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2010-09-07 第175回国会 参議院 文教科学委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年九月七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  九月六日     辞任         補欠選任      藤谷 光信君     轟木 利治君      横峯 良郎君     石井  一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         水落 敏栄君     理 事                 加藤 敏幸君                 谷岡 郁子君                 橋本 聖子君                 義家 弘介君     委 員                 石井  一君                 大島九州男君                 神本美恵子君                 鈴木  寛君                 轟木 利治君                 平田 健二君                 水岡 俊一君                北川イッセイ君                 中曽根弘文君                 山本 順三君                 西田 実仁君                 松 あきら君                 江口 克彦君    国務大臣        文部科学大臣   川端 達夫君    副大臣        文部科学大臣  鈴木  寛君    事務局側        常任委員会専門        員        古賀 保之君    政府参考人        文化庁次長    吉田 大輔君        厚生労働大臣官        房審議官     石井 淳子君        経済産業大臣官        房審議官     戸谷 文聡君    説明員        会計検査院事務        総局第四局長   金刺  保君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○教育文化スポーツ学術及び科学技術に関  する調査  (高校実質無償化実施状況等に関する件)     ─────────────
  2. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、藤谷光信君及び横峯良郎君が委員を辞任され、その補欠として轟木利治君及び石井一君が選任されました。     ─────────────
  3. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  教育文化スポーツ学術及び科学技術に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文化庁次長吉田大輔君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) 教育文化スポーツ学術及び科学技術に関する調査を議題とし、高校実質無償化実施状況等に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 大島九州男

    大島九州男君 おはようございます。本日は、大変貴重な機会に質問を、閉会中審査の質問という経験をさしていただくことに心から感謝を申し上げまして、高校無償化、そしてまた、先日、BJTビジネス日本語能力テスト中止報道について、この二点を質問をさせていただきますが、まず最初に、高校無償化が四月から実施されておりますけれども、高校の低所得世帯への支援はまだまだ不十分というふうに考えておりますが、今後どのように支援をしていくつもりなのか、教えていただきたいと思います。
  7. 鈴木寛

    ○副大臣鈴木寛君) 今御指摘のように公立高校授業料無償化あるいは私立高校等への就学支援金制度が始まっておりますけれども、そういう状況下におきましても、授業料以外に入学金教科書代などで保護者教育費負担が大きいというふうに承知をしております。  また、高校無償化法の採決に当たりまして衆議院文部科学委員会におきましても、奨学金給付に係る制度の創設その他の低所得者世帯の一層の負担の軽減を図る旨の附帯決議が付されたところでございます。  こうした点を踏まえまして、低所得世帯高校生に対する給付型奨学金事業の中におきまして、平成二十三年度予算要望におきまして要望額九十二億円を計上し要望しているところでございます。
  8. 大島九州男

    大島九州男君 まさしく高校生に対する給付型の奨学金を創設するということは大変すばらしいことというふうに私自身も思っておりますし、一つ懸念をされているのは、この就学支援金の導入に伴って、私立高校生に対する授業料減免補助、まさに県が独自でやっているそういった予算削減をするようなところがあるというふうに聞いておるんですけれども、せっかく国が私立高校生経済的支援財源措置をしても、地方財源の肩代わりになってしまうというようなことでは、実質的な子供たちの、低所得者世帯への支援にはならないというふうに考えておるんですけれども、そこら辺はどのようなお考えでしょうか。
  9. 鈴木寛

    ○副大臣鈴木寛君) ただいま御指摘がございましたように、私立高校生への授業料減免に関する補助金予算額だけで見ますと、確かに削減をされている道県があることは事実でございますが、低所得者世帯私立高校への就学支援金と併せた支援ということで見ますと、例えば二百五十万円程度未満世帯で申し上げますと、四十道府県で私立学校に通う高校生に対しても全額免除相当となるケースを始めといたしまして、いずれの都道府県でも前年並み、さらには前年水準以上に手厚くなっておりまして、就学支援金が各都道府県の施策に対する底上げ効果を生んでいるというふうには認識をいたしております。  加えまして、国といたしましては、授業料減免補助奨学金事業を行う都道府県に対しまして、国庫補助地方交付税措置高校生修学支援基金による支援を行っているところでございます。地方交付税措置につきましても、対前年度約三十億円増の五十億円を措置しているところでございます。  また、各都道府県におきましては、高校生修学支援基金活用等により奨学金授業料減免補助などの私立高校生への経済的支援のより一層の充実に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございまして、またその旨をこの四月一日に文部科学大臣政務官通知としてお願いもさせていただいているところでございます。  以上です。
  10. 大島九州男

    大島九州男君 今、副大臣のお話で十分理解をしましたけれども、やはりまだまだ公立高校に対する公費支出に対して私立高校に対する公費支出というのは少ないというふうな認識でありますし、特に我々民主党政権一括交付金と、地方地域主権というような視点からいきますと、ひも付き補助金や国が指導するという、そういった姿勢というものは極力控えなければならないわけでありますが、事この教育予算については文部科学省、各県の予算支出の仕方についてしっかりと注視をしていただいて、そしてそれが広く多くの国民に知らせられるように努力をしていただくことを要望いたしまして、この件につきましては後の同僚議員に任せていきたいというふうに思っております。  それでは次に、資料としてお配りをしておりますけれども、先日、八月十八、十九日で新聞報道に出ておりますこの「日本語テスト今年度で中止 独法から移管 漢検、赤字で」と、「外国人に戸惑い」というような、こういう記事が出ておりますけれども、この一九九六年から始めたBJTビジネス日本語能力テストの果たす役割について、ジェトロ経済産業省考えを聞かせていただきたいと思います。よろしくどうぞ。
  11. 戸谷文聡

    政府参考人戸谷文聡君) 大島委員お答えいたします。  日本貿易振興機構ジェトロの方では、ビジネス日本語能力テストBJT平成八年度から平成二十年度まで実施しております。平成十九年の十二月に閣議決定されました独立行政法人整理合理化計画に基づきまして売却したところでございますが、申し上げましたとおり、平成二十年度までジェトロの方でこのビジネス日本語能力テストを開催しております。  当初から、このテスト在外日本企業現地職員を採用する際の日本語能力測定に用いることができるという観点から、在外企業支援につながるというようなメリットがあるというふうに考えてきております。また、今年の六月に閣議決定されました新成長戦略におきましても、日本語能力を持つ優秀な現地人材大幅増加あるいは高度海外人材集積拡大ということがうたわれておりますので、今後とも外国人向け日本語能力測定試験重要性はますます高まっていくものと考えております。  以上でございます。
  12. 大島九州男

    大島九州男君 今御答弁いただきましたけれども、新成長戦略の中で、今後、日本語能力を持つ優秀な現地人材大幅活用高度海外人材集積拡大がうたわれる中で、このBJTの果たす役割というのはますます大きくなるというふうに考える中に、このテスト中止すると、こういうふうに財団法人日本漢字能力検定協会決定は、私からすると非常に理解し難いと。  文部科学省は、この決定を受けて、どのような説明を受けてその決定を容認しているかというその見解を教えていただきたいと思います。
  13. 鈴木寛

    ○副大臣鈴木寛君) お答えを申し上げます。  今お尋ねのこのBJTビジネス日本語能力テストにつきましては、日本漢字能力検定協会から六月末に提出をされました平成二十二年度から二十四年度の中期事業計画におきましては、平成二十二年度中に平成二十三年度以降の在り方を検討し整理するとのみ記載をされております。先月の新聞報道等を受けまして、所管課から漢検協会に対して事実関係を確認をするとともに、現在、中止とする経緯理由、それから受験生へのフォローなど当面の対応方針、それからBJTビジネス日本語能力テストの今後の在り方に関する考え方などについて文書で正式に報告するよう求めているところでございます。
  14. 大島九州男

    大島九州男君 ということは、新聞報道は出たけれども、これは漢検から正式に文部科学省には報告ないということですか。
  15. 鈴木寛

    ○副大臣鈴木寛君) 正式な報告はまだ行われておりませんので、今正式に報告するように求めているというのが現状でございます。
  16. 大島九州男

    大島九州男君 それはちょっと、やっぱり漢検は非常に問題ですね。  というのは、なぜかというと、皆さんもよく御存じのように、文部科学省大変漢検に厳しい指導をして、そして公益法人であるその姿をしっかりと示すようにという。特に私が記憶しているのは、平成二十一年二月の十日、当時の文部科学大臣塩谷大臣は、公益性が感じられない、厳しい指導をしていかなければならないというふうに発言をされて、翌月の三月十三日には、解散命令を出すことも視野に入れて指導すると衆議院文部科学委員会発言をされたんです。  このような厳しい指導をしてきた経緯がある中で、今回の文部科学省対応は余りにも態度が違い過ぎるんじゃないですか。当時、文部科学省のあの指導は、私が受けただけでも、非常に何か、何でここまで厳しくやるのかなというのを私は感じた経緯がありますけれども、なぜ今回はこのように柔らかい対応をされているのかと。  この対応が違う、当時文部科学大臣であった方が現在漢検理事長をしているからそういう柔らかい指導になっているのか、そこら辺の見解をお願いします。
  17. 鈴木寛

    ○副大臣鈴木寛君) 文部科学省といたしましては、どの法人に対しましても、また理事長がだれであろうとも、適正で透明性の高い法人運営が行われるように厳正な指導監督を行ってまいらなければならないことは当然でありまして、そのようにやらせていただいているところでございます。  今も御説明申し上げましたように、これまでの経緯、今後の対応方針について正式に報告をするようにという指導を行っているわけでありますが、と同時に、関係者等に対しましても、しっかりと説明責任を果たしてほしいという指導もいたしております。  御指摘のように、この日本漢字能力検定協会公益事業を担っている法人でありますので、このBJTビジネス日本語能力テスト取扱いにつきましては、法人経営上の観点というものもよく分かるわけでありますが、その観点だけではなくて、日本語を学ぶ外国人への影響等にも十分配慮しながら今後の対応について検討していただきたいというふうに考えております。  経済産業省等とも連携を図りながら、この問題に対し引き続き適切に指導助言を行ってまいりたいというふうに考えております。
  18. 大島九州男

    大島九州男君 本来なら、公益性を重んじる財団法人である漢検は、収益が見込めなくても、日本の国益を考えた場合はこの事業は継続するに値する、そういう事業だと私は考えておりますが、このテストは、ジェトロから漢検譲渡される入札において、民間企業であるベネッセ入札に参加されて、五百万円という僅差で二番札だということをお聞きしております。  ということは、何が言いたいかというと、民間企業であるベネッセが、多額の金銭で譲渡を受けようと判断をするその根拠は、当然それは民間企業として収益が見込めるからその事業を三億数千万という多額お金入札をしたというのが適当なんですよ。だれが考えてもそういう判断ですけれども、新聞報道では、現理事長が、譲渡を受けた当時の執行部現状を把握しないまま買い取ったんだと、そして、国内の漢検受検者受検料BJTの赤字補てんすることの意義が見出せないので、今春、春の理事会中止決定したという、そういう報道になっているんですよ。  しかし、あの当時、現理事長たち文部科学省は、厳しい指導をする中で何と言ったか。漢検は、その収益公共性のある事業に使わなかったから、だから厳しい指導をしなければならないというふうにして指導してきたんです。その当事者がもうからないからやめる決定をしたというこの報道は、甚だ信じ難い。もしこれが事実と言うなら、その理事会議事録是非提出するように指導をしていただきたいし、私たちにもその知る権利を文部科学省として保障していただきたいんですが、その件についてはどうでしょうか。
  19. 鈴木寛

    ○副大臣鈴木寛君) 先ほども申し上げましたように、なぜ中止とすることになったのかと、その経緯理由ということについて正式に報告するよう求めているところでございますので、まずその報告を受けて、そして、その理由経緯等々、当然その理由の中には報道によりますと財政状況ということがございますので、その点も含めて把握をまずしてまいりたいというふうに考えております。
  20. 大島九州男

    大島九州男君 客観的に考えて、今回のこのBJTビジネス日本語能力テストというのは外国皆さんにも影響を及ぼす、そういった大きな問題であるんですけれども、そこを漢検の中では十分議論されたのかと。その議論された経緯があるなら、その議事録をしっかりと提示をしていただきたい。  私が調べた範囲では、漢検理事会の中では、このBJT事業有益性とか必要性というものを議論された経緯議事録は拝見をしたけれども、この漢検理事会の中で中止をするという議論があったその議事録を見ることはできなかったんですね。だから、それは文部科学省の厳しい指導の中から是非提出をしていただきたいと思うんですが、その件についてはどうでしょう、もう一度。
  21. 鈴木寛

    ○副大臣鈴木寛君) 今もお答えをいたしましたが、繰り返しのお答えになりますけれども、まずは正式にこれまでの経緯理由等々について報告を求めているところでございますので、それを受けまして、今日の御議論も踏まえて、今後の指導あるいは助言については考えてまいりたいというふうに思っております。
  22. 大島九州男

    大島九州男君 私は新聞がすべてうそとは言いませんけれども、当然、その当時かかわられていた文部科学省の幹部がやっているわけですから、私はこの報道が間違えているんだと信じたいんですね。  文部科学省というのは、この日本の国の教育をリードする、そういう省でありますから、こんな何か、まあ週刊誌が悪いとは言いませんけれども、何か週刊誌でよく言われるような、そういう話になるんではなくて、まさに新聞報道だけで正式な文書報告がないと言うなら、私が期待するのは、今年度この事業をしっかりとやって来年度以降については検討するというような報告を口頭で受けていらっしゃるということですから、もう一度この漢検の中で過去の経緯をしっかりと踏まえて、このBJTを来年以降も漢検でしっかり実施をし、公共性のある財団法人としての使命を全うすると、そういう回答が文書で出てくることを私は切に希望したい。  あれだけマスコミを騒がせて、世間を騒がせた財団法人である以上、文部科学省については厳しい指導をしていただきたいというふうに思うんですけれども、大臣、そこのところはどうでしょうか。
  23. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) 去年いろいろ起こった問題は、主として、最終的には刑事告発まで至るような不祥事でありました。そういう意味では、非常に厳正に、あるまじきこととして対応された経過があります。  そういう中で、公益法人としてこれからまさに公益性を発揮していろいろな事業をやっていくという中で今回のことが報道されましたが、副大臣から今るる説明いたしましたように、正式には我々も聞いていないということで、まず指導として、どういう経過で、今いろいろ言われましたが、そのことを含めて、どういう経過があり、どういう理由中止という方向にしたのかということ、それから受験生が、当然予定している人はいるわけですから、勉強もしている人もいるわけですから、そういう人へのフォローをどうするのか、それから今後の在り方はどう考えているのか等々を文書でしっかり回答するようにと先般協会に対して指導を行いました。今それを待っているところでありまして、今いろいろるる言われたのは、そういうものをベースにしないとどうしようもないということであります。  そして、これもお触れになりましたけれども、検定協会においては公益事業を担っている法人であるというのは御指摘のとおりでありますから、BJTビジネス日本語能力テスト取扱いについて、法人経営上の観点だけではなく、日本語を学ぶ外国人への影響等にも十分配慮しながら今後の対応について検討してほしいと思っておりますので、指導をして報告を受ける中でそういう考えも伝えてまいりたいというふうに思います。同時に、経産省との関連も今までございましたので、そういうことで連携を取りながら適切に指導助言を行ってまいりたいというふうに考えております。
  24. 大島九州男

    大島九州男君 ありがとうございました。  最後に、日本教育をつかさどる文部科学省が、一政治家の欲や高級官僚の天下り、その私利私欲に加担をして日本国民の未来に光を閉ざすことがないよう、公僕としての誇りと気概を持ってこの日本教育行政に携わっていただくことを心から祈念をして、質問を終わらせていただきます。  以上です。
  25. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 おはようございます。民主党谷岡郁子でございます。よろしくお願いいたします。  公立高校無償化がいよいよ四月から行われております。その中で、今回、八月の末という形で、その取扱いについて、特に外国人学校を中心といたします文科大臣指定校というものの指定の仕方の問題についてのガイドラインが出ました。その点につきましてお尋ねしたいことがございます。  この就学支援金の使用が、場合によって、例えばその指定校などで流用され得るようなことというものがあり得るのか。本来子供たち授業のために使われるべきお金というものが、どのような形でしっかりとその学校が使っていくということを担保していくのかということに関しましての文科省考え方をお願い申し上げます。
  26. 鈴木寛

    ○副大臣鈴木寛君) 今お尋ねがございました就学支援金の流用でございますが、これは明白な違法行為であります。そのような場合は、法令に照らして厳正な対処が必要であることはもう言うまでもございません。  八月三十日に検討会議から提出をされました報告では、文部科学大臣指定する際の基準として、この就学支援金の管理を含め、法令に基づき学校が適正な運営を行うことを当然のこととして確認的に求めていますとともに、財務諸表等を毎年提出をさせることを求めております。  指定のための基準につきましては文部科学大臣が最終的に決定をすることになりますが、就学支援金授業料以外の目的のために流用されることはあってはならないことでございまして、そのことを強く求めてまいりますとともに、指定後にそのようなことが明らかになった場合には、指定の取消しも含め厳しく対応する仕組みとすることがそのような場合には適当であるというふうに考えております。
  27. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 そういう意味におきまして、朝鮮人学校等でも、もしも本当に別のところに使われるようなことがあれば、それに対して手を打てるような形になっているということであろうかというふうに理解をいたします。  次に、このガイドラインというものが発表されまして、そのガイドラインの中で出てくることは、各教科等に関する具体的な教育活動の内容に関して基準は設けないと。その一方で、情報の公開、そしてその学校教育透明化を図るということで納税者たち理解を得やすい、その責任というものをしっかりやってもらうという形で、見える、透明化ということをやっていくというようなことに思えるんですが、その趣旨で間違いないのでございましょうか。
  28. 鈴木寛

    ○副大臣鈴木寛君) 基本的にはそのように御理解をいただければというふうに、私どももそのように理解をいたしております。
  29. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 そのような制度上の仕組みというものがつくられたということは本当に喜ばしいことだというふうに思っております。皆様の御努力に感謝申し上げたいと思います。  さて、その一方で、高校無償化というものが、例えば同じ兄弟公立高校私立学校に通う場合に、言わば家庭内において私立学校に通う兄弟の方がとても肩身の狭い思いをするというようなことがたくさんの私立学校高校生の声として今上がってきております。  例えば、夜トイレに起きようとしたら両親が話し合っていて、やっぱり弟は公立学校に行ってもらわぬとしんどいねというような形で、自分自身大変親不孝をしているようなことで情けなかったというような手紙が私のところにも続々と届けられているわけです。もちろん、本当に低所得世帯に対してはかなり手厚いことが行われておりますが、例えば兄弟が二人、三人いるような場合におきましては、例えば民主党最初の案では五百万円以下の世帯にはそれなりの上乗せをということがございましたが、そういうことが今は三百五十万以下、二百五十万以下というようなところに変わっております。  これで高校無償化は終わったのだろうか、それとも、やはりだれでもがいろいろなところへ行くことができる、また兄弟が多いような場合については更なる支援が求められる、そういうことは今後可能なのかどうなのか。これ財政状況が許す範囲ということもありましょうから、すぐにはできないなりに、今後そういう方向でお考えいただけるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  30. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) 高校へ行こうという子供あるいは行っている子供が、先生御指摘のようなことに負担を感じたり、悩んだり、負い目を思うということは本当に胸の痛い話でありますと同時に、そういうふうないろんなことを多感な時代に可能な限り感じずに、公立、私立問わず自分に適した学びの場に行けるような状況をつくりたいというのが元々の我々の思いであります。ややもすると、最近の子供はちょっと自己中心的な子が多いという評価もありますけれども、実際はそうじゃなくて、先生言われるように非常にナイーブな子が多いんだというふうに思っております。  そんな中で、今回のことに関しましても、低所得者世帯私立高校生に関してはいろんな工夫をして手厚くするような仕組みにはなっておりますと同時に、先ほどの御議論にもありましたけれども、都道府県においては、支援金と都道府県による授業料への制度というのを併せた形で見ますと、二百五十万円程度未満授業料減免平成二十一年度は十三県だったのが、平成二十二年度は四十道府県ということで二十七道府県増、年収三百五十万円程度未満世帯については平成二十一年度四県だったのが、二十二年度には十三府県というふうに増加をしてきたことは事実であります。  ただ、授業料以外の負担が様々掛かることも一方でありまして、我々としては給付奨学金というのを求めていたんですが、財政事情で実現をいたしませんでした。そういう意味で、附帯決議においても、奨学金給付に係る制度の創設その他の低所得者世帯の一層の負担の軽減を図るため、必要な措置を講じる、それと、私学助成等の充実を図る旨の附帯決議が付されました。  そういうことを踏まえまして、この概算要求の要望額においては、低所得者世帯高校生に対する給付型奨学金事業という中で、今御指摘の部分でいいますと九十二億円を計上いたしました。よりそういう手当てができるようにという授業料以外の部分での制度を今求めているところでありまして、できる限り子供たちが先生御指摘のようなことで胸を痛めることのないように、少しずつかもしれませんが、展開を、前進させていきたいと思っております。
  31. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 全国私教連の調べてくれた資料によりますと、過去十年間に、この国会に対しまして、一億四千二百九十六万七千九百九十一人の方々が署名するという形で私学の助成の増額についての請願署名というものが行われてきております。  これほど長い期間にわたってたくさんの方々がコンスタントにその願いを持っていらっしゃるという事実は、やはり単に低所得ということではなくて、家族の多さ、兄弟の多さ、また、例えば私学に行く子たちの望みというのはスポーツであり芸術文化であるところにとりわけ特化しているということから、そこに掛かる費用などもあるということもございます。  その給付奨学金、できることは本当にうれしく思います。だからこそ、その運用等に当たりましては、本当にそのような負担感、単に数字として低所得であるという形だけではなく、親の負担感であり、現実のニーズといったことも勘案するような制度設計にしていただけないかということを強くお願い申し上げたいんですが、いかがでございましょうか。
  32. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) 授業料とそれからそれ以外に掛かる部分という負担という意味では、いろんな施策を講じるときにスタートは低所得者層から始まるというのは、そしてそれがだんだん広がると同時に高くなるということで、少しずつ進めていっているという部分は御理解をいただきたいと思いますが、一方で、いわゆる私学に対する助成という学校への応援ということで、結果として例えばいろんな父兄負担、校舎を改築するとかいうといろんな部分で父兄に寄附を求めたりということもありますから、そういう部分で学校運営に関してということが経常費補助でありますので、厳しい財政状況でありますけれども、一千十一億、わずかでありますが増額させていただいて要求をしているということも含めて、いろんな角度から私学の学びの場がより充実していくようにまたこれからも頑張ってまいりたいと思っております。
  33. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 今後とも是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。  さて、ちょっと残りの時間を使わせていただきたいと思うのは、京都市立の看護短期大学でございますが、ここが閉鎖を決めたということで、私どもの方にも学生たちが今後自分たちはどうなるんだということでの心配が寄せられております。  公立短大が閉鎖された場合に国としてどういうお考え対応をお取りになるのかということをまず法律制度の面からも明らかにしていただいて、学生たちを安心させていただきたいというお願いが一つ。もう一つは、入学時の条件が守られたままで最後の学生まできちんと卒業できるのか。とりわけこの間私の元に来ました学生たちは、友人たちの中で心身に病を持ってそのために休学しなければいけない、留年しなければいけないような友達たちが果たして最後まできちんと現在の条件で面倒を見てもらえるのかどうなのか、そういうことを心配しておりましたけれども、その点につきましてどうなりますのか、是非文科省見解をお願い申し上げます。
  34. 鈴木寛

    ○副大臣鈴木寛君) 今御指摘のように、京都市立看護短期大学は廃止の条例が市議会で可決をされております、この五月に。平成二十二年度から学生募集を停止をしていることは御指摘のとおりでございます。  この短期大学の設置者でございますが、その廃止に当たり、現に在学する学生が留年をした場合も含めて、全員一人残らず卒業するまで責任を持って教育活動を行うことが求められる、当然に求められるわけでありまして、そのことは今回可決をされました廃止条例の附則におきまして、留年生が出た場合には、当該者が在学しなくなる日までの間、短大は存続する旨が明記をされているところでございます。また、京都市からも、同短期大学の廃止までの間、留年生が出た場合であっても、在校生の教育条件の維持には最後まで責任を持ち対応するとの報告文部科学省として受けております。  したがいまして、京都市及び京都市立看護短期大学において適切に対応されるものというふうに考えておりますが、引き続き文部省として必要に応じ今後適切な対応を促してまいりたいと、注視をしてまいりたいというふうに思っております。
  35. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 ありがとうございます。是非、学生たちが不安なく残りの学園生活を送ることができますように、文科省としてよろしく注意のほどをお願い申し上げたいと思います。  さて、もう一問、時間がまだ余裕がありますようですので、させていただきたいんですけれども、日本相撲協会のことでございます。  私もスポーツに関心がある一議員といたしまして、長年相撲はずっと見ておりました。そして、感じてまいりましたのが、やはり日本相撲協会の体質そのものの中に今回のような問題を起こす体質基盤があるのではないか。  例えば、大部屋に十両にならなければ二十五歳になっても二十八歳になってもたくさんの力士が詰め込まれていると。そういう中で非常に密度の濃い、ある種先輩の文化が体質的に受け継がれるというようなことがなされてきている。  地方巡業ということで、しばしばその世界の関係者のコネがなければその巡業ができない。とりわけ地方場所の宿舎、約一か月それぞれ必要になるわけですけれども、この一か月間の宿舎を手配すると。年間一か月しか使わないところをずっと取っておける堅気の商売の人が今どれだけいるか。新興の部屋を起こした親方たちは、それでも福岡に、名古屋に、あるいは大阪に、その通える範囲のところに宿舎を持たなければいけないという条件の中で、何とかかんとかそれを確保するために非常に危ない橋を渡るというような状況が現在あるわけです。  こういう体質問題を根本的に見直していって、必要とあればこの国技に対してやはり国や都道府県地方自治体の関与というような形の中でそういう問題を支援していくという状況がなければ、この問題はいつまでたっても根本的な解決ができないような気がいたしておりますが、今文科省がこの問題に対してどのような態度で取り組んでいらっしゃるのかということを是非伺いたいと思います。
  36. 鈴木寛

    ○副大臣鈴木寛君) お答えを申し上げます。  今御指摘のございました、例えば地方場所を含む協会運営、かなり各相撲部屋任せの側面というものがあり、そのことが結果として反社会勢力との関係につながりかねないという面があったことは御指摘のとおりだと思います。  この問題も含めまして、今回の財団法人日本相撲協会におきます一連の不祥事の背景には、外部の視点をも取り入れて社会の時流に沿って改革を図る、運営をしていくという意識にやや欠けている点があったのではないかというふうに考えております。  今、協会におきましては、一連の不祥事を受け様々な改革が進められておりますけれども、例えばガバナンス整備を担当する外部副理事長の設置あるいは外部監事の増員というものを行っております。また、現在、外部の有識者から成りますガバナンス独立委員会というものが設置をされまして、協会のガバナンス強化、力士の養成の在り方等について幅広く検討を行うなど、公益法人にふさわしい協会改革を目指し、運営の抜本的見直しを行っておられるというふうに報告を聞いております。  そういう中で、特に暴力団との関係につきましては、先日新たに暴力団等との交際禁止規定を定め、宿舎等の便宜供与を含む暴力団との交際禁止、親方等からの相談に対する助言支援など、警察当局の支援をも受けて積極的な暴力団排除に取り組むといったことはもう既に出されているということでございます。  まずは協会においてしっかりとしたガバナンスを確立していただき、そして、その内容については引き続きガバナンス独立委員会で今検討をしていただいているわけでありますけれども、その上で、この我が国の伝統的な競技であります大相撲の維持発展ということは、スポーツの振興上、あるいはもちろん国技としての重要性、様々な重要な意義を有しておりますので、協会がこの時代の進展に対応して引き続き発展をしていただくためにどういう対応が必要なのか、支援が必要なのかといったことを、文部科学省としても必要な指導助言ということは検討をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  37. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 大変力強い方向へ進んでいるというふうにお聞きをいたしました。  今後とも是非、伝統を守るとともに、同時に伝統の名に逃げ込まない、やはり今の人権にふさわしい、そして今の社会的な公序良俗にふさわしい協会となって国民に支持されていきますように、文科省として注視をお願い申し上げまして、私の今日の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  38. 義家弘介

    義家弘介君 自由民主党義家弘介です。  この閉会中審査を開いていただけた良識には、まず心から感謝いたします。  その上で、項目を絞って中身について質問させていただきますが、まず、三月三十一日に通り四月の一日から施行するという、いわゆる高校無償化法案、我々は、これまで一貫してこの法案の結果として起こる様々な問題点について指摘してまいりましたが、その指摘に対する抜本的な解決策さえ示されぬまま、三十一日に強引に成立し、四月の一日から施行されました。  その中で、この二日間だけでもこんなニュースが出ています。  例えば、一部の私立高校では独自の授業料減免措置を行ってきたわけですけれども、実は、この減免措置、この負担金を利用しまして学校側の負担を逆に軽くして、生徒側の支払は同様に据え置くという、これは北海道の私立高校の事例、あるいは鹿児島では特待生として成績優秀、あっ先ほどが鹿児島ですね。特待生として成績優秀者らの授業料全額免除を行っていた学校が、全額免除の場合は支援金の支給の対象にならないということで、この授業料全額免除をいったん取りやめて、そして就学支援金を受け取った上で免除するなどというような問題、これも予想していた問題の中の一つですけれども、現実に起こってきています。  まず、こういった問題を議論するときには、あらゆるシミュレーションの下で制度設計をしていく必要があったわけですけれども、再三指摘をしてもそのまま施行していった。こういう問題について今後しっかり対応していただきたいということをまず冒頭に申し上げた上で、本日は、朝鮮学校をいわゆるこの高校無償化範囲に入れるか否か、これについてまずしっかりと文部科学省の見識、認識判断を教えていただきたいと思います。  先ほど谷岡委員質問の中で、内容に関しては基準を求めないというような流れだという答弁もありましたが、これは甚だ私たちにとっては疑問であります。この内容、そして朝鮮学校を取り巻いている環境、これらを総合的に判断した上で行っていかなければならないものだと我々は考えていますが、まず、この高等学校就学支援金の支給に関する検討会議、これ五月二十六日から始まったわけですけれども、大臣は再三、議論を静ひつな環境で技術的、専門的にやっていただくと。例えば、八月四日の参議院の予算委員会でも、そのような理由を挙げながら、委員議論の過程を非公開にしてまいりました。その上で、八月三十一日に審議のまとめが公表されましたが、現時点でも、委員やどのような議論が行われてきたのかということは公表されておりません。  そのことについて私はいささか驚いているんです。閉会中審査を行い、朝鮮学校を対象にするか否かということをもう一度しっかりとこの委員会の中で明らかにするために行っているにもかかわらず、現時点でもこの委員の構成や議事録、どういう話合いが行われてこのような抽象的な基準になったのかということに対しての説明が全くなされていませんが、これはいつ公表される予定ですか。
  39. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) 検討会議においては、再三申し上げておりますように、静ひつな環境で自由闊達な御議論をいただいてきたところでございます。一方、第一回の会議において、匿名の議事要旨を会議終了後に公開することを決定していただいております。  検討会議においては、基準等に関する報告は取りまとめていただきましたが、この基準を取りまとめていただき、現在、与党等も含めて御検討いただいている段階でありますが、最終的にそれが、手順として、基準決定した後、それに基づいた審査をどういう形でどこで行うかということが次の段階でやってまいります。そういう意味で、文部科学大臣が定める基準に基づく審査を引き続きこの会議でやっていただく可能性もありますので、この会議がまだ最終的に全部の仕事を終了したという状況でないということから、現時点では議事要旨及び会議資料の公開は行えないことにしております。  なお、議事要旨及び会議資料については、基準に基づく審査を終了し、指定についての決定が行われた段階で議事要旨及び会議資料は公開することを予定をいたしております。  以上です。
  40. 義家弘介

    義家弘介君 この朝鮮学校範囲内に入れるか否か、これは八月いっぱいをもって出すという流れで来たわけです。そして、文科省から出されたこの範囲に対する基準等について、これは一つの結論として示されているわけです。少なくとも、この結論が出された経過、どのような議論の下にこの基準等が作られたのかということを明らかにすることは、私自身は前提であろうというふうに考えております。  というのは、これからるる説明しますが、例えばこの資料の中には朝鮮学校に関する記述が一切ありません。朝鮮学校というものに対する記述がないんですね。その上で抽象的な判断基準を示したのみにとどまっていますが、しかし、今回の議論判断基準を受けるのは紛れもなく朝鮮学校なわけです。したがって、その判断基準の公正性、妥当性を担保するためには、少なくとも、検討会議がこの朝鮮学校及び朝鮮学校を取り巻く環境においていかなる議論を行った上で当該基準決定したのかという過程を公表する責任が今文部科学省には問われているであろうと思っております。  その上で、川端大臣は、これも八月四日の予算委員会で答えたことですが、こう言っているんです。現在、専門家委員会において、教科がどういう教科、授業時間数、そして教科書、授業の中身も含めて、先ほど申し上げておりますように、高校の課程に類する課程とみなせるかどうかということを専門的に御議論いただいているところでございます。  つまり、この議論の中身は、授業や教科書の中身も含めて議論されているはずなわけですね。そのはずなものが全くここには触れられていなくて、教育内容については問わない。ならば、我々は知りたいわけです。なぜ、教育内容については問わないという答えが、どのような議論の下でだれがどのような発言をして出たのかということを少なくとも国民にしっかりと知らせる責任があるのではないかと思います。  更に言えば、同じ八月四日の予算委員会において、最終的に結論が出れば、その結論は当然公開します。そしてそれは判断基準判断方法でございます。先ほど言っていたことですね。その判断方法に基づいて審議するということをやる段階では当然公開をし、その審査結果を踏まえて私の名前で告示をしたいと思いますと。  具体的に、じゃ、判断方法といったら、この調査の結果に基づいて、具体的に省内のどの部門で、一体だれが審査を行うのか。そして、この朝鮮学校無償化の対象に入れるか否かについては、本来国民議論の中で結論を出さなければならないのに、密室の中で結論を出していくという流れ、これはある意味では国民に対する私は背信行為であると思えてなりません。  報道によると、今日の午後から、あるいは明日も含めて民主党の部門会議などが開かれて、そこに諮って意見を聞きながら決定していく方向だということが伝えられていますが、もしそうであれば明らかな筋違いですよ。部門会議で行うのではなくて、まずこの国会の委員会の場でしっかりとその議論経過を明らかにした上で、本当にそういうふうにかじを切っていいのかどうなのかを検証する必要があるであろうと思っております。  幾つか改めてこの朝鮮学校の特殊性について私の方から、もう何度も指摘していることですけれども、改めて指摘させていただきますけれども、この外国人学校、朝鮮人学校指定については、外交上の配慮などにより判断すべきものではなくて、教育上の観点から客観的に判断されるべきというのが法案の過程で明らかになった政府の統一見解とされています。  私に言わせれば、客観的って一体だれのことを言っているのかなと非常に不思議な思いを抱くわけですが、しかし、朝鮮学校については、外交上の配慮などにより判断すべきものではない、あるいは教育上の配慮から客観的に判断すべきなんという単一的視点ではなくて、あるいは形式的に基準を満たしているということでもなくて、朝鮮学校を取り巻く状況を総合的、実質的に判断することが、国費を投入するという意味でも国民に対しての責任であろうと思っています。  平成二十二年一月、公安調査庁の発表した内外の情勢と回顧と展望、この中でこう書かれている。  朝鮮人学校の思想教育について。  朝鮮総連は、朝鮮学校での民族教育を愛族愛国運動の生命線として位置付けており、学年に応じた授業や課外活動を通して、北朝鮮・朝鮮総連に貢献し得る人材の育成に取り組んでいる。朝鮮人学校では、一律に朝鮮総連傘下事業体学友書房が作成した教科書を用いた朝鮮語での授業を行っている。例えば、高級部生徒用教科書現代朝鮮歴史では、北朝鮮の発展ぶりや金正日の先軍政治の実績を称賛しているほか、朝鮮総連の活動成果などを詳しく紹介している。これ、公安調査庁が出している内外の情勢と回顧と展望の中に書かれていることであります。  さらには、思想教育でいったら、八月四日に自民党の山本一太議員が予算委員会指摘した、朝鮮学校の教科書における大韓航空機爆破事件の問題あるいは思想教育の問題、ほかにも例えば朝鮮戦争をアメリカと韓国による北朝鮮への侵略であったなどと記述するなど、歴史的事実とは異なる点が多数出てきております。  その上で、文部科学省は今回の基準の中で、例えば、我が国の社会や国際社会の担い手として活躍できる人材の育成に努める、これ留意事項の中で挙げておりますけれども、明らかに反日教育が行われていて、我が国の社会の担い手として活躍できる人材、これ非常に懸け離れた印象を与えますし、あるいは、資料請求をしたところで出してこなかったとき、我々あるいは文部科学省は一体何ができるのかと。あるいは、その出してきた資料が本当なのかそうじゃないのかを検証するすべがない。あるいは、支出した国費が本当に子供たちに行っているのか。日本高校でさえ、全額免除を一度取りやめて、就学支援金を受給してからまた免除にする。日本高校でさえこういうことが起こっているにもかかわらず、果たして朝鮮学校でそれができるか。  その上で、資料を見ていただきたいわけですが、資料の一です。「いま朝鮮学校で」という資料、これを添付させていただきました。この中には朝鮮学校を出た多くの子供たちの就職先の一覧というものが出ていますけれども、朝鮮学校の卒業生の多くが、進路については朝鮮総連傘下の団体、事業体と同胞企業、北朝鮮関係企業に就職し、北朝鮮及び朝鮮総連の活動を実質的に支えている。その意味で、朝鮮学校と朝鮮総連、北朝鮮は相互に関連し合う一体的な組織であるともとらえられると思います。つまり、ほかの外国人学校には見られない朝鮮学校特有の性質が明らかになっているわけです。  だからこそ、ここは慎重の議論をした上で、どういう内容の検討がその会議で行われたのか、少なくともその内容を公表すべきと我々は考えておりますが、大臣考えをお示しください。
  41. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) 先ほど申し上げましたように、この基準に対する御報告を専門家会議からいただきました。それを最終的に今、この法律が通った時点では民主党に政調がございませんでしたが、政調ができたということもあり、しっかりと議論を踏まえた中で私としては基準決定したいということで、今党に御議論をお願いをしているところであります。  と同時に、いろんな文部科学省のホットラインに対して、あるいは各いろんな関係団体からの御要望、御意見もいただいております。そういうことを踏まえながら最終的に基準をどうするかを決めていきたい、そしてその基準に基づいて審査をどこにしていただくのか、先ほどおっしゃいました、だれがするのか、これも、これを審査をするのにどういう、資料の正確性、信憑性を含めてどう担保するのかということも次の段階としては大変大事な課題であります。  いろんな今の御懸念の表示も含めて、どういうふうにお金の流れがしっかり把握できるのか等々も含めて、どういう資料をどう求められるのかということを含めてしっかりと、これは文部科学省が事務局的にはいろんな仕事もやる必要は当然ありますが、まず基本的に、このときの第一次的な審査をこの基準に基づいてやっていただくのも、場合によっては今までの経過を含めてこの専門家会議にお願いする可能性があると私は認識しておりますので、そのことを含めた部分が一段落した段階ですべての議事録は公表をしたいというふうに思っております。  以上でございます。
  42. 義家弘介

    義家弘介君 確認しますが、この専門家委員会では、八月四日に大臣が答弁されているように、教科書、授業の中身を含めて議論した結果としての報告考えてよろしいでしょうか。
  43. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) 基準を決める議論の際にいろんな資料が要るという意味での教科書も全部集めてきた、任意でありますが御提供をいただいた、そしてカリキュラム等々も、見ていたという資料としては教科書もございました。  ただ、その中の議論として、これは報告書に詳しくその考え方が書いてありますけれども、この報告書の六ページの後段から七ページにかけて書いてありますけれども、この検討委員会、専門家会議としては、御意見としていただいたのを結論的に申し上げますと、各教科における個々の具体的な教育内容については、高等学校の課程に類する課程に該当するかどうかの審査の基準としないという御意見をいただいたところでございます。  これは、ここの報告書に書いてある論旨は、就学支援金学校に支給されるものではなく、生徒個人に支給するものであるという基本認識の下、対象を定める際の客観性を担保するために、これは前からの法案審議のときもしばしば私も申し上げていましたが、高等学校の課程に類する課程としての位置付けが制度的に担保されているものを規定することということを基本的な考えとしていることから、基準は、仕組みとして客観的、制度的に把握し得る内容によるべきこと、それから、既に指定されているほかの外国人学校については、教育内容については判断基準とせず、本国政府や国際的な評価機関の認定といった客観的、制度的な基準により指定していること、既に指定されている高等学校、専修学校基準云々ということが書いてあります。  それに基づいた御答申をいただいたという意味で、この検討委員会で教科書の入手はしたと思いますが、その中身を検討はしないという結論をいただいているところでございます。
  44. 義家弘介

    義家弘介君 つまり、教科書の中身、偏向教育の実態も含めて話し合った中で、結論としては教育の中身については検討の対象にはしないという結論に達したということですか。そうなのか違うのか、教えてください。
  45. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) どういう教科を何時間という課程の中で、提出資料として教科書もございましたが、教科書の中身を見てからこういう中身のものを審議しないという議論になったというふうには私としては理解しておりません。元々の議論として、ここに報告書にありますように、教科の中身に関してはその判断の審査の基準としないという御議論をいただいて出た答えだというふうに思っております。
  46. 義家弘介

    義家弘介君 しないということがスタートにあって議論をしたなんということはこれはあり得ないわけで、再三、我々はこの中身について、この周辺について問題点を指摘した上で、本当に生徒に行っているかどうか具体的に検証できるんでしょうかという問題点をずっと行ってきたわけですね。  でも、いずれにしても、まあこれはある意味ではこの国費を朝鮮学校に支給することを前提に出された報告書というふうにも読めるわけですけれども、しかし、これは国民自体がどういうふうに考えるのかと、どういうふうに受け止めるのかということも含めて、一部の密室ではなくて、やはり開かれた形で議論をした上で決定していくべきことであろうと思っています。強行採決といえども、この法は、話合いの中で通った法律の中身についてですから、民主党の部門会議ではなくて、まずこの場所で明らかにすべきと我々は考えております。  その意味では、委員長にお願いしたいと思いますが、当委員会に対して、これまでのこのまとめ、報告の出る前の、前段の専門家委員会の審議の議事録あるいは審議した意見、具体的な意見、経過、これを示す資料の提出を本委員会に求めたいと思います。そして、それを基にして改めて来週に閉会中審査を行った上で、じゃ、どういう方向に行くのかということをオープンな議論の中で決定していく必要があると思います。委員長、よろしくお願いします。
  47. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) ただいまの件につきましては後刻理事会で協議をいたします。  続けてください。
  48. 義家弘介

    義家弘介君 続きまして、北海道教職員組合あるいは北海道教育委員会の教職員の服務規律等の実態に関する調査についての質問をさせていただきます。  先般、ようやく公表された北海道教委、札幌市教委が北海道の全教職員を対象に行った教職員の服務規律等の実態に関する調査報告が公表され、改めて我々が再三指摘してきた勤務時間中の組合活動や、選挙資金あるいは資金カンパ、選挙運動の実態が、まだ氷山の一角であると我々は認識しておりますが、改めて明らかになりました。  この調査報告を受けて、大臣として、率直にどのように考え、受け止めているか、教えてください。
  49. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) 今までこの委員会、ほかの委員会を含めていろんな御指摘がございました。教育の現場の政治的中立が損なわれてはいけない、まして法令違反があってはいけないということで、北海道教育委員会、札幌市教育委員会を通じて全員の面談の調査というかつてない調査をさせていただきました。  その結果、いろいろ御指摘の部分に法令違反の疑いのある行為があるという数字が出てきましたことは極めて遺憾なことであるというふうに思っておりますが、詳細に事実関係が把握できる段階まで至っていない件がほとんどでございますので、文部科学省としては、報告を受けたのが八月六日が北海道教育委員会、八月三十日が札幌市教育委員会報告を受けました。それで、八月の二十日に北海道教育委員会に、札幌市教育委員会に対しては九月六日に、法令違反の疑いのある者について更なる具体的な内容の確認を確実に実施すること、確認の結果非違行為が明らかになった者に対しては厳正に対処すること等について指導を行いました。  また、服務規律の徹底については、まず任命権者である両教育委員会において厳正に対処するべきものであるけれども、文部科学省としても、非違行為が明らかになった場合には、両教育委員会がその権限と責任に基づき道民の信頼回復のため厳正に対処するよう引き続き両教育委員会の取組を注視し、必要な指導を行ってまいりたいと思っております。
  50. 義家弘介

    義家弘介君 簡潔に、できれば、時間は限られているので、お答えいただきたいわけですけれども。  ある意味で、この聴き取り調査の中で明らかになったこと、勤務時間中の様々な問題や政治的中立を逸脱した問題が声として出てきたわけですが、我々は実は九月二日にも現地入りしまして、北海道教育委員会及び現場の教員と意見交換を行ってまいりました。  特に、現職の先生の聴き取り調査から、この実態だけでも問題があるが、しかし実態はもっと深刻なんだという、まさに氷山の一角であるということを改めて認識したわけですが、現職の管理職の先生、こうおっしゃっていました。この調査は、校長及び教頭が教育委員会の指示で聴き取り調査を行ったけれども、もしも現実にずっと行われてきた教育現場の実態がそのままの形で判明したら、聴き取った側の管理職も監督責任が問われると。だからどうしたのかというと、事前に分会長、北教組と打合せをして、どういう項目を聞いて、この部分については分かりませんと言ってもいいと、この答えにくいところについてはこうしてもいいというような打合せをした上で翌日からの聴き取り調査を行っているという意味では非常に問題がありますが、しかし、問題があると、こういうことをしてしまったと正直に申告している教員もいることから、私は、教育再生の希望は全くないというわけでは全然ないと思ったわけですけれども。  まさに、この調査が氷山の一角であり、だから踏み込んで文科省としてどうするのかと、丸投げではなくて、どうするのかということを具体的対策として行うべきであろうと思っております。  資料を付けさせていただきましたが、資料の三。実は一部北教組は全く懲りていないわけです。これは七月一日、参議院選挙の公示後に出てきた、「参院選特集号」と言われる「北教」という機関紙を出しているわけですが、これ聴き取り調査した後の出来事ですからね。当然、いろんな解釈とか判例もありますけれども、一般的にいえば、選挙が公示された後に選挙の働きかけを目的としてこういった機関紙を出せば、公職選挙法にも抵触する可能性のある文書なわけですけれども。  七月十一日が投票と、参院選挙が公示されましたということでるる書いてありながら、私が最も許せないのは、この二枚目なんですけれども、選挙闘争に勝利するために、組合員の総行動が必要です。そのためには、まず組合員全員が家族と投票所に足を運ぶことが基本です。さらにその後、知人、友人、教え子への親書、電話による支持の確認をもう一度お願いします。つまり、もう二回目なんでしょうね。教え子に対して自分たちの支持する民主党の候補者を応援するために親書、電話をすることをもう一度お願いしますと。  これだけの大問題を起こし、現職の衆議院議員が辞職に追い込まれ、そして組合自体も捜査の対象となり、幹部自体も有罪と判断された組織の中で堂々とこういうまだ政治活動を組織ぐるみで行っている。そして、組織率の高いところでは、結果としてその指示に従って動かざるを得ないという本来やりたくない真っ当な教員たちが存在している。  これに対して、現時点でもこうなっていることに対して川端大臣はいかがお考えでしょうか。
  51. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) この文書は、北海道教育委員会文書でございまして、ごめんなさい、失礼しました、北海道教職員組合の文書でございまして、この前、予算委員会でも別の委員から御質問を受けたんですけれども、この文書自体をどうこうということに関しては、文部科学省とこの団体の関係は直接指導監督するものではありませんので、コメントすることは基本的にはできません。  一般論として、教育公務員が政治的目的を持って参議院選挙の選挙において特定の候補者に投票するよう勧誘活動をするような行為は、人事院規則に定める政治行為に該当し、違法となり得るものです。また、教え子に教育者が教育上の地位を利用して特定の候補者に投票依頼する、選挙運動するような行為は公職選挙法違反となり得るものであると考えております。  御指摘のこの事案が政治的行為の制限に違反する行為に当たるか否かは、具体的な事実関係、こういうふうにしてくださいみたいなことじゃなくて、どういう事例が現実にあったのかという具体的な事実関係に基づいて任命権者が判断するものであって、また公職選挙法に違反するか否かは司法当局が判断するものだと考えております。  文部科学省としては、仮に公務員である教職員に違法な活動があれば、教育委員会連携して、法令にのっとり毅然と対処してまいりたいと思います。
  52. 義家弘介

    義家弘介君 仮に違法な活動があれば、あるかないかはもう出ているわけですよ、一斉の聴き取り調査の中で。だからこそ、この国会の場で何をするのかということの提示として、今大臣は、組合に対しては言うことはできません、コメントはできません、そうやってごまかしていますが、だから我々は法案を出したわけです。民主党政権が、自らの有力支持母体であるにもかかわらず、だからなのか、具体的な方策を取ろうとしない中で、例えば通常国会において、教育公務員特例法の改正案、つまり明らかな政治違反があった場合にはしっかりと罰則規定も設けて政治的中立を担保していく法律が必要であろうという改正案、あるいは義務教育学校における教育の政治的中立を確保するための臨時措置法の改正案、これはもう既に我々出しているんです。しかし、議論さえ具体的にしないまま宙ぶらりんにし、そして実際のデータが出てきても、我々には組合に対して言う権限はありません。やはり、これは国民に対しての説明責任、果たせないですよ。  だからこそ、じゃ、どうするのか。少なくとも臨時国会において、この教育公務員特例法の改正案をしっかりと議論するとか、あるいは義務教育学校中確法の改正案をしっかりと議論して、本当に正常な公教育の現場をつくるのか否かということを判断していただきたい、動いていただきたいという思いで再三言ってきたわけです。ですから、是非、臨時国会に向けてしっかりと行っていきたいと、我々は強くこれからも主張してまいりたいと思います。  実は、日教組は七月二十七日に開催された第百五十四回中央委員会でも、民主党教育施策に歩調を合わせる形で、日教組が教育改革を進めてきたなどとうたいながら、例えば義務教育費国庫負担金二分の一に拡大するように求めていくと。この義務教育費国庫負担金に対しては私も思うことがありますけれども、一方で、今回の北海道教育委員会という自治体の正式な機関の調査によって勤務時間中の違法な組合活動の実態は明らかになったわけです。言うまでもなく、義務教育費国庫負担金というのは組合活動に対して支出しているわけのお金ではないですから、言い換えれば、これは義務教育費国庫負担金の不正受給、北海道の教育現場のこの現状だけ考えたら、義務教育費国庫負担金の不正受給ということにもつながりかねない勤務時間中の組合活動が常態化しているわけです。  そこで、会計検査院に是非お伺いしたいと思います。  平成十三年の五月二十四日、参議院の当委員会において、亀井郁夫先生が累次のこの北海道教職員組合の問題に触れて、会計検査院の態度、あるべき姿、あるいはやるべきなのかどうかも含めて質問されています。その質問に対して検査院はこう答えています。事実の確認のためには一件ごとの勤務の実態について精査を行う必要があること、その件数が膨大であること、個々の教職員の調査協力が不可欠であること、これらを理由として、一義的には道が独自の実態調査を行うべきという答弁をされました。しかし、現実にはそれは行われずに今回の事態に、先送り先送りの末、十年後に今回みたいな事件が起こってしまったわけですけれども。会計検査院の平成十三年に示したハードルは今回の道教委の一斉服務規律調査で既にクリアしております。だからこそ、改めて要請しますが、北海道の公教育の不正常な現在の状態に対して会計検査を行うべきだと考えておりますが、会計検査院、いかがでしょうか。
  53. 金刺保

    説明員(金刺保君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘をいただきました事項を検査する場合には、北海道教育委員会等による調査の結果を参考とすることはできますが、その調査結果をそのまま検査に反映することはできず、新たに会計検査院独自に個々の教職員に対する調査を行うなど、調査結果の裏付けを取る必要がございます。これには相当な作業を要することになると思われます。  しかしながら、北海道教育委員会等の調査結果を拝見いたしますと、国費に影響が及ぶことも考えられますので、義務教育費国庫負担制度が有効に機能しているかなどに着眼して検査を実施している本院といたしましては、本件について今後きちんと検査する必要があると考えております。  以上でございます。
  54. 義家弘介

    義家弘介君 もう少し踏み込んでください。検査する必要があると思っているではなくて、やるのかやらないのかです。
  55. 金刺保

    説明員(金刺保君) 所要の体制を整えて検査を行います。
  56. 義家弘介

    義家弘介君 ありがとうございます。会計検査院の英断、それに心より敬意を表します。しっかりと中立な立場として、この教育現場が本当に正常になり、真っ当に頑張っている教師たちがその自分の使命感に没頭でき、そしておかしな活動に駆り出されることのないような正常な教育現場をつくるために、我々も協力しながら応援してまいりたいと思っております。  ちなみに言うと、北教組も全く懲りておりません。北教組はこの問題についてこのように言っています。北教組は、八月十三、十四、これもつい先日です、定期大会を開催して、勤務実態調査や情報提供制度など、政治資金規正法違反を口実にした教育行政による不当労働行為、組織破壊攻撃であるとしています。さらには、来春予定の統一地方選挙では北政連を始めとする組織推薦候補を圧倒的に勝利させ、道民犠牲の高橋道政を打倒し、道政奪還を勝ち取るため組織の全力を挙げて戦おう、また各市町村段階でも北政連議員を積極的に擁立し、当選を期して戦おうと。この組合員は、言わずもがな学校の先生であります。聴き取り調査のときにある先生が悲痛に訴えた話は、統一地方選とか地方選挙のときの方が実はポスティングノルマ大変なんですと。身近な組織代表が出て、これを今日はノルマとして何枚まいてこいとか、そういう形の指示が次々に出てくる。  これ、統一地方選、まさに来年行われる。そして、年が明けたら日の丸・君が代闘争。また我々が指摘したようなマニュアルを基にして行われていくわけです。だからこそ、国会でまず教員の政治活動についてどうするのか、どうノーと言うのか、どう仕組みづくりをしていくのか、そして正常な現場を担保するためにどのような調査を今後やっていくのかということが非常に重要になってくるわけですけれども。  今、会計検査院は前向きな発言をしましたが、これを聞いて、川端大臣、私は、申し訳ないですけれども、今まできちんとこの問題に対して民主党政権、政務三役、文部科学省はやってこなかったと認識していますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
  57. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) 先ほどもお答えいたしましたように、これだけの規模でこれだけの項目の調査をしたことは、民主党政権というよりも、過去の政権で一度もなかったんではないでしょうか。そういう意味では、何とか改善をしたいという部分の前向きな取組をしていることは、もどかしいお気持ちはあるのかもしれませんが、基本的にはそういう部分は是非とも御理解をいただきたい。  そういう中で、とはいえやはり文部科学省とそれぞれの道と札幌の教育委員会、そして学校現場教育職員の団体というそれぞれの法的な位置付けも現にあります。そういう中で、直接的にできるというものには一定の手順と制限がありますので、我々としてできる限りのことを対応してやってきたということだけは是非ともに御理解を賜りたいと思っております。
  58. 義家弘介

    義家弘介君 ですから、我々は教育公務員特例法を今後どうしていくのか、中確法に対してどう改正していくのかという議論をしっかりとしましょうという思いで法案、議員立法を上げたわけですけれども、これをまた突っ込んで聞くと、大臣は、それは国会で扱うか扱わないかは国会が決めることですというふうに言って終わるのであえて聞きませんけれども、本来、我々ができる職責をまだ果たしていないということだけは、これは自覚しなければならないと思います。  そして、鈴木寛文部科学大臣にお伺いします。  実は、政治主導の中で、私は、今回の教職員の選挙運動の禁止等についての通知が文部科学大臣鈴木寛大臣の名前で出されたことというのは非常に評価しております。今までは初中局長が出してきましたが、これは絶対に駄目なんですよと、まして支持母体になっている民主党の副大臣から出たと、これは非常にすごいことだなと思って見ていたわけですが、ここには、教育公務員が個人としての立場で行うか職員団体の活動として行うかを問わず、教育の政治的を疑わしめる行為によって信頼を損なわないようにしっかりしてくださいよと六月一日に通達しているわけですが、今回出されたこの「北教」だとか、あるいは選挙運動を一生懸命やっていきましょうという北教組の取組だとかを見ながら、鈴木寛大臣はどのような所感をお持ちか、是非最後にお聞かせください。
  59. 鈴木寛

    ○副大臣鈴木寛君) 御指摘のように、これまでは初中等局長名で送付をいたしておりましたが、今般、六月の一日に副大臣名で通知を発出をいたしました。これを受けまして、北海道教育委員会におきましては、この通知の各学校における取扱いについて、例えば職員会議等の場において通知文書をきちっと配付、回覧をし、さらに、校長等から教職員に対して指導を行うなどの方法により、各教職員に周知がしっかりと図られたというところまでは伺っております。また、北海道教育委員会においては、五月にこの違反行為の具体例について、またさきの参議院選挙前に、六月にですね、二回にわたりまして選挙運動の禁止等について市町村教育委員会及び道立学校に通知、通達をしていただいたというふうに伺っております。  先ほども大臣御答弁を申し上げましたが、ここの文書に書いてあることと、そして実際に今回の選挙においてどのような具体的な事案が事実としてあったのかといったこと、これは先ほど申し上げましたように、関係それぞれの部局において厳正に取り扱われるということが一般論としては必要だというふうに思っておりまして、私ども文部科学省としても、今後こうした状況を注視をしてまいるとともに、必要に応じて指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
  60. 義家弘介

    義家弘介君 ありがとうございます。  北教組に関して言えば、まさにぬかにくぎだったわけですね。今回、これだけ徹底して全職員の聴き取り調査を行ってもなお、「参院選特集号」、みんなでもう一度声を掛け合い、教え子にも親書、電話をもう一度やりましょうとやっているわけですから、私はこれが本当に先生たちなのかとやはり思えてならないわけです。  しかし、一方で、九月二日も会ってきましたけれども、そういう現場のジレンマの中においても、いやいや、子供たちのためにちゃんとやっていかなきゃいけないという思いを一つにして頑張っていらっしゃる先生方もいるので、それは組合員の中にもいる、組合を抜けた人の中にもいますけれども、組合員の中にもそういう人たちがいる、だからこそ、それにこたえるために我々は改めて仕組みづくりを真摯に検討していかなければならない。  権限はない云々ではなくて、その仕組みを、じゃどう法律として落とし込んでいくのか。少なくとも子供たちの、あるいは保護者たちの、そして一生懸命頑張っている先生たち思いにこたえる、それはこの委員会の大きな責任でもあろうと私自身思っているので、これからもこの問題についても聴き取り調査を踏まえて取り上げてまいりたいと思います。  最後に、会計検査院の本当に一歩踏み込んだ調査をしてくれるということに関しては心から感謝して、私の質問は終わりにさせていただきます。
  61. 松あきら

    ○松あきら君 公明党の松あきらでございます。とても久しぶりにこの文科委員会質問させていただきます。  初めて質問いたしましたのは当選した年の十二月で、二回目の私の委員会での質疑ということが、この当時は文教委員会ですね、でございました。いじめ問題が非常にこのときも大変な問題で、これを中心にスクールカウンセラー等のことで御質問をさせていただきました。最後に質問いたしましたのが平成十三年ですから、かなり、九年くらい時間がたっております。どうぞよろしくお願いいたします。  先ほどから議論になっております高校無償化と朝鮮学校の扱い、文科省が八月三十一日に示しました外国人学校指定に関する基準、私は一番問題があるのは、現政府が提出をした法案でありますから政府がきちんとした判断を示すべきだというふうに思うんです。けれども、それがぐらぐらしている。今部門会議で審査を継続中、これは引き続き会議が続くと。あるいは最後まで、この会議が終わりましたらもちろん最終的には公開するということでございますが、菅総理が、議員の皆様方議論をしてくださいと、こういうふうに要請したと。これ報道によるとそうなんです。私は、こういうふうに勘ぐられても仕方がない、政府がきちんとした判断を示さないで、皆さんにゆだねます、あるいは世論を見てどちらか賛成の多い方に決めようかななんて思われた、勘ぐられたとしてもこれは仕方がない。やはり政府としてきちんとした私は方向を、判断を示すべきだというふうに思います。これをしないからぐじゃぐじゃいろんな問題が起きる。これ判断を示した上で、国会の場で与野党もう本当に大議論を闘わすべきなんです。本来その形でしかるべきだと思います。  ちなみに、私どもの党は三月に、山口代表は、やはり法の下の平等、あるいは教育の機会均等ということで、日本に長く暮らす外国人の子弟にもこうした権利はあるのではないかという発言をさせていただいているところでございます。  一番の私は何よりも喫緊の課題は、この無償化になったおかげで負担が増えてしまった、減免がなくなってしまったあるいは減ってしまった、こういう子供たちが私立、県立通じて非常に多くの御家庭でそういうことになってしまったと。  私の元に来ているところでも、これ群馬県の一つの県立高校に行っている子供さん、一年生で、次には二年生になる次男、九千円のみの諸会費だったのが、次の年の一〇年度は約五万円ですという知らせが来たと。九千円が五万円ですからもうびっくりして、このお母さんは次男をもう高校やめさせようということで決まったそうです。けれども、いよいよやめさせるとなったときに、周りの人たちがこれを聞き付けて、それは幾ら何でもかわいそうだということで、PTA総会でこの諸会費の免除、これを継続しましょうという決定をしてくださって、二万五千円に抑えられたんですね。でも、九千円が二万五千円ですから、それは五万円よりは減りましたけれども、こうした問題。こうした課題にしっかりと、これはまあ一例でございますけれども、先ほど義家先生もおっしゃいましたけれども、こうした問題もあると。やはり法案を提出する以上はきちんと、細部まで詰めてきちんと法案を提出する、これが当たり前の姿ではないかと思います。それをまず申し上げたいと思いまして、それでは質問に移らせていただきます。  我が国の美術品の国家補償についてでございます。  六本木にございます国立新美術館、私もここに参りました。すばらしい新美術館が開館をいたしました。開館以来の入場者数が九月の累計で一千万人を超えたそうでございます。特にこの夏の企画展、オルセー美術館展では、モネ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ルソー、本当に多くのすばらしい作品をまた多くの方々が堪能したという。この入場者数も過去最大の七十八万人を記録したそうでございます。私どもがちょうど伺ったときは、実は企画展を準備中のときでございました。詳しく館長さんその他の方々にお話を伺いたかったので、この企画の始まる前でしたらゆっくりお話がさせていただけますということで、伺わせていただきました。  今問題は、海外の美術館から作品を借りるとき、日本側が作品の破損や盗難などの事故に備えて、これは皆様御存じのように高額の保険を掛けなければなりません。当然、美術館だけではもう賄い切れないということで共催する大手の新聞社などに負担をお願いすることになるわけでございますけれども、今そうはいってもだんだん外国のいい作品を借りられなくなっている。そうした保険料だけでは駄目ですよと、諸外国のように国が補償しなければ貸せない。そうすると、こういう企画をしたところはどうするかというと、数は減らせないということで、実は質を落としている。一番トップの作品ではなくて三番目、四番目ぐらいの作品にして、言うなれば保険料が高額にならないように、これ以上ならないようにということをしているんですね。つまり、日本国民日本の国内で本当に一流の美術品の鑑賞機会を失われてしまうということになっているわけでございます。  私は、これは非常にゆゆしき問題であり、私ども公明党といたしましても、もう以前より美術品の国家補償制度の実現、これ取り組んでまいりましたけれども、いよいよ文化庁が今般、法整備へ向けた取組をすることになったということで大変喜ばしいと思っておりますが、まず、どのような進捗状況か、制度の概要も含めてお聞かせをいただきたいと思います。
  62. 吉田大輔

    政府参考人吉田大輔君) いわゆる美術品の国家補償制度の検討に当たりましては、できるだけ広く多くの国民が優れた美術品を鑑賞することができるよう、その制度設計を行っているところでございます。  その具体的な内容といたしましては、対象となります展覧会の要件として、その企画内容及び美術品の安全管理に関する基準を設けること、また損害総額の一定部分は主催者が負担し、それを超える部分を国が補償をすること、また年度ごとの国会議決など、年間の補償総額の設定方法を定めることなどを法案の内容と予定しております。現在、その詳細につきましては、更に検討を進めているところでございます。  今後、これらの検討結果を踏まえまして、関係者とも十分に調整をしながら、具体的な制度設計について結論が得られました段階で法律案を提出してまいりたいというふうに考えております。
  63. 松あきら

    ○松あきら君 まあそっけないお答えでございますこと。もう少し、新聞等でも出ておりますし、この間党でお呼びいたしましてお話を伺ったときはもう少し詳しくお話しいただけたのになあと思っております。  例えば、スウェーデンで一九七四年にこの国家補償制度、美術品の、創設をされて、その後アメリカやEUでこれが広がっていって、今は東欧諸国においてもこの導入が進んでいると。G8ではロシアと日本だけであります。勘ぐって言えば、エルミタージュ美術館などにすばらしい世界の至宝というものがたくさんございますので、ロシアはまあ外国から借りてくる必要はないからこれは要らないのかと思っていらっしゃるのかもこれは分かりません。私はエルミタージュを拝見して、本当にもうすばらしいことでございました。しかし、日本はそうはいかないわけでございます。しっかりとこの制度がないと来ない。  フランス、イギリスなどでは上限はなし、アメリカなどでは十二億ドルが上限ということで、下限はみんななかったりいろいろするわけでございますけれど、ちなみに日本は五十億以上の損害を補償対象として損害の一部を国が肩代わりすると、国の負担は九百五十億円を上限とする方向という、新聞にこれは出ておりました。  何でも日本の場合は野党にいろいろなことが来る前に新聞に、まあ野党じゃなくて与党のときもですね。まず新聞が先にこれを発表して、どうでしょうかという、こう委員会などで口を濁して余りお答えにならないで、結果的には新聞のとおりになるというようなことが多々ございますので、こんなことを隠しておく必要は全然ないと。  やはり私は、じゃ五十億円以上の損害を対象の補償とする方向というと、大体どれぐらいの館が、つまり、これを補償してもらおうと思うととても大変ですよね、やっぱり。国の基準というものがあって、いろいろなことで努力しなきゃいけない、盗難防止ですとか保管場所ですとか。一体全体、日本でじゃどれぐらいの館がおおよそそれに対象になるのか、あるいは私立、私の方は駄目なのかということですね。それから、今何件くらい、これを例えば入れた場合、案件はどうなるのか、国立、私立も含めて大丈夫なのか、案件は何件くらい、おおよそ考えていらっしゃると思うんですね、ということ。  それからもう一つ。別々にこれだけ聞いた方がいいですか、先に。じゃ、それをお答えください。
  64. 吉田大輔

    政府参考人吉田大輔君) この美術品の国家補償制度の導入に当たりましては、展覧会の要件として、先ほども申し上げましたとおり、美術品の安全管理に関しまして一定水準以上のものを備えているというところが一つポイントになってまいります。  これまでも国際レベルの展覧会を開催をしているというところにおきましては、ほぼそういった受入れ体制は整備されているかなというふうに考えられますけれども、そういった美術館等につきまして、これは厳密な調査というわけではございませんけれども、私どもの受け止めとしましては全国的に数十館程度そういった施設があろうかなというふうに思います。  また、先生御指摘の公私立の美術館の関係につきましても、この制度導入に際しましては、国立だけではなく公私立も含めまして広く国民の鑑賞機会の増大に資するような形で制度設計をしてまいりたいと考えております。
  65. 松あきら

    ○松あきら君 是非、国立、私立問わず支援をしていただきたい、この補償制度を行っていただきたいと、こう思っておりますけれど、美術館のソフトの面だけではなくて、今度はハードの面というふうに考えますと、ハードの面、ソフトの面、両方支える人材がいるわけでございます。日本は学芸員、これは資格制度がある方でありますけれど、例えば外国では教育普及担当職員、展示専門職員、修復技術者、保存管理者、作品登録管理者、こんなふうにいろいろ分業がされてそれぞれいるんですね。日本は学芸員という方が企画からいろいろな普及啓発から、いろいろもう一手に引き受けてすべてやらなきゃならないというようなことですけれど、この両面を支える学芸員が非常に人手不足の状況にあるというふうにお伺いしました。  今後、この何らかの支援、あるいは学芸員を増やす、あるいは専門的に分けて対処してもらうようにする等、この美術品の国家補償制度を導入するに当たって、それを何かお考えでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  66. 吉田大輔

    政府参考人吉田大輔君) 先生御指摘のように、日本の美術館におきましてはいわゆる学芸員の方々が様々な業務を一人でこなしていかなければいけないという状況もございます。諸外国と比べますと、保存、修復を行いますコンサベーターと言われる方ですとか、あるいは教育普及を担当いたしますエデュケーターと言われる方ですとか、そういった専門職種の整備というのが必ずしも十分でないといった、そういった現状もございます。  今回、美術品の国家補償制度を導入するに当たりまして、先ほど申し上げましたように、一定の体制の整備が図られている美術館などもございますけれども、この制度導入を契機といたしまして、新たに国際レベルの展覧会を企画する美術館におきましては必要に応じて安全管理体制の充実に努めていただく、そういった場合も出てまいります。  我々としましては、広く国民が優れた美術品を鑑賞する機会を充実するという、こういったこの制度の趣旨にかんがみまして、全国の多くの美術館におきましてこの制度の活用が図られるような条件整備を進めていくことが重要であろうと思っております。  このため、文部科学省といたしましては、この本制度施行後に行います予定の説明会等におきまして、美術品の安全管理体制の充実を促す取組を具体的に紹介するとともに、安全管理体制の充実を目指す美術館からの相談に応じまして必要な指導助言を行ってまいりたいと思います。また、さらに、美術館職員に対しまして各種の研修の実施などを通じまして各美術館の取組を促してまいりたいと、このように考えております。
  67. 松あきら

    ○松あきら君 なかなか、はい、そうですか、じゃ分業にいたしますとか、増やしますとおっしゃれないんだと思いますけれども、やはりここが大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。  ちなみに、過去に、国家補償制度で諸外国、どれぐらいの補償金を払ったのかというのは、アメリカから二件しか出ていないんですね。これ十万ドルで、日本金にすると一千万程度のお金だけでございますので、財務省も怖がらずに幅を広く持って、もっと上限なし、下限なしなんていうところで、もうたった三十年間で、たったと言ったらいけませんけれども、国としてはですよ、一千万くらいのお金ですので、今、分かります、まず小さく産んで大きく育てようという心なんだと思いますが、こういうことが現実でございます。  ちょっと調べましたら、今回大体十案件くらいかなと、こういうふうにちらっと聞いております。これがもっと増えていきますようにしっかりと国家補償制度のより良き導入というものをお願い申し上げまして、この質問は終わらせていただきます。  次に、児童虐待の問題でございます。  冒頭にお話ししましたように、十五年前の当委員会はいじめ問題がまさに中心でございました。今もいじめは残念ながらなくなってはおりませんけれど、スクールカウンセラー等の御努力、先生方の御努力で不登校の子供たちが一万人程度は減ったと。これでいじめがなくなったとはもちろん思っておりませんけれど、少しだけ減ってきたと。しかし、それに代わってという言い方は大変、変ではございますが、児童虐待という非常に重い、苦しい問題に現在直面をしております。私は、本質的にはこの問題は根底は変わっていない問題なのではないかなというふうに思う次第でございます。  今、実は二〇〇八年度モデル事業として取り入れられたスクールソーシャルワーカー、SSWというものについてお伺いをしたいと思います。  スクールソーシャルワーカーというのはまだなじみの薄い、余り皆様も耳慣れない制度ではないかと思いますが、アメリカでは約百年前からこの制度があったという、原型があったというわけでございまして、当時はビジッティングティーチャー、訪問教師ということで取り入れられたそうでございます。家庭に訪問して、家族と対話をして児童を学校に通わせる、いろんな意味でのことで活躍をしてくださっていたそうでございますが、日本の今学校の先生はどうなっているかというと、この家庭訪問が玄関先のみで行われているそうでございます。これは、もう玄関で失礼しますということが先に御家庭へのお知らせで配られていたり、先生が朝の職員会議で、おうちの中まで上がらないようにという、そういうことがあったりするそうでございます。  私もちょっとそれびっくりいたしましたけれども、家庭訪問というのは家の中に入ってお話をしていただく、うちの子供のときも先生来てくださって、そこでしっかりお話ししていただいたことが本当にもう良かったなと思うことがありまして、今確かに学校の先生は授業あるいは部活あるいは事務的なことで忙しいのでそういうことまでやっていられないのか、でも非常に大事なこと、家庭の中に入って初めて状況というのはいろんなことが見えてくるというふうに思います。  ちょっと時間がなくなってまいりました。このSSW、非常に大事だと思います。このSSW、自治体が導入に二の足を踏んでいるのは現在の国の補助率がやっぱり三分の一という、これがもっとあったら本当は導入したいということであります。私は、是非全額国庫補助にしてもこういう制度はやっていくべきだ、児童虐待あるいはいじめという問題に対してもこういう制度を入れていくべきだと、こう思っておりますし、全国に配置できるように要望したいと思いますが、大臣の御所見を伺って質問を終わらせていただきます。
  68. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) かねてから公明党の諸先生からは熱心にこのスクールソーシャルワーカーの御議論をいただいております。そして、今お触れになりましたように、スクールカウンセラーの配置等々は今かなり進んでまいったんですが、昨今のこの胸の痛むいろんな事件を見ますと、やはり専門のいわゆる児相とかそういう機関とそれから家庭を含めた連携というものがやはり一番大事な部分で、そこの橋渡しをする専門家としてスクールソーシャルワーカーの役割が非常に大きいし、効果も非常にあるというのは御指摘のとおりであります。  そういう中で、当初、平成二十年度にこういうことをやってはどうかという調査研究事業ということで、いわゆるモデル事業ですから一〇〇%補助でやって、大体四十六都道府県で九百四十四人やりました。ということで、非常にいいなということでありまして、そこで、モデル事業はそういうことでやったから、やはり本来それぞれの地域において地方公共団体が自主的に取り組むメニューの一つだということで補助事業に変えました。二十一年度から二十二年度、三分の一補助ということで、全体の調査研究モデル事業のときは四十六都道府県九百四十四人だったんですが、補助事業にしたら、三十八都道府県十三指定都市で五百五十二人、平成二十一年度。二十二年度は三十八都道府県十三指定都市で五百九十四人の配置の計画になっておりまして、要望としては強いんですが、やはり制度としては、本来はいわゆる地域分権の中では地方が独自にやっていただくのをお手伝いするというのが趣旨だろうということでありますが、今回は中核市も新たに補助対象、都道府県だけでなく中核市、政令市に加えて中核市も補助対象として千九十六人配置できる予算、三分の一ですけど、ということでいたしました。  御趣旨は分かるんですが、いろんな財政状況の中で工夫を凝らしながら、この有効なスクールソーシャルワーカーの配置が進むように、我々としても地域と連携を取ってやってまいりたいと思っております。
  69. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。  終わります。
  70. 江口克彦

    ○江口克彦君 私の持ち時間は十分ということですので、二分過ぎていますので五十六分まで、よろしいでしょうか。  私は六か月前までは経営者でございました。それで、今この立場に立っておるんでありますけれども、経営で成功するかどうかというのはまさに人に懸かっておる、人材に懸かっておるというふうに申し上げてもいいと思うんですね。  私が二十三年間ずっとほとんど起居を共にしてきました松下幸之助は、松下電器は電気製品を作る前に人をつくると、人をつくらなければ経営は成功しない、企業は大きくならないというようなことを言ったわけであります。そういう意味で、私はちゅうちょなくこの文教委員会で私の意見を述べさせていただこうということで希望をしたわけでありますけれども。  ところで、時間がありませんので、簡単にQアンドAで質疑応答というような形で大臣お尋ねしたいんですが、閣議で大臣が座っておられるいすは首相から何番目ですか。
  71. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) 総理の、三番目だと思います。
  72. 江口克彦

    ○江口克彦君 ありがとうございます。  大体、三番目ということ自体が、日本の国において教育というものが三番目にランクされているということで、私は、そういう意味では是非川端大臣には総理の隣に座るというふうにして、この日本の国というものは、今、国力どんどんどんどん、民力も低下していますけれども、その原因は何かといったら教育力の低下なんですよね。要するに、この文教委員会が、言わば国力、これからの日本の命運を握っているという、それぐらいだと思うんですけれども、むしろこういうときにこういうところに首相が出てくるべきだと思うんですよね。首相が出てきて、責任を持ってこの国はこういうふうに人育てをするんだというぐらいな、そういうことを大臣共々お話ししていただきたいと思うんですが。  そこで、大臣、そういう意味で、私の経験からしても、人材育成には将来展望というか、二十年後、三十年後に教育をどうするか、あるいはまた日本人、日本国民をどう教育していくかというグランドデザインというものが必要だと思うんですね。そのグランドデザインというものについて、大臣考えておられるのか、あるいはまた政府・与党は、政府は考えておられるのか。二十年後、三十年後のグランドデザインについてお話をいただきたいと思います。
  73. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) 国家百年の計の根幹に教育があることは、先生御指摘のとおりだと私も思っております。  そして、それはそのときの、まあ政権交代いたしましたけれども、何か大きく根幹が変わるというものでもないんだというふうにも思っております。人を育てる、そして、いわゆる政権の中で、これは政権交代したときのマニフェストやあるいは成長戦略の中でも、やはり教育というものは非常に重きを置いていろんな記述をしていることも間違いがありません。  ただ、政府という継続性でいいますと、このグランドデザインというお話がありました。そういう意味では、平成十八年に教育基本法の大改正が国会でありました。政府からと我々と両方出しました。そして、かなりの部分の共通項の認識と同時に、いろんな議論の中で教育基本法あるいは関連する法律が決まりました。これは私は、戦後の教育の中のごく最近でいうと非常に大きな教育在り方のグランドデザインが改めて示されたんだというふうに思っておりまして、それに基づいた部分で、二十年七月には教育振興基本計画が決まりましたし、それに基づいてのいろんなことでやっていく中で、各論的に言えば、先ほど来御議論のあるやはり高校無償化も、日本の公教育、特に後期中等教育はどうあるべきかという理念の下にやられたというふうに私は承知しています。
  74. 江口克彦

    ○江口克彦君 そういう個々の問題はいいんです。グランドデザインの理念というか、要するに教育の理念というのをどういうふうに考えておられるかということを一言でおっしゃっていただきたい。一言でお願いします。
  75. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) 私は、人としてこの世に生まれて、人生終わるときにいい人生が送れたというためには、いろんな意味での教えと知恵を身に付けてしっかりと世の中で生きていくということを、そしてその中でとりわけ日本に生まれ、日本国民として生きていくということのために教育というのはあるというふうに思っております。
  76. 江口克彦

    ○江口克彦君 それは大臣の個人の理念ですか、それとも政府の理念ですか、国の理念ですか。
  77. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) 失礼しました。これは私の個人の意見でございます。  そして、これは一言でといいますと、教育基本法の理念というのはまさに日本の国としての国民のあるべき姿の中でしっかりとそれを身に付けるために教育はあると思っています。
  78. 江口克彦

    ○江口克彦君 何でもそうですけど、座標軸、原点、あるいはまたそういう信念というか原点というものがしっかりしていなければ、もう何も、あとはもう行き当たりばったりの、今まで出てきた議論もそうですけれども、そういうふうになってしまうんですね。やっぱりしんをしっかり、理念というものをしっかり押さえておく必要があるんではないかというふうに思うんです。  それともう一つ、二点目、ちょっとお尋ねします。これも時間がありませんので。  なぜ高校無償化を打ち出す前にこの朝鮮学校を含む外国人学校の扱いの整理について検討をされておらなかったのか。あるいはまた検討されていても、選挙の前なのでこれはちょっと不利だと、そういうようなことで朝鮮学校の問題については出さなかったのかどうか、そういう意図があったのかどうか、いかがでしょうか。
  79. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) そういう意図で今日まで検討が残っていることではございません。時間があれなのであれですが、いわゆる元々の理念として子供の学びをしっかり国が支える、特に国際人権条約A規定を含めて批准できる国にしたいということから始まった議論でございます。
  80. 江口克彦

    ○江口克彦君 お答えにしてはいかにも私は中途半端、あいまいというよりも、計画性のない発想だということ、要するに無償化ということを考えた場合には、当然のことながらこういうようなことを想定してというか、そういうことを含めて考えなければならないということじゃないかというふうに思うということです。  三つ目に、専門委員会ということで、これは匿名の専門家会議で、言ってみれば、既に先ほども大臣おっしゃっていましたけど、静ひつな環境の下で審議を行う、それは静ひつな環境の下で審議を行うっていいんですよ。それはいいですけれども、静ひつはいいですけれども、国民の意見は聞かなくたっていいんですか。
  81. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) これはこの法案の審議のときにも議論になったというか、論点として私も何度も申し上げたんですが、高等学校就学支援金を支給するというときに、あるいは無償化する、私立ですから就学支援金を支給するというときに、高等学校とみなせるものはどういうものなのかということは、制度的に担保できるものとしてどういうことかというのは専門的な御議論によるべきであるということでこういう形を取らせていただきました。
  82. 江口克彦

    ○江口克彦君 制度的な問題よりも、これはやっぱりその教育内容ということが問題になってくるんじゃないでしょうかということを申し上げておきます。  専門家に任せるという、これは新聞によると、文科省はこの基準に従って朝鮮学校無償化適用に向けて審査したい意向で、無償で審査したい意向でというのは、これは大臣の意向ですか。鈴木大臣は、最終的には文科大臣決定するというようなことですけれども、これは大臣として無償でもう適用に向けて審査したい意向をお持ちなんですか。
  83. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) 報道で書いてあることはどういう根拠で書いてあるのか私は承知をいたしませんが、そういう事実ではございません。
  84. 江口克彦

    ○江口克彦君 あと、最後です。  この朝鮮学校の問題については、非常に日本国民感情というか、そういうようなものをやっぱり理解しなければならないんじゃないだろうかというふうに思うんですね。私のところに来るいろんなインターネットからの連絡だとかいろんなことからすると、必ずしも前向きな意見どころか後ろ向きの否定的な意見が多い。その中に必ず出てくるのが拉致の問題なんですね。拉致の問題と朝鮮学校無償化というその関係考えられたことがあるのか。それは全く別だというふうに考えられるとするならば、私は国民感情を無視しているんじゃないかというふうに思うんですが……
  85. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) まとめてください。
  86. 江口克彦

    ○江口克彦君 終わります。
  87. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) 答弁よろしいですか。
  88. 江口克彦

    ○江口克彦君 どうぞ大臣
  89. 川端達夫

    国務大臣川端達夫君) そういう国民感情があることは承知を当然しております。そして、一方で、制度的にきちっと対応するという理屈があることも事実でありますので、今いろんな検討を加えているところでございます。
  90. 江口克彦

    ○江口克彦君 済みません、最後に一つ。(発言する者あり)
  91. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) もう時間ですのでまとめてください。
  92. 江口克彦

    ○江口克彦君 一つだけ、済みません。済みません。──まあ、いいですわ。
  93. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会します。    午前十一時五十七分散会