○加藤勝信君
自由民主党の加藤勝信でございます。
私は、
自由民主党・無所属の会を代表して、
国民生活等の
混乱を回避するための
平成二十二年度における
子ども手当の支給に関する
法律の一部を
改正する
法律案に対し、断固反対の立場から
討論を行います。(
拍手)
討論に入る前に、三月十一日に発生した
東日本巨大地震及び津波により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げ、また、御遺族の方々、被災をされた
皆様、さらには、原発事故に伴い避難を余儀なくされるなどさまざまな影響を受けておられる方々に対し、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
法案に対する反対理由を述べる前に、議院運営
委員会において、
趣旨説明要求が付されているにもかかわらず、多数決により強行に
委員会付託が行われたこと、また、厚生労働
委員会において、
審議中である
政府提出の
平成二十三年度における
子ども手当の支給等に関する
法律案との
関係も整理されないままに、本
法案の
趣旨説明、
審議及び
採決が
委員長の職権において強行に行われたことに対して、まず、強く抗議するものであります。
今回の東日本を襲った未曾有の
災害は、与
野党問わず、国を挙げて取り組まねばならない重大な事態であり、私どもの谷垣総裁は、
政府に対して、全面的に協力することを再三再四申し上げているところであります。しかるに、今回の
与党民主党の強硬な
対応は、こうした機運に水を差し、
国会の円滑な運営を著しく阻害するものであります。
この間、
与党民主党は、
子ども手当問題の円滑な処理のために、どれほどの汗をかき、どういう知恵を絞ったというのでありましょうか。
政府・
与党には、まさに国家の危機とも言われる
状況において、強い危機感と重い責任を持ってこれに当たるという自覚や姿勢を、残念ながら、見ることができません。猛省を強く促すものであります。
さて、本
法律案に対する反対の第一の理由は、今回の大震災の
復旧復興には十兆円を超える
財源が必要とされる中、国債の格下げにも見られるように、我が国の厳しい
財政事情のもとで、
子ども手当の支給に二兆円を超える巨費を投じる余裕など全くないということであります。
被災者の方々は、家族を亡くし、住む場所を失い、あすのことすらいまだわからぬ中でも、寒さに震え、余震におびえながら、必死に頑張っておられます。今、私たちが何を差しおいても取り組まねばならないことは、
被災者の
生活支援、
被災地域の
復旧復興を一日も早く実現すべく総力を挙げることであり、そのための
財源をしっかりと確保することであります。
平成二十三年度
予算には約二兆二千億円の
子ども手当関係予算が計上されており、今回の
法案で、そのうち約一兆円もの
予算が支出されることになります。マスコミの世論調査においても、
子ども手当などの
予算を復興の
財源に充てるべきであると考えている方が八割にも達しております。
民主党の皆さんは、かかる大震災で我が国が未曾有の危機に陥っているときですら、みずからのマニフェストに固執し、
子ども手当の支給にあくまで執着しようというのでありましょうか。私たちには全く理解ができません。
反対の第二の理由は、
政府と
与党から、全く異なる
内容の
法案が別々に
提出されているということであります。
政府提出法案では三歳未満の子供に月額二万円を支給するとしているのに対して、
民主党提出法案では一万三千円とされています。
内容の異なる
法案を
政府、
与党がそれぞれ
提出しているというのは全く異例の事態であり、また、
民主党が
政府・
与党一体とあれほど主張されてきたのは、
一体何であったのでありましょうか。
与党民主党が
内容を異にする
法案を
提出するのであれば、いかに
つなぎ法案であるとしても、
政府提出法案が
衆議院を通過していない以上、撤回することが当たり前であります。余りに
国会における
法案処理の手続を軽視した、いいかげんで無責任きわまりない
対応であります。
反対の第三の理由は、
つなぎ法案とされる本
法案の後の
対応であります。
子育て支援のための現金支給のあり方を与
野党間で新たに検討しようというのであれば、一つの提案として理解もできるわけであります。しかし、
政府提出法案を撤回しないということは、
つなぎ法案の次には
政府提出の二十三年度
法案を通そうという意図があると見ざるを得ません。
つなぎ法案の目的が、まさに多くの
国民が疑問を呈している
子ども手当の延命を図るものである以上、同
法案を到底認めることはできません。
また、
平成二十二年度の
子ども手当法そのものが単年度の時限立法であり、さらに、
平成二十三年度の
子ども手当法も、恒久法ではなく、一年間つなぐだけのものであります。その
成立が困難と見るや、さらに
つなぎ法案を出すという手品師まがいの手法は、さらに細切れにつなごうとするだけのものであります。
その場しのぎの
対応の繰り返しでは、子育て世帯において、
子ども手当を安心して子供のために使おうということには全くなり得ません。
反対の第四の理由は、そもそも
子ども手当の必要性と効果が全く不明確であるということであります。
昨年九月に
政府が行った調査によれば、約四割の方々が
子ども手当を貯蓄や保険料に充てるとし、既に使い道を決めていた方々の約四割が、子供のため以外に支出したと答えています。
政府は、
子ども手当を支給すること自体が目的であるかの主張をしていますが、そうした主張にくみすることは全くできません。こうした非常事態の中で、子供のために必ずしも使われていない
子ども手当を支給することが、本当に必要なのでありましょうか。
反対の第五の理由は、この
法案では、国外に居住する外国人の子供への支給は続く一方で、児童養護施設などに入所をしている子供への支給は行われないという、我々が昨年の
国会審議で指摘した欠陥が引き続き放置されるということであります。
また、市町村が強く要望していた学校給食費などの天引きも実施できません。これでは、地方
負担を不承不承認めた市町村との約束がほごにされたということではないでしょうか。半年間の暫定
措置であるとしても、単なるつなぐだけの
法案を
提出する姿勢は全くの怠慢であります。
私たちの国日本は、まさに国難に遭遇しております。春の選抜高校野球の開会式において、我が地元岡山の創志学園野山主将の選手宣誓は、その
内容と、真摯に宣誓する姿で、多くの方に感動を与え、頑張ろうという気持ちを鼓舞いたしました。
マニフェストは
国民との約束であり、その実現こそすべてとばかりに巨額の支出を伴う
子ども手当を支給し続けることが、国家の非常事態の中で、
国民の生命と
生活を守ることに本当につながるのでしょうか。この国の再生、創生につながるのでありましょうか。
今、私たちがやるべきことは、
子ども手当のばらまきを続けることではなく、
財源の確保を含め、
予算、
法律などあらゆる手だてを尽くして、被災されている方々が、
国民の一人一人が、あすに向けての希望を胸に抱き、持てる力を最大限発揮していただける
状況をつくり上げることではないでしょうか。その点を
民主党の皆さんに改めて申し上げて、私の反対
討論を終わります。(
拍手)