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2011-04-18 第177回国会 参議院 行政監視委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年四月十八日(月曜日)    午後三時四十一分開会     ─────────────    委員異動  一月二十七日     辞任         補欠選任      難波 奨二君     大野 元裕君  一月二十八日     辞任         補欠選任      石橋 通宏君     安井美沙子君      大野 元裕君     難波 奨二君  一月三十一日     辞任         補欠選任      安井美沙子君     石橋 通宏君  三月四日     辞任         補欠選任      難波 奨二君     徳永 エリ君      山下 芳生君     大門実紀史君  三月七日     辞任         補欠選任      徳永 エリ君     難波 奨二君      大門実紀史君     山下 芳生君  三月八日     辞任         補欠選任      宇都 隆史君     山崎  力君      田村 智子君     大門実紀史君  三月九日     辞任         補欠選任      石橋 通宏君     安井美沙子君      宮沢 洋一君     宇都 隆史君  三月十日     辞任         補欠選任      加賀谷 健君     斎藤 嘉隆君      川合 孝典君     行田 邦子君      安井美沙子君     石橋 通宏君      山崎  力君     宮沢 洋一君  三月十一日     辞任         補欠選任      行田 邦子君     川合 孝典君      斎藤 嘉隆君     加賀谷 健君      谷合 正明君     草川 昭三君      大門実紀史君     田村 智子君  三月十四日     辞任         補欠選任      草川 昭三君     谷合 正明君  三月十八日     辞任         補欠選任      石橋 通宏君     金子 恵美君      高階恵美子君     山崎  力君      中山 恭子君     片山虎之助君  三月二十二日     辞任         補欠選任      武内 則男君     石橋 通宏君      山崎  力君     高階恵美子君      片山虎之助君     中山 恭子君  三月二十三日     辞任         補欠選任      金子 恵美君     武内 則男君  三月二十五日     辞任         補欠選任      横山 信一君     草川 昭三君      中山 恭子君     片山虎之助君  三月二十八日     辞任         補欠選任      高階恵美子君     山崎  力君      草川 昭三君     横山 信一君      片山虎之助君     中山 恭子君  三月二十九日     辞任         補欠選任      山崎  力君     高階恵美子君  四月十五日     辞任         補欠選任      足立 信也君     中村 哲治君      武内 則男君     行田 邦子君      藤原 良信君     榛葉賀津也君  四月十八日     辞任         補欠選任      行田 邦子君     武内 則男君      榛葉賀津也君     藤原 良信君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         末松 信介君     理 事                 大島九州男君                 風間 直樹君                 川合 孝典君                 藤原 良信君                 松村 龍二君                 寺田 典城君     委 員                 石橋 通宏君                 大久保潔重君                 加賀谷 健君                 神本美恵子君                 行田 邦子君                 武内 則男君                 中村 哲治君                 難波 奨二君                 室井 邦彦君                 山根 隆治君                 赤石 清美君                 岩井 茂樹君                 宇都 隆史君                 岸  信夫君                 高階恵美子君                 中西 祐介君                 浜田 和幸君                 宮沢 洋一君                 谷合 正明君                 横山 信一君                 田村 智子君                 山下 芳生君                 中山 恭子君    国務大臣        法務大臣     江田 五月君    事務局側        常任委員会専門        員        富山 哲雄君    政府参考人        法務省刑事局長  西川 克行君    参考人        元厚生労働省雇        用均等児童家        庭局長      村木 厚子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関  する調査  (派遣委員報告)  (検察不祥事行政監視システム在り方に関  する件)     ─────────────
  2. 末松信介

    委員長末松信介君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十五日までに、武内則男君及び足立信也君が委員辞任され、その補欠として行田邦子君及び中村哲治君が選任されました。     ─────────────
  3. 末松信介

    委員長末松信介君) 理事補欠選任についてお諮りをいたします。  委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 末松信介

    委員長末松信介君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事川合孝典君及び藤原良信君を指名いたします。     ─────────────
  5. 末松信介

    委員長末松信介君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会政府参考人として法務省刑事局長西川克行君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 末松信介

    委員長末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 末松信介

    委員長末松信介君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会参考人として元厚生労働省雇用均等児童家庭局長村木厚子さんの出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 末松信介

    委員長末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 末松信介

    委員長末松信介君) 行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。  まず、先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員報告を求めます。大島九州男君。
  10. 大島九州男

    大島九州男君 本日は、村木さん、本当にお忙しいところありがとうございます。  それでは、報告をさせていただきます。  去る二月十四日及び十五日の二日間、行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する実情調査のため、大阪府及び兵庫県において行われました委員派遣につきまして、調査の概要を御報告申し上げます。  今回の委員派遣は、本委員会の使命である、行政組織人事在り方という観点から恒常的に監視することを主眼に実施いたしました。  派遣委員は、末松委員長風間理事川合理事藤原理事松村理事寺田理事大久保委員難波委員赤石委員岩井委員岸委員高階委員谷合委員横山委員田村委員中山委員及び私、大島の十七名でございます。  第一日目は、大阪拘置所大阪地方検察庁視察しました。大阪拘置所では、概況説明を聴取し、現場刑務官方々との意見交換を行ったほか、被収容者の食事の試食や収容室検事調室などの所内視察を行いました。  同拘置所は、被告人刑務所移送前の受刑者死刑確定者等を収容しており、現在収容者数千三百六十九人となっております。これに対して、職員定員は現在四百七十八人で、そのうち公安職は四百六十一人、医療職は十七人となっております。  施設は昭和三十年代の建物であり、空調による暖房が行われておらず、所内は非常に寒くなっておりましたが、同拘置所は現在建て替え工事中であり、完成後は空調による暖房を行うとのことでありました。  質疑では、被収容者の適正な処遇という観点から、拘置所における暖房在り方、被収容者健康管理高齢化への対応、適正な処遇を行うための刑務官の数、外国人収容者の問題、推定無罪が働く被告人に対する処遇等についてやり取りがありました。  刑務官との意見交換では、死刑執行職員にも極度の精神的緊張を強いるものであり、職員の配置に苦労すること、妊婦の受刑者が増えており、生まれた子供の引取り先が見付からないことなど、現場の貴重な生の声を聞くことができました。  次に、大阪地検では、冒頭北村検事正から挨拶があり、大島次席検事概況説明を聴取し、次席検事田中総務部長及び松田特捜部長に対し質疑を行いました。その後、若手検察官検察事務官方々意見交換を行い、最後冒頭挨拶の後退席した検事正に再度御出席いただき、質疑を行いました。  同地検における職員定員は現在七百九十五人であり、そのうち検事が百六十二人、副検事が五十五人、検察事務官が五百七十八人となっております。  問題の厚生労働省局長無罪事件は、人権の保障と公共秩序維持目的とするはずの検察官が自らの存在意義否定する証拠改ざんという犯罪行為を行った事件でありましたが、検事正挨拶は同地検をどう改革していくかについて言及が不十分な内容でした。  次席検事総務部長及び特捜部長に対する質疑は、大阪地検及び検察庁全体をどう改革していくかという点に集中し、調書を重視する捜査方法の見直し、自由に議論ができる環境づくり組織チェック機能を失わせた決裁システム形骸化、昨年十二月に出された最高検察庁検証結果の不十分さ、検察庁における成果主義弊害特捜部の要否まで踏み込んだ議論必要性捜査可視化を含め検察自ら積極的に改革することの大切さ、検察官による捜査情報の漏えいの疑いなどについて派遣委員から厳しい指摘がなされました。これに対する答弁は、そのほとんどが最高検の検証結果に従って大阪地検改革を進めるということに終始し、事件当事者としての責任意識に疑問を感じるものでありました。  若手検察官検察事務官との意見交換では、同時並行で十六件の事件を担当した経験などが披露され、職員の増員の要望が出されるなど、職務が大変であることは理解できましたが、現在の重大深刻な事態について危機意識の希薄さが感じられました。  検事正に再度出席を求めたのは幹部職員答弁が十分に納得のいくものではなかったためであり、質疑では検察改革に向けた姿勢や理念が問われました。検事正からは、検察には捜査、勾留、起訴という強い権限が与えられているが、これらは国民信頼の下に委ねられたものであり、検察の原点に立ち返って公正な権限行使に努め、国民信頼を回復していきたい旨の改革へ向けて前向きの発言がありました。  今回の事件に関して、大阪地検の主体的な改革を求めるとともに、同地検の問題は検察全体の構造上の問題であるとして、行政監視委員会において行政組織人事観点から継続的に調査を行う必要性を確認いたしました。  第二日目は、初めに認定こども園五葉幼稚園視察しました。訪問時には、園児の皆さんから、おはようございますというかわいい元気いっぱいの声で御挨拶をしていただき、帰り際には、感動的な歌とともに、さようならと一生懸命手を振ってくださったことが深く印象に残りました。本当に心が洗われる気持ちでした。  同園では、こども園として現在、一歳児と二歳児合わせて十七名の園児を受け入れています。認定こども園に移行した理由として、園長は、人生の始まりから教育を行うことの重要性を強調され、採算を度外視しながらの経営であると説明されました。また、障害児受入れも行っており、受け入れた子供は確実に卒園させていること、そして、子供両親には園でできることや両親の協力が必要なことについて率直に伝えた上で受け入れているとのことであり、その誠実な教育姿勢に感銘を受けました。  質疑は、こども園が増えない理由こども園地域社会連携必要性こども園への移行に伴う職員の待遇、保育料が滞納した場合の対応幼稚園保育所連携がうまくいっていない地域が多いことについての所感、事務処理体制状況等について行われました。さらに、園長から、本来、子供の育ちに違いがあってはならないところ、保育所保育所のことだけ、幼稚園幼稚園のことだけしか考えておらず、言わば大人の事情で子供の行く末が議論されているというお話があり、幼児教育現場における縦割り行政弊害を目の当たりにした思いでした。  次に、人と防災未来センター視察しました。同センターは、阪神淡路大震災経験を語り継ぎ、その教訓未来に生かすことを主たる目的として、平成十四年に兵庫県が国の支援を得て設置し、その運営は公益財団法人ひょう震災記念二十一世紀機構が行っています。同センターは、展示資料の収集と保存、実践的な防災研究若手防災専門家の育成、災害対応現地支援、交流・ネットワーク等機能を有しております。  展示施設中心である一・一七シアターで我々一行も阪神淡路大震災のすさまじさを体感し、被害の甚大さに思いを致すとともに、防災重要性と国の責任について認識を新たにいたしました。  質疑は、災害ボランティア組織在り方展示施設入館者増加策研究費獲得必要性等について行われました。  次に、兵庫県を訪問しました。兵庫県は、阪神淡路大震災災害復旧を早急に実現するため、財政力範囲を超えた借金を行う選択をしたことから、県の財政は厳しい状況にあります。そのような状況の中で、特色ある取組をしている防災対策幼保一体化中心説明を聴取しました。  兵庫県の防災対策の特徴としては、阪神淡路大震災経験教訓の継承、世界へ向けての情報発信が挙げられます。関西広域連合が実施する事務のうち、広域防災分野については兵庫県が事務局となっており、さらに、震災経験教訓を踏まえ、助け合いの精神に基づき、被害を受けた住宅再建補修等支援するための住宅共済制度を設け、その全国制度化への働きかけを行っているとのことでした。  これに関連して、被災者生活再建支援法充実強化が要請されました。厚生労働省所管災害救助法支援対象には半壊世帯が含まれているのに対し、内閣府所管被災者生活再建支援法支援対象には含まれていないことが住民にとって不都合なためです。  次に、幼保一体化については、兵庫県はその先駆けとして認定こども園を推進しております。県独自の基準として、就学前の全ての子供認定こども園受入れ対象としており、全国に先駆け、幼稚園型の保育所機能保育所型の幼稚園機能への補助制度を創設するなど、県独自の支援を実施しております。  しかしながら、幼保連携型認定こども園会計処理について、保育所幼稚園所管省庁が異なるため、補助金の申請や精算手続等が一本化されておらず実務的に複雑であるという、文部科学省厚生労働省による縦割り行政弊害指摘されました。  質疑は、県政全般にわたり、障害のある子供教育普通学級で行うインクルーシブ教育についての考え方、神戸港及び神戸空港活性化策災害状況人口構造の変化に応じた災害対策在り方地方分権についての所見、高齢化社会対応するための公共施設の再活性化策等について行われました。  最後視察先は、海上保安庁第五管区海上保安本部であります。同本部が保有する巡視船「せっつ」船内で概況説明を聴取した後、同船内の視察を行いました。同本部定員は現在千百四十七人であり、主な任務は、治安の維持海上交通安全確保海難救助となっております。特に、海難救助現場を撮影したビデオを視聴しながらの説明では、業務の重要性困難性について深く理解することができました。  質疑では、中国漁船衝突事件に関するビデオ流出問題に関し、派遣委員から、海上保安官守秘義務の遵守についてしっかりとした対応を求める意見が出される一方、情報を公開しないとした政府の判断に問題があったとの意見もありました。さらに、海上保安行政重要性に鑑み、海上保安官の一層の士気の向上を求める点では派遣委員全員意見の一致を見たところです。  これに対し、大島第五管区海上保安本部長から、海上保安官としてあってはならぬ行為が行われたことを反省し再発防止を指導しているところであるが、今回の事件により現場士気が下がるようなことはない旨の発言がありました。  ここで派遣委員報告を終わりますが、視察先のうち特に大阪地検による不祥事については、検察全体の問題としてとらえ、行政組織人事観点から継続的に調査を行う必要があることを再度確認したいと思います。  以上でございます。
  11. 末松信介

    委員長末松信介君) 大島先生、御苦労さまでした。  以上で派遣委員報告は終了いたしました。     ─────────────
  12. 末松信介

    委員長末松信介君) 次に、検察不祥事行政監視システム在り方について参考人の方から意見を聴取した後、質疑を行います。  この際、村木参考人に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ当委員会に御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。  村木さんの手記を読ませていただきました。経験した方でないと分からない苦しみがあったことと存じます。今日は忌憚のない御意見を拝聴いたしまして、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。法廷ではありませんので、気楽にお願いをいたします。  議事の進め方でございますが、まず村木参考人から二十分程度御意見をお述べいただきまして、その後、午後六時十分ごろまでをめどに質疑を行います。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、村木さん、よろしくお願いをいたします。村木参考人
  13. 村木厚子

    参考人村木厚子君) 村木でございます。  今回、こういう機会を与えていただきましたことを心から感謝しております。よろしくお願いいたします。  それでは、座らせていただきます。  私からは、まず、今回の事件を通じて感じた検察捜査問題点についてお話をし、その上で、そうした問題点の改善のためにこうしたことに取り組んでいただきたいということについて、私なりの意見お話をさせていただきたいと思います。  まず、検察捜査問題点について、二つの点を指摘をしたいというふうに思います。  まず、問題点一つ目でございます。  これは、事実と異なる調書が大量に作られたということでございます。少しきつい言い方になるかもしれませんが、率直な印象としては、検事さんというのは調書いかようにも作れるもんなんだなというのが私の実感でございます。今回、私自身はこの偽の証明書を作ったことに全くかかわっていなかったわけですが、私がかかわっていると、かかわったという調書は三、四十通作られております。何人もの検事さんがその作成にかかわっておられます。そして、その調書は結果的には公判で、取調べに問題があった、誘導があったと見られるということでほとんどは否定をされたわけでございます。  確かに、今回、フロッピーディスク改ざんという非常に私にとっても衝撃的な出来事がございましたが、一人の検事さんがフロッピーディスク証拠改ざんをしたということよりも、私にとっては、たくさんの検事さんがチームとして一つストーリーに沿った事実とは異なる調書を作っていったということの方が非常に恐怖でございます。  私がかかわったという調書のほかにも、実は、事件当時は、障害者自立支援法の円滑な成立のために当時野党であった民主党有力議員の要請を受け入れざるを得なかったという内容調書も同じような時期にたくさん作られております。これが私の犯行の動機だというふうに言われました。ところが、実際は、障害者自立支援法というのは事件当時はまだ影も形も全くない状況でございまして、よく見ると、調書に添付をされている参考資料は翌年のものでございました。しかし、こうした調書もたくさん作られたということでございます。  どうしてこういうことが起きるのか、こういうことが可能になるかということでございますが、私が見聞きした範囲で幾つかその方法がございます。  一つには、上司から調書内容について指示がされているということでございます。私は、取調べ冒頭検事から、あなたは起訴されることになるだろう、私の仕事はあなたの供述を変えさせることだというふうに宣言をされました。また、検事さんがあらかじめ調書を作って取調べ室に持ってこられて、取調べを受けてそれを修正をしていただいたら、上司相談をしていたものとニュアンスが随分変わってしまったのでと言って、私にサインをさせずにその調書を持って上司相談に行かれてしまったということもございました。  二つ目には、捜査にかかわるチーム検事さんたちが情報を共有をしていて、それに合わせて調書を作っているということでございます。公判でも明らかになりましたが、検察の描いているストーリーと違う話をしている間は調書作成をされません。検察の意向に沿う調書サインが取れると、それがその日のうち、あるいは明くる日にはとおっしゃっておりましたが、直ちにチーム全員に配付をされていました。だから、相互に非常に整合性の取れた調書が作れたということでございます。  三つ目は、誘導や脅迫があったということでございます。私自身は肉体的な暴力はございませんでした。机をたたかれたこともございませんでした。しかし、否認をしていると罪が重くなりますよということを非常に執拗に言われて、執行猶予が付くんならいいじゃありませんかということで、罪を認めるように何度も迫られました。  先生方は、それでも事実と違う調書サインしなければいいではないかというふうにお考えになるかもしれません。  当時、事件に関係をした決裁ラインにいた厚生労働省職員、大体十人ほどでございました。その中で私が事件にかかわっているという調書サインをされた方は五人でございます。ちょうど半分でございます。残りの五人の方はそれを否定をされました。それでも、その否定をされた方が証明できること、証言できることというのは、私は村木さんが関与をしているのを見ていませんということだけでございます。私が自分の見ていないところで関与したかもしれないということまでは否定ができない、証明ができないわけでございます。  したがいまして、結局、少し気が弱いとか、あるいは検事さんに弱みを握られてしまったとか、あるいは、ほかの人がこう言っているけど、その人がまさかうそをついていないからこれは正しいですよねというようなことを言われて、はいと言ってしまうような方が何人かいれば、そういった方たちから事実と異なる調書を取ることができれば、要は容疑が固まってしまうということになるわけでございます。それゆえにだと思いますが、検事さんも調書を取るときについ無理をしたくなるということなのではないかというふうに思います。  また、調書には検察側にとって都合の悪いことというのは書かれません。例えば、問題になったフロッピーディスクのことですが、取調べではこのフロッピーディスクを基に取調べが行われているんですが、それにもかかわらず、調書にはフロッピーディスクという言葉は一文字も出てまいりません。都合の悪いことは書かない、調書上はないものとして扱われてしまうということでございます。先日、検察在り方検討会議で行った調査でも、検事さんのうちの二六%の方が、実際の供述と異なる方向での供述調書作成を指示されたというふうにアンケートに答えておられます。したがって、こういったことは今までも実は何度もあったんだろうというふうに思っておりますし、これからも何度でも起こるだろうというふうに私は大変懸念をしております。  次に、問題点二つ目でございます。  客観的な証拠が私の事件の場合ほとんど無視をされるか軽視をされていたということでございます。最後改ざんをされたということもありましたが、さすがに私はこれは特殊な例と思いたいというふうに思っております。  具体的な例を二、三挙げますと、一つは、固有名詞、もうお出ししますが、石井先生、石井議員のアリバイでございます。この事件では、本件の証明書は議員案件だということになっておりまして、凜の会という団体が石井先生に依頼に行ったということになっていたのですが、この石井先生の依頼を受けたという日の行動というものについては全く調べられていませんでした。これは後で弁護側が調査をして、先生はそのときゴルフ場にいらっしゃったというアリバイがあったことが分かったという状況でございます。  もう一つは、問題となったフロッピーディスクでございます。このフロッピーディスク検察の方は持っていたにもかかわらず、証拠の請求をせずに、率直に申し上げれば、この存在を隠して裁判を進めようとされていました。  このほかにも、大量の名刺や手帳、関係先に残っていた相談記録、そういった様々な客観証拠が実はこの事件についてはありましたが、それらは全部無視をされてしまいました。結果として、調書だけを見ると調書同士は大変整合性が取れたものになっておりますが、それを示す客観証拠というものはありませんでしたし、あるいは、後で、存在した客観証拠調書を見比べてみると、それは全く矛盾をするというものになっておりました。  以上が、私が感じた今回の検察捜査問題点でございます。  こうしたことを受けて、是非こういう改善をしていただきたいという点を五つほど私から申し上げたいと思います。  まず一つ目でございますが、これが一番大きなお願いでございます。調書にだけ重きを置く捜査公判のやり方を是非改めていただきたいということでございます。調書に重きを置く限り、今回と同じようなことが今後も必ず起きます。客観的な証拠公判での証言が重視をされる方向に是非改めていただきたいと思います。  検察取調べは言わば密室でございます。そして、検察官が一方的に主導権を握っておられます。こうした状況下で私は二十日間取調べを受けました。これも非常に長く感じました。でも、実際に偽の証明書を作ってしまった元係長さんはその倍の四十日間、それから凜の会の会長さんは八十日間、大変御高齢の方ですけれども、取調べを受けています。公判であれば、公開の場で検察側、弁護側それから裁判官の方から多角的に尋問をすることができます。そうしたものがより重視されるという方が本来のあるべき姿ではないかというふうに考えます。  二つ目は、そうはいっても、調書を重視する今の制度が簡単には変わらない、あるいは時間が掛かるのかもしれません。それまでの間、是非、取調べについて全面的な録画、録音をしていただきたいというふうに思います。  今回、私がかかわったという調書サインをした方々は、法廷で次々と調書内容否定をして、不当な取調べを受けたというふうに主張をされました。その一方で、取調べに当たった検事さんが六人も証人に立って、取調べは適切にやりましたということを主張をされました。密室の中の出来事ですから、双方がそのように主張をされて、完全な水掛け論で、実際はどうだったかということは全く分かりませんでした。  検察検察の主導の下で密室の中で作った調書については、やはり当然に検察の側がそれが適正であるということを証明すべき、その挙証責任を負うべきだというふうに思います。そのために客観的な証明、すなわち取調べの全過程の録画、録音が不可欠というふうに私は考えております。  また、任意の取調べについてですが、すぐにできることとして、自分で取調べを録音することは法律上禁止されていないということをきちんと確認をしていただきたいと思います。これは既にその旨の国会答弁が、昨年の十月でしたか、参議院の法務委員会であったというふうに承知をしております。ただ、もちろん制度として検察の側できちんと録画や録音をされるようになれば更に良いというふうに考えます。  三つ目は、客観的証拠の開示を是非拡充をしていただき、また今回の改ざんのようなことが起こらないように、証拠の管理が適正に行われるようにしていただきたいということです。  家宅捜査証拠品を押収することは検察や警察にしかできないことです。弁護側や裁判官はそういうことができません。検察が真実の追求をするという公共の利益を代表する者であるのであれば、いわゆる消極証拠も含めて客観証拠をきちんと弁護側に開示をしていただきたいというふうに考えます。  四つ目は、弁護人の立会いの強化です。  弁護人の方が取調べに全て立ち会うということは、今二十日も取調べがあるというような状況では非現実的だとは思いますが、最低限調書サインするときぐらいは、少なくとも調書内容について弁護人としっかりと相談をできるようにしていただきたいというふうに考えます。  五つ目は、検察組織在り方の見直しを是非しっかりやっていただきたいということでございます。  今回の事件で大変私の印象に残った言葉がございます。これは、大阪地検の元特捜部の部長さんであった、特捜部長さんであった大坪さんの言葉でございます。一片の私心なく検察のために尽くしてきたというふうにおっしゃっておられました。私も公務員でございますが、随分この言葉は我々の感覚と違うな、国民のためとか公共のためという言い方を一般の公務員はするんではないかなというふうに感じました。組織に対する思い入れの強さ、忠誠心の強さというのが非常に強烈に印象に残りました。このことは、検察という組織の強さの源でもあり、またその危うさの源でもあるのではないかというふうに感じました。だからこそ、人事教育なども含めた組織在り方というのが非常に重要だというふうに考えております。  検察在り方検討会で多くの提言がなされ、法務大臣からその実施について指示があったことは大変意味のあることだというふうに考えております。具体的に五つ申し上げたいと思います。  一つは、是非組織全体としてのミッションを明確化してほしいと思います。検察官個々人の倫理規程の前に、まず検察という組織全体のミッション、特に公益の代表者であること、そして真実の追求、公正な裁判の実現を担っているということを再確認をして、それを組織のメンバーに徹底をしていただきたいというふうに考えます。  二つ目は、倫理規程の策定です。検事さんたちは非常に強い権限を持っておられますので、組織のミッションの下で仕事をしていく上でのお一人お一人の検察官のよって立つべき倫理規程を明文化をしていただき、徹底をしていただきたいというふうに思います。  三つ目は、こうしたミッションや倫理規程が大切にされるような教育人事評価をしていただきたいということです。  それから、四つ目はチェック体制です。どんなに検事さんたちが基本的には立派な方であっても、あるいは組織として努力をしても、どうしても間違った方向へ行く人、暴走する人というのはどの組織にあっても必ず出てきます。それを組織として止めることのできるチェックシステムを是非つくっていただきたいと思います。決裁ルート、縦のチェックを幾ら厳しくしても、恐らく問題は解決しないだろうと思っております。横からのチェックの仕組みあるいは権限の分割が必要だと考えます。  また、組織として監察のシステムを是非構築をしていただきたいと思います。不正をチェックするという狭い意味ではなくて、十分な捜査が行われたかとか、証拠の評価が適正かとかいった、仕事の水準がきちんとしているかということをチェックをして業務指導するという意味での監察を是非やっていただきたいと思います。  最後は、外部の目、外部の風を是非入れていただきたいと思います。検察という組織は、その仕事の内容もあって非常にやはり閉鎖的な組織という印象がいたします。先般の最高検の検証過程において、私自身もそうですが、私も含めて外部の事件の関係者から全く事情を聴かなかったというのは、これはさすがに大変驚きました。外部からの目や風が入らない組織というのはどうしても国民のニーズ、現状から遊離をするのではないでしょうか。評価や監視をするところに第三者を入れるということも意味があるというふうに思いますが、更に効果があるのは、検察の中で共に働く人として多様な職種や人材を取り入れることがいいのではないかというふうに思います。  最後になりますが、率直に申し上げて、最高検の検証が出たときには、その検証が何の問題点も解明をしてくれなかったというふうに思いまして大変落胆をいたしました。在り方検討会の提言については、検察問題点について直視をしていただいて、改善の方策について課題設定をしていただいたというふうに思いました。ただ、取調べの録音、録画の問題ですとか新しい刑事司法制度の構築といった大きな問題については試行とか検討とかいう言葉が並んで、このまま先送りをされてしまうんではないかという不安もありました。  でも、その後報道で、法務大臣から全過程の録音、録画を含む試行の実施や様々な検討に関しても具体的な期限を切った指示をしていただいたということ、また検事総長もそれを受け止められたということを聞きまして、改革が進んでいくのではないかという大きな期待を持っているところでございます。どうか改革が前に進むよう、大臣の御指導、そして先生方、国会での監視をよろしくお願いをしたいと思います。  また、随分偉そうなことを申し上げましたが、いずれにしろ、今回の事件厚生労働省で起きた不祥事でございます。私もその管理責任を問われる立場にございます。元係長さんの裁判が続いておりますが、それが終われば処分ということもあろうかと思います。それはしっかり受け止めて、役所の信頼回復にも努力をしたいと考えております。  また、この事件だけではなくて、今回の報道等を通じてですが、役人というのは議員案件でもあれば何でもするんだということ、それから、先生方に叱られるかもしれませんが、議員は変なことを頼んでくるんだということがマスコミを通じて流されて、それをたくさんの方が信じたということがあるわけでございます。そのことをしっかりと真剣に受け止めて、公務員がきちんと国民から信頼をしていただけるように更に努力をしたいというふうに考えております。  私からは以上でございます。  ありがとうございます。
  14. 末松信介

    委員長末松信介君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。質疑及び答弁の際は、挙手の上、委員長の指名を待って着席のまま御発言くださいますようお願いを申し上げます。  なお、質疑の際には、まず各会派一名ずつ指名させていただき、その後は会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと思います。  また、質疑の時間は限られておりますので、委員の一回の発言は三分程度となるよう御協力をお願いいたします。  初めに、委員各位のお許しをいただきまして、私から若干の質疑をさせていただきたいと存じます。  どうも村木さん、今日はありがとうございます。質問を予定をいたしておりましたけれども、大分お話の中で御回答もいただけたのかなという思いをいたしておりますんですけれども、今日の派遣報告、一緒に聞いていただいたと思います。かなり厳しいやり取りがございました。特に、検事正が出てこられた後退席されまして、もう一度部屋に戻って、きちっと委員に対する質疑に応じてほしいということ、そういう話も出ました。各委員からはここに書いてあるとおりの発言があったわけなんですけれども、おおむね村木さんと同じ考え方かなという、そのように理解をいたしております。  そこでお尋ねをしたいんですけれども、まず、この委員の派遣報告、改めて聞かれてどのような感想をお持ちかという点が一点。それと二つ目は、最高検の検証結果について先ほどお話がございました。村木参考人は、事件を起こした幹部を育ててきた検察の風土、文化、そうした仕事の進め方を許してきた組織機能在り方などが十分検証されていないと述べておられます。検証結果でどういう点が一番欠落しているのかという点、いろんな思いがありましたらお話をしていただきたいと思うんです。  特に、この最高検の検証結果による再発防止策、十二策書いていますけれども、弁護士会からもなかなか厳しい御意見等が出ております。中身がきちっと、身内に甘いんじゃないかという、そういった御意見も出ておりますんですけれども、参考人から、村木さんから率直なちょっとお話を聞かせていただければと思います。よろしくお願いします。
  15. 村木厚子

    参考人村木厚子君) ありがとうございます。  委員派遣大阪地検先生方が行かれて、非常に厳しいやり取りを現場の方としてくださったこと、大変有り難く思います。特に、先ほど御報告を聞いていて私自身が感じたことでございますが、検察というのは大変特別な組織、つまり検事という仕事に就きたいと思ったら検察という組織に勤めるしかないという、仕事と組織がぴったりと一致をしているという組織だろうと思います。なかなか外から分からないところがある。  そういう意味でいうと、もし検察が変わるとすれば、これは検察方々自身が本気でやっぱりこの組織を変えなければいけない、いろいろ自分たちなりにも言い分はあるけれども、それでも改革をしなければいけないところがあるというふうに思ってくださるかどうかという、ここがもう検察改革されるかどうかの分かれ目だというふうに思っております。  その意味で、大阪に行かれたときに、当事者意識をちゃんと持ってくれているのかということを先生方がお一人お一人の現場の方に問いかけてくださったことが大変有り難いと思います。是非、この後もそうでございますが、周りからもちろん意見を聞いてということでございますけれども、最後はやはり、検察の中でこうしたい、こうしようという形で改革が行われるように先生方に見守っていただけたら、また、それを促していただけたらというふうに思います。  それから、検証結果についてでございます。  一つは、最高検の検証結果について私が一番不満だった点は、先ほども申し上げたように、きちんと取調べをした、適正な捜査が行われていたという検察の主張がある一方で、そうではない、不当な取調べがあったのでああいう調書ができたんだと、こう主張する方がたくさんいたわけです。そして、最後にああいう問題が起こったわけでございます。  調書のほとんどは裁判所に採択をされなかった、そういうときの検証で、検察の内部の方からだけ意見を聞くという姿勢そのものが、起こったことの問題点を本当に明らかにしようと思っていたのかどうかということを疑わせるものだというふうに思っております。都合の悪い事実が出てきたとしても、それを受け止めるという覚悟がなければ、その組織の見直しはできないんではないかというふうに思います。  それからもう一つは、私は、取調べを受けた検事さんがお二人おられて、それから、公判で何人もの検事さんが私の正面におられて公判の活動に携わられたわけでございます。それを見ていて、非常に優秀な検事さんも多いし、気持ちのいい方もいらっしゃった、立派な方もいらっしゃった。そういう人たちの組織でありながら、やはり組織上司のリーダーシップの下でたくさん事実と違う調書を作るということをやった。まさにこれは組織に問題があるわけでございますから、そこを是非解明をしていただきたかった。  ところが、最高検の検証では、事実と違う調書がたくさんできたことについては原因の究明は一切されない。裁判所が否定したんだから問題があったかもしれませんねという記述をしただけにとどまってしまいました。何を根拠に私が犯人であるというストーリーを立てたのか、また、そのストーリーに従って無理な取調べがなかったかというところの答えが報告書には一切なかった。これは大変残念に思っております。それをきちんと率直に見詰めていかない限りは、中から改善方策というものは出てこないんではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  16. 末松信介

    委員長末松信介君) ありがとうございます。  次に、ちょっともう一点、御質問をさせていただきます。  国家公務員の情報漏えいの問題というのは度々話題になっていますんですけれども、今回の事件でも検察官情報リークの可能性が、村木さんも指摘をされておられます。これは「私は泣かない、屈さない」、文芸春秋、二〇一〇年十月に発行されました中にも述べられているわけなんですけれども。  行政機関による守秘義務もひっくるめた、含めた国民への正しい情報提供システムがなければ社会の秩序は成り立たないと思うんですよ。そもそも国家公務員は、国家公務員法九十六条第一項にも、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務しなければならないと述べておられますから、国民への正しい情報提供というのは国家公務員の基本的義務と言えるんではないかと思っております。  そこで、この問題について事件被害者として村木さんの感想をお伺いしたいということと、もう一つは、一国家公務員として公務員の規律保持のために何をなすべきか、その対策についてお伺いをしたいわけです。  例えば、国家公務員法に国民に対する誠実な情報提供の義務というのを規定してはどうかとか、国家公務員だけを対象にした内部告発者保護制度を整備するとかいったような、そういうことも考えられるんではないかと思うんですけれども、御意見がありましたらお聞かせをいただきます。
  17. 村木厚子

    参考人村木厚子君) ありがとうございます。  リークに関してですが、後で私が逮捕される前の新聞記事を読み返してみますと、実は当時検察の中で取られていた調書とほとんど同じ、非常に正しい情報がリークをされている。取調べの中身でございますから、検事さんと取調べを受けた人しか分からない内容が正しく新聞に報道をされていたということがよく分かります。そういう意味では、私は、リークはないというふうに言い切られる、そこまで建前論で言われるのはさすがに問題があるのではないかと正直思っております。  ただ、マスコミにどれだけ行政が持っている情報を提供をしてマスコミに書いていただくかというのは大変公務員としては悩ましい問題ではあろうかというふうに思います。  ただ、検察の、あるいは警察の持っている情報というのは大変特殊な情報でございます。私のときも、新聞にそういうことが書かれたために、その後事情を聴取された人は新聞に書いてあることは事実だというふうな思い込みをして取調べに応じておられます。大変実害があったというふうに申し上げたいと思います。そういう意味では、公務員が情報提供をしていくルールというものはもう少し明確にすべきではないかというふうに考えます。委員長が言われたようなことを法律にするということも一つの非常に有効なやり方だと思います。  法律のレベルまで行くかどうかは別として、公務員全体あるいはそれぞれの組織の中で国民に対する情報提供というものについてきちんとルール化をするということと、そのルールをオープンにしておくということが大事なのではないかというふうに考えます。
  18. 末松信介

    委員長末松信介君) ありがとうございました。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。  川合孝典先生。
  19. 川合孝典

    川合孝典君 委員長、ありがとうございます。  村木さんには、お忙しい中わざわざ当委員会にお運びいただきまして、また、貴重なお話をお伺いさせていただきまして、ありがとうございました。  私、この問題が起こったときに、当時厚生労働委員でありまして、委員会の外まで報道が押し寄せてきて、その中で取り囲まれておられた村木さんの姿を非常によく覚えておりますし、その後、大阪の見学に行った拘置所で長きにわたってお一人で闘ってこられた、もうその心中察するに余りがある思いであります。私たちとしては、こうしたことが二度と繰り返されないようにするためにどうすればいいのかという、こういう視点からこれから取組を強めてまいりたい、このことをまず申し上げた上で質問させていただきたいと思います。  先ほどのお話の中にもありましたが、最高検の検証結果報告書、この内容を私も読ませていただきましたが、この中では、判断の誤りについては認めているものの、御指摘にあったとおり、なぜその誤った判断に至ったのかというプロセスが、この検証がなされていない、このことに対して私も大変強い違和感を覚えております。  その上で、その後どうするのかということについては、担当した検察官の個人的な資質によってこういう問題が引き起こされたという認識に立った上で、再発防止のための捜査方法取調べ方法の技術的な改善といったことが書かれているという、こういう流れになっているわけでありますけれども、私思いますに、個人的な資質によって生じた問題というのであれば、今後もいかに技術的に改善を行っても、資質に欠ける方がもし出てきた場合には同じ問題が繰り返される危険性をはらんでいるということをこの結果報告書が自ら示しているということを意味しているんだと私は実は考えております。私は、取調べのシステム自体を村木参考人おっしゃるように見直す、システム自体を見直すことでの再発防止策が不可欠であろう、このように思っている次第であります。  その上で、参考人にお伺いしたいのは、この再発防止策としていわゆる可視化というものが議論されております。私、この可視化の中身について検証結果報告書を拝見しましたところ、「特捜部が担当する身柄事件における取調べの録音・録画」、こういう書き方がされておりまして、これを可視化と言っているんでしょうが、よくよく調べてみますと、これは検察官が録音、録画を相当と認める部分を選択して録画すると、こういう何か意図であるというふうに指摘がなされております。恣意的に一部のみを録画できるということになりますと、要は、誤った供述調書証拠能力を誤った録画資料でもって強めてしまうという、むしろ冤罪防止どころかそれに逆行するのではないかという私は印象を持ちましたが、この点について参考人はどのようにお感じになられますでしょうか。
  20. 村木厚子

    参考人村木厚子君) 先生の御指摘のとおりで、私は一部の録画とか録音ということに関しては非常に疑問に思っております。  今回の事件の中で大変印象に残ったものに元係長さんの被疑者ノートというのがありまして、四十日間の取調べ状況が克明に書かれているわけでございますが、ある時点からその係長さんは、検事さんがもう自分の言うことを聞いてくれないのでもう諦めたという瞬間が訪れるわけですね。そこから後はもうなかなか、何度かは抵抗しようとするんですが、後はもう早く出るために言うことを聞いてしまおうと、こういうふうになっている状況が大変よく分かります。  そういう意味でいうと、もうそういう状況になった後のものを幾ら録画をしても録音をしても、真実、適正な取調べが行われたかどうかというのは分からないんだと思います。  それから、今回余りにも事実と違う調書が多かったものですから、じゃ、この言葉は最初一体誰の口から発せられたものなのかというのが私の一番知りたいことでございました。真実でないのに何人もが全く同じ、例えば私が指示をしたせりふが、そのまま同じせりふが何人かの調書に出てくるわけですね。そうすると、一体これは誰が教えたのかと、まあありていに言えば誰が最初にこう言ったのかという、そういうことが分からないと幾らでもまた事実と違う調書が出てくる、冤罪ができるということでございますので、やはり全ての過程を是非録画、録音していただきたいというふうに思います。
  21. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。聞いていると怒りが込み上げてくるというか、本当に憤りを感じる話だと私も思います。  もう一点だけ質問させていただきますが、村木参考人には実際に検察取調べというものを御経験なされたわけでありまして、その御経験なされた立場から、冤罪を防止するためにこの取調べのプロセスの中で一番守られなければいけないものは何だと、どういうシステムを整備しなければいけないとお感じでしょうか。これだけお教えください。
  22. 村木厚子

    参考人村木厚子君) 大変難しい質問ですが、なぜ取調べが間違った方向に行ってしまうかということの一つに、やはり情報を遮断をされる、それから間違った情報を真実であるかのように与えられるということがあると思います。それがなければ非常に素直に自分の記憶に基づいてしゃべる、それを基に捜査公判が行われれば冤罪というのは相当減るというふうに思います。  ですから、誘導をされたり脅されたりせずにきちんとしゃべれる環境をいかにつくるかということだろうと思います。その手段の一つが録画、録音であり、あるいはさっき申し上げたような、弁護人により力を貸していただくとか、そういった方法ではないかというふうに考えております。
  23. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。  私もそのように思いまして、慣れていない人間が取調べを受けるという、もうこのこと自体が異常なシチュエーションに置かれているわけでありまして、冷静、客観的な立場で物事を判断できる方がやはりそばにおられて常にチェックできる形というものをやはり何らかの形で担保しなければいけない、私も思っております。そういう今の村木さんの思いも踏まえて、これから活動してまいりたいと思います。  貴重な御意見、ありがとうございました。終わります。
  24. 末松信介

    委員長末松信介君) 岸信夫委員
  25. 岸信夫

    ○岸信夫君 本日は、村木参考人は本当に忙しい中にこの委員会に勇気を持って御出席をいただきまして、先ほど貴重な御意見をいただきました。本当に心より感謝をしたいと思っております。  先ほどのお話を聞いておりましても、また村木さんの様々なこれまでの書かれた文献等読みましても、取調べ中の厳しさというものがひしひしと伝わってくるわけでございます。私も大阪拘置所視察に参りましたけれども、大変これは入っている方々にとっては本当にただでさえ厳しい中で、さらに外と遮断をされて情報が限られた中で一方的な取調べを受ける、こういうことでございます。しかも、それが毎日長時間にわたるということですから、相当な強さを持って当たらないと、それでも負けてしまうというような状況なんだろうと思います。  その中でこの可視化という問題が出ているんだと思います。先ほどお話がございましたビデオの件、そして弁護士の立会いということなんですけれども、確かにさっきおっしゃられた弁護人を付ける場合の時間的な制約の部分というのはあるかもしれませんけれども、村木参考人としては、この両方が被疑者にとって権利を持っているというふうな方がよいというふうにお考えでしょうか。
  26. 村木厚子

    参考人村木厚子君) 録画、録音の話とそれから弁護人の立会いの話というのは両方必要なんではないかというふうに私は思っております。  録画、録音というのは、やっぱりプロセスの明確化ということだろうと思います。それから、弁護人の立会いというのは、やはり自分が持っている権利がどういうものであるかとか、あるいは自分自身の記憶を呼び戻すとか冷静になって考えるとかということは、検事さん、自分を、まあ言葉は悪いですけれども、有罪にしようと思っている人からだけの問いかけではなかなか頭を整理できない部分があって、それを弁護士さんとお話をすれば整理ができるというふうに思います。  特に、先ほど調書サインをするときはというふうに申し上げましたが、実際に私の場合は、結局、夜十時とか十一時まで取調べがある、そうすると、もう拘置所は就寝時間になっていますから、その日取調べがあったことというのを、記録をその日のうちに付けたりということはできなかったりするんですね。記憶をたどりながら、明くる日の朝三十分とか一時間とか弁護士さんと相談をして、また午後からの取調べは一人で検事さんに立ち向かうと、こういうことになるわけで、大変やはり心細い思いをしましたし、調書サインをするときのプレッシャーというのは大変大きかったんですね。本当は、調書を見せて、この調書サインしていいんだろうか、どうなんだろうかということを本当に弁護士さんに相談をしたいというふうに思いました。  そういう意味では、是非弁護人の立会いも許可をしていただきたいし、録画、録音も併せてやっていただきたいというふうに思っております。
  27. 岸信夫

    ○岸信夫君 ありがとうございます。  先ほど村木さんのお話の中で、検事の言葉として、検事の仕事というのはあなたの供述を変えさせることだと、変えることだと、こういうお話があったということなんですけれども、もちろんこれには大きな問題があると思います。当然ながら調書というのは真実に基づいたものでなければいけませんし、本来、彼らの仕事というのはその真実を導き出すことであるべきなんだと思います。そして、その上で公正な裁判につなげていくということだというふうに思っておるわけです。  一つお話を聞いていまして感じたのは、取調べのときに真実を求められる、さらに同じように裁判でもまた真実を求められる、当然そういうことになってくるのかもしれませんけれども、結局そのことが言わば二重の負担になってしまっているようにも思いますし、更に言えば、取調べ中の調書が無理に改ざんされたものであれば、裁判ではそれを被疑者の人は覆すことになる。結局、その取調べ自体の意味がなくなってしまうわけですね。そういった今の検察在り方、そして裁判の持ち方についても大変私は疑問に思っているわけです。そういったことについて御感想があればと思います。  もう一つ、これに関連してなんですけれども、取調べの担当の検事と裁判を担当する検事が違うということですね。このことが、彼らは、さっき言った供述を変えさせること、当然、村木さんのケースではなくて、例えば本当に罪を犯した人が事実を隠している場合、これは結果的にはその人の供述を変えさせることが彼らの仕事になるのかもしれませんけれども、この供述を変えさせるということ自体が目的となってしまっている。それが裁判にどうなるかということを考えずに、言わば取調べの担当の検事はそこに目的意識を持ってしまっているんではないかというようなことも感じるわけです。  そうしたことについて参考人の御意見をいただきたいんですけれども、同じ点で法務省の方に、取調べの今の検事の分担といいますか、取調べ検事、そして裁判の検事というような形で分けている形というのが本当にいいのかどうか、そうしたことについて御意見をもらえればと思います。
  28. 末松信介

    委員長末松信介君) じゃ、村木さんの方から。
  29. 村木厚子

    参考人村木厚子君) 検事が言われた私の仕事はあなたの供述を変えさせることですというせりふですが、先生もおっしゃられたように、本当に私がもし罪を犯していれば、まさにそれは正しい検事さんの姿勢なんだろうと思うんですね。そういう意味では、私を取り調べる、あるいは私を逮捕するか起訴をするかという、その判断をするベースのものがしっかりしているかどうかということだろうと思うんです。それをきちんとせずに、調書で私が認めてしまえば有罪にできるというような仕組みがあると、必ず検事さんは無理な調書を取るという誘惑に負けてしまうんだろうと思います。  その意味では、やはり裁判が本来の土俵でございますし、審判の場ですから、その前の取調べのところについてはきちんと事実に基づいて、客観的な証拠もきちんと大事にして取調べをするということをやっていただくということだろうと思います。それができていれば、裁判で調書を翻して水掛け論になるというようなことはないんではないか。そういう意味で、今のやはり調書中心とした仕組みを改めないとその問題は解決ができないのではないかなというふうに思います。  それから、取調べ公判検事さんが別々だということがいいかどうか。これは、私はこういう問題の全くプロではありませんのでそこはよく分かりませんが、もし担当者が違うことで新たな視点が入るとか、前の人が思い込んだり間違ったことがチェックができるということであれば意味があるのかなというふうに思います。
  30. 江田五月

    ○国務大臣(江田五月君) 御質問の捜査公判とが別の検察官によって担当されているということの是非でございますが、今、村木さんの方からもお話ございましたが、違う視点で一つ事件について向き合うということで、捜査をする者は、もちろん検察官は、有罪にするためにというよりも、それもありますが、同時に社会正義のため、真実のため、中立的な公共、公益の代表者として行動するのは捜査官の場合でも同じでございますから、そこは忘れちゃいけませんが、しかし、捜査をする方はやはり捜査という方法で真実に迫っていく、公判担当する者は弁護人と向き合って裁判官の心証を適正に判断してもらうためにいろんな訴訟活動を行うということで、おのずから立場が違いますから、そこは別の人間がやる方がチェックがよく利くという、そういうシステムになっていると思っております。  ただ、一つ問題なのは、捜査のときにどうしても検面調書検察官の面前調書にしておきたいという思いが強く、公判のときにその面前調書にどうしても頼って公判活動をやるということになっているとすれば、それはやはり双方にとって問題があるということで、その辺りの改革はしていかなきゃいけないことだと思っております。
  31. 末松信介

  32. 谷合正明

    谷合正明君 公明党の谷合正明です。  村木参考人におかれましては、本日、本当にありがとうございます。また、お疲れさまでございます。  私の方から、調書の問題と、また検察という組織の問題について、二点伺わさせていただきます。  まず、調書につきましては、本当に事実と異なる大量の調書が出たという話と、そして、一般的にはその事実と違う調書サインをしなければいいじゃないかと思われるに違いないというふうに参考人が言われましたけれども、まさに私なんかもそんなふうに思っていた節もあるんですけれども、今日のやり取りを聞くと、本当に根が深い問題だなと、単純な問題ではないなと改めて再認識させられました。  参考人の方からも言及がありましたが、最高検の調査で、全国検事のうち約二六%が実際の供述と異なる調書を作るよう指示された経験があると。指示されるまでもなく自分が自発的にストーリーを作るというケースも間々あるんだろうと推測されるわけでございまして、言ったとおりのことを調書に書いてもらえるかというと、ほとんどそれはむしろまれと思った方がいいのではないかなと思っている次第です。  そこで、調書だけに頼る捜査はこれは駄目だということは分かりつつも、この調書在り方について、調書作成在り方につきましては取調べの全面可視化だと。録音してテープを起こして、それをそのまま調書にするぐらいにしないと駄目なんじゃないかなというふうに極端に私は思うわけでありますが、まずその調書作成についての在り方について、改めて参考人のお考えを伺いたいと思います。
  33. 村木厚子

    参考人村木厚子君) 冒頭いかようにも作れるという実感を持ったというふうに申し上げたとおり、やはり取調べという検事さんの土俵の中で、なかなか自分の言ったことを調書に書いていただくというのは大変難しいというふうに思います。  今回のように厚生労働省で十年、二十年勤めた職員、社会的なトレーニングができている職員でも、後で考えてみると全く事実と違う調書サインをしてしまっているということを考えると、本当にやはり調書は大変怖いものだと思いますし、それから先ほど法務大臣が言ってくださいましたが、今の日本の司法制度の中ではその調書というのが大変裁判でも重視をされてしまう。特信性という、法律の条文だけ読むと例外的に書いてあることが、実はそっちが原則であるかのような実態があるという中で調書が抱えている問題点に向き合わない限り、このタイプの冤罪というのはなくならないというふうに思っております。  その意味で、私も冒頭申し上げたように、やはり仕組み全体を改めてほしいというのが私の願いでございますが、そうでないとしたら、調書を使うとすれば、やはりそれが適正なものであるという証明をする責任検察にきちんと負っていただきたいということでございます。その意味で全面的に録画、録音しておいていただきたい。御本人が私が言ったとおり書いてくれましたということを認めておられるんだったら、調書そのまま採用されても問題がないわけですから、争いがあったときには必ずそれが適正に取られたものだという証明を誰かがしなければいけない。それは検察が負うべきだというふうに考えております。
  34. 谷合正明

    谷合正明君 もう一つの質問が組織在り方でありまして、最後参考人から検察庁は極めて閉鎖的な組織だという御指摘がございました。私も昨年の秋の臨時国会のこの行政監視委員会でこの組織在り方について質問をさせていただきました。  主に二つありまして、一つは、この国会に検察の方にお越しいただいて、組織在り方行政組織人事在り方について説明していただくべきではないかという点と、もう一つ人事在り方ですね、キャリアシステム、まさに検事の方しか検察庁にはいないというようなこの人事在り方、この点について指摘をさせていただきました。  改めて、参考人厚生労働省とか内閣府等で勤められているわけでありますけれども、検察のどういうところに閉鎖的あるいは特殊な組織と考えているのか、その特殊性を変えていくために、特に検察国民に対して説明責任を十分果たせるような組織にしていくためには何が必要なのかというところを、最後、お聞かせいただければと思います。
  35. 村木厚子

    参考人村木厚子君) 私が検察が非常に閉鎖的だなと思うのは、私ども厚生労働省とか内閣府におりますと、必ずそのトップは大臣、副大臣、政務官がおられて、その方々と御相談をして方針を決めるということを頻繁にやるわけですね。必ず、要するに役人以外の方が組織の一番上におられて、その方々議論をしながら決める。それから、地方自治体とか民間企業からたくさん出向、人事交流のような形で外部の方が来ておられる。もうそれだけでも全くそのやはり役所の空気も変わりますし、必ずチェックが働く。役人的な発想だけでは駄目だということを知らされるわけですね。  検察の場合は、余りに政治と近いときっと問題が起こるような特殊なお仕事でしょうし、それから、たくさんの外の方が組織の中に入ってこられるという仕組みが元々ありませんので、相当意識的に外部の方と一緒に仕事をする仕組みをつくらないとうまくいかない。それは、公務員になれば守秘義務が掛かるわけでございますので、いろんな職種、人材を中に取り込むこともできますし、あるいはほかの省庁でやっているような政策評価だとか、そういった形で外の目を入れるということもあろうかと思います。  それから、まさに先生がおっしゃられたように、国民に対する説明責任ということが少し軽視をされやすい組織だと思います。というのは、扱っている中身をしょっちゅうオープンにして国民説明をすることができないというのはそのとおりですが、そういう仕事の特殊性があるために、先生さっきおっしゃられたような組織だとかの在り方だとか人事だとか、これについて説明責任があって説明をするというのはほかの役所と全く同じわけですから、そういうことまで閉鎖的になって、しゃべれませんということはないはずでございます。  そういうところでは、やっぱり守るべき秘密の部分と、それからきちんと説明責任を果たしていく部分を仕分をして、国会あるいは国民に対する説明責任、透明性というのをもっと強化をするということと、きちんと公務員としての守秘義務を掛けながら外の人たちを組織の中に取り込んでいくというようなことが非常に大事になるんではないかというふうに考えます。
  36. 末松信介

  37. 寺田典城

    寺田典城君 済みません、みんなの党の寺田典城でございます。よろしくお願いします。  村木さんには、本当にこの事件で、この御労苦に対しまして心より謝意を申しますとともに、村木さんにとっての心労というのはあり余るものがあると思います。  それで、この事件の結果、検察の現状というんですか、在り方が問われてきているわけです。その中で、私、村木参考人が五つぐらいの改善案をお示しになったんですが、その中に最後の方に、大坪前特捜部長が私は一片の私心もなく検察に尽くしてきたと、これはいかに公益でないというか、目が検察の方を向いて国民を向いていないということを言い表した言葉でございますけれども。  その中で私は、検察というのは、御承知のとおり、起訴便宜主義というんですか、裁量権を持っているわけでして、それこそ大島さんが先ほど、検事正からは、検察には捜査、勾留、起訴という強い権限が与えられているが、これは国民信頼の下に委ねられたものであり、検察の原点に立ち返って公正な権限行使に努め、国民信頼を回復していきたいという旨の、こういう答えがありました、確かにそのとおりだと。検察在り方検討会議もあるわけなんですが、まだ国民に対してはっきりした方向性がなされていないというのが、私はそれを非常に疑問視をしております。  一つの極端な例なんですが、例えば飛行機のパイロットなんかは、何というんですか、半年とか一年に心身の状態チェックを受けるというか、相当規定が厳しい生活の中で暮らしているわけなんです。検察も、要するに、人を起訴できる、拘束できるという、そういう国家権力の発動を最大限、そういうものを、権力を持っている方々ですから、ある面では、まあ検察は一体の原則で、何というんですか、チームもそのとおりなんでしょうけれども、弁護士さんとかが検察になるとか、裁判官がなるとか、いろんな議論も出ているんですが、検察官を例えば一年に一回とか、いろんな何人かの方々がそれを、何というんですか、定期的に検察官であっていいのかないのかも含めて、技量から考え方から含めてチェックできるような考えを持ったらいかがなものか。そういう点について、村木参考人と法務大臣にお聞きしたいんですが。私の聞き方がちょっとまずい表現かも分かりませんが。  一つはパイロットの、ジェットパイロットとか何かの旅客会社のそういう形のというか、そういうチェックですね、監査的なチェックというんですか、そういうことは国民信頼を得るために必要じゃないのかなと、そう思います。これは、検察国民信頼を得ることが一番私たちにとっては国民生活に大事だと思いますので、検察が今信頼回復できる、一番ある面ではいいチャンスじゃないのかなと。ですから、自分たちが身を切るべきだと思っていますので。
  38. 村木厚子

    参考人村木厚子君) 検事さんというのは大変大きなやっぱり権力を持っていらっしゃるお仕事ですから、その適格性というのは厳しく問われるべきだというのはそのとおりだと思います。不勉強ですが、適格審査会もあるというふうに聞いておりますし、学校の先生なんかもその適格性を見ていく仕組みがあるので、そういったものがうまく機能をするということは大変大事だろうと思います。  それから、少しその適格性とは違うかもしれませんけれども、私は労働基準行政にいた経験がございまして、労働基準監督官というのは司法権限も持っております。そこで監察の業務なども見習的にですがやらせていただいて、やはり実際の仕事がきちんと行われているかどうかをベテランの監督官がずっと定期的にチェックを入れていくというような仕組みがございました。  検察官に向いていないとかあるいは非常に問題の検察官であるというようなことのチェックだけではなくて、きちんとやはりキャリアを積まないといい検察官にはなれないという類いのお仕事だと思いますので、そういったものを組織として見ていってあげる仕組みがあると非常にいいのではないかなというふうに思っております。
  39. 江田五月

    ○国務大臣(江田五月君) 今回の事件検察信頼が地に落ちたと、これは検察にとってももちろん不幸なことですが、検察というものを信頼できない国民にとっても大変不幸なことで、しかし、いや、本当に村木さんには大変な御苦労を掛けてしまって、検察責任を負う法務大臣としてこれは申し訳なく、本当に申し訳なく思っております。  ただ、こんなことを言うとおかしいですが、村木さんには大変失礼ですが、村木さんがこうして問題点指摘をし、しかも的確な指摘でいろんなことを世に問うてくださっているというのは大変私は貴重なことだと思っておりまして、是非この機会に、これは単に一検察官あるいは一事件のことではなくて、検察信頼を取り戻すために全力を挙げなきゃならぬと思っております。  その上で、今、村木さんも言ってくれましたが、やはり検察官というのはいろんなキャリアを重ねながら次第に技量を高めていくということがございまして、そこのところはよく検察在り方を理解をしながら、しかし、検察在り方検討会議における提言もありました。縦のチェック、横のチェック、あるいは監察システム、人事教育、あるいは倫理についての基本規程をみんなで一緒に考えながら作れというようなこと、そうしたことを含めて、検察の一人一人の検察官が本当に国民の負託を受けて検察権を行使をする人間へと育っていく、そういうシステムをしっかりつくり上げていきたいと思います。  パイロットの場合に、これは私も思い出すんですが、機長、何をするんですかという、羽田空港に着陸をする寸前にぎゅっと機首を下げた機長がいて、後で見るとやはり、たしか心身、特に精神の方に問題を抱えていたというようなことがありました。  検察官もそうしたことが必要と思われるのは本当に残念でございますが、しかし、人事在り方や今のチェックの在り方、あるいは同僚からのいろんな評価、これがちゃんと上部に上がっていくようなシステム、そうしたことを通じて、そういう問題の検察官が人の身柄を拘束し、捜査をするというようなことのないように努めていきたいと思っております。
  40. 寺田典城

    寺田典城君 御承知のとおり、裁判というのは三審制度であるんです。例えば、逮捕、勾留というのは、その人の人生、あと終わっちゃうんですね。村木さんの場合はこういう形でなって、本当に真実が出てきたということなんです。  裁判官も弾劾裁判でもあるんでしょうけど、私は、ですから具体的に二年間なら二年間に適格な、審査会というのはどこでも大抵のものはあります。だけれども、これだけの権限持っているんだったら、二年なら二年に一回とか、本当に第三者的に適格を具体的に審査して物を進めていくというのはいかがなものかというのは、西川局長にお聞きします。
  41. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 御指摘はよく分かるんですが、一つ検察官の場合にはある程度の資格を持った者から任命をされていて、それでその上で役所の中で、先ほど村木さんと大臣がおっしゃられたキャリアシステム、研修等を踏みながら一歩ずつ歩んでいくということでございます。  そこから非常に大きな逸脱があったらどうなるかということになりますと、一つはもちろん懲戒等の問題になりますし、現にこの事件でも相当の懲戒の数が出ておりますけれども、それともう一つ検察適格審査会という制度、これが要は検察官の身分保障と、それから、しかしそれでも排除しなければならない検察官は排除しなければならないシステムと、こういうことででき上がっているということで、一応システムとしては現在あるのであろうというふうに思っております。  ただ、今問題になっているのは、むしろ検察官人事であるとか教育をどうするかという、こちらの方が問題になっているというふうに思っております。検察官というのは二面性がございまして、一つ捜査官であり、かつ公訴官であると。それからもう一つは、公益の代表者であり、かつ訴訟当事者であると。これについてどういうスタンスなのかをきちんと決めなければならないのじゃないかと。  先ほど村木さんから、倫理規程と、あるいは基本規程とかそういう言葉を使われていますが、これをきちんと決めてやって、全ての検察官がそれを暗唱できるぐらいに頭にたたき込むと、こういう教育が一方では必要でしょうし、常に、捜査官ではあるけれども常に公訴官という冷静な目を忘れてはいけない、それから、訴訟の当事者ではあるわけですけれども常に公益の代表者として公正さを目指さなければならないと、こういう教育をずっと重ねていく必要があるというふうに思っております。
  42. 寺田典城

    寺田典城君 最後です。  「検察の再生に向けて」ということで、これ、こういうのはみんな出ています。ですから、私が聞くのは、資格があるから間違いを起こすんですよ。資格がなければ間違いを起こさないですよ、それは。そういう仕事に就いていけないんだから。大臣、どう思いますか。
  43. 江田五月

    ○国務大臣(江田五月君) もちろん、資格がなければこの検察官という職務に就任することはできないわけですから、で、その検察官が間違いを犯すということは、資格があっても間違いを起こすということでありますが、しかし私は、資格があるから間違いを起こすと言われると考え込んでしまいます。資格がある、しかしその資格に安住することなく、組織もあるいは個人も、常にその資格を持って仕事をすることについて自重自戒に努めると。これは当然必要なことでございます。  二年ごとに心身の健全性をチェックをすることを検察官に求めよという御指摘ですよね。これは十分に考えてみたいとは思いますが、じゃ裁判官はどうするのか。裁判官の場合には三審制だからいいとばかりは言えないと思っております。
  44. 寺田典城

    寺田典城君 じゃ、時間でしょうから、済みません、どうもありがとうございました。
  45. 末松信介

  46. 山下芳生

    山下芳生君 村木参考人の闘いに心から敬意を表したいと思います。同時に、もし村木参考人検察の不当な見立てに屈していたらと思うとぞっとする思いでありまして、恐ろしさをいろいろ文章を読んで感じました。政治家として、このようなことは二度とあってはならない、防止のために責任を果たさなければならないと思っております。  まず、検察在り方検討会議で村木参考人は、大阪地検から事情を聴きたいということで伺ったらその日に逮捕されました、逮捕前の取調べというのは非常にあっさりしたものでございました、どれも全て否定したら逮捕されたという状況で非常に不思議な感じがしましたと述べておられます。  事情聴取即逮捕ということになったわけですが、その逮捕の際に、例えば弁護士を付けることができるとか黙秘権を行使できるなど、国民が有する権利が十分に説明されたのか、また保障されたのか。これはいかがでしょうか。
  47. 村木厚子

    参考人村木厚子君) 私が持っている権限についての説明はあったというふうに思います。ただ、例えば、弁護人に自分から連絡を取りたいとか、それから家族に、特に私は子供を一人だけ家に残して大阪に来ておりましたので、家族に連絡を取りたいとかいうことを申し上げたときには、全部それはこちらからしますというふうに言われて、じゃ、いつ弁護人に連絡をしてくださるのか、いつ家族に連絡をしてくださるのか、弁護人が知らないままでいろいろなことがまだ進むのではないかというような不安は非常に感じたということは記憶に残っております。
  48. 山下芳生

    山下芳生君 取調べの中で、先ほど参考人に対しては暴力だとか脅迫などはなかったということでしたが、検察による例えば人権侵害的な行為であるとか屈辱的な行為など、気になる点はありませんでしたでしょうか。
  49. 村木厚子

    参考人村木厚子君) 多少大きな声は出されましたけれども、暴力的なことはございませんでした。  ただ、私が非常に気になったのは、一つは、取調べに当たられた検事さん二人ともが、執行猶予が付けば大したことではないではないですかとおっしゃられた。これは私の価値観とは全く違うものでしたので、例えば偽の証明書を作るというようなことを公務員がやるということ、それを認めるということが、刑務所へさえ入らなければ大したことではないというこの感覚がどうしても理解ができませんでした。そういう意味では、検事さんたちの中にある種の職業病的に世の中の普通の方との感覚のずれがあるんではないかというふうに感じて、それは非常に心配になりました。  それからもう一つは、お二人の検事さんのうちのお一人だけでしたが、真実というのは分からないんだと、分からないからたくさんの人が言ったことのうちで一番重なりが大きいところを真実とするしかないんだというふうに言われました。ですから、ちょうど私は大阪拘置所におりましたので和歌山のカレー事件の犯人とされる方もそこにおられたんですが、あの人だって本当にやったのかどうか分かりませんよというふうに言われた。でも、逮捕され起訴をされているわけですね。そういう感覚というのは非常に恐ろしい、そういう感覚で検事さんがおられるということは非常に恐ろしいことだと思いました。これは全員がとは思いたくありませんが、そういう検事さんがいらっしゃったということは大変恐怖でした。
  50. 山下芳生

    山下芳生君 最高検の検討結果報告書について、村木参考人は、多数の検事により事実と異なる一定のストーリーに沿った調書が大量に作成された過程そのものは検証されませんでしたとコメントされ、先ほども、何を根拠に私が犯人だというストーリーを立てたのか一切触れていないという御批判をされておりました。  そこで、二点質問したいと思います。一つは、参考人は、どうして御自身が犯人にされようとしたと今お考えなのか。二つ目は、このような不当な見立てを根絶するために何が必要だとお考えか。この二点、お願いしたいと思います。
  51. 村木厚子

    参考人村木厚子君) 本当になぜ疑われたかを知りたいというのがもう保釈された後ぐらいから私の非常に大きな願いでしたけれども、いまだによく分かりません。  ただ、あるとすれば、文書の名義人は私でございますので、それが一つあるんだろうと。それから、もしかしたら、これは想像もありますが、団体の側は最初、団体が偽物の証明書を作ったという疑いを掛けられておりましたので、ちゃんと正しい人からもらったんだと、権限を持っている人からもらったんだということを言われた。つまり、名義人は私でございますから、私からもらったんだというようなことを言われた可能性はあるんだろうと思います。ただ、そのほかについては何もなかなか思い当たるところがないということでございます。  じゃ、仮にそういったことがあって村木さんかもしれないと思ったとしても、そこから後をどうすべきかということですが、今回の事件に関しては客観的にいろんな証拠が残っていたわけでございまして、それをきちんと丁寧に見るということと、それから冷静に判断をするという本当に基本的なことが行われていれば起こりようがなかった間違いのように私としては受け止めております。  ですから、何か特別な思惑とかバイアスが掛からずにきちんと捜査をすれば起こらなかった問題ではないんだろうかというのが私の印象でございます。
  52. 山下芳生

    山下芳生君 終わります。     ─────────────
  53. 末松信介

    委員長末松信介君) 質疑の途中でございますが、委員異動について御報告申し上げます。  本日、行田邦子君が委員辞任され、その補欠として武内則男君が選任されました。     ─────────────
  54. 末松信介

  55. 中山恭子

    中山恭子君 たちあがれ日本・新党改革中山でございます。  村木さん、本当に大変だっただろうと思います。ただ、その後の動きでこの経験をプラスにしていらっしゃる。さすがだなと思っております。  私自身、もう十数年前になりますが、この検察の筋書ありきの調書という、この調書の取り方については非常に強い不信感を抱いておりました。いずれどこかでこの問題というのを取り上げなければいけないと思っていましたが、力不足で、ただ時間が過ぎてしまいました。村木さんのおっしゃっていることというのは実感として、本当に小さい実感ですけれども、私自身よく理解しているつもりでございます。  おっしゃっている、どこでこの筋書が作られたんだろうか、本当にいつもそういう思いが頭の中にございます。どうしてそういう筋書が作られてしまうのか、場合によってはどのクラスの人がこの筋書を作るのか、私自身もいつも疑問に思っておりますし、その筋書どおりの話以外は全て受け付けられていない、これが徹底して、筋書どおりのことしか使われない、この恐ろしさというのは私も実感しておりまして、これを覆すというのがいかに大変なことかという思いがございます。  調書サインをする、供述者の方がサインをする、これ、どうしてそれをサインをしなきゃいけないんだろうかと思っておりました。検察官の中には本当にすばらしい方がいらっしゃいます。ですから、全ての検察官がおかしいということは思っておりません、尊敬している方がたくさんいます。でも、検察の中でこの筋書が作られて、特に特捜部系はそうなのかもしれません。新しい証拠が挙がってきたときに、それを使わないで当初作られた筋書そのままで動いていくというこの恐ろしさというものがあって、一体何なんだろうと思っていたんです。  この調書っておかしいじゃないかということを議論しましたときに、いや、あの調書検察の調べたことを書いているものなんだと、検察調書なんですよということを言われまして、じゃ供述者がサインする必要はありませんよねというようなことを非常に怒りとともに伝えたことがございましたが、それを何人かの方に確認しましたら、やはり検察側が聞き取って検察がそう考えたというのがあの調書なんだと、そういう取扱いですというふうにおっしゃる方が、検察官の中、私が質問した全ての方がそうおっしゃっていました。ところが、裁判所とか、それ、外に出たときには供述者がサインしていますということになってしまっていまして、この違和感というのは非常に強くございます。  であれば、調書、供述調書は供述者は今後もうサインはしないということをどこかで決めてもらえたらいいので、これは別に法律じゃなくても決められるのではないかと思っております。それができないのであれば、検察調書と別に弁護人の調書というものをしっかりと作るという必要があるのではないかとずっと考えてきておりますが、これはどなたに質問していいのやら、村木さんに質問しても答えが出てこないかもしれませんが、いわゆる調書については重きを置かないという方針をしっかり出していただきたいと思っているんですが、いかがでしょうか。
  56. 村木厚子

    参考人村木厚子君) 制度論とか政策的なことはきっと大臣がお答えくださると思いますので、私の方からは、やはり調書というのは検事さんの調書だなというのは、私も先生と全く同じ実感でございます。  今、検察官の方がモラル高く、悪いことをしないようにするためにというようないろんな議論があって、それは検察内部でしっかりやっていただきたいんですけれども、それを抑制をする一番大きな力は弁護側であり、裁判所であり、そこに、今先生は弁護人の調書ということをおっしゃられましたけれども、調書という形かどうかは別として、証拠の開示のお話とかいろんなことも含めて、やはり検察官が絶大な大きな力を持っているのとバランスを取って、是非弁護側にもきちんといろんなものが与えられるという仕組み、それからそれを公正に裁判所が判断できる仕組みをつくっていただきたいなというふうに思いました。弁護人の調書というのは、そういう意味で非常に象徴的な言葉だというふうに受け止めました。
  57. 中山恭子

    中山恭子君 お答えいただけたら有り難いです。済みません。
  58. 江田五月

    ○国務大臣(江田五月君) 調書とは何ぞやという話で、これは今の中山委員の御指摘はずばりと胸に刺さるものがあると思っております。供述者が供述したいことを調書にするというようなことはまずなくて、調べ官の方が、自分がここは重要、これが証拠だと、こういう認識を得たものを調書にするというプロセスであるというのは、本当にそのとおりだと思います。  ただ、それもある意味やむを得ないところがあって、というのは、調書は何としてもこれは証拠として残していくわけですから、どうしてもそういうふうになってしまっている。そこにこの調書公判における重みというものが今余りにも重過ぎるのではないかということが問題になってくるのだと思っております。  これは、新しい刑事司法の在り方全体をこれから変えていきたいと私、今思っているところなので、かなり時間は掛かっていくかと思いますが、そういう場をつくっていろいろ議論していきたいと思います。  それと、調書の署名押印、署名指印、これを拒否することはこれはできるわけです。できるわけですが、現実には非常に、そんなことできる人だったらそれは苦労はないといいますか、村木さんでもやっぱり調書に署名押印、指印しなきゃいけないという気持ちに多分なられたんだろうと思います。そこは人間で、そこの拒否できるんだということはちゃんとこれは調べ官の方がそのことをきっちり調べのときに担保をしていかなきゃいけないことだと思います。  そして、弁護人の調書という話ですが、残念ながら、弁護人の調書検察官調書に与えられたような特別の証拠能力あるいは証明力というものがございませんので、これは弁護人の調書でも被告人に不利なことを書いた書面というのはこれまた別個証拠能力というのを持ってくるように、たしか、と思いますけれども、弁護人が調書を作るより、弁護人としては公判廷で、被告人証拠判定における供述で立証していくことの方がはるかにこの証明力は高いので、そっちの方に行くんではないかと思います。間違っているかもしれませんが、私の法律的理解はそんなものです。
  59. 中山恭子

    中山恭子君 ありがとうございます。  検察は供述人を調べられる、多分、一対二くらいの形で取り調べられるんだと思うんですけど、そこに例えばもう二人弁護人を傍聴させるとか、何らかの形が必要ではないだろうかと。二対一で取り調べられるのではなくて、もうこっち側に弁護人の方が入って、相談できるかどうかは別にして、供述を聞くというような、そこで調書を作るというようなことがあってもいいのかもしれないなどと思っています。ただ、これはできないことかも、非常に問題があるのかもしれませんが、そういったことも検討していただけたら有り難いと思っていますし、始まる前に筋書ありきというこの形だけは何としても消してもらいたい。新しい証拠が出たらそれに基づいて、また新しい供述があったらそれに基づいた形の、その都度その都度の判断をしていくという形を取る訓練を検察官方々にしていただきたいという思いがあります。  もちろん、本当に犯罪を犯した人というのがいるはずでございますから、それに対して対応しなければいけないというのはもちろんのことでございますから、そこはしっかりしていただく中で、そうじゃない人を取り締まることだってあるということをしっかり認識した上で動いていただきたいと思います。  それともう一つ大阪のときにもお聞きしたんですが、検察官の方の研修というのが、何というんでしょうね、象牙の塔じゃなくて鉛の塔の中で皆さん育てられているような印象がございました。もちろん優れた方で、多くのいろんなところを経験して非常に優れた検察官もいらっしゃるんですが、検察官がほかの仕事場に入る、出向するということだってあってもいいように思いますし、まずは若いときに海外を経験させてほしい、二年くらい留学させてほしいと、いろんなことがあって、いろんな社会があるということを知った上で、幅広い人格をつくった上で調べをしていただきたいと思っております。  何かもし、そういった考えがありますので、それについて御意見等あったらお聞かせいただきたいと思います。
  60. 江田五月

    ○国務大臣(江田五月君) 中山委員から貴重な御提言をいただいたと思っております。  検察在り方検討会議の提言でもそのような研修の在り方などいろんな提言がございまして、特に検察の調べによって被害を受けた人からもやはり真摯に研修などのときに聞くべしだというような、そういう提言もございます。他職経験のことも含めてこれから検討してまいります。
  61. 中山恭子

    中山恭子君 ありがとうございます。  村木さんには本当に心から敬意を表していますし、何か持っているのかもしれませんですね。これからも健康で頑張っていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  62. 末松信介

  63. 藤原良信

    藤原良信君 藤原といいます。  村木さん、今日は本当にありがとうございます。大変これは重要なことを、事実を改めて確認をさせていただきました。これは大変なことでありまして、私、日本は三権分立ということを、小さいときからですが、ずっとそういうふうな位置付けだと思ってまいりました。三権分立の欠陥が明らかとなりました。  今日は法務大臣も出席されておりますので、このことについて大臣から見解をいただきたいんですが、事実は確認をされまして、先ほど来検察教育とか人事とか倫理の話出ていますけれども、正確に確認されたことは、組織で行われたということを村木さんが的確に証明されました。これは大変なことであります。個人を幾ら教育しようが、組織がそうであったら成り立たないと思いますね。ところが、検証結果、最高検、問題点を出しておりますけれども、そこには触れられていないということは村木さんもお話しのとおりであります。なぜこうなんでしょうかということでありました。  私どもは当委員会大阪地検にお邪魔いたしました。その裏付けになるような現象がありましたね。何かといいますと、北村検事正、ぼうっと来られて挨拶して、退席されました。こういう事案があったからこそ私どもは国会の任務でお邪魔したんであります。申し上げますけれども、ここの場所は一億二千万人の国民の代表で集約されたところでございまして、当委員会はそれだけの重さがあるだろうと思います。そこで私どもは代表してお邪魔いたしました。みじんも、何のお話もなかったんですね。村木さんの事件を踏まえて、こういうことを改善して、こういう体制でいきますよということは一つもなかった。委員の皆様からも発言があり、委員長が再度来なさいということを言われて、来て、挨拶されてまた出ていった。全てがそこに表れているんじゃないかと思いますね、その姿勢に。  今、村木さんのお話を聞いて、怒りを覚えるのは私一人だけではないと思います。どうされていくつもりなのか、法務省が。最高責任者であります大臣、大変な責任だろうと思いますけれども、これは個人ということじゃなくて、検察教育とかそういうことではなくて、組織組織ぐるみでこれをやってしまったということに、そういう体質の世界だということは三権分立が破綻しているということになります。そこのところを踏まえて、所見を大臣にお願いをしたいと思います。
  64. 江田五月

    ○国務大臣(江田五月君) 大変厳しい御指摘をいただきました。これは重く受け止めていきたいと思います。  大阪委員会から調査に行かれた際のことは、今私はここで報告があったのを聞いて、若干の部内の報告も受けてはおりますが、不十分な対応があったという御指摘をこれも重く受け止めておきたいと思います。  ただ、検察は、これはもちろん国民信頼の回復のために様々なメスを入れていかなきゃいけないと、そのことはそうだと思いますが、やはり三権分立というのはこれは国の大原則でございます。それが壊れたという御指摘をこれはよく考えてみたいと思いますけれども、私もいっとき司法の部に身を置いたことがございまして、当時も感じてはおりましたが、その後も、司法という世界もこれも大きく変わっていかなきゃいけないんだと。しかし、外から変えるというのはなかなか実は大変で、司法の場合には司法制度改革のプロセスがあって、裁判員制度も導入をしたりとかいろんなことをやりまして今改革のさなかにありますが、そんな中で検察にはメスが入らなかったところはあるんです、確かに。そして、検察というのはその独立した司法にすぐ身近なところにいまして、司法ではない行政府ではありますが、しかし司法の独立と非常に密接に関係している部分があるので、ここへのメスの入れ方は、私はこれは本当によく意を用いていかなければいけないものだと思っております。  私が法務大臣として、法務副大臣、政務官とも協力をいただきながら、この検察改革については、先日も検討会議の提言もいただき、それに基づいて一般的な指揮権の行使として取組について指示もしたところでございまして、それはそれだけの覚悟を持って私も検察改革に当たりたいと思っておりますので、是非ひとつ委員皆さんの御提言やあるいは御叱責や御指導も賜りながら、このことを成し遂げていきたいと思っております。
  65. 藤原良信

    藤原良信君 ありがとうございます。よろしく是非お願いしたいと思います。  なぜ三権分立が崩壊をしているかということを結び付けて、そこに結論付けて話したかというと、現に事実といたしまして、犯罪者じゃない人を犯罪者とみなして勾留をして、現に村木さんのような事案が成っているということでありまして、これは象徴的なこととして当然思わざるを得ないというのが国民全体の目線だと私は思いますね。  それは恐ろしいことだと思うんですね。もう信用されていかなくなると思うんです。なくても、あるようにされてしまうと。あるいは、検察にあるいは捜査当局に少しでも注文付けたら、例えば私も話をしていて何か作られて仕返しをされるんじゃないかと、そういう恐れを持たせるような事案がこうして現れたということでありますし。  それから、刑事局長さんにお尋ねするんですが、先ほど村木さんのお話の中で、当事者同士しか分からないことが報道で堂々と流れて、それがまた利用されて取調べに活用されていくというような事態につながっていくということも指摘をされました。これは、現に当事者しか分からないことがなぜ漏れるのか、取調べしていた検察官が漏らす以外これは考えられないことだと思うんです。どう答えようが、こういう事実ということについてこれはきちっと認識をしていかなきゃならない事案だと思うんですが、これらについていかがですか。
  66. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 先ほど村木参考人からお話がありましたが、いわゆる検察のリーク問題ということでございますけど、まず認識としては、検察官は国家公務員法以上にいわゆる刑事訴訟法の四十七条という問題がありまして、基本的には捜査における情報については公判で明らかにされる以前については明らかにしてはならないと、こういう定めがございます。もちろん公益の必要性等で、公益の必要性があって、例えば逮捕をしたとか起訴をしたとか、時点時点にある程度の事実が明らかになるということはございますけれども、それ以前に、特に基本的に収集した証拠の中身を漏らしてはいけないということでございます。  したがって、委員がおっしゃられたような事態、それから村木参考人がおっしゃられたように、もしその個々の捜査官においてそのような情報が漏れたとしたら、それは誠に申し訳ない事態であって、あってはならないことであるという認識をしているということでございます。
  67. 藤原良信

    藤原良信君 現に当事者同士しか分からないことが報道で流れたという事実が村木参考人からお話しされました。だから、これは事実そういうことが証明されているわけなんで、そのことを踏まえて今後いかなきゃならないと思います。  私だけ質問するわけいきませんけれども、いずれ、大臣、全てを把握をされて是非指導力の下で対応していただくよう要請をいたしまして、私から終わります。
  68. 末松信介

  69. 赤石清美

    赤石清美君 自由民主党の赤石清美と申します。今日は、本当、村木さんありがとうございます。本当に勉強になりました。  私たち、二月の中旬に大阪拘置所とそれから大阪地検特捜部も含めて聴取に行っていろんな意見交換をしてきたわけですけれども、一つは、とにかく大阪拘置所の劣悪な環境ですね。これは法務大臣に是非お願いしたいんです、我々政治家の責任だと思います。五十年以上も同じ建物にずっと入って、しかも私ども行ったときには本当に大雪が降ったんです、珍しく大阪で。  こういう環境に、やっぱり憲法に違反するぐらい人権を無視しているんではないかという私は感じしました。やっぱりそれは、私はたまたま立川にちょっと会社があって行ったことがあるんですけれども、立川の拘置所、あれ見たら、とてもとても、これはとても人間が入るところじゃないなという感じしました。  是非、法務大臣、これは、ほかにももしそういう拘置所があったとすればすぐ改善すべきだと私は思います。これは人間の基本的な人権を私は無視しているというふうに思いました。是非これは大臣にお願いしたいと思います。  二つ目は、村木さんに少しお伺いしたいんですけれども、特別捜査部、特捜部ですね、この在り方なんですけれども、私はずっとこういう世界でいなかったものですからマスコミ等でしか理解していませんでしたけれども、巨悪を認めないというふうなことで特捜部ができているというふうに一般人は理解していると思います。ただ、今回の事案でいえば、何が巨悪で、何でこれを特捜がやらなきゃいけないかということはよく私も分かりません。  しかも、その特捜部というのは、逮捕をして、捜査をして、そして起訴をして、そして公判までやると。全て一人でできるという組織になっているという、この点について村木さんの印象をお伺いしたいということと、本当にこの組織必要性というか、その点については法務大臣にまたお伺いしたいと思います。最初に村木さんの方から感想を含めてお話しいただければと思いますが。
  70. 村木厚子

    参考人村木厚子君) 特捜部お話の前に少しだけ、拘置所のことを言っていただきましたので。  大変私がいたころは暑うございまして、その次の年は熱中症で亡くなられた方が出たというふうに私は聞いておりまして、条件は大変劣悪でございます。夏の暑いときに、私も暑うございましたが、その中で、私はTシャツでおりましたが、職員の方は制服を着てそこで働いておられました。私は女性ですので女性の棟ですが、二十四時間勤務で、職員の方大変立派な方ばかりで、大変お世話になりました。労働条件の改善という面でも、是非環境整備をしていただけると大変有り難いというふうに思います。  それから、特捜部です。巨悪を認めないということでの強力な捜査をすること自体を否定するものではありませんが、捜査も公訴も何もかも自分でやる自己完結型の組織というのは、やはり非常にチェックが利かない危ない仕組みであろうというふうに想像をいたします。いずれにしても、何か間違いがあったときに途中で立ち止まれるとかチェックが入るとか、そういった改善をしていかなければいけないんではないかというふうに思います。  それから、これは恐らく検察だけではないでしょうが、役所の組織は非常に硬直的でございまして、仕事は大きくなったり小さくなったりするのに組織がそれに従って大きさが変わりにくいというところがございます。そういうことから、どうしても一つ組織を構えたときに組織在り方の方が前提になってしまうという弊害が起こりやすいというふうに想像いたします。  そういう意味では、仕事の量がまずあって、そこに組織の大きさがくっついていく、追いかけていくというような仕組みの方がより望ましいでしょうし、それから、少なくともチェックの利く仕組み、間違いがあったときに気付いて方向転換ができる、あるいは立ち止まれる仕組みというのが必要だというふうに考えます。
  71. 江田五月

    ○国務大臣(江田五月君) 拘置所の環境について、これは、被疑者、被告人というのは無罪の推定があるわけで、そういう人を強制的に自由を奪って拘束するわけですから、その施設がこういう、私はまだ行ったことございませんが、今言われるような施設でいいはずがない。大阪拘置所は今建て替えの最中でございまして、それは十分意を用いていきたいと思います。  もちろん、ならば刑務所はどうでもいいのかと。そうじゃありません。刑務所の場合でも、もちろん受刑者であったって当然人ですから、それは人権が保障されなきゃいけないんで、全体に法務省施設の整備にこれからも着実に取り組んでまいりたいと思っております。  そして、特捜でございますが、特捜部が自ら捜査とそして公訴の提起、これは自らやる。ただ、公判は一般には公判部で行いまして、公判部に、特捜で実際に捜査をした人間が公判の立会いもやったというのが今回ちょっと問題になっておりますが、そこはチェックのシステムにはなっているんで、ところが、その公判部が途中で引き返すというシステムになっていなかったといったこと、あるいは特捜部在り方はどれがいいのか、今の現状は良くないのではないかというようなことも含めて検察在り方検討会議で提言いただいておりますので、この点は今、まずは最高検でしっかりした対応策を考えろということで先日指示をしたところでございます。
  72. 赤石清美

    赤石清美君 ありがとうございました。  是非、拘置所、刑務所の施設については一度見直しをして、ある一定のレベルを保つように是非お願いしたいというふうに思います。  それから、私は、やっぱり特捜部の役割が本当に巨悪のことをするんであれば別に大阪も東京も要らないんであって、一つがあればいいなという感じがしておりますので、その辺の組織の見直しも是非お願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  73. 末松信介

  74. 加賀谷健

    加賀谷健君 民主党・新緑風会の加賀谷でございます。  村木参考人には、国家権力により汚名を着せられながら、それにひるまず最後まで真実を貫かれたことに本当に敬意を表します。  村木さんの場合は大変な御苦労をされたわけですけれども、結果として冤罪が晴れ、職場にも復帰されました。しかし、私どものように国会議員や地方議員などが、選挙で選ばれる公職の候補者等が冤罪を着せられた場合は復職できる制度はありませんし、現実に議員に戻ることは非常に困難です。鹿児島県議会議員が公選法違反で逮捕された志布志事件では、この県議は結局辞職せざるを得なくなりました。この事件は、国会でも捜査の違法性や可視化観点から多くの質疑が行われておりますけれども、しかし私は、捜査在り方もさることながら、民主主義の原点というべき選挙による民意が捜査当局によってゆがめられたことも大きな問題だと思っております。  そこで、法務大臣に二点ほどお伺いをいたします。  冤罪が認められても、選挙の結果や有権者の意思に対しては何ら原状回復は保障がされておりません。このようなことでいいのでしょうか。また、検察捜査責任者などの処分をしていますが、起訴をした検察関係者は一切処分されていない。このことについても併せて法務大臣の見解をお聞かせをいただきたいと思います。  二点目の質問は、まさに村木さんが陥れられた郵便の不正事件に関するものです。この事件は元々、大阪地検特捜部がある特定の民主党衆議院議員を狙って捜査を進めたものと私は聞いたことがございます。事件の第一報は、朝日新聞に出たのが二〇〇八年の秋、そして村木さんが逮捕されたのは二〇〇九年の六月です。この時期はまさに解散・総選挙がすぐにでも行われると言い続けられていた時期でございます。  検察は逮捕こそはしませんでしたけれども、新聞等への先ほど来出ておりますリークで何度もこの代議士が名指しされ、事件とのかかわりをうかがわれた記事が大きく掲載されました。幸いにこの代議士は次の選挙では当選をいたしました。しかし、政権交代への大きな期待があってこその当選であり、それがなければどういう結果になっていたか分からないと思います。この事件で動いた、報道された秘書は辞めざるを得なかったというふうに聞いております。  新聞は、その後この記事が誤りであったと小さな訂正記事は出しておりますけれども、検察の見込み違いによる捜査や、マスコミを使った世論操作で選挙の結果がゆがめられ、真面目な秘書がその職場を追われる。このケースの場合、逮捕も起訴もされていないので、国家賠償の対象について現実的にはなりにくいと思います。何らかの救済措置が必要ではないかと思いますが、この点について併せて法務大臣の考え方ありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  75. 江田五月

    ○国務大臣(江田五月君) なかなか難しい御質問をいただきました。  捜査から公判を経て判決が確定する、その確定で無罪になればこれは無罪でありますが、有罪の場合でも有罪判決が確定するまでは無罪の推定があると。これはあるんですけれども、実際の世の中ではなかなか、無罪の推定があるからといって安んじて毎日の生活を送る、あるいは職業生活を進めていく、とりわけ公選の議員の場合にはそういうことができないというのは、それは事実でございまして、そこにやはり法理論と現実の社会との乖離というものは、これは認めざるを得ない。これをどうするかというのは今私にもすぐに知恵があるわけじゃございません。ございませんが、みんなでこれは悩みながら考えることだと思います。  ただ、議員の場合に、有罪判決を受けながらなお選挙に通っていく議員も過去には一人二人ならずいました。だから、これはやはりちょっとなかなか一概に言えることではないという気がいたします。  それから、村木さんの関係の事件について検察に何の処分もないと言われましたですか、今。それは違います。現に起訴された検察官も、元検察官ですが、三名ですかね、いますし、また部内の処分もかなり大規模に行われています。  ということで、御指摘問題点というのはこれからみんなで考えていきたいと思います。
  76. 末松信介

  77. 加賀谷健

    加賀谷健君 時間ですから。  じゃ、最後にいいですか。
  78. 末松信介

    委員長末松信介君) はい、どうぞ。
  79. 加賀谷健

    加賀谷健君 確かに非常に難しい問題だと思うんです。だからこそ、冤罪、こういうものは避けていかなければならないわけでございまして、これからもこのようなことが起きないというように御努力を是非ともいただきたいと思います。  ありがとうございました。
  80. 末松信介

  81. 松村龍二

    松村龍二君 私も今回の村木さんの件についてはこのような形で冤罪がつくられたら世も終わりだというふうな大変な憤りを持ったところでありますけれども、幸いに、結果このようなことになって、まあよかった。村木さんの人生訓ですね、人生観、そういうものが村木さんの拘置所に長い間取調べに耐える力になったのかなということで、改めて敬意を表する次第でございますけれども。  私は、この度の件は検察庁が非常に常識のないところだなということを感じたわけです。というのは、私も、自民党で厚生労働部会等がありますと村木さんが来て御説明なんかされることがありまして、そういうときの物腰、態度、お話を聞いておりまして、この事件が報道されましたときに、えっ、そんなばかなと、こんなもの絶対冤罪だぞということを身の回りの人にも言った覚えがあるわけですね。したがって、検察庁は、この場合は大阪事件でありますので、東京にいて村木さんを全然知らないということが災いしたのかどうか知りませんが、日ごろ村木さんの物腰、態度、顔をこの捜査の間に拝見していれば、この人はこんなことをやる人じゃないんじゃないかというふうなことを検察庁の中で誰一人感じる人がいなかったということは大変検察庁の常識を疑うということなんです。  それともう一つ、それをそういう単に顔だけで判断してはいかぬというようなことは私もよく知っておりますけれども、村木さんは戦後の女性の公務員の中でも本当にエリート中のエリートというか、よりすぐられた方の一人として厚生労働省の局長までなっておられたわけですね。そのような方が、偽団体の証明書を発行して、それによって自分がもしも万が一失う人生とそれだけ苦労してきた人生のどっちを取るかということを考えてみれば、もう明々白々、そんなばかな、けちな偽証明書を発行するようなことを村木さんがするわけがないというふうに判断するのが普通じゃないかなと。それを、上から下まで検察庁組織挙げて誰もそういうことを言い出す人がいなかったということは、大いなる何か常識の欠如した組織だなというふうなことを感じた次第でございます。したがって、さっきからお話が出ておりますように、組織の問題としてこれは深刻な問題があると。  それから、村木さんを検挙したその理由が私も分かりませんけれども、特捜の名誉心、功名心ですね、やっぱり中央官庁の局長を捕まえてやったというふうな功名心争いで検察特捜が動いていると。さっきの国会議員の話もありましたけれども、まあそれはどっちかは分かりませんが、そんなことを感じまして、それで、大阪地検等へ行きまして、検事正をなぜ二度呼び出してきついことを言ったかということは、やっぱり検事のおごりというんですか、それはもうみんなが感じて、世の中誰も怖いものがないと、自分たちがこの組織の中でぬくぬくとやっていればもう経済的にもその地位も保障されるというふうなことにどっぷりとつかっているんじゃないかというふうなことを大阪へこの前行った人がみんなが感じたんで、ああいう発言になったんじゃないかなというふうに思います。  それから、ついでで恐縮ですが、この問題が可視化の話とすぐずばっと行ってしまうのもどうかなと思っております。  私、警察庁出身でございますのでちょっと割り引いて聞いていただいても結構ですけれども、やっぱり暴力団の取調べ可視化でやって暴力団の子分が親分のことをしゃべるかどうかというふうなこととか、長い時間の捜査の過程、半年にも及ぶような取調べのいつの時点のものを証拠にするんだというふうなことで、どこの部分を取るのかということが非常に難しいのと、それとやっぱりこれを可視化した場合はどこかで誰かが利用する、弁護士さんが利用するということがあるから可視化ということを言われるわけなので、私、可視化が絶対全部良くないと言っているんじゃありませんけれども、ちょっと冷静に検証をしていただきたいというふうに思います。  それで、それからもう一つ申し上げますと、拘置所とか刑務所の暖房の話で、それからある女性刑務所へ行きましたときに看守が物すごいアッパッパのみすぼらしい制服着ているんですよ。それはやっぱり発言して直してもらったと思うんですけれども、私、法務委員会長かったものですから、必ず暖房の話とそういう制服の話等してきたんですけれども、ちょっと見ていますと、名古屋刑務所の事件のときもそうですけれども、やっぱり法務省の幹部の方が今言ったようなことに気が付かないというところがあるんじゃないかなというようなことも感じますので、一言法務大臣からコメントをいただければ。
  82. 江田五月

    ○国務大臣(江田五月君) まず、検察の常識を疑うと、村木さんのような立派な官僚の方がそんなことをするはずがないじゃないかと誰一人思わなかった、そういう検察というのの、まあ何といいますか、世間知らずというのは何たることぞと、こういうお話がございました。  私も村木さんのことを全く知らないわけではないのでそんなふうに思いたいところですが、しかし、これは村木さんには申し訳ないけれども、やっぱり検察がそういう、どういいますか、ある種の思い込みで事件を取捨選別すると間違うこともあるので、ここはやはり、どんなに立派なところであろうとも間違いということはあり得るということで掛かっていかなきゃいけない、そういう検察官のある種の士気というものも是非御理解はいただいておきたいと思います。そうでなければ、防衛省とかそういうところに突っ込んでいけるはずがないので、そこのところは村木さんに申し訳ないけれども、そこはひとつ分かっていただきたいと思います。  それから、可視化お話ございました。暴力団の場合はどうする、半年にも及ぶ身柄拘束をどこを切り取るかと。身柄拘束が半年にも被疑者勾留で続いたらこれは大変なことでございますが、しかし、私も可視化で全てがもう手品のようにぱっときれいになるとか、そういうふうには思いませんし、可視化にもまたいろんな悩みもあると思っております。これを試行の中で洗い出しながら可視化在り方を考えていく。同時に、警察の皆さんともよく相談をしながら、捜査在り方、刑事司法の在り方というものをひとつ見直していかなければいけないところへ来ているんではないかと思っております。  それと、拘置所暖房のことと制服のことをおっしゃいまして、制服のことは私ちょっと分かりませんが、これは法務省においてしっかりと刑務所、拘置所に働く人たちの、今、村木さんからも御指摘ありましたが、労働条件のことなど目を光らせていきたいと思っております。
  83. 加賀谷健

    加賀谷健君 済みません、委員長、ちょっと一言だけ。
  84. 末松信介

    委員長末松信介君) はい、じゃ関連だったら。加賀谷委員
  85. 加賀谷健

    加賀谷健君 先ほど、法務大臣、検察の処分が一切私がないと言ったのは、それは志布志事件に関して申し上げたんであって、村木事件と一緒にしないでいただきたい。それだけ訂正させてください。
  86. 江田五月

    ○国務大臣(江田五月君) はい、分かりました。
  87. 末松信介

  88. 中村哲治

    中村哲治君 民主党の中村哲治です。  法務委員会の筆頭理事もさせていただいておりまして、野党側からは、法務委員会の運営の際に、このいわゆる村木さんの無罪事件について検察在り方検討会議の提言も受けて出ているので参考人で来ていただく必要があるのではないかというような提言も受けております。ただ、行政監視委員会視察までされて、また委員会質疑もされるということで、今回の議事録を精査した上で法務委員会としてどのようにしていくのか今後議論していきましょうという話になっております。  そこで、本日の議事を聞いておりまして二点、法務大臣の方に質問させていただきたいと思います。それは、まず一点目は、村木さんがおっしゃっていた捜査問題点二点の問題、そして二点目は、検察のリークの問題です。  一つ目捜査問題点の問題です。  まず一つは、事実と異なる調書が大量に作られたという点、そして客観証拠が軽視されてきたという点、二点を村木さんは指摘をされております。しかし、十二月二十四日に出された検察の、最高検の検証結果ではこの原因が解明されていないということも今日、村木参考人からお話がありました。  大臣の認識として、検証結果としてきちんとこのような原因が解明されたとお考えなのか。もし解明されていないとすれば、やはりここは検察組織に指揮をして、その原因の解明について改めて指示をすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  89. 江田五月

    ○国務大臣(江田五月君) 最高検察庁による検証結果に今御指摘のような弱点があるということ、これは私もそうだと思います。  ただ、これは検察庁、最高検において検証しろということでやらせたものでございまして、その検証の結果、こうでございましたということがまさに今の検察全体の体質を示しているということで、これを検察在り方検討会議にフィードバックをいたしまして、そこでいろんな検討をしてもらった結果、検察在り方全体、組織在り方、研修の在り方など含めて、チェックの在り方も含めて今提言をいただいて、さらにこれを最高検の方に、もちろん法務省と役割分担、協力しながらではございますが、指示をしているところで、そういったプロセスでこの検察改革を進めていきたいと思っております。  検察への指揮というのは、これはやはり検察が全体として改革に本気で取り組むという、そういう気持ちを持ってもらわなきゃいけないことでありまして、法務大臣がただただ指揮をすればそれでいいという話ではないんで、ここはある一定のプロセスを経ながら、検察官全員の共通の認識として改革をしていかなきゃいけないという、そういう気持ちになってもらうように努めていきたいと思っております。
  90. 中村哲治

    中村哲治君 今の答弁であれば、行政府ができないのであれば国会がやらないといけないという話になりますので、またそれは検討をしていただく必要があるのではないかと思います。  二点目の質問は、委員長も先ほどおっしゃっておりました検察官のリークの問題でございます。  村木参考人が先ほどおっしゃっていたように、逮捕前に調書として後で検証されたものとほとんど同じものが報道されていたと、これは検察官によるリークではないかというお話がありました。  昨年、私、臨時国会のときに法務委員会で質問をさせていただきましたら、検察官は独任官庁であるので、刑事訴訟法上、四十七条の公益性の判断ということで、どの情報を出していいのかというのは個々の検察官に委ねられているというお話がありました。そうすれば、それは後で誰も検証できないじゃないですかということを指摘させていただいたんですけれども、この点については検察在り方検討会議で議論がされるからその提言を待ちましょうという、そういう答弁でありました。ただ、この在り方検討会議でもそこの検察官のリークの問題については触れられておりませんので、ここは検証していかないといけないのではないかと思います。  そこで、大臣に御判断をお願いいたしたいんですけれども、村木参考人が先ほどおっしゃった、村木訴訟、無罪訴訟での調書と、そして事前に報道されていた報道内容との一致点を具体的に検証していくというようなことを法務省とされるおつもりはないでしょうか。
  91. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 先ほど私の方で若干答弁しましたが、補足をさせていただきます。  まず、検察リークの問題につきましてですが、基本認識としては、まず四十七条の問題、刑事訴訟法四十七条の問題があって、捜査について公益性のある情報以外は漏らすことは禁止されていると、こういうことでございます。  したがって、従来から捜査上の秘密の保持については格別な配慮を払ってきたということで、通常その捜査情報を特定のというか、一部の例えば捜査機関に、外部に漏らすと、こういうことはないものと承知をしているということでございまして、先ほど申し上げたのは、あくまで、もしそのようなことがあったとしたらそれは許されないことだという説明を申し上げたということでございます。  それから、第二点の検察在り方検討会議などでの議論ですが、これは全く議論がなされていないと、全く議論がなされていないということではございませんで、委員から検察のリークというのは本当にあるのかというような問題提起がされたというような事実はございますし、特に特定の委員から、意見陳述者と呼ばれた元特捜部検事の若狭弁護士に対しまして、特捜部の中で検察のリークによって書かれることがあるけど実際どうなのかというような質問がなされまして、若狭弁護士は、平の検事とマスコミとの接触禁止は徹底されているので、現場検事がリークをすることはあり得ないなどと答えたというようなこともございまして、委員からは、検察側がリークと言ったときには、何かある事実をべらべらとしゃべったり書類を渡したりというようなことはリークの定義にしているのかもしれないけど、そんなことをしてくれる人はまずいないわけだと。だから、メディアとの付き合い方はもうちょっと考えた方がいいとか、それから、検察事件の途中で会見をしたというのは余り聞かないけど、そういうことはもっと取り入れていいのではないかと。つまり、リークという形じゃなくて、より説明責任を果たすようなことは考えた方がいいのじゃないかというような発言がなされておりますので、御紹介を申し上げておきます。
  92. 末松信介

    委員長末松信介君) ちょっと今のお話中村先生、よろしいですか。
  93. 中村哲治

    中村哲治君 大臣、答弁してください。
  94. 末松信介

    委員長末松信介君) 法務大臣、今の中村委員の御指摘につきまして。
  95. 江田五月

    ○国務大臣(江田五月君) リークの問題というのはなかなか、それはリークですから証明といっても大変困難……(発言する者あり)リークの話じゃないんですか。
  96. 中村哲治

    中村哲治君 私が質問をしましたのは、先ほど村木参考人お話の中に、事前に報道されていた内容調書内容がほとんど一致していたという御発言がありました。それを、具体的に一致していたのかどうかということをきちっと検証をする必要が法務省の中であるのではないですかということを申し上げたんです。
  97. 江田五月

    ○国務大臣(江田五月君) よく考えてみます。
  98. 末松信介

    委員長末松信介君) それでは、時間も大分迫ってまいりましたので、大島委員質疑最後にしたいと思います。
  99. 大島九州男

    大島九州男君 村木さん、どうも今日はありがとうございました。  行政監視委員会の筆頭理事として、理事会の今後のまた運営や、この委員会の運営について一言お話をさせていただきますが、我々の理事会では、やはりこの行政監視委員会の使命として、行政組織在り方であるとか人事在り方というものをしっかりと問いただしていくことが我々国会の使命であると。その観点からいえば、検察庁の長及びその検事、そういった当事者についても、我々が委員会でしっかりと物を言う。そしてまた、今日の議論を聞いていても、国民の皆さんの視点からしたら、放射能が漏れているのに漏れていないと言う原子力委員会や保安院のような答弁を聞いて国民が本当に納得するのか、そういう行政を許していいのかというような思いを持つ人が大変多いんじゃないかというような気がいたしました。  私は今回、筆頭理事間の協議として、検事総長を呼ぶようなことはやめましたけれども、私どもは次に予定をしておりますのは、最高検へ行きまして検事総長のお話を聞かしていただきたいという、こういう視察の希望も持っております。まさにそういったところで真摯な態度でしっかりと御答弁いただき、対応していただくことを要望し、そして、それがかなわないときには、やはりこの委員会に出てきて国民の前で、しっかりと国民の代表である国会議員の前で議論をしていただくということの必要性を強く感じましたので、大臣にそのことだけは要望をさせていただきたいと思います。  以上です。答弁は要りません。
  100. 末松信介

    委員長末松信介君) 他に御発言がないようですので、本日の質疑はこの程度にとどめます。  この際、村木参考人に一言お礼の御挨拶を申し上げます。  本日は、長時間にわたりまして貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  今日いただきました意見というものを今後行政監視委員会の活動に大いに役立てたいと思っております。同時に、村木さんの経験というものを行政運営の大切な財産にしたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  読ませていただきました手記に、検事の土俵にいる限り、私が勝つことなんてあり得ないと。だとすると、やらなきゃいけないのは負けてしまわないことですねと。負けてしまわないというのは、やっていないことをやったと言わないこと。もうそれしか目標をつくりませんでした。私は、目標設定が割と低くて、高望みはしないんですね。  大変印象的なんです。御家族に随分支えられたというお話も伺いました。私なりに感激もいたしました。しっかりとこの問題、引き続いてまた取り組んでまいりたいと思います。  今日はどうもありがとうございました。(拍手)  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十二分散会