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2011-08-05 第177回国会 参議院 決算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年八月五日(金曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  六月六日     辞任         補欠選任         山谷えり子君     藤井 基之君      寺田 典城君     柴田  巧君      紙  智子君     井上 哲士君  六月九日     辞任         補欠選任         大河原雅子君     金子 恵美君      丸川 珠代君     福岡 資麿君  六月十日     辞任         補欠選任         金子 恵美君     大河原雅子君      福岡 資麿君     丸川 珠代君  七月六日     辞任         補欠選任         秋野 公造君     長沢 広明君      井上 哲士君     大門実紀史君  七月七日     辞任         補欠選任         相原久美子君     行田 邦子君      長沢 広明君     秋野 公造君      大門実紀史君     井上 哲士君  七月八日     辞任         補欠選任         行田 邦子君     相原久美子君  七月二十日     辞任         補欠選任         斎藤 嘉隆君     有田 芳生君      渡辺 孝男君     草川 昭三君  七月二十一日     辞任         補欠選任         有田 芳生君     斎藤 嘉隆君  七月二十二日     辞任         補欠選任         草川 昭三君     渡辺 孝男君      荒井 広幸君     片山虎之助君  七月二十五日     辞任         補欠選任         片山虎之助君     荒井 広幸君  八月四日     辞任         補欠選任         青木 一彦君     山田 俊男君      熊谷  大君     中西 祐介君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鶴保 庸介君     理 事                 姫井由美子君                 松浦 大悟君                 松野 信夫君                 岡田 直樹君                 野上浩太郎君                 渡辺 孝男君     委 員                 相原久美子君                 江崎  孝君                 大河原雅子君                 大久保 勉君                 小西 洋之君                 斎藤 嘉隆君                 田城  郁君                 那谷屋正義君                 藤本 祐司君                 前川 清成君                 中西 祐介君                 野村 哲郎君                 藤井 基之君                 藤川 政人君                 丸川 珠代君                 森 まさこ君                 山田 俊男君                 若林 健太君                 秋野 公造君                 柴田  巧君                 井上 哲士君                 荒井 広幸君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地域主        権推進))    片山 善博君        法務大臣        環境大臣     江田 五月君        外務大臣     松本 剛明君        財務大臣     野田 佳彦君        文部科学大臣   高木 義明君        厚生労働大臣   細川 律夫君        農林水産大臣   鹿野 道彦君        経済産業大臣        国務大臣     海江田万里君        国土交通大臣        国務大臣     大畠 章宏君        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、行        政刷新))    枝野 幸男君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(「新し        い公共」、科学        技術政策))   玄葉光一郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融)        )        自見庄三郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策少子化        対策男女共同        参画))     与謝野 馨君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣防災)        )        平野 達男君    副大臣        財務大臣    櫻井  充君        厚生労働大臣  大塚 耕平君        農林水産大臣  筒井 信隆君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        園田 康博君        総務大臣政務官  逢坂 誠二君        財務大臣政務官  尾立 源幸君    事務局側        常任委員会専門        員        工藤 政行君    政府参考人        消防庁次長    原  正之君        厚生労働省医政        局長       大谷 泰夫君        厚生労働省健康        局長       外山 千也君        厚生労働省年金        局長       榮畑  潤君        水産庁長官    佐藤 正典君        資源エネルギー        庁長官      細野 哲弘君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     寺坂 信昭君        国土交通省水管        理・国土保全局        長        関  克己君        国土交通省航空        局長       本田  勝君        観光庁長官    溝畑  宏君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   鈴木 繁治君        会計検査院事務        総局第二局長   川滝  豊君        会計検査院事務        総局第三局長   小林 誠治君        会計検査院事務        総局第四局長   太田 雅都君        会計検査院事務        総局第五局長   斉藤 邦俊君    参考人        年金積立金管理        運用独立行政法        人理事長     三谷 隆博君        株式会社東京穀        物商品取引所代        表取締役社長   渡辺 好明君        東京電力株式会        社取締役社長   西澤 俊夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成二十一年度一般会計歳入歳出決算平成二  十一年度特別会計歳入歳出決算平成二十一年  度国税収納金整理資金受払計算書平成二十一  年度政府関係機関決算書(第百七十六回国会内  閣提出) ○平成二十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百七十六回国会内閣提出) ○平成二十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百七十六回国会内閣提出)     ─────────────
  2. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、山谷えり子君、紙智子君、寺田典城君、青木一彦君及び熊谷大君が委員辞任され、その補欠として藤井基之君、井上哲士君、柴田巧君、山田俊男君及び中西祐介君が選任されました。     ─────────────
  3. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事渡辺孝男君を指名いたします。     ─────────────
  5. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十一年度決算外二件の審査のため、本日の委員会株式会社東京穀物商品取引所代表取締役社長渡辺好明君及び東京電力株式会社取締役社長西澤俊夫君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 御異議ないと認めます。     ─────────────
  7. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 平成二十一年度決算外二件を議題とし、本日は准総括質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 民主党・新緑風会の那谷屋正義です。よろしくお願いします。  時間が非常に限られておりますので、質問の方も簡潔にやりますけれども、答弁の方もひとつ簡潔によろしくお願いをしたいと思います。  今日は准総括ということでありますけれども、この平成二十一年度決算検査報告指摘金額が一兆七千九百四億円という、そして件数でいえば九百七十九件、これは過去最大規模だというふうに言われています。その特徴としては、特別会計独立行政法人公益法人等が保有する基金剰余金、いわゆる埋蔵金活用されないまま放置されている国有財産等について幅広く指摘が行われているわけであります。このことは、政権交代により税金の無駄遣いに対する国民の関心が高まった成果という見方もできるわけでありますけれども、一方、政権与党として指摘された問題点については責任を持って改善をしていかなくてはならないと、このように考えるところであります。  今日は、経済産業省及び文部科学省における基金国有財産に関する検査院指摘事項についてまずはお聞きをしていきたいと思います。  初めに、国から都道府県への補助金を原資とする公益法人基金の無駄についての指摘がございました。  経産省所管の四つの基金技術振興基金債務保証基金地域産業活性化基金情報化基盤整備基金の四種類があるわけでありますけれども、二十七道府県所管の九十二基金検査の結果、事業が未実施のものが二十基金事業を継続しているものの実績が全くないというものが十五基金事業を継続しているが基金運用益一般会計に繰り入れているというものが四十二基金ありまして、延べ二十五道府県で七十三基金、これは昭和五十八年から平成十二年度にかけてでありますけれども、その造成額が三百二十四億百六十九万円で、そのうち国庫補助金が百八億五千三百十五万円ということが不適切であるという、そういう指摘がされたわけであります。  この事業継続必要性に乏しい基金に係る補助金相当額国庫に返納させるなどの措置が求められたわけでありますけれども、この指摘経済産業省としてはどのように受け止め、そして今後、これについてどのように国民本位に有効に使う、そういう覚悟があるか、お尋ねをしたいと思います。
  9. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 那谷屋委員指摘の件につきましては、経済産業省としては真摯に受け止めております。指摘事項を踏まえまして、道府県等に対して基金継続必要性の検討及び毎年度における収支状況報告などを求めておりまして、現在、各地域見直しが行われていると承知をしております。  今後の決意でございますが、こうした検証、見直しを徹底し、基金のまさに厳正な執行に努めてまいりたいと思っております。
  10. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 是非徹底してお願いをしたいと思いますし、実はこのことは、今日は経産省にお伺いをしましたけれども、各省庁にまたがってこうしたものがやはりまだまだあるんではないかというふうに思うわけでありまして、そこのところはこれからきっちりと全省庁を挙げてチェックをしていって、そしてこの無駄遣いをなくしていくということがまず大事ではないかというふうに思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、先ほど申し上げました活用されないまま放置されている国有財産ということで文部科学大臣お尋ねをしたいと思いますけれども、実は、四十二都道府県、百三十七市町村の二百十六校において、休廃校施設活用状況が把握されていないとか有効活用を促進するための国庫補助制度の把握、周知が不十分である、そうしたことの中でこれらが未活用になっているという実態が明らかになりました。  その補助金相当額は百四億七千四百五十万円というふうに言われていますけれども、その指摘を受けて文科省としては、まず二十二年の五月に休廃校施設実態調査をしたと。そのときに出てきた結果が、未計画が七百九十四校、未活用の休校が百七十校という結果が出てきたと。そして、それを受けて二十二年九月にプロジェクトを立ち上げた。休廃校施設に関する情報開示利用者募集などを行っているわけでありますけれども、このプロジェクト開始以降、その休廃校施設活用進捗状況というものがどういうふうになっているのかというのは明らかになっていません。  現在の未活用施設校実態と今後の取組についてお聞かせいただきたいと思います。
  11. 高木義明

    国務大臣高木義明君) 那谷屋委員にお答えをいたします。  今御指摘廃校活用の件でありますが、少子化に伴いまして児童生徒の減少というのが学校現場でも出ておりまして、毎年四百校から五百校前後の廃校が発生をしております。こういった中で、この有効活用が非常に重要でございまして、私どもとしましても、いわゆる全国廃校活用の様々な事例がございます。ある意味では成功事例というのもございます。この活用推進を図っておりまして、今御指摘にありましたように、平成二十年五月では六二・八%でありましたが、平成二十一年度同月では六五・二%、そして平成二十二年の同月では六九・三%と、こういった上昇している状況がございます。  したがいまして、私たちは、昨年九月に「みんなの廃校プロジェクトのホームページを開きまして、それぞれの情報交換活用ニーズのマッチングを図っております。特に体験交流施設などについては成果が上がっておると、このように考えておりまして、引き続き、地方公共団体取組を国としても支援をしてまいりたいと思います。  なお、廃校のものについても、耐震性が確保されておるものについては、今次東日本大震災教訓を踏まえて、避難場所等にも十分活用ができます。そういう認識の下で積極的な活用を図っていただきたいと、このように思っております。  いずれにいたしましても、このような国有財産、しっかりした活用が何よりも重要であろうと思っており、これからも注視をしながら取組を進めてまいりたい、また、いろいろ御理解と御協力をいただきたいと思います。
  12. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ありがとうございます。  私の生まれ故郷は横浜でありますけれども少子化の中にあって、この横浜市はいまだに学校新設で増えているという状況がありますけれども、その新設校を造るときに、実は、もしかしたらいずれ廃校になるかもしれないという、そういったことを見越して、いわゆるその後、例えばそのまま介護施設にするだとか、そういうことを想定した設計をして学校を造っているというふうなこともございますので、これは今までのものだけでなくて、今後もこうしたいわゆる活用されないまま放置されるということのないことが今からやっておく必要もあるのではないかなということでありますので、様々な御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。  今、文科大臣の方から、震災で、要するに被災地のところの学校でも耐震化がなされているところでは避難所として有効に活用されることが望まれる、期待されるというか、あるいはそうしているというふうなお話があったかと思いますけれども、この震災の件についてこれから少しお尋ねをしていきたいと思いますけれども。  先日、岩手県の方に行ってまいりました。そこでいろいろと海岸沿いを見たり、あるいはいろいろお話を伺ったりすると、大震災以前からあの岩手県の沿岸部学校避難訓練一つとして津波に対するものが行われていたと。避難訓練のときには必ず子供たちを集め、そして実際に避難するところまで逃げるという、避難するという、そういうところまでやっていたそうですけれども。あの日はその訓練が非常に生きて、ただし、ふだん逃げる山だとこの津波状況ではまずいという判断があって、もう一つ反対側の山に逃げたところ皆さんの命が救われたという、そういうある意味ミラクル的なことが起こった。でも、これも全てやっぱり日ごろから訓練をしているということが非常に大事だと、だからこそ生まれ得るものなんだろうというふうにも思いますので、これは言ってみれば、防災ということよりも、ある意味その災難を少しでも減らすための減災というふうなものにつながっていく。  もう一つその減災ということで言うならば、これもまた先日神戸に行ってきたんですけれども神戸市と宮城の仙台市が今回この震災関係姉妹都市というか、そういうふうなうまく協力関係を結んでいるところなんですが、仙台小学校の六年生が神戸市の教育委員会の前で挨拶をしたと。そのときの挨拶が、これ小学校六年生がしたんですけれども、私たちは、阪神・淡路大震災で大変な被害に遭ったこの神戸市の今のこの復旧復興状況というものをしっかりと目に焼き付けていきたい、そして私たち地元仙台に帰ったときには、私たちがこの焼き付けたものをしっかりと地元復旧復興に生かせるよう頑張りたいという、こういう決意をしたというんですね。  これは、中には両親を亡くしたり身内を亡くしたりする方たちがいて精神的に相当ダメージを受けている子供たちもいる中で、こういう発言というのは非常に力強い。まさに減災というもののこれから中核になっていくのは小学校の高学年であり中学生でありというふうなことがこのことからも分かるのではないかなというふうに思うわけでありますけれども。  それにつけても、この防災教育、そして減災というふうなものを考えるときに、津波避難訓練というのは実はほかのところでは余りされていません。しかし、いつ起こるか分からない様々な地震ということを考えたときにはやはり津波避難訓練というのも十分やっておく必要があると、こういうふうに思うわけでありますけれども、今後、地震津波に対する減災という観点も含めた防災教育の充実をどのように全国的に展開をするおつもりがあるのかということについてお尋ねをしたいと思います。
  13. 高木義明

    国務大臣高木義明君) 今まさに減災という、これは復興構想会議でもそのような考え方が中心となっております。  そういう中で、防災教育重要性というのが御指摘ありました。私も、この国会議論でもそうですし、私も三陸の釜石などの視察をしたときには、特にその後いろんな話が出ております。むしろ、子供たちが自ら判断をし、あるときには大人をもむしろ誘導する、そしてお年寄りの居場所も確認をして誘導に結び付ける、あるいはまた学校の周りの地理的状況をよく知っておりますから、むしろ今のこの裏山の通り具合、こういったこともむしろ先生にそういう報告をするぐらい、特に実態に合った防災教育がされておるということが身にしみました。  したがいまして、机上の防災教育はもちろんでありますけれども、やはり具体的な、特に津波に対する教育というのは生きた教育がなされなきゃならぬと思っておりまして、私どもとしましても、そういう事例をとらえて、有識者会議を今設置をいたしました。そして、本当の意味防災教育を充実するためにしっかりしたものをまたつくって周知をしていきたいと思っております。  また、減災観点に立ちますと、やはり、あるいは二次的被害といいますか、避難所に行ったのはいいけれども避難所でいろいろあれがない、これがないというまた改めて課題も出てまいっておりますから、あるいは避難所への経路の確保、あるいは備蓄倉庫設置、こういったこと、そしてまた、何より大切なのはやっぱり心のケアが必要でありますから、そういうスクールカウンセラー派遣等の必要な経費等についても措置をしてきたところでございますので、今後とも、有識者会議の結論を待ちながら、我々としては補正予算等も、次なる補正予算、こういったこともありますから、しっかり手抜かりのないように取り組んでいきたいと、このように思っております。
  14. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 物的、心的にやはり準備をすると、このことは、いつ起こるか分からないことに対する予算をそこに掛けるということの今まで後回し、先送りされてきたことというのがあるわけですけれども、今回の震災をやはり一つ教訓としてこれは全国的にしっかり行われていかなきゃいけないというふうにも思いますし、津波というものが余り経験がないだけに、どのぐらいの津波が来るとどういう被害が起こるかということも国民には余り理解されていない。  私は、災害対策特別委員会でかつて、要するに地震の場合には震度一、震度二というふうにして、その震度の大きさによってどういう被害が起こりますよという一覧表があるわけですけれども、そういうふうな一つの目安になるものもできるだけ早急に全国皆さんにお示しをする中で津波の恐ろしさというものをやはり共通に理解をする必要があるんだろうと思いますので、これも併せてお願いをしておきたいというふうに思います。  時間がもうほとんどなくなりましたので最後になりますけれども、実は今、福島の問題で、二次補正では福島原発に対する様々な予算がそこに組まれていたわけであります。  総理を本部長とする原子力災害対策本部が五月十七日に公表した「原子力被災者への対応に関する当面の取組方針」というその中で、ここでは三つ挙げていますけれども、三つここで挙げるわけには時間がないのでいきませんが、その中の、「原子力事故による被災者皆さんは、いわば国策による被害者です。」と、こう明言をされているわけです。したがいまして、この間、先日成立いたしましたいわゆる原子力損害賠償支援機構法等々について、今まで一義的にはいわゆる東電にあるとかというふうないろんな言い方をされていましたけれども被災地の方にとっては、どこに責任があるとかなんとかじゃなくて、とにかく国、何とかしてくれよという、その願いだけであります。私はそう思います。  ですから、やはり、最終的にどこが責任を負うかということは様々その法律に照らし合わせてそういうふうに対応すればいいんですけれども、まず最初にやれるのは国がやるというふうなことを考えたときに、例えば今、福島県のその原発関係でいわゆる警戒区域及び計画的避難区域等にかかわるその土地の方たち避難を余儀なくしなければならないわけですけれども、その方たちのいわゆる明日への希望というものを政府が与えることができるとするならばどういうことかというと、例えば、これは余り今まで議論されていなかったのかもしれません、時々出ていましたけれども余り深くされていませんでしたけれども、例えば土地の一括借り上げ方式というふうなもの。つまり、そこに住んでいた方たちが、この放射能の汚染がしっかりときれいになって、また元の町のようになって、住めるような形になって、はい、お返ししますよという、元に戻っても大丈夫ですよという、そのことが確認されるまでは国がその一人一人の土地を借り上げる、そして、毎月なのか三か月に一遍なのか分かりませんが、その借用料をその人たちに与えるというか給付するというような、そういうような形によって、おっ、国も俺たちのことを本当にいよいよ身近になって考えてくれているんだなというふうなことを感じることができるんではないかなというふうに私は思うんですけれども、そうした考え方があるかどうか、最後に海江田大臣お尋ねしたいと思います。
  15. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 那谷屋委員にお答えをいたします。  現在、東京電力の損害賠償につきましては、特に発電所から十キロでありましたり、あるいは二十キロでありましたり、避難を余儀なくされている方々には、生活資金の支援という形で、これは賠償金の一部の仮払いということでございますが、四月の二十六日から最初は一世帯当たり百万円という形で始まりました。これが大体五万世帯全て支払が、まず最初の支払が終わりまして、そこからは住民一人一人についての支払が先日からスタートをしたところでございます。  ですから、そういう意味では、立ち退かれた方々に対しては、世帯当たり、一人当たりという形で損害賠償金の仮払いをしているところでございますが、今、那谷屋委員からお話のありました借り上げ方式、これは土地を持っている方でなければならないわけでございますが、あるいは民主党のプロジェクトチームでは買上げ方式というんですか、こんなようなことも議論をされているというふうに聞いておりますから、それぞれの制度、長短があろうかと思います。  先ほどもお話をしましたけれども、土地の借り上げにしろ、民間のアパートなどに住んでいて、そして避難を余儀なくされていた方々には残念ながらこの制度は適用にならないわけですから、そうした長短を考えまして、そして適切に対処をしていきたいと、このように考えております。
  16. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 買上げというお話が今ございましたけれども、希望される方はやはりそういったことも視野に入れながら、是非これについては検討していただいて。  特に、どのぐらい長期的になるのかということがこれは分からないわけです。ただいたずらに、あるとき三十年なんという話がぽんとどこかから飛び出してきたりとか、あるいはこの十二月には何かが出るというような、そういうことを簡単に政府の中から言う人がいますけれども、これは現地の人にとっては、何だと、三月から十二月までか、ふざけるなという思いを持っている人たちがたくさんいると思います。また、三十年なんていったらば生きていないよ、俺は、というふうに言われる方たちも当然出てくるわけで、いたずらにその期限を簡単に言うということは私は慎むべきだろうというふうに思いますので、是非、長期的になりますよぐらいであればあれですけれども、いずれにしても、希望を持ちながら頑張っていける、そういうふうなことを国でやっていくということをお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  17. 大河原雅子

    大河原雅子君 おはようございます。民主党・新緑風会の大河原雅子でございます。  前回は、国土交通省に対して、検査院から指摘されました治水経済調査マニュアルについて取り上げさせていただきました。本日も関連で、今行われておりますダム検証にかかわることを質問していきたいと思います。大変時間が短いものですからお聞き苦しいところもあるかもしれません。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、お手元に資料も配付させていただきましたが、八月の二日に東京地方裁判所で、八ツ場ダムの治水上の必要性の有無を検証する上で欠かせない利根川流域分割図の情報公開請求訴訟、その判決がございました。国が直ちにこれを開示すべきだという原告の全面勝訴の判決であったわけですが、大畠大臣、このことについて、直ちに開示をしていただきたい、まして控訴などということはお考えになっていないと思いますが、御見解を伺います。
  18. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 大河原議員の御質問にお答えを申し上げます。  ただいまの件でございますが、御指摘のように、今回の裁判においては国の主張というものが裁判所の十分な理解を得られませんでした。今後の方針については、現在、関係機関と協議を進めているところでありまして、引き続き判決の内容等を十分検討し、今後のことについては決定をしたいと思います。  なお、利根川の基本高水の検証において日本学術会議に学術的な観点から評価を依頼しておりまして、日本学術会議委員皆さんには今回の判決のベースとなりましたこの資料についてはお示しをし、御覧をいただいた上で審議をしていただいているということも併せて申し上げさせていただきたいと思います。
  19. 大河原雅子

    大河原雅子君 判決の中身を精査してとおっしゃったんですが、判決は、行政機関の意思決定前の情報だからといって当該事項に関する情報を全て不開示にすることになれば、政府が諸活動を国民に説明する責務を全うするという情報公開法の理念と相反するという大変厳しい判決なわけなんですよ。  学術会議でもその場限りで御覧になるということだけ許されたということですが、予断なき検証をしようという中で、やはり大臣、これは直ちに開示をして、多くの方々の目に触れても問題がないという判決文ですから、これはやはり原告やあるいは住民側も、この分割図があれば改めて再現計算をすることが可能になるんですね。ですから、是非御決断を即いただきたいと思います。  もう一度、いかがですか。
  20. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) この問題は、八ツ場ダムに限らずほかのダム等々とも連系しているわけでありまして、そういう観点から、例えば私も県会議員時代にどこを道路が通るんだろうかと、こういうことに非常に関心を持つ方々もおられるのも事実であります。そういうことを開示しますと様々な動きをする方もおられますので、なかなかここのところは全部を、計画関係を開示するというのが難しいということも是非現実問題として御理解をいただきたいと思います。  そういう観点で、学術的に用いる、純粋に用いるという意味では、この委員皆さんには全ての情報を開示して御検討をいただいておりますので、そういうことを踏まえて、今回の判決の内容等を私としても、今御指摘のように、これは司法の一つ判断でありますから、これを厳粛に受け止めながらも、今後どうすべきかということを慎重に検討しているところであります。
  21. 大河原雅子

    大河原雅子君 情報公開というのは、私ども民主党の、また新しい政権の大きな柱でございます。今、国会に上程されております情報公開法の改正案でも五条の五号というところが改正ということになって、「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」というのが前は入っていたんですが、そういうものをなくして改正案が出されています。ですから、この改正案が通れば、必ず開示請求されたら出さなければならないという立場に政府は置かされます。ですから、そのことは是非お含みおきください。  次に、日本学術会議の河川流出モデル・基本高水検証分科会について伺います。  この分科会で高水の再計算をしてほしいと国土交通省から依頼をされたわけです。ここでは、従来から用いられている種々の河川流出計算モデルの課題整理、新たに構築されるモデルについての科学的な評価、また、過去の雨量、洪水実績などのデータについて妥当性を評価した上で、基本高水に関する考え方を具体的事例の検証を用いながら整理する、設置の目的はこのように行われておりますので、この設置目的からすれば、大いに国民としてはその結果に期待をするところであります。これまでと違う結論が出てくるのではないか、そのように思っておりました。  ところが、ここに再提出されております国土交通省からの再計算、再来計算の値、そしてまたこのことを説明するに対して出されました国土交通省からの補足資料、資料でいえば二ページを御覧ください。ここでは、再計算では実績流量が公称毎秒一万七千トンが八斗島の地点で、そしてこれまでの再来計算では二万一千百トンということが新しく出されました。しかし、ここで差が四千トンもあるわけですが、非常に分かりにくい、説明も十分にされておりません。  それで、補足資料を国土交通省が出されましたが、その記事を御覧いただければ分かるように、これは新潟大学の大熊先生が御指摘になりましたけれども、実際に地域を歩いていらっしゃる研究者でいらっしゃいます。高台まではんらん推定区域に入っていると、そういうふうに塗られたデータを示された。このデータは言わば国土交通省の捏造だと私は思います。  これは群馬県の浸水図を基にして国土交通省が補正をしたという形ですから、この補正は誰の指示で、これが誤りだと指摘されて今どのように対応されるのか、大臣、どう思われますか。
  22. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) ただいまの御質問にお答えを申し上げます。  今お示しをいただきましたこの新聞記事等も読ませていただきましたし、今回の御質問ということで私も事務当局から、山のところを平地とか、山のところを谷とか、そういう、何といいますか、事実に反するような計算をして数量を出しているとしたらそれは問題であるという認識は大河原議員と同じであります。  したがって、いろいろとお話を、背景を聞きましたが、この多分議員が御指摘の資料というのは、昭和二十二年の九月の洪水のはんらんの推定をした地図というものを示しておられるものと思います。その地図を私も見せていただきましたが、言ってみますと、現地に入っておおよそのはんらんの範囲をメモをした、正確な地図というよりもメモ的に記録をしたような地図でございました。したがって、それをベースに計算に用いたとすれば、それは私も問題だと思うんです。そこで、いろいろ話を聞きますと、その昭和二十二年九月の洪水のはんらん量、はんらんの地図というものは参考資料であって、これを計算に用いたのではないと、こういう話でありました。  ちょっと複雑な話になってきてもおりますので、事務当局からこの件については事務方としてのその状況を、事実関係報告させていただきたいと思います。
  23. 大河原雅子

    大河原雅子君 結構です。  もし、その事務方が塗り間違えたんだということがあるんだったらそれは事務的な間違いでしょうが、データとしては誤りだということなんですよ。だから、そんな誤ったデータを日本の知恵を集めた学術会議に提出をした、このこと自体は私は許されることじゃないと思いますけど、どうですか。
  24. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 重ねての御質問でありますが、実は私もなぜそういう不確かな情報を出したのかということを事務方に聞きましたら、これは学術会議の方から是非そういう情報も含めて出してほしいということでお出ししましたが、この資料をベースに計算値には用いておりませんと、あくまでも参考資料として提出したものでありまして計算に用いてはおりませんと、こういう話でありました。  したがいまして、私も更に精査をしたいと思いますが、できれば一生懸命頑張ってこの問題に取り組んでいる事務方からも一言聞いていただければと思います。
  25. 関克己

    政府参考人(関克己君) 御説明させていただきます。  今御指摘の地図につきましては、昭和二十二年当時、洪水の後に群馬県の皆さんが調べて、どの範囲が水につかったかという唯一の資料でございます。よって、当時の洪水の範囲、はんらん量を当たるという意味では、この資料をおいてほかの資料がないということで使わせていただいたと。  なお、これそのものを計算に使ったりしているということではありませんので、あくまでも補足的な別の参考資料という位置付けで整理したというふうに考えております。
  26. 大河原雅子

    大河原雅子君 だから、群馬県が作ったその浸水の地図そのままでいいじゃないですか。それを補正をするというところで、誤った補正をするということに私はすごく恣意的なものを感じますよ。それは私はすごく変だと思いますし、そのことによって、学術会議での議論が科学性はどうなのか、信憑性があるのかという疑問を持たされてしまうということ自体に私は国土交通省は責任を感じなきゃいけないと思いますけど、そのことは言っておきます。お答えはもちろん結構です。  それで、学術会議からの回答書というのはいつ届くんでしょうか。もう受け取っていらっしゃるんですか、大臣
  27. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) お答えを申し上げます。  ただいまの日本学術会議の回答書でございますが、利根川の基本高水の検証について今年一月に国土交通省から日本学術会議に学術的な観点からの評価を依頼し、その回答書と、こういうことでありますが、六月二十日に第十一回の分科会というものが終了いたしまして、今後、日本学術会議においていろんな観点から検討をしていただいておりまして、それがまとめられた後に回答書をいただくものと考えております。  いつという日にちがまだ定かではありませんけれども、今日御質問等もいただきましたので、更にこの問題について、大変大事な課題でありますので、早急に回答をいただくように私どもの方からも要請したいと思います。
  28. 大河原雅子

    大河原雅子君 日本学術会議はさすがに日本の粋を集めた学者さんが集まっておられて、一回目のときにこの高水の結論を出していくに当たって公開性は十分に取るということをおっしゃいました。ですから、そこに出されるデータはもちろん正確なものでなければなりませんし、それに基づいていろいろな意見が出てきたときの結論を学術会議自身が最終的には一般の国民に対しての説明会もするというふうにおっしゃっているんですが、実はその説明会が八月の二日だったものが延期されているんですね。分科会自体は九月の三十日までの時限の設置でございますので、その点では非常に、今出されている回答骨子というものがホームページで見られますけれども、これの中身は非常に重要だと思います。  その中で、実は結論のところでも、本分科会では不十分な情報しか提供されない中でやってきたとまず書かれているんですよ。この点について私は、やはり国土交通省が出すデータというものについて本当に十分出し切ったのかと、その点については非常に不満を持っています、疑問を持っております。  それで、回答書は近々来るということなんですが、大畠大臣の役割は、ここから出される高水問題だけではなくて、全ての治水、利水、地質、社会的な状況、様々なところから総合的に判断をするという最終責任者です。ですから、私は結論を出す前に国土交通大臣として国民に向けて公開の公聴会であるとかシンポジウムであるとかきちんとやるべきだと思いますが、そのような開催を御予定していただけないでしょうか。
  29. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 大河原議員が御指摘のように、一つの政治の大事な視点は情報公開でございます。できる限りの情報は国民に開示をし、正しい判断をいただきながら政治を判断していただかなければなりませんので、私どもとしても、このダムの問題に限らず、あらゆる課題については、できるだけ国民皆さんに御理解いただけるような形で事業が進められるように努めてまいりたいと思います。
  30. 大河原雅子

    大河原雅子君 私がなぜこのことにこだわるかといいますと、やはり八ツ場ダムに関して言えば、建設の推進ということを強く言われる方々が今ももちろんおられるわけです。その方たちが論拠としていらっしゃることの中には、この学術会議の検証も、それから有識者会議が示された治水、ダムによらないというところでも、必要性ということについての総合的な評価がいまだなされていません。  例えば、東京都で水が百五十万トン以上余っている、このことをもってしても、利水で本当に必要なのかという検証というのはされていないんですね。それでも東京都からは、ダムを建設すべしだと、地元の人の声を聞けと、そういうような声しか上がってこないわけなんです。まして利根川の流域では、堤防の脆弱化、堤防自体が弱いので何度も漏水が起こる、二十八回も漏水が起こっているというようなところまであるんですよ。でも、そこの自治体の方々は八ツ場ダムを造ってくれとおっしゃる。ダムができるのは何年か先。そして、二百年に一回の洪水が起こったときの効果は今示されていますけれども、日常的な洪水被害にどう対応していくかというところはどうしても手薄になっているんです。  そして、新たな八ツ場ダムの必要性をおっしゃる方たちの中に、実は今の原子力事故の電力供給の問題で、あそこに造られると計画が立ちました発電所について期待を過剰に持つ方がおられるんです。  資料もお配りしておりますが、資料の三ページです。私も何度も質問主意書を出させていただいておりますが、八ツ場ダムは吾妻川に既に二十四か所発電所がございます。そして、ダムの下流の二か所については、八ツ場ダムが完成する、つまりダムに水がたまるときにはそちらに回す水が少なくなるので、東京電力に対してその発電量が少なくなるための補償をしなければならないんです。それは建設費のほかに払わなきゃならない分。幾らになるのかと毎度伺っておりますが、それは民間との交渉事なのではっきり言えませんとおっしゃいます。  この資料を見ていただけば分かるように、八ツ場ダムの八ツ場発電所、これ群馬の県営なんですが、出力が一万一千七百キロワットですね。年間でも四千百万キロワット。下流で被害を受ける、影響を受ける、つまり発電を減らされる、その発電よりも小さいわけなんです。そのことも答えてくれと言っても、今回も答えは御用意にならなかった。  様々な事柄が、八ツ場ダムについては、建設というためにいろんな理由付けがされるんですけれども、確実な必要性科学的な必要性の検証というのはいまだ行われておりません。発電所について貢献度はありませんので、私からもきっぱりとこの点は明言したいと思います。  八ツ場ダムについて、この下流の発電に大きな影響があります、減電補償費は更に事業費を大きくする、そのことを申し上げて、質問を終わります。
  31. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 暫時休憩いたします。    午前九時四十三分休憩      ─────・─────    午前十時十五分開会
  32. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成二十一年度決算外二件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  33. 大久保勉

    ○大久保勉君 民主党の大久保勉です。  前回に続きまして、世界一の公的年金でありますGPIFに対して質問をしたいと思います。世界一といいますのは、百二十兆円の運用金額があります。質的には世界一か、残念ながら、そうじゃないということが分かってくると思います。是非、質を良くするために今回の質問をしてまいりたいと思います。  七月には平成二十二年の業務概況書も発表されまして、平成二十二年度の運用成績はマイナスの〇・二五%、そして収益額では三千億円のマイナスということが分かりました。更に問題なのは、承継資金運用勘定というのがありまして、最終的に約三兆円、二兆九千九百億円のマイナスが確定しました。こちらは昭和六十一年から運用して、平成二十二年度に運用を終わり、損失が確定しました。  厚生労働省に質問しますが、どうしてこの損失は発生したのか、質問します。
  34. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) これは、旧年金福祉事業団が行っておりました年金積立金自主運用事業の損益を現在の年金積立金運用基金、GPIFが承継したところで発生したところでございます。  この年金積立金自主運用事業とは、昭和五十年代からの国会での度重なる御指摘等もあり、年金積立金の自主運用という形で昭和六十一年の法律改正からスタートしたもので、平成十二年度にこの旧年金福祉事業団が廃止されたときに終了したものでございます。  スタートした当時は、年金積立金は旧大蔵省資金運用部へ全額預託が義務付けられておったところでございまして、旧年金福祉事業団が金利付きで資金運用部から資金を借りて市場運用を行っていたところでございますが、金融市場の悪化等により結局その借り入れた資金の返済金利以上の運用収益を確保することができず、最終的に赤字になったところでございます。  以上でございます。
  35. 大久保勉

    ○大久保勉君 非常に分かりづらいんですが、金利付きで借りたと、金利を付けるのは当たり前です。要するに、財投からお金を借りて財テクをして、三兆円の損をしたということです。  一つ、言い逃れで、年金福祉事業団、前の事業団で損失があったと言っていますが、そのときの損失は一兆七千億、今は二兆九千億、約三兆円。一兆三千億もマイナスが増えているんです。こういったことをしっかりと考えてほしいと思います。  じゃ、この損失は誰が穴埋めをするのか。当然ながら、これは厚生労働省の予算から穴埋めをすべきじゃないかと私は思っておりますが、まず、野田大臣に対しまして、この埋め方に関して質問をしたいと思います。
  36. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 平成二十一年の財政検証では、大久保委員指摘の約三兆円の運用損失による影響も含めて年金財政の長期的な収支見通しが計算をされており、今後この問題により年金財政の安定への影響が新たに生じるものではないと聞いていますけれども、今の御指摘は、じゃ誰が穴を埋めるかというお話でございました。  これは、例えば一般会計で埋めるとか厚労省の予算で埋めるといっても、これ国民の税金でございますので、それはストレートに筋が通る話ではないというふうに思います。年金積立金というのは将来の年金の給付に充てるお金でございますので、安全かつ効率的な運用を是非しっかりと心掛けていただきたいと思いますが、今後の年金制度を所管する厚労省において、大久保議員が御指摘のような運用の問題も含めて、しっかりと御検討いただきたいというふうに思います。
  37. 大久保勉

    ○大久保勉君 いや、野田大臣の言葉としては非常に不明確です。  つまり、三兆円の穴が空いていますが、一般会計で埋めることができないと。誰かが埋めないといけないんです。厚生年金で埋めるということは、一般のサラリーマンと企業の方で埋めるということです。もう既に手当てをしているということは、この年金制度上、五年ごとに年金制度を変えていますが、そこでごまかして三兆円を埋め込んだということでしょう。誰も責任取っていないんです。このことに対して問題じゃないかということを野田大臣に聞いているんです。  問題か問題じゃないか、御指摘してください。
  38. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 現行の年金制度では、保険料の引上げスケジュールをあらかじめ定めた上で、保険料負担の範囲内で給付水準を調整する仕組みになっておりますので、このことも含めて今対応をしているということでありますけれども、ただ、こういう形で損が出るということ、赤字が出るということは問題であります。だから、そういうことのないような運用をしていただくために十分に厚生労働省には真摯な御検討をお願いをしたいというふうに思います。
  39. 大久保勉

    ○大久保勉君 運用で失敗したの前に必要のない運用をしたということです。つまり、わざわざお金を財務省から借りて株若しくは債券の運用をして損を出したんです。このことを指摘しないと駄目なんですよ。このことが年金勘定の中で曖昧に処理されようとしていることです。  じゃ、例えばこういう問題があります。例えば、GPIFが設立されまして、随意契約が相当あります。例えば、委託研究額が一番多い研究機関はどこですか。また、役員に厚生労働省のOBがいたら、その名前、役職を言ってください。
  40. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 委託調査研究を受託しているもののうち最も金額が大きいのは財団法人年金シニアプラン総合研究機構でございまして、この財団法人につきましては、非常勤理事長の加藤氏が厚労省出身であり、また専務理事の福山氏も厚労省出身でございます。
  41. 大久保勉

    ○大久保勉君 加藤氏という名前がありましたが、資料1を御覧ください。丸印をしておりますが、加藤栄一氏は厚生年金局長でありました。それで、どういうことをされたかということで、資料3を御覧ください。実は、厚生労働省を辞めて十九年間天下り、わたりをしています。ゴールデンパラシュートといいますか、すばらしい退官後の生活をされております。  そこで、これ数字の計算のために厚労省に質問をします。この方は、十九年間で年収は幾ら、退職金は幾ら、合計幾らの退職後の収入を得ていますか。
  42. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 退職後の十九年間、すなわち平成四年七月から二十三年三月までの十九年間の年収総額は約二億九千万円、退職金は約六千万で、以上合計すると約三億五千万でございます。
  43. 大久保勉

    ○大久保勉君 ということは、年金局長はわざわざ退職するポストをつくったんです。そこが年金福祉事業団であったり、若しくはそこから委託を受けている年金シニアプランなんです。  ただ、ここだけが問題じゃありませんで、実は、この方は理事なんです。資料2を御覧ください。理事理事長。理事は二千万、年収です。それに対して理事長は二千六百万。つまり、理事長は三割年収が多いんです。理事長というのは、資料1を見てもらったら分かりますが、いわゆる厚生省の事務次官ポストということです。ですから、年金局長で天下ったら二十年間で三億五千万、事務次官でしたら恐らく三割から四割アップで五億円と、こういう構造をつくっているんじゃないですか。それなのに、三兆円の損をしても結局はサラリーマンと企業が払うと、こういう構造に私はおかしいと言っているんです。ですから、しっかりとここは追及してほしいなと思っています。  そこで、細川厚労大臣に質問しますが、年金福祉事業団、GPIFの旧勘定は、わざわざ財政投融資資金を借りて株式等で運用して利益を稼ごうとした、言わば年金局の官製財テクであります。年金局長の天下りポストをつくり、その対価が三兆円の損失であります。  そこで、昭和六十一年にこの年金福祉事業団が開始していますから、そのときから、昭和六十一年度以降、年金局長に就いた人の全ての退職後の年収を調べてください。もちろん、これは完全な民間機関でしたら必要ございません。つまり、厚労省の税金が投入されているところ、若しくはいろんな権益が伝わっているところ、こういったところがありましたら是非開示してほしいということを要求したいと思います。いかがでしょうか。
  44. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 今、大久保委員の方から、年金局長天下ってのその収入が一部が示されまして、これは本当に私も驚いております。  それで、じゃ、年金局長局長を退職して、その後どのような職に就き収入を得たか、これを六十一年以降調べてみろと、こういう御質問でございますけれども、これは私もしっかり調べていかなければというふうに思っております。  ただ、個人情報とかいうような関係もございますので、その兼ね合いもありますけれども、私としましては、年金局長が辞められて公的な年金関係のところに就職しておりましたその全てを調べまして報告をしたいというふうに思います。
  45. 大久保勉

    ○大久保勉君 さすが細川大臣です。すばらしい決断をしてもらいました。民主党は天下りを許さない、そして税金の無駄遣いを許さない、原点をしっかりと踏まえて決断されました。本当にありがとうございます。  続きまして、GPIFの三谷理事長に質問したいと思います。  GPIFの運用、いまいちなんです。どうしてか、この辺りをこれから検証します。  GPIFの資金のほとんどを他の民間ファンドに運用委託をしております。そこで、GPIFは設立以来平均で何%の資産残高の入替えを行ったのか、このことに関して質問したいと思います。
  46. 三谷隆博

    参考人(三谷隆博君) 私どもとしましては、少しでも超過収益を確保する、そういった観点から、運用機関によって成績に差が付きやすいアクティブ運用機関を中心に、発足後、外国債券アクティブ、国内株式のアクティブ、それから外国株式のアクティブといった順に見直しを行ってきたところでございます。ただ、御承知のとおり、私ども大臣から与えられております中期目標ではパッシブ中心の運用をしろということになっておりますため、今申し上げたアクティブ資産が全資産に占める割合というのは各々せいぜい三%台半ばぐらいまでにしかすぎません。  そうしたことから、今御質問のGPIF設立以来の平均的な入替えの資産の割合は一・八五%ということになっております。ただ、ファンド数ベースで見ますと約一割弱ということでございます。なお、パッシブ運用の機関につきましても、第一弾として昨年度に外国債券、外国株式のパッシブの見直しを行いまして、この入替えの割合は全資産残高ベースで一〇・二五%となっておりますし、また国内債券、これが一番私どもの資産のウエートが高いわけでございますが、これにつきましても見直しの公募を開始したところでございます。
  47. 大久保勉

    ○大久保勉君 平均で一・八五%、消費税以下、五%以下しか入替えをしていません。ちなみに、平成二十一年度が〇・三九%、平成二十年度が三・一%、こういう状況です。  三谷理事長になりましてかなり変革をしようという方向は見えてきていますが、これからもっとしっかりと入れ替えてほしいんです。別の言い方をしましたら、一旦GPIFに資金運用委託をされましたら十年間そのまま、ずっとそのままです、運用成績が良かろうが悪かろうが。ですから、ここに問題があるんじゃないかということです。場合によっては、その民間業者とGPIFの間のいろんなしがらみがある、その結果パフォーマンスが良くないと、こういったものがあります。GPIFも政府機関でありますから、公共調達に関してはしっかりとほかの独法と同じ適用が必要です。  そこで、厚生労働省は、独立行政法人評価委員会というのをつくりましてGPIFを調べています。その中の「契約について」を読み上げますと、「随意契約に関する管理運用法人の会計規程においては国の基準と同じ限度額を定めているが、真にやむを得ない契約以外は全て一般競争入札等に移行している。」。全て一般競争入札に移行していると厚生労働省は判断しているわけです。  ここに対して実は、財務省はもう少し細かい規定をしています。財務省の財務省主計二〇一七号によりますと、契約に当たり講ずるべき措置としましては、具体的には内容をホームページ上で知らせようということです。どういう内容かといいましたら、契約担当官の氏名、契約相手方、契約金額、予定価格、落札価格、当たり前のことですが、こういうことをやりなさいと。これが一般競争入札です。随意契約に関しては、法的根拠及び理由をしっかりと書いて、これは特別ですと。こういうふうなことを書きなさいということです。  厚生労働省の担当者とやり取りをしまして、事実上はこれをやっていなかったということです。ここに関して、厚生労働省、参考人に具体的なことを説明してもらいます。榮畑さん、お願いします。
  48. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) GPIFが締結する様々な契約のうち、システムの開発とか事務用品の調達などに関するものは一般競争入札で進められているところでございまして、先生の御指摘の通知に従って情報公開を進めているところでございます。  ただ一方、GPIFが個別の金融機関等と締結いたします資金運用の委託契約につきましては企画競争型ということで随意契約でやっておるところでございますが、これにつきましては確かに十分な情報公開ができておらないところでございまして、今後改めて関係省庁とも調整して、その通知、ルールに沿った形で対応していくようにGPIFに要請していきたいと思っております。
  49. 大久保勉

    ○大久保勉君 じゃ、また榮畑局長に質問しますが、具体的に数字を教えてください。つまり、GPIFの全ての公共調達契約金額のうち、いわゆる資産運用委託契約は何%。また、この資産運用委託契約といいますのは随意契約になっています。別の言い方をしたら、随意契約は全体の何%あるか、質問します。
  50. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) GPIFの全ての公共調達契約金額のうち資産運用委託契約、これは先ほども申しましたが企画競争型の随意契約でございますが、これは過去五年間で金額ベースでおおむね九割以上でございます。また、契約件数ベースでは過去五年間でおおむね六割から八割となってございます。
  51. 大久保勉

    ○大久保勉君 GPIFの九割以上が随意契約であるということです。ですから、厚生労働省の評価委員会の評価というのは非常に大甘ということです。  そこで、細川厚生労働大臣に質問をしたいんですが、資産運用委託契約の形態は随意契約でありますが、この厚生労働省の評価委員会の評価書に関しては、真にやむを得ない契約以外は全て一般競争入札に移行していると評価しているんです。ということは、これはうそじゃないですか。そのことを細川大臣、認めてください。
  52. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) いわゆる公共調達におきます契約の形態には委員が御指摘のように一般競争入札と随意契約がありまして、このGPIFが金融機関等との間で締結をいたしております委託契約、これは随意契約に該当します。  具体的には、応募者に企画提案書を提出をさせまして、その中で最も優れた企画提案を行ったものを選定をいたしまして当該者と契約を結ぶというそういう、先ほども局長の方からお話がありましたような企画競争型の随意契約を行っているところでございます。  これは、年金積立金の運用の委託におきましては、運用手数料、これが多いとか少ない、そういうことだけではなくて、応募者の運用能力を評価した上で契約者を選定するということが極めて重要でございまして、その考え方から、一般競争入札にはなじまない、真にやむを得ない契約として随意契約を行っているというものでございます。したがって、御指摘のこの評価委員会の評価は、一概に間違っているということではないんではないかというふうに思います。  また、先ほども出ておりましたけれども、随意契約に当たっての情報公開が十分でないということ。私は、情報公開については、これは本当に大事なことでありますから、これについては今後GPIFの方に、できる限り公表をしっかりやるようにということで、検討するよう要請をしたいというふうに思っております。
  53. 大久保勉

    ○大久保勉君 前半は残念ですが、後半は評価します。  ただ、資産運用に関しては特殊だと言っていますが、その結果何が起こっているかといったら、一番最初の質問ですが、つまり、資産の入替えというのは毎年平均で一・八五%しかないと。別の言い方をしたら、九八%がずっと同じ契約をしているという状況です。これをもって競争性があるかということなんです。是非工夫をしてほしいと思います。  次に、総務大臣政務官に質問したいと思いますが、一般化したいと思います。  つまり、独法の評価をその監督省庁が行っています。ですから、非常に甘い。場合によっては、その省庁から先輩方が天下っていますから甘くならざるを得ないと、こういった構造的な問題があります。そこで、総務省はしっかりと独法の評価を国レベルでやってほしいということで質問したいと思います。  実際に総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会は、九府省評価委員会の二十一年度評価結果については、保有資産見直しに関して改善すべきであるとか、若しくは契約に関して見直すべきであると、こういったことを指摘されております。  具体的にどういうことを指摘されたか、是非御紹介ください。
  54. 逢坂誠二

    大臣政務官(逢坂誠二君) お答えいたします。  総務省の評価委員会指摘した事項でございますけれども、例えば職員宿舎の入居が低調な法人、これ五法人、あるいは利用率が低調な宿泊施設、教育研修施設など、これは八法人九施設、あるいは未利用地、遊休施設など、十法人三十六か所、こういったところを指摘しておりまして、この点について改善などを行っていくことが重要だということを言っております。
  55. 大久保勉

    ○大久保勉君 ここで委員長にお諮りしたい件があります。  このように各省庁は自分たちの独法に対して非常に甘いということで、是非第三者的な会計検査院を使うべきじゃないかと思っています。  そこでお願いしたいのは、全ての独立行政法人を会計検査院のような専門の第三者機関が横並びで調査することが必要と思います。そのことに関して是非検討を願いたいと思います。
  56. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 後日理事会にて協議をいたしたいと思います。
  57. 大久保勉

    ○大久保勉君 あと時間が四分ほどになりましたので、最後の項目を質問します。  資料の4です。これは非常にテクニカル、技術的なものでなかなか難しいので、時間がありませんでしたらまた財政金融委員会等で質問したいと思います。具体的にGPIFの運用はどういうふうにすべきかという質問点です。  大塚副大臣に質問したいんですが、資料の4といいますのは、実は年金の運用といいますのは金利に相当影響されますよということです。特に、金利が一%上がった場合、下がった場合によって相当の影響があります。  例えば、②の三十年国債で百二十兆円運用した場合には、一%金利が上がった場合は実は二十六兆円の損失になります。今GPIFがインデックスとして使っておりますのはNOMURA―BPIということで、③です。この場合は金利が一%上がった場合はマイナス八兆円です。  ところが、注目しないといけないのは、年金には債務というのがあります。この負債サイドもしっかりと見ていかないといけないということです。実は金利が一%上昇した場合には六十四兆円のマイナス、つまり資産が圧縮されたということです。ですから、その差額というのは、②の場合は三十七兆円のマイナス、③の場合はマイナス五十六兆円。  同じことに関して、数字の2、金利が一%下落した場合、この状況に関しては、全額を三十年国債で運用した場合には二十六兆円のプラスで債務サイドは六十四兆円増えるということは、損失が膨らみます。その差額が三十七兆円。③のNOMURA―BPIというインデックスを使った場合には八兆円の利益ですが、債務サイドは六十四兆円ですから五十六兆円。この二つを見て変化額が少ない方がより安全な運用と言えます。これはリスクの計算の仕方です。  こういった観点から、大塚副大臣に質問したいのは、例えばGPIFの運用は、現在使っております、専門用語で言いますとNOMURA―BPIはデュレーションが七年です。それに対して三十年国債で運用すべきじゃないかということを質問したいと思います。
  58. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 専門的な御質問だと思いますけれども、資産の運用期間とそれから負債の方の運用期間、期間債務を、これをかなり水準を合わせるという、金融業界の用語で言えばALM的管理をしっかりするべきではないかという御下問だというふうに思います。  おっしゃるように、GPIFの運用実態を見るとその点ではかなり改善の余地があると思いますので、そういうことも含めて、GPIFとして委託先について明確な指示をすべきものというふうに考えます。
  59. 大久保勉

    ○大久保勉君 時間が来ましたので、これで終了します。
  60. 前川清成

    ○前川清成君 おはようございます。民主党の前川清成でございます。  今日は平成二十一年度決算准総括質疑ですが、平成二十一年度決算におきましてもちょっと数字を確認したいんですが、支出済みの総額が百兆九千七百三十四億円に及びました。これに対して、平成二十一年度の税収は三十八兆七千三百三十億円。大幅に足りないので税外収入、いわゆる埋蔵金などを取り崩して十一兆九千百五十三億円の収入を確保するとともに、公債を五十一兆九千五百四十九億円発行しています。うち、特例公債が三十六兆九千四百三十九億円あります。  この状況を私たちの家計に例えたならば、御主人のお給料が月三十八万円あります、そこそこ稼いでおられます、しかし一家の支出は百万円を超えます、そこで、奥さんが蔵にある骨とう品を売って十二万円稼いでいます、でも、まだ足りないから五十一万円借金しています、借金のうち三十七万円はサラ金から借りていますと、こういう状況になっているのではないかと思います。  歳出の方も、国債費が十八兆四千四百四十八億円ですから、家計の支出の中でも毎月十八万円返済をしている。三十八万円の収入で十八万円返済しているので自転車操業状態、家計に例えるならばこういうことになろうかと思うんですが。  財務大臣、この我が国の歳出と歳入の大きなアンバランス、これについてはどのように御認識しておられますでしょうか。
  61. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 大変、前川委員が家計を例えに分かりやすく御説明をいただきましたけれども、この状況というのは極めて異常な状況で、日本の財政、振り返って様々な統計資料ありますが、明治以来の統計を見た中で、税収を分母にして、そしていわゆる借金の方を分子にして、掛ける百の場合、今の御指摘だと一四〇パーを超えるんですよね。これはかつて経験したことのない、強いて経験したことがあるのは一度だけであって、昭和二十一年ということでございますので、極めて厳しい状況に陥っている中での平成二十一年度決算が出てきているということでございます。  その後、歳出と歳入の幅を、特に税収を上げながら借金を減らす努力をしてきていますが、まだ逆転はしていません。で、御指摘のとおり、税外収入は史上最大の規模で確保したり、そのような努力はしておりますけれども、依然として厳しい状況が続いています。  きちっと財政規律を守るという、その取組をしっかりやっていきたいというふうに思います。
  62. 前川清成

    ○前川清成君 言うまでもありませんが、この平成二十一年度というのは、予算編成は麻生内閣、自民党最後の内閣でなさいました。自民党政権が、まあ申し上げにくいんですが、長い間このような財政を続けて、結局、九百兆円借金を積み重ねてしまいました。  ところが、残念ながら、我が民主党政権はどうなのか。平成二十三年度予算、これ二次補正後ですけれども、税収が四十兆九千億円、借金が四十四兆三千億円、歳出が九十四兆七千億円。平成二十一年度決算と同様に、借金が税収を上回っています。  そんな中、六月三十日に社会保障と税の一体改革成案というのが取りまとめられまして、二〇一〇年代の半ばまでに消費税率を段階的に一〇%まで引き上げると、そして当面の社会保障の財源にするということが明記されました。  この取りまとめに関して、党内でも御案内のとおり様々な議論がありました。増税は絶対にあかんというような厳しい意見もあったのは事実でございます。私も、正直申し上げて、自分が支払う税金はできるだけ少ない方がうれしい。大臣も多分、個人的にはそういうお気持ちだろうと思います。  ましてや、私たちは選挙で有権者の皆さん方に名前を書いていただかなければならない立場ですので、増税、誰も彼も避けて通りたい、そういう立場に私たちは今立っています。だから、これまで赤字の垂れ流しも見て見ぬふりが続いてまいりました。子供たち、孫たちの世代に借金を押し付けて、それでも構わないと、耳触りの悪いこと、つまりは増税に対する言及というのが避けられてまいりました。  小泉総理が米百俵ということを所信でお述べになりましたが、その米百俵を説いた小泉総理でさえ御自身の在任期間中は消費税を引き上げないと、こういうふうにおっしゃって、この困難な問題については先送りをされてしまいました。  しかし、およそ百兆円の予算のうちに、国民皆さん方からお預かりする税金で賄えるのは四十兆円。毎年五十兆円ずつ借金を積み重ねている。これはまさに後世に対して私は無責任ではないかと、こういうふうに思っています。  それで、釈迦に説法ですけれども、少子高齢化の影響もあります。五十年前、一九六一年、昭和三十六年に国民年金法と国民健康保険法が施行されまして、国民皆年金・皆保険という仕組みができ上がりました。その五十年前はおよそ九人の現役世代で一人のお年寄りを支えると、そういう人口構造でしたが、現在では三人の現役世代で一人のお年寄りを支えています。このままのペースで少子高齢化が進むと、二〇一五年には二人で一人、二〇五〇年ごろには一人の現役世代で一人のお年寄りを支えなければならない、そんな時代がやってまいります。  つまりは、次の世代は、社会保障を支えるために、今よりも更に大きな経済的な負担をお願いしなければならない。言葉は悪くなりますが、子供たちや孫たちの世代は今よりも貧乏になってしまいます。それなのに、毎年五十兆円ずつ借金を先送りすると。私も今子育て真っ最中ですけれども、親の気持ちとしては、自分が貧乏しても子供たちには貧乏させたくないと、そう思っています。その点からいうと、私は今の財政に対して、ある種、罪悪感を持っています。自分たちの選挙のことではなくて、この国の将来と国民の生活を考えて、耳触りの悪いこと、これについても正直に訴えるのが私はこの時代の真のリーダーではないかな、こういうふうに考えております。  つきましては、野田財務大臣に、この社会保障と税の一体改革、さらには消費税の引上げの問題、これについてどのようにお考えになっているのか、御所見を承りたいと思います。
  63. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 大変本質的な御質問をいただきましてありがとうございます。  社会保障は委員の御指摘のとおりで、昭和三十六年、いわゆる国民皆保険、国民皆年金、始まったときの人口構成は御指摘のとおりです。分かりやすく言うと、野球で優勝すると胴上げしますけれども、監督を、あのように多くの人たちがお年寄りを支えることができた。それがだんだん騎馬戦型の社会になってきて、三人で一人を支えると。いずれマンツーマンで支えなければいけないということは、これ肩車です。肩車で下に入る人は相当な力がないと大変です。そういう状況の中で、どんどん社会保障費がかさんできている。  これが、今、それをどう持続可能性を持たせていくかということは大テーマでありますが、OECDのいろんな指標がある中で、社会保障は平均を超えています、日本は。でも、それ以外の公共事業であるとか科学技術は最低レベルです。社会保障は自然増があります。来年も一兆二千億ほど自然増があると思います。その自然増をのみ込むために、じゃ、これ以上公共事業を削れるのかと。メンテナンスも大変になってくると思います。じゃ、教育を削っていいのか、科学技術削っていいのかという今状況の中で、やっぱり社会保障を持続可能にするためには、財政も、苦しい、切ない話ですが、歳入の改革もやっぱりやっていかなければならないと思いますし、先送りできないと思います。  アメリカの第三代大統領でトマス・ジェファーソンという人がいます。ジェファーソンは大変名言を吐いているんですね。将来の世代に借金を残すような財政運営というのは詐欺と同じだと。日本はある意味では国家的な大掛かりな詐欺をやってきたんではないかと思います。  家計も借金をします。国も借金をします。一定の見通しを持って借金することはいいんですが、見通しを立てないままやってまいりました。したがって、昨年の六月に財政運営戦略をまとめて、苦しい山道ですが、一歩一歩登っていこうという方針を示しました。そのためにも歳出の改革は不断の努力でやらなければなりませんけれども、歳入の改革、特に消費税の問題、社会保障を支えるためにこれは先送りをしないで、政府と与党で成案をまとめましたけれども、きちっとその後の具体設計をしていくことが大事だというふうに思います。
  64. 前川清成

    ○前川清成君 税金が増えるというのは国民皆さんにとっても我々にとっても大変つらいことですが、ここを先送りしてしまうとこの国の将来がないと、私もそう確信しておりますので、是非御尽力をお願いしたいと思います。  それで、一方において歳入を確保するとともに歳出を見直しをすると、これも大事なことではないかと思います。民主党は政権交代に先立って、税金の無駄をなくしますと、こういうふうにお約束をいたしました。その約束に基づいて事業仕分も進めています。ところが、この社会保障と税の一体改革成案を受けて、無駄遣いをなくす約束をほごにするのかと、そういう御批判も中にはあります。しかし、私はそれは当たらないのではないかと思っています。消費税を五%引き上げて、かつ、その全額を国が独り占めするとしても、二〇一一年度ベースで消費税五%で十二兆八千億円にしかなりません。  他方、現在の基礎的財政収支の赤字額はおよそ二十三兆円あります。先ほども申し上げましたが、四十四兆円借金をしています。国債費が二十兆円で、うち十兆円が利息の支払ですから、粗っぽく言いますと、消費税を五%引き上げても毎年の利息の分にしかならない。  だから、これで決して一安心ではなくて、無駄遣いを更に厳しくチェックするのはもちろんですけれども、それだけでは足りないのではないか。支出の優先順位、これを決めていって、この優先順位を更に厳しく決めていかないと、更に大幅な消費税の引上げをしなければならないのではないかと考えます。  無駄ではない、その分野においては有益な政策、予算なんだけれども、優先順位を考えて、プライオリティーを考えて、心を鬼にして取捨選択をする、その方針、その政治の姿勢、これも他方において大事なことではないかと私は考えておりますが、財務大臣、この点いかがでしょうか。
  65. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 全く同感でございます。歳出の無駄をずっと徹底して洗っていくことは、これは不断の努力をしていかなければなりません。事業仕分とか行政事業レビュー、これからも続けていくべきだろうというふうに思います。  一方で、単に無駄と言えないものであっても、やっぱり政策の優先順位を付けて、これはもう少し待ちましょうとかという順番を付けていって、やっぱり緊急的に必要なものについてしっかり生きたお金を使っていくということが政治の今課せられている大きな任務だと思いますし、なかなか苦しいこともあると思います。今まで続いていたものをやめてもらうということは、なかなか厳しい決断があるかもしれません。でも、私は、政権党というのは苦しいことも国民の皆様にお訴えをしながら御理解をいただくということが一番の役割ではないかというふうに思います。
  66. 前川清成

    ○前川清成君 今申し上げたプライオリティーをどう付けるか。これについて、総論は賛成、でも各論として反対と、これを私自身言いたくありませんので、私自らの出自にかかわることも例にして議論させていただきたいと思います。以前この委員会で櫻井財務大臣と議論させていただいた司法修習生の給料の問題です。  前提として御説明を申し上げますと、司法試験に合格してもすぐに弁護士や裁判官や検察官になれるわけでもなくて、私たちのころは、翌年の春から二年間、司法修習生として教育を受けました。現在はその期間が一年に短縮されています。その間、司法修習生の間も国からお給料をいただいていたわけですが、六年前に裁判所法が改正されまして、この給料を廃止すると、廃止すると、その代わりに生活費を貸してあげましょうと、いわゆる貸与制が盛り込まれました。五年間の施行期限を待って去年の秋からこの貸与制が実施される予定でしたけれども、日弁連を中心にして、私も日弁連の会員ですが、日弁連を中心にして、貸与制になったら金持ちの子供しか弁護士になれなくなってしまうと、こういう反対論が持ち上がりまして、給費制は一年間延長されてしまいました。  その日弁連が反対の根拠として言う金持ちの子供でないと弁護士になれない、そんな世の中ではあかんことは当たり前ですし、金持ちの子供でしか弁護士になれないのであれば私は弁護士になれませんでした。しかし、今、弁護士や裁判官やあるいは検察官、法曹を志す若者に対して経済的な障壁になっているのは本当にこの貸与制なのか、私はそうではないのではないかなと、こう思っています。  なぜならば、以前は司法試験を受けるのには何の資格も学歴も、お金は一万円程度の受験料が掛かっただけですが、小泉内閣が司法制度改革というのを推し進めました。その結果、法科大学院を卒業しないと司法試験の受験資格を与えないと、こういうふうに制度が変えられてしまいました。この法科大学院を卒業するには、大学卒業後、原則として三年間、国立大学であれば一年間におよそ八十万円、私立大学であれば一年間におよそ百三十万円の授業料を負担しなければならない。したがって、金持ちの子供でない若者にとっては、何よりもこの法科大学院という仕組みと法科大学院の学費こそが志を妨げる大きな障壁になっているんだろうと、私はそう思っています。  他方で、給費制が廃止されて貸与制が実施されたとしても、司法修習終了後、弁護士や裁判官や検察官になった後、五年間返済が猶予されまして、その後、毎月二万三千円ずつ返済するだけです。弁護士になって、あるいは裁判官や検察官として給料をもらって毎月二万三千円ずつ返済できない、こんなことはないだろうと思っています。  司法修習生の給料が本当に有り難かったことは、この前もこの席で申し上げました。今も感謝していますが、もう繰り返しません。ただ、私が今も毎日使っているこの腕時計、これは今から二十三年前に司法修習生のときにボーナスで買って、今も使っています。  給費制を続けることができたら、続けることができる財政状況であれば是非お願いしたいと思います。しかし、限りある財源を何に使うか。それを給費制にするのか、あるいは逆に、法科大学院、お金がなくて進学したくても進学できない子供たちがいる、その現状をそのまま放置しておいて、法科大学院に進学することもできました、司法試験にも合格できましたと、将来、弁護士や裁判官になることがほぼ確実になっていますと、言わば勝ち組の皆さん方に限られた財源を給料として使うのが本当にいいのか。まさに今私は、このプライオリティーの問題に直面しているのではないかと、そう思っています。  政府の中で法曹養成フォーラムというのが立ち上がっているとお聞きしています。財務大臣のお立場で今結論をお述べいただくのが困難であれば、結論は結構なんですが、この給費制、貸与制、あるいは法科大学院の学費、あるいは奨学金などなどの問題、どのような視点で、どのような考え方で臨まれるのか、基本的なところをお伺いさせていただきたいと思います。
  67. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 具体的な事例で、そしてあわせて本質的な問題だと思います。  財政の事情も含めて、いろいろ議論の経緯がありながら貸与制に踏み切るはずだったんですけれども、給費制という形で延長をされました。この十一月に私は、基本的には貸与制を導入をすべきだろうというふうに思います。これは必要だと思いますが、ただ本質的な問題は、委員が御指摘のように、貸与か給費かではなくて、志を持った若い人たちが法曹界に入って社会正義を実現をするために働いていきたい、その思いをどうやってサポートするかだと思うんです。  法科大学院のお話もございました。今フォーラムでもそういう御議論をされていると思いますけれども、そういう観点からの諸施策については、私どもは適切に対応していかなければいけないというふうに思います。
  68. 前川清成

    ○前川清成君 今大臣がいみじくも本質をお話しいただきましたように、私は、この法曹、弁護士や裁判官や検察官になりたい若者だけを切り取ってそういう議論をするつもりではなくて、例えばエンジニアになりたい、学校の先生になりたい、プロ野球選手になりたい、新幹線の運転手になりたい、若者が様々に夢を持つわけですが、その夢が親の財布の重さで決まってしまう、そういう社会であってはならない。だから、公平な、公正な社会をつくるために限られた財源をどのように使っていくか、こういう点で是非知恵を共に絞ってまいりたいと、こういうふうに思っています。  残された時間がちょっと四分になってしまいましたが、次にサラ金金利の引下げ、昨年、完全施行になりました貸金業法のことについて議論をさせていただきたいと思います。  自分のことは長々申し上げませんが、私は、七年前、このサラ金の金利を引き下げたい、そういう動機でこの世界に飛び込みました。当時、毎年二十五万人の人たちが自己破産を余儀なくされておりました。毎年七千人の人たちが経済苦を理由に自殺をしておられました。当時の出資法の上限金利二九・二%、高金利が、サラ金からお金を借りざるを得ない人たち、貧しい人たちを搾取している、その陰でサラ金が暴利を得ている、法律を変えなければならない、それが私がこの社会に飛び込んだ理由でありますけれども。  二〇〇六年、平成十八年の十二月に改正貸金業法が成立をいたしまして、二九・二%の上限金利が利息制限法の水準に引き下げられました。この結果、今、高利に苦しむ人たちというのが確実に減少しています。株式会社日本信用情報機構、ここは五件以上のサラ金から借入れしている人たちを多重債務者というふうに定義をいたしまして統計を取っておるんですが、平成十九年三月末時点で多重債務者百七十一万人だったのが二十三年三月末時点で七十万人、およそ三分の一に減少しています。今申し上げたとおり、平成十五年の自己破産の件数が二十四万二千三百五十七件でしたけれども、昨年、平成二十二年度は十二万九百三十件、およそ半分になりました。  この数字から明らかなとおり、私は、上限金利を引き下げたことで、貸金業法を完全施行にしたことによって、不幸の種であった高金利、これが確実に減少していると。ですから、私は、この二〇〇六年の貸金業法の改正は正しかった、完全施行は正しかったと、そう確信しておりますけれども、自見大臣、この点についての御認識をお伺いさせていただきたいと思います。
  69. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 前川議員にお答えをさせていただきます。  先生は弁護士さんでございまして、今お話がございましたように、経済産業省近畿経済局の消費者問題の担当の顧問弁護士をしておられたということでございまして、この改正貸金業法に対する烈々たる熱意を聞かせていただいたわけでございますが。  先生御存じのように、この改正貸金業法は平成十八年の十二月に全会一致で成立した法律ですが、今もお話がございましたように、上限金利の引下げや総量規制の導入などにより、多重債務問題の解決に向けた抜本的かつ総合的な対策を講じようとするものでありまして、昨年のちょうど六月だったと思いますが、昨年の改正貸金業法の完全施行、ちょうど私が国務大臣を拝命した後でございましたが、非常に社会的に大きな問題であると、いろいろな問題もあるということで、実は法律の施行直後に改正貸金業法によるフォローアップチームというのをつくらせていただきまして、きめ細かいフォローアップを行ってまいりました。  その一環として、関係者のヒアリングや利用者への意識調査等の実態調査に努めているところでございますが、これによると、今先生からもお話もあったように、多重債務相談を含む貸金業は、又はやみ金に関する相談等は改正貸金業法の完全施行以後落ち着きを見せていると。あとは、先生が今言われたように、日本信用情報機構ですね、これは百七十一万から七十万というふうに減少いたしておりまして、そういった状況になっておりまして、貸金業法の、多重債務者問題の解決に資するものとなっているというふうに私も考えております。  しかし、こうした状況を踏まえると、当初懸念されましたような深刻な状態にはならず、現時点では制度につき直ちに見直すべき点はないと、こう思っておりますけれども、まさに大変大きな社会問題になった問題でございますから、しっかり先生方の御意見も聞かせていただきながら、金融庁として、今後、実態把握に努めて、貸金業の貸し手、借り手の状況をしっかりフォローアップさせていただきたいというふうに思っております。
  70. 前川清成

    ○前川清成君 どうもありがとうございました。  これで終わらせていただきます。
  71. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。  まず初めに、二十一年度決算の審議に当たりまして、予算の適正執行を図るために決算監査に御尽力いただきました会計検査院の皆様に心から敬意を表する次第であります。  折しも、東日本大震災被災者支援震災からの復旧復興に莫大な国費が今後必要とされることは明白であり、これまで以上に適正な予算執行と無駄の排除が必要になってくるだろうというふうに思っておりますので、会計検査院には、より一層のお取組お願いを申し上げたいと思います。  本日は二十一年度決算についての審議でありますが、東日本を襲いました未曽有の大震災、そしてこれに伴う原発事故が、被災地の方々はもちろん、国民生活にも大きな影響を及ぼしておりますので、二十一年度決算を踏まえた上で、東日本大震災並びに原発事故への対応等について、農林水産関係を中心に質問をさせていただきたいと思います。予算の中身にはいろいろあるわけでありますが、一つ具体的な例を申し上げながら、鹿野大臣の御所見を賜りたいと思います。  まず、一つの例でありますが、今般の東日本大震災なり、あるいは先週、新潟、福島の大豪雨、また私の地元鹿児島の桜島や新燃岳の噴火、これはまさしく我が国は災害列島と言っても過言でないのではないか。国民の命と財産を守ることが我々国の大きな責務であると、こういうふうに考えております。  しかしながら、政権交代以降、コンクリートから人へという方針の下で、防災対策の柱でありました公共事業が大幅に削減をされました。一つの例で申し上げますと、農林省の水産公共事業予算の中の漁港海岸事業でありますが、この二十一年度予算は九十七億八千万でありました。しかしながら、政権交代後は、二十二年は九億七千万、十分の一になりました。そして、今年の二十三年度予算は七億七千万であります。事もあろうに二十三年度予算におきましては、第三種漁港を優先して小規模漁港は後回しにするという方針が出されました。これには全国各地の小規模漁港を持っておられる行政の皆さん方は大変憤慨をされました。  水産庁におきましては、平成十八年に災害に強い漁業地域ガイドライン、そして昨年、二十二年には漁業地域減災計画策定マニュアルを作成しまして災害対策に取り組んでおられますけれども、しかしながら、残念ながら予算編成は私は逆行しているんじゃないのかと、防災予算が連立しておらなきゃ、両輪で行かなきゃならないのが逆行しているんじゃないのかというふうに思います。  今回の三陸の漁港の大震災害を見まして、鹿野大臣、二十四年度、これらについて予算編成を見直す考えがあるかどうか、御答弁をお願い申し上げます。
  72. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今、野村先生からお話ありますとおりに、平成二十二年度、二十三年度、いわゆる公共の当初予算というものは削減をされてきました。  そういう中で、一言だけ申させていただきますと、平成二十三年度予算におきましては、いわゆる地域自主戦略交付金というふうなものが創設されまして、小規模の漁港の整備なり、あるいは漁村、漁港海岸の整備というふうなものも可能ですよというふうなことでございまして、いわゆる水産の基盤整備におきまして、漁港なり漁村の防災対策というものを予防的に実施できるような制度も打ち出させていただいたわけでございますけれども。  しかし、今お話しのとおりに、今回の大震災というふうなことを受けまして、これからの漁港やあるいは漁村というふうなもの、漁港、港なりあるいは海岸というふうなものをどうやって整備していくかということを考えたときに、今回のこの大震災を踏まえて、地震津波等に対する防災対策というふうなものを強化する必要があるというふうなことも含めて、今後、二十四年度予算に向けて具体的な取組をしてまいりたいと思っております。
  73. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 鹿野大臣から大変前向きな私は御答弁だったというふうに思います。もちろん、三陸の復旧復興については、今後第三次の補正予算で復興に向けた取組ができると思いますが、ただ、忘れてならないのは、日本全国やはりいろんな問題を抱えておりますので、是非これは、来年度予算の中で是非ともまた再検討をお願いを申し上げたいと思います。  それから、これは震災地の問題でございますが、いろいろ震災に遭われた地域皆さんの、行政の皆さん方の御意見を聞いておりますと、徐々ではあるけれども復旧復興に向けた取組が進み出したと、こういうことで、最近は活気も出てきた漁港も出てまいりました。  しかしながら、全体として私が一番思いますのは、やはりこの三陸海岸に第一次、第二次の補正予算措置されておりますけれども、ただ、漁港なり漁場の復旧は、これは少しずつですけれども進んできているというふうに思います。しかし、漁港なりあるいは漁場が復旧はし出しても、魚が揚がってきて、それが全て生で流通すればいいんですけれども、加工の問題が私はどうしてもこれはパッケージとして、バックヤードとしてこの加工の問題というのに積極的に取り組んでいただかなければ本来的な漁港の復興にはならないだろうというふうに思います。  そこで、現地の皆さん方のいろいろ話を聞きますと、個人の加工業者なんだと。これはもう政府の方で二百十一億の予算を一次、二次で付けていただきましたので、共同利用施設、これについては進みつつあると。しかしながら、一番問題なのは個人の加工業者なんだと。この加工業者の皆さん方というのは長年のやっぱりノウハウを持っておられますし、独自のやはり加工技術も持っておられます。  しかしながら、この人たちが共同でやれと二百十一億付いたんだけれども、共同でやれといったってできないよという大変な意見をいただいておりますし、個人の資産に対する国の支援というのはなかなか難しいのかもしれません。  しかしながら、ここは何とか知恵を出していただかないと、先ほど言いましたように、漁場、漁港、そして加工、こういうものをパッケージで復興していかないと私は三陸の海は守れない、あるいは海岸は守れない、あるいは漁港は守れないというふうに思うんですが、大臣、どうしても、この個人の加工業者の皆さん方の対応というのをいかがお考えか、お伺いいたします。
  74. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今、野村先生からおっしゃられたとおりに、今回の復旧復興に向けてはやはり漁業と加工、流通業、やはり一体的な取組というふうなものがどうしても不可欠だと、私どもも共通の認識を打ち出させていただいております。  そういう中で、まず一次、二次補正におきましては共同で施設を造ってやっていこうというような人たちに対する取組というふうなものを打ち出しておるところでございますけれども、今後、今お話しの、どうしても個人のそういう加工業者が多い中で、その人たちが元気を出してもらうようにしなければなかなか更なる復旧復興というものは、活性化を目指すということは難しいのではないかというお話も承っておるところでございます。  しかし、個人の資産にかかわることでもございますのでというお話もございますとおり、なかなか困難でございますけれども、今後、地域の方々なり、あるいはそれぞれの市町村の復興計画というふうな下の中で何ができるかというふうなことも含めて、今後勉強しながら取り組んでまいりたいと思っております。
  75. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今答弁いただきましたように、加工というのは共同作業がなかなかうまくいかない分野だと私は思います。ですから、個人のところにやっぱり視点を、個人の加工業者の皆さん方に視点を当てていかないと、これからの漁港の復興というのは、先ほど来申し上げておりますように、パッケージでやっていく必要があるものですから、このことを申し上げているんです。  そこで、大臣、私はやっぱり農業部門でやられた、これはまた我々政権時代の手前みそじゃありませんが、二十一年度に、麻生政権の最後の年でありましたが、どうしてもやっぱりこれは農家の大型機械化を進めていかなきゃならないということで、当初、農業機械のリース事業、これは個人対象なんです。それを、五か年間のリース事業を組み立てました。五十億の当初予算で五倍の応募があったんです。そして、それをまた補正予算で三百億にしました。こういうことをやりながら個人の機械の導入を図っていったんです。  ですから、例えば個人にはなかなかの資産として支援するということは今の補助事業形態の中では難しいと思うんですが、何かやはり加工業者の皆さん方にもそういったようなリースの考え方でやれないのかどうか。これはもう農業機械部門で三年ぐらいやっておりますから、このことをやはり一つのモデル、ヒントにしながら、加工業者個人に対する支援というものを、何とかそのスキームを作っていただきたいと思っているんです。ですから、これは御答弁は要りませんけれども、こういう先例がありますので、是非ともこういうものをモデルにしながら是非やっていただきたいというふうに思います。どうかよろしくお願いいたします。  それから、次の質問に入らせていただきたいと思いますが、今日は大変お忙しい官房長官にも実はおいでいただきましたのは、これまで私ども農林水産委員会で鹿野大臣とはいろいろやり取りをしてまいりました。しかしながら、これは官房長官の意見というよりも、確認をしたいことがあったものですから、大変お忙しい中に御出席をいただきましたことを有り難いと思っております。  まず、官房長官にお伺いしたいのは、七月二十日の衆議院の東日本大震災復興特別委員会におきまして、私どもの同僚の小野寺委員の質問でありますが、稲わらについてしっかり検査していなかった責任は政府にある、三月十九日に農水省は文書を出したと言うが、この時期は電気も通じていないし、ホームページも見られない、地方行政も機能していない中で通達が被災地に届いていない現実を踏まえて政府の対応をお伺いしたいという質問に対して、官房長官は、今回の件は、畜産農家や稲わら生産者の落ち度ではなく、原発事故と政府としての周知が結果的に十分でなかったことに起因しているというふうに思っておりますと、こういう答弁をされております。  官房長官、大変お忙しい中でございましたけれども、これについて確認をさせていただきますが、この答弁について今もそのようにお思いでございますか、御答弁いただきたいと思います。
  76. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) お答え申し上げます。  御指摘いただいた議事録のとおり、今回の稲わらに起因する食肉の問題については、畜産農家の皆さん、あるいは稲わら生産者の皆さんの落ち度ではなくて、むしろ政府の周知徹底が十分でなかったことに起因をするものというふうに今も考えております。  これに対する責任ということでは、いわゆる賠償という意味での責任ということでは一義的には東京電力の責任であるというふうに思っておりますが、これについても、そもそも原子力行政を推進してきたという立場から、政府においてもしっかりとした対応をしていくということ、これは一般的に申し上げてきているところでございますが、それに加えて、この稲わらに起因する食肉の問題については今のような経緯もありますので、行政的、社会的な責任として政府を挙げて、特に農林水産大臣厚生労働大臣を中心にして最大限の対応ができるよう努力をしているところでございます。
  77. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 枝野官房長官は、こうして七月二十日の復興特との答弁、ほとんど同じでございましたし、また一つ踏み込んでいただいたのが、政府を挙げて今後解決に向けてやっていくんだという前向きな御答弁をいただきました。  そこで、鹿野大臣、私どもは、七月二十六日の農林水産委員会で私自身もその話をさせていただきました。それから、翌日の衆議院の農林水産委員会では江藤委員の方から、同じような質問を鹿野大臣に私と江藤先生でやっております。しかしながら、鹿野大臣の答弁の中に政府の責任のセの字も出てこない。私は何か、鹿野大臣、大変尊敬いたしておるんですけれども、何で鹿野大臣が政府の責任の一端があるんだということをおっしゃらなかったのか。当然、稲わらの通達を出したのは農水省ですから、そういった意味でなかなかお答えにくかったのかなというふうには思いますけれども、今官房長官からの答弁のとおり、やはりこの問題については、政府、特に農水省の責任が一端があるんだということをお認めになりますかどうか。
  78. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 現実に通達を出した、飼養管理につきまして。それが周知徹底が図られていると思っておったというふうなことについては、実質的には周知が徹底していなかったというふうなことは、私自身、この国会におけるところの議論の中でも、このことは真摯に受け止めていかなきゃならない、反省の上に立って今後いろんな具体的な施策を行っていかなきゃならないと、こういうふうなことで、まず一つは、既存の考え方というふうなもの、そういう概念をやはりひとつもう一度見直して、そして見詰めていく必要があると。  例えば、この稲わらというものは秋でもう既に生産が終わるものと、こういうふうに一般的に考えておったのが、実は春においても生産されておったというようなことは、これはまさしく考え方をもう改めていかなきゃならない。  そしてまた、団体を通じてというふうなこと、あるいは都道府県を通じて通知が行き渡るというふうなこと、しかしながら、じゃ団体に参加されていない人たちに対してどうであったのかというようなことを考えたときには、飼料のメーカーさん、あるいは獣医師の先生方、あるいは肥料屋さんという関係の方々にも協力してもらうように周知徹底されるようにしていかなきゃならないと、こういうようなことの中で、あらゆる努力をして今後このようなことがないようにしていくというふうなことが一番大切なことではないかという、そういう反省の上に立って取組をさせていただいているということを申させていただきたいと思います。
  79. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 やっぱり鹿野大臣責任のセの字も今おっしゃいませんでした。反省の上に立ってやるんだというお話、前向きな話は分かるんですけれども、やはりここは、国として責任の一端がある、農林水産行政の責任もあるんだということを是非お認めいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
  80. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 官房長官からもお話ありますとおりに、そのまさしく官房長官の言われるとおりが政府の基本的な考え方であるわけでございますので、そのような考え方を持っておるわけでありますから、今懸命な取組をさせていただいているということでございます。(発言する者あり)
  81. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今も不規則発言の中で、農水省としてどうなんだというのを私はさっきからお話をさせていただいています。まあ、これはもう鹿野大臣の信念なのか、あるいはいこじになっておられるのか分かりませんけれども、ずっと私ども委員会でこのことを鹿野大臣に質問をしてきましたけれども、今日も、官房長官に来ていただきましたのは、政府の官房長官はもう答弁ではっきりと国の責任の一端があるんだということをお述べになっておられる。にもかかわらず、鹿野大臣、なぜこんなにかたくなにセの字もおっしゃらないのかというのは不思議でなりません。  まあ、これはまた今後やりたいと思いますが、なぜ私がこの責任の所在の問題についてしつこく申し上げているかといいますと、私は、ほかの農産物と違う、例えばホウレンソウだとか、あるいはまた、まあ野菜の中でもホウレンソウ外九種類が出荷停止になりました。そしてまた、神奈川であるとか栃木であるとかというお茶の出荷停止にもなりました。これはもう直接放射能が投下しての話でありますので、このことについての蓋然性というのは非常に高いと思いますが、ただ、今回のこの牛の問題は、やはり通達を出したと言うけれども、稲わらを与えてしまった、その稲わらが汚染されて牛の肉にこの放射能が検出を、セシウムが検出されたという問題でありますので、今までの農産物の出荷停止と、それとこれは、今回の牛は違うということを是非御認識をいただきたいし、申し上げたかったわけであります。  そこで、役所の方でも、農水省の方でも七月の二十六日に三つの対応策を出されました。参考資料を出していると思うんですが、こうしたスキームを出しておりますが、三つの柱での緊急対策でありました。  私は、これを七月の二十六日、朝、記者会見で大臣が発表されました。そのときの委員会でも申し上げたんです。本当、愕然といたしました。何が愕然としたかというと、スキームは一緒なんです。何と一緒なのかといいますと、私どもが政権時代のBSEのスキームと一緒なんです。一番最後に出しておりますのがBSEのスキームでございます。どこが一番違うんだといいますと、処理の仕方というのはほぼ変わりませんが、今回びっくりしましたのは、食肉流通団体に、金を借りて、そしてそれを保管経費なり、これは保管経費というのはずっと在庫で残っている保管経費でありますが、あるいはまた汚染されたものは買い上げて、そしてこれを処分しなさいと、それは金融機関から金を借りなさいと。ALIC、これが私どものときの畜産振興事業団でありますが、ALICは利子補給をいたしますよと。国の関与はここだけです。利子補給いたしますと。しかし、その利子補給した金も戻してくださいよというスキームであります。全て掛かった費用は損害賠償として東京電力に請求してくださいと。  なぜこういったスキームができたのか、本当に私はびっくりしました。再三申し上げてきておりますのは、私ども時代のこのBSE、このスキームをそのまま適用していただいてやっていただいても何の問題は差し障りなかった。ただ一つ違うのは、第一義的には東電の責任でありますから、これは全て国の責任においてというふうにはならないと思います。しかしながら、最終的なこの損害賠償請求のところも民間にやらして、そして全て丸投げして、国は利子補給をただALICを経由してやるだけの話では、これは後で財務大臣にもお聞きしたいんですけれども、国の関与というのは何なのかと、責任の一端があるんであれば前面に出てやるべきではなかったのかと、こういう思いでございます。  ですから、このことはまずBSEのスキームをモデルにしながら今回の対策を是非とも考えていただきたかったというふうに思っているわけであります。今回、国が責任を認めるのであれば前面にもう一回、もう時機を失したかもしれません。今日は何か鹿野大臣が朝、記者会見をやられるということも新聞報道でちらっと見たんですけれども、その中身は出てきませんでした。  この三つの緊急対策を大幅に拡大、拡充する考え方があるかどうか、まずそのことをお伺いしたいと思います。
  82. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今回のことにつきまして緊急対策を講じさせていただくことを公表させていただきました。  その三つの考え方を柱にしたこの施策につきまして、参議院の農林水産委員会におきまして野村先生から厳しく指摘をいただきました。正直、私ども、本当に農林水産業に日ごろから取り組んでいただいておる野村先生がこれだけ厳しく私ども指摘をされるということは、やはりもう一度私どももこの施策について考えてみる必要があるんじゃないかと、私はそう正直思いました。  そしてその後、状況は、宮城県等々で新たに出荷制限という措置も講じられました。そして、福島県は独自でいわゆる出荷の適期を超えてしまった肉牛の買上げ等の支援策というふうなものも打ち出されたということでございまして、そして同時に、一昨日、昨日と、衆議院と参議院におきまして、農林水産委員会におきまして決議もされたということでございますので、それぞれの情勢の変化なり、あるいはまた国会におけるところの議論なりというふうなものを踏まえて、私どもは、そのことに対してやはり新たな取組必要性もあるなというふうなことで、関係省庁とも連携を取りながら今最終的な詰めをさせていただいているところでございます。
  83. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今、農水省の方に聞きますと、あるいはこの前の篠原副大臣の御答弁の中でも、食肉流通団体に話をしてあるんだと、これが七月の二十六日ですから、もう一週間たちました。この業者の皆さん方が、分かりました、やりますと、これは質問通告しておりませんでしたけれども、流通業者の皆さん方が、こういうスキームで私どもは汚染牛肉を買い上げます、あるいは保管をしますという業者が出てきましたか。どうなんですか。
  84. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 主要団体、三つの主要団体におきまして、理解をしていただいている団体と、今話を詰めておる団体と、こういうふうな状況もございますということを正直申させていただきたいと思います。
  85. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 BSEのときには六団体がこの処理にかかわってくれました。今大臣からお話がありましたように、三団体には理解をいただいておる、あるいはあとの二団体についても今話を詰めつつあると、こういうお話であります。  なぜ彼らが、分かりましたと、国の施策に私どもも一緒になって東北のこの汚染問題について取り組みたいと、気持ちはあったにしても、リスキーなところは全部この団体に丸投げなものですから、この団体の皆さん方が分かりましたという簡単にはいかない状況なんです。  それの一番の原因はどこかといいますと、この一枚目の一番左、処分です。最終的に汚染牛肉を食肉団体が買い上げてこれを処分するというのがどういう処分なのか。私どものBSEのときには、これは焼却、焼いて処分をしなさいと。ですけれども、今回の放射能汚染のこの牛は処分しても放射能は残ります。ですから、その灰をどうするんだ、そのところの、出口のところのスキームが全然示されていない。  あるいは、先ほど来申し上げておりますように、金融機関から借り上げても、東電に幾ら請求ができるんだ。多分、この問題は東電の免責があると思うんです。そうしたときに、我々が払った金が全部、金融機関から借りた金で払った金が、東電から損害賠償請求して戻れるかよと。こんなことをずっと考えていきますと、民間団体でおいそれと分かりましたという話には私はならないんだろうというふうに思います。  ですから、今回是非、今前向きに取り組んでおる、あるいは検討しておるんだというお話であれば、この処分のところがネックになっているということを是非大臣お分かりいただきながら、最終処分はどうなるんだというところまで念を押しておかないと、これは団体の皆さん方もおいそれと了解、理解していただけないところがあるんじゃないかというふうに思っております。  次に、出荷された牛の買上げについて御質問させていただきたいと思います。  私は、先週、七月の二十八日に福島に行ってまいりました。そして、畜産農家を回ってまいりました。ある畜産農家の牛舎に行きましたところが、大変わびしい、寂しい思いをしました。私の鹿児島から出荷された素牛がこの福島で飼育されて、そしてそれが出荷停止になっておりました。私どもの繁殖の大地帯であります故山中先生の地元であります曽於というところがありますが、そこの地域から子牛として福島の肥育農家が買っていただいて肥育された牛であります。  生産農家、繁殖農家は、七、八か月、本当に手塩に掛けて、やがていい肉になって消費者の皆さん方の手に届くという、そういう思いでやっぱり作っておるわけであります。肥育農家の皆さん方も、それこそ二十二、三か月、三十か月齢になるぐらいまで、それこそ手塩に、もう愛情込めて育てられた牛が、もう八百キロを超えて、立ち上がることもできない、座して死を待つだけの状態でございます。これは当然、出荷停止になっておりますから、屠場に持っていけない。我々はこの牛が死ぬだけを待っているだけなのかと、大変寂しいし、悲しいですよという農家の声を聞くたびに、どうにかこれは国でやっていただかなければ大変だと。  で、その日に、私どもが行っておりました二十八日の日に福島県が発表いたしました。出荷停止になっている適期の牛については福島県が買い上げると、こういうことを県独自で出されました。  ずっと福島県の知事さん方、あるいは議会の皆さんも、あるいはまた三県の皆さん方も、どうか国に買上げをしてくれということを何回も何回も要請をされました。しかも、民主党の皆さん方もPTの中で国の方に要望を出されました。その中にも全頭買上げ、そして全頭検査ということを要請をされました。しかし、国が動かないので我々がもう見切り発車せざるを得ないというのが福島県のお考えだったんだと思うし、ほかの県も追随してくると思います。なぜ県がやる前に国がやらないんですかということを私は申し上げたいんです。  ですから、皆さん方が本当に現場で苦労されている、鹿野大臣は、昨日の答弁の中にも政務官からありました、大臣から常に現場の声を聞け、そして現場に行けということを役所の皆さん方に大臣がハッパを掛けておられる、そのことも私どもはよく存じております。でも、現場の声が大臣に届いていないのではないか、あるいは空回りしているのかなというやっぱり思いもいたしました。  ですから、大臣大臣がやはり現場主義でいろんな施策を打っていただいておる。だったならば、現場で一番困っているものは何かというと、今申し上げました滞留している適期の牛なんです。これを是非今日は買い上げますと、今日は財務大臣もおられるわけですから、国の金において買い上げますということをイエスかノーかでお答えいただきたいと思います。
  86. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今、野村先生から言われた福島県におけるところのいわゆる取組、すなわち適期を超えた肉牛を県単独で買い上げますと、こういうような判断に立たれた、これに対して国としても支援をしていかなければならない、どういうような考え方で支援をしていくかということを今本当にもう最終のぎりぎりの詰めをいたしておりますので、何とかそのような具体的な形で福島県の施策に対しての支援ができるように努力をしてまいりたいと思っております。
  87. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今、福島県の支援をするというふうにたしかおっしゃいました。でも、出荷停止になっているところはもう四県に上がっているわけですね。ですから、福島県が独自にやったからその県については支援をするよと、でもほかのところは何もまだやっていないから除外するよという話には私はならないと思うんです。  私は、だからさっき福島県の畜産農家の話をしましたけれども、ほかの出荷停止になっている県の農家の皆さん方は全部同じなんですよ。全部一緒ですからね。だから、国が、出荷制限を受けて適期を迎えている牛については国で買い上げるというのを、今その方向で検討しておられるということでこれは理解していいですね、福島県以外の県も含めて。
  88. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) いわゆる今先生からの御指摘の件につきましては、福島県がそういう独自の判断をされたというふうなことでございますので、国としてその具体的などういう支援ができるか、他の県におきましてもいろんな御要請、御要望がございますので、そういうものを受けて具体的な措置というものを今最終的な詰めをさせていただいておるということでございます。
  89. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 どうも大臣は慎重過ぎるのか、言葉を選んで答弁されておりますけれども、これは福島県の例を一例を申し上げて、そして福島県がいち早く対策を独自でやったということだけで、これは事福島県だけじゃなくて、宮城、岩手、そして栃木、こういう四県にまたがっていくわけですね。それこそ大臣のところの米沢牛も出荷停止になっちゃうかもしれませんし、それこそこの岩手の前沢牛なんというのはブランド品ですよ、これが出荷できないというのは大変な痛手です。  ですから、先ほど来申し上げましたように、二十二、三か月も育ててきた、いよいよ出荷のときに停止になってしまった、さあどうするかと。もう本当に八百キロを超えた牛というのは、これは肉質も悪くなってまいります。もう屠場に出しても評価が非常に低いものになってくるし、あるいはもう行っているときにも電話が掛かってきて俺の牛が死んじゃったよという話があったという話も聞きます。  ですから、死を待つだけの牛をそのまま放置していく必要は、必要というよりもしてはならないわけですから、是非これは大臣、具体的に前向きに考えるとおっしゃいました。そのことで具体的に今検討していただいているんだろうと思いますけれども、もう少し丁寧な御説明をお願い申し上げたいと思います。
  90. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今、野村先生から言われたことを私自身も十分頭に入れて、具体的な措置を近々公表させていただきたい、そのためにあらゆる努力をしていきたいと思っております。
  91. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 まあ、鹿野大臣の御答弁はなかなか読みづらいところもあるんですけれども、ただ、非常に誠実な私は大臣だと、いつも私どもの質問に対して真摯な受け答えをいただけますので、まあほかの農林水産委員会に入っていらっしゃらない人たちは不満足かもしれませんが、私は大臣の意は十分通じておりますので、是非その方向でやっていただきたいと思います。  そこで、時間もなくなりましたので厚労大臣にお伺いをいたしたいと思います。全頭検査についてです。  これは、先ほど来ずっと申しておりますように、もう七月の十一日、セシウムの検出された肉が出回ってから本当に牛の値段が下がりました。そして、もう各県とも全頭検査をしなければ肉は売れないと。もう豚肉まで、福島の豚はもう取らないとか、そんな話まで出ておりまして、とにかく牛の検査をして安全なものしか流通しておりませんと言ってきたものがセシウムが検出された、それで消費者の私は信頼を大変失ったんだろうというふうに思います。  やはり、ここはBSEのときと同じように、国が発するメッセージで全頭検査をいたしますということであれば、消費者の皆さん方は大変納得がいかれるし、失った信頼を私は取り戻せると思うんです。まあいろいろ、いろんなところでも聞きました。機器がないんだとか、あるいはもうその人手も、なかなか検査体制が整っていないとか、いろんなお話があります。しかし、ここは国が前面に出て、全頭検査をやりますよと、このことを言っていただければ私は信頼回復に相当つながってくるというふうに思っております。  先ほど来申しておりますように、国に責任の一端があるのであれば、検査費用も民間に、あるいは流通業者に任せるんじゃなくて、国で全部そのことも、検査費用も、まあ二万円も掛かるという話も聞きましたし、また簡易検出器ではそんなには掛からないのかもしれませんが、いずれにしても全頭検査をするということをこの場で厚労大臣、約束をしてください。お願いいたします。
  92. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 野村委員にお答えいたします。  牛肉中の放射性物質の全頭検査につきましては、原子力災害対策本部の方で出荷制限をしている県があります。四県ですか。そういうところは解除の要件として全頭の検査ということ、そしてその他の県でも県が消費者の安全のためにこの全頭検査ということを希望されて、それを実施したいというようなところもございます。  そこで、厚生労働省といたしましては、この全頭検査体制、これを積極的に整備をして応援をしていきたいと、このように考えております。  具体的には、そもそも全頭検査といっても機器が足りないんではないかと、こういうことも懸念されました。そういう意味で、その検査機器には、正確な検査ができるゲルマニウム半導体検出器という、そういう機器のほかに簡易の検査器がございます。しかし、その簡易検査器について、全ていいと、こういうようなことでは果たしてその検査の正確性ということも問われますので、厚生労働省といたしましては、七月二十九日に簡易測定器の技術的な要件も定めまして、そこでは牛の計画的な出荷が図られるための、そういう対応について都道府県に示したところでございます。  したがって、これから都道府県ともしっかり連携をいたしまして、この全頭検査、これをできるように私どもとしても関係省庁とも協力して支援をしてまいりたいと、このように考えております。
  93. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今の厚労大臣の御答弁も他人事のような言いぶりで、県がやるのを支援するという言い方でした。やっぱり国が前面に出てくださいというのを私はさっきから言っております。だから、責任問題を、忙しい官房長官にも来ていただきながらそのところを問いただしたのはそういう意味であります。国が前面的に出て全頭検査やりますと、そしてその費用については、県の方には私どもの方が負担をして、あとは東電にまた国が請求すればいいわけですから。  いずれにしても、国が前面になぜ出ないのかということを私は言いたいわけです。全部県がやっていただくのを、私どもは、厚労省としてはバックアップしますというんじゃ、全くそれこそ東電の後ろに回って隠れているような感じがしてなりません。それでなければ、全頭検査というのが一番消費者にとって信頼を取り戻せる手法なんです。これはBSEで体験済みなんですよ。だから、ここのところを私は、今後、牛の安全性の信頼を取り戻すにはこれしかないと思うものですからさっきから言っているんです。  それでなければ、今現場でどういうことが起こっているか、厚労大臣、御存じですか。大手の流通業者の皆さん方は、私の鹿児島の食肉まで、わらも通っておりません、放射能も全然来ておりません、だけれども検査済証明書をくれと言っているんですよ。自らがやらざるを得なくなるんです。全部これも民間業者に丸投げみたいなものですよ。  だから、これは鹿児島だけの話じゃなくて、日本全国の肉がそうなってくると思う。だったならば、先手を打って国が全頭検査をやりますとなぜ言えないんですか。もう一遍答弁をお願いします。
  94. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 委員が御指摘のように、これは安全の問題、そして国民皆さんの安心ということから全頭検査も、これは国の方としても全面的に取り組んで都道府県と一緒にやっていこうと、こういうことで積極的に取り組んでいるんです。したがって、簡易検査についても、これについては要件を定めて、できるだけ全頭検査ができる体制にきちっと持っていくということで、その簡易検査検査器の中できちっと多くの検査ができるようになりました。  したがって、今後、しかしそれでも全て全頭検査ができるかどうか、こういうことは、それは機械の数の問題もありますので、そのところは計画的に出荷もしてもらうような、そういう、そのこともこれは検討、協力もしながら計画もお立ていただき、全頭検査が完全に実施をできるようにこれは国としてもここは全面的に協力して全頭検査を達成したいと、こういうふうに考えておりますから、そこは御理解をいただきたいというふうに思います。
  95. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 時間もなくなりましたのでもうこれ以上は申し上げませんが、ただ、今、私の認識と厚労大臣の認識が違うのかもしれないなと。  といいますのは、関係の十六県に対しての全頭検査という意味で私は申し上げているんじゃなくて、私の地元までそういうことを、もう食肉流通業者の皆さんや大手の皆さん方から話が来ているんで、これはもう全県に、全国的に広がりますよということでありますから、全頭検査というのは日本の牛の安全性を証明するために全県、全国の県で取り組まなければできないと。一県や二県が取り組んだって消費者の私は信頼は得られない。BSEもそのとおりでありました。ですから、あのBSEのような初めての経験があったわけでありますが、消費者の信頼を得てきたというところであります。  そこで最後、財務大臣、今お話をずっと厚労大臣や農水大臣とさせていただきました。これを見たときに、財務省が金を出さないから農水省が編み出したスキームかなと私は勘ぐりましたよ。というのは、もう八千億の予備費を持っておられるわけですから、是非こういうのは、私ども、BSEの対策でやった、これを、このときの対策費は二百九十六億です、二百九十六億。その後もずっと、今も全頭検査をやっていますから、BSEは、いまだにその費用は掛かっていますが、この当時、当初に出しましたのは三百億です。ですから、こういったような形で思い切って対策をするには、農水省の皆さんはノウハウを持っていたんですが、多分、金のところが一番ネックになってなかなかスキームが描けなかったのかなと、かばえばそういうような思いがします。  是非、これは予備費を使ってでもこの今の牛肉の汚染の問題については早急に収束させると、こういうふうに是非御答弁をお願い申し上げます。
  96. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 基本的には東京電力による賠償だと思いますが、それに加えて、今農水省、厚労省といろいろと協議をさせていただいておりますけれども、予備費の活用も含めて必要な対応を検討していきたいと思います。
  97. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 ありがとうございました。
  98. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 午後零時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ─────・─────    午後零時三十分開会
  99. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成二十一年度決算外二件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  100. 山田俊男

    山田俊男君 自由民主党の山田俊男であります。  決算委員会質疑の場を与えていただきまして、関係皆さん、どうも大変ありがとうございます。  本日は、食糧法の運営の現状並びに、国の主食である米の先物取引の試験上場を農水省は認可されまして、八月のもう八日には今年産米についての先物上場があるというこの局面で、何としてでもそれらのことにつきまして質疑をしておきたいという思いでありましたので、この時間をいただいた次第であります。どうぞ率直な意見交換をお願いします。  それからさらに、東京穀物取引所の渡辺社長にも来ていただきました。どうも大変ありがとうございます。  食糧法の現状、今どうなっているかということでありますけれども平成十六年の改正で相当な改正がなされたわけであります。今、食糧法に盛り込まれていることは何かというと、需給と価格の安定ということの関係で、もうたかだか三つしか機能がないんじゃないかと思うんです。  一つは、生産調整の円滑な推進のための生産数量目標の設定であります。二つ目は、備蓄米の買入れ、それから米の輸入、これはMA米含めてですね、輸入です。それから売渡し。さらには、緊急時の措置ということであります。  ところが、実際はこの三つのそれぞれの重要な規定された機能の中でも多くの変化、運営の改変が行われているというふうに見ざるを得ないわけでありまして、例えば最初は集荷円滑化対策であります。  大臣、集荷円滑化対策については、豊作時に生産数量目標を超えた米の需給調整を行う、この取組として食糧法に盛り込んだわけでありますけれども、この事業は今一体どういう扱いになっているか、お聞きします。
  101. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今委員から触れられた集荷円滑化対策というものにつきましては、いわゆる農家の経営の安定という目的で戸別所得補償制度と共通するものでございますけれども、この円滑化対策というものは、まさしく米価の維持政策というふうなことに対しまして戸別所得補償制度を導入したということによりまして、この考え方は直接的な所得補償ということでございますので、両者が並行して行われるというふうな性格でないわけでございますので、二十二年度産米、二十三年度産米につきましては集荷円滑化対策は実施していないという状況でございます。
  102. 山田俊男

    山田俊男君 この点は食糧法の第八条、第九条に、これは集荷円滑化対策と併せて米穀安定供給確保支援機構という二つの規定がちゃんと置かれているわけですが、今実施していないということは、考えますと、またもう一回実施する可能性があるということですか。それとも、もう実施しないということであれば、もうこれは明確に法に違反しているということになるわけですが、いかがですか。
  103. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今申し上げましたとおりに、戸別所得補償制度というふうなものが導入されまして、そのことによって政策が転換されたわけでございますから、すなわち価格維持制度と直接の所得補償制度というふうなものがいわゆる共存して行われるというふうな性格のものではないということを私申し上げましたわけでございますので、所得補償制度というふうなものはこれから続けていくというふうなことでありますならば、このいわゆる集荷円滑化対策というふうなものは行われないというふうな考え方に立っておるところでございます。
  104. 山田俊男

    山田俊男君 昨日、農林水産委員会大臣に対しまして質疑させてもらいました。この鳴り物入りの米の戸別所得補償の仕組み、これも法律に基づいて実施しているわけじゃありませんよね。経営安定の交付金法が従来からありますけれども、必ずしもそれに基づいていないから、大臣はその法律の改正が喫緊の課題だというふうにおっしゃっておりますけれど、法律に基づいていない。ましてや、集荷円滑化対策という大事な仕組みも、法律の規定があるにもかかわらず、それも食糧法の規定があるにもかかわらず実施していない。これは両方とも、もう民主党のこの大事な米政策にかかわる課題は法律に基づかないで実施していると、こんなふうに言っていいんですか。
  105. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) すなわち、何遍も申させていただきますけれども、戸別所得補償制度というふうなものを法制化したいと、こういうふうな考え方は私どもは今でも持っているわけであります。ただ、国会でも何回かにわたりまして御答弁をさせていただきましたけれども、これは農家の方々の直接の、本法とも言える政策につながるわけでありますので、どんなことをしてもこの予算措置だけは行わなきゃならない、こういうことでございます。  そうしますと、法制化ということは、衆参共に確実に法案を成立していただくことが、これが不可欠になってくるということでございます。その場合に、今日の状況は、国会における衆参のねじれという状況の中で、果たしてこの戸別所得補償制度というふうなものが両院において御理解をいただけるかどうかというふうなことが不確かな中におきましては、やはりまず予算措置を講じさせていただくというふうなことの措置をさせていただいたところでございます。(発言する者あり)
  106. 山田俊男

    山田俊男君 今こちらの方からも意見が出ましたが、本末転倒なんですよ。  大臣国会のこのねじれ、このことが課題なんですか。それとも、そうじゃなくて、本来、法に基づいて行う行政推進は基本的にはきちっと法律に基づいて実施するということですから、国会にねじれであろうが何していようがきちっと提案して審議して、そしてお互いに納得できるものは納得して、修正するものは修正して仕上げるということじゃないですか、それが基本なんですから。  もう一回確認します。
  107. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 基本的には、まさしくそのとおりでございます。ですから、二十三年度予算時におきましても、私自身も、今、山田委員から言われるようなことを意識しながら、やろうというふうな考え方に立ったところです。これは筋道であります。しかし、なかなか筋道だけではうまくいくのかなというようなところもあるものですから、これからこの法制化に向けて引き続いて理解をいただくということも含めて努力をしていかなきゃならないと思っております。
  108. 山田俊男

    山田俊男君 次に、備蓄の仕組みであります。  備蓄も食糧法上極めて重要な規定の一つであります。ところが、この備蓄の仕組みを播種前契約という手法に変えられたわけです。そうすると、一体、本当に過剰が生じたとき、例えば豊作や需要減でその年度に過剰が生じて米価が低落するとき、何らかの形で国の需給と価格の安定の立場からすると備蓄の買入れ機能を発揮するというのが本来の食糧法上の規定じゃないですか。ところが、播種前契約でやってしまっています。  ましてや、今年は二十万トンの播種前での買入れをやろうと思ったけれど十分集まらないと。聞いてみますと、七万トンかそのぐらいしか集まっていないんじゃないですか。ということになると、このことも十分機能を果たしているとは言えないわけであります。  それから、食糧法第十八条に米穀価格形成センターが規定されていますね。これは大臣、今一体どういう状況になっているんですか。
  109. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) いわゆる米穀価格形成センターというふうなことにつきましては、計画流通制度が平成十六年度の食糧法の改正によりまして廃止されまして、いわゆる義務上場がなくなったということに加えまして、近年の状況というふうなものから、いわゆる全農系の方も入札上場しなくなったということでございまして、十六年以降、取引数量が激変をいたしまして、二十二年度につきましては出来高なしと。このようなことから、本年三月に米穀価格形成センターの解散をもって食糧法によるところの指定は取り消したというような状況でございます。
  110. 山田俊男

    山田俊男君 民主党政権の今年の三月の一日に価格形成センターはそっと、どこにも見えない形でそっとなくなっているんです。廃止しているんです。そして、今年の七月にどうしました。七月にやったことは、先物の上場を、試験上場を認可したわけですよ。一体、それは価格形成センターがなくなったから、だからあとは先物上場で価格の値ごろといいますか、落ち着き先を見なきゃどうしてもならないというのがこの価格形成センター、試験上場の認可だったわけじゃないですか。  この先物上場という話は、食糧法上はどんな規定になっているんですか。
  111. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) これは、平成十六年の食糧法改正によりまして、いわゆる流通統制というふうなものが掛かっておったお米でございますけれども、基本的にこれは解除されるというふうなことになりました。  そして一方、先物というふうなことになりますならば、これはいわゆる商品取引法に基づいて判断をするということでございますから、一方においては、今までの、平成十五年までの状況は、すなわち先物という、米の先物というふうなものも含めてこれは駄目ですよというような状況になっておったわけですけど、これ解除されたわけでありますから、そうしましたならば、これは商品取引法上に基づいてこの認可基準において判断をするというふうな状況になったものと思っておるわけでございます。
  112. 山田俊男

    山田俊男君 今、平成十六年の改正で、商品取引法に基づく商品取引については、従来は食糧法は認めていなかった、ところが平成十六年では認めた、だから先物上場、今はやってもいいんだと、こういうふうにおっしゃるわけですが、実は、平成十七年のときに、あのときに先物上場の認可の申請があったときには、ちゃんと自民党政権はそれを断っているんです。認可していないんです。ところが、今度は、見事にそれに規定にのっとって認可しましたよというふうにおっしゃる。  一体、国民生活第一と言っていた民主党、それでかつ、米の需要と価格の安定、主食であるこれらの安定について役割を果たすという食糧法が、かくのごとく大事な機能がみんなずたずたに、どこへ行っているか分からないという運営になっている。大臣、一体どこへ向かうんですか、そのことを心配せざるを得ないわけであります。  ところで、本日は東京穀物取引所の渡辺社長さんにお見えになっていただいておりますので渡辺さんにもお聞きしますが、一体、渡辺さん、三月の八日の日に、大震災前に申請されたわけですね。そして、三月十一日にあの大震災があったわけですよ。一体、もしも大震災があった後、あなたは申請されましたかね、お聞きします。
  113. 渡辺好明

    参考人渡辺好明君) それは、どういうふうにそのときにおいて判断するかというのは、今にわかに御返事はできないです。ただし、三月八日に申請をしたときの状況において、その後、この申請の内容は変更する、あるいは取り下げる必要はなかろうという判断をさせていただきました。
  114. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、三月八日に申請したんですよ。三月十一日に大発災したんですよ。発災した後、今や四か月以上たっていますよ。それでかつ、稲わら、牛肉のセシウムの問題を含めまして、大臣、午前中の野村委員質疑も含めて、昨日の農林水産委員会も、もう最近は新聞を読むと農林水産大臣が前面ですよ。それほどやはりこの原発の事故というのは大きいんです。  そしてまた、ちゃんと、かくのごとく事故は大きいよなんということを何で言わなかったんですかね。少しやっぱり隠しているようなところがあるんじゃないかという、これは農水大臣に言うつもりはありませんが、あったんじゃないかという気がする。だんだんだんだん大変なことになってきているわけです。もしもここで、いや、そんなことを考えたくもないんですが、一部の地域におきまして、今、米についてセシウムの検査も含めてこれはきちっとやろうということで徹底されているようでありますが、それは大賛成です。しっかりやってください。  ところが、そこでもしも、セシウムが土壌から出ました、ましてや米から出ました、米だけじゃなくて一番大事な胚芽、ぬかから出ましたということになったら、これは大臣、大変なことですよ。それでも先物取引試験上場おやりになるんですか、お聞きします。
  115. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 基本的には、この大震災に対する復旧復興、今全力を挙げております。そして、原子力事故に対する、いろんな稲わら等々の問題におきましても、対策を今懸命に取り組まさせていただいておるわけであります。そして、米の検査についても遺漏なき形でしっかりとやるというようなことで過般も具体的な措置を講じさせていただきまして、各県とも連携を取りながらしっかりとした検査体制をやっていきたいと、こういうふうに思っているわけであります。  そういう意味で、私どもとしては、この大震災そして原発事故に対する対処というものについてあらゆる努力、万全を期す努力をしていくというふうなことでございます。  先物取引につきましては、三月八日の申請、こういうふうなことの中におきまして、法令に基づいて私ども判断をさせていただいたということでございます。
  116. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、私は、農林水産委員会でも大臣に申し上げたはずであります。それから、お願い大臣室へ行ったときも申し上げたつもりでありますが。  だって、認可をしなければいけない、公示期間ですか、終わった後、認可をしなきゃいけないまでの間を見たって一か月あったんですよ。この一か月の間にちゃんと国会論議もすればいいじゃないですか。農林水産委員会の論議すればよかったじゃないですか。それをおやりにならないで早々と七月一日にもう認可されちゃったんですよ。一体何でそんなふうに急がなきゃいけなかったんですか。あのときに、やっぱりもうちょっと一体どういう需給の環境が今後現れるのかということを見るべきだった。  今どうなっていますか。米の値段がどうなっていますか。これ、大臣からお聞きしたい。そして、なぜ一か月そのまま放置していたのか、先に認可しちゃったのかお聞きしたいですね。
  117. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 米の価格につきましては、一定の場所におきましては、地域におきましては米の価格が上昇しているという状況でございます。  今なぜ認可をしたのかということでございますが、今お話しのとおりに、山田委員を始めとするところの自民党の先生方からもいろいろと二度にわたりまして、六月の二十日、二十四日、御意見を伺いました。それから、五月の二十七日、六月の三十日には食糧部会におきましても御意見を伺いました。それから、四月の二十八日、六月三日、お米の有識者懇談会におきましても御意見を伺いました。そして、米の関係者あるいは有識者にこのように御議論をいただいた中で、私自身だけではなしに副大臣等々も直接生産者団体ともお会いをして何回かにわたりまして意見交換をさせていただいたと、こういうふうなことでございます。  そこで、縦覧の期日というふうなところも、六月の二十五日だったと思いますけれども、六月の二十五日に期日が参りました。そういう中で何らかの判断をしていかなきゃならない、このままいけば、何もしなければ認可になるというようなことから、やはりそのことは避けなきゃならないと。こういうことでいろいろと御意見を伺って、非常に関係者の関心も高いというふうなことも含めて私どもとして判断をさせていただいた、いわゆる試験上場というふうなものについての判断をさせていただいたということでございます。
  118. 山田俊男

    山田俊男君 六月の二十五日に公示の期間が来ましたと。そこから、しかし実際的に大臣が認可して、認可する期間はぎりぎりまで、七月の二十五日まで一か月あったわけですね。だけれども、それを七月二十五日まで論議を尽くすということをされないで、七月の一日の日に大臣は認可されたわけですよ。そうでしょう。なので、もうちょっとしっかり議論すべきだったということなんです。そう考えると、何かいろいろあったんじゃないのかと。  例えば、東京穀物取引所は、東京工業品取引所との統合協議が進んでいたわけでありますが、その関係があったから、もう早くやっちゃおうということだったんですか。それとも、二十三年産米の先物上場に間に合わせるために、だってそうでしょう、八月八日におやりになるわけだそうですから、間に合わせるためにおやりになったんですか。
  119. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 山田委員からいろいろな御指摘がございました。しかし、少なくとも山田委員とは長い付き合いでございます。山田議員のことも私もよく承知をしておりまして、私は当時自民党の中で山田議員ともいろんな形でお付き合いをさせていただきました。少なくとも私自身のことについては、いささかなりとも承知をしていただいていると思います。  そういう中で私自身が、この縦覧期日が六月二十五日に来て、そして関係者の方々の関心も高い、そして今回は商品取引法上に基づいて認可基準というふうなものからするならば、なかなかこの試験上場というふうなものをこれは駄目ですというふうなことは困難だということを申させていただきましたので、そういう中で私自身が判断をさせていただいたということでございまして、今言われた件については何ら関係のないものと、このように御理解をいただきたいと思います。
  120. 山田俊男

    山田俊男君 エールを交換するつもりはないんですが、私も鹿野大臣のことはよく知っている、本当に。よく本当にいろんな薫陶を受けたというふうに思っております。だから、私たちが、私も委員会質疑したり、それから大臣に要請に行ったときに、大臣は本当に苦渋に満ちた顔をされていた、どうしたらいいかということだった。  大臣、もしかしたら、政治主導といいながらも、農林水産省の官僚の面々の、市場原理の中で米の世界をこんなふうに転がしていかなきゃいかぬという流れに、大臣ももうさお差せずにどっぷりと転がったということじゃないんですか。
  121. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 敬愛する山田先生からどっぷりと官僚政治につかっていると言われると、私も正直ショック受けるんですよね。私は至らない者なりに、やはり民主党のこの政権というふうなものは政治主導でやらなきゃなと、肝心なところはやっぱり政治家が判断していかなきゃならないと、こういうふうなことでございますので、本当に至らない私ですけれども、私なりに判断をして決断をさせていただいた、このことだけは間違いございませんということだけは御理解をいただきたいと思います。
  122. 山田俊男

    山田俊男君 そこまで言われると同情を禁じ得ないわけでありますが。  ところで、今日は渡辺社長にお見えになっていただいております。渡辺社長の前職は何だったんですか。
  123. 渡辺好明

    参考人渡辺好明君) 東京穀物商品取引所、会員制時代も含めまして、そこに来る前は小泉内閣内閣総理大臣補佐官で、郵政民営化を担当しておりました。
  124. 山田俊男

    山田俊男君 郵政民営化を小泉内閣の下でおやりになる前は何だったんですか。
  125. 渡辺好明

    参考人渡辺好明君) 二年間ほど農林水産事務次官を拝命しておりました。
  126. 山田俊男

    山田俊男君 私もそれこそ渡辺さんとは、米の生産調整をどう進めるか、それから転作をどう推進するか、さらには食管制度の運営も含めて、さらには食糧法の改正の時代に合った転換をどう進めるかということで、一緒に相当の長期間にわたってやらせてもらった、激しい意見交換もしながらやってきたわけでありますが、しかし、一体この時点で、渡辺さんは食管制度の運営も、それから食糧法の改正に当たってもやってこられたわけですが、その立場から見て、今、米の先物上場をおやりになるという考え、これは大体自分の頭の中で整理できていないんじゃないですか。
  127. 渡辺好明

    参考人渡辺好明君) 全く矛盾はございません。  今回のこの商品先物市場における試験上場は、私は、実は私が企画室長をしておりましたガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意を受入れを決めた時点からしかれた路線の中で、最終的に農業に携わる方々が自分の経営をマーケットのシグナルを得ながら展開していくというその集大成であろうと考えております。
  128. 山田俊男

    山田俊男君 いやいや、そこまで言われちゃいますと、大臣、ガット・ウルグアイ・ラウンド以降のこの流れの集大成だと、それが先物だというふうにおっしゃったら、あとは行き着く先はTPPじゃないですか。そうでしょう。そういう流れの中でこれがあるということじゃないですか。ちょっと今は極めて重要な、何というのか、判断ですよ。頭の中がもう本当に物すごく逆転しているんじゃないですか。
  129. 渡辺好明

    参考人渡辺好明君) 重ねて申し上げますが、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意、これを受け入れたときに、価格を支持するという政策は赤であり、直接支払が緑の政策である、そういうふうになりました。言わば、消費者負担型農政から納税者負担型農政への転換であります。そういう点に立ちますと、市場価格は変動するということを受け入れながら、個別の経営は所得補償でやっていくという路線がしかれたわけであります。  私、明確に覚えているんですが、この農業合意を受け入れましたときの農政審議会の会長であった武田誠三さんが、私は食管制度について揺りかごから墓場まで担当してきましたとおっしゃいました。その時点で、農政審議会の会長である武田さんは食管制度は終わったというふうにおっしゃられたわけであります。  最後に、TPPの問題でありますが、私の個人的な見解を問われれば、私はTPPには賛成できません。理由は簡単でありますけれども地域限定排他的協定でありますので、でき得るならばWTOの場で世界共通のルールを作るべきだろうと考えておりますので、TPPの問題と先物の問題は全く別であります。
  130. 山田俊男

    山田俊男君 私も、WTOで基本的に合意するというのは私も賛成ですから、そういう立場ですから、だからそれはちゃんとしておりますが、どうも、この市場開放の前提として市場原理に任せるという思想があなたの前歴との関係で必ずしも一致していないんじゃないかというふうに申し上げただけであります。  ところで、世界を見渡してみて、そして、その国の主食たる穀物に先物を導入している例は幾つぐらいありますか、御存じですか。
  131. 渡辺好明

    参考人渡辺好明君) 主食という定義を何でするかによります。国民の供給カロリーのかなりの部分を占めるという定義でいけば、少なくとも、欧米において小麦の市場はシカゴという立派なマーケットが機能をしております。それの地方市場としてカナダにもオーストラリアにもマーケットがございます。  米につきましては、計画経済であるとか自給自足的な側面が強かったわけでありますので、これまで、タイに一部マーケットがある、それからシカゴに長粒種のマーケットがある、あるいはこれは中国の鄭州でしたか、加工、工業用のマーケットがあるというローカルなものにとどまっております。
  132. 山田俊男

    山田俊男君 少なくとも、今欧米というふうにおっしゃいました。欧米で、アメリカの先物の相場に大々的にヨーロッパが参加して、そこで価格形成をして、そして自分の国の指標にしているかと。そうじゃないでしょう。少なくともヨーロッパはやっていないですよ。そういう事実の中で、この日本が米について先物をやるということ自体の判断の誤りというのは物すごく大きいと思います。
  133. 渡辺好明

    参考人渡辺好明君) 重ねて先生に反論をいたしますけれども、シカゴの小麦の市場が世界的な規模で世界をリードしておりますので、欧米においては、特にヨーロッパの方々も輸出、輸入、そういう立場でCBOTを利用されて、そういうものがあるからそれで機能として果たしているわけでありまして、米については恐らく日本は東アジアの主導権を取れるような立場にあると思いますので、これから日本の米市場を育てていくということが我が国にとっても重要不可欠ではないかというふうに私は思います。  欧米というふうに一くくりにしましたが、ヨーロッパのマーケットにおいて、時間的にも近いアメリカのシカゴに立派なマーケットがある、ロシアもそれを利用している、中国も利用している、EUもそれを利用しているという実態がありますので、必要がないということではないのであります。
  134. 山田俊男

    山田俊男君 もう拍手が起こるなんというのは信じられないんですが、もう本当にどうかしているんじゃないかというふうに思いますが。  大臣、生糸については先物をやっていたんです。そして、私も古い歴史は知らないんですけれども、もう党の場でけんけんがくがくの議論があったというのは承知しています。国が、政府が、当時は蚕糸局というのがありまして、農林水産省が一定の規制や制度の運用をやるわけですね、価格安定制度をやっているから。そこと先物取引している関係者との間で物すごいやり取りがあったわけですね。  昭和四十二年のそのときの生糸の様子を見てみますと、大体国内で必要とされる生糸の量、機械でこうみんな製造する、糸に製造するわけですから、その生糸の量の何と十一倍、十一倍も取引の対象になっているんです。さらに、価格の乱高下がありまして、数か月単位で一〇%から三〇%の価格の乱高下があります。これだけの乱高下があったらいかぬから、結局規制を加えるんです。それも、農林水産省の蚕糸局長がこれとこれとこういう規制をやりますということを言うわけで、だからそこで物すごい摩擦が生じているわけであります。  要は、こういう世界に場合によったら米の世界が入るということなんですよ。そのことの怖さ加減ということについて一体大臣はちゃんと認識されているのかどうかというのが大変心配なんですけれども、いかがですか。大臣、様子見ておられたと思うんですよ、あのときの。
  135. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) この農林漁業の世界に大変精通をなされておられる山田先生から私に対して大変御心配をいただいているということは有り難いことでございます。純粋にそういう気持ちであります。  ただ、今回の米の先物というのは、試験上場というものを認めたということにつきましては、七十二年ぶりなわけです。七十二年ぶりというと、この試験上場でこの二年間どういう状況になるかということは、正直なところ、なかなか判断できる人がいないというふうなことにもなるわけです。  そして、そういう中で、平成十五年の食糧法の改正によって、重ねて申し上げますけれども、流通統制が掛かっておって、商品の取引法におきましては、これはお米だろうが何だろうが、先物上場というふうなものを考えておっても食糧法の方で駄目よと、こういうふうな歯止めが掛かっておったわけですから、これはこのお米についての先物はなされていなかったと。しかし、これが、流通統制が外れたわけであります、外れたわけです。だから、外れたならば、商品取引法に基づいても、これは駄目というふうな理由もない。  そうすると、まさしく国の政策ではなしに民間によるところの事業でございますから、そういう中で、この商品取引法に基づくところの認可基準というふうなものに基づいて判断せざるを得ないというふうなことだということも、いささかなりとも山田先生に御理解をいただければと思っておるところでございます。
  136. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、流通統制が外れたからやるんだとおっしゃるけど、流通統制外れていないんです、食糧法あるから、現に。だったら、おやりになるんだったら、食糧法をちゃんと改正してやるべきですよ。  だから、商品取引法の規定は外れましたよ。だけど、しょせんは食糧法があって、国が需給と価格の安定についてちゃんと役割を果たすという規定があって、重要な三つの機能が柱としてあるということですからね。そこを抜きにしてその根幹を全部外すみたいなような話はあり得ないですよと申し上げているんです。
  137. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) まさしく、先生、米の安定的供給というふうなものは当然でございます。だから、だから私は山田先生にもう何回も申し上げてきましたけれども、この試験上場という中で、きちっと農林水産省は検証して、そして監視をして、いろんな需給に問題がある、あるいはまた十分なるところの取引量を確保できないということならば何らかの措置を講じなきゃいかぬと、こういうふうなことであります。  ただ、何遍も言いますけれども、その辺のところがなかなか、私自身のこの今日の状況の中でこうなりますというふうなことを申し上げることができないという中でこの判断をさせていただいたということでございますので、それはいささかなりとも、僅かでも結構ですから御理解をいただければと思っております。
  138. 山田俊男

    山田俊男君 渡辺社長、先ほどの話にちょっと戻りますけれど、東京工業品取引所との統合を予定されていたわけですね。統合を予定されていた背景は何だったんですか。経営が苦しかったんですか。
  139. 渡辺好明

    参考人渡辺好明君) 今、統合という言葉を使われましたけれども、市場統合ということを目指しておりました。これは、今政府部内においても検討されておりますけれども、総合取引所構想の中でワンストップショッピングをする、投資家に利便の場を提供する、魅力ある商品のラインナップをつくるという方向で進んでおります。そういう点でいきますと、工業品の市場と農産物の市場が一つの市場として魅力あるもの、コストの安いもの、利便性の高いものに持っていくということは時代の趨勢でありますので、そうしたことについて検討してきたことは事実であります。  しかし、この度、米の試験上場の認可があり、いろいろな懸念があるというお声もありました。二年間しっかり検証していくということになりましたので、私どもとしては、これまで六十年間培ってきた農産物の市場管理、市場運営ということについて手だれた担い手として東京穀物商品取引所がしばしこれを運営していくのがふさわしいのではないかというふうに判断したわけでございます。  それから、米の試験上場期間あるいはそれを超えて運営する上での財政問題は全く問題がないというふうに考えています。
  140. 山田俊男

    山田俊男君 一体、先物取引をおやりになって手数料はどのぐらい入るんですか。
  141. 渡辺好明

    参考人渡辺好明君) 現在のところ、標準的には、一枚、つまり百俵の取引について五十五円という手数料であります。
  142. 山田俊男

    山田俊男君 取扱量が元々減って経営も苦しくて、会員からは解散を迫られていたというのが東京穀物取引所の現状だというふうに思います。  今回、これをやれば相当やっていけるという水準のものなんですか。
  143. 渡辺好明

    参考人渡辺好明君) 米は、商品として甚だ魅力のあるものであることは間違いありません。しかし、そのことが直ちにどういうふうに具体的な効果を上げるかということよりも、マーケットの指標価格を示すことによって需給を調整し、価格を平準化し、ヘッジ機能を与えるということの重要性を検証する道を選んだわけであります。
  144. 山田俊男

    山田俊男君 社長、失敗したらどうするんですか。解散するんですか、それとももう一度工業品取引所と統合をお願いするんですか。
  145. 渡辺好明

    参考人渡辺好明君) 先のことをにわかに申し上げるわけにはいきません。全力を挙げて米の上場を成功させたいと思っております。  しかし、近い将来には、二〇一三年度というふうに想定される総合取引所の構想もあるわけでありますので、そういった中で、日本のデリバティブ市場がより一層利便性高く使われるような、そんな道も模索をしたいと考えています。
  146. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、お聞きしますけれど、大臣先ほど、この米の戸別所得補償が柱であります、それからさらには、この先物に上場して指標価格を実現していくということの意義をおっしゃったわけですが、大臣、先物取引で形成される価格を戸別所得補償の販売基準価格に採用するつもりですか、いかがですか。
  147. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) いわゆるこのことにつきましては、あくまでも現物価格を用いて単価を算出していきたいと思っております。
  148. 山田俊男

    山田俊男君 それじゃ、現物価格というのは現行の相対取引の価格のレベルというふうに考えていいんですか。
  149. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 基本的には、今の取引の中での単価と、こういうふうな原価と、いわゆる現物価格と、こういうことでございます。
  150. 山田俊男

    山田俊男君 現物の、大臣、価格形成センター、ちゃんと設けようじゃないですか。食糧法にも規定があるんだから、ちゃんとやればいいじゃないですか。そういう取組、ちゃんとやってこそ初めて意義があるというふうにお考えになりませんか。
  151. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 重ねて申し上げますけれども、この単価というふうなものは、出回りから三月までの現物価格というふうなもの、これは全農等からのいわゆる報告される相対取引価格ということでございます、申し上げたとおりでございます。それを用いて算出するということでございまして、米の先物取引が開始されてもこの考え方には変わりございませんというふうなことを申させていただきたいと思います。
  152. 山田俊男

    山田俊男君 そうすると、この相対の価格形成、現物の価格形成の仕組みを一体どんなふうにちゃんと位置付けるか、考えるか、整備するか、運営の在り方を考えるか、是非そのことに力を注いでいただきたいというふうに思います。  でないと、結局は、ずっと価格が下がる。下がった分を、何のことはない、財源で補填する。幾ら財源があってももう足りないぐらい価格が下がっちゃう。そのことは生産者にとっても損、それから国にとってもいたずらな財源を使うということになることを是非是非認識していただいた上での今後のありようを本当に考えてもらいたいし、それから是非幅広く議論する仕組みをつくって進めてもらいたい。  二年間の試験上場というんだったら、大臣が、よし、今年の状況見て次からやめるというふうにおっしゃるんなら違うんですけど、どうも試験上場はそのまま続くんですかね、二年間。
  153. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) これも重ねてということになりますけれども、あくまでも二年間の試験上場期間ということに対して認可をしたわけでございますので、今、山田先生から言われたいろんな御指摘のことにつきましてはしっかりと検証をしていかなきゃならない、こういうふうに考えておるところでございます。
  154. 山田俊男

    山田俊男君 そのことと、もう一つは、結局はこれからの食糧法の運営をどう考えていくかということと関連しますので、食糧法の在り方、戸別所得補償にかかわる法律の在り方、その二つを一体どんなふうに考えながら運営していくのかということをちゃんと提起して、そして議論していかない限り、私は、先物に引きずられて、そして我が国の米政策の基本を本当に崩してしまうというふうに思いますから、その点、ちゃんとやっていただきたいと思います。  大臣決意、聞きます。
  155. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今先生から言われた点は非常に大事なことだと思っております。それだけに、試験上場の先物、どうなっていくのかということを常に緊張感を持って私どもは検証していかなきゃならないし、そして同時に、戸別所得補償制度というふうなものをこれからも軌道に乗せていくというふうなことを考えた場合には、法制化というふうなものが望ましいというふうな考え方でございますので、そういう中で、この食糧法との関係等々も含めて、今御指摘の点につきましてはこれからもしっかりと取り組んでいかなきゃならない課題であるものと思っているところでございます。
  156. 山田俊男

    山田俊男君 平野復興大臣、大変お忙しいところ、時間いただきましてありがとうございました。  私は、平野大臣に二点どうしても聞いておきたいんです。何かといったら、被災農地の扱いの問題なんです。  結局、被災地においてはいまだに水につかって瓦れきが残っている農地の扱いが皆さんの、被災者の最大の悩みなんです。そしてまた、それが復興することがまた希望でもあるわけであります。どういう形で復旧と土地利用計画に取り組まれることになるんですか、お聞きします。
  157. 平野達男

    国務大臣(平野達男君) 今、農水省の方では、そういった被災農地どのように復旧していくか、その手法並びに工程、今、鹿野大臣先頭に一生懸命になって詰めていただいております。  復興基本方針にもございますけれども、除塩をしっかりやる、瓦れきをしっかり取り除く、その上で、きちんとした土地利用計画、営農計画を作りまして、被災した地域が将来にわたって生産性の高い農業を継続していけると、そういう状況をつくるために頑張っていきたいというふうに思っています。
  158. 山田俊男

    山田俊男君 今のようなお話を聞くつもりじゃなかったわけでありますが、まあ当然といえば当然の話ですからね、それは。そうじゃなくて、もう少し突っ込んでお聞きしたいんですけれどもね。  被災者にとってみると、とりわけ農業者、それからさらに、中小企業の商店の皆さんもそうだと思うんです、全部なくなっている。残っているのは水につかった農地だったり、それからまだ瓦れきが残っている農地だったり、それからほとんど区画も確定もできない、言わばお店の宅地だったりしているわけです。それで、考え得るのは、そして事実そうなんですけれども、それらの農地や宅地にみんな抵当権が設定されているんです。抵当権設定されているということは、その裏に負債を抱えているんです。  この問題を解決しなかったらもう夜も寝れないというんです、みんな。だったら、そこの対策をやるために、その負債をちゃんと解消してあげるために、棚上げしてあげるために、買い取ってあげるために、そのために、宅地であったり農地だったり田んぼになっているところを一時公有化するなり買上げをするなりすればいいじゃないですか。なぜその方向をきちっと打ち出されないんですか。
  159. 平野達男

    国務大臣(平野達男君) 二重ローン問題につきましては、もう委員御案内のように、自民党さん、公明党さん、民主党、三者でかなりの議論をしまして、立法化が必要かどうか、あるいは機構の仕組みをどうするか等々についてまだ意見は分かれておりますが、かなりしっかりとした対策ができたというふうに思っております。  一方で、土地の買上げ、これをどうするかということにつきましては、従来から何回も申し上げておりますけれども、これから、今、地域の中で土地利用計画を作ってまいります。その中で、場合によったら使える土地、使えない土地も出てくるかもしれません。その使えない土地、従前地のような使い方ができない農地を、土地をどうするか、これは全体の土地利用計画の中で決めていく話でありまして、結果的にその農地を買い上げる、あるいはその土地を買い上げるということも一つの有力な手段だと考えておりまして、どういう場合にどういう単価でそういう土地を買い上げていくかということについては、これから、今、市町村で様々な計画作っておりますので、その計画を見ながら考えていく話だというふうに思っております。
  160. 山田俊男

    山田俊男君 これで終わりますが、お願いがあります。  鹿野大臣、それから海江田経産大臣、それから野田財務大臣、今、平野大臣は、しっかりした買上げも含めた二重ローンの対策をやるんだというふうにおっしゃった。全然しっかりしてないんですよ。だから、この参議院で野党が全部一致して、野党が全部一致して復興再生支援機構、これを決めたんじゃないんですか。新しい機構で対策を講ずるということを決めたわけですから、経産省の中小企業基盤整備機構の子会社でやりますみたいな話だけの案はこれは駄目なんで、ちゃんとした、参議院でそれだけの世論、参議院の野党全部一致して決めたこの案について、四大臣、しっかり検討してもらいたい、そして成立させてもらいたい、こんなふうにお願いして終わります。  ありがとうございました。
  161. 中西祐介

    中西祐介君 自由民主党の中西祐介でございます。  本日は、大変お忙しい中、大臣の皆様、こうしてたくさんお見えになっていただきまして、本当に感謝を申し上げます。  本日は決算委員会准総括ということでございます。私、現在三十二歳、本当にこれからの日本の将来、今の日本の厳しい状況に対してしっかり打開策を見出していきたい、そういう強い決意に基づいてしっかり大局的な御議論を先輩方とさせていただきたい、このように考えておるところでございます。  まさに今多くの国民の皆様がお感じになるのは政治の信頼感、政治はまさに信用商売である、私はそういうふうに思っております。その中で、これまで行われた予算、これまで執行された予算の中身を見直して次の予算に反映すると、この決算委員会の意義を最大限に活用させていただきたい、このような思いでございます。  まず、私はちょうど当選をさせていただいて一年たちました。一年を機にまた改めて選挙区の徳島県歩きながら、地域の皆様のお声、お伺いをさせていただいているところであります。一番不満の声が大きい課題について今日は触れさせていただきたい、このように考えております。  まず、財政の総括を財務大臣にお伺いしたいと思っております。  これまでの二年間の、政権交代をして二年間のこれまでの財政運営、特に、二年を振り返って、先月末でありました、ちょうど党の与党政権幹部の方々からの御発言ありました。まず、岡田幹事長、マニフェストの見通しが甘かった、はっきり明言をされました。そしてまた、それに続き菅総理も、財源の見通しが甘かったと続いておっしゃっております。その中で、平成二十一年、二十二年、これまでの財政に対する御評価を財務大臣として伺いたいと思います。
  162. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 私は、平成二十一年度の第二次補正予算そして二十二年度の本予算、これ財務大臣として予算編成にかかわりました。それ以降、二十二年度補正予算とそして今執行中の平成二十三年度の本予算、さらに一次、二次の補正と、六回全部、本予算補正予算、編成かかわってまいりました。  本当に厳しい財政状況の中で、しかも二十一年度、税収が大きく落ち込んだ中での編成は苦労をしましたけれども、限られた財源をしっかり使って、そしてこの国のために生かしていこうという、そういう趣旨のベストを尽くしたつもりでございます。  特に、平成二十二年度予算九十二兆二千九百九十二億円、不思議なことに九と二しか数字が出てこない苦肉の予算でございましたけれども、そういうことも含めて資源配分をしっかり変えながら生かしたつもりであります。コンクリートから人へという資源配分は十二分にできたと思っております。
  163. 中西祐介

    中西祐介君 大変うまく、苦肉の策、まさにおっしゃるとおりだと思いますが、しかしながら、経済界、多くの見立ては、今の財政が本当に国債を増やさずとも組み替えることができると、そういうことをしっかり宣言されながら、民主党による政権交代が行われたというふうな認識であります。  まさに十六・八兆円の財源捻出、これが、二十一年度の税収は自民党政権でありました、しかしながら二十二年度にわたってもできなかった、これは大きな反省点じゃないでしょうか。
  164. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 平成二十二年度補正予算、これ約五兆円規模、十数年ぶりに新たな国債を発行しないで編成したものであります。そして、今執行中の平成二十三年度の一次補正予算、二次補正も新規国債を発行せずにやっています。極力、国債発行をしないような工夫をしながら予算を組んでまいりました。  今、十六・八兆円を含めてマニフェストのお話が出てまいりました。マニフェストの主要事項については、平成二十三年度までに三・六兆円、税制改正や歳出削減等によって恒久財源をつくりながら着実に実施をするということをやってまいりました。加えて、税外収入は平成二十二年度、過去最大規模、当初予算ベースでは十・六兆つくるなど、財源の確保については懸命に努力をしてきたつもりでございます。
  165. 中西祐介

    中西祐介君 御努力は理解いたします。しかしながら、税外収入、そしてこれまでのいわゆる埋蔵金、こうしたことを処分するというのはまさに一過性であります。  そんな中で、プライマリーバランスを二〇二〇年、中長期財政フレームで二〇年までに黒字化すると。そういう中で今、次の予算も組まれようという中でございますが、歳出上限が七十一兆円、新規国債四十四兆円以下、これは新しい枠組みで、本当にあと十年たたずとも黒字化を達成できるのか、本当に大きな過渡期であると思います。今の原点といいますか、当初の宣言の方向性をしっかりと堅持をしていただきたい、このように考えております。  そして同時に、今申し上げていただきました税収の見通しの不十分さ、甘さという部分、十分税収が上がってこなかったと、そこについてもお伺いをしたいと思っております。  まさにこれも国民の皆様が切実にお感じになっている点でございます。それはまさに経済政策であります。実際、手元の資料で見させていただきますと、中小企業の景況、ディフュージョンインデックス、これは〇九年以来のマイナスの推移、これは中小企業庁が出されているものであります。  そして、まさに直近、帝国データバンクの国内産業の空洞化に関する意識調査、こういうことで産業の空洞化、これがまさにこの震災を機に電力供給、そしてサプライチェーン、また海外からの企業誘致、そして加えて円高という中で本当に懸念をされている。地元を歩いていても中小企業の八割が今赤字になってしまっていると、こういう徳島県の地元の現状もございます。  そうした中で、これから経済成長しっかりと果たしていく、企業の業績を回復させていく、そして今の起こりつつある国内の産業空洞化、これに対しての問題意識とこれからの対策経済財政担当大臣に伺いたいと思います。
  166. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 企業の業績は、東日本大震災の影響によりまして、足下で増勢が鈍化していると認識をしております。さらに、最近の円高は企業の想定為替レートを上回る水準で推移しており、今後の業績を更に下押しする懸念があると認識をしております。  企業の海外現地生産については、グローバル化の進展もあり、趨勢的に増加してきていると認識をしており、また行き過ぎた円高等を背景に産業立地としての日本の魅力が低下し、企業の海外移転が進むことについての懸念は大きいものがあります。そのため、企業の海外移転を招かないよう、急激な為替変動への対処や電力需給安定対策、さらには企業の国内立地支援等の事業投資環境の整備に向けて政府一体となって取組を進めてまいりたいと思います。  さらに、先生に心配していただきたいのは、今年に入りましてから、月によって貿易赤字が出ている月があると。これは、一体震災によって起こったのか国際競争力が低下したために起こったのかまだ判然としませんけれども、もう一つ、今の電力事情がこのまま原発が停止して進んでまいりますと、二〇一五年以降、貿易赤字だけでなく経常収支が赤字になるという、日本にとっては非常に深刻な事態がやはり予想され、このことをやっぱり考えながら政策を進めていかなければならないと、そのように思っております。
  167. 中西祐介

    中西祐介君 今大臣からお話をいただきました。下押しの力、そして鈍化、そして円高やまた様々な貿易赤字のお話がございました。マイナスの要因たくさん挙げていただいた。しかしながら、そこに対して対策を打てていないんじゃないでしょうか。  やはり今、実は与謝野大臣、無理をして今日はこの場にお越しいただいた。ちょうど定期検査で喉の調子が悪いということで、麻酔が取れたかどうかということで、大変お体も悪いということでございます。また、経済産業海江田大臣につきましてもいつ辞められるか分からない、こういうふうな世論の状況にあって、経済産業の分野が大変多くの国内の皆様また海外からも心配されている、そういう事態であろうかなというふうに思っております。  その中で私が聞きたいのは、具体的な政策をしっかり推し進めていただきたい。懸念事項は我々も感じます。だからこそ、どうやっていくのか、それをしっかりお伺いしたい。  先ほど申し上げました海外流出、なぜ流出するか。それは、海外からも各国から猛烈な企業の誘致の要請があります。韓国なんかも特区をつくって、本当に安い税率で企業誘致をしようとしている。震災、放射能の影響もあって、近隣諸国は日本の優良な企業をどんどん引き抜こうとしている。その中で対策を打てなければ、経済対策、何の効果も生まれてこない、このような認識をしているところであります。  先ほどもおっしゃっていただきました。企業業績にとって円高は大変な大きな影響でございます。まさに有効な為替政策を打っていただく、これも併せて国民の皆様の大きな要望でございます。これは、日本の産業構造がありますので、円高のときは円高に利するような政策を打てばいいということなんですが、やはりこの影響は大き過ぎる。  そこで、この民主党政権になって以来、二〇一〇年の九月には二・一兆円の過去最大規模の六年ぶりの単独為替の介入をしていただきました。しかしながら、その介入の結果、我々は改めてそれについての効果を考えなければいけない。三日程度で現水準よりも悪い水準に戻ってしまった。そして、震災が起こった一一年の三月、これは協調介入していただきました。そして、昨日、改めて単独介入をされた。  これまでの政策の中で、為替介入に対する目的と結果について、改めて総括を財務大臣にいただきたいと思っています。
  168. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 御指摘のとおり、昨年の九月に約六年半ぶりの単独介入を行いました。今年の三月に約十一年ぶりの協調介入をやって、そして昨日も介入を実施したところでございます。  基本的には、この為替の相場というのは経済のファンダメンタルズを反映すべきでありますが、時としてそうではなく、無秩序な動きであるとか過度な変動が起こります。この過度な変動とか無秩序な動きに対する対抗策として介入政策を取らさせていただきました。  特に、今年の三月の十七日、地震の発災が三月の十一日でございましたけれども、日本中が大震災のショックに打ちひしがれているときに、シドニーのマーケットだったと思いますが、十七日の朝に七十六円台に突入するという大変な状況が生まれました。  経済ショックが加われば、まさにこれは日本にとって二次災害になります。これは断固として、かなりマーケットのセンチメントの問題があったと思いましたので、日本政府が覚悟を示さなければならないと思いました。加えて、各国に協調を呼びかけて、G7としての連帯が深まった介入だったと思います。  昨日の介入も同じでございまして、懸命に日本が震災から復興に向かって立ち向かっているとき、取り組んでいるときに、残念ながら、最近の動きというのが経済、金融にとって悪影響を及ぼすような一方的な円高の動きがありました。したがいまして、特にこの投機的な動きとか無秩序な動きに対する牽制のために昨日介入させていただいた次第であります。
  169. 中西祐介

    中西祐介君 まさにおっしゃるように、市場の動きというものはまさに投資家同士の個人的な心理に基づいて動くものであります。しかしながら、大きな見立てをするならば、なぜ今の状況で円だけが買われて、強い円、どんどん円高が進んでいく、こういう状況に至るのかなと改めて考えなければいけない。  私は、やはりこの国際社会の中で見て、日本の財政運営、何でもかんでもやはり増税路線だと。何でも増税をしながら財政再建に向けて、国債の信用力をしっかり維持しながら財政を運営していると、そういう姿勢に一つは要因があるんじゃないかなということを感じざるを得ません。中長期的には、やはり財政再建は必要なことではありますけれども、例えば復興についても、またB型肝炎についても、経済の情勢が十分回復しないときに増税、増税というメッセージが余りにも先走ってしまうと、それは世界から奇異に見られる。円が買われてしまう要因につながっていくのではないかなというふうな懸念を持たせていただきます。  そして同時に、現在の円の強みというものは、やはり日本国債の保有のところにあると思っております。ほとんどが自国内での保有。しかしながら、最近の話でありますけれども、中国の、これは日本の債券ですね、国債それから政府機関債、地方債、こうしたものに対する投資意欲が物すごく、残高が増えてきております。二〇〇〇年から中長期、短期の債券残高四千億円であったものが、十年たった二〇一〇年の年度末、これは十兆円にまで膨れ上がっている。十年で二十五倍まで債券残高が上がっている、言わば一千兆円と言われる国債残高の一%まで中国の保有残高が至っていると。  この点について財務大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  170. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 委員の御指摘のとおりです。日本の国債の保有は九五%が国内でございまして、海外五%という中で、ただし、個人の金融資産と債務残高との差が縮まってきている中で、国債管理政策としては、いわゆる国債をお買い求めいただける皆さんの多様化を図っていきたいと思っていますので、いわゆる機関投資家だけではなく、国内には個人向けの商品をつくり、海外IRも積極的展開しながらと思っています。  中国の国債の保有の話ですが、これほとんど短期債が中心であるので、基本的には御懸念は必要ではないんではないかというふうに思います。
  171. 中西祐介

    中西祐介君 是非その辺もしっかりと管理をしていただきながら、財政運営お願いしたいというふうに思っております。  そして、為替のリスクヘッジ策、これはまさにヘッジ策を考えなきゃいけない。その一つが円の国際化というふうなことであると思っております。やはり強い円の流通量、そして取引の円決済を、これを大きく拡大していくというふうな方向でありまして、これを懸念する根拠は、やはり最近二十年で外為市場における通貨別の取引比率が大変低下していると。二十年で一四%から一〇%まで落ちているというふうな話でございます。  これは通告をさせていただいておりませんが、海江田大臣経済財政担当の大臣であったころですね、この円の国際化についての研究会を設けられるということでございました。その結果について、これまでの勉強会の成果についてお話をお伺いしたいと思います。
  172. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) お答え申し上げます。  私が経済財政担当の大臣のときでございまして、あのときも円が徐々に高くなっておりまして、やはり円が実態を乖離して高くなるというのは、これはこの日本の経済に大変大きな打撃を与えるわけでございますから、何とかしなければいけないという思いから、もちろん為替の介入などは、これは財務大臣と日銀が協力して行うことでございますので、経済財政の担当大臣として何とかできないかということで、円の国際化、これは実は十年以上前にも財務省を中心にこうした円の国際化ということが行われていたわけでございますが、それから十数年たちまして、そして、私あるときふっと気が付いたんですが、中国の元というのは、あれはあの紙幣を見れば分かりますけれども、圓なんですね、これはYUANという字が書いてございますが、昔の日本の圓ですね、これは。それから、韓国のウォンというのも、これも実は漢字に直しますと圓なんですね。  ですから、その意味でいうと、中国の圓、それから韓国の圓、そして日本の圓というものがあるわけでございますから、その意味では、国際化というともちろんヨーロッパやアメリカの世界のマーケットの中でということもありますが、このアジアの中でどういう日本の円を、アジアの貿易取引などの中でどうやったらそれを増やすことができるかということで研究をしたわけでございます。  短い期間でございましたのでちょっとその研究の成果も、中間的な取りまとめの少し前で終わってしまいましたが、残念ながら今日持ってきておりませんが、そういう資料を持ってきておりませんが、やはり円の国際化というのは一つ考えておくべき、今後も引き続き考えておくべきではないだろうか、こんな思いでおります。
  173. 中西祐介

    中西祐介君 昨日受けた省庁の官僚の皆様からのお話によると、実際、研究会はつくられることがなかったというふうなお話もございました。しかしながら、大切なこれは政策の一つだと思いますので、もし成果があるならばしっかり出していただいて、政府の方針として進めていただきたいと思っております。  そして、今、市場経済が本当に懸念していること、それは供給側の新陳代謝が余りにも鈍化しているのではないかなというふうな懸念を持たれている、これがまさに日本経済が伸び悩む大きな主要因の一つであるというふうにも言われております。  その新陳代謝の鈍化、これを政府が政策によって後押しをしている、これがまさに言うならば中小企業金融円滑化法案、モラトリアム法案ではないかなというふうな声が本当に上がっております。子ども手当に似た政策の位置付けに近いのではないかと、確かに支援してもらえれば有り難いと。しかしながら、延命されることによって内在されるマイナスの要因、長期的にどうなるのか、これを考えなければいけないと考えておりますが、モラトリアム法案についての御認識を担当大臣お願いします。
  174. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 中西議員にお答えをいたします。  中小企業金融円滑化法案、一昨年十二月に施行されて以来、中小企業向けの貸付条件の変更等については、審査中の案件を除き、実行の割合が約九割を超える水準となっております。  具体的に数字言いますと、先生も御存じのように、大体日本国に今四百二十万ぐらい中小企業数あるわけでございますが、中小企業向け貸付実績については百八十三万件の条件変更の申込みがございましたが、当然中にはもう謝絶、これはもう企業再生の見込みがないと言ってお断りするのもございますが、約百六十五万件の条件変更を実行しておりまして、先生御存じのように、四百二十万社の中小企業、これは一つの中小企業で複数の金融機関と取引しているところがございますから必ずしもそのまま当てはまらないにしても、かなりの数の中小企業が条件変更あるいは中小企業円滑化法案を御利用なさっているという実態がございます。  私も昨年来、東北や東京、大阪、名古屋、福岡など、全国の中小企業者あるいは団体等から御意見を実際に私も伺ったわけでございますけれども、その中でも、同法案によって資金繰りが助かったという前向きな御意見を多数ちょうだいしているところでございます。  しかし同時に、今先生が御指摘になりましたように、これ、不振企業の延命による不良債権の先延ばしとの懸念については、当然、金融のやっぱり、何といいますか、金融でございますから、そういったことを常に頭に置いておかねばならないことでございますが、同法は、一時的に返済が困難であるものの将来改善の見込みがある債務者に対する貸付条件の変更等を金融機関に求める法律である、必ずしも中小企業の延命策との御指摘は当たらないのではないのかというふうに思っております。  また、金融庁では同法の施行に合わせて検査マニュアル、監督指針を改正して、検査・監督を通じて金融機関による借手企業への経営相談ですね、いわゆる非常に金融機関というのはコンサルタント機能をたくさん持っていますので、そのコンサルタント機能の発揮を促しているところでございます。  いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、こうした政策を通じて債務者の経営改善が着実に図れるような流れを定着してまいりたいというふうに思っております。
  175. 中西祐介

    中西祐介君 御丁寧な答弁をいただきましたけれども、実際、この一一年の三月末、残高、実行額は百六十兆円を超えていると、この円滑化法案に関する債権残高ですね。それは実行件数を申込件数で割ったときの比率が八九・九%だと。ほとんどのところを円滑化法案によって対応されていると。こういう数字を見ますと、まさに企業の不良資産、こういうのが確実に伸びているんじゃないかという増加懸念を持つわけであります。そして、そうなると、民間企業のやはり貸し出す意欲と同時に、新たに需要を生みづらい、供給が過多ということでございますので、新しい投資意欲、借りる側の意欲も低下させてくる、両面低調になってくる、このように考えるわけであります。  そこで、そうなったときに課題になるのが新しい雇用、新規雇用の増減であります。現状、足下、二十三年の六月現在で〇・六三、この有効求人倍率であります。二十一年では過去最低の〇・四三であります。雇用が今大変低調である、この雇用政策について厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。
  176. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 中西委員にお答えいたします。  この雇用情勢、大変今厳しい状況だというふうに思っております。リーマン・ショック以降の厳しい状況に加えて、今回の東日本大震災、この影響によりまして、本当に今雇用情勢というのは厳しい状況にあるというふうに思っています。  こういう中で、雇用対策につきましては、雇用をつなぐ、つくる、守るの三本柱で取り組んでいるところでございます。特に、震災で被災された方の雇用対策というのが重要でございまして、「日本はひとつ」しごとプロジェクトということに基づきましてこれを実施をいたしておるところでございます。  具体的には、この復旧事業、復興事業や重点分野雇用創造事業の積み増しによりまして、雇用の創造、そしてまた被災された方を雇い入れる、そういう企業に対しては助成をしていく制度、これの創設、また、出張相談あるいは求人開拓等によります就職の支援もいたしております。そしてまた、雇用調整助成金、これを拡充をいたしました。そして、雇用保険の延長給付の拡張、こういうことを実施をいたしまして、被災された方々の雇用の維持、生活の安定などに取り組んでいるところでございます。  先般、政府の方で取りまとめました復興の基本方針なども踏まえつつ、被災された方々の雇用創出にも万全を期してまいりたいと、このように考えているところでございます。
  177. 中西祐介

    中西祐介君 ありがとうございます。  その中で、是非大臣には、この緊急雇用創出事業、それから、例えばふるさと雇用再生特別事業、こうした、限りはありますけれども、今の政権でなさっていただいている雇用政策があります。これを、二十三年度の末で終わるものもありますので、これからまた延長も是非御検討いただきながら継続をいただきたいと、このように考えます。  そして同時に、雇用環境が悪化している中でも、一番問題意識を持っているのは完全失業率の世代間のやっぱり格差であります。数字を申し上げさせていただきますと、十五歳から二十四歳、今完全失業率七・八%あります。二十五歳から三十四歳、これは五・七%。また、四十四歳までですが七十一万人。これを合わせると百八十四万人の若い世代が失業されているということであります。  やはり、経済、景気を上げていくためには、若い世代の消費性向が高い世代にしっかり仕事を与えて稼いでいただいて使う、このサイクルを確立しない限り経済は向上しないというふうに思っておりますので、是非とも雇用の機会をしっかりと提供いただきたいと、このように考えております。  今、まさに現下のデフレの情勢、これに対してしっかり立ち向かっていくためには、個人消費をしっかり上げていく、今申し上げたとおりであります。そのためにはやはり財政出動、これは必要な公共事業はまさにそうであります。しっかりと付けていただくと同時に、金融緩和政策、そして個人消費につなげていく、こういうサイクルを是非お願いいたしたい、このように考えております。  ここで、民主党政権できて二年余りになります。これまでの看板政策をやはり大きく捨てていただいても、この震災復興に向けての予算、子ども手当であります。まさに早く、我々は一刻も早く結論を出していただきたかった。今年度は継続するということでございますけれども、改めて廃止を検討される今、この子ども手当の元来の目的とその効果についてお伺いをしたいと思っております。  こちらは、では、玄葉政調会長、担当大臣お願いします。
  178. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 中西委員にお答えいたしますけれども、昨日、三党、民主党、自民党、公明党の幹事長・政調会長会談で子ども手当の見直しについて合意文書にサインをしたところでございます。  一言で申し上げて、私は子ども手当はばらまきだというふうに認識をしておりません。そして、今回の合意によって、私たちが掲げた、子供に光を当てていく、あるいは子供の育ちを社会全体で応援をしていく、この基本的な方向というのは私は変わっていないというふうに思っています。  それはどういうことかといえば、児童手当のときは支給額一兆円なんですね、今回は二・二兆から二・三兆です。同時に高校の授業料の無償化ということもあって、私は、民主党のこういった基本的な、本質的な部分については変わっていないし、間違っていないと思います。ただ、現在のねじれという状況、そして財源の問題等々の中で、今回野党の皆さん協力を得て合意に至ったということでございます。  この結果何が起きるかといいますと、ある意味、今まで安定的かつ恒久的な制度になっていなかったというところがございます。それを二十三年度は子ども手当の言わば特措法でつないで、そして二十四年度からそういう安定的な恒久的な制度を児童手当法を活用しながら、言わば、民主党的に言えば新たな子ども手当をつくっていくんだと、そういう考え方で我々としては合意をしたということでございます。
  179. 中西祐介

    中西祐介君 まあ、理念といいますか、思いはよく分かります。それは、私は言葉であって、理解できるんですが、実際のところ、この子ども手当、二年間された結果、受給されている世代が、約半数、使い道が貯金とそれから借金返済に回しているんです。そして同時に、新たな買物や投資に向かう、そういう方々は大変低い水準でしかない、こういうまず現状があるということを御認識いただきたいと思っています。  まず最初に目的をお伺いしたのは、子ども手当が何のために、当初二万六千円、一万三千円、この意義があったのかなと。言うならば、消費性向の平均も一二・六%、消費につながっていない。まして、一万三千円もらったところで、新しく次の子供をつくりたい、そういう気持ちにもならない。じゃ、何のためにつくるのかなと。そういう意味を考えますと、やはり現金を給付する、そして、大臣がおっしゃったように、財源がないというこの大きな課題について、借金をしたものをもらっているんだという認識をまさに我々世代は持っているわけであります。だからこそ、意味がないんじゃないか、ばらまきにしかすぎないというふうなことを我々は申し上げさせていただいているところであります。  このばらまき四K、改めて申し上げます。  今日は、本当は時間があれば、高速道路、戸別所得補償、各個々について全て申し上げさせていただきたいんですが、今申し上げたように、借金から財源をつくっている、それを現金で給付するというこの四K政策はまさに社会の悪だと言い切っていいんじゃないかなと、このように考えております。  単に我々は今の看板政策を足を引っ張りたいわけじゃないわけであります。政策をつくるのであれば、しっかり効果のあるものを建設的につくっていただきたい。だからこそ、ここで御英断です。しっかり止めていただいたことは私は評価に値するんじゃないかなと、このように考えております。今必要なのは、まさに人口増加のために環境整備をしっかりすることであって、そして円高を活用した、今の円高のときにしかできない教育政策、しっかりと考えていくことではないかなというふうに思っております。  もう一つ付け加えて言うならば、今の政権、多くの国民の皆様がお感じなのは、経済政策が全く見えない。一番最初に与謝野大臣お話ししたとおりであります。なぜならば、今国民の皆様に喜んでいただいている経済政策、これを申し上げます。エコカー減税、自民党政権がつくってきたもの、そしてエコカー補助金、住宅ローン減税、家電エコポイントの継続であります。こうしたことを、まさに消費に直結するような経済政策をこれからもし政権が続くのであればしっかり立て直していただきたい、このような思いでございます。  私は、もう残り時間少なくなりました。民主党の政権においてしっかり行われている政策もあるんじゃないかなと、その一つが私は実は観光政策なんじゃないかなというふうに思っております。  この観光政策については、やはり独自の工夫、それから、長官、今日お越しいただいておりますが、長官の個人的な御努力もあり、また中国人のビザの要件緩和、こうしたことは、ある面こうした日本の危機の状況に、また震災が起こった直後でも外国人の観光客が増えてきた、これにつながっているんではないかと思っております。  これまでの観光政策について、外務大臣として、また後ほど観光庁長官として、それぞれのお立場から御発言いただきたいと思います。
  180. 松本剛明

    国務大臣(松本剛明君) これまでというのは、震災前ということでよろしいんでしょうか。
  181. 中西祐介

    中西祐介君 前も含めてです。
  182. 松本剛明

    国務大臣(松本剛明君) 前も含めてということですか。  それでは、まず、これまでというお話でありました。観光立国の推進については、訪日観光客の増加による内需拡大や雇用増加を通じた日本経済の活性化に資するものがあるということで、関係省庁とも連携をしまして、外務省でも経済外交の五本柱の一つということで取組を強化をしてまいりました。  私どもが行えることは、在外公館を通じた我が国の魅力の発信であるとか、まさに今もお話がありましたが、ビザ発給要件の見直しなどを行ってまいりまして、後ほど観光庁の長官からもあろうかと思いますけど、訪日観光客の誘致に向けて取り組んだ結果、昨年は訪日外国人観光客数は八百六十一万人ということで過去最多まで参りました。  震災以降も含めて御答弁をせよということでございました。  震災以降は、観光目的はもとより、ビジネス目的でも訪日外国人が大幅に減少をしたことはもう御案内のとおりであります。実際には、三月の十二日以降は一旦は七三%減、前年同月比までなりましたものが、六月には三六%減までなってきております。もちろん、この中には国によってかなり戻ってきているところと戻ってきていないところと、背景なども幾つかあります。  もちろん、日本へ来られる観光客の方々の背景には、今回の震災に関連をする渡航規制の問題であったり、また震災以降の我が国に対するイメージをどう払拭するかというキャンペーンの展開であったり、他方で、先方の国の経済事情であったり、今御議論があったことにも関連するかもしれませんけど、為替動向、円高であるといったようなこととか、総合的な要因が関連をしてくるというふうには思うわけでありますけれども、私どもとしては、外務省、在外公館を直接私は指揮をする立場でありますけれども、政府を挙げて、諸外国に対しては日本への渡航の安全性に関する積極的な発信を行う、それから各国の政府当局にできるだけ最新で正確な情報を豊富に迅速に伝えることで、渡航規制など、これが行き過ぎたものとならないように見直しを働きかけるなどのことを行ってまいりました。また、観光庁とも連携をしつつ、各種のメディアやインターネットを通じた正確な情報提供、それから内外のビジネス界への説明会なども行ってまいりました。映像資料などを活用したメッセージ発信や在外公館による観光キャンペーンなどにも取り組んでまいりました。  今、状況お話をしたとおりであります。やはり、回復の国別の傾向などを見ると、キャンペーンの効果であるとか渡航規制緩和が行われた経過であるとかいうものがあろうかと思いますので、こういったものを適切に分析をしながら効果のあることを進めていく必要があろうかというふうに思います。  政治のレベルというか、外交のレベルでも、日中韓のサミットや日韓の外相会談や日中の……
  183. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 簡潔に大臣お願いします。
  184. 松本剛明

    国務大臣(松本剛明君) はい。  観光について震災前から震災以降にということでございましたのでお話をさせていただいておりますが、委員長の御指導を受けておりますので。  外相会談や首脳会談のレベルでも様々働きかけをして、今申し上げたようなことにつながるようなキャンペーンや渡航規制の緩和などにも協力をいただいているところでありますので、これからも引き続き関係省庁協力をしながら正確な情報を提供する、そして日本がビジネスにも渡航にもオープンであることをしっかりと伝える、こういった活動を展開することで訪日外国人数の本格的な回復に向けて取組をしてまいりたいと、このように思っております。
  185. 中西祐介

    中西祐介君 時間を見ながら大変御丁寧な御答弁をいただきまして、誠にありがとうございました。  まさに、国内の消費を増やすためには観光政策、私は大切な柱だと思っております。そうしたことも含めて御推進をいただきたい。  そして最後に、やはり今、日本の危機というものは心の危機だと思っております。物理的な危機よりも、政治がしっかりとリーダーシップを発揮しながら、思いやりのある、愛のある政治を行っていただきたい。まさに、民主党、そして今の内閣の存続ではなくて、日本の国家の発展のために是非政治を行っていただく、そのために内閣を挙げて総理大臣を引きずり降ろしていただく、そうしたことを改めてお願いを申し上げながら質問をさせていただきました。  今日は本当にありがとうございました。
  186. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  平成二十一年度決算並びに決算検査報告に関連しまして質問をさせていただきます。  まず最初に、魚礁の管理そして活用設置効果の検証について質問をさせていただきたいと思います。  漁業生産が年々その量が減っていく中で、漁業資源をどのように確保していくのかというのが大変大事な課題となっておるわけであります。水産庁としても資源管理型漁業や栽培漁業を進めておるわけでございますけれども、その中の一つに魚礁の設置事業があるわけでございます。  平成年度決算検査報告では、会計検査院は、この魚礁の管理・活用が適切に行われ、事業効果の発現が図られるよう、水産庁長官に対しまして五点にわたる改善措置の要求をしておりますけれども、この内容について会計検査院に伺いたいと思います。
  187. 太田雅都

    説明員(太田雅都君) お答え申し上げます。  御質問の処置要求、改善の処置の要求は、会計検査院法三十六条の規定に基づきまして、水産庁長官に対して、並型魚礁設置事業におけます事業計画の策定及び魚礁の管理・活用を適切に行い、事業効果の発現が図られるよう改善の処置を要求したものでございます。  その概要を申し上げますと、市町村等の事業主体が実施した並型魚礁設置事業検査いたしましたところ、漁獲量の推移を十分把握していないなどのため、漁獲量が年々減少しているにもかかわらず、その原因を十分調査、検討することなく事業を繰り返し実施していたり、魚礁の管理を委託した漁協等からの報告等が十分行われていなかったり、魚礁を資源管理の面から適切かつ効率的に運用するために必要な利用方法を定めていなかったりなどの事態が見受けられました。  そこで、事業計画の策定及び設置後の魚礁の管理・活用が適切に行われ、事業効果の発現が図られるよう、水産庁におきまして、一点目は、事業計画を策定する際に用いる増加見込み量の把握方法を定めること、二点目といたしまして、魚礁の設置後における漁獲量の把握方法を確立すること、三点目は、異なった漁業種類の間の魚礁の利用方法等について指導方法を確立すること、四点目は、都道府県に対し、魚礁の管理及び利用状況等を的確に把握して、施設管理・運営状況報告書を提出するよう指導すること、最後に、事業主体に対し、魚礁の設置に際し漁業者の意向を十分に把握するとともに、漁協等と十分連絡、協調を図り、魚礁の設置後の管理・活用を適切に行うよう指導することを要求したものでございます。  以上でございます。
  188. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 この改善処置要求から十年以上経過した今日におきまして、指摘された点がどのように改善されているのか、またどのような効果が生まれているのか、農林水産省にお伺いをしたいと思います。
  189. 佐藤正典

    政府参考人(佐藤正典君) 御説明申し上げます。  水産庁では、会計検査院から改善措置要求を受けまして、平成十二年の九月に水産庁長官の名で関係都道府県知事に対しまして、魚礁の設置効果が十分に発現されますよう適切な魚礁設置事業の実施及び施設の管理を指導する文書を発出したところでございます。  また、これに合わせまして、魚礁設置事業計画、実施、管理・活用について定めた沿岸漁場整備開発事業の運用についての改正を行いまして、事業効果を把握するために魚礁設置前漁獲量と設置後の漁獲量を報告するよう指示したところでございます。  また、魚礁設置事業計画、実施等に際しまして、関係者が執務参考として利用いたします人工魚礁漁場造成計画指針についても、事業効果を適切に把握するため、漁協の統計資料の活用による漁獲量の把握方法、あるいは複数の漁業種間での利用調整の事例を紹介するなどの処置を行ったところでございます。  こうした改善によりまして、利用が低下しているような場合には魚礁漁場の利用促進に努めるよう指導するなど、適正かつ効果的に管理・活用されるよう対応しているところでございます。
  190. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 平成十二年度版の人工魚礁漁場造成計画指針の漁場利用、管理の項目には、福島県の相馬沖人工礁漁場における複数漁協とそして漁業種類の取決め、こういう事例が紹介をされておりまして、秩序ある利用と安定漁獲を図っていると、そのように記されておりますけれども、この福島県相馬沖の人工魚礁がその後どのような成果を上げているのか、この点についてもお伺いをしたいと思います。
  191. 佐藤正典

    政府参考人(佐藤正典君) 御説明申し上げます。  ただいま委員より御指摘のございました平成十二年版の人工魚礁漁場造成計画指針で紹介されております福島県相馬沖人工礁漁場は昭和五十二年から五十五年にかけて造成されたものでございます。したがいまして、国に対する報告義務のある期間を相当程度過ぎておりまして、その箇所での利用状況については把握しておりませんけれども、そのすぐ近くで行われております、平成十三年から十七年にかけまして行われました広域水産物供給基盤整備事業で造成されました相馬地区の魚礁漁場につきましては、主に相馬双葉漁業協同組合に所属いたしますはえ縄、釣り、あるいは刺し網漁業の漁業者により利用されておりますが、この漁業者の利用率は、平成二十一年度で七三%が利用しているというふうな報告を受けているところでございます。
  192. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今回の東日本大震災で、大津波、大地震によりまして、この人工魚礁の漁場も被災を受けた可能性があるわけでありますが、こういう被災をされた、そういう魚礁漁場の調査計画、これをどのように作ろうとしているのか、水産庁にお伺いをしたいと思います。
  193. 佐藤正典

    政府参考人(佐藤正典君) 御説明申し上げます。  漁場施設の被害につきましては、八月一日現時点で、北海道、岩手、宮城の二十八か所におきまして、沿岸部設置されている貝類の増殖場とか造成藻場につきまして二十三億円の被害報告されているところでございます。  比較的沖合の海域に設置されております人工魚礁などにつきましては、現時点では十分な調査が行われておりません。現状につきまして不明でございますけれども、今後、関係県あるいは関係機関と連携を取りましてその把握に努めていく考えでございます。
  194. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 ナローマルチビーム測深機というような超音波を使った検査も国土交通省等では港の検査等に使っておるということでありますが、こういう技術をやはりこういう人工礁、海の中にあるわけでありますけれども、それがどのようになっているのか、こういう点をこの機器を使ってやるということもやはり重要かなと思っておりますけれども、この点に関しまして農林水産省にお伺いをしたいと思います。
  195. 筒井信隆

    ○副大臣(筒井信隆君) 水産基盤整備事業というもので、新規魚礁の設置等に際して海底の状況や既存の魚礁の状況等々を調査しているわけでございますが、その際に、今まさに先生が言われましたナローマルチビーム、この検査機を使って調査を実際に水産庁としてもやっているところでございまして、これらをこれからも更に活用して、それらの調査の厳密化、効率化を図っていきたいというふうに考えております。
  196. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 こういう新しい技術を使って人工礁等を造った後の検証をしっかりやっていただきたいと、そのように思っております。また、被災時の調査にも使っていただきたいと思います。  それでは、次に救急に関しまして質問をさせていただきたいと思います。  まず、救急搬送に関する市町村消防費、そしてまた救急事業費の近年の決算の推移について消防庁にお伺いをしたいと思います。
  197. 原正之

    政府参考人(原正之君) 近年の市町村における消防費の歳出決算額でございますが、平成十九年度は約一兆八千二百億円、平成二十年度約一兆八千億円、平成二十一年度約一兆八千三百億円と、ほぼ同額となっているところであります。  救急業務に関する支出もこの中に含まれているところでございますが、具体の数字については把握しておりません。
  198. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 救急事業についても、やはり近年事業が多くなっていると思いますので、しっかりその費用、検査をしながらその数値を出していただければと、そのように思っております。  次に、平成二十一年の消防法改正後の傷病者の搬送、受入れの実施基準の策定状況、また救急通報から診療開始までの救急搬送時間の短縮がなされているのかどうか、この点に関しまして消防庁にお伺いをしたいと思います。
  199. 原正之

    政府参考人(原正之君) 傷病者の搬送及び受入れの実施基準につきましては、平成二十三年七月末現在で、岩手県、愛知県、広島県を除く四十四都道府県で策定済みとなっております。  また、平成二十二年六月末までに実施基準の運用を開始した五都県の平成二十二年における現場滞在時間三十分以上事案の占める割合は、前年に比べて〇・二六ポイントの増加にとどまっておりまして、非運用開始団体の〇・五三ポイント増加と比べると増加は抑制されているところでありますが、実施基準策定の効果については今後更に検証する必要があると考えております。
  200. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 実施基準を定めたところでは少し改善をしているということでありますが、まだまだ始まったばかりでありますので、検証をしっかりやっていただいて改善を図っていただきたいと思います。  そこで、消防庁の方は、去る七月二十二日に「平成二十二年中の救急搬送における医療機関の受入状況実態調査の結果」を公表したわけでありますけれども、消防法改正後も照会四回以上並びに現場滞在時間三十分以上の事案の件数が改善されていないその原因につきまして、また今後の対策につきまして、消防庁、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  201. 原正之

    政府参考人(原正之君) 受入れ医療機関の選定困難事案が多いと想定されます重症以上傷病者など四つの区分全てにおいて、照会回数四回以上の事案及び現場滞在時間三十分以上の事案共に件数と割合が前年を上回る結果となっております。  このように救急搬送、受入れの状況が悪化した要因としては、医療機関側の受入れ体制が厳しくなっていること、また搬送人員数自体が増加したことなどが考えられますけれども、今後、関係省庁とも連携して詳細な分析をしていく必要があると考えております。
  202. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 渡辺委員にお答えいたします。  救急搬送におきます救急患者の円滑な受入れに向けまして、厚生労働省といたしましては、救命救急センターの設置及び運営の支援、救急医療に係る診療報酬の充実、また救急医療に従事する医師の処遇の改善、そういう処置を講じてきたところでございます。  しかしながら、最近の調査結果では、例えば救命救急センターにおきまして救急搬送の受入れの照会回数が四回以上の事案の割合が前年比〇・六ポイント悪くなりまして三・八%になるなど、全体としての受入れ状況が改善をされているとは言えないような、そういう状況となっております。  こうした結果について、これは患者数が増えたというようなこともあるかと思いますけれども、今後は、その実態を更に把握するとともに、都道府県による受入れの実施基準の策定、そしてその適用の運用によりまして、一定回数の受入れの照会をした場合には受入れの病院を指定するとか、あるいはまた病院に救急の搬送の調整をするようなコーディネーター、そういうものの設置を進めておりまして、救急患者の円滑な受入れに今後とも努めてまいりたいと、このように考えております。
  203. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今お話ありましたけれども、救命救急センターでさえも受入れ困難だった。手術中、患者対応中、あるいは処置困難、ベッド満床、専門外で受け入れられないというようなことがありまして、これでは国民の命を守るというそういう役目を果たしていないと。やはり救急搬送、そしてまた救急受入れ機関の充実を図ってもらわなければいけないと、しっかりやっていただきたいと思います。  それで、次に、脳卒中も救急搬送、救急医療を必要とすることが多いわけでありますけれども、実施基準の分類基準で脳卒中のtPA、これはお薬でございますけれども、tPA適応疑いの基準を設けている都道府県状況についてお伺いをしたいと思います。
  204. 原正之

    政府参考人(原正之君) 実施基準の分類基準におきまして、tPA、血栓溶解療法適応疑い、これを設けているのは約半数の二十四都道県であります。
  205. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 まだまだ脳梗塞の特効薬と言われるtPAを使った救急医療が十分行われていないというのは非常に残念なことでありまして、こういう患者さんがきちんと受け入れられるように体制を整えていただきたいと思います。  ちょっと時間がないので少し一部省かせていただきますけれども、本年の一月二十六日に参議院議員会館で脳卒中政策フォーラム二〇一一というものが開かれました。これは、「新たな脳卒中対策の策定に向けて」という表題も付け加わっておりますけれども、米国での、先ほどのtPAを使った患者さんの治療をしますと経費節減が図られると、そのような話もあったわけでございますけれども、この点に関しまして、細川厚生労働大臣に所見をお伺いをしたいと思います。
  206. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) この脳卒中対策についての基本法について、法制化というようなこと、これは患者団体の皆さんとか、あるいは関係学会の御要望も、また超党派でいろいろと勉強もされて立法化が検討されているということは私どもも承知をいたしております。  脳卒中というのは、我が国の死亡者数が第三位の疾患でございまして、後遺症によります生活の質が損なわれることが多いと、こういうことから、生活習慣病対策としての発症予防から急性期、そしてリハビリテーションや、また介護に至るまで、全体を視野に入れた切れ目ない対策を進めることが大変重要だというふうに思っております。  そういうことで、脳卒中の対策ということは、厚生労働省としても本当にこれからしっかり対策を取っていきたいというふうに考えております。
  207. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今回の大震災被災地におきまして、避難所やあるいは仮設住宅等にお住まいになっている、生活をされている方々には、健康調査をしますと血圧が高いということが分かってきて、いずれ脳卒中を発症する危険があるんじゃないかと、そのように日本脳卒中学会が声明を発表しまして、対策をしっかりやるようにと、そういう声明の内容がありました。この点に関しまして、厚生労働省としてどのような対応をしていくのか、大臣にお伺いをしたいと思います。
  208. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 今委員が言われました日本脳卒中学会、この学会の方からの東日本大震災被災者の生活あるいは環境改善及び脳卒中予防体制の整備に係る声明というのを、実は昨日、厚生労働省も受け取ったところでございまして、厚生労働省としても、被災地に対しては保健師とかあるいは管理栄養士、全国から派遣もしていただいて、被災地の保健師の皆さんと一緒に、避難所などでの高血圧とかあるいは慢性疾患を持つ方に対して必要な健康管理を一生懸命やらせていただいているところでございます。  この大震災被災者の方々でもこういう高血圧などの治療、したがって、災害のときもそれから平常の場合でも脳卒中というのは大変大事なことでございますから、厚生労働省としてもこの対策にしっかりと力を入れてまいりたいと、このように考えております。
  209. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 災害時に救急医療等でドクターヘリも活躍したわけでありますけれども、航空法施行規則というものがありまして、なかなか着陸が独自でできないというようなこともありまして、この件、質問する予定でありましたが、次回に回したいと思います。  ありがとうございました。
  210. 秋野公造

    秋野公造君 公明党の秋野公造です。国民の皆様のお役に立てるよう質疑に入ります。  七月の二十一日に東日本震災復興本部から公表された東日本大震災からの復興の基本方針骨子に対し、公明党は提言をまとめて政府に最大限の反映をするように求めさせていただきました。しかしながら、二十九日に決定された基本方針を見ますと、被災三県の高速道路の整備促進、全国暫定二車線を早期に四車線化を図り、ミッシングリンクの解消を図る、こういった提言が余り反映をされていないようであります。これは、五月一日に行われた国土交通、財政金融、厚生労働、三つの委員会の連合審査にて災害に強い国づくりと命を守る道路整備をお願いしたところ、国土交通省からも財務省からも、安全上も、そして災害に強い国づくりのためにしっかりやると御答弁をいただいたものであります。  今回の大震災は、自然災害が多発する我が国で今後どのように災害に備えていくか、警鐘を鳴らす角度もあるかと思います。首都直下地震、東海・東南海・南海地震などの地域を始めとする全国の高速道路のミッシングリンクを解消する安全で災害に強い国土づくりのための防災事業と東北の高速道路整備を復興事業としてしっかり行うべきではありませんか。復興大臣の見解を求めます。
  211. 平野達男

    国務大臣(平野達男君) 今回の基本方針の策定に当たりましては、公明党さんからも様々な御提言をいただきまして、それも踏まえた形で基本方針を策定させていただきました。  この中では、三陸縦貫道の緊急整備や太平洋沿岸と東北道をつなぐ横断軸の強化、日本海側との連携も含め、東北全体のネットワークも考慮したリダンダンシーの確保等により災害に強い交通・物流網を構築することとされております。あわせて、今後の災害への備えといたしましては、災害への対応力を高めた国土基盤の整備を行うなど災害に強い国土構造への再構築を図るとともに、そのための広域的な国土政策の検討、見直しを行うとしているところでございます。安全で災害に強い国土づくり、これを目指さなければなりません。ミッシングリンクの解消等にもこれを努めてまいりたいと考えております。  ただ、二車線を四車線にするということにつきましては、これは地域状況等々もございまして、その状況に応じて推進すべきものだというふうに考えております。
  212. 秋野公造

    秋野公造君 国交大臣にも伺いたいと思います。  高速道路の四車線化は、七月十四日の国土交通省の高速道路のあり方検討有識者委員会の緊急提言でも指摘をされたばかりであります。スピードは遅い、事故は増加する、これでは命を守ることができません。  また、決算委員会だから申し上げますけれども平成二十一年に全国で渋滞が多い六区間を選定した四車線化工事を凍結をいたしましたね。用地買収も終え、予算も用意し、自治体も負担を準備していたものを止めて命を守ることができますでしょうか。渋滞が多いところです。今こそやるべきではないでしょうか。  東北の四車線化工事及び渋滞の多いこの六区間の四車線化、そして必要な四車線化工事をしっかりやる。国土交通大臣の見解を求めます。
  213. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 秋野議員からの御質問にお答えを申し上げます。  御指摘の、いわゆる今二車線で通しているわけでありますが、片側一車線ずつですね、ここの四車線化についての御質問でございます。これについては、御指摘のようにいろいろな経緯がありまして現在止まっているわけでありますけれども、七月の十四日のいわゆる高速道路のあり方検討有識者委員会の方からも、今回の大震災を受けて、そういう状況の中でありますが、ミッシングリンク等による高速道路が本来果たすべきネットワークとしての機能という項目で早急にこの四車線化を進めなさいと、このような答申もいただいたところであります。  したがいまして、御指摘の整備計画策定済みの六区間を始め、東北地方の一日も早い復興や安全で災害に強い国土の実現を図るため、高速道路の四車線化について今回の有識者委員会の御意見を踏まえて、私としては、どういう形でこれを進めるかと、これを早急に整理してしっかりと道路ネットワークの強化に取り組んでまいりたいと思います。
  214. 秋野公造

    秋野公造君 ありがとうございます。  七月三十一日に沖縄県の対馬丸記念館に行かせていただきました。対馬丸は、太平洋戦争の末期に千七百八十八名の子供を疎開をさせるために長崎に向かっているところを鹿児島の沖で沈められて、千四百名を超える尊い命がなくなったものであります。館長の高良館長、四歳のときにこの事態に遭いました。想像力を働かせると、寒かっただろうと思います、苦しかっただろうと思います。本当にそういった箝口令がしかれたもので、多くの方が事実を語れない状況であり、犠牲になった方々の鎮魂とともに、平和の、命の尊さを伝えるためには本当に必要な施設であるということを学ばせていただきました。  しかしながら、遺影を掲示するお金が足りない、生存者のお声を届けるためのタッチパネルモニターを修理するお金がなく今貴重な証言が伝えられない、記念碑を刻印するためのお金がない、こういう状況であります。本来、遺骨収容として行わなくてはいけないところを、海底であるということで記念館を建てた経緯を考えると、私は、遺骨がないのであれば遺影こそがお墓であって、そういったものは遺骨収容の一環としてやるべきであると思っています。  沖縄県から相談があれば対馬丸の記念館の運営に関し強化をお手伝いしていただきますよう、厚生労働大臣の見解を求めます。
  215. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 戦争中に本当に幼い子供たちがたくさん亡くなった、その痛ましい事故については、これは後世のみんながやっぱりしっかりと記憶にとどめていかなければならないことだというふうに私も思っております。  そういう意味で、この対馬丸記念館は、これは沖縄県が設置主体となりまして財団法人対馬丸記念会が運営している施設でございまして、施設の運営費はこの運営主体において賄われるということになっていることは承知をいたしております。一方、厚生労働省としましては、対馬丸記念館におきます遺族の相談事業などについては沖縄県の方に補助を行っているところでもございます。  今委員から御指摘がありましたので、沖縄県の方から御相談していただければ、より詳しくお聞きをして、しかるべくしっかり対応してまいりたいと、このように考えます。
  216. 秋野公造

    秋野公造君 公益法人の移行も非常に不安を感じておりました。公益法人化を失敗しますと、この唯一の記念館がなくなってしまいます。  沖縄県から相談があればお手伝いしていただけますでしょうか。内閣府の見解を求めます。
  217. 園田康博

    大臣政務官(園田康博君) お答えを申し上げます。  秋野委員には本当にいつも沖縄の件でお世話になっておりまして、誠にありがとうございます。  今お問合せがありました財団法人対馬丸記念会が公益財団法人への移行に向けて今準備を進めていただいているということは承知をいたしております。したがいまして、内閣府といたしましても、この対馬丸記念会の公益財団法人への移行に当たっては、しっかりと沖縄県とも連携をして必要な助言等を行ってまいりたいというふうに思っております。
  218. 秋野公造

    秋野公造君 高木大臣、時間がなくて大変申し訳ありませんでした。  広島、長崎、沖縄、こういったものを風化させないよう、平和学の推進、どうかよろしくお願いをします。  終わります。
  219. 柴田巧

    柴田巧君 みんなの党の柴田巧です。  今日は、政府調達の改革あるいは入札契約の見直しのことについてお尋ねをしたいと思いますが、あの震災からやがてもう五か月たとうとしておりますが、政府の被災地に対する対応というのは非常に遅いわけでありますが、もろもろ。一方で復興財源をめぐる議論、つまり増税に向けた地ならしというか、手回しは極めて早いなという感じがしてなりません。何よりも今議論すべきは、増税の前にやるべきことがあるだろうという観点から、やはり行政コストの削減あるいはいろいろな見直しということではなかろうかと思っております。  私どもみんなの党は、これまでも公務員や国会議員の人件費の削減やら、あるいは埋蔵金の発掘、活用やら、あるいは外貨準備の活用など、これから本格復興予算が組まれることになりますけれども、そういったものに財源を見出していくべきだということを申し上げてきたところでありますが、今日取り上げたいのは、十一兆ほどあると言われておりますこの政府調達の在り方、中身、こういったものを取り上げさせていただいて、ここにもしっかりメスを入れていかなきゃならぬのではないかという観点から、以下、質問をさせていただきたいと思います。  この政府調達、十一兆あって、いろいろその中にはあるわけですが、例えば物品購入なんかは、どうもいわゆる役所側がお役所価格というものでかなり買っているということはよく昔から指摘をされてきたところでありますが、ここはやはり全省庁足並みをそろえて民間価格になるように落としていくということが、それを目指していくということが大事なことではないかと思いますが、後でまた触れますように、質問いたしますように、特に少額随契という問題があります。ここで恐らくお役所価格でお決まり業者が受注をしているというのが実態ではないかと思いますが、したがって一者応札になっているということでもございますけれども、こういったところをしっかり見直していく、あるいは官民の物品の購入価格差というものの縮小を目指していくということが私は大事なことだと。あわせて、ただ安いだけではなくて、より質のいいサービスをいかに民間から取り入れていくかと、こういう視点での改革が私は大事なのではないかと思っております。  そういう中で、アメリカやあるいは韓国、EUなどでも既にやられておりますし、また日本の民間企業でもかなり今採用されておりますが、競り下げ方式というのがございます。御案内のように、入札者が他の入札者の提案した最低価格を見ながら一定期間の間に何回でもより安い入札を繰り返すことでありますが、これによって公的機関においても民間企業などと同様に、それ並みの適正価格にできる制度だと認識をしております。つまり、この競り下げ方式というのは、言葉を換えて言うならば、先ほど言ったお役所価格、お決まり業者を脱していくものだと思いますし、官民の価格差の是正、あるいは公平性、透明性の確保に私はつながるものだと期待をするところであります。  そこで、まず最初に、この競り下げ方式、既に試行されておりますけれども、今のところどのような実施状況なのか、またその成果や、あるいは逆に問題点がどういうところが出ているのか、お尋ねをしたいと思います。
  220. 園田康博

    大臣政務官(園田康博君) 柴田委員にお答えを申し上げます。  競り下げ、今御紹介をいただきました、一定の時間内で何回でも入札、応札ができるという形の新たな試行が、今内閣府を中心に政府の中で執り行っていこうという形で行わせていただいています。  今年度でございますけれども、その試行を実施する計画の中で、まず今まで行われてきたもので申し上げますと、内閣府で三件ございます。コピー用紙等の競り下げを実施をさせていただきました。それから、文部科学省では四件、これは事務用の計器等でございます。それから、国土交通省では啓発のポスターの入札ということで、国土交通省でも実施をしていただいておりますし、また防衛省でも、これは封筒でございますが、実施をしていただいているところでございます。  これらの試行に当たりまして、いわゆるコスト削減等の効果について、毎年度、購入の数量であるとか市場の状況、こういったことがやはり毎年毎年異なっていくというところもございますので、そういったところも含めて、私どもといたしましては、従来の落札価格との単純比較というのは、単純に今回のことをもって比較をするというのはちょっとまだ難しいのではないかというふうに思っています。  したがって、今年度を通じてこの試行を繰り返しさせていただきながらその状況を見てまいりたいというふうに思っております。そして、この一連の試行結果を踏まえまして、競り下げの効果や課題というものを十分整理をして次回につなげてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  221. 柴田巧

    柴田巧君 大事なことは、今こうやって試行が始まりました。これを、今いろんな指摘もありましたように、影響やあるいは問題点がどういうところにあるのか、あるいは中小事業者の皆さんが入れるような仕組みになっているのか、価格は安くなったけれども質が落ちてしまったというようなことのないように、いろんなそういう問題点を検証するためにも、これはやはり国の本庁のみならず、出先機関あるいは公益法人、さらには独立行政法人などにもしっかりこの試行が拡大されていくべきだと思いますが、今後の予定はどういうことになっているのか、お尋ねをしたいと思います。
  222. 園田康博

    大臣政務官(園田康博君) お答えを申し上げます。  今年度におきますと、各府省においては年間を通じて約四十件程度を実施する計画でございます。そして、一方で独立行政法人でありますとか国立大学法人、こちらにおいては既にもう競り下げ方式を導入している、行っているところがございます。  そういった実績も含めて、私どもとしては、政府とそれから独法あるいは大学法人等のその在り方も含めて検証をしてまいりたいというふうに考えております。
  223. 柴田巧

    柴田巧君 そういう中で、品目の拡大、あるいは物品だけではなくて役務への拡大ということも目指していただいて、広範な試行を是非やっていただきたいと思っております。  そういう中で、先ほども指摘をさせていただきましたが、この政府調達の中での一つの大きな問題は、いわゆる少額随契というものであります。例えば、製造、工事の場合であると二百五十万円以下、貸借の場合だと八十万円、そして物品購入の場合だと百六十万円以下ならば随意契約でいいとあり、そしてまた公開しなくてもいいというところがあるわけですが、どうもこれがかなりの部分を占めているというのはかねてからよく知られているところでありまして、ここが実態どうなっているのかということを解明せずしてこの問題の本丸に切り込むことはできないんだろうと思っているわけであります。  また、公共調達の適正化を図れないということになるかと思いますが、平成二十一年度の場合、国の全ての契約のうち、いわゆる少額随契の割合や件数、そして総額というのはどういうふうに把握をされておられるのか、確認をしたいと思います。
  224. 尾立源幸

    大臣政務官(尾立源幸君) 柴田委員にお答えいたします。  もう既に御指摘いただきましたように、この少額随契というのは、例えば財産の買入れにつきましては百六十万円以下、まあ未満ということでなっておりますが、満たないようなものについて随意の契約を認めているというものでございます。これは事務の効率化、事務負担という観点から法律上許されているものでございます。  なお、この随意契約の見直しについては、平成十八年以降、公共調達の適正化に係る財務大臣通知というもので各省庁の長から財務大臣報告を求めておるわけでございますけれども、ただ、この少額随契については、同じ公共調達ではございますが、額が先ほど申し上げましたように少額であるということ、客観的にこの基準が決まっておるということ、そして、そもそも事務の効率化、軽減から導入されたということもあってこの報告の対象に入れられていないというのが実態でございまして、財務省としまして政府全体のこの少額随契の年間の件数また額について把握していないということでございます。
  225. 柴田巧

    柴田巧君 これが残念ながら実態なわけで、これは会計検査院にも一応聞いてみましたけれども分からないということで、ここが言わばやみの中になっていると。一つ一つは確かに少額なんですが、これが合わさっていくとかなりの額になるのは間違いないと思われます。ある調査、データによると、約九割ぐらいが少額随契になるのではないかと言われて、その部分が実態はどうなっているか中身が分からないということでありまして、こういったことをこのままほうっておくというのはいかがなものかと。  また、特に民主党さんの場合は、かねてから国の支出をガラス張りにしようということを主張してこられたわけでありますが、実態は、政権交代して二年たつわけですけど、非常に乖離していると、こう言わざるを得ませんし、政権交代があっても、二年たってもまだ霞が関の隠蔽体質は変わらないと、こう言わざるを得ないと思うわけで、しっかりとこの少額随契を把握する仕組み、システム、こういったものをやっぱり早急に整えていくということが大事なのではないかと思いますが、今日はお忙しい中お越しいただきましたが、行政刷新担当大臣に御見解をお聞きをしたいと思います。
  226. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) お答えいたします。  行政刷新担当大臣としては戻り新参でございますが、前回、この担当大臣をさせていただきましたときに、一つは、先ほどの競り下げ入札をできるところからでもどんどん入れていこうということでスタートをする決断をさせていただきました。これを拡大してまいりたいと思っておりますが、今御指摘の少額随契を中心として、予算の使われ方について、国会皆さんあるいは国民皆さんはもとより、率直に申し上げて、役所の中にいてもなかなか全体像が把握できないというのが残念ながら現在の実態だと思っております。  これについては、前回にこの大臣を務めさせていただいたときも問題意識を持ちまして、今どき、コンピューターの時代でありますから、事務処理の負担を増やさずに、一回どこかで何かに入力、打ち込めば、全ての役所の全ての少額契約含めて一覧化ができる、あるいは検索ができるという仕組みは、つくろうとすれば技術的にはつくれるという状況だというふうに思っております。  したがって、省庁横断的に、事務処理の負担を増やすことなく、一度金額とか契約先とか内容とか入力すれば、それだけで地方支分局含めて全ての支出について一覧性をもって全ての国民に公開できるという仕組みをつくりたいということで、前回の大臣のときにも研究をさせていただいております。  ただ、現実問題としてはなかなか、省庁ごとにコンピューターの仕組みが違うとか、いろいろと正直言って障害が多い。その中で、行政事務の混乱や手間を掛けずにそこに移行していくのには当初想定していたよりは時間と検討が必要だというふうに思っておりますが、大変重要なポイントだというふうに思っておりますので、更に研究を進めるよう担当にも指示をして、私自身も更に研究をしたいと思っております。
  227. 柴田巧

    柴田巧君 いろいろ困難な面は確かにあるんだろうと思いますが、これだけいろいろなシステムが発展している中で私は最終的にやれないことはないだろうと思っておりますので、是非早期にそういう仕組みをつくっていただきまして、それを目指して頑張っていただきますように強く要望しておきたいと思います。  さて、そのいわゆる少額随契の問題を打ち破っていくためにも、物品の購入単価を下げていくためにはいわゆる共同調達というのは有効な手法の一つだろうと思っております。  つまり、いわゆるまとめ買いをして単価を下げていくということで、これも言わば縦割り行政じゃありませんが、役所ごとに同じようなものをばらばらに買っているがゆえに、結局トータルとして高いものを買っているということになるわけで、まとめてやっていけばコストダウンを図れるのは明らかでありますし、例えばイギリスなどでも競り下げ方式とともにこの共同調達は広く採用されている問題でありますが、そこで、各省庁まとめて一度に発注するような、値引き率を上げるこの共同調達の取組もこれは併せて進めていくべきだと思いますが、どのように取り組んでいかれるか、お尋ねをしたいと思います。
  228. 園田康博

    大臣政務官(園田康博君) お答えを申し上げます。  委員指摘のとおり、今年度、霞が関の全府省が六グループにまず分かれて実施をするという形の計画を持っております。対象品目も、従来の事務用の消耗品に加えまして、ガソリンであるとか新たなそういった物品も付け加え、またさらに、速記ですとか配送ですとかクリーニング、そういったところの役務、サービスのところまで対象を広げて実施をしていこうという形で計画実施をさせていただいているところでございます。  政府としては、今年度、これらの一連の取組を行った結果について、共同調達のグループであるとか、あるいは対象品目、発注仕様等についてしっかりと分析、検証を行ってまいりたいというふうに思っておりますし、また、この検証の結果、この共同調達、更に有効なものにしていくということを念頭に置きながら、しっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。
  229. 柴田巧

    柴田巧君 是非そういう方向でしっかり取り組んでいただきたいと思いますが、あわせて、中小の事業者の皆さんが参入しやすくするためにも、この入札の参加の要件やあるいは仕様の緩和を図るということが大事な観点だと思いますが、先ほど言ったお決まり業者ばかりが受注するということではなくて、広くそういう意欲を持った、また能力のある、また質の高いサービスを提供できる、そういった人たちにもチャンスを与えられるような仕組みの改善が必要かと思いますが、この点はどのようにお考えでしょうか。
  230. 園田康博

    大臣政務官(園田康博君) 御指摘ありがとうございます。  おっしゃるとおり、調達改革を進めていくためには、より多くの事業者の方々に入札に参加をしていただくということが大変重要なことではないかというふうに思っておりますし、また、それによって競争性が高められるというふうに考えております。そのため、御指摘のとおり、入札の参加要件であるとか仕様の緩和、こういったことについても検討がなされていくべきであろうというふうに私どもも受け止めさせていただいております。  特に中小企業者につきましては、公共サービス改革プログラムでその受注機会等についての指摘がなされました。また、本年六月に閣議決定をされました平成二十三年度中小企業者に関する国等の契約の方針、ここにおきまして、新たな調達・契約手法の多様化を行う場合には、中小企業者の事業環境への悪影響が生じることのないよう適切な要件設定等を行うこととされております。  そういったところを踏まえながら、より効果的、適切な入札改革というものを行ってまいりたいと思っております。
  231. 柴田巧

    柴田巧君 ありがとうございます。  時間がもう僅かになってきましたのでちょっとまとめてお聞きをしたいと思いますが、いずれにしても、この競り下げあるいは共同調達等々いろんな改革をやっていくためにも、一つは、大事なことは、これから考えなきゃならぬのは、こういった改革をしていく上での実行機関をどうするかということが一つ。また、これを実際に当たる専門的な調達のスキルを持つ人材をどう育成するかということがこの改革の一つ大事な部分だと思っております。  イギリスなどでも、公共調達庁といったような組織でこういった改革をもろもろやっている、そして悪質な業者あるいはシステムの運用などしっかり全体を見回してやっていくということをやっているわけで、こういう省庁横断的な実行機関が必要じゃないか。また、先ほど言いました、そういったスキルを持つ人材の育成を図っていくことが大事ではないかと思いますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  232. 園田康博

    大臣政務官(園田康博君) お答えを申し上げます。  先生御指摘のとおり、より効果的な改革を進めるということは大変重要でございますので、今御指摘をいただきました、イギリスの例も挙げていただきましたけれども、諸外国でも先進的に取り組んでおられるところがございます。そういったところも参考にしながら、改革の在り方というものを検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、人材の育成もやはりおっしゃるとおりでございまして、政府では、人事評価、ここの中で、コストの意識、そして無駄排除の能力、こういった向上に留意した目標設定を行う一部の省庁での取組というものがございます。そういったところも参考にしながら、普及をさせていく準備を今進めているところでございます。それから、公共サービス改革プログラム、こちらにおいても、調達の専門家の養成のための研修機会の提供であるとかあるいは専門家としてのキャリアパス設定、こういったところについても検討するという形になっております。  これらの取組を通じまして、調達に係る人材の育成というものに取り組んでまいりたいというふうに思います。
  233. 柴田巧

    柴田巧君 組織や、そして人材の面もしっかり視野に入れてこの改革に当たっていただきたいと思います。  最後の質問になると思いますが、先ほどからも申し上げてきましたように、いろんな行政コストの改善を図っていく上で大事な問題だと認識をしております。ただ、民主党政権の場合、二年間見てきて、いろんな行財政改革は、例えば事業仕分であったり天下りの根絶であったり、非常に中途半端で終わっている。ファンファーレは大変立派だったんですが、開けてみると中身は大変乏しい、しょぼいというものが結構あったと言わざるを得ないと思いますが、是非この問題について、入札の改革、官民価格差の縮小あるいは政府調達の改革、具体的な、そして効果的なコスト改善を積極的に進めていくためにも、明確な工程表をしっかり持って、こうやってやっていくんだというしっかり本気度を示していただきたいものだと思いますが、意気込みも含めて担当大臣にお聞きをしたいと思います。
  234. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) この間、個別の行革に向けた取組というのはそれなりに前進をさせてきているつもりでおります。先ほどの競り下げ等についても、試行を始めてこれをいかに拡大していくかという一つの流れができているかというふうに思っておりますし、あるいは独法とか公益法人改革、様々な課題について問題点を明確にして具体的な制度設計に既に入っているところでございます。  その上で、今御指摘いただいた調達などの問題については、まさに省庁横断的に、先ほど公共調達庁というお話もございましたが、あえて言えば、省庁再編的な視点まで含めたかなり大きな仕組みの改編をしませんとなかなか抜本的な解決につながらない部分も少なからず含まれる、そうしたところの実は今壁に正直ぶち当たっているところでございます。  私は、橋本行革は、あの時点における行革として、省庁の数を減らして行革を進めるということが非常に正しかったと思っておりますが、一方で、公共調達庁のような話のように、新たに行革を進めるための横断的な組織をつくる必要があるのではないかといった問題意識も持っておりまして、そうなりますと、こうした今壁にぶち当たっている部分については、もちろん政府として、あるいは民主党として、あるいは行政刷新会議としての議論、検討も重要でありますが、国会を含めた広範な御議論、検討も必要ではないかと思っておりまして、そうした問題提起は今後もしてまいりたいというふうに思っております。
  235. 柴田巧

    柴田巧君 時間が来ましたので終わります。  ありがとうございました。
  236. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  国と電力会社が一体になって原発安全神話を振りまいてきた広報事業について今日はお聞きいたします。  玄海原発の国主催の説明番組におけるあのやらせメール問題は、住民の大きな怒りを呼び起こしました。我が党は、同様のことがないか全ての電力会社を調べるように求めましたけれども、そうしますと、国が主催したプルサーマル発電のシンポジウムにおいて、事もあろうに保安院が中部電力と四国電力に、社員らの出席を促し、事業者の立場での発言を行うようにやらせを依頼していたということが明らかになりました。  当時の保安院の広報課長がマスコミのインタビューにも答えておりますが、在任中五回のシンポがあって、動員要請はいつものことだったと、こういうふうに述べているわけですね。安全のための規制機関である保安院が推進の立場でやらせを要請していた、極めて重大であります。  保安院長に来ていただいておりますが、この事実関係及びその責任についてどのようにお考えでしょうか。
  237. 寺坂信昭

    政府参考人(寺坂信昭君) お答え申し上げます。  七月二十九日、電力会社からの資源エネルギー庁長官への調査報告の中におきまして、御指摘のように、平成十八年と十九年におきますシンポジウムの開催に当たりましてその公平な運用を損なうような行動を取っていたという、そういう報告が提出されたというところでございます。  本件の事実関係につきましては第三者調査委員会におきまして検証されることになるとしてございますけれども、このような指摘をなされたこと自体、原子力安全・保安院にとりましては大変深刻な事態であるというふうに受け止めております。  さらに、検証の結果、仮に事実でありました場合には、原子力安全・保安院を全体としてまとめておる者といたしまして、国民の皆様、立地自治体の皆様などに大変申し訳なく思うところでございます。  原子力安全・保安院といたしましては、第三者調査委員会によります検証に全面的に協力いたしますとともに、いま一度原点に立ち返り、各職員が強い使命感を持って職務に精励することが今は何よりも重要と考えているところでございます。
  238. 井上哲士

    井上哲士君 これは、自ら要請しておきながら電力会社の報告によって発覚をしたと、私は自浄能力そのものが問われていると思います。  資源エネルギー庁に来ていただいておりますが、この保安院からのやらせ要請があった〇六年の伊方原発シンポ、〇七年の浜岡原発シンポについて、どの団体が受託をして、委託金額は幾らだったんでしょうか。
  239. 細野哲弘

    政府参考人(細野哲弘君) お答えを申し上げます。  お尋ねの二〇〇六年の伊方原子力発電所、それから二〇〇七年の浜岡の発電所のプルサーマルに関するシンポジウムでございますが、両方とも財団法人社会経済生産性本部、現在はちょっと名前が変わっておりまして公益財団法人日本生産性本部でございますが、そこが受託をしております。  金額でございますけれども、伊方の原子力発電所につきましては二千二百七十二万六千六百四十四円、浜岡につきましては千九百九十五万円でございます。
  240. 井上哲士

    井上哲士君 この日本生産性本部は、実はやらせメールが問題になった九電の説明番組も受託をしております。さらに、二〇〇八年、二〇〇九年のプルサーマルシンポジウムも受託をしております。  九電の説明番組の場合は、最初は番組の目的は緊急安全対策の説明だったわけですね。ところが、受託者である日本生産性本部が、再起動の地元了解のため原発の安全性、必要性を訴えるというような内容に計画変更、申請をして、資源エネルギー庁もこれを了承しているという経過があります。  この日本生産性本部、役員を見ますと、評議員には東京電力の勝俣会長が就いております。幹事会の幹事には各電力会社の会長、社長、原子炉メーカーの相談役、さらには元通産省の事務次官などが並んでいるわけですね。ですから、私は元々、国の原発に関する委託事業を中立的立場でやれるような団体ではないと思うんですね。  こういう団体に委託をするということとやらせというのは、安全神話を振りまいて原発推進していくと、こういうシナリオと私は一体のものではなかったのかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  241. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 委員にお答えをいたします。  まず、この原子力安全・保安院のいわゆるやらせの問題でありますが、これは先ほども保安院長から御答弁がありましたように、第三者委員会、今朝その委員の方々正式に決まりまして、来週になろうかと思いますが、第一回の会合を開いていただきまして、徹底的に事実を解明していただくということでございます。  ですから、その意味では、今委員指摘のような、どこかに、なるべくこれは安いところ、それからなるべく中立的な立場のところに委託をするということはこれはもう原則でございますが、その問題と、それから今御指摘のありました原子力安全・保安院のやらせの問題とが直接に結び付いているということは今の段階では判断できません。
  242. 井上哲士

    井上哲士君 この日本生産性本部、いろんなこの関係の仕事も受託をしておりますし、広報関係にはずらりこの種の団体が並んでおるわけでありますね。  いずれにしても、保安院が規制機関としての役割を果たすどころか、電力会社と一体となって安全神話を振りまいて国民を欺いてきたわけであります。今や、こんな組織が原発は安全だと言っても誰も信用しないですよ。だから、保安院の存在そのものが問われているわけでありまして、原子力行政に携わる資格そのものが問われていると思います。  ですから、何かトップを替えたとか、それから替えるとか、組織的にも人的にも引き継いで他の省に付け替えるというだけでは、これはいいという話ではないと思います。もう保安院を解体をして、推進機関から完全に独立し、安全神話からも決別をした、そういう新しい規制機関と体制をしっかりつくるということが必要だと思いますが、その点での大臣の認識いかがでしょうか。
  243. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) この問題についてはかねてから答弁を申し上げておりますが、国際的にも、IAEAの会議でも私から保安院は経済産業省から切り離して独立をさせるということを言ってございます。
  244. 井上哲士

    井上哲士君 報道されているように、何か人的体制はそのままにしたままどこかの役所に付け替えるというだけでは、これでは駄目だということを繰り返し申し上げておきたいと思います。保安院全体を解体し、そして、私は、やっぱり新たにつくるこの規制機関は原発からの撤退を進める、そういう機関として位置付けられるべきだろうということも申し上げておきます。  そういう今後のことを考える上でも、この問題はしっかり国会として解明をすることが必要だと思います。当時の保安院の広報課長を始め保安院と、そして電力会社の関係者の国会招致をして解明をすべきだと思います。その点、御協議いただきたいと思います。
  245. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 後刻理事会にて協議をさせていただきたいと思います。
  246. 井上哲士

    井上哲士君 国と電力会社が一体になって安全神話を振りまいてきたのはこの問題だけではありません。  その一つが、資源エネルギー庁の即応型情報提供事業と言われるものであります。仕様書によりますと、新聞、雑誌などの不適切、不正確な情報への対応を行うとして、全国紙や原子力立地地域の新聞等の記事について日常的に監視し、訂正情報を資源エネルギー庁のホームページに掲載したり、不適切、不正確な報道を行ったメディアに訂正情報を提供すると、こうなっております。  二〇〇八年から二〇一〇年度で合計四千六百八十二万円が計上されておりますが、まずこの二〇〇八年までは名前は違っても同様の事業はなかったのか、そして、なぜこういう事業が始められたのか。大臣、いかがでしょうか。
  247. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 二〇〇七年度までは、この不正確な報道への対応を含む情報提供事業というものがございました。それが、今委員指摘のように、平成二十年、二〇〇八年になりましてから名前が即応型情報提供事業というものに変わったわけでございます。  その背景には、これは総合資源エネルギー調査会の原子力部会報告がございまして、これは原子力立国計画というタイトルでございますが、この原子力に関する広聴広報活動の充実に向けた取組の一環として、不正確な報道等に適時適切に、タイムリーに対応することが期待されると、こういう報告をいただいたからでございます。
  248. 井上哲士

    井上哲士君 原子力立国計画の中で、誤った報道や極端に偏った報道があった場合、タイムリーに真摯な適切な対応を取るというものがあります。これ実は、昨日の東京新聞に、計画原案を練った部会の主な委員であった評論家の木元教子さんが登場されて、マスコミを監視しろとは一言も言っていない、エネ庁の事業は反対意見を封じる戦前の日本のようで、我々の議論を悪用していると、こういうふうに当に議論に参加した方が言われているんですよ。  この事業は、第一次補正予算に名前を変えて引き継がれておりますが、これまでは新聞の監視が中心だったのが、一般市民のネット情報を監視をするという中身になっております。二〇一〇年度予算が九百七十六万だったのが、八倍余りになる八千三百万が第一次補正に計上をされたわけですね。  不適切な報道、情報に対応すると言われますけれども、安全神話に反するような報道、情報が不適切と言うんですか。むしろ、絶対に事故は起こらないと、こういう安全神話であるとか、事故後に一部の学者が繰り返したような、すぐに収束するとか健康に問題はないとか、ああいう無責任な発言こそ私は不適切だったと思いますが、何をもって不適切な報道、情報と言われるんでしょうか。
  249. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) この不適切なということについて、何をもって不適切と認定をするかということは、これは絶対的な物差しはなかろうかと思います。  私も、これは七月二十六日の閣議後の記者会見で、不適切だという物差しをこういう場合当てはめるということはいかがなものであろうかと、いかがなものであろうかということは、そんなことはできないんじゃないかという見解を述べております。これは現在も変わっておりません。  ただ、不正確ということはございます。間違った情報に対して正確な情報を与えるということは、これは必要でございます。
  250. 井上哲士

    井上哲士君 もちろん間違った情報を訂正するというのはどの行政組織でもやるでしょう。しかし、不適切な情報ということで四年間にわたってこの事業が行われているわけですね。  じゃ、聞きますけれども、不適切、不正確な情報として資源エネルギー庁にこの委託事業者から情報提供されたのは何件で、そのうち訂正情報としてホームページに掲載したものは何件か。また、関係メディアに対して訂正情報を送付したのは何件だったんでしょうか。
  251. 細野哲弘

    政府参考人(細野哲弘君) お答えを申し上げます。  この即応型情報提供事業で、いわゆる不正確又は不適切な報道ということで委託先から情報提供を受けました件数は、二十年度で十件、二十一年度、これは原子力のほか新エネ等々の分野もありますものですから二百三十五件、それから二十二年度は三十一件でございます。  それから、メディアに対して訂正を直接申し入れるということは実績としてはないわけでございますが、今申し上げました情報提供を基にしましていわゆる正確な情報に基づくコンテンツを作りまして、エネルギー庁の方でホームページを作っておりますが、そこに追加掲載をいたしましたのが、二十一年度で七件、二十二年度は三件でございます。
  252. 井上哲士

    井上哲士君 不適切というくくりというのは極めて曖昧で、逆に言えば非常に広くやられる可能性もあるわけですが、受けた事業者も困ったようなことも報道にもありました。  平成二十年度の委託金額は二千三百九十四万なんですね。今、不正確情報としての報告は年間十件と言われました。二十一年度は委託金額千三百十二万で報告は二百三十五件ですよ。ですから、私は報道を監視するような事業はそもそもやるべきでないと思いますが、それにしても委託金額が何でこんなに高くなるのか、ホームページの作成という事業はあるにしても極めて疑問であります。  そして、二〇〇八年度にこの事業を受注しているのも実は毎度出てくる日本生産性本部なんですね。二〇〇九年度に受注した日本科学技術振興財団も東電の勝俣会長が理事です。それから、一〇年度に受注したエネルギー総合工学研究所は白土、東電の元副社長が理事長で、副理事長は経産省の元局長、常勤理事は保安院の元広報課長と、こういう電力会社の幹部や経産省の天下りがずらり役員に並ぶような団体と国が一体となって安全神話に基づいて報道や情報を監視をすると、そこに巨額の委託費を支払ってきたというものなんですね。  私は、元々、第一次補正というのは被災者の救援や復旧のためにどうしても必要なものということで組まれたわけで、そこに八千三百万もこういう事業が入っていると、これ自身が問題だと思うんですね。大臣は、資源エネルギー庁の全廃に対して、予算はあっても残して事故被害者に回せというふうに述べられたということも報道ありました。私はこの情報管理の事業はもう執行停止にすべきだと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  253. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) これは井上委員は御理解いただけると思いますが、この第一次補正の場合は、今まさに原子力発電所の事故が起きまして、そして本当にいろんな情報が今ネット上あるいはマスコミ上飛び交っております。そうした大変この原子力の問題あるいは放射能の問題に対して国民の関心が非常に高いと。そのときに、やはり私どもは本当に正確な情報を発信する必要があろうかと思いますから、これまでのこの三件でありますとか、二十件でありますとか、多いときは二百何十件ということがありましたけれども、それとはやはり少し区別をしてお考えをいただきたいというふうに思います。  そして、それと同時に、今委員からも御指摘ありましたけれども、やはり原子力の被害に遭って本当に、まだ仮払金も届かない方たちがたくさんいますから、予算がたくさん認められたことはそれは有り難いことでありますが、そこは本当にしっかりと節約をしてということで、今八千何百万というお話もありましたけど、一千万ぐらいもう既にカットしてございますが、これより先にこれからもそういう意味ではこのカット、そしてそれをしっかりと有効に使う、限られた金額で有効に使うという形で役立てていきたいと思っております。
  254. 井上哲士

    井上哲士君 実際にはエネ庁の方、ホームページにはいろいろ抗議も殺到して、今QアンドAのところは工事中になって開いていないんですよ。ですから、本来この事業は全くもう私は意味がないと思います。  政府の原子力関係の経費のうち、広報関係予算は二〇〇六年から一一年度の六年間で総額四百四億円を上回っております。その相当部分が日本生産性本部を始めとして電力会社が関与し、そして経産省の官僚が天下りをした、そういう団体が受注をしているわけですね。こういう広報広聴活動の財源というのは、国民が電気料金と一緒に払っている電源開発促進税なんですね。その税金を使って、国と電力会社が一体となって原発で共同体で安全神話を振りまいて、その振りまく事業をまた食い物にしていると、こういう図式だと思うんですね。これはもう即刻、内容、規模共に抜本的に見直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  255. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 先ほどもお話をしましたけれども、三月十一日以降のやはり原子力あるいは放射能に対する世の中にあります、もちろん正確な情報もあるわけでございますが、間違った情報に対してはしっかりと、それは違いますと、これがこうした例えば数字でありますとか、ファクトであります、事実でありますということは、私はこれは発信をしていく必要があると思います。  それから、あともう一つ、広義の意味での安心をばらまくという、安心感をばらまくということは、これはもうその意味では、ファクトに基づかない単なる安心ですよということだけではこれはもう説得力を持たないことになろうかと思いますから、そういうものについてはこれはもう減らしていくと。今までは、先ほど御指摘がありました、数字のデータもお示しをいたしましたが、そうしたものはやはりどちらかといえば安心、安全のキャンペーンであったわけでございますが、これからは質的に変化をさせて、そして全体も縮小していかなければいけないと、こう思っております。
  256. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 時間です。
  257. 井上哲士

    井上哲士君 時間で終わりますが、安全神話の虚構の上につくられた原発行政からの撤退と、そして、こうした広報予算、直ちに大幅に見直すべきだと求めまして、質問終わります。
  258. 荒井広幸

    荒井広幸君 荒井でございます。  共産党の井上先生の話からの流れの方がつながりがいいようですから、質問の番号でいいますと十五番でございまして、環境大臣に冒頭お尋ねをいたしたいと思います。(発言する者あり)二十分しかないのになぜ十五番まであるんだという声でございますが、考え方を説明して、その中から大体私の場合はピックアップしておりまして、かなり解説も入れております。  原子力行政におけるチェック体制です。もうこれ先ほど、井上先生の話のみならず、もう各委員会で、今までのチェック体制はこれは解体をして新しくしよう、私も全く同感でございます。その中で、現在進められていると聞きますけれども内閣と環境省、どちらにこのチェック体制を置いていくかと。一言でチェック体制、もっといっぱい幅広いわけですけれども、現行の原子力安全委員会と原子力安全・保安院の体制は不十分、全員共通。私は、これは環境、幅広く環境、そして健康まで、公害まで扱っている環境省に庁を置いた方がいいと、こう思っておるんです。環境大臣、どのような御見解ですか。
  259. 江田五月

    国務大臣(江田五月君) 順番を変えて冒頭に質問いただきまして、ありがとうございます。  原子力利用のチェック体制、これはもう今委員指摘のとおり、これまでの体制というのは本当にしっかりしたチェックができていたかという点で大いに問題ありというのが私ども今の政権を預かっている者みんなに共通した問題意識でございます。私の場合は、今環境行政ということで原子力チェック体制ということとはかかわっていないわけですが、しかし閣僚の一人として、これはやはりチェック体制を変えていかなきゃいけないという問題意識は共有をしております。  その上で、今御出席の海江田経産大臣やその他の皆さんでいろいろ御議論いただいておりますが、今朝会議がございまして、私も出席をして、そこで議論をしてまいりました。環境省も一役買えというような御議論もございますが、そうでない議論もありまして、今鋭意検討を続けているところでございます。
  260. 荒井広幸

    荒井広幸君 十分にその機能、役目、これを見直して、それが果たせる体制をつくっていただきたい、このように考えております。  さて、財務大臣、よろしいでしょうか。又市先生からも後ほどあろうと思いますが、外為特会です。  Qの四番目だけに絞らせていただきたいと思っておりますが、皆さんのお手元に資料を配付させていただきましたけれども、実は外為特会、これは財投資金で運用しているわけなんです。私は、郵政民営化で反対をいたしましたけれども、財投改革は大賛成。ですから、郵政改革ではなくて、財投を含めた幅広い改革であるべきだと、こういう議論をしておりました。  そのときに、外為特会二十兆円が、もうこれ必然的にですよ、今は全部財投資金に流れていくんです。ですから、本当にその財投機関が必要な活動をするんであれば財投機関債で調達するという前提が崩れております。ですから、無駄やスリム化、不十分じゃないかという視点で物を申していくと、実はこの震災復興期間中、五年と政府は言っておりますね、五年間で見ていただくと、皆さん、この図表の一なんですが、約定一年―三年、それから約定三年以上五年というので、何と五兆二千三百億円が、ストレートに財投に流しませんとこれだけの金が浮いてくるということなんです。  じゃ、財投で必要なものは財投債か財投機関債を発行し直せばいいんです、別に。毎年毎年、皆さん、二十兆円、こうやって必要な金額、運用しているんです。これは私はやめた方がいい。この有事でありますから、外為特会の積立金ですね、私が言う二十兆円、積立金を取り崩して、五年で満期で返ってくるものが合計五兆二千三百億円ありますから、これを取り崩して復興財源に充てるべきじゃないか、そして、財投に必要な金はちゃんと財投機関債で市中から調達させる、財投債を発行する、別なやり方をきちっと立てていけばいいんじゃないかと、こういう考え方です。財源論です。  財務大臣、いかがでしょう。
  261. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 御質問どうもありがとうございます。  平成十三年度の財投改革において、これは委員も当時から活発な御議論をいただいていると思いますけれども、郵貯、年金等の預託業務を廃止して、基本的には財投債を発行して市場から能動的に資金調達を行う仕組みになりました。評価はいろいろあるかもしれませんけれども平成十二年度の財投の規模が三十九・三兆でした。現在は、これは当初予算のベースでございますけれども、十四・九兆と、その規模は約三分の一までスリム化してまいりました。これからも真に必要な事業に絞った財投にしていきたいというふうに思います。  その上で、資金、今、財投機関債のお話も出ましたけれども、現在、特別会計等からの預託は財政融資資金の負債の三割程度で、資金調達の大宗は今、財投債になっています。資金調達の方法もこういう形でだんだんと絞りながら対応していきたいというふうに思います。  その上で、復興財源に使ったらどうかというお話でございました。  これ多分、るるしゃべるといろいろあると思うんです。ただ、復興財源の話は、これ歳出の面においても徹底して絞っていこうということと、いろんな知恵を出していこう、税外収入も確保していこうというお話あります。  その上で、補完的に臨時の増税も含めて対応しようという中で幅広く検討していきたいと思いますが、特にこの外為を使う場合には、これ外為にかかわる当然外為の市場、為替の市場もあるし、国債の市場もあります。その辺のマーケットへの影響なども含めると様々な観点の検討材料があると思いますので、その点は留意しなければいけないというふうに思っています。
  262. 荒井広幸

    荒井広幸君 三月十一日以降、株価最安値、今日付けたわけでございまして、円高が進んでいるというような状況の中で非常に難しいかじ取りです。しかし、これも是非検討の中に入れていただきたい。今まで取り崩したことはございません、過去この何十年という期間。これを念頭に申し上げておきます。  それでは、少しデリケートな問題に入らせていただきたいと思います。  皆さんのお手元に資料、大臣皆さんにもお渡しをさせていただいておりますが、被災地、立地町であります大熊町、ここでアンケートを取りました。幾らかずつこれは報道されておりますけれども、ここの中で幾つかの御提案を申し上げておきたいと思います。また、住民の皆さん国民皆さんと一緒に考えていきたい問題でもあります。  収束なくして復興なし、経産大臣文科大臣、こう思っております。収束なくして復興なし。そして、除染なくて再生はない、これが私たち住民、被災県の感覚だと考えております。そして、徹底したまず除染を進める。もう良いと思われる技術ならどんどん使用してみる。試してやってみる。そして、一時帰宅を早期に可能とし、さらに全員が帰郷できるそういう体制をつくっていく、これが県民の願いであり、私の願いでもあります。  大熊町が行ったこの復興計画に関するアンケート調査、皆さんも新聞、テレビ等で御覧になったかもしれませんが、ちょっと御覧ください。  まず、五というふうに振っているのは私が振ったものでございまして、これは町のアンケートの回答に番号を私が振らせていただきましたが、五というところを見てください。どのような状況になったら大熊町に戻るのかと聞きましたところ、放射線が不安だから戻るつもりはない、九%の方がこう答えていらっしゃるわけです。  その次に六です。戻れる状況になるまで何年待てますかという質問に対しては、一年から二年であれば、四一・七%、いつまでも待つという方は一三・二%です。  続いて八ページ、今後の生活設計については、生活は本当にみんなのこれは悩みです。子供の教育にも関係してまいります。当面は避難先で貯金や仮払い補償金などで生活しながら様子を見る、五二・七、避難先で本格的に職を探す、四・九、当面は避難先でアルバイトやパートをする、八・五、こういう数字なんです。  九番を御覧ください。今後の職や事業について、避難の期間が分からないので何をするか決められない、三六・七、避難先での職、事業が見付からない、九・六、こういう数字です。  現在の生活環境について、今後の住居に関してどこに移るか目途が立たない、二七・八、生活資金の目途が立たない、二四・五、大熊町の知人、友人とのつながりを維持できるか不安である、一二・〇。本当に複雑なお気持ちを言っていらっしゃるんですね。  大まかに言えば、大まかに言えば、子供の安全、そして生活や事業の再建のためには、こんなことになっちまいました、今日、東電の社長に来ていただいていますが、こんなことになっちまったけれど、本当にこれからどうしていったらいいか、もしかしたら、生活再建をするためには生活の場所、引っ越しをしなくてはならないのかなとぼんやり考えていらっしゃる方々がいるという数字がここで読めるわけです。  インフォームド・コンセントの手法を使いながら、被災者住民や自治体と心を込めた話合いをすることは当然です。被災住民に対して、国は数多くの生活再建、夢、希望を与えるための選択肢を念のために用意しておくということが必要だ、これが政府の役割だと、このように思います。  三月二十五日の経済産業委員会、その裏の資料、丸々裏の資料でございますが、見ていただきたいんですが、私はこの段階で、そのときは政府・与野党合同会議、それから首脳会談でも申し上げたんですが、三月二十五日、今回の原発事故において、万一に備え、疎開や引っ越し、移住ですね、移住を想定しておくことも考えて用意しなきゃならないんじゃないかと、こう指摘を申し上げておりました。その後、飯舘村になってくるんです。あのときのどさくさも、この今も混乱している。  一方、チェルノブイリの事故では移住というのが明記されております。一平方メートル当たり五十五万五千ベクレル以上の地域は、福島県第一原発で考えますと一千三百平方キロに達しているという試算もあるんです。これは、カラーの資料を御覧ください。このいい資料、これは社民党の吉田忠智先生が既に委員会で使われた資料をそのまま出させていただいているんです。  こういうことを申し上げますのはなぜかと。日本では、平成二十二年十月十日、放射線審議会事務局が論点整理を始めておりまして、それが私のこの手書きの三月二十五日のものなんです。日本の基準には、右側ですね、右側御覧ください。いわゆる屋内退避とそれから避難というのがありますが、左側を御覧ください。国際的な放射線の基準、対応を決めるICRP、このICRP基準では、屋内退避、一時的な避難、恒久的な移住というのを実は国際標準では決めているんです。  我が国は、安全神話の下に、この移住という部分、その前に私は疎開というのがあっていいと思っておりますが、この部分が全く欠落していたのに気が付いて見直しを図ろうという議論を進めたやさきのこの大災害、本当に大変なことが起きてしまったんです。  こういうことを考えますと、私たちは、子供たちの未来や生活再建のために、こういった、場合によってはとにかく線量を徹底的に科学的にこれをきちんと見て、何度も調べて、そしてできるだけの除染をありとあらゆる世界の知識、技術を集めてやってみる、その上でもなおそうしたエリアが出てくるということは万が一においては想定しておかなくちゃならないと思っております。  こういったことも含めて、大熊町のアンケートを参考に、原発周辺の方々、その他の福島県民の方々の二つのアンケート用紙を作って、アンケートを二種類作って、まず県民、住民の意見を聞いて我々が吸収するという作業から始めたらいかがでしょうか。この件については海江田大臣ですか、お答えいただきたいと思います。
  263. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 荒井委員にお答え申し上げます。  荒井委員からもお話ございましたけれども、当院の経済産業委員会でもそのような御指示、御提案がございました。今回改めましてこの大熊町のアンケートを拝見させていただきましたが、確かにそうした何年たったら帰れると思うかなどというこのデータは、大変私にとっては刮目に値するデータであったと、そのように考えております。  私ども経済産業省としましては、およそ三十名でございますけれども、これ現地に常駐の職員を派遣しております。それから、それとは別に更に十名でございますけれども、各市町村を回りまして細かに住民の方々の御要望、御意見、こういうものを、まあ御用聞きでございますが、承っているところでございます。そうした中での町が実施をしましたアンケート調査でございますが、これは大変参考になりましたので、そういうこのアンケート調査に表れた意見をしっかりと酌み取って対策を考えていかなければいけないと思っております。  それから、今の疎開とそれから移住ということでございますが、先ほど委員からも御指摘ありました、まず収束だということでございまして、今の段階ではステップ1が終わりまして、これは原子炉からの放射性物質の飛散は当初と比べますと二百万分の一、およそでございますけれども、これに抑えることができておりますが、まだ完全にゼロという状況ではございませんから、一日も早くやはりそういう原子炉からの飛散をゼロにして、そして除染を行った上で、どこまでが御帰宅がいただけるのか、あるいはどこからはこれは御帰宅いただけないのかというところでやはり判断するのが道筋かなと思っております。
  264. 荒井広幸

    荒井広幸君 慎重な姿勢は分かります。私は、みんなが移住するということを言っているんじゃないんです。生活再建のための手段としてそういうケースが出てくるとするならば、少なくとも世界標準で私は疎開という段階が必要だと、その次に移住という引っ越しが必要だと。そのとき、どれぐらいのベクレルなんですかと、シーベルトなんですかと、そういった基準は作っておかなければもういけませんよと、私はこの数字を見ても思うんです。  というのは文科省さんの方でお答えいただく予定でしたから、時間がありませんので。文科省さんは、ついこの間、一メーターまでの空間の積算は取りましたね。そして、今度は土壌から取っていますから、土壌、表土の積算量、これをチェックされるとかなり見えてくるわけです。大熊町は一万一千人を超える方々ですが、約二千人弱の方が原発関連で活動、仕事をされていましたから、非常に詳しい方がいます。それだけの放射線量ならばどういうことが予見できるかということも分かるんです。  ですから、むやみやたらに引っ越しだよと言うんではなくて、帰れるようにはする、その前提の条件は何でもやる、科学的にも技術的にも除染も全部やる。しかし、こういう基準を守らないと子供たちの命と健康とそして生活再建というものはあり得ないんだと、そういうものの基準というものは作っておくということを私は今から政府に助言を申し上げたいと思います。  そして、今日来ていただきました、話はちょっと飛んでまいりますが、今この時間に中間指針が議論されて出されるんだろうと思います、避難区域などの指定がされていないところですね。指定されていないけど、自主的に避難した人がいます。この方々をどう扱うかは本当に地域を維持するために問題です。ここまでは避難区域だったからこういう対応だと、我々はない、こういうことで大変なコミュニティーの崩壊が生まれつつあります。  そこで、自主避難に要する費用、避難費用ですね、そして精神的苦痛、こういったもので生活費の増加分もありましたから賠償の対象とするのは当たり前だと申し上げてきました。  文科大臣にまず聞きます。これは指針に盛り込まれましたか。政府が指示していないエリアに対して対応するというふうになったでしょうか、これが一つ。二つ目、東電社長。そういう指針が出なくても、自発的に責任を感じて仮払い賠償をするお考えはありますか。  この二つについて順次お尋ねします。
  265. 高木義明

    国務大臣高木義明君) 荒井委員の御指摘の自主避難に対する対応でありますが、原子力損害賠償審査会の皆さん方には鋭意検討いただいておりまして、本日にも会合を開催をして中間指針の取りまとめという段取りに入ろうかと思っております。  委員の御指摘のように、自主避難については、前回、七月二十九日の審査会でありましたが、賛否あります。賛成は、避難指示等を受けていない住民が健康への影響を懸念して自主避難を行っていることも合理性が認められる可能性があるのではないかと、これが一つ。それで、否定的な意見は、避難を行う合理性がある場合は政府から避難指示等が出されるために、自主避難について指針の対象に含めることは難しいのではないかと、こういう両論があります。  したがって、何といいましても、やっぱり事故との相当因果関係観点から適切な判断されるものでありまして、自主避難の取扱いについても、公正中立の立場から審査会において検討いただくことが適切であろうと私は考えております。
  266. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 引き続き御答弁いただきます。東京電力株式会西澤俊夫取締役社長
  267. 西澤俊夫

    参考人西澤俊夫君) この度の福島原子力発電所の事故によりまして、本当に皆様に多大な迷惑をお掛けしております。この場を借りて心からおわび申し上げます。事故の当事者でありますことを真摯に受け止めまして、今補償に全力で取り組んでおります。  先ほどの先生のお尋ねの件でございますけれども、紛争審査会で今審議がまさになされておりますので、それを踏まえまして、自主避難状況によりまして、個々のケースにおいてきちっと対応させていただければというふうに思っております。  以上でございます。
  268. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 荒井広幸君、時間です。
  269. 荒井広幸

    荒井広幸君 時間が過ぎましたが、どうぞ皆さん、指針になければやらないと言っているんです。そして、内閣も任せっきりなんです。だから、仮払いと基金の法律を作ったんです。そして、今度は二重ローンのものが衆議院に回ります。どうぞ全党のお力をいただいて、被災者皆さんに寄り添っていただきたいと思います。
  270. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  この間、税収の落ち込みを主たる原因にして、国と自治体の財政危機が更に深刻化をしておりますね。その上に、更に今回の東日本大震災の復旧であるとか復興の経費を国の責任でこれは捻出しなきゃならぬということになるわけでありまして、財政の在り方がトータルに今問われていると、こう思います。その意味で、財政問題など、決算審査を行う私たちにも大きな責任が課されていると、こう思います。  こういう観点から、この間、私は特別会計剰余金、積立金の一般会計への繰入れであるとか、あるいは独立行政法人公益法人への天下りの廃絶に伴う国からの財政支出などの廃止を強く求めてまいりましたけれども、残念ながら、歩みは遅々としていると見ざるを得ません。  リーマン・ショックによって当時の自公政権は大幅な財政出動を迫られて、二十一年度には特会の剰余金、積立金等から合計九兆八千億円を一般会計に繰入れをいたしました。さらに、政権交代が起こって、その後の本格予算であります二十二年度には七兆八千億円、今年度は四兆二千億円が繰り入れられておりますけれども、今年度の繰入れは二十一年度から見ると半分以下という状況ですね。  また、先日発表された二十二年試算の検査報告等に関する財務上の是正改善効果は一千三百四十億円。二十一年分も二十二年分と同様に計算をすると約三千億円程度ということで、決して少額とは言えないと、こう思います。  そこで、財務大臣に伺いますけれども政権交代によって、三党の政策合意で税金の無駄遣いの一掃ということを合意しているわけですが、これがどの程度進んだというふうに御認識なさっているか、お聞きいたしたいと思います。
  271. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 又市先生御指摘のとおり、二〇〇九年の九月九日に御党と我が民主党と国民新党との間で政策合意を結ばせていただきました。そこに無駄遣いの一掃と明確に記載をされていますので、私どもの政権においてはこの無駄遣いの一掃というのは大変重要なテーマであるというふうに認識をしています。それを踏まえて、事業仕分であるとかあるいは行政事業レビュー、予算監視・効率化チームの設置といった新しい手法なども取り入れて様々な取組をやってまいりました。  このような取組によって相応の成果は上がってきたというふうに思いますけれども、これで終わりというテーマではございません。不断の努力をもってこれからもしっかりと無駄遣いのチェックをしていかなければいけないと思いますし、これからも行政事業レビュー等の取組は続けてまいります。  連立は残念ながら解消でございますが、このテーマについては引き続きの御支援と御協力お願いをしたいと思います。
  272. 又市征治

    ○又市征治君 行政仕分やその他で相当進んできているという御認識だそうですけれども。  さて、具体の問題を少しずつ聞いてまいりたいと思いますけれども、まず一つ、職員研修施設の活用状況について伺います。  実は、この委員会平成十七年六月の措置要求決議で、公務員の研修施設について行政組織の効率化の観点から総点検すべきだと、こういうことを政府に実は求めたわけです。  政府は、翌十八年の一月に、措置要求に対して講じた措置の中で、研修施設については所要の取組を行ってきていると抽象的な報告で終わっていたわけですが、しかし昨年十二月の総務省行政評価局によると、職員研修施設に関する調査結果では、各府省が保有している四十一研修所百二十一施設のうち、二十六研修所五十八施設、つまり約半数について廃止、縮小、効率化の推進、運営の適正化が必要だと、こういうふうに指摘、勧告しているわけです。特に運営の適正化では、宿泊施設の運営契約を所管公益法人と随意契約していた点であるとか、さらには清掃業務について契約を分割し少額随契としていたとかという、こういうごまかしみたいなものを含めて指摘をしているわけです。  そこで、これは忙しい財務大臣に聞くのは恐縮だけれども、所管ですからね。この研修施設の在り方についてどう見直しをされてきたというふうに掌握されているのか、またどういう成果があったというふうに見られているのか。二つ目に、この調査に基づく勧告についてのフォローアップをどのようにされてきているのか。この点、二点をお伺いします。
  273. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 御指摘の各府省が持っております研修施設につきましては、御指摘のような経緯で見直しを各府省にお願いをしてきております。この間の数字だけ言いますと、平成十七年度以降、百五十四人の定員の純減が行われております。  元々、研修施設自体が余り大きな世帯ではありませんので大幅に削減というわけにはいきませんけれども、それぞれそれなりの見直しをしてきていただいておりますが、これも先ほど御指摘のように、改めて昨年の十二月ですけれども、総務省の方から、職員研修施設に関する調査結果に基づきまして関係府省にそれぞれ具体的な改善を勧告をいたしております。これは、一つのポイントは、稼働率が低調となっている研修施設、これについて、有効活用という方向もありますし、そうでなければもう廃止、縮小という、そういう見直し。それから、非効率な研修は、まあ形骸化したり惰性でやっているようなものがありますので、そういうものはやはり廃止をしたり見直しをしていただきたい。それから、受講者といいますか、当事者から費用徴収をすべきものもありますので、そこは適正化をしてもらいたいと、こういう観点での勧告をしております。  これについては、六か月後と一年六か月後の二回にわたって報告を聴取する、点検をすることにしております。したがって、今年の六月になるんですが、大震災があったことなどもありまして、多少その報告が遅れておりますけれども、現在、それを取りまとめ作業中であります。まだ途中段階しか私も報告を受けておりませんが、おおむね勧告に沿った対応が取られているということでありますけれども、更に精査をして、必要な再度の要請などをこれからしていきたいと考えております。
  274. 又市征治

    ○又市征治君 せっかくの片山大臣の御答弁ですが、片山さんとしてはちょっと甘いな、それは。やっぱり六年前にこの委員会措置要求決議しているんですよね、そして各府省に全部求めた。それを総務省が、評価局がまた調査をしてこういう中身を出しているわけであって、ちょっと今の御報告程度では微々たるもの。それ以上に、何よりも私は、この委員会措置要求決議が政府に十分受け止められていないということが私は問題だと思うんですよ。  したがって、そういう意味では、この措置要求決議の内容をしっかりとやっぱり受け止めて具体的な対処方針を政府は立ててもらいたいし、そして今、片山さんからもあったけれども、この調査結果に基づいて勧告出されているわけですから、研修、宿泊あるいは体育施設の廃止であるとかあるいは縮小、効率的な研修の実施、運営の適正化など広範囲のことを総務省は言っているわけですから、このことをしっかりと各府省に求めて、勧告の出しっ放しのないように、これは是非、片山大臣、しっかりその後も取り組んでいただきたい、このことだけ、御注文だけ申し上げておきます。あわせて、次に総務大臣にもお聞きしますから。  第二番目に、独法、公益法人財務状況と国の支出の適正化に向けた今後の取組について引き続き総務大臣にお聞きしますけれども、最初に、先日公表された、前にも私、お聞きしたんですけれども、総務省の連続ポストの調査結果についてですけれども、これによれば、平成二十二年、つまり昨年の四月一日現在で千二百八十五法人の一千五百九十四ポストに同一府省退職者が三代以上連続して就任しているということが発表されていますね。また、再就職先への金銭支出額が大変多いということも明らかにされています。  これをどのように大臣はお受け止めになっているのか、お伺いしたいと思います。
  275. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 従来、五代連続というものを一つの基準にして調査をされていたわけでありますけれども、原口前総務大臣の指示によりまして、当時、三代ということに基準を、ハードルを高めて調査をしてみようということでやってきたわけであります。その結果が先ほど御指摘になりましたように千二百八十五法人の千五百九十四ポストということでありまして、これはいつの時点の調査かといいますと、平成二十二年の四月一日でありますから、言わば政権交代から半年後でありますから、これはほとんどそれまでの政権の時代のストックであります。ですから、これを一つの原点にしてこれからどうやって改善していくのかということだと思います。  既に、例えば独法でありますと役員の公募というものを民主党政権では各府省に命じておりまして、それが実践されておりますし、総務省は、まず隗より始めよですので、私も昨年の九月に大臣になりまして、五代と言わず三代というものをにらみながらこうした連続性がないようにということで、これ、公益法人所管のものもそれから所管でないものも含めて公益法人の方にその旨この私の考え方も伝達をして、できる限り三代以上続かないようなそういう人事を志してほしいということを申し上げて、実践をしていただいていることであります。  できれば是非、各府省にも、これ調査結果が出ましたので、総務省で取り組んでいるようなことも参考にしていただきながら改善に努めていただくように私の方から改めてまたお願いをしたいと思っております。
  276. 又市征治

    ○又市征治君 この問題については今日の午前中の民主党の大久保さんが、十九年で天下りで三億何千万、(発言する者あり)三億五千万、そんな話も出てきた。これも実はその中の一つなんですよ、そういう部類なんですよね。もうとんでもない話なわけで、したがって、この人と金の流れ、長い間にわたってこれは弊害だと思います。やっぱりこれは、そういう意味では私は政権交代というのは一面では意味があると思うんでね。  そういう点で、人と金の流れをやっぱりしっかりチェックしていただいて、不適切な支出を削減をしていくべきだし、これはやっぱり当委員会としてもこれからも引き続き注視をしていくべき課題だろうと、このことだけ申し上げておきたいと思うんです。  次に、この間、政府から独法への財政支出は二十一年度から二十三年度まで全体として三兆円前後で推移しておりますね。他方、独法や公益法人の過大な基金あるいは資産の積み上げが問題になりまして、独法や公益法人基金、不要資産の国庫納付は、二十一年度が一千億円、政権交代後の二十二年度は一兆一千億円、二十三年度は一兆四千億円ですけれども、今年度の一兆四千億のうちの一兆二千億は鉄道・運輸機構からのもので、その他が二千億円程度という、ちょっとちっちゃいですが、つまり独法、公益法人等への財政支出削減が必ずしも進んでいない。基金、不要資産の国庫納付も頭打ちというのが、今後、それこそ補正を考えられる、一二年度予算編成を考えていく場合にこれは踏まえておかざるを得ないということだと思うんです。  今回の大震災の復興に当たって公的機関の任務の重要性というものも改めて認識をされてきておりますけれども、その意味で、独法、公益法人の役割も私は全く全部否定するものではありませんけれども、しかしそれは不適切な財政支出を放置するということとは全く別の問題、こう言わなきゃならぬと思うんです。  また、国の政策が大きく転換する中で、一例を挙げれば、エネルギー政策関連の独法、公益法人の活動の見直しということもこれは大事だろうと思うんです。  政府は昨年十二月に独法の事務事業見直しの基本方針を閣議決定をしておりますけれども大震災によって議論が凍結されたとも報道されております。その取扱いはどのようになっているのか。これは枝野さんになるんですかね。  ちょっと待ってください、全部で三問合わせて聞きますから。  また、今後の独法の事務事業見直しをどのように具体的に進められるのか。  さらに、公益法人への政府からの財政支出を点検して適正化するための今後の取組をどのようにお進めになるのか。  以上、三点について。
  277. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) お答えをいたします。  震災ございましたが、昨年十二月の事務事業見直しの基本方針は変わっておりません。震災でそれに対する取組が若干遅れるということは御理解をいただけるかと思っておりますが、六月一日の行政刷新会議において、震災復興に尽力をされている独法も少なからずございますので、それには十分配慮しつつも基本方針のフォローアップをしっかりと行うということを決定したところでございます。各府省で今フォローアップの作業を行っておりまして、まとまった段階で行政刷新会議報告をいただき、公表をするつもりでございます。  また、今回の基本方針は事務事業見直しでございますが、ある程度次に大きなまとまったお金が出るとすれば制度、組織そのものの見直しが必要であろうと、抜本的な見直しが必要であろうと思っております。これも事業仕分等によって論点、問題点はかなり整理をしてきているところでございます。これも震災の影響でこの作業が若干遅れておりますけれども、引き続き抜本的な改革に向けた作業を進めてまいりたいというふうに思っております。  なお、御指摘いただいたエネルギー関連とか今回の震災に絡む部分のところから、これはエネルギー政策の見直しともリンクをさせないといけないということがありますので、そことも連携を図りながら進めてまいりたいと思っております。  それから、公益法人に対する関係でございますが、これも昨年五月の事業仕分で取り上げて、それを基に横断的な見直しを進めてきたところでございます。法人に対する国からの支出の見直しや資産の国庫納付を行いまして、その状況については七月十二日に取りまとめて公表をしたところでございます。  おおむね、いわゆる天下りとセットでひも付きで金が行くとか権限が行くとか、こうしたことについては一通りの整理ができたというふうに思っておりますが、なお、実際に発注等を行ったり、いわゆる天下りの問題になっている所管官庁との関係については、各府省においてのフォローアップと、それを更に行政刷新会議でフォローアップをするということを進めてまいりたいと思っております。  また、国庫納付については、まだ全てが納付を実際にしていただいているわけではございませんので、国庫納付をお願いをしているところについて検討中になっているところについては、更にこれについてはプッシュをしてまいりたいというふうに思っております。
  278. 又市征治

    ○又市征治君 是非しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  次に、特別会計改革についてお尋ねをしておきたいと思います。  昨年五月に行政刷新会議に特会改革についての案が提示をされまして、また昨年九月の行政刷新会議では「事業仕分け第三弾について」が決定をされ、そこでも特別会計の徹底見直しがうたわれておるわけですね。この特会の見直しの基本理念は一体どのようなものなのか、改めてこれは枝野さんからお聞きしておきたいと思います。  六月の記者会見で当時の蓮舫担当大臣は、来年の通常国会で特会見直しの法案提出は困難だという趣旨の発言をされておりますけれども、一方では、今日、税と社会保障の一体改革、さらには復興財源の増税のレールが着々と敷かれる、こういう動きになっている。政府として、私は、本来やるべきこれまで述べてきたような無駄の排除であるとか特会改革がおろそかにされて、財源がないからさあ増税だと、こういうものを既定方針化していくということについては、これは明らかに順番が違う、こういうふうに言わざるを得ません。  この間、私は再三主張してまいりましたけれども、先ほども荒井さんからも出ました、外為特会、ずっと今までも何度も何度もこの委員会で議論されている。本当にこれ一体全体、全く崩しようがないのかどうか。もっとしっかりとやっぱり私は論議する、これを活用していくということは今のような情勢の中で必要だと、こう思うんですけれども。  そういう問題など山積みしているわけでありますから、この特会改革、どのように進められるのか、これは枝野さんと財務大臣から、それぞれからお聞きしておきたいと思います。
  279. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 特別会計につきましては、国民の目から見て不透明感のある現在の事業や制度の中身を明らかにしまして、国民目線で根本から洗い出すことが重要であると、こうした視点から、昨年十月に十八会計五十一勘定の全てをゼロベースで見直すべく事業仕分を行いました。  具体的には、特別会計で行われている事業そのものについて不要不急なものはないか、あるいは効率的な運営がなされているか等の観点から検証するとともに、制度そのものについて区分経理が必要かどうか、国が主体となることがふさわしいか、積立金の水準は適正か等の観点から検証を行ったものであります。  このうち、特に最初に申し上げた個々の事業特別会計で行われている事業の検証については、問題があるところについては順次、実際にそれをやめていただいたり変えていただいたりという作業を進めているところでございます。  制度そのもののことについては、仕分の結果を踏まえて、法律を所管しているのは財務大臣でございますので、財務大臣協力をして今後も更に作業を進めてまいりたいと思っております。
  280. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 特別会計については、先ほどの枝野大臣の御説明があったとおり、昨年の事業仕分の評価結果、これを踏まえまして各府省において検討が進められてきたところなんですが、東日本大震災の発災を受けまして検討作業は一時中断を余儀なくされました。六月以降、例えば漁船再保険であるとか、あるいはエネルギー対策特別会計など、引き続き震災への取組を見ながら判断することとし、可能なものから検討作業を再開をしたところでございます。  その上で、特別会計法を所管する財務省としては、去る七月二十一日の刷新会議におきまして、現段階での事業仕分を踏まえた特別会計の検討課題の整理を作成し、行政刷新会議に御報告をさせていただきました。  震災の影響等もあり、検討の進捗にはある程度の差が生じることは考えられますけれども、今後はこの検討課題を中心に各府省とともに更に具体的な検討を進め、可能なものについては既定の方針どおり来年の通常国会に法案提出ができるように取り組んでまいりたいと思います。
  281. 又市征治

    ○又市征治君 時間が参りましたから、終わります。  ありがとうございました。
  282. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 他に御発言もないようですから、本日の審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十五分散会