痛みを分かち合って制度を支えていくという自覚を持つような啓蒙普及を我々議員も責任を持ってしていかなければならないんじゃないかなと改めて感じておる次第でございます。  このような観点から、これからもこの調査会でそうしたことを意見を拝聴しながら活動していきたいなというふうに思いまして、私の意見といたします。  以上です。
  23. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、続きまして津田弥太郎君、お願いします。
  24. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 民主党津田弥太郎です。  「持続可能な経済社会社会保障在り方」ということについて意見を表明をさせていただきます。  現在、政府・与党においても社会保障と税の抜本改革が進められているわけでございます。これらが国民生活に極めて大きな影響を及ぼすことを考えたならば、改革の全体像、それから社会保障制度の将来像、これらについては国民に対してできる限り早期に示していくことが何より肝要ではないかというふうに考えます。そして、その際には、高齢化社会の進展に伴い年々増加の一途をたどる社会保障給付費について、必要な財源をどう確保するかが大きな課題となるわけでございます。その意味で、財源について国民への説明責任を果たした上で、社会保障と一体的に改革を行うことが不可欠であるというふうに考えます。  具体的な意見を述べてまいります。  社会保障負担給付在り方に関しまして、負担については、現役世代に過剰な負担にならないようにすることが極めて重要と考えます。また、給付については、やむを得ず水準を見直すような場合であっても、社会的弱者にしわ寄せが行かないようにすること、そのことに万全を期すべきであります。さらに、負担給付の全体の流れにおいて、税制や社会保障制度が本来の所得分配効果、ここが大変重要であるというふうに考えているわけですが、この所得分配効果を果たせるようにすべきであるというふうに考えます。  また、今回、調査会議論した各分野について少し意見を述べさせていただきます。  医療、介護等の分野について、地域における雇用創出に向けた積極的な施策を展開すべきと考えます。その際、介護サービスの質を確保するために、介護労働者の処遇を改善する必要がございます。子供施策につきましては、一人親家庭や子供に対する再分配政策を強化をする必要がございます。貧困の連鎖が生じないよう、教育を始めとする関連施策を充実させるべきであります。障害者政策については、障害者権利条約の批准に必要な国内法の整備が大きな論点であります。あわせて、障害者や働ける生活保護受給者の就労促進策の充実を図る、これが必要であるというふうに考えます。少子高齢化社会において働きがいのある人間らしい仕事を実現するため、労働条件の改善や男性の働き方の見直しなどの取組を強化をすることも不可欠であります。また、職業教育の一環として、大学教育や大学院教育においても社会人を含めた職業能力開発に係る機能の充実を図るべきであります。  最後に、この本調査会におきまして次年度以降も引き続き社会保障の問題を掘り下げるということでございます。その際、併せて雇用の問題についても調査を行っていただきますようお願いを申し上げまして、私の意見表明とさせていただきます。
  25. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、続きまして寺田典城君、お願いします。
  26. 寺田典城

    ○寺田典城君 みんなの党の寺田でございます。よろしくお願いします。  テーマが物すごく大きく、「持続可能な経済社会社会保障在り方」ということで、非常に的を絞るのに苦労もしました。だけれども、勉強にもなりました。ありがとうございました。  それで、一つ日本マイナス面からの視点、マイナス面は、財政破綻がしている、少子高齢化である、まあそれは社会保障の拡大につながっていると。そして、終身雇用のシステムが破綻になっているということですね。そして、社会は閉塞感の中で、負の連鎖と申しますか、非正規労働者というか、税とか年金を納付できない三割近いアンダークラスというんですか、そういう人が増えてきているということですね。これがまずマイナス面です。  また、一つプラス面、日本の良さというのは何かというと、一つは、世界から非常に信頼を得ている国家であろうということで、その要素としては、戦争を永久に放棄していると。私は護憲派じゃないんですが、このことはやはり世界の信頼を得ている一つの大きな要素だと思っています。また、和をもって貴しとなす文化ですね、信義を重んじると。そして、高度な技術力のある国家であるということ。また、協調性、それから、舟山さんもいらっしゃいますけれども、「おしん」の忍耐力もある国家でもあるという、舟山さんの部分は削ってください、ごめんなさい。山形県ですから、あれは。まあ、だけど韓国でもニュースになっていますからいいんじゃないでしょうかね。そういう面であるということですね。  それで、どうすべきかということなんですが、私は、所得格差が子育て格差、教育格差につながっているということに対して非常に大きな懸念を持っています。ですから、最大限これをサポートするような社会システムをつくるべきであると。ということは、人の可能性を追求すると。要するに、所得格差が子育て格差、教育格差につながるというのは、要するにその負の連鎖を断ち切ることが一番必要じゃないのかということでございます。  ですから、ポイントとしては、社会保障在り方のあれは二つ、子供と人間資源と、そういう形で私は表現させて、子供と人間資源と、人的資源が持続可能なエネルギーになりますと。人的資源が持続可能なエネルギーとしてなる、そのように私は表現させていただきます。  以上でございます。
  27. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、続きまして松井孝治君、お願いいたします。
  28. 松井孝治

    ○松井孝治君 松井孝治でございます。  会長、そして各会派の理事の皆さん中心にたくさんの貴重な先生方お話を伺えて感謝でございます。  大変大きなテーマなんですが、さっき同僚の委員方々で、佐藤公治さんが国の在り方が問われているというふうにおっしゃったし、それから三原委員ソーシャルインクルージョンということをおっしゃいましたし、柳澤委員が分断の問題を取り上げられましたが、やっぱり国自身が、こういう社会保障制度在り方考えるときに、社会保障に限らず、やっぱり近代国家の在り方が今曲がり角に来ているのかなというふうに思うわけです。  それは何かというと、やはり資本主義でマーケットを通じて、あるいは近代的な国家が行政サービス、公共的なサービスを提供する、それは納税者の税金とか保険料で賄われるという仕組みはもちろん合理的な仕組みですし、それを前提として回さなければいけないけれども、例えば、元々の人間社会が持っていた、ある程度地域におけるいろんなきずなの中で内製化されていたものをどんどん分業化していって、それを分断してきているという側面があることは私は事実だと思うんです。  要は、私の地元でもそうですが、学校教育の中でいつの間にか保護者が学校とか教師に対してクレーマーのようになってしまう。それは学校が悪い、あるいは教育委員会が悪い、あるいは文部省が悪いと。学校側は、それは家庭が責任を放棄しているんだと、お互い罵り合うようなことになってしまうし、例えば生産者と消費者もそういう部分があると思うんですね。あくまでも顧客としてそれはクレームを付けるということで、じゃ物をつくっている人、あるいはそれは工業品であっても農産品であれ、その作り手のことを考えないでとにかくクレームをするという、ちょっとやっぱり過度に分断化されている部分が、この日本社会で幸福感を奪っている部分があるんじゃないかなということを改めて感じました。  この調査会議論をしている途中に東日本大震災があって、やはり一人一人の人間が、今の社会、近代的な社会システムが崩壊してしまったら、例えば日々の本当の生活の基本的なことがやっぱり人間一人一人では無力であるということも我々は痛感したわけで、だからこそそれは政府の役割も大きいんですが、それを中央集権型の政府だけに頼っていても恐らくこれからの持続可能性という意味ではなかなかしんどくて、政府がやること、あるいは地域のきずなの中でやっていくこと、昔から言われている自助、共助、公助というものの中でそれを峻別して、要するに自分たちがお互いを支え合うということをもう少し一人一人が当事者意識を取り戻せるような仕組みをつくっていかなければ、教育にしても社会保障にしても医療にしても、やはり今の状況だと制度疲労が進行するばかりなのかなというふうに感じます。  そういう意味で、この調査会はいろんな貴重な視点があります。今申し上げたことだけじゃなくて世代間の分断のようなこともあって、若い人たちは、自分たちの世代以降は何でこんなひどい目に遭うんだというような思いを持って、それが絶望感につながっているという部分もありますので、今国会でのセッション、非常に勉強になりましたが、さらに、技術論だけではなくて、それはそれぞれの、例えば社会保障制度であれば厚生労働委員会もあるわけでありますから、こういう調査会では、もう少し社会在り方全体をどうしていくのか、一人一人が公について当事者意識を持っていけるような社会在り方というものを是非今後も共に調査していければと思います。  以上です。ありがとうございました。
  29. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、続きまして山本博司君。
  30. 山本博司

    ○山本博司君 公明党の山本博司でございます。  今回の調査会での調査項目が「持続可能な経済社会社会保障在り方」ということでございました。二月二日の委員間の意見交換から始まりまして、政府からの意見の聴取、そして十二人の本当に多彩で専門的な方々の、参考人方々から貴重な意見を伺いまして、本日の意見表明ということで、あっという間の四か月ではなかったかなと思います。大変充実した調査会で、心より感謝を申し上げる次第でございます。  団塊の世代が七十五歳になるこの二〇二五年、六十五歳以上の高齢者が三千六百万人、人口の三〇%を超えると言われております。中でも高齢者の独り暮らしの世帯増加をして六百七十万世帯に達する見込みということで、まさに超高齢化社会でございます。このターニングポイントの二〇二五年の社会像ということを考えたときに、今から医療福祉、介護などの事業が迅速に連携をして使いやすいサービスの構築が必要になってくるのではないかと思います。  持続可能な社会保障制度設計に際しての基本的な考え方としては、まずセーフティーネットの機能強化、それと国民目線に立った分かりやすい改革の実施が必要だと思います。給付負担関係の明確化、さらには制度設計のプロセスの透明化など、特にこれから負担を担う若い世代からの制度に対する信頼を得られることだと思います。さらに、社会保障制度を持続可能なものにするためには、新たな成長戦略で一定の経済成長が大変重要と考えます。さらに、女性や高齢者など支え手の拡大の対策も大事です。  未曽有の東日本大震災で私たちは地域やボランティアなど心温まるきずなの大切さを改めて感じました。私も東日本被災地を訪れまして、津波で全てを流された中で懸命になって避難所や被災地で助け合いながら明るく振る舞う方々とお会いをさせていただきました。支え合う心、支え合う社会の大事さに涙いたした次第でございます。  この日本社会転換のキーワードは、孤立社会から支え合いの社会の転換だと強く実感をいたしました。これからの日本は、様々な障害を乗り越えて復興を目指し進み行く中で、今申し上げましたような視点で「持続可能な経済社会社会保障在り方」について更に議論を深めていければと思います。  以上、意見表明とさしていただきます。
  31. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、続きまして増子輝彦君。
  32. 増子輝彦

    増子輝彦君 ありがとうございます。民主党増子輝彦でございます。  参議院の在り方から考えれば、私は衆議院も経験しておりますが、この調査会というのは大変いい会だなと思っております。単なる国会の駆け引きや政党間の思惑やそれぞれの議員のいろんな考え方とは全く違うところで、本当に中立的な立場の中で日本の将来を語り合おうというこの調査会、大変私は意義あるものだと、参議院に転じまして大変勉強になっているところでございます。  今日のテーマの「持続可能な経済社会社会保障在り方」、それぞれの委員皆さんからのお話がありましたが、大変大きなテーマであります。  実は私は、一九八〇年に日本青年会議所の高齢化特別委員会という特別委員会に所属をいたして、一年間、高齢化社会における勉強をさしていただきました。その時点から、もう日本は将来間違いなく高齢少子化、世界に類のない速いスピードで高齢化が進んでいく、そのとき問題になってくるのは当然、社会保障の問題であるということは明々白々であったわけであります。  あれから三十年過ぎましたけれども、何ら解決策が出ていないというこの日本の今の現状、私たちいつも議論ばかりをしていても仕方がない、どうやったらこういう問題を解決できるのかという実行の段階がもう待ったなしに来ているんだろうというふうに思っています。  そういう中で、私は人口という問題が、経済成長あるいは社会保障という問題が大変大きなウエートを占めているだろうと。日本は人口減少の時代に入りましたが、一方、世界は人口増加でありまして、既にもう七十億人を超えているという時代、日本だけが速いスピードで少子化になっていく、当然中国もその道を歩んでくるわけであります。今インドも大変経済成長が大きく、平均年齢も若いですが、インドですらあと二十年過ぎれば高齢少子化の時代に入ると言われております。  いかに日本がこの人口増加ということに視点を持って何をなすべきか、ここのところが大変極めて重要だと思います。人口を増やさない中での経済成長をどう考えていくのか、あるいは人口が減少する中で社会保障をどう考えていくのか、これが私は最大のテーマ一つだというふうに考えているわけであります。  と同時に、国民皆さん一人一人が、高負担福祉、低負担福祉、どちらを選択するんだろう。もちろん、低負担福祉が一番いいわけでありますが、現実的にはそんなことはあり得ないわけでありますから、そろそろ政治が正直に国民皆さんに、高負担福祉なのか、低負担福祉なのか、あるいは全く国の負担考えずに自立していくという道を選択していくのか、こういった選択を我々はメニューとして出さなければいけない時期に入ったのではないだろうかというふうに思っています。  人口問題、極めて重要だと思っています。実は昨日、ある医療関係の方と話をしておりましたら、増子さん、人工中絶、絶対やらしちゃ駄目だよと、日本は人工中絶をやらしているから人口が増えないんだと言う方がいらっしゃいました。人の命、やはり生まれてくる子供には何ら責任はないわけでありますから、人工中絶をしない中での子供を産んでいく、それを育てていくという、これまた社会環境を私たちもつくっていかなければいけないんではないだろうかと、そんな思いを私自身も強くいたしているところであります。  いずれにしても、いろんな事情があろうとも人の命を大切にすること、これは今回の東日本大震災あるいは福島原発事故の中で、本当に皆さん一人一人感じていることだと思っています。そういう意味での人口問題とこの持続可能な経済社会バランスをどういうふうに取っていくのか、そして人口と社会保障バランスをどう取っていくのか、極めて大きなテーマだと思いますので、この調査会で引き続き勉強さしていただきたいと思います。  以上です。
  33. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、続きまして古川俊治君、お願いします。
  34. 古川俊治

    ○古川俊治君 続きまして、自由民主党の古川俊治から意見表明をさせていただきます。  この調査会では持続可能な社会保障制度ということを考えているわけですけれども、社会保障の供給面、各参考人の方から供給面について、例えば年金に頼り過ぎているというお話、あるいはもう一つが人材についてであります。供給の内容とともに人材の面、これは女性社会進出の仕方なんという問題もございました。それともう一つ財源の面でございますけれども、ここは例えば世代間の負担バランスの問題や、あるいは貧困層にとって相対的に重いと、負担が重くなっていると、こういう御意見もあったように伺っております。  個々の参考人は大変なその分野の研究者でございますから、どうしてもやはり視点がその分野に移りやすいという観点が私はあると思っております。ですから、政治的な決断としましてどういうものを総合的に目指していくか、この調査会においてはそういった大きな意味での提言、方向性を告げる提言を出すべきだと考えております。  菅総理大臣のお言葉をお借りすれば、今までは日本は中福祉負担だったから、これからは中福祉、そのための中負担にしなきゃいけないと、上げなきゃいけないというお言葉だと思いますけど、これは自民党の多くの議員も同様に考えていると思っております。  この中福祉という言葉でございますけれども、これを下げろと、福祉給付を下げていけという意見はほとんど参考人にはなかったように思っているんですね。ですから、これを低福祉にしていいという意見は恐らくなかったんだろうと思っております。  一つ、私も、この中福祉という言葉なんですが、今まで本当に日本が中福祉だったか、これについては、梅村理事と同様で私も医療従事者でございますので、例えばこれだけの健康大国でございますから、日本は質においては高医療と言えたんではないか、それを低負担でやってきたんだという誇りを持っているわけですね。ただ、この中福祉という意味は、恐らくは給付、結局はお金の問題ですから、日本が出している給付は恐らく中レベルだったんだろうと、こういうふうに解釈しているわけでございまして、そこで、今までそうすると低負担だった、これは今まで我々が負担してきた社会保障費が安過ぎたと、こういうことなんですね。  この費用でいうと、実を言うと、お金の問題でいいますと、もらってきた分しか出せないわけですから、基本的には中福祉負担なんてことはあり得ないんですね。ということは、何がそこで起こっていたかというと、これが全部赤字になってきたわけですよ。結局のところ、この不足分が赤字になってきただけの話であって、そうすると、今後財政再建をしていくということになりますと、いよいよこれからの中福祉を守っていくためには、実は高負担じゃなきゃ駄目なんですね。我々は、この中福祉負担をやっぱり国民に正直に説明していく。どんなに楽観的な成長戦略を考えてみても、我々はやはり福祉以上の負担をしていかなければ、この国はもう将来、財政はもたないわけですね。このことをやはり提言をしていかなきゃいけないんではないかというように考えています。  以上です。
  35. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、続きまして梅村聡君、お願いいたします。
  36. 梅村聡

    ○梅村聡君 民主党の梅村聡です。  私は、ふだん厚生労働委員会に所属をしておりますけれども、参考人方々に多数おいでいただきまして、様々な勉強をさせていただいたことに感謝を申し上げたいと思います。  先ほどから、委員方々からもお話がありますが、最終的にやはり先ほどからお話が出ています負担給付の問題、ここに行き着いてくるのではないかなと思っております。もちろん、まず今、日本現状の立ち位置、ここを確認すると、国民負担率が約四〇%、そこに潜在的負担率を加味しても四三%、四四%と、そういう今、日本の立ち位置があるわけです。一方で、これは、ヨーロッパや海外に目を向けますと、いわゆる中福祉負担と言われる国々はこの数字が五〇%ぐらいということですから、そこのところのギャップをどう埋めていくのか、あるいは日本がそこへ向けて踏み出していくのかということが今問われているかと思います。もちろんそこには、消費税のみならず、所得税、法人税、保険料と、あるいは経済成長によってそれを達成していく、様々な道筋があるかと思います。  先ほどから国民に対する説明と同意というお話がありましたが、私は今日は社会保障のモラルということを少し意見表明したいと思います。  といいますのは、我々が地元に帰っていろんな有権者の方に、社会保障目的で是非この税を使わせてください、あるいは負担をお願いしますと言えば、大体半々に今賛成、反対が拮抗するような状態になります。いろんな御意見を聞くと、それぞれ皆さんが、社会保障ということには賛成なんだけれども、各論に入ればいろいろ言いたいことがあるという状況になってくるわけです。  例えば、お年寄りなどから一番多い御意見は、一生懸命国民年金を払ってきて六万六千円、だけど、ここがもう払えないといってギブアップをして生活保護をもらえば、住宅扶助も含めて大阪であれば十四万ぐらい入ってくると、これは一体どういうことなんだと。もちろん、これは憲法二十五条をきちっと保障するための生活保護費と年金の最低給付が違って当然なのですけれども、しかし、国民の気持ちとしてはそういうものがやはりあるわけです。  あるいは、医療費が無料になると、もちろんそれはいいんだけれども、じゃ、湿布や睡眠薬をもらってそれを横流しして道端で売って現金が手に入るようなビジネスが実際に広がってきていると。それを国民が目にするわけです。もちろん、それを全部正したからといって財源が出てくるとは思いませんが、国民の納得と同意といったときには必ずそういうモラルの問題ということにぶつかってきます。  つまり、我々が今一番壁にぶつかっているのは、そういった社会保障の中にもモラルの問題がある、あるいは、そこをきっちり国民説明できるような改革を政府、立法府、本当にしてくれているのかと、そういう私は不信感が、やはり今我々が目指すような中福祉負担、あるいはもう少し大きな政府を目指すことの大きな足かせになっているのではないかと。  これはすぐにできる改革ではなくて日々我々が一つ一つ改革を進めていかなければならない観点だと思っておりますので、今回いろんなテクニックあるいは理論は教えていただきましたが、我々、立法府でありますから、そのことをきちっと国民説明ができるような、そういった改革をしていく必要があるのではないかと、そのことを私、今回意見表明として申し上げさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  37. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、関口昌一君。
  38. 関口昌一

    ○関口昌一君 自民党の関口昌一です。  本調査会は、三年間のテーマの中で特に初年度は社会保障中心に進めるということで、政府に対する質疑を二回、また参考人に対する質疑を四回行ってきたわけでありまして、委員皆様方にも毎週こうして御参加をいただいて様々な御意見を発表させていただき、そして参考人皆様にも大変貴重な御意見をいただいたということ、心より感謝を申し上げる次第であります。  私も当初の意見表明でも申し上げましたとおり、あるべき社会保障を実現するためには今後の我が国経済社会在り方考えていかなければならない、この視点を忘れてはいけないということを述べさせていただきました。  もう先生方も十分御案内のとおりであるかと思いますが、我が国社会保障制度は、高度経済成長を続ける中で年金医療などの社会保険制度の基盤が創設されてまいりました。国民皆保険、さらには皆年金の基礎が形作られてきたというのが現状であります。  しかし、経済のグローバル化によって厳しい競争にさらされる一方、現実には急速な少子高齢化、もう少子高齢時代に進んでいる状況でありまして、我が国社会保障制度が前提としていた安定的な経済成長や終身雇用制度を維持するのが非常に困難になってきているというのが現状であります。  そうした中で、我が国社会制度を支えてきた経済成長にも大変陰りが見えてきておるのが現状でありまして、少子高齢時代が進展する中で、安定的な社会保障制度を始めとする様々な制度の見直しが私はこれから見直しをしていかなければならない現状になっていると認識をしておる次第であります。  そして、そうした状況の中で、私は意見として二つ申し上げたいことは、財源問題を含めた社会保障制度の一体的また抜本的な改革は避けて通れないと考えております。そうした中で、改革における給付負担バランスを、どのような水準で均衡を図るかという核心部分については広く国民の意識を十分踏まえた上で検討する必要があると考えております。  そして、私は地方議員の出身の一人として、この社会保障制度における国と地方の役割分担についてもう一つ意見がございます。  現実には、もう年金を除く医療、介護、子育て等のサービスの大半は地方自治体が担っておる、また地方の役割が非常に大きくなっているというのが現状であります。しかし、分野にとっては国と地方の役割分担が明確化でない部分があるわけでありますので、そうした流れの中で、地方からも、全国一律の現金給付は国、地方の実情に応じて提供すべき現物給付地方にという国と地方の役割分担の明確化を求める提言もされておるわけでありまして、今後のこうした改革を進めていく中では十分こうした地方意見も尊重すべきであると私は考えております。  以上、この二点について私の意見とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  39. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、舟山康江君。
  40. 舟山康江

    ○舟山康江君 本調査会は、三年間の調査項目を「持続可能な経済社会社会保障在り方」と選定いたしまして、初年度の調査社会保障中心に進めることになりました。  私といたしましては、最初意見交換の際に、諸外国からの借り物ではない、日本日本人の特質に合った日本型の社会保障日本型の経済社会福祉社会をどうつくっていくべきかと、そのような発想の下、本調査会調査を進めてはいかがかと、そのような提案をいたしました。本日の意見表明の中にも、まさにこの近代国家の中で、今、国の在り方社会在り方そのものが問われているのではないか、やはりそこを、真の豊かさを追求する国の在り方ということを含めてこれからの社会保障考えていくべきではないかと、そのような意見が表明されました。ただ、残念ながら私自身、具体的にその方向を目指すために何をすべきかというのはまだ回答が得られておりません。そういう中で、是非この調査会で更にそのような大きなテーマについても御議論をいただければ大変有り難いなと思っております。  各論につきましては、もう本当に多くの皆様から既に意見が出されておりますけれども、私はやはりこの社会保障考える際に、日本の今最大の問題というのは所得の再分配後にむしろ格差が拡大しているという、こういった問題ではないかと思います。  やはり人によって能力の違いもありますし、働く機会の差もありますので、やはり一定の格差が出るのは致し方ないと思います。そういう中で、税や社会保障によってその格差を少し是正をするというのがやはりこの社会の大きな仕組みだと思いますけれども、逆にこれが今、特に低所得者を中心に、再分配をしたらむしろ貧困になってしまった、可処分所得が減ってしまったという、こういう問題が今日本に生じていると。いろんな先生方お話を伺いますと、非常にこれは日本固有の問題であるということをお伺いいたしました。やはり、まずこれはもう早急に直していかなければいけないと思います。  一時期、いわゆる平等主義の中で、累進性を是正して非常にこの税制もフラットになってまいりました。社会保障負担も、むしろ逆進性と言われるような低所得者により重いような形になっております。やはりこういったところは大枠の議論の前に今早急に直せる部分ではないかと思いますので、こういった部分はこの調査会でも積極的に提言をしていくべきではないのかなと思っています。  もう一つは、生活保護生活保護も、やはり最低限のセーフティーネットとして生活保護の必要性というのは誰もが認めるところでありますけれども、やはり一度生活保護に落ち込んでしまうと、なかなかそこから抜け出せない。むしろ下手に働くよりもその方が居心地が良くて、まさに生活保護の連鎖ということも起こっておりますので、例えばこの生活保護についても、労働インセンティブをもう少し強化をして所得が上がれば少し給付を下げつつという、そういった連続性、ほかの社会保障との連続性を持たせるような仕組みをこれも提案していかなければいけないのかなと思っております。  もう一つ、最後ですけれども、やはり負担サービス関係というのは、これなかなかはっきりと言いにくい部分もあるのかもしれませんけれども、もう本当にここらで幻想のような低負担で高福祉ということはあり得ないということをやはり明確に言いながら、やはりその妥当な福祉水準というのを模索していく必要があるのかなと、そんなふうに思っております。  本当にたくさんの先生方から意見を伺い、また委員皆様からも、多くの意見交換の中で有意義な議論ができたのかなと思っております。  以上です。
  41. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、今、藤田幸久君がおいでになられました。  もしよろしければ、三分以内で今までに踏まえた御意見を伺えたらと思いますが、よろしゅうございますか。  それでは、藤田幸久君。
  42. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 遅れて参りまして、申し訳ございません。  今まで大変勉強をさせていただきましたが、震災後のいろんな状況というものを加味した形でのこの調査会に関するテーマというものを、特徴を生かして進めていただければ大変有り難いと思います。  以上です。
  43. 山崎力

    会長山崎力君) これで一巡済んだわけでございます。  私も委員の、調査会長ではありますが、一人として一言だけ感想を言わせていただければ、やはり、どなたかもおっしゃっておられましたけれども、物事全てバランスでございまして、この問題、特にこっちの方がいいと、絶対的にいいということはなかなか言えないなということが、いろんな方々お話を聞いていて分かってきたという部分、深まってきたという部分がございます。  ただ、その中で、これだけはやった方がいいのではないかというのも何点か浮かび上がってきたのではないか。少なくとも、バランスを取る意味でも、例えて私の一番印象に残っておりますのは、同一労働同一賃金という意味での非正規社員をこれ以上増やすことはできないし削減していくべきであるという意見は、非常にこれは将来の日本社会全体を考え意味でも重要なことではないのかなというふうに私個人は思っております。ただ、財源の問題、それからその給付の問題の程度問題については、まさにバランスの問題だなと。  もう一点、そこで言わせていただければ、量の問題が質に転化するということが、これ社会的にございます。先ほどのお話でいえば、自殺者の数が、単なる自殺する人もいるねという量の問題が、それが増えていきますと、ある時点からは放置しておけない社会としての質の問題に転化しているという御認識の発言ではなかったかなと私理解させていただきました。本当にそういうことはあるんです。  下世話に言いますと、私自身の経験からすると、若いころ百メートルを大体十二秒台で走れました。それが、大学から社会人になってくると十四、五秒くらいになってきました。今走れと言われると、途中で恐らく倒れて百メートルを全力で走れないと思います。それが私は、私の言う量の変化から質の変化に変わった。そこのところをどこでとらえてやっていくか。まさに予算の付け方は、これは量の問題でございますけれども、新たに付ける、新たなこういう問題に取りかからなければいけないというのは、質的変化がそこに生じたという認識が必要なんではないのかな。  ただ、それが、最後に申し上げますけれども、国民理解といっても、これを本当の意味での理解を得るというのは私は不可能だと思っております。その意味において、量であっても質に仮託して、量の問題としての国民理解ということをどうやって持っていくのか。これを立法措置でいくのか、それとも我々、立場の人間が説得によってそこを成し遂げるのか、非常に問題が多いなというふうに改めて感じた次第でございます。  少しく長くなり過ぎて恐縮でございました。  それでは、先ほどの御意見で言い足りなかったという方、もう少し補足したいという方があれば、御意見まず伺いたいと思いますが、どなたかいらっしゃいますでしょうか。よろしゅうございますか。  それでは、続きまして、先ほどの御意見をいただいた中で、こういう御意見があったんだけれども私は違うとか、その辺のところをもう少し詳しくお聞きしたいという方がございましたら御意見をいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。  それでは、先ほど来の御意見発表で全て皆様方の御意見は出尽くしたというふうに理解させていただきまして、以上で各委員からの意見表明は終わりとさせていただきます。  では、意見交換も終わりということで終わらせていただきまして、本当に大変貴重な御意見賜りまして、誠にありがとうございました。  本日伺いました御意見を踏まえて、理事の方々と十分協議の上、中間報告書を作成してまいりたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時十五分散会