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井上義久君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました菅総理の
所信表明演説に対し、質問をします。(拍手)
質問に入る前に、昨日、日本人の鈴木章さん、
根岸英一さんのお二人に
ノーベル化学賞が授与されることが決定をいたしました。まずは、お二人に心よりお祝いを申し上げます。(拍手)
日本の
科学技術、特に
素材技術の底力を示す快挙であり、これ以上の喜びはありません。
鈴木氏は
記者会見で、日本は資源のない国だから、努力して知識をつくる理科系の力が大事だと述べられています。全く同感です。国としても
科学技術振興にいま一層の力を入れるよう求め、質問に入ります。
さて、鳩山前総理の政権投げ出しを受けて菅政権が発足したのが六月八日。初の所信を受けて私が
代表質問に立ったのは六月十四日でした。そのとき、私は、
成長戦略や
財政健全化の道筋を内閣として示さない責任、昨年十一月に
デフレ宣言をしておきながら、肝心のデフレを克服するための具体策を提示しない責任などをあなたに問いました。
あれから四カ月近くたった今、菅内閣は何をしてきたかと、今再びあなたの責任を問わなければなりません。
この間、菅内閣は、
党内政局にかまけ、
民主党代表選に追われて、円高、株安の急進展やデフレの深刻化など、国内外の
重要課題に機敏に対応できず、
政治空白を招きました。あなたからは、総理の座に居座りたいという気持ちしか伝わらず、
日本経済、
国民生活を断固として守るという強い覚悟、意思が全く感じられませんでした。
総理、あなたは、
政治主導だとか有
言実行内閣とおっしゃいますが、強調されればされるほど、うつろに響きます。
政治空白の間、
地方経済はさらに疲弊し、
国民生活は厳しい状況にさらされています。総理は、この四カ月間、国民の生活を守るために、具体的に何一つ実行してこなかった。総理、そうではありませんか。この点、国民は冷静に見ています。
もう一つは、民主党が掲げる
マニフェストの問題です。
代表選による菅、
小沢対決は、文字どおり、
マニフェストの扱いをめぐる対立でした。
マニフェスト修正主義と
マニフェスト原理主義の対立は、民主党内の
国会議員を二分しました。
そこで、伺います。
昨年の
衆議院選挙で掲げた
マニフェストと、ことしの
参議院選で掲げた
マニフェスト、あなたが実行する
マニフェストはどちらなのですか。
主要政策は修正するのですか。
参議院選挙の
マニフェストで消えた工程表はどうなったんですか。また、それらについて民主党内のコンセンサスはできているんですか。伺います。
このことで混乱すれば、迷惑をこうむるのは国民です。
国民生活にかかわる重要なことなので、民主党の
マニフェストの位置づけと菅内閣の方針を明確にしてください。
この国会では、疲弊している
地方経済や厳しい
雇用情勢についてまず真っ先に議論すべきであるにもかかわらず、またしても政治と金の問題を取り上げざるを得ないのは、まことに残念です。
九月十四日、東京第五
検察審査会は、小沢氏の
資金管理団体の
政治資金規正法違反事件で、起訴すべきであるとする二回目の議決を行いました。今後、小沢氏は強制的に起訴されますが、政治家に対し適用されるのは初のケースであり、この事態を重く受けとめなければなりません。これまで我が党は、まず小沢氏本人が、そして
民主党自身が
自浄能力を発揮して、国会で
説明責任を果たすよう繰り返し求めてきましたが、一向に応じてこなかった。
説明責任を果たしていない点では鳩山氏も同様です。鳩山氏は
予算委員会において
関係資料の公表を約束しましたが、いまだに実行されておりません。総理は、このまま公表しなくてもよいとお考えなのですか。
民主党がクリーンな政治を掲げて再出発するのであれば、総理は、民主党の代表として、まずは、小沢、
鳩山両氏に対し、国会において
証人喚問も含めて
説明責任を果たすよう指示し、党としての
自浄能力を発揮すべきと考えますが、いかがですか。お答えください。
所信表明演説において、総理は、クリーンな政治が私自身の
政治活動の原点と言われました。それならば、この
臨時国会で、秘書がやったとの政治家の言い逃れを許さないために、政治家の
監督責任を強化する
政治資金規正法改正案を直ちに受け入れ、成立させるべきです。あわせて、企業・
団体献金の
全面禁止も早急に実現させるべきです。
これまで、
再発防止策について与党は全く積極的ではありませんでした。今国会で決着をつけるべきです。総理の決意を国民に示してください。
さらに、現在月割りで支給されている歳費を
日割り支給に変更するため、八月の
臨時国会では、我が党が、
国会議員が
歳出削減の先頭に立ち、みずから身を削るべきと、議論をリードしてきました。
与野党合意に基づき、
日割り計算で、当選前に当たる部分の歳費を自主返納できる
特例措置が実現、実施をされました。
また、これとあわせて、
国会議員歳費の
日割り支給へ歳費法を抜本的に改正するとの
与野党合意も取りつけました。この
臨時国会でぜひとも実現すべきです。総理の決意を伺います。
菅内閣の
経済政策について伺います。
現下の急激な円高を初め、
日本経済を取り巻く環境は非常に厳しく、一瞬たりとも気を抜けない重大な局面に差しかかっております。
まずは、八月以降、一ドル八十円を割り込む勢いで進んだ急激な円高ですが、デフレが深刻な我が国にとっては、それに追い打ちをかける
非常事態です。さらに、足元の経済も、本年四月—六月期の
実質GDPが二次速報では〇・四%、
名目GDPに至ってはマイナス〇・六%と景気は減速し、
デフレ脱却の道筋は見えてきません。加えて、
エコカー補助金が九月で終了するなど、これまでの
景気対策の効果が減殺され、景気の先行きは一層不透明になってきました。
私は、
日本経済のターニングポイントは八月であったと思います。
このとき民主党は何をしていたのか。
代表選挙、
党内選挙にかまけていた。
金融政策においても
日本銀行の対応は鈍く、結果として、デフレと円高をさらに助長してしまいました。
代表選挙の影響かどうかわかりませんが、総理も
財務大臣も全く本気度が見受けられない
口先介入を繰り返すばかりで、内閣としての明確な
メッセージが皆無に等しい状況が一カ月近く続きました。
この
民主党自身が招いた
政治空白、まさしくモラトリアムが、結果として
日本経済を一層厳しい状況に追い込んでしまいました。この責任は極めて重大です。
地域経済は本当に疲弊しています。ある
自動車メーカーの
下請企業は、
エコカー補助金が終わり、
メーカーの
生産調整で受注量が激減、加えて、円高を理由に
コスト削減を迫られているが、原材料は値下がりしていないと悲鳴を上げております。また、ある革製品を扱う
中小企業は、この春の
口蹄疫問題で
輸出品価格が暴落した上に、今回の円高で、このままでは国内の業界は全滅だ、うちもだめかもしれないと苦しい胸のうちを明かしていました。あげくは、円高によって仕事がなくなり、
海外移転を真剣に検討を始める企業がふえており、
国内産業そして雇用の空洞化の懸念は足元から迫ってきております。総理、これが現場の声です。
若者を初め、
雇用情勢も依然として厳しい。加えて、
日中関係を初め、外交問題の影響が経済にも波及しかねない状況にあります。なぜこうした事態に至ってしまったのか。総理、
民主党政権は、もっと現場をよく見て、そして手を打つべきです。現場を歩いて対策を真剣に考えていないから、あらゆる対策が
後手後手になってしまうのです。まさに、
民主党政権が招いた
政治不況です。
日本経済の実情及び
民主党政権が招いた
政治空白の責任を総理はどう認識しているのか、伺います。
円高対策について伺います。
財務省、
日本銀行は、九月十五日、
日本単独による
為替介入を実施しました。その効果もあってか、一時は一ドル八十五円まで戻したものの、現在は八十二円台後半から八十三円台で推移をしています。私は、単独ではあるものの、
日本政府のこれ以上の円高は許さないとの
メッセージを内外に示すという点では、
為替介入そのものに意味があったと評価をします。
しかしながら、
官房長官は、
為替介入による為替の
防衛ラインが八十二円台との認識を示しました。さすがに
財務大臣は否定しましたが、政権内で繰り広げられる相変わらずの
食い違い発言に国民はうんざりです。まさに、政府として国民、企業を守ろうという覚悟も気概もない、危機感の
欠如そのものではありませんか。
現時点で、特に
輸出企業が
採算ラインとして想定しているレートは一ドル九十円ぐらいです。にもかかわらず、政府は、
円高基調が明白になり、そして一ドル八十二円台になるまでなぜ手を打たなかったのか。余りにも遅きに失した。もっと早い時期に、
円高基調が明確になった時点で介入していれば一層の効果があったのではないですか。
八十二円だから介入という政策的あるいは政治的な根拠はないはずです。総理の
円高対策に対する認識と今後の対応について答弁を求めます。
急激な円高を阻止するには、国際的な
協調体制の確立が望ましいことは言うまでもありません。現実的に主要国が
自国通貨安を容認、放置している現状では難しいものの、G8やG20などを通じて、日本の状況を説明し、理解を求める努力が不可欠です。総理の決意を伺います。
日本銀行は、五日の
金融政策決定会合で、追加的な
金融緩和策として、実質ゼロ
金利政策の実行、さらには、
長期国債や
不動産投資信託などの
金融資産の
買い入れを含む措置を決定しました。率直に評価しますが、引き続き、
金融緩和の効果が早期に発揮されるよう万全の措置をとるべきです。
これまでの政府と日銀による
経済財政運営を見るにつけ、両者の
連携不足によって対策が後手に回っているとの印象を否めません。今後は、政府と日銀が
デフレ脱却という目標を共有しつつ、政府の対策と相まって、日銀が適切に
金融政策を講じることが重要です。そのため、
日本版物価目標政策を導入し、政府及び
日本銀行が協調して政策を講じる枠組みをつくるべきと考えますが、総理の
金融政策に関する
基本認識を伺います。
経済対策について、菅内閣もようやく重い腰を上げました。
九月二十四日に、予備費九千二百億円弱を活用した
経済対策を閣議決定しましたが、余りにも遅過ぎます。そして、余りにも小さ過ぎます。また、二十七日には、菅総理が言うところのステップツーに移行し、
補正予算編成を指示しました。
これまで何もしなかったのに、急に動き出した。切れ目なく対策を講じているという政府の姿勢を懸命に示そうとしているのでしょうか。
であれば、伺います。
予備費活用の決定の二十四日から二十七日までのわずか三日の間に、
補正予算編成の指示をするほどの劇的な
経済的変化があったのですか。むしろ、予備費の活用という逐次投入的な手法をとらず、もっと早い時期に
補正予算編成を指示すべきではなかったのですか。まさに場当たり的な
対応そのものではありませんか。総理の答弁を求めます。
しかも、先般の
所信表明演説でも、政府としての
経済対策の目的、対策の規模などの考え方は示されず、与野党に協議を求めるのみでありました。総理の言葉からは、
日本経済をどうするかという政府としての矜持や責任感がうかがえません。
まずは、政府の考え方を速やかに提示し、早く国会に提出すべきです。
補正予算の規模や
具体的方向性、財源等についてどのように考えているのか、総理の答弁を求めます。
当面の
経済財政運営もままならない中にあって、これから平成二十三年度当初予算の編成が本格化してきますが、
民主党政権で果たして本当に大丈夫なのでしょうか。
これまでも申し上げてきたとおり、
民主党政権には、明確な中長期の
財政健全化や
成長戦略、当面の
デフレ脱却に向けた道筋について、
目標程度のものは示したつもりでしょうけれども、具体的な形は全く見えていません。さらに、経済の
司令塔不在の状況は相変わらずであると指摘せざるを得ません。総理の認識を伺います。
この
臨時国会で最優先すべきは、言うまでもなく、景気、経済の断行です。
私どもは、菅政権が招いた
政治空白の間も、徹底して現場を歩いてきました。急激な円高、株安が進行し、
輸出関連企業や
中小企業経営者からは悲鳴が上がり、
国民生活は危機にさらされています。
公明党は、こうした国民の声を受けとめ、生活の安心を取り戻すための即効性のある
緊急経済対策として、既に五つの観点から具体的に提案をしております。
第一は、
地方経済の活性化です。
地方が持つ知恵、資源の活用や仕事の創出など、各自治体が
地域事情に即して行う
事業支援に、
スピード感を持って大胆に取り組む必要があります。そのために、地方への臨時的な
財政措置として、
地域活性化臨時交付金を創設すべきです。地方の実情に応じた事業を積極的に実施することで、地域の
中小零細企業等を支援し、経済の活性化を図るべきです。
また、
民主党政権は、厳しい
経済状況であるにもかかわらず、一年間で一八・三%もの
公共事業費を削減し、
地域経済に大打撃を与えました。
公共事業は地域における雇用の受け皿にもなっており、極端な削減は地域の経済と雇用に深刻な悪影響を及ぼしています。
民主党政権による極端な削減から
地域経済を守るために、橋梁や下水道の
老朽化対策や道路の
ミッシングリンクの解消、
幹線道路の整備、
ゲリラ豪雨対策、学校や病院の耐震化など、真に必要な
社会資本整備を前倒して実施し、地域の雇用を確保すべきです。
第二は、
雇用対策です。
今春卒業した大学生のうち、未就職者は三万二千人。対策は急務です。また、いわゆる
就職留年は七万九千人とも言われています。
公明党は、いち早く、卒業後三年間は
新卒扱いにと主張してきましたが、政府の動きはまことに鈍い。未就職の卒業者を採用した企業に対する奨励金の実施等、早急に実現すべきです。
加えて、
ふるさと雇用再生特別交付金と
緊急雇用創出事業の第二弾を実施し、地域の知恵と資源を生かした緊急的な
雇用創出にも取り組むべきです。
第三は、
中小企業への支援です。
円高、株安に伴う景気の
不透明感は、年末、年度末の資金繰りにも不安を与えています。
緊急保証制度の延長や保険料の
引き下げ、
金融円滑化法の延長など、
中小企業金融支援を切れ目なく実施すべきであります。
また、
法人税率の
引き下げなど、我が国の
企業立地競争力を高める施策とともに、
成長分野の事業に取り組もうとする
中小企業を支援するため、
官民ファンドをフル活用し、
リスクマネーの提供を積極的に行うべきです。
第四は、新しい福祉の実現へ向けた
取り組みの強化です。
うつ病、
児童虐待、DVなど心の病の克服や、
ひとり暮らしの高齢者の
生活支援など、新たなリスクに対応できる体制の整備は喫緊の課題です。
介護従事者や事務職の給与の改善も急がなければなりません。
そして、
医師不足など、
地域医療の
閉塞状況の打開に大胆に取り組むことが重要です。
私たちが
与党時代に編成した二十一年度
補正予算では、地域の
医療再生や
医師確保を支援するため、総額三千百億円の交付金を盛り込みました。しかし、
民主党政権は、この予算を
事業仕分けで七百五十億円分も
執行停止をしました。その結果、産科・
小児科医の確保や
地域医療の再生を計画していた自治体は大打撃を受けました。
執行停止した分は直ちに復活させるべきです。
加えて、医師の
地域偏在、
医師不足解消に向けた
適正配置を行う
調整機関、
国立医師バンクを創設すべきです。
第五に、
環境対策を進めることで地域の需要を喚起させることです。
例えば、環境に配慮した
リフォームも
住宅エコポイント制度の対象にするなど、
中古住宅・
リフォーム市場を大きく拡大すべきです。
また、来年の七月には
地上デジタル化に完全に移行しますが、その
支援強化として、
家電エコポイントを来年度も延長すべきです。
さらに、
電気自動車の普及と
充電インフラの整備や、
公共施設等への
太陽光発電施設の設置を積極的に拡大することも、地域の
需要喚起に大きく貢献をします。
以上、具体的な対策について総理の見解を求めます。
公務員制度改革について伺います。
民主党政権は、昨年の
衆議院選マニフェストで、
天下りあっせんの
全面禁止、
国家公務員の総人件費二割削減などを国民に約束しました。ところが、さきの
通常国会では、大幅に後退した、
天下り自由化法案ともいうべき改正案を提出してきました。
一方、
通常国会閉会後に閣議決定した
退職管理基本方針は、
独立行政法人などへの
現役公務員の天下りを容認するなど、民主党にとって改革の一丁目一番地だったはずの天下りの根絶を断念する内容です。
政府は、一体、
公務員制度改革に関する全体像や工程表をいつ示すのか、総人件費二割削減はどう実現するのか、
労働基本権付与の問題を含め、総理の答弁を求めます。
次に、
公務員等による税金の
不正使用について伺います。
国あるいは
地方公務員による
裏金づくりは後を絶ちません。公明党は、ことし四月、公務員のみならず、公金が投入されている
独立行政法人等も対象に含めた
不正経理防止法案を提出しました。
総理は、行政府の
最高責任者として、
公務員等による税金の
不正使用を根絶させる立場にあります。この法案を再提出しますが、総理には、当然、この法案の趣旨に賛同いただけると思いますが、いかがでしょうか。
独立行政法人改革について伺います。
国家公務員の
天下り先、無駄遣いの温床などの指摘がなされている
独立行政法人改革は急務です。
私
たち公明党は、現在の
独立行政法人制度そのものを廃し、現在百四ある法人を、廃止、民営化、国への移管、特別の法人の四つに仕分けする
抜本改革案を、本年六月、国会に提出しましたが、
審議未了で廃案となりました。真の
独法改革を行うためには我が党の法案の成立が不可欠であると考えますが、総理の見解を求めます。
目下の
外交課題の最大の懸案の一つは、言うまでもなく
日中関係です。
尖閣諸島沖の
中国漁船衝突事件をめぐる
民主党政権の場当たり的な対応によって、
日中関係は大きく損なわれたばかりでなく、結果的に、日本は圧力を加えたら屈する国という誤った
メッセージを内外に与えてしまいました。総理はこの点についてどのように認識されているのか、伺います。
また、
尖閣諸島は
日本固有の領土であるという日本の立場のアピールも極めて弱かった。
民主党政権には、外交に不可欠な、事態を打開する交渉力、外交力が欠如していると言わざるを得ません。
もっと早い段階からあらゆる
外交チャンネルを使って問題解決に全力を挙げていれば、今回のような
外交的敗北とも評される結果を招くことにはならなかったとの指摘もあります。
この
政治責任は重大であると思いますが、総理はどのように受けとめているか、お答えいただきたい。
中国人船長の釈放について、
那覇地検の
次席検事は、中国との関係や
日本国民の利益を考えて釈放を判断したと、その理由を述べています。
そもそも検察は法と秩序に基づいて判断すべきであって、なぜ検察の権限でこうした判断ができるのか、極めて疑問です。政治的な介入があったとすれば、事実上の
指揮権発動であり、内閣の責任は極めて重い。
他方、これだけ日中間の外交問題になっていたにもかかわらず、検察の判断を了としたとの政府の説明では、余りにも無責任であり、きちんと国民に対して説明すべきです。
また、いまだ勾留されている
フジタ社員の残る一名の
早期釈放を政府として強力に働きかけるべきです。具体的な
取り組みを伺います。
次に、米の
戸別所得補償制度について伺います。
二十二年度産米の収穫が最盛期を迎える中、全国で新米の価格が大幅に下落し、農家は不安を抱いています。
政府は、
モデル事業を始めるに当たって、米の需給は引き締まると豪語しておりましたが、結果は、引き締まるどころか緩む一方です。米価格が下がり続けて、本当に変動部分は約束どおり払ってもらえるのか、来年の
米づくりはどうなるのか、農家の不安は尽きません。
現場の農家からは、
米づくりの意欲を失う、米は主食だと言いながら産地がないがしろにされているなど、悲痛な叫びが聞こえてきます。こうした声にこたえるためにも、
出口対策として、三十万トン程度の
緊急買い入れや
棚上げ備蓄の前倒しなど、早急に実施すべきです。
さらに、日本の農業を発展させ、持続可能なものとするためには、担い手や専業農家の育成につながるよう、産地ごとの再
生産価格が確保できる
経営安定対策と、環境直接支払いの拡充等が必要です。全国一律の
所得補償制度を早急に見直すべきです。総理の見解を求めます。
次に、今般の異常気象による農業、
水産業被害への対応について伺います。
ことしは、春先までの
日照不足と五月以降の猛暑により、農作物が軒並み不作に見舞われております。野菜の価格は高騰し、家計を直撃、農家にとっては収入減は免れられません。猛暑、酷暑による作物の減収にも農業共済が適用されるよう要件を緩和するなど、具体的な対策が必要です。
さらに、漁業においても海水温の上昇による被害が出ており、特にホタテなど養殖業の被害は深刻です。魚価の
安定対策など、漁業者の
所得補償も推進すべきです。
また、宮崎県の
口蹄疫被害に対し支給される手当金について、
非課税扱いとする
税制改正を早急に実現させるとともに、我が党の主張で特措法に盛り込んだ基金を一日も早く設置し、地域の実情に即して復興のためにも使えるよう、使途を拡大すべきです。総理の見解を伺います。
次に、
高額療養費制度の見直しについて伺います。
難病やがんなど、高額な治療を継続されている方のさらなる負担減が求められています。特に負担感が強い、七十歳未満で
年間所得三百万円以下の世帯の
負担上限額を、現行の八万円から約四万円に半減すべきです。また、二つ以上の
医療機関にかかった場合も合算できるよう見直すべきです。
菅総理は、ことしの六月、私の
代表質問に対し、制度のあり方を検討すると答弁されました。この間、どのように検討がなされたのか、お答えいただきたい。
若い女性に急増している
子宮頸がんは、
ワクチン接種と検診で、予防がほぼ一〇〇%可能ながんです。これまで、
ワクチンの
早期承認が実現をし、
ワクチン接種への公費助成や検診の
無料クーポンなども、不十分ながら進んでいます。
こうした予防策の恒久的な事業化を目指すために、公明党は、各党に呼びかけて、
子宮頸がん予防法案を
臨時国会に再提出したいと考えております。
予防法案の扱いも含め、政府の
子宮頸がん予防の
取り組みについて総理に伺います。
我が党は、全国で約二百五十万人とも言われるうつ病で悩む人の声を深刻に受けとめ、治療方法として効果的な
認知行動療法を推進し、本年四月より
保険適用となりました。
患者さんからは、気づいたら薬の種類が半分以下に減り、電車の人込みにも耐えられるようになりましたなどの喜びの声が上がっております。しかし、実際は、専門家の数も少ない上に、
保険適用されるのは医師の治療の場合だけで、普及がなかなか進んでおりません。
今後、
精神科医や心理職などの専門家の育成と、
精神科医だけでなく、心理職などとの
チーム医療に対しても
保険適用を可能とするよう改善を図るべきです。総理の答弁を求めます。
さて、
大阪地検特捜部の
現職検事による
証拠改ざん事件は、刑事司法の根幹を揺るがす前代未聞の不祥事であり、極めて遺憾です。
この事件は、大阪地検の前特捜部長、副部長の逮捕という検察史上例のない事態にまで発展し、検察に対する国民の信頼を失墜させてしまいました。特捜部の組織的な関与があったならば、極めて深刻な事態です。徹底した捜査で事件の全容解明を急ぎ、速やかに国民に真相を公表すべきです。
あわせて、再発防止に向けた抜本的な検察改革が急務です。また、今回の事件を機に、取り調べの全面可視化なども視野に入れた捜査手法改革についても議論を行うべきと考えますが、総理の見解を伺います。
本来、年金、医療、介護等の社会保障制度は、
国民生活の根幹にかかわる最重要施策であり、政権交代があったからといって簡単に変えるべきものではありません。
我が党は、国民の安心を確保するために、社会保障ビジョンの取りまとめを現在進めております。年金、医療、介護、子育てなどの分野について、負担と給付を含め、トータルなビジョンを提案したいと考えております。
これまで民主党は、最低保障年金を初め、高齢者医療制度も廃止すると言いながら、いまだに具体策を示しておりません。政権与党として、社会保障制度の具体案をきちっと示すべきです。その上で、私は、国民の将来の安心を確保するため、社会保障に関する与野党協議会を設置すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
総理は熟議の国会と言われましたが、まずは自身が掲げる有言実行の有言の中身をより具体的に示さなければ議論にもなりません。残念ながら、総理の所信からは、
国民生活を立て直すための改革像や、それを実現するための気迫が私には伝わってきませんでした。
政治は国民のためにあります。公明党は、国民の声を真摯に受けとめ、国会における真剣な議論を通じて、
国民生活を守り、国益を守るために全力で闘うことをお誓いし、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕