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2010-11-11 第176回国会 参議院 国土交通委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年十一月十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十月二十八日     辞任         補欠選任      外山  斎君     川崎  稔君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小泉 昭男君     理 事                 藤本 祐司君                 室井 邦彦君                 佐藤 信秋君                 吉田 博美君                 長沢 広明君     委 員                 池口 修次君                 川崎  稔君                 小見山幸治君                 輿石  東君                 羽田雄一郎君                 平山 幸司君                 藤原 良信君                 安井美沙子君                 米長 晴信君                 岩井 茂樹君                 岡田 直樹君                 伊達 忠一君                 中原 八一君                 脇  雅史君                 渡辺 猛之君                 白浜 一良君                 上野ひろし君                 藤井 孝男君                 吉田 忠智君    国務大臣        国土交通大臣   馬淵 澄夫君    副大臣        国土交通大臣  三井 辨雄君        国土交通大臣  池口 修次君    事務局側        常任委員会専門        員        櫟原 利明君    政府参考人        海上保安庁長官  鈴木 久泰君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○国土整備交通政策推進等に関する調査  (尖閣諸島沖での中国漁船衝突事案映像流出  に関する件)  (社会資本整備に対する基本認識に関する件)  (北海道局役割に関する件)  (鉄道建設運輸施設整備支援機構特例業務  勘定の利益剰余金に関する件)  (平成二十二年度補正予算における観光振興関  連予算に関する件)  (領海警備に係る法整備在り方に関する件)  (海上保安庁保有船艇等の更新に関する件)     ─────────────
  2. 小泉昭男

    委員長小泉昭男君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十月二十八日、外山斎君が委員を辞任され、その補欠として川崎稔君が選任されました。     ─────────────
  3. 小泉昭男

    委員長小泉昭男君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国土整備交通政策推進等に関する調査のため、本日の委員会海上保安庁長官鈴木久泰君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小泉昭男

    委員長小泉昭男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 小泉昭男

    委員長小泉昭男君) 国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次発言を願います。
  6. 川崎稔

    川崎稔君 おはようございます。民主党川崎稔です。  本日は、当初の予定ですと、公共事業に関していろいろと御質問をさせていただこうと思っておりましたが、昨日、大きな動きもございましたので、尖閣衝突ビデオ流出事件について質問をさせていただきたいというふうに思っております。  海上保安庁の方で、十一月の五日から那覇の第十一管区海上保安本部あるいは石垣海上保安部職員を派遣されるなど、内部調査を行ってこられました。そして、十一月八日に、被疑者不詳のまま、国家公務員法違反不正アクセス行為禁止等に関する法律違反等の容疑で警視庁及び東京地検刑事告発を行ったというふうに聞いております。  まず、それまでの経緯について簡単に御説明をいただきたいと思います。
  7. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) お答えいたします。  海上保安庁におきましては、今月の五日午前一時ごろ、インターネットへの映像流出という事態を察知いたしまして、私も直ちに登庁いたしまして幹部と協議いたしましたし、それから馬淵大臣にも秘書官を通じて直ちに御報告をして、事実を徹底的に究明するようにというような指示も受けまして、その日の朝の石垣行き第一便、六時二十五分の便でありますが、それで担当官二人を直ちに派遣いたしまして、それから更に六名を追加して合計八人で、第十一管区海上保安本部、これは那覇でございますが、それと石垣海上保安部において、土、日も返上し、厳正かつ徹底的に映像管理状況等について調査を行いました。  それで、流出した画像は、衝突事件直後に石垣保安部那覇地検の要請により各巡視船が撮影した画像の中から必要な部分を抽出して、これを編集して那覇地検に提出した画像がありまして、それとほぼ同一の画像であるということは判明いたしました。ただ、流出した経緯については特定するに至りませんでした。特に、パソコンのデータ解析等には膨大な作業を要しますので、このまま内部調査を続けても限界があるということで、八日午前十一時ごろ、警視庁及び東京地方検察庁刑事告発をいたしまして、刑事手続として徹底的に調査するということをお願いしたわけでございます。  現在は捜査当局による捜査が続けられておりますが、私ども海上保安庁としては、これに全面協力して事実関係の究明に努めてまいりたいと考えております。
  8. 川崎稔

    川崎稔君 そういう流れの中で昨日、大きな動きがあったわけですが、十一月の十日、昨日ですね、第五管区海上保安本部神戸海上保安部主任航海士の方が自分映像を流出させたと名のり出て、現在取調べ中という報道流れておりますが、昨日の一日の経緯について、流れについて、事実関係を正確に説明をしていただきたいというふうに思います。  ちょうど昨日、衆議院予算委員会の方で長官の方が説明をされておられましたが、当日起きた事件ということで、多分、事実関係を正確に把握されるまで時間も掛かられたんじゃないかと思います。そういう意味では、その本人告白、あるいは鈴木長官への報告馬淵大臣への報告、あるいは菅総理大臣への報告について、だれから、いつ、どのように行われたのか、正確な事実関係をよろしくお願いいたします。
  9. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) お答えいたします。  昨日午前九時ごろ、第五管区海上保安本部神戸海上保安部所属巡視艇「うらなみ」の乗組員が、明石海峡付近航路哨戒中の同船内において、船長に対し、自分映像記録を流出させた旨申し述べをいたしました。そのことは、午前九時半ごろ第五管区海上保安本部長から私に携帯電話で、取りあえず速報という形で報告がありまして、その巡視艇明石海峡付近からこれから神戸港の方へ向かって入港させるというふうな報告が伝わりました。  ただ、これは今捜査過程の問題でもありますし、まだ真偽がしっかりと確認されたわけでない、巡視船の、しかも業務中の洋上にある巡視船の中での出来事の話でありますので、この時点では公にするような話ではありませんので、私も馬淵大臣に九時四十分ごろ取りあえずの第一報を入れまして、詳細はしっかり確認をいたしましてまた報告いたしますということで、速報だけを入れました。  その後、午前十時から衆議院予算委員会が開催されまして、馬淵大臣も私もこの事件の関連で全部出席をすることを求められておりましたので、十二時まで出席をしておりました。その間に当該巡視艇が十一時ごろ神戸港に入港し、それから十二時過ぎにその申し出た本人巡視艇から下船をして、その神戸港にあります神戸第二地方合同庁舎、これは五管本部神戸保安部が入っておる建物でありますが、合同庁舎ということでほかの行政機関も入っておりますが、その庁舎内で事情聴取を受け始めたということの報告が私に対して、昼休み予算委員会が十二時から十三時まで昼休みでありましたので、その昼休み最初のころにございました。  この事情聴取が開始されたという事態は、これはしっかりと公にせにゃいかぬ事態でありますので、大臣にも直ちにまた報告をし、それから官邸にも秘書官を通じて報告をし、それで、午後一時からの衆議院予算委員会冒頭で私から説明すると、そういう申し出た人間がいて今事情聴取を受けているという取りあえず状況を御報告させていただいたわけでございます。  同人に対しては昨日の夜まで事情聴取が行われておりましたが、その後、終了したという報告は受けておりません。  以上でございます。
  10. 川崎稔

    川崎稔君 今のお話で確認をさせていただきたいんですが、官邸には、予算委員会昼休み時点で、本人、御本人事情聴取を受けているという事実の時点報告をしたということでよろしいですか。
  11. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 先ほど申し上げましたとおり、最初船上本人が申し出たという段階はこれはまだ事実が不確定な状態でありまして、しかも捜査中の案件でありますから、これは余り公にする案件ではありませんので、官邸にも、一部ごく限られた内々の情報みたいなのは行っておったかもしれませんが、私はちょっと予算委員会に入っておりましたので詳細は報告受けておりませんが、正式に官邸報告したのは、十二時過ぎの時点事情聴取本人が受け始めたということで、これは公にすべき段階だなということできちっと報告をし、それで午後一時の予算委員会冒頭で私から御説明するということになったわけでございます。
  12. 川崎稔

    川崎稔君 そうしますと、九時四十分の時点馬淵大臣に第一報を入れられたということなんですが、済みません、ちょっと、大臣の方から官邸の方には特に何かその時点ではお伝えになっていますか。
  13. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 今長官が発言されましたように、九時半ごろに長官がその連絡を受けたということについて、私、四十分ごろだったと思いますが、一報を受けました。ただ、これにつきましては、捜査中における一次情報ということでございますので、無用な混乱を招く可能性もあるということでございますので、これを私は受けて、その後、予算委員会に十時から出席ということでございました。  事情聴取という段階で、これは昼休みに入ってからでありますが、具体的に捜査機関による事情聴取が始まったという情報は、これはもう確実に、これは任意でありますが、取調べが始まったということでありましたので、その旨は秘書官を通じて官邸に上げております。
  14. 川崎稔

    川崎稔君 それと、本件についてたしかマスコミでの報道、第一報流れたときというのは、十二時過ぎにテレビ速報流れました。それは私も国会の中にいましてテレビで拝見したんですが、海上保安庁として、この情報についてマスコミの方への公表といいますか、どの時点発表をされたのか、あるいは発表前にもうそういうふうに報道として情報流れたのか、その点はいかがでしょうか。
  15. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 海上保安庁からは一切発表したという情報は聞いておりません。
  16. 川崎稔

    川崎稔君 そうしますと、例えばこの件について、どの時点海上保安庁として例えば公表するというふうな想定は特にされてはいなかったということですか。
  17. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 先ほどお答えいたしましたように、十二時過ぎの時点事情聴取が始まったということを私が予算委員会昼休み中に聞きまして、その時点でこれは公表すべき段階だなということを判断いたしまして、午後一時からの予算委員会冒頭で御説明させていただいたと、それが私どもとして公表させていただいた段階であります。
  18. 川崎稔

    川崎稔君 それと、昨夜のテレビ報道を拝見していますと、当該保安官が昨日の船上での告白より以前に民放のテレビ局との間で何度か直接接触をされておられたようなニュースが流れておりました。  その報道によりますと、巡視船船上告白をされた後、神戸に帰港されるまでの間に御本人からテレビ局の間に電話連絡が複数回行われているということが報道流れていたんですが、これあくまでも事実確認なんですが、御本人船長告白をされた後帰港されるまでの間、そういうふうに自由に外部とのやり取りできるような状況だったのか、その点についてお願いいたします。
  19. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 申し訳ありませんが、私は承知しておりません。
  20. 川崎稔

    川崎稔君 特に海上保安庁として、そういう、何といいますか、事態を受けて、どういうふうにしろというふうな指示をされたわけではないんですか。
  21. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 先ほど申し上げましたように、私は十時から予算委員会に十二時まで入っておりまして、その間は最初一報を受けただけで、あとは断片的な情報を受けるだけでありましたので、そういう詳細のところは確認してございません。
  22. 川崎稔

    川崎稔君 非常にちょっと時間が余りないんで。  今回、第十一管区の問題がこういう形で第五管区の方から映像が流出した疑いがあるという状況になっているわけですが、たしか内部調査では第十一管区、あるいは石垣海上保安部を対象に行ったということですね。そうしますと、こういう状況に至った以上、ほかの管区も含めて海上保安庁全体として何らかの実態調査なり内部調査を行うというおつもりはございませんか。
  23. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) ただいま捜査当局による捜査が行われておりまして、私どもはこれに全面協力する体制でおりますが、捜査過程を通じて明らかになるものと考えております。
  24. 川崎稔

    川崎稔君 確かに捜査中の事案であり、例えば大臣長官も御発言限られるというところもあると思うんですが、大臣に最後に私の方からお伺いしたいのは、組織のトップとして情報管理機密管理在り方をどのようにしていくのか、そして何よりも現場で御苦労をいただいている海上保安官皆さんの士気をいかに維持していくのか、現時点での所感をお聞かせいただきたいと思います。
  25. 小泉昭男

    委員長小泉昭男君) 馬淵国土交通大臣、簡潔にお願いいたします。
  26. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 今回、海上保安庁職員が関与したとして事情聴取を受けるということにつきましては、重大な事態が発生したというふうに認識しております。また、この捜査によって実態が明らかになると承知しておりますが、故意に情報が流出されたとすれば、これはあってはならないことと、このように思っておりまして、私自身は、昨日、鈴木長官に対しまして、情報管理を改めて徹底させること、そしてこの捜査に関して捜査当局に全面的に協力すること、さらに現場職員、今も二十四時間この勤務に精励しております、こうした中で職員がしっかりと職責を果たし業務に精励することと、この三点を指示いたしたところでございます。長官からは、本庁各部、さらには全管区海上保安本部等緊急通達が発出されたと承知をしております。
  27. 川崎稔

    川崎稔君 終わります。
  28. 藤原良信

    藤原良信君 民主党藤原良信でございます。ありがとうございます。  昨今様々なことが起きておりますけれども、そのたびごとに真摯に職務を遂行しております馬淵大臣、ただいま申し上げましたけれども大臣、様々なことに対応していることに、その労を多としながら御質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。  私は、公共事業社会資本整備とその充実ということについて絞って、限られた時間で十五分間でございますので、御質問させていただきますので、その御認識とそれから取組姿勢について、見解についてお示しをいただきたいと思います。  公共事業を重視していくということの持つ意味合いは皆様御案内のとおりでございますが、私なりに申し上げますと、これは日本の体質もこれを変えていくときに来ているんじゃないかと。これ、持つ意味合いは、輸出依存型、これはこれとして必要なんですが、内需拡大ということもこれは重要視してこの方向に導いていかなきゃならないと、その要素も大きく持っている分野だと私なりに思っております。  それから、私、世界日本の秀でている分野としてはある意味では大きく分けて二つだといつも思っているんですが、一つ精神文明であり、もう一つ物づくりであると。この物づくりからいいますと、建設産業というのはその一翼を担っているわけでありますが、これずっと調べてみますと、この十年間で、建設業に従事している方々が十年間で約二百万人減少しているんですね。二百万人減少しているんですよ。  一方で、国では、これは来年の概算要求でも雇用対策予算要望しているんです。これ、物づくりからいきますと、特定技能士の所属する会が二十七団体ございますね。いろんな団体、電気から大工、建設業界から様々あるんですが、これ大変もう事業者数も減少しているし、それから従業員数も減少しているし、それからもちろん受注高も減少しているからそういうふうになっていくわけですが、こういう流れでございます。  こういうことだけではないんですが、まだまだありますけれども、こういうことを踏まえた中でも、私は、もう国交省は堂々と日本国家のために国家戦略上、日本社会資本をきちっと整備していくと、その持つ意味合いはこうなんだという私は堂々とした発信が必要なんじゃないかなというふうに思います。  ただいまの私の申し述べましたことにつきまして、大臣の御見解、御認識取組姿勢ということをお披瀝をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
  29. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 私も、まさに今委員が御指摘された社会資本整備、時代の転換点において在り方を問わねばならないと思っております。  かねがね私は、大臣を拝命して以来、この委員会でも予算委員会でも申し述べてまいりましたが、公共事業は悪だという議論は全く私は成り立たないと思っております。国家の背骨として国土、さらには生活産業といった分野経済官庁としてしっかりと守っていくと。ただ、高度経済成長から低成長、さらにはマイナス成長というふうな、こういった経済危機の中で、改めて社会資本整備のあるべき姿を定めなければならない、これは私は必要だと考えております。  そのために、現在、社会資本整備重点計画、この抜本的な見直しというものを委員先生方にお願いをしております。さらに、選択集中、また新成長戦略の中で、経済成長の中で私ども国土交通省が所管する部門が担える役割というものを明らかにしていくことが必要です。過去の縦割り事業計画の中で事業費を計上するという形ではなく、また一方で、余りにも抽象的なアウトカム指標というものも、これも私は変えなければならないと思っております。  是非、私自身は、この社会資本整備必要であるということをしっかりと国民皆さん方にも発信をしてまいりたいと思っておりますので、委員先生方の忌憚ない御意見、またお知恵を拝借したいというふうに思っております。
  30. 藤原良信

    藤原良信君 ありがとうございます。  十五分間ですから、あともう少しで終わりますけれども、絞りまして、様々なことをお聞きしたいんですが、絞りまして、私、港湾について、その取組についてお尋ねをしていきたいと思います。  実は、民主党港湾議員連盟を結成しておりまして、その中で勉強会を何度かやってきておりますけれども、実はその港湾、海の港湾ですけれども、これはもうある意味での国家戦略上、きちっとやっていかなきゃならない大きな命題だと思っております。といいますのは、もう様々な国際変化が起きておりまして、パナマックス、パナマが拡幅しておりまして、私もお邪魔してまいりましたけれども、四十万トンのばら積み船が通過できるようになっている。ブラジルのヴァーレだけで八隻持っていると。ところが、一隻も日本受入れ体制ができていないということ、あるいは神戸が、つい最近ですけれども世界で二位だった取扱量が今では五十番目にも入らないと。そういう状況下の中で物の流れも大きく変わっていると、そういう状況を踏まえた上で国交省集中選択発表されました。  そこで、その進め方についてどうぞ御見解をお示しをいただきたいんですが、箇条書で行きますけれども、まず発表されました国際コンテナ戦略港湾については、阪神港、京浜港におけるハブ機能強化のための具体的に取り組んでいくということをお示しされておりますけれども、どんなふうな取組でいかれるのか御見解をお示しいただきたいと思います。  それから、併せてですけど、時間の関係で申し訳ありませんが、もう一点なんですが、実は併せて重要港湾が百三港ございましたけれども、この中から集中選択ということで四十三港に絞りました。ところが、そこからこれは漏れたところが当然あるわけでありますので、六十港が漏れておりますけれども、六十港もそれぞれ地域によっては重要な役割を担っているわけでありますけれども、これらの港湾をどのように今後整備を進めていかれるのか、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
  31. 三井辨雄

    ○副大臣三井辨雄君) おはようございます。  一問目の御質問に対してお答えしたいと思います。  藤原先生は大変熱心に港湾に取り組んで、港湾関係に取り組んでいらっしゃると、私も日ごろから大変藤原先生に御指導賜っているわけでございますけれども阪神京浜におけるハブ港湾機能の具体的にはどのように対応されるかという御質問でございますけれども、一点目はやはり港湾法改正、特に民営化と、港湾経営会社の制度を創出するということも、やはりこれからの国際競争に勝つための港湾法改正をしていきたいと。次期通常国会に法案を出す予定でございます。  また、予算に関しましては、元気な日本復活特別枠ということで約四百億を要求しておりまして、一点目はハブ機能強化するためのインフラの整備と、それから二点目は荷役能力向上のための高規格ガントリークレーン等支援と、それから当然三番目には、これはフィーダー輸送による貨物集約への支援と、こういうものに取り組んでいきたいと。また、税制の問題等もございます。これにつきましても、特に内航フィーダー物流効率施設等に関する固定資産税あるいは法人税等について特例措置を要求しているところでございます。  阪神京浜港については以上でございまして、今二番目の質問にございました直接港湾事業に対する四十三港としたことについての答弁でございますが、先生は御存じのとおり、絞り込みから漏れた六十港においても引き続き継続事業、実施していきたいと思っております。  また、離島港湾でございますけれども、緊急の整備を要する事業、また施設の劣化、損傷等機能回復に係る事業については実施していきたいと、こういう具合に思っております。  以上です。
  32. 藤原良信

    藤原良信君 ありがとうございます。  いろんな港湾の題材があるんですけれども、今日は絞ってあと二点御質問させていただきますけれども防災上の観点から御質問させていただきたいと思うんです。  切迫する大規模地震やあるいは津波、高潮の発生などの自然災害の脅威から国民生活を守り、そして安心して暮らしていくための社会資本整備というのは当然求められております。私の地元でありますけれども、大船渡港でも、これは防波堤日本で一番最初防波堤なんです。チリ地震津波対策で造った防波堤なんですが、もう老朽化いたしまして、ちょっと陥没している状況でございます。こういう状況下日本中、様々見受けられると思いますが、港湾選択集中を進める中で港湾における防災機能強化を今後どういうふうな取組でこれはいかれようとしているのかをお示しをいただきたいと思います。  それから、もう間もなく終わりますけれども、もう一つはこれに関係してくるんですけれども、今の尖閣のお話もございましたけれども、我が国の海洋権益の確保を図るためには、これはEEZにおきまして資源探査等の活動拠点となる港湾もこれ着実に進めていかなきゃならないと思っております。準天頂衛星、これは国交省関係しておりますけれども、九月に打ち上げまして成功いたしました。これは非常にある意味での測定の精度が高いという能力を持っている衛星ですけれども、海洋資源は、これは実に、分かっている範囲では、聞く範囲でですけれども、三百兆円ぐらいあると言われておりますけれども、こういうのも日本の固有の財産でありますが、こういうような活用というのも港湾整備の中で初めてできていくと思います。  そして、海は国境というある意味での役割を持っておりますので、南鳥島、沖ノ鳥島に加えて、今話題となっております尖閣諸島、こういうところの、順序があると思いますが、活動拠点となる港湾施設をきちっと造っていくということが必要だと思うんです。  そういう意味での国交省の御見解と取り組む姿勢についてお尋ねをいたしたいと思います。よろしくお願いします。
  33. 三井辨雄

    ○副大臣三井辨雄君) まさに委員が、先生がおっしゃるとおりでございまして、特に高度成長期に整備されたものが大変多くて、特に今、先生の御地元もそうでしょうけれども、急速に老朽化しつつありまして、そういった意味では計画的あるいは効率的な維持更新が必要かと、こういう具合に思っております。  私ども、先般、釧路で防災訓練がございましたけれども、特に日ごろからのやっぱり対応訓練というのは非常に必要だということも実は実感してまいりましたけれども、いずれにしましても国民の生命、財産を守るという観点からも必要な予算の確保を努めてまいりたいと思っております。また、港湾における防災機能強化にはしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。  また、尖閣諸島における御質問でございますけれども、これにつきましては、特に港湾施設整備については必要とされる機能や需要等について十分な検討を行う必要があると思っております。また、この問題につきましては政府全体で慎重に検討をしていきたいと、こういう具合に考えているところでございます。  また、尖閣諸島における港湾施設整備としては、地元から要望されております避難港、避難港の整備が考えられると思います。いずれにしましても、総合的に勘案いたしまして政府全体で慎重に検討することが必要であるかと、こういう具合に思っております。
  34. 藤原良信

    藤原良信君 ありがとうございました。
  35. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 自由民主党の伊達忠一でございます。  尖閣諸島のビデオについてお聞きしようと思ったんですが、先に川崎先生がやられましたので、後ほど時間あればということにさせていただきたいと、こう思っております。  そんな関係から、特に北海道に関係することをちょっと今日はお聞きしたいと、こう思うんですが、実は先般、もう何日も前でないんですが、佐藤先生が国を思う立場から、地方を思う気持ちで北海道開発局のことについて質問をされたわけでございますが、そのときから何日もたたないうちに、実は昨日、大々的な、新聞にTPPと半分、一面を半分ずつ使った記事が出たわけでございます。これは単なる誤報なんていうもんじゃ私はないと思うので、そういう、その間に、私は佐藤先生質問の後に動きがあったんだろうというふうに思うわけでございまして、その辺をひとつただしていきたいと、こう思っておりますので、率直にお聞かせをいただきたいと、こう思っております。  それで、まず十一月の二日に、国土審議会北海道開発分科会委員馬淵大臣より私が任命を、拝命をいたしました。こういう立派な、ありがとうございます、大変もう感激をしているわけでございますが、そこで、実は初めに北海道開発法について確認をさせていただきたいと、こう思っております。  北海道開発法では、北海道における資源の総合的な開発を行うことは国の施策として推進するものであり、平成二十年七月に閣議決定した第七期北海道総合開発計画に基づいて国の施策として総合的な開発を推進しているということでございます。また一方、北海道開発の推進に当たっては、道路や河川、農業、港湾、漁港、空港など広範な分野を総合的に進めて、必要な予算については北海道開発予算として一括計上しているというのが事実でございます。  そんなことから、北海道開発の企画立案、推進し、北海道開発予算の一括的なこの計上、これは北海道開発だけなんですが、行うために北海道局があるんだと、こういうことなんですが、また一方では、一括的な、その一元的な公共事業を実施するということがこれは北海道開発法に置かれているわけでございますが。  そこで、私もこの委員にさせていただいて、私も何年か前かもこの委員にさせていただいて、これにはいろんな方が、外部の人が入っております。もちろん日当も払うんでしょうし、旅費も払ってこの委員会というのは大変な労力を掛けてやるんだと、こう思うんですが、そういう人たちに時間を割いてもらってまとめ、取りまとめ、そしてそれを閣議決定したものを私は一、二年で廃止するなんていう、そんな軽々しいものではないと、こう思うんですが、それについて大臣見解をちょっとお聞きしたいと思います。
  36. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 先生には十一月二日に特別委員に指名させていただきました。また、国土審議会での闊達な御議論をお願いしたいと思っておりますが、この第七期の北海道総合開発計画、これ二十年七月に閣議決定ということでございまして、当然ながら、この方針に基づきまして私どもとしては着実にこの北海道総合開発計画を進めてまいりたいというふうに考えております。  これも先般、予算委員会で町村委員にもお答えをしたつもりでございますが、基本的な取組姿勢というのは変わっておりません。
  37. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 そこで、町村先生の私も答弁も拝見をさせていただいたんですが、この記事出たこと自体は昨日なんですよ、昨日の朝刊、一日置いてこれが出るわけですよ。こんなばかな話がこの国会の中にあっては私はならないと、こう思うんです。  それで、今年度の予算なんていうのは、政権が替わって、北海道、要するに公共事業が一七%カットされて、まあ前原さんの方針なんでしょうけれども、そして、なおかつ今年度も一〇%のシーリングを掛けていると、こういうことでございまして、そこにもってきて、いわゆる今、毎日のように新聞、テレビをにぎわせておる大変重要な、この北海道農業や水産業界に大変な打撃を与えるというふうに思われるTPPの協議が開始されて、閣議で決定されたと、こういうことでございます。  このように、北海道にとっては農業というのは御存じのように大変、もう日本でも一番というよりも、二兆何千億というようなすごい打撃を受けるということは、これはもう大臣だとか副大臣皆さん方は御承知のとおりだと思うんですが、そんな大変厳しい北海道の中にあって、この北海道開発の重要な役割を担っている北海道局が統合されるというようなことは私はあってはならないと、こう思うんです。  それで、この自給率の改善であるとか観光ですとかエネルギーですとかというのは北海道に大変もう求められている現状でございまして、大きなポテンシャルを持っているのですから、これからの、果たした役割は私は大変大きいというふうに思うわけでございますが、その推進力となっている北海道局の果たしてきた今までの役割、それから今後果たすべき役割北海道局の存続についてどう思われるのか。これも大臣にちょっとお聞きします。
  38. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) この新聞報道というのは、私も報道を見まして、このようなあたかも合意がなされているような報道ぶりには大変違和感を持っております。  と申しますのは、私ども平成二十三年度の組織・定員要求概要におきましては、新たな局の設置という形での、あるいは統合という形で要望申し上げておりますが、関係機関との調整によるものとしております。その中で再三、北海道局に対する懸念というものがこの国会の中でも議論されたことを私も承知をしています。  しかし、私は一方で沖縄北方担当もさせていただいておりますが、この北海道においては極めて国として、国の施策として取り組まねばならない課題が山積しているということについては十分承知をしているつもりでございますし、組織要求の内容にも北海道局の廃止というものはこれ含んでおりません。  したがいまして、この報道はどのような形で流れたかというのは私は承知をしておりませんが、現時点において、町村委員予算委員会でお答えをし、そして今日、今質問にお答えをさせていただいておりますが、現時点においてこのような報道の事実というものはございません。
  39. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 まあ百歩譲って、こういう小さい記事だというなら私はまあまあということでよくあるというような、記者の判断で書かれるということはあるんですが、これとTPPと、一面を見たでしょうけれども、もう両面、一面を使っているんですよ。これは私は、まあ大臣のことを信じているんですが、佐藤先生質問していただいた、それから町村先生が前の日ですよね、あれ、集中審議でやられて、それで次の日ですからね、とても私はこれを信じ、ただ、そこにもってきて、具体的に出ているんですよ。見たでしょう。要するに、国際局を新設するのにどこどこの局とということで、これは国土計画局とということになっていますわね、これ。もうそこまで書いてあるんですよ。  そうすると、相当話が進んでなければこんな具体的なことまで出てこないんじゃないかというふうに私は考えるんですが、国際局の新設のために北海道が統合されるというようなことは私はあってはならないと、こう思いますし、これは三井大臣に聞かせていただこうと、こう思うんですが。  これ、今まではこの北海道局というのは大変重要な役割担ってきたというのは、これはどちらかというと三井大臣も厚生族というか、社会保障関係には大変詳しい方なんですが、今回、国土交通大臣ということで入られて、恐らく改めてこの北海道局の重要性、私は感じたんだろうと、こう思っております。そんなことから、よその局が、国際局の中身見ても、あれ二つ三つをよその局に付ければ新設要らないんじゃないかというようなぐらいの内容と私は判断しているんですよ。  ですから、そういうようなことで何か北海道が意地悪されてねらい撃ちを、いつもやり玉に挙がってねらい撃ちをされているというふうなことで、私は、これは是非ひとつスクラップの財源に、新設の局の、なってはいかぬと、こう思うんですが、これは三井大臣にひとつお聞かせをいただきたいと思っています。
  40. 三井辨雄

    ○副大臣三井辨雄君) まずもって、伊達委員から御質問ありがとうございます。  これまでも、私たちが野党のときも伊達先生が与党のときも共に、この北海道局の問題あるいは北海道の抱える問題というのはこれまで共に議論したところでございまして、すべては今、馬淵大臣が答弁されたことに尽きると思いますけれども、先般の十月二十一日ですか、特に佐藤先生からの御質問がございましたように、そのときの大臣の御答弁も、まさに北海道局の廃止や統合は含まれていないということを答弁させていただいたと思います。まさに、これ新聞報道を見て私は本当にびっくりしたわけでございますけれども、少なくとも私はこのことについては承知しておりませんし、全くこういうことは寝耳に水だなと。  いずれにしましても、国土交通省におきましても、特に横断的な再編等につきましては政務三役でしっかりと議論をしながらということをここは統一されておりますので、是非ともそういうところで御理解いただきたいと思います。
  41. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 大臣もいろんな面で、私はどちらかというと前向きだなという感じがいろんな発言を見ていてするんですが。  そういう面からいくと、もう来年の恐らく予算というのはいろいろと折衝しているんだろうと、こう思います。それで、十二月に内示されるわけでございます。そのとき組織が一緒に恐らくされますよね、今までですと。そうすると、もう組織の協議も、これは総務省ですね、もしかあれするとすれば総務省ともう協議に入っていなきゃならないんだろうと、私はこう思っております。  今、三井大臣からも答弁ありましたが、まあ私も昔からの友人ですから、今の答弁を信じていますけどね。信じていますけど、昔からいう、こんなでかく一面の半分を出るようなことというのは、火の気のないところに煙が立たないとよく言われるんですけど、私はそういう、要するに総務省との協議だとかをしていて、それを今のビデオじゃないけど、だれかに新聞社や何かに流されたか、それともそういう協議しているのをかぎつかれて、それで具体的にこれだけ大きな記事にして書いているかという、私はどちらかだろうと、こう思うんです。  それで、実際、総務省との協議というのは本当に入っていないのかどうか、これをもう一回、三井大臣にお聞かせいただきたいと思います。
  42. 三井辨雄

    ○副大臣三井辨雄君) 少なくともこの協議については、組織の特に再編という必要性から査定当局に説明している段階でありますけれども、内容については、北海道局の、何度も申し上げますけれども、統合だとかということは含まれておりません。  いずれにしましても、伊達委員も北海道のことですから私も同じ思いで心配しておりますし、古くからの友人でございますのでいつも御指導賜っていることも改めてここで感謝申し上げますけれども、いずれにしましても、これから今後のスケジュール等もございますけれども、特段の結論を見出すような状況になっているというわけではございません。何度も繰り返しますけど、廃止や統合については現在含まれていないということを申し上げます。
  43. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 信じさせていただきたいと、こう思っております。  だけど、これはやっぱり、当局にしても、大臣、副大臣ね、これはやっぱり調査する必要がありますよ、ここまで大きく具体的に出たということは。これは書き逃げで新聞社が許される私は問題じゃないと、こう思っておりますし、これは民主党も反対をしていると、こういうことなんですが、やっぱりこれは副大臣三井大臣ね、大いに声を上げてやっぱり一緒にやりましょうや、これ反対のあれを、是非お願いをしたいと、こう思っております。信じればそういう情報の漏れるようなこともないということなんだろうと、こう思いますけど、是非ひとつ素直な形でこれは取り組んでいただきたいと、こう思っております。  ただ、余談ですけど、選挙になるとこれが必ずクローズアップされるんだよね。もう前原さん来ると、北海道局の廃止だと、こうやるわけさ、参議院選挙もね、特にこの間の五区の補欠選挙なんかもね、そうなんですよ。そして、特に、大臣のところから出たわけだから、相手の、うちの町村さんの相手候補というのは国土交通省の職員が辞めて出たものだからなおさらなんでしょうけど。そして、こうやって、もうそうすると業界だとか経済界、団体が、いやいや北海道局が廃止されたら困ると、もうこう行くわけですよ。そうしたら、心は心はって、こう言うんだって。だから、なぞなぞみたいなものでね、それこそ北海道開発局廃止と掛けて何と解くみたいなね。これは、第五区の選挙と解く、心はって、民主党応援だなんていう、こんなことで。そうしたら、当選すれば廃止にならないだろう、局が、局から出して、職員を当選させて局を廃止するわけにないんじゃないかっていうふうに言ったら、もう業界が揺れちゃったんですよ、一時。だから、そういう政争の具というか余り悪質に利用しないでほしいということをね、もうこれは三井大臣、代表だったんだから、その辺ひとつ頼みますよ、よろしくお願いをして、信じて、次の質問に入らさせていただきたいと思っております。  次は、新幹線の問題について実は聞かさせていただきたいと、こう思うんですが。  これは私から言うまでもなく、新幹線望んでいる地域というのは大変多くあるわけで、隣の岡田先生も北陸の新幹線、大変もう熱心に取り組んでいるということでございますし、この魅力と活力のある新幹線、これは私は二十一世紀の我が国の発展についてはもう大変な大きな貢献をするやっぱり基幹であろうと、こう思っているんです。  それで、新幹線効果を最大限に発揮するためにも、今青森までですね、そして函館までの開通決まっているんですよ。ところが、御存じのように、函館までじゃ経済界の人だとか経済研究所の人たちのいろんな資料を見られたと思いますけど、もう全然、それは効果が全然上がらないということで、札幌延伸というのをやっぱりある程度早く私は決めるべきだと、こう思っているんです。  それで、結局その新幹線の良さというのは、私から言うまでもなく、環境に優しいとか時間が定刻であるとか、いろんな経済効果が札幌までだとこれだけ上がりますよとか、これはもう国土交通省にうちの知事なんかも陳情に行っているから、もう資料を持って行っていると思うんですが。  もう一つ大事なことは、要するに飛行機、JAL、ANAがドル箱だと、こう言われています、千歳、札幌線は。企業努力というか、しているんでしょうけど、私に言わせたら、反面、しないからJALもあんなことになったんじゃないかというようなことで思っているんですけど。沖縄より距離が短くて高いんですよ。だから、そういう何ていうかね、だから常時満席だからということなんでしょうけど、やっぱり何かあることによって、競争をね、があることによって私は競争の原理が働くんだろうと、こう思っている。  さっき申し上げたもう一つというのは、要するに百五十便入っているんですよ、一日、あの札幌の千歳というのは。ですから、四万人ぐらい、一日、入るわけですね、あそこに、全国から。ところが、副大臣も御存じのように、大体三日か四日、冬、吹雪で欠航しちゃうんですよ、飛行機が。これはもうJALといわずANAといわず、もう降りれないわけですよ。やんでも、あの広い滑走路、空港を、除雪を全部終わって、なおかつ除雪の成果でもって、あれ、要するに一回走らせてブレーキがどのぐらいの期間に利くかってやるんですね、テストを。そして、オーケーを出して着陸させると、こういうことなんですが、このまた効果というのは私は大きいと思うんです。四万人いたら、例えばホテルに泊まって、ビジネスに泊まって、一人ちょっと食事しても一万円というのは私は掛かるんだろうと、こう思うんですが。そういう点からいくと、私はこの新幹線、札幌まで早く延伸すべきだ、こう思うんですが、大臣、ひとつ。
  44. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 北海道の財界の方のみならず、広く道民の皆さん方からのこの新幹線に対する熱い期待といいますか強い思いというのは、私も再三、副大臣時代からも承っております。  その意味では、これはもう政権が替わる、替わらないにかかわらず、この未着工区間に対しては、今後のこの国の動脈となる、動脈あるいは静脈となる公共交通機関となる、あるいは大輸送機関たる新幹線の在り方については、私もこれはいち早く結論を出していかねばならないと思っております。  一方で厳しい財政制約があるわけですが、こうした中で、全国の方々、国民皆さん方の合意、コンセンサスというものもしっかり得なければならないということから、私どもとしては、これはもう北海道のみならずですが、この未着工区間に関しては総合的な判断というものをしっかり確認できるようにということで取り組ませていただいておりまして、これは、本当に申し訳ないんですが、私どもとしてもこうした徹底的な議論を進めていくということがまず第一であると思っております。  これは、北海道の方々はもう何としても北海道をというお気持ちあるのもよく分かっております。また、北陸、九州・長崎ルートの方々も同様の思いでいらっしゃいます。私どもとしては、所管する立場としては、とにかく全体の効果、発現ができ得るような条件整備ということをしっかりと進めていくということが第一であると思っております。
  45. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 是非ひとつ早急に私は進めていただきたいと、こう思っているんです。  前にも財源の問題で話したことあるんですが、要するに税収が、この新幹線の財源浮くような税収が上がる時代というのは私は非常に難しいと思うんです、今のこれからの時代というのは。ですから、やっぱり何かある財源を集めてでもやるか、多少借金してやるかということだろうと、こう思うんです。私は、借金してでもやっぱり早く、金利が安い、土地が安い、工事費が安いといううちに私はやって早く開通をさせて、そしてどんどんどんどん収益を上げていくということが私は必要だろうと、こう思いますんで、今の大臣の前向きな発言、是非ひとつ我々は受け止めていきたいと、こう思っておりますので、よろしくひとつ。大臣がやると言えば大体決まるんですよ、これね。着工すると言えばいいんです。よろしくお願いしたいと思います。  それで、その段階として、国土交通省の中に政務三役による新幹線問題検討会議というんですか、これが置いてあられるということなんですが、新幹線について、着工に当たっての基本的な条件が確実に満たされていることを確認した上で着工するものとするということなんですが、この新幹線の札幌延伸について基本的な条件の検討状況というのを教えていただきたいと思っております。
  46. 池口修次

    ○副大臣池口修次君) 今、伊達委員の方から、未着工区間の取扱いについて、国交省の中の政務三役として整備新幹線問題検討会議ということで検討されているというのを御紹介をいただきました。  まさに、検討を今やっている最中ということでございまして、やはりこの新幹線を造った場合の効果が実現もできなければ、やっぱり若干これだけのお金を掛けるということの判断が必要かというふうには思っておりますので、その将来像を踏まえた検討をしているということでございます。  現在の状況ということでいえば、基本的な条件が満たされるかどうかということを確認をしている最中でございまして、それぞれの区間で課題があるわけですけれども、特に北海道新幹線ということでいいますと三つぐらいの課題が今挙げられておりまして、一つは青函共同走行区間における運用形態の在り方ということで、新幹線と在来線が一緒に走るわけですからそれをどうするのかということなり、もう一つは、往々にして新幹線が通りますと並行在来線をどうするのかというところがあるわけですけれども、その並行在来線の経営の在り方というのも大きな課題ですし、最高設計速度というのも見直す必要があるのかどうかということの大きな三点が課題として挙げられていまして、現在はこの検証をした上で、それがあらかた済んだ段階で引き続き次の建設に向けた議論ということになりますが、まあ伊達委員の熱い思いもいただきましたんで、それも含めて今後、国交省として検討をさせていただくということになろうと思います。
  47. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 是非ひとつ早急に進むように検討していただきたいと、こう思っております。  それで、よく言われることはこの財源のことなんですよね、確かに。我々が与党のときも随分この問題についてはいろいろと協議をさせていただきました。  それで、実は鉄道建設、いわゆる運輸施設整備支援機構、この剰余金が一兆四千五百億か、あるんですよ。これを我々は活用して、昨年の十二月いっぱいに決定しようと、実はそういう打合せはしていたんです、正直言って。ところが、政権が替わって皆さん方にゆだねられたということなんですが、これについて先般、野田財務大臣は、国庫に編入だと、こういう話。  で、一つは、これを国庫にあれするということは、これは法律を作らなきゃ駄目でしょう、恐らくね、これがどういう見解になっているのか。このことと、それと、大変心強いんですが、それに対して今度は大臣は、何言っているんだと、これは国土交通省で北海道新幹線に使うべきだって、そういう気持ちで言ったんでしょう、という発言をされて野田大臣に駄目出ししたということは、僕はやっぱり先ほども申し上げたけど、本当に物事について純粋に私は前向きに取り組んでいるなと、その場その場じゃなくてそういう力強い感じをするわけでございますが、これについて、やはり大臣の言うとおりに活用すべきだと、こう思うんですが、これは財務省とのいろんな取引はあるんでしょうけど、これどういう状況になっているのか、この二点ちょっと聞かせて。
  48. 池口修次

    ○副大臣池口修次君) じゃ、私の方から。今、伊達委員から説明がありましたけれども、我々の認識をちょっと御披露させていただきまして、その後、大臣の方からお答えをしたいというふうに思います。  この利益剰余金の取扱いについては、いろいろな意見があるというのは事実でございます。財務省は財務省としての思いはあるというふうに思いますが、事業仕分の中では確かに利益剰余金を国庫返納をしなさいという結果も出ておりますし、昨今、会計検査院の方から、私は無駄遣いということではなくて有効に使ってなかったという指摘だと思いますから、有効に使えばいいんじゃないかという認識ではありますが、いろいろな御意見いただいております。  それと、その活用方法についても、今、伊達委員が言われました新しい整備新幹線の財源に使うべきではないかということなり、地方、並行在来線の問題も結構大きな問題で、その費用に何とか使えないかということなり、JR自体も相当苦しい経営ですから、JRの安定化に使いたいという意見も様々にいただいているということでございます。これらの問題について今後どう対応するかということがこれからの課題でございまして、まだ決定したものは実はありません。  もう一つ、その剰余金の性格ですけれども、剰余金の性格については、将来の年金払いの見込みなり、国鉄改革に残された課題への対応なりがありまして、現在はその利益剰余金の形成がされた経過等を踏まえまして、JR三島の貨物の経営の自立化とか鉄道にかかわる支援等の活用等も含めて検討をしておりますが、委員から御指摘のように、これは法案改正が不可欠なものでございますので、予算編成をまずどうするのかということと法案をどうするのかということを、関係省庁と調整をしながらその取扱いを検討していくというふうに思っております。
  49. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 財務省との折衝の状況ということでございますが、もう先生御案内のように、さきの予算委員会で野田大臣が一兆円以上だというようなことを発言なさいました。私は、これはもう関係機関との今後の折衝によるものと承知しておりますので、これに対しましては、その直後に野田財務大臣のところに参りまして、それはちょっとのりを越え過ぎではないでしょうかと、まさにこれから予算編成過程で私ども議論をさせていただきたいと、このように申し上げてまいりました。  その後もいわゆる事業仕分においての全額返納等様々な御意見あるんですが、私どもとしては、こうした特例業務勘定、これも私、予算委員会で申し上げたんですが、国交省のお金だからといってもう一切合財手放さない、そのようなことは申し上げておりません。真に必要な、その利用価値のある方向にこれ振り向けるべきであると。  ただ、一方で、こうした剰余金が発生した経緯というものがある。さらには、そこに取り組んでこられた方々の思いというものがある。そして、最大のポイントは、これは年金の問題というものもございます。こうしたことを踏まえて、やはり丁寧な議論を重ねて、いつまでも先送りするわけにはまいりませんが、年内に結論を得るべきだと、こう思っておりますので、財務省とも、これは内容を申し上げることができませんが、大変激しい折衝をしているという状況であります。  私は、繰り返し申し上げますが、この特例業務勘定、国土交通省は一切合財手放さないということではないが、私どもとして、真に必要な社会資本整備に振り向けるべき財源としてその位置付けであることは変わりないということは、この委員の皆様方あるいは閣議におきましてもしっかりと伝えてまいりたいというふうに思っております。
  50. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 是非頑張って、ひとつ国土交通省の方で活用していただきたいと思っております。  最後になりましたが、実は、やっぱり我々、真剣にいろんなものを取り組んでおります。ましてや野党になると、それなりにやっぱり緊張しながらやっているんですが、どうも党というか政府というか、その意思統一というものをされてないんでないかということを思うんです。  一つは、八ツ場ダムもそうですわね。まず、前原大臣になったら、いや、マニフェスト書いてあるから中止だというふうに、いきなり現地に乗り込んでこうやる。ところが、そのとき副大臣やっていた馬淵さんが今度大臣になって、いやいや、これから検証してあれするんだという。前の大臣は、もう裁判しないで有罪だというようなものですよね。今度、今の大臣は、いやいやいや、これは裁判やって結果を出すんだという私は違いぐらいあると思う。  新聞報道では、要するに、その中止を一応もうそれこそ中止したと、それで検討して進めるような話の新聞だとか、現地の群馬県の知事もそういうインタビューだったですよね。それはいろいろとあると思う。利水の金が全然入ってきてない、一都五県から入ってきてない、用地も買えない、もう大変だというようないろんなことがあるんでしょう。  それだとか、例えば新幹線、これについても、岡田さんが前の幹事長のときに来て、北海道、札幌まで新幹線要らないんだと、こう言ったら、ちょうど新幹線通るところで票を稼いでいる鉢呂さんはそこですから、ちょうどその選挙区ですから、何ばかなことを言うんだと。もう何か、あのとき副大臣も一緒になって怒ったんじゃないかな。そうしたら、今度は前原さんが来て、また開発局がこうだとか、前原さんは新幹線も言っているんですよ。  そういうようなことで、こういう大事な政策についてはやっぱり大臣が言って三か月や半年で変わるということじゃなくて、きちっとやっぱり意思統一していただきたいと、こう思うし、この北海道開発局のことだって民主党議員が大反対しているということですよね。こういうコンセンサスをきちっとやっぱり得てやっていかないと、私は政権を担っているという上からいってもやっぱり問題があるんではないかなと、こう思っているので、是非ひとつこういうことを、新幹線も前原さんは要らないと、公共事業もカットだというようなことを言ったけど、先ほど公共事業についても社会資本整備の、あれはだれだったかな、藤原さんのときにされたように大変心強いと、こう思っているんですが。  最後に、この決意、この記事自体はこういうことを、記者会見したことがこんなニュアンスで取られたから書かれたというんじゃなくて、全くこういうことはやっていないわけですよね。総務省との打合せもしていない。こういうことについて、その辺の決意と新幹線の、お願いしたいと思います、最後。
  51. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 繰り返し北海道局についてのお尋ねでございますが、一切私ども承知しておりません。これにつきましては、組織・定員要求にも北海道局の廃止は含まれておりませんので、今後はしっかりと協議をさせていただくと、このように思っております。  そして、さらに、政府と党内での意見の不一致ということでの御指摘ございましたが、かつては私も野党におりまして、御党が大変政府と党と激しい議論をされていたのを拝見しておりまして、なかなかまとまらないものだなと、このように思っておりましたが、今こうして政権の立場に立って、やはり国会議員というのは国民の代表でありますから、そこで国民的な合意を取る、コンセンサスを取るという過程においては、これは致し方ない過程だと思います。  政治主導とは、それを封じるのではなくて、そこで決まらないところを最後の判断、責任を持って決めることであると私自身は承知をしておりますので、その思いで民主党皆さん方とも、あるいはまた野党の皆さん方とも合意形成するその努力をしながらも、最終的には責任を持って政治判断をしてまいりたいと、このように考えております。
  52. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 終わります。
  53. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 自由民主党の佐藤信秋でございます。  最初に、お願いが一言。  尖閣のビデオの問題で、やっぱり早くお出しになるべきだと思います、ビデオを。それからもう一つは、そもそも那覇地検で判断したかのように、保釈を、船長の、これはやっぱり違うんで、指揮権発動をしてでもきちっと、これが政治判断の問題、こうであったと思いますと、ここはお願いですけどね、早くビデオ出してください。  次に、補正予算について幾つか、この前の質問し忘れといいますか、できなかったのもありますんで、お答えの方は簡潔にお願いしたいんですが。  補正予算の問題として、内需の拡大効果というのがちょっと少な過ぎるじゃないでしょうかねと、五兆円使うと、こういうお話ですが、〇・六%ぐらいGDPに寄与すると。GDPの一%がおおむね五兆円ですから、五兆円使って〇・六%。元々いろんな細かい計算あると思いますが、これはやっぱり公共投資少な過ぎるというところにも原因があるんで、表の一に去年との対比載っけておきましたが、やっぱりこれは国土交通大臣とされては、追加でもやりますよというような御決意をお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
  54. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 今回の補正予算、これは政府全体で五千九百億の公共事業関係費計上でございまして、これは前倒し分、いわゆるゼロ国で二千三百八十八億確保ということで、これが足りないのじゃないかという御指摘だというふうに承ります。  ただ、私どもとしては、三段構えの経済対策として、ステップ1での予備費の執行、さらにはステップ2の補正予算、そして二十三年度予算においてステップ3ということで切れ目なく予算執行を行いながら、社会資本整備とともに公共事業による内需拡大ということ、これも目指しているということでありますので、御指摘の点というのも十分踏まえながらも進めてまいりたいというふうに思っております。  とりわけ、昨年、私どもが行った公共事業費削減について、この委員会の中でも再三地方の厳しい状況というのも御指摘いただいておりますが、だからこそ私は、繰り返し二十三年度においてはしっかりと要望を出し、更にその執行というものを確保して執行を行わなければならないと、このように考えております。
  55. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 まさしくそこなんですね。予算がデフレ促進予算になっちゃいけませんですよね。これは絶対、今、デフレを克服しようと、景気、内需を拡大していこうというときに逆にデフレを促進するかのような予算になっては、これまた一番まずい。そういう意味で、今回、補正をしますと。  一方で、二十三年度概算要求のときは、五・八兆円の公共投資でいえば要求しましたと、約六千億補正します。これがまさか前倒しで、三次の対策と、こう言いながら五・八兆からコンマ六兆引くというようなことはあり得ないでしょうね。五・八兆は大臣のお立場として絶対に譲らない、私の方はもっと増やした方がいいとは思いますが、概算要求は少なくとも譲らないと、こういう御決意を次にいただきたいです。
  56. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 前倒し分でその後削られてしまっては何もならないじゃないかという御指摘だと、こう思いますが、まさに私も政務三役のその議論の中でもそのことは十分認識をしております。  今般のこの補正予算で盛り込まれた中で前倒しに当たるものが、海上保安庁の船艇、航空機あるいは住宅、建築物の耐震化などで約二百五十億でございます。これ、〇・五%ということでありますので、このことに関しては、これが多いか少ないかという議論はあるかと思いますが、私どもとしましては、これによって概算要求ベースから大きく後退するなどということがあってはならないということで、強い決意で要望を出していくと。  繰り返しになりますが、成長戦略、そこにフォーカスしながらの今回の予算編成でございますので、菅総理のおっしゃる元気な日本復活ということであれば、当然ながら、この経済官庁となる私どもの要求する予算についてはしっかりとおこたえいただくように、これからも財務当局に働きかけてまいりたいと思っております。
  57. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 ということで、是非、私どもも応援しますから頑張っていただきたいと思いますが。  そこで、実は地方の首長たちが今、大変心配しているのが一括交付金という言葉の議論なんですね。社会資本整備総合交付金という形で一括交付金化しましたと。一方で、更にそれを進めるかのような話があって、その話の眼目は多分、公共投資分というか、予算そのものを減額しようと、こういうことになるんではないかというのを一番地方の知事や市町村長は恐れているんですね。  実は、これ、三位一体のときに、あたかも補助事業を財源移しますと、こう言いながら、三兆円移して四兆円切られちまったと、逆にですね。多分、同じことになるというのを、大失敗しているんですね、これ。事実、多分それをねらわない限りは制度設計が元々無理があるので、何とか公共投資だけじゃなくて補助金、交付金、二十兆やるから、そのうち一割切ったら二兆円出てくると、こういうような感じの中で、本当にどこまでやるかは別にして議論が出ていると、こんなふうにも見えるんですね。大変心配していますから、地方の知事、市町村長、まあ議会がですね。  自民党・公明党政権、三位一体改革、結構無理してやったら、あれ、結局結構響いていて、後で、何やっていたんだと、こういう話でですね、底流としてとんでもないと、こういう話になったと。同じ轍を踏まないといいますかね、のように、一括交付金というような議論を単純になさらずにということを是非お願いしておきたいと思います。  今の社会資本総合整備交付金と、こういう形、ベースとしていいじゃないですかと。仕事するところに予算が回る。仕事も全然しないところに予算回っていったら薄くなってこれ、できません。この辺、大臣、いかがでしょう。
  58. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) この社会資本整備総合交付金というのは、政権交代後、私、副大臣として予算編成担当を拝命いたしまして、年末に二兆二千億切り出してということで、もう大変厳しい日程の中で創設した交付金なんですね。  私どもとしては、一括交付金というものが民主党の掲げてきた政策であるということを前提に、その先取りということで提示をしてきた。ある意味、ミシン目があるじゃないかという指摘もあったんですが、当然ながら、自治体が補助事業の継続という過程の中ではその九九%が交付金、この総合交付金から充当されることはこれはもう致し方ないと、このように説明を申し上げてきたんですが、ただ一方で、地域主権というこの枠組みの中で進めていくんだという、これも政権の強い意思がありますので、私どもとしても、昨年十一月の地域主権戦略会議設置、そして本年六月の地域主権戦略大綱、これ閣議決定ということでありますので、これに基づいて進めていくということは、これは政府の一員としての我々の負う責任であると思っております。  その上で、この社会資本整備総合交付金、改めて一括交付金化という形での議論が今まさになされているところでありまして、私どもも、これは平成二十三年度以降段階的実施ということで菅総理からも政策、この中では投資的経費に関するものは予算編成過程を通じて内容を決定するようにという指示をいただいておりますので、その中で先生御指摘のような、かつての三位一体改革のようにならないようにということは、これは自らが反省をされてというお言葉だというふうに受け止めますが、私どもとしても、自治体の皆さんの御意見をよくそれを踏まえながら議論をしていきたい、進めてまいりたいと思っております。  そして、重要なことは、片山大臣が総務大臣を担当されておられ、また、この地域主権の担当でいらっしゃいますので、大変地域の事情、自治体の要望ということに精通されておられます。何が本来求められていることであり、何が実は我々が思う以上に、自治体としてはそれは逆に有り難迷惑なんだといった部分もよく御承知をされておりますので、今、現時点におきまして、玄葉大臣、片山大臣、そして私と、当然、関係閣僚、ほか農水、文科、厚労等ございますが、しっかりと議論をしているところでございまして、御懸念のことに当たらないようにと、そのことを十分注意しながら進めていきたいというふうに思っております。
  59. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 ということで、総額を減らさないということと、政策目的を達成しようとすると、特に継続中の大きなプロジェクト、これ薄くばらまいたら無理ですよね。鉄道の立体化なんてかなり絞ってやっていますし、大きな橋梁なんかもそうですよね。だから、そこは極めてゆっくりとやらなきゃいけないと、こういう問題だと思いますし、あわせて、その議論自体は、地方支分部局の問題もそうですが、この我が国の在り方というようなことをしっかり地道に議論もし、それからちょっとずつ確かめながら、つまり、言ってみれば道州制みたいな議論と並行作業で、国の在り方というのはどうしていけばいいんだろうと、それぞれの地域の歳入歳出はどんなふうに確保するか、そういう議論も含めてやっていかないと、何かつまみ食いだけしたら後でとんでもないことになる、これはこの前も申し上げましたが、という問題だと思いますが、地道にじっくりと、国の在り方の議論も含めて時間掛けてやっていく。で、どういう結論が出るかというのは、そこから先、予断を持たずにそれこそやっていただくというのが大事なんだと思いますが、いかがでしょう、大臣
  60. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 受皿の問題、道州制というのは、先般も先生からも御指摘ありました、大変重要な議論だと思っております。  ただ、この道州制が必要だという、あるいは進めていくんだといった議論、あるいは基礎自治体による新たな地域連携の仕組みなどという議論を、これやらなければならないということを前提にしてしまう、いや、あるいは熟議が必要だということで進めていこうとすると、一定の年限区切らないと、これはそれこそ十年掛かってしまうかもしれない。そうなると、政権が掲げた地域主権というものが私は遠のいてしまうという、こういった懸念もあると思います。したがいまして、一定程度、我々が政権をゆだねられた期間の中で成果を御提示できるような、しかも一方で、激変緩和的な措置も併せて考えなければならないと思います。  とりわけ、制度設計は私どもも意見を申し上げてまいりますが、国土交通省として一番重要なことは、今先生御指摘のような大規模事業、継続性のあるもの、そして都道府県をまたいでいくような広域的な、まさに国土という観点からの事業というものについて国土交通自身が、何が必要だったのか、真に必要な社会資本整備は何なのかということについての私は内省が足りなかったのではないかと、このように思っております。  したがいまして、これはもう本当に繰り返しで恐縮ですが、社会資本整備重点計画、我々はこれを必要とするんだということを明確に提示をする必要がある。政権内部でそれをしっかりと提示をして、閣僚のどなたもが必要な社会資本整備だという位置付けの中で、じゃ、これを実現していくために、一部は交付金化して自治体にゆだねていくけれども、一方、そうではない部門については違った仕組みも必要ではないかということをやはり提示していく必要があるのではないかと思います。  残念ながら、現時点において、どうしても、いや、これは必要なんですという説明ぶりしかできない今日の省の在り方が私はあると感じております。ここは、次官以下、かつての運輸建設と私は分けるつもりはありませんが、もう一度我々自身国民皆さんに理解いただけるような説明ができるような整備在り方というものを整理しようと、このように伝えておりますので、そこを十分に踏まえながら、先生御指摘の点もよくよく受け止めながら進めさせていただきたいというふうに思っております。
  61. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 是非そこは慎重でじっくりした議論をしていただきながら、特に、実は公共団体、本当に何を望んでいるか。これは、自分が今手掛けている仕事、それぞれ大事な仕事だと思っていますから、それから、これからやらなきゃいけないと思っている仕事、そこに十分に意見交換をしながらやらないと、大ざっぱな議論でばばっと走り出てしまうと後でしまったということで反発を食らう、必ずですね。それぞれ大きい小さいという問題は、それぞれ自分の仕事は大事なんだ、大きいんだと、こう思っておられるそれぞれの地方が大変多いということはしっかり頭に入れていただきながら、十分なお互いのやり取りをして、やるにしてもちょっとずつ、それこそ社会実験を確かめながらやっていただくということが一番必要なことじゃないかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、先ほど伊達委員からの鉄道・運輸機構の特例勘定の御議論がありました。これは、時間がもったいないのでまとめますと、申し上げる順番は、例えばということでいえば、もちろん整備新幹線もそうですね、建設。JR三島と貨物の経営の安定化、これは実は、その会社の責任だけじゃなくて、御存じのように、有料道路の無料化実験あるいは休日千円、それぞれ影響し合っている面があると思いますが、国の総合交通政策で考えれば、どうしたってそういう影響が出てくる、JR三島、貨物の経営に。そういう施策をやっているわけですから、それに対してどうしようかと、これはそれこそ考えなきゃいけない政策的課題ですよね。一生懸命頑張っていたけれども、二十億、三十億、実は北海道も九州も言ってみれば赤字が出てきましたし、四国もそうですけれどもね、貨物もそうですわね。だから、そこをどういうふうに経営安定化を考えるかというのは、これは本来、総合的な政策の取組、整合性のある取組といえば当然考えなきゃいけない問題。  それから、在来線の問題でいえば、実は以前は、これから三セクに移る分というのはどうされるかは分かりませんが、以前は簿価で買い取っていただくとかいうことをしていましたよね、三セクに。実は、普通は収益還元か何かで、このぐらいは上げられるはずだからというので、逆に売払い価格といいますか、を考えるということもあるわけですね。それをやっぱり簿価でやったということで、その負担にそれぞれ三セク化したところはあえいでいるというのも実態ですから、これから譲り渡そうとすると、三セクでやってくださいとやろうとすると、まさしくもう最初からその問題が出てくる。これはやっぱり余り無理して公共団体に、新幹線欲しいだろう、だから我慢してくださいね、金も出してくださいね、負担してくださいねというのはちょっと過剰な負担を強いているという面がありますよねと。  それから、新幹線建設については延伸を考えたり、あるいは今の建設自体非常に厳しい状況がありますから、工事費の増嵩の問題もあるしですね。そういう意味で、逆にまたそこには高速道路の無料化なんかも影響していくわけですけれども、そういう問題を考えると、やっぱり利益剰余金の丸々全部、一兆四千五百億とは私も申し上げませんが、そういうことに使えるというような方向というのが必要なんじゃないかなと思っていますが、これは池口大臣ですか、必要性、使えるという必要性。
  62. 池口修次

    ○副大臣池口修次君) 今、佐藤委員の方からいろいろな観点で使えるようにすべきではないかということでの御質問と受け止めさせていただきますが、まずどのぐらいの利益剰余金があるかというのをちょっと御説明をさせていただきたいと思います。佐藤委員はもう分かっていらっしゃると思いますが。  平成十六年度は実は三千九百九十七億円でございました。これが多いか少ないかということですが、会計検査院の最近の見解でいうと若干多いというぐらいかなというふうには思います。それが平成二十一年度は一兆四千五百三十四億円ということで、これは余りにも剰余金という形でそのまま氷漬けにするのは多過ぎるんじゃないかというのが多分、会計検査院の認識だというふうに思います。なぜこんなに急激に増えたのかというのはいろいろな要因がありますけれども平成十九年度に梅田の貨物駅を土地を売却したとかいうことなり、既設の新幹線の譲渡債権については利息をもらって入れておりまして、この利息が結構高い利息でいただいておりますので、これがどっと増えたというようなことがあります。  そういうことの中で、じゃどういうふうにしたらいいのかということですが、まず法律的にいいますと、この特定業務勘定というのは、旧国鉄清算事業団の一切の権利を継承したのがこの勘定でございまして、中身的にいえば、大きなのは国鉄職員の年金等の支払なり、アスベスト被害等の業務災害補償の支払なりJR三島・貨物会社への無利子貸付け等がやっておりますが、収入でいいますと、先ほど言いました土地の処分なりJR株式の処分、若しくは新幹線の譲渡代金の受入れというのが収入になっているということでございます。  これについては、今委員から御指摘のありましたように、いろいろな御意見を実はいただいております。ということで我々としてもこれを有効に使うという方向で検討を進めておりますが、要するにこの剰余金というのは実は使途が決まっておるというのが法律でできているので、この使途の変更をするためには法律改正を伴うという認識でございまして、その法案をどうするのかということと、どういう有効な使い方をするのかということについて、今関係省庁と調整をしつつ、その取扱いを検討しているというのが実態でございます。
  63. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 少なくとも、丸々とは言いませんが、使えるようにするということを是非、これは我々としてもといいますか、自民党としても、先ほど伊達委員が申し上げましたように、準備していた、与党のころ準備していた議論でもあるので、法案準備なんかもやりたいということでありますが、一緒に是非やれたらと思います。  そこで、次に高速道路の無料化の問題についてちょっとお伺いします。  今高速道路機構が持っている債務というのは総額で幾らあるでしょうかね。原則無料化というときにはたしか年間一・三兆円ずつを返すというようなマニフェストになっていたかと思いますが、この二つについて現状を教えていただければと思います。
  64. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 機構が保有する高速道路会社六社分の現在の未償還残高、約三十六兆円でございまして、うち有利子債務は三十兆円ということであります。この六兆円、出資分あるいは無利子の債務ということになります。  今御指摘のように、民主党はこの一・三兆円というのを無料化の所要額と示してまいりましたが、これは民主党の高速道路政策大綱におきまして、保有機構が抱える債務約三十五兆円を全面に無料化したとすれば、それを国が債務承継したとして、建設国債、六十年償還ルールに基づいての元本払いと利払い、これ、それぞれが五千六百億と七千億、合わせて一兆二千六百億、これで約一・三兆円というのを掲げたわけであります。  今後も、繰り返しになりますけれども、進捗状況というものを見ながら、財源につきましては、今無料化社会実験を行っておりますので、メリット、デメリットを勘案しながら進めてまいりたいというふうには考えております。
  65. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 これはまたそのうち法案の段階での議論になるのかもしれませんけど、一言だけ申し上げれば、原則無料化するということは税金で返すと、こういうことですよね、建設国債とはいいながら、やがていずれにしても税金で返す。そうすると、その税金なるものは、全く高速道路を使わない人、恩恵を受けない人にも負担をいただく、税として負担いただくということになりますよね。  そこは元々ずっとある議論ですが、以前は特定財源、ガソリン税であるいは自動車重量税で負担をしながら更に高速道路で二重に負担するのかと、こういう議論もありました。ありましたが、高速道路そのものを無料にしてくださいという世論は今少ないですよね。反対の方が多いですよね。それは結局、そういう不公平性みたいなものが一つ。離島の人にも負担させるわけですからね、結果的には税金で全部が負担するわけですから、みんなで。だから、一人一万円ですよね、一・三兆だったら、一億三千万人、一人一万円負担する、子供も大人も、どこに住んでいても、使わなくても。  それともう一つは、元々、有料道路でいいから早く造ってくださいと、緊急に特別に造ってくださいといって、後で負担はみんなで、子供と孫で負担していきましょうというような、だからこそ、後になってもまあしようがない、少し待つかと。今、ミッシングリンクの部分の人たちはみんな、しようがないな、ちょっと待つかと、順番だよねと、こう思っていたら、いや、なかなか建設できませんと、こうなったから、それだったら今の税で負担してでもということで新しい直轄制度みたいなのも入れたと、こういう経緯があるわけですが、公平性みたいな議論でいうと、結局、使わない人にまで、あるいは子供と孫にまでずっと長いこと負担させると、こうなるんで、そこの辺の公平性というのはちょっと問題あるんじゃないですかねと私なんかは思いますが、大臣、どうですか。
  66. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) まず、前提条件の整理をさせていただきたいんですが、この一・三兆円、一・二六兆円という、政策大綱でこれを私がまとめました。仮に、瞬時にそれこそ無料化をするとすれば、今申し上げたように何らかの財源措置が必要で、その場合は国債発行、いわゆる税というふうになれば、先ほど来申し上げるように、年間一・二六兆円のその負担が必要になるということを大綱にまとめたわけです。  そして、今日、我々政権交代をして、この取組につきましては順次段階的実施と申し上げてまいりました。その上で、メリット、デメリットを勘案しながら、真に必要な、この高速道路無料化というものが効果が発現し得るという部分におきまして実施をしていくということであります。  私は、高速道路無料化というこの言葉に、実は隠されているといいますか、あるいは本来の目的として余り注目していただけない部分としてあるのは交通需要管理だと考えております。交通流量をコントロールすることによって経済活性化させる。これは、無料化しても影響ないところは無料化をすれば一般道からの転換が図られるということで無料は実施できる。当然、渋滞が発生するようなところ、公共交通機関に大きく影響を与えるところは、デメリットが大きければ、メリ・デメの話でいえば、ここは無料化は段階的実施の中では優先順位は後位になるだろうと。こうした観点から進めていくべきものだと思っております。  その意味では、この財源の在り方は今後十分に検討していかなければなりませんが、これを御負担いただくということについては、既存の高速道路のまさに社会資本の利活用という観点から、経済あるいは地域の活性化というところで受益者として私は全国の方々が平等に共通に持っていただけるものである、そして、負担は税でという、税、あるいはこれは様々な議論はあるかと思いますが、そこを今後検討しながら進めていくということになります。  受益と負担の関係が崩れているのではないかという御議論なんですが、私は、むしろ今日までの道路行政で既にそれは崩壊してしまっているなと常々申し上げてまいりました。高速道路が、御案内のように、四十年代に東名、名神が全国プール制、料金制に変わりまして地方の建設に回るようになったと、既に償還しているにもかかわらず、もうそのお金は回っているんですね。これはまさに受益と負担の関係崩れているんですよ。あるいは、今日まで合併施行方式で行ってきたような施行についても同様です。  私は、道路というもの、あるいは河川もそうでしょうけれども社会資本という、インフラというものは何か特定の受益者がいるものではなくて、全国共通、国民の財産としての公共財であるがゆえに全国民が受益者であり、そして負担者であるという位置付けでなければ私はこの社会資本整備などというものは到底成り立たないなと、このように思っております。  最近は、一部に、国がなかなか財政的に厳しい状況の中で、PPP、PFIといった民間資本を導入して極めて限定的な場所においてはそれが可能だという、こういったスキームも生まれてきましたが、本来はこの受益と負担の関係というもの、これを当てはめていくためには社会資本整備という枠組みをもう一度しっかりと考える必要があるんではないかと思います。  とりわけ、この高速道路のようなものはまさにネットワークですから、どこか一部のところだけ使っているということではなく、つながっていることに意味があります。そのためにミッシングリンクも結合させていく、利活用のために無料化も考えていくという中で受益と負担の関係というものを、私は、今申し上げた形ですべての方々が受益者であり負担者であるといった概念を本来道路行政には持つべきではないかと思います。  余り長くなりますのでこの辺で止めますが、最後に。  元々道路は無料のものであった、それがいわゆる田中角栄さんが作られた角栄法の中で非常時の立法として有料道路というものが造られてまいりました。その経緯を考えれば、道路は無料であるという原則に立ち返って、私たちは再度、今日既に概成されてしまった有料道路の体系をどのようにしていくかということを皆さんとともに御議論をさせていただいて進めてまいりたいというふうに考えております。
  67. 小泉昭男

    委員長小泉昭男君) ちょっとお待ちください。  三井大臣、御答弁ないようでございますので、御退席、結構でございます。
  68. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 どうぞ、三井大臣、済みません。  実は、原則無料というのは無料じゃないんですね、原則税でやる、こういうことなんです。無料原則みたいなことを一時そう言っていたものですから、私はそれは言い直しさせてもらっていて、原則税で薄く広く御負担いただくか、その税の中でも使う方、つまり自動車関係諸税でお願いするか、それとも薄く広く、それこそ建設国債といったら返すのはみんなですね、一人一万円ずつ一兆三千億返すわけですからという、どれがいいかということで、決して無料ではないですね。  世界中で実は有料にしてきているんですね、有料に。ドイツは大型車は今有料にしていたと思いますが、アウトバーンですね。小型といいますか、で、もう有料にしたいんですけど、なかなかできないんですね、これ。イギリスも、PFIというのはイギリスから言葉としては出てきたんですが、あれは日本の有料道路なりなんなりをまねしようとしたんですが、いきなり有料道路にするわけにはいかないと。元々イギリスに有料道路はあったんですが、だけど大部分高速を無料で、税で造った。それじゃとても管理もできないし、建設の方も進まないから何か工夫ないかというんでPFIというような発想も出てきたというふうに私は勝手に思っていますが、それはまたそれで高速の議論のときにさせていただくことにして。  少なくともガソリン税は暫定税率下げましょうとマニフェストでおっしゃって、去年それはやめることにした。これはこの前も聞いたんですが、せめて、高速道路、社会実験で一千億、来年は一千五百億要求されている。そうだとすると、使えないといいますか、直接は使えない離島の人たちのせめてガソリン税ぐらいはお下げになっていただいたらどうでしょうとか、あるいはフェリー航路ですよね、フェリー航路なんかにも、一千億、一千五百億高速道路の無料の社会実験でなさるんなら、もちろんその中からと、こうは申し上げません、外に取ってもいいんですが、整合性を取りながらやっていくという意味では、離島のガソリン税下げたり、あるいは航路の、フェリー航路、あるいは空路でもいいんですけどね、助成されたりというようなことがバランス取っていく上で必要じゃないんでしょうかね、さっきのJR三島、貨物の、鉄道の方もそうですけど。その辺はどうでしょうか。
  69. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 離島並びに地域、過疎地の公共交通の確保というもの、これは重要な私は政策だと思っておりまして、この二十三年度概算要求には、これは生活交通サバイバル戦略と申して、地域公共交通確保維持改善事業として四百五十三億円の要求を行っております。  この高速道路無料化の社会実験、これも私は繰り返しになりますが、今後皆様方の御意見を承りながら段階的実施のために進めていかねばならない施策だと思いますが、御指摘のようなこうした地域の公共交通の確保というものについては当然行うべきだと思います。  ガソリン税を下げるべきではないかという御意見に関しては、確かに本土と平均しますとこれ価格差二十円前後ございますが、一方で、税の公平性あるいは執行の方法等、様々な課題があると思います。これは政府全体、税調での議論が必要だと思いますし、離島に関しても、確かに大変乖離している島もあるんですが、逆に離島の方が安かったりするところも現実にございます。  こうしたことを勘案しますと、私どもとしても何らかの施策が必要であるということは十分理解をしながらも、単純にこのガソリン税だけの話ではないと、離島にお住まいの皆さん方生活に資する方法は何かということを考えなければならないと思っております。  そして、済みません、一点だけ、先ほど先生が御指摘になられました世界中で高速道路有料化が進んでいるんではないかという御指摘がありましたが、私はこう思っているんですね。もちろん、無料で進められた国々がロードプライシングと、これまさにあのTDMです、交通需要管理の観点からロードプライシングを導入されていくという方向があります。一方で、我が国のように、有料であった道路、これがいわゆる料金を課すことによって抵抗値となって一般道化の転換が進まないものについてはこれは無料化していくことが私は理にかなっていると思う。その意味では、一〇〇%有料とそして無料という道路の中、道路行政あるいは道路交通を考えたときに、一定程度私は収れんする方向があるんだと思います。無料だったところが有料化していく都市部におけるロードプライシング、こういったことと、私どものような今日ある有料道路の体制の中で使われていない道路を利活用していくところから無料化をしていくということ、これは私は同じ方向を向くものであるのではないかというふうに思っております。
  70. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 それはまた別途の機会に十分議論させていただくことにして、最後の質問です。  資料の九、御覧いただくと、雨の降り方が極端になってきているんですね。百年前に比べますと全国の平均の雨は百ミリ減っています、一年に一ミリずつ減っているんですね。だけど、ばらつきが大きくなってきていまして、昔はプラスマイナス二百ミリぐらいだったのがプラスマイナス四百ミリぐらい。  したがって、どういうことが言えるかといいますと、これは日本全国の平均ですけど、降る年、降らない年、あるいは降る地域、降らない地域。だとすると、実は、ダムに頼らない治水というのは実はどんどんどんどん無理があって、両方、治水も利水も一緒にやっていかないと、こんなにばらつきがでかい状態ではやれるわけないんですね。だから、ダムに頼らない治水というのは無理があると、ずっと私なんかはそう言い続けています。八ツ場もしかりですと。あれも治水も利水も両方考えた上でのダムですから、これを片一方だけ否定するとか一生懸命否定なさる方に私は無理があるんじゃないかと思います。  それから、もう時間なくなりました、スーパー堤防、高規格堤防ですね。あれも、実は江戸川なんかは低地帯が多くて、高台が必要なんですね。だから、避難地として、堤防強化兼避難地、避難公園として造っていくという部分がどうしたって必要なんですね。それには時間は掛かってもそうやってエリアごとにそんなことを造って役に立てていくと、こういう問題があるんだと思います。  この治水、利水と、この両面を考えなきゃいけないという点について是非是非御理解をいただいて、ダムに頼らない治水というのは無理がありますということを、そうだと言ってくださいとは申し上げませんが、こういう自然現象も御理解いただいた上で、是非八ツ場なんかもう早速建設の決議に賛成していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  71. 小泉昭男

    委員長小泉昭男君) 馬淵国土交通大臣、簡潔にお願いいたします。
  72. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) はい。  できるだけダムに頼らない、これは治水だけではなく利水の機能、利水ということも十分に承知しながら進めております。  私どもとしても、今御指摘のように、今後も洪水調節、新規利水、流水、正常機能の維持などをしっかりと踏まえながら再検証というものを進めてまいりたいと思っておりますので、今後もまた御指導のほどよろしくお願いいたします。  以上でございます。
  73. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 終わります。
  74. 小泉昭男

    委員長小泉昭男君) 午後一時三十分に再開することとして、休憩いたします。    午前十一時四十六分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  75. 小泉昭男

    委員長小泉昭男君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  76. 長沢広明

    ○長沢広明君 公明党の長沢広明でございます。  今日は、尖閣諸島沖の衝突事案に関する映像が流出した問題について、何点か確認をさせていただきながら質問したいというふうに思います。  特に、海上保安庁情報管理と政府の危機管理体制、これが今この事案を中心に注目されていると思います。  昨日、御案内のとおり、第五管区所属の海上保安官が自らがネット上に流出させたというふうに名のり出たということで、今月の八日に海上保安庁国家公務員法違反不正アクセス行為禁止法違反などで刑事告発したことを受け、当該のこの保安官に対して現在取調べが進められているところでございます。捜査段階であることは十分承知をしております。  その上で、しかし、自ら調査し、対応していくということは、これは捜査とは別に並行して進めていかなければならないことだというふうに思いますので、特に、これが起訴されるのかどうか、本当に犯人なのかどうかということも含めて今捜査されているわけですけれども、一個人のそういう公務員法違反というようなものに私はこの問題を矮小化して閉じ込めてはならないというふうに思います。これは国家全体にかかわる問題になってきております。  その意味では、一つ一つちょっと確認をしたいと思いますが、まず海保内部でのこのデータの保有、管理の仕方について伺います。  九月七日に衝突事案が発生した以降、パソコンの中に保存されたりCDにコピーされたり、あるいは場合によってはほかのメディアにコピーされた場合もあるかもしれませんが、そういうことが作業された。それがどの段階でどの程度行われたかということは、これは内部調査されてある程度把握しているはずであります、当然それを把握することが内部調査の目的ですから。それを受けてこの途中で、十一月四日までの間で検察に捜査資料として出した後はデータについては破棄したと、こういうふうに聞いておりますけれども、削除、破棄されたことをちゃんと確認するとか、そういうデータ管理、履歴管理というものはされてきたのか。  また、映像が流出したと思われる十一月四日の段階で、十一月五日にはもう調査に入られているわけですから、その段階ではどこにどれだけこの映像データが保存されたと確認されたのか、明らかにしていただきたいと思います。
  77. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 御承知のように、私ども内部調査をしました結果、なかなか限界があったということで、現在、東京地検及び警視庁に告発をいたしまして、捜査段階に移行した状況でございます。私どもとしては、その内部調査結果も捜査当局にお渡しをして、全面的に捜査に協力している状況であります。  したがいまして、今回の事件に関する具体的なその取扱状況というのは申し上げにくいわけでありますが、一般的に、海上保安庁におきましては、証拠品等の保存方法については部内通達により定められておりまして、証拠品については、施錠可能な専用保管庫を定め、必要時以外は常時施錠して保管することとされております。  それから、馬淵国土交通大臣から、十月十八日、組織ごとに情報の管理責任者を定め、衝突事案にかかわる情報の厳重な管理をするように指示を受けまして、本庁、第十一管区石垣保安部、それぞれ管理責任者を定めまして更に厳重な情報管理をしたということで努めてまいったところであります。
  78. 長沢広明

    ○長沢広明君 非常に原則的な話で、実際どこまで本当に内部調査をされたのか。限界があって、結局、刑事告発に踏み切ったと、こういうふうにおっしゃいましたが、どこまで、じゃ、自らで調査をされたのかというところが今のお答えでははっきりと分かりません。  じゃ、ちょっと角度を変えて、調査しなくても想定できる問題。  第五管区の保安官がデータを保有していたと。事件が起きたのは十一管区でございます。なぜ第五管区の保安官がこの映像データを入手できたのか。この入手経路については一番焦点になって、まだ明らかになっていないわけですけれども、入手できたルートがあるとすれば何だと考えられるか。それは、ある程度想定して当然調査をされる、どこから漏れるかということを想定して調査をされたんだと思いますし、しかも第五管区の保安官であるということが分かった、特定されてきたこの今の段階では、なぜそこに流れる道があったのか、どういう形で渡る可能性があったのか、その想定できるケースというものはある程度想定するべきものだと思いますので、何が想定されますか。
  79. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 私どもは、流出事案発生直後から那覇の第十一管区及び石垣保安部担当官八名を本庁等から派遣いたしまして、私どもが編集をして那覇地検に渡した映像のコンパクトディスク、CD、それからそれに関連するパソコン等につきまして相当詳細な調査を実施いたしましたが、流出経路を特定するには至りませんでした。特にそのパソコンのデータの解析等には膨大な作業を要したことから、内部調査には限界があるということで捜査の方にお願いすることになったわけでありますけれども、その後は、現在、捜査当局において捜査中でございますので、具体的なお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  80. 長沢広明

    ○長沢広明君 例えば、この該当する保安官が十一管区に、中国語の研修を受けていたという話も、報道ベースですが、確認できていませんが、報道ベースでそういう話もあります。あるいは、もっと根本的に言いますと、ほかの管区でもネットワークを介して見れたのではないかという説もあります。  元々、海上保安庁業務は大変に、非常に微妙な業務をされているということは分かります。ただ、海難事故の捜査をすると、当然、捜査資料を収集し保管するということは、これ、通常の業務ですね、ある意味では。この通常の業務であるがゆえに当初から通常の扱いになっている可能性があるわけですよ。通常の扱いというのは、その事案が起きたときに、こういうことが起きているよ、こういうことが起きているよということで、海上保安官の間で情報を共有するということが行われる可能性があるわけです。そういう意味ではいろんな形でデータが流出する可能性が当初からあったと、そういう想定がされるんですが、このことについてどうお考えになりますか。
  81. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) まず、最初に御指摘がありました、その中国語の研修に何か第五管区から行っていたというような報道でありますが、私どもはそのような事実は確認してございません。  それから、情報の共有ということにつきましては、確かに捜査をやっておる過程でその捜査に携わっている者が一緒に共有するということは一般的にあろうかと思いますが、これにつきましても、詳細につきましては今捜査中ということで、お答えを差し控えたいと思います。
  82. 長沢広明

    ○長沢広明君 もちろん、なぜ入手できたかということは今捜査段階ですが、捜査と並行してやはり管理ということですね、いわゆる情報管理という面でこれ、海上保安庁独自でもきちんと調査しながら対応すべき問題であるというふうに思います。  九月二十四日に船長を釈放した際に映像資料は金庫に保管されたと、こういうふうにされておりますが、それまでの管理の仕方がどうだったのか、あるいはその後の管理の仕方がどうだったのかということが一つこれは管理体制として問題になります。  先ほども私、申し上げたとおり、海上保安庁の保安官の皆さんは、そうやって捜査資料を集め、場合によっては、それはほかの地域でも起きるような場合があるということによって情報を共有するということが間々あるというふうに私も聞いていますし、また、捜査資料とはいっても、最終的には捜査終了した段階で、あるいはいろんな意味で公開される可能性があるということで、公開されることを前提に編集されたりするということがあるわけですね。そういう意味では捜査資料だからきちっと管理されていたという話にはなかなかならないと思うんですよ。その意味ではどう管理をしたかということが非常に大事な問題になります。  そこで、この映像については国会でも、公開すべきであると、こういう声が強まりまして議論がされました。その中で政府は、これは十月七日という日を私は日を挙げますけれども、原則、公開しないという方針を政府内部では方針を決めたと思います。これはなぜかといいますと、十月七日のときに、衆議院予算委員会の理事懇談会で、法務省の小川副大臣がいらっしゃって、そこで起訴するか否かの結論が出ていない段階捜査資料を出したケースはないといって事実上、国会提出を拒否した局面がございます。したがって、この十月七日の段階では少なくとも非公開ということを方針を決めています。  その後も、政府は公開することに非常に慎重な姿勢でしたし、国会議員に最終的に視聴させるということについても、御案内のとおり、非常に限定的な対応がなされました。その背景には、もしかしたら外交上微妙な問題がはらんでいるからと、こういうような判断があったのかもしれません。仮にそうであれば、少なくとも公開しないと、公開に慎重であると政府が決めた段階では、単なる捜査資料という範囲を超えて、より機密性の高い情報管理体制に移行するというような、いわゆる管理のレベルアップということが必要だったというふうに思うんですね。  そこで、改めて管理体制強化というのをどういうふうに取り組んだのかということが課題になりますが、これは大臣にお伺いします。この映像データの管理について、きちんと管理しろと、厳しい管理をしなさいという指示を出されたのはいつですか。大臣自身が出されたのはいつかということと、それから特に大臣には、官邸からこの情報はきちっと管理しろという指示があったのか、総理あるいは官房長官始め官邸からこの映像データの管理に対する指示があったのか、あったとすればいつなのか、お答えいただきたいと思います。
  83. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) まず、冒頭にお断りしておきますが、捜査当局であるということから、当然ながら情報管理は徹底されているものと承知しております。また、内規によっても定められている中で、今般このビデオ等の証拠物、情報に関しましては、私が十月の十八日、これ国会の提出ということが、求めに応じて提出ということの流れの中で、そうした議論がある中で、私、十月十八日に海上保安庁に対しまして、組織ごとに情報の管理者、これを改めて定め、そして情報の厳重な管理をするように指示をしたということでございます。  なお、この件に関しましては官邸からの御指示ということではなく、私自身海上保安庁、当然ながら管理をしておりますが、更なる徹底を図るという意味指示を出したところでございます。
  84. 長沢広明

    ○長沢広明君 二つ問題があると思います。  一つは、大臣からこの映像データの管理について強化すべきであるという指示があったというのが十月十八日であったということ。先ほど来私、申し上げたとおり、この映像データの公開、非公開ということが国会でかなり議論になったのは十月に入ってすぐもう議論になっています。九月の七日に逮捕、そしてその後、勾留、そして勾留を延長、九月二十四日に釈放、こういう経緯の中でデータの管理を強化すべきだという指示大臣が出されたのが十月十八日だったというのはかなり遅い、これは遅過ぎると思います。この指示は本来、九月七日に逮捕された段階でこの指示は本来出すべきであり、このデータそのものの機密性の高さというものをその段階で既に認識しておくべきだというふうに思います。
  85. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 私が大臣を拝命したのが九月の十七日でございます。そして、今御指摘のように九月、もうその段階で、早い段階でというところに関しましては、前大臣が当然ながら承知をされているものと思っております。  今、十月の十八日、これについてはということで御指摘がありましたが、繰り返しになりますが、もう既に厳重な体制で管理をしていると。これは内規によって、度々長官からも説明はさせていただいておりますが、捜査当局としての証拠品の管理というものについては徹底をしているという、そういった状況の中で私自身が再度改めてと申し上げたのは、一つ一つのその管理の中でその責任者というのは元々定められておりますが、具体的に個別の管理責任者ということを定めよということで、情報の管理徹底を指示したところでございまして、私としては組織として取り得べき対応をしていると、このように思っております。
  86. 長沢広明

    ○長沢広明君 事実、捜査資料であるから厳重に管理されると、もうそういうふうに繰り返されますけれども、現実的には捜査資料だということのたがしかはまってない、これはもう先ほど来私、申し上げたとおり、通常の範囲に収まっているということなんですよ。通常の管理体制のままで来たということなんですよ。ここは私は判断のミス。  同時に、官邸からの指示もなかったというふうに今大臣おっしゃいました。その官邸からも含めてこのきちんとした管理の指示ということがなかったということも、これも一つの大きな問題だというふうに思います。いや、それは結構です。  それで、そもそもこの体制をしく初動の段階からこのセキュリティーが甘かったということを指摘せざるを得ないというふうに思っているわけですね。  それで、この問題は、ちょっとほかのこともやりたいんですが、この問題は、そもそも九月七日に事件が起きて逮捕をした、そして勾留した、勾留延長をした、ここまではやはり官邸にも報告が上がり、判断がなされているわけですね、当然。そういう報告、判断がなされていることについて考えれば、これはもうその当初の段階から政治責任、発生しているわけです。  先日、官房長官が政治責任と職務執行責任、要するに執行責任は別だというような話をされましたけれども、この問題は当初から、出発点は、尖閣諸島沖でこの衝突事件が起きて、それに対する政府の対応、姿勢ということに当初からこの問題があると私は指摘をしておきます。  もし、先ほど、今日午前中、大臣の方から、故意に情報を流出させたとすれば、それはあってはならないという、大臣、発言を午前中されましたが、なぜこうした行為に出たかと。もし、この保安官がその当事者であれば、なぜこういう行為に出るという、そういう衝動を生じさせた原因は何なのかということをこれはきちんと見詰める必要があると私は思います。同時に、この保安官の行為については、これを擁護する国民の声が非常に多く上がっているというふうなことも出ております。  この保安官が本当に当事者であれば、もちろん動機の解明ということが急がれます。しかし、逮捕の段階で本来政治責任は生じている。問題の基本、出発点がこの尖閣諸島沖衝突事件に対する政府の対応と姿勢に問題があったということは、これは否めない事実であります。この情報の公開にも消極的であったし、釈放したことについては、これは地検の判断だといって一気に、政治家の方の責任、政府の方の判断が一気に手を引いた、こういうことに対する現場の、海上保安官現場の思いというものも私はあったと思う。  今回、このネット上に流れ映像を多くの国民皆さんがネット上で、あるいはテレビを通じて、報道を通じて御覧になったと思います。御覧になった国民の多くは、あの何もない海の真っただ中で、海上保安官皆さんがまさに切っ先を突き合わせるようにして体を張って国を守る、そういう業務に真剣になって命を懸けて取り組んでいらっしゃる、そういう姿を私は国民の多くの皆様、御覧になったと思います。  そして、そこで起きているということが国民に対して知らされてこなかったということについての国民の思いもある。そして、結果的には逮捕し、そして勾留し、延長し、しかし釈放されてしまった。その判断を、最後は、政権は、政治家は全くその責任を担わない、そういうことに対する、私は、現場の保安官の皆さんの中には、もしかしたら自分たちのやっている仕事は何なんだと、こういう思いに対する何かマグマのようにたまったものがもしかしたらあったかもしれない。そういうことも含めまして、この問題は個人の問題ではないというふうに思います。  そう考えますと、こういう領海を守る実行部隊という海保は、最前線からの重要な情報が、この起こった情報がいともたやすく簡単に流れたという面においても、これは、日本に対しては、諸外国から見れば外交とか防衛上の機密情報日本に渡すことができないという日本の信頼を失墜する結果にもつながっていきかねないというふうに思います。  その意味では、大きく国益を損なったとも指摘せざるを得ませんし、その点で、大臣及びこれは執行の現場として海上保安庁の責任も重いと思います。原因究明への調査を尽くすということももちろん重要ですけれども、この流出問題に対する自らの責任ということについて、まず海上保安庁長官認識と、そして自らの責任ということについて大臣認識をそれぞれ伺いたいと思います。
  87. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 本流出事案につきましては今後の捜査により事実が明らかにされるものと承知をしておりますが、海上警察機関たる海上保安庁職員が故意に情報を流出させるというようなことはあってはならないことであると考えております。  私どもとしては、まずは捜査に全面的に協力することにより早急に事実関係を明らかにした上で、今後二度とこのようなことが起こらないよう改善策を講じていくことが私の責任であると思っております。
  88. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) これも私、午前中に申し上げました。こうしたことがあってはならないと、そこは強く思っております。  その上で、捜査に私どもとしても全面的に協力すると。事実を明らかにする上で再発防止、二度とこうしたことが起こらない、このことをしっかりと改善策を講じていく、これが私どもの責任であると、このように考えております。
  89. 長沢広明

    ○長沢広明君 もう一つ、今後、よりハイレベルな情報管理体制の構築に向けて取組をしっかりやると、これも非常に大事なことです。このハイレベルな情報管理体制の構築ということについてどう取り組むお考えか、大臣の御見解を具体的にできるだけ示してもらいたいと思います。
  90. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) まず、昨日も、再度、私、鈴木長官に対しましてこの情報管理の徹底ということを指示いたしました。また、先ほど来、先生が御懸念の部分、現場職員の士気の低下、こういったものを避けなければなりません。二十四時間、領海において厳しい環境の中で職務に精励している職員に対しての激励も含めて、我々としてはしっかりと職務精励ということも私は通達をさせたところでございます。  当然ながら捜査にも全面的に協力するということでございますが、一方、この情報システムという、最近極めて速度の速い発達を遂げていく、こうしたシステムの中での情報管理というものについては抜本的な見直しが必要だと思っております。  政府全体としても、秘密保全に関する法制の在り方と併せて情報保全システムにおいて必要と考えられる措置を検討するための実務者レベルの委員会、これを立ち上げるということを聞いております。  海上保安庁としても同様に、この情報管理に対して、まずは自ら行えること、これをしっかりと整理をして取組をさせていきたいと、このように思っております。
  91. 長沢広明

    ○長沢広明君 重ねて申し上げますけれども、この問題は保安官個人の問題に矮小化する問題ではありません。当初から申し上げましたとおり、この九月七日の逮捕の段階から政治責任は生じている。逮捕し、勾留し、勾留延長し、そして釈放した。釈放したことについて、これは地検の判断だといって政治の責任を逃れた。そしてさらに、情報の公開については非常に消極的だった。こういう一連の流れの中に様々な政府の、内閣としての対応の無責任さということがある。ここに政治責任がないとは言えないです、これは。  政治は結果責任であり、この事実を受けて政治が責任を取らないということ自体に隊員の士気が関係しているんですよ。隊員の仕事、働きがい、命を懸けて戦うという、その働きがいに掛かるんですよ、ここが。  その意味では、私は、今日、北澤防衛大臣も何か言われたようですけれども、いわゆる執行現場の責任、それは確かに行政執行の現場の責任という意味では海上保安庁長官の責任は否めないかもしれません。しかし、そこで収まる問題ではない。少なくとも、官僚の責任で収めてしまうようなやり方であっては絶対いけないということは申し上げておきたいと思います。政治責任が生じている、この政治の責任をきちんと明らかにするということは絶対に必要だと、それでなければ海上保安庁現場職員国民皆さんも、とてもではないけれども納得がいかないということだけははっきりと指摘をさせていただきたいと思います。  大臣、感想を一言お願いします。
  92. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 徹底的な事実究明とその捜査への協力、さらには再発の防止策、改善策を講じること、これが私どもの責任であると強く感じております。
  93. 長沢広明

    ○長沢広明君 これ以上重ねてもこの責任の問題というものは収まりません、この場で答えは出ないと思いますが、私は先ほど申し上げたとおり、執行責任と政治責任を分けて考えて、執行の官僚に、あるいは現場に責任を押し付けるようなやり方ではなくて、この問題はひとえに政治の責任は当初からあるということだけはもう一度確認の上で言わせていただきます。  海上保安庁の問題はここまでにさせていただきますので、長官、これで結構でございます。  あと少し、時間がなくなりましたが、補正予算案のことについて少し触れさせていただきたいと思います。  今、補正予算案が審議をされておりますけれども、今回のこの補正予算案、特に全体の中で国土交通省に関係する部分だけを見ても、様々な私、課題があるというふうに言わせていただきます。  この補正予算そのものが、緊急性を持って円高・デフレに対応するという、景気回復を本当に図ろうという姿勢とか哲学とか理念とか、そういうものがなかなかこの中には見えません。各部局プランのできそうなものを寄せ集めてホッチキスで留めた、こういうようなものにすぎないのではないかというふうにしか見えません。このホッチキス留めという批判はかつて野党時代の民主党さんがよくされていた批判でございますが、これがそのまま繰り返されているにすぎないというふうに思います。  この国土交通省関連の補正予算案部分を見ましても、総額は緊急総合経済対策としては四千八百五十八億円。規模も小さいし、景気対策としての効果が期待できないというふうに思います。予備費とか補正予算、本予算、三段構えと言われていますけれども国土交通省の大臣として、この国土交通省のこの補正予算案を通じてこの国をどこに向かわせようとしているのか、この政策の先をどう見ているのか、その予見性さえ見えないわけであります。これをしっかり、場当たり的というふうに言うほかないんですが、この点、国土交通大臣としてはこういうことを考えているんだと、もしあればその点、見解を簡単に述べていただきたいと思います。
  94. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) これは私が所信で申し上げたこととまさに重なるものですが、三点ございます。  国土の背骨と申し上げた部分でいきますと、必要な社会資本整備、あるべき社会資本整備ということで、今回のこの補正予算ステップ2の中には国土ミッシングリンクの解消、必要な道路整備ということに振り向けるべく予算を今回挙げさせていただきました。さらには、産業という分野で、建設産業、大変疲弊をしているという状況の中で申し上げますと、建設産業に対する金融支援、これも今回の施策に盛り込ませていただきました。そして、生活、これも国民生活の中で今問われている安心、安全をかんがみれば、住宅の耐震化というものも極めて重要です。この加速という部分にも盛り込ませていただきました。また、これも地域によって様々な形態ございますが、魅力ある観光地づくり、産業にも直接かかわるかもしれませんが、こうした分野にも我々としては改めて緊急性、実効性のあるものとして予算案を策定させていただいたところでございまして、このステップ2でまだまだ見えないという先生の御指摘でありますが、私としましては、ステップ3、すなわち来年度の予算案、この編成過程の中であるべき国土交通行政の在り方というものを御提示をしてまいりたい。もちろん、重ねて提出させていただく法案もその絵姿というものをしっかりと示すものになると思っております。  まだステップ2ということでございますが、今申し上げたように、少なくとも私自身大臣を拝命して表明させていただいた一般所信の中に盛り込ませていただいたその方策、方向があると、このように思っております。
  95. 長沢広明

    ○長沢広明君 一見すると、我が党が発表した経済対策が盛り込まれているように当初見えたんですけれども、よくよく精査してみますと、項目のみで具体的な事業が入っていないとか、極端に規模が小さいとか、様々な問題があって、本当はもうちょっと今日はこの補正予算の中身について議論したかったんですが、例えば幹線道路の整備促進三千五百億円と私たち提案しましたけれども、それが具体的にどう進めていくのかなかなか見えない。あるいは、来年度予算公共事業を前倒しするこのいわゆるゼロ国債、二千四百億円のうち国土交通省分は二千五十二億円。このゼロ国債についても、結局は来年度の当初予算の枠である公共事業になるということを考えますと、景気対策として新たな需要を生み出すという手にはなっていないわけですよ。これはもう景気対策と本当に言えるのかという、こういう問題があります。  この問題はちょっと言うだけにさせていただきますが、一つだけ、例えば国内観光の活性化という問題。これは私たち公明党、この観光の活性化ということは景気対策として非常に重要だということをずっと重視をしてきたわけであります。特に、観光産業の活性化を目的として、私たちの提案は観光振興に五百億円規模の予算を組むべきだと、こう提案しました。  しかし、結果入ってきたのは、魅力ある観光地づくりの推進と国内旅行の活性化としてわずか十三億円です。五百億円提案したのが、しかし答え返ってきたのは十三億円、それも二項目で八億円と五億円で分けて。もちろん、観光の振興というのは予算だけじゃありません。少ない予算で大きい効果を発揮できるのは実は観光事業であります。その意味では規制の緩和とかいろんな手を使えば観光の活性化というのはお金を掛けずにできる面がある。しかし、今回私たちが提案したのは、お金を掛けてやるべき事業として五百億提案しました。それに対して付いたのは十三億円。で、中身も滞在観光の加速化とか言語バリアフリー化の加速と、こういうことで八億円とか五億円とか付いているんですが、これで十分観光産業の浮揚に役立つと、この十三億円で景気対策になると本当に考えているのか。観光産業に力を入れるということは地方の力になるんですよ、これは。ここにきちんとお金を持っていく、五百億出していけば、それは地方の景気を浮揚するということに、雇用も生み出すことになる、大きな効果があるということで私たちは五百億提案したんですよ。それに対して返ってきたお答えは十三億、これで本当に役に立つとお考えですか、最後にこれだけ伺います。
  96. 小泉昭男

    委員長小泉昭男君) 馬淵国土交通大臣、時間が迫っておりますので、手短にお願いします。
  97. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 御党の御要望というのを踏まえて私ども十分に承っておりますが、今回、十分ではないという御意見あるかと思いますが、一方で、新たな観光圏の整備、旅行商品の造成等に係る支援等、効果のあるものを私ども厳選したつもりでございます。引き続きステップ3で、二十三年度の予算の中でしっかりと観光振興、地域に貢献する観光振興というものを御提示してまいりたいというふうに考えております。
  98. 長沢広明

    ○長沢広明君 終わります。
  99. 上野ひろし

    上野ひろし君 上野ひろしでございます。  私もまず、尖閣諸島の中国漁船衝突の映像が流出をしたという問題についてお伺いをしたいと思います。  まず、この映像、そもそも国民に対して公開されていない、また国会からの要求に対しても本当に限定的なものしか渡されていない、そういうものであれば本来厳重に取扱いをするべきものであって、それが流出をしたというのは本当に大変な問題であると思っています。  報道でもいろいろ情報出ておりまして、海上保安庁のずさんな情報管理状況というのが出ているところでございます。特に、昨日、自分がやったというふうに話をされている神戸海上保安部海上保安官映像はだれでも見られる状態にあった、特に機密扱いはされていなかったというふうに言っているということであります。海上保安庁のネットワーク上で見られる状態にあったという報道もされております。  それから、映像が何種類もあったという話も出ております。私、海上保安庁の方に確認をいたしましたら、まさに流出をした四十四分間、この映像については海上保安庁に、これはCDでしょうか、二枚あったというふうに聞いています。それ以外にも国会に提出をされた六分五十秒のもの、それからオリジナル、これは三時間半とか十時間とかといういろいろ話ありますけれども、オリジナルのもの。それから、それ以外にも衝突事件が起きた、衝突が起きた当初に官邸に持っていった、官邸に見せた、関係閣僚に見せたもの、これは五分程度の長さのものだったというふうに聞いておりますけれども、そういうものもあった。さらに、馬淵大臣が就任後に見られた映像というのは、更にそれとはまた別のものだったという話もございます。報道によれば十数種類あったんじゃないかという話もありますけれども、こういう形で、本当に様々な形で編集を繰り返す、複製を繰り返すということが本来機密情報として扱うべき情報が管理不能な状態になっていたということにつながるのではないかと思います。  海上保安庁におきまして、この映像、どういう管理状態にあったのかということ、今申し上げたようなことに関する事実関係も含めまして改めてお伺いをするとともに、流出が起こったことに関連をして、情報管理在り方をどう考えるのかというのをお伺いをしたいと思います。
  100. 三井辨雄

    ○副大臣三井辨雄君) お答えさせていただきます。  今委員から御質問がございましたように、海上保安庁では、特に証拠品については、かぎを掛けて専用の保管庫に収めて、必要なとき以外は常時かぎを掛けて保管しているというのが現状であります。また、捜査書類等につきましても、証拠品の保存方法に準じた方法で適切に管理されていると承知しております。  今般の事案でございますけれども、こうした状況下において発生したものであり、海上保安庁においては事件発生後直ちに担当官を現地に派遣し、ビデオの管理状況等調査を行ったところでございます。映像が流出した経緯の特定には至っておりませんけれども内部調査では限界があると判断し、十一月四日、警視庁及び東京地検刑事告発を行ったところでございます。現在、捜査が行われていると承知しております。  これらの捜査機関による捜査に協力することによりまして、真相究明、更に情報管理の改善策を検討してまいる所存でございます。
  101. 上野ひろし

    上野ひろし君 適切に管理がされていれば今回のような流出というのはなかったということだと思いますので、非常に問題があったということは指摘をしたいと思います。  次に、映像が流出をした後の国民からの反応ということについてお伺いをしたいと思います。  海上保安庁に対して、電話それからメール等で様々な反応が国民から寄せられているというふうに聞いております。いろいろ報道ありますけれども、例えば、神戸海上保安部に対しましては昨日の夜までに電話とメールが四百件以上寄せられた、ほとんどは、頑張れ、捕まえないでといったような、その海上保安官を激励をする内容だったというふうに聞いております。情報管理の不備というのを問題視をする声はあっても、映像を公開したこと自体について批判というのはほとんど国民の間からはないのではないかというように思いますけれども、具体的にはどういう反応があったのか、それを受けて国民の声というのをどうとらえるのか、どう感じられるのかというのをお伺いをしたいと思います。
  102. 三井辨雄

    ○副大臣三井辨雄君) 十一月五日以降、電話は七百四十一件、メールにつきましては約千四百五十件が海上保安庁の本庁に寄せられております。今委員がおっしゃったように、国民の間でも様々な御意見があると思いますし、いずれにしましても、このことを認識しながら今回の事件、特にこの漁船の衝突事件というのは、証拠と同内容の映像が流出したものでありますから、この事件捜査のみならず、今後の同種事件についても捜査及び海上の警備、取締り活動に重大な影響を与えることを踏まえれば、こうした映像の流出はあってはならないと考えております。
  103. 上野ひろし

    上野ひろし君 手段については別といたしまして、国民の側からは、その映像を公開をしたことについて評価をされているということだと思っております。  では次に、何で政府は当初からこの映像を公開をしなかったのかということをお伺いをしたいと思います。  海上保安庁に私の方から確認をいたしました。非公開という判断はだれが行うのかということでありますけれども、刑事訴訟法の解釈によれば、撮影をして映像を保有している海上保安庁、それからそれを引き継いだ検察庁が判断をする主体であるということでありました。  そこで、海上保安庁を所管をする国土交通大臣にお伺いをいたしますけれども、この映像は中国の漁船が海上保安庁の船にぶつかってくるということが明らかになる、本当に国益上重要な情報であったというふうに認識をいたします。その上で、公益上の必要がある場合には公開が認められている、刑事訴訟法上も公開は認められているという情報でありますので、早い段階国民に対して、また世界に対して海上保安庁の活動の正当性を示すためにも、この映像を公開すべきだったのではないかと思いますけれども、お考えをお伺いをしたいと思います。
  104. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) これも繰り返しの答弁で恐縮ですが、海上保安庁とそして検察当局がこれを協議して判断をされるべきものということで、これはもう先生御指摘の刑事訴訟法の四十七条の規定に基づいたものでございます。  私どもとしては、繰り返しですが、検察当局、そして海上保安庁、これら協議の上、適切に判断されたと、このように承知しております。
  105. 上野ひろし

    上野ひろし君 これは既に公益上の必要があるということで国会衆議院の方には提出をされているものであります。むしろ、限定的に公開をするのではなくて、きちんと当初から国民に広く公開をすべきものであったのではないかと思います。今回の流出事件につきましては、政府の当初の判断が間違っていたということが招いた結果ではないかというふうなことを指摘をさせていただきたいと思います。  今後の対応ということについてお伺いをしたいと思います。  この流出事件受けまして、既にもう映像世界中にインターネットを通じて流れているわけでございます。例えば、訴訟関係者の名誉、それからプライバシーといったものがもう公開をしないという理由にはならないということではないかと思います。今からでも、少なくとももう流出をしている四十四分間の映像、そして、もちろん全編の公開をすべきではないかというふうに思いますけれども、どうお考えでしょうか。  特に、この件につきましては、仙谷官房長官のいわゆる私的メモという中でも、公開によって中国による日本非難の主張を退けることができるとあって、まさにそのとおりだと思うんですけれども、御所見をお伺いをしたいと思います。
  106. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 先ほど来の質問が、その意味では今の御質問につながっているものと承知いたします。  国会でも委員皆さん方に視聴を許されたということで、また、流出があったからということでの全面公開ということでの御指摘かと思いますが、元々国会におきましては、これも国会の求めに対して、国政調査権という求めに対して、検察並びに海上保安庁協議の上、オリジナル媒体から映像記録を公開した場合の支障等を総合考慮して、そして、相当と認められる部分を抽出したDVDを作成をして国会に提出をしたというものでございまして、こうした事情というものは今回の事態があったからといって変わるものではないと、このように考えておりまして、映像の全編公開すべきということには直接つながらないと、このように考えております。
  107. 上野ひろし

    上野ひろし君 時間限られておりますので、尖閣の話、最後の質問にしたいと思うんですが、今回の映像流出事件を踏まえた今後の対応ということについてお伺いをしたいと思います。  機密情報の流出という観点からは、是非、再発防止というのが必要であるかと思います。それ以外にも、仙谷官房長官、これは相当大きなメスを入れる改革が必要であるという発言もされております。しかるべき対応が必要だと思いますけれども、どうお考えなのかということ、それから、あわせて、これは責任問題、先ほどほかの委員からも質問ありましたけれども、例えば菅総理は、最終的な責任者は自分であるというふうに昨日答弁もされている。また一方で、仙谷官房長官は、強い権限の代わりに重い責任があるということで海上保安庁長官の責任問題について言及をされております。その点について、海上保安庁のトップである国土交通大臣としてどうお考えになるのか、お伺いをしたいと思います。
  108. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 再発防止に関しましては、政府全体としては、仙谷長官情報管理在り方にメスを入れるとの発言を踏まえて、昨日、仙谷長官が発言されたというものは、政府としてこの情報保全システムにおいて必要と考えられる措置を検討するための実務者レベルの委員会を立ち上げると、こうしたことを示されております。  これも踏まえて、私、昨日、海上保安庁長官に対しまして、改めて海上保安庁全体における情報管理の徹底というものを指示をいたしました。また、海上保安庁捜査機関としての様々な情報保全の知見というものがあるという前提に立って、我々自身が、海上保安庁自身が策定し得るこうした情報管理システムの構築というものも、これもしっかりと検討するようにということで申し伝えております。  いずれにしましても、政府としても、こうした機密情報とされるもの、あるいは捜査情報というものが流出してしまうということについては重く受け止めなければなりませんし、あってはならないことだというふうに考えております。今後、政府として立ち上げるこうした実務者レベルの委員会の中で御議論をいただき、海上保安庁における情報管理の万全を図るべきだというふうに思っております。  なお、先ほど来、責任をということを再三お問い合わせございますが、まずはこの事実解明、そのためには、今捜査機関の手にゆだねられております。我々としては海上警察権でありまして、あくまで陸上におきましては警視庁と地検ということで告発をしておりますので、これらの捜査当局捜査に協力をするということ、これがまず私どもが果たさねばならない責務であり、重ねて言えば、二度と起こらないこの改善策を講じていくことが私どもの最大の責任であると、このように考えております。
  109. 上野ひろし

    上野ひろし君 確認ですけれども、昨日、菅総理大臣は、最終的な責任は自分にもあるというふうにコメントをされております。それも踏まえて国土交通大臣の責任というのはどうあるか、お考えを聞きたいと思います。
  110. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 総理の御答弁は、当然ながら、総理が政府、内閣を総理するという意味での責任はあると、このようにおっしゃったと私は解しております。その上で、海上保安庁並びに国土交通省として、現時点において私どもは原因の徹底糾明と再発防止、その策を講じること、これが私どもにおける最大の責務であると、このように考えております。
  111. 上野ひろし

    上野ひろし君 では、続きまして、八ツ場ダムの話について一言お伺いをしたいと思います。  八ツ場ダムにつきましては、この委員会で私の方からも質問をさせていただき、またいろいろ御議論あったところでございます。それも踏まえてということだと思いますけれども馬淵大臣には十一月の六日に現地、八ツ場ダムの建設予定地を御訪問いただきました。  私も実はその翌日に改めて八ツ場、地元に行ってまいりまして、いろいろ話を聞いてまいりました。地元の旅館街、馬淵大臣、今回行かれなかったということでありますけれども、いろいろ話を聞いて、例えば、本当にもう今は厳しい状況にある、もう今月末で旅館を閉めるんだという話もあったり、代替地に移転したいけれども、まだ一年先の決定である、その段階でなかなか判断が付かない。また、赤字なので事業を閉めたいけれども、一度事業を閉めるとまた継続をして再開するのは難しいんだ。また、川原湯温泉、その温泉街から旅館が一軒もなくなるというのは非常に問題である、赤字だけれども自分のところは続けていくんだ、本当にいろんな意見を伺ってまいりました。  今回、馬淵大臣、現地を訪問いただきましたけれども、是非これから、一年間でしょうか、二〇一一年の秋を目途にということであったと思いますけれども、検討、再検証されるということだと思いますけれども、是非、今回のみならず、検討の過程で、その節目節目で現地を御訪問いただいて、それで、かつ、今回、地方自治体の長の方々中心にお話を聞かれたと思うんですけれども、現地の住民の方々から是非生の声を聞いていただきたいというお願いが一点と、もう一点、検証のスケジュールでございますけれども、二〇一二年の予算編成の時期まで、具体的には二〇一一年秋ということだと思いますけれども、まさに去年八ツ場ダムの中止という表明がされてから二年間、現地の人たちにとってはその先どうなるのか分からない不安定な状態が続くということであります。是非、二〇一一年秋、今おっしゃられているところだと思いますけれども、可能な限り早急に検討をされてできる限りの前倒しをしていただきたい、図っていただきたいと思いますけれども、御見解をお伺いいたします。
  112. 小泉昭男

    委員長小泉昭男君) 馬淵国土交通大臣、簡潔にお願いいたします。
  113. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) はい。  現地の住民の方々の対話というものは是非実現したいと思っておりますので、申入れをして実現に努めてまいりたいと思います。  また、来年秋ということでございますが、できる限りの迅速なこの検証というものを進めてまいりたいと思っております。
  114. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 たちあがれ日本・新党改革の藤井孝男でございます。  今日はもう他党の方々からもそれぞれ今回のビデオ流出問題についていろいろな意見がありました。本当にこれは、単に海上保安庁の保安官がああいう残念な形で流出させてしまったということは本当に痛恨の極みだと大臣自身が一番思われていると思います。今後これは司法の手にゆだねられていますから、皆さん方が全面的な協力される、当然のことでありますし、単にこれは一介の保安官の問題、責任問題だけではなくて、今回の尖閣諸島の中国の漁船を拿捕、そして船長を逮捕したことに端を発したことでありまして、これは基本的なことを言えば、我が国の国家の主権にかかわる問題、独立国家としてその主権をどうやって守るかの問題。こういった一連の中で、結果的には、今のところ政権の側の皆さん方の対応というものが今回の残念なビデオ流出ということにもつながってきているんじゃないかと、私は、非常にこれは責任はかなり重いものであるということを、私自身もかつて運輸大臣という責任ある大臣の経験もしておりますがゆえにあえて苦言を呈しておきたいと思っております。  そこで、ネット上はそういうことで流れましたけれども、もう一つ、これは私、大臣には質問を余りしたくなかったんですが、ネット上では今まことしやかに実は海上保安庁の隊員が負傷したとかあるいは死亡したかというようなことが流れておりまして、このことに関しましては衆議院の法務委員会で、たしか自民党の稲田朋美委員大臣質問をされたと思いますし、そのときに海上保安庁長官が負傷者も死亡者も全くいないという、私はもうそれを信じておりますけれども、こういった残念な形でビデオが流出し、またネット上でもその実名も出て、三名の名前が出ているということでありますが、私は今回のこの流出事件に関連しているというわけではありませんけれども、本当に負傷者はだれもいなかったのか、その点についてもう一度大臣確認をしておきたいと思います。
  115. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 私も大臣拝命してから余りネットサーフィンなどをする時間がございませんが、耳にしましたので、ネット上でのそういった情報というのを私なりに見てみました。確かに、実在するかのように氏名が載っておりましたので、最初は驚いたんですが、これは繰り返し申し上げております、こうした事実があるかということを当然確認をいたしまして、負傷者も、また当然ながら死者というものもいないということで、これ、このような事実はないという報告を受けております。
  116. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 もうそれで結構でございます。  なぜ私があえて確認をいたしましたかと申しますと、先ほど来各委員先生方からも出ておりますように、海上保安庁現場職員は本当に命を賭してと申しましょうか、自分たちの領海、領土を守ろうということを必死になって頑張っているわけですから、それがまた、もしそういった事実があったにかかわらず、またそれが後から出てくるようなことになった場合には、これこそ本当に内閣そのものがもうもたないことになりますわけですから、あえて質問をさせていただいたところであります。  そこで、前回、私、実は今回の尖閣諸島の問題に関して大臣質問をさせていただきましたけれども、これは海上保安庁整備強化の問題。そのとき大臣から非常に積極的な前向きな、これは陸上自衛隊と海上保安庁、いわゆる職務の区分けをされてしまって、どちらがどういうふうに警察権の行使を持つのかということが法整備の中でもはっきりしていないと、区分がはっきりしていないということで、いずれ大綱というものを作る、そういう心構えでいるという、大変力強い、前向きな答弁をいただいたところでありますが。  実は、おとといの仙谷官房長官の記者会見でもっと前向きな発言がございまして、これが九日の各紙、産経あるいは日経、毎日新聞にも載っておりますけれども、いわゆる新法の制定を検討していると。要するに、この警察権の行使をどういう手続で行うかという法整備が全くないのも同然であるということを仙谷官房長官自身が記者会見で述べられているわけでありますが、その点について、これはもう馬淵大臣のこの間の大綱よりももっと一歩前に、具体的に発言されているので、今日は実は官房長官出席していただければとも思いましたけれども、忙しいということでありますから、あえてこの点について大臣の所見を伺いたいと思います。
  117. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) お答えいたします。  先生がかねがね領域警備法ということも含めて検討されてきたということもよく承知をしております。  私も先般、同様の問題意識として、私は一方で行政権の在り方というアプローチは必要ではないかということを申し上げたつもりです。まさに、陸上警察と海上警察、共に司法警察権と行政警察権を持ちながらも、一方では陸上警察の場合は国内法にこれ純粋にのっとることができますが、海上警察の場合は司法権と行政権共に国際社会ルールにのっとった対応が求められてしまうと。ここは今のような法制度では、少なくとも行政法の在り方では対応し切れない、こういう問題意識を持っておるということをお伝えしたつもりであります。  また、このことにつきましては、仙谷官房長官にも実はお話もしたこともございました。いずれにしても、関係閣僚並びに様々な議論を重ねなければならないと思っております。  仙谷長官の発言というのは私も拝見いたしましたが、そういった議論を直接何か指示等々で行っている、受けたわけではございませんが、私も仙谷長官にそういったことをお耳に入れたこともありましたので、必要だということも含めて認識をいただいたのかなというふうに思います。  今後は、私自身、政府内において検討すべき課題として提案をしてまいりたいと思いますし、これは関係する、所管する省というものが複数にまたがりますので、またこれも丁寧な議論が必要かと思います。  先生が今まで取り組んでこられた領海警備といったまさに国家の安全保障にかかわる立場、そして一方で、現行の法律の下に設置されている警察権を持つ機関が行政法の見直しによって行い得る権限行使というもの、こういった二面を併せて検討すべき課題だと思っておりますので、私なりにしっかりとこれは問題意識を持って前向きに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  118. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 まさに、私もそのとおりだと思っております。  今の国内法では結局、言ってみれば、今度の中国の漁船もそうでありますけれども、非常に我が国の領海を侵す、無害行為でないそういう船舶に対して私どもは、国内法でいきますと、それを領海外へ強制退去を伴うことを行う法的根拠というものが、そういう根拠法も存在しないという状況ですから、どこが、これは警察がやるのか、水産庁がやるのか、あるいは海上保安庁のコーストガードがやるのか、あるいは自衛隊がやるのかということが全くこれ、あいまいもこになっている。ですから、今慎重にということをおっしゃいましたけど、確かにこの法律というのは多省庁、多くの省庁にまたがる話であります。  そこで、いつこういった法整備をするかということを前向きに取り組んでもらいたいと思うんですけれども、まだ自民党、公明党、与党の時代、平成十九年に実は制定された海洋基本法に基づいての海の安全確保のための総合的取組を検討すべく、総合海洋政策本部というのが設置されたんです。大臣、御存じかと思うんですが、この本部長は総理大臣なんですね。ですから、現在でいえば菅内閣総理大臣が本部長。  こうした法律をどこの省庁が管轄するかということになると、各省庁にまたがるものですから、こういった総合海洋政策本部というものが中心となって、こういった法整備についての検討をすべきだと私どもは思っておりますが、その点について大臣の考え方をお聞きしたいと思います。
  119. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) 平成十九年の海洋基本法はよく承知しております。議員立法という形で提出をされて、制定をされました。  極めて重要な法案が、また必要とされるべき法案がようやくできたということで、私も野党の一員でありましたが、大変喜んでおりましたが、ただ一方で、まだまだ十分ではない。大変僣越な言い方を申し上げれば、海に関連する分野を個別にバンドルしているだけだということで、モザイク的になっているという点、さらには所管するその責任というものが明確にし切れていない、そしていわゆる具体的な規制活動を明記するような作用規定、いわゆる作用法の規定というものが盛り込むことができなかった等、法案のまだまだ足りない部分というものもあると承知をしております。  ただ、これは一つ、一歩踏み出したわけでありますし、この海洋基本法によって海洋基本計画が策定をされ、それに基づいた施策を今日実施をしておりますので、私はこの海洋基本法というものの強化というものも当然ながらに必要だと思います。  先ほど、複数にまたがり、更に慎重な議論が必要だと申し上げたのは、こうした海洋基本法というものを強化していくというアプローチもあると思いますし、国家の安全保障という概念からの、防衛という概念からの見直し、領海警備ということも出てくるでしょうし、行政法の在り方ということでの海上警察権の見直しということも出てくるということで、相当に私はこれは議論深めていかなければならない難しい課題だと思うんですが、もう避けて通るわけにはいかない、むしろこれを機に、まさに国家の主権というものを国民皆さん方と共通したコンセンサスを持ちながら進めていく私は奇貨としたいという、そんな思いでおりますので、またその意味では御指導をいただきたいというふうに思っております。
  120. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 分かりました。是非前向きに取り組んでいただきたいと思います。  要するに、私がこれにこだわるといいますか主張しております根拠というのは、冒頭にも申し上げましたように、また先般、予算委員会でも申し上げましたように、我が国の主権国家として、独立国家としてこれは基本にかかわる問題であるということを考え方の基本に置いて今の、今回の領域警備法といいますか、こういった法律も早急に整備すべきだということを申し上げているわけです。  そして、菅内閣の支持率が下がってきたということは、要するに、国民はこれイデオロギーではないんですよ。国家の主権たるものを今の政権は、これを、我々の生命、財産、国土、領土を守る気概もないんじゃないかと、そういう意気込みもないんじゃないかということが大変な、今度の海上保安官の行為もあえて激励でするというような、あえてこれはよかったんじゃないかという意見も出てくるということは、まさに今の政権を担う皆さん方のいかに、今回のこの流出事件にとどまらず、今回の尖閣諸島における中国漁船の領海侵犯の問題は、本当に我が国のある面では今後の独立国家としての主権をどう守っていくかという根幹にかかわる問題であるということをあえて申し上げたいと思っております。  そこで、私が最後の自分の意見として申し上げたいのは、我が党のたちあがれ日本もそういったことをしっかりとやはり法的整備をすべきだということを主張しておりますけれども、今の法案ですと、今の国内法ですと、要するに、海上保安庁一生懸命領海を警備して頑張っておりますけれども、しかしそれを実際相手が敵対行為してきたときに、北朝鮮のああいう工作船に対しては射撃をいたしましたけれども海上保安庁は自衛隊に助けを求めておる。自衛隊は逆に、先にそういった無害行為でない船舶に遭遇したときにこれを攻撃することができない、海上保安庁に通報することしかできない、こういうちぐはぐな形になっているというこの現実というのは、意外とこれみんな知らないんですよね、実際に。  何度も申し上げますけれども、海上の遠いところで、三十八万平方キロメートルしか国の領土はない日本ですけれども、その十二倍に当たる四百四十七万平方キロの領海、領域を我々は持っているんだ、そういう中で起きていることというのは本当にこれは国民一人一人も今回の事件で痛感したし、それを一番政権政党がその責任があるわけでありますから、どうぞ、大臣の政治的責任も今後問われると思いますけれども、こういった根本的な問題についても真剣に取り組んでいただきたいことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  121. 吉田忠智

    吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。  海上保安庁の課題に絞って質問をさせていただきます。  午前中からるる議論があります尖閣諸島沖での中国漁船の衝突をめぐるビデオ映像流出事件では、流出を認めた主任航海士取調べが進められております。捜査が進んでおりまして、事態は急展開をしております。  ビデオ映像の流出は大変遺憾なことでありますけれども、しかしこの問題は、領土に関する内外の緊張を高め、ビデオをあたかも重要な秘密情報にまで高めてしまった菅内閣の不手際に負うところが大きいのではないか、このことは指摘をしておきたいと思います。しかしながら、この公開そのものは国論を二分するデリケートな問題でもありまして、このことについては慎重に扱うべきである、そのことを申し上げておきたいと思います。  いずれにしても、二度とこのようなことが起こらないように再発防止策をしっかり講ずるべきことが最重要の課題でありまして、与野党がこれを政争の具にするようなことはあってはならない、そのように考えております。  IT技術が格段に発達をしまして、情報管理が難しくなっているのはもう事実でございます。政府情報の管理を見直すことも必要でしょう。ただし、公務員の情報漏えいに対する罰則強化でありますとか、あるいは国家秘密法のような情報保全法制は国民の知る権利を制約するものでありまして、慎重に扱っていただきたい、このことを強く要望しておきます。  流出事件については、今、司法当局において扱われておりますので、そしてるる議論がありましたので、このことについてはもう質問をいたしません。  さて、事実関係については今後の捜査の進展を待たなければなりませんが、一連の出来事で残念ながら海保職員皆さんに動揺が広がっております。  海保は、尖閣など領海での保安活動、また、先般私も現地に行ってお聞きしましたけれども、奄美豪雨に見られるような災害救助など、島国日本の安全、安心の確保に実に重要な役割を担っておられます。こうした問題ありましたけれども、あるいはこうした問題を契機として、政治がしっかり海保を支える、そうした体制をつくっていくべきだと、そのように考えております。職員皆さんの士気が低下をしたり、あるいは通常の海上保安業務に支障を来すようなことは絶対に防いでいかなければならない、そのように考えております。  そこで、長官にお尋ねしますが、とりわけ今回大きなストレスを抱えることになった石垣海保の皆さんを中心に、是非、海保職員のとりわけメンタル面のケアについて万全の手当てをしていただきたいと考えますが、この点について長官見解を伺います。
  122. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 先生御指摘のとおり、海上保安官は日夜非常に厳しい業務に従事しておりまして、メンタルサポートは大変重要な課題だと考えております。  海上保安庁のメンタルサポートの体制といたしましては、本庁が中心となりまして、各管区海上保安本部と協力してメンタルヘルス対策を実施しているところでありますが、例えばその一環として、平成十五年度から本庁に惨事ストレス対策アドバイザーとして、惨事は悲惨の惨という字でありますが、臨床心理士一名を委嘱し、メンタルヘルスの施策全般への助言や過重なストレスにさらされた職員等へのカウンセリングなどを実施しておるところでございます。  御指摘のように、今回の事件では石垣保安部に大変過重な負担が掛かっております。したがいまして、今、石垣海上保安部職員にストレスチェックを行っておるところでありまして、その結果を分析しまして、この今後アドバイザーを派遣するなど、所要の対策を講じてまいる所存でございます。
  123. 吉田忠智

    吉田忠智君 しっかりケアをしていただきたいと思います。  次に、海上保安庁の装備、施設整備について伺います。  海保にあっては、昭和五十年代の巡視船艇の大量建造を受けまして、現在、艦艇の老朽化、そして更新が深刻な問題になっている、そのように聞いております。老朽艦艇の整備はどのように進められておられるのか、お伺いします。
  124. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 委員御指摘のように、海上保安庁では昭和五十年代に二百海里漁業水域と漁業専管水域というようなことで、これに対応するために大量に船舶を建造いたしまして、それが今、もう耐用年数を過ぎて相当老朽化が進んでおる状況にあります。  これの更新と、それからさらに高性能化、スピードアップをしたり、いろんな新しい装備を入れたりということで、高性能化を図るために、平成十八年から老朽巡視船艇の代替整備等を緊急かつ計画的に推進しているところでございます。今のところ、代替整備対象百十八隻のうち、平成二十二年度当初予算までに九十二隻の代替整備等が予算化されておるところでありますが、さらに、先ごろの経済危機対応・地域活性化予備費において更に巡視艇二隻の代替整備が認められたところでありまして、引き続き鋭意、老朽化更新と高性能化に努めてまいりたいと考えております。
  125. 吉田忠智

    吉田忠智君 この更新は地方の特に中小の造船業者の仕事をつくることにもつながるわけでございまして、そういう面もありますから、しっかり、もちろん艦艇の更新が最重要でありますけれども、そうした観点からも進めていただきたいと思います。  次に、今回の流出問題、もちろん、が契機となって、今これから検討がなされるわけでありますけれども、セキュリティーの確保というものが極めて重要でございます。例えば、石垣海保が入る石垣港湾合同庁舎も大変老朽化しております。また、だれでも入れる建物だと、そのように聞いております。  こうした海保の庁舎に、例えばID認証による入退所管理ゲートなどを整備する必要はないのでしょうか。あわせて、海保の、これらも含めて、老朽施設整備状況についてお伺いします。
  126. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) お答えいたします。  御指摘のID確認が可能なセキュリティーゲート、これは管区本部が入る大きな合同庁舎などへの設置は行っておるところでございますが、これをすべての事務所に設置するとなると、設置費用や維持費など費用対効果の面からなかなか難しい状況でございまして、特に海上保安庁予算が大分制約されておりますので、厳しい状況であります。  それから、海上保安部、海上保安署といった一番最前線の業務につきましては、船舶入出港に係る受付業務ども行っておりまして、多数の人が来訪するということから、なかなかセキュリティーゲートというのは管理は難しゅうございまして、人的なセキュリティー管理が中心となっております。  ただ、石垣海上保安部においては、昼間は職員がおりますので出入り自由になっておりますが、夜間は、正面を閉めて、通用口の方は暗証番号で管理するような施錠管理をきちっと行っておるということでございます。もちろん、当直も中にはおるということであります。  それから、それ以外の老朽化施設につきましては、順次厳しい予算の制約の中で何とか工面して耐震化や建て替えを進めておりますが、平成二十二年度予算では、石垣航空基地の施設整備や老朽化した海上保安学校トイレの改修等が進められております。特に、この学校のトイレは和式のトイレでございまして、前のやつはですね、最近の若い人はなかなか和式のトイレで頑張れないということもございまして、これは今更新をしまして、みんな大分喜んでおるという状況にございます。
  127. 吉田忠智

    吉田忠智君 しっかり整備を進めていただきたいと思いますが、それらのことに関連をしまして、先般、国会に提出をされました二十二年度補正予算の中で、海上保安庁予算分について伺います。  補正予算に海上保安体制の充実等ということで計九十二億円の予算が盛り込まれております。このことは、海保をしっかり支えるという政治の意思として評価ができるところであります。  しかし、このうち八十四億円は、平成二十三年度の概算要求においていわゆる特別枠としてされていた整備計画を前倒ししたものとなっております。二十三年度本予算がその分手薄になるのではと危惧をしているところでもございます。充実ということであれば、二十三年度本予算においても引き続き相応の海保関連予算が確保されるべきと考えますけれども大臣の御所見そして意気込みを伺います。
  128. 馬淵澄夫

    国務大臣馬淵澄夫君) この度の補正予算で二十三年度概算要求のものにつきまして、これを前倒ししたものというのは確かにございます。今回の九十二億という補正予算のうち海保の体制強化、これは八十四億が相当しております。巡視船整備二十四億、航空機の整備、これヘリコプターでございますが、二十六億、デジタル秘匿通信機器の整備二十億といった、まさに海上警備における機能強化のための予算でございまして、これを前倒しをさせていただきました。  ただ、一方で、二十三年度予算につきましては、これも引き続き、前倒ししたもの以外につきましては引き続きこれは要望していくものでございまして、これ合計三百四十六億ということで、巡視船艇の整備、航空機の整備といったものも掲げております。  こうした海上保安庁体制強化というものをその時々に応じた形で体制整備するというのは私は厳しい財政状況の中で非効率になると思っておりまして、これは先ほど来申し上げているように、海上警察権の整理ということが必要でありますが、今後は、こうした海上保安庁在り方も含めてしっかりとした議論の上で、中期計画並びに大綱のような形で議論を進めるべきではないかというのが私の持論でございますので、まずこういった方向での取組をさせていただきたいというふうに思っております。
  129. 吉田忠智

    吉田忠智君 しっかり整備を進めていただきたいと思います。  流出を認められました主任航海士の方のことについてはもう司法当局で捜査が進められるわけでありますが、もちろん、公務員としての機密保持あるいはコンプライアンスの問題、その辺問われるべきでありますけれども、このことが海上保安官、本当に第一線で頑張っておられる皆さん方の士気が低下をすることのないように、是非、長官、本当に一連のことで御苦労が多いと思いますけれども、また健康に留意をされて精励していただきますように私からもお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  130. 小泉昭男

    委員長小泉昭男君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時四十二分散会