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2010-05-27 第174回国会 参議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年五月二十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十六日     辞任         補欠選任      外山  斎君     小川 勝也君      中山 恭子君     礒崎 陽輔君      丸川 珠代君     岩城 光英君      山下 栄一君     山本 香苗君  五月二十七日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     風間 直樹君      工藤堅太郎君     平山  誠君      秋元  司君     森 まさこ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         河合 常則君     理 事                 芝  博一君                 柳澤 光美君                 泉  信也君                 古川 俊治君     委 員                 大塚 耕平君                 風間 直樹君                 金子 恵美君                 行田 邦子君                 姫井由美子君                 平野 達男君                 平山  誠君                 松井 孝治君                 礒崎 陽輔君                 岩城 光英君                 森 まさこ君                 山本 香苗君                 中川 義雄君                 糸数 慶子君    委員以外の議員        発議者      林  芳正君        発議者      世耕 弘成君    国務大臣        総務大臣     原口 一博君        国務大臣     仙谷 由人君    副大臣        内閣府副大臣   大島  敦君        総務大臣    渡辺  周君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        泉  健太君        総務大臣政務官  階   猛君    政府特別補佐人        人事院総裁    江利川 毅君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 秀行君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国家公務員法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○国家公務員法等の一部を改正する法律案林芳  正君外三名発議) ○幹部国家公務員法案林芳正君外三名発議)     ─────────────
  2. 河合常則

    委員長河合常則君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、山下栄一君、外山斎君、中山恭子君、丸川珠代君及び工藤堅太郎君が委員辞任され、その補欠として山本香苗君、礒崎陽輔君岩城光英君、平山誠君及び風間直樹君が選任されました。     ─────────────
  3. 河合常則

    委員長河合常則君) 国家公務員法等の一部を改正する法律案(閣法第三二号)、国家公務員法等の一部を改正する法律案(参第七号)及び幹部国家公務員法案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 山本香苗

    山本香苗君 おはようございます。  原口大臣に早速お伺いをさせていただきたいと思いますが、五月二十一日の日に新規採用基本方針閣議決定をされました。当初の総務省案との違いは、変更点は何でしょうか。
  5. 原口一博

    国務大臣原口一博君) おはようございます。  当初の総務省案というものはございません。これを四大臣会合できっちり方針を決めて、そして各省と交渉した上、内閣が一致して決めたものでございます。
  6. 山本香苗

    山本香苗君 四月二十三日の日に出されたものとの違いは何ですか。
  7. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 四月二十三日に私たちの素案、つまり、幾つか、厳しい財政状況の下で、公務員人件費抑制必要性、また、天下りあっせん根絶、そして定年まで勤務できる環境整備必要性、こういったものを出して、そして、あらあらA、B、C、それぞれ第Ⅰ種、第Ⅱ種、第Ⅲ種について、これぐらいの抑制が必要ではないかということを出させていただきました。  閣議決定のものは、それから各省の例えば治安にかかわるところ、それからもう既に試験をしているところ、そういった各省の様々な実情をしっかり伺いますよといって決めたものが最終の決定案でございます。
  8. 山本香苗

    山本香苗君 今回決められたその方針新規採用効果、また影響というものにつきましてはどのような御認識をお持ちなんでしょうか。
  9. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 今申し上げたような、新たな政権の下で、二十三年度の国家公務員新規採用については厳しい抑制が必要だと考えております。民間では赤字企業が、赤字をずっと拡大させている企業が従来どおりの新規採用を続けるというのは考えられないことでございます。  また、私たちはマニフェストにおいて四年間で公務員の総人件費を二割カットする、それは大体一・一兆円ぐらいになるんですね。出先機関原則廃止する、事業仕分やあるいは権限仕分といったことを今やっています。すなわち、コンパクトで効率性高く、そして信頼性の高い政府をつくる。そのためには、今の人件費抑制をし、そして重複した仕事をやめて、そして国、地方権限をそれぞれ明確にする必要がございまして、今回の抑制ということで、一つ人件費の全体像についての道筋が付けられたと。あわせて、定年まで仕事をし、生き生きとして公務に携わることができると、そういったことも考えた結果でございます。
  10. 山本香苗

    山本香苗君 具体的なシミュレーションはなされたんでしょうか。
  11. 原口一博

    国務大臣原口一博君) シミュレーションというものが何を意味するのか分かりませんけれども、どういうシミュレーションのことをおっしゃっているんでしょうか。  Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種でどれぐらいその権限仕分が必要か、あるいは重複部分が何なのか。もっと言うと、治安に携わったり安全や安心の部分についてどれぐらいのマスが必要なのかと、そういったところは議論をしたところでございます。
  12. 山本香苗

    山本香苗君 具体的な数値的なものを出していただければと思ったんですが、そもそもどういう根拠で今回の削減幅が決められたのかと、その具体的な根拠を教えていただきたいと思います。
  13. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 今回の新規採用抑制方針によって約三千人の新規採用抑制されることから、人件費への影響を試算すると、単年度で約八十億円程度削減効果が見込まれるところでございます。仮に新規採用者平均年収を約二百六十万円と仮定をした場合、平成二十一年度の新規採用者数実績は七千八百四十五人でございました、これは人事院と会計検査院を除いていますが、ここから三千人の減ということで、約八十億円の減でございます。  また、今回と同規模の新規採用抑制年金支給開始年齢が六十五歳となる平成三十七年度まで十五年間継続するという仮定を置いて機械的な計算を行った場合、採用抑制を一切行わなかった場合と比べ三十七年度には約四・五万人の人員減となり、約千七百億円の人件費削減効果が生じることとなります。この仮定は、新規採用から採用十五年後までの職員の平均年収を約三百七十万円と仮定をしています。採用抑制者数を、今回の約三千人掛け十五年ですから約四万五千人、それに先ほどの給与を掛けたものでございまして、こういう新規採用抑制についての効果が認められるところでございます。
  14. 山本香苗

    山本香苗君 それは前の質問で、今の質問は、削減の幅の根拠削減の幅の根拠を具体的に教えていただけますかって申し上げたんです。
  15. 階猛

    大臣政務官階猛君) 今委員お話を伺っていますと、そもそもなぜ六割減になったのかということの数字の積み上げの根拠だと思います。  私の方から技術的なことをお話ししますけれども、まず、二十一年度の新規採用者七千八百四十五人をベースにしまして、これを三類型に分類しましたと。三つ類型としては、一つ目地方出先機関。こちらについては、出先機関の抜本的な見直しを行うこととしておりますので、二十一年度新規採用者の二割に採用数をとどめると。それから二つ目として、本省において企画立案に携わることを目的とする方たちに対しては二十一年度の新規採用者の八割にとどめると。三つ目として、専門職種でその専門的知識を生かした行政サービス提供等目的とする方たちについては二十一年度の五割にとどめると。これが原則ルールです。  ただ、この原則ルールに従った場合、治安の最前線で国民の命を守る刑務官海上保安官、こういった方たちに対しても八割減とか五割減と、こういうことになるのはいささか問題であろうということで、個別にそういった問題を勘案した結果、特別の加算を積み上げるなどしまして、最終的には、当初の原則ルールに従えば五割程度採用抑制だったんですが、四割程度採用抑制に変わってきたと、こういうことでございます。
  16. 山本香苗

    山本香苗君 とにかく今回、この新規採用抑制するという方針につきまして、多くの受験する学生さんたちの方から憤りというか怒りの声が上がっているわけです。なぜ現役給与体系等に手を付けないで新規採用削減を先に打ち出すのかと。中高年の公務員が安泰で何で就職難若者だけが苦しめられるのかと、順序が逆じゃないのかと。手を付けやすいところからやるというのは卑劣なやり方だと。何で今なのか、何でもっと早く打ち出してもらえなかったのか。私も公務員試験を受けてまいりましたので、受験をする学生立場に立ちますと、本当にいたたまれない気持ちになります。  今年の三月に総務省の方で、勧奨退職者をゼロと仮定をされた場合に、来年度の新規採用、二十一年度で約四四%減となるという試算を公表されておりましたけれども、今回の新規採用削減幅、先ほど政務官からお話がありましたとおりほぼ四割という形になった場合、勧奨退職者をゼロとするために新規採用削減ですべての帳じりを合わせたのかと、若者にすべてのツケを回したのかと、そういうふうに思われても仕方がないと思うんですが、いかがでしょうか。
  17. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 全く逆ですね。  逆に、山本委員、今幾ら国地方の借金あると思われます。この借金を後世に先送りする、公務員の数だけを確保して、そしてこの人件費のままで。今事業仕分権限仕分をしていますけれども、例えば旅費を精算する、民間企業だったら一人の人が精算をしているものを各局十人でやっているんですよ。千人近い方々がそれに携わっているという報告も、私のところに言う方もいらっしゃいます。こういうものを子供たちに伝えていくことの方が先送りじゃないんですか、負担の若い人たちへの転嫁ではないですか。私は、山本委員とは考え方を全く異にいたします。
  18. 山本香苗

    山本香苗君 私も、大臣答弁を聞いておりまして、また二十一日の記者会見の発言を見まして、本当にびっくりしました、全く認識が違います。現在、ただでさえ若年雇用の情勢厳しいんです。そういう中で、この試験のために一生懸命準備してきた、そういう頑張ってきた学生立場に立ってこれを考えていただきたいと思うんです。  新規採用削減しなくていいと言っているわけじゃないわけです。抑制しなくちゃいけないとしても、まず新規採用削減の前にやるべきことがあるんじゃないですかと。十四日の日の閣議後の記者会見原口大臣は、現役世代を守るわけではない、一定以上の給与といったことについてはやはり削減していかねばならないと思いますと御自身が発言されておられましたよね。大臣、言うだけじゃなくて、やっていただきたいんですよ、まずそちらの方をやっていただきたいと。どうでしょうか。
  19. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 前段は賛成できませんけれども、後段はおっしゃるとおりです。  私たちは、公務員人件費の総額二割をカットすると言っているわけですね、天下りあっせん禁止すると。その中で、天下り先で、今、三類型天下りではないかと言われることを調査をしています。人質型天下り持参金型天下り創業型天下りと考えられるもの。そのことをまず禁止をし、そして、そこで官製談合。  随意契約の率、山本委員、御存じですか、九割を超えているんですよ。そういったものをやって税金をじゃぶじゃぶ使いながら、それを修めない、あるいはそれを止めないということの方がよほど、若い人たちに肥大化した官をそのまま残し、そして不公正な市場を残すわけにいかない。  だから、私たちは、天下りあっせんを止める。そして、退職管理方針についても、一定給与一定年齢になればそこが下がっていくということも併せて仙谷大臣のところで協議をしているわけでございまして、順番が逆だなんという話ではないです。  出先機関を減らそうとしているのに、一回そうやって、もう一回去年と同じように入れて、その方々に、はい、辞めてくださいって言えないじゃないですか。私は、是非御理解をいただきたい。新しい経済経済全体のパイを増やして、民間企業やいろんなところでの就職先を増やそうと私たちは懸命に努力をしています。しかし、その一方で、去年と同じような公務員採用をやれる余裕はこの国にはないということも御理解をください。
  20. 山本香苗

    山本香苗君 いや、同じようにしてくださいというふうに言ってはいないわけですよ。  総人件費二割削減ということを掲げておられると、それはよく存じ上げておりますし、いろんな委員会で御答弁されているのも拝見いたしました。しかし、その道筋、具体的な道筋が見えないわけなんです。  総人件費抑制のために退職管理基本方針というものをお定めになる、閣議決定するということでございました。我が党、再三にわたってこれは求めてまいったところでございます。五月十一日の日に総務省案というものが衆議院の方の委員会の方に提出をされておりましたけれども、当初、この基本方針については、今日おられる階政務官も、原口大臣が四月中ということをおっしゃっていたので、何回もその四月中には出しますというような御答弁があったわけでございます。しかし、途中で理由もはっきりしないままに決定が、結局はこの法律施行するという時期に合わせて行うという形になったわけなんです。何でなんでしょうか。理由を教えていただけませんか。
  21. 原口一博

    国務大臣原口一博君) ということは、公明党も人件費削減については賛成だということで答弁をしてよろしいですね。  総人件費削減、そこがベースだということで答弁をさせていただきますが、私たちは、官を開くという基本認識の下、官民の人事交流等拡充措置天下りあっせん根絶を図るための再就職あっせん禁止等規制遵守、再就職にかかわる情報公開推進などの措置をしてきたわけです。  検討過程において、天下りあっせん根絶を図る等の観点から、今回の改正国家公務員法により創設される再就職等監視適正化委員会との連携等について盛り込むことが適当だと、こういう議論がございまして、そのように判断をし、改正国家公務員法施行時期に合わせ閣議決定を行うことを予定しているものでございます。
  22. 山本香苗

    山本香苗君 いや、ですから、ずれ込んだ理由は何なんですかと伺っているんです。
  23. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 申し上げています。適正化委員会との連携等について盛り込むことが適当だと判断したからでございます。
  24. 山本香苗

    山本香苗君 四月中とおっしゃっていて、施行タイミングという形になったわけでありますけれども、これ大変重要なことでもございますので、是非当委員会で審議できるように出していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  25. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 英語でとらえているんじゃなくて、日本語でとらえると何をというのが抜けているんですね。何を審議できるように出せとおっしゃっているのか。検討過程を出せということであれば、それは、各検討状況をつまびらかに記者会見をしているわけでございまして、その資料というのはございますので出しますが、その客体、出す内容、それをもう少し詳しく教えていただければ有り難いと思います。
  26. 山本香苗

    山本香苗君 今退職管理基本方針について申し上げているので、その客体がどうのこうのじゃなくて、それを本法律施行タイミングとするのではなくて、その前に出していただけませんかということを伺っているんです。
  27. 階猛

    大臣政務官階猛君) 衆議院内閣委員会で出したものは既に委員も御覧になっているかと思いますが、今現在出せるものとしては、閣議決定前でございますので、これが最大限のものでございますので、それを御了解いただければと思います。
  28. 山本香苗

    山本香苗君 ですから、それはよく分かっておりまして、それを閣議決定をしなくちゃ出せないと言っておられるので、早く調整して閣議決定して出してもらえませんかということを申し上げているんです。
  29. 階猛

    大臣政務官階猛君) 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたけれども、この退職管理基本方針については、この今審議している法案が通らないと再就職等監視適正化委員会というものが発足できません。したがって、その委員会との連携を書かせていただく予定であるところの退職管理基本方針というものも、その法案が成立しない限りは出せないと、こういうことでございますから、閣議決定はその後になります。
  30. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 山本委員ね、やっぱり法律というのは国会で御審議をいただいて、そこからスタートするものもたくさんございますので、是非御理解をいただければと思います。
  31. 山本香苗

    山本香苗君 大臣、済みません。時間がもうほとんどないので。  委員会ができるのはむしろ法律施行後なんですけれども、それを書き込むと云々というところの部分について、ちょっと書きぶりがよく分かりませんので、どうしてそれが順序がそうなってしまうのか。初めは四月中とおっしゃっていて、それを書き込むことになったからこうという、ちょっとよく分からないので、また別途質問させていただきますが。  あと一問、仙谷大臣、済みません。  前回の残りで、さっきの採用のところにかかわる話なんですけれども採用試験のことについて、前回のときに新たな試験については現時点では検討できていませんよ、人事院連携して検討しますということをおっしゃっていたんですけれども、これいつまでに検討して結論を出していくのか、具体的に、これも早く教えていただかなくちゃいけない。これ、法律で、何か来年度の出してこられると言われている法律で担保してやるようなことではないので、工程表の中にも具体的なことは書いておりませんので、是非ここを早めに、結論をこの段階までに出しますよと、いつからスタートするかについて、受験資格とかいろいろこういうことについてもこの時点で出しますよということを早めにおっしゃっていただきたいと思うんですが、結論を出していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  32. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 公務員になりたいと、あるいはなろうとして準備を進めている予定者皆さん方のことを考えれば、できるだけ早く、採用試験これからどうなるのかというその方針案を示すことが必要であると考えております。  とりわけ今度の公務員採用は、ロースクールあるいは公共政策大学院大学方々あるいはマスターコース方々をどのように位置付けるのかという、今までとは違ったある種の、何というんですか、段階に入ってきている採用試験でありますから、これは早くやってアナウンスすることが必要だとは私どもも考えております。  他方で、これは、採用試験は現在のところは人事院権限ということになっております。この在り方自身内閣人事局がこの法案を通していただいたらできるわけでありますが、労使関係使用者、あるいは公務員組織、霞が関を含めた日本政府自身使用者側当事者在り方の問題、つまり人事労務政策の全般の見直しといいましょうか、改革を私どもが進めていく中で検討していくべき課題であるということも事実でございまして、そういう観点からやっておりますので、これは、この法案を通していただいて新たな内閣人事局が成立する、そこで活動を始める、そういう中で人事局の大きな仕事、そして人事院との関係調整、あるいは人事院がこれからも採用試験を担うのかどうなのかという点も含めて、人事院との連携共同関係も含めて検討を進めてまいりたいと思っておりますので、この点については、遅くとも二十五年度には新たな採用試験を実施する、できれば旧基本法工程表のように二十四年度新規採用試験から新たな試験ということをやりたいと思っておりますけれども、そういう順序でといいましょうか、段取りで行わせていただければと思っておるところでございます。
  33. 河合常則

    委員長河合常則君) 山本香苗君、あと一問。
  34. 山本香苗

    山本香苗君 結局、分からなかったわけでございます。  もう本当に、そういう意味からしても、工程表泉理事の方からも要求があって今作業していただいているとは伺っておりますが、我が会派としても、我が党といたしましても、しっかりとした、鳩山内閣として責任ある形で詳細な工程表を出していただきたいと申し上げさせていただきまして、終わります。     ─────────────
  35. 河合常則

    委員長河合常則君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、秋元司君が委員辞任され、その補欠として森まさこ君が選任されました。     ─────────────
  36. 平野達男

    平野達男君 民主党の平野でございます。  内閣委員会では初めての質問という時間をいただきまして、十三分と聞いたつもりだったんですが、ちょっとけたを間違っていまして、百三十分という大変厚い御配慮をいただきました。まずもって同僚の議員に感謝を申し上げたいと思います。  今日は、前段仙谷大臣答弁を聞いておりますと、やはりいろんな仙谷大臣史観というものを持っておられまして、そういった史観前提とした、歴史観ですね、を前提とした答弁、いろいろな形でされております。その辺のことを聞いているうちに、今回の国家公務員法等の一部の改正法案を眺めていまして、「翔ぶが如く」という司馬遼太郎小説が何度も頭に浮かびました。  仙谷大臣、「翔ぶが如く」というような小説、読まれたでしょうか。
  37. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 難渋しながら全巻通読した記憶がありますが、現在は主人公の名前も覚えていないぐらいでありますから、それほど精読したわけではありません。  ただ、西南戦争をめぐる大久保利通グループ西郷グループのある種、言うに言われないというか、やむにやまれない成り行き的な戦争の中での、警視庁の長官ですかね、になった、川路という名前だったと思いますが、その人の活躍というか活動を、いいにつけあしきにつけ、そのことがちょっと頭に残っている程度でございます。
  38. 平野達男

    平野達男君 舞台は確かに西南戦争舞台で、それを開始から終了まで、どちらかというと時間系列的にドキュメンタリー風に描いた小説で、女性の話は一言も出てこない、味もそっけもない小説だという評価もありますが、私は大変好きな小説であります。  この小説後書きにこういう記述があるんです。日本統治機構は、政府と言うべきか、それとも官と言った方が語感として本質に近いものなのか、ここ十五、六年来少しずつ考えてきて、その濃度がやや濃くなったときに「翔ぶが如く」を書く気になったと。ここで言う、政府と言うべきか官と言うべきかという、非常に含蓄のある言葉で言っています。  この場合、その官というのはどういうことかというと、どうもこの小説の中では、太政官というものが出てきますが、太政官的な質を引きずっているものが官だというふうにとらえているようです。そして、この後書き部分に、ある政府のOBの言葉として、日本政府は結局太政官ですね、本質は太政官から少しも変わっていませんという言葉を引用していろいろ書いてございます。  これからは法律からちょっと離れまして、この官という、日本の官僚組織ということについて若干、これから仙谷大臣と三十分ぐらい時間を借りて議論をさせていただきたいと思います。興味のない方は寝ていただいても結構でございますから、ちょっと時間を拝借させて、林先生と世耕委員、ちょっと済みませんが、しばらくの間お待ちをいただきたいと思います。  この太政官というのは、もう御案内のとおり律令制度のときに太政官という制度ができて、今で言う内閣内閣というのはもちろん選挙で選ばれますからちょっと本質的には違うんですが、国の統治機構だというふうに思っていただいていいと思います。それと同じ名前で明治のときに、ダイジョウカンじゃなくて、それと区別をするためにダジョウカンという、太い政治の官という、そういう組織をつくるわけですね。基本的には、大政奉還をしますから、大政奉還の受皿として天皇直属の機関としてつくったというふうに言われています。  当初は何でもない組織だったんですが、大久保利通が入ってくることによってだんだんだんだん力を付けてきて、その力を付けたときの源泉が何かというと、いろんな乱があったわけですね。林先生のところではよくおなじみの萩の乱とか、あるいは佐賀の乱とか、そういった乱があって、力をどんどんどんどん付けてきて、最終的に西南戦争が起こって強大な力を付けるわけです。  それで、その太政官が何をやったか、特に大久保利通が何をやったかといいますと、御案内のように内務省をつくります。内務省をつくってあらゆる権限をとにかくそこに集中するわけです。集中して、国家の改革というものをその太政官を中心にやり始めます。やり始めて、繰り返しになりますけれども、大事なことは、あらゆる権限を内務省、その太政官に集中して、当時は知事はもう地方官ですから、その任命権まで持ちますし、それから国家のいろんな法律も、とにかく国会も何もまだ発足していない時期ですから、徹底的にそれで主導で進めるというその体系ができ上がって、明治政府の原型ができてくるわけでありますね。  それで、先ほど言った、日本政府は結局太政官ですねという意味は、結局選挙に選ばれた、当時は選挙というのはないんですが、人たちではなくて、官という特殊な集団がその国の命運を握っているという形を太政官、特に大久保利通を中心につくるわけですが、その体質が今日まで引きずられているんではないかという、そのことを言ったんではないかと思います。  この「翔ぶが如く」という小説は一九七〇年代の小説ですから、その当時に比べると、随分今、世の中も変わっていますし、霞が関も随分雰囲気変わっています。私は昭和五十二年に農林水産省という役所に入りまして、当時の役所の雰囲気と今の役所の雰囲気というのは月とスッポンぐらいの差があります。当時はやっぱり役所は偉かったですよ。いや、偉かったって、いろんな意味がありますよ。いっぱいお客さんは来ますし、陳情客は来ますし、予算の時期なんかになりますと、特に農林省は補助事業をたくさん持っていますから、特に私は元々土建屋の仕事をしていましたので、農業土木という仕事をしていましたので、その関係もあって、予算の時期になりますと、五階には陳情客がもう銀座の歩行者天国のごとくあふれていて。  しかし、同時に、当時は官僚も徹底的に議論をしていました。仙谷大臣は、この間、答弁の中でよその省庁の批判をしないというふうに言いましたけど、そんなことはなくて、縦割り行政の弊害として、他の省庁が何かをやろうとしてきますと、それを阻止するというのが、入ってくるというのが一大の目的になるんですが、あらゆる面にわたって他の省庁の政策について文句を付けるんです。夜通し議論をするんです。机をひっくり返すぐらいの形で議論したこともあります。そうやって、徹底的な議論をやっていた時代でもありました。  ただ、その議論がいいかどうかは別として、根底にあるのは自分の縄張を守るという、一番最大の理由でして、その縄張に一歩でも入ってくるような例えば法律改正を何かやると、その法律をたたくんじゃなくて、相手の省庁の政策のいろんな難癖を付けながら、うちの省庁についての議論をやるというふうなことを徹底的にやっていました。  最近は、どうも省庁間の法律の協議もどうやらなくなったみたいで、事務次官会議が廃止になって、これは私はこれでちょっと問題じゃないかなというふうに思っているんですが、この点についてはちょっと今日は議題にしません。  それで、今いろいろとつとつと述べてまいりましたけれども仙谷大臣日本の官僚制度の原型はこの明治の太政官制にあるという、これは先ほど言った「翔ぶが如く」の後書きのところに出てくる役人のOBで、これはどうやらこのOBというのはどうも農業土木のことをやっていたOBみたいな人の発言で、土地区画とか何かをやっていたらしいので、そういうふうな形のともちょっと聞きましたが、まあ、それはそれとして、この太政官制にあると言われているというふうに言われていますが、大臣はどのような御感想をお持ちになっているでしょうか。なかなか、唐突な質問で申し訳ございませんが。
  39. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 私も、この太政官制度というのは、雰囲気として、ああそうだったのかなと思いますが、改めてどういう組織であって権限としてどういう権限を持っていたのかなと思って、事務局が整理したものを見ると、ああそうなのかと。  結局、ある種の統一国家、近代国家になるためにどういう行政といいましょうか、執政、政を執り行うかという観点から、最初は三権が分かれておったわけではなくて、封建的な統治の形態というのは、大抵、司法機能といいましょうか、要するに世の中の犯罪を取り締まり、これを罰する、さらには、今でいうと民民の争いというふうなものを調停し裁決する、つまり判断する機能もその領主権の中に入っているわけでありますが、それが王政復古ということになって、その部分も太政官の官制の中にあったと。  さらには、徳川末期から、万機公論に決すべしというふうに出てくる、これは横井小楠の思想だというふうに言われておるわけでありますが、要するに、決めるのはやはり議論をして決めなければいけないということで、議会、ある種の議会を執政の中に置くかどうかという話にそこはなるんだろうと思いますが、この太政官も最初はそういう立法機能を左院といいましょうか、左の方に持たせるということであったようであります。  最初はそれも、まあ一緒くたと言うと語弊がありますけれども、最初の太政官システムの中ではそのことも全体の一部としてあって、それから左院になって、ということは、この太政官の正院というところと右院というところで、現在のいう行政の企画立案及び、何というんでしょうか、執行を行っていくと。多分、改革を急がなければならない、あるいは断行しなければいけないという大久保利通の意欲といいましょうか、力が強くなってこの太政官になったと。  現在、司馬遼太郎さんが、平野さんが御指摘のこの「翔ぶが如く」の後書き部分で記載されておるように、政府というよりは官ではないかというこの指摘は、まあ雰囲気と気分としては出ているなと。そのとおりの部分がまだまだ我々のDNAか体質か知りませんが、考え方の筋にそういう部分、つまり、先ほど、はしなくも、平野さんも偉いと、当時は偉かったと、こうおっしゃったんでありますが、まさに偉い。  今もやはり勲章制度なんかを見ておりますと、正三位、従三位とかそういう言い方で、何かそのことに大変値打ちがあるというふうに日本人全体が思っている。あるいは勲章の授与の仕方を見てみますと、やっぱり官位で表される、偉いとか偉くないとかですね。それから、やっぱり官職に就いた方々には、まあ高位のと言うと語弊があるかも分かりませんが、上位の位記、官記が渡されるというのを見ておりますと、やはりその名残はあるというか、あるいはそういう意識は十二分にあって、行政優位というか内閣、人々の心の中には議会が、国会が国権の最高機関と規定されているけれども、実はやっぱり偉いのは内閣総理大臣以下の、昔でいう太政官、正院に位置し、その下に就くのが偉いと。  儀式でも、いろんな記念式典、我々も行きますが、今までは野党でありましたので衆議院議員でも割と後の方に回されるんですが、このごろはぽんと、元何とか大臣がいらっしゃって、当選回数が多い人がいらっしゃっても、我々の方が先に何とか大臣と呼んでいただけるのは、何か私なんかは妙な感じをして、甚だ、何かこれやっぱりおかしいなと半分思いながら、半分その方が気持ちいいという部分もあって、そういうのを別に拒否しないで受け取っておるわけでありますが、そういう部分が残っておると。  政というのは、しょせん、しかしそういう部分が残らざるを得ないのかなと。つまり、制度的というよりも、やはり、まず企画立案をして、それで議会でそれを決めて、そして今度はそれを執行する。とりわけ、予算を付けて執行するというところは、人間みんな飯食っていかなきゃいけませんから、飯食うのにどうしても近いところを奉るようなことは、日本だけでなくて、あるのかなと。  これは、ある種の民主主義的な信奉の段階論で語れるのか。いや、そうじゃないと。やっぱり米英流の民主主義と違う民主主義というのは、あるいは民主の思想とか民主の考え方というのはあるんだというふうに考えた方がいいのか、私は分かりませんけれども、いずれにしても、司馬遼太郎さんが指摘するような名残は、制度的にも、あるいは我々の意識の内にも色濃く残っていると、そういうふうに私は考えております。
  40. 平野達男

    平野達男君 どうもありがとうございました。  太政官がとにかく進めたのは中央集権国家の建設というのは、これ歴史の教科書でも教えているとおりでありまして、江戸時代というのはどういう状況だったかというと、別に徳川幕府というのは徴税権を持っているわけでもありません、警察権を持っているわけでもありません。ただ、強大な武力を持って、各藩に対して、何か悪いことをやったらぶっつぶすぞという抑止力を持って全体のバランスをもっていたという、何か不可思議な時代ですね。  だから、幕末に各国が来たときに、国の代表はどこかよく分からないと。徳川幕府が一応代表みたいな形になるんですけれども、別にそれが先ほど言ったように徴税権持っているわけではない、全国の警察権を持っているわけでもない。そういう一種各藩が独立した、全くばらばらのと言ってもいいぐらいの、しかし、さはさりながら幕府という強大な力を持った、抑止力を持った力でもってまとめていたという、そんな状況を、それを一気に廃止して、徴税権から、それから兵馬の権から、全部集中させるという大変な改革をやったのがこの太政官で、大久保利通がつくった内務省なんだろうと思います。  その内務省が、繰り返しになりますけど、国会の力を借りたわけでもない何でもない、特定の選ばれた人たちが国の抜本的な改革というか基礎をつくり上げたというその、何というんですか、伝統、それはそれで非常にうまくいったと思うんですけれども、その伝統と気分というものが、先ほど仙谷大臣言葉をお借りしますと、気分というものがまだ残っているんじゃないかなということで、私はそのとおりではないかというふうに思います。  それがいい方向でいけばいいんですけれども、どうも昨今のいろんな状況を見ていくと、必ずしもいい方向ではなくて、だからこそ官僚政治からの脱却だということを掲げて私どもも戦ったわけでありますし、今回もその流れの中での国家公務員法等の一部の改正というのが、その流れの一つで出てきているんだろうというふうに思います。  ちなみに、この中央集権国家を変えるために、今、地方分権を進めようじゃないかということも言っておるわけですけれども、それも、地方分権、地方分権というのは言われて随分久しいですね。あの長洲知事さんが、神奈川県知事だったと思いますが、地方の時代と言ったのが一九七〇年代だったと思いますが、あれから随分時間がたって、いつになったら地方の時代が来るのかなという感じはしますが、それについてもそろそろ本気でやっぱり進めていかないかぬのではないかなというふうに思いますが、この中央集権国家というものの流れというのもやっぱり変えるというのが民主政権ができた一つの意義であるし、それに本格的に取り組んでいかなくちゃならないんではないかというふうに思いますが、仙谷大臣、その辺りどのようにお考えでしょうか。
  41. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 一概に江戸時代すべてを通じて普遍的に語れるものがあるのかないのか私は分かりませんけれども、徳川幕藩体制のガバナンスというか政治というのは、なかなか巧妙なやり方だったと思います。  私が昔読んだ小説の中で「孤愁の岸」という、あれは杉本何とか子さんという女性の作家だったと思いますが、薩摩藩が、木曽川だったでしょうか、長良川だったでしょうか、ここの改修を命ぜられて、平田靱負という家老がこれに従事する。徳川幕府からいえば、この治水が非常に重要だということもありましょうけれども、薩摩藩の力をそぐために、薩摩藩から大人数が動員されてそこに来て、木材の買い付けから始まって、難渋しながら、失敗というかをしながらやらされるという。それで、最後に、でき上がったときにその家老は、藩に迷惑を掛けたということで切腹するんですね。そういう統治の在り方というのは、非常に間接統治なんだけれども、そのことを拒否させないという何かを持ちながら、しかし薩摩は、薩摩藩内といいましょうか、あるいは九州では極めて強い影響力というか政治的な統治力を持ち続けたということであったんでしょう。  こういう体制を考えますと、各藩ごとに別に議会を持って、今でいう民主的というか民主主義的な統治形態を持っておったわけではないわけでありますが、英明な君主というか領主、藩主、英明であるということは、多分、有志といいましょうか人材を自分の近くに集めることができたということなんだろうと思いますが、そして、そういう人材の力で施策を進めて、やっぱり明治維新以降の富国強兵というこのスローガンになって現れてくるその部分が各藩ごとにできているところはかなり藩としても豊かで、力を付け、先進的な文化をあるいは文明を取り入れることができたと。  結局、先ほどの地方分権、我々が地域主権とか地方主権とか言っていることを考えますと、今の都道府県、市町村という自治体に果たして政府と言われるような存在になるような条件があるのかないのか。あるいは、住民を含めてそこに住まわれる方、あるいは県庁の、あるいは市役所の職員として仕事をされる方も含めて、地方政府を占める一員であるのか、地方政府を背負っているというそういう意識があるのか。あるいは、その地域を経営するといいましょうか、運営していくというそういう意識の下に今行われているのかどうなのか。そして、そのようなことを担保する制度がちゃんとできているのかというふうなことを私は感じております。  それで、この地域主権は何よりも、やっぱりここまで来ますと、首長といいましょうか、首長部局の問題であるよりは、やはり地方議会がガバナンスの一翼を担って物事を決定していく。とりわけ財政的な、地方財政、その各都道府県や市町村の財政を含めて、自立的、自主的に決めて執行していくと。そのために、今ずっと長く続いてきた国のある種の、何といいますか、手取り足取りの指揮命令なのか指導なのか、最近では技術的な助言ですか、何か助言と称する強烈な通達というふうなものをどうこなして、こなしていくというかやらせないようにするのか、あるいはそれを撤廃させるのかというふうなところにほとんど問題が集約をしてきているのではないだろうかというふうに思います。  先ほど山本議員の御質問に答えて、何というんですか、原口大臣の方もなかなか微妙な答弁をされておったわけでありますが、結局問題は、どうも地方出先機関として、国家というか、国がというか、中央政府出先機関を通じてやっていることが地方政府との関係で果たして意味があるのか、あるいは地方政府が本来やるべきことなのか、あるいは地方政府がやった方がうまくいくのかということが、やっぱり今度の新規採用問題をめぐっても改めてそういう問題出てくるんですね。つまり、そこの新規採用あるいは定数を減らしても、それは多分、都道府県や市町村が代替をすればうまくいくというかその方が望ましいような問題、問題というかテーマというか、あるいは部局も私はまだまだ相当あると思います。  ただ、これ、例えば入管というふうなことの新規採用者も減らそうとした場合に、まあ我が党もそうでありますが、前政権もようこそジャパンという運動をして、圧倒的に多くの、今六百万人か七百万人の海外からの旅行者を三千万に増やすとか二千万に増やすという政策を一方に掲げているわけですから、これは七百万人が倍の一千四百万人になっても、入管をどのようにこれから業務体制を拡充し充実させなければならないかという観点から考えると、とても全体としては減らすわけにいかないというのは、これ常識的に明らかだと思うんですね。あるいはこれは税関もそうですね。  そういうときに、地方出先で一律にそこに減員を掛けることができるのかという問題が一方であります。あるいは、入管を地方政府に移管するということが、法務省が泣こうがわめこうがそのことがいいのかどうなのかということもあります。つまり、国の統一的な、あるいは国の直轄でやらなければならないそういう仕事なのかどうなのかという、改めてその問い直しが必要と。  今、いろいろ議論が錯綜してくるのは、そういうときに特区制度で、例えばもう沖縄なんかは沖縄県に任せて、なんかはというのは地政学的にそういう位置にあるという意味でありますが、蓬莱経済圏とかなんとか昔ありましたけれども、元々琉球共和国構想みたいなものがあるところでありますから、地政的にもう入管業務を全部任せてしまおうと、だれが入ってこようが出ていこうがそれは沖縄県に任せてしまおうと。企業が入ってきて資本投下するのも、その税制も任せてしまおうというふうな考え方も特区とか地域主権の中には当然のことながら出てきます。  そういうことを考えていくときに、それは民主主義というか、その制度の下ではやはり議会がそれを担って、住民の皆さんあるいは波及する日本全国の国民にどうやって責任を持つのかということを改めて考えざるを得ないと。結局のところ、重層的なガバナンスの関連をどうつくるのかということに尽きるのかなと思っております。  地域主権とか地方分権については、私は一つのかぎは、やはり議会、地方議会がどこまで、総与党体制みたいなことではなくて、住民の意思とともに決定機能を、あるいは政策立案機能をちゃんと果たし得る存在になるかどうか。これは各自治体でばらつきが現在はあるようでありますが、そういう議会改革、あるいはこの議会を担う方々を選ぶ住民の意識改革、そして今名古屋で始まっておるようでありますけれども、一体全体地方議会というのはどういう存在でどういう地位であるということを住民の皆さん方と一緒に考えて位置付けていくかと、ここがもう地域主権の、地方分権のポイントになってきたと。  その関係で、この中央政府の機能、在り方、そして統治の機構の在り方、構造を考えていく必要があるなと。最近は、まあ訳の分からぬ話になりましたけれども、そんなふうに考えております。
  42. 平野達男

    平野達男君 大河のような答弁で、ありがとうございました。ただ、大河は蛇行しますんで、しかし気分としてよく分かりました。山本委員も、先ほどの答弁不足を補っていただいたんで、よく分かったんではないかというふうに思います。  前段、木曽三川の分離、これちょっと触れられたんで、どうしても私の血が騒ぎまして、たまたまここに大塚副大臣もおられまして、この木曽三川の分離、江戸時代は土木のことを普請と言いまして、建築を作事と言っていたんですが、幕府はとにかく力をそぐために各藩に普請をいっぱい命じて、利根川のあの東遷とか、利根川というのは元々江戸湾に注いでいたやつを銚子まで引っ張っていくんですが、ああいった東遷、あれも各藩にやらせましたし、木曽三川の分離というのは非常に有名な話でして、ちょっと雑談で申し訳ありませんが、木曽川、長良川、揖斐川という川があって、あれ河口に行きますと、揖斐川、長良川、木曽川という河口が河床が高いんですね。昔は、あそこ今分離されていますけど、一緒くたになっていますから、木曽川で流れた水が長良川で要するに洪水があふれますと逆流するわけですね。逆流を防止するために、木曽三川の分離と、分離堤というんですけど、それを薩摩藩に命じたわけです。これはむちゃくちゃな大変な事業だったようでありまして、宝暦治水という有名なあれで、あそこに治水神社というのがありますけど、ああいうことをやらせながら、力をそぎながらあの体制を維持したという。  私は元々土建屋なものですから、ちょっと触れさせていただきました。このたぐいの話をさせますと一時間でも二時間でもしゃべるんですが、今日はそのテーマでございませんので、次に進ませていただきます。  ちなみに、私は六年前から、今の政府というのは薩長土肥の田舎武士がつくった政府なんだと。林先生もおられますけれども。それはそれでいいんだけど、今度はそれは、中央集権国家をつくったんだから、地方の時代、地方の時代というんで地方から革命を進めるためにこれから政権交代を起こすんだと。  明治、幕末に奥羽越列藩同盟というのをつくりました。簡単にポシャったんですが、これは。その奥羽越列藩同盟をもじって新奥羽越列藩同盟をつくるんだといって随分街頭なんかで言いながら、今回の改革は南からじゃなくて北からやるんだということを言いながら選挙を戦ってきたんですが、階政務官の一回目の選挙のときでもそんなことを言いながら戦ったんですが、広がりは見えていませんが、これも気分として理解をしていただきたいと思います。  ちなみに、明治で維新が起きたときに明治政府は、白河以北一山百文といって随分ばかにされた、ばかにされたというか低く見られておりまして、それでも何くそやというふうに思って白河以北の方は随分頑張ってまいりました。これからも頑張りたいと思います。何の話か分かりませんが、そういうことを申し上げて、質問に入らせていただきます。  国家公務員法等の一部の改正なんですが、今の、今のというか、官僚制度と民間の組織を比較した場合の一番の難しさ、厄介さというのは、これは林法案提出者にもちょっと御質問を後で聞きたいと思いますけれども仙谷大臣、簡単で結構でございますから、どういう点にあるというふうに思っておられるでしょうか。
  43. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 先般、実はベトナムに行かせていただいて、ベトナムの官僚の上層部の方でしょう、お会いしました。なかなか優秀な方が多いんですが、明治という国家をつくって運営した我々の維新の志士から、あるいは維新の志士じゃない幕府派の若き志のある青年たちが明治維新政府にどんどん採用されて入っていくというその中で、明治維新政府は少なくとも日露戦争が終わって四、五年までは間違わなかったと、こういうふうに私は考えておりますし、すごい、「坂の上の雲」で書かれた方々のような方々が相当分厚く存在したからああなったんだろうなと思います。  ベトナムを見ますと、お気の毒なことに、つい最近の三十年、四十年間ずっと戦争をされたということで、どうもそこの層が余り厚くないなと。それからもう一つは、これは聞いた話でありますから正しいかどうか分かりませんけれども、どうも公務員の処遇が、さっき偉い偉くない話がありましたけれども、処遇が非常に薄いんで、どうしても、まいないというか、集団的第二報酬を受け取ることは悪いことではないんだというこの癖がやっぱり直らないと。それは公務員の処遇が非常に低いからなんだという、こういう話を聞きました。  そういう観点から私最近見ておりまして、明治以降の、まあ汚職事件とかなんとかというのもないわけじゃなかったわけでありますが、しかし、大宗、公務員方々が非常に清廉潔白で、それで偉いと。末は博士か大臣かということで偉いと言われるのにふさわしいやはり公務、官吏の道をそれぞれがそれぞれの持分で尽くしたというのが日本のこの近代国家として成立してきた。あるいは、日本の戦後の復興といいましょうか、再び、何というんでしょうか、世界の中で少なくとも十番目ぐらいの生産力や文化力やすべての力を持っているというふうに認められてきた源泉の原因の一つはこの公務員という仕事に就かれた方々なんだろうなと、こういうふうにもう概括的には思っております。  ただ、この身分保障それから処遇が民間に比べてむしろいいと、あるいは恩給制度が充実しているというふうなことで保障されてきた日本公務員制度が、どうもある種の大衆化をすることによって、別に人数がそれほど多くなったということを言っているわけじゃないんですが、すべてが、昔偉かったものが偉くなくて相対的になってきたという、こういう時代の中で、先般、引下げデモクラシーというふうに申し上げましたけれども、みんなが、何というんですか、国会議員はあんな歳費取ってけしからぬと、公務員も高過ぎるんじゃないかと、この議論が行われたり、公務員の身分保障というのはとんでもない話だという話、あるいは今日も新聞ちらっと見ておりましたら、だから失業保険が掛かっていないのはこれはいかがなものかという記事も出ておりましたが。  こういう身分保障、つまり終身雇用、そして年金、昔でいえば恩給問題、この中で、これがマーケットにさらされない分、やっぱりどこかでモラルハザードを起こすといいましょうか、そして何よりも、これは自民党という党が悪いんじゃなくて、自民党一党支配が続くことによって、やっぱり政権交代によってもたらされる緊張感というものが、霞が関の人間が生きていく、その組織としてモラルハザードを起こす部分がある。つまり、時代的な背景、流れ、国民の意識と、それとモラルハザードが極まっていると。  だから、結局、昨日まで行われました政府関連公益法人の仕分を国民の方々が見ておりますと、これは特恵待遇というか特権的な待遇であると同時に、やっぱりここに何かしがみついているように見える浅ましさみたいなものをテレビを通じて国民の方々、多分見て取るんだと思うんですね。  このことは、余り公務員全体の、非常に志を持って仕事をされている多くの公務員方々にとっては良くない話であって、民間はそれをやった瞬間に、先般も相談役の多いところは大体つぶれるという話をさせていただきましたけれども公務員はピンからキリまでOBの方が行かれる次の職というのはあるんでしょうけれども、この構造が残る限りやっぱり国民から尊敬されないというか敬意を持って見られないところまで実は、それが正しいかどうか別にして、なってきているということがあると。  やはり倒産をしないで、とりわけこの間、国債論との関係もありますけれども、借金を増やしながら、まあまあ勤務条件も現状維持から多少の右肩上がりで来たという、ここがある種のモラルハザードを生んできている原因で、それを、局所局所にメスを入れることも必要でありますが、それだけじゃなくて、やっぱりトータルな考え方といいましょうか、国家経営に、その一端に携わる職を行っているという意識と、そして結局、雇主といいましょうか、雇用条件を保障するのは国民なんだと。  だから、極論すれば、勤務条件を良くしようと思えば、自治体も国も、増税のできる、増税を敢然として行うガバナーを公務員方々が選ばない限り、そういうことが選ばれるようにしない限り、それはどこかで全体としては大変非合理、不合理なことになるんだろうなと思います。  私は、だから、地方公務員方々には労働条件が悪いとかいろんなことを言う方々、組合の方々もいらっしゃいますけれども、基本的には、特に自治体の場合には、あなた方が一生懸命運動して、地方税をちゃんと上げて地方財政が破綻に陥れないようなことをする、つまり、それで労働条件を良くしてくれるような市長や知事選びなさい、選んだ方がいいんじゃないですかということを言うんだけれども、このことに同意をされる方はほとんどいないし、そういう活動を展開する組合も余り見たことない。そこは理事者の責任だ、我々の労働条件だけが問題なんだと、こういう議論が大変多くてですね。  しかしながら、多分、平野議員ももうお気付きだと思いますが、そういう打ち出の小づちは理事者が持っておって、政府が持っておって、我々は、つまり勤務条件のことを問題にする側が一切財政的な問題を考えないでいいという時代はついに、もう既に何年か前に終わっていると、こういうことなんだろうと思います。
  44. 平野達男

    平野達男君 財政の問題についてはまた時間を取ってたっぷりといろいろ御議論の時間をいただければと思います。  林先生、どうでしょうか。
  45. 林芳正

    委員以外の議員林芳正君) 法案の対案の提出者というよりは、今大きな御質問をいただきましたので、個人的なお話になるかもしれませんが。  なぜ民と比べて官は難しさがあるかということをまず考えますと、私も社会人の出だしがサラリーマンで商社におりましたので、自分の課がもうからないと課がなくなるわけでございます。その基準は、どうやって業績を上げるかと。端的に言えば幾らもうかるかと。こういう非常に客観的な、ほかの部署と比べたときに比較可能なものがあると。一方、やっぱり官の世界というのは、窓口に来た人がどれぐらい満足をされたかみたいな、民間的に言うとコンシューマーサティスファクションみたいなことはありますけれども、しかし、政府全体の仕事を通じて業績評価、行政評価みたいなことをやって、こことここはこう違うから変えるということは難しいところが大変大きいものがあるんではないかと、そこが大きな違いがあると思っております。  それから、基本権の制約があるかないかということも当然あるわけでございますが。  もう一つは、大ざっぱな話でございますけれども、国の行政ということを考えた場合は、国民というのは、生まれてこられたという意味では、別にだれかが選んでその方がとか、この日本国の方を選んで日本国民ができているわけではないと。一方、企業を考えますと、この会社に入りたい、また、会社の方もこの人を採用するということで、最初に全体の成員が構成されるときに、そこで一種の契約関係があると。こういうことが一つあるわけでございますので、この企業にいたくないと思えば出ていく自由があるし、会社の方も、この人に出ていってほしいと言えば、いろいろ制約はありますけれども、その自由があるということで、成員自体が違うと。大きな三つのやっぱり違いがあるんではないかなと、こういうふうに思います。  先ほど歴史のお話がありましたけれども、官が主導するケースというのは多分、明治の維新もそうですし、それから戦後の復興もそうですが、国家目的みたいなものがある程度コンセンサスがあって、明治維新の場合は富国強兵。中国みたいに植民地にならないようにしようと。戦後復興の場合は早くあのアメリカのドラマのような生活になりたいなということと、もう一つは、吉田ドクトリンという安全保障をきちっとやって、商人国家だというようなことがきちっとあって、そのことに対しては余り当時の世相的には論争がなかったであろうと。そういうことであれば、その目標にいかに早く達成をするかという手段のところの効率性が問われていたということでありますと、官僚制というのはそれに非常に合っていたということではないかと、こういうふうに思いますが。  明治の末期から戦争に至るところ、また平成に入った我々の今立っているところというのは、どうもそういう国家目標が一つあって、それに対して効率的にやっていこうという状況ではないのではないかと。むしろいろんな意見のある方がたくさんいらっしゃって、余りがつがつ成長するよりはゆったりと行きたい、環境をもっと重視したいという方もいらっしゃると。そういう多様な意見のをどうやってコンセンサスを取っていくかという場合には、やはり官僚主導ということではなかなか難しいと。まさに明治の後に大正デモクラシーがあったような、そういうフェーズに入ってきているんではないかなと、こういうふうに思うわけでございます。  なお、官僚が偉い偉くないみたいな御議論がありましたけれども、明治憲法では官吏とそれから吏員と雇員ということで分かれておって、官吏というのが今の多分制度でいうとキャリアみたいな形になるんだと思いますが、身分上分かれておりまして、これは多分ドイツ憲法から引いてきたということであろうと思いますが、軍人と同じように、官吏というのは当時は天皇陛下の官吏ということだったと思いますけれども、国家のために殉じるということで、当時は元々労働三権というのは世の中に存在しなかったわけですが、多分そういうことあったとしてもこの人たちは別で、吏員とか雇員というのは一般の民間人と同じ雇用関係と、こういう区別があって、その代わり辞めた後は手厚く恩給で守っていくと、こういう仕組みがあったわけでございますので、もう一つ言えば、平均余命も五十、人生五十年のときでしたから、大体事務次官になるのは生き残った人と、こんなような冗談もあるわけでございますけれども、そういう中でそういう仕組みがきちっとバランスを取れておったと。  多分、イギリスの大きな連邦の、例えばカナダですとかオーストラリアというのは何となくそういうことになっていて、そういう国の人たちとこの天下りの話をしていますと、何で辞めてまでそんなに一生懸命働くのかねと、こういうことを逆に聞かれるわけですが、それは逆を返せば、手厚く老後の保障が恩給という形でなっているから、それに加えて、先ほどの大臣のお言葉借りると、浅ましくいろんなことを探すという必然性もないと、こういうことであろうかと思いますので、今の日本国憲法をまた明治憲法に戻して、身分制に戻してやっていこうということはなかなか難しいと思いますけれども、やっぱりこの辺をよく押さえた上で、しからばどういうことをするのかということを今のこの我が国の置かれている状況に合わせて考えていくということが必要なのではないかというふうに思っております。
  46. 平野達男

    平野達男君 仙谷大臣と林法案提出者から本当に奥の深い内容のある答弁いただいたというふうに思います。  私もそこまで深い認識は持っておりませんが、幾つかの点でかなり共感できる点があります。  私は民間の経験はございませんけれども、先般、今、宮崎県で口蹄疫が大流行しておりますけれども、この口蹄疫の関係で、ある動物の病気には全く関係のない会社と思われる方が私の知人のつてを伝って来ました。これは元々フィルムを作っている会社なんですが、このフィルムを作っている会社が何と抗ウイルス剤の研究をやっているということなんです。  こういう、要するに、まさにさっき林先生からもお話ありましたけれども、会社が自らもうとにかく生き残るためにどんどんどんどん内部改革を進めていくという、やっぱりエネルギーがあるし、そうしないと残れないということだと思います。  仙谷大臣の好きな小説に「坂の上の雲」というのがありまして、これは坂道を駆け上っていく、もう雲を追いかける勢いで駆け上っていくという、先ほども林先生の中に戦後の高度経済成長期の話もありましたけれども、ああいうときはまさしく官僚制度というのは非常にうまくいくし、組織も拡大していきます。  ところが、官僚制度の一番厄介なのは、組織は拡大した後が厄介なんです。ベクトルが今度はいつからか組織を保存するという方向にエネルギーが向きます。技術者、私はもう土建屋ですから、技術屋もそうなんですけれども、例えば、これは仙谷大臣もこの間言っておられましたけれども、トンネル技術ならトンネル技術、橋なら橋の技術、これ相当の技術持っています。それが必要だから技術が発達したんですけれども、いつの間にか技術を保全するために仕事をつくり出すという、そういうベクトルが官の世界では許されるんですね、油断しておきますと。  そういうことが一つありますし、特にこれからもう少子高齢化という中で時代が大きく変わっていきます。省庁の仕事もこれからは社会保障関係がずっと大きくなってきて、しかし、縦割りという中で定員管理もされている、人事管理もされているという状況の中で、大胆に見直していくとするのであれば、多分これはやっぱり官僚の力だけではなかなか難しくて、ここからまさにいよいよもって政治の出番だということになるんだろうというふうに思います。  そういった中での一つの大きなかなめというのが人事ということであって、重ねてもう一つ次の質問に移りますけれども、これもまた林法案提出者にも質問させていただきますが、今までの人事の在り方の問題意識というか、霞が関の、あるいは官僚の、あるいは公務員の人事のどこに問題があったのかということについて、これは既に何回も議論されたと思いますので、簡単で結構でございますから、仙谷大臣から御答弁をいただきたいと思います、まず。
  47. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 私、自分で霞が関の人事を行ったことはほとんどありませんので間違っているかも分かりませんが、私は横から見ておりまして、この霞が関の人事というのは一体だれが責任者で、責任を持って個別の人事配置も含めてだれがやっているのか分からない、ここがやっぱり問題なのではないかと、責任の所在がはっきりしないと。  つまり、労働条件を決めるのは人事院という組織であると。定員を決めるのは今は特に総務省という組織であると。それから、全体の、何というんですか、ガバナンスというかマネジメントするのは内閣なのか、分担管理の下での各役所のそれこそ大臣なのか次官なのか官房長なのか。つまりそこのところが、法制度上もこの人事労務管理について一体全体だれが責任者なのかが分からないというところが、いいのか悪いのかを別にすると、そういうところがあるのではないかと。  次官人事や局長人事も、形式的には大臣が行うんでありましょうけれども、実質的には、特に政権が短ければ短いほどやっぱり官僚の方々が決めるんだけれども、それが、どこでなぜこのように決まってくるのか分からないけれども何となく決まってきたというふうな、そういうことになっているんではないかというふうに見ておりまして、これはやはり一人一人の官僚の方々との関係においてもかえって良くないと。  つまり、年功序列と、何となく同期の中で生き残ってきた人のうち、この間のこの委員会議論でもありますけれども、ある種、特定の政治家といい関係をつくれた人、あるいは上司といい関係をつくれた人がそういう、何というんですか、処遇を受けるのかなみたいな感じで見ておりました。
  48. 林芳正

    委員以外の議員林芳正君) ありがとうございます。  今大臣がおっしゃったことともかかわるんでございますが、制度的には、法律上は任命権者というのがおりますけれども大臣が人事に介入したなんという言葉があるように、どうも不文律的に官僚は官僚でやるんだというようなことがかつてはあったのかなと、こういうふうに思っておりますが、私も大変短い間でしたが人事任命権者になったことがあるんでございますけれども、実際に、やっぱり一年ですとワンクールでございますね、小泉総理のときに一内閣一閣僚という言葉がありましたが、二クール、三クールぐらいあれば少なくともその省の幹部の人たちをきちっと見て適材適所を判断できると。行ってすぐ全然知らない人たちの人事をやるというのはなかなか実質的には難しいところがあるのではないかなと、こういうふうにそのときも思ったわけでございます。  それからもう一つは、先ほど申し上げた基準というものが、業績がきちっと民間のように出れば、自他共に認める業績を上げたか上げないか。実はその部署にたまたまいてもうかったという人もいるわけです。私のサラリーマン時代ですと、例えばボーリング事業というのを最初に持ってきた人は偉いんですが、二代目でそれをやっていた人は黙っていてももうかるというところがあるわけですね。せっかくリスクを取ってもイランみたいに革命が起こって駄目になったと、こういうこともありますから、その辺は難しいのでございますが、しかし客観的な評価は出る。役所でそういうところが、みんなが納得するようなところが果たしてどこまであるのかなということでありますので。  なぜ人事をやるかというと、やはり役所全体の生産性というのを上げていって、みんながやる気になってこの大臣の下でしっかり働こうと、これが最終的な一つの大きな目標でありますから、そういうところも見ながらやっていける仕組みをつくるためには、先ほど言った二番目の問題である基本権のところの制約というのをどうすればいいのか。同じ制約の中で、地方では同期が追い抜いていって最後局長になるということもありますので、運用でもできるところもあると、こういうふうに思いますけれども、しかし、そういうところをやっていって、運用と制度そのものも両方直していくことによって、今私が申し上げたようなことをしていくということが追求すべき目標ではないかなというふうに思っております。
  49. 平野達男

    平野達男君 責任の所在が分からないというふうなことだったんですが、私が二十四年間役所にいましたけど、私から見たら責任の所在は随分明らかでありまして、ただ、それが外から見えない。どちらかというと、人事については省庁に任されていると同時に職種にまで任されていまして、その人事をめぐっては一つの小さな幕府をつくっているようなもので、もうほとんど基本的にそこに全部任せてしまうと。これはこれで私は、まあ悪い面もあったかもしれませんが、いい面も非常にあったと思います。  それは、一番いい面は何かというと、人が見れるということで、逆に見るとそこになれ合いが出るんじゃないかということが言われますが、意外とこの辺りは役人もしっかりしていまして、いい人間を選ぼうと思って、やっぱりそれだけ見ますよ。だから、そういった中で人事に関しての人を見る目というか、人を育てるという体制は、これは今でも私は役人の世界というのはしっかりしているんじゃないかというふうに、ここは認めてもいいんじゃないかなというふうに思います。  ただ、これからそういうふうに、ただそうやって小さな幕府みたいにばらばらにしておきますと、これから霞が関全体の組織のことを大きく見直さなくちゃならない、仕事のウエート付けも変わっていくという中においてはそれはまずいんで、そのいろんな組織を流動化させていく、変えていくという段階では、人事の仕組みもやっぱり見直していかざるを得ないだろうということなんだろうというふうに思います。  そこで、やっと法案の中身に、入口にたどり着きました。今日、実は法案提出者に来ていただいたのは、この法案は最終的に私は成立すると思いますけれども、政権交代はいつ起こっても不思議じゃない。私はあと二十年は起こらないと思っていますけれども、一応理屈上不思議はないわけで、この役人のいわゆる組織を運営する基本である国家公務員法について、大きなやっぱりそごを残したままその法律施行するというのはなかなかまずいだろうというふうに思いまして、少なくとも今のお話を聞いている段階では、労働基本権のあれをめぐっては若干のニュアンスの違いはありますけれども、現状の認識についてはほぼ一致していまして、だからこそ基本法が成立したんだろうというふうに思います。  そこで、以下、法案の中身に入っていきますけれども、まず、自民党さんが提出された法案、その幹部職につきまして、これ各論の話で恐縮なんですが、特別職というふうに位置付けておりますが、まずその特別職に何で位置付けたのかという質問をしたいんですが、その前に政府の方にお尋ねいたしますけれども、特別職と一般職の違いというのは何でしょうか。
  50. 階猛

    大臣政務官階猛君) 特別職と一般職の違いについてでございますが、国家公務員法上、国家公務員の職は、これを一般職と特別職とに分かつというふうにされております。また、一般職は、特別職に属する職以外の国家公務員の一切の職を包含するという文言もあります。したがいまして、特別職と一般職の違いということでいえば、ややトートロジーかもしれませんが、特別職以外の職が一般職であると、こういうことになります。  その上で、国家公務員法二条三項に具体的に特別職になる職が挙がっているわけでございますけれども、こちらを見ますと、大まかにいえばこういうことが言えるかと思います。三権分立に基づく独立した人事管理の必要性や職務の特殊性等を理由に、国家公務員法に定める任用、給与その他の勤務条件、服務、身分保障等に関する共通の原則を適用することが適当でない職、これを特別職に当たるものとしているというふうに理解できるところでございます。
  51. 平野達男

    平野達男君 後段の部分、いわゆる政治任用に当たる人、あるいは三権の世界でいえば行政府以外のところの職員、こういったものが特別職だということですね、具体の例でいくと。という御答弁だったと思います。  それで、その自民党さんの案によると、これは特別職に幹部職をするんだということなんですが、その意味は、目的は何なんでしょうか。
  52. 林芳正

    委員以外の議員林芳正君) 特別職ということにする理由ということでありますが、今政務官からお話がありましたように、一般職でないものが特別職であるということでありますので、我々も幹部公務員法を別途作りまして、これを特別職にするといった場合の特別職というのは、当然一般職でないという意味でございますので、いわゆる大臣や副大臣のような政治任用職にするということではないということをまず申し上げておきたいと思います。  それで、一般職にとどめて、今回の政府法案は次官、局長、部長級というのを一つの職制上の段階にみなすということでありますが、これは基本法のときにも御議論させていただいたんですけれども、どうしても執行が中心になるところ、政治的な中立性とか公平性がより要求されるところと、幹部のところ、すなわち企画立案を主にするということでありますれば、先ほどちょっと歴史のところで申し上げたように、国家目標が一つに定まっている場合であれば同じピラミッドの中にいるということでもいいのかもしれませんが、政権交代、今おっしゃったように、二十年ならずとも二、三年で起こしたいと我々は思っておりますが、起こった場合に、目標が違うマニフェストで、プラットホームで争って、違う目標の政党がなったと、こういうことになってまいりますと、企画立案をする人たちというのは、全くの政治任用ではないにしても、ある程度内閣がやろうとしている政策というものの遂行に企画立案として加わっていくと、こういうことになろうかと、こういうふうに思いますので、そういう意味では、今の全体的に一般職とするということよりは、別建てで、ある意味では政治任用職と一般職の中間形態というものを新たにきちっと一般職の外に出して幹部職として位置付けるということをやることによって、よりすっきりした、能力・実績主義は基礎にするけれども内閣との一体性の確保ということを担保していこうということでございます。  御存じのとおりでございますけれども民間企業というのも一般の社員とその上に役員というのがおりますけれども、分かりやすく言うとこういう役員みたいな考え方になるのかなというふうにも言えるかと思いますが、これは例えでございますけれども法律的な考え方はさきに申し上げたとおりでございまして、これは例えば我々が政権時代に出させていただいた法案の審議の中でも、松本衆議院議員が当時も一般職から外に出すべきではないかということを指摘されておられますけれども、その辺の考え方にも沿っているんではないかなというふうに思っておるところでございます。
  53. 平野達男

    平野達男君 一般職ではないから外に出して幹部国家公務員法案というのを多分出しているんだと、多分というか、継ぎ足している形になっているわけですが、これは仙谷大臣答弁で答えられておりますけれども、この幹部職の降任という規定以外はもうほとんど国家公務員法の規定を援用していますね。だから、そういった意味では、出す意味合いというのが法的にどれだけ意味があるのかというのは私はちょっと疑問です。  実際のあとは運用の問題として、今回のは、幹部職というものについてはいわゆる任命権者がきちっと判断をして人事をやっていくよという姿勢が今回の場合の主眼でありますから、ここは私は、幹部職、一般職というのは多分法案提出者も余りこだわっておられないと思いますけれども、余りこだわらなくてもいいのではないかなという感じがして、そこで分かりましたという答弁は要りませんから、こういったところについての認識さえ共通しておけば、あと仕組みはそんなに大きな違いじゃないんだなということで共通の認識に立っていただければなと思いますが、手を挙げていますので、どうぞ。
  54. 林芳正

    委員以外の議員林芳正君) 中間形態ですから全くの政治任用ではないということは申したとおりですが、ほかのところで規定しておりますように、これ分けますと幹部職の給与法というのが別建てになってまいります。ですから、そこは今からこの年末までに決めるということを一般職と幹部職で両方我々の方は定めておりますが、ここは一般職で全部やりますと同じ給与法で分けて書くと、こういうことになりますので、そこがだんだんだんだん違ってくるんではないかなということもありますので、もし運用上差し障りが近くてないということであれば、やはりきちっと切り分けをしておいた方がいいんではないかという考え方の違いはあろうかというふうに思っております。
  55. 平野達男

    平野達男君 突然ですけど、大島副大臣、どうでしょうか。
  56. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) 今の御答弁にもありましたとおり、私たちは一般職として、今回の幹部職員については一般職の中での処遇を考えております。  このことの意味は、一つは、政治応答性と専門性と身分保障があるかなと思っておりまして、私もここ六か月、七か月、初めて公務員の皆さんと一緒に仕事をさせていただいて、政権交代が行われなかったことが非常に不幸だったと思っています。やはり、時々政権交代が起きると、野党時代、私たちが考えていた公務員像と政権に入ってみての公務員像が大分、やっぱり公務員の皆さんは一生懸命仕事をされて、中立的な仕事をされているという認識が持てるものですから、やっぱり政権交代が行われなかったのが不幸だなと思っております。  これは、以下は私の私見なんですけれども、よく逆命利君という言葉がありまして、命に逆らいて君を利する、これを忠というということだと思うんですけれど、やはり公務員の方で政務三役に対してしっかりとした意見、政務三役に対してこれは違うということを、御注進というのかな、しっかりはっきりと国の利益にならないということを御自身の意見で言ったとしても、その身分保障が保てることが非常に私は必要だと考えております。そのことが国の政策立案の上で非常に大切だと思っておりまして、私も今、各部局の皆さんとお話をさせていただく中で、必ず異なった意見があったらおっしゃってくれということはお願いをしております。そのことによって中立的なより良い政策立案ができればなと考えております。  ということで、私たちは一般職の中に位置付けておるところでございます。
  57. 平野達男

    平野達男君 ありがとうございます。  じゃ、次の質問に移らせていただきますけれども法案の第六十一条の二の名簿の作成であります。  これは、私、条文をぱらぱらめくりながら何回か読んだんですけれども、正直言って、これやるの大変だろうなというふうに思います。これは何か麻生政権のときからこういう考え方で出されて、それを受けた形になっておるようでありますが。  まず、今までは標準職務遂行能力という、いわゆる適性試験については国家公務員法でそういうのは規定されているんですが、実際には人事については各府省あるいは各職種に任せられていましたから、これについては各府省にやり方も任せられていました。  ただ、今回は、六百名か七百名か八百名か知りませんけれども、どれだけの人数にするか分かりませんが、名簿を作るということで、適格性審査をやるということなんですけれども、この適格性審査につきましては、今までの議論等を聞いていますと、面接をやるとか、当然のことながら、最終判断のときには今までの職務の成績評価等々も参考にすると思うんですが、様々なことが言われておりますけれども、ちょっと具体的によく見えないところがありまして、今のところ、これ政令で定めるところによるということで、この六十一条の関係については、政令で政令で政令でというのが幾つか出てくるわけでありますが、今どういう手順でやろうとしておられるのか、これは政府の方にちょっとお伺いしたいと思います。
  58. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) これ、具体的にまだ決めているわけではございませんし、民間で幹部試験と言われているようなものをどのようにやっているのかということも、今情報を得たり、お話を伺ったりしているところでございます。  ただ、一つのポイントは、公募の方々、公募にも、管理職の方々で今度の幹部職員に手を挙げるという公募もございましょうし、純粋に民間の方でひとつやってみようと、いわゆるこの幹部職員に手を挙げる方もいらっしゃいます。それと現役の、現在幹部職員相当のところにいらっしゃる方とはそもそも情報量と資料が少々違うのかなというふうに思っております。  現役の幹部の方が幹部職員に、ある種適格性試験を受けるということになりますと、これは各省庁から推薦してくる場合と本人が申し出る場合があると思いますけれども、その場合には人事評価というのがこれまた日が浅くて、まだ新しく始まった評価制度の下での評価というのは決まっておりませんけれども、履歴と評価というのがある。それを前提にしながら更に面接試験的なものを、面接試験をやる、あるいは更に加えてグループ討議というふうなことまでやるかどうかと。それはまあ特にこれからの場合、暦の上でちゃんと計画的に今年度の適格性審査はこういうふうにしてやるというふうなスケジュールが決めることのできるような年度になればそういうこともできるんでしょうけれども、何というんでしょうか、そういう時間的な余裕がない場合にどうするのかというのはまた別問題だと思います。  それから、外からというと語弊ありますが、民間からの方やあるいはその他の課長以下の方で手を挙げて応募してこられる方について、論文といいましょうか、ある種のテーマを与えて文章を書いてもらうような試験も必要なのかどうなのかというようなことが考えられるのかなと私は思っております。
  59. 平野達男

    平野達男君 やりながら試行錯誤でやる部分もあると思いますが、私が一番やっぱり、ちょっと懸念されるとすれば、大臣の推薦枠というのがありますね。各省には幹部職のポスト数があります。そのポスト数に応じて推薦枠、どういう形で出してくるのか分かりませんが、どうしてもやっぱり各省にすると幹部職のポストを自分の省庁から出したいという気持ちが働くのは当然でありますから、そういう中で最終的には各省部分の枠が自動的に決まってしまうみたいなようなことが多分起こり得るんじゃないかなということなんです。  そこは、非常にこれは調整難しい、これ政治家の方でもなかなか調整難しいと思いますけれども、何というんでしょうかね、今そういう枠を取っ払おうとしてやっていますから、そういったことが残らないような運用が、やっぱり相当これ大変だと思いますけれども、やっていく必要があるんじゃないかなということだけちょっと指摘をしておきたいと思います。  それで、今大臣答弁の中に公募という話がありました。これは法案提出者の方にもお伺いしますけれども、この公募の役割というものを今回の幹部職にどのように位置付けておられるのか。これは政府の方から、まず。
  60. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) お答えをさせていただきます。  平成二十年の国家公務員制度改革基本法の中に、国の行政機関の内外から多様かつ高度な能力及び経験を有する人材の登用に努めるものとすることということで、幅広く人材を登用することをうたっておりまして、そのことを可能とするために、幹部職員の公募を内閣人事局で一元的に行うための仕組みを新設することとしております。
  61. 平野達男

    平野達男君 林法案提出者にお伺いしますけれども、公募の今回の幹部職の位置付けといいますか、公募制の位置付けについて御見解をお伺いします。
  62. 林芳正

    委員以外の議員林芳正君) 今、大島副大臣から御答弁がありましたが、我々の場合は、先ほどちょっと御説明しましたように、幹部公務員法と別建てにしておりますので、幹部公務員法の八条にこの公募の規定を置きまして、欠員を生じた場合又は欠員を生じると相当程度見込まれる場合ということで公募を行うということでございますので、まあ立て付けはこっちになりましたが、基本的な考えは基本法を引いておりますので、政府案とそれほど変わっていないということでございます。
  63. 平野達男

    平野達男君 私は、この基本法を読む限りにおいては、登用に努めるものとすることということで努力規定になっていますから、そんなに公募については前向きでないのかなとも取れる一方、ここまでこういう項目を起こした以上は、公募については積極的に活用するというふうにも取れます。多分、後者の方の解釈が正しいんだろうと思います。  ところが、この条文つらつら見ていて、やっぱりどっか変だなと思うのは、公募をするときには、幹部職員、いわゆる霞が関から公募するときは、あのポスト、このポストですよと言わないんですよ。さあ、どんどん来てくださいといって名簿に掲載をして、ただ、そこにはその上がってくる段階では背番号というか、何というんでしょうか、行き先は必ずしも定められているわけではない。  ところが、公募だけは、この規定を見ますと六十一条の五の規定というふうに書いてありまして、六十一条の五の規定というのはどうなっているかといいますと、先ほど林先生からもありましたけれども、欠員が生じた場合とか、それ以前にどういう規定というまず条件があって、さらになおかつ、官職の職務の具体的な内容その他当該官職に就こうとする者の参考となるべき事項を公示して、当該官職の候補者を公募することをいう。つまり、官職を指定するんですよ。欠員が生じたときというのは当たり前の話でありまして、これは欠員が生じたときは霞が関からもまたその幹部候補を公募で、幹部を推薦をもらったりして何か決めると思うんですが。  つまり、何を言いたいかといいますと、名簿を見たときに、霞が関から出てきた人の名簿は背番号付いていない。背番号というか、行き先決まってないんです。だけど、公募だけは、何でかよく分かりませんけれども、この特定のポストですよということで公募するわけです。そうすると、その名簿には、このポストへしか行けませんよという色が付くんですね。なぜこういう色分けを設けてしまったのか。  これ、私、受け取りようによっては公募の仕組みを狭く規定しちゃったんです、受け取りようによっては。もちろん、この背景の中には定数管理の問題とか何か難しい問題もあると思います。余り公募で要するに民間入れますと、定数上の問題も出てきますから。だけど、たかが六百人という幹部職の中で、一割入れようが二割入れようが定数的にはそんなに問題じゃない。  ということで、これは私は、非常に悪くとらえますと、法案作成者がうまく作ったなと。つまり、役所の職員にしてみたら公募なんか要らないですから、私も霞が関の職員ですから分かります。幹部職はできるだけ、要するに国家公務員でずっとやってきた人を登用したいですよ。その思いが何となくこの公募制について枠をはめるという中での条文になってしまったんじゃないかとも見えないわけではない。  だから、その背景にあるのは、いや、最初から公募というのは、そういう中でそうしないと、特定の職種を固定してやらないと手が挙がりませんとかという、実際上の運用の問題があるというのはそれは別です。でも、それはちょっと考えられないんですよね。その公募ということで、同じ名簿で六百人か七百人か八百人、同じことを言いますけれども、数百名単位の名簿、載ったときに、民間の公募であろうが、いわゆる霞が関でずっと仕事をした人であろうが、そこで差を設ける理由というのは多分ないんじゃないかなというふうに私は思います。ここが、まあよくできた条文といえばよくできた条文なんですが、でき過ぎな条文かなというふうにちょっと思ったりもしたんですが。  まあ、運用のときにこれ、よく考えてやっていただければよろしいかと思いますが、何か御感想があれば。
  64. 林芳正

    委員以外の議員林芳正君) おおむね政府案と同じというふうに申し上げましたが、ちょっと今六十何条でしたか、手元にないので、政府案の方をつまびらかにいたしませんが、我々の方には、先ほど申し上げたように欠員を生じた場合と、もう一つ、欠員を生じると相当程度見込まれるというのを、そちらにもあると思いますが、我々の考え方は、幹部職員を入れ替えようという場合にもこれをここで読むということにしておりますので、今委員がおっしゃったように、この特定の一つのポストが欠員が出たのでこれに来てくださいという場合だけではなくて、今から入れ替えるというときもこれで読んで広く幹部職になっていただくと。で、来ていただいた人を見ながら新しい幹部職をどうするかというのをやれることができるように、この相当程度見込まれるというところで読むと。多分政府案も同じだと思いますけれども、少なくとも我々はそういう考え方でございます。
  65. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) 私の記憶では、一番最初、国家公務員法を昭和二十年代に作ったときのこの趣旨は、これは私たち日本の意思もあるんでしょうけれども、多分米国の意思も結構色濃く反映されている法律だと私は承知をしておりまして、その中では、多分今の書きぶりの国家公務員法三十五条と同じだと思うんですけれども、官職に欠員を生じた場合においてはというところで、採用、昇任、降任又は転任と書いてありまして、一番最初に採用を入れているんです。ですから、本来は米国の今の国家公務員制度のように、官職に欠員が生じた場合には公募をしろと、それは組織の中でも応募できるし、外からも持ってこれるという元々の制度の趣旨があったかと思うんです。  ですから、今回のこの法文の書き方についても、国家公務員法では任用は官職に欠員が生じた場合に実施される欠員補充の方法とされておりまして、公募による任用も当然欠員補充の方法の一環でありますが、一方、公募そのものは任用の前段階として行う募集行為であることから、実際に欠員が生じた場合のみならず、欠員が生ずると相当程度見込まれる場合にも行うことができるようにしておく必要があるといたしまして、こうしたことから、今回の法案では幹部職員に欠員を生じた場合又は欠員を生ずると相当程度見込まれる場合と規定したものであります。  欠員が生じなければ現実の任用を行うことができませんのでこのような規定ぶりにさせていただいておりまして、もちろん、官職が欠員が生じた場合あるいは生じると相当程度見込まれる場合以外にも、一定の行政分野の幹部職の希望者として広く公募をすることもこの法案の中では考えておるところでございます。
  66. 平野達男

    平野達男君 考え方としては分かりますけれども、この条文の仕立てが、六十一条の二には欠員を生じた場合云々という規定がないんですよ。公募のときだけ出てくるんですね。だから、要するに、私に言わせれば、欠員が生じたときに新たに名簿を作成する、当たり前なんです。ごくごく一般の当たり前の規定で、そのときにやるんだろうと思います。しかも、六十一条の五の頭の中には、官職の具体的な内容を書くと書いてありますから、何か特別の職種を何か規定するようにも読めちゃうんですよね。  そういうふうな運用を意図しているというなら、それはそれでもいいんでしょうけれども、ちょっと今の答弁はそういった方向ではないんだというふうに答弁聞こえましたので、むしろ積極的に採っていくという形に聞こえましたので、まあ法案がこうだからといってその運用ができないわけじゃないですから、運用の方でしっかりやっていただければよろしいかと思いますが。  ちょっとこれ、つらつら読んでいるうちに、要するに同じ名簿の中でも、言葉は悪いですけれども、若干行き先に範囲が限定された名簿者とどこでもいい名簿者という、何かその違いが出てくることに違和感をちょっと感じましたので、どうぞ。
  67. 階猛

    大臣政務官階猛君) 若干大島副大臣答弁を補足させていただきたいんですが、先ほど来委員が御指摘されている六十一条の五の公募と、もう一つ公募的なものがございまして、それは六十一条の二の第一項第四号ですけれど、こちらでは別に特定の職務でもありませんし、また欠員が生じたときという要件もなくて、民間であろうと公務員であろうと手を挙げた人で一定の要件を満たせば適格性審査の対象になるというふうな規定も設けてあります。
  68. 平野達男

    平野達男君 よく分かります。ただ、法案条文全体として、じゃ二通りの方法があったということなのかもしれませんが、この六十一条の二の第三号の規定というのがちょっと引っかかるものがあったんで、ちょっと質問をさせていただきました。  次の質問に入りたいんですけれども、一問当たり、これ十分でできるかどうかなんですが、じゃ、順番飛ばしまして別な質問に入らせていただきます。  これは法案提出者の方に質問をさせていただきますけれども、十八条の四、いわゆる離職を余儀なくされた者に対しての就職支援をするという規定が政府案にはありますけれども法案提出者の方ではこれを外しておりますが、その理由は何なんでしょうか。
  69. 林芳正

    委員以外の議員林芳正君) お答え申し上げます。  これは、十八条の四は、四号分限の場合には残すという規定でございますね、と理解しておりますが、我々の場合はこれも含めてやめようということにいたしたわけでございます。  その考え方は、毎回議論になっておるところでございますが、まずこういう場合、民間でも解雇権濫用の法理というのがございまして、使用者にはこれを回避する義務があるということでございますが、恒常的なこの場合の組織を、定員が三十六名というふうに聞いておりますけれども、そういうものをつくって、今まで過去の例を見ますと昭和三十九年か四十年に六名、その後ずっとゼロ名で、社会保険庁の例に至るまではケースがないわけでございますけれども、社会保険庁のケースのようなもの、また、かつての国鉄のようなもののときにはもうそれ専門の組織をその都度つくって対応する方が望ましいことであろうと。それ以外のときに恒常的に三十六名の組織を置いて使用者としての義務を果たすということは必要ないんではないかということで、今回はこの廃止をさせていただいたという考え方でございます。
  70. 平野達男

    平野達男君 これ四号というのは、これが組織のいろんな改編をした場合にどうしても早期退職をお願いしなくちゃならない場合があるということなんですが、そういったときに免職することができるという規定になっているわけですね。特に、今言ったように、これから霞が関全体の組織を見直す中では、組織の中のいろんな、がらがらぽんをするとかあるいは組織の規模を伸ばしたり縮小したりするとかということが、これ絶対不可欠だと思います。  この中で、大変申し訳ないけれどもいい職場があるからそちらの方に移っていただけないかというような規定は、ツールとしては私はこれ絶対必要だと思います。あとはそうやって出したところについての監督をすればいいわけでありまして、天下り天下りということで随分民主党が国会で相当強くやりましたし、それはそれでいいんですけれども、これからのいわゆる離職者に対する支援というのは、組織全体の見直しの中の一環としてのツールとしてこれは必要ではないかなというふうに思います。  このことを申し上げまして、午前中の質問あと五分ありますけれども、五分は皆さんに提供いたしますので、ここで質問を終わらせていただきたいと思います。午後は三十分まだございますので、やらせていただきます。
  71. 河合常則

    委員長河合常則君) 午前中の質疑はこれで終わります。  次は、午後一時に再開することとして、休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  72. 河合常則

    委員長河合常則君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国家公務員法等の一部を改正する法律案(閣法第三二号)外二案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  73. 平野達男

    平野達男君 午前中に引き続きまして、三十分時間がありますので質問をさせていただきます。  午後は二つのテーマでちょっと質問をさせていただきたいと思っています。  まず一点目ですけれども法律の条文でいけば三十四条一項六号の関係ということになります。今回の法律では、次官、局長、部長、審議官クラス、同一職制とみなすという、私が最初見たときもちょっとびっくりするような規定になっておりまして、しかし、よくよく考えると、よくやっぱり考えたものだなという内容になっています。  それに対して、自民党さんが出された法案は、やっぱり職制については次官、局長、審議官クラスということで名簿の段階で分けておくという、そういうどちらかというと従来の形をやや踏襲する形で人事をやろうという仕組みになっておりますけれども。  この次官、局長、部長クラスを同一職制とするという考え方につきましては、仙谷大臣からこの委員会で何回も何回も考え方をお聞きしました。恐らく、法案提出者のお二人もそのことは直接聞かないまでも分かっておられると思いますが、法案提出者にお伺いいたしますけれども、その政府案との比較において、なぜ事務次官、局長、審議官クラスという職制という形で分けているのかという考え方についてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  74. 林芳正

    委員以外の議員林芳正君) まず、我々の案は事務次官を廃止することになっておりますので、その結果として二段階になっておりますが、午前中の質疑でもありましたように、幹部職という、一般職から外に出して独自の職、それ特別職でございますが、ということにするということにいたした上で、事務次官を廃止しますから、局長級が一つの職制上の段階、それから部長級が一つの職制上の段階というふうにしたわけでございます。  政府案の方は、これを全部一つにすると。結果として、我々の方は、降任の場合に、局長級から部長級になりますときは特別降任というのを設けております。当然一般の降任もあり得るわけですが、それに加えて、内閣の政策を遂行する上で必要な場合ということを付け加えて特別降任にいたしたわけでございますが、一方、政府案は同一の職制上の段階になっておりますので、そもそももう降任でなくなるということでございまして、したがって、評価基準になります標準職務遂行能力というものも一つになってしまうと、こういうことでございますから、先ほど六百人とか八百人とかいうお話もあったところでございますが、それが一つのグループ、一つの基準と。その中で、今であれば降任ということになるものが転任ということになりますので、恣意的な人事が行える懸念があると、こういうことでありますし、現行の給与水準でありますとかなりの差があると。事務次官二千三百万、局長千八百万、部長千五百万ということでありますが、そういうことでございますので、ここはしっかりとやはり職制上の段階を分けた上で降任又は特例降任ということを客観的にやっていくということにしたところでございます。
  75. 平野達男

    平野達男君 大島副大臣、今の考え方を聞いて、どのように受け止められたでしょうか、政府案の評価も含めて大島副大臣から御答弁をお願いしたいと思います。
  76. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) この場でも度々答弁させていただきました。  対案と私どもの考え方というのは、ただいま平野先生御指摘のとおり、事務次官は廃止して局長級とそして部長級とこれは二層にするか、あるいはそれを一つの要はバスケットとして人材の配置を行うかという違いかと思いまして、これは一つには時代の要請もあるかなと考えております。これまで、おととしの議論もございました。複雑多様化する行政課題に迅速かつ的確に対応するためには、幹部職員についてやはりこの六百人の方の適材適所の人事を柔軟に行えることがまずもって必要だと考えております。  それと、先ほど述べましたように、今回の法案においては一つの、同一の職制上の段階とし、これらの官職の間の異動を転任とすることで幹部職員人事の弾力化の仕組みを導入するとしておりまして、人材の適材適所を柔軟に行うという立場で今回の制度設計をさせていただいております。  ただ、これから御指摘あるかと思うんですけれども、やはりこの配置については恣意性を排除することが必要とも考えております。
  77. 平野達男

    平野達男君 基本的には自民党さんの出された法案、まあ事務次官の廃止という違いはございますけれども、人事のやり方については適材適所で、ポストについては、局長なら局長クラスで異動させることももちろんあるんですけれども、特別降任という形で上と下とのやり取りもこれは十分あるんだというお話ですし、政府案については、それを降任という形を取らないで転任という形に取るという仕組みにしたという、法律上のアプローチの仕方はちょっと違いますが、考え方としてやろうとしていることは基本的に同じだということだろうと思います。  さらにもう一つ言えば、あえて言えば、政府案の方が任命権者に対して人事をやるときの裁量の幅をやや拡大をしているというふうにも見えます。政府案の方は、局長クラスと審議官の方で名簿であえて、あえてというか階層を設けることによって、そこの異動はちょっと特別だよというような、あっ、政府案じゃない、自民党案は特別ですよというような印象を与えることで少し慎重にやってくださいというような、任命権者がですね、といったメッセージを発しているのかなというふうにも思います。  私は、任命権者に裁量の幅を広げるというのは決して悪いことではないし、これからの政治姿勢を示すという意味でもいいんだろうと思います。  ただ、私も、先ほど大島副大臣が言われた、その裁量の幅を広げたことが逆に人事について思わぬ混乱をもたらすこともあり得るということであります。  ここからは私の全くの私見でありますけれども、政治家、私どもは、何と言うんでしょうか、ある意味で権力闘争していますから、権力闘争していまして、どうしても人を見るときは、その人の能力を判断すると同時に、言葉は変ですけれども、彼は私の敵か味方かみたいな形で判断する傾向がどうしてもあるんだろうと思います。これは政治家という、選挙をやるときとかあるいは権力闘争をするというときにおいて、その役割上、どうもしようがないところがあるんだろうと思います。そういう中で、人事をやるときに公平な目でやるということは本当に大事なんでありますけれども、勢い、その裁量の幅を広げることによって、その政治家の、我々が日々の生活の、日々の生活というか、相手は、彼は私にとっていいか悪いかという、そちらの傾向で判断する傾向がやっぱりやや強く出てくる可能性があるんだろうというふうに思います。  現に、これはこの場で余り言いたくないんですけれども仙谷大臣とか皆さんの耳には入っていないと思いますが、人によっては人事をちらつかせて、おまえを替えるぞとか首にするぞとかと言ってやっている政務三役もおられるというふうに聞いています。それはどういうシチュエーションで言っているかどうかは分かりませんが、それに対しては役人の方も十分心得ていますから聞き流しますけれども、どうしてもきつい場合には何かぶつぶつぶつぶつとやっぱり言ってくるというところがあって、特に今回の場合は、裁量権をどんと認めたがために、幹部職はいつ、ここでいうところの転任になるか分からないという恐れみたいなものを心の中に抱きながら仕事をするというのは非常にまずいんですよ、これは。  このところは、要するに、人事をすることが相手に対して一つの牽制にはなるんですけれども、恐怖心みたいなもので、まかり間違ってですよ、やるようなことになると、私は要するに、政治と霞が関、役人との関係というのはうまい関係には決してならないというふうに思います。  そこで、大島副大臣が言われた裁量権の幅を広げたことによって、逆に濫用といいますか、過度な権限の使用をやっぱりどこかで抑制させるためにも、何らかの仕組みは私は必要だと思います。  今回のこの委員会の中においても、これは人事院総裁だったと思いますが、例えば局長から審議官、次官から局長、あるいは次官から審議官というのもあるのかもしれませんが、そういった転任をやる場合にはちゃんと説明をするべきだというような、何というんでしょうか、人事院規則というのか、何かルールみたいなものを作りたいみたいな話、意見表明がありました。  私は、こういった、何というんでしょうか、特に転任をする場合に、上に上げる場合はいいんですけれども一つの階層、職階から下に下がる場合については、やはり相当のきちっと説明をするといった、例えばそういったルールを作る、それは閣議決定になるのか人事院規則か分かりませんけれども。それから、あと、その判断基準。特に、上げるときよりは下げるときについては判断基準はより明確にしなくちゃならないと思います。それをどのようにして設定していくかといったことに対しての一定の、それを、ルールを命じることができれば一番いいんですけれども、そのルールをだれが作っていくか。そういったこともこれからちょっと考えていただきたいなというふうに思います。  これについては、仙谷大臣、どのように思われるでしょうか。
  78. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) そういうルール化ができるかどうか、ちょっと真剣に考えてみたいと思います。  つまり、これ、総理大臣の指示というような格好にするのか、それとも閣僚間の申合せ事項というふうにするのか、あるいは個別的に人事権行使に当たっての、何というんですか、基準あるいは規範というふうなものを考えられるのか。その辺はあくまでも、個別的な人事権の行使については、多かれ少なかれというと語弊ありますけれども、どうしても人事権行使者の裁量性というか判断部分が多くなることは、これはもう間違いがないと。つまり、そうでなければ、もう自動的にどこかからか上がってくるのに判を押すだけというふうなことにしない限り、政治の側の裁量性が、できる限り少なくするといっても、これは残る以上、個性の差もあるでしょう、そういうことになると思いますので、それはまさに行使する人の最終的なマネジメント能力、全人格的な力みたいなところになってくるんだろうと思いますけれども。  いずれにしても、そういうもので心すべきことを、行使に当たってわきまえることを何らかの格好でルール化するといいましょうか、規範化するということを真剣に考えてみたいと思っております。
  79. 平野達男

    平野達男君 是非その方向で御検討をいただきたいと思います。その方がこの人事をやることにとってもプラスになりますし、全体として政治と公務員組織あるいは霞が関の組織とが円滑に行く方向で行けばそれにこしたことはございませんので、よろしくお願いしたいと思います。  二点目のテーマに移ります。  公務員というのは、不偏不党、それから中立というのがまず基本的に求められる要件の一つだと思います。この不偏不党、中立というものをどのように担保していくかということでありますけれども、これは今でもいろんな仕組みがありますが、一つのその仕組みとして、だれが採用を行うに当たってのいわゆるプラン、それから実施をやるかということがまずこれは私一つの大きなテーマではないかというふうに思います。  今のところ採用については、その基本方針内閣総理大臣が定めることにたしかなっていたと思います。ただ、試験をどういう形でやるか、どういう内容でやるかといったいわゆるプラン、それから、試験の実施についてはこれは人事院が一応今所管しておりまして、人事院採用試験をやって名簿を作って、ちょうど今回で言う幹部職の名簿に似たようなものなんですが、名簿を作って、その名簿の中から各省が任用していくという、そういう仕組みになっているわけでありますね。  私は、この人事院がやるということによって一つの、採用について言えば、公務員人事院という独立した、まあ内閣の下にありますけれども権限としては独立しておりますから、その採用の時点においての政治的中立性、公平性というのはまあ一応確保、担保されているのではないかというふうにも思っています。  それに対して自民党さん案については、条文をよく読みますと、いわゆる内閣採用という権限を与えて、人事院には採用の実施ということになって、プラン、ドゥーという関係からいえば、内閣はプランもドゥーもできる、人事院はドゥーだけだよという仕組みになっていまして、そうしますと、基本方針そのものは内閣総理大臣が作ると、先ほど申し上げたとおりなんですけれども試験の仕方をどうするか、採用の仕方をどうするかということを内閣で決めるのがいいのかどうか。  私は、これは個人的には大分疑問があります。そのときの内閣の考え方に沿って採用された公務員ではなくて、公務員としての基本的な方針は、繰り返しになりますが内閣総理大臣が定めるんですけれども試験の仕方というのはいわゆる第三者機関的な組織にゆだねて、それで試験をして採用して名簿を作ってもらうと、そこからピックアップするという仕組みの方が、それは公務員にとっても有り難いと思うし、様々これから官僚組織あるいは公務員組織との運用していくときに当たっても、政権交代が一応いつ起こるか分からない、まあ私は二十年、三十年起こらないというふうに言いましたけれども、そういうことも踏まえますと、少なくとも公務員の不偏不党、中立性を確保するための採用部分については、私は現行の方がいいんじゃないかというふうに思っています。  あえてといいますか、自民党さんがああいう形にした理由をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  80. 林芳正

    委員以外の議員林芳正君) 採用試験、研修でございますが、我々の案では、今お話がありましたように、企画立案内閣人事局が行う、実施は引き続き人事院と切り分けをいたしております。  その考え方の基は、どういう人材を確保して、どういうふうにこれ研修、育成していくのかという人事戦略は基本的には内閣が担うべきであろうと、こういうふうに考えて切り分けたわけでございます。当然、国家公務員が政治的な中立性を確保しなきゃいけないという原則の下での話であることはもう御案内のとおりでございますので、変な例えでございますが、この採用基準に子ども手当に賛成するかしないかみたいなことを入れるということは到底考えられないことでございますので、そういう意味のことではなくて、いわゆる人事戦略というものはいろんな原則の中で内閣がきちっと決めていくと、これを実施する中で人事院がそこで中立性をきちっと担保するというふうに考えたところでございます。
  81. 平野達男

    平野達男君 仙谷大臣は、この点に関しては、今後、内閣人事局でこの点も含めて検討をするという御答弁をされておりますけれども、改めてこの点に関して御所見を伺いたいと思います。
  82. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 中央政府ですから、まだ時として町村で起こるようなことはないんだろうと思いますけれども、今の平野議員議論を聞いておりまして、やはり新規採用というふうな採用行為のところは、少なくとも試験はこれは第三者性のあるところで行うということがやっぱり必要なんだなと改めて思いました。つまり、今の人事院が行っているような試験採用試験と名簿登載のところまでは、やっぱりだれが見ても純中立的で、政治性と疑われるといいましょうか考えられることのない機関がやっぱり行うことがいいんだろうなと思いました。  まだまだ町村では、試験作成や一次的な採用候補者名簿の作成のところまで人事委員会に依頼することが本来の原則になっておるようでありますけれども、えてして町長さんの意向で試験問題が作られたり、あるいは試験問題だけではなくて、採点が、時として恣意的な採点が面接試験を含めて行われたり、あるいは成績結果の点数の改ざんが行われたり、そういうインチキが時々発覚することが町村では、市もあるのかも分かりませんが、あるようでありまして、そこはやはり、一次的なところは平野議員がおっしゃるような極めて中立性が担保されるような第三者機関で行った方がいいのかなと今考えていたところでございます。
  83. 平野達男

    平野達男君 これも内閣人事局ができて最終決定すると思いますけれども、私も、今、仙谷大臣の言った考え方と基本的に一致しております。そういった方向でやった方が、繰り返しになりますが、いいのではないかというふうに思います。  あと、時間がもうなくなりましたけれども、これからいわゆる定年制の延長に伴って様々難しい問題が出て、多分、階政務官始め、皆さん御苦労されていると思います。定数管理、それから人件費抑制、それと定年制の延長をどうやって実現していくか、さらに、年金の受給年齢開始の後送り、三年掛けて一年、都合十五年で六十五歳までやるということが始まりますけれども、その間の定年制をどうしていくか、そういった問題もありますし、様々なそういった人事をめぐって、今日議論した以外の問題もございます。そういったことにも是非しっかりとした対応をしてくださることをお願いを申し上げます。  階政務官、何か御決意があれば、どうぞお願いします。
  84. 階猛

    大臣政務官階猛君) 定年延長で年金支給開始年齢の引上げに対応していくかどうかという問題でございますけれども民間の状況を今見ますと、民間では年金の支給開始年齢の引上げに備えて定年の引上げをしているところは一二・八%、残りは継続雇用制度、まあ再雇用といいますか、いったん辞めていただいて、そして新たに高齢者を雇うと、そういうやり方で対応しているのが八五・一%です。これでほぼ一〇〇%近くになると思うんですが。  公務員の世界においても、定年延長という議論もありますが、また一方では再任用というのも今行われております。どちらの方向性がいいのか、あるいはミックスしていくのか、いろんな議論があろうかと思いますので、その辺は引き続き検討して、いい方向性を見出したいと思います。
  85. 平野達男

    平野達男君 いろんな意味で今変化の途上にあって、その移行をするというのが一番大変ですね、移行期間がね。私どもも知恵を出していろいろアイデアを出していきたいと思います。  時間が余っていますけど、以上で私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  86. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 こんにちは。自由民主党の礒崎陽輔でございます。今日は内閣委員会の方で質疑をさせていただき、ありがとうございます。  質疑に当たりまして、少し議事録を読んで予習をしてまいりました。仙谷大臣のうんちくを傾けた答弁もたくさん読んでまいりましたし、また、特に女性委員の皆さんの的確な、与野党の先生方の御質問も見てきました。もう論点はそんなにたくさんはないわけでありまして、きちっとした議論を私もしてまいりたいと思うわけであります。  最初は、基本法のときもいろいろございました。いろいろございましたけれど、最終的には与野党で合意をして、いろんな点、合意をして基本法というのはできたわけであります。そうであれば、この問題も、できたらもう少し合意をつくったらどうかなと私も思うわけであります。まあ手遅れでもないわけでありますが、今こういう形で、対案という形が出た形で議論をされておる。ちょっと私は残念な感じを持っておるわけであります。  最初からそこをお伺いしたいわけでありますが、大臣、どうして今回は与野党協議ができなかったのか、御所見を伺いたいと思います。
  87. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 衆議院段階で与野党協議がなぜできてなかったのかというのは、私には分かりません。
  88. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 ちょっと、分からないというんじゃ困るわけでありまして、やっぱりそういう努力を政府もなされなかったということだと思いますね。  ややそこはやっぱり最初からおかしいわけでありまして、基本法は一緒に作ったわけでありますから、基本法に対する個別法というのも、これも本当はぎりぎりの議論をするのはもちろん、最終的に意見が合わなければ、これはどこかでたもとを分かたなきゃならないんですが、どうもその辺が、議論をすることというのができない。衆議院と参議院の我が党が政権を取っていたときのねじれ現象のときもそうであります。我が党の方からは相当議論を呼びかけたわけでありますけれども、なかなかいろんなものが議論もできなかった。この問題はその中でも何とか意見が一致して基本法ができたのに、今回、個別法の審議に当たって対案を出さなきゃならないような事態になったことは私は大変遺憾であります。  まあ大臣が分からぬとおっしゃっていますので、分からない人と議論してもしようがないですから、もうそれはその辺にしておきたいと思います。  私も、役所にいた時代から、人事の一元管理というのは非常に重要であると考えております。それは別に幹部人事だけでなくて一般の人事も併せまして早く一元的にならないかと、そういう提案を何度かしましたし、私も幾つか本を書いておりますが、私の本の中にもそういうことを書いております。  そのとき常に出るのが、そんなたくさんの人間をどうやって一元管理するんだというような意見がいつも出てくるわけでありますが、考えてみれば地方公共団体だって同じなんですね。東京都庁なんかはちょっと何人おるのか忘れましたけれど、あれだけの人事を、もちろんいろいろ分担管理はしておるんでしょうけれど、人事権は、まあ知事だけじゃありませんけれども、基本的には県知事のところで一元化してやっておる。事務はもちろん分担しておると思います。もちろん、あと委員会制がありますが、それはやや別なんでしょうけど、できないことはないんですね。国家公務員だけできないわけではないということであります。  なぜ人事の一元管理が必要かというと、これはもう皆さんも御承知のとおりであります。一つはやはり、政治主導というよりも、役人が今まで省益のことをやっぱり第一に考えてきたと。省の中で人事をするものでありますから、省益を考えて国益を考えなかったという傾向があると、必ずしもそうではないでしょうけれども、傾向があるということが一点だと思います。  もう一つは、これは余り本に書けないんですが、今までの採用方式だとやっぱり人材の厚みが各省でどうしても違うんですね。国家公務員の、昔、私たちが若いころは、一次試験合格した人間が大体一か月以上、各役所訪問をする。今は何か一発回答のような形で決まるところが多いと聞いておりますけれども、昔は一か月ぐらいいろんな役所に行って話を聞いていたと。そうなりますと、非常に人気のある学生は各役所から引っ張りだこになる、人気のない学生はどこに行ってもお引き取りくださいと言われると。そういうかなりある意味じゃ厳しい採用試験をやっていたわけでありますけれども。  だから、そうなりますと、どうしてもやはり人気官庁に人材が集まり、そうでない役所には人材が集まらない。このやっぱりバランスがあって、どこがどうということは言われませんけれども、やっぱり省によって人材の厚みが変わってくる。そういう意味もあって、もっとやっぱり優秀な人材を有効活用するためには内閣で人事を一元化してやるべきだという考え方を私もかねてより持っておったわけでございますが。  今回、幹部人事の提案をいただいたわけでございますけれども、例えば、もう少しこれを拡大して、一般の職員まである程度、一気にやるかどうかは別でありますけれども、人事を一元化して、すべての官僚は日の丸官僚であると、各省の官僚でないと、そういうふうに持っていくことも、考えることも必要だと思うんですが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
  89. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) この間指摘されておりますのは、礒崎議員御指摘の部分とも重なり合うわけでありますが、何というんですか、やっぱり省益意識の壁を壊すためには、公務員人生の出発点から何々省の何々であるという本籍意識というか、それをなくするようなやっぱり採用方法の方が望ましいんじゃないかと、そういうことだと思います。  ただ、多人数の人事を管理するときにどういう単位で人事管理をすることがマネジメントとして効果的あるいは有効かという問題もあって、なかなか今の縦割り、分担管理に伴う個別省庁人事にしかならないのかなという感じがいたしてなりません。  私自身は、一括管理の上で、それこそドラフト制度のように、その名簿を基に一年目あるいは十年目のようなところで各省庁が選抜して採っていくみたいなことの方がいいんではないかなという思いはありますけれども、なかなかそこまで、手を付けるところまで今私どもの考え方と構成がまとまっていないというのは、率直に申し上げて、そういう実情だというふうに考えていただければ有り難いと思います。
  90. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 内閣で人事の一元化をやるといったときに、先ほども少し言いましたけれども、その反論の一つが、やっぱり今言った、人数が多過ぎて、人事というのは顔を知った人間しかできないんだと、顔を知らない人の人事はできないから、やっぱり人数に限定があるんだというのが一つと。  もう一つは、やっぱり専門性もある程度身に付けてもらわなきゃ困ると。ゼネラリストばかりじゃ困るんで、やっぱりスペシャリストも育てなきゃならぬ、だからそれを全部ゼネラリストにしてしまうのは無理じゃないかという御指摘、それもそのとおりだと思います。思うんですが、さっきも言ったように、東京都庁ではできておるわけでありますから、できないことはないんですね。やり方であると思うんですね。その辺はやはりぼちぼち考えないと、さっき言ったように、省益ではなくて国益を考えてもらわなきゃならない。  もう一つは、やはり役所間で少し人事力に差があると、そこのところをやっぱり埋めていく必要が私はぼちぼちあると思います。  省益といっても、右肩上がりの経済のときはお互いこれは切磋琢磨という言い方ができるわけでありますが、今のような非常にこういう厳しい財政状況の中で、世の中でもやっぱり横割りの調整をやっていかなきゃならぬような時代に入りますと、やはり縦割り中心ではうまくいかないと私は思うわけであります。  そこで、朝からありますが、せっかく政権交代もしたわけでありますし、今まで皆さんが言うように、自民党でメスを入れるのが足らなかった部分があるわけでありますから、今日の本題でないので余り長くは言いませんけど、そういったやはり幹部職だけじゃなくて一般職の人事の共有化といいますか、共有の国家の財産としてすべての役人を扱う、官僚を扱っていく、そういうことも是非とも考えていただきたいと、これは要望をいたしておきたいと思います。  今回の法案、いろいろもちろん議論はあるわけでありますが、最初に見てやっぱり残念だったのは、昨年もいろいろ、我が党が与党のときにこの法案を出すのに苦労しましたけど、何とか各省庁の持っている人事権を内閣に一元化しようということで努力したわけであります。今日は人事院総裁にも来ていただいておりますけど、人事院の前総裁がやっぱり大分抵抗をした、時間が掛かりました。私も中に入っていて、内閣官房と人事院の間で陰の方では調整を随分したわけでありますけど、なかなかそこに手間取って、国会に提出するのが時間掛かりまして、結局日の目を見なかったのは責任も感じておりますし、残念なわけでありますが。  今回、そういった各省人事院総務省、財務省といったものに対する内閣への事務移譲が行われていないんですが、これはどうした理由でしょうか。
  91. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) お答えをさせていただきます。  今回の法案公務員制度改革の第一歩でございまして、新たに設置する内閣人事局において、政治主導により引き続き、労働基本権の在り方定年まで勤務できる環境整備など、公務員制度の全般的かつ抜本的な改革を強力に進めることとしております。  労働基本権の在り方を含む公務員制度の抜本的な改革の中で、労働基本権の問題について結論を得て使用者機関や人事院在り方についての検討を行うということをせずに現時点で人事院等から内閣人事局に一部機能を移管しても、使用者機関や人事院在り方に関し改めて措置を講ずる必要が生じると考えております。したがって、総務省人事院等からの機能移管については、この抜本的な改革の中で検討することが適当であると考えておりまして、今回の法案においては、内閣人事局が適格性審査、幹部候補者名簿の作成、任免協議などに関する事務を担うこととしており、組織編成に関する機能を移管せずとも、幹部職員人事の一元管理を実現し、官邸主導で適材適所の人事を柔軟に行うことが可能としております。  以上でございます。
  92. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 一生懸命読んでいると分かりにくいですけど、要は、簡単に言ったら先送りして議論をしたいということなんでしょうけれども。  ぐちゃぐちゃ文句は言いませんけど、人事というのはやっぱり組織編成権と物すごく密着なんですよね。ある意味、人事というのも大変大事。大事なんだけれども、やっぱり今の日本の官僚制度の中では立派な優秀な人材はたくさんいますからそんなに苦労はせぬのですけど、要は組織づくりでかなり苦労している面があるんです。それが、要は縦割りの役所に組織権が握られておって、人事権だけを内閣が持つ、それでいいのかなという私は気がいたします。  これ、どこまで皆さん御存じか知らないけれども一つ、これは財務省の霞が関支配と物すごく絡むんです。財務省の話をすると、礒崎さんは財務省が嫌いなんだなと言われるけれども、嫌いなわけじゃありません。私も長い間、大蔵省の役人と仲よくやってきましたけどね。まあ、けんかも相当しましたけど。やっぱり平等にやらないと役人が反乱を起こします。それが言いたいんですね。  どういうことかというと、分かりやすいところを言いますと、総務省の行政管理局の総括管理官というのはこれずっと財務省から出向なんです。それ自体が私は悪いとは言わぬのですけどね。  私は、片山虎之助さんが総務大臣をやっていたとき総務省の官房企画官をやっていて、全省を見る立場にありました。大臣の子分のようなことをやっておったわけでありますけどね。そこでやっぱり組織査定の発表をするわけですね、こういう査定結果がありましたと。最初に主計局でやるんですよ。それから後に行政管理局がやるんです。役所へ二回行くんですよ。これ、怒ったんです。まあ、あなた方が総務庁のときは、相手は大蔵省だから先にやらしておってもしようがないけど、今度は、あなた、天下の総務省になったんだよと。総務省というのはちょっと一格までは行かないけど、〇・五格ぐらい上だという役所につくったはずなんですよ。それなのに何で行政組織の査定を先に財務省主計局にやらせて、うちが後でやらにゃいかぬのか、おかしいじゃないか、そのくらい文句言えないのかという話を行政管理局の若い課長補佐連中に私は文句言ったことがあります。  同じように、人事院もそうなんですよね。給与担当のさっきの級別定数を決めるところのラインは、大体これも財務省からの出向組なんですよ。  だから、財務省というのは、お金のことは財務省だから私も分かるけど、お金のことだけ決めておるんなら分かるけれども、組織も全部財務省でずっと来たというのがこの日本の形なんです。  君たちが与党ではなかったかとおしかりを受けるのはもちろん分かりますが、そこはもう反省しております。役所の中まで我々与党のときに入っていかなかった。役所から上がってくるのはちゃんとチェックをしたけれども、役所の中まで入ってもっとチェックをしなかったのは悪かったと。今、私も党の中で真の行政主導の在り方というペーパーを作るチームに入って、あっ、政治主導の在り方、失礼しました、政治主導の在り方のチームに入ってやっていますけど、そういうことを書いています。やっぱり中に入ってまで言わぬと。おおらか過ぎたんです、自民党は。上がってくるものはちゃんとチェックしましたけど、上がってこないものまで、こいつは悪いことをしておらぬかと見るようなことはしていなかったんです。でも、そういうことはあるんです。私はそれは役人だから知っておるんですよ。  だから、そういうことを一方で続けておって、人事は総理大臣がしますと言っても、なかなかこれはまた、私の総務委員会原口総務大臣に本会議で、あなたは孫悟空だと言って、お釈迦様の手の上で踊っていちゃ駄目だという話をしましたけど、そうならぬでほしいんですよ。  だから、そういう意味で、今回出ていないからまた次のときに検討していただくんでしょうけど、是非ともそこまで見てほしいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  93. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) いいお話を伺いました。  私はどちらかというと、今、組織編成のお話ございましたけれども、組織機構の編成そのものも、それから機構に人を集めてくるという意味での組織編成も、これはやっぱり日本の場合、ある意味でがんじがらめの法定主義といいましょうか、国家行政組織法以下法律を変えないと組織機構の編成替えも容易にできない、これは省庁間、局間含めてですね、あるいは政令という格好でできる部分もあるんでしょうけれども。ここのところはもう少し柔軟性がなければ、さあというときに一年か一年半掛けないとその体制ができないと。  こういう話をすると、恥ずかしい話になるのか当て付けた話になるのか知りませんが、国家戦略局をつくるという公約を果たそうとしても、これは法律を作らないと戦略局が位置付かないということになってくると、あるいは行政刷新会議もそうなんですが、これはやっぱり一国会掛かってしまうという。これ、重要法案だと言われたら重要法案じゃないとは言えませんので、重要法案になってしまうと。そうすると、今の段階でもこの法案の行く末定かならずというようなことになってくると、これは一体全体困った話だなと内心は思っているんですよ。  さあ、それがもしできるとなっても、そこに今度は人を集めてくるときのお話で、何か枢要なポジションを全部財務省に握られているのはこれはいかがなものかと。このお話は実態の話として、やっぱりそこのマネジャーというか大臣が、主要と言うとおかしいですけれども、キー局というか、キーのポジションにだれを座らせるのかというような、これはやっぱりその程度のことは、その時点での政策の優劣、優先順位を付けて、エネルギーを相当こちらに集中させるという方針決定大臣を中心にできたときには、それはそれを妨害するような個別人事といいましょうか、課長以下の人事でもそういうことをやってはそれは相ならぬと。  私は、この間、衆議院では特に公務員制度改革推進本部事務局のつくり方について非難、批判を受けておりますが、それはやはりそういう人事についても推進できる体制でないとそれはまずいと、私もそのとおりだと思います。  それから、さっき行政管理局の話出ましたが、これは明らかに行政管理局が一九九八年の省庁再編のときに総務省の一角を占めるなどということにしたのが私は間違いだと思っています。  ほかの国を見れば、行政監視とか監察とかという制度を本気で作動させるんだったら、一段高いところから全省庁を見下ろすという、半歩ぐらい高いところから監視の対象にして、相当強い権限で監視して、まさに仕分けていくというか腑分けていくぐらいのポジションを取るところでないと、横並び官庁では監察、監視というのはうまくいかないんじゃないかというのが私の今も考えているところであります。
  94. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 だから、今の実態を是非調べていただきたいと思います。  そういう意味で、全部かどうかは別にしても、だから総務省の機能もやっぱり内閣に持っていくべきだと私も主張しておるわけで、さっき、今後御検討なさるのはそれで結構でありますけれども、そこをやらないと結局、特定の省庁の権益だけ残すことになってしまいます。  公務員改革はいいですけれども、やっぱり公務員が士気を持つためには平等にやるということが物すごく大事であります。特定の省庁だけがいい目に遭って、特定の省庁だけいじめると、そういうことがあっては絶対これは役所は動かなくなるので、今のことは是非調べてほしいと思います。  その中で、私も去年、人事院内閣への権限移譲で級別定数、これも移したらどうかと言ったんですが、谷総裁がなかなかうんと首を振らなかったのであります。  この前、総務委員会でも聞きましたけれども、新総裁、どうですか、やっぱり級別定数を内閣に持っていくのは困りますか。
  95. 江利川毅

    政府特別補佐人(江利川毅君) 級別定数は職員にとっての昇格可能枠を定めているものということも言えまして、勤務条件の一つでございます。また、人事院公務員の労働基本権の制約の代償措置としての給与勧告の責務を負っているわけでございますが、この給与勧告は級別の適用職員を前提として官民の給与比較を行っております。  そういう意味で、級別定数の管理は人事院勧告と一体的にやるべきものでありまして、人事院勧告の仕組みを今度の法律の中でも引き続き人事院に残しているわけでございますので、人事院がこの機能を、人事院勧告の責任を果たしていくという限りにおいては、人事院は級別定数を持っているのが適当であるというふうに考えております。
  96. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 人事院はその代償措置としての給与勧告権があると、そこまでは分かります。今は労働基本権が公務員にはないから、その代償措置人事院でやらなきゃならぬと、そこまでは何となく、何となくというか、大体常識的に分かるんですが、級別定数管理がそれに該当するかどうかというのは私は少し微妙なところだと思います。  去年の我が与党時代にもあっせん案として、じゃ課長級、これは管理職で一般の職員とは別だから、課長職だけの級別定数管理権は内閣に行ってもいいんじゃないかという話もしたわけでありますけれど、まあそれもうんとは言いませんでしたけど、課長級だけでも駄目でしょうか。もう一回、総裁。
  97. 江利川毅

    政府特別補佐人(江利川毅君) 現在、公務員給与年齢の高い層は民間よりも高い形になっておりまして、給与構造改善計画の中で順次それを直していく途中でございます。  年齢が高いというと課長級などがそれに入ってくるわけでありますが、もしその課長級の級別定数を、例えば高いところを増やすということをやると、そうなりますと、民間に比べて公務員給与が高いところが増えるわけでありますから、官民較差は広がることになります。広がることになりますと、人事院勧告は官民較差を縮小するというか合わせていくということでありますので、公務員の給料を下げるということを勧告することになるわけであります。下げるときに、課長級の数が増えたことによって上がった影響を含めて、課長補佐や係長も含めて給与を下げなきゃいかぬということになってしまいます。  ですから、級別定数は、組織の在り方から見て重要課長がどのぐらいかということで、いわゆる職務の重たさと給料の関係でやっているわけでありますが、これが動いてしまいますと、その影響がその課長層だけじゃなくて課長補佐や係長クラスも含めて出てくるわけでございまして、そういう意味で人事院勧告と一体的にやるべきであるというふうに思っている次第であります。
  98. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 年齢の高いところをよく見にゃならぬというお話でありましたけど、去年の段階でも指定職、今度の幹部職になるところですかね、指定職についてはもう定数管理は内閣府へ移行するのは去年の段階人事院は了解していたんですよね。だから、何で指定職はよくて課長ならいけないのかよく分からないし、まあここで詰めてもしようがないので詰めませんけど、例えば具体的な管理をやめて総枠の管理権だけ残すというような方法も私はあるのではないかと思います。  いずれにしても、さっきも言ったように、組織編成権がない人事権なんかいうのは本当に余り大した権限じゃありません。人事院が物すごい権限のように皆さん感じておるのかもしれませんけれど、役人は中立公正で優秀な人材がたくさんおりますから、それはそんなに、政治主導を皆さんが発揮し過ぎたらいかぬという話、さっき平野委員からもありました。だから、そんなに大した話ではないんです。  問題は、やはり適当な組織を物すごく、先ほど大臣が言ったようにがんじがらめにしてしまっておる。今そんな時代じゃないと思うんです。むしろこれは民主党の人の方が分かってくれると思うんですが、その年その年の政策課題に応じていろんな組織が消えたりつくったり、そうするような仕組みを考えなければならないんです。それを阻害しているのが、一つ人事院との協議、併せてこの場合は財務省との協議も要るんです。  そういうところがいろいろいろいろ難癖を付けては組織をつくらせない、そういうことをずっとやっているわけでありまして、もちろん、難癖と言ったら失礼いたしましたけど、いろいろ理屈を付けて抵抗をする。それをもう少し柔軟化するために人事権限内閣官房に一元化するのであれば、併せてやっぱり組織権限というものも行かなきゃならぬやったと思うんですね。  だから、最初、大臣からそっけない御答弁でありましたけど、与野党協議をして私のような人間の意見も聞いてくれたらよかったなと今深々と思うわけであります。まあこの辺はそれぐらいにしておきたいと思うんですけれど。  そこで、今の仙谷大臣のこの委員会の御答弁見ましたけれど、多少やはり公務員の基本権の問題に御配慮がある、これは別に悪いことじゃないと思いますけれど、やはり労使交渉をどうするかということを非常に大臣は御懸念になっておると思う。それはもちろん気持ちは分かるわけでありますが、一体、仮に労働基本権というものが国家公務員に付与された場合に、どこがどういうふうに交渉をすべきだというふうにお考えでしょうか。
  99. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 結論的に言いますと、これは早急にそういう交渉当事者を、つまり使用者をつくるということに取りかからなければならないと思いますし、そういう交渉当事者を政府の側につくっていくということが極めて大事だろうと思います。
  100. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 御検討中でありますから聞いても仕方がないのかもしれませんけれども、まあ今でも総務省人事局長というのはおるわけですね。内閣でも今度は人事局長ができるわけですね。そういうところが想定されるんでしょうか。
  101. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 交渉当事者の事務担当はできる可能性はありますけれども総務省の場合には、これは完璧に横並び官庁の中のまた横並び局ということでありますから、定数管理ですか、その面では今までお仕事をなさってきたんでしょうけれども、労務人事管理というようなテーマを、全省庁にわたる労務人事管理全体を人事・恩給局が扱えるのかどうなのかというのは、それは法律の書き方の問題ではなくて、ちょっと歴史的な経緯からしてもなかなか難しい。  つまり、そういう部局があって、今、人事・恩給局がなさっている仕事もそちらに移し、なおかつ、そこの事務局を担当している方でそういうことに熟練している方も移ってもらうというようなことはあっても、その人事・恩給局が担当するということには容易にはならないんではないかと、そんな感じを持っておりますが。
  102. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 我が自民党の中にもこの労働基本権問題はいろいろ考えがありますから、我が党の中でもまた議論を続けなきゃいけませんけれども基本法の線はこれはもう与野党でお約束した線でありますから、そのことはきちっと我が党も考えて、また一緒に考えていかなきゃならぬと思います。  何回も言いますけど、是非これ、霞が関の制度がやっぱり共通の制度でありますから、なるべく与野党きちんと議論できるような素地ができるといいなと私は思っております。  それから、これももうこの委員会でも何度も出ましたけれど、事務次官と局長と部長が同じ職制上の段階、非常にこれは分かりにくいと。私も最初ニュースで聞きましたけど、そんなことはあるはずはないじゃないかと思って。  あと、いろいろ説明を聞きました。大体趣旨は分かりました。二つあって、一つは降任ではなくて転任にするということですよね、下に行く場合であっても。もう一つが、幹部職員の名簿というのをこれを一つの名簿にすると、三つ別に作るんじゃなくて。その二つの効果がある。  まあ効果は分かるわけでありますが、それだけかと思ったら、標準職務遂行能力も一本にすると。ここまでやる必要があったのかなと私は正直なところ思います。条文の書き方も非常に分かりにくい書き方で、みなすって書いて、何をどうみなすのかというのは余り書いていないんです。まあ今日は法制執務の問題をじくじくやってもしようがありませんので、そこは言いませんけど、ちょっと変な条文だと私は思っておりますけれど。  いわゆる降任にはならないということと名簿を一本にするのは分かりましたけど、なぜ標準職務遂行能力まで一本にしなきゃならないんでしょうか。
  103. 階猛

    大臣政務官階猛君) 標準職務遂行能力というのは、十九年の国公法改正で取り入れられた新しい概念です。その標準職務遂行能力は、職制上の段階と職務の種類によって決まることになっております。  したがいまして、職制上の段階を同一にするということは、標準職務遂行能力の一方の軸であります職制上の段階が決まりますので、もう一方の軸である職務の種類が同一のものであればおのずと標準職務遂行能力も一つに決まらざるを得ないということで、十九年の改正の立て付けを前提にしますと、標準職務遂行能力は一つにせざるを得なかったと、こういうことだと思います。
  104. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 結論をもって説明しておるところがちょっとトートロジーだと思いますね。  要は、みなすというのはまず、さっき法制執務のことは言わないと言ったけれども、どういう改正するのか。みなすというのは、本来そうじゃないけれどもこの場合はそうするということでしょう。効果というのは、だからさっきも言ったように、仮に次官が部長になる場合でも降任ではありませんよ、転任ですよということにするわけでしょう。それはまあいいか悪いかは別にして分かるんだけれども、いや、だから標準の職務は違うんですか違わぬのですかとこの前お役人に質問したら、それは違うと言っていましたよ。  それは、組織上は事務次官と局長と部長、三段階の職制上の段階はあるんだと、これは違うんだけれども、この場合についてのみみなすんだと。だから、さっき言ったように、降任とか転任のところにこの三段階一緒だとか掛かるのは分かるんですが、二項まで掛けてですね、いわゆる標準職務遂行能力まで掛ける必要がなぜあったのか。別に、降任じゃないということだけ入れればよかったんじゃないですか。
  105. 階猛

    大臣政務官階猛君) 非常に分かりづらいところだと思います。「職制上の段階の標準的な官職の職務を遂行する上で発揮することが求められる能力」というのが標準職務遂行能力であるというのが三十四条一項五号に書いております。  そこで、標準職務遂行能力は、職制上の段階一つに決まれば一つに決まってくるということは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、なぜ職制上の段階一つにしなくてはいけないのかという問題意識ということでよろしいですかね。
  106. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 いや、前段も違っていますよ。もう一回言います。  職制上の段階三つあるとお役人の説明、私、そういうふうに聞いていますよ。職制上の段階三つある。だから、みなすというのは、本来違うけれどもこの場合はそうだというのがみなすという法制用語なんですよ。だから、職制上の段階三つあるんですよ。それが違う。指揮命令系統があるんだから、次官が一番偉くて、局長が二番目で、部長が三番目なんですよ。だから一個じゃないです。職制上の段階、一個になっていませんよ。三つあるんです。三つあるんだけれども、皆さんは、降任とか転任のところは言いたいことは分かるけれども、なぜ標準職務遂行能力まで一本にしなきゃならぬのですかと聞いておるんですよ。
  107. 階猛

    大臣政務官階猛君) 職制上の段階というのは、従来は、従来はというか、今でもそうだと思いますけれども、行政組織における指揮監督の系統や序列等の階層秩序を表すものだということだそうなので、まさに事務次官、局長、部長ということであれば職制上の階層としては別になるんです。ですから、職制上の段階三つあるというのが通常の整理だと思います。  ただし、任用制度上は、今回、同一の職制上とみなすと、これは創設的にそのような規定を置いたということですので、そういう意味では、職制上の段階を同一のものとみなすというふうにしたのは、通常の意味では三つの位があるけれども、それを同一の職制上の段階に属するとみなすことによって、任用を一つのグループで行えるようにしたと、こういうことだと思います。
  108. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 いや、だから質問は極めて明確です。前段は正しい、今分かってくれた、三つ違うんだということはね。だから、昇任とか降任とか転任とか、任用の部分にかかわるのは私は分かったと言っておるんですよ、分かったと。だけど、それを標準職務遂行能力まで一本にしなきゃならぬやった理由は何でしょうかと。質問は明確ですよ。
  109. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) こういう言い方したらよく分かっていただけるかも分かりませんが、先ほど平野議員質問をされておるときに、平野議員の同期生の方は多分事務次官になる前後かなと。同級生、どうです。今、礒崎先生が御質問している姿を拝見して、多分審議官か部長ぐらいかなと。いや、年次ですよ、同級生の年次からいうとそんなものなのかなと、こう思って聞いておりました。  ただ、私どもは、さあそこで、こういうことを申し上げるとしかられるかも分かりませんが、標準職務遂行能力的にお二人を拝見して、これどちらを事務次官にするのか局長にするのか。そうすると、局長のポストが一つしかないときにはどちらかには審議官か部長でとどまってもらうかと、具体的な人事においてはそういうことですよね。  その前提としてお二人に標準職務遂行能力が、部長以上の能力があるかないか、あるとすれば格付の違い、つまり私がさっき申し上げた、どちらが事務次官でどちらが審議官というふうに、この時点でも固定的に評価するような関係に果たしておありになるんだろうかと。  こういうふうに考えますと、いや、これは好き好きとかなんとかではないわけですが、そこで、年功の問題でもなく、ここで抜てき人事をしようとか、やっぱり標準職務遂行能力としてはほとんど変わらないけれども、今度のこの政策遂行においては、こちらの方が今まで経験が深いとか専門性が深いとか、そしてバランスのいい判断をされる、するだろうとかということで、多分三年ぐらい、三年か四年お違いになられるんだと思いますが、その辺を飛び越して人事をする。あるいは、自治省と農林省という違いがおありになるわけだけれども、それはクロスして引き抜いてくるのかそこに張り付けるのかともかくとして、そういうことをやることができるようにするためにこの一つのプール制ということが意味があるだろうというのも大変大きな理由でございまして、そういう理由から今先生が提起されている問題の標準職務遂行能力も考えていこうと、書く場合もそういうふうなことを考えて書いていこうと、こういうことでございます。
  110. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 私は、別にここを議論しておるのじゃなくて、質問しておるわけなんです。質問にさっきから的確に答えないから声が大きくなっただけなのでね。  私のいました自治省というのは非常にポストが少ない役所でして、極めて出世が遅いんです。私の今同期がやっとこの春に局の総括課長になったんです、ほかの役所じゃもう審議官になっておるんですけど。そういうふうに、人材があってもポストが少ない役所は出世が遅いとか、こんなこともあるからやっぱりきちっと内閣で一元管理をして平等に、平等に人事をやってもらうということが大事なのではないかと私は思うわけであります。  だから、さっきも言ったように、余り、お役人にも聞いたけど、議論されていないんですよ。さっき階政務官がおっしゃったのが、最初の答弁がそうなんですよ。これを全部、三つ一つにみなしたからこの標準職務遂行能力も一個にせにゃおかしいんじゃないかぐらいのところがどうもあったような感じはします。感じはしますけど、これ、感じだけで物を言うたらいかぬから、それはそのくらいにしておきますけど。  でも、じゃ、仮に標準職務遂行能力は同じだというのであれば、給料も同じにせにゃおかしいんじゃないですか。それがもう当たり前ですよ。給料は、次官と局長と部長で違っておって、同じ。もちろん全く同じというわけにはいきません。だから、それは役所の世界は手当で付けるんです。十級の人によっても、課長になっている人は二五%の管理職手当が付く、だけど企画官の人は二〇%しか付かないと、それで差を付けるのが今までのルールなんですよ。もし標準職務遂行能力も同じというんだったら、同じ一本の給料にして、次官は五〇%ぐらい付けるとか、局長は二五%、審議官は一〇%ぐらい付けると、そういうふうにするんだったら分かるんだけれども、そこまでやらないで、給与は上がらないくせに標準職務遂行能力は三段階同じというのは極めて便宜的過ぎるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  111. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 現時点でも次官あるいは外局の長官というのは給与は違いますので、次官が外局の長官にもし転任をするという場合には給与が結果として減額されることになると。あるいは、今も標準職務遂行能力は本府省の課長は同じでありますけれども給与については何か三段階ぐらいあると、こういうふうに言われておりまして、共通あるいは同一の職制上の段階であって、かつ標準職務遂行能力が同じだからといって給与も同一の額にしなければならないというわけではないと考えております。  ただ、今、礒崎先生がおっしゃるように、むしろ、ある指揮命令系統、組織上の関係で、資格、能力は一緒で、何とか長、ラインに入って長が付くとかなんとか、そういうことによって手当という格好にしたらいいのかというのは、これは少々検討の余地があるかなと思いながら先ほど聞いておりました。つまり、もう下の方を決めておいて上へ重ねていくという方が本人は気分がいいのかも分かりませんし、そういうやり方もないわけではないと。  それで、その何とか長を外れたときは、部長、局長を外れて審議官になられたときは手当の分だけがなくなるという、そういうやり方の方が合理性がある可能性もあるなと思って聞いておりまして、これから幹部職の給与を決めるときに一つの材料として考えさせていただきたいと存じます。
  112. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 むしろ、今大臣がいろんなこと答弁したとおりなんですよ。手当で差を付けるというのが普通なんですよ。だから、一本じゃなくてもいいんです。例えば、この幹部職名簿に登載された人の中で、その年数によって三号俸とか五号俸とか少し標準的な給与も上がってもいいけれども、職務ごとに、次官は五〇%、局長は二五%、審議官は一〇%というようにするのが私は普通だと思いますね。  それをやらないと、退職手当の問題が、この委員会でも一回だれか御質問なさったと思いますけれども、最終的な給与で退職手当が決まる、これもいいのかどうか、そこも議論が要りますが、今のところは最終給与で退職手当が決まるわけだから、大臣から怒られて部長に降格されたところで退職するとなるとかわいそうですので。だから、退職金はもう標準職務遂行能力に基づく一本、あるいは号俸はあってもいいですけれども、管理職手当を除いた部分のところで退職手当が出るんだとしておけば、仮に下がったといってもそんなに心配はしなくてよくなるわけだね。  大臣、御検討いただくと言ったからそれはいいんですけれども、これも、だから自民党案は給与はちゃんとやらなきゃいかぬということを申し上げておるわけで、さっきも申し上げました、人事をやろうというんだったらさっきの組織もやらにゃいかぬですよ、給与もやらにゃいかぬですよ、これはもう三点セットであるわけです。だから、少し時間を掛けて野党の意見も聞いていただければもっといい法律できたんじゃないかと。まあ今後も手遅れじゃありません、法律はまた改正もできるでしょうから。今言った組織と人事と給与、これはもう一本化してやっぱり議論することが私は必要であるということをここは申し上げておきたいと思います。  今日は、少し残った時間は天下りの問題を議論したいと思います。  天下りについては、もう自民党も天下り根絶をするということでありまして、これについてはいろいろせめぎ合いはありましたけれども、与野党で今意見は一致しておるところであります。ただ、それをどうやってやめるかという問題は、これはなかなか難しい問題であると思います。  通告もしておりますけど、単純に、まず大臣天下りというのは何が問題でこれだけ問題になっておるのかということを、やっぱり大臣のお口から一回御答弁いただきたいと思います。
  113. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 私は、一つは、先ほど礒崎さんが非難してやまない財務省の、何というんですか、あらゆるところに植民地をつくって自らの将来ポストを確保してきた、各省庁もそれをまねしてきたと。これは一般の国民から見て、そこに国税が流れ、処遇について国の税金その他国民の負担部分が流れているということが分かった瞬間に、それはよほど国民生活にあらゆる意味で貢献しているという答えがないとこれは肯定されないだろうというふうに思います。  それは多分、日本の成長を支えた、成長の役に立った各種政府系大銀行というのは、いっときはそうであったんだろうと。いっときというのは、要するに数十年間はそういう役割を果たせた時期もあったのかも分かりませんと思いますが、どうも今は財投機関、公的金融問題が論議されて、それもおかしくなっていますが、しかしまだまだその席は大変多いというふうに考えた方がいいわけですね。それは、いわゆる特殊会社も含めた準公的機関と霞が関の関係というふうに考えればいいのかも分かりませんが、そこもまだまだ、まあ天下りという言葉で全部同じようなものとして片付けるのはいかがかという気持ちもないわけではありませんが、そういう問題が一つ。  それからもう一つは、やはり私が一番気になっていますのは、独立行政法人が、やっぱり本省のお役人が指定席に座ることによって、せっかく独立行政法人で一生懸命仕事をしてきているプロパーの人たちの白けた気分を生み出している部分が随分ある。  それから、そこへ天下る役人の数が多過ぎる。あえて、民間的な仕事量からいえば三人でできることを六人ぐらいの席を持ったりしてきたというのが今までの実態ではないかというふうに見ております。  それから、今度は政府系の政府関連公益法人、社団法人、財団法人と言われているところでありますが、ここはもう今仕分をしている最中で、よくお分かりのとおりであります。私はよく、特に資格商売なさっているところは、これはもう第二税金だと、悪代官みたいなものだと私はよく地元でも言ってきましたけれども、地元を回ると、特に工務店なんか回ると壁一面に資格、何とか資格証とか研修修了証とか講習証とか全部張ってあるところがありますよね。徳島辺りだと、あれをいただきに行くのに、大阪とか高松に泊まりがけで、ホテル代を使って泊まって講習を受けて、よく分からないから、五万円か十万円払わされるらしいんですけれども、払って寝て帰ってくると。大体それでも時間過ごしたら講習修了証をくれると。何年間かに一回はそれに行かないと今度は入札のときの点が悪くなるから、これ妻に行かせておるとか娘に行かせておるとか、大体そんな格好で資格証が発行されると。そこに何人ものOBがたかって飯を食っておるという図は、これはいかがなものかと。  それで、やっぱり余りにもあの種の資格証は、私は工事の専門家じゃありませんから、こんなに、何というんですかね、領域が重なるように見えるような資格証が、資格が必要なのかどうなのか、適正な工事にとってですよ、分かりませんけれども、とにかくそのたぐいのことが多過ぎると。業者からはぼやきの声というか、本当はこんなことがなくなればいいんですけどねという訴えを受けてきたという歴史からすると、やっぱりこの種の公益法人は本当はなくした方がいいというふうに私は思っておりまして、そういう天下りはやってはいかぬと。  それから、このごろはほとんどないんでありましょうが、職務上の地位、権限と密接に絡んで、その関係民間業界に厚遇で舞い降りるというか、まさに天下るという古典的な利権との関係で、権限との関係で行う天下りというのは、やはりこれはその職務の公正性を疑い、あるいは特定の利益をその特定の業者にもたらすことになるので、これはやらしてはいかぬと、こういうふうには考えておるところでございます。
  114. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 たくさんありがとうございました。自民党は時間はたくさんありますけど、それでも永久にあるわけじゃございませんので、簡潔にお願いをいたしたいと思いますが、そういうような様々な問題があるということであります。  今言われなかったけど、退職金の問題もありますね。公務員が退職金を二回もらうのはおかしいんじゃないかという、この問題も私は大きな問題であると思います。国費の無駄遣い、これは絶対しちゃならぬことです。自民党も与党時代にメタボじゃなくてムダボというのをやりました、無駄遣い撲滅チームをつくりましてやりました。私は国土交通省の担当をやりましたが、確かに随意契約でたくさんの調査費が行っていた。もうこれもすごい額を私も削らせました。自民党時代もやってないことはないわけであります。宣伝が下手なだけでありますけど、しっかり私もやっていましたけど、確かに問題がある。  私のいました自治省というところは、余り国費はないんですね。今度の事業仕分で出てきました地方公共団体からの金が自治省の場合は基本でありますから、これを一緒にしてもらうと困るんですが、やはり無駄なことはやっちゃいかぬという観点は全く同じでございますから、そこはしっかりと考えていかなきゃならぬと思います。  その辺はちょっと今日は御答弁たっぷりいただきましたのでそこにお任せして、天下りの原因は、しかしじゃどこにあるかというと、もうこれはひとえに早期退職慣行であろうと思うんです。早期退職慣行について若干誤解があるのが、キャリア組だけの仕組みだというふうによく指摘があるんですけど、そうでもないんですね。言わば役所全体が少し定年まで勤めないで新陳代謝をやるから、別に次官を決めるためだけやっているんではなくて、キャリア組でも非キャリア組に対してもある程度のポストを用意して退職をしていただく、そういう仕組みにしています。  県庁なんかにはほとんどなくなりました。私も若いとき県庁の課長をしていたときに、先輩、先輩というか、もう六十前の職員を呼んでちょっと後進に身を譲ってくださいと言うのは本当に嫌な仕事であったわけでありますが、県庁などと違うのは、県庁なんかの場合は、大体第二の人生になって給与は相当下がるんですね。国家公務員の場合はそうじゃなくて、むしろ申し訳ないから少し上がるというぐらいのシステムにしている。そこで全然地方公務員天下りとは本質的に違うところが私はあると思います。  ただ、いずれにしても、早期退職慣行というのが、これを改めないと、なかなかこれはないんですが、今のところまだ、民主党はマニフェストの中で早期退職慣行をやめると言っておったと思うんですが、何か希望退職を募るというようなことをまだおっしゃっていまして、そこのところは変わったかなと思います。  その次の議論をしたいんですが、その前にちょっと、今の平均退職年齢はどうなっているのか、できればキャリア組と非キャリア組を分けてという御通告はしておるんですが、分かりますでしょうか。
  115. 階猛

    大臣政務官階猛君) 非キャリア組というカテゴリーでは統計は取っていないんですが、まず、すべての国家公務員を対象として勧奨退職した者の平均退職年齢を取りますと五十六・七歳です。そして、キャリア組とおっしゃられるⅠ種、Ⅰ種相当の幹部職員の平均の勧奨退職年齢ですけれども、これは実は政権交代前に総務省の方から数字を出しております。各省ごとに数字を出しておりまして、これ、実はなぜこういう数字を出したかといいますと、平成十四年の閣僚懇談会申合せに基づいて、五年間で三歳以上、平均退職年齢を高くすることを目標としていたからであります。  そういった取組の結果を総務省から数字として出したということですが、各省ごとに数字は出しているわけですけれども、大体、平均的に言えば、取組開始当初は一部の省庁を除き五十四歳未満であったものが、取組が終わったところにおいては五十五歳半ばから五十九歳近くまで上がってきたと、こういうことでございます。
  116. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 少しこの議論もしたかったのですが、時間がないので簡単に結論のところだけ聞きますけど、早期退職慣行をやめるという方向は、大臣、よろしいんでしょうか。
  117. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 再就職あっせん付きの早期退職勧奨はやめると、こういうことでございます。
  118. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 あっせんはもちろんやめるということは分かるんですけど、じゃ、希望退職というのは、もちろんこれはやるということですか、希望退職は。
  119. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) これからまさに検討をさせていただくと。  衆議院委員会のときにもお答え申し上げたかも分かりませんが、民間には、そろそろよわい五十前後に差しかかったときに、昔であれば、さっきもちょっと話出てましたが、残りの人生は十年か十数年、まあ十四、五年というふうに考えればいいのかも分かりませんが、そういう時代と、そこから十五年ぐらい先行きが延びて、男でもと言ったら怒られますけれども、八十を超えて元気に生きていけるというときに、やっぱり再度の人生設計をお考えになった方がいいんじゃないんでしょうかと。つまり、この会社ではこれ以上、社長さんやあるいは取締役になれる見込みはないですよ、もう一遍人生を、あと残り三十年か二十年か分かりませんが、それを充実した人生を生きていくためにもう一遍お考えになった方がいいんじゃないんですか、ついては一年分、二年分の給料を保証しますので、早期にお辞めいただくというのはいかがでしょうかと、こんな制度が、希望退職募集なのか早期退職制度なのか、ある会社がかなりの数に上るようであります。  私はそういう話も聞きまして、公務員の世界でもそういう考え方で何か考えられないかなということを我々の中で議論をしておりまして、それが希望退職募集制度を導入するかどうかについても考えてみようと。つまり、もうありていに言いますと、早期退職勧奨ということで数字に表れてきている中には、どうも御本人がもうそろそろ身を引いて、資格持っておられることだから資格商売に、つまり弁護士とか税理士とかそういう話でしょうけれども、あるいは司法書士とかということでしょうけれども、だから辞めてもいいよねと、こういう雰囲気のところへ、それじゃこの早期退職勧奨制度で処理すればちょっとでも退職金とかそういうものが上がるからこういうふうにしましょうという、処理としての早期退職勧奨の部分も相当程度あるのではないかと。つまり、私はこれはちゃんと調べてないから分かりませんよ、だけど、何というの、私なりにうがった見方をすれば、そういうのもあるのではないかと。それならば、希望退職募集という堂々たる制度をつくった方がいいんじゃないかと、そういうふうに我々の間で今議論をしているということであります。
  120. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 そこをもっと明確に議論する必要が私はあると思います。  地方自治の私の経験では、希望退職というのはあるんですよ、常に。それを、例えば人件費を減らしたいがために退職金を、何%だったかな、二%か三%ぐらいだったと私覚えておりますけれど、地方公共団体でも今手を挙げたら二%ぐらい、三%ぐらい上げますと。二、三%というけど、退職金、根っこは大きいですからね、結構な額になるので、それで応じてくれる人もあるんだけれども、それは、今定数削減をしなきゃならぬから一つの方策としてはあるんですけれど、それと今私が議論したい、天下りをやめて早期勧奨退職もやめるべきだという議論は、ちょっと別の話だと思うんです。希望退職制度をするかどうかというのは、これはオプションの話であって、私はもちろん任意でやるのであればそういう制度を引き続きやってもいいと思いますけど、それは余り大きなポイントではないと思います。  基本的に、だから、少なくとも、もう天下りが駄目と言った途端に、私はそれは少なくとも六十歳まで働いてもらわなきゃならないのが原則になると思うんですが、そこはいいんでしょう、大臣
  121. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 当然でございます。
  122. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 そうしたときに、今後、先ほど平野委員からも退職年齢を、定年を引き上げるというような話がどうかという議論もありました。これもなかなか難しい問題でありますが、これもちょっと通告しておりますが、仮に六十五歳に引き上げた場合にどの程度人件費が増えるんでしょうか。これを、まずは最大あるいは最低というような言い方で言っていただけると有り難いと思いますが、いかがでしょうか。
  123. 階猛

    大臣政務官階猛君) 定年を六十五歳に引き上げた場合に人件費が増えるのかというのは、総務省の方と、あと人事院の方でも調べていたかと思います。  総務省の方では、退職勧奨は行わないということと、新規採用抑制は行わないということと、六十一歳以降の昇給を行わないという前提で試算をしているわけでございますけれども、これを試算しますと、一般職給与法適用職員ベース、すなわち三十万人の母集団でございますけれども、今の総給与費約一兆九千億円が二〇%増、約四千億円ぐらい、に増えるということでございます。  それから、人事院の方につきましては今ちょっと手元にありませんので、もし必要あれば、人事院いらっしゃっていますので、そちらにお聞きになればと思います。
  124. 河合常則

    委員長河合常則君) 礒崎君、必要ですか。
  125. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 いや、いいです。  そうですね、大体のことがこれは分かればいいわけで、二〇%の人件費削減をしようという中で、いろいろ想定は置いた数字ではあるけれど、単純に定年を六十五に上げれば逆に二〇%人件費が増える、差引き四〇%と、これをどうするかということですよね。なかなか難しいです。自民党も今度の参議院選挙においては人件費二〇%削減を出していきたいと思っておりますので、これは与野党また一緒に考える課題であります。  そうなってくると、最初も言いますように、違わないところもいっぱいあるんですよ、与野党で。だからここは、協力するところは協力するという姿勢を政府・与党の皆さんにも示してほしいと思います。公務員制度は与野党にとってこれはまさに共通の制度でありますから、いろんなところで共通に議論できるのではないかと考えるわけであります。  そこで、定年の引上げをすれば人件費が増える、それで一方で抑制する、これは今いい案はないんでしょうけれども大臣は何かお考えはありますか。
  126. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) マクロ的に言うと、労働力人口が減らざるを得ないと。労働力人口が減ると労働投入量が減るということでありますから、よほど生産性が上がってこないと経済は成長を鈍化し始め、成長率が低下すると、これは小学生でも分かる計算式であります。  それは大変まずいということならば、日本の場合には、正しく労働力として存在しながら、現実には働いていらっしゃらない女性にこれからは労働市場に出て労働力をちゃんと提供して働いてほしいということと、それと六十歳以上の方々に、私ももう六十四ですけれども、しっかりと現役類似の働きをせいと、こういうことをお願いをするしかないわけでありまして、公務員職場の場合にある種の、職場といいましょうか、仕事従事者の活性化と意気込みというのがありますから、二次産業、三次産業、一次産業もそうでありますが、民間のようにある種のポジションを占めながら適切に若い方々の中堅どころの働きぶりを補完するといいましょうか、支えるという仕事がこれからつくれるのかどうなのかという、つくれるのかどうなのかというか、そういう、スタッフでありながら経験を生かしてサポートするというふうなことをつくらなければならないんだろうと思うんですが、それを同時並行的に考えないと、六十一歳定年、六十二歳定年、六十三歳定年というふうに順次これは上げていかなければいけないと思いますが、そういうふうにはなかなかできないのかなと思っております。  だから、仕事の仕方と職種についても、何というんですかね、自己完結型になりがちである分だけそれをむしろ中でつくっていかなければいけない、そうしないと定年の延長ということにはなかなか結び付かないんだろうなと見ております。
  127. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 確かに我が党も一〇〇%これで完成だという案はない、恐らく今政府にもないと思います。ただ、やはりこれだけの財政状況が悪い中で、いろいろ我々の無駄遣いも指摘されましたが、私たちも新政権の無駄遣いはいろいろ指摘しているところでありますけれども、それにしても財政状況が悪い。もちろん税金の問題はまた歳入の問題として考えなきゃいけないけれども、その前にやっぱり公務員の改革をやれというのが国民の意思である、これはもうそのとおりであると思います。  その中で、やっぱり人件費をどう考えるか。数を減らすのか給料を減らすかどっちかしか基本はやっぱりないでしょう。地方への移譲の問題は今日はちょっと時間がないのでこの次のときに議論をしたいと思いますけれども、基本的にはそれしかないわけであります。  私も地方の勤務のときにいろんな市が賃金カットをやっていました。ただ、私は財政の責任者としてやっぱり職員に財政難を押し付けるのはおかしいんじゃないかということで、私のいたところは一時カットだけは絶対やらせなかったんです。だから、私は割と労働組合から評判いいんです。ただ、これはもちろん国がやるときはやらないかぬし、全体の人数は相当減らさせましたし、賃金そのものがいいかどうかは議論しなきゃいかぬと言ったんです。ただ、ここまで来たら、一時的カットは私はいかぬと思いますけれども、やっぱり給与水準を今のままでいいかどうかということを考えなきゃいかぬ。これはちょっと時間がないんで、そこの根っこのところは今日はちょっと省略しますけれども。  人事院総裁にお伺いしたいんですが、政府として、こういう財政状況の中で、賃金をやっぱりカットじゃなくて給与水準を下げていく、そういうことは人事院としても今の法律の下、機能の下、やろうと思ったら政府連携してできるんでしょうか。
  128. 江利川毅

    政府特別補佐人(江利川毅君) 労働基本権の制約の代償措置人事院勧告でありますので、そしてその人事院勧告は社会情勢適応原則というんですけど、民間企業の動向に準拠してということでやっているわけでございます。この十年ぐらい見ますと、既に公務員給与は一二%ぐらい下がっています。民間が下がっておりますので、準拠して下がっているわけでございます。そういう民間の動きに合わせて勧告をして、民間に合わせて給与体系を作ってもらうと。  最終的には法律は国会で通るものでございますが、私どもとしましては、与えられている任務は、そういう民間に準拠した勧告をするということでございますので、そういう任務を果たしていきたいということでございます。
  129. 河合常則

    委員長河合常則君) 礒崎君、これで最後、時間です。
  130. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 はい。ちょっと自民党の枠なので一分ぐらい使うかもしれませんが。  今の人事院総裁答弁は重要なんです。重要というのは、別におかしいということじゃなくて、人事院総裁立場としたら今のような答弁になるんだと思います。だから別にけしからぬということはないと思うんですが、ただ、人事院の機能を移さなかったという話を最初の方にしました。今の人事院の法制の中では人事院総裁は今の答弁が精いっぱいなんです。民間給与が下がったから、その分ちゃんと民間企業との比較において一〇%ぐらい下げてきたという答弁、これで当然だと思うんですよ。それしかできないわけです。  今私たちが考えなきゃいかぬのは、これだけの財政難の中、今から国民に対して負担を求めていかなきゃならぬ。そのときに、今の人事院勧告の制度を前提とする限りは、民間給与と同じ給与にすると、水準を下げるということまではできるけれども、それ以上の行政改革としての給与水準を下げるということはできないんだということであります。このことが私は最後に重要なこととして御指摘を申し上げたいわけでございまして、それではちょっとやっぱり国民に対する責任が果たせないんじゃないかと、政治の、国会の責任が果たせないんじゃないかと私は思うわけであります。  だから、さっき言ったように人事だけじゃないんです。公務員改革をするのは人事と組織と給与が一体でなきゃならぬ。給与水準もやはり内閣総理大臣のリーダーシップによって、場合によっては、公務員の皆さんには申し訳ないけれども政府方針として給料は下げられる、そんなふうにもしていかなきゃならぬのじゃないかと思うわけであります。その辺を是非、さっきも、何回も今日同じことを言いますけれども、与野党議論をしましょう、少し。  私は別に、私も公務員のOBですから公務員いじめがいいなんか絶対思いませんけれども、やはり最終的には国民の皆さんに対する義務を私たちがきちんと果たしていかなきゃならない。それが戦後つくられた今の制度でいいのかどうか、今後どうあるべきか、それを是非とも与野党しっかりと議論をしていい方向に持っていかないと政治に対する国民の信頼が得られなくなるということを御指摘申し上げて、今後ともよろしくということで質疑を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  131. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 人事院総裁民間準拠の答弁があったわけでありますが、中央政府一つの経営体として考えて民間準拠させるとすれば、民間の会社が会社更生法を適用される、民事再生法を適用される、あるいは、見通しのいい人は、多分このまま行ったら数年で民事再生法の適用申請をせざるを得ないという判断をするような場合、民間であればこうだよねというのは、これは一つの定式として、裁判所へ行こうがどこ行こうがあるわけですね。もし、我が国の財政がそういう状況だとするならば、そこは民間準拠をしなければならないんじゃないかという、こういう議論も当然あり得ると思っています。  ただ、問題は、もう少し広い意味での経済あるいは景気ということを考えますと、今日も山本先生からもいただきましたけれども、景気、経済の悪いときこそ国が仕事をむしろつくる、景気、経済の悪いときに採用人数を絞るとは何事かというのも一つの正論であります。それから、景気、経済が余り良くなくて全労働者の賃金水準が落ちるときこそ、それを率先垂範、もっと賃金を下げる、給料を下げるというようなこと、そういうデフレに輪を掛けたようなことをするのは何事かという議論もございます。つまり、その時点でのやっぱり優先順位をはっきりと見極めると。  そして、今日は礒崎先生から何回も御提案いただいておりますが、要するに、その種の大議論等、与野党を超えた議論が行われなければならないそういう状況といいましょうか、時代的な環境になってきたというふうには私も率直に認めて、今後ともよろしくお願いをしたいと申し上げて、答弁といたします。
  132. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 ありがとうございました。
  133. 森まさこ

    森まさこ君 自民党の森まさこでございます。よろしくお願いいたします。  今日は仙谷大臣質問ということで、仙谷大臣といえばと申しますか、先日、テレビ局の方とお話をする機会がございまして、某テレビ局の幹部の方々だったんですけれども、私から見たら、政権交代、政権交代ということで選挙の前は随分民主党さんにひいき目の放送が多かったんじゃないかなと内心感じていたようなテレビ局であったわけでございますが、その方たちが、いや、鳩山政権、実は僕たちも期待をしていたんだけれども、裏切られた気持ちがしています、国民の皆様も同じなのではないか、期待から失望に変わり、それが現在は危機感に変わっている、このままではいけないという気持ちなのではないですかという会話の中で、大臣たちはどうでしょうかねという話になって、いや、大臣も、A大臣はお粗末だし、B大臣質問が取れないと官僚を土下座させるらしいとか、そんなうわさもあるよ、これうわさであるとマスコミの方がおっしゃったんですが、その中で、いや、そうやって消去法でいくと仙谷大臣しか残らないといった話でありましたので、消去法といえどもそんな仙谷大臣に今日は議論ができるということで大変楽しみにしてまいりました。やはり政治家というのはリーダーシップを持って、そして信頼をされるということがすべての始まりだと思っております。  そういう意味では、おととい、看過できない発言がありましたので、仙谷大臣に是非御所見を伺いたいのですが、口蹄疫の問題に関する中井国家公安委員長の発言なんです。  今日は、実は福島県も農業委員会の集まりがございまして、皆さん来ていらっしゃるんですが、福島県もこの口蹄疫、決して無関係ではございませんで、宮崎県の子牛を仕入れています。又は妊娠した母牛をそのまま仕入れて、大事に育てている畜産農家もございますし、さらには、最近は福島牛も輸出を始めておりまして、北米に輸出しておりまして、それをまた更にシンガポールやいろいろ今年から広げようと思っていたところ、口蹄疫が国内で発生をいたしますと国際ルールにのっとって輸出が停止をいたしますので、これはもう食肉として加工して輸出する段階になっておりましたものを急遽国内販売ルートを探さなければいけないということで、対策本部を設けてやっているところでございますが。  そんな全国畜産業者又は農業者の方を不安に陥れている口蹄疫の件について、おとといの閣議後の会見で中井洽国家公安委員長が、社民党の福島みずほ党首の言動について質問された際、福島みずほさんが宮崎の御出身と述べた上で、宮崎の人というのは口蹄疫の対策でも頑固なところがあるから赤松大臣も苦労していると発言したと報道されました。  これはもう本当に耳を疑うような発言でございます。宮崎県の方々がこの口蹄疫の対策でどんなに苦労なさっておられ、政府に対してどんなに真剣な思いで要望しているか、このことはこの福島県の農業委員会の場でも話題にされましたところでございますので、是非同じ内閣の一員として仙谷大臣がこの御発言についてどう思われるか、感想をいただきたいと思います。
  134. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 中井大臣がそういうことをおっしゃったというのは今初めて伺いまして、どういう状況下で、どういうやり取りの下でそういうことを言われたのか言われていなかったのか、全く私は確認すべきものを持っておりません。  森議員もお仕事柄そうでありましょうけれども、私は基本的に自分の目で見て触ってみてあるいは感得できたもの以外はなるべく外に向かってコメントをしないと、それが私ども、特に法律家として仕事をしてきた者の務めというか癖というか、そうでないと、余り風評を基にコメントするとどんどんどんどんそれが広がっていくことになると。やっぱり自分の目で見た、聞いたことを、そのニュアンスも含めて感じ取って、それについて論評はしなければいけないときにはするつもりでありますが、今回の場合は全く私分かりませんので、今初めてお伺いしましたので、私の論評は控えさせていただきたいと存じます。
  135. 森まさこ

    森まさこ君 初めてお聞きになったということで、それではコメントは結構でございます。閣議後の記者会見でございますので、また御確認の上、事実でございましたら、同じ閣僚として厳しい御注意をいただきたいと、もし事実を確認できたら、私の方ではお願いを申し上げます。これについては、昨日の参議院の本会議でも自民党の松下議員が述べておりますので、御確認をいただければと思います。  中井国家公安委員長は、実は自民党のマニュアルを守ってチリの津波のときも昼まで官邸に行かなかったということを国会で、委員会で答えたということもございまして、私は、今日も公務員の話でございますが、自分の部下である公務員から、自民党のマニュアルであるから大臣は危機のときに当初から駆け付けなくていいんだと聞かされていたという答弁をしまして、佐藤正久議員質問に答えて、そういうふうに答弁をしたわけでございますが、私の方で調べまして、そんな自民党のマニュアルがあるんだろうかということで、役所にも相当確認をいたしましたが、結局マニュアルはございませんでした。  それで、私も決算委員会で中井国家公安委員長に、自民党のマニュアルとおっしゃいましたけれども、それは何のことですかと質問しましたけれども、二回質問しましたけれども、結局、長い答弁なんですが、その答弁の中にはマニュアルが何かという内容は入っておりませんで、事実上答えていただけなかったわけですけれども、先ほど申し上げましたように、やはり公務員改革、大変大事だとは思いますが、それをつかさどる大臣、政治家のリーダーシップというものがなければ、いかに良い改革がされても意味がないんじゃないかと私は思っておりますので、冒頭、中井国家公安委員長の発言と、それから国会での答弁について取り上げさせていただいた次第でございます。  さて、本法案の審議でございますが、残念ながら衆議院においては強行採決がなされました。転んだという事件もありましたので、大きく報道をされましたので国民の皆様も御存じかと思いますが、それ以外の法案についても衆議院においては強硬な委員会運営が行われておりますので、参議院においては是非慎重審議をお願いしたいと。この法案についても、大変いろいろな論点が今まで出ております。一つ一つ一つ法律でもいいかと思うような重要な論点であると私は思っておりますので、委員の皆様の慎重な審議、徹底的に審議をして、本当に良い公務員改革がなされるために審議をしていただきたいということを冒頭申し上げたいと思います。  それでは、質問をいたしますけれども、まず、政府案と対案がございます。これについては、新聞記事等で政府案が官僚依存を続行しているんじゃないか、天下りの温存ではないかという指摘がされているところでございます。これに対して自民党などから対案が出されているわけでございますが、国民の皆様に分かりやすく説明をしていただきたいと思っております。  まず、対案の提案者の方から、この提案に至る経緯、それから政府案との違い、そしてその理由というものを説明いただけたらと思います。
  136. 世耕弘成

    委員以外の議員世耕弘成君) 森まさこ議員の御質問に、提案者としてお答えをさせていただきたいと思います。  我々自民党が政権におりましたころから、この公務員制度をどうしていくか、行革をどうやって進めていくか、提案者であります林芳正議員も党の行革本部の役員を長く務めておられまして、私も行革本部の幹事を務めておりまして、ずっとこういったテーマに長年取り組んできておりました。  我々の考え方、いろんなポイントがありますけれども、大きく言えば三つだったというふうに思っています。  まず一つは、やはり適材適所の人事がしっかりできて、やる気のある人がどんどんどんどんこの公務員の世界に入ってきてくれて、そういう人たちが、場合によっては、能力があり、やる気があるのであれば若くても抜てきができる。あるいは逆に、どんなに年齢、経験を重ねていても、やる気がなかったりサボったりする人に対してはそれなりの報いがある。信賞必罰の人事制度を入れていくことによって、まず公務員自体を活気ある一つの枠組みにしていくということが一つでありました。  そしてもう一つは、やはり政治主導の実現です。国家公務員、当然いろんな意味で中立性、公平性というのが要求されるわけでありますけれども、一方でやはり、総理大臣のリーダーシップの下、あるいは各大臣のリーダーシップの下、それぞれその時々の総理大臣や各大臣の思いを実現をするために一生懸命働いてもらえる、そういう政治主導をベースとした公務員制度にしていかなければいけないんじゃないかということが二点目。  そして三点目は、やはり天下りの問題であります。天下りが、やはりいろんな意味で日本政府の無駄の温床になっているんじゃないか、あるいは国民が非常に厳しい経済状況にあえいでいる中で、一人の退職者が何回もわたりをして退職金を何回ももらうというようなこと、これはもう国民感情的に全く納得のできない問題なんじゃないか。  こういった三点ですね。活気のある制度を入れていくということ、政治主導をしっかり実現をしていくということ、そして天下りのようなこういう特権はなくしていくというようなこと、こういう観点で我々は公務員制度改革に取り組んでまいりました。  民主党の皆さんから見たら、恐らくスピードが遅いなと隔靴掻痒の感じだったんではないかというふうに思いますが、今恐らく皆さんは政権に着かれて、早急にできないということはある程度理解をいただいているんではないかと思いますが、我々はこれは順次取り組んでまいりました。  特にこの近年の動きだけを取り上げましても、まず、安倍内閣のときは各省庁のあっせんによる再就職というのはやめさせようということで、官民人材交流センターというのをつくりまして、各省庁のあっせんをやめさせて、一元的に再就職あっせんをするというやり方をつくりました。そして、福田内閣のときには国家公務員制度改革基本法というものを作りまして、大きく改革の方向性、内閣人事局をつくっていくというようなこと、そういったことを決めさせていただいたわけでございます。そして、麻生内閣のときには具体的に公務員制度改革の国家公務員法の改正案を出させていただいて、基本法の肉付けをしていくというそういう立法に取り組んだわけでありますが、残念ながら麻生内閣のこの立法は、途中で解散ということになりまして廃案になったわけでございますが、こうやって順番に我々は取り組んできたわけであります。  麻生内閣が出していた国家公務員法等改正案については、党内でもすごく議論をいたしました。これ、私の個人的な感想ですけれども、麻生内閣すごく頑張ったなという部分と、もうちょっとやってほしかったなという部分があったと思います。  すごく頑張ったなという部分は、やはり人事制度の一元化であります。特に、人事院総務省の持っていた権限を、これを内閣の下に一元化をするというチャレンジをされた。このときは、新聞報道等でも御存じのように、当時の人事院総裁と甘利担当大臣の間で激しいバトルが繰り広げられて、まさにこれは政治主導でしっかりと一元化をするということを法案に盛り込んだわけでございます。  ただ、一方で、やはり幹部職の在り方とか、あるいは本当に定年までみんなが天下りをしないで勤めていくということであれば、やはり給与給与法についても言及が必要だったわけですが、その点は残念ながら触られないという法律だったというふうに思っております。  そんな中で、民主党政権が生まれました。民主党政権には正直言って私も期待していた面もあります。というのは、この公務員制度改革、天下りの問題については、民主党は我々が進めてきたことについて厳しい御批判をいただきました。私は内心そのとおりだと思うようなことも幾つかありました。  例えば、官民人材交流センター、これは民主党の皆さんは天下りバンクだと、公務員はハローワークへ行って再就職先を自分で探すべきだということをおっしゃいました。あるいは、麻生内閣法案が出たときには、降格もできないようじゃ駄目だと、結局幹部公務員から一般の公務員には降格できないじゃないかと、そんなのじゃ駄目だということも御批判をいただきました。あるいは、幹部公務員そのものが一般職の枠の中でつくられていると、これでは全然意味がないじゃないかということも厳しい御批判もいただいたわけでございます。  この批判をされていた民主党が政権を取られたわけですから、これは恐らく麻生内閣のときに我々が少し足りないなと思っていたところも補って余りある国家公務員法の改正案が出てくるのかなと思っておりましたら、少し驚いたことに、麻生内閣法案よりは後退した内容の法律が出てまいりました。特に人事制度の内閣への一元化というのが、これが完全に戻ってしまった。甘利さんがあれだけ頑張って獲得した一元化が元に戻ってしまったことなどを始め、かなり我々のこれまで民主党に期待してきた面からは逆にちょっと裏切られたというような法案が出てきたというふうに我々は考えました。  で、党内で真剣に議論をした結果、これはやはり、我々としてはフルスペックの法律をしっかり出していこうじゃないか、麻生内閣のときに廃案になった法律よりも更に踏み込んだ、我々の問題意識を盛り込んだ法律を出そうじゃないかということで、今回対案ということで出させていただいたわけでございます。  違いについてはまた、森議員質疑にお答えする形で具体的にお答えしていけばというふうに思っております。
  137. 森まさこ

    森まさこ君 ありがとうございます。  私は、今日の質問公務員制度について今まで余り勉強をしてこなかった方にも分かりやすく、なぜこれ二つ案が出ているんだろうか、そういう質疑ができたらなと思っております。  今、提案者の方から対案の方の提出の経緯や、またその趣旨等についてお話がありまして、大変すばらしいなと。どうして政府の方が野党時代に厳しい御批判をなさっていたのに後退してしまったんだろうという疑問を持つわけです。きっとこの質問をお聞きになっている一般の方たちもそう思われると思いますけれども仙谷大臣、これはなぜこのような法案になったんでしょうか、全体的な総論でございますが。
  138. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 私は自民党時代の公務員制度改革のやり方を見ておって、これは抜本的には全くできないと。なぜかならば、隔靴掻痒といいましょうか、公務員問題の基本である公務員の労働基本権を党内的にきちっと考え方を整理して議論を確立してから掛からないと、何十年も公務員の労働基本権を与えるのか与えないのか、これをあいまいにしてやると、まあ、しょせんはどこかで党内抗争が起きてぐちゃぐちゃになるだろうなと、こういうふうにずっと見てまいりました。  といいますのは、先ほどから問題になっております、あえて言うと、今改めて私、諸外国の労使関係の制度の表を見ておるんでありますが、国によってやっぱり少々違います。違いますけれども、この上級公務員という種別をつくるかどうか。ドイツは官吏という種別がまだ残っているんですね。それで、一般職員と上級公務員を分けた上で、イギリスならば一般職員にはこの基本権を与えると、それからドイツでいえば官吏、イギリスでいえば上級公務員については、もちろん別の扱いをすると。基本権もなければ、しかし厚い処遇をすると。そして、言わば政治任用でないにしても、政治との応答性によって相当政治の側の人事権の行使については裁量の幅を持たせると、こういうふうになっておるわけであります。  日本の場合、この間よく私申し上げているわけでありますが、三十万人の国家公務員のうち六百人の、我々ここの範囲はほとんど自民党の方とも一致しておると思うんですが、六百人のいわゆる幹部職員という枠でくくってもよかろうしと。そして、管理職、これは労働組合に、職員組合に労働基本権を与えるとほぼ組合員資格がなくなる人というふうに考えていいかも分かりませんが、約三千人ぐらいいらっしゃるということであります。  この言わば退職後の処遇を含めてまで、この三十万人をどう扱うのか、そして言わば三層構造の人員構成の方々をどのように位置付けて処遇するのかということが基本的にないと、これは順番を付けて、まずは幹部職員から行くという方法はありますけれども、基本的には、その次の段階でこの公務員というものを、昔でいえば特別権力関係の中にそういう行政、法律関係の中で働く人々という位置付けなのか、それとも、公務員であってもこれは労働者として基本権、つまり憲法上の基本権保障を受けておる層なのかということだけははっきりしておかないと、ここの改革といいましょうか、何をどうしようともこれはうまくいかないというのが私の見方でございました。  案の定、昨年のこの公務員制度改革基本法を作る自民党さんの中、そして政府を見ておりましたら、ついに人事院谷総裁の反逆を受けて、最後の段階で成案が得られないで出す時期がどんどんどんどん遅れた、多分二か月ぐらい遅れたんだったんじゃなかったでしょうか。それで、そのことによって解散時期との関係も狭まってきて、結局ほとんど審議しないまま終わってしまったというのが実情で、多分これで一年ぐらいはロスしたというふうに考えればいいんじゃないかと私は思います。  そういう中で、今、世耕さんから批判を受けているわけでありますが、しかし私は、幹部人事の内閣一元化を中心とするという守備範囲においては、自民党さん、みんなの党さんが今度出されたのとこれはほぼ同じでありますし、その範囲でいえば、この人事制度の一元化と言い機能移管と言っているものも、法律上移そうとも、それは多分実質的に機能させるためには、人事院の代償措置としての人事院勧告をどのように法律的に位置付けるのか、やめさせるのか、このままどう機能させるのか、区分機能というふうなことがあり得るのかという、この問題を処理しない限り整合性は持たないと。多分、機能移管の法律条項を作ってみたところでこれは混乱をするだけでもたないだろうというのが私の、法律家としてもあるいはこの間この問題に取り組んできた立場としても考えているところでございまして、何の後退というふうな非難を受けるいわれもないと。  それからもう一つ、よく衆議院委員会の審議では、私どもが再就職あっせんについて、これは八十四条、たしか、いわゆる整理解雇と同視すべきような組織の改廃、この場合にはあっせんをできるというふうにこの条項を作りましたら、それは天下りを容認し、天下りあっせん機関を民主党はやるんだと、だから裏切り者であるという罵声を随分浴びせられましたけれども、それは曲解も歪曲も甚だしいとんでもない議論だということを私は考えておりまして、つまり、我が政権が、鳩山政権が政権を、内閣を組織する以前には置かれておった官民人材交流センターは再就職あっせんを一元的に行うところでありましたから、あっせんをどんどんなさっておったと。我々は、これは再就職あっせんはやらないと、やらせないということでこの機能を停止してあります。社保庁の分だけちゃんとあっせんをしたということでありまして、だから、その再就職あっせん問題についても非難を受けるいわれは全くないと、こういうふうに考えております。
  139. 森まさこ

    森まさこ君 最初の答弁でございますのでずっとお聞きしておりましたが、なるべく手短にお答えをいただければ有り難いと思います。大臣、よろしくお願いします。  いろいろ、今ちょっと長い答弁だったので内容が分かりにくかったんです。一般国民の方もインターネットで今日は皆さん御覧になっておりますが、なぜ後退したと言われているのか、後退してないということだったんですが、その後退してないという理由もなかなか分かりにくかったわけでございます。このことについては、報道等では、やはり政権に座った途端、官僚に押されてしまったんではないかとか、又は労働組合等の圧力があったんではないかとか、いろいろなことが指摘されておりますけれども、対案提出者の方はこの点について何か御意見がありましたらお願いしたいと思います。
  140. 林芳正

    委員以外の議員林芳正君) 最後のところで大臣がおっしゃいました再就職あっせんのところでございますが、大臣、大変一貫されておられまして、この民間人材登用・再就職適正化センターが再就職支援を行うのはこの四号の組織の改廃等による分限免職の場合のみでありますと、こういう答弁ずっと一貫してされておられるんですが、ちょっと気になるのは、今日おられるのであるいは修正をしていただければと思いますが、階政務官衆議院におきまして、離職を余儀なくされることとなる職員というのは、分限免職であるか勧奨退職であるかによらず、離職を余儀なくされる場合は広く十八条の四の対象になると、こういうふうにおっしゃっておられるので、多分メディアの方もそういうふうに聞くと、どういう文脈でおっしゃったのか分かりませんが、勧奨退職の場合もこの対象になるということになりますと、結局そこが抜け穴になって、この残っているセンターがいわゆる今やっているあっせんみたいなことにつながっていくんではないかと、こういう懸念があるわけでございますので、そこのところがちょっと気になるところでございます。  我々の方は、個別のところに入っていきますけれども、もう一切これもやめるということで、そこは削除しておりまして、なぜ我々が削除したか、なぜ残すかというのが政府との対案の違いでございますが、そこについては後ほどまた御議論があるかもしれませんけれども、どうも我々の考えでは、分限免職の場合にこのセンターが必ずなければ使用者としての解雇回避義務を果たすことにならないかという点については、これはなくてもきちっとやれるんであろうと、こういうことでございますので、その辺りが少し今委員が御指摘になったところだろうというのがまず第一点。  それから、簡潔に申し上げますが、もう一つは、基本権のところでございますけれども、そういう点も踏まえて我々は幹部職というのを別途一般職から切り離して特別職というふうに位置付けたわけでございますから、全体について基本権が動かないと公務員制度改革は何もできないということではないということを対案をもって示しているというふうに考えておるところでございます。
  141. 階猛

    大臣政務官階猛君) 今、林議員の方から私の衆議院内閣委員会での答弁について御指摘がありましたので説明をさせていただきますと、そのときに申し上げましたのは、改廃組織の職員という方たちに対しては、まず分限回避義務ということで、なるべく配置転換等で雇用を継続するという取組をするわけです。その上で、配置転換等の対象になる……
  142. 森まさこ

    森まさこ君 質問しておりませんので、済みませんが。
  143. 河合常則

    委員長河合常則君) 簡単にしてください、簡単に。
  144. 階猛

    大臣政務官階猛君) はい、済みません。ちょっと委員長から御指名を受けたので、簡単に説明させていただきます。  その上で、分限免職が見込まれる職員につきましては、組織の改廃等で離職せざるを得ないというやむを得ない事由がございますので、勧奨退職をする場合であれ分限免職に最終的に至る場合であれ、こういった方たちに対しては、本人が希望すればセンターの方で再就職の支援をさせていただくと、こういうことになっているわけです。
  145. 森まさこ

    森まさこ君 今質問しておりませんのに政府の方が答弁をいたしましたので、ちょっと異議を申し上げたいと思います。私が質問したことにだけ答えていただいて、そちらの政府案と対案同士でこの場で勝手に議論を始めてしまっては困るものでございますから、私が順次質問をいたしますので、それにどうぞお答えをいただきたいと思うんです。  私、最初に総論について大きな違いを質問したつもりなんですが、やはりどうしても各論の方に入ってそれぞれお答えいただいて、特に天下り規制のところにお話が及びましたので、まずそちらの論点の方を取り上げさせていただきますけれども、やはりこの天下り規制のところも、一般の国民から見たらどうしても政府案が後退したという印象をぬぐい得ないのでございます。  社会保険庁の年金問題についての不祥事がございました。これもう本当に次から次へいろいろありまして、自民党でもプロジェクトチームを立ち上げて、私もそのメンバーでありましたので、年金問題について社会保険庁の中で処分をされた職員は新しい年金機構の方には採用しないと、そういう意見を自民党では取りまとめていたところでございますが、これについても政権交代をしてからまた、これは何というんでしょう、再就職あっせんというんですかね、そういったことが行われてまた国家公務員として採用されてしまったということは、これはやはり国民の目から見たらどうしても納得のできないところだと思うんですね。  こういったことがまた起きてしまうんではないかというそういう疑問があるわけですけれども、対案の提出者に伺いますけれども、この点、具体的な事例でございますが、この天下り規制のところで政府案にはそういった問題点がないかどうか、御意見をお聞かせください。
  146. 林芳正

    委員以外の議員林芳正君) 先ほどちょっとはしょりましたけれども、このセンターを残すというのが政府案で、我々はもうこれは残さないと、機能をですね、というところが大きく違いでございます。  我々の考え方は、分限免職の場合が過去どれぐらいあったかと。過去たしか昭和三十九年か四十年に六人ぐらいという例があった後は、それ以前は人事院でデータがないということですが、その後、この社会保険庁に至るまでゼロでございます。一方、このセンターの定員は三十六名というふうにお伺いしておりますから、三十六名の機能を常時つくっておいて、毎年ゼロとか六人しかいないもののためにこれを置いておく必要性があるのかと。  一方、使用者としての解雇回避義務というのは、いろんな人件費のところを見るとかほかのところに配置転換するとかに加えて、大規模なことがあった場合にはその都度、例えば今回の社会保険庁にしてもそうですし、それから国鉄のようなことがあればその都度そういう対策に関する組織を立ち上げて、その専門性を生かしながらやると。このことの方が適当であろうということで、そういう考え方を整理いたしまして、今回これをやめたわけでございます。  四号分限のところでこれを残すというのは政府案の考え方でございますが、先ほどの政務官の御答弁を聞いておられましても、結果としては勧奨退職になった場合でも、組織の改廃に伴って、分限免職の場合は百歩譲って分からないわけでもないんですが、組織の改廃があって最終的に勧奨退職であった場合にもこれが適用になるということであると、かなりそこから抜け穴で広がっていくんではないかというふうに再度申し上げておきたいと思います。
  147. 森まさこ

    森まさこ君 天下りをやはりなくしてほしいというのが国民の声だと思うんです。それにどちらの案がよりこたえているかということだと思うんですけれども、私、いつもいろんな質問をするたびに民主党さんの前回のマニフェストを読み返してみるんですけれども、そこには天下り禁止というのはもう一丁目一番地に入っておりまして、やはり国民の期待というものは大変高かったと思うんですね。その期待に対応するものになっているかどうかという、先ほどのマスコミの幹部の方の、テレビ局の幹部の方の話ではございませんが、その期待にこたえられるような法案の内容になっているかというと、そうではないという感想を私はどうしても持ってしまうわけでございます。  また、法案の中身もそうですけれども、先ほど政治家の信頼性という話もしましたけれども日本郵政の齋藤次郎さんの人事を始め、やはり天下りを本当に禁止をするそういう決意があるのかと。そのときに、いろんな国会での質問の中で、天下りの定義までいろいろと変えて、言い訳しているんじゃないかというような答弁で済ましてしまうということについて、やはり天下りの問題に正面から向き合っているとどうしても思えないというところがございます。  先ほど与野党の協議の話が礒崎委員から質問がありまして、与野党の協議がなぜなされなかったんでしょうかということに対して、仙谷大臣が、衆議院の方で与野党の協議がなぜなされなかったのか分かりませんという御答弁でございましたけれども、四月六日に鳩山総理が、与野党の修正協議をするつもりはありませんというふうに言っているわけでございますね。与党・政府一元化と民主党さんはおっしゃっているわけでございますので、政府で出した案に対して、総理であって党首である鳩山さんが修正協議をしないと言っていることについては、やはり閣僚内でも認識あったとは思いますけれども、私はやはり、先ほどの公務員改革に対する与野党超えての一致した目標ということを考えれば、是非これは修正協議をしていただきたかったと、慎重審議をして本当にいいものを作っていきたいと思うわけでございます。  と申しますのも、消費者庁ができるときに、仙谷大臣は民主党の案を出されて、そして政府案と修正協議を本当に熱心にやってくださいまして、最初は本当に離れた案でございましたけれども、何とか歩み寄って消費者庁と消費者委員会というものが発足することができました。あのときのように国民目線で考えたならば、国民のためには、やはり国会で対立するだけではなく、慎重な審議で良い法案を出していただきたいというふうに思うんです。  その消費者庁でございますが、天下りに関連するような事件がございまして、このことについて仙谷大臣に御所見を伺いたいんですけれども、消費者庁には国民生活センターというものが、独立行政法人が所管になっておりますけれども、そこの理事長が、理事長人事でもめていたことはお耳に入っていると思います。理事長が不在になってしまったんですけれどもね。  実は、自民党政権時代に着任していた理事長が任期を一年半残して突然辞任をされて、その後を公募をいたしていたわけですね、福島大臣が公募をしていた。ところが、民間登用ということで大々的に公募をして、三十三名の優秀な消費者問題の経験者が応募をしたけれども、結局、政府が構成した選考委員会がすべて不適任というふうにいたしまして、決まらなかったわけです。時間までに決まらなかったので、四月一日からずっと理事長が不在という状態になりました。その後、結局、政務三役で相談して、公募にも応募していない弁護士が理事長になったんですけれども、そのやはり経緯には大変疑問が呈されているところです。  問題はここからなんですけれども、その理事長が不在だったときに、いわゆる裏下りということが行われていたと。つまり、理事が退職した後、任期付職員ということでまた国民生活センターの中にもう一回雇われてお給料をもらっていたと、アドバイザーということでですね。ところが、アドバイザーというのは、仙谷大臣もよく御存じのあの消費者相談員の方々がおやりになる職務なんですね。理事の方がおやりになる職務ではないし、実際に現場ではその理事のアドバイザーがいなくても日々の職務は回っていたということなんでございますが、こういった裏下りが民主党政権下で行われていたということ、これについては、今後は、この国家公務員法を提出されているわけでございますけれども天下りの裏をかいた裏下り、こういったものはどうやってなくしていくおつもりなのか、御意見を伺えたらと思います。
  148. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) たまたまでございますけれども、これは、おっしゃられた消費者庁、消費者委員会の担当の副大臣の大島さんがこちらに来ておりますので、もしよければ大島さんの方から答弁をさせます。  私自身は、今、森議員が指摘なさった事実関係について全く存じ上げておりません。つまり、福島大臣のかもいでありますから、私は国民生活センターもあるいはその裏下り云々かんぬんも全く存じ上げておりませんので、よろしかったら大島副大臣答弁をさせます。
  149. 森まさこ

    森まさこ君 それでは、この裏下りについてですけれども、福島大臣委員会で、調べた結果その事実はあったということをお認めになっていますので、大島副大臣の方から御答弁いただければと思います。
  150. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) 質問通告は受けていないんですけれども、私が今知っている範囲内で、ちょっと事実誤認があった場合には後日訂正させていただくということで答弁をさせてください。  一応、担当としては公務員制度とともに消費者庁も担当しているものですから、その中で先生がおっしゃった事実関係を述べるとすれば、今回の独立行政法人の理事長の公募については、この三月ですか、国民生活センターの理事長の公募を行いまして、それで……
  151. 森まさこ

    森まさこ君 済みません。質問は裏下りの方で、理事長の公募の方ではないんですが。
  152. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) 今、その多分該当の方については、新しい理事長の下で第三者的な委員会をつくって調査をしているところでございますので、その点については後日、調査結果が出た段階で御報告をさせていただくということになるかと思います。
  153. 森まさこ

    森まさこ君 ありがとうございました。  それでは今の御答弁を受けて、一般的にです、この裏下りが消費者庁の中で実際にあったかどうかという話ではなくて、裏下り、いろんなところで指摘されておりますが、そういったものを今後どういうふうに阻止していかれるのかという御意見を、仙谷大臣にお伺いします。
  154. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 世の中には一事が万事ということもありますが、針小棒大ということもあります。  裏下り、裏下りと、こういうふうに我が政権下でそういうことが頻繁に行われているかのような質問が度々なされているわけでありますが、どうぞ一つ一つ御指摘をいただければ、これからこの法案を通していただいた段階で、強力な再就職監視委員会を我々は立ち上げることを官房長官に要請をして、そういう強力な調査チーム、そして、それにふさわしい人員構成といいましょうか職歴を持った人たちで再就職監視委員会を、独立して、調査権限を発揮させて、一つ一つ摘発し、そしてこれを調査をし吟味をして皆さん方に報告をさせていただくようにいたしますので、余りどこに裏下りがあったのか私どもに分からない、つまり、そればっかりをおっしゃるような、そういうやり方はひとつおやめいただきたいと思います。
  155. 森まさこ

    森まさこ君 いや、私は頻繁にとは言っておりませんが、民主党が野党時代に天下り天下りと声高に言っていたわけでございますけれども、私は裏下りについて一般的な御所見を伺ったわけでございます。  次に、事務次官についてお伺いしたいと思います。  対案では事務次官の官職は廃止することになっておりますが、また政府案との違いについて、対案提出者に違いとその理由についてお述べいただけたらと思います。よろしくお願いします。
  156. 世耕弘成

    委員以外の議員世耕弘成君) 事務次官に関してのお問い合わせでありますが、その前に裏下り対策について、我々の法案では、やはり天下りあっせん違反については刑事罰を科すということを明確に入れさせていただいております。政府案にはございません。そこは明確に申し上げておきたいと思います。  事務次官につきましては、この自由民主党とみんなの党で提案しております対案の中では事務次官制度そのものを廃止をするということを提言をさせていただいております。
  157. 森まさこ

    森まさこ君 ありがとうございます。  少し前に戻りますが、天下りについて罰則があると、対案についてはあるけど政府案にはないということですが、私が先ほど質問した裏下りについてもその罰則で対応をしていけるということで、対案提出者、よろしいのでしょうか。
  158. 世耕弘成

    委員以外の議員世耕弘成君) それがいわゆる天下りに当たるものを裏であっせんしていてという裏下りであれば、当然我々のあっせん禁止違反に当たるというふうに考えております。  裏下りと言われているものが全部カバーできるかどうかというところは、これまたケース・バイ・ケースだというふうに思います。
  159. 森まさこ

    森まさこ君 ありがとうございます。  刑罰できちっと対応できるということ、私は大変すばらしいというふうに考えます。  この点、政府の方については天下り規制に対して罰則が設けられていないわけでございますが、あえて罰則を設けなかった理由は何でしょうか、お答えを願います。
  160. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 私は、森議員ともあろう弁護士出身の先生方が、何か刑罰をどんどんつくっていけばいいと、刑罰を科せばこの種の行為がなくなるというふうにお考えになっているとすれば、これは甚だ残念でございます。  野党の方々が、刑罰を付けろと勢い余ってそこまでおっしゃるのは気分として分からないわけではありませんけれども、近代民主主義の中でのやっぱり刑法の、あるいは刑罰権の持つ意味。そして、言わば私どもはこの天下り問題について随分批判してきましたけれども、それは今度の例えば事業仕分を御覧いただいたら、あの政府関係公益法人で出てくる方々のあのお顔を見ていただいたら、ああ、こんなことが実態としてあったんだというのが国民の前に明らかになるぐらい、これは長い長い自民党政権でなさったことなんですよ。  そのことを、私はこれを個人的利得のために公務員方々が喜んでやったとかなんとか思っていない。つまり組織的に、まさにカビ型の不正行為、違法行為として、組織のために善かれと思ってなさった行為を、それを個人責任である刑事責任を科すというのは、少なくとも私どもの刑法理論にはないと。こういうやっぱりバランスが、民主主義というか、刑罰権と自由の関係では必要なんではないかというふうに私どもは考えているからであります。
  161. 森まさこ

    森まさこ君 刑罰理論にまで話が及びましたけれども、私は、刑罰理論というのは、今大臣がおっしゃった予防的な機能だけではないと思うんです。今対案提出者が刑罰を付けたのは、予防的な機能だけを強調して付けた、つまり刑罰を付ければ公務員はこんなことは絶対しないんだと思って付けたわけでは、それだけではないと思います。刑罰というのは、それを万が一破った場合にどうするかというその担保でもあるわけでございます。  鳩山総理の話をして恐縮ですけれども、私は刑罰まで付けろとは言いませんけれども、鳩山総理は、民主党の党首のときには、政治家の秘書が逮捕されたら、起訴されたら、もし私だったらこのバッジを外しますというふうにお話しなさっていたのに、政権を取って総理になったらその言葉をすっかり変えたわけでございます。その理由は、私も予算委員会で総理に直接伺いましたら、いや、国民の負託があって総理になったんだから、それにこたえるんだと。こんなに支持率が下がっても、国民の負託、負託と言うわけで、それは国民にとっては到底理解できないものでございます。  ですから、私たち自民党は、秘書が逮捕、起訴された場合には議員もやはり監督責任を負うという、そういう法律改正検討しているところでございます。  このように、やはり問題があったら法律改正していく。これは刑罰の問題ではございませんけれども、予防的な機能だけに着目しているわけではございません。これほど天下りについて大きな論点になり、衆議院の選挙でも大きな論点になり、国民が期待をしていた中で、なぜ天下りの規制に刑罰が入らないんだろうか。それは、一般的に国家公務員はすべて刑罰が掛からないわけではございませんよ。やはりいろいろな分野で刑罰が科せられる場合もございます。ですから、個人的な責任を全く負わないわけではございません。そういう意味では、やはり私は刑の平等性ということも考えたら決しておかしな話ではないというか、むしろ刑罰を付けるべき話だというふうに思っております。  時間がなくなってきましたので、次の論点に行きたいと思いますけれども。  内閣人事局について、先ほど総論を聞いた後いきなり天下りの論点に飛んでしまいましたので、質問の順番が通告と違ってしまって申し訳ないのでございますけれども、この内閣人事局については、対案の方は人事院総務省などから機能を移管をしておりますが、政府についてはこれは機能移管がございません。これについて、対案提出者からその相違点とその理由について御説明をお願いします。
  162. 世耕弘成

    委員以外の議員世耕弘成君) 少し繰り返しになる部分もあるかもしれませんが、福田内閣時代に民主党の皆さんにも御賛同をいただいて修正を加えて成立をした国家公務員制度改革基本法というのがございます。ここで二点、幹部人事の一元化と人事にかかわる機能の一元化という二つの役割を内閣人事局に課しているわけでございまして、特に後者の人事にかかわる機能の一元化については、総務省人事院その他の行政機関の機能を内閣官房に移管すると、これ基本法に明記をされているわけであります。  何でこういうのが元々この基本法に入っているかといいますと、人事にかかわる様々な機能が政府の中で人事院だとか総務省だとかあるいは財務省といったところに分散をしていて、その結果、本来人事権者である閣僚あるいはそのトップである総理大臣が実質的に人事権を行使できないような、そういう状況になっていました。非常に優秀な人材がいるからこの人をこの仕事をやってもらおうと思っても定員の枠が立ちはだかるとか、そういったことがあったわけで、その問題を解決するために、内閣官房の下に内閣人事局をつくって人事にかかわる機能を一元化するということがもう既に法律で決められていたわけであります。その決められている内容を忠実に条文化をすると、我々の法律のとおりになるということであります。  残念ながら、今回の政府提出法案では、この内閣人事局についての規定は置かれていますけれども、中身は全く一元化になっておりません。先ほど申し上げたように、麻生内閣よりも後退をしている非常に無力な内閣人事局をつくろうとするものだというふうに考えております。  もっと言わせていただきますと、これは既に決まっている国家公務員制度改革基本法で、内閣人事局には総務省人事院その他の国の行政機関の機能を移管すると規定をされているにもかかわらず、その基本法を無視していることになるんじゃないか。機能を一切移管をしておりませんし、また、あろうことか、この基本法自体をいじって、基本法施行後一年以内にそのような機能移管を行うという形でプログラムを先送りをしようとしているという懸念があるというふうに思っております。  この基本法は自民党も民主党も党派を超えて合意をして成立をした法律でありますので、この辺はやはりきちっとやるべきだということで我々は対案に盛り込ませていただきました。
  163. 森まさこ

    森まさこ君 ありがとうございます。  基本法施行後一年以内に発足させると規定されているにもかかわらず、政府はこの部分を先送りをしているということになりますが、その理由をお聞かせください。大臣、お願いします。
  164. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 今、世耕さんが一年以内云々かんぬんと言ったわけですが、昨年の解散をしたときにはもう一年も過ぎておりまして、歴代自民党内閣がこの基本法どおり、一年以内に基本法に書かれたようなことはできないということが確定をしておったわけでございますので、今の段階でぬけぬけと一年以内がどうのこうのなんということを言われても、これはもう痛くもかゆくもない、つまり天につばする行為であると私は考えているわけであります。  それから、この基本法に書かれた機能の一元化でございますが、これは私どもは、幹部人事の内閣一元化に必要なもののみを今回は内閣人事局の機能として法律上書くと。そして、ここに形式的に書かれておるものを法律で書き込んだところで、それは二十九万七千人の公務員の処遇といいましょうか扱いといいましょうか、この人事に対する機能を、内閣人事局なりあるいは内閣人事局が統括する他の部局なり、つまり一元的に公務員問題を扱う部局をつくらない限り、つまり、もう一つ言いますと、人事院の代償機能をどうするのかということを確定させない限り混乱をするだけでいいことは何にもないと。  こういう判断をして、機能移管を幹部職員の問題、テーマ以外の部分は現在のところしなかったというだけでありまして、私は、この委員会議論でも、給与法を出す話、それから級別定数管理の話も、一体全体、この機能移管をされると言うんだけれども、じゃ、二十九万七千人の方々の勤務条件にかかわる部分について、級別定数管理も、二十九万七千人と三千人あるいは二十九万九千七百人と三百人を切り分けるような機能移管ができるのかということを聞いているんだけれども、それは明確なお答えをいただいたことはありません。
  165. 森まさこ

    森まさこ君 私も二人の子供を育てている母親なんですが、だれだれちゃんが悪いことをしたから僕もするんだよという、本当にそのレベルの答弁に聞こえてしまいます。自民党政権のときに一年が来ていて、していなかったということ、私ちょっと確認しておりませんが、もしそうだったら、それは本当に私は自民党として謝ります。しかし、そこで一年が過ぎているんだったらば、本当に国民に公務員改革を堂々と約束してできた民主党政権は、それをなるべく早くやるように努力するのが、それが普通なんではないでしょうか。先ほどの御答弁は、本当に消去法で残った仙谷大臣の御答弁とは思えない、天につばするどころか国民につばしているというふうに私には感じられてしまいます。  私は、今回の法案とちょっとずれるかもしれませんが、最後にどうしても仙谷大臣にお聞きをしたかったのは、政治主導法案というのが、またこれは政府の方が衆議院の方に趣旨説明のところまでですか、行ったようでございますが、やはりこの政治主導法案とこの国家公務員改革法案で一体となって霞が関改革、永田町改革をしようとしているのだと思います。  政治主導をつくるというのが鳩山政権のマニフェストの一丁目一番地でございますが、現在分かっているところでは、民主党の党職員が二十五名、内閣内閣官房専門調査員ということで入っていると。二十五名というふうに言われていますが、二十七名というふうに私の方には内閣府から正式なお答えがありました。二十五名なのか二十七名なのか、そのぐらいの方が中に入っている。これは政府からは無給であって、党からお給料が出ていると。党からお給料をもらっている方が国家公務員として中に入って、本当に国家公務員として公正中立な立場仕事ができるのかというふうに私は思うんですね。この国家公務員改革、幾らやっても、そんなことが一方で行われていては、国民の全体の奉仕者として働くということに対して、国民から見てなかなか信用できないというふうに思います。  総理は、公邸に入るに当たって史上最高の改修費を掛ける、総務省顧問で落選した議員の先生方にお金を支給する、これも税金でございます。そして、この政治主導法案が成立したら、この無給の民主党から入っている職員の方々には税金からお給料が払われるんでしょうか。これが月八十万円ぐらい払われるのではないかというような報道記事がありますので、これを仙谷大臣にどうしてもお聞きしたいことでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  166. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 内閣政務参事及び政務調査官でございましたか、政治主導法案には記載がされております。これは、公務員制度改革基本法のレベルでは戦略スタッフというふうな名前で書かれているわけでございますが、要するに政策スタッフで、特別職の職員ということになろうかと思います。  さあ、そこで、これをだれがどのように任命するのかということになるわけでありますが、どのような人を任命するのかということになるわけでありますが、これは党の有能な職員の場合も当然のことながらあるでしょう。そして、民間シンクタンクの職員の場合もあるでしょう。あるいは、大学の准教授、教授というような仕事を現在お務めいただいている方もおありになるんじゃないか。あるいは、地方公務員の方で、これお辞めいただいて、こちらの方に政治任用の特別職の公務員として、つまり政務調査官あるいは政務参事ということで来ていただくこともあると、こういうふうに私は思っておりまして、何か、すべて現在の、給与を党が持ちながら、政務調査員でございましたか、政務調査員という名前で連絡調整等々に当たっていただいている方々すべてが、何というんですか、そのまま横流れというか、横流しというか、何かそれでざざっとなるという話にはなっていないと私は考えております。
  167. 森まさこ

    森まさこ君 この民主党職員の方は、政務三役の随行でも何でもないのに意見交換という名目で米国に出張している、その旅費は税金から出されるということ、これは赤澤委員の調査に基づくものでございますけれども、二つ問題点が私あると思うんです。  給与をどこが出しているかという点で、今度、正式に国家公務員になって、そういう民主党の党職員さんの給与が付け回されるということは、これは税金の使い方としてどうなんだろうか、無駄遣いじゃないかという点と、もう一つは、国家公務員の公正中立性ということがやはり外から見た場合にどうしても疑われると。申し上げておきますけれども、自民党の時代にはそういったことはございませんでしたので、私は大変ここの点を疑問に思っております。  最後に、時間がまだ三分残っておるようでございますけれども、対案の提出者の方に今日は論点いろいろと用意していたんですが、時間がなかなか、答弁が長くなることもありまして質問できていないんですけれども、最後に、政府案との違いについて、まだ残っている部分がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  168. 世耕弘成

    委員以外の議員世耕弘成君) いろんな違いがあるわけですけれども、特に一つ、今のところしゃべる機会がなかったのは、やはり我々の中には給与体系の抜本改革というのが入っております。  民主党政権は人件費の二割カットということを言っておられるわけですが、残念ながら今回の政府案の中には給与体系に関しては一言も触れておられません。  これに対しまして、我々の法案の方では、給与制度の抜本改革を年内に行うというプログラムを盛り込ませていただいております。そして、幹部職の給与体系については、この我々が今回提出しております幹部国家公務員法の下で、幹部職は特別職として、一般職とは別体系として柔軟な給与制度を導入をしていくと。特に、任命権者が行政の遂行を最大限効率的に行う観点から、弾力的に運用できる制度にしていくということ、そしてまた、民間給与、退職手当の制度を参考にするということを盛り込ませていただいております。  そしてまた、一般職の給与体系については能力や実績に応じた処遇の徹底、そしてまた、高齢の職員については民間並みに給与抑制を図る、そして、より弾力的な降給等ができるよう、民間の賃金の在り方を参考に、これも本年中に抜本的な見直しを行い、法制上の措置をとるということを盛り込ませていただいております。この辺も政府案との大きな違いであります。  いずれにしても、仙谷大臣、先ほど痛くもかゆくもないとおっしゃいましたけれども、我々目指しているところは同じだと思うんです。ちゃんとした機能する公務員制度にして、そして、国民が非常に怒っている天下りについてはきちっとけじめを付けるということであります。我々も前向きに提案をしているつもりでございますから、是非とも修正協議に応じていただきたいということを申し上げまして、お答えとさせていただきたいと思います。
  169. 河合常則

  170. 森まさこ

    森まさこ君 はい。  ありがとうございました。修正協議に応じていただきたいということを私からも大臣にお願いをしたいと思います。  どうしてもこのマニフェストをめくっておりますと、今まで衆議院等で強行採決されてきたものをマニフェストと比べますと、選挙の前に何とかこれを通したいんじゃないかと。高校無償化法案、子ども手当法、地球温暖化基本法と、いろいろな強行採決が行われてきて、またおとといには放送法が強行採決をされました。そして、昨日では経産委員会で外為法でございますが、これはもう一日で、理事会も理事懇も開かずに委員長職権で趣旨説明から、一般質疑、参考人まで、一日で済ませた上での採決ということで、こんなようなことがこの参議院で、この委員会で行われることがないようにやはりお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  171. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数です。  前回に引き続き、標準職務遂行能力に関する質問をし、時間の許す範囲で内閣人事局の役割等についてお伺いをしたいと思います。  現行の標準職務遂行能力は、次官、局長、部長のそれぞれに定められておりますが、本法案施行後は、これらの幹部職は同一の職制上の段階に属するものとみなされ、一つの標準職務遂行能力に統一されることになります。  統一された幹部職の標準職務遂行能力としてどのようなものが定められるのか、現行のどの階級の標準職務遂行能力に近い形になるのか、お伺いいたします。
  172. 階猛

    大臣政務官階猛君) 先ほども議論があったところでございますが、今回、適材適所の人事を柔軟に行えるようにするために、事務次官級、局長級、部長級の官職を同一の職制上の段階に属するとみなすという定めを置いております。そして、これに伴って、事務次官、局長、部長の幹部職の標準遂行能力を一つに定める必要があります。  したがいまして、同一の職制上の段階に属する官職であれば、その職務を遂行する上で求められる能力についても、共通して一定のものが必要になるということですから、幹部職の標準職務遂行能力は現行の部長の標準職務遂行能力を基礎とする方向で現在検討しているところであります。
  173. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 統一された幹部職の標準職務遂行能力は、現行の部長の標準職務遂行能力を基礎として定められているということであります。現行の部長の標準職務遂行能力を見ると、担当分野において基本的な方針を示すことや冷静かつ迅速な判断等を行うことができる能力が定められています。  これを基礎に幹部職の標準職務遂行能力を定めるということは、担当分野における判断等を行うことができる能力があれば事務次官になることができるということです。事務次官は、部局を横断する大局的な判断等が求められる非常に重要なポストであり、担当分野における判断能力では務まらないのではないかというふうに懸念いたします。幹部職の標準職務遂行能力の統一により、能力の伴わない人材が事務次官になる可能性もあり、疑問符が付きます。  この点について大臣の御見解をお伺いいたします。
  174. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 先ほども礒崎さんと平野さんの例で申し上げましたが、つまり適格性審査の段階で私どもが要求する部長、審議官、その標準職務執行能力がある、それがあるというふうに認定された公務員方々は、特に今の霞が関の水準においては、すべて次の日から次官に位置付けられても立派にこなしていくというか立派に職務を果たすであろうと、そのレベルの職務遂行能力をお持ちの方ばかりだという、具体的にも私実感としてそういうふうに思っておりますし、その懸念はほとんどないのではないかというふうに、糸数議員の御懸念はほとんどないのではないかというふうに考えております。
  175. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 先ほども何度も質疑がございましたけれども、その懸念は払拭されるということで理解をしていきたいと思います。  次に、次官、それから局長、部長を同一の職制上の段階に属するとみなすという幹部職員人事の弾力化についてでありますが、国家公務員法は、第七十五条の身分保障の規定により本人の意に反する降任等を厳しく限定しており、勤務実績不良等の理由がなければ降任されることはありません。しかし、今回の法改正により、次官、局長、部長は同一の職制上の段階に属するものとみなされ、現行法上は降任となる次官から局長への異動等がすべて転任という扱いになります。  つまり、勤務実績不良等の特別の理由がなくても、通常の人事異動の形で事務次官から局長等への異動が可能になるわけですが、次官、局長、部長を同一の職制上の段階に属するとみなすことにより、事務次官から局長への異動については法律上は身分保障の問題が出てこないということでありますが、このような異動は、恣意的にその職を奪われることがないよう本人の意に反する降任等を厳しく限定するという法の趣旨に反するのではないかと危惧いたしますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  176. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) 今回の法律目的が官邸主導での適材適所の人事を柔軟に行うためということで、事務次官級、局長級、部長級の官職を同一の職制上の段階に属するとみなし、これらの官職間の異動を転任とする幹部職員人事の弾力化の仕組みを導入しているところでございます。  また、今回の法案においては、この幹部職員人事の弾力化のほか、幹部職員人事の一元管理の仕組みを導入しておりまして、本府省の部長級以上の幹部職が職務を遂行する上で共通に必要とされる能力の有無を判断する適格性審査を行うこととし、その基本的な進め方については、これまで述べさせていただきましたとおり、民間有識者等の意見も伺いながら、客観的かつ公正な実施の確保に努め、適格性審査に合格し幹部候補者名簿に記載されている者の中から個々の官職へ任用するに当たっては、任用しようとする官職についての適性を判断して行うこととし、この適性の判断に当たっては、人事評価等に基づき、個々の官職ごとに求められる専門的な知識、技術、経験の有無を考慮して行われる必要があり、これに反する恣意的な人事は許されないと考えております。  さらに、これまで述べてきましたとおり、総理及び官房長官との協議が必要になっており、この幹部職員の任命については複数の視点によるチェックが働くと考えております。  こうした仕組みにより、人事の公正を確保しつつ、官邸主導で適材適所の人事を柔軟に行うことができると考えておりまして、今回の法案公務員の身分保障を定めた法の趣旨に反するものではないと理解をさせていただいております。
  177. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 事務次官から局長への異動等についても、公正な人事評価、業績評価に基づき行うことにより恣意性が排除され、公務の中立性そして安定性の確保という身分保障の趣旨は損なわれないということであります。確かに、公正な人事評価、業績評価に基づき異動を行うことにより恣意性は排除されるかもしれません。しかし、身分保障の規定は本人の意に反する降格等を厳しく限定するものであり、その異動についての本人の理解、納得というものが重要となります。事生活にかかわる給与ということでは、理解はしていても納得がいかないのではないでしょうか。  事務次官の現在の例えば年俸約二千三百万円、局長が一千七百五十万円、部長が約一千六百万円です。次官から部長級に異動になった場合、約七百万円もの年収減ということになるわけですが、このように、給与が下がるということも含めて、格下げのような人事に幹部職員は納得できるのでしょうか。幹部職員の理解、そして納得を得るための方法を何か検討されているのでしょうか、お伺いいたします。
  178. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) 糸数先生、今回のこの仕組みというのは、できるだけ柔軟にそれぞれの政権が要請する政策の立案、そして実行にふさわしい方を配置をしていくという趣旨で今回の一元管理ということを導入をさせていただいておりまして、今回の法案に基づく異動が行われた場合に給与の減額を伴うこともあり得ますが、これは一般職の職員の給与に関する法律第六条の二の規定に基づき、転任後の官職の職務と責任に応じて求められる号俸に給与決定される結果でございます。人事管理は組織運営の要諦であり、個別具体の人事については、官職についての適性があると判断されることを前提としつつ、重要課題への対応の必要性、職員全体の士気の維持向上、さらには組織運営への影響などについても十分考慮の上行われるべきものと考えております。  なお、国家公務員法においては、その意に反して甚だしく不利益な処分を受けた職員は、独立性の高い第三者機関である人事院に対し不服申立てをすることができると規定されておりまして、仮に職員から審査請求があった場合には、人事院が処分の適法性、妥当性を審査し、その承認、修正、取消しの判定を行う仕組みが存在をしております。  以上でございます。
  179. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 人事におきましては本人の納得は非常に重要であります。幹部職員の理解、納得が得られるよう、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。  次に、幹部候補者育成課程についてであります。    〔委員長退席、理事泉信也君着席〕  国民本位の行政を実現するためには、内閣の人事管理機能の強化を図り、内閣主導で適材適所の人材を登用する必要があるということで、本法案においては、幹部職員人事の一元管理に関する規定を創設しています。国民本位の行政を実現するためには、幹部職員の一元管理を行うこととともに、その幹部職員にふさわしい人材を早い段階から育てていくことも重要であるというふうに考えます。  国家公務員制度改革の基本方針を定める国家公務員制度改革基本法では、幹部職員の候補となり得る人材を計画的に育てる幹部候補育成課程について規定がされております。この規定に基づき幹部候補育成課程を整備する必要があると考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
  180. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) 糸数先生の御指摘は全くそのとおりでございまして、一昨年の基本法の中で、幹部職員の育成課程について、基本法なんですけど細かく規定をされておるということは、それだけ公務員の、幹部職員については特にだと思うんですけれども、時代に求められる能力、国際的な能力あるいは多岐にわたる能力と経験が求められるということで、幹部職員の育成課程については非常にポイントを置いているところだと考えております。  その中で、内閣人事局を設置し幹部職員人事の一元管理を行うこと等を主眼とする今回の法案に続いて、これまで仙谷大臣が指摘をしております使用者機関の在り方を含む公務員制度の抜本的な改革を加速していくところでございまして、こうした抜本的な取組の中で、幹部候補育成課程の具体的な在り方について、内閣人事局における幹部職員人事の一元管理の実施状況を踏まえつつ、総務省人事院等からの機能移管、官民の人材交流、採用試験在り方等の課題と併せて総合的に検討し、具体化してまいる所存でございます。    〔理事泉信也君退席、委員長着席〕  この点につきましては、幹部候補育成課程について、恐らくそんなに大きな意見の対立があるとは私、個人的には考えておりません。非常に大切なところでございますので、基本法の趣旨をしっかり踏まえて制度設計をしていきたいと考えております。
  181. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 幹部職員のその候補となり得る人材の計画的な育成は非常に重要であります。今後の第二弾、第三弾の改革でしっかり行っていただきたいというふうに思います。  次に、内閣人事局についてお伺いいたします。  内閣による幹部職員人事の一元管理を担う体制として設置される内閣人事局についてでありますが、まず、内閣人事局の役割、具体的な所掌事務と規模について説明をお願いいたします。人員については、国家公務員制度改革推進本部事務局からの移管人数も明示していただければというふうに思います。
  182. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) お答えをさせていただきます。  今回の法案により新たに設置される内閣人事局は、幹部職員人事の一元管理を実現し、官邸主導で適材適所の人事を柔軟に行えるようにするため、適格性審査、幹部候補者名簿の作成、任免協議などに関する事務を担うほか、公務員制度改革を総合的かつ集中的に行う観点から、これまで国家公務員制度改革推進本部事務局が担ってきた改革推進機能も一体的に所掌することとしております。  また、内閣人事局の人員規模については、現状四十名程度の事務局から引き継がれる部分を含め、現段階では当面、局長以下五十五人程度を想定しておりますが、他の内閣官房の部局と同様、時々の行政需要に応じ弾力的に人員配置されるものと考えております。
  183. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 四十人程度ということでありますけれども内閣人事局設置後、国家公務員制度改革の推進に対する企画立案、そして総合調整等の事務を担う部署に想定されていくということも考えていきますと、やはりこの人員の対応についても御配慮いただくようにお願いを申し上げまして、もう一問通告してありましたけれども、次回に回しまして、一言、仙谷大臣にお願いを申し上げたいと思います。  今、沖縄県民が選択をいたしました政権交代、これは県民が鳩山政権を誕生させて、自公政権とは違う、民意を第一に、在日米軍の在り方やそれから沖縄の米軍の基地負担に対するいわゆる軽減策を期待をいたしまして、何としても政権交代を果たしたいということで昨年実現をいたしました。しかし、そういう状況の中で、なぜあの沖縄の県民の民意を無視して米国との合意を優先させるのか、現在の内閣在り方に大変疑問を持ちます。そして、理解に苦しみます。  沖縄県民の怒りや落胆、悲しみというのは言葉では言い表せないくらい大きいものがございます。この場で鳩山内閣に御認識をいただきたいのは、どのような日米合意がなされ、共同声明が出されても、辺野古に新しい基地は造れない。このことは一九九六年のSACO合意から今日に至るまで約十四年、県民はひたすら新基地建設反対を訴えて、あの辺野古のきれいな海に、くい一本打たせませんでした。  今、鳩山内閣がやろうとしていること、本当に県民は今失意のどん底にございます。しかし、鳩山内閣がこの沖縄県民の決意とその運動の歩みを今是非理解していただいて、辺野古への普天間の基地の県内移設を是非撤回していただいて、むしろ米国政府と、県民の意思をしっかり受け止めて交渉していただきたい。それには私はまだ時間があるというふうに思っております。  仙谷大臣には沖縄県民の良き理解者となっていただきたい、そのような思いを込めて、できましたら、一言お願いをしたいと思います。
  184. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 糸数先生もよく御存じの私の秘書が那覇で県会議員をしております。時々沖縄にも寄せていただきますし、辺野古も見させていただきました。沖縄国際大学にヘリコプターが落ちたときにも、それほど日を置かない段階で、まあ古い民主党の政調会長という立場もあったわけでありますが、視察に行って、焼けただれたあの植木といいましょうか、木も見ております。  今も、この普天間の移設問題というのをほとんど、閣内の一員ではあるわけですが、担当からはちょっと外れたところでおりますので少々傍観者的な立場でございます。そうであってはいけないし、内閣の一員としてはもちろん責任を引き受けたいと思っているところでございますが、ただ、この間私は、今おっしゃったように十四年間膠着した状態で事態が余り動かなかったと、その原因は何かということもよく考えなければいけませんし、そして、ずっと戦後、ある種繰り返してきた沖縄処分というふうな、実質的に沖縄処分と言われるようなことが繰り返されてはならないと。ただ、そのことと、この間の十四年間の歳月と、さらにこれを短時日で解決するということの難しさということを併せて感じております。  そういうことをもろもろ感じながら、やはりこの問題は拙速はいけない、それから時間を掛けなければ解決しない、しかし沖縄の方々にとってはそれほど時間がないという大変難しい条件の中で、鳩山総理も、沖縄の方々のお気持ちとか置かれた環境が分かる分だけ、ああいうふうにとらえてこの間悩んでいらっしゃったんだろうなと仄聞をいたしまして、つまり、政治は情緒と感性だけではできませんので、大変悩ましい問題、問題というか、悩ましい決断が必要だということなんだろうと思いますが。  しかし、この問題は、私から見れば、大きいアジアの安保、それから歴史的な事柄すべてを含めて、やっぱりもう少し、もう相当の時間を掛けないと解決できないのかなと思ったりしておるというのが私の一言でございます。
  185. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。
  186. 河合常則

    委員長河合常則君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十一分散会