○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。ただいま議題となりました
鳩山総理の
訪米報告につきまして、公明党を代表して
質問をさせていただきます。
質問に入ります前に、一言申し上げます。
鳩山総理、あなたはうそつきだ、そのように国民に思わせてしまった。予算委員会では、元秘書の裁判が終わったら、資料の返還を求めて国民に
説明すると
答弁していたではないですか。それを一昨日の我が党の山口代表との党首討論ではこれを言下に突っぱねた。もはや国民のあなたに対する
信頼は地に落ちました。そのことを強く申し上げ、
質問に入ります。
最初に、四月十八日に
徳之島で行われた基地移転
反対集会について
質問します。
何と住民の半数以上の一万五千人以上の島民が
反対集会に
参加し、
反対決議が採択されたと
報道されています。
そもそも、
鳩山総理は、昨年夏の衆議院選挙で示された
沖縄県民の民意を受けて、従来の辺野古沖の
政府案を見直すと言われていました。そのように民意と言われるのであれば、今次の
徳之島の民意は明らかであり、即刻
徳之島への基地機能移転を除外して
政府案を検討すべきと
考えます。さもなければ、それは
鳩山政権による民意という
言葉の恣意的な濫用であります。腹案があると言われている
総理と、三月二十三日の予算委員会での私の
質問に対し、
地元の皆さんの民意を聞くことなくして
決定することはない、御安心くださいと明言された福島大臣に対し、明確な
答弁を求めます。
本題に入りますが、今次
サミットにおいては、
核セキュリティという単独の事項を題材にしたものにもかかわらず、四十七か国、そのうち三十七か国の
首脳が一堂に会するというまさに一大イベントでありました。特に、核不
拡散条約非締約国であるインド、パキスタン及びイスラエルも
参加する中で、
オバマ大統領が提唱した四年以内に
核物質の
管理を徹底することが賛同された
意義は大きいと言えます。
しかし、非
核兵器国で最も多くの
IAEAの査察を受けており、かつ、核関連物資・技術の輸出
管理も最も進んでいるとされている
我が国がその
存在感を示し得たかというと、必ずしも問題なしとしないというのが国内外の評価ではないでしょうか。
私は、その原因として、今次鳩山
核廃絶・不
拡散外交には三つの失望があったと言わざるを得ません。
第一の失望、それは、自由主義
経済国第二位の
我が国の
首相がわざわざ訪問しながら、第一位の
米国の
大統領との直接
会談が夕食前のわずか十分というぎくしゃくした
日米関係に対する失望であります。
日米関係は
我が国外交の
基軸であり、さらに五月の核不
拡散条約運用検討
会議、十一月のAPEC、年末までの五十周年を節目とした
日米安保の
深化など、
日米共同作業が今ほど求められているときはありません。しかも、もはや
日米関係は二国
関係を超えて
核廃絶や地球温暖化対策といった
世界規模の
課題を解決していくための
基軸であるはずです。今後、
日米関係をどのように立て直していくのか、まず
鳩山総理の決意を伺います。
第二に、この四月は、
我が国は国連
安全保障理事会の
議長国であり、かつ、理事国のほとんどの国の
首脳が一堂に会しておりながら、核不
拡散・
核軍縮に関しての
国連安保理会合が
開催できなかったことに対する失望です。
本
会合開催を、私は二月の決算委員会で
鳩山総理に提案し、
総理も国会
日程が許されればと意欲を示されていたのではなかったのですか。特に、今回の
核セキュリティ・
サミットの
合意については、
世界のマスコミからも法的拘束力がないとの問題点が
指摘されている中、安保理
会合を
開催して一部でも法的拘束力化を目指すという
日米の連係プレーはなぜできなかったのでしょうか。さらには、
米国が
核態勢見直しで消極的安全保証を再び宣言したことを受け、他の
核兵器国にも同様な宣言を迫るため、本来、国連
安全保障理事会を
鳩山総理が
議長として
開催することこそ
唯一の
被爆国の
道義的責任と言えるのではなかったのでしょうか。
さらに失望を深めているのは、今次の、米、ロ、中、仏の
首脳との直接
会談において、この消極的安全保証はおろか、
核廃絶について
会談したことが全く
報告なかったことであります。これらの
核兵器国首脳との
会談において、どのような
核廃絶外交を進められたのですか。具体的に明らかにしていただきたい。一体、昨年九月二十四日、
総理が国連で
唯一の
被爆国の
道義的責任に言及されたあの高揚感は、今やどこに行ってしまったのかと、多くの国民はまさに落胆をしています。
鳩山総理の明確な
答弁を求めます。
第三の失望は、今回の
核セキュリティ・
サミットに
日本が提案した内容についてであります。
確かに、
核セキュリティのために
人材育成や国際
会議の招聘、
核物質の
検知、
鑑識技術の開発も重要です。しかし、一国の
総理が提案するには余りにも技術論的であり、事業仕分の対象となっている独立行政法人にわざわざ
人材育成センターを設置するなど、官僚の提案そのままではないでしょうか。政治主導を標榜されるのであれば、もっと
核テロの根絶に向けての提案も併せて行うべきであったと
考えます。
私は、
核テロを根絶するためには、単に核に関する
管理技術を
強化、高度化するだけではなく、
管理する人の内面において、
核兵器の非人道性についての
認識の確立が必要であると
考えています。そのために、
唯一の
被爆国として、その悲惨さを
世界にもっと発信すべきではないでしょうか。
東京在住のある被爆二世の女性の体験を新聞で読みました。父が
広島で被爆。小学校四年生のときに甲状腺の異常で入院し、
原爆のせいじゃないかと悩むこととなった。しかし、被爆二世を特に意識するのは長女が生まれてからだという。この苦しみを我が子は引き継いでしまうのかという絶望感。
世界の核関連施設にかかわる人たちにこのような被爆の悲惨さが共有されて初めて、核関連物質の
管理にも魂が入るのではないでしょうか。
来月の核不
拡散条約の運用検討
会議で、
唯一の
被爆国として、
核テロを
防止するためにも、被爆の悲惨さを伝える取組を更に拡充していただきたいと
考えますが、
総理の見解はいかがですか。また、そのような取組の一環として、次の核不
拡散条約運用検討
会議が
開催される二〇一五年に、
広島、
長崎において
核廃絶サミットを
開催することを提案します。
是非、来月の運用検討
会議などで
各国に積極的にその
開催を提案すべきと
考えますが、
鳩山総理の見解はいかがでしょうか。
さらに、
核兵器の悲惨さ、非人道性について国際的
コンセンサスを
世界の市民レベルで拡大していくためには、日豪が主導した核不
拡散・
核軍縮に関する国際委員会、ICNNDの勧告にもあるように、
核兵器禁止
条約についての検討を直ちに開始することが求められています。これまで
政府が取ってきた
核廃絶に関するステップ・バイ・ステップの漸進的アプローチと並行して、多くのNGOが要望しているように、中期的な目標である
核兵器禁止
条約に向かう包括的アプローチを直ちに開始すべきと
考えますが、
総理の見解をお伺いします。
最後に、テロの温床をなくしていくためには、貧困、差別などの怨嗟の元を断っていくことが重要であります。人間の
安全保障の確保に向けて、
鳩山総理の力強い決意を求め、私の代表
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣鳩山由紀夫君
登壇、
拍手〕