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2011-08-03 第177回国会 参議院 行政監視委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年八月三日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月三十日     辞任         補欠選任      磯崎 仁彦君     赤石 清美君  六月二日     辞任         補欠選任      谷合 正明君     草川 昭三君  六月三日     辞任         補欠選任      草川 昭三君     谷合 正明君      寺田 典城君     柴田  巧君  六月六日     辞任         補欠選任      柴田  巧君     寺田 典城君  六月九日     辞任         補欠選任      横山 信一君     長沢 広明君  六月十日     辞任         補欠選任      加賀谷 健君     金子 恵美君      長沢 広明君     横山 信一君  六月十三日     辞任         補欠選任      金子 恵美君     加賀谷 健君  七月五日     辞任         補欠選任      浜田 和幸君     古川 俊治君  七月六日     辞任         補欠選任      大久保潔重君     友近 聡朗君  七月七日     辞任         補欠選任      友近 聡朗君     大久保潔重君  七月二十日     辞任         補欠選任      室井 邦彦君     行田 邦子君      岸  信夫君     長谷川 岳君      横山 信一君     長沢 広明君      山下 芳生君     大門実紀史君  七月二十一日     辞任         補欠選任      石橋 通宏君     吉川 沙織君      行田 邦子君     室井 邦彦君      長谷川 岳君     岸  信夫君  七月二十二日     辞任         補欠選任      吉川 沙織君     石橋 通宏君      赤石 清美君     山崎  力君      田村 智子君     山下 芳生君  七月二十五日     辞任         補欠選任      山崎  力君     赤石 清美君      長沢 広明君     横山 信一君      大門実紀史君     田村 智子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         末松 信介君     理 事                 大島九州男君                 風間 直樹君                 川合 孝典君                 藤原 良信君                 松村 龍二君                 寺田 典城君     委 員                 足立 信也君                 石橋 通宏君                 大久保潔重君                 加賀谷 健君                 神本美恵子君                 武内 則男君                 難波 奨二君                 室井 邦彦君                 山根 隆治君                 赤石 清美君                 岩井 茂樹君                 宇都 隆史君                 岸  信夫君                 高階恵美子君                 中西 祐介君                 古川 俊治君                 宮沢 洋一君                 谷合 正明君                 横山 信一君                 田村 智子君                 山下 芳生君                 中山 恭子君    国務大臣        総務大臣     片山 善博君        法務大臣     江田 五月君        厚生労働大臣   細川 律夫君        農林水産大臣   鹿野 道彦君        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣行政刷        新))      枝野 幸男君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    中野 寛成君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        対策))     与謝野 馨君        国務大臣     細野 豪志君        国務大臣     平野 達男君    副大臣        経済産業大臣  松下 忠洋君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        阿久津幸彦君        内閣大臣政務        官        園田 康博君        総務大臣政務官  逢坂 誠二君        文部科学大臣政        務官       林 久美子君        厚生労働大臣政        務官       小林 正夫君    事務局側        常任委員会専門        員        富山 哲雄君    政府参考人        内閣官房情報公        開法改正準備室        長        小高  章君        原子力安全委員        会委員長     班目 春樹君        警察庁刑事局長  金高 雅仁君        消費者庁次長   松田 敏明君        総務省行政評価        局長       田中 順一君        厚生労働省健康        局長       外山 千也君        厚生労働省労働        基準局労災補償        部長       鈴木 幸雄君        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        中沖  剛君        厚生労働省社会        ・援護局長    清水美智夫君        観光庁長官    溝畑  宏君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関  する調査  (政策評価現状等に関する件)  (行政評価監視活動実績概要に関する件)  (行政活動状況に関する件)     ─────────────
  2. 末松信介

    委員長末松信介君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、磯崎仁彦君及び浜田和幸君が委員辞任され、その補欠として赤石清美君及び古川俊治君が選任されました。     ─────────────
  3. 末松信介

    委員長末松信介君) 理事補欠選任についてお諮りをいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 末松信介

    委員長末松信介君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事寺田典城君を指名いたします。     ─────────────
  5. 末松信介

    委員長末松信介君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会政府参考人として、理事会協議のとおり、総務省行政評価局長田中順一君外九名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 末松信介

    委員長末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 末松信介

    委員長末松信介君) 行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。  まず、政策評価現状等に関する件及び行政評価監視活動実績概要に関する件について、総務省から説明を聴取いたします。片山総務大臣
  8. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 本委員会におかれましては、総務省行政評価機能を御活用いただきつつ、行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を精力的に行われておられますことに深く敬意を表する次第であります。  それでは、前回、五月三十日の本委員会における御報告以降に公表した案件について御説明いたします。  初めに、平成二十二年度政策評価等実施状況及びこれらの結果の政策への反映状況に関する報告について御説明いたします。  この年次報告は、六月十七日に国会に提出したものであります。  平成二十二年度におきましては、政策評価に関する情報公表目標管理型の政策評価改善方策に係る検討などの政策評価機能強化に取り組んだことなどを報告いたしました。  次に、食品流通対策に関する行政評価監視の結果の概要について御説明いたします。  農林水産省実施しております食品流通対策に係る施策事業について、卸売市場改革の一層の推進食品流通部門構造改善に係る事業の効果的、効率的な取組推進を七月二十九日に勧告いたしました。  以上、最近の取組につきまして概要を御説明いたしましたが、私といたしましても、政府部内における内部監査機能としての行政評価機能を更に発揮していくことが重要と考えており、本委員会審議に一層資するよう今後とも真摯に取り組んでまいる所存でございます。  引き続き、最近の取組の詳細につきまして、行政評価局長から御説明いたします。
  9. 末松信介

    委員長末松信介君) 次に、補足説明を聴取いたします。田中行政評価局長
  10. 田中順一

    政府参考人田中順一君) それでは、私から、最近の取組の詳細を御説明いたします。  まず、平成二十二年度の政策評価年次報告について御説明いたします。  一ページを御覧ください。  一、政策評価機能強化取組につきましては、政策評価改善取組として、情報公開の徹底を通じ政策評価透明化を確保するため、政策評価に関する情報公表に関するガイドラインを策定するとともに、重点化に向けた取組として、行政事業レビューと連携しつつ、目標管理型の政策評価に係る試行的取組を進めることとしております。  二、公共事業等における中止事業数、総事業費等につきましては、公共事業等評価の結果、四省で計九事業中止につながっています。  三、各行政機関における特徴的な取組につきましては、国民評価前提根拠等が伝わる評価書施策企画立案により役立つ政策評価を目指す観点から、説明責任の向上、活用促進に資する評価書の改定などが図られました。  二ページを御覧ください。  四、各行政機関における政策評価実施状況政策への反映状況につきましては、平成二十二年度において、各府省で二千九百二十二件の政策評価実施されています。  五、評価専担組織としての総務省における政策評価実施状況等につきましては、バイオマス利活用に関する政策評価について評価結果を取りまとめ関係府省に対し勧告を行ったほか、各府省政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保する評価活動として、租税特別措置等に係る政策評価や規制の事前評価が適切に実施されているかどうかの点検などに取り組みました。  次に、総務省が七月二十九日に農林水産省に対し勧告いたしました食品流通対策に関する行政評価監視の結果につきまして御説明いたします。  三ページを御覧ください。  農林水産省実施している食品流通対策に係る施策事業について、効果的、効率的な実施を確保する観点から実態を調査いたしました。  (1)の卸売市場改革の一層の推進につきましては、中央卸売市場整備計画の策定後に再編基準に該当した中央卸売市場把握公表するなどの取扱いを明確にすること、また、都道府県に対し、施設整備事業採択要件である投資効率について厳格な審査を行うよう指導することなど、(2)の食品流通部門構造改善に係る事業の効果的、効率的な取組推進につきましては、食品生産製造等提携事業について、認定事業者に対し構造改善事業の円滑な実施に向けた必要な指導を行うこと、食品流通対策に係る国庫補助事業において、補助金の不適切な執行については早急に厳格かつ適正な対応措置を講ずることなどを勧告いたしました。  御説明は以上でございます。更に詳細な点につきましては、お手元配付資料を御参照いただければと存じます。本委員会審議行政評価機能が一層資するよう今後とも取り組んでまいりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
  11. 末松信介

    委員長末松信介君) 御苦労さまです。  以上で説明の聴取は終わりました。  次に、行政活動状況に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 大島九州男

    大島九州男君 民主党の大島九州男でございます。  会期末を月末に迎え大変緊迫したムードでありますけれども、簡潔に質問しますので、御答弁の方も簡潔によろしくお願いしたいと思います。  まず最初に、日本赤十字社、中央共同募金会募金総額、七月末では大体三千七十億円程度だというふうに認識をしておりますが、その都道府県配付状況と、その先への市町村への配付、そしてまた被災者への配付状況について、詳細が分かれば教えてください。
  13. 清水美智夫

    政府参考人清水美智夫君) 日赤等に寄せられた義援金は、八月二日現在で三千八十六億円でございます。まだ被害状況が宮城県を中心に確定しておりませんで、住宅被害が万単位で動いているというような状況でもございまして、被災都道県には二千五百九十五億円が送金され、残りは日赤に留保されているということでございます。市町村には二千二百五十一億円が送金されております。市町村から被災者のお手元には千二百四十六億円が届けられているということで、総額三千八十六億円の四〇%に当たるということでございます。  もう少し詳細を御説明申し上げますと、四月に方針が定められた第一次分につきましては、市町村に送られたもののうち七九%が被災者のお手元に届いてございます。六月に方針が定められた第二次分につきましては、四一%が被災者のお手元に届いております。第二次分はおおむね第一次分と対象が同様でございますので、第二次分の被災者への配付は第一次分ほどは時間が掛からなくて被災者のお手元に届きつつあるということでございます。  厚生労働省としましては、これまで現地へ職員派遣するなど様々な取組を行ってきておりまして、市町村の御尽力にもよりまして、義援金配付事務は相当進んできたかなというふうに考えてございますが、なお速やかな配付が求められていると考えておりまして、今後とも、速やかに届けられますよう市町村状況を注視するなど必要な対応を行ってまいりたいと考えてございます。
  14. 大島九州男

    大島九州男君 マスコミ等を通じてなかなか被害者のところに義援金が届かないというようなことが喧伝されていた中で、皆さんのお取組に対する努力というものは大変敬意を表するものであるんですが、やはりその事務に対して、市町村や各県、いろんなところから、全国からいろんな応援が入ってきたというふうに認識をしているんですけれども、そこら辺の現状はどのように把握をされていらっしゃるか、分かれば教えていただきたい。
  15. 逢坂誠二

    大臣政務官逢坂誠二君) 御質問にお答えいたします。  全国市町村から被災自治体派遣された職員数、七月一日までの間に、これは市町村からでありますけれども、三万六千五百名に上っているところであります。これに都道府県加えますと、全体で五万六千九百四十名という状態になっております。
  16. 大島九州男

    大島九州男君 市民の方、国民の方がボランティアということで、ばっと押し寄せた方もたくさんいらっしゃいますが、市町村、県の方からこの五万六千人という方が、ボランティアという形なのか災害派遣なのか、もうそこら辺はいろんなパターンがあるんでしょうけれども、そこに対して、市町村、県に対する人件費の補填だとか、そういった補助はどのような形で対応したのか、どういう考え方なのかというのをちょっと教えていただきたいと思います。
  17. 逢坂誠二

    大臣政務官逢坂誠二君) これらの経費につきましては、応援をする自治体が出張で出した場合はその応援した自治体経費、それから、職員派遣でやった場合につきましては応援を受けた側の自治体経費ということで支出をいただいております。そして、そのそれぞれにつきまして特別交付税措置をしたいというふうに考えております。  三月末までに職員を既にもう派遣しているものにつきましては、本年の四月八日に行いました特別交付税特例交付、これによって既に所要額措置いたしております。それから、二次補正予算におきましても特別交付税、これ増額確保いたしておりますので、四月以降の被災地応援に係る経費につきましても、それぞれの自治体の実情をお伺いして特別交付税対応してまいりたいと考えております。
  18. 大島九州男

    大島九州男君 大変それは有り難いことでありますので、是非国の方ではまた予算をしっかり確保して、そういった災害派遣やいろんな職員派遣に協力をしていただいている市町村には更なる支援をしていただきたいということを要望して、その件については終わりたいと思います。  それでは、続きまして、我々、この行政監視委員会というのは、今回いろんなところに結構踏み込んでいったわけでありますけれども検察在り方について、そしてまた冤罪の方向についても我々独自にいろいろな視点で視察も繰り返させていただいたわけであります。  そして、私自身も昨年九月の二十二日に院の派遣シカゴに行きまして、シカゴ市警に訪問させていただいたときに、あそこは容疑者の段階で取調べも全て可視化をしてやっているわけでありますけれども現場刑事さんや皆さんの話を聞くと、最初可視化については後ろ向きで大変に反対が多かったんだけれども、やってみたらどういうことが良かったかというと、取調べのときに刑事さんから無理やり、たたかれたりけ飛ばされたりしてこういう供述をしたということを裁判で言ったりするようなことが過去あったと。しかし、もう全てを可視化をしてある状況だったので、そういった部分のところがなくなって、逆に現場刑事さんたちは大変助かったという話を聞かせていただいたことが非常に印象的でありました。  そしてまた、日本、これだけいろんな冤罪だとかいろんなものが問題になる中でこの可視化というものが議論されているわけでありますけれども、今の状況を、法務大臣、今日おいでいただいておりますので、いろんなところで議論されておりますが、今の現状での状況をちょっと簡単に説明をしていただけると有り難いんですが。どういうふうに今議論が進んでいて、どういう状況になっているかというのが分かれば。
  19. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 取調べというものがいろいろな問題を生んでいる、看過できないような問題が生じている、このことは委員御指摘のとおりでございます。  私は、法務大臣として検察を所掌しているわけでございますが、検察においてもそうした問題が生じて、元法務大臣千葉景子さんの時代に検察在り方検討会議というものをつくり、これが今年の三月三十一日に提言を出していただきまして、その提言を基に、四月の八日に私の方で検事総長に、検察庁法に基づく一般的な指揮ということで、こういう取組をひとつやってくださいという、そういう指揮をいたしました。検察においても、最高検でそれより以前から取調べ問題あるいは検察在り方について検討を進めておりまして、その私の指揮の前に既に最高検の方で取調べ可視化に取り組む試行方針を出しておりましたが、それをさらに私の指揮によってより広範なものにしたということでございます。そのような検討会議提言を受けて、法制審議会可視化を含む刑事司法在り方全体について諮問をして、これが今、特別部会をつくって審議を始めております。  さらにもう一つ、ちょっと長くなって恐縮なんですが、法務省の中に省内勉強会をつくりまして内外の調査をいたしました。その調査が六月末でほぼ終わって、今その調査の結果に加えて省内取りまとめ法務政務三役を中心とする取りまとめを含めてこの勉強会の結論を間もなく出そうというところへ来ております。  大変申し訳ありません、一つ訂正いたしますと、検討会の設置は千葉法務大臣のときじゃなくてその後の柳田法務大臣の、千葉さんはその座長になっていただいたということでございます。
  20. 大島九州男

    大島九州男君 先日、私ども委員会最高検へ行きまして検事総長にいろいろ御意見をお伺いをしたときに、私の記憶が定かであるならば、検事総長がおっしゃったのは、我々はその可視化とかそういったいろいろな問題について決して後ろ向きではないと、あえて前向きだというように受け取れるような御発言をいただいておったと記憶しておるんですが。  先日、七月二十九日、私は別にマスコミが全てとは言いませんが、マスコミの記事にいろんな意見が当然出ます。そのいろんな意見が出る中で、警察検察関係者からは可視化に否定的な意見が相次いだと。容疑者から供述を引き出せなくなると反発しているとか、真相解明機能を維持するには新しい捜査手法検討が必要だとしていろんな意見が出ると。当然いろんな意見が出るのは大変いいことでありますが、捜査関係者検察の方はほとんど後ろ向きだというふうに取られる報道をされるような発言の仕方はいかがなものかというふうに思うんですが、そこ大臣、どのようなお考えでしょうか。
  21. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 委員冒頭アメリカのケースを紹介されましたが、捜査在り方というのはそれぞれ国によっていろんな特色がありまして、アメリカがこうやっているからそれがいいとか、日本はこうだからこれが悪いとかとはなかなか一概には言い難いものがございます。しかし、今の捜査やり方の中でいろんな冤罪も生まれてきているとか、あるいは妙な人権侵害があるとか、そういうことがもう目をつぶっているわけにいかない状態になっているので、私としてはこれは録音、録画というものに取り組もうということで今日までやってまいりました。  そんな中で、今までの捜査やり方に慣れてきた検察警察皆さんに、このやり方にいろいろと外から言われるのは避けたいと、何とか今までのやり方を続けていきたいと思う人たちがいるのはそれは当然のことで、したがって私は、捜査現場からいわゆる可視化に対して消極的な懸念の声が出るのはこれは当然のことだと、しかしそれでは済まないでしょうと。そういうことで私どもは今取り組んでいるわけでございまして、今度の法制審議会特別部会もそういう皆さんにも、そういうというのはつまり懸念を示される、そういう皆さんにも入っていただいて、しかしもちろん積極論皆さんにも入っていただいて議論をしているところでございます。  個々の委員皆さんがそれぞれいろんな見解を述べられることに対して私として一つ一つのコメントをすることは差し控えておいて、この皆さんの自由闊達な議論でいい成果が得られるように、今私は期待をしながら見守っているところでございます。  ただ、検察警察委員皆さんの御意見も、いろんな懸念をそれはその皆さんの体験からお述べになるけれども、全体として今の捜査在り方がこれでいいという前提に立ってはおられないのではないかなと、これは私の感想でございます。
  22. 大島九州男

    大島九州男君 ありがとうございます。  私も、法務大臣のそのお話を聞いて安心をしました。過去の冤罪事件やいろいろなことに反省をして、その上に立ってしっかりとした制度を議論していただくことを心から祈念をいたしまして、要望をしておきます。  最後になりますけれども、私ども行政監視委員会の仕事は、やはりいろんな立場、いろんな人の意見をしっかりとこの場で披露しながら、そして勉強をし、行政在り方をしっかりと正しい道に導いていくことが必要だと。  しかし、この原子力問題については、今まで我々は国会の中で本当に真摯な議論をしてこなかったということに対して大きく反省をしなければならないという見地から、私ども行政監視委員会は、委員長そして野党の皆さんも一緒になって、五月の二十三日に原子力の参考人の招致をして参考人の意見を聞かせていただきました。そのときに多くの国民からいろんな意見を寄せられた。多分これは初めてじゃないかということがありますので、ちょっと御紹介をさせていただきます。  去る五月二十三日の行政監視委員会の模様をインターネット中継で拝見しました。四名の参考人の方々のお話には心を打たれました。この方々を委員会に呼ぶことを決められた理事そして委員長の御見識と御英断に心より敬意を表します。政治に期待を持つことがむなしいと思う昨今、希望を感じさせていただきました。ありがとうございました。  こういう意見や、NHKなどで放送されなかったのが残念ですが、五月二十三日の行政監視委員会の放送をインターネットで拝聴させていただきました。国会の中にもこのような正面から事実を見詰めることができる方がいらっしゃるのだと本当に感激いたしました。ありがとうございます。  そのほかに、五月二十三日に小出先生、元東芝の後藤さん、石橋克彦先生、孫正義さんを招いて行われた参議院行政監視委員会をインターネット中継で録画で拝見しました。今まで数々の国会中継を拝見してきましたが、これほど有意義な委員会はなかったと思います。これらの参考人の方々を招致することは大変だったと思います。末松先生を始め理事の方々、実現に努力された方々に感謝いたします。さすが参議院だと思いました。私心なく真摯に国民のことを訴えられる参考人の方々の発言は胸に迫るものがありました。経産省政務官発言のみが自らの利権を守るためと感じられました。どうか議員の先生方もこの参考人の方々の意見を無駄にすることなく、国会、行政の場に届けていただきたくお願いいたします。  こういうような多数の意見をいただいておりまして、これは決してやらせではございませんので。  まさに我々国会が本当に国民の視点に立ってしっかりと議論をしていかなくてはならない、また、それを国民の方々は非常に望んでいらっしゃるんだなというのを、これは参議院の広報の方に届いたお手紙やインターネットのメールで来た抜粋を御紹介をさせていただいたわけであります。  全てにおいて何が正しいのか、その真実は一つであるかもしれません。しかし、我々は、国民皆さんに本当にこの委員会や国会の議論を通じて正しくお伝えをする場が大変少ないんですね。といいますのは、テレビ、マスコミ、新聞報道等でこれが非常にねじ曲げられた形で報道をされてしまったり、そういったことがあるからこそ、我々国会議員は一人一人の国民にしっかりと発信をしていくということを努力をしていかなければならないということを常日ごろ私は感じているわけでありますけれども、このインターネットの中継や国会中継等に対しても、やはり我々国会議員が一人一人真摯になって国民のために発言をし活動をしていくことの大切さということを、またこういったお手紙によって我々は肝に銘じなければならないなということを新たに感じさせていただいたわけであります。  昨今、いろんな意味で、予算委員会やいろんな復興会議の中でも、政策よりもいろんな政局で物を話される場合が多いわけでありますけれども、この行政監視委員会はそういうことなくしっかり運営をされたということを、私ども本当に、手前みそと言われてはあれですけれども、各委員の先生、特に委員長理事皆さんに感謝を申し上げまして、私はここで質問を終わらせたいと思います。  どうもありがとうございました。
  23. 風間直樹

    ○風間直樹君 それでは最初に、まず中野国家公安委員長にお尋ねをいたします。  栃木、群馬で起きました連続幼女誘拐殺人事件、この事件の被害者家族会が六月二十九日に結成されました。そして、家族は捜査と真犯人の逮捕を訴えました。国家公安委員長には、七月十四日、家族会とお会いいただき、真犯人検挙に向けた強い御決意を御家族の皆さんの前で語っていただいたところであります。私からも心より御礼を申し上げます。  中野委員長に改めてこの事件解決に向けた御決意をまず伺いたいと存じます。
  24. 中野寛成

    国務大臣(中野寛成君) この五件につきましては、その関連性を否定しないで、我々としてはあくまでも真摯にその真相解明のために全力を尽くしてまいりたいと思いますし、冤罪の問題もございましたように、警察としては大変深い反省の下に、まさに御家族の皆さんのお気持ちもしっかり体しながら、事件解決に向かって全力を尽くしてまいりたいと思います。  残念ながら、四件が時効ということになっておりますが、現在、横山ゆかりちゃん事件を中心にして捜査をいたしておりますけれども、いろいろな観点から関連性も含めて否定せず、全力を尽くして捜査を進めてまいりたいと思っております。
  25. 風間直樹

    ○風間直樹君 私も当日、お会いいただいた場に同席をいたしました。そのときの委員長のお言葉を非常に心に深く印象付けております。中野委員長はあのときこうおっしゃいました、御家族同様、これらの事件は警察にとっても本当に悔しい、本当に悔しいんですと、御家族と私が同じ思いだということを御理解いただきたい、こうおっしゃいました。  今、警察、特に地元の栃木県警、群馬県警、動き出したと伺っております。中野委員長の強いリーダーシップの下にこうした動きが出てきましたことを、大変僣越ではございますが、評価をさせていただきたいと思うわけでございます。  このような警察庁の動きがあるわけですが、ここからは法務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。検察としてはこれらの事件を一体どうするのかということです。  ちなみに、昨年四月、最高検がまとめた足利事件の捜査報告書では、同一犯による連続五件の犯行である可能性もうかがわれると、こう記されており、さきの予算委員会でも、今、中野委員長おっしゃいましたように、同じ趣旨の御答弁があったところであります。連続五人の幼女が誘拐され、あるいはそのうち四人が遺体で発見され、しかもそれが未解決になっているという重大事案は、我が国にほかにございません。  法務大臣のこの事件の解決に向けた御決意を伺いたいと思います。
  26. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 五人の幼女が連続して殺害されたとうかがわれる、こういう事件が起きているわけでございまして、これはもちろん近隣の住民の皆さんだけでなくて、国民にとりましても、治安の維持、生活の安心、安全、そういう観点から決して無視できるものではありません。  中野国家公安委員会委員長が今申されましたが、捜査の第一線で頑張ってくれております警察皆さん方の御努力というものを、本当に頑張ってくださいと、こういう思いで見守っているところでございます。  検察というのは、第一線の捜査というのは検察がやる場合もございますが、まずは警察が一番大変に汗をかいて努力をしてくださっているので、これをしっかり見守りながら、必要な場合にはまた協議をしてまいりたいと思っております。
  27. 風間直樹

    ○風間直樹君 大臣、私、この質疑江田大臣とさせていただくのは今回初めてでございまして、ちょっと要点を端的に申し上げたいと思います。  この五件の連続誘拐殺人事件で、ほぼ唯一残されている物証があるんです。これは足利事件で殺害された松田真実ちゃんが着ていたTシャツ、このTシャツに付いている犯人の体液なんです。昨年、菅家さんの再審鑑定の際、このTシャツが再審鑑定されまして、菅家さんのDNAの型と真犯人の型が違っていたということで菅家さんは無罪が確定をいたしました。つまり、このTシャツに付いている犯人の体液、これを法務省、検察、これ実は今宇都宮地検が保管をしているんですが、検察庁がこのほぼ唯一とも言える物証、試料、これをいかに活用するかどうかが連続五件のこの事件の解決につながる可能性が非常に高いということなんです。ですから、今警察庁は既に動き出している、それと密接に連携をしていただいて、検察にも、この物証を握っているのは検察なんですから、後押しではなく共に捜査をしていただかなければならない、こういうことであります。  さて、この足利事件の被害者である松田真実ちゃんが着ていた今申し上げたTシャツですが、実は真実ちゃんのお母さんは検察庁に対して切々たる返還要請を実はされています。しかし、いまだ証拠品として保管されている検察、宇都宮地検からこれは返却をされていません。シャツはどこでどうなっているんだろうというのが御遺族、関係者の切実な思いなんです。もし今後捜査検察庁として、あるいは法務省としてしないというのであれば、これは当然所有権は御遺族にあるわけですから、憲法上も返却していただかなければなりません。  江田大臣、私、日ごろ親しく御指導いただいております。今日はまたそういった日ごろの関係は別にして真剣勝負でお尋ねをしたいと思うんですが、もしその娘さんを、子供さんを亡くされた親御さんがその遺品を抱きたいと、こういう心情、子を思う心情、これを政府機関は、あるいは検察は拒めるかということなんです。従来も私の質疑に対して法務省からは、個別の事件については具体的にお答えできないと、こういう答弁がございました。しかし一方で、仮に捜査はせず御遺族の心情を顧みないのであれば、私は返却を拒むこの検察、地検の行為は明白な憲法違反だと思うんですが、弁護士でもあられる江田大臣はどのようなお考えでしょうか。
  28. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 従来の法務省の答弁ぶりというのを今御紹介いただきました。大変申し訳ないんですが、その答弁ぶりを繰り返すほかないというのがまずは紋切り型の答弁でございます。個別の事件における証拠品の取扱いについてはお答えをすることは差し控えたいと思いますが、更にもう少し付け加えますと、一般論として申し上げるならば、捜査機関が押収した証拠品、これは、還付等の処分がなされるまでの間は法務大臣訓令である証拠品事務規程に従い適切な場所に収めて証拠品の性質に応じて紛失、滅失をしないように保管するということでございまして、今この指摘されました証拠品についてもそのような保管がなされているものと承知をしております。  その上で、これはもし、もう証拠品として保管をしておく必要が全くないと、そして御遺族の方がどうしても還付をしてほしいということがあれば還付をするのが当然ではございますが、まだ今このものが証拠品としてもう活用する余地はないのだということについても簡単ではないということもあるようですし、また、御遺族の権利関係というものもなかなか一義的に決まるという状況でもないというようなことなので、このお母さんのしっかり抱き締めたいというその気持ちは大変貴重な気持ちだと思いますが、まだ還付ということには至っていないと。いずれにしても、適切に現場で判断をするものだと思っております。
  29. 風間直樹

    ○風間直樹君 今の大臣の御答弁は、私も、それから、ただいまこの現在の質疑の模様をインターネットで御覧いただいている御家族、御遺族の皆さんも、検察がこの事件を決して放置せず捜査をするんだと、そのために証拠品の保管が必要なんだと、こういう趣旨として受け止め、そして江田大臣の今後の一層の指導力を期待させていただきます。  大臣、一点、今の御答弁で私ちょっと納得できない部分があるんです。恐らく大臣は、事務方から用意された御答弁、全てではないにしても、今お読みになったと思います。その中で、御家族、御遺族の権利関係という一節がありました。これは、どうか過去この問題の連載をしている月刊の文芸春秋を大臣御自身御覧いただきたい。そしてその上で、官僚、事務方が用意した今の答弁が果たして御家族、御遺族に対して失礼のないものかどうか、そのことをいま一度確認いただきたい、このことをお願いしておきます。  最後に、大阪地検による村木事件──大臣、何かございますか。よろしいですか。
  30. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 答弁するならしますけど。
  31. 風間直樹

    ○風間直樹君 じゃ大臣、何かございましたらお願いします。
  32. 江田五月

    国務大臣江田五月君) 確かに事務方による答弁のペーパーはございますが、私はそのことも申し上げましたが、私自身の言葉でここにないことも申し上げたつもりでございます。  御遺族の方に失礼のないようにということももちろん気を付けなきゃならぬことではございますし、それから、検察は一般的にはこうした事件の場合に、まず警察による捜査の結果を送致を受けて、さらに補充の捜査あるいは適切な処分というものをするということになるので、真剣にこの問題についても対応をしていきたいということを付言しておきます。
  33. 風間直樹

    ○風間直樹君 大阪地検が村木事件を起こしました。その結果、この度、最高検に内部チェックの機関として監察が置かれることになりました。  実は、今大臣もお触れになりましたが、足利事件の捜査における隠された謎があるんです。これは遺品に付着した真犯人のDNAの型が一体何の型かという、このポイントなんです。これが実は明らかにされていません。恐らくそこには検察庁の固有の事情があると関係者は推察をしています。この真犯人のDNAの型を明らかにすることが、実は五つの連続した誘拐事件の犯人検挙に不可欠なのであります。このことを強くこの場で求めまして、次の質問に移らせていただきます。  中野委員長江田法務大臣には御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
  34. 末松信介

    委員長末松信介君) どうぞ。
  35. 風間直樹

    ○風間直樹君 それでは、続きまして、被災地における放射線の被害に関して質疑をさせていただきたいと思います。  国際環境NGOのグリーンピース・ジャパンという団体がございます。今年の六月、子供たちの生活の場となる公園、それから通学路、通園路でも依然として高い放射線量が計測されている事実をこの団体が指摘をし、妊婦や子供たちを避難させる必要があると訴え、日本政府に以下のことを要望しています。三点あります。  一つは、市民の健康を第一に考えること。高線量地域に住む妊婦、乳幼児、子供について、速やかな避難の経済的支援その他の必要な支援を行い、適切な除染を行うこと。二つ、放射線を年間一ミリシーベルト以上浴びるリスクについて市民に適切な説明をすること。さらに、より脆弱な子供や妊婦については、一ミリシーベルト以下についてもリスクを説明すること。三つ、人々、特に子供の内部・外部被曝量積算について調べ、その結果を市民に提供すること。  この要望につきまして、グリーンピース・ジャパンを含む六団体と政府の交渉が過日行われ、政府から七月に回答が示されました。その中で、避難区域の設定に当たり内部被曝を含めるかどうかという最も根本的な問題について、実は原子力安全委員会の見解と原子力災害対策本部支援チームの見解が一致をしておりません。原子力安全委員会の見解は、内部被曝についても考慮すべきというものであります。一方、対策本部の支援チームの見解は、外部被曝線量で避難区域設定を判断したというものであります。  この支援チームの見解は、四月十日付けの原子力安全委員会の意見を踏まえ、その上で外部線量で判断したと公表されています。この支援チームによる判断は、四月二十二日、計画的避難区域設定の際に行われました。  私、この見解が一致していないという部分を不審に思いまして、この関係者、来ていただいて詳しく話を聞きました。四月十日付けの意見は何を基準にしたのかと原子力安全委員会に聞いたところ、三つの理由が示されました。  まず一つ目、四月現在は大気中から検出の沃素とセシウムの比率がほぼ一対一だったこと。二つ目、内部被曝の試算においては、口からの吸入、食材、転んだ際の傷口からの体内への流入等を見込んで、およそ外部被曝の一割と計算したこと。三つ目、現在は四月当時と事情が変化していることを踏まえ、実測した上で対策を政府が講じることが重要。この事情が変化しているということは、私の推測では、まず、半減期が早い沃素が減る一方でセシウム等が多く検出されるなど大気中の放射能種類の比率が変わってきている、さらに、大気中の放射能が減少する一方で土壌や水などに放射性物質が落ちていると、こういったことだと推察をしております。  このように、四月二十二日の支援チームの判断は、放射性物質の種類、存在場所が四月と八月とでは変化しているという事実を実は見過ごしているのではないかと私は考えます。違いますでしょうか。そうだとすれば、国による実測を行って現実の放射能数値を踏まえ避難地域の設定を行う必要があるのではないかと思いますが、支援チームに見解をお伺いしたいと存じます。
  36. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 先生の御指摘を踏まえて回答を申し上げたいと思います。  お話のとおりに、この計画的避難区域、飯舘村や川俣町ですけれども、その設定に当たりましては、その原子力安全委員会の意見も踏まえまして、これは四月十日の話ですけれども、事故発生から一年の期間内の積算線量の目安である二十ミリシーベルトを外部被曝線量で判断することとしたわけでございます。内部被曝による線量につきましては、正確に測定、評価するまでに時間を要するということがございますが、一方で、迅速に計画的避難区域の設定を行う必要があるというふうに判断しまして、避難区域の設定に当たりましては外部被曝線量で判断したということでございます。  その後、今日は班目委員長もお見えでございますけれども原子力安全委員会の助言も十分踏まえて、今後、計画の見直しあるいは放射線量が下がって帰還するという、そういう時期も参りますでしょうから、そういうときにはよく助言もいただきながら、この内部被曝の問題もしっかり検討をしながら対応していきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  37. 風間直樹

    ○風間直樹君 松下副大臣、支援チームとしての判断を更新あるいは追加していただきたいんです。  つまり、四月のこの下旬に支援チームが判断されたときと今は状況が違うんです。内部被曝が刻々と報告をされている、新聞にも載っている。あるいは、国の独法に勤めていた研究者がそこを辞めて自分で被災地に入って、そして計測器を持って測っている。これは本来国がやるべきことなんです。しかし、その尊い行為の結果、新たな放射線の実態が分かってきている。内部被曝が多いんだということです。この最新状況を踏まえて対応するのが支援チームの責務ではないでしょうか。私はそのことを申し上げております。内部被曝の実態、確かに詳細、一〇〇%は分かりません。しかし、その間も、子供たちあるいは乳幼児の体が汚染されている可能性もあります。  今回、被災地で今なお放射線を浴びながら生活をされている皆さんの声をまとめた資料をグリーンピースからレクチャーに来ていただいたときにいただきました。非常に胸が痛みます。一部紹介をさせていただきますが、年間十五ミリシーベルトになると言われている地域で小学校一年生の息子がおり、埼玉に避難を決めましたという、これ、恐らくお母さんのメッセージだと思うんですけれども。  福島に住宅ローンや夫がいるので、二重生活では破産してしまいます。二学期からの避難後、転校で不安の子供を置いて働かなくてはいけないと思っています。五人家族で、夫、小学生の子供二人と半身不随のしゅうとがいます。今回、子供を守るため三人で避難することにしました。そうなると、我が家の収入は夫の給料のみ。しかし、出費を考えると、二重の生活費、避難先と福島の交通費、しゅうとのヘルパーと宅配の御飯代、夫の外食代、これが増えます。それでなくても、汚染され価値のない土地になったにもかかわらず、国の過小評価によって避難地域になっていないことから払わなくてはならない固定資産税や住宅ローン、子供の教育費、どう考えても生活は成り立ちません。私も今ストレスでパンクしそうなので、夫のいない生活、一人で子供を支えられるのか、転校の上、新しい土地での仕事と家事、育児で子供に当たり散らし、子供の傷を大きくしてしまうのか。解決してくれるのはやっぱり生活補償金だし、私の子供はもらうだけの内部・外部被曝をしていますという非常に切実な声であります。  やはり、我々政府・与党として、こういう状況を放置できないと思うんですよ、副大臣。恐らく副大臣も同じ気持ちだと思います。であるならば、是非最新の調査を国が実測していただいて、現地で、そして内部被曝の実態を早急に調べていただきたい。その上で、私は、現実の放射能数値を踏まえて避難地域の設定を行う必要があると思いますし、さらには、チェルノブイリで行われたと同様に自主避難可能な選択的避難区域を設定して、そして今御紹介したような、今なお被災地で放射能を浴びながら生活している県民、国民の生活を守る責務が我々にはあると思います。このことを是非とも支援チームで検討していただきたい。  ちなみに、チェルノブイリでは、避難する権利を定め、その上でエリアを三つに区切り、最優先強制避難エリア、二次的強制避難エリア、そして避難する権利付与エリアというものを設けているそうであります。是非御検討いただきたい。よろしくお願いします。
  38. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 御指摘ありがとうございます。  飯舘村や川俣町の計画的避難区域はもちろんそうですけれども、今二十キロ圏内の警戒区域、これは全員が避難しています。それから、二十キロから三十キロ内にあります緊急時に避難を準備する区域、こういうのがありますけれども、これの地域についても更に綿密なモニタリング調査を開始して、調べ上げております。そしてまた同時に、内部被曝のおそれのある人たち、ホール・ボディー・カウンターですけれども、そういう施設も整ってきておりますので、そういう人たちに対してもしっかりと対応を進めてきております。  おっしゃるとおり、プラントがいろいろ課題は山積していますけれども、原子炉の中が、第一ステップ、これが目標を達成してきているという評価もできてまいりますので、それに合わせて帰還できる地域があるのかどうか、その辺も含めて今綿密な調査をしているところでございまして、あわせて、一緒に飯舘村や川俣町の方についてもしっかりした対応をしていきたいと、そう考えています。  どうもありがとうございました。
  39. 風間直樹

    ○風間直樹君 大人はもちろんですが、やはり子供、乳幼児の健康を守るというのが我々の責務だと思います。どうぞ早急な対策をお願いいたします。  続きまして、学校における児童生徒の受ける被曝線量についてお尋ねをいたします。  さきに引用しました七月のこれらNGOに対する政府の回答で、文科省は、今年度、学校において児童生徒などが受ける線量について、当面、年間一ミリシーベルトを目指すが、これは安全基準ではないとしています。この見解では、一ミリシーベルトという数値が果たしてどういう数値なのか、科学的な根拠が明確に分かりません。  ちなみに、昭和三十二年に制定され、最新では平成二十二年に改正されている法律、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律、この下にある施行規則十九条には、一般公衆が受ける限界線量として一年間に一ミリシーベルトとあります。また、ICRPが九〇年、一般公衆の線量限度をやはり年間一ミリシーベルトとしており、このことは、政府の原子力データ管理機関である高度情報科学技術研究機構もホームページで同趣旨を明記しております。  これは文科省林政務官にお尋ねをしますが、この一ミリシーベルトという見解の安全性の根拠、これを是非明確に伺いたいと存じます。
  40. 林久美子

    大臣政務官(林久美子君) 風間先生にお答えをさせていただきたいと思います。  今、御質問の中にもございましたように、非常によく御存じかと思いますけれども、この被曝の低減化については、国際放射線防護委員会、いわゆる今おっしゃったICRPの考え方に基づいて、事故収束後においては年間二十ミリシーベルトから一ミリシーベルトという参考レベルを参照いたしまして、長期的には平常時の一般公衆の線量限度でもある年間一ミリシーベルト以下を目指すということでございます。  そのため、文科省においては、より安心して子供たちが学ぶことができる、そういう環境をつくっていこうということで、今後できる限り児童生徒などの受ける線量を減らしていこうということ、それを基本スタンスとして、今年度、学校において児童生徒等が受ける放射線の量については、当面、年間一ミリシーベルト以下を目指すというふうに決めたところでございます。
  41. 風間直樹

    ○風間直樹君 この一ミリシーベルトという数字は、私も今回いろいろ調べてみたんですが、先ほど引用した法律の施行、昭和三十二年以来、我が国の原子力専門家の中では共通認識として持たれてきた数字だと理解をしております。したがいまして、先ほどの質疑の中での被災地地域で今毎日こうした線量を浴びている皆さんにとっても、これが一つの大きな基準になると、このことは明確だと思います。  この点を併せて確認をさせていただきまして、文科省、そして支援チームにおける現地での一刻も早い実測と内部被曝の調査、そして対策を重ねて要請をいたします。  最後に、原発関係質疑、班目委員長にお尋ねをさせていただきます。  去る五月二十三日のこの委員会での原発事故調査集中質疑におきまして、神戸大学名誉教授の石橋教授という方が参考人でお越しになりました。この石橋さんが、今回の事故で原子力安全委員会の機能が、一九九九年でしたでしょうか、あの東海村の事故のときに比べるといささか十分発揮されていないように思うと。その原因は何かと私が尋ねたところ、実は十年余り前、省庁再編が行われたときに、原子力安全委員会のまさに事務局を担い、手足だった科学技術庁が解体され、なくなってしまった、つまり、今の原子力安全委員会の委員皆さんはこの手足がない状態で動いていると言っても過言ではないと、こういう趣旨の話をされました。私はこれが非常に気になったわけであります。  班目委員長にも日々国会の様々な委員会で今御答弁に立っていただき、大変御多忙な、そして恐らく心身をまさに傷つけながらの御活動をされているものと存じます。そこで、委員長にお尋ねをいたしますが、委員長御自身もこの石橋教授の指摘と同じ実感を持たれていらっしゃるのかどうか、この点教えていただけますでしょうか。
  42. 班目春樹

    政府参考人(班目春樹君) 十年前の省庁再編の際に何が行われたかといいますと、原子力安全・保安院という規制行政を担当する省庁ができまして、そして、原子力安全委員会は、直接事業者を指導するのではなくて、あくまでもその基本的な考え方を示すことと、それから行政庁を監視、監査するという位置付けに変わってございます。したがいまして、我々はある意味では審議会の役割を果たしているわけでございまして、十年前とはそういう意味で状況は違っているということは御指摘のとおりだと思います。
  43. 風間直樹

    ○風間直樹君 今、審議会としての機能を今果たしていらっしゃると。そうすると、この原発にかかわる安全性に対する助言ですとか、総理なり内閣に対する助言ですとか、あるいはここは具体的にこうすべきだという言わば強制的な強い勧告を伴ったアドバイス、これは原子力安全委員会でされていらっしゃるんでしょうか、そうではないんでしょうか。
  44. 班目春樹

    政府参考人(班目春樹君) 現在も事故は決して収束してございませんので、いろいろな基本的な考え方というのを原子力災害対策本部に我々常に助言という形で出してございますし、それから、万一安全を非常に損なうようなことがあるならば強い勧告権も発動するという、そういう意思は持ってございますけれども、現在のところは基本的には助言という形でいろいろなお手伝いをさせていただいているところでございます。
  45. 風間直樹

    ○風間直樹君 分かりました。この点は今後政府における原子力規制あるいはその他の組織の見直しにおいて反映しなければいけないポイントだと思います。御答弁ありがとうございました。  この放射線関連、御答弁いただいた皆様には御退席いただいて結構でございます。  最後に、総務省にお尋ねをいたします。  五月の十六日、この行政監視委員会において私は、片山総務大臣に対し、総務省行政評価局に置かれている行政監視機能、これを当行政監視委員会の言わば手足として使うことが必要だけれども、御所見はどうですかというお尋ねをいたしました。それに対して、大臣からは消極的なお答えをいただいたところでございます。時間の関係でその際の大臣答弁は省かせていただきます。  その後、いま一度、この点非常に重要だと思いまして、当委員会の歴史を復習をしてみました。行政監視委員会平成十年に設立をされた委員会であります。不正・不当行為及び国損を防止して、公共の利益の実現に貢献するため、総務省行政評価監視、従来の行政監察、これを活用し、広く不公正行政について調査を行う委員会であります。  行政監視委員会の創設時、当時の総務庁の行政監察が警察をほとんど対象にしないことが懸念されたことから、行政監視等のための機関の設置についての調査会長案において、委員会が監察対象の選定を調査し、その結果を行政監察計画の策定の参考にさせることとされました。これは総務省の計画策定の参考にさせるということであります。それにもかかわらず、今日、警察にかかわる総務省行政監察は極めて不十分だと私は認識をしております。したがいまして、警察活動について抽象的、一般的には対象になし得るが、個別の事件については総務省が乗り出すことは制度上想定されていないという片山大臣のお考えは、私はこの委員会の創設当初の理念とは違うと思います。結局、警察については何もしないという職務怠慢の蔓延につながるおそれすらあることが否定できないと思います。  当時の井上孝調査会長が記された調査会長案をここに持ってきております。ここを読みますと、こういうふうに書かれています。この委員会の設置目的を明確にし、達成するため、委員会自らが積極的に国政調査権を活用する。調査に当たっては、総務庁が行う行政監察等を活用すると、このように明確に記されております。  片山大臣、こう申し上げた上で、いま一度大臣のお考えをお尋ねしたい。もし改善される部分があればおっしゃってください。
  46. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 今議員がおっしゃったことを伺っておりまして、私もほとんど違和感ありません。総務省のこの行政評価機能というものが警察を排除しているものではありません。タブーなく行うということになりますので、必要でありますれば警察行政についてもその評価の対象になし得ると思っております。  ただ、幾つかちょっと条件が、条件といいますか留保条項がありまして、先般も申し上げましたけれども、個別の事件について、その捜査などについて評価をするかどうかという話になりますと、これはかなり私は困難だと思います。それは、例えば被疑者なり被疑の可能性のある方々に接触をするということ自体が捜査に対して何らかのやはり影響を与えるとか予見を与えるとかということになりますので、そこはやはり慎重でなければいけない、やはり一定の権能を持った警察とか検察とか、そういう職種の人たちによる活動に委ねるべきだろうと思います。  ただ、そういう場合であっても、例えば冤罪を生む構造が組織にありはしないかとか、それから、国の警察庁とそれから各都道府県の公安委員会の下にある警察本部の活動との間の関係やいかにとか、その都道府県警察本部の幹部職員というのは国家公務員でありますから、その国家公務員の人事はどうなのかとか、そういう意味での評価というのは、当然私は対象になし得るものだと思っております。もちろんその場合も、警察都道府県警察でありますから、都道府県の監査委員、監査機能との関係というものも慎重にこれは考慮しなければいけない。  そういう幾つかの留保はありますけれども、我が国の警察行政というものが本来のミッション、組織のミッションに従って適切に実行されているかどうか、その運営の在り方、それから組織の在り方について総務省行政評価機能を適用するということは、これは決して妨げるものではないと私は思っております。  その際に、我々も何を評価の対象にするかというのは政務三役を中心に私なども決めているところでありますけれども、その際に、当委員会皆さんの御議論を経て委員会の意思というものが私どもに示されたとしましたならば、それは当然、先ほどもおっしゃったように、参考にしながら評価の事柄を決めていくということになると思います。
  47. 風間直樹

    ○風間直樹君 大臣のお考えと私の考えはほぼ一致したようで安堵いたしました。  末松委員長に提案させていただきますが、秋の臨時会以降、またこの委員会のメンバーも替わるかもしれませんが、今大臣から答弁のあったこの計画策定等について、今後当委員会がどのように考慮をし、総務省に対し要請すべきなのか、そうした議論理事会で行いますよう提起させていただき、お願いを申し上げます。
  48. 末松信介

    委員長末松信介君) 風間理事からのお話がありましたので、後日理事会でまた協議をさせていただきたいと思います。
  49. 風間直樹

    ○風間直樹君 以上で終わります。  ありがとうございました。
  50. 高階恵美子

    高階恵美子君 自由民主党の高階恵美子です。本日は閣僚の皆様にこんなにたくさんお忙しいところお時間ちょうだいいたしまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。  今日こうして幅広に先生方にお話をお伺いしたいと思いましたのは、三・一一以降、この国の今の状況を考えますと、人口はもう減少し始めているのにどうも食料危機が来るんじゃないか、あるいは、私たちの生きる生活そのものの環境が非常に劣悪化していて命の危機なんじゃないか、こういう問題認識を持っているからなんです。  三・一一以降、直接的な被害とはまた別にして、生活がなかなか再建するその見通しが立てられないとか、それから将来に希望をなかなか持てない、こういったようなことで自殺をするという悲しい事件が多くなっている。この数字は、特に被災地において極端な伸び、例年とは違う様相を呈しておりますし、それから先ごろ、昨年の児童相談所等における児童虐待の相談件数が速報値として出されましたけれども、五万五千件を超えるという数字でありまして、まだ宮城、福島、仙台市のデータが入っていないにもかかわらず、これ、例年と比べますと三割増しという状況でございます。  今日は、命の危機宣言を政府としてして、そして来年度の予算、概算請求の案が今はもうまとめつつある段階だと思うので、是非、その総合的な施策、国が命を守りますよ、みんなでこの国で生きていこう、もっと元気になっていこうよといったような、何かそういう前に出ていくような、国民に勇気を与えるような、そういう御助言を賜りたいなと、お言葉を賜りたいなと思って、こういう機会においでいただきました。  今お話を申し上げました児相における児童虐待相談件数の昨年の五万五千百五十二件というデータなんですけれども、三割強という、三割程度増えたというこのことに関して、どんなふうな受け止めと原因分析をなさり、そしてどんな対処方針でいこうとしておられるか。総務大臣内閣府の少子化担当の大臣、そして厚生労働大臣、一言ずつで結構ですのでお伺いしたいと存じます。
  51. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 児童虐待の件数が五万五千件を超えたという報道に接しまして、一つは、非常に増えたということと、もう一つは、実はもっとあるんではないかと、私は地方にいた者として思っております。児童相談所に案件が寄せられるのはいい方でありまして、陰にこもって全く表に現れていない件数というのは、経験上も随分ありますので、もっとあるだろうと思っております。  それに対して、これは主として都道府県でありますけれども、児童相談所というものを設置していて、そこのスタッフがおりますけれども、件数が増えたときにそれに対応して、案件が増えればやはりそれに対応してスタッフを増やしていくという、そういうことが必要だろうと思います。僅かではありますけれども、実は二十三年度も、これは地震が起きる前ですけれども、地方交付税の方ではスタッフを増やせるような財政措置をしておりますけれども、これからも是非、必要に応じて都道府県の方でスタッフの数を増やす、それに対しては必要な地方財政の措置総務省としてはしていきたいと考えております。
  52. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 児童虐待の数が増えているということは、私は大変深刻な事態だというふうに思っております。  本来、親というものは子供を本能的にも守っているといいますか、親はどうなっても、親は死んでも子供は守るというようなそういう本能的なものがあると思うんですけれども、しかし、そうではなくて子供を虐待をするということ、これは自然の摂理にも反しているというふうに思います。そういう意味では、今の世の中が病んでいるというような、そういう思いもございます。  そういう意味で、虐待される子供というものを何としてもしっかり守っていくというのが我々の、大人の、あるいは政治の責任でもあるというふうに思っております。  厚生労働省といたしましては、虐待に至る前の発生予防、そして虐待の早期の発見、早期の対応、そして子供の適切な保護、支援といった各段階において切れ目のない対応をしっかりやっていくということが大事だというふうに思っております。
  53. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 少子化担当大臣の立場としては、やはり児童虐待が増えているということは大変憂慮すべき事態であります。これは妊婦に対する教育もさることながら、やはり役所だけではなかなか発見できない、やっぱり医療関係者あるいは近隣の地域社会の皆様方になるべく早く発見をしていただいて、行政がその子を助け出すべきいろいろなことを考えなければならないと思っております。  こういうふうに社会のモラルが低下していくことと経済というのは非常に大きな関係がありまして、実は、どんな貧しくとも少しずつ経済が大きくなっていくというそのときには余りそういう社会的な悲惨なことが起きない。ところが、社会が停滞したり閉塞感があったり、あるいはむしろ景気が収縮していくというときにこういう非常に人倫から見て非道なことが生じるというケースが多いということも実は最近の研究で分かってきております。  我々としては、児童虐待防止につながるようなこと、また、虐待を受けている子供をいかにして救うかと、こういうことは常に考えていかなければならないと思っております。
  54. 高階恵美子

    高階恵美子君 ありがとうございます。  まさしく今は平常時ではなくて、そういう危機的な状況に置かれていて、様々、平常時であれば抑えの利く行動であったり我慢であったり、そういうものがなかなか歯止めが利かなくなっていて、平常時とは違うちょっと積極的な対応が必要な時期だというふうに思うんです。現にこの数か月の様子を見ておりましても、非常に急進的な死亡事例の報道とかもございます。  厚労大臣よく御承知と思いますけれども、今、乳幼児で虐待を受け、そして亡くなる子供の半数はゼロ歳児ですよね。そして、ゼロ日、ゼロか月児の死亡というのがその中で圧倒的に多いはずなんです。密室の中であっという間にその行為に至っているというふうなことが震災後も起こっているわけです。こういう早期の対応をきちっと効果的にしていかなければいけないということと、それから、第一報つながったら確実に効果が上げられるようなそういう支援に自動的につながる仕組みを整えていただきたいということ、これ、是非関係の閣僚の皆様にしっかりとお留め置きいただきたいというふうに思うんです。  産み落とすまで女性は四十週おなかの中で子育てをします。四十週という猶予期間があるというふうにはお考えいただけないでしょうか。その妊娠届を出すとき、それが遅れていたとしても、そのときからハイリスクはもう分かっています。そこにきちっと支援ができる人のサービスを入れる。それから、お産のそのときにしっかりとハイリスクの方にはサービス提供ができるように専門の相談員を付ける。そういうチームを作っていく、強化をしていく、配置をしていく、これを是非交付措置の中でもお考えいただかないと、この国の虐待による被害児童のこの状況というのは変わらないと思うんです。いかがでしょうか。
  55. 末松信介

    委員長末松信介君) 答弁はどなたに。
  56. 高階恵美子

    高階恵美子君 厚労大臣
  57. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 今委員が御指摘のように、ゼロ歳児から五歳児で虐待されて死亡事例というのが九割を占めているというようなことで、乳幼児に対しての虐待の防止というのが大変重要な課題であるというふうに認識をいたしております。  そこで、委員が御指摘のように、この発生の予防という観点から対応していかなければいけないということで、まず、乳児の家庭には全戸訪問、特に支援を要する家庭への訪問と相談というようなことをいたしております。また、早期発見、早期対応観点から、虐待に対する通告の徹底とか、あるいは児童相談所あるいは市町村の体制の強化、そしてネットワーク、地域でのネットワークが大事でありますけれども、この要保護児童対策地域協議会のような子供を守る地域のネットワークの連携強化というもの、そういうような様々な取組も進めてきておるところでございます。  そして、児童虐待防止の対策の一層の強化をするためには、この予算の方での支援ということも必要でございます。したがって、二十二年度の補正予算で、安心こども基金、百億円の積み増しをいたしまして、児童の安心確認のための体制強化、あるいは虐待防止強化のための広報啓発、そのような取組予算措置も行ってきているところでございます。  引き続き、施策を総合的に推進をいたしまして、児童虐待防止の取組を強化をしてまいりたいと、このように考えております。
  58. 高階恵美子

    高階恵美子君 是非積極的に踏み込んだ対応をお願いしたいと思いますが、特に、今、予算の話もありました。人員配置を厚くするといっても、例えば児相で通報を受け対応に当たる児童福祉司、全国で二千六百六人しかおりません。年間五万五千件を超える虐待対応だけしているわけではなく、この方々は、児童福祉に係る様々な相談対応などの事務に当たっておられます。とてもじゃないですけれども、桁が違うんだと思うんです。  そして、きちっとそのリスク評価をし、そして効果的な介入をするための様々な専門職から成るチームを個別のケースに当てはめていく、確実な介入をしていくということができなければ、通報されても悪化を防ぐことができない。この人間関係の病理なんだということを正しく普及する活動も是非併せてお願いをしたいと思います。  それから、今の児相の相談のことに関係してもう一つだけお伺いしたいんですけれども、今日は国家公安委員長さんにおいでいただいておりますけれども、通報されて、そしてどこかに連携を求めていったとか、あるいは年間の虐待相談者やあるいは事件の検挙状況がこんなふうになっているというその最近の動向などについて、あるいは機関間の連携などについて、あとは対処の一定のルールが定まっているかといったようなことについてお伺いできればと思います。
  59. 中野寛成

    国務大臣(中野寛成君) お答えをいたします。  警察が検挙した児童虐待事件は、平成十八年以降、五年連続で残念ながら増加をいたしております。平成二十二年は過去最高の三百五十四件でありました。ただ、死亡児童数は水平という感じがあります。年によって差がありますが、若干減ってきている部分もあります。  児童虐待事案について、警察としては、児童相談所等の関係機関と連携を取りながら、被害児童の安全確認と安全確保を最優先とした対応に努めております。  お尋ねの対応でありますけれども、児童虐待対応マニュアル、かなり分厚い本になっておりますが、これを用いまして職場における研修を徹底すると、そして、全都道府県警察現場に至るまで周知を図っているところでございます。  また、具体的には、警察において児童虐待の端緒情報を得た場合には、警察職員が児童の安全を直接確認をし、児童虐待が疑われる事案については、事案に応じ事件化措置を講じているところであります。当然、児童相談所への通告も確実に実施をいたしております。  ただ、児童相談所等で、警察へ相談をいたしますとこれが事件化されるのではないかという御心配でちゅうちょされるという向きも一部にあるやに聞いておりますけれども警察としても当然行き過ぎがないように、しかし適切な対応ができますようにということで、より一層研さんを積んでまいりたいというふうに思っております。
  60. 高階恵美子

    高階恵美子君 ありがとうございます。  虐待防止ネットワークができて随分省庁間での連絡ができ、自治体の中でも官民共同のそういう対応チームができるようになって、キャッチはされるようになってきた、それが先ほどの総務大臣のお答えの中にもあったと思うんですけれども、裾野はまだまだあって効果的な対策はまだ打てていないと。最終的にはどこまで改善するのだという目標値をある程度設定をしながら必要な陣容を整えていくということもやらなければいけないんだと思うんですけれども、確かに今、公安委員長がおっしゃるとおり、匿名での通報が結構地域の保健所や市町村保健センターなどでは多うございまして、この虐待のこともそうです。  諸外国の例を見てまいりますと、先生方御承知のとおり、可能性があるという通報が入ったらその段階で調査が入り、そして親には治療のプログラムを用意、そして子供は保護するという、こういう確実な対応が既に用意されています。日本にはそれがありません。日本ではそれ必要ないんだというふうな抗弁が一方でありますけれども、先ほども申し上げましたとおり、人間関係の病理ですからどこの家庭にも起こり得ることなんですね。こういうふうな正しい理解の下に少し踏み込んだ施策を一体となって組み立てていかないと、子供の命をなくすという悲劇を止めることができない。  それともう一つは、虐待というのは、子供だけではなくて、お年寄りになってから受けたとしても、大人になってから受けたとしても様々な障害を残します。心に傷を残します。それによって、例えば子供でいえば、人間形成の根幹を成すところに大きな障害をもたらしてしまうんですね、愛着形成に障害をもたらすとか。将来の宝じゃないですか。この子供たちをしっかり守っていくということを社会全体で力を合わせてやっていくということを是非お願い申し上げたいと思います。  それから、次の質問に移らせていただきたいんですけれども、ずっと今地域の中で働いている人たちが悲鳴をいろいろ上げておりまして、特に自治体の保健師が足りないということをこの春以降よく私お聞きするんです。元々、医療機関で働く看護職少なくて慢性的に足りないよということで、いろいろお力添えをいただいてきているところではあるんですけれども、地域で働く、特に地域保健の分野で働く保健師の数をとにかく人口当たり幾らというふうなこと、ある程度の水準を守れるようにこれ御配慮をいただけないかと思うんですけれども、今この地域保健部門の保健師の数が減っているということを、総務大臣、御存じでしたでしょうか。
  61. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 特に都道府県の保健師さんが減っております。これは幾つか理由があるんですけれども、地方分権といいますか市町村の方に権限を移すということで、多くの県で市町村の方にその機能を移譲するという、そういうことをやっているところもありますし、そうでなくても、都道府県行政改革で保健所を統合して、その結果スタッフを減らしたというところもあります。そんなこともあるんですが、私は幾つか理由があると思います。  一つは、都道府県自治体行政の中で必ずしもこの分野が光が当たっていないといいますか、首長さんでありますとか議会の認識の中で必ずしもメーンの分野に入っていないという印象を持っております。これだけ地域で問題は起こっているわけでありまして、その中で保健師さんの役割というのは非常に重要ですから、問題が多くなれば保健師さんを充実させるということがこれが本来のあるべき姿ですけれども、そこが必ずしもうまく作動していないという面があります。  加えて、これは平成十七年からですけれども、当時の総務省全国自治体に対して、一斉に五%の職員定数を減らせという大号令を掛けたわけであります。その結果、淡々と皆さん減らしたわけであります。私は鳥取県で知事やっておりましてそんなのは聞きませんでしたけれども、大体のところは減らしたわけでありまして、その減らすときに、やっぱり光の当たっていない声の小さいところが減らされるわけでということと、それからもう一つは、やはり自治体行政の中で人的サービスといいますか人が行政を行っている分野、どうしてもそこが減ることになるわけです、人を減らせということですから。人が行政サービスを行っている分野というのは教育と福祉が中心でありますから、どうしてもそこを減らすとか、本来は増やさなきゃいけないのに増やさないで押しとどめておくとか、そういうことがやっぱり現実にあったと思います。  去年の九月から私は大臣になりまして、それまでの総務省の人減らし作戦というのはもう停止しましたので、必要なところについては本当にちゃんとスタッフを張り付けてください、それについては地方交付税などでちゃんと差配しますということを言っておりますので、これからは少し変わってくるんではないかなと思いますけれども、今まではそういうことが一つの背景として今おっしゃったような現状に立ち至っているんではないかと思います。
  62. 高階恵美子

    高階恵美子君 ありがとうございます。  是非、大臣のお言葉を全面的に信用しまして、来年度の予算配分なども楽しみにしたいと思うんですけれども、現にもう今おっしゃられたとおり、交付措置基準額ですか、これが減っていて非常にこの幅が大きい。それと、保健師の数、都道府県の算定基礎数ですと、人口百七十万人の標準団体で平成十八年度が百十一だったのが平成二十二年度には九十一と、二十人減っているんですね。  現場では実際に、今ほどの虐待対応もそうですけれども、自殺対策もやっています。それから、今回のような健康危機時の対応どもやっています。ですから、どんどんどんどん、何が起こってくるかというと、地域内での保健衛生行政の格差が生まれてきているんですね。虐待の発生率、人口当たり一番高い大阪と一番低い鹿児島では、保健師の配置、二倍の開きがあります。保健師の人口当たりの配置、全国で見ますと一番厚いところと薄いところでは三倍の開きがあります。これは、住民サービスがこれだけ格差があるということなんですね。ですから、幅広く、そういうところは自治体任せにしないできちっと目利きを図るということ、重要なんだと思うんです。是非、鋭い目線で切り込んでいただければというふうに思います。  それから、あと二つぐらいお話を伺いたいなと思っているんですが、一つは、自殺防止対策の遅れについてちょっと今、震災後どんな発生状況になっているかということと、あわせて、来年度に向けてどんな対策を講じようとしているかといったようなことを国家公安委員長とそれから内閣担当の大臣からお伺いをしたいと思いますが。
  63. 中野寛成

    国務大臣(中野寛成君) 自殺につきましては、早急に集約をしてそれを内閣府へ資料としてお届けをするというのが警察の役目でございます。今集約中でございますので、内閣府の方からお答えすると思います。
  64. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 自殺の発生件数ですけれども、六月が二千九百八十五件と前年比で二百五人の増加という、そういう数字になっております。自殺には様々な要因があるというふうには考えられますけれども、やはり東日本大震災の影響というのは非常に気になるところでございまして、実態把握に今努めております。六月の自殺者数のデータから東日本大震災に関連をする自殺を特定をすることとしておりまして、今週中にはその数字を公表する予定でございます。
  65. 高階恵美子

    高階恵美子君 ありがとうございます。  今、年間で三万を超えるこの自殺者数、社会経済的な損害額というのは大体二兆円だというふうに言われているんです。しかし、それを食い止めるための政府が投じているこの予算規模、もう本当にほんのちょっとしかないんですね。  ですから、ここは、非常事態でもっと多くの死亡者が増えるかもしれないということが明らかなわけですから、調査もさることながら、それを食い止めるための総合的な施策を強化していただきたいというのがお願いでございます。二兆円とは言いませんので、その一割でも二千億、これを計画的にしっかりと数年間の間重点的に投じていただくなどして効果を上げる、そういったような大きな方針を是非示していただければと思います。  最後に、農水大臣にお伺いをしたいと思うんですけれども、今、春わらの問題で全国に、特に食料を生産してくださっている多くの農家の皆様に多くの心配が広がっています。農業を続けさせてくださいというふうな要望の声なども届くんですけれども、春わらの問題だけではなくて、家畜も、そして作物を作るときも肥料を使います。それから、飼料も使います、お水も与えますね。こういったものの水源調査とか少し予防的な調査をして、そして幅広に安全宣言をしていくといったようなことを是非お願いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  66. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今先生からおっしゃられたことは大変重要な問題だということを私どもも受け止めさせていただいておりまして、飼料の管理だけではなしに、水あるいはまたその他の肥料等々の管理を、適切な管理をどうするかというようなことで今までも通知を出させていただいてきたわけでありますけれども、それがまさしく周知徹底していなかったというふうなことは、反省の上に立って真摯に受け止めて、改めてこの全ての農家の方々に行き渡るようなそういう施策を講じさせていただくという、こんなことで今取り組まさせていただいておるわけであります。  そしてまた、八月の一日でございますけれども、堆肥につきましても具体的な形で暫定の規制値というものを公表させていただきまして、都道府県に対しましてもそのことを通知させていただき、連携を取りながら今後この検査体制というふうなものもしっかりと取り組んでいきたいと思っております。  また、八月の末を目途にいたしまして、土壌のいわゆる分布図というふうな、汚染の分布図というものをきちっと打ち出させていただきまして、そしてそういう中で、まさしく農家の方々がそういう情報というものを受け止める中でいろんな農作物の生産に励んでいただけることができるような、そういう意味におきまして、私ども農林水産省といたしましては、重ねて申し上げますけれども、そういう通知を周知徹底するような形で、農林省の考え方というふうなものが農家の方々にしっかりと分かっていただくようにこれからも努めてまいりたいと思っております。
  67. 高階恵美子

    高階恵美子君 ありがとうございます。  もう来年度の本当に組立てを始めている段階だと思いますので、命を守るぞということがしっかり伝わるような、そういう施策検討を是非お願い申し上げます。  ありがとうございます。
  68. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 自由民主党の岩井茂樹でございます。  早速ですが、質問に入らせていただきます。  福島第一原発事故が発生してから、あともう少しで五か月がたとうとしております。この間、復旧復興はお世辞にも私は十分ではなかったと、こう思っております。  例えば瓦れきの撤去に関して言えば、これは道路が狭いという理由で物理的になかなか早く撤去できなかったと、そんな話も聞いているんですけれども、七月の二十六日の時点で、原発事故があった福島県を除いて、瓦れきの仮置場への搬入量は、岩手県全体では全体の六三%、そして宮城県に至っては全体の約三九%となっております。また、公民館、学校等の避難所に今もなお避難している方々、その数が七月十四日現在で約一万八千人ということでございます。  一体なぜ復旧復興が進まないのか、何がその妨げになっているのか。被災地の皆様にこれ以上つらい思いをさせないためにも、弊害となっている問題を一つ一つクリアにしていかなければならないと思っております。その観点から、原発事故後の政府対応について質問いたします。  原発事故後の政府対応については、様々な不手際、問題点が指摘されております。初期対応の不手際、そして住民の安全と健康は二の次でしかなかった避難指示と避難範囲、国民に知らせるべき情報は出さない政府、東京電力の隠蔽体質など、挙げれば切りがございません。  ただ、私は、縦割り行政という弊害がその大きな問題の一つだとも感じております。同時に、その解決のためには消費者庁の役割が非常に私は大きいと考えております。  そこで、消費者庁に伺います。消費者庁とはどのような行政機関なのか、簡単に御説明を願います。
  69. 松田敏明

    政府参考人(松田敏明君) お答え申し上げます。  消費者庁の発足経緯でございますけれども、数年来の中国産冷凍ギョーザ事件あるいは事故米穀の不正流通問題、湯沸器の不正改造あるいはエレベーター事故等々、消費者の安全、安心を脅かす問題が発生いたしまして、こうした社会の複雑化に伴いまして消費者問題が複数の省庁にまたがる横断的なものとなっておりまして、縦割り行政では、まさにおっしゃられた縦割り行政では適切な対処が難しくなっている、こういった状況を踏まえまして、生産者優先の行政を転換し、消費者、生活者が主役となる社会を実現すべく、消費者行政の司令塔を担う組織として平成二十一年九月に消費者庁が創設されたものでございます。  具体的には、関係機関の相談窓口等々からの情報を一元的に集約、分析、公表する、あるいは消費者への注意喚起あるいは更なる情報提供、それから各省庁に対して必要に応じて必要な措置を求める、あるいは自らの所管法の執行、そして各省の所管に属しないいわゆるすき間事案に対して必要な対応を取るといった取組を行っているところでございます。
  70. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 今御説明いただいたとおり、消費者庁とは、これまで幾つもの省庁にまたがり解決がうやむやになっていた、そんなところを対応を一元化して、まさに今言われました縦割り行政の弊害をなくすために私は設置されたと、こう認識しております。その観点から、放射能汚染と消費者行政について質問いたします。  福島原発事故による放射能汚染については、食品への汚染の拡大がますます心配されるようになってきています。私、静岡県でございますが、その静岡県では、特にお茶について、七月には放射能に汚染した牛肉が県内に出回るという問題が発生しております。地元の皆さんは、今後は野菜そして魚にまでその汚染が広がるのではないかと、こういうふうに皆様心配しております。それは単なる風評による被害ではなく、消費者にとって、放射能汚染により食品の安全性が脅かされる、人体への危険性が問われる実害の被害、その問題になっております。  そこで、消費者庁に伺います。  消費者庁は、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現、そのために創設された役所であります。食品の放射能汚染の問題についても重要な役割が期待されていると私は思います。現状の政府の原発事故後の食品の放射能汚染の対応で問題となるポイントは、第一として、食品に限らず放射能汚染の実態が国民に明らかにされていないこと、そして第二に、安全性の判断基準について科学的根拠、この科学的根拠が疑われているということでございます。  特に静岡県では、特産のお茶から暫定規制値を超える放射性セシウムが検出された件について、その規制値をなぜ荒茶という消費者になじみのない中間加工品に適用したのか、また、設定した規制値の科学的根拠は何かについて、静岡県の方からも公開質問状という形で政府に質問状が出されております。地方は政府の決めた設定根拠に乏しい規制値に大変困惑をしております。これについての見解、そしてまた、さきに述べました二つの問題点を残したままでは消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むこと、これは不可能だと思っております。このような認識の下に、問題解決のためにどのような措置が考えられるか、見解をお聞かせください。
  71. 松田敏明

    政府参考人(松田敏明君) 消費者庁といたしまして、消費者の方々に対してどういう形で関係省庁と連携しながら情報をお伝えするか、食品のモニタリング調査の結果や政府、自治体取組等を迅速かつ分かりやすく伝え、不安を取り除いていただく、これが一番重要なことだと思っております。  特に、出荷制限あるいは摂取制限の対象となる食品の品目あるいは生産地域につきまして分かりやすい情報を発信するということは、おっしゃいましたような風評被害を防ぐことにもつながりますし、それは消費者、生産者双方にとって利益になるものと考えております。  こうした認識の下で、消費者庁としては、まずとにかく分かりやすい情報提供ということで、ホームページに特設ページを設けまして、暫定規制値を超える沃素、セシウムが検出された食品について対象品目や地域、日付等々を情報発信しております。特に、今お話ございましたお茶につきましては、原子力災害対策本部長の指示に基づき、出荷制限を設定されました県名あるいは出荷制限の対象となっております生茶、荒茶、製茶といったようなことにつきまして、分かりやすく説明しておるわけでございます。  また、放射能や食品の安全に関しまして、消費者の皆様が疑問や不安に思われていることを分かりやすく説明するということで、これは消費者庁としても独自に食品と放射能Q&Aということを各省の知見を踏まえまして私どもで作成しておりまして、これを配布するなり、あるいはホームページでいろいろ活用いただくということで、消費者の方々に対して迅速かつ正確に分かりやすい提供を行っている、こういうことをやっているということを御理解いただきたいと思います。  また、自治体が進めておりますいろんな安全、安心の確保に向けた取組を支援していくということで、私ども、地方消費者行政活性化基金というものを自治体に活用していただいておるわけでございますけれども、この中で、住民の消費する食品等に関しまして、放射性物質の検査機器の整備、検査の委託など食品モニタリングの強化を行う、こういったことに基金を有効活用していただくということを推奨しておりまして、これまさに去る七月二十九日に通知を発したところでございまして、可能な限り対応いたしておるということでございます。
  72. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 ただいまの御答弁の中でホームページというお話が出ました。確かにホームページの中で食品と放射能のQ&Aということで、消費者庁のホームページの中で掲載されているんですけれども、これが掲載されたのがたしか五月三十日だと私は記憶しております。少し遅いんではないでしょうか。迅速の対応と言われましたけれども、もう少し早い対応を望まれると思います。  さて、次の質問に移らせていただきます。  この度、原発事故に伴う放射能汚染問題は、それが風評による被害であろうと安全性が問われる実害の発生であろうと、原因者である東京電力は損害賠償の全面的な責任を負わなければならないと考えております。しかし、今回の原発事故では、東京電力とともに関係情報を正しく国民に伝えない政府の責任も重大です。  原子力安全委員会はSPEEDIのシミュレーション結果を一か月以上も隠しておりました。もしSPEEDIのシミュレーション結果を適切に公開していたら、福島市の子供たちが内部被曝することもなかったのではないか。また、地震当日にメルトダウンしていたにもかかわらず、東京電力も原子力安全・保安院も深刻な事態に陥っていたことを明らかにしたのは何と二か月後でした。  この対応は著しく誠実さに欠いており、主権者は国民である、これは憲法第一条でございますが、という至極当然のことを忘れているような感じがしております。政府が適切な情報公開情報提供に努めていれば、生産者、消費者を問わず、国民はそれなりに状況対応し、放射能汚染による被害ははるかに小さいものになっているはずです。  この点に関しまして、見解をお聞かせください。消費者庁。
  73. 松田敏明

    政府参考人(松田敏明君) 今申し上げましたように、消費者庁といたしまして、この原子力と放射能の問題、これ様々な省庁が関係いたしております。そういった中でそれぞれの省庁がそれぞれの立場で、あるいは政府として決まった中身につきまして公表しておられる、これがいろんな形で出ておると。それを消費者の方々がいかに分かりやすく受け止めていただけるかと、そういうことで私どもとして独自に分かりやすさということを求めて情報発信をいたしておりますけれども、私ども自身がこの原発事故、あるいは放射能と食品に関する問題、これの全体の調整等々、これは所掌、預かっておるわけでございませんので、私どもとしましてまず情報提供が主体となると、こういうことを御理解いただきたいと思います。
  74. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 やはり設立当初の目的、縦割り行政、そこがうまくいかないところをスムーズにある意味リーダーとなってやるところも消費者庁の一つの役割だと思うので、その辺りも御検討いただければと思います。  ただいま御答弁いただきました。実は、今国会で政府は情報公開法改正案というのを提出しております。これは国民の知る権利の保障を新たに規定するもので非常に重要な改正となっておりますが、目的規定、第一条は次のように改定されております。この法律は、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利及び行政機関の諸活動に関する情報の提供につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって国民の知る権利を保障し、政府の有するその諸活動を国民説明する責務を全うされるようにするとともに、国民による行政監視及び国民行政への参加並びに公正で透明性の高い民主的な行政推進に資することを目的とすると、こうあります。  この法改正の趣旨から見ても、原発事故による放射能汚染に関し、主権者である国民情報を正しく提供していない政府の対応は大いに批判されるべきだと私は感じております。  消費者行政においても適正な情報公開情報提供は要でありますけれども、この点について情報公開法の意義を踏まえ御見解をお聞かせください。
  75. 末松信介

    委員長末松信介君) 小高さんですか。
  76. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 室長。
  77. 小高章

    政府参考人(小高章君) お答えいたします。  ただいま議員の方から、目的規定の御紹介があったところでございます。  政府として今国会に提出しております情報公開法改正案は、オープンガバメント、これは開かれた政府ということですが、その実現に向けて、情報公開制度を国民の知る権利の保障にふさわしい充実した内容とするものであります。具体的には、開示情報の拡大、情報提供制度の充実、開示決定等の期限の短縮、内閣総理大臣の勧告制度の導入、事後救済制度の強化などの措置を講ずることとしておるところでございます。  以上が今国会に提出しております情報公開法改正案の概要でございます。
  78. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 今の概要説明を伺っても、やはり今回の一連の政府対応、隠蔽体質と言われても仕方ないその政府の対応は、やはり非難されるべきだと私は思っております。  さて、次に原子力安全委員会について質問をいたします。  五月十六日の本委員会において、私は福島原発事故についての緊急建言を取り上げました。もうお手上げですと言わんばかりの原子力学者による驚くべき内容の提言であり、科学的合理性に基づくはずの原子力安全委員会自体が機能していないのではないかと、それが心配だというふうに私は述べました。それから三か月、原発事故の収束の見通しは立っておらず、広がりつつある放射能汚染を見ると不安は増すばかりです。事故発生直後、心配ないと述べていた学者の予想は、ほとんど外れています。  被曝の安全基準については最低限国際基準に合わせるべきであり、そうでなければ国民の不安、安全性についての疑念は解消されることはありません。食品輸出や外国人観光客の減少は防ぐことができないと感じております。それらを考えれば、この際、原子力安全委員会等の人事を抜本的に見直すべきではないかと考えておりますけれども、いかがでしょうか。  今日の日経新聞に、原子力安全・保安院と原子力安全委員会を統合して環境省に原子力安全庁を設置するとありました。抜本的に体制を見直すという観点から、細野大臣、御見解お聞かせください。また、国民が不安を持ち、安全性について疑念を抱いているという現状を、消費者庁、観光庁はどのように考えているか、見解をお聞かせください。
  79. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) まず、原子力安全委員会なんですけれども、安全委員会は例えば安全関係の指針の策定なども行っておりまして、今回の事故の前の対応、さらには事故後の対応も含めて、これはしっかりと検証されるべきところは検証されるべきだと私は考えております。  ただ、委員なんですけれども、これは八条委員会で国会の同意人事となっておりまして、政府がそれこそこの人事を途中で何かできるようなそういう性質の機関にはなっておりません。それもございますし、やはり与えられた人員の中で最大限の効果を出すというのが政府の役割だというふうに思っておりますので、岩井委員の方から人事の刷新という趣旨の御質問だということであるとすれば、それは現段階では考えておりません。  なお、その一方で、今回事故で明らかになりました原子力規制行政在り方、保安院そして原子力安全委員会、共にやはり根本的な見直しが必要であると考えております。  一元化をして、また推進側からは独立をさせて新しい機関をつくるという、これはIAEAに対する国際約束でもございますので、できるだけ早い段階で一定の方向性を示したいと考えております。
  80. 溝畑宏

    政府参考人溝畑宏君) 福島原発事故の外国人観光客の減少、そしてその対策についてお答えいたします。  東日本大震災によりまして、訪日外国人、大幅に減少、継続いたしております。対前年比で見ますと、三月十二日から三十一日までが七三%減、四月が六二・五%減、五月が五〇・四%減、六月が三六・〇%減ということでございます。減少幅は縮小しつつありますが、まだまだ本格回復に至っていないと、全力を挙げて一刻も早い本格回復に向けて努力をしていく必要があるというふうに認識しております。  観光庁におきましては、正確で海外消費者の目線に立った情報の発信、そしてまた各国の消費者によります国ごとのデータ分析、そしてまたメディア、旅行会社の招聘、このようなことを官民一体となって取り組んでいきたいというふうに考えております。  まず、情報発信につきましては、外務省など関係省庁と連携をいたしまして、各地の放射線量などの正確なデータを日々日本政府観光局のウエブサイトで情報提供をさせていただいております。また、訪日された著名人、最近ではレディー・ガガ、ジャスティン・ビーバーなどの著名人から、日本の安心、安全についてのイメージをメディアそして動画を使って情報提供をさせていただいております。また、日中韓大臣会合などの場を活用いたしましてハイレベルでの情報提供、そしてまた、海外の在外公館そしてまた海外事務所を使いまして、七月までに十六か国、約百回、説明会を実施させていただきました。さらに、先月は、観光立国ナビゲーターである嵐の皆さんを使いまして、世界百三十か国以上に対しまして、全世界に対しまして、日本の安心、安全の現状情報発信させていただきました。  ビジット・ジャパン事業予算を活用いたしまして今後も十五か国の我々のプロモーション対象国におきまして調査分析を行いまして、海外のメディア、旅行会社の招聘などを積極的に行っていきたいというふうに考えております。  今後とも、官民一体となって安心、安全のイメージの回復に向かって取り組んでいきたいというふうに考えております。
  81. 松田敏明

    政府参考人(松田敏明君) 食の安全の低下に関しまして消費者庁の取組いかんということでございます。  先ほど申し上げましたことに追加申し上げますと、いかに、国民の皆様の不安を取り除く、そのための情報提供をやっていくかということでございますが、特に先般来の牛の問題につきましては、暫定規制値を超える放射性物質セシウムが含まれた稲わらを餌として与えられた可能性のある牛の肉が既に北海道から西日本各地の広い地域に流通し、さらに一部は多くの消費者が購入している、こうして消費者の間に不安が広がっておるところでございまして、まさにこうした状況を受けまして、消費者の安全、安心の確保の観点から、消費者庁長官名で厚生労働大臣及び農林水産大臣に対しまして、暫定規制値を超えた牛肉が消費者へ流通することがないよう確実な措置をするよう七月十九日に文書で要請したところでございます。  また、情報提供といたしまして、既に流通しております放射性物質が含まれた稲わらを給与された可能性のある牛の個体識別番号等を掲示いたしまして、特設ページ上で、該当する牛肉の検査が実施済みかどうか、その結果が暫定規制値を上回ったかどうかにつきまして、消費者、事業者に御確認のための御利用、こうしたものをいただくということを分かりやすく情報提供しているところでございまして、先ほど申しました都道府県での地方消費者行政活性化基金での放射性関係の活用の推奨、あるいはいわゆるリスクコミュニケーション、放射能につきましての意見交換会、こうしたことを別にも予定をいたしておりまして、様々な形で消費者庁として可能な限りの取組を行っているところでございます。
  82. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 時間がもう迫ってまいりました。最後に取りまとめ意見といいますか、ちょっと述べさせていただきます。  地元紙である静岡新聞の七月二十五日の記事によりますと、静岡県の政府に対して出された公開質問状、その中で、科学的根拠をただしたやり取りの過程で原子力安全委員会の関係者からこんな発言があったそうです。暫定規制値は原子力事故で緊急的に対策を取るべき目安の数値、賞味期限はせいぜい一週間、どのような対策を取るかは関係省庁が考えるべきこと。  どうでしょうか。地方がこの曖昧な暫定規制値に振り回されている中で、この暫定規制値そのものの意味が無意味とも取られるこの発言は、極めて私は無責任だと感じております。私は、この記事の中で、食品中の放射性物質の対応がしっかり取れていないその原因を読み取ることができたと感じています。機能不全、死に体の菅総理を本部長とする災害対策本部があり、その下に縦割り行政の弊害を抱えた厚生労働省農林水産省、文部科学省が存在する。そして、消費者行政の立場でこの縦割り行政を打破するために省庁を横断して、言い換えるならば、ある意味司令塔として機能すべき消費者庁の姿がほとんど見えてこない。さらに、これまた機能不全に陥っている原子力安全委員会がある。  これでどうして放射能汚染に対するしっかりとした対応ができるのか、どうして国民の命を守ることができるのか。機能不全のものは、人であれ、組織であれ、変えていかなければなりません。縦割り行政の弊害もなくさなければなりません。一日も早く国民の信頼を得られる行政を実行していただくことを最後に強く申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  83. 谷合正明

    谷合正明君 公明党の谷合です。  まず、雇用創出基金事業について厚労省にお伺いいたします。  雇用創出基金事業、ふるさと雇用再生特別基金事業、緊急雇用創出事業、また重点分野雇用創造事業がございます。震災がございまして、震災対応事業も始まりまして、これは一次補正で五百億円が付いたところでございます。  私は、この雇用創出基金事業は、原則、今年度末で終了するということになっておりますが、震災による影響を考慮して、早いうちからこの継続と基金の積み増しの方針というものを示すことが大事じゃないかと思っておりますが、まずこの点についてお伺いすることと、もう一つ、ふるさと雇用再生事業を使って、例えば高知県では、県下の市町村と連携取りまして多機能な福祉サービスを展開しております。詳細は省きますけれども、私も実際に北川村等のあったかふれあいセンターを視察させていただいて、今では地域の福祉としてなくてはならない存在となっておりますが、この事業も同様に今年度末に終了する予定となっております。  やはり、この事業を継続していく必要性があると考えておりまして、国としても財政的支援が必要ではないかと思いますが、この二点について伺います。
  84. 小林正夫

    大臣政務官(小林正夫君) まず、雇用創出基金事業についてでございますけれども、これは、実施要件の緩和や、平成二十三年度第一次補正予算による、先ほど委員おっしゃったように、五百億円の基金の積み増しを行いました。その結果、現時点で、被災三県を含む全国で約四万二千人分の雇用創出が計画をされておって、既に一万四千四百九十五人が雇用されております。基金の積み増しや期間延長については、その活用状況や被災した自治体の御要望などを踏まえて検討をしてまいりたいと思います。  もう一つの質問であるふるさと雇用再生特別事業についてですけれども、これは、リーマン・ショックによる雇用情勢の急激な悪化に対して、地域において継続的な雇用が期待できる事業を企業とかNPO等に委託して実施することにより雇用の創出を図るものであります。平成二十三年度までの事業であり、委託事業が自立し軌道に乗るように一定期間を継続して支援する、こういう事業でございます。  御指摘の高知県の事業は、小規模・多機能支援、あったかふれあいセンターであると思います。この事業評価は、ふるさと雇用再生事業の目的が継続的な雇用の創出を図るということでありますので、事業の終了後に行うことになりますけれども平成二十三年度で三十一市町村、百二十二人の雇用が創出をされております。これらの雇用の継続を促進するために、事業終了後に正規に雇い入れる場合は一時金を交付することとしておって、委託先において引き続き事業実施による雇用の継続を図っていただきたい、このように考えているところでございます。
  85. 谷合正明

    谷合正明君 震災による雇用の影響というのは明白でございますので、私はいち早くこの積み増しと継続の方針を示すべきだと思っております。  次に、被爆者援護行政について伺います。  今年も八月六日、九日が近づいてまいりました。私は、与党のときには原爆被爆者対策のPTの副座長もしておりまして、一貫してこの問題に取り組んでまいりました。二年前、八月六日に、原爆症認定集団訴訟の終結に関する基本方針に係る確認書というものが被爆者団体と政府で交わされました。その確認書には大臣との定期協議を行うということが書かれておるわけでありますが、しかしながら今日に至るまで一度しかこの大臣協議はしておりません。様々な事情があるにせよ、私はこれは極めて不誠実な対応だと思っております。  この大臣協議をいつするのかという点と、もう一つ、原爆症認定制度については、これは見直しをしていくための在り方検討会というものが設けられております。しかし、この検討会も、一体いつまでにその見直しの方向性を出していくのか、またその方向性そのものが全く今見えてきておりません。こうした二点について、今、現状答えられる部分を答えていただきたいと思っております。
  86. 外山千也

    政府参考人(外山千也君) まず、厚生労働大臣と被団協、原告団、弁護団との定期協議についてでありますけれども、昨年一月に第一回を開催いたしまして、本年一月に第二回をきちんと予定したわけでございますけれども、急なやむを得ない事情によりまして開催できなかったところでございます。それを今度は、大震災があったりしましたけれども、被団協の方から本年六月に大臣との定期協議を早期に再開するように要請を受けておりまして、次回の開催につきましては現在鋭意調整を行っているところでありまして、できるだけ速やかに開催したいというふうに考えております。  それから次に、原爆症認定制度の在り方に関する検討会につきましては、昨年十二月より幅広い分野の有識者や被爆者団体等の関係者に御参加をいただきまして開催しているところでございます。これまでに五回検討会を開催しておりまして、関係者からヒアリングを行ってきたところでございます。  これまでのところ、原爆症認定制度の現状と課題について議論を行っている段階でありますが、こういった問題につきましては関係者が少なくとも同じ事実を共有することが重要でありまして、現在検討会としての足場を固める大切な段階を踏んでいるというふうに考えてございます。  したがいまして、結論の時期につきましては現在申し上げる状況ではございませんけれども、いずれにいたしましても、これから十分御議論いただく中で、制度の在り方につきましてしっかり検討を進めてまいりたいと考えております。
  87. 谷合正明

    谷合正明君 次に、原子力安全・保安院の独立について伺います。  今日、報道で環境省に原発規制庁をという報道が載っております。この原子力安全・保安院の独立については、いわゆる規制権限の強化、独立性の確保といった点が極めて重要であると思います。また、海外の安全規制の体制を見てみますと、そうしたことに加えて、財政的独立性であるとか、あるいは原発の立地自治体との関係であるとか、そうしたこともこれからの制度設計のためには重要であると思っております。  そこで、細野担当大臣に伺いますが、実際に今どういう青写真を考えていらっしゃるのか、国会の場で御説明していただきたいと思います。
  88. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 大臣に就任したときから、八月の上旬には青写真を示したいということを言ってまいりまして、この一か月、かなりの検討を重ねてまいりました。今朝の新聞に一部出ております環境省の下の外局というのも一つのアイデアだというふうに思っておりますが、まだ最終的に姿を完全に描き切るところまではいっておりません。  御指摘の財政的な独立性の話なんですけれども、例えばアメリカのNRCなんかの場合は、検査をした場合に手数料を事業者から取って、それでかなり財政回しているんですね。我が国の場合にはそういう、僅かな手数料は取っていますが、基本的には税金でやるという体制になっております。  こういったことももちろん検討していかなければならないと思うんですけれども、やはり事業者と規制機関というのは、これまでよりも更に、何といいましょうか、しっかりとそこに、ある種の調べる側と調べられる側という関係ですから、けじめを付けていくべきではないかというふうに思っておりまして、そういう観点からすると、財政的にそこに依存する形は必ずしも日本の場合には好ましくないのではないかと、そう思っております。  一方で、谷合委員の方から御指摘がありました地方自治体との関係は、これはもう本当に強化をしていかなければならないと考えております。具体的に申し上げますと、原子力安全・保安院、地方の組織、非常に脆弱でございます。原発にそれぞれ数名ずつ配置をされているというレベルにとどまっておりまして、自治体としっかり連携をして安全性を確認をするということができておりません。したがいまして、新しくできる規制機関では、地方の組織を拡充して自治体とは常に密接に様々な協議ができるような、そういう体制は必須であると考えております。
  89. 谷合正明

    谷合正明君 この環境省に原発規制庁というのはまだ、何というか、これと決まったわけではないというような答弁であったかと思うんですが、しかしながら一つのアイデアとしてはあるんだと思います。それで、環境省に置くということを前提議論させていただきますけれども、そうした場合に幾つか私は懸念する事項があるのではないかと思っております。  一つは、庁ですね、いわゆる原発規制庁ということになりますと省の外局となってくるわけでありますが、今求められているのは強い権限、規制権限と、また独立性、第三者性を確保するということでありますから、果たしてそれができるのかという問題と、もう一つは、国会の同意人事がどうなのか。原子力安全委員会のメンバーを今、同意人事でやっておりますが、庁にしたときに果たしてそれができるんですかと。もう一つは、この行政監視委員会でも参考人の方からの指摘もあったんですが、いわゆる安全確保を徹底するためには、行政組織上、最低限原子力推進の立場である経産省と同等以上の格付が必要じゃないかといった点が指摘されてきたところでございまして、私もそうだと思っております。そういう状況の中で、環境省がこの原子力の安全確保を担当するということがいいのかどうかといったところは私はまだクリアになっておりません、まだ政府の説明も聞いておりませんから。  そこで、改めてお伺いしますけれども、こうした懸念についてどういう議論がなされているのか、改めて答弁していただきたいと思います。
  90. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) まず、同意人事の関係からお答えをいたします。  確かに、原子力安全委員会、さらには原子力委員会とも同意人事になっておりまして、国会の関与がございます。そうした議会の関与は非常に重要だと思いますし、先ほど岩井議員の方からは委員がそれぞれ違うことを言うことについて問題点指摘がありましたが、あれはいい面もあるんですね。それぞれ、例えば原子力安全委員会であれば五人の委員が自由に発言できます。議事は全て公開です。ですから、それがむしろ、うまくいろんな形の意見が反映されて、例えば間違ったことが行われたときにブレーキを掛けるといういい面もあります。  ただ、その一方で、今回、私、この事故から四か月半の間、もう安全委員会と保安院とずっと膝を突き合わせていろんな議論をしながら物事を運んできて感じたことがあります。それは、こうした委員会形式というのは危機管理においては必ずしも機能しない。むしろ行政庁という形にして、省にできればそれはそれにこしたことないんですけど、それだけの規模がありませんから、やはり行政庁としてしっかりと責任大臣がいて、そして責任者がその庁のトップにもいて、危機管理的な機能を持つようなそういう専門官も置いて、そこが一気通貫でしっかりと物事を決めて危機管理に対応する、これ必須だと考えておりまして、そういった意味でやはり行政機関としての一つの形があった方がいいのではないかと考えたところであります。  もちろん、国会の関与が求められる部分がありますので、それに言うならば横並び、若しくはその下に審査会的なところを設けて、そこに国会が関与していただいて様々な意見を吸収するような、そういう形は考える、私はそこは様々な幅があり得ると考えております。
  91. 谷合正明

    谷合正明君 今回、保安院を環境省のというのは、私はその前に、本来、エネルギー政策において、原子力の依存度を下げて再生可能エネルギーの活用をどういう工程で進めていくのかという大きな戦略が必要であって、本来であれば、エネ庁が環境省との関係どうなるんだといったところを議論して、そこを一体にするとか、あるんだと思うんです。それを抜きにして、いや保安院だけ経産省から出してということになりかねないんじゃないかなと私は思っておりまして、この議論の背景にどういったものがあるのか、また国会で質疑をさせていただきたいと思っております。  それで、もう時間がないんですが、原子力行政ですが、組織だけの問題ではなくて、もう一つ人事の問題があるんではないかと。つまり、キャリアシステムによる人事、ゼネラリスト重視のローテーション人事といったものが、別に保安院だけではありませんが、これまでも官僚機構では往々にして行われてきたと思います。  例えば、保安院の院長は原子力の専門家ではないわけですね。そうした方々がそういった組織のトップに就いて、そして人事交流も行われてきたというこれまでの問題があると思うんですが、中島人事院元総裁が本委員会の参考人質疑で、やはり現場を熟知しているプロパーの人材が必要だと、国民の安全を最優先すべき価値と考えるトップ人事をすべきであると述べておられまして、安全重視の原子力行政に転換するためにそうした人事の抜本的な見直しをこの組織改革とともにするべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  92. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 人材のしっかりした確保、さらには養成というのは、恐らくこれからの最も大きな課題になってくると考えております。原子力安全・保安院にももちろんしっかりとした専門家はおるわけですけれども、諸外国のそういう検査機関と比較をしたときに、本当の意味での専門家がどれぐらいいるのかということに関しては、私は十分だとは現在思っておりません。  むしろ心配なのはこれからでございまして、原発に対する信頼がこれだけ揺らぎ、若い人でこの分野にしっかりと仕事を求めていこうという、そういう人材は恐らく極めて限定されると思うんですね。だからこそ、専門家をしっかりつくって現場で検査ができるようなそういう体制をつくらなければならない。  ただ、それは、それこそ原子力の規制機関を新たにつくってずっとそこで検査業務だけやっていてもできないんですね。むしろ、少し原子力全体についての研究ができるようなそういう機関も持っておいて、そこでまたしっかりと見識を広げていくと、さらには外国にも行ってそういう検査の様々なやり取りについてしていく、そういう幅広い組織が必要でございまして、どう人を育てるかということをしっかり考えた新たな機関をできるだけ早い時期に創設をしたいと考えております。
  93. 谷合正明

    谷合正明君 人材育成、また安全規制にかかわる人材の確保というのは極めて重要だと思っております。これから大学等、また企業等でそうしたキャリアを積むということが、これから原子力を依存を少なくしていこうと言っている中でそういった人材をどうやって確保していくのか、これは極めて重要な問題であると思いますので、その点よろしくお願いしたいと思います。  今日は官房長官と総務大臣にお越しいただいておりまして、最後にお伺いしますが、今原子力行政の問題を取り上げてまいりました。総務省には行政評価監視機能がございます。一昨年の二月にも原子力の防災業務に関する行政評価監視という勧告が出されておりますが、今振り返ってみると不十分であったと言わざるを得ないわけでございます。原子力の行政の組織の人事の在り方についてやはり監視を行うということを考えていくと、国権の最高機関である国会による監視が重要であると考えております。その点について伺いたいと思います。  あわせて、これは原子力行政だけではなくて、本委員会では事業仕分、検察の不祥事等の重要問題を扱ってまいりましたけれども行政の組織、人事の実態について継続的調査に基づく分析が不可欠であるということを度々指摘させていただいております。先ほど出た総務省行政評価監視機能は、事業仕分で抜本的な機能強化という結論となったのは記憶に新しいところでございます。  かつて民主党は、日本版GAOとお呼びしたらよろしいんでしょうか、行政監察院、枝野官房長官も議事録読んでおりますと平成八年にその質問をされておられましたが、国会中心行政監視システムに転換すべきであると私は考えておるんですが、総務大臣と官房長官の御所見を伺いたいと思います。
  94. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 例えば、原子力行政について総務省評価機能、監視機能というものが不十分ではないかと言われますと多分にそういう面はあると思いますが、私は、今回非常に明らかになったと思いますが、評価よりも前に組織論がやっぱりあるんだと思います。  評価というのは、ある一つの組織、集団がその組織の本来のミッションに従って忠実に仕事を行っているかどうかということを評価する、そこに一番重要な意味合いがあるわけであります。しからば、問題になっております原子力保安院のミッションは何かということなんですけれども、今、組織的には経産省の一翼を担っているわけでありまして、人事もその経産省の一翼を担っているがゆえに、先ほどのローテーションとかゼネラリスト重視ということに多分なっているんだろうと思います。  本来、原子力保安行政というのは、やはりミッションは、経産省の一翼を担う、産業政策、エネルギー政策の一翼を担うんじゃなくて、国民のために、国民皆さんの安全のためにチェックをするということだろうと思います。そういうふうな組織になっていれば評価もきちっと行える、ちゃんとやっているかどうかというのは。  今、非常に私は、橋本行革以来、この原子力保安行政というのはミッションが混乱をしていると思います。エネルギー政策を主として遂行するところの一組織になってしまっている。したがって、人事もその枠の中で行われるという、ここには評価の限界があると思います。今のままの体制で仮に国会の方に監視機能を移したとしても、多分同じようなミッションの混乱から生じる評価の不十分というのは出てくると思いますので、ちょうどいい機会だと思いますから、原子力の安全行政というもののミッションを再整理をしてきちっと組織を形作るという、そこから始めるのがいいだろうと私は個人的には思っております。
  95. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 御指摘いただきましたとおり、行政を適切に監視していただくというのは国会の果たすべき重要な機能の一つであると思っております。私自身、御指摘いただきましたとおり、かつて十数年前、日本版GAOの国会に法案を提出したときの提案者の一人でもございます。そうした意味では、是非、国会において具体的にどういった行政監視のシステムをつくり上げるのかと、これについては、行政府の側から何か申し上げるというよりも、国会において自律的に御判断をいただければというふうに思っております。  ただ一方で、国会においてそうした重要な役割を果たしていただくのと同時に、行政の内部においても、今の総務省行政評価の仕組み、あるいは私が今所管しております行政刷新始めとして、内部的にもしっかりチェックをする、それを国会においても厳しくチェックをしていただく、こういうことが重要ではないかと。  それからもう一点だけ、検察関連につきましては、これは準司法機関としての独立性や政治的中立性という観点がございますので、これについての国会が常時監視をするような仕組みについては是非慎重な御検討をいただければというふうに思っております。
  96. 谷合正明

    谷合正明君 ありがとうございます。
  97. 寺田典城

    寺田典城君 みんなの党の寺田典城でございます。よろしくお願いいたします。  行政監視委員会の目的ということ何ぞやということで、そうしましたら、国民に代わり政府と官の活動を監視することという役割なんですが、私はよくこのごろ、もっと行政監視委員会が強ければ、機能しておればどうなったんだろうと。例えば、この原発の問題、歴史上これだけ大きな原発事故を起こしたと、原子力村とまで表現されるような形。政、官、産業と学界までそれこそ走ってしまっているということなんですね。そういうことで、自分としても委員として責任の重さも感じていますし、こういうことは二度と繰り返されないようにこれからどうやってチェックしていくのかということで、強く自分におもしを掛けているような状況なんですが。  それで、今日お聞きしたいのは、復興とか復旧するのに例えば二十兆円とか三十兆円とかという予算が掛かるんじゃないかと、十年のスパンか五年なのかあるんですが、できるだけ早く復興していただきたいと思うんですが、その中で、ちょっと過去を振り返ってみますと、二〇〇八年のリーマン・ショックがありました。あのときは、予算総額が二十五兆円で、事業規模として百三十兆円という経済対策を行いました。その予算、私も地方行政その当時おったんですが、身に余るほど予算が来まして、恐らく各省庁だってそうだと思います。何というか、どうやって使うのかというようなことも起きました。  その中で、行政刷新の方で、七月二十一日に開催された行政刷会議では、復興関連事業の必要性や効果等を精査し、これを国民に対して明らかにすることは政府の責務であるということを言っております。その方向性等が決定するのには私は大いに賛同したいと思います。  それで、その復興関連事業の精査について、現段階でどのような形で想定、それから内容はどうなる、方法はどうなんであるかということを園田行政刷会議担当政務官にお聞きしたいと思います。
  98. 園田康博

    大臣政務官(園田康博君) 御質問ありがとうございます。  先生の御指摘のとおり、やはり行政の不断の見直しというのはしっかりと行っていかなければならないというふうに思っております。それは、内部統制的なもの、あるいは国会という場での外部統制といいますか、そういったものも含めて、国民皆さん方にしっかりと説明ができるような状況を、いつ何どきとも行っていかなければならないというふうに思っております。  その上で、今先生からの御指摘ありましたように、行政刷会議、七月の二十一日でございますけれども、ここにおいて、復興関連事業に関しての見直しといいますか、私どもの考え方をここでお示しをさせていただきました。早期の復旧復興を実現するためには、関係事業をより効率的そして効果的なものにするということが大変重要でございます。そして、それを受けて、二十一日に行政刷会議で御決定をいただいたわけでございますけれども、この関連事業の立案段階からその必要性や効果などを精査を進めていくという方向性を打ち出させていただきました。  また、二十九日、七月の二十九日でございますけれども、ここにおいて、東日本大震災からの復興の基本方針、こちらにおいても、この刷新会議決定に基づきまして各府省が必要な取組を行うということが定められているところでございます。また、その各府省実施する精査に必要な事項、これは現在、行政刷会議事務局において検討中でございますけれども、復興の基本方針等を踏まえまして、各府省において効率性、透明性、優先度等の観点から適切な評価を行う、そういったことができるように、行政事業レビューにおけるレビューシートを参考に、復興関連事業の内容や成果、目標等を何らかの形で示していくことをお願いを各府省にさせていただいているところでございます。  先生御案内のとおり、今年からこの行政事業レビューという取組を決定をさせていただきまして、これ毎年しっかりと国民皆さん方あるいは国会の皆さん方も含めて見ていただけるような状況を、各府省でまず国丸ごと仕分という形でつくらせていただいております。  この取組を進めていく際には二点の留意事項があろうかというふうに思っております。まず一点目は、復興に全力を挙げて取り組んでいる各府省の大きな負担とならないこととすること。それから、にもかかわらずといいますか、やはりスピード感を持ってこの復興事業というものを行っていかなければいけませんので、そのスピード感に対しまして立案実施を行う、早期の復興を実現するというところはしっかりと私どもも配慮をしていく必要があるというふうに考えているところでございます。  今、現段階において、各府省において復興関連事業をしっかりと精査をしていただいておりまして、真に必要かつ有効な事業実施されるように私ども行政刷会議としてもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  99. 寺田典城

    寺田典城君 それこそ行政評価局の役割も大事になってくると思いますので、ひとつ大臣の方からもよろしくお願いしたいと思います。  それと、その復興関連予算の精査についてなんですが、二〇〇五年ですね、ちょっと関連なんですが、過去のことなんですが、ハリケーン・カトリーナありました。あの当時どういう問題が起きたのかというと、七兆円近い予算を計上したんですが、ブッシュ政権ですね、関係のない政策分野への支給とか入札、契約で、特定企業に対する優遇だとか遅々と進まない復興等で国民から非常に厳しい批判があったことは事実なんですね。  それを踏まえて、二〇〇九年二月のリーマン・ショックに端を発しました米国の再生・投資法、オバマ政権なんですが、その予算というのは御承知のとおり七十、まあ八十兆円近くあったわけなんです。それをどのようにしたのかというと、要するに徹底した情報公開というんですか、どこにどのような予算を付けたということをもう全国すぐ分かるように開示をして、町レベルというんですか、事業単位まで、契約先とか、何というんですか、金額だとか、まああそこは雇用の創出が大事だと、そのようなことをしておりますね。  ですから、予算というのは付けることと使うことと同じぐらい大事なわけなんで、それを徹底して、これだけ厳しい財政状況の中で、国民、納税者に対して徹底した情報開示と、それから被災者に対しても、こんなにお金掛かっているんでこのようにしていますよということをもっと徹底すべきだと思うんですね。それを、それこそ平野復興大臣、大変お忙しいんでしょうけれども、その辺をどう考えていらっしゃるのか、また枝野行政刷新担当大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  100. 平野達男

    国務大臣(平野達男君) まず、二つあろうかと思います。  まず、事業制度そのものというものに対する評価というのがございまして、これは先ほど園田政務官からお答えがあったとおりでありまして、その事業の役割、効果、こういったものについては復興基本方針においても、復興に関する施策実施に当たっては事業の立案段階から透明性等の観点から適切な評価を行うこと、また、施策推進に当たっては被災者に対し正確かつ迅速な支援情報を提供するということになっておりまして、これは行政刷会議とも連携しながらやっていきたいというふうに思っています。  ただし、今回の大震災はもう未曽有の大震災でございまして、その対策についても今まで取ったことのない対策もあるいは必要かと思います。それから迅速性も必要かと思います。そういった観点での評価がなされるべきであるとも考えております。  あわせて、その割り当てられた予算が何に使われたかということについては、少なくとも直轄事業については、各省においても今一つ一つ事業についての受注先まで公表されているというふうに理解されておりますけれども、直轄事業についてはそういった仕組みをやはりやっていくべきだと思いますし、都道府県あるいは市町村においても、市町村はなかなか難しいかもしれませんけれども、今のこのような状況の中では、そういった使った先、それからあと契約先、こういったものについてはできるだけ情報開示していくべきものだというふうに理解をしております。
  101. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 行政刷会議としては、先ほど園田政務官からも御答弁させていただきましたとおり、この復興関連事業については事業ごとにチェックシートを各事業官庁に作っていただきまして、そこには事業の目的や概要国民に分かりやすく短く、とにかく全体をA4一枚でしっかりと出してくださいと。そして、事業が始まりましたら、そのお金の流れ等について、従来行政事業レビューでやっておりますレビューシートと同様に、実際のお金の流れなど含めてしっかりとこれはA4二枚ぐらいで出していただくと。  このパターンをもうつくっておりまして、これを、いずれも各事業官庁から出していただいたものは、従来の行政事業レビューもそうですが、全てホームページで公開をさせていただくということになっておりますので、公開をされるということを前提にしっかりと国民皆さん説明の付く事業をやっていただいたりお金を流していただくということにできると思っております。
  102. 寺田典城

    寺田典城君 どうも、私は議員になりまして一年になったんですが、一生懸命予算付けることだけは本当に力を入れるんですけれども、どのように効果的に金使うかということについて意外と関心ないんですよね。だから、いつもびっくりしているんです。  あと三分しかないんではしょりますけれども、何というんですか、今、行政評価局が総務省の中の一部局として位置付けられております。これ、将来に向けて再検討する意思があるのかないのか。  簡単な言い方をしますと、私として考えているのは、参議院に位置付けるとか、参議院に持ってくる方法も一つですね。県なんかは監査委員会があって、外部機関ですね、県会議員が常勤監査もやっているし、監査委員長が、私の場合は会計検査院から出向していただいたこともあるんです。そんなことをしてやっているんですが、第三者的にですね。  あと、会計検査院と合併するという方法だってあり得るんじゃないのか、憲法論議もあるかも分からないですけれども。  あとは、政府部内で専門性というか独立性を持たせたというと、同じところに置いておく必要ない。私は、早くやめた方がいいのに、原子力保安院と資源エネルギー庁と一緒になってこういう問題も起きているんですから。そういうことで、独立性を持った機関というか、内閣官房に置くのか置かないのかですね。  そういう点、時間があとないんで、総務大臣と官房長官、腹据えて、ひとつばんと答えてください。
  103. 末松信介

    委員長末松信介君) じゃ、腹据えて御答弁いただきます。
  104. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 御指摘の点は非常に本質的な問題でありますから、よく議論をしたらいいと思います。今の姿が最善だとは私も思いません。  例えば、自治体の場合、県の場合でしたら、おっしゃったように、監査委員という方が数人おられて、一定の独立性を保ってやっているわけであります。要は、ちゃんとした距離感を持って客観的な立場で厳しくチェックができるかどうかということでありますから、その観点からどういう組織がいいのかという、こういう検討をしたらいいと思います。
  105. 寺田典城

    寺田典城君 大臣在任中に決めてくださいよ。
  106. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 行政評価局が行っている仕事は大変重要でありますし、またこれ、先ほどの御答弁のとおり、国会の行政監視機能を更に充実させていただくことが前に進んだとしても、政府内部においてもこうした行政評価をちゃんと行うということが私は重要なことだと思っております。  その上で、それが今の総務省でいいのかどうかということについてですが、私、与党になって閣僚にならせていただいて幾つか野党時代のことを反省していることがありまして、一つは、何でもあのころちょっと内閣府にくっつけると省庁横断で力が発揮できるのではないかと、どちらかというとそういう傾向がありましたが、私自身閣僚をやらせていただいたのは官房と内閣府だけで、この内閣府で仕事をしていただくためには、なかなか、いろんなことを考慮しないと逆に若干宙に浮いた存在になってしまって本来の役割が果たせないということもあったりします。  そうした意味では、総務大臣ともよく御相談しながら、どういう在り方行政評価の機能を発揮するのにいいのか。急げという今のお話もございましたが、急ぐ必要もあるかと思いますが、同時に慎重な検討も必要じゃないかというふうに思っております。
  107. 寺田典城

    寺田典城君 以上で終わります、時間でございますので。済みません。
  108. 田村智子

    田村智子君 日本共産党の田村智子です。  先月二十一日、心臓機能障害者である小池勝則さんの過労死認定訴訟について、最高裁が国側の上告受理申立てを受理しないと決定をして、過労死を認定した名古屋高裁判決が確定をしました。  これは、愛知県のマツヤデンキ豊川店に二〇〇〇年十一月に障害者枠で雇用された小池さんが、医師からはデスクワークでなければ心臓への負担が大きいとされていたにもかかわらず、ほかの労働者と同じように一日中立ち仕事に就く日が続き、残業や販売ノルマも課せられ、就職からわずか一か月半後の十二月二十四日に自宅で亡くなられたという事案です。  しかし、時間外労働が四十五時間を下回っていて、労働の質も慢性心不全を悪化させるほど過重とは言えないと厚生労働省は過労死を認めず、小池さんの妻である友子さんが裁判に訴えていました。それから十年の年月を掛けてやっと過労死であったと認定をされたわけですが、まず大臣にこの事案についての所感を一言お聞きをいたします。
  109. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) この七月の二十一日ですか、心臓に障害を持つ方が不整脈を発症して死亡されまして労災認定が争われてきた事案でございまして、最高裁が国側の上告受理申立てについてこれを不受理を決定したというところでございます。  私といたしましては、この最高裁の決定を深く真摯に受け止めまして、御遺族の皆様に速やかに労災保険の給付の手続を進めてまいりたいと、このように考えております。
  110. 田村智子

    田村智子君 国は、名古屋高裁が過労死を認定したことは医学的見地又は法令解釈に違反するんだと、こうして最高裁への上告受理申立てを行っていました。この申立てが受理されなかったということは、高裁判決へのこれらの批判は当たらないんだと、医学的見地や法令の解釈に違反はしていないと最高裁が判断した、こう確認できると思いますが、いかがでしょうか。
  111. 鈴木幸雄

    政府参考人(鈴木幸雄君) お答えいたします。  国の上告受理申立ては、名古屋高裁判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな医学的経験則違反があることを理由としたものでございます。また、最高裁判例と相反する判断があることを理由としたものではございません。  したがいまして、今回の不受理決定につきましては、最高裁が名古屋高裁判決に判例違反がないことを理由としたものではないというふうに考えております。
  112. 田村智子

    田村智子君 確定した名古屋判決では、その判決の核心は何なのかと。重篤な内部疾患を持つ労働者がその症状を悪化させて労災が発生した場合、業務に起因性があったのかどうか。この判断は、平均的な労働者を基準とするのではなくてあくまで本人を基準とすべきだと、こういうことなんですね。  この判決は、今後の障害者雇用や労災の在り方に大変大きな影響を与えるものだと私は考えていますし、国自身も、本件は労働者がその心臓機能障害という基礎疾患について身体障害者の認定を受けていた事案に関する初めての高等裁判所の判決であると、障害者が労災認定を受けた初めての事案だと、だから上告受理申立書を出しているんですね。そう書いているんです。であるならば、今回のこの判決は同様の労災事件の先例として尊重すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  113. 小林正夫

    大臣政務官(小林正夫君) 今般確定した名古屋高裁の判決では、あくまで個別の事案について裁判所の考え方が示されたものと、このように理解をしております。
  114. 田村智子

    田村智子君 重要な事案だからと自ら言いながら、これが初めての事案であって恐らく今後に影響を与えると思ったから上告をされたわけですよ、ところが裁判に負けると口をつぐんでしまう。私、それでいいのかと思うんですね。これ、障害者の方が業務が過重であったと判断をどうするのかという大切な問題なんです。せめて、個別の案件から何か導き出して、全ての労働基準監督署に、今回はこういう判決が確定をしたんだと名古屋高裁の判決内容を徹底する、これぐらいはやるべきじゃないでしょうか。
  115. 鈴木幸雄

    政府参考人(鈴木幸雄君) 今回の名古屋高裁判決の今後の対応についてでございますけれども、高裁の内容が確定したわけでございますので、その内容を十分に検証いたしまして、その対策に対する周知につきましては、具体的な方策等を含めまして、今後検討してまいりたいと考えております。
  116. 田村智子

    田村智子君 是非やっていただきたいと思います。  確認をしたいんですね。この業務が過重であったかどうか、これ労災認定に当たっての判断、重篤な内部疾患を持つ労働者であっても、同じくらいの年齢で、同じくらいの経験があって、基礎疾患があったとしても日常業務を支障なく遂行できる労働者を基準に判断する、これ、現行の厚生労働省の考え方なんですよ。あくまで別のいわゆる平均的な労働者をこちら側に置いて、この人にとって業務が過重であったかどうか、これを判断の基準としているわけですね。  それでは、この基礎疾患があっても日常業務を支障なく遂行できる労働者、この中には重篤な基礎疾患を有していて障害者認定を受けているような労働者、これも判断の基準として含まれるのかどうか、確認したいと思います。
  117. 鈴木幸雄

    政府参考人(鈴木幸雄君) 脳・心臓疾患の労災認定基準におきましては、業務による明らかな過重負荷の有無を判断するに当たりまして、その労働者の同僚などにとっても特に過重な身体的、精神的負荷と認められるか否かという観点から客観的かつ総合的に判断することとしております。今ほど言いました同僚などとは、被災労働者と同程度の年齢、経験などを有する健康な状態にある者のほか、基礎疾患を有していたとしても日常業務を支障なく遂行できる者を指しております。  今御指摘の重篤な基礎疾患がある場合で就業が制限される労働者につきましては、個々に判断する必要があると考えますが、一般的には日常業務を支障なく遂行できる者には当たらないものと考えております。
  118. 田村智子

    田村智子君 つまり、その人本人だけの判断基準じゃない基準持っているんですよ、同僚と比べて判断をすると。だけど、その同僚と言われる者の中には重篤な障害持っているような方は含んでないと。比べようがないんですよ、本当は。判断の基準がないってことなんですね。  であるならば、今回の名古屋高裁の判決も受けて、心機能障害など重篤な内部疾患を持っている障害者、業務が過重であるのかどうか、その判断の基準とか考え方とか、平均的な同僚との比較はやったら駄目だとか、そういう考え方を示すことが必要ではないんでしょうか。
  119. 小林正夫

    大臣政務官(小林正夫君) 過労死等の労災認定基準は、業務の過重性を判断する場合に、重篤な基礎疾患を持つ者とそれ以外の者とを区別して判断することとはしておりません。重篤な基礎疾患を持つ場合など、個々の労働者の特性に応じた労災の認定基準を設けることについては、障害の種類だとかその程度が様々、こういう状況でございます。したがって、障害と疾病の発症に関する医学的エビデンスでも十分でないことから、現時点で基準として類型化することは困難である、このように考えています。
  120. 田村智子

    田村智子君 類型化するのは困難だと、名古屋高裁も先例としないということでは、一体どうやって、障害重い、特に内部疾患持っている方の業務の過重性を判断するんだろうかと、非常に疑問に思うんですね。  個別の判断だと言います、言うけれども、じゃ小池勝則さんについてどういう個別の判断を行われたかと。小池勝則さんの場合は仕事から帰ると立つこともできないような状態だったんです。主治医は、これはちゃんと治療もして、そして働き方も考慮をすれば、もっと長く働くと、そういう可能性十分あったという意見も出しています。  ところが、厚生労働省は、月三十三時間の残業や立ち仕事は過重とは言えないんだと、こう結論付けて労災を認めなかった。言わば障害を抱えながら働くことの特殊性、これは脇に置かれたと私には思えるんです。  一方で、国が出した上告受理申立書の中にどういうこと書いてあるか。これまでの脳・心疾患の事案とは異なる特殊性がある。どういう特殊性か。元々重篤な基礎疾患を持つ障害者は日常生活の中でも症状が重くなり得るんだ、日常生活上に様々なリスクがあるんだと、その特殊性を十分に考慮をすべきであって、業務の過重性を殊更見ることは必要ないというような申立てを行っているわけですよ。  もっと言えば、この小池さんについてのこと、何て書いてあるか。就業開始時から症状が相当に重く、日常生活の中でいつ致死的不整脈を起こしてもおかしくなかったと見るべきだと。言ってみれば、もう働くこと無理だったんだよ、そういう状態で働いたんだから元々の病気で死んだんだよと、こう言わんばかりなんですね。  私、これ本当に重大な見解ではないかと思っているんです。これでは、疾病を抱えながらも一生懸命働いている、そういう方が不幸にして労災発生した、それでも全部その方の病気のせいにされてしまって、元々労災の門前払い、もう労災保険の対象から排除しているのと同じような見解だと言わざるを得ないと思うんですが、いかがでしょうか。
  121. 小林正夫

    大臣政務官(小林正夫君) 脳・心臓疾患の労災認定では、重い基礎疾患を有している方に発症したものであっても、発症前の業務が過重であるか否かを労災認定基準に照らして個々の実情に応じて判断した上で業務上の疾病と認定しているところでございます。したがって、障害者の方の業務の過重性については、今後とも、丁寧かつ適切に判断をしてまいりたいと思います。
  122. 田村智子

    田村智子君 その業務が過重であったかどうかの判断基準は何もないままなんですよ、何もないままなんです。一方で、業務外のことについては、非常に特殊であって、リスクが本当に高いんだと。こんな見解をいつまでも取っていたら、本当に障害持つ方々、安心して働けないですよ。労災が起きたって、これ全部却下されて終わってしまいますよ。私、これ本当に重大な問題なんだということを改めて指摘をしたいと思うんです。  私、これこだわるのは、個別の案件で済まされない問題だと思うんですね。こうした過労死認定というのは、元々はもう過労死を再び起こさないような労働条件のルールを作っていかなきゃいけない、そのために過労死の認定というのを本当に厳重にやっていかなければならないと思うんですね。十年掛けて裁判闘った小池勝則さんの奥さんの友子さんも、障害者が安心して働ける職場をつくってほしい、病気が重くなって仕事を辞めざるを得ず苦しんでいる方というのは大変大勢いらっしゃるんだと、こういう現実を変えたい、こういう思いで十年間裁判闘ってこられたわけです。  そこでお聞きをしたいんですけれども、実際に小池勝則さんのように心臓疾患抱えている方、あるいは重い内部疾患では腎臓疾患とか呼吸器機能の疾患もあります。また、脳梗塞などを起こして非常に働き方に配慮が必要だという方が社会復帰されている、こういう例も多いと思います。こうやって内部障害を持ちながら働いている障害者、直近の調査で一体障害者雇用のうちどれぐらいの割合になるのか、これ調査の結果をお知らせいただきたいと思います。
  123. 中沖剛

    政府参考人(中沖剛君) お答え申し上げます。  平成二十年に実施されました障害者雇用実態調査におきましては、これ従業員規模五人以上の事業所をサンプル調査したものでございますが、この調査によりますと、身体障害者の雇用者数が三十四万六千人、そのうち、先生が御指摘になられました心臓、腎臓など内部に障害をお持ちの方の割合でございますが、約三分の一、三四・六%となっております。
  124. 田村智子

    田村智子君 そうしますと、推計で約十二万人近い方々が、いろんな内部の障害、内部疾病持ちながら、例えばニトロ持ちながらとかペースメーカー入れながらとか、いろんな日常の生活上の配慮もしながら働いていらっしゃると思うんです。ところが、十二万人近い方が働いていると思われても、労災で認定されたのはこれまで一件もないんです。小池勝則さんのこの一件だけなんです。ということは、そもそもあなたは病気だからだと、労災申請も諦めた方もいらっしゃるかもしれない、認定されなかったという方もいらっしゃるかもしれない。  これ、質問通告してなかったんですけれども、私、やっぱり十二万人いると、それで障害者についてその業務が重いかどうかということの判定の基準がいまだない、事実上ないと。であるならば、実態としてこれまでの労災のその申請の中にも内部疾患でという方がどれぐらいいたのかどうか、こういうことの実態調査ということも、これ判決を受けて考えるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  125. 鈴木幸雄

    政府参考人(鈴木幸雄君) お答えいたします。  今ほど御指摘のように、今回はそういった内部障害を持って認定された方の初めての事例ということでございますが、過去の事例につきましてそういった要素があったのかどうかにつきまして、調査が可能かどうかも含めて検討したいと思います。
  126. 田村智子

    田村智子君 今国会では障害者基本法の改正も行われています。その中では、障害者に対する差別は現に厳しく禁止をされています。そして、社会的障壁を取り除くための合理的な配慮を行うことが国に対して義務付けがされています。  今回のこの案件というのは、実はこの障害者基本法制定の前にもう二〇〇八年十一月には我が党の小池晃議員も厚生労働委員会で取り上げています。そのときには、当時の舛添大臣が、様々な障害に応じた労災の基準、考え方、これを示していくこと必要じゃないですかと求められて、検討をしていくと、検討課題だというふうに述べられているんですね。  ところが、いろいろ厚生労働省にお聞きをしましても、具体に検討がされたような気配が感じられないんです、この労災の認定どうあるべきか。今もお聞きをしても、標準的な労働者と比較をすると、それ以外の基準がないわけですからね。私、これでは駄目だと思います。まさに労災認定において障害者を差別しているのとこれは同じだと思うんです。  社会的障壁を国として取り除いていく、新たな労災の在り方について検討していく、是非踏み込むべきだと思いますけれども大臣、いかがでしょうか。
  127. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 委員が御指摘になりましたように、今国会におきまして障害基本法が改正をされまして、社会的障壁の除去の実施につきまして必要かつ合理的な配慮がなされなければならないと、こういう規定が盛り込まれたところでございます。また、事業主が障害者を雇用する際には、合理的な配慮の内容、これにつきましてはその具体化に向けた検討が行われているところでございます。  そこで、障害者の労災認定の在り方、これにつきましては、事業主の災害補償責任の範囲や労災補償の基本的な在り方にかかわるものでありますので、障害者雇用に関する合理的な配慮の検討状況も含めまして、専門的な学者など専門家の意見を伺いながらこれは検討させていきたいというふうに考えます。
  128. 田村智子

    田村智子君 重い病気を抱えていながらもやっぱり働き続けたいというふうに願う方は本当に大勢いらっしゃると思うんですね。そういう方々についてどういう業務が過重であるのかどうか。これは、例えば健康であった方が突然死をした。そのときに業務過重であったかどうかって、すごく労災認定の中では重く見ること多いですよ。突然長時間労働になったんじゃないかとか、どれだけ残業をやったのか、こういうのを見ますよね。  だから、私は、障害者こそ、やっぱりリスクを抱えて働いているからこそ、どういう業務が過重であったのかということを本当に慎重に十分に検討されなければならないし、それの検討がされて、そういう働く上でのリスクをやっぱり取り除いていくということをしなければ、いつまでたっても安心して働けるという社会にはならない。残念ながら、この日本というのは残業をやって当たり前の社会なんです。その中で障害者の皆さんは働いていかなければならないんです。  是非、今回の判決をこの個別案件だということで終わらせずに今後の労働行政に生かしていくこと、これを強く求めまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  129. 中山恭子

    ○中山恭子君 たちあがれ日本・新党改革の中山恭子でございます。  私は、これまで、現内閣行政権の行使に当たって法律を無視している、つまり国会を軽視していることを幾度も指摘してまいりました。残念ながら、現在の内閣の、政権の動きを見ておりまして、これが改められるという様子は全くうかがえません。かえってその度が増しているように思えます。五月十六日のこの委員会でも申し上げましたが、あくまでも行政は立法府である国会が定めた法律の枠内において執行されなければならない。日本は法治国家であり、内閣は法律を誠実に執行し、国務を行うこととなっております。  今日、まず、福島第一原子力発電所の三月十二日の第一号機への海水注入について質問いたします。  今ごろこの三月十二日の動きを取り上げるということ、今更何をと思われる方も多いかと思いますが、この海水注入についての政府の説明は二転三転しておりまして、六月になって当初に比べて詳しい情報公表しておりますので、この政府の動きが非常にはっきり見えてくると思いますので、取り上げたいと思います。  三月十二日の海水注入について、その経緯を手短に御説明いただけますでしょうか。
  130. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 海水注入につきましては、三月十二日の十七時五十五分に経済産業大臣が東京電力に対し命令を出しております。十八時ごろから二十分程度、総理、経済産業大臣原子力安全委員会、保安院、東京電力等で、その時点において準備段階にあった海水注入についての協議を行っています。その時点では、海水注入の準備には時間が掛かる、約一時間半ぐらいかなということの認識でございました。他方、再臨界の可能性について総理が原子力安全委員長に質問されて、可能性がゼロではないとの回答がございました。このため、海水注入に加えて、硼酸投入など再臨界を防ぐ方法を含めて、原子力安全委員会、保安院及び東京電力に検討するよう総理から指示がありました。十九時四十分にこの検討結果を保安院等から総理に報告し、総理は海水注入を行うことを了解して、十九時五十五分に実施するよう指示があったということです。  なお、東京電力による海水注入は十九時〇四分から開始されておりましたけれども、この開始を含めた東京電力による対応状況については当時官邸には報告されていなかったということが後ほど判明いたしました。  以上でございます。
  131. 中山恭子

    ○中山恭子君 現在、これは六月十一日に原子力安全・保安院地震被害情報でも発表されているのが今こういう状況だというように発表されている事柄でございますが、その当時、当初の段階では、総理から十九時五十五分に海水注入の指示をなさったということが発表されただけでございます。それを受けて、その十分後、経産大臣が二十時〇五分に海水注入を命じた。つまり、海水注入すれば原子炉は廃炉になるというような状況の中で総理が英断を示された形になっておりました。その三月十二日から約三か月たった六月十一日、今、副大臣、御説明のありましたとおり、そこでは総理指示の五十分以上も前、十九時四分、東京電力が一号機の海水注入を開始し、それが継続されていたということが六月十一日には発表されております。さらに、その後、つじつまを合わせるというせいでしょうか、総理指示のちょうど二時間前の十七時五十五分、経産大臣が口頭で海水注入を命じたということになっております。  いずれにしましても、この総理の指示というのは何も意味を持っていなかったということが誰の目にも明らかでございまして、総理の指示がなくとも海水注入は開始され、継続して注入されていたということが明らかになってきております。  官邸の動きはピエロのように映ります。政府は、災害に対して真剣に取り組むというよりも、ただただ総理のパフォーマンスに振り回され、本来遂行しなければならない仕事ができていません。多くの問題処理が常に後手後手に回っています。意味のない総理指示が出され、それを糊塗するために新たな説明がなされる。無駄な作業が続きます。  しかし、この糊塗された説明ぶりというのも、注意深く見ると至る所つじつまが合わない、そういう状況が出てきております。このような、何と言ったらいいんですかね、漫画チックとも言えるその政府の動きというのは、国内も信頼されない動きでございますし、さらに外国の人々もこの日本政府の動きを見て信頼をなくしてしまっている。明らかに日本の国の信頼を官邸の動きが大きく損なっていると言える事柄であろうと考えております。  また、六月十一日の原子力安全・保安院地震被害情報で、ここで初めて海水注入のちょうど二時間前に経産大臣が海水で満たすよう口頭で指示したと説明がなされました。ただ、実は三月十二日の段階で、経産省は東京電力の社長にあてて原子炉等規制法第六十四条第三項の措置命令の公文書を発出しております。そこでは、例えば海水で満たすなど適切な方法を検討した上、その原子炉容器の健全性を確保することを命じるということになっておりまして、海水注入は選択肢の一つでしかない、海水注入しろとは命じておりません。原子力安全・保安院の地震被害情報は命じたとなっておりますが、経産省の公文書では注入しろとは命じていないという、こういう二つの違った事実が出てきております。  経産省の公文書の方が正しいと思いますが、副大臣はいかがお考えでしょうか。
  132. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 保安院の公表資料でございますが、三月十二日の十七時五十五分に経済産業大臣から東電に対して、この福島第一原子力発電所の一号機原子炉容器内を海水で満たすよう、口頭で原子炉等規制法第六十四条三項の措置命令を行った旨を記載しています。これは御指摘のとおりでございます。  また、経済産業大臣の口頭命令の後に完成した命令文書においては、原子炉等規制法第六十四条三項の規定に基づきまして、東電の福島第一原子力発電所第一号機について、例えばその原子炉容器を海水で満たすなど適切な方法を検討した上、その原子炉容器の健全性を確保することを命じております。  どちらも海水による冷却を直ちに命ずる趣旨ではありますが、命令文書の記述は、海水のほかに適切な方法が確保された場合にそれも実施することを想定していたものであると、このように考えております。
  133. 中山恭子

    ○中山恭子君 三月十二日の原子力安全・保安院の公表資料というのがありますが、ここでは三月十二日の午後八時五分、二十時〇五分ですが、経産大臣が海水注入を命令したとなっておりますが、この時間というのが、海水注入を命令する旨の文書の完成の時間だと伝えられております。  その文書の完成という単語なんですが、行政の組織の中で文書の完成という単語は使われる単語ではないと考えております。文書の完成というのは何を意味しているのかがはっきりしません。例えば命令文書、これは命令文書ですが、下書きが整ったという意味なのか、決裁が終了したという意味なのか、命令文書に大臣の公印が押された、命令文書が東京電力に渡されたと、どの時点のことを言っているのか。文書の完成という単語は非常に曖昧でございますので、通常はこういった単語は使ってはならない文言だと考えております。  ちなみに、副大臣はこの文書について当然決裁されていると思いますが、副大臣はいつごろどこでこの文書に決裁されたか覚えていらっしゃいますか。
  134. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 私自身がこの決裁文書に自分でサインしたという記憶はございません。
  135. 中山恭子

    ○中山恭子君 今の政府の一つの大きな問題点だと思いますけれども、事実の経過についての記録がきちんと残されていないという点がございます。  緊急時だったからもうごたごたしていて慌ただしくて残せなかったということかとは思いますが、緊急時であればこそ、なおさらに行政として仕事をしていくときに事実の経過をきちんと記録として残しておくこと、これは必須のことでございまして、それがないばっかりに今いろいろなごたごたした矛盾だらけの説明が出てきていると。ある意味では、現在の行政府は当然しなければいけない仕事ができていないということがこの点からも見えてくるのではないかと考えております。  もう一点、これは以前、五月十六日に私の方から確認をしたところでございますが、今、原子力災害対策本部の図面で、政府が言うには政府・東京電力統合対策室というのが設置されているというふうに説明されておりますが、五月十六日のこの委員会で確認しましたように、統合対策室というのは公的な政府の行政組織ではないということが、副大臣もいらしていただいたかと思います。ところが、その後、五月二十一日、あのときからもう五日目ですけれども、東京電力福島第一、この海水注入に関して、政府・東京電力統合対策室からその事実関係について報道、プレスリリースというんでしょうか、発表されております。  この設置の根拠もないし、何の権限もない、組織構成も何も決められていない統合対策室からこういった行政事務的な、何というんですかね、報道が出されるというのであれば、統合対策室をきちんと位置付けなければいけないのではないかと考えております。行政在り方の問題として是非この委員会でも再度しっかり取り上げていただきたいと考えているテーマでございます。  時間がちょっとありませんので今日はここまでで、またいずれ機会を見ていろいろ質問したいと思いますが、是非御検討いただきたいと思います。
  136. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 前回の委員会でも中山委員から御指摘いただきました。  この直前に、三月の十二日の十五時三十六分に建屋が水素爆発で爆破されたという事態がありまして、中でも相当慌てふためいたんだと思います。混乱があったと思っています。その中で統一した情報を、官邸まで入ってくるまでにいろんな流れが入ってくるんではなくて、やっぱりできるだけ最初のホットなニュースができるところで情報を集めて判断したいということがあったんだろうと思います。  現実的にはそういう対処をしたとしても、法的にどういう対応であったのかということは、これは十分反省して、また検討していく必要があると思っています。
  137. 末松信介

    委員長末松信介君) よろしいですか。
  138. 中山恭子

    ○中山恭子君 はい。
  139. 末松信介

    委員長末松信介君) 以上で中山委員の質問は終わりました。  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十六分散会