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2010-10-21 第176回国会 参議院 財政金融委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年十月二十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤田 幸久君     理 事                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 愛知 治郎君                 佐藤ゆかり君                 荒木 清寛君     委 員                 尾立 源幸君                 風間 直樹君                 金子 洋一君                 川上 義博君                 櫻井  充君                 田中 直紀君                 中谷 智司君                 水戸 将史君                 鴻池 祥肇君                 塚田 一郎君                 西田 昌司君                 野上浩太郎君                 林  芳正君                 古川 俊治君                 丸川 珠代君                 竹谷とし子君                 中西 健治君                 大門実紀史君                 中山 恭子君    衆議院議員        財務金融委員長  石田 勝之君    国務大臣        財務大臣     野田 佳彦君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        自見庄三郎君    副大臣        内閣府副大臣   東  祥三君        財務大臣    櫻井  充君        文部科学大臣  笹木 竜三君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        園田 康博君        内閣大臣政務        官        和田 隆志君        財務大臣政務官  尾立 源幸君        農林水産大臣政        務官      松木けんこう君    事務局側        常任委員会専門        員        大嶋 健一君    政府参考人        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        深野 弘行君        中小企業庁長官  高原 一郎君    参考人        日本銀行総裁   白川 方明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成二十二年四月以降において発生確認され  た口蹄疫に起因して生じた事態に対処するため  の手当金等についての所得税及び法人税臨時  特例に関する法律案衆議院提出) ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (今後の財政運営方針財源確保に関する件)  (為替相場をめぐる我が国対応に関する件)  (デフレ脱却のための対応策に関する件)  (中小企業金融に関する件)  (ゆうちょ銀行の経営に関する件)  (総合取引所構想に関する件)     ─────────────
  2. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  平成二十二年四月以降において発生確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案議題といたします。  まず、提出者衆議院財務金融委員長石田勝之君から趣旨説明を聴取いたします。石田勝之君。
  3. 石田勝之

    衆議院議員石田勝之君) おはようございます。衆議院財務金融委員長石田勝之でございます。  ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び概要を御説明申し上げます。  本年四月以降に発生確認された口蹄疫は、関係者の懸命の努力により八月に終息宣言がなされましたが、我が国家畜防疫史上最大級被害をもたらし、これにより、宮崎県及びその周辺地域経済全体が深刻な打撃を受けております。  本法律案は、このような状況にかんがみ、「必要な税制上の措置を講ずる」とした口蹄疫対策特別措置法第二十七条を踏まえて、被害を受けた発生農家等税負担の軽減を図り、地域基幹産業である畜産業の早期の再建を目指して緊急に対応すべき措置を講じようとするものであります。  以下、その内容につきまして御説明申し上げます。  本法律案は、個人又は法人が、口蹄疫対策特別措置法の施行の日から平成二十四年三月三十一日までの期間内に、家畜伝染病予防法第五十八条の規定による手当金口蹄疫対策特別措置法第六条第九項の規定による補てん金等交付を受けた場合に、当該交付を受けた手当金等について、税制上、次の特例措置を講ずるものであります。  第一に、個人交付を受けた手当金等については、当該手当金等交付を受けた日の属する年分当該交付により生じた所得に対する所得税を免除することといたしております。  第二に、法人交付を受けた手当金等については、当該手当金等に係る利益の額に相当する金額は、当該交付を受けた日を含む事業年度所得金額の計算上、損金の額に算入することとしております。これにより、当該手当金等に係る利益の額に相当する金額に対しては法人税が課されないこととなります。  以上が本法律案趣旨及び概要であります。  何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) ありがとうございました。  以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  平成二十二年四月以降において発生確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  5. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として経済産業大臣官房商務流通審議官深野弘行君外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁白川方明君出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  11. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 財政及び金融等に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 愛知治郎

    愛知治郎君 おはようございます。自民党愛知治郎でございます。よろしくお願いいたします。  まず、冒頭でございますが、昨日からですか、鹿児島県の奄美地方において大変な、記録的な豪雨により大変な被害が出ていると伺っております。まずもって、亡くなられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々に対してお見舞い申し上げたいと存じます。政府におきましては、万全の対応をしていただきますようにお願いを申し上げます。  では、本題に早速入りたいと思うんですが、民主党政権が誕生して一年と少しがたっております。その間、私自身はこの財政金融委員会にずっと所属をさせていただいておったんですが、大臣がお替わりになられまして今度で三人目の大臣野田大臣が就任されたということになっております。基本的には、民主党政権という基本的な形は変わっておらないので、その点については確認をしながらやっていきたいと思うんですが。一昨日、野田大臣から、今後の財政政策等を運営するに当たっての基本的な考え方を伺いました。一昨日伺ったということもありますので、そういった基本的なことですね、私もまだそんなに準備ができていないんで、基本的なことだけ今日は伺いたいというふうに思います。  まず、その中でおっしゃっておったのが、国債発行に過度に依存した財政運営はもはや困難であるとおっしゃっていました。そのとおりだと私も思います。今後の議論なんですけれども財源しっかりと議論しなくちゃいけない、消費税を含め税制全体の議論を進めていかなくちゃいけない。私もこれはやらなくちゃいけないというふうに思います。ただ一方で、予算編成に当たっては、無駄遣い根絶の徹底や不要不急な事務事業の大胆な見直しにより、新たな政策、効果の高い政策に重点配分する財源を確保することは必要ということもおっしゃっております。  ここで確認なんですけれども、そもそも去年の総選挙において民主党さんが国民約束をしていたのは、予算の組替えと無駄遣い根絶によって、様々な政策ありましたね、子ども手当だとか高校の無償化、高速の無料化戸別所得補償など様々な政策、それらはすべて予算の組替えと無駄遣い根絶財源は確保できると、それを前提約束をされていました。  ここまで、国民、有権者もそういった子ども手当等政策財源大丈夫なのかな、もし国の財政がそれだけ厳しいんであれば賛成はしなかった、ただ、民主党さんが大丈夫だと言うから一票を投じたという方は本当に多かったと思います。ここは一番大事なところだと思うんですけれども、厳しい状況というのは分かっていますが、この公約、そもそもの予算の組替えと無駄遣い根絶で様々な政策財源は確保できると約束したこの約束は今でも生きているのか、そのことを改めてお伺いしたいと思います。
  13. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 愛知筆頭理事お答えをさせていただきたいと思います。  御指摘のとおり、二〇〇九年の民主党マニフェストというのは、子ども手当等新しい施策を実行するために新たにお金を使う要素と、今御指摘いただいたとおり無駄遣いをなくしながら財源を確保していくという要素と、二種類の柱から成るマニフェストでございました。税収の落ち込み等大変厳しい中でございましたけれども子ども手当高等学校授業料無償化あるいは農家戸別所得補償等マニフェスト主要事項、当初は初年度で七・一兆円ほど使えればいいなということでございましたけれども、効率的な実施ということで三・一兆円に圧縮をして実施をするということとなりました。  その財源については、各府省から昨年の十月十五日までに要求を出していただく段階で一・三兆円の歳出削減を行う、あるいは事業仕分等にも工夫を凝らしながら、約、同規模の三・三兆円、新たな財源を確保することによって三・一兆円、初年度分マニフェスト実施に充てたということでございまして、七・一兆から比べると十分ではないかもしれませんけれども初年度はそういう形で財源を確保しながら事業を行うという姿勢で臨ませていただきました。
  14. 愛知治郎

    愛知治郎君 数字をいろいろ、取り組んではおられるのは分かるんですけれども、はっきりと分かりやすく言ってほしいんですね。財源が確保できるかできないかなんですよ、実際のところ。  まず、ちょっと質問の視点言い方を変えますと、去年約束されたのは、改めてもう何度も見るのもなんですけれども、やっぱりこれなんですよね、ベースが。これには、一番最初に、すべてのベースとして書いてあるのは、無駄遣い削減予算の組替えで財源を確保できるという話で、しかも、二十五年まで十六・八兆円は新たな財源としてこれは確保できるという約束をされていたんです。この数字について、この目標約束についてはどうなんですか。
  15. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 十六・八というのは、これは政権を預からせていただいてから四年間ということでございます。まだ二年目でございますので、引き続き、財源確保無駄遣いを改めるためにチャレンジをさせていただき、特にちょうど今、年末に向けて二十三年度予算編成を行っていますが、その中でも努力をさせていただきたいと思いますし、行政刷新会議事業仕分も第三ラウンドで、特別会計仕分対象になりました。そういう動きをしっかりと見ながら、財源を我々としては確保していきたいというふうに思っています。
  16. 愛知治郎

    愛知治郎君 ここが一番大事なところで、旗を降ろしていないんですね。つまり、十六・八兆円に向かってまだ取り組んでいると、頑張っています、過程ですということですよね。つまり、それはどういうことかというと、十六・八兆円、まだ確保できるということを前提に今やっているということでよろしいんですね。
  17. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 目標は掲げておりますので、それに向かって全力で頑張るということですが、途中の段階財源制約等があって困難だった場合には、きちっと国民皆さんには御説明をさせていただきたいと思います。
  18. 愛知治郎

    愛知治郎君 そうですね、ちゃんとそこははっきりと申し上げていただいて、修正するなら修正する、できないならできないとしっかりと謝罪をしてから修正をするべきだというふうに考えております。  実は、こういうことを言ったのも、旗を降ろさない以上、もちろん消費税含めて増税の議論はしなくちゃいけないと思うんです、財政のことを考えれば。ただ、民主党さんがこの旗を降ろさない以上は、じゃ、国民負担を増やしましょうという議論は到底我々は賛成できないと。これは前提ですからね。ここをしっかりとどう扱うかということはこれから検討していっていただきたいというふうに思います。  ちょっと、あと具体的に聞きたいんですが、このマニフェストに沿ってちょっと聞きたいんですが、三つ項目があります。一の項目は、国の総予算二百七兆円を徹底的に効率化無駄遣い、不要不急な事業根絶するということで、様々な項目、合計で九・一兆円削減するとなっていますよね。これ三つあるんですけれども、それぞれ、一項目め、九・一兆円の部分、どれぐらい削減を今この段階でできているのか。次に、埋蔵金等削減をして五・〇兆円。租特等の見直しで二・七兆円。これ、それぞれ三つ項目がありますけれども進行状況は、今の具体的な数字を教えていただきたいと思います。
  19. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 九・一兆円については、まさにこの二十三年度編成の取組の中でどこまで近づけるかということで、まだ確定的なことを申し上げられませんけれども埋蔵金五・〇兆円という話ですが、これはもう二十二年度、今執行中の予算編成の中でも外為特会であるとか財融特会含めて、様々な特別会計剰余金、積立金使って税外収入は十・六兆円確保して対応させていただいておりますし、二十三年度編成でもそうした埋蔵金の活用はある程度やっぱり確保していきたいというふうに思っています。  それから、租税特別措置見直しについてでございますけれどもマニフェストでは二・七兆円の財源を捻出すると書いてございます。これも四年間でということなんですが、二十二年度税制改正においては、政策税制措置の三分の一に当たる八十二項目見直し対象として、これらの半分に当たる四十一項目について廃止、縮減を行わさせていただきました。租税特別措置見直しについてはいわゆるふるいという、いわゆる基本方針を作っておりますので、その基本方針にのっとってこれからも見直しを続けていきたいというふうに思います。
  20. 愛知治郎

    愛知治郎君 そろそろ一年以上たっているわけですから、どれぐらいできるのかできないのか、額も含めてしっかりと出していく必要があると私は思います。  ちょっと視点を変えて、今この無駄遣い削減をしている中で注目されるのはやはり事業仕分だと思うんですけれども、この事業仕分、様々な関係者から、まあ尾立さんも元々は仕分人として頑張られておられたと思うんですけれども、それこそ様々な発言が出ています。  私も、これは随分前ですけれども、今年の通常国会のときの議論だったと思うんですけれども、当時の古川大臣に質問したところ、これは財源確保のためにやっているんじゃないような話をされたんですが、それもどうかなと思うんですね。事業仕分、あのように事業仕分をやっているというのは、そもそもの目的って何でしょうか、その趣旨を改めて伺いたいと思うんですが、よろしくお願いします。
  21. 尾立源幸

    大臣政務官尾立源幸君) 愛知委員お答えをいたします。  私も、仕分人として仕事をさせていただきました。今財務大臣政務官ということで所轄を離れまして、立場でございますけれども仕分人としての立場で、過去の立場お答えをさせていただきたいと思いますが、仕分のそもそもの趣旨というのは、これまで見えなかった予算編成過程というものを国民皆さんの前に明らかにして透明性を飛躍的に高めていくということが一つあろうかと思います。そしてもう一つは、政策目的を達成するための手段について検討を行い、それが本当に効果的、効率的に行われているのか、これを議論することが私ども仕分の大きな二つの目的だと思っております。  例えて言うならば、よく会社経営されている方であるならば棚卸しというものをされますが、私は、これは政策棚卸しの一環だと思っております。これまで過去ずっと続けられてきた政策が本当に時代ニーズに合っているのかどうか、また国民の要請に合っているのかどうか、政策目的を達成するための手段として効率的なのかどうか等、いろんな面から検討することがこの仕分の大きな大きな目的だと思っております。
  22. 愛知治郎

    愛知治郎君 そこが分からないんですね。ちょっとおかしいなと思うんですよ。  オープンにするのは結構です、それは。今までこんなことがあったのか、こういう議論がされていたのか、又はされていなかったのか、問題点が浮き彫りになるというのは、私は悪いことじゃないと思います。やり取りが、言い方がいいか悪いかは別としてですね。  ただ、もう一点、予算の効率的な執行という点からすると、これも当然だと思うんですね。例えば道路、百億円でできる道路道路は必要ですから、その道路を造るのに、百億円でできるのに二百億、三百億掛かっていたら、それは無駄ですよね。そこを効率的にやりましょうというのは当然だし、そういうところをチェックするのは当たり前だと思います。それこそが無駄遣い根絶する、無駄遣いをなくすということだと思いますし、そうやって財源を確保しますというのは民主党約束だと思っています、大事なことだと思っています。  ただ、もう一点、これがちょっとよく分からないんですけれども、今政策時代にマッチしているかどうかという話ししましたけれども、元々政策是非の判断をするためにやっているんじゃないというふうに私は聞いていたんですね。無駄遣い、その効率化を図るためだから、そもそも政策、その政策が正しいか否かというところをチェックするのではないと聞いていたんですが、今の答弁だと政策是非まで判断しているということだったんですけれども、どういうことなんでしょうか。
  23. 尾立源幸

    大臣政務官尾立源幸君) ちょっと私の言葉が足りませんでした。その政策目的達成手段として時代ニーズに合っているかどうかということでございまして、政策そのものを直接的に判断するということではございません。申し訳ないです。
  24. 愛知治郎

    愛知治郎君 そうなんですよね。そこは誤解のないように。  ちなみに、これもまた報道で聞いた話だったんですけれども、話題になった蓮舫大臣言葉がありました。なぜ一番じゃなくちゃいけないんですか、二番じゃ駄目なんですかという話ししていましたけど、あれもおかしいんですよね。ごっちゃになっているんです。あれは政策目的政策の当否を、是非を判断している発言だと思うんですね。一番になるというのは、もう政策のそもそもの目的ですからね。効率化の話じゃないんですけれども、やっぱりちょっと議論が錯綜して、本来あるべき姿、事業仕分のやるべき役割というのが暴走しているというか、はっきりしていないんじゃないかというふうに思います。  ちなみに、もう一回お伺いをしますけれども野田財務大臣に、事業仕分無駄遣い根絶をしておると思うんですが、これによって財源を確保していこう、これがそもそもの目的だと思うんですが、大臣認識を伺いたいと思います。
  25. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 先ほど尾立大臣政務官から御説明があったとおりだと、基本はそうだと思います。  ただ、私ども財務省立場としては、できるだけやっぱり事業仕分を通じて無駄を見付けていただいて二十三年度予算編成に生かせるように、それで二十三年度編成に間に合わない分は法改正を通じて次の年度対応できるように、そういうことになれば大変有り難いとは思います。
  26. 愛知治郎

    愛知治郎君 では、どれぐらいの財源を見込んでおられるんですか。
  27. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) それは、これからスタートすることでございますし、私の所掌ではないものですから数字を言うことは妥当ではないと思います。
  28. 愛知治郎

    愛知治郎君 具体的な数字はこれから積み上げということですけれども、ただ、どれだけ期待しているか、当て込んでいるかというのは大事な話で、先ほどから申し上げておりますとおりに、予算の組替えと無駄遣い削減で、根絶財源が確保できる、その財源を賄うためにやっている、それがどれぐらいなのかというのは非常に大きなことだと思いますので、改めて、どれぐらいを期待しているのか、認識を伺いたいと思います。
  29. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 期待はしていますが、水準や程度を言うのは私の立場からはいかがかと思いますので、失礼をします。
  30. 愛知治郎

    愛知治郎君 分かりました。  じゃ、ちょっと視点を変えます。もう一方で、この事業仕分の在り方を考え直さなくてはいけないんじゃないかという我々の主張でもあるんですが、今までは、初年度、一番最初は我々の自民党政権下での予算についていろいろ仕分をしていくということだったんですけれども、もはや民主党政権がこの予算編成している。民主党政権予算を作ったその予算に対しての事業仕分というのが、屋上屋というか、内々でやっているだけの話なんでどうかと思うんです。実際は、もう民主党がこういった予算を作って、それに対してしっかりと仕分をしていく、チェックをするということであるならば、是非この国会の場でやるべきじゃないかと我々は考えているんですが、その点についての考え方を聞かせてください。
  31. 園田康博

    大臣政務官園田康博君) 事業仕分を担当させていただいております政務官としてお答えをさせていただきたいと思います。  委員指摘のとおり、国会において行政の無駄を削減するためということで、その議論をしっかり行っていただくということは私ども期待をいたしているところでございます。当然ながら、政府として予算を作成し、そして国会に掲上し、そしてその上で議論をしていただく、その中で様々な無駄の議論根絶議論というものはあろうかと思います。  その前提の中で、私どもとしては行政による無駄遣いという、自らその排除をしていく姿勢というものはしっかりとお示しをしていかなければいけないというふうに思っておるところでございまして、国会やあるいは会計検査院などでも行われておりますけれども、私ども行政としても自らその無駄削減努力というものをしっかりと行ってまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  32. 愛知治郎

    愛知治郎君 分かりました。いずれにせよ国会の場でしっかりと議論すべきだと、これはもう党同士いろいろ議論しているところだと思いますので、是非よろしくお願いいたします。  ちょっと時間がもうあと五分ぐらいしかなくなっちゃったんで、税についての議論をさせていただきたいと思います。  もちろん財源の話、先ほどの修正も含めて、それを前提なんですけれども、税の議論はしなくちゃいけないというふうに考えておりますが、そもそも、前財務大臣のときに、菅大臣のときに随分やり取りはさせていただいたんですけれども、税の基本的な考え方ですね、これを整理しておかなければ税の議論まともに進められないと思いますので、改めて確認をしたいと思います。税ってどういうものですか、その定義について認識をお伺いしたいと思います。
  33. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 租税制度という位置付けでお答えをさせていただきたいと思いますが、租税制度というのは、政府がサービスや様々な提供をする際の財源を調達をする機能、これが一番の基本中の基本だろうと思います。  加えて、最近は、経済政策的なあるいは社会政策的な目的を持った租税という考え方もあると思いますし、現実は両方が併用されているんではないかと思います。
  34. 愛知治郎

    愛知治郎君 そこなんですよね。原則をしっかりしてもらう。先ほど、前者の話ですね、財源を確保するという機能がある、それが原則ですから。それにプラス社会政策的な効果があると、効果があることは否定できないですから、それを前提に税をいろいろ議論していくということは大事ですけれども、そもそもはやはり税はどこまで行っても財源国民皆さんに御負担をいただいて確保していく、それが税の基本ですから、それを前提議論をさせていただきたいと思います。  何度も言いますけれども前提ですね、その議論前提をしっかりしておかないと、原則をしっかりしておかないと議論が錯綜します。よくあるんですけれども消費税の菅総理の発言、いろいろぶれたと言われましたけれども、原則的な部分、しっかりとした根っこがあれば発言というのはぶれないんですよね。そこがいいかげんだからこそ場当たり的にいろんな発言が出てきちゃうんです。これはもう民主党政権すべてにおいて、これはもう財政だけじゃなくて安全保障も含めてなんですけれども、いろんな分野で根っこがしっかりしていないんで発言がぶれるとあえて言わせていただきます。しっかりとここは定義をはっきり確定をさせていただきたいと思います。  次に、税の原則について、これは所信でも野田大臣言っておられるんですが、税の原則については、公平、透明、納得、これを原則として議論をしたいということを言っておりました。その二点について伺います。透明、この透明というのはどういう趣旨で言っておられるのか、どういうことなのか、教えてください。
  35. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 委員指摘のとおり、平成二十二年度税制改正大綱で、公平、透明、納得、この三つの原則に基づいて税制改革をしていくという基本方針を定めています。  その中の透明の部分でありますけれども、まさに税は国家なりという、国民生活に直結をするわけでございますから、そこは透明度を増して、見える形で議論をしながら議論を集約をしていくと、そういう心掛けをしていこうということでございます。
  36. 愛知治郎

    愛知治郎君 是非やっていただきたいと思いますし、それはいいことだと思います。  ただ、では付け加えて申し上げたいと思うんですが、プロセス、もちろん議論の中身も透明にして公開をしていく、あとはどういった議論がなされて最終的にどう決定されているのか、そのプロセスも公開していくということでよろしいんでしょうか。
  37. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 政府税制調査会という、まあ党税調はもう基本的にはなくして、プロジェクトチームはありますけれども政府税調で最終的には税制改正をまとめていくことになっています。その議論の経過はインターネットでリアルタイムで中継、配信を行うとか、あるいは議事録を迅速に公表する、会議後記者会見を実施する、こういう公開を原則として、透明性の担保をしながら議論を進めさせていただいております。
  38. 愛知治郎

    愛知治郎君 インターネットとかいろんな発信をしていくということではあったんですけれども、こういった議論は、一番やらなければいけないのは、私は国会の場だと思っているんですよ、それは。決まったことを事後的に報告したり、法案として最終的に出してそれをチェックするだけではなくて、議論過程からしっかりと国会に報告をして、我々もしっかりとその是々非々を判断して、議論をしながら政策決定をしていかなければいけないというふうに思います。  だから、その都度この国会で、こういった税制考えているんですけれどもどうですかということをやり取りしながら進めていくというのが非常に民主的でありますし、透明性を確保するためにも大事なことなんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  39. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 愛知委員の御指摘は全く同感です。たまたま今私が政府立場で物を言っていますが、長い間野党の国会議員として主張してまいりました。税制についてもいろんな議論を行ってまいりました。やっぱり国会の中から出てきた御議論を踏まえて政府税調でも議論をしていきたいというふうに思います。
  40. 愛知治郎

    愛知治郎君 大変前向きないい答弁をいただきました。しっかりと議論をしていきたいというふうに思います。是非よろしくお願いいたします。  まだ、これ以降、納得であるとか消費税についても掘り下げて話をしたかったんですが、私の持ち時間がちょっと来てしまいましたので、改めての機会にまた議論をさせていただきたいと思います。いずれにいたしましても、是非、この国会の場で是々非々で我々も判断をしていきたいので、議論をさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  41. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 自由民主党佐藤ゆかりでございます。財政金融委員会で理事を拝命いたしました。よろしくお願いいたします。  本日は一般質疑ということで、明日からG20の財務大臣・中央銀行総裁会議も韓国慶州で開かれることになっているわけでありますが、金融に関する質問を中心にさせていただきたいというふうに思います。  最近はまだまだ円高が続いている状況にあるわけでありますが、特にドル・円での円高の問題のみならず、やはり対アジア通貨の円高の問題、これは日本の産業界にとりまして大変大きな問題になっているわけであります。日本にとりましての主要アジア通貨といえば当然、人民元、韓国ウォン、タイ・バーツ、シンガポール・ドル等々たくさんあるわけでありますが、まず事実関係としてお伺いしたいと思いますが、これらのアジアの主要通貨に対して円が最近どのぐらいの動向にあるか、円高にどれぐらい振れているのか、振れていないのか。そしてまた、この対アジア通貨の円の状況につきまして、日本の輸出の観点から、そしてまた同時に、このアジア新興諸国の近年の経済競争力の上昇が際立っているわけでありますが、こうした経済競争力の上昇の観点から、野田財務大臣としては、例えば中国の人民元を始めとしたアジア通貨の今後の姿、あるべき姿などについて、もし御意見があればお伺いしたいと思います。
  42. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 佐藤理事の御質問にお答えをしたいと思いますが、まずアジア通貨の全体的な円レートとの関係が最初の御指摘だったというふうに思います。  事実関係から申し上げますと、アジア通貨の、年初からという形で見させていただきますと、その動向は人民元、韓国ウォン、シンガポール・ドル、タイ・バーツ及びベトナム・ドン、いずれに対しても円は増価傾向にあるということでございます。これは数字はよろしいですか。
  43. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 おっしゃってください。
  44. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) じゃ、年初からということで十月十九日までということですが、人民元が変化率がプラス九・九、これは円の増価という意味ですね、韓国ウォンがプラス一〇・七、シンガポール・ドルがプラス六・二、タイ・バーツがプラス二・四、ベトナム・ドンがプラス一六・九ということでございます。  これについての認識でございますが、とかく委員の御指摘のとおり円・ドルがよく中心的に見られるわけでありますが、アジアとの通貨の関係というのも、特に貿易ではライバル関係の国もたくさんございます。FTA、EPAの、例えば韓国からすると我が国は周回遅れでございますので、加えてこの為替の問題がハンディになるということは、基本的にはやはりマイナスだというふうに思います。  そういう視点を持って、明日から始まるG20、これは先進国だけではなくて新興国も集まってまいりますので、特にこの新興国については、さきのトロントのサミットでいわゆる通貨の柔軟化を進めるようにという決議がございます。そういう精神を持って議論をさせていただきというふうに思います。
  45. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 確かに、来月十一月にはソウルでG20サミットが行われるわけでありますけれども、今年の六月にはG20のトロント・サミットが行われたわけであります。  そこで、大臣、今御答弁いただきましたように、トロント・サミットの宣言文の中には、ちょっとこれ読み上げたいと思いますが、一部中略させていただきますが、新興黒字国は国の状況に即して次の改革を実施する、中略、根底にある経済のファンダメンタルズを反映するために為替レートの柔軟性を向上させること、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得る、根底にある経済のファンダメンタルズを反映し市場で形成される為替レートは世界経済の安定に資すると、このように採択されたわけでございます。  実際、この採択文の六月のトロント・サミットの背景には、その前辺りからアメリカの当局が人民元安に対してかなり圧力を掛けてきていたという背景もありましてこの文言が採択文の中に入ったというふうな観測も言われている、周知のとおりでありますけれども。  そこで、そのような状況の中で、明日から二十二日、二十三日とG20の財務大臣・中央銀行総裁会議がまず事前協議として開催されるということであります。この事前協議、それから十一月のソウル・サミットに関して、実は、一昨日十九日ですけれども、韓国の李明博大統領が、十一月のG20ソウル・サミットの議題に関連して、各国が保護貿易主義に走れば世界経済は苦しくなり、韓国はもっと苦しくなると指摘しています。そしてさらに、為替問題で合意できるよう努力している、というふうに李明博大統領は述べたわけでありますけれども。  この明日の韓国慶州で行われるG20の会合におきまして、やはり明らかに今ファンダメンタルズに照らして日本の円はミスアライメントが起きているということは間違いない事実と思われるわけでありますが、そういう立場に置かれた日本から代表として出席されます野田財務大臣是非、これは当然ながら、まあ私なりの言葉を使えば平成のプラザ合意といいましょうか、そういうG20の為替の国際協調の枠組みを当然ながら日本からリーダーシップを取って提案してくるべきではないかというふうに思われますが、いかがでしょうか。  二十五年前のプラザ合意のときには、当時はアメリカが双子の赤字の問題に苦しんでいたわけでありまして、ドルの救済策としてプラザ合意で日本も押し付けられたというような感もあったわけであります。今回につきましては、むしろ、平成のプラザ合意というふうに称する呼び方ができるのであれば、是非今のミスアライメントの問題に対して日本が逆に押し付ける番であるというふうに強い立場を取るべきであると思いますが、野田財務大臣、その用意はおありになりますでしょうか。
  46. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) あしたからのG20は幾つかのセッションが決まっていまして、例えばIMF改革だとか金融規制改革とかあります。その中で恐らく第一セッションの世界経済というところで通貨の議論が行われるだろうと。通貨そのものが今議題になっているわけではございません。  そうはいいながらも、今世界経済の中でこの通貨の問題が一番各国の関心事でございますから、これは政策協調どうするかという議論をしっかりしていきたいと思いますし、この間のG7では円高が進行する我が国の厳しさはお伝えをし、我が国の取組の説明をしました。今回は、我が国の取組だけではなくて、それぞれちょっと立場の異なる国がありますので、それぞれがどうやって政策協調するのか、その政策的取組のサーベイランスをどうするのかと、そういう議論を行っていくことになると思いますし、積極的にかかわっていきたいと思います。
  47. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 為替がテーマの一つではないと、直接的なテーマではないというふうに御答弁いただいたような印象を持ったわけでありますが、実際、今回のサミットの議長国となる韓国の李明博大統領が今回の十一月のサミットでは為替問題を取り扱うと、解決に向けたいという意欲を一昨日十九日に表明されたわけであります。そのことを野田大臣は御存じないということでしょうか。
  48. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 李明博大統領がそういう決意を述べられたということは承知をしていますが、あくまでセッションの名前を申し上げただけであります。だから、恐らく世界経済のところで通貨の議論をするんでしょうという推測を申し上げました。その中では議論をしていきたいと思います。
  49. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 ミスアライメントに悩む日本経済、それをつかさどる、通貨をつかさどる財務大臣でありますから、そのようなことを聞いているから参画をしたいというような答弁では余りにも立場が弱過ぎるんではないでしょうか。やはり日本からリーダーシップを取って、平成のプラザ合意ぐらいの提案というものを今持ち玉としてあしたお出かけになっていただかなければ困るんですが、いかがですか。
  50. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 為替や通貨の議論というのは、公式行事だけではなくて様々な会合で行う予定になるというふうに思いますし、しっかりとお話をしてきたいと思います。
  51. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 お戻りになられて、またその結果については十分に来週にもお伺いできる機会があることを期待したいと思います。是非よろしくお願いいたします。  では次に、日銀が最近、追加的金融緩和をしたわけでありますが、金融政策について少し質疑を移らさせていただきたいと思います。  日銀は、十月の五日、政策決定会合で、実質ゼロ金利政策の導入と、それから資産買入れの基金の創設と追加的金融緩和措置を決定されたわけでありまして、デフレ克服に向けた強い決意というものを示されているというふうに理解をするわけでありますが。大事なのは、政策的な枠組みの提示もさることながら、やはり腹積もりとして、本当にデフレ克服の意思、強い決意があるかということも大事ではないかというふうに思いますので、少し細かい点ですが、お伺いをしたいと思います。  デフレ克服に当たりまして、物価動向が現状どうなっているかという正しい把握というのは極めて大事であると思われるわけでありますが、そういう中で、日銀が指標として使っておりますCPI、これは実は品質調整の問題がありまして、上方バイアスがあるということは多々指摘がされているとおりであります。  実際、日銀自身も、二〇〇五年の日銀レビューで発表された論文、これは当時の日銀企画局の白塚重典氏が執筆をされたものでありますが、その論文の中で、コアCPIの上方バイアスは当時およそ一%ポイント程度ということを論文の中で発表されておられます。せんだって、九月の閉会中審査では、この質問を私は白川総裁に申し上げまして、近年、このバイアスは縮小はして改善はしているものの、しかしながら、一%弱程度はあるだろうというような御見解を御答弁されたというふうに記憶いたしております。ゼロではないということを御答弁されたというふうに記憶をしているわけでありますが。  もし仮に、足下のコアCPIが、公表される目に見える数字ベースで今はマイナス一%程度ということでありますけれども、この品質調整を実際に加えるのであれば、実際消費者が手にして見る物価の下落率というのはマイナス一・五%前後と、仮に品質調整の上方バイアスが〇・五と見れば、マイナス一・五%程度というのが実際のデフレ率というふうになるわけでありますが。  一方、日銀は、中長期的な物価安定の理解で、政策委員方々のいわゆる理解を示され、コアCPIの中央値がプラス一%に置かれております。品質調整を加えての一%ということであれば、実際は、現実は〇・五%程度、品質調整を引けば、そこを目指していると言っても過言ではないわけでありますが。しかし一方で、日銀はゼロ%以下のコアCPIは許容しないと、強い決意も文章で示されているわけであります。  そこで、今月末、十月末に、また定例の日銀によるこの中長期的な物価安定の理解が公表される予定であるというふうに理解をしているわけでありますが、この品質調整を加味して、そういったことも実際に加味して、実際の物価安定の理解は政策委員方々の中央値は今の一%ではなくて、一%というのは実質〇・五を意味するわけであると解釈もできるわけでありますから、上げて一・五とか二%を中央値に置いていくと、そういうしっかりと内実共にデフレを脱却するんだというような決意のある物価安定の理解というふうに改定をされるおつもりがあるかどうか、お答えいただきたいと思います。
  52. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  佐藤委員の御質問は、物価指数におけるバイアスという、まあ技術的ですけれどもしかし重要な問題を提起されましたので、多少私の答えも技術的な面があることをお許しください。  まず、物価指数のバイアスでございますけれども、これは一定の方法でいろんなエコノミストが計算をいたしております。先生が御指摘になった白塚氏の研究も含めてございまして、これはかなり以前の研究でございますけれども、一九九〇年の時点の消費者物価指数を基準にして、当時は〇・九という研究がございました。その後、二〇〇〇年基準のときに、新指数とそれから旧指数で、この間の格差というものからバイアスというものを計算してみますと、これは〇・五%であったというのが数字としてございます。  ただ、いずれにせよ、このバイアスが幾らかということは、ある意味ではバイアスを計算しやすいものを集めましてそれで計算をしていくという手法でエコノミストは計算せざるを得ないということでございまして、ザ・バイアスというものが正確に特定できるわけではございません。ただ、先生も御指摘のとおり、このバイアスは近年総務省を始め各国の物価作成当局の御努力によって小さくなってきているというのが一般的な認識だというふうに思います。  それから、日本銀行の公表しています中長期的な物価安定の理解でございますけれども、これは今二%以下のプラスで、中心値は一%程度という形で、これは毎年原則として四月に公表しております。毎回毎回これは点検を行っているということでございます。  それで、この数字の根拠でございますけれども、我々としては三つのことを念頭に置いています。一つは、先生が御指摘になった物価指数のバイアスでございます。それからもう一つは、これはデフレに陥らないためののり代というものを持った方がいいということ。それから三つ目は、国民の物価観といいますか、中長期的な予想インフレ率の動向と、こういったものも加味しております。そうした三つ要素を加味した上で、私どもとしては先ほど申し上げた数字が最適であるというふうに思っております。  ただ、いずれにしましても、物価安定がどういう状況対応するのかということは、もちろんこれは経済の構造、それから今御指摘の物価指数の作成の仕方にももちろん依存しますので、私どもとしてはこれは毎年毎年四月にきっちり点検していきたいというふうに思っています。  政策の構えとしては、これは先生も御指摘のとおり、日本銀行としては、デフレからできるだけ早く脱却し、物価安定の下での持続的経済成長軌道に復帰するために、これはもう最大限の努力をこれまでも行っていますし、今後とも行っていくという覚悟であることを改めて申し上げたいと思います。
  53. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 今、物価指数において品質バイアスも織り込んだ一%の中央値だというお答えをいただいたように思いますが、しかしながら、実際に私どもが見る、消費者も見るこの物価統計というのはコアCPIでありまして、品質調整がされていないわけであります。ですから、中央値で一%、これは品質調整入れて考えた上でですよと言われても、じゃ、一%ということは、コアCPIの統計上、照らし合わせるのは一・五を想定しているというふうに解釈しなければいけないということになると思いますが、いっそのこと、非常に解釈が分かりにくいものですから、中央値の物価安定の理解そのものもきちっとコアCPIの統計に合わせて連動させる形で公表していただきたいというふうに思います。  さて、この十月五日に日銀は追加で金融緩和を行ったわけでありますけれども、ゼロ金利政策や量的緩和をかつて導入していたときにも流動性のわなという言葉がよく聞かれたわけであります。  まず、日銀が理解するこの流動性のわなの意味について、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
  54. 白川方明

    参考人白川方明君) 流動性のわなという言葉自体は、これは先生御存じのとおり、ケインズが一般理論で初めて使った言葉であります。以来、この流動性のわなという言葉をいろんな学者、エコノミストが多少違った意味で使っておりますので、これまた一つの解釈があるわけではございませんけれども、ただ一般論として申し上げますと、中央銀行がお金を潤沢に供給しても金利が非常に低い水準になってまいりますと、幾ら供給してもこれは人々のお金に対する需要も同時に増してくる、そのために供給も増えるけれども需要も増える、したがって金融の面から金利を下げにくい状況が出てくる、その結果経済も刺激しにくい状況が出てくるということを一般的に流動性のわなという言葉で近年は使われることが多いように感じております。
  55. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 確かに言葉の意味としてはおっしゃられたとおりだと思いますが、では、日銀として流動性のわなに今陥っているとお考えですか、いかがですか。
  56. 白川方明

    参考人白川方明君) 流動性のわなという言葉が、今申し上げましたように、多少広い意味でこれ使われておりますので、私としてはこういうふうにお答えをしたいというふうに思います。  まず、日本銀行として潤沢に資金を供給しています。それから、金利も非常に低い金利に今誘導をしております。こうしたことは、日本経済がデフレから脱却する上でこれは潜在的に大きな力を発揮するものだというふうに確信しております。  ただ、同時に、金融の力だけで経済を押し上げていくということは、これはなかなか限界があるということで、この面での努力と相まってデフレから脱却するというふうに期待しております。
  57. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 確かに私も、もう実質ゼロ金利政策を導入されたということで、もう金利が下限に限りなく近くというか、ほとんど張り付いているわけであります。これ以上政策金利を下げるわけにはいかないわけでありますから、金融政策の自由度というのは限りなく縛られているのが現状ではないかというふうに思うわけでありますが、そうした中で利下げをしても、流動性のわなというのは設備投資に対する金利感応度が極めて低下する結果設備投資が増えないということであります。消費も活性化しないと。  ですから、やはり今の日本の経済を立て直し需要を拡大していくには、利下げによる設備投資の需要喚起ではなくて、やはり技術革新をするために設備投資をする、経済を立て直すために、新しいものに手掛けるために設備投資をする、そういう政府側の有効需要を創出する経済対策というのがやはり求められているというふうに思うわけでありますが、私はそのことを指摘しておきたいと思います。  さて、もう一つG20の会議で今回話題となると思われますバーゼル3の規制強化の問題ですが、実は今回、明後日から始まる会合で、為替の問題と同時に銀行経営の体質強化に向けた規制強化の説明がなされるというふうに予定で伺っているわけであります。  そこで、強化策としては三つ主にありまして、自己資本比率の規制、それから流動性規制とレバレッジ規制と、三つ主に言われているわけでありますが、日本の銀行、金融機関は大変大量の預金を有することから、流動性規制やレバレッジ規制については余り問題とはならないであろうというのが一般的な見方であります。  しかしながら、自己資本比率規制、これがやや気になるところでありまして、今回の規制ではいわゆる従来のティア1比率、そして自己資本比率に加えましてコアティア1比率を規制として導入してくる。このコアティア1比率をトータルで七%以上維持するということが新たに求められてくる規制になるわけでございますけれども、この比率の充足が遅れている銀行については、今後は配当などの、いわゆる株主配当の社外流出などについても規制が課せられてくる、制約が課せられてくるというペナルティーが生じてくるわけであります。  そこで、自見金融担当大臣にお伺いしたいと思いますが、こうした国際基準の規制の強化の流れにありまして、国内行は非常に収益性が低いと言われているわけでありますが、この収益性を強化するにはどうしたらいいか、あるいは日本の銀行の収益性が低い原因は何であるとお考えか、自見大臣、お伺いしたいと思います。
  58. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 佐藤ゆかり議員にお答えをさせていただきますが、今バーゼル3の話が出ましたが、もう先生御専門家でございますが、私も八月にバーナンキ始めいろいろな国際的な方にお会いをさせていただきまして、当時まだバーゼル3、ある程度のまとまりは見せておりませんでしたが、もう先生御存じのように、銀行というのは安定をするためには、もう今コアティア1は七%だという話が出ましたが、自己資本比率が高ければ高いほどいいわけでございますが、しかし十二年前、私にも経験がございますが、自己資本比率で非常に貸し渋り、貸しはがしが、非常に十二年前強烈に日本国の金融界は起こりまして、私は確かに、今度のリーマン・ショックを始め銀行の安定性ということを考えれば、自己資本比率がある程度高いということは必要でございますけれども、余り高過ぎても要するに貸しはがし、貸し渋りが起きて、やはりそういったことで、各国、各国のやっぱり金融の情勢というのがございますから、経済全体が縮小する、あるいは非常に貸し渋り、貸しはがしに遭って、私の地元でも大手の百貨店が倒産をしたというようなことがございましたから、そういったことのバランスが私は非常に大事だというふうに思っております。  そういった中で、一体日本の金融業は何で収益が低いのかと、こういう話がございましたが、これは一般的に銀行の収益性は、景気の動向、金利の水準、あるいはマクロ経済に加えて、各国が採用するビジネスモデルの態様や負担するリスクの程度などが複合的な要因によって決まるわけでございまして、今、個々の銀行によって事情が異なり、我が国の銀行について低収益の原因については一概には申し上げることがなかなか困難でございますが、いずれにいたしましても、各行においてリスクに応じた十分な財務基準を確保しながら、円滑な、今さっき申し上げましたように、金融仲介機能を発揮していただくために、また財政基盤をきちっと確保するということとのバランスでございますが、そういったことで自らの収益を向上させていくことが重要だというふうに思っております。  ただ、一つ、私の仄聞するところによりますと、確かに一時は非常に日本の銀行の収益性が低いというふうに、そういった時代があったのかと思いますけれども、リーマン・ショック以来、長い目で見ますと、アメリカとヨーロッパ、ドイツを中心とした、あるいは日本の銀行の収益性がここに来て余り変わっていないというふうなことも仄聞するわけでございますね。そういった意味で、経済というのは変動いたしますし、そういった中で、銀行業というのは大変センシティブな、大変、経済のやっぱり血液でございますから、そういった、いかに安定性と、そしてなおかつ経済における経済成長の原動力として安定した強力な金融機関がなければ、持続可能な企業あるいは持続可能な経済は築いていけないということはもう先生よく御存じでございますから、その辺をきちっと判断をしていきたいというふうに思っております。
  59. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 今伺ったのは、日本の銀行の収益性が低い原因は何であるかという質問をさせていただいたわけでありますが、残念ながら自見大臣からいただいた御答弁は、何か一般的な、どこの国の金融機関かも分からないような、金融機関の収益性の問題について何か教科書的に一般論のお答えをいただいたようでありますが、本当に日本の金融機関を御覧になっておられるのかなという印象を受けたわけでありますが。  それは、実はこの配付資料、今日お配りさせていただいておりますが、日本の金融機関ですね、アメリカの金融機関のことを伺っていないんです、日本の金融機関の収益性がなぜ低いかという原因に、やはり預貸率が低いという、年々低下しているという現実があるわけであります。  これは、グラフの一を御覧いただければ、もう年々下がっていまして、大手行は今七〇%台まで低下をしている。アメリカ、ヨーロッパ圏も、この下の二番目のグラフで、ヨーロッパはオーバーバンキングで預貸率が一〇〇%以上常にあるわけでありまして、アメリカも九〇%ぐらいあったのが、サブプライムローンの顕在化で、それ以降急速に調整して下がっている現実はあるわけでありますが、このように預貸率が低い。その背景には、やはり資金需要が日本で乏しいんだという、有効需要の欠乏の問題があるということを私は指摘させていただきたいというふうに思うわけであります。  そして、同時に、やはり先ほど日銀の白川総裁からも伺いましたが、流動性のわなに金融政策が私の言葉の解釈でいえば陥っている感触があるということを日銀も同じように感じておられるというふうな御答弁いただいたわけでありますけれども、そのように、ここまで金利を下げてしまうと、当然ゼロに近い金利で利下げをすれば銀行の利ざやも、これは預金金利はもうゼロに近いからそれ以上は下がらないわけですけれども、貸出金利はまだ下がる余地があるわけですから、そうすると利下げに対する金利感応度は貸出金利の方が下がりやすいと、大きいわけですね。ですから、利ざやが更に縮小して銀行経営を圧迫する。  やはり、極端な低金利というのはよくない。景気を回復させて金利を正常化させる、今はこれもっと金利下げてでも景気を良くしなければいけないんですが、そもそも金利の水準そのものが低くて金融政策の自由度が失われているから、いろいろな諸問題、銀行経営の問題も収益性の問題にも波及してきているわけであります。  そういう意味では、是非やはり私は指摘したいのは、金融政策だけに押し付けるということではなくて、やはり政府がどうやって景気対策をつくっていくか、そして金利を上げる条件は何か。最後に、政府経済財政担当の方にお願いしたいと思います。
  60. 和田隆志

    大臣政務官(和田隆志君) 佐藤委員お答えいたします。  今委員指摘のように、金融政策と並んで政府が一体的に需要創出の効果を見込んでいろんな政策を打っていくということの必要性は私ども認識しているところでございます。  その意味で、今ステップ1、2、3というふうに呼んでおりますが、十月には緊急総合経済対策を取りまとめさせていただいたところでございますので、その中身としての補正予算の審議をこれからお願いすることになろうと思いますが、その中身の審議の中で、是非、需要創出の点についてもいろいろ御議論いただければと思っております。
  61. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 佐藤ゆかり議員、時間を過ぎておりますので、おまとめいただきたいと思います。
  62. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 最後に、実は今日の質問で、最後の質問で、私は経済財政担当副大臣に本来であれば御答弁いただく性質の大きなマクロ経済の問題を伺っているわけでありますが、政務官お越しになられて副大臣はおられないというように聞いたんですが、それは事実でしょうか。
  63. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 和田政務官、簡潔にお願いします。
  64. 和田隆志

    大臣政務官(和田隆志君) はい。  経済財政担当大臣の下には私、政務官がおるだけでございます。お許しくださいませ。
  65. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 これから補正予算とかたくさん緊急経済対策をしていかなければいけない大変な経済状況にあって、菅政権の下で経済財政担当大臣の下に副大臣を置いていない。経済財政担当副大臣のポストを空白のまま放置している。この政権経済立て直しに対する意気込み、本当にあるんでしょうか。私は大きな疑問を感じますが、このことはまた追って次の機会にでもお伺いしてみたいと思います。  ありがとうございました。
  66. 西田昌司

    ○西田昌司君 自民党の西田でございます。  私は、今の佐藤議員の質問にもありましたけれども、今デフレだといいながら政府の方が全くデフレ対策ができていない。そういうことを始め、今の状況というのはまさに民主党のつくった大不況なんですよ。言っていることとやっていることが全く違って、そのことが経済全体に大きなゆがみが生じているんだということを指摘するために質問させていただきます。  まず、そのために、一つ目の質問は、そのでたらめを言ってきたことの典型がガソリン税、揮発油税の暫定税率廃止の話なんですよ。  私は、二年前の四月、この委員会で質問しまして、今日もここに大塚先生や尾立先生おられますが、そのときは、あなた方が提案されて、野党ではありましたけれども提案されて、自分たちがこのガソリン税なくすんだと、暫定税率を、さんざん言っておられました。私はそんなことする財源もないし、どうやってやるんだという矛盾点を随分指摘しましたけれども、我々が政権を取ればできるんだということを言ってこられたんですよ。ところが、実際政権取って、野党のときには参議院で法案通しながら、そして政権取ったら何かもうなかったような顔で涼しい顔をされているんですけれども、一体どうなっているのかと。  これは、まあ尾立先生もおられますが、まず財務大臣、あなたが今責任者でありますからね、このことについてどういうつもりなのか、国民にどういう説明するのか、まず言ってください。
  67. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 西田委員の御指摘のとおり、マニフェストでは暫定税率を初年度から廃止をするということをお約束をしておりましたけれども、厳しい財政事情や地球温暖化防止の観点などを勘案し、当分の間は税率水準を維持するという措置となりました。この間については、この経緯については当時の鳩山総理からも御説明をし、国民の皆様におわびをしたということでございます。
  68. 西田昌司

    ○西田昌司君 それは全く詭弁であって、前のが、すなわち言ったことが詭弁であったということ、でたらめ言ってきたということを認めないと、そんな今のような現下の経済状況とか、そんなの今に始まったことじゃないじゃないですか。元々、麻生内閣時代でもリーマン・ショックで大変だと、だから景気対策やっていくんだということを提案したのをあなた方は否定して、そもそも、そして片一方でこの税金を下げていくんだというとんでもないことをやって、政権取れば現下の経済情勢の中では無理なんていうことは無責任も極まりない。そこのところをまずわびなければ、誤りを認めなければ始まりませんよ。  これは、今日は三十分しか時間ないんで、尾立先生にも言ってもらおうと思ったけどやめておきます。それで、とにかくまた私はこの委員会にせっかく属させていただいたので、毎回質問させていただいてこのことは指摘させていただきたいと思っております。  それで、まず大事なのは、そういうとんでもない過ちをされているんだけれども、今政権取られたと、政権取ったらやっぱり一番大切なのは、今経済の、財政のこの立て直しもそうなんですけれども、そもそもデフレになってしまっているんですよね。だから、このデフレ対策というのが私は何をおいても一番最初にしなければならないと思うんです。  ところが、よく言われるのは、デフレ対策それから財政の再建、こう並列で皆さん方おっしゃっているように思えてならないんです。この民主党政権の中で、菅政権の中で、デフレと財政再建、どのように考えておられるんですか。その順番といいましょうか、重要性についてどのように考えておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
  69. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 六月に財政運営戦略とそして新成長戦略を閣議決定をいたしました。これが今我が政権の大目標なんです。財政規律も守っていかなければいけないと。一方で、デフレというのは本当にもうずっと長い間続いていますが、一日も早く克服し、日本が成長軌道に乗るというための新成長戦略も実現をする。この両立を図るというのが我々の命題であって、これは日本だけではなくて、G7、G20、主要国においては共通の目標を今掲げてそれぞれがチャレンジをしているということだと理解をしています。
  70. 西田昌司

    ○西田昌司君 まさにその認識が私は間違っていると思うんですよ。つまり、財政再建もちろんしなければなりませんよ。しかし、財政の話また後で触れますが、今一番問題はデフレそのものなんですよ。デフレというのは一体何なのか、デフレというのはどういうふうに、大臣、まず御理解なさっているんです。
  71. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 物価の下落がずっと持続的に続きながら、それがずっと回復しないまま、これがもう、年数でいったら十何年になるでしょうか、それが続いているということでございます。
  72. 西田昌司

    ○西田昌司君 それが続くとどういうふうに経済はなるんですか。
  73. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 結局、需要を見付けられないまま日本の経済がどんどん元気がなくなっていくという、その袋小路から脱却できないということだと思います。
  74. 西田昌司

    ○西田昌司君 それは認識が全然甘いと思いますね。そうじゃなくて、経済そのものがなくなっちまうんですよ。つまり、経済というのは、物を仕入れ、例えば百円の物を仕入れて二百円で売るから、そこそこの付加価値が付いて経済再生産ができてくるんですよね。ところが、百円で仕入れた物が次の日仮に五十円になっちゃったら、経済そのもの成り立たない、つまり仕入れすらできなくなるんですよ。売るんじゃなくて、仕入れができなくなる、生産ができなくなる、再生産ができないんですよ。再生産ができないということがまさにこの経済そのものを破壊してしまうんで、財政再建とか言っているけれども、それは当然のことながら、国民が働いて企業が利益を出して、その中で税金をいただいてやっていくわけですけれども、税金を払う前に企業活動、経済活動自体が成り立たないというのがデフレなんですよ。そういう御認識持っておられませんか。
  75. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) だから、生産、再生産の活動が弱含んでいくことによって、それは当然のことながら人件費も抑制していくとか等々にどんどん悪循環につながっていくということだと思います。
  76. 西田昌司

    ○西田昌司君 そうなってくると、結局、まずしなければならないのは、もちろん財政再建も大事な問題ではあるけれども、どちらが大事だといえば圧倒的にデフレ対策なんですよ、これは。デフレが止まらなければ財政再建なんてものはあり得ないんです。だから、我々は、自民党時代は、あのリーマン・ショックで極端なこれはもうデフレ現象が出てくるんで、わざわざ補正予算も含め百三十兆円の強力な予算を作ってデフレ対策をやった。ところが、皆さん方がそれを無理やり止めてしまった。そこから始まっている話なんです。まず、そこを私は指摘しておくし、これは、そこをしっかり認識をしていただかないと、これからの財政再建も含め、経済政策そのものがこれ成り立たないと思いますよ。  それで、まず大事なのは、そういうふうにデフレになってしまっていると、私は一番大事なのは、先ほど佐藤委員からもあったんですけれども、今そのデフレの一番の証拠として預貸率が物すごく下がっているんですね。民間銀行が持っているお金を貸さない、まあ貸せないんですよ、貸すところがないんですよ。  そして、今日実は、私は今日のために政府の方にいわゆる預金超過額、預貸率よりも預金超過額は幾らあるんだという資料を、一九九〇年ぐらいからこの二十年間の間のを出せというふうに言ったんですが、何かちょっとそちら側の不手際で私の資料が出てこなかったんで、今度、次回それをやりますが、その中ではっきりしているのは、今、二〇〇九年でも百四十兆円ですよ、百四十兆円の預金超過になっているんですよ、これは。そして、これは大体この二〇〇四年ぐらいから特に多くなって百兆円を超える預金超過になっているんですけれども、同時に国債も買っています。国債を買って、今国債が百二十兆円ぐらい買っているということになっているんだけれども、百二十兆円の国債を買って、そういう有価証券を除いた実質預金から貸出金を除いて預金超過が百四十兆円という、とんでもない状態なんですよ。  つまり、これが意味しているところは、銀行が、先ほど白川総裁もおっしゃったけれども、もうゼロ金利政策やってきていると。実質ゼロにして、そして、幾らでも貸してあげましょうと、自見大臣も一生懸命貸しはがしないようにとされているんだと思うんですよ。しても、民間で使ってくれない、そのお金が百四十兆円あるんです。だから、すべきことは、もう残っているのは一つなんですよ。政府がこの百四十兆円をどうやって使うか。つまり、国債を発行して、それを大胆に財政出動をして公的投資をしていく、公共事業をしていく、もうこれ以外このデフレ脱却する方法はないんですよ。  そのためにはまず、コンクリートから人へという、皆さん方が言ったあの、過てるスローガンの典型でありますけれども、これを変えなきゃならない。心ある民主党方々は、これは、そりゃ当然本当は財政出動もしなけりゃならないなと思っているんだけれども、自分たちがこの前の選挙でコンクリートから人へなんということを言ってしまったから、それを取り消さない限りできないんで何かふがふがふがふがした話になっているんですね。  だから、大臣は、私は、民主党の様々な閣僚の方おられるけれども、まだ一番私は良識派だと思いたいんですね、思わせていただきたい。そこで、今の話を聞いて、コンクリートから人へというのをやめて、財政出動をやっぱりやっていくべきなんだというふうにお考えになりませんか。その辺をちょっと率直にお聞かせください。
  77. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 確かに去年の選挙のときにはコンクリートから人へというのが大きなスローガンで、実際に平成二十二年度予算編成も、おっしゃるように、公共事業費は対前年度比でマイナス一八・三%、社会保障や文教科学関係は増やしたという、そういうめり張りの付けた予算ございました。  というのは、やっぱり背景としては、六〇年代、七〇年代、公共事業、これはやっぱり有効だったと思うんです。基盤的なちゃんとインフラを造って、それが日本の成長につながったと思うんです。ただ、それが少し、八〇年代、九〇年代からその効果が薄れてきたとは思いますが、ただ、今もなお、例えば大都市周辺の空港であるとか道路であるとか港湾とか、しっかりと整備をすることによってまだ成長につながる分野もあると思いますので、コンクリート全否定ではございません。実際に、今回の緊急経済対策の中にも、新成長戦略にも位置付けられているんですが、地域活性化、社会資本整備という柱の下で今回も経済対策を講じさせていただいております。
  78. 西田昌司

    ○西田昌司君 じゃ、もう一度ちょっと確認させていただきますが、今大臣おっしゃった、コンクリートから人へというのは撤回するんですね。そのことをはっきりさせてください。
  79. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 二〇〇九年の選挙ではスローガンでした。ただし、相当程度めり張りの付いた予算を二十二年度で達成をしましたので、これからはバランスの取れた、必要なコンクリートはきちっとやろうということだというふうに思います。
  80. 西田昌司

    ○西田昌司君 撤回したんなら撤回したということを言ってほしいんですよ。というのは、そこが一番大事なんです。私はその辺のことを今日しっかり聞きたいんですよ。  というのは、先日、これは十月十九日、これは全国の豪雪地帯町村議長会というのがありまして、そこで会合があって、民主党衆議院議員の近藤洋介さんが民主党の代表で来られていまして、我が党からは長島忠美衆議院議員が来られて、その他、ほかの政党もおられるんですけれども、そこで民主党のその近藤さんは、民主党は、コンクリートから人へという、それはもうやめましたとはっきり明言されたんですよ。民主党はやめましたと言われた。それで、そのときに、私は同席していた地元の議長さんもそうだし、長島先生からも聞きましたけれども民主党はコンクリートから人へはやめたんだと言われたということを確認しているんです。だから、大臣もそのことを認められるわけですね。
  81. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 近藤洋介氏がどういう発言でどういう立場で言ったかというのはちょっと分かりませんから直接コメントできませんけれども、少なくともコンクリートから人への投資ということは、平成二十二年度予算編成である程度達したということをさっき申し上げました。  コンクリートについては、真に必要なインフラ整備はまだ残っていると、それはよく精選しながらしっかりと投資をしていきたいと思います。人への投資はまだ引き続きやっていきたいというふうに思います。
  82. 西田昌司

    ○西田昌司君 それが要するに私からいうと詭弁なんですね。説明になっていない。  つまり、民主党が今まで言ってきたことは何なのかということなんです。それで、今回の菅総理の所信表明演説の中でも、いわゆる第三の道という形で経済成長をするんだと言われている。それは何かといえば、第一の道が、例えば我々が言ってきたような、例えば公共事業投資とかやって経済成長がなるじゃないかと。ところが第二が、小泉時代の構造改革路線が象徴するように、規制緩和して民間がどんどんどんどんやれるようにやっていきましょうと。ところが、これがやっぱりかなり行き過ぎで問題があったと、私も思っております。これはもう私は国会議員になる前からずっと自見先生と同じ派でありまして、反対してきた方なんですよ。  だから、それ、民主党がそう言われるのには非常に、大いに理解できるんです。できるんですが、じゃ第三の道、何だといえば、これは何ですかね、社会の不安を取り除いていけばそれでおのずと需要が出てくるだろうと。それは分かるんだけれども、それは全部私もそれを否定するわけじゃないけれども、要は第一も第二も全部否定する必要もないわけなんですよ、逆に言うと。つまり、必要なときには必要なことをしなければならない。だから、今言ったように必要なコンクリートは当然しなければならないし、特に今のような、先ほどから言っているように、デフレであって、民間の需要がもう本当に底にはいつくばっていると。現実にこれだけの預金が、百四十兆円もの預金が貸し出されずに死蔵されているんですよ。これを使わなきゃどうするんですかと。  じゃ、それを使うのには一番効果が高いのは、直接政府が国債でその預金を銀行から吸い上げて、そしてそれを事業費として出していくと。それは人に出さず、当然お金は人に回すべきだけれども、仕事で渡すわけですよ。公共事業、必要な公共事業、インフラ整備。インフラ整備も、インフラというのはまだまだ足りないインフラもあるけれども、更新しなければならないインフラもたくさんあるわけですよ。橋梁なんかは特にそうですよね。何十年もたってしまうと、これは架け替えしないと全部落ちちゃいますから。そういうのをひっくるめて計算するだけで少なくとも百兆円ぐらいは、今後十年ぐらいの間に投資しなければならない金額が出てくるはずなんです。  だから、今こそ、今のようなこういう一番金利が安くて、そして民間の需要が、資金需要がないときこそ、政府がどかっとそれをお金を使ってやるということを宣言しなくちゃならないし、これは全く理にかなっている話なのに、なぜ野田大臣はそういう方向の政策を打ち出したり、アナウンスされないんですか。今言っている話は、あれもこれも言っているだけで全くそれが見えてこないんですよ。だから、国債発行すると、特に建設国債を発行することは、私は全く問題ないと思うんですよ。そのことについてどのようにお感じですか。建設国債発行ということ、つまり、これ公共事業投資するということですからね。どういうふうに、これ、お考えですか。
  83. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) ちょっと、多岐にわたる論点が今御指摘の中ではあったと思うんですが、まず第一の道から第三の道のこの優先順位の話ですが、これ、第一がゼロ、第二がゼロ、第三が一〇〇という位置付けでは決してないと思うんです、もちろん。これはやっぱり優先順位の話であって、第三の道重視というのは、言ってみれば課題解決型で、環境問題というのも世界的な大きな問題で、それを解決することによって需要や雇用も生まれてくる。あるいは、ライフイノベーションの方、健康の方、これも、子育てであるとかあるいは介護分野には間違いなく需要はあるけれども、お金が回っていない分人も集まっていないし、商売が成り立っていないと。そういうところにお金を使っていくことがやっぱり第三の道です。  だからといって第一、第二がゼロではありません。公共事業でも、おっしゃったようにメンテナンスは当然必要だし、拠点整備で成長力へつながるようなのはあるかもしれません。今回の経済対策でも第二の道の規制・制度改革をもちろんやっております。  ということで、あくまで優先順位であるということは是非御理解をいただいた上で、なぜ建設国債発行しないのかというのは最後のところの論点だというふうに思いますが、自民党からいただいている経済対策の御提案あるいは公明党さんからいただいた御提案を含めても、今回の私どもの五・一兆円規模の経済対策、間もなく補正予算として提出をさしていただきますが、規模感からも内容からも私はその相違がないわけであって、できればそうならば国債を発行しないままに知恵を出した方がいいということでございます。
  84. 西田昌司

    ○西田昌司君 まず自民党からの案なんですけれども自民党からの案の前提は、まずばらまきの人の分の子ども手当とか、そういう要するに菅総理と林委員との間でもあったような乗数効果の低いところに、今のこのデフレを脱却して、それこそ効果的な支出をするためにはそれこそ無駄なんですよ。それをなくして直接雇用が出てくる事業にやっていこうというのが根本的な考え方ですから、予算規模以前に考え方がまず違うということなんです。そこのことを、そこを理解されないと話が進まないんですね。  まず、だからそこなんですよ。だから、自民党が言っているのは、要はばらまきをやめなさいと、人に出すんじゃなくて仕事に出しなさいということなんですよ。御理解いただけますか。
  85. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 一方で、財政健全化責任法というのも提出をされて、民主党はどうなんだという問いかけもあるわけです。ということは、御党も財政規律を守り、財政健全化の道筋をしっかりたどっていきながら経済成長を果たしていこうという、私はそういうお立場だと思っていますので、そういうふうに受け止めさしていただいております。
  86. 西田昌司

    ○西田昌司君 これも、財政健全化のいつやるかというのは、これはタイミングの話で、要は、今までのようなどんどんどんどん国債を出していくのがどうかという議論が片っ方あったんでやっているんですが、それはタイミングの問題なんです。  要するに、今の一番大事なのは、先ほど言いましたように、財政健全化するのも大事だ、しかし一番大事なのはデフレなんですよ。不況とかそんな話じゃないんです、今、日本が起きているのは。単なる不況じゃなくてデフレなんですよ。つまり、余りにも需要が少な過ぎて、供給過剰で、そのためにお金も行き場を失ってしまっているし、そして仕事をなくしてしまっているし、それが、これがどんどんどんどんスパイラルになってくると経済そのものがなくなっちゃうという話なんです。  だから、私は、そのことをまず共通認識しなければならないし、御指摘自民党が出している話も云々分かります。それは分かって、私も実は自民党の中でも、随分それに対しては順番付けをはっきりもっとめり張りを持ってやるべきだということを言っていますから、それはもうあなたが、大臣がそういうことを言われる種をつくっているわけですから、こちらも作戦を考えなきゃならないと思っているんですよ、はっきり言いましてね。  でも、本当の話は、一番大事なのは、別にこの民主党内閣をやっつけるとかいう以前に、まずこのデフレを止めなきゃならないんですよ。それは、先ほど、戻りますが、何遍も言っていますが、百四十兆円も余っていると、それも今年だけの話じゃないんですよ。この四、五年、ずっと百兆円を超えるお金が余っているんですよ。これはどうするんですか。使ってくれと言っているわけですよ。それを使う、それがやっぱり大事で、そのためには、第三の道とか言っているんじゃなくて、直接、政府が雇用をつくって仕事をつくるべきじゃないですか。なぜそうされないのかというのが私分からないわけですよ。  直接それをやるのが、少なくとも、菅総理の言い方でやると、そんなもの乗数効果一しかないじゃないですかという話がありますが、最低でも一なんですよ、だからね。つまり、それほど、ほかのことよりも、子ども手当よりも、最低一あるんですから、〇・何ぼの話と違うんですから。だから、今のこのデフレが本当に大事だと思えばそうすべきじゃないですか。なぜできないんですか。
  87. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) だから、デフレに対する危機感、それはもう我々も共有をさしていただいておりまして、二〇二〇年までの新成長戦略の中ではフェーズⅠとフェーズⅡに分けて、フェーズⅠは、デフレを克服し、そして自律的な成長軌道に乗せていくと、そしてフェーズⅡからはデフレに戻らないと。そのためのいろいろと具体的な政策を新成長戦略としてまとめさしていただきました。  その前倒しで九千二百億円の経済予備費を第一ステップで使い、そしてこれから五・一兆円、経済対策を含んだ補正予算の御審議をお願いをするのが第二ステップです。平成二十三年度予算編成で新成長戦略を本格稼働させようということで、そういうまさに需要と雇用を創出する分野に我々なりにお金を回していくということをやりながら、だぶついているとおっしゃっている民間資金の呼び水になっていくような、そういう動きを図っていきたいというふうに思います。
  88. 西田昌司

    ○西田昌司君 時間がだんだんなくなってきたんで、これはまた何遍もやりますが、要するに、今まで、これは自民党も含めて反省しなくちゃならないのは、余りにも財政健全化、つまり、日本はたくさんの、GDPの二倍近い借金が、国、政府が、地方も含めてあるじゃないかと、日本はもうそれこそあしたにも倒れるんじゃないかという話を二十年間延々言っているんですよ。ここまででたらめに言い続けてたら駄目なんですよね。つまり、本当に倒れるなら二十年前に倒れているんです。  そうじゃなくて、ギリシャの問題を見ても分かるように、本当は、内国債で自国建て通貨でお金を出していて、しかもまだ、言っているように、預金超過が百四十兆円もある国でデフォルトなんかあるはずがないんです。ただ問題は、将来の国民の使えるお金を制限することになっちゃうから、その話はしなければなりませんよ。それはまさに何かといえば負担率どうするかという話なんですよ、まさに。財政再建というよりも国民負担率どうするかという話を議論しなければならなかったのに、話がすり替えられちゃってきているところからこれはおかしくなっているんで、これはちょっと時間がないんでまた次回させていただきますが。  何よりもまず、最後に指摘したいのは、今はとにかくデフレというのが近々の一番問題だから何を挙げても政府がやると。それは堂々と政府財政支出すると。そして、一番雇用効果、すそ野の広い公共事業投資始めそういうものにするということを私はまず要求をこれはしておきます。答弁は要りません、また後でやりますから。  そして、最後に自見大臣、自見大臣にせっかくですからお聞かせいただきたいことがあるんですね。  私は、この前の自見大臣の演説を聞きまして、要は日本は新金融立国という言葉を聞きまして、えっと思ったんですよね、自見大臣がそんなことを言うんだろうかと。というのは、自見大臣がなぜ、なぜあの郵政民営化に反対してきたかというのは、まさにアメリカがつくった金融立国論、グローバリズムに日本が巻き込まれて困るじゃないかと。そんなことすると、日本の郵政のユニバーサルサービスができなくなるだけじゃなくて国富が出ちゃうよと、こういう話だったはずなんですね。ところが、今度の新金融立国論を見ていると、まさに一周遅れてアメリカがやってきたような話をまたやり出すのかと、その内容もこの前政府の方から事前にレクチャーを受けましたけれども、私はそういうふうに思えて仕方ないんですよ、これは。そうじゃなしに、今すべきは、先ほど内需の話も言いましたけれども、要は国民の財産をどうやって政府が責任持って国内で使っていくかと、そちらの方にすべきなんですよ。  絶対この話は、自見大臣と話をすれば私とは話合うはずなんですよね。是非その辺のところを、これは間違っておるんだと、民主党の言っていることは、というか、今のこれは、本当はそうあるべきなんだということをお話しいただきたい。お願いします。
  89. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 西田議員にお答えをいたします。  大変御心配をいただきましてありがとうございます。御存じのように、二年前のリーマン・ショックの前でございますが、もう先生御存じのように、アメリカの投資銀行を中心に、レバレッジといいますか、掛ける、あるいは金融工学を利用して非常に難しいといいますか、一般の方にはなかなか難しいような金融商品をつくる、そういったことが大変、ある意味で一世を風靡したわけでございまして、大きなそういったハイリスク・ハイリターンの経済と申しますか、別の言葉で言えばマネーゲームというふうなことが世界を謳歌したというふうに我々は認識を持っておりまして、その中で行われた郵政民営化というのは我々は、国民新党でございますが、やはりそういったことは認められないということで、それが基本的な立党の精神でございます。  しかしながら、アメリカでも今実は、今度金融改革法といいますか、金融のドッド・フランク法という法律が七月にオバマ大統領が署名しまして議会を通りました。これは、ボルカー・ルールというのがございまして、これはもう一番核だと私は思っておりますけれども、銀行が自己勘定の中で、簡単に言えばハイリスク・ハイリターンのことをしてはいけないという禁止でございまして、人から頼まれてやるのはいいんですけれども、そういった意味でアメリカも今非常にやっぱりハイリスク・ハイリターン、あるいは名前を変えればマネーゲームといいますか、実体経済よりずっと大きなマネーの世界ですね、そういったことを総括して私は今、金融規制改革法というのがアメリカも出たと、こう思っておりますので、そういった時代でございますからね。  しかし、今、金融立国とは何だと、こういうお話でございましたが、御存じのように金融でございますが、そこまで極端なマネーゲーム的な金融立国については我が党といたしましては反対でございますが、しかしながら、この実体経済経済のバックアップとしてのサポートを行うため、それから金融自身が成長産業として経済をリードするためということでございまして、御存じのように、その一例として総合市場をつくろうと。今の証券市場、それから昔からやっています、農林水産省がやっているあの小豆だとか大豆ですね、小豆とか大豆、それから原油だとか貴金属の別々のがここも御存じのように市場がございますから、それを総合市場にして金融自身が成長産業として経済をリードしていこうと、そういうふうに考えているわけでございまして、マネーゲームをどんどんやれということでは全然、名前は金融立国ということでございますが、内容は違うということを是非御理解をいただければというふうに思っております。
  90. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 西田昌司君、質問時間が参りましたので。
  91. 西田昌司

    ○西田昌司君 はい、時間が来ましたので、もうこれでまとめますが。ちょっとそれは自見大臣の本音ではないだろうと思っております。  この問題も含め、要するに、今、日本の問題は、その金融立国とかそんな話をしている場合じゃなくて、日本には借金があるんじゃなくて財産があるんです、余っているお金が百四十兆円も眠っている、それをどうやって国内で使うかと、もうこれをしなくちゃならないのに、そんな眠たい話じゃ駄目です。  そのことを指摘して、また次回も質問させていただくことを宣言しまして、終わります。
  92. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まず、両大臣に日本経済の現状認識についてお尋ねいたします。  十月の月例報告は足踏みという判断に下方修正されたわけであります。特にエコカー補助金終了の影響は大きくて、生産の判断も下方修正になっているわけでありますが、もうマイナス成長にこれから陥る懸念もあります。そこで、日本経済の現状について財務金融大臣はどう認識しているのか、まずお尋ねします。
  93. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 荒木委員の御指摘のとおり、先般の月例経済報告においては、景気はこのところ足踏み状態となっておるという表現を使わさせていただきました。失業率が高水準にあるなど厳しい状況にあるというふうに認識をしています。加えて、海外景気の下振れ懸念とか為替相場、株価の不安定な動きなどにより、景気が更に下押しされるリスクが存在をするというふうに思っています。デフレの影響や雇用情勢の悪化懸念も依然残っているということに注意をする必要があります。  だからこそ、切れ目のない経済対策が大事だと思います。そのために五・一兆円の経済対策を含む補正予算を可及的速やかに提出をしたいと思いますので、是非とも前向きな御検討をいただければと思います。
  94. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 荒木議員にお答えをいたします。  今先生の御質問の中にもございましたように、景気はこのところ足踏み状態となっておりまして、また、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にあると認識をいたしております。先行きについては、海外景気の下振れ懸念や為替レート、株価の変動などにより、景気は更に下押しされるリスクが存在をしますし、また、いろいろ今さっきから大きな関心になっておりますデフレの影響や雇用状態の悪化の懸念が依然残っていることにもしっかりした注意が必要だと、こう思っています。今後とも景気の動向を十分に注視してまいりたいというふうに思っております。
  95. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 円高が急速に進行しておりまして、今日は東京市場で一時八十円台になったという、十何年ぶりだそうです。いずれにしましても、円高ということにつきましては、もちろんメリットもありますが、我々に聞こえてくるのは製造業を始めとする中小企業の悲鳴ばかりであります。  そこで、両大臣は現在の円高水準についてどう認識あるのか、またこの円高がこれ以上続いた場合の日本経済に与える影響について、それぞれ認識をお尋ねします。
  96. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 現在、我が国においては、依然としてデフレが進行しているということで経済情勢が厳しいということです。その中で、為替の過度な変動というのは経済金融の安定に悪影響を及ぼし、看過できない問題だというふうに思っています。  そうした為替の過度な変動を抑制するという観点から、先般、六年半ぶりに為替介入を実施をさせていただきました。これからも必要なときには断固たる対応を介入を含めてしていきたいと思いますが、今、水準についてのお尋ねがございましたが、この水準についてはコメントを控えさせていただきたいというふうに思います。  円高の進行、長期化があった場合の日本経済への影響でありますが、特に輸出関連の企業と、そこに大変多くの中小企業もかかわっていますし、そこに多くの人たちも働いています。そこへの甚大な影響が出てくることは間違いありませんし、現に、悲鳴ということを委員お話しされましたけれども、大変厳しい状況があると思います。ましてや生産拠点を海外に移動するというような産業の空洞化等々の影響についても心配があります。大変そういう長期化については、是非とも何としても避けていかなければいけないというふうに思います。
  97. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 荒木議員にお答えをいたします。  為替につきましては財務大臣の所管でございまして、一般論として申し上げれば、為替相場の過度の変動が経済金融の安定への悪影響から看過できない問題でございます。荒木議員も言われましたように、円高には輸入価格の低下による企業収益の増加となる要因もございますし、また消費者等の購買意欲の増加につながる等のメリットもございますが、しかしながら、今も先生が強調されましたように、円高の進行、長期化は外需の縮小、設備投資や雇用の停滞、さらに企業の海外移転などを通じて経済成長を妨げる要因となるというふうに思っております。  先般も、実は金融庁といたしまして名古屋と大阪に行かせていただきまして、中小企業四団体といろいろな現場の声を聞かせていただきましたけれども、円高になって非常に海外に移転を考えねばならないと、まさに今財務大臣が言われましたように悲鳴に近いような声を聞かせていただいたわけでございまして、そういった中、金融庁といたしましても、引き続きこの市場動向を注視するとともに、金融仲介機能が十分に発揮されているかどうか等の観点から企業金融の実態把握に努めてまいりたいというふうに思っております。
  98. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今、財務大臣は為替介入を含めた毅然たる対応ですか、このようにおっしゃいましたので、単独介入も辞せずという強い姿勢是非臨んでいただきたいと、このように考えます。  そこで、先ほど、今週末からの韓国でのG20のお話もありました。我が党も、九月二日に発表しました緊急経済対策の中で、急激な円高に対しては我が国の毅然たる意思を示すとともに、国際的な協調体制の下で円高の是正と為替の安定を目指す必要がある、こういう提案をしております。  そこで、今回のG20、いろいろ難航が予想される報道ぶりが多いんでありますが、何とか各国のそういう通貨切下げ合戦にならないような、そういう為替安定に向けてのそういう協調体制づくりということについて財務大臣もイニシアチブを発揮してもらいたいと思いますが、改めてどういう姿勢で今回のG20に臨んでいくんですか。
  99. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) これまで累次にわたってG7、G20でいろんな議論をしてまいりましたけれども、特に御指摘のあった為替の部分で合意されているということは、強固かつ安定した国際金融システムが我々の共通の利益であり、為替レートがファンダメンタルズを反映すべきであること。加えて、為替レートの過度な変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与えること、為替市場をよく注視し、適切に協力すること。今回はG20ですから新興黒字国も相当含まれていますが、新興黒字国についてはそれぞれの通貨の柔軟化に向けてその改革努力をすること等々の確認事項がございます。改めてそうした確認事項を整理した中で、具体的にどうやって政策協調していくのか、あるいは相互監視というかサーベイランスをしていくのか、そういうことで知恵を出し合う機会にしたいと思いますし、我々としても積極的にかかわっていきたいというふうに思います。
  100. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 先ほどからの議論で、我が国の最大の課題が、政治課題がデフレの克服と。現に政府も昨年の十二月にはデフレ宣言をしているわけですから、これはもう異論がないところでございます。  そこで、我が党も、先ほどの緊急経済対策の中、公明党のそうした取りまとめの中で、デフレ克服のためにいわゆるインフレターゲットの導入を提案をしております。私たちが言っているのは、具体的には、政府、日銀で物価目標を共有し、協力しまして、三年を目途に実質二%、名目で三から四%程度の経済成長を達成するという、こういう提案をしております。このインフレターゲットを導入し、政府、日銀で政策目標を共有してデフレに立ち向かうということについては政府はどういう見解ですか。財務大臣にお尋ねします。
  101. 櫻井充

    ○副大臣櫻井充君) 荒木委員お答えいたします。  今委員から御指摘がありましたように、政府と日銀が一体になってこのデフレの克服に取り組んでいくというのはもうこれは当然のことだと、そう考えております。  そこの中で、先日の、十月の五日の日銀の政策金融決定会合の中で大胆な政策を発表してくださいまして、これは、御党の山口代表も評価すると委員会の中で御発言があったとおり、我々もこの点については評価しております。その中で、日銀は、中長期的な物価安定の理解に基づき、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続すると決定したところでございます。  もう一点、そのインフレターゲットに関してですが、我が党の中でも、これを導入するべきという意見もあれば、この副作用が余りに強過ぎて、むしろ悪影響を及ぼすのではないのかと、そういう様々な議論がありまして、政府全体として今検討させていただいているところでございます。  これまでもデフレ克服のためにこれは自公政権からずっと様々な対策が取られておりましたが、なかなか今に至ってデフレの克服ができてきていない。改めて、どういった原因で今のような状況になってきているのか、原因分析も含めて様々な政策を取っていきたいと思っておりますし、そこの中では、野党の先生方の御意見も伺いながら、与野党一緒になってこのデフレ克服に取り組んでいきたい、そう思っております。  以上でございます。
  102. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 我が党がこのインフレターゲットを提案しましたのは、いわゆる政治は結果責任でありますからね、きちんと政府あるいは日銀で目標を決めて、達成できない場合にはもう結果責任を取ると、こういうことでないとこの今のデフレの局面というのは打開できないのではないか、こういう思いがあるわけであります。  確かにインフレターゲットということについては、功罪といいますか、両方の議論があるんでしょうけれども、それでは、去年の十二月にデフレ宣言をされたんですが、じゃ、政府としてはそのデフレをいつまでに脱却するという、そういう目標はあるんですか。
  103. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 先ほど申し上げたんですが、新成長戦略、フェーズⅠ、フェーズⅡとございまして、フェーズⅠでデフレを一日も早く脱却をして、フェーズⅡでもう二度とデフレに戻らないために安定的な物価上昇を実現をしていくということで、大体、おおむね一年、二年というところがフェーズⅠの期間だというふうに思っています。
  104. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、二年を目途に、二年以内にデフレは脱却するんだと、これが政府目標だというふうに理解してよろしいですか。
  105. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 二年というふうに明示はされていませんけれども、例えば日銀などが公表していた物価上昇も二〇一一年からはプラスになると、ゼロ以上になるという、今まではそういう予測もありましたので、なるべく早くということでございます。
  106. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私は、二年なら二年というきちんと宣言して、できなければ結果責任を取ると、そういう強い決意を示してもらわないと、なかなか、我々も後手後手に回っているとかそういう批判を続けざるを得ないのではないかと、このように思っております。  次に、補正予算、先ほど財務大臣も早く提出したいというお話で、まあ二十九日ぐらいではないかというふうに聞いておりますが、いずれにしましても、十月八日に政府の円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策が発表されました。五兆円規模であります。その財源としては、税収の上振れ分、国債利払い費の不用分、まあ金利を高めに見ておったそうでして、と平成二十一年度決算剰余金の半額を充てると、こういうことでございまして、これはもう予算だけでできる話だと思うんですね。当初は公明党も主張しておりましたが、決算剰余金の半額ではなくて全額、そういう特例を作って繰り入れてやるべしという方針も政府の中ではあったようでございましたが、そういう全額活用は見送られました。  したがって、そういう関連法案も出てこないんだと思いますが、私は、そういう法律が通るか通らないかということを恐らく心配して半額充当になったのではないかと思いますが、もうそういう局面ではないのではないか。もうこれは我々野党に対して協力を要請してでも全額剰余金の活用という、そして建設国債の、剰余金の全部の活用ということは考えられなかったのか。  これは、野田大臣と、そして自見大臣国民新党はもうどんと財政出動しろというお考えだと聞いておりますから、法律を通せば活用できる剰余金があるんですから、それを十分活用して補正予算を組むべきではないんでしょうか、提出すべきではないんでしょうか。両大臣のお考えを聞きます。
  107. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 荒木委員のその前の御質問のフェーズⅠのデフレ脱却の期間のところですが、正確に申し上げると、新成長戦略では、二〇一一年度中に消費者物価上昇率をプラスにし、速やかにデフレを終結させ、日本経済を本格的な回復軌道に乗せることを目指しているという表現でございましたので、さっき一年とか二年とかというお話がありましたが、二〇一一年度中というのが正確な表現でございます。  その上で、経済対策の規模の問題、財源のお尋ねがございました。決算剰余金の全額活用は、御指摘のように見送っています。ルールどおり、今の財政法上のルールどおり半分活用するという形でありますけれども、規模としては、一般会計国費ベースで四・八五兆円程度、いわゆるゼロ国と言われる、ゼロ国庫債務負担行為限度額が〇・二兆円を超えて、合わせると五・一兆円ということで、御党からも経済対策はいろいろ御提案をいただいておりましたけれども、中身、規模、規模というのは既に実施している経済予備費九千二百億円を加えると、そういう規模からしても決して遜色はないというふうに思っております。
  108. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 荒木委員からの御質問でございますが、今財務大臣が言われましたように、五兆円規模の円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策を十月八日に閣議決定をさせていただいたところでございます。  新聞報道等で御存じのように、あの朝、菅総理、民主党代表と国民新党の亀井代表と話をしまして、たしか二千五百億円アップということで、五兆五百億円に少し上がったと。それ以前のときの緊急対策のときも、補正予算のときも、菅総理が当時財務大臣だったと思いますが、二・七兆という話でございましたが、基本政策閣僚会議、社民党さんも党首が入っておられまして、菅、当時の財務大臣、総理、そして亀井静香、我が党の党首、それから福島みずほさんも入っておりましたが、いろいろ経過がございましたが、結果として七・二兆の景気対策をやらせていただけたということでございました。  小さな政党でございますけれども、しっかり、やはりこういったデフレ脱却、これもう与野党超えて大変大きな課題でございますから、しっかりそういったことを踏まえて、政権与党の小さな一角でございますけれども、しっかり努力をさせていただきたいと思っております。
  109. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 昨日は我が党は全国知事会の代表の方と懇談をいたしましたが、今回の補正、経済対策で地方への交付金が計上される予定なのは有り難いけれども、規模が小さいというふうにおっしゃっていました。したがって、私はもっとできるはずであったではないかということを今申し上げたわけです。  そこで、先ほど愛知委員からもマニフェスト見直しの問題がありまして、財務大臣は、これは四年間の約束なんで、十六兆八千億円を新規の財源で捻出するって話は、頑張るんだというお話だったんですが、しかし、もう初年度七・一兆円ひねり出すところが半分に満たなかったわけで、もう既に破綻していますよね。二年目、二十三年度は十二兆六千億円の新規財源ということで、本当にもうこれをやるつもりで予算編成をしているんであれば、もう七転八倒の苦しみを今されているんではないか、恐らくこんな予算は組めないというふうに私は思います。  四年間の約束ですけど、毎年毎年のそういうもう所要額が出ているわけで、もう既に、初年度そして来年度、こんなお金が出てくるわけないわけですから、ここはやっぱりもうきちんと修正すべきは修正した上で軌道修正していかないと本当に大変なことになるんではないですか。
  110. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 荒木委員の御指摘のとおり、今執行中の平成二十二年度予算においては、マニフェスト主要事項子ども手当含めて、さっき暫定税率でもおしかりをいただきましたけれども、主要項目を約三・一兆円に効率的に実施するという形で実現をさせていただきました。その財源については、事業仕分を含めて様々な努力をして、約三・三兆円を新たな財源を編み出しながら実施をするという形態を取りました。  平成二十三年度予算編成、まさに今真っただ中で七転八倒という状況かもしれませんけれども、年末に向けてきちっと予算編成仕上げるためには、お約束をしている様々なマニフェスト事項についてはきちっと財源を見付けながら手当てをしていくという基本精神は守っていきたいというふうに思います。まだこれプロセスの段階なので今はどうのこうのとは申し上げられませんけれども、もしその財源が見付からずに十分にマニフェスト事項を実現できない場合には、きちっと御説明をしておわびをしなければいけないというふうに思います。
  111. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 マニフェストに関連しまして、櫻井財務大臣税制のことについてお尋ねいたします。  我が党も今回の参議院のマニフェストでは法人税率の引下げをうたいました。与党民主党もうたっておられます。また、民主党マニフェストには中小企業の軽減税率の引下げ、今の一八%を一一%だったですかね、というのもあるんですけれども、これはもちろん競争力強化といいますか、中小企業のためには両方やっていただくことの方がいいんですけれども、本当に今のようなそういう状況の中で両方来年度税制改正でできるんですか。
  112. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 法人実効税率の引下げについては、これは新成長戦略でもお約束をしたことです。ただ、これは課税ベースの拡大等により財源を確保するということの前提の中で進めるということになっていまして、平成二十三年度予算編成税制改正作業の中で対応をしていきたいと思いますし、中小企業の軽減税率についても同様な趣旨で、観点から対応をしていきたいというふうに思います。
  113. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 法人税率の引下げについて、課税ベースを広げると。要するに、租特を整理するということなんでしょうね。そうしますと、中小企業の場合にはかえって増税になるケースも出てこようかと思いますけれども、そういう租特を整理、課税ベースを広げるというのであればそういう、逆にこの税率引下げの恩恵を受けられないのではないかという中小企業に対する対策というのはどうするんですか。
  114. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) まさにこれからの議論なんですけれども法人税法人実効税率引下げというのは、観点としては、今御指摘いただいた中小企業との関連でどうするかということがあると思います。あと、国内の雇用の設備投資の増加、我が国企業の海外流出の抑制、海外企業の我が国への立地の増加、いろんな観点があると思いますが、これからしっかり議論をさせていただきたいというふうに思います。
  115. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 自見大臣にお尋ねしますが、所信の中に、金融の円滑化のことです、「中小企業等の資金需要が高まる年末、年度末に向けて金融の円滑化に努めてまいります。」、これは大いに賛成でありますけど、これは具体的にどういう手を打つんですか。
  116. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) この点につきましては、金融円滑化法案、もう荒木先生御存じのように、大変な不況の中で二回の年度末、それから年末を二回越す時限立法として二年間立法をさせていただいたわけでございまして、今年の三月三十一日がこの期限切れでございますが、そのために必要な対策を取っていきたいということでございまして、特に、今さっき私、名古屋また大阪に行かせていただいたということも、実は中小企業四団体と地域金融機関の方にお集まりいただきまして、そういった御意見を実際聞かせていただいて、同時にまた金融機関の方々意見も聞かせていただいたわけでございますけれども。  金融庁といたしましては、中小企業庁ともしっかり連携しつつ、中小企業円滑化法の実施のフォローアップを進めた上で、特にこれ、検査監督上のマニュアルも変えました。特に、もう先生一番よく御存じのように、金融機関というのは非常にやっぱりノウハウをいっぱい持っていますので、きちっと金融機関がコンサルタント的な役割をしなさいと、こういうことを明記して、実は金融検査マニュアルにも明記いたしまして、そのことをチェックさせていただくというふうなことをさせていただきまして、しっかり年末、年度末にかけて資金の供給の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。  この前、先生の方から、衆議院でも御質問いただきましたけれども、これはきちっと、円高にもなりましたので非常に厳しいというようなこともございまして、延長を視野に入れてしっかり検討をしてまいりたいというふうに思っております。
  117. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 是非、延長をしてください。  中小企業庁長官もお呼びしておりますので、最後にお聞きしますが、これは我々前政権の下で緊急保証制度というのを発足させまして、これは利用実績、また現場の声からしましても大変好評でございます。これも来年三月で期限切れになるわけでありますが、私は取扱い期間の延長と保証枠の拡大を昨今の情勢にかんがみて是非すべきだと思いますが、前向きな答弁を求めます。
  118. 高原一郎

    政府参考人(高原一郎君) お答え申し上げます。  景気対応緊急保証は、リーマン・ショックの直後の大変な経済の後退時期におきまして、またその後の混乱期あるいは低迷期に大変、中小企業の金融の円滑化に効果があったと思っております。  他方、この制度は金融機関がリスクを全く負わない制度になっておりまして、借り手の経営が悪化した場合に金融機関の経営支援が十分に行われないといったような指摘もございます。このため、景気対応緊急保証につきましては、単純延長ということは行わせていただかないというふうに考えております。  ただ、中小企業の資金繰りというのは極めて重要な政策課題でございますので、資金繰りの繁忙期である年末あるいは年度末、さらには御指摘の景気対応緊急保証などが期限切れを迎える今年度末以降の、いわゆる来年度以降につきましても、中小企業の資金繰り支援に対しては万全を期してまいりたいというふうに考えております。  具体的には、増加します中小企業の借換えのニーズにこたえるための借換え保証の拡充でございますとか、あるいは特に業況の悪化している中小企業の皆様に対しますセーフティーネット保証、これは一〇〇%保証でございますけれども、あるいは小規模企業向けの小口零細保証などの対策の重点化、あるいは日本公庫等によります直接貸付けの充実など、十五兆円規模の資金繰りの支援策を今般の景気対策にも盛り込ましていただいているところでございます。  いずれにいたしましても、金融庁とも連携をしっかりといたしまして、中小企業の資金繰りの支援に万全を期してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  119. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  120. 中西健治

    ○中西健治君 みんなの党の中西健治でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は野田財務大臣と自見金融担当大臣に質問の方をさせていただきたいと思っております。まず、野田財務大臣にお聞きしたいというふうに考えております。  御案内のとおり、日本銀行は十月四日と五日に金融政策決定会合を開きまして金融緩和策というものを決定したわけでございますが、その中で三十五兆円の基金を創設する、そしてうち五兆円は資産の買取りに充てるということを検討することを発表したわけでございます。こうした政策は、今までもデフレ脱却という言葉が随分出ておりますけれども、私自身もデフレ脱却のために必要な措置であるというふうに考えておりますけれども白川総裁は記者会見で、こうした政策は中央銀行としては異例の措置であるということをおっしゃっておられます。ETFやREITを購入する、このようなリスク資産を購入するということになりますと、最終的には損失が発生することも十分にあり得るということでございます。ですので、これは財政政策的な色彩が非常に強いだろうというふうに私は思っております。  こうしたことを日本銀行がやるためには、他業の禁止規定であります日本銀行法の四十三条、そのただし書においてこれを実施すると、ただし書でこれを実施することができるということなんだろうというふうに考えておりますけれども、そのただし書には、財務大臣そして内閣総理大臣の認可が必要であるというふうに書かれているわけでございます。  まず確認したいのは、こうした認可を財務大臣は与えたのか若しくは与えるのかということについてお聞きしたいということ、もう一つお願いします、これに絡んでですが、この基金の創設に関しましてどのような評価を行っているかということについて併せてお聞かせ願いたいと思います。
  121. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) まず、事実関係で、委員が御指摘のとおり、十月四日、五日の金融政策決定会合で追加的な金融緩和政策が発表されまして、その中で基金の創設ということでございました。異例の措置ということでございますけれども、御指摘のとおり、ETF及びJ―REITについては日銀法第四十三条ただし書による財務大臣及び内閣総理大臣の認可が必要でございます。現在は、今、日銀の中で議長の指示に基づいてこの資産買入れの基金の創設についての具体的な検討を行っている段階であって、まだ認可申請が来ている状況ではございません。認可申請が来た場合には適切に対応して後押しをしてまいりたいというふうに思います。  そして加えて、評価でございました。異例という措置でありますけれども、日銀としては本当に真剣に日本経済を考えていただいた中での措置であり、私としては基本的に歓迎をしております。歓迎をしたいというふうに思います。引き続き、日銀におかれましては、金融面から日本経済を下支えをするためにお取り組みをいただければというふうに思います。
  122. 中西健治

    ○中西健治君 大臣、前向きな評価をしているということのようでございますけれども、であれば更にお聞きしたいということでございます。  白川総裁は記者会見で、こうした基金、必要があると思えば更に増額をするというか規模を拡大するということを述べています。この異例の措置臨時措置という言葉も使っているわけでございますが、私自身は、今の経済状況を考えますと、この基金、長期間にわたって、恒久的とは申し上げませんがかなり長期間にわたって、そして規模も増額することが必要になってくるであろうというふうに考えております。そして、これ、財政政策的な色彩が強いというふうに私申し上げましたけれども、憲法で財政民主主義ということも定められているわけでございますから、前向きに評価されているのであれば、認可を行うということだけではなくて、これこそ財政政策のこれは手段であると前向きに、前向きにというか真っ正面に受け止めて、積極的にこうした基金を政府としてサポートをしていくべきなんではないかというふうに私は考えております。  その中で、私が提案を申し上げたいのは、この基金の枠組みというのができそうだということですので、政府がこの基金に対して保証を行うと、こういったことを考えられるのか、若しくは、この基金、五兆円、リスク資産の買取り五兆円でございますので、これを更に大きくするということのためにも、この基金の例えばリスクの濃い部分と薄い部分、エクイティーとデットということになるんだと思いますが、これを二つに分けて、このリスクの濃い部分、少額の部分については政府若しくは政府の代わりに例えば日本政策投資銀行、こういったところが保有をして、残りの部分、大きな金額の部分、リスクの薄い部分については日本銀行が保有をするというようなことで、財政政府が、そして金融政策は日銀がというしっかりとしたすみ分けができるんではないかというふうに思っております。  その中で、おととい大臣の所信を聞いておりましたら、日銀と一体となって強力に施策を推し進めていくということをおっしゃっておりましたので、これこそ日銀と政府が一体となるような施策になるんではないかと私自身は考えております。是非推し進めていただきたいというふうに思っておりますが、大臣の所見をお聞かせください。
  123. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 先ほどのちょっと答弁でも申し上げたとおり、今、日本銀行の中でこの資産買取りの基金の創設の在り方を検討をしているところです。これから、だから、増額をするのかとか、あるいはその制度設計そのものがまだ分からない状況の中で、逆に政府から今具体的に踏み込んで言う段階ではないと思います。  委員の今、具体的な相当な政府保証を含めて、あるいはリスクの薄い部分、濃い部分のとか具体的な御提案がありましたが、今まさに日銀の中でその検討をされている段階でございますので、まずは我々は、認可申請があればそれは適切に対応すると同時に、まずその制度設計をまとめてもらうことが先決で、こちらから今先に言うのは中央銀行の自主性を逆に損なってしまうのではないかというふうに思います。
  124. 中西健治

    ○中西健治君 もしその認可があって制度設計ができた場合に、しっかりと前向きにやっていただければということをお願いしたいなというふうに考えております。  続きまして、ゆうちょ銀行について自見大臣にお聞きしたいというふうに考えております。郵政改革全般については総務委員会の方で話し合われるということだと思いますので、ゆうちょ銀行に絞ってお話をお伺いしたいというふうに考えております。  手元に資料の方も用意させていただきました。このゆうちょ銀行でございますが、二〇一〇年の三月末時点で百五十六兆円もの国債を保有しております。日本国債の発行残高、こちらは七百二十兆円ということでございますので、その約二三%をゆうちょ銀行だけで持っているということになります。メガバンクなどに比べて突出して大きな金額をゆうちょ銀行は保有をしている。そして、こちらのお手元の資料の一ページ目のグラフにもございますが、ゆうちょ銀行以外の民間の銀行を全部足し上げても、ゆうちょ銀行が持っている国債の保有額よりも小さいということでございます。  それだけゆうちょ銀行は大きな国債の保有者ということになるわけでございますが、これだけ大きな金額を持っていると、売ろうと思ったときにも売れない、そのような流動性リスクを大きく抱え込んでしまっているということも言えるかと思います。私自身は、二十一年間、債券市場で働いてまいりました。その経験からいたしますと、ゆうちょ銀行は、大海の中の鯨というのではなくて、池の中の鯨と、そのような存在だろうというふうに思っております。  さらに、金利リスクについても当方で試算をいたしましたところ、これは二ページ目の資料ということになりますが、ゆうちょ銀行の保有する国債の平均年限は三・八年ということでございますので、リスク量を計算してみますと、金利が一%上昇することによって五・九兆円もの損失が発生するということになるわけでございます。ゆうちょ銀行の自己資本、八・四兆円でございますので、金利が一・五%上昇するとゆうちょ銀行は債務超過になってしまうということになるわけでございます。  加えて、負債サイドの定額貯金という商品の商品性、これは、オプション、金利が上がってもペナルティーなしで解約ができるということでございますので、事態は非常に深刻なんであろうというふうに私は思っているわけでございます。  こうして見てみますと、ゆうちょ銀行は、破綻するリスクも相当程度あるだろうというふうに考えざるを得ないというふうに思っております。そして、これに対する処方せんというのは、規模を小さくすることであろうというふうに考えております。仮に、ゆうちょ銀行の預入限度額が引き上げられるというようなことになりましたら、全く逆の動きで、リスクが更に増大してしまうということになるわけでございます。  私自身は、以前民主党さんが主張していたように、預入限度額は引き下げることこそ正しい方向性であるというふうに考えておりますが、ゆうちょの現状のこの尋常ならざるリスク量について、そして、今後仮に預入限度額が引き上げられたときのリスクの増大について、自見大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  125. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 中西先生、大変御専門家でございますが、今お話がございましたように、このゆうちょ銀行の国債保有額は百五十六兆という話がございましたか、百五十六兆か百五十五兆ということでございまして、国債保有の割合も八〇%でございます。これもう先生御存じのように、郵貯、簡保というのは、御存じのように、長い間、財政投融資の資金に十年近く前なっておりまして、これは一日だけ郵便局にあって、次の日に大蔵省の資金運用部に行って財政投融資、そういった資金に充てるというのがもう長い間の、明治以来の仕組みでございましたから、結果として今百五十五兆の国債を持っているということでございますが、以前は、これたしか二百六十兆ぐらいございまして、今大体八十兆ぐらい、ここに実は流出が起きたというようなことでございますが、そういった意味で、今、先生から話がございましたように、自己資本が八・四兆円、自己資本比率はたしか九〇%ぐらいだと、こう思っておりますが、しかしながら、まさに金融機関のリスクは流動性のリスク、金利リスクというのがございますので、そういった中で、しっかりリスク管理体制を構築して、しかしながら同時に、もうこれいわゆる経営者が責任を持つ基本的には民間銀行でございますし、ゆうちょ銀行も、これも法律が変わっても、御存じのように一般の金融機関でございまして、このかんぽ生命も、御存じのようにこれは一般の生命保険会社でございますから、そういったことを考えながら、しっかりゆうちょ銀行に対するディスクロージャー等において、経営の健全性を確保する観点から、金利リスクを適当にコントロールしながら、運用手段の多様化を通じてリスクの分散、収益、この源泉の多様化を図る運用ビジネスモデルを実現する、ポートフォリオと申しますか、そういうことを明らかにしておりまして、金融庁としては、同行の財務の健全性の確保に向けた取組について、検査監督を通じて引き続き適切にフォローアップをしていきたいと、こういうふうに思っております。
  126. 中西健治

    ○中西健治君 今、大臣の方からリスク管理というお話もあったわけでございますが、リスク管理をするためには、リスク管理のノウハウというのも必要であります。そして、リスク管理ができる人材というのも必要ということになるわけでございますが、金融のプロ、これを完全民営化を断念してしまったら採用できると私は到底思えないということでございますので、リスク管理もそうなってくるとなかなか思うように前には進まないであろうというふうに考えております。  次に、郵便局で実施をするとされておりますユニバーサルサービスに関連してお伺いしたいと思います。  ゆうちょ銀行の経常利益は四千億円から五千億円であります。この四千億、五千億、大きいような数字でもありますけれども、百五十六兆円の国債ポートフォリオの価格がわずか〇・三%動く、そうしたらこの利益は消失してしまうというものでございます。〇・三%、価格ですから、金利ですと、もう〇・一%未満の動きで利益が消失してしまうということになるわけでございます。財投の時代に与えられた利ざやはもはや存在していないわけでございますし、反面、こうした運用ビジネスというのは、当然のことながらノーリスク・ノーリターンなので、安定した運用収益、投資収益などというものはあり得ないということになります。  政府が提出しています郵政改革法案によりますと、ゆうちょ銀行は、ユニバーサルサービスを提供する関連銀行としての役割を担うことというふうにされています。そして、関連銀行の役割は何かといいますと、簡易な貯蓄、送金、決済、こういうふうに書かれているわけでございます。この三つのことをやるために、どうして大きな国債のポートフォリオのリスクを取っていかなければならないのか、金利のリスクを取っていく必然性などは全くないだろうと私は考えているわけでございますが、その点どう思われるかということをお聞きしたいのと、今後、ゆうちょ銀行が先ほど述べましたように赤字になるかもしれない、実質的に破綻するかもしれない。そうしたときに税金を投入するおつもりなのか、それともユニバーサルサービスをあきらめてしまうおつもりなのか、その二点についてお伺いしたいと思います。
  127. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 今、中西先生御指摘のように、郵政改革関連法案においては、ユニバーサルサービスを日本郵政株式会社に担わせているわけでございまして、直ちに日本郵政株式会社が銀行業務を委託する立場にあるゆうちょ銀行、それから郵政改革後も銀行法が適用される、今さっき言いました一般銀行でございまして、同法の下でその業務の健全かつ適切な運営を確保する必要があると、こう思っておりまして、一般会社であるゆうちょ銀行がその資金をどのように運用するかは経営の責任において自主的に判断されるべきものであり、その運用は適切なリスク管理の下で行われねばならないと、こういうふうに思っております。  そういったことを考えながら、ユニバーサルサービスというのは、先生もう御存じのように、全国、もう離島、へき地、それから本当に山間部でも、明治以来、昔は三千三百市町村ございましたが、三千三百の市町村すべてに郵便、貯金、保険という最低限の、人間として、何というんですか、サービスを受ける機会が実はあったわけでございまして、そういったこともありながら、先生が御指摘金融上の問題もしっかり経営陣として認識しながら、やはりユニバーサルサービスを担っている社会としての安定性と申しますか、どんな過疎地にいても、やっぱり最低、日本人でございますから、であれば、やはり郵便局のサービスを受けられるということもきちっと保障されると申しますか、そういうモデルをつくらせていただいたわけでございまして、要するに、このような制度で日本郵政グループはユニバーサルサービスを安定的かつ継続的に提供していくことが可能だと、こう思っておりまして、そういったことも是非御理解をしていただきたいというふうに思っております。
  128. 中西健治

    ○中西健治君 今の点についてですが、ユニバーサルサービスを提供するのはどうなのかという問題ではなくて、こうした三つの役務を提供する銀行がどうしてこれほど過大なリスクを取らなければならないのかということについて私は質問したわけでございますが、それについては今ちょっとお答えいただけなかったということでございます。  次に、金融庁の行政監督の中に、アウトライヤー規制というものがございます。今日、資料三ページ目でございますが、ちょっと手書きで修正しているところもございますので、手書きで修正したものを見ていただきたいということでございますが、このアウトライヤー規制、金利リスクを過大に取らないようにということで、金利リスクの軽量化を行って、自己資本の二〇%以上ということにリスクがなった場合には金融庁の方で適切な指導を行っていくとされているものでございます。  そして、このアウトライヤー比率でございますけど、ゆうちょ銀行、二十二年三月末で二四%ということになっているわけでございます。二〇%を超えている。そして、ほかのメガバンクなどと比べると、突出した数字ということになっております。さらに、平成二十一年度から平成二十二年度にかけて、数値が上昇してしまっているという実態もあるわけでございます。  こうしたことについて、ゆうちょ銀行、どうしていくおつもりなのかということについてお伺いしたいと同時に、金融庁、ゆうちょ銀行に対しては特殊な事情があるのでこれについては指導を行わないようなことを言っているわけでございますけれども、指針として書かれているわけでございますが、先ほど来申し上げているとおり、ゆうちょ銀行、これだけ大きなプレーヤーなわけでございます。そして、地銀のように小さな銀行に対して規制を適用するのであれば、これだけ一番大きい参加者に規制を適用しないというのは全く理解ができないというふうに考えております。そちらについて、自見大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  129. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 今、中西議員が御指摘のように、ゆうちょ銀行のアウトライヤー比率は、同行のディスクロージャー誌によれば、平成二十年度は二二・一、平成二十一年度は今御指摘があったように二四・一五だというふうに認識をいたしております。  ゆうちょ銀行は、上記ディスクロージャー誌の中でも、当行は信用リスクが非常に小さいため金利リスクへの備えとしての自己資本、今さっき言いましたように先生も御指摘の八・四兆円ありまして自己資本比率は九〇%ということを申し上げましたが、金利リスクへの備えとしての自己資本は十分にありますので経営上問題はないというふうに考えているというふうにゆうちょ銀行側も説明をいたしております。  いずれにいたしましても、ゆうちょ銀行は郵政改革後も銀行法が適用される一会社、一般の企業、一般の会社となりますから、経営者の自主的な経営判断により健全経営の確保のために適切な取組がなされることを期待しておりまして。  もう一点は、ほかの銀行と比べてという話がございましたが、このアウトライヤー基準値がこれに該当する場合であっても、当銀行の経営が不健全であると自動的にみなされるものでなく、一つの銀行の健全性を表す当然大変、指標であるということはもう先生の御指摘のとおりでございますけれども、当局としては必ずしも直ちに経営を改善を求めるものではございませんし、ゆうちょ銀行についてはアウトライヤー基準の適用に際し、その特殊事情を勘案することになっているとの御指摘でございますが、これは郵政民営化法により郵政民営化前の定期性の預金見合いの資産について国債等の安全資産の保有が義務付けられていたことが、以前そういうことが義務付けられていた時代がございますので、によるものでございまして、ゆうちょ銀行の場合、同行のみに課せられた資産運用上の制約を勘案せずにアウトライヤー基準を機械的、画一的に適用するのじゃなく、同行の実情を踏まえた監督をしていくことが重要だというふうに思っております。  金融庁といたしましては、ゆうちょ銀行の金利リスクを含めた各種リスクの管理体制について引き続き今注意深くフォローアップしていきたいというふうに思っております。
  130. 中西健治

    ○中西健治君 時間が参りました。  今大臣がおっしゃられたとおり、ゆうちょ銀行は特殊な設置法ではなくて銀行法で律せられているところなわけですから、ほかの銀行と区別することなく厳しい適用というのをするべきであるということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  131. 中山恭子

    ○中山恭子君 たちあがれ日本・新党改革の中山恭子でございます。  菅総理は所信表明演説の中で、供給側が幾らコスト削減に努めても値下げ競争になるばかりでますますデフレが進んでしまいます、これでは景気が回復しません、供給者本位から消費者目線に転換することが必要ですと述べられました。私はこの考え方、どうしても得心がいきません。  今日は佐藤先生、西田先生、御発言がございましたし、また林先生の菅総理に対する消費性向と乗数効果の違いなどに対する御質問も思い出されるわけでございますが、現下のデフレ経済を克服し、持続的な成長路線に乗せていくためには、民間だけでは推進することのできない総合的、長期的な観点からの成長基盤への投資を政府が責任を持って行っていくことが重要だと考えております。  民間だけではできない分野について、政府が責任を負うべき課題は山積しています。にもかかわらず、政府が長期的なビジョンを示せていない、二十五兆円とも言われるデフレギャップを埋める具体的な施策を持ち合わせていない、それが今のデフレ危機の課題であると考えております。もし仮に、財政赤字が大きいゆえに政府がそうしたビジョンを示し、施策を打ち出すことができないのであれば、政府の施策の在り方を工夫し、また財源確保を工夫して施策を推進すべきであると考えます。  まず、政府が日本の未来のあるべき姿、国民が将来に向かって明るい希望を持てるビジョンを示した上で、そこから出発して今どのような経済施策を打ち立てるべきかを検討することが必要でございます。政府として将来に向けた長期的な成長基盤投資や社会インフラ整備のビジョンを示すことがこの長期にわたるデフレ克服に多いに貢献すると考えますが、野田財務大臣と自見金融担当大臣の御見解をお伺いいたします。
  132. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 現状における問題認識、危機感は、私は共有していると思うんです。菅総理もおっしゃっていますが、約、ここ二十年間、本当に閉塞感漂う社会になっています。特にデフレ、その影響は大きいと思います。  それを克服して元気な日本をつくっていこうということで、今年の六月に新成長戦略といういわゆる長期的なビジョンを策定をさせていただきまして、閣議決定をいたしました。その中身はるる申し上げませんが、グリーンイノベーションであるとかライフイノベーションであるとか、環境エネルギーの分野あるいは健康分野、こういうところに投資をしていくことによって日本の成長のエンジンをつくっていこうという趣旨になっています。  その具体化をしていくために今取り組んでいるのが、まずは経済対策三段構え、切れ目なくやっていくということで、向こう十年間のその戦略が新成長戦略でありますが、その初年度平成二十三年度予算編成でその新成長戦略本格稼働をさせていく。その前倒しとして今五・一兆円の経済対策をまとめて補正予算として御審議をいただこうと、そういう段取りになっているということでございます。
  133. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 中山恭子議員にお答えさせていただきますが、基本的には先生とまさに認識を同じくさせていただいておるつもりでございまして、一時、官から民へということで、何でも民間にすればいいんだということで、先生もう一番御存じでございますが、政策に関する、政策投資銀行と申しますか、そういうのもほとんど民間にしようという時代もございましたが、そういった、しかしながら、今先生が言われたように、民間ではやっぱり限界があるところがあるわけでございますから、そういった意味で、やはり、この前も、日本政策投資銀行、あるいは日本開発銀行時代より我が国の社会インフラ整備を金融面で支えてきた実績があり、引き続きインフラ整備に積極的に取り組んでいるものとしておりまして、少し、御存じのように、官の方に揺り戻しがあったということはもう先生御存じだと思いますが、また財政投融資、以前よりずっと小さくはなりましたが、政策的に必要性がありまして民間では対応困難な長期低利の資金供給や大規模超長期のプロジェクトの実施を可能としておりまして、いずれにいたしましても、こういった政策銀行の、公的な色彩の帯びた公的銀行をしっかり活用していくことも、今財務大臣も言われました、このステップ1、ステップ2、ステップ3と、こう申し上げましたけれども、そういったことをしっかり活用していくことも私は今のデフレ脱却の中では必要ではないかというふうに思っております。
  134. 中山恭子

    ○中山恭子君 三段階政策を取るというお話でございますが、その中で、特に経済対策の雇用に対する効果についてお伺いしたいと思います。  菅総理は所信表明演説でも雇用という単語を何度も使っていらっしゃいました。十月八日に、先ほどお話があったかと思いますが、決定された円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策は、財政支出規模五兆五百億円、GDPの押し上げ効果〇・六%、雇用創出・下支え効果四十から五十万人程度と言われておりますが、特に雇用に対する効果についていえば、その継続性や乗数効果はほとんど期待できないと考えられます。単発の対策であり、本当の意味での雇用対策にはならないと考えられます。緊急的な経済対策を行う場合であっても、長期的なビジョンの下、乗数効果のある雇用対策を行うべきと考えますが、財務大臣の御見解をお伺いいたします。
  135. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 経済対策の雇用創出効果というお尋ねだと思います。  今ステップ2のお話だけ今出ましたけれども、ちなみに参考までに、ステップ1の経済危機対応地域活性化予備費で九千二百億円、これ今実施中ですが、そちらの雇用創出効果が約二十万人ということで、それに加えて、今委員から御指摘があったとおり、今般のステップ2の経済対策で雇用創出・下支え効果は四十五万から五十万人程度というふうに見込まれています。  こうした確保される雇用をより継続的なものにしていくことによって国民生活の不安を取り除いて家計の所得につながり、ひいては消費につながるように、切れ目のない経済対策という位置付けの中で最大限努力をさせていきたいというふうに思います。
  136. 中山恭子

    ○中山恭子君 長期的なビジョンを持つという点で、前回の委員会で共同溝の御提案を申し上げました。例えば、電気、上下水道、ガス、通信網、ごみ等を一緒に扱う共同溝を日本のそれぞれの都市に整備し、町の景観を美しくしていく。海外から見ても美しく魅力がある、国際文化交流の拠点ともなるような美しい都市が日本各地ででき上がっていく。あわせて、住宅につきましても、これまでの一人当たりの生活面積を二倍、三倍に広げ、二世代、三世代が同居できる住宅政策を採用する。こうして住みやすい都市づくりをすることで核家族化の解消、ひいては少子高齢化にも資する豊かで住みやすい都市の総合的なインフラ整備の御提案を前回申し上げました。  私案としての提案にすぎませんが、明るい未来に向けて、またデフレ脱却の施策として御検討いただけたら幸いでございます。  次に、長期にわたるデフレ状況下における金融面での施策について伺います。  金融面から見ますと、日銀が総額三兆円の成長基盤強化を支援する資金供給を行い、九月の第一回の資金供給は、四十七金融機関、四千六百二十五億円とのことでございます。民間金融機関を通じた成長分野への資金供給に日銀が力を入れるのは大変よいことだと思っておりますが、その一方で、このように長いデフレ状況下では民間金融機関がリスクを取って活発な融資を行うことは難しく、民間金融機関はリスクを敬遠し、証券等を買ってしのいでいるという状態に陥っていると考えられます。  今回の成長基盤強化支援資金供給の規模は三兆円ですが、これに加えて、民間金融機関がデフレギャップ二十五兆円を埋める規模までリスクを取って成長分野への融資を拡大していくという姿はなかなか想像しにくいものであります。この状況下で、民融機関によって自律的に成長分野への融資が拡大していき、デフレギャップを克服することが可能だとお考えでしょうか、自見金融担当大臣の御所見をお伺いいたします。
  137. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) もう中山先生、本当御専門でございますけれども、株式会社日本政策投資銀行、また日本開発銀行時代より我が国の社会のインフラの整備を金融面で支えてきた実績がございまして、引き続きインフラ整備に積極的に取り組んでいるものと承知をいたしておりまして、この政策面におきましても、たしかこれは麻生内閣の一番末期だったと思いますけれども、日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案、それに対する参議院の財政金融委員会の附帯決議においても、その機能と役割の重要性を再認識した上で、改めて見直しに向けた検討を行うというふうにされておりますし、また、今財務大臣が申されましたように、本年六月に策定されました新成長戦略においても、政府金融機関等の活用により、リスクマネー供給の促進、成長戦略分野への重点的な資金供給が盛り込まれているというふうに承知をしておりまして、そういった意味で、今後、財務省を始め、この金融庁も関係がございますが、主管官庁において、民業の補完の原則に留意しつつ、新成長戦略をきちっと踏まえて、新成長分野に円滑なリスクマネーを含めて資金の供給を促進されるような必要な検討を行われているものというふうに考えております。  それから、先生が言われました共同溝でございますね。大変恐縮でございますけれども国民新党もこれは非常に大事だということで、特に亀井代表は、これはどこでも、どんな地域でもできますし、それから今円高で、共同溝を造るのも、先生も御存じのように、電力会社あるいはそういったところが主でございますので、特に円高の利益も入っておりますので、そういったことを含めて是非、もう既に一部具体化しておりますけれども、しっかりそういった先生の御意見もやらしていただければと思っております。
  138. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございます、お考えいただきまして。全国に美しい町ができてくるということであれば、大変好ましい状況が、デフレ対策にもなりますし、美しい日本という資産にもなりますので、有効な手段ではなかろうかと考えております。  また、今、金融面でのお話がありましたが、日銀による成長基盤強化支援資金供給も、円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策も、さらに元気な日本復活特別枠も、その一番大きな目的は、すべて日本の経済のデフレを克服し、成長路線に乗せる、それに尽きていると言えるかと思いますが、今のままでは、これまでの状態ではうまくいっておりませんし、今後の動きにつきましてもまだまだ足りていないように考えております。やはり、政府が責任を持って社会インフラの整備を強力に推進する、そのための資金供給は必要に応じ日本銀行に責任を持ってもらう、これが必要だと考えております。  余り詳しくお話しする時間はありませんけれども、今、自見大臣のお話の中にもありましたが、三つほど提案させていただきたいと思います。  まず第一は、日本政策投資銀行のもっと積極的な活用でございます。  既に、日本政策投資銀行は、日銀の成長基盤強化支援資金供給を利用した低利融資を四千億円まで拡大し、融資の分野を広げていくと報道されておりました。社会インフラの整備に関して、政府の一貫した長期ビジョンに基づいて日本政策投資銀行が融資の拡大を、更に大きく拡大していくことが可能ではないかと考えております。  二つ目ですが、財政投融資制度を更に積極的に活用するということはいかがでしょうか。  財務省は、来年にも財政投融資の効果を検証する新たな監査制度を導入すると報道されておりますが、今までの無駄を省く、それは極めて重要なことでございますが、無駄を省いた後そのままにしておいたのではまさしくデフレに陥ってしまいます。社会インフラの整備のための財政投融資を長期ビジョンに立って実施していくために、新しい財政投融資制度を考えることが必要ではないでしょうか。  第三に、PFI、官民ファンド方式を活用したインフラ投資を促進することでございます。  例えば、都市基盤としての共同溝整備であれば、広範な業種、産業の参加が期待できます。官民ファンドについては、PFI法改正の動きもあるようでございますが、こうしたものを活用して社会インフラを長期計画に基づいて整備する仕組みが考えられるように思っております。こういった考え方について両大臣の御意見を伺えたら幸いでございます。
  139. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 中山委員から三点の御提言というふうに受け止めさせていただきたいと思います。  まず第一点目は、政投銀をもっと活用すべきだという御意見でございますね。株式会社日本政策投資銀行というのは前身がいわゆる開銀、日本開発銀行で、委員の御指摘の社会インフラ整備には相当な実績を持っていると思いますし、そのノウハウと政投銀の持っている長期の資金の供給という強み、それをもっと遺憾なく発揮する場面はまだあるだろうというふうに思いますので、委員の御提言もございましたように、政投銀の積極活用、これは常に念頭に置きながら対応していきたいと思います。  それから、財投についての御指摘でございまして、御指摘のとおり、これまでは財投改革等でどちらかというと規模を少なくしていくようなことでございました。相当絞ってきてはいると思いますので、絞った後は、今度いかにこれをどう使うか、いかに有効に使うかということが大事ですし、特にこれ財投というのは、民間では困難な長期低利の資金供給とか、そういう役割、大規模、超長期のプロジェクトの実施とか、その役割というのは当然のことながらあると思いますので、有効に活用できるように、特に最近では羽田空港の再拡張事業などの融資で貢献できたと思います。そういう分野がまだまだあると思いますので、しっかりと対応をさせていただきたいと思います。  また、官民ファンド、PFIについても、これは積極的に活用するというのがこれからの流れだというふうに理解をしています。
  140. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 財務大臣基本的に今答えられたとおりでございますが、十二年前、私、郵政大臣を橋本龍太郎内閣の下でさせていただいておりまして、御存じのように、それまで財政投融資といいますともう第二の予算みたいになりまして、ここが一時、政府系の機関の無駄遣いの温床だというような、大変強い御批判もいただきまして、財投改革、財投機関債、財投債をつくるような仕組みに変えさせていただいた下働きを私させていただきましてね。  しかしながら、今こういったデフレになりまして、今財務大臣にもございましたように、この財政投融資は、まさに民間では対応困難な長期低利の資金供給、大規模あるいは超長期のプロジェクトの実施を可能とするものであって、今の時代に非常に、無駄なことはこれはいけませんけれども、ワイズスペンディングといいますか、非常にやっぱり社会のためにもなる、また経済の波及効果にもなる、そういった使い道もしっかり踏まえながら、今後とも、今財務大臣も言われましたように、日本政策投資銀行、あるいは財政投融資のいずれについても、社会インフラの整備を含め、真に政治的に必要と考えられる資金需要を踏まえて適正に、適切に活用されていくことが大事だというふうに、先生の御指摘のとおりでございますけれども、そのように私も考えております。
  141. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございます。  両大臣から、前向きと言っていいんでしょうか、積極的な御答弁をいただけたかと思っております。大いに御健闘いただけたらと思います。  さらに、そういった中で、社会インフラ整備の重要性を踏まえた政策金融の在り方についても見直しをしていく必要があろうかと思っております。  こうした施策を行う資金をどのように調達、供給していくかということを考えますと、政策金融の在り方が非常に重要であると思います。JBIC、日本政策投資銀行をより積極的に活用することが必要、野田大臣からはそのようなお話もあったかと思いますが、必要であると考えております。また、政策金融機関だけでなく、独立行政法人等の財投機関による融資業務をより拡大していくことも必要であると考えています。これまでの見直しは無駄を省くという縮小方向の施策だけであったように思いますので、新しい融資の取組、枠組みを示すことというのが足りていなかったと思っています。こうした観点から、自見大臣の御答弁にはもう入っていたかと思いますが、今後の政策金融の在り方について、財務大臣金融担当大臣、もう一度お考えをお願い申し上げます。
  142. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 政策金融の今後の在り方については、昨年六月の日本政策投資銀行法の一部改正する法律案、それに対するここ参議院財政金融委員会における附帯決議、こういうところで、その機能と役割の重要性を再認識した上で、改めて見直しに向けた検討を行うということとされておりますし、今年六月に策定された新成長戦略においては、政府金融機関等の活用によるリスクマネー供給の促進、成長戦略分野への重点的な資金供給が盛り込まれております。  こういうこれまでの経緯も踏まえながら、今後の見直しについては、民業補完の原則に留意しながら、いかに成長分野へ円滑に資金が流れるかという観点から見直しを図っていきたいと思います。
  143. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) もう中山先生の御指摘のとおりでございまして、もう今財務大臣から基本的なことが御答弁になりましたので。  やっぱり日本は、官と民とのベストバランスといいますか、それぞれ状況において、非常に景気のいいとき、あるいは新しい分野をどんどんどんどんダイナミックに広げていくときは民の非常に金融機関というのは必要でございますし、しかしながら今は、もう先生が御指摘のように、デフレからなかなか脱却できないと。そういった前で、なかなか民間ではリスクマネーを取りにくいというふうなこともございますから、そういったときは、きちっとやっぱり官と民とのベストバランスで、私は少し口幅ったいことを申しますと、明治以来、百五十年前から、やはり戦後、六十五年前、国破れて山河ありと、焼け野原の中から今日の日本をつくってきたのは、やはりその時代その時代にきちきちっとやっぱり官と民とのベストバランスで日本人の優れた英知をもって今日ここまで来たわけですから。その点お互いに、官は官のいいところ、民は民の優れた特徴があるわけですから、そこら辺をきちっとやっぱり政治家、先生方の御指導をいただきながら使い分けていくことが必要ではないかというふうに思っております。
  144. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございます。  先ほど西田委員から、日本の金融機関に百四十兆円の資金がたまっているというお話がありました。これをいかに引き出していって有効に使っていくかということが大きなテーマであろうかと思います。そのときに、やはり政府が責任を持った、長期的なビジョンも持って積極的な施策を出していくということが非常に重要であろうと考えておりますし、それを行えばこの長期のデフレも克服することが十分できると考えております。やはり消費性向と乗数効果の違いということをしっかり認識していただけたら、自然にそういった政策が打ち出されてくるものであると考えております。  今日は大変積極的なお考えも伺えまして、日本の現在の政策には、長期的な日本の将来像、重点といったものを国民に示すことが欠けているということが言えようかと思っております。長期的な日本の将来像をまず示し、そのためにどのような対策を今打つべきかを考えることがデフレ脱却につながってまいります。そのための財源、方法、手段については、考えられることを総動員して、ためらうことなく検討し、実施していただけたらと考えております。  今年、国家公務員試験を受ける大学生向けの財務省のポスターのキャッチフレーズは、理想の日本をつくる、財務省だと伺いました。今求められるのは、まさに理想の日本、明るい未来に向けてどうあるべきかを考え、論じることであろうと思っております。両大臣には、そのような観点からしっかりした対策を取ってくださるということを期待いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  145. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 午後二時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      ─────・─────    午後二時開会
  146. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  147. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党の大塚耕平でございます。  初めての与党質問でございますので、少し頭を切り替えて質問をさせていただきたいと思います。  とはいえ、今日は愛知先生、そして佐藤先生、西田先生、荒木先生、中西先生、中山先生、大変中身の濃い質疑を午前中聞かせていただきました。多少意見に違いはあっても、問題意識は共有している部分が多々ございまして、是非国会でのこの質疑政府政策にしっかりと反映されていくという健全な委員会是非一緒に目指していただければ有り難いなというふうに思っております。  そもそも今日は西田さんにお答えいただくわけにはいかないんですが、西田さんの御質問あるいは佐藤さんの御質問を多少引用しながら、少し冒頭、私の方から考え方を述べさせていただきたいと思うんですが。まず、与野党関係なく我が国経済が短期的にもあるいは構造的にも大変厳しい状況に置かれているという認識は共有をしているというふうに思っております。その上で、西田委員がリーマン・ショック後の動きについていろいろ付言をされましたけれども、ちょっと私の方から共有をしていただきたい事実を少しお話をさせていただきたいんですが。  リーマン・ショックが起きたときには私どもは野党でございました。ただし、参議院は既に多数派になっていたわけでありますが。したがって、リーマン・ショック直後、自民党の大重鎮であられる大野功統先生とか柳澤先生から、この局面は与野党一致して経済対策を行わなくてはいけないという御相談を受け、私どもも例えば金融対策も含めて、例えばあの金融機能強化法をもう一回改正して復活させるべきだとか、いろいろ御提案を申し上げて、そしてあの一連の経済対策につながっていったということは是非御理解をいただきたいと思います。その上で、補正予算の中身とかあるいはその規模について若干の意見の食い違いはあったかもしれませんが、しかし、切れ目のない景気対策が必要だということで今日まで来ているわけでございます。  そこで、皆さんのお手元には、大臣政務官のお手元にもこういうグラフを一つお配りをしてございますけれども、このグラフは、私が初当選以来議論をさせていただいた歴代の総理大臣財務大臣には全員その都度更新してお見せをしたグラフでございます。これは二〇〇八年ぐらいまでですので、今更にリバイスすると、若干また、このいったん下がりかけている折れ線グラフが右の方に少し上がっている状態だと思いますけれども。横軸を見ていただきますと、これは西暦なんですね。細かいことは申し上げませんが、この折れ線グラフが高ければ高いほど我が国財政は相対的に厳しい状況にあるというわけでありますが、真ん中は、急に財政状況が悪くなっているこの局面は一九四五年でございます。そして、現在の財政状況は、グラフの形状的には一九四五年当時よりも厳しい、ないしは、もう今は国債市場がちゃんとできておりますので単純にこの高さだけでは比較できませんけれども、大変尋常ではない状況であることだけは事実でありますので。歴代の総理、財務大臣にはこれを御覧いただいて感想を伺ったわけであります。私の記憶では、小泉総理にお伺いしたときには、小泉さんは沈黙をされました。どう思われますかと聞きましたら、ううんとおっしゃって、うなられた記憶が私はあるんですけれども。  そこで、こういう状況の中で、西田委員が午前中に幾つかおっしゃっていただいたアイデアや御提案について、若干私なりの問題提起を、大臣に御質問させていただく前提としてちょっとお話をさせていただきますと、例えば預貸率が非常に低くて我が国には百四十兆の資金が余っているという、これは私も前、金融担当をやらしていただいた立場上そのことは大変私も危惧しているんですが、しかしこの百四十兆というのはキャッシュで銀行に残っているわけではなくて、百四十兆でもう既に国債を買っているわけなんですね。したがって、要は銀行のバランスシート上、預金より貸出しの方が低いのでその差額の部分は預証率という形で有価証券になっていますから、ただ、有価証券じゃなくてもっと貸出しに回したらどうだという意味での百四十兆というのは確かに私も何とかしなきゃいけないと思っているんですが、純粋にその百四十兆部分で国債を買えるということにはなかなかならないかもしれないというのがお話を承っていて気が付いた点であります。  それから、デフレ対策を何とかしなきゃいけないということなんですが、これも全くそのとおりなんですが、実はこのグラフ上、デフレは九五年から始まっているんです、大体。そして、このグラフの形状を御覧いただくと、一九九〇年ぐらいのころに少しグラフが下がっていますが、これはもう皆様方には釈迦に説法でございますが、バブルによって一時的に税収が増えて、昭和六十三年の赤字国債発行ゼロ達成して一時的に財政状況が良くなった。しかし、バブル崩壊でそこから九〇年代に、十三回ですか、補正予算を組んで、財政赤字が膨らんでいった過程ですね。ところが、その間もう既にずっとデフレなんです。  ということは、なぜデフレかということについて、今申し上げたデフレはずっと続いているというのは二点目。今度、三点目は、だからこそ政府財政出動するときに、九〇年代と同じ支出の仕方をしていたら九〇年代は現にここまで財政を悪化させてもデフレは解消しなかったわけですから、どういう使い方をしたらいいのかというところが、多分この辺から西田さんと私の少しスライスとフックの差が出てくると思うんですけれども。  例えば、乗数効果の話出ました。乗数効果は、確かに教科書的に言えば、一は下回らないんです。ところが、例えば、全く一以上にならない財政出動をした場合、確かに最初財政出動の支出を受け取る方々にとっては一の効果があるんですけれども、その財政分は、これは機会費用を使っていることになるんですね。つまり、百億円使ってダムを造ると、本当はそのダムが造るときには百億の価値があってもそれ以上の価値を生まない、乗数が一のときには。じゃ、その百億で、例えば他の成長産業、例えばEVとかFCVの技術開発に使うとかということをやると、このEVとかFCVが輸出財になって、マクロ経済のメカニズム上、更に景気を良くしていくというプラス効果もあるかもしれないので、その使い方についてはやはりしっかり国会議論をして、それを政府に参考にしていただく必要があるというふうに私は思っております。  以上、ちょっと午前中の議論を踏まえて少し私なりの考え方を述べさせていただきましたが、その上で、まず、これは私のこだわりでございますが、私のこれ恒例でありますので、財務大臣にこのグラフを御覧いただいて、日本の財政状況について感想と認識についてお伺いをしたいと思います。
  148. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) まずは、今までの御質問、お話を聞いておりまして、午前中こっちの答弁席にいていただければ相当助かったなというふうに思いました。  その上で、このグラフを見ての感想ということなんですが、これ明治政府以来ずっと統計を取ってきている中でのこういう歴史的な経緯を一覧できて大変勉強になります。  今の財政状況というのは、特にさっきリーマン・ショック後のお話ございましたけれども、その後の実体経済への影響が非常に甚大であって、当初、平成二十一年度、税収見込みが四十六兆円だったものが、いっときは三十六・九兆になるんじゃないかと。最終的には税収、上振れもしましたが、四十兆には満たない。ということは、要は国の財政運営が税収よりも借入れによって成り立つと。平成二十二年度もその余波で、税収見込み三十七・四兆で国債発行四十四兆という、そういう状況の中での財政運営を行っています。  という厳しい状況は、このグラフがどうっと上がる一九四〇年代の半ばと同じであって、かつて統計を取った中では、税収よりも借入れに頼ったという、分母を税収で分子を借入れにした場合一〇〇%を超えたというのは、日露戦争のときでもないし大恐慌のときでもなくて一九四六年と。これは御案内のとおり、日本が戦争に敗れて産業も、国民生活がぼろぼろになった、そのときの財政状況と今はほとんど類似をしているということでございますし、ストックベースで見ても、結果的には、これ二〇一〇年度末は国と地方の債務の長期の残高が八百六十二兆円、対GDP比一八〇%ということで、主要先進国の中では最悪の水準という厳しい財政状況であるということであるというふうに認識をしています。
  149. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。  そこで、私自身、国会議員の一人としてどういう立場かといいますと、私は経済成長と、そしてこういう財政状況の下で財政健全化というのは、これは両立をさせなければならないという立場でございます。まだ前の職場である日銀におりましたころに、小渕元総理の二兎を追う者一兎を得ずという議論がありました。財政再建か、あるいは経済成長か。そして、あの小渕さんは世界の借金王というふうに言わば明るくおっしゃって、経済成長を優先するという形で運営をされたんですが、確かにどちらがより重要か。財政健全化だとおっしゃる方、経済成長だとおっしゃる方、あるいは両立だとおっしゃる方、私は、明確に両立がもう我が国状況においては不可避の選択肢だというふうに思っている立場でございます。  その上でお伺いをするわけでありますが、当然、同様の財政に対する危機感は自民党、公明党を始め各党の皆さん、お感じになっていただいていると思います。特に自民党皆さんにおかれては、そういう御認識の下で財政健全化責任法案という、今そういうものをお作りいただいていると思っているんですが、政府も六月に閣議決定をいたしまして、財政運営戦略というものを出しているわけであります。  そこで、政府財政運営戦略と自民党皆さんがお作りになった財政健全化責任法案との相違点について、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  150. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 大塚委員指摘のとおり、六月に財政運営戦略を閣議決定をさせていただきました。その中身は、基礎的財政収支、プライマリーバランス、これ、対GDP比を二〇一五年までに二〇一〇年度分の半分にするということ、そして二〇二〇年までにはプライマリーバランス、これを黒字化をしていくということによって、二〇二一年以降に債務の残高が安定的に縮減をしていくという、おおむね十年をにらんだ財政健全化の道筋であって、途中で三年ごとの中期財政フレームが入っているということでございますが。  その我々のまとめた財政運営戦略と第百七十四国会に提出された自民党財政健全化責任化法案、恐らくこの国会でも御提出があるかもしれませんけれども、問題意識については、財政健全化を進めて、そして内外の信認を確保しなければならない、この問題意識は共有されるものだというふうに思いますし、中身においても、先ほど申し上げたような財政健全化の目標数字で掲げていることと、それからペイ・アズ・ユー・ゴー原則を導入をしている、税制の抜本改革の実施など、主要な内容についても共通をしているというふうに思います。  あえて相違点を挙げるとするならば、双方に財政健全化目標について、国、地方合わせた目標を出していますが、民主党の、民主党というか民主党を中心とする今の政権財政運営戦略は国のみの目標も設定をしているということ。それから、さっきちょっと申し上げましたけれども、中期財政フレーム三年間を財政運営戦略では位置付けていますが、自民党案では五年間の中期計画を定めることとされ、かつ国会承認を受けることとされている点、あるいは税制の抜本改革に関し自民党案では超党派協議の場を設置する旨も明記されている点等があります。  ただ、先ほど申し上げたように、問題意識とか主要な項目についてはかなり共通をしているというふうに思いますので、仮に自民党から法案が提出をされた暁にはしっかりと受け止めてまいりたいというふうに思います。
  151. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今大臣から御説明いただきましたように、大枠はかなり接点があります。調整すべき点は、例えば今の中期計画の年限、自民党さんの案は五年、政府の案は三年だとすれば、まあ間を取って四年とは言いませんけれども、これは歩み寄れない点ではないと思いますので、是非、もちろん政府と野党の皆様方というだけでなくて、この委員会でも議論をして、この委員会での議論が合意点を見出せるような形になれば国会としての存在意義もあるものというふうに思います。  また、財政健全化の目標も、今大臣おっしゃいましたように、自民党の皆様の案は国、地方合算の目標でありますが、政府の方は国のみの目標も設定しているということは、これは差引きすれば地方は出るわけでありますので、要は自民党皆さんが合算ベース目標を立てるときに、合算だけじゃなくて、国と地方もそこはちゃんと目標を明確にするというふうに御納得いただければ、それはそれで前進できる点でありますので、是非財政健全化は国会議員全員にとって共通の課題だというふうに私も思っておりますので、御協力をいただきたいというふうに思っております、特に西田委員に御協力いただければ合意が近いのではないかなというふうに思いますが。  大臣がお触れにならなかった点で税制の抜本改革というところが若干のその違いがあるかもしれないなと思いますが、その自民党の皆様方の案は、自民党政権で最後の税法の改正やったときの附則の百四条の消費税の問題がありまして、その問題も含めて税制の抜本的な改革を行うための法制措置を講ずる上での超党派の協議の場を設置すべきだというふうになっておられまして、政府財政戦略の方は協議の場までは書いていない。ただし、税制の抜本的な改革は必要だと言っていますので、これもやりようによっては十分歩み寄れる点だと思います。  そこで、ちょっともう一度グラフに目を落としていただきたいんですが、当然、自民党皆さんあるいは連立であられた公明党の皆さんも、この間、財政再建の健全化の目標は何度も何度も繰り返しお作りになられた。そして、九〇年代、税制の抜本改革ということは何度も何度もおっしゃってチャレンジをされたわけでありますが、結果なかなか思うようにいかなかったということかと思います。  そこで、財政の健全化は先ほど申し上げたとおりなんですが、税制の抜本改革、これはよく使われる言葉で、税制のみならず、ほかの分野でも何かにつけてすぐ抜本改革というふうによく我々は言うわけでありますが、ほかの分野はともかくとして今日は税制の抜本改革について大臣にお伺いしたいんですが、一体その税制の抜本改革とはこれは何を意味しているのかということについて、現時点でのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  152. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 我が国経済、社会、財政、大きな波に今もまれていると思うんですが、一つは人口減少と高齢化の同時進行という大きな波、それからグローバル化の急速な進展、さらに国内格差の拡大、雇用環境の変化、巨額な財政赤字の累増、こういうような課題に直面をしています。  こういう課題に対応し、克服していくために税制の改革を行っていくということが税制の抜本改革の私は意義だと思っていまして、昨年度税制改正大綱でも、「厳しい財政状況を踏まえつつ、支え合う社会の実現に必要な財源を確保し、経済・社会の構造変化に適応した新たな税制を構築することは、新しい国のかたちを作るために必要不可欠」、こういう書き方をさせていただいております。  その上で、税制の抜本改革に必要な視点として、午前中も愛知理事とも議論をさせていただきましたけれども、納税者の視点に立った公平、透明、納得の原則に立つということ、支え合いのために必要な費用を分かち合うこと、税制と社会保障制度の一体改革、グローバル化への対応地域主権の確立、こういう五つの視点から抜本改革を行っていこうという趣旨が書かれております。  既にもう党の中で、民主党の中で、藤井元大臣を座長として、社会保障の全体像をつくって、そこに必要とされるサービス、水準、内容を決めて、それに見合った形で消費税も含む税制の抜本改革を行うという調査会ができました。そういう議論も踏まえながら抜本改革を行っていきたいというふうに考えています。
  153. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。  愛知委員税制について御質問いただいて、この税制というのは本当に、これが合意できるかどうか、抜本改革について合意できるかどうかというのがその前段の二つの相違点を埋めるためのポイントでもあると思うんですが。  私は、ちょっと私個人の統治構造についての認識を申し上げますと、確かに民主党も今度PTができて、税と社会保障の抜本改革に向けた検討をいたします。他党の皆様方も当然そういう御検討をされると思うんです。しかし、税とか歳出、つまり徴税権と歳出権というのは、これは政治学の定義上、国家権力の源泉なんですね。つまり、税を集めてそれをどう配分するかというのが国家権力の源泉であるとすると、この税と配分について国権の最高機関である国会がどのように関与していくかということが大変重要なことであって、憲法上国会の定義は出てきますけれども、政党というのは憲法には出てこない。つまり、国権の最高機関である国会をどのようにマネージしていくかという一つの手段として今は政党政治というものが行われているわけでありますので、統治構造上憲法に明記されている国会が国家権力の源泉である、歳出の方は取りあえず今おいておいたとしても、税制について国会議論した内容をどのように時の与党に反映し、時の野党の皆さんにも賛成をしていただくかということを国会努力をしなかったら一体どこがこれをやるんだろうかという思いを個人的には持っております。  したがって、民主党民主党として、自民党自民党、あるいは他党の皆様方もそれぞれ、もう抜本改革、まさしく先送りできませんので、しっかりそれぞれ御議論いただくと同時に、実は衆議院財務金融委員会と参議院はこの財政金融委員会のこの場において税制の抜本改革について議会としてのコンセンサスをつくるということが私は個人的には大変重要なことだと思っておりますので、そういう方向で個人的には努力をしてまいりたいと思いますので、御賛同いただける先生方にはそういう方向で御議論を賜りたいと思います。  感想というか御所見をもし大臣にお伺いいただければ幸いでございます。
  154. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 元々、イギリスで議会が発祥したときというのも税金をどうするかというところから基本的には大きな仕事としてスタートしていますので、国民生活に直結する税の在り方を国会で活発に御議論いただいて、実は今日の午前中から質疑の中でも、ううんとうなるような御質問いっぱいありました。そういうことをしっかり踏まえてやっぱり対応していくということがとても大事だというふうに思っております。
  155. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。是非、前向きに議会の議論政策に反映されるように努力をしたいと思います。  次に、あと十分でございますので、もう一つ違う質問をさせていただきたいんですが。今日は金融庁、経産省、農水省の皆さんにおいでいただいておりますが。  国会の役割という意味でいうと、私も野党を八年やらせていただいて、与党を一年やらせていただいて、今十年目に入りました。私どもが野党のときの与党の先生方はどのようにお感じになっていたか分かりませんが、野党時代、この場で議論させていただいて、あるいは予算委員会議論して、いろいろ指摘をさせていただいたり御納得をいただいたことがなかなか政府政策に反映していかないというこのジレンマは感じていました。  それで国が別にうまく回っているんでしたらいいんですけれども我が国は決して今順風というわけではないという認識はみんな共有しているわけですから。ということは、財政状況を良くするためにも国の成長につながるような諸施策は合意ができたものはどんどん前に進めると。もう、もはや省益とかあるいは特定の方々の既得権益に拘泥して成長の障害になるようなことはあってはならない局面だと思っているわけであります。  そこで、民主党のというか、今の政権の成長戦略の中に盛り込まれた総合取引所という、金融、証券、商品を一体化した総合取引所を早くつくろうという、このことについて質問をさせていただきます。  実は、この総合取引所は、自民党、公明党の皆さん政権を担っておられた平成十九年の経済財政諮問会議でも取り上げられて、総合取引所の設立に向かって動き始めたんです。しかし、その後、非常にざっくり申し上げると、だんだんフェードアウトしていった感がありますので、これは与野党関係なく、我が国の取引所の存在というのは大変世界の中で小さなものに今なりつつあります。あるいは、今後も更にシェアを奪われるリスクもある中で、ここは何とかしなくちゃいけないという考えから今の政権の成長戦略の中にも入りました。  例えば、日本では穀物の取引所はもう本当にマージナルな存在になっておりますが、中国の取引所で例えば米が上場されたときに、米の先物価格が中国で決まっていくというようなことになることの我が国への影響等を考えますと、いろいろやらなければならないことはあろうかと思います。  そこで、今私なりの問題意識は申し上げましたが、金融庁、経産省、農水省、それぞれに、既に成長戦略に盛り込まれて線表も固まっているこの総合取引所の問題について、まず現在の取引所の現状と問題点を御列席のこの委員会委員の皆様に御説明いただきたいのと同時に、その総合取引所の現在の検討状況について併せて一括してそれぞれにお伺いをしたいと思います。
  156. 和田隆志

    大臣政務官(和田隆志君) 金融庁を担当します和田でございます。まず、トップバッターとして金融関係のお話をさせていただきたいと思います。  先ほど大塚委員のお尋ねでは、この金融、それぞれたくさんございますけれども、取引所の現状と問題点をどう考えるかという御指摘でございました。御存じのように、この日本国内には東京証券取引所始め各所に取引所がございます。それぞれ個別に申し上げるのはかなりまた細かな内容にもなり時間も掛かりますので、大きく日本の金融資本市場について現状をどのように考えているか御説明させていただきたいと思います。  先ほど大塚委員の御指摘のように、この数年間、今まで世界第二位の残高規模を誇ってまいりました日本の証券市場でございますが、実はいろんな、規模はまだ維持しつつも、国際的な評価が次第次第に相対的に低下しつつあるという危惧は金融庁としても持っております。  ちなみに、民間会社の国際金融センターとしての競争力比較というのがよく使われているのでございますが、二〇〇九年の三月の評価の時点では十五位まで転落してしまったようなこともあり、今ようやく少しずつ戻してきている現状ではありますが、やはりここら辺で本当に本腰を入れて金融市場を活性化しなければという思いを持っております。  先ほど御紹介ありましたとおり、大塚委員はその当時政府にいらっしゃったわけですが、その政府の成長戦略の中に金融というものを将来の成長産業としたいという意思を持って盛り込ませていただいたのが御紹介のあった総合的な取引所の創設という概念でございます。今までは金融仲介機能として資金を各企業群に供給するというところの機能が重視されてきましたけれども金融産業そのものを成長させて、日本の将来の成長を担うということにしていきたいという思いを持ってこれから取り組んでまいりたいというふうに考えています。  そこで、現状を見渡しますと、いろいろな世界各国の取引所がございます。当然ながら金融の取引所もございますが、後から御説明があると思いますが、商品関係の取引所もございます。世界を見渡してみますと、必死にこの数年間しのぎを削って効率の良い取引所をつくり、世界からのお客様を呼び込むということを考えていらっしゃるようで、一つには、そういったことをやろうとすると先端的なシステム投資が掛かるということもありまして、今まで個別に取引所がそのシステム投資などに取り組むのではとてもコスト感覚なかなか見合わないということもありまして、世界では統合が進んでいるというのが潮流でございます。  日本におきましてこの現状を見渡すに、数年前に法改正がありまして相互乗り入れが可能となっているわけでございますが、やはりここは、法的な概念として申し上げると、金融商品という概念を規制します金融商品取引法、そして穀物や工業品等を要するに概念しますが、商品というものを規制します商品取引法、こうした二つの法制があり、それぞれに基づいて取引所が設立されている現状でございますが、こうしたところを更に日本全体として成長を担う産業に押し上げていくためには一緒になっていくということも一つの案ではないかというふうに考えております。  先ほどおっしゃいましたとおり、戦略の中に盛り込みましたので、これから先具体的な作業をさせていただければと思っておりまして、実は今回、今月中には統合的な取引所を創設するための検討チームというのを立ち上げさせていただきまして、今日いらっしゃっておられますが、農水省、経産省の副大臣政務官クラスの方々にもお入りいただきまして、一緒にどういう方策がベストかということを検討させていただき、年末までには中間報告を取りまとめ、そして必要となれば年始以降の通常国会の方に皆様への法案審議をお願いしたいというふうに考えております。今のところ、まず作業チームを立ち上げるところでございます。  以上です。
  157. 深野弘行

    政府参考人深野弘行君) 今御質問の件、お答えいたします。  まず、今の我が国の商品取引所の状況でございますが、経済産業省関係では、東京工業品取引所と中部大阪商品取引所というのがございまして、ここで鉱物資源等の工業品の取扱いを行っております。これにつきまして、平成十五年度までは取引高が順次増えておりまして、この関係、取引高を枚というふうに勘定するんでございますが、平成十五年度には一億二千百万枚ということでございました。それが平成二十一年度には四分の一、約四分の一の二千九百七十五万枚に減少しているということで、大変厳しい状況にございます。  この背景は、今の経済事情だけではなくて、やはり取引システムの高度化などが後手に回ったとか、あるいは競合する投資商品がいろいろ出てきて、その中で魅力ある商品の開発がうまくいかなかったと、あるいは過去にいろんな勧誘トラブル等も多かったと、そういったことも複合的に絡んでいるというふうに考えております。  しかしながら、この商品先物市場というのは公正で透明な価格形成の場としてやはり産業にとってなくてはならないインフラというふうに私ども考えておりまして、そういった点から何とか活性化をしたいということでございます。そのために取引時間の延長とかいろいろ取り組んでおりますけれども、残念ながらまだ現状うまくいくところまで行っておりませんで、いろんな金融商品等を垣根なく取り扱える総合取引所というのはもうこれ一つそういったことを打開する有力な手だてになり得るものだと思っておりまして、金融庁、農水省とともに検討を進めていきたいと考えております。
  158. 松木けんこう

    大臣政務官(松木けんこう君) 農林水産省としましては、もうお二人の話と大体同じなわけでございますけれども、東京穀物商品取引所というのがあるんですけれども、市場の大きさですね、ピーク時は、平成十五年、先ほど枚という話をしましたですけれども、同じように三千五百七十八万枚ぐらい平成十五年のときにその市場の規模というのはあったんですけれども、今は、平成二十一年度は四百五十一万枚ということですから、マイナスの八七%、ほとんど死んでいるみたいな話でございますね。ですから、いろんなシステム統合だとか合理化をしていかなきゃならないというふうに思っている次第でございます。  あとのことはいずれも前の方々と同じことでございまして、新成長戦略、これ六月十八日に閣議決定したことでございますので、こちらの方にのっとって我々もしっかり頑張っていきたいというふうに思っております。
  159. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございました。  前政権でも提言をされ、現政権も計画に盛り込んだことの重み、そして国会議論されていることの重みを受け止めていただいて関係省庁には迅速な御尽力をお願いをして、質問を終わらせていただきます。
  160. 金子洋一

    ○金子洋一君 お疲れさまでございます。民主党の金子洋一でございます。  大変お忙しいところお時間をいただきまして、ありがとうございます。野田大臣そして櫻井大臣、G20の蔵相そして中央銀行総裁の会議の前に、白川総裁にもおいでをいただきまして、ありがとうございます。  まず、円高とデフレの問題につきまして、これまでの皆様方の質疑と極力重ならない形でお尋ねをさせていただきたいと思います。まず、円高とデフレのメリット、デメリットということにつきまして、具体的な例でちょっと考えてみたいと思っております。  消費者にとって円高、デフレはメリットであると、一方で生産者にとっては大変厳しい状況になるというふうに一般に言われております。その具体的な例をちょっと挙げさせて、また野田財務大臣に御質問をさせていただきたいんですけれども、酒税の関係で、酒類の新ジャンルと呼ばれるビールに似たものがございます。これがいろいろな名前で呼ばれております、ビールですとか発泡酒、あるいは新ジャンルでリキュール系というような名前がございまして、それがビールの中ですと、麦芽の含有量で一般には酒税の額が決まっておるというふうに承知をしております。ところが、その新ジャンルの中でリキュール系と申しますものがございまして、これは麦芽が五〇%未満のものにちょっと、何というんでしょうか、スピリッツを混ぜたというようなものでございまして、こちらは非常に税率が安くなっておるということでございます。  何が今起きているのかというふうに申しますと、この円高の状況を利用をいたしまして、主に韓国製なんですが、プライベートブランドでそうした新ジャンルのリキュール系のビールに似たものが大量に輸入をされ始めました。大体価格で申しますと三百五十ミリリットルのもので八十円から九十円ということですから、自動販売機で売っているジュースよりも安い、そういった値段になっております。その結果、非常な人気を博しまして消費者には受け入れられている。ところが、日本国内のビール関係の会社を見てみますと、その巻き添えを食いまして、折からの不況の中で販売量も減ってしまって、工場を閉鎖をしたり解雇をしたりということが現実に起きているわけであります。  これ、ビールに類しましたビールの仲間の酒税の区分といたしまして、麦芽の含有量を基準として課税をするということが行われております。これはEUの諸国でもそういった課税の方法だそうでありまして、麦芽の含有量が多ければ多いほど風味が豊かである、含有量が多い方が税金が高い、少なくなると安いということなんですが、このリキュール系と言われるもの、麦芽含有量が五〇%未満で、そこにスピリッツを足すことによってほかのものよりも随分とその税額が、酒税の額が安くなっておるというところがございます。  これは、麦芽の含有量で酒税の額を決めていくという、少なくともこれまでの酒税の在り方から見て随分とおかしな形になっていることもあります。これが言わばその税制のゆがみをついて輸入が大量に行われているというふうに私には受け取られるわけでありまして、そこのところの是正ができないものか、あるいはまた、そういったことを大局的な見地から御覧をいただいて酒税の見直しをしていただけないかというふうに思っております。  この点につきまして、財務大臣お答えをお願いをできればと思っております。
  161. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 御質問どうもありがとうございました。  私ども財務省、酒税をいただく立場ということもあるんですが、たまたま今政務三役どなたも酒税をよく納めている方が多いものですから、先般そういう議論、たまたまでありますけれども、今御指摘の新ジャンル商品について議論しました。御指摘のように、今の円高の影響で、消費者にとってはプラスかもしれませんが、八十円台でジュースよりも安くアルコールが買えるということはいいのかなとか含めて、ちょっといろんな議論をさせていただきました。  委員がおっしゃるような問題意識はよく分かります。業界にも、あるいはそこに働いている皆さんへの影響もあると思います。消費者にはプラスかもしれませんが、いろんな影響があると思いますので、これから税調においても酒税、大きな議論のテーマになっていくと思いますので、議論をさせていただきたいと思いますが。  二十二年度税制改正大綱では、この酒税の在り方について一定のちょっと方向性は出しています。それは、類似の酒類については、基本的に致酔性の観点からアルコール度数に着目をした税制とすることを検討という一定の方向性は出ていますが、今こういう新しい事態も起きていますので、しっかりと税調の中で議論をさせていただきたいと思います。
  162. 金子洋一

    ○金子洋一君 財務大臣、どうもありがとうございました。是非とも、国内の様々なメーカーから悲痛な声が上がっておりますので、お酌み取りをいただければと考えております。  さて、円高、デフレの具体例といたしまして、今リキュール系のお話を挙げさせていただきました。消費者にとっては少なくとも短期的には歓迎すべきことでありますけれども、生産者にとっては大変厳しいという状況になっております。実際に、九月の十五日に財務省が、一日の規模としては恐らく史上最大でありましょう、二兆円という規模で為替介入を行われました。そのタイミング、大変驚きましたけれども、その当時かなりの効果を上げたと私は思っております。  しかしながら、その後経済産業省から公表されました円高の影響に関する緊急ヒアリングでは、一ドル八十五円の円高が半年続いた場合には、大体六一%の企業が生産拠点を海外に移したりあるいは海外生産の比重を増やすという決断をしなければならないというふうに言っておるところであります。ちょうど先ほど申し上げましたように、工場を閉鎖をする、あるいは解雇をするということが現実のものとして我が国の中で起こってしまうというわけであります。  この円高、デフレに対して、例えば二〇〇三年から二〇〇四年にかけまして総額で三十五兆円の為替介入が我が国政府で行われたわけであります。その再現をもちまして円高対策にしようという声もあるわけでございますけれども、やはり今世界各国の状況を見てまいりますと、これからG20の財務大臣・中央銀行総裁会議でもまさに議題となるであろう通貨安競争といったものに陥るのではないか。あるいは、実際には通貨安をねらったものではなくても、それを第一義的にねらったものではなくても、そういうふうに外国から言われてしまうんではないかというおそれもありますので、なかなかそうしたことは取るわけにはいかないんだろうと思います。  そこで、そうした為替介入以外の手段につきまして、ちょっとお尋ねをさせていただきたいと思っております。  まず、二〇〇八年からのリーマン・ショック以来の円高ドル安につきまして、政府、日銀のそれぞれの政策に原因の一端があるのではないかと、そのように考えておりますので、これは日銀の白川総裁、そして櫻井大臣にお尋ねをしたいんですが、それぞれお答えをいただけないでしょうか。
  163. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  リーマン・ショック後の為替市場の動きを見ますと、金融システムの状況、あるいは米国経済の先行きなどに対する市場の見方の変化を反映しまして為替レートは変動をしております。思い起こしてみますと、リーマン・ショックの直後、これは欧米金融システムへの不安が高まる中で、日本の金融システムは相対的に頑健性を維持しました。その下で円高が進みました。  一方、例えば今年の春を考えてみますと、米国経済の先行きに対して、我々からしますと、やや楽観的かなと思われる見方が市場関係者の間で広がりまして、そうしたことをバックにしまして、今年の前半はむしろドル高円安方向の動きでございました。  それから、この夏場以降を考えてみますと、この夏場以降、特に為替の問題についていろんな議論が高まっていました。この八月、九月、それから現在に至るこの動きを改めて振り返ってみますと、この間どの通貨が一番上がったかなというふうに見てみますと、これ、資源国あるいは新興国の通貨、例えばオーストラリア・ドル、これは大変に上がりました。今、一九八三年以来の最高値を付けていますし、それから新興国の代表でもありますブラジルのレアル、これも大変に上がりました。  一方、いわゆる安全通貨として、スイス・フラン、それから日本円もこれは買われました。それからユーロにつきましても、七月の半ばごろまでは例の金融システム不安でユーロは売られましたけれども、その後、ストレステストを無事通過しまして、結局ユーロもかなり上がってまいりました。  こうやって見てみますと、下がったのは、主な通貨ではこれはドルだけであります。言わばこれ、ドルの全面安ということでございます。これは、特にこの七月以降、それから八月に掛けて強まりました米国経済の先行きに対する不安感の強まり、これがドル安という形でいろんな通貨にそれが反映したということでございます。  私が申し上げたいことは、為替市場で為替レートはいろんな要因を反映して動きますけれども、一番大きいことはやはりそれぞれの国の経済の強さ、弱さ、あるいは金融システムの状況、こうしたものを反映して変動をしていくというのがこれは基本的な動きだろうというふうに思います。  ただ、いずれにしましても、日本銀行としましては、円高が経済に与える影響については非常に注意して見ております。そうしたことも十分に踏まえまして、先般強力な金融緩和を更に強めたというわけでございます。
  164. 櫻井充

    ○副大臣櫻井充君) 今、白川総裁から御答弁がございましたが、大きな流れについてはそのとおりだろうと思っています。  リーマン・ショックの後は、やはり住宅バブルの崩壊によってアメリカ経済が大きな打撃を受けた。それからもう一つは、証券化商品等の問題があって、金融システムにも大きな影響があったからこういう流れになっているんだろうと思っているんです。ただし一方で、その影響で日本経済はどうなのかといいますと、現時点で、少しずつ回復基調にはあるものの、リーマン・ショック以前まで戻っているのかというと、必ずしもそうではございません。  ですから、我々から見れば、日本の経済状況も決していいわけではないんですが、ほかの国々と比較したときには、これは投資家や、それからそういった、投機と言ったら怒られるのかもしれませんが、そういうマネーの動きはどうもまだ日本経済の方がいいんではないだろうかと、そういう考え方に沿って今のようなことになってきているんではないのかなと、そう思っています。  ただ、一点非常に面白いと思っているのは、ちょっとこれはこれから研究しなければいけないと思っていますが、以前はそういう形で動いていたものが最近はどうも日米の金利差などが影響してきているんではないかと、そういう見解もございますので、この点についてはこれから勉強させていただきたいと、そう思っております。  それから、その中でやはり政府としては財政政策を打って出るしかないんだろうと、今そう考えておりまして、午前中のところでも野田大臣から御答弁ございましたが、九千二百億円の予備費の活用、そして現在、補正予算、これから提出させていただきますが、そして二十三年度予算と、切れ目ない形で財政政策を打っていきたいと思っています。  そこの中で、今ちょっと予算の査定をさせていただいていてちょっと気が付くことがあります。それは何なのかというと、ずっとその財務省の方々が査定をやってこられている中で、それからこれは自公政権下でもずっと様々な対策が打たれているにもかかわらず、なぜこれだけ長期間回復基調に乗っていかないんだろうかということをこれは真剣に考えないといけないことではないのかと思っているんです。  そういう意味で、例えば成長戦略で港の整備が必要なんですと、そうあるんですが、港湾局長と話をすると、東京やそれから大阪などのハブ港をどうするんですかと言うと十年後か十五年後だという話になってしまっているんですね。こういったところに、午前中、中山委員からも御指摘がありましたが、例えば財投マネーをうまく使って整備をもう少し前倒しできないんだろうかとか、それから、予算措置の中でも各省様々な同じような項目予算要求が出てきているものをもう少し整理できないんだろうかと。そうして、そういった整理を行った上で、いわゆる成長産業と言われるところにもっと多くの予算を付ける等、五年後ぐらい、若しくはある程度のスパンを持ってこうやって成長していくんだという絵をかいた上での予算措置をやる必要性があるんではないかと思って、今財務省として検討させていただいているところでございます。
  165. 金子洋一

    ○金子洋一君 どうもありがとうございました。大変に大きな視野に立ったお話をちょうだいをいたしまして、ありがとうございました。  また、ただ、これは白川総裁の御答弁の中にありましたけれども、簡単に言うと、経済の強さの差と金融システムの頑強性、頑健性で我が国の円が高くなったというふうに理解させていただいたんですが、ただ、その二〇〇八年の九月以降の、例えば鉱工業生産指数の動きを見ますと、この金融危機の発信源でありました米国の鉱工業生産指数の落ち方は大体一五%、一方で、我が国の場合は恐らく三〇%をちょっと超える程度落ちてきたと思います。そういったことが二〇〇八年中に起きたと。ということを考えますと、果たして経済の強さという意味で日本の方が米国より強かったのかということになりますと、大いに疑問ではないかと思います。  さらにもう一点、金融システムの安定性と頑健性ということでございますけれども、確かに、二〇〇八年九月以降、FRBはバランスシートを二・五倍に年末までに大きくいたしました。その二〇〇八年中は余り金利の付かないもの、資産が買いオペの対象でしたから、その当時のFRBの政策というのは、まあ言わば信用緩和だったと思います。ところが、二〇〇九年の二月か三月ごろから金利の付く資産を買うようになった。具体的に申しますとMBSですけれども。といったことになりますと、FRBもバランスシートの大きさはそのままにして、二〇〇九年の三月以降は言わば量的緩和に移ったんではないかなと思います。となれば、二〇〇九年の三月以降は、金融システムの安定性という面でも我が国と米国の差というのは余り大きくなくなってしまったんではないかと。  それでも引き続き、特に二〇〇九年の三月以降においても円高の基調、つまり二〇〇八年の九月の以前は円・ドルレートで申しますと百十円あるいはもうちょっとあった。ところが、それから二〇〇八年の十二月辺りには九十円ぐらいになったと。そういった傾向がずっと続いていたというのは、経済の強さあるいは金融システムの安定性ということだけでは説明ができないんではないかと思います。  やはりここは、例えば国際金融の教科書など見てまいりますと、長期的には購買力平価で決まるんだということでありますから、購買力平価で決まっていくと見ていった方がいいのではないかなと思います。となりますと、今の円高ドル安を直す、つまり長期的に有効な手段というのは、やはりデフレから脱却するしかないわけであろうと思うわけでありますが、その点につきまして、またこれも白川総裁にお尋ねをさせていただきます。  六月の金融政策決定会合で成長基盤強化のための新貸出制度を実現をされたということでありまして、ただ、その会合の中で複数の委員が資金供給以外にも成長基盤強化の方策を検討する必要があるというふうに御発言をされていたようであります。資金供給以外にもというところがやや引っかかるんですが、成長基盤を強化するということでありますと、これは産業政策であろうと思います。私の理解では日本銀行の業務というのは金融政策に限定をされていると思いますので、こうした成長基盤強化の方策の実施というのは日銀法のどこに根拠があるのか教えていただきたいと思います。
  166. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  現在、日本経済が直面している問題、これ、様々な問題に直面しておりますけれども、一つは物価安定の下での持続的経済成長経路にできるだけ早く復帰するという、これは言わば循環的な問題、それからもう一つは人口の減少あるいは生産性上昇率の低迷ということに起因しました潜在成長率の趨勢的な低下傾向と、この二つでございます。  この二つは、一つは循環、他方は中長期的というふうに取りあえず私今説明いたしましたけど、実はこの中長期的な問題が循環的なデフレの問題にも大きな影響を与えているというふうに思います。つまり、趨勢的に潜在成長率が下がってまいりますと、人々は将来自分の所得が増えていくというふうにはやっぱり自信が持てないわけでもあります。そうなりますと、当然みんな支出は抑制するということになってまいります。そういう意味で、私はデフレの問題の根源にある問題はこの日本経済の趨勢的な潜在成長率の低下だというふうに思っております。  この潜在成長率をそれではどうやって高めていくのかということは、これはもちろん、直接的にはこれは日本銀行の仕事ではございません。何よりも民間の企業が一生懸命努力をする、それからそうした企業を政府が環境面で支えていくということが、これはもちろん基本であることは十分に承知しております。  そういうふうに申し上げた上で、それでは日本銀行はこの面でやるべき仕事が全くないのかというふうに問いを立てますと、これは日本銀行の持っている手段でもってすることで役に立つことがあればそれはやっぱりやっていく必要があるというふうに判断いたしました。これだけデフレの問題が大きな問題だというふうに認識している以上、そうしたことをやっぱり考えていくと。  その場合に、日本銀行の法律の上でそれは何条で読めるのかということでございますけれども、日本銀行法の第二条で、物価安定を通じて国民経済の健全な発展に資するという金融政策の使命にこれは合致しているというふうに思います。それから、業務という面では、これは具体的に日本銀行が行います業務を日本銀行法の三十三条で具体的に規定しておりまして、その条項に則して私どもは行っているという理解でございます。
  167. 金子洋一

    ○金子洋一君 ありがとうございました。  今のお話を伺っておりますと、一点私も思うところがございますけれども、循環的な部分と中長期的な潜在成長率の問題と、潜在成長率を上げるためにこの成長基盤強化のための政策を取っておられるんだという御説明で、それは誠におっしゃるとおりだと思うんですが、ただ、デフレ克服、デフレ脱却という観点から見てまいりますと、中長期的な問題よりも短期的な問題の方が大きいのではないかとおっしゃる方の方がむしろ例えば学問の世界でも多いんではないかと思います。  ですから、今の白川総裁の御説明、私には、経済が常に均衡状態にあると仮定をすれば、潜在成長率を上げるということでデフレ脱却ができるんだということで、それは正しいと思うんですが、今均衡状態にないんだと、むしろ均衡状態にない短期的な出来事の方がインパクトが大きいんだと考える方々の方が学界も含めて多いんではないかと思います。  となりますと、やはりそういった金融政策の方にも全力投球をしていただかなければならない、今おっしゃったその潜在成長率の問題以外にも全力投球をしていただかなければならないということになると思うんですが、去る六月に閣議決定をされました新成長戦略で、景気回復の継続が予想されるフェーズⅠにおいて、物価については、デフレを終わらせ、GDPデフレーターで見て一%程度の適度で安定的な上昇を目指すこととされております。  まず第一点として、そのGDPデフレーターで見て一%程度の上昇ということで、これを中長期的な物価安定の理解から見てどうお考えになるのかということが第一点。そしてもう一点は、このGDPデフレーターで見て一%程度の安定的な上昇を実現をする具体的な方策はどのようなものを考えていらっしゃるのかということをお尋ねをしたいと思います。  もちろん、先ほどの成長基盤強化ということが日銀の所掌の中に落ちるということでありましたならば、当然、物価という問題はまさに所掌中の所掌でございますので、その点十分御認識をいただいた上で御答弁を願えればと思います。
  168. 白川方明

    参考人白川方明君) 日本銀行も含めて、中央銀行の金融政策目的、これは物価の安定を通じて持続的な経済の発展に貢献していくということでございます。  その場合、その物価というのを何で測っていくのかということでございます。物価情勢は、もちろん単一の物価指数を見てこれですべて分かるということではございませんけれども、しかし、一般の国民の方から見て最も分かりやすい物価の指標は何なのかというと、やはりこれは消費者物価指数だというふうに思います。先進国の中央銀行それから新興国の中央銀行も含めてほとんどすべての中央銀行が基本的には消費者物価指数を基に金融政策説明しているというふうに理解しております。  この消費者物価指数で見た物価の安定ということについて、もう委員よく御存じのとおり、日本銀行は中長期的な物価安定の理解という形でその数値的な定義も明らかにしておりまして、消費者物価指数の前年比で見て二%以下のプラス、中心値は一%という上昇率を念頭に置いて金融政策を行っております。  それで、GDPデフレーターでございますけれども、GDPデフレーターもこれはこれで情報価値のある物価の指標の一つだというふうに思っております。ただ、GDPデフレーターにつきましては、これは、例えば原油価格が上がっていく、あるいは国際商品市況、食料品の値段が上がっていくというときにはGDPデフレーターはこれは下がっていくと、逆の場合にはまた逆だということ、これも一例ではございますけれども国民の方とのいろんなコミュニケーションを図っていく上ではなかなか説明のしにくい指標であることもこれは多くの中央銀行が認識しているわけで、だからこそ消費者物価を使っているわけでございます。  ただ、いずれにしましても非常にはっきりしていますことは、物価の安定を目指してしっかり努力していくということ、これは私どもとして肝に銘じるところでございます。  もう既に御存じのことではございますけれども、先般も包括的な金融緩和政策ということで一段と強力な金融緩和を打ち出しました。日本銀行としては、先ほどの分類でいきますと循環的な問題としてのこのデフレ、この問題にも金融政策面で最大限の努力を現に続けていますし、これからも続けていきたいというふうに思っております。
  169. 金子洋一

    ○金子洋一君 ありがとうございました。  まさにその包括的な金融緩和政策の中で、ある文言についてお尋ねをしたいと思うんですが、「「中長期的な物価安定の理解」に基づき、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続」という表現がこの(2)の中にございます。大変いい、これは財金の部門会議の中では日本銀行の方がこれはコミットメントをしたんだという御説明をいただきましたけれども、これまでの金融緩和の中で、こうしたその安定が展望できる状態になった云々というような類似の表現はなかったでしょうか。そして、そのときにはどのような結果になったんでしょうか。そして、その政策判断の評価についてもお尋ねをしたいと思います。
  170. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えをいたします。  委員指摘のとおり、日本銀行は今回を含めまして三回、今コミットメントという言葉を使われましたけれども、そうした時間軸政策を採用いたしました。  一回目は、一九九九年から二〇〇〇年に実施しましたいわゆるゼロ金利政策ということでございます。当時はデフレ懸念の払拭が展望できるまでこうした政策を続けますということを発表いたしました。二回目は、二〇〇一年三月から実施しましたいわゆる量的緩和政策の時期でございまして、このときは消費者物価指数、除く生鮮食品のベースで見て前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまでこの政策を続けますということをコミットする、約束をしたということでございます。それで今回三回目ということで、先ほど委員がおっしゃった政策を発表いたしました。  こうしたいわゆる時間軸政策の評価、特に学問的な評価ということについてはいろんな研究者が行っておりますけれども、そうした研究の成果と、それから私ども金融政策決定会合での議論、これを総合しまして私なりの評価をいたしますと、この時間軸政策が一番効果を発揮するのは、景気が本格的に良くなっていくというときに、この約束があることによって現在の低金利がまだ続くということが最後背中を押していくわけでございます。  今、これは日本銀行もそうですし、ほかの先進国もそうですけれども、景気の状況、これは力強さが今ないわけでございます。回復はしていますけれども、緩やかな回復でございます。そういうときに現在の低金利が続くということは、これはある意味で、みんなそういう金利が続くんだろうなというふうに思っているわけでございます。そういう意味で、この効果に関する評価という意味では、景気がこの後持ち上がっていくときに、その段階でより大きな効果が発揮されるものだというふうに理解をしております。
  171. 金子洋一

    ○金子洋一君 ありがとうございました。  ゼロ金利のときと量的緩和のときだということでありますけれども、ちょっと私のお尋ねの仕方が悪かったのか、そこから脱出をするときの、言わば出口戦略を取ったときのタイミングと、その結果がどうだったのかということをお尋ねをしようと思ったんですが。  例えば、ゼロ金利政策のときでしたら、デフレ懸念の払拭ということが展望できる情勢になるまでという速水総裁の御発言があって、実際にゼロ金利政策から離脱をしましたのが、これが二〇〇〇年の八月になりますが、では、その二〇〇〇年の八月にはデフレ懸念の払拭ということが展望できるようになっていたんでしょうか。その点についてお答えいただきたいと思います。
  172. 白川方明

    参考人白川方明君) 金融政策決定会合では、その時点その時点で利用できる情報、これを基に将来を予測し、政策を行っているということでございます。その時点でデフレ懸念の払拭ということが展望できるというふうに判断をしてゼロ金利政策を解除したというふうに理解をしております。  もちろん、経済のその後の展開ということは、これはこのときに限らず、いつも新しい情報が入ってまいります。あのときでいきますと、世界的なITバブルが崩壊をし、その結果、世界経済全体として、もっとその後は非常に厳しい状況になったということは、そのとおりでございます。この点につきまして、これは当時、日本銀行に限らず、欧州中央銀行、FRBも共に、世界の重立った中央銀行はいずれもそうした世界経済の落ち込みということをその夏の時点で織り込んだわけではなかったということはそのとおりでございます。  私としましては、過去のいろんな政策、いろんな政策の判断、それからその後の経済の推移、そうしたことをそれぞれ自分なりに反省の材料にもし、将来に生かす材料として、今度のこの政策についてもまた生かしていきたいというふうに思っております。
  173. 金子洋一

    ○金子洋一君 済みません、やや抽象的なお答えなんですが、じゃ具体的にお尋ねをいたしますけれども、その二〇〇〇年の八月の時点で、消費者物価指数の動きを見て、それは継続的にプラスになっておりましたでしょうか。
  174. 白川方明

    参考人白川方明君) 金融政策の効果、これが発揮されるのは、これは一年半あるいは二年、場合によってはもっと長いというのがこれは一般的な理解であります。  つまり、金融政策の効果波及は時間が掛かると。つまり、その時点での物価上昇率、それだけで判断するとこれは金融政策を誤るというのが、これが教訓でございます。直接の御質問に対するお答えではないかもしれませんけれども、例えばバブルのときもそうですけれども、いろんな金融危機のときに足下の物価上昇率、これは非常に安定している、しかしそれが二年たち三年たつと非常に大きな不均衡をもたらすと。  そういう意味では、この時点でのポイントはデフレ懸念の払拭が展望できるかどうかという判断であったというふうに理解、認識しております。その時点ではデフレ懸念の払拭が展望できるというふうに判断したというふうに認識しております。
  175. 金子洋一

    ○金子洋一君 今のお答えを日本語として解釈をさせていただきますと、もちろん御存じのように、二〇〇〇年の八月の時点では消費者物価指数は継続的に前年同月比でマイナスを続けておりましたことは、総裁よく御案内のことだと思います。前年同月比でマイナスをずっと続けていたにもかかわらず、しかも物価の安定ということが日銀の最大の政策目的であるのにもかかわらず、その時点でデフレ懸念の払拭が展望できたとおっしゃっているわけですね。
  176. 白川方明

    参考人白川方明君) 繰り返しになりますけれども、物価が経済に対する、景気に対する、これは全体に遅れて反応する、そういう指標でございます。したがって、物価の将来を見通していくというときには、例えば設備の稼働率がどうか、あるいは雇用情勢がどうか、そうしたことを総合的に判断してかなり先の物価を予測するわけでございます。足下の物価が今マイナスであるということ、その一点だけでもしございますと、足下の、例えばこれはバブルのときも足下の物価は、これはマイナスもございました。  したがって、私は足下の物価、これはこれでもちろん大事ですけれども、それ以上に大事なことは、この後物価の軌道がどういうふうな軌道になっていくかということでございます。今回、私どもの発表の中では、先々の経済・物価情勢を展望して、で、物価安定を展望できると、そうした姿を展望できるかどうかということを強調して発表しておりますけれども、それもそうした趣旨によるものでございます。
  177. 金子洋一

    ○金子洋一君 おっしゃることが正直申し上げまして分かりません。  これ、一九九九年の四月十四日の日銀総裁、速水総裁だと思いますけれども、デフレ懸念が払拭されたと判断するときの条件は何かという記者からのお尋ねに対して、条件と言われても困るが、この辺は、私どものいわゆる長年の経験や専門的な見方で判断できると思っているとおっしゃっています。  その判断というのが、足下の物価が長らく前年同月比でマイナスを続けている、それなのに、今後これは必ずプラスになりますよと言われても、まさに市場とのコミュニケーションもできませんし、先ほど総裁はGDPデフレーターを使うと一般の方々に分かりにくいとおっしゃいました。GDPデフレーターよりも消費者物価指数の方が分かりやすいとおっしゃいました。いや、私には、そういうことの分かりやすさよりも、足下のCPIが継続的にマイナスを続けているのに何でデフレ懸念の払拭と言うことができたのかということの方がよっぽど分かりにくいと思うんですが。それが一般の企業人やあるいは御家庭の皆さんの感覚ではないでしょうか。  これでデフレ懸念の払拭ができたとおっしゃられても、そして消費者物価の動きを見て判断をしましたとおっしゃっても、これはどこで判断をなさったのかと。消費者物価指数を御覧になるとおっしゃっていて足下がずうっとマイナスだと。別に消費者物価指数の動きを見ても上の方を向いてきません。  そういったことを踏まえてまいりますと、なかなかこうしたことを、包括的な金融政策につきましてコミットメントをなさったんだ、信じてほしいと言われても、これはやはりだれも信じてくれないんじゃないかと思います。特に、海外から今我が国は投資を求めなければならない状況にあります。それに、海外の皆さんに対して、そういった、日本語ではこういうふうに解釈するんですよと言ってだれが理解をしてくれるんでしょうか。私はそこは全く納得いきませんし、またこの問題につきましては引き続きお尋ねをさせていただきたいと思っております。  以上でございます。どうもありがとうございました。
  178. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時十五分散会