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2010-11-19 第176回国会 参議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年十一月十九日(金曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  十一月十八日     辞任         補欠選任      平山 幸司君     友近 聡朗君      世耕 弘成君     塚田 一郎君      林  芳正君     磯崎 仁彦君      丸川 珠代君     福岡 資麿君      宮沢 洋一君     山崎  力君      草川 昭三君     荒木 清寛君      長沢 広明君     山本 香苗君      桜内 文城君     中西 健治君      片山虎之助君     舛添 要一君  十一月十九日     辞任         補欠選任      榛葉賀津也君     一川 保夫君      田城  郁君     西村まさみ君      大門実紀史君     市田 忠義君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         前田 武志君     理 事                 植松恵美子君                 川上 義博君                 水戸 将史君                 森 ゆうこ君                 礒崎 陽輔君                 猪口 邦子君                 衛藤 晟一君                 加藤 修一君                 小野 次郎君     委 員                 有田 芳生君                 一川 保夫君                 梅村  聡君                 金子 恵美君                 金子 洋一君                 小見山幸治君                 行田 邦子君                 榛葉賀津也君                 徳永 エリ君                 友近 聡朗君                 中谷 智司君                 西村まさみ君                 平山  誠君                 安井美沙子君                 吉川 沙織君                 米長 晴信君                 愛知 治郎君                 磯崎 仁彦君                 片山さつき君                 川口 順子君                 佐藤ゆかり君                 塚田 一郎君                 西田 昌司君                 長谷川 岳君                 福岡 資麿君                 丸山 和也君                 山田 俊男君                 山谷えり子君                 荒木 清寛君                 石川 博崇君                 山本 香苗君                 中西 健治君                 市田 忠義君                 大門実紀史君                 舛添 要一君                 吉田 忠智君    国務大臣        内閣総理大臣   菅  直人君        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地域主        権推進))    片山 善博君        法務大臣     柳田  稔君        外務大臣     前原 誠司君        財務大臣     野田 佳彦君        文部科学大臣   高木 義明君        厚生労働大臣   細川 律夫君        農林水産大臣   鹿野 道彦君        経済産業大臣   大畠 章宏君        国土交通大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  馬淵 澄夫君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        松本  龍君        防衛大臣     北澤 俊美君        国務大臣        (内閣官房長官) 仙谷 由人君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣消費者        及び食品安全、        少子化対策、男        女共同参画))  岡崎トミ子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(「新し        い公共」))   玄葉光一郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣行政刷        新))      蓮   舫君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融)        )        自見庄三郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策科学技        術政策))    海江田万里君    内閣官房長官        内閣官房長官  福山 哲郎君    副大臣        外務大臣    松本 剛明君        財務大臣    五十嵐文彦君        財務大臣    櫻井  充君        農林水産大臣  筒井 信隆君    大臣政務官        外務大臣政務官  徳永 久志君        外務大臣政務官  山花 郁夫君        厚生労働大臣政        務官       岡本 充功君        厚生労働大臣政        務官       小林 正夫君        農林水産大臣政        務官      松木けんこう君    事務局側        常任委員会専門        員        藤川 哲史君    参考人        日本銀行総裁   白川 方明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成二十二年度一般会計補正予算(第1号)(  内閣提出衆議院送付) ○平成二十二年度特別会計補正予算(特第1号)  (内閣提出衆議院送付) ○平成二十二年度政府関係機関補正予算(機第1  号)(内閣提出衆議院送付) ○記録の提出要求に関する件     ─────────────
  2. 前田武志

    委員長前田武志君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十二年度補正予算案審査のため、必要に応じ日本銀行総裁白川方明君参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田武志

    委員長前田武志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 前田武志

    委員長前田武志君) 平成二十二年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十二年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十二年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、昨日に引き続き、質疑を行います。水戸将史君。
  5. 水戸将史

    水戸将史君 おはようございます。民主党・新緑風会の水戸将史でございます。昨日に引き続きましてよろしくお願い申し上げます。  昨日はかなり端折ってしまいましたけれども、今日は若干お時間いただきましたものですから、二項目挙げさせていただきたいと思っております。  取りあえずアスベスト、これは古くて新しい問題でございますけれども是非この認識を改めていただきたいと思っておりまして、あえて取り上げさせていただきました。  まず、資料七ページ、八ページを御覧いただきたいんですが、アスベストというのはどういうものか、もう釈迦に説法でございますけれども是非御覧いただきたいと思っております。  七ページ目は、こういう種類があるよという、白、青、茶色と。青が一番危険だと言われておりますけれども、こういうものがあるということをここに掲載させていただきました。  そして、八ページ目を御覧いただきたいんですが、繊維質なんですね、アスベストというのは。こういう形で、これ一本、二本という形で数えられます。こういうものは、実は吸い込むと、特に肺とかその近辺の臓器に突き刺さるんです。大量に吸うと、それが突き刺さったままの状態でございまして、二十年から五十年掛けましてこれががんの方にと向かわしめるというような物質でございまして、大変危険性の高いというものでございますけれども。  そして、九ページ目の資料参考にしていただきたいんですが、(資料提示)このパネルでもこういう形で喫煙率が非常に下がっているのは如実に分かりますが、肺がん率、中皮腫というのはこれはもうアスベストしかかからないがんでございまして、この数が年々増えているということがここで見て分かるわけでありますが、こういうことを御覧いただいて、総理、まずアスベスト危険性についてどのような御認識でしょうか。
  6. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 私もアスベストについては、いろいろな機会にその危険性、あるいは家を倒したときの、建物を倒したときのそれを飛散させないためのいろんな作業の大変さとか、そういうものはいろいろな機会に聞いております。  特に、今言われましたように、肺に突き刺す形でかなり時間が経過した後に肺がん等を生み出すということで、既にもう禁止にはなっているはずですけれども相当量がまだいろいろな建物等に残っていると。大変大きな、残されたといいましょうか、課題だと思っております。
  7. 水戸将史

    水戸将史君 民主党も、議連を立ち上げながらいろんな形でいろんな議員の方々が勉強し、またいろんな形で現場を視察をされておりますけれども、このアスベストに関しましては、御案内のとおり去る五月十九日、今年の五月十九日に、大阪地裁が国の不作為、つまり国は知っていながらもその対策を怠ったということでこの不作為責任を認めまして、それで賠償の、被害者に対しまして、そういう形での被害者の方に分があるという判決を下しておりますけれども政府はこれに対して控訴をしたということでございますが、これに関して、官房長官、コメントいただきたいと思いますが。
  8. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) このアスベストによりまして現在健康被害を受けられていらっしゃる方々が大変苦しみながら、今おっしゃられた中皮腫あるいは肺がんということになって、闘っていらっしゃるといいましょうか、大変困難な生活をされていると、これは大変この苦しみは大きいものだろうというふうに考えております。  この解決に際しましては、前提条件として、やはりその被害といいましょうか、そういう苦しい状況にある方も大変多い、多数いらっしゃるというふうなことから、解決が公正で広く国民理解と協力が得られる、そういう解決方法でなければならないと考えておるところでございます。  控訴審では、一審判決で認められなかった国の主張につきまして必要な主張、立証を行って、今後裁判の過程で裁判所がいろんな方針をお出しになると思いますので、そこで議会あるいは国民皆さん方に、このある種苦しい状況で頑張っていらっしゃる方々をどういうふうに国民レベル理解をし、支え合っていくのかということを、そういう観点からの解決をできるだけ早く行いたいというふうに考えて、今、国は国としての主張をしながら解決方策を探っているというところでございます。  今後、一層努力をしたいというふうに考えております。
  9. 水戸将史

    水戸将史君 早期解決に向けて鋭意御努力をよろしくお願いしたいと思っております。  御覧のとおり、アスベストレベル1からレベル3、危険度度合いに応じてこういう区分けをされているんですね。アスベストというのは、もう御存じと思いますけれども保温材とか断熱材防音材に使われる、いわゆる建材ですね、建材に吹き付けたりとかコンクリートに混ぜて、建物のそういう材料として使われているんですね。  レベル1は、これは吹き付け、もうそのまま吹き付けているものでございますので、飛散する可能性があるというのはレベルで一番高い、リスクが高いものでありまして、そのあと、保温断熱材レベル2で、レベル3、一番リスクが少ないと言われているのがこれスレート材というものでございまして、セメントを固めてやるものですから普通でいればこれ飛散しないものでございますけれども、しかしこれが解体作業のときに破砕をした場合には、これは粉々になるわけでありますので、全く吹き付け材と同じような形で空中に舞い飛び散るわけでありまして、非常に、このスレート材につきましては、レベル3というのは、そのままでいればレベル3だけれども、しかし状況が違えばもうレベル1に近いような、そうした危険性を伴うものとしてクローズアップされているわけでありますけれども厚労大臣、このスレート材につきましての危険度合いにつきましてどのような御認識でしょうか。
  10. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) このアスベストにつきましては、含有しているそのレベルによって1から3ということで今お話がありました。その1から3の3のレベル、割と吸い込むのが少ないんではないかと、こう言われている、比較的飛散しにくいこのスレートについてはレベル3と、こういうことになっておりますけれども、そこで、一部にしか義務付けのようなことをしておりませんけれども、しかしこれはなかなか委員が御指摘のように危険だと、こういうことでございます。  私どもも、このレベル3の場合でも被曝をする可能性が大変高いこともありますから、これについては、この作業についてこれから少し実態調査も進めていきまして、その結果を踏まえまして、これに対してのしっかりした取組をやろうということで今進めているところでございます。
  11. 水戸将史

    水戸将史君 よりそれを加速度的に進めていただきたいと思っております。  資料十ページ目と十一ページ目を御覧いただきたいと思うんですが、アスベストはほとんど輸入に頼っているものでございまして、十ページ目は、これは日本輸入した量のものを時系列的にグラフに表しましたものを使わさせていただいております。大体一千万トンぐらい全体で輸入をしておりますね。で、二〇〇四年にすべてのアスベスト製造使用禁止になりましたものですから、ここで一応ピリオドということになっております。  十一ページ目は、イギリス、ドイツの事例も含めてなんですけれども、中皮腫、先ほどグラフでも申し上げましたとおり、アスベストによってどの程度の方々がお亡くなりになられたということでございまして、こういう形で推移しているわけでありまして、先ほども申し上げましたとおり、二十年から五十年間の潜伏期間があるんですね。ですから、アスベストを一回吸い込んでも五十年後にがんにかかって死ぬという、そういうようなものでございますものですから、ますます日本の場合はこのグラフのものは上昇をたどっていくことが容易に予測されるわけでございまして。  そういう中において、先ほど総理もおっしゃっていたとおり、昔は製造とか生産現場アスベストを使った場合にそれを吸い込んだ人たち被害があったんです。しかし、今はこれを解体する作業ということで、解体する場所において、先ほどスレート材等々を破砕した場合にそれが舞い飛び散るという、解体作業現場においてのアスベスト危険性があると。  で、後ほど申し上げますけれども、第三次の被害といたしましては、いわゆる建設材リサイクルをして、そして再生砕石という石に固めるんですね。ここにアスベストが混じっていて、これが例えば公園とか駐車場現場にまかれている。それが劣化して粉々になってしまって、その地域の方にこれが飛散してしまうというような状況が想定されるわけでございまして、ますますこれに関して監視体制を強化していく必要があると思っております。  こういう一連の流れにおきまして、特にこれからの中においての解体作業、特にこのアスベストを使ったものが二〇二〇年から二〇四〇年の間において、一般住宅にも使われておりますものですから、こういうところにおいて解体作業に入ってくるわけであります。  そういう中において、より一層こういうものに関しての解体作業現場に対しての注意を喚起をしていく必要がありますし、もっともっとこれに関しましてのシステムを行政としてもちゃんと業者に働きかけていく必要があると思うんですけれども国交大臣、これに関してどのような取組をされていこうと思いますか。
  12. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 委員の御指摘の二〇二〇年から二〇四〇年、ここにかけて建物償却期限がちょうど到来して除却が増えていくということを考えますと、その時期におけるこのアスベストを含む建材解体時にどのような形で処理されていくかということは極めて重要であると考えております。  これ、解体時は、私ども所管する法律の中で建設リサイクル法というものがございまして、そこでは、こうしたアスベストのような有害物質含有の有無の調査、これがまず義務付けられておりまして、さらにこの除去、これも義務付けられております。そして、こうしたものが再生砕石などに混じらないようにということで、この区分の分別、これもしっかりと義務付けられているんですが、これが実はこの九月に、再生砕石アスベストを含んでいるということが報道で上がりました。  これに対しては、委員の御懸念の点というのは私どもも大変憂慮しておりまして、環境省、厚労省とこれを御相談申し上げて協議して、都道府県関係機関通達を発出しております。解体現場での分別、これをまず徹底するようにと、除去分別徹底するようにということで通達を出しました。さらに、春、秋に一斉パトロールということで、これは自治体にも要請をしております。解体現場をパトロールしていただくと。  こうしたことを進めながら、解体工事の中で飛散は当然ながら防ぐ、砕石のところもこれも混入しないようにということで、更に徹底をしてまいりたいと、このように考えております。
  13. 水戸将史

    水戸将史君 是非徹底化を図っていただきたいと思っております。  そういう中において、先ほど若干申し上げましたとおり、第三次災害と言われているような形になりますが、再生砕石という、いわゆる建設材リサイクル法にのっとった形で使うわけであります。元々、もちろんこのスレート材は使っちゃいけないんです。そのまま廃棄しなきゃいけないんですけれども、それが混入している、混入される可能性もある、危険性もあるということでございますものですから、この再生砕石に関しまして、もっともっとちゃんとした実態把握とか、どういうところにばらまかれているのか、どういうところにその混入経路があるかということを、私はちゃんとそのルートも行政として知る必要があると思うんですけれども環境大臣、この再生砕石に関しましてのこれからの監視体制をどうしていくおつもりか、お答えください。
  14. 松本龍

    国務大臣松本龍君) お答えいたします。  アスベストにつきましては、今月の初めにたまたまテレビを見ておりましたら、三十年前に亡くなったあのスティーブ・マックイーンが中皮腫で亡くなったと聞きました。今、二十年—五十年と言われましたけれども、五十歳でありました。それだけ予後が悪いということで、大変な重要な御指摘だというふうに思っております。  再生砕石につきましては最上流で見ていかなければならないということで、一部の解体リサイクル現場においては管理が不徹底であることから、コンクリート等資材アスベスト付着、混入して、そうした資材材料にして、原料にして再生砕石製造されています。これらが駐車場等で利用されている例があることが今問題になっていると思います。  混入防止のためには、解体現場において建設リサイクル法に基づく特定建設資材アスベスト等有害物質を含む建材付着、混入することがないよう、今おっしゃいましたけれども分別解体徹底すること。また、破砕施設においてアスベスト含有産業廃棄物再生砕石等リサイクル製品に混入することがないよう、廃棄物処理を行う際には廃棄物処理法に基づく処理基準を遵守することが必要であると思います。  なお、現在、更なる利用実態といいますか実態把握のために、再生砕石製造する破砕業者について各都道府県を通じ実情を把握しているところであり、調査結果を踏まえて適切に対処してまいりたいと思います。  また、アスベストが混入した再生砕石リスクについては、複数の専門家によれば、アスベストが混入した再生砕石が敷かれた駐車場等利用者周辺住民アスベスト暴露による健康リスクは極めて低いと考えられているところでありますけれども、しかしながら、やっぱり今おっしゃったように住民の不安の声もあることから、関係自治体と連携をして、必要な現場大気環境測定を実施して、健康リスクを引き起こすほどのアスベスト飛散が起こっていないことを確認すること等によって住民の不安の解消に努めてまいりたいというふうに思っております。
  15. 水戸将史

    水戸将史君 そもそも、この日本の社会においてアスベストに対するリスク基準値がちょっと甘いんじゃないかという気がしてならないんですね。  先ほど写真でもお見せしましたとおり、一リットル当たり今の日本基準繊維質が十本以内だったら大丈夫だよというふうにしているんです。しかし、もう既に二〇〇〇年から今に至るまで、いろんな調査機関がありまして、WHOとか米国環境保護庁とかいろんなところでこのアスベスト危険性につきまして調査しております。それによると、日本のこの一リットル当たり十本以内というものは、これはあちらの方に言わせればそれ十倍から百倍のリスクがあるというようなことをもう既に調査としてこれを公表しているわけですね。  ですから、私は、このアスベストの問題をこれからいろんな形で各行政機関が連携してやっていくならば、まずそのリスクに対する基準を、基準値というものをもっともっと厳しく見直していく必要があると思うんですけれども環境大臣、これに関しての御認識をよろしくお願いいたします。
  16. 松本龍

    国務大臣松本龍君) お答えいたします。  大気汚染防止法に基づく作業基準徹底を今図っているところでございますし、アスベスト大気汚染防止に努めているところであります。  なお、先ほどおっしゃいました駐車場等々の問題が発生したことを踏まえて、一層これから努力をしていかなければならないと思っております。必要な科学的、技術的知見集積等についてこれからも取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  17. 水戸将史

    水戸将史君 本当にこれに関してはもう深刻、余り私も不安を増幅するつもりはございませんけれども是非具体的にかつ計画的に取り組んでいっていただきたいと思っております。  最後の項目になりますが、就職活動、いわゆる就活と言われているものについて若干何点かお伺いしたいと思っております。  総理総理は、ずっと過去を振り返っていただいて、大学卒業するそのときに就職活動をされた経験があるのか。今の、よく早過ぎる就職活動戦線と言われておりますけれども、これについてどういう御認識をお持ちなのか、自分の経験に照らしてお答えいただきたいと思っております。
  18. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 私が卒業するころは割と景気がいいというか、理系に対する募集もたくさんありました。  ただ、私はちょっと自分で、多少変わった道というと変ですが、考えまして、弁理士という仕事に就きたいと思って、弁理士会に電話を掛けてだれかを紹介してくれと言って、一般的な大学の募集とは別のルートで、まあ結果的にある事務所に紹介を受けて入ることになるわけですが、それも卒業が遅れたりして一年間また待ってもらったなんという、そんないろんなことがありまして、余り一般的な就職活動ではなかったかもしれません。  ただ、最近本当にいろいろ若い方の話を聞いていると、四年生になるというよりは三年生のかなり早い段階からもう就職活動を、少なくともそちらに神経が相当行っているということを聞きますし、また逆に言えば、新卒者の現在の就職決定状況、大変厳しい中にありまして、そういう点では二つの点で問題があると思います。  一つは、余りにも早い就職活動の開始が、ある意味で勉強にしろ学生生活にしろ、しっかりしたそういうものが十分できないということが一つと、もう一つは、言うまでもありませんが、新卒者が就職できないというのは、社会に出た途端から何か居場所がなくなってしまうということで、ここは何とかしなければいけないということで今全力を挙げております。例えば、ジョブサポーターという形で学校に行って、いろんなところのミスマッチといいましょうか、特に中小企業などの募集をお伝えする。あるいは逆に、今度は企業の側にはトライアル雇用という形でいろんな人を雇ってもらって、その間はかなり財政的にも支援すると、それでその中からいい人はそのまま残ってもらうと。  そんなことを含めて、本当にこの就職活動の面で今年最も力を入れなければならないことの一つだと、こう考えております。
  19. 水戸将史

    水戸将史君 この就職協定というものは、今までも作っては破られ、また作っては破られというイタチごっこの繰り返しでございまして、平成八年でもう廃止になりました。平成九年から倫理憲章というものを各企業間で作っているわけでありますけれども、今、その実態につきまして、文科大臣、どのような状況でございますか。
  20. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 水戸議員にお答えをいたします。  ただいま総理からのお話もございましたとおり、最近の就職活動、採用活動がかなり早まっております。そういう中で、学生にかなりの負担が掛かっておるということからも大きな問題だと認識をしております。  御指摘のありましたように、平成八年度に就職協定が廃止をされ、平成九年度から大学側の申合せと企業側の倫理憲章が、双方が尊重するという形で採用活動が行われております。この申合せ、そして倫理憲章では、卒業年限に達しない学生に対する就職活動は自粛すると、こういう趣旨で明示されておりますが、実際には大学三年又は修士一年から就職活動が行われて、それがかなり長期化しておるというふうに認識をしております。
  21. 水戸将史

    水戸将史君 これは過熱化すれば過熱化するほど、学生に対していろんな悪い意味でのマイナス効果があるということになると思いますけれども、文科大臣といたしましては、学生がどのようなマイナス効果が生じてしまうのかということをどう御認識されていますでしょうか。学生さんが、これが過熱化することによってどのようなマイナスになるかということです。
  22. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 御指摘の点でございますが、いわゆる企業説明会への参加、あるいはエントリーシートの提出、そしてまた面接も複数回というところがございます。例えばそういうことで、本当ならば海外に留学して勉強したいんだけどと思っても、もし自分がいないときにそういうタイミングを逸したらということで留学をしないという声もたくさん聞いておりますので、そういうところで私は社会にとっても大きなマイナスではないかと思っております。  したがって、我々としては、既に私の就任早々も総理の指示もございましたが、経済界においても、また大学においてもそれぞれ面談をいたしまして、学生の就業力の向上、そして企業におかれましても、卒業三年は新卒扱いにしていただく、そして就職・採用活動をできるだけ遅らせていただくと、こういうことを私の方からも努力をする。もちろん、関係省庁としても連携を取って取り組んでおるところでございます。  なお、来週二十二日にも、改めて産業界、経済界、それから大学側、そして政府のこの問題に対しての協議の場を持つことにいたしておりますので、そういう場を通じてこの問題の解消を図っていきたいと、このように思っております。
  23. 水戸将史

    水戸将史君 文科大臣、もう結論まで話してしまいまして、議論が続かなくなってしまいますので、後ほどまた聞きます。  それで、一番最後のページの資料をお開きいただきたいんですけれども、これは諸外国との差なんですね。諸外国がすべていいというわけではございませんけれども日本は突出してこういう形で高い数値が出ているというのは、もう一目見て、御覧いただければお分かりのとおりでございますが。  本当にいろんな、大臣が今いみじくもおっしゃっていただいたとおり、もちろん大学四年生もそうでありますけれども、短大生は二年間しかないんですね。入学して、その年の秋からもう就職活動ということでございまして、もう短大生、二年間はほとんど就職活動のために大学行っているようなこともありますものですから、この就職活動の早期化というのは非常に問題になっていると私も考えております。  そもそも、日本のいわゆる今までの採用に関しましては日本独自のシステムがございますし、また新卒、いわゆる大学卒業生のみを対象にした一括採用なんですね。これがいろんな意味で波紋を投げかけているわけでありますけれども、諸外国を見ると、学生がやはり大学時代に学業をいろんな形で学ばれ、専門知識を身に付けて、そういうものを企業の採用の基準としていわゆる適切な評価がされれば、もっともっとこの採用の在り方も変わってくるのではないかという気がしているわけでありますけれども、こうした環境をつくっていくことに関しまして、厚労大臣、これからどういうような取組をしていったらいいかと思われますでしょうか、お答えいただきたいんですけれども
  24. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) まず、就職状況が大変悪くて、今度の、来年の三月卒業生が就職内定率が五七・六%と大変悪くなっておりまして、これに対して、本当に早くまず内定をさせてあげるような、そういう活動をしっかりやっていきたいというふうに思っております。  先ほど総理も言われましたように、まず、今ハローワークでしっかり、ジョブサポーターなども含めまして就職のお世話をしておりますから、是非まずは、私は決まっていない方がハローワークにまずおいでをいただきたいというふうに思っております。  それから、先ほどの、今までの日本の慣行が、卒業時に一括採用して、それがあとはもう新卒だけを採用していくというような、そういうこれまでの習慣が日本にあるわけですね。だから、そこをやっぱり変えていかなければ私はいけないんじゃないかというふうに思っております。  そのためには、卒業しても、既卒者に対しても新卒と同じような採用の仕組みを企業の方にも取っていただかなければいけないと、こういうことで、今度、そういう雇用対策法の基準というのも私の方で変えまして、青少年雇用機会確保指針というのが雇用対策法の中で決めなければいけないとなっておりまして、そこの中に、三年までの既卒者の人も新卒採用で採用するようにと、こういう指針を掲げました。したがって、これを全部通知もいたしまして、企業にもそのような形で採用していただくようにお願いもしております。  そういうことで、これまでの日本の慣行も変えまして、就職がしやすいようなそういう体制に持っていかなければというふうに思っております。
  25. 水戸将史

    水戸将史君 よろしくお願いしたいと思っております。  既卒者、いわゆる卒業して二年、三年たった方ということになりますが、いわゆる就職浪人というのは、御案内のとおり、新卒というと大学卒業生しか対象にならないわけでありますので、就職できない方はあえて一年間留年して、そして就職先を探すというようなこと、そういうことまでしているわけですね。  ですから、今厚労大臣がおっしゃったとおり、既卒者に対してどんどんいろんな形でサポートしていくような体制。しかし、これは是非、それを採用する企業がいれば積極的にこれを公表していくべきだと思うんですよ。それについて是非コメントをしていただきたいと思うんですけど。公表、発表する、そういう企業名を発表すると。
  26. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) ちょっと趣旨がよく分かりませんが、あれですか、企業を公表するということは、そういうふうに採用……
  27. 水戸将史

    水戸将史君 既卒者を採用した企業は優良企業だということで。
  28. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) それは、そもそも制度そのものももうつくっておりまして、既卒者三年までの方をトライアル雇用していただければ、そのトライアルの三か月間十万円ずつ支援をして、そして正採用になったらまたそこにも支援金を出すというような今そういう事業もやっておりまして、そしてそういうことを企業にやっていただいておりますので、そういうより既卒者を採用してくれる企業は公表したらどうかと、こういうことですから、それは検討をしていきたいというふうに思います。
  29. 水戸将史

    水戸将史君 是非、積極的にそういうシステムで採用する企業は優良企業ということで、やっぱり一つの位置付けを政府としてもお認めいただきたいと思っております。  最後になりましたけれども、文科大臣に最後にもう一度決意をおっしゃっていただきたいんですが、もちろんこの新卒の早期化も問題なんですけれども、これは長期化するんですね。大体今は大学四年生の四月から五月にかけて内々定が出るわけです。しかし、内々定が出てもなかなか、もっともっと探そうということで、結局一年半ぐらい就職活動する学生がいっぱいいるわけなんですね。もう長期化も更にこれ深刻化しているというような状況でございますものですから、是非大学側からしても、いわゆる進路指導に対してのサポート強化をしていただきたいと思っております。  そして、昨日の新聞にも載っておりましたけれども、貿易会、商社を中心とした貿易会も率先してやっていこうと、なるべく早期化を避けていこうじゃないかと、既卒者もなるべく採用していこうというふうに言っているわけでありますけれども、しかし、これは経済界全体の賛同が得られない場合は導入を見合わせるということでございまして、自分たちはこぶしを上げたけれども、賛同してくれなければこれはやめるよということになっていますので、是非、貿易会を中心かどうかは別といたしましても、この辺についてみんなが賛同するような環境をつくっていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。御決意を。
  30. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 御指摘ありましたように、商社関係でも今そういうふうな動きになっていることは私は非常に喜ばしいことだと。更にこれが広がるように、経済界、産業界、このように私たちもこれからも要請をしていきたいと思いますし、同時に、就職をするということは、やっぱり経済活動が大事ですから、この補正予算もツーステップ、また来年度の予算も第三ステップと、こういうことございますから、我々としては経済の活性化に向けての対策もきっちりしなきゃならぬと思っております。  今後とも、新卒者、あるいはまた大学やあるいは産業界の皆さん方とも十分連携を取りましてしっかり対応してまいりたいと思っております。
  31. 水戸将史

    水戸将史君 よろしくお願いします。  私の質問は終わりまして、金子議員に引き継ぎたいと思います。  ありがとうございました。
  32. 前田武志

    委員長前田武志君) 関連質疑を許します。金子恵美君。
  33. 金子恵美

    金子恵美君 民主党・新緑風会の金子恵美でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず冒頭、この国の農業を憂える多くの国民の皆様の声をお届けしたいというふうに思います。  自由貿易は農業の発展をなくして進めるべきではございません。農業の強化、そして農業者の心をしっかりと受け止めながらの御検討を慎重に進めていただきたいというふうに思ってございます。  そしてまた、人の移動というものを考えていかなくてはいけないわけでございますが、先ほどから雇用の問題についても質問がございましたが、やはり介護や看護の労働者、この方々の処遇の改善なしで、またTPP、いろんな交渉が行われていくという、そういうところでの懸念もございます。しっかりとその辺のところも含めまして取り組んでいただきたいということを申し上げさせていただきたいと思います。  そして、今日は、実は最初に御用意させていただきました質問が雇用対策ということでございましたが、先ほど来、若者の雇用対策につきましては水戸議員の方から御質問がございました。しかし、私の方でも少し申し上げさせていただきたいところがございますが、先ほど細川大臣の方からも御指摘のありました来春の卒業予定者、大学生の方々の就職の内定率というのが、十月一日の現在で前年度比四・九%減の五七・六%であるという調査の結果が出てございます。これは一九九六年の調査が始まって以来の最低の記録というふうになってございますし、また短大生も、前年比でございますけれども六・五%の減、これは二二・五%の内定率でございます。大変低い状態になってございますので、やはりこれはしっかりとした取組が必要であるというふうにも思いますし、今現状は若い人たちに光が当てられていないということでございます。  ここでまずは総理大臣にお伺いさせていただきますけれども、これからのこの取組、先ほど来もうお話はしていただいております。これはもう強い御決意という形で一言いただければと思います。
  34. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) まず、私自身、雇用、雇用、雇用ということで、雇用というものが日本経済、特に今のデフレを脱却する上では極めて大きなキーになると、このようにまず基本的に考えております。それに加えて、今、金子議員のお話の新卒者の問題は、ある意味では、初めて社会に出る、出たときに仕事がないという状況は、社会の中で居場所がなくなるという、大変私はそういう意味でも大きな問題があると、こう思っております。  そういった意味で、新卒者雇用のために特命チームもつくっておりまして、今ありとあらゆることでできることをやろうと。多少、最近、何といいましょうか、話題になり、あるいはいろいろ電話などが掛かっているのが二つあります。  一つはジョブサポーター、これはハローワークから各大学とか各専門学校に人が出ていって、そしていろいろ、特に中小企業など、余り著名ではないけれどもこういう企業があるんですよということを伝えていく、このサポーターの数も倍増させました。これには、あのサポーターに是非話を聞かせてもらいたいというようなことで注文が来ることも出ていると聞いております。  それからもう一つは、逆に企業側に、中小企業などの場合に、採ってはみたけど本当に大丈夫かなというようなことでちゅうちょがあります。そこで、トライアル雇用をしたところにはきちんとしたまさにそれに対するフォローをする。  そういう形で、何とか、新卒者が社会に出たときに自分たちの仕事があるという状況をこれからも全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
  35. 金子恵美

    金子恵美君 ありがとうございます。  同じ御質問になりますが、もう先ほども細川大臣の方からはございましたが、改めて強い御決意をお伺いさせていただきたいと思います。
  36. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 総理からもお話がありましたように、学業を終えて、そして社会に出ようとしたときに仕事に就けないということは、本人にとっても大変残念なことでありますし、これはまた社会にとっても国家にとっても大きな損失だというふうに思っております。したがって、今内定率が大変厳しい、低い、そういうことを解消するために厚労省としてもしっかりやっていかなければというふうに思っております。  そのために、特に私の方から都道府県の労働局長に対して求人の開拓などについて緊急の指示をいたしました。そしてまた、一昨日ではありますけれども、各都道府県の労働局の担当の者を集めまして、これまたしっかりした指示をいたしました。  私どもとしては、ジョブサポーターを倍増、更に増やしますけれども、そういう手当てとか、あるいはまた新卒ハローワークの窓口もつくりまして、また都道府県に新卒就職応援本部というのをつくりまして、企業も大学も労使一体となって就職を応援をすると、そういうのもつくってやっております。したがって、まだ内定がされていないどうぞ学生の人はハローワークに是非来ていただきたい、ハローワークに来て御相談をいただいて、ジョブサポーターの皆さんと一緒になって就職活動をしていただきたいというふうに思っております。  厚生労働省としてもしっかりやっていきたいと思います。
  37. 金子恵美

    金子恵美君 御決意を賜りました。  そして、今手厚い対策をしていくということで、若い人たちにもしっかりと光を当てたいというようなことではございますが、そこで、実は、こういう景気の低迷の中、あるいは雇用の大変不安定であるこの時期に、やはり例えば日ごろ社会的に弱い立場に追いやられてしまっている障害のある方々、この方々にも大きな影響があるということが考えられるというふうに思います。  十月の二十九日には厚労省調査を発表されましたが、調査といいますか障害者雇用状況の集計結果というものを出されておりますが、民間企業の障害者の実雇用率、六月一日現在で一・六八%というふうになってございます。御存じのとおり、障害者雇用促進法によりますと、民間企業の皆様には法定雇用率一・八%というものがございます。ですから、一言で言えば、いまだにこれは未達成ということでございます。調査は五年連続で過去最高を更新しているというようなことは言っていますけれども、やはり未達成は未達成。しかも、私は、この法定雇用率自体も一・八%というのは大変低い設定ではないかというふうにも思ってございます。  ですので、今後、この障害のある方々、すばらしい能力をお持ちの方々がたくさんおいででございます。この皆様方の力をやはり活用するそういう仕組みも必要であろうかというふうに思いますが、この件につきましてのお考えを細川大臣にお伺いさせていただきます。
  38. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) この法定雇用率が一・八%でありますけれども、まだ達しておりません。ただ、この雇用率も年々上がってはきておりまして、平成二十二年六月一日現在では一・六八%となりまして、これは過去最高の雇用率になっております。  しかし、それでも、もちろん一・八%には届いておりませんし、この法定雇用率に達している企業が四七%というもう半数以下でございますから、そういう意味で、新成長戦略というもの、これにしっかり数字も入れまして実雇用率を一・八%に達成するということで掲げておりまして、私どもとしてもしっかり取り組んでいきたいと、こういうふうに認識をいたしております。  ただ、これからこの雇用率達成に向けまして、達成率にまだ届いていない企業、これに対して私どもの方からしっかり指導をまずやっていかなければというふうに思っております。  障害者の対策といたしましては、ハローワークが中心となって関係機関と連携をいたしまして就職支援を行うということ、それからまた、就職をして、その後、事業所に訪問もして、どのような形で、職場に定着ができるようなそういうこともちゃんとやっているかどうかと、こういうことも点検もいたしまして、細やかな支援をしていきたいというふうに思っております。
  39. 金子恵美

    金子恵美君 ありがとうございます。  助成金や奨励金というそういうそれぞれの制度もしっかりと活用していただく。そしてまた、就職はしたけれどもやはり職を離れざるを得ないという、そういう環境に置かれてしまったという人たちの声も聞きます。やはり、職場では合理的な配慮という考え方を持って、必要なものは必要、必要な環境整備をするというようなことも御指導をしっかりといただきたいというふうに思ってございます。  この障害者雇用につきましては、実は政府税調に、企業減税で、正規雇用化、あるいは育児支援につながるそういう減税、あるいは障害者雇用にもつながる企業減税を検討されているプロジェクトチームが立ち上がって、検討が進められているというふうに伺っているところでございます。  このような減税、極めて重要なことだというふうに思いますが、今のそのPTでの検討状況はどのようになっておりますでしょうか。PTの座長でいらっしゃいます五十嵐財務大臣、お願いいたします。
  40. 五十嵐文彦

    ○副大臣五十嵐文彦君) お答えをいたします。  金子委員指摘のとおり、雇用促進等プロジェクトチームがつくられておりまして、その中では三本の柱がございますが、ただいまのところ、成長企業の雇用増を促進をする税制、そして障害者の雇用促進のための税制、環境面に配慮したグリーン投資税制などを三つの柱として鋭意検討を進めているところでございます。
  41. 金子恵美

    金子恵美君 今検討を進めていただいているということでございます。  繰り返しになりますが、企業側を支援をしていく、こういう情勢の中でございますが、そういう形で環境整備をしていく、そしてそれを雇用促進につなげていくということでございますので、これには大きな期待をしているところでございます。しっかりと取り組んでいただいて、そしていい結果を出していただければというふうに思ってございます。  是非、一般企業において障害のある方々の能力を発揮していただきたいという思いでいるわけでございますけれども、障害のある方々にはやはり様々な分野において平等な機会を得ることができる、そんな社会づくり、そんな社会を我々はつくっていかなくてはいけない、そのための制度改革をしていかなくてはいけないというふうに思ってございます。  もちろん、一般就労だけではなくて福祉的就労を目指している多くの方々もおりますし、また、生きていくために、より良く生きていくために、あるいは社会参加をするために福祉的なサービスが必要である方々もいます。現状、残念なことに、悪法であります自立支援法、この下で、サービスを得れば得るほど負担が大きくなるという、そういう応益負担というような仕組みの中で大変多くの障害のある方々が苦しんでいるという状況でございます。まずは、こういうことを私たちは直していかなくてはいけない。  この中で、実は障害のある方々からは、国連の障害者権利条約ございますけれども、このスローガンでもあります私たち抜きで私たちのことを決めないでほしい、そういう声が大きくなっているところでございます。それに対応するために、我々は障がい者制度改革推進本部を、内閣総理大臣が本部長であるというこの仕組みをつくり上げました。  このボードを見ていただきたいと思いますが、(資料提示)まずは、内閣の中にあります障がい者制度改革推進本部、総理大臣をまず本部長としまして、そしてすべての国務大臣で構成されているという仕組みでございます。そしてまた、今後この中で一番の課題になりますのが、もちろん、この今申し上げました障害者権利条約の批准に向けた国内法の整備ということでございまして、また、その下では障がい者制度改革推進会議、これは障害者の当事者の方々を中心として構成されているわけでございますが、様々な分野、様々な検討課題について今まさに検討が進められているということでございます。既にこの推進会議の下には総合福祉部会もあると。総合福祉部会の中では、自立支援法に代わる新しい法制度、サービスをつくっていこうという動きもあるわけでございます。  こういった中で、是非総理に、障害者制度改革、これからどのように取り組んでいくのかということを、その御決意というものをおっしゃっていただきたいと思います。
  42. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 社会の中でそうしたハンディキャップを持たれた方がいかに普通の人たちと同じような生活ができるかというのは、その社会の持っている基本的な強さというのか優しさというのか、そういうものをある意味で表すバロメーターのようなところもあると、こんなふうにも感じております。  今、障がい者制度改革推進本部、私が本部長ということでありますが、その下における改革推進会議、さらには、今も御指摘のあった各部会等を通して具体的ないろいろな改革の課題が打ち出されていると聞いております。そういった意味で、障害の有無にかかわらず、相互に個性の差異と多様性を尊重して人格を認め合う、そういう共生社会をつくり出していきたいと、このように考えております。  本年六月二十九日に障害者制度改革推進のための基本的な方向について閣議決定をした以降、先ほど申し上げた推進会議で定期的に議論がスタートをして、年末をめどとして第二次意見の取りまとめを目指していると聞いております。また、関係府省において、六月二十九日に閣議決定がなされて、その工程表に沿って改革の着実な実施が図られていくものと承知いたしております。  私自身、障害者の方、いろんな障害者がおられますけれども、知的障害の方がかかれた絵が国際的にもいろいろと注目されていて、そういった支援も行う中で、非常に可能性を持った人たちがたくさんいると。その可能性を生かして本当に共に生きていく、そういう社会を目指して頑張りたいと思っております。
  43. 金子恵美

    金子恵美君 ありがとうございます。強い御決意をちょうだいいたしました。是非しっかりと取り組んでいただきたい思いでおります。  六月の七日にはこの推進会議の下で第一次意見を取りまとめたところでございまして、その中では、まずは工程表というのが示されたわけでございますが、二十三年度に障害者基本法の改正法案を国会に提出する、そして二十四年には障害者総合福祉法、仮称でございますが、これは先ほど申し上げました障害者自立支援法に代わる法律になるわけですが、これを国会提出するといったスケジュールも示されているところでございます。  まずは、岡崎大臣にお伺いします。この推進会議の意義、そしてまた、この工程表に沿った改革の実行が強く望まれている中、この改革は着実に実行されるのか、そのことについてお言葉をちょうだいできればと思います。
  44. 岡崎トミ子

    国務大臣岡崎トミ子君) 金子委員にお答えいたします。  障害者制度改革に当たりましては、障害当事者が構成員の過半数を占めております障がい者制度改革推進会議におきましてこの議論をしっかりと尊重して進めていくことが大切であるというふうに思っております。私も推進会議に出させていただいております。  そして、金子委員指摘のとおり、推進会議の第一次意見を最大限尊重して、政府の「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」、六月二十九日に閣議決定をされました。この中に工程表が示されておりますので、この工程表に沿って着実に改革を進めてまいりたいと思います。  具体的には、障害者基本法、この改正案を来年の通常国会に提出をし、また平成二十四年度におきましては障害者総合福祉法案を提出することを目指しておりますけれども、その法案の検討につきましては、推進会議あるいはまた総合福祉部会の意見をしっかりと踏まえていくことが必要であるというふうに考えております。また、障害者基本法の改正案につきましては、改革の推進を担う審議会組織、これをしっかりとつくりまして、これも含めて検討していきたいというふうに思っております。  今後とも、一人一人を包摂する社会を実現する内閣といたしましては、障害者制度改革、これを着実に進めてまいりたいと思っております。
  45. 金子恵美

    金子恵美君 ありがとうございます。  大変力強いお言葉をいただきまして、この推進会議の重要性について今お話をいただきました。この推進会議、先ほども申し上げましたけれども、障害者当事者の方々の声がしっかりと届いているのかという、そういう御懸念もいろんなところであるわけですので、やはりこの役割としては障害者施策の旗振り役、そして牽引役として存在しているわけですので、これからもこの機能を更に大きくしていければというふうに願っているところでございますが、この機能の強化という点では様々な考え方もあると思います。  今回、制度についてはこれはいろんなところでの審議がなされている、検討がなされているということでございますが、今回の補正予算の中で障害者自立支援対策臨時特例基金というものがございます。その積み増しが三十九億円ということでございまして、これを含めての四十九億円の障害者福祉関係予算が今回計上されているということでございますけれども、実際に厚労省は、このような経費を計上する、予算を上げる段階でもこの推進会議、大変重要な役割をしているわけですけれども、ここにきちんと情報を提示する、そしていろんな意見を聞いているのか。つまり、障害のある方々の意見が反映された形で予算づくりもできているのかというところをお伺いさせていただきたいと思うんです。  もしそういう仕組みになっていないのであれば、私は、やはり制度について検討をするということは、予算が伴っていくわけですので、予算についても、繰り返しになりますが、きちんと情報を提供していく、そしてまた意見をいただいていくという、そういう仕組みが必要ではないかと思いますが、岡崎大臣、いかがでしょうか。
  46. 岡崎トミ子

    国務大臣岡崎トミ子君) 委員指摘のとおり、障がい者制度改革推進会議は本年一月から障害者施策の推進に関する議論を行いまして、その第一次意見を最大限に尊重して、そして政府は六月に障害者改革推進のための基本的な方向についてを閣議決定をしております。繰り返しになりますけれども、この推進会議、閣議決定、示されました改革の工程表に沿って障害者基本法の改正に関する議論を行っているところですが、御指摘の点につきましては、これまで検討の中で推進会議は必ずしも各省庁から予算内容のヒアリングを行ってはおりませんでした。  しかし、会議の運営やあるいはまた進め方自体につきましては、推進会議、意見をしっかりと踏まえる、そして改革の個別の論点を示して各関係省庁からヒアリングを受けると、そういうような形にはなっておりまして、必要な情報をしっかり受ける、そして関係省庁と緊密に連携することが大切だというふうに思っております。  今後とも、金子委員の御指摘も踏まえまして、推進会議の皆さんの意見をしっかりと尊重して、そして関係省庁から情報を提供してもらう、そういう形で着実に進めてまいりたいと考えております。
  47. 金子恵美

    金子恵美君 ありがとうございます。  実は、その推進会議の下に福祉部会があるということを申し上げまして、そしてそこにまた作業チームも設置されているということでございまして、またこれがそれぞれの課題についてしっかりとした検討を進めるということでございますが、そこでやはり心配になっているのが、事務局体制が大丈夫なんだろうかということでもあります。障害のある方々、当事者がこの中で本当に自分たちの意見を申し述べさせていただきたいんだという、そういう願いからできたこの推進会議、そしてそれぞれの部会、そしてまた作業チームでございますので、それがしっかりと機能するようにお願いしたいというふうに思います。  今申し上げました補正予算、障害者自立支援対策臨時特例基金積み増しということでございます。これは、新体系サービスへの移行に必要となる施設改修や設備の充実を推進というふうにあります。  まずは最初にお伺いさせていただきます、確認をさせていただきます。悪法である障害者自立支援法、これは廃止という方向でよろしいのでしょうか。厚労大臣、まずお伺いさせていただきます。
  48. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) この障害者自立支援法につきましては、本年六月の閣議決定に示されたとおり、これは廃止をする予定でございます。
  49. 金子恵美

    金子恵美君 今現在、今回の補正予算でございますけれども、新体系サービスへの移行というのは、今廃止を決められております障害者自立支援法の下での新体系へのサービス移行でございまして、これが平成二十四年三月までに移行せよというような形になっております。  私たちは今、総合福祉法というこの自立支援法に代わるそういう法律を作っていこう、サービス法を作っていこうと障害のある方々とともに進んでいるわけでございますけれども、一方で、このような形で自立支援法の新体系への移行というものが目指されるということ、こうなったときにやはり現場では混乱が起こっているのではないかと思いますが、この件についてお考えをお伺いしたいと思います。
  50. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 今、この自立支援法の下で新体系移行が進められております。その内容というのは、障害のある方が一日中施設の中で生活するのではなくて、昼夜の生活の場を分離などを図って自ら選んでサービスを組み合わせて生活ができるように、そういう考え方で進めているわけであります。  そこで、それではこの障がい者制度推進会議の中でどういう形でこういう点が進められているかといいますと、障害のある方が自ら選択する地域へ移行すること、移行後も安心して地域で暮らすことができるよう支援することは、障がい者推進会議の中でも最重要な課題として提言をされておりまして、この六月の閣議決定にもされているところでございます。  したがって、総合的な福祉制度につきましては、現在、今推進会議で設置されております総合福祉部会、ここで議論されておりまして、そういう今の現自立支援法の中での新体系への移行も、しっかりそこは次の総合部会で議論を踏まえまして、混乱のないように移行をしていくという、そういうふうに考えております。
  51. 金子恵美

    金子恵美君 今ほど混乱がないようにしていくというようなお約束をいただいたわけですが、この新体系への移行ということについて、実は私は障害者自立支援法は早く廃止をしなくてはいけないというふうに思っておりますので、なかなかこの新体系サービスに移行してくださいというお勧めをし難いところはございますけれども、実際にどういう移行率になっているかということを申し上げますと、四月一日現在、これも厚労省の方から七月に発表された障害者自立支援法による障害福祉サービス移行状況調査というものでございますけれども、移行した事業所の割合は五四・二%ということでございます。つまりは、四五・八%の事業所はいまだに移行できない状況にあるということでございますけれども、その移行しない理由、移行していない理由は、旧体系でぎりぎりまで様子を見たいということもありますし、報酬の増減が読めないということで、つまり、移行後の将来の運営に対する不安というものが見られるわけでございます。  この新体系移行後の利用者方々、あるいはその収入の確保という点ではどのような形で対応していくのか。混乱はないようにするということではありましたけれども、確認をさせていただきたいと思います。大臣、お願いいたします。
  52. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) その点につきましては、新体系へ移行した福祉サービス事業所が必要なやっぱり収入をきちんと確保して安定的に経営ができるということは、利用者の安心そしてサービスの質を確保するということで、これはもう本当に大事なことだということで、私どもの方としては、このために事業者への支援と、そういうことで都道府県に設置した基金がございますので、これによって、この新体系に移行するときの設備の改修だとかいろいろあると思います、そういう改修や増築のときにはきちっと財政支援を行っているということでございます。  さらに、今回の補正予算につきましても、新体系へ移行する場合に必要となる改修等については既存の基金の財源では不足するということも見込まれておる、そういう都道府県もございますので、そういうことにも備えまして、都道府県の執行状況を踏まえまして基金の積み増しをいたしまして、それで事業者が新体系へ移行する、そのための一層の支援というのをしっかりやってまいりたいというふうに思っております。
  53. 金子恵美

    金子恵美君 ありがとうございます。  障害者制度改革の推進のためのその基本的な計画、先ほどもおっしゃっていただきましたけれども、六月二十九日閣議決定、この中では、いわゆる福祉的就労の在り方について、労働法規の適用と工賃の水準等を含めて、推進会議の意見を踏まえるとともに、障がい者制度改革推進会議総合福祉部会における議論と整合性を図りつつ検討し、平成二十三年度内に結論を得るということでございます。  そして、障害者総合福祉法、仮称でございますが、この制度設計に当たって、私も今日は雇用のお話から入らせていただいておりますので、福祉的就労を含めましてサービス体系の再編ということはあり得るのかどうか、そして、あるとするのであれば、何度も繰り返しになりますが、ころころ様々な制度が変わることによってやはり障害のある方々に対しての負担が大きくなってはいけないということでございますが、再び混乱が生じないような形にしていただきたい。このスムーズな移行のための丁寧な対応が必要だと思いますが、お考えを伺いたいと思います。大臣、お願いします。
  54. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 制度設計につきましては、これは部会の作業チームの方でいろいろと検討をしていくと、こういうことでございますけれども、この新たにつくられます総合的な福祉制度におきますサービス体系につきましては、利用者、事業者共に混乱が生じるということがないように、円滑にサービスが実施をされていくようにと、これは私どもとしてはしっかり検討してやってまいりたいというふうに思っております。
  55. 金子恵美

    金子恵美君 ありがとうございます。  先ほど来申し上げているんですけれども、私たち抜きで私たちのことを決めないでというその声にこたえずして、今までもし様々な障害者政策というものが進められていたとしたらば大変悲しいことでございますが、先ほど厚労大臣の方からもおっしゃっていただきました障害者自立支援法の廃止ということで、それに我々は進んでいるわけでございますが、今回、障害者自立支援法の改正案ともいうべき法案が十七日、衆議院の厚生労働委員会に委員長提案で提出され、可決されております。  この動きを見て、本当に自立支援法は廃止されるのだろうか、新しいサービス総合福祉法はどうなるのだろうか、やはり大変心配されている全国の障害者の皆様方がいらっしゃるのも事実でございます。もちろん、次の総合福祉法ができるまでのつなぎなのだということでの御説明ではあります。しかしながら、この立法府にいる我々自身も、様々な法律を改正するあるいは制度をつくっていく段階で、どの段階においてもやはり障害のある方々の声を聞いていくということが重要なんだと思います。それが先ほど来言われている制度改革推進会議の意義、役割の本当に根本にあるものだというふうに思ってございます。  この件につきまして、細川厚労大臣、御見解をいただければと思います。
  56. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 昨日ですか、国会の衆議院の方で可決をされましたけれども、これは政府が提案した法案ではなくて議員立法で可決をしたものでございますけれども、これは内容的には総合福祉法が成立するまでの経過的な法律だと、こういうふうに私ども認識をいたしまして、そういう意味では、決して、これまで政府が方針を決めております、自立支援法の廃止をして総合的な福祉政策をしっかり打ち立てるということについては、一切変わりはございません。
  57. 金子恵美

    金子恵美君 ありがとうございます。  悪法である自立支援法は廃止する。ありがとうございました。  それでは、次の質問に行かせていただきたいと思います。新しい公共でございます。  新しい公共について質問をさせていただきますが、まず、これは新成長戦略、二十一の国家戦略プロジェクトの一つともなってございまして、まずこちらの方のパネルを見ていただきたいと思いますけれども、新しい公共という概念がなかなか国民の皆様にも御理解をいただいていない部分があるのではということで、このような図を作ってまいりました。  これまでの公共、左側にございますけれども、官、行政が担ってまいりました。新しい公共は、市民そしてNPO、企業、公益法人、そして地域にこれまでも様々な活動でおいででいらっしゃいました地域の組織、その皆様方が協働して公共サービスをつくり上げていくという、こういう仕組みでございます。  この新しい公共は、鳩山前総理が第百七十三回国会の所信表明で提唱されたものでございますし、またさらに、菅総理は就任直後の所信表明演説で、やはり一人一人を包摂する社会の実現を目指す、その社会を目指すためにはこの新しい公共が不可欠であるという、そういう御認識を示されているところでもございます。  鳩山前総理の下では「新しい公共」円卓会議も設置されまして、その中で「新しい公共」宣言というのも出されておりまして、この「新しい公共」宣言に基づいて各府省は行うべき施策を取りまとめて来年度予算の概算要求に盛り込んでいるというようなことでもございます。そしてまた、現在は、十月の二十七日に円卓会議の後継組織が菅総理の下つくられておりまして、そして新しい公共についての推進が進められているということでございます。  市民団体の御出身でもある菅総理、新しい公共、この推進に当たって今後どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  58. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) この新しい公共という概念は、初めのうちは言葉も含めてやや定着が不十分だったわけですが、鳩山前総理の下でいろいろなことが行われて、かなり定着してきたのかなと思っております。  私、市民運動、いろいろなものにかかわってはきましたけれども、そのころは余りこういう言葉は使われていませんでした。共通性はもちろん非常に深いわけですけれども、つまりは、従来は公共というと何かそれこそ官のものといいましょうか、つまりは行政が公共で、あとは民間とか個人とかというものが一方にあるということであったわけですけれども、今や公共を行政だけが独占する時代は終わって、多くの分野で、まさにこの絵にかかれたように、市民、企業、NPOなどが取り組む、また取り組んだ方がいいところが増えてきていると思います。  やはり、一つの、私の中でのきっかけの一つに感じられているのは、やはり阪神・淡路のあの大きな震災の後のボランティア活動などがあり、また最近では、私の住んでいる近くに、三鷹市というところでは学校を軸としたいろいろな地域の活動がかなり定着をいたしております。  そういった意味で、従来、市民運動というと、どちらかといえばややテーマを持って要求するという、そういうイメージが強かったわけですけれども、この新しい公共につながっている運動を見ておりますと、まさに生活している地域の中から自分たちで公共のいろんな問題を担っていこうという、そういうことにつながっているんじゃないかと、こう感じております。
  59. 金子恵美

    金子恵美君 ありがとうございます。  そして、もう一枚のパネルを見ていただきたいと思います。それぞれの、国民の皆さんも含めまして、またあるいは市場、企業もそうですけれども、左の図を見ていただきますと、まず新しい公共の芽に栄養を与えているという今の状況でございます、様々な支援策を講じていくと。そして、その芽が樹木に、大樹に成長をしまして、そして新しい公共社会の中で公共サービスが提供されるということになっていきます。  その中では、国民の皆さんはやっぱり寄附やあるいは参加、投資というような形で、様々な形で参加していく。そして、あるいは企業も同じように社会性の重視ということで寄附や参加支援もしていくと。そして、このような形で共に新しい社会をつくっていくんだという、このイメージをつくらせていただいております。御感想があればお伺いしたいというふうには思うのですけれども。  先ほどの図に戻りますと、NPOがやはりこれからは、市民に最も身近なところにある、存在している組織としてはこの新しい公共の担い手となっていくのではないかというふうに思ってございます。  実際にNPOは現段階四万団体もあるということでございますが、それぞれのNPOは、このNPOの制度上、大変規模を大きくしていくという状況にはなってございませんで、もちろん運営資金に窮する、そういうところもあるというふうに聞いております。ですので、ここでできればNPOを育てるということも、担い手を育てるということで重要な課題であろうかというふうに思ってございますし、NPOに資金あるいは寄附というものがやはり流れていくような仕組みというものも重要になっていくわけでございまして、そういったところからこの寄附税制の見直しというものが課題になっているというふうに思ってございます。  この件につきまして、今政府の税調の中で市民公益税制PTがございますが、この中でも、今申し上げましたNPO税制について、関連税制については議論がされてきているということでございますので、現在のこの検討状況につきまして野田財務大臣にお伺いさせていただきたいと思います。
  60. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 認定NPO法人に係る寄附税制の在り方あるいはその認定要件の見直しについて、委員指摘のとおり、政府税制調査会の下に市民公益税制プロジェクト・チームをつくりまして、本年四月に中間報告書をまとめさせていただきました。その中間報告書の中に盛り込まれたもろもろの政策を実現をするために、新しい公共の推進会議あるいは党の中にできている新しい公共調査会、こういうところと連携をしながら、今具体的な制度設計が最終的な大詰めのところへ来ているというふうに思っています。  特に、税については草の根の寄附を大きく推進をするための税額控除の導入であるとか、あるいは認定要件の見直しについてはパブリックサポートテストの見直しであるとか、そういう議論がございますが、いよいよ最終的な取りまとめ段階に来ているということでございまして、委員の表現を借りるならば、新しい公共の芽に栄養を与えようという動きを今着実に進めているということでございます。
  61. 金子恵美

    金子恵美君 ありがとうございます。  今回、補正予算の中にも、NPO等が自ら資金調達し、自立的に活動することが可能となるよう環境整備を進めるとして八十七・五億円の予算が盛り込まれているということでございますが、この前提としては、やはり政府が現在、今大臣からおっしゃっていただきましたこのNPO法人制度や寄附税制の改革というものがしっかり進められなくてはいけないということだというふうに思っております。是非この抜本改革を進めていただきまして、NPOに、あるいはNPO等に、あるいは市民の皆様方が活動しているそういう組織に栄養をしっかりと与えていただければと思っているところでございます。  今申し上げました補正予算で新しい公共の自立的な発展を促進するための環境整備ということでございますが、玄葉大臣にお伺いさせていただきますが、実際にどのような環境整備をしていく制度設計になっているのか、お伺いさせていただきます。
  62. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 金子さんの質問にお答えをしたいと思いますけれども、先ほど菅総理が新しい公共の概念についておっしゃっていただきました。  私は、新しい民主主義をつくる、そのくらい大きな概念だとも思っています。昨日、林委員からもお話がありましたけれども、お上依存から、むしろこれからは人に役立つ幸せというのを自らつくっていこうじゃないか、そういう社会をつくる。できるだけ、今、金子さんがおっしゃったようなNPOあるいは企業も住民の皆さんも共助の精神で公共的な活動に参画をしていただけるような、そういう環境をつくっていく。結果として、居場所ができたり、出番ができたり、きずなができたり、そういう日本の社会をつくっていきたいということなんですね。  今、野田大臣から、金子さんからの質問に答えて、税制を何とかしていくと、こういうお話がありました。例えば、金子さんの出身、まあ私の出身でもありますが、福島県は実は認定NPOたった一つですよ。四万あるうちのたった一つしか税制上の優遇措置受けれてないんですね。ですから、この基準をやはり緩めていく、これは必要なことだと私は思いますし、同時に税額控除方式も取り入れていくということだと思います。  昨日も林委員からもお尋ねがあったその予算なんですけれども、どうして補正に計上するんだと、こういう御指摘も実はありました。ただ、これは各都道府県に言わば二年間という暫定で取崩しで基金として置いていただくと。今まさに金子さんがおっしゃったように、自立的に活動してもらいたいんだけれども、やっぱり後押し必要だと。  具体的に申し上げると、例えば各都道府県に一億とか二億の基金が行きます。それで、資金が足りない、そういうNPOがあるとおっしゃいましたが、まさにつなぎ融資の利子補給をそこでしてあげるとか、昨日も申し上げましたけれども財務諸表の作り方のための専門家を派遣するとか、あるいは寄附の集め方も正直分からない、そういう団体もたくさんあるのは実態だと思います。ですから、そういったノウハウをそういった都道府県の基金を活用してつくって後押ししていくということをすれば、そういった新しい公共の担い手も助かるのではないか。活私豊公の社会をつくろうと。滅私奉公もいいけれども、私を活用して、得意分野を活用して公を豊かにするという活私豊公の社会をつくれれば、これからの新しい日本の姿が見えてくるのではないか、そう思います。
  63. 金子恵美

    金子恵美君 今のこの行政の基金というものを設立して、そしてそこにこの交付金を出していくというような仕組みだということなんですけれども、例えば行政がこの基金の運用をするということになるわけなんですけれども、そういうことになると、その行政の意向というものが組織に押し付けられるという形にならないかということが大変懸念されるところではないかなというふうに思いますが、その辺のところはいかがでしょうか。
  64. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) まさに金子さん御自身がそういったNPO活動とか市民活動をされてきて直接お感じになられていることなんだろうというふうに思います。そういうサジェスチョンもございましたので、この基金はまさに行政が引っ張るんじゃないと、そっと後押ししてあげるようなそういう体制づくりをしなきゃいけないと。つまりは、それぞれの都道府県専門家人たち現場人たちで運営委員会をつくってもらって、その運営委員会はやっぱりみんな透明にする。政策プロセス、決定プロセスも透明にする。もっと言うと、NPOも情報公開をしっかりしてもらわなきゃいけない。  それで、これいつも申し上げますけど、二年の暫定なんで、二年でやっぱり自立をしていただくと。二年後は相当の認定NPOを始め新しい公共の担い手が広がっている、そういう姿にしていきたいと、そう考えております。
  65. 金子恵美

    金子恵美君 NPO支援ということですので、NPOにできるだけ多くの方々が寄附をする仕組みというのをつくっていかなくてはいけないというのが課題になっているわけですけれども、一方では、アメリカやイギリスや、つまり欧米諸国と違っていて寄附文化がなかなか我が国には存在していないのではないかという、そういう御議論もあるわけでございます。  しかし、この国家戦略プロジェクトとしての目標は、二〇二〇年までに例えば国民の自発的な寄附の流れをGDP比五倍から十倍にするというふうにおっしゃっています。なかなかこれをここまで引き上げるというのは難しい話ではないかとも思うのですが、戦略がおありであればお伺いしたいと思います。
  66. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 通告がなかったので用意をしていたわけではありませんけれども、確かに全くおっしゃるとおりで、アメリカが多分GDPの二%ぐらいあるんですね。日本は〇・〇二%ですよ。この寄附文化の大きな違いをどうするかと。  これは、やはり野田政府税調会長にも頑張っていただいて、私も会長代理なんですが、税制上の措置をやはりしっかりやる。今所得控除しか認められていませんけれども、やはり税額控除というのをきちっと認めていく、そういうところから始まっていくのが私はよいと思いますし、五倍から十倍という姿は決して絵空事ではない、十分可能だと、そう思っておりますので、寄附文化を育てる、そのための環境をやっぱりみんなでつくっていく。もっと言うと、企業もすごく新しい公共の担い手として大事なんで、そういったいわゆる社会的企業のようなものもどんどん育てていくということが大切かと思います。
  67. 金子恵美

    金子恵美君 ありがとうございます。  NPOについて言えば、私も先ほどおっしゃっていただいたようにNPO活動には参加をしてきてまいりましたけれども、やっぱりその活動自体の透明性や信頼性ということで改善すべきところもそれはあるだろう、そして、それにしっかりと取り組まなくてはいけないというふうにも思っておりますし、今おっしゃったように、企業がどのような形で社会貢献をしていくかといった点では、やはりその社会性の重視ということで、先ほどもパネルでお示ししましたけれども、寄附という形での社会貢献もあるというようなことをやはり意識的にお持ちになっていただければということだと思います。ありがとうございました。  そして、この新しい公共との関連で、もう一回ちょっとお見せしたいと思うんですが、私はこの新しい公共のイメージの中に総合特区構想というものを入れさせていただきました。  まず、この「新しい公共」宣言、先ほど申し上げましたけれども、この中ではこういうふうに言われています。特区などを活用して社会イノベーションを促進し、地域コミュニティーのソーシャルキャピタルを高める体制と仕組みを、関係各省庁の壁を乗り越えて政府一体となって整備促進することの重要性、これが述べられているということで、来年度に向けましてこの総合特区制度の創設が今検討されているところでございまして、今政府の方で検討されているこの総合特区は、構造特区との大きな違いといえば、やはり地方公共団体だけでこの認定申請をするのではなくて、地方公共団体とそして企業やあるいはNPO等民間が一緒になって協議会をつくって、計画を作成して、そして総合特区というこの中で様々なサービスというのを進めていくという仕組みだろうと思いますので、そういった点では、やはりこの新しい公共の担い手を創設するという位置付けにこの総合特区があるのではないかというふうに私は理解をしているところでございますが、片山大臣、御所見をお伺いしたいと思います。
  68. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 新しい公共というのはいろんなイメージがあると思うんですが、私は、一つのイメージとして、これまでのようなお役所とか税金とかお役人を介さないで公共空間を創出する、公共機能を運営するということは一つのイメージだと思うんですね。もちろん、行政を排除するということは必ずしも絶対ではなくて、行政も一つのパートナーといいますか、一人の対等のプレーヤーとして加わることは当然予想されるんだろうと思います。  そういう意味で言いますと、総合特区というのは、今おっしゃったように、その新しい公共というもののイメージにかなりそぐうことになり得ると私も思います。総合特区といいますのは、その地域の資源でありますとか、それから自主性とか創意工夫とか、そういうものを持ち寄って地域を自分たちの意思でもって運営しようという、そのためには、規制の緩和でありますとか、それから金融でありますとか税制でありますとか、そういうものをしつらえていこうということでありますから、非常にフィットするものだと思います。  現に今、総合特区でいろんなアイデアが出てきておりますけれども、その中には、NPOでありますとか、それから公益法人でありますとか、もちろん民間企業でありますとか、行政以外のそういう主体がかなり積極性を持って登場しつつありますので、そういう意味では、議員がおっしゃったように新しい公共の担い手になり得ると私も思います。
  69. 金子恵美

    金子恵美君 ありがとうございます。  限られた時間でございますので、新しい公共についてはまだまだ御質問したいところもございますが、次に移らせていただくのですが、その前に、やはりこの新しい公共は国家戦略プロジェクトの一つ、そしてまさに、一人一人が居場所と出番があり、人に役立つ幸せを大切にする社会の実現のために必要であるということでございますので、一丸となって取り組みたいと私も思っております。よろしくお願いいたします。  次の質問に行かせていただきます。また引き続きまして片山大臣にお伺いすることになりますが、地域主権改革に関連した質問をさせていただきたいと思います。  まず、その前に、地域経済、地方財政についての現状認識ということでお伺いさせていただきますが、まずは地域経済、海江田大臣にお伺いさせていただきます。どのような状況になっていますでしょうか。
  70. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 金子委員にお答えをいたします。  この七—九月期は日本全体でかなり景気が上向いていました。猛暑でありますとかあるいはエコポイントなどの効果がございました。ですからそういう、地域経済は部分でございますから、地域経済も比較的上向いていたんですが、ただ、やっぱり円高の影響、あるいはエコカーはもう既に九月で切れました。ですから、例えば東海でありますとか中部でありますとか中国地方でありますとか、こういうところの生産が落ち込んでおります。  それから、やはり一番大きな問題は、委員先ほど冒頭にお話ありました雇用の問題でございますね、これが相変わらず大変厳しい状況にある。委員の地元であります東北地方などでは七—九月期でも五・四%ぐらいですか、失業率が。全体で七—九月は五・一%、それより高いと。それから、九州、沖縄も大変高いと。こういう状況がございますから、まだまだ地域の経済は大変厳しいというのが私ども認識でございます。
  71. 金子恵美

    金子恵美君 続きまして、地方財政をめぐる現状認識につきまして片山大臣にお伺いします。
  72. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 国の財政が非常に厳しいということは大前提でありますが、地方財政も大変厳しい状況にありまして、例えば交付税特別会計で三十三兆円を超える借金があるとか、それから自治体に独自の借金もありまして、本当に多額の、巨額の借入金を抱えております。これが今の地方財政の厳しい原因であります。  そこで、地方財政対策をしっかりやらなきゃいけないという一つの文脈があるわけですけれども、それだけでは結局その構造問題は解決しないと私は思います。やはり、よって来る原因は何かというのを分析しますと、それぞれの自治体で、これは大変失礼ですけれども、きちっと歳入と歳出のバランスを取るというその一番の基本的なメカニズムが必ずしも作動していない。その結果が歳出膨脹になってきたということは私は否めないと思います。一番の自治の基本は負担分任といいますから、歳出が増えれば税率は上がるというところで、そこが抑制のメカニズムになるんですけれども、必ずしもそれが作動していなくて税率は一定のままというのがあります。  もう一つは、国が景気対策自治体に随分協力をしてもらいました。多額の借金を自治体に慫慂するといいますか勧めて、それについて後でフォローすると言っておきながらなかなかフォローができなくて、挙げ句の果てに平成十六年などは大幅に交付税を減らしてしまったというようなこともありまして、そんなことが幾つかの理由であります。  これらをよく顧みて、これから一歩一歩自治体の財政が自立的に動くようにしなければいけないと私は思います。
  73. 金子恵美

    金子恵美君 ありがとうございます。  地方の再生のために、あるいは地域の活性化のために今回の補正予算に含まれています地域活性化交付金、とても重要なものだというふうに思ってございます。この具体的な制度設計についてお伺いします。片山大臣、お願いします。
  74. 片山善博

    国務大臣片山善博君) この度の補正予算に計上しております地域活性化交付金三千五百億円であります。  今回は少し新しい試みを設けておりまして、従来型と言うとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、従来、自治体が主としてハード事業に使う、地域の活性化、地域の振興に使うものが二千五百億円用意されておりますが、残りの一千億円というのは少し従来とは違いまして、これまで自治体行政の分野で非常に重要な分野なんですけれども必ずしも光が当たってこなかったという分野があります。従来、国が補正予算を組みますと、公共事業とかハード事業にはいろいろ金が投じられるんですけれども、例えば消費者行政でありますとか、DV被害者自立支援でありますとか、自殺予防でありますとか、図書館でありますとか、そういういろいろ重要だけれども光が当たっていない分野がありました。そういうところにこの度は少し、一千億円でありますけれども、力を入れて、自治体の皆さんに是非頑張っていただきたい、こういうものを今回しつらえているところであります。
  75. 金子恵美

    金子恵美君 この住民生活に光をそそぐ交付金、しっかりと活用していただければなと思うんですが、反対に、なぜ今まで行政分野がこの部分に光を当ててこなかった、取り組んでこなかったかという、そういう課題があろうかと思います。つまり、自治体がどのようにそのニーズ把握、地域のニーズ把握ができているかということで、その辺のところもしっかりと検討をしていかなくてはいけない、検証していかなくてはいけない部分ではないかというふうに思ってございます。  そこで、今回、この光をそそぐ交付金に今おっしゃったような地方消費者行政やDV、これなどを入れた理由というのをお伺いさせていただきたいと思います。
  76. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 自治体にはいろんな課題がありまして、その課題をいろんなルートを通じて吸収することになります。それをやりますのは地方議会であったりそれから公選の首長であったりするわけですけれども、私も自治体の長をやっておりましたが、やはり地域で見ますと、政策課題について非常に大きな声で政治に反映させるルートを持っている方々もおられますし、逆に声が非常に小さくてなかなか反映しにくい、そういう方々もおられます。  つい、やっぱり人間というのは声の大きいところに耳を傾ける、そういう傾向なきにしもあらずでありまして、やはりそういうことがあるとすれば、政府の政策として、こういう機会に声の小さいところにも光が届くように自治体にいま一度注意をしてもらって、そういうところに目を向けていただけるという、そういう一つの政策はあってもいいのではないかということで、こういう政策を盛り込んだところであります。
  77. 金子恵美

    金子恵美君 それぞれの自治体の中にある課題に耳を傾けることからのスタート、それがニーズ把握というものにつながっていくということでございますが、地域主権改革を進める上では、それぞれの地域性というもの、独自性というものをしっかりとかんがみまして、そういった上で行政サービスをつくり上げるということではありますが、一方ではそれが差異あるいは格差となってはいかないかというような懸念もあります。その辺のところ、どのようにお考えであるか、片山大臣、お伺いします。
  78. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 地域主権改革といいますか、従来、地方分権改革と言っておりましたが、要するに、その地域自治体の自由度を増す、自主性を高めるということになりますと、おのずからこれはもう差が付きます。差が付かないようにしようと思いましたら中央集権ですべて国が決めるということになりますけれども、それではいけないということで地域主権改革をやりますとおのずから差が付きます。  その差をどう考えるかということだと思いますけれども、私は、必要な行政分野の水準が上がることで格差が付くのは、これはもうしようがないと思います。例えば、私も経験がありますけれども、国の基準は四十人学級、例えば小中学校は四十人学級、私のところ、私のところって、私がかつて知事をしていたところでは当時三十人学級に小学校一年生なんかしました。これをいけないと言われると、やはりそれはもう何もできないことになるわけで、こういう格差はいいと思うんです。ただ、これを五十人学級にするのはどうですかという話になるとやっぱりそれは困るという話になりますので、国が一定の必要な行政については最低ラインといいますか、ナショナルミニマムを決めて、その上で自治体の自由度を発揮してもらうと、こういうことが必要なんではないだろうかと思います。  今、例えばDVなんて言いますと、一応国の最低ラインといいますか、必要な行政の水準というのは国が補助金を出したりしてやっていますけれども、私なんかは不十分だと思いますから鳥取県では随分力を入れました。そうすると随分差ができます。そうすると、逃げるなら鳥取県なんて言われて随分たくさん逃げてこられましたけれども、それでも私はそれでいいと思いました。  そういう意味で、その水準を、必要な分野の水準を上げる競争をする、そういう意味での地域主権改革は私は大いに推奨すべきではないかと思っております。
  79. 金子恵美

    金子恵美君 ありがとうございます。  今おっしゃっていただいたように、本当に地方の声に耳を傾ける仕組みであるとか、しっかりとやはり今、現政権だからできる、そういう改革というものをしっかりと取り組んでいただきたいということをお願いしまして、実は少し通告させていただきました質問を残しましたけれども、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございます。
  80. 前田武志

    委員長前田武志君) 関連質疑を許します。友近聡朗君。
  81. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 おはようございます。民主党の友近聡朗でございます。  本日は、冒頭、夢のある明るいお話を二つほど御質問させていただきたいと思います。  まず一つ目は、ワールドカップの話題についてです。  皆さん、今年の夏、ワールドカップが開催されました。優勝した国を皆さん覚えているでしょうか。スペインです。優勝した国は忘れても、日本の代表の大活躍は皆さんの脳裏に焼き付いていることと思います。  実は、十二月二日の、ちょうど二週間後でありますが、国際サッカー連盟、FIFAの理事会で二〇一八年そして二二年のワールドカップの開催国が決定します。そして日本は、二〇二二年のワールドカップ招致に向けまして日本サッカー協会を先頭に招致活動を展開しているところであります。国会の中でも議連を立ち上げまして、顧問に衆参の両院議長、歴代総理を迎えて、超党派でどの政党も大賛成でバックアップしていこうというような体制ができたところであります。  今もアジア大会が開催されておりますが、私はやはりスポーツの力はすごいなと思います。国そして地方へのアイデンティティー、そして、感動する、涙する、共感する、まさに人生そのものが詰まっていると思います。そして、スポーツの力というのは数字にも実際表れています。先般のワールドカップ、カメルーン戦四五・二%の視聴率、オランダ戦四三%、そしてデンマーク戦四〇・九%、ベスト十六のパラグアイ戦は五七・三%。放送した民放は開局以来の最高記録を達成いたしました。政治もこのぐらい皆さんに関心を持っていただかなければいけないと私も身の引き締まる思いであります。  文部科学大臣、高木大臣、FIFAワールドカップ招致に向けまして、これまでの政府取組について御紹介をお願いします。
  82. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 友近委員にお答えいたします。  お話がありましたように、友近議員は殊更の思いがあると思っております。私も国民とともに今年のワールドカップサッカー、感動をいただきまして、非常に励まされた一人でございます。  そういう意味で、二〇二二年のワールドカップの招致に向けて政府取組といたしましては、まず、招致活動支援の閣議了解を平成二十一年の十二月に行っております。その後、招致委員会への参画、文部科学省としても全面的に支援をすることにいたしておりますし、政府保証書等の発出も既に行っております。また、FIFA視察団が来日をされました。これについても協力をしておる。また、在外公館においても招致情報の収集について取り組むことを要請をしております。七月のFIFA調査団の来日の際は、総理官邸におきまして菅総理主催の夕食会を行い、総理から直接、政府の熱意をお伝えをしたところでございます。  一昨日公表されましたFIFAの評価レポートにおいても、日本政府が大会の開催に必要な諸条件を整備する意欲を有しておることについて、高い評価をいただいております。  超党派の招致議連の皆さん方も一致協力をして頑張っていただいておりますし、こういったところとも連携をいたしながら、十二月の一日にスイスで行われる最終プレゼンテーションが成功するように、私ども委員指摘のとおり全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  83. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  こちらに日本サッカー協会が作成しましたワールドカップの招致ポスターがあります。(資料提示)表紙にはツーハンドレッドエイト・スマイルズと、二百八の笑顔と書かれてあります。  菅総理、通告しておりませんけれども、この二百八の意味について、どんな意味だと思うでしょうか。思い付くままで結構ですので、お答えください。    〔委員長退席、理事森ゆうこ君着席〕
  84. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 多くの国際会議で百八十とか百九十という数字が出ますけれども、この二百八という数字、世界のサッカー連盟、FIFAに加盟している国の数だと、そのようにたしか友近さんから教えてもらった覚えがあります。
  85. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 大正解でございます。二百八というのは、世界中のFIFAに加盟している国の数を表します。国連の数が百九十二でありますから、国連をもしのぐワールドワイドな団体が、まさにFIFAに加盟しているということになります。すべての人々が民族、文化、言葉の壁を越えて感動と喜びを分かち合う、これが皆さん、ワールドカップ、言わずもがなでございます。  ちょうど二〇〇二年のワールドカップから二〇二二年、二十年がたちます。そのときにあの日本の感動や熱狂、世界と触れ合うダイナミズムを肌で感じた若者が、まさに日本の中核を担っていく時代であります。今不景気や閉塞感でさいなまれている現代の若者たち、何か未来への希望をプレゼントできないのかと、私自身思います。そして、ワールドカップの開催が、とかく内向きだと言われる今の若者たちに世界に目を向けるきっかけになっていただきたいとも思います。  総理、これから十二年後、二〇二二年、どのような日本になっているか、あるいはどのような日本になってほしいのか、二〇二二年ワールドカップの招致に向けた総理の御決意をお願いいたします。
  86. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) まず、私もこの半年間といいますか、こういう立場でいろいろ世界から来られる方とまず一番話を切り出すときにさきのワールドカップのことでありまして、我が国は十六のうちに入ったけれども実は正確には九番目だと言って、つまりは最後はペナルティーキックでありましたから、そういう話題をその相手の国が何位だったかをちゃんとよく事前に調べて話をすると、大変話が盛り上がり、その後の関係も非常に良くなっております。  また、今おっしゃったように、やや日本の若者の姿勢が、例えば留学の数などを見ても非常に少なくなっている、世界に羽ばたくという、そういう気分がややシュリンクしてしまっているように思います。  そういう点で、まさに今おっしゃったように、最も世界で広がりを持つサッカーというこの大会を我が国で開くことによって、単にお客さんが来てもらうというだけではなくて、世界に逆に飛び出していく一つの勇気とそういう感動をもたらして、若い皆さんの、私も高校たしかあれは三年生のときに東京オリンピックで、校庭から上を見たら自衛隊のジェット機が五輪のマークを描いてくれたのを今でも目をつぶらなくても見えるんですけれども、そういうような一つの感動を若者に与えて、その後の日本の、元気な日本をつくっていくきっかけになったと言われるようになりたいし、私も全力を挙げて招致に努力をしていきたいと思っております。
  87. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  菅総理がとてもサッカーに詳しいので、私びっくりしました。  PK合戦というのは次に進むために行うわけで、公式上は引き分けという扱いになります。その意味で九位というのが日本の正しい順位になるというのも、また皆さんに御紹介させていただきたいと思います。  ちょうど開催地決定まであと二週間でありますけれども、まさに探査機「はやぶさ」のようにワールドカップを持ち帰ってもらいたいと、私自身も力いっぱい応援させていただきたいと思います。  二つ目はその宇宙開発についてであります。  先日、「はやぶさ」が持ち帰った微粒子が小惑星イトカワのものだったということが発表されました。約千五百個の微粒子だそうですが、小惑星の物質を世界で初めて持ち帰るという快挙を成し遂げました。この微粒子の大きさはわずか〇・〇一ミリ以下だというふうにお伺いしております。まさにこの〇・〇一ミリの中に国民の、そして人類の大きな夢が詰まっていると思います。  ただ、私、「はやぶさ」に代表される学術的な分野に比べると実用あるいは利用面での遅れが目立つのではないかと感じています。例えば、九月に準天頂衛星というのが、一号機、初号機の打ち上げが成功しました。しかし、実用化には二号機、三号機、一号機だけでは二十四時間のサービスができない、八時間しかもたないと、二十四時間サービスするためには二号機、三号機、そして四号機の打ち上げが必要だとお伺いしております。  海江田宇宙開発担当大臣、宇宙開発を進めていくことによって一体国民の皆さんにどんなことができるようになるのか御紹介いただきたいのと、宇宙政策をこれからどのように進めていこうとしているのか、御説明をお願いします。
  88. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 宇宙の問題を取り上げていただきましてありがとうございます。  私も、菅内閣経済財政ということは承っておりましたが、実際にこの職を与えられまして、その中で宇宙担当大臣というのが入っておりまして私は大変喜んでおります。光栄に思っております。そして、この宇宙の開発政策でございますが、ただ、私は最近自分で自己紹介をするときに、宇宙開発だけじゃありませんで、宇宙の開発利用政策担当大臣と呼ぶようにしております。  それは、今まさに友近委員からお話がございましたけれども、たしかに今度の「はやぶさ」の快挙に見られるように、学術の面ではこれはやっぱり世界に冠たる日本の宇宙開発でございます。ところが、実際の利用になりますと、やはりそこはアメリカでありますとかあるいはロシアでありますとか、最近はインドも大変力を付けてきている、それから中国もそうでございます。ですから、そういうことで、本当にまさにこれから利用の面で世界に伍していく、あるいは世界のトップに達していく、そういうような心構えで頑張っているところでございます。  この宇宙の戦略の本部長は菅総理でございまして、そして、先ほど御指摘のありました「はやぶさ」、それから今度は準天頂の衛星でございますが、これは一号機は打ち上がりましたけれども、残念ながらまだ二号機の予定が立っておりません。これをなるべく早く打ち上げるようにこれから鋭意努力をしていくところでございます。
  89. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  中国は今年だけで三基の衛星を打ち上げるともお伺いしております。まさに日本も開発から今大臣がおっしゃいましたように利用へと変わっていかなければいけないというふうに思います。  海江田大臣、先月の毎日新聞の取材に対して自ら初代宇宙庁長官になりたいというふうに語っておられますが、日本に欠けているのはまさに私、推進主体だと思っております。  ちょうど二年前、野田財務大臣も御尽力いただきまして宇宙基本法というのが成立されたことと思います。その附則の中にこう書かれてあります。宇宙開発利用を総合的かつ一体的に推進するための行政組織の在り方についての検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとあります。  海江田大臣、推進主体の機能も備えた組織の成立を検討すべきと考えますが、大臣の御見解をお聞かせください。
  90. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) お答え申し上げます。  初代の宇宙庁長官がだれになるかは、まあこれはだれでもよろしいわけでございますが、やっぱり今の宇宙の開発利用につきましては、友近委員も御案内のように、いろんな省庁にまたがっているわけでございますね。気象の観測はもちろんこれ気象庁になりますし、それから偵察衛星というのはこれは内閣の官房でございますが、防衛省もいろんなデータをもらっているというようなこともございまして、各省庁にまたがっておりますので、これを統一しまして、先ほどもお話をしましたけれども、宇宙戦略本部がございまして、菅総理がいて、そして私がその下で調整役をしているということでございますが、各省にまたがっておりますそのいろんな弊害もやはりございますので、そこは統一的な形で政策が決められて、そしてそれが実施をされるという形になるのがよろしいかと思っております。  ただ、時期につきましては、各省庁にまたがっているだけにその調整が大変でございまして、今その調整をしているところでございます。
  91. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  現在の所管の文部科学省ともスクラムを組んで是非積極的に進めていただきたいと思います。  菅総理、宇宙開発は国家にとって重要な分野であると思います。財政的な制約はもちろんありますけれども、宇宙開発を総合的かつ一体的に推進するための速やかな整備をすべく、総理のリーダーシップの下で検討を急ぐべきだと思いますが、総理の御見解をお聞かせください。
  92. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 実は、この宇宙開発の本部も含めて私が本部長を務めているのが大体三十近くあります。  なぜこんなことになったのかということを調べてみますと、かつて省庁を再編させてスリムにしようというねらいは良かったんですが、そのときに幾つかのものを全部内閣府に担当させて、そして本部の形になっています。  ただ、実際には、その事務局を調べてみると、例えば、かつて二つの役所がばらばらで担当していたものを一つにしたはずなんですが、事務局にはそれぞれの二つの役所から出向的な形でメンバーが来ていまして、その上に座っている大臣は、今大臣の数も十七名と限られていますので、海江田大臣にもいろいろなそういう担当をしてもらって、その上に総理がいるというような形で、率直に申し上げまして、意図は良かったんですけれども、なかなか機能しにくい形になっております。  これ今、政治主導法案そのものの中には大臣の数の問題は入っておりませんけれども、副大臣の数を増やす等が内閣府についてはかなり出ておりますけれども、これは党派を超えて本当に御理解をいただきたいと思うのは、そういう省庁再編のときのある種のひずみが特に内閣府を中心にありますので、それを正していくことを是非これは超党派の皆さんの理解を得て進めたいと思っております。    〔理事森ゆうこ君退席、委員長着席〕  その中で、特にこの宇宙に関してはまさに戦略的に考えなければならないと思っております。かつては宇宙といえば、どうしても軍事的な要素が強かったわけですし、現在でも決してそれが弱まっているわけではありません。しかし、先ほど言われました準天頂衛星などはまさに通信分野における優位性を持てるかどうか、また「はやぶさ」のように、世界で最も、他の惑星から、小さい惑星といえども物を持って帰るなんという、こういう技術を日本が主導できるかどうか、こういった意味では、戦略的な取組として宇宙について大きな力を入れていかなければならない。もちろん財政的な制約は常にありますけれども、少なくともそういう思いをしっかり持って取り組んでいきたいと考えております。
  93. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。今、夢のある明るい話題、ワールドカップの話、宇宙の話、二つさせていただきましたけれども、菅総理がとてもにこやかに答弁していただいたのが私は大変うれしかったです。最小不幸社会というのも私は理解できますが、やはり夢を持っていただきたいと思います。  今、八十八か所、四国の巡礼、菅総理されていると思います。私も石手寺、一緒に行かせていただきました。そのときの菅総理の笑顔がとてもすてきで印象的だったのを今も思い出します。そして、白衣、すげがさ、金剛づえは今も愛媛の方にお預けしているとお伺いしております。そして、四国を回る間にお接待も受けられたことと思います。  今、四国遍路というのは十五万人からあるいは四十万人の方が訪れるとも言われています。観光促進の面、そして地域地域がまさにお遍路を通してつながっていたことを菅総理自身お感じになられたことと思います。  どのようなことを感じながら四国の八十八か所を巡礼されたのか、御感想を含めてお伺いさせていただきたいと思います。
  94. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 二〇〇四年に年金問題で私、代表を辞めまして、その後ちょっと妻が病気をして、その後回復したものですから若干余裕がある状況になりましたもので、私、歩くのは元々好きだったものですから、一度お遍路というものに出かけて自分なりに自分のやってきたことを見詰めてみたいなと、そういう思い、格好よく言えばそうなんですが、簡単に言えば、歩く旅に出てみたいと思って行きました。現在五十三番札所まで歩いておりますが、いつの日にか、命があれば必ず八十八番札所までは歩き切りたいと思っています。  今、友近さんが言われたように、私、この歩くことで本当に多くのことを、何といいましょうか、感じることができました。まずやはり、本当、歩いていると、遠くから手を振っている何か多少お年を召した女の方がいて、行くと、いやあ、あのと言って、もちろん全く知らない方ですが、冷たい何かリンゴとか、あるいはそういうものをたくさんお接待もいただきました。  それから、歩いているスピードが、簡単に言うと一日掛かって大体車で一時間ぐらいの距離ですから、後ろから追っかけてくる人がいるんですね。何か菅というのが通ったみたいだと、じゃ、今ごろあの辺りの寺かなといって、寺から寺へ行くと大体どこかで追い付くものですから、そういう出会いもたくさんありました。  そういう中で、地域のことも、もちろん住んでいる人と同じとは言いませんけれども、車ですっと行くのとは全く違った形で感じることができ、人間の感じも持ちましたし、また山や海のそういう現実の感覚も非常に得ることができました。そういう意味では、私にとっては、自分を発見するというそういう格好のいいことよりも、本当にこの地域人たちの生活を知り、人、人間の温かさを知るという意味では、今でも大変思い出すたびに笑顔が自分でも戻ってくるのが分かりますし、これからも続けていきたいと思っております。  特に、今観光ということを言われましたけれども、私は一番いい一つの観光の在り方じゃないかなと。これは欧米でも巡礼というのがあると聞いておりますけれども、お年寄りはお年寄りなりに、若者は若者なりに、四国を巡ることによって自分自身の場合によったら健脚ぶりをあれするのもいいし、自分自身の何か思いをかみしめてみるのも大変いいことだと、こう思っておりまして、これを聞いている方があったら是非一人でも多く、歩きでも自転車でもオートバイでも車でも、まあヘリコプターで行くというのはさすがに私は余り勧めませんけれども是非お勧めをしたいと、こう思っております。
  95. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  今、四国八十八か所霊場は、四国の四県が共同で世界文化遺産の登録の要望書も提出しました。是非とも菅総理、またお時間ができましたら、四国に来ていただきたいというふうに思います。  それでは、次の質問に入らさせていただきたいと思います。  実は、八十八か所のほかにもう一つ四国には八という数字があります。こちらのパネルを御覧いただきたいと思います。国土のミッシングリンクの解消であります。四国の8の字ネットワークということで、四国を8の字で結ぼうと。今はXの状態になっております。ミッシングリンクとは分断された高速道路のことでありますが、今、東北地方、あるいはこのパネルを見ていただければ分かりますが、山陰、四国の太平洋側、あるいは九州、紀伊半島などがミッシングリンクとなっております。今回の補正予算の中で、国土のミッシングリンクの解消など、地域連携の推進等として約千三百億円が計上されていると思います。初めてミッシングリンクという言葉が記述されたとも認識しております。  馬淵大臣、このミッシングリンクの解消に向けました大臣の見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  96. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 夢のある話から現実的な話へということで、現実的なお答えをさせていただきたいと思います。  ミッシングリンクの解消というのは、これは、我々民主党を中心とする政権、政権交代以前も必要であるということは申し上げてまいりました。特に、とりわけ地方においてこのミッシングリンクの解消というのは遅れております。委員の御指摘の四国、さらには九州東部、また秋田等日本海側等々、こうした地域におけるミッシングリンクの解消については大変強い要望をいただいておりまして、ただ、厳しい財源の中、私どもとしても効率的な整備というものを進めていかねばならないと、このように考えておりまして、現状では、今事業中の延長二千八百キロ、未事業化延長一千四百キロ、計四千二百キロのミッシングリンクであります。これをいかにして早くつなげていくかということであります。  例えば、今想定される高規格幹線道路のみならず現道の利用等、これはコスト削減という意味でも非常に大きいと思いますので、私どもとしては、一刻も早くこのミッシングリンクの解消というもので具体的な施策を提示していきたいと、このように考えております。
  97. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  大臣、このミッシングリンクと言われる地域は、救急搬送の遅れで救命率の低下とか、あるいは災害時に道路が寸断されるとか集落が孤立するとかいうような大きな問題を抱えています。  先般、十一月十一日の参議院の国土交通委員会の中でも、大臣はこのように答弁されています。高速道路のようなものはまさにネットワークですから、どこか一部のところだけ使っているということではなく、つながっていることに意味がありますというふうに御答弁をされています。  地域では、大臣、過大なスペックは求めていません。完成二車線整備など、地域の実情に応じた高速道路を求めています。私の住んでいる四国には新幹線すら通っておりません。最低限のインフラ整備として是非ミッシングリンクの解消に向けて、大臣の決意をもう一度お聞かせいただきたいと思います。
  98. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 道路事業を進めていく上において極めて重要な観点は費用対効果だと言われています。とりわけ、地方においてはなかなか効果というものが出てこないとされておりまして、いわゆる費用便益分析、BバイCのBの部分がなかなか出ないと言われています。  私どもとしては、私も野党時代にこのBバイCということについてはさんざん予算委員会でも様々な質問をさせていただきましたが、高速道路というものは長距離を短時間で輸送するということが前提になりますから、いわゆる走行便益とされるこのベネフィットと呼ばれる部分については、短時間で走行するということに非常に大きく効果が見られるということは当然でありますが、一方で、地域の道路は、御指摘のように命の道路あるいは生活道路といったものが考えられます。こういったものにまで今現状のBバイCの計算、走行便益を中心とする計算というのはこれはそぐわないということで、今試行ということでトライアルでやっておりますのが、いわゆる政策目標評価型の事業評価というものを今私どもとしてはトライアルで始めました。  この政策目標評価型事業評価によって、このBバイC、走行便益中心ではない新たな評価の仕方をつくっていこう、これによって、御指摘のようなBバイCだけで道路の優先順位が決まることのないようにということが実現するというふうに思っておりまして、先ほど申し上げたように、ミッシングリンクのこの解消には優先度をどのように判断するかということでありますから、限られた財源の中で、今申し上げたような事業評価の仕組みを変えていく、現道利用などコストを下げていく、こうした取組を行って、一刻も早く四国あるいは九州あるいは東北といった地域で御要望の多いところに対する対応を考えてまいりたいと、このように考えております。  概算要求でも今回私どもしっかりと要求をさせていただきましたし、補正予算でも今回上げておりますので、これにつきましては、先ほど来申し上げているように、このミッシングリンクの解消に向けては、国土軸として整備をしていく重要なかなめであると、このように考えております。
  99. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  今大臣の方から触れられました平成二十三年度の概算要求の中でも、国土のミッシングリンクの解消のため、元気な日本復活特別枠を含めて三千四百七十五億円が含まれているとお伺いしております。  ただ一方で、先月行われました事業仕分の結果を踏まえて、多くの自治体関係者の中から、現下の財政状況や、平成二十三年度の予算が減額されて、道路の完成が先延ばしになるのではないかという不安の声をいただいております。せっかく補正で措置されても平成二十三年度予算以降で減額されてしまったのでは、地方の期待にこたえられないばかりでなく、経済対策としても大幅に効果が削減されると思います。  二十三年度予算について、所要額の確保に向けて大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  100. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 先般の事業仕分並びに様々な御意見の中で、要望、陳情等、私どもの方にも届いております。減額されるのではないか、あるいは本当に要望どおりになるのかということでありますが、今回も、効果が発現できるということをやっぱり第一に挙げて、平成二十六年以降の供用というところで、元気な日本復活特別枠、要望額として一千七十五億、これを要望で上げております。  そして、先ほど委員から御指摘がありましたように、ミッシングリンク解消のための要求は三千四百七十五億でございまして、これらについては、繰り返しになりますが、まさに物流の根幹となる道路でありますので、私どもとしてもしっかりと要望していくということで、予算編成過程までの中で、これまた関係局とも、省とも議論をしてまいりたいと、このように思っております。
  101. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  先ほど大臣の方から事業評価の中身が大切というような御答弁をいただきました。その基準となりますのが費用便益分析、いわゆるBバイCであると思いますが、現在のBバイCの三便益を来年の夏に向けて改正していこうというふうに認識しております。  現在の課題とか検討状況についてお伺いさせていただきたいと思います。
  102. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 先ほども申し上げたように、事業評価、その前提となるのが走行便益ということになりますが、走行便益以外のものもどのような形で評価にのせていくかということで今検討しております。  諸外国の例などもございます。例えばイギリスなどでは、AST、アプレーザル・サマリー・テーブルと称して、これは、事業評価の項目については五つの分類を新たに整理をして、そこで様々な政策目標を掲げる中で金額あるいは効果という形で整理をしていく、いわゆる費用対効果の中でいうと効果の算出というものを行うということもされております。  こうした例も含めて、私どもとしては、このBバイC、走行便益に頼らない形の新たな評価の仕組みというものを提示をして、そして来年の概算要求までには再評価、事業評価のサイクルも短くしました、一遍決めればずっと十年間ほったらかしになるようなことのないように再評価のサイクルも縮めましたので、来年の概算要求までには再評価をすべてそこに該当する道路については行っていきたいと考えております。  これによって必要とされる道路の優先順位がより明らかになると考えておりますので、私どもとしては全力でこの新たな評価の方法、仕組みについて取り組んでまいりたいと、このように考えております。
  103. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございました。  今大臣から諸外国の便益の事例ありましたが、諸外国では、雇用の創出、あるいは農林水産や畜産の生産性向上、あるいは環境汚染の減少というような要素も加味されているというふうにお伺いしております。地方では都市部と比較して渋滞や交通事故というのが非常に少ないですから、現在の三便益では効果がほとんど見込めないというようなことと思います。大臣の今おっしゃいました新しい事業評価制度につきまして是非期待したいというふうに思います。  それでは、続きまして高速道路の無料化のことについてお伺いさせていただきたいと思います。ただ、無料化といいましても、自動車ではなく自転車の無料化についてお伺いさせていただきたいと思います。  本州と四国の間には三つの橋が架かっているのはもう皆さん御承知のとおりです。そして、愛媛にはしまなみ海道という、いわゆるほかの二つの橋と違う生活道、島と島を渡っていく生活道であります、生活道の色合いが非常に濃い橋でありますが、そこに自転車歩行者道というのが設けられています。そのため自転車と徒歩での利用が可能となっておるわけですが、歩行者は無料なんですけれども、自転車などの軽車両については、利用に当たって一つの橋当たり五十円から二百円の通行料金を支払わなければいけません。本州から四国まで渡った場合、合計五百円ほど掛かります。  毎日の通勤通学で生活者にとっては負担も大きくなるというふうに思います。あるいは、小学生、中学生など修学旅行生、あるいは観光客がレンタサイクルで訪れることも多々見受けられます。本当に景色のきれいなしまなみ海道、私も何度も行ったことあります。地元の人からも、自動車は無料化で自転車は有料かというようなお声もいただいております。ちなみに、広島県の道路公社が管理している尾道大橋は十円だそうです。  大臣、しまなみ海道について自転車など軽車両の無料化をできないか、御見解をお伺いしたいと思います。
  104. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 自転車利用の方々の無料化はということでの御指摘いただきました。  私もこれ調べてみまして、相当の台数がやはり通行量あるというのを確認できました。因島大橋、生口橋、多々羅大橋、大三島橋、伯方・大島大橋、来島海峡大橋、一日、これは自転車ですけれども、それぞれ五百台、八百台と、こういった交通量があるということで、こういった方々、生活に使われる方々も含めて負担を軽くしなければならないというのは、私どももそう考えております。  既に、これは本四が所管をしているんですが、本四会社の方では、これは企画割引で今期間限定なんですけれども、クーポンで二百五十円で販売していると、半額になるということであります。これもまあ期間限定でありますから、何分本四の道路会社が判断するところではありますが、私どもとしても御指摘の部分、この自転車の部分については、歩行者と同様に無料化できないかということについては今後要請もしてまいりたいと、このように考えております。  本四架橋に関しては高速道路無料化の社会実験に現在該当しておりませんので、その意味ではまだまだ、車のことに関しても課題はあるんですが、まずはこうした歩行者、自転車の方々に対する割引を超えた判断というものを求めてまいりたいと、このように考えております。
  105. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  大臣の方から交通量が多いというふうな今御答弁がありましたけれども、これの、一年間トータルの軽車両、自転車等を合わせた料金収入は三千五百五十万円であったと、平成二十一年、伺っております。  先ほど大臣おっしゃいました本州四国連絡高速道路株式会社の経営努力ということもさることではありますけれども民主党が公約として掲げている高速道路無料化の一環として、地元島民の負担の軽減、観光振興の観点、そして是非とも自転車、軽車両を無料化していただきたい。二番じゃ駄目なんですかじゃないですが、自転車は駄目なんでしょうか。もう一度お伺いさせていただきたいと思います。
  106. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) しまなみ海道についてはしっかりと要望を出して進めてまいりたいと、このように考えております。
  107. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  大臣の今の御答弁に期待をさせていただきたいというふうに思います。  それでは次に、テーマが少し変わるんですが、農林水産物の輸出の展開の方向についてお伺いさせていただきたいと思います。  今年六月に閣議決定されました新成長戦略の中で、農林水産物の輸出の目標について御説明をお願いいたします。
  108. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 本年六月の新成長戦略におきまして、農林水産物、食品の輸出額を二〇一七年までに一兆円水準とする目標を設定をいたしまして、本年度中に総合的な輸出戦略を策定することといたしております。
  109. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  現在の五千億弱の輸出額というのを、二〇一七年、今から七年後ですけれども、二・二倍の一兆円にしようということが柱だと思います。昨今、TPP協定の議論が盛んに行われておりますが、菅総理は、先般のAPECの中でTPP協定について、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始していく考えであることを表明いたしました。  鹿野大臣、国境措置撤廃による水産物への影響試算についての御説明をお願いいたします。
  110. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) この十一月九日に発表したところでございますけれども、まず全世界を対象にということでありますが、サケ・マス類、ノリ類等の主要な十三品目の水産物の国境措置を撤廃したという場合は、水産物の生産額が四千二百億円程度減少すると、こういう試算を発表しておるところでございます。
  111. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 大臣の今の答弁のとおり、水産物十三品目の生産物の減少額が四千二百億円、平成二十年の国内漁業生産額が一兆六千億円だというふうに試算が出ておりますので、全体の約四分の一に当たります。漁業の就業人口は約二十二万人と言われていますが、就業人口も十万人以上減るのではないかというような試算も出ております。ヒジキに至っては、生産量減少率一〇〇%という試算も出ているとお伺いしております。  鹿野大臣政府は来年度から漁業者所得補償をスタートするとお伺いしておりますが、その中身について御説明をお願いいたします。
  112. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) この中身につきましては二本柱ということでございまして、基本的には、計画的に資源管理に取り組む漁業者ということになるわけでありますけれども、漁業共済と積立ぷらすを活用した収入安定対策と、それからもう一つは、漁業経営にいろいろ影響を及ぼすところの燃料費が高騰した場合にそれに備える意味のコスト対策と、これを組み合わせての総合的な所得補償制度と、こういう内容でございます。
  113. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  大臣、これは通告しておりませんけれども、今の漁業者の所得補償制度、これをスタートさせた場合、国境撤廃措置をした場合、今御説明していただいた漁業所得補償制度で日本の水産物を守れるのかどうか、御見解をお願いいたします。
  114. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) これはあくまでも仮定の話で申し上げておるわけでございまして、そして算出をしたものを発表したわけでありまして、まさしく関税ゼロと、こういうことになりますならば相当大きな影響が出てくるんではないかということが推測されるところであります。
  115. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  私はTPPに反対しているわけではありませんが、しっかりとした準備を進めていかなければいけないというふうに思います。水産物の国内消費が低迷する中で、海外の水産物需要というのは増大を続けているというふうに思います。特にアジア諸国の経済成長を取り込んでいかなければいけない、その意味で、我が国の水産物や水産加工品の輸出促進が図られるべきだというふうに思います。  私の地元愛媛でも、今年の九月、県漁連、漁協、水産加工業者などの九業者が水産輸出促進の共同事業体、JVを設立いたしました。特に、ニーズが高い中国に対して県産のブリやタイを商業ベースで輸出していこうという体制の構築に向けて動き出しました。  ただ、こうした輸出の促進の取組についてネックとなっている問題があります。一般的に水産物を輸出する際、相手国が衛生基準や証明書の発行、あるいは輸出品製造業者の登録など、様々な条件を付けてきます。各国いろんな条件がありますが、中国では昨年、食品安全法が制定されて、衛生基準の変更が行われたと伺っております。これに基づいて、日本から中国に輸出される水産物について、日中双方が認定した四つの民間機関のいずれか一機関が輸出貨物ごとに現物確認、官能検査、いわゆる目視して腐敗していないかということを調べることでありますが、証明書を発行しなければ輸出できなくなったというふうにお伺いしております。  大臣、確認なんですけれども、中国に水産物を輸出する場合、衛生証明書を発行する機関が全国に四つしかないということが正しいかどうかの御確認をお願いさせていただきたいと思います。
  116. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 証明書を出す機関が四つということで、これについては少ないので大変不便を掛けていると、こういうことでございます。そこで、関係業者の方からの要請も受けまして、今中国と交渉をしているところでございます。  したがって、私どもとしましては、更に発行できる機関を増やすということで鋭意努力してまいりたいと思っております。
  117. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  大臣、答弁いただきました、今、四つの証明書の発行機関というのは地域の偏在があります。北海道とか青森、長崎。例えば私の地元もそうでありますが、検査機関が遠隔地にあるために、輸出するごとに検査員の出張を要請する、多額の費用が掛かる、一品目について六万円の費用が掛かるというように聞いております。厚生労働省が中国の衛生管理監督当局に対して証明書発行機関の追加認定を要求したようですけれども、なかなか前に向かって進んでいないというようにもお伺いしております。  今後、中国市場に向けて水産物を輸出していこうとする取組をアシストするためにも何とかこうした問題を解決していただきたいと思いますが、その対応について、農林水産大臣厚労大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  118. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 先ほど申し上げましたように、増やすということで中国の方と今交渉中でございます。今、友近委員からも指摘がありましたように、大変不便になっておりますし、そしてまた費用も掛かるということでありますから、私どもとしては更に増やすということで最大限努力をしてまいります。
  119. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) これから水産物の輸出促進を図っていくという意味におきまして、厚生労働大臣から前向きの答弁がなされたわけでありますけれども農林水産省としても同じ考えに基づいて努力をしてまいりたいと思っております。
  120. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  今、一つ中国のお話をしましたが、国によっては、農水省そして厚労省、水産庁、タッグを組んで取り組んでいかなければいけないというふうに思います。  私の地元の中国に輸出しようという方の声は、検査、輸送費あるいは関税などを上乗せしたら中国での販売価格は日本での一・五倍以上になると。安い地元の価格競争もあり、販売がなかなか伸びないというふうに聞いています。生鮮食品でもあります。迅速な手続ができないと費用や日数が余計に掛かって輸出の足かせとなりますので、是非とも農林水産省そして厚労省取組に期待をしたいというふうに思います。  それでは次に、漁業の多面的機能と所得補償制度についてお伺いさせていただきたいと思います。  農業や林業に多面的機能がありますように、漁業にも私は環境保全とか生態系保全の多面的機能があるというふうに思います。その一つが、国境機能や海難救助等の機能でもあると思います。最近では尖閣諸島における中国漁船事件が問題となっておりますが、領海侵犯、違法操業を取り締まる上で、当該水域で操業する漁業者の情報提供その他の協力というのは欠かせないと思っております。  ある民間研究所の試算では、出漁、いわゆる漁に出るということですが、出漁による監視ネットワークの機能を海上保安庁の職員によって代替した場合に必要とされる費用の多面的機能というのは二千十七億円という数字もあります。  私は、こうした国民の安全保障にかかわる機能を果たしている漁業に対して、これが安定的に行われるためにも、直接的な補償制度の在り方も検討してもいいのではないかと思いますが、漁業に対する直接支払の可能性について大臣に見解をお伺いしたいと思います。
  121. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今委員からお話がなされたわけでありますけれども、そのほかに、やっぱり環境とかあるいは生態系を保全するという、そういうふうな多面的な機能も有しておるというふうなことから、私どもといたしましても、今日改めて議員の方から御提言をいただきましたので、漁業の多面的機能を発揮させるための直接支払制度については、現行対策との関係も含めまして、平成二十四年に策定を予定しております次期の水産基本計画の検討の中で議論してまいりたいと思います。
  122. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございました。大臣の力強い御答弁、ありがとうございます。  菅総理、先般、包括的経済連携に関する基本方針が閣議決定されました。今、水産物の影響についての課題の一端を議論させていただきましたが、来年からは漁業所得補償も実施されようとしております。国際競争力を持った強い漁業生産構造をこれからどのように構築していくのか、総理の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  123. 前田武志

    委員長前田武志君) 最初に、鹿野農林大臣
  124. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 我が国は、御承知のとおりに世界的にも大変豊かな水産資源を持っておるわけでありまして、恵まれているということでしょうか、そういう意味で、我が国の漁業というのは高い潜在力を有しておるわけであります。そういう意味で、これからの水産政策については、この潜在力を最大限に引き出されるように、そして水産資源の持続的な利用と漁業経営の安定を確保しながら漁業の発展を目指していかなきゃならないと思っております。  このためには、先ほど来から申し上げておりますところの資源管理・漁業所得補償対策、そしてまた、水産におけるところの六次産業化の推進、これは非常に大きな意味を持つわけでありますけれども、収益性の向上なり体質強化に向けた取組を支援しながら、強い漁業というふうなものの確立を図ってまいりたいと思っております。
  125. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 今の議論を聞きながら、漁業における多面的機能という、私もこれまでは余り聞いていなかった問題、指摘をされて大変参考になりました。  かつて尖閣諸島にもカツオ工場があったというふうにたしか記憶をいたしておりますけれども、そういった漁業関係者がそこで加工に携わっていたという、そういうことを考えますと、まさに漁業の持っている多面的機能、大変的確な指摘だったと思います。  また今、日本の漁業の強化については鹿野大臣からありましたけれども、我が国は世界で排他的経済水域の面積でいうと六番目に当たり、大変豊かな漁場に恵まれていると。先日、ちょうどテレビを見ておりましたら、いわゆる親潮と黒潮の流れ等々で、こんなに魚が多いのは世界でも珍しい地域だということの指摘がありました。この水産資源を守りつつ、国民に対して安全で信頼できる水産物を安定的に供給していくことができるよう、水産業の体質強化に努力することが必要だと思っております。  今大臣からもお話がありましたように、資源の管理・漁業所得補償対策平成二十三年度から実施する準備を行っているところであります。これは、いわゆる漁業に出て捕るのと、それに加えて養殖業者の経営安定ということも必要だと思っております。こういった意味で、我が国は海洋国家でありますので、それにふさわしい強い漁業の確立を図ってまいりたいと考えております。
  126. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  是非とも、強い日本の水産業を菅総理リーダーシップの下、進めていただきたいと思います。  それでは次に、テーマが変わりますが、水道の耐震化についてお伺いさせていただきたいと思います。  我が国の水道普及率、九七・五%だと聞いております。ただ一方で、基幹管路の耐震化率というのは平成二十年度で二八%にとどまっているというふうにお伺いしています。  厚労省が策定した水道ビジョンの中でも、災害時、非常事態への対応について、ソフト、ハードの両面において十分な備えができていない状況にあるというふうに指摘されております。水道施設、水道管の耐震率の向上は喫緊の課題であるというふうに思います。  平成十六年に厚労省から水道ビジョンが作成されて既に六年が経過しておりますが、耐震化率が二八%と進捗しない要因は何でしょうか。あるいは阻害するような要因があるのでしょうか。大臣に御見解をお伺いしたいと思います。
  127. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 委員からの、水道の耐震化が進んでいない、原因は何かということでありますけれども、二つございます。  一つは、この耐震化を進めることにはいろんな費用が掛かります。その費用を掛けて耐震化したとしても、水道料金を上げるというわけにはなかなかいかないという、そういう財政的な面が一つ。  それからもう一つは、この耐震化を進めるに当たって工事をしていただく方、やっぱり水道工事については中小企業の方が多いと、そういうことから、この長期的な計画、そしてまた設計をしていくということについての技術者がなかなか確保できないと、こういうことでなかなか進まないという、その二つの要因がこの耐震化が進まないところの原因でございます。
  128. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  厚労省の方で、平成二十年の四月から今年の三月三十一日までの二年間、水道施設・管路耐震性改善運動が行われたというふうに承知しております。この運動の結果どの程度耐震化が進んだのか、その成果を伺いたいのと、あわせて、この運動終了後も引き続き耐震化を推進するために新たな施策等をお考えになっているのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  129. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 今御指摘のありました水道施設・管路耐震性改善運動というのを平成二十年度から水道関係団体の皆さんと一緒に進めておりまして、厚生労働省としては積極的なキャンペーン活動を進めているところでございます。  具体的には、耐震化に関する各種の技術講習、二つ目には技術者への技術技能訓練、そして三つ目には耐震化のための設計指針の作成等とか、そういうことでやっておりますが、こういう改善運動を進めまして、耐震化率が、以前、平成十九年度では一四・六%でありましたけれども平成二十年度には二八・一%、大体倍に進んでおりまして、一定の成果が得られているということであります。  そしてまた、これからもこの運動というのは充実をさせていって継続をしていくということを考えております。
  130. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  こちらのパネルを御覧になっていただきたいと思います。基幹管路の耐震適合割合について都道府県別に棒グラフで表したものであります。災害に強い水道のインフラ整備は、まさに国民の命に直結するという問題だと思います。この棒グラフを見ていただきたいのですが、凹凸が非常にあることが一目瞭然であります。低いところでは四・五%、高いところでは六一・五%、つまり耐震適合性についてはこれだけ地域間格差が生じているということが分かると思います。  自治体の水道事業者の財政力あるいは地理的な要件、いろんな要因があると思いますが、大臣先ほどおっしゃいましたように、耐震化への取組に差が生じているのはやはり財源であるというふうに思います。  基幹管路の耐震化、一番右側、「全国」の赤いところを見ていただければと思いますが、耐震、六に耐えられない基幹管路は約八万キロ、これ地球に直せば約二周分に相当します。  まず、このような地域間格差の現状について、総理に率直な御感想をお伺いしたいと思います。
  131. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) このグラフを拝見しますと、本当に大きな差があることにやや驚きを持って見ておりました。主要水道管の耐震適合割合については、水道事業者ごと、つまりは多くは自治体だと思いますが、大きな格差があるところでありまして、特に割合が低い水道事業者を中心に全体的な底上げが必要だと考えております。  水道は、地震が発生した際に、飲み水や炊事、洗濯などの生活用水だけではなく、消防や医療機関への水の供給など、重要な役割を果たすものであります。危機管理の観点からも耐震化の推進が必要であると思っております。  このため、病院や避難拠点などへ水を供給する水道管などの耐震化を優先的に支援するなど、今後ともこの問題に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  132. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  水道事業というのは、水道事業者、いわゆる地方の公営的な団体がやっております。その中で、財源を確保する方法としては、料金の改定あるいは補助金の活用、企業債などが想定されますが、料金の改定というのは非常に利用者理解がなかなか難しくて、新たな負担を求めることは難しいのかなというふうに感じております。そして一方で、地方財政が厳しい中で起債の活用というのもなかなか難しい。国庫補助金の活用が事業者にとって一番現実的であり効果的であるというふうにも思いますが、ところが、国庫条件の要件を満たしても、自己資金、いわゆる裏負担金が手当てできないために申請を見送る事業者も多くあります。  今回の補正に計上されているわずか十八億円なんですが、積極的に活用していただくために、補助要件の緩和、補助率の拡大など、一層の工夫をすることが必要であると考えますが、この点について大臣の御見解をお願いいたします。
  133. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 水道施設の耐震化に関する国庫補助事業につきましては、平成二十二年度予算では百十八億円を計上をいたしております。今回の補正予算案につきましては、耐震化が喫緊の課題であると、こういうことで二十五億円を計上をいたしております。また、二十三年度の概算要求におきましては、先ほどもお話がありました水道事業者に対する耐震診断などに、これも補助事業に加えると、こういう要求を行っているところでございます。  こうした国庫補助による支援に加えまして、水道事業者が自ら計画的に耐震化を行うよう各種の手引なども示すなどの技術的な支援も行っておりまして、これらの取組を引き続き財政的、技術的な支援に取り組んでまいりたいと思っております。
  134. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  事業主としてはやはり老朽管の更新時に耐震化をしていくというのが一番効率的であるというふうに思いますが、今後、更新時期のピークを迎えるタイミング、水道管の法定耐用年数は約四十年というふうに言われておりますから、十年後にピークを迎えるというふうに言われております。思い切った耐震化のために財政措置等を行う必要があると考えますが、今後の水道耐震化についての方針を、総理、これ通告しておりませんが、御見解をお伺いいたします。
  135. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 御通告をいただいておりませんので詳しいことまでは申し上げられませんが、ただ、今言われたように、いずれにしても、これ、やらなければならない事業であることを考えますと、これは学校や病院の耐震化も同じでありますけれども、それが可能なときに場合によっては前倒しでやることも含めてそれぞれのところでしっかり検討させたいと、このように思っております。
  136. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。総理の方から積極的な御答弁をいただけたのを大変心強く思います。  総理が今少し触れられましたように、学校や病院、いわゆる私は水道の耐震化をするということは国の役割でやるべきなのかどうかということを議論すべきだというふうに思っています。先ほどのパネルでもありましたように、そもそも水道料金で地方自治体、いわゆる水道事業者がやるという制度自体を抜本的に見直す政治判断をするというのも一つの考え方だと思いますが、景気対策にもなります。大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  137. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 耐震化の問題は、国民の皆さんの本当に生活に密着する大事な水道でございますから、それが地震によって破壊されるということになればライフラインが途絶えるというようなことで、もう大変なことになりますので、国としてはしっかりそれに取り組んでまいります。
  138. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  先ほどパネルで示しましたとおり、地方自治体だけに任せたら地域間格差が出てしまうのはもう皆様言わずもがなでございます。国の責任で最低限補う政治判断を、是非ともこれから皆さんとも議論を進めていきたいというふうに思います。  危機管理の観点から、耐震を進める必要性について総理にお伺いさせていただきたいと思います。  水というのは、まさに私たち人間自身も七割以上が水でできているというふうに言われます。阪神・淡路大震災のとき最大断水日数が九十日、新潟中越地震のときに三十日、能登半島地震では十三日、平成二十年の岩手・宮城内陸地震では六十日と、大規模地震が起きますと復旧までにかなり時間が掛かっています。冒頭申し上げたように、水道普及率九七・五%に対して基幹管路の耐震率というのは二八%と、大変インフラが脆弱であるということを示していると思います。  水は国民の生活に欠かせないものであります。代替手段がないという性質も持っています。危機管理の観点から、水道の耐震化について積極的に進めるべきだというふうに思いますが、総理に御見解をお伺いしたいと思います。
  139. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) ハイチの現状を見ておりますと、コレラが大変蔓延していると。多くは水にかかわることかなというふうにも推察しております。  そういう意味で、先ほども申し上げましたが、いずれにしても、ある期限が来ればやらなければならないことでありますので、できるだけそういうものを前倒しでやることができないか、それぞれの部署で積極的に検討させていきたいと、こう考えております。
  140. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  時間がなくなってまいりましたので、私の質問はもう最後にさせていただきたいというふうに思いますが、菅総理、四国お遍路を回るとき、白衣、いわゆる白いこういうのを着ますが、そこに同行二人というふうに背中に書かれております。八十八か所の霊場巡りのお遍路さんたちは、いつでも空海、弘法大師がそばにいて一緒に歩いてくれていると、目に見えなくてもそう思う人のそばに必ず付いてくれているという意味だそうであります。  今、菅総理はちょうど松山の和気というところの五十三番札所、円明寺、日本円の円に明るいにお寺と書くところまで来ております。次の五十四番札所は今治の延命寺、延びる命の寺と書きます。菅総理に私はすぐにそこに行ってもらいたいとは思っておりません。是非とも、菅総理に今日議論させていただいた政策をリーダーシップを取って積極的に推進していただきたいというふうに思っております。  最後になりますが、現下の厳しい情勢の下、我々立法府の最大の責務というのは、今審議している補正予算を一刻も早く成立させることにあると思います。国民生活のために、与野党を超えて我々の責務を果たすことを皆様に呼びかけて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  141. 前田武志

    委員長前田武志君) 以上で水戸将史君の質疑は終了いたしました。(拍手)  残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      ─────・─────    午後一時三十三分開会
  142. 前田武志

    委員長前田武志君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  記録の提出要求に関する件についてお諮りいたします。  予算の執行状況に関する調査のため、本年九月七日の尖閣諸島沖での我が国巡視船に対する中国漁船の衝突事案をめぐる問題について、海上保安庁に対し、インターネットに流出した本年九月七日の尖閣諸島沖での我が国巡視船に対する中国漁船の衝突等の事案の映像とほぼ同一の映像記録を本委員会に提出するよう議長を経由して要求いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 前田武志

    委員長前田武志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、その手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 前田武志

    委員長前田武志君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  145. 前田武志

    委員長前田武志君) 休憩前に引き続き、平成二十二年度補正予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。荒木清寛君。
  146. 荒木清寛

    荒木清寛君 公明党の荒木清寛です。  まず私は、柳田法務大臣の発言問題につきましてただします。  法相だとはいえ、二つ覚えていればいい、この旨の発言は本当に言語道断、許し難い発言でございます。しかも、発言をされたのは今月の十四日でありまして、衆議院予算委員会の採決の前日でありまして、予算審議をお願いをする閣僚の立場として全く緊張感がない、本当にもうこれは野党を挑発しているとしか思えないようなタイミングであります。しかも、その発言の内容も最悪でございまして、我々野党議員は一体何のために調査をし、勉強し、国会で質疑をするのか。個別の事案については答えは差し控えます、法と証拠に基づいて適切にやっております、こういう答弁を求めるだけに我々野党は質問をするとしたら、こんな茶番はありません。  柳田大臣は長年野党議員であったわけでありまして、もう国会質疑の重要性はだれよりも分かっているはずでありますし、現に野党時代は厳しく対応してきたと思います。もし野党の柳田議員であったら、こんなことは絶対に許さないと思います。ところが、大臣になった途端にどうしてこう豹変をしてしまうんですか。どうしてこういう国会をなめ切った、特に野党議員をなめ切った態度になってしまうのか、もし釈明ができるのであればしてください。
  147. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) 御指摘の広島での私の発言に関しましては、仲間内の会合とはいえども思慮が足りなかったと、心から反省をいたしております。この場を借りまして再び陳謝申し上げたいと思います。  今日まで、国会の審議におきましては、私は真摯に対応してきたつもりでございます。委員も以前、法務委員会の委員長をされたというふうに思いますけれども、質問によっては捜査の内容に及ぶこともあり、捜査の影響等を考えますと、個別具体的事件の内容は答弁を差し控えさせていただきますと答弁せざるを得ない場面もあったと。そしてまた、質問によっては、検察当局が法と証拠に基づいて適切に対応されると答弁せざるを得ない、そういう場面もあったと。私は、質問に対しては真摯に答えてきたつもりでございます。  また、今回の尖閣における公務執行妨害の事件につきましては、事案の性質性も考えて、従来の答弁よりは踏み込んだ答弁もさせていただいたつもりでございます。例えば、外務省の職員を呼んで話を聞いたとか、そして、ビデオの件についても、公判前ではありますけれども国会に提出をさせていただいたとか、そういうふうにこの尖閣の問題についても踏み込んで従来以上に答弁をしたつもりでおります。  決して国会における答弁を軽視して、質問を軽視して答弁をしたつもりはございません。今後とも、従来に引き続き真摯に対応してまいる所存であります。  冒頭申し上げましたけれども、広島における私の発言については、軽率であったし、そして思慮が足りなかった、そういうことを心から反省しているところであります。本当に申し訳ありませんでした。
  148. 荒木清寛

    荒木清寛君 二つ覚えていればいい、これほど国会をなめ切った発言はないわけでありまして、今の説明はなっておりませんが、しかも、この日はその前に、私はこの二十年近い間、実は法務関係は一回も触れたことはないとまでおっしゃっているわけであります。もうこれは自ら法務大臣に向いていないということを認めたと同じであります。今日、午前中の記者のインタビューで、検察改革に取り組むんだとおっしゃっていたようでありますが、国会議員になって一度も法務に触れていない人に検察関係をやってもらわなくて結構であります。大臣、これは御自身のためにも、もうこの際自ら身をお引きになる以外ないわけでありますが、いかがでしょうか。
  149. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) 今日まで二十年間、二十年近い間、法務委員会に所属したことは一回もないと、そういうふうに正直に最初就任したときにも申し上げました。ただ、今回、法務大臣に就任した際、今日までのいろんな活動なり経験なりを生かして取り組んでいこうと。その際、私以外にも副大臣、政務官、いらっしゃいます、この二人と一緒になって法務行政を適切に運営していこうと、そういうふうに思っていたところでございます。  ただ、先ほども申し上げましたけれども、広島の発言は私の思慮が足りなかった、そのことは反省をいたしておるところであります。朝の記者会見でも申し上げましたけれども、検察の今後を考えますと、私の下にいろいろこの予算委員会でも批判を浴びておりますけれども、千葉座長の下に検察に批判的な方々を集めまして検察改革を抜本的にやろうということで始まったばっかりでございますので、このことを始めとして今後とも任務に誠実に取り組んでまいる所存でございます。どうぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
  150. 荒木清寛

    荒木清寛君 大臣は、先ほどの発言の後に、触れたことがない私が法相なので多くの皆さんから激励と心配をいただいたと、このように率直に言われております。  総理、菅総理大臣の任命基準は一体何ですか。適材適所どころか、国会議員になって一回も法務関係に触れたことのない人を法相に任命する、これが菅総理の政治主導ですか。しかも、これほど国会をなめ切った発言はないわけでありまして、総理の任命責任は免れません。どうこれを感じ、どうけじめを付けていくのか、総理の覚悟をお尋ねします。
  151. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 柳田現大臣に関して、昨日も申し上げましたが、私、私の方が少し当選は早いわけですけれども、社会労働委員会にいたときに柳田さんが当選されてこられまして、当時は民社党の柳田さんと私が社民連の立場で、比較的小さな党でありましたので、いつも質疑は柳田さんの後私がやっておりまして、個人的にもそのころから親しくさせていただいておりました。  そういう中で、二十年間が経緯をして、柳田議員もいろいろな国会議員としての経験を積んでこられたわけでありますし、またそうした中でいろいろ政治家としての判断能力を高められたと、このように理解をしておりました。確かに、御本人言われるように、法務委員会等に所属をされたということはないわけでありますけれども、必ずしもその関係の専門的な仕事をしていたかどうかということだけではなくて、やはり全体のある意味での、何といいましょうか、バランスのある判断ができ、また他の政務三役の皆さんとしっかりチームを組んで、そういう中でリーダーシップといいましょうか、そういうものを発揮していただける人材であると、このように判断して任命をいたしました。
  152. 荒木清寛

    荒木清寛君 総理の友情は友情として、泣いて馬謖を切る、こうしたことをしないと政治家不信は解消しませんよ。  次に、政治と金の問題につきまして、小沢元代表は、今月三日のインターネット番組の公開生中継で、自らの国会招致について、裁判所の手続に入っている、三権分立の立場からすれば、司法で取り上げられているものを立法府が議論するということは妥当でないし、必要もないと述べておられます。  もちろん、政治資金規正法違反で有罪か無罪かは裁判所でしか決まらないわけであります。我々が問題としているのは、そうした法的責任ではなく、道義的、政治的責任のことを言っているわけであります。もうこれは政治倫理綱領を引くまでもなく、国会議員には高い倫理的義務があることは間違いないわけでありまして、そこで、総理、これほど社会的な問題になっている自らの政治と金の問題につきまして、小沢元代表が活動の基盤としておる国会の場で何の説明もしない、発言もしないということはおかしいというふうに率直に、総理、思いませんか。
  153. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 九月の代表選挙の折にも、当時の小沢候補者、いろいろと発言をされまして、自分なりに国民に説明をする必要があるという趣旨のことを申し述べられました。またその後も、国会で決めた決定には私はいつでも従うという発言もされております。私も、そういう意味で、小沢議員、小沢元代表におかれても何らかの説明を国会の場でされるという判断を持っておられるんだろうと、そういう認識をずっと持っております。  そういう中で、検審のそうした決定も出た中で、現在、岡田幹事長が、そういう野党の皆さんとの話合いも含めて、御本人にその意思を確かめ、あるいはどういう形でそういった形を取り得るのか、今条件整備を努めていただいているところであります。  そういう意味で、岡田幹事長のある意味では努力をしっかり見守りながら、最終的に幹事長の方から私に対して何らかの判断を求められれば、それはそのときには判断をしなければならないと、こう思っております。
  154. 荒木清寛

    荒木清寛君 岡田幹事長の努力を見守るが、最終的には自分で判断をするとおっしゃいました。しかし、もう国会はいよいよ会期末であります。いつ決断するんですか。十二月三日の会期末までには必ず菅総理がこの小沢元代表の国会招致問題について決断をする、このように伺っていいですか。
  155. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 岡田幹事長自身が野党の皆さんとの間で一定の話をこの間されてきたわけでありますから、そういう岡田幹事長の判断を踏まえて、岡田幹事長からそういった時期、どういった時期になるか私に今確たることは申し上げられませんが、岡田幹事長が何らかの判断の上で私に判断をするようにということがあれば、その時点で最終的な判断を下さなければならないだろうと、こういうふうに認識しております。
  156. 荒木清寛

    荒木清寛君 ですから、十二月三日の会期末までにはそうしたタイミングが来るということでよろしいですか。
  157. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 岡田幹事長と野党の皆さんあるいは各委員会の理事の皆さんとの話で、岡田幹事長としてある程度の日程観も話をされていると認識しております。そのことについて、最終的に岡田幹事長の方からこの時点で何らかの判断を代表としてしてほしいということがあれば、その段階で最終的な私なりの判断をしなければならないと、こう思っております。
  158. 荒木清寛

    荒木清寛君 一体その時期がいつなのか、明確に答弁がなかったことは無責任であります。  そこで、次に景気対策に入っていきますが、海江田経済財政担当大臣に今後の景気の見通しについてお尋ねをいたします。  政権交代後の本年四月—六月の実質GDPは年率一・五%成長にとどまり、前期の五%成長に比べ大幅に鈍化いたしました。返す返す、麻生内閣での〇九年度第一次補正予算を凍結をして約六か月の空白をつくったということが残念でなりません。あれがなければもう少し状況は変わっていたのではないか、このように思います。  七月—九月期のGDPの速報値は年率換算で三・九%増、これはエコカー補助金等の駆け込み需要もあったかと思います。問題はこれから十月—十二月期でありまして、そうしたエコカー補助金の反動ということがありますし、また、円高の進行に伴う輸出の悪化ということで、大変心配をしております。  今後の状況というのをどう政府は判断しているのか、まず説明してください。
  159. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 委員にお答えをいたします。  確かに、おっしゃるように、リーマン・ショック以来、特に去年の春ごろが恐らく底だろうと思いますけれども、景気が悪化の一途をたどってまいりまして、そして去年の春から持ち直しをしてきておりました。そして、今言及がありましたけれども、七—九月、比較的いい数字が出ました。しかしこれは、先ほど委員も御指摘のとおり、まさに政策効果、それから今年の夏は極めて暑かったわけですから酷暑効果、そういったものに消費が支えられてということでございます。  今現在、足下の景気につきましては、昨日、月例経済報告を出したところでございますが、十月から足踏み状態が続いております。それはこの十一月においても同じでございます。  そして、これからどうなるのかということでございますが、やはり幾つかの懸念の要素がございます。一つは円高の問題でございます。ここ数日幾らか円が安くなりましたけど、まだまだやはり水準は高いところにございます。円高がどうなるのか。それからもう一つは、海外の景気が緩やかになっております、伸びが緩やかになっておる。アジア、中国もそうです。アメリカもそうです。それから、もう一つございますのは雇用でございます。雇用がここ数か月ぎりぎり五%のところまでは来ておりますけれども、だけどその中身を見ますと、働き盛りの男性は相変わらず低い、これは失業率が高くなっております。  そういうことを考えますと、今言ったような三つのリスク、この三つのリスクが顕在化しないように政府としてもしっかりと対策を講じていかなければいけない。その一つが今度の補正予算でございます。
  160. 荒木清寛

    荒木清寛君 そこで、海江田大臣と、今日は白川総裁もおいでいただいておりますので、お尋ねをいたします。  デフレから脱却をするには、これは政府の財政政策、日銀の金融政策が一体となってやらなければ打破できない、克服できない、このように考えております。  そこで、私は政府と日銀に対しまして、政府及び日銀はいつまでにデフレを脱却するのかという共通の目標、これを共有、コミットして、密接な連携の下にやっていかなければいけない、このことを強く要請し、答弁を求めますが、それぞれいかがですか。
  161. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 私どもは、まず、やはり今物価がマイナスの局面にございますから、二〇一一年度中、来年度中に物価を何とかプラスの水準に持っていかなければいけないというふうに考えております。これがまず第一歩でございます。
  162. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  最初に、デフレといいますか、物価の見通しでございますけれども、先月公表いたしました日本銀行の展望レポートにおきまして、先行きの物価見通しにつきまして、消費者物価の前年比が二〇一一年度中にはプラスの領域に入りまして、その後、二〇一二年度にかけてそのプラス幅を拡大していくという見通しを公表しております。こうした先行きの物価見通しでございますけれども、基本的に政府認識と軌を一にするものというふうに理解をしております。  日本銀行の政策の構えでございますけれども、今申し上げました見通しを踏まえまして、日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定の下での持続的な成長経路に復帰するために、先般、包括的な金融緩和政策を通じました強力な金融緩和政策の推進を決定いたしました。これに加えまして、従来から、金融市場への潤沢な資金供給を通じて金融市場の安定を確保するということも行っておりますし、それから、この夏からは成長基盤強化の支援というそういう措置も講じております。こうした三つの措置を通じまして、日本銀行として最大限の貢献を粘り強く続けていく方針でございます。  それから、議員から御指摘のありました政府との間の意思疎通でございますけれども、先ほども少し申し上げましたけれども日本銀行のデフレ脱却に向けた認識やあるいは金融政策運営につきましては、政府からも十分な理解をいただいているというふうに認識しております。  日本銀行としては、これからも政府との間で連絡を密にし、十分な意思疎通を図りながら、物価安定の下での持続的な成長経路への復帰に最大限努力をしていきたいというふうに思っております。
  163. 荒木清寛

    荒木清寛君 日銀の包括的な金融緩和政策は私も評価しますが、政府は、二〇一一年度、物価上昇プラスは目標だというふうに明言しているんですけど、白川総裁はあるいは日銀の方はいつもそうなんですが、見通しということを強調されるわけですね。ですから、見通しですから、そうならなくても、その予想が外れたということは批判されますけど、達成できないことについての責任はないわけです。  そういう見通しということじゃなくて、政府同様、二〇一一年度に物価上昇をプラスにする、これが日銀の目標だ、こういう自らの政治責任を明確にして政策運営をすべきだと私は考えますが、総裁、いかがですか。
  164. 白川方明

    参考人白川方明君) 先ほど見通しの数字について御説明いたしましたけれども、どの中央銀行もそうでございますけれども、金融政策を行っていくためには、先々二年とか少し長い時間をもって、まず、物価なり経済がどういう見通しにあるのかということを正確に認識する必要がございます。そうした判断の基礎というものをしっかり国民に説明するということが、これは中央銀行に課せられた透明性の義務だというふうに思っております。  そうした見通しを出した上で、日本銀行の政策の目的は、これは国会でお決めになりました日本銀行法にはっきり定められておりまして、金融政策の使命は、物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資するというふうにこれは目的が掲げられております。そうした目的のために、我々は先ほど先生から御評価をいただきました包括的な金融緩和を含めて努力をしていくということでございます。  この金融政策の運営の仕方というのは、これは日本銀行に固有のものではございませんで、これは各国中央銀行共通でございます。どの中央銀行も、例えば期間を短期的に、すべての目的を抜きにして、物価だけである期間固定してすべての政策を行うということじゃなくて、最終的にはこれは経済のバランスを意識する。つまり、例えば石油が上がってそれで物価上昇率が上がっていく、しかし経済活動は落ち込んでいるというときに、物価だけを見て金融政策を引き締めるということが適切でないと同じように、最終的には国民経済の健全な発展に資するということが日本銀行法にも書かれてございます。  我々自身は、そうした最終的な目的も意識しながら、しかし、物価の安定をできるだけ早く実現したいと思ってこれからも努力をしていきたいと思っておりまして、その点は是非理解を賜ればというふうに思います。
  165. 荒木清寛

    荒木清寛君 私は日銀のそうした政策は理解をしておりますが、今はもう非常事態でありますから、もう一歩踏み込んでいただきたいということを重ねて要請をしておきます。  次に、菅総理に、これは経済政策の基本について、財政運営の基本についてただしたいと思います。  総理財務大臣時代から、増税しても使い道を間違わなければ景気が良くなる、こういう考えを示しておられます。最近は余り言われなくなりましたが、しかし、新成長戦略なり第三の道のこれが前提になっていることは間違いありません。この理屈は非常に独創的であると私は思いますが、菅総理が、増税しても使い道を間違わなければ景気が良くなる、こういうことを言う資格はない、是非封印をしてもらいたい、このように思います。  民主党は、そもそも〇九年のマニフェストで、国の予算をがさがさとやれば二百七兆円の総予算のうち十六・八兆円を四年間でひねり出すことができるんだ、これがマニフェストの一丁目一番地だったわけですよね。ところが、一年もたたないうちになぜそれが増税の話になってしまうのか。全くおかしいですよ。しかも、こういう景気の悪いときにそういう増税ということを言うだけで景気を冷やすということは、もうこれこそが経済の常識でありまして、そういう理論を振りかざして国民に負担増を求めるのはもう是非やめてもらいたい、そういう考え方は撤回してもらいたい、このように考えますが、いかがですか。
  166. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 荒木さんから大変ある意味で中心的な課題をお尋ねをいただいて、ありがとうございます。  私が申し上げた意味を少し正確に申し上げますと、デフレという状況は、企業にはお金があるけれども使わない、個人もお金を持っているけれども使わない、こういう状況が今のデフレだと思っております。つまり、お金を使って物を買うよりもお金のままで持っておきたいという選好性、お金に対する選好性が非常に強い状態がデフレを招いている、こういう認識を持っております。  じゃ、そういうときにどうすればいいのか。やり方は二つあります。まあ大きく言えば一つです。国が代わってお金を使うことです。この間、それを、国が代わってお金を使ってまいりました。それは国債という形で国民の皆さんが持っておられるお金を借りて、そしてそれを使っていたわけです。ただ、使い道が私で言えば適切でなかった。それが第一の道、第二の道と私が申し上げている、つまり中長期的な経済効果のない分野に使ったために景気が良くならない、成長軌道に乗りませんでした。  ですから、私が申し上げているのは、増税をしてもという言い方が的確であったかどうかは別としても、少なくともお金の使い方を、国がちゃんとしたところに使えば私は経済が立て直ってくる、それは国債であっても、あるいは、現在の税収も含めて、税でいただいたお金であっても、使い道が問題なんだということを申し上げてきたんです。  そこで、もう何度も申し上げましたけれども、その道は、第三の道はどういう道か。現在、需要がありながら、しかしそれが潜在化していて表に出ない介護とか医療とか保育とか、そういうところにある程度お金を、税金であってもそれが国債であっても使って、そうすればそこに雇用が生まれる、雇用が生まれて、そして生産が起きる、サービスの生産が起きる。そのことによって、雇用が生まれることによって失業率が下がれば、デフレ的要素が少なくなってデフレからの脱却にもなりますし、生産が伸びるということはGDPが伸びるわけでありますから、そういう中で更に税収が増えてくれば、そこに好循環が生まれる。  ですから、私が申し上げたかったことは、一言で言えば、つまり個人や企業に任せていただけではお金が使われないデフレ状況の中では、国が代わって使うのはいいけれども、使い道が最も重要で、その道が経済成長につながるような、需要につながるような、そういう分野につながれば景気は良くなるということを申し上げたわけで、その財源としては、今でも税か国債でやっているわけでありますから、その税か国債を預かるなりいただく中で、使い道を間違えなければ景気は良くなるということは、私は今でもそのように考えております。
  167. 荒木清寛

    荒木清寛君 納得できません。  国がお金を使うのはいいんですよ。ですけど、その前に、予算を見直せば十六兆八千億円出てくるというんですから、それで使うことが先でしょう。ですから、マニフェストが破綻をしたことを認めた上でなければ今の理論は成り立ちませんし、もう一つ言えば、行政改革も全く不十分であります。  昨日、衆議院で国会議員の歳費法改正案が通過をいたしました。これは人勧どおり一・五%削減をする案でありますが、公明党は衆議院の議運でそれを一割削減に深掘りをする修正案を出しましたが、最大会派の民主党が反対をして、これは否決をされました。  総理、どうしてこの程度のことができないんですか。国会議員の歳費削減、この程度のことはもう今決めれば来月からでもできる話でありまして、民主党の党首でもあります総理、もうこの程度のことはすぐ決断をしてやってください。増税云々はそれからの話であります。どうかお願いします。
  168. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) これは、私が報告を受けていることで言えば、確かに御党が出された修正案の中で国会議員の一割以上の削減を提案されていることは承知をしておりますけれども、かなりぎりぎりの段階で各党における議論が間に合わないために協議が調わず、否決されたと聞いております。私も、党内では今こういう議論をいたしております、我が党の中でも。ですから、必ずしも全面的に反対というよりも、そういう議論はいたしておりますけれども、衆議院の段階ではまだ各党における議論が間に合わないために否決をされたと、そう認識しております。
  169. 荒木清寛

    荒木清寛君 これは民主党の政治改革推進本部の十二日の総会ではこの一割削減について反対論が噴出した、このように報道されておりますが、この程度のことができないようではこれは本当に国会としての信頼を失う。もう是非これは与党としてしっかりやってもらいたい。我々はいつでもこれはオーケーであります。このことを申し上げまして、次に今回の補正予算案について議論をいたしますが。  今回の補正予算、円高株安対策でございますけれども、ツーリトル・ツーレートと言わざるを得ません。我々も早く国会を召集して審議をすべきだと言っていたのに、十月の一日になってようやく召集をされ、そして予算案が提出されたのが十月二十九日。こういう円高が進行しているときに党の代表選に追われているというのはもう論外であります。このことを申し上げておきます。  しかも、財務大臣、約二十五兆円のデフレギャップがあると言われておりますのに、今回の予算、水増し分を除きますと、我々の計算では三兆六千億円程度の経済規模でございまして、余りにも力不足であります。  そこで、一つお聞きをしたいのは、前年度の剰余金一兆六千億円の全額を補正予算の財源として活用すれば更に大きな経済対策が打てたのに、赤字国債を発行せずにできたのに、なぜこれをしなかったのかということについて御説明願います。
  170. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 荒木委員のお尋ねは補正予算関連でありましたけれども、ちょっとその前のところも少し私は補足しなければと思いますのは、民主党がマニフェストに掲げた十六・何ぼかの、マニフェストのいわゆる削減ができないから増税しようという一つのストーリーを作られておりますが、それは全く間違いでございまして、無駄の根絶はこれからもやっていくわけです。  消費税の議論は、今社会保障の全体像をこれをしっかりとつくっていこうと、そこで一体的に議論していこうということでございまして、無駄はもちろんこれからも根絶してやっていきます。消費税の議論、消費税を含む税制の抜本改革も社会保障全体と一緒に議論をしていくと、そういうことはこれからもずっとやっていくことは是非これは御理解をいただきたいと思いますし、さっき歳費の一割カットの話が出ました。今日も党内で議論しているはずなんです。これは立ち合いが合わなかっただけであって、我々の姿勢が後退しているわけではございません。  その上で、補正予算についてのお尋ねでございましたけれども、確かにデフレギャップ二十五兆円あると思いますが、これ補正予算だけで考えているわけではなくて、私ども対策は三段構えの経済対策であります。ファーストステップがこれは経済予備費を使った〇・九二兆円、そして今回が約五兆円規模の経済対策を講じる、そして三段構えが平成二十三年度の予算編成です。これらを一体としながら、需給ギャップの是正に向けて努力をして景気浮揚につなげていきたいというふうに思っています。  財源のお話でございましたけれども、各党からいろんな御提案をいただきました。内容についても相当今回補正予算には組み込ませていただいておりますが、規模感についても、さっきの経済予備費等などを入れるならばこれはその規模感はもう達しているということでございまして、お尋ねの前年度の剰余金の半分を今回財源にさせていただいて、残り半分は国債償還に充てるという、そういう判断をさせていただいたということでございます。
  171. 荒木清寛

    荒木清寛君 ちょっと質疑を混ぜ返されてしまったので申し上げておきますが、国会議員の歳費一割削減、今始めたとおっしゃいましたけど、民主党は参議院のマニフェストで、国会議員の経費を二割削減しますよとうたっているんですよ。今ごろ議論していて何ですか、これはもう。マニフェストに二割削減、書いてあるんですから、そんな一割削減なんというのは当然でしょう。  それともう一つ、この十六兆八千億円のことについても言及されましたが、そうであればお尋ねしますが、平成二十二年度は七・一兆円ひねり出すと書いてありますが、じゃ、実際幾らひねり出したんですか。
  172. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 国会議員の歳費を二割カットじゃないでしょう。国会関係の関連費で二割カットです。定数の問題も含めてですから、そこは正確に御指摘をいただきたいというふうに思います。(発言する者あり)理屈じゃありません、正確なことでございます。  それで、今のお尋ねは、七・一兆、平成二十三年ですか。これは二十三年度が今予算編成の途中であるということでございます。
  173. 荒木清寛

    荒木清寛君 私は先ほどマニフェストを正確に引用しましたよ。(発言する者あり)読んだんですよ、今。何言っているんですか。そのとおり読みましたよ。まあいいですわ。  それで、次に行きます。  じゃ、二十二年度の七・一兆円はもう必ずひねり出すことができる、このように今大臣から承ったというふうに私は理解……(発言する者あり)二十二年度ですよ。
  174. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 二十二年度、今これは進行中の予算ですよね。これについては、当初は七・一兆円、マニフェストの主要事項を実施するためにという形で数字出しました。しかし、いろいろと制約があって結果的には三・一兆円というところで収めたということです。それは新しい財源を含めて、見合いの財源を含めてやったということで、今年も同様に安定した財源を見付けながら実施をしていくということでございます。
  175. 荒木清寛

    荒木清寛君 ですから、私は、七・一兆円出せると言っていたのが三・一兆円しか出せなくて、そして増税の話が出てくるのはおかしいでしょう、このように私は先ほど申し上げたので、もし、総理、何か反論があるんだったら言ってください。
  176. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 少しもしかしたら誤解があるかもしれないんですが、マニフェストは元々、財源を捻出する部分とその財源をもって新たな政策を実行する部分とが表裏一体になっているわけです。ですから、先ほど野田大臣からの答弁もありましたように、当初は七・一兆円捻出したいと頑張ったわけですが、結果として初年度は三・一兆円余りしか出ませんでしたので、その範囲内で新しい施策をやったわけでありまして、ですから、元々、例えば子ども手当であっても満額はスタートの段階ではできなかったとか、あるいは暫定税率もそのまま残さざるを得なかったということは、結局それだけの財源が捻出できなかったから捻出できる範囲内でやったという意味なのであって、足らない部分を増税をしてやったわけではありません。  今後も同じでありまして、今後も捻出してできるものについてできるだけ実行していきたいと。しかし、捻出できないときにそれを増税によって無理やりにやろうという考えでマニフェストを作ったわけではありません。ですから、消費税の問題は、先ほど野田大臣の話にもありましたように、社会保障全体の在り方については、これは各党とも……(発言する者あり)ちょっと静かにさせてもらえませんか。
  177. 前田武志

    委員長前田武志君) どうぞ続けてください。
  178. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 各党共に、今の社会保障の水準を維持するためだけでも毎年一兆円プラス掛かるわけでありますから、さらに今後の福祉の在り方を、社会保障の在り方を含めて、そのときには消費税も含む税制全体と議論しようということで、決して何か財源が見付からないものをマニフェストをやるために新たな増税をするという、そういう構造には全くなっておりません。
  179. 荒木清寛

    荒木清寛君 ですから、総理、その増税の話をする前にやることがあるでしょうということを私は申し上げているんですよ。  それで次に、中小企業対策について申し上げます。  今回の緊急総合経済対策におきましては、景気対策緊急保証制度につきましては二十二年度末、つまり来年の三月で打ち切られることになりました。これは我々公明党の要望も受け入れられず、大変残念であります。  中小企業がこれからの難局を乗り切るために、もちろん年末、年度末の資金繰りは大事でございますけれども、しかし、年度末を越したらもうオーケーという状況じゃないわけでありますから、少なくとも制度の一年延長は不可避である、このように私どもは強調してきました。  これは、全国中小企業団体中央会、東京商工会議所、大阪府商工会連合会、愛知県商工会連合会などの、ざっと見ただけでももう中小企業団体がこぞって出している要望でありまして、どうしてこういう要望に経済産業省、中小企業庁あるいは政府は耳を傾けないのか、どうしてこうした現場の声を無視して打切りを強行しようとするのか。今からでも遅くないですから、どうか、これは延長は考えると、このように大畠大臣、決断してください。
  180. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 荒木議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。  緊急保証制度の延長の課題であります。  この課題については、衆議院の予算委員会の方でも、石井啓一議員、佐藤茂樹議員を始め与野党の議員の皆さんからも御指摘をいただいていることであります。  確かに議員御指摘のように、リーマン・ショック以降の平成二十年十二月には約十四万件の利用がありまして、三兆一千億円の保証という形になり、そして二十一年の三月には年度末ということで十万件、そして二兆円の保証ということでございましたが、昨年の、平成二十一年の十二月にはおおよそ二十年の半分の六万七千件、そして一兆円の保証、そして今年の三月には六万五千件で一兆円、そして十月時点では二万六千件、そしてこれが四千百六十八億円という保証の実績になっております。  そういうことから、この制度はいわゆる貸し手である金融機関リスクを負わない制度であるから弊害もあるという御指摘もいただき、そういうことから単純延長しないという方針を決めたところでありますが、来年度においても、議員が御指摘のように、来年の四月以降どうするのかと、こういう御指摘でございますが、業況の悪化している中小企業や小口零細企業向けなどには一〇〇%保証を継続することとしており、さらに今回の補正予算では、年末、年度末を含め、増加する中小企業の借換えニーズにこたえるために、借換え保証の充実、推進、さらには日本公庫、商工中金による直接貸付けの充実など、総額十五兆円規模の資金繰り支援策を準備し、今般の補正予算に五千六百億円を計上させていただいたところであります。  ただし、この件については重ねて御質問等をいただいておりますし、御指摘のように、私も過日、四団体の方々から、商工会議所あるいは全国中小企業団体中央会等々からこの緊急保証制度を継続してほしいという御指摘をいただいております。そういうことから、また、総理からは過日の予算委員会のときに、この件については大畠大臣に検討させると、こういう御指摘、御指示もございましたので、来年度以降の延長についても、今年の末あるいは来年の年度末等々の状況というものをよく精査して、しっかりとこの継続についても検討してまいりたいと私は考えております。
  181. 荒木清寛

    荒木清寛君 是非財務省の圧力に屈しないで頑張ってください、応援しますので。  そこで、総理が大畠大臣指摘されたことはもう一つありまして、十月十五日の当委員会で、我が党の白浜議員が三年間で一万社を起業する支援について提案をしました。総理は、これは魅力ある提案だ、すぐに経産大臣に検討を指示しますと言われました。  ところが、その検討結果がどうなったのか。私はてっきり何か今回の補正予算にそうした芽出しがあるものかと思っておりましたが、入っておりませんが、検討の状況はどうなっておりますでしょうか。  これは、ちょっとおさらいのために言いますと、いわゆる新規開業をしようと思って、実際、決算書も何も持たずにお金を貸してくれるところは政府系金融機関しかないわけですね。ところが、これも今は株式会社になりましたのでなかなかリスクを取らないので、国がそのリスクを出資して、補てんをして新規開業にどんとお金が貸せるようにすべきだという、こういう非常に優れた、優れたといいますか、提案をしたわけでございますが、どういう検討をされていますか。
  182. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 十月十五日に公明党の白浜議員からこの件についても御指摘を賜りました。三年間で一万社を起業する支援についてでございます。  現在、経済産業省では、日本公庫による新創業融資制度というものがございます。また、保証協会による創業関連保証などを強力に推進して、昨年度一年間だけでも三万八千件、これは五年間有効なものですから、五で割ると大体七千件ぐらいになるかもしれませんが、そのぐらいの新規創業支援というものを実際にしているところであります。ただし、今般の補正予算については、保証協会による創業関連保証等の推進に必要な予算、三十九億円をこの補正予算の中に盛り込んでおります。  この制度は、御指摘のように、新しい企業を次々と起こしていかなければ日本国の経済もだんだん弱くなってまいります。そういうことから、新創業融資制度の活用を含めて、起業を促進する資金繰り支援の強化策について今後とも真剣に検討をし、できるだけ議員の御指摘に合うような形で制度を強化していきたいと考えております。
  183. 荒木清寛

    荒木清寛君 中小企業支援について総理にも一つお尋ねをします。  総理が大きなプロジェクトについてトップセールスをされていることは私はいいことだと思います。そういうことは、中小企業の海外市場への進出についても政府を挙げてやってもらいたい。  私は、総理財務大臣のころに、仮称、中小企業海外進出庁を設けるべしと、こういう提案もさせていただきました。もう政府を挙げて日常的にそういう中小企業の海外市場への進出、輸出でありますとか、そうしたことをもう資金面も含めて全面的にバックアップする体制を整えてもらいたいと思いますが、総理の決意を伺います。
  184. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 中小企業の海外展開に向けて、現在も大畠経済産業大臣が中心に農水省や関係機関と協力して一体になって取り組んでいただいております。  具体的には、見本市、展示会出展等の支援、日本公庫による海外拡大資金の融資、日本貿易保険による貿易保険の付与など連携をいたしております。中小企業の海外展開支援会議の設置も行っており、今お話があった点について積極的に取り組まなければならないという思いで取り組んでいるところです。  一つだけ、少し私の個別的な、まあ経験ほどじゃありませんが言いますと、インドのシン首相あるいはそのスタッフが来られたときに、ムンバイからデリーの間に貨物線を引くわけですが、その地域をずっとベルト地帯のような工業地帯にしたいと。そこに、日本の中小企業で、もう日本ではこういう技術は要らないけれども、逆に今からのインドには必要なところは、そういう企業のリサイクル、つまり、日本では要らないけれどもインドでは必要な企業をどんどん誘致をしたい、持ってきてほしいと、そういうことを個別にも言われたことがありまして、その時代時代に応じて必要な産業の在り方も変わってきますので、今、荒木議員が言われたようなことも含めて、積極的に中小企業の海外展開も応援していきたいと、このように考えております。
  185. 荒木清寛

    荒木清寛君 次に、ジョブ・カードにつきましては昨日も議論がありましたので簡単にしておきますが、厚生労働大臣、結局ジョブ・カードは廃止をするのか、それとも継続していくのか、どっちなんですか。
  186. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) ジョブ・カードにつきましては、御承知のように、非正規の労働者、とりわけフリーターのような皆さんに正規の労働者、これに転換をするための非常に有効なツールだというふうに思っております。  仕分の方でいろいろと指摘をされました点は、その趣旨についてはよく理解できるけれども、しかし、啓発事業とかそういうことにもっと効率的にやるべきことがあるんではないかと、こういう御指摘であろうと思いますので、私ども、成長戦略でもこのジョブ・カードについては十年間で三百万人の目標を立てておりますので、それは推進をしていきたいというふうに思っております。
  187. 荒木清寛

    荒木清寛君 総理、今日の午前中の議論でも、大学生が三年生、短大生であれば一年生から就活をしなければいけないお話がありました。どうしてそうなるかといいますと、要するに、卒業したときに正社員になるかならないかでもう一生が決まってしまう、場合によってはもう生涯年収が二倍違う。だから、もう学業をほったらかしでやらなきゃいけないということなんです。別の言い方で言えば、二十歳そこそこで、どこの大学を、どこの学校を何番で卒業したかによって一生が決まってしまう、こういう社会は変えなきゃいけないというのが我々の思いなんです。  そこで、今回の五月の緊急雇用対策本部にあります日本版NVQ、職業能力評価制度というのは私は大いに期待をいたしました。ジョブ・カード等を活用してこれをやっていくと書いてあったわけですね。  要するに、そういうどこの学校を学卒時に正社員になったかどうかじゃなくて、いずれの段階でもチャレンジができる、社会人になってからでも勉強し資格を取り能力を付ける、そういうことが正当に評価をされていけるような社会にしなければいけない、こう思っていたところ、ジョブ・カード廃止というこの事業仕分の結果には、本当に私は出ばなをくじかれたような気がするんでありますが、総理、こうしたジョブ・カードも生かしながら、この日本版NVQというのを本当にこれは実効のあるものにしていただけませんか。
  188. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 私も、ジョブ・カード制度、仕分によってかなりネガティブな見解が出たということで多少聞いております。もう答弁が関係者からありましたけれども、ジョブ・カード制度の制度目的そのもの、政策目的そのものは大変重要であるということを認識した上で、その実行の仕方がやや何か役所のための仕事になっているというようなニュアンスでありました。  そこで、これは仕分で最終結論という形にはなっておりません。私が議長をやっております刷新会議の席で、まずその仕分の結果の報告を受けてそれをどう取り扱うかを決めますし、最終的には、予算に反映する場合にはもちろん閣議決定で決めることになりますので、もう一度、仕分担当の蓮舫さん、あるいは今答弁のあった厚労大臣細川大臣に、どういう形で制度を、場合によったら若干の変更も含めてやった中で、今お話のありました日本版NVQ、まさに若い人たちが学校を出た段階でももちろんいい仕事が就けるように努力はしなきゃいけないけれども、更にステップアップできるような努力をした人はそれなりの、それが認められるような制度をいかにつくり上げるか、早急にもう一度検討をさせたいと、このように今の御指摘をいただいて指示をいたします。
  189. 荒木清寛

    荒木清寛君 次に、社会保障関係につきまして、あの問題はどうなったのかということを何点かお尋ねいたします。  まず、細川厚労大臣、不育症でございます。不育症は、妊娠しても出産にたどり着かずに流産を繰り返す症状で、せっかく授かった命が途中でついえてしまう痛苦は想像するに余りがあります。しかも、この不育症のカップルは年間約四万組生じておりまして、そのうち適正な検査と治療が行われれば八五%が出産にたどり着けることが、これは厚労省の研究班の研究の結果明らかになっております。  そこで私は、昨年十一月、当委員会でこの不育治療の保険適用を取り上げました。当時の長妻厚労大臣は、その治療方法の一つであるヘパリン注射に関して、今後新たな有効性や安全性が確認されれば、そのとき速やかに保険を適用してまいりたい、こういう前向きの答弁がありました。  実は、患者さんもこのことを期待しておりましたが、あれから一年たっておりますが、何の動きもないわけであります。どうなっているんですか。もうこれは早急にこのヘパリン療法等の有効性、安全性を確認して、これが保険でできるようにやってもらいたい。大臣取組をここで述べてください。
  190. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 不育症に対するヘパリン注射の件でございますけれども、今このヘパリン注射につきましては、この開発を企業の方で進められているということでございます。  この開発が今後進んでいくように私どもの方も当然相談に応じますとともに、その有効性、安全性を示すデータに基づいて、薬事法上の承認の申請が来れば、これは適切に審査をしてまいりたいというふうに思っております。そして、この製剤につきまして、薬事承認が得られればもう速やかに保険適用をしてまいりたいというふうに思います。
  191. 荒木清寛

    荒木清寛君 是非、一年後の予算委員会で同じ質問をしなくていいように、大臣、お願いいたします。  次に、小児慢性特定疾患につきましては、最長でも二十歳で医療費助成が打ち切られるという問題があります。私のところにも胆道閉鎖症あるいは白血病のお子さんをお持ちのお母さんから、二十歳以降もこの医療費助成を続けてもらいたい、こういう切実な要望がありました。  三月の予算委員会で鳩山総理は、長浜副大臣をトップとする新たな難治性疾患対策の在り方検討チームを設けてその中で十分に検討をしていく、このように答弁されました。実は、この総理の答弁を聞いておられた患者さんあるいは親御さんの中には、もう泣いてこの国会の話を聞いたという方もいらっしゃるわけであります。  その後、総理が替わったわけでございますけれども、これは検討状況はどうなっているのか、そして菅内閣としてどう取り組んでいくのか、大臣にお尋ねいたします。
  192. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) この小児慢性特定疾患の方は、最長でも二十歳でこれが打ち切られるわけでございます。したがって、二十歳以上過ぎてもこれについての支援が是非ともということで、前回の委員会などでも、三月の委員会ですか、あったわけでございまして、したがってこちらでも、この二十歳以上の方について支援の必要性があるかどうかということで、まずはこのことから実態を明らかにしなければいけないということで検討をしてまいりました。  これまで実施されました厚生労働科学研究の報告書をそこで精査をしましたところ、二十歳以上の患者の方々は、疾病を理由に仕事が、就労に就けない、あるいは合併症や後遺症の障害があって介護を要する、あるいはまた医療費の負担を感じていると、こういう多岐にわたります課題を有しているということが分かりました。そこで、十一月の十一日に開催されました第二回の新たな難治性疾患対策在り方検討チームにおきまして、就労支援、福祉サービス、そして医療費支援等の幅広い観点から検討が必要だと、こういうことになりまして、本チームにおきまして難治性疾患対策の在り方に関する議論の中でこれを更に検討をしてまいりたいというふうに思っております。
  193. 荒木清寛

    荒木清寛君 半年間で二回しか会合を開いていないわけですからね。ピッチを上げてください。  総理、鳩山内閣はもう迷走の末、退陣に追い込まれたわけでありますが、しかし私は、鳩山前総理が命を守るということを強調されたことは私は評価しているんです。したがって、今の小児慢性特定疾患の医療費補助の問題についても、総理としてもこれはしっかりと応援する、取り組んでいく、こういう姿勢をここで示していただきたいと思います。
  194. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 私も鳩山内閣の一員でもありましたし、命を大事にするということは全く同じ考えでありまして、今厚労大臣からもお話がありましたように、多少時間が掛かっているようでありますが、この問題についてもしっかりと取り組んで、必要な事項についてはしっかりやるように指示をいたします。
  195. 荒木清寛

    荒木清寛君 お願いいたします。  白血病に関しましては、この小児慢性特定疾患の年齢延長の問題のみならず、この治療薬の負担が非常に大きいという問題があります。慢性骨髄性白血病は、抗がん剤グリベックという画期的な薬剤が承認されまして、それによって進行を食い止めることが可能になりました。この患者さんにとりましては、グリベックはまさに命を守る命綱となっております。しかし、これは薬剤費がすごく高いわけですね。そういうこともあって、韓国ではこのグリベックが無料で投薬できるようになったそうです。患者さんのそうした政治運動もあったんだと思います。  細川大臣は、この慢性骨髄性白血病の方がこの医療費、薬剤費の大きな負担に直面して経済的に困窮しているという実態は御存じですか。あるいは厚労省として調査しておりますか。
  196. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) このグリベックという薬については、慢性骨髄性白血病の悪化を防止するために非常に有効だと、こういうことで大変いい薬でありますけれども、これも毎日服用しなきゃいかぬと、こういうことでございます。そこで、高額療養費制度の中で自己負担の軽減策は図られておりますけれども、このグリベックを服用している方、使用している方は大変負担が重いというふうに聞いております。  そこで、いろいろと調べてまいりましたら、厚生労働省の研究班によりますと、グリベック内服患者の平均年間自己負担率は、入院で四十一万円、外来で百二十万円でありまして、高額療養制度によりまして平均年間七十二万円の償還がされているという実態が報告を受けました。
  197. 荒木清寛

    荒木清寛君 このグリベックというのは一錠三千百二十八円するそうで、これは一日四錠飲み続けなければいけないという中で、高額療養費を適用した結果でも、所得によるわけでありますけど、今平均七十万と言われましたが、それは十二万から百二十万という、このお金を負担し続けなければいけないということは大変であります。  そこで、菅総理、これは我が党からこの高額療養費の見直しについてはもう何回か取り上げさせていただきました。特にそういう、一時的な疾患ではなくて、慢性疾患でずっと毎年百二十万という負担をし続けなければいけないという方は大変であります。この七十歳未満の一般所得者の限度額の引下げにつきましては、我が党より何度も国会で質疑をしておりますし、政府の部会でも試算は行われているそうでございます。  政治の役割というのはやっぱり病気になっても不安がないようにするということでありますので、政権交代されていろんな政策をされることは、もちろんこれは結構であります、政府でありますから、与党でありますから。しかし、まず、こういう困った人を助ける、病気になっても心配がないようにするということがもう最優先の課題でありますので、早急にこの高額療養費の負担限度額の見直しを進めてもらいたい。私は再度答弁を求めます。
  198. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 私は、当選してしばらくの間、社会労働委員会におりまして、ある時期、薬価とこの高額療養費払いのことをいろいろ議論して、薬価は多少自己負担を増やしても高額療養費はその時点で少し下げて、そういう形で、薬の使い過ぎと当時言われてましたので、それを抑えながら、しかし一方で負担が余り超えていかないようにしたらいいんじゃないかという案を、当時委員会に、一人でありましたけれども、社民連一人でしたが、提案をいたしたことがあります。  それを思い出しながら今のお話を聞いておりまして、現在は当時以上に医療保険制度、財政は大変厳しい中ではありますけれども、高額療養費の負担の限度というのは、本当に慢性疾患の方にとっては極めて重要な一つの負担上限になりますので、そういう意味も含めて保険者など関係者の意見を集約を図って、できる限りそういう負担が過大にならないように努力したいと思います。
  199. 荒木清寛

    荒木清寛君 是非、そうした政治の原点を忘れず、頑張っていただきたいと思います。  次に、林業関係についても質疑をいたします。  これからの成長戦略の一つとして、菅内閣では林業再生による雇用拡大を掲げております。昨年十二月には、政府は森林・林業再生プランを決定をいたしました。このプランが目標達成の手段として掲げておりますのが、施業の集約化と路網整備による低コストの林業の実現でございます。いわゆる団地化ですね、所有者を束ねてそういう集団でやっていけるようにするということでございますし、また林業作業道、作業路というんですか、この路網の整備は非常に大事でございます。  そこで、鹿野農水大臣にこの路網整備について、今後の具体的な整備水準の目標についてお尋ねをいたします。  また、二十三年度の概算要求では道路整備交付金を廃止をしておりますが、私は、愛知県の東三河の町長さんが心配して飛んでこられました。そういうものを使って林道整備をしようとしていたのにどうなるんだろうか、何とかしてもらえないかということもありました。そういう逆行する動きもこの概算要求を見るとあるような気もしますし、政府としてどう路網整備をしていくのか、目標についてお尋ねします。
  200. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今、荒木先生申されたとおりに、やはり森林・林業を再生をしていくには路網整備がどうしてもこれは不可欠だと、こういうことで、路網の整備を軸としてこれから安定的な林業経営の基盤をつくっていきたいと、こう思っております。  今先生申されたとおりに、この路網ということを整備する場合に、路網を構成する道を林道、そして、間伐材を搬出できるような言わば十トントラックくらいは入るようなそういう道を林業専用道、そして、どうしても間伐するには作業が必要でありますから、作業する上での機械が入るような、これを森林作業道と、こういう三つに分けまして、そしてそれぞれ整備を図っていかなきゃならないと、こういう考え方であります。  この整備水準につきましては、有識者によるところの委員会によりまして傾斜や作業システムに応じて整備すべき路網密度の目安が提示されておりますので、それを踏まえて今後整備水準の目標を検討してまいりたいと思っております。  なお、先生後段で申された言わば道整備交付金、これが概算要求から外れている、これについて非常に市町村の方々が御心配なされておるということにつきましては、非常に重要な指摘をいただきましたので、関係大臣とも予算編成の中で検討していかなきゃならないと、こう思っております。
  201. 荒木清寛

    荒木清寛君 鹿野大臣、この路網整備については自治体の負担もあるわけですが、なかなか小規模自治体もありましてこの負担が大変ということもあります。自治体の負担はなしにして、もう国で全部造るというぐらいの取組をされたらどうですか。
  202. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) これも先生から地方の方の負担が大きいから何とかせいと、こういうような御指摘でございますけれども、この森林整備の事業に係るところの都道府県負担分につきましては、従来から地方交付税措置というもの、普通交付税が講じられておりますので、今回も、この森林管理・環境保全直接支払制度におきましても、都道府県には引き続いて何らかの負担をお願いをさせていただくきりないんじゃないかなと、こんなふうに思っております。
  203. 荒木清寛

    荒木清寛君 総理にお尋ねをいたします。  総理は山林も所有されておるようですし、林業に大変詳しいということで、私は林家の方から何人からか、非常に菅総理には注目しているという、こういう情報を得ました。  そこで、是非これは総理のリーダーシップを期待するんですが、この路網の整備は、もちろんこれは林家というか所有者の負担もあるわけですね。ところが、今、山林は不在地主が多いわけです。これは、二〇〇五年の農林業センサスによりますと私有林面積の二四%は不在地主ということでありまして、そういう方に林道負担を求めるというのはなかなか大変ですね。東京にいる人に言われたって、余り魅力を感じていないわけですから。  ですから、総理にお願いしたいのは、もうこれは時間を切っても結構ですから、この五年間に林道整備に手を挙げた所有者は全部国が負担をする、これぐらいの思い切った政策を取って路網整備をしたらいかがかと思いますが、最後に菅総理の林業整備についての自身の経験を踏まえた取組をお尋ねします。
  204. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 大変私が興味の深い問題を御質問いただきまして、ありがとうございました。  私もその不在地主の一人でありまして、岡山の山奥に親代々の山がありますが、ある時期行って全部調べましたけれども、全く戦後木を植えていないし、隣との間がほとんど分からない、そういう意味では全く戦後は手が入っていない荒れた山で、大変悲しい思いをいたしました。  私は、森林に関心を持って全国幾つかのところを見ると同時に、ドイツの黒い森に現在の副大臣の篠原さん、前の大臣の山田さんと一緒に視察をして、それでびっくりしたのは、もう余り長い話はやめますが、何とドイツで切られた木が日本に輸出をされているというのを聞いて本当にびっくりしました。なぜそんなことが起きるのかというと、まさに林道とか作業道が整備されていない日本では実質的に林業というものが成り立っていない、間伐ということは行われても、ほとんどは切捨て間伐で、それが利用されていない、そういう実態を知りまして、日本の中でもいろいろ調べてみました。  今、団地化という言葉を言われましたけれども、比較的うまくやっている一つの注目されているのは京都にあります日吉林業組合、これは林業組合が、土地所有はばらばらなんですけれども、不在地主もいるんですが、それぞれのところに手紙やいろいろ出かけていって、来年はこの百ヘクタールをまとめて道を入れたいから是非オーケーをしてくれと。その場合、負担はゼロなんですね、農地を持っている人であれば。それをうまくいろんな補助金等々を含めて、初年度は配当金は多分出ないけれどもいいかと言ってオーケーを取って、それが十年後、二十年後に二度目、三度目の間伐をやるときには間伐材を搬出できますから、その中で利益が上がったときにはちゃんと配当を出しますという約束の下でやっておられます。そうすると計画的に作業ができて、道がありますから、大きなハーベスターというような機械が年間三百日ぐらい稼働していると。ただでもらったハーベスターは年間百日も稼働していない地域がたくさんありますけれども。  そんなことを含めて、今おっしゃったことは大変重要でありまして、そういう意味では国の負担でやるということも、今でもいろんな補助金が出ておりますので、それはそれとして重要なところはありますが、最も重要なのは、まさに先生が言われた、うまく団地化をして、そして一度目では利益が上がらないまでも、二度目、三度目の間伐で利益が上がるという、そういう仕組みをつくることが最も重要ではないかなと、こんなふうにも思っております。    〔委員長退席、理事森ゆうこ君着席〕  いずれにしても、思いは同じでありますので、私もしっかりと今先生が言われたような方向で頑張りたいと思っております。
  205. 荒木清寛

    荒木清寛君 我が党の市会議員でこの団地化の中心になって頑張っている人物がおりますけれども、話を聞きましたら大変でございます。是非政府としてしっかりとやってもらいたいと思います。  いずれにしましても、菅内閣の曲がった点につきましては徹底的に追及をし、そして国民本位で是々非々の政策判断をしていくことを申し上げて、バトンタッチします。
  206. 森ゆうこ

    ○理事(森ゆうこ君) 関連質疑を許します。山本香苗君。
  207. 山本香苗

    山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。  つい先ほど当委員会におきまして、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件のビデオの提出、公表を求めることが決議されました。今回の決議は、十一月十一日、当委員会が政府に申し入れていたにもかかわらず、一週間過ぎても誠実な回答がないために行われたものです。政府の不誠実な対応に強く抗議するとともに、決議に応じまして直ちにビデオを提出し、公表すること、公開することを求めます。総理、いかがですか。
  208. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 正式な手続をいただいたということでありますので、百四条に基づく請求できちんとしたそうした請求が内閣に届いた場合には、できるだけ迅速に結論を出して、基本的には提示できるようにいたしたいと、こう考えております。
  209. 山本香苗

    山本香苗君 これでやっと公開されるということになるわけでありますが、そこで改めて思いますのは、そもそもなぜ逮捕直後にビデオを公開しなかったのかということなんです。  最初に、今回の事件が発生した当時国交大臣で現外務大臣である前原大臣にお伺いいたします。  中国漁船との衝突ビデオ公開は我が国の中国漁船逮捕の正当性を証明するものです。その正当性について日本国民及び国際社会の理解を得るために、ビデオ公開こそ国益にかなうものです。なぜ逮捕後すぐにビデオを公開しなかったんですか。
  210. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 何度か山本委員にはこの点はお答えをしておりますけれども、九月の七日に逮捕をいたしまして、そして取調べは長くて二日であろうと。そうなると、検察に送致をされるということで、写したビデオ映像というのはこれは証拠物件になるということで、公開には慎重であったということは何度もお話をしているとおりでございます。
  211. 山本香苗

    山本香苗君 おっしゃるとおり、大臣は、送検されればビデオは証拠として扱われる、したがって公開には慎重であったという答弁を繰り返しされているわけですが、十一月十二日の衆議院外務委員会で我が党の赤松衆議院議員が、ビデオを見て、ビデオを公開しないと逮捕の正当性について国民及び国際社会の理解が得られないと思わなかったのか、前原大臣に質問しました。大臣は、おっしゃるようなところまで思っていたかと言われると、そこまでは考えていなかった、こう答弁しています。おっしゃるようなところまで思っていたかと言われると、そこまで考えていなかった。要するに、逮捕の正当性に国民理解、国際社会の理解を得るためにビデオ公開が不可欠だというところまで考えていなかった、ビデオの公開、非公開ということについて前原大臣の段階では決断していなかった、判断していなかった、こういうことですか。
  212. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 今このような事案になっておりますので今からそういう議論はできるかもしれませんが、一刑事事件として物事が起きた、そしてそれを写していた映像があった、逮捕して取調べをして検察に送致をするということであれば、そういったビデオというものはまずは非公開にして、そして検察におけるいわゆる手続における証拠物件とするのは当たり前じゃないでしょうか。
  213. 山本香苗

    山本香苗君 じゃ、前原大臣の段階で非公開と決めていたんですか。
  214. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 私が非公開と決めたのではなくて、私は国土交通大臣として海上保安庁を管轄する立場にいたわけです。そして、海上保安庁が逮捕を決めた。そして、海上保安庁の船に対して公務執行妨害事案があった。それを写していたビデオがあった。そのビデオを検察に送るということについて言えば、その証拠物件になることについては、公開をその時点でしないというのは当たり前のことではないでしょうか。
  215. 山本香苗

    山本香苗君 とにかく前原大臣の段階では決めていなかったということですけれども、前原大臣は官邸とも相談したと過日の予算委員会でもおっしゃっておりましたけれども、官邸と相談したということなんですが、官邸というのは仙谷官房長官に相談したということですか。
  216. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 私がこの話を聞きましたのは九月七日の午前十一時過ぎ、参議院の国土交通委員会をやっておりまして、そのときに秘書官から話を聞きました。そして、それから後、海上保安庁長官に事の経緯を聞きまして、そして事の経緯を踏まえて対応するということで、海上保安庁長官と相談をし、海上保安庁が官邸と相談したと思います。
  217. 山本香苗

    山本香苗君 ですから、官邸というのは官房長官ですか。
  218. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 官邸ということについて、最終的な責任ある立場の方は官房長官だと思いますけれども、まずは官邸の事務方に海保の長官なりあるいは幹部が相談したんだと思います。
  219. 山本香苗

    山本香苗君 じゃ、次に官房長官に伺いますけれども、岡田外務大臣は当時外遊中で、そして官邸が岡田外務大臣と連絡を取っていたと前原大臣は答弁されておりましたけれども官房長官の下でどういう調整がなされて、どういう理由でビデオが非公開になったんですか。
  220. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 調整といえば調整なんですが、もう最初の官邸へ来られたときには、こういう事件が発生したと、逮捕手続に入ろうと思う、入りますと、こういう話でございました。もし逮捕手続に入るんであればこれはもう純然たる刑事事件でもありますから、ビデオの話はその後、夜、私どもに例の五分のビデオを見せられましたけれども、これは当然のことながら逮捕するということは刑事事件になるということでありますから、刑事事件になるということは証拠になるということでありますから、証拠になるということは、例えばビデオであろうが昔の録音テープであろうが何であろうが、その種のものは証拠物として取扱いをするときにこのようにしなければならないという、この決まりがあるはずであります。  だから、しかるべく、そういうふうに言わば密封するというか封をするという手続が必要なわけでありますから、そういう手続に入っていくということを私はそのときに理解もしましたし、逮捕手続に入るというんでありますから、それはそうですかと、分かりましたと、こういうふうなことを官邸ではやったということであります。
  221. 山本香苗

    山本香苗君 官房長官、そういうことを聞いているんじゃないんですよ。検察に送検される前の話で、官邸で調整したところの話を聞いているわけなんですね。  今回の事件は、尖閣諸島の我が国領海内で外国漁船を逮捕した初めてのケースです。だれの目から見ても外交問題にまで発展するということは明らかだったわけです。国民の支持を得て国際社会の理解を得るというのは我が国外交の基本中の基本なんですよ。中国漁船逮捕の正当性に対して日本国民及び国際社会の理解を得る、そういうためにビデオ公開が必要だと、不可欠だと、こういう認識官房長官にはなかったんですか。
  222. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 一般的に、ずっと私申し上げているんですが、もし訴訟に関する書類であるならば、未来永劫公開しないとかなんとか言っているわけじゃないんですよ。しかるべき手続と捜査との関連での時期というものが公開とか開示というものにはあるんじゃないんでしょうかということをずっと言ってきているじゃないですか。  だから、衆議院の予算委員会でしかるべき手続が取られて、この部分を出せとおっしゃるから、それは国会には提出をしましょうと。つまり、国民皆さん方全般に、例えばテレビの電波で流れるようにそのビデオのチップを渡すとか、そこまではやりませんけれども、それは国会の方でもしお決めいただくんだったらどうぞと。つまり、国会には提出しますと。それは国会の、国会法百四条でそのようにちゃんと決めていただければ、それにはしかるべく応じるということになるんじゃないんでしょうか。
  223. 山本香苗

    山本香苗君 いや、私はそういうことを聞いているんじゃないんです。認識があったかどうかということを聞いているんです。
  224. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 認識というのは、ビデオを一般的に証拠になろうがなるまいが政府の責任において公開せよという認識ですか。私にはそういう認識はありません。
  225. 山本香苗

    山本香苗君 そういうことを聞いているんじゃないんです。国民、国際社会の理解を得るために、正当性をしっかり証明するためにビデオを公開するということが必要だという認識がありましたかって聞いているんです。
  226. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 個人的なことはともかく、瞬時に、つまり事件が発生したらその場で、それが刑事事件の証拠となり得る可能性のあるものでも、一挙にすべて、全面的と皆さんおっしゃるけれども、一挙にこれを公の電波に乗せて公開せよと、そういう認識がありましたかということをお聞きになっておるんであれば、私にはそれはありません。
  227. 山本香苗

    山本香苗君 そういうことと違うんですよ。何回言えばいいんですか。そういうこと言っていないじゃないですか。国民、国際社会の理解を得るためにビデオ公開が必要だったかどうかということを、そういう認識がありましたかということを聞いているんです。(発言する者あり)
  228. 森ゆうこ

    ○理事(森ゆうこ君) 御静粛に。
  229. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 私は、山本議員が質問されている前提に立っても、皆さん方時機を失するとおっしゃるかどうか分かりませんが、時期が来れば公開をすれば、今皆さん方批判をされているけれども、それはそれで国際社会の、あるいは国民の御理解も得られると。それにはしかるべき手続と時期が、つまり捜査の支障になるかどうかと、この問題が必ずあるんだという理解でこの間私は臨んできたつもりであります。
  230. 山本香苗

    山本香苗君 今回の事件は単なる刑事事件じゃないんです。外交問題で、国益に直結する大事な問題です。政治が判断すべき問題なんですよ。  一昨日の質疑で加藤修一議員が日中間で約束はないのかという質問をしました。絶対にありませんと言われていましたけれども、今回それで中国に配慮したということはないんですね、官房長官
  231. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 今の御質問は、ありません。  そして、もう一度整理をいたしますと、外交問題になるから官房長官のところで調整をして、外遊中であった岡田大臣とも相談をしたということは、それは山本委員のおっしゃるとおりであります。  しかし、これは公務執行妨害という事案で逮捕をしました。そして、海保が取調べをして検察に送致をするという手続をして、そして、それを写したビデオというのは、いわゆる検察の証拠物件として扱われるのであれば、一般の刑事案件と同じように証拠物件は非公開とするのは当たり前じゃないでしょうか。
  232. 山本香苗

    山本香苗君 もう話になりません。  中国政府は、事件発生後から今日に至るまで一貫して、そもそも日本の違法な行為が原因であったという主張を続けています。中国では事実と全く違う情報、つまり中国は悪くなくて日本が悪いんだという間違った情報を本気で信じている方がたくさんいます。それが反日デモにもつながっています。  我が国の正当性に対して国民及び国際社会の理解を得るためにビデオ公開が不可欠だという認識を持ってすぐにビデオを公開していれば、こうした中国の主張も一発ではねのけることができたんです。国際社会を味方に付けることができたんです。ビデオの流出事件も起きなかったんです。ここまで事態を悪化させることはなかったんです。総理、そうじゃないですか。総理に聞いています。総理です。    〔理事森ゆうこ君退席、委員長着席〕
  233. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) おっしゃることの何といいましょうか、そういう思いというか、そういう見方があるということも、それはそれとして理解をいたしております。  と同時に、今官房長官からもお話がありましたように、私何度もこの場で同じようなことを申し上げておりますが、このケースの場合は捜査というものが重なったものですから、どこまでいわゆる一般的な意味で例えば公開していいのか悪いのかを判断できるのかどうか。一般の例えば自分の役所のある書類であれば自分の判断でこれは公開しましょうとかできるわけですが、捜査手続というものが入った場合には、やはり一定のルールが捜査上ありますので、やはりそれに沿った扱いをするということになるというのは、私は、一義的にはそれはそうせざるを得ないということも含めてそうしたということであります。
  234. 山本香苗

    山本香苗君 総理、何度も申し上げますが、今回の事件は単なる刑事事件ではありません。国家主権にかかわる問題です。ビデオを公開するしないは政治が判断すべき問題です。総理官房長官もここが分かっていらっしゃらないんですよ。  アメリカのウォール・ストリート・ジャーナル紙、御存じだと思いますけれども、これはアメリカの新聞の中で比較的我が国に理解のある新聞です。そのウォール・ストリート・ジャーナル紙が九月十四日に、なぜ日本の海上保安庁の船が中国の漁船を止める必要があったのか分からないと、海上保安庁の行き過ぎた取締りを疑う内容の社説を掲載していました。この社説掲載について、十一月十三日の産経新聞で坂元一哉大阪大学教授は、真相を明らかにしないと、そうした疑い、つまり海上保安庁の行き過ぎた取締りの疑いが国際社会の記憶になってしまうおそれは十分にあったと指摘をしています。  決して今回のビデオを流出させた海上保安官の行為を正当化しているわけではありません。しかし、もしビデオが流出せずに真相が明らかにされなかったら、日本の海保の方が悪いと、海保が行き過ぎた取締りをしたんだと、こういうことが既成事実化して、国際社会の記憶になりかねなかったというわけなんです。このことによってどれだけ我が国の国益が損なわれることになるのか、総理はこの点を本当に理解されていますか。
  235. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 今挙げられた二つの記事、私自身は記憶にちゃんとは残っておりませんが、そういう見方がある、あるいはあり得るということは理解できます。
  236. 山本香苗

    山本香苗君 余りに国のトップとしての理解が乏し過ぎるというので愕然といたしますが、いったん国際社会の記憶になってしまったら覆すことというのは容易じゃないんですよ、総理。それは過去の歴史から見ても明らかなことなんです。そんな認識でどうするんですか。(発言する者あり)
  237. 前田武志

    委員長前田武志君) お静かに願います。質疑者の質疑が聞こえません。
  238. 山本香苗

    山本香苗君 歴史といえば、「坂の上の雲」の第二部が来月から始まりますけれども仙谷官房長官は十月十三日の記者会見で、日露戦争後のポーツマス条約締結時の暴動の例を持ち出されて、今回の衝突事件で釈放や逮捕だけ取り出してどうのこうのと声高に叫ぶことはよろしくないと発言されたそうですが、条約締結における小村寿太郎外相の経験の意味するところを間違って引用されていると私は思います。  総理官房長官もよく御存じだと思いますが、この日本海海戦で日本海軍がロシアのバルチック艦隊に勝利したと。しかし、当時日本には継戦能力、戦いを続けていく能力、もう余力がなかったと。そこにアメリカがタオルを投げたと。で、ようやくポーツマス条約というのが締結されたと。しかし、国内においては情報統制がされていましたから、勝った勝ったの連戦連勝の報道だけと。ですから国民は、続けていく、戦いを続けて、戦争を続けていくということができないという内情を知らされていなかったわけですね。ですから、ロシアに勝った、じゃ、日清戦争のときよりも賠償金もたくさん取れるだろう、そういう期待を持っていたわけですね。しかし、結局賠償金は取れなかったと。で、一気に国民の不満がわあっと爆発して、それで全国各地で反対集会が開かれて、最後に日比谷の焼き討ち事件まで、大騒動まで発展したわけですね。  このことから教訓を得るんだとすれば、本当のことを国民に知らせず不健全なナショナリズムをあおって外交の障害としてはならないということじゃないんですか。もし、今回の事件にこの歴史の教訓を生かすのであれば、我が国は現場で起きた本当の実態をビデオ公開によって広く国民、国際社会に知らせるべきだった、こういうことになるんじゃないんですか。
  239. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) ポーツマス条約を締結する前後に非常に、やっぱり日露戦争自身が多分そうだったと思うんですが、ロシア何するものぞと、負けてたまるかと、このナショナルな雰囲気が日本にある程度充満をして、あるいはさせていた状況もあったんだろうと思います。  ただ、おっしゃるように、「坂の上の雲」で描かれる秋山真之や好古は、冷徹に力関係も見ながら、このぎりぎりの力関係の中でどのように戦いを勝ち抜くかという戦略、戦術を組んだということも、そしてまた、それを明治という時代がそういう英傑というか英才を育てたということもまた間違いがないでしょう。  ただ、日比谷焼き討ち事件の前段階は、御承知のように、新聞各社も絶対にこのポーツマス条約といいましょうか日露平和条約の締結反対、それから国会議員の相当数も反対で、その人たちが用意をした日比谷公園集会というものがあって、それに対して群衆が参加しようとしたのをその日比谷公園の前で、当時は機動隊というのはなかったけれども、警察何とか隊が防衛をしようとしてああいう紛争になって発砲まで起こったという、こういうことだと思います。  私は、ポーツマス条約反対というのは、これはやっぱりナショナルな雰囲気からすると、ここまで戦争に勝っているのにこんなことでロシアを許してたまるか、弱腰だと、このナショナルな雰囲気がいやが上にも盛り上がっていた、あるいは新聞すらもそれを盛り上がらせたと。したがって、政治の場におる者は、できる限りナショナリスティックな雰囲気を外交関係においては冷徹に見なければならないと、こういうことで私は記者会見でポーツマス条約の例を引いたわけであります。
  240. 山本香苗

    山本香苗君 独自の歴史観を御披露なさるのは結構なんですけれども、自分の都合のいいように歴史の事実をねじ曲げるのはやめてください。官房長官には歴史的事実というものを客観的に見ようという姿勢が欠けているんですよ。間違った歴史観が間違った政治判断を生むんです。まさに今回はそのあしき例だと思います。  今回のビデオ流出事件を受けまして……(発言する者あり)
  241. 前田武志

    委員長前田武志君) お静かに願います。
  242. 山本香苗

    山本香苗君 鈴木海上保安庁長官辞任は避けられないといった閣僚の発言がありました、仙谷官房長官もそうですが。仙谷官房長官は、政治職と執行職のトップの責任の在り方は違うと言われました。責任の重さが違う、私はそこは同意します。責任の重さが違うというんだったら、執行職である海上保安庁長官を指揮監督する国土交通大臣の責任の方が重いんですよ。役人に責任をなすりつけて本当に情けないとあきれます。  総理民主党の言う政治主導というのはこういうことだったんですか。
  243. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 重さが違うというふうにもし何かに残っていたら、私のちょっと言い間違いですから。質が違うと言っているんです、あるいは次元が違うということを言っているんです。  つまり、政治家には懲戒処分というのがありません。あくまでも政治責任を取るという責任の取り方はありますけれども、懲戒処分というのはありません。執行職は、これは懲戒処分が当然のことながらあります。そういうものだと思います。
  244. 山本香苗

    山本香苗君 全く理解ができません。  先ほど申し上げましたとおり、中国漁船を逮捕した後にすぐに逮捕の正当性を証明するビデオを公開するという判断ができていなかったことによって事態がここまで大きくなってきているわけです。そう突き詰めて考えていけば、事件当時の国交大臣、すなわち現在の外務大臣である前原大臣の責任は重い。また、総理に代わってこの事件をずっと関与されてこられた、対処してこられた仙谷官房長官の責任はもっと重い。そして、事件発生時に民主党代表選真っただ中、対応を仙谷官房長官に任せっきりにしてこられた菅総理はというと、もうどうしようもないと。  この問題で閣僚が責任を取るというのなら、真っ先に前原外務大臣仙谷官房長官が責任を取るべきじゃないかと思いますが、総理、いかがでしょうか。
  245. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) これはもうずっと申し上げていることでありますけれども、このビデオの公開問題に関して言えば、捜査という問題と、そういうふうに、それを抜きにして判断して、いい悪いというそういう判断の問題と、少なくとも私の中には常に二つのことがありました。  その中で、やはり捜査手続というものが一定のルールにのっとって行われる中で、それにかかわるいわゆる証拠物件になるものについて一定のルールの下でなければ公開できないというルールになっておりますので、そのルールを重視するのかどうかということの中でいえば、そうしたルールを遵守した形で両大臣が対応されたと、このように思っております。
  246. 山本香苗

    山本香苗君 政治主導とは、政治家がしっかりと最終的な責任を取ること、これは鳩山前総理が二〇〇九年十月二十八日の本会議で言っています。政治主導を掲げておきながら、だれも閣僚が責任を取らない、海保長官だけ辞めさせる、そんなことは絶対しないと、総理、断言できますか。
  247. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 今捜査がまだ継続中でありまして、まずやらなければならないことは、そうした事実関係、かなりはっきりはしてきましたが、最終的にそのことが……(発言する者あり)ちょっと静かにしてもらえませんか。質問に対する答弁ができないようなやじはできれば控えてもらいたいんですが。  現在、捜査と申し上げているのは、言うまでもありませんがビデオ流出事件の捜査ですから、その捜査がまだ現在進んでいる段階を含めて、まずは事実関係をしっかりと解明した上でその後のことは考えることになると、こう思っております。
  248. 山本香苗

    山本香苗君 長官だけ辞めて、閣僚が責任取らないということはないんですね。
  249. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 今申し上げたように、捜査の段階ですから、そういうものが一定の事実関係等々が明らかになった上で判断することになると考えております。
  250. 山本香苗

    山本香苗君 総理の一連の答弁を伺っておりまして、民主党の言う政治主導って本当に一体何なんだろうかと思います。都合のいいときは政治家がやったと言い、都合が悪くなったら役人がやったと言う。単なる御都合主義じゃないですか。  引き続き日中関係についてお伺いしたいと思います。  総理は、今回の日中首脳会談を実現するに当たって、戦略的互恵関係を深めるという原点に戻って努力をする会談にしたいと発言をしておられました。本来、戦略的互恵関係というのは日中双方が利益を得るという趣旨の言葉です。  しかし、実際多くの有識者の方々指摘しておられますように、東シナ海の共同開発は延期だ、尖閣は中国の領土だ、レアアース輸出は規制すると、ことごとく我が国の利益に反する行動を中国は取っているわけです。他方、中国にとって得になること、環境だとか遺棄化学兵器だとか、日本が中国に対して協力しましょうと、そういうことだけはやろうやろうと。これでは、日中双方が利益を得るという趣旨の戦略的互恵関係という言葉が空疎だと言われても仕方がないわけです。  そこで、総理に改めてお伺いしたいんですが、日中関係、原点を求めるとすれば、本当にこの戦略的互恵関係というものでいいんでしょうか。
  251. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 今、山本委員のおっしゃったそのレアアースとかそういうものだけが日本の利益ではありません。何度も答弁しておりますように、日本にとって最大の輸出国は中国、最大の輸入国は中国でありますし、中国から見ても最大の輸入国は日本、輸出国はアメリカが一位で二位が日本であります。そういうもろもろの相互依存関係ができてきてこれからアジアが経済発展をしていく上で、この二国間が更にお互いのメリットを高め合うということで戦略的互恵関係というものを我々はうたっているわけであります。  ただし、山本委員がおっしゃる点で私も同意をいたしますのは、戦略的互恵関係が原点では私もないと思います。やっぱり原点にあるのは、これは今回の首脳会談でも確認をされましたけれども、四つの文書、これが日中関係のいわゆる発展をしていく原点であると、これは両首脳間でも確認をされたところでございます。
  252. 山本香苗

    山本香苗君 今くしくも四文書と言われましたけれども、四文書というのは、一つは、最後の分が戦略的互恵関係をうたった日中共同声明なわけですよね。その前の段階の、三つありますが、一九七二年なんですけれども、一九七二年の日中共同声明、七八年の日中平和友好条約、そして九八年の日中共同宣言、これが三文書ということでありますけれども、この三文書こそが日中関係を安定的に発展させ未来を切り開く政治的基礎であるということをこの二〇〇八年五月の日中共同声明において改めて表明をしているわけですね。  ただ、この三文書の中で両国が批准をしている唯一の国際約束というのは二番目の日中平和友好条約であるわけなんです。私は、両国が戦後日中関係の原点を求めるとすればこの条約が原点なんじゃないかなと考えているんですが、いかがでしょうか。
  253. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 山本委員がおっしゃるように、条約という形で両国が確認をしているというものは、この四つの文書のうちこの日中平和友好条約、一九七八年に結んだものでございます。  ただ、この日中平和友好条約に書かれていないもので、例えば台湾にかかわるものであるとか、あるいは過去の歴史の問題であるとか、そういうものについては日中共同声明などにも書かれているわけでございますし、また、先ほど山本委員がこれもおっしゃいましたけれども、戦略的互恵関係というものについては、これは二〇〇六年、二〇〇七年に安倍総理が行かれたときに交わされている文言を福田総理のときに、二〇〇八年に日中共同声明、まあ第二バージョンみたいなものでありますけれども、なされたものということでありますので、条約化したものでいえば山本委員がおっしゃるとおりでありますが、すべてを、あの首脳会談では四つの文書をお互いの原点として発展をさせていこうということで確認をされたものでございます。
  254. 山本香苗

    山本香苗君 この条約締結においては、ソ連の覇権主義に反対ということで、いわゆる反覇権条項というのが、それを盛り込むべしという中国側の強い提案があって、厳しい交渉の末、ソ連の名指しこそは、名指しは避けたんですけれども、両締約国は、そのいずれも、アジア太平洋地域においても又は他のいずれの地域においても覇権を求めるべきではなく、また、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対することを表明するという条項が入ったわけです。つまり、日本も中国もアジア太平洋地域で覇権を求めない、またいかなる国の覇権も許さない、これが日中平和友好条約の精神であるわけです。  今回のこの尖閣事案後の一連の中国の行動、中国も覇権を求めないというこの条約の精神にかなっていると思いますか。
  255. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 今、日中平和友好条約の第二条を山本委員は示されて質問されたというふうに思います。とにかく、これに書かれているように、お互いが覇権を目指すべきではないと、その確認を常にしていくことが大事なことだと思います。
  256. 山本香苗

    山本香苗君 いや、かなっているか、かなっていないかということの評価を聞いたんですが。
  257. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) したがって、お互いが覇権を求めないようにしていくべきだということを申し上げているわけです。
  258. 山本香苗

    山本香苗君 まあなかなか答えにくいところだと思うんですけど、今回の日中首脳会談を機に新たな関係を築いていくということになったということなんですが、日中平和友好条約の精神に立ち返って、私は今こそ日中関係の原点をとらえ直す作業というものが必要なんじゃないかと考えておりますが、総理、最後にいかがですか。
  259. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 辛亥革命からたしか百年余りがたち、孫文が千九百何年でしょうか、横浜で演説をした中に、逆に当時の日本に対して王道を求めていくのか覇道を求めるのかという有名な演説がありました。そのことを思いながらここに覇権という言葉が入っているのをかみしめておりました。  まさに、この条約の中で、いずれの国も覇権を求めない、他の国の覇権も許さない、おっしゃるとおり、このことは最も重要な日中間の原点であるし、またあるべきだと、このように思います。
  260. 山本香苗

    山本香苗君 最後に、総理、一つだけ伺います。  全然話変わりますけれども、地震防災対策特別措置法に基づく社会福祉施設や学校施設等の国庫補助率かさ上げ措置が来年三月で切れちゃうんですよ。それで、多くの地方自治体から、耐震化事業を早く進めたいんだけど、だけどこの措置が来年四月以降なくなってしまったら、若しくはなくなるかどうか分からへんというような宙ぶらりんな状況では、補正予算を含めて来年度の事業計画を立てるのに支障が出てくるという声が上がってきています。  前回の改正は議員立法で全会一致でやりました。是非総理政府内でも、また民主党の代表として党内でも、このかさ上げ措置が延長できるようにできるだけ早く、できれば本当は今国会で実現できるように指導力を発揮していただきたい、最後に申し上げまして、質問を終わります。
  261. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) おっしゃったことについてできる限り実現を目指してこちらも努力をしてみたいと思いますので、皆さんの方でも御協力よろしくお願いします。
  262. 山本香苗

    山本香苗君 終わります。
  263. 前田武志

    委員長前田武志君) 以上で荒木清寛君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  264. 前田武志

    委員長前田武志君) 次に、小野次郎君の質疑を行います。小野次郎君。
  265. 小野次郎

    ○小野次郎君 みんなの党の小野次郎でございます。  私どもの会派はいつもこの三時半ぐらいに当たるんで、官房長官がおられる時間あと十五分しかないんで、たくさん質問したかったんですけれども、順番を変えまして、まず官房長官へのお尋ねから始めさせていただきます。  午前中には、どなたでしたでしょうか、明るい話題で宇宙開発の話題、宇宙利用の話題も出ましたけど、今の菅内閣、私はもうムーンウオーク状態じゃないかなと思うんですね。閣僚のほとんどが何か地面に足が付いていないような状態になっています。今日、私は一つ一つ、どこが浮いちゃっているのか、浮き上がっているのか、その問題点を指摘してまいりたいと思っています。  まず官房長官でございますが、官房長官、私の席は野党の一番端っこなものですからシャッター音がうるさくてしようがないんですよ、今日は。なぜだか分かりますか。官房長官が書類をめくるたびにバシャバシャバシャ、バシャバシャバシャとなるんですよ。世の中には手タレっていうのがいる、手指タレントっていますけど、官房長官の親指ばかり多分たくさん写っているんじゃないかと思うんです。  私は、この間の、読売新聞だったと思いますけど、今日お配りさせていただきましたけど、そもそも私たちが、例えば今日もテレビの中継が入っていますけど、これは政治でどういう議論をしているのか、その実態を国民の方に見てもらうために、政府も国会もある意味で報道機関に御協力をお願いして報道してもらっている面もあるんです。だから、あそこから撮っていただくんだって、議会である私たちがある種報道機関にお願いしている面もあるんです。そこに、ルールを守って撮影しているのに対して盗撮という表現を使ったのは、それは報道機関のあのカメラマンの方に対して失礼なんではなくて、それを決めた私たち国会に対しても失礼だと思うんですよ。  もう一度、官房長官、この盗撮という発言についてはきちんと謝罪して撤回していただきたいと思います。
  266. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 衆議院の予算委員会で、理事会のところで速記録を撮影というふうに直していただきまして、そのことについては感謝、御礼のごあいさつをさせていただいたところであります。  先ほど小野議員がおっしゃられたように、私にとっては、書類の内容まで拡大のカメラで撮られるというのは、それはやっぱり不本意は不本意なんですよ。だから、盗撮という言葉は撤回をもちろんさせていただいておりますし、それで気分を害された方があるとすれば、私、もう一度謝りますが、謝りますが。  それからもう一つ、先ほどからシャッター音がうるさくてしようがないとおっしゃいましたよね。国会へ足を踏み入れた瞬間に、私もなぜか目がくらむほどのシャッターをしばしば受けて、余り気持ちのいいものではありません。そのことだけは申し上げます。
  267. 小野次郎

    ○小野次郎君 最後のフレーズは全然意味不明ですけれども、私も私の予定があるからどんどん質問続けますが。  私も、役所にいて、しかも秘密を扱う仕事を結構長くやりました。不本意というのとうかつというのとは全然違いますよ。今のは、不本意なんじゃなくて自分がうかつだったと認めるべきじゃないですか、官房長官
  268. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) この職にある者として、絶えずそういう拡大カメラに取り囲まれているという緊張感がなかったことはうかつでございました。
  269. 小野次郎

    ○小野次郎君 まだ同じ件で聞くことあるんです。あなたはいろんな記者会見等で聞かれたときに、あれは私の私物だと言ったでしょう、あのメモのことを。だけど、ちゃんとクレジットがあるんですよ、これは。法務省と海上保安庁作成となっているペーパーじゃないですか。税金を使って、公務員の部下を使って作ったペーパーがどうして私物なんですか、官房長官。この点も訂正してください。
  270. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) このとおっしゃったのはどれですか。今日、小野先生が夕刊読売新聞で出されたやつ。これはまた、この文は法務省とあれのクレジットありません。これは私の私的なメモの文です。
  271. 小野次郎

    ○小野次郎君 この紙の右上には法務省と海上保安庁のクレジットが入っているんですよ。駄目ですよ、官房長官、うそ言っちゃ。
  272. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) うそとかなんとか簡単におっしゃらないで、事実をちゃんと確認してください。これはありません。この文はありません。  もう一つ、次の日か何かに写された文に法務省と海上保安庁……(発言する者あり)いやいや、同じじゃないんです、全然中身が違うんです、その文書は。(発言する者あり)全然違います。いやいや、写されているのは同じでも、それは全然違う文書、違う文書です。
  273. 前田武志

    委員長前田武志君) 官房長官、質疑者のみに答えてください。
  274. 小野次郎

    ○小野次郎君 いつもの官房長官の御答弁で、また事実がもっと明らかになってくると思いますけれども、いずれにしたって、私物というのは、あなたが自分のうちで自分の紙で作ったものは私物ですよ。だけど、何であれ、公務員である部下の人に作らせたペーパーであれば、私物呼ばわりは不適切だと私思いますよ。官房長官はそう思いませんか。
  275. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 今そこで、今日資料でお出しされたその新聞に撮影されて、新聞紙上もそこで拡大されて出てきておる資料は、私が私の頭の中にあることを整理するために私のスタッフに指示してパソコンで書面にしてもらった私の資料でございます。したがって、内閣官房でも組織的に用いたものではございませんし、組織として保有しているものではありません。したがって、例えば情報公開法に規定された行政文書ではないと、そういう意味で私は私物と、こういうふうに言っているわけであります。
  276. 小野次郎

    ○小野次郎君 それがもし仙谷さんの頭の中の整理したものだとするならば、このペーパーには明確に書いているじゃないですか、公開することの意義というのが。それをどうしてあなたはこういう場で何十回聞かれても御披見されないんですか。これは、仙谷という官房長官であり政治家の頭の中を整理したペーパーだったら、ここにもう明確に出ているじゃないですか、公開することの意義ということが。我が国の立場を明確にすることができるとも書いてある。そのことをなぜあなたはここで答えないんですか。
  277. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 先生も、何とか民法演習とか刑法演習とか、そういう本をお読みになったこと昔あると思いますが、こういう場合にはこういう法律効果を生む、こういう場合にはこうなる、だからこういう場合にはメリットがこうでデメリットがこうだと、それを絶えず頭の中で整理するのが我々の仕事。つまり、それは……(発言する者あり)今、西田さんが言い訳とおっしゃいますけれども、場合分けをして、それである種、頭の中でシミュレーションというか、それをしてみるのが我々の仕事だと私は思っていますから、それをメモに落としたものだというふうにお考えください。
  278. 前田武志

    委員長前田武志君) 真剣なこの討議を続けるために、やじはなるべくもう少しお静かに、参議院らしく、そして答弁者はやじに答えないようにお願いをいたします。
  279. 小野次郎

    ○小野次郎君 それなら、官房長官、その人に見せちゃいけないペーパーをなぜ写真に撮られたかといったら、総理にお見せになっているところを撮られているんですよ。それはどういう意味なんですか。
  280. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) だから、私の頭の中はこうなっていますから、これを総理は心得ておいてくださいねと、こういう話です。
  281. 小野次郎

    ○小野次郎君 ああ言えばこう言う官房長官ですから先へまた進みますけれども、ここに明確に、あなたの頭の中の整理、また総理の頭の中の整理かもしれませんけれども政府が一般公開に応じたのだから非公開の必要性は低かった、そういう主張も書いてあるし、また、中国による日本非難の主張を退けることができるとも、正論が書いてあるじゃないですか。なぜそのとおり、あなた、やれないんですか。
  282. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) こういう立場に立てばこういう論理になるよねと、そういうことを場合分けして書いたんです。だけど、そこだけじゃなくて、しかしその場合はこういうデメリット、こういうマイナス面もありますよねということも書いてあるはずでございます。
  283. 小野次郎

    ○小野次郎君 この点はまたほかの方に追及していただくことにして、もう一つ、というか幾つもあるんですね。  我が党の柿澤未途議員の質問に、十一月九日、官邸の危機管理センターに遠方からリアルタイムで情報が送られてくるシステムがあるんじゃないですかという質問に対して、官邸にはそういう仕組みにはなっていないと断言されていますけれども、これは私自身も証言できますし、官房長官も恐らく九月一日の防災の日なんかに地下で御覧になったと思いますが、海上保安庁であれ、警察であれ、自衛隊であれ、遠方から画像を送るシステムは官邸にあるし、そのことは、新官邸ができ上がったときの宣伝ビデオというんですかね、あの中でも、今度の新官邸にはどこからでも画像が送れるような仕組みできていますからと自慢していた機能なんですよ。それが、そういう仕組みになっていないって言う官房長官、どういう答弁なのか。その事情を詳しく知らない代議士が聞いたからといって、そんな仕組みにはなっていないんですって、私はその画像を見たことあるからもう一遍聞いているんですよ。
  284. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 私の柿澤さんの質問に対する理解が誤っていたとは私は思いませんが。つまり、柿澤さんの御質問は、だから、官邸にも海上保安庁、あるいはもっと言えば巡視船からリアルタイムに送られてきた画像があるはずだという質問だったんです。仕組みの話ではなかったんです。
  285. 小野次郎

    ○小野次郎君 あなたが仕組みと答えているんじゃないですか。
  286. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) いやいや、だから、私は、常時リアルタイムで、海上保安庁の巡視船からリアルタイムで流れてくる、そういう仕組みにはなっていないというお答えをしたんじゃないですか。  だから、正しく言うと、官邸の危機管理センターにおきましては、例えば、今回の中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した際の映像がリアルタイムで配信されたという、その事実はありません、まず。事実はありません。  それから……
  287. 小野次郎

    ○小野次郎君 そんなこと聞いているんじゃないですよ。
  288. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) そもそも海上保安庁の巡視船が出動した場合に、常にリアルタイムで海上保安庁から官邸に映像を配信するというシステムはないということであります。
  289. 小野次郎

    ○小野次郎君 じゃ、改めて私は聞きます。  官房長官官房長官は十一月九日に、遠方からリアルタイムで送ってくる仕組みにはなっていませんとお答えになりましたけれども、仕組みになっているんじゃありませんか。
  290. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 仕組みはあるけれども……
  291. 小野次郎

    ○小野次郎君 まだ言うんですか。(発言する者あり)
  292. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) いいですか。官邸危機管理センターでは、大規模災害等緊急事態発生時においては、あらかじめ各省庁との連絡調整を行った上で、各省庁が現地で撮影したリアルタイム映像を各本省、本庁を経由した上でセンターに配信する、視聴できるシステムはある。そのことをあなたがおっしゃっている。しかし、官邸への映像の配信が自動的に行われるものにはなっていないということを言っているんです。
  293. 小野次郎

    ○小野次郎君 だって、官房長官、子供じゃないんですから、ちゃんと聞いてくださいよ。これ、国会の議論が、だって、九月七日の十時に起きたことなんですから、十時以降に、そのときのことを言っているんじゃなくて、夕方から相談に来たときに画像を見たという話になっている。そこのコンテクストの中で、それは現地からだって送れるんじゃないですかと聞いているのに対して、そういう仕組みになっていないと答えているんだから。仕組みはあるんでしょう。もう一遍答えてくださいよ。(発言する者あり)
  294. 前田武志

    委員長前田武志君) お静かに願います。
  295. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 小野先生ね、柿澤さんの質問はこういう質問です。(発言する者あり)いやいや、だって前提問題じゃないですか。  官邸には危機管理センターが地下にあって、例えば海保巡視船の出動時にはリアルタイムで映像等の情報が送られてくるという話があるんです、官邸から漏れた可能性だってあるんじゃないんですか、調べているんですか、こういう質問じゃないですか。  だから、官邸にはビデオは存在しませんし、今、危機管理センターにその種のものが流れてくるとおっしゃったのは、そういう仕組みにはなっていないということでありますと私は答えたんじゃないですか。どこがおかしいんですか。
  296. 小野次郎

    ○小野次郎君 だから、官房長官、多義的だって官房長官がおっしゃるから、私は整理してこういう質問だってもう一遍ぶつけたんじゃないですか。それに答えてくださいよ。
  297. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) もう一度ちょっと質問してください。
  298. 前田武志

    委員長前田武志君) 小野委員、質問の趣旨がよく分かっていないようでございますから、もう一度質疑をしてください。(発言する者あり)
  299. 小野次郎

    ○小野次郎君 八月に官房長官、何か、耳何とかして聞けとおっしゃって後で問題になって、私は言いませんけど、よく聞いてくださいよ、官房長官。  官邸には、遠方から、海上保安庁の船などから、画像を送る仕組みがある、地下の危機管理センターで見れるようになっているんじゃないですかと。そしたら、官房長官は、そんな仕組みになっていないとおっしゃったけど、そういう仕組みはありますよねと私は聞いているんですよ。
  300. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 事前に連絡調整を行った上であればできるというシステムにはなっているということです。
  301. 小野次郎

    ○小野次郎君 その限りで、答弁、元の答弁も撤回してください。修正してください。
  302. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) いや、速記録よく読んでいただければ分かると思うんですが……(発言する者あり)いやいや、私が言っているのは、その話は多分この柿澤さんに対する答弁でしょう。柿澤さんに対する答弁ですよね。(発言する者あり)  いやいやいや、だから、柿澤さんの質問は、リアルタイムで映像等の情報が送られてくるという話があるんですと、だから、そういうビデオがあって、そのビデオが官邸から漏れた可能性があるんじゃないですかと言うから、官邸にはビデオは存在しませんと。危機管理センターにリアルタイムでその種のものが自動的に流れてくるというシステムにはなっていない、仕組みにはなっていないと。どこがおかしいんですか。私、全然変更する必要ないと思います。(発言する者あり)
  303. 前田武志

    委員長前田武志君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  304. 前田武志

    委員長前田武志君) 速記を起こしてください。  もう一度御質疑ください。
  305. 小野次郎

    ○小野次郎君 官房長官は、仕組みはあるけど、そのときはその仕組みを使わなかったということですか。
  306. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 多分、この日に、海保と危機管理センターで事前に連絡調整があって、多分今日は逮捕事案が起こるだろうからリアルタイムで送ろうというこの連絡調整がなかったんだと思うんですよ。だから……(発言する者あり)いいですか、出動時……(発言する者あり)いやいや、出動時には……(発言する者あり)
  307. 前田武志

    委員長前田武志君) 続けてください。
  308. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) だから、たまたまか何か知りませんけれども、逮捕事案が起こったわけですよね。それがリアルタイムで当日、当日……(発言する者あり)
  309. 前田武志

    委員長前田武志君) 仙谷官房長官、最後の御答弁をもう一度言っていただければいいんじゃないんですか。
  310. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 最後というのは。
  311. 前田武志

    委員長前田武志君) 先ほどの答弁の、システムとしてはですよ。
  312. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) いや、だから、連絡調整すれば流れてくる仕組みはあるけれども、危機管理センターには直接流れてきていなかったということを申し上げているんです。(発言する者あり)
  313. 前田武志

    委員長前田武志君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  314. 前田武志

    委員長前田武志君) 速記を起こしてください。  仙谷官房長官、もう一度お答えください。
  315. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 省庁間で連絡調整を事前にしてあれば映像が配信されるというシステムはあるということであります。
  316. 小野次郎

    ○小野次郎君 最初からそう言っていただきたいし、答弁は常に正確に答えていただきたいんです。  なぜかといえば……(発言する者あり)
  317. 前田武志

    委員長前田武志君) お静かにお願いします。
  318. 小野次郎

    ○小野次郎君 新しい官邸にはそうやって映像を送る仕組みがあって、国家の危機管理の際に有効に使えるんだということを政府国民に対して説明しているんですからね、多額の予算を掛けて。それを、いざとなったら、事前に長々と調整しなきゃ使えませんよなんということを宣伝する官房長官いるんですか。それは、今すぐつなげと言ったってできないかもしれない。でも、大きな事件があった、災害があったときに可及的速やかにそれが映せるようにならなければ使えないシステムだって自分で言っているのと同じじゃないですか、官房長官
  319. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 例えば、官邸で打合せをするときに、その時点でのリアルタイムの画像が、東シナ海であれ何であれ、必要だという状況であれば、それは直ちにつなげろと、こういう話になるんじゃないでしょうか。ただし、過去の、例えば当日でいえば、十時ごろの映像とビデオをそこへ流せと言うか、既に海上保安庁に送られてきているのを、目の前へ持ってきているのを見るか、それは全然話が別なんじゃないでしょうか。
  320. 小野次郎

    ○小野次郎君 僕は何回も助け船出していますよ。官邸の危機管理能力のことを聞いているんですよ。官房長官、もう一遍答えてください。
  321. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 先ほどから、ある時点からリアルタイムでどこかとつなぐことはできるということです。
  322. 小野次郎

    ○小野次郎君 官房長官は大変大きなことを勘違いされていると思うんです。ここは裁判廷ではないんですよ。国民の方はテレビで見ているし、国会議員は与党も野党も聞いている。官僚の皆さんも聞いているんです。そこで否認すればいい、黙秘すればいい、そしたら推定無罪が働くという裁判の法廷じゃないんですよ。どちらが言っていることが正論かということを皆さんに見てもらい、判断してもらう。特に政府の側は、そのことで国民の皆さんに、説得力を持ってなるほどなと。私たちはそれを問いただす立場なんだ。守るも務め、ただすのも務めだから私は聞いているんですよ。それを何か、答えなきゃ済むだろうって、それはちょっと、結果が国民が御判断いただくことだからということですけど、誠意がないと思いますよ、私は。  じゃ、もう一つ聞きます。  今回の海上保安官によるビデオ流出事件を大阪地検特捜部の証拠品改ざん事件に匹敵するゆゆしき事案だと、官房長官はそういう趣旨の発言されていますか。
  323. 前田武志

    委員長前田武志君) 小野次郎君に申し上げます。仙谷官房長官は記者会見の時間が過ぎておりますので、これにて。
  324. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 記者会見で申し上げました。
  325. 小野次郎

    ○小野次郎君 私は、この二つの事件がもし類似しているとしたら、それは何か最初の実行行為の方じゃなくて、むしろ事後に、組織というんですか、役所というんですか、組織ぐるみで非情な口封じ、目隠しを図ったことの方だと思いますよ。国民の皆さんもそのことを怒っている、憤っているんですよ。組織ぐるみで非情な口封じ、目隠しを図ったけれども、しかしそれが破綻に終わっているんですよ。  両方の事件で最も責任が重いのは、情報公開とか説明責任という大きな責任があるのに、それに逆行して口封じを図った張本人の方じゃないんですか。私は、ビデオ流出事件で口封じを図ろうとしているのはだれかと、それを官房長官にお伺いしたいと思いますよ。
  326. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 捜査官憲に身を置く者が口封じを受けるとかなんとかということは、そんな意識はないだろうし、あり得てはならないと思うんですね。つまり、捜査が終了してある段階に行くまでに証拠関係書類を外に流す、外にリークする、流出させるというふうなことは、これは文書に書いてあるかはともかくとして、それをやったら捜査自身が成り立たないと思う。基本的な職業倫理でもあるし、規範であるんじゃないんでしょうか。そんな口封じなんかだれも図らなくても、そんなことはあり得てはならないことなんですよ。
  327. 前田武志

    委員長前田武志君) 小野次郎君に申し上げますが、仙谷官房長官、これにて退席させます。
  328. 小野次郎

    ○小野次郎君 岡崎国家公安委員長にお伺いします。  警視庁の対テロ情報と思われるものが大量に流出しているという事件について、その内容及びどういう懸念される影響があるのか、大臣にお伺いしたいと思います。
  329. 岡崎トミ子

    国務大臣岡崎トミ子君) 小野委員にお答えいたします。  本件は、十月末に国際テロ対策にかかわるデータ百点以上がファイル共有ソフト等を介しましてインターネット上に掲出されたものでございます。本件につきましては、現在、警察において、掲出されたデータが警察が作成し又は保管しているものであるかを含めて調査中でございまして、お尋ねの件につきましては、その懸念される影響についてお答えを差し控えたいと思います。
  330. 小野次郎

    ○小野次郎君 私は大臣に、どういう支障がある、懸念があるかとお伺いしているんです。大臣、よろしいですか。こういう流出したことによって警察の業務に、こういう特に情報分野の業務にどういう支障がある、懸念があるかということをお伺いしているんです。もう一度お願いします。
  331. 岡崎トミ子

    国務大臣岡崎トミ子君) ただいま調査中でございますので、そうした件につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  332. 小野次郎

    ○小野次郎君 幾ら席が法務大臣国家公安委員長隣り合っているからって、同じ、法務大臣がそのことで真摯に対応しますって昨日、今日と言っておられることを隣の国家公安委員長がまたおっしゃったんじゃ、これはいけないんじゃないですか。公安委員長、もう一度お願いしますよ。
  333. 岡崎トミ子

    国務大臣岡崎トミ子君) 本件につきましては、現在、警察において調査を行いまして、事実の究明に努めているところでございます。本件の及ぼす影響につきましても、その中で見極めてまいるものと承知しております。
  334. 小野次郎

    ○小野次郎君 大臣が分かっていておっしゃらないのか、そもそも分かってないのか、後者の可能性もあると思うんですけれども、この情報の流出で一番怖いのは、やはりここで出てくる情報提供者の協力が得られなくなる、さらにはその人の安全が脅かされるおそれがある、担当者の安全が脅かされるおそれがある。そして何よりも一番大きな影響というのは、外国からの日本のそういった機関、サービスに対する信頼がなくなるということなんですよ。  この分野は、ある種、信頼、信用に基づいて行われている分野だから、こんなことが日本から出ていますよということでは日本のテロ対策に極めて深刻な影響がある、それぐらいは国家公安委員長だったら言えるんじゃないんですか。公安委員長、そう思いませんか。
  335. 岡崎トミ子

    国務大臣岡崎トミ子君) 小野委員に申し上げます。  先ほども申し上げましたけれども、現在、そのデータが警察から出された、作成されたものであるか、保管されているものであるか、そのことを含めて調査中であるというふうに申し上げました。
  336. 小野次郎

    ○小野次郎君 日本の治安維持というのは、国家公安委員長、あなたが責任者なんですよ。公安委員会制度というのを取って、確かに、いわゆる政治家でない方が五人おられて、その方と協議しながら公安委員長がチェアマンとして進めていくわけですけれども、責任は大変大きいんですよ。それが何か、公安委員会で、じゃ、この事件についてどんな話題が出ているんですか。
  337. 岡崎トミ子

    国務大臣岡崎トミ子君) お答えいたします。  本件が認知された後、最初に開かれました国家公安委員会において、警備局から国際テロ対策にかかわるデータのインターネット上への掲出事案の概要について報告がありまして、現在調査を行っている旨の報告がなされました。これに対しまして、公安委員会からは調査をしっかりと行ってもらいたいという意見が出されました。私からも、国家公安委員会委員長といたしまして、本件の全容解明に向けて調査を全力で行うということを指示したところでございます。
  338. 小野次郎

    ○小野次郎君 私は、一人の女性の政治家のことを思い出しています。それは森山眞弓さんという方がおられて、法務大臣されているときに、たしか名古屋の刑務所の不祥事もありました。それから、幹部の検察官の方の不祥事もあって、自ら内閣総理大臣から厳重注意処分を受けているし、それから閣僚の給与を返上、そういう法的仕組みがないものですから返上されたということもあります。  だから、法務大臣にしても国家公安委員長にしてもそうなんです。一方は法の守り手の最高権威でなきゃいけない、一方は治安維持の最終責任者でなきゃいけない、その自覚を持って取り組んでいただきたいし、この事件についてはまだまだ全貌が明らかになっていないから、今どういう責任を公安委員長にあると思うかと問うこともできませんけれども是非、事態によってはそういう大きな責任の問題にもなるんだと、政治家の責任でもあり得るんだということを自覚して取り組んでいただきたいと思います。  経済産業大臣に、大畠大臣にお伺いしますけれども、十月十五日に古賀茂明さん、この委員会に来ていただきました。そのときには出張の現場から帰ってきてもらった状況だったのでお尋ねすることができませんでしたけれども、その国内出張の記録なり国内出張の成果、内容というものをお伺いしたいと思います。
  339. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 小野議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。  御質問の古賀大臣官房付が地域の経済状況を把握するため、十月四日から十五日までの間、北海道、東北、九州、四国に出張をいたしました。そして、そのときの出張報告というお話でございますが、この出張報告も、ベテランの感覚でよく地域を歩いていただきまして、つぶさな、詳細に報告書をいただいたところでございます。
  340. 小野次郎

    ○小野次郎君 その出張報告書、ほかの委員会でも提出求められて準備がされていると思いますので、当委員会にも提出していただきたいと思います。
  341. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) しっかりとした報告書がございますので、委員会でお決めいただきましたら、提出することは可能だと思います。
  342. 小野次郎

    ○小野次郎君 じゃ、提出を委員長からも。
  343. 前田武志

    委員長前田武志君) 後刻理事会において協議いたします。
  344. 小野次郎

    ○小野次郎君 ありがとうございます。  質問を続けます。  国土交通大臣、那覇地検の原本のほかには、このビデオの問題ですけれども、国交省内では石垣保安部と海上保安庁にあるという趣旨の答弁を繰り返されましたよね、十月十五日に。それで、この国会でビデオコピーの存在を追及されていた十月中旬までの時期には、その後明らかになった事実は、海保庁内の多くの部署で見ていたという状態だったんじゃないんですか、大臣
  345. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 報道では共有フォルダ等を多くの方が見たということで上がっておりますが、事実については、今まさに警視庁と東京地検、私どもが告発をして捜査中です。まだその事実がどのような状況かということについて、私ども告発者でありますから、海上保安庁、告発者として海上保安庁が具体的な事実を警視庁並びに東京地検から受けたという報告は聞いておりません。
  346. 小野次郎

    ○小野次郎君 私は、あの時点でも、行政庁で保管されているのではないか、あるんだったら出してくださいということを言いましたけれども、繰り返し言われたのは石垣保安部と海上保安庁本庁だということでしたけれども、実は大臣、それが金曜日だったんですよ。月曜日に新たな指示を出したでしょう。  それはどういう指示かというと、これはもうどの新聞にも出ていますけど、十月十八日、情報管理の徹底に関する国交大臣の指示を出し、それに基づいて多くの部署で残っていたビデオコピーを廃棄、消去したとなっているんですよ。これは、国会での審議、国会議員からのお願いと逆行する指示を出したんじゃないですか。現実に、報道によれば、十一管区にあったコピーは廃棄、海上保安庁本庁にあったコピーも廃棄、閣僚閲覧用、どんな形状か分かりませんが、それも廃棄となっていたし、今回問題になっているやつは、さらに広島の海上保安大学校にあったということになっていますよ。幾つもコピーがあったんじゃないですか。  大臣、もう一遍答えてください。
  347. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 私の答弁をこの記録から見させていただいておりますが、私は、十月十五日のこの参議院の予算委員会で答弁したのは、マスターテープは石垣本部と、このように申し上げました。そして、コピーしたものは海上保安庁にございますと、こう申し上げました。  当然、これも今までの答弁でお話をしておりますが、複数の人間、これは関係する者がその過程の中で見るということがございますので、海上保安庁、その組織の中でこれを見るということがありました。そして、これについては、十月十八日、再度国会への求めに応じて提出をするという段階で、元々は情報セキュリティーポリシー、この情報システム上の中でしっかりと管理する、徹底管理するようになっておりましたが、再度改めての管理を指示したということであります。  したがいまして、私の答弁、これを見ましても、繰り返しになりますが、何らそごはないと、このように思っております。
  348. 小野次郎

    ○小野次郎君 そごだらけだと思いますけどね。二か所言っておいて、二か所以外にたくさんあって、それを週明けになったら今度は廃棄の指示を出しているわけでしょう。まあ行政上だから証拠隠滅というのはないのかもしれません。でも、隠滅的な行為を大臣自ら指示されているわけですよ。  私が次の質問してから併せて、じゃ、お答えがあればお答えいただきますけど、今度、もう一つあるんです。  今日、海上保安庁から、提出されていないビデオのリストというのが出てきました。それ見ると、二百七十六分あるんですよ。二百七十六分あるうち、私たち、委員長も理事も見たのは六分五十秒ですから、実に九七%カット版なんですよ、三%版。これを何と国交大臣、当時、一か月前に言っておられたかというと、海上保安庁にコピーはあるけど、公表できるかどうかの判断は海上保安庁じゃなく全部地検なんですよとおっしゃっていました。ところが、一か月間に国会審議の中で明らかになったのは、今後の海上保安庁の活動に支障のある部分は削除したと言っているわけですよ。  これは、私たちが立法府と行政府の間で議論している、まさに行政府の都合でその那覇地検が出してきたテープがカットされて、九七%カットされているんだったら、これは、一か月前の国交大臣の答弁は事実と反していたんじゃありませんか。
  349. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 小野委員に、先ほどの御指摘ですけれども、私、二か所とは申しておりません。石垣と海上保安庁と、このように議事録にも載っております。したがいまして、二か所だとお決め付けになられるのは、この速記録を御覧いただければ分かりますが、事実と異なります。  そして、私の答弁に対して虚偽だということを先般もおっしゃっておられました。私もこれは何をおっしゃっているか分からなかったんですが、十一月十七日、公表の可否の判断は海上保安庁にはなくて検察官だというふうに一連の答弁をしてきたのは、全部これ虚偽答弁じゃないですかと、このようにお尋ねになった。  私は何のことかよく分からなかったんですが、今御指摘のこの十月の半ば、十月の十五日、参議院の予算委員会、ここで私は、ビデオの公開に関しましては、繰り返し申し上げておりますように、捜査当局において判断されるべきものと考えておりますと。この時点で捜査当局とは、公務執行妨害事件に係る捜査当局とは海上保安庁と地検であります。したがいまして、私は一度も国土交通省外局、海上保安庁が判断していないなどとは申しておりませんし、この中では捜査当局と私は申し上げています。  そして、同日、その後の質問に対しても再度答えています。これについてというのはこのビデオの話なんですが、私どもが判断する立場にない、これはどういう意味か。私どもというのは国土交通省外局の海上保安庁、これが単独で判断することはないんです。繰り返し申し上げてまいりましたが、海上保安庁と検察、地検の協議においてこのことを決めてまいりました。私は繰り返しこのことを申し上げてきた。  小野委員に私は繰り返し申し上げますが、速記録を御覧いただいて、私が発した言葉を正確に使っていただきたい。虚偽答弁とおっしゃいましたが、私はここでも書いているように……(発言する者あり)虚偽答弁とおっしゃった。原稿じゃないんです、これは速記録です。速記録でそのようにおっしゃった。そうではありません。捜査当局とは、この件においては海上保安庁と地検であります。そして、再度申し上げますが、単独で判断するということはないということを十月十五日に申し上げました。
  350. 小野次郎

    ○小野次郎君 全然違うじゃないですか。それじゃ、海上保安庁長官以下、全部それは捜査機関に入るんだったら、あの二か月間の議論は全部吹っ飛びますよ、これ。  委員長、そう思いませんか、だってこの議論聞いていて。海上保安庁が編集するのは含まれるんだ、だったら、じゃ、衆議院はなぜ那覇地検あてに出したんですか。海上保安庁なんかあて先になっていませんよ。だけれども、九七%の大半は海上保安業務の要請で編集したというんだったら、海上保安庁は編集の主体じゃないですか。納得できません、今の答弁は。
  351. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 質問も、申し訳ないんですが、私は今の御質問よく分からなかったんですが、いいですか、私が申し上げてきたのは、この公開に関してということにおきましては、那覇地検と海上保安庁、この両者が協議をして決めてきたわけです。そして、単独で決めることはありませんでした。このことを小野委員は、十一月十七日の私への質問でこうおっしゃったんですね。公表の可否の判断は海上保安庁にはなくて検察官だというふうに一連の答弁をしてきたのは……(発言する者あり)
  352. 前田武志

    委員長前田武志君) 馬淵大臣、簡潔にお答えください。
  353. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 全部これ虚偽答弁じゃないですかと、このようにおっしゃっているので、私はそうではありませんということを申し上げたんです。  繰り返しになりますが、小野委員、私はお尋ねのことについてはお答えしておるつもりです。そして、どの部分がお尋ねの部分で不確かだとおっしゃるならば、そのことをもう少し、大変申し訳ありませんが、私の理解が足らないかもしれない、もう少し正確にお尋ねをいただきたいというふうに思います。
  354. 小野次郎

    ○小野次郎君 二か月間議論してきたのは、検察が管理します、検察が出すか出さないか考えますという議論で来たんですよ。それが、今の大臣のお話は、海上保安庁はそっくりそれは判断する側に立っているじゃないですか、もう。  だって、刑訴法で言っているのは、刑事訴訟との関係で公益上の必要その他の必要があってという場合を言っているんであって、行政上の理由でどんどんどんどん出すものを制限していいなんてことは書いてませんよ、刑訴法の話には。
  355. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 済みません。これまでの議論を再度議事録を精査していただきたいんですが、私どもは、海上保安庁長官もそして私も、更に言えば仙谷長官もそのようにおっしゃっていると私は承知しておりますが、事件発生当初から、検察と海上保安庁協議の上、これは刑訴法四十七条の規定に基づいて公開しないこととしたと、このことを繰り返し申し上げてまいりました。  二か月間、違うことをおっしゃってきたと今言われましたが、これテレビにも映っておりますし、国民皆さん方にもはっきりと事実をお伝えしなければなりません。私どもは、この議論の中では繰り返し、この両者が協議の上公開しないものとしたと、こうお伝えをしてまいりました。小野委員、このことをどうか御理解いただいて、改めての質問をお願いしたいと思います。
  356. 小野次郎

    ○小野次郎君 もう何度お話ししても、残念だけれども馬淵大臣には仕組みが分かってない。刑訴法の四十七条には、行政上の、行政機関の都合で出していいとか編集していいとか、そんなこと書いてないんですよ。そのために、我々国会が一致して決議して出してくれって、立法府から内閣を通じて官署に対して、持っている官署に対して請求しているんじゃないですか。そのあて名が那覇地検なんでしょう。  ところが、実際には、あなたの部下である海上保安庁が一緒になって九七%カットしちゃっていて、そのカットしたということも私たちは知らされないまま、六分五十秒のやつ、これだけしか見せませんよと。しかも、それには官房長官から御丁寧に、ほかの方の見ることについては極めて慎重でなきゃいけないという御意見まで付けていただいたのが六分五十秒ですからね。これ、全然なっていませんよ。  ただ、私、申し訳ない、同僚議員の時間を大分食っていますのでこれで今日は終えますけれども、全くこの内閣の不誠実、そしてまた国民に対して事実を見せない隠ぺい体質、その結果が、九五%の国民がこの情報流出、決して私はいいことと思わないけど、いいことと思わないんだけど、九五%の国民が支持しちゃっているのは、内閣が口封じをしてし切れない、その足がすぐばれてしまう、その体質にあると私は指摘して、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  357. 前田武志

    委員長前田武志君) 関連質疑を許します。中西健治君。
  358. 中西健治

    中西健治君 みんなの党の中西健治でございます。  大分時間が少なくなってきましたので、単刀直入に行きたいと思います。  郵政民営化逆行についてお伺いいたします。  郵政民営化を逆行させる郵政改革法案については、そもそも小泉内閣のときに衆議院を解散してまで信を問うた郵政民営化が、国民新党という少数与党に引きずられる形で、半ばなし崩し的に方向性が真逆になってきてしまっている。しかも、それをさきの通常国会で、議論は六時間しか行わないままに強行採決に及んだ。この強権的な国会運営、こうしたことについて国民の多くは不安に思っている、不満を呈している。それが七月の参議院選挙の結果に表れているのではないかと私は考えております。菅総理、いかがでしょうか。
  359. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) さきの通常国会の議論の仕方、若干乱暴なところもあったという反省も含めて、この国会ではできるだけ丁寧に、熟慮の国会になるようにという姿勢で臨んでいるつもりであります。
  360. 中西健治

    中西健治君 参院選の結果の評価ということについて今お聞きしたわけですけれども、ストレートにお答えいただけなかったようでございます。  政権交代後、数々の美辞麗句が並べられました。大ぶろしきが広げられました。しかし、結局、実行はされていないじゃないですか。最低でも県外、友愛の海、国内法にのっとって粛々と、直近でも、企業・団体献金の廃止、国会議員の経費二割削減、どれも進んでいないように見受けられます。  そして、今度はTPPに関して平成の開国という言葉が使われております。党内すら参加の方向で一本化できていないのに、本当にやり抜く覚悟はあるんでしょうか。アメリカは、関税以外の障壁でもある郵政民営化逆行問題の解決を求めているとされています。TPPには郵政民営化は避けて通れません。TPPを進めるためにも、郵政民営化逆行を見直すということになるんではないでしょうか。総理にお聞きします。総理にお聞きします。
  361. 前田武志

    委員長前田武志君) まず最初に、自見庄三郎担当大臣
  362. 中西健治

    中西健治君 総理の覚悟についてお聞きしたいと思います。
  363. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 中西議員にお答えをいたしますけれども国民新党の名誉にかかわることでもございますから、はっきり、きちっと申し上げておかないといけないと思っています。  先生は、五年前の小泉郵政選挙の、小泉劇場と言われた、私も議席を失いましたけれども、そのことを言っておられるんですけれども、それよりその後に、去年の八月三十日に本当に五十四年ぶりに政権交代になった選挙があったわけでございます。その中に、八月十四日に、当面の選挙戦に臨む民主党国民新党、それから社民党との共通政策として六つ出しております。その中に、小泉さんの競争至上主義、やり過ぎた市場原理主義が日本の社会に大きな影響を及ぼしたと。ですから、そのことを踏まえて、要するに、御存じのように、きちっとその中の六つのうちの一つに郵政民営化が入っているわけでございますから、そういった意味で、そのことが我々はきちっと、国民としての、民主主義という正統性を持ってこの郵政民営化の法律を作ってきたというふうに確信を持っておりまして。  そして、今TPPの質問でございましたが、我が国の郵政改革に対してアメリカが関心を持っていることは、私も八月、アメリカに行ってブレイナード財務次官とお会いをしまして、よく話、懸念を聞いておりますけれども、しかしながら、この環太平洋パートナーシップに関しまして、これは今後の協議の過程における米国等の関係国の関心事項や情報については現時点では不明でございました。  いずれにいたしましても、我が国郵政改革はこれから大変大事なところでございますけど、これは当然WTO、ガットに違反してはいけません。そのことを非常に注意してこの法律を構成したわけでございまして、そういった意味で、郵政改革法第十二条において、郵政事業は同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性に配慮するものと、基本方針とするということでございます。(発言する者あり)違いますよ、今一番大事なことを聞いたんですから。ですから、それが基本だということですね。  ですから、この基本方針の下に経営の自主性と競争条件の公平性にバランスの取れた改定をしているところでございまして、郵政改革法案はWTOを始めとする国際条約の基本的精神に反するものではない……(発言する者あり)
  364. 前田武志

    委員長前田武志君) 自見大臣、簡潔におまとめください。
  365. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) そのことを国際的な整合性を確保していく考えであるということを、是非、この郵政法案、逆行だとか、何かそういうことをよく言われますけれども、よくその現状を考えていただきたいということを私から強くお願いをいたしておきます。
  366. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 今、自見大臣から、郵政に対する民主党国民新党の合意をベースにいろいろ経緯を説明いただきました。  TPPについては、いろいろな条件などの情報を収集することも含めて、関係国との協議を行うということを基本方針で定めたところであります。米国が日本のTPP、まだ参加するしないというところを言っているわけじゃありませんが、まだそういう今申し上げた協議の段階でありますが、そういった条件としていわゆる郵政民営化を求めているという事実は私は聞いておりません。今、自見先生が言われたように、いろいろな問題が土俵にはのると思いますけれども、基本的な姿勢は姿勢として貫きながら対応していきたいと思っております。
  367. 中西健治

    中西健治君 郵政民営化を進めなければTPPでの交渉が更に難しくなるのではないかというふうに私は思っております。農業という大きな問題を抱えているのに郵政の民営化ということも行わないということであれば、カードを一枚失うのではないかというふうに思っております。  自見大臣が今随分熱烈におっしゃっていただいたので、では、質問をまたさせていただきます。  私は、十月十九日の総務委員会での自見大臣の所信を聞いて大変驚きました。大臣がおっしゃるには、中国が郵便と金融の全国サービスを提供しているから日本もそうするべきだということでした。十月二十二日の本会議においても、自見大臣、同じことをおっしゃっておりました。ですので、菅総理もお聞きになられたわけでございます。よりによって中国です。言うまでもなく、中国は共産主義の国です。その中国がやっているから日本もというのはとんでもなく間違った考えなんではないでしょうか。政府日本を共産主義か社会主義の国かと勘違いしているんですか。それとも、そのような社会経済体制に持っていこうとしているんでしょうか。  私は、菅総理お聞きになられているわけですから、自見大臣のおっしゃったことについてお聞きしたいと思います。総理の感想をお聞きします。
  368. 前田武志

    委員長前田武志君) 菅総理大臣。(発言する者あり)
  369. 中西健治

    中西健治君 総理お聞きになられたので、総理の感想を聞きたいと思います。
  370. 前田武志

    委員長前田武志君) それでは、中身について、自見担当大臣
  371. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) あのときの、私は国会で所信表明したときにも申し上げましたが、説明いたしますと、アメリカは郵便は憲法上の権利でございます。憲法に保障された権利でございまして、ですから、今でも七十万人の国家公務員がやっています。一方、中国という話をしましたが、これは中国のみならずニュージーランドでも、一遍郵便貯金をやめましたけど、またこれは過疎地から、田舎から郵便貯金がなくなるということで、これは普遍性を持ってやりました。  これ、イギリスで始まりまして、イギリス、フランス、ドイツ、みんなそういったところは郵政三事業をやって、それで中国もやっているんですよという話でございまして、よくそのことを少し先生、またいろいろ先生から御指導もいただいておりますけれども、ひとつ是非そのことも、中国は今郵便貯金をやっていますが、郵便貯金も二十五年前に始めまして、今度は簡易保険を二年前から始めているということでございまして、やっぱり国のイデオロギー、体制は違っても、郵政三事業というのは普遍性があるなということを私は申し上げたかったわけでございます。
  372. 中西健治

    中西健治君 自見大臣、よく議事録を読んでいただきたいと思いますが、郵政サービスに関しては中国しか例に引いておりません。アメリカは金融規制改革のことについておっしゃっていただけです。中国のことを引いて、やるべきだというふうにおっしゃったので、私は質問させていただきました。  菅総理、お願いします。
  373. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) ちょっと私には中西さんの言われている意味が、例えば郵政が民営化していれば自由主義国で、民営化していないと何か共産主義国のように言われますが、明治以来、日本はずっと長く国営の郵政でありました。そうすると、それまでは共産主義であったというふうにはもちろん言われないと思いますから、余りそういうように、こうだったら共産主義でこうだったら何とかという言い方での御質問はちょっと当たっていないんじゃないかと思います。
  374. 中西健治

    中西健治君 私は、論旨の組立て方がおかしいということを申し上げたということでございます。  それでは、別の質問をさせていただきます。片山大臣にお伺いいたします。  大臣は、四月と六月に新聞のコラムに寄稿して、こんなことを書かれています。そもそもこの法案は、郵政改革法案ですが、国会ではごく少数の議席しか占めていない国民新党に無理やり引きずられてでき上がったとか、将来性に不安のある郵便事業の赤字を郵便貯金の収益で埋め合わせようという構想に合理性と持続可能性はあるのかとか、この法案にてこ入れした首相と幹事長は既にいなくなったのだから、民主党にとって、この際頭を冷やしてもう一度考え直してみるいい機会ではないかと、こう書かれているわけでございます。まさにそのとおりだと私は思いますが、この考えは変わってしまったのでしょうか。
  375. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 今引用になられたのは私が新聞に寄稿したものでありますけれども、当時の私が外部から見た印象を率直に書いたものであります。  その記事の中、よく読んでいただくと分かりますけれども、この法案に対する懸念でありますとかを書いております。同時に、評価するものも書いてあるんです。例えば、これはまあ異論があるかもしれませんけれども、非正規社員をできるだけ正規化しようという、これは亀井前大臣の考え方でありますけれども、そういうことは私も賛同した考え方を書いております。  いずれにしても、そういう当時の懸念とか賛意とか評価を書いているわけでありまして、今私は、この菅改造内閣の一員になりましたので、これは内閣というのは連帯して国会、国民の代表である国会に責任を持つわけでありますから、その一員として政府の政策を忠実に実行したいと思っております。
  376. 中西健治

    中西健治君 今、片山大臣は非正規社員の正規社員化ということをおっしゃられたわけでございますが、私はこの点について質問主意書を出させていただきました。そして、十二月の一日に採用が行われるというにもかかわらず、政府からの答弁書によりますと、十月の二十九日の時点で、採用予定者は未定のため人件費増加額は不明、今年度の予算措置はしていない、決算予想への織り込みもしていない、このような返答でございました。  このようなずさんな経営を許していていいのでございましょうか。天下りではないという強弁をされている社長人事がこのような親方日の丸に対する甘えを生んでいるのではないでしょうか。片山大臣、お願いします。
  377. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 議員から質問主意書がありまして、それについて答弁書を内閣の方から出したのはそのとおりであります。  その後、事情が変わりまして、日本郵政グループが十一月の十日に報道に対して資料を提供し、また記者発表しておりまして、その段階では、ある程度の現在の見通しでありますか、見込みなんかを世間に公表しているところであります。
  378. 中西健治

    中西健治君 私はそれも存じておりますが、十月二十九日の時点で、要するに十二月一日の一か月前です。そのときにも経営計画に織り込んでいないというようなずさんな経営が行われているということを指摘しておきたいというふうに考えております。  みんなの党は、この郵政改革法案、大変問題があるというふうに考えておりますので、本日、郵政民営化推進法案、逆提案の形で法案を提出させていただきました。そして、郵政民営化をしっかり進めていく、天下りを許さない、こうしたことをしっかりと訴えていきたい。他党の皆さんにも是非とも積極的に御審議をいただきたいとお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  379. 前田武志

    委員長前田武志君) 以上で小野次郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  380. 前田武志

    委員長前田武志君) 次に、市田忠義君の質疑を行います。市田忠義君。
  381. 市田忠義

    市田忠義君 日本共産党の市田忠義です。  今月十日、東京では全国的規模の、そして十二日には札幌市でTPP参加反対の北海道民総決起集会が開かれました。日本各地で同様の集会が相次いで開かれています。いずれも農林水産団体だけではなくて、経済団体、地方議会、消費者、市民など、多くの分野の人々が集まって大変大規模な集会になっています。  総理にお聞きします。これほどの規模で北海道始め日本全体が立ち上がったと、このことをどう受け止めておられるでしょうか。
  382. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 私どもはさきの基本方針の中で、経済連携、いわゆる開国をするという方向と農業の再生を両立させると、そういう方針を明確にいたしました。しかし、もちろん、この経済連携、TPPについては、御承知のように関係国との協議という段階でありますけれども、そういうことについて農業に携わっておられる皆さんがいろいろ心配をなさっているということはそのとおりだと思います。  ただ、後の議論になるかもしれませんが、農業の現状というのは、必ずしもこの経済連携の問題を抜きにしても、例えば非常に高齢化が進んでいるとか、この間で全体の規模も小さくなっているとか、いろんな問題がありまして、私は、逆に農業再生のためにはもう待ったなしのところまで来ていると。ですから、この両立こそが日本の将来を開く道になると、このように考えております。
  383. 市田忠義

    市田忠義君 農業団体だけじゃないんです。市民も経済団体も消費者も立ち上がっていると。それをどう受け止めているかと聞いたんです。私は、国民の血の出るような叫びは総理分かっておられないと思うんです。  農水省に聞きます。TPPへの参加で北海道経済にどういう影響が出るか、北海道の行った試算を述べてください。
  384. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 北海道農政部で行った試算は、道内農業生産や関連産業等への影響は二兆一千億程度、雇用は十七万三千人程度減少、農家戸数は三万三千戸程度減少と、こういうことであります。
  385. 市田忠義

    市田忠義君 農業生産額は実に半分以下であります。農家戸数は七割以上減ると。衝撃的な数字であります。  では、日本全体の農水産物等への影響はどうなっていますか。
  386. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 農産物と水産物合わせまして四兆五千億、産出が減るというふうな試算を出させていただいております。
  387. 市田忠義

    市田忠義君 それ以外にもいろんな数字を今日お答えくださいと昨日言っておいたでしょう。
  388. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 多面的機能の評価額では、日本学術会議によりまして平成十六年にそれぞれ……(発言する者あり)
  389. 市田忠義

    市田忠義君 もうわざわざ、丁寧にこれ答えなさいと昨日言っているんですよ。食料自給率はどうなるか、農業の多面的機能の損失額は幾らか、国内総生産額は幾らか……(発言する者あり)
  390. 前田武志

    委員長前田武志君) 大臣、お座りください。
  391. 市田忠義

    市田忠義君 就業機会の減少数は幾らかと、わざわざこれ答えなさいと丁寧に昨日言ったんですよ。これ本当に、片道方式だから時間ないから困るんですよ。
  392. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) はい、失礼しました。  国内の農産物の生産額は四兆五千億程度減少、食料自給率は四〇%から一三%に低下、農業の多面的機能は三兆七千億程度喪失、関連産業への影響は国内総生産で八兆四千億程度減少、三百五十万程度の就業機会の減少と、こういうふうな試算を出しているところです。
  393. 市田忠義

    市田忠義君 まあそういう数字を余り言いたくなかったんでしょう。TPPに参加することになれば例外なく関税撤廃が求められて、アメリカ、オーストラリアからの農産物の大量輸入日本の農業は壊滅し、国内総生産は崩壊すると。自給率は一三%ということになれば、国民の胃袋のほとんどが外国にゆだねられると。関連産業も廃業に追い込まれるし、地方の雇用も失われると。里山荒廃どころか、日本の農山村地帯は見る影もなくなるでしょう。  そういう事態になることを総理はどうお考えでしょう。
  394. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) まさにそうしてはならないわけです。  今の御質問とお答えは、何も、何といいましょうか、対策を打たないで、例えばすべての関税をゼロにしたというそういう仮定の中でたしか出された数字でありまして、そうしてはならないからこそ、先ほど申し上げたように両立をするための対応をしようと。  しかも、あえて先ほども申し上げましたけれども、それでは今の状態のままの形を継続したときに、現在農業に就業している方の平均年齢が六十五・八歳ということになりますと、もっともっと若い人が農業に参加し、そして食べ物である食料、それを食品あるいはレストランで出すといった六次産業化とか、そういうことをどんどん広げていかなければ、農業というものが地域の中で維持できなくなるという問題意識があって申し上げているわけで、何にもやらないで今出された数字のようになっていいとか、それを覚悟しているということでは全くありません。
  395. 市田忠義

    市田忠義君 もう何も手を打たなければと。手を打つのは当たり前であります。いろいろ国内対策やると言われた。  じゃ、聞きましょう。壊滅的打撃を受けるという試算があった北海道農業の規模は一体どういうレベルか。一戸当たりの農地面積、酪農経営飼養、動物を飼い養うことですね、飼養頭数の北海道とEUの比較、肉用牛飼養頭数の北海道とアメリカの対比はどうなっているか、農水省。
  396. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) EU、米国及び北海道の酪農経営の一戸当たりの飼養頭数につきましては、EUは一戸当たり十頭、米国は百三十八頭、北海道は六十四頭、こういうことであります。  それから、肉用牛の経営の一戸当たりの飼養頭数につきましては、米国及び北海道の比較でございますけれども、米国は八十四頭、北海道は百七十八頭、こういうふうなことでございます。  また、一戸当たりの経営の耕地面積につきましては、EUは十三・九ヘクタール、米国は百八十六・九ヘクタール、北海道は二十・五ヘクタールと、こういうことです。
  397. 市田忠義

    市田忠義君 今説明があったように、北海道農業は既にEUレベルを超えて、肉用牛ではアメリカをも超えていると。貿易の完全自由化、市場開放と農業を両立させる対策を取るんだと菅総理言われた、それは不可能なんです。世界的に見ても大規模化している北海道でさえ壊滅的な打撃を受けると。  総理は第三の開国ということを言われます。総理の言い方を聞いていると、日本の貿易は農林水産物を中心にまるで鎖国状態にあるかのように聞こえます。  そこで、農水省に聞きます。主要国の農産物の平均関税率はどうなっていますか。
  398. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 農産物の平均関税率は、インドが一二四・三%、韓国が六二・二%、メキシコが四二・九%、EUが一九・五%、米国は五・五%、日本は一一・七%。
  399. 市田忠義

    市田忠義君 今お話があったように、日本は一一・七%、アメリカに次いで世界で二番目に低いと。日本は、鎖国どころか十分過ぎるほど国が開かれている。そして、この関税率の低さが今日の日本農業の疲弊、困難の主要な原因だったんです。TPPへの参加はそれに追い打ちを掛けて、言わばがけっ縁に立っている人を、それを救うのが政治の責任なのに、がけっ縁に立っている人をがけから突き落とすようなものなんです。  国民は、こうした現状を前にして、食料自給率についてどう考えているか。この十月、政府が行った特別世論調査というのがあります。この特別世論調査で食料自給率についてどういう答えが出ていますか。
  400. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 本年九月に内閣府が実施した世論調査によりますと、今後の我が国の食料自給率を高めるべきだと考えている国民の割合は、高めるべき、どちらかというと高めるべき、合わせて九〇・七%と、こういう数字です。
  401. 市田忠義

    市田忠義君 実に九割の人が食料自給率を高めるべきだと。  じゃ、同じ調査で、外国産の方が安い場合は輸入食料の方がいいと、そう答えた人はどれぐらいいますか。
  402. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) これも、本年の九月に内閣府が実施した世論調査によりますと、外国産の方が安い食料について輸入する方がよいと考えている国民の割合は五・四%という数字であります。
  403. 市田忠義

    市田忠義君 安ければ外国産の方がいいと考えている人はわずか五・四%なんです。これ、政府が行った世論調査でこういう答えが出ていると。こういう冷厳な数字を私はしっかり見詰めるべきだと。要するに、圧倒的な国民が望んでいることは、これ以上輸入に頼ることではなくて、安全で安心な食料は日本の大地からということなんです。  その規模がヨーロッパ並みのレベルに達している北海道農業さえ壊滅的打撃を受けるということは、先ほどの北海道の試算の紹介で明らかになりました。そういう状況の下で、幾ら自給率を向上させると口で言っても、それを信用する国民、とりわけ農業者はほとんど皆無に近いでしょう。  もう一つお聞きします。TPPに現在参加している国はどこですか。これは外務省ですかね。
  404. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 参加をしている国は、シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの四か国でございまして、交渉中は、その四か国プラスアメリカ、豪州、ペルー、ベトナム、マレーシアの合計九か国でございます。
  405. 市田忠義

    市田忠義君 じゃ、この九か国のうち我が国が既にFTA、EPAを結んでいる国はどこでしょうか。
  406. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) シンガポール、チリ、ブルネイ、ベトナム、マレーシア。で、ペルーはもう最終調整段階でございます。
  407. 市田忠義

    市田忠義君 バスに乗り遅れるなとか、世界の趨勢だと。これ、交渉に参加している国合わせても九か国なんですよ。結局、二国間のFTAが進まないアメリカ、オーストラリアという農林水産物輸出大国に門戸を開いてやろうと、これがねらいなんです。日本にとってのTPP参加は、事実上、日米FTAの締結と同じ意味を持つ。アメリカにとってはアジアでの経済基盤を確保するためのもので、これは私が言っているだけじゃないんですよ、アメリカ政府の高官がアメリカの議会で公然と語っていることであります。  また、日本でTPPへの参加、最も強く求めているのはどういう勢力かと。日本経団連、中でも自動車、電機などの輸出大企業であります。  内閣府にお聞きいたします。TPPに参加した場合、GDPを何%押し上げるというふうに試算していますか。
  408. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) いわゆるGTAPモデルのお尋ねだと思います。いわゆるWTOとか世銀などで広く用いられているモデルでありますけれども、その試算でいくと、TPPの参加で実質GDPで〇・四八から〇・六五。ちなみにFTAAP全体ができ上がるという前提でいけば、一・三六%で六・七兆円ということでございます。
  409. 市田忠義

    市田忠義君 結局、日本全体で見るとGDPはほとんど増えないんですよ。はっきりしていることは、これまでも巨大な利益を上げてきた一部の輸出大企業の利益のために、農業も漁業も林業もそれにつながる地域社会もめちゃくちゃにすると。私は、これを守るルールをこそ今政治は考えるべきだと思うんです。  農林水産業というのは単なる数字だけで測ることはできません。いわゆる多面的機能、国土の保全にとっても、環境、景観の保持、文化の継承、こういう多面的な機能を持っています。日本学術会議が農水相の諮問に答えて明らかにした農業、林業、漁業、これらの多面的機能の貨幣評価、それぞれ幾らですか、農水省。
  410. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 学術会議によりまして答申されたのが、農業では、その各分野の評価額でございますけれども、洪水防止機能、土砂崩壊防止機能で年間約八兆円、森林では、表面浸食防止機能、水質浄化機能などで年間約七十兆円、水産業、漁村では、物質循環の補完機能、生態系保全機能などで年間約十一兆円と、こういう試算が出ておるところであります。
  411. 市田忠義

    市田忠義君 今言われたとおりで、農林水産業というのは本当に単なる数字だけでは測れないこれだけの多面的機能を持っていると。農業だけでおよそ八兆円、そして林業でおよそ七十兆円、漁業で今言われたように十一兆円です。農業でいうと、今言われたこの八兆円のうち、冒頭紹介されたように関税撤廃で三・七兆円が損なわれる。これ半減です。  十一月十日、日比谷の野外音楽堂で開かれたJAなどが主催したTPP交渉への参加に反対し日本の食を守る緊急全国集会、ここでどういう決議がされたか。この文章には次のようなくだりがあります。今、確かに歴史の分水嶺に立っている、地域環境を破壊し、目先の経済的利益を追求し、格差を拡大し、世界中から食料を買いあさってきたこれまでの国の生き方を反省しなければならないと。私、この指摘大変重いと思うんです。これはJAだけが主催した集会ではありません。JA以外にも、水産関係も、あるいは林業の関係も、森林組合の関係も、様々な多様な団体が参加した集会でした。私、この指摘大変重いと。  今、世界では食料を市場任せにすることによる害悪が明らかになって、各国の食料主権を保障するルールの確立、これを求める流れが大変広がってきています。  総理にお聞きしたいんですが、こういう自国の食料は自国で賄うことを基本にしよう、ただ海外に輸出したらそれでいいんだ、それでは駄目なんだと、この世界の流れについてどういう認識をお持ちでしょう。
  412. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 私にもたくさんの消費者運動とかいろんな有機農業の運動をやっている昔からの仲間がおりまして、確かに多くのそういう関係者が心配をしておられます。  と同時に、私が最初から申し上げていますように、それでは、これまでの形のままで、特に経済的な連携をやらないで農業が自然に立て直ってくるかといえば、決してそうではない状況にあることをやはり一方で考えなければならないわけです。私も民主党の中で農業再生本部の本部長をやらされたこともありまして、そういう中から、現在の戸別的所得補償の考え方もいろんな関係者の中から出てきたわけであります。  食料主権の考え方も私はまさにそのとおりだと思っております。つまりは、地産地消、できるだけ自分たちの国、自分たちの地域で作られたもので自分たちが生きていくことができる、そういう社会が望ましいと思っています。  ですから、そういうことを両立させるというのは、もちろん単純に簡単だとは申し上げません。しかし、例えばAPECで来られた皆さんが日本のいわゆる料理を食べて大変おいしいということを言われ、また日本産の野菜での精進料理などを食べられて、大変日本料理はすばらしいということを言っていただいています。つまりは、もっともっと日本の食料あるいは食品、料理、力があると思うんです。そういうところに参入したい若い人も潜在的にはかなりおられるはずなんです。  そういうことを生かして、結果として今、市田先生の言われたような、食料主権を自分たちの力で確立できるようなそういう農業にしていきたいと、そのこととの両立を考えているわけです。
  413. 市田忠義

    市田忠義君 両立が困難だということも菅総理先ほど言われました。どうして後継者が育たないかといったら、農業だけで食べていけないからなんですよ。輸入自由化をやって価格も流通も市場任せにしてきたから、農業所得が減って、後継ぎが減っているんです。何か平均年齢が六十五歳とか、そんなところに理由があるんじゃないんです。  外務省に聞きます。二〇〇四年四月十六日、第六十回国連人権委員会で、各国政府に対し、食料に対する権利を尊重し、保護し、履行するよう勧告する、こういう内容の食料に対する権利に関する特別報告書が出され、この報告書に関する決議が日本を含む圧倒的多数の国の賛成で採択をされました。  反対した国はどこか、棄権した国はどこか、挙げてください。
  414. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 現在、人権理事会というものに改組をされていますが、当時、二〇〇四年は国連人権委員会というものでございまして、加盟国は五十三か国でございました。  反対をしたのはアメリカ、棄権票を投じたのはオーストラリアでございます。
  415. 市田忠義

    市田忠義君 圧倒的多数で食料主権につながる考え方が採択されているんですよ。反対したのはアメリカ、棄権はオーストラリアだけと。結局、自国の農産物輸出拡大のためならこういう世界の流れに真っ向から反対して恥じない、ほかの国がどうなってもいいと、こういうアメリカなどが進めている潮流に追随していっていいのか。  TPPは農業だけにとどまりません。金融、保険、公共事業の入札、医師、看護師あるいは介護士などの労働市場の開放まで含まれています。賃金もアジア諸国の低賃金との競争にさらされて大幅に引き下げられる危険があります。市場原理万能で何でもかんでも市場任せにしていくというやり方は、農業を見ても、環境を見ても、今の日本の雇用を見ても、破綻は既に明らかであります。  我が党は、世界経済が結び付き、貿易が拡大することそれ自体が悪いと言っているわけではありません。時間が来たから終わります。そういう中でも、例えば食料主権のように、農業、食料、あるいは環境、労働などは市場だけに任せていては成り立たなくなるじゃないかと、そこをはっきりさせて、それを守るルールをつくることこそが二十一世紀のまともな経済発展の方向だということを指摘して、私の質問を終わります。
  416. 前田武志

    委員長前田武志君) 以上で市田忠義君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  417. 前田武志

    委員長前田武志君) 次に、舛添要一君の質疑を行います。舛添要一君。
  418. 舛添要一

    舛添要一君 新党改革の舛添です。  今日は、菅総理と幾つかの点について議論をしたいと思いますが、まず総理、最近の世論調査を見ますと、内閣支持率三〇%を切る、不支持が非常に増えている。尖閣絡みの問題、様々な問題があると思いますけれども、そのなぜ支持しないかという理由の一つに、総理大臣のリーダーシップが見えないというのが非常に大きゅうございます。こういう国民の評価についてどういうお考えでしょうか。
  419. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 政権を担当して五か月余りになりました。確かに、世論調査というのは国民の一つの、そのときそのときの意思のある意味での表れですけれども、しかし、これはもう舛添さんもよくお分かりのように、それが激しく動くこともあります。その激しく動くときを、それこそ一つ一つに余り一喜一憂していると、何か自分の行動そのものが世論調査のための行動になりかねないというおそれを私自身感じております。ですから、私は、世論調査を無視していいとは思いませんけれども、ある幅で、ある長さでやはり判断を国民の皆さんにしてもらいたいと思っています。  そういう意味では、代表選が終わりまして新たな内閣改造を行い、そして新しい体制のこの内閣をつくりました。そういう意味では、九月の半ばから今ちょうど二か月間が経過をしようとしております。私は、確かに尖閣の問題等、いろいろと支持を失うような出来事も率直なところありましたけれども、例えば今話題となっておりました経済の自由貿易の問題とか、あるいは事業仕分もいろんな評価はありますけれども、そういうことのオープン化とか、そういったいろいろなことがだんだんと、種を植え、芽を出し、そろそろ具体的な形で成果の一部が出てくる段階だと。そういう意味では、私も厳しいところにはありますけれども、ここは歯を食いしばってでもそういう成果がしっかりと国民の皆さんに見えてくるところまで頑張ってまいりたいと、こう思っております。
  420. 舛添要一

    舛添要一君 もう一つ国民がよく分からないのは、ある政策がどこでどのように決定されているのか。閣僚レベルか、それとも官房長官が仕切っておられるのか、最終的に総理が決められるのか、与党の関与はどういうことなのか。何のために政権交代したのかという疑問が国民にはあると思います。古い自民党の体質に戻るんだったら、何のためにやったか分からない。  例えば、政務調査会を廃止なさいましたね。そしてまた復活なさいましたね。政務調査会、自民党にもありました。様々な切磋琢磨、勉強するいい面もありましたけれども、族議員、政官業の癒着というのがそこに生まれてくる危険性があった。現実にありましたよ。そういうことを断ち切って新しい政治をやるのが民主党政権のやり方じゃなかったんでしょうか。  今の仕分作業を見ていますと、自分でお決めになった政策を自分で否定する。そして、先ほど、そこにおられますね、松木けんこう政務官おられますけれども、要するに、見ていると族議員の復活じゃないかというように見えざるを得ないんです。どういうふうにお考えでしょうか、総理
  421. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 政調を元々廃止する予定では少なくとも私の考えではなかったわけですが、鳩山内閣が誕生する直前に、政調は、党は党だと、内閣内閣だということで、当時の幹事長と代表が突如政調を廃止されました。そのために、確かに政策決定は内閣に一元化されたわけですが、その時点では、内閣に属さない多くの仲間が政策的な議論が反映する場がないということで、それぞれ皆さん多少困られたという経緯があります。ですから、私は代表選の折に政調は復活するということを公約して、その上でさらに、政調会長に閣内に入ってもらうということを取りました。これによって、原則は、最終的な決定は内閣で行いますけれども、政調会は提言団体ということで、その提言を政調会長を中心にまとめて、内閣がそれを受け止めると、そういう形になりました。  自民党の時代のいろんなやり方も私も見てまいりましたが、今の民主党のやり方がそれに比べて圧倒的にいいとまでは申し上げませんけれども、しかし、かつての自民党が二元的なことであったのに対しては、内閣に大きくは一元化しながら、しかし与党の意見もしっかりと受け入れるという形で、もちろん最終的には内閣総理大臣である私が必要なところは判断しますけれども、当然ながらテーマテーマで各大臣や閣僚会議をつくって、そこで政策調整を行っております。  それから、族議員化の問題あるいは仕分の問題は、これも確かになかなか機械的にはいきません。ある分野に詳しくなれば、そこのことの個人利害というよりも、やはりそこに対する思い入れが強くなりますから、いや、やっぱりこうだというようなことが出ます。  しかし、私は、仕分を含めてオープンな場で、確かに党内あるいは閣僚と同じ党の人間が議論しているのは何でかというけれども、これだって、もう御承知のように、今はもちろん立場は違うかもしれませんが、自民党の長い歴史の中ではしょっちゅう党内で大バトルをやる中で物事が決められてきたのと、ある意味、悪い意味だけじゃなくていい面も含めて、いろんな意見が出て、それが国民の前に見えて、そして何らかの結論が出ていくと、そういうプロセスとしては、私はより透明化したという意味では良かった面も多いと、こう思っています。
  422. 舛添要一

    舛添要一君 それからもう一つ、マニフェストに書かれている国民に対する約束、どこまでこれを守るのか。この項目はこういうふうに修正する、ないしは守らない、それを是非総理の口から明確にしていただかないと、子ども手当今後どうなるんでしょうか、高速道路の無料化はどうなんでしょうか、私が担当していました医療制度、例えば後期高齢者医療制度についてどうなんでしょうかと。  だから、タイムテーブル含めて、総理のリーダーシップできちんとそれは国民にお見せして、間違っていたから改めますと、これは謝罪をして改めればいい。  どうですか、そこのところは。
  423. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) まず、マニフェストに関して言いますと、今日ほかの方の議論の中でも出ましたが、つまりは、これをやりたい、これをやりますということと実は裏表で、それに必要な費用はこの部分から削って捻出するという、そういう財源とやることが裏表で昨年のマニフェストはできているわけです。  ですから、初年度も、本来やりたい、あるいはやると書いたものの中で捻出できなかった部分については、その理由を申し上げて、例えば暫定税率の問題などはできませんでしたと、こういう理由でということを申し上げました。今後も基本的にはそういう形で行います。  政調会長である玄葉大臣からは修正という言葉も使われておりますけれども、ある意味では、その財源の問題を、何か他党の方から無理やりにやるのに増税をしてやろうとしているんじゃないかというような指摘を時に受けますが、そういう仕組みにはなっておりません。  その上で、更に言えば、確かに一年たってみて、いろいろ社会状況の変化等も含めて、マニフェストで申し上げたこと以外でも急がなければならないこと、あるいは重点を置かなければならないこともできてまいりますので、どの時点になるか、これは四年間のマニフェストですので、もう少し、来年度の予算を編成した中で改めて、これは党の議論が必要になりますけれども、そのマニフェスト全体を今後に向かってどのようにめり張りを付けていくかという議論は必要になってくると、そう考えております。
  424. 舛添要一

    舛添要一君 財源論との絡みを今おっしゃいましたけれども、それだけではなくて、本当にある政策が国民のためになるかどうかと、そういう視点からきちんと精査をしていただきたいと思います。  今日は、経済と外交についてお話をしたいと思います。  だんだん年末を迎えてきて、私も買物含めて町に出ますけれども、景気はよろしゅうございません。大変悪い。デフレの克服、何とかしないといけない。私は、これは政府がきちんと目標を立てて、金融政策について言うと、日銀をきちんと指導すべきである。日銀には手段の独立性はありますけれども政府が掲げた目標と違うことをやっていいということではないんです。  そこで、日銀総裁にお伺いします。  包括的な金融政策をおやりになっていますけれども、私に言わせれば、要するに量も少ないし、時期も、タイミング遅い。だから、デフレという病人がずっと苦しんでいる、患者がいますよ。非常に効く特効薬があって、それが例えば金融緩和政策なら錠剤三錠飲ませれば治るのに一錠しか飲ませない。アメリカ見てくださいよ。六千億ドル、六十兆じゃないですか。ヨーロッパ、そうじゃないですか。何で一錠しか飲ませないんですか。副作用が怖いから。あらゆる政策は副作用がありますよ。金融政策だけで済む話じゃありません。試算見てくださいよ。  私はずっとこの問題をめぐって速水総裁とも議論をしてきて、三兆、四兆の日銀当座預金残高しかなくて三十兆まで上げたんですよ。今、当座預金残高幾らでしょうか。
  425. 白川方明

    参考人白川方明君) 一番最後に当座預金残高の、それについてのお尋ねございましたけれども、その前段から含めましてお答えするということでよろしゅうございますでしょうか。
  426. 舛添要一

    舛添要一君 はい。
  427. 白川方明

    参考人白川方明君) まず、日本銀行がこれまでどういうふうな構えで行ってきたか、政策を行ってきたかということでございますけれども、二〇〇八年のリーマン・ショックの金融危機におきまして、日本銀行は様々な異例な政策を含みます積極的な金融緩和措置を迅速に講じてまいりました。昨年後半から欧米各国の中央銀行が金融緩和の出口方向、これを模索し始める中、日本銀行だけはやや長めの資金供給を低利で行うなど、一貫して金融緩和方向で政策を打ってまいりました。  先月導入しました包括金融緩和につきましても、これは、景気改善の動きが弱まっている、景気の下振れリスクが高まっているという判断に基づきまして、迅速に金融緩和を取りました。  包括緩和の内容でございますけれども、オーバーナイトの金利が既にゼロになっていると、そういう局面で、つまりそれだけ今金融緩和を行っているわけではございますけれども、そういう中で金融政策という手段でもって効果を実現するためには、これはやや長い金利を引き下げる、あるいはリスクプレミアムを縮小するということが必要だというふうに判断して行いました。  今回の買入れにつきましては、これはETFあるいはJ—REITという買入れに伴うリスク量が格段に大きな資産も含まれております。  今議員の方から量ということで御質問がございました。これはバーナンキ議長もこれを繰り返し強調しているところでございますけれども、金融政策の効果を、これを量でもって測ってほしくないということをバーナンキ議長は繰り返しおっしゃっております。せんだって、FOMCが金融緩和をした当日に新聞で議長の見解を公表しておりますけれども、これはあくまでも金融環境を改善していく、つまり社債の金利あるいはモーゲージの金利の低下、こうしたことを促すために行っているんだということで、量ではないんだということを強調しております。  その量についてのお尋ねでございますけれども、現在、日本銀行の当座預金残高は、これは十月末で十七・八兆円でございます。GDP対比でいきますと三・七%でございます。FRBは円換算しますと八十一・五兆円ということで、これはGDP対比六・八%。欧州中央銀行は、これは二十八・六兆円でGDP対比二・八%ということでございます。つまり、GDPとの比率で見ますと、FRBよりかは低く、ECBよりは大きいということでございます。  繰り返しになりますけれども、金融政策の効果ということにつきまして、今申し上げたことでございますけれども日本銀行としてこれからもデフレ脱却に向けて最大限の努力をしていきたいというふうに思っております。
  428. 舛添要一

    舛添要一君 効果が出なけりゃしようがないんで、病人は病人のままなんですよ。二〇〇四年に六十七兆、長期国債ありましたね。今五十七兆しかないですよ。何であと十兆買わないんですか。  だから、量だ量だと言うけれども、要するに今のは、過去常に十点、百点満点で十点しか取っていないのが二十点になったから、ほら、いいだろうと。不可は不可なんですよ。六十点が八十点取るならいいけれども。  私はここを、言い逃れではなくて、効果出てないじゃないですか、もう少し思い切ったことをやりませんか。
  429. 白川方明

    参考人白川方明君) 多少繰り返しになりますけれども、FRBが長期国債を買い入れるということは、これはモーゲージの長期金利を下げて住宅借入れの金利を下げていくと、つまり金利を引き下げるということが目的だというふうに言っております。つまり、最終的な効果が顕在する前に金利という形で金融緩和政策の効果を出していこうと。その金利という面で見ますと、この日本の長期金利は、これはアメリカよりもずっと低いということでございます。それで、金利を下げることを通じて最終的に経済活動を刺激していくというのが、これが金融政策の基本的なルート、効果が波及するルートでございます。  今回、日本銀行は、長期金利も含めて全体の金利水準が低い、そういう中で金融緩和の効果を波及するためにはどういうふうにすればいいのかということで幾つかの工夫を行いました。  一つは、実質的なゼロ金利状態を続ける期間につきまして、いわゆる時間軸を明確化しました。これは、こういう形で全体の金利水準を下げていくと、つまり実際に国債を買い入れなくても下げていくという効果は出てまいります。  それから、国債金利を幾ら下げても、最終的に民間の投資が出るというためには、この民間の金利、つまりプレミアムを下げていくということが大事でございます。そういう意味で、海外の中央銀行もこれまでどこも行ってないようなETFあるいはREITの買入れも行いました。これは、日本の現在の状況に即してどういう形で金融緩和政策の効果を発揮するのが最も効果的かということを考えて行っているものでございます。
  430. 舛添要一

    舛添要一君 時間がありませんからこれ以上議論はしませんけれども、私はもう少し日銀は責任を感じていただきたいと思っております。  総理、今の議論を聞いていていかがです。総理はこの不況をこのままにしていていいと思っているのか、デフレこのままにしていていいと思っているのか。今の菅内閣の目標として、デフレを克服して再び経済成長軌道に乗せるということじゃないんですか。それ、目標じゃありませんか。
  431. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) まさにこのデフレ状況の大変長く続いていることが、これは原因であり結果であるわけですけれども、私は、大きな原因といいましょうか、この景気回復を妨げている原因だと思っております。ですから、日銀も従来に比べればかなり思い切った金融政策をお取りいただいていると思います。  私がよく申し上げるのは、じゃ、なぜデフレ状況がこんなにも続くのかと。端的に言えば、お金がないわけではないけれども、個人も、使って物を買うよりはお金のままで持っておきたい。企業も、何か投資するよりは、工場に投資するよりはお金のままで持っておきたい。つまり、お金というものに対する選好が非常に強くなっていると。こういうときには、そういう企業や個人に代わって政府が国債で借りるなり、税金でいただいたものから最も効果的な形でそれを財政投入すべきだと。その効果がどの分野が一番あるのかと。  私は、潜在的に需要がありながら、そこにお金が回っていない、そしてそこで雇用がたくさん生まれるところこそがその可能性の一番大きな効果があると。雇用が生まれるということは、失業率が下がり、失業率が下がるということは賃金に対する圧力になりますから、そういう面でもデフレに対する脱却効果がありますし、またそこで生まれた新しいサービスとか、またそこで働いた人がそれなりの納税をするとかという形で更に消費が膨らんでいくと。こういう好循環にいかにして持っていくのか。    〔委員長退席、理事森ゆうこ君着席〕  私は、そういう意味で、成長と雇用によってデフレを脱却し成長戦略に乗せていくと、こういう考え方で来年度の予算編成にも当たっているところであります。
  432. 舛添要一

    舛添要一君 金融政策だけがすべてじゃありません。だから私は補正をやれと言ってきて、補正もこれの一つの大きな手段なんです。  そこで、G20なんかで御議論があったかどうかお聞かせ願いたいんですけれども、バーナンキさんが六千億という大きな金融緩和をやる、しかし新興国にとってみればこれはバブルの輸出じゃないかというような話になります。やはり基軸通貨としてのドル、それからスミソニアン以来四十年続いた変動相場制、大きな転機に立っていると思いますが、国際通貨システム、金融システムについて、総理はどういうビジョン、どういうふうに日本の円を含めて変えればいいと思われているんでしょうか。総理総理
  433. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) G20首脳会議の前に財務大臣会議もございましたので、私の方からちょっと前段、お話をさせていただきたいというふうに思います。  今回のソウル・サミット、その前の慶州での議論で、やっぱり国境を越えた資金の大規模な移動ということについては、もう加盟国それぞれが大変強い問題意識を持っていて、より強くて安定した国際金融システム、通貨システムをどうつくるかという議論が行われました。まあ為替の問題はもう既に報道されているから余り申し上げませんけれども、問題意識として、安定的でより良く機能する国際通貨システムを促進するための努力を再活性化させると。これちょっと利害がいろんな国があるので、そこまでは合意をしました。  来年はG20の議長国はフランスになります。この国際通貨システムの議論が主要議題の特に大事な議題になってくると思いますので、その議論に積極的にかかわっていきたいというふうに思います。
  434. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 多くは野田大臣からお話がありましたが、私は財務大臣のときにはもちろんバーナンキさんとかと同席をしましたが、首脳会談、特にAPECで話し合われた中でいえば、一つのガイドラインといいますか、端的に言えば貿易収支のプラスマイナスをある幅の中に置くということに関していろいろと各国で話がありました。結果的にはそういったことを来年前半にまで検討しようということになったわけであります。  基軸通貨のドルが従来に比べれば揺らいでいるという見方はもちろん分かりますけれども、しかし、かといってそれに代わり得る基軸通貨ということにはならないと思いますので、やはりこの基軸通貨を支えながら政策調整を各国でやっていくという、こういうやり方でいくのが本来の道だろうと、こう考えています。
  435. 舛添要一

    舛添要一君 同じ質問を日銀総裁にいたします。
  436. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  先ほど野田大臣からお話ございましたとおり、私もG20に参加いたしました。議員御指摘のとおり、国際通貨制度の改革ということは非常に大事な課題だというふうに思っております。  この問題は、一九七一年のニクソン・ショックの後、それからしばらくの間は国際通貨制度の改革という非常に大きなテーマでみんな活発に議論をいたしました。その後、この議論は若干下火になっておりまして、近年では余り議論がされていなかったわけです。しかし、改めて最近の経済金融情勢を見てみますと、こうした問題が非常に大事であると。まさにこれからフランスが中心となりましてG20で議論をしていくということは非常に大事だというふうに思っております。  ただ、国際通貨制度の改革というのは、これ、確かに大事な問題ではありますけど、一朝一夕には実現いたしません。そういう中で重要なこととして申し上げたいことは、これは先進国についても新興国についても、自らの行う政策、これは金融政策もそうですし為替政策もそうですけれども、その政策は他国に波及し、その政策は再び自国に戻ってくるということがございます。  そういう意味で、例えば中央銀行でいいますと、金融政策というのは、これ自国の経済の安定のために行っていくものではございますけれども、その自国の安定ということの意味を考えていく上で、そうした波及とそれからフィードバックということを考える必要がある。同じことは新興国の為替制度についても言えることでございます。  そうした当面の政策運営とそれから通貨制度の改革の議論、この両方をしっかりやっていく必要があると思っております。
  437. 舛添要一

    舛添要一君 次に、安全保障を含めての外交の問題を御議論したいと思いますが、外務省自身が劣化してきたのかなと、情報収集能力含めて。私は、少なくとも国策を決めるときには複数のシナリオを書いて、A、B、Cと、どれを選ぶかと、そういう作業を当然おやりになっていると思うんですが、表に出ないにしろですね。  例えば歴史を振り返ってみますと、日清戦争の後、三国干渉をやられる、次は必ずロシアと戦うと。そのときに、例えば伊藤博文は日露協商という道を模索した、小村寿太郎は日英同盟ですよ。そういう大きな選択肢の中で物事を考えてきた。こういうことをきちんとおやりになっているのかどうなのか。  例えば、これからロシアとの北方領土をめぐってどういう展開をしていくのか。それは、総理は北方領土と経済、これを両方きちんとやるということをおっしゃいましたけれども外務大臣の会合、外相会談でも非常にかたくなだったという報道、ロシア側がですね、ありますけれども、かつて元の事務次官でしたか、例えば三・五島返還論のようなことを出したことがありました。私は四島を必ず返還しろと言い続けるべきだと思いますが、いろんなシナリオがあっていいんだろうと思います。  そういう意味では、非常に私は外務省の能力の劣化というのを心配しておりますけれども、今私が申し上げた点について、政府の最高のトップとして総理はどういうふうにお考えでしょうか。
  438. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 外務省を今お預かりをしている立場として簡単に申し上げたいと思いますけれども、情報収集能力というのは常に高めていかなくてはいけませんし、また、戦略環境は変化をしておりますので、それにどう対応するかということについては、当然ながら日々刻々対応も変えていかなきゃいけない。それについては、この内閣でもそういった問題意識を持って、これはたゆまざる外務省の改革、インテリジェンス含めた改革をやっていかなくてはいけないというふうに思っております。  ロシアとの問題でいえば、これ、一九五六年の日ソ共同宣言以来問題片付いておりませんし、戦略環境も大分変わってまいりました。この間も本会議で申し上げましたけれども、資源の価格が上がって、そしてロシアは豊かになって、今まで余りお金が行かなかった千島やあるいは北方四島にも計画ができるようになってきた。そういった中で、どう我々がてこになり得るのかというものをやはり持って、それこそ今委員のおっしゃったようなA、B、Cプランあるいはそれプラスアルファ、そういったものを組み立て、しかし基本は四島は固有の領土であり、この帰属を確定して平和条約を結んでウイン・ウインの関係を築いていくということを向こうにも伝えながら、しっかり頑張っていきたいと思っております。
  439. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) この総理という立場になってメドベージェフ大統領には最初に会ったのがカナダのG7の席で、バイの会談をやりました。  その前に私なりに多少ロシアの問題を考えてみた中で、やはりロシアという国が、ソ連が崩壊した後、ある時期、西のヨーロッパとの連携を深めようとしたわけでありますけれども、それが彼らが思ったほど深まらない中で、かなり独自性を強め、資源の高騰で力を回復し、東へだんだんと経済的にも出てきたと。今、前原大臣からも話があったとおりであります。  また、ある見方、これはある方の見方ですが、ある時期、エリツィン当時はスターリンがやったことについてはかなり国内でも批判をしても平気だったと。例えばポーランドのカチンの森のようなことも自分たちの間違いを認めたと。あの時期が一つのチャンスではなかったかという見方をされている方もあります。そういう意味では、そのころのエリツィンあるいは橋本総理、かなり努力をされたとは思いますが、その時代がそうした意味ではチャンスではあったけれども、大きな成果にはつながらないまま次の時代に移っていったのかなと思っております。  そういう意味で、もちろん、当たり前のことですが、そう簡単にこの問題が一朝一夕でどうこうなるとは思いませんし、また、ロシアの中の国内的な選挙の時期等もあります。しかし、いずれにしても、首脳同士が話し合う、それも向こうが希望している経済の問題もパラで話し合うということは、いろいろなことを考える上でのまず基礎的な問題だろうと。  それから、これを言うと本当に我田引水になるので恐縮ですけれども、私がということだけではもちろんなくて、やはり首脳同士がある程度腹を割って話ができるようになるにはやはり二年、三年、場合によったら立場が外務大臣とかいろいろ変わっても構いませんから、四年、五年という積み重ねが必要で、やはり率直に言って、私自身の経験も含めて、この数年間安定した政権がないことが結果としてそうしたしっかりした外交につながらなかったと、このように反省を含めて感じております。
  440. 舛添要一

    舛添要一君 ロシアや中国にどうも日本が侮られているんではないかと、非常に国民のナショナリズムを刺激するような状態になっています。私はその背景にあるのは日米関係の悪化だというふうに思っております。鳩山内閣の責任は極めて大きい。ここまで日米関係を悪化させた。そういう認識を菅内閣総理大臣はお持ちになっているのか、お持ちになっているとすればこれはきちんと修復しないといけない。  民主党は対等な同盟関係を目指すということをおっしゃっていると思いますけれども、そういう方向を本当に志向なさいますか、なさいませんか。
  441. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 私は、鳩山内閣当時の普天間の問題で日米関係が不安定になったというそのことそれ自体は、やはりそういう要素はあったと思っております。  同時に、そのときにというか、この五年、十年、まさに象徴的に言えば、日本がGDP第二位から第三位に中国と交代しそうになっているという経済的な意味も含め、中国の勃興という、ある意味歴史において新しい局面が生まれている。しかし同時に、それは中国だけではなくて、ASEANやインドや多くのアジアの国々が、かつては圧倒的に経済的に強い日本と、ある意味政治大国の中国というのが二つアジアにあったわけですが、今や多くの国が経済力を持ちつつあると。そういう新しい局面に完全に入っているんだという認識を最近強くしております。  そういう意味で、日米関係というのは、かつては日本とアメリカと中国と、ある意味ではロシアといった、そういう大きな国の間の力学を中心に考えればよかったけれども、私はもうちょっと幅広く考えていく必要があるだろうと。  しかし、いずれにしても日米関係というものがそういう中での基軸になることは間違いないわけでありまして、日米が対等という意味は以前とはまた別の意味で、アメリカにとっても日本の存在はアジアにおいて大変より重要になっているということを口に出してアメリカの首脳も言われますし、また日本にとってもアメリカの存在が他のアジアの国々と付き合う上、あるいはロシアと付き合う上でもより重要になっていると。    〔理事森ゆうこ君退席、委員長着席〕  そういう重要性をお互いに認め合う中での、どういう役割分担とどういう協力をやっていくかということを考えていかなければならないと思っております。
  442. 舛添要一

    舛添要一君 応分の負担はやっぱりきちんとやっていかないといけない。  今ちょうど知事選挙の最中ですからいろんなことをおっしゃりにくいと思いますけれども、普天間問題、どういうタイムスケジュールでこれはきちんと進めていくということを政府はお考えでしょうか。
  443. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 五月二十八日の日米合意、これをしっかり履行していく。  沖縄には、今、舛添委員がおっしゃったように、この間の総選挙で少なくとも県外、できれば国外と言いながら最終的には辺野古に戻ってきたということと、そして、一九七二年の返還以降、過度に負担を押し付けてきたと。この二つのおわびをしっかりと申し上げながら、しかし、全体として沖縄の負担軽減につながるパッケージなんだということも真摯にお話をしながら、五月二十八日の日米合意というものをしっかり履行していくためにおわびをし、お願いをしていきたい。そのためには余り私は期限は区切るべきではないと思っております。
  444. 舛添要一

    舛添要一君 大分時間がたちましたので簡潔なお答えをいただきたいと思いますけれども、国際社会に対する貢献、特にテロとの戦いにおいて、確かに民主党のマニフェスト的に言えば、アフガンの民生支援、それは民生いいじゃないか、軍じゃないからいいじゃないかということになると思いますけれども、しかし、給油活動というのは非常に国際社会に評価をされたし、それからコストだってそう掛からないと思うんですね。  自民党とともに我々もこの補給を再開しろという政策を出しておりますけれども総理是非、テロとの戦い、国際社会における日本の応分の負担、これは今私が申し上げたような点から再検討を願えないでしょうか。
  445. 前田武志

    委員長前田武志君) 大分時間が押しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
  446. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) これはアメリカともかなり調整をして、そして、給油活動はやめましたけれども、今のアフガン支援策についてはアメリカも心から感謝をしてくれておりますので、いろんな形でのテロとの戦いというものに我々も協力していきたいと考えております。
  447. 舛添要一

    舛添要一君 総理、一言。
  448. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) この点、コストパフォーマンスがいいという指摘もいただいています。ただ、いろんな問題がありますので、しっかり検討したいと思います。
  449. 舛添要一

    舛添要一君 日中関係ですけれども、中国が人が治める人治から法が治める法治、こういう国へ是非転換してもらいたいと思っていますし、我々は我々の国益に関することはきちんとこれは指摘していかないといけない。大畠経済産業相がおっしゃったようにレアアースの輸入再開ということもできるようですけれども、私は広く国民レベルで日中関係を良くすることを考えないといけないというふうに思っています。  先ほど、総理、どなたかに対する答弁で辛亥革命のことをおっしゃいました。来年が辛亥革命の百周年記念です。そして、覇権とか覇道、王道の孫文の演説も御引用なさいましたけれども、この前の上海の万博では梅屋庄吉の孫文に対する支援というのがありましたけれども、宮崎滔天、犬養木堂、それから我々福岡、玄洋社、頭山満、これ、懸命に命懸けで孫文を支援してきました。  そして、孫文の三民主義を含めて、孫文が言ったのは法治なんですね。ですから、人治から法治に移ってもらう、そういうことも兼ねて、私はあらゆるレベルで、私自身も含めまして、日中関係の再構築をやりたいというように思っておりますので、政府におきましても、例えば来年の辛亥革命百年と、こういうことでいろんな御尽力を願えればと思いますが、日中関係改善ということで、一言総理のお考えをお聞かせください。
  450. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 日韓はかなり雰囲気が良くなっておりますが、日中は今回のこともあってかなり冷えております。是非舛添議員の御協力もいただきながら、あらゆる力を振り絞って、日中関係、長い目でしっかりしたものにしていきたいと考えております。
  451. 舛添要一

    舛添要一君 政府というのは日本国民の命を握っておられるわけですから、最近、いろいろ閣僚の発言含めてたがが緩んでいるような感じになっていますけれども是非気を引き締めて、日本の国益をしっかり守って、日本国民の生活を守り抜くんだと、そういう決意で是非内閣総理大臣としてこの国を導いていただきたい、そういうことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  452. 前田武志

    委員長前田武志君) 以上で舛添要一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  453. 前田武志

    委員長前田武志君) 次に、吉田忠智君の質疑を行います。吉田忠智君。
  454. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。  普天間の問題、そして憲法の問題と同じように社民党の一丁目一番地であります雇用及び関連施策について質問をさせていただきます。  総理は、一にも雇用、二にも雇用、三にも雇用、そのようにずっと言われてこられました。その姿勢は評価をいたしておりますけれども、実際、今菅内閣が取り組んでいること、このことについてはいささかの、私も社民党も不満を持っているところでございます。  まず総理、現下の雇用情勢についてどのようにとらえておられるか、お伺いをします。
  455. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 失業率が五パーあるいは五・一パーと高止まりをしております。特に新卒者を含めた若い人の失業率が高い状況にあって、そういう点では危機的な状況が今なお継続していると、こう見ております。
  456. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 本日の主要議題であります補正予算、この補正予算の中に雇用関連施策、随分盛り込まれておりますが、この補正予算に掲げた雇用について、どのような思いで盛り込まれたのか、そしてその効果についてお伺いをします。
  457. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) この厳しい経済情勢、これに対応するために、予備費を活用した緊急対応に加えまして、今回の補正予算で必要な雇用対策を盛り込みまして、切れ目のない実施をしていくということで、例えば、卒業後三年以内の既卒者を採用した企業には支援をしていくというようなこと、あるいはハローワークにジョブサポーターを採用いたしまして、そして丁寧に就職のあっせんをしてあげる、あるいは雇用維持のための雇用調整金の要件の緩和をする、そしてまた緊急人材育成事業の基金の積み増しとか、そういうことを補正予算でも計上もいたしているところでございます。それらによって大体四十五万から五十万人程度の雇用の創出と雇用の下支えをすると、こういうことになっております。
  458. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 総理は、この補正予算に盛り込まれた雇用施策、これで現下の厳しい雇用の情勢に対応できると、そのようにお考えでしょうか。
  459. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 御承知のように、ステップワン、ステップツー、ステップスリーという全体の流れで考えておりまして、この補正予算はそのステップツーに当たるわけです。今厚労大臣からも話がありましたけれども、雇用については、新しい雇用を生み出すところ、それからミスマッチをマッチングさせるところ、それから海外に出ていくようなところをとどまってもらうことによって守るところ、それぞれの施策があると思っております。それぞれについて、このステップワン、ステップツー、ステップスリーを通して、常に最大限これに資するよう予算的に、財政的に考えていきたいと思っております。
  460. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 今総理が言われたように、ステップスリー、来年度予算に向けて、現下の雇用も含めて様々な施策の対応を考えながら予算編成をされるということになるだろうと思いますけれども、その点は当然のこととして、雇用についてもしっかり、ステップスリーですね、効果が上がるようにしてもらいたいと思いますし、以下、特徴的な課題について個別にお聞きをしたいと思います。  まず、通告しておりました、新規、来春の新卒予定者並びに既卒の皆さんの問題については、午前中からるる議論がありましたので詳細な質問はしませんが、現場から話がございますのが、一つは、既卒、今年の三月末で卒業した方、あるいは今まで卒業した方、やっぱり学校にいる間は学校、高校、大学がそれぞれきちっと面倒を見ますけど、やっぱりそういうコンタクトというか、そういう適切な対応ができないんじゃないかという現場からの話もありますが、その点についてどう対応されますか。
  461. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) この場で是非、まだ就職ができてない方、内定されてない方、そういう方に呼びかけたいんですけれども、ハローワークでジョブサポーターの皆さんを大幅に増やしまして、今、一生懸命就職のお世話をいたしております。したがって、是非ハローワークにおいでをいただきたいと、このことを私は呼びかけておきたいというふうに思っております。  そこで、新卒の方の内定が悪い、そしてまた既卒者で就職できていない人、そのために、先ほど申し上げましたようにジョブサポーターを増やして、そして各都道府県には新卒者の応援本部もつくりまして、産業界も、学校、大学、そして労使の皆さんにも参加をしてもらって就職のお世話もいたしております。  そういう中で、先ほど申し上げましたような既卒三年の方にはトライアル雇用と、そして正社員に採用してもらったら経済的な支援を企業にするというような、そういうもろもろの施策も打ちまして今ハローワークでやっておりますから、このジョブサポーターが大学の方とか高等学校の方にも訪問をしていろいろ連絡も取り合っていますから、是非ハローワークにおいでをいただきたいと、こういうふうに思っております。
  462. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 是非、知恵を絞って周知徹底を図って、そういう方々にきめ細やかな対応ができるようにしていただきたいと思います。  新卒、それから既卒の皆さんを含めて、現下の失業者対策でありますが、パネルを。(資料提示)  最新の失業率は五・一%であります。この「国民の構成」というのは私がいろんな資料を組み合わせて作ったものなんでありますが、正規労働者が三千三百六十三万人、非正規が御案内のとおり千七百七十五万ということで三分の一を超えていますね。失業者が三百三十六万人、それから無業者というのが三百三十三万人いるんですね。これは総務省の労働力調査から推計をした数字ですが、学校にも行かない、それから求職もしない、ニートとか引きこもりとかそういう方がありますから、その議論を始めるともうどのぐらい時間が掛かるか分かりませんので今日はそのことは長くやりませんが、いずれにしても、この合わせて七百万近い方々が職を持っていないわけですよね。ということは、五・一%という失業率と言われていますけど、実質は一〇%を超えている、職を持っていない人が一割を超えているという現実をやっぱりしっかり直視する必要があると思うんです。  そして、もう一つ、次のパネルが都道府県別の有効求人倍率、一番高いのが福井で〇・八六、一番低いのが沖縄県で〇・三三、二番目に低いのが〇・三八。今日の主要な議題ではありませんが、日本の米軍基地の七五%を占める沖縄県が〇・三三、その次、一八%を占める青森県が〇・三八、これは偶然じゃありませんよ、それは今日は余り議論しませんけど。いずれにしても、これだけ有効求人倍率も格差があります。いろんな要素がありますから、一概に分析、私も何で福井がとか言ったらまた怒られますけど。それで、都市部でも大阪なんかは中ぐらいなんですよね、中より下のところで。私のふるさと大分は中より少し上ですけど、まあ大体平均ぐらい。  私、選挙で全国を回らせていただいて、地域間の格差、本当に実感しました。都市と地方の格差も実感しました。地方は医師が足らない、学校も統廃合で遠くなる、郵便局も民営化で少なくなる、公共交通の足はどんどん少なくなる。だけど、一番気になったのはこの雇用の格差ですよ。この雇用の格差をどうしてこれを縮めていきますか。あと、雇用の問題は、障害者の問題とか男女の格差とかそれからミスマッチの問題とかいろいろありますよ。トータルに、これも含めて、厚生労働大臣総理、この雇用の課題、どう取り組まれますか。
  463. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 吉田委員の言われることは、全国格差があると、この格差を是正するようなそういう対策があるかと、こういうことだと思います。  そこで、私どもの方としては、地域雇用開発促進法という法律がございまして、二つの対策を取っております。一つは、雇用情勢が大変厳しい地域に対しては、事業所を設置してその整備をするために人を雇い入れるというようなことについては経済的な助成金で支援をすると。それからもう一つは、雇用情勢が厳しい中で、雇用の創造に意欲の高いそういう地域に対しては、そこで協議会をつくっていただいて、雇用対策事業をつくっていただいて、そしてその事業を言わば委託するような形で実施をしてもらうと、そういうところにも支援をしていくというような二つの事業もやっておりまして、そしてもう一つは、今回の補正予算でも重点分野雇用創造事業というのをやっております。これにも一千億追加をいたしておりまして、これらによって地域で雇用が創出できるような重要分野については積極的に政府の方も応援をしていくということで、地域も応援をしておりますから、そういうところで地域のこの格差を是正をしてまいりたいというふうに思っております。
  464. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 こうした中で、数少ない有効求人倍率が一を超えている分野、介護・福祉分野、一・二三、有効求人倍率が、これ七月の数字です。慢性的な人員不足。これについては介護職員の処遇の改善、これはもう前の政権から取り組まれまして、介護報酬の改定でありますとか、それから、それが去年の四月ですね、去年の十月、介護職員処遇改善交付金一万五千円アップ、こうした施策に取り組まれてきました。  まず、この間の施策によってどういう効果が生まれてきたのか、そのことについてお聞きします。
  465. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 二十一年度の介護報酬でプラス三%、そして介護職員一人当たりの一・五万円の賃上げに相当する介護職員処遇交付金、これを実施をいたしておりまして、したがって、この両方で大体二万四千円ぐらいのそういうアップをしたものと思っております。
  466. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 これ、やっぱり四万円アップが目標ということですけれども、実際それぞれ介護職員の皆さんの手元に渡るようにどのようにしていくのか、実効が上がるようにプログラムをいかに作っていくのかというのが、これが問われているんですね。それをどういうふうに取り組まれますか、これから。
  467. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) これは、これまでも申し上げてきましたように、介護職についての重点分野での雇用について、重点的にこの雇用を応援をしていくというようなこと、先ほども申し上げましたような介護職員処遇改善交付金、これは二十三年度で終わりますけれども、こういうのもしっかり続けていけるようなそういう対策も取りながら、介護職員の待遇、処遇の改善をしてまいりたいというふうに思っております。
  468. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 雇用の問題については、量を確保する雇用の創出の問題と質の問題がありますね。この間の行き過ぎた市場原理主義政策によって雇用の質が劣化をしてきた、これはもう菅総理内閣の皆さんも共通認識を持たれていると思います。  労働者派遣法の改正案、是非今国会で通してほしいと思いますが、現行の法律の枠内であるいは制度の中でもできることはいっぱいあると思うんです。やっぱり非正規の皆さんがいかに正規になる機会をつくるか、あるいは均等待遇を実現するか。しっかりそういう政策誘導を図って企業がそういう形でできるように進めていかなければならないと思うんですが、その点についてどのように今後取り組まれるのか、お聞きします。
  469. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 派遣法ですか、派遣法の改正案。
  470. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 派遣法の改正と現実の政策でできる取組。派遣法の改正はいい。
  471. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 派遣法でしょう。派遣法の改正案についての私どもの意気込みをお聞きされたんじゃないですか。
  472. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 いやいや。
  473. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 違いますか。
  474. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 違います。
  475. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) じゃ、もう一度。
  476. 前田武志

    委員長前田武志君) もう一度、吉田忠智君。
  477. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 いや、派遣法の改正はもう何回もうちの福島党首も質問して議論して、聞いていますから、これから努力するということですから、それでいいんです。要は、現行の非正規を正規に変える努力というのはやっぱり必要じゃないですか、政策誘導。それをどうしますかということ。派遣法の改正に努力するじゃ駄目です、それだけじゃ。
  478. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 大変失礼をいたしました。失礼いたしました。  これは、有期の労働者あるいはパート労働者も、これは正規の社員にすることが安定した雇用になるわけですね。したがって、正社員転換制度というのを導入いたしまして、実際にこれを適用したところには奨励金を出すということであります。それからまた、先ほどちょっと出ました就職困難な年長フリーター、そういう人たちをこれまた正規に雇用した場合には奨励金を出すような制度がございます。そういう制度を使って非正規の労働者を正規の労働者にするような制度で頑張っているところでございます。  それからもう一つは、有期の労働については、これは労働政策審議会の中で有期労働については今検討をいたしているところでございます。
  479. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 しっかりもっと議論したいんですけど、時間がありませんので、また次にそれは回します。  一昨年来、年末年始の派遣村が大きな注目を集めました。ハローワークにおけるワンストップサービスデーなども既に始まっております。これから年末にかけて、失業した方々を含む年末年始の生活、住居困窮者対策、どのように進められますか。
  480. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) これも、ワンストップサービスということでワンストップデーなどを全国各地で開催をしていただくというようなこと、それから、年末年始につきましては、これはこれから対策を立てていきますけれども、その前に、そういうことにならないような形の政策も必要かと思っております。  したがって、これからは、各地のワンストップサービス、これらを全国的に展開をさせて、そこでそういうことにならないような形で御相談に応じていきたいというふうに思っております。
  481. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 しっかり対応していただきたいと思いますが、なかなか現場からは、広報、周知が不十分なために本当に必要な方々にサービスが行き届かない、そういう声も聞いております。是非広報、周知を徹底すべきだ、そのように思いますけれども、その点についてお伺いします。
  482. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) もちろんそういうワンストップデーなどの催しがあることは、これはハローワークでいろんな宣伝、チラシなども作ったり、あるいはまた直接来られる方にお話をするとか、あらゆる機関を通じて広報には積極的に対応を進めてまいりたいというふうに思っております。
  483. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 生活、住居に困っている人が一人も路頭に迷わないように、是非万全な対応をしていただきたいと思います。  今までは民間の話で政府がなかなか直接的に取り組めなかったことですが、政府、それから自治体の皆さんと協力すればしっかりできること、それは官製ワーキングプアの問題であります。  官製ワーキングプアは、自治体、国が直接雇用している臨時、非常勤の問題。そしてもう一つは、国や自治体が発注をする工事や、あるいは委託業務や清掃やあるいは庁舎の管理などを政府が発注する。そして、厳しい財政事情の中で、国も自治体も危機的な財政状況の中でどうしても安上がりにしようということで、結果的に民間も安くそれを請け負って、そしてそこに働く労働者は、人員は減らされる、あるいは単価は、もう時給、ひどいところはもう最賃ぎりぎりのところで働かざるを得ない。そうした状況があって、官製ワーキングプアは二通りの問題があるわけですよね。  この点について、実は一個一個聞くつもりでしたが、この点について、現状をどのようにとらえてどういう対策を取られるのか、お伺いします。
  484. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 官製ワーキングプアという、こういう名称で、公の仕事を請け負った場合の関連する労働者の皆さんが労働条件が非常に低いということがあります。  それについては、公契約法という形で労働条件を下げないような、そういうこともされている自治体もありますけれども、私もこの点についてはいろいろと研究して、ワーキングプアという、そういう名称がなくなるような、そういう対策は取っていかなければということで研究をこれからさせていただきたいというふうに思います。
  485. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 国に十五万人、自治体に約六十万人直接雇用のワーキングプアがいると言われていますが、この点について、片山大臣、どういうふうに取り組まれますか、処遇の改善。
  486. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 国よりも自治体の方がこの非正規化は進行していると思います。それには幾つか背景があったと思います。一つは、地方自治法の改正によりまして指定管理者制度というのが導入されました。これは本来、官のサービスの質を高めるということが目的でありますけれども、結果としては安上がりの行政をつくってしまったという面がないわけではないと思います。もう一つは、国の指導で、いわゆる集中改革プランなどで自治体の定数を厳しく管理せよ、むしろ減らせと、こういうことをやってきました。その弊害もないわけではない。  この辺は、それはそれで制度としては有効な面があるんですけれども、そこから出てきました副作用というようなものもよく点検してみたいと思っております。
  487. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 しっかり取り組んでいただきたいと思います。  細川大臣から公契約基本法の話がございました。自治体もやっぱり今日の事態を、特に後者のワーキングプア、自治体が発注をする業務にかかわるワーキングプアの対策で、千葉県の野田市などは、もうこの状況を見ておれないということで公契約条例作りましたね。幾つかの自治体も検討しています。国は、やっぱり公共サービス基本法というのは確かに作ったんですけど、これはなかなかやっぱり実効が上がらない。やっぱり公契約基本法を作るべきだ。そしてその前提となるILO九十四号条約、公契約にかかわる、これをやっぱり批准すべきと思うんですけど、その二点。もう一回、公契約基本法とそれからILOの問題。総理
  488. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 先ほどもお話ししましたように、公契約の問題については研究をしていきたいというふうに思っております。  それから、ILOの九十四号条約の批准ということでありますけれども、これは、この条約そのものが公契約に従事する労働者の労働条件を確保すると、こういうことでありますから、これは国全体の労働条件が向上するという意味で大きな役割を果たす観点から、これはその趣旨については私も十分理解できているものでございます。  しかしながら、我が国におきましては、賃金などの労働条件につきましては一応労使間で自主的に決定をすると、こういうことが原則になっております。このため、まず公契約におきます労働条件の在り方につきまして、発注者であります国の機関とかあるいは地方自治体も含めまして幅広い議論を進めていきたいというふうに思っております。
  489. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 総理、公契約基本法、それからILO条約の批准について、検討するというふうに言えませんか。
  490. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 厚労大臣の方に検討を含めて考えていただきたいと思っています。
  491. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 また後日議論しますので、そのときまでに前向きな答弁ができるように検討をお願いをしたいと思います。  あと、公務員給与の問題について、パネル、どうも民主党がマニフェスト、国家公務員の給与を二〇%削減というのを掲げて、二〇%というのが独り歩きしているんですよね。公務員の制度をどのようにするとか、それは制度改革必要ですし。  もう時間か。じゃ、二十二日、集中があるようですから、そのときにまた引き続き議論をさせていただきます。  ありがとうございました。
  492. 前田武志

    委員長前田武志君) 以上で吉田忠智君の質疑は終了いたしました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四分散会