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2010-10-21 第176回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年十月二十一日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  十月二十一日     辞任         補欠選任      一川 保夫君     小川 勝也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         主濱  了君     理 事                 岩本  司君                 大河原雅子君                 野村 哲郎君                 山田 俊男君     委 員                 一川 保夫君                 小川 勝也君                 金子 恵美君                 郡司  彰君                 外山  斎君                 徳永 エリ君                 松浦 大悟君                 青木 一彦君                 加治屋義人君                 鶴保 庸介君                 福岡 資麿君                 横山 信一君                 渡辺 孝男君                 柴田  巧君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   鹿野 道彦君    副大臣        農林水産大臣  篠原  孝君    大臣政務官        総務大臣政務官  逢坂 誠二君        農林水産大臣政        務官       田名部匡代君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 朝雄君    政府参考人        厚生労働大臣官        房審議官     唐澤  剛君        厚生労働省労働        基準局労災補償        部長       尾澤 英夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (EPA(経済連携協定)・TPP(環太平洋  連携協定交渉に関する件)  (戸別所得補償制度に関する件)  (過剰米米価下落品質低下対策に関する件  )  (口蹄疫問題に関する件)  (農業農村整備事業予算に関する件)  (鳥獣被害対策に関する件)  (漁業所得補償制度に関する件)  (水産加工品輸出促進策に関する件)     ─────────────
  2. 主濱了

    委員長(主濱了君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働大臣官房審議官唐澤剛君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 主濱了

    委員長(主濱了君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 主濱了

    委員長(主濱了君) 農林水産に関する調査を議題として、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 外山斎

    外山斎君 おはようございます。民主党外山斎です。  本日は、新しく就任をされた鹿野大臣所信に対して質問をさせていただきます。  鹿野大臣におかれましては、二十一年ぶり農水大臣就任をされたわけでありますが、大臣所信でも、当時と比べ農林水産業を取り巻く環境が深刻なものになっていることを改めて認識いたしましたとありました。日本農林水産業は、所得が低かったり後継者不足の問題だったりと問題が山積をしております。農水大臣としては、日本農林水産業を今後どのように導いていこうとされているのか、決意のほどをお聞かせください。
  6. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今お話がありましたとおりに、私も二十一年ぶりと、こういうことでございまして、随分古い話になるわけでありますけれども、この度拝命をいたしましたときに、まず農林水産業、第一次産業を取り巻く状況というのはどんな状況にあるかということを改めて、概略でありますけれども、いろいろと見詰め直したわけでありますけれども。  そういう中で、何といっても自給率は当時四九%でありまして、それが今は四〇%ということで、この二十年間でもう九%も下がってしまっている。そして、農業者所得も半分だと、こういう半減ということであります。そして、耕作放棄地と言われるその面積も、当時はたしか二十五万ヘクタールだったんですけれども、それが四十万と、こういうようなことでありまして、あっ、十五万ヘクタールが、もう大変な放棄地、もう増えておると。こういうことを考えたときに、じゃ、農林水産省として、どれだけのことを対応というものがやることができたかということを考えてみると、やっぱり予算であります。予算は、七千億も当時から減少しておると、こういうことを考えたときに、この第一次産業を取り巻く状況というのは大変深刻に受け止めなきゃならないなと、こういうような認識に立ちました。  そこで、まず、どうあるべきかというときに、私は、第一次産業の果たす役割というのは非常に重要な意味を持つと。一つは、やはり国民人たちに対して食料安定供給、こういうふうなことで、いわゆる食料安全保障体制をどう確立していくか。それから、国民人たちが非常に関心の高い食の安全、この食の安全、こういうものをいかにしてこれまたきちっとした体制をつくっていくか。  そして、ここまで連綿と続いてきたこの我が日本の国の恵まれた自然環境というものを、この保全のために第一次産業が大きな役割を果たしてきたわけでありますから、引き続いてこれからもその多面的機能というふうなものの維持をどうやってこれからも継続していくかというような、そういうようなことを考えたときに、もはや農林水産省一省だけで考えていくということではなしに、国民全体で、国民皆様方に第一次産業重要性というものをまず認識してもらって、そしてそのためにはどうやっていくかということを国民人たち関心を持ってもらって施策を打ち出していく必要があるんじゃないか。いわゆる消費者の人も、それから農業者の人も一体となった形で取り組んでいかなきゃならない、そういう農林水産行政というふうなものの位置付けをしていかなきゃならないなということを、そんな認識にまず立ったわけであります。  そういう意味で、この戸別所得補償というものは、やはりこれからの農業者の人が安心して農業にいそしんでもらうための制度でありますから、これからも継続していく。  そして、何といっても農村社会が、地域社会が大変な状況になっていますから、この六次産業化というような法案を提出もさせていただいていますけれども、そういうものを定着させることによって地域に新たな活力を生み出すことができるんじゃないかと。  あるいはまた、いろんな意味でのこれからの農業政策というものを、その他もろもろございますけれども、今までは何ともこの、守る、守る、守りというようなところの体制で、とにかく攻める余裕もないような状況で来ましたけれども、やっぱりこれからの農林水産行政というものは、少し攻守所を変えて攻撃をしていこうというくらいの気持ちを持ってこれからの農林水産行政をやっていかなきゃならないなと、こんな思いをいたしているところであります。
  7. 外山斎

    外山斎君 お答えありがとうございました。  是非鹿野大臣の方には、我が国農林水産業を正しい方向に導いていっていただきたいと思います。  それでは、TPPに関して質問をさせていただきます。  今大臣の方からも、第一次産業の果たす役割は大きいということもありました。菅総理TPPへの参加検討すると言われておりますが、関税撤廃の例外を認めないTPP参加すれば日本農業は壊滅的になるのではないかとも言われております。我々民主党食料自給率の向上というものを掲げているわけでありますが、もし万が一TPP参加するとなれば大幅な自給率低下を招くとも言われているわけであります。  食の安全保障考える上で安易な参加はすべきではないと私は考えますが、APECが迫っている中、農水大臣としてTPPに対するお考えをお聞かせください。
  8. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今年の六月に閣議決定をしております、二〇二〇年までFTAAPの構築に向けて道筋を決めていこうと、そういう中でTPPというふうなものについて検討すると、こういう総理所信表明がなされたわけであります。  そういう中で、TPPというものは実質的にどういう協定なのか、またそういう中で交渉というものがどういう交渉になっていくのか、そのことによって国内におけるところのプラス面とか、あるいはマイナス面とかと、いろいろなことがあるかもしれませんけれども、いずれにしても、その影響度合いというふうなもの等々もしっかりと検討していかなきゃなりませんし、そして、当然のことながらそれに対して、先ほど申し上げた農林水産業役割というものをこれからも果たしてもらわなきゃなりませんから、じゃ国内対策というものはどういうふうな政策が必要なのかということになるわけでありますので、検討をしていくというようなことについて検討をしていくと、こういうふうなことでございます。
  9. 外山斎

    外山斎君 お答えありがとうございました。  ちょっと分かりづらいところもあったのかなとは思いますが、農水省側説明外務省とか通産省説明を聞いていますと、TPPに関して若干違う説明を受けている部分とかがありますので、どうぞ、どういうルールでどういう交渉ができるのかというのを、外務省通産省、そして農水省連携をされて、そこはちょっと統一していただきたいなと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、米価についてお尋ねをいたします。  今年から戸別所得補償モデル事業が始まったわけでありますが、多くの農家の方が、米の概算金が低いためか、先行きを不安視されております。中には変動部分予算が足りるのか等心配されている農家もいらっしゃるわけでありますが、こうした声は戸別所得補償モデル事業導入時からあったわけであり、当時の赤松大臣も事あるごとに心配要らないということを言われております。  いろいろな場でそういった発言があったわけでありますが、いまだに農家方々の不安とか心配というものが解消されていないのが現実であり、こうした声は多分、政府としてちゃんと農家の方に説明していないからこういったことが起きているのかなというふうにも私は感じるわけでありますが、もっと制度の中身とか心配要らないという明確なメッセージを農家方々に出すべきだと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
  10. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今先生が言われたことにつきましては、やはり重大な関心を私どもも持ち合わせながら、とりわけお米の下落というようなことについての不安感というふうなものは、私も過般新潟県にも参りましたけれども、いろいろと直接伺わさせていただきました。そして、いろいろな方々からも、御要請、御要望もいただいておるわけでございます。  そういう中で、この平成二十二年度におきまして戸別所得補償制度というものを導入した際には、いわゆる定額部分とそれから価格下落した場合に対しての対処法として変動部分というふうなものを位置付けいたしておるわけでございますので、そういうこの制度そのものを多くの方々に改めて御理解をいただきたいと、こんなふうにも思っておるわけであります。  そこでもう一つは、具体的にこの制度が実施されるということの中で、定額部分に関しての支払というふうなものについてもできるだけ早く支払われるようにしてほしいというような声も強いわけでありますので、私の方からも指示をいたしまして、定額部分については何とか年内に支払われるようにと、こういうようなことで今対処すべく進めておるところでございます。  また、変動部分につきましては、来年の一月に相対取引価格が設定されるということになりますので、何とか年度内に支払われるようにというようなことで、これからも努力をしていき、少しでも農業者方々安心感を持ってもらうようにしていきたいなと、こんなふうに思っております。
  11. 外山斎

    外山斎君 お答えありがとうございました。是非農家方々の不安を解消していただきたいと思います。  それでは次の質問に移らせていただきますが、お隣韓国の中西部で鳥インフルエンザ発生したと聞いております。各県や各自治体生産者に対する注意喚起等はどのようになっているのでしょうか。
  12. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 先生お話しになられたように、今月の十八日に韓国鳥インフルエンザ発生をいたしました。その日付けで、我が国といたしましても、韓国からの家禽及び家禽肉輸入禁止をしたところであります。  先生指摘のその情報提供ということ、今の取組に関してでありますけれども、一つ農林水産省ホームページ情報提供をしております。ただ、なかなかホームページ情報提供しても御覧いただけないということもございますので、都道府県、そして獣医師会、また畜産関係団体方々を通じて農家皆様注意喚起をしていただくということを取り組んでいます。
  13. 外山斎

    外山斎君 お答えありがとうございます。  どうしてこの質問を聞いたのかといいますと、今回、私の選挙区でもあります宮崎県で口蹄疫発生いたしましたが、お隣韓国で先に発生していて、農水省としては各県や自治体に対して注意喚起等をしていたわけでありますが、後になって農家方々といろいろお話をさせていただくと、当時、韓国等口蹄疫発生したということを知らなかったという農家の方が数多くいらっしゃいました。農家方々に対して、そういった鳥インフルとか口蹄疫我が国近隣で起こっているという情報が正確に伝わっていれば、様々な事前の防疫体制というものは取られていた可能性もあるわけでありますから、そこ辺りが正確にやっぱり生産者の方に伝わるような仕組み農水省としては変えていただきたいと私は思います。  それでは、ちょっと次の質問に変えさせていただきますが、口蹄疫に関してお尋ねをさせていただきます。  今年の四月に、私の選挙区でもある宮崎におい口蹄疫発生をいたしました。四月二十日に第一例目が確認をされたわけでありますが、約二十九万頭の牛、豚が殺処分されるという大惨事になりました。今回の口蹄疫我が国にとって二度目の経験であったわけでありますが、十年前に発生した口蹄疫でも、侵入ルート等解明には至っておりません。ウイルス侵入伝播経路解明は大変難しいのかもしれませんが、口蹄疫疫学調査チーム検討会を継続して開催しているようですので、侵入伝播経路解明が今どのようになっているのか、お聞かせください。
  14. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 口蹄疫感染経路の究明についてでございますけれども、今、外山委員触れられたとおりでございまして、疫学調査チームというのをつくりまして検討してまいりました。八月末に中間的整理をしております。分かっていることと、なかなか難しくて分からないことがございます。  分かっていることは、香港や韓国、ロシアから分離した株と非常に近いウイルスであるということが分かっております。それで、これらの近隣諸国から人や物を通じて感染してきたということが分かっております。具体的な感染経路でございますけれども、初期事例を中心にして調査はしてまいりましたけれども、アジアの近隣諸国というのは分かっておりますけれども、特定な人と物というのはまだきちんとしておりません。更なる調査が必要じゃないかと思っております。  ですから、今やっていることでございますけれども、疫学調査チームは、初期発生事例農家に重点を絞りまして、更に情報収集しておるところでございます。そうした検討結果については、更に調査、分析いたしまして、きちんと公表してまいりたいと思います。  ただ、限界もありまして、各農場で人や物の出入りをちゃんと記録したりする義務というのは別にありませんので、調査対象の方の記憶に頼ってやっているような状況でございますので、なかなか限界もあると思います。しかしながら、調査分析を進めまして、今後の防疫体制強化に努めるためにも、こういった結果はきちんと分析し公表してまいりたいと思っております。
  15. 外山斎

    外山斎君 お答えありがとうございます。  いろいろな検証によると、三月二十七日ですかね、水牛農家が初発だったんではないかという調査もあります。水牛農家は第六例目であったわけでありますが、宮崎県内において多くの農家さんが第七例目の大規模農場可能性として高いんではないかという声なんかもあります。そういったところも含めて、ちゃんと元従業員等含めて調査をしていただきたいと思っております。  なかなかルート解明侵入経路解明等は難しいのかもしれませんが、難しいならそれとは別に国としての防疫体制というものをしっかり取っていかないといけないと思っております。二度とこのような事態を招かないようにするためには万全の水際対策等が必要なわけでありますが、現在お隣中国やまたモンゴルでも口蹄疫発生しておりますが、そちらの国の方から入ってきた、日本に入国した方々に対する防疫体制は現在どのようになっているのでしょうか。
  16. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 今委員がおっしゃったように、本年に入って中国韓国また台湾でも口蹄疫発生しているということで、これだけ人や物が行き来する中で、非常に我が国においても口蹄疫危険性というのは高い状況にあるというふうに認識をしております。  まず一つ取組としては当然発生した国からの牛肉等輸入禁止をするということ。そして、今空港なんかで靴底消毒をするということで、この消毒によってウイルスを防ぐと、入ってくるのを防ぐということを取り組んでおります。さらには、第三者によります口蹄疫対策検証委員会において更なる検証が現在行われているというふうに思っております。
  17. 外山斎

    外山斎君 是非、入国の際の防疫消毒等というものはしっかりやっていただきたいと思います。  ただ、その発生している国から来た人だけに対して消毒をするというのでは、今いろいろ、例えば経由便とか、例えば他の国に寄って日本に入ったりする人たちもいます。  私も以前、イギリスにいた当時、イギリス口蹄疫発生し、日本に帰国したら、ドイツを経由して帰ってきたわけでありますが、イギリスから入国する人に対してはそういった消毒は行われていたわけでありますが、ほかの国を経由して帰ってくる人たちに対しては何ら消毒がされていなかったということもありますので、そこ辺りも含めてちゃんと関係機関連携を取っていただいて、しっかりした消毒体制というものを取っていただきたいと思っております。  その中でまた、国によっては例えば入国する際に農場への立入りをしたかどうかを申告させるというような入管の検査があるようですが、そういったものも含めて我が国としても私は導入する必要性があるのではないかと思っております。  そこに対する農水省としてのお考えをお聞かせください。
  18. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 先生お話しになられたようにオーストラリアであるとかアメリカでは、過去一定の期間に農場に立ち入ったかどうか、その有無を申告するというような取組をしているところもございます。  私たちも、今後、そういった諸外国の取組も踏まえ、さっき申し上げた検証委員会のそういった御意見も踏まえて、更なる措置というものを強化していく必要があると思っておりまして、もう一つは、検疫探知犬というのが日本にも二頭いるんですけれども、その手荷物をその探知犬においで肉が入ってきていないかとかという、においでかぎ分けるというような、まあ二頭しかいないんですが、そういったことも、探知犬も利用しながら検疫強化が図れないかどうか、そんなこともしっかりと検証しながら取り組んでまいりたいと思います。
  19. 外山斎

    外山斎君 お答えありがとうございます。しっかりとした対策を練っていただきたいと思います。  次に、牛豚等疾病小委員会に関してお尋ねをいたします。  今回の口蹄疫では様々な判断が牛豚等疾病小委員会開催後に下されております。しかしながら、農水省決定影響を与えている委員会の割には、口蹄疫発生中の委員会開催頻度が低かったようにも感じられます。  私も口蹄疫発生している中、農水省担当方々を呼んでいろいろと意見交換をさせていただいて、その中で地元団体農家方々が求めている対策についていろいろお話をさせて、伝えさせていただいておりましたが、その中で農水省担当官が私に言われたのが、当初ですけど、口蹄疫、これは大体エリア内に収まっているから想定内ですと、私が飛び火するのではないかと言っても、大丈夫です、想定内ですということで当初ありました。  後でいろいろ調べてみますと、牛豚等疾病小委員会も同じようなことを言われていたわけであります。私自身は、その牛豚等疾病小委員会農水省をリードしていたのか、農水省牛豚等疾病小委員会をリードしていたのかというのは知る立場ではありませんが、やはり地元の正確な情報が正確には伝わっていなかったのではないかなと思っております。  また、その牛豚等疾病小委員会のメンバーを見てみますと、専門家は多いのかもしれませんが、現場や現地の事情等に精通した人が少なかったように感じます。農水省決定に大きな影響を与える委員会であったわけでありますから、現場の声を正しく酌み取りながら頻繁に委員会を行えるように組織を改編するべきだと考えますが、農水省としてはどのようなお考えでしょうか。
  20. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) この牛豚等疾病小委員会についてでありますけれども、これまでに五回開催をされておりまして、随時委員意見を聞いてまいりました。  その上で、防疫対策というものを実施してきたわけでありますけれども、先ほど申し上げた口蹄疫対策検証委員会では、この小委員会開催頻度であるとかワクチンの接種のタイミングなど問題があったのではないかという、そういった御指摘もあり、小委員会在り方そのもの検討すべきではないかという御指摘があったところです。そういうことも踏まえて、私たちもこの検証委員会最終報告というものを踏まえて、小委員会在り方、また構成等についても検討していく必要があるのではないかと考えています。  先生おっしゃったように、できるだけ現場で仕事にかかわっていらっしゃる皆さんの声がしっかり聞けるような体制を取っていく必要があると考えておりますので、例えばオブザーバー的な形で御意見を聞くだとか、そういったことも検討してまいりたいと考えています。
  21. 外山斎

    外山斎君 お答えありがとうございます。是非、やはり現場だからこそ分かっている情報等もありますので、そういった方々が国に対してちゃんと正確な情報を伝え、そしてまたこうやった方がいいんじゃないかということを言えるような仕組みに変えていただきたいと思っております。  今回の口蹄疫牛豚が約二十九万頭殺処分されるという未曾有の大災害になったわけでありますが、ここまで被害が大きくなった理由には様々なことが挙げられると思います。いかに迅速に殺処分を行うか、また感染が拡大しないように封鎖等を行うかが大事だと思いますが、後の検証でも明らかになりましたが、発生が確認された時点では既にほかの農場にも飛び火していた例もありました。そのようなことから、発生するや否や早期にその農場を殺処分すると同時に、半径数百メートル、周辺の完全な封鎖と、そこにもし農場があるんだったらそういった農場も含めて私は殺処分、さらにはその周辺の狭い範囲でよいのでワクチン接種して封じ込めることが現実的な対応と思います。  私も当初から、今回口蹄疫発生したとき、農水省方々にも、やっぱり韓国のように半径五百メートルですべての農場を殺処分する方がいいんじゃないかということを伝えさせていただきましたが、なかなかそれはできませんというお答えでありました。  そして、いずれ家伝法の改正になるわけでありますが、農水省としてはどのように今後の殺処分を含めて封じ込めを考えているのか、お聞かせください。
  22. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 口蹄疫の蔓延防止には、今、外山委員指摘のとおりでございまして、早期発見、それで早期埋却処分、これがベストだと思っております。  隣の韓国では、原則五百メートル以内に予防的殺処分ができると、場合によっては三キロメートル以内も予防的殺処分をするという、そういう措置を講じているのを承知しております。  我が国におきましても、最初はちょっと戸惑いがあったかもしれませんけれども、私は六月九日に農林水産大臣を拝命いたしまして、農林水産省には一時間しかおりませんで、次の朝一番早い便で宮崎に行きまして、三十五日間おったわけですが、その私が行ったときにはえびの方式というのが盛んに言われておりましたが、えびの市に、ちょっと遠いところですが、飛び火したと。そのときにもう宮崎県の方は学習しておられまして、四月二十八日に発生したわけですけれども、一日で埋却処分をしてしまったと。こういうやり方が有効だと分かりましたので、その後、その後というか、六月九日に都城市に飛び火し、六月十日には西都、日向、宮崎に飛び火したわけですけれども、これは東国原知事がよくおっしゃいますけれども、初動はともかくその後は万全であったと、私はそのとおりだと思います。今申し上げました都城、西都、日向、宮崎、全部一日でもう埋却処分をしております。こういったことが有効ではないかと思っております。  現在、第三者によります口蹄疫検証委員会を開いておりまして、八月五日に第一回を開催いたしまして、つい最近、十月十九日には宮崎県の口蹄疫検証委員会と合同の委員会を開きまして、十二回開いております。中間的な整理というのを九月十五日にしておりますけれども、ここでは予防的殺処分にどういうふうに触れているかといいますと、初動が一番大事であると。そう簡単にワクチン接種をしたり予防的殺処分をするのは良くないと。つまり、今、二回、三回触れられましたけれども、二十九万頭もの牛と豚を処分するというのはやっぱり異様ですので、なるべくそういうことは避けるべきであると、初動が一番大切だというのが一つでございます。  それから、初動の対応で蔓延防止ができなかったときは、ここからがちょっと問題なんですが、経済的補償も含めてきちんとしまして、予防的殺処分も、家畜伝染病予防法の改正を予定しておりますけれども、そういったところにちゃんと位置付けていくべきではないかという指摘を受けております。  農林水産省といたしましては、今もやっているわけですけれども、検証委員会最終報告を踏まえまして、家畜伝染病予防法に予防的殺処分も必要とあらばきちんと位置付けてまいりたいと思っております。
  23. 外山斎

    外山斎君 お答えありがとうございます。  確かに早期に殺処分するのは、これは私は絶対やらないといけないと思っております。  えびのや都城ですぐに封じ込めることができたのはそういったことがあったのかもしれませんが、ただ、現実問題として、都農町で発生したとき、これはもう四月二十日に明らかになったわけでありますが、その時点では既にもうほかの農場にも飛び火していたわけであります。そういった事態もあるわけでありますから、やっぱり韓国のように、私は、どこかが発生したら半径何百メートル以内の農場はすべてもう殺処分しているというやり方でないと、多分えびのとか都城というのは川南とか児湯郡の方から飛び火してきて、それでウイルスが広まってなかったからできたことであって、都農、川南みたいにもう既に発見できたときには蔓延していたというような事例というのも今後起こり得ることだと思っておりますので、是非予防的殺処分考えていただきたいなと思っております。  今回の口蹄疫で殺処分が遅れた背景には埋却地の問題もあったわけであります。家伝法が制定された昭和二十六年当時と比べると畜産は大型化し、家畜所有者が、疑似患畜が発生した場合、自らの責任で焼却又は埋却を行うとの家伝法上の義務を果たすことは大変今は困難になってきております。そういうこともあって、特措法では、農水大臣が指定する地域において患畜等の所有者は家畜防疫員に焼却又は埋却を求めることができるとするとともに、埋却地の確保や作業従事者の派遣について地方公共団体の努力義務、国の義務を定めました。  特別措置法ではその附則において家伝法の抜本的見直しを含む検討を行うとしておりますが、患畜等の所有者において埋却地を確保すべきとなっている現行法をどのように農水省としては見直すおつもりなのか、考えをお聞かせください。
  24. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 埋却には埋却地が必要でございます。家伝法は確かに古い法律でございまして、こんなに規模が拡大することを予定していなかったわけですね。ですから、小さな生産者、畜産農家想定しておりますので、農家が埋却地を確保するようにという規定になっております。  しかし、現実には土地の制約というのはそれほどなかったもので、耕種型農業というのは規模拡大が進まなかったんですが、畜産においては、まず鶏で進む、鳥で進みまして、豚で、牛にと、もう大規模農場ばかりになって、宮崎県はそのいいある意味では見本だったのではないかと思います。想定外の大きさになっておるわけですね。ですから、川南町や児湯地区の大規模農家が埋却地に困ったと、これが初動が遅れた原因になっておるわけでございます。  こういった指摘は、先ほども申し上げました第三者の検証委員会でも九月十五日に指摘しております。  どうしていくかというと、現実がそういうふうに進んでしまっているわけでして、やはり都道府県が中心になってもらわなければならないと、都道府県が市町村、国と協力して埋却地の確保に努めるということが現実的じゃないかと思っております。こういったことをまだ検討していただいておりまして、この検討委員会の報告を待ちまして、先ほどと同じなんですが、予防的殺処分と同じでございます、家畜伝染病予防法の中に入れ込むかどうかということも含めまして検討してまいりたいと思っております。
  25. 外山斎

    外山斎君 お答えありがとうございました。  それでは、総務省の方にお尋ねをいたしますが、今回の口蹄疫で多くの自治体が基金を取り崩して蔓延防止の様々な対応や農家への支援に対応したわけでありますが、これらの自治体は、基金の取崩し分に対して交付税措置をしてほしいとの声があります。総務省としては自治体の基金の取崩しにどのように対応されるつもりなのか、お聞かせください。
  26. 逢坂誠二

    大臣政務官(逢坂誠二君) まず冒頭に、今回の口蹄疫対策については、宮崎県はもとより九州各県の農家の皆さん、関係者、関係団体の皆さんが本当にもう大変な御努力をされて対応されたということに対して、心からのまたお礼を申し上げると同時にお見舞いを申し上げたいと思います。  それで、まず口蹄疫対策でございますけれども、これはもう政府を挙げて取り組むことだというふうにしているわけでございまして、総務省としては、地方公共団体が万全の対策を実施できるように、地方公共団体が負担した経費については、今、外山委員から御指摘のありました例えば財政調整基金などの取崩しで対応した経費を含めて特別交付税措置をすることとしております。特に、口蹄疫特措法に基づく殺処分の損失補償や消毒ポイントの設置、運営経費などについては、今回の特例措置として全額を特別交付税で措置をすることとしております。  さらに、復興対策として、農畜産業振興機構に設置される基金に関連する地方負担分、さらに基金事業以外に宮崎県などの地方公共団体が独自の判断で行う風評被害対策農家支援対策等の単独事業についても、その八割を特別交付税で措置することとし、関係地方公共団体の円滑な財政運営に支障が生じないよう適切に対処してまいりたいと思っております。  なお、これらの特別交付税措置でございますけれども、これまでこうした措置については三月の交付分で対処することとしていたわけですが、今年度からは基本的には十二月分で対処できるように何とかできないかということで今事務手続を進めているところでございます。  以上です。
  27. 外山斎

    外山斎君 お答え、ありがとうございました。自治体は大変心配しておりますので、どうぞ万全の対策を取っていただくことをお願いいたします。  それでは、獣医師の問題についてお伺いをいたします。  今回の口蹄疫では多くの獣医師の先生方が殺処分やワクチン接種に従事をされました。その中には、自主的というか、地元対策本部に行ったら是非来てくださいという返事があったので参加された開業獣医師の先生方もいらっしゃったわけでありますが、その方々には今回手当等は支給をされておりません。  家伝法の枠内でいえば、県からの要請があった獣医師に対しては雇入れ獣医師として手当の支給があります。しかしながら、今回のように大規模に発生し、獣医師が足りないということで、市町村からの依頼なので献身的に従事された獣医師の先生方もいらっしゃるわけでありますが、ボランティアということで切り捨てるのではなく、何らかの対応が私は必要だと思いますが、農水省としてはどのようなお考えでしょうか。
  28. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 今回の口蹄疫、未曾有の大変な事態でしたので、延べ二万五千人の獣医師の皆さんに、獣医師の皆さんだけじゃないんですが、二万五千人の方々にいろいろ参加していただきました。その中には民間のボランティアの方が相当おられたというのは承知しております。予想よりも長期化いたしましたし、その皆さんに多大な負担を掛けているということは我々承知しております。  今御指摘のようなことがありましたので、農林水産省としては、ボランティアに参加した方、ちょっとぐらいだと思ってこれ来ていただいたんですが、ところがちょっとどころじゃなくて何週間にもなり、地元の県に帰って獣医師活動をしようと思ったら一週間現場に出てはいけないというようなこと、後でみんな分かってくることなんですが、大変だったわけです。それは何も手当がないのはおかしいじゃないかというのは、私が三十五日間いる間にももうそういう指摘を受けております。  手当てはしておりまして、雇入れの手続を行った獣医師の手当については、家畜伝染病予防費、負担率が二分の一でございますけれども、これが活用できるということで宮崎県には通知しております。ですから、宮崎県の方はこの通知を基にきちんと手当てをしてくれていると思っております。
  29. 外山斎

    外山斎君 ちょっと私の聞いている質問とは若干違うんで、今副大臣お答えになったのは県が管理している雇入れ獣医師の話なんですけれども、私が話しているのはどちらかというと、児湯地域に特に多いんですけれども、民間の開業獣医師さんがいらっしゃいまして、地元対策本部へ行ったら手伝ってよということで、その方々も当初は数日間程度だと思って従事をされたわけです。しかしながら、ずっとこれが長期化していって、なかなかやっぱり、獣医師という立場で殺処分やワクチン接種を行っている上で、なかなかやっぱり周りとの関係等もありますので、これは抜け出せなくなっていって、最後まで従事していたわけでありますが、要はその期間、全く日当等を含めて出なかったという問題があります。  ほかの、例えば農済とか、ほかの県からの獣医師さんというのは多分給与をもらっていながら参加しているわけでありますが、地元の、特に発生地域の開業獣医師さんというのはもう全く所得がなく手伝っていたわけであって、口蹄疫ワーキングチームでも何人かの民主党の議員の先生たちでいろいろと獣医師の先生方ともお話をさせていただいたときに、やはりこういった問題があるから対処してほしいというお声がありました。  だから、私が言っているのは、そういった民間獣医師の人に対して何らかの対応が必要なのではないかということであって、農水省としてはどのように考えているのかお聞かせくださいということなので、改めてお聞かせください。
  30. 主濱了

    委員長(主濱了君) 時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
  31. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) そういう、我々は手当てし切っていると思っておりましたけど、今そのような事態が生じているということでしたら、宮崎県と連絡を取りましてきちんと対処したいと思っております。
  32. 外山斎

    外山斎君 まだちょっと聞きたい質問はありましたが、もう時間ですので、これで質問を終わらせていただきます。
  33. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。  鹿野大臣とは初めて議論をさせていただきますが、昨日も私どもの漁港漁場漁村整備促進議員連盟で御要望にお伺いしましたところ、お会いできましたことを心から御礼を申し上げます。  私ども与党時代に、鹿野大臣農水大臣平成元年にお務めになっておられまして、大変な農政通だということも私どもは心強く思っております。また、篠原大臣農水省出身でございますし、もう言わずもがなでありますが、今日はお見えになっておりませんが、筒井副大臣はさきの通常国会まで衆議院の農林水産委員長をお務めになっておられまして、私も度々傍聴に行かせていただきましたが、大変、委員長としてのお裁き、見事なものでございました。また、松木そしてまた田名部政務官は北海道、青森という農村を抱えた地帯でありますので、そういう意味では非常に適材適所の今回は人事をしていただいたものというふうに思っております。  ただ、一点申し上げたいのは、内閣改造があるまでは、ここにおられる郡司副大臣そして舟山政務官、参議院から二人おいでになっておりました。私どもの与党の時代も参議院から必ず政務官なりあるいは副大臣にお入りになっておられたんですが、今回はどういうことか分かりませんが、人事のことですから分かりませんけれども、参議院から一人も三役が入っておられない、ちょっといびつな内閣改造だったのではないかなと思いますが、それよりも何よりも、参議院の民主党には人材がいないと、こういう変な誤解があるのかなということも、これは私の個人的な見解でありますけれども、どうも民主党の人事をやる方は、参議院の農林水産委員会の、これだけの実力者をそろえながら何で三役に一人も起用しなかったか、大変参議院軽視じゃないかということだけは申し上げておきたいと思いますが。  大臣、何かコメントがありましたら、これは質問じゃありませんので、何かお考えがありましたら。
  34. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今、野村先生からお話がございました。実は私もこの拝命の際に、参議院の方からも何とか政務三役の方にお一方というふうなこと、また場合によっては継続して舟山さんにやってもらうというようなこと等々につきましては私からも一言要請をいたしたところでございますけれども、諸事情でこの政務三役五名で今やらさせていただいておりますが、決して参議院軽視ではございませんということだけはひとつ御理解をいただければと思っております。
  35. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今回のように参議院からゼロというのは、そういう意図的に参議院を軽視されたものではないということだろうと思いますが、たまたま人事でこういうことになったんだろうと思いますけれども、ただ、是非大臣、我々参議院のメンバー、特に民主党委員の皆さん方にはすばらしい人材がおられることを是非御承知おきをいただきたいと思います。  さて、この一年間、新政権になりましてから、赤松大臣そして山田大臣と一年間でお二人、三人目で鹿野大臣でありますが、私どもはこの委員会でいろんな議論をさせていただきました。特に戸別所得補償制度のモデル事業を実施された年でありましたので、ほとんどの質疑はこれに充てられたと。あるいはまた、口蹄疫が、先ほども質問がありましたけれども、口蹄疫発生しましたので、この問題が中心になっていたと思いますが、思いますが、ただ、赤松大臣、山田大臣とはなかなか議論がかみ合いませんでした。  赤松大臣は、ちょっと言葉は悪いかもしれませんけれども、のうてんきな答弁ばかりでありまして、私どもは全くこれに対しては大きな不満を持ったところであります。また、山田大臣はどうも、政治主導、政治主導と言いながら、ほとんど役所が書いた答弁をそのまま言っておられました。それはなぜ気付いたかといいますと、私どもが役所を呼んでいろいろ聞く中身と、ここで山田大臣が答弁される中身がもうほとんど同じ。一歩も出ておりませんでした。  ですから、そういう意味で私どもはこの場で、皆さん方は政治主導だとおっしゃっているんだから、役人の答弁じゃなくて、大臣自体の考え方を是非教えていただきたいということも実は申し上げてきたところでございますが、しかし今回は、政務三役は先ほど申し上げましたように農政通でありますので、大変期待をいたしております。  そこで、大変期待をいたしております鹿野大臣質問をさせていただきたいと思います。  大臣、今年の、二十二年度の農林水産省予算ですね、大幅に変更をされました。それは当然、モデル事業を実施されたからということになろうと思いますが、ただ、この米のモデル事業は、大変鳴り物入りで皆さん方が導入をされましたし、当然民主党のマニフェストにも述べてあったわけでありますから、これを今年実施をされました。私は、三月十二日の参議院の予算委員会赤松大臣に問いただしました。戸別所得補償制度の導入で米価が下がるのではないですかと、このモデル事業を実施されるということは米価が下がるのではないですかと、こういうことを質問をさせていただきました。その理由は三つぐらい述べた記憶がございます。  しかし、赤松大臣は、モデル事業は生産数量目標に即した生産をする農家に強力なメリットがあるので、したがって需給の引締め効果が十分に発揮される、したがって需給が緩んで米の値段が下がることはあり得ないと、こういうことを断言されたのであります。その後も、いろんな委員会等々でもそのことをずっと述べておられました。  しかし、現実的には、後ほど山田委員の方から米価については詳しく質問があるというふうに思いますが、私はそのときもまだいろんな想定お話を申し上げておりましたので、三月でありますから、ただ、そのときから私どもは危惧いたしておりました。最後に赤松大臣に、今年の出来秋に答えは出ると思うけれども、是非ともあなたは赤松大臣ならぬお粗末大臣にならないようにしてくださいと、こういうことも実は申し上げてきたところであります。  なぜそういうことを言うかといいますと、私はこのモデル事業は一、二年じっくりと掛けてやるべきだ、そしてその検証結果を踏まえて本格的な実施に移すべきじゃないのか、何でこう焦って拙速にやるのかと、こういうことも申し上げてきたところであります。  平成の農政の大転換ということをおっしゃるのであれば、私はこの日本農業やあるいは稲作農家をまさしく社会実験してそしてやるのはいかがなものかと、やっぱりじっくりやりましょうよということも実は御提案をさせていただきました。そのときにも、これは実験事業だけれども、モデル事業じゃなくて実験事業なんだ、しかも動物実験なしの生体実験だと、こういうことも実は申し上げて、大変危惧をいたしておったところであります。  そこで、鹿野大臣にお聞きしたいんですが、鹿野大臣は、十月十三日の衆議院の農林水産委員会で我が党の宮腰委員質問がありました。戸別所得補償制度設計に米価下落の要因があるのではないか、戸別所得補償制度は欠陥商品ではないですかと、こういう質問がございました。その答弁として鹿野大臣が、この制度が欠陥商品だから米価下落したんだというふうには、私はそういう考えには立っておりませんと答弁されておりますが、その考えは今でも同じでありますか。
  36. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 宮腰委員お答えした考えは今も変わっておりません。
  37. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 大臣がそういうふうに断言されるのであれば、何を根拠にもってそういうような御答弁をされたかお聞かせください。
  38. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 私は、いろいろ議論としてはあると思います。しかし、私の認識では、やっぱりこの経済情勢、今のデフレ基調というところが最大のこの下落要因ではないかなと、こういうような認識を持っております。そういう意味で、先ほどお話がございましたけれども、このモデル的の事業としての戸別所得補償制度の導入が下落の要因だというような考え方には立っておりませんということを申し上げさせていただくわけであります。
  39. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 いろいろ役所の方でもこの下落した要因を並べられております。確かにデフレの要因も一つあるだろうと思います。  そしてまた、よく皆さん方が調査された結果、農協の概算金がどうも低かったのではないかと、こういうことも言われておりますが、私どもも地元を持っておりますから農協の皆さんともいろいろ話をしますが、概算金というのは元々やはり米の在庫等々を勘案しながら概算金を支払っているわけでありますが、当初今年の、私のところが一番の、宮崎もそうですが、早期米からスタートいたします。早期米で大体今年の予想というのが付くんですが、もうそのときに千円下がっておりました。そのときに、同じ早期米でありながら宮崎は二千六百円下げたんです。これは、宮崎の方が量も多いし、そして問屋さんからの引きがない。  こういうことを見ていきますと、もう流通業者の皆さん方が今年は米は下がるんだということを前提に買っておりましたから、ですから、私が先ほど言いましたように、デフレだとか、あるいは在庫が予想を超えたとか、あるいはまた消費者の皆さん方の消費量が減ってきたんだとか、いろんな理由はあると思うんですが、大きな原因はやっぱりこの戸別所得補償制度だというふうに言わざるを得ないんです。  そのことを申し上げたいと思いますが、十月十八日の朝日新聞で、今ちょうど山田委員がその新聞記事も持ってきておりますが、福岡県の専業農家の瀬戸さんという、もうこれは名前入りで出ておりました。所得補償もあるから値下げしてほしいということを米穀店から言われたと。それからもう一例は、鳥取県の米子市の農家、取引先の卸売業者から制度の分だけは安くしてほしいと。こういうことを業者が平気で言ってきているんですよ。これは、やはり米価下落の私は大きな圧力になったんだと。そして、この方は、全量を今までは業者にやっていたけれども、JAにすべて切り替えたということでありますから、制度導入によって値下げ要求のあった農家は全国に相次いでおります。  私も業者とも話をしました。もちろん、それは役所から通達が行っていることも知っております。いわゆる公正取引委員会、独禁法の優越的な地位の濫用というのがあります。でも、これがどれだけの効果があるのか。あるいは、宮腰先生はこのことで、要はそのことを分かっていたから通達を出したんだろうということをおっしゃいました。私は、そんなことを、業者が引っかかるようなことは絶対言っておりません。指し値できちっと、いや、在庫が非常に今年は多いからこれだけの値段しか買えませんということで指し値で業者が買いに入っているんです。だから、私どもは、この戸別所得補償制度が、このモデル事業が米価下落を招いた大きな要因だというふうに思うわけであります。  大臣はこの制度が買いたたきの要因になっているということをお認めになりますか。
  40. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 新聞では、今申されたような、先生が言われたようなことも私も新聞記事で見ました。  ただ、基本的にモデル事業としてスタートしたわけでありますので、戸別所得補償制度というものがどういう制度であるかということは、農業者だけではなしに国民の人全体に承知をしていただくと。そして、食料の供給を安定的にしていくためには、農業者の日ごろの御労苦というふうなものもやはり国民の人にも理解してもらう。そういう意味で業者の人にも、自分さえよければというようなことだけではなしに、お互いがそれぞれこの安定供給に向かってのそれぞれの役割を果たしていただくにはどうしていけばよろしいかというようなことの御理解をも、この制度をこれから続けていく上できちっと共通の認識に立っていただけばまた違った展開にもなっていくんではないかな、こんな思いをいたしております。
  41. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 皆さん方がマニフェストで国民の皆さんやあるいは農家の皆さん方にお約束されたこれは政策ですよね。ですから、これが米価下落の要因にはなっていないと、まあ要因になっているというふうにはお認めにならない気持ちは分かりますけれども、実態は、やっぱりこの戸別所得補償制度のこのモデル事業が米価下落圧力になっている、その要因であるということを申し上げたいと思います。  少し角度を変えます。大臣は生産調整の選択制というのを御存じですか。
  42. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 私、落選中でございましたけれども、たしか石破農林水産大臣のときにこの選択制という考え方を打ち出したというようなことだけは承知をしております。
  43. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 まさしく大臣が御答弁されたとおりであります。  石破大臣が、どうしてもやっぱり生産調整に参加している農家あるいはその不参加農家、この不平等感がどうも拡大しているのではないかと、であったならば、もう少し農家の自由度を高める、そういう意味で選択制ということを提唱をされました。このことについては、私はまだ議員になる前でしたから、それ以前に、六年前以前にもこのことは議論を党内でしたということも伺っておりますが、再度この議論をしようじゃないかということで石破当時の大臣が言わば問題提起をされたんです。  私どもはこの選択制というものについて十分なる議論をさせていただきました。この戸別所得補償制度を皆さん方はいかにも、新しい制度だ、我々がつくった農政の大転換だと、自民党時代には考えつきもしなかったような仕組みだよと、こう思っておられるかもしれませんけれども、実は私どもはこれは二回も三回も議論をしながら、じゃ、これを入れた場合にどうなるかということも実は全部シミュレーションをいたしました。このシミュレーション結果で、米価が、申し上げますよ、これはもう配付はしてありませんけれども、これがこんな分厚いシミュレーションです。我々が議論したこの選択肢の一つ戸別所得補償制度というのは誠に酷似、もう似ているんです、そっくりなんですよ。  ですから、私どもはずっとそのことも申し上げてきたんですが、農家の自主性や経営の自由度が高まるように見直す選択肢がまず前提にあります。農家の自主性や経営の自由度が高まるように見直す選択制にしたらどうかと。全くやらないという一つの選択肢もあるだろうし、あるいは今までのようにやっぱりきちっとやるし、まだ生産調整を強化すべきであるとか、いろいろケースを、前提条件を置きながらやったシミュレーションです。  その中で、大変戸別所得補償制度と類似したシミュレーションは何かといいますと、転作助成、これは麦、大豆、米粉用米、飼料用米、これに対する助成を拡大する、そして販売農家を対象とする米価下落補てん対策を導入すると、こういうものが柱になっているんです。これでシミュレーションしますと、一年目に米が二千円から三千円下がるという試算の結果が出ているんです。私どもは戸別所得補償制度をこの選択制で、皆さん方は戸別所得補償制度、私どもは選択肢の中の三の四を採用、これは三の四というところにあるんですが、それを採用したならば、必ず米価が二千円から三千円下がってくる、当然農家所得も下がってくる。これをやったら農家の皆さん方は生産意欲がなくなるな、こんなものは導入するわけにはいかぬぞという議論をずっとやってまいりました。  このシミュレーションどおりで、米価が下がってきたんです。これはだれが作ったか。我々はそんなに頭がいいわけじゃありません。役所に言って作ってもらったんです。そのとおりの結果が今出ているんです。ですから、このシミュレーションは、米価が下がる、そのことを前提にこれはでき上がっております。戸別所得補償制度も、まさしく、先ほどこの制度モデル事業で米価下落のインセンティブが働きますよということを申し上げましたけれども、当然これはシミュレーションどおりなんです。  ですから、私どもはこのことも実は委員会でも申し上げてきたのが、なぜ赤松大臣は、米価は下がらないと言いながら岩盤部分に二千億円、変動部分に一千四百億円、まあ細かい数字で言えば三千七百七十一億円を計上したんですか、下がらないなら何も予算を計上する必要ないじゃないですか、当然下がることを見越して予算を計上したんでしょう、このこともずっと申し上げてきました。いや、そうならないように、万が一になったらこれは大変だからということで予算は計上しましたと言いますけれども、当初から、シミュレーションどおりいけば米価下落して変動費部分も足るか足らないか分からない、そういったことをちゃんと役所の頭のいい人たち想定していたんですよ。想定どおりに今は結果がなったということなんです。  ですから、私は今年の米価下落は織り込み済み、もうまさに確信犯だと、こういうふうに断定をせざるを得ないんですが、どうですか、大臣
  44. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今の野村先生お話は、先ほど申し上げましたとおりに、石破議員が大臣のときにそういうような問題を提起されたということでありますけれども、実はこの政権、昨年の九月から政権が替わった段階で、この戸別所得補償制度の中身について、モデル事業でありますけれどもどうするかということで、正直なところを申し上げますと、変動部分は必要ないんじゃないかというような議論もあったんでございます。これはもう間違いなくあったんです。我々の間でも、我々の間というのは党の方の議論でありますけれども、そういうような議論が確かにありまして、そして当時の政務三役ともこれは必要ないんじゃないかというようなやり取りもやったんでございます。  ただ基本的には、やはり農家人たちが、こういう新しく制度を導入するということにおいては安心感というふうなものが必要ではないかと、このようなことから変動部分も入れるということに相なったということだけは申させていただきたいと思います。
  45. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 大臣が非常に、失礼な言い方かもしれませんけれども、素直なというか、本当に正面からの向かい合って御答弁をいただいたことに私は感謝いたします。  ところで、篠原大臣に同じ御質問申し上げます。  私は、篠原大臣が、今度また後で出てきますTPPの問題もありますけれども、所信表明に対して、大変唐突な所信表明であるということを正面切って篠原大臣はおっしゃったし、その後の日本農業新聞の記事も読ませていただきました。まさに骨のある副大臣、ずばり恐れずに物を申されているということを非常に私は心強く思っているわけです。  ただ、この戸別所得補償の問題については、いろいろ今大臣おっしゃいましたように党内でも議論があったんだろうと思います。私どもも、米から先にやるのか、自給率をこれは上げるためなのか、あるいは産業政策としてやっていくのか、こういういろんな問題も私どもも議論をさせていただきました。  私は当時、篠原大臣が、やっぱり自給率を上げるために優先順位で付ければ、麦、大豆をやっぱり増産させなきゃいけないということをどこかで読んだことがあります。私も同じ考えです。米じゃなくてまずは麦、大豆、これからやらないでどうするんだということをこの委員会でも実は申し上げてきました。ですから、そういった確たる信念を持って今農政に取り組んでおられる篠原大臣に、今大臣質問をいたしましたとおり、このモデル事業というのが今日の米価下落にやっぱり圧力を掛けたんだと、どういうふうに思われますか。
  46. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 農業者戸別所得補償はいろいろな政策目的がございますけれども、一つには農家の懐に直接届くことがあったのだろうかと。補助事業というのをいっぱいやってまいりましたけれども、途中の方々、例えば土地改良がそうですけれども、国が半分出し、都道府県が四分の一を出し、農家負担だと。これが国民皆様には余り知れ渡っていないと。それで、農家の懐に直接行くような補助体系にした方がいいんではないかということで、これは自民党政権で行われました定額給付金も同じだろうと思います。子ども手当もそうです。それが財政的にも一番、一番じゃないですが、一つの効率的な予算であるということが欧米で盛んに言われてきまして、それにのっとったものだと思います。  そういう点では、先ほど野村委員が御指摘になりました件でございますけれども、流通業者の皆さんが、いや、一万五千円もらえるんだろうと、それから、少々下がっても変動支払があるんだろうと、だから下げたっていいんだという、私は前のこの参議院の農林水産委員会でも申し上げましたけれども、同じ言葉を使わせていただきたいと思います。そういうことで運用されているとしたら、私はそういう人たちは不届き千万だと思います。農家の、直接補助するんだと、そういう精神でもってやったわけです。運用上、そういったことがもしあるとしたら、厳重に正していかなければいけないと思っています。それは農林水産省も一丸とならなきゃいけませんし、農業団体も一丸となってこうした誤った運用を直していただくことが一番だと思います。それは我々、ある程度そういう動きはあるのかなというのは想定いたしましたけれども、それが蔓延しているとしたら、やっぱりそれは根絶、口蹄疫と同じですけれども、そうした動きは根絶しなければいけないと思っております。
  47. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今お答えいただきましたけれども、確かにこの政策を進めていかれる三役の皆さん、あるいは役所の皆さんもそうあるべきだろうということは分かっていますけれども、実態、現実としてこういうことが、性善説でお考えになったものが悪用されている、運用でどうにかそこをやっぱり是正していかなきゃならないというのは分かりますけど、これがどれほどまで功を成していくのか分かりませんが、いずれにしても現実はそういうところがいっぱい出てきたということだけは是非御承知おきいただきたいと思います。  そこで、もう一つ、これは大臣にお伺いしたいんですが、私は前の山田大臣所信表明、これは参議院で聞いておりません。なぜかというと、参議院は所信表明委員会開かれませんでした。ここに持っておりますのは、衆議院で所信を述べられた内容であります。一昨日、鹿野大臣の方から所信をいただきました。  私は、ちょっとここで気になったことが一つだけあります。それは何かといいますと、山田大臣が八月三日の衆議院農林水産委員会所信を述べられた内容の中にこの戸別所得補償のモデル事業のくだりがありました。そこでは何と述べられておるかといいますと、本年度スタートしたモデル対策の実施状況検証しつつ本格的に実施してまいりますというふうに載っているんです。だけども、一昨日の鹿野大臣所信の中では、モデル対策状況を踏まえ、本格実施に向け、検証というこの二文字がなくなったんです。これはどういう意味なんでしょうか。
  48. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 検証の字がなくなったということですけれども、当然、いろいろ状況を踏まえということの中に検証も含まれておるというふうに御理解をいただければ有り難いと思います。
  49. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 よくこういう委員会では解釈の問題とか取り方の問題というのは議論になるんですけれども、私は鹿野大臣はそこにお気付きになっていたのかいないのか、役所がある程度の下書きはして大臣に出されたんだろうと思うんですけれども、あえて検証を抜いたのではないかと、こういう思いがしてならないんです。  それはなぜかといいますと、大臣、もう既に二十三年度の概算要求は出ておりますよね。出ております。私は、先ほど申し上げたように、農政の大転換だから、これはやっぱりじっくり検証しつつ本格実施に移すべきだということを先ほど申し上げました。モデル事業がまだ終わらないうち、まだ途中、道半ばのときにもう概算要求を出されました。中身がどういうふうに変わったかということも分かりません。あるいは、どういう検証をされたかということも私は分かりません。  だけれども、今検証という言葉を抜いたというのは、やりたくないからなんじゃないんでしょうかね。うがった見方かもしれません。野党だからという意味じゃありませんよ。私ども、もし私どもがその場にいたならば、このモデル事業でどういう効果があったんだ、あるいはどういう反省点があるんだ、こういうことをきちっとやっぱり検証すべきだと思うんです。  そして、もう一つ言わせてもらえば、先ほど予算の話をしましたが、大幅にこのモデル事業の予算に組み替えられました。その結果、どういうところにどんな影響が出てきたんだ、これは後ほど質問いたしますけれども、NN事業についてもそうです、強い農業づくり交付金にしてもそうです。このことがカットされてこちらに組替えをされた。そういうところにどういう影響が出てきているんだというところも是非検証しながらやっていかないと、それは米の農家はいいかもしれませんよ。でも、ほかの農家、じゃ果樹農家、野菜農家は何をやってくれるんだ、こういうこともあります。ですから、それはこういう形でやっておりますというのが役所の答弁なんですけれども。  ただ、先般の、JAグループの皆さん方が、おとといでした、一千名の代表者集会を開かれました。私はそこにバッジを外して、呼ばれてもおりませんでしたので、バッジを外して中に入って生産者の悲痛な叫びを聞きました。新潟の生産者は、米価下落幅が全国平均で出されるのでは補てん不足になる。これはもう全国一律ですから、高いところもあれば、非常に米価の下がったところは補てん不足になるのは当然です、全国一律ですから。それから、秋田の生産者は、全国一律の水田活用の所得補償交付金では地域の特色を出すことができない、こういった生産農家の皆さんや、あるいは生産現場で、大変最前線で苦労している行政の皆さん、あるいはJAグループも含まれますけれども、こういった皆さん方が大変な苦労をしてこのモデル事業をこの一年間実施してきたんです。あるいは、加工流通業者もこの影響を受けているかもしれません。  ですから、私は、こういったようないろんな幅広い、米は主食でありますから、いろんな人たちの手を経て消費者の手に届いていると思うんです。どういう影響があったのか、どういう問題が顕在化してきたのか、全部その辺は当然検証されていると思うんですが、いかがですか。
  50. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今先生言われたとおり、いろんな地域間のそれぞれの状況の違い等も含めて、この制度在り方というものについては検証すべきだと、まさしくそのとおりだと思います。  そういう中で、私どもも直接お話を伺う機会もございましたけれども、よく、私が農林水産大臣を拝命した二十数年前のときは、南北戦争というようなことで、南と北の状況が違うものですから、激しく地域間の対立もあったということも先生はもう御専門家でありますので御承知だと思いますが、そういう中でどう調整していくかというようなことがもう本当に難しい問題でもあったというようなこともこれまでの経緯の中であったわけでございます。  そういう意味で、この戸別所得補償制度というのはまず一律で、全国一律でというふうなところからスタートをしたわけでありまして、その中で当然地域間におけるところのいろんな特性を見出すことができないんじゃないかというようなことの問題も提起されていくわけでありますけれども、私どもとしてはそういういろんな検証の、プラスこれからまずモデル事業としてスタートしたものをどうやって次のこの品目を拡大していくかというようなこと等々から本格的なモデル事業から経営をつなげていく場合、やはり自給率の向上というようなこと等々、それから多面的な機能というふうなものに対する対価等々というようなものをしっかりとその中に盛り込んでいかなきゃならない、こういうようなことから状況を踏まえてというような文言にさせていただいたというふうなことでございます。
  51. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 状況を踏まえるのは当然でありますけれども、今申し上げました本当に日本の主食である米の政策を大転換された、だったならば、この一年間のモデル事業をやってみたらどうだったんだというところを生産者にも、そして我々国会議員にも是非教えていただかなければ、これはこれから先非常に不安になってまいります。ですから、ここはきちっと、大臣検証するということを約束してください。
  52. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 当然、いろんなアンケート調査等々もさせていただいておりますし、現実、加盟者がどういう状況にあったか、こういうようなこと等々も踏まえて、これから、概算要求はいたしましたけれども、その後におけるいろんな問題提起についてはいろいろと検討をしていかなければならないと、こういうふうに思っております。
  53. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 ですから、米だけの問題じゃなくて、予算を、傾斜配分をこのモデル事業にやった、その結果、今から申し上げる農業農村整備事業等々の大幅カットなんです。これでどんな影響が出てきたか、その辺についても是非これは検証の対象にしていただかないと。今から具体的な話も申し上げたいというふうに思っているんです。  私は、この戸別所得補償はもう皆さんが一番御存じのように、最初民主党から議員立法で出てきたときも申し上げました、一兆円要るんだとか、あるいは一兆四、五千億掛かるんだとか、財源はどうするんですか、いや、財源はあります、ありますと、それしか、もう名前申し上げませんけど、議員立法の説明者はそういう答弁しかされませんでした。でも、今回の二十二年度予算を見たら、明らかに財源はなかった、全体の枠は広がっていないわけですから。そして、一番カットをされたのはどこか。いわゆる農業農村整備事業ですよ。私どもの当時の予算、二十一年度は五千七百七十二億、これを六割カットですよ、二千百二十九億まで落とされました。このような農業農村整備事業からシフトした予算があるわけでありますが、どういう影響が出たか、時間がありませんので、私の方から、大臣、具体的なお話を申し上げます。  私のところは、水田地帯というよりも六割が畑作農業です。これは南九州はそういうことの状況でありますが、この畑作農業が何を求めているのか、水なんですよ、水。ですから、今国営の畑かん事業、それから県営の畑かん事業をやっております。この今回の二十一年度から二十二年度、大幅カットを受けたがために、徳之島です、あの普天間の基地の移設で問題になりました徳之島、私も見に行きましたけど、今ダム工事をやっております。これが今年の予算がそのまま踏襲されると二年間先延ばしになるんです。そして、それを受けた今度は県営の畑かん、やはり国の補助事業でやっています県営畑かん事業、七年間延びるんです。そうしますと、七年も、これが計画でいきますと二十七年度に計画完了になっておる予定のやつが三十四年にしかできないと。農家の皆さん方は、いつ水が来るか、いつ水が来るか、こんな非常に悲痛な思いで待っておられるんです。それをカットしてモデル事業に配分をされた。  そこで、このような問題は私ども鹿児島ではあっちこっち起こっておりまして、国営事業が三か所、附帯する県営事業が六か所実施されておりますけれども、これがいずれも同様の不安を抱えております。これは県議会でも問題になりました。このことに対して知事は何と答えたか。本県における農業農村整備事業の着実な推進は来るべき食の時代に対応した農業構造を確立するために不可欠である、今後当初の予算確保が見込めない場合は継続地域の休止、継続地域、今やっているところの中止ですよ、休止、あるいは新規採択は抑制、こうした一段と厳しい対応が出てまいりますということを答弁している。今継続しているところをもう待ち切れない、七年間も延期されると、農家の皆さん方の不安と不満がもう渦巻いております。  ですから、大臣、これは、修正計画を作るならば、何年度までには完了しますよと、今の計画は、自民党時代は二十七年度でしたけれども、予算をこういうふうに配分しましたので一、二年待ってくださいませんかというのならまだ分かりますよ。いつにここが完了するのか、これが全く見えていないんです。是非、この場でこの予算の問題、計画の完了年度を是非指示をしてください。すべての今畑かんをやっている、二十数年間掛けて地権者の皆さんやら話をしてきて着々と進められてきた、これが二年だ七年だと延びているんです、今の試算でいくと。でも、いつなのか、まだそれ以上に延びるのか全く見えません。是非これは、何年度には完了しますということだけは、これは役所の仕事として是非指示をしてください。約束してください。
  54. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今、野村先生から御指摘の点につきましては、確かに予算の削減によりまして基本的に事業着手の遅れとか、あるいはまたその事業工期の延伸というようなことの影響が生じておると、こういうようなことも私ども承知をいたしております。そういう意味で、いろいろと全国のそれぞれの基盤整備に取り組んでおられる方々だけではなしに、農業関係者の方々からもいろんな要請、要望をいただいております。  そういう中で、少なくとも今後の対応策というようなことを講じていかなきゃならないと、このようなことから、予算も含めてということになりますけれども、二十三年度の予算につきましては、およそ前年度に比べて一八%のアップというようなことの中で要求もさせていただいておりますし、また過般、予備費から百八十億というようなことも御案内のとおりそこに充てさせていただきましたし、今、補正予算がこれから出されて審議されていくというふうなことも予測されるわけでありますけれども、その中にもこの関連の事業というようなものも含まさせていただいていると、こういうことであります。  そういう意味で、今この完了年度をしっかりと出すようにと、こういうことでありますけれども、私といたしましては、今申し上げたような、まず当面は具体的に今の問題につきまして予算によって対応していくというようなことが非常に重要なことだと、こんなふうに思っておりますので、自分なりに今後の取組というふうなものが、短期的にあるいは中期的に長期的にというようなことの中で一度考えてみなきゃならないことではないかなと、こんなふうに思っておりますが、この時点で年度完了までやれというようなところはなかなかそういう意味では困難なことではないかなと、こんなふうに思っております。
  55. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 確かにこれだけの予算を大幅にカットしたら必ず遅延していくというのは、これはもうみんな分かっていたはずなんですね。  ですから、何十年も進めてきたこの畑かん事業が、いや、二十二年度にはでき上がるだろう、二十三年度にはでき上がるだろう、水が通ったならば。島ですから水がほとんどありません。ですから、合理化あるいは効率化した農業を経営するには水がどうしても不可欠なんです。水田と違います、雨水しかないんですから。それによってサトウキビの生育が違ったり、いろんなハンディキャップを負っておるのが島の農業なんです。これは、畑作農業はすべてそうです。ですから、そこにどうしても水が欲しいということで、長年掛けて今までずっとやってきた、工事もやってきた。さあダムの本体はでき上がりそうだと、さあ、あとは、今度はずっと県営の畑かん事業で水が必ず来るなという思いがあったにもかかわらず、今状況はこうですよね。  しかしながら、これが、人間というのは、大臣、いつまで待つんだというめどが立てばまだ我慢ができます、農家は非常に我慢強いですから。だけれども、これがいつまでに延びるのよ、ここが見えないと、大変な不安が起こっておるんですよ。それはもう大臣のところの水田地帯もそうだろうと思いますが、きちっとした用水路ができた、これによって田んぼがつぶれずに済むな、いろんなことはあると思います。ですから、私は、きちっと今、何年度までにというのは無理だとおっしゃいました。だけれども、目安を必ずつくらせてくださいよ。それは補正予算で取ってくる、あるいは、今一八%アップだとおっしゃいましたけど、発射台をぐっと下げて一八%では私どものときのような予算は付けられませんよ。  ですから、それはもう全部分かっています。もう県も分かっています。県も予算を組みづらい、組めないと言うんです、先の展望がないですから。必ず五年なり十年の計画を作りながらやっているわけですよ。だったならば、これも検証して、いつごろまでには必ずそういうめどを付けるようにするということを、大臣是非、最後ですから、もう強い農業づくり交付金には入れませんでしたけれども、是非そのところを確約していただかないと、私どもはこれ以上の質問がなかなかできなくなってまいります。是非、お約束ください。
  56. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 徳之島の件等々につきまして具体的な御指摘がありましたけれども、私どもも、こういう本当に地域方々にとって重要な事業であるということを承知しているだけに、軽々にいつまでなんというふうなことを申し上げさせていただくということよりは、しっかりとこの取組について私は私なりに取り組んでいくというふうなことが優先されることではないかなと、こんなふうに思っております。
  57. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 この問題、非常にこれは全国的にも、今日は紙委員もおられますが、北海道なんかも基盤整備事業が滞っていると思います。日本全国に大きな影響があるんです。私は一鹿児島の地域のことだけで言ったんじゃない。具体的なお話をしないと声が届かないといかぬと思って言っただけです。  ただ、一つ約束をしていただきたいのは、先ほど申し上げましたこのモデル事業がどんな影響があったか。これは、今農業農村整備事業を申し上げましたけれども、いろんな事業にもそういう影響はあったんだと。米だけ良ければいいという話じゃないんです。日本全国バランスの取れた農業振興が図られないと、この日本という国が米だけでという話じゃならないと思います。  だから、大臣は、冒頭申し上げましたように大変な農政通でいらっしゃいますから、やはりバランスのいい農業振興を是非図っていただかないと。だから、もし今の政策を推し進める、その代わりこの一、二年は我慢してくれ、こうおっしゃれば私どもも分かるんです。だから、そのことがはっきり出てこないことには、いつまでたっても不安感は消え去りません、払拭できません。是非そのことを、検証をきちっとやれと、そして、どの事業にどういう影響が起きたか、今全国でどういう現象が起きているか、それもきちっと私どもに是非示してください。そのことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  58. 山田俊男

    ○山田俊男君 自由民主党の山田俊男であります。  本日は、鹿野大臣篠原大臣、それから田名部政務官質疑をする機会をいただきまして、大変ありがとうございます。  農林漁業を取り巻きます環境は大変困難でありますが、大臣、副大臣、政務官におかれましては、それこそ全力を挙げて取り組んでいただきたいし、我々との質疑の場面におきましても、大事なことは、私は対立だけではないと思っているんです。農林漁業と農林漁業者のためにどんなことができるかということについて一歩一歩前へ出ていかないと、それはもう今困難を抱えておる農林漁業者は大変ですよ。その立場で進めたいと思いますし、本日もまたそういう議論を是非やらせていただきたい、こんなふうにお願いする次第であります。  さて、現下の最大の農林漁業の課題は、ともかく米が過剰在庫になっている、それに伴いまして米価が大きく下がっているということについてであります。大臣、この米価が下がっていることについて原因はどこにあると、どんなふうに受け止めておいでになりますか、お聞きします。
  59. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 先ほどもこの問題につきまして触れさせていただきましたけれども、いろんな議論は確かにあると思いますが、私は今の経済状況というものを考えたときに、このデフレ基調というふうなことがこの米価下落の大きな要因につながっていると、こういうような認識でございます。
  60. 山田俊男

    ○山田俊男君 大臣、デフレ基調にあるということについては私も否定しません。しかし、もしも生産数量目標が着実に計画どおり実施されている、それから需要にこたえる適正な在庫が準備されているということであれば、デフレ基調であっても需要があるわけですから、それで価格が形成されるんだと思うんですよ。そうなっていないから問題なわけでしょう。  先ほど野村委員の方から話ししました、福岡やそれからさらに鳥取の話でありましたけれど、要は、この過剰の中にあって、売りたい人は、過剰を背景にして生産者含め集荷業者は売りたいというふうに思っている。買う人は、それこそいかに安く買うかと、過剰であれば余計安く買いたいというふうに思っていて、そしてその中に実は戸別所得補償で、そして差額支払があると。差額支払があるんだったら下がったって補てんしてもらえるじゃないかということの中で、おい、下げていいじゃないかという相対価格が形成されている、こんなふうにはお受け止めにならないんですか。その点についての事実認識をお聞きします。
  61. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今の議論は、当然、どうしても価格設定に当たって概算金の問題等も含めてのことでありますけれども、言い訳の材料というふうなものは、例えば豊作ではないかと、今年もと、こういうようなこと、あるいはまた過剰作付けというふうなものが更に増えるんではないかと、こんなようなこと等も含めて、やはりその価格に対して影響を及ぼしておるというようなことは私はあったと思うんであります。  そういう意味で、当然、今後の相対取引というふうな価格が来年一月に設定されるわけでありますけれども、基本的にそういう状況というものを見極めていかなきゃならないなと、こういうふうに思っております。
  62. 山田俊男

    ○山田俊男君 どうも大臣は、需要を上回る過剰在庫があるということをどうも認めたがらないといいますか、そのことが一言も出てこないものですから、私はそれで本当にちゃんとこの事態を分析できるのかどうか心配なんですが、改めてお聞きします。
  63. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今の過剰在庫につきましては、当然過剰在庫というふうなことから当然価格を低くしておかないと、設定しておかないとまた売れ残ってしまうんじゃないかというようなことにつながっておるというようなことでの影響はあると私は思っております。
  64. 山田俊男

    ○山田俊男君 大臣の中から概算金の話が出ましたので、若干そのことについて大臣にお聞きしたいわけですが。大臣、稲作農家に対する資金の円滑な融通、既貸付金の償還猶予等についてという三局長の通達が出ております。同時に、米の概算金をめぐる状況と今後の対応についてという三局長の通達が昨日発出されております。このことについては御存じですか。
  65. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) まさにそのとおりでございます。
  66. 山田俊男

    ○山田俊男君 大臣、私はこれ撤回してもらいたいと思っているんですよ。極めてけしからない内容だと思っているんです。  資金の円滑な融通や既貸付金の償還猶予ということについては、私はこれは当然必要だし、現にJAなりJAグループなりに、この対策についていろんな検討がなされているし、実際的に規定を出してもう表明して動いている、取組中にあります。  ところが、この概算金をめぐる情勢についてはどういうことかといったら、中身で書いてあるのは、要は米価がかくのごとく引き下がっているのは概算金の責任だと、概算金を低く設定した責任だというふうに書いてあるんですが、それはちゃんと分かっておられるんですか。
  67. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 概算金の設定そのものが責任だという、それだけが責任だということでなしに、お互いに今のお米を取り巻く状況について理解をし合おうというようなことが必要じゃないですかと。そういう意味で、全国の今のいろんな状況の中で、協力していただくところは協力していただく、御理解をいただくところは御理解をしていただくと、そういうような必要性からこういう通達を出させていただいたということでございます。
  68. 山田俊男

    ○山田俊男君 今民主党委員席からもそのとおりだというふうにおっしゃっているけれども、概算金の性格がちゃんと分かっておられたら、概算金はどういう形で設定せざるを得ないのかという事情が分かっておられたら、そういう発言が出てくるわけないんですよ。  大臣大臣は米地帯においでになって、そして米がどういう形で生産、集荷、そして販売されているかという事情をよく御存じだと思うんですよ。大臣、だって、米売るのは年間を通じて、長期にわたって、それから多様な販売業者ですね、そこに向かって長期に売るんですよ。そしたら、それは出来秋の場合もあるし、年末の場合もあるし、年明けの場合もあります。そういう形で、とりわけ大臣のふるさとの山形県のように大量の米地帯であれば、そういう平均的な販売をやらざるを得ないじゃないですか。当然のこと、どういう形で価格が推移するだろう、どんな影響があって価格が形成されるだろうかと、そういうことをもう徹底して分析した上で、そして最も適切な概算金を出す。  概算金出すときに、農家に安く仕切れればいいと、ここでもうけてやろうなんて話はありっこないじゃないですか。概算金を出して販売価格を高める努力をして、そしていささかでもそこで概算金を上回る精算、もちろんそれを目指して精算ができればそれを精算するという仕組みじゃないですか。  それを持ってきて、概算金がいかにも値段を下げているという理解は、これは農村の実情を非常によく御存じなそれは大臣考えとこれは相入れないと思うんです。もう一度お聞きします。
  69. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) かつて概算金が非常に低く見積もられて、そして大きな騒ぎになって概算金を上乗せされたというような経緯もあったことも承知をしておりますが、私どもの考え方といたしましては、何もそれだけが、概算金を低く設定したというようなことだけがこの下落を招いたということではなしに、すなわちこの今日のいろんな状況、全体の状況を踏まえて、それぞれがそれぞれの立場で、生産者生産者、販売業者は販売業者、流通業者は流通業者、そういうような立場の人たちがお互いに米の安定供給政策をどうやってやっていくかということでは、やっぱり自分たちのことだけじゃなしに、やっぱり全体としてのこの安定供給というものを考えて、そして取り組んでいただきたいというようなことを申し上げているということなんであります。
  70. 山田俊男

    ○山田俊男君 大臣、全体の状況を踏まえて一緒にやろうじゃないかという精神には賛成です。だったら、こんな通達をぽんと出してやる前に、ちゃんと団体との間でどういう実情になっていてそれはどんなふうに進めるのかということについて話をしておやりになったんですか。それとも、その前に団体には何の相談も接触もなく、そして調査をして、おいこんな結果だぞ、けしからぬなという形のものになっているんじゃないですか。私、信じられないですね。今農林水産省団体との間がそういう関係になっているのかというのが心配ですよ。どうですか。
  71. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 私が大臣を拝命してからこの政権交代後、全中の会長さんともお会いするという機会はなかったわけでありますけれども、私は二度にわたって直接全中の会長さん、それぞれの関係者の人とお会いをしていろんな要請、要望もお聞きをいたしておるところであります。これからもそういうようなお話を積極的にやってまいりたいと思っております。
  72. 山田俊男

    ○山田俊男君 賛成です。大臣のその姿勢、賛成です。とすると、一体こういうのをだれが企画してだれが、僕は、大臣がおい調べてみろと、それでまとめろ、通達してやれと、こういうことじゃないんだと思うんです。一体だれがこれを企画してそっと調査をしてまとめたのか。私は大変心配です。どうぞ大臣、全体を、それこそ政治主導も含めまして、大臣、統括されるわけですから、そこをきちっと踏まえておいていただきたいと思います。
  73. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) これからもいろいろな話をしていきたいと思いますが、基本的にこの十月の一日から七日まで、特に米の主産地二十一都道府県でいろいろと概算金の設定状況に関する聞き取り調査というふうなものを行ってきたというふうなこともございまして、そういうような今申し上げた最近の販売状況を踏まえて堅めに設定されているんじゃないかなというところの回答が最も多かったというようなことから通達を出させていただいたというふうな経緯でもあるわけであります。  しかし、いずれにしましても、今、山田議員から言われたとおりに、やっぱりお互いがいろいろと、今まで接触なかったわけでありますから、これからはやっぱり全中を始め、各都道府県のそういう関係者の方々ともお話合いをしていくというふうなことは私からも指示を出しておるところでありますし、これからも私自身がそういう姿勢でいきたいと思っています。
  74. 山田俊男

    ○山田俊男君 分かりました。  大臣のその姿勢を高く評価したいと思いますし、その線でしっかり政策推進をお願いしたい、こう思うところであります。  さて、大臣、これまで、先ほど野村委員からも質問いたしまして話を申し上げましたが、前の赤松大臣、それから山田大臣、ともかく過剰対策は一切やらないんだというふうにおっしゃっているんですよ。それは、戸別所得補償でそれで下がっても価格を補てんするんだから、その仕組みをやったんだから、だからそれでいいんだと。ちゃんと再生産確保できる、かつ農業者所得に配慮した取組をやっているんだからこれを貫徹するんだ。そして、一方で、もしもここで過剰対策に取り組んでやったら、四万ヘクタールに該当する、言うなればこの制度に加わらなかった人との間の不公平を、といいますか彼らにメリットを与えることになっちゃってこの制度の趣旨が失われると、こうおっしゃっている。  大臣、モデル事業で実施したのは二十二年産からですよ。かつ、補てんがあるのは二十二年産なんですよ。大臣を始め東北各県が抱えております在庫、これは何年産なんですか、二十一年産じゃないですか。二十一年産については大臣対策があるんですか、お聞きします。
  75. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 二十一年産の確かに過剰になっておるところはそのとおりであります。ただ、具体的にこの問題について御要請というふうな考え方というふうなものを需給調整のために買い上げたらどうかと、こういうようなことをよく私もお聞きをしておりますし、また過般、全中の会長を始め関係の人たちからも、要請をいただいたときにそういう話もございました。  しかし、山田議員が一番御承知のとおりに、この備蓄米ということについては、平成七年の食糧法の改正によって、備蓄については不足した場合にと、こういうような食糧法の基本的な考え方もあるわけでございますので、そういう意味で、今日の状況を踏まえたときに、政府が買い上げるというようなことはなかなか困難な状況にあるということは御理解をいただきたいと思います。
  76. 山田俊男

    ○山田俊男君 大臣大臣もよく御存じだと思います。私も、まさに米対策は何だったかといったら、この需給ギャップといいますかね、過剰になったり不足したり、過剰の方が多かったかというふうに思いますけれども、このことのために三十年も四十年ももう苦労している、これが実際だというふうに思います。  としたときに、一つ戸別所得補償政策で、これもう二十二年度からモデル事業実施という取組の中で、その以前の二十一年産にこれだけの課題を抱えていて、これが二十二年産に影響し、二十三年産にも影響しかねない。本格実施にも影響しかねない課題を抱えたままいって、本当に戸別所得補償の良さが生きてこないし、本格実施に私はいろんな形でそごを生じさせることになると思うんです。  だから、大臣、スタート台をきちっとしましょうよ。これが、先ほど野村委員のあった検証をちゃんとやろうということの有力な手だての一つでもあるんですよ。大臣、ここは二十一年産に対してどうしても手を打った方がいい。一つ一つ問題を解決していこうじゃないですか。  それとの関連で申し上げさせていただきますけれども、大臣、集荷円滑化対策という仕組みがあるということを御存じだというふうに思います。集荷円滑化対策、あれは平成十六年に生産者生産者団体がこの需給調整に主体的に自らのこととして取り組んでいくということの中で、そして、一方で食糧法の改正の中で、国は大々的に米の管理から手を引くという世界に入っていく中で、それじゃ豊作になったときの、おい、米はどうするんだというもう本当に大事な、せっぱ詰まった課題解決のために集荷円滑化対策を、生産者自らの拠出でこの取組をやろうとしたんじゃないですか。それ以降、大きな豊作も来なくて推移してきました。とうとう集荷円滑化対策、今どうなっているかといったら、もうやめようという話になっているわけでしょう。  大臣、集荷円滑化対策のところに生産者が拠出した金があるんです。御存じですか。
  77. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 金額的に幾らだかという正確な数字は、たしか三百二十一億と、こういうことであります。
  78. 山田俊男

    ○山田俊男君 大臣おっしゃるとおり、十六年と十七年に生産者が拠出した三百二十一億円という金があるんです。今、大臣、その金どうなっているんですか。
  79. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) そのままの状況になっております。
  80. 山田俊男

    ○山田俊男君 国が七十五億円ずつ、その米穀需給安定機構、この制度を運用していくための仕組みに七十五億円ずつ二年間出し、百五十億の金があるんです。百五十億の金、どうなったか、大臣御存じですか。国は本会計にそれを召し上げたんですよ、召し上げた。一体この仕組みは、集荷円滑化対策仕組みは一体今どういうことになっているんですか。国は百五十億引き上げています。かつ、生産者の拠出金だけが三百二十一億円残っています。  大臣、もう十六、十七だから、十八、十九、二十、二十一、二十二ですよ。五年たっていますよ。今こそ二十一年産米のこの環境改善のために、この拠出金をより有効に的確に使うという案は検討できないんですか。検討すべきじゃないですか。
  81. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 確かに返還を引き上げておるということはそのとおりであります。それで、今二十一年産米のことを申されましたけれども、当時の二十一年産米は作況が九八でございますので、全国作況が一〇一以上というところで発動要件が満たされるわけでありますから、実施されなかったというふうなことはもう委員御承知のとおりであります。  そういう中で、これを何とか具体的に生かしたらどうかというようなこともあるわけでございますけれども、この制度は確かに、農業者人たちが自らの努力で自ら対応していくというようなことで拠出された資金であるということも承知をしておりますが、それだからこそ、免税措置等々というふうなことも税制においても措置されておるわけでございまして、そして、この度は、農業者戸別所得補償制度というふうな中で、変動部分についても、下落した場合については対応するというような政策を取っているわけでありますから、そのほかにこの円滑化の対策というふうなことでそのお金を使うということはどうしても整合性が取れませんので、このお金の使い方についてはこれから十分検討をしてまいりたいと、こんなふうに思っております。
  82. 山田俊男

    ○山田俊男君 大臣、先ほど来申し上げておりますが、変動の補てんがあるのは二十二年産からです。大臣、今過剰在庫になって、そして東北の各県が、北陸の各県が苦しんでいる二十一年産米については、だって対策がないんですよ。そうでしょう。  そして、この前の私は農林水産委員会、それからさらにはその前の予算委員会で、山田大臣とこの点についてもやり取りしました。山田大臣は、要は東北の一部のJAに在庫が残っているんだろう、それはもう販売のやり方が、そこまでははっきりおっしゃらなかったけれども、それに近い話です。うまくいかない、うまくできなかったということにすぎないと言って、どうも長崎県の方ですから、大体、東北、北陸に共感がないというふうに思うんです。  だって、考えてごらんなさい。東北、北陸は米の大産地、そうでしょう。そして遠隔地へ持ってこなきゃいかぬ。収穫ができるのはずうっと奥手なんです。早く収穫できない。どうしても最後のしわ寄せを受けて東北各県に米が残るというのは、これは米生産が長く続いてきた四十年の歴史の中でも、過剰米が生じている四十年の歴史の中で、みんなそういう結果じゃないですか。  だからこそ、そこの県の地域に対する二十一年産米についての対策が、これは、単にその該当県だけの話じゃなくて、二十二年のモデル事業にも、さらに二十三年にも影響を与えることになるわけですから、そういう形で一つ一つ対策を打っていくことの重要性があるんです。三百二十一億円の金にしてからが、大臣、来年使えますか。再来年使えますか。月日がたてばたつほどますます使いづらい話になっちゃって、一体どこへ行くお金になるか分からなくなっちゃいますよ。  ここは、今一番苦労しているこのときに、大臣、こうしましょうよ。全国一〇一以上の豊作でなければこのことについては発動しないという要件になっているというのは分かりますよ。だけれども、それ以外、ずっと使わないでやってきているし、本格実施の戸別所得補償の中では、その問題が出たって補てんするんだからいいんだというふうに、原理が違う形で物事が進もうとしているんでしょう。とすると、今三百二十一億円の集荷円滑化対策、もうやめようと、実質やめようという形で通達も出されている。そういう中身の中では、このことについて、より厳格な二十一年産米の過剰対策に伴います需要拡大であったり、他用途への仕向けであったり、いろいろメニューをちゃんと厳格に決めていただいて、ちゃんと税制上の措置も得て経費に算入してもらっているって言ったら、その趣旨にのっとった使い道を国でお示しになってそして使うという方法はあるじゃないですか、検討できないんですか。
  83. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今委員御承知のとおりに、平成二十一年度産米については、九八ということから要件を満たさないという形で実施されなかったということはもうまさしく御理解をいただいたと思うんです。  そういう中で、今日の状況を踏まえて、このお金をどう使っていくかというふうなことにつきましては、機構関係者あるいはまた団体の関係者等々、そういう方々とも打合わせをしながら、どういうところに使っていくか。結局、先ほども申し上げましたけれども、税制の特別措置というふうなものをやっておりますし、国民全体の人の理解を得るというふうなことも非常に大事なことでございますので、そういう意味も含めて今後検討いたしてまいりたいと思っております。
  84. 山田俊男

    ○山田俊男君 委員会大臣が今のように検討していきたいというふうに思っていますというふうに言ってくれるのは、それは相当きちっと踏み込んでおっしゃっていただいたんだなと。鹿野大臣の御性格からしてもそうだというふうに私は受け止めますので、どうぞ早急な検討是非是非お願いしたいと、こんなふうにお願いするところであります。  さて、もう一つ課題があるのは、要は過剰がそのままでありますと、そうするとそれが売れ残るわけです、在庫になって残ります。そういうことを含めてやりますと、まじめに生産調整に取り組んできた地域への今度生産調整の配分、言うなれば生産数量目標の削減、裏返して言うと、そのことにつながるわけです。東北各県や北陸の各県はそれこそ過剰在庫をこうして持っていて、売れないということで米価が下がっているという苦しみを味わいながら、さらにはこの十一月に来年の生産数量目標を設定するときに生産数量は削減されると。これは踏んだりけったりの結果になるんです。  どうぞ、大臣、そういう面からしても備蓄の運営について一定の方向を出されて、ましてや二十三年度予算で五百億の金も準備しながら棚上げの取組に着手されるというわけですよ。そうすると、早くこの課題抱えている二十一年産について対策を講ずる。一方、抱えておられる米の、十七年産米ですか、およそ十六万トンあるというふうに言っています。もう五年、六年たっているわけですから、どんな米になっているのか心配でありますけれど、棚上げするには最も適切といいますか、ちょうどある米じゃないですか。そういう棚上げ対策も含めて、だって百万トンの備蓄をちゃんと展開するというふうにおっしゃっているその一環としても十分成り立つわけですから、そのことについて踏み出してもらいたいんです。踏み出すことによってまじめに生産調整にも取り組んできた皆さんに対して過重な負担を与えることにならない取組につながるわけですから、この点についても大臣の見解をお聞きします。
  85. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 来月の末くらいということになりますでしょうか、どちらにいたしましても非常に大事なこの生産数量目標というものを出していかなきゃならないと、こういうことでありますけれども、このことにつきましては来年度の今お触れになりました概算要求の中で、回転備蓄から棚上げ備蓄というふうなことに転換をするというような、そういう考え方も盛り込んで要求もいたしておるということも、まさしくそのとおりでもありますし、これからの主食用のお米の生産量なり、あるいは需要の動向なり、あるいは民間在庫の状況等を踏まえて、具体的に検討していきたいなと、こう思っております。
  86. 山田俊男

    ○山田俊男君 この点も、具体的に検討していきたいというふうにおっしゃいましたので、これも大臣の姿勢はいいというふうに受け止めさせていただきたい、こんなふうに思います。  さて、この前北海道へ参りましたら、北海道に、倉庫に大豆がいっぱい残っているんですよ。それで、畑にも大豆積み上がっているんです、収穫されたものが。一体、倉庫に残っている大豆、何かといったら、二十年産と二十一年産。二十年産はもう業者に売っていて、保管料は業者が払ってくれています。それから、二十一年産は、これ、売れていない。そのまま残っております。そして、残っている量は、全国的に見てもおよそ大豆生産量の半分ぐらいは残っているんだと。半分ですよ、国内の大豆ですよ。  そして、原因としてありますのは、いろいろあるんです。大豆が高騰したときに、輸入業者は非GMOの大豆生産が欲しいものだから、価格高騰したときに欲しいから、言うなれば、もうアメリカやブラジルの生産ないしは集荷業者と契約栽培した。契約栽培したら、これもう入れざるを得なくて入れているということもあるようです。  二つ目は、円高でやっぱり買いやすくなっているんです。だから、結果的に売れ残っています。積み上がっています。新しい大豆が出てきたら倉庫に、乾燥調製して入れなきゃならなくなったらこの大豆動かさなきゃいかぬ。民間の業者の倉庫に入れなきゃいかぬ。保管料は当然生産者の負担になります。  一体、こんな状況に放置しておいて、そして米以外の作物で対策を講じていこう、国産の自給率を上げていこう、国産の大事なものをみんなで消費しようという動きに私は環境としてならないんだと思うんです。だから、北海道でいうとこうなっている。来年の大豆の作付面積、作付け数量、それから肥料、資材等の供給についてはこれは抑えざるを得ないと言っているんです。一体これ、本末転倒じゃないですか。自給率向上につながらないですよ。米の計画生産にもつながらないですよ。これは何としてでも、この際やっぱり、目をこうして光らせて、そして着実な手を打っていかないと崩れていくんです。大臣、一生懸命やろうという戸別所得補償も崩れていくんです。  この前、農林省は発表されています。米粉調製品、対前年度に比べて一二%も増加していると言っているんです、対前年同期に比べて一二%ほど増加している。何でかといったら、円高、さらにはデフレの中で、おっしゃいますように、より安いものを欲しいから、だから、国内産よりもMA米よりも、さらに国産の規格外よりも何よりも、でん粉が混ざった、小麦粉が混ざった調製品を入れて、関税安いから、それで分離して、せんべいやその他に使っているというのが実際じゃないですか。  大臣、このことが円高の中で更に進むということになっちゃったら基本が崩れちゃうんですよ、これまた。八万円出して米粉対策をちゃんとやろうと言っているときに、ここもどうなります。これらのことについても、大臣、しっかり指示して、そしてまたお役人の皆さんも、こういう課題があります、こういう課題についてきめ細かく対処しようじゃないですかという、政務三役と役所との関係をもっとスムーズにして、濃密にして、広げて、開けっ広げにして対策を打っていくということがない限り駄目だと思うんですが、大臣、見解をお聞きします。
  87. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 専門家の山田議員でありますから言うまでもないことでありますけれども、自給率を高めていくためにはどうしても麦、大豆の生産を増やしていかなきゃならない、こういうことから平成二十三年度から戸別所得補償のこの対象を畑作物にと、こういうような考え方で取り組んでおるところでありますけれども。今、山田議員が指摘された北海道等々で大豆が非常に多くの在庫があると、こういうような御指摘もありました。  そういうような状況の中で、円高というようなことも含めてというお話もございますけれども、私どもも、そういう状況を確かめながら、今言われたように、本当にこれからの施策を一つ一つ築き上げていき、そして一つの実績を積み上げていくというようなことにおいては、今おっしゃられたとおりに、連携というんでしょうか、お互いの情報というものをしっかりと取り合って、そしてそれを共有しながらやっていくということが非常に大事なことだと、こういうふうに考えておるところであります。
  88. 山田俊男

    ○山田俊男君 ありがとうございました。その精神で是非進めていただきたい、こんなふうに思います。  ところで、大臣、今日の新聞にも出ていますし、これは農林省が公表したものというふうに思いますが、二十二年産米の品質が物すごく悪いわけですね。一等米の比率が全国でも六四%だというふうに出ているわけです。これはまだ全国平均なんですけれども、香川とか神奈川とか、こういう県も非常に悪い。それから、私が聞くだけでも、夏の最高気温を連発している群馬県の館林、あっちの方なんかでも、一等米はゼロ、それから二等米は九・九%、三等米は五三・九%、規格外三六・一%というんですよ。これはもう大変な事態。  それから、これは埼玉県、これは全県での話ですが、埼玉がこれは県内の銘柄米として伸ばそうというふうに言っている「彩のかがやき」、学校給食にも提供し、大変戦略的に一生懸命やっている銘柄米です。これは、一等米が〇・〇、二等米が〇・六、三等米五・一、規格外が何と九四・三%。これじゃ一体どうにもならぬ。どうにもならぬ。  それで、目に見た瞬間はいい米なんだそうなんですよ。それで、共済に申告して、共済に事前に検査してもらうことをやらなかった、いいから、大丈夫だと思って。そして、もみをすってみたら、そうしたら、乳白米が出てくる。それはみんな規格外に行っちゃう。こんな事態なんです。  大臣、これらについて共済の運用も含めて、特例措置の実施も含めて対策を講じないと、この地域は到底救われません。一体こういう地域に対する検討を今どんなふうになされているのか、お聞きします。
  89. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 埼玉県なり、あるいはその他の今御指摘のあった地域において非常に大変な事態になっておるというようなことを報告も受けておるところでありますけれども、とにかく、もう今のお話のとおりに、作ってしまって、刈取りもしてしまってというふうなこと、被害申告もないし、それから、共済金のそういうふうなところから対象として受けられないというような農家方々にとっては大変深刻な事態でもあるというようなことも踏まえて、過去におきましても、平成十九年度時に宮崎県あるいは鹿児島県におきましても乳白米等の被害というようなことがあったときに、農業共済団体が営農活動を支援するという特別措置を講じたというふうなことも承知をしておりますので、そういう中で是非こういう農業共済として適切に検討していただけないかというような要請も行っているところでございます。
  90. 山田俊男

    ○山田俊男君 是非この点、みんな物すごく心配していますから。だって、一万円で売れると思っていた米が、ないしは一万二千円で売れると思っていた米が、何と五千円とか、場合によったら四千円とか、規格外になったらそうなっちゃいますよ。そうなっちゃうんだから、もう大変な事態です。どうぞ、あらゆる対策検討を指示していただきたい、こんなふうにお願いするところであります。  さて、話題変えまして、先ほど、これも野村委員からの質疑のあったところでありますが、TPP、舌かみそうなんで、何か別の読み方をつくってもらわなきゃいかぬのじゃないかというふうに思うんですけれど、これについて篠原大臣韓国へ訪問されて実情をお聞きになった。さらに、日本農業新聞のインタビューに答えられて、かなり率直なことを御発言になっておられますし、それから民主党内にもどうも相当意見の相違があるといいますか、TPPをこのまま進めることについては問題だという声がほうはいとして上がっているといいますから、ああ、民主党もなかなか一生懸命考えてくれていていいなと、こんなふうに思っているわけでありますけれど。  さて篠原大臣篠原大臣は一体このTPPに対してどんな姿勢でおられるのか、お聞きします。
  91. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) いろいろなところでもう申し上げてまいりましたけれども、我が党もマニフェスト等でもずっと書いたりもしてまいりましたけれども、EPA、FTAを推進すると、この姿勢は変わりございません。ですけれども、そのときに我が国農業、農村のことを、あるいは農山漁村、農林水産業のことをきちんと考えて、農林水産業の発展と両立しなけりゃならないと。農業でいえば今過渡期を迎えておりまして、農業者戸別所得補償を来年度から本格実施すると、自給率を十年以内に一〇ポイント上げて五〇%にすると、こういったことを約束しているわけですから、こういったことを加味して両方を両立していかなければならないと思っております。  鹿野大臣予算委員会での答弁でおっしゃった言葉が私は一番端的だと思います。TPP、突然出てまいりました。ですから、朝日新聞が社説を書いておりまして、これを推進するという内容でしたけれども、そのタイトルが振るっておりまして、今、山田委員がおっしゃったように、TPPというのはなじみがないし、舌がかみそうだと。読めることは読めるんでしょうけれども、分からないので、太平洋FTAと言っておりました。それだけなじみがなかったわけです。  我々政府で、総理所信で述べられたことですから、一生懸命検討をしております。ちゃんと検討すれば検討するほど、なかなかすぐ参加していったりするということは難しいかなというのは今のところの実感でございます。
  92. 山田俊男

    ○山田俊男君 委員会の場ですから、新聞のインタビューに答えるような形で気楽には答えられないのかというふうに篠原大臣には同情はいたしますが、大事なことは大事なこととしてしっかり主張していくという姿勢は物すごく重要なことでありますので、しっかり検討の上議論してもらいたいし、方向を定めてもらいたい、こんなふうに思います。  ところで鹿野大臣鹿野大臣菅総理から就任に当たってどうも言われたらしいと、TPPを推進するということをやってくれというふうに言われたのかどうか分からないが、多分そうなんだろうと思う。だから、このことについて、農林水産業の立場からバランスを持って対処していかなきゃいかぬという苦しい御発言や検討に私はなっているんだというふうに思うんです。  しかし、それにしても、前原外務大臣のあれは何ですか。だって、農林水産業はGDPでこれは一・五%だから、あとはそれ以外の九八・五%が犠牲になっている、九八・五%が犠牲になっていると。とんでもないもう認識ですよ。  あの外務大臣は、だってあれでしょう、名古屋で生物多様性保全のCOP10のしかるべき役割を果たされるんでしょう、そうでしょう。一体、各国の農業の多様性をちゃんと認めて、そして各国の農業が共存できるようにというふうに考えることと生物多様性の保全・確保は全く表裏を成す、私は大事な理念だというふうに思います。そのことを国を代表して役割を果たすべき外務大臣が全く認識がないということになっちゃうと、それはそうですよ、農林漁業を一・五%をつぶすのかどうするのか分かりませんが、全部、九八・五%の鉱工業製品だけでこの国は成り立っていますみたいな話にして律したときに、一体、生物多様性の確保や多様な農業の共存なんというのはあり得ないわけですよ。  だから、ここをちゃんと抗議されましたか、お聞きします。
  93. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 私は、基本的に常にどのような場におきましても、第一次産業重要性というふうなものについて明確に申し上げておるところであります。あらゆる機会で私の見解を申し上げております。  それは、基本的に農林水産業というものは単なる数字だけで判断されるべきものじゃない、やっぱりそこには人間としての営みというようなものがその中に含まれておると。ゆえに、単なる産業だと、工業と一緒に同列に並べるというふうなことにはいかない面があるんだと、こういうふうなことを強調もいたしておるところであります。  また、長い間連綿として続いた日本の国の自然環境というふうなものがなぜ守られてきたのか、地域社会がどうしてここまでその集落を形成していくことができたのかというようなことの重要性を、多面的機能の発揮というのも含めて、農林水産業の大事な役割というふうなものについてこれからも主張してまいりたいと思っております。
  94. 山田俊男

    ○山田俊男君 大臣、ありがとうございます。  それを具体化するということになったときに、やっぱりこのTPPに単純に参加していきますみたいな話にならないわけなので、よくよくそこを念頭に置いてやってもらいたいというふうに思います。  それから、平成十六年十一月に、これ農林水産省EPA、FTA本部が決定した紙があるんです。何かといったら、タイやインドネシアやフィリピンや、アジアの国々との間でEPAを進めていくに際しての基本方針を定めているんです。名前もよくできているんです、みどりのアジアEPA推進戦略というんです、高尚でしょう。そして、六つのポイント、EPA推進に当たっての六つのポイントと。一つは、EPAを通じた我が国食料輸入の安定化、多元化。幾つか書いてあるんですが、省略します。二つ目は、EPAを通じた安全、安心な食料輸入の確保。三つ目は、EPAを通じた日本ブランドの農林水産物・食品の輸出促進。四つ目は、EPAを通じた我が国食品産業のビジネス環境の整備。五つ目は、EPAを通じたアジアの農山漁村地域の貧困等の解消。六つ目は、EPAを通じた地球環境の保全、資源の持続可能な利用ですよ。まさに、生物多様性のことも念頭に置いて、そして各国の多様な農業の共存ということも念頭に置いた、なかなかすばらしい文章ですよ。  だから、これがあって、そして論議に論議を重ねてタイやフィリピンやインドネシアとのEPAの締結に向けて、あのときはどうしたかといったら、政府農業団体も一緒になってこれを決めたんですよ、締結したんですよ。そういう、ちゃんと一緒に理念を一致させて、何が大事か、同一の基盤に立つ最大の努力をしながら物事を進めていくという努力が必要なんですよ。これが端的に示している。我が国がほかの国々に、世界に向かって、そして、もう十一ですか、このEPAは締結できているよというふうに言えるのは、そういう努力があってのことなんですよ。是非篠原大臣は当時を御存じだというふうに思うんです。この精神を生かす取組、これは、EUとの間もどうするんだ、韓国との間もどうするんだという観点での私は取組が必要なんだというふうに思います。見解をお聞きします。
  95. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今言われたとおりに、EPAの問題は十一か国といろんな交渉の中で二国間同士で話合いで合意に至ったということは全くそのとおりであります。  そういう中でこれからもEPAを推進していかなきゃならない。それはやっぱり日本の国も新成長戦略という中で私どもとしては二〇二〇年までこのEPAを推進して、そしてFTAAPのところを構築していきたいというこの道筋を何とか決めていきたいと、こういう中で。その中で言わばその一環としてTPPについても検討すると、こういうようなことが総理大臣から所信としてあったわけであります。  これからの日本の国も、国民全体の生活を考えたときには市場をやっぱり広げていくと、特にアジアの地域等々も含めてこれからいろいろと貿易の問題についても広げて拡大していかなきゃならないというふうなこともこれは否めない事実であるわけであります。  しかし、一方においては、やはり農村、農業の振興というものを図っていかなきゃなりませんし、それから自給率というものも五〇%にするんだと、十年後にはというような閣議決定もありますから、どうやってそういうようなことが両立をさせていくかということは非常に重要な問題でありますけれども、しかし基本的にはやはりこの国際社会の動きというふうなものの中で日本としてどれだけできるのかと、どうしていったらいいのかというようなことについては、やっぱり場合によっては今までからも一歩踏み込んだ考え方でいかなきゃならないということも検討課題になっていくんではないかなと、こんなふうに今思っているところであります。
  96. 山田俊男

    ○山田俊男君 私も国際化が必要だし、それから我が国の経済の実態を見ると一定の成長の確保も欠かせないというふうに思います。  しかし、その際、先ほど言いましたように、我が国の農林漁業、我が国の特性ある、このアジアの島国の、アジアモンスーンにおけるこの特性あるこの国、この国の発展をベースにして、そしてどういう形の連携があり得るかということを徹底して理解していくということなんだと思うんです。それで連携を図っていけばいいんです。  だって、WTOを進めるに際して、我が国はG10、グループ10、この国々との間で常に連携しながらやってきました。それは何かといったら、何度も言うようですが、各国の多様な農業を認めていこうと。各国が共にウイン・ウインであれば、そういう立場で考えていこうじゃないかという話ですよ。  とすると、今、菅総理それから外務大臣、それからさらに貴党の幹事長、前外務大臣、これらの人が中心になって何としてでもTPPにのめり込んじゃうみたいな話で入っていった後の禍根は大変大きいものがあると思います。  私は、G10と一緒に仲間として取り組んでいた国々、さらにEUの、ヨーロッパの国々から日本は嘲笑されますよ。何だ日本は、WTOの取組の中でこんなふうにやっていたのに何のことはない、オーストラリアとの間、アメリカとの間、ニュージーランドとの間、それで農産物を、日本の国を売り渡すのか、という彼らのやっぱり受け止めに間違いなくなるというふうに思います。  ここをしっかり整理してかからないと、それこそ私は、大げさに言いますけれども、大げさでもないかもしらぬと思うんですけれども、菅総理は尖閣の問題も、それからさらに消費税の問題もひっくるめてこの問題で三つ目の、抜き差しならない、私は引っ込みの付かない環境に追いやられるんじゃないかという心配をするものでありますので、その点、是非是非念頭に置いてもらいたいと、こんなふうに思います。  もう一点だけ、もう一分ありますので。  私はこの今言った問題と、それと戸別所得補償の流れ、過剰対策は何が何でも一切やらないと、このままで行くんだというふうに力んで進めているこの流れ、私は市場原理の流れをどうもそのまま推移させるということになってしまっていないのかということを心配するんです。  大臣戸別所得補償も、地域の多様な農業者、意欲ある農業者がちゃんと経営を維持できるようにやっていこうというふうにおっしゃっている。理念は崇高ですよ。ところが、裏返してみたら、米価が下がったのは放置します、豊作になった米はどうぞ売ってください、過剰になった米、よく知りません、どうぞ売ってください、下がるだけ補てんします。と言ったって補てんできない米がそのままどこかに残っている。  この市場原理の世界に入っていったら、私は、大混乱、そしてこのTPPの話も私は同様なっているというふうに思います。どうぞそのことを本当に念頭に置いていただいて今後の農政推進をやっていただきたい、こんなふうに申し上げるところであります。  以上、終わります。
  97. 主濱了

    委員長(主濱了君) 午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  98. 主濱了

    委員長(主濱了君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、一川保夫君が委員を辞任され、その補欠として小川勝也君が選任されました。     ─────────────
  99. 主濱了

    委員長(主濱了君) 休憩前に引き続き、農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  100. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。鹿野大臣、そしてまた篠原大臣、そして田名部大臣政務官、御就任誠におめでとうございます。  それでは、早速質問に入らせていただきます。  鹿野大臣は、前委員会大臣発言としまして、本年秋までにEPAに関する基本方針を策定し、平成三十二年を目標にアジア太平洋自由貿易圏を構築するための道筋を付けていくとの閣議決定の方針に関しまして、食と地域の再生や食料自給率五〇%の達成との両立を基本として、そして所要の財源を含め国内対策考えると、そのように発言をされておるわけでありますけれども、アジア太平洋自由貿易圏の構築が日本農業に与える影響についてどのように考えておられるのか、もし試算等があればそういうものをお示しいただければと思っております。  それからまた、仮に構築を目指すとした場合には、政府としてどのような国内対策を行う方針なのか。私自身はTPPへの参加そのものには疑問を持っておるわけでありますけれども、これから議論をする上で大変重要であるというふうに考えておりますので、その点を確認をしておきたいと思います。
  101. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) アジア太平洋自由貿易圏構想というふうな圏を構築していくという件につきまして、具体的にどの程度の影響があるかということは、一つ一つ具体的にその影響の数値というふうなものは試算はまだいたしておりませんで、この点、今の時点で申し上げることはできませんが、いずれにいたしましても、EPAを進めていくというふうなことにおいては、当然それだけ国内における影響が出てくるわけでありますので、その際は、EPAを推進していくと同時に、国内におけるところの対策をやっぱりセットでやっていかなきゃならないと。そうでなければ農村の振興も農業の発展も見出すことができないということでありますので、ましてや食料自給率五〇%を目指すというふうなことでもございますから、重ねて申し上げますけれども、国内政策というふうなものをきちっとそこには両立を図っていく上において重要なことだと、こういうふうに認識を持っておるところであります。
  102. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 農業者皆様は、自給率の向上とか農業のこれからの発展を考えると、なかなかTPPというものには参加は大反対だと、農業が壊滅的打撃を受けると、そのように主張をされておるわけでありますけれども、やはり、議論をする場合には、政府として進めるという方針であるならば、農業にどのような影響があるのかきちんとした試算といいますか、考えを示していただいて、そういうものを土台にいろいろ議論をして日本農業を発展をさせていく、農業者が希望を持って農業を続けられるという、そういう状況にならなければ、やはり生産者皆様は大変な不安と危機感を持っているのではないか。私もそのような危機感と不安を持っておるわけでありまして、議論が今のままではなかなか、大臣の方からまだ試算もないということでありますので、なかなか議論が進まないということになりますので、そういうものを用意していただければと、そのように考えております。  それから、米の需給安定化対策についてでありますけれども、先ほども、午前中、様々な議論があったわけでありますけれども、公明党は、米価の著しい下落に関しましては、やはり需給が、これが崩れているということで米余りが一番大きな原因ではないかと、そのように考えておりまして、米価下落対策としては、やはり補正予算政府が米を、過剰米を買い入れる、まあ三十万トンぐらいと、九月のときには公明党としてそのような考えを示させていただいたわけでありますけれども。  そのほかに、農水省としては来年から棚上げ備蓄の方向に変えていくというお考えを示しておりますので、今の緊急事態を考えれば、やはり前倒しによる米の備蓄ということも、過剰米の備蓄ということもあり得るのではないかと、そのように考えを示しているわけでありますけれども、そのような公明党の考え、あるいは農業者皆様もそのような考えを持っていらっしゃる方多いわけでありますので、これに対する大臣の現時点でのお考えをお示しいただきたいと思います。
  103. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 渡辺先生から三十万トンを買い上げたらどうかと一つ御提起が具体的な中でなされたわけでありますけれども、常々、需給調整というふうな意味において、政府が買上げの問題については、いろんな関係者の方々、また議員の方々からも私どもに対して要望いただいているということは承知をいたしておるところでございますけれども、過般来からの議論の中でも申し上げましたが、食糧法というふうなことの中で備蓄というふうなことにつきましては、不足したことに対しての対応というようなことで備蓄をするというふうなことでございまして、今およそ百万トンの水準というふうなことからいたしまして、ある程度の備蓄に対する対応はできておると。このようなことから、ここで買上げをするというようなことにつきましてはなかなか困難なことではないかなと、こんな認識を持っております。  また、棚上げ備蓄のことにつきまして、先生から前倒しでやれないかと、こういうようなお話でございますけれども、私どもは、この棚上げ備蓄につきましては、平成二十三年度から転換を図りたいと、回転備蓄から棚上げ備蓄にしていきたいと、こういうようなことで概算要求にも盛り込まさせていただいておりますが、まだこれはそういうことをお許しをいただいたというふうな段階でもないわけでありますけれども、一応我が省の考え方としてそういうことを、予算を要求しているということであります。  その中で、前倒しというふうなことがありましたけれども、既に今、平成二十二年度の予算が執行されているわけでございますので、なかなか、誠に申し訳ございませんが、この二十二年度中にというようなことで前倒しをするということは難しい状況にあるということを申させていただきたいと思います。
  104. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 午前中の議論でもありましたけれども、本年度、猛暑の影響で品質の低下もかなりの県で起こっていると。私も宮城県の方を視察をさせていただいたときに、あるところではもう半分ぐらいは二等米以下になってしまっているというようなお話で、大変深刻でありまして、収入が激減をしてしまうと。なかなか戸別所得補償制度ではこういう品質低下の分をきちんと補償していただけるようなシステムにはなっておらないわけでありまして、そういう意味でも農家の皆さんはやはり不安を持っておるということでありまして、やはり難しい、今の大臣の話ですね、難しい対応かもしれませんけれども、今はやはり緊急事態だということで、十分な検討をお願いをしたいと思います。  それから、先ほどもお話が出ましたけれども、集荷円滑化対策の基金を活用して何とか米価下落等あるいは米余りの問題等、これを解決する一方法として活用できないかというようなことが、拠出された生産者方々からはそういう案をいただいておるわけでありますけれども、先ほど御返答ありましたけれども、この要望というものはやはり強いものがありまして、これは何とか大臣農水省の方で工夫をしていただいて、何かやはりこの需給対策等々、あるいは生産者が本当に希望を持って米作りやっていこうというような意欲が出るような何かいい活用の仕方をしてもらいたいと思うんですけれども、もう一度その点について答弁を求めたいと思います。
  105. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) この集荷円滑化対策におけるところの資金の活用ということにつきましては、午前中の議論の中にもお話も私どもからさせていただきましたが、いろいろな点から検討していかなきゃなりませんけれども、これからこの扱いにつきましては、農業者団体始めとするところの関係者の意見を聞きながら、戸別所得補償制度というものの整合性というふうなものも踏まえてこの活用方につきましては検討してまいりたいと思っております。
  106. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 過剰米の存在ということで、これから来年度、また生産目標の作れる田んぼが減ってしまうということでありまして、やはり転作の方もしっかり支援をしていかなければいけないということでありまして、そういう意味では新規需要米の推進というのは大変重要だと思っております。  その中で注目されている一つがバイオ燃料用米でありますけれども、このバイオ燃料米に関しましてはバイオ燃料地域利用モデル実証事業というものが行われておるわけでありまして、北海道と新潟でやっておると、そのように伺っておりますけれども。その支援のために平成二十二年度は十アール当たり八万円を支援をしているわけでありますけれども、これがやはり事業を更に展開をするためにはこの水準を保っていく必要があるということで、しかし、残念ながらこれが来年度の概算要求では確保できるかどうか不安だという声が上がっておりますけれども、これは是非ともその水準を、十アール当たり八万円という水準を保ってもらいたいと思いますけれども、これに対してどのような対応をしていただけるのか、お伺いをしたいと思います。
  107. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) モデル事業ということで今年度実施しております。その中では、新規需要米ということで、渡辺委員指摘のとおりでございまして、米粉米、飼料米、それからホールクロップサイレージ米というのと一緒に十アール当たり八万円という単価で助成しております。  しかし、本格実施に向けてですけれども、戦略作物としてきちんと位置付けて、まず自給率の向上に資さなければいけないということでいろいろ制度を変えております。まあ検証一つでございます。そうしたことを考えた場合、あるいはバイオ燃料米というのはちょっとそこから外れるのではないかということで、いったんは外させていただいております。  ただ、いろいろな措置はございまして、産地資金という形で四百三十億ほど、各都道府県の実情に合わせまして、その県でこれは是非とも対象にした方がいい、あるいは麦、大豆を重要視している県はそれをちょっと上乗せした単価で支払ってもいいというような場合にはそれに使えるようにしております。ですから、今ありました北海道、新潟でやっていただいているのは我々は承知しております。この産地資金を利用して同じような単価水準でできることも可能でございます。  ただ、これもまた野村委員から御指摘がありましたけれども、モデル事業を一年だけじゃなくてもっといろいろ、二年ぐらいやって検証していったらいいんじゃないかと。それは同じでございまして、モデル事業で本格実施いたしますけれども、この制度仕組みとして対象作物をどうするか、あるいは加算をどうするかというのは今後の展開いかんで、いい方向に是非持っていきたいと思っております。その段階でもまた考えてまいりたいと思っております。
  108. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 産地資金であるとやはり都道府県の評価といいますか、そういうものが必要だということで、単価を維持してもらえるのかどうか。また、市町村の農業再生協議会とかでも、あるいは都道府県の農業再生協議会ですか、そういう中で単価が決まっていくというような話でありますので、そういう理解がきちんといただいておれば単価の維持というかそういうものができると思うんですが、なかなかそこがちゃんと評価していただけるのかどうかというのは不安なので、そこをきちんと評価いただけるように農水省としても支援をしていただきたいと、そのように思っておるわけでございます。  今日、農作業事故の防止に対してもいろいろ質問項目用意しておったんですが、そこまで質問参りませんので、次の機会にまた質問をさせていただきたいと思います。厚生労働省の方からもおいでいただきましたけれども、次回に回させていただきますので、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  109. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  今日は、水産問題を中心にして御質問をさせていただきます。  まず、漁業の戸別所得補償の問題でありますが、漁業共済制度を活用した収入安定対策となっておりまして、漁業の実態を考慮したものというふうに受け止めております。しかし、この度の所得補償では資源管理との組合せという、そういう仕組みになっておりまして、どのような考え方で資源管理を所得補償の条件にするのか、まずそこから伺います。
  110. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 水産のことにつきましてはもう先生が一番の御専門ですから、私どもからいろいろ申し上げるというのは本当に僣越な気持ちを持たざるを得ないところでありますけれども。  今の件につきましては、とにかく水産資源の回復というふうなものを、いかにして資源を守っていくかというようなことが非常に大事なテーマでもあるわけでありますから、その資源の管理に努力している人というふうなことをまず対象にしていかなきゃならない。  もう一つは、いろいろとこの漁業、水産物はそれぞれの品目も非常に多いということで、どういう形で所得補償的な制度をつくったらいいかというふうなことも苦慮した中で、基本的に共済というふうなものを活用して、そして漁業者の人の保険の掛金というふうなものを、その負担を減ずるというふうなことによって、実質所得を増やすということにつながるような、そういう制度考えさせていただいて、そして二十三年度における予算の中にも盛り込みながら要求をいたしておるということであります。
  111. 横山信一

    ○横山信一君 共済制度を利用したということでは評価をしているわけなんですが、資源管理のそこの取組部分の条件が、やはり浜ではそこのところが一番不安なわけですから、そこを明確にしていただきたいということであります。  次に、養殖についての話なんですが、漁場改善の観点から、養殖については適正養殖可能数量の遵守ということが盛り込まれております。  ところが、一口に養殖と言いましても魚類もあれば甲殻類、エビ類、カニ類、それからナマコとか海藻と、非常に幅があるわけです。とりわけその中でも海藻については、ワカメ、昆布などの海藻については、えさをやるわけでもなければあるいは自分で食べたものがふんとなって落ちるわけじゃない。むしろ海藻というのは、漁場改善の観点からいくとむしろ海藻は増やすべき。海中の林と言いますね、海中林とも言いますけれども、二酸化炭素の吸収効果もある、あるいはまた過剰な栄養塩を吸収する、そうした富栄養化を防ぐという、そういう環境改善に非常に効果がある、それが海藻養殖であります。  その海藻養殖に対して生産抑制をするというのは理解し難いんですね。ですから、ここのことはどういう考え方に基づくのかと。また、この海藻養殖をこういった生産抑制をするなんという考え方を盛り込んでいくと、結局、漁業の戸別所得補償というのは水産物の生産抑制の方向に働いていくことになるんじゃないかというふうに考えるんですが、御見解を伺います。
  112. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 基本的に、今先生から御指摘いただきましたことも踏まえさせていただきながら、藻類養殖というものはいろいろな御指摘環境面に貢献する側面もあるということから、制度の運用につきましては、藻類養殖の現場の実態というものを十分踏まえさせていただきまして、そのことを考慮しながら適切に対応してまいりたいと思っております。
  113. 横山信一

    ○横山信一君 大変にすばらしい答弁いただきまして、ありがとうございます。是非検討いただいて、藻類養殖というのはほかの養殖とは根本的に違うんだということを御認識いただいて、同じ条件としないように是非お願いをしたいというふうに思います。  次に、TPPに関してのことでございますが、農林水産省が二〇〇七年に行った試算によれば、日本が農産物の関税をすべて撤廃すれば食料自給率は一二%になるというふうに試算をされております。EPAの推進に当たっては、日本農業の再生、そして食と地域の再生、そして食料自給率五〇%達成と、そうした課題と一緒になってやっていかなきゃいけないということでありまして、午前中の議論にもあったわけですけれども、こうしたことと両立させるためにはどのような施策が必要だというふうに大臣はお考えなのか、お伺いいたします。
  114. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今先生からの御指摘の点につきましては、二〇〇七年の段階での試算というものが出されたわけでありますけれども、すなわちこのことは、国境措置というものをすべて全廃した場合に何らの対策も講じないというようなことを前提として行った試算だと、こういうふうに承知をいたしております。  そういう意味で、世界の状況というふうなものは、これからの食料需給というふうなものは非常に逼迫した状況にもなっていくということを考えたときに、当然のことながら、これからの二〇二〇年に向かって食料自給率を私どもとしては何とか五〇%にしたいというふうなこともございますし、農業の再生を図っていくというようなことからいたしまして、EPAの推進と、それからこの自給率向上の五〇%、並びに農業農村の振興というふうなものはセットでいかなきゃならない。  そういう意味で、具体的に国内政策というふうなものもきちっとそこに位置付けしながらEPAの推進をもやっていかなきゃならないと、こういう考え方に立っておるところであります。
  115. 横山信一

    ○横山信一君 この二〇〇七年の試算というのは総理は御存じないんじゃないかなというふうに私不安に思っておりまして、今大臣がおっしゃられたように、何の対策も打たなかったらこうなるわけでありまして、その対策を打つということについては篠原大臣も、農業新聞に掲載されましたように韓国の例を挙げて、単純に言って日本はGDP五倍ですから、どれほどの対策が必要なのかということも具体的に言われているわけでありますから、そういう意味では、非常に荒唐無稽なというか、そうした発言は慎んでいただきたいなというふうにも思うわけであります。  またちょっと戻りますが、所得補償を導入するということは、農家にとっても漁家にとってもこれは食料自給率の向上ということが根本にあるわけでありまして、食料自給率を向上させる、そのために所得補償を導入するわけでありますから、当然のことながらその前提としてあるのは、国内の一次産業保護制度というのをこれはやっぱりしっかり堅持してもらいたいということであります。  現行の関税水準あるいはIQ制度、こうしたことをしっかり守っていただきたいと。それがあって初めてこの食料自給率の向上というのは成り立つんだということであります。残念ながら、この関税水準あるいはIQ制度への影響というのが現場では非常に不安視する声が出ております。この点についてどのように考えるのか、伺います。
  116. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今先生おっしゃるとおりに、この関税撤廃というふうなことにおいてどれだけの影響を被るかということは常に意識をしながら、そしてこれからの次の世代へのことを考えたときに、食料安全保障の確立と食の安全というふうなものを確保、そしてこれだけの連綿と続いた環境をいかにして守っていくかというようなことの施策をこれからも行っていく上でも大変重要なことだと思っておりますし、私どもきちっと意識をして、そして取り組んでいかなきゃならないと、こういうふうに思っております。
  117. 横山信一

    ○横山信一君 じゃ、次、水産物の輸出について御質問したいと思うんですが、政府の新成長戦略によれば平成二十九年までに農林水産物の輸出額は一兆円を目指すというふうに発表されております。水産物の輸出量というのはこの円高の中でも比較的好調に動いておりまして、とりわけホタテガイとかアキサケの引き合いというのは非常に強いんですね。そういう意味では非常に有望な産業でもございます。  しかし、輸出には相手国の衛生管理基準の適合が求められているわけですが、よく言われるのはHACCPですけれども、通常HACCPと言われるのはいわゆるUS・HACCPのことでございまして、このUS・HACCPの取得というのは非常に進んでいるんですが、EU・HACCPというのがございます。US・HACCPは国内では二百五十三施設、EU・HACCPを取っているのはわずか二十一施設という現状でございまして、非常に取得が進んでいないと。  ところが、このEU・HACCPというのは、EU加盟国だけではなくて、スイスとかノルウェー、ニュージーランドもこのEUの処理認定というのが輸入の条件に、日本からいうと輸出の条件になっております。そういう意味では、このEU・HACCPの取得促進というのはもう非常に緊急な課題でもあります。  そこで、農水省としてEU認定が進まない要因をどう考えているのか、まずお聞きをいたします。
  118. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 今委員指摘のとおり、現時点でその施設というのは二十一施設でございまして、平成十九年から増えていないというのが現状であります。その理由の一つとして考えられるのは、今、既存の施設を稼働しながら改修をしていかなければならないということで、時間も掛かる、そのまま仕事も続けていかなきゃならないという、そういう現状の中でなかなか進まないということが一つの要因になっているんではなかろうかと、そんなふうに承知をしております。
  119. 横山信一

    ○横山信一君 そういう見方ができるんですが、実際は何なのかといいますと、HACCPの認定、登録というのは、これは対外問題ではなくてむしろ国内問題でありまして、これは、認定、登録は厚生労働省なんですね。ここで質問するのも変な話なんですが、厚生労働省であります。ところが、対EU輸出水産食品の取扱要領というのは、これはもう三省庁共管になっておりまして、農林水産省も入っているということであります。ましてや、水産物の輸出ということでありますから、はっきり言って農水省がイニシアチブを取ってもらいたいということです。厚労省に任せるのではなくて、確かにその認定取得ということは厚労省がやるわけですけれども、この水産物の輸出というのはこれはもう農水省の所管ですから、ですからしっかりとイニシアチブを取ってやってもらいたい。そのためには、例えば取得申請に関するマニュアルを水産庁が作るとか、どうやったら早く取得できるんだという、そういう方向性、道筋をしっかりとつくっていかなきゃいけない。  そういう取得促進に向けたその見解を伺います。
  120. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) ありがとうございます。  御指摘のとおり、認定は厚生労働省ということで、省庁をまたいで取組をしているわけですが、現在も、水産庁といたしまして、水産物の品質、衛生管理水準の向上であるとか、また輸出の促進を目的とした講習会を開いたり、また技術の指導の支援などを行っているところでございますけれども、是非先生から御指摘していただいたことを踏まえ、各省連携をしっかりと取りながら、また水産庁もしっかりとリーダーシップを取りながら取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞ御指導をよろしくお願いいたします。
  121. 横山信一

    ○横山信一君 はい、力強い御答弁ありがとうございます。まさに水産庁がしっかりやっていただかないと、今のこれだけの円高のデフレ経済の不景気の下で、もう本当に今希望と言える産業一つでありますから、ここをしっかり伸ばしていただきたいということであります。  質問変わりますけれども、先日、うちの公明党の山口代表と陸奥湾に行ってまいりました。もう報道等でも出ているとおりでございますが、陸奥湾の養殖ホタテの高水温の問題ですね。大量にホタテに被害が出ているという、その現状を視察をしてまいりました。  実際、船に乗せていただきまして、百二十枚ほど母貝、母貝というのは産卵させるために成貝として残している貝ですけれども、それを引き揚げた。そうしたら、百二十枚引き揚げたところが、生きていた貝はわずか一枚でございました。また、稚貝、これから養殖に向けて育てていく小さな貝ですが、稚貝を座布団かごを引き揚げてみると、数えてみると二割ぐらいしか生き残っていないという、そういう大変な状況であったわけであります。  今現在も陸奥湾の水温というのは高めに推移をしておりまして、まだ二十二度ぐらいということでありますから、ホタテは二十三度以上だと高水温障害が出ますので、まだ青森県としては揚げないようにという指導をしているようでございますが、実態調査はそういう意味では十一月に入ってからというふうにも聞いております。ですから、全貌が実態が分かるのはこれからということでありますけれども、しかし、今の時点でも既に私たちも行ってみた結果が先ほど申し上げたとおりでありますし、あるいはまた、養殖施設のメンテナンスのために作業をするたびごとに死んでいる現状に漁師の方たちは遭遇するわけでありまして、大きな被害想定されるわけであります。  そういう意味で、早急な救済策が求められるわけですが、こうしたことに対しての国の対応を伺います。
  122. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 今先生の方からお話しありました、御党山口代表を始め先生方に私の地元であります青森県、御視察をいただきましたことをまず冒頭御礼を申し上げたいと思います。  先ほど大臣からありましたように、先生、御専門家でいらっしゃいますので、また今後も引き続きそういう専門的な観点から御指導いただければと思いますけれども、今お話がございましたように、もう壊滅状態ではないかというような中で、ようやく海水の温度が下がってきて調査が始められたところであります。この調査の全体的な結果が出てくるのはまだ少し先、十一月の末ぐらいになるのかなということを考えておりますけれども、是非調査状況を踏まえて、青森県ともしっかり連携を取りながら、必要な支援を的確に行ってまいりたいというふうに思います。  青森の陸奥湾のホタテというのは四十年の歴史がございまして、地域ではホタテが経済的にも大きな影響を持っていて、現在は若い人たちが担い手としてしっかりと根付いて地元で頑張っているという、そういう現状もありまして、私も先日視察に行ってきたんですけれども、本当に希望をなくして途方に暮れている、そういう現場の皆さんのお声を聞かせていただいてまいりました。是非とも、先ほど申し上げましたように、しっかりと調査をした上で判断をしていきたい、支援をしていきたいと考えています。
  123. 横山信一

    ○横山信一君 陸奥湾のホタテは、まさに田名部政務官おっしゃられたようにホタテ養殖の発祥ですので、もう本当にこういうときに田名部政務官が政務官でいらっしゃるということも非常に大事なことだと思いますので、是非ともよろしくお願いいたします。  最後になりますが、TPP、EPAの鹿野大臣考え方について、最後もう一度お伺いをさせていただきたいと思うんですけれども。  歴代の赤松大臣も山田大臣も、この委員会におきましては、EPAに関しましては農業に対するかなり強い配慮というのをこれまでも表明をしてきたわけであります。鹿野大臣の今日の午前中からの御発言を聞いておりますと、引き続きそういう思いでというか、農業を守る、農林水産業を守っていくという意思を感じられておりまして、そういう意味では多少安心する部分もあるんでありますが、さきの参議院の本会議で、鹿野大臣の御答弁の中で、農林水産業への影響交渉状況等を踏まえ、国益に照らして検討することが必要だと、こういう答弁をされたわけであります。この国益ということは、これは当然のことながら農林水産業を守るんだという、そういうふうに私たちは受け止めたいわけですけれども、大臣のこの国益に対しての所見を最後に伺っておきたいと思います。
  124. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 私といたしましては、冒頭の質疑の中で、農林水産行政というものを推進していく場合に、国民、多くの人たちに理解をしていただくことが大切なことだと、このように申させていただきました。そうでなければ、なかなか所期の目的に向かってきちっとした成果を上げることが難しい状況になっていると。そのことを考えたときに、この国益という私なりのこの言葉を使わせていただいたということは、まず一つは、やっぱり国民人たちが安心して生活できる、そのためにはやっぱり経済活動を、やっぱり市場を拡大していって、そしてより国民人たちの生活安定に寄与していくというふうなことも、これも農林水産、第一次産業としての一つの重要なところじゃないかと。  当然のことながら、そういう中で連綿と続いたこのすばらしい自然環境と、そして国民の何といっても一番大事な食料国内でできるだけ安定供給をしていくという、この重要性というのも、これもまさしく国益の根幹ではないかと、そんな意味で、私自身、国益に照らしてと、このような言葉を使わせていただいたということであります。
  125. 横山信一

    ○横山信一君 ありがとうございました。  日本は世界の中では国土が非常に小さい、そういう意味では、食料自給率を高めていくというのは、それなりにやはり保護政策というのは、これはもう絶対条件であります。そこをむやみに、むやみにという言葉が適当かどうか分かりませんが、何の保護政策も打たないまま開放してしまえば、それは日本の一次産業はもう壊滅をしてしまうわけであります。開放して競争にさらせば強い農業ができるなんというのは、そんなことはあり得ません。そういう意味で、この食料自給をしっかり守るということを是非ともお願いをしたいわけであります。  私も冒頭から水産の話しましたけれども、質問じゃありません、日本は国土が小さい、周りは海に囲まれているという意味では日本は海洋国家です。そういう意味で、この日本の置かれている、この海も守っていくという、やっぱりその視点も是非農林水産省の中で大事にしていただきたい。産業というものが斜陽産業になっているんじゃないかとか、そういうことじゃなくて、やはり海をどう利活用していくのかという観点から、大臣のおっしゃられる攻めの農林水産業という観点で水産業を、是非とも海洋国家日本を立ち上げていくような、そういう力強い農林水産行政をお願いしたいというふうに思います。
  126. 柴田巧

    ○柴田巧君 みんなの党の柴田巧です。  私からも先般の大臣所信を受けて幾つかお聞きをしていきたいと思いますが、大臣も山田前大臣からお替わりになって、いろいろとこれまでとは違ったところも見えてきたかなと思っております。  そういう中で、来年度から本格実施される戸別所得補償制度に関して鹿野大臣は、全国一律の定額助成の見直しを言及をされているというふうに承知をしておりますが、改めて言うまでもありませんが、来年度から本格的実施される戸別所得補償制度については、かねてから、沖縄から北海道までいろいろ気候条件、経営状況、条件などが異なるにもかかわらず、あるいはそういう経営規模や農産物の品質などをある意味では無視をして一律に助成をしていくということは、本当の意味でこの日本農業を強くするのか、そういったところが指摘をされてきたわけです。  したがって、だからこそばらまきじゃないのかというようなことを言われてきたものと思っておりますが、いずれにしても、競争力を向上させていく、生産性を上げていくと、そのためにも規模の拡大がまさに大事なことだと思っているわけですけれども、そういう中で大臣はどのようなそのためには方策が必要だというふうに基本的にお考えになっておられるのか、まずこの点からお聞きをしたいと思います。
  127. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今のお話のとおりに、やっぱり農業、これから農業者方々に推進をしていただくということになるわけですけれども、いわゆる日本日本型の農業というふうなものがあるということは共通の認識だと思います。カナダあるいはオーストラリアあるいはアメリカ、こういうような広大な土地を持っている国々と、我が国のように七割が急峻というような、そういう地政学的にもまさしく違った環境の中での農業、しかしそういう中でも限られた農業地ではあったとしても、私たちはやはり国民生活に寄与していくという意味で生産性の向上というこのにしきの御旗はいつまでも持ち続けていかなきゃならない、こういうような考え方を持っているところであります。
  128. 柴田巧

    ○柴田巧君 そこで、大臣はまたいろんなところでこの問題に関してインタビュー等々にもお答えになって、そういった検討課題を十年ぐらいのスパンで考えていきたいんだということもお話をされているわけですけれども、実際にこうやって農業をやっている人たちからすれば、また意欲を持って取り組もうとする人たちからすれば、そんな十年も何を悠長なことを言っておるんだというところもあると思うんですね。やっぱり、なるべく早くに明確な経営規模の拡大策といいますか加算措置というか、こういったものをやっぱり打ち出していくべきではないのかなと思うんですが、そこら辺のタイムスケジュールといいますか今後の見通し、一体どういうふうにお考えになっていますか。
  129. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) スピード感を持ってやっていけというような先生の御指摘一つ考え方であるということは私も承知しておりますが、私もこの三十年間農林水産行政というものを国会議員という立場におきましてずっと取り組んできまして、この生産性の向上というものが本当に難しいなと、こういうことを実感いたしております。  とりわけ条件のよろしいところは割合生産性の向上が推進しやすいんですけれども、条件不利地域となってくるとなかなか見通しも立ってこない。そういう意味で、この戸別所得補償制度というものの導入期を一つの契機として十年間を一つの期間として、この間農業者人たちも自分たち農業としてこれからまさしく人生を懸けていくのか、それとも先生なら先生の、例えば私が先生の方に任せますよと、こういうようなことで、一つ農業者自身が自分自身としてこれからの生活設計を立てていく上でいろいろな取組というふうなものの時間も必要ではないかと。そうすると、来年から一気に生産性の向上といってもやっぱりなかなか選択しにくい点もありますので、当然自然現象でありますから、そのときのいろんな農作物に関するところの年ごとの状況というのもこれも加味したということを考えれば十年間ぐらいの中で選択をしていっていただければと、こんなふうに考えているところであります。
  130. 柴田巧

    ○柴田巧君 十年間というところが、ちょっと私はどうかなと思いますが、そういう中でどういう担い手を育てていくかという視点が、あるいは明確な支援策がやっぱり大事なんだろうと思いますね。  民主党に政権が替わられて、先ほども指摘しましたように欠落している、足りないのはこれからの水田農業を担う人材と経営の育成をどうしていくかというところが随分薄いんじゃないかなと言わざる、思わざるを得ないと思うんですね。  これまで集落営農やあるいは認定農業者などを育成をしつつ来たわけです。しかし、この戸別所得補償制度が、モデル事業今年度から始まって来年度本格実施ということになって、そういった人たちの農地集積などというのは非常に足踏み状態になってきているんではないかと懸念をしたりするわけでありまして、これまでの各地域におけるその集落営農や認定農業者などの担い手づくりの取組や、また、その農地への面的集積による生産性の向上の取組ということが後退しないように、特にこういった人たちをやっぱり応援していくべきじゃないのかと思うんですが、その点、どのようにお考えになっていますか。
  131. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今お話ありますとおりに、この集落営農組織等の担い手の育成、生産性の向上の取組というものを推進していくために、いわゆるそういう問題意識を持って取り組まれる人に対する農業用の機械とか施設設備等の支援、あるいは低利融資等によるところの資金調達の支援、あるいは農地の利用集積を促進するための支援、こういう施策につきましてはこれからも進めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  132. 柴田巧

    ○柴田巧君 大臣所信でもお述べになっておられますように、意欲ある農業者が安心して事業を継続できる環境を整備することで食料自給率の向上を目指すと明言されているわけですから、しっかり意欲ある農業者を育成、支援をしていただきたいと思います。  今のところ、集落営農に関しても、法人の際の単年度だけの補助制度といいますか、そういうものしかありません。経営体の育成に十分なものではないと思いますので、しっかりそういった人たちが意欲を持ってこれから農業をやっていけるようにいろいろと工夫を、知恵を絞っていただきたいと思います。  さて、もう一つ、先ほど午前中に自民党の野村先生も御指摘になられましたが、この農業農村整備事業が政権交代によってがくっと落ち込んだ、このことがいろんなところに問題をやっぱり引き起こしていると思っております。  言うまでもありませんが、先ほど徳之島の例も出されましたが、もう全国各地同じような状況になっていると。これから大量の更新期を水利施設、用排水路、迎える中で、それさえもままならぬということになりますから、そういうところを、老朽化あるいは耐用年数を超えている水利施設を抱えている現場でどんなこれから事故が起きるかも分かりませんし、また、それによって災害が起きるかもしれないということですから、真剣にやっぱりこれは取り組んでいかなきゃならぬ問題だと思いますし、大臣がおっしゃるように、攻撃型の農政を展開をしていくためにも、この農業農村の整備事業というのは極めて重要な事柄だと思いますが、そういう観点からも是非この事業の位置付けをしっかりしていただいて取り組んでいただきたいと思いますが、改めての答弁になるかもしれませんが、決意をお聞きをしておきたいと思います。
  133. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 農業農村のこの整備事業というふうなものは、大変これから農業政策を進めていく上において重要な課題であると、こういうふうに私も先生指摘のとおり認識をいたしております。特に、食料自給率の向上を図っていくという、そういう政策を進めていく上におきましては、やはり基盤整備というふうなものはどうしても必要になってくるものだと、こういう認識であります。  そういう意味で、平成二十三年度の概算要求につきましても、土地改良施設の全面的な改築、更新から、要するに長い間の長寿命化対策への転換、あるいは麦、大豆等の生産拡大のための農地の条件整備、あるいは農地の防災対策と、こういうようなことを中心といたしまして、前年度に比べまして一〇五%の二千二百四十一億円を要求いたしておるわけでございまして、そういう意味でこれからも取り組んでまいりたいと思っております。
  134. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非しっかりやっていただきたいと、また我々も注視をしてまいりたいと思っているところです。  この後、残った時間で有害鳥獣の被害対策について幾つかお聞きをしたいと思っております。  この秋は、特に中国の問題もいろいろテレビに毎日出ましたが、それと同様にたくさんテレビで映し出されたのは有害鳥獣の被害であろうかと思います。この前も北海道でしたか、ヒグマが町の中を親子三頭か二頭、悠然と歩いておりましたが、今大変な状況になっておるところであります。  私の地元は富山県なんですが、クマでいうと、去年百五十八頭出没したと一応正式にはなっておるんですが、この二日、三日前までの時点で六百三十一頭出没をしております。これは正式に確認届出あったものだと思いますが、実は私の家は車で五分ぐらい行くともうクマ出没注意の看板が立っているところに住んでいるわけですが、その近辺の人に言わせると、クマが出るんではなくてクマがそもそも本当はいるんだと。ただ、一々警察や消防等々に届けないので、本当に出ている数はもっと本当は多いんだろうと思いますが、大変な今状況になっています。  おとといも全国ニュースになりましたが、クマは山あるいは山里にいるものと思っておりましたが、海で釣りをしていた人を襲ったと。海まで川伝いに夜中えさを求めて歩いてきたんだと思いますが、川釣りしたときにクマに出会ったというような話は聞きますが、海釣りしていてクマに会ったというのは、会ったというか襲われたというのは恐らく余りないことだと思いますが、それほど生態系がいろいろ狂ってきている部分もあるんだろうと思います。  クマもさることながら、イノシシの被害も、これがより深刻でありまして、先般も、山田先生と実は地元が一緒なので、そのイノシシの被害現場もちょっと見たりしましたが、御覧になった方あるかもしれませんが、イノシシが田んぼに入ってくるとその一帯の米は臭くてもはや食べれません。もう全然使い物にならないというのが現実でありまして、せっかく苦労して収穫のときを迎えても、そういうイノシシなどがやってきて一遍に駄目にしてしまうということが今現実に起こっているわけであります。地方で、現場でいろんな取組がなされているのはもちろんのことでありますが、これだけ被害が深刻になり、またクマやイノシシは県境は分かりません、関係なく動く、またいで移動するわけで、そういったことからも、もはや地方の対応というのは限界に来つつあるんではないかなと正直思います。  したがって、国としてもこの有害鳥獣対策被害対策というのは本腰を入れるべき時期に来たと思っているわけですけれども、まず農水省でこの鳥獣被害の現状、実情をどのように把握をしておられるのか、まずこの点から確認、お聞きをしたいと思います。
  135. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 柴田委員のおっしゃるとおりで、非常に深刻でございます。中山間地域では過疎化が進行しておりますし、高齢化が進行しております。その結果、農業生産活動が低下しております。そういったことも原因でこの鳥獣被害が深刻化、広域化しているんじゃないかと思いますので、被害額で申し上げますと、この数年大体二百億円前後で推移しております。  ただこれ、大したことないじゃないかと言う人がいるんですが、とんでもないんでして、水害だとか何かだったら来年はいいだろうということで、またやろうという気になるんですが、鳥獣被害でもってこてんぱたんにやられると、もうやめたという人が相当いるはずなんです。やめられた後のときにまた新たに二百億と、二百億全部じゃないんですけれども追加されているんで、相当の被害額だと思います。大きな方から言いますと、北海道一番、長野、福岡、山形、大臣地元も我が地元も、今日いませんけれども、松木さんの地元が一番被害が大きいわけです。どれによる被害が大きいかというと、シカが五十八億円で三〇%ぐらい、イノシシも大体同額、猿が十五億円ぐらいで八%、その他もろもろが七十二億円でございます。それから、クマの被害ですけれども、農作物の被害はそんなに多くありませんけれども、人に危害が加わるという、これが例年五十件前後なんですが、九月末現在でもう八十二件と過去三年の平均を大きく上回っております。こういった状況を把握しております。
  136. 柴田巧

    ○柴田巧君 今、副大臣おっしゃったように、公称二百億といっても実際的にはもっと本当は大変なものなんだろうと私も正直思っておりまして、そういう意味でも対策を国としても急いでいかなきゃならぬと思います。  ところが、大変残念なことにというか、一番一つの有効な手だては、その防止をする上で、いわゆる防護さくを作っていくということが前々から指摘をされて、それに取り組んでいるところが結構全国的に多かったわけなんですが、いわゆる事業仕分でその防護さくの整備費用も含めた鳥獣被害防止総合対策が、これは国がやるべきではなくて地方に任せればいいんじゃないかというような判断もあって、今年度がくっとこれが削られたということになったわけですね。このことによって、大変今地方のそういう被害、有害鳥獣が出てくるところは大変今混乱をしておるというか、やろうと思っていたのに、話合いをして国の補助を得てやろうと思っていたら、急にこういうことではしごを外されてしまって中止になったりあるいは延期になったりして、結局その防止さくができずにまた今年被害をこれまで以上に被っているというところになっているわけで、せっかくこうやって議論を積み重ねてきて、いよいよやろうとしたところにこういうことになったということは、本当に地元はみんな困惑をしているわけですね、それぞれの地元は。  したがって、この事業、こうやって減額をしたことによってどういうふうに今、今私も申し上げましたが、こういう状況になっていることをどのように国として受け止めているのか、認識をお伺いをしたいと思います。
  137. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今先生からのお話のとおりに、事業仕分を受けまして、予算額につきましても前年に比べて約三割縮減、削減されていると、こういうふうなところであります。このことは鳥獣被害の深刻化、広域化というふうなことになってまいりまして、二十二年度は都道府県から予算額の二倍以上の要望があったということでございます。  こういうようなことを考えたときに、私どもの認識といたしましては、それぞれの配分額の下で効率的な事業の執行を工夫していただいておったわけでございますけれども、事業計画の見直しや先送りなどをせざるを得なかった地域も多かったのではないかと、こういう認識に立っておるところであります。
  138. 柴田巧

    ○柴田巧君 まさにそういうことで、したがって、今地方議会からもそういう、今回大きくそういった予算が削られたということもあって、地方議会から国に対してかなり意見書が、この問題について、鳥獣対策を充実してくれという意見書が上がってきていると思います。  そこで、そういう切実な地方の声を、今どの程度上がってきているのか、そしてそれを国としてどのように受け止めているのか、この点についてもまずお聞きをしたいと思います。
  139. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 地方議会からの意見書は十七件でございました。地方自治体や関係団体等からの政策提案が六十件上がっておると、こういうようなことでございまして、このことからいたしても、鳥獣対策に対する強い要請というふうなものがあるんではないかと、こんなふうに重く受け止めておるところでございます。
  140. 柴田巧

    ○柴田巧君 それで、私もちょっといろいろ意見書を見てみて感じるのは、明らかに去年までと今年と文言が違うというか、去年までは、例えば中山間地域の振興の一環としてそういった問題が取り上げられたり、あるいは多面的機能の発揮というようなところで出されて、一つの項目として鳥獣対策が取り上げられていましたが、今年に入って明らかにタイトルそのものが、もはや野生鳥獣、有害鳥獣の被害対策をしっかりしてくれというものに変わってきているということ、つまりこれだけ地方の切実な声だということをやっぱり真剣に受け止めていただきたいと思いますし、国としても何らかの抜本的な対策を講じていただきたいと思っているところです。  この問題は何で出てくるかと、結局何で出てくるかというところに問題は行かざるを得ないわけで、それは大きく言えば地球の温暖化していることもそうでしょうし、耕作放棄地が増えてきていること、あるいは中山間地域の問題や森林政策のこれまでのいろいろなやっぱり問題があったからというのが一つの背景、遠因、要因としてあるものだと考えるところでありますけれども、したがって、そういう意味でも真剣に国としてこれは対処していかなきゃならぬと思いますし、先ほど言いましたように、もはや地方の現場では手に負えなくなってきつつある、あるいはその県境をまたがって取り組まざるを得ない問題も出てきていると思っておりますので、国としてこの鳥獣被害対策にどのようなこれから取組を本気でやっていこうとされるか、この点を大臣にお聞きをしたいと思います。
  141. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今先生から御指摘の、大変多くなってきております地域での鳥獣被害というふうなものは深刻化しているものと、このように受け止めております。  そういう意味におきまして、要請も、先ほど申し上げましたとおりに、議会からの意見書が十七件、地方自治体等々からのいわゆる政策の提案というものが六十件を超しておると。こういう中で、特にその内容は、被害を受けている地域が取り組む有害鳥獣の捕獲や被害防止さくの設置の支援などを行う対策予算を拡充してくれと、こういうようなことが大半でございます。  そういう意味で、こうした地方の声を真摯に受け止めまして、農林水産省といたしましても、平成二十三年度概算要求に対しましてこの緊急対策というものを百億円ということで要求いたしておりまして、少なくとも、少しでも安心して農業に取り組んでいただけるような環境づくりにこれからも努力をしてまいりたいと思っております。
  142. 柴田巧

    ○柴田巧君 対策を充実強化していこうというところは一定の評価をしたいと思いますが、今、来年度のお話をされました。結構なこととは思いますが、これだけ今被害が深刻化して、もうしばらくしたら冬眠をする、クマなんかは冬眠をしてしまうのであれですが、春先になったらまた出てくるわけですね、そういった動物、イノシシなどもそうかと思いますが。ということを考えると、今やれるものはある程度早い時期に前倒ししてでもやろうというお考えはないものでしょうか。ちょっとお聞きをしたいと思います。
  143. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 実態といたしまして、今先生が言われたクマあるいは猿、シカ、イノシシと、こういうような被害でございますけれども、これからこの被害状況というものを更に私どもも確認をしながら、重大な、深刻化しているということは重く受け止めさせていただいておりますので、そういう状況というものを重ねて把握をしながら、平成二十三年度に要求をしているというようなことも含めて対策に向かって取り組んでいきたいと、こう思っております。
  144. 柴田巧

    ○柴田巧君 ありがとうございました。  いずれにしても、大臣はいろんな現場をいろいろ細かく回られたり関係者と対話されたりして、いろいろお取り組みをされております。どうぞ、こうやって今申し上げた鳥獣被害対策も、大変深刻になっております。どうぞ一度現場を見ていただいたり関係者の声も聞いていただいて、これからの施策に生かしていただきたいと思います。  ありがとうございました。終わります。
  145. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  所信に対しての質疑を行わせていただきます。  少し記憶をよみがえらせていただきたいんですけれども、鹿野大臣は、現在は民主党なんですけれども、一九八八年、二十二年前、当時は自民党の農林水産大臣を務めておられました。当時、牛肉、オレンジの自由化が決められて、次はいよいよガット・ウルグアイ・ラウンドだと、その交渉で米の輸入自由化が正念場だという時期でした。  当時の予算委員会でも米の輸入問題が取り上げられて、自民党の当時幹部であった渡辺美智雄氏が米の五%輸入構想を打ち出して、それで問題になって追及されていたというときなんですが、そのときに大臣は、少量といえども米を輸入するということは到底考えていませんというふうにお答えになっていたわけですが、しかし、実際にはそうならず、現実的に、現在、年間でいうと七十七万トンに及ぶミニマムアクセス米輸入が導入されたと。米は関税化されたわけです。  これについて大臣が今どのように受け止めておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
  146. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 私としての当時の、二十一年前のときでございますので、私としての率直なる気持ちを申し上げたというようなことでございまして、その後に、政権交代がなされる中で今日の状況になったというようなことでありますので、そういう判断に立ったというようなことの中で、今後対応というふうなものについて考えていくというようなことになるのではないかなと、こう思っております。
  147. 紙智子

    ○紙智子君 当時、食料自給率問題についても随分議論になっていました。それで、様々な角度から質問があって、当時の会議録をちょっと読ませていただいたんですけれども、今、民主党内閣は食料自給率を十年間で五〇%に上げるというふうに言っているわけです。で、鹿野大臣の当時の発言を見てみますと、ちょっと違和感を感じるわけですね。  大臣は、一九八九年の十月二十五日の参議院の予算委員会でこのように述べているんです。我が国農業の生産構造なりあるいは生産性などから見まして、輸入飼料穀物に比べて相当割高にならざるを得ない。我が国の畜産の発展やあるいは良質で安い畜産物の供給のためには飼料穀物の輸入に依存せざるを得ないということから見まして、自給率を大幅に高めていくということはなかなか困難な面があるわけです。これを参議院本会議でも述べられているわけですけれども。  当時、我が党の不破委員長質問しているんですけれども、一九八九年十月の予算委員会です。諸外国、イギリスとかフランスとかヨーロッパの国ですね、当時、自給率の引上げに一生懸命努力して上がっている、片や日本は下がってきているということで、その事例を示して食料自給率の引上げを求めたわけですけれども、これに対して鹿野大臣は、昭和三十年代は自給率八二%だったと。そのときはお米を一人当たり百二十キロ食べていたと。今六十八キロだと。すなわち米の消費が減ってきた。その分畜産物を国民は食べるようになったと。国土条件に制約のある我が国でありますから、畜産物の、いわゆる飼料穀物というようなものはどうしても輸入に依存せざるを得ない、こういう事情からなんですと。我が国は計画経済ではございません。食生活を規制するわけにはいきませんと。  こういう当時の大臣の見解というのは、この間、大臣の中でどのように整理をされて食料自給率引上げに取り組もうとしているのか、これについてもお聞きしたいと思います。
  148. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今お話がございましたが、私の記憶では、こういう考え方を申し上げているということも確かであります。食料自給率の引上げにつきましては、今後努力はしていきたいと思っておるところでございますが、実態から見てなかなかその実現というのは難しい面もあるのではないかと。こういうふうに発言をいたしておりますが、平成二年でございますけれども、たしか一月の段階でございますけれども、今後の長期見通しというふうなことの中で、私の思いというふうなものも含めて、農林水産省の長期見通しの試算として、平成十二年度、当時は平成二年でありますから、十年後におきましては五〇%になるというような見通しも出させていただいているところでございます。
  149. 紙智子

    ○紙智子君 それは今ですか、その当時ですか。
  150. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) その当時です。
  151. 紙智子

    ○紙智子君 その当時、はい。  もう一つ同じようなことなんですけれども、飼料米の問題も述べておられていて、一九八九年の十月二十四日の参議院の予算委員会で、当時、議員の中から減反をしないで飼料米をつくるべきじゃないのかという質問があったわけですけれども、これに対して、現実的にはなかなか困難なことでないかと思っていますと。同様に、一九八九年ですね、これ十月六日の参議院本会議ですけれども、飼料用米については、トン当たり二万円、主食用に比べまして大きな価格差があり、収益性が極めて低い、このようなことからその作付けはごく限られた面積にとどまっておりまして、現状では大きな期待を掛けるということは困難ですと。後ろ向きなそういう意味では答弁だったわけですけれども、しかし、今、飼料米については民主党政権の言わば中心的取組でもあるわけですよね。  新たに農水大臣になられて、この当時の認識と今とのギャップといいますか、これはどんなふうにお考えでしょうか。
  152. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) よく先生、二十何年前の資料を引き出していただいて、私も何か思い起こしながら今答えているところでございますけれども。  確かに、今言われたとおりに申し上げたことは確かだと思います。しかし、当時は飼料米を畜産農家が好んで使うというような状況ではなかったというようなことも思い起こすところなんであります。そして、その後の状況を見ましても、世界の穀物需給が非常に逼迫してくるんじゃないかという懸念の中で、輸入トウモロコシも高くなってまいりまして、それに代わる何か国産飼料の増産の重要性が必要ではないかと、このようなことからいたしましても、当時の状況と今日の状況が変わってきた。  そしてまた、主食用としてお米の需要が減少している中で、水田の有効活用というようなことからして、これを言わばいろんなところにもっと利用できないだろうかと、こういうようなことの中で飼料米というようなことの取組というふうなものが大きく変わってきたというようなところでございますので、言わば状況の変化という中で、私は二十年前にお答えをしたということでありますけれども、今日は、そういう意味ではこの飼料米というふうなものの取組というふうなものが相当大幅に拡大もしておるわけでございますので、これからも畜産農家との結び付きというものを支援をするというような意味におきましても、生産拡大を推進していくというふうな考え方に立っているところでございます。
  153. 紙智子

    ○紙智子君 古い話を持ち出してなぜ聞いたかというと、やっぱりあちこち現場を歩きますと、今の農業、農政には理念がないということを現場の皆さんから上がるわけですよね。ですから、どういう理念に基づいて一貫性を持って農業政策進めるのかということが非常に問われているということで、今言ったことが、じゃまた状況変わったらすぐ変わるのかということになっちゃいけないと思うんですね。そういうところを是非一つ考えていただきたいということがあります。  その上に立ってなんですけれども、午前中の質疑でも随分問題になりましたけれども、焦点になっているTPP、環太平洋パートナーシップ協定についてです。  それで、大臣所信表明国内対策考えてまいるというふうに述べました。これは、私は聞いてびっくりしたんです、驚いたんです。国内対策ということは、これは協定参加することを前提として言っていることじゃないのかと。これを日本農業を守るべき農林水産大臣がそもそも決断するということがあってはならないと思うわけですよ。ですから、国内対策というふうに聞いた瞬間に、じゃ農水大臣はこのTPPについては参加を認めたのかなというふうに思ったんですけれども、いかがでしょうか。
  154. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) EPAを進める上におきまして、今日までも十一か国と締結をしておるわけでありますから、これからもこのEPAというものを推進をしていかなきゃならない。その際に国内対策というふうなものもセットでありますね、こういうような発言をいたしております。  TPPに関しましては検討する、こういうようなことでありますということで、TPP参加するとかしないとかというものを既にもう決めているんだなんというふうなことは、これは私の頭の中にはありません。明確に申させていただきたいと思います。
  155. 紙智子

    ○紙智子君 決めているわけじゃないとおっしゃるんですけれども、大臣自身の、大臣自身の考えTPP参加するべきだと思っているのか、そうするべきではないと思っているのか、そこがはっきりしないとその先進まないんです。それについてどうですか。
  156. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) あくまでもTPPについては、総理大臣所信にうたわれているとおりに、TPP参加するかどうかというふうなことも含めて検討すると、こういうようなことでありますから、これは、TPPというのはどういう協定なのか、そしてどういうそういう中で交渉の中身になるのか、そのことによってどれだけ我が国影響をしていくのか、そしてまた得るものがどれだけあるのかというようなこと等々、総合的にこれは検討しなきゃならないわけでありますので、今の時点で私がその参加をすることを決めるなんてことは、とても私のこの頭の中ではできないですよということだけは申し上げておきたいと思います。
  157. 紙智子

    ○紙智子君 決めるかどうかは言えないと言うんですけど、御自身はすべきだと思っているのか、そこがすごく大事なんですよ。農業から考えればこれは大変な打撃を受けると、だからもうたとえだれが反対しても自分だけは絶対に駄目だと言って頑張らなきゃいけない立場だと思うんですよ。その点で、大臣自身、御自身がどうなのかということについては先ほどから語ってないですよね。検討するとかなんとか言っていますけれども、御自身が賛成なのかどうか、反対なのかどうか、これについてお聞かせください。
  158. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今簡単に先生TPP参加するのがいいのか悪いのかなんていうふうなことで、そんな簡単に結論の出る話じゃないわけですよ。TPPというふうなものがまずどういう、もう重ねて申し上げますけれども、協定なのかというところから私自身としても検討しなきゃならないわけでありますので、これは軽々にそれはすぐどっちが何だ、結論出せと言われても、重ねて申し上げますけれども、今の段階で私のこの頭の中では、とても今の時点で参加をしますとか、あるいは参加をしませんとかというようなことを申し上げる状況にはありません。少なくともどういうふうな協定か、そしてどれだけの影響があるのか、どれだけの国民にとってのプラスになる面があるのか、しかしただ単に数字だけでそれを判断するというふうなこともできない面もあるということも含めて検討すると、こういうことであります。
  159. 紙智子

    ○紙智子君 国内対策考えるということは、もう受け入れない場合は、これはもう始めから国内対策なんて言わないんですよ。国内対策考えるということは、もう一歩進めるという話になっていますし、先ほど私、山田委員質問に対しても、踏み込む必要があるという話をされたわけで、はっと思ったわけですよね。  だから、なぜこう言うかといいますと、結局閣僚の間でも物すごくいろんな意見が違いがあるわけじゃないですか。前原大臣の発言でいえば、参加すべきというふうに言っていると。一次産業の割合が一・五%しかないのを守るために九八・五%が犠牲になっているという発言をされた。  それから、今日午前中の記者会見で仙谷官房長官がこのTPPへの参加に関して、グローバリゼーションの下で日本はそこからずり落ちて鎖国して生きるわけにはいかないと、検討する考えを示しているわけです。その上で、政府としてはスピードを上げた議論をしないといけないと。さらにこう言っているんですよ。農業団体などが参加に反対していることに関しては、このままでいいという業種は確かに痛みが発生する可能性がある、それを和らげるか別途の対応を取ることができるのか併せて検討しなきゃいけないと言っているわけですよ。ですから、進むということに立って、言わばそのためにしわ寄せを受けるところについての対策をやるという話ですから、これは私、重大問題だと思いますよ。  次にお聞きしますけれども、TPPはあくまでも協定参加国の関税撤廃を前提にしているわけですよね。仮に日本がこれに参加すれば、米を含めて農産物の関税がゼロになると。農水省、関税自由化した場合の試算を、先ほど影響についてはまだ試算をしてないというふうに言うんですけれども、FTAについてはですね、EPA、関税をなくした場合の計算は過去に農水省やっていますから、それについてやった場合の試算、どういう影響かということをちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  160. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 二〇〇七年二月に経済財政諮問会議に提出する資料で我が省が計算しております。我が国農産物等の国境措置をすべて撤廃したと仮定した場合で、それから何ら対策も講じないことを前提にした試算でございますけれども、農業生産額が三兆六千億円減少。それから国内総生産、ほかの産業ですね、農業生産資材とか飼料、農業機械とかみんな含めますと約九兆円減少すると。それから農業者も含めますけれども、当然含めますけど、今申し上げました関連産業含めまして三百七十五万人分の就業機会が減少すると。それから問題の自給率が四〇%から一二%に低下するというのが三年前の計算でございます。  現在もどのような影響があるのかという計算はすぐできないこともないわけですけれども、影響が大きいんで慎重に取り扱っております。  今、午前中も申し上げましたけれども、我々、農業者戸別所得補償の本格実施に向けていろいろ政策を構築しているところでございまして、その大事な柱が二〇二〇年に自給率を一〇ポイント上げて五〇%にするということでございます。こういったこととの整合性をきちんと考えていかなければいけないんじゃないかと思っております。
  161. 紙智子

    ○紙智子君 今、篠原大臣から影響について、まだこれTPPではないですけれども、関税を外した場合の話がありました。ですから、実際に国内対策で防げるのかという話になるとこれ無理だというふうに思うわけですよ。それにやっぱり参加していくということについては農水大臣としてはやっぱり閣僚の皆さんを説得する側に立ってもらわなきゃいけない話だと思うんですね。  その点で、今お話あったように、食料自給率五〇%に上げるということからいっても逆行する話で、これでやっぱり参加してはいけないというふうに決められないのかどうかということなんですけれども、いかがですか。
  162. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 私としては先ほど御答弁を申し上げたとおりでありまして、あらゆる角度からいろいろなる検討というふうなことをして、こうですというような判断をお示しをしていくというようなことがより国民の理解を得るものと、こういうふうに思っております。
  163. 紙智子

    ○紙智子君 自給率の話ありましたけれども、この間、民主党政権として、新しい食料農業・農村ですか、計画を作って、その方向で進めようということに対していえば、今やろうとしている方向というのは、TPPの方向というのはまさに逆行する方向であって、我が党としてやっぱりこれは絶対に反対だということを申し上げておきたいと思います。  そして、委員長にお願いしたいんですけれども、当委員会としてこのTPPの加入問題の集中審議を行っていただきたいということを申し入れたいと思います。それと、このTPPに関する委員会決議を上げていただきたいということを申し入れておきたいと思います。  最後になりますけれども、二十二年度の高温障害によって品質が劣化しているお米の問題について、先ほどもこれありましたけれども、確認の意味でもう一度私の方からも質問させていただきたいと思います。  それで、今日の新聞でも報道されていますけれども、一等米の比率が非常に低くて全国平均で六四・四%と。新潟の話もありましたように一九・七%。その他非常に低くて、香川県なんかはもう一けた台ですよね、三・二%。それから高知、福岡、一六%、一五%、岐阜一五%というふうになっています。  この非常に劣化した状況に対して戸別所得補償では、その変動部分について補償については一等米の相対取引価格で決めるというふうになっているわけです。ですから、二等米若しくはそれ以外のものは補償の対象にならないということで、そうなると農家の損失は非常に大変な事態になるということで、現場からも何とかしてほしいという声が上がっているわけです。それで、それに対する対策ということで大臣の方から御説明いただきたいと思います。
  164. 主濱了

    委員長(主濱了君) 今、紙委員から申入れのありましたことにつきましては後日理事会で協議をしていただきたいと、こういうふうに思います。
  165. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今の質疑につきましては、平成二十二年度産米の品質は、九月末の段階では一等比率が六四%、前年度の八三%に比べて一九ポイント低いというような結果が出ておるわけでありますが、この平成二十二年度産米の検査数量というものは全体の約四割でありまして、今後の検査の推移について引き続き注視をしていかなきゃならないと思っております。  なお、品質低下への対策といたしましては、このモデル事業というものは作柄の影響によりまして収量が減少したり、あるいは二等米、三等米というような発生率が高くなったといたしましても、この変動部分に関しましては、数量払いではなしに面積払いであるということからいたしまして、この戸別所得補償制度参加をしていただいている農家に対しましては、平年作ベースでの所得というものが補償されるんでありますということを申し上げさせていただきたいと思います。
  166. 紙智子

    ○紙智子君 農家の皆さんは、今の状態ではもう借金なんかできない状況になっているわけですよね。それで、共済もあるんですけれども、現在の共済制度の範囲では対応できないということもあるものですから、そこのところは実際の損害が解消されるように何とか方策を講じていただきたいということを改めて重ねて要望いたしまして、質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  167. 主濱了

    委員長(主濱了君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十六分散会