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2011-05-23 第177回国会 参議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年五月二十三日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月十八日     辞任         補欠選任         島尻安伊子君     野村 哲郎君      山内 徳信君     又市 征治君  五月十九日     辞任         補欠選任         平山  誠君     江崎  孝君  五月二十日     辞任         補欠選任         江崎  孝君     有田 芳生君      藤本 祐司君     平山  誠君  五月二十三日     辞任         補欠選任         有田 芳生君     江崎  孝君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鶴保 庸介君     理 事                 姫井由美子君                 松浦 大悟君                 松野 信夫君                 岡田 直樹君                 野上浩太郎君                 渡辺 孝男君     委 員                 相原久美子君                 江崎  孝君                 大河原雅子君                 大久保 勉君                 小西 洋之君                 斎藤 嘉隆君                 田城  郁君                 那谷屋正義君                 平山  誠君                 前川 清成君                 青木 一彦君                 熊谷  大君                 藤井 基之君                 藤川 政人君                 丸川 珠代君                 森 まさこ君                 若林 健太君                 秋野 公造君                 柴田  巧君                 井上 哲士君                 荒井 広幸君                 又市 征治君    国務大臣        文部科学大臣   高木 義明君        厚生労働大臣   細川 律夫君    副大臣        財務副大臣    櫻井  充君        厚生労働大臣  大塚 耕平君        経済産業大臣  松下 忠洋君    大臣政務官        文部科学大臣政        務官       笠  浩史君    事務局側        常任委員会専門        員        工藤 政行君    政府参考人        内閣原子力安        全委員会委員長        代理       久木田 豊君        総務大臣官房審        議官       三輪 和夫君        総務省統計局長  川崎  茂君        文部科学省生涯        学習政策局長   板東久美子君        文部科学省初等        中等教育局長   山中 伸一君        文部科学省高等        教育局長     磯田 文雄君        文部科学省高等        教育局私学部長  河村 潤子君        文部科学省科学        技術学術政策        局長       合田 隆史君        文部科学省研究        開発局長     藤木 完治君        厚生労働省医政        局長       大谷 泰夫君        厚生労働省医薬        食品局長     間杉  純君        厚生労働省労働        基準局長     金子 順一君        厚生労働省職業        安定局長     森山  寛君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    木倉 敬之君        経済産業大臣官        房技術総括審議        官        西本 淳哉君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     寺坂 信昭君        中小企業庁長官  高原 一郎君        環境大臣官房審        議官       関 荘一郎君    説明員        会計検査院事務        総局第二局長   川滝  豊君        会計検査院事務        総局第四局長   太田 雅都君        会計検査院事務        総局第五局長   斉藤 邦俊君    参考人        独立行政法人日        本原子力研究開        発機構理事長   鈴木 篤之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成二十一年度一般会計歳入歳出決算平成二  十一年度特別会計歳入歳出決算平成二十一年  度国税収納金整理資金受払計算書平成二十一  年度政府関係機関決算書(第百七十六回国会内  閣提出) ○平成二十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百七十六回国会内閣提出) ○平成二十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百七十六回国会内閣提出)  (文部科学省及び厚生労働省の部)     ─────────────
  2. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、島尻安伊子君、山内徳信君及び藤本祐司君が委員辞任され、その補欠として野村哲郎君、又市征治君及び江崎孝君が選任されました。     ─────────────
  3. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 平成二十一年度決算外二件を議題といたします。  本日は、文部科学省及び厚生労働省決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれも省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 田城郁

    田城郁君 こんにちは。民主党・新緑風会の田城郁でございます。決算委員会では初質問となります。どうぞよろしくお願いをいたします。  まず初めに、三月十一日の大震災津波、そして原発の未曽有の困難な状況にある今の日本において、特に雇用状況に関して厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。  まず、被災状況のひどい東北三県はもとより、三・一一の発災以降、全国的に雇用状況悪化の一途をたどっているということは容易に想像が付くところですが、例えば二十一年度では何万人の方々失業をしており、失業時に支払われる基本手当はいかほど支出されているのでしょうか、推移も含めて分かる範囲でお答えいただければというふうに思います。
  8. 森山寛

    政府参考人森山寛君) お答え申し上げます。  二十一年度の失業等給付の各月の平均の受給者数でございますけれども、この受給者人員、これは対前年度で四〇・九%の増でございまして、約八十五万五千人でございます。  それから、失業等給付支給総額でございますけれども、これも対前年度比でいきますと四六・七%の増でございまして、約一兆九千八百五億円でございます。
  9. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  年々支出が増加をしている、特に二十一年度以降、支出収入を大きく上回って雇用保険積立残高は減る一方であるというようなことがお分かりだと思うんですが。  八十四万人と言われる被災沿岸部失業者数であります。もちろんこれは一次補正手当てをしていくわけですが、東京商工リサーチの調査では、原発三十キロ圏内では二千二百七社が操業停止に追い込まれていると推計をしております。また、津波浸水被害を受けた企業は、岩手県で千八百七十五社、宮城県で三千八百四十社という推計をしております。  今後の経済悪化は避けられない状況であり、失業者全国的に広がっていくおそれがあります。一刻も早く大規模な経済対策が望まれるわけですが、失業者をこれ以上増やさない何らかの手だても一方では必要だというふうに考えます。これから予想される失業者の中には、震災影響以外にも、例えば有期雇用契約社員契約を打ち切られるという形で職を失う、そういうケースも出てまいります。  厚労省にお伺いいたします。ここで、日本の全就労者数と各雇用形態別就業人員などが分かりましたら教えていただければと思います。
  10. 森山寛

    政府参考人森山寛君) 先ほど先生の御質問にございましたまず震災後の状況でございますけれども、震災後の雇用保険離職者票、これの交付件数といいますのは、岩手宮城、福島の三県で十万六千四百六十一件ということで、前年の同時期に比べまして二・四倍ということで増えているところでございます。  また、先生今御指摘ございました契約形態ごとの数でございますけれども、これちょっと手元には今ございませんが、御指摘契約社員等も含めた非正規労働者の雇い止め状況でございますけれども、これは二十三年の三月十九日から四月十七日までということで、全国労働局あるいはハローワークにおいて把握できました数でございますが、この全国で非正規労働者の雇い止めの数、これは六千八百六人でございます。そのうち東日本大震災影響によるものは三千百五十五人ということでございまして、大変な影響が出てきていると。全国において雇用の厳しさが広がってきているという状況は懸念されるところでございます。
  11. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  私はJR東日本という鉄道会社にかつて在籍をしておりました。そこでは、グリーンスタッフという契約社員が既に約二千人ほど駅の改札や出札窓口中心に勤務をしております。彼らは一年ごと契約更新で最長五年間雇用され、それ以上は在籍をすることができません。彼らは異口同音に、私たちは低賃金もつらいのですが、何よりも心の安定が欲しいのです、あるいは、この不安定な身分では結婚し家庭を持つこと、子供をつくることもとても考えられませんと悲痛な声を発しております。日々の業務でのちょっとしたミスの一つでも、あるいは家庭の事情で残業をお断りした、そういう一つを取っても、契約をいつ打ち切られるのではないかとびくびくしながら毎日を過ごしております。  また、ある契約社員は、駅で乗客に暴力を振るわれ、半身不随の状態が一年以上、現在も続いておりますが、当時は正社員と違い共済組合関係資格もありませんでしたので給与補償もままならず、家計は一時どん底の苦しい状況に追いやられました。現在は手当てがされております。今も完治をせずリハビリを続けていますが、いつ契約を切られるか、これも日々不安な中で毎日を送っているということです。そして、彼らは、今震災不況の中でこのまま社会にほうり出されたらどう生きていけばよいのかというふうに、三・一一以降の新たな深刻な悩みを抱えております。  これらのことを日本地図を頭に浮かべて推し測って考えてみれば、各々抱える悩みの形は違えども似たような状況があるということは、有期雇用労働者が先ほどの統計人数の数だけ被災県を筆頭に全国に広がっていく、そういうことが考えられるわけです。  私は、この三・一一の震災以降の不況下にあって、体力のある会社は、契約上のことだから雇用を切っても問題ないと、そういうふうに失業者を増やすような判断をするのではなく、しっかりと雇用を確保すべきであると。一定期間を過ぎれば正社員として処遇するなど、そういう判断ができないか。国難とも言える日本の今の状況の中で常に社会から利益を上げてきた企業が果たすべき社会的責任であると、雇用確保というのは社会的責任であるというふうに私は考えます。  以上の状況に鑑みまして、大臣にお聞きいたします。何か厚生労働省で方策などお考えでしたら御披露願えればと思います。よろしくお願いいたします。
  12. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 田城委員にお答えをいたします。  有期契約で働いている労働者皆さんが大変不安定な状況に置かれているということについては、これは私も委員と同じ認識でございます。また、不安定だけではなくて、待遇の格差の問題、あるいは職業能力というのもなかなか身に付けられない、そういうチャンスもないと、こういうことで非正規の中でのこの有期契約労働者皆さんについては私は大きな課題があるというふうに思っております。したがって、有期契約で働く人たちが安心して働けるためにどうあるべきかということは、これは国政の上でも最も大事な問題だというふうに私としては考えているところでございます。  そういう意味では、有期契約労働者、この人たち在り方につきまして、昨年十月から労働政策審議会におきまして検討を始めております。これまで有期労働契約実態あるいは契約の締結それから終了、それに関する論点などについて議論をいただいておりまして、既に五回議論を行ってきたところでございます。  震災でちょっと回数ができない、議論できなかったところもありますけれども、私としましては、この夏ごろまでにはしっかりした各論について一通りの議論を行って中間的な整理をしたいというふうに考えておりまして、その後、更に議論を深めまして、今年の十二月ごろには結論を出していただくという予定にして進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  13. 田城郁

    田城郁君 大臣より力強い労働政策審議会での議論というものを始めたというお言葉がありまして、大変ありがとうございます。  大臣も今お話しいただきましたが、震災関係によって少し議論がストップしていた時期もあるとお聞きしておりますが、やはり絶対に、結論が十二月、これを先延ばしというか、震災影響があったにせよ、先に延びてしまうなどということがあってはならないと私は思っております。三・一一以降の震災関係でストップし、結論も延びそうだというようなことをちょっと耳にいたしましたけれども、今の状況は、逆にスピードを上げて震災対策として雇用問題に取り組むべき課題であるというふうに私は思います。是非、この国難を乗り越えるべく、有期契約労働という不安定な雇用契約必要最低限にして、多くの不安定な雇用を安定した雇用へと切り替える、そういう方向で是非結論を出していただきたいと思います。  改めて、大臣の御決意をよろしくお願いをいたします。
  14. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) この有期労働者皆さん労働条件、この働き方の問題については、これはもう委員指摘のように、しっかりこれを検討して、有期契約で働く労働者皆さんが安心して働けるというそういう社会をつくっていかなければいけない、あるいはそういう労働の法制といいますか法律等、そういうのもしっかり作っていかなければというふうに思っております。  そういうことで昨年から労政審検討していただいておりますが、その前には有識者皆さんにこの問題について検討をしていただいて、そこからの御意見もいただいておるところでございます。  この労政審での検討そのものは元々この十二月、今年の末には結論を出すと、こういうことでありました。したがって、震災があったからといって引き延ばしをするようなことがないように、それは私の方からもしっかり伝えていきたいというふうに思っております。  そういう意味で、この有期契約の問題につきましては大変大きな重要な問題でございます。したがって、これは厚生労働省としてはしっかり着実に結論を出していくように努めてまいりたい、このように考えております。
  15. 田城郁

    田城郁君 大臣の改めて力強い答弁をいただきました。大変ありがとうございます。  質問を変えます。  私は栃木県の宇都宮市の出身であります。その栃木県には、温泉で有名な那須塩原市が市を挙げて心配をしている問題がございます。厚生労働省は、那須塩原にある国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局塩原視力障害センター平成二十四年度に、さらに静岡県にある伊東重度障害者センターを二十五年度末に廃止をして、埼玉県所沢市の国立障害者リハビリテーションセンターに統合をするという方針をお示しでございます。今回は、二つ施設のうち、塩原視力障害センター中心にお伺いをいたします。  このセンターは、病気や事故で視覚障害となった人々社会復帰をするための職業訓練センターという性格です。人生の半ばで失明をした人の多くは仕事を失ってしまいます。そうした人々が鍼灸師などの資格を得て再び収入を得ることができるようにする機関です。  さて、那須塩原市は、温泉郷のホテルを始め市民全体で塩原視力障害センター訓練を受けた方々就労支援をし、さらに慰問をし、差し入れをするなどして支援を続けてまいりました。また、訓練生の側も、市のそういう人々の応援にこたえて、地元恒例湯けむりマラソンなどの出場者無料マッサージサービスをしたり、あるいは老人施設を慰問して無料治療奉仕をしたり、そういう活動もしております。また、地元の小中学生がセンターを訪れて、視覚を失った方々交流を深めることで多くのことを学び、地域に密着した訓練施設として高い評価を受けております。  ところが、厚生労働省は、総務省国立更生援護機関の減量・効率化方針に基づいて検討したとの理由で、二つセンター廃止所沢市の国立障害者リハビリテーションセンターに統合するとの事務連絡平成二十一年の九月に発しております。このことは地元には何も知らされておりませんでした。那須塩原市議会がこのことを知ったのは平成二十二年の九月になってから、一年後ということですが、になってからです。民主党の政権が成立した直後の九月に厚生労働省厚生政務三役に事務連絡を発出したことを報告しております。那須塩原市は、地元に何の相談もなく廃止方針を出した政府に対して平成二十二年の九月に同センターの存続を求める意見書を採択、さらに栗川市長自らも厚生労働省要望書提出をしております。  そこで、厚生労働大臣にお伺いをいたします。厚生労働省平成二十年の十月に国立更生援護機関の今後のあり方に関する検討会設置し、平成二十一年、翌三月に報告書を公表しておりますが、このあり方検討会には地元施設関係者及び那須塩原受益関係者は参加していたのでしょうか。また、地元意見は取り入れられていたのでしょうか。また、平成二十一年に事務連絡を発出していますが、政務三役がそのことを知ったのはいつでしょうか。教えていただければ幸いです。
  16. 木倉敬之

    政府参考人木倉敬之君) お答え申し上げます。  先生指摘塩原視力障害センター等でございますが、これにつきましては、国立更生援護機関全国に八か所ございますけれども、これらにつきましては、戦後の昭和二十年代から四十年代にかけて設置をされてきておるものでございます。これ全体を取り巻きます社会情勢あるいは障害者施策情勢、これらを踏まえて国立施設としての在り方を改めて検討するということで検討会を私どもの部の方で設置をさせていただきました。  今お尋ねのあり方検討会のメンバーにつきましては、これらの施設障害関係方々、例えば視力障害盲人会連合会方々、あるいは聾唖の関係方々、あるいは身体障害全体の日本障害者リハビリテーション協会方々、あるいは日本身体障害者団体連合会方々、さらに知的障害施設もございますので日本発達障害ネットワーク方々、このような当事者団体方々とそれぞれの障害に関する有識者方々にお入りいただいております。その中で、個別の施設地元関係者という方々にこの検討会の場にはお入りをいただいておることはございませんでした。その後の説明の中で今御説明をさせていただいているということでございます。
  17. 田城郁

    田城郁君 地元方々から意見をお聞きしていないということは大変問題があるというふうに私は思っております。  厚労省によれば、効率的な運営を図ることが両センターの統廃合を決定した理由一つとのことですけれども、両センター年間経費は各々幾らぐらいなのでしょうか。また、廃止による経費削減効果を教えてください。さらに、同センターには二〇〇三年に三階建ての地域交流棟が竣工されておりますけれども、この建設費はどの程度だったのでしょうか。造ったばっかりのそういう建物がある中での減価償却の観点からも、どういう整理をしているのか教えてください。
  18. 木倉敬之

    政府参考人木倉敬之君) お答え申し上げます。  二つセンター年間経費でございますが、二十一年度で見まして、塩原視力障害センター、約四億円でございます。それから、伊東重度障害センターでございますが、運営費約四・三億円程度でございます。  それから、今御指摘塩原視力障害センターには十三年度の補正予算地域交流棟というものの予算を計上させていただきまして、十三年度から十五年度にかけて建設、完成をしております。この経費は二億五千万円ということでございます。全体に、戦後、昭和二十年代から整備を続けてきた施設でございますので古くなっておりましたが、その中でこの地域交流棟につきましては、地元小中高校生方々にも障害支援の体験をしていただくというふうなことも含めて利用してきたところでございます。
  19. 田城郁

    田城郁君 分かりました。  また、厚生労働省塩原視力障害センターについて、利用者が減っていると同時に、訓練が必要な五十歳未満入所者激減をしているという報告を当時のあり方検討委員会提出をしております。  日本眼科学会の二〇〇九年の調査によれば、十八万八千人が完全失明と認定をされております。そのうち、視覚障害者の七二%が六十歳以上の高齢者となっていると。そして、途中失明の原因の一位が緑内障、二位が糖尿病などの合併症によるものでありますけれども、失明に至る大半は中年以降であるということです。  廃止理由にある施設稼働年齢考えれば、五十歳未満入所者激減をしているという見解は、この実態をおいての判断としてはおかしいのではないかと思います。むしろ、五十歳以上の人が施設利用者としての必然なんだと私は考えます。  ある施設利用者は、障害を持ったとき自殺をしようというふうに思い、山に向かう途中で宇都宮福祉センターでこの塩原施設存在を知り、所轄の自分で住んでいるところの役場に相談をしましたが、窓口では要領を得ずに、直接塩原施設を訪ね、手続の仕方のアドバイスを受け、そして力強く元気付けられ、再び役所と何度も何度も掛け合い、一年間の格闘の末にやっと入所できたということでございます。その方は、私は視力が僅かに残っていたからこういう行動ができたが、完全失明の方ではここまで動く前に諦めてしまうと実態を語っておられました。  そもそも、施設存在が知られていない、知ったとしても手続には心身共に膨大なエネルギーが要る、このような状況では、五十歳未満入所者激減しているからということでの、あるいは宣伝が足りないのかということも含めて、そういう実態の中での施設廃止ということは余りにも早急過ぎるのではないかと私は思います。  報告書の内容は実態を表していないのではないか。このような現状を、厚生労働大臣、どのようにお考えでしょうか。よろしくお願いします。
  20. 木倉敬之

    政府参考人木倉敬之君) 恐れ入ります。  検討会の場でもこの数字の指摘があったわけでございます。  発症の年齢、どの段階で視力障害を持たれるかということでございますけれども、十八年の調査、これ五年ごと調査があるんですが、十八歳未満で一六%、十八歳から三十九歳で二〇%、四十歳から六十四歳で四〇%、六十五歳以上が二二%。確かに、先生指摘のように、中高年齢になりまして糖尿病でありますとか緑内障でありますとかということでの発症が増えているということは事実だろうと思います。  一方で、この視力障害センターは、あんま、マッサージ、あるいははり、きゅう等の養成施設として御利用いただいておるわけでございますけれども、利用実態そのものは、六十五歳になるまでの間を御利用はいただけるわけでございますけれども、御利用の実態そのものは、三、四十代での割合がだんだん増えてきまして七割と、逆に五十代、六十代前半という方々が、従来はおられたわけでございます、だんだんと減ってきて、十九年度末で見ますと約三〇%ぐらいに減ってきておるということでございます。  これは、先生指摘のように、まずはしっかり、全国に四施設ございますけれども、この視力障害施設存在というものを知っていただくということも必要だろうと思っておりまして、私どもも、募集等の要項を全国のハローワーク、あるいは市町村の窓口、あるいは学校というようなところにも配布をさせていただいております。  ただ、全国的にも特別支援学校の盲学校でも中途失明の方の訓練も含めて始めておるんですけれども、全体にやっぱり利用者、あんま、はり、きゅう、マッサージという分野を希望される利用者がどうしても減ってきておる傾向がございます。そういう面でも、私どもとしては、全国の四センター全体を見直しまして、やっぱり関東地区につきましては是非所沢のリハビリテーションセンターで、総合的なIT等も活用した就労訓練も一体でできますので、是非総合的な支援の強化充実に努めるような御説明、御理解を求めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  21. 田城郁

    田城郁君 途中失明者がやはり四十歳、五十歳以上が多い中でその方たちに周知がされてない、そういう中で当然利用者は減ってくるというのは当たり前の流れではないかと思いますし、やはりそういうところの実態を反映した判断で存続、廃止も含めてこれから見直すべきではないかと私は思います。  さて、このセンターは宮内庁より旧厚生省に旧塩原御用邸がお貸し下げになったという経緯があると私はお聞きしておりますが、時間がありません、歴史的なそういう経緯もある中で地元皆さんはこのセンターをこよなく愛しております。那須塩原人々はそうした歴史大切にし、温泉地としての地の利を生かして施設利用者を支える支援活動を継続をしてまいりました。この地元人々の支えが、途中失明し心の折れそうな訓練生を励まし続け、子供たちはそこから学び、利用者は温泉客に施術をすることで技術を磨き、鍼灸師として独り立ちしていくという非常に良い循環がつくり出されているのだということであります。  原発による風評被害をもろに受けて閑古鳥が鳴いている塩原温泉の現状がある今だからこそ、途中失明された方の社会参加のために、効率最優先の判断ではなく、地元と一体となって有機的に運営されている人間性豊かな塩原視力障害センターを対象となる人にもっとアピールして第二の道を切り開く、そういう判断をし、存続が私は絶対必要だというふうに考えます。  センターの歴史の重み、利用者地元状況原発の風評被害の対策という観点から、今後の方向性について、是非大臣に何とかもう一度再検討願えないかということをお聞きいたします。お願いします。
  22. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 委員の言われておりますことも理解できるところもございます。  しかし一方で、この問題につきましては、これまでいろいろ検討してきた結果、やはり埼玉の所沢にあります国立障害者リハビリテーションセンター、ここに移っていただいて、ここでしっかりきちっと訓練も受け、そして就労にも結び付けるようなそういう体制を取っていただく、そのことが全体的な国立更生援護機関の効果的かつ効率的な運営を図る点からいいのではないかと、こういう結論に達したわけでありまして、私どもとしましては、視力障害のある皆さん方がいかにして社会で自立して生活がしていけるか、社会的な参加をしていけるかということにはしっかり取り組んでまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  23. 田城郁

    田城郁君 分かりました。この問題は、もっと地元意見もせめて聞いていただくという中から、是非これからも御検討をよろしく御期待をいたしまして、私の質問を終わります。  済みません、時間がなくなって文科省さんへの質問を聞けませんでした。済みません。
  24. 小西洋之

    ○小西洋之君 民主党・新緑風会の小西洋之でございます。  私の方からは、平成二十一年度から予算化されました地域の医療提供体制の構築のための政策であります地域医療再生基金、またそれを実効化するための要の政策であります、これは平成二十二年からでございますけれども、地域医療支援センターをめぐる在り方について御質問をさせていただきながら、地域における医師の診療科と数の偏在の解決のための政策について伺わせていただきたいと思います。  震災以前からの課題であります我が国の社会保障を再建するという取組でございますけれども、私は、そもそもこれは憲法二十五条の趣旨、日本国民であれば、どういう地域どういう立場で生活されている方であっても、その救えるはずの命あるいは守れるはずの健康が必ず守れるような、そうした社会保障を実現することが我が国の医療政策の基本理念、基本方針であるというふうに考えておりまして、そうしたものを当然に実現するという観点、あるいは、今は国民皆保険制度でございますから、強制徴収によって保険料あるいは税金の徴収を受けている国民がいざ病気になったときに平等権に基づいて適正な医療を受けることができるように、そうした提供体制を実現する、そうしたもののためにも医師の不足の解決という課題は必要不可欠なものであろうかというふうに考えている次第でございます。  ただ、この医師不足の問題、ずっと長年にわたり議論され、櫻井副大臣のような御専門家の御指導の下に取り組んできたところでございますけれども、なかなか解決の糸口が見えない。この医師不足の問題を解決しない限りは、申し上げた適切な医療の提供体制の実現も無理であるし、あるいは介護などの連携、ほかの政策分野との連携もなかなか難しい、我が国の社会保障における待ったなしの課題である、そのように考えている次第でございます。  厚生労働省として、この医師不足の解決のために地域医療支援センターの整備という政策に着手しているところでございますけれども、本年から、全く医師がいない地域、いわゆる無医地区の数が多いところなど、その偏在が多いところを十五県全国で選んで、その十五県から試行的にスタートするというふうに聞いているところでございます。  私は、この医師不足の偏在を是正するためには、まず、その担い手となる医師の数をその地域で確保すること、もう一つは、その数の医師を、将来の予備軍も含めてでございますけれども、地域の各医療機関でどのようにその医師にとってもやりがいのあるようにキャリアパスを保障しながら調整していく、つまり数を保障してその調整機能を確保する、この二つを政策として実現することが不可欠であるというふうに考えているところでございます。  その調整機能の在り方でございますけれども、御案内のように、諸外国では一定の地域における医師の数を政策誘導あるいは規制によって調整している、そのようなこともございます。我が国の実情に応じたその調整機能の在り方というのがどういうものかというのは別としても、私は、その調整機能をつかさどる公的な機関がようやく政策導入された、このことについては非常に高く評価しているところでございます。  ただ、冒頭申し上げましたように、憲法の生存権の趣旨を考えますと、それはやはり特定の地域だけでそうした機能が整備されるのではやはりおかしいわけでございまして、この地域医療支援センター、政策として走り始めた以上は、私は速やかに全国整備ということを行わなければいけないというふうに考えている次第でございます。  そこで、厚労省質問でございますけれども、この地域医療センターの今後の整備、全国整備の必要性の認識とその取組について御見解をお願いいたします。
  25. 大谷泰夫

    政府参考人(大谷泰夫君) 今御指摘のありました地域医療支援センターでありますが、これは、今もう既にお話がありましたが、医師の地域偏在を解消するために都道府県に設置、そして医師のキャリア形成する上での不安を解消する、地域枠の医師などを活用して医師不足病院の医師の確保の支援等を行うということを意図して導入したものであります。  こういった機能は、医師の地域偏在という課題を抱えるどこの地域でも求められる機能でありまして、多くの都道府県から現在でも設置の要望をいただいております。十五の今回予算でありますけれども、それを上回る要望をいただいているところであります。  また、この地域医療センター地域医療センター同士、県を越えて連携することによって、例えば退職した後、郷里に戻ろうかという人の情報が分かるとか、いろんなそういった都道府県を越えた情報共有という効果もあるということも期待はしているところであります。  そういったことで、今回予算編成の中で十五ということでスタートいたしますけれども、その成果を踏まえまして、私どもとしては全国的な設置検討していきたいというふうに考えております。
  26. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  この地域医療センターの政策導入に当たっては、民主党の医療政策をリードされる櫻井先生方々の真剣な議論の下、導入されたというふうに伺っているところでございます。いろんな考え方はあろうかと思いますけれども、やはり何らかの調整機能が必要だということは事実であろうと思いますので、またそういう御指導をいただきながら厚労省としても頑張っていただきたい、そのようにお願いを申し上げます。  この地域医療支援センターでございますけれども、では、その調整機能をつくって、実際のその調整機能の下で地域で働いていただくお医者様、そのお医者様の方々ですけれども、これ文科省の政策になりますけれども、大学の医学部の入学枠の中にいわゆる地域枠等という枠を設けまして、そこの地域枠等で入学された学生さんが卒業後にその地域地域医療を支えていただくと、そうした関係になっているものでありますけれども。  具体的に言いますと、平成二十二年度の地域医療再生基金、これは厚労省の政策でございますけれども、平成二十二年度の地域医療再生基金のその計画の中に書かれた地域枠の制度というものが始まっているところでございます。これ具体的な典型例では、大体、六年間医学部ございますけれども、その六年間の一・五倍、卒業後の九年間その地域の医療機関で働くことを条件に、その間、六年間の間にもらった奨学金あるいは生活費の補助というようなものの返還の免除を受けると、そういうふうな制度であるというふうに聞いているところでございます。  ですので、この地域医療支援センター、これから全国整備を是非頑張っていただきたいと思うんですけれども、ただ、その調整機能の下に実際に地域で働いていただくお医者さん、そのお医者さんたちは実はこの地域枠の制度に非常に期待した制度であるというふうに私は理解しているところでございます。  ただ、これを少し分析的に考えてみますと、地域医療支援センターの政策はこの平成二十二年から始まるんですけれども、平成二十二年度に医学部に入ったお医者さんが医療現場の最前線で自らの責任において患者さんに適正な医療を実現できるためには、大体その医学部を出てから二年の初期研修とあと三年間の専門研修、つまり平成二十二年度に入学されたお医者さんが学生時代である六年間、あと初期研修の二年間、最後、後期の専門研修の三年間、六足す二足す三で十一年ですね、平成二十二年度に入学された学生さんが地域でいわゆる適正な医療を提供できる担い手になるまでには十一年ぐらい掛かると。初任研修終わっても八年掛かると。  では、私の質問なんですけれども、じゃ、その間の、今、日本の各地域で待ったなしの課題になっている医師不足の問題をどのように解決するのか。将来、地域医療支援センターが医療資源、お医者様の調整機能を担うんだけれども、そこに期待されているその地域枠の学生さんたちが一人前になるまでに十年以上掛かると。この間の医師不足の課題についてどのように解決していくのか、厚労省の見解をお願いいたします。
  27. 大谷泰夫

    政府参考人(大谷泰夫君) お話ありましたように、この地域枠の学生さんをどういうふうにキャリア支援していくかというテーマ、その以前に、今いるお医者さんをどういうふうに調整していくかと、こういう問題がございます。  既に地域の医療機関に勤務しておられる医師あるいは地域医療に関心を持っておられる医師に関する情報をこの地域医療支援センターが自ら収集して、そのキャリアアップのモデルを提示したり、あるいは学会や研修への参加の機会を提供する、こういったことで地域医療に従事する医師を確保して地域偏在の解決に取り組むと、こういうこともできるというふうに考えております。また、都道府県内の医療機関の情報を収集、分析するわけでありますけれども、県内の病院、医療機関の中には一定程度医師が充足しておられる病院もあるわけでありますし、地域的には余裕を持っている病院があったりするわけでありますから、そういった意味で、医師不足病院の医師確保を県内で融通するような情報収集と、それから調整といった機能もあるのではないかというふうに考えております。  こうした取組によりまして、地域医療支援センターは、地域枠の学生が医師として活躍するまでの期間もその地域偏在の解消に向けた取組を積極的に行うということを想定しているものでございます。
  28. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  今伺ったようなお話ではありますけれども、また、その地域医療支援センターの意義というのは医師不足を解決するためのいわゆる基盤的な制度ができたということであると思います。日本の各地域で医師不足に苦しんでいるこの間はいわゆる個別政策の取組を各地域で頑張っていて、地域で基盤となる制度の下における取組というのがなかなかできなかったというのが現実であろうかと思います。  そうした意味で、これから走らせていく地域医療支援センター地域枠の学生さんが育つ前にもう積極的に活用していくということだろうとは思いますけれども、なかなかそうはいっても今までの現状を見ると難しいところは多々あろうと思いますので、厚労省にあられては、是非そこは粘り強く頑張っていただいて、また常に状況を客観的に分析していただいて、必要があればその上積みの別の必要な公共政策を導入すると、そうしたことも検討していただきたい、そのようにお願いいたします。  ここの、今申し上げております医学部のその地域枠の制度でございますけれども、これはこれでよくよく考えてみると少し心配になるところもございまして。というのは、申し上げましたように、地域枠の学生さんは大学入試のときに私は地域枠で受験しますとして合格して入学を許可されているわけですけれども、将来地域医療に貢献する代わりに奨学金などの援助を受けていると。ところが、その金額を具体的に見てみますと、これは大学によっていろいろではあるんですけれども、大体月々十万円ぐらいの奨学金ですので、一年間で百二十万円、六年間で七百二十万円ぐらいになります。大学によってはこれプラス授業料を全額援助しますというようなものもあったりして、そういうのを加えると大体一千万強ぐらいから七百万ぐらいの間のお金をもらうという例が多いんだと思うんですけれども。  ただ、私も実は昔医学部にいたことがあって、地域の学生やっていたんですけれども、私の経験からいいますと、医学部の学生さんというのは家庭教師なんかできますものですから、月十五万ぐらいのお金を稼ぐのはそんなに実は難しいことではないんですね。実はそうなんですね。(発言する者あり)ああそうですか、失礼しました。済みません。私は余り勉強しない学生だったかもしれませんけれども。  というような問題があったりですとか、あるいは、そうではなくて医師の平均給与、これはベテランのお医者さんも含めてでございますけれども、勤務医の平均給与が千三百万ぐらいというようなデータがあることを考えますと、卒業後九年間のその地域医療の貢献という義務を全うするか、あるいは将来自分の収入考えれば確実に、例えば銀行かどこかからお金を借りて、返すことのできる金額を卒業間際ぐらいに返してしまって義務を回避するというふうなことも場合によっては、そんなコンプライアンスに欠ける方が世の中に多いとは思いませんけれども、というのもあり得るのではないかと思います。現実な例が、私、元総務省で働いていたんですけれども、国会で法改正もされました留学帰りの官僚が留学でもらった授業料を返さずに辞めてしまうというような、それをできないようにするような法改正措置も導入されたことでございます。  文科省に質問でございますけれども、そうした、万々が一も含めですね、その地域枠で入った学生さんが、私実は、申し上げますと、あらゆる職業選択というのは、我が国の憲法の理念上は、その家庭の経済的な差異などによってその人の職業選択の自由が影響を受けるということは本来私はあってはいけないことで、そういう意味ではこの地域枠の制度というのはある意味根本的な問題を持っていると私は理解しているんですけれども、現行の制度を所与のものとしての議論で結構なんですけれども、地域枠の学生さんがしっかりと地域医療に魅力を感じて卒業後も働いていただくと、そうしたために文科省が取り組まれているその取組についてお願いいたします。
  29. 磯田文雄

    政府参考人(磯田文雄君) 今御指摘のとおり、地域の医療に従事する意欲と熱意を学生に持っていただくということが基本と考えまして医学教育を推進していただいているわけでございますが、我が省におきましては、医学教育の指針であります医学教育モデル・コア・カリキュラムを作成しまして、その中で地域医療に関する項目を設け、地域枠等で入学した学生はもとより、地域枠等以外の学生に対しましても、地域医療に関する教育を行うよう各大学に取組を促しております。  具体的には、例えば旭川医科大学でございますと、地域の基幹病院と診療所との連携で、地域医療実習、チュートリアル教育を六年間を通じて地域医療教育として実施しております。また、滋賀医科大学では、地域で活躍する同窓生や医学教育に協力いただいております地域方々を里親等として登録し、身近な学生の相談、体験学習等を通じて地域医療に対するモチベーションや愛着を高めるよう努力しております。また、長崎大学では、五週間の離島地域医療実習などを必須とするなどして地域医療を担う医師を養成するということでございまして、私どもといたしましては、今後とも各大学において積極的な地域医療に関する教育を充実されますよう促してまいりたいと思います。
  30. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  私といたしましては、やはり医師の公的な使命、我々の税金や保険料でお給料をいただいている、あるいは医師として育成されるまで一億円ぐらいのお金が掛かるというようなことが言われておりますので、やっぱり医師としての公的使命を考えたときは、やはり地域医療の担い手というのは地域枠の学生さんだけではなくて、やはり我が国のお医者さん自ら、皆さんが何らかの形で地域医療の運営に参画していただくと、それがあるべき姿であると思っております。それの先導役として、地域医療機能センター地域枠の学生さんたちと一緒に機能強化してほかのお医者さんたちを巻き込んでいく、そうした形がこれからの医療政策のあるべき姿ではないかと思いますので、そうした意味厚労省と文科省に頑張っていただきたい、そのようにお願いをいたします。  ここで、その地域医療支援センターがちゃんと機能するかについてもう少し分析的に見させていただきたいんですけれども、今まで申し上げた地域枠、実は制度上は二つございまして、平成二十二年度から始まっています新しい地域枠と、実はその平成二十二年度以前に各地域、各大学でオリジナルの地域枠というのを始めていたところでございます。それぞれを足した数が平成二十二年度で千百七十一人、日本全国地域枠と言われる学生さんが、地域枠等ですね、千百七十一人いて、これは全体の医学部の学生さんがこの年は八千五百人ぐらいですから、大体八分の一ぐらいが地域枠の学生さんとして平成二十二年度入学しているというところでございます。  その千百七十一人を、平成二十二年度以降の医療計画、地域医療再生計画にこれは基づいた数になるのでございますけれども、平成二十二年度以降の新しい地域枠の方が三百十三人、それ以前に各地域、大学で取り組まれていた方が八百五十八人おりまして、簡単に申し上げますと大体一対四ぐらいの割合なんです。新しい地域枠の方が一、それ以前の方が四でございます。かつてから各大学行っていたオリジナルの地域枠でございますけれども、新しい地域枠と同じように奨学金によるオブリゲーションを課しているというようなところもあれば、奨学金はなくて単なる誓約書で地域医療に貢献してくださいというだけのものもあります。  私がここで危惧しているのは、これはちょっと厚労省と文科省の役人とも議論して、櫻井先生のような御専門家から見るとそんなことはないよとおっしゃるかもしれないんですが、ちょっと役人もはっきり言えませんでしたので国会質問させていただくんですけれども、将来、この地域の中で医師の人材調整をする機関が、その地域医療支援センターと、あと大学の医局、その二つ存在するのではないかということでございます。  今申し上げました平成二十二年度以降の地域枠の学生さんは、制度上も明確に、医療法に基づく医療計画の実現のために頑張っていただくということが手続上もそうなっているんですけれども、それ以外の学生さんは一体どうなっているのか。ちょっとなかなか各大学の募集要項なんかを見ても判然としない。もう端的に申し上げますと、結局かつてのような大学の医局が地域の医療の人事権を大きく振るっていく、そんな形が何かひょっとしたらできてしまうのかなというのが私の危惧でございます。  実際、平成二十二年度以降の各地域で、各大学で地域枠を増やしていったその経緯は、皆様御承知のとおり、初任研修の制度を導入して、大学の医局に学生が残らなくなって医局の経営が成り立たなくなって地域の病院から医師を引き揚げて、結局、結果、医療崩壊と言われるような事態が起こったと。それが起こったのが、初任研修が始まったのが平成十六年、各地域でやっていたそのオリジナルの地域枠が増えてきたのがまさにその年でございます。平成十六年はたった七大学、四十九人だったオリジナルの地域枠が、平成二十一年では四十七大学、七百十四人まで増えていったというような経緯がある。  あと、私も個別に各大学の募集要項を見させていただいたんですけれども、従前から各大学、各地域でやっていたオリジナルの地域枠の募集要項の部分を見ていると、大学の医局病院で、大学病院で勤務をしていただくということが明示されているものが非常に散見されると、そういうのが現状でございます。  ですので、先ほど申し上げました私の危惧、各地域の医師の人材調整に当たって、大学の医局人事と地域医療支援センターによる人事というものがきちんとうまく調整されるような仕組みができていかなければいけないと。そうしないと、学生さんから見て地域医療支援センターの人事というのは魅力がなくなるものになってしまって、結果的にそちらの方に参加する学生さんあるいは医師が少なくなって、結果的にその地域医療支援センターの機能発揮というのが悪循環、衰えていくと、そんなこともあり得るんじゃないかなというのが私の問題でございます。  こうした危惧を払拭する一つの方法として考えられるのが、今文科省の方で、平成二十二年度以降のいわゆる地域医療計画、大学の医局だけではなくて、大学の医局も含んだ地域医療全体の発展のためにあなたは将来この県のために働いてくださいという、その平成二十二年度以降からの新しい地域枠、その新しい地域枠の増員できるかできないかというのを文科省の告示で規律しているところでございます。  私がここで確認させていただきたいことは、今は、現状はさっき申し上げたように、新しい地域枠の学生さんが一とすると従前の人が四なわけです。今の告示のままでいくとずっとこの比率が変えられないんですね。だから私が、まあこれ政策として正しいかどうかはあれなんですけれども、この一と四ではなくて、大学の医局だけではなくて、大学も医局も含んだ地域医療全体のためにあなたは働いていただくんですよということが、何といいますか、契約上もはっきりしている学生さんを一から四から二から二にする、場合によっては三から一にしていくと、そういうことも政策としてはあり得るし、冒頭申し上げた私の持っている危惧からすると、そういうことが必要な局面というのが出てくるんではないかと思う次第であります。  地域医療再生計画、平成二十五年までですけれども、機能が発揮されないんだったら毎年見直していく必要があると思いますし、あるいは、医療法の医療計画も平成二十五年に大きな改正を予定しているということでございますけれども、そうしたときにも、その地域のいい意味での実情に応じて柔軟な医師の育成が行われるような仕組みをつくっていくということが必要であろうかと思います。  ここで、失礼しました、文科省に質問なんですけれども、今申し上げた文科省の告示ですね、学校等の設置等に係る認可の基準というのが、今申し上げましたように、告示の言葉を引用すると、収容の定員増をする場合に限り文科省として認可を行えるというふうになっているんですけれども、この仕組みというのは、その告示の基の制度であります学校教育法という法律がありますけれども、学校教育法という法律の条文四条二項と、施行令に当該収容定員の総数の増加という言葉がありますけれども、当該収容定員の総数の増加を伴うときには認可で、伴わないときには届出でいいというのが学校教育法の整理でございますけれども、私が今申し上げましたように、地域で新しい医療計画の下に参画して地域全体のために働いてくれるお医者さんの枠を増やしていく。  例えば具体例で申し上げますと、医学部で例えば百二十人今学生さんがいるとします。そのうち十人が平成二十二年以前からのオリジナルの地域枠だったとします。百二十人が全体で、オリジナルの地域枠。これを平成二十二年以降の、地域の全体のために働いていただくというふうに契約上も明確になるお医者さんを五人増やすとする。つまり、現在百二十人なので、次の年からは百二十五人にすると。百二十五人、五人増やしたいと。ただ、今の告示の制度では、その五人を増やすときに、従前持っているオリジナルのその枠は十ですね、十のうちの五人を削って新しい人を五人増やすと同時に、旧来のその十人のうちの五人を増やして結果的に新しい人を十人増やすと、そうしたことが例えばできないですとかいうようないろんなことが起きるんですけれども、そうした縛りというものは、端的なお答えで結構なんですけれども、学校教育法上の、先ほど申し上げた当該収容定員の総数の増加という言葉で縛られているものではなくて、単に政策判断によって告示を変えれば変えられる事項であるとかということを、文科省、お願いいたします。
  31. 磯田文雄

    政府参考人(磯田文雄君) 委員指摘のとおり、学校教育法上の制度は今お話しいただいたとおりでございますが、私どもといたしましては、厚生労働省さん、それから各地方公共団体、各大学と議論をしながらこの告示について検討しているところでございまして、現在も協力者会議を立ち上げて議論しておりますので、その範囲内で、大きなスキームの中で様々な対応は可能であろうと思っております。
  32. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  私、大学病院というのは、地域の医療の担い手として欠くべからざるもの、あるいは将来決して、何といいますか、おろそかにはできないもの、地域の中核になる担い手としてむしろ健全な連携関係を築いていく、そういう相手だというふうに考えているところでございます。ただ、それが、新しい地域医療支援センターという調整機能を導入するわけでございますので、そことの間でいかに健全な連携関係を構築していくか、それが今後の地域医療のテーマになるということであろうかというふうに理解しているところでございます。  そうした以上の議論を踏まえていただいて、要は私が一番気になっているところであります大学の医学部、医局とその地域医療支援センターの連携関係の必要性とその在り方について、大塚副大臣、よろしくお願いいたします。
  33. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) お答え申し上げます。  地域医療支援センターについていろいろと問題意識を御披露いただいたわけでございますが、おっしゃるとおり、大学の医局、これも今後の地域医療を担う上で当然不可欠の存在であります。しかし、かつての大学の医局制度が何がしかの問題があったがゆえに現在の姿に変わっていったわけですので、そういった過去のレビューもした上で、今後は、その地域の医師の皆さんがどのぐらい、どういう能力をお持ちの方が存在しているのかということを地域医療支援センター地域の大学の医局が共有をして地域医療を支えていかなくてはいけないというふうに思っております。  同時に、今先生の御質問をお伺いしていて、医の倫理といいますか、職業倫理のような観点からいろいろ御意見を承ったんですけれども、御質問の中に出てこなかった存在が、医師会という存在が出てこなかったんですね。これからの地域医療は、当然、医療にかかわる方々として大学関係者、そして診療所を中心とした集まりである地域の医師会の皆さん、そして地域医療支援センターでコーディネートを担う皆さん、これがしっかり連携していただいて一次医療圏、二次医療圏、三次医療圏の的確な医療供給体制を構築をしていく、そして、そのことは医療にかかわる方々の職業倫理に支えられるものであるという認識でおります。そういう方向でしっかりと進むように努力をいたしたいと思っております。
  34. 小西洋之

    ○小西洋之君 どうもありがとうございました。  今、医師会の参画というふうなこともおっしゃっていただきましたけれども、私も、やはり憲法の生存権が指し示しております国民の健康と命を守るために、医療をめぐる全ての関係者、ステークホルダーが協力してその目的を実現していくと、それが医療の在り方であろうかと思います。ちょっと本論ではありませんけど、それを実現するために医療分野に医療基本法を、全ての関係者が憲法の生存権の実現、それは同時に憲法の生存権の実現の担い手であるお医者様や医療従事者のための制度でもあるはずなんですけれども、そうした医療分野の基本法を作る必要があるのではないかというのが実は私の政治家としてのこだわりなんでございますけれども。  それはさておき、今日議論させていただきました地域医療支援センターがこれから全国で普及されて、その機能が健全に発揮していく、地域枠については私はいろいろ問題意識もあるんですけれども、現にそこに学んでいる学生さんがいて、それに期待している地域関係者がいる以上は、そしてそれによって守らなければいけない国民、患者がいる以上は、是非厚労省と文科省、しっかり連携をしてこの機能の発揮については努めていただきたいと、そのようにお願いを申し上げまして、質問の最後とさせていただきます。  ありがとうございました。
  35. 平山誠

    平山誠君 民主党・新緑風会の平山誠と申します。  本日は質問の機会を与えていただきまして、同僚の議員の皆さん、ありがとうございます。  既に有能な二人の民主党・新緑風会の委員がアカデミックな質問をさせていただきましたので、私は、ちょっと私の悩みということを聞いていただきながら高木大臣に、また関係方々に御質問したいと思います。  私は、一九五二年、埼玉県狭山市というところで生まれました。私のおやじは明治四十三年、おふくろが大正七年ということで、昭和の血は入っておりません。その中で、私が今でもトラウマな言葉が一つあります。風呂を焚けということなんです。  私の家は材木商で、灯油で風呂が沸かせたりとか、ガスが風呂を沸かせたりという時代になってもずっとまきを、大きなまきを小さく割って火を付けて風呂を沸かしておりました。それが一九五〇年、私が生まれてから六〇年となった時代なんですが、六〇年ごろ、近くのおじさんがいい風呂がまがあるよ、考えてみないかということで、うちのおやじ、四十三年生まれにも少し考えてもらいました。  一九七〇年代、お金も多少、世の中も良くなりましたので、じゃ風呂がまでも頼んでみるかということで風呂を頼み、そして一九八〇年、風呂を造りに入りました。その間、そこから約、毎年毎年数百億、二百億といったような風呂がまのお金が掛かる、ずっと掛かってまいるんですが、一九九五年ごろ、やっと風呂がまが完成したよということで、ちょっと火を付けて、四〇%ほど税金を出さなきゃならないので四〇%ぐらい出力しましたら、また壊れてしまいました。  そして、二〇〇八年、おやじが九十八歳で亡くなりました。私の代になりまして風呂はどうしようかなと思いまして、まだ続けておじさんに、じゃ造ってよということで、二〇一〇年にやっと火が付くようになるかなと思ったんですが、また火を付けるときに失敗しちゃいまして、また付きませんでした。五十九歳になる今までで、その風呂がまを頼んだために風呂に入れないと。しかし、毎年百億、二百億の予算をずっとその風呂がま製作に払っているという、私のようなお人よしは世の中にいないと思うんですけれども。  大臣、これを「もんじゅ」に置き換えますと、まさしく「もんじゅ」が、お手元の資料にあると思いますが、一九六〇年代に原発考え、七〇年代に設計し、八〇年代に建設を始め、これは福井出身の自由民主党の議員さんがおりました、熊谷さんという方がいました、熊谷組で造るんですけれども、そして一九九五年、税金のために四〇%の発電をします。ここから固定資産税が敦賀市の方に落ちるんですけれども、それを無理したのかどうか知りませんが、ナトリウムの漏えい事故というのを起こします。  そして、二〇一〇年、やっと動くということで臨界の試験をしまして、燃料棒を入れ替えている際に中継装置というものを落としてしまいまして、また今現在止まっております。しかしながら、本年も二百十六億円という予算文部科学省は出しております。大臣、私のお人よしと大臣のお人よし、どっちですかね。
  36. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 平山委員にお答えいたします。  風呂がまの話が出ておりまして、どういうことかなと聞いておりましたけれども、「もんじゅ」と兼ね合わせたお話でございました。  「もんじゅ」については、委員も御承知のとおり、これは我が国の原子力政策大綱に基づいて、資源の少ない我が国、長期的なエネルギーの安定供給ということに貢献する高速増殖炉サイクル技術ということで、研究開発の場として今日までに及んでおります。発電プラントとしての実証とナトリウム取扱い技術の確立のための研究開発が行われておりまして、その成果は将来の実証炉あるいは商業炉が実現する際には必ず生かされることになると、このように考えております。  しかし、今、現実に今回の福島原子力発電所の事故がありました。大変に残念なことです。この原因につきましては、これは調査委員会なども設置をされてしっかり検証されていくことになっておりますし、また、今お話がありましたように、膨大な経費もこれまで掛かっております。国民的な議論、そしてさらには我が国のエネルギー政策の見直しという中で検討することにいたしております。
  37. 平山誠

    平山誠君 まさしく官僚が作られた答えと、これは高木大臣には失礼かもしれませんけれども、そういうお答えに私は聞こえます。  私は、一昨年ですか、衆議院に田中康夫という者が出ましたので、その代わりに参議院に繰上げ当選になりまして、その年、政権交代が行われました。民主党の政権交代の意味の中に、税金の無駄をなくすということが民主党のマニフェストの一丁目一番地でございました。  そして、その政権の年に、前政権が二百四億円、政権を取りました年の予算が二百三十三億円、また今年の二十三年度予算に二百十六億円というのが載っておりましたので、私は、前回、去年の四月にも、川端大臣にこのことは決算委員会で四月に質問させていただいています。  そして、それでも本年度二百十六億円という予算が要求されましたので、民主党会派ではありますが、三月十日に「もんじゅ」に関する質問主意書を出させていただきました。三月十一日は悲しいことにあのような災害が起こりましたので、二十日にお答えをいただきました。二十日にお答えをいただいた内容は、この質問書にかかわることは、今大臣が申し上げたごとく今後の原子力を見直すということだけで、回答が全て隠されております。  その回答の中に、図のように、皆さんの資料にお配りしたように、「もんじゅ」というのはまだ試験管です。「もんじゅ」が成功したとはいえ、高速増殖炉が成功したのではありません。まだまだ、二〇五〇年と言っていますが、二十三年ほど延びていますので、その二〇五〇年も何年に延びるか分かりませんけれども、いつできるか分からない。まだ試験管なんですね。「もんじゅ」が成功した後、またもう一つ、またもう一つと高速増殖炉の試験炉を造って商業炉に変わっていくわけですが、「もんじゅ」ができても火力発電所の小型版、二十八万キロワットぐらいしかありません。  ですから、この表にある、四番目の実証炉というような、もう既に「もんじゅ」は危険で複雑で古い配管になっておりますので、新しいコンセプトのプランでもう文部省のホームページにも載っております。その前の型の実験炉の「常陽」も二〇〇七年から本日まで故障で止まっております。  二十一年度の前政権の決算書を見ますと、二百十六億円のうち十六億円が設備補助費ということで掲載されております。そのほかは何に使ったか一切分かりません。十四年間、「もんじゅ」が九五年から止まっていて、二〇一〇年、動かすまでも、一日五千五百万の費用が掛かっています。この費用は何に使っているんでしょうか、大臣
  38. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 今委員がお尋ねになりました膨大な経費が費やされておるということは、私もそのように感じております。昭和五十五年から平成二十三年度までの「もんじゅ」の総事業費は九千四百八十一億と、このようになっておりまして、これは建設費が五千八百八十六億、運転費は三千五百九十五億と、こういうことになっております。  今回、昨年の五月から試運転の再開の見通しが立ちましたけれども、今回、御指摘のとおり、新たな事故がございまして今休止をしております。そういう意味では、今しっかり、私どもとしましては、これが無駄遣いにならないように、しっかり原因の究明をやるように、今強い指導をしております。
  39. 平山誠

    平山誠君 ありがとうございます。  一日、今日も約五千五百万から約六千万ぐらいに上がっております。今日も昨日もあしたもあさっても、六千万円が何かに消えていくわけです、「もんじゅ」があるというだけでですね。「もんじゅ」は停止しております。動いておりません。今まで二十数年間のうちに一時間だけ、四〇%の発電をしたというのがあります。  その中で、お手元のこの表、一枚の表ですが、一応、原子力を学ぼうということで作ってまいりましたけれども、今、福島第一にあります原子力の発電は水で冷やしております。そして、中性子のスピードを水で落として核爆発を起こして熱を入れます。そして、今、炉を海水やら真水で冷やしておりますが、一方、高速増殖炉は何が怖いかといいますと、冷却材に、第一、第二の冷却材にナトリウムというものを使っています。ナトリウムというのは空気に触れますと炎上します。水に触れますと爆発します。そして、融点は九十八度、常に熱していないと液体ではありません。金属が配管の中で固まってしまいます。  高速増殖炉の高速というのは、水による中性子のスピードを抑えないで直接プルトニウムというのに中性子をぶつけて発熱させるんですが、大臣、先ほども言いましたけれども、一九八〇年に造り始めまして、大臣の家にもテレビとかラジオとかトースターとか、あらゆる電気製品があると思うんですが、一九八〇年のころを思い出してください。八〇年というと三十年もうたっています。三十年前の機械に電気を流してずっとやっていること、よく今いろんな、ガス湯沸器なんかとかストーブで、古いストーブは買い取りますよとありますが、それでも一九八〇年というのは古い方です。  今言いましたナトリウムという、空気に触れると炎上する、水に触れると爆発するというものが、もしかしてちゃんと機能を取って動き出したとすると、昔の形ですから、昔はステンレス等にはなかなか溶接ができない、溶接技術が弱かったです。今はなかなか溶接技術も進んでおります。パッキンとかいろいろな結合のところがやっぱり八〇年代というとかなり古い、若しくは古い考え方だったりします。それが動き出して、大臣の私見で結構です、これは安全に動かすことができるでしょうか。たまたま止まっていて安全ということはありませんですか、大臣
  40. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 今回の福島原子力発電所の事故を見ても、私どもは絶対安全だということは言えないと、このように思っておりまして、これからもそういうものを頭に置きながら特にリスクの管理をしていかなきゃならぬと、このように思っております。  「もんじゅ」につきましては、いわゆる実証炉とそれから商業炉については、いわゆるこの発電方式、高速増殖炉の発電方式と、それからナトリウムによる冷却方式、こういったことを採用しておりますけれども、この技術は私は今後とも生かされるであろうと聞いておりますし、私もそのように期待をいたしております。  しかし、日進月歩の技術革新の時代ですから、やはりその時々にきちっとした検証をする、そしてまた最新の知見によって見直していくということも私は並行して進められておると、このように思っております。また、そうしなければならないと思います。
  41. 平山誠

    平山誠君 ありがとうございます。  全く私も同感でございまして、私も、車の名前を言っては申し訳ないですけれども、一九七〇年代にカローラ、ブルーバードという車に憧れて乗っておりましたが、その車に幾ら羽根を付けても、リッター三十キロというハイブリッドカーがその時代の車に何しても生まれません。やはり、今の技術で、今の設計で、今の考え方でやると、現在のような世界をリードする新しい車だったり、新しい日本技術が生かせるんだと思います。  「もんじゅ」は、既にやめても、高速増殖炉を考えるのであれば、新たな違う考え方から、二兆円を捨てて新たな考えでスタートした方が安く付くのではないかと思います。  もう一つ、時間もありませんので、質問を少なくさせていただきますけれども、「もんじゅ」の下には活断層が二本通っております。C活断層というのと白木―丹生活断層というのが通っています。それは御存じでしょうか。
  42. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) それは承知をしております。
  43. 平山誠

    平山誠君 これは、二〇〇八年の三月三十一日に原研も、若しくは文部科学省経済産業省も理解しているところなんですが、今までは、私ども、院内集会を起こしましても、下に二本の活断層がありますよと言いましても、保安院が来て、絶対安全です、絶対安全ですと何回も述べておりました。原子力発電に想定外はあってはいけません。想定外ということで逃げることは一番今やってはいけないことです。想定外をも考え、研究していくということが必要ではないかと思います。  これ、笑い話ではないんですけれども、一九九一年の四月に「もんじゅ」裁判というのを起こしておりまして、結審が近いということで、被告の旧動燃さんと裁判官、原告と「もんじゅ」を実地検証にお伺いしました。そして、「もんじゅ」の中を全員が見ていたときに建屋の中に猫が一匹いたそうです。これは事実の事実なんですが、誰も入れない原子炉の中に猫がいたと。これも想定外で済ませてはいけないことだと思うんですけれども、針の穴にも、鉄船も針の穴から沈むということがあります。この猫もどこから入ってきたかが分からないそうで、それから何日間か猫の、かつおぶしを並べて出てくるのを待っていたといいますが、いまだに見付からないそうです。  先ほども言いましたとおり、「もんじゅ」は今止まっております。停止しております。ですから、すぐに始末するのは簡単なことです。  そして、高木大臣の御出身の山口県上関、ここにも新しい原発を造ろうとしていますが、そこはまさしくこういう三日月状の湾上を半分に全部三日月のところを埋めまして土地を造るんですが、その埋立ての土地の真ん中に、陸と海の埋立地の真ん中に二号機ができようとしています。  大臣、これから、先ほども言われましたとおり、原発に想定外はあってはいけません。是非とも今止められるものは止めていただきたいと思うんですが、もう一度、新しい原発についてお考えを。
  44. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 高木文部科学大臣、時間が来ておりますので、手短にお願いします。
  45. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 本件については、既に今国会でも福島原子力発電所の事故を受けまして、いわゆるしっかりした事故の調査、検証が行われていかなきゃなりませんし、私どもとしましては、我が国の原子力政策の在り方、これもそのことの中でしっかり議論をされなきゃなりません。  いずれにいたしましても、長期的に見ても、我が国のエネルギー政策の見直し、こういった中でこの件についても議論がされていくものだろうと、このように考えております。
  46. 平山誠

    平山誠君 子いわく、学べば固陋ならず、過ちては改むるにはばかることなかれ。大臣の英断で「もんじゅ」はすぐに廃炉にできます。是非ともひとつ御協力をお願い申し上げます。  これで質問を終わります。
  47. 藤井基之

    ○藤井基之君 自由民主党の藤井基之でございます。  今日は、二十一年度決算のうち、厚生労働省関係について御質問をさせていただきます。  まず最初に、二十一年度の会計検査院の決算検査報告によりますと、いろいろなことが書かれておりまして、非常に分厚いので読むのに苦労したんですが、読みました。そうすると、結果として、要は、法律とか政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項、いわゆる不当事項として指摘されているものが全部で八百七十四件あります。金額として二百二億円強でございますが。そのうち、何と件数でいうと五七%、四百九十八件が、これが厚生労働省関係でございます。金額でいうと約四七%、九十四億円、これが厚生労働省関係でございます。  大臣、どのような御見解をお持ちでしょうか。
  48. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 藤井委員が御指摘のように、二十一年度の決算検査報告では厚生労働省関係指摘件数が大変多く、また金額も多くなっております。  これは、厚生労働省の歳出規模が政府全体の歳出の中でも極めて多い上に、他省庁と異なり、所管する歳入額も大きいことが挙げられます。また、地方公共団体への補助金や保険料の徴収など、事業を行う者からの正確な申請や届出が制度の前提となっているものも多くありまして不適切な事務処理がなされている場合もあるなど、いろいろな要因があると考えておりますが、いずれにいたしましても、このような御指摘を受けましたことは大変遺憾に思っているところでございます。  今回の指摘事項につきましては、国庫補助金の不適正交付額の返還措置を講じるなど既に必要な対応を取っているところでございますけれども、御指摘を重く受け止めまして、今後は適正な予算執行に努めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
  49. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございます。  今大臣がおっしゃるとおりなんですね。歴代厚生労働大臣、本当に御苦労をいただいて、各人各人本当に努力していただいている。でも、結果としてこのようになっておりまして、今大臣のお言葉にありましたように、これからこういう不当事項というような指摘を受けることが少なくなるような一層の努力をお願いしたいと存じます。  ただ、これ中を見てみますと、必ずしも、大臣、全部厚生労働省が問題だ問題だと言っているだけではこれ解決できない問題も実はあります。  例えて申し上げます。医療費に係る国の不当事項というのが会計検査院が指摘しているんですね。平成十七年から二十一年度まで実は十五万二千百二十九件、これが過大な支払を行った。金額にしたら十一億円だったと。非常に大きな件数であるし、大きな金額。ですから、これに対する国の負担額は五億円を超えているんだと、こういうことなんです。  この不当だというふうに指摘されたのは、これは百五十五の医療機関と三十の薬局について指摘をしているんですが、この請求は八項目あるんですが、そのうちの処置料というものと、それから在宅医療費というものと、医学管理費というもの、それと初診料・再診料というもの、調剤報酬、五項目について不適だと、こういうふうに指摘している。  これ、中は御覧になったと思いますけど、その中を見ますと、例えば介護保険の要介護被保険者等である患者に対しては、これに対して在宅患者訪問看護・指導料を算定していると。あるいは、同様の患者に対して訪問歯科衛生指導料を算定しているんだという。それから、同じようにこの患者さんに対して在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定していると。これ全部駄目ですと、不当ですと、こういう指摘なんですね。医科、歯科、調剤、医療を担当する全ての分野について、特に居宅であるとか福祉施設の患者に医療サービスの提供、これに対する指摘が多うございます。これ、何でこんなに多いんだろうかという話なんです。これは確かに、そういった請求がこれおかしいと知っていてもうちょっと過大に請求してやろうというのでやると、これはひどい話ですよ。  でも、どうも聞いてみますと、必ずしもそうではないんですよ。あるいは大臣もお聞きになられているかもしれませんけど、これどういうことかというと、介護保険と医療保険とあった場合は健康保険法を優先しますという、そういう取扱いをしているわけですね。これは一つの割り切りで、それが悪いというわけではございません。どういうことが起こるかというと、例えば保険薬局におきまして在宅患者の訪問指導を行った場合、医療保険だったらこれは訪問薬剤管理指導料を取る。もしもこれ介護保険でしたら、居宅療養管理指導費、これを請求することになります。これ、どちらも基本的な業務は同じですよ。請求金額も実はこれ同じなんですね。負担額、同じなんですよ。ところが、手続的な問題で、片一方は不当事項という指摘を受けることになるんですよ。  私は、これを思っていましたら、やはり仕組みの在り方を少し考えたら、もう少しやりやすい管理、あるいはやりやすいそういう経理というのができるんじゃないかと思うんですね。特に、今、予定ですと、来年の四月は介護報酬と医療報酬が同時に改定される時期になっております。まあ、状況によっては本当に予定どおり来春やれるかどうか、これはまた大臣のお考えもあろうかと思いますけれども。  そのときに、是非、この介護保険の問題と医療保険の問題でそういった重複のようなもの、これ、手続を取れば、もう少しうまくやれば、例えばこれ、仕組みの煩雑さを改善する。例えば介護保険と医療保険、どっちで請求してもいいですと言っちゃう。金額一緒だし、やっていること同じなんですよ。あるいは、介護保険が優先するんだったら、例えば薬局でそれを確認するべきなんだけど、そのときに処方箋に例えばこの患者は医療保険なんですということの指示ができる、そういった処方箋があれば、それを不当事項で指摘されることはなくなるんですよ。  繰り返します。これは、業務内容が本当に同じなんですよ。そして、金額も同じなんですよ、負担が。だから、社会保険の仕組みとして国の負担する額は変わらない。ただし、形式的にこれは不当事項になってしまう。  是非、来春の例えば四月のときの改定、このようなことを少し検討していただく余地があると思うんですけど、いかがでございましょうか。
  50. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 今御指摘がありましたように、医療保険におきましては、介護保険から同様のサービスを受けることができる場合には医療保険からは給付を行わない、介護保険の方からの給付だと、こういうことになっているということから、いろいろな今委員が御指摘のようなところで、意図的には不正請求ではないような件などもそういうような、結果的にはそういうようなところがたくさんあるのではないかと。したがって、そこをうまく何とか工夫で良くならないかと、こういうことでございます。  そのほかにも、現行の診療体系は高度化する医療内容等が適切に評価するための複雑なものになっているというようなことから、この点などにつきましても、中医協からも簡素化、合理化を検討をすべきだと、こういうふうにいろいろと指摘もされております。  そこで、厚生労働省といたしましては、引き続き診療報酬及び介護報酬の仕組みの周知を図るというのは当然でありますけれども、今御指摘になりましたように、次期診療報酬、介護報酬の改定におきましては、医療、介護の同時改定ということでもありますので、医療と介護が切れ目なく円滑に提供されるようにどのような対応が適切か、中医協あるいは介護給付分科会の議論を踏まえて検討を行っていくと。それとともに、診療報酬体系の簡素化、合理化についても委員の御指摘になりましたような点も含めて検討してまいりたいと、このように思います。
  51. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいと存じます。  それでは、今日は通告をしておりますので、新型インフルエンザの問題について質問させていただきたいと存じます。  二十一年度というから何か古い話のように思われるけど、たった二年前の話でございます。二年前に非常に強い感染力を有する新型インフルエンザが世界的に大流行いたしました。二十一年の四月の二十七日に世界保健機構、WHOが新型インフルエンザ発生宣言をしまして、それまでのフェーズ3だといったのをフェーズ4に上げた。そして、その二日後の四月二十九日にはフェーズ5にその規制を強化した。そして、六月にはこれをフェーズ6まで規制を強化すると。そして、各国にそういった対応を求めました。  我が国におきましても、その当時、感染防護服に身を包んだ検疫担当官が飛行機の中乗り込んで大きなニュースになりました。海外から到着機内に乗り込んで機内の検疫を行う。そして、乗客の方々に対しては空港で問診をした。そして、発熱状態どうかということを調べるためにカメラの前をずっと通した。カメラはサーモチェックができるということなんですね。そして、発熱した患者さんは隔離したんですよ。そうまでして、一生懸命水際作戦。でも、結果として、実は我々、水際作戦で止めることができませんでした。国内でも多くの患者さんが発生いたしました。  私、この二年前のときの状況を思い出しまして、どうも今の原発の問題とちょっと似ているところ、オーバーラップすることがありまして、少しそこに関係して、ちょっと原発のことも一問お聞きしたいと思っています。  このインフルエンザ対処の究極のターゲットは、やっぱりこれウイルスなんですね。だから、ウイルスをやっつければ感染症の問題というのは止まった、このインフルエンザ。だから、そのウイルスというのはどこにあるかというと、実は保菌者になられている、あるいは感染源となる患者さんのところ、この方々に対してどう対応するか、これが究極のターゲットでございました。  今回の原発の放射能汚染の問題、このターゲットは最初にどこですかといったら、その発生源、汚染源である福島原発そのものなんですね。ここにそのために一生懸命本当に日々作業していただいている、緊急対策に従事する作業員の方が一生懸命仕事を。そして、これに対する安全対策というのが、例えば労安法なんかで厚生労働大臣が所管するところで規定してくれている。そして、安全確保しましょうということになっている。これも労安法の中の電離放射線の障害防止規定です。  今年の三月に被曝問題が起こった。三月の十一日に津波が押し寄せてきた、地震が起こった。そして、水素爆発も起こった。そして、三月十五日に厚生労働省はこの省令を変えて、それまで緊急作業者の被曝の限度値は百ミリシーベルトだった、二百五十ミリシーベルトにこれ上げたんですよ。これ何かというと、安全対策を少しないがしろと言うと言葉は悪うございますけれども、緩和したんですよね。作業従事者の安全を守らなきゃいけないのは厚生労働大臣の責務じゃないですか。これ、どうして、どんな経緯があって緩和されたんですか。事務局で結構です、説明してください。
  52. 金子順一

    政府参考人(金子順一君) お答え申し上げます。  福島第一原発での緊急作業におきます被曝線量の限度を引き上げた件でございますが、経緯的なものをまず申し上げますと、三月十四日に官邸からお話がございまして、経済産業省と調整した上で、経済産業省が所管をしております原子炉等規制法の告示と、私どもが所管をしております電離放射線防止規則、いわゆる電離則と言っているものですけれども、これを改正して緊急作業を行う方の被曝線量の限度をその当時の限度の百ミリシーベルトから引き上げるようにと要請がございました。  私どもとしては、働いている方の健康の問題というのが一番のポイントになるわけでございますが、こうした観点から、こういった緊急の状況でどうするかということで検討を行いました。  その結果、一つとしては、ICRP、国際放射線防護委員会、ここの一九九〇年の勧告におきまして、重大事故の場合、事故の制御と即時かつ緊急の救済作業における被曝は、人命救助を例外として、約五百ミリシーベルトを超えないようにすべきというものがございました。それからもう一点、放射線の被曝線量が二百五十ミリシーベルト以下では急性期の臨床症状があるとの明らかな知見が認められないということで、こうした点も踏まえまして、今回の事態のための措置といたしまして、緊急作業に従事する労働者の被曝線量の上限を二百五十ミリシーベルトとする特例の政令を制定したものでございます。  なお、引上げに当たりましては、あらかじめ文部科学省所管の放射線審議会にも諮問いたしまして、放射線審議会から妥当であるとの答申をいただいているところでございます。
  53. 藤井基之

    ○藤井基之君 今日はこの問題細かく議論する時間がないので、やっぱり一言言っておきたいのは、文科省もそういった審議会にかけた。それから、そもそもこの改定は官邸の要請を受けたんだと、こう言われている。安全対策を守るのはあなた方じゃないですか。何を言っているんですか。だったら、そんな基準がどうでもいいという話になりかねないですよ。  しかも、もう少し言うなら、これはいわゆる電離則にもあるように、ここは通常の場合の障害の数字と緊急時の障害のもの、二つ作っているんですよね。これも本質的には問題だと思いますけれども、安全対策の問題と。でも、これ、緊急作業と言っているんでしょう。緊急って、一体いつぐらいの間だったら緊急なんですか。まだまだやっているんでしょう。今もずっと緊急でしょう、三月から。もう二月以上たっていますよ。まだ緊急ですか、これ。いつまで緊急なんですか、この数字は。  これは本当に厚生労働省は責任放棄ですよ、こんなことをやっていたら。あなた方が決めたんですよ。官邸に言われたからやったんじゃないんだよ。文科省に頼んで、そうしたら妥当だと言われたからやったなんて無責任ですよ。あなた方がやらなきゃどうするんですか。  厚生労働大臣、どう思われます。
  54. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) これは、三月の十四日だったと思いますけれども、官邸の方から要請がございました。そのときは、具体的にこの二百五十ミリシーベルトというよりももっと高いような形での要請がございまして、私どもとしたら、そこでいろいろと検討をいたしまして、これは二百五十ミリがもうぎりぎりだということで、なかなか経産省の方などは、そういう、もっと高いあれでなければ作業に従事できない、できなければ原発の収拾に行けないというような、なかなか大変ぎりぎりの強い要請がございました。  確かに、藤井委員が言われるように、私どもとしたら作業員の健康がまず第一でありますから、徹底的にそこのところは百ミリでということで、私どもそう考えて対応したんでありますけれども、経産省の方はもっともっと私どもの方には厳しい要求もされてまいりましたので、二百五十の線で作業員のやっぱり健康を守ると、もうぎりぎりのところでそういうところになったわけで、そこはいろいろな関係で御理解もいただきたいというふうに思います。
  55. 藤井基之

    ○藤井基之君 私は、人権派弁護士という細川先生の発言とはちょっと思えないんですけれども、非常に残念です。  インフルエンザに戻します。  インフルエンザの非常に水際作戦、一生懸命やったんだけれども、国内でも感染症が出ました、感染者がいっぱい出ましたというお話を申し上げました。そして、国内では対応を、インフルエンザに対するお薬の供給による治療だとか、ワクチンを感染予防に使おうという、そういった政策の主流をそちらに持っていきました。そして、ある意味、非常に多くの努力をされたことは認めます。  そして、そのときにワクチンの数が少ないんじゃないかと心配した。輸入のワクチンも手当てをした。でも、少ないだろうという。だから、優先的に接種する、そういった対象を決めようじゃないかと、こう決めたんですね。これ、全数を国が管理したんです。どういうふうに決めたか。最も優先的に接種しなきゃいけないのは、発熱患者さんが殺到するであろう病院や診療所のお医者さんや看護師さんに対してまず優先的にワクチンを打つ。おっしゃるとおりで、それは最優先されるべきだということは異論がないんです。  ただ、この問題については、やはり私は思うんですね。実は、このワクチンや薬というのは、一体その患者さんがいっぱいいらっしゃる病院や診療所に運んだ人間はどうだったんですか。作業員の方に対する対応はどうだったんですか。これ、実際には、医薬品の卸売、製造販売業者の方々が、販売業者の方々が、国の指示によって、地方自治体の指示によって、この病院にこれをいついつ持っていけと言われたからそこに行っている。そこで患者さんが待っているんですよ。そこに行きました。  このワクチンの問題の流行が終わった後、昨年のちょうど今の時期ですが、厚生労働省は、新型インフルエンザ対策総括会議行われまして、報告書が出ております、六月には。その席上でもこういうお話があったんですよ。こういったリスクをあえて覚悟してでも作業に従事した方が実はインフルエンザのときにいたんですよと。その方々にどうして、その目の前にある、その方が持っていっているのがワクチンなんですよ。そのワクチンの接種対象には、こういった販売をしている、あるいは病院にそういったお薬を供給する方々が対象にならなかったのか。  非常に私は、こういった配慮がどうしてなされなかったのかということが残念でならないんですよ。大臣、どのようにお考えになりますか。
  56. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  57. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 速記を起こして。
  58. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 今委員が御指摘のワクチンの数が少ないときには優先的にどの方からやるのかと、こういうことを決定しなければいけないというふうに思いますが、そのときに、まず、医療関係者にまずは優先的にというようなことで決めたわけですけれども、今委員が御指摘になりましたようなそういうワクチンを運ぶような作業をされている方、この人たちも当然そのワクチンを運ぶような方ですから、その方に当然危険もありますから、優先的にというのは、今指摘をされまして、私も今そのように感じました。  これはそういう、今回のその例を反省もいたしまして、今度そういうとき、余り足りないということがあっちゃいけないんですけれども、そういうときには今回の経験を生かして対応できるような形にしてまいりたいと、このように思います。
  59. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございます。  次の機会がないことを祈っておりますけれども、その際には是非御配慮をしてあげたらと思っております。  同様に、医療関係者優先されたとおっしゃられましたけれども、実は病院や診療所に行った患者さんがワクチンのお薬の処方箋を受け取ってどこに行くかといったら、薬局に行くわけです。今、七億枚以上処方箋出ているんですよ。この薬局の薬剤師さんなんというのはこの優先接種の対象外なんですよ。ですから、このときは、実際にはやっているときは、薬局行くと、従業員の方皆さんがマスクを着けられていたんですよ。マスク着けたら、そんな予防効果があるなんて誰も信じていないですよ、そんなこと思っていないですよ。でも、ほかに選択肢がなかったんですよ。  同じ医療関係者だと私は思います。この次のときにはという機会がないことを私も願っておりますけれども、その際には、病院のお医者さんや看護師さんもそうですけれども、薬局の薬剤師のところにも患者がいっぱい行っているんですよと、そういうことにも是非御理解をいただきたいと存じます。  時間の問題がありまして、今このワクチンの供給問題について幾つか実は確認と質問をしたいと思っております。  お手元に一枚資料を配付させていただいていると思います。「新型インフルエンザワクチンの流通スキーム」というこれはポンチ絵でございます。この原図は実は厚生労働省の資料。非常に複雑なので簡略化しました。これについてちょっとお伺いしたいんですね。  このように、今回のインフルエンザワクチンは国が買い上げる、全量を買い上げてそれを供給する、その価格も指示する。幾らで売りなさい、卸は幾らで医療機関に売りなさいと、こういう指示をしたんですね。そういった形で出てきているんです。  事務方にお願いします。  国はこのワクチン、幾らで、どのくらいの量を購入されたんですか。ここで言う図の一番に当たります。
  60. 間杉純

    政府参考人間杉純君) お答え申し上げます。  今のは①に該当する部分かと存じますけれども、新型インフルエンザワクチンのまず国内ワクチンの国の購入数量でございますが、合計で五千四百万回分、購入金額は約二百六十億円でございます。また、一回接種分当たりの平均買上げ価格は四百八十一円でございます。それから、先生の図の右の方でございますが、輸入ワクチンの購入数量は合計で約六千七百万回分でございます。購入金額は約八百五十三億円でございます。また、一回接種分当たりの平均買上げ価格は一千百三十七円でございます。
  61. 藤井基之

    ○藤井基之君 これは、その後の二番のところ、②ですが、この図で、これを国は買い上げて実際の流通業者に対して幾らで売り渡したんですか。
  62. 間杉純

    政府参考人間杉純君) 今の②の部分でございますが、国が一括して買い上げた新型インフルエンザワクチンのうち、ワクチンの売却総額は平成二十二年度末現在におきまして約二百八十億円でございます。
  63. 藤井基之

    ○藤井基之君 単価は幾らですか。
  64. 間杉純

    政府参考人間杉純君) 失礼いたしました。九百六円でございます。
  65. 藤井基之

    ○藤井基之君 大臣、今お聞きになられたと思いますよ。国は、買い上げた国内のやつの単価、四百八十幾らでしたかね、それを売り渡した、卸売業者のとかと書いた、販社、ここでは販社と書いている。そこに売り渡す単価は九百六円ですよ。  国は、どういうことなんですか、これ。四百八十円ばかりで買っていたものを九百円以上でこれ売ったんですか。国は何かしたんですか。付加価値でも高めたんですか、これ。そんなことないでしょう。メーカーのところに、倉庫にあったものを、行って、この所有権をここの販社に渡す、それだけじゃないですか。それで何でこんな高くなるんですか。
  66. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) この点は、これは四百八十一円という安い価格で仕入れて九百六円という高い価格で売ってその差額を国がもうけるとか、そういうあれではないんです。  これは、外国からの輸入の単価が千百三十七円と、こういうふうで、国内のワクチンと外国から輸入のワクチンの差がございましたので、そうしますと、そのままを医療機関の方に下ろしていきますと、結局、そうしますとワクチンを受ける国民が、外国からの輸入のワクチンか国内のワクチンかによって非常に差があるということになると国民の中では不公平が出てくるんではないかと、こう考えまして、そこでこの加重平均を取りまして、そこで九百六円と、こういうふうな金額を設定して、それを国民にワクチンが行き渡るようにと、こういうことで九百六円で売渡しをさせていただいたと、こういうことでございますので、御理解いただきたいと思います。
  67. 藤井基之

    ○藤井基之君 理解できないですね。  輸入ワクチンは、大臣、御案内のとおり特例承認までしたんですよ。法律の通常のルールじゃない形でこれ認めたんですよ。しかも、その輸入の契約のときにはどうやったんですか。契約時には損失補償条項まで入れられているんですよ。何かあったときは国が面倒見ますと言っているんですよ、これ。国内メーカーにこんな条項なんか起こしてないですよ。何か、変な話ですけど、内外逆差別ですか。  外国メーカーには非常に温かい。売った価格より安い値段で供給してあげた。そして、輸入の特例もやった。で、結果的に、ここに、④で納入というのにあったし、医療機関まで行っているけど、実際に使われた量は一体何だったんだ。輸入ワクチンはほとんど使われてないじゃないですか。これ全部廃棄でしょう、買ったの。違うんですか。幾ら廃棄したんですか。
  68. 間杉純

    政府参考人間杉純君) お答え申し上げます。  国が買い上げました新型インフルエンザワクチンのうち有効期限が切れまして廃棄した量は、平成二十三年三月末の現在で約四千八百万回分でございます。内訳申し上げますと……
  69. 藤井基之

    ○藤井基之君 いや、いい。時間がないので、済みません。  私も厚生労働省からこの数字を伺っているんです。そのうち、輸入は千七百万回、国産が三千百万回分と、こういうこと、これは三月三十一日時点なんですよ。でも、その後、輸入の多くのものって、これ全部廃棄になっているじゃないですか。輸入のなんというのは、実際に医療機関で一体幾ら使われたんですか。一万回分も使われていないですよ。つまり、買ったの全てこれは廃棄処分になっているんですよ。そのために国は多くのお金を使ったんですよ。  大臣、これ、結果として無駄になったこの予算額、一体どのくらいだと認識していらっしゃいます。
  70. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 結果といたしまして、在庫ワクチンの有効期限が過ぎたために廃棄したワクチンは、国産のワクチン、それから輸入ワクチンを合わせて、金額にいたしまして換算いたしますと四百五十五億円でございます。  こういう結果になりました、このことについては、先般の新型インフルエンザ流行の際はワクチンの需給が世界規模で逼迫をいたしておりまして、日本の国としても、国民の健康、危機管理の観点から緊急に全国民分のワクチンを確保しなければいけないと、こういう要請の下でワクチンを確保したところでございます。  今回の結果は危機管理の観点から必要やむを得ないものであったというふうには考えてはおりますが、今後はこの経験を生かしまして余剰を最小限に抑えるということができるように、これは本当にしっかりやっていかなければというふうに考えております。
  71. 藤井基之

    ○藤井基之君 是非お願いをしたいと思いますが。  もう一つお尋ねしたいことがあります。  このスキームの中で、輸入と国内で、書いてあるところと書いてないで、意図的に書き分けたわけではないんですよ。実は返品というところなんですよ。輸入品はほとんど医療機関に行っていないから返品も何にもなかったんですよ。ところが、国内産のものは医療機関まで納入されていて、医療機関の中で在庫が残っちゃったから買い取ってくれと、こう言われたんですね。  国は八月の二十七日に文書を出されていますよね。当初より原則として返品は認めないことにしていたんだと、でも医療機関で残っちゃったから何とかしなきゃいけないんだと、で、おい、おまえ買い戻せと、こう言った。  この図で点々々で戻していますように、何が違うか、製品が流れたときの買上げが一、二、三、四と行ったのと返品のルート、どこが違うかと、厚生労働省が入っているか入っていないかだけなんですよ。返品は、国は一銭もこれ金払っていないですよ。返品は全て、最終的にこれは民間の負担で全部やられているんですよ。元々国が全量管理して、返品は認めないと言って数量管理をして、供給管理もして医療機関に納入したのを、その後もしも、結果としてそれ余った、医療機関も困ったんだったら、それを買い戻すのになぜ国が負担しないんですか。  さっきも言ったように、国は国内のメーカー品は買上げのときは四百八十一円だ、それをあなた方は販社に売ったときは九百六円で売っているんですよ、ピンはねしているんじゃないですか、ここで。その金ぐらい出したらどうですか。最終的に製造メーカーは四百八十円で売って、返品を買い戻すときは九百六円で買い戻しているんですよ。一体どういう考えでこういうことになったんですか、大臣
  72. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) これは、私どもの方といたしましても業界に対して負担を求めたと、その額も相当な額になると思います。返品対応によりまして製造・流通業者の皆さん方には約三十五億円の御負担をいただいたと、こういうことになっております。  このことについては、私どももできれば国の方がそれを負担するのがいいと思いますけれども、しかしなかなか今回の件では、大変国の方も出費もいたしましたし、そういう意味では業界の皆様方にこの点は御理解をいただいて御負担をということをお願いをいたしましたら、業界の皆さん方から御理解をいただいて、通常の季節性インフルエンザのワクチンの返品と同じような形にしていただけたと、こういうことで、私としては本当に業界の皆さん方に御迷惑をお掛けもいたしたと思っておりますし、業界の皆さん方に御理解いただき御協力をいただいたことについては、これは私としても大変感謝をいたしておるところでございます。  こういうことはこれから余りあってはいけないことだというように私も思っておりますし、これはやっぱり医療機関に最終的に残ったというふうなことがありまして、先ほども申し上げましたように、今回の例をよく反省をいたしまして、これからはそのことがないような形で取り組んでいかなければと強く反省もいたしておるところでございます。
  73. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございます。  大臣を責めてもという感じがしておりまして、ただ事実関係をはっきりしておきたい。  通告していないんですけど、櫻井副大臣、こういう回収のお金なんて当然財務省に入っているわけですね。売り上げたものというのは当然歳入で財務に入るわけですね、一般会計に。  さっき言ったように、購入した予算よりもはるかに多くのものが売り渡されているんですよ、金額的にね。そうすると、国としてはこれ焼け太ったんですよ、こういうワクチンを買い上げて売ったとき。それで、これを回収しろという指示が出たときに、当然厚生労働省は財務省に相談していると思うんですけどね。こういうのは、財務省は相談を受けられたんで、そのとき財務省はどうしてこれ拒否されたんですか。  突然で申し訳ないんですけれど、分からなければ改めまた聞き直します。
  74. 櫻井充

    ○副大臣(櫻井充君) 済みません、急な質問なものですから、後で事務方から説明を受けて報告をさせていただきたいと、そう思っています。  ただ、これはやはり厚労省内で随分いろんなやり取りがあった中でこういう無駄が生じたというふうに理解しておりますので、こういったことのないように厚生労働省にもきちんと今後対応していただきたいと、そう思っているところでございます。
  75. 藤井基之

    ○藤井基之君 いや、どうも副大臣、失礼しました。改めてまた通告をした上で御質問をさせていただきたいと存じます。  今大臣からもお話ありましたように、やはり今回このインフルエンザのワクチンのケースというのは極めて異常な状況で起こったんですよ。今回の原発も異常な状況で起こっている。だから、異常な状況のときというのはみんな手探りでいろんなことをやって、結果的に、ただし、それについては十分な検証をしなきゃいけないんだと思うんですよね。厚生労働省は、これは検証はもう済ませていると言っている、去年のときに。去年の対策会議報告書出ているんです。で、済んでいるから。全然済んでいないですよ。あれで済んでいるなんて言ったら、それは甘過ぎますよ。  私は、今回いろいろ担当の方からお話伺っているだけでも疑問は幾つも感じました。このワクチンの単価の問題もそうです。私は、そしてもう少し言うならば、このワクチン問題というのはこれから先、今は、これははっきり言って新型インフルエンザと言われていたのはもう一般インフルエンザになっている。それほど毒性が強くなかったものなんです。でも、この後、我々本当に心配していた鳥インフルエンザをベースにするようなH5N1タイプのものがもしもはやったら、これは強毒性なんですよ。これは、そのためにはまたワクチンを作らなきゃいけない。プレパンデミックワクチンの予算まで出してくれと。  ところが、この二十一年度は、そのとき予定していたこのプレパンデミックワクチンへの原液購入の予算は、結局これ一銭も使っていないんですよ。全て新型インフルエンザワクチンに流用されたんですよ。報告書には買上げ額が少なかったからと書いてあるけど、うそですよ。プレパンデミック原液は一銭も買っていないんですよ。全部新型インフルエンザワクチンの購入に流用したんじゃないですか。  これから先のインフルエンザの問題を考えるときに、特にこれは公衆衛生の問題が非常に大きな意味を持ちますので、国の関与は大切なんです。そして、それを、メーカーもあれば供給もあるんですから、それについても十分な配慮の上、これからの検討お願いしたいと思います。  済みません、時間がなくなりましたので、終わります。
  76. 熊谷大

    ○熊谷大君 自由民主党の熊谷大です。  本日は、SPEEDI、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムについて、高木文部科学大臣にお尋ねしたいというふうに思っております。  まずもって、被災地の代表者として、相変わらず被災に見舞われている被災者の皆様、また震災によって犠牲を被られた皆様に衷心より哀悼の意を表させていただきたいというふうに思っております。さらに、世界各国又は全国各地から、被災地そして被災者のために様々な物心両面の支援をいただきましたことに改めて感謝の意を表したいというふうに思っております。  先日の土曜日には李明博大統領、温家宝首相、そして王貞治さん、さらにはAKB48まで被災地入りしてくれまして、被災民に対する激励そして慰問をしていただきました。本当に有り難いことだというふうに思っております。明日への希望、そして生きる糧が、また生きがいが少しでも生まれた、そういった本当に励みになる支援があったなというふうに思っております。  さて、この被災者そして震災について考えると、この原発に対する問題、そして原発から出た放射線をなぜ迅速に予測できなかったのかという疑問が多く残るのは私だけではないというふうに思っております。  決算委員会でございますので、先日、文教科学委員会の方で同僚の上野通子議員が高木大臣質問をしたように、運用費そして開発費、これ非常に甚大な公的資金、公費が投入されていると思うんですけれども、それについて数字をいま一度教えてください。
  77. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 熊谷委員にお答えをいたします。  SPEEDIの開発費用につきましては、これは、昭和六十一年度から平成二十一年度に支出した金額は約百十三億円となっております。これに昭和六十年度に予算計上された整備委託費三億円を合わせますと、合計約百十六億円となっております。
  78. 熊谷大

    ○熊谷大君 その百十六億円もの公的資金が投入されたSPEEDIというネットワークシステム、もちろん決算委員会でございますので、投入された税金に見合う費用対効果があったかどうかが検証される場所でございますので、それについて質問をさせていただきます。  SPEEDIに関して開発者の論文を読みますと、次のように書いています。  我が国の原子力防災の根幹を成すシステムがSPEEDIでありますと。その予算規模も大変大きなものでありますが、しかも、緊急時、非常時のために開発されていますのでこれは非常に大変安定して強固なシステムであるということも、彼らの書いた論文又はいろんな文献を調べていると分かってきます。  SPEEDIのネットワークシステムは、二十四時間三百六十五日、不眠不休で作動しております。このネットワークシステムは、スリーマイル島の事故、チェルノブイリの原発事故、ジェー・シー・オーの事故などを教訓に、文部科学省の委託業務として原子力安技術センターが運用しております。これも何度も言及されていますが、放射性物質の拡散予測、被曝線量を予測計算して、予測結果を国、地方公共団体に提供するシステムでございます。  このネットワークシステムで計算された内容は、文部科学省から予測計算実施の指示を受けると、ふだん収集されている気象条件を基に予測計算を行い、国及び地方公共団体の防災機関に送信されます。SPEEDIは、ふだんからアメダスや原子力関連施設でモニタリングしているデータと連動していまして、それを集積、蓄積しております。それで、環境放射線の監視も常時行っておりまして、その放射線のレベルが一定程度を超えますと、自動的に文部科学省関係者に携帯電話に音声と電子メールで通報される仕組みになっております。  ここで質問なんですけれども、震災当時、発災当時、この予測データは文部科学省関係者に送信されていましたか。そしてもう一点なんですけれども、文部科学省は、震災当日、予測計算の実施を指示しましたか。
  79. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) SPEEDIの件についてでございます。  今回の事故では、停電などによりまして発電所におけるいわゆる放出源情報、放射性物質の情報が得られなかったためにSPEEDIの本来の放射能影響予測を行うことはできなかったという状況にありました。このため、SPEEDI自体は故障しているということではありませんが、SPEEDIの計算に必要な放出源情報が得られておらずに、放出源情報を入力したいわゆる放射線の影響予測、シミュレーションができなくなった状態にありました。  今回の福島第一原子力発電所の事故を受けまして、今後、当然にして事故の調査究明が行われておりまして、それを踏まえて原子力発電の安全確保の取組について総括を当然しなきゃなりません。今回の事故対応の徹底的な検証が行われる中でSPEEDIの活用の在り方についてしっかり見直していかなきゃならないものだと、私はそのように考えております。
  80. 熊谷大

    ○熊谷大君 大臣、SPEEDIは動いていたんですね。それを確認させてください。
  81. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) そうです。
  82. 熊谷大

    ○熊谷大君 それに入力する計算データが得られなかった、それは停電によるものだというふうに今おっしゃったんですけれども、文部科学省から出ている報道発表、これで見てみますと、文部科学省の要請により、原子力安技術センターの防災モニタリングロボット及び航空機放射線モニタリング機器が現地に、三月十四日の八時四十分に到着しているんですね。  ここからモニタリングのデータ、放出源はもしかしたら発災当時地震で動かなくなっているかもしれませんが、迅速なこれこそ文科省の対応によって、モニタリングロボットと航空機の放射線量を調べる機材がもう運ばれています。それのデータはどういうふうな扱いになったんですか。
  83. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 私どもとしましては、三月十二日からは全国にありますモニタリングの機器によっていわゆる調査をしておりますし、三月十五日からいわゆる周辺現地において今御指摘のとおりモニタリングを行っております。したがいまして、そのモニタリングの分析結果を踏まえて、いわゆる仮定としてSPEEDIの結果を得ておりました。そういう状況です。
  84. 熊谷大

    ○熊谷大君 それで、データを得ておられたんですけれども、そのデータはどのようなルートを通って、どのように分析されていったのかをちょっと教えてほしいんですけれども。  なぜかというと、これも上野通子委員の調べなんですけれども、原子力安委員会の班目委員長、事務局の方が二十三日の記者会見のとき、放出源情報、これは発電所側から得られる情報なんですけれども、今大臣もデータを取っていたというふうにおっしゃるんですけれども、今回の事故でこのデータを取るユニットが壊れてしまったので、今日までこの発電所側から本来SPEEDIに入力されるべき放出源情報は私どもの手元に来ていないと言うんですね。確かに、放出源情報はこちらから来て送られていないと言うんですけれども、その文科省が独自に調べられた情報がなぜ原子力安委員会の方又はSPEEDIの方に入力されなかったんですか。
  85. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) その前に、先ほど私が全国のモニタリングを十二日からと申し上げましたが、十三日でございますので、訂正をいたしておきます。  その上で、今回の事故によって停電のために発電所における放出源情報が得られなかったと、こういう本来の予測が行われなかったという状況の中で、文部科学省としてはモニタリング情報によって放出源情報を推定が可能になりました。推定が可能になりました。そのことによって、今現在は原子力安委員会において推定値に基づくSPEEDIの予測が行われておりまして、その結果は三月の二十三日以降公表されております。  今後、私どもとしましては、先ほども申し上げましたように、せっかく高価な、いわゆるシミュレーションシステム、SPEEDIというものが今回の事故の電源喪失といいますか、そういうことによって若干そういう時期がありましたので、我々としては、そのことについて克服すべきものも含めてしっかり見直していかなきゃならぬだろうと、このように思っております。
  86. 熊谷大

    ○熊谷大君 先ほども申し上げましたが、十四日には文科省のモニタリングロボットが到着しておるんですね。ここで、文書で気になるのは、到着とだけ書いてあって、データを採取しているとか取得しているということは一言も書いていないんですね。  それで、二十三日以降公表し始めたというふうに今おっしゃられたんですけれども、その九日間、一体これは何をしていたのかと。非常にSPEEDIというのは迅速に放射線を予測して、その予測されたデータに基づいて住民の避難勧告を行うと。根幹ですよ。先ほども申し上げたように、国の根幹を成すシステムであるのにその九日間の差がある、空白があるというのは非常に問題だと思うんですが、いかがでしょうか。
  87. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) したがいまして、いかにして放出源情報を直ちに得られるかという、そういうシステム上の課題もございます。  ただ、私たちとしては、そういうものが出ておりませんので、いわゆる単位放出源一ベクレルというものがもし出た場合にはどのようになろうかと。当然にして、福島原子力発電所の地形の詳しい状況あるいは気象状況、当時の風向き、こういったものについてはちゃんとデータの中に入っておりますが、そういう状況の中で、一ベクレルがもし出たときにどういう状況になるのかということが分かりますので、私どもとしましては、原子力安技術センターに指示をいたしまして、必要なところについては情報を流しておるという状況であります。
  88. 熊谷大

    ○熊谷大君 ちょっと私も何て答えたらいいか分からないですけれども、必要なところに情報を出しているんだったらSPEEDIでもう出ているはずですよね。SPEEDIは、私も今回取り寄せて、なるほどなと思ったんですけれども、この文科省が出しているSPEEDIの解説書です。この中に、緊急時、まあ平時と緊急時というのが分かれているんですけれども、そのSPEEDIで使用される各種のデータ、これは放出源情報という項目があって、サイト及び施設名、放出開始時刻、放出継続時間、核種名とその放出率なんというような内容があるんですけれども、入力方法を見ると、手入力って書いているんですよね。  だから、データが手元にあれば、そのデータさえ渡せば、SPEEDIを運用しているところに渡せば、このデータで予測で表示ができたはずなんですね。速やかに避難勧告を出せたはず、SPEEDIを基にした避難勧告が出せたはずなんですね。これ、何でそういうふうなルートを取らなかったんですか。
  89. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 現地のモニタリングデータを十五日から収集をいたしました。したがって、放出源情報をまさに逆推定するわけでありますが、この逆推定したのに時間が掛かったと、このように承知をいたしております。
  90. 熊谷大

    ○熊谷大君 科学の粋を集めている、そして英知が集っているはずなんですね。それにそんな時間を要する、日数を要するというのは余りにも不適切な行動だったんではないかというふうに言わざるを得ません。  そこで、前回の文教科学委員会の班目委員長の発言を見ていると、そのデータを取るのを、逆算してデータを取って公表するまでにかなり時間が掛かったということの理由に、こういうふうに言っているんですね。モニタリングポストが三か所しかなくて、いわゆる働いているモニタリングポスト、三か所しかなくて、その三か所からのデータだけでは科学者としては心もとないデータだったという言い方をしているんですね。  ただ、文部科学省が出している「原子力防災の手引き」と、こういうふうなのがあります。これでSPEEDIの役割が大体二段階に分かれて書かれています。まず第一段階は何かというと、読みます。第一段階のモニタリングは、原子力緊急事態発生直後から開始され、正確さよりも迅速性を重視して行われるモニタリングで、ここで得られたデータは、SPEEDIネットワークシステムの予測データとともに住民の放射線防護の対策決定に重要な役割を果たすと書いているんですね。そこで、第二段階で初めて、より広範囲にわたり、より精度を高めてということでSPEEDIを活用すると書いているんですね。  そういうことを考えると、この空白の九日間、それを看過していた、おざなりにしていたというのは、まさしくサボタージュ又は非常に後手に回るような対応だったんではないかというふうに言わざるを得ないんですが、いかがでしょうか。
  91. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 先ほどもお答え申し上げましたように、逆推定するのに時間を要したということであります。  そこで、御指摘のお尋ねは、やはりこんなようなすばらしいいわゆるシミュレーションシステムが、実際の今回の事故の立ち上がりにおいて、いわゆる停電という状況はあるにしても、十分な機能を見せられなかったということについては問題があるのではないかということでありましょう。  私どもとしましても、いわゆるシステム全体の、まさに緊急時におけるいろいろなリスクを考えたところのいわゆる万全の対策については、私は十分検証して、直ちにその中でしっかり見直していかなきゃならぬと、私はそのように認識をいたしております。
  92. 熊谷大

    ○熊谷大君 大臣、停電が原因じゃないんですよね。SPEEDIはあったんです。ちゃんと作動していたんです。東京で、本部があるから、そこが停電にならない限りSPEEDIは動くんです。そして、SPEEDIは、先ほども申し上げたように大変優秀で有能な、強固なシステムです。二重三重に機械が、端末が設けられていて、どんな危機があっても対応できるようになっているんですね。だから、停電が原因じゃないんですよ。それをどのように活用して運用していくかという、運用する側の問題なんですね。  その認識がない限り、幾ら検証したとしても、幾ら調査をしたとしても、また同じような結果が何度も繰り返されるだけだと思うんですね。それを大臣がしっかりと部下に命じて、指示してやってもらい、又は調査をしてもらわないと困るんですよ。それ、いかが思いますか。
  93. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 改めて申し上げますが、このSPEEDIの単位放出源情報、まさにこれは実際の放出源情報ではないものですが、この単位放出源情報の流れというのは、文部科学省から、三月十一日十六時四十分、原子力安技術センターに指示をいたしております。この原子力安センターから、同じ十一日の十七時四十分に政府の原子力災害対策本部、いわゆるこれは事務局は原子力安全・保安院であります、そこに送られ、そしてまた同時に、十七時四十分、原子力安委員会にも送られ、ただ現地の福島県の災害対策本部、これは専用回線が不通という状況があっておりますので、十二日の二十三時五十四分に電子メールを送りました。また、福島県の原子力センター、ここには十一日の二十三時四十九分に電子メールを送っております。そういう事実経過でございます。  いずれにいたしましても、私どもとしては、今回の件についてはきちっと検証し、そしてSPEEDIが本来の機能を果たせるような、そういう全体的な取組をしっかり検証していきたい、このように思います。
  94. 熊谷大

    ○熊谷大君 大臣、送った送ったと言うんですけれども、その情報が、ちょっと私も気になる新聞があったんで、記事があったんで言いますが、三月二十四日の朝日新聞の「オピニオン」の欄に、中越地震で東電の原発の少量の放射能漏れを経験した泉田知事、新潟県知事なんですけれども、今回の震災で次のように言っているんですね。  当初、何より困ったのは、福島県内のモニタリングポストのデータが全く出てこなかったことです。それは今おっしゃったことかもしれません。原発にトラブルがあった場合、真っ先に欲しい情報なのに、データがばらついている、出すかどうかは国の原子力災害対策本部で決定すると言うばかりなんですね。  情報があっても、これを出さなかったり公表しなかったりしたら全く意味を成さないじゃないですか。この体質をどういうふうに考えられているんですか、大臣
  95. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 先ほどのまさに時間を要したということで更に加えますけれども、十六日のモニタリングを開始をいたしまして、当初の三日程度は風向が海方向にあったと、陸の方から海の方に流れている、したがって、それでは推計に十分な情報が得られなかったと、こういう理由を私は承知をいたしております。  なお、先ほどの話ではありませんけれども、私どもとしましては、したがって、モニタリングについては、数の点についても、地点の数についても、それ以降私たちは拡充をしております。  なお、海の方も、そしてまた空域、空の方からもモニタリングを、いわゆる原子力災害対策本部と連携を取って、特に文部科学省の役割分担として、この点については力を注いできております。
  96. 熊谷大

    ○熊谷大君 三日程度、風向が海の方に、太平洋に向いていたというんだったら、もっとそういう情報を出して発信していれば余裕を持って避難できたはずじゃないですか。  三月十一日、被災地はみんな社会的な混乱がありましたよ。混乱がある中で、秩序を保ちながら被災者は頑張っていた。その中で、その中でさらにこうした公表、しっかりとした情報じゃないかもしれないけれども迅速さを求めた情報が公表されれば、みんなそれなりの気持ち、心持ちを持って避難できたはずなんですよ。何らかの対処ができたはずなんですよ。それを十日以上も公表しなかったということは、非常に大きな問題があるというふうに思っております。  さらに、福島県内では大変自主避難ということで苦労なされている方が多いと思うんですけれども、先日、宮城県でも、福島県と県境を接しております宮城県の丸森町というところで、牧草から一キログラム当たり一千五百三十ベクレルのセシウムが検出されました。これも全国各地、静岡県、神奈川県、もう福島第一原発から三百キロも離れたようなところからも出ています。また、宮城県を通り越して岩手県の滝沢村でも出ております。  そうしたことを初動態勢のときに発表できなかった。これはもう全国的に、もう全市町村レベルで調査とかモニタリングとか検出のテストをしなければいけないレベルなんですね。その初動のときにちゃんとした発表がなかったから、今セシウムがどんどん出てきている。恐らくこれは、分かりませんよ、私は、沃素の半減期が八日間ということで十日間発表を遅らせて、それが検出されなくなってからSPEEDIの結果を発表したんじゃないかと、そういった疑念を持たざるを得ないんですね。これについて、大臣はどういうふうにお考えか。
  97. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 私どもは、当然のことながら、モニタリングのできる状況になったときには速やかに拡充も含めてその役割分担を果たしてまいっております。得られた情報については、的確に速やかに公開をずっと今日までしております。今回のいわゆるSPEEDIにおける推定が可能になったことは、まさにモニタリング情報がしっかりできておったということに基づくものと思っております。したがって、原子力安委員会において推定値に基づくSPEEDIによる予測が行われ、その結果、三月二十三日以降ずっと公表されておると、このように思っております。  したがいまして、何度も申し上げますけれども、私どもとしては、SPEEDIが書かれた機能をしっかり果たすためには、モニタリングの状況あるいはこれからの関係諸団体との一体的な連携、こういったものについては、その活用の在り方についてしっかり見直していかなきゃならぬ、このように思っております。
  98. 熊谷大

    ○熊谷大君 大臣、失礼ですけれども、モニタリングの状況とかその連携の関係とか、そういう問題では僕はないと思うんですね。  例えば、五月十九日の新聞でも出ていましたけれども、三月十二日未明の、放射性物質が原発の海側に向かうことを示すSPEEDIの予測図が首相官邸に届けられていたことが十九日分かったと。民主党内から出てきた情報ですよ。こういったことを我々は見れば、どういうふうに政府を信用したらいいんですか。どのように信頼関係を築けばいいんですか。  さらに、今日の新聞ではこういうのが出ています。IAEAの報告書、内容ノーコメントで統一。IAEAに対する今回の原発の問題について報告書、省庁が分担箇所を作り、まとめ上げる形なんですけれども、今月二十三日に来日するIAEAの専門家の協力を得て事故の評価や現状、教訓をまとめる、しかしながら、骨子案には、SPEEDIのシミュレーションが公表されずに厳しい批判を受けたことが記載されないなどと書いているんですね。私、これでは後世に対する責任というものが今何にもなされないというふうに断じざるを得ないというふうに思っております。  非常に今回は税金の投入が莫大であった。その文明の利器を我々は、祖先は英知を使って築いてくれた。しかし、残念ながら、使う者の人間の手段がおろそかだったために非常に多くの、そして多大な犠牲が出てしまったということを断じざるを得ない。それを断言させていただいて、私の質問を終わりたいと思います。  以上です。
  99. 森まさこ

    ○森まさこ君 自民党の森まさこです。本日はよろしくお願いします。  私、文科大臣質問をさせていただくのは初めてでございます。福島県でございますので、いろいろな問題、質問したいなと思っていたんですけれども、文教科学委員会の委員でないものですから、今日は決算委員会においでになるということで唯一のチャンスでございまして、本当にお聞きしたいことがたくさんあるんですけれども、今、熊谷議員の方がSPEEDIの質問をしていましたので、私の方も準備していた順番を少し変えてSPEEDIの問題から質問をさせていただきたいと思います。  先ほど熊谷議員の質問にお答えになって、十一日の段階、十一日の二十三時四十九分に福島県の原子力センターに電子メールを送ったと答弁をしていただきましたが、その電子メールの内容はどのようなものだったんでしょうか。
  100. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  101. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 速記を起こして。
  102. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 失礼いたしました。  十三日にファクスをしたものはSPEEDIの単位放出源、単位放出源情報のデータであります。
  103. 森まさこ

    ○森まさこ君 現在、文部科学省のホームページに公開されているSPEEDIの拡散予測図の十三日分のものと同じものということでしょうか。
  104. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 原子力安委員会のホームページで報告をしておるものであります。
  105. 森まさこ

    ○森まさこ君 ありがとうございます。  と申しますのは、たしか十九日に福島県議会で吉田栄光県会議員が同様の質問を県の方にしております。その答弁として、佐藤生活環境部長、福島県のですね、こちらの方がデータを受け取ったということを答弁をしております。このデータは三十二枚あったということなんですね。  この段階で、十三日でございますから、爆発をした日でございます。私も近くにおりました。浪江町の津島という地点、御存じだと思いますけれども、福島県で最も放射線の値が高い地点の一つでございますが、こちらの方に、また飯舘村も含めて、一万人の方が避難をしてそこに滞留をしていたわけなんですよ。どんなにかそのときのその三十二枚の紙を見せてほしかった、そういうことを私申し上げたいんです。  先ほど大臣の御答弁で、モニタリングのポストが三か所しかなくて非常に不十分な情報だったということをおっしゃいました。ただ、今公開されているものを見ますと、五月三日になって全て公開していただいたんですけれど、五千枚のデータを、これが、十一日の分から全て見ていきますと、今放射線の値が高いところとほぼ重なっているんですよ。  これをもし見ていたら、やはり、多少風向きによってゆらゆらゆらゆらしています。ただ、下には行っていない、南には行っていない。それだったら、浪江町の人はいわき市に逃げたらよかったんです。浪江町の方を飯舘村方向に向かって逃げて、途中でガソリンがなくなって一万人がそこに十六日の段階までいたんですよ。そして、雨も降りました、雪も降りました、十四日の段階でね。その雨と雪と一緒になって放射性物質が落ちてきているんです。飯舘村の方は全く何も知らされませんから、村人総出で雪かきしていたというんですよ。放射性の非常に高い雪です。  私は、やはりSPEEDI、これが、前回の決算委員会でも指摘しましたけれども、二十一年度の決算でも約五億円の費用を費やして、六十年から現在までの開発費用は総額で百十六億円に上るんですね。これだけのもの、これは福島県民も払った税金の中から、避難地域方々も払った税金の中から開発されたそういうものであるのに、一部のこのデータがなかったということで公開をされなかったこと、本当に残念に思っているんです。  今後、まあ本当に千年に一度の機会に使わなかったということでしょうけれど、もし同じことがあってオフサイトセンターが停電していてデータが取れなかったら、やっぱりSPEEDIのデータは住民に知らせないんですか。大臣、教えてください。
  106. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 今回は十五日の日からモニタリングを開始をしておりました。先ほどもお答えしましたけれども、当初三日程度は海の方向に風が吹いておったと、こういうことで推計に十分な情報が得られなかったと、こういう事情もございました。いずれにいたしましても、私どもは、今回の遅れたのは、結局、放出源情報が得られなかったということに尽きるのではないかと思っております。  したがいまして、私たちが今後得られない場合にモニタリングの値を基に推計予測をすることになるわけでありますが、いわゆるモニタリングの場所、数、またその点についての今回のことについてしっかり総括をし、二重、三重、もっと言えば四重のフォローアップ体制、バックアップ体制、こういったものをしっかり組み合わせていかなければならないと、私はそのように思っております。
  107. 森まさこ

    ○森まさこ君 大臣、十一日の二十三時四十九分、原子力センター、これオフサイトセンターのことでしょうかね、そちらの方に流した後ですけれども、一時間ごとにSPEEDIのデータは出ていたと思います。これは随時流していたんですか。
  108. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) その後、随時流していたと承知をしております。
  109. 森まさこ

    ○森まさこ君 それを流すときに、この現地の単位放出源が取れないものであるというただし書を付けて送ったんですか。
  110. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) これは、もちろん単位放出源情報であるということを付して流しております。
  111. 森まさこ

    ○森まさこ君 と申しますのは、これが県の方に十三日の段階であったということ、福島県では大変な問題になっているんですよ、どうしてこれを公開しなかったかということをですね。  これ、国から何らかの、これが正確な情報ではないという、それで国としては公開をいたしませんという、そういうメッセージ付きで送ったのかどうかということが非常に注目されているんですが、前回、私、決算委員会質問をしたときには、文部科学省の方が県にそのようなことを言った事実はないと、公開するなということは言っていないということですけれども、この最初の十三日に送ったとき、それからその後、毎回送るときにこのデータが正確ではないということを附則に書いたこと、そういう事実はないですね。
  112. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 委員指摘のとおり、十三日に送ったものについて、私どもとしましては、調べた限りにおいては、公表をするなとか、そんな指示をしたことはありません。
  113. 森まさこ

    ○森まさこ君 それでは、国は公開しないんだということを連絡しましたか。
  114. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 特にそのようなことは承知をしておりません。
  115. 森まさこ

    ○森まさこ君 そうしますと、先ほどのように、国としては単位放出源の問題があって公開をしないということを決めたけれども、そのことは県には伝えていない、ただ単にこのデータを送っただけだ。先ほど海の方に吹いているとおっしゃいましたけれども、ちゃんと内陸の方に吹いている図があるんですよ。  こういうデータを送ったときに、何の限定も付さずに通常のSPEEDIのマニュアルどおりに県に送ったとすると、県はそのまま市町村に送り、市町村が住民に送るように、これはマニュアルでそうなっているんです。だから、それが途中で止まるのが非常に不可解なことなんですね。  ですから、これは大事なことですので確認をいたしますけれど、国はこのことについては公開しないことを決めたわけですけれども、それを県に伝えた事実はないですか。
  116. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 先ほどの十三日のファクス、もっと申し上げますと、三月の十一日の十七時四十分に原子力安技術センターからそれぞれに送っておりますが、福島県の災害対策本部については専用回線が不通でありました。したがいまして、十二日二十三時五十四分に電子メールを送っております。  なお、原子力安全・保安院からは、改めて福島県の災害対策本部について保安院が三十二枚の、十三日の日にファクスを送ったということでございます。  なお、申し上げますが、放射線物質一ベクレルが放出されたと、まさにいわゆる単位放出源で仮定をした、計算された予測結果については、四月二十六日以降、原子力安委員会のホームページにおいて公開をしておると、こういうところであります。
  117. 森まさこ

    ○森まさこ君 この電子メール、それからファクスを送ったときの表書きの文書、何日の何時何分に誰がどこからファクスして、又は電話で指示をしたのか、又はメールをしたのか、文書で提出していただきたいんですけれども、委員長、いかがでしょうか。
  118. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 後日、理事会で協議をいたしたいと思います。
  119. 森まさこ

    ○森まさこ君 大臣はこのSPEEDIの存在をいつ知りましたか。
  120. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) これは大臣就任時に承知をいたしております。
  121. 森まさこ

    ○森まさこ君 地震後にSPEEDIが発動をした、動き始めたのを知ったのはいつですか。
  122. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 先ほどお答えしましたように、三月十一日の十六時四十分に文部科学省が、いわゆる財団法人でありますが、原子力安技術センターに指示をしております。
  123. 森まさこ

    ○森まさこ君 そのときに知ったということだと思いますけれども。  そうしますと、SPEEDIのデータが随時出ていることは御存じだった。ところが、十一日に福島県に送ったものについては国では公開をしないということに決まりました。この公開をしないということを決めたのは大臣ですか。
  124. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 先ほど申し上げましたとおり、私どもとしましては計算結果がまとまり次第公表をしておると、私はそのように認識をしております。
  125. 森まさこ

    ○森まさこ君 いえいえ、済みません、私の質問は、十二日のメールと、それから十三日に三十二枚のファクスをしたときに、そのデータ、今私は持っておりますけれども、これを国民に、又は福島県の住民に、避難している住民に公開をしないということを決めたんですね。
  126. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) この点については、公開しないと決めていたわけではありません。
  127. 森まさこ

    ○森まさこ君 それでは、なぜすぐ公開しなかったんでしょうか。
  128. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) まさに、いわゆる単位放出源はそもそも公開するものとは私は認識していなかったということでございます。
  129. 森まさこ

    ○森まさこ君 それは、公開すべきではないというふうに思っていたということですか。公開すべきではない、公開してはならないと思っていたということですか。
  130. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) このSPEEDIの本来は、まさに原子力発電所から出されたそのまさに源、これを踏まえて計算をするというものでございました。したがって、いわゆる仮定に基づいた試算については私は直ちに公開するということではないと、このように承知をしておりました。
  131. 森まさこ

    ○森まさこ君 よく分かりました。  先ほど大臣がおっしゃった福島県の災害対策本部、これが電話、ファクスが不通であったと。これは、当時大熊町に置かれていたオフサイトセンターのことですか。
  132. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) ちょっと速記を止めてください。    〔速記中止〕
  133. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 速記を起こしてください。
  134. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 先ほど申し上げましたSPEEDIの単位放出源情報の流れについては、三月の十一日十七時四十分に原子力安技術センターから情報を出しましたが、いわゆる福島市にある福島県災害対策本部については専用回線が不通であったと、したがって電子メールになった。まさに、福島県の原子力センターというのは原子力発電所のいわゆる近傍にあったと、私はそのように認識をしております。
  135. 森まさこ

    ○森まさこ君 原子力発電所の近くには緊急時の場合に原子力災害対策センター、これが動いて事故の対策の連絡会議を立ち上げるようになっております。これが大熊町にあったんですけれども、当時停電をしたということも聞いております。  ただ、大臣が十二日に送ったのが福島市であるとすれば、大熊町の方にはどんな情報を送ったんでしょうか。大熊町にも文部科学省の方がいらっしゃいましたよね。
  136. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 御指摘のように、大熊町の福島県原子力センター、ここには十一日の二十三時四十九分に電子メールを送ったということです。
  137. 森まさこ

    ○森まさこ君 分かりました。先ほどおっしゃっていた原子力センターというのがこのオフサイトセンターのことだったということが分かりましたけれども、このオフサイトセンター文部科学省の担当者の方がいらっしゃいましたか。
  138. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 事務方に聞きましたところ、当時、その状況の中でオフサイトセンターに向かっていたということです。
  139. 森まさこ

    ○森まさこ君 向かっていて、何時、何日に着いたんですか。
  140. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) その辺の詳しい時間はちょっと確認させてください。
  141. 森まさこ

    ○森まさこ君 と申しますのは、この大熊町のオフサイトセンター、各役所の役人もそろっていて、ここでまさに、この原子力発電所の近くで現地の情報も仕入れて、そしてSPEEDIの情報もここで住民に公開するようになっているんですけれども、十三日に全員逃げてしまっているんです。十三日に全ていなくなってしまったんです、ここの方が。そのことは、住民は置き去りですよ。  ですから、私どもは、このSPEEDIの情報が入ってきてすぐに大熊町のこの方たちがいなくなったというのは、危険だということを知っていたからではないかというふうに疑わざるを得ないんですね。  このことについては本当にこれからも追及をしていきたいと思っていますが、今詳しい時間等がお分かりにならないということですので、次の機会にさせていただきまして、今日は次の質問に移らせていただきますけれども、校庭の表土の問題でございます。  これは、二十一年度の決算でも学校施設整備費ということで、当時の川端文科大臣も、子供たちの命を守るために学校の施設は整備していくんだということをおっしゃっておりますけれども、今福島県で保護者の方が最も心配をしているのがこの校庭の表土の問題でございます。  午前中も我が党の議員が衆議院の方で大臣質問しているのを私も拝見させていただきましたけれども、いろいろなことが指摘をされております。二十ミリシーベルトがなぜ計画的避難と同じ値なのか。なぜ大人と一緒に子供の基準を設けるのか。いろいろなことが指摘をされておりまして、文科省がこれに対して、実際に計測をしたら九・九九ミリシーベルト・パー・イヤーということで、約十ミリシーベルトなんだというような文書も出したのを私もいただきました。  二十ミリシーベルトというところをまず計算の値に取って三・八マイクロシーベルトというのを決めたんだと思いますが、実際、その地域では子供たちが実際に浴びる放射線量が十ミリシーベルトだというのであれば、この二十ミリシーベルトというその暫定基準というのは意味がないのではないか。やはり、これを撤回していただいて、十ミリシーベルト、私はもっと低くしていただきたいと思いますけれども、文科省の方が九・九九とおっしゃるのであれば、そのように基準を変更したらいかがでしょうか。大臣、お答えください。
  142. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 地元皆さん方には特に御心配はあるということを承知をいたしております。私も、放射線のリスクは決して甘く見てはいけないと常々思っております。同時に、正しい理解の中で、その中でも余り風評とかそういうことがありますと、これはまた新たな問題を惹起しますので、その辺は慎重に扱ってきたところであります。  もう時間がどうか分かりませんが、私たちとしては、多くの専門家、学者、その中でも国際的に放射線関連の専門家で構成をされる国際放射線防護委員会、いわゆるICRP、この勧告をしっかり踏まえて、そして原子力安委員会の助言もいただきました。  私どもとしましては、今まだ原子力発電所が事態が収束をしておりませんのは事実でございます。そういう段階の中で、事故後の復興期における参考レベルである年間一から二十ミリシーベルトを暫定的な目安にしたところであります。しかし、これは我々は、二十ミリシーベルトを浴びていいと、一年間、そういうことを言っているのでは決してありませんで、できるだけ線量を抑える、そういう努力もしなきゃならぬ。これはある意味で当然のことであります。したがいまして、やはり不安解消のためには、ある一定のめどの線量が本当にどうなっておるのか、このことをしっかり正確に公表する。そのためにはモニタリングをしっかりしなきゃならぬ。  そういう意味で、私たちとしては、この地点については今後もしっかりやって、そして、原子力安委員会の求めにも少なくとも二週間に一度以上は報告しなさいということもございました。同時に、子供たちと同じ行動を取る教職員の先生に協力をいただいて随時携帯の線量計を持っていただくということも同時に、それから、あくまでもこれは暫定的なことでございまして、夏休みにはこれを改めて見直すと。そして同時に、校庭あるいは園庭のモニタリングの中で高めに出て、ずっとそれがそのまま高止まりするという状況があれば、それは私たちとしても何らかの方法、具体的には、既に試験もしておりますが、土壌の剥ぎ取り、そして深いところに埋める、あるいはまた上下を交換をする、こういうことが福島大学の方でも実証試験をしましたので、その点については必要な対応をしていこうと、このように思っております。
  143. 森まさこ

    ○森まさこ君 大臣、御答弁、簡潔にお願いいたします。  午前中と同じ御答弁ではありますけれども、まず一つには、もう剥ぎ取っている学校がございます。文科省の方が上下置換それから穴埋め方式というのを御提案なさいましたけれども、非現実的なんですね。  例えば、文科省さんいらっしゃって小さく四角に穴掘っていましたけれども、私も見ましたけれども、校庭の下には、浅いところで十センチ、深いところで四十センチぐらいで配管してあるんですね。ですから、そこの、ぶつかってしまいますので、上下置換ということはあり得ない話なんです。これはできないんです。現場に行ってお話を聞いていただければよくお分かりになると思います。  また、下の方に行くにつれて砂利になっていますので、上何十センチ削って下を出すといっても、今度砂利になってしまいますから、校庭としては使えないんですね。  また、この上下を入れ替えるというのは大変コストが掛かりまして、一校当たり何千万というふうに掛かります。上だけ剥ぎ取る場合には数百万で終わっております。そして、東北大学のチームが文科省の方にも資料を出しております。記者会見もいたしましたけれども、その案を採用していただかなくて大変残念ですけれども、上五ミリだけ削ればほとんどこの値が減っていく。また、それ技術の問題もありますけれども、実際に福島市の保育園でやっております。  そうしまして、削った土は更に十分の一に、放射線量が高いものだけその量にして取り出すことができる。残りの十分の九は戻すことができるぐらいきれいなんです。そして、十分の一になったその少ない土を移動してコンクリートの中に封じ込める、その方法が最も良いのだという発表をしています。土の中の粘土質がセシウムを吸着するという、これはフランスでも発表されている技術ですけれども、こうした知恵を生かしていただいて、これでしたらコストも本当に掛からないわけですね。十分の一にするときにも特別な薬が必要、物質が必要なわけでもありません。水で粘土質を出すだけなんです。  そういうことを採用していただきたいということを申し上げて、もう一つ、今の緊急な課題は、もうその削ってしまった、学校の削った表土が学校の中に、校庭の隅に盛り上げられて置いてあるということなんですね。  私、昨日は郡山市の薫小学校のその土を見てきました。雨が降っていましたよ。水たまりになっていました、その周りはね。セシウムが出てくるか、出てこないか大変心配だと思います。また、削った土というのは、セシウムの濃度は三倍、四倍に上がっております。ただ、削った後の校庭はとても放射線の値は下がっているので、やはり私は、土ぼこりの内部被曝等を考えますと、削ったことは正しかったのではないかというふうに思っています。  文科省さんがいろいろなモニタリングをしていただいて、福島県の福島市からいわき市まで二十校のいろいろなデータを取っていただきましたけれども、三時以降に子供たちが帰った後にげた箱付近で測っていただいても、子供たちが外で、外から通学してきて、また運動した後の泥んこの靴でげた箱で履き替えるときのその土ぼこりを測っていただきたいんであって、放課後に測っていただいた値を出していただいても私たちとても納得はできないんですよ。  そういう意味で、毎日毎日を生活をしている子供たち、そしてその保護者のお母さん方の御意見を伺ってきますと、まずこの横によけてある表土、これをどこかに持っていってくださいということなんです。大臣がおっしゃった二つ目の方法の穴埋め方式では、校庭の中に穴を掘って埋めるだけです。これで、どれだけしみ出てくるかも分かりませんが、やはり子供たちの精神的な状態に影響を与えると思うんですよ。校庭の片隅に高濃度の放射性物質が埋まっている、そんなところで伸び伸びと運動したり学んだりできないと思います。  ですので、私は、やはりこれは文科省が主導権を取って、これは学校の問題だから文科省が意見を言いますと言って、政府の災害対策本部、菅総理におっしゃっていただきたい。あの削り取った汚染土はすぐにでも移動する、移動先を決めて、東電さんの敷地内でも私はいいと思いますよ。十分の一に濃縮したものでしたらば量も少なくなります。これを運搬するという方も福島県にはいらっしゃいますよ。そういうことを大臣、この削り取った表土を、夏休み終わるまで先ほどのお話だと何も結論を出さないということでございますが、すぐにこれをどうするかという、そういう協議を始めていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  144. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 先ほどの御提案、まさに私も東北大学に出向きまして学長からもそのことについてはお教えをいただいております。ただ、いわゆる分離する装置、土砂を分離する装置あるいは剥ぎ取る装置、こういったものの製作に若干の時間の掛かるという課題もございます。しかし、御提案として、除染という意味ではこれから私たちは大いにこのことについては研究してみたいと思っております。  それから、学校に山積みされておる問題は、首長さんの判断でそのようにされたものだと思っておりますが、確かに、山積みしますと普通の校庭の線量よりも高くなるのはある意味ではもう分かっておるところでございます。しかし、御指摘の、それをどこか持っていってくれということになりますと、やはり持っていき先の関係住民、自治体の合意もまさに要るわけでございまして、その意味で、原子力発電所のサイトという話も一部出ておりますが、これまた地域皆さん方の合意も必要になってまいります。今そのことについては私たちも十分検討しております。ただ、そういう状況の中で、少しでも安全のためにと思って上下の、深く掘る、もちろんそこにはシートを張って地下にしみ通らないような工夫も当然しますが、上下の入替えというのも私たちは今具体的なものだろうと思っておるわけです。  私も、別にそういう仕事ではございませんが、かねてから運動場の排水の工事の視察等いろいろやったことがございます。運動場もそれぞれ様々で、砂利が入ってみたり、あるいは排水溝の構造もこれまたいろいろ地域によって違いますので一概に言えないところがございます。したがって、それはそれでそこの運動場の状況をしっかり調査をして、そこに合った処理の仕方もこれは考えなきゃならぬと、このように思っております。  いずれにいたしましても、少しでも線量を下げて、安心の回復のためにできることは何でもやると、こういう気持ちでおります。
  145. 森まさこ

    ○森まさこ君 今検討しているとおっしゃいましたけれども、文科省の中で検討をしているんでしょうか、それとも政府の中で関係省庁で検討しているんでしょうか。
  146. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) もちろん、これは政府全体としてです。特に、規制のある経済産業省、あるいは環境省、あるいはそういった工事にかかわる健康の問題もあります厚生労働省皆さん方の協議の中でできるだけ早く結論を出していかなきゃならぬと思います。
  147. 森まさこ

    ○森まさこ君 それを検討する会議体の名称はございますか。
  148. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 今これは原子力災害対策本部の中で進められております。
  149. 森まさこ

    ○森まさこ君 それでは、対策本部の会議の議事録に載っているということですか。
  150. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 議事録という話ですけれども、対応について緊急に動いたりあるいは話したりする状況はございますが、議事録の存在については確認をしておりません。
  151. 森まさこ

    ○森まさこ君 それについてはまた伺いたいと思いますが、是非その協議の中に現地の意見を取り入れていただきたいと思います。首長の話が出ましたけれども、首長ではなくて保護者の代表の方と是非協議をする機会を大臣、持っていただきたいと思います。  それから、現地も視察をしていただきたいと思います。郡山二中も私見てきたんですけど、盛り上げられた土の横で運動部が、野球部、陸上部、練習をしております。そういった光景も是非見ていただきたいと思いますが、協議の機会を設けることと視察について前向きな御答弁をお願いしたいと思います。
  152. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 私どもとしましては、できるだけ現地と連携を取ってこの災害対応をやるというのはもう当然のことであります。私も頻繁に出ていきたい。福島県には既に一回、三月の二十七日に出向きましたけれども、本当ならばもっともっと行かなきゃならぬと思っております。まだまだ、岩手県にも行っておりませんし、宮城県は先日行きました。国会委員会等もございますから、そう簡単に私の都合じゃ行けないのが非常に残念に思っております。  それから、必要に応じて地域においての説明会、これもやっておりますが、今後、そういうことであれば私たち検討してまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、この放射線の問題は非常に難しい問題でございます。多くの専門家の皆さん方、それぞれにまた御意見も持っておられると思っておりますが、私どもとしては、大方の専門家、先ほど言いました、国際的にはいわゆるICRP、そして我が国では原子力安委員会、またその他のチームの先生、こういった先生方の、特に、原子力工学のみならず、いわゆる被曝医療とかあるいは放射線医療、そういったことに従事された方々、またチェルノブイリにも頻繁に足を運んでおられる先生方、こういった先生方の貴重な御意見をしっかり私たちは受けております。  したがって、その上で私たちが暫定的な考え方として開校に間に合わせるような形で出したわけでございますので、是非ひとつ御理解を賜りたいと思っております。
  153. 森まさこ

    ○森まさこ君 ありがとうございました。  しっかりお願いしたいと思います。終わります。
  154. 秋野公造

    ○秋野公造君 公明党の秋野公造です。  先週に引き続いて、決算委員会質問させていただきます。お役に立てるよう頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  今日は文部科学省伺います。  報道によりますと、福島県福島原発周辺の住民の方がいつどこにいたかということを入力をしますと、その住民が受けた線量が分かるソフトがインターネットで開発をされたという報道がありましたが、事実であれば、この目的は一体何でしょうか。
  155. 合田隆史

    政府参考人(合田隆史君) 住民の放射線量をインターネット上で確認できるソフトについてのお尋ねでございますけれども、私ども、被災された住民の方々の放射線の量を自ら把握をするということは、無用な不安を取り除くといったような意味からも大変重要なことだろうというふうに思ってございます。  福島県の方では、県民の健康管理調査、これを早期に開始をする予定というふうに承っております。文部科学省といたしましても、放射線医学総合研究所あるいは大学などの協力を得まして、能力を生かしながら、原子力被災者生活支援チームの一員としてこれに協力をしてまいりたいというふうに考えておりますが、その一環といたしまして、放射線医学総合研究所が平成二十三年度の第一次補正予算を用いまして、ホームページを用いた線量評価を可能とするシステムを現在開発中でございます。近日中に運用を開始すべく準備を進めているということでございます。
  156. 秋野公造

    ○秋野公造君 ということは、このソフトを使えば推定される受けた放射線量が分かり、今後、そこで出てきた数値に基づいて健康調査、モニタリング等が行われると理解してよろしいでしょうか。
  157. 合田隆史

    政府参考人(合田隆史君) 先ほども申し上げましたように、福島県では県民の健康管理調査を早期に開始をされるというふうに承っております。今回のシステムで推定される線量につきましてもその中で活用されていくものというふうに考えてございます。  もちろん、推定された線量の活用方法等につきましては、個人情報として慎重に取り扱う必要がございますので、具体的な活用方法につきましては今後、県あるいは関係市町村と十分検討、調整をさせていただく必要があろうかというふうに思いますけれども、そういったような格好で活用されていくものと期待しております。
  158. 秋野公造

    ○秋野公造君 私が申し上げているのは、そこで出てきた数値がそのまま確定値として使えますかということを聞いているんです。お答えください。
  159. 合田隆史

    政府参考人(合田隆史君) 現在開発中のものでございますので、そういったような不確定要素はございますけれども、そういったようなものを目指して開発を進めていただいているというふうに理解をしてございます。
  160. 秋野公造

    ○秋野公造君 確定値とならないということでよろしいですか。ちゃんとお答えください。これは通告をしている話ですから、ちゃんと答えてください。確定値として使うんですか、使わないんですか、端的にお答えください。
  161. 合田隆史

    政府参考人(合田隆史君) 県の方の調査の一環として位置付けて使用するというふうに聞いてございます。
  162. 秋野公造

    ○秋野公造君 局長、確定値として使うのですか、使わないのですかと聞いているんですよ。時間稼ぎしないでください。
  163. 合田隆史

    政府参考人(合田隆史君) できるだけ確度の高いものを目指しておりますけれども、あくまでこれは一定の条件の下での推計でございますから、そういったような意味では完全な意味での確定値というわけにはまいらないものというふうに考えております。
  164. 秋野公造

    ○秋野公造君 使わないということが分かりました。  仮に十ミリシーベルトの積算線量を受けたとして、不安に思う方もいらっしゃれば安心される方もいらっしゃると思いますが、こういったデータだけが出てきたときに、この方々はそれをどのように理解をすればよろしいんでしょうか。ちゃんと住民とコミュニケーションを取る体制というのはつくられているんでしょうか。
  165. 合田隆史

    政府参考人(合田隆史君) 御指摘のように、推定された線量によります健康への影響でございますとか、あるいは短期間、長期間の被曝についてどういうような影響があるのかといったようなことについて丁寧な説明が必要であるというふうに理解をしてございます。  もちろん、放射線医学総合研究所で開発中のサイト上におきましてごく簡潔な御説明をするといったようなことは当然する予定にしてございますし、というふうに承知してございますし、放射線医学総合研究所等におきまして放射線被曝に関する相談窓口も設けてございますので、そういったような形での御説明もできるかというふうに思っておりますけれども、基本的には、先ほど来申し上げておりますように、福島県で予定をされております県民の健康管理調査、その中で活用していただくということを想定をしてございますので、この調査の実施に当たりまして、住民の不安の解消に関しますコミュニケーションにつきまして十分に配慮されるよう、県などとも十分に相談をしてまいりたいというふうに考えてございます。
  166. 秋野公造

    ○秋野公造君 インターネットでちょこちょこ説明しただけで本当に安心が得られることができるでしょうか。まだ検討中ということでよろしいですね。
  167. 合田隆史

    政府参考人(合田隆史君) 御指摘のように、今具体的にどういうふうにきちんと説明をしていくのがよいかということを含めまして検討を進めているところでございます。
  168. 秋野公造

    ○秋野公造君 これは誰でもアクセスをすることができますか。私もアクセスすることができますか。そして、その管理は、例えば連結可能な個人情報としてきっちり扱うことが保障されていますか。
  169. 合田隆史

    政府参考人(合田隆史君) ただいま御指摘の点も非常に重要な点だと考えてございまして、このシステムの運用に当たりましては、例えば限定した利用者にIDを持っていただいて、そしてパスワードを設定をして管理をするといったようなことを始めといたしまして、一定のアクセス制限を設けることが必要ではないかということで検討が進められているというふうに承知をしてございます。更に具体的な情報管理の在り方につきましては、個人情報の適切な管理がなされるように、現在、個人情報の保護のためのシステムの信頼性の向上についての検討を行っているというふうに聞いてございます。
  170. 秋野公造

    ○秋野公造君 何を聞いても検討ばかり、検討検討している状況ばかりおっしゃるような状況で五月二十日から運用開始をするような情報が出てくることを大臣どのようにお考えでしょうか。  情報管理をすることができない人はこういった住民の個人情報を管理することができないと私は思います。住民の方々は不安なんです。調査を受けたいわけじゃないんです。安心を勝ち取るための健康モニタリングをちゃんとしてもらいたいと思っているのに、個人情報さえ、どう扱うかさえも今後の検討、今後の検討とか言っているような状況のものがこう簡単に報道に漏れるということは、どなただかがぺらぺらぺらぺらしゃべるということに非常に文部科学省の脇の甘さを感じます。  この対応、報道に出てからの対応、どのようになさったのでしょうか。見解も併せてお知らせください。
  171. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 秋野委員にお答えをいたします。  現在、本件は、福島県において、健康影響を正しく評価をして県民の不安の払拭を図るという観点から、これは長期的あるいは定期的な検査などについて検討しておると、このように伺っております。  その中で、今お話があっておりますように、放射線医学総合研究所、略称は放医研と呼んでおりますが、この開発中のソフトが今話題になっております、報道されたということでございます。しかし、私どもとしましては、被曝した放射線量を推定、あくまでも推定であります、これを把握するという意味の有用な手段として貢献できると期待はしております。  しかしながら、委員指摘されたように、個人の被曝線量、これは重要な個人情報なんです。したがって、その保護は非常に重要である。したがって、開発中のシステムを扱う個人情報が法令に基づいて適切に管理できるように、まさにシステムの信頼性の向上を前提とした開発を継続していかなきゃならぬと、このように思っております。  御指摘の点については、個人情報の保護の観点に遺漏がないように、正確な情報発信をするように指導してまいりたいと思っておりまして、情報の慎重な取扱い、これについて適切な対応を図るよう事務方を通じて注意をしたところでございます。
  172. 秋野公造

    ○秋野公造君 事務方を通じて指導をしていただいたということでよろしいですね。  不安解消が一番大事だと思いますが、こういった調査は、住民により近い立場で調査を行うことができる、例えばの話ですが、福島県等が中心になって調査を行い、それを国が必要かつ十分に支えていくような、そういった体制も考えていいのではないでしょうか。
  173. 合田隆史

    政府参考人(合田隆史君) 先ほど来申し上げておりますように、福島県の方では、県民の健康管理調査を早期に開始をする予定というふうに聞いてございます。これは国と連携をしつつ県主体で進めるということを考えるということでございます。  したがいまして、御指摘のように、私どもといたしましては、このような県の活動に対しまして、放射線医学総合研究所あるいは大学の能力を生かしながら、原子力災害対策本部の被災者生活支援チームの一員として協力をしていくという形で進めてまいりたいというふうに考えてございます。
  174. 秋野公造

    ○秋野公造君 今回、そういったかかわったところが調査にかかわるということですが、今大臣、答弁がありましたけれども、きっちり御指導していただいて納得していただいたということでよろしいですか。もう一回聞きます。
  175. 合田隆史

    政府参考人(合田隆史君) 御指摘の点につきましては、先般、放射線医学総合研究所の理事長に対しまして直接お話を申し上げまして、情報の慎重な取扱いを含めまして適切な対応方お願いを申し上げたところでございます。
  176. 秋野公造

    ○秋野公造君 中国地方でも同様の情報が出ておりますので、また調べていただいたらと思います。  原発においてはメルトダウンが起きていることが分かりました。工程表の進捗というのは変わらないんでしょうが、今後、一日一日の中身というものは濃密になってくるということ、想像をされます。  私たち公明党は、緊急被曝医療の強化を官邸にも申入れをさせていただきました。これまでの三次被曝医療機関の数だけでは足りないから、そういったものを強化してはどうか、必要であれば災害基本法に基づく指定公共団体に指定をして緊急被曝医療の強化を行っていくべきではないかといったようなことを申入れをさせていただきました。  とはいっても、すぐにできることでもないでしょうから、今後、緊急被ばく医療実施体制現地派遣チーム、これは三次被曝医療機関中心になって入っておりますけれども、今回、自然発生的な形で多くの大学等の支援で福島県立医大等の支援が行われました。こういう自然発生的に行われた支援というものは大事にすべきであると思います。先ほど申し上げた緊急被ばく医療実施体制現地派遣チーム、三次被曝医療機関だけではなくて、我が国の英知を結集するような形で福島県立医大あるいは福島県の緊急被曝医療を支援する体制つくっていってはいかがでしょうか。
  177. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 今回の事故の発生直後、まさに被曝医療、緊急被曝に関しては、マニュアルに沿って第三次被曝医療機関である放射線医学研究所あるいは広島大学を中心としたチームを派遣をいたしました。あわせて、今御指摘のとおり、対応可能でありました各大学あるいは公的機関の専門家も派遣をしております。これに加えて、現地の状況などを踏まえて全国の大学病院などの専門家も派遣をし、そして、ある意味では総力を挙げて対応してきたところでございます。  もちろん、今後もそのような体制を充実をしなきゃなりませんし、特にいわゆる業務従事者などの被曝においてはまさに緊急性、また総合性というのが問われますから、私どもとしましては遺漏のないように総力を結集してまいりたいと思っております。
  178. 秋野公造

    ○秋野公造君 ありがとうございます。  次の質問に移ります。  我が国には「ちきゅう号」という世界に誇る船があります。これは七千メートル深く地下も掘ることができる船で、これができる船は我が国にある「ちきゅう号」だけであります。地下七千メートル掘ることができるということは、地震の通報を即座に行うことができるだけでなく、地震の原因等も事実の上に探ることができます。災害対策だけではなくて、この船はメタンハイドレートを発見し、沖縄近海においては優良な熱水鉱床があることも発見しました。  私、三月の上旬に実はこの「ちきゅう号」、見に行かせていただきました。三分の二が海外から来られている方々、公用語は英語ということで、本当に世界の英知が集まっている船でありました。この船が被災を受けました。被害を受けたと聞いていますが、その後の復旧状況、いかがでしょうか。
  179. 藤木完治

    政府参考人(藤木完治君) お答え申し上げます。  ただいま先生おっしゃられましたとおり、「ちきゅう」は海底下七千メートルという、世界でこの船しか持っていない能力を持つ科学掘削船でございまして、国際的にもこれに対する期待は非常に高いというところがございます。  実は、東日本大震災がございました三月十一日でございますけれども、「ちきゅう号」は八戸港内におりました。八戸港内では大変大きな波が参りましたので、船自体は大変大きな船ではございますけれども、その波で大きく流されて、護岸の壁、そしてテトラポッドに船体の一部が衝突するということが生じました。船全体はしかしながら無事に沖に逃げ出しましたので、船体自体に大変大きな損傷が出たということではございませんけれども、船底に一部亀裂が生じ、それから、これはプロペラが六機付いている、そういう船でございますけれども、そのうち一機が脱落するということが起こりました。  今、ドックにおきまして船底の亀裂の方を修理工事を行っておりまして、これは来月中に完了予定でございます。また、推進プロペラの方は、五機でも何とか動くわけでございますけれども、できるだけ早く、様々な科学掘削等々の関係整理しながら、来年一月ごろまでには完全な形に戻したいというふうに考えているところでございます。
  180. 秋野公造

    ○秋野公造君 来月から動くということでうれしく思いますが、今年度の運航予定状況、どのようになっておりますでしょうか。
  181. 藤木完治

    政府参考人(藤木完治君) お答え申し上げます。  先ほど申しました六月末までに船体の船底の修理が完了いたしますので、七月以降、いわゆる掘削活動に入ってまいります。七月からはスリランカ海域における資源掘削、それが終わりましたら国際深海掘削計画、これは国際的な協力計画でございますが、これに基づく八戸沖の、これは延期した分でございますけれども、科学掘削を実施する予定でございます。
  182. 秋野公造

    ○秋野公造君 海外に資源を掘りに行く理由は何ですか。
  183. 藤木完治

    政府参考人(藤木完治君) お答え申し上げます。  「ちきゅう」は、本来、国際枠組みでやっております統合国際深海掘削計画、これに基づきまして科学掘削を実施する、これが基本的な任務でございます。しかし、科学掘削を実施しない期間というのがございまして、その期間におきましては、要員の訓練や、あるいは様々な掘り方をすることによる掘削技術の習得といったことを目的として、受託によりまして資源掘削を実施してございます。この資源掘削によりましては若干の収益が上がる場合もございますけれども、それは全て科学掘削の経費に充当してこの科学掘削の更なる充実を図るという、そういう目的に使っております。
  184. 秋野公造

    ○秋野公造君 ということは、「ちきゅう号」は一年間自力で運用するだけの予算が与えられていない、自ら稼ぎに行かないと維持をすることができない状況であるということでよろしいですか。
  185. 藤木完治

    政府参考人(藤木完治君) 基本的な運航費はございますけれども、しかしながら、この資源掘削を入れることによりまして、これは数年前から入れておりますけれども、より良い科学掘削ができるということで、今はそれを組み込んだ形で科学掘削を実施するという形になってございます。  私ども、もちろん国際的な計画でございますので、できるものは全て国でやるというのが建前であると思いますが、こういった科学掘削によりまして訓練もできますし技術も習得できるという面も含めて、そういったものを一部外部から入れているということでございます。
  186. 秋野公造

    ○秋野公造君 しかしながら、優先すべき順番が違うと思います。  東北の、この東日本震災の原因をこの船は探ることができます。七千メートル深く掘ることによって、今回の震災理由というのは誰もいまだ分からないわけであります。分からない原因のことを分からない状況のままでは対策さえ打つことができないような状況の中で、もちろんもう契約をしてしまったものは仕方ありませんが、そうはいっても、やっぱりこの地震の原因というのは絶対に優先して調べるべきだと私は思います。  そして、浜岡原発止めましたね。ああいったことも、地震の予知情報をこの「ちきゅう号」を使えばできるわけです。そういったことも優先すべきだと思いますし、沖縄の熱水鉱床が見付かりましたが、ということはほったらかしですね、当面。せっかくいろんな資源が見付かるかもしれないのに、こういったものも放置しておく、一年間予算がないから遊ばせておく、海外に出稼ぎに行かせる、こういう運用の仕方というのはもったいないんじゃないですか。  やっぱり、私たちは、特に地震の原因、震災対応と、そして資源開発、我が国は資源がないんです。それが、世界で海洋面積も入れたら実は六位という大きな可能性があるこの資源開発、そして震災対応にこの「ちきゅう号」、更に活用すべきではないでしょうか。私は二隻あってもいいぐらいだと思います。資源開発用と災害用に二隻あってもいいぐらいだと思います。しっかり一年間、自らの力で運用することができるぐらいの体制を取っていただくべきではないでしょうか。見解を求めます。
  187. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 委員の御指摘をしっかり受け止めております。  既に御案内のとおり、この「ちきゅう号」というのは、日米主導の国際枠組みである統合国際深海掘削計画、これに基づいて科学掘削を実施することを基本的な任務としております。  したがいまして、「ちきゅう」による科学掘削については、まず一つは、いわゆる東南海地震の震源域、これのメカニズム、そしてまた、御指摘ありました沖縄トラフの熱水鉱物、また下北八戸沖におけるいわゆる海底の微生物、こういった我が国の防災あるいは減災、資源開発、まさに科学の発展のために寄与するために私たちは大変重要なものと思っております。  したがって、「ちきゅう」の基本的な任務は科学掘削でございまして、必要な予算は、おっしゃられたとおり、私たちとしてもしっかり確保しながらそのようなことに努めてまいりたいと思っております。特にお話ありましたように、今回の地震の震源地、これはこれまでにないというところではございました。しかし、今回のこの現実を踏まえて、地震予知、地震のメカニズム、これについてもこれまで以上の新たなまた視点から研究開発がなされなきゃならぬと思っておりますので、そういう意味での「ちきゅう号」の貢献、これについては大いに期待をするところです。
  188. 秋野公造

    ○秋野公造君 大臣、どうぞよろしくお願いします。  私と大臣は離島県である長崎の出身であります。交通条件が恵まれない離島の子供たちの教育の機会均等は非常に重要であると思いますが、文部科学省においてはこれまでどのような対応を取ってこられたでしょうか。簡単にお知らせください。
  189. 山中伸一

    政府参考人(山中伸一君) 委員指摘のとおり、交通条件あるいは自然条件に恵まれない離島を含むへき地、ここの子供たちの教育をしっかりと保障していくというのは、教育の機会均等という憲法の理念、これにもしっかり沿うものでございまして、へき地教育振興法、これがありまして、国も補助をするんだということになっております。  具体的には、小中学校の子供の通学の条件緩和のためのスクールバスですとかスクールボート、あるいは遠距離通学についての交通費、宿舎の居住に要する経費、費用などの補助を行っております。あるいは、先生がそこに行って住まなきゃならないということもございますので、教職員のための住宅の建築に関する経費の補助、あるいは学級編制という意味で、小規模のところが多いということもございますので複式の学級編制、この辺の標準というのをより良くしていくというふうなことで努めてきたところでございます。
  190. 秋野公造

    ○秋野公造君 しかしながら、高校生への対応は手薄いわけであります。  高校無償化の施策というものは、家庭状況にかかわらず、全ての意志ある高校生が安心して勉学に打ち込める環境をつくるため、教育費の負担軽減を図るとしていますが、これが本当に平等な施策と言えるでしょうか。二次離島から離島へ出てきたり、離島から本土へ出てきたり、十五歳の別れで、授業料以外に寄宿舎のお金や交通費の過重な負担がこういった方々に掛かっています。大臣も御理解いただけると思います。  長崎県の離島に進学する高校生、二次離島から離島に行くのは九十二名、離島から本土に進学する高校生三百九十八名、全国で見ても僅か二千五百名であります。たった二千五百名の小さなグループに大きな負担が掛かっています。  こういった方々、教育の機会均等に資するために助けてあげることできないでしょうか。授業料以外に寄宿舎料、交通費等々、何らかの形で補助をすることできないでしょうか。大臣の見解を求めます。
  191. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) この問題については、御指摘のとおり、経済的な理由で意志あるけれども高校に進学できない、こういうことを避けるためにも高校授業料の無償化もその一つのツールとしてやっております。ただ、それ以外に、今御指摘のように、離島において、離れ島においては非常にハンディのある状況が続いております。その島に高校がない場合、どうしても離島を離れて学校に行かなきゃならない。そのときのいわゆる交通費あるいは寄宿舎の経費、こういったものは特に負担が高いと承知をいたしております。  したがいまして、各都道府県においてこれらの問題については対応されております。また、奨学金事業等によって軽減が図られておるところであります。したがって、私たちとしても、自治体の支援策を踏まえて国としてどのようなことができるんだろうかと、この点について今後検討課題にさせていただきたいと思っております。
  192. 秋野公造

    ○秋野公造君 最後に、人材育成について伺います。  先日の決算委員会で、JICAの青年海外協力隊について強化をすべきであると伺いました。人材のミスマッチが指摘をされているというところでありましたが、文部科学省の大学にはたくさんの多くの豊富な人材そろっているところであります。大学院教育の中にこういったボランティア派遣というものを組み込んで、内向きな学生と言われる方々、もっともっと外に出ていただいて、大学で学んだ学問というものを実地に生かす、海外の様々な経験をしていただくといったようなことというのは実際上可能なことでしょうか。また、推進するお考えお持ちでしょうか。
  193. 磯田文雄

    政府参考人(磯田文雄君) 御指摘のように、各大学におきましては、国際的な人的貢献並びに国際協力分野で活躍できる人材の育成が大事だということで様々な取組をしておりますが、その中の例といたしまして、青年海外協力隊等の国際協力活動の実践の中で、実習授業等の授業の一環として位置付けられるものを各大学の判断により教育課程の中で取り扱い、単位を付与しているものもございます。例として、広島大学の大学院では、ザンビアに青年海外協力隊理数科教員として、授業実践、教材開発等の活動を二年間にわたって実施し、その期間、計十二単位を取得可能としているところでございます。  このような青年海外協力隊の活動を生かす取組も含め、国際的に活躍できる人材の育成、国際的な人的貢献に努めるよう、各大学の様々な取組を促してまいりたいと思います。
  194. 秋野公造

    ○秋野公造君 可能ということですね。  ありがとうございました。終わります。
  195. 柴田巧

    ○柴田巧君 みんなの党の柴田巧です。  まず、科学研究補助金、いわゆる科研費の問題からお尋ねをしたいと思いますが、改めて言うまでもありませんが、我が国にとって、これから世界の中でいろんな競争に勝ち抜いていく、あるいは、先ほどからもいろいろお話がありますが、安心、安全を確保していく、より快適な社会を、国をつくっていくというためにも、科学技術というのは大変大きな役割を果たさなければならない期待が寄せられているところであります。  まさに、この科学技術の振興なくして我が国の産業競争力や新たなこの国の発展はないと思うわけでありますが、そういう意味でも、しっかりとこの科学技術政策を展開をしていかなければなりません。また、今回の復興といいますか、困難を乗り越えていくためにもその力が不可欠と思うわけでありますけれども。  そういう中で、いわゆる競争的資金であるこの科研費については拡充をされ基金化もされていくということで、ある意味結構なことではありますが、残念ながらこの不正使用、不正経理の問題が後を絶たないわけで、この平成二十一年度の会計検査院の検査報告等でも、例えば和歌山県立医科大学の複数の研究者が業者に架空取引を指示をして、虚偽の納品書等を作成させて、不正に支払わせた代金を別途経理するなど、国庫補助金相当額六千三百万近くが不適正に支出されたということが明らかになりましたし、また大阪大学においても四千百万余りの科研費の不正経理が発覚をして、そのうち四百五十万は私的に流用されたということが明らかになっております。また、今年に入っても金沢大学や松本歯科大学等々でもこの不正経理の問題、不正使用の問題が発覚、明らかになっているわけでありまして、言うまでもありませんが、この科研費、まさに我々の貴重な税金から出ているわけで、これから先ほど言いましたように科研費も増額をしていく、あるいは基金化を図っていく中で、これまでも取り組んではおられるわけでありますが、不正使用が行われないような仕組みを、しっかり体制をきっちりと構築をしていくべきだと思っております。  そこで、今回のこういう状況、科研費の増額等々基金化を図るという中で、一層の不正経理根絶に向けた再発防止策の強化と、大学等へのあるいは研究機関への立入りの検査という、実施というものをやっていく必要もあろうかと思いますが、どのように取り組んでいかれるか、まずお聞きをしたいと思います。
  196. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 柴田委員にお答えをいたします。  お話ありましたように、今国会において、国会、各党の御理解をいただいて、科学研究費補助金のまさに使い勝手のいいシステム、これについて予算も含めて御協力をいただきました。心から感謝を申し上げたいと思っております。  科学技術の役割というのは、とりわけ資源の少ない我が国においては、これからも国際競争力を高め、そして知的財産として世界の人々の福祉そして暮らしに大きく役立つような、そういう研究開発というのはこれからも大いに進めていく必要があろうかと思っております。しかし、今御指摘のとおり、この使い方に対して一部不正等もあったのは事実でございまして、適切な取扱いを確保しなきゃならぬ、これはもう当然のことであります。  したがいまして、この研究費の各研究機関においての管理の在り方、これについてはやっぱり規程にしっかりするように義務付けられております。それぞれの研究機関においてはそれに沿って不正防止の取組を今まで以上に強めていただきたいし、本当の意味で内部監査の実施もやっていただかなきゃなりません。また、私どもとしましては、この科学技術研究費に関する説明会、これも開いておりますし、研究者への使用のルールの周知徹底を図る、また研究機関に対する実地検査、こういったものも実施をすることにしております。  こうした取組によって、科学研究費の適切な取扱いが徹底されますように、私たちとしては今後ともしっかり委員指摘の趣旨を踏まえて対応してまいる所存であります。
  197. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非これから、先ほど申し上げましたように、科学技術への期待が高まるといいますか、日本が復興し新生をしていくためにも大きな役割を果たさねばなりません。そういう意味でも、この競争的資金である科研費の不正経理、不正使用の問題にしっかりと文部科学省としても目を光らせていただいて、国民の信頼を得られるように努力をしていただきたいと思います。  そういう中で、本来なら三月に恐らく決定されるはずであった第四期の科学技術計画でありましたが、東日本大震災を受けてその計画の見直しを図ろうということになりました。いろんなこれから再検討の視点が示されてはおりますが、私は、やっぱり一番大事なものは、最後に行き着くところは科学技術を担う人材の育成確保、あるいはその研究環境の再生といいますか、より良い研究環境をどうつくっていくかということになるだろうと思います。日本にとって、これからは国籍にかかわらずいかに優秀な人材を確保していくかということが極めて重要なことになると思いますし、世界から優秀な人を引き付けてくる、呼んでくる、あるいは逆に、国内から海外にそういうすばらしい頭脳が流出をしていかないというようなことを考えていくことが大事だろうと思います。  したがって、今回の震災を機に見直すということであれば、従来にも増して優れた研究者を我が国の大学や研究機関にしっかりと引き付けることのできるような魅力ある研究環境を整備していくことが必要だと思いますが、そのためにも、それを支える人材育成確保、研究環境の再生、充実が求められると思いますが、一番必要だと思いますが、大臣のお考えをお聞きをしたいと思います。
  198. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 御指摘のとおり、第四期の科学技術基本計画については、三月十一日の東日本大震災を受けまして、三月三十一日に科学技術政策担当大臣と総合科学技術会議有識者議員が連名で、この災害の経済社会への影響を踏まえた再検討を行うということを表明をしております。また、去る五月二日には「当面の科学技術政策の運営について」というものを公表しておりまして、第四期科学技術基本計画の再検討に当たっての視点が掲げられております。こういうものを含めて、私どもとしましては、この総合科学技術会議においては八月まで取りまとめを目指して現在検討が進められております。  御指摘のあった、まさに人材の育成確保、あるいは国際性を持った多くの若い研究者、こういった皆さん方が科学技術の振興を図る上で特に担い手として重要なことは言うまでもございません。したがいまして、この推進に重要な役割を持っております我々文部科学省としまして、総合科学技術会議において検討に、我々はその観点から積極的に貢献をしていく決意でございます。
  199. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非そういう認識の下に計画が見直され、それが日本の今の困難を乗り越えていけるように、また新たな発展につながるように頑張っていただきたいと思いますが。  そういうふうに、人材の確保あるいはいろんな研究環境が大事だという認識でありますが、残念ながら、今回の震災によって、東日本の大学あるいは研究開発法人等の研究施設が大変被害を受けたとお聞きをしております。特に東北大学などでは、国内最大規模の加速器が壊れて、電子ビームを使っての陽子や中間子の構造解析をしてアメリカやドイツの研究チームと世界最先端を争っていたわけですが、大変大きな被害も生じたということで、世界トップ水準の競争を繰り広げているそういう研究機関が被害を受けるということは、もちろん学生の皆さんにとっても大変なことでもありますが、連携していろいろ研究をしている機関あるいは企業にも大きな影響を与えるということですし、それは我が国の国際競争力の低下につながり、優秀な人材がそのことによって海外に流出をしていくということだと思いますので、早急な復旧に努めてもらわなきゃならぬと考えるところです。  ましてや、これから被災地の大学は復興に当たっていろんなそれぞれの特色を生かして貢献もしてもらわなきゃならぬと思いますので、そういう研究施設の復旧、大変早急にしなきゃならぬと思いますが、その被害額、被害程度と、今後の復旧の見通しというか取組というか、それを併せてお聞きをしたいと思います。
  200. 笠浩史

    大臣政務官(笠浩史君) 委員指摘のとおり、私も実は四月に入りましてすぐ仙台の方伺わせていただき、東北大学、本当にこの目でしっかりと被災状況というものを確認をしてまいりました。  まさに今大学の、あるいは研究開発機関の被害額の全体額については現在把握に努めているところでございますけれども、五月二十三日、今日七時現在で、大学二百七十二施設、研究開発機関十六施設施設設備、ライフラインの損壊などの被害が発生しているというふうに承知をしております。  まだ金額的なものは全体が把握できませんけれども、先般の一次補正予算についてまずは当面必要となる経費を計上し、ただこれからが、本格的な復旧復興へ向けたこれからの二次補正予算以降、全力を挙げてしっかりと対応をしていきたいというふうに考えております。
  201. 柴田巧

    ○柴田巧君 先ほど申し上げましたように、この復旧が遅れれば本当に多方面にわたって影響を与える、日本の、オーバーな言い方になるかもしれませんが、将来にもかかわる問題だと思いますので、是非早急にこの復旧に向けて御努力をいただきたいと思いますし、学校ですから夏休みか何かじゃないと集中的に正直改修工事等、復旧工事等に入れないという制約もあろうかと思いますので、是非早くにそういったものが回復していくように、でないとこれから先、大変厄介なことになるのではないかと懸念をするわけで、是非早急なお取組をお願いをしたいと思います。  ところで、時間がないので大学等の地震対策についてはちょっと割愛をさせていただいて、私は、今回の地震の復興に当たって、あるいは日本の新生に当たっては、今もちろん、復興構想会議日本を代表するすばらしい皆さんが、頭脳をお持ちの方々がいろんな構想を練っておられますが、今回のこれほど千年に一度あるかどうかのこういう大惨事になれば、日本だけではなくて、世界のやっぱり最新の英知を求めていく、あるいはそれを集めてくるということが私は極めて大事なことなのではないかと考えるところであります。  この地震防災対策、あるいは安心、安全の問題、食料やエネルギーの問題等々、今回大変様々な課題が明らかになりましたが、これはある意味では人類共通の課題でもありますし、何よりもこの東日本が復興し、この国がこれを機会に生まれ変わっていくためにも、そういう世界の英知をこの日本に、東日本にならばなおいいんだろうと思いますが、そういうことの世界第一級のやっぱり研究機関をこの機会に結集をさせるというか設置をする、あるいは誘致に努めるということはこれからの東日本日本にとって大変意味あることではないかと思いますが、大臣の御所見をお伺いをしたいと思います。
  202. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 私どもとしましては、今回の震災の教訓、そして課題、これを真摯に受け止めることが必要だろうと思っております。したがって、その意味において、いろいろの様々な実情や実態が浮き彫りにされました。こういうものをまさに、もちろん復旧復興も大事ですけれども、やっぱり未来に向けた創造的な復興を目指すことが求められておると、このように私は思っております。  そういう中で、例えば地震防災については、我が国は海洋国家です。まさに海溝型の地震や津波の解明をこれからは今まで以上に進めなきゃならぬと思っておりますし、また観測網においても密度がより高く、そして広域的に進める必要があるのではないかと、このように私は思います。  また、エネルギーについても、再生可能エネルギー技術の開発については既にこれは世界の最先端とも言われておりますが、なお一層、普及も含めたそういうことに貢献していかなきゃいかぬ、そういう観点から、このための東北地方、東北における国内外の英知を集めた研究拠点というものの在り方について、我々は創造的復興という見地に立って、この点については今後しっかり検討してまいりたいと、このように思っております。
  203. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非、この東日本始め日本がこの難しい状況を克服していくためにも、また世界と一緒になってこの日本をよみがえらせていくというメッセージを送るためにも、そういったことに努めていただければと思います。  さて、時間があれですのでこれが最後の質問になるかもしれませんが、御案内のように、今回の震災によって留学生の皆さんも帰ってこなくなったり、あるいは入学する予定だった人が来なくなったりということになりました。これの対策もしっかりこれからやっていただかなきゃならぬと思っておりますが、この機会に改めて留学生の問題、あるいは留学生政策と言ってもいいかもしれませんが、このことをしっかり一度問い直す機会にやっぱりすべきではないかと、そう考えるところであります。  改めて言うまでもなく、少子化が進んでいく中で、あるいはいろんな競争が激しくなる中で、世界の優秀な人材を、留学生をどう獲得していくか、これがその国の盛衰を決めていくと言っても過言ではありません。その留学生が母国に帰って日本で学んだことを基にその国の発展に貢献する、あるいは日本とのパイプ役になる、場合によれば日本で働いて新たな日本の活力になってくれるということも考えられるでしょうが、いずれにしても、その留学生の数が日本の対外発信力のバロメーターになる、あるいは日本が世界の中で生きていく上での貴重な戦略資源あるいは財産になると思うわけでありますが、そういう観点でやっぱりこの留学生の問題に対処をしていかなきゃならぬと思います。  そういう中で、平成二十年度に留学生三十万人計画を立ててその強化をしてきたわけですが、残念ながら政権交代があって、あるいは事業仕分などによってその予算が削られたり、あるいはいろんな今までの支援策が廃止になったりしているところは大変残念だと思っております。  先ほど申し上げました観点に立って、今回のこの留学生が帰ってしまった、戻ってこないということを契機にもう一度この留学生問題にしっかり取り組む、このことが大事だと思いますが、三十万人の計画の達成に向けてどう取り組むのか、また、この留学生政策をいかにこれから展開をしていくのか、大臣にお尋ねをしたいと思います。
  204. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 結論から申し上げますと、留学生三十万人計画の達成に向けて様々な施策を講じていきたいと思っております。特に最近では、三か月未満の受入れを支援をするショートステイ事業、あるいはアジアや先進国の大学との教育連携、まさに単位相互認定などでございますが、そういうことを強める事業を行うことが重要でないかと思っております。  言われましたように、震災直後に留学生がかなり国外に出られたという実態もございますが、これも今、回復の見通しにあるというふうに伺っております。  いわゆる国際社会の中でお互いに相互理解をし、そして、まさに我が国の国際化を更に促すためには非常に大きな活動であろうと思っておりますから、申し上げましたように、これからも一層しっかり取り組んでまいりたいと思っています。
  205. 柴田巧

    ○柴田巧君 開国開国とおっしゃる内閣の割には、意外に内向き志向のが大変多いという感じがいたします。そういう意味でも、優秀な人材の獲得あるいは留学生の問題等々、世界の中の日本という視点を持ってしっかり取り組んでいただきますことをお願いを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  206. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  福島第一原発の大事故を通じて、原発行政の抜本的転換が求められております。私も高速増殖炉の「もんじゅ」の問題についてお聞きいたします。  運転開始直後の九五年の十二月にナトリウム漏れの火災の発生という大事故を起こして、以来十四年五か月間、この「もんじゅ」は停止をしておりました。去年の五月に試運転を再開いたしましたけれども、その直後にトラブルが続出をする。そして、去年の八月には炉内の中継装置が落下するという事故で、再び今停止をしております。  まず、原子力研究開発機構からも来ていただいておりますが、「もんじゅ」が運転を開始して以来、正常に運転できたというのは一体何日と何時間になるんでしょうか。
  207. 鈴木篤之

    参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。  先生が今おっしゃいました運転開始というのは、一九九四年の六月に臨界にしてからやるという、そういうことでございますと、私ども記録を見ますと、全部で原子炉をそういう意味で運転をしている時間は五千三百時間四十五分ということでございます。  ただ、先生御承知のように、「もんじゅ」は今運転段階にはございません。建設段階でございます。したがって、「もんじゅ」はいろいろ運転して特性を取りながら、止めまして、その結果をまた調べてという繰り返しをするのが今の段階でございます。  そういうことなので、是非そこは御理解いただけたら有り難いと思います。
  208. 井上哲士

    ○井上哲士君 運転繰り返していないんですよ。ほとんど止まっているんですよ。それはっきりさせていただきたいんですね。  これまでの総投資額及び十四年間の運転停止中の維持管理費の総額は幾らになるでしょうか。
  209. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 昭和五十五年、一九八〇年から平成二十三年度まで、二〇一一年、「もんじゅ」の総事業費については、これ午前中にもお答えいたしましたが、九千四百八十一億円であります。このうち、運転停止期間中の費用は二千六十三億円であります。  以上でございます。
  210. 井上哲士

    ○井上哲士君 与党議員からの質疑もありましたけれども、停止中でも一日五千五百万円掛かっていると。今の総投資額からいいますと、一時間の運転当たり約一億七千万円ぐらいのお金が掛かっているということになると思うんですが、じゃ、一体どれだけの研究成果が得られたのかという問題であります。  総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会が二〇〇九年の十二月に文部科学大臣に対して「もんじゅ」にかかわって勧告をしております。その中で、一、停止期間中にどれだけの経費を投じたのか、二、停止期間中にどのような研究成果が得られたのか、三、停止により高速増殖炉サイクル研究開発にどのような影響を与えたのかを公表し、国民に説明するように求めておりますが、この二番目の停止期間中の研究成果、これはどういうことが公表されたんでしょうか。
  211. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 「もんじゅ」については、今御指摘のとおり、平成二十一年の十二月に政策評価・独立行政法人の評価委員会によって、停止期間中に得られた研究成果等について国民に分かりやすい形で公表するよう、こういう指摘を受けております。  これを踏まえて、原子力機構では、まず一つ、「もんじゅ」の安全性の一層の向上、二つ、地震に対する安全性の向上、三つ目、運転管理技術、保守管理技術の向上、こういったことについて、停止期間中に得られた成果について、まず一つに公表でありますが、福井県民に対した敦賀本部の報告会、これが一つ、それから二つ目には、専門家と地元市民、学生との交流を図りながらエネルギーに関する重要テーマを発信する国際エネルギーフォーラムを持っておる、三つ目には、一般の方々を対象とした説明会、もんじゅフォーラムを設けた、四つ目には、ホームページによる情報提供の場で分かりやすい説明に心掛けておると、このように私は聞いております。  「もんじゅ」のような大型研究開発事業においては、これはもう多額な国費を投じるため、その使途や成果については国民に分かりやすく公表するということはもう当然でございまして、そういう意味で、私たちとしてはこの取組が更に行われるように原子力機構に対して指導をしてまいりたいと、このように思っております。
  212. 井上哲士

    ○井上哲士君 運転させていろんな知見を得るものでしょう。停止をしているその間に事故への対応とか安全設計に生かすということしか事実上言えないということに私は一番の問題があると思うんですね。  そもそもナトリウム漏れの事件というのは設計ミスですよ。動かす前に解決すべき問題だったわけですね。しかも、復旧作業中に四回もトラブルによって運転再開は延期をされ、その結果、十四年五か月止まり、そのうち一日五千五百万ずっと掛かったと。これが成果だと言われても国民は納得しないわけであります。  そして、じゃ、相次ぐ事故が安全運転に生かされたのかと。運転再開直後にもナトリウム検出器の不具合が連続いたしました。さらに、運転員が言わば原子力のブレーキともいうべき制御棒の完全な挿入の仕方を知らなくて作業が中断するという驚くべきトラブルも起きたわけですね。しかも、そのトラブルについて地元自治体への通報が遅れました。ナトリウム漏れの事件のときにも通報の遅れとかビデオの改ざんが大問題になったにもかかわらず同じことが起き、そして昨年の中継装置落下についても、関係機関への通報は事件発生後一時間半だったということで批判の声が上がっておりますが、なぜこういうことが繰り返されるのか、いかがでしょうか。
  213. 鈴木篤之

    参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の点は、私も機構におりまして大変申し訳ないと思っております。やはり、もっとその事象が発生してから早くこれをしかるべき機関に連絡し、国民にお知らせするという、こういうことについて職員がもっと敏感に真剣に取り組んでもらわなきゃ困ると思っております。  先生お尋ねのなぜかということでございますが、これは私、機構に参りましてからその都度いろんなトラブルが発生するたびに現場に参りまして、どうしてかを調べたり、みんなと一緒にその議論をしてまいりました。一つ言えますことは、やはり現場では、とにかく現場の安全、つまり原子炉事故だとか放射線の漏えいだとか、そういうことにつながらないようにすることをやはりどうしても最優先で考えておりまして、したがって、まず連絡する前に、このことが本当に大きなトラブルでないんだろうということを確認することに大変な労力を、労力といいますか、当然のことですが神経を使っております。  ですから、例えばIVTMでありますが、これはそれを、今機構で定めておりますルールは三十分ルールと申しまして、トラブルが発生してからできるだけ早くお知らせすると、これを三十分と置いておりますが、三十分というのはどこからかといいますと、通報連絡責任者という者を常に置いておりまして、その責任者がその事実を知ってから三十分以内に報告するという、そういうルールを定めております。ところが、IVTMの場合は、現実にそのような事象が発生してから残念ながら責任者に連絡するのに一時間も掛かっておりました。大変申し訳なく思っております。
  214. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、そういう対策をやっても、結局同じことを繰り返しているんですよ。これは隠蔽体質だと言われても仕方がないんですね。  しかも、昨年の八月には燃料交換に使う重さ三・三トンもある炉内中継装置が原子炉内に落ちると、こういう事故を起こして、撤去できないまま再び停止をしております。なぜこういう事故が起きたのか、復旧の見通しはどうなっているんでしょうか。
  215. 鈴木篤之

    参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。  なぜ起きたかでございますが、これは炉内中継装置という、先生おっしゃるように、三・三トンもある重量物なんですが、これをつかみに行くその装置の方がちょっと曲がっていたということでありまして、そのために十分つかみ切れない状態で引き上げようとして、それで途中で落下してしまったということでございます。  そのような理由でございまして、その結果として炉内中継装置が一部変形いたしました。そのために、引き上げる通路が通過できないような状況でございますので、その妨げになっている周囲の構造物を一緒に取り外しまして、炉内中継装置を一度外に出します。出しましてから必要な修復、改造を行って元に戻したいと、こういうふうに考えております。
  216. 井上哲士

    ○井上哲士君 膨大な費用が掛かって、復旧工事には十七億五千万掛かると聞いておりますが、これで一年以上の、秋以降になると言われていますから、一年以上の停止なわけですね。これ、非常に復旧作業は困難極めたと聞いておりますが、なぜかというと、高速増殖炉は冷却に水を使う通常の軽水炉と違いまして、冷却材として液体ナトリウムを使っています。不透明なわけですね。しかも空気に触れると反応して燃えると。ですから、内部を直接見ることができないということで、この機械が、装置が曲がっているということが分からなくて、二十四回もクレーンのつり上げをやったけれども失敗をしたと、こういうことになっているわけですね。ですからそういう今おっしゃったような大工事になったわけですね。  私、装置が衝撃で変形をしている以上、原子炉が傷ついている可能性がありますから、やはり目視による原子炉内の点検をするべきだと思いますけれども、やるんですか。
  217. 鈴木篤之

    参考人(鈴木篤之君) その点につきましては、まず引き上げてみまして、炉内中継装置にどのような傷等が付いているのかということについて、これを慎重に見極めた上、判断したいと、このように考えております。
  218. 井上哲士

    ○井上哲士君 やるんですか、やらないんですか、もうちょっとはっきり言ってください。
  219. 鈴木篤之

    参考人(鈴木篤之君) 炉内中継装置について子細に検討して、そして炉心の構造物に影響が及んでいるかどうかについて評価したいと、こういうふうに思っております。
  220. 井上哲士

    ○井上哲士君 福島第一原発でも、目視ができないということで本当に困難を極めてきたわけですね。やはりこういう事故が起きた以上、私はちゃんと目視をするということをはっきり明言されるべきだと思うんです。結局、ナトリウムを抜きたくないということがあるわけですね。  ですから、やはり、冷却材にナトリウムを使う、水や空気に反応します、コンクリートに触れるとその中の水とも爆発的な反応をする、これを使っているという、非常に扱いが極めて厄介なものだという根本的な問題が改めて私浮き彫りになったと思うんですね。  高速増殖炉というのは、こういうナトリウムを冷却材に使うという問題もありますし、強い毒性と放射線を持つプルトニウムを燃料とするという問題もある。それがあったからこそ、非常に危険性もある、技術的困難もある、そして経済的な採算が取れる見込みがないということで欧米各国はこれから撤退をしているわけですね。なぜ、にもかかわらず日本はこの計画にしがみついてきたのか、一体どういう展望があるのか。もう撤退すべきじゃないですか。
  221. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 現在、この高速炉に関する研究開発については、日本そしてフランス、ロシアといった従来から研究開発を行っておる国に加えて、近年では中国、インドといった国も強力に開発に取り組んでおります。この技術的優位をめぐって今国際的な激しい競争が行われておると、こういう状況と承知をしております。  それらの国において、現時点は増殖を目的にはしておりませんが、高速炉の技術は柔軟性があって、一度高速炉技術を持てば運転条件を適切に設定するなどの方法によって増殖技術として活用できるものであると、その意味においては高速炉開発も高速増殖炉開発も大きな差はないと、こういう認識でございます。また、世界的に各国がそういう意味では高速増殖炉技術から撤退しているとは言えない、このような考え方であります。  私たちの国は、もう言うまでもなくエネルギー資源に乏しい我が国でありますから、今の原子力政策大綱、これにおいて、高速増殖炉サイクル技術は長期的なエネルギー安定供給に貢献できる可能性を有するということから、その実用化に向けて研究開発を着実に推進すべきと、こういううたわれ方をしております。  ただ一方、「もんじゅ」などの今後の高速増殖炉に係る政策を含む我が国の原子力政策の在り方については、福島原子力発電所の原因についての徹底的な検証、調査、こういったこと、あるいは国民的な各界各層の御意見、こういったもの、さらには我が国のエネルギー政策の見直し等を踏まえて検討することとしております。
  222. 井上哲士

    ○井上哲士君 フランスや米国、今もおっしゃいましたように、増殖ではなくて核廃棄物を燃やして減量する手段なんですね。撤退してはいないと言われましたけれども、例えばイギリスのサッチャーさんは、ウランの枯渇に備えた保険としては掛金が高過ぎると、こういうふうに言って、採算性もないということで撤退しているんですよ。そこをやっぱりはっきり見る必要があります。国内でも原発を推進してきた方からも様々な批判の声が上がっています。  東京電力で原子力本部長、副社長を務めた豊田正敏さんが昨年の十一月、ある新聞でこう述べているんですね。高速増殖炉は建設費が高く付く上に、燃料の成形加工費や再処理費も割高であり、今世紀中に軽水炉並みの経済性が得られる見通しは暗いと。建設費も高く付く、燃料も再処理費も割高だと、採算の見込みがないと言っているんですね。そして、ナトリウムが漏れた場合、コンクリートと激しく化学反応し、また制御棒の不動作が起きれば暴走事故となって燃料が粉々に飛び散る可能性があり、安全性、社会的受容性に欠ける、社会的に受け入れられないと、こういうことまでやっぱり原発を推進をしてきた人も言っているということは、本当に私は重要な意見だと思います。  しかも、地震の問題がありました。あの周辺には活断層があるということを再三指摘されてきたのに認めてこなかったわけですが、あの中越沖地震で柏崎刈羽原発が想定外の揺れをするということで改めて調査をして、そしてあの地域に、「もんじゅ」の場合、二百メーターのところに十五キロもある活断層があるということが明らかになったわけですね。世界でもこんなところにある原発というのはありません。今回の福島原発で想定外という言葉はもう使えないという状況なわけでありますから、この地震災害ということが起きたときに、ナトリウム漏れがもし配管破裂などで起きたら本当に大事故になるわけですね。  そういう点でいっても、これは根本的な見直しをする。先ほど白紙からエネルギー基本計画見直すというお話もありましたけれども、やはりこれはまず中止をして、核燃料サイクル自体を中止をするべきじゃないですか。改めていかがでしょうか。
  223. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 御意見もしっかりお受けをしますけれども、先ほど申し上げましたとおり、我が国の原子力政策の在り方、そしてまたエネルギー政策の見直しも含めて検討していかなきゃならぬと思います。
  224. 井上哲士

    ○井上哲士君 交付金の問題も聞きたかったんですが、時間になりましたので、終わります。  ありがとうございました。
  225. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 早速でございますが、文科大臣と厚労大臣にお尋ねをさせていただきます。  文科大臣被災地の三県、人材育成についてなんです。  もう、やっぱり子供たちを育てる以外に復興はないなと、そういう気持ちを持っている方も非常に多いんです。その意味で、二十三年度の、この間、第一次補正、この中では、私立大学に対しては授業料の減免の補助、そして私立高校についても臨時特例交付金などを使いまして、都道府県でございますから、都道府県を通じて授業料の減免補助が行われたんです。しかし、専修学校や各種学校はこの対象になっておりません。どうして一次補正予算に盛り込まなかったのか、理由を御説明いただきたいと思います。
  226. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 荒井委員にお答えをいたします。  今回の震災被災をしました専修学校の生徒に対する就学支援でありますが、これは、私立大学などと同様に、日本学生支援機構による奨学金の緊急採用の拡充、いわゆる無利子奨学金の拡充、また返還期限の猶予の措置、これについて拡充をしたところでございます。  また、震災に伴う被害が著しい専修学校及び各種学校が授業料減免を行うことによって経営上の資金が必要となった場合には、これは日本私立学校振興・共済事業団の長期低金利の融資を受けることも可能にしたところでございます。  御指摘の専修学校、各種学校の授業料減免に対する国からの支援については、議員御承知のとおりの阪神・淡路大震災時においては大学等と異なって措置されておりませんが、兵庫県や神戸市が創設した阪神・淡路大震災復興基金において措置をされた経緯もございます。  専修学校やあるいは各種学校の授業料減免につきましては、現在のところ国からの支援は措置をされておりませんが、文部科学省として、被災した生徒の経済的な事情、家計の急変の実態、そういう状況把握に努めながら、どのようなことができるのかについて引き続き検討してまいりたいと思っております。
  227. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 どのようなことができるのかの前に、大臣、事務方にお尋ねします。  岩手県、宮城県、福島県は、専修学校に通う方々の割合が全国でも高いんです。どういう実態か、数字を挙げてください。
  228. 板東久美子

    政府参考人板東久美子君) ただいま委員が御指摘いただきましたように、平均をいたしますと専修学校に進学する学生の比率が非常に高いということでございます。  率をそれぞれ述べさせていただきますと、岩手県につきましては、高校を卒業してから専修学校に進学される方が二二・二%、それから大学、短大に進学した割合が四〇・一%ということでございますので、大体、高校を卒業して三分の一強の方が専修学校に進学をされるという状況でございます。それから、福島県は、一九・五%が専修学校に進学、大学、短大が四四・一%。宮城県は、ちょっと率がそれよりは下がりますけれども、専修学校に進学する割合が一七・〇%、大学、短大進学は四七・七%ということでございまして、いずれにいたしましても、平均しますと専修学校のウエートというのが非常に高いという地域でございます。
  229. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 大臣、結局、全国平均が一五・九%、岩手県が二二・二%、宮城県が一七%、福島県は一九・五%なんです。  ですから、非常にここで考えなくちゃいけないことは、この地域は専修学校に通っている人が多いということなんですね。その方々を残念ながら今回一次補正で漏らしてしまったんです。しかし、我々はこの予算に賛成しましたけれども、それはそれで必要だった。何でこれをやはり除いちゃったのかなと悔いが残ります。  そこで、大体千九百人ぐらいと言われています、今。でも、諦めた方もいるんです、既に。今からでも遅くないんです。どうぞ大臣検討するではなくて、阪神・淡路の皆さんには本当に申し訳ありませんでしたが、しかし、今回これだけの人が自分の志を立てて、いずれ岩手宮城、福島で再生していこうというんですから、ここに国の支援を、手を差し伸べないということがあっていいものでしょうか。どうぞ第二次補正支援してあげていただきたいんです。大臣、いかがですか。
  230. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 今回の震災において被災した専修学校の生徒、これは今説明がありましたように、特に岩手県や福島県、専門学校の進学率が高い。そして、被災した東北三県においても高等教育機関における専修学校の割合が大きいと、こういうことは十分承知をいたしております。先日も、全国の専修学校あるいは各種学校の団体の代表の皆さん方が私のところに来られてその窮状を述べておられました。  荒井委員指摘のとおり、私としても、この生徒、これからの専修学校や各種学校の役割というのはかなりまた大きなものがあっております。したがって、更に実態把握に努めて、その支援在り方についてはしっかり検討してまいりたいと、このように思っております。
  231. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 大臣、国語の授業でいうと、意味が分からないんです。  やっぱりこの方々を、こういう人方をみんなで助けようじゃないかと、それが民主党が言っていた、子供たち社会の宝ではありませんか。同時に、少子化社会対策基本法という基本法があります。子供については親が第一義的に責任を負うが、しかし子供は世の宝である、みんなで育てようと、こう言っているんです。そのときに、大臣、今のような消極的なことで子供たちの夢を摘んでいいんですか。復興の、その地域を担う子供たちにチャンスを与えなくていいんですか。  もう一回、大臣、その省内でのいろいろなバランスあります、分かります。過去との問題、私学の問題やらいろいろ助成の問題あるでしょう。しかし、ここは踏み込んでやるということをやっぱり大臣、明言していただきたい。もう一度お願いいたします。
  232. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) それぞれの生徒、学生はまさに被災者の一人でございます。私どもとしましては、かなり甚大なこの災害の中で専修学校あるいは各種学校の生徒の置かれた今の立場というのは十分理解しなきゃならぬと思っております。  まだまだ我々としてもその思いは熱いものがございますが、是非委員指摘のことを踏まえて、更にどういうことができるか、具体的な方法について検討をしてまいりたいと思っております。
  233. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 どういうことができるかではなくて、同じことをやればいいんです。だから、二次補正をやらないと言うのかなと、そして会期を閉めると言うのかなと。ううん、これはどういうことかなと。  これは民主党皆さんだって賛同していただけると思うんですよね。これ、ちょっと民主党皆さんも拍手して応援してくださいよ。(拍手)大臣、こういう声ですよ。だから、これはもう私は信じる以外にないです。就学の機会、平等に与えてください。でなければ、人災がまた人災を呼んでいるということなんです。  会津藩は後の悲劇に白虎隊を生みましたけれども、大変な飢饉のときに会津藩校日新館というのをつくります。世に藩校はたくさんありますが、そこで水泳や天文学を教えたというのは全国で余り例がないんです。そして、会津が負けたときに全部青森に移封されますが、子供たちをばらばらにしてはならない、この会津の再興は子供たちにある、そういう気持ちで人材育成に力を入れました。  その結果、被災している大熊町の渡辺町長さんが、子供たちが一緒になれば全国に避難しているお父さん方も戻ってきてくれる、何とか学校全て、編入ではなくて、これも温かい御配慮ですが、みんながそのまま避難して同じ学校に通えるようにできないかと言ったときに、会津の菅家という市長は、その長い自分たちの教訓を忘れませんでしたから、学校ごと提供しました。そうしたら、全国から戻ってきましたよ。そして、もう一校必要になって対応しているということです。  どうぞ、大臣、こういうときに、今までがどうの横がどうの、そういうことを言っている場合ではないということで、私は信じて吉報をお待ちします。  続いて、厚労大臣にお尋ねをいたします。  厚労大臣、災害救助法適用市町村においては、すぐにでも震災後に更新時期を迎える方々がいます。要介護の方々です。もう全国に散らばり、そしてまた移動しているんです。これはなかなか市町村として難しいですね、認定していくこと。  いろいろ配慮をいただきました。時間がありませんから、その配慮は私も大変結構なことだと思いますが、省令事項です、これは。すぐにできます。どうぞ、一年、期間は一年でなくてもそれは結構ですが、必要に応じて延長すると。どうでしょうか、既決定の認定有効期限を、省令ですから、延ばすと明確にここでおっしゃってください。これも同じように気持ちの問題でしょう。みんな被災地で、そして市町村ももう本当にへとへとになりながら、やってくれるんだろうなという気持ちでいるだけで、やると言えば本当にみんな助かるんですよ。  大臣、やると一言おっしゃってください、延長。
  234. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 結論から言いますと、やります。  御指摘の要介護認定の有効期間につきまして、これについては市町村の判断で最大限一年間延長することを可能といたします特例省令、これの制定に向けて今検討をいたしておりますが、私としては今月中にでもやりたいというふうに思って今一生懸命やっているところでございます。
  235. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 大臣の最近になく短い話でやるというのを聞いてほっとしました。そして、文科大臣にその後で聞けば良かったなと、こういうふうに考えているぐらいです。文科大臣お願いいたします、その点はね。  そしてもう一つ、かかりつけ医というのを我々奨励してまいりました。かかりつけ医の方々、そういう診療所があるんです。その診療所がもう使えなくなりますと、あの原発のエリアですけれども、みんなばらばらになっていて、そこに全国から避難所にお医者さん来ていただいていますが、本当にこれも有り難いです。でも、やっぱりかかりつけのところに行きたい、診療所の先生がいるところというようなことでございました。それで、厚労省とお話をしたら、いや、避難所で診療所できるんだよと、こういうことを言われたんです。  ですから、もう一回、全国全国といいますか、被災地の町村の自治体と被災者の皆さんで分かっていない方がいますから、どうぞ、そういう手当てができるということをもう一回言っていただいて、なぜそういうことが起きるかということなんです、大臣。これは本当にへとへとなんですよ、今、市町村。ですから、ペーパーや電話でもらっても分からないです。やっぱり行き渡るようにしていただくということだと思うんですね、せっかくそうやっていいことをやっていただいているんですから。  ですから、改めて、そういったことができるということと周知徹底に一工夫お願いするということで、これは手短にお願いできればと思います。そのようにするというお気持ちだと思いますから、お願いいたしたいと思います。
  236. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) これは、荒井委員指摘のように、避難指示を受けた、そういう自治体にある診療所が避難所の方に設置をいたしましたいわゆる救護所などについて、これは診療所というふうにすること、委員が今言われましたように、これはすることができるということは間違いございません。  また、自治体の皆さん方が大変忙しくて御苦労されているというようなことで、私どもとしたら、現地の三つの県に厚生労働省だけで百七十八名の職員を派遣をいたしまして、常に本省と連絡を取りながらやらせていただいておりますが、まだまだ周知徹底ができていないところもあるかと思いますので、いろいろな工夫をしながらこの周知徹底に努めてまいりたいと。荒井委員にもいい方法がありましたら是非御教示をお願いをしたいというふうに思います。
  237. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 今日は文科と厚労なんですが、総務省の事務方にも来ていただいております。こういったことに全て絡んでくる問題だから来ていただいているんですが、合併特例債の適用期限の延長なんです。  それぞれの被災した市町村はやっぱりいろんな引き出しが欲しいんです、いわゆるお金を捻出するにしても補助金を使うにしても。状況が一変しました、これで。例えば茨城県の市長会、町村会でも陳情が既に上がっておるはずです。千葉県の旭市、香取市、山武市など、千葉県からも被災自治体上がっていますし、原発の警戒区域指定になっている例えば福島県の田村市などからも特例を延長してもらいたい、こういうことの要望があります。  総務省としては、早期にそうした要望にこたえられるように、合併特例債の適用期限の延長について早くやるという方向を示していただきたいんですが、どこがどうなっておりますか。
  238. 三輪和夫

    政府参考人(三輪和夫君) お答えを申し上げます。  御指摘の合併特例債でございますけれども、旧合併特例法におきまして、当該市町村の合併が行われた日の属する年度及びこれに続く十年度に限り発行できると、このようにされております。これは、合併市町村の一体性の速やかな確立を図るために行う公共的施設の整備や一体感の醸成、こういうことを余りに長期にわたって行うことは適当でないということなどによるものでございます。  このような考え方で事業を行っていただくことが原則であるというふうに考えておりますが、今回の震災で甚大な被害が生じた合併市町村があるということに鑑みまして、個別の被災状況あるいは建設計画の進捗への影響、こういったことを今後、具体的に把握をいたしました上で、どのような措置が必要かということについて考えてまいりたいと、このように思っております。
  239. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 時間が来ましたから、今日はこれで終わります。
  240. 又市征治

    又市征治君 社民党の又市です。  私は出身が富山でございますので、まず、ユッケに付着した腸管出血性大腸菌とかなんという、何かややこしい名前ですが、これによる食中毒事件についてお尋ねをしたいと思います。  そもそもの問題は、生食用の牛肉に基準はあるけれども、それに罰則規定がなかったという点だと思うんですね。したがって、各店が基準違反を承知の上で独自の責任で処理をしてお客に提供するというのが常態化している、こういう状況なんですよ。  報道によると、都道府県でつくる全国食品衛生主管課長連絡協議会というのがあって、これが二〇〇二年から罰則付きの基準制定を求めていたということですけれども、これに対して厚労省の担当者は、今回のような重大事案が起きていなかったため罰則の必要性を認めなかった、こういうふうにされている。このような判断というのは、今の原発と同じですよ。今まで大丈夫だから今後も大丈夫だと。何ら科学的知見に基づいていない、こういう対応なんですね。  そこで伺いますけれども、厚労省はどのような基準でこの食品の安全対策に関する罰則というものを決定をしているのか。まさか、死亡者が出たか否かで決めているわけじゃないと思うけれども、そこのところをまずお伺いしたい。  また、ユッケに関してはこれまで各店の責任で対応されておりますけれども、重大事故は起きていなかったというのが厚労省の事実認識ですけれども、仮にそうだとすると、なぜここへ来て今回のようなずさんな食品管理が行われるようになったというふうに考えているのか。  以上二点、お伺いします。
  241. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 今回のユッケの食中毒事件、これは四人も死者が出て、まだ重篤な方もたくさんおられるということで、これは大変私も重大な事態だというふうに思って、こういうことが起こったこと自体にも大変反省もいたしております。  そういうことで、これまでどういうような形でその規格の基準を決めてきたか、このことにつきましては、その時々の国民の食生活、科学的知見、過去の違反事例など総合的に勘案をして、必要に応じて定めることが適切というふうにずっと考えてきたようでありまして、そこにどのような場合に強制力のある規格基準を定めるかということについては、一義的に決まっていないというのが今までのやり方であったようでございます。  したがって、今回、こういう問題が起こったからというわけでもありますけれども、私はそのもう前にこれをやっておくべきだったと、こう思ったんですけれども、今回はしっかりした規格基準を作って、その規格基準に違反した場合には、法律上、刑事処罰それから行政処分ができるようにしたいと、こういうふうに考えております。いいですか。
  242. 又市征治

    又市征治君 お客さんは、当然のこととして提供されるものは安全だというのは前提ですよ。その前提がむしろ厚労省が作成する食品の安全基準や指導なわけですよね。ですから、人命にかかわる問題、またかかわったわけですから、今おっしゃったように、是非これに対する安全指導というものを一層強化をいただきたい、明確にしていただくことを求めておきたいと思います。  次に、四月二十七日に東北の被災三県、岩手宮城、福島で震災後に失業保険の受給手続を取り始めた人が七万人に上るというふうに報道されました。そして、五月に入ってその数が十万六千人に増加をしたとも言われているわけですが、被災三県の雇用保険加入者は百五十万人余りですから、その割合は七%余りということになると思うんです。この中には当然のこととして農家や漁業者など自営の人は入っておりませんから、職を失った人はもっと多くの数になるということだと思います。  五月十二日の厚労委員会で、我が党の福島党首が雇用状況雇用創出状況について質問をいたしましたが、三県で一万二千人の雇用創出が計画をされているそうですけれども、実態からいうと現在は一千名足らず、こういうことのようであります。この数字自体非常に計画に比較して少ないんですけれども、まだ千名足らずというのはどういう事情によるというふうに分析をなさっているのかというのが一つ。もう一つ、計画達成のために一体、じゃどうしようとしておられるのか、この二点についてお伺いします。
  243. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) この被災三県の皆さん方、職を失われて、そしてこれからは何としても生きる糧としての仕事に就きたいと、こういう希望でございますので、それにきちっと対応して、応じていくのが国の責任だというふうに思っております。  そういう意味で、政府としては、「日本はひとつ」しごとプロジェクト、フェーズ1におきまして、重点分野雇用創造事業の対象分野にこの震災対応分野というのを追加して実施要件を緩和をしてきたところでございます。そこで、今委員が言われたように、被災三県で一万二千人の雇用創出の計画をいたしました。しかし、今のところ、千人程度と言われましたけれども、これは事業の基金でありますから、事業をやっていただかなければならない、市町村で事業を計画して、その計画では四千八百人ぐらい、五千人ぐらいが具体化をしておりまして、これらも順次採用されていくというふうに考えております。  これも、先ほどもお話ししましたが、なかなかこの重点分野雇用創造事業というのを利用していただいていないという点がございます。これはもう災害の対応の仕事でもいいし、あるいは医療関係でもいいですし、もう市町村が人を必要とするならばどんどん採用していただければいいと思うんですけれども、それがなかなかまだ徹底していないという、これは非常に残念に思っておりますが、私どももまだ努力も足りないというふうに思っておりますので、これは徹底的に周知をしていくということでこの雇用を増やしていきたいと、このように考えているところでございます。
  244. 又市征治

    又市征治君 被災地の復興という場合の大前提は、私はやっぱり被災者が働いて収入を得るということが前提だと思うんですね。その意味で、今もおっしゃいましたけれども、更に一層自治体などを督励をするというか、制度もやっぱり周知をして、できるだけ多くの人が働けるような状況を更に頑張っていただくことをお願いしておきたいと思います。  次に、厚労省は、リーマン・ショックの二〇〇八年以降、幾つか雇用創出事業を実施をされてまいりました。名前だけ挙げるならば、ふるさと雇用再生特別基金事業であるとか、あるいは緊急雇用創出事業であるとか、さらには重点分野雇用創造事業とか、多額の金をやっぱりつぎ込んでこういう努力をなさってきたわけですね。そういう意味では、政府雇用創出努力というのは私は率直に評価をしたいと思うんです。  そういうことなんですが、しかし先週発表された労働調査の結果によりますと、被災三県を除いた正規の職員、従業員は前年同期比で五十三万人の減少、逆に非正規は百三万人の増加、うちパート、アルバイトは八十四万人の増加、つまり不安定雇用への置き換えが依然として進んでいる、こういう状況が如実に表れていると思うんですね。  そこで、これらいろんな事業を起こしてきたわけだけれども、こうした事業が正規労働者の創出にどのぐらい貢献しているのか。例えば、ふるさと雇用再生特別基金事業の二〇〇九年の実績というのは、雇用創出数で二万四千四百二十九人で、事業費はおよそ四百九十億円と、こう報告されています。一人当たり平均約二百万円の支援が行われているわけですが、この事業の要項には、原則一年の雇用契約を締結し、必要に応じて更新するとか、正規雇用のための一時金支給が明記をされているんですね。ですから、この基金事業だけ取ってもどのぐらい正規労働者が創出されたのか、これ把握なさっているのかどうかですね、これがまず一点。  また、緊急雇用創出事業は、まさにこれは名前のとおり一時的な雇用機会の創出として今年度末までの事業ですけれども、これも雇用創出に力を発揮しているとは思いますけれども、やはり正規雇用を生み出す努力、あるいは正規労働者が減らない努力、非正規労働者正規に移行できる、こういう制度づくりが行われるべきだと思いますけれども、この点、大臣、いかがですか。
  245. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 又市委員が言われるように、正規労働者の数を増やしていくということはこれは本当に大事なことで、厚生労働省としても一生懸命やっているところなんですけれども、御指摘のふるさと雇用再生特別基金事業につきましては、これは平成二十二年度の上半期終了時点で六百人が正規労働者として雇い入れられたというふうに承知をしておりますが、まだまだ数は少ないんですが、事業でこの正規労働者を雇うということになっておりまして、その事業が終了した後でこの正規労働者になっているかどうかをカウントするもので、ちょっとまだ数は少ないんですけれども、正確な数字が出てきていないということで、これはまた後で御報告したいと思いますが、そのほかにもこの非正規人たち正規の方に転換をしていくということについては、正社員への就職、それから正社員に転換をしていくというようなことで支援をいたしておりますが、例えば若年者の人を正規雇用した場合には特別な奨励金を差し上げるというようなことでやっておりますが、この事業なんかでは平成二十二年度で二万七千六百六件ということで、それなりの数字が出ております。あるいはまた、年長のフリーターの人たちを直接雇用すれば事業者に支援をする、それからトライアル雇用とか、こういうこともやっておりまして、いろいろと事業をやりまして正規労働者雇用するようにということで進めておりますが、私としてはまだまだ不十分だという認識でありますので、この非正規皆さん正規労働者に転換をしていくということについては更にしっかり対策を立てていかなければというふうに考えております。
  246. 又市征治

    又市征治君 大臣、やはりこの非正規労働者が非正規のままで放置されることのないように、前に、細川さん、それこそ民主党の責任者として労働者派遣法を改正しようよということで案を作られた責任者でもありますから、これ、是非このことの改正であるとか、あるいはもっと言うならば、やっぱり最賃制などの問題も本気になって努力せにゃいかぬ時期だと思いますよ。是非そのことを改めて強く求めておきたいと思います。  次に、会計検査院にお伺いしようと思ってせっかく来てもらったんですが、時間の関係で私の方で勝手にしゃべってしまいますが、これは文科省の方の質問なんですが、昨年の九月、会計検査院が随時報告で廃校又は休校となっている公立小中学校の校舎等の有効活用を文科大臣に対して改善要求をされているということでありまして、資料によると、未活用となっている廃校学校数は四百九校に上り、その施設の残存価値はおよそ五百十三億円で、これに対する国庫補助金の相当額は二百十一億円と、こう指摘をされているわけですね。  そこで、文科省はこの指摘を受けて改善のためのプロジェクトも立ち上げたと、こういうことでありますけれども、廃校利用率はどの程度、じゃ上昇したのか、またどのように活用されているのか、概況をまずお聞きをしたい。確かに、文科省が旗振りになって有効活用を促進することもちろん大事なんですけれども、市民に近い自治体レベルでどのような有効活用努力がなされているかも具体例があればお聞かせいただきたいと思いますが、もう一つは、休校になっている学校の有効活用、これはどうなさっているか、以上、お伺いしたいと思います。
  247. 笠浩史

    大臣政務官(笠浩史君) 御指摘のように、「みんなの廃校」プロジェクトを昨年の九月に開設をいたしました。  今先生の方から御指摘ありましたけれども、毎年四百から大体五百前後の廃校が発生する中で、有効活用が大変な課題になっています。それで、平成二十年五月で六二・八%、活用率ですね、二十一年で六五・二%、二十二年で六九・三%と上昇しているところですけれども、まだまだ課題が残っていると思います。  それで、昨年九月開設して、まだ今年の活用率出ておりませんけれども、例えば、これは廃校施設等の情報と活用ニーズのマッチングを図っているところでございまして、何件かの問合せがあって、例えば最終的に四年制大学の誘致が決定をしたというようなケースもございます。  ただ、自治体においても、やはりこれは地域住民の御理解をいただくということが大変重要になってまいりますので、そうした利用に関しての地域住民との検討会等々も積極的に今立ち上げながらこの廃校の後の有効活用ということについて取り組んでいるということで、私どももこうしたことを引き続き支援をしてまいりたいと思っております。  それで、休校の有効活用でございますけれども、廃校と同様、地域の実情に応じて有効にやっぱり活用しなければなりませんが、平成二十二年の五月現在、公立学校の休校数は四百五十四校となっており、そのうちの六二・六%については何らかの活用が図られていると承知をしております。主な利用方法は地域コミュニティー施設地域住民による体育施設利用等となっているということで、引き続き、地方公共団体のこの点においても、この取組を支援をしてまいる所存でございます。
  248. 又市征治

    又市征治君 支出削減だけでなく、現にある資産の活用、大変大事だと思いますね。特に、不足している、これはお二人並んでおられますけれども、福祉施設への利用という問題に是非これは積極的に進めてほしい、このように思います。  最後に、今日ほかの委員からも出ましたが、SPEEDIの利用について伺います。  現在、福島原発事故による放射性物質の日々の飛散予測というのはどのように提供されているのかということ。百十億円を超える多額の費用を投じて開発をしたSPEEDIですけれども、計算に用いられる放出源の生データは広くやっぱり開示すべきだろうと思うんですね。  報道によれば、現在、原発施設の半径十キロ以内にしかデータが見られる端末が置かれていないようですけれども、幾つかの県知事らなどが声を上げて、少なくとも今の実態からいえば三十キロ圏ぐらいはもっと広げてもらいたいという声が上がっています。当然その方向で検討されているものだろうと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
  249. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 又市委員にお答えをいたします。  御指摘の点については、今、原子力安委員会の指針に基づいて、防災対策を重点的に行うために原子力発電所から十キロ以内の範囲が示されております。これを受けて、この範囲に含まれる十九道府県を対象として、それぞれの災害対策本部がある県庁などにSPEEDIの端末を設置をしております。  委員指摘の趣旨は十分私も理解をしております。今回の福島第一原子力発電所の事故を受けまして、今後この事故の原因究明あるいは調査、これが徹底的に行われるでありましょうし、また検証を行うことが必要でございます。こういうことの中で、SPEEDIの設置場所を含めてその活用の在り方、まさに有効に活用しなきゃなりませんが、この在り方についてしっかりと見直しを進めてまいりたいと思っております。
  250. 又市征治

    又市征治君 現在のEPZを作成したときは十キロでよかったんでしょうけれども、現実にこういう事態まで起こってしまったら、今大臣おっしゃったように見直して、少なくとも三十キロ圏ぐらいまで、福島の人たちはそういうことなんですから、やはりそれは広げていく、十九道府県でとどまらずに広げていくということがこれはやっぱり政府の責任だと思うんで、是非その努力を重ねてお願いをして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  251. 鶴保庸介

    委員長鶴保庸介君) 他に御発言もないようですから、文部科学省及び厚生労働省決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時三分散会