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2010-09-13 第175回国会 参議院 厚生労働委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年九月十三日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  八月九日     辞任         補欠選任     三原じゅん子君     石井 準一君  九月七日     辞任         補欠選任      佐藤ゆかり君     山崎 正昭君  九月九日     辞任         補欠選任      山崎 正昭君     佐藤ゆかり君  九月十日     辞任         補欠選任      小林 正夫君     川合 孝典君      丸川 珠代君     藤井 基之君  九月十三日     辞任         補欠選任      徳永 エリ君     江崎  孝君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         柳田  稔君     理 事                 森 ゆうこ君                 衛藤 晟一君                 岸  宏一君                 山本 博司君     委 員                 足立 信也君                 梅村  聡君                 江崎  孝君                 川合 孝典君                 辻  泰弘君                 長浜 博行君                 難波 奨二君                 西村まさみ君                 石井 準一君                 石井みどり君                 佐藤ゆかり君                 山東 昭子君                 高階恵美子君                 中村 博彦君                 藤井 基之君                 秋野 公造君                 川田 龍平君                 田村 智子君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   長妻  昭君    副大臣        総務副大臣    渡辺  周君        厚生労働大臣  細川 律夫君        厚生労働大臣  長浜 博行君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       山井 和則君        厚生労働大臣政        務官       足立 信也君    事務局側        常任委員会専門        員        松田 茂敬君    政府参考人        厚生労働省医政        局長       大谷 泰夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○社会保障及び労働問題等に関する調査  (子宮頸がん予防ワクチンに係る公費助成の在  り方に関する件)  (多剤耐性菌による院内感染事例への政府の対  応に関する件)  (医療施設耐震化のための整備促進に関する  件)  (視覚障害者情報支援機器の開発・普及に関  する件)  (タミフル等適正使用の在り方に関する件)  (熱中症予防対策に関する件)  (児童虐待防止施策の推進に関する件)     ─────────────
  2. 柳田稔

    委員長柳田稔君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十日までに、三原じゅん子君、丸川珠代君及び小林正夫君が委員辞任され、その補欠として石井準一君、藤井基之君及び川合孝典君が選任されました。  また、本日、徳永エリ君が委員辞任され、その補欠として江崎孝君が選任されました。     ─────────────
  3. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会厚生労働省医政局長大谷泰夫君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 石井みどり

    石井みどり君 おはようございます。自由民主党の石井みどりでございます。  閉会中にもかかわらず、委員長には早く海外からお帰りいただきまして、誠にありがとうございます。これで質問に立つことができました。  今、社会では、やはりがんに対する認識そして意識が高まっています。その中でも特に子宮頸がんに関しましては、これはがんの中で唯一予防できるということで、非常に国民的な関心が集まっています。私どもの仲間であります三原じゅん子議員さき参議院選比例代表で当選をされたわけですが、今日は委員の差し替えでいらっしゃいませんが、三原じゅん子議員子宮頸がんを罹患したということで、随分国民方々子宮頸がん予防の訴えをされているわけであります。  この子宮頸がんに関しましては、日本人全体では年間約一万五千人が発症して、約三千五百人が死亡するというデータが出ています。一日当たり十人に近い方が、若い女性が主にその命を落としているわけであります。  これはもう委員先生方皆さん専門家でございますから御存じでございましょうが、子宮頸がんの主な原因はHPVヒトパピローマウイルスでございます。この中でも特に多く見付かるHPVは16型、18型でありますが、これも主に二十代から三十代の若い女性で多く見付かっているわけであります。しかし、残念なことに、この子宮頸がん検診受診率は我が国では大変低く、約二〇%ということになっています。特に二十代の女性検診率は低く、二十から二十四歳までは五・六%、二十五歳から二十九歳までは一六・三%という、そういう低い数字であります。  先ほど申し上げましたように唯一予防できるがんでありますので、予防するための大きな柱の一つとしてワクチン考えられるわけであります。そのワクチンは、昨年の十月、日本国内でもやっと発売が承認をされました。先進国の中で最も遅く、九十九番目の承認ということであります。そして、この予防ワクチン効果を十分得るためには半年にわたって三回の接種が必要というふうにされています。そして、これはヒトパピローマウイルスに感染する前のワクチン接種がより効果的であると。諸外国、特に先進国では、十代前半でこの予防ワクチン接種することで効果を上げています。  このことに関しまして、今回、平成二十三年度の予算概算要求におきまして、子宮頸がん予防対策強化事業として百五十億円が要求されています。子宮頸がん予防ワクチン事業実施する市町村に対し、その費用の三分の一を助成することとされています。私もこの趣旨には大賛成でありますが、幾つか細部に問題があるんではないかというふうに思っています。  まず、それでは百五十億円という金額に関して最初にお聞きしたいと思います。  百五十億円の予算モデルというものが八月二十七日の予防接種部会で示されたという報道がされていますが、しかしながら、まだ議事録が出ておりませんので、その詳細を検証することができません。この予算モデル根拠はどのようなものなんでしょうか。それをまずお聞かせください。大臣でございます。
  7. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) おはようございます。お答えを申し上げます。  この百五十億円という積算根拠でございますけれども、今おっしゃっていただいたような三分の一相当補助するということで、対象については全市町村、千七百五十、そして、対象者ということでは中学一年生から高校一年生の方のうち四五%が接種するという仮定を置いております。  そして、一回の接種するための総費用については一万五千七百八十二円ということ、そして、一人当たり、本来三回接種が必要でありますけれども、途中でやめる方もおられるということを考慮して、二・六回ということで計算をして百五十億円という数字を出させていただきました。
  8. 石井みどり

    石井みどり君 では、今の予算モデル数値が変動した場合、どのような影響が現れてくるのか、そこをお聞かせいただきたいと思います。
  9. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) この四五%等の数字も、実際は本当に皆さんに受けていただきたいという思いはあるんですけれども、過去のいろいろ事例等々を推計をしている数字で、多少余裕を持った数字だというふうに考えておりますので、ほかの数字が変動をしても、この予算の範囲内で可能ではないかというふうに考えているところであります。
  10. 石井みどり

    石井みどり君 余裕を持った数字とおっしゃったんですが、どのようなシミュレーションをされたんでしょうか。新規事業を行う場合は必ずエビデンスを、EBMですね、あるいはEBHCかも分かりません、この場合は。エビデンス・ベースド・ヘルスケアかも分からない。少なくとも、そういうシミュレーションをしてこういう数値計算されたはずですので、どのようなシミュレーションを行われたんでしょうか。大臣に。
  11. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今、市町村独自の事業といたしましても、子宮頸がんワクチン助成事業を百二十六の自治体実施をしております。そこから六自治体をサンプル的に抽出をいたしますと、この六自治体公費助成をしているところでありますけれども接種率が約三〇%という数字も出ておりますので、そういうような数字も勘案をして、この接種率四五%という数字を出させていただいているところであります。
  12. 石井みどり

    石井みどり君 サンプルとして六自治体ということでありますが、自治体によっては補助率が違いますね。しかも、六自治体人口規模も違う。これでは決して緻密なシミュレーションとは言えないと思うんです。非常にラフな、大ざっぱな、あくまでもシミュレーションというか推計でしかないというふうに思いますが、先ほども申し上げましたけれども、きちんとしてエビデンスを持って臨まれるのが本筋ではないんでしょうか。  長妻大臣は、過去、これは衆議院の本会議であったと思いますけれども国民年金法のときに、新しい制度や仕組みを導入するときは徹底的にシミュレーションをやることですというふうにおっしゃったわけですね。これ、大臣おっしゃったことと違うんじゃないんでしょうか。いかがですか。
  13. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) これは、現実にこの施策実施されたときにどれだけの自治体がこの趣旨に賛同して御協力いただくかということで、第一義的には自治体事業になるということであります。そのため、我々の思いも含めまして、すべての市町村実施するということを仮定をして計算をしております。千七百五十の市町村ということでございます。  現実は、本当にすべて、我々も努力をして周知をして呼びかけるということは今後もしてまいりますけれども、すべての市町村実施をしていただくように持っていかなければならないというようなことも含めて今回の数値を出させていただき、そして、接種単価につきましても、接種回数につきましても、中途脱落者の確率というものも含めてこの数字を出させていただいたということであります。  できる限りの今現在の推計項目あるいは推計すべき条件を加味をしてこの数字を出させていただいているということであります。
  14. 石井みどり

    石井みどり君 できる限りとかそういうのをおっしゃるのであれば、もう少し緻密な推計が行われる、シミュレーションが行われるべきではないんでしょうか。公費助成を行う自治体、九月二日現在でさっきおっしゃった二百五市町村でありますが、これは東京の特別区二十三区を加えた千七百五十の全市区町村の一一・六%にしか満たないわけですね。これをすべての、千七百五十すべてに広げたいと。現在一一・六%ですね。この接種率に対しては、助成額によって相当差があるわけですね。  今のお答えでは大変心もとない。新規事業、百五十億計上されている割には非常に根拠が弱いと思います。大臣、いつから宗旨変えされたんですか。きちんとしたシミュレーションがあって初めてやるべきだというのが大臣の御持論ではなかったんですか。今の推計お答えでは非常に弱いと思います。  そもそも、全市町村とおっしゃっていますけれども、じゃ今回のこの百五十億、どれぐらいの市町村実施するだろうと予測されているんでしょうか。
  15. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) そもそも、やはり子宮頸がん予防ワクチンについて我々公費助成をさせていただこうと思っておりまして、これは、ただこういう制度ができましたから希望の方はどうでしょうと、こういう自治体への呼びかけではなくて、これはもう極力、国としても公費助成をさせていただく、そして国民皆さんの健康をお守りすると、こういう強い意思を持って始める事業でございますので、我々としては、ただ希望者はいかがですかというよりも、もう極力この事業実施をしていただきたいと、こういうような形で強く要望をしていく、そして周知をしていく、そして国民皆様方にも直接呼びかけていく等々の施策を取って全自治体実施を是非していただきたいということで呼びかけていくところでございます。そういう趣旨で今回予算措置をさせていただいているところであります。
  16. 石井みどり

    石井みどり君 大臣お答えいただいていないんですよ。私は試算シミュレーションを教えてくださいと申し上げたんですが、全自治体にしたい、でも、それでは希望でしかないんですね。根拠をきちんとお示しください。  しかも、この財政状況厳しい段階地方自治体は、もう乾いたぞうきんは絞れないと、ここ二十年ぐらい言ってきているんですね。その財政事情をかんがみるに、今回三分の一の助成なんですね。残りの三分の二は市町村に持てということで、これですべての千七百五十の市町村実施できるとお考えなんでしょうか。ちょっとそこのところをもう少しはっきりお答えください。
  17. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) これは、是非すべての市町村でこの事業実施していただけるように我々も周知をして働きかけをさせていただくということであります。
  18. 石井みどり

    石井みどり君 済みません、お答えになっていません。  それでは、三分の一では一斉接種始められないですよ、市町村によっては。接種に全く取り組まない市町村接種している市町村に住んでいるのでは、住んでいる地域によって非常にそこの女性にとっては格差が生じてしまうんですね。  先ほどから何度も試算とかシミュレーションをお伺いしているんですけれども、ないんならないとはっきりおっしゃってください。試算シミュレーションもなく今回この百五十億を、これを予算計上されたんじゃないんでしょうか。もっときちんとお答えください。
  19. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 試算シミュレーションがないと言われますけれども、どこまでの話かというのはありますが、さっき申し上げたのは、その試算をこういう考え方でやって、そして百五十億円という数字を出させていただいたということでありまして、これむしろ、自治体の中で、例えば予算を半分の自治体にしか付けないということになりますと、おっしゃっていただいたような自治体での差が出てくるということを当初から容認をしているということにもなりかねませんので、我々としては、先ほどの繰り返しですけれども、全自治体実施をしていただくということを強く呼びかけ、周知をさせていただくと、こういう趣旨で今回の事業についての概算要求に臨んでいるところであります。
  20. 石井みどり

    石井みどり君 根拠にもなっていませんし、そして、全自治体にやっていただきたいということではありますが、三分の一ではやはりこれをできない自治体が出てくるわけですね。ますます地域間格差が開くというふうに思っていますが、これ本当に、じゃ実施率がどの程度ということをきちんと積算して、そうであれば三分の一でなくて全額とか、あるいは、通常今までよくあったのは二分の一、十分の五の補助だったと思うんですけど、わざわざ三分の一にされた。それは、どれぐらいの自治体が導入するとこれ試算してこのことを決められたんでしょうか。どの程度の、どれぐらいの市町村が導入されるとお考えなんでしょうか。お聞かせください。
  21. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) この三分の一といいますのは、今の予防接種法でも低所得者分費用を負担するのは全体の費用の十分の三という考え方もございます。  どれだけの自治体が実際にこの事業に参加するのかということでありますけれども、今現在は、国の助成がない中で百二十六の自治体公費助成実施をしている。非常に、全自治体から見ると一割弱ということでございます。今後、我々は、予算のみならず、周知徹底、そして呼びかけ、国民皆さんに対するこの事業の意義の説明、そして、ワクチン行政のみならず検診事業についても、今も検診率五〇%ということで、目標に進めておりますけれども、それらも含めてトータルで更に強力に呼びかけていくということをもって、すべての市町村でこの事業をスタートしていただきたいということを呼びかけて実施をしていただくというふうに我々は考えているところであります。
  22. 石井みどり

    石井みどり君 大臣の御答弁を伺っていますと大変情けなくなってまいります。  野党時代大臣はきちんとしたシミュレーションをしろと、それを相当おっしゃっていたんですね。しかし、今そのお立場ですと、そういうものもなく、ただただ実施している市町村が、全市町村してほしい。しかし、財政状況に非常に自治体間の格差があるわけですね。  ですから、これでは幾ら三分の一、まあ低所得者のところをかんがみて三分の一だとおっしゃっても、本来全額補助であればやはり手を挙げる自治体が多いと思うんですけれども、三分の一でどれくらいかということも、結局試算もない。そして、ますますこれでは地域間格差が開いていくというふうに思います。それをどうするおつもりですかと伺っても今のような答弁しか返ってこない。これはもう明らかに、ますます地域間格差、住む地域によって受ける医療、あるいはこういう予防医療においても格差が出てくる、これは間違いなく起こるだろうというふうに思います。  それでは、今回の百五十億円というのは特別枠ということの計上ですが、これは来年のみの適用ですよね。ワクチン対策というのは、命の安全保障ですね。国民の命にかかわる事柄であるにもかかわらず、なぜ特別枠なんでしょうか。そして、特別枠というのは、大変下賤な言い方をすれば、捕らぬタヌキの皮算用ですね。特別枠で認められなかったらどうなさるんでしょうか。本来、要求枠要求すべきではなかったんでしょうか。そこをお聞かせください。
  23. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) どの枠で要求すると予算がそれは付いていくのかということについては、当然概算要求ということについて全体的に、言うまでもありませんが、これで一円単位で全部確定をしているというものではありませんで、どういう要求の仕方にせよ、最終的に数字がきちっと一円単位確定をしていくのは年末の予算折衝段階確定をするということであります。  その中で、今おっしゃっていただいたように、この子宮頸がん予防ワクチンについては特別枠という中で我々要求をさせていただいておりますけれども、これについては、ほかの特別枠項目もおおむねそういう考え方に沿っておりますけれども新規で一定の規模事業については特別枠概算要求をしていくというように我々考えておりまして、そういう考え方の中で、特に参加型社会保障ということで、質の高い医療というような枠組みの中でこの特別枠ということで要求をさせていただいているということであります。
  24. 石井みどり

    石井みどり君 昨年の衆議院選挙マニフェストで民主党は、子宮頸がんに関するワクチン任意接種促進というふうにうたっておられたと思うんですけれども、本年の参議院選挙マニフェストからはこの子宮頸がんの文言が消えておりまして、現行一万三千円の子ども手当上積み分ワクチン接種への公費助成などの現物給付現物サービスに代えられるようにするというふうになっていたと記憶しておりますが、これは大変私から見ると残念な、そして子宮頸がん予防に取り組んでおられる多くの方々にとっても大変な失望を与えたというふうに思っています。  今回、この概算要求に入ることになった、八月に大臣予算要求するんだということを記者会見等でおっしゃっていますが、唐突な感じがしますね。今回、この子宮頸がんワクチンが導入されることになった経緯を教えていただきたいと思うんです。  公明党さんがさき通常国会で法案を出されて、残念ながら廃案になりました。そして、臨時国会、この秋また召集される臨時国会で自公で議員立法で今共同提案をしようという準備をしていますが、その動きを御覧になって急遽、政治的な要因でこれを要求されたんじゃないかって勘ぐりたくもなるんですね。わざわざ衆議院選挙マニフェストのときにはきちんと子宮頸がんに関するワクチンということが載っていたにもかかわらず、今回の参議院選挙マニフェストには載っていなかった。しかし、急遽、八月の予算概算要求のところで出てきたんですね。この経緯をお聞かせください。
  25. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) この問題については、政権交代前もいろいろ御議論があって、でも実現ができなかったわけでありまして、政権交代して、鳩山総理が命を守る政治と、そして菅総理最小不幸社会と、こういうようなことを言われ、厚生労働省予算が大幅に増えたところでございます。  そういう流れの中で、この子宮頸がんのみならず、いろいろな健康増進、質の高い医療を受ける、そういう施策を一つ一つ進めている、そういう考え方の中で今回出てきたというところでありまして、当然、おっしゃっていただいたように、国会でもこの問題、幾つか厳しく強く御指摘を受けました。あるいは、地方自治体からも幾度となく御要望をいただき、関係団体からも幾度となく御要望をいただき、そして予防接種部会での議論も踏まえて省全体で議論を行って、そして平成二十三年度の概算要求要求をさせていただこうと、こういうような形で意思決定をしたというのが経緯であります。
  26. 石井みどり

    石井みどり君 鳩山内閣の新成長戦略ライフイノベーションの中にワクチンを入れる予定だと、私の四月の質問に対してそういうふうに大臣お答えいただいたんですね。それだったら、参議院選挙マニフェストに載らなきゃおかしいじゃないですか。なぜ、それほど重要だとお考えであるならば、衆議院選挙マニフェストにきちんと載ったものが参議院選挙マニフェストから消えているんですね。  今のお答えでは、その経緯が、私どもから見ても、そしてこの予防に取り組んでいる多くの方々にとっても納得はいかないと思いますが、いかがですか。
  27. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 参議院選挙マニフェスト、今手元にありますけれども、ここにも、子育て・教育のところで、ワクチン接種公費助成などを検討しますということが書いてございまして、何よりも概算要求で実際に数字を入れて積算をして今要求をさせていただくというようなことで、我々がこの事業を本当に実行、実現をしていこうというような考え方であるということを御理解いただきたいと思います。
  28. 石井みどり

    石井みどり君 衆議院選挙マニフェストに載せたものが消えたという、参議院選マニフェストで消えたというお答えには決してなっていないと思いますが、もう時間が五分になりましたので、残念ながら、ちょっとほかの質問といいますか、そもそもこのワクチン接種をするためにはやはり教育とか啓発が大変重要だと思うんですが、これはどうしても聞いておかなきゃいけないのは、非常にこのことを懸念される方々がいらっしゃるので御質問しますが、子宮頸がんの発生というのは性交渉と関係していると言われていますね。そして、性交渉のある女性の約八割が生涯で一度は感染すると言われています。しかしながら、通常は感染しても免疫力によってウイルスは消えます。ただし、その中の一割程度、一〇%ほどは感染が続いて、そしてがんの発症に至るというふうに言われています。  これはやはり、そういうことを含めて、やはりワクチン接種する対象者、特にセクシュアルデビュー前の十代の若い女性に対しては、これは男性も感染するんではありますが、日教組がやっているような誤った性教育ではなく正しい性教育、あるいはその保護者の方々への正しい理解の普及が重要だと思いますが、これをどのように教育、啓発を進めていかれるのか、お答えください。
  29. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今おっしゃっていただいたことは大変我々も重要なことだというふうに考えておりまして、今も検診率を五〇%にしていくということで、これまでも公明党などを始めとする国会各位の御尽力で、このクーポン、無料クーポンなどを配付するという事業が始まり、そのときに同時に、こういう検診手帳というかパンフレットを検診を受ける方にお配りしているんですけれども、今この子宮頸がんについてもこのパンフレットに一定のものは書いてありますが、今おっしゃっていただいたような趣旨をここに今後きちっと書き込んでいくということを今準備を進めているところでございまして、あるいは今年十月に開かれます全国の自治体がん対策関係主管課長会議、その場でもその趣旨を申し上げて徹底をさせていこうというふうに考えているところであります。
  30. 石井みどり

    石井みどり君 既に公費助成を行われている自治体においては、非常に、被接種者の方々に対して教育が行われたり、あるいは検診の重要性が訴えられているわけですけれども、それは市町村によって様々な形で行われているというふうに聞いていますが、非常に熱心に、そして効率よく効果的に取り組んでおられる自治体からのそういう知見というかデータを収集する必要があるかと思いますが、その辺りはいかがですか。
  31. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) やはり厚生労働行政、これにかかわらず基本的に実施をしていただくのは地方自治体ということが事業において多いわけでありますけれども、その中で非常にいい取組をしていただいている、あるいは効果が上がっている、あるいはいろいろな知見をお持ちである、こういうような自治体のいい事例を我々もいただいて、自治体間で共有をしていくということに努めていきたいと思っております。
  32. 石井みどり

    石井みどり君 もうあと二分しかないので、残念ながら最後の質問になりますが、Hibやあるいは肺炎球菌のワクチンというのは世界中で多くの子供たちの命を救っているんですね。日本でもやっとワクチン承認されましたけれども任意接種のためにまさに子供の命がお金によって左右されているんですね。非常にこの接種費用というのは高額なので、打ってあげたいけれども家庭によっては子供にこのワクチン接種できないという家庭もあって、まさにこれは、本当にこういうことこそ国が取り組むべきことだというふうに思っていますが、この任意接種になっているHibワクチンあるいは肺炎球菌のワクチン、こういうものも今後、今任意接種になっているものに対して、子宮頸がんワクチンだけでなく、今後どのように取り組んでいかれるのか、そこをお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  33. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) この重要度からいうと、今おっしゃっていただいたHibそして肺炎球菌、これらのワクチンについて、今任意接種公費助成ございませんけれども、これについて我々としても今後の検討課題だというふうに考えておりまして、先月の二十七日の金曜日に予防接種部会ワクチンを評価していく小委員会を設置をしてその第一回の会議を開催をいたしました。今後もこの小委員会で専門の先生方の御議論をいただいて、Hib、肺炎球菌などのワクチンの取扱いについても検討していきたいと考えております。
  34. 藤井基之

    藤井基之君 久しぶりに厚生労働委員会に戻ってまいりました。浦島太郎になっているかもしれませんが、答弁よろしくお願いしたいと存じます。  この夏、暑い日が続きましたけれども、九月に入ってまだ暑い日が続いていると思った中で、寒々とするような報道がなされました。何かというと、多くのお薬が効かない多剤耐性菌による、しかも病院の中での感染だという。病院に、治りたい、完治してもらいたいということで入院した、しかもそれも有数の病院に入院したところ、そこで院内感染が発症しているという例です。  御案内のとおりでございますが、報道によりますと、帝京大学附属病院で多剤耐性のアシネトバクターによる院内感染事例が発生しておりました。九月になりまして病院側が説明をされておりますが、それによりますと、九月の二日に行政庁に報告したその報告にありますとおりですが、九月一日時点でこの感染は四十六名、死亡が二十七名、うち多剤耐性アシネトバクター、MRAB、これとの関連が否定できない症例は九例という数になっています。その後この集計数字は修正をされておりまして、九月七日には七名が追加され、そして九月の十一日には五名が追加され、現時点においてはたしか計五十八名、そのうち死亡例は全体では三十二名と、そういうふうな数字になっております。  大臣、御案内のとおりでございますが、この病院における感染の発症は、最初の事例は今年の二月だというふうに報道されておりまして、ところが、東京都、厚生労働省あるいは保健所への報告は何と今月でございます。大変遅れて九月の二日に入ってから、報道によるとこれは行政庁に対して報告がなされたという。東京都及び保健所は直ちに立入検査を行われたようでございまして、厚生労働省も九月の六日に東京都と一緒に立入検査をなされております。  大臣は、立入検査の翌七日の記者会見の席上におきまして、国民方々が非常に多大な関心を持っているこの立入検査の結果につきましてはなるべく早く結果の概要を公表したいと、その旨の御発言をなさっております。立入検査からほぼ一週間になります。できましたらこの席で少しその一部なり等を御報告をいただきたいと存じます。大臣
  35. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) この立入検査につきましては、その翌七日、私が定例記者会見で申し上げたその日にその立入検査の概要を記者の皆さんにお配りをして、事務方から詳細な説明を申し上げているところでございます。  その中身につきましては、ちょっと突然のお尋ねでございましたので、今取り寄せて説明を申し上げます。
  36. 柳田稔

    委員長柳田稔君) どうぞ。
  37. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 資料に基づいて、立入検査の概要については、九月七日の十七時半から医政局の事務方が立入検査の概要を申し上げたということであります。  それについて、帝京大学病院からは、全患者の個室管理をしていく、患者発生病棟の新規入院を停止する、外部委員を含む調査委員会の開催をする、担当医師、看護師の専従化等の対策というようなものが報告をされておりまして、現時点で我々としては、院内感染の事実について行政への報告が遅れたんではないか、厚生労働省の事務連絡の職員への周知不足があったというふうに考えております。  この周知といいますのは、昨年の一月に通知を出しまして、アシネトバクターについては報告をいただきたいというようなことの通知文でございましたけれども、それが帝京大の中の情報共有というのが不十分だったんではないか等々、いろいろ詳細に記者の皆さんにも申し上げているところであります。
  38. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございました。  このMRABの帝京大学の感染というのは、これが国内における初めてのケースではありません。実はこの問題、海外においては早くからいろいろな指摘がなされておりまして問題になっておりましたが、我が国で大きなアウトブレークといいますと、平成二十年の十月の二十日、韓国で入院していた患者さんが福岡大学の救命救急センターに搬送入院されました。これを契機としまして、福岡大学では二十六名という大勢の感染者が発生をいたしております。このとき厚生労働省はどういう対応を取ったかということをかいつまんで申し上げます。  このケースにおきましては、平成二十一年の一月の二十日に病院は福岡市の城南保健所に報告をしております。そして、その翌二十一日、保健所はこの病院に立入検査をいたしております。そして、九州の衛生局から厚生省の担当部局に対して報告が上がってきております。そして、翌二十二日には、厚生労働省が指導を九州の病院に伝達をするようにしておりまして、そして翌二十三日、ですから、報告を受けた二十日からいうと三日後には指導課の方から全国に文書を発しております。多剤耐性アシネトバクター・バウマニに関する院内感染対策の徹底についてという事務連絡、先ほど大臣が御答弁された内容の文書でございます。これによりまして、この福岡大学のケースというのは終えんに向かったというふうに理解をしております。  この次に、同じように院内感染のアウトブレークが発生しております。それは、今年の二月になりまして、愛知県の藤田保健衛生大学病院におきまして、MRABの院内感染、これ、病院側での報告によりますと、六月十一日時点では二十名から菌が検出されていると。そして、九月一日にはその数が増えまして、二十四人からMRABが検出されたと、こういうようないわゆる院内感染のケースでございます。このケースの場合、病院は二月の十日に最初の菌の検出を認めておりまして、その後五例の同じ菌による検出が認められたということから、二月の十六日に瀬戸保健所の方に報告をされております。  先ほど福岡大学のケースの対応については簡潔に私の方から御報告させていただきましたが、この愛知県の藤田保健衛生大学病院においてこの感染が発生したときに厚生労働省はどのような対応を取られたのか、御説明いただきたいと思います。
  39. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今おっしゃっていただいたこの藤田保健衛生大学病院でございますが、こちらの対応というのは、非常にある意味では、幹部職員の意識というのもあったのかもしれませんけれども、先手を打つような対応がなされたんではないかというふうに考えておりまして、二月十日に第一例目の保菌患者が確認されたと。その後、数日で五例を確認をして、そして二月十五日には院内緊急会議を開催をされ、そして翌日には瀬戸保健所に報告がなされるというようなことで、ある意味では自ら先手を打って情報を積極的に開示をする、しかも早めの対応を心掛けているというようなことがまず出発点だったわけであります。  そして、厚生労働省としては、国立感染症研究所に、二月末に計十九の菌株の遺伝子検査を感染研でいたしまして、すべて同一菌株に由来するということが判明をしたところであります。そして、この大学病院の御努力もあって、六月十一日に保菌患者五名を最終確認をして、重症感染者の患者がないということになり、最終的に東海北陸厚生局、厚生労働省の出先に報告があったというような案件であります。
  40. 藤井基之

    藤井基之君 ということは、この藤田保健衛生大学病院におけるアウトブレークケースについては厚生労働省は特別の指導をしなかったと、こういうことでございますか。
  41. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) これは、当然助言などを申し上げていると、あるいは国立感染症研究所で遺伝子検査を申し上げるというようなことについても我々実施をさせていただいているところでございまして、帝京大学病院に対する対応とは異なる対応だったというふうに考えております。
  42. 藤井基之

    藤井基之君 私、この藤田保健大学の病院の場合のケースを今お尋ねしているのは、実は、先ほど帝京大学の第一例がやはり今年の二月という同じ時期に実は発症が確認されているんですね。ですから、藤田保健大学病院の方は非常に早い段階で行政庁に対してこういった報告をなされている。その報告をもう一度行政側が全国展開するような情報提供をなされていれば、あるいは帝京大学の対応ぶりは変わったのではないかと、そう思うからお尋ねをしているわけです。  もう一度答弁をお願いしたいと思いますが、藤田保健衛生大学につきましては、今大臣答弁された以上の行政対応はなされなかったと、こういうことでございますか。
  43. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) これは先ほども申し上げましたけれども、藤田保健衛生大学病院においては、これはもう既に保健所に報告をして、マスコミにも報告をして、これというのが広く報道をされている案件であるというふうに考えているところであります。  先ほどの繰り返しですけれども、帝京大の大学病院に対する今回の厚生労働省の対応と藤田保健衛生大学病院への対応というのは、そういう意味では異なる対応をしたということでありまして、既に二十一年の一月に、アシネトバクターによる院内感染については、これは通知を我々出させていただいて、それを周知をしていただきたいということは既にあらかじめ通知を出しているところでございますので、それが共有を帝京大においてされていなかったということについては、大変これは我々は立入検査のときにも問題であるというふうに考えているところであります。
  44. 藤井基之

    藤井基之君 もう一度確認しますが、藤田保健大学病院に対しては厚生労働省は立入検査を行わなかったんですね。
  45. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 厚生労働省としては、帝京大のように立入検査というのは行っておりません。
  46. 藤井基之

    藤井基之君 帝京大学のケースに戻りたいと思います。  本年の八月の四日に厚生労働省は、東京都と一緒に帝京大学に対しまして定例の立入検査を行ったと、そのように伺っておりますが、この際に、大臣幾つかのところでそういう発言なさっているというふうに私も伺っておるのですが、この際にどうも病院側からはこの院内感染について何の報告もなかったんだよと、このような趣旨の発言をなさっておりますが、このとおりなんでしょうか。
  47. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今おっしゃっていただいたように、今年の八月四日に厚生労働省と東京都が帝京大学病院に対する、これは定例の立入検査を申し上げました。そのときに、今回の院内感染のケースのたぐいの報告というのはございませんでした。ただ、その場で、その立入検査の場でこの帝京大学病院の院内感染対策のための体制が脆弱であると、こういうような話題が出まして、充実を図るように指摘をしたわけでございます。本来であれば、そのときにそういう話が、報告があってしかるべきではないかというふうに考えているところであります。
  48. 藤井基之

    藤井基之君 今のその院内感染体制が脆弱であるという話なんですけど、これに対する指摘に対して充実をという、そういう指示は、これはいつ、どなたがなさったんですか。
  49. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) これは、立入検査の平成二十二年八月四日水曜日十三時三十分ごろから検査がございまして、当方は医療指導監視監査官、そしてほかには東京都の福祉保健局医療安全課職員などが立入検査に同席をしているところでございまして、当局としては、院内感染対策のために感染管理部門の体制の充実を検討してくださいと、こういうようなことを病院側に申し上げているところであります。
  50. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございました。  とするとですが、そのとき、八月四日に行政庁からそのような的確な指導と思いますが、それはなされているけど、病院側がそれを実際にやらなかったということがその後の拡大につながったのかもしれないと、そんなことを考えております。  この件につきまして、ただ、大臣が、この後、ちょうど病院側がこの件に対する報道をなされる三日前なんですね、八月の三十日に大臣自身がこの病院に視察に伺われたというふうに伺っておりますが、これはどのような目的で病院に視察に行かれたんでしょうか。
  51. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) これについては、概算要求でも我々救急医療の充実というものを計上させていただいておりますので、公務もいろいろスケジュールがあるわけでありますので、東京周辺で救急医療、これを視察に行ければ有り難いということを私が申し上げまして、そしてこの帝京大学病院ということが候補に挙がり、そして救急医療という観点で、夜七時か八時か、多少遅い時間に参りまして、実際に救急医療の現場を視察に行ったということで、そのときも院内感染云々の話題というのは出ておりません。
  52. 藤井基之

    藤井基之君 そのとき、しかし立入検査の際に東京都と厚生労働省がこのような院内感染体制の対策が脆弱ではないかという指摘をなさっているのだけど、そのようなことが一切議論に出なかったんですか。
  53. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) これはさっきも申し上げましたけれども、救急医療ということで私も視察に参りまして、そのときの意見交換会のような席というのもございましたけれども、そこでは、私からも救急医療についてのお話、先方からも救急医療に関する話題ということで、その話は出なかったわけであります。
  54. 藤井基之

    藤井基之君 大臣先ほど申されましたけど、八月四日の定例の立入りの際にそういう指摘があったということを先ほど大臣お述べになられましたけど、大臣はその報告、立入検査のとき、緊急体制、緊急の感染体制が脆弱だという、そのようないわゆる行政庁側の判断というものはいつ大臣のお耳に届いたんでございますか。
  55. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) これについては、帝京大学病院が院内感染を発表し、マスコミでも大きく報道された後に私に報告があったということであります。
  56. 藤井基之

    藤井基之君 分かりました。  帝京大学の病院というと、これは新しくて非常に救急救命なんかで頑張っている病院で、非常に医療に対して貢献をしているということは多くの識者が知っているところでございます。  大臣、この病院、お忙しい中、御視察されたわけでございますが、この病院、御視察されてどんな御感想をお持ちになられましたか。
  57. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 私もすべての救急病棟を見聞きしたことがあるわけではありませんので、この病院とほかの病院と、救急病棟を比べてどうだという評価はできませんけれども、夜遅い時間、一定の夜遅い時間でありましたけれども、ひっきりなしに救急車が入ってきて、本当に救命に大変な御努力をされている病院であると。ほかの病院との比較というのは今申し上げたようにできませんけれども、その現場という意味で、救急救命の現場というのは非常に大変であると、こういう印象を持ちました。
  58. 藤井基之

    藤井基之君 先ほどお話ありましたように、福岡大学でこの院内感染問題を受けたときには、二十一年の一月の二十三日に医政局指導課から事務連絡をもって、体制強化のための、あるいは情報提供等のそういった行政通達文書、多剤耐性アシネトバクター・バウマニ等に関する院内感染対策の徹底についてという、そういう文書を発出されました。そして、今回も、厚生労働省は九月六日付けで同様の事務連絡を発しております。  ただ、私気になりますのは、これ、二十一年の一月に発出された文書と二十二年の九月に発出された文書というのは内容ほとんど同じですね。これちょっと今回のケースに対する意識というのを考えたとき、これではちょっと行政の持つ文書指導の意味が弱いんじゃないかという感じがしてならないんですね。  それから、もう一つ伺いますけど、これ、私は当然行政庁ですから文書の規定があると思うんですけど、いわゆる事務連絡というものは、これはどういった意味を持つか、要は単なるメモみたいなものじゃないんでしょうかね。というのは、何で言うかというと、地方自治体方々から伺うと、例えば課長通知が来る、あるいは局長通知が来るというものを受けた際と、担当課からの担当セクションへの事務連絡が来た場合、やっぱり末端の行政の受ける意味合いが違うんだということも伺っておるんですけど、大臣、この点どういうふうにお考えですか。
  59. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今おっしゃっていただいた九月、今月上旬に出させていただいた、再度、アシネトバクターの報告をお願いする件でございますけれども、これは昨年一月にお出しを申し上げたものを更に詳細かつ具体的に記述をして出させていただいているというようなものであります。これはあくまでも通知ということであります。  そして、もう一つは、今現在、御存じのように五種類のこの耐性菌について報告の義務を課しているというものがございます。これについて我々としては、その五種類にはアシネトバクター入っておりませんので、今のままの五種類で本当にいいのか、あるいは、報告をいただく病院も範囲が絞られておりますので、その範囲でいいのかということについては、早速先週の金曜日の夜、専門家の方に厚生労働省に集まっていただいて、議論、いろいろな議論が出ましたけれども議論をしていただいて、最終的には感染症を扱う部会で決定をしていくという流れで今早急に議論を進めているところであります。
  60. 藤井基之

    藤井基之君 感染症法に基づく是非そういった対応を取っていただきたいと思いますが、いわゆる日本におきまして感染症の関係の院内感染症サーベイランス事業というのを厚生省は幅広くやられていまして、二〇一〇年の八月現在、全国で八百四十七病院がこの制度に参画されております。これは手挙げ方式によるものですから強制するものではないわけですが、今回、院内感染問題を起こしました帝京大学病院というのはこのサーベイランス事業に参画されているんですか。
  61. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) これはもう御存じだと思うんですが、この院内感染対策サーベイランス事業でございますけれども、これはもうおっしゃっていただいたように手挙げ方式で、全体の傾向を国としても把握をしていくというような一つの事業で、そもそも前提となる考え方が非公開にすると、どの病院が参加をしているのかは非公開という前提で始まっている事業でございまして、その意味では参加病院というのは公表しないと、こういうような考え方になっております。
  62. 藤井基之

    藤井基之君 いや、おかしいですよ、大臣。だって、院内感染対策サーベイランス事業実施要綱というのを、私、手元にあるのは、これ平成十九年二月二十二日に制定したものを見ておるわけです。そうすると、この実施体制の整備のところに確かにこういった実施方法等について幾つかの細かい内容が書かれているんです。  その中に個人情報の保護というところがありまして、本サーベイランスによって得られたデータ及び解析評価情報については、全国の医療機関における院内感染対策を支援する目的以外には使用しない、確かにそのとおり書いてある。ただし、その後、また、個別の医療機関等の同定を可能とするデータ及び解析評価データは、その後なんですが、参加医療機関の名称及び参加部門名以外は参加医療機関の了承を得ることなくこれを公表しない、こうなってますよ。名称ぐらい入っていたかどうかを答えてもらってもいいんじゃないでしょうか。
  63. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) これは、当初からこの事業に際しては、病院が参加していることを公表するというような病院については、今言っていただいた参加の総数が八百四十七病院でありますけれども、七十三そのうちについては公表していいということで、これは病院名公表させていただいているところであります。それ以外については非公表ということを希望をしているということでありますので、それについては公表しないというルールになっているということであります。
  64. 藤井基之

    藤井基之君 そうしたら、帝京病院はこの公表を拒否しているわけですか。大臣。(発言する者あり)
  65. 柳田稔

    委員長柳田稔君) じゃ、藤井君、もう一回。
  66. 藤井基之

    藤井基之君 ですから、そうすると、実は公表を認めている病院のリストというのは出ているわけですよ。そうしたところにこれ帝京大学病院の名前がないから私、聞いているんですよ。帝京大学病院はこの制度に入っていないのか、あるいは入っているとしたら名前の公表を拒否しているんですかというふうに伺いました。
  67. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) この帝京大学病院は、この事業には参加しておりません。
  68. 藤井基之

    藤井基之君 そうしたら、これだけ大きな病院が、特機病院がこの制度に参画していないといったら、このサーベイランス事業の実効性というのをどう考えられますか。
  69. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) これは、委員も言っていただいたように、この事業といいますのは手挙げ方式で、それぞれの病院が自主的に参加をして、データも自主的に提供いただくと、こういう趣旨で始まった事業でございますので、これについて直ちに強制の網を掛けていくというようなことについては、さっきも御答弁したとおり、金曜日の夜、議論をいただいた五つの種類の感染症法に基づく、法律に基づく義務、これについては我々議論をして速やかに結論を得ていくというようなことで対応をしていきたいと考えております。
  70. 藤井基之

    藤井基之君 済みません、時間がなくなりましたので、一つだけ御要望させていただきたいと思います。  このMRAB問題が非常に大きく取り上げている中で、例えば獨協大学病院ではインドから帰国して治療を受けた患者からいわゆる多剤耐性のニューデリー・メタロ—β—ラクタマーゼ1を産生する大腸菌の報告がなされている。また、九州大学病院からもKPCという抗生物質を分解する酵素を産生する多剤耐性菌の確認がされている。  これらも含めまして、今、感染症対策、時代が動きつつありますので、行政庁においてもいろいろな検討をなされていると思いますが、いわゆる体制の整備の問題、これは行政庁を支援する例えば感染研の体制整備あるいは医療機関の体制整備を含めて早急な検討が必要だし、そしてこれによって医療を受ける患者さんの安心、安全を守らなければいけないんだと思います。大臣の意気込みをお尋ねして、終わりたいと思います。
  71. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) その前にまず、大変恐縮でございますが、訂正がございます。先ほど八百四十七病院がこのサーベイランス事業に参加をして、七十三病院が公開というような趣旨を申し上げましたけれども、七十三病院が非公開ということで、九割程度は公開ということでございます。失礼いたしました。  それで、今のお尋ねで意気込みということでありますけれども、やはりこの院内感染というのは、特に入院をされておられて、御家族も御本人も大変不安な状況の中で更に御病気が悪化をする懸念を与えてしまうということで、非常にこれは大きな問題であるというふうに認識をしておりまして、今後怠りなきよう取り組んでまいりたいと考えております。
  72. 山本博司

    ○山本博司君 公明党の山本博司でございます。本日の委員会は、病院の耐震化と障害者施策に関しまして質問を申し上げたいと思います。  最初に、病院の耐震化に関しまして大臣にお聞きを申し上げたいと思います。  病院の耐震化は学校の耐震化とともに大変に重要な課題であり、大臣野党時代より大変熱心に取り組んでこられたと伺っております。災害時に搬送された病院が一番危険な建物で倒壊のおそれがあるというのでは、二次災害の危険性もあるということですから、大変大事でございます。こうした公共事業に関しまして重点化をして取り組むということは大変必要でございます。  そうした中で、本年一月五日に厚労省はこの病院の耐震改修状況調査の結果を発表いたしました。その結果につきまして御報告をいただきたいと思います。    〔委員長退席、理事森ゆうこ君着席〕
  73. 足立信也

    大臣政務官足立信也君) 本年の一月五日に公表した病院の耐震改修調査のこの結果の概要ということでございますので、概要だけ申し上げます。  病院全体の耐震化率は五六・二%、災害拠点病院及び救命救急センターの耐震化率は六二・四%。過去から見ますと、当然のことながら耐震化率は増えております。  一方で、議員が御懸念だと思いますが、いまだ耐震化済みでない病院が四〇%を超えておりますので、その中身について申し上げます。  Is値〇・三未満の建物を有する病院が百六十病院ということになっております。〇・三未満というのは、震度六程度で倒壊又は崩壊する危険性が高いという状況でございます。  以上です。
  74. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  今、調査回答八千六百十一病院で、耐震基準を満たしているのは五六・二%、災害拠点病院では六二・四%ということでございますけれども平成二十年の四月の中央防災会議におきましての政府の計画では、平成二十二年度末までに耐震化率を七一・五%、この目標を定めておりますけれども、その目標からしましてもまだまだ耐震化は更に進めるべきと考えるわけでございますけれども、この耐震化の大きな問題というのはコストの問題でございます。  大変地域間格差が大きくこの調査結果からも出ておりまして、例えば都道府県別での耐震化率で、滋賀県が最も高くて七五%、次いで静岡、沖縄が高くて、一方低かったのは、岡山県の三六・九%、京都、福島の順でございます。また、災害拠点病院などでは、耐震化は山形が一〇〇%ですけれども、岡山は一四・三%、私の地元の香川では二八・六%。こうした地域によるばらつき、これも是正すべき課題があるわけでございます。  自公政権の時代に、平成二十一年度の第一次補正予算で、整備費を補助するということで総額一千二百二十二億円の医療施設耐震化臨時特例交付金、これが設置をされました。各都道府県ではこの基金を有効に活用するということで大きな成果が上がっていると思いますけれども、この基金の活用状況につきまして御報告をいただきたいと思います。
  75. 足立信也

    大臣政務官足立信也君) ストレートなお答えではないかもしれませんが、基金の活用状況というか、実際にどれだけ整備されるかというお答えにしたいと思いますが。  二十二年の、本年の九月一日現在で、整備計画に盛り込まれた病院の数は二百二十七病院です。災害拠点病院が七十二、救命救急センターが二というふうになっています。これは、引き続き事業を行うということで今調整しておりますので、見込みではありますけれども、今年度中に更に百程度計画、指定がされるというふうな見込みになっております。ですから、三百二、三十というのが今年度の、二十一年度、二十二年度での整備計画ということになります。
  76. 山本博司

    ○山本博司君 この基金というのは平成二十一年、二十二年の二年間ということでございまして、すべての病院に今言われているように対応するわけではない。今回、応募も約倍の件数があった中での絞り込みという形であったわけでございまして、今言われているように、このIs値という指標、このことに関しましては、二〇〇六年の国土交通省の告示で、震度六強の地震、Is値〇・六の場合、この場合ですと、倒壊し、又は崩壊する危険性があると、このように明記をされておりまして、また同じように、この安全基準の半分である、今言われましたIs値の〇・三、これ未満ですと、危険性が高い、こうなっておりまして、退去勧告を出す危険度の高い建物が含まれているということでございまして、今回の調査結果でも、こうしたIs値が〇・三未満の建物を有する病院が百六十四病院、そして災害拠点病院でも三十六病院あるということでございまして、いつ退去勧告とか使用禁止命令が出てもおかしくないという状態が続いているわけでございます。  このIs値のデータに関しましては、大臣野党時代から強く求めてきた結果出てきたわけでございます。それであれば、この〇・三未満の百六十四病院、また災害拠点病院三十六病院、これを緊急に優先的に耐震補強ができるように大臣が率先して対応すべきでありますけれども、いつまでにやるんでしょうか。
  77. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今の御指摘のとおり、このIs値〇・三未満というのは震度六強の地震で倒壊のおそれが高いという、危険性の高いというものでございます。今回、今月の十日に内閣として発表いたしました緊急経済対策の予備費を活用する案件でも病院の耐震化というのが盛り込まれているところでございまして、この百六十ある中で、特に災害拠点病院等という中にはおっしゃっていただいたように三十六病院ございますので、これについては、基金を増額をして対応するわけでございますけれども、優先的に実施をしていきたいというふうに考えております。  これについては、補強工事のみでありますと一年、二年で、補強工事のみであると一定の工期というのはそれなりの長さだと聞いておりますけれども、建て替えも同時にやるとある程度の時間は掛かりますが、いずれにいたしましても、これはもう速やかにやっていくということで、九月十日の経済対策にも盛り込まさせていただいているところであります。
  78. 山本博司

    ○山本博司君 大変これは野党時代の長妻大臣の言っていることと今現状は一体どうなのかということを改めて感ずるわけですけれども、例えば二十一年の、去年の三月の厚生労働委員会では、厚労省は何も計画性がないと、今年が何棟、来年が何棟、いつごろ終了するのか、何もないじゃないか、ゼロですと、このように三月十一日に言われているわけです。翌月の四月の厚生労働委員会では、病院というのは八割が民間でございますけれども、災害が起こったときにこれは一番大事な拠点の一つになるわけでございますと、厚労省がきちっと責任を持って耐震改修計画を立案することを明言すべきだと、このようにおっしゃっているわけでございますけれども、今回、やっとその五百五十億ということがありますけれども、これは学校ということも入っております。病院はそのうちの幾らなんでしょうか。
  79. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) これは、今おっしゃっていただいたように、五百五十億という耐震の枠がございますけれども、病院以外のものも入っております。これについては省庁間で協議をして、私としてはこの中のできる限りの部分を病院の耐震補強に使っていきたいということで、まだ確定値は出ていないということであります。
  80. 山本博司

    ○山本博司君 大変これは大臣が、昨年からずっと言ってきたこのことに関しまして、人任せにしていると、官僚任せではないかというふうに今のお話を聞いてすごく実感をするわけでございます。  ちょうどこの二月四日の、昨年の予算委員会でも、政府のこうしたことに関しまして、非常に悠長で病院についてはいつ耐震補強工事が終わるか分からないことで、これは国民の命にかかわることでありますのでこういうのを前倒しにどんどんやると、二兆円のばらまきをやめて安心、安全を高めるためにどんどん使う、このように昨年の二月の予算委員会でも言われているわけです。  今年の一月の公表をしたときにでも、大臣は、あらゆる手段を使って目標を達成していきたいと、このようにも宣言をされているわけですから、確かに今の病院に関して、どう、じゃ、新たに移動をして入院の患者の方をどうするかということは当然分かっているわけですから、大臣がやはりリーダーシップを持ってそれをやり切るという、その決意が必要じゃないかと思いますけれども、もう一回、目標達成に向けての決意をお伺いしたいと思います。
  81. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) そういう決意があるからこそ、我々もこの予備費という、非常にある意味では機動性の高い予算の中で五百五十億という枠を確保して、その中ででき得る限りこの〇・三未満という病院に着目をして、しかも災害拠点病院ということで、これはもう災害が起こったときにその病院自体が倒壊をするということは絶対あってはならないわけでありますので、優先順位を決めて、そして実行を着実にしていくということで予備費の使用というのが決定をしたところであります。
  82. 山本博司

    ○山本博司君 大臣、是非、このことに関して一貫して言われてきたわけでございますから、是非、今、大臣になって具体的にできるわけですので、そのリーダーシップを発揮していただきたいと思います。  それでは、次の質問に移らさせていただきたいと思います。  障害者の施策に関しまして、障害基礎年金の認定基準の改正状況ということでお伺いをしたいと思います。  この障害基礎年金の障害認定に関しましては、この委員会でも取り上げさせていただきました。就労している事実のみで二級から三級になって障害者年金が支給されないというようなこと等ありました。この障害者は知的障害者だけじゃなくて、障害者全体に判断基準があいまいであるとか、なかなかその見直しの改定も、古い、昭和六十一年とか平成十四年以来大きな見直しがありません。また、平成十九年といいますか、この年金記録問題によりまして、こうした障害者のこの審査に回る方々とか、また具体的にそれを推進するということもずっと進んでいないわけです。  医療はどんどん技術が進んでおります。現状にそぐわない面もたくさん出ておりますけれども、そういう意味で、今一部改定の方向性ということでパブリックコメントを発表して検討を進めておりますけれども、その改正状況を御説明いただきたいと思います。
  83. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) 山本委員お答えを申し上げます。  この認定基準については計画的に見直しすることになっておりますが、現在、てんかん、ぜんそく、心疾患の認定基準については、御指摘のようにパブリックコメントを行っているところでありまして、十一月をめどに認定基準の改正を行う予定としております。また、今年度はHIVと知的障害についても見直しを行い、年度内をめどに結論を得たいと考えております。  また、今御指摘の障害年金の認定に時間が掛かっているということに関しましては、今年四月から担当職員を五十六人から九十七人に増員し、今年度中には今までから言っておりました三か月半以内とすることを、請求書を受理してから年金証書がお客様に届くまでの期間を三か月半以内にすることをサービススタンダードとして定めておりますが、それが達成できるように頑張ってまいりたいと思っております。
  84. 山本博司

    ○山本博司君 この障害者、一番そういう意味でいったら生活の糧になるわけでございますけれども、実際、今こうした審査が非常に遅れて、三か月半という基準、日本年金機構で請求から決定まで三か月半の基準が、昨年度、達成率わずか一割、今年度でも、最長、倍の七か月とか平均半年と、そういう意味で苦情がたくさん出るということで、生活費に困窮される障害の方々というのは、大変悲鳴のような声があるわけでございます。是非ともそうした弱い方々の立場に立ってお願いをしたいと思います。  そしてもう一つ、この障害者の認定基準ということで、この委員会でも取り上げましたけれども、高次脳機能障害とか、こういう障害のまだ認定基準に入っていない新たな病気とか、対応ということもやはり求められている部分がございます。こうした認定基準から外れますと年金ももらえませんし、大変、大変な状況がございます。そういうことも含めて、将来の検討に関しましてお伺いしたいと思います。
  85. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) 山本委員お答えを申し上げます。  今御指摘いただきました高次脳機能障害や、また化学物質過敏症のような新しい疾患についても、来年度以降の検討を予定しております。
  86. 山本博司

    ○山本博司君 是非とも、こうしたことに関しましてはなるべく早く、様々な疾病がございますのでよろしくお願い申し上げたいと思います。  以上でございます。
  87. 秋野公造

    ○秋野公造君 公明党の秋野公造でございます。私にとってはこの委員会、初めての質問となりますので、国民の皆様のお役に立てるよう質問してまいりたいと思います。  最初に、離島、へき地の医療、医師確保対策について伺います。  私、先月、山口代表、そして遠山衆議院議員と一緒に沖縄の離島である与那国島、そして南大東島、伊良部島、石垣島、宮古島、様々な離島の医療体制見てまいりました。そこで、九月九日の沖縄及び北方問題に関する特別委員会において離島、そしてへき地の深刻な医師不足の問題、訴えさせていただきました。離島の首長さんたちが一生懸命医師確保をなさっていますが、島の市町村がそれぞれ島の診療所の医師確保を行うのは非常に非効率であり、また困難が伴います。その解決のためにへき地支援機構や一部のへき地拠点病院がへき地の診療所に医師を派遣するための医師バンク、ドクタープール機能を持つことが重要であるとのお訴えをさせていただいたところ、前向きに予算獲得に取り組んでいただける旨の御回答をいただきました。  若い医師が集まりやすい、そして一定の医療レベルを確保することができる医療機関を派遣元として、派遣先の診療所まで含めたネットワークを派遣元の医療機関の定員と考える医師バンク、ドクタープールの機能は非常に重要であると考えております。その医師プールができる機能を持たせる医師バンク、ドクタープールの創設、そしてその予算獲得の満額の獲得について、改めて大臣の決意をお願いします。
  88. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 秋野委員におかれましては、この別の委員会でも今月、同趣旨の御質問をいただきましてありがとうございます。  我々としては、まずは実態把握ということで、大規模な必要医師数の実態調査というのを今実施をしておりまして、これ九月中、今月中に公表できると思っております。そこで見えてくる実際の科の偏在、地域の偏在の具体的な人数というのが出てまいりますので、それを是正しようということで、今おっしゃっていただいたドクタープール等の機能を担う地域医療支援センターというものを四十七都道府県に一つずつ設置をしたいということで、概算要求でも出させていただいているところであります。  これまでずっと言われていた懸案でございますので、しっかりとこの機能を使って日本の医療を立て直していきたいと考えております。
  89. 秋野公造

    ○秋野公造君 大臣、ドクタープール、医師バンク機能、どうしても重要であります。どうかよろしくお願いします。  続いて、障害者自立支援対策について伺います。  障害者の方が自立して社会で生きていかれることを支援する取組、非常に重要であると思っています。中でも、視覚障害者、全国で三十万人の方がいらっしゃいまして、中には九割の方が点字を読むことができません。そして、五千人の方が、毎年、糖尿病など様々な疾患のせいで視覚障害者になっていかれているという現状がございます。  こういった人たち、年金などのプライバシーの情報にもアクセスすることが困難な状況の中で、それを一つ解決するための手段、日本で解決をされました。(資料提示)今日、実際にその機械、お持ちをいたしましたけれども、音声情報をQRコードのような形でコード化した情報を、この携帯電話の中に入っているソフトで小さいこの情報を読み込むことができるようになりました。    〔理事森ゆうこ君退席、委員長着席〕  日本で開発されたこの技術を生かして、公明党は、年金の記録について、ねんきん定期便の封筒についてこの音声コードを載せることを提案をして、平成二十一年の四月に七千万人の加入者に配付をされたことは本当に視覚障害者にとって大きな勇気となったと私は思っています。大臣、次は、このねんきん定期便の内容について視覚障害者の方もアクセスすることができるようにこのコードを付けていくことだと思っています。  大臣のお考え、そして厚生労働省の取組、お聞かせください。
  90. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 関係各位の御尽力で、今現在、ねんきん定期便は、おっしゃっていただいたように、今封筒の表面に音声コードがございまして、これはねんきん定期便ですと、あるいは内容に対するお問い合わせは電話番号何番ですと、こういうようなことが情報として聞けるようになっているところでございます。  中身について、これも音声コード化しなければ意味がないんではないかと、確かに肝心の中身が一番重要でございます。  これにつきましては、来年中、遅くとも来年中には個人ごとの年金加入期間、加入期間に応じた年金額、保険料納付額を音声コード化して送付していくということを実現をしてまいる予定にしております。
  91. 秋野公造

    ○秋野公造君 ありがとうございます。来年中にできることを、本当に心強い答弁ありがとうございました。  そして、こういった障害者の方々を支援するための機器というものの開発というのは非常に経済ベースに合いません。ですから、行政の支援というものがどうしても必要なわけであります。昨年の補正予算でもこういったものを支援をさせていただいたおかげでこういったものができたわけでありますけれども、一方では、来年の七月の地上デジタル放送に対応したラジオなど、視覚障害者にとっての支援、そのための機器というのはもっともっと開発をしていかなくてはいけないと思っています。こういった流れを絶対に止めてはいけないと思っています。  公明党は、我が党がまとめた追加的な経済対策にこの内容を盛り込みましたが、せっかくこのように盛り上がってきたこの流れを絶対に止めないように、平成二十三年度以降どのように推進していくのか、厚生労働省のお考え、お聞かせください。
  92. 足立信也

    大臣政務官足立信也君) 委員が今御指摘された件につきましては、昨年度のこれは障害者自立支援機器等研究開発プロジェクト、これは十二テーマが選ばれておりますが、まさにこれは試作機の研究開発等、研究段階のもの、じゃ、二十二年度以降はどうやるかということにつきましては、これを実用化させていかなければいけないということで、当然、これを利用される方々は実用化に当たっては多様なニーズがあるのはもちろんでございますから、二十二年度予算では、障害者自立支援機器等開発促進事業と称しまして、当事者によるモニター評価、これをしっかりやっていこうということをまず今年度は取り組んでいるわけでございます。  更に申しますと、新成長戦略の中で、これは日本が持っている高い技術力、あるいは改良する力、開発力等も含めて、私は世界からも注目を集めている分野だと思います。  そうなった場合に、これを医療機器として扱うのか、あるいはJIS規格に合うものとして、というのは安全性等の評価がこれまた必要になってくると思います。  私どもは経済産業省と昨年からずっと共通のチームとしてこれは取り組んでおりまして、いかにその安全を担保しながら、しかも産業として使う方々のニーズに合ったものを開発していくかという取組を今後とも更に進めていきたいと、そのように思っております。
  93. 秋野公造

    ○秋野公造君 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。  次は、高齢者が安心して暮らせる住宅政策について伺いたいと思います。  都市部を中心に孤独死の問題など、高齢者が安心して暮らすことができる体制、大急ぎでつくっていかなくてはいけません。高齢者が安心できるサービスが付いた高齢者住宅の供給拡大というものが急務であると考えます。この課題に対して公明党ずっと取り組んでまいりまして、その結果、昨年の五月、高齢者の居住の安定確保に関する法律が改正されまして、国土交通省と厚生労働省の共同所管の法律に生まれ変わり、国や地方自治体においても住宅政策と福祉政策が融合する形で高齢者の住まいについての取組が開始されることになりました。  国土交通省の概算要求伺いますと、昨年の二倍ということで三百五十億円要求をされてくださっております。厚生労働省も国土交通省と力を合わせて、孤立化がある高齢者のために今後生活支援サービス付きの高齢者専用賃貸住宅を増やしていくことになるかと思いますが、事業者にも利用者にも魅力ある施設にしていかなくてはいけないと思っています。  施設・在宅サービスを所管する厚生労働省として、この高齢者専用賃貸住宅をどのように考えているのか。また、高齢者介護サービスの中でどのように位置付けていくのか。厚生労働省のお考え、お知らせください。
  94. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 私どもは、今回の概算要求の一つの要求のコンセプトといいますか、ねらいというのを、今までの保護型社会保障から参加型社会保障へということを申し上げております。  参加というのは、雇用へ、地域へ、在宅へ、そういう流れをつくっていくというのも一つであります。そして、在宅といったときに、今おっしゃっていただいた高齢者専用賃貸住宅、いわゆる高専賃という言葉がこれからどんどん表に出てくると思いますけれども、これは在宅の一つの大きなポイントになるというふうに考えております。  今まで縦割りだったということがありましたが、我々は厚生労働省そして国交省と一緒に、厚生労働省はソフトの部分をサポートしていくというようなことで、私も横浜市を国土交通大臣と一緒にこの前視察にお邪魔をしたところでございまして、この高専賃というものを充実をさせて、サービスも、一階にこれはいろいろ介護の事業所が入ったり、私が行ったところはクリニックも一階に入っていたんですけれども、そういうパッケージの施設をどんどん造っていく。これから福祉は、言うまでもありませんが町づくりと一体としてつくり上げていくと、こういうことが必要であるというふうに考えておりまして、特養の待機者の方の一定の方も、こちらの方が充実してくればこちらの方に来られる方もいるんではないかというふうにも考えているところであります。
  95. 秋野公造

    ○秋野公造君 大臣、おっしゃっていただいたとおり、せっかく建てていただいても魅力がなければ、途中でやめてしまうようなことになれば、また新たな介護難民というものが出てしまうと思います。どうかソフトの部分の充実をよろしくお願い申し上げます。  次に、若年者雇用対策について伺います。  先日、山口代表と、経済産業省が行うドリームマッチプロジェクトというイベント、参加をいたしました。新卒、既卒の若者と、そして中小企業とが出会う場所をつくり、説明を受けた後、気に入れば面接まで受けることができる取組でありました。私が行きました福岡でも二千名の学生、東京では三千名の学生、企業もたくさん参加をしておりました。  ネットで情報を取る若者にとって、ハローワークでの就職あっせんというのはどうもハードルが高いようであります。若年者の雇用を守るために、ハローワークでやっているあっせんだけではなく、若者がアクセスしやすい場所と時間で企業とマッチングさせる取組を行うべきである、昨年度よりももっと拡充させるべきであると私は考えておりますが、大臣の御見解、お知らせください。
  96. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) やはり実際に物理的に顔を合わせていくと。今本当にネット中心で情報というのが、あるいはエントリーシートもネットからメールでというようなことがありますので、厚生労働省としては、平成二十一年度は実際にマッチングというのを五百九十九回開催をいたしまして、それと、特に我々が申し上げて、介護就職デイということで、介護の現場はいまだに人手不足だということもございまして、それをハローワーク中心に四百二十二か所で開催をして、約一万人が参加をしていただいたということであります。  今年に入ってからも、四月から六月までの速報値ですが、六十六回開催をして、あとは地の利のいいところというお話で、六本木に六本木ジョブパークというのがございまして、そこで若い人中心に大規模な就職面接会を今年も七月六日から八日まで、九十六社参加していただいて開催をするということでありまして、そういう物理的にお会いをする出会いの場を一定程度つくっていくということはもうおっしゃるとおりだと思っております。
  97. 秋野公造

    ○秋野公造君 ありがとうございます。  最後に、多剤耐性菌について伺います。  私、発症している患者さんと保菌をしている患者さん、考え方を少し整理をして考える必要があるかと思っていますが、現時点で多剤耐性菌の保菌患者の監視状況について今どのように行っているかという質問と、この多剤耐性菌について一般国民にどのような影響があり、今後どのようなことに気を付けることがあるのか、国民向けのメッセージをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  98. 大谷泰夫

    政府参考人大谷泰夫君) 多剤耐性菌についてのお尋ねでありますけれども、現在の特に帝京大学病院に入院しておられる保菌患者さんの状態についてまずお答え申し上げますけれども、帝京大学病院によりますと、九月十日現在で七名の患者さんがこの多剤耐性アシネトバクター保菌者であるというふうに承知しております。  現在、これらの保菌者の方々、多剤耐性アシネトバクターを体内に保有しておられますものの、それを原因とした症状を起こしていないということから、その個々の病態に応じた原疾患の治療を行うとともに、多剤耐性アシネトバクターの保菌状況について継続的に検査を行い、状況を注視しているというふうに聞いております。  また、院内における感染拡大が起こらないように、保菌患者を特定の病棟に集めて、保菌患者を担当する医師、看護師の専従化を行うことにより厳重に管理を行っているふうに聞いておりますが、こういった取組についてさらに各全国の医療機関で徹底していただくよう進めてまいりたいと考えております。
  99. 川田龍平

    ○川田龍平君 みんなの党の川田龍平です。  先ほど藤井委員からも、今、秋野議員からも質問がありましたけれども多剤耐性菌の院内感染問題について質問いたしたいと思います。  まず、一連のこの多剤耐性菌院内感染問題に関連した感染事例の確認をしたいのですが、現在厚生労働省で把握している過去一年における報告事例数を教えてください。また、厚生労働省は、こうした院内感染発生事例について保健所等への報告を促していると聞きますが、多剤耐性菌に係る院内感染発生事例については報告義務があるのでしょうか。それについてもお答えください。
  100. 大谷泰夫

    政府参考人大谷泰夫君) 厚生労働省におきましては、毎年度、都道府県あてに、医療法第二十五条第一項の規定に基づく立入検査の実施についてという医政局長通知を発しておりまして、都道府県に対しまして、院内感染を含めた重大な医療事故について厚生労働省への情報提供を行うよう協力依頼を行っております。  現在のその報告の数でありますが、平成二十一年九月からこの二十二年の八月までの一年間では五件でありますが、直近で、この九月に入りましても帝京大学において二件が報告されているということでございます。  それから、その報告の義務でありますけれども、この院内感染につきましては、平成十九年の医政局長通知におきまして、院内感染が発生した場合には地域専門家等に相談が行われる体制の確保、これを通知しているところでありますが、必ずしも病院に対して行政機関へ通報を義務付けるということはしておらないところであります。
  101. 川田龍平

    ○川田龍平君 報告義務がないということは理解いたしました。  現在のところ、明確な報告基準のようなものが定められていないようですが、こうしたことは非常に重要なことであると思いますので、政府の策定するガイドラインなどで明確な指針を示すべきであると考えます。是非、こうした観点から、現行の感染症法を見直したり、院内感染予防のための法律などを整備するなどの政策を進めていくべきだと考えますが、院内感染防止ガイドラインに関連して質問いたします。  平成二十二年四月の診療報酬改定で感染防止対策加算というものが新設されたと聞きます。医科診療点数表によれば、専門教育を受けた看護師のうち専従職員を少なくとも一名配置し、感染防止対策の業務指針などを整備することなどが必要要件とされています。ここで示される業務指針というのは院内感染を防止するための生命線と考えますが、医科点数表の施設基準においても、最新のエビデンスに基づき、自施設の実情に合わせた標準予防策などを講じることとされていますが、政府考える最適な業務指針とはどういったものなのか、御答弁ください。  また、この業務指針が最適なものかどうかを検証する方法が準備されているかどうかも答弁していただきたいと思います。
  102. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今おっしゃっていただきましたように、初めて診療報酬の中で、今年の四月から入院初日百点ということで、感染防止対策加算という診療報酬を付けさせていただきました。  そこで、指針というのを作らなければならないわけでございますが、指針というのは、これは一つは当然その基本的な考え方、情報共有の考え方がきちっと明記をされなければならないということと、あるいは病院に院内感染対策のための委員会を設置をしていくということも必要になります。あるいは院内感染対策のための従事するすべての方に対する研修についての基本方針というのも明記をしていただく、あるいは発生状況が速やかに報告に載るような、そういう体制整備、あるいは実際、発生時にどういう対応をするのか、具体的な対応マニュアルのようなものについても整備をしていただく、そしてこういう指針が患者さんにも情報共有できるような、そういうような方針というようなことについて特に着目をしているところであります。  そして、これらについては、新たな科学的知見に基づいて、専門家の意見を踏まえながら、各医療機関において随時その内容を検討して、各医療機関の責任において改善を図っていくということが重要であるというふうに考えております。
  103. 川田龍平

    ○川田龍平君 次に、こうした院内感染事例の国の疫学調査のありなしについて教えてください。
  104. 足立信也

    大臣政務官足立信也君) 藤井議員との議論のところでもあったと思いますが、例えば報告というものとサーベイランスという、調べていくということは、やはり実態を把握して動向を確かめて今後の対策を練ると、私は目的はほぼ同じところにあるんだろうと。  そんな中で、今、実態をとらえるためのというふうに置き換えさせていただきますと、一つは、院内感染対策サーベイランス事業、これはJANISということで、先ほど議論ありました、八百四十七の医療機関、ここで様々な菌に対する調査をしているということが一点。それから二点目は、厚生労働省に依頼があった場合に、感染症研究所所属の専門家チームを派遣して調査、助言を行う実地疫学調査を行う、この主に二点が今の対応でございます。
  105. 川田龍平

    ○川田龍平君 是非、このサーベイランス事業を通して情報提供をして病院環境の改善を促すというのは重要な作業であると考えます。こういった事業にはきっちりと予算を付けてしっかりやっていただきたいというふうに思います。  疫学調査を通して根本原因を突き止めるなど、次の予防策を検討していくことは重要な政策だと考えます。その意味では、なるべく多くの事象に医学的な介入をしていくことは重要だと考えます。人的、物的な制限があることは十分承知していますが、まさに医科点数表でエビデンスに基づくと標榜しているように、まさにそのエビデンスを提供するためにも、疫学調査に取り組みやすい環境を整える必要があると考えています。その意味でも、限定された臨床現場だけではなく、広く日本の医療現場全体から情報を吸い上げられるようなシステムが構築されることを願っています。  臨床現場に万が一にも帝京大学の事例のような、隠ぺい体質とやゆされても仕方がないような慣習が残っているとすれば、疫学調査や科学的な検証に値するような事例であっても表面化することなく黙殺されてしまいます。まじめに院内感染防止に取り組んでいる多くの臨床医の方々にとって貴重な事例となるかもしれない事例なのに、一部の不心得な隠ぺい体質によってかき消されてしまうようなことになれば、医療界のためにもなりません。こうしたことが起きないような医療システムづくりを是非検討していただきたいというふうに思います。  さて、抗生剤の使用状況について確認したいのですが、欧州各国と比較して日本の抗生剤の使用頻度が高く、適正な使用を望む声が多いということも聞きます。使用頻度については、日本の平均余命が最も長く、一般論として、死因の多くが肺炎であることを考えれば、抗生剤へのアクセスが良いので長寿を誇っているなどと関連付けている論文も見えますので、軽々に抗生剤の使用量が多いので減らせという議論に持ち込むべきだと思っていません。ただ、一般論として、抗生剤の処方の方法論が適正であるかどうかということの議論の余地はあると考えています。  また、抗生剤を処方されたのに、服用コンプライアンスが低いために、病状が改善したという自己判断で服薬を中止し、実は病気が完治していないために再発して、また同じ抗生剤が処方されて多剤耐性菌を発生させるリスクを生んでいるという話も聞きます。  こうした状況を考えますと、多剤耐性菌を生まないためにも抗生剤の適正使用の在り方を検討しなければならないと考えますが、抗生剤の適正使用の在り方について、抗生剤の処方、服薬コンプライアンスなどの観点から、医師である足立務官に自身の経験も踏まえて政府の見解をお話しいただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
  106. 足立信也

    大臣政務官足立信也君) まず、多剤耐性菌というのは、これを防止する、絶対出ないようにするというのは不可能でございます。ですから、できるだけその発生を抑制するという考え方に立たなきゃいけないとまず思います。  ところで、WHOが八月二十日に加盟国に対して多剤耐性菌対策として四つの項目、これを挙げられました、推奨されました。  一番が薬剤耐性サーベイランス。これはもう委員おっしゃるように、これをしっかり取り組まなきゃいけないと思っています。また、足りないとも思っています。  二番目が抗菌薬の適正使用。これは、我が国では感染症学会や化学療法学会等でもう平成十七年に抗菌薬使用のガイドラインというものを作りまして、これはもう広く医療機関では、その方針に従ってできるだけ使わないようにというようなことがもう取り組まれているところです。  それから三番目、処方せんなく抗菌薬を販売することを中止。これは日本では処方せんなく抗菌薬を販売することはできませんので、これはもうやっております。  手指衛生などの感染防止策の遵守。これは日本にとっては、今後あるかもしれません新型インフルエンザ等においても公衆衛生対策あるいはその意識というのは極めて高いようになっておりますので、私は今十分やられているんだろうと思います。  それから、多剤耐性が院内感染になる場合のことですが、やはり現場対応が何よりも一番大切なことで、集団発生させない、そのために各病院においてはしっかりマニュアルを作って、指針を作っていただく、そのための手引というものを平成十九年に連絡をして、項目を挙げているところでございます。
  107. 川田龍平

    ○川田龍平君 それでは、抗ウイルス薬であるタミフルについても質問したいと思います。  お配りした資料の二の平成二十二年二月十四日付けの朝日新聞にありますように、タミフルを服用した患者さんから放出された代謝産物が下水などを経由して河川などに流れ出し、日本薬剤師会が耐性ウイルスの出現を懸念して調査を開始したとあります。  御承知のように、豚インフルエンザの流行によりまして日本におけるタミフルの使用量は急増しました。この豚インフルエンザによる急激なタミフル消費の置き土産と言ってもいいのがこのタミフルによる代謝産物であります。  朝日新聞の記事にもありますように、水鳥などが汚染された河川の水を摂取すると鳥の体内に潜むウイルスと接触して、このウイルスが突然変異をして感染力の強いウイルスになりかねないということが危惧されているのです。こうした指摘は、お配りした資料一にありますとおり、裏にありますとおりに、昨年の八月に読売新聞でも指摘されています。  この問題は多剤耐性菌への取組と同じ問題と認識していますが、これももろ刃の剣で難しいというのは十分承知しておりますが、豚インフルエンザのときもタミフルを使用したために日本の死亡事例が少なくて済んだという評価もあります。しかし、感染力の強いウイルスを生まないためにも、タミフルの適正使用のためのガイドラインが必要と考えるのですが、足立務官の見解はいかがでしょうか。
  108. 足立信也

    大臣政務官足立信也君) 今議員もおっしゃっていただきましたが、日本の新型インフルエンザの対策に対して、重症化する方あるいは亡くなられる方が非常に少なかった、この要因の一つとして、迅速なタミフル等の抗インフルエンザ薬の処方が一つの要因になっているのではないかということは言われておりますし、私どもが開いた検証会議でもそのように言われております。  そんな中で、やはり使い過ぎと、あるいは安易に使うということは医療者としては厳に慎むというのは当然のことでございまして、一つの提言として、平成二十二年、今年の一月に日本感染症学会が、新規薬剤を含めた抗インフルエンザ薬の使用適応についてという提言をまとめております。これを厚生労働省としてはどう取り扱っていくかという問題でございますけれども、現在のところ、この提言を踏まえながら対処の方法を考えていきたいと私自身は思っております。
  109. 川田龍平

    ○川田龍平君 このタミフルを処方された人が服用せずに廃棄しているという事例もあるようですから、本当に必要な人に必要な薬を提供するという観点から是非考えていただきたいと思います。  次に、介護分野における雇用対策について質問いたします。  緊急人材育成支援事業において介護分野の基金訓練が行われているほか、「働きながら資格をとる」介護雇用プログラムも実施されていますが、これらの事業の実績はどうなっていますか。また、介護雇用プログラムについては、ホームヘルパー二級、介護職員基礎研修、介護福祉士、それぞれ資格別の割合まで示してお示しください。時間がないので、短くお願いいたします。
  110. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) お答え申し上げます。  直近で把握しているところでは、基金訓練を始めた昨年七月から今年四月までに介護・福祉分野における訓練を修了した方の就職率は七六・三%。そして、介護雇用プログラムは平成二十一年十月の緊急雇用対策で創設したものでありますが、二十一年度の雇用者数実績は千百七十五人であり、二十二年度の雇用計画数は六月末時点で一万一千二十七人。そして、介護雇用プログラムの実績数千百七十五人のうち、介護福祉士の資格取得を目指す事業で雇用された方は百三十八人で、ホームヘルパー二級の資格取得を目指す事業で雇用された方は九百七十七人。平成二十二年度の雇用計画数一万一千二十七人のうち、介護福祉士の資格取得を目指す事業で雇用をされる見込みとなっている方は千九百十一人、ホームヘルパー二級の方の見込みは八千九百六十九人となっております。
  111. 川田龍平

    ○川田龍平君 もう質問の時間がないですのでまとめますが、介護人材のすそ野を広くするという意味でヘルパー二級を増やすのもいいのですが、介護事業者のニーズからして、介護福祉士あるいはサービス提供責任者になれる介護職員基礎研修修了者など、より訓練が積まれた人材が欲しいとの声もあります。基金訓練や介護雇用プログラムではヘルパー二級の研修が多く、介護職員基礎研修や介護福祉士のプログラムがまだ少ないからマッチングがうまくいかないのではないでしょうか。  これは介護の能力開発や就職支援全般の話としても言えますが、国として専門性が高いスキルの高い介護福祉士をたくさん養成し、離職率が高い介護職に未経験者でも正規雇用で長期間働けるようにしていくという方針があるんでしょうか。  また、介護福祉士の受験資格や専門学校卒業による取得の要件の変更方針が二〇〇七年に出て、介護現場からの声で今年八月に変更を延期する方針に変わるなど、国の方針が明確に見えません。その結果、介護職として長く働いていく中でのキャリアパスが見えにくくなり、介護現場や介護分野に就職した人の間でもどこに目標を設定して資格取得やスキルアップをしていくべきか明確な指針を見出せない状況です。いったん……(発言する者あり)はい。いったん現場に入れば、更なるスキルアップや資格取得の時間が取れない、過酷な労働条件であることが多いために、初めから高度な資格を取った方がよいのかなど、介護業界未経験者にとっては不安な要素が残ったままです。  今後、どのようなレベルの人材をいつまでにどれくらい養成していくのか、明確な国の指針をやっぱり示してほしいと思いますが、いかがでしょうか。済みません。(発言する者あり)
  112. 柳田稔

    委員長柳田稔君) お答えは簡潔に願います。
  113. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) 御質問ありがとうございます。  川田議員御指摘のように、介護職員の不足は深刻でありまして、基金訓練の中でも非常に人気の高い分野でありますので、この基金訓練のコースを増やしております。  さらに、現場では、御指摘のように、やはりより専門性の高い、また現場経験のある人を雇いたいということで、ただ単に介護職員を雇いたいということではありませんので、その専門性が向上するように取り組んでまいりたいというふうに考えております。  やはり賃金が安いということもありますが、一生の仕事として働いていけるように精いっぱい待遇改善に取り組んでまいります。
  114. 田村智子

    ○田村智子君 日本共産党の田村智子です。  今日はまず、医療費の負担軽減についてお聞きをいたします。  国民健康保険法第四十四条は医療費本人負担の減額、免除について定めていますが、この制度の活用は一部の自治体にとどまってきました。昨年度、モデル事業として三十自治体で取り組まれ、この結果を踏まえて、国としても減免の新たな基準を保険局長通知で示そうとしています。この間、医療関係者の皆さんからも、経済的な理由による治療の中断や受診を控えてしまう患者さんが増えていると度々指摘されてきました。また、医療費の支払のために借金を抱えてしまうという方々も多数おられます。こうした問題を解決できるように四十四条減免を運用しなければなりません。  モデル事業では、国からは次の基準が示されました。一つに協力医療機関での入院治療、二つに災害、廃業、失業などによる収入の著しい減少、三つ目に生活保護基準以下の収入でかつ預貯金が生活保護基準の三か月以内、このすべてを満たす世帯を減額、免除の対象とするというものです。  収入が激変した際の医療費減免は当然ですが、今、非正規労働者が増え、中小業者も十年以上にわたる不況の波に耐えています。恒常的に収入が少ないという世帯が増え続けているのが実態です。こうした方々も減免の対象とすべきではありませんか。
  115. 足立信也

    大臣政務官足立信也君) 国民健康保険法第四十四条のところでございますけれども、私も野党時代、むしろこれは未収金対策というもので、保険者が機能していないのではないかということで質問させていただいたことがございます。  今の御質問についてですが、厚生労働省としては近々に、できれば今日中にその基準というものを定めたいと思っておりますけれども、今委員がおっしゃられた三つのことがございましたが、恒常的な低所得者対象とすべきではないかということにつきまして、これは生活保護の関係あるいは福祉的意味合いが非常に強くなってくる、それが医療保険での自己負担分の減免ということとどの程度、あるいはどういう意味合いの分け方が可能なのか等々、私はいろいろ問題があるのではないかと、そのように思います。簡単に言いますと、福祉的意味合いも非常に強くなってくる、医療保険の中での扱いだけでは済まない部分ができてくるのではないかと、そのようにとらえております。
  116. 田村智子

    ○田村智子君 医療保険での対応も必要だと思います。  既に、減免制度実施している自治体では、収入基準も生活保護の一一〇%から一三〇%にしていたり、入院だけでなく通院にも適用できるなどしています。自治体の判断で国の基準をより拡充できると、厚生労働省の通知でもこのことを明確にしてほしいと思いますし、当然、国の基準がこうだからと自治体に基準の引下げを強要するようなことがあってはならないと考えていますが、いかがですか。
  117. 足立信也

    大臣政務官足立信也君) 先ほど委員がお示しになられた三つの要件がありますけれども、これはまあ一つの、今のところは決定ではないということをもう一度重ねて申し上げます。  その中で、これに今までやっているし、取り組まれている市町村がここまで下げてくるというようなことはやはり望ましいことではないと思いますし、しかしながら市町村の自主性というものもやはり担保しなければならない。やっぱり、国の基準というものはそんな中でも最低限これぐらいはという感じの表現でございますので、それ、上積みの部分といいますかね、もっと市町村がやられるということについては、私はそれは望ましい部分があるのではないかと、そのようにとらえております。
  118. 田村智子

    ○田村智子君 これまで医療費の減額、免除が広がらなかった大きな要因は、財政的な裏付けが明確でなかったということがあると思います。モデル事業では、減免した医療費の二分の一は特別調整交付金で国が補助をしています。この財政措置はこれからも続けていくと確認してよろしいですね。
  119. 足立信也

    大臣政務官足立信也君) 私どもとしては、基準を定めた以上、そしてそういう方々を何としてもそれが原因で医療が受けられないことのない事態にしたいということでございますから、減免額の二分の一の特別調整交付金、今後も補てんしていくという予定でおります。
  120. 田村智子

    ○田村智子君 次に、熱中症対策についてお聞きします。  消防庁のまとめによれば、七、八月、熱中症によって四万五千九百四十九人が救急搬送されています。そのうち、既に死亡していた方が百五十八人、昨年の三か月間の約十倍に上ります。こうした事態に厚生労働省はどのような対策を取ってこられましたか。
  121. 足立信也

    大臣政務官足立信也君) 御案内のように、この熱中症対策というものは、主に取り組まれているところは環境省を中心として関係省庁が連携を取り合いながらやっていくということでございまして、昨年、熱中症環境保健マニュアル二〇〇九というようなことも出しているわけです。  じゃ、厚生労働省としてはどんな取組かと申しますと、大きく分けるとやっぱり三つございます。国民全体に対する熱中症に対する理解を深めていただくこと。それから、地域においては保健所を中心に健康相談を行うために最新情報を保健所等が配信していただく、情報を提供していただくというようなこと。それからもう一つは、やっぱり職場の中での、異常な高温下ということも十分職場の中であり得るわけでございますので、職場における、都道府県の労働局に対して的確な指導の指示や業界団体に対する取組の徹底を要請するというような、この主に三点が厚生労働省の取組です。  そしてさらに、この九月三日、非常に残暑が厳しい中で、特にお年寄りの熱中症にかかりやすい方に対して予防等に対して再度注意喚起をするというようなことを自治体に対して事務連絡をしたところでございます。
  122. 田村智子

    ○田村智子君 予防法の周知だけではこういう被害を防ぐことはできません。事態はもっと深刻です。  共産党東京都議団の調べでは、熱中症による住居内での死亡者、九月六日までに二十三区で百三十人、そのうち分かっているだけでも五十五人の方がクーラーを持っていませんでした。  七月、東京豊島区で四十八歳の男性がクーラーも扇風機もない部屋で死亡した状態で発見されました。救急隊員が体温を測ると、死亡後数時間たっていたのに体温は四十度、意識がもうろうとしていたのか、携帯電話には番号にならない数字の発信記録が残っていたと新聞報道されています。この方は野宿生活から自立して清掃の仕事を頑張っていた、そういう方が暑さで命を落としてしまう。今年が特別に暑かったで終わらせるわけにはいきません。  経済的な事情でクーラーがない、壊れても買換えができない、この場合にどのような支援策がありますか。
  123. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) お答え申し上げます。  全国の都道府県の社会福祉協議会が低所得者向けに生活福祉資金貸付制度というのを行っております。この制度におきましても、低所得者世帯が日常生活を送る上で一時的に必要と認められる経費も貸付対象とされているところでありまして、今年の夏のように猛暑が長期にわたり続いている状況を考えると、エアコン等冷房機器の購入や修理に伴う一時的出費も、地域によっては日常生活を送る上で一時的に必要な経費と認められ貸付対象経費となるものでございます。
  124. 田村智子

    ○田村智子君 その制度が本当に知られていないんです。是非危機感を持って周知してください。また、返済は月々千円とか二千円ぐらいでよいとか、柔軟な対応をするよう各自治体周知していただきたいと思います。  同時に、新たな支援策が必要ではないか、この検討をしていただきたいんです。その一つは、生活保護の夏季加算です。クーラーがあっても電気代が心配でつけられないという方が多数おられます。例えば、昼間はヘルパーさんがいる一時間だけヘルパーさんに申し訳ないからクーラーをつけた、あとは夜寝る前の二時間ぐらい、電気代は六月の二倍以上で五千円を超えてしまった、食費を削るしかないのかと気が重くなるという方がいました。電気代が心配でクーラーの設定温度は三十度という方もおられました。  暖房費がかさむ冬には冬季手当があるように、夏季手当を創設してほしいという要望も寄せられていますが、いかがでしょうか。
  125. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今、厚生労働省の中にはナショナルミニマム研究会というのを政権交代後設置をいたしまして、国家が保障すべき最低限度の生活というのはどういうものなのか、いろいろなデータを公表して施策を打っております。  その議論の中で、今おっしゃっていただいたことについて二点をきちっと把握をして、どういうナショナルミニマムが必要か一度検討していきたいと思っております。その一つは、実際の夏の電力消費がどういう形に増加をしていくのかということを再度きちっと把握をしていこう、あるいは生活保護の世帯の方々のクーラーの保有率というのも正確にきちっと捕捉、把握をしていこうということを実行をしようというふうに考えているところでございます。そしてその後、全体の生活保護の在り方について、これは、冬季加算というのは今あるわけでありますので、そことの関連性も含めて検討をしていきたいというふうに考えております。
  126. 田村智子

    ○田村智子君 是非、低所得者同士を比べて結果を出すようなことはやめてほしい、本当に一般世帯の中での夏季の電力消費がどうなのかということも含めて検討していただきたいと思います。  生活保護の皆さんも、今でもおふろは三日に一回とか、食事は一日に二回しか取らないとか、そのおかずも納豆だけとか、もう限界まで生活費を切り詰めておられる方がおられますので、これ以上電気代のために節約しろというような冷たい方向が出ないようしていただきたいと思います。  ヨーロッパでは、二〇〇三年に猛暑に襲われ多数の死者を出してしまいました。その後すぐに低所得世帯の実態調査が行われ、クーラーの支給などの対策も取られました。  日本でも各地で自治体医療機関などが独自の対策に乗り出しています。大阪府吹田市では、今年八月、四か所の消防署で会議室を二十四時間利用できる熱中症シェルターとしました。医療機関や介護事業者の皆さんも独自に心配な高齢者を訪問して、場合によっては病院の待合室で涼んでもらったり水を配ったりと、懸命の努力をしています。  厚生労働省としても、従来のやり方を超えた対策が必要です。熱中症シェルターの設置や訪問活動など、国としての財政的な支援も行って対策を講ずるべきではないでしょうか。
  127. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今御指摘いただいたこの熱中症防止シェルター、まあ避難所でありますけれども、今環境省が指針を検討している最中でございまして、地域における活用などについて、それを受けて厚生労働省としても可能な協力をしていきたいというふうに考えておりまして、重要性は認識をしております。
  128. 田村智子

    ○田村智子君 これで終わりますが、その環境省では、公的な住宅ではクーラーの設置を義務付けることも必要ではないかと、こういう検討も行われていますので、今大臣答弁あったように、是非、夏季加算であるとか、あるいは低所得の方への見舞金、一時金など、是非踏み込んだ検討をしていただきたいと思います。終日三十度を超える日が続く中、クーラーもない部屋で耐えるしかないと、クーラー購入や電気代の支援もないと、これが今年の夏でした。涼しい場所の提供も含めて、是非これ続けていっていただきたいと思います。  私も、この質問を準備するに当たりまして、短い期間でしたけれども、実際に低所得の方々がどんなふうに夏を過ごされたかということでお聞きをしました。ある方は、もう人工透析を受けていて水分を取ることを制限されていると、それでもクーラーのない部屋に住まわれていると、これ九十歳の方なんです。こういう方に貸付金でお金借りてくれっていうふうに言えるのかということが今問われていると思うんですね。もう胸がつぶれるような現実が日本の社会に本当に広がってきています。政治の貧困が国民の貧困を広げてしまうと、こういうことが起こることは断じて許されません。  是非、今後も、地球温暖化に伴って、今年のような夏の暑さというのがこれで終わるわけではないと思います。これからは熱中症による死亡者は一人も出さないんだと、そのための新たな対策を強く求めて、質問を終わります。
  129. 柳田稔

    委員長柳田稔君) お答えはいいですか。
  130. 田村智子

    ○田村智子君 はい、いいです。
  131. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  まず冒頭、これは通告をしてなくて済みませんが、世界自殺予防デーに長妻大臣菅総理と一緒に、お父さん、眠れてますかというキャンペーンでチラシを配られたということが報道されています。  厚生労働省として、自殺対策、うつ病対策などを始めていらっしゃいますが、厚生労働省としての決意をお願いいたします。
  132. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今御紹介いただきましたけれども、こういう「眠れてますか?二週間以上続く不眠はうつのサイン」という、こういうバッジをして、朝、ティッシュペーパーを、この文言が入ったティッシュペーパーを配り、菅総理も激励に来ていただいたということでございます。  これは、福島みずほ党首も大臣時代から自殺対策取り組まれておりまして、政権交代後、この政権は自殺対策に何よりも熱心に取り組んでいる政権だというふうに自負をしておりまして、やはり、日本は十五歳から三十四歳までの若者の死因のトップが自殺であると、人口に占める、人口の対自殺率も若者は非常に高いということでございまして、何とか是正をしていこうということで取り組んでおります。  厚生労働省としても、アウトリーチということで、うつの方などの御自宅に、チームで御自宅に訪問をして相談に乗る、そういう事業を始める予定にしておりますし、あるいはメンタルヘルスということで、企業の健康診断等にもこのメンタルヘルスの部分をプライバシーを保護する工夫をしながら導入するなど、全力でこの対策に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  133. 福島みずほ

    福島みずほ君 自殺対策について、今政治が動くことが求められていますので、是非厚生労働省としてもよろしくお願いします。  有期労働について質問をいたします。  今、働く現場では細切れ契約で何年間も働き続けている人がいます。この方々は正社員に比べて賃金や労働条件で格差があり、いつ雇い止めになるかという不安定な雇用を強いられています。  二〇〇八年三月の予算委員会で当時の舛添大臣は、ディーセントワークとは直接雇用、常用雇用を前提としていると答弁しました。長妻大臣も有期雇用よりも期間の定めのない雇用が必要、重要と考えていらっしゃるでしょうか。
  134. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 雇用情勢が厳しい中、有期雇用契約も雇用機会を得るという意味では一定の役割を果たしているというふうには考えております。ただ、なるべく多くの方がいわゆる正社員に移行できるような環境整備が必要だというのは、これはもう言うまでもなく我々もそれに向けて努力をしなければいけないというふうに認識しております。
  135. 福島みずほ

    福島みずほ君 有期契約法制の見直しが、なぜ労政審の審議期間が来年一年間に延びたのか、その理由は何でしょうか。
  136. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) これも、こういう御質問をいただくんで経緯をちょっと調べてみましたけれども、これ延びたということはございませんで、当初からそのスケジュールで進めさせていただいておりまして、先週の金曜日に有期労働契約研究会の報告書を公表したということで、スケジュールに沿って我々としてはきちっとまとめていきたいと思っております。
  137. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党は、派遣法そして期間の定めのある契約などの非正規雇用について労働法制上きちっともう一回規制をすべきだというふうに考えています。さっきディーセントワーク、直接無期雇用について、それがふさわしいということであれば、長期的、恒常的な業務への有期労働契約、あっ、ちょっと言い直します、済みません。直接無期契約が原則であるとすれば、有期契約というのは入口規制と出口規制の両方しなければならない、出口の解雇権の濫用あるいは雇い止めについての規制も必要ですが、入口の規制についてもこれはすべきでないかというふうに考えますけれども、それはいかがでしょうか。
  138. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) この有期労働契約を考えていくというのは、ある意味ではこれは労働法制、日本の現状をかんがみますと、一つの本丸中の本丸の議論ではないかというふうにも思っております。その中で、入口規制とか出口規制とか、いろんなこれ考え方がございますけれども、報告書でも一定の考え方を示させていただいております。  これについて、一概に入口で厳しく規制をしてしまうといろいろなこれ影響も考えられますので、この報告書を基に、今後関係者を含めたきちっとした議論をいただいて決定をしていくということで取り組んでいきたいと思います。
  139. 福島みずほ

    福島みずほ君 かつて民主党、社民党、国民新党が野党であった時代に、期間の定めのある契約については極めて専門的なものにある程度限定するという法案を出したこともあります。是非よろしくお願いいたします。  次に、児童虐待についてお聞きをします。  八月六日に開かれたこの厚生労働委員会において、四十八時間以内直接目視による安全確認を何とか義務付けるようなことはできないかと質問しました。これに対して素早く反応していただき、全国児童相談所長会議においてその徹底をし、八月十八日付けで改めて通知を出していただきました。この対応には感謝をしております。  この全国児童相談所長会議では懇談の時間もあったようですが、四十八時間以内に直接目視による安全確認の実施については異論があったんでしょうか。どういう議論があったか教えてください。
  140. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今おっしゃっていただいた全国の児童相談所の所長さんに東京に集まっていただいて、いろいろな議論をいたしました。その後、主要な所長さんに集まっていただいて、私自身がかなりの時間、個別に御意見を伺うというようなことをさせていただきました。そこでいただいた宿題をまた打ち返していくということで、今省内でも鋭意準備をしておりますけれども、やはりその四十八時間の目視ということについては、それぞれの所長さんはきちっとやっていきたいというようなお話をいただいたというふうに私は理解をしております。ただ、そのときに、やはりその人手の問題や予算の問題あるいは個人情報保護の問題などいろいろな課題も出てまいりましたので、それについては我々一つ一つ取り組んでまいりたいというふうにお答えを申し上げたところであります。
  141. 福島みずほ

    福島みずほ君 四十八時間以内に必ず目視をすれば、やはり例えば今回の大阪市の西区の事件のようなことは起こらなかったわけで、それを徹底してくださるようお願いいたします。  ところで、大阪市西区で起こった児童死亡事件について、厚生労働省は省独自で検証を行っているんでしょうか。例えば、あのマンションは分譲で、その分譲の所有者がだれかというのは、厚生労働省、把握していらっしゃるでしょうか。
  142. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 実際大阪市の西区で起こった死亡事件でございますけれども、これについては、法律、児童虐待防止法に基づく外部有識者による分析という法に基づくものについては今大阪市で実施をされているということであります。  厚生労働省においては、児童虐待等要保護事案の検証に関する専門委員会で検証をするという仕組みになっておりまして、この事案のみならず、全国で安全確認ができていない事例、あるいは安全確認が困難であったが様々な工夫により安全確認ができた事例について全国から集約をしておりまして、これも九月中に、ある意味ではこれまでの棚卸しというか全部のスクリーニングということで、九月中に発表できるというふうに考えております。
  143. 福島みずほ

    福島みずほ君 大阪市で今検証が行われており、十一月末に報告が上がるということでよろしいですか。
  144. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 大阪市が検証をしておりまして、今聞いておりますのは、まあ予定でありますけれども、十一月末に検証結果が報告になるというふうに聞いております。
  145. 福島みずほ

    福島みずほ君 私は、十一月末では遅いと思うんですね。もうこれは、七月の末にこの問題が起きて、八、九、十、十一で、ほとぼりが冷めるのを待つというわけではないでしょうし、きちっとした調査をしようと思っていらっしゃるとは思いますが、やっぱり余りに遅いんです。  それから、この間、厚生労働省と話をしていて、児童虐待について前向きに努力をしようという熱意は、それは理解をしています。しかし、何かが足りない。その何かというのは、どうも厚生労働省は、児童虐待の問題は本質的には児童相談所であり大阪市の問題、市の問題、自治体の問題だと思っていらっしゃるんじゃないか。  そうではなくて、この大阪市の事件は、これは子供たちを大人たちがもう本当に殺してしまったという事件だと思うんですね。政治が殺したかもしれない。だとすれば、何が本当にこの事件は経過も含めてどうで、何をどうすれば可能だったのか、事実のきちっとした調査も含めて厚生労働省が身を乗り出してやるべきじゃないでしょうか。大阪市の調査が万々が一いいかげんで、十一月末にようやく報告書が出てきて、それからというのじゃ駄目ですよ。できればこの委員会に大阪市が来ていただいてきちっと議論をするとか、私たち自身も視察をするとか、やっぱりこの事件をきちっとした教訓にすべきであると。  私はこの事件、いろいろ説明を聞きましたが、やっぱり本当はどうだったの。例えば分譲の、ここは分譲ですから、所有者が明確にきちっと把握すれば、例えばそのお店が所有者かもしれない、そこにいったん連絡をすれば、じゃ、だれだれさんがそこですよと言われてそこから行けたかもしれない。じゃ、両隣の人はどういう人なのか。通報を何回もした人は、匿名で結構ですが、どういう事情を知っていたのか。子供たちを見た人はいるのか。近所の聞き込みはなぜやれなかったのか。それをやっぱり知りたいんですよ、私もやっぱり知りたいんです。  だとすれば、大阪市が十一月末に発表します、それを待ちますではなくて、厚労省が、これ児童相談所、市の自治体の問題じゃない、厚労省自身が児童虐待をゼロにするんだ、そう思って身を乗り出して調査をしていただけないでしょうか。いかがですか。
  146. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 私どももそういう思いで今調査をしているところでございまして、その意味で、大阪市のみならず、徹底的にこういう似たような事案、つまり安全確認がいろいろな壁があってできないという事例が今もってどのぐらいあるのか、あるいはその壁を乗り越えて安全確認ができたある意味では成功事例というのがどういう手法でそれがなされたのか、これをあの事件の直後に全国の自治体にお願いをして、今集約をしてやり取りもしているところで、それについて今月中にきちっと正式に皆様に報告をして、そして一定の対処方針も出させていただこうと思っております。  その意味では、大阪市の報告を待ってということではございませんで、そういうところについても進めているということでありますし、あるいは、この総理大臣を本部長とした全閣僚の構成される子ども・若年育成支援推進本部というのも、御存じだと思いますが内閣に設置をしておりまして、そこでも児童虐待防止策ということを議論をして実施を図っていくということにしております。
  147. 福島みずほ

    福島みずほ君 ただ、厚労省からいただく資料は新聞報道でされたものやその程度なんです。お願いしたいのは、全国のいろんなケースを集めていただく、それは分かっているんです。ただ、この大阪市の事件について大阪市に任せるのではなくて、厚労省自身がやっぱりきちっとやってもらいたい、調査をしてもらいたい。ナショナルミニマムということで、ナショナルミニマムの確保という点からも厚労省がもっと身を乗り出していただきたいというふうに要望します。  総務省に来ていただいていますので、八月六日の参議院厚生労働委員会で渡辺副大臣は、命を救う予算の中で我々は今取り組んで、必ずそれを予算化したいと答弁をしてくださいました。概算要求が行われましたが、総務省は自治体職員が児童虐待に専門的知識を得るための研修にどれだけ予算要求していらっしゃるでしょうか。
  148. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 今現実にこの額というふうにはちょっとお答えをできませんけれども、先般の委員質問を受けまして、年度内に既存の自治体研修、これも含めて四回行います。そして、もう十月には自治大学校でカリキュラムを変更して児童虐待の講義を始めることにいたします。また、十二月には緊急のセミナーも行います。そして、二月一日から四日までも児童虐待対応の研修を行います。年度内に四回行います。  今、年内におきましてはとにかく既存の中身の組替えでやってまいりますけれども、今政府が危機感とスピード感を持ってこの児童虐待に取り組んでいるということを自治体に年度内に共有をしていただいて、自治体がこれは本当に各自治体が本気で取り組む大変な問題だということで認識を一緒に共有していただいて、その方針については声を聞きながら年末の予算編成の中で必ず実現をしていきたい、そういうふうに、現実のところまでしか御答弁できませんが、いずれにしても、先般の委員の指摘を受けまして、総務省として、カリキュラム変更等で自治体皆さんにこの問題を危機感とスピード感を持って当たっていただくように政府としての方針を示したところでございます。
  149. 福島みずほ

    福島みずほ君 終わります。
  150. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時十九分散会