○礒崎
陽輔君 自由民主党の礒崎陽輔です。
私は、自由民主党を代表して、
政府提出
補正予算三案に
反対の
立場から討論を行います。
民主党政権により、
政治、経済、外交、
防衛の各分野において国家の弱体化が進み、今や日本は決して一流とは言えない国となりつつあります。そのため、国の衰退を近隣諸国に見透かされ、
我が国の貴重な領土、領海までも大きな危機にさらされています。
民主党政権がマニフェストで約束した多くの事項は実行されず、全く財源の
見通しのないまま、ただ子ども手当の交付、高速道路の無料化などの政策が続けられています。経済政策を始め、主要な政策の具体化はすべて先送りされ、
菅総理のリーダーシップの欠如から、何も新たな政策が決定ができない
状況が続いています。
公務員人件費の二割削減など、全くの手付かずの施策もあり、
政治主導を実現する能力のない閣僚
たちの無責任、無謀な
発言や
大臣としての資質を疑う行動により、
政府は混迷の度合いを深めています。
その間に、リーマン・ショック後、民間賃金は大幅に下がり続け、急激な円高の下、国内企業は極めて厳しい経営
状況にあり、不況下で
国民は苦しい生活を余儀なくされています。こうした
状況を反映し、最近の菅
内閣の支持率は大幅に下がり続けて二〇%に近く、既に政権の危険水域に入ったと言われています。
今般、
国会に
補正予算案が提出されましたが、十月初旬に
国会が召集されていながら、
補正予算案が
国会に提出されたのは十月末であり、このこと自体が菅政権の経済無策、やる気のなさを象徴しています。これでどうして緊急経済対策と言えるのでしょうか。民主党は九月いっぱい代表選挙などの党内抗争に明け暮れ、これだけの円高・デフレ不況下での第一次補正が師走の声を聞く間際にまで行われないなど、一体、菅
内閣は
国民生活をどう考えているのでしょうか。
自由民主党は、五兆円を超える
補正予算案の編成を
政府に要求しました。しかし、でき上がった予算案を見てみると、経済対策とは
関係のない地方交付税の過年度精算増など一兆三千億円も含まれており、しかも、そのうち一兆円は来年度以降において地方に交付されるということであり、
国民の目には
国民を欺く水増し予算案としか映りません。
補正予算案の内容を見ると、民主党自ら事業仕分した内容が名前を変えて復活していたり、例えば警察の車両整備費など、来年度当初予算案に計上すべき内容が前倒しで計上されていたりしています。
政府は円高の進行に何ら有効な手を打たず、
菅総理が一に雇用、二に雇用、三に雇用と言いながら、雇用政策は調整的なものばかりであり、有効需要を生み出すような政策は予算案のどこにも見出せません。福祉や環境の分野などで雇用を創出すると
菅総理は豪語していますが、何らの具体策も政権は持ち合わせていません。
また、我が党は地域経済活性化対策として一兆五千億円を要望していましたが、
内閣府の交付金事業三千五百億円、地方交付税三千億円の合計六千五百億円しか計上されず、これでは今の深刻な地方の
経済財政
状況を救済するには余りに少な過ぎます。そこで、我が党は、
平成二十一年度の地方交付税の精算増約六千億円を全額今年度の地方交付税として追加交付するよう、地方交付税法一部改正
法案の修正案を提出しているところであります。
民主党の選挙向けの公約である子ども手当、高速道路無料化、農家への戸別所得補償、高校授業料の無料化に象徴されるばらまき政策を所得制限の導入などにより大幅に見直し、真に景気の回復と雇用の
確保に資する政策に貴重な財源を振り向けるべきであります。これだけの不況下において二兆二千億円もの税収増を空計上するのではなく、ばらまき政策を見直すことにより新たな予算の財源を
確保すべきです。
自由民主党は、責任
野党として経済対策に関する
提言を行い、それを踏まえ、
衆議院では予算の組替え動議を提出しました。しかし、
政府は我々の提案を酌み取らず、
国民生活を無視し、内容のない
補正予算案を今
成立させようとしています。我が党は、ほとんど景気対策の効果を持たない欠陥だらけの
補正予算案をいま一度再考することが
国民の負託にこたえるものと考えています。
以上のように、
補正予算案は菅政権のやる気のなさをそのまま象徴する内容となっており、緊急経済対策の名に全く値しないものであります。なよなよとした柳腰予算と言ってもいいのでしょう。自由民主党はこのような力のない予算案に断固
反対します。
既に政権は
柳田法務大臣の
辞任などにより末期症状を起こしつつあります。何も決定できない、何も前に進めることのできない菅
内閣は、
国民の信託をもはや失っています。今、
菅総理が決断すべきことは、一刻も早い
衆議院の解散、そして総選挙の実施であります。
このこと一点の
菅総理大臣の英断を求めて、討論を終わります。(拍手)