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2010-10-01 第176回国会 参議院 本会議 第1号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十二年十月一日(金曜日) 午前十時一分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第一号
平成
二十二年十月一日 午前十時
開議
第一
議席
の
指定
第二
常任委員長
の
選挙
第三
会期
の件 第四
国務大臣
の
演説
に関する件
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件 一、
日程
第一 一、元
議員多田省吾
君逝去につき
哀悼
の件 一、
常任委員長辞任
の件 一、
日程
第二 一、
特別委員会設置
の件 一、
日程
第三及び第四 ─────・─────
西岡武夫
1
○
議長
(
西岡武夫
君) 第百七十六回
国会
は本日をもって召集されました。 これより
会議
を開きます。
日程
第一
議席
の
指定
を行います。
議長
は、本
院規則
第十四条の
規定
により、
諸君
の
議席
をただいまの仮
議席
のとおりに
指定
いたします。 ─────・─────
西岡武夫
2
○
議長
(
西岡武夫
君)
さき
に
院議
をもって永年
在職議員
として表彰されました元
議員多田省吾
君は、去る九月四日逝去されました。誠に痛惜の極みであり、
哀悼
の念に堪えません。 同君に対しましては、
議長
は、既に
弔詞
をささげました。 ここにその
弔詞
を朗読いたします。 〔
総員起立
〕 参議院は わが国
民主政治発展
のため力を尽くされ 特に
院議
をもって永年の功労を表彰せられ
さき
に
法務委員長
運輸委員長
の重任にあたられました 元
議員多田省吾
君の長逝に対し つつしんで
哀悼
の意を表し うやうやしく
弔詞
をささげます ─────・─────
西岡武夫
3
○
議長
(
西岡武夫
君) この際、
常任委員長
の
辞任
についてお諮りいたします。
内閣委員長柳澤光美
君、
外交防衛委員長田中直紀
君、
文教科学委員長水落敏栄
君、
経済産業委員長藤原正司
君、
国土交通委員長牧野たか
お君、
環境委員長山谷えり子
君、
国家基本政策委員長溝手顕正
君、
決算委員長神本美恵子
君、
行政監視委員長伊達忠一
君、
懲罰委員長松村龍二
君から、それぞれ
常任委員長
を
辞任
いたしたいとの申出がございました。 いずれも許可することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
西岡武夫
4
○
議長
(
西岡武夫
君) 御
異議
ないと認めます。 よって、いずれも許可することに決しました。 ─────・─────
西岡武夫
5
○
議長
(
西岡武夫
君)
日程
第二
常任委員長
の
選挙
これより、欠員中の
総務委員長
、
厚生労働委員長
、
農林水産委員長
及び
予算委員長
並びにただいま
辞任
を許可されました
常任委員長
の
選挙
を行います。 つきましては、
常任委員長
の
選挙
は、その手続を省略し、いずれも
議長
において指名することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
西岡武夫
6
○
議長
(
西岡武夫
君) 御
異議
ないと認めます。 よって、
議長
は、
内閣委員長
に
松井孝治
君を指名いたします。 〔
拍手
〕
総務委員長
に
那谷屋正義
君を指名いたします。 〔
拍手
〕
外交防衛委員長
に
佐藤公治
君を指名いたします。 〔
拍手
〕
文教科学委員長
に
二之湯智
君を指名いたします。 〔
拍手
〕
厚生労働委員長
に
津田弥太郎
君を指名いたします。 〔
拍手
〕
農林水産委員長
に主
濱了
君を指名いたします。 〔
拍手
〕
経済産業委員長
に
柳澤光美
君を指名いたします。 〔
拍手
〕
国土交通委員長
に
小泉昭男
君を指名いたします。 〔
拍手
〕
環境委員長
に
北川イッセイ
君を指名いたします。 〔
拍手
〕
国家基本政策委員長
に
鴻池祥肇
君を指名いたします。 〔
拍手
〕
予算委員長
に
前田武志
君を指名いたします。 〔
拍手
〕
決算委員長
に
鶴保庸介
君を指名いたします。 〔
拍手
〕
行政監視委員長
に
末松信介
君を指名いたします。 〔
拍手
〕
懲罰委員長
に
大石尚子
君を指名いたします。 〔
拍手
〕 ─────・─────
西岡武夫
7
○
議長
(
西岡武夫
君) この際、
特別委員会
の
設置
についてお諮りいたします。
災害
に関する諸問題を調査し、その
対策樹立
に資するため、
委員
二十名から成る
災害対策特別委員会
を、
沖縄
及び北方問題に関する
対策樹立
に資するため、
委員
二十名から成る
沖縄
及び北方問題に関する
特別委員会
を、
政治倫理
の
確立
及び
選挙制度
に関する調査のため、
委員
三十五名から成る
政治倫理
の
確立
及び
選挙制度
に関する
特別委員会
を、
北朝鮮
による
拉致等
に関する諸問題を調査し、その
対策樹立
に資するため、
委員
二十名から成る
北朝鮮
による
拉致問題等
に関する
特別委員会
を、
政府開発援助
を始めとする
国際援助
・
協力
に関する諸問題を調査するため、
委員
三十名から成る
政府開発援助等
に関する
特別委員会
を、 また、
消費者
の利益の擁護及び
増進等
に関する総合的な
対策
を樹立するため、
委員
二十五名から成る
消費者
問題に関する
特別委員会
を、 それぞれ
設置
いたしたいと存じます。御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
西岡武夫
8
○
議長
(
西岡武夫
君) 御
異議
ないと認めます。 よって、
災害対策特別委員会外
五
特別委員会
を
設置
することに決しました。 本
院規則
第三十条の
規定
により、
議長
は、
議席
に配付いたしました
氏名表
のとおり
特別委員
を指名いたします。 ─────────────
議長
の指名した
委員
は左のとおり ○
災害対策特別委員
相原久美子
君 加賀谷 健君 高橋 千秋君ツルネン
マルテイ
君 轟木 利治君 友近 聡朗君
平山
幸司君
平山
誠君 吉川 沙織君 青木 一彦君
加治屋義人
君
金子原二郎
君
佐藤
信秋君
佐藤
正久君 山崎 力君 若林 健太君 秋野
公造
君
山本
博司君
上野ひろし
君 山下
芳生
君 ○
沖縄
及び北方問題に関する
特別委員
石橋
通宏
君 岩本 司君
金子
恵美君 行田
邦子
君
今野
東君
田城
郁君 外山 斎君 山根 隆治君 猪口
邦子
君 宇都 隆史君
島尻安伊子
君 中川 雅治君 長谷川 岳君 橋本 聖子君 古川 俊治君
木庭健太郎
君 横山 信一君 江口 克彦君 紙 智子君 山内
徳信
君 ○
政治倫理
の
確立
及び
選挙制度
に関する
特別委員
足立 信也君
植松恵美子
君 梅村 聡君
大河原雅子
君
小見山幸治
君 芝 博一君
田中
直紀
君 辻 泰弘君
中村
哲治君 長浜 博行君 藤末 健三君 藤本 祐司君 舟山 康江君
松井
孝治
君 松浦 大悟君 松野 信夫君 愛知 治郎君
石井
準一君 磯崎
仁彦君
岩井 茂樹君
岡田
直樹
君
岡田
広君
佐藤ゆかり
君
西田
昌司君 藤川 政人君 丸山 和也君 宮沢
洋一
君
吉田
博美君 荒木
清寛
君 長沢 広明君
西田
実仁君 小野 次郎君 桜内
文城
君 井上 哲士君
藤井
孝男君 ○
北朝鮮
による
拉致問題等
に関する
特別委員
有田
芳生
君 川合 孝典君 川上 義博君
榛葉賀津也君
西村まさみ
君 白
眞勲
君
広野ただし
君 増子 輝彦君
横峯
良郎君 衛藤 晟一君 関口 昌一君 塚田 一郎君 丸川 珠代君
三原じゅん子
君
山谷えり子
君
浜田
昌良君 柴田 巧君 中山 恭子君
亀井亜紀子
君 森田 高君 ○
政府開発援助等
に関する
特別委員
大久保潔重
君
大島九州男
君 大塚 耕平君 風間
直樹
君
神本美恵子
君 小西 洋之君 武内 則男君
那谷屋正義
君 中谷 智司君
姫井由美子
君 藤谷 光信君
藤原
正司
君
藤原
良信君
牧山ひろえ
君 赤石 清美君 有村 治子君 岩城 光英君 大家 敏志君 川口 順子君
中村
博彦君
野上浩太郎
君
浜田
和幸
君 福岡
資麿
君 松山 政司君
水落
敏栄君
魚住裕一郎
君
竹谷とし子
君 小熊
慎司
君 荒井 広幸君
吉田
忠智
君 ○
消費者
問題に関する
特別委員
江崎 孝君
大久保
勉君
大久保潔重
君
金子
洋一
君
今野
東君 斎藤 嘉隆君 谷 博之君 谷 亮子君 難波 奨二君 前川 清成君
安井美沙子
君
石井みどり
君
上野
通子君
片山さつき
君 中西 祐介君
藤井
基之君
牧野たか
お君
松村
祥史
君 森 まさこ君 山田 俊男君 谷合 正明君
山本
香苗君 松田
公太
君
大門実紀史
君
福島みずほ
君 ─────────────
西岡武夫
9
○
議長
(
西岡武夫
君) これにて
休憩
いたします。 午前十時十分
休憩
─────・───── 午後三時一分
開議
西岡武夫
10
○
議長
(
西岡武夫
君)
休憩
前に引き続き、
会議
を開きます。
日程
第三
会期
の件を議題といたします。
議長
は、
今期国会
の
会期
を六十四日間といたしたいと存じます。
会期
を六十四日間とすることに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
西岡武夫
11
○
議長
(
西岡武夫
君)
総員起立
と認めます。 よって、
会期
は
全会一致
をもって六十四日間と決定いたしました。 ─────・─────
西岡武夫
12
○
議長
(
西岡武夫
君)
日程
第四
国務大臣
の
演説
に関する件
内閣総理大臣
から所信について
発言
を求められております。これより
発言
を許します。
菅内閣総理大臣
。 〔
内閣総理大臣菅直人
君登壇、
拍手
〕
菅直人
13
○
内閣総理大臣
(
菅直人
君)
国民
の
皆さん
、
国会議員
の
皆さん
、
菅直人
でございます。六月に
政権
を担って四か月、九月に
民主党代表
に再選され、党と
内閣
の改造を行い、
政権
を本格稼働させる
段階
に入りました。有
言実行内閣
の出発であります。 何を
実行
するのか。一言で申し上げれば、これまで先送りされてきた
重要政策課題
の
実行
です。
経済低迷
が二十年続き、
失業率
が増加し、自殺や
孤独死
が増え、
少子高齢化対策
が遅れるなど、
社会
の
閉塞感
が深まっています。この
閉塞感
に包まれた
日本社会
の現状に対し、どの
政権
に
責任
があったか問うている
段階
ではありません。先送りしてきた
重要政策課題
に今こそ着手し、これを次の世代に残さないで
解決
していかなければなりません。それが有
言実行
に込めた私の覚悟であります。
解決
すべき
重要政策課題
は、
経済成長
、
財政健全化
、
社会保障改革
の
一体的実現
、その前提としての
地域主権改革
の
推進
、そして
国民
全体で取り組む主体的な
外交
の展開の
五つ
であります。本日は、この
五つ
の
課題
について、私の考えを申し上げます。 まず最初の
課題
は、
経済成長
です。
国内消費
を取り巻く
状況
には厳しいものがあります。
需要
が不足する中、
供給側
が
幾らコスト削減
に努めても、
値下げ競争
になるばかりで、ますます
デフレ
が進んでしまいます。これでは景気は回復いたしません。
供給者本位
の視点から
消費者
の目線に転換することが必要です。
消費
も投資も力強さを欠く今、
経済
の歯車を回すのは
雇用
であります。
政府
が先頭に立って
雇用
を増します。
医療
・
介護
・
子育てサービス
、そして
環境分野
、
潜在的需要
のある仕事はまだまだ存在しております。これらの分野をターゲットに
雇用
を増やす、そうすれば、
国民
全体の
雇用
不安も
デフレ圧力
も軽減されます。
消費
が刺激され、所得も増えます。その結果、
需要
が回復し、
経済
が
活性化
すれば、更に
雇用
が創造されます。失業や不安定な
雇用
が減り、新しい公共の
取組
なども通じて
社会
の安定が増せば、だれもが居場所と出番を感じることができる、そういう
社会
になります。こうした
成長
と
雇用
に
重点
を置いた
国づくり
を新設した新
成長戦略実現会議
で強力に
推進
してまいります。 そのため、まず、今から来年度に向けて三段構えで
成長
と
雇用
に
重点
を置いた
経済対策
を
切れ目
なく
推進
してまいります。 既に、その第一
段階
、急激な円高・
デフレ
に対する
緊急的対応
を
実行
に移しています。
政府
、日銀は
為替介入
を実施いたしました。今後も必要に応じ、断固たる措置をとります。また、
即効性
のある
雇用対策
に
重点
を置いて
予備費
約九千二百億円を執行します。特に、
新卒者
の就職に力を入れます。仕事を探す側、
雇用
する
事業者
、双方の
負担
を軽減し、
ワンストップ
で
雇用
をつなぐ仕組みを全国的に展開します。さらに、低
炭素産業
の
新規立地
を補助して
雇用
を守る
取組
や、
地域
の
雇用
をつくる
取組
も盛り込みました。日銀に対しては、
政府
と緊密な連携を図りつつ、
デフレ脱却
の
実現
に向け、更なる必要な
政策対応
を取ることを期待をいたしております。 そして、
デフレ脱却
、
景気回復
を軌道に乗せるため、今
国会
での
補正予算
の
編成
を含め、第二
段階
にいよいよ入ります。中身が重要です。野党からの提言も踏まえ、
五つ
の柱から成る大枠を提示をいたしました。 第一の柱が
雇用
・
人材育成
、第二が新
成長戦略
の
推進
、第三が
子育て
や
医療
・
介護
・福祉、第四が
地域活性化
、
社会資本整備
と
中小企業対策
、第五の柱として規制・
制度改革
に取り組みます。 例えば、
再生可能エネルギー
の
利用拡大
に向け、全量買取り
制度
の円滑な導入を目指すとともに、大
規模太陽光発電
や新
エネ・省エネ設備
に係る規制を緩和いたします。日本を
国際医療交流
の拠点とするため、ビザや
在留資格
の取扱いを改善します。さらに、
雇用創出効果
の大きい
国内立地促進策
を新設した
円卓会議
で早急にまとめます。いずれも
国民生活
に直結する
課題
です。
与野党
間で
意見交換
を進め、
補正予算
を含め、合意を目指したいと思います。 第三
段階
は、既に作業を始めている来年度
予算編成
と
税制改正
です。
予算編成
では、元気な
日本復活枠
も活用し、
需要創造
や
雇用創出
を強化します。
法人課税
については、
税制
の
簡素化
、海外と比較した
負担
といった
観点
から、年内に
見直し案
を取りまとめます。
ものづくり
でも
サービス産業
でも、業種を問わず、新しい
需要
を引き出し、豊かで安心な暮らしを
実現
するイノベーションを起こすことが重要です。この
観点
から
研究開発
や
人材育成
も強化します。 改めて申し上げます。今
国会
の最大の
課題
は、第二
段階
である
経済対策
のための
補正予算
の成立です。
与野党
間での建設的な協議に心から期待をいたします。そして、
切れ目
なく第三
段階
に進み、新
成長戦略
の
前倒し実施
により、
日本経済
を本格的な
成長軌道
に乗せていきたいと考えます。是非とも、御理解、御
協力
をお願い申し上げます。 二番目の
重要政策課題
は、
財政健全化
です。現在の
財政状況
を放置すれば、どこかで持続できなくなります。
政府
は、六月に
財政健全化
の道筋を示した
財政運営戦略
をまとめました。二〇一五年度までに
基礎的財政収支
の赤字を対
GDP比
で今年度の半分にし、二〇二〇年度までに
黒字化
を達成するものです。大変高い
目標
ですが、
成長
と
雇用拡大
を
実現
しながら、一歩ずつ達成を目指します。 最初の一歩が、無駄の徹底した
削減
を含む来年度
予算
の
編成
です。昨年は、四百四十九の
事業仕分
をし、約二兆円の
財源確保
を
実現
いたしました。引き続き、強力に無駄の
削減
を徹底します。そもそも、
財政
がいかなる
状況
にあろうと無駄は許されません。
事業仕分
を
特別会計
に広げるなど、幅広く事業を
見直し
ます。
マニフェスト実現
には引き続き誠実に取り組みます。
財源
の制約などで
実現
が困難な場合は、
国民
に率直に説明し、支給の方法や対象を含め、
国民
が納得できる施策に仕上げてまいります。
歳出見直し
は、単に切り詰めることが目的ではありません。
行政
が
利用者
の視点に立って
サービス
を提供し、より効率的に奉仕する体制にすることが重要であります。
公務員制度
の
改革
もこの
目標
を共有しています。
国家公務員
の総
人件費
の二割
削減
と併せ、一体的に取り組んでいきます。また、国の
出先機関
の統廃合を含め、各
府省
の機構や定員をスリムにします。
公務員諸君
に改めてお願いを申し上げます。
行政
のプロとして
皆さん
の心構えが問われているということを申し上げておきたいと思います。 三番目の
重要政策課題
は、
社会保障改革
です。
社会保障制度
がしっかりしなければ、
国民
の将来に対する不安はぬぐえません。この不安が
消費
の低迷、
経済
の停滞の背景になっています。
改革
を急がなければなりません。
一般論
として、多少の
負担
を
国民
の
皆さん
にお願いしても安心できる
社会
をつくっていくということを重視するのか、それとも、
負担
はできるだけ少なくし、個人の
自己責任
に多くを任せるのか、大きく二つの選択の道があります。私は、多少の
負担
をお願いしても安心できる
社会
を
実現
することが望ましい道だと、このように確信をいたしております。 まず、求める
社会保障
の姿について
議論
を進めます。安定した
年金制度
や十分な
医療
・
介護
・
福祉サービス
を確保していかなければなりません。
高齢化
などに伴い、今のままでも
社会保障費
は毎年一兆円以上増加してまいります。さらに、新たなニーズも生じています。孤立したお年寄りを守る、女性を乳がん、
子宮頸がん
から守る、子供を貧困や虐待から守る、あらゆる人を自殺や
災害
から守る。強者の論理でなく、弱者に寄り添い、こうした
課題
にもこたえなければなりません。
社会保障
の基盤となる
番号制度
をどう整備するかを決める必要もあります。個々の
課題
にばらばらに答えを出しても根本的な
解決策
にはなりません。
政府
は、
社会保障改革
の全体像について、必要とされる
サービス
の水準、内容を含め、
国民
に分かりやすい選択肢を提示していきたいと思います。 その上で、
国民
の選択に当たり、
社会保障
に必要な
財源
をどう確保するか一体的に
議論
する必要があります。
消費税
を含め、
税制
全体の
議論
を進めたいと思います。結論を得て実施する際には、
国民
に信を問うというこの方針に変更はありません。当然、
与野党
を超えた
議論
が不可欠です。それに向け、
政府
・与党で
社会保障改革
の全体像を検討する場を設け、野党の
皆さん
とも
意見交換
をしていきたいと、このように思います。
子ども
・
子育て支援
にも、引き続き
重点
的に取り組みます。どの子供も、この国の将来を担う宝です。家族だけでなく、
地域
で、さらには国で大切に育てていかなければなりません。高校の
授業料実質無償化
を着実に実施し、
子ども手当
は、
現金給付
と
保育所
の整備などの
現物支給
のバランスを取って拡充する方針です。
幼保一体化
を含む法案を来年の
通常国会
に提出する準備を進めます。
少子高齢化
の下で
労働力人口
が減少し始めております。
待機児童
の解消を急ぎ、働く女性を応援し、
男女共同参画
を
推進
します。 以上の三つの
重要政策課題
の
解決
に当たって、
地域主権改革
の
推進
がかぎとなります。
地域
が主役となって特色ある
産業振興
や住民の要望に応じた
社会サービス
の提供ができるよう、我々の世代で確たる道筋を付けなければなりません。残念ながら、これまで実感のある変化は生じておりません。壁を打ち破るため、まず、
ひも付き補助金
の
一括交付金化
に着手をいたします。来年度
予算
では、各
府省
の枠を超えて
投資的資金
を集め、
自由度
の高い
交付金
に再
編成
します。
地域
で霞が関の発想に縛られない独自のモデルを構想していただきたいと思います。国の
出先機関
が扱う事務・
権限移譲
については、各
府省
が検討結果を八月末に提出しましたが、不十分であり、やり直しを指示いたしました。横断的な移譲の指針を示し、年内を
目標
に検討を進めます。 五番目の
重要政策課題
は、主体的な
外交
の展開です。今日の
国際社会
は、
安全保障面
でも
経済面
でも歴史の分水嶺とも呼ぶべき大きな変化に直面をしております。
新興国
の台頭で
世界
の
力関係
も変貌を遂げております。
我が国周辺地域
に存在する不
確実性
、
不安定性
は予断を許しません。こうした
国際情勢
の下、
天然資源
・
エネルギー
や市場を海外に依存する
我が国
は、いかにして平和と
繁栄
を確保するのか。受動的に対応するだけでは不十分です。
国民
一人一人が自分の問題としてとらえ、
国民
全体で考える主体的で能動的な
外交
を展開していかなくてはなりません。その際、国を思い切って開き、
世界
の活力を積極的に取り込むとともに、
国際社会
が直面するグローバルな
課題
の
解決
に向け、先頭に立って貢献することが不可欠です。また、
防衛計画
の大綱の
見直し
に当たっては、真に役に立つ実効的な
防衛力
を整備するため、これからの時代にふさわしいものを本年中に策定いたします。
日米同盟
は、
我が国外交
・
安全保障
の基軸です。先日、
オバマ大統領
との会談でも、
日米同盟
が
アジア太平洋地域
のみならず
世界
の安定と
繁栄
のための
共有財産
であること、そして、
日米同盟
を二十一世紀にふさわしい形で、
安全保障
、
経済
、文化・
人材交流
の三本柱で更に深化、発展させていくことを確認をし合いました。また、アフガニスタン・
パキスタン支援
、イランの核問題、
気候変動
、核軍縮、核不拡散など、
国際社会
が直面する
課題
へも
日米
が
協力
して対処することで一致いたしました。十一月の
APEC
の際に予定されている
日米首脳会談
では、さらに
日米同盟深化
のための
具体策
を詰めていきます。
普天間飛行場
の移設問題については、本年五月の
日米合意
を踏まえて取り組むと同時に、
沖縄
に集中した
基地負担
の軽減にも取り組みます。
沖縄
の方々の御理解を求め、誠心誠意説明してまいりたいと思います。
日中両国
は一衣帯水のお互いに重要な隣国であり、両国の
関係
は
アジア太平洋地域
、ひいては
世界
にとって重要な
関係
だと認識しております。近年、
中国
の台頭については著しいものがありますが、
透明性
を欠いた
国防力
の強化やインド洋から東シナ海に至る
海洋活動
の
活性化
には懸念を有しております。尖閣諸島は歴史的にも国際法的にも
我が国固有
の領土であり、領土問題は一切存在いたしておりません。先般の事件は、
我が国
の
国内法
にのっとり粛々と処理したものであります。
中国
には、
国際社会
の
責任
ある一員として、適切な役割と言動を期待いたします。
日中両国
間に様々な問題が生じたとしても、
隣国同士
として冷静に対処することが重要と考えます。
日中関係全般
については、
アジア太平洋地域
の平和と
繁栄
、
経済分野
での
協力関係
の進展を含め、
大局的観点
から
戦略的互恵関係
を深める
日中双方
の努力が不可欠だと考えます。 この秋は、
我が国
において重要な
国際会議
が開催されます。
生物多様性条約
に関するCOP10では、
議長国
としての重要な役割を果たします。また、私が
議長
を務める
APEC首脳会議
では、米国、韓国、
中国
、ASEAN、豪州、
ロシア等
の
アジア太平洋諸国
と
成長
と
繁栄
を共有する環境を整備します。架け橋として、EPA、FTAが重要です。その一環として、
環太平洋パートナーシップ協定交渉等
への参加を検討し、
アジア太平洋自由貿易圏
の構築を目指します。
東アジア共同体構想
の
実現
を見据え、国を開き、具体的な交渉を一歩でも進めたいと考えます。
北朝鮮
については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の
包括的解決
を図り、
日朝平壌宣言
に基づき、不幸な過去を清算し、
国交正常化
を追求します。拉致問題については、国の
責任
において、すべての
拉致被害者
の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くします。なお、
北朝鮮
の
政治情勢
については、引き続き注視してまいりたいと思います。 以上の
課題
に臨む我々
国会議員
の在り方について一言述べます。金の掛からないクリーンな政治の
実現
、これは
国民
の強い要望です。私自身の政治活動の原点でもあります。民主党は、企業・団体献金の禁止、
国会議員
の定数
削減
について党内で徹底的に
議論
をし、年内に方針を取りまとめたいと思います。その後、
与野党
間で協議をし、まとめていきたいと思います。 本日、
国会
が召集されました。日本が現在抱える
課題
を
解決
し、次の世代に先送りしない
責任
を
国会議員
が
協力
して果たせるか、
国民
の期待にこたえることができるか、この
国会
が試金石となります。郵政
改革
法案、地球温暖化
対策
基本法案、労働者派遣法改正法案などの審議もお願いすることとなります。私は、今回の
国会
が、具体的な政策をつくり上げる政策の
国会
となることを願っております。そのために、
議論
を深める熟議の
国会
にしていくよう努めたいと考えております。結論を出す
国会
になることを期待をいたしております。 この場にいる我々を隔てるものは、どこに座っているかではありません。野党の皆様にも真摯に説明を尽くし、この国の将来を真剣に考える方々と誠実に
議論
をしてまいりたいと思います。そして、何とか合意ができないか知恵を絞ってまいります。
国民
に選ばれた
国会議員
が全力を尽くしてこの国の政治を築いていく、真の
国民
主権の政治に向け、共に頑張ってまいりたいということを申し上げ、所信の表明とさせていただきます。 ありがとうございました。(
拍手
)
西岡武夫
14
○
議長
(
西岡武夫
君) ただいまの
演説
に対する質疑は次会に譲りたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
西岡武夫
15
○
議長
(
西岡武夫
君) 御
異議
ないと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十八分散会