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2010-10-14 第176回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年十月十四日(木曜日)    午前九時二分開会     ─────────────    委員の異動  十月八日     辞任         補欠選任      中山 恭子君     片山虎之助君  十月十二日     辞任         補欠選任      小西 洋之君     金子 恵美君  十月十三日     辞任         補欠選任      榛葉賀津也君     大久保 勉君      塚田 一郎君     林  芳正君      長谷川 岳君     山本 一太君  十月十四日     辞任         補欠選任      大久保 勉君     斎藤 嘉隆君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         前田 武志君     理 事                 植松恵美子君                 川上 義博君                 水戸 将史君                 森 ゆうこ君                 礒崎 陽輔君                 猪口 邦子君                 衛藤 晟一君                 加藤 修一君                 小野 次郎君     委 員                 有田 芳生君                 一川 保夫君                 梅村  聡君                 大久保 勉君                 金子 恵美君                 小見山幸治君                 行田 邦子君                 斎藤 嘉隆君                 徳永 エリ君                 友近 聡朗君                 中谷 智司君                 西村まさみ君                 安井美沙子君                 山根 隆治君                 吉川 沙織君                 米長 晴信君                 愛知 治郎君                 磯崎 仁彦君                 片山さつき君                 川口 順子君                 佐藤ゆかり君                 西田 昌司君                 林  芳正君                 福岡 資麿君                 丸山 和也君                 山崎  力君                 山田 俊男君                 山本 一太君                 石川 博崇君                 草川 昭三君                 長沢 広明君                 桜内 文城君                 大門実紀史君                 片山虎之助君                 福島みずほ君    国務大臣        内閣総理大臣   菅  直人君        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地域主        権推進))    片山 善博君        法務大臣     柳田  稔君        外務大臣     前原 誠司君        財務大臣     野田 佳彦君        文部科学大臣   高木 義明君        厚生労働大臣   細川 律夫君        農林水産大臣   鹿野 道彦君        経済産業大臣   大畠 章宏君        国土交通大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  馬淵 澄夫君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        松本  龍君        防衛大臣     北澤 俊美君        国務大臣        (内閣官房長官) 仙谷 由人君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣消費者        及び食品安全、        少子化対策、男        女共同参画))  岡崎トミ子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(「新し        い公共」))   玄葉光一郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣行政刷        新))      蓮   舫君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融)        )        自見庄三郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策科学技        術政策))    海江田万里君    内閣官房長官        内閣官房長官  福山 哲郎君    副大臣        外務大臣    松本 剛明君        財務大臣    櫻井  充君        文部科学大臣  鈴木  寛君        厚生労働大臣  小宮山洋子君        農林水産大臣  筒井 信隆君        経済産業大臣  池田 元久君        国土交通大臣  池口 修次君    大臣政務官        外務大臣政務官  徳永 久志君        財務大臣政務官  吉田  泉君        財務大臣政務官  尾立 源幸君        経済産業大臣政        務官       田嶋  要君        経済産業大臣政        務官       中山 義活君        環境大臣政務官  樋高  剛君        防衛大臣政務官  広田  一君    事務局側        事務総長     小幡 幹雄君        常任委員会専門        員        藤川 哲史君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       河内  隆君        警察庁警備局長  西村 泰彦君        総務省自治税務        局長       岡崎 浩巳君        法務省刑事局長  西川 克行君        公安調査庁長官  北田 幹直君        外務大臣官房長  木寺 昌人君        外務大臣官房審        議官       北野  充君        海上保安庁長官  鈴木 久泰君    参考人        日本銀行総裁   白川 方明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○予算執行状況に関する調査     ─────────────
  2. 前田武志

    委員長前田武志君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算執行状況に関する調査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田武志

    委員長前田武志君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  4. 前田武志

    委員長前田武志君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算執行状況に関する調査のため、必要に応じ日本銀行総裁白川方明君参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 前田武志

    委員長前田武志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 前田武志

    委員長前田武志君) 予算執行状況に関する調査についての理事会決定事項について御報告をいたします。  本日及び明日の質疑総括質疑方式で行い、質疑割当て時間は三百三十四分とし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会百二十二分、自由民主党百二十二分、公明党四十分、みんなの党二十分、日本共産党十分、たちあがれ日本新党改革十分、社会民主党・護憲連合十分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  7. 前田武志

    委員長前田武志君) 予算執行状況に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。山本一太君。
  8. 山本一太

    山本一太君 まず、内閣総理大臣にお聞きしたいと思います。  昨日、我が党の小野寺典衆議院議員、シャドーキャビネットの外務大臣なんですが、小野寺衆議院議員が六本木にあるグーグル東京支社を訪問しました。今日の朝刊にも出ておりますが、総理はこのことを御存じだったでしょうか。
  9. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 存じ上げません。
  10. 山本一太

    山本一太君 小野寺典議員が、総理グーグルに行ったのには理由がありまして、尖閣諸島についてのグーグルのマップに日本語名の魚釣島に加えて中国名の釣魚島という記載があるんです。これについて削除してほしいと、そういうことを我が党の小野寺典衆議院議員申入れに行きました。  この件については総理はどう思われますか。
  11. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 尖閣日本の固有の領土でありまして、東シナ海には領有権問題は存在をいたしません。小野寺議員が取られた行動というのは全くまともな、正当な行動だと思っておりますし、必要があれば政府としてもそのような共同した行動を取らせていただきたいと、このように考えております。
  12. 山本一太

    山本一太君 前原大臣らしい御答弁だと思いますが、総理に改めてお願いしたいと思います。  このグーグルに対する申入れは自民党として行ったわけですが、政府として、今総理御存じないと言っていましたけれども、この経緯は、政府として状況を調べて、できるだけ早くグーグルに対して、この中国名のその記載を削除してもらえるように申し入れていただけないでしょうか。
  13. 前田武志

    委員長前田武志君) 前原外務大臣、まずは。
  14. 山本一太

    山本一太君 いや、総理にお聞きしたいんです、総理総理
  15. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 総理もお答えをされると思いますけれども、外務省としてしっかりとグーグルに対して申入れを行いたい、そう思います。
  16. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 事態を私承知しておりませんでしたが、今御指摘をいただきましたので、しっかり調査をして、外務省中心になるのか官邸でやるのか、それも含めてしっかり対応していきたいと、こう考えています。
  17. 山本一太

    山本一太君 総理、本当に激務でお忙しいのは分かりますが、これ結構大事な話だと思うんですね。  やはり、前原外務大臣がおっしゃったように、尖閣に領土問題がないということについては、いろんなところから発信を積み上げていかなきゃいけないということなんです。お忙しいと思いますが、今日新聞各紙に載っていますので、こういうことについては是非御認識をいただきたいと思いますし、できるだけ早くこれは対応していただきたいと思います。  前原外務大臣、今日かあしたにもグーグル側に申し入れていただけますか。
  18. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) そうさせていただきたいと思います。
  19. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございます。前原大臣、必ずやっていただけるというふうに確信を持っております。  さて次に、中国の問題について総理にお伺いしたいと思います。  先般、中国で服役中の民主活動家劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞されました。まず、これについての総理の見解を伺いたいと思います。
  20. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) ノーベル賞受賞があった後、私にコメントが求められたところでありました。私は、これはノルウェーのノーベル賞委員会が普遍的な価値である人権というものを考えて授賞を、いわゆるノーベル賞授賞を決められたものだろうと、こういうふうに申し上げました。  まさに人権の問題は国境を越えての人類共通の課題でありますので、私は喜ばしいことだと、このように受け止めております。
  21. 山本一太

    山本一太君 ちょっと総理、奥歯に物が挟まったような非常に歯切れの悪い御答弁だと思うんですけれども、もうちょっと踏み込んだお話をここでいただけないでしょうか。
  22. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 劉暁波氏の中国国内あるいは国際的な活動について、私自身そう詳しくそれ以前知っていたわけではありません。しかし、ノーベル賞委員会がそういう活動を評価をして、こういうノーベル賞の授与を決められたわけです。  このことは、どこまで踏み込んでということになるか分かりませんが、ある意味で、国際社会に対してと同時に、中国自身に対しても人権の問題についてもっとそういうものをしっかりと尊重するようにという、まあある意味でのそういう意思というか、そういうものを伝えられたんだと思っております。私もその意味はしっかりと受け止めて、喜ばしいことでもありますし、そういう立場でこの問題についても受け止め、場合によっては、必要なことがあれば対応していきたいと、こう思っております。
  23. 山本一太

    山本一太君 今のは、総理、従来よりも踏み込んだ御答弁だったというふうに思います。やはり中国についても人権問題はしっかり、人権については尊重していくべきだと、そういう国際的な意思が示されたと今総理はおっしゃいましたので、これは以前よりも踏み込んだ答弁だというふうに思いますが、総理御存じのとおり、アメリカのオバマ大統領中国政府に対してこの劉暁波氏の釈放を求めています。そして、これも総理御存じだと思いますが、EUもそうです、英国政府も、それからフランス政府ドイツ政府も、この劉氏の釈放を求めているかあるいは釈放を願うと、そういうステートメントを出しておりますけれども、日本政府として今後、この劉氏の釈放を求めると、こういうことをおっしゃる予定はあるんでしょうか。
  24. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) ノーベル賞受賞ということで、その授賞式に御本人が出席をできる状況になるのか、あるいは奥さんや家族が代わって授賞式に出られることになるのか、国際社会としても私としても注目をいたしております。  私も、中国において普遍的価値である人権と基本的自由が保障されることが重要だと、このように考えております。
  25. 山本一太

    山本一太君 私がお聞きしたのは、日本政府として劉氏の釈放を求めていくと、そういうステートメントを出されるつもりがあるのかどうかということなんですよ。お答えください。
  26. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) どういう形でどういう表現をするかということは考える必要があると思いますが、釈放されることが望ましいと、このように思っております。
  27. 山本一太

    山本一太君 今の釈放されるのが望ましいというのも、これも総理の新しい答弁だと思いますが、私はもっと踏み込んでおっしゃっていただいてもいいと思うんですね。  これで総理が、いや、今、以前よりは踏み込んだ答弁をしていただきましたが、人権問題についてはっきり言わないと日本人権問題に対して意識が低いんじゃないかと、そういうふうに国際的に思われてしまうと思うんですね。  もうちょっとはっきり言ってください、総理。もう一回答弁お願いします。(発言する者あり)
  28. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 今やじで、野党の党首であればはっきり言っただろうと、それはそういう指摘もあるのかもしれません。  今御存じのように、日中関係について、私としては、私の総理になった時点の六月における胡錦濤総書記との会談などで確認した戦略的互恵関係という原点に現在戻りつつあると、六月時点に戻りつつあるというふうに思っております。  そういう中で、どこまでどういう表現でどういう形で行動するのか。当然でありますが、個人で何を思っているかと同時に、当然ながら国益ということも考えながら行動しなければいけないのが今の私の立場であります。  そういう意味で、先ほど申し上げましたように、劉暁波氏について釈放されることが望ましいと、そのことをどういう形で今後形に、更なる形に表していくかは十分検討をさせていただきたいと、こう思っております。
  29. 山本一太

    山本一太君 やっぱり菅総理野党のときとは全然違いますね。何か石原伸晃幹事長質問じゃないんですけど、おどおどしている感じがします。何か国際社会に対してステートメントを発するのに、物すごく逡巡しておどおどしていると。  中国に何でこんなに気を遣わなきゃいけないんですか。はっきり総理人権問題について言うことが国益に沿うと思うから、私はこうやって申し上げているんです。もっと総理、はっきり言ってください。中国政府に対して釈放を求めたい、今言ってください。
  30. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) いろいろ、おどおどとかいろいろな表現をされますが、先ほど申し上げましたように、確かに野党代表とか野党の一議員立場とは違うということは、私は十分自覚をしております。私の発言が一議員あるいは一野党議員立場ではなくて、ある意味で国を代表する発言あるいはそういう行動になるわけですから、私が慎重な言い方をすることについては、それはそれで御理解をいただけると思います。  先ほど来申し上げていますように、釈放されることが望ましいと申し上げたわけですから、私の意思は明確に表明している、表明できていると、こう思っております。
  31. 山本一太

    山本一太君 総理総理になられたら発言に気を付けなければいけないというふうにおっしゃいますが、総理だから言っていただきたいんです。  じゃ、お聞きしますけれども、ここで人権問題についてはっきり総理ステートメントを出すと、例えば劉暁波氏の釈放を求めると、これがどう国益を損ねるんでしょうか、お答えください。
  32. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) まあ山本さんもお分かりの上で言われているのかもしれませんが……(発言する者あり)  私が申し上げたのは、私の発言がいろんな意味国益に対して影響を与えるという、そういう一般的なことを踏まえながら、そこを配慮しながら言葉を選んでいるということであります。釈放されることが望ましいということを申し上げて、何か不明確なところがありますか。非常に明確だと思いますが。
  33. 山本一太

    山本一太君 釈放されるのが望ましいと中国政府釈放を求めるのは、総理、全然違いますよ。  もう一回お聞きします。その総理がはっきり言うことによって失われる国益というのは具体的に何なんでしょうか、お答えください。  総理、ちゃんと答えてください、まじめにお聞きしているんですから。
  34. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) いや、大いに議論をすればいいじゃないですか。  ですから、山本さんはこういう問題についてどこまでどういう表現をするのがいいのか、いろいろと国際的にそれぞれの国の中で判断がある中で、私は、この問題ではまさに普遍的な価値である人権は国を越えて守られるべきものだと、そういう基本的人権あるいは基本的な自由というのは保障されるべきものだと、そういう立場から今申し上げたように釈放されることが望ましいという私の考え方を申し上げました。私は非常に明確な判断だと思っておりますが、それでなぜ不十分なんでしょうか。
  35. 山本一太

    山本一太君 総理、はぐらかさないでください。  私は総理劉暁波氏の釈放中国政府に求めるとここで言っていただきたいんです。そのことによって、例えば総理が今逡巡されている、それはなぜですかと聞いているんです。それによって日本国益の何が失われるのかと聞いているんです。答えてください、ちゃんと。
  36. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 普遍的な価値というのはいろいろあります。例えば国によっては男性女性に対して非常に扱いの違う国もあります。しかし、普遍的な価値からすれば女性の……
  37. 山本一太

    山本一太君 委員長意味が分かりません。ちゃんと答弁してもらってください。
  38. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) ちゃんと説明しているじゃないですか。  そういう普遍的な価値というのは、私は国際的に普遍的な価値だと思いますが、国によっては、日本価値あるいは欧米の価値あるいはいろいろな国の価値観が違うことはあります、人権に関しても。例えば今申し上げたように、男性女性に対する扱いも国によっては違うことがあります。  どこまでのことをどういう表現で言うかというのも、これ、一つ判断でありますから、私はこの時点劉暁波氏が釈放されることが望ましいということを総理大臣として申し上げているわけでありますから、姿勢は明確に結果としては中国政府にも伝わっていると、こう思っております。
  39. 山本一太

    山本一太君 いや、ちゃんと答えていません。答えてないもの、国益のどこを損ねるか。だって、答えてないもの。国益のどこを損なうのかと聞いているんですよ。
  40. 前田武志

    委員長前田武志君) ちょっと速記を止めてください。    〔速記中止
  41. 前田武志

    委員長前田武志君) それでは、速記を起こしてください。  それでは、山本一太君、もう一度御質疑をお願いいたします。
  42. 山本一太

    山本一太君 私はここで総理に、中国政府に対して劉氏の釈放を求めるという答弁をしていただきたいと申し上げました。そうしたら、総理総理として慎重に発言しなければいけないとおっしゃいました。  ここではっきりそのことを言って、どんな国益が具体的に、総理、失われるんでしょうか。
  43. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 先ほど来申し上げていますように、国益という概念は大変広い概念の中で、私が申し上げるということが一つの国の代表として、国の代表としてそれがいろんな形で影響することは当然考えなければなりません。一方で、普遍的な価値としての人権というものをしっかりと国際的にも守っていく、保障していくということが必要だと思っております。  そういうことを私なりに総合的に判断をして、私としては、劉暁波氏に対して釈放されることが望ましい、これは明確な意思であります。それをこの場でお答えすることは結果として中国政府にも当然伝わることだと思っております。そのことで、この段階で私が申し上げることはそういう表現にとどめることが私なりの総合的な判断で望ましいだろうと、こう思っております。
  44. 山本一太

    山本一太君 最初からそういうふうにまだ言っていただければいいんですよ。つまり、日中関係を考慮して、中国側に困ったメッセージが行くと困るからと、こういうことですね、総理。(発言する者あり)そういうことじゃないですか。答えてくださいよ。いや、日中関係に配慮してここでは強いことを言えないと、こうおっしゃったんですね、簡単に言うと。
  45. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 総合的にということを申し上げましたが、例えばある国が、先ほど申し上げたように、男性女性扱いを違っているときに、そのときにどこまでそのことを申し上げるのか……(発言する者あり)いや、次元が違うというやじが飛んでいますが。  国々によって人権についてもいろいろな考え方があります。しかし、私は、この表現の自由とか発言の自由というのは、まさに普遍的な価値として国際的にも守られるべき価値だと思っておりますので今申し上げましたが、一般的に言えば、国々によっていろいろな問題での価値意識あるいは法制は違います。そういう中で、どこまでそれぞれの国の主権にある問題について言うのか言うべきでないのか、この問題は主権を超えた問題であるという認識の中で私は釈放されることが望ましいということを申し上げました。
  46. 山本一太

    山本一太君 やっぱり総理は私の質問にちゃんと答えていただいていないと思うんですね。  ただ、今の総理お話を聞いていると、何か人権は国によって価値観が違うと。どこかで聞いたようなせりふですよ、これ。それはまるで中国が言っている、いや、価値観は世の中で違うんだから、中国の何か人権問題は世界のスタンダードとは違うんだみたいなことを総理が容認しているように聞こえますよね、今の話は。  そういうことなんでしょうか、総理。もう一回お答えください。
  47. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 何か私が言っていることを、真反対のことを言われても困るんですね。  私が先ほども申し上げたように、この問題、つまり劉暁波氏にノーベル平和賞授賞されたことも、普遍的な価値である人権というものをノルウェーのノーベル賞委員会で評価されたものと受け止めていると。つまりは、普遍的な価値である人権について私もこれは保障されるべきだと、あるいは基本的な自由というものも保障されるべきだと、そのことをまず申し上げているわけです。それが保障されなくていいなんということは私は一言も言っていません。何か山本さんに掛かると真反対に、私が何か保障されなくてもいいというようなことを言っているかのごとく質問をされるものですから、それは明らかに私が申し上げていることと違います。  私が申し上げたのは、国によっていろいろな問題で扱いが違うことがあるという客観的な事実を申し上げたんですよ。(発言する者あり)いやいや、ですから、広い意味人権にかかわる問題も国によっていろいろ価値が……(発言する者あり)いや、ほらほらと言われていますが、まあ不規則発言について余りお答えしても意味がないかもしれませんが、国によっていろいろな考え方の違いがあるという客観的なことと普遍的な価値であるということとはある意味で矛盾するわけですよ。(発言する者あり)いや、そうでしょう。国によっては、男女が平等でなくていいという国の価値と普遍的に男女は平等であるべきだという価値は、価値としては矛盾するわけですよ。そうでしょう。  ですから、私は、普遍的な価値という立場で、この劉暁波氏について、そうした基本的な人権は認められるべきであり、基本的な自由も認められるべきであって、釈放されることが望ましいということを申し上げたんです。
  48. 山本一太

    山本一太君 今日はNHKのテレビ中継入っているわけですが、恐らくテレビで総理答弁聞いた方は何言っているか全然分からないと思いますよ。はっきりしたことは、総理中国政府に対しては劉氏の釈放を求めるということは言えないと、それはよく分かりませんけれども、何だか知らないんですけれども、国益を害するから言えないと、こういうことでいいんですね。最後にそれだけお答えください。こういうことですね、総理
  49. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 何かいやに決め付けていろいろ言われていますけれども、(発言する者あり)いや、決め付けて、余り私の言葉を曲解してこの場で言われないでほしいなと。(発言する者あり)いや、今ちゃんと何度も説明をいたしました。基本的な価値である人権について、これは守られるべきだと、基本的な自由についても守られるべきだと。そういう立場から、もちろんノーベル賞授賞ノーベル賞委員会でもそういうことに基づく活動が評価されたんだという認識を申し上げた上で、そういう考え方に立って劉暁波氏が釈放されることが望ましいと明確に申し上げております。
  50. 山本一太

    山本一太君 今の総理答弁にこの内閣のやはり対中政策が象徴されていると思うんですね。何かちょっと中国の不興を買うようなことを言えば戦略的互恵関係ができないかのような、物すごくおどおどした物の言い方で、そこまで中国に気を遣うということは私はよく分かりません。もうこれ時間ないですから、次の質問に行きたいと思っています。  柳田法務大臣にお聞きしたいと思います。  柳田法務大臣尖閣諸島沖の中国漁船とそれから海保の巡視船が衝突をしたと。公務執行妨害で逮捕された中国人船長が処分保留のまま釈放されました。これは検察の判断だということでよろしいですね。
  51. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) 処分保留で釈放したのは地検でございます。
  52. 山本一太

    山本一太君 そうすると、何度もこれはお聞きしていることですが、政治的な介入、政治的な影響力は一%もないと、こういうことでよろしいですね。
  53. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) 検察当局において、法と証拠に基づき被疑者の釈放の方針を決定したものと承知しておりまして、政治介入はございませんでした。
  54. 山本一太

    山本一太君 それでは、大臣、引き続きお聞きしたいと思いますが、検察がこの中国人船長の釈放を決めた理由、その判断の基準は何なんでしょうか。
  55. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) 少々お時間もらいまして、詳しく話をさせてもらいたいと思います。  私が釈放を決める前に刑事局長から……(発言する者あり)あっ、済みません、済みません。検事当局が……(発言する者あり)
  56. 前田武志

    委員長前田武志君) 御静粛に願います。
  57. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) 検事当局が釈放を決める前にも、折々にいろんな報告を聞いておりました。  その上で、釈放に当たって、そのときにも刑事局長から説明を受けました。それについては、その理由については、犯罪事実を収集した証拠によって明白であるもの、それと外務省職員からの説明の聴取を含め捜査の結果として、まず一番目に被害の程度、二番目に犯行の計画性の有無、三番目に我が国における前科の有無、四番目に身柄を拘束したまま捜査を継続した場合の我が国国民への影響や今後の日中関係、関係当局による今後の再発防止の努力などの説明を受け、考慮した結果、私としてはこの検察の方針について異議を差し挟むことはしなかったということでございます。
  58. 山本一太

    山本一太君 法務大臣、今ちょっとうっかり、私が釈放を決める前にというふうにおっしゃいましたけれども、それは明らかに言い間違えたということでしょうか。
  59. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) 山本一太議員のお顔を見るとちょっと緊張しまして、言い間違いでございます。
  60. 山本一太

    山本一太君 今、法務大臣の方から、処分保留の上釈放したという理由を述べていただきましたが、この中に計画性等は認められないというのがありますが、法務大臣、計画性がないというのはどういう根拠で判断されたんですか。(発言する者あり)瑣末な話じゃありませんよ、大事な話なんですよ。総理やじなんか飛ばさないでくださいよ。
  61. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) よろしいですか。個別の案件について申し上げることは控えさせていただきます。
  62. 山本一太

    山本一太君 これね、法務大臣、処分保留の上釈放の理由として書かれているんですよ、計画性は認められないと。どうして計画性は認められないと判断したのか、どんな根拠だったのか。これ絶対、法務大臣、説明できるはずです。ちゃんと説明してください。(発言する者あり)おかしいじゃない、何で計画性がないって決めたんだよ。
  63. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) 同じ答弁になりますけれども、個別の案件についてお話しすることは控えさせていただきます。
  64. 山本一太

    山本一太君 駄目だ。止めてください。こんなのあり得ない。答弁拒否じゃないか。だって理由としてあるんですよ、ここに。
  65. 前田武志

    委員長前田武志君) ちょっと速記を止めてください。    〔速記中止
  66. 前田武志

    委員長前田武志君) 速記を起こしてください。
  67. 山本一太

    山本一太君 それでは、法務大臣にもう一度お聞きします。  この計画性とは認められない、なぜ計画性がないと判断されたんでしょうか。計画性がないというふうに判断した基準は何なんですか。根拠は何なんですか。
  68. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) 個別の案件についてここで述べることは相当でないと思いますが、釈放した当日の日に那覇地検がコメントを発表さしてもらっております。  その中身にはこう書いてあります。  被疑者が我が国の領海内で適正な職務に従事している石垣海上保安部所属の巡視船「みずき」に乗船していた海上保安官から停止を求められた際、被疑者が操船していた漁船の左舷側約四十メートルの海域を並走していた「みずき」に向けて左に急転舵し、転回したということですね、転舵し、故意に同漁船左舷船首部を「みずき」に、右舷船体中央部等に衝突させたことは明白であります。  こういうふうに地検はコメントしておりますので、これが理由だと思います。
  69. 山本一太

    山本一太君 別に法務大臣をいじめるつもりはありませんけど、全然答えていませんよ。もう一回答えてください。  何で計画性がないというふうに判断したんですか。根拠を言ってください。官房長官に聞いていませんから。法務大臣に聞いているんですから。(発言する者あり)
  70. 前田武志

    委員長前田武志君) 御静粛に願います。その後で、その後で答えさせます。御静粛に願います。
  71. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 国会の国政調査権というのは、国会が国権の最高機関でありますから、国政全般にわたって質疑をされるのは、これは当然のことだと思います。しかし、今、山本議員が法務大臣に聞かれているのは、計画性があるかないかということについての法務大臣の見解を聞かれておるようでありますけれども、この判断をしたのは那覇地検の検事でありますから、法務大臣がその判断をしたわけではありません。  刑事司法過程の中で行われた判断の当否を、国会の委員会がその当否を議論をするということについては……(発言する者あり)
  72. 前田武志

    委員長前田武志君) ちょっと御静粛に。
  73. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 日本の権力分立の建前から、権力分立の建前から、謙抑的でなければならないというのが、我が国の司法権の独立をこれをちゃんと保障をし、司法権の独立のその一つの系として……
  74. 前田武志

    委員長前田武志君) 官房長官、簡潔に、簡潔にお願いします。
  75. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 刑事司法というものの相対的な独立を認めているというところであると思います。  ここは、今の議論の展開を……(発言する者あり)
  76. 前田武志

    委員長前田武志君) 御静粛に願います。
  77. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 今の議論の展開を見ておりますと、ついにはこの場に当該の検察官をお呼びして、その判断が良かったかどうかということを聞かざるを得ないところまで行ってしまうんじゃないんでしょうか。そのことは、日本の国政上、国会が国権の最高機関であると憲法上の規定があっても……
  78. 前田武志

    委員長前田武志君) 官房長官、官房長官、簡潔に願います。答弁は簡潔に。
  79. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) そのことには謙抑的でなければならないと私は思います。
  80. 前田武志

    委員長前田武志君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  81. 前田武志

    委員長前田武志君) それでは、速記を起こしてください。  官房長官答弁は簡潔にお願いをいたします。  それでは、柳田法務大臣
  82. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) 那覇地検が発表したコメントの中には更にこういうふうにも書いてあります。本件は海上保安庁の巡視船「みずき」の追跡を免れるためとっさに取った行為と認められ、計画性は認められないというふうにコメントの発表がございます。
  83. 山本一太

    山本一太君 それだけでつまり計画性がないと判断したというのも非常におかしい気がしますが、さっき仙谷官房長官答弁を求めてもいないのに出てきていろいろ理論をすり替えていましたけれども、法務大臣はこの報告をきちっと検察から聞いてこれを了解しているわけですよね。ということは、この計画性は認められないという理由も了解しているわけですから、まるで官房長官のことを聞いていれば法務大臣はこれ知らなくてもいいみたいになっていますけれども、法務大臣、もう一回言ってください。とっさによけた行動だからそれだけで計画性がないと判断したんですね。
  84. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) 一般論で申し上げますけれども、故意とは罪を犯す意思のこと、計画性とは物事を行うに当たって方法、手順などを考え企てることでございます。これは、両者は別の概念でございますので、同じ被疑者が故意に犯罪を行った事案であっても計画性がないという場合もございます。これはそれに当たるかと思っております。
  85. 山本一太

    山本一太君 最初からそれを法務大臣言っていただければよかったんだと思いますが。  これやっぱりこの答弁見ている方が、テレビで見ている方は思ったと思いますよ、こんなにいいかげんな理由で判断しているのかと。これね、地検の判断の中に日中関係の考慮というのが入っているのはこれはもう言語道断ですけど、実はほかの理由についても、こんなに時間掛けても法務大臣がまともに答えられないような理由で決めているんだと、もうみんなそういうふうに思ったと思います。これは本当に法務大臣、お人柄はともかく、ひどい答弁だと思いますね、私は。(発言する者あり)これもう、やじ飛ばさないでくださいよ、何ですか、そんなことないよとか。官房長官、態度悪いよ、第一。  じゃ、官房長官に聞きます、官房長官に聞かせていただきます。  おとといの衆議院の予算委員会で、官房長官が対中政策について、何でしたっけ、柳腰外交というふうにおっしゃいましたが、これはどういう真意ですか。
  86. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 日本はしなやかに、したたかに外交戦略を組んで、現実的にもそういうやり方でやっていくのが日本の外交の姿だと、こういうふうに思っているということであります。
  87. 山本一太

    山本一太君 官房長官、この柳腰という言葉が中国語でもあるのは御存じお話しになったんでしょうか。
  88. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 昨日、鴨下議員中国語ではこういう意味だということでありますが、私は中国語でそういう使われ方をしておるということは存じ上げません。私は、日本語で柳というものは非常になよなよしているけれどもしっかりして強いと、こういう意味で申し上げているわけであります。
  89. 山本一太

    山本一太君 これはもう官房長官御存じだと思いますけれども、この言葉の起源は中国の唐の時代で、これは楊貴妃の楊に柳腰って書いてヤンリュウヤオと、これ女性のしなやかな腰を表現する言葉、これ女性表現するときにしか使わない言葉なんですね。これ外交政策を表現する言葉としては私不適切だと思います。ここで撤回してください。(発言する者あり)違うよ、そういう意味じゃないよ。
  90. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 深い御見識に基づくお話でございますが、私は、例えば日本はそのようにしなやかでしたたかな外交を行う以外にこの二十一世紀生き抜いていくことはできないと思っておりますので、撤回をいたすつもりは全くございません。
  91. 山本一太

    山本一太君 あのね、官房長官、官房長官がここで柳腰という表現を使ったと、何かいかにも洒脱な言い方をしたみたいな御満悦な顔で言っていると。私が何で、これをやめてくれと言っているのは、中国側にどういうメッセージで伝わるかということなんです。女性はすばらしいんです、別に女性についてどうのじゃないんです。この言葉を……(発言する者あり)そんなこと言っていない、黙っていろよ。この言葉を中国の人たちが聞いたときに一体どういう反応になるか。これね、やっぱり国益を非常に害すると思います。撤回してください、ここで。
  92. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 中国のどういう方々がどういう受け止め方されるんですか。私は撤回いたしません。
  93. 山本一太

    山本一太君 あのね、やっぱり、中国の知人に聞いたんですけれども、非常に異様な感じがするということなんですね。  ちょっとどいてください、質問しているんですから。  これは、官房長官の言葉というのは発信されるんですよ。世界第二位の経済大国、もうすぐ三位になりますが、やっぱり官房長官の言葉は外交的なメッセージになるんですよ。だから、そういう意味でいうと、この言葉はやっぱり中国側に誤解を与えるんです。撤回してください、官房長官、ここで。
  94. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 官房長官の言葉が外交メッセージとして意味を持つとおっしゃるのは、そのとおりだと思います。したがって、先ほどから菅総理も、総理はもっと意味を持つわけですから、山本さんから個人的な見解をどうのこうのと言われても、あなたは野党のときと違うと言われても、総理の役割に徹してお話をさせていただいているんだと思います。私もそのことは十分意識をしてこの間発言をしております。  私が先般もロイターのインタビューに応じてこの中国との関係もお話を申し上げましたが、それが海外にどのように伝わっているかも十二分に意識しておって私は柳腰外交と表現いたしましたけれども、しなやかでしたたかに国際的なコモンセンスに準じて我が国の外交戦術、戦略を展開しなければいけないと改めて思っているところであります。
  95. 山本一太

    山本一太君 いや、今、じゃ官房長官、お聞きしますが、国際的には今どういう評価になっているんですか。官房長官、お答えください。
  96. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) ここまでは相対的に、日本のしたたかでしなやかな外交が中国の先般までの声高な外交によって、国際世論といいましょうか、国際政治のコモンセンスから見れば日本の方がずっと上手だったなと、こういう評価を受けているというふうに考えております。
  97. 山本一太

    山本一太君 それは官房長官、だれも思っていないと思いますね。今のは本当に自画自賛みたいなコメントですけれども、これは国民の七割、八割は今度の対応はおかしかったというふうに思っているんですからね、官房長官。  もう一回言いますが、これは官房長官、撤回してください。
  98. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) アメリカのメディア、九月二十七日、ワシントン・ポスト、九月二十五日、ニューヨーク・タイムズ、九月二十八日、ワシントン・ポスト、こういうメディアを御覧いただければよく分かると思いますが、九月二十八日付けのフィナンシャル・タイムズ、中国の強硬路線は弱さの兆候、それから九月二十五日付けコリエーレ・デッラ・セーラ、イタリアでありますが、日本政府の神経の太さが中国政府の懸念を打ち負かす、こういう評価もいただいているところでございます。  国民の世論調査が現在出ておって、それは私も理解しておりますが、これは、外交というのは往々にして、ある種そういう短期的な評価としてはそういうふうに出てくることがありますが、中長期的には国民の皆さん方から今度の我々の対応については御評価をいただけると私は確信をいたしております。
  99. 山本一太

    山本一太君 私は、今度の政府の対応は手痛い外交敗北だと、そういうふうに確信しています。  このことはまた後でお聞きしたいと思いますが、仙谷官房長官、さっき官房長官としての発言の重みを意識しているとおっしゃいました。やっぱり仙谷官房長官発言が私、軽いと思いますよ。例えば、これちょっと資料を持ってきましたけど、日韓基本条約で決着済みの補償問題について、これを蒸し返すような発言をして韓国側の期待をいたずらにあおったりしていますよね。  これ、最後にもう一回言います。この柳腰外交、これ誤解を与えかねませんから、ここで撤回すると言っていただけますか。
  100. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 私は撤回するつもりはございません。
  101. 山本一太

    山本一太君 仙谷官房長官のこの日韓基本条約の件から思うんですけれども、これ、外交感覚の鈍さというのは、私はあきれて物も言えません。  これ以上やっても同じお答えでしょうから、次に行きたいと思います。  政治とお金の問題を総理にお聞きしたいと思います。  おととい、その前でしょうか、民主党役員会で小沢一郎元代表の問題について、これはどういうふうにやっていくか何も決まらなかったというような報道がなされていますが、総理はこれをどんなふうに受け止めておられますか。
  102. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 先日の役員会、私自身出席をしておりませんが、その場で、国会で今まさに衆参で予算委員会もやっている中でそういうことも動いておりますので、その場で何か決めたということにはならなかったと、このように報告を受けております。
  103. 山本一太

    山本一太君 これも一部の報道ですが、民主党が小沢氏に、衆院政治倫理審査会、政倫審への出席を要請する方針を固めたと。何か近く岡田幹事長が小沢氏と会談するというようなことが言われていますけれども、これは総理、事実なんでしょうか。
  104. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 岡田幹事長が中心にその役員会でも一つの議論をされていることは承知していますが、具体的に、今御指摘をされたようなことが具体的に何か決まったとか、いついつ、例えば幹事長が小沢さんに会うことが決まったとか、そういうことは私は承知はいたしておりません。
  105. 山本一太

    山本一太君 総理、そんな他人任せみたいな言い方しないでいただきたいと思うんですね。私は、民主党の党首である菅総理にお聞きしているんです。民主党の党首として政治とお金の問題を払拭すると、民主党をクリーンでオープンな政党にすると宣言された菅総理にお聞きしているんです。  総理、小沢一郎元代表について、たしかこれも予算委員会だったと思いますが、小沢氏の意にそぐわなくても、やらざるを得ないというときは党として判断するというふうにおっしゃいましたが、これはこのとおりでしょうか。
  106. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 私が申し上げましたのは、小沢議員御本人が、国会で決めた決定に私はいつでも従うということを記者の前でお話をされております。また、何らかの形で、国民の皆さんに理解をいただくため国会の場で説明されることは私も望ましいと考えております。  そういう意味で、それぞれの、衆議院、参議院ありますけれども、正式な提案があれば、幹事長、国対で、本人の意向もお聞きしながら、どういう場でどういう形でそのお話をされるのが適切か、その対応について協議にちゃんと応じていきたい、このように申し上げました。
  107. 山本一太

    山本一太君 この総理のおっしゃっている、やらざるを得ないというときは党として判断すると書いてあるんですが、やらざるを得ないときというのは、総理、いつでしょうか、どういうときでしょうか。
  108. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 今申し上げましたように、政治家、政党は、国民、有権者の声、国会での議論に真摯に耳を傾ける責務があるわけであります。そういう意味で、そうした委員会でのいろいろな議論、場合によっては理事会でのいろいろな議論の中で、最終的に何らかの判断をしなければならないときには、最終的な判断についてはそれは代表としての私の責任かと、このように思っております。
  109. 山本一太

    山本一太君 そうすると、現時点では、これは小沢元代表は国会で説明する必要がないと、総理はそういうふうにおっしゃっているんでしょうか。
  110. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) どうも山本さんは、何か私が言っていることと全く違うことを私が言ったかのように言われるのは少し、発言が私はやや、私の発言がそうだというふうに言われるときにはやや飛躍しているなと感じております。  先ほど来申し上げているように、私も、小沢議員が国民の皆さんにもっと説明されることが望ましいということは代表選の折から公の前でも申し上げていることであります。国会との関係も先ほど申し上げました。御本人が国会で決めた決定には私はいつでも従うと。  そういう中で、先ほど来同じ繰り返しになりますが、どういう形で、どういう場でそうしたことの説明をされるのが望ましいか、もちろん御本人の意向もありますし、野党の皆さんの主張もありますし、そういうことをしっかりとお聞きして、必要があればその与野党の、まあ理事会になるかと思いますが、協議にきちんと対応したいと、こういうふうに申し上げているんで、やらないでいいとかなんとかということを私が何か言ったというふうに一方的に、余りにも一方的に決め付けた形の表現は私にとってはちょっと違っているんじゃないかなと感じたわけです。
  111. 山本一太

    山本一太君 いや、総理にお聞きしているのは、総理が党首として判断されると言っているんだから、今の時点で国民の八割が小沢元代表の説明に納得していないと、で、検察審査会で起訴をされることになったと、この時点で必要がないというふうに総理がおっしゃっているのかなと思ったんですよ。  じゃ、この時点では、小沢元代表、もう一回聞きます、国会で説明する必要はないと、この時点では総理は思っておられるんでしょうか。
  112. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) この時点という意味がですね……
  113. 山本一太

    山本一太君 今の時点です。
  114. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 今判断を、どういう判断をしているかという意味なのか、今すぐやれという意味なのかちょっと分かりませんが、先ほど来申し上げているように、今だけではなくて、代表選の折から、小沢議員として国民にもっと納得ができるような説明をされることが望ましいということはその当時から言っておりますし、今も、その趣旨のことは今直前にも申し上げたつもりです。お聞きをいただければ、そういうことを言ったということは理解していただけるんじゃないでしょうか。
  115. 山本一太

    山本一太君 いや、菅総理、本当に歯切れが悪いですね。元気もないし。  菅総理、私、おとといの衆議院の予算委員会石原伸晃幹事長が言及した「大臣」という菅総理の本、読ませていただきました。その中に書いてありますよね、総理は。自分の党の議員が疑惑を持たれているなら党首として何らかの措置をとるべきだと。これ明言しています。何か今言ったら、もごもごもごもご言っていて、いや、いつやるか分からないけど何か必要があればやるみたいなこと言っていますけれども、この本との矛盾をどう説明されますか。
  116. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 元気に大きな声をしろというんならいつでも大きな声ぐらい出しますけれども。  私の本をお読みをいただいたことは大変うれしく思っております。私として、その本で書かれたその部分について基本的な考え方を変えたつもりはありません。と同時に、先ほど来申し上げておりますように、一議員ということと総理大臣という立場をいただいているということを含めて表現には多少慎重になっていることは事実でありますが、それを一々、もごもごという表現をされますけれども、私としてはその責任の重さを考えながら発言をしていると、是非国民の皆さんには御理解をいただきたいと思っております。  その上で、先ほど来申し上げましたように、私が判断をするというのは、いろいろな、多分党内の議論とかあるいは与野党との議論とか理事会とかいろんな場があるわけでありますので、そういった中で、最終的なところでさあどうしようというときには、私が党の代表として判断をしなければいけないこともあるだろうと。  今何か、そういう議論がまだ必ずしも十分に、与野党の議論も含めてまだ今、例えば参議院でいえば予算委員会が今日審議が始まったわけでありますから、そういう中でどういう議論が進むかということを私としては見守った上でということを考えているわけでありまして、今すぐ何か結論的なことを判断しろということでいえば、今はそのプロセスを見守っているという、そういうことです。
  117. 山本一太

    山本一太君 与野党の議論は議論なんです、総理。別に手続なんか聞いていません。党首として民主党をクリーンでオープンな政党に変えるとおっしゃった菅総理がこの問題についてどう考えているかということを私は聞いているんです。  じゃ、もうちょっと詳しくお聞きしたいと思うんですね。これは小沢元代表の虚偽記載の問題ですから、我々は政倫審じゃなくて証人喚問を求めています。  これは、菅総理、お答えください。小沢元代表は証人喚問に応じるべきだと、そのように党首として思われますか。
  118. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) これは国会の手続なんですよね。何か手続は聞いていないと言われますが、総理大臣が……(発言する者あり)質問者がやじを飛ばさないでください、私、答えをしているんですから。  少なくとも、少なくとも国会で決められたことには従いますと小沢議員御本人が言われているわけです。国会の手続なんです。私が証人喚問しろとかするなとか総理大臣の権限で決められるわけではないことは山本議員もよく分かっておられるわけですから。手続は聞いていないと言われますけれども、手続があって最終的に党として判断しなければならないときには、それは代表としての私が判断することになるでしょうと、そう申し上げているんです。
  119. 山本一太

    山本一太君 今のは、総理、こう言っているように聞こえますよ。私は、党首としての総理の気持ちを聞いているんです。今の時点でちゃんと小沢さんは国会に出るべきだと、証人喚問があるんならそういうところに出るべきだと、そういうふうに思うかどうかと聞いているんです。今のを聞いていると、何か知らないけれども、国会のいろんな議論を見て、世論の動向を見て、それから最後に決めざるを得なくなったときに総理が決めると言っている。非常に受動的なんですよ。本に書いてあったことと違うじゃないですか。答えてください。(発言する者あり)
  120. 前田武志

    委員長前田武志君) 御静粛に願います。
  121. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 先ほど来申し上げて、何度も繰り返して申し上げておりますが、そうした形で与野党の議論をしていただいて、どういう場が適切なのか。私は、その政倫審という場も、衆議院、参議院という問題がありますけれども、一般的に言えばそういう場もあるわけでありますから、どういう場が適切かということも含めて与野党あるいは党内でも相談をしなければならないと。ですから、私が判断をするとすれば、そういう、党内あるいは国会内でのそういう協議にきちんとそれぞれ国対委員長とか、場合によってはそれぞれの委員会の理事の皆さんに協議に出ていただいた中で、最終的にどうしましょうという中では判断をしなければならないこともあるだろうと、こう申し上げているんです。  本に書かれたことについては、先ほども申し上げましたように、私はその本に私が書いた基本的な考え方は変えたつもりはありません。しかし、現実にどう対応するかということについて、何か一足飛びに、何でもかんでも代表とかの党首が一足飛びにそういう手続も無視して物を決めていいとは私は思わないし、国民の皆さんもそれはちゃんと御理解いただいていると、こう思っています。
  122. 山本一太

    山本一太君 私は、一足飛びに物を決めろなんて言っていません。総理のこの問題に対する意思を聞いているんですね。やっぱり、総理は小沢一郎元代表をかばっていると、政治とお金の問題について極めて後ろ向きだと、こういうふうに思わざるを得ないですね。(発言する者あり)ちょっと谷岡さん、うるさいです、やめてくださいよ、一々やじを飛ばすのは。  蓮舫大臣、お聞きしたいと思います。  蓮舫大臣は、代表選挙の最中のテレビ出演のときに、小沢さんは証人喚問に応じるべきだと、たしかそういうふうにおっしゃいましたけれども、その考えは今でもお変わりになりませんか。
  123. 蓮舫

    国務大臣(蓮舫君) 山本委員にお答えをいたします。  テレビ番組で発言した、どの番組か、必ずしも同じものを見ているわけではないと思いますが、私が一貫して主張しているのは、基本的には国会でその議論をする場所はお決めになることで、そこにおいて出席するかどうかは御本人がお決めになることだと、これは一貫して言い続けているところでございます。
  124. 山本一太

    山本一太君 蓮舫大臣が出演したテレビの中身をちょっと今日正確に見付けられなかったので、もう一回、私、見た記憶ですから、きちっと蓮舫大臣が何をおっしゃったかというのは確認をした上でもう一回御質問をさせていただこうというふうに思っています。  総理、政治とお金の問題については総理は極めて後ろ向きだということは、私は残念ながら分かりました。この問題も引き続きやらせていただきますが、尖閣の問題に入らせていただきたいと思っています。  おとといの衆院の予算委員会で石原幹事長が言及した共同通信の記事があります。これ、船長逮捕の報告が遅れたことに対して、総理が官邸に集まった秘書官を前に、おれが逮捕を六時間も知らなかったから野党から責められるとどなったと、それで答弁書を修正したと、これ記事がありますけれども、総理、これは事実無根なんでしょうか。
  125. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) まず、その前の政治と金について、消極的だというふうに決め付けられましたが、私は、代表選の折にもクリーンでオープンな政治ということを申し上げて、そして、代表に再選された中で、まずは民主党の運営の中でそうしたクリーンでオープンな政治を実現するということで、新しい幹事長にもそういう方向で運営をしていただきたいということを申し上げたところです。また、全体の中でも企業・団体献金の禁止など、長年、政治と金を私は見てまいりました。  確かに我が党にもいろいろ問題が今あることは御指摘のとおりでありますが、長い間、自民党にもいろいろな問題があったこともよく知っておりまして、そういう意味で、まさに国会の場でいかにしてそうしたことがなくなるかということを議論しようということを我が党も申し上げていますし、他の野党も言われているわけでありまして、是非自民党におかれましても積極的にこの問題に取り組んでいただきたいと、このことを申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)質問者がやじを飛ばされるのはちょっと気を付けられた方がいいんじゃないでしょうか、答えようがありませんから。  そこで、今お話があったことについて、場合によったらもう一度御質問いただきたいんですが、私が何を修正したということを言われているんですか。何かどこかで決めた、あるいはどこかで発表したことを後になってそれを修正したということがもしあるとすれば、何を修正したのかということをちょっときちっと御指摘をいただければ私も答えることができます。
  126. 山本一太

    山本一太君 総理、この記事は読まれていますよね。共同通信の記事は読まれていますか。
  127. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 御存じのように、共同通信はいろんなところに配信しております。共同通信の元々のニュースは私も読んでおります。
  128. 山本一太

    山本一太君 総理が逮捕を六時間も知らなかったというのはこの記事の中に書いてあるんですね。実は総理は逮捕を六時間も知らなかったと、野党から責められるとどなったと。これは事実でしょうか。
  129. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 事実関係を申し上げた方がいいと思いますので、私からも申し上げたいと思います。  まず、私のところに逮捕の方針が伝えられたのは、事件のありました九月七日の十八時十五分ごろ、福山副長官から報告をいただきました。そして、その後、翌日の午前ゼロ五十五分、つまり逮捕状が発付され、午前二時三分に逮捕状が執行された、これは事実関係であります。私には、その明けた午前八時に逮捕状が執行されたということを秘書官から報告を受けました。
  130. 山本一太

    山本一太君 私がお聞きしているのは、この記事の中にある、船長逮捕の報告が遅れたことに対して総理が官邸に集まった秘書官を前に、おれが逮捕を六時間も知らなかったから野党から責められるじゃないかと、こうどなったという記述があるんです。  これは総理、事実なんですか。事実じゃなければ事実じゃないと言ってください。
  131. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 私は、今も報告しましたように、申し上げたように、逮捕の方針を聞いたのは九月七日の十八時十五分であります。まだ逮捕状は請求されていませんが、今から逮捕状を請求して逮捕執行するということは既にそのときに方針としては聞いておりますから、別にそのことが、執行されて、翌朝執行されたということを聞いたからといって、別に全く不思議はありませんし、それに対して私が異を唱えることも全く必要がありませんから、そんなことに異を唱えるはずもありません。
  132. 山本一太

    山本一太君 あのね、もう一回言いますよ。簡単にしてください。  総理が秘書官等を集めて、おれが六時間も知っていなかったら困るだろうとどなったというのは、これは全くのガセネタなんですね。それだけ総理、言っていただければいいんです、事実じゃないって。
  133. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) まあ今後のこともありますから一言だけ申し上げておきますが、やはり新聞記事がどの程度正確であるかないかというのは、皆さんもいろいろな機会に実感されていると思うんです。ですから、せめてこの予算委員会では、単なる伝聞とか、ここにこう書いてあるからということではなくて、もうちょっと山本さん本人が確かだと思えるような……(発言する者あり)確かだと思えるような根拠を持って質問された方がいいのではないかと思います。  私は別に、まあ時折いら菅などと言われておりますから、私の普通の言葉をどう受け止められるか知りませんが、私の気持ちとして、どなった覚えなど全くありません。
  134. 山本一太

    山本一太君 いや、それじゃ最初からここに書いてあることは全く事実無根だと、総理、言っていただければいいんですよ。今の総理の何かもごもごしたよく分からないこと聞いたら、ああ、やっぱり事実なんだってみんながそう思いますよ、総理。で、もう一回言ってください。事実無根なんですね。これだけで結構ですから。事実無根なんですね。
  135. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 山本議員、私もたくさん質問をしておりますのでよく分かりますけど、つまり、山本さんはそれが事実だと言うのであれば根拠を示してください。(発言する者あり)ですから、何度も……(発言する者あり)逃げているんじゃなくて、そしてそれがどういう問題があるのか、それも指摘をしてみてください。  先ほど来申し上げていますように、前の日の夕方の十八時十五分ごろ報告を、その逮捕するという報告を、方針の報告を受けて、そして翌日の八時に話を聞きましたと。その間で私は自覚的にどなったとかなんとかという事実はありませんということを申し上げているんですから、それ以上何を私に言わせたいんですか。
  136. 山本一太

    山本一太君 いや、その事実がないと言っていただければ別に総理、いいんです。それを言わないでもごもごもごもご言うから、ああ、全部本当なんだなとみんな思うということなんですよ。新聞記事が本当だなんて思っていません。だけど、こういう話が出たから事実かどうかって聞いているだけなんですよ。事実じゃなければ総理が事実じゃないって言えばいいだけなんですよ。おかしいじゃないですか。  分かりました。これは、総理が事実ではない、事実無根だとおっしゃっています。これは相当内部の方から出ていますからね。もちろん総理だからうそを言うはずがないんで、これはガセネタだと、一〇〇%ガセネタだということをこの委員会の場所で言っていただきました。  それでは、フジタ社員の方々の拘束問題について総理にお聞きしたいと思います。  最後まで残されていた建設会社フジタの高橋定さんですか、この方が解放された、これは本当に良かったと思います。この受け止めを改めて総理にお伺いしたいと思います。
  137. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) フジタの社員四名の方が一時拘束をされて、三名の方が解放された中で一名だけ残って拘束が続けられました。そういう意味で、いろいろな形で、もちろん四名拘束された時点からいろいろな形でその解放、釈放を求めてきたわけですが、最終的に最後のお一人の高橋さんも釈放され、解放され、そのときもほっとしたということも申し上げましたが、良かったなと、このように受け止めております。
  138. 山本一太

    山本一太君 この解放については、総理もいろんなルートで御努力をされて、解放されたと。御家族の方も本当にほっとされていると思いますし、私も本当に安堵いたしました。  驚いたのは、翌日のこれは朝日新聞だったかもしれませんが、これは事実かどうか分かりません、官邸周辺で、今回のことは日本外交の静かなる外交の勝利だと、国内向けに余り強いことをいろいろ言わなかったためにこれが功を奏したんだというふうなことをおっしゃった人がいると書かれていますが、まあこれはともかくとして、総理は、今度のこの四人の拘束された日本人の方々の釈放に至るまでの経緯を、これは日本外交の静かなる外交の勝利だと、そういうふうに思っておられますか。
  139. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 外交の勝利あるいは勝利でないというのは、それは第三者的な皆さんがいろいろそういう表現をされることはあると思います。  私の立場からすれば、四人の方が拘束されていた時点から、その理由を含めてですね、必ずしも私たちにはよく分からないところもありましたから、きちんとしたルートを通して、御本人に関係者、例えば大使館の関係者が会うとか、そういった手続も要請し、いろんな手続を取ってきたことでありますから、そういうことを含めて、そうした行動が結果として解放につながる少なくとも一つの要素にはなったんではないかと、それは大変良かったことだと。それを外交的な勝利とか敗北とか、当事者である私からそういった評価について申し上げるつもりはありませんが、少なくともいろんな努力が実ったことは良かったと申し上げたいと思います。
  140. 山本一太

    山本一太君 今の総理お話ですが、この尖閣問題をめぐる日中のいろんなせめぎ合いがあったわけですけれども、この全般的な対応について総理は、これは適切に日本政府は対応したと、そういうふうに評価されていますか。
  141. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 私は、この事案についてはある意味、現在に至るまでまだいろんな意味で継続をしていると、このように思っております。だんだんと、先ほど申し上げたように、元の形といいましょうか、少なくとも私が総理に就任した六月段階を原点にということも温家宝総理との間で申し上げましたが、それに戻りつつあるプロセスだと思っております。そういう意味で、方向としてはいい方向に進んでいるという認識を持っております。  ただ、その全般に対してどうこうというのは、これはもう少し時間がたったときにいろいろと改めて議論することはあるかもしれませんが、現時点で当事者である私が、トータルとしてですよ、百点だったとか何だとかと言うつもりはありません。しかし、今いい方向に向かっているという認識は持っております。
  142. 山本一太

    山本一太君 私は総理とは全く逆の見方です。大変手痛い外交敗北だったと思います。  総理は、この高橋定さんが解放されたときのコメント、良かったと、これはもう日本人みんなそう思ったと思います。でも、これで日中関係が元に戻ると、極めてナイーブな言い方だと思うんですね。今度のやはり菅政権の対応で私は日中関係には大きな禍根を残したと思います。  仙谷官房長官はどういうふうに御評価されていますか。
  143. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 今フジタの事件のことで御質問がございましたけれども、私もこの事件については、外交当局、つまり日本外務省、出先も精力的に交渉し、こういう結果が得られて良かったなと思っております。  ただ、私は記者会見でもずっと申し上げておりますが、いまだに、私から言わせれば、どのような犯罪構成要件なのか、あるいは犯罪ではないのか分かりませんが、どのような事実に基づいてこの拘束という状況が行われて、この拘束はどういうデュープロセスに基づいて行われたのかと。そして、釈放までここまで時間が掛かったということは、これは一体我々の理解する憲法上の規定や刑事訴訟法上の規定や、あるいは、日本は予防検束というふうなことが全く予定されていない制度の枠組みの中で我々は生きておりますから、それとの関係で、どういう法律制度そして事実に基づいて今回のフジタの事件が発生したのか、これを外交当局にもちゃんとこれから聞きただしてもらわなければならないし、我々もそのことについて知悉しないと、知らないと、これから日本の方々が、特に遺棄化学兵器の問題というのは、多分これは、日本中国の協定に基づいて日本が東北地方に残してきた化学兵器を除去するといいましょうか、その行為を行うという、これはもうもちろん自民党政権時代にお約束したことを一部民間にも請け負わせてやっているという、そういう事業でありますから、そのことについても安定的、安心の上で行う上にも、今回のようなことがなぜ起こったのかと、先ほど申し上げたようなことをこれからちゃんと中国当局にもお聞きをして調べてみないといけないと、こういうふうに思います。(発言する者あり)
  144. 山本一太

    山本一太君 今ごろ何を言っているのかという今声がありましたが、少なくとも今からでも、官房長官がおっしゃったように、中国側にはきちっと説明を求めていただきたいと思うんですね。  総理、今官房長官のこういう御答弁ありましたが、日中関係がこれで元に戻ると、高橋定さんが解放されて良かったというんじゃなくて、前原大臣もどこかでおっしゃっていましたが、なぜこれだけ長期間にわたって勾留されなければならなかったのか、これについては中国側に抗議するとか説明を求めるとか、こういうことはしっかりやっていただけるんでしょうか。
  145. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 今官房長官からもお話がありましたが、帰ってこられて御本人から事情を聞いた中で、さらに中国に対して今官房長官が言われたような疑問点についてはお尋ねをするのはやらなければならないと、こう考えております。
  146. 山本一太

    山本一太君 今日初めて官房長官総理からここまで踏み込んだ答弁があったんだと思うんですけれども、この事件の間、ほとんどこの四人の拘束についてこのお二人からきちっとした発言がなかったと、これは私は非常に残念だったと思うんですね。  この経緯で見てみると、何か中国側が配慮してくれてこの四人を解放してもらったかのような、何かそんな姿勢に見えたりして、何で総理も官房長官もこの四人が拘束されたときにはっきり物を言わないのかなと思っていました。非常に遅きに失した感はあると思いますが、これは今からでもしっかりとやっていただきたいと思います。  そこで──官房長官、聞いていません。官房長官、聞いていません。
  147. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 聞いてください。
  148. 山本一太

    山本一太君 いや、聞きません、聞きません。今いいんです。私、陰の総理に聞いているんじゃありません、表の総理に聞いているんですよ、今。  総理、これは、総理総理、今度の日本人の四名の拘束は、これは尖閣で起こった衝突事件と関連があるのか、そこはどうお考えですか。
  149. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 先ほどから質問を伺っていますと、日本政府は何もしていないと、フジタの問題について。それは山本委員御存じだと思いますけれども、外務省としては適切に何度も丹羽大使、あるいは私も程永華大使を呼んで、四人の身柄の安全確保、そして領事面会の随時実施、そして早期の解決ということについては何度もこれは申入れをしてきたところでございますし、先ほど官房長官答弁をいたしましたように、なぜいわゆる住居監視に置かれてきたのかということについて明確な説明がありませんし、なぜこのような長期間、特に高橋さんについては長期に至ったかということについては説明を求めていくということをもうしっかりと我々伝えております。  この日中関係という問題について言えば、この尖閣の問題というのは、何度も国会で答弁しておりますように、一刑事事件において日中関係に今大きな問題が起きていると。我々が大切にしていかなくてはいけないのは、東シナ海においては領土問題はない、尖閣諸島は日本の固有の領土であり、これからどうして実効支配を未来永劫していくのかと、これ極めて大事なことでありますし、これは継続してこれからずっとやっていかなくてはいけませんし、あとはレアアースの問題とか、あるいは東シナ海の問題とか、様々な日中問題というのは横たわっているわけですね。これについてはしっかり日本立場を言いながら、そういうものが解決していないと、それは戦略的互恵関係なんというのは言葉だけ言ってもしようがないですよ、日中友好なんというのは言葉だけ言ってもしようがないので、これからどういうふうに日本政府がそれをしっかりやっていくかということが大事であって、この問題が解決したからこのまま自然に日中関係が好転をしていくというような甘い見方には私は立っておりません。
  150. 山本一太

    山本一太君 それは、今、前原外務大臣がおっしゃったような見方を総理も官房長官もしていただければまだいいと思うんですけれども、私が非常にびっくりしたのは、この尖閣をめぐる事件の真っただ中に四人が急に拘束されたわけですよ。それについて官房長官は最初の記者会見で、何か、いや、この四人の拘束は多分尖閣とは関係ないだろうと、そういうことをおっしゃいましたよね。何でそんなこと言うんですか。例えば、この時期に中国が四名を拘束したんだったらば、そういう、これは報復措置の可能性もあると何で言わないんですか、そこで。
  151. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 先ほどから山本先生の御質問聞いていますと、何か新聞記事のある部分はそれを前提にして質問をされていらっしゃるんだけれども、さっき……(発言する者あり)新聞記事を確認する質問なんというのは私、聞いたことがないですよ。(発言する者あり)いやいや、こういう、こういう事実はあるかというのは質問としてあり得ても、この新聞記事は本当かどうかなんという国会質問、聞いたことがない。(発言する者あり)  いいですか。それで……
  152. 前田武志

    委員長前田武志君) 委員長が指名するまで質問者は聞いてください。
  153. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) いいですか、いいですか。そこで、新聞記事の中でも、例えば、官房長官という職責ですから、記者会見で私が述べたことは、当然それは前提にしてお聞きいただいて結構です。  そこで、そこで、そこで……(発言する者あり)
  154. 前田武志

    委員長前田武志君) 静粛にお願いいたします。
  155. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) フジタ事件の関連についても、私は記者会見で随時、中国のこのフジタの社員の拘束といいましょうか軟禁といいましょうか、これについては種々疑問を呈し、外交当局から抗議やあるいは解放の申入れをしているということも述べてきております。何にも言わなかったわけではありません、ちゃんと言ってきました。  ただ、ただ、事実が分からないものですから、つまり、どのような容疑で、どのような手続に従って、彼らがどこで何をしていて、どうしてこういう事態になったのかという事実が分からないわけですから、それを山本議員のように報復であるとかなんとか、そういう評価ができないと、できなかったと。つまり、事実関係を押さえない限り、これは評価というのはできないと、軽々にそんな評価はできないと、そういう前提で発言をしていたわけであります。
  156. 山本一太

    山本一太君 官房長官、じゃ、事実が分からないんだったら事実が分からないと言えばいいじゃないですか。何で一報入ってきたときに関係ないだろうと言うんですか。おかしいですよ、今言っていること、矛盾していますよ。
  157. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 私の記者会見を、記者会見を確認して御発言いただいた方がいいと思うんですが、私は、そのような発言を記者会見あるいは公的に申し上げたことはありません。事実が分からないということを前提にしてお話をしていると思います。
  158. 山本一太

    山本一太君 官房長官、その前の御発言、新聞記事の事実をかざして、これが事実なのかどうかということを聞いた質問は今までないっておっしゃいました。それは、民主党が野党時代だって、週刊誌の記事とか新聞の記事を持ってきて、例えば閣僚に対して、総理に対して、こういう記事がありますけれどもこれは事実なんですかと言ったことはありますよ。  一回もないって、本当にこれ、事実誤認ですよね。これ、もう間違ったら官房長官を辞めてくださいね。(発言する者あり)  失礼だ。失礼じゃないか。
  159. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 言い方を変えます。  座席で余りそういう激した発言をされると発言できませんけれども。  こういう事実はありますかと、書かれておる事実を前提にこういう事実はありますかという聞き方は、聞き方はある。ただ、速記録めくっていただいたら分かると思うけど、この新聞記事の報道は事実ですかという聞き方を山本さんが数回さっきされたものですから、その種の聞き方は、私が一年生議員のときから先輩から教えられたのは、最も、最も、最も━━━━━な質問方法で……(発言する者あり)
  160. 前田武志

    委員長前田武志君) 答弁中には静かに願います。
  161. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) それだけはやらないようにという教育を受けてきたから、先ほど申し上げたんです。(発言する者あり)
  162. 山本一太

    山本一太君 あのね、今のは本当に失礼ですよ。  官房長官、そんなこと聞いていません。一度もそういう質問はなかったというふうに言ったんですから。(発言する者あり)  取り消さなきゃ、間違った事実なんだから。(発言する者あり)
  163. 前田武志

    委員長前田武志君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  164. 前田武志

    委員長前田武志君) それじゃ、速記を起こしてください。(発言する者あり)  ちょっと速記を止めてください。    〔速記中止
  165. 前田武志

    委員長前田武志君) それでは、速記を起こしてください。  ただいまの仙谷官房長官発言中に不適切な言辞があるとの御指摘がありました。拙劣というところは速記録から抹消いたします。  委員長といたしましては、後刻理事会においてその他の御指摘のことについても速記録を調査の上、適切な処置をとることといたします。  続けてください。
  166. 山本一太

    山本一太君 今、最も拙劣な手法だと言ったことは、官房長官、謝ってください。
  167. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 私が申し上げたのは、そういうふうに先輩から教えられてきたということでございますが、そのことが不穏当であったとすれば謝罪をいたします。申し訳ございません。
  168. 山本一太

    山本一太君 まあ別にそのまま謝っていただければよかったんですが、仙谷官房長官らしい何か回りくどい言い方でしたけれども、次に行きたいと思います。  今回の日中首脳の立ち話について伺いたいと思います。  これ、外務省のホームページ見ると、前原大臣、会談とか会見じゃなくて、交談なんて言われています。何か言葉を交わすみたいな、かなりなめられている感じがしますが、この立ち話に中国語の通訳が同行していなかったというのは、これは事実でしょうか。
  169. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 事実でございます。
  170. 山本一太

    山本一太君 前原大臣素直に認められたんですけど、これは驚くべきことだと思うんですよね。中国側には、総理が行かれたわけですけれども、中国側には中国語と日本語の分かるスタッフがいて、こちら側は中国語の分かる人がいないと。ということは、総理発言して英語に直された言葉が本当に正確な中国語で温家宝総理に伝わったのか、あるいは温家宝総理が言ったことが正確に英語で直されて伝わったのか、これが分からないということになるんですよね。  これはもう本当に外交のイロハを無視していると思うんですけど、総理、こんなことでよろしいんでしょうか。
  171. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 経緯についてはもういろんな形で申し上げているところですが、ASEMの会のワーキングディナーに私も出席し、温家宝総理出席をされておりました。若干離れた場所に座っておりました。温家宝総理の方も、ASEMの席でしたので英語の通訳をお連れになっていたようであります。私の方も英語の通訳が付いておりました。そして、その会が終わった後に廊下を歩いていて、やあやあという感じでいすに座って話をいたしました。  そのときには両者とも英語の通訳が間に入って、私がしゃべったことを英語に換え、その向こうの英語の通訳が今度は中国語に換えと、そういう形でやり取りをいたしました。一部、温家宝総理発言について、通訳ではなくてスタッフの方が直接日本語で訳されたこともありました。  私は、きちんとこの会話といいましょうか話は、その後の経緯も含めて、相互にそごのない形でそれぞれが発表していて、特に何かそこでそごが生じたとかいうことはなかったと、こう承知しています。
  172. 山本一太

    山本一太君 いろいろおっしゃっていますけど、要は、こちら側に中国語の分かる人はいなかったんです。向こう側には日本語の分かる人がいたんです。これはもう危機管理上も私信じられません。  もう一つ聞きますが、菅総理、この二人の会談にはどなたが日本側から同席していたんでしょうか。
  173. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) この懇談には日本から、別所外務議官、山野内総理秘書官と英語の通訳でございます。
  174. 山本一太

    山本一太君 今北京に行っておられるという齋木アジア大洋州局長、この齋木さんは同席していなかったんでしょうか。
  175. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) していなかったと承知をしております。
  176. 山本一太

    山本一太君 前原大臣、何で担当局長が同行していないんでしょうか。
  177. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) このASEMの会議に臨むに当たりまして、外務省といたしましては、こちら側から首脳会議を望むような段階ではまだないと、こういう思いを我々持っておりましたので、またそういう指示も官邸からはございませんでしたので、そういう姿勢で臨んだということでございます。
  178. 山本一太

    山本一太君 今回は中国・モンゴル課の担当課長も行かなかったと聞きましたが、これも事実でしょうか。
  179. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) いずれにいたしましても、先ほど答弁をいたしましたように、その会議に同席をしていたのは、通訳を入れて外務省からは三名でございます。
  180. 山本一太

    山本一太君 菅総理予算委員会の御説明だと、何かワーキングディナーが終わってたまたま同じ方向に歩いている中で、私もニーハオぐらいは言えるからという、何か打ち解けて立ち話になったということなんですが、こんなのテレビの恋愛ドラマでもなかなかないと思うんですが、事前に準備をきちっとされていたということなんですね。
  181. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 今外務大臣からもお話がありましたように、私自身もASEMに行くに当たって、当初から温家宝総理と会談をしたいとか、するように手配してほしいとか、そういうことは言っておりませんし、そういう指示も出してはおりません。  ただ、幾つかの場で同じ部屋にいる形がありまして、そういう中で、先ほど申し上げたように、何日ですか、ワーキングディナーの席でかなり長い会議がありました、二時間近い会議がありました。それが終わったときに、私も出口の方に向かって歩き、温家宝総理も歩かれた中で、廊下で、もちろん私も何度もお会いした方でありますので、声を交わしたといいましょうか、そういう形ですぐそばのいすに座って話をしたということであります。  それに至るまでに、当然ながら、この間、この事案が起きてから、それぞれの立場でいろいろな部署あるいは方が、いろいろな形である種のコミュニケーションというか、それを図ろうという努力をされていたことは当然あります。そういう中で私なりに判断をして、私は、それが終わった後、記者とのブリーフがあって、すぐ特別機で日本に戻る予定でありましたので、ここは、そうした形でちょうど出会えたものですから、ここではお話をした方がいいと判断をいたしまして、そういう意味ではぎりぎりの判断は私自身がその場で判断をしたということであります。
  182. 山本一太

    山本一太君 まあ立ち話であっても、日中首脳がそんな事前の連絡もなく会うということは、これは総理、普通は私は起こらないと思います。  ちょっとお聞きしたいんですが、廊下のこのいす談義ですね、これは並んでいすに座られたんでしょうか。
  183. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 向かい合ったいすが四つでしたか六つでしたか、少なくとも四つはあったように思います。私はこちら側というかですね、真正面に温家宝総理が座られて、そしてすぐそばに、先ほどの外務省のスタッフも本当にもう手が届くようなすぐそばにいて、周りを取り囲む形で向こうのスタッフもおられて、そういう中で、まだ廊下ですのでいろんな方がそばを通っておられましたが、そういう中での会談というか懇談というか、話合いを行いました。
  184. 山本一太

    山本一太君 今おっしゃったように、外務議官がすぐ近くにいたということは、当然総理と温家宝首相の立ち話を一緒に聞いているということですね。
  185. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 先ほど申し上げているように、座っての会話ですが、十分声が、通訳の声も含めて届く範囲にいたと、そう認識しておりました。
  186. 山本一太

    山本一太君 分かりました。  外務議官も日中のこの立ち話の一部始終を聞いていたということですが、これは総理、まあ首脳会談があれば会談録というのがあります。これは立ち話録というんですが、これ、ちゃんとお二人の話は記録に取られているんでしょうか。
  187. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) まあそういう場でありましたので、私は、どういう形でそういうものが作られているかいないか、承知はいたしておりません。
  188. 山本一太

    山本一太君 日中の首脳が会ってその話し合った記録がないということは、これは私はもう考えられないことだと思います。それがなかったら、将来、日中関係、外交は全然検証できないということなので、そうすると、総理はこの記録をだれかが取っていたかということは知らないということですね。
  189. 前田武志

  190. 山本一太

    山本一太君 前原さんいなかったんだから、そこに。分かんないでしょう。
  191. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 論点についてのメモについて私は見ております。
  192. 山本一太

    山本一太君 分かりました。じゃ、きちっとした会議録というか立ち話録はあったということだと思います。  これからいろんなこともお聞きしたいんですが、私の時間ちょっと超過しましたので、一つ申し上げておきたいのは、やっぱり今回の尖閣諸島をめぐるせめぎ合いは、私は本当はもうちょっと外務大臣とも議論したかったんですが、なかなか時間がなかったんですが、これは私は日本のもう手痛い外交敗北だと思います。いろんな雑誌とか新聞とかも、情報を得たり、中国専門家のお話を聞いたり、中国の友人とも話しましたけれども、これはやっぱり日本は圧力に屈する国だと、こういう認識中国と世界にも与えたと。ASEAN諸国にも、中国とはなかなかバランサーとして対抗できないという認識も与えてしまったと。  しかも、国際社会に対する宣伝工作にも負けました。まあちょっと今日は聞けなかったんですが、後で林さんが聞いていただけると思いますが、あのビデオも公開をできなかったということだと思いますし、これも竹島問題とか北方領土の問題にも悪影響があったと思います。  私、この立ち話、もうちょっと検証したかったんですが、この中に菅総理の抱えるすべての問題点が入っていると思うんですね。戦略性のない外交、外交決定プロセスの欠如、見通しの甘さ、総理としての決断力のなさ。ですから今日はこの話を取り上げさせていただきました。  最後にこれだけ言わせていただきたいと思いますが、私は、菅内閣は有言実行内閣というふうに言われますけれども、いつも有害実行内閣と聞こえます。菅総理は本当にこの日本をすっからかんにしようとしているんじゃないかなと私は思います。教育を空洞化させ、外交を空洞化させ、アンチビジネスの政策で雇用を空洞化させると、こういう菅総理日本すっからかん計画、これを阻むことが私は日本再生の最も近道だと思っています。  是非、総理には、もうこんな状況ではとても中国との、あの外交については一片のセンチメンタリズムもない冷徹で戦略的な中国と私は菅内閣はとても戦略的互恵関係を結べるとは思えません。  是非すぐ、菅総理は四つの「る」と言っていますけれども、逃げる、ぶれる、押し付ける、開き直るですから、それならもう外交もほうり投げていただいて、一刻も早く退陣していただくか、一刻も早く総選挙で国民に審判を仰いでいただきたいと思います。  そのことだけ申し上げて、林委員にバトンタッチしたいと思います。
  193. 前田武志

  194. 山本一太

    山本一太君 質問、要りません、していませんから。
  195. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) まあ言葉が激しいのは、私も野党時代激しかったので、あえて言葉には申し上げませんけれども、ASEMの場でバイの、二国間の話合いも、例えばベトナム、韓国、オーストラリアなどと行いました。また、EUの首脳ともお会いをいたしました。  そういう中で、先ほど官房長官からも欧米のメディアの評価も紹介がされましたけれども、私は、多くの国が我が国の行動について理解、さらには、いや、そういうやり方で納得できた、あるいは場合によってはある種の認識を共有ができたと、そういう反応をいただきました。  そして、先ほども申し上げたように、この件はまだある意味継続をしております。まあもっと言えば、未来永劫に継続するとも言えるわけです。ですから、是非この事案について、もう少し長い目で国民の皆さんにも見ていただいたときに、私は、例えば歴史を見ると、非常に格好よく松岡洋右さんが国際連盟を離脱して日本に帰ってきて大喝采を受けた例、逆に日露戦争の後帰ってきて小村寿太郎氏が言わば石を投げられたり、いろいろありますけれども、やはり歴史の中で判断されることであると思いますので、是非、山本議員にも冷静に歴史によって判断されるような討論を今後もお願いをして私の答弁とさせていただきます。
  196. 山本一太

    山本一太君 最後に一言だけ言います。  これから十年後、二十年後、三十年後、菅総理の今回の尖閣問題での対応は、日本の外交の歴史に汚点、外交敗北だと必ず刻まれると私は確信しているということだけ申し上げておきます。
  197. 前田武志

    委員長前田武志君) 関連質疑を許します。林芳正君。
  198. 林芳正

    ○林芳正君 自民党の林芳正でございます。  同僚の山本議員に引き続きまして、今度はシャドーキャビネットの財務大臣ということを拝命いたしましたので、経済問題を中心にお聞きをしていきたいと、こういうふうに思いますし、それに加えて、今、尖閣問題について少し刑事訴訟法の関係でお伺いをしたいことがございますが、官房長官が退席をしておられますので、官房長官が帰ってからの方がよかろうと。私は、官房長官と柳田法務大臣両方に最初から通告をしておりますので、官房長官出てきていただいても結構でございますので、そちらは帰られてからということにいたしたいと、こういうふうに思っております。  まず、経済対策ということが議論の俎上に上がってきておりますが、この経済対策の議論、総理もここを熟議の国会としたいということですから中身の議論をいたしたいと、こういうふうに思いますが、まずその大前提として日本経済の現状をどういうふうに政府として認識されておられるか。  端的に言いますと、財政金融委員会で私、前に、踊り場なのかどうなのかという議論を当時の津村政務官、また野田大臣もおられましたけれども、させていただきましたが、今度は海江田大臣経済財政担当大臣でおられますので、海江田大臣にまずは日本経済の今の現況についてお聞きしたいと思います。
  199. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) おはようございます。  お答えを申し上げます。  日本経済の現状でございますが、やはり、もう一昨年になりますか、リーマン・ショックで大変大きなまさに打撃を受けまして、そして昨年の春ごろが恐らく底だったと思います。その昨年の春の底から持ち直しを見せているということははっきりしております。ただ、持ち直りを見せてはおりますが、自律的な回復というところにはまだ至っていないということでございまして、とりわけ、従来も言われておりましたが、特に最近になりまして円高という大変大きなこれもまたショックでございますが、これが長くどうも続きそうだということもございます。  それから、海外の経済もこのところ、特にEUあるいはアメリカも低調、あるいは中国の経済もピークアウトしているというような状況がございます。  それから、国内的にはやはり雇用の問題がございますね。失業率が五%という高止まりの状況がございますから、そういう下振れリスクというもの、これまでもございましたけれども、これがいよいよ顕在化してまいりますと日本の経済にとっては大変大きなマイナス要因になりますので、その顕在化を防ぐという意味で、この度、緊急総合経済対策を取りまとめたところでございます。  これから、今財務省が大車輪でこの補正予算、具体的な補正予算の作業に入っておりますから、もうそう遅くない時期に国会にも提出できるかと思いますので、是非それを御審議をいただきまして、与党、野党なしに、これは日本経済の自律的な回復、そしてデフレ克服、円高克服に向けて頑張っていきたい、そのように考えております。
  200. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  したがって、海江田大臣の御認識というか政府の御認識ということになるんでしょうが、まだ踊り場には入っていないと、こういう認識でよろしゅうございましょうか。
  201. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) この踊り場ということについてはいろんな議論のあるところでございます。私も、これはもう御案内かと思いますが、就任をいたしまして踊り場という表現を使いました。それに対して、閣僚の中にはまだ踊り場でないというような意見もございますが、私は従来も、これは内閣に入る前からでございますが、経済についてはそれなりに勉強してまいりましたが、私が忘れていけない視点というのは、やはり国民、庶民の視点だということをずっと考えておりました。  リーマン・ショックの前にイザナギ景気を超える大変長い景気回復の時期があったということが、データの上ではそのとおりになっておりますが、そのときも本当に、じゃ、多くの国民が景気回復を実感できたかというと、やはりそうではないということがございます。それからまた、リーマン・ショック以降の、先ほどお話を申し上げました景気の持ち直しの期間においても、じゃ、多くの国民がその持ち直しを実感できたかというと、そうではないということが私は政治活動を通じて肌で感じておりましたから、これはやはり本当に踊り場という意識を持ってこれは対策に当たらなければいけないと、そういう自分自身への戒め、あるいは政治に当たっての基本的な立場というものを踏まえてそういう発言を繰り返してきたところでございます。
  202. 林芳正

    ○林芳正君 もう一声いただきたいんですが、少しがっかりしましたけれども、海江田大臣とはテレビでも何回もこの議論をいたしてきて、踊り場だとそのときもおっしゃっておられました。せっかく経済財政担当大臣になられて、月例経済報告という政府の基本的な認識をお作りになる責任者でありますから、その今おっしゃった思いを、自分の今持っておられるお仕事として、政府の統一見解として踊り場だというふうにされるおつもりはありますか。
  203. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 政府の月例経済報告、間もなく、たしか来週の金曜日ですか、出ます。そこにはっきりした私の思いも込めた報告になろうかと思いますが、ただ踊り場という言葉をストレートに使うかどうかということについては、これはまだこれからのお話でございます。ただ、その中ではっきりと私の思いも伝わっていく内容になろうかと思います。
  204. 林芳正

    ○林芳正君 前もそういう議論をしたんですが、持ち直しつつあると、しかし下方リスクがある。だから、今上向いていって回復しているんだけれども、ひょっとすると下に行くかもしれないというのが下方リスクですね。踊り場というのは、戻りつつある勢いが、よく学校にありますね、階段と階段の間に踊り場というのがありますが、ちょっと平たんになっちゃったと。これ全然認識としては違うんですね。  ですから、次に出される月例経済、今こうしますというのはおっしゃれないというのは私もやっておりましたから分かりますけれども、やっぱりそこの違いというのは重々御承知だと、こういうふうに思いますし、なぜここにこだわるかというと、持ち直しているときに、今からこうなるリスクがあるからといって対策をするというより、やっぱり踊り場になっているんで、このままいくとずうっと上がれない、だから対策をやるんだという方がやはり筋が通るし、対策にもこれだけのものだという勢いが出てくると思うんですが、もう一度いかがですか。
  205. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 特に私は、今回の緊急経済対策、取りまとめに当たりまして、日銀が短観を出しました。その短観の中で、やはりこれから先、特に、九月に出ましたので、十月それから十二月ということについて大変厳しい見方をしていたということもございます。  ですから、私どもは、やはりこれから、今、緊急総合経済対策、取りまとめをしました。この補正予算の審議については早い熟議がいただけるというふうに思っておりますが、それでも、やはり具体的な予算の執行ということになりますと、これは年末ぎりぎり間に合うかな、どうかなというところでございますので、私は、この本当に十月―十二月というものが大変厳しい状況になろうかと、放置をすれば。  そこで、菅総理からも指示がございました、二十八日にございました。そして、私どもが対策取りまとめをしましたのが八日でございますから、この十日間というのは大変、これまでの新記録だそうでございますが、ただ早けりゃいいというものでもございませんが、ただ、スピード感を持ってこの対策に当たっていくと、それについては、先ほど来述べておりますようなこの景気に対する認識があるということを御理解をいただきたいと思います。
  206. 林芳正

    ○林芳正君 確かに新記録をつくっていただいたかもしれませんが、我々自由民主党、そしてほかの野党の皆さんと一緒に官邸に行って、官房長官仙谷大臣会っていただきましたが、これは九月九日なんですよ。ですから、そのときから今の認識で始めていたらそんなに短期の記録を出さずしてもできていた。  もっと言えば、参議院選挙が終わったのは七月十一日なんですね。ですから、そのときに、十―十二がちょっと危ないぞ、下方リスクが少し増えたんじゃなくてもう踊り場に入っているなという認識があれば、あのときから作っていれば、今ごろ予算が通っていて、そして今お金が出ていっているかもしれないんですね。どうしてそれができなかったかとお考えか、海江田大臣、いかがですか。
  207. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 私がこの職に就きましたのが九月の十七日でございますが、ただ、もちろん私も与党民主党の一員として私なりに声を上げてきたつもりでございますが、その声が小さかった、私が非力であったということは率直に反省申し上げます。
  208. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございます。  その海江田大臣の声は大変大きな当時から声だったと思いますが、その声が届かなかったということについて、菅総理、いかがですか。
  209. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 今、海江田大臣からもお話がありましたように、現在の状況についての認識、踊り場という言葉を使う使わないかは別として、景気の下振れリスクが強まっているという認識含めて、海江田大臣とも共通をし、場合によっては林議員とも共通をしているのではないかと思います。  その都度、もちろん四月に今年度の予算が成立をして、そして今回、三段階、ステップワン、ステップツー、ステップスリーという形で経済対策を発表し、既にステップワンのステップは実行し始めステップツーに入っているわけですが、そういう全体の流れとして、私は、いろいろ御指摘をいただいておりますけれども、きちんと状況に対して対応をしてきていると、こういうふうに認識をいたしております。
  210. 林芳正

    ○林芳正君 海江田大臣がせっかく与党時代というか、政府に入られる前にかなり声を上げられていたと。しかし、実際にはこういう動きになっておると、こういうことですが。  野田大臣は、この間の私とのやり取りでも、踊り場ではないと、下方リスクについては認識するけどと。野田大臣ずっとおられましたから、どのぐらいから、どのぐらいの時期から下方リスクが随分出てきて、踊り場ではないとおっしゃっているんですが、こういう緊急経済対策が必要だなと思い始めたかどうか。いかがでございますか。
  211. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 林委員にお答えをしたいと思いますけれども、景気の基本的な認識は、海江田大臣と同じです。持ち直しはしてきている、でも厳しい状況にあって下方リスクは幾つかあるということです。  それへの対応ですけれども、踊り場という表現は、これは私は個人的には余り好きな表現じゃないんです。定義は難しいと思いますけれども、景気拡張局面における一時的な足踏み状態というのは多分大方の人が想定をする考え方だと思いますが、かつて谷垣現自民党総裁が財務大臣のときに私質問したときに、いつも景気認識は踊り場という話が多かったものですから、随分長くて大きい踊り場ですねと質問をしたことがありました。余り、だから個人的には踊り場の定義というのは難しいし使いたくないんですが、基本認識は、持ち直してきているけれども下方リスクがあると、その下方リスクが顕在化すれば日本の経済は大変厳しい状況になると。  その認識は、いつからと言われても困りますが、自民党が九月九日に対策を講ずるようにという要請をされた、九月十日には、私ども、三段構えの経済対策を講じることを決定をしています。そして、九千二百億円の経済予備費を使うことは決定をしていますので、時期的に認識にそんなにずれがあったとは思いません。
  212. 林芳正

    ○林芳正君 足踏みでもいいんです、踊り場が嫌ならですね。しかし、私が申し上げているのは、足踏みにしても踊り場にしても、戻っていくという動きが止まっているかどうかと。続いていて、しかし下方リスクがあるというのと、今止まっているというのはやっぱり違う認識なんですが、お好きな表現で結構です、足踏みでも。今はまだ足踏みになっていないということですか。
  213. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 私の認識は月例経済報告どおりであって、持ち直しつつあるという基本認識の中で、先行きにおける下振れリスクへの対応が今回の経済対策であると認識しています。
  214. 林芳正

    ○林芳正君 是非、そこの溝が大きいなと、これを埋めていただかなきゃいけませんし、野田大臣はどうしても出す方の立場ですから、余り大変だというとたくさん出さなきゃいけないぞと、こういうお気持ちでもあるんだろうと思いますので、これはやっぱり海江田大臣の方に頑張っていただくしかないなと、こういうふうに思いますので、月例経済、期待しておきたいと、こういうふうに思いますけれども。  そういう認識の下でやっておられると。一つ申し上げたいのは、実は、一段目、二段目、三段目とかステップ幾つとかいうのはあるんですが、この七―九から十―十二にかけていろんな政策効果が消えていく、フェードアウトしていくというのはみんな分かっていたことなんですね。エコポイントがいつなくなるのか、エコカー減税はいつなくなるのかと。我々のときにやらせていただきまして、有り難いことに、民主党政権になってもこれ数少ない残していただいたことの少しの一つですが、まさにこれは永遠にやり続けるわけにはいかないから、これが中期的な対策として切れた次にスムーズに民需にバトンタッチをしていくためのいろんな基金を実は去年我々が作った補正予算には入れてありました。それを、最初は子ども手当の財源がないからということもあって、全部、三兆円近くごっそり執行停止、切ってしまいました。  今度の経済対策、拝見させていただきましたけれども、随分とスクール・ニューディールにしても戻していただいているんですね。あれをあそこで切らずに本当にあのまんまやっていただいておけばもう少し、腰折れとか足踏みとか踊り場とか、いわゆるこれが切れてきたときの十―十二以降の落ち込みというのは防げたと、こういうふうに思いますけれども、海江田大臣、いかがですか。
  215. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) マインドを大きく下方に向けているのはやっぱり円高がございますね。この円高につきましても、政府は九月に入りまして、やはり市場介入も辞せずということで、実際に行いました。しかし、やはりこれは世界的な、これは、為替戦争という言葉は私は使いたくないわけでありまして、そうあっては困るわけでございますが、やはりよりどころが円しかないという状況で、しかもそのスピードが非常に速く、この九月に入ってそういう状況が出てきたということが恐らくあの日銀短観などに与える影響も多かったんではないかなというふうに思っております。  それから、先ほどの緊急総合経済対策でございますが、確かに私どもも野党の皆様方の意見もしっかりと、これは玄葉政策調査会長と言った方がいいかと思いますが、なかなか正式な議論の機会は与えられませんでしたけれども、いただいた資料をしっかりとしんしゃくをいたしまして、熟読、吟味いたしまして、そして盛り込ませたわけでございますから、是非これを、具体的な補正予算案になりますから、またもちろん議論はしていただいて結構でございますが、その議論の上、できるだけ速やかにというのが本当に偽らざる気持ちでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  216. 林芳正

    ○林芳正君 十月六日に発表された、これは民主党の方でしょうか、経済対策には、基本的な考え方で、国民新党、社民党の意見を十分に受け止め、野党の共同申入れを踏まえたものと、こういうふうにしていただいておりますので、そこはきちっと見ていただいているなという思いはありますが、その前提として、私が申し上げた今の景況認識というのがまずずれているなということが第一点であります。  それから、円高の話はちょっと後でやりますが、もう一つ、我々がこの申入れのときに書かせていただいたのは、ブレーキを踏みながらアクセルを踏むと、これではやはりアクセルの効き目が落ちますから、まず、せっかくアクセルを踏むというところは一緒にやれるかなというところになっているわけですから、このブレーキをまず外しませんかという話をさせていただいております。  雇用空洞化、まあアンチビジネスとも言いますが、雇用空洞化がいろんな方の話を聞いているとやっぱり推進されているんじゃないか。製造業の方は何か国外へ出ていけと言われているようだという声をよく聞きます。CO2二五%を国内で議論せずに海外でどんとぶち上げると。この法案はもう既にまた閣議決定されているということでありますけれども、最低賃金も最初の公約では四年間で千円にすると、こんなことが出てくる。派遣業の規制強化もまた今度閣議決定されたと聞いておりますが、やっぱりこういうことをすると、企業の経営者の方、中小企業の方もおられますけれども、どういうふうに受け止めるかと。少なくとも国内で設備投資をするという判断は見送ろうかなと、しないというところまでは行かないけれども、そういうところに来ているところに今海江田大臣がおっしゃった円高が夏に来たので、ずっと我慢してどうしようかなと思っていたけど、ついにこの円高で外へ行こうということを決断されたという経営者が少なからずおられるということを私、直接聞いております。  したがって、まず、この雇用空洞化の政策をまずやめるというお考えはないか、海江田大臣にお聞きします。
  217. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) アンチビジネスでありますとか、あるいはブレーキでありますとかという言葉が私には、特にアンチビジネスという言葉が私にはぴんときません。それは、その意味ではアンチビジネスということを考えてこれまで政策を考えてきたことはございませんから。今、林委員お話を聞いて、こういうことを指しているんだなということが幾つか分かりました。  私どもが、これまでステップワン、今度がステップツーでございます、そして来年度の本予算がステップスリーでございますが、ステップワン、ステップツーでやっぱりできてこなかったことが、これは税制改革でございます、これは。この税制改革の中で、恐らくおっしゃるような、括弧付きではございますが、アンチビジネスということに対する懸念も払拭されるように努力をしていかなければいけないと考えております。
  218. 林芳正

    ○林芳正君 先ほどせっかく褒めてあげたつもりだったんです、ここに共同申入れを踏まえたものと書いてあるから。その共同申入れの中に私が今言ったこと書いてあるんですよ。海江田大臣、よく読んでおいてください。  海江田大臣、その立場で頑張っていただかなきゃいけないと思うんですが、個別に、例えばCO2二五%、また閣議決定されましたけれども、松本大臣は就任のときに少し変えてもいいみたいなことをおっしゃったというのを私、報道で見たんでございますが。  私が申し上げたいのは、その二五%、確かに気高い目標かもしれませんし、少し言葉が過ぎるかもしれませんが、コペンハーゲンではハトがネギしょってきたと、こういう言葉が言われておりました。やっぱり余り高い目標を掲げると、排出権取引をかなり使わなきゃいけなくなるから、随分もらえるんだろうなという認識が向こうにも出てきたようでございますけれども。まず、数字は私は二五%はかなり高いと思いますが、数字を決めるときに、積み上げ、民生で幾ら、製造業で幾ら、運輸で幾ら、そして排出権で幾ら、森林吸収で幾らということを議論して、なるほど我々のところはこれぐらい負担をするんだなということが分かった上で外で約束するという順番、なぜ取れないのか、お聞きしたいと思います。
  219. 松本龍

    国務大臣松本龍君) お答えいたします。  先ほど変えてもいいというお話がありましたけれども、私はそんなことは言っておりません。いろんな国会審議の中で様々いろんな議論が出てきて、その中で柔軟な対応というのはあり得るだろうというふうに思っております。  先ほど来言われました温暖化対策、いろいろ言われますけれども、やっぱり環境と経済というのは非常に大きな意味合いがあって、国民負担ということを先ほど言われましたけれども、まさに今、中央環境審議会の中の地球環境部会、そしてその下の中長期ロードマップという小委員会がありますけれども、この中で春先からいろんな関係団体と議論を、三十七団体といたしまして、いろんな話をしているところであります。  関係閣僚のタスクフォースあるいは環境大臣試案というものもいろいろ材料を提供していきながら今やっているわけですけれども、二五%の削減につきましては、まさに今言われました国内削減分あるいは海外との排出量取引、あるいは森林吸収というものがありますけれども、国際交渉の状況を踏まえながら、これから、今中央環境審議会の中で議論を重ねておりますので、そのことを検討をさせていただいているという状況であることを御報告をいたします。
  220. 林芳正

    ○林芳正君 やはり、なぜブレーキかというと、今もう大臣おっしゃったように、国際交渉の状況を踏まえながらと、これが付いちゃうんですね。それ関係なく、まず国内の議論を先にやって、みんなでこの目標ならできるなという合意を取ってから外に臨んでいくという姿勢になりませんかと聞いているんですが、いかがですか。
  221. 松本龍

    国務大臣松本龍君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたとおり、今、中央環境審議会の中で、中長期ロードマップあるいは地球環境部会という中で積み上げていきながら、年末までに、それぞれの削減等々は今お答えはすることはできませんけれども、関係者あるいは産業界あるいは労働界等々のお話を聞きながら今積み上げている最中ですので、そのことを今申し上げたいというふうに思います。
  222. 林芳正

    ○林芳正君 ですから、積み上げた結果、二五ではなくて一五でした、二〇でしたということも当然私はあっていいと思うんです。それを、先に二五というのを何の積み上げもなく約束しちゃったのは、もう総理も替わられたんですから変えたらいかがですかと言っているんですけれども、これ、総理、いかがですか、聞かれていて。
  223. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 私は、二五%というこの一つの目標は、アンチビジネスというふうに決め付けられましたが、必ずしもそういうふうにはとらえておりません。  例えば、今リチウム電池、それを使った電気自動車ということがまさに世界的な大きな次の、大型の開発目標になっておりますが、これなども、つまりはCO2削減という問題、そういう地球環境の問題からそういったことが大変重要視されているわけでありまして、もちろん林議員が言われるように、私もいろんな立場をこの一年間たどりましたけれども、国内的に例えば家庭の民生あるいは事務所などでどの程度の削減が可能かと、そういう議論は並行して当然やるべきだと思いますが、二五%というものがアンチビジネスだからそれを何か今変えなければならないという、そういう認識は持っておりません。
  224. 林芳正

    ○林芳正君 少し予想していたことでありますが、少しがっかりしました。  考え方を変えた方がいいと申し上げているんで、やっていって、積み上げて、二五がみんなできるということになれば二五だっていいんですよ。だけれども、その積み上げが、まさにさっき大臣おっしゃったように、やる前に先に約束しちゃっているということがアンチビジネスなんだと、こういうふうに言っているんです。  ですから、それを今からもう一回やっておられるんなら、その二五%のくびきを外して最初からゼロベースで幾らになるかということをやって、改めて積み上げでできた数字をやると、こういうおつもりがないかというふうに聞いていますけれども、いかがですか、菅総理
  225. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 御承知のように、二五%という数字にはかなり大きな条件が付いておりまして、主要な国々がそういう基本的な土俵に、共通の土俵にのるということの前提が付いた形で鳩山前総理が問題提起をし、一つの目標になっているわけです。  ですから、私は、逆に言えば、今その二五%というものがそういう前提条件、かなりの条件が付いた中であるわけでありますから、逆に言えば、その中身について、今、林議員が言われたようなこと、これはもっと私も早く取り組まなければということで、いろんな立場では少しそういうことをやるようにということではかなり言ってはいたんですが、まだ完全にはできておりません。  例えば、東大の前の学長の小宮山先生などは、民生部門で二五のうちの一一%は可能だということをプラチナプランという形で提起されておりますし、そういうものを積み上げて、私もできるだけいわゆる排出権取引等に頼らないで国内的な努力の中で二五%が満たされるような、そういう計画を立てていくということについては是非やりたいし、やらなければならない。  ただ、目標値を今の段階で変えるということは、先ほど申し上げたように、この目標率そのものにはかなり大きな前提条件が付いておりますので、そういう意味では、そのことはそのままにしておきながらこの積み上げの方をしっかりとやっていくと、こういう姿勢で臨んでいきたいと、こう思っております。
  226. 林芳正

    ○林芳正君 変えられない理由が大きな前提条件が付いているというのは、ちょっと理解に苦しみます。  総理がおっしゃっている前提条件というのは、多分、主要な国が意欲的な目標に合意した場合と、こういうことだと思いますね。だけど、それはほかの人の話であって、うちが何で二五じゃなきゃいけないのかという理由になっていないんです。  もう一度、いかがですか。
  227. 松本龍

    国務大臣松本龍君) 二五%という数字、昨年、鳩山総理国際社会の中で表明をされました。  それが高いのか、私もいろいろこの間ずっと考えてまいりましたけれども、この二五%というのは、IPCC、これが真偽かどうかという議論もありますけれども、温室効果ガス濃度を四四五から四九〇ppmで安定化すれば、二・〇あるいは二・四度Cの気温上昇にとどまり得ること、また、四五〇ppmの安定化レベルを達成するためには、附属書Ⅰ締約国全体の排出量を二〇二〇年に二五から四〇%削減する必要があると示されております。  先ほどコペンハーゲン合意も言われましたけれども、ここには八〇%の方々の参加があります。先ほど言われました前提条件、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際的な枠組みをつくるということも含めて、その前提条件をしっかり踏まえながら科学的見解が今その中にあると、そしてそのことに、ある意味では国際社会の一員として、あるいは環境先進国として二五%という目標があるということも御理解をいただきたいというふうに思います。
  228. 林芳正

    ○林芳正君 大臣御存じだと思いますが、日本の排出量は全世界の四%ですね。ですから、四%の国が最初に二五%やっても、まさにほかの国が来てくれないと、四%の四分の一はたった一%ですから、なぜうちが最初から二五%なのかという説明が全くないのと、それから主要な国、意欲的な目標というのは、それぞれ例えばどういう国を指していて、意欲的な目標というのは二五を超えると、例えばそういう具体的な中身がありますか。
  229. 松本龍

    国務大臣松本龍君) お答えいたします。  主要な国というのは、皆さん御承知のとおり、アメリカ、中国というところで、今中国が全体の二二%、アメリカが恐らく一九%だというふうに思います。ですから、二つの国が四一%で、この間の京都議定書の枠組みの中では二八%と、排出量の全体に占める割合が。ですから、そういう枠組みの中で決めていいのかというのがありますし、コペンハーゲン合意は八〇%の排出量があるわけですから、そこを膨らませていく作業もこれからしていかなければなりませんから、そういう意味では、主要な国というのは、まさにそういう方々の背中を押していって、やっぱり枠の中でお話をしようよということをやっていかなければならないと考えております。
  230. 林芳正

    ○林芳正君 この間、事務方のレクを聞いたときには、法案の説明としては主要な国というのは定義がないと。それから、この意欲的な目標についても具体的な数字というのは想定していなくて、全体として統一的に判断すると、こうおっしゃったので、今大臣には少し踏み込んでいただきまして、アメリカ、中国と具体的に言っていただきましたので、アメリカや中国が意欲的な目標、今数字をおっしゃられませんでしたけれども、に来ればこれが発動要件になるというふうに解釈をいたしましたが、まさに先ほど申し上げたように、うちが国際的にしのぎ合って競争しているときに先にやるということがどれだけマインドを冷やしているかということをもう一度やっぱり考えていただきたいと、こういうふうに思いますし、もう一つ、派遣の規制強化、これは細川大臣にお聞きすればいいのか分かりませんが、中小企業ですね、こういう人たちはこれ本当にやっちゃうとどういうことになるか、非常に戦々恐々としておるわけでございますけれども、原則として全部やるという御方針が変えるおつもりがないのかどうか、お聞きします。
  231. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 派遣業の改正案につきましては、通常国会で提案をいたしまして、衆議院の方で今継続審議になっているところでございます。  この派遣業の改正案につきましては、規制緩和が余りにも進みまして、そこであのリーマン・ショックの後の経済不況の中で、大変な派遣労働者の皆さんが派遣切りあるいは雇い止めになりまして大変苦労されたというところで、これを規制しなければいけないんじゃないかということで提案をしたところでございます。  そこで、製造業の派遣につきましては原則禁止と、こういうことにはしておりますけれども、しかし、その例外というのは、一年以上の見込みのあるものについては例外というふうになっております。また、猶予期間も付けまして、そこで中小企業の皆さんには配慮もいたしているところでございまして、あるいはまた、派遣の皆さんには直接雇用をしてくれる企業に対してはいろんな支援策をつくっておりまして、そういうところでは中小企業の皆さんには配慮したそういう仕組みをつくって提案もさせていただいております。  今後、国会の中で御審議をいただくと思いますけれども、私どもとしてはこれが一番いい法案だということで御提案をいたしておりますので、国会の中で、御審議の中で決めていただきたいというふうに思っております。
  232. 林芳正

    ○林芳正君 いろいろ考えておられるのは今お聞きしましたけれども、企業のサイズですね、中小企業政策というのは、ある一定の規模以下のところを中小企業としていろんな施策をやる、こういう企業のサイズでやるという考えはありませんか。
  233. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 私どもが提案をいたしております法案については、企業の規模によって区別をするというようなところは提案をしていないところでございます。その点についても、私としては国会の中でいろいろと御審議をしていただければいいというふうに思っております。
  234. 林芳正

    ○林芳正君 最後のところはよく聞き取れませんでしたが、御審議をしていただいて修正もやむを得ないというお考えですか。
  235. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) これは、政府としたら国会の御審議で決めていただくことになりますので、それはそれで尊重はしたいというふうに思っております。
  236. 林芳正

    ○林芳正君 結局、あの二五%も今のやつも、まあ二五%は鳩山さんが言っちゃったからと、今の細川大臣も、元連立を組んでおられた福島さんのお顔を思い浮かべながらおっしゃったのかもしれませんが、もう替わって菅内閣になったんですから、少し成長戦略やろうと。この間、官房長官帰ってこられましたので、私お邪魔したときも、サプライサイドも重要だとおっしゃっていただいたんですよ。ですから、少しがらっと、第一とか第二とか第三の道とか、分かりにくいことではなくて、アンチビジネスやめますと、菅総理、おっしゃるつもりないですか。
  237. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) どうも私は、先ほども申し上げましたが、林議員がアンチビジネスというふうにこの二五%や労働者派遣法を決め付けられるのは、本当に若干違うんじゃないかと思っているんです。  この間、大分林議員とも議論をして、私の考え方、賛成いただく、いや反対いただくかは別として、私の考え方そのものはかなり御理解いただけていると思いますが、ポイントはやはり需要だと思うんですよ、需要。  例えば、この労働者派遣法がまさに小泉・竹中改革のある象徴として労働の自由化を行いました。結果として、確かにある種の企業は競争力が高められました、つまり労賃が安くなりましたから。しかし、そのことが日本経済全体にプラスになったかというマクロ経済的に見ると、私はデフレ下にデフレを促進した効果が大きかったと。つまりは、これまで一万人の従業員がいたところを五千人にリストラして、多くを非正規雇用に変えて給与をぐんと下げた。その企業にとっては大変業績が良くなったかもしれないけど、日本全体からすればそれだけ失業者やあるいは低賃金の非正規雇用が増えたわけでありますから。それがこの第二の道の間違いということを私は何度も申し上げております。  それから、二五%の問題も、私、これは余り長くなっちゃまずいのであれしますが、国際的な共通の数字を私自身は従来から考えております。  つまり、どういうことかというと、今、日本は一人当たり大体十トンCO2を排出しています。アメリカは二十トンです。中国は四トンです。世界平均でいいますと大体今四トン。六十億人ですから、四、六、二百四十億トンです。  私は、何年に比較して何%という考えよりも、地球の枠はないんですから、地球に途中に塀はないわけですから、最終的には一人当たり何トンというものを最終目標にすべきではないかということを実は鳩山前総理にも何度も申し上げておりました。例えば、現在が平均四トンということは、二〇五〇年に平均二トンにすると。そうすると、平均二トンにするにはアメリカは十分の一、日本は五分の一、中国も半分にしなければなりません。そういう共通目標をある意味、国際的に掲げることによって、それに達成するための新しいイノベーションが必要になります。そこには新しい需要が生まれます。先ほど申し上げた電池とか電気自動車だとか、いろんなものが生まれます。  ですから、私は、アンチビジネスというふうにとらえるというのは、私は余りにも片面の、部分的にしかとらえておられない。新しい需要を生み出すという面で私はこの環境問題をまさに戦略的に日本は活用すべきだ、先ほど名前を挙げました小宮山前東大教授などもこれを進めることが日本の成長の大戦略だということを言われて、私はそういう側面も是非御理解をいただきたいと、こう思っています。
  238. 林芳正

    ○林芳正君 そういう側面は理解しておりますし、我々も、先ほど申し上げました例えばスクール・ニューディールで太陽光パネルを作るというようなことはもうやってきたんです。ですから、そんなことは分かっているんだけど、それだけであしたからやっていけますかという話をしているんです。  企業の皆さんは、大企業だけじゃないですよ、一生懸命、あしたどうするか、来月どうするかという中でやっていらっしゃるんで、総理の、まあ大ぶろしきという言葉はいいかどうか分かりませんが、そういう大きな展望は結構です。しかし、それだけで経済が回る、鎖国してて閉じた経済で政府がやったら雇用ができるっていうだけならいいけど、国際競争しているんですよ。ですから、そこのところをもう少し発するメッセージとして変えていただかないといけないということを私が申し上げているんですが、菅総理に全部理解してもらおうと私も思っておりませんので、意見が違うということが分かったということで結構です。  それで、私が申し上げたいのは、もう一つ、この雇用空洞化政策、ブレーキをやめるののもう一つは、財源についてもかなり具体的に申し上げておりまして、このばらまきのマニフェストというのをやめたら、まあやめるというのが言いにくけりゃ、延期するとか減らすとか何でもいいんですよ。とにかくこれだけ大きなお金をどんとやっちゃったら財源なんて出てきっこないということを申し上げた上で、具体的に我々はこの提言の中で申し上げております。  この予備費とか決算剰余金が一緒ですね。執行停止で七千億ぐらい今年度出るだろうと、補正をやるんならと、こうも言っているし、その後に国鉄清算事業団関係云々ということで実は一兆五千億、これもかなり少なく見積もっておりますが掲げておりまして、昨日かおとついの衆議院の予算委員会では、まさに野田大臣がこのことについて我が党の西村経済産業大臣、シャドーキャビネットの大臣のあれに答えておっしゃっておられまして、検討すると書いてあるんですが、ちょっとびっくりしたのは、来年の当初予算の財源として考えておられるということをおっしゃっておられる。これ一回限りですから、やっぱり一回限りの財源というのは補正で使ったらという思いで、我々はわざわざ種明かしするの嫌だなと思ったけどここに書いたんです。  なぜそれを、来年の当初予算に使うということを検討されるのなら、この補正の財源にされないんですか。
  239. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 既に私どもが明らかにした経済対策は約五・一兆円ということになっています。それは、自民党あるいは公明党ほか野党の皆さんの、いわゆる内容もそうですが、規模感からしてもそれほどギャップはないというふうに思っています。  それから、もう一つは、今の鉄運機構の利益剰余金についてでありますけれども、これは、一つには現行法令上は国庫納付を行うことができないということで所要の法改正も必要です。加えて、有価証券等の資産については売却を行う必要等もございます。加えて、これは将来の年金支払等の見込みについての精査とか、国鉄改革に残された課題への対応を含め国土交通省との調整に時間を要するところもございますので、すぐ補正予算の財源というよりは、しっかりとした準備をした上で二十三年度の予算編成に生かしていきたいというふうに考えています。
  240. 林芳正

    ○林芳正君 こういうことになるから、早くからやっておけばよかったということを申し上げたんです。  我々、ここに書いてある以上は、この法案ちゃんと出してくれれば、ちゃんと議論に応じて、場合によっては賛成することだってできるんです。ですから、このことを緊急経済対策、予備費のやつは九月からとおっしゃっておられたんであれば、そのときからずっとやっておればできたんじゃないですか。いかがですか。
  241. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 先ほど申し上げたように、国交省との調整事項等もございます。そういうことも踏まえて、あるいはその資産の売却等々を含めて、しっかりと準備をして対応するには二十三年度編成で活用することが妥当だと思いますし、本来ならばこういう一時的なお金は補正予算に使った方がいいという、一般論としてはよく分かりますが、一方で二十三年度予算編成もなかなかこれ大変なところがございますので、税外収入という、その確保をするという視点からもしっかりと準備をしていきたいと思います。
  242. 林芳正

    ○林芳正君 野田大臣、珍しく本音をおっしゃっていただいたんですが、来年の予算編成、大変だと。  来年の予算編成で私が、ちょっと今質問にはなかったんですが、気になっている点は、概算要求基準の一番最後の方に分かりにくく書いてある、年金の三分の一を二分の一にするための二・五兆円、これ一割削減して戻してという中に出てこずに、予算編成の過程で検討するとしか書いていません。全部一割切っても二・四兆円しか出ないあの何とか枠の中で、この二・五兆円というのがよそにあるというのは一体どうするんだろうなと思っていたらこれが出てきたものだから、ああなるほど、これ使うのかなと、こういうふうに邪推をしていて、今ちょっとそういうニュアンスで来年のことを触れたんで申し上げたんですが。  二分の一にするお金は恒久財源ですから、これ一年限りのお金は、さっきおっしゃったようにやっぱり補正で使うのが筋でありますし、財源の話をさせていただければ、税収の上振れとおっしゃっておりますけれども、もしさっき言ったように今から、踊り場なのか足踏みなのか知りませんけれども、景気が少し下降局面に入ったら上振れするかどうか分かんないんですよね。ですから、分かんない金を当てにして組むよりは、ここにあるこのお金をまず補正に使うと、その方が筋だと思いますけれど、いかがですか。
  243. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 先ほど申し上げたとおり、補正予算にカウントをしていくには、財源のカウントをしていくにはまだまだその条件整備が整っていなかったということが率直な話でございまして、二十三年度編成には間に合うようにしていくということです。
  244. 林芳正

    ○林芳正君 答えになっていないんですが、会計検査院が既にレポートを出していますけれども、一兆二千億はもう要らないでしょうと会計検査院が出しています。ですから、そのお金、今おっしゃっておられますから、もしそういう手当てができるということがあれば、つなぎで国債を出して、そして一兆二千億で償還するということだっていいんですよ。税収を見積もってやるよりはその方が確実だと思いますが、いかがですか。
  245. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) いずれにしても、その利益剰余金をどれぐらい国庫に戻すのか、そしてそれをどう使うかというのはこれからの検討過程でございまして、今の委員の御指摘のことも含めて検討させていただきたいと思います。
  246. 林芳正

    ○林芳正君 大体、いずれにしてもと言うときはろくなことがないのでありまして、正面からなかなか答えられないということだと思いますが。  やはり税収の上振れというのは、絶対やっちゃいかぬと言うつもりありません、我々も過去やったことがあるかもしれませんから。しかし、税収が上振れていくという、この確率というのがあるんですね。  ですから、今から本当にこのままいけるというんであればともかく、足踏みなのかどうかは分からないにしても下方リスクがある、だから対策打つと、こう言っているときに、一方でその対策の財源は税収が予定どおり入ってくるというのを皮算用してやるというのは矛盾してないですか。もう一度どうですか。
  247. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 補正の税収の部分というのは、これは二・二兆円になっていますが、これはいわゆる八月までの課税実績を含めての、そこでしっかりとカウントできるものを入れているということであって、その先までではございません。
  248. 林芳正

    ○林芳正君 一年間で全部で入ってくるんです。ですから、今までの分で上振れたとしても後半で下振れちゃったら、足したら一緒なんですよ。そのことは大臣、お分かりだと思うんですが。  ですから、こっちの方が確かにそこにあるんです。会計検査院がもうレポートを出しているんですから、こっちを軸にやる方法の方が真っ当だと思いますけれども、何でそんなに税収上振れにこだわって、こっちは当初予算のためにどうしても取っておかなきゃいけないというふうに聞こえるんですが、いかがですか。
  249. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) そういう特定の意図を持って二十三年度予算編成のために取っておくということではございません。(発言する者あり)別に、何かいろいろと怪しいとかおっしゃっていますけど、そんな深い意図はございません。しっかりと有効に活用するかはこれからしっかりと検討していきたいと思います。
  250. 林芳正

    ○林芳正君 野田大臣、正直な方なので、今少しほほ笑みながら答弁をされておられましたので。  私が申し上げていることは、税収の上振れということはまだ分からないから、やっぱりきちっとした財源でやらないと、財政再建という課題もあるわけですね。そのことをくれぐれもお願いをしておきたいと、こういうふうに思います。  そこで、財源に申し上げた、民主党のマニフェスト施策の執行停止七千億と、こう書いてありますが、いわゆる四K、子ども手当、それから戸別所得補償、高校無償化、高速道路無料化、四Kというふうに私は呼ばせていただいておりますが、子ども手当について所得制限を掛けたらどうかと。去年の年末にもたしか議論がありました。来年どうするかを議論するに当たってもこれは大きなポイントとなってくると思いますが。  先日、我が党の野上議員とテレビに出られて櫻井副大臣がそれについて触れられたというふうに聞きましたので、どういうふうにお考えかお聞かせいただきたいと思います。
  251. 櫻井充

    ○副大臣(櫻井充君) 自民党参議院の政策通として私が日ごろ尊敬しております林委員から質問をいただいて大変光栄でございます。  テレビの発言についてなんですが、まず私の考え方を申し上げさせていただきますと、野党の時代から、国会の論戦の中で野党議員の意見が取り入れられなかったというのは非常におかしなことだと思っておりました。これは今、与党の立場になってもまさしく同じでして、そのテレビ番組の中で、今、林委員からお話があったような内容のことを野上議員から言われたこと。そしてもう一つは、その場で一緒に議論をさせていただいた大学の先生から、その所得制限を設けなかったことがばらまき政策だと言われている原因だと、そういう御指摘もございました。  ですから、そういうお話があったので、入口からその議論をふさぐことではなくて、そういったことを検討する必要もあるかもしれませんねと、そう申し上げたところでございまして、必ずしも所得制限を私が積極的にやりますと、そういうふうに申し上げたことではないので、その点については御理解いただきたいと思いますし、いずれにしろと申し上げるとろくなことがないと今言われましたが、今後これからの議論でございますので、是非、政策通の林委員からも御提言をいただければ有り難いなと、そう思っております。  以上でございます。
  252. 林芳正

    ○林芳正君 お褒めをいただきましてありがとうございました。  午前中はここまでにしたいと思いまして、午後の一番で小宮山副大臣に今の同じ御質問をしたいということを申し上げて、終わります。  ありがとうございました。
  253. 前田武志

    委員長前田武志君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  254. 前田武志

    委員長前田武志君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  予算執行状況に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。林芳正君。
  255. 林芳正

    ○林芳正君 午前中に引き続き、残りわずかですが、続けさせていただきます。  午前中、櫻井副大臣に子ども手当の所得制限についてお伺いしましたが、同じ質問、小宮山副大臣、子ども手当の所得制限についてどういうお考えか、お聞かせください。
  256. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) 子ども手当の制度設計をした一人としてお答えをしたいと思います。  この子ども手当は、ずっと御答弁申し上げているように、社会全体で子供の育ちをしっかりと見ていこうという考え方でございまして、よく財源のないばらまきだという御批判がありますけれども、そもそもは税調の中の、税の控除をなくして必要な社会保障のサービス給付に変えようということでして、子供の扶養控除は既に昨年の暮れに廃止をしておりますので、ただ、タイムラグがございますから、所得税については次の一月、住民税については二十四年の四月、六月、これは働き方によって違いますけれども、そういうことで、子供の扶養控除の分は財源があります。  マニフェストでは配偶者控除も入れておりましたが、そこはまだこれから税調で議論をするところで、だから、見合うだけの財源が最初はあったんですが今はないので、そこのところをどこまで一万三千円を上積みをして現物とどう組み合わせるかは、再来年施行を予定して次の通常国会に提出をしたいと思っております幼保一体化などを含めた子供の新システム、その現物給付の方と子ども手当をどういうふうに組み合わせるかということをこれから各党の御意見も伺いながらしっかりと詰めてまいりたいと思っております。  それで、所得制限ですけれども、これは各国とも子供の手当に所得制限を掛けている国はありません。所得の格差には税制で対応している。累進課税、あるいは私どもは給付付き税額控除も将来という考え方もございますので、これも社会保障と税制について皆さんとの御議論の中でまた詰めていければいいと思っておりまして、所得制限についてはすべての子供に公平に社会が育ちを支援するという意味から、私どもの基本の考え方としては所得制限を掛けるという考え方は持っていません。ただ、いろんな意味で、今の与野党の情勢から、皆さんの御意見も伺いながら、しっかり未来の子供たちへの投資としていい形をつくってまいりたいと思っております。
  257. 林芳正

    ○林芳正君 かなり櫻井副大臣とはトーンが違うようですが、子ども手当の所得制限がない国はないとおっしゃいましたが、少なくとも日本は児童手当の時代には所得制限をしておりました。ですから、それは両論考え方があると、こういうふうに思いますので、今から御議論だとおっしゃいましたけれども、いろいろなところで議論していきたいと思いますが。  最後に、玄葉大臣にマニフェストの見直しについてこの間お伺いしたときに、修正するものは修正するが、譲れない一線も党としてあると、こういうある意味では柔軟に聞こえる御発言でしたけれども、例えば今の子ども手当の所得制限というのはどうなるのか。我々、今まで一年拝見していて、暫定税率というのは譲れない一線ではないのかなと分かっております。八ツ場は譲れない一線なんだろうなと思います。しからば、この所得制限はどっちなのか。更に言えば、さっき申し上げた二五%や派遣業、最低賃金というのはこの一線のどっちにあるのか、お答えいただきたいと思います。
  258. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) どこまでがマニフェストについて譲れない一線なのかということでございます。  マニフェストの扱いについては、〇九年の総選挙のマニフェストをできる限り実現するということですが、改めてこのことを申し上げたいと思います。  それは、参議院選挙のマニフェストでは、言わば〇九年総選挙マニフェストの強調したいところと併せて一部修正したいところを掲載をしたわけです。その中には、例えば今お話のあった子ども手当、これは通常〇九年マニフェストであれば今年から、つまりは来年度予算から月額二万六千円ということだったけれども、ここは一万三千円プラスアルファ上積みを目指す、そこは現金か現物か。そういう意味では、子ども手当について問われれば、基本的には一万三千円という線はまず譲れないし、プラスアルファ現金にするか現物か、ここのところについてこれから議論するということだと思っています。  所得制限については、まさに今これから議論を収れんをしていくところでありまして、ただ、ここについては一つの思想的なものが入っておりますので、なかなか所得制限を付けるというわけにはいきにくいのかなというふうに思っています。  そういう意味では、子ども手当に限らず、参議院選挙のマニフェストを御覧になっていただければ、そこが基本的なベースになっていくというふうにお考えいただければというふうに思います。
  259. 林芳正

    ○林芳正君 参議院選挙で民主党が勝っていればそれも言えるんでしょうが、ああいう結果ですから、玄葉大臣か政調会長がお決めになるのか、党としてどうするのか、政府・与党としてどういう手続でこのマニフェストを決めるのか。今のお話はこの予算案が決まったら分かるんですよ。  ですから、その前に、我々、熟議というんならここでやろうじゃないかということで申し上げているので、熟議とおっしゃるからにはもう少し具体的に、参議院選挙のマニフェストを読んだら何となくにじみ出てきますよではなくて、もう少し具体的なものを出していただきたいということを最後に申し上げて、総理、何かコメントがあればいただきます。
  260. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 今おっしゃったことは、基本的にはそのとおりだと思っています。ただ、来年度の予算の、現在、概算要求が出た後、特別枠を含めたいよいよ更なる深掘りあるいはめり張りの付いたものにするという段階でありますので、時間的には現在、今月末ごろには補正予算を提出する予定にしておりますけれども、余り早い段階でそこまで具体的に申し上げるのは、予算編成とまさに裏表の関係にありますので、時間的なことは多少そういう幅で考えていただきたいと。  しかし最終的に、いずれにしても法律案を成立できるできないは衆議院だけではなくて参議院でも過半数の賛成をいただかなければいけないという、そういうことはよく分かっておりますので、そういう中でより良いものにできる、そういう提案を野党の皆さんからもいただけるならば、それに対してはしっかりと受け止めて議論をさしていただきたいと、このように思っております。
  261. 林芳正

    ○林芳正君 終わります。
  262. 前田武志

    委員長前田武志君) 関連質疑を許します。衛藤晟一君。
  263. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 まず、今回の尖閣の問題について法務大臣にお尋ねいたします。今回の尖閣諸島付近における中国人船長の公務執行妨害事件について、検察官は正式に事件を立件していますね。立件している以上、起訴又は不起訴の処分をしなければなりません。  そこで、お尋ねします。今まで立件した事件で処分保留のまま処分をしなかった例はありますか。
  264. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) 多々あるものと承知いたしております。
  265. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 それは、大臣、ないんですよ、基本的には。立件をしてちゃんと検察庁に上がったものは、起訴をするか不起訴にするか、不起訴にすることもできるということになっているんです。それを仙谷長官が言った九月二十四日に、二百四十八条によって情状を考慮して不起訴処分にすることができるという規定を定めている法律があります。しかし、それはないんですよ。ちゃんとしてください。
  266. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) 多々あるものと存じております。
  267. 西川克行

    政府参考人(西川克行君) 委員指摘のとおり、最終的に事件が立件されて検察庁の手元にありますと、最終的には処分を決めて起訴、不起訴を決するということになります。ただ、それを決める前に処分保留で釈放して未済になっていると、こういう事件は相当数ございます。
  268. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 今も私、だから申し上げたでしょう。立件をして、そしてその中で起訴又は不起訴の処分をしなければならないわけですから。でないと、ちゃんと立件して番号入れてやっていったものが消えないんですから。法律はそうなっているんですから。そんなことをあるなんて言ったら大変なことになりますよ。ただ、処分保留ということもありますよ、一時的には。しかしながら、最終的にはちゃんとやらなきゃいけないということになっていますが、間違いないですね。
  269. 西川克行

    政府参考人(西川克行君) 委員指摘のとおり、最終的には起訴ないし不起訴の処分をしなければならないということになっております。
  270. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 大臣、違いますので。本当であれば、これ普通止まるところですけど。(発言する者あり)ちゃんとしてください。
  271. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) 処分保留のまま釈放したことは多々あるというふうな答弁でございました。
  272. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 こんなところで余り、当たり前のことだからしたくないんだけどね。処分保留ということをしても、これは処分をしなかったということですからね。最終的には処分をしなくても、処分をしなければいけないということですから、それをその中途において処分保留ということもまだあるかもしれない。しかしながら、最終的な決着としてはすべて処分をすると。だから、しなかったという例はないんですよ。いいですか、ここのところをはっきりしてくださいね。  それから……(発言する者あり)答弁ちゃんとじゃしてください。
  273. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) そのとおりでございます。
  274. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 じゃ、取り消したものとして見ますからね。  仙谷長官は、九月二十四日の記者会見におきまして、刑事訴訟法二百四十八条に準拠して処分保留で釈放したという具合に言っておられます。しかし、刑事訴訟法二百四十八条は検察官が犯人の情状を考慮して不起訴処分できるということを規定している法律であります。立件した事件を処分しないまま放置できるとした規定ではありません。だから、処分保留されたとしていても、この中国人船長に対し検察官は最終的には起訴又は不起訴の処分をしなければなりません。  改めて法務大臣にお聞きします。この中国人に対する検察官の処分は、今は処分保留ということのようでありますけれども、二十四日に処分保留ということにしましたが、現時点において処分を行っていますか、行っていませんか。
  275. 西川克行

    政府参考人(西川克行君) 現時点においても処分保留であるというふうに承知しております。
  276. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 そうですか。最終的にはこれは処分をしなければいけないということははっきりしていますね。
  277. 西川克行

    政府参考人(西川克行君) 最終的には処分がなされなければならないということでございます。
  278. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 だから、これは実は大変な問題です。海外に帰しちゃったんですから、身柄はないんですから。だから、仙谷官房長官も刑事訴訟法なんていう二百四十八条を持ち出して、処分保留の権限はここにあるなんていうことを、とんでもないことを言いましたけどね、そういうことにはなっていないんです。これを推察すると、もう帰しちゃったんだから、どうせ起訴できなくなるかもしれないからといって、不起訴処分の例としてこれを挙げたんじゃないのかとすら勘ぐりたくなる問題であります。  じゃ、具体的に聞きますよ。新聞報道によれば、巡視船「みずき」の損傷はその右舷側後方の外板に長さ四メートル、幅約五十センチにわたり、その傷の深さは約二十センチに達したといいますと。また、右舷前方の手すりの支柱の五、六本が破損しており、修理するには相当の費用が掛かるでしょう。そして、これだけの被害が出たんですから、乗務員も相当強い衝撃を受けましたと。これは報告にもあるとおりであります。  それだけ悪質な事案だから捜査当局は公務執行妨害で逮捕をし、勾留、勾留延長、そして処分保留で釈放するということをやったわけでありますが、法務省並びに外務省、それから国土交通省はその都度官邸に報告をしてきているという具合にお聞きをいたしております。  具体的にいつ、だれが、だれに対して報告をしてきたのか、はっきりと答えてください。
  279. 西川克行

    政府参考人(西川克行君) 法務省関係でお答え申し上げます。  まず、被疑者の勾留、あるいは被疑者の勾留の延長、釈放などの捜査の節目節目において、必要な情報を刑事局長である私あるいは担当課長等の職員が官邸等に適宜連絡、説明をしております。  また、釈放につきましては、本年九月二十四日、検察当局が釈放を決定し、この報告を刑事局が受けたわけでございますが、その内容につきましては官邸の方に報告をいたしております。  以上でございます。
  280. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 今は法務省だけでありますけれども、だから私は申し上げました、いつ、だれが、だれに対して、どのタイミングで行ったのかと。これがずうっと議論になっているわけですよ。  昨日、私、夜も少し聞きましたから。で、もうそこはっきりしてくださいよということを最初から申し上げていますから。いつ、だれが、どの時期に、いつですからどの時期に、だれが、だれに対して報告をしたのかということをはっきりしてください。これは各省全部言ってくださいよ。
  281. 西川克行

    政府参考人(西川克行君) まず、九月七日、事件発生のときでございますが、この日の夜、関係省庁による会議、現状の報告でございますが、これが官邸において開催されて、そこに私も参加をしております。これは主に海上保安庁、それから外務省から現状の報告がなされたというふうに理解をしております。  それから、九月八日の夕方でございますけれども、同じく官邸において海上保安庁、外務省、法務省、それから内閣官房を交えた現状報告がなされております。私はこれに参加をしております。  それから次に、九月十日、石垣簡裁で被疑者の勾留状の発付がなされました。これにつきましては、那覇地検から連絡を受けました法務省刑事局の職員が官邸の担当職員に勾留状発付の電話連絡をしております。  それから、九月の十七日でございますが、官邸におきまして内閣官房と法務省の官邸における現状報告というか、が行われまして、これには私が参加をしております。このときの参加者は、官房長官、それから官房副長官等、あとは内閣官房の方々ということでございます。内容につきましては、法務省から勾留延長の手続、あるいは最終的な処分として公判請求、略式手続、それから起訴猶予の違い等についての一般論を御説明申し上げたということでございます。  それから、九月十九日に被疑者の勾留延長がなされました。石垣簡裁が勾留延長を認めたわけでございますが、その内容につきまして法務省刑事局の担当課の職員が官邸の担当職員に勾留延長決定の電話連絡をしております。  次に、九月の二十四日、この日に検察庁におきまして最高検で会議が開かれまして、最終的に検察として処分保留で釈放するという方針が固まったわけでございます。その後、この協議が終了後、まず私、刑事局長から法務大臣に対して連絡をしております。それから、その後、法務事務次官から釈放の方針につきまして官邸、瀧野官房副長官釈放するという旨の連絡がなされていると、このような経過でございます。
  282. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 これは、各省関係していたところは丁寧に私は出していただきたいと思います。今、法務省だけ出ました。これに外務省、海上保安庁、国土交通省、それから内閣官房ですね。各々どういう具合にこれ官邸で議論したかということについて、いつ、だれが、だれに対して、どういう報告をしたのか、あるいは相談をしたのかということについてちゃんと答えていただきたいと思います。  海保、ありますか。海保、じゃお願いします。
  283. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) お答えいたします。  海上保安庁といたしましては、当日の二回の衝突の事実、それから私どもが強行接舷してトロール漁船を止めた事実、これについては事務的に官邸にもその都度連絡をしておりました。それで、その日の夕方に、あるいは夜に行われました官邸の会議には私どもの次長が参加をいたしまして、事案の概要及び海上保安庁としては逮捕する方針である旨の説明を行いました。
  284. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 外務省
  285. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 外務省から報告する事項というのはございませんが、適宜会合するときに担当部局の者が出席をしていたということと、あとは以前、参議院の外交防衛委員会でもお話しになりましたけれども、那覇地検が中国との関係において話を聞きたいと、こういうような要請があって担当者を派遣をするということを行ったところでございます。
  286. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 じゃ、今答弁いただきましたけれども、改めて、例えば今外務大臣は報告することはありませんがその都度報告していたということですから、もっと丁寧に、ちゃんと、いつ、どこで、だれが、だれに対して、どんな報告や相談をしたのかということを全部出してください、一回ですね。いつもこれをめぐって大変問題が起こっております。よろしいですね。  じゃ、次へ行かせていただきます。  仙谷官房長官はその報告や相談を受けながら、これを了としたというように言っています。逮捕や勾留あるいは勾留の延期、処分保留で釈放する権限が官房長官にないことは私も知っています。  それだったら、報告を受けるだけが官房長官の職責であって、これをわざわざ了とするというような必要は全くないのでありますけれども、これを何ゆえに了とするという具合に言われたのか、また報告を了としないという場合もあるのではないのかと思いますが、それについてお尋ねします。
  287. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 何をどのように聞かれているのかちょっと分かりかねるところがあるんですが、つまり、海上保安庁は身柄及び事件が検察庁に送られるまでは守備範囲でございますので、どのようにしてこの事件が惹起をして検察庁に送ったかと、この点を報告を受けました。  検察庁は、事件を受ける前後も含めて、当然のことながら、この事件をどのように受けるか、あるいはどういう方針でいこうとしているのかという外形的なといいましょうか、事件の取扱いについてその都度報告を私どもの方にしてくれたということでございます。  それから、海上保安庁は、事件を検察庁に送って以降、官邸に事実の問題として報告を適宜入れてくれたわけでありますが、これは例の海域における中国の方の漁政等々の動き、つまり日本でいえば水産庁の船でありますが、この動きを逐次報告を入れてくれたということであります。  外務省外務省で、現地の大使館あるいは日本外務省がこの日本中国政府の大使館に対してどのように対応を取っているかということを適宜連絡を、報告をしてくれたと。あるときは局長でありましたし、あるときは次官でございましたし、その他職員の方あるいは事務レベルの連絡ということで報告が上がってまいったと、こういうことでございます。
  288. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 質問に答えてないんですよね。  ですから、そういう、どういう報告が、だからいつの時点で上がってきたのかということについてはちゃんと出してください。いいですね。  あるいは、こういうこともあった、こういうこともあったと言っていますけれども、じゃ、先ほど言いましたように、官房長官、官房の方に、どういう形で、いつ、だれからだれに対してどういう報告や相談があったのかということをちゃんと出してください、一回。  委員長、これお願いいたします。言葉でいつも言うんですけど、くるくる変わるんですよ、委員会のたんびに。お願いします。
  289. 前田武志

    委員長前田武志君) ただいまの件については、後刻理事会において協議することといたします。
  290. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 ですからね、これは了としない場合もあるんですかねということをお聞きしたんですけれども、聞いておりません。  ただ、大変なことも言われました。逮捕まで私の守備範囲だと。検察庁に送られる、逮捕までと言いましたね、検察庁に送られるまでが私の守備範囲だということを言いました、はっきりね。(発言する者あり)逮捕、で、検察庁に送られるまでが自分の守備範囲だと言いました。(発言する者あり)海保ですか、海保、海上保安庁と言っているんですか。  ですから、これで、まず一点としては、この了とするということをあえて官房長官がこれを記者会見でも言い、報告をしたわけであります。しかも、この了とするという了を、官房長官はごんべんに京ですよという具合に言い換えたんですね。  これは、ごんべんに京というのを見ますと、了という了は終わったという意味だそうですね、大体。終わった、済みました、あるいは分かることとか悟ることという意味もありますけど。しかし、官房長官がもう一つの諒と言ったということは、諒とするというのは、もっともだ、よいとする、了承すると。  官房長官が単なる報告であれば、了承する、このごんべんに京という字を使うはずがないんですね。そうでしょう。了承するから、了承するものがあったからそう言うんでしょう。であると言われたいために諒とするなんて言ったわけじゃないんでしょう、当然。本音が出たんじゃないの、ここのところ。どうぞ。
  291. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 先ほどの御質問は、一連の事実のことについて御質問をされておりました。今の諒とする云々かんぬんの話は、九月二十四日の件について、つまり那覇地検が最終的には記者会見をして釈放をしたわけでございますが、そういう処分を、言わば処分をしたという報告を受けて、私が、ああそうですかと、それはそういうふうに受け止めたということを、外向けにはそれを諒としたというふうに申し上げたわけでございまして、それをあるがままに認めたということでございます。
  292. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 そんなことを、だからいつもくるくる言い換えるから困るんですけど。先ほどの柳腰もその問題ですけどね。  ちょっとここで言いますけど、柳腰というのはしなやかな腰のこと、美人の別名と書いてあるんです、辞書を引いたら。それで、柳腰外交といったら、いかにも何か中国に、何かこう、官房長官に余り似つかわしくないと思うんだけれども。柳腰外交なんて言い方をすれば、しなやかという意味じゃなくて美人の腰の別名と辞書にはそう書いてあるんです。だから、本当、これはちゃんと撤回された方がいいですよ。誤解を招くんであれば、この使い方は不適当であったということをされた方がいいと思いますよ。  官房長官は、ただ、そうですかと言ったと言うけれども、了とするという意味は、了解の了は終わったという意味もあります。しかし、これだって、分かること、悟ることという意味がちゃんとあるんです。ましてや、ごんべんに京都の京を書いたら、もっともだとする、よいとする、了承する。分かった、そうかというだけじゃないんですよ、これは。そうかと、よしよしという意味なんです、これは。それが諒という言葉なんですよ。  だから、あなたがこれを、そういうことを言ったということ自身は、だからおかしな話なんですよ。今まであなたがいろんな形で陰に陽に説明を求めてきたりあるいは何らかのいろんな形の指示を出したりしてきたということがはっきりしているから、そこで報告があったら諒としたということになるわけです。でなかったらあなたに報告する必要は何もないんですよ。  私は、これは実は逮捕の時点から大変な外交問題だと思っています。ですから、外交問題を含む案件ですから、逮捕するときやあるいは事前に、その際には事前に官邸や外務省の意向を事実上打診して、聴取するのが当然だと思いますよ。そのことを、そういうことをしていないよとずっと言い張るから、おかしいんじゃないのとみんな言っているんですよ。  自らの外交責任。だって、これ、逮捕する瞬間から分かるじゃないですか、大変な外交問題になるということ。そうでしょう。その関係官庁の意向も一切そんたくせずに一検察官が国益判断をするというのであれば極めて危険なことなんですよ。当然これ外交問題になるということは分かっているはずですから。そのことをはっきりしてください。
  293. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 官邸にというか、内閣官房に一々報告が上がることがおかしいというふうな御発言されたんですが……(発言する者あり)いや、おっしゃったでしょう。  今申し上げたように、これは一つは刑事司法という領域もあります。そのことが翻って、これは海の動きというのもあります。それから、外交レベルの、当然のことながら、抗議したとかされたとかという動きもございます。したがって、その三つの部局からしかるべく報告が上がってこなければならないことは、それはある種の危機管理といいましょうか、これは官邸に情報を集約するというのは当然のことでありますし、そうでなければならないということで各省庁から報告が上がってきたということです。  しかし、ここで混同していただきたくないし混同してはならないのは、先ほどからもずっと私このことは言っているんだけれども、刑事捜査の、つまり事件捜査に行政なり政治がくちばしを入れる、手を入れるということがあってはならないというのは原則であるし、そのことは謙抑的でなければならないということぐらいは私も分かっていますから、事件の捜査をああせよこうせよなどということを言わない、言ってはならないということを守ったつもりですということを先ほどからずっとこの間申し上げているわけであります。  そこは、外交については官邸は、これは最近は首脳外交華やかりし時代でもありますから、二元外交にならないように官邸と外務省、その他省庁が、関連する部局がよく連携をして調整をして、そして外交を展開しなければなりませんけれども、刑事捜査や司法権の独立だけは、ここに手を入れるということはあってはならないということだけはこれまたもう一つの原則ですから、そのことはわきまえて、ひとつ先生方も御批判をするならしていただきたいと思っているわけであります。
  294. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 だから、非常に困るわけです。だから、国民の不信感が強いんです。今の言葉を、八割以上の国民は仙谷さんの言葉をだれも信じていないんです。だれもいないんです。世論調査ではっきり出しましょうか。いいですか。司法の独立はいいんです。だけれども、ここのところで、だから、何度にもわたって、後で各省庁から丁寧な、どういう具合にしたかということの報告を求めます。求めていますから、恐らく出してくれるでしょう、ちゃんと。  この逮捕や勾留を請求する権限が官房長官に直接ないということは最初から私は何度も申し上げているんです。そういうことはもう承知いたしておりますよと。逮捕の際は海上保安官、あるいは勾留は検察官がその法律上の権限を行使するということであります。その判断材料とするために、法務省や外務省や、あるいは各々のところは、言わば国土交通省やそういうところは官邸の意向を事前に事実上確認したことは本当に全くなかったのですか。  改めて、法務大臣、そういう意向を、官邸がどういう具合に取り組んでいるかということを意向を聞こうと。最後の決定権は、これは検察がどうするかということを決めるわけですから、その過程に至るまでがいろんなことがずっと行われている。ところが、それが一切何もなかったよというような言い方を今までしてきたわけです。何も圧力も話合いもしたことないと、全部後の事後報告だけだったみたいな言い方をしてきたんですけれども、それじゃないでしょう。本当に、言わば相談や報告、そういうことを事実上確認したことは全くなかったと言い切れるんですか。はっきりしてください。
  295. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) 釈放に至るまでの間について、この間について、結論的には政治介入は一切ございませんでした。官房長官からの指示はございませんでした。詳細については、局長出席しておりますので、局長にお聞き願いたいと思います。
  296. 西川克行

    政府参考人(西川克行君) お答えを申し上げます。  先ほども申し上げたとおりでございますが、官邸の会議に私、三度出席をさせていただいておりますが、いずれも、事実関係の報告等はございましたし、それから法律制度の説明はいたしましたけれども、例えば捜査の方針であるとか処分の方針についての指示等は一切ございませんでした。  以上でございます。
  297. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 だから、私が言っているのは、直接的なこうしろああしろという指示だけではなくて、その中で、こうすることがいいんじゃないのかとか、そういう意味で官邸の意向、意向表明みたいなものがなかったですかということをもう一回聞いているんです。本当になかったですか。
  298. 西川克行

    政府参考人(西川克行君) そういう意向も一切ございませんでした。
  299. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 これは驚きですよ。本当に事前に何らかの形での相談がなかったとすれば、その法律的な権限は各々のところにちゃんと分担されていますよ。そのことは分かります。でも、事前に相談もあるいは適正な報告もなければ、まず了なんと言う必要もないし、それから、この問題は下手をすると最初の段階から外交問題になる、下手をすると戦争にでもなりかねないような、今までの中国は、例えば中ソ国境紛争の問題にしろ南沙の問題にしろ、いきなりそこに農民が入ったりあるいは漁民が入ったりして、そこにその対応いかんではばっと軍隊が入ってくるというようなこともやっているわけですね。これはもう御承知のとおりですよ。中国が昭和二十四年に成立して以来、たくさんの事例があるわけですね。  ですから、この問題について、外交問題になるかもしれないと、それぐらいの大問題になるかもしれないということが一検察官の独断で行われたということになるわけですよ。そんなこと、だれも信じませんよ。そんな具合にして、一検察官に言わば判断をさせるとか、あるいは責任をおっかぶせるとかいう具合にできるんですか。一検察官がこんな責任取れるんですか、これほど大事な問題を。
  300. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) いや、ですから、何度も国会で答弁しておりますように、一刑事事件から、今、衛藤先生が言われたように、戦争になったケースなんていうのは古今東西いっぱいありますよ、紛争になったことは。しかし、この発端となった刑事事件は刑事事件として処分をする、しかし、その刑事事件が発端となっていろいろな問題になった、外交問題になったりあるいは戦争になったりしたことについては、外交やあるいはそういう軍事も交えて今までは解決してきたと、こういうことです。  ですから、外交問題として起きている以上は、これは外交問題として我々として今取り組んでいるということでございます。
  301. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) 一検事が決定をしたということではなくて、最終的には最高検とも協議した上で決定したことでございます。
  302. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 じゃ改めて、じゃ法務大臣、最高検が決定してと言うんであれば、この中身を出してください。私は検事総長の出席を求めたんです。ちゃんと本当はこのことを話してもらわなきゃいけないということを、その必要があるということを。だから、この経過をちゃんと法務大臣、丁寧に報告してください。これもちゃんと出してくださいよね。  少なくとも、委員長、よろしいですね。確認します。
  303. 前田武志

    委員長前田武志君) 後ほど理事会において協議することといたします。
  304. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 私は実は、何らかの形であったという具合に言われるのかなと正直言って思ったんです。またそれがある意味では、これだけの外交問題が起こった瞬間から大変な問題になるというのは前原大臣が言われたとおりで、そのとおりだと思うんですよね。幾ら領土問題は存在しないと言ったって、国民の中には分かってないんですよ。領土問題は存在しないと、何でこんなにもめるんだよと。  だから、これは日本固有の領土であって、いわゆる我が国の領海に不当に中国漁船が入ってきたということを明らかにして、その結果起こったことですとか、そのことを最初からはっきり言ってやらないと、領土問題は存在しませんと言ったって、みんな分かりませんよ、これ。こういう処理をしているからこんな大変なことになったんだと思うんですね。そして、私は、結局、検察官がすべて決めてきたと、検察庁が決めてきたと、政治介入はないなどと言って、私はこれはやっぱり官邸の判断ミスはあったという具合に思っています。  後でビデオの問題でも前原大臣にもお聞きしますけど、これは大変だと、一目瞭然だと言われていますよね、はっきりと。そういう中で、これは国内法としてちゃんと逮捕をすべきだと、やるんだと、でやってきたんです。  ところが、そういう中で、いわゆる逮捕や、それから勾留を決定をし、勾留の延長も決定して、ところが、そのときの言わば中国側の出方を見るとこれは大変だったということで、私は、仙谷大臣、その処理は甘過ぎたと、自分の要するに判断ミスがあったということを正直言って今思われているんじゃないかと思うんです。そう思うんです。  そういう中で、国民の皆様は、そういう判断を、検察官にしか権限がないんだから、勾留の権限とかそういうことはないんだからと言って全部押し付けている、これは、これがおかしいと。だから、ある意味では、検察官や法務省にしてみれば、仙谷官房長官にはしごを外されたということになるんですよ、これは。はっきりしてください。
  305. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 私は、はしごを掛けたつもりもありませんので、外したつもりもありません。それから、先ほど判断ミスだと私が言ったということをおっしゃいましたけれども、私はどの段階でも、私が判断ミスを犯したというふうなことは申し上げたことはありません。もし、私の記者会見での発言のうちの片言隻句をおとらえになっておっしゃるとすれば、やっぱりこの種のものは正しく引用していただかないと、自分なりの解釈で断定をされて、そういう前提で質問を組み立てられるとこれは答弁に窮します。答弁できません。
  306. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 これはもう大変な挑発ですね。冗談じゃないですよ。いいですか。仙谷長官も二百四十八条で、これは起訴するかしないか、起訴しない権限もありますよということを情状酌量の中で書いている文章なのに、これは処分保留というのはそこで決めたんだろうということを言っている。しかも、このことは極めて悪質な公安事件で犯行状況も執拗かつ悪質だったということは、事件後も変わりはないんです。  ここに法務省が出した、損傷の程度はとか、乗組員が負傷したとかしないとか、計画性はどうとか、被疑者が前科なしとか、これは逮捕した時点ですぐ分かっているんですよ、全部。分かっているにもかかわらず、いいですか、ここで逮捕をして、勾留を決定して、勾留延長をして、で、いろいろあったら急に、この間にどんなことがありましたか。結局、フジタの職員の身柄を拘束されたり、レアアースの禁輸問題があったり、閣僚級の交流が停止されたり、あるいは温家宝総理が非常に強い言葉で日本を非難したりというようなことが続いたわけですよ。それで慌ててこれを変えたと。  だから、那覇地検の言葉は、この言葉は、苦渋の選択というか、この言葉はにじみ出ていますよ。日本国民への影響や今後の日中関係も考慮するというこの釈放理由をかみ砕いて解説すると、官邸の意向を受けて逮捕、勾留したものの、中国が思い掛けない強硬策に出たと、だから白旗を上げましたということになるわけですよ。だからこそ、みんながどうもおかしいなと。そして、検察も法務省もそれに結局屈してしまったと。そして、そんな意味では、仙谷長官は全部その責任をかぶせたわけですから、ある意味でははしごを外されたということになるわけですよ。  日本ばかりではなくて、世界もそのように見ているんですよ。この二十四日の翌日の二十五日の読売新聞の報道によれば、アメリカ・ニューヨーク・タイムズは日本の屈辱的退却と、ウォール・ストリート・ジャーナルは中国は外交的勝利と位置付けているという具合にはっきり言っているんです。  全くここのところを受け止める官邸には何がないかといったら、これだけの問題を真摯に受け止めて真摯に対応しよう、それなりに仙谷長官はしようとしたと思うんです。しかしながら、相当見込みも外れた。その段階で、こんなに検察にだけ責任をおっかぶせて逃げるということは良くない。やっぱり官邸がちゃんと責任を取らなきゃ、そしてその反省の中から今後の日本外交をどうやっていくかということがなければ、だれもそのことを信用しませんよということになるわけです。  総理、このことについてお答えください。
  307. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 今、衛藤さんのお話あるいは官房長官答弁を聞いておりましたが、私は、官房長官答弁の中で、基本的に官房長官としてあるいは官邸としてやるべきこと、また捜査当局なり検察がやるべきこと、その一つの役目あるいは分担あるいはそれに関する一つ考え方、それに沿って行動された結果、あるいはした結果であって、今おっしゃったような何かはしごを外すとか外さないということとは全く違って、適切な対応がされたものと、このように認識しております。
  308. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 質問時間がなくなりますからですね。  これは、それから十月の十二日にジャーナリストで構成する日本主権と領土を守る会という団体が中国人漁船を最高検察庁に刑事告発したという報道がありました。法務省は当然承知していますね。
  309. 西川克行

    政府参考人(西川克行君) そのような告発がなされたことは承知しております。
  310. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 受理していますか、受理していませんか。
  311. 西川克行

    政府参考人(西川克行君) 個人の告発状の受理云々ということでございますので、何分、捜査の秘密の関係もございますので、これ以上は答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  312. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 不思議ですね、そんなことも答えないなんてね。  法務省にしてみれば、官邸の意向を酌みながらやってきたと。しかしながら、最後は言わばはしごを外されたということになります。そういう中で、この告発を受理しないで不起訴処分をしてしまうようなことはないと思いますね。  官房長官は最初から二百四十八条を処分保留のところで持ち出しました。これは不起訴要件を書いているわけですよ。そんなことはもうまさにないと思いますけれども、そのことをよく、そのような世論というものをよく勘案されて処分を判断いただきたいという具合に思います。  それから、ビデオについてとにかく早く公開していただきたい。  それから、前原大臣国土交通大臣のときに、極めて悪質、ぶつけてきたのは一目瞭然と言われていますよね。それで逮捕に踏み切ったわけですね。
  313. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 事件の当時、私、国土交通大臣をしておりまして、ビデオは見ましたし、今委員が引用されたように、ビデオを見る限りは極めて悪質なものだというふうに思いました。  逮捕を決めたのは海上保安庁でございます。
  314. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 早急にビデオを公開していただきたいと思います。
  315. 柳田稔

    国務大臣(柳田稔君) ビデオの公開につきましては、先ほど衆議院の予算委員会から記録提出要求が出されました。これを受けまして、検察当局が適切に判断されるものと思います。
  316. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 早急にこれを、それからまた、国土交通省の方にも言わなきゃいけません。  このビデオは二つあるんでしょう。元々逮捕した海上保安庁と、そして証拠として出した法務省と、二つあるわけでしょうから、ちゃんと出してください。国土交通省、答えてください。海上保安庁に原本があるんですよね。
  317. 馬淵澄夫

    国務大臣(馬淵澄夫君) 昨日、衆議院の予算委員会におきまして、このビデオに関しましては提出を求めることとされたと、このように承知しております。これにつきましては、那覇地方検察庁に対して提出を求めると、このようなことが決したというふうに承知しておりますので、私どもとしてはそれを踏まえて対応させていただくということになります。
  318. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 国交省もちゃんと出してください。国交省も当然、この元々の法律は恐らく漁業法の違反でしょうね。そこに、領海に船が入ってきて漁をしているからというのであれば、この漁をしたところの証拠も必ず入っているはずですからね。そしてまた、それを海上保安庁の船が外に出そうとして誘導していく、そしてまたぶっつけてきたと、そのすべての証拠は入っているはずですから、これをちゃんと出してもらわなきゃ困る。これを最後にお願いしておきます。  委員長、いいですね、それで。
  319. 前田武志

    委員長前田武志君) それでは、ただいまの件については後刻理事会において協議をいたすことといたします。
  320. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 終わります。
  321. 前田武志

    委員長前田武志君) 関連質疑を許します。猪口邦子君。
  322. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 自民党の猪口邦子でございます。本日は、尖閣諸島から少子化のことまで様々と質問させていただきます。  本日は、菅総理、菅総理大臣が誕生をされまして百二十九日目です。総理大臣はいろんな使命感や情熱、そしてその人らしさ、そういうものを発揮しながら政権運営されるんだと思いますけれども、菅総理は、御自身のその自分らしさ、そういうところは政権運営においてどんなところにあると思っていらっしゃいますか。
  323. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 六月の四日に首班指名を受け、六月の八日に陛下からの認証をいただきました。百二十九日、私も数えてはおりませんでしたが、経過をいたしました。  私にとっては、直後の参議院選挙があり、そして九月の代表選挙がありまして、ある意味では代表選挙で改めて民主党の代表としての再選を受け、そして内閣と党を改めてメンバーを決めさせていただきました。そういう意味では、そのときからが本当の意味での私にとって本格的な、積極的な形での政権の本格稼働だと、このように私なりに位置付けております。  その上で、さきの所信表明演説の中で、私の内閣の使命として、この二十年間いろいろな重要な政策が先送りをされてきている、それを次の世代に先送りをしないで取り組んで解決していく、それが私の内閣の使命だと、このように位置付け、これからがまさにその本番の闘いだという認識の中で頑張り抜きたいと、このように考えております。
  324. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 私がお伺いしましたのは、御自身らしさというものはどういうところにありますかということだったんですけれども。  私から菅総理らしいと思うのは、市民社会との関係を重視して、市民社会と向かい合いながら政治家として発展されてきたと。もしそうであるならば、なぜこの尖閣諸島の問題につきまして、大局観を持って諸般の事情を勘案して、自分の責任で問題解決に導いたんだよと、どうしてそういうふうに、もっと真実に近いこと、市民社会に向かってしっかりと説明してくださらないんですか。
  325. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 市民社会との関係を大事にすると、そういうふうに言っていただいたのは私にとっては大変うれしい言葉であります。市民参加とかあるいは国民主権というものが私は大変政治において重要だという認識を持っております。  その上で、今尖閣のこの事件についておっしゃられたんだと思いますが、この間のいろんな議論ももちろんお聞きになり、あるいは読まれた上でのことだと思いますが、最終的に何か判断をしなければいけないときに総理大臣としての役目はもちろんあります。しかし、それぞれ現場で起きたこと、それをだれが把握して、どういう形で伝えて、どういう対応をしていくのか、これは内閣全体であり、場合によっては検察庁とかそういう、内閣ではあっても、内閣の一角ではあっても独立性を有するそういう捜査機関の対応もありますので、これまでいろんな御質問をいただいておりますが、そういう説明全体の中で国民の皆さんに理解をいただけるように努力しております。  加えて申し上げれば、私は、今回の問題は、ある意味ではまだいろいろな形で外交的には、まあ余韻というよりももっと積極的な意味を含めていろんなものがまだ継続をいたしております。そういった点では、それは十年、二十年先になれば、あのときのことについてこういう反省もあるとかということも言える時期があるかもしれませんが、今私がこの置かれた立場で言えば、これまでしっかりとした対応でこの問題に当たってきたし、国民の皆さんに対して御説明できることはすべてを御説明をしてきたと、このように考えております。
  326. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 ですから、やはり問題解決に向けて、これは最初から外交・安全保障の問題に発展する危険性のあるそういう案件だったので、自分の判断で、自分の責任で、もちろん技術的なことは各部に任せるとしても、そういう責任を政治主導として取ったんだというふうにシンプルに説明されれば、外交というのはすべてを語ることはできないけれども、そうなんだろうなとみんな納得できることなんですが、なかなかそういう説明がぱっといただけません。今からでも遅くないので、やはり国民に対して、できるだけ真実に近い、全部は明かせなくても、そういう誠実な説明を総理としてされていくのが私はいいと思います。  それで、やはり政治主導なんですよ、政治介入じゃないんです。政治介入という負の響きのある言葉を使い過ぎていらっしゃいますよ。これは政治主導でやったんだと言って、で、我々野党がそれは政治介入でしょうと言ったときに、いや、猪口さん、それは大局観を持って大所高所から自分の政治主導でやったんですよと言ってもらえればいいものを、なかなかそうならなくてちょっと悔しいです。  何か御意見ありますか。
  327. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 猪口議員は外交の専門家でもあられるので、その言葉の中でも、外交上のまだホットな段階で言えないこともあるだろうという御趣旨のお話もいただいております。  私は、先ほど申し上げましたように、できるだけ国民の皆さんに理解をいただけるように、説明できるところは説明を、私だけではなくて、してきたつもりでありますけれども、同時に、まだいろいろな問題が経過中でもありますので、全体のある意味での評価はそれは歴史がしていただくことで、歴史によって判断されることになるかもしれませんが、この問題で私が現時点で考えておりますのは、すべてがパーフェクトという言い方はいたしませんけれども、例えば他の国々との理解でも、ASEMでベトナムや韓国やオーストラリア、さらにはフランス、ドイツ、さらにはEUの首脳、また日米の首脳会談の中では、私だけではなく、前原外務大臣がクリントン国務大臣との間でも大変しっかりした意見交換をされております。  そういうことをトータルして見ていただければ、私は、この問題に対してしっかりとした対応をしていると言っても決して私は言い過ぎではないと、このように考えております。
  328. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 いえいえ、総理、そこのその評価が実は非常に違っているんではないかと思います。今後のこともありますので、今回の反省とそれから検証、ちゃんとやらなければならないと思います。  まず反省点の第一は、中国との関係において、強気に打ち出して、そして相手が強気に出たときにすぐぶれる、これは絶対にやってはいけないことではないでしょうか。  そもそも、東アジアの長い歴史、中国と周りの国々との関係が常にそういうことであったことがあるんです。そういうふうに元々こちらから外交において強気路線を取る場合には、本当に猛烈な政治的な覚悟も必要です。そして、相手が強く出たからすぐぶれると、すぐバックダウンすると、そういうことをこの歴史のこの段階で繰り返したこと、これが誠に残念なことなんです。  間違ったメッセージ、ずっと我々は言っているんで、このことをまず反省点の第一にしていただきたいと思いますが、反省していただけますか。
  329. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 猪口先生の今のお話の中に、この間ずっと繰り返してきたということをおっしゃいましたが、自民党時代の対中国政策についておっしゃっているのか、この間の九月七日以降のことについておっしゃっているのか、ちょっとよく分からなかったものですからお答えしかねる部分もあるんですが、少なくとも九月七日以降のことについておっしゃっているとすれば、それは当たらないというふうに思います。(発言する者あり)
  330. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 同じ質問総理にいたします。
  331. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 猪口議員の方から、最初に強気で出て、しかしそれに反発があったから引き下がったというふうにもう初めから決め付けて言われておりますけれども、具体的な事例のことは御承知のとおりでありまして、私はその見方そのものを必ずしも共有をいたしません。
  332. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 また後でよく考えていただきたいと思います。  それで、反省の第二の点です。  今回は、先ほど官房長官は危機管理という言葉も使われましたけど、まさに危機管理がうまくいっていなかったことです。つまり、お互いの意図を把握し切れなかったと。日本は、例えば勾留延長のような一歩進んだエスカレーションを取った場合に相手がどういう激しい反応をするか予測できていなかったんじゃないですか。そしてまた、中国の側も、そもそも政権発足のときから過剰に友好なメッセージを与えていて、中国の側も日本が強気に出てくるということをそのコンフリクティングメッセージで予測できない、そういう中でお互いの意図が食い違ってこの危機管理がごたごたしたと思いますので、今後、もう少し意思疎通を初期の段階からやっていくこと、それから相手の出る方法、これを予測できないとならないですね。  予測ミスがあったということは思われますか。総理、お願いします。
  333. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 猪口さんは、先ほど申し上げたように、もちろん政治学者というか国際政治学者で、いろいろな事象についてできるだけ客観的に見ようとされて論を立てられていることはそれは理解はできます。ただ、私の立場は、今まさにこの案件が継続している中で、こういう場面でお答えをいたしているわけです。  私は、先ほども申し上げましたように、もちろん神ではありませんから、何が起きるのか、すべての人がどう考えているのか、それを一〇〇%推測、予測をすることはできませんが、この間のいろいろな事象の中で対応については適切であったと、このように理解をいたしております。
  334. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 この場ですぐ反省の言葉を伺うのは難しいのかもしれません。どうぞ時間を掛けて、今後のためにも、今回の対処の方法が決して適切でなかったということを内部で反省していただければと思います。  それで、次でございますけれども、そもそもアメリカの海軍力、これが減退したり撤退したところ、ここに中国の海洋勢力としての勢力拡大が図られてきたと、こういう関係性を見ることができます。  古くは、ベトナム沖に西沙というの、パラセル諸島がありますけれども、これは、ベトナム戦争でアメリカが撤退したもう直ちに直後にこれを中国は実効支配しています。南沙についても、フィリピンからスービック海軍基地、アメリカの海軍基地が撤退した直後にやはりここを実効支配していると。民主党政権の中で日米関係が普天間の移設問題などを含めて不安定化することが遠景である可能性がありますけれども、そういうことについて御理解されていますでしょうか。  是非、日米関係を基軸とした外交を元に戻していかないと、このような歴史的な事例もございますということを総理指摘して、伺いたいと思います。
  335. 前田武志

    委員長前田武志君) まず、前原外務大臣
  336. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 民主党政権になってから日米関係が弱くなったと、こういうお話でありますけれども、私自身はそうは思っておりません。  いずれにしても、この日米同盟関係というのは日本の安全保障、外交の基軸でございますし、この間のオバマ大統領との菅首相の首脳会談におきましても、三つの分野において、より戦略対話を深めていこうということで具体的な中身を詰めていく作業を今両国間でやっておりますし、しっかりと日米関係というものをうまくマネジメントし、そして、日本の安定のみならず、このアジア太平洋地域の安定の公共財として日米同盟が役割を果たせるように努力をしていきたいと考えております。
  337. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 そうですね、時間もないので、是非、今指摘した三つの事例の類似点、そして、米軍が強く支援しているこの我が国においての場合のみこの尖閣諸島の実効支配が完全にできているということですね、ほかの二つのところは中国以外に領有を主張している国のもちろん実効支配はないということを理解しておいていただきたいと思います。  それで、私が今日、本当に問いたいのは、政府・与党として今回の事例も契機となって総合的な中国認識を築いていく決意があるかということです。安全保障、あるいは財政金融、あるいは経済実態、環境問題、政治的安定性、社会発展の問題、あるいは教育水準の問題、いろいろな方がいろいろな希望や絶望を中国に持っていて、少なくとも政府・与党として統一的な中国観をきちっとつくって対処していく必要があるんですね。それも一つの反省材料ですよ。これをやってこなかった、もうどたばた慌てているということ。  総理大臣、いかがお考えですか。できれば総理大臣にお願いしたい。
  338. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 今までずっと政権を握られていたのは自民党でありますし、自民党はすべての今おっしゃったようなトータルの中国観を持っておられたという前提でお話をされていると思います。  しかし、我々としては、今おっしゃった様々な分野についてはもちろん各省連携をし、そして、今年がちょうど中国日本のGDPを上回りますし、このままいきますとあと八年ぐらいで日本のGDPの約倍になるということであります。また、今や日本の輸出輸入含めてナンバーワンの国は中国でございます。また、金融面でも存在を大きくしている中でどのように対中政策をやっていくかということについては、当然ながら我々も今それをまとめておりますし、その全体的な整合性の中で今後も対中外交をやっていきたいと、このように考えております。
  339. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 戦略的互恵関係、これは安倍総理のとき両国で強く合意できた、ウイン・ウインと訳されてもいますけれども、これはどういう関係のことを言うんですか、総理
  340. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 先ほど猪口さん、割と重要なことを言われまして、中国は米国の制海能力の減退の時期に勢力拡大を図っているということを言われました。私も所信表明の中で、中国の台頭、そして海軍力を始めとする国防力の拡大の不透明さ、またインド洋から東シナ海への海洋活動についての懸念、こういうことは申し上げました。そういう中で、中国に対する見方ということ、今、前原大臣からもありましたが、今まさに歴史的な分水嶺とも言える時代がやってきていると、場合によったら百年単位ではなくて千年単位の大きな変化が起きていると言っても言い過ぎではないと思っております。  つまり、この何百年かはヨーロッパあるいはアメリカ又は日本を含めたところでありましたが、今や、アジアあるいは南米、さらに次にはアフリカも含めて、そういう新興国が大きな力を持ってきております。十一月にAPECがありますが、APEC加盟国、もちろんこれはアメリカも含みますが、GDPで既に世界の半分を占める。前回ASEMに行きましたら、ASEMも、ヨーロッパとアジアでありますが、半分以上をGDPで占めております。そういう大きな変化の中で、まさにどのような形でこの変化に我が国が対応していくのか、そういうことを考えていかなければならないという認識は私は持っております。  そういう中で、今戦略的互恵関係ということをおっしゃいましたけれども、まさに猪口さん御自身言われたように、相互に共にウイン・ウインの関係で経済やあるいは平和の問題、そういった問題でもお互いがお互いにプラスになる関係で発展していく、そういう努力を双方が行っていかなければならないと、こう思っております。
  341. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 それぞれの大臣がこの戦略的互恵関係、これ非常に重要な概念となりつつありますので、どう御理解しているか伺いたいところなんですけれども、まあ時間も全体としてありますので。  総理がお答えになったようなちょっと漠然とした考え方ですと、今後どうそれを発展させていくか分かりにくいと思います。  実際にはこういう考えであると思います。つまり、自分の国にとって重要な国益事項がある、相手にとってはそれほど深刻な国益の損失がそれに協力してもないと、そういうことについてはしっかり協力してもらおうという、こういう関係です。それで、相手にとっての重要な国益事項で、日本としてもそんなに大きな損失がないことには場合によっては配慮をしてあげますよと、こういう関係ですから、今後日本が、これについては中国にしっかりと我が国重要国益事項なので協力してほしいと伝達して協力をゲットすることが大事なんです。そういうことをされていますか。
  342. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 先ほど申し上げたように、日本にとっての貿易の輸出あるいは輸入、両方ともナンバーワンは中国でありますけれども、中国にとっても輸入のナンバーワンは日本であります。つまりは、中国の経済も、日本の輸入というものがナンバーワンですから、かなり大きな割合を占めているということは、これはお互いのいわゆる互恵関係、経済のいわゆるインターオペラビリティー、相互互換性というものも大変大きな問題です。(発言する者あり)いや、経済の面でお互いが相互依存し合っているということのトータルが相互互恵関係じゃないですか。(発言する者あり)戦略的互恵、だって、それが欠ければ中国の発展も、経済発展もないわけで、そういうものについては当然ながら中国側も重要視をしているはずであります。  また、他の分野で言いますと、例えばエネルギー効率の問題、省資源化の問題、これから地球環境の問題、中国が今大変日本の企業に関心を持っている中、これは猪口委員も御承知だと思いますけれども、環境技術を持った企業に対しては非常に中国は関心を持ってきていると。二年ぐらい前の統計だったと思いますけれども、いわゆるエネルギー効率というのは日本を一とすると大体八倍から九倍なんですね。つまりは、同じ利益を得るのにそれだけ余分のエネルギーが掛かっているということは大気汚染にもつながっているということで、中国日本のこういった省エネ技術なんかも非常に期待をしておりますし、また、先般、この事案が起こる前ではありますけれども、日中の閣僚会議というのが行われて、例えば天津の近くの曹妃甸というところについてのエコシティーについては日本の協力を求めたいと、こういう話もありまして、様々な分野での中国から日本に求めるものもあり、また、日本から中国に求めるものもあり、そういったものの総計が委員のおっしゃるような相互互恵関係につながっていくということだと思います。
  343. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 今、日本外務大臣中国から日本に求められていることをおっしゃってくれましたが、私の質問日本から中国に求めている我が国重要国益事項は何かという質問です。  例えば東シナ海のガス田か、これについてのちゃんと中間線で共同開発、あるいは拉致問題についての協力か、あるいは最近また国連安保理常任理事国入り、これも課題となっているからこれについてはちゃんとサポートしてよというようなことを言うのか、あるいは核軍縮の流れ、これはカットオフ条約、これ、中国の陰に隠れて賛成してくれない国もあるから、そういう国を中国が説得してよと、こういうことをどんどんとこちらから提示してそして中国の協力を得ていく、これで戦略互恵に我が国としてはなるので、そういうふうにちゃんとやっていただけますね。
  344. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 五年前、これは小泉政権ですけれども、猪口委員議員になっておられたと思いますけれども、あのときにはいわゆる国連の六十周年ということで安保理改革というのが行われていたというのは委員も御承知のとおりだとございますが、そのときに、いいか悪いかは別ですよ、これは昨日衆議院で申し上げましたけれども、靖国参拝をずっと小泉さんは続けられていて、いわゆる政冷経熱という状況の中で、中国は徹底して日本の安保理理事国入りあるいは安保理改革を反対をし、そして様々な国に対して工作を行ってひっくり返すと。一番多くの日本が円借款をしているような国でさえ、これはどこかは言いませんけれども、アジアのASEANの一つの国ですけれども、最後は賛成しなかったじゃないですか。  だから、そういうようなこともトータルで行っていくのは当たり前のことですよ。しかしながら、言うべきことはしっかり言っていかないといけないし、これ、過去の問題のことをおっしゃっても、これも検証は大事だと思いますけれども、これから尖閣を実効支配していくというのは本当に大変なことですよ。先ほど申し上げたように、日本のGDP、今年抜かれます。そして人口減少、そして莫大な財政赤字、高齢化が進む中で、これから社会保障にどんどんお金が掛かっていく中で、今までずっと海保や防衛費には抑制傾向で自民党政権も来られた中で、彼我の差がどんどんどんどんこれから出ていく中で、八年後には倍になるんですよ、日本のGDPの。そういう中で、でもしっかりそれはやっていかなきゃいけない。どちらが政権にいたって、主権を守るということは国の骨格ですから、だからそういうことはしっかりやっていくことは当たり前であります。  だから、自分自身の関心分野をいろいろ挙げられて、そこもありますね、そこもありますねとおっしゃったら、そうですねとお答えしますよ。だけれども、それをトータルとしてどうやっていくかというのはそんな簡単な問題じゃないし、これはまさに党派を超えてやっていかなきゃいけないぐらい私は大変な問題だと思いますよ。
  345. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 いや、自分自身の関心と言われても困りまして、私は今伝えたようなことが日本国の国益事項だと思って、中国日本の重要事項なのできちっと協力してくださいということを言うべきです。それで、中国の方からは、環境技術とかそういうのが中国にとっての重要なことです、あるいは両岸関係とかが重要事項ですと言われているわけですよね。それについて日本として、じゃ、うちが協力して大きな国益のそごがないか考えて、やると。そういうことですから、またちゃんと考えておいてください。  それで、先ほど……(発言する者あり)じゃ、ちゃんとやりますか、やってくれますか。さっき列挙したでしょう、私。どれも国益事項ですから、ちゃんと中国に協力を求めていただけますか、総理総理
  346. 前田武志

  347. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 いや、前原さんじゃ、いや、総理お願いします。
  348. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) まあやっていきますよ。やっていきますし、しかし、国際政治学者で、しかも実際の議員をやっておられるので、なかなか大変な国であるということは御存じでしょう、それは、今までやってきて。  それはしっかりやっていきますよ、トータル、それをやるのが外交だと私は思っていますから。
  349. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 じゃ、総理の決意も伺ってよろしいですか。
  350. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 久しぶりに何か大学の講義を受けているような気もしますけれども。  例えば、ガス田のことについては共同開発ということで話合いをしようということを私もいろいろな機会に言ってまいりました。残念ながら、せっかくのそういう会議といいましょうか協議が一方的に延期をされてしまっております。しかし、基本的にはそういう協議をすることの合意はまだ生きていると私は思っておりますので、例えば、今挙げられた中の一つでいえば、そういうことは当然やらなければと思っております。  また、安保理理事国の問題、これは前原大臣からもありました。本音ベースではなかなか賛成というところまでこの中国を納得させるのは簡単ではないと思います。しかし、例えばアフリカ、私もアフリカの関係者にこの間多少幾つか会いました。あるいは、島嶼の小さな島から成る多くの国が存在いたします。つまり、これはもう釈迦に説法ですが、安保理理事国の問題は、まずは総会での採決になりますので、総会で決めることができれば、そう簡単には常任理事国が反対できない状況が生まれます。こういった問題も、ある意味では協力を求めると同時に中国にマイナスの影響力を発揮させることができにくいようなそういう戦略も立てなければならない、こういう形でしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  351. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 総理、ありがとうございました。  そこで、日米関係は良いとおっしゃった外務大臣でございますが、次回の2プラス2はいつ開かれるんですか。
  352. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) しかるべき時期に行います。
  353. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 外務大臣がこのことについてはっきり答えることができないのは、先回の2プラス2において約束された普天間飛行場移設についての日米合意、これに次回の2プラス2でその結果を、決定をアナウンスするという文言が入っていて、決定しないと2プラス2が開かれない文章構造になっているのであるからです。ですから、2プラス2の日程は予測もできないほど分からないんでしょうか。
  354. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) この件については、アメリカ側とも緊密に連携をしておりますし、話をしております。しかるべきに行います。
  355. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 八月末に出ました専門家報告、これは、移転先を検討を完了するというのが五月の合意なのにもかかわらず、I字案につきましては配置計画も出てない、工法も出てない、つまり検討が完了してないという不備なものが出ています。沖縄の方としては、度重なる不誠実な対応で非常に難しい状態になっているというのを我々みんな知っているわけであります。  そもそも、五月のこの日米合意を沖縄に伝えたのはいつですか、まただれですか。
  356. 前田武志

    委員長前田武志君) どなたに質疑をされますか。
  357. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 官房長官外務大臣で、沖縄に赴いてこれを正式にお伝えされましたのは、いつ、そしてだれか。
  358. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 八月十一日、十二日に福山官房副長官等が沖縄を訪問いたしまして、仲井眞知事に対しまして普天間飛行場移設に係る検討の経緯と日米共同発表の内容について説明をいたしました。  今年の九月には、総理大臣出席をされて、私も出席しましたが、知事にも御出席をいただいた上で五年半ぶりに沖縄政策協議会を開催をしたというところでございます。
  359. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 お聞きいただきましたとおり、五月の日米合意、これが正式に伝えられましたのは三か月近くもたってから、しかも官房長官自らおいでになっていない、もちろん外務大臣でもなかった。副長官、お疲れさまですが、そういう。やはりハイレベルで伝達、速やかに伝達、そういう誠意がなかったこともここまで混乱した原因です。  このすべてを解決していくために、総理大臣外務大臣を伴って沖縄に早期に赴く決意がありますか、説明して協議する誠実さがありますか。
  360. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 私、政権を担当することになって、やはり一番難しくて重要な課題がこの普天間の問題だと認識をいたしております。  その中で、特に外務省、防衛省、そして沖縄担当の三大臣に加えて、やはり事務方も含めて官邸が中心になった体制をつくろうということで、官房長官を軸にそうしたフォーマル、インフォーマルの会議を重ねてまいっております。  今の五月の日米合意ということでありますけれども、それについても、単に日米で議論をしてそれを伝えたということではありません。それに先立って、いろいろな状況を沖縄の知事を始めいろんなところにお伝えしながら、フォーマル、インフォーマルな意見も聞きながら、その中で日米の間で一定の合意をいたしたわけであります。  ですから、私は、沖縄の皆さんがもちろん五月二十八日の合意そのものに大変反対が多いということは知っておりますし、そのことはそのこととしてありますけれども、この五月の合意が何か不誠実とかそういうふうに私は関係者の皆さんが受け止めておられるというふうには思いません。もちろん、この移転を前提にした話でありますから、それに対して賛成をいただけていないことは承知をしておりますけれども、そういうふうに思っております。  沖縄に出かける出かけないということ、私も率直に申し上げて、就任直後に出かけて、その後出かける機会をまだ持っておりません。この時点でもし私が出かけたときに、誠心誠意説明したいという問題と、逆にいろいろなことについて、いろいろ選挙が重なっていたりいろんな問題がありますので、適切な時期を考えて、あるいは沖縄の少なくとも知事を始めとするそういう皆さんにとっても、いや、こんな時期に来られたら逆にまずいという時期もあるいはあるかもしれませんので、そういう皆さんの御意見も聞きながらしっかりと時期を見定めて伺いたいと。  私自身は行くことそのものについてちゅうちょしているわけではありませんが、今言ったようなことも判断するのもまさに政治家の役目だと思っておりますので、そういうことを見定めて行動していきたいと、こう思っております。
  361. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 総理大臣が行きますと言って、いや、来られては困るというところはないと思います。  そして、政治家は自分の身がどこに置かれているかということによって価値観を発信します。沖縄が大事だったらやはり沖縄に総理赴く、そういう決意とか情熱とか、そして外務大臣も官房長官も同行して、本当に大事にその案件を扱ってください、是非行ってください。  そして、では委員長、次の防衛問題に私質問を移したいと思います。  中国の軍事力のこと、既に答弁の中で出ていますけれども、我が国の防衛予算、そして今後の装備の計画についてもう少し、この海洋活動が各国で活発になっているときに水中監視能力向上についての努力が必要でないかという指摘をしておきたいと思います。  この夏に出ました安防懇の報告の中にも、非常に小さくではありますけれどもそのことが指摘されています。具体的には、潜水艦の艦齢を延伸する、そういう増強する提言もなされているのであり、今回の概算要求の中でも、これ予算委員会ですから、潜水艦延命の調査研究費は計上されていますけれども、具体的にどのように我が国の水中監視能力を今後強化していくのか、その政策方針が必ずしも明確ではないと思いますので、これは総理防衛大臣に伺います。
  362. 北澤俊美

    国務大臣(北澤俊美君) 参議院では過日の外交防衛委員会でもこの質問がございました。御提案とすれば、耐用年数を延ばして装備を充実したらどうかと。私もこれは一考に値する提案だというふうに思っておりまして、内部で検討を指示しておりますが、今の財政事情の中で潜水艦を新たに新しいものをやるというのは大変な問題でありまして、でき得ればただいまあったようなところからやっていきたいというふうに思っております。
  363. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 そもそも防衛大綱の見直しが一年遅れたと。これは政権交代して直ちに指示が出たはずですけれども、一年遅れることになって、その結果、弾道防衛ミサイル、PAC3の例えば沖縄配備、拡張配備など、これが一年遅れたということは御存じのとおりだと思いますけれども、このように政権交代から安全保障の空白期間が発生するということは国としてはあってはならないので、ちゃんとした準備をして政権に就いて、十二月に大綱を書き直さなければならないことは政権を取ったときに分かっているのに、なぜこの遅れが発生したのでしょうか、総理大臣
  364. 北澤俊美

    国務大臣(北澤俊美君) ただいまの御質問は昨年の国会の議論を全く無視したような御発言でありますが、このことについては、歴史的な政権交代が起きて、民主党政権とすれば新しい大綱を作りたいと。  したがって、その空白期間をどうするかということについて十分議論をして、閣議決定をして、この一年の大綱のすき間を、決してすき間をつくっちゃいけないと、そういうことで準備をさせていただいたわけでありまして、今おっしゃったPAC3についても千百八十数億円の予算を計上してこのすき間のないように準備をしたということであります。
  365. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 PAC3につきましては沖縄の配備は遅れたと思いますけれども。いずれにしましても、この大綱の遅れ、今大臣答弁されたような努力があったということは認めますけれども、しかし多くの問題が実際には発生していたというふうに思います。  そして次に、武器輸出三原則の見直しについてお伺いいたします。  これは、新安防懇におきましてもこれの見直しが議論されていますけれども、今後、新たな防衛装備のほとんどのものが国際共同開発になっていきます。そのような方向性を考えると、我が国の産業の競争力や生産性を考えると、これについてどう対応するかというのは重要な課題です。私は軍縮大使でありましたので、我が国の国際紛争を助長しないというこの立ち位置、これは非常に大事なものでありますけれども、同時に、我が国の競争力、生産力、生産性、これに配慮しなきゃならないということもあり、この度議論がありますが、防衛大臣総理の間に考え方の違い、閣内不一致があるのでしょうか。
  366. 北澤俊美

    国務大臣(北澤俊美君) 大綱の見直しについて協議はるるしておりますから、閣内不一致というようなことは全くないわけでありますが、私は今、猪口委員指摘された視点は極めて重要であるし、有り難い御意見だというふうには思っておるわけでありまして、平和国家としての基本的なこの大事な理念は大切にしていかなきゃいけないし、私もそれは大切にするべきだと。  しかし、今おっしゃったように、一つの現象として生産基盤の劣化や技術基盤の劣化という問題もあります。しかし一方で、昭和四十二年の佐藤内閣の武器三原則、それから五十一年の三木内閣の武器輸出三原則、これの、この間の距離というのはかなりあるんですね。ただ、一つ、じゃ佐藤内閣のところへ戻せばいいかと、こう言うと、佐藤内閣のときも第三項目めで紛争当事国という規定がありますから、これは全部アメリカにも引っかかってくるわけでありまして、私はむしろもう少し細かいところも含めて新しいものを作るべきではないかという提案をしておるわけであります。  私は、防衛大臣としての提案を閣僚懇談会や様々なところで申し上げて、まだそれが内閣としての統一見解にはなっておらないわけでありまして、私が所掌する防衛大臣として提案をすることは何ら内閣に対してそごを来すということではないんでありまして、私が申し上げたいのは、長い自民党政権の中で十六回にわたって官房長官談話で事を処理してきているわけですね。その中には、私もある意味国民の皆さん方にも是非知っていただきたいんですが、例えば日米で訓練をすると、そうすると、その訓練のときにグアムへ行くとかどこへ行くとかいったときに、自衛隊の持っていく装備、弾薬、すべてを経済産業省にチェックしてもらわなくちゃならぬ。しかし、大量なものについては、一方で国連の規制がありますから、国連へ通告をしなきゃならぬ。  また、もう少し申し上げると、日米のACSAがあります。このときには官房長官談話をやって実効性を担保したわけでありますが、これからオーストラリアとのACSAの締結の後、批准をして実行をしていくにはまた官房長官談話をしなきゃいかぬ。じゃ、今度は韓国とどうするかとか、これ一々官房長官談話をしなきゃいかぬのですね。  それから、今、ハイチに緊急援助、災害で行っていますね。これ、重機をたくさん持っていってるんですよ、ブルやなんか。私の発想からすれば、これはハイチに置いてきて、ハイチで有効利用してもらえばいいんです。しかし、これが武器輸出三原則の中でできないんですよ。これはですね……(発言する者あり)いや、おかしいと言っているけど、自民党政権でそうしてきたんですから。  そこで、この中で、民主党が政権を取ったから正常な形にしようと努力しているのが今私の立場でありまして……(発言する者あり)一々うるさいよ。委員長も何とかしてくださいよ。せっかくテレビで国民の皆さんに真剣な議論をやっているのに茶化すような話は駄目だよ、それは。  いや、そこで、そういうものを含めて、私は、今自民党の皆さんから理解の視線を与えていただいているのは大変有り難いというふうに思っておりまして、いい機会でありますから、私は猪口先生にこういう質問をしていただいたことは大変有り難いということで答弁をさせていただきます。
  367. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 全く別のこととおっしゃいましたけれども、まず、閣内でそれの御意見の一致はないと思います。そして、必要な国際共同開発に参加する場合、何らかのしかし歯止めは必要ですから、その都度きちっと閣議決定をしていくというそういう方式を確認して、合意して、それをこれからのディシプリンにしたらいかがですか。それによって国際紛争の助長は回避するという我が国の立ち位置と産業の競争力ということを両立させることができると思いますので、そのような提案をいたしますが、総理、いかがでしょうか。
  368. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) まず、武器輸出三原則の基本理念については変えていくつもりはありません。ただ、今防衛大臣からもお話がありましたように、いろいろな機会に過去のいろいろなそういった官房長官談話とかいろんな事例があることも承知をしておりまして、そういう中でどういう扱い方があるかというのは、その都度であるというよりも、これからの防衛大綱を含めた議論の中でもしっかりやっていきたいと、このように思っております。  今、閣議決定によって対応したらどうかということを、一つの提案でありました。こういうことが個々の閣議決定でなじむのか、やはりもうちょっと何か、そうはいっても何らかの基本的な考え方がルール化されなければいけないのか、まあ一つの提案でありますから、その猪口議員からの提案も含めた中で検討の中では議論をしてみたいと、こう思っております。
  369. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 総理、今は首脳外交の時代です。APECの会議も今回日本が議長国で、総理が議長です。日本、議長国で、政治的に安定性の問題等々大丈夫かなという意見もあるんですが、これはアジア太平洋、大勢の首脳が来て、総理自らが議長を務めるんで、集中力を持ってその準備に当たる必要が本当にありますので、よろしくお願いしたいと思います。  来年ホノルルです。日米が協力すれば本当にAPECの歴史の分水嶺をつくることができると世界は言っているんだけれども、直前のソウルでのG20、来年のホノルル会議、そういうところにみんな目が行っていて、日本のAPEC大丈夫ですかということ。総理、準備大丈夫ですか。
  370. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 大変有り難いお話で、本当にこの国会が始まって、代表質問、そして予算委員会、今日、朝五時に起きて皆さんの質問の中身を精査をして準備をいたしました。率直に申し上げて、これほど総理という職種がいろんなものに時間を割かなければならないということを改めて感じております。  APECについては、大変重要な国際会議であるという認識を持っておりまして、何とかそれに更に時間を使って、それこそ専念して準備に当たりたいと思いますが、専念まではいきませんけれども、最重要な国際会議であると、私が議長としてその責任に当たるという、そういう意識を持ってしっかりと取り組みたいと考えております。
  371. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 世界からは大丈夫かなという懸念の声がたくさん寄せられていますので、よろしくお願いします。  それで、今回の尖閣諸島のこともありまして、総理の首脳外交、そして危機管理力を改善するためにもちょっと提案したいんですけれども、これは日本の常設NSC、安全保障会議、例えば六者、総理、官房長官外務大臣防衛大臣、それから海保を持つ国交大臣、そして財務大臣、この六者をコアメンバーとして常設しておくと。これ、会議を招集すること自体、危機管理をやっているということを外国に知れることありますから、もう常時こういう会議をやり、情報の同期を取り、認識をすり合わせておくと。こういう受皿をきちっとつくれば、だれがどこにどういうふうに報告したかというような、先ほどからの御答弁聞いていても何か事があれば錯綜する状態ですので、常設の日本のNSC設置について、総理、いかがですか。
  372. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) NSCあるいはこれに匹敵するものを内閣あるいは官邸につくるべきだという、そういうアドバイスは、猪口議員からもですが、それ以外の方からもいろいろといただいております。大変魅力的な提案だと思っております。  ただ、この間も同じようなメンバーで関係閣僚会議というものをいろいろと動かしたり、あるいは安全保障会議とかというものを動かしております。ですから、大臣が、これだけのメンバーが定期的に会えば、例えばアメリカのNSCのような機能を果たすことができるのかどうか。やはりこれにはインテリジェンスの問題とか、いろいろなそれをサポートする体制が必要でありますし、現在のところはそれをそれぞれの部局、外務省とか防衛省とかいろいろな部局が持っていて、必ずしも大臣が集まったからといって、それらが一元的に有機的に判断できる形になるとは限りません。  そういう意味で、決して後ろ向きなことを申し上げるということではなくて、前向きに猪口議員の提案を受け止めながら、本当に、これは私も聞き伝えでありますが、アメリカ大統領は毎朝、外交防衛担当の特別補佐官と経済担当の補佐官からブリーフを受けていると、そういうベースがあって、同時にこういうNSCとか経済の関係のものもあるわけでありますから、機能する体制をどうつくるか、是非、場合によっては猪口議員のアドバイスもいただいて、前向きにとらえていきたいと、こう思っております。
  373. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 これからは首脳外交の時代、廊下で擦れ違って話すというような外交も有意義なこともありますけれども、是非首脳の外交を支える国家的な装置をきちっとつくったらよろしいんではないかということです。  そして、もう時間もないんですけれども、少子化大臣にお伺いしたいんですけれども、まず、民主党政権になって三人少子化大臣替わっていると思いますね。もうそういうことでよろしいんでしょうか。専任の大臣として御自身認識されていますか。私は初代の専任の少子化大臣だったんですけれども、いかがでしょうか。
  374. 岡崎トミ子

    国務大臣岡崎トミ子君) どうもありがとうございます。  少子化大臣として私はそのように思っております。専任でございます。(発言する者あり)いろいろ兼ねているということについてお聞きになりたいんでしょうか。
  375. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 いえいえ、いいです。
  376. 岡崎トミ子

    国務大臣岡崎トミ子君) じゃ、よろしいんでしょうか。
  377. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 はい。  大臣がしばしば替わる、そして国家公安委員長などを兼ねるという、少子化がメーンなのかどうか、そういうことも非常に懸念されますけれども、一言お伝えしておきたいのは、少子化対策は一点豪華主義ではなく総合的に対策するというのがポイントです。その総合性ということ、社会政策において重要だということ、いかがお考えですか。
  378. 岡崎トミ子

    国務大臣岡崎トミ子君) お答えいたします。  私たちは、子ども・子育て支援、内閣の最重要課題の一つでございます。そして、私たちは、社会少子化対策会議というのをつくりまして、全閣僚が出席をする、そしてすべての人たちのそれぞれの声をいただきながらこの政策を推進していこうというふうに思っておりまして、今年の一月に子ども・子育てビジョンを策定いたしまして、これは総合的な政策パッケージとしてでき上げたものでございます。  このビジョンの中におきましては、子ども・子育てビジョン、これの閣議決定を行ったわけですけれども、この中におきましては、子ども手当という現金給付、それと同時に待機児童の解消あるいは地域で行っております子育て支援、この充実、こうしたことを行うことは現物給付というふうに言っておりますけれども、バランスの取れた総合的な政策パッケージとしてこれを推進していきたいというふうに考えているところでございます。  猪口議員が御指摘をしてくださいましたように、本当に幅広い問題についていろんな大臣とも連携をしながら政策パッケージとして進めていくことが大事だというふうに考えております。
  379. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 子育てで何が不安かと聞きますと、将来の教育費とよく言われます。給付型の奨学金をこの国において設立する、そのような決意、文科大臣、ございますか。
  380. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 猪口委員にお答えをいたします。  おっしゃられるとおり、少子化対策の一環として子供たちが経済的に安心して学業ができる環境をつくることは極めて重要なことだと認識をしております。  この機会でございますから、せっかくでありますので、取組について少し説明をさせていただきます。  高校生につきましては、低所得者対策に対する給付型の奨学金事業の創設について、これは要望することといたしております。特定扶養控除見直しへの対応と併せまして、平成二十三年度、要望枠として百二十二億円を計上しておるところでございます。  また、大学生などにつきましては、実質的に給付を伴う経済的支援といたしまして、各大学などが実施する授業料減免等への拡大への支援、また大学院生に対する教育補助、これはアシスタントでございます。あるいは研究補助、アシス、これへの雇用、こういったものに取り組んでおります。さらに、平成二十三年度の概算要求におきましても授業料の減免事業費、この充実について要求をいたしております。  また、実質的な給付型支援として、大学院生の奨学金返還免除制度、この拡大、これは対象人員を三割から四割増やすことについても検討しております。まずはこうした施策の充実について取り組むことから始めたいと思っております。  なお、大学生等への給付型奨学金の創設につきましては、これは重要な課題と認識をしておりますけれども、一方で、高等教育を受ける者と受けない者との負担の公平性あるいは財源の確保、解決すべき課題がたくさんございますので、諸外国の例なども十分に参考にして慎重に検討してまいりたいと思っております。
  381. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 我が国は資源もなく、教育、人育てが本当に大事なところですので、諸外国の例を見るとかそういうことをおっしゃらずに、また財源のことなどおっしゃらずに、是非、給付型の奨学金、樹立してもらいたいと思います。  最後に、(発言する者あり)そうですね、じゃ最後に、歩道の建設をお願いしておきたいと思いました。我が国は交通事故死におきます歩行者の割合がOECDの中で最も高い国で、歩道の建設が遅れているということが重大な問題です。  本日は、安全保障のことから始まり、この国の人の命を守る少子化、そして歩行の安全など含めて議論させていただきました。このような政策課題、すべてきちっと取り組んでいただけるのでしょうか、お願いいたします。総理
  382. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) しっかりやらせていただきます。
  383. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 これら必ず実現していただきたいと思いますし、もし実現できないのであれば、日本の地盤沈下を防ぐためにも、そしてこのような施策をしっかりと実施するためにも、私たちは政権を奪還して再び日本が希望の国となって発展できるよう努力してまいりたいと思います。それまでの間、必ずきちっと実現できるよう努力してください。  委員長、ありがとうございます。
  384. 前田武志

    委員長前田武志君) 関連質疑を許します。西田昌司君。
  385. 西田昌司

    ○西田昌司君 私は、民主党政権できましてから一年以上たちますが、全く不道徳、不誠実なことの連続であります。今日はそのことについて徹底的に追及したいと思います。  まず、小沢一郎元幹事長の問題です。  先日、これは検察審査会の議決が出ました。このことについて、まず総理、どのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
  386. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 検察審査会というのも一つの司法手続でありますので、それについて、個別案件についてそういう検察審査会の結論という形でコメントするのは差し控えたいと、こう思っております。
  387. 西田昌司

    ○西田昌司君 それはとんでもないことをおっしゃっているんですけれども。  まず、菅総理、検察審査会の議決を菅総理自身は読まれましたか。お答えください。
  388. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 少なくとも報道を通して、その内容は承知をいたしております。
  389. 西田昌司

    ○西田昌司君 それで、その内容について何かおかしなことがあるというふうにお感じになりましたか。
  390. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) ですから、申し上げているように、そういう、例えばこれが裁判の判決であろうが何であろうが、今私は総理大臣という立場にありますので、個別案件について、例えばこれは立派な決定だとか、いや、おかしな決定だとか、そういうことを言うこと自体が必ずしも適切ではないということでコメントを控えさせていただきました。
  391. 西田昌司

    ○西田昌司君 総理はそうおっしゃるんですが、むしろ総理のお仲間の方々が検察審査会の議決を、いかにもこれは素人がやったもので、検察の、法律の専門家と違う者がこういうことで決めるのがいいのかというような非常に踏み込んだ答弁されているんですが、じゃ、そういうことを言うこと自体おかしいんじゃないですか。総理
  392. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 私は、政府立場でそういう答弁をどこか公的にしたことが、大臣、副大臣、政務官の中でそういう方がいるというふうには確認をしておりません。  まずは、もしこの検察審査会の手続あるいは立件について政務三役の方からこういう論評をしたやつがおるというんであれば、ひとつ御指摘をいただきたいと存じます。
  393. 西田昌司

    ○西田昌司君 官房長官、指名していないんです。指名していないで出てくるんなら、質問を聞いて出てきてください。私は、総理のお仲間の中にと言って、何も政務三役とか大臣とか言っていない。  総理は、御自分でもおっしゃったように、民主党の代表者なんですよ。その民主党の議員の中から数々そういうことをおっしゃっている方いるじゃないですか。そのことを知らないとか言うのではぐらかすんじゃないんです。だから、あなたが答える必要ないんです。党の代表者としての総理にお伺いしているんですよ。よく聞きなさいよ。
  394. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 私の仲間といっても、党の議員だけでも四百名余りありますし、もしそれ以外のことも言えば、もっともちろん多くの仲間がおります。できれば具体的に指摘をいただければ、答えられる問題があればお答えしますが。
  395. 西田昌司

    ○西田昌司君 それを開き直りと言うんです。今だれが、個別の問題を言っているんじゃなくて、そういうことを言っている方はたくさんおられるし、むしろ総理、あなた自身代表選で選挙の際に、小沢氏は政治と金の問題で説明責任を果たし得ない、世論を謙虚に受けるべきではないか、過去、自民党でも疑惑があれば国会での証人喚問に応じていたではないかという質問を記者からされて、菅総理は、幹事長を辞する形でけじめを付けたと言ってきたが、改めて代表選に小沢氏が立候補したので、国民がより納得できる形での説明はされねばならない、国民の常識が国会でもっと受けられるべきだとおっしゃっているんですよ。だから検察審査会がそういう議決が出たことについてあなたはどうするんだということを冒頭聞いてきているんですよ。そのことを全く答えてないじゃないですか。どういうふうにあなたのこの代表選とこれが整合性が取れるんですか。
  396. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 今の西田さんの質問を聞いておられて、どういう質問なのかお分かりの方が果たしてあるんでしょうか。私が申し上げたという紹介をされたのはそのとおりで、別に今も考え方を変えておりません。しかし、最初の質問は、西田さんの、検察審査会のその決定についてどうなんだと言われたんですよ。私の紹介された話は検察審査会とはまあある意味全く無関係なといいますか、少なくともそういう関係ではない形で申し上げていることであって、なぜそれが、こう言っているのにこの審査会がどうだというその質問につながるのか、率直のところ、私、聞いている方で理解することができる方があれば是非お聞かせいただきたいと思います。御本人からでも結構です。
  397. 西田昌司

    ○西田昌司君 何を開き直っているんですか。  要するに、菅総理、あなたは小沢さんとの対決で、小沢さんに政治的な説明責任を求める、そういう発言をされ、それが世論に支持されて、党員からの得票も非常に多くあって当選されたんですよ。  ところが、あなたが今実際に代表になられて、一体どういうことを小沢さんに説明責任を求めているんですか。そして、その一方で、先ほど言ったように、検察審査会の議決が出たんですよということですよ。  二つ出して分からないんですか。分からないんならもう一遍説明しますが、どうですか。
  398. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) いや、最初の半分だけであれば分かりますよ。  ですから、私は代表選挙で再選をされましたので、クリーンでオープンな政治ということで、まずは民主党の運営について、新たな幹事長にも、是非そういうことが実行されるようにといいましょうか、より実行されるようにということで、党運営について指示をいたしました。また、全体としては企業・団体献金の禁止など、そういうことについてもしっかりやるようにということで、党と内閣の中でそういう方針で進めるようにお願いいたしております。  ただ、先ほど申し上げたように、検察審査会ということを言われましたので。私、代表選で検察審査会に触れた覚えはありません。
  399. 西田昌司

    ○西田昌司君 じゃ、一つ一つ行きましょうね。  検察審査会の議決書をまず読んでおられたんですね。もう一度聞きましょう。
  400. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 先ほどお答えしましたけれども、報道などを通してその内容は掌握といいましょうか、理解をいたしております。
  401. 西田昌司

    ○西田昌司君 それから、小沢さんが今まで数々記者会見や、御自分で開いて、ぶら下がりも含めて、一応説明はされてきております。そのことは御存じですね。
  402. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 私も民主党のもちろんずっと議員であり、いろいろな立場で役目をいただいてきた立場でありますから、できるだけそういう重要な記者会見で、例えばテレビ中継があったり、あるいはそうでなくても新聞報道などがあったものについては、一〇〇%とは申しませんが、ほぼ、意識をして注意をして見ているつもりであります。
  403. 西田昌司

    ○西田昌司君 その小沢さんの説明を菅総理は納得されていますか。
  404. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) いろいろな問題、どの時期の問題を含めていろいろな問題があります。私は、たしか代表選のときにも、先ほど私の言葉として読み上げた中にもありましたけれども、国民の皆さんにもっと説明されることが望ましいという趣旨のことは代表選では申し上げました。つまりは、まだ国民の皆さんに対して十分な説明になっていない部分があるという認識に基づいてそういうことを申し上げたところです。
  405. 西田昌司

    ○西田昌司君 納得していない、だから国民に説明しなさい。どの部分が納得していないんですか。
  406. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 小沢議員も大変政治経歴の長い方でありますし、私もかなり長いものですから、それはいろいろ自分なりに思い起こせばいろんな場面があり得ると思いますが、今この場でこの部分この部分と、そういう言い方をするというのは、必ずしもそういうことを用意はいたしておりません。  しかし、全体として、九月の代表選の折にも、一般的に言えば、その間問題になったことは、もう皆さん御承知のように、秘書の方が起訴されたり、いろんな課題がありました。必ずしもそういう課題以外でいろいろ報道された問題もあります。それを一つ一つ、私が、これがおかしい、これがおかしくないなんということを言う立場にはない、全体としてやはり国民の皆さんに必ずしも十分説明がなされていない部分もあろうと思って、先ほど申し上げたようなことを代表選のときに申し上げました。
  407. 西田昌司

    ○西田昌司君 それが分からないんですよ。  だから、全体としてとか今おっしゃっているけれども、要するに総理が納得していない、だから国民も納得していないんだろう、だから説明しなさいと、こういうことでしょう。だから、何が納得していないのかちゃんとおっしゃってくれなければ、何を国民に説明しなければならないのか小沢さんも分からないじゃないですか。もう一度答えてくださいよ。
  408. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 西田議員流のある種の誘導的御質問かと思いますが、なぜ西田さん本人が、ここがおかしいと思うけれども、総理、どう思うかという、具体的に指摘をされればいいじゃないですか。それをしないで、どこがおかしい、どこがおかしいと聞かれたことの方が、私は不自然だと思いますよ。
  409. 西田昌司

    ○西田昌司君 菅総理、今大事なことをおっしゃいました。まさに、私が言いたいのはそこなんです。小沢さんがここに来ていただければ、直接私が聞くんですよ。あなたが今おっしゃった、小沢さんに直接西田さんが聞けばいいじゃないですかと。だから、あなたが代表者として当然その責任果たすべきですよ。今の言葉の意味を、責任を取るべきですよ。小沢さんを証人喚問で呼ぶと、そのことを菅総理代表としての意思として表明してくださいよ。
  410. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 少なくとも、今私が直前に申し上げたことは、私にどこがおかしいと聞かれる前に西田さん御本人がここがおかしいけれどもと指摘をされたらどうですかと言ったことで、それを何か別の話にすり替えて私が何か言ったように言われるのは、それはちょっと話が違うんじゃないでしょうか。
  411. 西田昌司

    ○西田昌司君 あきれてしまいます。というのは、私はこの間、与党の時代から野党になっても、ずっと一貫して小沢さんのこの問題を追及して、それを国民みんなが知っているんですよ。そして、そのことについて本も書きました。そのことで情報がたくさん行って、新聞にもなってこの起訴がされてきているんですよ。それをよもや全然知らないんですか、総理
  412. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) いや、私もかなりの、特にこういう立場になって、あるいはまだ副総理の時代から参議院のいろんな委員会にも出ておりますので、あるいは本会議にも出ておりますので、西田議員がそういう席でいろいろこの問題を取り上げているのは相当程度聞かせていただいております。
  413. 西田昌司

    ○西田昌司君 だから、分かっているんじゃないですか。だから、その問題点をあなたは聞いているんだから、そのことに納得しているんですか。
  414. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) どうもこの議論はやや生産的でないと思うんですが、西田議員もかなりいろいろなことをたしか指摘をされていると思うんですよ。そういう意味では、ピンポイントではなくていろいろなことを言われていますから、ここでもし言われるんであれば、まず、それは重なるかもしれませんが、少なくともこの場では、今日の審議では初めてなんですから、西田議員が、こういう問題おかしいと思うけれどもどうなんだと具体的に指摘をされればいいじゃないですか。なぜ指摘をされないで、そんな遠回りに私が言ったことをあなたは知っているだろうなんて言われても、いろんなことがありますから、どの部分を指されているかは私には予測は付きません。
  415. 西田昌司

    ○西田昌司君 菅総理、あなたと私とは初めてやり取りしているわけでもないし、鳩山内閣の時代もずっとそこで隣って、寝ておられたのかどうか知りませんけれども、ずっといられているんですよ。それを分かって今質問しているのに、今もう一度新たにやれなんてことは失礼だよ。国会の中で何をやっているんですか。取り消しなさい。(発言する者あり)
  416. 前田武志

    委員長前田武志君) 答弁者においても言葉をもう少し慎んでください。
  417. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 何か私が失礼だと。まあ私もいろんなことを言いますから、それはたまにはそういうふうに指摘をいただいても仕方がないことも多々あるかと思いますが、少なくとも今のやり取りで、なぜ西田さんがいろいろ長い質疑の中で言われた、どの部分を指しておられるか私が予測して言わなければ私が失礼で、御本人が言われればすぐ言えるのに、なぜ私がそれを推測して言わないことが失礼なのか、私にはとても分かりません。
  418. 西田昌司

    ○西田昌司君 ああいう答弁でしたら質問できません。(発言する者あり)
  419. 前田武志

    委員長前田武志君) ちょっと速記を止めててください。    〔速記中止
  420. 前田武志

    委員長前田武志君) 速記を起こしてください。
  421. 西田昌司

    ○西田昌司君 要するに、この問題は、小沢さんの問題は一つや二つじゃ済まないんです。それは、資金の出どころから虚偽記載のことから、いろんなことにわたっていますが、今総理がおっしゃったように、改めてもう一遍言いますが、小沢さんに直接聞かれたら分かることじゃないですかと、あなたおっしゃったんです、おっしゃった。そして、そのことについて、私は、だから党の代表者として国会の場へ出て説明するように求めたいと思いますが、総理の御意思を御確認したい。
  422. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 今日の先ほどの議論で、そういうことを申し上げたつもりというよりも、多分聞いておられる方、皆さんおられますから、そういう趣旨のことを申し上げてはおりません。先ほど申し上げたのは、あくまで西田さんが御自身でどの部分がおかしいということを言われればいいんじゃないですかと申し上げたんです。  それに加えて、まあせっかくですから、私は他の委員会でも、あるいは衆議院の委員会でも申し上げておりますが、あるいは先ほどの御指摘もありましたけれども、小沢議員は何らかの形で国民の皆さんに国会の場でも説明をする用意があるという趣旨のことも言われていますし、国会で決められたことにはそれはきちんと従うということも言われておりますので、今、西田議員の方から、こういうことをこういう形で聞きたいということがあれば、それはまずは国会の中でそういう手続にのっとって協議をしていただく、そういう協議には我が党としてもきちんと応じさせていただきたいと、こう思っております。
  423. 西田昌司

    ○西田昌司君 物すごく不誠実で無責任なんです。どちらにしましても、これは全国の国民見ておられますから、国民に判断していただきましょう。  そして、私がなぜ小沢さんの問題をこれほど言うかというと、これは衆議院でも石原幹事長が取り上げられましたが、(資料提示)要するに、これは確認書、小沢さんが小沢一郎さん自身で取り交わした陸山会との間の確認書なんです。そして、この日付が十七年一月七日となっているけれども、実はこれが記者会見をした前日に作ったと。つまり、偽装なんですよ。偽装して、この証拠書類を作って記者会見をして、あたかも自分は全くこの問題には関与していない、何の権利もないという説明をした。ところが、それが、今回の検察審査会のこの議決書の中にそれがでたらめであるという指摘がされているんです。  総理、このことは御存じですね、読まれたんなら。
  424. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 衆議院の委員会でもこの確認書を資料として出されましたし、私も以前、報道でしたかどこかでこの文面は拝見をした覚えがあります。また、報道で、これが必ずしも書かれている日付ではないときに作られたんではないかという報道があったことは記憶をいたしております。  しかし、その根拠とか、本当にその報道が正しいのか正しくないのか、そこは私には確かなる認識は持っておりませんし、もしお持ちなら是非お示しをいただければと思います。
  425. 西田昌司

    ○西田昌司君 これは、検察審査会の議決書の中にそう書いてあるんです。明言してあるんです。これは証拠として彼らは法廷に提出するんですよ。そういう事実なんですよ。分かっていないんですか。報道じゃないんですよ。証拠なんですよ。
  426. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) ですから、先ほど来私も申し上げていますように、この検察審査会それ自体について、そこでこういうことが行われた、ああいうことが行われた、これが正しい指摘だ正しくない指摘だと、そういうことについて私が今の立場で申し上げることはやはり不適切だということで、そういうことは申し上げておりません。
  427. 西田昌司

    ○西田昌司君 要するに、検察審査会がそれを証拠として起訴するんです。それが大変大きな意味を持つわけですよ。もちろん、その裁判の結果、それが黒となるかそれとも無罪となるか、それはこれから三審制ですから時間掛かるでしょう。  しかし、問題は、検察審査会がそれを取り上げ、そしてそれが刑事責任を問われる、政治家は、刑事責任の結果にかかわらず、まず説明責任も道義責任もあるじゃないかということをずっと私、言っているんですよ。  菅総理はそのことを思われないんですか。道義的責任、説明責任があると思われるでしょう。
  428. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) たしかこのような指摘があった後に、私の記憶が間違っていないとすれば、政治団体が不動産、特に土地を所有するということについては、それ以降はしないようにという、そういうことが申合せであったか法律であったか、そういう形で処理がされたと思っております。  そういう意味では、この確認書そのものがどういう位置付けであるかということは、私、先ほど言ったように、私自身が、これが本物だとか偽物だとか、日にちが正しいとか間違っているとか、そういうことを言う立場にもないし、そういうことを知っているわけでもありません。  ただ、あえて言えば、今申し上げたように、政治団体が土地を政治団体の名義で持つということについてやはりある意味での問題があるのではないかという認識の中で、そういうことはこれ以降やめようということになったんだと、こういう認識は持っております。(発言する者あり)
  429. 前田武志

    委員長前田武志君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  430. 前田武志

    委員長前田武志君) それでは、速記を起こしてください。
  431. 西田昌司

    ○西田昌司君 まず、この確認書が、まず一つは、検察審査会の指摘の中でこれが虚偽であると、これが重大なこの起訴されている原因なんですよ。そのことについてどのように思われますか。
  432. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 今の質問を私、もちろんテレビで国民の皆さんも聞いておられると思うんですが、検察審査会の中でこれが出された出されない、私はそこまで細かくは認識しておりませんが、そうだとしても、それについて私が何かこのことにどうこう言う。例えばある裁判で、それこそ最近もいろんな裁判がありますが、ある日付が入ったそういったものが出たと。これについて、これは偽物であると思いますか、そうでないですかということを総理大臣として答えるとしたら、それはもってのほかだと思いますから、検察審査会の中で出たからどう思うんだと言われても、まさに検察審査会の中で出てきたようなものについて私がコメントをするべきではない、そういう立場にあるということを申し上げたいと思います。
  433. 西田昌司

    ○西田昌司君 民主党幹事長、現職の幹事長が公然と記者会見としてやったものが偽であったというふうに検察審査会が認定したんですよ。そして、起訴されているんです。そのことにあなたは責任を感じませんか、今、党の代表として。党の代表としてだから、官房長官答えられないんだ。よく聞きなさい。
  434. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 責任という言葉にいろいろありますけれども、少なくとも検察審査会の中でどうなっているこうなっているということについて私が責任を負わなければいけない立場にはありません。
  435. 西田昌司

    ○西田昌司君 今、国民の皆様見ていただいたように、菅総理は国民視線でこの問題を、起訴すべきだといった問題について全くもってそれをおもんぱかり謙虚に受け止める姿勢がない、その責任も感じていないことを明言されました。それは大変な問題です。  そして、私は委員長に要求しますが、こうした状態ですから、菅総理もおっしゃったように、本人、小沢さん本人が国会の中で出てきていただいて説明していただきたい。そのために証人喚問を要求します。まずそのことやってくださいよ。
  436. 前田武志

    委員長前田武志君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  437. 前田武志

    委員長前田武志君) それでは、速記を起こしてください。  ただいまの西田昌司君の質疑については、まずは後刻速記録を精査いたしますとともに、理事会において協議をいたします。  証人喚問も理事会において協議をいたします。
  438. 西田昌司

    ○西田昌司君 もう言っても時間がないんで、次に行きます。鳩山さんの問題です。  鳩山さんのこの問題はまだ済んでいないんですよ。何度も言っていますように、この予算委員会の場で公判が終われば全部資料を提出しますと言ったんです。それがいまだに出てきていない。この問題、何度も菅総理にも言っていますが、改めて聞きますよ。鳩山総理は見せるべきじゃないですか、約束違反じゃないですか。
  439. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) これもいろいろな機会に申し上げているところですが、鳩山前総理の問題は、検察の処分、また検察審査会の審査、そして関係者の裁判ともすべて終了し、かつ総理辞任という大変重い形で政治責任を取られたわけであります。そういう意味で、私は政治的には大きなけじめが一つ付けられていると、こういうふうに認識をいたしております。
  440. 西田昌司

    ○西田昌司君 政治責任は取られたのかもしれないけれども、説明責任を取られてないから言っているんですよ。説明責任を果たされているんですか。そういうふうに思っておられるんですか。
  441. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 今申し上げた以上のことは、私の、後継の民主党代表であり、同時に後継の総理という立場を今いただいているわけですが、政治家としてあるいは政治的な立場としていろいろな指摘なりいろいろな問題が特に指摘をされてきたわけでありまして、そういう点で政治的に大きなけじめを付けられたという認識を申し上げているわけです。
  442. 西田昌司

    ○西田昌司君 説明責任です。
  443. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) ですから、説明責任についてもそういう形で一つの政治的なけじめを付けられたと。  あえて言えば、政治的な立場を超えてそういうことまでも問われるのかどうか。それは、私の立場で言えることは、政治的な問題としてはけじめを付けられたと、そういう認識を持っているということであります。
  444. 西田昌司

    ○西田昌司君 総理が国会で発言した、そのことが実行されていないということに対してあなた自身は何とも感じることはないんですか。
  445. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) いろんな表現の仕方はありますけれども、例えばこれが内閣として何か決定した政策で、私もそれを引き継いだ問題、現実にも普天間の問題といったような大変重要な課題もあります。そういうものについては、内閣を引き継ぐ以上は前内閣が決められたことも、まして私も中にいたわけですから引き継ぐことは当然でありますが、この鳩山前総理の問題は率直に申し上げてかなり個人の政治資金に関する問題でありますので、私は、政治的なけじめを取られた中で私の立場でそれ以上のことを申し上げるのは適当でないだろうと思っています。
  446. 西田昌司

    ○西田昌司君 じゃ、もう一度聞きますが、鳩山総理は、もう説明責任と政治責任、両方とも果たされたとお思いなんですね。
  447. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 何度も同じお答えをせざるを得ないわけですが、政治的には大きなけじめを付けられたと。説明責任という言葉で言われるとすれば、それは私にそれを果たせとか果たすなとか言われるのはちょっと筋が違うんじゃないでしょうか。
  448. 西田昌司

    ○西田昌司君 もうあきれてしまって困るんですが。  じゃ、もう一つ違う話題にしましょう。  鳩山さんのこの事件で、事件の首謀者になったのは勝場さんとそれから芳賀さんなんです。お二人とも公設秘書です。そして、勝場さんは禁錮刑、そして芳賀さんは略式起訴になったんです。お二人とも公的な秘書は退かれました。ところが、驚くことに芳賀さんは政策秘書として復帰しているんですよ。  菅総理、この事実、御存じですか。
  449. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 質問の通告をいただきましたので一応調べてみまして、おっしゃるような形になっていることは承知をしております。
  450. 西田昌司

    ○西田昌司君 そのことについて、問題ありと思いませんか。  私は、これ、とんでもない問題だと思いますよ。国会の中で説明責任も果たさないまま、そして、略式起訴とはいえ刑事事件になったこの方がそのまま今度、公設秘書、政策秘書に残っている。とんでもないじゃないですか。
  451. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) まず、法律的に、禁錮以上の方については政策秘書としての資格がなくなるというふうに認識しております。そうでない、罰金等の方は資格は剥奪されないと聞いております。  議員個々人の秘書については基本的にはそれを雇用する議員の責任で決められることでありまして、鳩山前総理は先ほども申し上げましたように自らの責任については政治的に大きなけじめを付けられていると思っておりますので、その秘書をどう採用されるかも御本人が当然のことでありますが判断をされたことと承知をいたしております。
  452. 西田昌司

    ○西田昌司君 つまり、秘書にもう一度採用したことは問題ないということですね。
  453. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 少なくとも、我々国会議員、お互いに公設秘書を雇うわけですから、それについて御本人の責任の下で行われたと、そういう認識を申し上げているんです。
  454. 西田昌司

    ○西田昌司君 問題は本人の方で、全然、民主党も、今、次の政権を引き継いでいる菅総理もこのことについては関知しないと、そういうことですね。それほど無関心だというふうに本当に驚くんですが。  なら、なおさら私は言いたい。つまり、すべて政治責任も終わり、刑事的なことも全部終わっているんですよ。だったら、なぜ鳩山さんはこの問題をもう一度国会にちゃんと提出することを拒まなければならないのか。理由はないんですよ。おかしいでしょう。絶対に約束しているんですから。それとも、国会での約束、総理大臣発言は幾らでも取り消せると考えているんですか。もう一度お答えください。
  455. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 総理大臣としての約束ということの中に、例えば鳩山前総理は普天間のことも含めて辞任のときに責任を取るというふうに言われました。それは、総理大臣として政策的な約束というものを十分に果たせなかったという思いの中でそういうことを言われたんだと思います。  この政治資金の問題は、もちろん政治家の問題ではありますが、そういう政策課題とはやや趣を異にして、個人の政治資金のことでありまして、内閣とか必ずしも総理大臣という、そういう立場によって何か行われた、あるいはその権限によって行われたということにはなっていないと思います。  ですから、私は少し性格が違うんではないかと、このことを申し上げているところです。
  456. 西田昌司

    ○西田昌司君 何かまあ鳩山さんをかばっておられるみたいですがね。  菅総理に聞きますが、実は尖閣問題で鳩山さん、こういう発言されているんです。あの中国船の衝突事件に関して、九月二十五日、これは新聞に各紙報道されていますように、私だったら事件直後に、この問題をどう解決すべきか、中国の温家宝首相と腹を割って話し合うことができたと。そして、ホットラインをつくったことを明らかにして、ホットラインは菅総理にも引き継がれているはずだと言って、菅総理がこのことについてできないことを批判しているんですね。  このことについてどうお思いですか。
  457. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) そういう報道があったことは承知をいたしております。その後、鳩山さんと話す機会があって、いやいや少し迷惑を掛けましたねという、そういう話もありました。  ホットラインというのは電話で首脳同士が話し合えるということで、私もこの事案が生じる前に電話で温家宝総理と話をしたこともあります。そういうことを念頭に置いて鳩山さんが言われたんだろうと、こう思っております。
  458. 前田武志

    委員長前田武志君) ちょっと速記を止めてください。    〔速記中止
  459. 前田武志

    委員長前田武志君) それでは、速記を起こしてください。
  460. 西田昌司

    ○西田昌司君 今おっしゃいましたけれども、私からすると、菅総理も鳩山前総理も本当にお互い無責任で、当事者意識がないなというのをつくづく感じました。  そこで、ほかにも質問あるんですが、もう官房長官が、後、記者会見があるということですから、一つただしておきたいと思います。  私は、この八月四日の予算委員会でも官房長官に様々な質問をしました。そこに発言が余りにもでたらめが多いと。それで、私に対して非常に失礼な、本当でしたら名誉毀損の訴訟が何本も出るというようなことがあって、どうなんだといえば、あれは雑談で言ったので、勝手に記者が書いたんだと、もしも西田さんに迷惑掛けたら謝りたいと、こういう趣旨だったんですが、それが全部うそだと、私の公式な記者会見じゃなくて、そういう非公式な雑談がされたとすればと言っているけれども、これは正式の発言、記者会見であったということが新聞記者からも明らかになっているんですよ。改めて官房長官に謝罪を求めます。
  461. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 質問通告がいただけておればもう少し精査いたすんでありますが、公式の記者会見の席で西田先生の名前を摘記してそのようなことを申し上げた記憶はございません。  ただ、非公式の席で私が西田先生の名前を挙げたかどうかは別にしまして、いろんな席で名誉毀損的な発言がいろいろなされておると。例えば私に対してですよ、私に対してもされておるということを申し上げたことはあるかも分かりません。そのことが新聞報道で、そのように面白がって書く新聞がありますので、西田先生がそのことを自分のことだとお思いになって気分を害されたとすれば、それは謝罪をいたします。
  462. 西田昌司

    ○西田昌司君 またややこしいことをおっしゃいましたね。  じゃ、ここの八月五日の産経新聞のこの記事は誤報なんですか。誤報なら誤報と言ってくださいよ。
  463. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 先ほどから申し上げているように、一つ一つの報道でそういうものを取り上げてお書きになることについて私は論評をしないことにしております。今日の産経新聞の報道でも、私はふんまんやる方ない報道のされ方をしておりますけれども、それについて私は論評をいたしません。
  464. 西田昌司

    ○西田昌司君 ふんまんやる方ないというのは、まさに官房長官、あなたの論評そのものじゃないですか。  この問題で時間を取るつもりはない。ないが、言っておきますが、答弁を求めてもいないのに出てきたり、そして謝っているのか開き直っているのか分からないような発言を繰り返して国会の審議の妨害をすることはやめていただきたい。そのことは指摘しておきます。  そして、尖閣問題に行きます。  尖閣問題。これは、要するに日本主権を果たされるべきこの国土、領土で、領海の中で中国船の、起きた、いわゆるあれ自体は公務執行妨害でありますけれども、主権侵害、大変な問題だと思うんです。  そこで、私は、この問題は、実効支配をずっとしておって領土問題はないとおっしゃっていますが、そうなると、当然ですが、我々日本人が当然我々の国土に自由に上陸できるはずなんですが、この問題についてはどういう取扱いになっているんでしょう。
  465. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) これは、私の記憶では、小泉内閣あるいは安倍内閣の時代を通じて、国の機関を除いては上陸を認めないというのがまずは所有者の意向でございまして、その所有者の意向を踏まえて、尖閣列島の、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持及び管理のためというのが我が政府の賃借の目的でありますので、政府といたしましては、菅政権といたしましては、原則としてその自民党時代からの政府の方針を踏襲をして、現時点でも原則として何ぴとも尖閣諸島への上陸を認めないという方針を取っているところでございます。
  466. 西田昌司

    ○西田昌司君 自民党時代からされたことは承知しているんです。  私は、要するに、自民党時代からやっていることを踏襲しているんだから我々に責任がないという言い方されるけれども、そうじゃなくて、状況が変わってきているんですよ。まさに、中国側が自分たちの領土だということを強硬に主張して、そして体当たりしてでも船長が公務執行妨害で突っ込んでくる、こういう事態は前にはなかった。そして、なかったことによって、これから我々が領土をどう保全するかという対応は当然変わってくるべきなんです。だから聞いているんです。  そこで、私が言いたいのは、ここにまず石垣市の市長さんが歴代、ここに課税権があるんだから、その課税のために調査に行きたいと言っているけれども、それもなかなか認められていないようですが、今の菅政権としてこの石垣市長の申出を認めてあげる気はないんですか。
  467. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 歴代の石垣市長がその種の申出をされておったかどうか、これについては確認をいたしておりません。  先般、十月四日に石垣市長から、地方税法四百八条に基づく固定資産税のための実地調査を行うために尖閣諸島に上陸したいというふうな要望があったことは、これは事実でございます。関係省庁ともよく検討する旨を申し上げたところでございまして、現時点では政府部内で検討を行っているところであります。
  468. 西田昌司

    ○西田昌司君 是非、主権の発露たる、課税権というのはまさに主権そのものですから、そのことが実施できるようにこれは要望したいと思います。  そして同時に、もう一つ聞きたいのは、あそこの尖閣諸島、魚釣島に灯台が建っておりますね。この灯台はどういう経緯で建ったのか。これは質問通告していませんけれども、御存じだと思うんで、国交大臣御存じじゃないですかね。
  469. 馬淵澄夫

    国務大臣(馬淵澄夫君) お答えいたします。  通告をいただいておりませんので詳細は今手元にございませんが、ある団体がこの灯台らしきものでありますが、これを設置し、その後はこの灯台に関しましては海上保安庁並びに私どもの方でこれを所管をしているということでございます。
  470. 西田昌司

    ○西田昌司君 そういうことだと思うんです。昭和五十三年の八月十一日に灯台が造られたと。その後、政府所管に今なっているんです。  そのときに、実は一対のつがいのヤギをそこに放牧して帰ったんですね。今これが何百頭というふうになっているんですが、この所有者、つまりそこに初めにヤギを放牧された方がそのヤギを捕りに行きたいとおっしゃっているんですよ。当然、これは自分のものですから、それを捕りに行くことに対して、これは政府は許可すべきだと思いますが、どのような見解でしょう。
  471. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 繁殖をしたヤギの所有者を明らかに私どもの方で明言することはできないところでありますけれども、一般論として申し上げれば、三十年前に持ち込まれて、その後適正に管理されていないヤギということであれば、実態としては無主物、野生動物というふうに考えるしかないと思います。
  472. 西田昌司

    ○西田昌司君 いや、私は、それは法律論争は今しませんが、要するに所有物を所有権がある者がそこに捕りに行くということに対して制限をする、そういう構えは政府はしないですねということを聞いているんですよ。主権そのものですからね、これは。
  473. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 野生動物であれば、公的な立場でこれを、何というんですか、捕獲をするということが必要なのかも分かりませんが、おれが所有者だということで上陸を認めろと言われても、それは所有者であるのかどうなのかは全く分かりません。ということですから、そういう立場を主張して上陸を要請されても、これにおこたえするというわけにはいかないと思います。
  474. 前田武志

    委員長前田武志君) 西田議員に申し上げます。合意の時間を相当超えておりますので、そろそろ質疑をおまとめください。  また、答弁者におかれましては、簡潔なる答弁を求めます。
  475. 西田昌司

    ○西田昌司君 私は、答弁時間、質問時間を守ってやっているんですよ。時間が延びたのは答弁者の方の責任じゃないですか。何を言っているんですか。今の取り消してください。
  476. 前田武志

    委員長前田武志君) 理事会において合意をした時間を相当過ぎておりますので、答弁者においては簡潔に、そして質疑者においてはそろそろ質疑をまとめて御協力をください。委員長の指示でございます。  続けてください。
  477. 西田昌司

    ○西田昌司君 私は、どちらにしましても、今、日本の一番の危機は、所有権を実行しようと思っても政府が守ってくれない、そして犯罪者を捕まえてもそれを釈放してしまう、処分保留のまま。まさに実効支配と言っているけれども、実効支配ができていないんですよ。だから、この問題は、我々自民党政権からずっと背負ってきた問題だけれども、ここで我々が自主防衛をすると、防衛力を増強する、こうしたことをはっきりと政府が方針として打ち出すべきときが来ているんですよ。菅総理、そうはお思いになりませんか。
  478. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 一般的に、防衛力の在り方、これは今、防衛大綱も今年中にまとめなければいけませんし、いろんな事象を考えてそういうことを考えることは必要だと思っております。  ただ、今、西田議員が言われているように、何か一足飛びに言われることは、果たしてそれが適切なのかどうか、私は日本全体の問題としては考える必要があると、こう思っております。
  479. 西田昌司

    ○西田昌司君 この問題はまたもう一度続けてやりたいと思います。  それで、次に行きます。  次は、岡崎トミ子大臣の話なんですね。この新聞記事をパネルとして提示しますが、実はこれは平成十五年の二月に産経新聞の記事で、岡崎議員が韓国のソウルの反日デモに参加されたと。そして、これを写真の部分だけ大きくしたのがこれなんですね。ここにありますように、日の丸にバツを付けて反日とか、様々な日本をやゆする、辱める、そういうところで岡崎さんが活動されているんですよ。これはとんでもない話なんです。  まず、菅総理、このことを菅総理御存じでしたか。
  480. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 御指摘の二〇〇三年の岡崎議員行動については、本人も過去の言動に配慮に欠けた面があり、誤解を招いたということで深く反省をしておられます。以後注意して内閣の方針に従って職務に邁進していく旨を表明されていると承知しております。
  481. 西田昌司

    ○西田昌司君 そういう程度の問題じゃ私、ないと思います。  政府参考人にお聞かせいただきたい。警備局長に聞きたいんですが、警備局長も当時こういうことを岡崎議員がされたことを存じておられましたか。
  482. 西村泰彦

    政府参考人西村泰彦君) お尋ねの点につきましては、当時、報道等により警察庁としても承知しておりました。
  483. 西田昌司

    ○西田昌司君 これは一般論で聞きますが、公安の仕事、警備局の仕事というのは、まさに反日運動とかこういうところを取り締まったり調査したりすることが仕事じゃないんですか。どういう仕事をするんですか。一般論でいいですから教えてください。
  484. 西村泰彦

    政府参考人西村泰彦君) 警備局におきましては、公共の安全と秩序を維持するため、国の公安又は利益に係る犯罪等の取締り及びこれらの犯罪に関する情報収集等の事務を行っております。
  485. 西田昌司

    ○西田昌司君 まさに今言ったように、岡崎さんのようなことをやっているのを取り締まるのが仕事なんですよ。取り締まる側の責任者が取り締まられる側にいた、これはとんでもない問題でありますよ。じゃ、そのことについて、今後、以後気を付けるような話ではできないんですよ。  菅総理、これはあなたの任命責任者として重大なこれは問題があると思いますよ。私は岡崎さんの罷免を要求します。菅総理、お答えください。
  486. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 先ほども申し上げたように、岡崎大臣の方からも、過去の言動には配慮に欠けた面があり、誤解を招いたことについては深く反省すると、以後注意して内閣の方針に沿って職務に邁進するという旨を表明されております。閣僚の任命に当たっては、任免権者として適材適所を心掛け、任命に当たっては各閣僚の職務遂行に当たっての指示を与えて職務専念を心掛けるように促しております。そういった点で、現在の岡崎トミ子大臣が不適任であるとは考えておりません。
  487. 西田昌司

    ○西田昌司君 岡崎大臣に。お答えください。これは、このことについて弁明があればお答えください。
  488. 岡崎トミ子

    国務大臣岡崎トミ子君) 西田議員にお答えいたします。  七年前のことでございますね。私は、過去の問題について取り組むこと、そして戦争の被害者に向き合うことが大切だと思ってまいりました。そうした行動でありましたけれども、誤解を受けたということについて反省をいたしております。以上でございます。  また、内閣の方針に従って、私は指示された仕事に邁進をしてまいりたいと思っております。(拍手)
  489. 西田昌司

    ○西田昌司君 何の拍手かさっぱり分からないんですよね。  もう一度聞きますが、それじゃ、今言ったように、公安が、警備局がこういう活動の取締りをしなければならない仕事があるんです。警戒をしなければならない仕事がある。そのことに参加しているあなたがその最高責任者の座にいることがおかしいんじゃないですか。おかしいと御自分で思いませんか。
  490. 岡崎トミ子

    国務大臣岡崎トミ子君) 大切な重責だというふうに私思っておりますので、これは、国民の生命や財産や国民生活の安全、安心を守るために大切な仕事を一生懸命やってまいりたいと思っております。
  491. 西田昌司

    ○西田昌司君 全く本人に当事者としての反省も何もないということが分かりました。この問題はまた続けて言っていきたいと思います。  それで、最後に、蓮舫大臣の問題をお聞きをしたい。  まず、事務方にお聞きします。この蓮舫大臣のヴォーグという雑誌での写真撮影ですね、この写真撮影、許可した経緯について事務方にお聞きをします。
  492. 小幡幹雄

    事務総長(小幡幹雄君) お答えいたします。  去る八月十八日、蓮舫議員事務所より、雑誌のインタビューを受けるに当たり、記事に掲載する写真を撮影するため、院内における撮影許可を求めてまいりました。その際、警務部の担当者から、私的な宣伝若しくは単に営利を目的とするものについては撮影許可の基準に照らして許可の対象外であるという旨をお伝えして、同議員室の了解をいただいたところでございます。  なお、申請書の撮影目的欄には議員活動の記録のためと記載されておりました。撮影は、翌十九日に警務部担当の立会いの下に行われております。  その後、九月二十四日に至りまして、当該雑誌の編集部のホームページのブログを確認しましたところ、その内容がファッション誌としての宣伝色の強いものでありましたため、雑誌に掲載される写真も許可基準からあるいは外れるような使われ方になるのではないかという懸念を持ちまして、二十七日、同議員事務室に御連絡し、再度、私的な宣伝目的等は許可対象外である旨の注意喚起をさせていただいたところでございます。  以上でございます。
  493. 西田昌司

    ○西田昌司君 今ありましたように、まさに一番最初の撮影許可の段階から虚偽のこの許可願を出し、そしてその後、事実が分かったから事務局の方からこれはやめていただきたいという注意喚起があったのに、それが、無視してこのまま発行されたんですよ。蓮舫大臣、あなたはどのようにこのことについて責任を取っておられるんですか。
  494. 蓮舫

    国務大臣(蓮舫君) お答え申し上げます。  許可の経緯につきましては、おおむね今事務総長が御答弁したとおりでございますが、若干付言をさせていただきますと、参議院警務部に許可願を出すときに、これまでにも過去国会で国会議員が撮影をしたことがございまして、事務方にはそういう事務手続のノウハウがあるものでございますから、撮影目的欄に何と書けばいいのかというお尋ねを申し上げました。そしたら、そこには過去も同じように議員活動の記録のためと書くように担当者から示唆がございまして、そのとおりに書かせていただきました。なお、その日のうちに警務部の担当、雑誌編集者、私の秘書と一緒に撮影場所について実際見に行きました。そのときに撮影可能な場所の確認を行ったとき、担当者からこの場所なら大丈夫だと思うと言われたところでございます。  ただ、国会という場所で撮影をしたことに関しては、様々な誤解あるいは御懸念、御疑念を抱かせてしまって、これまでにも何度も言ってございますけれども、西田議員の御指摘は私は重く受け止めさせていただきます。  以上です。
  495. 西田昌司

    ○西田昌司君 今、ちょっと重大な食い違いがありましたね。蓮舫大臣の話によると、これは事務方の方の指導によってそう書いたんだと言っていますよ。どうなっているんですか。
  496. 小幡幹雄

    事務総長(小幡幹雄君) 私どもとしては、あくまでも議員活動の記録のためというふうな趣旨で申請があったものと理解しておりますので、当然、当然そのとおりに使っていただけるということで理解しておりました。
  497. 西田昌司

    ○西田昌司君 今事務総長の言ったことと、蓮舫大臣、あなたの言ったことは全然違うんですよ。人のせいにしているじゃないか。事務総長は政治活動としてと言われたから許可したと言っている。あなたは事務方にそう書けと言われたと。そんなことないと言っているんですよ。どちらが正しいんですか。
  498. 蓮舫

    国務大臣(蓮舫君) 許可願を出しに行ったときに、ヴォーグの取材であるということと、私の撮影並びに取材の内容も丁寧に御説明をさせていただいて、なお申請書にどのように書いたらいいですかというお尋ねをしました。そのときに、事務方の方から、議員活動の記録のためと書くような示唆をいただきました。それは、御助言という形で、私どもがどのように書いたらいいのかと聞いたことに対して御示唆をいただいたので、御示唆に沿ってお答えをしたわけでございます。
  499. 西田昌司

    ○西田昌司君 これは、今、全然答弁が違うんです。事務総長、事実関係どうなっているんですか、もう一度確認します。
  500. 小幡幹雄

    事務総長(小幡幹雄君) お答えいたします。  あくまでも私どもは、取材の段階では議員活動の取材というふうな趣旨で理解しておりまして、結果として、さっき申し上げましたように基準を外れているということで判断せざるを得ないということでございまして、私どもの当初の理解と違っておったことは確かでございます。
  501. 前田武志

    委員長前田武志君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  502. 前田武志

    委員長前田武志君) 速記を起こしてください。
  503. 西田昌司

    ○西田昌司君 これは本当にとんでもない。事務方の最高責任者の答弁大臣答弁が全然違うんだから、これは本当に責任問題ですよ。事実が分かればどちらかの首が飛びますからね。そのことだけは付言しておきます。  そして、もう一つ事務方に聞きます。  実は、大臣とか副大臣、政務官については規範がありますね。ここに自由業について云々というのがあるんですが、これちょっと説明していただきたい。倫理規程。
  504. 河内隆

    政府参考人(河内隆君) お答え申し上げます。  平成十三年一月に閣議決定されました国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範におきましては、一の二、営利企業等の兼職のところで自由業についてこのように記載されております。「自由業については、原則としてその業務に従事してはならない。なお、やむを得ず従事する場合には、国務大臣にあっては内閣総理大臣の、副大臣等にあってはその上司である国務大臣の許可を要する。」とされております。  以上でございます。
  505. 西田昌司

    ○西田昌司君 まさに、これからいきますと、蓮舫大臣は元々タレントと申しましょうかキャスターと申しましょうか、まさに自由業そのものの仕事をされておられた。その方がああいう商業雑誌の仕事をするということはこのことに抵触するんじゃないですか、大臣総理。  私は、ここは、総理大臣のまず許可を取られたのか、それから、もう質問時間なくなってしまいましたから言いますが、この問題は閣内でしっかりこの事実関係も明らかにして我々国民にしっかり説明していただきたい。この二つを総理大臣からお聞かせいただきたいと思います。
  506. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 大臣規範というものがあって、兼職の禁止があるということは私も承知をいたしております。  どういう形でどういうものが出されるか、出されていないか、まだ事務方に確認しておりませんので、どういう形になっているかということはきちんと確認をいたしたいと、こう思います。
  507. 西田昌司

    ○西田昌司君 終わります。
  508. 前田武志

    委員長前田武志君) 以上で山本一太君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  509. 前田武志

    委員長前田武志君) 次に、一川保夫君の質疑を行います。一川保夫君。
  510. 一川保夫

    ○一川保夫君 民主党・新緑風会の一川でございます。大分時間が遅れてまいりましたので、ちょっとペース配分もおかしくなってまいりましたし、皆さん方、大臣も何となくお疲れだと思いますから、元気な日本を復活させるというのは菅内閣でございますから、大臣の皆さん方もちょっと肩の力を抜いて、元気よくひとつ御答弁をお願いしたいなというふうに思っております。  それで、まず私は冒頭に、菅内閣菅総理のいろんな基本姿勢ということでこの国会でも幾つかやり取りはありますけれども、我々与党にいる立場の人間としてもちょっと確認しておきたいというのが幾つかございます。  それは、菅内閣菅総理は、六月二日の鳩山前総理辞任を受けて、そして総理大臣に選任されました。そういう中で当時所信表明をされているわけでございます。そして、今回の所信表明が十月一日に行われました。この間、総理大臣も非常に大事な経験を幾つかされておるわけですけれども、参議院選挙という大変重要な選挙がございました。その結果については、御案内のとおり、民主党は残念ながら惨敗を喫してしまったというような結果でございます。その結果についてのリーダーシップ等の総理の責任問題も含めたいろんな議論が当時もございました。  しかし、その後の民主党の代表選挙といったものを受けて、それでまたいろんな経過の中で、今日、菅さんが総理大臣に就任されているわけでございますが、私は、この参議院選挙という選挙と、政権交代後、本格的なこういう代表選挙というものを経て、菅総理の所信表明に対する御自身の思いなり政策の力点の置き方というのは幾つか変わってきたのは当然だというふうに思いますし、その点で、総理の方でこの六月段階での所信とこの十月段階の所信、特に本人で何か意識されてここのところは力を入れて政策を実行したいというふうなところがありましたら、そこのところ、要点をちょっとまとめてお話ししていただければ有り難いなと思いますが。
  511. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 今、一川議員の方から、六月二日に鳩山総理辞任されて四日に首班指名を受け、そして参議院選挙を経て代表選挙を経てということで心境の変化がありやなしやということもお尋ねがありました。  私は、参議院選挙の結果は、これはその後のときにも党内外で申し上げましたように、私の消費税をめぐる唐突な発言で大変、特に民主党の仲間の皆さんには難しい選挙になって大きく後退したことの責任を今でも痛感いたしております。そのときの国民の御批判は初心を忘れるなと、民主党の昨年の政権交代の国民の生活が第一というその初心を忘れるなという、そういう戒めの判断を出されたんだと。つまり、私が消費税に触れたことが、あるいは無駄の削減とかそういうものを先行してマニフェストの実現を目指すということを私自身はそれは変えたつもりはなかったわけですが、しかしそういうふうに受け止められて、そうしたことの初心を忘れないようにという、そういうある意味での厳しい叱咤であったと認識をいたしております。  その上で、今回改めて代表に選任をいただき、党と内閣の陣容を改めて形作った中で、ある意味ではそうした参議院選挙における国民の皆さんの声も含めて、改めて私としてはこの菅内閣の本格的な稼働の段階に来たと思っております。  そして、二つの所信表明を私も改めてもう一度自分の目で見直してみましたが、基本的な線は変わっておりません。それを今回は、二十年間のある意味での積み残しといいましょうか、先送りをしてきた課題をきっちりと次の世代に積み残さないでやっていくと。その中には、六月の段階で申し上げた経済成長、そして財政健全化、そして社会保障の改革、これも含めてそうした大きな政策課題に盛り込ませていただきました。それを実行していくのがこの内閣の責務だと、このように考えております。
  512. 一川保夫

    ○一川保夫君 私も菅内閣総理大臣も、これまでの六月から今日までの経過の中でいろんな思いがあっただろうというふうに思いますけれども、我が国が今抱えている内外のいろんな課題を考えれば、今本当に民主党が結束をしてしっかりとこの課題を乗り切っていくという大事な時期にあるわけでございますので、この一年間、政権交代後のこの経験をしっかりと生かす中で、しかも昨年の衆議院選挙において国民がなぜ民主党を選んだかというその思いをしっかりと受け止めていただきたいなというふうに思っております。  そういう中で、民主党は今この参議院では多数は占めておりませんけれども、私はやはり民主党らしさというものは常にやはりしっかりと持っていただきたいというふうに思いますし、そして、そういう中で国民のいろんな期待にこたえていくと、今日のいろんな課題にこたえていくということが非常に大事ではないかというふうに思っております。  その点、改めて、この厳しい国会ではありますけれども、いかにして民主党の主体性を保ちながら国民の期待にこたえていくかということは大変重要なことであるというふうに思いますけれども、改めて総理の意気込みをお聞きしたいと、そのように思いますけれども。
  513. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) おっしゃるように、昨年の秋の衆議院選挙で政権交代を国民の皆さんに選んでいただいたのは、やはり私たちがその選挙で掲げた国民の生活が第一という考え方、さらには政治主導で物事を進めていこうという考え方、そうした大きな政治の在り方の改革に対して国民の皆さんが期待をいただいた、その結果だと思っております。そういった点で、先ほども申し上げましたように、参議院選挙では、その原点に戻れ、初心を忘れるなという、そういう気持ちのある意味での叱咤であったというようにも思っておりますので、その原点を忘れないで、大変、参議院の皆さんにはより御苦労をお掛けすることになり、しておりますけれども、私自身もそうした皆さんと一緒に頑張り抜きたいと、このように考えております。
  514. 一川保夫

    ○一川保夫君 私は、これから日本という国のかじ取りをしていかれる上で、あらゆる政策に共通することだと思いますけれども、総理としての基本的な理念といいますか考え方、要は国民の生活の、国民の暮らしをしっかりと守っていくという問題と、片や、また国際社会の中で日本という国が信頼されるような日本にするためにはどうすればいいかということでは、相当しっかりとした考え方を持っていろんな課題をさばいていただきたいというふうに思っているわけです。  私は個人的にも、この日本という、資源のない小さな列島でございますけれども、しかしすばらしいこういった自然環境があると、四季折々のこういうすばらしい季節感のある、なおかつ景観の美しい日本列島があるということが大きな財産だというふうに思いますし、またもう一つは、当然ながら日本民族のそういう優秀さといいますか、いろんな面で国際的に評価されてきた歴史があるわけですから、この際もう一回、この人材育成も含めた日本民族の在り方ということ、また、若者の教育ということも含めて、そういう人材の教育、いろんな面での、そういう教育面の充実というのは大きな課題だろうというふうに思っております。  それから、私は三点目には、やはり日本の歴史、伝統、文化といいますか、そういう、過去先輩の諸氏がずっとはぐくんでこられたこういうすばらしい財産があるわけでございますし、またや大変大事な技術力というものも一方でございます。そういった日本らしい、日本のすばらしい特性というものをこの際もう一回磨きを掛けていくと、そういう中であらゆる政策にそういうものが浸透するようなことを是非取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  515. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 私も基本的には一川議員と全く同感であります。日本は決して大きな領土を持っている国ではありませんが、私もこの一年間の中でも多くの国の人といろんな機会に出会うことがありましたが、多くの国で日本に対してある種の尊敬の念を持って見てくださっている。それは、まさに今おっしゃったように、日本というものの文化あるいは科学技術、あるいは国際的にも日本がいろいろな形で、特に貧しい国に対して支援をしている、そして、来られた方は日本の美しさ、自然環境をもう大変すばらしいと感じていただいております。  そういう点で、我が国はまさに底力はある国だと。それは人材としてもありますし、また、小さな国ではあっても四季折々の中でそうしたものを感じ取る文化の力もあると。そういう点では、そのことの自信は、改めて自信を再確認しながら、もう一度世界の中で日本がいろいろな分野で先頭を切れるような国に、まさに元気な日本を復活させていくと、そういうことで一川さんとも共に頑張っていきたいと、こう思っております。
  516. 一川保夫

    ○一川保夫君 今日、私たちが住む今の経済社会の中で、人口はもう減少時代に入ってきております。そういう中で、もう超少子高齢化社会、一方では非常に経済的にも厳しい、こういう局面の中で、しっかりとした構造改革をしながら、やはり我々が目指す国家のビジョンというものをしっかりと政府の方々には持っていただきたいなというふうに思っております。そういう中で、政治がしっかりとリーダーシップを取って、そして国民の皆様方に活力を持っていただくということが非常に大事な時代だというふうに思っております。  そういう観点で、今日は大臣全員いらっしゃいますけれども、それぞれの分野の面でそういう問題意識は当然持っていらっしゃると思いますが、この時代、本当に国民の皆様方が元気が出るように、特に、私自身は本当に片田舎に生活しておりますから、日本列島、本当にどこに住んでいても、要するに、日本政府はその隅々に住んでいる人のことをちゃんと思ってくれているというような政策が動いていないと、私は、所得の低い人でも、なかなか元気の出てこない時代ですから、そこはやはり政治のそういう力で、そういう思いで政策を動かしてほしいなというふうに心からお願いをする次第でございます。  それでは、今日、時間も大分押し迫ってまいりましたから、幾つか具体的な問題についてお尋ねしたいなというふうに思います。  まず、経済問題といいますか、今日、補正予算のことが非常に話題になっておりますから、このことについて幾つかお尋ねしたいと思いますけれども、この第二ステップといいますか、そういう段階での今回の補正予算、五兆円余りということでございますが、その前には、九月十日の日には予備費を使っての約九千二百億程度の規模でのそういう経済対策も閣議決定されております。  今回のこの補正予算というのは、第一、第二、第三を予定、まあ来年の当初予算でしょうけれども、そういう中でこの補正予算の持つ意味といいますか、どこにねらいを定めてこの補正予算を組むのかというところを是非、今度は海江田大臣の方からお願いします。
  517. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 補正予算は今編成中でございますので、八日に出しました緊急総合対策についてお話をさせていただきますが、今、一川委員からお話のありましたように、まさにセカンドステップでございます。これが九月の八日でございますが、ファーストステップ、そして包括的なこの三つの段階の、三段構えの経済対策につきまして策定をしましたときが、先ほどお話ありましたけれども、九月の十日でございますから、景気は持ち直しの傾向にはございますが、やはり九月に入りまして急激な円高というものがございました。それから、もちろん雇用も相変わらず失業率が高止まりということもございまして、先行き大変不透明感があると、あるいは下振れリスクがあると。  ですから、ここは果断にそうした下振れリスクが本当に現実のものにならないように政府がしっかりと手を打っているということをやはり国民の皆様方に理解をしていただかなければいけないということでありまして、これは政府としてそういう手を打ったわけでございますが、今日は日銀の総裁もお見えでございますが、日銀も包括的な金融緩和を行ったということで、政府、日銀が一体となって景気に責任を持っていくと、元気付けをしていくということでこの中身を定めたところでございます。  そして、あと一つだけ。この中身、先ほど一川委員から五兆五百億円ぐらいというお話がございました。間もなく確定してまいりますが、やはりこの中でもちろん成長戦略に対する手当てというものもしっかりやりました。それから、先ほど御心配のような、やはり地域の活性化ですね。実はこの五兆五百億円、この中で一番大きくお金を今のところ考えておりますのが実はこの地域活性化、社会資本整備、中小企業対策ということで、全庁で三兆一千億程度を今のところ考えておりますので、その意味では一川先生の御心配に対してもしっかりとした手当てをしておると思っております。
  518. 一川保夫

    ○一川保夫君 では、次に玄葉大臣にちょっとお尋ねしますけれども、玄葉大臣は民主党の政調会長、私自身も政調会長代理を仰せ付かっておるんですけれども、こういった与野党が非常に厳しい局面の中でこういう補正予算を取りまとめるに当たっても、いろんな野党側の意向を酌みながら予算を取りまとめていくということが非常に大事な時代でございますけれども、そのことの、これまでもいろんな折衝事はされてきたと思いますが、これからの野党の皆さん方の協力を得て予算を取りまとめていくということについての見通しも含めてこれまでの感想を聞かせていただきたいと思いますけれども。
  519. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 一川政調会長代理からの御指摘でありますけれども、今回の補正の取りまとめ、経済対策の取りまとめに当たりましても、たしか九月九日だったかと思いますが、国民新党、社民党さん、そして自民党、公明党を始めとする野党五党の皆様方からの申入れがまずありました。  それを受けて、ツーレートだとよくおっしゃるんですけど、九月十日には、予備費を活用して機動的にステップワンでまさに今執行中の予算があると。その上で、さて補正の中身についてどうするかということになりましたので、私たちの民主党案を検討しつつ、並行して野党五党の皆様に対して先般の申入れに対する回答という形で席を設けさせていただいて、それを回答する中で意見交換をさせていただいて、それらを参考にさせてもらって今回の対策も取りまとめたと、こういう経緯でございます。  一川先生がおっしゃるとおり、これだけねじれの状態でございますので、これは経済対策のみならず、与野党でよく話し合いなさいというのがこの間の参議院選挙の結果でありますので、お互いに虚心坦懐、より良い結論を導くための国会にしていきたいというふうに考えておりますので、野党の皆様の御協力を心からお願いを申し上げたいというふうに思います。  以上です。
  520. 一川保夫

    ○一川保夫君 大変難しい時代でございますけれども、またお互いに力を合わせながら、しっかりとした補正予算をまとめていく必要があるなというふうに思っております。  次に、野田大臣に。  来年度の当初予算の編成に向けて今各省概算要求が出されております。そういう中で、来年の当初予算というのは、第三ステップというような位置付けの中で、デフレ脱却、新成長戦略を定着させていくといういろんな思いがあるんだろうというふうに思います。こういうことに対する、財務大臣としてどの辺りに力点を置いて予算編成に向かっていきたいかという考え方をお聞きするわけですけれども、片や、また後ほど質問させてもらいますが、円高だとか株安とかそういういろんな現象があるわけですけれども、来年度の当初予算に向けた財務大臣としての意気込みをお聞かせ願いたいと思いますけれども。
  521. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 一川委員の本質的な御質問にしっかりお答えをしたいと思いますが。  各府省からの概算要求、そして要望というのが出そろってまいりました。これから年末に向けて平成二十三年度の予算編成を本格化していくわけでありますけれども、何といってもデフレを克服し日本がしっかりと経済の成長の軌道に乗るように、生きたお金の使い方をしていくというのが今回の予算編成の一番の大眼目だというふうに思っております。  そのために、今回、元気な日本復活特別枠という一つの枠をつくりました。この枠についてもいろいろ要望が出ていますけれども、そこを精査をしながら、府省横断的に、最終的には総理の御判断で優先順位を決めることになりますけれども、その優先順位を決めながら、限られた財源を日本の成長に資するように、あるいは雇用の拡大に資するように、国民生活の安心、安全につながるように、そういう編成をしていきたいと考えています。
  522. 一川保夫

    ○一川保夫君 それでは次に、日銀総裁に来ていただいておりますので、この円高対応ということで、日銀の方も、最近のこういったいろんな国際経済等々、国内経済も含めて、いろんな厳しい動きの中でこの円高現象が非常に続いているわけでございますけれども、先般、金融緩和措置等の対策を取られました。そのことがどういった効果が出てきたかというのは、我々ももう定かなものはちょっと見当たらないわけですけれども、今総裁はどのように評価をされ、それからまた、これまでの対応でこれからのこの円高傾向に対してしっかりと歯止めが掛かるというような自信をお持ちなのかどうか、その辺りも含めて御説明を願いたいと思いますけれども。
  523. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  日本銀行は先般、包括的な金融緩和政策を発表いたしました。これは強力な金融緩和の推進でございますけれども、実質ゼロ金利であることを明確にする、あるいは物価の安定の下での持続的な経済の成長ということが展望できるまでこの実質ゼロ金利政策を続けるということ、さらには様々な金融資産を買い入れるということを発表いたしました。  既に日本銀行は潤沢な資金を供給し極めて緩和的な金融環境を行っていますから、その下で更にこの追加的な緩和を行ったその追加的な効果やいかにということでございますけれども、この一週間の動きを見てみましても、例えば、少し専門的な話になってまいりますけれども、長期金利の少し長い期間、その金利が少し下がっておりますし、それから社債を始めとして民間の企業の調達する金利、これの国債に対する金利の上乗せ幅、こうしたものも下がってきております。  ただ、いずれにしても金融政策の効果は、これは諸外国もそうでございますけれども、一年半から二年というかなり長い時間を掛けて効果が実現してくるものであります。私どもとしては、今回の包括的な金融緩和によって効果が出てくるということを期待しております。
  524. 一川保夫

    ○一川保夫君 今、総裁からは期待しているというようなお話でございますから、それは期待したいとは思いますが、しかし、これからもこういう円相場といいますか、それから世界の経済、そういったものが非常に不安定な状況にありますので、適時的確なまた対応策を、でも政府の下の連携の中でしっかりと対応していただきたいというふうに思っております。  それから、野田大臣にもう一回お聞きするんですけれども、先般G7の国際会議があったというふうに聞いておりますが、その中でも、中国等の新興国のそういう通貨についての柔軟化を図るんだというような申合せがあったように聞いておりますけれども、こういったことについて大臣はどのように考えておられますか。
  525. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 一川委員指摘のように、十月の八日、九日とG7を始めとする国際会議がございまして出席をさせていただきました。G7においては、特に私の方からは、せんだっての為替介入、我が国の為替介入についての説明をさせていただき、過度な変動を抑制する観点から実施したことを報告をいたしました。  そういう中で、全体的に通貨や為替についての議論がありまして、今回のG7は何かのコミュニケをまとめるという場ではなく、意見交換の場でございましたけれども、過去のG7やG20で確認をしたことを再確認をするということがございました。その中で、中国を含む新興黒字国はその通貨の柔軟化に向けて更に改革を取り組むということは、トロントのサミットで確認をされています。その再確認をさせていただきました。  これからも、G7やG20等でこういう為替や通貨の議論を、国際協調をどうやっていくかと、議論を深めていきたいというふうに思います。
  526. 一川保夫

    ○一川保夫君 是非またよろしくお願いしたいと思います。  次に、自見大臣、御質問したいと思いますけれども。  郵政民営化の見直しというこの課題は、政権交代前後からのいろんな大事な課題でございますし、そういう面で、今日我々も、地方の郵便局等の状況、地域の皆さん方の思い、またそこで働いている人、利用している人、そういうことを考えますと、一日も早くこの郵政民営化の見直しといったようなことをしっかりと取り組むべきだという気持ちを持っておりますけれども、大臣のその意気込みのほどをしっかりとお聞かせ願いたいと思いますけれども。
  527. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 尊敬する一川先生から大変励ましの言葉をいただいたわけでございますが、この郵政民営化の見直しというのは、昨年の八月三十日の選挙の前の八月十四日に、当時の民主党、社民党、国民新党で六項目合意をした中の一つでございまして、今さっきから先生言われたように、明治四年から大変日本の郵政事業というのは百三十有余年の歴史を持つわけで、いいところもたくさんあったわけでございますから、そういった中でやはり今の時代に合ったようにきちっと改革をしていこうと。  よく再国有化じゃないかとか再公社化じゃないかということを御批判をいただくわけでございますけれども、そういうことではございません。特に、大変郵政事業も、実はもうこの十年間で八十五兆円郵便貯金が減少いたしまして、それから簡保事業も八千四百万件あったのでございますが、約この十年間で四千万件減るということで、非常に経営も脆弱化しておりまして、やはり郵便局というのはもう村でも町でもあると、要するにユニバーサルサービスが明治以来確保されたわけでございますが、それもなかなか厳しくなってきたということでございまして、そこら辺は安定的にどういった、先生今さっき言われた、先生は石川県の御出身でございますけれども、石川県、能登半島の先の町にも村にも郵便局は明治以来あるわけでございますから、そういうことできちっと持続可能な、安定的にやっていくと同時に、やはり金融の二法についても、やはりユニバーサルサービス、だれでも利用できるようにやっていきたいと。  そういった法律でございますので、是非、これはもう菅総理からも、また総理になられたときもきちっと御厚意をいただいたわけでございますから、やはり本当に日本が元気にならねばならないと、そういった意味でしっかり御理解をいただきながらこの郵政の民営化をやらしていただきたいと、こういうふうに思っております。
  528. 一川保夫

    ○一川保夫君 金融担当の大臣答弁していただきましたところで、もう一つ金融庁関係の問題で、九月十日にペイオフが初めて発動された日本振興銀行という銀行があります。これは、二〇〇四年に中小企業、零細企業対応としてある程度期待されてスタートしたんだろうと思いますけれども、これがこういう状態に陥ってしまったということは、何となくこの銀行にまつわるいろんな疑惑めいた話はいろいろとありますけれども、何かスタート時点で特別な扱いがあったんではないかとか、あるいはここの責任者でもありました木村剛氏という方がこの問題に大きくかかわっておりましたけれども、こういった経営責任ということも含めて、金融庁としては、この日本振興銀行という銀行に対してどういう指導をしてこられ、それからこれからどうしようとしているのか、また今回のこの経営責任ということについてどのように考えているのか、その辺りを説明していただきたいと思いますが。
  529. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 今、一川先生から御質問でございますが、日本振興銀行でございますが、今御質問にもございますように、設立の当時はこれは法制に照らしてきちっと許認可を、免許でございますが、免許を与えたというふうに思っておりますが、しかしながら、この創立にかかわった木村剛さんが御存じのように金融庁の顧問をしておられまして、金融庁の顧問を辞めた次の日に実は銀行の仮免許の予備審査に出すというようなことがございまして、竹中平蔵氏がずっと当時金融大臣でございまして、そういったことを含めてしっかり、今の日本は金融破綻の法制が一番世界である意味で整っている、十年前の大変厳しい、苦しい金融危機を踏み越えて、金融機関の破綻した法制が一番整っているというふうに思っておりますけれども、その法律ですね。  したがって、きちっと今預金保険機構にこの経営権を今移譲しておりまして、金融整理管財人に預金保険機構なっていただいているわけでございますけれども、刑事、民事両面から厳正に解明をしていくというふうに認識をいたしておりますけれども、いずれにいたしましても、金融庁の顧問を経験した者が経営していた金融機関が経営破綻に至ったということは極めて遺憾なことだというふうに思っております。
  530. 一川保夫

    ○一川保夫君 ありがとうございました。  日銀総裁、御苦労さまでした。一応私の予定の質問は終わりますので。  次に、今まで余り元気の出ないような話題が多かったわけですけれども、ひとつ元気の出るような話題で、総理、国交大臣のちょっと見解をお聞きしたいんですけれども。  今朝の報道でもありましたけれども、昨日、成田空港の発着枠が非常に増大されたというようなことがありました。私は、総理の今回の所信表明の中でも、思い切って国を開いて、世界の活力を積極的に取り込むんだというふうなことも述べておられました。  そういうことを思ったときに、この航空行政という中で、しっかりと国際航空のネットワークというものを格付け、強化していくということは非常に大事なことではないかなというふうに思いますけれども、総理自身はどういうふうにお考えでしょうか。
  531. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 最近、坂本龍馬がNHKで放映されておりますが、まさに尊王攘夷から尊王開国へという大きな転換が明治においても行われたわけでありますが、我が国においても、ややもすればこの間、若者も外になかなか出ていかないとか、もちろん貿易も盛んではありますが、お隣の国韓国などに比べるとやや、例えばFTA、EPAなどが遅れているとか、あるいはハブ空港の整備が遅れているとか、こういった要素がありました。  そういった意味で、国を開くというその考え方には、外国の力をどんどん国内に取り入れていくと同時に、日本から外国に人材あるいは物、金を多く外に出すことを含めて共に成長していく、そういうことが大きな柱だと思っております。  その中で、今御指摘をいただきましたオープンスカイ政策というものが具体的に動き出しました。この政策は前原外務大臣が国交大臣のときから大変力を入れて進められてきたことでありますが、まずは成田と、成田が三十万回の発着が可能になる、また羽田も国際化になると、そして、この首都圏の空港で国際線だけを見ても、発着の枠が現在の二十万回から二〇一四年には三十六万回、一・八倍程度になるという、こういうことを含めてオープンスカイ政策が具体的に動き出しました。  簡単に申し上げると、従来の伝統的な航空政策では、国際定期便の乗り入れについては航空会社の数や路線、便数等に係る制限を二国間で政府同士が細かく取り決めてきたわけであります。どうしても制約が強かったわけであります。それに対して、オープンスカイとは、このような制限を相互に撤廃して、これに関連する事業規制を見直していくと、そして新規の参入や増便、運賃の設定、チャーター便の運航等が企業の経営判断で自由に行えるようにしていこうと、こういう考え方であります。言わば日本と相手国の空を同時に自由化し、人、物の行き来を増やす規制改革、物流や観光など日本経済に対して大きなプラスの効果が期待されるわけであります。  今般、先ほど申し上げたように、成田空港の発着回数が増加をすることに関して地元の合意が得られたこと、羽田の新滑走路の使用開始が目の前に迫ったこと、こういうことで、私としてオープンスカイ政策を積極的かつ戦略的に進めるよう馬淵国交大臣に指示を出させていただきました。  まず、首都圏を含めた本格的オープンスカイの第一号を、我が国との関係で輸送実績が最も大きいアメリカとの間で発効をさせてまいります。さらに、我が国にとって最重点市場である東アジアやASEANの国、地方、地域を最優先にオープンスカイの交渉を進めてまいりたいと思います。  これを一つの突破口として、国を開くという効果が国民の皆さんにも実感できるように、それぞれの立場で頑張っていただきたいし、私自身も頑張りたいと、このように思っております。
  532. 一川保夫

    ○一川保夫君 今のオープンスカイ政策というのは、空に関するいろんな規制を緩和して、そして空の自由化を図っていくという中で、いろんなネットワークを充実していこうということであろうと思いますけれども。  羽田空港も我々は一週間に一回ぐらい使わせてもらっていますけれども、二十一日には新しい国際空港ターミナルですか、がオープンすると、それからまた、三十一日には羽田と外国との国際定期便が就航するというような予定が組まれているというふうに聞いておりますけれども、私は、こういった首都圏の成田なり羽田両空港がしっかりとそういった容量拡大がされて発展していくということはすばらしいことですけれども、あわせて、地方空港というのは日本列島にたくさんあるわけですよ。地方空港も二十四空港で週四百三十六便の国際定期便を持っておるわけです。地方の飛行場というのは、いろんな面で今悩みが大きいわけです。もういろんな面で活力が低下してきておるという中で、この地方空港をどうするかということも大きな今課題になりつつあります。  そういうことを考えますと、今回のこの成田、羽田を中心としたオープンスカイ政策というのは非常にすばらしいことでございますけれども、このことによって、地方空港にもいろんな活力が出るような波及効果というものをしっかりと政策として取り上げてほしいわけですけれども、その辺り、いかがでしょうか。
  533. 馬淵澄夫

    国務大臣(馬淵澄夫君) 今、菅総理から詳細にわたってオープンスカイの内容につきまして具体策、説明をしていただきました。  委員が御懸念の地方空港の問題、オープンスカイは二国間の協定の中でそれこそ自由に航空を路線も含めまして活発化させるということでございますが、当然、地方空港においても同様の効果がございます。地方空港へのいわゆる路線開設、増便、こういったものが可能になってまいります。自由になっていくということでありますので、御懸念の部分、地方空港の活性化にも大きくつながるかというふうに考えます。  今後は、もちろんアメリカとの関係、これにおきましては、一番最大のマーケットでもあるということから、実績もあるということから、今後、アメリカとの関係におきましては、十月の二十五日に日米におきましてオープンスカイの了解覚書というものを交わす予定でございます。同日発効ということで、具体的に日米航空交渉のその成果として二十五日の締結ということが今予定をされております。  さらに、東アジアへの展開ということもありますので、まさに地方においてもより開かれた日本を具現化する施策になると、このように信じております。
  534. 一川保夫

    ○一川保夫君 それでは、次に外交問題についてちょっと二、三確認しておきたいと思いますが、その外交問題に入る前に、この午前中の質疑の中で、外務大臣に、例の尖閣諸島のグーグルマップに日本語表記と併せて中国側の表記がされているというのはおかしいじゃないかという自民党側の先生が抗議に行かれたというのがありました。  大臣は、政府としてもしっかりと申入れするという答弁をされましたけれども、それは今日もうなされたんでしょうか。
  535. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 先ほど答弁をいたしましたように、今日すぐに外務省の当該担当者からグーグル日本法人に対しまして、尖閣諸島が我が国固有の領土であり、領土問題は存在しないとの立場をしっかり説明をして、尖閣諸島及び各島の中国側呼称を削除するように申し入れたところでございます。
  536. 一川保夫

    ○一川保夫君 その都度いろんな誤解をしっかりと解いていくということが非常に大事なことではないかなと思います。  この尖閣諸島に関するいろんなやり取りというのを我々聞いておりましても、非常に現時点でいろいろと判断するのは厳しい、難しい面が幾つかあろうかと思いますけれども、例えば、今回のあの漁船の衝突事故の処理の案件について政府は政治介入はしていないというふうに言っていますけれども、処理の仕方について、国民の皆さん方の思いと政府判断と相当乖離があるようなところがあると思うんです。そこのところは、やはりしっかりとこれから政府サイドも説明をしていくと、国民の皆さん方にしっかりと理解をしてもらうと。本当にもう領土問題がないということであれば、そういうことをしっかりと国民の皆さん方にも理解をしていただき、そして国民が皆さん思いを一つにして、こういう問題にこれからは対処するということが非常に大事なことではないかなということを私の意見として申し述べたいというふうに思っております。  それで、これ、総理になると思いますけれども、今度日米首脳会談というのが十一月に予定されておりますけれども、オバマ大統領も来日されるというふうに聞いておりますが、このオバマ大統領との日米首脳会談で、特に総理はどこにポイントを置いて会談に臨もうとされているのか、その辺り、現時点で整理されているのであれば、お聞かせ願いたいと思いますけれども。
  537. 菅直人

    内閣総理大臣菅直人君) 先日、第二回目の直接お会いしての日米首脳会談の場でも、私の方から日米同盟の深化ということで三つの柱で深化を考えたいということを申し上げました。  第一は安全保障、第二は経済、そして第三は文化、さらには人材の交流、こういう三つの柱で更なる二十一世紀にふさわしい日米関係の同盟の深化を図りたいということを申し上げました。これに対してオバマ大統領からも、同感だと、是非そういう形で進めていこうという話がありました。  それに加えて、今回は主に安全保障、まあ一部経済のこともありましたが、そうした意見交換をいたしたところであります。そして、十一月、APECの折にオバマ大統領が来日されるわけでありまして、そういう意味では今申し上げた三本の柱についてそれぞれ肉付けをしていきたいと、このように考えております。もちろん、普天間の問題等、目の前の懸案事項もありますけれども、ある意味では日米間のもっと幅広い、もっと中長期の、あるいはもっと深い同盟関係をより深化させるという、そういう点にまず重点を置いてまいりたいと。  国際社会の多様な課題の中でも喫緊の課題としては、開発途上国の支援、地球環境、核軍縮・核不拡散、平和維持・平和構築などが重要であり、我が国はこれらの取組を重視しているわけですけれども、先般、私が行った国連の総会の演説でもこれらの四分野で具体的な貢献を行う決意を示しました。これは国際社会に対する決意であると同時に、ある意味では、例えばアフガンの支援などを含めて、米国との関係でもより深い同盟に向けての課題がその中に重なっていると、こう理解しております。  十一月、横浜APECでは、アジア太平洋の将来像を共有し、地域経済統合、成長戦略に重点を当てて具体的な成果を出していくべく、このAPECでも議長として私なりに頑張ってまいりたいと思っております。  経済の問題では、アメリカの姿勢は、従来以上にアジア太平洋を重視するという、そういう視点に立っておりますので、私どもも東アジア共同体という構想の中でアメリカも含めた構想として進めていきたいという、そういう立場を明確にして、アメリカとの関係がこのアジア太平洋地域の関係として二国間、さらにはそういう多国間の中でもより深まることを一つの目標としてまいりたい、このように思っております。  そういったことで、十一月の日米首脳会談ではより幅広い、より深い、二十一世紀にふさわしい日米同盟関係の深化を是非進めてまいりたいと、こう思っております。
  538. 一川保夫

    ○一川保夫君 日米関係というのは、いろんなやり取りの中でも、我が国の外交・安全保障の中でも基軸になる、そういう国でもございますし、かねてから言われていますように、アメリカとの同盟関係、対等な立場でしっかりと日本としてアドバイスするところはアドバイスするというような関係になってほしいなというふうに思いますけれども、それにはやはりいろんな会談を通じての信頼関係というのは非常に大切ではないかなというふうに思っております。  イラク戦争のときのことを思いますと、やはりアメリカという大国を余り国際社会の中で孤立化させては駄目だと思いますし、また、反米感情が国際的に広がらないような役割をちゃんと担うのが私は日本の役目ではないかなというふうに思っております。日本という国はこういう国ですから、やはり世界の平和が私は日本の最大の国益であるというふうに思いますので、そういう観点で日米関係というものをしっかりと深化させていただきたいなというふうに思っております。  また、外交問題は、今日ちょっと時間がございませんから、明日でもまた取り上げたいと思いますが。  次に、防衛大臣にちょっと確認というか教えていただきたいわけですけれども、防衛白書の冒頭にも大臣は、政権交代をしたんだから防衛政策は見直しをするというようなことも白書のところで書いてございましたけれども、今度は防衛計画大綱の見直しという、そういうことも控えておるわけですが、基本的に我が国のこの防衛政策といいますか防衛計画、大臣としてはどの辺りをしっかりと見直しを掛けたいというふうに考えているのか、御説明を願いたいと思いますけれども。
  539. 北澤俊美

    国務大臣(北澤俊美君) お答えを申し上げます。  歴史的な政権交代が成ったわけでありまして、しかし、そういう中でも国防、外交というのは一国にとってそう軽々しく変更するものではないということは十分承知をいたしておるわけでありますが、たまたま防衛大綱の見直しの年にも当たっておりましたので、これを民主党政権として特色のあるものにしていく必要があるというようなことの中から、まず省内改革、これは前政権でもおやりになったわけでありますが、これを白紙に戻して新たに防衛省改革をやっていくと。この中には、シビリアンコントロールというものが極めて重要であると、また民主党の結党以来の精神からいたしましてもシビリアンコントロールはしっかりしていかなきゃならぬ、こういう思いで私の方から指示を出しまして検討の柱を策定いたしました。これは、防衛行政を効果的、効率的に推進するという観点から、しっかりこれを進めていくということであります。  もう一つ、防衛大綱につきましては、先ほども議論がありましたが、一年先送りをしてこれを新たに作り直すということで、これに付随して中期防衛力構想、それから防衛大綱に併せて別表というのがありまして、これは、防衛大綱を作ればそれに付随してどれだけの装備が必要であるかというものを策定するわけであります。しかも、それを今度は中期防衛力構想の中で調達の道筋を立てていくと、こういうことでありますので、これを今官房長官の下で協議をいたしておりますが、一方で、総理の諮問機関であります新安防懇が報告書を出していただきました。総理の言を借りれば、これを一つの材料にして防衛大綱の見直しを作り上げたいと、こういうふうに言われておるわけでありまして、今、鋭意関係閣僚で協議をし、また防衛省は防衛省としての知見、能力を発揮してこの策定に全力を注いでおるという現状であります。
  540. 一川保夫

    ○一川保夫君 ありがとうございました。  先日、防衛大臣はハノイで中国の国防担当大臣と、これも何か廊下会談をされたというふうにちょっと報道がありましたけれども、これ、中国の国防担当大臣とどういうお話をされて、それから中国とのそういう国防関係側と今後どういう関係を保ちたいというふうに考えておられるのか、その辺りの御説明をお願いしたいと思います。
  541. 北澤俊美

    国務大臣(北澤俊美君) 今廊下という話がありまして、総理はたまたま廊下でおやりになったようですが、私の方は廊下ではなくて、大きなレストランがホテルの中にありまして、その大きなスペースを使って、それぞれ通常のバイの会談ができる設定をしまして会談をいたしました。  ただ中国側は、首相同士が懇談という形を取ったので防衛大臣同士もそういう形に、表現はそうしてほしいと、こういうことでありましたので、私の方はそのことにこだわるつもりはありませんで、むしろ中身が大切でありますから中国側表現に譲歩したわけでありますが、実際には昨年十一月に梁光烈部長が日本を訪れて私と防衛相会談をやっておりまして旧知の仲でもありますので、相当忌憚のない意見交換をいたしました。  梁光烈さんはどういうことを言われたかというと、防衛関係は冷静に物事を処置していかなくちゃいかぬと。しかし、まあそうはいっても日中の間で尖閣をめぐる問題がありましたねと、こういうことでありますから、私の方とすれば、尖閣の領土問題については前回の会談でもそういうものは存在しないという一貫した主張をしておりますので、今ここで二人がその問題について議論することは生産的でないということで、むしろ、日中の間で今協議をいたして、事務レベルで協議をいたしております、何か問題が起きたときに海上運用のメカニズムを早く作るべきであるというようなことで、この点については梁光烈部長も早くやりたいと。しかし、その中で、今の練習艦が青島へ寄港する問題、可能性とかそういうことについては少し延期をさせてほしいと。練習艦隊がそこへ行くのに延期をされて、そうですかといって海上で待っているわけにもいきませんので、これは実現性のないことというふうに判断をいたしまして、私から命令を発信しまして、その交流はやめて帰国をすべしと、こういうことでやってまいりましたが、全体的に言いますと、非常に強い態度を示す一方で、事を荒立て拡大する意思がないことは私にもよく分かった次第であります。
  542. 一川保夫

    ○一川保夫君 中国と、そういう防衛関係担当の大臣がお会いをして話をするということは非常にある面では意味のあることでございますので、これはまたお互いの信頼関係をしっかりと向上をさせるように御努力をお願いしたいなというふうに思っております。  それから、最近ちょっと話題になっておりますけれども、武器輸出三原則ということが言われておりますが、これを見直すというんですか、防衛大臣発言されたのか総理大臣発言されたのか、先に防衛大臣だろうと思いますが、この三原則を見直すということについて、いろんな解釈が出てきておりますけれども、現時点で、これは防衛大臣にお聞きした方がよろしいんですかね、正確な、もし見直すとすれば、どういうことを考えておられるのか、説明願いたいと思いますけれども。
  543. 北澤俊美

    国務大臣(北澤俊美君) お答えを申し上げます。  武器輸出三原則というのは平和国家としての我が国の崇高な理念でありますので、この精神は総理も度々発言されておりますようにしっかり押さえて、しかし、運用面で様々な問題点が出てきておるということでありまして、先ほども猪口委員にお答えをいたしました大要とそう違いはないんですが、武器輸出と、こういうふうに言いますと、輸出というと一般の皆さん方は、物を他国へ出してそして対価を得て利益を得ると、こういうことで、輸出というのは商売の観点でよくお考えですけれども、外為法、ちなみに外為法の輸出に関する定義というのは、貨物を本邦、日本ですね、本邦から外国へ向けて送付するために船舶又は航空機に積み込んだときとすると、こういうことになっておるわけでありまして、武器輸出三原則と、こう言った途端に、例えばハイチでの緊急援助にたくさんの機材を積んで向こうへ行きますと、これがもう輸出になるわけでありまして、そうすると、これ許可にならないわけであります。そうすると、官房長官談話でこれをクリアする。そしてまた、さっき申し上げましたように、大量のブルドーザーとかああいうものがありますから、ハイチに寄贈をして帰ってくれば、戻りの費用、戻りの費用というのは、これはアントノフという大きな飛行機に載っけてきますから、また同じものを二台買えるぐらいの輸送のお金が掛かるわけでありまして、そこでハイチに寄贈すればハイチも喜ぶし、そしてまた我々も費用が掛からぬと、こういうこともありますので。  まあ細々したことを申し上げれば切りがないわけでありますけれども、先ほども申し上げたような、これからACSAを、豪州とは結びましたが、韓国とも結ぶ、そういう状況が膨らんでくると、その都度、官房長官談話でクリアしていかなきゃならぬと、こういうことになりますので、この武器輸出三原則の見直しというのは、ややもすれば、じゃ、死に至るような武器をどんどん売り付けていくのかというふうな誤解がありますが、そういうことは全くないんでありまして、まあ一川さんも私と比較的年齢は近いわけでありますが、私は終戦のときに小学校一年生でありました。戦争の悲惨さというのは十分分かっておるつもりでありまして、私は政権交代ができてそのときの最初の大臣であり、しかも戦争の悲惨さというものを十分承知している。そういう私の特性からしても、ここで提言を申し上げて理念の崇高さを維持しながらこれを見直していくということは極めて重要である、そんなふうに考えておる次第であります。
  544. 一川保夫

    ○一川保夫君 私の本日の質問はこれで終わりたいと思いますけれども、事前に通告した皆さん方に対しては非常に申し訳なかったわけですけれども、また明日質問させていただきたいというふうに思います。  今日はどうもありがとうございました。
  545. 前田武志

    委員長前田武志君) この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。自見内閣特命担大臣
  546. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 済みません。  お許しをいただきまして、先ほどの日本振興銀行について、木村剛氏が金融庁顧問を辞任した翌日、銀行の予備審査の申請をしたと申しましたが、当日の誤りでございましたので、訂正させていただきますように、委員長及び委員の方にお計らいをいただければと思っております。
  547. 前田武志

    委員長前田武志君) 残余の質疑は明日に譲ることといたします。  明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時一分散会