○副
大臣(鈴木寛君)
文部科学省の鈴木寛でございます。今日は、このような機会をお与えいただきましたことを心より感謝申し上げます。
それでは、お手元に配付をさせていただきました
資料に基づいて御
説明を申し上げたいと思います。
主に今日申し上げたい、あるいは
課題をいただきましたのは三点でございまして、高等教育における人材養成の
現状と
問題点、そして
社会人教育、生涯学習の振興における職業能力開発の
現状と
問題点、この二点について中心的に御
説明申し上げ、そして、御指摘をいただきました私学共済の
現状と
問題点については
資料を配付させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
まず一ページ目でございますけれども、まず、これからは
少子高齢化という
課題にどのように取り組んでまいるかと、こういったことを考えましたときに、今日御下命をいただきました、まさに人材の育成というものが非常に重要だと、
少子高齢化が進むからこそ、未来への先行投資であります、全世代、とりわけ未来への投資といったものを意識した
社会保障制度の構築が必要だと私どもは考えております。そういう意味でのポジティブウエルフェア、積極的
福祉への
取組という議論を是非深めていただきたいというふうに考えております。
二ページ目でございますけれども、この間、急速に所得格差、家庭の
世帯の所得格差が、若者のいわゆる学力格差あるいは
就業力格差といったことに直結をしていると、こういう事態がございます。
まず、四年制大学の進学率を見ていただきますと、両親の年収別ということで分けますと、四百万円以下の
世帯の子女につきましては三〇%、一方、一千万を超える
世帯、家庭におきましては六二・四%と、こういう格差の
状況になっております。
それから、地域
ごとの格差も大変拡大をいたしておりまして、東京都における四年制大学への進学率が七三・一%であるのに対しまして、一方で十七道県における大学進学率は三〇%台と、こういった都市と地方の格差ということが高等教育機会という点にも大いに表れているところでございます。
その
背景は、もう申すまでもなく、大学卒業までに掛かる家計の
負担にあるわけでございまして、国公立全ての場合でも約一千万、私立全てということになりますと二千三百万円の
負担。そして、
子育てや教育にお金が掛かり過ぎるということが少子化の要因にもなっているということでございます。
それから、この一番右の表で、一九八二年の段階では、必ずしも学歴によってその後の
就労には大きな差はございませんでした。中学卒業には中学卒業の、高校卒業には高校卒業のそれぞれのキャリアというものがあったわけでございますが、二〇〇二年を御覧いただきますと明白でございますけれども、明らかに最終学歴がその後のフリーターの比率に直結をしていると、こういう
状況になっているわけであります。
次を御覧いただきますと、しかしながら、
我が国は、
子供、若者向けのいわゆる
家族給付と教育費の対
GDP比で申し上げますと、先進三十九か国中三十八位ということで、これはよく言われておりますけれども、
高齢者給付は七位でございますが、若者、
子供に対する公財政支出が相対的に低い国という
予算の配分構造となっております。
一方で、OECDの試算にもございますけれども、高等教育を修了するための公的支出は平均で二万七千九百三十六ドルでありますが、
社会的リターンはその二倍以上に上る七万九千八百九十ドルということで、一人一人の潜在能力を最大限に伸ばすための
社会的投資ということが強く望まれているというふうに考えております。
この左の下の
グラフを御覧いただきますと明らかでございますけれども、まさに
給付というのは人生の後半に手厚くなってございます。とりわけ、高校段階、そして大学段階の
負担と
給付というものが非常にアンバランスになっていると。
四ページ目は、そういう中で諸外国の動向を見まするに、公財政の教育支出におきまして、韓国は一九九九年比で申し上げますと一六〇%をはるかに超える教育投資を増やしてまいっております。ここに御覧いただいたとおりでございます。そのことが実質
経済成長率にもかなり相関をいたしておりまして、この十年間教育投資を増やしてこなかった
我が国が最も
経済成長においても
低迷しているということでございますし、一般
政府総支出に占める公財政教育支出もこのようになってございます。この結果、韓国におきましては大学進学率が短大も入れますと八一・九%でございますが、
我が国は五六・二%と、こういう
状況になってございます。加えまして、これ専門教育を足しますと韓国の場合は一〇〇%を超えますので、韓国の場合は何らかの高等教育を受けているという
状況にもう入っているということでございます。OECD等々からも
我が国の高等教育の
低迷ということについてはいろいろな
懸念が投げかけられているというのが実態でございます。
五ページでございますが、そういう中で、奨学金・授業料減免に取り組みつつございます。特に、来年度の
予算編成におきましても、これまでの奨学金の
拡充に加えまして授業料減免といったところに
取組を強めているところでございます。
六ページでございますが、この結果、百二十七万人の奨学金貸与の
予算編成を組ませていただいております。それと加えまして、この間無利子の奨学金貸与人員が減らされてきたわけでありますが、これについても更なる
拡充といった方向を目指しております。
それから七ページでございますが、
昭和五十年以来、国立大学の授業料が急速に引き上げられてきております。加えまして、国立大学等の授業料減免枠というものも引き下げられているという中で、家庭の
負担能力というものが高等教育の学習機会の、就学機会の格差というものを加速させているということでございます。
八ページでございますが、諸外国を見ますと、フランス、
ドイツにおきましては高等教育の公費
負担割合が八六・九%、八四・七%といった
水準でございますし、イギリスにおきましても五二・九%、アメリカにおいては三一・六%公費
負担でございますが、このその他というのが寄附等々によるものでございまして三四・二%ということで、家計
負担は三四・二%という
水準にとどまっております。一方、
日本、韓国におきましては家計
負担が五割ということになっているわけではございますが、先ほど申し上げましたように、韓国においてはこの数年、高等教育への支出を急速に増やしているということでございます。
九ページでございますが、いただきました
課題の二点目、
社会人教育、生涯学習の振興による職業能力の開発の
現状と問題ということでございますが、今、中教審等々の議論なども踏まえまして、小学校段階、中学校段階、高等学校段階全ての段階における職業教育、キャリア教育、特に職場体験、インターンシップなどの
充実、あるいは専門高校におきます地域
産業界との
連携といったことに
取組を強めております。現在、公立中学校におきましては、職場体験、インターンシップにおいては九四・五%の中学校でそうしたことに取り組んでおりますし、公立高校におきましても七一・一%の高校でこうした職場体験、インターンシップを実施をしているということでございます。それから、特に今の
課題は高等教育段階におけるそうした
就業力の向上ということで、各大学において
現下の
低迷いたします内定率等々も踏まえてこの点についての
強化を強めているところでございます。
それから十ページでございますが、中教審におきましても、このような
観点から、幼児期から高等教育に至る体系的なキャリア教育の推進、そして実践的な職業教育の重視と職業教育の意義の再評価、それから生涯学習の
観点に立ったキャリア形成
支援といった提言、答申が出ているところでございます。こうしたことを家庭、地域
社会、
企業、
経済団体、職能団体、NPOと、まさに
社会総ぐるみで展開をしていくということが必要であるというふうに考えております。
それから十一ページでございますが、
我が国は大学におきます
社会人の学びというものがまだまだ低いといいますか、圧倒的に低いと。これは、二十五歳以上の大学入学者の
割合でございますが、大学入学者のうち二十五歳以上の
割合が、OECD平均は二一%であるのに対しまして、
我が国は二%と極めて低い
状況になってございます。大学における
社会人の学びというものを更に
支援していく必要があるというふうに考えておりまして、今年度
予算におきましては、私学助成金の配分等々においてこうしたことも考慮をしているところであります。
十二ページでありますが、専門学校も大変重要なキャリア教育の担い手だというふうに認識をいたしております。このような厳しい内定
状況におきましても、高等専門学校の
就職率、内定率というのは極めて高くなっていることなどから、専門学校の意義というものを再評価すべきであるというふうに考えているところでございますし、今
社会人のニーズというのは大変多様化をいたしております。そうした中で、柔軟性のある、多様性のある高等教育を展開をすることが可能となっております専門学校教育の
充実ということも併せて考えてまいりたいと。加えまして、キャリア段位
制度の
創設、タイアップといったこともこうしたことと連動して考えてまいりたいというふうに考えているというところでございます。
私からは以上でございます。
あと、共済
制度については
資料を配付させていただきますので、御高覧いただければ幸いでございます。
ありがとうございました。