○林芳正君 私は、
自由民主党・
改革クラブを代表いたしまして、ただいま
議題となりました
平成二十二年度における
財政運営のための公債の
発行の
特例等に関する
法律案、
所得税法等の一部を改正する
法律案に
反対、
租税特別措置の
適用状況の
透明化等に関する
法律案に
賛成の
立場から
討論をいたします。
総理始め閣僚の皆さんは、最近の世論調査をどのように思って見ていらっしゃるでしょうか。
内閣支持率はとどまるところを知らぬ下落を続けており、
鳩山政権に対する
国民の
信頼は地に落ちたと言っても過言ではないでしょう。
その
理由は、改めて申すまでもありません。
鳩山総理のお母様からの友愛に満ちた十二億四千五百万円もの贈与、それを全く知らなかったとうそぶく
総理の
姿勢、
小沢幹事長の出どころが不明な資金を使っての不動産購入、
北海道教職員組合丸抱えの小林議員の
選挙実態など、枚挙にいとまがありません。
ここで
議題となっている
歳入関連の法案は、
国民の皆様に多くの
負担をお願いするものであります。にもかかわらず、法案を
提出している
内閣の最高
責任者が、
国会での審議で明らかになったように、
納税者意識に欠け、母親からの資金提供などの疑いに対し、いまだ
国民の納得する
説明を全く果たしていないのであります。
私が法案に
反対する
最大の
理由は、
総理が逃げの
姿勢、後ろ向きの考えで
国会審議を乗り切ろうとしているからであります。
まず、特例公債法案に関して申し上げます。
日本の
財政は大変な局面に入ってきました。
国債発行額は、今年度第二次補正後で五十三・五兆円にも上りますが、二十二年度
予算では当初でも四十四兆円にも達し、昭和二十一年度以降初めて
税収額を上回りました。
さらに、
政府・
与党では、二十二年度中に追加的な
経済政策、
補正予算を検討すると報じられており、それを織り込むと、恐らく年度末までには五十兆円以上に及ぶのではないでしょうか。そうでなくても、来年三月末の国の
借金は九百七十三兆円、
国民一人当たり七百六十三万円もの
規模に達すると見込まれています。ばらまきの
民主党政権下で国の
借金が一千兆円を突破するという恐ろしい場面を我々は見ることになります。
平成二十二年度
予算の
歳入では、四十四兆円の
国債を
発行した上、それでも足らず、十・六兆円ものその他の収入が見込まれています。
財政投融資特別会計や外国為替資金特別会計からの受入れ、いわゆる埋蔵金と言われるものを何とか掘り起こした苦しいやりくりです。
しかしながら、埋蔵金は何年も掘り当てることはできない単発のお金であり、すぐに枯渇をいたします。しかも、二十二年度には予想される追加の
経済対策などから
補正予算が編成される公算がある上、続く二十三年度は、
民主党の
マニフェストの全面
実行に必要な新規
財源は十兆円
規模にも上るとの予想があります。さらに、
社会保障では、自然増で一兆円、基礎
年金国庫
負担の二分の一維持で二・五兆円もの
財源が手当てをされなければならないわけであります。そうした
財源を
歳出の
無駄の
削減だけで捻出できるわけがありません。将来にわたり大幅な
赤字国債の増発が不可避であるのは目に見えており、
財政破綻への第一歩となる今回の公債特例法案に我々はとても
賛成することはできません。
所得税法等の一部改正案について申し上げます。
民主党は、かねてより
暫定税率の廃止を声高にうたい、ガソリン値下げ隊などのパフォーマンスを繰り広げてきました。ちょうど二年前の今ごろ、
国会においてこの
暫定税率について大変な議論があり、当時、参議院において第一党であった
民主党は、審議拒否をしてまで
暫定税率部分に
反対し、失効させました。
それがどうでしょうか。今回は、昨年末の
小沢幹事長のまさにツルの一声で
暫定税率の存続が簡単に決まりました。ここでも
政策決定の過程が不透明であり、その上、従来の党の主張とは全く
反対の方向に
政策が決定なされたのであります。しかも、廃止を望んでいた
総理の意見は簡単につぶされ、
マニフェストにおいて
国民に約束したこともほごにされたわけであります。
税率が下がり、ガソリン価格などが安くなることを期待した
国民は多かったはずであります。
なぜ野党のときに威勢よくできたことが、
与党になるとできなくなったのでありましょうか。
国民の期待を裏切る今回の税制改正に
反対すべきなのは、むしろ
民主党の皆さんではないのでしょうか。
また、
子ども手当や
高校授業料無償化の導入に伴う扶養控除の廃止に関しても問題があることを指摘しておきます。税制改正により、十五歳までの年少扶養控除、そして十六歳から十八歳までの特定扶養控除の上乗せ
部分が廃止され、
負担増となる世帯が発生いたします。
所得税に加え、
マニフェストでは明記されていなかった住民税に関しても同様の
措置がとられたことは、明らかに
公約違反と言わざるを得ません。
また、税制改正においては、
民主党が
マニフェストで明示していた中小
企業の
法人税率を一一%に引き下げるという
公約が全く
実行されておりません。我々は、
日本経済を支えてきたのは中小
企業であり、その活性化こそが
景気回復の大前提と認識してまいりました。だからこそ、
法人税率を本来三〇%であるところを二二%にし、さらに今回の
経済危機に際し、
自公政権では一八%まで引き下げたのであります。
民主党政権では更に引下げが必要だとの認識だったのでしょうが、
マニフェストで主張したとおりの引下げをなぜ今
実行しないのか、全く
理由が分かりません。これも大きな税制上の
公約違反であります。
その一方で、
マニフェストには書いてもいないたばこ税の大幅引上げを断行しています。今回の改正で、たばこは一本五円、一箱百円もの大幅な値上げになります。愛好家にとっては不
景気による収入減に輪を掛けて財布が痛むことになります。
我々
自公政権では、引上げを図る際には、幅広くたばこ関連業者や
国民の意見を聞いた上で、せいぜい一円の値上げを段階的に行うという丁寧な
手法を取ってまいりました。しかし、昨年末の
政府税制調査会などの議論を見ても、たばこ関連業者や
国民の声を幅広く聞くという、丁寧かつ真剣な議論や民主的な
手続を踏んだとは到底思えません。しかも、増税の
実施時期は今年十月からであります。
国民に痛みを強いる
政策だからでしょう。参議院
選挙後に
先送りをしております。まさに政局あって
政策なしの
民主党の体質そのものであります。
なお、
租税特別措置の透明化法案に関しては、その目的が
適用状況を透明化し、適切な
見直しを推進するものであり、課税の公平性に寄与するものであるから、
賛成をいたします。
責任ある野党である我が党は、以上述べましたように、
マニフェストでの
国民との約束をないがしろにした
与党の横暴や身勝手な御都合主義の
財政運営には強く
反対をいたします。しかし、国家
国民のためになる法案や
政策であれば、成立を阻むものではなく、またその運営に全面的に協力することを約束して、私の
討論といたします。(
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