○稲田朋美君 自由
民主党の稲田朋美です。
自由
民主党・無所属の会を代表して、
総理の所信に対する
質問をいたします。(
拍手)
冒頭、
小沢元
幹事長の事案について、先ほどの
総理のお答えはお答えになっていません。いま一度、
総理として、
民主党代表として、
小沢氏の
説明責任及び
政治的道義的
責任について明確にお答えください。
国会任せ、本人次第と逃げずに、いま一度、
責任のあるお答えを求めます。
民主党政権になって一年、
民主党政権には、
日本の
主権を守る意思がない、領土を守る意思がない、家族と地域社会を守る意思がない、そして何よりも、
国家観がない、この国がどんな国を目指すのかという理念もない。つまり、意思も
国家観も理念もない空っぽの政党なのです。
まず、
民主党には党の綱領がありません。一体
民主党はどんな党なのか、わかりません。本来、政党は、理念や
政治信条のもとに集まります。ところが、
民主党は、綱領のない、世界でもまれに見る寄せ集めの政党なのです。
我が党には、昭和三十年に立党したときの立党の精神、党の綱領があります。昨年、下野し、もう一度立党の精神という旗のもとに一致結集することを誓い、谷垣総裁を先頭に再出発しました。我が党こそ
我が国唯一の保守政党であり、
国民政党として、名実ともに
主権国家となり、単に経済大国だけでなく、社会正義の貫かれた道義大国を目指して、
政権奪還をかけて、この臨時
国会の論戦に臨んでいきます。
まず、所信表明の中に教育、農業という言葉がありません。
国家の大計である教育、そして、
日本の文化の
原点であり、食料
安全保障であり、ふるさとの原風景である農業について語らずに
国家観は語れません。
国民に対してみずからの
国家観をきちんと
説明する、これが
総理としてまず果たすべき責務ではないでしょうか。
総理は、六月の所信では強い経済、強い
財政、強い社会保障の一体的実現と言い、参議院選では最小不幸社会と言い、今回の所信表明では有
言実行内閣と、ころころと言葉だけが変わっています。しかし、
総理の
国家観は全く見えてきません。真実味がないのです。
かつて、
総理は、重大な人権侵害であり
国家主権の侵害である拉致実行犯の辛光洙の
釈放嘆願に署名しました。辛光洙は、横田めぐみさん、福井の地村さん夫妻、原敕晁さんの拉致犯であり、それにより北朝鮮より、トップクラスの勲章をもらいました。
総理は知らずに署名をしたと言っていますが、その間抜けぶりを挽回するために、この十年間、拉致問題解決のために一体具体的に何をやってきたのか、お答えください。
また、
日本の
総理大臣として、改めて
国民に謝罪するとともに、拉致問題に取り組む決意を、お決まりの官僚の作文でなく、あなた自身の真実味のある言葉で表明してください。
さらに、
総理は、国旗・国歌法に反対をした
我が国で最初の
総理大臣です。
日本の国旗は日の丸で、
日本の国歌は君が代です。国旗・国歌を認めることができない人を
日本の
総理大臣として私は認めることはできません。
今回の所信表明で全く触れられていない教育についてですが、安倍
内閣で教育基本法改正案が六十年ぶりに
国会に提出され、
総理初め
民主党の反対の中、可決、成立しました。
議論のあった愛国心教育について
菅総理は一体どのように
考えておられるのか、お伺いをいたします。
また、国旗・国歌法に反対をされましたが、学校現場において国旗・国歌を尊重することの重要性についてどのように
認識しているのか、北教組問題に見られるような教育現場の堕落についてどのように
考えておられるのか、お伺いをいたします。
このように、
国家の根本ともいうべき教育について、
代表質問で聞かなければ
総理の
考えが出てこないこと
自体、とても悲しいことです。
伸子夫人の著書によれば、
総理は特定の思想とか主義への
思い入れはないそうですが、その場
対応でどうにかやっていくのが
政治だという
考え方について、私は反対です。人は、苦しくても
目標があれば頑張れます。国も同じです。どんな国を目指して頑張るのか、その理想を国のトップである
総理大臣が語らずして、
国民は前向きになれない、国の発展はありません。
次に、
外交、
安全保障についてお伺いいたします。
言うまでもなく、
外交・
安全保障政策は
国家運営の中核です。
国民の生命、身体、財産、領土、そして
国家の名誉を守ることが
国益であり、
内閣の最大の責務は、
国益を守るための
外交・
安全保障政策に最終
責任を持つことです。ところが、
菅政権は、
外交・
安全保障政策に対し、余りにも無
責任かつ無策です。そのあらわれが尖閣問題におけるぶざまな
外交的敗北なのです。
この問題は、先月の七日、
民主党が、
総理になる資格のない
小沢さんと
総理を続ける
能力のない菅さんが、
国民生活も
国益も犠牲にして、十四日間もの間、コップの中の醜い権力闘争を繰り広げていた、その
政治空白期に起きました。
領海侵犯した
中国漁船が
日本の
巡視船に二度も体当たりしてくるという悪質な事案だったので、船長の起訴は当然だとだれもが思ったときに、突如、
処分保留で
釈放したのです。
国民は、あきれ、怒りました。
残念なことに、この国では、
国民の怒りを共有することができない
政治家が、
総理をし、官房長官をし、外務大臣をしているのです。今回の
釈放は、
中国の不当な圧力に屈して国内法の適用をねじ曲げた、
主権国家の名に値しない恥ずべき
政治判断でした。
総理は衝突時のビデオを見ていないとおっしゃっていますが、信じられません。
総理は、一国の宰相として
国家国民を守る責務、そして行
政府の長として、命がけで任務に当たった
海上保安庁の職員の安全を守る責務を負っています。ビデオを見ないで何を
判断できたというのでしょうか。
総理は、一部新聞報道があったように、とにもかくにも早く処理して、なかったことにしてほしい、それが本音だったのではありませんか。なぜビデオを見なかったのか、
国民が納得するお答えをお願いいたします。
総理及び
菅内閣の閣僚は、
釈放は
那覇地検の独自の
判断であったと言い、
検察当局も同じことを言っています。だれも信じない、ひきょうな
責任逃れです。
そもそも、
外交問題を理由に
釈放を決めることは
検察の越権行為になると
考えますが、その点の
総理の御
見解を伺います。
また、
本件のように極めて高度な
政治判断を必要とする
外交問題について
検察当局にゆだねたとすれば、
菅総理及びその
内閣には、重大な
外交上の局面において、
政治判断をする意思も
能力もないことをみずからが認めたことになります。
総理にお伺いいたします。今回の
釈放において、
日中関係、
国民への影響という、まさしく
国益そのものであり、
外交の目的そのものの
判断を
検察当局にゆだねたことは、あなたが理想とし、
政権交代の大義である
政治主導の自殺行為ではありませんか。
さらに
総理にお伺いいたします。行政機関に属する
検察の
判断が間違っていたときに、最終
責任をとるのは、言うまでもなく
内閣です。今回の
釈放は、準司法的
判断としても
外交判断としても間違っています。準司法的
判断としては、国内法に
日中関係という
外交問題を持ち込んだことが間違っている。
検察当局は、刑訴法二百四十八条の起訴便宜主義の「犯罪後の情況により訴追を必要としないとき」に該当すると苦しい解釈をいたしていますが、ここに
外交判断は入りません。
さらに、
外交判断、
政治判断としても、
中国の不当な圧力とおどしに屈し、
日本の
主権を放棄するかのようにして
中国に治外法権を認めたこと、
日本がやすやすと外国の圧力に屈して国内法をゆがめて処理をする国であると世界に示したこと、さらに、日中間に尖閣をめぐる領有問題が存在するかのような誤ったメッセージを
中国及び世界に向けて発信したことなど、多くの禍根を残す結果を招いたことで、間違った
政治判断です。この
責任を
内閣としてとらなければなりません。あなたの
内閣は、この
責任をどのようにしてとられるのですか。
政治は、結果です。もちろん、事実
関係を明らかにすることは重要です。
菅内閣が、腰砕け、ぶれたという
国民の批判を恐れ、
検察に
政治責任と
説明責任を押しつけるひきょう者
内閣であること、
国益を守るという
政治意思を示すことのできない意思のない
内閣であることを
国民に知ってもらうために、逮捕、勾留、
釈放に至る事実
関係は明らかにしなければなりません。
しかし、事実
関係を明らかにすることとは別に、今回の
釈放という
判断が
検察独自のものであれ、
政府の
判断であれ、それにより
国益を著しく侵害したことの
責任をとるのは、
菅総理、あなたとあなたの
内閣以外にはありません。そのことについて、
覚悟を
総理にお伺いいたします。
総理は、かつて「救国的自立
外交私案」を出され、その中で、「まずは
議論の
前提となる
外交や
安全保障の根幹の情報を
国民にガラス張りにして、
日本の
国益に関する
国民の共通
認識を醸成し、いざという時に自国の安全を守るための
覚悟を
国民の側に作り上げる」と提言しておられます。そうであるなら、早く衝突時のビデオと捜査資料をすべて
公開し、
国民の共通
認識にすべきではありませんか。なぜ
公開しないのですか。
総理にお伺いをいたします。
そもそも、この問題は、
民主党政権の
外交姿勢そのものの甘さにあるのです。
鳩山前
総理は、全国知事会で、石原都知事から
尖閣諸島に
日米安全保障条約が発動されるかと聞かれ、確かめる必要がある、帰属問題に関しては
日本と
中国の当事者同士でしっかりと
議論して結論を見出してもらいたいということだと
理解していると、信じがたい不見識な
発言をし、物議を醸しました。そんな甘い
認識だから、友愛の海などと寝とぼけたことを言っていたのです。
総理にお伺いしますが、
我が国にとって今世紀最大の
外交課題である対中問題について、どのような
認識ですか。
中国を脅威と
認識するのか、それとも、
総理も東シナ海を友愛の海と
認識しているのか、お伺いいたします。
次に、この問題がもたらした影響について。
中国は、船長逮捕の後、東シナ海のガス田に関しての国際交渉を一方的に延期し、白樺にドリルを持ち込み、掘削を始めたと見られます。
政府としてどのような対抗手段をとるつもりなのか、
総理にお伺いをいたします。
次に、尖閣の領有
関係についてお伺いいたします。
総理は、所信で、
尖閣諸島は歴史的にも国際法的にも
我が国固有の領土であり、領土問題は存在しませんと言われました。そのとおりですよ。しかし、一方で
中国は、
尖閣諸島は
中国固有の領土であり、
主権と領土を断固防衛すると
主張し、今回の逮捕について謝罪と賠償を求めています。
たとえ大うそでも、国の
主権の及ぶ固有の領土という原則から出発して、
最後まで妥協せず、
釈放後も謝罪と賠償を求めている
中国は一貫しており、反対に、正しいにもかかわらず、
最後になって
中国の不当な圧力に屈し、ぶれたのは
我が国です。
総理にお伺いします。
中国が一貫した態度を貫き、
我が国がぶれたことで、日中間に領土問題が存在するかのような誤解を世界に発信したことになりますが、
総理にその自覚があるのか、お答えください。
中国の
温家宝首相は、国連で
演説し、
国家主権と領土保全については一切妥協しないと述べましたが、
総理は国連で何を
主張してきたのですか。報道によりますと、国連
演説で、国のリーダーがまず果たすべき役目は不幸の原因をできる限り小さくすることだと訴えたそうですが、
国家主権と領土が侵害されようとしているときに、そんな
演説で
中国の
主張にとても対抗できるはずはありません。
また、今回、尖閣の
日本の立場を
国際社会に訴えるという理由で
国会日程を変更して出席した
ASEMで
温家宝首相と立ち話の会談をされたといいますが、
日本側には
中国語通訳はいなかったとお聞きしています。本当でしょうか。通訳がいなくて、あなたが言うように、尖閣は
日本固有の領土だと
主張してきたことになるのですか。
また、
日本の
総理大臣として真っ先に
主張すべき我が同胞のフジタの社員の解放について、あなたは
温家宝首相に要求をしたのですか。また、今回の
中国人船長の
公務執行妨害罪について抗議したのですか。抗議も要求もしなくて、一体、二十五分間、何を話していたのですか。具体的にお伺いをしたいと
思います。
結局、あなたが
総理である限り、国際舞台において、
日本は不当なことをされても黙っている国という発信しかできていないということではありませんか。
総理は、
日中関係全般について、大局的観点から戦略的互恵
関係を深める日中双方の努力とおっしゃっているのですが、領土は
主権の問題であり、お互い一歩も引けない問題ですから、他の問題では戦略的互恵ということはあり得ても、事領土に関してはあり得ません。領土にかかわる問題について、
中国が努力するとか譲歩するということはあり得ません。なぜなら、
中国は、
尖閣諸島を、間違って自国の領土と思ってしまったのではなく、
日本の領土と知りながら実効支配しようとしているからです。
政府は、
我が国固有の領土である
尖閣諸島を守るために、どのような戦略を
考えているのですか。具体的な策をお答えください。
さて、国内の安全を
内閣でつかさどるのは
国家公安委員長です。そして、任命権者は、
総理、あなたです。
今回、その
国民の安全を守るポストに、韓国で、いわゆる従軍慰安婦問題で
日本の
政府を糾弾するために、ソウルの
日本大使館に向けて反日デモをし、
我が国の国旗をおとしめた岡崎氏を任命されました。信じられない愚挙です。
総理にお伺いします。
総理は、岡崎氏の愚かな反日行為をどのように
理解されていますか。今回、なぜ岡崎氏を
我が国の治安の最高
責任者に任命したのですか。不適格者を任命した
責任についてどのように
考えておられますか。
次に、所信に、国を
思い切って開くというフレーズがありますが、意味がわかりません。
このことに関連して、二つのことを連想しました。
一つが外国人地方参
政権であり、もう
一つが農業の自由化の問題です。
鳩山前
総理は、
日本列島は
日本人だけのものじゃない、
日本を開かなければならないというおかしな
信念の持ち主でした。
国を
思い切って開くという中に、
鳩山さん的な地球市民的発想が含まれているのですか。その延長線上に外国人地方参
政権を置くと、まさしく、自国のことは自国で決めるという
主権国家の中核が失われてしまいます。また、外国人地方参
政権付与については、地方議会から反対の意見書が、県議会だけでも三十五と、多数出されています。
総理は、今まで一貫して、外国人に地方参
政権を与えるべきである、しかも、特別永住者だけでなく一般永住者にも与えるべきだと
発言をされています。
私は、国であれ地方であれ、外国人に参
政権を与えることは、
日本が
主権国家をやめることになると
考えています。憲法十五条に公務員の選定罷免権は
国民固有の権利であると書かれていますが、その意味するところは、
国家の行く末を決めるのは
日本人だけであるという
国民主権、そして、
日本が
主権国家であることの当然の要請なのです。
改めて、外国人に地方参
政権を与えることについての
総理の
見解、特に、憲法に違反しないか、
主権国家として、外国人に地方参
政権を与えることが、対馬や国境の島の存在を
考えてみても、
安全保障上問題ではないかについて
見解を伺います。
さらに、
民主党は、党員、サポーターの資格に国籍を問いません。今回の
代表選においても、外国籍の党員、サポーターも投票権を持っていました。
野党時代ならともかく、
与党になっての
代表選は、実質上、この国の
総理大臣を決める
選挙です。ということは、この国の
総理大臣を決める
選挙に外国人が投票権を持つことになり、明らかに憲法違反だと断ぜざるを得ませんが、その点についての
総理の御
見解を伺います。
総理は、EPA、FTAを推進する立場であり、所信の中にも、TPPへの参加を検討と述べ、全く農業への言及がありませんでした。昨年の衆議院選の
民主党マニフェストでも、
米国との間で自由貿易協定を締結すると書かれており、そのことに農業者が猛反発をして、書きぶりを変更したということがありました。要するに、
民主党は、農業を犠牲にしてでも貿易自由化を進めるということなのです。
しかし、農業は、単なる産業ではありません。地域を守る、文化を守る、伝統を守る極めて重要な
役割を担っています。お米は
日本人の主食であり、米づくりは
日本の文化であり、水田は
日本の美の象徴です。農業を守ることは、すなわち、
日本を守ることなのです。
仮に
我が国がすべての国境措置、関税を撤廃すれば、農産物の生産額が三・六兆円、GDPが九兆円、雇用が三百七十五万人減少し、食料自給率は一二%まで落ち込むと試算されています。
民主党は、
平成十九年の参議院
選挙のとき、米の生産調整をやめて戸別補償をするというまやかしを言って、農村の票をとり、勝利しましたが、結局、生産調整はやめていません。戸別補償は自由貿易推進のために実施するのでしょうか。一体何のための戸別補償なのか、
総理にお伺いをいたします。
また、
総理は、自由貿易によってこうむる
日本の農業の打撃についてどうするつもりなのか、お伺いいたします。
さて、昨年我が党が惨敗した総
選挙で
民主党が掲げた
マニフェストは、うそだらけの、詐欺とも言うべき
マニフェストでした。詐欺とも言うべき
マニフェストで
政権をかすめ取ったのが
民主党です。そのような
民主党に
政権をかすめ取られた我が党も情けない。
まず、最も大きなうそが、
財源のうそです。
民主党は、子ども手当、農家の戸別補償、ガソリン値下げ、高速道路無料化など、
選挙目当ての不道徳かつ政策的に間違った
ばらまきをするための
財源十六・八兆円について、国の
予算を
組み替えれば、二十兆、四十兆すぐ出せると言っていました。
当時の代表であった
鳩山前
総理は、
財源については心配していただくに及びませんとまで言われたのです。
選挙後も、財務大臣が、民間企業でも経営者がかわれば一割、二割すぐ
削減できる、それと同じだと豪語されました。一体、その二十兆、四十兆の
財源はどこへ行ってしまったんですか。
昨年の
事業仕分けで
削減できた無駄はわずか七千億、これぐらいのものは、
自民党政権下でも毎年削っていました。消えた年金ならぬ、消えた
財源ではありませんか。
二十兆、四十兆の
財源が
予算の
組み替えでできるとおっしゃったことについて、今もその
考えに変わりはありませんか。
総理にお伺いをいたします。
また、
総理は、著書「大臣」の中で、「
国家予算が、たとえば総額九十兆円になるとしたら、
マニフェストで
国民と約束した、七兆一千億を最初に計上する。そして残った額から、必要なものを充てていけばいいのである」と述べられておりますが、真っ赤なうそじゃありませんか。それが本当なら、
マニフェストに従って、二十二年度は
予算の最初に七・一兆円を、二十三年度は十二・六兆円を真っ先に計上することにしなければなりませんが、そうはなっていません。結局、
財源がなくて、できなかったのです。だから詐欺のようと言われるのではありませんか。
所信では、子ども手当は、現金給付と保育所の整備などの現物支給のバランスをとって拡充する
方針ですというごまかしを述べられていますが、個々の家庭に配るから子ども手当だったのではないですか。
結局、
政権をとってみたら、
財源がないということを認めざるを得ないので、
マニフェストをほごにするということなのです。
消費税については、六月の
国会を閉じてから、いきなり我が党の案を参考に一〇%とおっしゃいました。昨年の
選挙では、四年間は
消費税を上げないと約束をされていたはずですが、
財源がないとわかり、いきなり増税を提案されたのです。
民主党政権になってから
民主党内でも
国会でも
消費税が
議論されたことを私は知りません。
さらに、我が党の
消費税の
議論と
総理の言う
消費税とは全く
前提が違います。
我が党は、長年党内で真剣に
議論をし、
財源については、二十兆、四十兆などといったうそをつかず、骨太二〇〇六などでまじめに
歳出削減をし、所得制限なしの子ども手当のようなばかげた
ばらまきをせず、使途を少子高齢化に限定し、最小限の増税が必要として、昨年の一月に税法附則に明記したのです。
総理の提案された
消費税増税は、全く
議論もなく、しかも、昨年の総
選挙の
マニフェスト違反の増税です。
与
野党協議を言う前に、
無駄排除で九・一兆円、天下り禁止で十二・一兆円、
予算組み替えで二十兆、四十兆の
財源のうそについて
国民に謝罪をし、
ばらまきを悔い改めることが先決だと
思いますが、
総理の
見解をお伺いいたします。
小沢元
幹事長が
検察審査会から二度目の起訴相当の
議決を受けました。今度こそ、国内法にのっとり、厳正に対処していただきたいと
思います。
ただ、この問題で本当に
国民が知りたいのは、
政治資金収支報告書に虚偽の記載をしたことに
小沢氏が関与していたかだけでなく、世田谷の土地を含む十億もの不動産を
政治資金管理団体が保有する
必要性がどこにあったのか、また、その不動産の原資はどこから来たのかという点にあります。
いずれにしても、全く
説明責任を果たさず、強制起訴となった
小沢氏は
議員辞職すべきだし、
民主党に議会制民主主義を語る資格はありません。
さらに、
鳩山前
総理の
政治と金について、
鳩山氏は、ことし、参議院の
予算委員会で西田昌司
議員に裁判資料の提出を約束しておきながら、いまだに出しておりません。これは、
国会で当時の
総理大臣がお約束になったことをいまだに履行していないということです。このような不道徳なうそが神聖な
国会で横行するようでは、
国民のモラルも民主主義も地に落ちてしまいます。早急に裁判資料の提出をされるよう求めますが、
総理の御
見解をお伺いいたします。
なお、私の
質問は、すべて
総理に
答弁を求めています。官僚の用意した原稿を読まず、
総理自身の、
政治家としての識見ある御自身のお言葉でお答えください。
最後に、今回の尖閣問題は、
日本国民と
政治家にさまざまな教訓を残しました。
政治の究極の目的は
国家国民の
安全保障にあるということ、そして、領土を守るためには
国民の
覚悟が必要ということです。
その意味で、
総理が、六月の
所信表明演説で、
相手国に受動的に
対応するだけでは
外交は築かれない、時には自国のために代償を払う
覚悟ができるか、
国民一人一人がこうした
責任を自覚し、それを
背景に行われるのが
外交であると言われたのは、まさしく言葉としては正しいと
思います。しかし、
総理は行動が伴っていません。有言不実行なのです。
我が国の
尖閣諸島の領有権を守るためには
国民が自国のために代償を払わなきゃならないこともある、その
覚悟なくして領土は守れません。たとえ尖閣は
日米安保の対象でも、自主防衛の気概なくして
日米安保は意味がないということです。
ことしの八月十五日、
菅総理及び
菅内閣の閣僚は、ただ一人も靖国神社参拝をしませんでしたが、いかなる歴史観に立とうとも、国のために命をささげた人々に感謝と敬意を表することができない国に、モラルも
安全保障もありません。
要は、言葉ではなく、守る意思と
覚悟の問題です。その意思も
覚悟もない
菅内閣にこの国の
主権も領土も
国民の生活も
国家の名誉も守ることができないことが明らかになった今、
総理がなすべきことは、
内閣を総辞職するか、一刻も早く衆議院を解散し、
国民に信を問うことであることを申し上げ、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣菅直人君登壇〕