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2010-11-11 第176回国会 参議院 法務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年十一月十一日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  十月二十八日     辞任         補欠選任      上野 通子君     山崎 正昭君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         浜田 昌良君     理 事                 中村 哲治君                 前川 清成君                 森 まさこ君                 桜内 文城君     委 員                 有田 芳生君                 江田 五月君                 小川 敏夫君                 今野  東君                 田城  郁君                 柳田  稔君                 金子原二郎君                 丸山 和也君                 溝手 顕正君                 山崎 正昭君                 木庭健太郎君                 井上 哲士君                 長谷川大紋君    国務大臣        法務大臣     柳田  稔君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    岡崎トミ子君    副大臣        内閣府副大臣   末松 義規君        法務大臣    小川 敏夫君    大臣政務官        法務大臣政務官  黒岩 宇洋君        国土交通大臣政        務官       津川 祥吾君    事務局側        常任委員会専門        員        田村 公伸君    政府参考人        警察庁刑事局長  金高 雅仁君        法務省刑事局長  西川 克行君        海上保安庁次長  城野  功君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○法務及び司法行政等に関する調査  (尖閣衝突事件ビデオ流出問題に関する件)  (秋田県の弁護士刺殺事件に関する件)  (国家公務員法守秘義務違反に関する罰則規  定の強化に関する件)  (国家公務員法第百条の「秘密」の意義に関す  る件)  (検察在り方検討会議に関する件)  (検察官の倫理規程制定必要性に関する件)     ─────────────
  2. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十月二十八日、上野通子君が委員を辞任され、その補欠として山崎正昭君が選任されました。     ─────────────
  3. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会警察庁刑事局長金高雅仁君、法務省刑事局長西川克行君及び海上保安庁次長城野功君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 森まさこ

    森まさこ君 おはようございます。自由民主党の森まさこでございます。  検察又は法務にかかわる重大な事件が毎日のように報道されておりますけれども、こんなにも当委員会にかかわる重大事件が並行して、そして頻発するという事態はいまだかつてなかったというふうに思われます。  そこで、前回理事懇におきまして、私が自民党といたしましてこの法務委員会の下に検察制度在り方検証する小委員会を設置してはどうかという御提案をさせていただいて、野党の皆様には賛同の意を示していただき、まだ内容の構成についてははっきりと決まっておりませんが、民主党さんにおいても持ち帰って協議をしていただいているところでございます。最高検の中にも検証機関ができ、そして柳田法務大臣の下にも検察在り方に関する検討チームができたということでございます。最高検については十二月末をめどに何らかの取りまとめをするというやにも伺っておりますので、やはりこういった国会の場においても小委員会を設置して機動的に、そして閉会中も調査を続けて、最高検法務省検討チームと同じ時期にやはり検証を進めて、またそれらを国民の代表の国会の目からチェックしてまいりたいという意味で私ども提案をさせていただいたところでございます。  こういった小委員会において国会で検討していくということについて、法務大臣から御見解があればいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  7. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) おはようございます。  おっしゃるとおりにいろんなことが出てまいりまして、いろいろと我々も対応に努力をさせてもらっているところでございます。  今、森委員の方からのお話でございました。私がどうのこうの意見を述べる立場にはないと思っていますので、国会での御判断になろうかと思います。
  8. 森まさこ

    森まさこ君 党の意見をお伺いしたのではなくて、大臣の御見解をいただきたいと思ったんですけれども、もう一度お願いできますでしょうか。
  9. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 国会議員でもあるんですけれども、私は今行政の方でございますので、三権分立を尊重いたしておりますので、国会国会の方で御判断されるだろうと、そういうふうに思っております。
  10. 森まさこ

    森まさこ君 大臣の御見解をいただきました。  それでは次に、尖閣諸島沖事件についてお伺いしていきたいと思いますけれども、ビデオ流出いたしました。これが四日のことであります。これについて昨日もニュースがありまして、海保職員の方についていろいろな報道がなされております。ただ、私は、何かしらこの犯罪者扱いをしているということに違和感感じております。これについて私は、追い込みをするような、責任をなすりつけるような、そのような感じを受けております。  と申しますのは、やはりそもそもの原因ビデオを公開しなかった、又はその前にさかのぼれば、私が当委員会予算委員会で指摘をさせていただいたように、処分保留釈放というものをおよそ適用できないと思われる刑事訴訟法二百四十八条の、適用と言わずに趣旨を勘案してというようなことで無理やりのように当てはめて、検察判断のみであるというふうにして処理してきたということに私はそもそもの原因があるのではないかというふうに感じておるわけでございます。  海上保安庁職員の方々は国境の地で命を懸けて職務に励んでいらっしゃる、その中での、いろいろな思いがあっての中の行動でもあったのかと推測をいたしますが、私は、法律家というものは感情論に流されるべきではないとは思っておりますが、そもそも法律とは何かということを考えますと、これは社会常識をルール化したものでございます。そういったことから、法律適用について判断をするときにはやはり社会常識一般通念というものが判断材料に一番、最も重い判断材料になると考えております。  私の今の考えを聞いて、大臣、この度の動きについて違和感をお感じになりませんか。
  11. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 処分保留のまま釈放したという件につきましては、従来からここの場でもお答えをしておりますけれども、検察当局が法と証拠に基づいて適切に判断したものと私は承知をいたしております。
  12. 森まさこ

    森まさこ君 海上保安庁職員の方のビデオ流出に関して大臣記者会見で、もしこれが事実ということになれば大変遺憾なことだと思っておりますと御発言になりました。どういった点が遺憾なことだとお感じになっていらっしゃるんですか。
  13. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 法務省の中でも今回いろいろと調査をさせていただきました。結果として流出したビデオ捜査資料とほぼ同じものだという認識に我々も至りました。そういった資料公判前に出るということについては、先ほど委員がお触れになりましたように、大変遺憾なことだというふうに申し上げた次第でございます。
  14. 森まさこ

    森まさこ君 そうしますと、その海保職員の方が、これは流出したかどうかまだ決定したわけではございませんが、仮にそうであったとしたら、その海保職員個人の方の行動が遺憾であったと、そういう趣旨でございますか。
  15. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 流出したビデオ内容が、先ほども申しましたように、捜査資料とほぼ同一であったというふうに申し上げましたけれども、それがこういうふうに流出したことに対して私は遺憾だというふうに申し上げたところでございます。
  16. 森まさこ

    森まさこ君 大臣問いに答えていただいていないんですけれども。  流出したことが遺憾だという、流出に至るいろいろなプロセスがあると思うんですけれども、その個人の方の行動が遺憾だということなんですか。
  17. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 昨日の衆議院予算委員会でもいろいろとその件は議論なされたことは承知いたしております。今捜査中でございますので、個人がどうのこうのということについては個別のことでございますので、私がここで答弁することは控えさせていただきたいと思います。
  18. 森まさこ

    森まさこ君 インターネット上に流れた四十四分のビデオですけれども、大臣御覧になりましたか。
  19. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 四日の朝、五時半ぐらいに目が覚めまして、顔を洗ったりして五時ぐらいからニュースが始まりますので、それを見て初めて知りました。それが四日の日の朝でございました。
  20. 森まさこ

    森まさこ君 そうしますと、大臣ニュースに流れた一部分の映像御覧になったということですか。インターネットに流れた四十四分の映像を全部御覧になりましたか。
  21. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 私はそういう機材を宿舎に持っていませんので見ておりません。
  22. 森まさこ

    森まさこ君 別に宿舎じゃなくても大臣室でもいいんですけれども。  それでは、御覧になっていないということですが、なぜ御覧にならないんですか。
  23. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) ニュースユーチューブという字幕がありますよね。あれをいろいろと流れていましたので、それを見たというのが私の正直なところでございます。
  24. 森まさこ

    森まさこ君 いや、私の問いは、なぜ四十四分のものを御覧にならなかったのかと伺っているんです。
  25. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) ユーチューブは朝もう消されたというふうに聞いていますけれども。ですから、私はその後、見る機会はなかったと思いますし、またいろいろと国会の審議もございましたのでそういう機会がなかったというのが正直なところでございます。
  26. 森まさこ

    森まさこ君 あれを見ますと、中国漁船による不法操業領海侵犯実態、これが明らかであるというふうに思います。そして、主権の侵害ということはもちろんのこと、一つ間違えれば海上保安庁職員の命を奪っていたかもしれない、そういう悪質な危険極まりない行為であったというふうに私は考えています。  このような重大なビデオをなぜ公開しなかったかということを私は大変疑問に感じるんですけれども、政府が今まで御説明になっていたのは、一つには捜査資料ということですが、これは仙谷官房長官がもう既に公判が実現不可能であるということを答弁なさっていますから、捜査資料であるということは余り理由にならないと思います。  もう一つ中国政府への配慮ということでございますが、やはりその配慮というのも逆効果であったのではないかと私は思うのです。  ああいった実態国民の目からずっと隠し続けていたということで、やはり私は、今回のことのそもそもの原因政府にある。そして、海保職員個人行動を、その罪を問うよりも、組織としてのそのガバナンス在り方、これをまず問題にすべきであって、私は、やはり最初にいきなり告発ということ、そして捜査に入っていくこと、これが良かったのかどうか、私は大変疑問に感じております。  そういった前提の下で、まず事実関係ですけれども、このビデオ流出について報道がなされておりますが、この事実関係について海上保安庁の方から御説明をいただきたいと思います。
  27. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) その前に一言いいですか。その前に一言
  28. 森まさこ

    森まさこ君 いや、私の質問は、まず事実関係を聞きたいと思います。
  29. 城野功

    政府参考人城野功君) 海上保安官ビデオ流出されたとの報道についてでございますけれども、第五管区海上保安本部神戸海上保安部所属巡視艇「うらなみ」の乗組員が、十日午前九時ごろ、船内におきまして船長に対して自分映像記録流出させた旨申し述べたため、当時明石海峡付近において航路哨戒中であった当該巡視艇神戸港に入港させ、その後、十二時過ぎから神戸第二地方合同庁舎内におきまして事情聴取を受けたと聞いております。  以上でございます。
  30. 森まさこ

    森まさこ君 ありがとうございます。  私は、このビデオ流出を受けて、また事件最初から振り返ってみたんですけれども、九月二十四日に那覇地検処分保留釈放を発表したときに、そのときの記者会見の全文を読みますとちょっと納得のいかない部分があるんですけれども、巡視船二隻にぶつかっていると。私は流出された映像を見ましたが、「みずき」と「よなくに」にぶつかっていて、これはどちらも非常に激しくぶつかっておりまして、その他の状況から見てもこれは公務執行妨害に該当するなと思うんですけれど、処分保留釈放のときの那覇地検のこの記者会見には「みずき」のことしか書いてないんですね。「みずき」に向けて、「みずき」に衝突させたと。「みずき」に航行障害を発生させるおそれ、「みずき」の甲板上の乗組員らが海に投げ出されるおそれがあった危険な行為であった。「みずき」に現実に発生した損傷があると。幸い「みずき」乗組員が負傷するなどの被害の発生もありませんでした。全部「みずき」のことだけになっているんです。  これについて、検察庁の、なぜ「みずき」のことにだけ言及していたのかという理由を聞きたいと思います。
  31. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 大変申し訳ないのでありますけれども、個別具体的事件における捜査機関活動内容にかかわる事柄でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。  なお、少しいいですか、ビデオの件について。
  32. 森まさこ

    森まさこ君 時間がないので。
  33. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 衆議院議長から地検の方に要望がございました、御存じのように。その要望を受けて、地検海上保安庁がいろいろと議論をして、そして最終的に国会に提出するビデオを作りました。その際に、地検の方から衆議院議長の方に要望を出しました。これは御存じのとおりであります。  その中に書いてあることは、御理解をいただきたいんですけれども、海上保安庁捜査の過程で収集された証拠でございます。そして、マスターテープ海上保安庁にございました。その中のどれを国会に出すべきか、いろいろ議論したわけですが、その際に、海上保安庁においては海上警備取締り活動秘匿性への配慮、これが必要であるという要望も付けました。同時に、関係者の名誉、人権への配慮も必要であると、そういう判断の下にああいうビデオが作成されたということは御理解をいただきたいと思います。
  34. 森まさこ

    森まさこ君 大臣前回も私が質問していないことについて答弁なさって、私、それ、本当は冒頭申し上げようかと思っていたんですけれども、申し上げませんでしたけれども、質問権というものがありますので、やはり短い時間でたくさんのことを質問しようと思っております。質問したことだけに答えていただければというふうにお願いを申し上げます。委員長にもお願いを申し上げます。  ビデオについては、私、国会に提出するときにもう秘匿性配慮してほしいとかいろいろ注文を付けたんですと、それを言っていることこそおかしいと思うんですよ。それ、そんなふうに言っておきながら、流出したことについて本当に恥ずかしいと思っていないのでしょうかと思うんです。私が先ほど言ったガバナンスの問題や組織の問題というのはそういうことなんでございます。  地検が、これは海保が収集した証拠マスターテープ海保にあると言っているのは、何か全部海保が悪いんだからおれら関係ないよと、そういう意味ですか。私は、海保地検というのはずっと一緒に捜査をしてきたんですよ。先ほど私が指摘した九月二十四日の、この中でもそういうふうに述べておりますよ。  そうしましたら、私は法律家として当然のことだとは思いますけれども、この収集した証拠捜査上の証拠として取り扱っている、私はそれはおかしいと思いますけど、あなた方が捜査上の証拠だと言っているんです。それでしたらちゃんと、そのテープを受け取ったら、マスターテープの保管がどうなっているのか、それはこの捜査に至るまでに何本ダビングされて、だれが見れる経緯にあって、そして、それはもうこの後、捜査上の証拠だからもうなくしてくれというような管理をきちっとするのは当然のことですよ。そういったことを棚に上げて、自分たち国会に提出するときに秘匿性配慮について言っておりましたと、そういったことを大臣が今何か唐突におっしゃることが私には本当に理解に苦しみます。苦しみますが、質問を続けさせていただきます。  私は、先ほど質問した途中で大臣に遮られてしまったんですけれども、「みずき」にだけ何で触れていたのかと聞いたんですよ。それについては個別の事件だから答えられないと言った。じゃ、海保に聞きますよ。海上保安庁、答えられますか。
  35. 城野功

    政府参考人城野功君) 検察の方で判断して発表されたものと承知しております。
  36. 森まさこ

    森まさこ君 私は、逮捕事実、これに「みずき」のことしか挙げられなかったということを海上保安庁から説明を伺っております。二隻ぶつかったんですけれども、「みずき」の方だけ逮捕事実に挙げたということについて、私はちょっとおかしいなと思っているんですけれども、ここで確認をいたしますけれども、「よなくに」の方は乗組員が負傷したり死亡したりしたことはなかったんですか。
  37. 城野功

    政府参考人城野功君) そういった事実はございません。
  38. 森まさこ

    森まさこ君 この二十四日の那覇地検プレスリリース、ここにわざわざ「みずき」については乗組員が負傷するなどの被害はありませんでしたと書いてあって、「よなくに」について何も言及がないものですから、今確認をさせていただきました。  このビデオ流出するに至った経緯で、私はこの最初記者会見もおかしいと思いますし、その前にさかのぼっても、逮捕するまでにとても時間が掛かった。そして、検察の方は勾留延長をしておきながら突然釈放をしたと。それから、その釈放するときの判断も、先ほど言ったように、刑事訴訟法二百四十八条という、およそ考えられない、それを適用ではなく趣旨を勘案するというようなことを言っている。そして、その二百四十八条の中のさらには非常に一般的な条項の中に日中関係、外交問題をはめ込んで行うという、これは先例になってしまったら検察は何でも判断できるということになってしまうんですが、まあ先例としての価値もないと思いますけれども、非常に私は遺憾だというふうに思っています。こういう現場に苦渋の判断をさせて、やはり国民から見たら政府の圧力があったんではないかというような不可解なそういう一連の動きがすべて政府リーダーシップのなさを露呈しておりますが、そういったことからこの流出事件というものが起きてしまったと私は思っています。  そして、これに対して仙谷官房長官が、国家公務員法守秘義務違反に関連して、その罰則現行法よりも強化をすることを考えなければならないというふうな御発言をいたしました。私は、それこそ大きな、もうあべこべの考えであって、先ほど言ったように、個人守秘義務違反の話よりも、本来組織としての規律がどうであったのか、政府リーダーシップがどうであったのかということが問われるべき事案なのに、それを個人の罪になすりつける、問題をすり替えているというふうに考えます。  私はこの件に関して所管大臣責任が非常に重いというふうに考えますが、柳田大臣はどのように受け止めていらっしゃいますか。
  39. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 質問趣旨がちょっと分からないんでございますけれども、今回のビデオ流出に対する私の責任ということでございますか。
  40. 森まさこ

    森まさこ君 私はわざと所管大臣と言ったんですけれども、私の意図するところは、そうです、柳田大臣責任ということです。
  41. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 今回のビデオ流出についての私の責任ですか。
  42. 森まさこ

    森まさこ君 そうです。
  43. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 今流出については捜査中でございますので、私が今とやかく言える段階ではないと思っております。
  44. 森まさこ

    森まさこ君 先ほど申し上げましたように、検察記者会見でこれについて、捜査というものは海保と共同して行っていましたということを言っております。私は、当然、柳田大臣にも大きな責任があるというふうに考えます。  仙谷長官がこのビデオ流出のメリットとデメリットというものを書いた、厳秘と書いた資料を手に持っているところ、これが写真に写って報道されました。それを見ますと、デメリットのところにビデオ流出犯人量刑が下がると、これが、ビデオを公開した場合ですね、政府ビデオを公開したときのデメリットとして書かれているんです。大臣はこれをどのようにお考えになりますか。どのように受け止めますか。
  45. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 予算委員会でそのことが指摘されまして、私はそのとき初めて知りました。ああ、そういう報道がなされたのかなという程度でございまして、中身について承知しているわけではございませんので、お尋ねの資料をどう思うかと言われても判断のしようがないところでございます。
  46. 森まさこ

    森まさこ君 そうしますと、大臣はあの資料御覧になったことがなかったんですね。
  47. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) そういう資料がああいうふうな報道をされたというとき初めて知っただけでございまして、それを見たこともございません。
  48. 森まさこ

    森まさこ君 官房長官厳秘資料を持っていて、この尖閣諸島沖についての事件で、所管でかかわる大臣が知らないというのも、この内閣の中での意思疎通というか意見の一致、どうなっているのかなと思いますが、この仙谷官房長官が持っていたペーパーに、今もうこれ見てからのことですからね、見る前のことじゃないですよ、見てからどう思うかということなんです。デメリットのところにビデオを公開したら流出犯人量刑が下がると書いてあるんです。これがデメリットとして書かれていることに関して、法務大臣としてどのようにお考えになりますか。
  49. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) そのメモを見ておりませんし、そういう報道があったということだけ承知いたしておりまして、その内容についてコメントをしろと言われても大変困ります。
  50. 森まさこ

    森まさこ君 メモを見てなくてもいいんですよ、報道されて写真に写っているんですから。それ、書いてあることについての御意見を伺っているので、それを書いた人がだれだとか、政府内の意見だとか、そういうことを聞いているんじゃないんです。大臣がどうお考えになるかなんです。ビデオを公開することのデメリット犯人量刑が下がると書いてあるんです。法務大臣として、量刑が下がると書いてあることにどういうふうにお考えになりますかと聞いているんです。
  51. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 見ていないものについて、また話も聞いていないものについてコメントしろと言われても大変困るんです。  ただ、警察当局がしっかりいろんなことを判断されるんではないかと、そういうふうに思っております。
  52. 森まさこ

    森まさこ君 私は、ビデオが公開されると、流出した犯人が更に英雄視をされて世論が盛り上がって、そして、いざ刑事裁判となったときに情状酌量の材料になるんじゃないかという意味で書いてあると思うんですけれども、それこそとんでもないことで、先ほどから言っているように、政府が公開していなかったことが原因ですから、これについて、今から公開したときに流出した人の量刑がどうなるかどうかなんてことをデメリットに書くこと自体、私は本当にその見識を疑いますが、まあ、だれが書いたかどうか分かりませんけれども、そんなものが厳秘資料として官房長官の手元にあるということ自体、大変ゆゆしき問題だというふうに思っています。  先日、大臣、話は変わりますが、この尖閣諸島事件について一般人からの告発があったことについて受理しましたかというふうに、私、この委員会で伺いました。告発があったというようなことは聞いたような気がするが、受理したかどうか分からないという御答弁でございました。  もう告発があってから一か月近くがたっていると思います。これは受理されたんでしょうか。
  53. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) これまでになされた告発は検察当局においてすべて受理されたものと承知いたしております。
  54. 森まさこ

    森まさこ君 この告発、一か月近く受理されなかったんですね。告発というのは要件が整っていればだれからの告発も受理しなければならないと思うんですけれども、長く受理されない事案は私も聞いたことがありますが、一か月というのは耳にしたこともございません。なかなか受理しなかったと。これ、告発受理していませんと、この後、中国人船長の処分が決まったときに検察審査会に申立てができないんですよ。ですから、私どもも大変心配をしておったんですが、とうとう受理されたということで。  この受理された日は、海上保安庁職員の、職員の方かどうか分かりません、受理された日というのはビデオインターネット流出された日と同じ日ですか。
  55. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 個別の告発状の扱いのことでございますので、受理日等、詳細については差し控えさせていただきます。
  56. 森まさこ

    森まさこ君 私は同じ日だと伺っているので事実を確認したいと思って質問したんですが、お答えがなくて残念です。  今まで尖閣諸島の質疑をさせていただきまして、やはり本当に私はすっきりしない。ビデオの原本の公開をこの委員会でずっと要求しておりますが、早く公開されることを望みますし、それから、先ほど指摘させていただきました、那覇地検が九月二十四日に釈放記者会見をしたときの那覇地検の次席検事の参考人招致を求めたいと思います。委員長
  57. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 後日理事会で協議いたします。
  58. 森まさこ

    森まさこ君 大臣はこの尖閣諸島の事件がありましてから石垣島又は那覇の方に行かれましたか。
  59. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 行っておりません。
  60. 森まさこ

    森まさこ君 なぜですか。
  61. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 適切に判断されたものと承知いたしておりますので、行っておりません。
  62. 森まさこ

    森まさこ君 適切に判断されたと考えているということですか。それは、だれの話を聞いて適切に判断されたと思っているんですか。
  63. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 就任したときから折に触れて刑事局長から報告を受けておりました。同時に、二十四日の日にも報告を受けました。その検察当局判断が適切だというふうに考えておりますので、私は行くことはいたしておりません。
  64. 森まさこ

    森まさこ君 自由民主党は、法務関係でシャドーキャビネットというのを自民党にもつくっておりますが、その法務大臣、副大臣というものにおいて、現地に行ってやはり現地の方々のお話をよく聞いているということを申し上げておきたいと思います。  次の質問に移りたいと思いますけれども、この尖閣諸島のビデオ流出した方について、公益通報者保護法という法律がありますが、それで保護することができないかということについて、この公益通報者保護法の所管である消費者大臣に御見解を伺いたいと思います。
  65. 末松義規

    ○副大臣(末松義規君) 本件で公益通報者保護法が適用されるためには一定の要件が必要でございます。まず、本件映像流出したとされる職員の労務提供先である海上保安庁について、通報対象事実となる同法所定の法令違反行為があること、そして次に、同法所定の外部通報先に通報したと言えることが必要となります。  現時点におきまして、今海上保安庁の法令違反行為確認されたというお話は聞いておりません。また、それに今現在、この件、捜査中でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思っております。
  66. 森まさこ

    森まさこ君 海上保安庁の違法行為確認されていないと今おっしゃいましたか。
  67. 末松義規

    ○副大臣(末松義規君) そのようなことが確認されたという話は私は聞いていないということを申し上げました。
  68. 森まさこ

    森まさこ君 この公益通報者保護法は、第一条に目的が書いてありまして、「国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の規定の遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とする。」と書いてあります。この目的を見ますと、本件のような場合に、残念ながら法令違反がないという、その法令というのはこの法律の中に列挙されているものでなくてはならないということでございますが、不備があるのではないかと私は考えます。消費者大臣、隣に座っていらっしゃるので消費者大臣の御見解がお聞きしたかったのですけれども、残念です。  次に、秋田・弁護士の殺害事件について伺いたいと思います。  くしくもこれもビデオ流出と同じ四日でございましたけれども、秋田の弁護士津谷裕貴さんが自宅で剪定ばさみで複数回胸や腹部を刺されてお亡くなりになりました。この津谷さんは日本弁護士連合会の消費者問題対策委員長をなさり、今、岡崎トミ子消費者大臣もそこにいらっしゃいますけれども、消費者問題に大変御貢献なさっていた弁護士さんでございます。その津谷弁護士が弁護士業務の相手方である方に刺されたという悲惨な事件でございます。  これについて、報道を見ますと、実は警察が駆け付けてから警察がいたにもかかわらず殺害されてしまったということが報道されております。こういったことが起こったことに対する国家公安委員長の御見解と、それから今後のこの事件検証と、そして二度と起こることのないようにという予防についての御決意を伺いたいと思います。
  69. 岡崎トミ子

    国務大臣岡崎トミ子君) お答えをいたします。  本件は現場に臨場した、その場に駆け付けた警察官が被疑者を制圧すべく懸命に努力したものでありましたけれども、結果的には命を守ることができませんでした。誠に遺憾であり、痛恨の極みでございます。  今、森委員がおっしゃいましたように、津谷弁護士は日弁連におきまして消費者問題対策委員長でいらっしゃいまして、十月五日に消費者庁の方に日弁連の委員の皆さんと一緒においでくださいました。大変熱心に地方消費者行政についても熱く語られていたその姿が思い浮かんでまいります。被疑者の方の御冥福を心からお祈りを申し上げ、(発言する者あり)被害者の方の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の皆様方にも心からお悔やみを申し上げたいというふうに思います。  そして、予防策でございますけれども、現在捜査中の事案でございまして、予防策を講じるためには事件の全容解明が必要となります。現時点で言えることといたしましては、この事件において警察官が装備資機材を十分に備えないままに現場に臨場するなどの反省点があったと報告を受けているところでございまして、その反省点を踏まえた措置が講じられるものと承知しております。  今後、捜査結果を踏まえた上で必要な措置が講じられるように督励をしてまいりたいと思います。
  70. 森まさこ

    森まさこ君 この事件は警察が被疑者と被害者を間違えたんです。今も大臣がちょっとお間違えになりましたけれども、そのことに対するやはり真剣さが足りないと私思うんですね。  実は私、この質問をしようと思いまして、警察庁の方にレクに来ていただきました。一一〇番があって、主人を殺すと言っていると、そういう殺人事件の疑いがある連絡があったときになぜその装備をしていかなかったのか私は疑問でしたので、じゃ、そういうときにマニュアルがあるのかというふうに聞きました。マニュアルがあるのか。警察学校の教科書でもいい、秋田県警だけの手持ちでもいい、警察庁の全部の見本となるマニュアルでもいい、何でもいい、あの指導指針でもいい、持ってきていただきたいと言ったんです。警察庁は何と答えたと思いますか。マニュアルがあるかどうか分かりません、警察庁の中にもあるかどうか分かりません、警察庁の方がですよ。何でそんなことを言うのかと、私は非常におかしいと思うんです。  そもそもが、この事件のときにですよ、大臣は懸命に警察の方が努力したとおっしゃいましたけれど、新聞報道とそれから関係者の方にお話を聞きましたら、まず四時五分に二回目の一一〇番があって、一回目は怪しい人が来たと、二回目はもう主人のことを殺すよと言っている、そして近くを警らしていた機動捜査隊が駆け付けたということでございますが、これ二名という報道がありましたが、実は三名だったということです。三人もいたんです、警察官が。そして、中に入ったら二人がもみ合っていたということですね。もみ合っているところを、けん銃のようなものを持っていたから、津谷弁護士が犯人から取り上げたけん銃のようなものを持っていたからそれを間違えて取り押さえたと言っていますが、ぱっとそういうふうに思ってしまうこともあるかもしれませんが、そのときに津谷弁護士が、おれじゃない、あっちだと、そして通報した奥様も、菅原容疑者の名前を挙げて容疑者はあちらですというふうに叫んでいると。それでも更にずっと、二人掛かりでずっと津谷弁護士を捕捉している。  津谷弁護士の服装を見ればパジャマに近いスエット上下姿ですよ、そして足ははだしです。相手の被疑者の方は作業着姿にいろんなものを、火薬を入れたりいろんなものを隠して、そして靴を履いている。そういったものを見て判断をするということがマニュアルに書いてないんですかと言ったんですよ。マニュアルを隠し続けて、私は怒って、マニュアルがもしないとしたら、ないことの方が問題だと言ったら、慌てて、あっ、やっぱりあるかもしれませんなんて言って、そして、やっと朝、私のところに届いたのは警察学校の教科書のコピーですよ。マニュアルが本当にないんですか。私は残念でなりません。ないはずないんです。ないとしたら本当にその方がおかしいです。  さらにですよ、県議会の質問を聞いておりましたら、秋田県警に一一〇番が三万四千件ぐらい一年間であると。そのうち二万六千件ぐらいが信頼性のあるもの、そして、そのうち一万八千件に出動命令がある、そして、その中で殺すと言っているというようなこういう一一〇番、一件、この一件だったと。一年間で三万四千件分の一じゃないですか。こんな重大なときにどうして警棒も持たずに防弾服も着ないで行くんですか。  私は、本当にそのことの、警察の大きなミスであると思いますが、警察がこの事件の後すぐ発表して、残念だったけれども警察の方には落ち度はなかったという発表をしているんです。どうして内部調査をきちんとしなかったのか。そして、その後警察に事情聴取に呼ばれていた奥さんが、そこで現場を見ていた奥さんが、奥さんが一体どこまでを見ていたのか、奥さんが一体どこまで知っていたのか、警察はそれが気になったんでしょうけど、奥さんは見ていたんですよ。奥さんが、警察が来てから刺された、そして津谷弁護士を二人で取り押さえて、津谷弁護士が動けないときに被疑者の方が別の部屋に隠し持っていたこんな大きな剪定ばさみを取りに行かせるのも黙って見ていた。取りに行って突進してきたときに警察官の二人はよけたというじゃないですか。そして、よけて津谷弁護士のところに真っすぐ刺さっていったんです。警棒を持っていれば何らか防げたでしょうし、何でその市民がいるのによけるんですか。けん銃も持っていたのに、何でけん銃も使わないんですか。私はそのことに対する、警察が調査もしないでうちの方には落ち度もありませんと初日に言って、だから第一日目の新聞には、私はこの一報を見て大変驚いたけど、どこを読んでも警察が行ってから殺されたとは書いてない。警察が被疑者を取り違えたとも書いていないんです。奥さんが夜中に戻ってきて、しゃべって、それから記者の方が二日目の新聞にそれを書いたんですよ。私は、警察がこの取り違えというとんでもない行為をした、そして市民を守れなかったということに更に上塗りして、その組織行為を隠ぺいしたというふうに認定せざるを得ないと思うんですね。  私は最初の通り一遍の国家公安委員長のあいさつには満足しておりませんけれども、私のこの今の話を聞いて、公安委員長、今回のこの警察の行為について落ち度があったというふうにお考えになりませんか。
  71. 岡崎トミ子

    国務大臣岡崎トミ子君) まず、捜査一課長の方から、対応に落ち度はなかったと、そのようなコメントがあったということでございますけれども、この駆け付けました警察官は、まずその場において、最大に危険なその場をまず最優先にしようということで、けん銃を持っている者からけん銃を取り上げようということで、約一分半という短時間でありましたけれども、必死に被疑者を制圧しようとした、そのような現場であったということを報告を受けておりまして、そのことから結果的には被害者を守れなかったわけですから、私はこの件、反省点につきまして十分検討が行われなければいけないというふうに思っております。  そして、現場で被疑者を本当に制圧すべく頑張った、努力はしたけれども命を守れなかったことは誠に遺憾でありまして、痛恨の極みでございます。この警察当局に対しましては、訓練や対応要領、そして装備資機材、この整備等について必要な措置をしっかりと督励してまいりたいと思っております。  奥様が一一〇番通報をしてくださったということでございますが、一一〇番通報は一回であったということでございますけれども、その奥様のお話、まだこちらの方で直接お話を伺うような状況になっておりません。これから奥様についてのお話を伺っていくことになろうかというふうに思っております。  これからでございますけれども、やはり先ほどおっしゃったように、マニュアルがあるかどうかということでございました。ちょうどこの事件が起きます前に刑事部長の方から通知文が行っておりまして、これは機動捜査隊に対して、まさにこの事件適用するようなことで通知を出しております。  犯行を敢行する者は、興奮状態にあって通常では考えられない異常行動を取る場合が多く、現場に臨場した捜査官は冷静沈着であることを要求される、しかし、過去の例からも、現在、臨場した捜査員に対して、犯人からの攻撃が通常予測しにくい局面においていきなり刃物等で襲撃される事案が散見されるということで、今、森委員がおっしゃいましたけれども、剪定ばさみは、取っ組み合いの二人がもみ合っているその部屋からは飛び出していって、隣にあります応接室にあったその剪定ばさみを持って真っ暗い暗やみの中から突進してきたということでございましたので、そのとっさのときにもちろんかわしたということでありましたけれども、それで、その場で刺されたかどうかということについてこの一分間の間になかなか分かりにくかったというようなことで、私も現場からの詳しい報告については大体そのぐらいのことになっているところでございます。  捜査員はその剪定ばさみの存在を知らなかったというようなことはありますけれども、結果として、きちんと耐刃手袋や耐刃防護衣や、あるいは警棒や警じょうや大盾やさすまた、こういうものをきっちりと装備して、有効に活用して、緊迫した現場においてはけん銃を効果的に使用することも念頭に置いて、けん銃も携行させて現場に臨場させるなど装備資機材の有効活用を図ること、そういったことについては、八月の三十一日の段階でこれを各警察の方と機動捜査隊の方に申し上げまして、九月二日に秋田県の機動捜査隊におきましては朝礼で全員にこのことについては通知をしているようでございました。
  72. 森まさこ

    森まさこ君 通達が八月三十一日にあって、九月二日の朝礼で言っただけであるということでございます。私は、まずマニュアルがないと、ふだんからの研修もないということは大変不備であると思いますし、この通達をただ朝礼で申し渡しただけで徹底されていないということもおかしいですし、こういったことに対して検証していっていただきたいと。  弁護士が今、日々いろいろな危険な、DV等もございますけれども、そういった相談が増えてきている中で、やはり市民の方も安心して弁護士に相談するという、そういう環境を整えるためにも、やはり警察庁と法務省で連携を取って、このようなことが二度とないようにしていただきたい。そのためには、マニュアルを私に最初その存在を隠すような警察庁、そして第一日目に簡単に自分には落ち度がないと発表する県警、そういった内部の調査では全く信頼できませんので、第三者による調査機関を設置することを御提案を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  73. 丸山和也

    ○丸山和也君 自民党の丸山和也でございます。二十分間という短い時間を使わせていただいて、これから質問させていただきます。  まず、大臣、お聞きしたいんですけれども、ある小説で、「義民が駆ける」という小説が、タイトルのがあるんですけど、私もう二十年ぐらい前に読んで、最近ちょっと思い出して、本がどこに行ったか分からないんですが、あれはたしか藤沢周平だったかなと思ったりしているんですけれども、もしかしたら間違っている、そういうタイトルの小説を手にされたり読まれたことはございますか。
  74. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) ございませんし、多分そういう題名の本も頭に浮かびませんので、記憶にございません。
  75. 丸山和也

    ○丸山和也君 私がなぜここから聞いたかというのは、今回の尖閣のビデオ流出に関してこのことが頭をよぎったわけですけれども、これは例えば、私はやや国民、一国民ですけど、国民による一つの一揆みたいなものじゃないかと思ったんですね。政府並びに政府権力の行使、悪政というか、それに対する義憤を持った国民の、一人でありますけれども、一つの一揆に相当する行為じゃないかと思ったわけでありますけれども、これが法的にどうかというせせこましい枠を超えて、そういう義憤に駆られた行為のように私は推測しているんですけど、ここらについては、海保職員流出した行為について、そういう義憤に近い感情から、思いから発したもののように思われるんですが、この点については大臣はどのように思われますか。
  76. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 丸山先生の御意見は御意見として、私は捜査は適切に行われるものだと、そう思っております。
  77. 丸山和也

    ○丸山和也君 答えにはなっていませんけれども、私がこれ思ったのは、やっぱり四つの理由があると思うんです。まず第一、そのビデオ流出した当人の思いとして、まず中国人船長を釈放したことについての怒り、それが一つ。それから二つ目は、釈放理由について、起訴便宜主義の規定を利用して、犯罪後のその他の事情を考慮した、ここに外交関係が含まれているわけですが、こういう理由を取って付けて釈放したということに対する怒り。それから、この判断検察庁、具体的には那覇地検検察においてやって、政府関係していなかったんだという弁明といいますか、をさせたことに対する怒り。それからさらに、非常に国益にかかわる資料であるにもかかわらず、それを非公開にしようとした、隠そうとした政府に対する怒り、これらがいわゆるやっぱり一国民としての義憤につながったと。しかも、彼の場合は、海上保安庁職員という自分の身分を十分わきまえた上でこういうことをやっているということは、相当これ、法的な罰則も覚悟の上でやった行為だと思われるんですね。ということは、まあいろんな評価はあるでしょうけれども、非常に強い義憤があったと思うんですね。この点についてはこれから動機とかいろいろ調べる中でも明らかになってくると思われるんですけれども。  まず、今の政府における大臣法務大臣としてどのように思われますか、さっきと同じような質問ですけれども。捜査が粛々と行われるでしょうという、それは当たり前、今度こそは粛々とやってもらわなきゃ困るんですけれども、一国民としてのこの義憤ということについて、法の最高責任者にあられる大臣について、どのように対処されていくんですか。
  78. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 今捜査中でございますので、その捜査内容について私がここでお答えするのは控えたいと思います。
  79. 丸山和也

    ○丸山和也君 まあ話にならないというか、別に捜査内容をどうこう言ってくれというんじゃなくて、やっぱり法の執行の最高責任者として、それから、あるいは形式的に法に反すると、しかしそれが高度の国、国民、社会を思った一国民の義憤から出た行為である、こういうのがぶつかるような場面においてはどういう配慮をしながらというか注意をしながら法の執行に当たられるのかという心構えをお聞きしておるわけですよ。  そういうことには一切思いを致さないんだと、私は六法全書のような人間ですと、もう法を機械的にやるだけですということをおっしゃりたいんですか。
  80. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 法と証拠に基づいて適切に判断されると私は考えております。
  81. 丸山和也

    ○丸山和也君 すばらしい、何というか、まあ病人でいえば腎臓の悪い人はたんぱく質とか余り取っちゃいかぬということですね。米から全部たんぱくを抜き去ってしまって、見た目はきれい、けど、かすのような米を食うんですね。大臣の答弁はそんな感じですよ。中身がない、全く栄養のない、しかし値段だけ高い、しかし身は安泰と。こういう答弁を幾らやっても、まあ税金の無駄遣いですね、国会質疑自身がね。そういう意味では、やっぱりもう少し魂を込めた答弁をやっていただきたい。  それから、じゃ、少し残念だということを言った上で、国家公務員法百条に「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」という規定がありまして、これがまさに今問題になっている根拠法条でございますけれども。昨日から今日にかけてのいろんな世論あるいは社説、いわゆる専門家の意見を聞きましても、これは国家公務員法上の秘密には該当しないんじゃないかという意見と、いや、やっぱり該当するんだという意見と真っ二つに分かれている、真っ二つといってどうか分かりませんが、意見がいろいろあるようですけれども。今日の日経新聞の社説を見ましても、やっぱりそもそもこれが国家公務員法上の秘密に該当しないのではないかという意見が述べられています、社説においてですね。  それが一点と、その点について法務大臣は何か御意見ありますか、国家公務員法上の秘密に該当するかどうかという点について。
  82. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 流出事件については現在捜査中であります。職務上知ることのできた秘密に該当するか否かについて、警察当局において法と証拠に基づき適切に判断されると承知いたしております。
  83. 丸山和也

    ○丸山和也君 じゃ、ついでにもう質問抜きで私の方から三点ほど言わせてもらいますけど、これは秘密に該当しないと私は思うんですけれども、それの次に、政府は、これは刑事訴訟法の規定によって、今回ビデオを非公開とした理由について、捜査資料だから刑事訴訟法の規定で公判前には公にできないということでビデオの公開を拒んできたいきさつがあります。  これも、形式的に該当するといえば該当するんだけれども、実際のこれ、中国人船長は中国に帰ってきて、もう来ることは、連れてくることも期待できないと。すると、法律的に公判ということがもうあり得ないと。すると、その捜査資料だからという理屈もやっぱりおかしいと思うんですね。ここらについても、やっぱり法務大臣はしかるべき時期にしかるべき考えを表明されるべきだと思います。  それから次に、それから、最高裁判例が先ほど言いました秘密に関して、要するに非公知の事実であるということと、単に政府なりが、あるいは行政機関が秘密に扱うというんじゃなくて、客観的に見ても実質的に見ても秘密として扱われるべき性質のものであると、この二つが要件だということを言っているんですね。唯一のそれらしい最高裁判例ですけど。この二つを見ましても、やはり一部はもう既に国会議員の中で見られておりますし、その状況についてはいろいろ説明もされていますし、だから非公知だという要件にも当たらないんじゃないかと思われますし、まあそういうことですね。  だから、やっぱり過去の判例を見ても、国家公務員法上の秘密として扱う値打ちがないと思われますので、この点についても、しかるべき時点できちっと法務大臣としての見解を表明していただきたいと、このように思います。  それから、今回の海保職員行為に関しては、いろいろ、逮捕から釈放、それからビデオの一部、六分間ですか、のビデオの限られた範囲での視聴、それから今回ユーチューブでの流出と時間の経過とともにいろいろなことが起こっているのでありますけれども、私の体験したことでいえば、参議院の決算委員会での仙谷官房長官との質問の中で、APECが吹っ飛んじゃうよというああいう発言があったんですけど、あれに関しても、先ほど私は、前回委員会、当法務委員会でも言いましたけれども、これに関しては法的に粛々と刑事、民事の手続を進めたいと、このように思って今準備をしておりますけれども、これについて、時の官房長官を告訴するわけですから、大変な勇気も要りますしいろいろな準備も必要だと思うんですけど、これについては、告訴した場合、受理はしていただけますか。
  84. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 全くの一般論でございますが、告訴、告発がなされた場合については、その要件を満たしているか等を確認させていただいて適切に対処するということになろうと思います。
  85. 丸山和也

    ○丸山和也君 ここではっきり言っているわけですから、まさか告訴を受理しないということはないと思いますので、そのようにお取り計りいただきたいと思っております。  それから、現在、海保職員が取調べを受けているということでありますけれども、これについてもどのように処分されるか分かりませんし、もちろんもう大臣にこれを聞くのが適当でないこともよく分かっております。  ただ、場合によっては、私も彼の弁護人になるかも分からないわけですよね、いろいろな事情で。そういう中で、やはりこの事件を単なる一刑事事件として処理するには余りにも大きな問題が含まれていると。それが、先ほど官房長官メモの中で、ビデオ流出したら情状酌量に影響するからというふうなことを発言してしまったことに関連するんですけれども、もしこの行為を刑事事件として起訴して、訴追されてやるということであれば、堂々とやっていただきたい。  堂々とやっていただきたいということは、この事件をせっかく、せっかくって変ですけれども、せっかくこういう事件が残念ながら起こったわけですから、いい意味でも悪い意味でもね、やはり国益とは何かとか、国家公務員の秘守義務とはどういうことかとか、それから、やはり国を思い、いろんなことを思って義憤に駆られたような行動に対して法の適用はどのような対応で臨むのかという、これ非常に難しい、簡単なようで非常に難しいと思うんですよ。  これは、この事件を、例えば法に従って粛々とやる過程において国民みんなが考えさせられる問題だ、非常にいい、いいと言ったら変ですけれども、いい試練となる事件だと思うんですね。  例えば、もう全然話が違いますけれども、歴史が好きなもので若干言わせていただきますけれども、赤穂浪士の討ち入りがありましたね。あのときに、やはりこれはもう全員、法的に言えば、当時の法から、幕藩体制の法からいえば獄門さらし首ですよ、本当は。集団で殺りく行為に及んでいるわけですから、言語道断。しかし、一部では、これは本当に名誉ある、武士の魂、名誉ある行為であって、幕府としてはこれはもう、今で言う国民栄誉賞みたいなもんですね。そして、やっぱり寛大に、むしろ褒めてやるべきじゃないかという意見もあったそうです。しかし、体制を維持するという中でしかるべき処断をしなきゃならないと。しかし、結果は名誉ある切腹ということで、斬首にはならなかったと。  こういう、我々の先人がいろんなことを考えた中でいろんな行為をやっている。それから数百年を経た我々の法治国家の時代でありますけれども、やはり法を運用する上での知恵とか心というのをなくしては法のために人は死んでしまうと思うんですよ。  ですから、法務大臣というのは、僕は言いましたけれども、各省庁の役人の中でももうトップクラス、一番重要な職責だと思うんですね。ですから、生意気なことを時々言わせていただいておりますけれども、やはり官房長官をしのぐぐらいの気持ちでこの事件の処理に当たっていただきたい。そういう心意気が法の執行の中で伝播するぐらい気迫を持って、単に厳罰とかそういうことだけじゃなくて、やっぱりこういう特殊な事件に対しては日本はどういうふうに法を適用するのかと。  しかも、これはなぜそういうことを言うかというと、もう既にお感じになっていると思いますけれども、粛々と厳格にこれはもう大変な犯罪だということでやった場合、中国人船長は自ら確信犯として体当たりしておきながらそのまま釈放と、こういうこととのバランスが必ず問われると思うんですよ。いや、あれはあれで法に従って那覇地検が粛々とやったんだと、こちらは厳罰に処しますということでは、やっぱり法の執行というのはもたないと思いますよ。  既に、賢明な法務大臣ですから、そういうことは十分お分かりになっていると思いますけれども、どこまで官房長官は賢明かも私も知りませんし、ですから、是非、法の執行の最高責任者としてそこら辺のバランスも考えて、今回のビデオ流出事件の今取調べを受けている職員に対する法の執行については覚悟を持って当たっていただきたいんですけれども、この点についてお覚悟をお聞きしたいと思うんです。
  86. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 同じ答えになりますけれども、捜査当局が法と証拠に基づいて適切に判断をされるものと思います。先生の御意見は御意見として、しっかりと聞かせてもらいました。
  87. 丸山和也

    ○丸山和也君 この事件が、ビデオ流出があった直後に仙谷官房長官国家公務員法罰則規定の改正、厳罰化に向けての、これしなきゃいかぬなという一つの感想という意見を表明されたんですが、これについては大臣はどのようにお思いですか。
  88. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) もう一回。
  89. 丸山和也

    ○丸山和也君 官房長官が、国家公務員法罰則規定の強化、厳罰化ですね、これについて言及されたんですが、これについては大臣はどのようにお考えを持たれていますかということです。
  90. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) その旨、予算委員会官房長官が御答弁されたというのは承知いたしておりまして、協力要請が来れば、それにしっかりと協力をしてまいりたいと思います。
  91. 丸山和也

    ○丸山和也君 時間の関係で、海上保安庁次長にお聞きしたいんですけれども、今回、そちらの組織の中からビデオ流出、もう自白したという方が出ているわけですけれども、これについて私は、一つの義憤に駆られた行為であって、といって褒めるとか褒めないというわけじゃないんですけれども、非常に慎重に取り扱うべきだと。よくやったという人もいれば、やっぱりそれじゃ組織がもたないという人もいて、いろいろだと思うんですけれども、これについて次長はどのようなお考えをお持ちになっているか、一言聞いておきたいと思います。
  92. 城野功

    政府参考人城野功君) 現在、検察警察当局で調べておりますので、その結果を待ちたいというふうに思いますけれども、もし海上保安庁からこういった情報が流出したということであれば、海上保安庁捜査機関でもありますので、こういった情報が流出するということは大変ゆゆしき事態だというふうに思っております。  以上でございます。
  93. 丸山和也

    ○丸山和也君 じゃ、最後にもう一回次長にお聞きしますけれども、個人見解でもよろしいけれども、情報の流出に対しては確かにそのとおりだと思う。しかし、その情報を流出せざるを得ないとこの職員が思った、それについては共感されるところありますか。最後に一言
  94. 城野功

    政府参考人城野功君) 我々も、捜査機関でございますので、法に従って我々の職務は実施しなくちゃいけないというふうに思っております。  以上でございます。
  95. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 時間です。
  96. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 同じこの尖閣の中国漁船衝突事件映像流出の問題について、まずは何点かお聞きをしたいんです。  まず最初は、今の事態というのは、ユーチューブというところに流れてはならない映像が流れたと。それを受けて、検察調査をされた。そして、海上保安庁から告発があって、それに基づいて捜査始まっていると。その段階で、昨日の段階で、どうもその流出した方は海上保安庁、ある意味では検察と同じ捜査機関の一員の方がどうもその映像を流した可能性が高いということで、今捜査が行われているという現状だと思います。  この問題について、官房長官を始めとして菅政権としてはどうとらえているかというと、極めて深刻な事態であって、極めて問題があるということで、昨日は菅総理の下で事務次官会議ということも行われたという状況だということをお聞きしております。  私がまず最初にお聞きしたいのは、今こういった事態になっていることについて、つまり、流れてはならない情報が流れた、理由はともあれ流れたわけですから。その上で、それがしかも、政権内部という言い方が正しいのかどうか分かりません。ただ、少なくともその捜査に加わった公務員の方が関与している可能性が極めて高いという今の事態を踏まえて、これについて法務大臣としてどうこの事態をとらえていらっしゃるかということについて、事件ということじゃありません、全体のこの一連の流れです。これについて、どう法務大臣としてとらえていらっしゃるか。  また、海上保安庁も来ていただきましたので、海上保安庁、この事態をどうおとらえになっているか、一言お聞きしておきたいと思います。
  97. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 今回流出しましたビデオは、先ほども触れましたように、海上保安庁から地検の方に提出をされた内容とほぼ同一であるという認識の下で、今回、こういうビデオ流出したということについては大変遺憾に思っております。  あと、質問については、今捜査中でございますので、今ここで答弁するのは控えたいと思います。
  98. 城野功

    政府参考人城野功君) 海上保安庁では、捜査資料等情報の管理につきましては厳格に実施をしているところでございますけれども、こういった情報が流出したということにつきましては、更にその情報管理、これまだ捜査中でございますけれども、我々としても、今後とも捜査資料等の情報管理については更に厳格に実施していかなくちゃいけないというふうに思っておるところでございます。
  99. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私は、今回の問題は、何か昨日の予算委員会ですか、答弁をいろいろお聞きしていますと、問題を起こしたのは現場の人間なんだから、責任が一番あるのはどこかといえばそれはもう現場の問題であって、これは別に政府としていろんなことを問われる、責任を問われる問題じゃないんだとも取れるような、そういう発言が幾つかあったようにお見受けをいたしました。  私は、この問題の責任というのは決して現場だけにとどまらない、政権としても極めて深刻な事態だととらえられて、政府が自ら決めて、公開というものに対して極めて制限すべきであって、やるべきではないとおっしゃった、その政府内部からこういうものが流出したという結果を取るならば、私は、この責任というのは単に現場の国家公務員の方が取られるだけの問題ではない。その責任は、私から言わせれば、それは内閣全体で取る問題であり、その中でどなたが責任をお取りになるかはそれは政権で御判断をなさればいい、それくらいの問題だと。極めて責任は重大であり、きちんとこれは政治家の側も責任を取るべき問題だと、私はそう思っておりますが、大臣はどうお考えでしょうか。
  100. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 木庭先生の御意見は御意見として承っておきます。
  101. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そこで、この問題で先ほど大臣の方から、流出したものは那覇地検が石垣海保から編集して提供を受けたCD—Rに記録された映像ファイルとほぼ同一のものと認められるという事実関係を御報告いただいた。  分からないのは、今、証拠となる映像資料ですか、というのは一体どこに何がどうなっているのかというのがいろんなものをお聞きしても分からないんですよ。私はよく分からなかった。公判に堪え得る資料というのは、そんな石垣海保が編集したようなものでその証拠となり得るのかということも分からないし、今一体、このいわゆる漁船の衝突事件にかかわる映像資料というのは一体何がどこにどういうふうに保存されているのかということについて、じゃ検察庁の方は、今、この映像資料ですか、その原本というか、マスターテープというのは一体どこにあるのかも分かりませんし、そこについて検察庁は今何をお持ちなのか。そして、もう今は既に捜査の手を離れたのかどうか分かりませんが、海上保安庁には何が残っているんですか。  それぞれ、一体この映像資料はどこに何がどうなっているのかというのを御説明をいただいておきたいと思うんです。
  102. 西川克行

    政府参考人西川克行君) まず、証拠品として受け取った映像資料というのは、本件の流出した映像とは別に存在すると考えていただきたいと思います。これは当然のことながら証拠品ということでございますので、那覇地検において証拠品として保管をしているということでございます。  今回流出したとほぼ同一というのは、若干形状が違ったりするものでそういう言い方をさせていただいておりますが、それについては捜査資料として、媒体、CD—Rでございますけど、CD—Rという形で石垣海上保安部等から那覇地検に提供をされておりまして、それ以後、那覇地検本庁や支部において厳重に保管をされており、現在は那覇地検本庁において一括して管理されていると、こういう状況にあるということでございます。  以上です。
  103. 城野功

    政府参考人城野功君) ビデオ流出したものは証拠というよりも、那覇地検から要請を受けまして作業用に編集をして那覇地検に渡したものでございます。そのほかに、那覇地検に送った証拠は別途ございます。また、その状況につきましては、現在捜査中でございますので、その部分については答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  104. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、海上保安庁さんは今は一切映像記録は持っていらっしゃらないということですか。
  105. 城野功

    政府参考人城野功君) 検察に送りました証拠の写しについては持ってございます。
  106. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、つまり一番最初の、先ほど、だから今回のものと違うやつを証拠品として保管されているわけですから、マスター、マスターというか、撮ったすべてのものは今検察庁がきちんと管理しているということですか。
  107. 西川克行

    政府参考人西川克行君) すべてのものかどうかは分かりませんが、当然のことながら、証拠品として送られたものについては那覇地方検察庁においてすべて管理をしております。  以上です。
  108. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 だから、いわゆるマスターというか、撮るわけでしょう、最初映像を見ても、多分、ビデオカメラか何か分かりませんが、撮ったやつがハードディスクなのか何か分かりませんが、いわゆる根本のものがあるわけですよね。まさにそれが、常識的に考えれば証拠だろうと思うので、それ自体はきちんと今後使わなくちゃいけないものですから、そのすべては検察庁が保管していると。さっき、ちょっと海上保安庁がコピーとおっしゃったので、多分それは原本は検察庁に行っていて、コピーしたものはまだ海上保安庁に残っているという、そういう認識でよろしいでしょうか。
  109. 城野功

    政府参考人城野功君) 控えが、コピーが海上保安庁にあるということでございます。
  110. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 確認しますが、それは原本のコピーがあるということですか。
  111. 城野功

    政府参考人城野功君) 原本のコピーがあるということでございます。
  112. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、流出したものというのは、これは公開してはならないもの、つまり証拠とはまた違うものになるんですかね。つまり、公判がもし行われればそれに使わなければならないということであるものは原本のはずなんですよね。そうすると、なぜこれ、那覇地検さんは石垣海保さんに何か編集してそういうのも依頼しなくちゃいけない必要性、何でそんなことを依頼したんですかね。そこで何か間違いが生じているような気もするんですよね。
  113. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 証拠品のテープテープとして存在をすると、ただ、もちろんテープですから相当の長さがございます。それで、那覇地検の方で海保さんの方にお願いをして、本件の事件について理解をしやすいように、それはエッセンスといったらあれですけれども、特に検察官において認識をしておく必要がある部分について、今回その部分を抽出していただいて四十何分、四十四分に縮めていただいて、それは捜査資料として提出を受けたということでございますので、それは検察官においてそれを見て今回の事件理解するのに役立てたと、こういうことでございます。それ以外に証拠品としてのテープも存在すると、こういうことでございます。
  114. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、その四十四分の石垣からもらったやつというのは、これは位置付けとしては証拠ではない。証拠ではないとすると、そうするとその公開するしないという問題とのかかわりはどんなふうになるんですかね。
  115. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 証拠品という扱いはしておりませんが、捜査書類のうちの一部といいますか、捜査資料として提供を受けたものでございますので、当然のことながら四十七条の訴訟に関する書類というのには該当してくるだろうというふうに理解をしております。
  116. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ですから、その四十七条で言う場合は、証拠という場合と捜査資料という両方のものがあるというふうに考えればいいんですか。
  117. 西川克行

    政府参考人西川克行君) そういうように考えておりまして、刑事訴訟法四十七条の対象にはなるという、そういう理解をしております。
  118. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 だから、今回結果的にこういう形になったんですけれども、つまり、事件が始まって、その映像資料というのをどう管理しどうしていくかというような途中の過程の中で、もし本当はもう少し厳重な管理がなされていればこんな話にはならないような気がしてならないんですよね。  これから捜査で、なぜその方がそういう資料に接してそれを入手することができたかというようなことがだんだん分かってくるんでしょうが、いずれにしても、ああいう形で検察に提出したとほぼ同一のものが簡単に、何か、まあ一般とは言いません、でも直接かかわっていない方にまで広がってしまっているというようなところがこれから捜査で明らかになっていくんでしょうが、そういう意味では、この証拠とかそんな管理というのが一体捜査機関においてどうなされているのかと、極めてずさんであったというような気がしてならないんですが、海保、どうですか。
  119. 城野功

    政府参考人城野功君) 海上保安庁におきましては、証拠品については、施錠可能な専用保管庫を定め、必要時以外は常時施錠して保管することになっております。また、捜査書類等につきましても、証拠品の保存方法に準じた方法で適切に管理することになっております。  しかしながら、今般の事案はこうした状況の下において発生したものでございまして、現在、捜査機関捜査していただいておりますけれども、その捜査に全面に協力することによって真相を究明していただいて、そして、その結果に基づいて今後更にその証拠品、捜査書類の保管の改善策というのを講じて、更に厳格にやってまいりたいというふうに思っております。
  120. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ともかく、昨日から今日にかけて海上保安庁職員の方ということが分かって以来、先ほども議論があっておりましたが、各マスコミも見ても国民の反応を見ても、大方どういう意見の方が多いかというと、よくぞやってくれたみたいな話になるわけですよね。    〔委員長退席、理事森まさこ君着席〕  つまり、この問題の一番の元は何かというと、一体そういうものを公開すべきなのか公開すべきでないのかというような問題にもかかわってくるし、昨日のマスコミのほとんどの意見は何だったかというと、もし早めにこれがきちんと公開されていればこんなことにはならなかったんじゃないかというような話の方が多いんですよね。私は、それの方が圧倒的でしたんで、正直言って、へえと思いながら、一般の方々が感じていらっしゃることと政府が対応してきたことにえらい今回は落差があったなというような気も正直にいたしました。  そして、今の時点を踏まえて、様々な問題も踏まえて、さらに、先ほどから御指摘があるように、これから公判になる可能性があるのかないのかということを考えると、極めて現時点ではその可能性が少ないというような事態も踏まえ、また国民世論の動向も踏まえた上で、この公開という在り方についてもう一度私はきちんと再検討をする必要があるんではないかなと。つまり、単に国会議員に一部公開するだけという問題でなく、やはりすべてを公開すべき時点に現時点では来ているんではないかなと、私はこのビデオの公開について全面公開をしていい今の時期ではないかと考えているんですが、大臣はどうお考えでしょうか。    〔理事森まさこ君退席、委員長着席〕
  121. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) どのビデオか少々頭をひねらせているんですけれども、先ほど刑事局長答弁したように、証拠品としてのマスターテープがありますと、それと国会に提出したビデオもありますと。それから、私が知っている範囲では、関係者が見た五分のビデオというのもありました。そして、今回流出した四十四分のビデオもありました。どれを公開しろとおっしゃるのか、少々私も理解、苦しんでいるんですけれども……
  122. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 すべて。
  123. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) マスターテープですか。  マスターテープにつきましては、私どもから申し上げれば、公判前にこうした証拠国会に提出したことがないということもありますし、海保の方からは、先ほども触れましたけれども、これからの海上警備取締り活動秘匿性への配慮もしていただきたいということもありますし、関係者の名誉、人権への配慮も必要だということは海保からの要望国会の方にお願いをしていますので、このことは御配慮していただければというのは、今のスタンスも変わっておりません。
  124. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 だから、私が申し上げたように、これから公判ということを本当に踏まえなくちゃいけない、証拠としても非常に大事だというようなことなのかどうかというと、その可能性が極めて薄くなっているという現時点を踏まえて、なおかつ、この流出問題も含めて様々な問題が起きたというこの状況も踏まえ、様々な状況を踏まえた上でお考え方を、前時点とは随分状況は変わっているんじゃないかと、そういう意味では公開ということに私は踏み切ってもいいんじゃないかなと思ったものですから、その意見を申し上げた次第でございます。  そして、この問題とともに、先ほど丸山委員も御指摘されておりましたが、これ、官房長官は、今回の守秘義務規定に関する罰則の問題について相当程度が軽いというようなことをおっしゃって、この刑罰を抑止力としても十分じゃないと、秘密保全に関する法制の在り方について早急に検討を進めてまいりたいと。本来は、これ、法務大臣の管轄の問題なんですが、どっちかというと、官房長官がこうやって踏み込んでおっしゃっている。  これについて、こういう御意見法務大臣の方からサジェスチョンして官房長官がおっしゃったんじゃないんですか。つまり、今のこの公務員法の守秘義務規定に関するこの罰則の問題について大臣としてどういう御認識を今持っていらっしゃるのか。この点について、御意見は、法務大臣として今回の問題も踏まえてになるんでしょうが、どうお持ちなんでしょうか。
  125. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 秘密を守るというのは各役所お持ちになっているかと思いますが、公務員のこの問題については、所管法務省ではなくて総務省ということで、私としては、先ほど答弁させてもらいましたように、依頼があれば協力はさせていただきますというスタンスでおります。
  126. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 依頼があれば協力するというのは、そういうその罰則について検討しろというもし御指示があればその検討を開始するという意味ですか。
  127. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 官房長官がそのことだけについて触れたとは私は思っていませんで、いろんなことが多分含まれているのかなと。その際、法務省も協力しろという要請が来たら協力をするというふうな考えを今持っているわけです。
  128. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それでは、もう一つの方の例の検討会議、昨日ですか、正式に発足をされたということでございますので、これについて前回も少し議論をさせていただきましたが、この点についてもう一回幾つかの点をお聞きしたいと思っております。  まず、昨日の段階でほぼ方向性をお決めになられたようでございますが、その検討会議というのは、ある意味では一般の国民の皆さんとともに考えるということも、内部とはまた違った視点でやるわけですから、例えば審議の過程をどうするのか、公開するのか公開しないのかと。できるだけ私もオープンにすべきでしょうし、例えば法務省もせっかくホームページなどもお持ちですから、そういったところでも、そこでどういうことが行われたかということについてある意味ではきちんと伝えるということが大事だろうと思うんですが、そういった検討会議の基本の在り方ですか、こういったものについて大臣としてはどんなことをお考えか、ちょっとここはまずお尋ねをしておきたいと思います。
  129. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) この検討会議そのものを公開するか、又は資料を公開するか、議事録を公開するか、いろいろと公開はあろうかと思っております。  基本的にできるだけ公開をしていきたいという方向ではありますけれども、議論の中身によってはそれはやめた方がいいという場合もあろうかと思います。例えば公判中の捜査資料とか、例えばプライバシーに関することとか、そういうものがあった場合はいかがなものかという議論も含めて、今検討会議の方に投げていますので、方針は近いうちに出るかと思っております。
  130. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 昨日の時点ではいろいろ広範にということなんですが、やはり検討会議で検討すべき事項について、ここでも何回かやり取りして、私自身はどう考えているかというようなこともお話はしましたが、やはり優先順位みたいなこと、検討の中でそういうものが進んでいくのかもしれませんが、諮問する側の大臣でいらっしゃいますから、大臣としては、もう様々な今回、検察についての課題があると思うんですが、その中でもやはりどうしても優先順位としてこれとこれだけはというようなものがどういったことをお考えになっていらっしゃるか。  その辺をもしお聞かせいただければ有り難いし、私はもう何回も言っていますが、今回の問題というのは、一つはやっぱり特捜部というものの在り方という問題について、それはもう廃止とかいろんなことも考えて、特捜部というものに対する扱い方の問題が一つの大きな在り方になるだろうし、もう一つは、やっぱり捜査というものについて、これはもう民主党さんが前々からおっしゃっている可視化という問題、本当に大事な問題で、今回のものをきっかけにこれは優先順位の高いテーマとして検討会議でも是非やっていただきたいテーマだと考えるんですが、大臣として、いろんな課題があるけれどもその中での優先順位は何とお考えか、そして是非これからというようなお考えがあればそれをお聞きしておきたいと思います。
  131. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 検討会議の方に、国会でいろいろと委員の皆様から御指摘していただいた面についてはお伝えをするつもりでございます。  どれを優先してどうやるかというのは、基本的には検討会議の皆様にゆだねたいと思っておりますが、今、木庭委員がおっしゃった二点については、昨日、国会の方ではこういう指摘もありましたということだけはお話をさせてもらったところでございます。
  132. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 最後に、これ、最高検の方でも事件についてのいろいろやっていますよね。最後の段階で第三者の意見もきちんと聞くような形というようなことを大臣おっしゃっていましたね。  そうすると、第三者というところに今回の検討会議の方々が入って、それとはまた違う方たちを最高検の最終まとめのときに、どういうかかわり方をその第三者という方たちが、この検討会議の方たちなのか、それとも全く違うことを考えていらっしゃるのかということをひとつお聞きして、大事な会議が始まったと思っていますんで、国会でも是非議論をしようという話を、民主党さんにも是非御協力をいただいて、国会内でもそういうものがほしいなと私は思っているんですが、これは国会内の問題ですから、我々としてそういうことも含めて是非検察の抜本改革のために私どもも一生懸命取り組むことも申し上げて、最後にその質問を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  133. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 最高検検証の第三者について、これは最高検がお考えになることだろうと私は考えております。  なお、私の下の検討会議におきましては、最高検からの検証の結果も参考にしながら、年度内、ですから三月いっぱいをめどにして答えを出していただきたいというふうな感じで進めていただければと思っております。
  134. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  135. 桜内文城

    ○桜内文城君 みんなの党の桜内文城です。  本日は、ビデオ流出等について質問をさせていただきます。  これまでのこの法務委員会での質問の中で、大臣あるいは刑事局長に御答弁いただいた内容を踏まえて、今日は更に突っ込んでお聞きしたいと思っております。  まず、一点目ですけれども、先ほどの木庭委員質問の中にもありましたけれども、刑事訴訟法四十七条に関するものでございます。訴訟に関する書類という文言がありまして、先ほどの刑事局長の御答弁等々によりますと、証拠それから捜査資料ないし捜査書類、こういったちょっと広めの、証拠だけでなく広めに含まれるという御答弁でした。さきの法務委員会で私がお尋ねしたビデオのコピー、海上保安庁が保管しているとされますビデオのコピーについてもこの訴訟に関する書類に該当するという答弁がありました。そうなった場合の管理の責任の所在についてお伺いしたいと思います。  そのコピーにつきまして、訴訟に関する書類、刑事訴訟法四十七条の適用があるということですけれども、この場合の直接の責任はもちろん海上保安庁、コピーですので保管しております海上保安庁だと思うんですけれども、検察といいますか、原本を持っている検察あるいは法務省の管理の責任というのはあるのかないのか等についてお聞きしたいと思います。
  136. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 捜査機関は、それぞれのその場面においてそれぞれ証拠物それから証拠書類を保管いたします。その保管の責任については、当該保管をしている捜査当局が負うものであるというふうに考えております。
  137. 桜内文城

    ○桜内文城君 恐らく今の御答弁からすれば、今回の件につきまして、もちろんまだ捜査中ですのでお答えできないかと思いますけれども、海上保安庁から流出したということであれば海上保安庁の管理、保管責任が問われるということになろうかと思います。  このビデオ流出の前に、次に二点目ですけれども、衆議院予算委員会に対して、何分でしたっけ、七分弱、六分何秒かのビデオが提出されております。この際に、仙谷官房長官それから那覇地検検事正から衆議院予算委員長に対する要望書が提出されております。この二通の要望書、内容に違いがあるかどうか、まずお聞きいたします。
  138. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 内容的には若干の違いがあるというふうに考えておりまして、那覇地検捜査機関でございますから捜査機関の観点から意見を付けていると。官房長官官房長官の観点から要望されているというふうに思っております。
  139. 桜内文城

    ○桜内文城君 重なっている部分とそうでない部分があるかと思うんですが、私が直接内閣官房なりから聞いた範囲でいえば、両方に共通する部分として挙げられていますのが、まずこの事件の容疑者への検察による処分が行われておらずと、これは公判前ということですね。それからもう一つ、ここが私やはり問題だと思うところなんですけれども、関係者の名誉や人権を保護する必要ということをこの要望書の中で言っております。関係者というのは一体だれでしょうか。
  140. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 海上保安官考えておりました。
  141. 桜内文城

    ○桜内文城君 通常のこの要望書に関する議論を見ておりますと、海上保安官に限定したような書きぶりあるいは内容ビデオではないんじゃないかということであります。  何が言いたいかというと、海上保安官の名前ですとか、あるいは名誉や人権を害するような部分が衆議院予算委員会に提出されたビデオの中にそもそもない。あるいは、その他の今回流出した四十四分の中で、もちろん名前等を秘匿する必要はあったかと思いますけれども、今回のビデオ関係でいいますと、それは編集によって十分可能なわけなんですけれども、それがこのビデオの開示をこの予算委員会に対して極めて慎重な取扱いをするよう要望すると、格段の配慮要望するという言い方になっておりますけれども、そもそもあの編集された内容関係者の名誉や人権を保護する必要というのは、どういうふうに解釈すればそういう文言が出てくるのか、教えてください。
  142. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 正確に言うと、映像に記録されている海上保安官等の名誉やプライバシーへの配慮ということです。もちろん、海上保安官は職務に従って行動しているわけですが、その海上保安官の名前であるとか容貌それから声、音声等、これを広く公表されるということについては、本人の名誉、プライバシーにも関係があるということでそういう記載をしたということと承知をしております。
  143. 桜内文城

    ○桜内文城君 余り説得力のない御答弁だと思います。通常、多くのマスコミなりでの指摘では、関係者というのが、これが被疑者、中国人船長の名誉や人権を保護する必要というふうに解釈されております。ここははっきりと、関係者というようにいいかげんなことを書かずに、きちんと海上保安官というふうに書くべきだったところだと思います。  それから、仙谷官房長官からの要望書には、国際政治情勢への影響も考慮する必要という文言も入っておると聞いております。確かにここは検察とは恐らく無関係な部分だと思うんですが、検察からの要望書にはこの部分が入っていないと、入っているのかいないのか、ないということを確認させてください。
  144. 西川克行

    政府参考人西川克行君) その文言は入っておりません。捜査機関として意見を付けていると。
  145. 桜内文城

    ○桜内文城君 官房長官とそれから那覇地検の検事正からの要望書、内容に違いがあってももちろん当然なんですけれども、そもそもこの要望書の法的な位置付けですけれども、先ほどから問題にしております刑事訴訟法四十七条に該当する訴訟に関する書類を公表するか否かという判断でありまして、これもさきの、以前のこの法務委員会で刑事局長がお答えになっていますけれども、公益上の必要その他の事由があって、相当と認める場合、そのただし書ですけれども、その判断検察当局が行うということでございます。  これを官房長官がつべこべ言ってくると、別途要望書を出すということについて、どう考えられますか。
  146. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 私の答えるべきことではないのかもしれませんが、それはそうではなくて、まず、四十七条に基づいて国会の提出の要請に対して判断するのは、あくまで要請を受けた検察庁でございます。ただ、その提出には確かに国会のきちんとした手続でありますから応じましょうということを前提に、ただその取扱いについてはどうしてほしいかというのは、捜査機関としても要望国会に対して提出をしたことでございますし、官房長官の方は内閣として国会に対して考えたということでございますので、これは捜査機関と別々に出してもおかしいことはないのではないかというふうに考えております。
  147. 桜内文城

    ○桜内文城君 関連して質問をいたします。  刑事訴訟法四十七条に基づいて公にされたわけですね。この公にという定義について刑事局長はまた、不特定多数人に対する公表であるというふうにおっしゃっております。今回の国会に対してビデオを提出して衆議院予算委員会の理事等が見たということは、この公にに該当すると解釈してよろしいか否か。  何となれば、一定に限定されているからというふうな答えも多分されると思うんですけれども、私はそうは思っておりません。国会議員もちろん守秘義務ありますけれども、今回は別に守秘義務掛かって衆議院予算委員会で上映したわけではありませんし、また実際にその後、見た方はテレビなどで模型なりを使って、あるいはCG、グラフィックスを使って、まさに原本でないとしても、原本といいますか、ビデオそのものでないとしてもその状況について説明しているわけです。一般、不特定多数人がその内容について知り得るところになっている。  これが公にに該当しないともしおっしゃりたいんであれば、その理由も含めてお答えください。
  148. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 国会に提出されて、国会としては公にするという仕方として現在のやり方を選ばれたというふうに考えておりますので、公にされたというふうに私どもは理解されております。
  149. 桜内文城

    ○桜内文城君 公にされたというふうに刑事局長が御答弁されました。ありがとうございます。  そういった公にされた訴訟に関する書類、今回流出したところに戻りますけれども、今回流出したものというのは、まさに今刑事訴訟法四十七条の中で公にされたものを含む四十四分のものであります。これについて是非お答えいただきたいのが、既に刑事訴訟法四十七条において公にされたことになっているもの、それを含むといい、まさに公にされたのが一番の核心部分、衝突二回されているところを編集されたものが、それを含むビデオ流出していったわけですけれども、これは国家公務員法上、百条の秘密に当たるのか否か。  これは、個別の具体的な事件というよりも、刑事訴訟法四十七条で、既に公開されたものが秘密に該当するか否かという法律論、一般論としてお答えください。
  150. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 今現在捜査している事項ですので答弁は差し控えますが、ただ、一般論だけで申し上げますと、公にするという仕方についてもいろいろあるわけでございまして、公の仕方によっては秘密性を失わない場合もあり得るのかなという感じはしております。これは全く同じものを前提にしております。今回流出したものと今回国会に提出したものは違うということは別にして、全く同じものであったとしても秘密性を失う場合と失わない場合というのはそれはあり得るのかなという感じはしております。  ただ、これは一般論でございまして、個別具体的にお答えしているものではございません。
  151. 桜内文城

    ○桜内文城君 恐らく、この十年ぐらいで急速に進んできたデジタル化の流れによって新たな論点としてなってきた部分だとも思うんですけれども、恐らく刑事訴訟法四十七条の規定というのは、ビデオ、それもデジタルで完全に全く同じ複製が作られるような時代が来る前のものですので、これはここから先は私の解釈ですけれども、刑事訴訟法四十七条が想定している公にするというのは、全く同じものでなくても、まさに人が見て、あるいは供述証拠があったとして、それをいろんな人に開示しました、それをまた伝聞で、模型とか使って、こういう事象が起こったに違いないということも含めて、恐らくは、この当時の時代背景からしますと、公にというふうに解釈してよいと私は解釈いたしますので、そういった意味で今回、おっしゃるようにこの国家公務員法百条に当たるか否か、結構難しい問題もあるかと思いますけれども、私は秘密に当たらないというふうに解釈いたします。恐らく、それがこの刑事訴訟法四十七条、あるいはこの国家公務員法百条の趣旨にかなうものだと考えております。  続けます。  それから、次の質問ですけれども、国会に提出したビデオにしても、何にせよやっぱり問われていますのは、そもそも今回ビデオ自体を公表していなかった、要望書を付けて一部の限られた人にしか見せてなかったということにあるかと思うんですけれども、これ、今回のそういったビデオなり、知る権利ということもよく言われております。その知る権利を具体化、一応しております情報公開法、この対象に今回のビデオがなるかどうかについてお聞きしたいと思います。  なぜならば、今、先ほど刑事局長が今回のビデオ、少なくとも国会に提出したビデオについては、刑訴法四十七条、公にしたと、これに該当するとおっしゃいました。そういったものを情報公開法の規定に基づいて、照らし合わせて、政府がその公開を制限することができるのかあるいはできないのかについてお尋ねいたします。
  152. 西川克行

    政府参考人西川克行君) まず大前提として、情報公開法は刑事訴訟法の記録については適用除外されているということでございますが、まずそれを前提といたしまして、それで今回のビデオが果たして国家公務員法上の秘密に当たるかどうかというのはまさに今回捜査をしていて当てはめの問題でございますので、これについてはやはり答弁を差し控えさせていただきたいと思っております。
  153. 桜内文城

    ○桜内文城君 今ここで水掛け論になってもしようがないので、次の質問に行きます。  その知る権利にも関連するんですけれども、仙谷官房長官がお持ちになっていたという、役人用語で言うとメリ・デメ表ですけれども、メリットとして、中国による日本非難の主張を退けることができる、これは私も映像でそういうふうな文言を確認いたしました。こういったものを、まさに中国による日本非難の主張を退けることができる、こういったメリットがあると言われる今回のビデオを、そもそも先ほど言いましたように仙谷官房長官が、政治的な御判断でしょうけれども、要望書を付けて公開を制限しようとする。これについて、閣僚のお一人として、法務大臣、どうお考えになりますでしょうか。
  154. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 官房長官メモについてですか。
  155. 桜内文城

    ○桜内文城君 いや、官房長官メモといいますか、官房長官が実際持っていたメモに、これは報道で明らかになっている事実ですけれども、中国による日本非難の主張を退けることができるというメリットが書かれておりました。これはもう隠すことのできない事実でございます。こういったメリットを認識していながら、あるいはタイミングの違いはあるかもしれませんけれども、ビデオの開示を制限しようとする要望書を提出する、そういった政治的判断がいかがなものかという質問でございます。
  156. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 済みませんでした。  官房長官メモについては、私見たこともありませんし説明も受けたこともありませんので、答弁することはなかなか難しいと思っております。  公開につきましては、衆議院議長の方から要請を受けて、地検海保が相談の上、それにこたえられる映像ということで提出をさせてもらいました。その際、要望という形で、さっきから触れていますように、検察としての要望海保としての要望、それを付け加えてお出ししまして、ここにも書いていますとおり、極めて慎重に取り扱われるよう格段、特段の御配慮お願いいたしますということでお出ししたところでありますので、これについてはこれで私はよろしいんではないかと思っております。
  157. 桜内文城

    ○桜内文城君 そのメリ・デメ表なんですけれども、もう一つ報道されているといいますか、私も実際映像確認したんですけれども、今後、これからの話ですけれども、検察当局なり、コピーとして海保が持っているビデオ、全面的に仮に公表する、そういった場合についてのメリ・デメなんですけれども、政府が一般公開に応じたのだからそもそも非公開とする必要性は低かったのであって、処罰の必要性は高くない旨を主張され、裁判所がそれを入れて量刑が不当に下がるおそれがある、こういった文言が実際に映像確認されております。ちょうど仙谷先生が手に持っているところで、文章まではっきり見えるものがあります。  まさに量刑がどうなるかというのは裁判の結果でありますけれども、これ、一般論でお聞きいたします。さっきの刑事訴訟法四十七条なりに関係してくるわけですけれども、後になって一般に公表された場合に国家公務員法百条の秘密の当てはめに影響があるのかないのか、一般論としてお答えください。刑事局長。
  158. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 御質問意味がよく分かりませんが、もし秘密性の判断はどの時点で考えるべきかということであれば、それは犯罪が成立したときを基準に考えるべきだということで、その後の事情によって犯罪の成否が変わるということは考えられないというふうに思っております。
  159. 桜内文城

    ○桜内文城君 今の御答弁ですと、逆に言えば情状に関する判断に影響があると、あり得るということだと思います。  それが量刑に影響するというところに、恐らく仙谷官房長官メモの中にはあったんだと思うんですけれども、量刑が下がることがデメリットだというふうに考える政治的判断はいかがなものか、これについて大臣にお伺いします。
  160. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 今捜査中ですのでお答えすることはできませんし、なお、仙谷官房長官から説明も受けたことがないもので、それに対するコメントも今日は控えたいと思います。
  161. 桜内文城

    ○桜内文城君 更に答えにくいというか、多分答えられないと思うんですけれども、もう一問、どうしてもこれは聞きたいと思って今日参りました。  海上保安庁職員が仮に今後逮捕されるとします、個別事案なのでどうか分からないですけれども。またさらに個別事案として、処分保留の上、釈放以上のこれよりも重い処分があり得るのか否か、仮にあった場合に国民が一体民主党政権に対してどう思うのか否かについて、大臣にお伺いします。
  162. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) ビデオ流出事件につきましては、検察当局において法と証拠に基づき適切に判断されるものと承知いたしております。  なお、一般論として申し上げれば、公務執行妨害と公務員による秘密漏えいは事案の内容が異なりますので一概に比較することは困難であると考えております。
  163. 桜内文城

    ○桜内文城君 最後の質問をいたします。  今回、これから事案の真相が明らかになっていくと思うんですけれども、仮に、今捜査されていますように、海上保安庁職員捜査資料流出させたということとなれば、昨日の衆議院予算委員会でも議論になったようですけれども、まずその責任がどこにあるのかということが問われなければならないかと思います。  報道によりますとと言うと仙谷官房長官に怒られますけれども、この間、内閣委員会で、仙谷官房長官記者会見質疑応答の部分も、QアンドAの部分も今後は開示するということなんですが、まだ開示されていないので、報道に基づいて質問いたしますけれども、海上保安庁長官の責任は非常に強く重いということを仙谷官房長官は述べていらっしゃいます。一方で、国土交通大臣の政治職、政治的な職、まあ職業、立場と現場の執行の立場は違うんだからということで、国土交通大臣責任は問わないような発言を既にされております。これについて、私のみならず、恐らく全日本国民が何だそれはと、政治主導って一体何だったのかと。これまでの自民党政権におきましても、私も役人やってまいりましたが、金融検査官の不祥事におきまして当時の大蔵大臣が当然辞職しております。  こういった、今すぐとは言いませんけれども、責任を明らかにするという上で、海上保安庁長官のほか、国土交通大臣責任の有無、取り方についてお尋ねいたします。
  164. 津川祥吾

    大臣政務官(津川祥吾君) 今後の捜査により事実が明らかになるものと承知をしておりますが、海上警察機関たる海上保安庁職員が故意に情報を流出させるということは、もちろんあってはならないことでございます。  今、委員から仮にという御質問でございますが、仮に、まさにそういったようなことがあればどうなるのかと、こういった御質問かと思いますが、現在、私どもとして、責任の問題につきましては、今やらなければならないこととして、捜査に全面的に協力をして、そして事実関係を明らかにした上で、二度とこのようなことが起こらないように再発防止策をしっかりと講じていくということがまず責任であるかと思っておりますし、大臣からも捜査にしっかりと協力するように、あるいは情報管理の在り方についても再度徹底的にやるようにと、そういったことにつきましては、大臣から海上保安庁長官に対してもう既に指示を出させていただいているところでございます。
  165. 桜内文城

    ○桜内文城君 最後、これで終わりますけれども、今回の責任の取り方。もし、役人に、海上保安庁長官のみに責任をなすりつけて終わるようなことがあれば、これは今回の尖閣問題すべてにも当たりますけれども、尖閣問題について当てはまりますけれども、検察にすべての判断、そしてその責任をなすりつけたというののまさに上塗りになってしまいます。恐らく、国民はそういった責任逃れは許さないと私は信じておりますので、是非今後しかるべき責任の取り方、身の処し方を国土交通大臣におかれましても考えていただきたい、そう要望して、質問を終わります。
  166. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  昨日初会合が行われた検察在り方検討会議に関連してまずお聞きいたします。  かつて、名古屋の刑務所で刑務官による暴行事件が起き、当委員会でも随分議論をいたしました。そのときに、やはり大臣の下に行刑改革会議がつくられ、提言も出され、百年ぶりの監獄法の改正も行われたということがあったわけですね。そのときの議論などが今の行刑行政にどう生かされているかというのはまた議論をしたいんですが、私はあの行刑改革会議自体は大変重要だったと、そのときの経験をしっかり生かす必要があると思っております。まず会議の公開でありまして、今回、密室における取調べにおける自白の強要等が問題になっているときに、それを正すべき会議が密室で行われたら、これは全く国民の信頼回復にはならないわけですね。  昨日の会議では、基本的に公開にする方向が確認をされたということで、先ほども答弁があったわけですが、具体的に、例えばあの行刑改革会議のときは、別室にモニターで会議そのものが聞けましたし、顕名の議事録も出され、ホームページに掲載もされました。こういうことはきちっとする、資料の提供も含めて、こういうことの方向でよろしいでしょうか。
  167. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 公開の在り方については、検討会議の皆様でいろいろ今議論をされておりますので、私としては検討会議の結論を尊重したいと思いますけれども、昨日も申し上げましたように、公開を基本的にしてほしいということは申し上げております。  そういった中でも、先ほども触れましたけど、個人のプライバシーとか、捜査公判中の資料とか、そう言われた場合はどうするかという御議論もありますので、最終的には検討会議がお決めになりますが、公開という基本は取っていただけるものだと私は思っております。
  168. 井上哲士

    ○井上哲士君 そこで、議論する中身の問題なんですが、あらかじめこの現行法の枠内にとどめるということではなくて、法改正が必要になる場合は、それも視野に入れて議論も行われると、こういうことでよろしいんでしょうか。
  169. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 今回の事件を受けまして、いろいろなことを議論、検討しなければならないかと私は思っていますし、昨日の一回目の会合の皆さんの御意見も大方そのようなことだったと私は承知いたしております。  そういう意味では、広い範囲にいろんな議論が及ぶかと思いますので、答えは答えとして承りたいと思います。場合によっては法律改正も要るのかもしれませんが、そういう束縛はしないで、自由に広い範囲、議論してもらいたいと、そう思っております。
  170. 井上哲士

    ○井上哲士君 そうすると、法改正も必要だというような一定の提言というものが出てきた場合にはどういう対応をされるんでしょうか。
  171. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) どうなるか分かりませんけれども、皆さんの御意見を賜りながら最終的には判断をしたいと思っております。
  172. 井上哲士

    ○井上哲士君 議論をすべき中身というのは当委員会でもこの間繰り返し議論になってきたわけですね。なぜ証拠の改ざんが行われたのかということもありますし、同時に、その検察のストーリーに合わせて自白を強要したと、こういう問題がある、そういう取調べの問題がありますね。  村木さんの無罪事件の場合は、大阪地裁は検察側の四十三通の供述調書の任意性を疑って三十四通を証拠として採用しなかったという事態になったわけですね。ですから、こういう、もう大半が却下をされるような自白捜査というのはどういうことだったのかと。この事件だけでもそうですし、それから同様のことはいろいろ指摘をされているわけですね。  そういう取調べの在り方、このことは当然議論の対象になるべきだと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  173. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 井上議員からもいろいろと以前この委員会で御指摘をいただいております。そういう項目なり議事録なりは我々の方でまとめて検討会議のメンバーの方にお渡しをしたいと思っております。それですので、今日も井上議員のお考えあれば、こういうのもあるんじゃないかと、これもということがあれば、御指摘をしていただければ幸いに思います。
  174. 井上哲士

    ○井上哲士君 国会のこの間の議事録は資料として配付をするという答弁でしたので、それも確認をしておきます。  この間、議論をされてきた取調べの全過程の可視化とか検察官手持ち証拠の全面開示の問題、それから取調べメモの廃棄にかかわる補足説明文書の作成経緯内容、それから人事の在り方等々、随分出されているわけでありますから、これは是非、国民を代表して国会でこういう指摘をされているということは是非在り方会議の中で生かしていただきたいと、しっかり議事録も配付をしていただきたいと、重ねて求めておきますが。  特に、この取調べの在り方などを検証する上で、これもやはり行刑改革会議の経験を生かす必要があると思うんですね。あのときも、たしかメンバーの方の提案もあって、いろんなことが行われております。学者や市民団体はもちろん、受刑者そのもの、それから元受刑者ですね、それから刑務官の方も直接会議に来てヒアリングをされているわけですね。あの自白強要の取調べの実態をつかむという点でこれは私必須だと思っておりまして、是非、冤罪の犠牲者や支援者、弁護団、こういうところからのヒアリングも是非行っていただきたいと思っておりますが、この点はいかがでしょうか。
  175. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 議事録をそのまま出すか、もうこういうことだったと書いて出すかは、これは後々判断させてもらいたいんですが、膨大な資料を作っても読んでいただけなければしようがないのでそれは御理解賜りたいと思いますけれども、冤罪の被害者、いろいろと千葉座長とも意見交換をしていますが、多分前向きにお考えになるんだろうと私は思っていますけれども、いずれにしても、これも検討会議のメンバーの御相談の上だと、そう思っております。
  176. 井上哲士

    ○井上哲士君 議事録の件は、項目だけですとあれで、やっぱりなぜそういう問題意識が出ているのか、そしてどういう答弁を大臣がされたのかということも含めて幅広に分かるものを是非メンバーの方に示していただきたいと思っております。  ヒアリングは千葉座長も前向きだというお答えでありました。是非お願いをしたいんですが、更に広く実情をつかむことも大事だと思うんですね。行刑改革会議は、受刑者をそのまま呼ぶわけにいきませんから元受刑者の方をたしか二人呼ばれたと思うんですね。同時に、現に刑務所にいる受刑者から広くアンケートを取っています。これは二千五百六十二人取っていますね。それから刑務官の方からも、これ多分匿名だったと思うんですけれども、アンケートを取っております。かなりそれでいろんな実態が出てきたわけで、こういう幅広いアンケートということも必要だと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
  177. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) そのこともお伝えをさせていただきます。
  178. 井上哲士

    ○井上哲士君 是非徹底した、そういう調査も含めた議論をしていただきたいと強く求めておきます。  この問題を通じて浮かび上がったことの一つに、諸外国には存在する検察官の独自の倫理規程というものが日本にはないということが指摘をされております。まずお聞きしますのは、今現行の検察官の倫理規程というものはどういう現状になっているでしょうか。
  179. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 委員御指摘のとおり、我が国には検察官のみを対象とした倫理に関する規程等はございません。一般職の国家公務員に該当する検察官には国家公務員法の服務に関する規定が適用されるとともに、国家公務員倫理法、国家公務員倫理規程が適用されるということになっております。
  180. 井上哲士

    ○井上哲士君 国家公務員法の倫理法、それから倫理規程、それから法務省職員の倫理規程というのもいただきました。これは、いわゆる利害関係者との不適切な関係を禁じるということが中心なんですね。  検察官というのは、そういう一般公務員とは違いまして、逮捕も取調べも起訴も強大な権限を持つわけですから、それに応じた法的拘束力を持った倫理規程が私は必要だと思うんですね。これがどういう検討をされてきたのかと。  一九九〇年に国連の第八回国連犯罪防止会議というのが開かれておりまして、ここで検察官の役割に関する指針というものが採択をされておりますけれども、まず、この会議には検察法務省からはだれが参加をされていますでしょうか。
  181. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 法務検察からは、当時の根岸重治東京高検検事長が首席代表として参加をしております。
  182. 井上哲士

    ○井上哲士君 東京高検検事長という大変高いレベルの方が首席代表になり、法務省からは敷田稔法務総合研究所長も代表として参加をされているわけですね。  この検察官の役割に関する指針について、日本はどういう評価をして、この作成、採択に当たってはどういうような対応をされたんでしょうか。
  183. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 御指摘の検察官の役割に関するガイドラインは、検察官としての必要な資格、その職務上の地位、刑事手続において果たすべき役割、その訴追裁量権などを国連の準則、ガイドラインとして定めたものでありますが、我が国も同会議において、コンセンサスによる採択と、これは全会一致による採択ということで、我が国もこれに参加して賛成をしているということでございます。
  184. 井上哲士

    ○井上哲士君 これは議論をされた小委員会議長を敷田氏が務められているということですが、それでよろしいですかね。
  185. 西川克行

    政府参考人西川克行君) そのとおりでございます。
  186. 井上哲士

    ○井上哲士君 そういう点では、この指針に対して日本がしっかり遵守をし、そして国内的に具体化をするということが求められたと思うんですけれども、この指針、ガイドラインが採択されたことを受け、その後、法務省は国内における具体化についてどういう検討、どういう対応をされてきたんでしょうか。
  187. 西川克行

    政府参考人西川克行君) このガイドラインの内容については、当時、同会議出席者により法曹向けの公刊物において紹介するなどして検察官等への周知が図られたものと承知をしております。  なお、検察当局においては、公益の代表者として厳正、公平を旨として誠実に執務を行わなければならないこと、予断を排して、積極、消極を問わず、あらゆる証拠を吟味して事案の真相を明らかにすべきこと、刑事手続の適正確保に特段の意を用いるべきことなど、基本的な心構え等について研修や日常の執務等のあらゆる機会を通じて教育指導を行っているものと承知をしております。
  188. 井上哲士

    ○井上哲士君 当時どういうことを法務省の中で検討したり報告があったかという資料が二十年前だということで出されなかったので、当時の雑誌に出た論文、報告論文は見せていただきましたけれども。  私、この間、この問題で説明にも法務省から来ていただきましたけれども、そもそもこういうガイドラインというものが国連で採択されているということを御存じないと。当時、何か本に書いて紹介したかもしれませんけれども、およそ、法務省の中にはそういう国際水準における検察官の在り方の指針というものがあるということ自身が、少なくとも現在、私の聞いた検察官の方は御存じなかったと、検事の方は御存じなかったというのが実態なんですね。これを具体化をするという議論も今全く出されませんでした。  これ、九〇年といいますと、三つの死刑事件が再審無罪になって、最高検はそれを受けて検証会議もやった後ですよね。ですから、本来、大きな社会問題になって、日本の検察こそこのことを正面から受け止めるということが私は必要だったと思うんですが、およそ、雑誌にちょろっと書いたけれどもその後徹底もしていない、そして何らかの倫理規程などを作るなどの具体化もされていないと、私はそこに今回の一つの大きな根の深さがあると思いますけれども、その点いかがお考えですか。
  189. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 検察官のガイドライン、知らない職員がいるとしたら非常に不徹底だったというふうに思いますので、研修等で更に徹底させる必要があるというふうに考えております。
  190. 井上哲士

    ○井上哲士君 欧州各国の検察組織には検察官倫理規程というのがあります。  例えばイギリスでは、検察官の倫理原則についての声明というのが制定されておりまして、その中で、被告にとって有利であるか又は訴追事案の土台を壊す証拠は、法律、開示に関する法務長官指針及び公正な裁判要件に従って合理的に可及的速やかな開示が確保されるよう努めなければならないと。証拠の、ちゃんと開示しなさいと、被告にとって有利であるようなものについても。これちゃんと指針で定められております。  このイギリスのステートメントというのは随時改定をされておりまして、この九〇年の国連の指針もこれも基づいているというふうにちゃんと明記をされているわけですね。  そういうような姿勢が私は日本の検察にも求められていると思いますけれども、なぜ日本はこういう独自の検察官の倫理規程というものについて検討もされていないんでしょうか。
  191. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 従前の、先ほど御紹介のあった検察官のガイドラインというものの内容については、我が国の法律制度と大きな食い違いはなかったということで、そのガイドラインを特段意識しない日常の指導の中でその中身が盛り込まれていたという実情があるというふうに考えております。
  192. 井上哲士

    ○井上哲士君 特段意識しない、まさに意識しない実態が今起きているわけですね。  この国連の検察官の役割に関する指針では、捜査で容疑事実が発見されない場合について、訴追の提起及び継続を行ってはならず、法的手続を停止するあらゆる努力をするものとすると、こうなっているんですね。これ検察官に求めているんです。ですから、今回の村木さんの無罪事件における前田元検事の行動というのは全くこの指針に反したことになるわけですね。  それから、さらに指針は次のように定めておりまして、何人に対しても、証拠として採用しないか、あるいは裁判所に相応に通知しなくてはならないと。また、そのような方法を用いたことにつき責任を有する者が裁きにかけられるようにあらゆる措置をとらなくてはならないと。ですから、不正を知りながら半年も放置した同僚検事とか特捜の上司もこういう規定に私は反するに等しいと思うんですよ。ですから、村木さんのこの無罪事件で、こういう検察官の行為が、まさに国連の指針に反するものが行われたと、こういうことはお認めになりますか。
  193. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 村木事件について、どの時点でどういう後戻りが可能であったかというのは今まさに検証している最中ということでございますので、検証の中にその答えが出てくるものと考えております。
  194. 井上哲士

    ○井上哲士君 ここで、容疑事実が発見されない場合について法的手続を停止するあらゆる努力をするものとすると、こういうことを求められております。これに全く私は反するものだと思いますが、仮に前田検事が、元検事がフロッピーディスクを改ざんをせず、証拠としても開示をしないということになりますと、偽証明書の発行日と村木さんの指示した日の矛盾というのは表ざたにならなかった、結果としておとがめなしという事態もあり得たわけですね。私は、一般論として、その検察官の、先ほど幾つか言われましたけれども、そういうことではなくて、しっかりこの法的拘束力を持って、求めるということが必要だと思うんですね。  例えばアメリカの場合はどうかといいますと、各州の最高裁判所が検察官を含む法曹全体に対する倫理規程というのを定めております。この中にはこういう規定がありまして、被告人の有罪を否定し、又はその犯罪の程度を軽減する傾向を持つことが検察官に知られているすべての証拠又は情報を弁護側に適時に開示しなくてはならないと、こういう規定ですね。  例えば、二〇〇六年にノースカロライナ州でナイフォング事件というのがありました。この検事が、強姦事件で被告に有利な証拠があったにもかかわらず、その証拠を弁護士に開示しなかったと。このことが発覚をして、この検事は、懲戒手続の結果、法曹資格も剥奪になっているんですね。  日本がどうかといいますと、例えば志布志事件で、検察官は警察などが調べた取調べ小票から被疑者のアリバイ成立の可能性を認識したはずなのに、この取調べ小票の証拠開示にすら応じずに有罪の立証を進めたわけですね。ところが、にもかかわらず懲戒処分にすら付されていないわけです。  ですから、アメリカの場合は、被告に有利な証拠を隠したら、これは場合によっては法曹資格の剥奪まで行くのに、これ全く日本の場合は、こういうこと、この事件では懲戒処分にすらされていないという事件になっているわけですね。  この志布志事件を見ても、そしてあの富山の冤罪事件、今回の改ざん事件など連続していることを見れば、やはり我が国にも警察官の行為規範となるような、法的拘束力を持った検察官の倫理規程というものを、これまではなくてもよかったと局長は言われましたけど、これだけ相次いでいるわけでありますから、これは私は絶対必要だと思いますけれども、これ、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  195. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 井上先生の御議論を聞いていまして、なるほどなと思う点もございます。検討会議の方にお伝えをして、議論をしていただけるようになろうかと思っております。
  196. 井上哲士

    ○井上哲士君 この問題に限らず、日本の刑事司法は、国際会議などでも自白偏重とか人質司法とか批判をされてきました。  二〇〇八年の自由権規約委員会の総括所見でも、取調べの全面可視化とか、それから代用監獄の廃止というのが勧告されておりますし、代用監獄の廃止については、これが自白強要の温床になっているということで国連の拷問禁止委員会からも勧告を受けているわけですが、監獄法の抜本改正のときにも結局この代用監獄は残ったというのが実態なわけですね。  私は、やっぱり、今までは日本と諸外国の法制度が違うとか、刑事司法の在り方が違うとかといって、なかなかこういう国際的な指摘を正面から受け止めてこなかったと思います。こういうことを今やっぱり直視をして、全体として検察在り方を見直す。これはもちろん在り方検討会議でも議論をしていただきたいし、これはやっぱり大臣自身が、法務省自身がこういう国際的な指摘を改めて受け止めて検討すべきだと思います。その点での御決意も最後にお聞きをしたいと思います。
  197. 柳田稔

    国務大臣柳田稔君) 私だけではなくて、ここに座っています三人でいろいろと議論をさせていただきたいと思います。
  198. 井上哲士

    ○井上哲士君 終わります。
  199. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時三十六分散会