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2010-09-28 第175回国会 参議院 外交防衛委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年九月二十八日(火曜日)    午前十時五分開会     ─────────────    委員異動  九月九日     辞任         補欠選任      大野 元裕君     大石 尚子君      猪口 邦子君     岡田 直樹君      石川 博崇君     山口那津男君  九月二十七日     辞任         補欠選任      山口那津男君     石川 博崇君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田中 直紀君     理 事                 佐藤 公治君                 山根 隆治君                 佐藤 正久君                 山本 一太君                 山本 香苗君     委 員                 大石 尚子君                 北澤 俊美君                 斎藤 嘉隆君                 榛葉賀津也君                 徳永 久志君                 福山 哲郎君                 大家 敏志君                 岡田 直樹君                 岸  信夫君                 島尻安伊子君                 西田 昌司君                 石川 博崇君                 小熊 慎司君                 舛添 要一君                 山内 徳信君    国務大臣        外務大臣     前原 誠司君        防衛大臣     北澤 俊美君    内閣官房長官        内閣官房長官  福山 哲郎君    副大臣        法務副大臣    小川 敏夫君        外務大臣    伴野  豊君        外務大臣    松本 剛明君        国土交通大臣  三井 辨雄君        防衛大臣    安住  淳君    大臣政務官        外務大臣政務官  徳永 久志君        外務大臣政務官  菊田真紀子君        外務大臣政務官  山花 郁夫君        防衛大臣政務官  松本 大輔君        防衛大臣政務官  広田  一君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        法務省刑事局長  西川 克行君        海上保安庁長官  鈴木 久泰君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (尖閣諸島周辺領海内における我が国巡視船と  中国漁船との接触事案に関する件)  (中国で拘束されている邦人安全確保に関す  る件)  (沖縄県に対する基地負担軽減策に関する件)  (普天間飛行場への米軍機飛来に関する件)  (国際開発連帯税の導入に関する件)     ─────────────
  2. 田中直紀

    委員長田中直紀君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、猪口邦子君及び大野元裕君が委員辞任され、その補欠として岡田直樹君及び大石尚子君が選任されました。     ─────────────
  3. 田中直紀

    委員長田中直紀君) この際、国務大臣、副大臣及び大臣政務官から発言を求められておりますので、順次これを許します。前原外務大臣
  4. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) おはようございます。今般、外務大臣に就任しました前原誠司でございます。  外交防衛委員会の開催に当たり、謹んでごあいさつを申し上げます。  私は、外交の究極の目的国益を追求し、高めることだと考えております。そうした目的を達成する際に前提となる我が国自身安全保障体制を強化するとともに、これを盤石にすべく日米同盟の一層の深化に努めてまいります。  また、国益追求のために、周辺諸国などと連携をし、その中で経済を活性化すべきであるとの視点に立ち、我が国の発展につなげるための経済外交を中心に進めてまいります。  田中委員長を始め委員各位の御支援と御協力を心からお願い申し上げます。
  5. 田中直紀

  6. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 皆さん、おはようございます。この度、重ねて防衛大臣拝命をいたしました北澤俊美でございます。  防衛大臣の職に就いてから約一年を経過したわけでありますが、振り返ってみますと、韓国哨戒艦沈没事件など、様々な事案が発生いたしました。とりわけ、東シナ海等における安全保障環境が必ずしも安定したものでないと認識しているところであり、警戒監視活動を始めとした自衛隊任務に万全を期してまいる所存であります。  また、ハイチやパキスタンにおいて大規模な災害が発生しました。我が国自衛隊の部隊を迅速に派遣し、現在も現地の一日も早い復興に向けて全力で取り組んでおります。今後とも、国際社会の平和と安定を支える一員として国際平和協力活動等に積極的に取り組んでまいります。  そして、本年は、防衛計画大綱見直し日米安保改定五十周年を踏まえた日米同盟深化普天間飛行場移設返還を始めとした在日米軍再編等安全保障重要課題山積をしております。  菅総理の下、閣内での連携を更に深めながら、スピード感を持ってこれらの政策課題全力で取り組んでまいる所存であります。  田中委員長を始め委員各位におかれましては、一層の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いをいたします。
  7. 田中直紀

  8. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) おはようございます。外務大臣に就任いたしました松本剛明でございます。  大臣の、我が国国益を追求し、周辺諸国連携し、経済外交を推進するとの方針に基づきまして、大臣を補佐し、直面する外交課題全力で取り組んでまいる決意でございます。  担当北米中南米アフリカ諸国安全保障軍縮・不拡散経済外交でございます。海外への情報発信文化外交にも取り組んでまいります。  田中委員長を始め委員各位の御支援、御協力賜りますようによろしくお願いを申し上げます。
  9. 田中直紀

  10. 伴野豊

    ○副大臣伴野豊君) おはようございます。外務大臣に同じく就任いたしました伴野豊でございます。  申し上げるまでもなく、外交課題山積しております。大臣を補佐し、国益をしっかりと見据えながら一つ一つ誠意と情熱を持って全力で取り組んでまいりたいと思っております。  特に、担当アジア太平洋南部アジア、欧州、中東諸国との関係強化に努めるとともに、ODAを活用した国際協力や、環境気候変動などの地球規模課題への取組を進めてまいります。海外における日本人の保護にも努めてまいります。  田中委員長を始め委員各位の御支援と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
  11. 田中直紀

  12. 安住淳

    ○副大臣安住淳君) 防衛大臣安住淳でございます。  現在、防衛省においては、防衛計画大綱見直し普天間飛行場移設返還を始めとした在日米軍再編ソマリア沖海賊対処など、重要課題山積しております。今後、両政務官協力を得ながら、副大臣として全身全霊をもって北澤大臣を補佐してまいる所存でございます。  田中委員長を始め各委員におかれましては、御指導、御鞭撻賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
  13. 田中直紀

  14. 菊田真紀子

    大臣政務官菊田真紀子君) おはようございます。外務大臣政務官に就任をいたしました菊田真紀子でございます。  国民の期待にこたえる外交を実現するために、政務三役が一体となって様々な外交課題誠意を持って対応してまいります。特に、担当であるアジア大洋州や南部アジアアフリカ諸国との関係を強化してまいります。また、経済外交に力を注いでまいります。  田中委員長を始め委員各位の御支援と御協力をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
  15. 田中直紀

  16. 山花郁夫

    大臣政務官山花郁夫君) おはようございます。外務大臣政務官に就任いたしました山花郁夫でございます。  国民のためになる外交を実現するために、前原大臣の下で一丸となって山積する外交課題にしっかりと取り組んでまいります。特に、担当である中南米北米諸国との関係強化に努めるとともに、人権、人道に関する問題や、ODAを活用した国際協力環境等地球規模の問題に取り組みます。  田中委員長を始め委員各位の御支援と御協力をいただきますよう、お願いを申し上げます。
  17. 田中直紀

  18. 徳永久志

    大臣政務官徳永久志君) おはようございます。引き続き外務大臣政務官拝命をいたしました徳永久志でございます。  前原大臣をお支えをし、両副大臣、そして政務官共々、国益の増進に向けて頑張ってまいりたいと思います。特に、担当であります中東、ヨーロッパ、そして核軍縮・不拡散といった安全保障分野で精力的に取り組んでまいりたいと思いますので、是非とも田中委員長を始め委員先生方の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
  19. 田中直紀

  20. 松本大輔

    大臣政務官松本大輔君) 防衛大臣政務官拝命いたしました松本大輔でございます。  国の安全保障という極めて重要な任務を仰せ付かり、その責任の重さを改めて実感いたしております。安住大臣、そして広田政務官とともに北澤防衛大臣を補佐し、全力を挙げて職務に邁進してまいる所存でございます。  田中委員長を始め委員皆様におかれましては、御指導、御鞭撻賜りますよう、よろしくお願いいたします。
  21. 田中直紀

  22. 広田一

    大臣政務官広田一君) この度、防衛大臣政務官拝命しました広田一でございます。  安全保障は、国の安全、そして平和の礎であることは言うまでもございません。そして、防衛力は、ほかでは代替することができない国の安全保障を最終的に担保する重要なものでございます。現在、我が国安全保障上の課題山積をしておりますが、安住大臣、そして松本政務官共に北澤大臣を補佐し、一生懸命取り組んでまいります。  田中直紀委員長を始め理事委員皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
  23. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 御退席される副大臣及び大臣政務官は結構でございます。     ─────────────
  24. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として法務省刑事局長西川克行君外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  26. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  27. 斎藤嘉隆

    斎藤嘉隆君 おはようございます。民主党・新緑風会の斎藤嘉隆であります。  七月の、私、通常選挙で当選をさせていただきまして、議員歴まだ二か月でございますけれども我が国外交防衛という大変重要な事項を所管をいたしますこの委員会におきましてこのように質問をさせていただく機会をいただきましたことにまず感謝を申し上げたい、そのように思います。  さて、今、まさに外交防衛上の課題山積をしております。普天間移設に関する在日米軍の再編問題、今後の日米同盟深化在り方について、また軍縮・核不拡散、こういったことを始めとする国際平和への寄与の在り方について、年末には防衛大綱中期防衛力整備計画等々の策定も控えております。海賊対策FXの選定問題などもあろうかというふうに思います。まさに枚挙にいとまがない、そんな状況かと思っております。さらに、現在大変大きな問題となっております対中国問題あるいは北朝鮮の問題という、アジアにおけるこの外交安全保障にかかわる課題もございます。  このような中、両大臣におかれましては、まさに火中のクリを拾われるがごとくお役目を担われたというふうに認識をしておりますし、政務三役の皆様も同様だというふうに思います。先ほど、皆様の基本的なスタンスをお聞かせをいただきました。私どもも、是非党派を超えて全力でサポートしてまいりたい、そのように思っております。  今日は、まず、現在国民大変関心を大きく寄せております尖閣諸島での問題について、幾つか与党の立場、確認をさせていただきたいというふうに思っています。  今回の事件は、明らかに日本領海内での中国漁船による衝突事件であります。我が国の法に基づいて厳正に対応をした、このことは私、当然のことであるというふうに思っております。また、中国側がややもすると一方的にヒートアップをしていく、そのような状況の中で、双方の冷静な対応、こういったことを訴えてきた当初の政府姿勢については大変評価をしたいというふうに思っています。事件の初めの段階中国人船長を送り返した方がよかったというような意見もあるようでございます。自民党の谷垣総裁もそのようなことをおっしゃられているというようでございますけれども、しかし、今回のことはこれまでの不法入国事案と違いまして、明らかな公務執行妨害による逮捕であります。  今回のように、法に基づき定められた対応をするということは至極当然のことであるというふうに思っておりますけれども、当時、海保所管をする国交大臣というお立場であられました前原大臣は、この初動段階での対応についてどのような判断、また指示をされたのか、御説明をいただきたいと思います。
  28. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 斎藤委員お答えをいたします。  東シナ海において領土問題は存在をしておりません。尖閣諸島我が国固有領土でございまして、主権をしっかり守っていく、今後もそれに邁進をしていくというのはもう当然のことでございます。  私は、議員になりましてから三回、時期は特定をいたしませんが、尖閣の上空を海保固定翼で視察をしたことがございますけれども、常に、あの海域というのは漁場でもございまして、中国や台湾の漁船というものが操業をしていて、そして海保の船が、領海に入ってきたときには追い出しを図るということをやっているところでございます。  今年に入りましても、今日は海保鈴木長官もおられますので、もし必要があれば具体的にお尋ねをいただければと思いますけれども、私が報告を受けているだけでも、今年に入ってからでも十回以上の立入検査を行っているということでございまして、日常茶飯事海保の十一管区の活動として、あの海域領海に入ってきている漁船を追っ払い、そして立入検査も必要に応じてはやってきたということがございます。  今回の場合は、ある漁船海保巡視船に対して体当たりをしてきたということでありまして、ともすれば沈没をしたかもしれないという悪質な事案でございまして、公務執行妨害での逮捕というものは私は当然だというふうに考えております。
  29. 斎藤嘉隆

    斎藤嘉隆君 私自身も、この事件悪質性といいますか、そういったことを考えると逮捕はやむを得なかったというふうに思っております。  その後、東シナ海ガス田開発に関する条約交渉延期ですとか、あるいは首脳会談延期、あるいは経済的な制裁措置とも思えるような動き等もありました。政府だけではありません。中国国民の中にも一部、反日デモ動き、あるいは日本人学校破壊行為といったようなこともございました。  私は、こうした混乱の大きな要因に、中国国内にやはり正確な情報が伝わっていないんではないかというふうに思っております。中国国内では海保の方から漁船衝突をしてきたというような認識がほとんどの方の間でされているというふうにも聞いておりますし、全く理解に苦しむところもございますけれども船長が地元で英雄のごとく迎えられていると、これもやはり間違った情報が伝わっているからだというふうに思います。  私は、もっと早い段階で国際的な情報発信が必要だったんではないかというふうに考えていますし、それが国際的な世論のやはり後押しを得ることにもつながっていったんではないかというふうに思っておりますけれども、この海保の撮影をしました衝突時のビデオ公開、このことも私はそのための一つツールではないかというふうに考えておりますが。  そこで、前原大臣はこのビデオは御覧になられたんでしょうか。
  30. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 国土交通大臣のときに見ております。
  31. 斎藤嘉隆

    斎藤嘉隆君 見られて、これは漁船の側から衝突をしてきたということが分かりやすい、そのような内容であったというふうに思われておりますでしょうか。
  32. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 明白に中国漁船がかじを切って体当たりをしてきたと。そして、中国漁船がもし故意ではなくてミスで当たってきた場合には、その当たる瞬間とか直前とか、あるいは当たった後においても、エンジンを逆回転をさせて、そして離れる措置をとるはずでありますけれども、そういった形跡は全くビデオからはございません。
  33. 斎藤嘉隆

    斎藤嘉隆君 今のお話をお伺いをして、改めて極めて重要なツールになり得るなというふうに思うわけでございますけれども裁判可能性がほぼ、ほぼなくなった今の段階において、撮影したビデオを私は公開をしていくべきだというふうに考えておりますけれども、この公開の有無あるいはその可能性について、大臣あるいは海上保安庁の御見解を是非お聞かせをいただきたいと思います。
  34. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) 斎藤委員お答えを申し上げたいと思います。  今の状況は、斎藤委員裁判についてはほぼなくなったと、こうおっしゃられたわけでありますが、現段階の法的な状況も含めては御指摘のとおりでありまして、私どもとしては、このビデオの取扱いにつきましては、関連する法令に照らしまして、関係する当局等において今後検討をしていただいた上で結論が出るものと、このように理解をいたしておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  35. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 今、松本大臣答弁をいたしましたのは、法令というのは、処分保留でございまして、まだ検察証拠物件として検察の中にあるということでございまして、刑事訴訟法第四十七条におきましては、訴訟に関する書類は、公判の開廷前にはこれを公にしてはならない。ただし、公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合にはこの限りでない。この刑事訴訟法四十七条に基づいて判断がされるべきものと考えております。
  36. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) お答えいたします。  海上保安庁としても、衝突時の映像は刑事事件証拠となるものでありまして、那覇地検とも協議の上、刑事訴訟法四十七条の趣旨にかんがみ公表しないこととしておりましたが、現時点においても処分保留状況でありますので、今後の捜査の状況等考慮して、検察当局協議の上、適切に判断してまいりたいと考えております。
  37. 斎藤嘉隆

    斎藤嘉隆君 是非、適切に判断をしつつも前向きに御検討をいただきたいというふうに思っております。  そして、この船長について処分保留のままで釈放されたこと、このことについて国内外で大変大きな反響を呼んでいるというふうに認識をしています。  政府検察判断に何らかの圧力を加えたんではないかと、そのような報道も一部にはございます。そのようなことは当然あり得ないというふうに私自身は思っておりますけれども、改めてこの部分の基本的な事実関係前原大臣から御説明をいただきたいと思います。
  38. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) 検察当局による決定は、独立した検察として御判断をいただいたもの、国内法に基づいて御判断をいただいたものというふうに理解をいたしております。
  39. 斎藤嘉隆

    斎藤嘉隆君 船長の釈放後になりますけれども中国側から、事もあろう、事もあろうにという言い方がふさわしいかどうか分かりませんが、謝罪と賠償を求める声明がございました。しかも、この尖閣諸島領有権にも言及をしているという状況でございます。あるいは、近々のところの報道ベースでございますけれども付近海域監視船を常駐させているというようなことも聞いております。  私自身はこういった対応について常識的であるというふうには思われませんし、こうした行動が国際社会の中でもやはり認められていく、そのようなものではないというふうに認識をしています。中国側にとっても残念ながらマイナスのことではないかというふうに思っておりますけれども日本としては、冷静に対応しつつ国際世論の一層の理解を得ていくことがやはり私は賢い対応であるというふうに思っています。共に熱くなっても利益はないというふうにも思います。法治国家としての常識に基づいて行動すべき、今はそのときだというようにも思っています。  この釈放された船長は、また逮捕された地域に漁に行くというようなことも言っておられるようでありますけれども、前線でこの日本領海の平和を守るために日夜努力をしている海保始め多くの職員が実際いるわけでございますから、こうした現場レベルでの混乱を生じさせないためにも、今後、この尖閣諸島において同様の領海侵犯、こういったものが起きた場合の基本的な対応姿勢について是非明確に示してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
  40. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 先ほど斎藤委員答弁をさせていただきましたように、東シナ海においては領土問題は存在しておりません。尖閣諸島というのは我が国固有領土でございまして、その主権を守るというのは国家として当然のことでございます。したがいまして、同様な事案が起きればまた日本国内法にのっとって対応するということになるのは当然でございます。
  41. 斎藤嘉隆

    斎藤嘉隆君 それでは最後に、この尖閣諸島の問題にかかわってもう一点だけお伺いをさせていただきたいというふうに思います。かかわってというか、直接のかかわりはないものというふうに思いますけれども邦人四名が河北省で拘束をされていると。安全の確保と解放に向けての取組が今まさに急務であるというふうに思っています。  昨日、前原大臣から駐日中国大使への申入れを行ったというようにも聞いておりますけれども、その際の大使側の反応、あるいは今後のこの問題についての対応、方策について、是非、現状のお考えをお聞かせをいただきたいと思っております。
  42. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 河北省石家荘で起きました四名の邦人の、向こうの言い方ですと居住監視ということについて、どのような案件居住監視がされているのかという説明が具体的にまだ中国側からございません。そして、領事面会も二十五日にいたしたわけでございますけれども、一度だけでございまして、また途中でそれは打ち切られるということでございまして、今まで北京の大使館を通じてハイレベルで領事面会などを含めた申入れを行ってまいりました。  昨日、私が程永華日大使外務省に呼んで、私の方からは、身柄の安全の確保、そして領事面会を毎日受け入れるべきであると、しかも時間を区切らずにということと、この問題の円満かつ早期解決ということ、そしてどういう案件中国側の言う居住監視という状況に置かれているのかということについて明確に説明をされたいと、こういった申入れを行いまして、程大使は早速本国に伝えると、こういうことでございました。  いずれにしても、いろんなルートを通じて、どういう案件でそのような状況になっているのかどうなのかということと、身柄の安全、そして領事面会、そして早期円満解決、これをこれからもしっかりと働きかけてまいりたいと考えております。
  43. 斎藤嘉隆

    斎藤嘉隆君 ありがとうございます。是非、御家族もいらっしゃるということだと思いますので、早期の解放を望みたいというふうに思います。  この尖閣諸島の問題、今日もこの後、本委員会において多くの方が恐らく質問をされるというふうに思いますけれども、私、無為に大騒ぎをしてもプラスにはならないというふうに思っております。それよりも、今後の危機管理の在り方を明確にしていくと、こういったことに議論、力を注いでいくべきだというふうに思っていますし、またこれまで培ってきた、あるいは築いてきた、民間レベルも含めてつくってきた日中の緊密な関係を更に深めると、そういった努力も更にしていく必要があるというふうに思っています。  それでは、ちょっと話題を変えさせていただいて、普天間の問題について少しお伺いをさせていただきたいというふうに思っています。  これは沖縄の皆さんにおわびをしながらこの負担軽減を求めていく、また理解を得るための努力をしていくということを政府の方針として話をされておりますけれども、当然のことだというふうに思っています。二〇〇六年五月の自民党政権下でのいわゆるロードマップ、その後、様々な経緯がありつつも、沖縄の皆さんの思いにこたえるような私は具体的な負担軽減策が講じられてこなかった、そのようにも認識をしています。  民主党政権となって、この沖縄の皆さんの負担軽減策について具体的に進捗をさせようとしていることが私はこれまでの政権との大きな大きな違いであるというふうに思っておりますけれども、その一つが、いろいろな経緯はございましたけれども、この五月の日米共同発表であったというふうに思っておりますし、この場では軽減策が具体的にまた飛躍的に私は示されたというふうにも思っています。あとは、この負担軽減のための措置を速やかに実施をしていく、ひいてはそのことが地元の皆さんの理解を得ることにつながるというふうにも考えています。  共同発表の中で、訓練移転、米軍基地の共同使用、あるいは訓練区域の返還等について合意がなされておりますけれども防衛大臣にお聞きをしたいというふうに思いますが、これらの現段階における検討及び進捗の状況はどのようでございますでしょうか。
  44. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) お答え申し上げます。  今、概括、斎藤委員よりお話のあったとおりでありまして、御案内のように、五月二十八日の日米の合意といいますか、共同発表を踏まえて、八月の三十一日に代替施設の位置、配置及び工法について専門家による検討を完了をいたしました。この上は、地元沖縄の御了解をいただくために誠心誠意話合いをしていかなければならぬと、こういうふうに思っております。  一方で、お話のありました二〇〇六年の合意に基づくロードマップ以外で沖縄県が二十数項目にわたって長年にわたって要求をしております、例えばホテル・ホテルの海域の解除であるとか、あるいは射爆撃場の移転、そういうものについて鋭意今努力をいたしておるところでございまして、ただロードマップは、御案内のように、代替施設が完了をした後に様々なものが動き出すと、こういう規定になっておりますから、ここが固まらないとなかなか発進はいたしません。しかし、それ以外でできる訓練移転とかそういうものについては沖縄の皆さん方とお話合いをしながら米軍との協議を進めておるわけでありまして、御案内のように、つい先ごろ、これは沖縄の米軍施設の返還ということは特定はいたしませんが、沖縄全般についての協議機関を再発足するということで第一回の会合を開いた、様々なことを進展させていただいておるということであります。
  45. 斎藤嘉隆

    斎藤嘉隆君 今、本当に段階を追って前向きに進められているということも理解をするところでございますけれども、米軍、特にこの米軍基地の共同使用のことについて、これは大臣の方で日米協議の新たな枠組みをつくって推進をしていくといったことでございますけれども、私、この意義についてもう少し地元に対し具体的に説明をしていく、そういう段階にあるのではないかというふうに思っておりますけれども、この点についていかがでしょうか。
  46. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) これにつきましては、鳩山前総理のときに非常に総理がこのことについて御熱心でありましたんで、その意を受けて米側と協議をしてきたわけでありまして、私がワシントンへ行ってゲーツ長官と会見をいたしましたときに提案をいたしまして、それがつい先ごろの八月三十一日の様々な協議の中で議題となりまして、書面には残しませんけれども、両方とも了解をしたということで、私の側からもこのことについての新しい枠組みの設定、そしてまた米側からもこれについての発言がありまして、できるだけ早くしたいということでありますが、いずれにしてもこのことに対するメリット、デメリットというような議論がまだあるわけでありまして、その辺もしっかり固めなければいかぬというふうに思っておりますが、私とすれば、日米の緊密な相互運用性の向上ということと、もう一つは、所在する沖縄とすれば、沖縄の皆さん方からすれば、相手が米軍だけではなくてこの施設は自衛隊もここに存在するということの中で話合いがスムーズにいくという安心感、そういったものを醸成できるんではないかというふうに思っておりますので、御指摘のようにできるだけ早くこの問題を解決をしてまいりたいと、このように思っております。
  47. 斎藤嘉隆

    斎藤嘉隆君 すべての実現に向けて順を追って、時間を掛けてプロセスを追って進めていくということは当然だというふうに思いますし、段階を追って進めていくというような視点をもっともっと持つべきではないかな、要するに、何か具体的な一歩を早い段階で踏み出すべきだというふうに思います。  冒頭、大臣の御答弁の中にもございましたけれども、地元沖縄から様々な要望が出ております。要請書の中にも具体的に要請項目等出ておりますけれども、こういった内容について、今のお言葉にもありましたけれども、真摯に検討する姿勢是非お願いをしたい。  例えば、先ほどもこれもありましたが、久米島あるいは鳥島の射撃爆場、こういったものの返還ども、そのプロセスの中でどの位置に当たるかはともかくとして、具体的にその負担軽減の一歩として踏み出す材料になっていくんではないかと。是非そういったことからお願いをしたいというふうに考えています。  次に、近々の話題について少し触れたいというふうに思います。  前原大臣にちょっとお伺いをしたいというふうに思いますけれども、国連総会、アメリカの方に出向かれまして、日米外相会談等の重要な会議に御出席をされたというふうに聞いております。多くの成果を上げられたというふうに聞いておりますけれども大臣、一体、今回の訪米で大臣自身は幾つの会合に出席をされて、そしてその中で特に成果として大臣自身が手ごたえを感じられたことは一体どんなことであったのか、少しお話をいただけますでしょうか。
  48. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 正確に幾つの会合に出たかということについてはカウントはしておりませんが、少なくとも他国の外務大臣と一対一の会談を行ったのは十九回でございました。そして、あとは、国連のMDGといいまして、いわゆるミレニアム開発目標ということで、最貧国に対する支援をどのようにしていくのかという会合でございますとか、生物多様性条約にかかわる会合、それから、これはCOP10といいまして、議員も御承知のとおり、名古屋で来月ございますけれども、それの準備の会合でありますとか、あとは、COP16というのが今度は十一月にメキシコのカンクーンでございますけれども、これの閣僚会合というものにも出席をいたしましたし、そしてまた、日本と豪州、つまりオーストラリアが主催をいたしまして、これは岡田大臣が積極的に進めておられました軍縮・核不拡散、これは最終的な目標は核の廃絶でございますけれども、その移行期として核リスクの少ない社会をつくろう、世界をつくろうということで日本とオーストラリアが共同議長で呼びかけをして、あとプラス八か国賛同してくれましたけれども、十か国で、例えばCTBTやあるいはカットオフ条約の早期締結、あるいは核保有国に対する核弾頭数の削減を求めていく、こういった会合も行いましたし、また覚えているだけで言うと、あとG4という国連改革、二〇〇五年にうまくいかなかったわけでありますけれども、G4でもう一度仕切り直しをして、この国連改革、つまりは六十五年前につくられた指定席がそのまま現状においても全然、世界の環境が変わっているのに特権として、既得権益として何も変わっていないということで、やはりおかしいんじゃないかということで、もう一度この国連安保理改革をしっかりやっていこうということで、G4の外相で集まりまして、そして議論をいたしました。  あと、G8の外相会談もございまして、ここでは私からは、世界も中国に対する関心が集まっておりましたので、尖閣は日本固有領土であって、日ごろはどういう状況で、今回の事案はどういう事案だったのかということをかなり詳しく説明をしたりいたしました。  いろんな会合でまだ抜けているものもあるかもしれませんが、四泊六日でそのような会合あるいはバイ会談に臨ませていただきました。
  49. 斎藤嘉隆

    斎藤嘉隆君 済みません、時間ももう余りございません。いろいろお聞きしたい、大変精力的に会合に出られたということですので、最後に一点だけお聞かせをいただきたい。  今お話のあったMDGsですね、国連ミレニアム開発目標について、なかなか特にアフリカなどを中心に現状達成が困難だというような見方もされている中で、日本としてODA在り方に関する検討等でも支援を更に厚くしていくというようなことが示されておるわけです。  最後に一点だけ。  この中で、このODAの追加財源として国際連帯税、いわゆる国際航空券に課税をするような形での財源の在り方というものが示されておりますけれども大臣国交大臣の時代とは、まあこのことにいろんな思いがあられたというふうに思います。複雑な思いがあられるんではないかなというふうに思っておりますけれども、この導入について現段階どのようにお考えでしょうか。端的にお願いします。
  50. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) よくお調べになって質問されていると思いますが、国交大臣のときは、今航空業界が大競争時代に入りまして、LCCも含めて相当環境が変わってまいりまして、そして空整勘定の見直しども行って航空機燃料税をむしろ引き下げようということで、今税制改正要望では十三分の十一を半分にするということの要望を国交省としてしているわけでありまして、その段階においては私はこれについては否定的な意見を申し上げておりましたけれども、同時に、岡田前外相はこのいわゆる航空券連帯税も含む国際開発連帯税の新設を要望されているということでございまして、いろんな技術的な問題もあるんです。ですから、それは税制改革のときにしっかり政府の中で、また与野党の皆さん方の御意見も伺いながらしっかり議論をさせていただきたいと、このように考えております。
  51. 斎藤嘉隆

    斎藤嘉隆君 時間が参りましたので、以上にしたいというふうに思います。日本の地位を向上させていくためにこういった人道的な支援、必要だというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。  どうもありがとうございました。
  52. 佐藤正久

    佐藤正久君 自由民主党の佐藤正久です。  質疑に入る前に、委員長に再度要望いたします。瀧野官房副長官の参考人招致、これを再度お願いいたします。  今回の閉会中審査の開催に当たりまして、尖閣諸島における事件のやはりいろんな取りまとめ役をやっておられた内閣官房長官、仙谷官房長官出席をずうっと求めてまいりました。委員長も全く同じであります。にもかかわらず、参加されない。では、一万歩譲って、一万歩譲って、実務者である瀧野官房副長官の参考人出席を要求いたしました。委員長からもその要求があった。にもかかわらず、結果としてまだ十分な回答が得られていない。  昨日、私も夕方、出席要求をいたしました。二時まで待ちました。部屋で待ちました。何の音さたもない。結果、回答が来たのが、この委員会が始まる十分前です。まともに答えられるわけないですよ、代わりの人が。  理事会協議の中でも、三十分たってそれでもう一度その結果については審議をすると委員長は明言されました。  もう一度ここで審議をお願いしたいと思います。質問はその後にしたいと思います。お願いします。
  53. 田中直紀

    委員長田中直紀君) ただいまの件につきましては後刻理事会においてその取扱いを協議いたします。(発言する者あり)  続けてください。(発言する者あり)  ちょっと話し合って、じゃ、筆頭で。(発言する者あり)  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  54. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 速記を起こしてください。  瀧野内閣官房長官の要請につきましては引き続き努力をしていただくことにいたしまして、審議は進めたいと思います。  よろしいですか。よろしいですか。はい。
  55. 佐藤正久

    佐藤正久君 やはりおかしいですよ。委員長が要求をしている、また質問する委員が要求をして、その回答がその直前。やっぱりおかしいですよ。何かやましいことあるんですか。何で説明できないんですか。これほど国民がその決定過程について知りたい。西岡参議院議長も、やっぱり国会の場で政府説明すべきだと昨日明確に言われた。委員長出席を要求している。何で逃げる必要があるんですか。そんなに隠さないといけないことがあるんですか。そう思われてしまいますよ。この委員会を本当に侮辱していると言われても仕方がないと思いますよ。質問の間に瀧野官房副長官がこの場に来られることを切に再度要望しながら、質問を続けさせていただきます。  さて、前原大臣、今回の尖閣諸島におけます中国漁船海保に、巡視船に対する衝突事件、これは、公務執行妨害容疑のまま、処分保留のまま釈放されました。いかにも中国の圧力によって日本の主張がねじ曲げられた、ちょっと締め上げれば日本は圧力に屈してしまうような印象を世界に与えてしまったと、結果として。非常に私も残念に思います。  外務大臣、今回、検察処分保留のまま釈放してしまった、そういう判断をした、これについての率直な見解を求めます。
  56. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 先ほど同僚委員斎藤委員にもお答えをいたしましたけれども東シナ海において領土問題は存在をしておりません。尖閣諸島我が国固有領土でございまして、主権を守っていくというのは当然のことでございます。  その中で、今回、公務執行妨害海保の船への体当たりという事案の中で公務執行妨害ということで逮捕され、そして検察に送られ、あとはその手続の中で決められたものでありますので、政府としては、それについて政府として従うということでございます。
  57. 佐藤正久

    佐藤正久君 全然外務大臣としての発言とは思えませんよ。外務省の担当官からの説明によりますと、この検察の決定をニューヨークで大臣は報告を受けたと、その際には、検察の決定だから尊重すると淡々と言われたと。本当でしょうか。
  58. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) そのとおりでございます。
  59. 佐藤正久

    佐藤正久君 本当に外交的な影響がある事項を、検察が独自の判断でそれを行った。  外務大臣、そもそも検察がどういう根拠に基づいて外交的な理由で今回の処分保留、釈放ということを行ったか知っていますか。
  60. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) この件は司法手続にのっとって行われたものでございまして、外務省として立ち入るべき問題ではございません。
  61. 佐藤正久

    佐藤正久君 質問は、どういう検察の権限で、外交的な理由、今後の日中関係に与える影響ということを考慮して検察は決定したんですよ。外務大臣、どういう根拠でこれが行われたか知らないんですか、外務大臣
  62. 田中直紀

    委員長田中直紀君) いいですか。前原外務大臣
  63. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) いや、今の御質問を聞いておりますと、外務大臣ではなくて法務省に答弁を求めるお話じゃないでしょうか。
  64. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) 今回、那覇地検の方で釈放しましたその理由は既に次席検事の方から記者会見で公表されておるわけでありますが、その中で、国際関係、日中関係ということもその釈放の理由の一つとして述べられております。  これは、そもそも、刑事訴訟法二百四十八条によりまして検察官の処分は様々な状況を勘案して決定するということになっておりまして、これは検察外交に関与したということではなくて、社会において起きている事象というものもすべて判断した上で検察判断するということでございます。  特に、国際関係やあるいは日中関係といった点が発表されましたが、特に刑事訴訟法二百四十八条の趣旨は、すべての事柄を検察官としてはこれを判断の材料とすることができるというものでございまして、特に今、佐藤委員が指摘されたような点につきまして、これを排除する、除外するというような趣旨ではございません。  以上でございます。
  65. 佐藤正久

    佐藤正久君 今回、これは問題が二つあると思うんですよ。  まず、外務大臣が自分でこれは外交問題だと明確に閣議でもほかのテレビ等でも言っておきながら、検察外交的な判断をして釈放した、それについては検察の決定だから尊重する。しかも、その検察判断の根拠すら分かっていない。そんないいかげんな外交でいいのか。一つ。  二つ。今、副大臣が言われましたけれども、であれば、検察は何でもできちゃうんですよ。この刑事訴訟法二百四十八条の規定というのは、それは「犯罪後の情況」というものはあります。それが全部の役所にかかわることをやっていい、だれも思いませんよ。検察というのは法と証拠に基づいて判断するんでしょう。それが基本でしょう。政治的な判断とかあるいは外交的な判断、これはこの二百四十八条の裁量権を越えている。そしたら何でもできますよ、検察は。暴走できますよ、本当に。それで本当にいいんですか。(発言する者あり)
  66. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 不規則発言は慎んでください。
  67. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) 先ほども述べた趣旨をもう一度述べさせていただきますが、検察外交を行ったのではありません。あくまでもこの刑事事件を処分するその判断一つの資料として、社会に起きている事象というものをこの判断材料の一つとしたということでございます。他省庁の行うべき権限を検察が行ったというものではございません。
  68. 佐藤正久

    佐藤正久君 そんなの通るわけないじゃないですか。  検察は、じゃ、今回外交的な判断あるいは政治的な判断で釈放したんですよ。明確に書いていますからね。日本国民への影響及び今後の日中関係、これは政治的な判断であり、外交的な判断ですよ。でも、検察は、じゃ、その判断した結果について外交的な責任を負えますか。負える立場にありますか。ないでしょう。  前原大臣、今回の、じゃ、判断を受けて釈放されました。どういう影響が出ていますか。いい方向に転がっていますか、状況は。これについて検察は何にも責任を負えないんですよ。それは検察判断だからいいですと、そういうもんではないでしょう。そんないいかげんな外交をやっていいんですか。  前原大臣、もう一度、本当に、自分の心の中は違うでしょう。今まで私は、前原大臣とは京都の安全保障シンポジウムとかテレビでまじめに安全保障の議論をしてきましたよ。本当に国を思った方だと思っていますよ。それが、今回、検察がのりを越えて外交的な判断をした。結果として、みんな外交的にしわ寄せが来ているじゃないですか。釈放される前のよりも高い要求が来た。謝罪と損害賠償、また東シナ海ガス田のところとか尖閣には多くの調査船とかあるいは監視船が来ている。より事態が悪くなっているじゃないですか。  小川副大臣、責任取れるんですか、検察は。
  69. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) まず、検察官が行った処分、また同じことを何回も繰り返すようで恐縮でございますが、外交判断検察官が行ったのではございません。社会に起きている事象のあらゆる点を勘案することが処分の行う点において考慮すべきその中の一つの社会的事象であるということを勘案して、検察官としては刑事処分を行ったわけでございます。  また、責任をという話がございましたが、これは個々の検察官が行った処分につきまして、法務省が直接責任を負うというものではございません。
  70. 佐藤正久

    佐藤正久君 副大臣、政治的な責任を負えるのは法務大臣だけなんですよ。そうでしょう。法務大臣は、だから、検察庁法第十四条において個別の案件についても検事総長を指揮することができるとなっているんですよ。そうでしょう。政治的責任を負えるのは法務大臣だけなんですよ。検察は法と証拠に基づいて粛々と判断するんですよ。それが結果として外交的な影響とか政治的な影響があれば、そういうときに初めて法務大臣が指揮権を発動する、それが規定でしょう。  今回、外交的な理由というものを挙げて判断しました。検事総長は事前に法務大臣説明したんですか。協議したんですか、決定の前に。
  71. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) まず、後段の質問の、この決定の前に協議したかという点でございますが、それはしておりません。決定後に報告を受けたということでございます。  それから、前段の点でございまして、法務省が検察官の処分について責任を負わないのかという話がございました。ただ、一般的に検察の捜査というものは本来政治が主導するものではございませんで、司法の独立あるいは捜査というものが独立しておるわけでございまして、一般的には、逆に捜査に政治が介入すれば介入したこと自体が批判されるという性質のものでございます。やはり検察官の処分はあくまでも検察官の処分としてございまして、これが、例えば不起訴が不服であれば検察審査会に申し立てるといったような手続によって担保されているものでございます。検察官の個々の事件の処分につきまして法務省が責任を取るという性質のものではないと、このように考えております。
  72. 佐藤正久

    佐藤正久君 全くずれていますよ。検察がのりを越えてしまったんですよ。法と証拠に基づいて判断すればいいのを、政治的な理由とか外交的な理由を挙げて判断しているんですよ。検察の方が政治、外交に寄ってきてしまったんですよ。そういうときはやはり政治が責任を取らないといけないんですよ。だから、この十四条があるんですよ。これが本当に検察が自分でやったら大暴走ですよ。何でもできますよ、これだったら。検察が、政治的な理由あるいは外交的な理由、財政的な理由、だからこうしました、全部通っちゃいますよ。  だからこそ、そういう粛々とやって、それでもこれは政治的な影響があるとか外交で影響が高いというときに指揮権を発動できるようになっているわけですよ、これ。全く逆のことを検察からやっておいて、知りませんと。これは本当に、今大事な発言されましたけれども、法務大臣に全く事前に協議もせずに検察外交的な理由というものを判断一つとして決断を下したということが事実であれば、これは検察の暴走であり、また法務大臣の指揮監督不十分ですよ。  結果として、今国益にどれだけ迷惑を掛けていると思っているんですか。以前よりも要求は高くなった。しかも、多くの巡視船監視船ガス田やあるいは尖閣の諸島で動いている。責任を負えるわけないじゃないですか。だから、いろいろ外交的な配慮というものは、それは外務省がやるべきなんですよ。それを今回の釈放の理由にしている。全くおかしい。私は、これが本当であれば、やっぱり担当した那覇の地検の責任者あるいは法務大臣は罷免に値すると思いますよ。違いますか。
  73. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) なかなか佐藤委員と私の答弁かみ合ってないんですが、その根本は、佐藤委員は、何か今回の検察の処分が法と証拠に基づいていないと、そして、本来検察がやるべきではない外交問題について判断したという前提に立って質問をされておるようにうかがえるんですが、先ほども繰り返し申し上げておりますように、検察官の処分は、刑事訴訟法二百四十八条に従った、法と証拠にのっとった手続によって処分を行ったものでございますし、また、先ほども繰り返し述べておりますように、検察官はその刑事訴訟法の規定に基づいて処分を行ったもので、外交問題を検察官が行ったというものではございません。(発言する者あり)
  74. 佐藤正久

    佐藤正久君 邪魔しないでください、理事。  今、そういう、副大臣は言いますけれども、これ大問題なんですよ。  じゃ、聞きますけれども、過去に外交的な理由、政治的な理由に基づいてこのような判断をした事例ありますか。
  75. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) 過去の事例をすべてあるかないかと言われても客観的には分かりませんが、私の知る範囲ではございません。  ただ、一つ付け加えさせていただきますれば、また同じことを答えるようでありますが、検察官は外交判断によって今回の処分を行ったのではありません。あくまでも個々の刑事事件担当したその検察官の刑事事件の処理として行ったものでございますので、そこは佐藤委員と少し前提の見解が異なるのだろうというふうに思っております。
  76. 佐藤正久

    佐藤正久君 今言われたように、ないんですよ、過去こういう例が。一生懸命法務省の官僚の方は探しているんですよ、ずっと、過去にこういう例がないか。ないんですよ。あるわけないです。のりを越えてしまったんですから、今回。これを許してしまったら何でもできちゃうんですよ。  外交的な配慮がなかった。じゃ、確認しますよ。二十二日ですか、法務省は外務省の方に、那覇地検への説明を求めていますよね。なぜこれを求めたんですか。  二十二日です。法務省が求めたのは二十二日です。
  77. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 確かに、那覇地方検察庁から外務省の方に対して、日中関係等について説明を求めた事実がございます。実際に那覇地検に来ていただいたのは二十三日ということでございます。今回の事件の処分に当たって外交関係の知識が検察庁において必要であるということでございますので、参考にお呼びしたということでございます。
  78. 佐藤正久

    佐藤正久君 二十二日に外務省の方に法務省が要請して、二十三日に行っているんですよ。外交的なことを知りたいという話でしょう、外交関係。だから、それが日中関係への影響になっているんですよ。  じゃ、そのときに、外務省は二十二日、その那覇地検への説明する前に官邸と協議していますよね。なぜ官邸と協議したんですか、外務大臣
  79. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) 省庁間の要請でもありますから、官邸と協議をした上で職員を派遣するかどうかを決定するのが適当だと、このように考えたからでございます。
  80. 佐藤正久

    佐藤正久君 またそういう詭弁を言いますね。省庁間の説明なんか別に官邸に断らなくてもできるじゃないですか。やっているでしょう。じゃ、外務省がほかのところに説明するときに全部官邸に言っているんですか。副大臣、そんなうそはやめてくださいよ。
  81. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) 省庁間のことであり、官邸と協議をするのが適当だと判断をいたしましたからそのようにさせていただいたというふうに申し上げたかと思います。
  82. 佐藤正久

    佐藤正久君 なぜ今回の件について官邸と協議するのが適当だと思ったんですか。
  83. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) 本件については、今もお話がありましたけれども、法務省を通じてのものでありますけれども、地検からの説明の御要請ということは御指摘のとおりそう例があるわけではありませんから、私が承知をする限り、官邸とも御相談をした上でそのようにさせていただいたというふうに理解をしております。
  84. 佐藤正久

    佐藤正久君 違うんですよ。副大臣、知っていますか。今回、逮捕するとき、七日の日、官邸で何回会議が行われたか知っていますか。官房長官を交えて二回やっているんですよ、逮捕する前に。昼ごろに拘束をして、逮捕したのは夜中ですよ。それまでに、十六時に官房長官の部屋で一回、それに外務省、海保も入っています。二十一時に今度は法務省まで入れてやっているんですよ。逮捕するときにはそれだけみんなで話し合いながら、慎重に事後の影響を考えながらやっているんですよ。何でそこを隠すんですか。  だから、そういうことを丁寧にやってきたんでしょう。地検の方から説明というだけじゃなくて、経過があるから行っているわけでしょう。今回の案件関係省庁が連携をしながらやっているんでしょう。だから、事前に官邸に行ったんじゃないですか。だれのところに行ったんですか。
  85. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) 外務省としては、内閣官房の方に御相談に行ったというふうに理解をしております。
  86. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは昨日、質問通告していますよ。何で答えられないんですか。もう一度お願いします。
  87. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) 官邸との協議については、外務省から瀧野官房副長官協議をしたというふうに理解をいたしております。
  88. 佐藤正久

    佐藤正久君 どのような協議をしたんですか。
  89. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) 法務省からの御要請にどのようにおこたえをするかということを協議をしたというふうに理解をしております。
  90. 佐藤正久

    佐藤正久君 どのような協議結果ですか。
  91. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) 私どもとしては、外務省として、今御指摘のとおり、二十三日に職員を派遣をしたという結論になったというふうに理解をしております。
  92. 佐藤正久

    佐藤正久君 全然答えていないじゃないですか。中身ですよ。これが検察判断に物すごく影響しているんですよ。瀧野官房副長官とどのような協議をしたんですか。責任持って説明したんでしょう、外務省は地検の方に。
  93. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) 外務省としては、法務省の御要請に対してどうおこたえをするかということを官邸と協議をしたというふうに私は理解をいたしております。
  94. 佐藤正久

    佐藤正久君 だから、そこを隠す必要ないんですよ。日中関係のことを言ったんでしょう。日中関係関係国民生活でどういう影響出るかとか、あるいは今後の日中関係にこれは影響出るかということを説明したんでしょう。そのための事前協議でしょう。実際、文言としてはそうなっているんですよ、結果、検察の発表の方で。  それで、二十三日に外務省の職員が那覇地検の方で説明しています。今回、その説明が二十三日なんですよ。いいですか。次の日、二十四日に、二十四日の朝十時から検察首脳会議が東京で行われているんです。これは間違いありませんね。
  95. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) 私の方からお答えをできるのは、繰り返しになりますが、御要請を法務省の方からいただいて、官邸と協議をして、二十三日に外務省の職員を派遣をさせていただいたと、外務省として派遣をさせていただいたということでございます。
  96. 佐藤正久

    佐藤正久君 法務副大臣、今、二十三日に説明を聴いて、二十四日に十時から検察首脳会議をやったと。その結果、結論として、政治的、外交的な理由を挙げて処分保留、釈放という結論に至ったと。その会議の時間は約一時間。間違いありませんね。
  97. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) 十時から検察首脳会議を行ったというのは事実でございます。なお、先ほどのやり取りの質疑の中で法務省が外務省に要請したとありますが、地検の要請を法務省がつないだということで、要請したのはあくまでも地検でございます。
  98. 佐藤正久

    佐藤正久君 要は、二十三日に、外務省の方が官邸と二十二日に協議をして、その協議結果を受けて二十三日に説明をし、二十四日に検察首脳会議があって、そこで判断が下ったということなんですよ。  要は、外務省の説明が物すごく大きいんですよ、だれが見ても。その前に官邸とも協議している。これは普通に見れば、しっかりと官邸と外務省が連携をして地検に説明しているんですよ。その結果を受けて地検が二十四日に会議を開く。それが物すごくその説明内容が衝撃だったのか、よく分かりません。多分そうだったんでしょう。説明内容が非常に衝撃だったから、十時に開いて、会議の時間もたった一時間でしょう。一時間でその大きな決断をした。しかも、発表がそれから約三時間後の二時半ですよ。何でこんなに大事な判断を一時間で、しかも発表にそんなに急いだんですか。副大臣、明確に答弁お願いします。
  99. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) まず、二十四日の検察首脳会議で協議して結論が出るわけでございますが、それは、二十三日に外務省から事情を聴いたそのことを受けて、それだけを受けて協議したということではなくて、逮捕、勾留以来捜査を行ってきたわけでございまして、その間の捜査して得られた様々な事実関係情報というものを総合して、それに付け加えて外務省からの聴取した事情も踏まえて総合的に二十四日に協議して得られた結論ということでございまして、二十三日のその外務省の職員からの事情聴取のみを踏まえて協議したというものではございません。捜査の総合的な、捜査によって得られた事実関係、それを総合的に協議して出した結論でございます。
  100. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) 佐藤先生の前後の事実を踏まえての、何というんでしょうか、御賢察というか御推察というか組立てでいらっしゃるんだろうというふうに思いますが、私どもとしては、正確に申し上げれば、今、小川副大臣がおっしゃったように、法務省を通じての地検からの御要請で外務省として職員を派遣をして説明をいたさせたところだったというふうに承知をいたしております。今回の事件発生以降の日中関係の事実等を説明をしたものというふうに私どもとしては考えておるところでございますので、そのように御理解を賜りたいと思います。  官邸との協議等、官房副長官もお見えでございますけれども、私どもとしてはそのように理解をしておるところでございます。
  101. 佐藤正久

    佐藤正久君 だから、キーパーソンは瀧野官房副長官なんですよ。官房副長官がいないじゃないですか、要請しても。当時は福山長官はニューヨークに行っている。分かるわけないですよ。  もう答弁求めていないのに手を挙げるのやめてください、後で質問しますから、必要があれば。  だから、瀧野官房副長官がやっぱりここに来てしっかり整斉説明すればいいのに、それを来ないから、あたかも隠しているように見えちゃうんですよ。  だれが考えても、二十三日に説明を受けて、二十四日、そんな簡単に集まれますか。しかも、副大臣、何でこんなに急ぐんですか。さっき答弁に、答えていませんけど、何でこんなに急ぐ必要があるんですか。大事な判断を一時間、しかも発表は三時間後ですよ。考えられますか。
  102. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) この処分を行ったのは那覇地検でございますが、那覇地検事件を受理してからこの二十四日までの間、最高検を含めた上級庁と全く協議していないということではなくて、その捜査の過程の中でそうした情報交換、報告、あるいは協議というものは繰り返し行っておるわけでございます。そうした積み重ねの上に立っての協議でございますので、時間が一時間であるから余りに短過ぎるということはないかとも思います。  また、そのときに釈放したという処分でございますが、捜査を継続してまいりまして、そして捜査の必要性がなくなれば、むしろ拘束を継続することがこれは人権侵害で問題になるわけでございますから、捜査が処分の結論を出せる状態になればその時点で釈放して、処理をするというのは、これはむしろ刑事手続の進め方としてごく普通の適正な在り方だというふうに考えております。
  103. 佐藤正久

    佐藤正久君 もうやっぱり不自然なんですよ。非常に急いでいる。  また聞きますけれども、普通、私も元公務員ですよ、自衛官であっても。外務省に出向したこともございます。やはりほかの役所の所掌事務に踏み込む、非常に慎重になりますよ、一般的に。今回は検察外交的な理由を判断材料の一つにしたんですよ。だから外務省の人間を呼んで聴いたんでしょう。非常にその気持ち分かりますよ。だけど、二十三日にそれをやって、それも官邸との協議の上でやって、二十四日会議をやる。じゃ、なぜ会議が終わってから三時間後の二時半に発表しないといけなかったんですか。
  104. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) まず、二十三日に外務省の職員から事情を聴いたというのは、それ以前に既に捜査を継続してまいりましたその事実の集積といいますか、捜査で得られたそうした集積があるわけでございます。そうした捜査が進展してかなり煮詰まった段階で、その当時起きている様々な社会的事象を外務省の職員から聴いたと。  ですから、順番とすれば、継続した捜査の中の一番最終的な手続がそこに、手続といいますか事情聴取がそこに来たという流れでございまして、その二十三日の事情聴取によってそれまでの捜査の進め方ががらりと変わったとか、そのことによって捜査がねじ曲げられたとか、そういうようなことは全くございません。あくまでも捜査の流れの中で、外務省の職員からの事情聴取は最終段階でそれを行ったと。それを踏まえて、捜査が処分できる状態になりましたので二十四日に協議して結論を出したと、このような流れでございます。
  105. 佐藤正久

    佐藤正久君 なぜ二時半なんですかという質問に答えてないんです。何で答えないんですか。
  106. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) 時間のことは、済みません、逮捕から処分までのことだと思いましたので。  二十四日の時間のことでございますね。一時間という、その協議時間が短かったということですか。
  107. 佐藤正久

    佐藤正久君 副大臣、しっかり聞いてください。何回も言っていますよ。三回目ですよ、これ。  なぜ処分決定からその発表まで三時間で、こんなに急がないといけないのかということですよ。なぜ二時半に発表なんですか。おかしいんですよ、急ぎ過ぎて。
  108. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) 二時半に発表したのが早過ぎるということですか。
  109. 佐藤正久

    佐藤正久君 なぜ二時半なんですか。
  110. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) なぜといいましても、検察首脳会議で結論が出たわけでございますから、そうした出た結論を発表したのがその時間になったということでございます。
  111. 佐藤正久

    佐藤正久君 副大臣、悪いけど、全然危機管理能力ないと思いますよ。これは非常に大事なことなんですよ、外交上影響が出るかもしれない、何で三時間。  いいですか。御覧になりました、地検が発表した紙。極めて慌てて作っていますよ。普通、検察の方が作る文章とは思えないですよ。非常に慌てて作っているんですよ。何でこんなに急ぐ必要があるのか。おかしいんですよ。  しかも、総理はどこにいました。ニューヨークですよ。いいですか。これが十一時過ぎでしょう、検察首脳会議の終わった時間が。外務省の方に一報をしたのは一時半ですよ、発表する一時間前。  外務大臣、この検察の決定、ニューヨークで、いつ、だれから報告を受けましたか。時間と、報告を受けた人の名前を教えてください。
  112. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 時差が十三時間ございます。寝ておりまして、秘書官の電話で聞かされました。一時前だったと思います。現地時間で午前一時前だったと思います。
  113. 佐藤正久

    佐藤正久君 福山官房副長官、総理には何時に伝わりましたか。
  114. 福山哲郎

    内閣官房長官福山哲郎君) 今の前原外務大臣と同様でございまして、ニューヨーク時間の約午前一時前後に秘書官から総理に伝えさせていただきました。
  115. 佐藤正久

    佐藤正久君 現地時間の一時というのは、発表の三十分前なんですよ。じゃ、法務省、確認しますよ。地検でもいいです。実際に、外務大臣と総理に本件が伝わったということを確認しましたか。
  116. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) まず、前提としまして、これはあくまでも検察庁における刑事事件の処分でございますので、総理大臣とかあるいはその他の役所とかあるいは行政の指示を受けるとか指揮を受けるとかいうことではございませんでして、あくまでも地検が担当する刑事事件について地検の判断で行ったということでございます。  ですから、発表が早過ぎるといっても、地検は決定が出たからそれを発表したわけでございまして、その地検の処分について、委員は、あるいは質問の前提として、政府なり何らかの関与があったから地検が処分をしたんではないかということが念頭にあっての質問のようにちょっと感じられたんですが、地検はあくまでもそうした政府判断とは全く関係なく、独自に地検の判断として行ったわけでございますから、その時点で例えば総理大臣がどこにいたかとか、アメリカにおける時間が何時だとかいうこととは関係しないわけでございます。あくまでも地検が刑事事件の処分として行ったわけでございまして、政府の指示を受けたというものでは全くございません。
  117. 佐藤正久

    佐藤正久君 それなら、全然法務大臣をサポートしてないことになるんですよ。政治的責任を負えるのは法務大臣だけなんです、さっき言ったように。今回の件は、逮捕のときからずっと関係省庁で集まってデリケートにやってきたんですよ。だから、法務省も実際に、今回、外務省とか海保の方に発表の前に説明してるじゃないですか。だから、説明してるんですよ。今回は外交的な影響も大きいかもしれない、場合によっては指揮権の発動もあるかもしれないんですよ。そういう大きな事件だという認識が全くないんですよ。もしもそれが本当であればね。  普通であれば、こういう大きな、大変なことが起きることが予想されると、であれば、当然外務省や官邸の方に報告をし、特に外務大臣、総理大臣日本にいないんであれば、それが伝わったのを確認してから発表する、当たり前の話じゃないですか。民主党のこの外交的なもうセンスのなさというか危機管理能力のなさというのがここにも表れているような気がするんですよ。  何にも慌てる必要はないじゃないですか。三十分遅らせてもいいわけでしょう。三時でもいいんでしょう。このペーパー一つ取っても、副大臣は検事だから分かると思いますよ、本当慌てて書いたという紙が、そう見えませんか。非常におかしいんですよ。慌てて慌てて、早く何かしないといけない。何か変なんですよ。何かの力が働いたとしか思えません。何でこんなに慌てて慌てて慌ててやらないといけないのか。本当おかしいですよ。  これが仮に、仮に外務大臣とか総理大臣が報告を受ける前に発表していたら、これは本当に後々大きな政治的責任を負わないといけない結果になったかもしれない。副大臣は政治家でしょう、そう思いませんか。そんなに簡単な事案なんですか、これは。ほかの地検が担当しているほかの事件と一緒なんですか。違うでしょう。そういう認識はないんですか、法務省には。それをサポートするのが政治家の大臣でしょう。違うんですか。
  118. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) これは、事件を取り扱いました検察庁におきましても大変に重要な事件であるという認識は持って当然のことながら慎重に捜査したものというふうに理解いたしておりますが、ただ、委員が言われるように、法務省あるいは大臣がサポートすべきではないかというようなお話がありました。ちょっとサポートという意味がどういうふうにとらえたらというところがございますが、基本的には捜査、個別の捜査につきまして政治は関与しないというのが本来の姿でございます。ですから、サポートというのが、これは指揮ということであれば、それは個別の事件につきましては指揮しない。あるのは、それは最終的に法務大臣が検事総長に指揮権を発動するという場面がございますが、今回はそのような指揮権は発動しておりません。  それ以外に、法務大臣が検事総長に指揮権を発動するという以外に、法務省が個別の事件につきまして指示する、干渉するというような立場ではございません。あくまでも刑事事件の捜査、これは検察が独自に行うものでございます。
  119. 佐藤正久

    佐藤正久君 何か言っていることが本当ちぐはぐなんです。あるときは官邸に行き、あるときはそれは検察の中の判断ですと。言ってることがもうめちゃくちゃなんですよ。だから、だれが見てもこれはやっぱり連携をしながらやっていると思えて仕方ないんですよ。だから非常に、新聞報道にも何か菅総理が急いでいるとか、何かいろんな報道出ていますけれども、その真偽のほどは分かりませんが、極めて急いでいる、稚拙な対応としか思えないんですよ。普通、検察のような、あるいは官僚の方であれば、手順をしっかり追ってやるのが当たり前じゃないですか。極めて拙速ですよ、この文章一つ取っても。  それでは、法務省が官邸の方に今回の検察首脳会議の結果を伝えたのは、法務事務次官から瀧野官房副長官、これも瀧野官房副長官なんです、に報告をしたと。じゃ、そのとき、瀧野官房副長官はどういう指示あるいは反応だったんでしょうか。
  120. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 時系列で付け加えて説明しますが、委員御案内のとおり、午前十一時ごろ検察当局において釈放方針の決定がなされます。当然のことながら、これは法務省の方に伝わりますので、私から法務大臣に午前十一時五十五分ころに伝達をしております。この前後に、当然私から事務次官の方に報告をして、事務次官から午後零時三十分ころに瀧野官房副長官の方に連絡をしたということですが、これは連絡をして伝達をしたということだけでございまして、分かりましたという反応であったと聞いております。
  121. 佐藤正久

    佐藤正久君 じゃ、瀧野官房副長官はそれからだれに報告したんですか。
  122. 西川克行

    政府参考人西川克行君) 法務省では当然分かりませんので、内部的にということでございます。
  123. 福山哲郎

    内閣官房長官福山哲郎君) 当然、瀧野官房副長官は官房長官に報告をしました。
  124. 佐藤正久

    佐藤正久君 じゃ、それはいつ、何時に報告をされ、そして官房長官はどういう指示をされましたか。
  125. 福山哲郎

    内閣官房長官福山哲郎君) 当然、瀧野官房副長官は報告を受けてすぐに官房長官に連絡をされたというふうに承っております。そして、その後、総理に対しての、先ほど外務大臣や総理への報告もありましたが、そのように伝達をされたというふうに承知をしております。
  126. 佐藤正久

    佐藤正久君 そのときの官房長官は何か報道では了としたと何か言っていましたけれども、全然分からないんですよ。その官房長官とあるいは瀧野副長官、その間のやり取り、これは副長官が来るか官房長官が来ないと分からないんですよ。それが今回の、これから事後の一番大きなポイントの二つがそこになっているんですよ。官房長官はそれを了としたと記者会見で言われています。どういうやり取りがあったんですか。
  127. 福山哲郎

    内閣官房長官福山哲郎君) 先ほどから委員のお話を承っていて若干私は違和感があるんですが、委員はこういった事案は重要だから政治が事前に何かを言うべきだという立場で発言をされているのか、事前に政治は介入するべきではないという立場で発言されているのか、それぞれに対して委員のまず立場が違うので非常にお答えにくいということです。  それから、当初から官邸と協議をして連携をしてやっていたというようなことを決め付けて発言をされていますが、尖閣で中国漁船巡視船衝突をしたと、また巡視船「みずき」と漁船衝突をした、そして現実の問題として立入検査に入ったと、このことを官邸に海上保安庁が報告をすることが何が不自然なのか私には全く分かりません。  当たり前のように報告をする、その議論をしているときに、今度、委員は、報告をしたのが何時だと、どうだと、それが事前なのか事後なのかと。基本的には、じゃ、委員がおっしゃるのは、事前に何らかの形の報告をして、それに対して、この事案に対しては総理や官房長官が介入をするべきだという前提でお話をされているのかどうか、まずはっきりさせていただきたいと思います。  もちろん、冒頭、この事案が起こった当初、九月七日、委員が言われたとおり、二度我々は報告を官邸で受けました。これは当たり前の話だというふうに思っております。こういった事案が起こって海上保安庁が報告をしなかったら、今度は皆さんは危機管理がなっていないとおっしゃるはずです。当たり前のように報告を受けて、我々としてはその都度報告を受けながら、海上保安庁において我が国国内法令に基づいて適切に判断されたのが最初の過程だと私は承っております。
  128. 佐藤正久

    佐藤正久君 副長官、当たり前のことを長々と言わないでくださいよ。これは、今回は、前原大臣も言われたように、法に基づいて粛々と毅然とやると、それでいいはずだったんです。当たり前じゃないですか。それを途中で、あたかも、今回の地検の発表にあったように、公務執行妨害でしょう、容疑でしょう、それでずっとやればいいのに、途中で外務省の説明を官邸と協議の上、地検に行い、何か途中から方向が変わってしまったような印象を多くの国民が思っているんですよ。  しかも、検察の発表の文書見ましたか。こんな文章、普通ないですよ。言っていることが上段と中段で違っている。今回の発表、資料の要約ありますけれども、これは漁船巡視船「みずき」に故意に衝突させたことは証拠上明白だと。公務執行妨害でやればいいだけじゃないですか。それを、なぜか我が国国民への影響とか今後の日中関係とか、今まで事例がないようなことを持ち出してきて検察が勝手にやっているんです。  そういうときに政治は判断できる余地を法律で残しているんです、今回は。そうでしょう。それが検察庁法十四条ですよ。場合によっては、検察に対して政治が責任を負う覚悟で介入できるんですよ。そういうシステムになっているんですよ。本当に、検察がもしも公務執行妨害でずっとやればいいのを外交的な配慮で違う判断をした、政治が、これは違うと、やっぱり公務執行妨害というものに基づいて日本主権国益を守るために粛々とやればいいんだとなれば、できたんですよ、やろうと思えば。そうでしょう、やろうと思えば。それは政府判断ですよ。それを、そういう余地がやっぱり必要なんです、今回の案件というのは。単に普通の小さな案件ではなくて、主権領土国益関係した案件なんですよ。だから、場合によっては、それは政府判断で介入する可能性というのはゼロじゃないんですよ。でしょう。それを今回は、法務省はそういう、法務大臣に事前にも相談せずにやっていると。しかも、外交的な影響、どうなっていますか。どんどん悪くなっているじゃないですか。  前原大臣、今回の責任は結果的に外務省がしりぬぐいしないといけなくなっちゃっているんですよ。現場の外交官やあるいは海上保安官あるいは警戒監視に当たる自衛官、今までよりも態勢を取ってやらないといけないという状況になっているじゃないですか。しかも、中国は損害賠償やあるいは謝罪を求めている。どんどんエスカレーションしているんですよ。これは、検察は結果責任を負えないし、負える立場ではないという答弁をするに決まっているんですよ。  本当に今回の検察判断、よかったんでしょうか。法務大臣あるいは総理が場合によっては違う判断をできるという余地があった方がよかったかもしれません。それはいろんな、それは総理の判断だと思いますよ、法務大臣判断だと思います。でも、今回のやり方はそういう余地すらないような形を取っているようにしか見えないんですよ。初めから粛々と公務執行妨害でやると言っていたじゃないですか。それが検察判断で恐らく前原大臣の意図とは違う方向に行ってしまったと。違いますか、前原大臣
  129. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) 佐藤先生がおっしゃったとおり、国内法にのっとって粛々とやるということは、地検において手続を取られ、必要であれば必要な事情なりを聴取をされ、説明を受けた後に結論を下されるということだというふうに理解をいたしております。そのようなことで私どもとしてもその結果を、そのような結論をお聞きをしたところであります。おっしゃったように、法律上、十四条の規定があることは承知をいたしておりますけれども国内法にのっとって粛々とということはそういうことではないかと私は理解をしております。  また、佐藤先生におかれましては、是非、私も衆議院の役員を先般まで務めておりました。国会の委員会におきまして誠意を持って私ども、すべての同僚もそうだと思いますが、お答えをさせていただいていると思っておりますので、そのように御理解を賜りたいと、このように願います。
  130. 佐藤正久

    佐藤正久君 今、副大臣、問題発言したと思いますよ。  今言われたのは、じゃ、国内法によって粛々と解放したということですか。今回の手続は国内法に基づいて粛々とやって、その結果が釈放だと言われたじゃないですか。それは前原大臣が言われていた元々の国内法に基づいて粛々というのとは違うと思いますよ。そんなばかにしたような話はないと思います。  私は別に皆さんを愚弄する、そんなつもりないですよ。まじめに今回のことを、手続がどうだったのかと。今回、検察が自分ののりを越えて、のりを越えてですよ、外交的な理由、政治的な理由というのを持ち出して判断した。これは自後のいろんな裁判や判例に大きな影響を及ぼすかもしれないんですよ。しかも、今回の事件というのは領土問題とか主権にかかわるような事項でしょう。その辺の認識が全然弱いと思いますよ。  なぜ中国船長を解放したのにどんどん要求を高めてくるかという部分、どう考えているんですか。
  131. 福山哲郎

    内閣官房長官福山哲郎君) 先ほどから委員のお話を承ると、御自身の御判断は御自身の御判断で私は結構だと思いますが、事実はやはりしっかりと表明をしていただかなければいけないと思います。  前原大臣も、さらには法務副大臣も言われているように、粛々と事件を法務省は判断をしたと。法務省の判断に対して、委員は、非常にこれが稚拙だとか、あっ、検察判断について、急いでいるとかと言われていますが、現実の問題で公務執行妨害に対する地検の判断はこの文章の中にもあります。トロール漁船の一船長で、本件は、海上保安庁巡視船「みずき」の追跡を免れるためとっさに取った行為と認められ、計画性等は認められず、かつ被疑者には我が国における前科等もないなどの事情も認められますということが、公務執行妨害案件についての判断はしっかりとされています。  これは、先ほど副大臣が言われるように、引き続きの捜査の結果出てきた判断をした上で、加えて、引き続き被疑者の身柄を勾留したまま捜査を継続した場合の我が国云々という文章につながるわけでして、御自身判断は御自由でございますが、一定の判断があることを詐称してこの場で議論されることは、私はいささか国民を間違った方向に誘導すると思います。
  132. 佐藤正久

    佐藤正久君 何ですか、その詐称という言葉は。どういう意味ですか、詐称って。私は言ったじゃない、公務執行妨害についてはそれは当たり前だと言っているじゃないですか。何言っているんですか、詐称と。何ですか、それは。(発言する者あり)
  133. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) 委員長の御指名をいただきましたので発言をさせていただきたいと思いますが……(発言する者あり)
  134. 田中直紀

    委員長田中直紀君) ちょっと、ちょっと発言中、発言中ですから。
  135. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) まず、先ほどの佐藤先生のお話でございますが、外務省として当初の結論と違うことで処分保留になったのではないかと、このようなお話でありましたが、私どもとしては、国内法に基づいて逮捕をし、国内法に基づいて勾留をし、国内法に基づいて捜査をしということで、その当初の段階で捜査の結果の結論を持って臨んでいたというふうには理解をいたしておりません。  したがいまして、捜査が行われ、繰り返しになりますので申し上げませんが、検察として御判断を下されたというふうに理解をいたしておるということでございまして、当初の結論と違ったのではないかという御指摘は外務省として当たらないものと思っておりますので。
  136. 福山哲郎

    内閣官房長官福山哲郎君) 詐称という言葉が不適切だったことは、謝って訂正をさせていただきます。撤回をいたします。
  137. 佐藤正久

    佐藤正久君 福山長官、ここは委員会の場ですよ。何でそんなこと言うんですか。さっきから公務執行妨害はこれ認めていると言っているじゃないですか、にもかかわらず。公務執行妨害でやればいいんですよ、そう理由があれば。ただし、今回その検察判断の理由に政治的な配慮とか外交的な配慮を入れた、これはおかしいと言っているんです。そんなことをやってしまったら検察は何でもできちゃうんですよ。本当にそれでいいのかということを言っているんです。  それについて、場合によっては、今回の案件は政治的な判断あるいは責任というものも考えないといけない分野じゃないかということも普通の国民は思っているんですよ。結果的に船長は帰る。事件関係があるかどうかは分かりませんけれども、結果として日本人四人がまだ向こうに拘束されたままなんですよ。いろんな私は政治判断というのがやっぱり外交ではあると思いますよ。  今回、外務省としては私は非常に頭にきていると思いますよ。結果として検察がこういう判断をした、その責任は全部外務省が負わないといけない、現場の海上保安庁が負わないといけない、また自衛隊が負わないといけない。  さらに、一般国民は、見てください、さっき配付した資料。向こうの船長がVサインをした。行くときもVサイン、中国に戻ってからも両手でVサインですよ。これを見てどれだけ多くの国民が失望したか。  外務大臣、率直にお答えください。これからこの状況をどうやって解決していこうとお考えですか。
  138. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 先ほどから委員のお話を伺っておりまして、私なりに整理をいたしますと、公務執行妨害逮捕されたと、この手続は全く司法なわけですよね。しかし、その手続の中で、例えば勾留延長してから特に中国対応が非常に厳しくなってきたと、そして様々な問題が出てきたと、そういう状況はそれは外交問題ですよ。ただ、この船長事案については、これは公務執行妨害ですから日本の司法手続にのっとってしっかりやっていくと。しかし、それについて何か起こってくる問題については、それは外交問題であれば外務省がしっかりと対応していかなくてはいけないと、こういうことだと思います。  その中で、今後どうしていくのかということでありますが、まず我々は前提をしっかり押さえなきゃいけないと。つまりは、東シナ海における領土問題はないと。尖閣諸島というのは我々の固有領土である、そして同様の事案が起これば、当然ながら国内法にのっとってしっかりとまた対応していくと、これは絶対崩しちゃいかぬことなんです、これについては。だから、これは我々として、これは政府全体としてやっていかなくてはならないわけです。  しかし、様々な起きている問題というのは、じゃ、どういうふうに解決をするのかということについては、それは様々な努力をしていかなきゃいけないと思います。だからこそ、先ほども斎藤委員答弁をさせていただきましたけれども、四人の邦人案件については北京の大使館を通じて、そしてまた、私も昨日、程永華大使外務省に呼んで、そして身柄安全確保、そして領事の毎日一回の面会、そしてこの円満かつ速やかな解決という、そして何でそもそもその居住監視みたいなものになっているんだということの説明を求めたわけですね。  そういうことの中で、原則は、外交ですからそれはいろんなことをやらなきゃいけない面もありますけれども、原則は絶対に曲げちゃいかぬと。そして、その事象については、それはいろいろ関連があるのではないかというふうな報道もありますけれども、我々としては、起きていることについてまずはしっかりと対応していくということが大事なことだというふうに思っております。
  139. 佐藤正久

    佐藤正久君 その今言われた対応がどんどんエスカレーションしているんですよ、結果として、結果として。釈放した後の方が外交的な対応のレベルが上がっているんですよ、事実として。  法務副大臣、今回、だからその説明した判断の理由の一つとして、我が国国民への影響あるいは今後の日中関係、そういうものを判断をして釈放したんですよ。その結果が外交的な対応のレベルを上げているんですよ。全然、その対応した結果が、今後の日中関係を考慮したにもかかわらずうまく結果が出ていない。  今後の日中関係、これはどういう意味ですか。どういう意味で副大臣、こういう発表をしたんですか。
  140. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) まず、佐藤委員のこれまでの質問で少し総合的に述べさせていただきますと、地検の方は、この事件を受理しましてから、まさに粛々と捜査を遂げたわけでございます。  佐藤委員の質問を聞いておりますと、何か粛々と捜査するということは、何か厳罰することを目的にして捜査をするというふうにとらえているんではないかとちょっと感じられるんでありますが、決して粛々という意味は厳罰するということではなくて、やはり事案をきちんと適正に調べて、そして適正に判断を、結論を出す、適正な処分を行うということを言っておるわけでございまして、決して粛々と捜査を遂げたということと今回の処分保留で釈放ということが矛盾するとか方針が違ったということではございません。あくまでも粛々とした捜査を遂げた結果、処分保留で釈放という結論に至ったということでございます。  また、今回のこの処分保留で、那覇地検の方で処分保留として釈放した理由につきまして何点か理由を述べておるわけでございますが、まずその前提として、まず公務執行妨害が認められるということは明白に認めておるわけでございます。  佐藤委員は、公務執行妨害が認められるんだから当然起訴すべきではないかと、起訴しなければならないという前提に立ったような質問の御趣旨に受け止められるんですが、事実が認められるということでございましても、検察官は刑事訴訟法二百四十八条を踏まえまして、事案によりまして起訴しないということもできる、まさに起訴便宜主義ということが刑事訴訟法の規定によって認められておるわけでございます。そして、そういう言わば起訴便宜主義のその検察官の一つ判断の材料の中で、偶発的な犯行であるとか前科がないとか、そのような事情も一つの処分に至った判断事由として述べておる。さらに、その中の一つとして日中関係というようなことがまさに処分理由の一つとして掲げられておるわけでございまして、その一つだけを全部というように何かとらえられたような質問の趣旨であるようにちょっと聞こえるようにも思いますが、まさに捜査を遂げて、様々な捜査上明らかになった事情を総合的に勘案して処分を行ったということでございます。  また、日中関係という点はどういうことかとございましたが、日中関係を踏まえた社会的な事象というものも検察官の判断の資料の一つとしたという趣旨でございます。
  141. 佐藤正久

    佐藤正久君 やっぱりどう考えても、今の説明を聞いても、検察ののりを越えているんですよ。  じゃ、副大臣、今後の日中関係、これを判断理由の一つにしています。今起きている事象、これは予想した範囲ですか、今後の日中関係。  地検の話聞いているんですよ、副大臣関係ないんです。地検が言っている今後の日中関係、書いている部分、これは、今起きている事象、これは予測の範囲ですか。
  142. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) 例えば、一般論として、検察判断をするときに、例えば起訴する、あるいは不起訴とした場合にそれが社会にどういう影響を与えるのか、そして、今後社会がそれによってどのような影響を受けるのかということも、これは、判断すること、判断する材料の一つとすることはこれは当然認められるわけでございます。そうした社会の事象の中で今後それがどういうふうに展開していくかということは、当然これをしてはいけないということではございません。その社会の事象の中の一つとして日中関係もあった、含めたということでございます。
  143. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) 今、そういう事態の認識というお話でありました。  勾留が延長されたということで中国側の態度が変わったという認識を持たれる方がいらっしゃるということも私ども承知をしております。釈放の結果エスカレーションをしたんではないかという御認識を持っておられる方がおいでになっておるということも承知をしておるわけでありますけれども外交外務省の立場としては相手国を特定せず一般論で申し上げるということでお許しをいただきたいと思いますが、様々な事象の中で、文化等が違う中でいろんな反応が起こってくる、これに対して私どもは、日本国の外務省としてしかるべき対処をすべきものだというふうに思っております。  外務省は怒っているだろうと、大変ねぎらっていただいた、御心配をいただいたかというふうに思いますが、怒らずに冷静に対応しろというお言葉でもあろうと思って、激励と思って受け止めさせていただきたいと思います。
  144. 佐藤正久

    佐藤正久君 繰り返しますけれども、やっぱり今回の検察判断はどう考えても検察ののりを越えている。二百四十八条ではこれは絶対読めませんよ。今後の日中関係、今起きている事項を検察の方が予想してこういう文言を書いたというふうには到底思えません。  この件については引き続き当委員会でも追及していくということを最後に述べさせていただきまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  145. 岸信夫

    ○岸信夫君 まだお名前を覚えていただいていないのにショックを受けていますけれども、引き続き中国漁船の問題について、佐藤委員に引き続きまして御質問させていただきたいと思います。  今回の事件は、まさに我が国主権が侵された大変重大な事件だと思っております。先ほど前原大臣もおっしゃっていましたように、この尖閣はまさに我が国固有領土であると、疑う余地もない、こういう立場であります。  その上で、今回の事件が起こって、要は、領海内で漁船が違法操業をしていた、それで、さらにその船が海保の船にぶつかってきた、公務執行妨害、当たり前のことですね、その当たり前の犯罪に対して当たり前に逮捕をして勾留をしたと、こういうことだと思います。ですから、粛々と法と証拠に従って判断をしていく、それはまさに正しいんだと思うんですけれども、当然ながら、相手は中国漁船である。ということは、これがあくまでも国内法で処理されるべき問題であるといいながらも、一方では間違いなく中国との間で外交問題に発展していくだろうと、何らかのことが起こってくるだろうということは、当然ながら最初の段階から予想されていたことですね。当然そういうことだと、私は、前原大臣のことですから、当時はまだ国交大臣だったんだと思いますけれども、そういう了解でおられたんだと思っております。  そして、まさに今その状況が起こってしまっている、中国との間でいろいろな様々な問題が起こってきているわけであります。しかも、この問題は、さっきも大臣おっしゃられたように、人命が脅かされかねないような悪質な事件であったわけです。だからこそ、何で釈放がされてしまったのか、この点についてみんなが疑問を持っているわけですね。そこの部分が果たして法と証拠に基づいて粛々となされた判断なのかどうか、このことが今議論されているわけです。  高度な政治判断が必要だった、そういうことであれば、それはそれで一つ判断です。その場合は政治家が責任を取るべきなんです。ところが、このことは沖縄の地検にすべてが任されておるわけですね。地検が行ったことである。そこで、このような政治的な判断状況判断したということがその釈放の理由に挙がっていることがおかしいんじゃないか、こういうことを議論をしてまいったわけでございます。  今、国内の法的なプロセスについては、いろいろ佐藤議員からもお話がございました。一方では、やはりこの事件が起こってから我が国国益が失われてしまっている、このことがやはり国際社会の中での日本立場を弱めておるわけですし、一方では大問題になっているんだと思っております。  こういうことが起こったからには、当然ながら、そういうことを予想して先に手を打っていくことが当然必要だったんだというふうに思っておるわけですけれども、実際、中国漁船のこの地域での違法操業の状況について、どれぐらいの漁船が今やられてきたのか、その辺のことは海保、ちょっと答弁いただきたいと思います。
  146. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 尖閣諸島周辺海域での違法操業の状況につきましてお答えさせていただきます。  本年八月中旬以降、尖閣諸島周辺の我が国領海付近の海域で多数の中国漁船が操業しておりまして、そのうちの一部が領海内に侵入している事実も確認されておりました。このため、当庁としては、巡視船を派遣して退去警告等の措置を適切に実施したところでありますが、その中で今回のトロール漁船衝突事案が発生したものでございます。  なお、本日朝現在、尖閣諸島周辺の領海内において操業している外国漁船は認められておりません。これは、二十三日以降、本日朝まで認められておらないということであります。
  147. 岸信夫

    ○岸信夫君 まさに、この領海そしてこの尖閣諸島周辺の海域というものは、安心して我が国の漁師さんも含めて活動ができる状況かどうか、これは分からないような状況になっているんじゃないか。まさにこれは、どなたかがおっしゃいましたけれども、友愛の海なんという状況じゃないということが現実になってきているんだと思います。  海上保安庁と同様に、まさに国民の生命、財産、領土領海を守っている立場として、防衛省防衛大臣、御所見をいただきたいと思います。今回の事件についてどのようにお感じになっているか。
  148. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 防衛省としましては、東シナ海を含む我が国の周辺海域において、P3Cを平素から監視活動に活用して情報収集をしっかり相努めておるわけでありまして、今御案内のように、近年の中国の海洋における活動が極めて活発化しておるわけでありまして、我々とすれば、この情報収集活動関係省庁にも伝達をして、様々な我が国の権益を守る資料にしていただくように提供をいたしております。
  149. 岸信夫

    ○岸信夫君 北澤大臣は九月二十一日の記者会見の中で、この漁船衝突事故についてこういうふうにお答えになっているんですね。漁船がこちらに衝突してきたこと、これは中国政府の中あるいは国民に正確に伝わっているのか分からない、そしてそういうことを正確に伝えることも我が国が努力していかなきゃいけない、こういうふうにおっしゃったと思うんですけれども、これは具体的にはやはりビデオのことを念頭に置いておっしゃった、こういう了解でよろしいですか。
  150. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 我が方の資料によれば漁船衝突をしてきたということが明らかにされておるわけでありまして、一方、中国側は逆なことを言っておるわけでありますから、私も政治家の端くれとして、政治的な問題の対応とすれば、この資料を表に出す用意があるということを日本側として表明することは外交交渉上も有利になるのではないかということで、即渡すということを申し上げておるわけではなくて、そういう心構えは必要であるということを申し上げておるわけであります。
  151. 岸信夫

    ○岸信夫君 まさに百聞は一見にしかずということだと思うんですけれども。先ほど前原大臣も、このビデオを御覧になったときに、やはりこれはもう明白であると、向こうの問題は明白であると、こういうふうにお感じになった、こういうことだったと思いますけれども、それだけはっきりした、見ればはっきり向こうが悪いというのが分かる、そういう映像であるわけですね。これをなぜすぐに開示をしなかったのか。  これは、事件が起こった七日の日に、その日に国交大臣は御覧になっていると思います。その上で、しかしながらこのビデオは見せない、公開をしないと、こういう判断を下されたんだと思いますけれども大臣、いかがですか。
  152. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) その当時は今委員がおっしゃったように国土交通大臣でございまして、海保所管をしておりました。そのビデオを見まして、体当たりをしてきたのが明白であるということの中で、最終的には逮捕ということに至ったわけでございます。  ただ、他方で、送検をする、あるいは仮に公判になった場合、それが証拠として使われるわけでございまして、そういう意味において我々としてはそのすぐの公表には慎重であったと、こういうことでございます。
  153. 岸信夫

    ○岸信夫君 その後裁判になるかもしれないと、こういうことだったのかもしれませんけれども、ただ、それでも、こういった資料について公開をするという手だてはあったと思うんですけれども、この点については法務副大臣、いかがですか。
  154. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) まず、一般に捜査資料というものは公開しないというのが原則でございまして、刑事訴訟法四十七条等もそのような趣旨に規定いたしております。今回のこのビデオも貴重な捜査資料でございますので、そうした趣旨から公開しないでまいりました。  ただ、公益上の必要があるとか、あるいは今回におきまして既に処分保留、釈放という形で一応の結論らしきものが出ているという状況でございますので、そうした状況を踏まえてこのビデオにつきましては検察庁の方で適正な対応をするものと考えております。
  155. 岸信夫

    ○岸信夫君 この刑事訴訟法四十七条にも例外規定がありますよね。公益というものが理由になれば公開できるということになっていると思うんですけれども、まさに国益逮捕してから、七日の時点から今まで考えたときに、どんどんどんどん毎日毎日国益を失ってしまっている。そのことに対して我が国がどのように我が国立場を明確にメッセージとして出していくか、そのための一つツールとしてこのビデオというのは大変重要だったと思うんです。そのためにも、一刻も早くこのビデオを出すという判断がそこでされてもよかったんじゃないですか。  このビデオは、船長は当然取調べの中で見る機会もあったのかもしれません。中国側はどうだったんですか。この件について答えられる方はいますか。例えば大使館の人間、日本大使館の人間、あるいは北京の人がこのビデオを見るという機会はあったんでしょうか。
  156. 小川敏夫

    ○副大臣(小川敏夫君) 検察の方では捜査の証拠物を公開していない、公表していないという原則からすれば、見せていないものというふうに思われます。  また、できるだけ早く見せたらいいではないかという御指摘でございますが、先ほども申し上げましたように、これまでは捜査中でもございましたので、証拠物という観点で公表しないでまいりましたが、二十四日の段階処分保留で釈放という一応の結論らしきものが出ておりますので、事情も変わっておりますことを踏まえて、国会等からの要望もありますれば、それを踏まえた適切な対応を地検においてするものと思っております。
  157. 岸信夫

    ○岸信夫君 もうその最初に事件が起こってから二十日以上たっているわけですね。これまでの間に失われた部分、このことが大変重要だと私は申し上げているわけであります。今ごろこのビデオを見せたところで、じゃ、何になるのか、こういうことにもなるんじゃないですか。  もっと早く本来提出すべきだったと思うんですけれども前原大臣はこの点についてはどういうふうにお考えですか。
  158. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) これは刑事訴訟法にかかわる話でございますので、私からコメントするのは差し控えたいと思います。
  159. 岸信夫

    ○岸信夫君 それはおかしいんじゃないですか。最初に御覧になったときは、まだそういう形に進んでいくかどうかというのは決まっていなかった段階でしょう。七日の段階だったわけでしょう。まだ逮捕が決まる前でしたよね。そうじゃないんですか。その時点で御覧になったんじゃないんですか。それで、明らかにこのビデオを見れば向こうの瑕疵が明白であるということですよね。  であれば、それをその時点で公開をするという判断だってあったんじゃないんですか。そのことをやらなかったがために、その後、じゃ、逮捕、勾留となった、将来の訴訟に向けて証拠が出せないような状況になってしまったのかもしれませんけれども、その段階であったとしても、これが一刻も早く出すことができれば中国に言われ放題言われることがなくなる。それだけでも全く状況というのは変わってきたと思いますよ。  例えば、国連において、今回はいいチャンスだったと思うんです。日本からいかに、この地域が日本固有のものであって、中国が理不尽なことをやっているかということを示すこともできたんじゃないですか。  私も、たまたま先週、ASEANの議員会合という会議に出てまいりました。そのときにも、ASEANの皆さんといろいろな話をする中で、彼らが日本に対する期待というものも大変大きかったわけです。この地域の安全保障を守っていく、そのための役割を日本に果たしてもらいたい、日本とアメリカとの日米同盟によって果たしてもらいたい、そういうことも大変あったわけです。その中で、中国からこのように一方的にやられてしまっている、そういう日本に対してもう期待を抱けなくなってしまう。そういうような形で国益がどんどん失われてしまっているわけですよ。  そのことに対して、じゃ、我が国がこの二十日間の間にきちんとこの問題に対して発信をしていましたか。法に基づいて粛々とやっていた、それはそれでいいです、これは中の問題。一方で、外交の問題というのは同時に進めていかなきゃいけなかったはずです。そのことが目に見えてない。結果として、じゃ、何かのディールがあった、そういうことならいいですけれども、それさえ全くないじゃないですか。分からないじゃないですか。中国がどんどんどんどんエスカレートさせていくだけです。  さらに、釈放を表明したところで、その後で賠償請求さえされている。そのことに対して、じゃ、何かカウンターを出したんですか。あるいは、本来であれば、これは向こうが悪いんだから、こっちが賠償請求するべきものですよ、最初から。そのことに対して何もしなかったじゃないですか。そういうことは外交の失敗と言えないんですか、大臣前原大臣
  160. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) 中国外交部の声明に対しては、外務省として速やかに、賠償及び謝罪を求めるものには何ら根拠がないという趣旨の声明を発表させていただいております。  また、加えて申し上げれば、諸外国の報道等でも、尖閣等の理解についてしっかりと認識をしていただくということで、外務省としても所感を掲載をするなどの形でしっかりと活動させていただいているということは御報告を申し上げたいと思いますが、委員の方でまだまだそれでは足らないという御認識を持っておられるということは、今日承りまして、改めて私どもも努めてまいりたいと思います。
  161. 岸信夫

    ○岸信夫君 結局、タイミングの問題、これがすべて後手後手に回っているということなんです、今回。このビデオのことについてもしかり。これから、もちろん、当然ながら一刻も早く開示してもらわなきゃいけないんですけれども、それだけではなくて、外交的な手はずということも含めて、すべてにおいて後手後手に回ってしまっている、その感が否めないわけです。それによって我が国立場はどんどん悪くなってしまった。  先ほど大臣は、この地域が、この海域固有領土であり領海であるとおっしゃいました。当然そうなんです。我が国立場はそうです。でも、国際世論がそうでなくなってくる可能性だってあるわけでしょう。そのことはまさにこの二十日間、中国が扇動してきたわけじゃないですか。それに対して、そういう状況をつくっちゃいけないんですよ、我が国は。こういうことが起こったから、ここで起こったことはすべて日本の問題なんだということをはっきり示さなきゃいけなかったんじゃないですか。そのことをやってこなかったのはまさに大失態だと思います。
  162. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) やってきております。  まず、ビデオの話ですが、それはもう先ほど答弁したとおりでございまして、海保逮捕をすると、そして取調べをして送検をするわけですね。そのときの証拠物として慎重であったということは御理解をいただきたいと思います。  その中で、じゃ、日本立場を全く言ってないのかということは、全然そうじゃありません。  例えば、幾つか申し上げますと、在外公館あるいは日本のいわゆる各国の大使館に対して、我々は、この尖閣諸島というのは日本固有領土であると。歴史的な経緯、そして、今回どういう事案で我々がこういう行動を取ったのかということと、それに対して中国がどういう対応をしてきたのかということについては、これは外務省としては、各国の大使館あるいは領事館に対してしっかりと説明をするということをもう早くにそれは私から指示をして、そしてそれはずっとやっております。  それと同時に、国連総会というチャンスがあったわけでありますから、G8の場でも私から、ほかのEUも含めて、G8の外務大臣の前で私から手を挙げて、今回の中国の問題はこういう問題なんだということはしっかりと話をいたしましたし、先ほど申し上げたようにバイの会談は十九か国になりましたけれども、このことについてしっかりと日本立場説明するということをやってまいりました。
  163. 岸信夫

    ○岸信夫君 もう残念ながら時間となってしまいましたけれども、今回、菅総理がニューヨークで小島嶼国開発ハイレベル会合、この開会式でスピーチをされていますね。すべての小島嶼国の力強いサポーターでありたい、あり続けたいと、こうおっしゃったということなんですけれども、まさに我が国だって島国です。その島国である我が国がその島嶼部、これをしっかり守ることができていない、これが今の現状ですよ。そのことは、我が国の島嶼部が守れていないような国が果たして彼らのサポーターになれるんですか。彼らから本当に信頼してもらえるんですか。私はそうは思えないんです。まずはしっかりと我が国を守る、それぞれの領海領土を守っていく、この意思を国際社会に見せていく、そういうことをもっと強くやっていかなければ、これはまさに我が国が今後世界の中から見捨てられてしまう、埋没してしまう、国が消えてしまうかもしれない、大変重要な時期だと思っております。  去年から続く民主党政権の中で、これは毎日毎日、国益が失われてしまっているようなものじゃないですか。だれも責任を取らないままに、いいですか、だれも責任を取らないままに普天間の問題があり……
  164. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 時間ですからまとめてください。
  165. 岸信夫

    ○岸信夫君 今回の問題が起こっている。このような国益を日々失ってしまうような政権には一刻も退場していただきたいことを申し上げて、質問を終わります。
  166. 田中直紀

  167. 岸信夫

    ○岸信夫君 結構です。
  168. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) これは国家主権にかかわる問題ですので、私は与党も野党も関係ないと思いますし、じゃ、今まで日本安全保障に対してずっと政権を担ってこられた自民党はどれだけ予算を掛けてそれをやってこられたのか、あるいは海保について予算を本当に掛けられてやってきたのか、すべてそういう蓄積の中で日本の体力というのが今決まっているわけですよ。  皆さん方も御承知のとおり、装備を発注して出てくるまで五年掛かるんですね、長いもので。そういうようなことすべてが日本の力となって、今、ある……(発言する者あり)
  169. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 不規則発言は慎んでください。
  170. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) そういうことも踏まえて、是非これは与野党を超えて日本主権をどう守っていくかという建設的な議論を私はさせていただきたいと思いますし、御協力お願いしたいと思います。
  171. 山本香苗

    山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。  尖閣諸島沖の我が国領海内で我が国巡視船中国漁船がぶつかってきた事件につきまして、事件発生時には海保所管する国土交通大臣で、この度外務大臣に就任されました前原大臣に質問させていただきます。  その前に海上保安庁長官に何点かお伺いしたいわけでございますが、事件のあった尖閣諸島海域に今なお多くの中国漁船が現れ、日本領海内で違法操業をしているという報道がございますが、事実でしょうか。
  172. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) お答えいたします。  先ほども答弁させていただきましたように、本年八月中旬ごろから多数の中国漁船尖閣諸島領海線の内外の辺りで、領海線付近で操業している事実が見受けられました。これに対して私ども巡視船が退去警告等を行っておったわけでございます。  ただ、本日朝七時現在では、領海内において操業をしている外国漁船は認められません。
  173. 山本香苗

    山本香苗君 今、現時点においてはいないにせよ、そういう漁船がいれば海上保安庁は具体的にどういう方針でどういう対応を取っていらっしゃいますか。
  174. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 領海内での違法操業を現認したときは、まずマイク等により退去警告を実施いたしまして、これに応じない場合は立入検査を実施した上で領海外へ退去させております。  ただ、今回のような悪質な漁船については検挙することとしておりますけれども尖閣諸島領海内で外国漁船を検挙したのは今回が初めてでございます。
  175. 山本香苗

    山本香苗君 長官に率直な御意見を伺いたいわけですが、今回の事件を踏まえた内閣の明確な方針がないと、現場の海保は絶えず外交判断まで踏み込むようなところを強いられてしまうわけです。ただでさえ過酷な現場です。そういうところに更に過重な負担が掛かってしまうんじゃないかと考えておりますが、現場の状況を踏まえた率直な御意見を伺いたいと思います。
  176. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 先ほど外務大臣からも御答弁がありましたように、尖閣諸島我が国固有領土でありますので、我が国国内法がその領海においても適用されるわけでございます。したがいまして、海上保安庁としては、今後とも、これまでと同様に我が国国内法令にのっとり、しっかりと取締りを行っていきたいと考えております。
  177. 山本香苗

    山本香苗君 率直な御意見をとお伺いしましたのは、こういうことが起きた後にどういう形でやっていったらいいのか、今までと同じような形でやっていいんだろうかと現場で戸惑いがあると伺っておりますが、そういうことは承知されておられないんですか。
  178. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 私どもの現場の人間は今も現地においてしっかりと取締りを行ってくれておりますし、今後とも、関係省庁と連携しながら海上保安庁として十分に役割を務めてまいりたいと考えております。
  179. 山本香苗

    山本香苗君 今回の事件におきまして、国交大臣として衝突された巡視船艇も視察をされて、海保のこの領海警備の重要性ということを十分御存じである前原大臣、今長官は大分抑制した答弁をされていましたけれども、どういう御見解をお持ちですか。
  180. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 私も、国交大臣を辞める前の日に石垣に行きまして、そして追突をされた、追突というか衝突をされた巡視船艇を見まして、またその乗っている海上保安庁の職員を激励をいたしました。今までもいろんな管区、沖縄も含めて回らせていただいておりますけれども、士気は極めて高く、そして使命感を持って海保の職員は頑張ってくれているというふうに思っております。  これからも私は、主権を守ることは一義的に海においては海上保安庁の仕事でございますので、しっかりやってもらえると思っておりますし、我々も政府全体でバックアップをしていかなくてはいけないと、そう考えております。
  181. 山本香苗

    山本香苗君 今後もこの尖閣諸島領有権をめぐる摩擦というのは続くと思います。尖閣諸島近くの我が国の漁業関係者からは、安心して漁ができない、これからは中国側日本の船を拿捕するようになるんじゃないか、政府は我々を守ってくれないのか、そういった怒りやまた不信、不安の声が上がっていると伺っております。  今回と同じように、中国漁船我が国領海内に入ってきて海保巡視船にぶつかってくるといったような事態が再び起きた場合どうするのか、迷わずに逮捕するのかと。また、逆に、中国は自分たちの中国固有領土だと言っているわけでありますから、中国固有領土だという主張の下に中国日本漁船を拿捕した場合にどうするんだと。そういった場合に内閣の方針はあるんですか。  今の中国の強硬な姿勢からすると、今申し上げたようなことは、あったらとかいう場合ではなくて、考えておかなくちゃいけないことだと思うんですけれども、こういうことを内閣が、これ外務省が国交省がというだけじゃなくて、内閣としてきちんと方針を示しておかなくてはならないんじゃないかと思いますが、前原大臣の御見解はいかがでしょうか。
  182. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 先ほど委員領有権をめぐる争いという言い方をされましたけれども領有権をめぐる争いはございません。日本立場から、東シナ海における領土問題は一切存在をしないと。尖閣諸島我が国固有領土でございまして、その主権をしっかりと今後も守っていくということが政府の一貫した考え方でございます。  その中において、しっかりと海保がこの海域を守っていくということは大変大事なことであり、それは国土交通省、海上保安庁としてしっかりやっていただくことになろうかと思いますし、それに対する違反事案があればしっかりと国内法にのっとって取り締まってもらうということになります。  他方で、これは外務省という立場でいえば、いかにそういったものを起こさないような話合いを日中間でやっていくかということが今後私は一つ課題であろうというふうに思っておりますし、様々なルートで、例えば今、中国公船漁政、あるいはリョウセイという言い方をする方もおられますけれども、これが領海をぐるぐるぐるぐる回っていると、それについて、当然ながら外交ルートを通じて、離れるように、退去をするようにということは常に言っているわけでございまして、これについてもしっかりと海保がガードをしてくれているということで、外交ルートも使いながら、しかししっかりと実効支配もしていくと、両面でやっていかなくてはいけないんではないかと思います。
  183. 山本香苗

    山本香苗君 いろいろ御答弁いただいたわけですけれども、今私が例示したようなことについて具体的に、各省庁がばらばらにやっていいという話じゃなくて、内閣としての具体的な方針をやはり持ってそれを現場に示してあげないと、毅然と対応しようにも対応し切れないんじゃないかという懸念を持ってお伺いしているわけです。  前原大臣だからこそ、この菅内閣の重要閣僚である前原大臣だからこそ、しっかりこの点について内閣でも議論すると、検討するというお答えをいただきたかったんですが、どうでしょうか。
  184. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 検討するって、もうちゃんとそれはしっかりと内閣として対応するということは当然でございますし、ただ、外交は相手のあることでありますので、そういう意味においては国内法にのっとって日本領海領土を守るということは引き続きやっていくということでありますけれども外交交渉も引き続きやっていくということでございます。
  185. 山本香苗

    山本香苗君 よく分からない答弁なので次に行きたいと思いますが。  尖閣諸島の領有について、我が国我が国固有領土という主張をしておりますけれども中国中国固有領土でありますと主張して、真っ向から主張が対立しているわけですね。  そこで、改めて確認の意味でお伺いしますけれども我が国尖閣諸島我が国固有領土とする根拠は何なのか、そして中国の主張がどこが間違っていておかしいんだという根拠をはっきりと、菅内閣としての見解をお伺いしたいと思います。
  186. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 尖閣諸島は、一八八五年以降、政府が沖縄県当局を通ずる等の方法により再三にわたり現地調査を行い、単にこれが無人島であるのみならず、清国の支配が及んでいる痕跡がないことを慎重に確認の上、一八九五年一月十四日に現地に標杭、くいですね、標くいを建設する旨の閣議決定を行って正式に我が国領土に編入をいたしました。このように、我が国は、国際法上、先占と呼ばれる行為に、先に占領するの先占と呼ばれる行為によりまして尖閣諸島領有権を取得をいたしました。  同諸島は、以来、歴史的に一貫して我が国領土たる南西諸島の一部を構成しておりまして、一八九五年五月発効の下関条約第二条に基づき我が国が清国から割譲を受けた台湾及び澎湖諸島には含まれておりません。また、サンフランシスコ平和条約においても、尖閣諸島は、同条約第二条に基づき我が国が放棄した領土、つまりは、第二条というのはこれは台湾と澎湖列島でありますけれども、このうちには含まれておらず、同条約第三条に基づき南西諸島の一部としてアメリカ合衆国の施政下に置かれて、一九七一年の沖縄返還協定、琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定によりまして我が国に施政権が返還された地域に含まれております。  このように、尖閣諸島我が国固有領土であることは歴史的にも国際法上も疑いのないところでありまして、現に我が国はこれを有効に支配をしております。したがって、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在していないと考えております。我が国領土たる尖閣諸島領有権について中国政府が独自の主張を開始したのは一九七〇年代以降であり、それ以前にはそのような主張は全く行われていませんでした。サンフランシスコ平和条約第三条に基づき米国の施政権下に置かれた地域に同諸島が含まれている事実に対しても、何ら異議を唱えておりません。  また、一九五三年の人民日報の記事、これはどういう記事かと申しますと、一九五三年一月八日の人民日報記事、琉球諸島における人々の米国占領反対の闘いという記事でありますが、琉球諸島は我が国の台湾東北部及び日本の九州南西部の間の海上に散在しており、尖閣諸島、先島諸島、大東諸島、沖縄諸島、大島諸島、トカラ諸島、大隈諸島の七組の島嶼から成ると。こういうことで、人民日報も要はこの一九五三年時点では、沖縄の琉球諸島の一部を構成している七つの組の島嶼の一つだということを言っているわけですね。そして、一九六〇年発行の中国世界地図集では、尖閣諸島が沖縄に属することも認めております。  したがって、中国政府がいわゆる歴史的、地理的ないし地質的根拠として挙げている諸点は、いずれも尖閣諸島に対する中国領有権を裏付けるに足る国際法上有効な論拠とは全く言えない。つまりは、こういう経緯から見ても、尖閣諸島というのは日本固有領土であり、当たり前のことだと、こういうことでございます。
  187. 山本香苗

    山本香苗君 今御答弁にあった見解をもっと簡潔に分かりやすく、そして紙を見ないで、国際社会に対してはもちろんのこと、国民に対してあらゆる機会を通じてしっかりと発信していっていただきたいと思うんですが、どうですか。
  188. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) しっかり時系列、年号、日にちも覚えて空で言えるように、簡潔に言えるように努力をしたいと思います。
  189. 山本香苗

    山本香苗君 先ほど来よりお話ありますように、尖閣諸島我が国固有領土である、日中間に尖閣諸島をめぐる領土問題は存在しないと、この原則に立って国内法に照らし厳正に対応する、この基本的な我が国姿勢は、今回の事件の一連の政府対応におきまして最後まで貫かれた、ぶれなかったとお考えでしょうか。
  190. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 検察判断をされたことであります。
  191. 山本香苗

    山本香苗君 私が聞いたのは、基本姿勢は貫かれたか貫かれなかったかと、その認識をお伺いしました。
  192. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 繰り返し述べておりますように、東シナ海領土問題は存在しておりません。尖閣諸島日本固有領土であります。その姿勢は一貫をしております。
  193. 山本香苗

    山本香苗君 那覇地検鈴木次席検事は、中国漁船船長釈放の理由について、先ほどもお話ありましたとおり、我が国国民への影響や今後の日中関係を考慮すると捜査を続けるのは相当ではないとコメントをいたしました。  これに対して、大阪大学の坂元一哉教授は、那覇地検が、我が国国民への影響や今後の日中関係を考慮すると捜査を続けることは相当ではないと那覇地検が言っている以上、中国の圧力に負けたということで外交的な敗北だろうと語っておられました。私も全く同感です。  検察が法と証拠以外のことを理由に、先ほど異例だとおっしゃいましたけれども、異例な形で処分を決定した以上、国内法に照らして厳正に対応するという我が国の基本姿勢は貫かれなかった、ぶれたとしか言いようがないと思うんですが、率直にこの点をお認めになられたらどうでしょうか。
  194. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 検察の手続によって貫かれたと思っております。
  195. 山本香苗

    山本香苗君 先ほど来よりその答弁が延々と続いているわけなんですけれども、だれもそんな言葉信じる人なんかいませんよ。  実際、検察独自の判断という形で、先ほどもいろんな御答弁の中にありましたけれども、連立与党の有力者の方からも事実上の指揮権発動だという、そういう指摘がなされていたじゃないですか。また、民主党の中でも、また幹部の方々からも次々と同様の指摘がなされているじゃないですか。  二十五日の日に片山総務大臣は、今回の釈放について、大局的に全体としては高度な政治判断が背景にあったんだろうと述べられまして、検察判断政府の意向が影響したという認識を示しておられました。指揮権は発動されていないにせよ、検察判断政府の意向が影響したと見るのが常識的な見方じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  196. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 検察事件の性質等を総合的に考慮した上で国内法に基づき判断を行った結果だと思っております。
  197. 山本香苗

    山本香苗君 じゃ、ちょっと角度を変えてお伺いをしたいと思いますが、仮に大臣がおっしゃったように検察の独自の判断という形になりますと、検察外交上の国益について判断したことになります。これは検察官の本来の職務じゃないじゃないですか。
  198. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 検察のことを外務大臣に聞かれても困ります。
  199. 山本香苗

    山本香苗君 いや、そういう答弁に逃げてはいけないんですよ。検察は法と証拠に基づいて、法と証拠に基づいて判断するんですよね。これ唯一のルールなんですよね。本来、外交上の国益について判断するのは内閣の仕事じゃないんですか。  松本大臣はいいです、外務大臣に聞いていますから。
  200. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) ですから、内閣の検察所管する法務省を呼ばれてその質問をされたらいかがでしょうか。(発言する者あり)
  201. 山本香苗

    山本香苗君 ちょっとそこまでは言ってないんですが。  本来、外交上の国益について判断するのは内閣の仕事じゃないですかという、じゃ、直球で聞きます。
  202. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) もう一度、済みません。
  203. 山本香苗

    山本香苗君 ちゃんと質問聞いておいてください。  外交上の国益について判断するのは内閣の仕事じゃないですかって聞いているんです。
  204. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 先ほど佐藤委員にも答弁をいたしましたけれども、国内の刑事事案が起きてそれについて処分を決めるのは、これは検察でありますが、それに基づいて様々な外交問題が起きてくるということについては、当然ながら外交外務省の仕事だと思います。
  205. 山本香苗

    山本香苗君 おっしゃるとおり、外交は内閣の専権事項なんです。検察外交上の国益というものを判断するというのは、先ほど佐藤理事は、のりを越えたということをおっしゃっておりましたけれども、まさしく検察の越権行為じゃないんですか。  外務大臣として、この点どうお考えですか。
  206. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) ですから、繰り返し申し上げておりますが、検察のことは法務省をお呼びになって聞いてください。
  207. 山本香苗

    山本香苗君 検察のことを聞いているのではありません。外交当局のトップとして検察がこういう形で越権行為をしていることをどう考えるんですかということを聞いているんです。
  208. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 越権行為とは全く考えておりません。検察がある事案において処分をして、それに対して外交問題が起きたら外務省としては対応していくということでございます。
  209. 山本香苗

    山本香苗君 そもそも今回の事件というのは、案件というのは、国益に関する、主権に関する非常に極めて重要な案件ですよね。検察ではなくて、本来は内閣の判断が問われているわけであります。にもかかわらず、ずっとこの底辺で流れている、政府のおっしゃっている答弁は、検察判断をしたと、内閣はそれを了としたと。検察判断を任せて、内閣そのものの判断がないんですよ。内閣としての判断がないんですよ。私はこの点が驚くべきことだと思うんです。これが民主党さんの言われる政治主導なんですか。  国益にかかわる案件で内閣そのものの判断がないということを、前原大臣国益を追求すると先ほどの冒頭のごあいさつでもおっしゃいましたけれども、この点を、軽く考えてはおられないと思いますが、どうお考えですか。
  210. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) ですから、国内法に基づいて判断をされたことであり、しかし、そのことにおいて外交問題が生ずるということについては、外務省として外交問題としてしっかりと対応していくということであります。
  211. 山本香苗

    山本香苗君 いや、極めて残念な御答弁だなと、前原大臣には大変期待をしておったのですが、極めて不誠実な答弁だと思います。  あくまで検察独自の判断判断とおっしゃるのであれば、検察に国会の場で説明責任を果たしていただくことが必要だと思います。是非、当委員会検察から説明を受ける機会を設けていただきたいと思います。委員長、何とぞお取り計らいのほどよろしくお願い申し上げます。
  212. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 後刻理事会で協議いたします。
  213. 山本香苗

    山本香苗君 ちょっと残りの時間、いろいろ具体的に伺っていきたいと思いますが、先ほどもお話ありましたけれども海上保安庁がぶつけられた模様を撮影していたビデオの件につきまして、この問題も同じなんですよね。刑事訴訟法云々とか言われましたが、何で地検だとか海保だとかそっちの判断でという話になって、内閣としての判断がないんでしょうか。ここのところをしっかり内閣として検討して、一刻も早く出して、国際社会に、また国民にしっかりと真実を知らしめるという努力をなされないんでしょうか。私はこの点が大変不思議で仕方がないんですが、前原大臣、いかがでしょうか。
  214. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 委員のお考えはお考えとして承りました。  先ほど岸委員に対して答弁をさせていただきましたように、この事件が起こった当初、私は国土交通大臣海保所管する大臣でございましたけれどもビデオを見ました。しかし、取調べをして送検をするということにおいて証拠物として扱うということの中で、公開においては慎重に扱ったということでございます。  なお、今後の問題については、先ほども答弁をしておりますように、この刑事訴訟法第四十七条にのっとって、ただし書以降、公益上の必要その他の事由があって相当と認められる場合にはこの限りではないということもありますので、総合的に判断をしていくということになろうと思います。
  215. 山本香苗

    山本香苗君 きちっと出していただけるものだと思いますが、九月十九日、大臣、御就任されて早々NHKに出られたときに、今回の事件を偶発的な事故だと思うというふうにおっしゃっておられました。今回の事件というのは偶発的か意図的かと言われれば、私は意図的としか言いようのない事件、二回にわたってぶつかるという意思を持ってぶつかってきた中国漁船が何で偶発的なのかと、全く理解ができないわけなんです。それに、単なる事故じゃないんですよ、事件なんですね。  大臣が偶発的な事故だというふうに言われた根拠は何なんですか。
  216. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 私は、国土交通大臣として海保所管しております。そして、十一管、特に石垣の海上保安部とは相当何度も何度も話をして、現場の状況はどうなのかということについては常に話を聞いております。  今回の事案というか、今年はかなり船が多い、漁船が多いということでございまして、その背景には今年の気象状況があるんではないかというのが十一管の判断でございます。つまりは、尖閣諸島海域においてはかなり魚が多いんではないかと、今年は。これはあくまでも、常にあの地域をパトロールしていて、先ほども斎藤委員の御質問にも答弁をいたしましたけれども中国や台湾の漁船が入ってくるわけですね。領海に入ってきたら追い出す作業を日常茶飯事のようにやっているわけです。そして、今年は非常に船が多くて、そして立入検査もやっているわけですね。  そういった現場の職員が、その中の一つの船が、まあ言ってみればその退去に応じずに、そしてぶつかってきたと。こういうことでございまして、つまりは、初めから意図して仕組まれて云々という意味での故意ではないと、こういう意味で偶発的な可能性が高いということを申し上げたわけであります。つまりは、常日ごろあの地域を警戒監視活動して、中国や台湾の漁船とまさに体を張って頑張っている海上保安庁から状況を聞いて、その可能性が高いと判断をしたところでございます。
  217. 山本香苗

    山本香苗君 今の御答弁を聞いておりますと、じゃ、現段階においては偶発的ではない、意図的だというふうに御認識されているということですか。
  218. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) いや、先ほども申し上げたとおり、偶発的な要素が高いと、可能性が高いと思っています。
  219. 山本香苗

    山本香苗君 この事件においてはっきりしてきたのは、中国の海洋権益の拡大という国家としての明確な意思が背景にあることは複数の外交専門家の方も指摘をされておられるところであります。それをあっさりと偶発的だとか計画性がないというのは私は非常に甘い判断だと思うんですが、どうですか。
  220. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) まあいろんな考え方はあると思いますし、もう少し現場も見られて、海保の現場の人間の話も聞かれてその御判断をされたらいかがでしょうか。
  221. 山本香苗

    山本香苗君 もう時間がなくなってまいりましたが、とにかく、今回の中国の数々の理不尽な対応に対しまして、私個人としても大変納得いかないわけでありますが、と同時に、政府の一連の対応に対しても納得いかないわけであります。官民交流もストップしたままですし、東シナ海ガス田の問題も、またレアアースの問題も、また日本人の四人の拘束の問題等々についてもいまだに解決しておりませんし、また見通しも全く立っていないと。  仙谷官房長官が昨日、記者会見で、現時点でボールは中国側にあるというふうにおっしゃっていましたけれども、そんな相手の出方次第の場当たり的な対応でこのような問題は絶対に解決できないと思うんですよ。今後、どういう戦略を持ってやろうとお考えなのか、御答弁お願いいたします。
  222. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 外交交渉でございますので、すべて申し上げることもできない面もありますけれども外交問題としてしっかりと対応しなくてはいけないと思っております。  ただ、やっぱり原則は、隣国であり、そして経済の問題も含めて、もちろん主権の問題は大事でありますし、自らの日本主権、考え方というのはしっかりと堅持をしながら、しかし日中間の戦略的な相互互恵関係を築いていくということも私は大事でございますので、高い視点で様々な努力を行っていきたいと考えております。
  223. 山本香苗

    山本香苗君 具体的に戦略がないのかなというのを感じるような御答弁でございましたけれども、私どもは野党ではありますが、国家国民の利益を守るという立場から真剣に議論をさせていただいているわけなんです。  今回、今日も実は官房長官出てきてくださいということを申し上げてきたわけでありますし、キーパーソンである官房長官出てきていただいていないと。また、いろいろ今日御答弁いただきましたけれども、まだまだ分からないところはたくさんあると。これじゃ議論が深まらないわけでございます。  本当に、時間が参りましたので終わりますけれども、この問題につきまして更に臨時国会、徹底的に議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  終わります。
  224. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 みんなの党の小熊慎司でございます。  今般の尖閣諸島接触事案についてお伺いをいたします。  今回の事案は、海上保安庁の職員、領海で漁業、また生活を営む方々の命、安全、安心が脅かされたことはもとより、我が国主権外交及び国益が脅かされた重大な事案です。国民の生命と財産、国家国民主権と利益はどこまで行っても守るんだという、そういう覚悟がなければ政治家として国は背負えないと、そういった覚悟があれば、官房長官自らが委員会を軽視せずに、委員会軽視どころか国民を軽視せずに、この委員会出席をして堂々と説明責任を果たすべきであると。  僣越ながら、私であれば、私が総理大臣、官房長官であればこうした選択は取らなかったとじくじたる思いでおられると御推察をされる前原大臣にお聞きをいたします。  今般、大臣がニューヨーク訪問中に行いました外相会談やその他の懇談会等におきまして、今般の尖閣諸島接触事案について何らかのやり取り、お話があったのか確認をさせていただきます。
  225. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) お答えをいたします。  先ほども同僚委員お答えをいたしましたが、繰り返しで恐縮でございますけれども、二か国間の外相会談というのは十九回やりました。特に同盟関係を結んでいるアメリカのクリントン国務長官とは、この問題については私の方から詳しく事の経緯というものをお話をいたしました。また、中国がそれによってどういう対応を取っているのかということもお話をしましたし、私からはクリントン長官に対して、尖閣諸島が日米安保条約第五条の適用範囲であるということについて言及されていることに歓迎するという話をいたしました。そのときに、それを受けてでありますけれども、再度、クリントン長官からは、尖閣諸島日本の施政下にあって、施政下にある尖閣諸島は日米安保条約第五条の適用だということを明言をされたわけであります。  他の外務大臣にも、すべての方とは言いませんけれどもお話をいたしました。特に私が力を入れてお話をしたのはG8の外相会談でございました。カナダ、フランス、イタリア、イギリス、ロシア、それからアメリカはそのときはバーンズという国務次官でございましたけれども、その前にも話をしております。またEUの代表部も、上級代表も来られておりました。その中で、私からかなり詳しく事の経緯、尖閣というのはこういう島で、そしてこういう事案が起きて、中国対応はこういう対応なんだということをしっかりと説明をさせていただきました。
  226. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 そうした国際社会の中においての様々な説明責任果たされているとは思いますけれども、残念ながら今回の処分保留、釈放については、政府としては法的な瑕疵はない、またその起訴便宜主義においても逸脱をしていないということでありますけれども、様々なこれまでの答弁の中で、事象をしんしゃくした、勘案した結果こうした判断に基づいたということは、これは余計な判断であったというふうに思いますし、私はやはり法的に粛々と逮捕、起訴をしていくことが理にかなったやり方であり、そして、それをもし外交上まずいということであれば、まさに指揮権を発動して政治責任において対応を取ればよかったというふうに思っております。  今、大臣がこれまで様々な会談、会合でこうした国際的な理解の努力をされていることは承知をいたしましたけれども、しかし、こうした釈放について、国際的なこの解釈としてはやはり日本が逃げ腰、逃げてしまったという、中国の圧力に屈してしまったというイメージは広く喧伝してしまったと思われます。各国の報道等を見てもそのとおりであります。  こうしたイメージを払拭していくためには、単なる外交上の正式なルートだけではなくて、しっかりとした国際世論の形成のためにこの間違ったイメージをしっかりと払拭をし、そして日本のこの主権を、各国に理解を得て国際世論を形成していくべきだというふうに考えますが、そうした今後の対応について具体的にお伺いをいたします。
  227. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 今回の一連の出来事について、やはりしっかりと日本立場を各国に私は何度も何度も繰り返し説明をすることが大事なんだろうと思いますし、先ほどから答弁をさせていただいているように、東シナ海では領土問題は存在しない、そして日本領土である尖閣諸島についてしっかりと守って、主権を守るということを今後も続けていくということが大事なことなんではないかと思いますので、その点については説明をしっかり果たすとともに実効支配を継続をしていくということが大事だと考えております。
  228. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 その心意気はよしといたしますけれども、結果として、十月四日、五日に開かれるASEMについては、当初は総理は欠席をする、しかし、ここ一両日で出席の方向になったという報道がなされております。それによって一日から始まる臨時国会の日程も影響を受けたと。当初の、本来そういう大臣のおっしゃるような姿勢であれば、政府としては最初からこのASEM会議に出席をして事あるごとにこうした姿勢を貫くべきであったと思いますけれども、やはりそういう姿勢がなかったからこそ、その理念がなかったからこそ、こうした判断の、このASEM出席に関しての混乱が生じたというふうに思います。  正々堂々しっかりと初めからこのASEM会議に出席をして今以上にこの日本立場を主張していくべきだと思いますが、前原大臣の御見解をお伺いいたします。
  229. 松本剛明

    ○副大臣松本剛明君) ASEMの首脳会合への総理の出席につきましては、官房長官の方からも総理出席ということでお話をさせていただいておるのではないかというふうに承知をしております。  最終的には、先ほどから諸先生方からもお話がありましたように、国会が開会となるということで既に合意をされている期間でございますので、国会の方のお話も既に政党間の協議が昨日から始まっているというふうに承知をしておりますが、ASEMにつきましては、早くから国会を開くべきだという各党の御要望、他方でこの秋以降多数来ます外交日程ということで、国益を図りつつ、また国会を大切にしつつということの政党間の御協議の結果を踏まえながら政府としても対応しているところでございまして、今回のASEMにつきましては、今申し上げたようなことで各党の御了解いただける方向で出席をできるということであれば、政府としても、また外交担当する者としても大変望ましいことだというふうに思っております。
  230. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 それでは、公式的な情報発信だけではなくて、やはりソフト的な情報発信、メディアを通したものとか直接他国の国民に呼びかけるといった対応もしていかなければ、これはやはり中国のやり方には負けてしまうというふうに私は思っております。  またさらに、今回のこの再発防止について、実際、南シナ海近海では、中国が実効支配に向けた動きをこれまでも取ってまいりました。そうしたことに対応をしっかりとしていくということであれば、もう既に御党のある議員がかつて、一兵卒になられたと言っている方ですけれども、小沢一郎さんという議員海上保安庁の基地を設置すべきだというような発言もございました。  これまでの対応では中国の今後の行動には対応し切れないというふうに考えますが、新たなこの実効支配についての対応、その御見解をお伺いいたします。
  231. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 一義的には海上保安庁尖閣諸島をしっかりと守り、哨戒活動、警戒活動を続けているところでございまして、それについてしっかりと引き続きやっていくことになろうかと思いますし、また情報提供も含めて、先ほど北澤防衛大臣からもお話がありましたように、連携をして行っていくということになろうかと思います。
  232. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 今回の事案について政府が取った行動、選択によって、政策選択によって非常に外交的にはまずい状況になったということはこれまでの審議の中でも指摘をされてきましたが、今度は漁船だけではなくてまさに監視船がその様子をうかがっている。監視船という名前でありながら実際はトラが羊の皮をかぶったような軍艦並みの船舶でもあるというふうな指摘もあります。  こうした監視船との接触といったその可能性、そしてその対応についてもしっかりとこれは対策を取っておられるのかどうか、重ねてお伺いいたします。
  233. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 中国はいわゆるコーストガードに相当するものについては四部署ございまして、今尖閣を、領海の辺りを航行している漁政、リョウセイと言う方もおられますが、漁政という二隻の船はこれは日本の水産庁に当たる部署の公船でございます。  そういう意味におきましては、いずれにしても我が国領海内に入らないようにしっかりと海上保安庁が今警備をしているところでございますし、外交ルートを通じて離れるようにということを申し続けているところでございます。
  234. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 今回のこの事案、非常に難しい局面をますます深めているというふうに考えます。  これまでの政府対応、またこれから取ろうとしている対応についても、その理念といったものが、しっかりとしたものが感じられません。  それはやはり、その一つ要因となっているものにはやはり日本外交上、また防衛上非常に欠落している部分としていわゆるインテリジェンス、情報機関のその不足が生じているというふうに私は考えます。情報なくして戦略なし、戦略なくして成果なしという考え方の下に立てば、今後こうした外交上、また日本主権を守るためにも、諜報活動を伴った情報機関の設置はこれは私は求めるものではありませんが、しっかりとした志高い外交のためにも、そして正しい外交の政策選択をしていくためにも、しっかりとした情報を取得できる、またそれを分析できるインテリジェンスの設置をこの際検討していくべきだと思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。
  235. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 委員が御指摘のように、外交安全保障を考えていく上で、情報、インテリジェンスというのは極めて私も重要だというふうに思っております。  今も様々な情報機関というか情報部門があり、それが情報収集をしているわけでありますけれども、新たな情報機関の必要性については、これは政府全体としてその情報収集、分析能力の充実強化の観点から議論をしていかなくてはいけないと、このように思っております。  私も海外情報機関の事例をいろいろ見ておりまして一つ参考になり得るなと思ったのが、イギリスのJICというものでありまして、これはジョイント・インテリジェンス・コミッティーというものの略でありますけれども、議院内閣制においてイギリスはこういった情報機関、もちろんMI6やMI5というのは別個にあるわけでありますけれども、各役所が持っている情報を統合して、そして分析するような仕組みというのがあります。  今、内調というのが日本政府にありますけれども、先ほど申し上げたように、新たな機関が本当に必要なのかどうなのかと、私も情報収集能力、分析能力は強化すべきというのは全く委員と同じ意見でございますので、そういう観点から今の体制というものをしっかりレビューをして、そして政府全体として議論していくべき課題だと、大変重要な課題だというふうに私は思っております。
  236. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 最後に、先般の委員会でも、大臣はおられませんでしたけれども、私も実は会津の人間であります。来年、教科書にも採択をされる、ならぬことはならぬという言葉があります。一寸たりとも日本のこの主権そして領土、これを譲ってしまえばいつかはすべてを失う。ならぬことはならぬという精神で今回のこの尖閣諸島のこれからの問題に対しては対応をしていただくことを強く御要望申し上げまして、終わりとさせていただきます。
  237. 山内徳信

    ○山内徳信君 私はあえて通告はしませんでしたが、一言だけ尖閣諸島の問題に触れてから通告の質問に入っていきたいと思います。尖閣諸島沖での中国漁船海上保安庁巡視船衝突事件について一言申し上げます。  尖閣諸島は、沖縄県石垣市に属する島であります。領海内で他国の漁船が操業することはあってはならないと思っております。日本政府は、船長処分保留で釈放いたしました。そうすることによって解決に向かうと思ったと思います。しかし、結果はそのとおりには今のところなっておりません。それに対し、中国側は謝罪と賠償の要求をするなど日中関係は緊張状態が続いております。あえて緊張状態と申し上げておるわけでございますが、この緊張状態、日中関係を始め東アジア地域全体にとって決して好ましいものではありません。沖縄県民を始め石垣市民も地元の漁民も大変不安を感じております。その近くに漁に行く漁師たちもおります。その声は、一日も早くこの地域の、この海域の秩序が回復、安定することを漁民たちも願っております。  沖縄県議会は、本日午前、本会議を開きまして、日中両政府への抗議決議を全会一致で可決をしております。そのタイトルは「尖閣諸島海域での中国漁船領海侵犯事件に関する抗議決議」であります。これは、日本政府関係機関と中国政府あてに送付するということになっております。  私は、この問題を解決するのに今認識の大きなずれがあります。中国側の学者はやはり、マスコミを通してしか私は知っていませんが、ここは、尖閣は中国のものだというふうな主張の学者もおります。それを聞いておりまして、是非外務省、政府におかれましては、やはり私たちはここは日本領土なんだと、それははっきりしておると、先ほど外務大臣答弁にもありましたように。  そして、民間同士のつながりもやはり中国の人との関係もあったと思います。ドイツの船が難破して、宮古に漂流をして助けられて、そして送り返すわけです。したがいまして、今宮古の方にはドイツ館というのを造りまして、ドイツとの交流があるわけですね。きっとこの尖閣諸島関係の、昔はやはり漁業とかあるいは林業とかかつおぶしの製造とか、こういうふうなのがその島で営まれていたと言われておるんですね。そういうこともあって、その背景はまだ私もよく分かりませんが、やはり中国が大正九年に、その島におる人々、今の石垣市民になるわけですね、今の、そこに感謝状を中国政府が贈ったと。それには日本領と、こういうふうに記載されておるというふうに聞いておるんです。  私も現物はまだ見ておりませんが、是非そういう、この問題をお互いに理解し、納得させるための日本側の資料をきちっと調査をしていただいて、そういうものに基づいて、この問題解決のためには、やはりあくまでも冷静に、そして日中の未来への、輝く未来関係をつくり上げるという前提に立っての交渉を、話合いを是非政府当局、その先頭に立つのは外務大臣だろうと思います。  したがいまして、過去のこともありますし、そういうのを踏まえて、今回の起こったこの問題については、やはり冷静沈着に、そして未来志向に立って解決をすることが、東アジア地域全体のためになると私は思っております。そういう意味で、外務大臣の思いのほどを簡単に伺っておきたいと思います。
  238. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 貴重な御示唆をありがとうございました。  沖縄にそういう資料が残っているというお話も伺いまして、是非我々も先生方のお力も借りて、そういったものがあれば、しっかりとそういう尖閣が日本固有領土であるという理由の補強を、それをしっかりとそういったものでやらせていただきたいと思っております。  また同時に、我々はこの日中関係というものを未来志向で築いていくという、冷静に対応すべきという御指摘もまさにそのとおりであります。日本の主張は主張としてしっかりと通し、また主権は守りながらも日中の戦略的互恵関係を模索をしていくと、そしてつくり上げていくということは極めて大事な点だと考えておりますので、そういったアドバイスもしっかりと参考にさせていただきながらしっかりと外交をやらせていただきたいと考えております。
  239. 山内徳信

    ○山内徳信君 レジュメは順序よくは時間ありませんから進められませんが、次は防衛大臣を中心にして、これは米軍との交渉関係に入りますから、是非外務大臣もお聞きいただきたいと思います。  嘉手納飛行場の滑走路二本の改修工事を十月から約十八か月掛けて行うことが沖縄防衛局から宜野湾市にファクスで連絡が入りました。その間、嘉手納飛行場の空軍戦闘機が普天間飛行場へのダイバート、これは目的地以外の空港に着陸することをダイバートというんだそうであります、運用することを米軍は明らかにし、九月二十二日午前、普天間飛行場へのダイバートとして嘉手納飛行場所属のF15戦闘機二機が飛来し、市当局を始め市民に大きな衝撃と恐怖を与えております。防衛大臣はそのことを知っていらっしゃると思います。  時間ありませんから、もう少し質問を含めて申し上げます。  二番目は、防衛大臣普天間飛行場の危険性の実態も御存じですね。これもよく知っていらっしゃいますから、後でお願いします。  七月二十九日、福岡高等裁判所那覇支部は、普天間飛行場爆音訴訟の判決において世界一危険な飛行場と認定し、司法の場においてもその危険性が指摘されたことは御存じのことと思います。  沖縄は米国の軍事的植民地ではありません。米軍の勝手気ままな基地の自由使用を認めているのは日本政府であります。万一、先般起こりました、国際大学に墜落したああいう事故等が起こらないとは限りませんので、そういうときには一切の責任は日本政府にあると。アメリカは、アメリカ軍は、日本政府が基地の自由使用を認めておるという見解に彼らは立っておりますから、普天間飛行場の持つ危険性と騒音の実態を考えれば、嘉手納飛行場の工事期間とはいえ火に油を注ぐようなものであります。普天間飛行場及び、場合によっては那覇飛行場ということも言っておるんです。普天間飛行場及び那覇飛行場等の一切の使用を禁止すべきであると思います。  是非防衛大臣外務大臣、このようなめちゃくちゃな基地の使用は、政府が強く禁止の要求をしても聞かなければ、あとは市民とか県民が立ち上がって基地に押しかけていく以外にないわけです。そういうところまではさせてはいかぬだろうというのが私の思いです。したがいまして、ちゃんとした政府の交渉を通して、そういうその期間は必要ならばグアムやテニアン辺りに行きなさい、ハワイに行きなさいと。彼らは台風が近づいてきますと嘉手納飛行場に一時避難といって来るわけですね。したがいまして、是非この際はそういうことを、嘉手納から普天間にじゃなくて、那覇空港にじゃなくて、その間十八か月はハワイかテニアンかグアムに移ってくれと、こういうことを是非、力強くスタートいたしました外務大臣前原大臣、その実態をよく知っていらっしゃいます前原大臣防衛大臣も、力を合わせてアメリカ軍の司令部と交渉をしていただきたいと思います。  決意のほどを伺っておきましょう。新しい人から、前原大臣からお願いしましょう。
  240. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 運用にかかわる話でございますので、防衛大臣としっかりと相談をしながら取り組ませていただきたいと思います。
  241. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 幾つか御質問がございました。  このダイバートにつきましては、九月二十一日に米側から、改修工事、十月から約十八か月、滑走路が二つありますから九か月ずつと、こういうことでありましたんで、これについて十分配慮するように沖縄局から米軍の方へ伝えてあります。  これは、ダイバートというのは本当にまれなことでありますんで、自分が発進したところから戻れないというようなときにやるわけでありまして、これは人命にもかかわることでありますから、日米安全保障条約の中でこういう緊急避難的なことは取決めをされておるということで、しかし沖縄で最も危険な普天間基地のことでもありますんで、十分な申入れを申し上げてあります。  それから、福岡高裁の判決でありますけれども、これは今、世界一危険な飛行場と認定をしたわけではなくて、間接話法で、普天間飛行場は世界一危険な飛行場と称されているという文脈でありますんで、訂正はいたしませんが、我々はそのように承知をいたしておるわけであります。今、山内先生のおっしゃられたことは、沖縄の危険性、負担の軽減ということでありますから、我々は沖縄の皆さんと十分お話を申し上げる中で、一日も早く普天間の代替施設を建設を御理解をいただきたいと、このように思っております。
  242. 山内徳信

    ○山内徳信君 時間でございますから、残りは次に回します。  終わります。
  243. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後一時二十六分散会