○坂本
委員 自民党の坂本哲志でございます。
被災三県の
アナログ停波を一年間
延期する、この
法案についての
質問をさせていただきます。
地上
アナログ放送から
地上デジタル放送への完全
移行は、国策として進めてこられました。一億台以上ある受像機、テレビをほとんど総取っかえしようということでありますので、これは大変な国策であります。ちょうど十年前の七月、ことしの七月二十四日に
アナログを停波するということが決められて、この十年をかけて一丸となってやってこられたわけであります。
これについては、当初は非常に疑問点もありました。危ぶむ声もありました。おととい
質問されました平井たくや議員は、地方の放送局の社長を経験され、そして議員になられた方であります。この平井たくや議員さえも、二〇〇二年の中央公論で長文を掲載されておられまして、なぜ
デジタルが必要なのか、なぜ
アナログではいけないのか、それを論理立てて書いていらっしゃいました。凍結すべきであるというような
意見でありました。そして、十年かけて
デジタル化は到底できないというようなことを書いていらっしゃいました。テレビ局の社長出身がそうでありますので、国民の
皆さん方の
デジタル化への理解度というのは推して知るべしであったろうというふうに思います。
しかし、到底無理であろうということが、ここまで来ました。現実のものとなってきました。七月二十四日、
アナログ停波そして
デジタルへの完全
移行ができそうなところまで来ました。九六%以上の受像機の普及率ということで、本当に現実のものになってきた。
関係者の
皆さん方の御尽力には、心から敬意を表したいと思います。
いろいろな政策、施策の中でそれが行われてきたというのも事実でございます。自民党時代のエコポイント政策、あるいは高齢者や低所得者にはチューナーを配布する、そして各
地域でそれぞれきめ細かに配置されました
デジサポ活動、こういった国を挙げての
対応策がここまでの成果をもたらしたというふうに思います。
日本が当初方針どおりに完全
移行できるかどうか、これは世界が見ております。特に、来年
デジタル化します韓国、あるいはその後
デジタル化します中国、こういったアジアの各国々は、日本が本当に
デジタル化できるだろうかということをやはりしっかりと見ているわけでありますし、日本がとった政策というものを、これから一年かけてやはり取り入れてくるであろうというふうに思います。アメリカの場合には、低所得者層への受信機が普及できずに、結局四カ月間
延期をいたしました。
期日どおりに実施するということは、政策の精緻さ、あるいは国民の理解度、国と国民の一体化、また政治力の強さ、こういったものをはかるバロメーターであります。であるからこそ、七・二四、完全に実施するということに私は大きな意義があるというふうに思います。多少の異変があっても、それはやはり実現させなくてはいけないものであるというふうに私は思っておりますし、それが政治の国民に対する役割であると考えます。
今回の
東日本大震災は、東北地方の海岸部を壊滅状態にいたしました。受信
施設も
被災し、これらの
地域は七・二四実施が難しいというようなことはよく私も理解できます。このことについては異存はありません。しかし、それでもなお、それらを乗り越えて実現させようという政策的な士気の高さは必要であるというふうに思っております。
しかし、今回は、それぞれの
被災地からの要望ということで、
被災三県の
デジタル完全
移行を一年間
延期するということが決められて
法案として出てきました。私は、この決め方が安易過ぎる、やすきに流れ過ぎるというふうに思います。
民主党政権のやり方を見ておりますと、すべてがそういう傾向にあります。一部の国民が望めばその要望にすべてこたえる、ポピュリズム的な政策が余りにも多過ぎる、国家としての将来像や、あるいは大計に基づいた政策、こういったものが少ないというふうに思います。
地域主権、子
ども手当、あるいは農業の戸別所得補償、そして高速道路の無料化、そういったものがまさにそうであるというふうに思います。
私は、今回の一年
延長も、
自治体にとりましては地デジどころではないというのが実情であると思いますけれ
ども、それを安易に受け入れて決定することが、本当にこれまで尽力してきたさまざまな人たちに対してどういう
影響を及ぼすのか、そして、今後の予算面あるいは将来的な展望、また
近隣諸国の日本の政策遂行を見る目、こういったものを考えるときにどうであるかということを考えると、疑問でなりません。結局、ばらまき四Kと同じではないかというような気がいたします。
事実、
平岡副
大臣は四月二十日の記者会見で、新たに
対応しなければならない部分が大きくふえたわけではない、何とかみんなで頑張れば
対策ができる
状況だと述べておられます。そして、その後に、
地元との温度差があったのかもしれませんけれ
ども、こういう
法案が出ました。
私は、いろいろな物事に取り組むときに、やはり為政者というのは、厳しく物事に取り組む、その姿勢が必要であると思います。方針転換をされた
平岡副
大臣の記者会見の言葉をかりれば、私は、方針転換がいつの間にか安易にされてしまったとしか受け取れません。
この一年
延長を決めるに際して、どこまで、どの
程度の論議があってこの一年
延長というものを決められたのか、
大臣にお伺いいたします。