○坂本哲志君
自由民主党の坂本哲志です。
自由民主党・
無所属会派を代表して
質問いたします。(
拍手)
地方税法の一部
改正案、また
地方交付税法の一部
改正案など
地方税関連
法案に対して
質問をいたします。
質問に入ります前に。
先週の木曜日、
菅総理は、小沢一郎元
民主党代表と会談されました。小沢元代表が
政治資金規正法違反で強制起訴されたことを受け、
総理は小沢氏に自発的な離党を求めましたが、小沢元代表は拒否したと報道にありました。この光景を、
国民は、子供たちは、また諸外国はどう感じたでありましょうか。
日本国の最高責任者である
総理大臣が、
民主党の元代表とはいえ、一兵卒になった
政治家に対し、強制起訴という厳しい事態になったことを受け、離党を求めたことに対し、一兵卒が事もなげにこれをはねつけて、そして
総理は引き下がってくる。
国民は、
菅総理の、使命感の希薄さ、相手を説得するに足りる人としての重厚さ、度量の欠如を改めて認識したでありましょう。子供たちは、
総理大臣とはその
程度のものかと純粋に
政治の軽さを感じ、刑事被告人に対する
政治家の考え方に不信感と失望感を持ったでありましょう。そして、諸外国は、
日本という国の統治能力のなさを見てとり、今後
日本にはどんな揺さぶりも可能であると侮ったでありましょう。
民主党という政党が、いかに
政治と金に対して鈍感な体質の政党であるか、国を担う責任感にいかに欠けているかを物語るものであります。
そのような
政権が提出しました、今回の
法案についてであります。
まず、
平成二十三
年度地方交付税であります。
地方団体に交付される出口ベースの総額は、十七兆三千七百三十四億円、
平成二十二
年度と比べ、四千七百九十九億円、二・八%の増とあります。しかし、この増額には、さまざまなからくりがあり、結局、
地方への配慮が全くない、無味乾燥で、官僚主導の配分テクニックに沿ったものでしかないと断言せざるを得ません。
今回の
地方交付税を見るとき、昨年の補正
予算の
地方交付税とセットで見なくてはなりません。
昨年、二十二
年度の補正
予算における
地方交付税の
財源は、前
年度、
平成二十一
年度の決算剰余金、いわゆる税の上振れとして生じた五千七百五十八億円がありました。また、その時点で、
平成二十二
年度、今
年度の増収も七千三百六十八億円が見込まれておりました。つまり、昨年の時点で
地方団体が当然もらえる権利を持つお金は一兆三千億円余りあったのです。ちなみに、この剰余金、上振れ分は、リーマン・ショックの後、自民党が打った適切な
経済対策の結果として出てきたものであります。
私たちは、その全額を交付税に回すことを考えましたが、とりあえず二十一
年度上振れ分の五千七百五十八億円全額を
地方交付税に盛り込むべきと訴えました。しかし、
政府が
平成二十二
年度の
地方交付税として配付したのは三千億円にとどまり、残り一兆百二十六億円は来
年度回しとなりました。
民主党は、交付税を四千七百九十九億円増額したと吹聴していますが、この一兆百二十六億円がなければ、逆に五千億円以上のマイナスであります。それにもかかわらず、四千七百九十九億円ふえたと吹聴するのは、
民主党お得意のごまかしでしかありません。
また、
地方の
財源不足の補てんは、国と
地方が一対一で
負担する、いわゆる折半ルールがあります。
平成二十三
年度に約一兆円を繰り越したことで、折半ルールの
対象額が減り、国の
負担が軽減される結果となりました。そして、国の
負担が軽くなった分だけ、
地方にしわ寄せが生じているのです。国の
財政事情によって
地方固有の
財源である
地方交付税の配分額が左右されることは、あってはならないことであります。
政府が本当に
地方経済の実態を把握し、
地方への思いを寄せるなら、地域活性化や
雇用創出のためのさらなる
予算措置をとるべきであります。
自民党は、選挙公約において、総額二兆円に上る地域交付金の実施を主張しております。
菅総理は、
地方の苦しい実態をわかっておられるのでしょうか。なぜ、もっと
地方経済を重視した、別枠や
特例費を盛り込んだ交付税にしなかったのですか。
総理にお伺いをいたします。
また、以上の点を踏まえて、今回の
地方交付税総額の増額、事実上は減額でありますが、その見解を、
地方の味方であるはずの
片山総務大臣に
お尋ねいたします。
一方で、
地方が自由に使えるお金として鳴り物入りで宣伝している地域自主戦略交付金、いわゆる一括交付金は、さらにひどく、
政策と言える代物ではありません。
菅総理は、各省庁から最初に出てきたお金は二十八億円、その後私の一言で五千百億円にしたと自慢げに言われますが、その九割は継続
事業というひもつき、残り一割も、この時期になっても都道府県への配分基準は決まっておりません。
各都道府県は、現在、来
年度の
一般会計予算案を発表していますが、そのどこにも、地域自主戦略交付金や一括交付金の文言は出てきません。
予算も、もちろん計上されていません。配分が決まったら、六月か九月の補正で配分額の一割分を組むのみですと
地方は言うだけであります。自治体の方は、迷惑がっているか無視しているかのどちらかであります。大山鳴動して、ネズミ一匹出てきませんでした。
それと対照的に、
政府の方は、
内閣府に一たん
予算を集め、そしてまた配分するという、屋上屋を重ねる
法律案を提出し、無駄の典型を今行おうとしております。まさに、
民主党政権の
政策形成能力がいかに未熟であるかを物語っています。
私の地元である熊本県の幹部は、本物の一括交付金であれば、それはそれにこしたことはないが、今回はひもつきと変わらない、それより、国の
政策誘導をどうするかということを考えると、一定の補助金は大切なことであると言います。
片山総務大臣が知事を務められた鳥取県でも、現職の知事が、一括交付金の導入がやや目くらまし的に使われている、
政府は高らかに一括交付金の意義を言っているが、社会資本整備費は全体で減った格好になっていて、そこまでの内容があるのかは疑問が残るとの見解を示しています。
そこで、片山大臣にお伺いをします。
地域自主戦略交付金とは、名前は、いかめしくもっともらしいものの、
財政調整機能を持ったものではありません。かといって、
特例交付金のように、
経済活性化に寄与する目的を持った交付金でもありません。
第一に、
一体、この地域自主戦略交付金の自治体に対する目的は何ですか。その根拠を明らかにしてください。
第二に、今のままの制度設計であるならば、
子ども手当と同様の、自治体へのばらまきと言った方が当てはまるのではないですか。それなら、
地方交付税の枠を広げた方が自治体にとっては好ましいのではないでしょうか。
第三に、もしあなたが辛口の批判をする知事や学者だったら、今もって配分基準も定まらないこの未整備な
政策をどう評価しますか。率直にお答えください。
地方税法等の一部を改正する
法案についてお伺いいたします。
改正の
一つ、
成年扶養控除の廃止は、二十三歳から六十九歳までの成年を扶養する者のうち、原則として、年間
給与収入の五百六十八万円以下を除いて控除を廃止するものであります。
現在は、超就職氷河期と言われるほど厳しい就職条件にあります。大学卒業者も、二年、三年就職浪人を強いられるのはざらであります。今の時期、親の扶養に頼らざるを得ない子供は相当な数に上ります。さらに、早期退職を迫られた父親、パートが見つからない母親、一方で、高齢者の仲間入りをした父母を扶養しなければならない子供も
増加をしています。
それでも、家族のきずなを保ち、親が子を、子が親を扶養するという、家族の協力体制で乗り切ろうとしているのです。その数、四百七十万人です。そのうち、今回の廃止で百十万人以上が大幅増税を強いられるのです。
菅総理は、一に
雇用、二に
雇用、三に
雇用と言っていたではありませんか。なぜ、もっと
雇用対策の充実によって、独立して生計を立てようとする人をふやさないのですか。最小不幸社会などと言いながら、
成年扶養控除の廃止という増税は、不幸な家族をますますふやすだけではありませんか。
家庭内の成年や六十代の高齢者を厄介者扱いしてあぶり出し、それこそ、扶養、被扶養という家族のきずなを断ち切り、不必要な不要者扱いにし、
日本の家族の結束や麗しさを打ち壊すだけではありませんか。
これも、
子ども手当というばらまき
行政の
財源探しにほかなりません。旧国鉄の資産売却に
財源を求め、
相続税を引き上げ、さらに
成年扶養控除を廃止するというなりふり構わぬやり方は、本末転倒と言う以外にありません。それは、税や
財政の体系を壊し、国家そのものを破綻に導くものでしかありません。
菅総理にお伺いします。
このような
財源あさりは、これまで組み上げられてきた税の体系を壊してしまうものと思われませんか。なぜ、安易に
成年扶養控除の廃止という手法をとられるのですか。それにより、家族のきずながまた
一つ失われると思いませんか。あなたは税と
社会保障の
一体改革と言っていますが、今回の
地方税法の一部改正は、税の体系を壊し、一方で、家族という
社会保障の土台をも崩し、引き離してしまうものだと思われませんか。お答えください。
さて、二月八日の
衆議院予算委員会において、
与謝野大臣は、
消費税率を引き上げた場合の
地方への配分について、今のところ、
地方にという考え方はだれもおっしゃらないと、
地方財源の拡充を否定されました。
与謝野大臣は麻生
内閣においても
経済財政政策担当大臣を務めていますが、このとき策定されました
平成二十一
年度税制改正法附則百四条及び中期プログラムには、「
地方消費税の充実を検討するとともに、
地方法人課税の在り方を見直すことにより、税源の偏在性が小さく、
税収が安定的な
地方税体系の構築を進める」と明記されています。
与謝野大臣が
地方消費税の充実を否定するのは、この検討を踏まえたものなのでしょうか。仮にそうであるならば、検討の場において
地方自治体の意見を聴取したのでしょうか。
そのほか、
地方軽視とも受け取れる
与謝野大臣の一連の
発言に対して、九日、全国知事会の会長である麻生福岡県知事が、記者会見を開いて懸念を表明しました。
地方の怒りのあらわれであります。
しかし、
与謝野大臣は、十日の閣議後の記者会見でも同様の
発言をされました。
地方の
財源拡充は不必要なんでしょうか、それとも、この論議の中に
地方を巻き込むための挑発的な
発言なのでしょうか。
与謝野大臣の
説明を求めます。
加えて、ここまで
地方に冷たい
発言をされるなら、
地方を大切にする自民党の公認で獲得したバッジを返してください。国を憂うあなたならば、たとえ
民主党政権程度の中にあっても、幕末の志士が脱藩して目的を果たそうとしたように、バッジがなくとも、私たちが敬愛してきた
与謝野馨であるなら、そのモチベーションは保てるはずであります。一言つけ加えさせていただきます。
そして、
菅総理には、もっと
地方と向き合ってほしい。あなたは
地方に冷た過ぎます。突然のTPP参加を初め、どこを向いて
政治をしようとしているのですか。
地方の
財源についても同様の考え方ですか。見解を求めます。
このままの
政権が続けば、日米、日中、そして日ロなど、外交の行き詰まりはもとより、我が国が
地方から音を立てて崩れていくことは必定であります。来るべき統一
地方選挙で菅
政権にノーを突きつけ、一刻も早く
政権を交代し、国の姿を正常に戻すことが
日本を救う唯一の道であることを
国民の
皆様方に強く訴え、
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣菅直人君
登壇〕