運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2011-05-30 第177回国会 参議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年五月三十日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月二十七日     辞任         補欠選任         愛知 治郎君     熊谷  大君      岩井 茂樹君     青木 一彦君      中西 健治君     柴田  巧君      大門実紀史君     井上 哲士君  五月三十日     辞任         補欠選任         中原 八一君     若林 健太君      渡辺 猛之君     藤川 政人君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鶴保 庸介君     理 事                 姫井由美子君                 松浦 大悟君                 松野 信夫君                 岡田 直樹君                 野上浩太郎君                 渡辺 孝男君     委 員                 相原久美子君                 江崎  孝君                 大河原雅子君                 大久保 勉君                 小西 洋之君                 斎藤 嘉隆君                 田城  郁君                 那谷屋正義君                 藤本 祐司君                 前川 清成君                 青木 一彦君                 熊谷  大君                 野村 哲郎君                 藤井 基之君                 藤川 政人君                 丸川 珠代君                 森 まさこ君                 若林 健太君                 秋野 公造君                 柴田  巧君                 井上 哲士君                 荒井 広幸君                 又市 征治君    国務大臣        農林水産大臣   鹿野 道彦君        経済産業大臣   海江田万里君        環境大臣     松本  龍君    内閣官房長官        内閣官房長官  福山 哲郎君    副大臣        財務副大臣    櫻井  充君        農林水産大臣  篠原  孝君        農林水産大臣  筒井 信隆君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       吉田 公一君        経済産業大臣政        務官       田嶋  要君        国土交通大臣政        務官       津川 祥吾君    事務局側        常任委員会専門        員        工藤 政行君    政府参考人        総務大臣官房地        域力創造審議官  門山 泰明君        文部科学大臣官        房政策評価審議        官        田中  敏君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部技術参事官   岡  誠一君        農林水産大臣官        房総括審議官   針原 寿朗君        農林水産大臣官        房技術総括審議        官        小栗 邦夫君        農林水産技術会        議事務局長    宮坂  亘君        経済産業省商務        情報政策局長   石黒 憲彦君        資源エネルギー        庁長官      細野 哲弘君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       安井 正也君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      横尾 英博君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     寺坂 信昭君        国土交通省河川        局長       関  克己君        環境大臣官房長  谷津龍太郎君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    伊藤 哲夫君        環境省総合環境        政策局長     白石 順一君        環境省地球環境        局長       鈴木 正規君        環境省自然環境        局長       渡邉 綱男君    説明員        会計検査院事務        総局第三局長   小林 誠治君        会計検査院事務        総局第四局長   太田 雅都君        会計検査院事務        総局第五局長   斉藤 邦俊君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成二十一年度一般会計歳入歳出決算平成二  十一年度特別会計歳入歳出決算平成二十一年  度国税収納金整理資金受払計算書平成二十一  年度政府関係機関決算書(第百七十六回国会内  閣提出) ○平成二十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百七十六回国会内閣提出) ○平成二十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百七十六回国会内閣提出)  (農林水産省経済産業省及び環境省の部)     ─────────────
  2. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、愛知治郎君、大門実紀史君、中西健治君、岩井茂樹君、中原八一君及び渡辺猛之君が委員辞任され、その補欠として熊谷大君、井上哲士君、柴田巧君、青木一彦君、若林健太君及び藤川政人君が選任されました。     ─────────────
  3. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 平成二十一年度決算外二件を議題といたします。  本日は、農林水産省経済産業省及び環境省決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれも省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記をお止めください。    〔速記中止
  6. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  7. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 江崎孝

    江崎孝君 民主党江崎でございます。  私は、民主党災害対策本部原発災害対策本部福島県の担当をさせていただいております。そのこともありまして、何度も現場の方に足を運ばせていただいております。そのとき思うのは、やはり原発放射能被害というのは可視化できない。ふるさとはそのまま残っている。町や街路樹や山や川はそのまま残っている。そして、被災者皆さんは、いつか帰れるかな、帰れるだろう、いや、絶対帰るんだ、そんな先の見えない不安の中で押し潰されるような被災者の生活をされている、これが実態であります。我々は、それをどれだけ共有化できるかというのが政治家としての責任であろう。共有化するとそこに見えてくるものは、原子力発電は決して安全ではない、安心ではない、そして安価なエネルギーではないということであります。  聞くところによると、一トンの汚染水を除去するのに約二億円、アレバ社がどうのこうのという、そんな話だってあります。これが躍っていますし、東電あるいは国の支援等々を考えると、天文学的なお金がこれから動いていくということになると、当然、これから将来に向かって、決算委員会でもその議論が行われる。与党の立場ですけれども、あえて今回は大臣にお越しいただきましたが、質問をさせていただきたい、このように思っています。そして、二度とこういう事故を起こさない、その決意を示していただきたい、このように思っています。  三月十二日に我が国で初めてベント実施をされました。ベントしなければ格納容器破壊をするという状況だったというふうに聞いております。このベント機能は、福島第一原発、当初は設置されていなかったというふうに聞いておりますが、設置されたのはいつなのか、お聞きします。
  9. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) お答え申し上げます。  東京電力福島第一原子力発電所におきまして、事故時用に存在いたします換気設備といたしまして、当初はファンを稼働させることで機能いたします非常用ガス処理施設、そういったもののみでございました。そういった意味ベント装置は付いてございませんでした。その後、平成四年、当時の通産省から、いわゆるアクシデントマネジメント対策事故が発生した場合の対策でございますけれども、アクシデントマネジメント対策を整備するよう要請をしたことを受けまして、事故が進展した場合に格納容器の保護のため放出時の耐圧性能を強化いたしましたベント設備を設けたものでございます。  第一発電所におきまして、号機によるばらつきはございますけれども、平成十年から平成十三年の間に六号機、全号機の整備が完了されたというふうに承知をしてございます。
  10. 江崎孝

    江崎孝君 ベント実施されたときに官房長官記者会見を聞いていたときに、ベント実施するということは大気中に空気が漏れるということ、怖いなと思っていたら、フィルターで、付いているからこれは大丈夫なんだということを、私の記憶の間違いでなければそういうふうな発言をされたように私は記憶をしております。  設置当時というか、今、原発ベントされるときにいわゆるフィルターというのは付いていたのでしょうか、お聞きします。
  11. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 東京電力福島第一原子力発電所に付けられておりますベント装置に、緊急時に使用されます耐圧強化ベントラインフィルターは取り付けられておりません。  これ、耐圧強化ベントラインを使用する際に、圧力抑制室の水を通ったガス、これはベントすることとしておりまして、そういった場合には、水を通ることによりましてガス中に含まれる放射性物質が水に溶けるという、そういったことを考えてございまして、そういった意味放射性物質放出量抑制が期待できるという、そういう考え方の下で現時点におきましてフィルターは取り付けられていないということでございます。
  12. 江崎孝

    江崎孝君 よく分からないんですけれども。いわゆるドライウエルとかウエットウエルとかという話があって、今話されているのはウエットウエルの話だろうと思うんですけれども、その後の話を聞くと、サプレッションプールですか、あそこも含めて非常に劣化していたとかという、そういう状況になっていますから、じゃそのベントされたときの状況ドライだったんですか、ウエットだったんですか。
  13. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 号機による違いございますけれども、まず最初に行われました一号機に関しましてはウエット、水を通るそういうウエットベント実施しているところでございます。
  14. 江崎孝

    江崎孝君 それは確実なのでしょうか。結果として今いろいろ出てきていますけれども、それがウエットだったかどうかも非常にあやふやになってきている。  今、原子力ベントということでネット検索をしますと、トップに東芝の原子炉格納容器ベント装置特許という、これが来ます。極めてマニアックなものなんですけれども、これがトップにヒットするということは、結構皆さんアクセスされていると。  その方はこう書いているんです。日本原子力プラントは世界と比較して構造上安全性が高いので、過酷事故、いわゆるシビアアクシデントですね、これは工学的に起こり得ない、そういう事象として考えて、過酷事故対策実施する義務付けは今のところしていない。これは事実ですね。過酷事故のための設備設置一般大衆に対して原子力プラントについての安全性の不安を必要以上に感じさせ、原子力発電への社会的理解を得る点では好ましくないという支障があった。こういうことを書いた上でプラント特許申請をしている。  事実とすれば、安全神話をつくり上げてきた過酷事故対策というのを本当にないがしろにしている。あるいは、原子力政策を邁進してきた政府の姿勢もある。これはもう自民党の皆さんにも考えてほしいんですけれども、そのことを今問われている。  ヨーロッパは、どんなベントであれ、結構大きな巨大フィルターが付けられているというふうに聞いています。そして、フィルターも付けずに、ドライも分からない、ウエットも分からないというベントをしてしまったという、これは事実なんですね。政府はこれまで巨大なベント用フィルターを付けていない、これ義務付けしていません、過酷事故対策として。していないのは事実なんです。そして、実際東電に、あるいは民間の電力会社にこれ自主的に任せているという、こういう実態なんです。で、過酷事故が実際起きたんですね。それがどれだけ放射能が広がったか、これも非常に重要なことなんです。  また、六ケ所村、六ケ所の再処理工場、これも計画では空気中に、あるいは海水にフィルターなしで放出するというのが今の計画なんです。こういうことを、大臣、どうなんでしょう。例えば六ケ所だってセシウム堆積していきますよ、これから先。計画見直しフィルター義務付け事業所ごとにやっぱりきちっとやっていく、これが必要じゃないんでしょうか。大臣にお聞きします。
  15. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 江崎委員にお答えをいたします。  まず、六ケ所処理工場でございますけれども、これは使用済燃料の剪断等の際に放出される放射性廃棄物を含む気体については、高性能の粒子フィルターを付けまして、そこを通してできるだけ放射性物質を除去した後、主排気筒から放出を行う設計となっております。  それから、過酷事故を前提にしてということでありますが、こういう事故が起きてしまったわけですから、やはりこの過酷事故対策の在り方について、予断を持たずにしっかりと徹底的な検証をして見直しを進めていこうと思っております。  それから、いろんな意味でいろんな情報が飛び交っておりますが、先ほどのアレバ社の十兆円という話も、私もテレビを聴きましてびっくりしまして、そして東京電力に確認をしました。そうしましたところ、大体トン当たり処理費で十万円ぐらいだから、一年間通じてこれをやってもまあ五百億円ぐらいで済むということを言いまして、これは、この後、じゃ記者会見でも言ってくださいということで言っております。  それから、ベントにつきましても、私がウエットベントだと、水を通すと、必ず通してくださいということを言いましたので、ウエットベントだと承知をしております。
  16. 江崎孝

    江崎孝君 済みません、再質問させていただきます。  そうしたら、どうされるんですか。義務化をされる、フィルターを付けるという過酷事故対策はこれからされるんですか、されないんですか。
  17. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 実は、私も、ウエットベントの方はそういう意味で水を通すからということでしたけれども、もう一つドライベントがあるという話も聞きまして、そのとき、当然のことながらこれはフィルターが付いていると思っていたんです。ところが、そのフィルターが付いていないということでありますから、これは今、特に福島の場合はああいう状況でございますので、すぐ取付けをするというような工事もできないわけでございますが、やはりこれは、当然のことながら、とりわけドライの方にはこれはやはりフィルターを付けなければいけないと思っております。
  18. 江崎孝

    江崎孝君 東電だけではなくて、全ての原子力発電所をもう一度それで見直していただきたい。そして、ウエットも、事故によってはできるかできないかというのは、これもあるわけなんですね。はっきりしたんですよ、今回。ですから、是非お願いをしたい。  それともう一つ、お手元資料新聞を出していると思いますけれども、浜岡全面停止、これは政府のある意味では英断だったと私は思います。ただ、決定過程にはいろいろ問題があったと思いますけれども、やはり大きな不安を払拭をするということでは英断だったというふうに私は考えておりますけれども、問題は、その真ん中にあります、シミュレーション政府内が驚愕をしたという、ここなんです。  つまり、浜岡原発はある面では唐突感があった。しかし、あの浜岡原発を止めるという政治的決断をして、そして中部電力にそれを実施をさせるという極めて政治的な動きの中で、ただ単にこれから三十年の間に巨大地震が起きるんだという予想の下ではないと私は思っていましたが、こういうシミュレーションがあったということであります。確かに、なぜこの浜岡だけなのかというのはもう皆さん国民の中もういろいろあると思います、柏崎刈羽はどうなのか、女川はどうなのかと。その中で、この浜岡停止したんだというために、非公式であってもこのシミュレーション驚愕をしたという、こういう記事が出ています。  元々、SPEEDI情報公開もいろいろ言われておりますけれども、やっぱり安全対策をする上においてこの情報公開というのは徹底をしなければならない。そのためにも、この政府驚愕したというシミュレーションは、非公式とはなっているんですけれども、政府浜岡原発停止決定をしたという詳細な理由と併せてこのシミュレーションも公開すべきだと考えますけれども、大臣のお考えをお聞きします。
  19. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 私もこの東京新聞記事を読みましたけれども、そのようなシミュレーションを行っているということはございません。私もそのようなシミュレーション見たこともありませんし、経済産業省のほかの職員に聞いてみましたけれども、そのようなシミュレーションを見たこともないということでございますので、これは事実と違います。
  20. 江崎孝

    江崎孝君 ネットですると、SPEEDIと同じように、風向きが北に向かっている、東京の方に広がっていくというのがこれは出ています。何が非公式か公式かはよく分かりませんけれども、少なくとも最初、冒頭申しましたように、政府一つ原子力発電所を政治的に停止をするという、このことを決定をする過程において、私はシミュレーションあってしかるべきだと思うんです。  なぜ、それじゃシミュレーションがない中で停止決定をしたのか、こういう問題も起きると思いますが、私は今からでも遅くない、是非シミュレーションをやった上で、もし浜岡が動いていて、そして地震が起きてこういう状況になったら我が国はこういうことになるんだ、だから安全をしっかりやるし、もし事故が起きたときはこうやりましょうというのが私はこの三・一一を経験した後の原子力政策のあるべき姿だと、こう思いますけれども、今後、政府としてシミュレーションをやるつもりはおありなんでしょうか、どうなんでしょうか。
  21. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) これはSPEEDIデータもそうでありますが、まず基本的にやっぱり風向きによって放射性物質が飛ぶ方向性というのは決まってくるということでありまして、シミュレーションは今やっていないわけですから手元に何がしかの資料があってということではありませんが、恐らくいろんな形でこのシミュレーション、春、夏、秋、冬、それとも朝、昼、晩とか、いろんなのが必要なんではないだろうかというふうに思っております。  それから、シミュレーションがそれなりの意味を持つためには、じゃ、どのくらいの規模の例えばアクシデントが起きて、それによって環境中に飛び散る放射性物質がどのくらいなのかとか、そういうことも置いてみないと実は全然これはデータとして信頼性が足らないわけで、そういうものをどういう仮定を置くのかということが大変難しいわけでございますから、そこは原子力安全委員会などの専門家ともよく意見交換をしながら決めていきたいと思っております。
  22. 江崎孝

    江崎孝君 是非やっていただきたいし、これは日本の全ての原発が、地震等被害というのはこれはもう密接にかかわってくるわけですから、私はこれはやるべきだろうと思いますので、是非大臣のお力でやっていただいて、最悪対策というのを一方で用意しておく、是非お願いをしたい、このように思います。  班目原子力安全委員会委員長静岡地裁での浜岡原発差止め訴訟での発言は極めて有名な話で、今出ています。私もその速記録を取り寄せました。その中に、非常用ディーゼルが二台動かなくても、通常運転中だったら何も起きません。ですから、非常用ディーゼルが二台同時に壊れていろいろな問題が起こるためには、そのほかにもあれもこれも起こる、あれも起こる、これも起こる、仮定の上に何個も重ねて初めて大事故に至るわけで、だから、そういうときに非常用ディーゼル二個の破壊考えましょう、こう考えましょうと言っていると、これも可能性ちょっとある、これもちょっと可能性がある、そういうものを全部組み合わせていったら物なんて絶対造れませんよ、だからどこかで割り切るんですと。こういう発言をされています。  この発言を聞かれてどう思われるかということなんですけれども、裁判は二〇〇七年です。  これは、実は二〇〇七年だったら班目委員長だけのお考えではなかったと私も思います。ほとんどの方が、全てのここにいらっしゃる方もひょっとしたらそういう考え方であったのではないのかと。産業界はもとより、専門家政治家もマスコミも、原子力に関する全ての皆さん思いの中心が今のような考え方であったのではないのかと私は推察をいたします。  最悪事態を想定すれば物は造れない、だからどこかで割り切る、最悪事態のレベルを下げてしまう、それ以上のことは想定外だ、これが我が国原子力発電安全神話をつくり上げていった。安全だから過酷事故はあり得ないのだから規制の中には入れない、安全だから原発事故は起きない、安全だから市民に対する安全対策は適当でよい、安全なんだから市民に不安を与える情報は極力出さなくてよいと。こういうのは意外と行政の中にあるんですけれども、我々は三月十一日に経験をしたわけですから、それであってはならないと私は考えています。班目さんのこの発言を振り返ると、何と無責任だったのかというふうに思えるのは、恐らく三月十一日を経験をしたからであります。  私は、原子力発電所、いまだ頼らざるを得ない、このように思っています。しかし、国民の多くは原子力発電からなるべく自然エネルギーに早い段階で切り替えていくんだと、こういう思いが大勢を占めてきているのではないでしょうか。  最後大臣にお聞きします。  こういう思いがあって、そしてこういう今の歴史的な流れがあって、三・一一が起きた。そして、これからの国民思い考えると、やはりゼロベースで安全を考えていく。安全神話を崩して、過酷事故に対してしっかりとした目線を持って対応していく、これが必要だろうと。これは全ての政治家に求められているものだろうと思います。  最後にその決意是非お聞かせください。
  23. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 委員もお話しになりましたが、私自身もこの二〇一一年の三月十一日の前と後とでは、やはり原子力発電所安全性ということについて大きく転換をしたということは事実であります。そして今、東京電力福島第一発電所事故がまだ収束をしていないわけでありますから、私は、まず何としても収束をさせなければいけない。これ以上更に環境中に放射性物質を飛ぶようにしないということをまず第一義的にやらなければいけないわけでございますが、同時に、そうした安全神話というものが多くの国民から失われて、むしろ不安全である、心配である、危険であるという意識があるわけでありますから、やっぱりそういう人たちの不安に対してどうやって少しでも安心を得られるために努力をするかということがこれからの私の役割、それから原子力行政全般に携わる者の役割ではないだろうかと思っております。
  24. 江崎孝

    江崎孝君 ありがとうございました。本当に真摯に前向きに我々も頑張りますし、是非取り組んでいただきたい。心からお願い申し上げます。それをしないと、今の被災者皆さんたちの心に報いることはできない、そう思います。是非お願いします。  さて、原発エネルギー、先ほどエネルギーの話をしましたけれども、原子力発電に頼らないということの流れができるとすれば、やっぱり自然エネルギーということになると、幾つか、いっぱいありますけれども、今日は農水大臣に来ていただいていますから、その中でバイオマスについてお尋ねをいたします。  バイオマスは本当に今までになかったことですから真剣に取り組んでいかなければならないと思いますけれども、二〇〇二年にバイオマス・ニッポンの総合戦略が閣議決定をされまして、以来、ずっと予算化されております。今日まで一体どれぐらいのバイオマス関係の予算が農水省で使われてこられたのか、お聞きしたいと思います。
  25. 小栗邦夫

    政府参考人(小栗邦夫君) 総務省が実施されましたバイオマスの利活用に関する政策評価におきましては、このバイオマス関連事業としまして、平成十五年度から二十年度まで関係六省で、全体で二百十四事業、予算総額では六兆五千四百九十五億円であり、このうち農林水産省分は百十四事業、一兆二千六百二十八億円とされておりますが、しかしながら、この中には下水道事業など他の事業との区分が困難であり、バイオマス関連分が必ずしも予算が特定されないものも多く含まれているということは御留意をいただきたいと思います。  以上であります。
  26. 江崎孝

    江崎孝君 元々、その内数だというのがよく分からないんですけれども。内数だから、要するにほかの予算にいろんなところ付いているんですね。いみじくも総務省の政策評価言われましたけれども、その中でも言われているんですけれども、特定できないというんですよね、この事業はいろんなところにくっついているから。これも一つ問題だろうというふうに思いますけれども。  じゃ、それだけ内数も入れて一兆円を超えるということ、これでどういう効果があったのか、ざっくりとでいいですから御説明いただけますか。
  27. 小栗邦夫

    政府参考人(小栗邦夫君) 事業の効果でございます。先生の御指摘のように、バイオマス総合戦略に基づきながら、バイオマスの利活用の推進や国民的理解の醸成といったことに取り組んでまいりました。その結果、例えばでございますけれども、廃棄物系のバイオマス、これ家畜のふん尿であるとか食品残渣などでございますが、こういったものの活用する目標、これ目標が八〇%に対しまして実績が八六%まで上がっているといったことで、総合戦略に基づきます施策が一定の部分では効果が上がっているんではないかというふうに考えております。
  28. 江崎孝

    江崎孝君 お手元資料に、先ほど審議官が言われました、総務省がタイムリーに行っているんですね、政策評価をこの二月に。それ見ると、極めて辛辣というか、非常に厳しい指摘をされています。  バイオマス関連事業の決算額が特定できたものは今言ったように二百十四事業中百二十二事業、残りの九十二事業の決算額は関係省において特定できていない、効果が発現しているものは二百十四事業中三十五、国の補助により整備された施設の稼働が低調なものが多い等々、こういう政策、もうこれ大臣はお読みになっていると思いますけれども、これを読まれてどうお考えになりますか。まず所見をお聞きしたいと思います。
  29. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) このような総務省からの指摘というものはやはり私どもも真正面から受け止めていかなきゃならない、反省すべきところは反省してバイオマス問題について取り組んでいくと、この姿勢が重要なことだと思っております。
  30. 江崎孝

    江崎孝君 その中で非常に施設というのが一番目を引くんですけれども、総務省の評価の中には二つの施設を、これ実際私見てきました、現地に行って。食品廃棄物の飼料化施設、これ十六億円投資しています。原料調達が不調で、事業は軌道に乗らないまま中止。この原因の一つに、原料調達の計画量の約六割が集中していた、これ一者、これはセブンイレブンなんですけれども、これは調達が不調であったということなんですね。二つ目に、これは食品廃棄物の堆肥化施設、これ二億六千万円入っています。細かく言いませんけれども、これはもう完全にアウトしちゃって、今競売状態です。  つまり、十六億円の方は、県の方も頑張って今何とかしようと思っているんですけれども、これはひょっとして、やり方間違えたらこの十六億円もアウトになっていた。これ事業者替わっていますから。そうすると、十八億円辺りの補助金がほぼパアになっていたという、こんな可能性だってあるわけでありますね。こんなことをやっていると、やはり事業仕分で、バイオマスというのは一体何ですかと今言われて、私も実は事業仕分のワーキングチームの中に入って、このバイオマスの事業の多さに実はびっくりしたことがあります。  時間がありませんので途中割愛をさせていただきますけれども、この二つの施設に対して、どうも私が見る限りは農林水産省は、自治体の責任という考え方がどうも強く見受けられるんです。  例えば、この問題に関しては、今日同席しています姫井委員が当時の農林水産省委員会で質問をしています。千葉県の、これアグリガイアの話は千葉県なんですけれども、千葉県からの聞き取りによれば云々、ずっとあって、その評価結果及び民事再生法に基づく再生手続の状況を踏まえ、同県を指導していく考えであると。決めたのは農林水産省皆さんではないんでしょうか。  そして、それが一旦補助金となって自治体に下りていくと、責任は自治体にあると。こういう考え方に私はどうも同意できない、こんな思いでおります。ですから、ここはしっかりと、国が補助金を出したならば、国と自治体が一緒になってこれを運営をしていく、そういう真摯な、必要があるし、総花的にやるのではなくて、やはりきちっとターゲットを絞って一つ一つ結果を出していくと。  このアグリガイアと、もう一つの宇都宮の方は、宇都宮市の市長が実は二億円辺りの補助金を返還請求しているんです。国は返還請求をしろと言ってこない、だから市がやるんですという。そして、返還してもらったらこれは国に返しますと言っているんですよ。  こういう姿勢を是非改めていただきたいし、大臣として、これからの考え方というか、それをちょっとお聞かせください。
  31. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今委員から御指摘いただきましたところは大変重要なことだと思っております。  そこで、私ども、交付金の適切なる運用というものが図られるように、事業実施計画の県段階における確認及び国段階における審査の強化、こういうふうなことに努めていかなきゃならない、そして結果を一つ一つ出していかなきゃならない、そういうふうなことをしっかりと把握していくというふうなことも大事なことだと思っております。そういう意味では、事業実施状況の報告等に基づく改善の指導というものを国としても徹底してまいりたいと思っております。
  32. 江崎孝

    江崎孝君 是非お願いをしたいと思います。  そして、二〇一〇年の十二月にはまた新しい計画を出しているんですね。バイオマス・ニッポン総合戦略の後にまた出しています。そして、同じように、バイオマスタウン計画と同じようなやつをもう一遍三百増やす、六百にするという、こんな総花的なやつも出していますけれども、これが二の舞にならないように是非大臣の指導力を発揮をしていただきたいというふうに思うんですね。  私は、今は原子力発電エネルギー転換になっています。バイオマスというのは非常に重要な自然エネルギー一つのチャンスになってきている。だからこそ、これまでのやり方をしっかり総括をした上でこれからの十年をしなきゃいけない。事業仕分で残念ながら予算が削られたという状況です。それは分かるような気がするんです。なぜ事業仕分で削られたかと。これを変えていくためにも、是非大きな大きな大臣の指導力を発揮をしていただきたい。バイオマスという新たな思想、システム、産業を、この国どう形作っていくのかということが非常に重要なときに来ているんです。  ですから、そういう意味でこれからの、今お聞きしましたけれども、もう一度これからバイオマスを活用してどうやってやるのか、そして総務省の政策評価を基本にしながらどうやって転換をしていくのかということを、もう一度強い決意をお聞かせください。
  33. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 昨年の十二月に新たに閣議決定いたしましたバイオマスの活用推進基本計画ということにおきましても、ほとんど利用されていない林地の残材を始めとする未利用バイオマスの利用率の大幅な向上等を目標にしているところでございまして、今後このような計画を踏まえて、新たな用途の開発等などを含めて、私どもといたしましては、このバイオマス、非常に重要な分野を占めると、こういうふうな考え方に基づきまして関係省とも連携をしつつバイオマスの更なる活用というものを推進してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  34. 江崎孝

    江崎孝君 是非お願いいたします。農林水産省の部門の中ではこれ非常に重要な、これからの投資効果のある分野になってくるはずでありますから、是非お願いをしたい。  幸いなことに、この総務省の政策評価、これ八月にフォローされますね。そして、一年後にもう一度この政策評価に関するフォローがされます。私も追っていきたいと思っていますから、是非そのことも申し伝えて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  35. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 民主党の松浦大悟です。  今日は、レアメタルのリサイクルについて質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。  この度、松本大臣が御本を出版されました。タイトルは、「環境外交の舞台裏 大臣が語るCOP10の真実」であります。表紙の写真は、大臣がCOP10が閉幕するその直前に喜びいっぱいに木づちを振り上げている、その場面であります。  今回のCOP10は、先進国と途上国の間で意見の相違があってなかなか合意するのは難しかったと言われていましたが、松本大臣の粘り強い交渉の成果もありまして、四十七の決議を全て採択し、閉幕することができました。この本を読みますと、その臨場感がよく伝わってまいります。  この本の最後で松本大臣は、日本環境を生かした新しい経済発展をしていかなければならない、リサイクル技術などを駆使して、持続可能なスマートな経済成長を目指すべきだとおっしゃっています。まさに、この持続可能なシステム、サステナブルなシステムをどう構築していくかが今問われているのだと思います。今回の原発事故で明らかになったことは、原発はサステナブルなシステムではないということであります。一たび事故が起きれば、広範囲にわたる、そして長期化する。  今、「一〇〇〇〇〇年後の安全」という映画が公開されております。これは、フィンランドの放射性廃棄物の最終処分場を取材したドキュメントです。放射性廃棄物が無害になるまで十万年掛かると言うんです。子供や孫の世代にこうした負荷を掛けてもいいのか。そうではなくて、できる限り持続可能な再生可能エネルギーに変えていくことが必要なんだろうと思います。  太陽光発電や風力発電というのは、自然が相手ですのでどうしても電力の調整ができないと言われておりますけれども、発電した電力をためておく蓄電池とセットで考えれば、これ物すごく効力を発揮するんです。ところが、この蓄電池にリチウムなどの例のレアメタルが使われております。日本はリチウムの七割をチリからの輸入に頼っています。あるいは、環境に優しいハイブリッドカーや電気自動車に搭載する蓄電池、これにもこのリチウムイオン電池が使われています。ハイブリッドカーのモーターの磁石にはレアアースが使われていますが、レアアースは九割を中国から輸入をしている。あの中国漁船問題のときに、中国は日本への輸出を禁止して大変な騒ぎとなりました。環境に負荷を掛けない再生可能エネルギーやハイブリッドカーを推進するためにも、このレアメタルをどう確保していくかが今後の課題となってくるだろうと思います。  そこで、海江田大臣に質問をさせていただきます。  先週、中国がレアアースを売買する取引所を新たに開設するとのニュースが流れました。中国政府が事実上レアアースの価格をコントロールしようとしているのではないかとの見方も出ております。中国はレアアースの世界需要の九割を賄っている寡占状況にあります。オイルショックのときの石油のようにレアアースの価格が高騰することも考えられます。これに対して、日本としてどのように対応を考えていらっしゃるか、聞かせてください。
  36. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 松浦委員にお答えをいたします。  確かにおっしゃるように、中国の内モンゴル、内蒙古の自治区で、これは中央政府とお互い意思を通じ合った上で年内にレアアース専門の取引所を開設するという情報は私どもも得ております。  せんだって、日中韓の首脳会談ございました。先週になりますか、先々週ですか、土日でございました。その折に中国の陳徳銘という商務部長がお見えになりました。この陳徳銘商務部長とはその前にもお目にかかっております。全て日本でお目にかかっておりますが、機会あるごとにこのレアアースの高騰、最近非常にレアアースの価格が高騰をしておりますので、こうした高騰は日本の経済にとってもちろんでありますが、中国経済、ひいては世界の経済にとっても良くないことでもありますし、レアアースというのは、今委員からも御指摘がありましたように、やはり地球環境考えていく上で大変貴重な資源であるという旨をお話をしまして、そしてできるだけこの価格が安定するようにということを繰り返しお願いをしたところでございます。  中国側も、これは、一つはこうした価格は市場が決めるものだけれども、それに対して注意深く見守るというお話がございました。
  37. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 今は中国が市場の九割を占めるという状況ですけれども、これ、中国だけにレアアースが埋蔵しているからこのようにシェアを誇るわけではないんですね。  中国の埋蔵量は世界全体の三〇%、残りの七〇%は中国以外の国に存在をしております。かつて、レアアースはアメリカを始め様々な国で生産をされておりました。しかし、一九八九年から九〇年にかけて中国が価格の安いレアアースを大量に市場に投入をした、そういう攻勢に出たわけです。その結果、中国以外のレアアース鉱山は採算が合わなくなって閉山に追い込まれてしまった。まさに戦略物資として中国はこのレアアースを取り扱っているのだというふうに私は感じます。  資源ナショナリズムの高まりですとか新興国の発展に伴い、これからますますレアアースを含むレアメタルの需要は増え、価格は上昇していくと思います。そこで、今注目されているのが都市鉱山という考え方です。都市鉱山によるリサイクルです。  レアメタルが埋蔵されているのは山の中だけではありません。私たちが使わなくなって廃棄した携帯電話ですとかゲーム機、家電製品の中にたくさんの希少金属が眠っております。こうした都市に眠っている資源を回収し、リサイクルとして利用することで、例えば日本の金や銀の埋蔵量は世界一となります。日本の都市鉱山の金の埋蔵量は六千八百トン、世界全体の埋蔵の一六%という計算になります。  私の地元、秋田県の北部にあります小坂町に小坂製錬という会社がありまして、まさにここではこうした環境リサイクル事業を行っております。小坂製錬では、携帯電話、パソコン、それから家電製品、自動車といったものの中から、一日に一本十三キロ、価格にして四千万円の金の延べ棒、これが毎日二本ずつ作られております。それから、今回、すずとニッケルを製錬する事業をスタートさせたという発表をしまして、これでリサイクル原料から取り出すことのできるほぼ全ての金属二十二種類を商業生産することが可能になったそうです。  実は、小坂町というのは人口六千人の小さな町でありますが、昔は鉱山の町として非常に栄えておりました。明治四十年には小坂鉱山の生産高が秋田県の歳入の八倍にもなったそうで、当時、小坂町の電気や水は全部ただだったそうです。町には西洋建築の粋を集めた小坂鉱山事務所や娯楽施設の康楽館などがきらびやかに立ち並んでおりました。ところが、プラザ合意以降、どこの鉱山でもそうですが、採算が取れなくなり、小坂鉱山も閉山に追い込まれていきました。  いっときは千四百人いた作業員が二百二十人になってしまった小坂製錬ですが、この都市鉱山によって再びよみがえりました。これまで培ってきた製錬の技術を使って、リサイクルによってレアメタルなどを取り出す事業を展開しております。町全体も、この鉱山から出る亜硫酸ガスで汚れていた山肌に木を植えたりして、環境の町として観光客を呼び込むことに成功しております。  そこで、環境省に質問をいたします。  環境省では平成二十年から経産省と合同でレアメタル回収のモデル事業を行ってまいりました。秋田県を始め全国七地域で行っているとのことなんですが、このモデル事業を通してどのようなことが分かってきたのか教えてください。
  38. 伊藤哲夫

    政府参考人(伊藤哲夫君) 先生御指摘のとおり、平成二十年度から、環境省では経済産業省と連携し、地方自治体や関係事業者、識者の協力も得て、小型電気電子機器の効率な回収を検討するためのモデル事業を行い、効率的な回収方法、レアメタル含有実態の把握、リサイクルにおける有害性評価について検討を行ってまいりました。  まず、回収量につきましては、三年間にわたり全国七地域でモデル事業を実施した結果、約三十三万台の使用済小型家電が回収できました。モデル事業における回収量が各モデル地域において排出される使用済小型電子電気機器の推計台数に占める割合は、地域ごとに〇・五%から一七・九%と差があり、全モデル地域の平均は五・二%でございました。  次に、効率的な回収方法につきましては、都市の規模により傾向の違いが見られ、大都市ではスーパー等に回収ボックスを設置するボックス回収とイベントの回収の組合せ、中規模都市ではボックス回収と市町村が資源ごみ、不燃ごみ等として回収した後に小型電気電子機器だけを選別するピックアップ回収との組合せ、さらには分別収集先進地域では小型電気電子機器用のコンテナを設けて分別回収するステーション回収が効率的だと、こういったふうな結果となった次第でございます。  また、小型電気電子機器に含まれるレアメタルや貴金属の含有実態につきましては、携帯電話、カーナビ、ゲーム機などに比較的高濃度で含有されており、これらに加え、デジカメ、DVDプレーヤーといった金属の含有量が明らかとなっている十四品目について、国内において使用済みとなったものが全て回収された場合、パラジウムでは国内総需要の二・四%、タンタルでは四・四%、金では二・九%に相当する量が含まれていると、こういう結果になった次第でございます。  さらに、リサイクルにおける有害性評価につきましては、部品や中間処理物について行った分析結果から、鉛等の有害物質について一部から参考とした欧州RoHS指令等の最大許容濃度を超えたケースも見られたところでございます。  以上でございます。
  39. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 ありがとうございました。  平成二十一年度の環境省重点施策の中にもこのレアメタルリサイクル促進がうたわれておりまして、平成二十一年度の予算措置として、使用済電気電子機器の有害物質適正処理及びレアメタルリサイクル推進事業に一億円が充てられております。  二十二年度も二十三年度もおよそ一億円計上されておりまして、余り変化が見られないんですね。レアメタルリサイクルを積極的に推し進めるというのであれば、もう少し予算規模に変化があってもいいのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  40. 伊藤哲夫

    政府参考人(伊藤哲夫君) 資源小国の我が国にとりまして、使用済電気電子機器からのレアメタルを回収、リサイクルすることは、循環型社会構築を推進する上でも喫緊の課題であるわけでございます。このため、環境省では、平成二十一年度、二十二年度予算において約一億円を計上し、モデル事業を実施してきたところでございます。  しかしながら、先生御指摘のとおり、本格的な使用済小型電気電子機器リサイクルシステムの検討を開始する必要があったこと、またモデル事業を拡充し、広域回収や効率的な静脈物流システム構築のための課題を抽出する必要があったと、こういったことから更なる拡充が必要であったと、こういうふうに考えた次第でございます。  そこで、平成二十二年度補正予算においては、日系静脈メジャーの育成・海外展開促進事業の一環として、使用済電気電子機器の回収システムの構築及びレアメタルリサイクルの構築のため、二億五千万円を計上しモデル事業対象地域を一部拡充しているほか、使用済小型電気電子機器リサイクルシステムの検討も開始し、本年度も実施しているところでございます。
  41. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 様々拡充をしてこのモデル事業を進めているというお話でございましたけれども、実際にはどうかというと、この回収が進んでいないというのが実態だと思います。  使用済携帯電話や小型家電を都市鉱山として事業化するにはまとまった量をいかに確保するかが課題となってまいります。携帯電話を回収しているNTTドコモですとかau、それからソフトバンクなど、こうした通信事業者はリサイクルに力を入れておりまして、それぞれの携帯ショップで他社のものでも回収するなど努力を行っております。しかし、端末の回収量は二〇〇四年度以降減少を続けているという状況です。その理由の一つとして、携帯が多機能化して買い換えた後もカメラ機能ですとか目覚まし機能を使っていきたいという人が増えたということ、それから、携帯電話そのものが思い出の品になっている、だから手放したくないという方もいらっしゃいます。こうしたことから、なかなか国内だけで集めることが難しくなっているように思います。  回収方法を工夫していかなければならないというふうに考えますが、どのようなことを環境省としては考えて、経産省でしょうかね、考えていらっしゃるでしょうか。
  42. 伊藤哲夫

    政府参考人(伊藤哲夫君) 環境省におきましては、去る二月九日に中央環境審議会に対しまして、小型電気電子機器リサイクル制度及び使用済製品中の有用金属の再生利用の在り方について諮問し、これを受けて設置された小委員会において、使用済小型電気電子機器のリサイクル制度に関する検討を三月より開始したところでございます。  どの程度回収していくかということにつきましては、もちろん、自主回収タイプにするか義務的に参加するタイプにするのかいろいろ制度の内容を検討していかなければならない、今後の検討課題だというふうに考えておりますが、ちなみに、家電リサイクル法におきましては三分の二がきちっと回収されて生産者の方まで戻ってきていると、こういう実態でございます。こういうことも参考にしながら検討していきたいというふうに考えております。
  43. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 ただ、ライフスタイルがこれだけ多様化している中でなかなか難しいのではないかという面があると思います。  もう一つ回収が難しい理由に、買い換えた端末にゲームですとか音楽のコンテンツが移せないということがあるようです。業界団体は、これ、著作権保護のためだと言っているんですが、ただ、携帯の場合はICカードで個人を特定することも可能ですし、新しく買い換えたときにショップでコンテンツを移し替えられるようにしていただくと大変リサイクルが進むのではないかというふうに考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
  44. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 私の方からお答えをいたします。  確かに委員御指摘のように、端末にコピーされたコンテンツが新たに購入した端末に移せないことがリサイクルの障害の一つになっているとの見方があることは私も承知をしております。  ただ、この新たな端末へのコンテンツの移行制限については、機器等の技術的な制約によるものではなく、他の要因であると認識をしております。他の要因というのは、企業がこの利用範囲を限定することによるコストの圧縮でありますとか、そのことを通じた利益の最大化、そういうものも一つの障害になっているかと思います。  それから片一方で、ゲーム、音楽端末機器については購入後も旧機器を継続使用したり中古市場が存在したりすることから、コンテンツの移行制限のみがリサイクルの大きな阻害要因とは考えておりません。  いずれにしましても、経済産業省としては、まずゲーム、音楽端末機器を含む小型家電のリサイクルに関する自治体の先駆的事例の分析等を通じ、他の自治体への展開を促すことによりリサイクルの一層の推進をしてまいりたいと思っております。
  45. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 ただ、大臣、小坂製錬の方にお話を伺いますと、このモデル事業によって回収されているものというのは本当にごく僅かで、大部分は業者に委託をして、それを売っていただいているという現状だそうです。  小坂製錬の例でいいますと、ちなみに使用済みの携帯の取扱量は年間四十から五十トン。その半分がアメリカや韓国からの輸入だそうです。パソコンの扱い量は年間一万五千トンから二万トンですが、そのうちの半分がアメリカ、東南アジア、ヨーロッパからの輸入だそうです。眠っているリサイクル資源というのはまだまだ国内にたくさんあると思うんですが、それが分かっているのであればリサイクル率を上げる努力をしていかなければならないと思うんです。  環境省は、これまで回収、再生利用の義務がなかった携帯電話ですとかゲーム機などのリサイクル制度を創設する方針をこの度決めたと伺っておりますが、これによってどの程度の回収が見込める予定でしょうか。
  46. 伊藤哲夫

    政府参考人(伊藤哲夫君) 回収率につきましては、その制度の設計いかんによっていろいろ変わってくるということになると思います。自主回収タイプにしますとどうしても低い率にならざるを得ないと。一方、義務的に参加すると、こういったことになれば相当程度の回収率が見込まれるわけでございますけれども、それに掛かるコストとか国民的な合意をどうしていくのか、こういったことを国民や関係者の協力をどういうふうに得ていくのかと、こういったことも非常に重要な観点になってくるかと思います。  こういったことを含めまして、現在、制度の内容、関係者の協力という両方の観点から中央環境審議会の小委員会において議論していただいているところでございまして、そこで回収率も高く、なおかつ効率的な制度設計に努めてまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
  47. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 モデル事業も二十年度から始まって今年二十三年度ですので、そろそろ結論めいたところが見えてくればいいなというふうに思います。  国内で回収が困難であれば、海外からの輸入をもっと進めることができないかというふうに思うんです。現在、バーゼル条約によって廃棄物の輸出入には規制が掛かっております。先進国から途上国への輸出に関しては、これは私は新たな環境問題を引き起こす可能性があるので安易な規制緩和はすべきではないと思います。  しかし、リサイクル技術の確立している国が輸入をすることについてはもう少し柔軟な対応をしてもいいのではないか。今、輸入の手続に大変時間が掛かって、その間の相場変動リスクや保管料のコストがかさむという問題があります。この点についてお考えがありましたらお聞かせください。
  48. 伊藤哲夫

    政府参考人(伊藤哲夫君) 我が国の企業は金属回収等の優れた処理技術を有しており、御指摘のように、国外の有害廃棄物を輸入し、我が国の技術を活用して適正にリサイクルを行い、レアメタル、ベースメタル、貴金属等の有用資源を確保することは非常に重要な課題であり、環境省としても推進していきたいと、こういうふうに考えております。  一方、有害廃棄物の越境移動を規制する国際条約であるバーゼル条約によりまして有害廃棄物の輸出入の手続が定められており、バーゼル条約の遵守を担保するバーゼル法等に基づきまして環境上適正な輸出入が確保されているところでございます。  具体的には、先生御指摘のとおり、日本から輸出する場合には、相手国で適正な処理がなされるかどうかということについて相手国に問い合わせまして、厳しくチェックをしているところでございます。  一方、輸入する場合につきましては、日本で適正に処理されるかどうかについて一応チェックをするわけでございますが、国内において適正に処理できると判断されるものについては、環境省がその旨確認を行いまして、その上で経済産業省が輸入の承認を行っているところでございます。輸入に関してはそれほどバーゼル条約がいろんな障害になっているという状況ではないんではないかなというふうに考えているところでございます。  いずれにしましても、バーゼル条約の下で環境上適正な形で資源価値の高い有害廃棄物の輸入が行われるよう、今後とも輸入者等に対する情報提供や事前相談の実施等を行ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
  49. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 私が聞いている話では、バーゼル条約に時間が掛かる、手続に時間が掛かるということでありますので、現場の声をしっかりと受け止めていただければと思います。  さて、近年、中国などで経済発展に伴う環境汚染が問題となっております。日本のリサイクル技術を途上国に輸出すべきではないかというふうに考えます。  松本大臣、この御著書の中でも言っておられますけれども、もう環境環境でという時代ではなくなっている、環境も経済も一緒に見ていかなければならない、そうおっしゃっております。まさにそのとおりだと思いますし、日本のすばらしい技術を使って経済活動をすることがそのまま環境に負荷を掛けない持続可能な社会をつくることにつながるようなシステムをつくっていかなくてはならないと思います。この点についてお考えがありましたら聞かせてください。
  50. 松本龍

    国務大臣(松本龍君) 御指摘のとおり、環境や大気やいわゆるリサイクル、廃棄物、また水、そういったものの経験を六〇年代から私たちしていますので、アジアの新興国等々に私たちの経験を伝える、そしてそこから、今途上国は元気で頑張っていますので、同じような発展ではなくて、やっぱり私どもしっかりやっていかなければならないという思いはあります。
  51. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 ありがとうございました。  これからも、バーゼル条約の目的というのは環境の汚染を広げていかないということでありますので、リサイクルのための輸入であれば、私は大いにこれは広げていくべきだというふうに考えておりますので、大臣からの後押しもよろしくお願いをいたします。  さて、リサイクルということを考えるときに、航空機のリサイクルも考えていくべきではないかというふうに考えております。航空機は空飛ぶレアメタルとも呼ばれていまして、希少金属がたくさん使われております。ただ、航空機部品は、政府機関の認証ですとか技術特許、それから整備、加工に関する規制がありまして、航空機のエンジンを造っているメーカーのある国で解体をしなければならないということになっております。  こうした問題をどうクリアしていくか。私は、今、地方空港が大変な赤字に苦しんでいる、そうしたところをこの飛行機の解体に使うことができるのではないか、リサイクル工場として使うことができるのではないか、そういう問題意識を持っております。この航空機のリサイクルについてお考えがありましたら聞かせてください。
  52. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 委員御指摘のように、航空機はチタン、ニッケルなど、大変有用なレアメタルの宝庫でございます。これを、航空機が空を飛ぶという役割を終えた後の再利用と申しますか、リサイクルということにつきましては、昨年秋に打ち出しましたレアアース総合対策をこれは活用することができようかと思います。特に、航空機用の大型部材の国内リサイクルを行うためにはやはり大型な設備が必要になってまいります。この企業が大型の設備を購入する支援を既に政府実施をしているところでございます。  なお、こうした施策を通じまして、これからも航空機に含まれます金属資源が一層有効活用されるよう努めてまいりたいと思っております。
  53. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 是非、これは新たな成長分野として大いに進めていただきたいというふうに思います。  それから、環境リサイクルビジネスの先進国でありますアメリカですとかヨーロッパ、こちらのいろんなやり方も参考にすべきではないかと思いますが、今、環境省の方で把握しているような事例がありましたら教えてください。
  54. 伊藤哲夫

    政府参考人(伊藤哲夫君) 廃棄物リサイクルビジネスの海外展開という点につきましては、日本それから欧米の企業それぞれが競い合いながら取り組んでいると、こういう状況でございます。  欧米の廃棄物リサイクル企業の中では発展途上国などに大規模に海外展開している例もございまして、日本もございますけれども、例えばフランスのある社では台湾、中国、インド、フィリピンなどにおいて廃棄物処理施設の運営管理事業を展開し、中国では医療廃棄物処理事業などを展開している会社もございますし、フランスの別の会社では香港において最終処分事業場やバイオガス回収事業などを展開しております。アメリカのある会社では中国において廃棄物処理施設の運営事業などを展開しておりますし、オーストラリアの会社はシンガポールやインドなどにリサイクル拠点を有し、金属リサイクル事業を行っている例もございます。  我が国も、廃棄物リサイクル産業は世界的に見ても非常に高い技術力を有しておりまして、これまでの経験や技術力を生かして既に海外で展開している事例、少なからずございます。例えば、インドネシア、タイ、シンガポールにおいて有害廃棄物処理事業などの廃棄物処理・リサイクル事業を大きく展開している会社もございますし、中国においてセメント製造プロセスを利用して廃棄物などを再資源化する事業を展開したり、あるいは、中国において大型ごみの焼却炉の建設等の事業を展開している、こういった会社もございます。
  55. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 ありがとうございました。  例えば、リサイクル率を上げていくために、レアメタルを取り出しやすくするようにリサイクルが容易にできる設計にしてある商品について、これを認定する認定制度をつくったりだとか、そこにエコポイントを付けることによって消費者に買っていただく、支えていただくという仕組みも考えられるのではないかというふうに思います。  私がどうしてこう都市鉱山にこだわるのかといいますと、実はこのレアアースは、採掘する過程でトリウムという放射性物質が発生をしてしまうんです。このトリウムというのはウランと同じような放射性物質で、インドではこれを原発に使っていたりもするわけです。自然エネルギーですとかハイブリッドカーに使う、自然環境に優しいということでそうしたものを進めていく、推進していくということが放射性物質を地球上に作り出してしまう、そういう矛盾につながってはならないというふうに思います。  最後に、持続可能な社会をつくるために両大臣の御決意をお伺いいたしまして、質問を終えたいと思います。
  56. 松本龍

    国務大臣(松本龍君) 大変重要な御指摘だと思います。循環型社会形成推進基本法の下で、リサイクル法に基づいた取組など、循環型社会の構築に向けて取り組んでまいりました。  環境省本年度予算において、日系静脈産業メジャーの育成・海外展開促進事業を実施し、我が国の優れた廃棄物リサイクル産業の海外展開を支援をしていくこととしています。昨年の十月もインドネシアと廃棄物の関係で覚書を締結をいたしました。そういう意味では、アジアの様々な諸国とこれからも展開をしてまいりたいというふうに思っております。  もう一点、私も地産地消とか勉強をこの一月から始めまして、例えばスーパーがあって、その下に飼料会社があって、餌のですね、その下に養豚場があって、これが地域で、スーパーの残滓というか、余った食べ物を飼料会社が引き取ってそれを飼料にして、今度その飼料を養豚場が買って、そこでできた豚を今度スーパーに卸すという物すごい循環型社会がありまして、こういうのもいろんなケースがありますので、勉強していきながらやっていきたいと思います。
  57. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 松浦委員のお話を聞いておりまして、私も携帯電話を二つぐらいまだ自宅に保存をしておりますので、これをリサイクルに一刻も早く出さなければいけないなと、そういう印象を持ちました。
  58. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 ありがとうございました。
  59. 田城郁

    田城郁君 皆さん、こんにちは。民主党・新緑風会の田城郁でございます。よろしくお願いをいたします。  私も、先ほどの江崎委員と同様、バイオマスに関して農水省にお伺いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。  私は、昨年のほぼ八月、九月、十月と事業仕分の再仕分チームに所属をいたしまして、農水の再仕分もさせていただきました。その中でやはり特に目立ったのが、バイオマス関連の事業が部局ごとに立ち上げられていて、まさに部局あるいは課の数だけバイオマス事業があるなと、こういうふうに感じましたし、さらに、他省庁にもまたがって重複をした事業が随分あるなというふうにも率直に感じました。  もちろん、今後の日本の事情を考え合わせればバイオマスは重要な分野であり、必要な予算は十分に付けていく必要があると思います。しかし一方で、必要でない予算イコール血税は一銭たりとも使ってはいけないと、そのようにも思っておりますので、そういう観点から質問をさせていただきますが、そこでまず、農水省の平成二十一年度決算に含まれるバイオマス事業の数及び同年度の決算額は幾らになっておりますか、お答えください。
  60. 小栗邦夫

    政府参考人(小栗邦夫君) 先ほどもお答えいたしましたが、総務省の政策評価におきますバイオマス関係事業といたしましては、農林水産省分といたしまして、五年間でございますが、これ百十四事業、一兆二千六百二十八億円とされているところでございます。  これにつきましては、先ほども申し上げましたように、下水道事業であるとか、あっ、農水省の分では下水道事業ではございません、農業農村整備事業であるとか、他事業との区分で区分が困難なものであり、バイオマス関係分の事業分が予算額的に特定できないものも含まれているということにつきましては御留意をいただきたいと思います。
  61. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  さて、二月十六日の産経新聞では、このバイオマス事業に関して次のように報道をしております。  下水汚泥や生ごみ、間伐材など燃料や堆肥、素材として再生可能なバイオマスをめぐり、総務省行政評価局は十五日、国が平成二十年度までの六年間に実施した二百十四事業について、地球温暖化防止など期待される効果が出ている事業を皆無と判定、農林水産省など関係六省に改善を勧告した。関連予算は六年で六兆五千五百億円に上るが、所管する省でも事業の決算額を把握できないケースが四三%の九十二事業に上るなど、掛け声倒れのお手盛り予算になっている実態が明らかになったというふうに報道をされております。  もちろん、報道が全て正しいとは思いませんし、見方の違いによって六兆円というものがまた別の数字に変わるというふうなことも当然あると思いますけれども、そこで、総務省の行政評価局からの農水省に対する改善勧告はどのような内容と受け止めているのか、また、勧告に対して今後どういう対応を取るのかを農水省にお伺いをいたします。よろしくお願いします。
  62. 小栗邦夫

    政府参考人(小栗邦夫君) 総務省の評価結果におきましては、施策のコストや効果の把握及びその公表を行うこと、それからバイオマス関連事業の効率的、効果的な実施を行うことなどの勧告がなされたところでございます。農水省といたしましては、この政策評価の指摘も踏まえまして、関係省庁とも連携しながら効率的に事業を実施していく考えでございます。  具体的には、昨年十二月に閣議決定されましたバイオマス活用推進基本計画に基づきまして、今後ロードマップを策定することになっておりますので、このロードマップに基づきまして施策の見直しをしていくこと、それから毎年度、バイオマス活用推進会議、これが、各省の副大臣、政務官で構成します推進会議におきまして、政策コストであるとか効果などを点検をいたしまして、そのたびに公表するということの取組を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  63. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  もう少し、どう受け止めているのかというところを踏み込んでお答えいただけないでしょうか。やはり、そこがはっきりしていないと、ロードマップを作成する、ガイドラインを作るといっても、やはり非常に形式的なものになってしまうんではないかと思いますから、是非踏み込んで、どう受け止めて今お答えになったような今後どうしていくかということが導き出されたのか、そこをもう少し踏み込んでお話しいただけないでしょうか。
  64. 小栗邦夫

    政府参考人(小栗邦夫君) バイオマスにつきましては、地域に広く散在して浅く存在するということ、それから元々バイオマスの利用という点につきまして認知が十分でなかったということでございまして、当初は啓蒙を中心に実施をしておったわけでございますが、総務省の御指摘のように、実際の事業のフォローアップ、そういったものが計画管理が非常に十分ではなかったという点につきましては、反省すべきものは反省をいたしまして、したがいまして毎年度の計画から進行管理、そういったものをきっちりやっていきたいというふうに考えているところでございます。
  65. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  総務省の行政評価局は、さらに、複数の省や部局が類似の事業を実施するなど非効率的な例として類似事業十二種類を挙げて、別々の事業として行う必要性は乏しいと指摘をしております。農林水産省内の別々の部局が類似事業を重複しているという例もありますし、さらには経済産業省環境省にもほぼ同じ事業があり、さらに農林水産省の中にも同じようなことで行われているというような例もあります。一つ一つの事業が国民の血税によって行われているのですから、類似事業が重複せざるを得ない場合、その理由を国民に対して明確に説明をする必要があると思います。  そこでお伺いをいたします。なぜ重複をしているのか、さらに今後、行政評価局の勧告に従って重複をなくすのか、また、なくせないとしたらどうしてなくせないのかについてお答えいただければ幸いです。
  66. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) バイオマス関連事業につきましては、新しいことでございますので、各省庁、精力的に取り組んでおりまして、その段階におきまして、それぞれちょっとずつ目的が違うのでダブったりしているものがあったのではないかと思います。それらのものを非効率だという御指摘を受けておりまして、我が省ではそういった御指摘を踏まえまして直しつつあるところでございます。  特に、農林水産省でやる場合は、これもまた省、局ごとにちょっとずつ目的が違ってしまって、完全に重複しているというのはそれほどないとは私は思いますけれども、二つ、三つ、どのように取り組んでいるかという例をお示ししたいと思います。  例えばで申し上げますと、バイオディーゼル燃料の製造施設の整備につきましては、従来、バイオ燃料地域利用モデル実証事業、ここでやっておりました。それから、地域バイオマス利用交付金などでも行っております。ほかにもありました。したがいまして、そういったものを統合いたしまして、平成二十三年度はバイオマス地域利用交付金というので一つに統合しております。  それから、広域的な食品廃棄物の利用を支援する広域連携等バイオマス利活用推進事業につきましては、ほかのバイオマスでの餌化ですね、飼料化を行う事業でも対応できるということから平成二十二年度までに廃止したところでございます。  御指摘もありましたし、法律もできました関係で、昨年十二月にバイオマス活用推進基本計画が閣議決定されました。現在はこれに従いまして実施している事業についても見直すことといたしまして、平成二十四年度の予算要求をこういったことを踏まえましてやっていく所存でございます。  ただ、私は、バイオマスについてはいろいろ試行錯誤を各省ともしておる段階でございます。ですから、いろいろな重複があるんじゃないかと思います。今回の原発事故等ございまして、菅総理も、自然エネルギーを大々的に取り入れていくんだと、エネルギーの基本計画も見直すんだということを言っておられますし、こういったダブりとかいうのの見直しを踏まえて、私は拡充していくべき分野ではないかと思っております。
  67. 田城郁

    田城郁君 おっしゃるとおり、私も冒頭にもお話をしましたが、バイオマスに関してはこれから絶対的に必要な分野であるというふうに思っていますし、必要な予算については十分付けるべきだとも私は冒頭お話をいたしました。  しかし、ちょっとずつダブっているところの積み上げで総体で五年間で六兆円というのは、やはりこれは国民に理解はできにくい、どうしてもそういうふうに見えてしまうというふうにも思いますから、やはり推進計画に期待をいたしまして、しっかり進めていただければと思いますが、同じ産経新聞の報道の中で、次のような指摘もあります。  政策評価によると、「農水省はコンビニの売れ残り弁当を飼料化する施設に約十六億を投入したが運営会社が破綻、事業中止に追い込まれた。十億円以上が不用になった事業も三件あり、見通しの甘さを浮き彫りにした。また環境、経済産業の両省は、それぞれ農水省と同時期に同趣旨の補助事業を実施していた。」とあります。マスコミのこれも指摘が全て正しいというふうには思いませんが、しかし傾向としてはあるのではないかと思います。  コンビニの売れ残り弁当を飼料化する事業がなぜ破綻をしたのか、さらに同じようなトラブルが予想される類似事業に対して今後どういった対策をなさるのか、農水省にお願いいたします。
  68. 小栗邦夫

    政府参考人(小栗邦夫君) コンビニの廃棄物を原料にして事業実施をしようとしたものにつきましては、千葉県で取組が行われた事業だということを御指摘いただいたんだというふうに思っております。  これにつきましては、コンビニの食品廃棄物でございますと、その廃棄物の中に金物が入ったりとか串が入ったりとか、なかなかそのものをすぐに次の餌とか肥料の原料にするのには結構、手間、コストが掛かるということで、これもちろん最初から分かっていたはずなんですけれども、そこの手間の部分を過小に多分評価していたのかなというふうに思うわけでございますので、今後の事業実施に当たりましては、いかに原料の確保、しかもそれを安定的に、しかもコストを掛けずに収集できるかどうか、そういったところのチェックを厳しく審査をしながら取り組んでいきたいというふうに思っておるところでございます。
  69. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  総務省行政評価局がバイオマスの事業がうまくいっていない理由として指摘されているうちに特に目立つのは、バイオマスの原料がうまく集められない調達の問題があると。食品残滓や農業廃棄物をバイオマス工場に集めるだけでも大変なコストが掛かります。食品残滓や農業廃棄物は個々の事業者や農家にとって厄介者ですが、工業化できるほどの量を一か所にまとめるためには、誰かがそのコストを喜んで支払うような何らかのインセンティブが必要なのではないかと思います。原料を一か所に集約するシステムと施設をつくってしっかりとしたコスト計算を行っていなかったことが、こうした事業が破綻した大きな理由であると思われます。  また、計画の段階で原料と生産物の交換価格をしっかりと設定をし、必ず民間ビジネスとして成功させるという見通しを立てることも大切です。そのためには、バイオマス事業の有効性について、有効な広報活動を通じて全国の農家や事業者に確実に認知できる広報も必要です。ビジネス成功の鍵は広報力であり、どの企業も高度な広報技術を学んでおります。しかし、官庁は、個々の省庁の広報課がばらばらに通知やプレスリリースを出し、ホームページを作ることで広報をしているというふうに思っていらっしゃるのではないかと思います。  国民は、国としてバイオマスが成功したかしないかが問題なのであって、省庁などの区別はいたしません。それが当然だと思います。  バイオマス事業の将来に関して、原料調達、コスト計算、ビジネスへの早期移行のための広報の在り方などの問題点は、環境省や経産省にも同様の事象が起きていることを見ると、省庁全体の体質ではないかととらえて改革していく必要があると思います。  莫大な血税を投入しているバイオマス事業をこれから成功、成就させるために、鹿野農林水産大臣としてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。よろしくお願いいたします。
  70. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今先生から御指摘の点につきまして、私どもといたしましては、やはり総務省から指摘を受けたところはきちっと受け止めて、反省するところは反省しながら取り組んでいくと、このことは非常に大事なことだと思っております。  それからもう一つは、これからのエネルギー対策というふうなことの中で、やはり農林水産業を営んでいくという上においては、やっぱりエネルギー問題もセットで取り組んでいかなきゃならないというようなことを、私も、政務三役の間でもそういう話をいたしておりまして、また事務方にもそのことを指示もいたしておるわけであります。  とりわけ、このバイオマス問題というものは、一方では間伐材等のバイオマスということになりますけれども、農山漁村に広く薄く存在しているために、太陽光や風力などの他の再生資源可能とは異なりまして、利用にはいわゆる収集なり運搬コストが掛かると、こういうふうなこともございまして、このことをどうしていくか。こういうことから、未利用の間伐利用につきましてのいわゆる路網整備や森林施業の集約化、低コスト化、こういうようなこと、あるいは新しく運搬システムの開発など、こういうことで原料の安定供給というものとコストダウンをどう図っていくかというところに力を入れていかなきゃならないと思っておるわけであります。  また、今後の取組といたしましては、バイオマス発電の推進ということを考えた場合に、再生可能エネルギー電力の全量固定価格の買取り制度の早期導入というふうなものに向けて、関係省庁とも連携を取りながら生産物の販売収益の改善というものを実現していくということが重要だと、このように考えておるわけであります。  バイオマスの活用というものを収益事業へと高めていくというようなことはなかなかそう簡単ではないとは考えておるところでございますけれども、しかし、こうした原料調達あるいは製品販売に至るそれぞれの段階におきまして、それぞれの課題というものを一つ一つ解決をしていくということに向けて着実に取り組んでいく必要があるんではないかと、こんな認識に立っておるところでございます。
  71. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  被災地では瓦れきを使ってバイオマス発電の原料にしようじゃないかというようなお話もあるようでございます。是非、こういう状況を、マイナスの状況をプラスに転化するという意味でも、バイオマス事業を成功させて、日本の新たな第一歩を共に切り開いていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  質問を変えます。といっても、もうありませんが。手短にですが、福島の農地、今ヒマワリを植えたりしてセシウムを吸収しようじゃないかとか、いろいろなことを、試験を始めようというようなことが農水省で発表されました。  私は、結論的に言えば、表土をまず大胆に削って、指定する場所に移動して、その上でいろいろ耕したり何だりをして、ヒマワリでもアブラナでも何でも植えるというようなことで、表土を五センチ削って幾つだ、十センチの場合は幾つだ、あるいは表土と下の土を入れ替えてどうだというような、そういうことをもうやっている時間はないのではないか。もう梅雨も一週間以上早く入りまして、どんどんどんどん耕したその下に放射性物質が下がってしまう、そこに梅雨や台風で大量の地下水となってしみ込んでいってしまう、そういう中で更に物質の拡散がされるのではないかという危惧もされますので、まずは表土を大胆に削り取るということは待ったなしでやるべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
  72. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 鹿野農林水産大臣、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
  73. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) それは非常に急がれることと思いますけれども、ただ、そのことによっていわゆるその剥がした表土をどこに持っていくかというようなこと、これも一つの、その土地も確保しなきゃならない。あるいはまた、その処分をどうするかということも、今原子力安全委員会の方に私どもも投げかけているところでございますけれども、そういうことについても結論を出していかなきゃならない。そういう意味では、まさしく土壌のこの汚染された除染の技術というものの開発をできるだけ早くやっていくという意味で実証試験というふうなところに取り組まさせていただいているところでございます。
  74. 田城郁

    田城郁君 質問を終わります。ありがとうございました。
  75. 青木一彦

    青木一彦君 自民党の青木一彦でございます。  決算委員会において初めて質問の立場に立たせていただきました。決算委員会は、参議院の独立性を語るに最も私はふさわしい委員会であると思っておりまして、解散のない参議院では、この決算委員会において予算の執行がしっかりと行われているかを審議するのはこれは当然のことでありますが、国の内外の大きな課題を審議する場だと、そのように考えております。  そして、三大臣、今日は本当お忙しい中ありがとうございます。私、民主党さんが政府委員制度というものをやはり官僚主義の主たるものだと、国会における審議低調の一因だとおっしゃって制度を変えました。そして、今日も副大臣、政務官もいらっしゃっていると思いますが、政務三役なるものをつくり、政府の中の政治家の人数を増やしました。  私、どうも今回、国会審議、各委員会見ておりまして、政務三役の答弁がやはり官僚の皆さんが書いたペーパーの棒読みのケースが多い、そのように感じておりまして、やはり全部の委員会がネットで放映されております。ここはしっかり政治家が自らの言葉で答えていただきたい。その辺を踏まえ、質問に入らさせていただきます。どうか丁寧で真摯な答弁をよろしくお願いいたします。  一九九七年、京都におきまして開催されたCOP3において京都議定書が批准されました。私、郷里は島根県でございます。私の尊敬する大先輩の竹下元総理は、よく講演の中で一九六一年の旧ソ連の有人飛行士のガガーリンの話おっしゃっていました。地球は青かった。あの有名な一節であります。竹下元総理は、この青い地球をこれからの人類のために何としてでも残さなきゃいけない、そのように常々おっしゃっておりました。これは当然のことながら人類共通の課題であります。  その竹下元総理の夢を具現化したものがやはり京都議定書であり、そして環境庁から環境省への格上げであると私は確信をいたしております。日本環境分野において世界のトップリーダーとなって牽引役を果たすんだ、そういうことと考えております。  その中で、今大事な議論がございます。これはエネルギー政策。現在、福島原子力発電所事故及び浜岡原子力発電所停止した状況を踏まえ、この京都議定書で批准された二〇一二年までのCO2六%削減目標が達成できるのか否か、どのように考えていらっしゃるのか、環境大臣に現時点でのお考えをお尋ねいたします。
  76. 松本龍

    国務大臣(松本龍君) お答えいたします。  竹下先生の話が出て、何かうれしくなりました。私も二十一年前に当選をして、一年もたたないうちにお声を掛けていただいて、私が自民党だったら必ず竹下派に入ったなというふうに思うぐらいすばらしい気配りの先生でありました。  京都議定書に触れられました。本当に大きな日本の成果だというふうに思っております。この二〇一二年まで達成に向けて、具体的な数字は申しませんけれども、しっかり予断を持たずに、震災の後かなり厳しい状況が続くと思いますけれども、再生可能エネルギー、あるいは省エネあるいは節電等も含めましてしっかり取り組んでまいりたい、予断を持たずに励んでいきたいというふうに思っております。
  77. 青木一彦

    青木一彦君 それと、二〇〇九年の九月の国連の場において鳩山総理は、九〇年比、CO2削減二五%目標を表明されました。私、これ、寝耳に水でございました。そして、その後、民主党政権下において地球温暖化対策基本法案、これを閣議決定されました。まあ、今まだはっきり法案にはなっておりません。そして、昨年の六月のエネルギー基本計画で、総電力に占める自然エネルギーの割合を三〇年までに二〇%にするという基本計画を出されました。今まさに菅総理、G8行かれましたね。このOECDの講演の中で、この基本計画を前倒しにする、二〇二〇年代の早い時期に、十年遡って二〇%にするという発言をなさっております。  海江田大臣にこの後お伺いいたしますが、このことについて、マスコミ等では、国内調整をしっかりしていないんじゃないか。いきなり国際社会でこれ発言されました。これ、環境大臣、経産大臣も、私も聞いておりませんというふうにマスコミ報道では私、伺っておりますが、今回の表明が環境大臣、経産大臣にある程度お話があったのか、あるいは官僚の中で関係省庁を集めて話されたのか、この辺についてお伺いいたしたいと思います。
  78. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 青木委員にお答えをいたします。  先ほど竹下先生のお話出ましたが、実は私、竹下先生と誕生日同じ二月二十六日でございまして、あともう一方、お亡くなりになった山花貞夫さんもそうでございまして、いつも誕生日のときにお声掛けいただきまして、やはり政治家というのはそういう気配り、心配りが大切かなというふうに思っております。  さて、その上で、今お尋ねの件でございますが、確かに私どものエネルギー基本計画では、二〇三〇年に再生可能エネルギーおよそ二〇%ということがございます。これはもう閣議決定したことでございますから、内閣全体で了承していることでございます。その上で、今回のG8あるいはOECDの会合におきまして総理が大変強いリーダーシップを発揮しましてああいう発言になったものだと承知をしております。  事務的に数字を積み上げたとか、こういうことではございませんが、やはり再生可能エネルギーをこれから力を入れていかなければいけないという、そういう決意のほどは十分に伝わってまいりましたので、私としましては、これからその導入、拡大に向けてしっかりと取り組まなければいけないと思っておる次第でございます。
  79. 松本龍

    国務大臣(松本龍君) 三月十一日の震災を受けて、これからの日本エネルギーの需給の在り方が大きな問題になっております。私も三週間ほど前でしたか、総理と再生可能エネルギーの話をずっとやりましたし、ある意味では環境省の事務方も同じころ呼ばれていろんなことを示唆をされましたし、また私どももしっかり取り組んでいくという方向性を示しました。  そういう意味では、これから、総理の発言ございましたけれども、私ども環境省としては、これからやっぱり再生可能エネルギー、省エネ、イノベーション等々を含めて、やっぱり私どもの方がもっと前に頑張っていかなければならないということで、私も様々なことで指示をしておりますので、総理の発言は私はもっともな発言だというふうに思います。
  80. 青木一彦

    青木一彦君 先ほど経産大臣の方から気配りという話がありました。やはり、私、根回しというのもこれも気配りの一つだと思います。やはり、これは気配り、国際社会においての気配りも必要だと思います。そういった意味では、やっぱり今回の発言、打ち上げ花火と言われても私、しようがないと思います。例えば、OECDの場で菅総理が今回こういうことを言われた。これ、個人的な立場で言われたのじゃありません。日本国の総理大臣としてOECDの場でおっしゃいました。やはり、この辺は私、しっかりと改めていただかなければいけないというふうに考えております。  そして、この会場で言われたこと、自然エネルギーを社会の基幹エネルギーに高める、基幹エネルギーですよ、というふうにおっしゃっております。これは、日本エネルギー戦略が原発推進から自然エネルギー重視へ転換するのではないかと間違ったメッセージを国際社会に発信したことにはなりませんか。これはフランスのサルコジ大統領、大統領府でお会いになって、原子力か非原子力か、そういう二者択一の議論ではないとくぎを刺されたというふうに書いてある新聞もございます。  これは新聞各々いろんな書き方をしておりますが、この辺を環境大臣、経産大臣、どう思われているのか。間違ったメッセージを送ったんじゃないか、そういう二者択一じゃないんだよ、そういうことを私、この場でおっしゃっていただきたいというふうに考えております。
  81. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 基幹エネルギーというお話があったやに私も聞いておりますが、菅総理はかねがね言っておりますが、このエネルギーの問題では四つの柱があるということで、そのうちの一つ原子力の発電ということも入っております。それから、化石燃料の発電というのも、これもございます。それから、再生可能なエネルギーということで、自然エネルギーもこの中に入ってまいります。そして、四本目の柱というのは省エネということでございますが、いずれにしましても、エネルギーの私どもの基本的な立場というのはベストミックスになろうかと思っております。  そのベストミックスの中で、それこそ原子力エネルギー、そして再生可能なエネルギー、そして化石燃料のエネルギー、こういうものがベストの割合でバランスよく維持されるのがまさにベストだと思っております。
  82. 松本龍

    国務大臣(松本龍君) 今御指摘のように、原発推進とか脱原発とかという二元論の話ではないと私も思っております。経産大臣が言われたように、ベストミックスというのが一番だと思います。  そういう意味では、一つ分かっていることは、あの震災からやっぱり原発に頼れないという状況がある、そしたらやっぱり再生可能エネルギーをしっかりとらえていく必要があるということは大方の方々の皆さんの意見だというふうに思います。それをとらえていけば、再生可能エネルギーがどれだけコストの問題、低減をしていかなければならないか、あるいは大量普及することによってコストの低減が図れますから、イノベーションも含めていきながら、そういったことも含め、環境省としてはこれからしっかり取り組んでいかなければならないというふうに思っております。
  83. 青木一彦

    青木一彦君 ありがとうございました。  先ほどコストの問題、そして環境の問題、これしっかりと私、やはり議論しなきゃいけない。三・一一以降の日本において、今どの場でこれを皆さん集まって議論していらっしゃるのかお尋ねいたします、環境大臣、そして経産大臣に。
  84. 松本龍

    国務大臣(松本龍君) 再生可能エネルギーの導入の実現可能性につきましては、中央環境審議会で定量的な分析を行っております。
  85. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 省内的にはもちろん資源エネルギー庁などと数次にわたって議論しておりますが、あと、やはりこの三月十一日の東京電力福島第一発電所事故を経まして、今日も夕刻開催をする予定でございますが、有識者の方々に集まっていただきまして、これからのエネルギー政策の在り方について大所高所からの御意見をちょうだいをしているところでございます。
  86. 青木一彦

    青木一彦君 やはり、これも国がしっかりと責任を持って、やはり会議ばっかりあっても物がはかどりません。どうか、一か所、ここで方針を出すんだというものを設置をお願いいたしたいと考えております。  そして、環境大臣にお尋ねいたします、これは決算を見た結果で。  当初予算と補正予算で合計五千三百三十億円の計上が二十一年度決算で行われております。そのうち八・五%の四百五十三億円の不用額が計上されています。これ八・五%、二十一年度決算、ほかの省庁と比べましてもかなりの僕は金額だと思います。八・五%もの税金が要らなかった。予算要求の時点で、ある程度ニーズをしっかりつかんでいなかったんじゃないか。なかなか自民党政権下のことですので質問しづらいんですが、これ把握できていなかったのではないか。この点、お伺いいたします。
  87. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) 御説明申し上げます。  平成二十一年度予算におきましても、温暖化対策、また自然環境保全、また循環型社会づくり、様々な政策を推進するために、その時点時点でのニーズを踏まえて予算要求をさせていただいているところでございます。  御指摘の不用でございますけれども、主に地方公共団体、市町村が実施主体になります廃棄物処理施設事業におけるものが多かったわけでございます。その要因でございますけれども、廃棄物処理施設、焼却施設あるいは最終処分場の埋立施設などでございますけれども、地元調整が整わずに用地買収がその年度難航した、したがってその年度に事業に着手できなかった、また施設規模の見直しなどによりまして事業計画が変更された、また契約の価格が予定を下回ったというようなことから不用が生じたものと認識しております。  今後とも、ニーズを的確に踏まえた予算の要求、執行に努めてまいりたいと思います。
  88. 青木一彦

    青木一彦君 今話ありました産業廃棄物施設整備費などの関係予算で、公共事業を除けば当初予算ベースで二十一年度千三百二十一億円、二十二年度千三百七十三億円、二十三年度千三百八十一億円、これ年々増えております。これ、極めてほかの省庁と比べると珍しい、年々増えているという予算計上していらっしゃるところは珍しいと思います。私、やはりより適切な当然執行が求められる、先ほども答弁ありましたが、それに関して何か努力していらっしゃいますか。
  89. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) 御説明申し上げます。  予算の執行につきましては、これは各省共にでございますけれども、私ども環境省におきましても、予算監視・効率化チームを設けて行政事業レビューを実施し、その結果に基づき予算の要求、執行を図っているということでございます。  ちなみに、廃棄物処理施設事業につきましては、環境省全体の予算の枠組みの中で、平成二十二年度予算は、二十一年度、不用を出しました二十一年度に対しまして七九・七%、二十三年度、今年度予算は、更に前年比に対しまして八九・三%と年々縮減をさせていただいておりまして、その分ほかの政策課題に対応するという予算を組ませていただいているところでございます。
  90. 青木一彦

    青木一彦君 新エネルギー予算の中で、これ私が思いますに、先ほど田城委員の方からもバイオマスのお話ありました。これ、エコカー事業、バイオマス事業、地球温暖化対策に関する事業、これ他省庁とまたがった、重複している事業があります。例えば、今話題になっております太陽光発電、これは文部科学省さん、農林水産省さん、経済産業省さん。そして、次世代自動車、これは環境省、国土交通省、経済産業省。バイオマス制度導入支援事業においては環境省、先ほども農林水産省の中でも各局にまたがっていると言われましたが、農水省さん、経産省さん。このように複数の省庁でかなりばらばらに対応しているんですよ。  これ、もっと一元化して対応した方が、管理した方が効率がいいんじゃないですか、お尋ねいたします。
  91. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 御指摘の件、経済産業省とすれば、まさに経済産業省が、これ、エネルギー政策の観点からそういった予算要求をやらなければいけないという立場はございます。しかし、今委員も御指摘がございまして、国民の目線と申しますか、ここから見ますと、なかなかそれは重複しているんではないだろうかという指摘もございます。私どもは、昨年の十月の事業仕分の中で、そうした視点が必要ではないだろうかということを痛切に感じたわけでございます。  そして、今、経済産業省としましては、これからこの地球温暖化対策のための税というものがいずれ導入されるだろうと思っておりますけれども、これが導入されました場合は、当然のことながら新エネルギー関係の予算が拡充されることにもなりますから、ですから、昨年十二月の政府税制調査会の場において、経済産業省環境省の間で合同で行政事業レビューを今後実施することなどを表明をしております。  今後とも、昨年十月の特別会計の事業仕分の結果を踏まえ、適切に対処していきたいと思っております。
  92. 松本龍

    国務大臣(松本龍君) 今お話をされたとおりであります。  地球温暖化対策に係る予算の取りまとめは環境省が行っております。環境省そのものの予算は二千億というかなり小さい額であります。そういう意味では、最終的には無駄や重複がないように取り込んでいるというふうに私どもは思っておりますし、これからやっぱり、事業仕分でも指摘されましたけれども、省いて省いて省いて、環境省の省でありますけれども、省いて、様々重複がないように努力はしていきたいというふうに思っております。
  93. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) エネルギー対策でございますけれども、エネルギーそのものの効率的な利用とかいう観点もあるかと思います。今、地球環境問題というのがあります。しかし、農林水産省がなぜバイオマス等に取り組んでいるかといいますと、エネルギーの問題もあるんですけれども、それを、エネルギー対策を通じて農山漁村の活性化というものがあります。例えばで申し上げますと、我々余りそこのところは進んでいないわけですけれども、ドイツの例でちょっと申し上げさせていただきたいと思います。  今、青木委員御指摘の中に総務省的な観点というのが入っていなくて、総務省のものは入っておりませんでしたけれども、私、二〇〇七年に菅総理と一緒にドイツの黒い森の視察に参りました。十日ほどじっくり見てまいりましたけれども、そこの中でどういうことが分かったかといいますと、固定価格買取り制度がございました。専ら環境上の問題あるいはエネルギー上の問題からやられているような感じを受けると思いますが、全く違った観点からもなされているということが分かりました。  ある大きな製材所に行きました。屋根は全部ソーラーパネルになっておりました。それから、バイオマス発電所もありました。消費電力が一キロワット十ユーロセント。それに対して、太陽光発電は五十ユーロセントで買い取られます。バイオマスは六十ユーロセント。そこの製材工場の社長さんが言ったのは、ドイツ政府、EU政府に足を向けて寝れない、環境政策に名を借りて我々のところにお金が下りてくる、だからこの地方で、この山の中で自分は製材工場を運営し、森を管理できているんだと。日本にはこのような制度は全くなかったのではないかと思います。  今、竹下さんのふるさと創生資金がありました。今、ふるさと納税制度というのがあります。しかし、あれはお情けにすがっているような気がしてなりません。我々、これから考えなければいけないのは、制度としてそういうようなもの、環境政策、エネルギー政策、あるいは地域振興政策、そういったものを加味した制度をビルトインして、田舎でもきちんと生きていけるような形にしなけりゃいけないと。そういう意味では、私は、農林水産省がバイオマスエネルギーの観点から見ますと相当力を入れていっていい分野ではないかと思っております。それからもう一つ、総務省の方からもそういった観点で是非やっていただきたいような気がいたしております。  ですから、それぞれ政策目的が違います。ティンバーゲンという経済学者がおったんですが、一つの事業で複数の目的は達成できないということを経済学の教科書に書いております。そういった観点からすると、それぞれ違った目標で違う事業があっても、ある程度は私は仕方がないことではないかと思っております。
  94. 青木一彦

    青木一彦君 あと、文部科学省さんからもいらしていますので、御意見をよろしくお願いします。
  95. 岡誠一

    政府参考人(岡誠一君) 文部科学省では、環境を考慮した学校施設、いわゆるエコスクールの一環として太陽光発電など新エネルギーの導入について取り組んできているところでございまして、当該経費に対して国庫補助も行っております。  このうち、公立学校につきましては、学校設置者が効率的に新エネルギーを導入できるよう、経済産業省などの関係省庁と連携したエコスクールパイロット・モデル事業を実施しております。特に、太陽光発電につきましては、現在、パイロットモデル事業の対象となっている他省庁の補助制度で学校施設が対象になっているものはなく、重複はないものと考えているところでございます。
  96. 青木一彦

    青木一彦君 続いて、京都メカニズムクレジット取得事業費についてお尋ねいたします。  私、京都議定書、これから、京都メカニズムクレジット取得事業というのが始まっておりますよね。これ、いろいろ調べてみました。よく分からないと言っちゃ変な表現ですけど、一応、二十一年度予算を見ますと、環境省さんと経産省さんで大体二百十億近くお互いに同じ予算が計上されております。これはCO2削減目標、京都議定書の、京都メカニズムでは、この六%分の一・六%を購入するというふうになっております。  このときに、従来のいわゆるCDM、クリーン開発メカニズムというものがありますよね、これとGIS、グリーン投資スキームというのがあります。この二つあるわけですが、この購入の実績の中で、私、ここも今日、委員皆さんもよく分からないと思うんですが、まずはこのメカニズムの説明をどなたか簡単に、簡潔明瞭にしていただいた後で、その後もう一回お尋ねしたいと思います。
  97. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 環境省鈴木正規地球環境局長、簡潔にお願いします。
  98. 鈴木正規

    政府参考人(鈴木正規君) 今御指摘がありましたように、他国での排出量を自国の削減にカウントできる仕組みというのが京都メカニズムでございます。そのメカニズムの中には三種類ございまして、一つが今御指摘がありましたCDM、クリーン開発メカニズムということで、先進国と途上国が例えば共同で事業を実施し、その削減分を投資国が自国の目標達成に利用できる、こういうふうな仕組みとか、あるいはグリーン投資スキーム、GISと呼ばれておりますが、これは先進国が他の先進国に対して資金を拠出する一方で、拠出を受けた先進国が自国の中で目標以上のCO2の削減を実施すると、こういうふうな仕組みでございまして、こうした他国での取組が自国の資金を拠出した国の削減としてカウントすることによって地球全体のCO2の削減を進めていこうという仕組みでございます。
  99. 青木一彦

    青木一彦君 これ、さっき三つあるとおっしゃいましたが、これ、大体毎年、二十一年度予算でいいです、どれぐらいお金、先ほど言いました、使っていらっしゃるのか、どれにどれぐらい購入で使われたのか、CDM、GISを含めて、その辺をお知らせください。
  100. 鈴木正規

    政府参考人(鈴木正規君) これまで大体五年間で約一億トンを購入するという予定にしておりますけれども、このうち契約済みのものは約九千八百万トンでございまして、そのうち七千五百五十万トン、大部分がGISというふうな姿になっております。
  101. 青木一彦

    青木一彦君 ありがとうございました。  やはり、これからどんどん、これはCDMよりもGISの方を伸ばしていくというふうに考えてよろしいですか。
  102. 鈴木正規

    政府参考人(鈴木正規君) 京都の第一約束期間におけます一・六%分というのはほぼ購入が終わっているということがございます。したがいまして、今後こうしたものをどういうふうに活用していくかということについては、二〇一三年以降どういうふうな枠組みができるか等々、いろいろな不確定な要素がございますのでまだはっきりした方針はございませんが、そうしたそれぞれの状況の中でまた適切に判断していく必要があろうかというふうに思っております。
  103. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 松本大臣、引き続いて。
  104. 松本龍

    国務大臣(松本龍君) 今、地球環境局長が言ったことに尽きると思いますけれども、JIとかCDMとかGISとか、私、十回ぐらいこれ勉強しましたけれども、今日もまた勉強し直さなければならないくらいかなり複雑なシステムになっております。  そういう意味では、これからの世界の状況を踏まえ、カンクン合意も踏まえていきながら、今年もCOP17が十一月、十二月にございますので、しっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。
  105. 青木一彦

    青木一彦君 今、CDM、これまで登録されました、二千三百件ぐらいあると思います、登録されたのがですね。このうち、日本が関与したものというのが三百五十件しかありません。そして、日本の技術を使ったというものが十四件しかありません。そして、この二千三百件のうち、CDM、先ほどのCDMの最大の受益国は中国なんですよ。今までの合計で約四千億もの巨額な資金というものが中国に流れております。  ここ、やはりどうしても私、理解できない部分がございまして、ちょっとこの辺を御説明していただくと有り難いと思いますが。
  106. 鈴木正規

    政府参考人(鈴木正規君) 先ほども申し上げましたように、この京都メカニズムは、他国において、途上国の場合は途上国において追加的にCO2がどれだけ削減できたかというものを計算した上で、それをその資金を拠出した先進国の削減としてカウントするというスキームですので、先進国の資金を使って地球全体のCO2を削減するという意味では非常に重要な役割があろうかと思いますけれども、実際上こうした追加的な削減量がどれだけかという計算をするためには一定の能力が要るということでございます。また、それだけの大きな削減ができるためにはその途上国が大きな削減のポテンシャルを持っている必要があるということでございまして、そういうふうなことでやってまいりますと、今委員が御指摘ありましたように、非常に経済力が大きくて一定のノウハウを持っている中国、そしてインドも若干ございますが、そうした国に集中してしまうという点が問題点の一つとして指摘されていると。  また、追加性という、追加的にCO2が削減できるということの追加性の解釈が非常に厳しいということで、なかなか日本の省エネ技術が十分正しく評価されていないのではないかという指摘もございます。  こうした指摘がちょっと少し問題ではないかというふうに思っておるところでございます。
  107. 青木一彦

    青木一彦君 おっしゃるとおりだと思います。  先ほど、竹下総理のお話しましたが、やはりポスト京都というものに向けて我が国の低炭素技術、やはり海外での排出削減の貢献が直接排出量削減にカウントできる、そういう仕組みというもの、これは僕は一番いいと思います。そうすることによって産業、輸出にもつながるし、日本の国益、お金直接出さなくてもいいわけなんですよ。非常に私、有効なことだと考えますが、環境省、そして環境大臣、経産大臣、ポスト京都議定書、京都クレジットについてお尋ねいたします。
  108. 松本龍

    国務大臣(松本龍君) 大変重要な御指摘だというふうに思います。我が国の優れた環境技術、私は世界一だと思いますし、製品の提供などを通じて、今言われました温室効果ガスの削減を実施をしていかなければならない。また、世界全体でこの削減に貢献をするという日本はやり方をしていかなければならない。重要な御指摘だというふうに思っております。  そういう意味では、そういったものの実現可能性調査や事業の担い手となる環境省としては、人材の育成にも着手をしておりますし、関係省庁とも連携をしているところであります。  昨年十月には、インド、ベトナムとこうしたメカニズムを含む二国間協力を進めることとした首脳による共同声明を採択をしたところであります。今年二月には、日本政府として国連に対しこのようなメカニズムの必要性を提案をいたしました。昨年十二月、カンクンで行われましたCOP16のときでも、私はインドのラメシュ環境大臣始め各国の首脳にその働きかけをしてまいりましたし、また、経団連の坂根さんもお見えになって、いわゆる世界の経済界ともそういう話をしていきながら、今熟成をさせているというところであります。
  109. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 今、環境大臣からお話があったとおりであります。私どももこの二国間クレジットの制度をしっかりと日本の利益になるよう後押しをしていきたいと思っております。
  110. 青木一彦

    青木一彦君 私、これは質問通達出しておりませんでしたが、今日せっかく、私も日ごろ非常に農林水産委員会で尊敬いたしておりまして、非常に丁寧なお答えをいつもいつも真摯な態度でしていただいております鹿野農水大臣、そして海江田経産大臣、TPPのことについてお尋ねいたします。  せっかく二人いらっしゃいます。これ、まるで、マスコミ論調を見ていますと、第一次産業バーサス工業界、こういう図式にしか私は見えません。もっとほかにいろんなところ、議論していかなきゃいけないというふうに思っております。  先般、菅総理は閣議で、六月末に決定をするというTPP、参加するか参加しないか含めてこれを、まあ文書見ますと、どう見てもこれは先延ばしですよ、先延ばしされるようなことをおっしゃいました。やはり、せっかくお二人来ていらっしゃいます。もう僕はここは、本当どうするのか。これは第三の開国だとおっしゃいました。本当に大事なことです。そして、三・一一以降、今一番被災地で被害を受けているのは、ほかもいろいろあると思いますが、一次産業だと思います。  やはり、強い日本の一次産業をつくると、そういった意味でも、今回、TPPというものをはっきりやめる、やる、そういうことを含めて議論を進めていらっしゃるのか、お二人せっかく大臣来ていらっしゃいますので、お尋ねいたしたいと思います。
  111. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 五月の十七日におきまして、改めて政策推進指針ではTPPの参加時期については総合的に検討すると、こういうふうなことを閣議決定いたしたところでございます。  今委員からいろいろお尋ねがあったわけでございますけれども、今私どもといたしましては、やはりこれだけの大震災、そして原発事故がまだ収束していない、こういう状況の中でどうやって被災地の漁業あるいは農業を復旧復興させていくか。そして、また同時に、大変お困りになっておられるこの原発事故の問題で毎日毎日の生活が大変厳しい状況に追い込まれている方々に対してどう具体的な施策を講ずるか、これは私はまず政治全体の責務だと思っております。  そういう意味で、今後、今回のこの大震災によって被災を受けられた漁業者、農業者の方々の心情を配慮しながら総合的に検討する、ここに全てのものが含まれているものと私は考えておるところでございます。
  112. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 今、鹿野大臣から政策推進指針、これについてのお話がありました。私も基本的にはこの政策推進指針のとらえ方、考え方、これは同じでございます。  ただ、私の経済産業政策を預かる立場といたしましては、やはり今回の大震災、それから原子炉の事故もございまして、やはりこの原子炉の事故によりまして例えば電力の供給が大変不安になってくると、そういうときに、ただでさえも日本の産業、日本の企業が日本から逃げ出していってしまうというようなことも予測されるわけであります。そうしたときに、やはり日本が外に打って出ると申しますか、日本の中で物づくりができる環境を整えて、そしてそこで作った製品を広く海外に売って企業はしっかりと収益を上げていく、こういう立場も必要でございますから、その意味で私どもは、TPPにつきましては、昨年の閣議のところで確認をしたその基本原則は踏まえて、そして交渉参加の判断についても閣僚間のやはり協議が必要でございます。十分納得のいく議論が必要でございます。その議論を通じてできるだけ早く判断をすべきであろうと、こう考えております。
  113. 青木一彦

    青木一彦君 今、当面、私先送りだと思っております。今年の十一月にハワイでAPECがございますよね。このときまでには何かしらの方針というものが私、出てくるんじゃないかなというふうに思っております。ということは、すなわち、このときにはある面で今の被災地、復旧から復興の兆しが見えた、そういうときじゃないと私は判断をすべきじゃないというふうに確信をいたしておりますが、まだそういうことが決まっているわけじゃございませんよね。両大臣にお尋ねいたしたいと思います。
  114. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 私は、この原子力事故についても責任のある立場でございますから、一日も早くこの原子炉の事故を収束をさせて、そして本当に天下晴れてこのTPPの議論ができる、TPPについてのゴーサインが飛ばせられるように努力をしなければいけないと、こう思っております。
  115. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 先ほど御答弁申し上げましたとおりに、総合的に判断をしていく、検討していくと、こういうことでありますから、まず復旧復興、やはりきちっと漁業者あるいは農業者、そしてその地域の方々、そして原発事故に対してどう対処しているかということに対して見通しがきちっと立った中で、やはりいろいろと具体的に施策を講じていくというふうなことが望ましいのではないかなと私は思っておるわけでございまして、今この時点でいつごろというふうなことはなかなか申し上げる段階には至っていないものと思っておるところでございます。
  116. 青木一彦

    青木一彦君 三大臣とも、私、生意気な質問をいたしたと思いますが、本当に丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございます。  私、最後に、さきの大戦前に、中野正剛、当時の朝日新聞主筆の緒方竹虎に頼まれまして、これ一九四三年の日、元旦の紙面で東条英機首相を批判しました。国は経済によりて滅びず、敗戦によりてすら滅びず、指導者が自信を喪失し、国民が帰趨に迷うことによりて滅びるのであるというふうに論じました。私は、しっかりこの言葉を肝に銘じてこれから頑張っていただきたいということを最後に申し上げて、質問を閉じさせていただきます。  ありがとうございました。
  117. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  118. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 速記を起こしてください。
  119. 若林健太

    若林健太君 自由民主党若林健太でございます。  青木委員に引き続いて、今日、経産、農水、環境の三大臣、大変お忙しい中、こうやって前にして質問をさせていただく機会をいただきました。その胸を借りて御質問を申し上げたいというふうに思います。  ちょっと順番が早く回ってきましたので、質問の順番、少し変えてお伺いしたいと思います。  先ほど青木委員からもエネルギー基本計画について質問がございました。少々重複するところあると思いますけれども、経産大臣にお伺いしたいと思います。  昨年、エネルギー基本政策については現内閣の下で改定をされて、二〇三〇年まで十四基の原発を新設するということを含めて、新しい基本計画が改定をされました。  菅総理は、五月十八日の記者会見で、今回の三・一一、その後の福島原発事故を踏まえて、エネルギー基本政策を白紙から見直すと、こういうふうに表明をされましたが、具体的にいつまでにこの結論を出して具体像を示していくのか、その目算はどのように見ておられるのか、お伺いしたいと思います。
  120. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 若林委員にお答えをいたします。  エネルギー基本計画でございますけれども、これはエネルギー政策基本法に基づく決定でございまして、この法律では少なくとも三年ごとに検討を加え、必要に応じて見直すということになっております。直近では昨年の六月でございますので、まだ三年の中にございますけれども、総理の発言、それからやはり議論も十分に行わなければいけません。国会での議論あるいは国民各層の御意見を承りながら、前倒しも含めて考えていかなければいけないなと思っております。
  121. 若林健太

    若林健太君 前倒しをして検討をしていく、しかし期限は今定まっていないと、こういう御回答だったと思うんです。  先ほどもお話がありましたが、菅総理はドービル・サミットとその前のOECDの席におきまして、再生可能エネルギーを二〇二〇年に二〇%にすると高らかに宣言をし、同時に、太陽光パネルを一千万戸設置というのを打ち上げたわけであります。これはまさに総理大臣が国際会議で申し上げるわけですから国際公約をしたと、こういうふうに受け止められているわけでありますが、大臣は報道によりますと聞いていないと、こういうお話もありましたが、この国際公約をするについて当然事前に御相談があったと思いますけれども、いかがでしょうか。御相談ありましたか。
  122. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) このエネルギー政策につきまして、とりわけサミットでどういう発信をしようかと、主にこれは東京電力福島第一発電所事故もございましたから、それを踏まえてどういう発言をしようかという相談はございました。二回ほどだったと思いますけれども、首相官邸でそのお話をしたことはございます。  ただ、その中身は、先ほどもお話をしましたけれども、これからのエネルギー政策、やっぱり四つの柱が必要だなということ。その中で、もちろん再生可能なエネルギー政策を力を入れなければいけないというお話はございましたけれども、例えば一千万戸の家屋、屋根に全てソーラーシステムをとか、そういうお話は報道を通じて初めて聞きましたので、そのことを記者さんに聞かれましたからお話をしたということでございます。
  123. 若林健太

    若林健太君 総理の国際公約が担当大臣に相談もせずに発せられたということが今明らかになったわけでございまして、そんなことが本当に許されるのかと、大変驚きを覚えるわけでございます。報道では三〇%と言いたいというのを何とか抑えたという話もありまして、それは本当によかったというふうに思いますけれども、非常にそこは問題だと、こんなふうに思います。  現状のエネルギー基本政策、二〇三〇年に二〇%、これも実は大変意欲的な目標値だというふうに言われているんですね。この目標を達成するためにエネルギー基本計画においては、民間を含めた民生部門で累積投資総額というのは大体百三十一兆円必要だと、さらに産業部門では六十二兆円必要だと、こういうふうに言っているわけで、これを政府とそれから民間とがどう分担していくのか、綿密な計画を持ってこのエネルギー基本政策を組んでいると、こういうことでありますが、今回十年前倒しをしました。この十年前倒しをすることによってこれらの基礎的な数字はどのように変わっていくのか、これは当然担当大臣として、大変恐縮ですけれども、目算を持っておられるかと、こんなふうに思いますが、いかがでしょうか。
  124. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 総理の発言の中で、この太陽電池の発電コストを二〇二〇年には現在の三分の一、二〇三〇年には六分の一まで引き下げることを目指すという発言がございました。  経済産業省としましては、今後、革新的技術開発や、それから御審議をお願いをいたします固定価格買取り制度、こういう制度を導入いたしましてこの目標を達成すべく努力をしていきたいと思っております。  その中で、系統安定化対策費用というのがございますが、例えば太陽光発電が二〇二〇年までに二千八百万キロワット導入された場合、今後の技術開発動向や出力抑制、蓄電池施設のバランスなどにもよって異なってまいりますけれども、累積一兆五千億円ですね、この程度と試算をされております。そして、更なる導入拡大に当たって必要となる費用の試算については今後検討しなければいけないと思っております。
  125. 若林健太

    若林健太君 今のお答えは次の質問で用意していたお答えでございましたが、結構でございます。  そうすると、先ほどお話しした累積投資総額、これについてはまだこれからだと、こういうことになるでしょうか。もし大臣、御用意あるようでしたら、お伺いしたいと思います。
  126. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) これからということで準備をしております。
  127. 若林健太

    若林健太君 技術革新によって一キロワットアワー当たりのコストを削減する、これは、先ほどの数字というのは二〇三〇年二〇%の数字を二〇年に置き換えたにすぎない数字でありまして、それが国家として、政府がどれぐらいの投資をし、そして民間がどれぐらいの負担をしなければ実現できないのか、こうした検討がなされたものではないということが明らかになるわけでございます。  総理の言葉というのはやっぱり重いと思うんですね。国際公約で数字の目標を示すということは、これがもし実現できなかったとき、これは日本にとって信用を物すごく著しく傷つける、そういう問題になりかねないことだと思いまして、担当大臣と綿密な数字の打合せをする、これは当たり前のことだと。このことができていないというのは、今の菅政権、これは、実はある役所の方に言わせると、前政権のデジャビュを見ているようだと、こういう話もありましたが、こうした裏付けのない国際公約をしていくということに大きな問題がある、このことを御指摘を申し上げたいというふうに思います。  それでは、続いて、福山副長官お見えになりましたので、早速予定した質問をさせていただきたいと思います。  福島第一原発事故において、初動の対応というのはいろんなところで、委員会で質問されてきておりました。これについては、今後、事故調査委員設置されて、国際社会に対して日本の責任としてしっかりと事実の解明をしていくことが必要だと、このように思いますが、今日、先週大変話題になりました海水の注入についてお伺いをしたいというふうに思います。  この件は、政府東電の発表が二転三転をしまして、日本情報開示の信頼性に対して大きく傷を付けてしまって国の信用をおとしめたと、このように思います。先週は毎日、新聞に出てくる情報が違って、新事実見るたびに私も驚き、そして残念な思いを募らせていたものでございます。  当初、原子炉の損壊を嫌がって海水注入を拒んでいた東電を政治主導によって政府がこの海水注入をやらせたんだと、このような御説明でありましたが、実は、政府の指示が下りる十二日二十時五分より、その一時間ぐらい前の十九時四分から現場の判断によって海水の注入が行われておりました。その後、官邸で海水注入の是非について議論をしていることを踏まえて一時中止をするというように東電、本部でしょうか、現場に指示があり、二十時五分に海水注入のこれは経産大臣の命令があって、二十時二十分再開をしたと公表されたわけであります。ところが、その後、現場は実は十九時四分の注入後中断をしていなかったと、ちぐはぐな対応が明らかになりました。  この事実について、全体の今の流れ、これで間違いありませんでしょうか。
  128. 福山哲郎

    内閣官房長官(福山哲郎君) 若林委員にお答え申し上げます。  先ほど、八時過ぎに海江田大臣からの注水の指示があったという御指摘がございました。それは、正式に海江田大臣から注水の指示があったわけですが、その前に、六時過ぎの我々の打合せの中で海江田大臣から海水の準備を進めるようにするべきだと。我々としてはずっと海水の注入というのは必要だという認識でありましたので、その結果として、海水注入を継続したことの是非は別として、我々としては海水注入が必要だという認識だったということは一貫しております。  一方で、事実関係が正確に報告や伝達がされなかったことに関して言えば、非常に遺憾に思っておりますし、東京電力に対してはしっかりと正確な報告を行うこと等も含めて今指導しているところでございまして、委員おっしゃられましたように、いろんな情報が二転三転したことは遺憾であると感じます。
  129. 若林健太

    若林健太君 この間の政府等の対応に対して多くの皆さんが不信に思っているのは、東電内部の混乱ももちろんそうでありますけれども、政府東電に責任を押し付けるその姿に大きな不信感を持っているということも忘れないでいただきたいと、こんなふうに思います。  今回のやり取りで問題点は大きく二つあると思うんですね。一つは、政府東電の二転三転する発表に日本情報開示への内外の信頼を失ったこと、これは先ほども御指摘申し上げました、答弁をいただきました。もう一つは、初動段階で現場とそれから官邸を含む本部との信頼関係がつくり上げていなくて、危機管理の司令塔としての役割を全く果たしていなかったと、このことだったというふうに思うわけです。  危機管理の司令塔としての問題であったという根拠は、これも二つあるというふうに思いますが、一つは、意思決定をするのに大切な現場の重要情報、この重要情報を本部が把握していなかったという点、この点が一つあります。もう一つは、迷走する官邸と東電本社への不信感を抱く現場は、結局、吉田所長の英断によって海水注入を続行し続けるという判断に至ったわけであります。それで結果はよかったじゃないかと、こういう話もありますが、事はそういうわけにいきません。この国家の一大事に当たって、危機管理の司令塔、この司令塔の指示に従わなかった現場、こういう事態というのが大変甚だ司令塔としてのまさに役割を果たしていなかったと、こういうことになるんじゃないでしょうか。  生半可な知識で海水注入による再臨界に懸念を挟み、現場に介入をする。実は、現場は、そんなこと今ごろ言われたって相手にできないと、こういうことで、八時に政府大臣名で命令をしたときにはもう既にずっと実行していたと、こういうことであります。本部はまさにマネジメントコントロールが全くできていないと、こういうことが明らかになっていると、こんなふうに思います。  まず、前者の問題です、前者の問題。  総理は、五月二十三日、衆議院震災復興特別委員会の質疑で、事前の海水注入の事実を知らなかったと、こういうふうに答弁をし、知らないものを止めることはできないというふうにおっしゃっておられました。しかし、その後の報道で、東京電力は十二日の十五時二十分、原子力保安院に海水注入についてファクスにて事前報告をしていたということが明らかになっています。この情報は官邸に届いていなかったんでしょうか。あるいは、届いていたけれども総理に伝わっていなかったんでしょうか。そのことをお伺いしたいと思います。
  130. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) まず、若干副長官のお話も数字が正確でありませんので、正確に、証拠もございますから、基づいて言います。  私が、東京電力に対して福島第一原子力発電所号機格納容器を海水で満たすよう、炉規制法というのがございます、この炉規制法第六十四条第三項の措置命令を出したのは十七時五十五分であります。そして、東京電力の本店内で私からの命令が情報共有されたのが十八時五分であろうかと思います。そして、東京電力がその後十九時〇四分から海水を注入をしたわけでございます。ただ、その海水を注入したということは、私も当時官邸におりましたけれども、情報としては受け止めておりませんでした。ですから、私の気持ちとすれば、十七時五十五分に出しましたけれども、まだ入っていないということで大変やきもきしたという印象がございます。  事実は、それで、総理も、この十九時〇四分の段階で東京電力が海水注入を開始したという情報は入っていなかったはずであります。ファクスなのか電子情報なのか、それが官邸の危機管理のところに届いていたというようなことはあるようでございますが、少なくとも、その官邸でまさに海水を入れるべしということを考えていた私どもにはその情報は入っていなかったということは、これは本当に事実でございます。
  131. 若林健太

    若林健太君 十五時五十五分ですかね、にファクスが送られていたもの、これ現場の情報とすれば大変重要な情報だと思いますけれども、それが意思決定権者に届かなかった、これは大変な問題だと、こんなふうに思いますが、海水注入をされているかどうかというのは分からなかったと。(発言する者あり)十五時二十分に原子力保安院に海水注入についてのファクスが事前報告されていたと、こういうことになっていますが、それに対して知らなかったと、こういう……(発言する者あり)十五時二十分です、はい。
  132. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) ちょっとその点、事実確認して。事実確認を。
  133. 若林健太

    若林健太君 整理していますよ。(発言する者あり)うるさい。  十五時二十分に原子力保安院へ東電からファクスにて事前報告をしていたと、しかしこれを知らなかったと、こういうふうに言われている。情報伝達に問題があったのではないのかと、こういう指摘であります。
  134. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 海江田経済産業大臣、多少さっきの話と違いますので。
  135. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 十五時二十分、正確な時間は分かりませんが、十五時二十分ごろ東京電力が、今後準備が整い次第、消火系にて海水を炉内に注入する予定である旨を原子力安全・保安院、それから内閣官房等へ連絡あったことは事実でございます。ただ、大変残念なことでありまして、その責めは負わなければいけないと思いますが、実際にこの指揮を執っておりました私どものところには、さっきもお話をしましたけれども、十九時〇四分にこの注入を開始したということも知らなかったわけでありますから、その意味ではその情報が不行き届きであったと思います。  ただ、一つだけあと事実関係として御説明をしますけれども、私どもは官邸の中におりまして、そして最初は危機管理の下の方の部屋にいたわけでありますが、ここは携帯電話なども通じないことになっておりますし、津波やそれから大震災のオペレーションで手いっぱいでございまして、そして原子力関係は上の総理の方の執務室の隣に上がっていったということもございます。それで、そこから今度は、実際の東京電力のオペレーションをやっておりますのは本店の中にありますオペレーションルームでありまして、それからもう一つが現場の第一発電所の中の重要免震棟と申しますが、これは中央制御室とはまた別の建物でありますが、そこで実際の現地のオペレーションはやっていたということでありまして、それぞれの間のこの行き来というものが大変そごを来しておりましたものですから、十五日以降、私どもが東京電力に行きまして、そこで少なくとも私どもと東京電力の本店との間の情報というのは共有ができました、これは。  そういう事実関係でございます。
  136. 若林健太

    若林健太君 いずれにしても、大変重要な現場の情報が上がっていなかった、これは危機管理上の大きな問題であると、このように御指摘を申し上げたいというふうに思います。そして、何よりも現場との間で信頼関係がしっかりつくり得ていなかった、そのことが、一時中断ということが当初言われ、それに対して現場が従わないと、こういうような事態に至る、こういったことになったんではないかというふうに思うんですね。  今後、原子力事故、今現在進行形です、まだまだこれから収束に向けて海江田大臣を含めて頑張っていただかなければいけない。是非現場の皆さんに、それを信頼して、そして大きく権限を与えて、政治家は責任を取ると、そういう姿勢をしっかり示すということが大切だと思うんですね。生半可な知識で現場の手続について意見を言ったり介入をすることがいかに混乱をするか、これは、これに限らず、会社を経営するにしてもいろんな組織運営するにしても通ずることだと思いますので、そのことを御指摘を申し上げさせていただきたいというふうに思います。  福山副長官、忙しいところ済みませんでした。これで、ありがとうございました。
  137. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) どうぞお引き取りください。
  138. 若林健太

    若林健太君 引き続いて、エネルギーの問題について御質問させていただきたいというふうに思います。  浜岡原発のあの唐突な停止要請というのがございました。法的な根拠を持たずに、地元自治体への連絡もなく発表した、このことによって現地の自治体は大変国に対して大きく不信感を持っていると、こういうふうに言われています。原発が立地あるいは立地予定の十四道県知事らでつくる原子力発電関係団体協議会、この会合では、浜岡原発だけに要請した根拠が不明瞭である、そういうようなことが指摘をされて、我が県でも原発、今休止している原発ですね、その再開は認められないと、こういう意見も出ているところであります。  その後、先週の報道によりますと、福島原発、あの事故は津波が一番の問題だったと、私どももそう思っていました。したがって、緊急で再調査、安全基準の見直しをしたのも津波が中心の対策を練ったわけですけど、実は地震によって損壊した部分もあったんではないかと、こういうことが指摘されています。  立地自治体の知事さんの中では、地震に対する安全基準もはっきりさせてくれと、こういう意見も出ているところでございまして、休止中の原発を抱える自治体のこういった声に対して今どのような対策を練ろうとしているのか、早急に安全基準の見直しをし、そして、それぞれの原発見直しをした上で自治体の首長さんたちに理解を得ていかなきゃいけないと思うんですけれども、その手順は踏んでおられますかと、この質問をさせていただきたいと思います。
  139. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) まず、三月十一日の東京電力福島第一発電所事故が起きましてから、三月三十日に緊急安全対策を指示をいたしました。それによって報告が返ってまいりまして、それを現地の保安院の職員が実地の立会いの検査をやりまして、そして国が責任を持って緊急安全対策は確認できているということでございます。  ただ、そうした書類を発出するだけではいけませんから、原子力安全・保安院の職員が二十五か所以上の地元の自治体を訪問をしまして、そしてその結果について細かくお話をしているところであります。  ただ、地元の自治体だけでもいけませんので、知事などには私も直接お目にかかったり電話でお話をしておりますが、できるだけ私も多くの原子力発電所を回りまして、そして立地の首長さんとお話をしなければいけないということで、昨日は女川に参りまして、女川の町長さんと少し二人だけでもお話をいろいろしてきました。  そういう直接私どもが責任を持つということをやはり地元の皆様、とりわけ町長さんなどにはお話をする必要があろうかと思っております。
  140. 若林健太

    若林健太君 今、定期検査中の原発、これは原発は十三か月稼働して一か月お休み取ると、こういうことでありますが、その再稼働というのがずっと止まっております。これは委員会の皆様方も御存じのとおりだと思うんですね。これがこのまま再稼働しないで夏の需要期を迎えると大変なことになると、こういうことが指摘されているわけです。  もしそうなったときというのは、需給バランスでいう供給余力の予備率というんですか、余力でいくと、これは東京電力が厳しいだけじゃなくて、北陸も、実は関西電力も予備率がマイナスになると、こういう状況でありますし、一〇%を超えるのは中国電力だけだろうと、こんなふうにも指摘をされているわけで、今言われている東電、東北電力の問題は全国へ広がると、こういうふうになります。  六月中旬、美浜がどうなるのか大変注目されているところですが、夏の需要期に対してエネ庁として、経産大臣としてどのように考えておられるか、その決意、取組のほどを教えていただきたいと思います。
  141. 田嶋要

    大臣政務官(田嶋要君) お答えを申し上げます。  若干重複になるかと思いますけれども、おっしゃっていただいたとおり、夏の電力の需給は非常に逼迫しているということで、これは東京、東北管内のみならずということだと思いますが、まずは全国的な電力不足を必ず回避しなければいけないということで、安全性が確認された原発の運転再開を図っていくということが大事であると考えてございますが、おっしゃっていただきましたとおり、地元自治体の皆様の理解がもちろん不可欠であるということでございます。委員御指摘のとおり、今二十四基動いておりませんが、そのうち夏に向かって十三基を立ち上げたいというふうに考えてございますが、それを一つずつ行っていくと。  三月三十日に指示をいたしました緊急安全対策の確認結果に関しては、これはもう国としてしっかり責任を持つものでございますので、あとは一か所一か所の地元の皆様の御理解を得ていくということによって、今委員が御指摘されましたような需給が逼迫するような事態を何が何でも回避をしていかなければいけないと。  加えて、需給対策に万全を期すべく節電の呼びかけ、あるいは全国内での電力融通といったことでのサポートを国としても行っていくということで、これは東京電力、東北電力管内のみならず、やはり全国的な節電ということはしっかりアピールをしていかなきゃいけないというふうに考えております。
  142. 若林健太

    若林健太君 節電も大事なんですが、復興へ向けての活力を維持するためには節電を呼びかけるよりもまずやるべきことをしっかりやると、こういうことだと思うんですね。安全基準を、今三月三十日、それは津波対策が中心となっている基準で、それじゃ不十分だという指摘を実は知事からされている。改めて、今福島で出てきている様々な情報を踏まえて、新たにしっかりとした安全基準でもう一度知事さんたちに理解していただけるような努力をするべきだと、このように思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  143. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 三月三十日に指示をいたしましたのはあくまでも緊急の対策、そして、委員御指摘のように、主に津波による電源喪失ということに対する対応をしっかりということでございます。  その後にも、四月にも二度ほど指示を行いましたし、それから、今委員御指摘のような地震対策、これが中身がどうなるのかということはまだはっきり申し上げまして確定をしているものではありませんが、そういう今度のこの経験からできるだけ早く教訓を学び取って、それを安全対策の中に反映をさせていかなければいけないというふうに思っております。
  144. 若林健太

    若林健太君 しっかりと対応していただきたいと思います。  エネルギー基本政策、この見直しの中ですが、新しいエネルギー基本政策、総理が打ち出しました。今現在建設中の、例えば大間の原子力発電所等、これらについての扱いはこの見直しの中でどんなふうになっていくんでしょうか。引き続きしっかりと建設をするべきだと、こういう立場でよろしいんでしょうか。
  145. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 具体的にどこということを念頭に置いているわけではありませんが、私どもはやはり今回の地震から安全基準というもののやはり更なる強化ということも考えなければいけないわけでございますから、そうした安全策の強化策もできるだけ盛り込んで、そして本当に地域の住民が、そして国民全般が安心だと思ってもらえるように努力をするつもりでございます。
  146. 若林健太

    若林健太君 先ほど、青木委員に対するお答えでベストミックスだと、こういうふうにお話をいただいておりました。脱原発なのか原発推進なのかではないと、こういうお立場だと、こういうことでよろしいでしょうか。  それでは、これはエネルギー対策特別会計、エネルギー特会というのがありますが、ここから支出されている補助事業について、平成二十二年十月の事業仕分、対象となりました。  その中で、先ほども話題になっていましたけれども、住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金について巨額の補助金、二十二年度四百億ですが、効果が低いということで、あるいは環境省の事業との重複などがあると、こういうことで予算の縮減というのが求められております。  しかし、先ほど来お話がありますように、再生可能エネルギーを四つの柱のうちの一つにしなきゃいけない、新エネルギーに推進しなきゃいけないと、こういう立場でありますから、むしろこれ縮減という方向ではないんじゃないかと、こんなふうに思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  147. 田嶋要

    大臣政務官(田嶋要君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、昨年秋の事業仕分第三弾で、本補助金につきましては二〇%を目途として予算要求の圧縮と、それから出口戦略を明確化と、いつやめるかということだと思うんですが、そういうことの表決がなされまして、それは予算案に反映をしたところでございますが、この二割削減という点は、大体補助金が価格の一〇%ぐらいの補助金付けておったんですが、価格そのものが下がってきてございますので、パネルの、そういう意味では二割を目途とした削減というのは実際に二十三年度の予算の中で実現をしてございます。具体的には、昨年度四百一億円だったものが、今回は三百四十九億円ということでやらせていただいてございます。  住宅用の太陽光発電につきましては、この導入補助制度だけでなくて、二〇〇九年十一月から余剰電力買取り制度を導入ということで、この両施策が車の両輪でございます。そして、この結果として、二〇〇八年に比べまして、昨年太陽光発電システムの国内の出荷量は約四倍というところにまで順調に拡大をしておるところでございます。  こういった、先般のG8サミットの総理の数値目標ということも踏まえまして、委員も御指摘をいただきました、むしろ強化すべきじゃないかということもございますが、財政当局とのもちろん調整もあるわけでございますけれども、確かにメッセージとしては再生可能エネルギーにもっと力を入れようということでございますので、検討していきたいというふうに思っております。
  148. 若林健太

    若林健太君 平成二十一年度決算におけるこのエネルギー特会というのは、歳入が二兆二千五百九十一億円、これに対して歳出額が二兆百七十九億円と、二千四百十二億円もの余剰金が発生しているんですね。これは、過年度実績を十分に考慮されず予算計上され、不用額が継続して発生しているためだと、この点について先ほど青木委員からも御指摘があったようですが、平成十九年決算検査報告、同年度の決算審査措置要求決議においても指摘されていると。会計検査院のこの指摘に対して具体的に講じた対策というのはどんな対策をされているか、お伺いしたいと思います。
  149. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 委員御指摘のとおり、平成二十一年度エネルギー対策特別会計エネルギー勘定における二千四百十二億円余剰金が出ておりますが、このうち、一つは翌年度繰越額が六百二十五億円、それから歳出不用額が六百七十三億円、歳入増加額が三百十七億円、それから前年度剰余金受入れ増加額が七百九十七億円と、こういう内訳になっております。  このうち、最初にお伝え申し上げました翌年度繰越金、これは六百二十五億円、これは、やむを得ない理由で平成二十年度内に事業を完了できず平成二十一年度に継続して使った金額ですので、これは厳密には余ったお金ではありません。  それから、前年度剰余金受入れ増加額七百九十七億円、これにつきましては、平成二十年度において生じた歳出不用額が、これが会計制度上、平成二十一年度の繰入れ予算に計上されないで同年度の歳入決算に計上されたものであります。この仕組みにより、見かけ上、それだけの金額が実際に余ったものと認識されがちでありますが、これもあくまで会計処理の上でのみ出現する金額でございます。  したがいまして、ちょっとややこしいですけれども、厳密に純粋な剰余金と言えますのは、歳出不用額の六百七十三億円と、それから歳入増加額の三百十七億円、合計しますと九百九十億円になります。しかし、この九百九十億円についても、平成二十三年度のエネルギー需給勘定の歳入予算に計上され、その結果として、一般会計からの繰入額が減少してしまうわけでございます。これにより、一般会計の財源確保についてはこの金額が貢献をすることでありますけれども、余ったお金が特別会計の財布の中に残っているということではございません。しかし、毎年の剰余金の額を減らすべく、その発生要因を十分に見極め、歳出予算の見積りに可能な限り反映されるなどの改善は行っていかなければいけないと思っております。
  150. 若林健太

    若林健太君 ありがとうございます。  余った金は一般会計に返すからいいじゃないかと、そんなことでは会計検査院は許してくれないと、こんなふうに思いますが、引き続き、エネルギー特会は、これはやっぱり日本のこれからの成長戦略を描くためにも大変重要な投資をする会計項目でもありますので、是非、将来にわたって有用な形での運用、投資をお願い申し上げたいというふうに思います。  引き続いて、今度は環境関係に移りたいと思います。  福島第一原発事故を受けて政府は、京都議定書による温暖化ガスの削減目標について、未達成国への懲罰適用から日本を除外するように求める方針を固め、関係国との調整に入ったということが報道されております。元々、二〇二〇年、九〇年比二五%削減目標というのは、大変実現性と言ってはあれですけれども意欲的だったと、こういうふうに言われておりましたが、この目標には原発の稼働率引上げと九基の原発新設と、二〇二〇年までですね、そのことが前提となっていました。  今、エネルギー基本政策、基本計画見直しをすると、こういう環境の中で国際社会に対してそういう働きをし始めたと、こういうことでありますが、今後、日本が、この国際公約をした二五%削減目標、どのように見直しをしていくつもりなのか、そのことをお伺いしたいと思います。
  151. 鈴木正規

    政府参考人(鈴木正規君) まず、事実関係でございますが、二〇一二年までのいわゆる京都議定書の第一約束期間についてそういうふうな猶予をお願いするというような報道があったことは承知しておりますけれども、現実の話といたしましては、二〇〇八年、二〇〇九年の既に実績が出ているわけですが、この両年の平均は実はもう既に京都の約束期間の平均を上回る、言わば過達成の状態になっておりまして、今回の震災の影響というのはよくこれから見ていかなければいけないと思いますけれども、二〇〇八年から二〇一二年までの間のいわゆる京都議定書第一約束期間の公約については、我々としては是非これを守っていきたいというふうに考えているということでございます。  また、今後のお話でございますけれども、二五%のお話につきましては、それぞれこれから震災の影響について検討していく課題というのはいろいろあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、温暖化対策というのは重要な課題でございますので、最大限取り組むというのが基本姿勢だというふうに思っております。
  152. 若林健太

    若林健太君 二五%について最大限取り組む、これはもちろんこれからの地球環境を見据えた日本の姿勢、国際社会に対するその姿勢というのは大変重要だと、私もそう思います。しかし、これを前提としてつくり上げるためには原発の稼働率の引上げ、そしてまた九基の原発新規増設ということがエネルギー計画にあって、それが前提となってこれを達成できると、こう組み立ててきたものであります。  エネルギー基本政策をこれから見直すという中で、実現可能性ということについてどのようにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  153. 松本龍

    国務大臣(松本龍君) 三月十一日以前と三月十一日以降ということで、私も実は大変厳しい状況であるということはそれぞれ皆さんが共通して認識をしておられることというふうに思っております。四月に中央環境審議会がありまして、四十人ぐらいの私よりはるかに頭のいい方々の前で、私はもう三月十一日以降はいろんな意味で覚悟が要りますよという話をしました。生活の仕方、社会のありようを含めて、これから様々あるだろうというふうに思っております。そういう意味では、原発事故を受けて二五%削減を見直す必要があると。  また、国際交渉においてどうやっていくのかということもあります。そういう意味では、昨年のカンクン合意を膨らませていく作業をということはもう昨年から言っておりますし、そのことをやっていこうというふうに思っております。  そして、何よりも、私も自民党の先生、公明党の先生、いろんな方々と話をしておりますけれども、国内法は要るんだというふうに昨年のカンクン合意で、カンクンのいろんなバイ会談で思いました。そういう意味では、様々な法案が今出されておりますけれども、そこをしっかり審議を聞きながら、そして柔軟に対応をしていきながら、これからやっぱり国内法を作るために努力をしていきたいなというふうに思っております。そういう意味では、意欲的な目標をいろいろ掲げておりますけれども、これからやっぱり検証をしていく中で様々議論に耳を傾けていく必要があるなというふうに思っております。
  154. 若林健太

    若林健太君 ありがとうございます。  今、衆議院において地球温暖化対策基本法案というのが提案されておりますが、ここには二五%、数値目標も実は法案の中に織り込まれています。今お話がありますように、エネルギー基本政策を変えていかなきゃいけない。もちろん高い目標は掲げなきゃいけないが、今この時点で法案に数値目標を掲げてそれを基本法案として通すことが本当にできるのかどうか、むしろここは取り下げてもう少し中身をしっかり議論するべきじゃないかと、こんなふうに思いますが、大臣の御所見をお伺いしたい。
  155. 松本龍

    国務大臣(松本龍君) 先ほど申しましたように、大変厳しい状況であるということは私も承知をしております。  ただ、もう一方で、やっぱり地球温暖化の問題につきましては、気候変動の問題も含めて人類共通の課題でありますから、しっかりと一方では取り組んでいかなければならない姿勢をやっぱり国際社会の中で示していかなければならないと思います。  中期目標の取扱い、今御指摘でありますけれども、これにつきましても、政府としても与野党の御意見を真摯に受け止めながら、誠実かつ柔軟に対応してまいりたいというふうに思っております。
  156. 若林健太

    若林健太君 ありがとうございました。  環境省は、東日本大震災による災害廃棄物について、東北三県で阪神・淡路大震災の一・七倍、二千四百九十万トンに上ると、こういうふうに推測をいただいています。この推測値は、衛星画像や倒壊した家屋数を基にしたものであり、道路や港湾の瓦れき、車や船舶などが含まれていない、最終的には相当量になるんではないかと、こんなふうに言われておりまして、膨大な廃棄物の処理について、最終処分場の確保など、どのような見通しを立てているのか、お伺いしたいと思います。
  157. 松本龍

    国務大臣(松本龍君) 今御指摘のように、想定ではありますけれども、二千四百九十万トンという瓦れき、あるいはそれより多いということがほぼ分かりまして、私も発災から十日ぐらいたって環境省に指示をしましたのは、もう広域でやるしかない。つまり、処分ができるところ、処理ができるところ、そして、埋立場も、埋立てができるところも全国で探してくれという話があって、例えば使われていないゴルフ場とかそういうのも含めて、民有地も含めて様々指示をいたしました。  そういう意味では、全国に、今、最終処分量を削減するためにいろんなことで努力をしております。人材、機材、あるいは処理施設についても全国の能力を広域的に有効活用していかなければならないと思っています。さらには、海運とか鉄道も使う必要があるということで、国交省とかにも働きかけて様々努力をしているところであります。  環境省では、これらの取組によって災害廃棄物の円滑また迅速な処理が進むように、また一層市町村と連携をしながら、あるいは県、あるいは協議会と連携をしながら取り組んでいかなければならないと思っています。
  158. 若林健太

    若林健太君 是非、それこそ政治主導でしっかり取り組んでいただきたいと、こんなふうに思います。  五月十六日に環境省が、東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針、マスタープランというのを示されまして、膨大な廃棄物の処理を三年で終わらすと、こういうふうに言っていますけれども、かなり困難ではないかと、こういうふうにも言われている。宮城県では、国が自ら直轄で処理してほしいと、こんな要望もしているというふうに聞いておりますが、こうした考えがあるかどうか、伺いたいと思います。
  159. 伊藤哲夫

    政府参考人(伊藤哲夫君) 災害廃棄物の迅速な処理を進めるためには、国としても災害廃棄物処理に積極的な役割を果たしていく必要があると、こういうふうに考えている次第でございます。  環境省では、被災三県、岩手県、宮城県、福島県に対し、契約面や技術面での支援ができるよう環境省職員を派遣、常駐させるとともに、政令指定都市の職員、コンサルタントの派遣についても調整を進めているところでございます。さらに、被災三県の沿岸市町村に対しましては、被災地の現状や問題点の把握及びこれらを踏まえた必要な助言を行うため、環境省職員、研究者及び技術者で構成するチームによる巡回訪問をまさに本日から実施しているところでございます。また、例えば、特に電力が不足している東京電力管内の廃棄物発電施設での木くず等の受入れを進めるなど、環境省が中心となって広域的な処理の調整を進めているところでございます。  環境省といたしましては、以上のような人的支援を更に強化をしていく、さらには広域的な処理体制の構築を進めることによりまして自治体を全面的にバックアップしていきたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
  160. 松本龍

    国務大臣(松本龍君) 申し上げたとおりであります。  あらゆる手法を通じていきながら、プロポーザル方式とか、やっぱり適正な料金というのもありますから、そういう意味では、住宅の近くにある廃棄物については八月をめどにやっていただきたいということで、私も二十の市町村と連絡を取っておりますけれども、やっぱり瓦れきの問題が、あの宮古の山本市長だって陸前高田の戸羽さんだって、もうみんな情けないというふうな話をされました。それは私たちのことでもあるかも分かりませんけれども、自分たちもやっぱりこれが処理できないのが情けないというふうな話をされていましたので、しっかりとやっぱり瓦れきを除いていけば、少し光が見えてくる、希望が見えてくるということもあろうかと思いますので、取り組んでいきたいというふうに思っています。
  161. 若林健太

    若林健太君 国が直轄でやるかどうかということについては検討していないと、こういうお答えだったというふうに思いますが、非常時ですから、役所の今までの枠を超えるような対応ということも時には考える必要があるんではないかと、このように御指摘させていただきたいと思います。  放射能に汚染された災害廃棄物、これはいろんなところで議論されていると思います。現状は、「福島県内の災害廃棄物の当面の取扱いについて」ということで、厚労省、経産省、環境省、連名で文書が出ておりますけれども、要は、計画的避難区域等については触るなと、こういう状況であります。  しかし、これだんだん収束をしてくると、この放射能を帯びた廃棄物をどうするのかというのは大変大きな問題になってくるんだと思います。その処分場の問題、そしてそれをどう処理していくのか、誰が責任を持つのか。これこそ国がまさに責任を持ってやるべきだと、私はこのように思いますけれども、その点についてのお考え、そしてまた、これはある意味では今まで災害廃棄物の法規の中には全部抜けていた部分でありますから、ひとつしっかりした特別立法をして対応する必要があるんじゃないかと、こんなふうに思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思いますが。
  162. 伊藤哲夫

    政府参考人(伊藤哲夫君) 放射性物質によって汚染されたおそれのある災害廃棄物についての現在の今の処理の状況を御説明申し上げます。  先生御指摘のとおり、環境省は関係府省と協力いたしまして、五月二日に福島県内の災害廃棄物の当面の取扱いを定めたところでございます。この五月二日の当面の取扱いにおきましては、避難区域及び計画的避難区域の災害廃棄物については、当面の間、移動及び処分は行わない。避難区域及び計画的避難区域以外の地域のうち、浜通り及び中通り地方にある災害廃棄物については、当面の間、仮置場に集積して処分は行わない。その他の地域にある災害廃棄物については、従前どおり計画的に処分を行うということでございます。さらに、この後に、仮置場及びその周辺のモニタリングを実施しました。さらに、先週の金曜日に、十町村について災害廃棄物の処理を再開することを五月二十七日に決めて公表したところでございます。  こういった検討会を設けて今後の取扱いについて検討していると、こういう状況でございます。
  163. 松本龍

    国務大臣(松本龍君) 御指摘の点、大変重要なことだと思います。  まずは、どのように処理をしていくかを具体的に定めることが必要であります。その上で、政府としても立法措置が必要かどうかを検討するということにしております。  私は、防災大臣として原発の問題とはちょっと切り離れておりましたけれども、先ほどの中断が五十五分間あったという話でありますけれども、ちょっと私がここで話すのはあれですけれども、私も危機管理センター、十日間ずっといましたけれども、中断という話が出たことはこれっぽっちもありませんでした。ですから、あの話はまず何だったのかなということを思っておりましたら、やっぱり東電が中断はなかったという話でありましたので、そのことをちょっと参考までにお伝えをしておきたいというふうに思います。
  164. 若林健太

    若林健太君 私はそんなことは聞いていません。放射能を帯びた災害廃棄物についてどうするのか、これはずっと指摘をされていて、今なかなか対応が出てきていないと、こういうことであります。まだ今、中に入れないからいいですけど、次のステージに入ったとき、これは重要な問題になるから、今から政府内、また我々与野党を通じて討議をし、それに対する対策是非これは打っていかなきゃいけないと、こういうふうに思いますので、御意見を申し上げさせていただきたいというふうに思います。  残すところあと十三分なんですが、ここでちょっと違う話題で、戸別所得補償制度について鹿野大臣の胸を借りてお伺いしたいと、このように思います。  実は、戸別所得補償制度について、私ども自由民主党の農政とすれば、担い手に対する政策として不十分ではないかと、こういう意見がございます。この点については、今日ちょっと時間がないので、そういう視点ではなくて、私は、決算委員会ですから、国の予算、決算の在り方と今回の戸別所得補償制度の予算計上の仕方についてひとつお伺いしたいと、このように思います。  平成二十二年度モデル事業の成果を踏まえて本格実施となるのがこの平成二十三年度でございます。所得補償制度は、御案内のように、固定部分と言われる所得補償交付金と変動部分と言われる米価変動補填交付金の二つの柱によってつくられているわけでありますが、固定部分について、これは千九百二十九億円ありますが、これは平成二十三年度に予算計上されておりますが、変動部分については実は平成二十四年度に計上されていると、こういうふうに確認をしておりますが、それでよろしいでしょうか。
  165. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) そのとおりでございます。
  166. 若林健太

    若林健太君 この変動部分が結局翌年度に計上されている。これは、説明によれば、価格変動を三月末ぎりぎりまで織り込んで、その変動部分を農家の皆さんに支給するからこれは三月を越えるので翌年度に計上しますと、こういう話なんですね。  だけど、ちょっと考えてみていただきたいんです。モデル事業の場合、平成二十二年度のモデル事業の場合は、この固定部分と変動部分の予算がその決算の中に入っているんですね。だけど、じゃいよいよ本格実施ですよと、こうなったら、二十三年度は固定部分しか入らない、変動部分は翌年度に先送りしていると、こういう状況になるんです。  この事業は、民主党政権が続く限りはずっとこの事業は実施していくわけですね。同じ事業を実施していくにもかかわらず、二十三年度だけ千四百億円近いお金が、予算が翌年にずらされている。この件について、私は実は公認会計士でございますので、こういうのを民間では粉飾というんです。これをどういうふうにお考えになるか、ちょっと。
  167. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 公認会計士の先生に申し上げるというのはいささか僣越になるかもしれませんが、この考え方、なぜ二十四年度に計上したかということは、実は、平成二十二年度の実施をするに当たりまして、モデル事業の経験というふうなことから、何とかなるべく長い期間の価格を取ってほしいと、特に変動部分においては。  ですから、そういうふうな声にやっぱりこたえていくためには、お米が出回ってからできるだけ長い間の相対取引価格というふうなものから算定すると、こういうようなことでありまして、これは現場の声を注視をさせていただいたというふうなことで御理解をいただければと思っております。
  168. 若林健太

    若林健太君 鹿野大臣に柔和にそう説得されちゃうと、そうですねと言っちゃいそうなんですけれども、それは別として、戸別所得補償、この巨額の財源を必要とする事業を本格実施をするに当たって、この厳しいシーリングの中でなかなか財源が見付からなかった。したがって、土地改良を含めた土木事業を大幅に削ってこれを導入したわけですね。だけど、結局財源が見付からなくて変動部分を翌年度から先食いしてくる。  もちろん、これは自民党時代のナラシの部分、これも同じような形をやっていたと、こういう話もあります。しかし、それは、あんた泥棒やっていたんじゃないの、おまえだって泥棒やっていたからいいじゃないかと、こういう話でありまして、本質論と離れているんですね。本質論と離れている。これは本質論と離れているわけです。  この農政の根幹となる事業、しかも数千億掛かる、千九百億の固定部分、それから変動部分の千三百九十一億、これを二年度にわたって計上するということの異常性ということを私たちはやっぱり理解しなきゃいけない。年度をずらすことによって実は金融をしているということを私たちはやっぱり政治家として理解をしなきゃいけない。こういうことを続けていたら国の予算は決していいことにならないということを私はそれぞれの個々人の政治家皆さんの良心に訴えたいと、こんなふうに思うんです。  そこで、じゃ、三月までの変動部分を入れなきゃいけないということですが、そうであれば、例えば出納整理期間というのがあるわけですよ。三月末までの変動部分を見て、そして未払部分というのを反映させるために国の予算、これは市町村もそうですけど、出納整理期間というのを使って織り込む、そういう努力もしています。なぜそれができなかったんでしょうか。お伺いしたいと思います。
  169. 針原寿朗

    政府参考人(針原寿朗君) 御説明申し上げます。  ただいま先生の御指摘は、予算決算会計令の第四条の出納整理期間の御指摘でございます。この規定によりますと、毎会計年度に属する経費を精算して支出するときは四月末まで歳出が許されるということでございますが、問題はこの毎会計年度に属する経費の解釈の問題でございまして、現行予算決算令は発生主義的な年度区分を取っております。したがいまして、前年度末までに支出負担行為を行う、それで農家一人一人に対する補助金の額を確定している、交付決定している、こういうことが必要になるということでございます。  したがいまして、三月末までの価格を用いて交付額を決定するという仕組みを取っている以上、交付決定ができない、したがってこの予決令第四条の規定は適用ができないというふうに理解しております。
  170. 若林健太

    若林健太君 今お話をいただいた四条の話で、毎年その支出が予定されていると、こういうお話でありました。戸別所得補償の変動部分は毎年支出が予定されていないんですか。  この予算の計上の詭弁というのは、実はその毎年予定をしている農政のまさに根幹となるこの戸別所得補償の二つの柱の一つの部分を翌年に繰り越しているところに私はあるんだというふうに思うんです。もしこの三月末に価格が確定されないんであれば、もう少し、十五日ぐらい前倒ししてやるということだって工夫はあったんじゃないのか、あるいは債務負担行為という考え方はなかったのか。私は、それぞれの農家の皆さんからしてみると、来年度予算で面倒を見ますよと、何の根拠もないんですよ。固定部分は補償してもらいました、来年度になったら来年度のまた予算編成の中でやっていきますから信用してください、そんなことじゃ何の保証にもなっていない。  そもそも、今この厳しい財政事情の中で、来年度、今の農水省予算の中に更に変動部分の千三百九十一億円、この部分をどうやって捻出してくるんですか。だって、どこかから削らなきゃならないんですよ。これ以上農業土木から出せますか。もうあぜ道は、今本当にあとこの二、三年も今の予算をやっていれば補修すらできなくなってくると、こう言われている。JA、各単協に聞いてみてください。設備投資計画していたものがどんどん先送りしていると、今。ゆがんできているんですね。先送りをすることによってゆがんできていると。このことを私どもはやっぱりもっともっと認識をしなきゃいけない。  根幹となる政策なんだから、本則の予算にしっかりのせて議論するべきじゃないのか、私はこのように思いますけれども、いかがでしょうか。
  171. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今委員からの御指摘の点は従来からいろいろと議論がされているところでございますけれども、平成二十三年度の予算ということにつきまして申させていただきますと、農業生産基盤の整備につきましては言わば長寿命化対策というふうなことで切替えをさせていただきまして、そして、この転換を図ることによって何とかこの重要なるところの施策も引き続いて行うことができるようにしたいと。そして、農業農村整備事業では、前年度の対比は一〇〇%であります。一〇〇%であります。一銭も減らしてはおりません。そして同時に、関連事業を含めると、前年度に比べますと一一三%でございます。  そういう意味におきまして、私どもとしては、必要な予算というものは確保させていただいたと、こんなふうに思っているところでございまして、今後、これから動向を見ながら、農業の体質強化というふうなものを進めていく上におきましては、いろんな地域の方々の声も聞きながら再生を図るというふうなことに、また考えておりますということだけは申させていただきたいと思います。
  172. 若林健太

    若林健太君 今の対前年度比、その前にどかんと実は土地改良の予算を削ったその後の数字だと思うんですね。  いずれにしても、今回の、私、話題として提供させていただいたのは、戸別所得補償についての問題でした。こういった予算の計上の仕方というのは、実は戸別所得補償、この制度に限らないというふうに思うんですね。これは、日本の今の公会計が現金主義会計によってずっとやってこられていて、その都度の支出した時点ということを重視しているということが一つ。もう一つは、苦しい財政事情の中でやりくりをすることをよしとする文化があるということであります。  むしろ、一つは公会計、これをやっぱり発生主義に、アメリカや何かがやっている、東京都もやっている、事業を行った時点でしっかりとその予算が計上できると。多くの人たちが、会計というのは利害関係者あるいは一般の皆さんがその数字を見ることによってどういう事業をやっていたかということが分かるというものがなければならないわけでありまして、そういう意味では、日本の公会計についての取組、改革、このことがまず必要だというふうに思いますし、同時に、私どもが、やっぱりやりくりして何とかやればいいんだと、こういう発想になっちゃならぬのだと、こんなふうに思うわけでございます。その点を御指摘申し上げさせていただいて、時間になりました。  今日は、三人の大臣皆さんにお忙しい中、質疑をさせていただきまして、本当にありがとうございました。
  173. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  平成二十一年度決算並びに決算検査報告に関連しまして質問をさせていただきたいと思います。  少し順序が変わりますけれども、最初に小水力発電についての質問をさせていただきたいと思います。  東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の深刻な事故によりまして、今後、日本においても太陽光や風力、地熱、小水力など再生可能なエネルギーを活用した発電を更に推進すべきと、そのような国民の声が高まっているわけであります。  そこで、その一つに挙げられております小水力発電に関して質問をさせていただきたいと思います。二〇〇八年の水力発電に関する研究会中間報告では、「近年、河川維持用水や農業用水、上水道及び工業用水道等の未利用落差を活用した極めて小規模な水力発電に対する関心が高まっている。」と述べております。  そこで、まず経済産業省に、小水力発電の国内導入実績と今後の導入可能性、また関連事業費の推移についてお伺いをしたいと思います。
  174. 安井正也

    政府参考人(安井正也君) お答えを申し上げます。  昨年、平成二十二年三月に私ども経済産業省で取りまとめさせていただいております包蔵水力調査というものがございます。この調査によりますと、一千キロワット未満のいわゆる小水力につきましてでございますけれども、その時点で約二十万キロワット、地点数にいたしまして四百八十地点程度の小水力発電が既に導入をされてございました。そして、今後の導入可能な量といたしまして、技術的に可能性があり、かつ一定の経済性があるものということで選びましたところ、約三百七十地点、出力ベースにいたしまして二十四万キロワットぐらいが導入可能ではないかと考えてございます。  なお、この調査は河川を中心にしてございますが、今後、各種の用水路とか、あるいは今後の技術開発の進展によれば更にこの二十四万キロワットという数字が大きくなっていくんじゃないかと、このように期待をしておるところでございます。
  175. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 関連の事業費としての推移はどのような状況になっていますか。
  176. 安井正也

    政府参考人(安井正也君) 関連の事業費でございますけれども、新エネルギー等導入加速化支援対策費補助金ということで、私ども、事業者の方々を御支援をしてございまして、今年度の予算としては百三十億円を計上させていただいてございます。その前年は実は三百四十億円ほどあったんでございますけれども、今般、固定価格買取り制度、再生可能エネルギーでつくりました電気を原則全部買い取らせていただくという制度への移行の今過程にございまして、そのような要求の形になってございます。
  177. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 小水力発電の先行事例をいろいろ検証して、あるいは評価をして、今後どのように推進をしていくのか、この点に関しまして海江田経済産業大臣にお伺いをしたいと思います。
  178. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 渡辺委員にお答えをいたします。  今、経産省の部長からお話ございましたけれども、やはりこの小水力発電というのは地域に根差したと申しますか、地域分散型の発電になろうかと思いますので、その意味では是非経産省としても後押しをしていきたいということでございますので、具体的には、今もお話に出ましたけれども、今国会に関連法案を提出中の再生可能エネルギーの固定価格買取り制度の導入や、あるいは、幾つか立地規制などもございますから、この立地規制の適切な見直しなどを通じまして、こうした小水力の発電の導入拡大を一層推進してまいりたいと思っております。
  179. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 ドイツの方では、やはり小水力発電による電気の固定価格買取り制度を導入しており、それによって成果を上げている、普及してきているということでありますので、今大臣お話がありましたとおり、日本でも同様の法整備を図りながら推進をしていきたいと、私もそう思っていますし、政府としてもそのように推進を図っていただきたいと思います。  それから、私の住んでおります山形県におきましても、太陽光発電や風力発電、そして雪国でありますので雪氷エネルギーを利用した冷房システムなどが行われているわけであります。その中で、新庄市というのが県北にありますけれども、平成十六年に地域新エネルギービジョンを策定しまして、新エネルギー導入に向けた様々な試みをしております。昨年は小水力発電に関する実証調査を行っております。これは総務省の平成二十一年度、緑の分権改革推進事業の助成を受けて行われ、本年二月に新庄市より報告書が出されておりますけれども、総務省にその概要と事業に対する助成額、並びにそのほかにこの緑の分権改革推進事業で類似の新エネルギー推進事業がほかにも行われているのかどうか、その点をお伺いをしたいと思います。
  180. 門山泰明

    政府参考人(門山泰明君) お答えいたします。  総務省では、今お話ございましたように、緑の分権改革ということで、地域の自然環境ですとか再生可能エネルギーを最大限活用しまして自立的な地域づくりを進めるというために取組をしております。これを進めていくために、平成二十一年度の補正予算におきまして、小水力を含めましたエネルギーの利用可能量がどのぐらいあるのか、あるいはその活用ができないかということで、調査事業を全体百四十二件、予算でいたしますと三十二億八千万ほどでございますが、これを実施しております。  その中で、ただいまお話がございました山形県新庄市のケースでございますけれども、冬の三か月の間に小水力発電とこれを使いました野菜の栽培ハウスの保温、それから雪を消す消雪、こういった実証実験を行ったところでございます。この実証実験におきましては、想定されました電力量が確保されまして、ハウスの保温などのために小水力発電が有効であるということが確認されております。一方で、温度管理ですとか野菜の生育に適した施設の規模の拡大といったような実用化に向けた課題というのも出てきておるところでございます。  このほか、本事業を活用いたしまして行っている小水力発電の取組を行っております地方自治体、全体で二十一年度の場合八十三団体ございました。今後、水源地の確保ですとか電力供給の安定性、設置コストなどの課題を解決しながら、各団体において積極的に取り組んでいただくことを期待しているところでございます。  申し遅れましたが、新庄市の場合は、委託費でございますけれども、四百十一万九千円というのが委託費の金額でございます。  それから、今年度でございますが、今後この緑の分権改革の具体的な改革モデルを実施していくための調査事業ということで総額五億八千万ほど予算を用意しておりまして、再生可能エネルギー、こういったものを活用して地域の中で経済循環をつくっていく、それによって地域の自立的な地域づくりというのを進めていくということを積極的に支援してまいりたいと考えているところでございます。
  181. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 いろんな省庁が小水力発電等の推進に様々な事業展開をしながら、その実現に向けて頑張っておられるということでありますけれども、今たまたま山形の事例で総務省の予算をいただいて事業を展開しているわけですが、鹿野大臣、山形におられますので、そのことでちょっともしコメントあればお伺いをしたいんですが。  この実証調査報告書では、積雪寒冷地、豪雪地帯であっても小水力発電が可能であったと、そしてまた、冬期間の施設園芸などで通年農業の可能性が広がってくると。また、消雪にも利用した調査実験、調査なんですけれども、消雪にも役に立つということで、地域の活性化にもつながるんじゃないかというそういう内容になっておりまして、鹿野大臣も、そういう山形県のことでございますので、コメントあればお伺いをしたいと思います。
  182. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 渡辺先生も山形におきまして大変御活躍をいただいたわけでありますので、雪国の状況をよく把握なされた中で、この農業用水を利用しての小水力の発電というふうなものに御関心をお持ちいただいているわけでございますけれども、今先生からの御指摘のとおりに、言わばこのことについて有効であるというふうなことも証明されておると、こういうことでありますから、私どもといたしましては、この農業用水を利用した小水力の発電の導入というふうなものには積極的に取り組んでいかなきゃならない。その際に、採算性をどう確保するかということが課題になるわけでありますけれども、河川法等の手続や、あるいは電力事業者との協議を円滑に進めていくというふうなことが大変大事なことではないかと思っておるところでございます。  そういう意味で、先生からの御指摘のとおりに、今国会に法案が提出されております再生可能エネルギーの全量買取り制度の活用というふうなものも視野に入れながら、今後、この農業用水を活用した小水力発電の導入というふうなものに私どもは積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えているところでございます。
  183. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 東北あるいは北海道、そのほかにも雪の多い地域がございますので、そういうところでも活用ができるというそういう実証調査でありますので、大変有意義であったなと、そのように思っておるわけであります。  私は、農業用水を活用した小水力発電を農山村で積極的にやはり導入をしていくべきだと、そのように考えておりますけれども、このような形で農業用水を活用した国内での小水力発電の導入実績、あるいは農林水産省としての支援策について、農林水産省にお伺いをしたいと思います。
  184. 筒井信隆

    ○副大臣(筒井信隆君) 農業用水の流速あるいは落差を利用した小水力発電、水の流れを大きく変えることなく、環境に優しくて発電できるわけでございますから、積極的に進めていきたいというのが農水省の立場でございます。  今まで農業農村整備事業で二十六地区にこの小水力発電を設置しております。費用は一地区で二億円から三十五億円ぐらい、規模によって掛かっている金額が違うわけでございますが、総発電量は一億キロワットを超える量を既に出しているところでございます。
  185. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 こういう農業分野での推進を図るということでありますが、今後の推進策について、もし大臣、答弁があれば、鹿野大臣、お伺いをしたいと思います。
  186. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今申し上げましたとおりに、積極的にやっぱり推進を図っていきたいと。そういう意味では、予算等々も含めてどういう形で現実的なものにしていくかということになりますならば、各省庁とも連携を取りながら、今先生からの御指摘も踏まえて取り組まさせていただきたいと思っております。
  187. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 公明党も、これまで小水力発電などの再生可能なエネルギーの有効活用を訴えてきたわけでありますけれども、去る五月の二十六日に発表しました、人間の復興を目指す東日本大震災復旧復興ビジョンにも、中小水力発電の推進、それとともに、「農業用水を利用したミニ水力、マイクロ水力による発電施設を設置し、売電収入による水利権や土地改良区負担金のかからない営農をめざす」というような文言もその中に取り入れておりますので、これからもしっかり、我が党も推進をしますけれども、政府としても推進をしていただきたいと、そのように考えているところであります。  次に、自然再生事業について質問をしたいと思います。  平成十四年十二月に成立し、十五年一月に施行されました自然再生推進法を契機としまして、地域住民やNPOが関係省庁あるいは地方公共団体などと連携をしまして、過去に損なわれた自然環境を再生する試みが各地でなされておるわけであります。  自然再生事業がこれまでどのように進められてきたのか、事業費の推移はどうなっているのか、またその成果がどうであったのか、環境省関連での事業の状況について環境省にお伺いをしたいと思います。
  188. 渡邉綱男

    政府参考人(渡邉綱男君) 過去に損なわれました自然環境を取り戻すために、多様な主体による連携した取組を推進することを目的といたしまして、平成十五年一月に自然再生推進法が施行をされました。  現在、自然再生推進法に基づきまして、関係省庁が連携をし、NPOや地域住民などの多様な主体が参加して設置されます自然再生協議会、この協議会が全国で二十三か所にまで増えてきたところでございます。これら各地の協議会におきまして策定をされた自然再生全体構想に基づいて、自然再生のための具体的な事業が進められているところでございます。  環境省の事業予算でございますけれども、年によって上下の変動がありますけれども、平成二十一年度でいきますと、国立公園など十七地区におきまして、直轄事業及び自然環境整備交付金を合わせて約十八億円の予算によって、湿原、サンゴといった様々な生態系を対象に自然再生事業を実施しているところでございます。
  189. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 施行五年目の平成二十年に自然再生基本方針の一部変更がなされておりますけれども、これによりまして事業の展開や事業費に変化があったのかどうか、この点も環境省にお伺いをしたいと思います。
  190. 渡邉綱男

    政府参考人(渡邉綱男君) 五年たったところで五年間をレビューいたしました。そして、五年間で出ました課題を踏まえて自然再生推進法に基づく基本方針も一部改正を行ったところでございます。効果的な事業推進のための留意点などを基本方針の中に盛り込んでいきましたり、具体的に現場で協議会を立ち上げるに当たって生じている課題を解決するためのいろんなアイデアについて各現地の協議会に支援をしていくという取組も、その五年の見直しを受けて進めているところでございます。  予算額としましては、この五年間、年によって、地域における事業の内容によって事業費は上がったり下がったりということで、先ほど申し上げましたように、二十一年度は十八億、その前年の二十年度で見ますと十三億ということで推移しているところでございます。
  191. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 同じく平成二十年の四月に総務省より自然再生の推進に関する政策評価の結果が出まして、また勧告もなされておるわけでありますけれども、これによる改善というものがどういうものであったのか、環境省にお伺いをしたいと思います。
  192. 渡邉綱男

    政府参考人(渡邉綱男君) 総務省の勧告の中では、それぞれ現地で立ち上げた協議会が例えば合意形成に時間を要している、そういったことを改善していく必要があるのではないかというような御指摘がございました。  それについて、多様な主体が集まって協議会で合意形成をしていく上で、例えば協議会の下に検討部会を設ける、あるいはワーキンググループを設けるというような形で、異なる主体が集まっての協議会の合意形成を円滑に進めていく方法について五年のレビューをした結果を受けて先ほどの基本方針に盛り込んで、各現地の協議会を支援するという取組をしていったりしているところでございます。  また、総務省の指摘の中には関係省庁の連携をもっともっと強化すべきだという御指摘もございました。自然再生法に基づきまして、関係省庁で自然再生の推進会議、その下に専門家から成る専門家会議というのも設けておりますけれども、そういった場を活用して関係省庁の連携を一層強めていくような対応を総務省の勧告も受けてしているところでございます。
  193. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 そのほかにも、法定協議会、こういうのが十分に進んでいないんじゃないかと、そういう指摘もありましたので、その点も改善を図っていただきたいと思います。  次に、私も以前に現地に行きまして自然再生に取り組んでおられる方々に状況をお伺いしたことがあります釧路湿原の自然再生の成果と今後の課題について、環境省並びに国土交通省にお伺いをしたいと思います。
  194. 渡邉綱男

    政府参考人(渡邉綱男君) 釧路湿原の自然再生協議会は、再生法に基づきまして第二番目の立ち上げられた協議会でございます。環境省、国交省、農水省、そういった関係省庁が参加をし、そして地域の自治体、そして多様なNPOも参加して協議会を立ち上げたところでございます。  立ち上げられてから全体構想を策定し、各主体が実施計画を策定し、それぞれの事業が始まっているところでございます。乾燥化した湿原の再生のための取組、あるいは湿原の周辺の森林をより豊かなものにするための事業、そして河川の蛇行を回復する事業、そういった事業が、関係省庁そして様々な主体の連携によって計画を作る議論の中でいろいろ知恵を出し合った、それを受けて具体的な事業が今動き出しているという段階に入っているところでございます。
  195. 関克己

    政府参考人(関克己君) ただいま御指摘の釧路湿原につきましては、今環境省さんの方で申し上げましたように、関係省庁あるいは地域が連携して全体の構想を作って進めているところでございますが、その中で、私ども河川にかかわる部分は、この釧路湿原の湿地の中にあります河川を元の蛇行した形に戻すというのを役割として担ってございます。  この目的といたしましては、ラムサール条約湿地に登録された一九八〇年当時の湿地面積に復元していこうということで、その中の大きな役割を担っているわけでございますが、順次取組を進めまして、昨年の春に、元々蛇行した河川がございました、それを直線化していたものを蛇行していた河川の方に河川の水路を戻すということを通じて湿地の水位を上げるということで湿地の復元というところに進めればということで取り組んで、一応蛇行を復元したというところまで現在釧路湿原については取り組んでいるところでございます。
  196. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 川の方は元の形の蛇行の形になってきたと。しかし、まだまだ湿原に入る水分、水の量は十分でないということで、上流の森林の整備等を、特に広葉樹が大事でありますけれども、それも推進をしているということでありますけれども、今後の釧路湿原を守るための自然再生についてどのような取組をしていくのか、環境省並びに国土交通省、もし追加があればお伺いをしたいと思います。
  197. 渡邉綱男

    政府参考人(渡邉綱男君) 先生御指摘がありましたように、環境省の方では、湿原を取り巻く森林地域を対象にいたしまして、森林が荒れていると湿原に土砂が流れ込んでしまうということで、湿原を取り巻く森林の状態をより自然性の高い森林になるように森林を管理、整備をしていくという事業を、釧路湿原の周りの荒廃した森林を対象にして実験的な作業を進めているところでございます。  そういった施策も強化することで、河川の蛇行の回復、周辺の森林の質の改善、そういったことがうまく連動して釧路湿原の質が高まるような取組を地域の参加を得ながら積極的に進めてまいりたいというふうに考えています。
  198. 関克己

    政府参考人(関克己君) お答えをいたします。  自然再生ということで河川あるいは水辺の持つ役割は極めて大きいというふうに認識しております。  そういう意味では、河川本来の姿を取り戻すことを目的としていますこの自然再生事業、先ほど御説明しました釧路湿原の湿地の例、あるいは山形県の赤川、あるいは兵庫県のコウノトリの円山川等々、多くの成果が得られてきているというふうに思っております。  今後こういった得られた成果を更にほかの地域にも展開するということで、この自然再生にかかわる取組を一層進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  199. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今、山形県の赤川のお話が出たわけでありますけれども、赤川の自然再生事業の成果につきましてお伺いをしたいんですが、私も何度かそちらに行きまして地元のNPOの自然環境を守る方々とも交流をしているわけでありますが、どういう成果が得られたのか、国土交通省にお伺いをしたいと思います。
  200. 関克己

    政府参考人(関克己君) 赤川の例について御紹介いたします。  この山形県を流れております赤川、日本海に流れ出る川でございますが、特にこの中上流部におきましては瀬やふちが減少、あるいは流れの多様性が失われるということで、特に樹木が非常に繁茂するということで、しかもこれは外来種のハリエンジュという樹木が繁茂しているということでございまして、赤川の本来持つ自然環境とは少し離れた環境となってきておりました。  そのため、この再生事業を通じまして、ふちや砂利の豊かな河原を取り戻そうということ、それから準絶滅危惧種でありますサクラマス等の魚類の生息の場を確保しようということで取り組みまして、ハリエンジュ等の伐開を通じまして、本来赤川が持っております、私どもれき河原と呼んでおりますが、砂利が河原に広がっている、こういった川が戻ってまいりまして、そういう意味では赤川の自然再生というものが進んできているというふうに考えているところでございます。
  201. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今、ハリエンジュ等を伐採をしたりしておるということでありまして、地元のNPOの方々はその伐採したハリエンジュの木を使いまして、あとまた杉の間伐材等を使いまして、魚礁を造って川に入れて川の魚が増えるように、保護できるように、そういう活動をしておるわけでありまして、大変すばらしい活動だなと私も思っておりました。  希少の生物の保護ということでも、先ほどサクラマスということでお話がありましたが、きっかけは、赤川にも昔はサクラマスがいっぱい遡上しておったけれども、なかなか魚道等が十分に確保できない。それから、川が荒れて、やっぱりふちとかそういうものができておらないというようなことも、様々な要因が絡みまして、お魚類が減ってきてしまって、絶滅危惧種になりそうなものも多くあると。  また、県の魚でありますサクラマスも遡上してくるものが少ないということで、何とかそれを再生したいという思いがありまして、そういうNPOの鶴岡淡水魚夢童の会という方々が一生懸命やっておりまして、私もいろいろな山形県での絶滅危惧種に入っているようなお魚等を見せていただいたこともあります。そういう地元のやはりNPO等のお考えをよく聞いて自然再生を図っていきたいと、そのように考えておりまして、これは環境省、農水省、国土交通省、様々な関係省庁がありますので、連携をして進めていただきたいと思います。  今、魚礁の話が出てきて、その後質問を続けたいと思いましたけれども、時間的なちょっと余裕がなくなってしまいましたのでまた後日にしたいと思うんですけれども、魚礁の効果等々なかなか難しい課題がありまして、たまたま今回被災を受けました福島県の相馬の方にもそういう魚礁を造って、漁獲、資源を管理をしながら効果的な利用をしているというようなこともありましたので、次回これを質問をさせていただきたいと思います。今日は時間がなくて申し訳ありません。  以上で質問を終わります。
  202. 柴田巧

    柴田巧君 みんなの党の柴田巧です。  今日は、先ほどからバイオマスや小水力発電など、いわゆる自然エネルギーの問題が取り上げられておりますが、これも言うまでもなく、この原発事故を受けてそういった再生可能エネルギーに対して大変国民的な関心が高まっている、また国としてもそういう方向にこれからいろんなかじを切っていかなきゃならぬということの証左だろうと思うわけでありますが、そういうことからも、このバイオマス、小水力発電、またよく考えてみると、太陽光発電にしても風力にしても、いわゆる農山漁村が持つ一つの資源であります。そういう意味では、自然エネルギーの農山漁村は宝庫だと言ってもいいと思いますし、その資源をこの機会に最大活用、利用していくということが大事だろうと思うわけであります。そのためにも、いろんな残念ながら障壁があったり規制があったりしているのが現実であって、その規制の緩和であるとかあるいは導入の支援とか、こういったものを本格的に考える時期に来たと思うわけであります。  それともう一つ大事な点は、先ほどからもお話が出ておりますが、そういった自然エネルギーの供給基地として位置付けられると同時に、役割を果たすとともに、セットで農山漁村の振興あるいは農林漁業の再活性化に結び付けていくという視点がやっぱり欠落してはいけないだろうと考えるわけで、そういう認識に立って、以下お尋ねをしていきたいと思います。  最初に、バイオマスの問題をお聞きをするわけですが、もう既に何人の方からも質問があったところでありまして、繰り返しになる部分ありますが、大変重要な点だと思いますので、重ねてでありますが、大臣にお聞きをしたいと思っております。  既に指摘がありましたように、本年の二月かな、総務省の行政評価局からバイオマスの事業に関して政策評価が出されました。二百十四事業、先ほども指摘あったとおりですが、いろいろ調査の結果、地球温暖化防止など期待される効果が出ている事業は皆無だと判定をされたわけでありまして、特に農水省としては、バイオマスを中心的に推進をしてきた役所としては大変ショックを受けておられるものと推察をするわけで、細かいことは先ほどもありましたので繰り返しで申しませんが、例えば地域の主体的なバイオマスの取組を支援する交付金事業が二年で少なくとも六十五億不用になるなど、不用額が十億を超える件数が幾つもあるというのは大変ゆゆしきことだろうと私も思うわけでありまして、国民の税金を使う以上は、やっぱり一定以上の効果を出すというのが与えられた使命だろうと思っております。したがって、事前の検討不足や非効率性はどこにあったのか、よく検証をやっぱり是非していただいて、また、これからバイオマスエネルギーが注目をされる中、期待される中、どう改善につなげていくかということが大事だろうと思っております。  そこで、繰り返しになりますが、大臣としては、今度のこの総務省行政評価局の勧告をどのように受け止めて、また、いかにこのバイオマスエネルギーが期待される中で改善につなげていくのか、改めてでありますが、大臣のお考えをお聞きをしたいと思います。
  203. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今お話もございました、本年の二月に総務省よりバイオマス・ニッポン総合戦略に基づき実施された関連事業等についての評価結果が公表されました。事業が効率的かつ効果的に実施されていない、バイオマス関連施設の稼働状況が低調だというようなことが指摘されたわけであります。  このような指摘に対しまして、私ども農林水産省といたしましては真摯に受け止めて、反省すべきところは反省をして、そして今後取り組んでいかなきゃならない。そういうことを考えた場合に、具体的には、昨年十二月に閣議決定いたしましたバイオマス活用推進基本計画に基づきまして策定予定いたしておりますところのロードマップにおける施策を見直していく、そしてまた、毎年度のバイオマス活用推進会議におけるところの政策コスト、効果等の点検を、そしてまた結果公表というふうなところなどに前向きに取り組んでいくと、こういうふうな考え方であります。  今先生御指摘のとおりに、このバイオマスはまさしく農山漁村の貴重な資源でありますから、そういうものを利用して、そして農山漁村の雇用なり、あるいは所得の確保というふうなものを通じて、今後のこの農山漁村の活力を生み出すというところにつなげていかなければならないと思っております。
  204. 柴田巧

    柴田巧君 是非、二度と今回のような勧告を受けないように、また国民が期待する中でありますし、しっかり農水省としても大きな役割を果たしていただきますように期待をし、またお願いもしておきたいと思います。  さて、もう一つ、小水力の問題に移りたいと思いますが、先ほどからもお話がありますように、流量と落差があれば発電ができるわけでありまして、まさにクリーンエネルギーの代表と言っても過言ではないと思います。純国産のエネルギーということになります。発電の設置時にも、そして発電の際にもほとんどCO2を発生しないという、まさにクリーンエネルギーの代表だと思うわけでありますが、加えて、既存の社会資本ストック、農業水利施設などを有効活用できるということが一つ大きなメリットだろうと思いますけれども、この小水力発電についても大変期待が今掛かる中であります。  そういう中で、いろいろ先ほど申し上げましたように乗り越えていかなきゃならぬ課題があるのも事実で、どうやって技術革新を更に進めていくか、あるいはいろんな規制なんかを緩和していくか、あるいは導入支援をどうしていくかということがこれから大事なことになってくると思いますが、そのうち、先ほども渡辺先生の方からも若干お話がございましたが、百キロワット以下のいわゆる小規模な水力発電、マイクロ水力発電と言っておりますが、こういったものなども今開発が進んできております。  非常に分かりやすく言えば、簡易に設置できる水力発電と言ってもいいと思いますが、こういったものができればいろんなところから発電をすることが可能になるということでありますけれども、ただ、設置時にいろんなイニシャルコストが掛かる、あるいはメンテナンスにもいろいろ掛かるということであって、まだまだ実証段階にあると思われますけれども、こういったマイクロ発電などの実証研究を進めていく、あるいはこういったことも含めてこの小水力発電の技術革新、開発というものを更に進めていくということがこれから大事だろうと思いますが、どのように取り組んでいかれるか、お尋ねをしたいと思います。
  205. 筒井信隆

    ○副大臣(筒井信隆君) 先生がおっしゃるとおりでございまして、小水力発電、重要な柱として農水省でも取り組んでいるところでございます。現時点までは、先ほど申し上げましたが、農業農村整備事業で二十六地区で設置をしてきている、これを更に広げていきたいし、今度の復興計画の中にもそれを組み込んでいきたいというふうに思っております。  今、比較的小さな落差でもできる、さらには、落差がなくても流速だけでもできる、こういう特徴があるものですから広範にできる。特に、福島県にはこの小水力発電の適地がたくさんあるというふうにも聞いておりますので、今それらの調査をやっているところでございまして、それらの調査の結果、可能なところたくさんあると思いますが、その中で選んで、第二次補正予算の中でその事業を具体的に実地をしていきたいというふうに思っております。  さらには、先ほど大臣が答弁されましたが、固定価格買取り制度の法案が早急に成立していただければ、それらの採算性も十分成り立つようになるわけでございますから、農村における雇用の場所、所得確保の場所としても極めて大きな柱になる、こういうふうに期待をしているところでございます。
  206. 柴田巧

    柴田巧君 是非、その技術開発・革新の推進方をよろしくお願いをしたいと思います。  先ほど、資源エネルギー庁の方が日本にあと数百か所できる余地があるということをおっしゃいましたが、環境省の調査では二万か所以上はまだ十分あるという調査結果もあって、恐らくまだまだ十分な余力があるだろうと思われますので、是非こういった技術開発などもしっかりやっていただきたいと思います。  それと、これまでなかなか進むようで進まなかった壁の一つは、いわゆる売電収益の充当範囲の問題ですね。これは実はこの前の農水委員会でも質問させていただきましたが、今までは発電所と一体となっているところしか言わば使えなかったのが、これがネックになってなかなか広がってこなかったというのがあります。したがって、これをやっぱり規制を緩和して充当範囲を広げるというのが小水力発電を推進していく一つの起爆剤になると思っておりますが、副大臣はその際も、そういう方向で検討したいということをお述べになったわけであります。  私の地元富山県は小水力発電の先進県の一つでございますが、大変その大臣記事が好評でございまして、いつからそうなるのかということを大変期待する土地改良区の皆さんもおられるわけでありますが、この充当範囲の拡大、今後どのように実際に進めていくのか、いつごろまでにそういうことになるのか、これは副大臣にお尋ねをしたいと思います。
  207. 筒井信隆

    ○副大臣(筒井信隆君) これも、土地改良区が小水力発電を設置した際に、その収入を自ら使うことは公的な団体の関係でいろいろな問題点があるということでございましたが、当初は用水等に使うのは大丈夫、これは既に実現しているわけでございまして、それが今度更に広がって、水路関係、頭首工等の水路関係にも売電収入を使っても大丈夫というふうになりました。それを更にもっと広げていきたいというのが希望でございまして、土地改良区の経費全体に使うことができるという状況まで広げていくことが望ましいというふうに思っておりまして、今それらについての取組を行っておりますが、いつまでにそれができるというところは今の段階でまだ断定できないところでございますが、できる限り早急にそれを明確にしていきたい。今まで二段階目まで広がってきたということは、努力の結果は御理解をいただきたいと思います。
  208. 柴田巧

    柴田巧君 この問題は、すなわち土地改良区の経費、維持管理費の低減につながっていく、あるいはひいては農業の生産コストの低コスト化へつながっていくということだと思っておりますので、是非早急に実現方お願いをしたいと思います。  ちょうど今年の秋には、副大臣も御存じと思いますが、富山の黒部で第二回の全国小水力発電サミットがございます。奥様の御実家のところでもございますが、是非それぐらいに間に合うようにやっていただくと大変インパクトがあるのではないかと期待をしておりますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。  次に、もう一つ厄介な問題は、この水利権の問題でございます。  この小水力発電をやっていく上で、この水利権が非常に取得するのに時間が掛かる。何百ページにも及ぶ書類を出さなきゃならない、あるいは多大な時間が掛かるというのがこの推進の支障になってきました。  確かに、国土交通省ではいろいろこの迅速化、円滑化を今数年図っておられるのは事実でありますが、既得の、今ある農業用水利権の水量内で発電する場合は河川流量に基本的に影響を及ぼさないというのは明らかなわけでありますから、確認をされているわけですから、こういうものなどは届出制にするということなど、手続の更なる簡素化を図る必要があるのではないか、そういうもう段階に来ているのではないかと思っておりますが、国土交通省の見解をお聞きをしたいと思います。
  209. 関克己

    政府参考人(関克己君) お答えを申し上げます。  今、小水力発電の水利権の点について御質問をいただきました。私どもも再生可能エネルギーの普及拡大のためのこの小水力発電の導入の促進ということは非常に重要であるというふうに認識しております。  そういう中で、河川から取水した農業用水等を活用した小水力発電に係る水利使用については、相当の手続の簡素化を図ってございます。  まず第一段階としては、平成十七年の三月でございますが、これは例えばちょっと詳しく申し上げますと、今から申し上げるものを不要としたということでございまして、河川流量の確認資料、あるいは発電のための取水が可能かどうかの計算書、あるいは発電施設の構造計算書、設計図、それから河川関係使用者の同意書等々、相当簡素化を図らせていただいたところでございます。  それから、さらにはこれまで親元の農業用水、いわゆる従属の親という意味での親元でございますが、許可権者と、それから小水力発電の許可権者とがこれまで知事と国土交通大臣というふうに分かれておりました。そういう意味では、この手続の簡素化の観点から、より地域に近い知事が両方を併せて許可するという形の政令改正を行ったところでございます。  それから、さらにはこういった制度が相当簡素化されたということを多くの方に知っていただくということも大事だということで、二十二年の三月からでございますが、先ほど申し上げましたようなことが徹底的に簡素化されたというガイドブックを用意いたしまして、地域の皆様にも説明をさせていただいているところでございます。  それからもう一点、今国会に提出をされております総合特別区域法案におきまして、この地域活性化総合特別地域内で小水力発電を行う場合には、国土交通大臣への認可あるいは経済産業大臣や都道府県知事への意見聴取等を不要にするということとともに、水利使用許可に関する準備処理期間を通常の水利使用許可よりも相当短い期間にすると、こういったことを定めさせていただいて簡素化に取り組んでいるところでございます。  なお、一点、届出制というお話をいただいたところでございますが、水利権と申しますのは、上流で使い、下流で使いというようなこともございまして、下流の水利権者との関係等々ございますので、徹底的に簡素化を行ってまいりたいと思うんですが、届出制ということは現時点ではなかなかまだ、下流の実際に水を使われる方の関係等々ございますので、現時点では難しいのではないかというふうに考えているところでございます。
  210. 柴田巧

    柴田巧君 河川流量に基本的に影響を及ぼさないんですから、下流の方が困るということは基本的にないんだろうと私は思うので、こういったものは、完全従属している場合は届出制に改めていくのが私はあるべき姿じゃないかなと思いますが、ちょっともう時間がありませんのでこれ以上議論しませんが、是非またいろいろと検討していただきたいと思います。  さて、この水利権の問題もまたこれから議論をしていきたいとは思いますが、もう一つ、先ほどからも出ておりますが、再生可能エネルギーの全量固定価格の買取り制度、導入されればこの自然エネルギーに弾みが付くと言われてはおりますけれども、今のところ、お聞きするところ、いわゆる太陽光以外では一律価格での買取りというふうな考え方が強くあるやに聞いておりますが、それでは、そういうことであると、その技術が進んでいるものはいいとしても、これから技術革新が進んでいくようなところはなかなか普及ということにいかないんではないか。  したがって、この再生可能エネルギーの種類や規模、地域の実情ごとにコストベースでの検討が私は必要なんではないかと思いますが、自然エネルギー、バイオマスとか小水力を普及させるためにもそういったことが大事なのではないかと思いますが、大臣の御見解をお聞きをしたいと思います。
  211. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 具体的な買取り価格の水準につきましては、法律案の成立後、国民負担というものはどうなるのか、あるいは費用対効果というふうなものを配慮しながら価格設定が行われることになるんではないかと、このように承知をしておりますけれども、バイオマス発電や小水力発電等の導入が促進されるような適切なるこの価格設定が行われるようにしていかなきゃならないというところが一つのポイントではないかと、こんなふうに考えておるところでございます。
  212. 柴田巧

    柴田巧君 是非大臣としてもその旨しっかり主張していただいて、適切な価格となるように頑張っていただきたいと思います。  最後になりますが、先ほども冒頭に申し上げましたとおり、この自然エネルギーの普及に当たっては、供給基地としての農山漁村は大きな役割も果たさなきゃなりませんが、セットでこの農山漁村の活性化、あるいは農林漁業の活性化というところにつなげていかなきゃならぬと思います。  売電、発電も大事ですが、これによってどう農山漁村の六次化を進めていくのか、あるいは都市と農村の交流を進めていくのか、あるいは先ほど言いましたようにいろんな低コスト化を目指していくのか、こういったことがやっぱりセットで語られなければ、考えられなければならないと思いますが、大臣の御所見と今後の取組、あるいはこれを機会に新たなそういう計画を作るということがあれば、おっしゃっていただければ幸いであります。
  213. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 御指摘いただきましたとおりに、農山漁村の活性化ということを目指して、六次産業化の重要な取組の一つとしてバイオマスや小水力等の再生可能エネルギーの活用というふうなことは、我が国全体のエネルギー政策の在り方というのを踏まえつつ、農山漁村のいわゆる活性化への効果というものを重視するということにおいて積極的に今後取り組んでまいりたいと思っております。
  214. 柴田巧

    柴田巧君 ありがとうございました。
  215. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  東日本大震災から二か月半たちました。今国が被災地や被災住民の皆さんが復興に向けた希望が持てるような政治的メッセージ、そして具体的施策を急いで打ち出すことが必要だと思います。特に、被災地の復興の土台となる中小企業、そして農業、水産業についてお聞きいたします。  地域に根差す中小企業が被災した施設を復旧して営業に踏み出すということは、単に経営者だけではなくて、雇用や取引を通じて地域社会の再建の土台となります。従来、国は協同組合の施設については支援をしてきましたけれども、個人の経営資産には直接支援はできないということになっておりました。しかし、あの能登半島地震のときに、国が八、県が二の割合で能登半島地震被災中小企業復興支援基金というのをつくって、輪島塗や酒造産業、さらには商店街で被害を受けた店舗や施設への直接の補助を行ったわけであります。国が関与したものとしては初めてだったと思います。  私は、今回の震災においても、従来の制度の枠組みにとらわれない、二重ローンの問題とか店舗の補修とかいろいろありますけれども、そういう姿勢での取組が必要だと思いますけれども、まず経産大臣の基本的立場をお聞きしたいと思います。
  216. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 井上委員にお答えをいたします。  委員、今発言のありました従来の慣例にとらわれない思い切った施策ということで、私どもそれに心掛けているところでございますが、基金の問題は、若干今、当時と比べまして金利も大分低くなっておりまして、かなり膨大な資金が必要だということで、今まだ、基金をどうかという御意見があることは私も承知をしておりますが、今基金をすぐにということではございませんで、まず当面、資金繰り対策としましては、これはかなり私どもとすれば思い切った考え方になっておろうかと思いますけれども、限度額を過去最高の、最大規模の五億六千万円に拡大をしました保証制度、東日本震災復興緊急保証ですね。それから、貸付期間を最長二十年、据置期間を最長五年に拡充し、金利を最大で無利子、これ、福島県などの場合は県の御協力もいただいて無利子の制度をつくってございますが、これが東日本大震災復興特別貸付制度という形で、こういう形で思い切った施策を取っているつもりでございます。  それから、従来、震災時に措置しておりました中小企業組合の共同施設の復旧に対する補助にとどまらない、これは地域経済の核となる中小企業のグループの個社の施設復旧に対する国と県が連携した補助制度なども行っているところでございます。  さらに、もう一つだけ付け加えますと、今次の通常国会で成立をいたしました財政特例法による中小企業基盤整備機構法の特例により、自らが施設の復旧が困難な中小企業に対して、これは仮設の工場やあるいは仮設の店舗を整備し、自治体を通じて原則無料で貸出しをしております。
  217. 井上哲士

    井上哲士君 今答弁の中にありました従来の協同組合の施設等の支援にとどまらず、グループをつくった場合に個社にも支援をするようにしたと、これは大変重要だと思います。先日のこの委員会でも、我が党議員から、是非地方自治体に周知を図っていただきたいと、こう申し上げました。  同時に、周知とともに、本当に中小企業が使いやすいように、真に役に立つような運用が重要だと思います。グループといいましても、例えば船が全壊した漁業者、それから水産加工業者、それを売る商店、こういうところなどが緩やかなグループをつくった場合でもこれが十分に使えるようにすることが大事だと思いますけれども、そういう運用、柔軟な運用、いかがでしょうか。
  218. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) これは、この参議院での委員会での御指摘も受けまして、せっかくつくる制度でございますから柔軟な運用を考えなければいけないということでございまして、対象となる中小企業のグループの中で、取引関係等のある企業が集まった任意のグループも対象にしてございます。  今委員御指摘のありましたような漁業と造船ですね、それから水産加工、それからさらに流通も含めて、こうした地域の特性を生かした企業に対してもこれの利用ができるようにしております。
  219. 井上哲士

    井上哲士君 補助スキームを見ますとグループ等ということになっております。どんなに大変でも、自分の会社がなくなったら働く人が町から出ていってしまうということで、歯を食いしばって頑張っていらっしゃる中小企業もいらっしゃるわけですね。そういうところが一社であっても、雇用とか取引で非常に裾野が広いという場合などは、一社であってもこういう制度が利用できるということも大事だと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  220. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) これも手当てしてございます。今委員御指摘のような、地域経済あるいは地域の雇用などに重要な中小企業グループと認められる計画であれば、そのグループに所属をします単独の企業でありましても補助の対象となり得ます。
  221. 井上哲士

    井上哲士君 是非、本当に歯を食いしばって頑張っていらっしゃる皆さんへの本当に役に立つような柔軟な運用を重ねてお願いをしたいと思います。  次に、農業の問題でありますが、被災地東北は日本の食料基地とも言われます。水産業、農業は基幹産業であり、その再建なしに地域の再建、復興はあり得ません。その足かせになるのが私はTPPだと。  先日、二十六日に開かれました全国農業委員会の会長会議でも決議が行われております。震災により甚大な被害を受けた農林水産業の生産力、競争力は大きく低下した、そのようなときにTPPにより関税を撤廃し、安価な外国産農林水産物の流入に道を開くことは納得できるものではないと、こういう決議でありました。  十七日の閣議で、当初六月中とされていたこのTPPの交渉参加について先延ばしになったわけでありますが、その閣議決定では、基本方針そのものは変えるものではないとしつつも、震災や原子力災害によって大きな被害を受けている農業者、漁業者の心情、国際交流の推進、産業空洞化の懸念等に配慮しつつ検討すると、こうなっております。ですから、農業、漁業者の心情と言いつつ、一方で交渉参加の可能性も色濃く残していると私は見るんですが、大臣はこの決定に際してどういう主張をされてきたんでしょうか。
  222. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 当然のことながら、これだけ大災害を受け、この大震災によって最も被害を受けているのは農業者であり漁業者だと。とりわけ漁業地域においては我が国の、北海道から千葉県までにおける漁港においては約五〇%産出をしていると。そういう農業地なりあるいは漁業地が大きな甚大な被害を受けたということならば、当然このTPPに交渉参加するかどうかというふうなこと等々について判断するのは、やっぱりこの六月末というふうなものについてはこれは無理があるんじゃないかと。  大きな変化があった、大きな変化があったならば、この変化に対応する必要があると。そういう意味では、この被災地におきまして復旧復興というふうなことがまず最優先である、そういうところに全力を尽くしていく。そしてまた原子力発電事故によって大変な毎日毎日苦しい生活を送っている人たちのためにも一刻も早く収束をさせるというようなことの見通しを立てていくことも、そこにやはり力を入れていく必要があるんではないかという等々、私は私なりの考え方を主張したところでございます。
  223. 井上哲士

    井上哲士君 TPPへの交渉参加が、そういう大きな被害を受けた農業や漁業の皆さんが頑張ろうと、こういうまさに意欲を私は奪うことになると、こういう御認識だと思うんですね。  ところが、菅総理は二十六日にオバマ・アメリカ大統領との会談で、このTPPへの交渉参加について、震災のため判断が遅れているけれどもできるだけ早期に判断したいと、こう述べて九月の訪米もお約束をされたようであります。私はとんでもないことだと思うんですね。  今、農業の復興の展望というものを皆さんがまだ持ち得ている状況にはありませんし、原発被害というもの、それからの復興というものも全くまだ先が見えないと、こういう状況にあるわけですね。そういう中での私はこういう方向というのは、やはり農業者、漁業者の皆さんの復興への意欲を奪うことになると、こう思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  224. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 総理大臣発言につきましては私どもも承知をしておりますが、いわゆる総理大臣でございますから、全てのこの分野においての総合的な判断からそういう発言がなされたと思いますけれども、私ども農林水産省というふうな立場からいたしますならば、やっぱり今日のこの被災を受けた漁業者あるいは農業者、その地域の方々、このやはり心情というふうなものも配慮しながらというふうなところにどうしても力を入れざるを得ないんではないかなと、こんな思いをいたしているところでございます。
  225. 井上哲士

    井上哲士君 いわゆる総理大臣、よく分かりませんでしたが、本当に私は逆の政治的メッセージを発することになってしまうと思うんですね。この間、衆議院の委員会での、復興特での参考人質疑で宮城県のJA中央会の方が言われていましたけど、営農を再開しても津波や原発、TPPで外国農産物に市場を奪われては安心して営農はできないと、こういうことを率直に言われておりました。これは単に心情だけの問題じゃなくて、現にそう思わせるような現実があるわけですね。  TPP参加が東北の被災三県にどういう被害を与えるのか。お手元資料を配付いたしましたけれども、農水省が国境措置の撤廃で農水産物の生産にどのような影響が出るのか試算をされておりますけれども、これらの品目について被災地の東北三県の生産高が全国十位以内にあるものを表にしてみました。  例えば、米は国境措置の撤廃で九〇%の減少という農水省の試算ですが、生産高は福島県が全国四位で四十四万五千七百トン、宮城県が七位で四十万トン、岩手県が十位で三十一万二千五百トンであります。それから、牛肉は同じく七五%の減少という試算ですけれども、和牛の出荷頭数で見ますと、宮城県が五位で二万千三百三十三頭、岩手県が六位で一万九千六百六十五頭。さらに、六三%減少という試算のサケ・マスでいいますと、岩手が二位で二万四千四百八十七トン、宮城が三位、八千九百九十一トン、福島が五位、九百二十六トンと、こういうことになっているわけですね。それぞれ重大な生産量の減少になりますし、この周りには多くの関連の業種があるわけです。大変な被害なわけですね。  農水省としては、TPP参加がこの被災した東北三県にどういう影響を与えるのかと、この具体的な問題についてはどのようにお考えなんでしょうか。
  226. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 昨年の十一月に三十三品目について農林水産省としては国境措置を撤廃した場合にはこうですよということを出させていただきましたが、いわゆる東北、今回の東北三県に限った試算というのは行っておりません。  しかし、今回のこの状況を踏まえて申し上げさせていただきますならば、この東北三県は農林水産業の産出額では全国の約一割を占めておると、こういうことからいたしますならば、国境措置が撤廃されたというような、もしもそういうふうな状況になった場合には地域経済への影響は少なからずあるものであるというふうなことは認識をいたしているところでございます。
  227. 井上哲士

    井上哲士君 少なからずというよりも、甚大なものがあるわけですね。  ただ、今回の議論を見ておりますと、従来、政府も開国と農業の両立と言いながら大規模化とか集約化ということを言ってこられました。いろんな議論を見ておりますと、今こそ大規模化のチャンスとか、それを復興モデルにしてTPPなどの貿易自由化も推進できると、こういうようないろんな議論が様々な場所でされております。私は、現場の農業者がどうやって復興していくかということを悩んでいるときに非常に不見識な議論だと思うんですね。  今必要なのは、マイナスの出発となる農業者、漁業者の皆さんにこれまでにない国の支援を行っていくことが必要だと思うんですね。むしろ、そうした人々に大規模化、集約化ということを押し付けることは廃業に追い込むことになると、こう思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  228. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今先生御指摘のとおりに、復興に向けた考え方というふうなものについては復興構想会議におきましても御議論をいただいておるわけでございますけれども、やっぱり国が上から押し付けるというようなことじゃなしに、地域の人たちがどういう考え方を持っているか、こういう意向というものはやはり尊重していく、これは総理大臣も基本的な考え方として申し上げているところでございまして、国と地方公共団体というものが連携をしながら取り組んでいく必要があるものと思っております。  そういう意味で、どのような農地利用がこれからの復興モデルとしてふさわしいかどうか、どういう農業の担い手を育てていったらいいか、これは農業だけでなしに漁業者においてもそのような考え方を持って、地域の方々の意向というものを十分踏まえながら、今後、関係省庁とも連携をして取り組んでいかなきゃならないことだと思っております。
  229. 井上哲士

    井上哲士君 私は、地域の方々の意向を考えるならば、交渉参加ということにはなり得ない話だと思うんですね。  今、大規模化をして、あの地域で、そしてそれをモデルにしようという議論もありますけれども、大災害によって可能になるそういう大規模化というのがどうして全国のモデルになり得るのかということだと思うんですね。被災地で幾ら集約化をしてもアメリカやオーストラリアの規模には全くかなわない状況にあるわけでありますし、むしろ、今国民の中では、食料の自給率を上げることが大切だとか、そして地域の中で支え合うような社会、これの大切さということを改めて確認をしている、そういう中で農業の在り方ということを考えるときだと思うわけで、上からの押し付けはいけないと言われましたけれども、私は、TPP参加による国境措置の撤廃というのは究極の上からの押し付けになると思います。これの参加はやめるべきだということを強く申し上げておきます。  最後、一点お聞きしておきますが、福島第一原発事故による農産物の被害は重大でありますが、その中で、酪農家の皆さんです、出荷停止によって飼料を給与しながら原乳の廃棄を続けて、避難に当たっては殺処分など耐え難い苦悩の中にあると。  また、今一番草の収穫時期を迎えておりますけれども、草地の土壌汚染に加えて、牧草から高濃度の放射性物質が検出をされて収穫できないという事態になりまして、放牧もできなくなる、代替の飼料の確保やその費用に大変苦慮をされておりますけれども、この牧草の汚染についての現状と対応についてまずお聞きしたいと思います。
  230. 筒井信隆

    ○副大臣(筒井信隆君) 牧草が肉やあるいは牛乳にどの程度移行するか、これらを研究した結果、牧草の暫定基準値を設定したところでございます。その結果、今、乳牛やあるいは出荷間近の肉牛については、七県の牧草に供給を自粛するよう求めております。そして、育成牛あるいは繁殖牛に関しては、福島県の一部の牧草について供給を自粛するよう求めている、こういう状況でございます。  引き続いて、この移行係数等については農水省としても更に厳密に研究する、この体制を取って今いるところでございます。
  231. 井上哲士

    井上哲士君 この代替飼料に要した費用など、この牧草の汚染被害に対する補償がこの第一次指針の中に入っていないということで大変不安の声も上がっているわけでありますが、第二次指針がそろそろ出るころだと思いますけれども、これはきちっとその中に盛り込まれると、こういうことでよろしいでしょうか。
  232. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今お話のございました件につきましては、これまでも原子力損害賠償紛争審査会におきまして牧草の利用自粛の状況等について説明を行ってきたところでございます。  今回の原子力発電所事故に伴いまして畜産農家に生じた損害については、適切なる賠償が行われるよう、第二次指針の作成に向け、引き続き私どもは審査会に強く働きかけていきたいと思っております。
  233. 井上哲士

    井上哲士君 終わります。
  234. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 お疲れさまでございます。荒井でございます。  今日は、以前から挑戦的な論争をさせていただいておる話でございます。これ、電力の買取りということで先ほどからもお話がありました。今は、余剰電力の買取りについては高値買取りを認めると。今度、フィードインタリフが震災直前に閣議決定されましたので、全量買取りができると。じゃ、売れる人はいいんですけど、買う人誰かといったら、ソーラーパネルを付ける費用のない人が高値の電力料金を買わなきゃならない。これは、エコデバイドという言葉で私はもう三年来ずっと環境省経済産業省、そして総理にも自民党政権時代から問題提起しているんです。  ドイツでやっているやり方が決していいのではありません。格差社会をなくそうという世界共通の問題の中で、お金がある人がソーラーパネルを付けて、そうしてそれによって、お金のない、しかし環境に対してすごく一生懸命やっている、ごみ捨てもやっている、分別もしている、小まめに電気も消している、でもお金がない。いや、震災だ、景気が悪い何だといって付ける余力がない人は、どうして高値をツケ回しされるんでしょう。こういう問題、世界的な問題に対して答えを出すというのが、今度の震災を契機に大転換しなくちゃいけない。フィードインタリフの考え方を改めなければなりません。ですから、小規模水力発電のお話やらバイオマスの話がありましたが、違うやり方がありませんかと申し上げたい。これが今日の主な趣旨であります。  そういう観点に立ちますと、今我々、電気料金を払っているわけです。ところが、大臣各位、委員の皆様、そして官僚の皆さん、仮にソーラーパネルを例に取れば、それで自家発電できれば電気料金払わないわけですね、一軒で自ら自家発電するわけですから。大体四キロワットなんですね、平均で、四人家族平均で申しますと。大体これで五千円から一万円ぐらい払うんでしょう、電気料金。それを、毎月、毎年、ある支払に充てる。電気、電力会社に払わないんですから、それでソーラーパネルの費用に、返済に充てればいいんです。  じゃ、そのソーラーパネルのお金代をどうするか。PPPでいいです、官民連携。元手は国が償還財源のある国債を発行します。これは、東大小宮山元総長が言っていらっしゃる自立国債。そこに民間のお金も入れる。東京電力に払わなくて済んだ電気代でソーラーパネルの設置費用を国に、あるいはPPPのファンドに返していくという仕組みです。こういう仕掛けが世界にないんです。大転換のときなんです。そういう考え方に立ってやっていく。  しかも、日本は、京都議定書達成のために二五%削減しなきゃならないんです。海外から今もう五、六千億買っているんじゃないですか、国としても、排出量。どうして国内でそれを買い上げるということを考えないんでしょうか。それを経済産業省環境省に三年申し上げてきて、経済産業省はやっと、大企業が中小企業、系列企業からも買える、そして家庭からも買えるという実証実験にやっと入っていただいたんです。これはちょっと、私は非常に遅かったと思うんですが。  そういう脈絡でいいますと、鹿野大臣がおっしゃった、総理がおっしゃった、どんどん自然エネルギーでするんですよ、フィードインタリフやるんですよ。がくっときたんです。再生可能エネルギーでやるのは結構ですけど、どうして、お金がないけれども環境に対して一生懸命やっている、お金がある人は売電してどんどんお金もらって、それでソーラーパネルを返していく。こんな不条理が許されますか。  お手元資料を御覧ください。例えば、総理始め経産大臣皆さんが言っているエコタウンとしますよ。福島県、岩手県、宮城県、国の補助金は一キロワット当たり四・八万円です。上限は四十七・五二万円と、こういうことになります。これで、四キロワットで、平均、皆さん見てください、福島県でも実は県はありません。そして、市町村であるところとないところあります。ないところは十九万二千円しかもらえないんですよ。  じゃ、東京を見ましょう。東京はなしとなっていますけれども、これ新たにまたやるというふうに最近都知事が言っておられますが、大体四十万上乗せになると思ってください、一キロ十万出すと言っていますから。そうすると、この新宿見てもらいますと、四十万足しますので百九万二千円になるんです。この新宿のところですよ。新宿のところは、実はこれもう一回やると言っているんです。一キロ十万出すと言っていますので四十万出るんです。これを足すと六十九万二千円が百九万になるんです。現状は六十九万です。去年までやっていたんです。藤沢は三十六万、大阪は四十七万二千円と。  何を申し上げたいか。これだけ補助金でさえ差があるのに、さあ、ソーラーパネル付けましょう、やりますなんて言ったって、元手がない人はどんどん置いていかれるという格差社会をつくっていくということなんです。そこが非常に私は残念でならない。この震災を機に全国が格差を解消して再生エネルギーに向いていくという方法を出すべきなんです。  電田ということを言っている方がいます。デンデンムシでございましょうか。田んぼに規制緩和して電力会社ばりの言ってみればソーラーパネル電力会社をつくる。相変わらず売電して売るんですよ。そして、高いものを買わせられるという仕組みは残るんです。一軒一企業、自家発電という考え方をすればいいんです。そのためには、家庭の格差を国がまず率先して見直さなければならないということなんです。  何を言いたいか。市町村、県に任せたら、補助金だけで百万もらえるところと十九万二千円しかもらえないところが存在するということなんです。どんどん皆さん東京に引っ越してきますよ、これでは。国土の均衡ある発展はできません。同時に、こういうふうに書いてあっても、何千軒何万軒という縛りがありますから、全部がこの補助金をもらえるんではないんです。さあ、ここが今日のポイントなんです。フィードインタリフ方式のドイツ型というのは、お金がない人をどんどん環境に対する志まで萎えさせてしまうという仕組みなんです。これを変えなければならないということを私は先ほどから申し上げた次第です。  そこで、そういう前提でお話を申し上げますと、まず今我々は、CO2排出量を削減するという省エネと節電をしましょうという電気の使用量、この二つ、ごっちゃにしています。節電しましょうというのはキロワットです。省エネ、CO2を削減するというのは、これはキロワットアワーなんです。今、このまま行くとCO2は出し続けて、再生可能エネルギーにということは言っていますが、結局は火力発電を含めて総需要をどうするかという方向だけに行っちゃう。両立しなければ、京都議定書達成、そしてポスト京都議定書の見通しが立たないではないんでしょうか。  両大臣にその見解を聞きたかったんですが、私がちょっと長い演説をしてしまいましたので、ここをお尋ねをさせていただきたいと思います。  まず、経済産業大臣にお尋ねします。  今、先ほど申し上げましたように、ソーラーパネルを付けなさいと言ったところで、これだけの自治体の格差がある中で本当に付きますか。得した人と損した人が出るのではないですか。であるならば、国が一律に、今大体百六十万で付きます、つい一年半前までは二百五十万。どうでしょうか、国が全額、償還財源である自立国債を発行し、民間の金を入れて、電気料金を電力会社に払う必要がなくなった分で返済していく、このような考え方を三年間提示をさせていただいておりますが、大臣の御見解をお尋ねいたします。
  235. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 総理がせんだってのOECD、それからG8のサミットで全国の一千万戸の家の屋根にソーラーパネルをという発言がありましたので、私どもはそれを受けてその実現に向けて全力を挙げるところであります。ですから、そういった意味では、何らかの形で国の基本的な、基礎的な支援というんですか、こういうものも必要だろうと思っております。  ただ、そのやり方が、今委員がお話のありました、委員は本当にいつも大変私どもが刮目をするアイデアを御提案をいただきまして、それが、少し時差はございますが、実現をしたものもございます。その意味では、今も傾聴させていただいたわけでございますが、やはり基本的に、その自立国債がどのくらいの額になって、そしてその元利金の償還をまさに、節電をしました、その売上げでもって賄うということですが、そういう設計が成り立つものかどうなのかということも含めてやっぱり検討しなければいけないと思います。
  236. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 韓国の李明博大統領は、スマートメーターを全戸に入れると言ってるんですね。環境大臣、今日は防災大臣じゃなくてお尋ねいたしますけれども、環境大臣、今、経産大臣はそうおっしゃっているんですが、世界の生活を変えていく、自給自足型に変えていくと。その中で、特に我が国は安全保障に直結なんです。今回、新しいエネルギーの在り方、自然との共生の在り方、技術過信に対する我々の謙虚さ、様々なものを世界が私は見ていると思いますし、やっぱり日本だと言わせたいんですよ、大臣、私は。  三大臣、どうですか。このまま日本は駄目だ何だのと、悔しいですよ。日本人には力がある。このときに大胆に発想を変えていくということなんですね。環境大臣、どうですか。今ほどの話で、経産大臣のようなわけにはいかないと言ってください。
  237. 松本龍

    国務大臣(松本龍君) 大変いい発想だというふうに私も思います。私も、節電対策等々が言われたときに、李明博大統領と同じようにスマートメーターを着目しろという話はいたしました。  今先生おっしゃるように、日本は世界一の環境技術を持っているというふうに思います。しかし、営業の仕方というか何というか、運用の仕方がある意味では下手ということで、やっぱり物づくりは世界一だけれども、その後の事づくりをやっぱりやっていかなければならない。そういう意味では、スマートメーターを世界に発信をするなど、やっぱり新しい発想でやっていかなければならない。  そういう意味では、再生可能エネルギー、分立型エネルギーあるいは自己完結型のエネルギー等々も見直していきながら、やっぱり大量普及ということ、コスト低減ということも、小宮山先生の話も知っておりますけれども、その辺のところも含めて、これから環境省としても取り組んでいきたいというふうに思っております。
  238. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 具体的に言います。  環境大臣、エコポイント入れるときに、麻生内閣でしたが、私、十回、予算委員会を含めて同じことを言い続けました。エアコン、冷蔵庫、テレビ、これ最初全然、財務省やる気がなかった。やってみて、少なくとも地デジ対策には間違いなくなった。そして、エアコン、冷蔵庫も買換えになって、かなりの部分これは省エネ、CO2削減になったんです。本来は、古い型の電気使用量、ざくっと言えばCO2の排出量引く新しい型の電気量、ざくっと言ってCO2排出量、それが確実に落ちますから、その削減、CO2の削減分にポイントを掛けてお金を乗せなきゃいけなかったんです。  そのことができないと経産大臣おっしゃるように言うんですよ、官僚の皆さんは。そんなことないです。型番ですぐ分かるんです。大型家電はみんなこれ、環境大臣、全部あれでしょう、リサイクル法にのっとらなきゃいけないんですから。型番見れば、どれぐらいの電気代掛かってCO2出しているか分かるんです。皆さん、電気会社に行って、量販店に行ったら、商店に行ったら分かりますよ。その差額の排出量に掛けていくんです。今一トン当たり大体千二、三百円から二千円ぐらいですけど。  それができないというので、私、四つ星、五つ星で何とか納得したんです。それをもう一回復活しませんか。今度は、今言ったように、削減される電気量、排出量を引いた分でポイントを掛けていく。本当にこれは節電にもなるんです、キロワットにも、アワーにもなるんです。これをもう一回やりませんかと。環境大臣、経産大臣に一言ずつ言っていただきたいんですね、どうするか。  そして、一番は室外機です。何の。クーラーです。あれ、掃除しただけで大変に節電になるんですよ。それもポイントに入れるんです、エコポイントに。こういうちょっとしたことから大きなことまで、私は小さいので小さいことから大きいところまでいくんですが、どうでしょうか。室外機の掃除にもエコポイントを掛けて、先ほど言った排出量の取引の概念でやっていくというエコポイントを再開しませんか。環境大臣、そして経産大臣、検討中か、やるとか、それぐらいでいいです。前段は結構です。農水大臣に重要な話もございますので、どうぞその時間も取ってください。
  239. 松本龍

    国務大臣(松本龍君) お答えいたします。  前も安全・安心ポイントという話もいただきました。大変貴重ないい御提案だというふうに思っております。多分、二〇〇九年の春ごろからあの家電エコポイントを取り入れられて、私はあの厳しいとき、リーマン・ショックの厳しいときにやっぱりすごいアイデアを自公政権は出されて、その後の一年、二年、しっかりやっぱりいい経済効果もあったというふうに思っております。  今御指摘の点は、やっぱり省エネ家電製品の普及をしていかなければならない、CO2に着目をするということは非常にいいアイデアだというふうに思っております。例えば室外機の話、今おっしゃったとおり、私も指示をして、五月にやっぱりクーラーの掃除をしようということを発信をしましたし、パソコンも光量、光を落とすことでかなりの削減ができるということも含めてこれからやっていきたいというふうに思います。
  240. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) いいですか。
  241. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 はい。経産大臣とは何もなければ木曜日やる予定になっておりますので、何もなければ木曜日にさせていただきたいと思っておりますが。  農水大臣、御苦労さまです。福島県ではたばこ農家が大変なダメージです。これは県と相談して全県が作付けをやめました。これについては原賠審、いわゆる紛争審査会、これについて全県一律満額対応していただけるものと思いますが、農水省はどう考えていらっしゃるか。  そして最後に、羽鳥ダムと西郷ダムというのも、これは地震地帯なんですが、大変被害を受けています。そこに作付ける風評被害で大変な問題がありますから、国営で整備された施設の復旧については国庫負担を全額お願いできないだろうかと。  この二点について、済みませんが、まとめてお願いします。
  242. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) たばこのことにつきましては、今年の生産を断念するということを決定したということを承知しておりますが、私どもといたしましては、この原子力損害賠償紛争審査会に対して葉たばこの作付け休止に至った経緯等について説明を行ってきました。そして、今回の原子力発電事故に伴いましても葉たばこ農家に生じた損害に対して適切な賠償が行われるよう、第二次指針の作成に向け、引き続き原子力損害賠償審査会に働きかけてまいりたいと、もうぎりぎりのところまで働きかけてまいりたいと思っております。  それから、羽鳥ダム等々のことにつきましては、私も矢吹町に参りましていろいろ具体的な要請、要望も受けました。今日までも何とか、復旧事業につきましてはこの負担というふうなものが農家一戸当たりの復旧事業費に応じて高率の負担率が適用される仕組みとなっておりまして、高い国庫負担がなされるようにしたところでございますが、残る地方負担についても地方公共団体の負担に見合う手厚い地方の財政措置が講じられたところでございます。そういう意味で、この被害を受けた農家の負担とならないよう、国と地方団体が連携して対応してまいりたいと思います。
  243. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 一分ございますので、農林水産大臣にお願いでございますが、もう一歩お願いしたいところが国営についてはございます。  それから、たばこについては、これは全部一律にやめたわけです。行政指導、県と相談したんです。これは一律に扱ってもらわないと困るということです。  それから、先ほども申しましたけれども、各県の知事さん方と電田構想、いろいろ私は方向は間違っていないと思います。しかし、相変わらず持てる者が売電をし、そして力のない方々が多額の、高いその電力を買うということになると、今度はこの原発での問題というものでの価格転嫁、考えられます。さらには、消費税というのはいずれ景気が良くなってから償還財源で出てくるということもあり得ます。  三重苦に見舞われるような、こういうやり方というのはやっぱり大転換をしなくちゃいけないということを私は申し上げたいなということで最後に申し上げまして、終わりといたします。
  244. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  今日は、経産大臣に主要にはお聞きをしたいと思います。  最初に、エネルギー特会の電源開発促進勘定について伺いたいと思うんですが、この勘定は、一般家庭が支払う電気代の約二%の電源開発促進税を原資としておりまして、平成二十一年度決算によりますと一般会計から約三千四百五十億円が繰り入れられておりまして、そして電源立地対策費に約一千四百五十億、電源利用対策費に約四百四十億、独法運営交付金等に約一千四百三十億、周辺地域整備資金に約八十億などが支出されておるわけですね。  これはどのような目的でそれぞれ払われているのか、簡潔にこの点は説明いただきたいんですが、その上で、四月十八日の参議院予算委員会において東電の清水社長が、福島第一の第七号、八号機の新規建設は困難だ、こういうふうに我が党の福島みずほ党首に答弁をいたしました。  この答弁を含めて、原発をめぐる情勢あるいはまた世論の反応が大きく転換している現在、これらの資金の規模あるいは取扱いについて当然再検討されるべきだろうと思うんですが、その見解を伺いたいと思います。
  245. 細野哲弘

    政府参考人(細野哲弘君) お答えを申し上げます。  委員御指摘のとおり、電源開発促進勘定におきましては、一般電気事業者の販売電力量に応じて課される電源開発促進税、先ほどおっしゃった比率で徴収し、それを財源として電力の安定的な、あるいは低廉な供給を確保するということで運用をなされております。  その使途でございますけれども、原子力を始めとする長期安定電源の立地促進、あるいは電源施設の安全対策、あるいは防災等の対策を行うための立地対策と、それから電源、発電技術の開発とか、いわゆる系統安定化対策等に用います利用勘定、利用対策とに構成されております。  それで、このうち当省の関係でございますと、独法運営費としては、原子炉施設の検査や設計に関する安全性の解析、これはクロスチェックも含めてでございますが、こういったものを行っております原子力安全基盤機構への運営交付金となっております。  それから、周辺地域整備資金というのがございます。これは、計画されました原子力発電所は建設等が始まりますとまとまった交付金が必要でございますけれども、それに至るまでの時期においては、必要とする交付必要額についてはギャップがございます。これをある程度ならすために、あらかじめ立地地点ごとの将来の交付額を算定して積み上げているものでございます。  御指摘になりました福島の七号、八号については、先ほど御指摘のような意向が示されていることは事実でございます。したがいまして、今申し上げましたこれらの電源開発促進勘定の歳出項目の取扱いにつきましては、今後、原子力政策を含むエネルギー政策の在り方について幅広く国民各層の御意見をちょうだいいたしまして、議論をしていく中で併せて見直していく、検討していくということになろうかと思います。
  246. 又市征治

    ○又市征治君 きちっと見直すべきですね。  私は、これは改めて決算委員会で、原子力関係の様々な独法やら財団やら公益法人やら随分とあって、そこにまた随分と天下りが行っているんだよね。この問題は今日やっていたらもう時間がなくなるから、これは改めてやらなきゃならぬと思いますが。  次に、東日本大震災の前日、つまり三月の十日に第一回発電コスト等試算ワーキンググループが開催されていますね。この場で配付された資料を見ますと、「発電コストの試算に関する論点メモ」の三、その他、発電コスト試算を行う際に考慮すべき事項についての(1)横断的事項には、発電コスト試算では、前回と同様、発電に直接かかわる経費、つまりこれは建設費や人件費、燃料費のことをいうんでしょうけれども、これを対象として、研究開発や広報費等、また発電用施設の設置及び運転の円滑化を目的とした電源立地交付金や発電設備の設置等に係る事業者補助金については、原則として発電コスト試算の対象外とすることでよいかと、こう記されているわけですね。  なぜ、一体全体、研究開発費や広報費、あるいは発電用施設の設置及び運転の円滑化を目的とした電源立地交付金や発電設備の設置等に係る事業者補助金は発電コスト計算の対象外とするのか、ちょっと説明をしてください。
  247. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) お答えをいたします。  これ、基本的にはOECDの試算というものがありまして、これがベースになっておろうかと思います。それから、交付金などは、これは地元の医療施設の運営などの福祉対策などを通じて地元の住民に還元されておりますので、そういうことからこのコストの中には含めてこなかったものだろうと思います。  ただ、いずれにしましても、今後、この原子力の発電に掛かるコストについては、今回の事故の検証を踏まえ、しっかりと議論をしていく必要があろうかと思っております。
  248. 又市征治

    ○又市征治君 今大臣からそうありましたから、特にこれ、地域整備資金だとか電源立地交付金、さらには研究開発だとか広報費なんというのは、じゃこれがなかったら原発の建設が大変困難だと、だから支出しているんですよね。それはコストと全然違うんだという言い方は、本当に、原発安いんだとか宣伝のための作為、こういうことだと思いますね。ましてや、皆さんが全部御存じのとおりですけれども、使用済核燃料の、じゃ廃棄に掛かる金は何か試算されているか、何もない。大変な金が掛かっていく。あるいは、原発の廃炉、これ三十兆円とも言われる、全部廃炉にするとしたら。こういうものを全然コストとして考えられていない。こういう話なわけで、ここらはやっぱり根本的に私は今見直すべきなんだろうと思います。  そこで、もう一つお聞きをしておきますが、一般的に、例えば百三十五万キロワットぐらいの原子力発電所の建設に三千五百億から四千億ぐらい掛かると、こう言われるんですが、この経費は原発の発電コストに計上されているんでしょうけれども、原発一基建設するに当たって国から、補助金とか交付金とか今申し上げたようなことなど、そういうものはどのぐらい支出されているのか、一般的にですよ。  そのほか、建設地の自治体等に対する補助金や交付金がどのようなものがあるのか、これは一基当たり、平均でいいんですが、どのぐらいの金額になっているのか、試算されているかどうか、お伺いしたいと思います。
  249. 細野哲弘

    政府参考人(細野哲弘君) お答えを申し上げます。  電源立地地域対策交付金の実際の交付金額は、出力でありますとかもちろん発電の電力量によって異なりますが、今御指摘の百三十五万キロワットの原子力発電所というのをモデルケースにいたしまして、仮にそれが全く新たに建設されるということで試算をいたしますと、いわゆる環境影響評価調査開始から運転開始後も、これももう数十年掛かるわけでございますが、およそ五十年間の間に、このケースですと約千三百六十億円が交付をされます。  そのほか、発電所の周辺地域に立地する個々の企業さんにつきましては、これは設備投資をするとか等々の要件が掛かりますが、実質的に電気料金の実質的な割引措置として補助をするという制度がございます。これにつきましてはケース・バイ・ケースでございますけれども、例えば北陸で申し上げますと、二基立地をする石川県の場合ですと、二十二年度でこの企業向けの補助ということで二億円が支出されております。
  250. 又市征治

    ○又市征治君 今お聞きのとおりなんですが、それ以外に、さっきから申し上げた現実問題で、福島の廃炉にしますとか、これから、じゃ四十年ぐらいたったものはみんな廃炉にしましょうよといったときに、これは一体どうしていくのかね。大変な、これ電力会社にとって一番負担なんで、これは私はこれから綱引きになっていくんだと思いますよね。国策でやったんじゃないか、だから国が払えよと、いや電力会社がそれやってたんだからと、この大問題になっていくんだろうと思うんですが、そういう問題や使用済核燃料問題の廃棄問題、大変な話になっていくだろうと思います。  そこで、総理は記者会見で、エネルギー基本計画を白紙から見直すと、こうおっしゃった。我が党は先週、脱原発アクションプログラムで、二〇二〇年までに原発ゼロにできるんじゃないのか、いろんな試算を出してやりました。そして、二〇五〇年には自然エネルギー一〇〇%にできるようにということで、これは総理にもお渡しをいたしまして、大臣のところにも行っていると思います。  その中で、原子力発電所の新規建設中止を私たちは当然のこととして、それは求めます。大阪の橋下知事あるいは静岡の知事もそれぞれ、大阪の知事はもう原発、関西地区でやるのは反対だと、こうおっしゃる、静岡の知事も浜岡号機の新設はもう非常に難しい、こうおっしゃっている。こういう空気に大きく変わってきたと思うんですね。そういう中で、あちこちの、国民の世論ももはや原発に頼らないということの方が大きくなってきているという中で、まだ現在着工されていない九基の建設計画、これどういうふうになさるおつもりなのか。この点、まずお聞きします。
  251. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 私どもの基本的なエネルギー基本計画、これはまあ総理が白紙で見直しをするということでございますから、これはそこでしっかりと議論すればいいことでありますが、ただ、私どもはやはりベストミックスということを考えておりますので、その中で、この新規の建設の取扱いを含んで、どういうことになろうかということは国民世論も聞きながら判断をしていきたいと、そう考えております。
  252. 又市征治

    ○又市征治君 えてして経済問題というか電力料金の話ばっかりになったりするんですけれども、今、福島で起こっている問題は、まさに国民の生命や安全や財産、土地をどう守るかという問題、この点をしっかりと踏まえていただいてこの見直しを進めてもらうように、あるいは我々も意見をいろいろと述べていきたい、このように思います。  先ほど述べましたように、我が党の脱原発アクションプログラムでは、二〇五〇年までに自然エネルギー一〇〇%というふうに主張しているわけですけれども、他方、風力とか太陽光とかというのは、優しいけれども今の日本の経済を支える電力の供給はできないとか、あるいは原発停止すると停電してしまうんじゃないかとかという意見がいろいろとあると。  これは本当にしっかりと議論をしていかにゃいかぬことだろうと思うんですが、いろんな意見があっていいんですけれども、環境省は四月二十一日に、自然エネルギーを導入した場合にどの程度の発電量が見込めるか、試算結果を発表されておるわけですけれども、報道によれば、風力発電によって最大四十基分の発電量が見込めるというふうに報道されている。  原発の代替エネルギーとしての風力発電の可能性について、試算結果を簡潔に説明をいただきたいと思います。
  253. 鈴木正規

    政府参考人(鈴木正規君) ただいま御指摘いただきました試算でございますけれども、それぞれの風量等を前提といたしまして、また地形等を勘案し導入可能量を出した上で、全量買取り制度の法案が成立することを前提に、そこで示されておりますような価格等を踏まえて、導入可能といいますか、採算可能な電力量は幾らかということで試算したところ、年間五百億から三千億キロワットアワーの電力ができるということでございます。これを、今報道では、原発一基百万キロワットでどうやら設備利用率を大体七五%ぐらいということで、前提で試算すると、およそ四十基分ぐらいの電力量に相当するという報道があったと思われます。  ただ、他方で、風力発電というのは御存じのとおり天候に左右されるという不安定性がございまして、また、事業採算のいい優良なところというのは北海道、東北に集中しているということですので、どれだけその系統に接続できるかということも中短期の導入量としては検討する必要があろうかというふうに思っております。
  254. 又市征治

    ○又市征治君 是非そこらのところを、今おっしゃった地域性とそうした変動性があるわけですから、もっと精密なものに是非していっていただくように要請をしておきたいと思うんです。  ところで、大臣、この度、今後のエネルギー政策に関する有識者会議、これが五月の十二日に第一回目ですか、二十三日に第二回目、開催をされているようですけれども、この会議の趣旨、またこれからの日程、そしてこの会議の取りまとめがエネルギー基本政策の見直しにどのような役割を果たすのか、ちょっと関心を私は持っています。  特に、この委員会の委員の人選ですけれども、有識者会議委員長は以前は原子力ルネッサンス懇談会、三月十一日以降は何か名前が変わったようですけれども、エネルギー原子力懇談会ですか、この会長を務めておられたわけで、現在も同じだと思いますけれども、この懇談会は、その設立目的を見ますと、明らかに原発推進の立場、それも世界的レベルで推進することを目的とされているようです。名称が変更になった後も、原子力発電再興計画を練ることが目的の一つだと、こうなっているようでありまして、そうしますと、総理がエネルギー政策を白紙から見直すと言いながら、そういう人物を今後のエネルギー政策検討の有識者会議委員長になさっているというのでは、白紙どころか既に絵ができ上がっているのじゃないのか、こういう疑念を持たれても当然なんだと思うんですね。  こういう人選というのは私は全く国民をばかにしている、こう言わざるを得ないと思うんですが、この点、大臣、どういうふうにお考えですか。
  255. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) お答えをいたします。  まさに、有識者会議というその名のとおり、私は、有識者の方にお集まりをいただきまして、そして実は今日もこの後その会議がございますが、これは直接エネルギー基本計画に何か答申を出したりとかいうものではありません。私がそういう方々の意見を聴かせていただこうというものでありますが、ただ、又市議員、是非ここは御理解をいただきたいんですが、委員長ではありませんで、座長で、この座長は委員の方々の互選による、推薦によるものであります。  それから、私も皆さんの意見、これまで二回にわたって聞いておりまして、最初から自分は原発推進派だとか、いや、私はアンチ原発派だと、そういうことではありませんで、やはりみんながそれぞれ重く受け止めておりますのは、せんだっての三月の十一日の東京電力福島第一発電所事故でありまして、今後もう二度とこういうことを起こしてはいけない、それからやはり国民の皆様方に安心をしていただかなければいけない、それから地球環境の問題もございます、クリーンなエネルギーもどんどん推し進めていかなければいけないと、そういう共通項目の中でそれぞれの知見を紹介し合っているということで、私も大変参考になっておりますので、虚心坦懐に私もその意見を聴いて今後のエネルギー政策に参考にさせていただきたいと、こう思っております。
  256. 又市征治

    ○又市征治君 ここは、これは見解全然違いますね。現実にそれを推進するという人が座長、委員長というか座長というか、そういう格好ですとおっしゃるわけですから、これはやっぱり私は疑念を持たれるような選び方をすべきじゃないということをあえてもう一度申し上げておきたいと思います。  最後に、経産省の原発関連予算の扱いについてですけれども、このエネルギー基本政策が白紙から見直されようとしているわけですけれども、また、政府が震災からの復興予算の捻出に汗をかいているときに原子力関連予算が三月十一日以前と同様に支出されるというのでは、国民のやっぱり理解は私は得られないと思うんですね。  例えば、経産省の原発関連予算では、「国民及び立地地域社会との相互理解や地域共生を図るための活動の充実」という項目があります。その中で、広聴・広報で八億五千八百万円、原子力教育推進事業七千万円などが計上されていますし、そのほかにも、エネルギー教育実践校事業、こういうものもありますよね。新たなエネルギー政策ができるまで、少なくとも今こういう問題が起こって、じゃ一体子供に、教育なんて書いてあるけれども、原子力は安全ですという、そんな宣伝するんですか。それこそばかにしたと言われないかぬですね、これ。  そういう、こうしたこれらの予算というのは、経常的な経費のものを除いて、私はやっぱり年度途中といえどもこれは見直すべきだ、あるいは停止するものはすべきだ、こういうふうに思いますし、櫻井副大臣見えてますけど、是非来年度の予算をまた、それまで今の内閣あるかどうか知りませんが、まあここらはやっぱり見直すぐらいのこともしっかり、是非それは見直す覚悟で……(発言する者あり)何を言ってるんだ。今……
  257. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 不規則な発言をおやめください、もういいから。
  258. 又市征治

    ○又市征治君 経産大臣にお答えいただきたいと思います。
  259. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 今委員御指摘のありました、特に広報予算の執行ですね、これは私もしっかりとメスを入れていきたいと思っております。  それから、過去についても少しやっぱり調べてみませんと、何千万円というお金がいろんなところに、有識者派遣事業ですとか地域メディア活用事業ですとかありますから、NPO等活動整備事業、どういうNPOに払われていたのか、全部これは、私は大変きちっとやってまいります。  ただ、中身を変えて、安全性を高めるための、あるいはその安全教育をするための予算というのは必要だろうと思います。これは当たり前でございますが、偏った、あるいは過去の安全神話にのっとったそういう広報は、これはもうやらないということでございます。
  260. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。
  261. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 他に御発言もないようですから、農林水産省経済産業省及び環境省決算についての審査はこの程度といたします。  次回は来る六月六日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時五分散会