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福島(伸)
委員 民主党・無所属クラブの
福島伸享でございます。
私の
地元は茨城県でございまして、まさに今、原子力のさまざまな
風評被害、あるいは出荷停止による農林水産業等への被害、観光への被害、そうしたものが出ているところでございますので、そうしたことを踏まえて
質問をさせていただきます。
四月十五日に、
内閣委員会でさまざまな
質問をさせていただきました。その意味というのは、農林漁業者というのは極めて零細な事業者でありまして、一週間、一カ月単位の現金で生活しているという中で、仮
払い、現金がそうした事業者の
皆様方になかなか振り込まれないということが大きな問題を起こしているということを訴えさせていただきました。
私
たち民主党も、党の中に、農林水産部門会議の
もとにワーキングチームをつくりまして、三月の
段階から、早く仮
払いのお金を農林水産業の
方々に届けるようにというふうな提言をしてきたところでありますが、今この
段階に及んでも、まだ農家の
皆さん方には現金が届きません。
この週末、私も
地元をずっと歩いておりますけれども、一体何をやっているんだ、この国はもう
政府というものはないんじゃないかという声すら聞こえる。ある意味で
政府に対するあきらめ、
最初は怒りであったわけですけれども、今は、どうせもうこの国は
政府がないというようなことすら言われるという
状況でございます。
四月十五日の
内閣委員会のおさらいをいたしますが、東電が発表している仮
払いというのは、三十キロ
圏内の
避難した世帯に対する仮
払いであって、事業を行う人に対する仮
払いというのはまだ何ら表明をしておりません。東電の話によりますと、そうしたものにつきましては、国の原子力
損害賠償審査会で損害の
範囲が確定するまでは難しいということで、国の
判断がなければ事業者に対する一時金は出せないということを言っております。
一方、農林水産省さんなどはある程度頑張っていらっしゃいまして、例えば、JAグループでつなぎ融資というものをやっております。ただ、つなぎ融資だけですと、例えばもう多くの借金を抱えている
皆さん方とかこれまで滞納された方というのはお金を借りることができませんから、こうした融資ではだめですよというのを前回の
委員会で申し上げたところ、早急に
対応していただいて、国がある程度の保証をする、無担保、無保証人での債務の保証をするという政策を出していただきました。
ただ、これでも、やはりその現場の人になって考えてみると、おれ
たちは何の悪いこともしていないのに、いきなり
政府が出荷制限といって出荷ができなくなって、被害者にもかかわらず何で借用書に判こを押さなきゃならないのか、この思いというのは物すごい大きいわけです。つなぎ融資という形ではなくて、誠意を持って現金を届けてほしいと。
風評被害は、どの程度の因果関係があるのかということをいろいろ見なければならないにせよ、少なくとも出荷制限というのは、
政府の原子力
災害対策本部が行ったその
判断に起因するものでありますから、ある程度は
政府が誠意を見せて現金を払ってくれというのが、多くの
地元の
皆さん、生産者の
皆さんの声であります。
先日の
内閣委員会で、
枝野官房長官は、「国の立てかえ
払いも含めて、」「東電からの支
払いの前
段階を国がつなぐということも含めて、関係当局で検討するように指示をいたします。」と明確に答えていただいた。これは本当にありがたかったです。
地元の
皆さんは、さすが民主党政権、政治主導でしっかりと
対応してくれるんだなというふうに期待をしたわけですが、その後、全然なかなか進まない。
これは何に原因があるかいろいろ考えるわけですけれども、
政府の
皆さんは、総理を初めとして、よく一義的には
東京電力がその
責任を負うべきと考えているということを何度も何度も
答弁されます。二十五日の予算
委員会でも、増子議員の
質問に、総理は、具体的な補償については、まずは第一義的に
東京電力がその
責任を負うべきと考えておりますと答えております。しかし、私は、一義的に東電と、本当にそれだけでいいのだろうかと。一義があるんだったら二義もあるはずですよ。
政府の
責任は何かということに明確にそろそろこたえるときなのではないかというふうに思います。
その上で考えなければならないのは、原子力
損害賠償法の規定というのをもう一度私はきょうしっかりと議論させていただきたいと思っております。本当に第一義的に東電が
責任を負うものなのかどうかということについて議論をしたいと思います。
原子力
損害賠償法第三条第一項のただし書きには、「その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。」とされております。これは、立法の当時、我妻栄
先生という東大の名誉教授が、この法律は、原則、原子力事業者が無過失
責任を負うとされておりますが、過失がなくても
責任を負うといっても、そこにはおのずから限度があるはずだろう、その限度は質と量と
二つに考えられるのではないかというふうに
答弁しております。質というのは、異常かつ巨大、量というのは、当時の貨幣価値で五十億くらいで切って、それ以上は
責任がないというべきではないかと
答弁しております。
つまり、その災害の規模が異常かつ巨大であり、被害の額が余りにも巨大になる場合は、このただし書きの適用が行われるというふうに、立法の中心人物となった我妻栄東大名誉教授、当時の原子力災害補償専門部会の部会長はおっしゃっているわけです。さらに、そのときの
大臣であった中曽根科学技術庁長官は、この異常かつ巨大というのはどのぐらいかということについて具体的に答えておりまして、「関東大震災の三倍以上の大震災、あるいは戦争、内乱というような場合」というふうに
答弁をしております。
そうしたこれまでの
答弁を踏まえて、今回、何を根拠として今回の地震による災害が原子力
損害賠償法第三条ただし書きに該当しないというふうに
判断したのか、
文部科学省からの
答弁を求めたいと思います。