○齋藤(健)
委員 自由民主党の齋藤健です。
まずは、
松本大臣、御
就任おめでとうございます。
十月十九日の本
委員会での
松本大臣のご
あいさつを拝聴いたしまして、多くの点で共感の思いをいたしました。とりわけ、
大臣としての取り組み姿勢を
お話しになったところで、
私は、以前、
地球は先祖から
受け継いだものではなく
未来の
子供たちから預かっているものであるという
アメリカ先住民の
言葉を聞いたことがあります。私は、今の大人が
子供たちのために何ができるかを第一に
考えて、
環境大臣の職務を務める所存です。
また、
環境保全の
視点を大胆に
社会経済活動に織り込むことを通じて二十一世紀型の
経済成長を実現するという
考え方に立って、
国益を保ちながら、
地球益、
人類益の実現も図ってまいります。
私は、このくだりには本当に感銘を
受けたところでございます。
私ごとになりますけれども、私も学生
時代に、当時大学で行われていた講座に宇井純さんという方の公害原論というものがございましたし、また、「四日市・死の海と闘う」の著者であります田尻宗昭さんなんかとも直接御指導いただいたり、また、石牟礼道子さんの「苦海浄土」なんかを読みながら、人生をかける職場として
環境庁というものを
考えた時期がございました。
結局、紆余曲折ありまして通商産業省に入ったわけでありますが、
環境問題は私が社会でどう生きていくべきかを
考えたときの原点であるわけでありまして、そういう
意味で、
大臣の先日のご
あいさつは、若輩者が僣越な言い方かもしれませんけれども、
環境行政に対する積極的な姿勢が強く感じられるとともに、時宜にかなった、バランスのとれたご
あいさつだったと思います。ただ一点、
地球温暖化対策を除きまして。
私は、今
日本の
国益と名誉がかかっている
COP10の真っ最中に、
国会で
大臣を
COP10以外のことで拘束し、負担をかけるのは
国益上余り好ましくない、また
野党の姿勢としてもいかがなものかと思っております。かつて、私も
政府側の人間で多くの国際交渉に参画してきた
経験もありますので、その辺のことは身にしみてわかっているつもりでおります。
ですから、きょうの私の三十分の質問は、これまで一年余りの間に本
委員会で大議論になってまいりました
政府の
地球温暖化対策、すなわち、二五%削減政策の問題点について私なりに整理をして
お話をさせていただきまして、最後に、
環境大臣、それから
経済産業省の方から御見解をお聞かせいただければと思います。御
答弁はきょうはその一問だけで結構でございます。御負担はかけません。あとは
COP10に集中していただいて、
COP10が終了してから、温暖化関係の
法案審議の際に建設的な議論を徹底的にさせていただけたらと思っているところであります。
あらかじめ申し上げておきますけれども、私も、今や
時代は低炭素社会という新しい文明の
時代に入っている、そして、そのとき、
日本が率先してリードしていかなくてはいけないし、その
能力もあると確信をしているところであります。だからこそ、我が党も、低炭素社会づくり基本
法案を
国会に提出させていただいているわけであります。
その上で私が申し上げたいのは、今民主党
政権がおやりになろうとしているこの問題に対してのアプローチというものが、
国益上も、外交戦略上も、そして我が国の
国会のあり方、政策立案のあり方といった観点から見ても、極めて問題であるというその一点でございます。新しく御
就任された
松本大臣には、ぜひこの点を虚心坦懐に御賢察いただけたらと思います。私も、心から
大臣に訴えたいと思います。
問題は、大きく言って三つに分けられると思っております。一つは、政策立案過程の限度を超えたずさんさであります。政策立案プロセスの問題であります。二つ目は、我が国がなぜ二五%削減を追求しなければならないかの論拠が極めて希薄であるということであります。そして三つ目は、
政府が提出している
地球温暖化対策基本法案の構造的な欠陥であります。この三点について、順次
お話をさせていただきたいと思います。
まず、第一点目の政策立案過程の限度を超えたずさんさについてであります。
そもそも、この二五%削減の出発点というのは、昨年九月の鳩山
総理の御発言からでありました。当時、鳩山
総理は、一九九〇年比で二〇二〇年までに二五%削減という中期目標を、関係者と詰めた議論をすることなく、突如として国際公約といたしました。
御案内のように、我が国は、現在、京都議定書に基づきまして、一九九〇年から二〇一〇年までの二十年間、この二十年間で六%削減するという目標に向けて取り組んでいるところでありますが、この目標の達成に四苦八苦しているわけであります。九〇年比二五%削減目標というのは、〇五年比に置きかえますと、十五年間で三〇%削減をするということになります。二十年間で六%削減することに苦しんでいる国が、十五年間で三〇%削減するということを目標に掲げ、世界に約束したわけでありますから、当然のことながら、
国民各層から、本当に大丈夫なのか、とりわけ景気悪化で極端に悪化している雇用
環境に深刻な影響が出るのではないか、そういう心配の声が上がりました。
私も、早速、昨年十一月の時点で、衆議院の予算
委員会でこの点についてさまざまな角度から質問をさせていただきましたが、その時点では、
政府から答えられるものは何もなくて、これからということでありました。つまり、条件つきとはいえ、十五年間で三〇%削減するということを世界に約束しながら、
国民に
説明できるものはその時点ではなかったということであります。
このとき、私の質問を聞いていた知人のマスコミの方がこう言ったのを、今でも印象深く覚えております。要するに、二五%削減するという意気込みだけで、一枚めくると何もないんだな、私の友人はそう言っていました。
その後、十二月に
COP15があり、年を越しましたが、十分なる
国民への
説明がないまま、
政府は二五%削減目標をそのまま含む
地球温暖化対策基本法案を三月十二日に閣議決定いたしました。その際、
環境問題に関する重要事項を
審議すると法律で定められている中央
環境審議会にも、粗い内容の
法案の概要の
審議が一回、
法案の
審議が一回かけられただけということでございました。
この閣議決定には、さすがに各界から問題視する声が上がりました。閣議決定された三月十二日その日に、経団連は、拙速の議論のもとで
法案が閣議決定されたことに対して遺憾の意を表明し、
国会での十分な
審議を求めるアピールを文書で公表いたしました。また同日、温室効果ガスの削減に日夜
努力している九つの産業団体からも、
国会での十分な
審議を求める声明が各会長の実名で公表されました。民主党を支援する労働界からも、注文をつける文書が公表されました。これは極めて異例のことであると私は思います。
さすがにこのままでは
国会審議は乗り切れないと判断があったのかもしれませんが、
法案が提出された後です、二週間以上たった三月三十一日、中長期の道筋や国内経済に与える影響などを提示する
大臣試案というものが公表されました。
法案の後であります。私は、二十三年間霞が関の片隅におりまして、曲がりなりにも政策立案にかかわってまいりましたが、正直申し上げまして、これほどずさんな政策分析を見たことはございませんでした。中央
環境審議会の議論も、このロードマップにつきましてはこれから本格化するということでありました。これでは、何のための
審議会かわかりません。
多くの専門家や
産業界あるいは労働界には、一番の懸念として、二五%削減目標を強行すると、国内企業が海外に逃げ出し、国内雇用が失われてしまうのではないかという大変大きな心配があるわけでありますが、しかしながら、これまでの
国会での
質疑を通じて判明しましたことは、実は、この試案には、肝心な海外生産シフトによる影響というものが含まれていなかったのです。これほど皆が心配していることを全く考慮に入れずに、それで、あろうことか、雇用はふえるんだという分析結果を
国民に訴えているわけであります。
それでも、企業は海外へ逃げることができます。逃げることができないのは、そこで働く
皆さんや取引をしている中小零細企業の
皆さんです。そこを分析すらしていない。それでいて、雇用はふえるんだと堂々と発表しているわけであります。
この
大臣試案では、四つのモデルを用いて分析をされていますが、そのうち二つのモデルで二五%削減の影響分析を行っております。それによりますと、雇用面でプラスだし、GDPもふえるという分析結果になっているわけであります。
しかしながら、世界のモデルは違うんです。IPCCの二〇〇七年の第四次報告では、十五個のモデルを使って分析を行っておりますが、そのほとんどが、温室効果ガスの削減幅が大きくなるほど、GDP、すなわち国内経済にマイナスの影響を与えるという分析をしております。
しかるに、この試案では、国内経済や雇用にプラスであるというモデルだけを二つも紹介しているわけであります。悪い影響が出るという分析結果は一つも紹介されていない。これは、世界のモデルの分析結果と余りにも違います。
さらには、民主党
政権のもとでのタスクフォースでも、すべてのモデルで規制強化に伴い経済や雇用面でマイナスの影響が出るとされておりますが、この試案はそれとも大きく異なります。
この試案は、特異なモデルだけを使って意図的に楽観的な見通しをばらまき、世を欺いていると言われても仕方がないものになっていると私は感じております。もしそうでないということであるならば、なぜ楽観的なものだけを載せるのか、
国民が納得できる明快な
説明をしていただかなくてはなりません。
また、ほかにも、風力発電の導入量等々につきまして、細かい議論になりますが、きょうの時点では差し控えますが、
国会答弁で
経済産業副
大臣の方から、風力発電の導入量は率直に言ってなかなか厳しい数字、ただ、これはあくまでも
小沢試案なので、国として決めているわけではないし、
経済産業省としても、この数値を我々が認めて達成目標に向けてやっていくということではない、こういう
答弁を堂々とされているところであります。全くひどいものだと思います。
さすがに、この試案につきましては、我が国を
代表する研究者八名から実名で、精査が必要で
国民に誤解を与えるという趣旨のアピールが、これまた勇気を持って文書で発表をされました。また、本
委員会に参考人として
お話をいただいた、このモデル分析を行った当の研究者の方が、このモデルはまだまだ検証が必要だとこの
委員会で述べられております。
このように、
政府提出
法案の前提となります政策分析につきましては、各界から次々と、
国会での十分な
審議、
政府の発表に対する分析の精査を求めるアピールが文書で出される、これは極めて異例な事態だと私は思います。
もう一度、整理して申し上げます。
十五年間で三〇%削減という高い目標を掲げる以上、それが
国民生活や経済
活動、雇用などなどに与える影響を、
国民に対して
政府としてきちんとした
説明をしていただかなくては、その目標の是非を
国会で判断することはできません。
残念ながら、この点について示されたこれまでの試案は、
審議会の
審議もこれから精査しますと。
経済産業省や厚生労働省といった関係省庁の専門家とも議論をしていません。モデルにかかわった研究者
自身が検証が必要と
委員会で明言するような未成熟なモデルを用いて、CO2は削減すればするほど雇用がふえるというような、世界でも聞いたことのないようなのうてんきな結果を検証もなく世間にばらまき、しかも、企業の海外生産シフトの影響も考慮していない。さらには、先ほども言及いたしましたように、
日本を
代表する研究者八人が見るに見かねて実名で
国民に誤解を与えかねないというアピールを公表する、そういう代物であります。
こういうもので、二五%削減について
国会でどう議論をしようというのでしょうか。幾ら何でも無
責任過ぎると私は思います。初めに数字ありきで、あとはつじつま合わせに奔走をしている、これが実態ではないでしょうか。これほど大事な問題を、こんなやり方で本当にいいのでしょうか。
できるだけ早く、このずさんな試案、分析を撤回して、
国民生活に与える影響、雇用に与える影響、産業競争力に与える影響などなどについて、きちんとした見解を
政府としてこの
国会に出すべきであります。
環境大臣の見解だけではなく、
経済産業大臣も厚生労働
大臣も合意した
政府としての見解を出し、
国会に対してきちんとした
説明責任を果たすべきです。そうでなければ、二五%削減目標を含んだ
政府提出
法案のよしあしを
国会で
審議しようはありません。この点を私は
松本新
大臣には強く申し上げたいと思っております。
二つ目の問題点でありますが、なぜ二五%なのかという点であります。この論理も、残念ながら説得力がありません。
二五%の論拠として言われますのは、一つは、国際交渉で他国を高い目標に誘導するためだということであります。自
国民に対する
説明責任をろくに果たさずに、世界の背中を押すことに一生懸命になるというのは
理解に苦しむところがありますけれども、仮にそういう試みがあり得るとしても、結局のところ、この
日本の二五%削減目標が世界を動かすことはなかったんです。
政府は、昨年の
COP15において
日本がリーダーシップを発揮したと強調しておりますが、私は、衆議院
調査室を通じて、この
委員会でも、
松本大臣は当時おられなかったかもしれませんが、議論をさせていただきまして、世界の主要紙で
日本のこの二五%削減目標についてどういう報道がなされているか、
調査をいたしました。
詳細は、かつて議論した話ですので省略いたしますが、アメリカの
ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、イギリスのタイムズ、フランスのル・モンド、ル・フィガロ、ロシアのインタファクス、中国の人民日報など、主要七カ国、十四の報道機関の記事につきまして、
COP15で
日本のリーダーシップを報道する記事、これは一行もありませんでした。ネット上の無料検索記事という制約は当然あるんですけれども、
政府が主張するように、
日本の二五%削減目標が本当に世界を動かしているならば、世界の主要紙の一紙ぐらい、一行ぐらい、ネット上でそれを報道しそうなものですが、なぜか報道は一行もありませんでした。
世界で一番の
環境技術を持ち、世界で一番省エネなどに一生懸命取り組んでいる国が、世界で一番断トツに高い削減目標を掲げ、世界で一番
お金を出す約束をする、そして、それを世界が評価せず、報道すらされない。
大臣、これが我が
日本が置かれている客観的な現実なんです。幾ら何でもいびつなことをやっていると私は思いますが、
大臣はどう思われますでしょうか。
世界の国々は、もっと自
国民を大切にしています。CO2を削減すればするほど雇用がふえるなどということを
大臣の見解として発表するような
大臣は世界にはおりません。そんな
政府は世界にはないんです。そもそも、温室効果ガスを削減すればするほど雇用がふえるのであれば、
COP15はとっくにまとまっていたのではないでしょうか。国内に悪影響が出るから、国際交渉は難航しているのではありませんか。
また、
政府は当初、二五%削減の根拠として、科学の要請だと
国会で明言しました。三月三十一日のこの試案でも科学が要求する水準と言い切り、その後、この表現は撤回されておりません。しかしながら、
国会での
審議を通じ、
政府は徐々に発言を修正し出しまして、今では
政治判断だと言っております。これほど大事な問題に対して実に不
見識だと私は思います。もし
政治判断だと
政府が言うのであるならば、これまでの発言を撤回すると同時に、改めて、なぜ二五%なのかという論拠を示していただかなくてはならないと思います。
今や、二五%削減目標というあらゆる論理は破綻しつつあると私は思います。科学の要請でもなければ、国際交渉を引っ張るわけでもない、
国民に対する
説明責任もろくに果たさない。一体、
日本政府は何をやろうとしているんでしょうか。私は
理解に苦しんでおります。
三つ目の問題点は、
法案そのものの構造的欠陥であります。
この
法案は、御案内のように、条件つきで中期目標を設定するということになっておりますが、今や、この前提条件が満たされる可能性はほとんどございません。満たされることのない前提条件をつけて、そして、この前提条件が満たされないときにはどういう目標になるかということは一切示されておりません。満たされない可能性が極めて高いにもかかわらず、満たされない場合の目標がどうなるかがないんです。これでは、国内産業や
国民はどこを目指して
努力をしていけばいいのかわかりません。
ちなみに、自民党の案では、国内の、いわゆる真水の目標を定めておりまして、交渉の展開次第によって海外からの購入分を上乗せしていくという目標設定の仕方になっておりますので、国内の目標は明確になっております。
また、もう一つ問題なのは、この二五%削減のうち、真水で幾ら削減するかというものの内訳がございません。これではやはり、前提が満たされたとしても、どこまで国内でやっていいのかがわかりません。これでは排出量取引の制度設計というのは、そもそもどこまで削減するかがわからないんですから、なかなか難しいのではないでしょうか。
これだけの問題があるにもかかわらず、我々の懸念は一顧だにされず、前
国会では
強行採決でこの
委員会を
法案が通過いたしました。幸いなことに、
参議院では成立せず、
法案は廃案になりましたが、信じられないことに、
説明責任という観点から何の前進もないまま、この
国会に再び
法案が一字一句文言を変更することなく提出をされました。
松本大臣、今我々に必要なのは、一度冷静になって、政策の論理と情報を整理して、何が
国民にとってプラスなのかマイナスなのかをきちんと分析して、静かに虚心坦懐に議論を積み上げていくことではないでしょうか。二五%削減問題についても、空疎な
言葉を並べて強弁するのではなくて、きちんとした分析をして、
国民の
立場に立って冷静に議論することが今必要なのではありませんか。
国会とはそうあるべきではありませんか。
科学の要請でもないものを科学の要請だと言い募ったり、多くの全く異なる試算結果が示されているにもかかわらず、一研究者の極端な分析を
大臣の見解として発表し、CO2は削減すればするほど雇用がふえるなどというまやかしはもうやめにしようではありませんか。せっかくこの国の
産業界は温暖化対策で世界をリードする力を持っているのですから、それが最大限に発揮できるような対策を打っていかねばなりません。間違っても、この面で
産業界のやる気と力をそぐような形での対策を打つのなら、かえって炭素リンケージが起こったりして、温暖化ガスの削減にはマイナスになってしまいます。新
大臣にはこの点、もっとセンシティブになっていただきたいなと思います。
我々自民党は、もっともっと
日本技術が評価され、技術を持っていることがプラスになるような新しい国際的枠組みの構築を
日本が提唱していくべきと
考えまして、さきの
参議院選挙のマニフェストにも掲げさせていただきました。自虐的なアプローチではなくて、もっとスマートなやり方が
日本にはあるはずです。
漏れ聞くところによりますと、
法案は
国会で修正すればいいとお
考えがあるやに聞いておりますが、通常の
法案であるならばそれもあるでしょうが、この
温暖化対策基本法案の場合は、先ほど来強調いたしておりますように、
政府としての分析結果をきちんと出していただかない限り、議論はできません。
説明責任を果たさないまま
法案を
国会に出して、あとは修正すればいいというのは、余りにも無
責任ではないでしょうか。
法案修正云々を言う前に、
政府全体としての
説明責任を果たしていただかなくてはなりません。
法案修正の議論をするならば、その後だと私は思います。私は
松本大臣に期待をしております。ぜひとも、私が問題提起しましたことにつきまして、真摯に御検討いただきたいと思います。
きょう、たまたま前
大臣が座っておられますから申し上げるわけではありませんが、私は、前
大臣を常々尊敬しておりまして、この世界に入る前から、この人はいずれ
日本の
政治をリードする方になるに違いないとずっと思い続けていた方でありまして、今でもその
考えは変わっておりません。ですが、この問題についてだけは、少々山っ気が強過ぎて、経済界の声にも、労働界の声にも、研究者の真摯な訴えにも十分に耳を傾けてそれに対応してきたとは私には思えません。
新
大臣は、静かな誠実なお人柄の中にも、おかしなものはおかしいとされる強い信念をお持ちの方とお見
受けいたしました。我々政党人は、政党の看板を背負っている以上、前任者を初め党内の人間関係のしがらみや党利党略のあらしの中に巻き込まれることは避けられません。しかしながら、一方で、この国の将来に対して
責任ある判断を下さなければならないという責務からも逃れるわけにはまいりません。我々政党人は、そのはざまで苦しみながらも、国のために少しずつでも前進をしていかなくてはならないと私は思います。
松本新
大臣には、大変御苦労が多いこととは存じますが、ぜひ我々の主張に耳を傾けていただきまして、新鮮な目で虚心坦懐にこの問題を見詰めていただき、勇気ある新しい一歩を踏み出していただけたらと強く御期待申し上げます。
長くなりましたが、個々の論点はこれから議論させていただきたいと思いますが、きょうは、以上の点について総括的に
大臣の御見解をお聞かせいただけたらと思います。あわせて、お待たせいたしましたが、
経済産業省の方からも総括的に御見解を賜れればと思います。
御清聴ありがとうございました。