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大門実紀史君
総理と意見が合いそうなのはここまででございまして、今日は財政の
集中審議でございますので、
社会保障財源について
議論をしたいというふうに思います。
政府・与党は検討本部というのを設けて、今後の
社会保障の財源をどうするかという
議論を開始されております。年内に中間の取りまとめを行うということですので、その点について
議論をしたいと思いますが、この点で私はヨーロッパの
社会保障財源の在り方から正確に学ぶべきだというふうに
考えております。(資料提示)
パネルをちょっと用意いたしましたけれども、これは
財務省が絶対作りたがらない資料でございます。私の方で作りました。ヨーロッパ各国の
社会保障の財源が何によって賄われているかということを、その内訳を示したものでございます。
消費税の増税を進めたい
日本の大新聞とかあるいは学者の
方々は、ヨーロッパの
社会保障が充実しているのは消費税の税率が高いからだという宣伝をまことしやかにやっております。だから
日本も引き上げようというような論法でございますが、そういう世論誘導もあってか、
社会保障のためなら消費税の増税も仕方がないかなと思わされておられる
国民の
方々も多いんではないかというふうに思います。しかし、それが本当なのかどうかというのがこの資料でございます。本当ではございません。
赤い部分が各国の
社会保障財源に占める消費税、付加価値税の割合でございます。
日本が八・八%、ほかの国はほとんど一〇パー、一割、一〇%前後でございます。イタリアはちなみに
日本よりも消費税率はかなり高いわけでございますけれども、
社会保障財源に占める割合は
日本よりも低いという状況です。
つまり、各国とも
社会保障財源は消費税で賄っているわけではないということでございます。
社会保険料負担やその他の税で賄われていると。したがって、宣伝されているような、ヨーロッパの
社会保障が充実しているのは消費税の税率が高いからではないということをはっきり知っていただきたいなというふうに思います。
また、パネルを御覧になって分かるとおり、じゃ何で賄っているのかというと、ヨーロッパの国々はほとんどは、
社会保障財源の一番を占めるのは企業の
社会保険料負担でございます。消費税が高いからではなくて、企業、特に大企業はきちんと負担しておりますから、そういう大企業の負担も含めて企業負担がしっかりしているからヨーロッパの
社会保障は充実した水準にあるということを示しております。また、その他の税というところもほとんど個人、家計の負担でございますから、消費税で賄っているというよりも、
社会保障財源は企業がきちっと負担をしているからということでございます。
もしも、この上、法人税を今言われているように五%下げて、自民党や
民主党の皆さんが言っているように消費税を一〇%に上げたらどうなるかというのが一番左側のグラフでございます。
社会保障財源に占める消費税の割合は現在の倍近くになってしまいますし、一方、税と
社会保険料負担合わせて企業の負担は更に減る、
国民負担が増えるということになってしまうわけでございます。
この法人税五%の引下げというのは、中小企業というよりも、ほとんど恩恵を受けるのは大企業。ですから、経団連、財界は法人税を下げて消費税を上げろと。つまり、
社会保険料負担、
社会保障に対する負担も低くなるからという
意味も含めて要求をしているところでございます。
私、
社会保障の財源というのは
国民、企業、みんなで負担をすべきだと、当たり前のことだというふうに思います。その際、やはり応能負担、今日の午前中も取り上げましたが、応能負担とか、あるいは企業の
社会的責任、ヨーロッパは特に雇用者に対する責任はきちっと果たすというのが当たり前になっております。そういうものが重要だと思いますけれども、この消費税増税で
社会保障を賄うという
考え方は、結局企業、特に大企業の負担の
社会保障に対する責任を免除して、
国民の負担だけを増やすことになってしまうんではないかと、今の
日本ではそういうことになってしまうんではないかと思いますが、
総理、いかがですか。