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2010-04-19 第174回国会 参議院 総務委員会、内閣委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年四月十九日(月曜日)    午後零時三十分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。    総務委員会     委員長         佐藤 泰介君     理 事                 加賀谷 健君                 武内 則男君                 林 久美子君                 礒崎 陽輔君                 世耕 弘成君     委 員                 高嶋 良充君                 土田 博和君                 外山  斎君                 友近 聡朗君                 那谷屋正義君                 内藤 正光君                 長谷川憲正君                 吉川 沙織君                 木村  仁君                 谷川 秀善君                 溝手 顕正君                 魚住裕一郎君                 澤  雄二君                 山下 芳生君                 又市 征治君    内閣委員会     委員長         河合 常則君     理 事                 芝  博一君                 柳澤 光美君                 泉  信也君                 古川 俊治君     委 員                 大塚 耕平君                 金子 恵美君                 工藤堅太郎君                 行田 邦子君                 姫井由美子君                 平野 達男君                 秋元  司君                 市川 一朗君                 岡田  広君                 山本 香苗君                 中川 義雄君                 糸数 慶子君    国務大臣        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地域主        権推進))    原口 一博君        国務大臣     仙谷 由人君    副大臣        内閣府副大臣   大塚 耕平君        総務大臣    渡辺  周君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        津村 啓介君        総務大臣政務官  小川 淳也君        厚生労働大臣政        務官       山井 和則君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 秀行君        常任委員会専門        員        塩見 政幸君    政府参考人        内閣法制局長官  梶田信一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○地域主権改革推進を図るための関係法律の整  備に関する法律案内閣提出) ○国と地方協議の場に関する法律案内閣提出  ) ○地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  )     ─────────────    〔総務委員長佐藤泰介委員長席に着く〕
  2. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) これより総務委員会内閣委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会会議を主宰いたします。  地域主権改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案、国と地方協議の場に関する法律案地方自治法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は、お手元に配付いたしました資料により御了解願い、その聴取は省略いたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 姫井由美子

    姫井由美子君 おはようございます。民主党姫井由美子と申します。あっ、こんにちはでした、済みません。皆様の御厚意に感謝をいたしまして、質問をいたしたいと思います。  本日は、内閣委員会との連合審査ですので、最初に、鳩山政権改革の一丁目一番地と位置付ける地域主権改革について、その基本的なところから質問をしたいと思います。  四月七日、参議院会議答弁で、私どもの武内委員代表質問に対しまして原口大臣は、地域主権地方分権の違いについて、地方分権というのはこれまで中央にあった権限地方に分け与えていくことであるが、地域主権とは国民が自らその地域を自らの責任においてつくっていくことであると説明をされています。  前政権時代地方分権と現政権地域主権とはどのように違うのか、もう少し更に詳しく御説明をお願いしたいのと、また、前政権時代には道州制の導入を盛んに議論をされておりました。  実は、私の岡山県でも、知事以下、この道州制議論に非常に推進派でした。しかし、民主党政策では、現行都道府県の枠組みを基本として、広域連合都道府県合併、さらに道州制を検討することとしております。  原口大臣は、これまで議論されてきた道州制についてはどのようにお考えでしょうか。地域主権改革との関係を踏まえて御説明をお願いしたいと思います。
  4. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 姫井委員にお答えいたします。  姫井委員に一番最初お会いしたのは、たしか委員県会議員をされているときだったと思います。岡山政経塾の集会で、私、講演させていただいて、そこに、ああ、こんな元気な人がいるんだな、本当に感激をいたしました。  その意味で、まさに今委員がおっしゃったように、地方分権、これは私たちは否定しているものじゃありません。しかし、ともすればこれまでは中央政府が持っている様々な官僚機構やあるいは政治権限地方行政機関に分け与えていくんだと、こういう意味で使われることが多うございました。  しかし、私たちは、そもそも憲法に書いてある国民主権の中で、自らの地域を自らの責任においてつくり上げていく、まさに地域をつくることなくして国をつくることはないわけでありまして、あるいは地域伝統や、岡山にもたくさんの歴史文化伝統がございます。私も岡山県で政治を学びました。私は津山に参りまして、大変きれいな都でございますけれども、そこで歴史文化の貴さというものを学ばせていただきましたが、自らの歴史や自らの地域についての伝統を学ぶことなくして国に対する思いというものも出てきません。  まさに、前政権時代地方分権ということは随分言われました。そして、ある意味で進んだところもございますが、分権改革推進委員会の四次勧告に至るまで、やはりたくさんの課題を残していることも事実でございます。  また、道州制についても、私たちは、例えば国で決めて八つの道州に今のピラミッドの機構を移したからといって、それは真の意味での地域主権になるとは考えていません。私たちも、例えば岡山県が近隣の県とお話合いになって、基礎自治体が、その皆さんが道州を目指すというのであれば私たちもそれを支援していきたいと思っていますが、まずは今の国に集中している権限を、地域の方が自ら地域をつくることで基礎自治体権限を移譲し、そしてより近いところで自らのサービス、あるいは自らの税金の使い方をチェックする、これが私たちが目指している地域主権改革の姿でございます。  是非また県会議員としてのお知恵もいただいて、岡山の豊かな伝統まちづくり知恵を私たちにも授けていただきたい、このように考えています。
  5. 姫井由美子

    姫井由美子君 津村政務官津山が祖父母の出身ですので、関連があるかと思います。  県会議員時代地方分権の勉強に北欧デンマークに行ってまいりました。例えば、A市では育児休暇が手厚い、B市では幼児保育が手厚い、Cの町では就学後の子供の教育が手厚いということで、住民がそれぞれ市を選んでいくんですね。こういった、いい意味での行政サービスの競争が私は地域主権の行き着く先ではないかと思っておりますけれども、うまくいかなければ地域格差が広がる可能性があります。原口大臣自ら、十二月十四日の地域主権戦略会議の第一回会合でそういった旨のことを述べておられますけれども、この地域格差を是正していく財源がこれからの日本にはないという意味も含まれている発言だったのではないかと思います。  私も、我が国の今の財政状況考えると、そういった地域格差をすべて国力で是正をしていく、そのフォローは難しいかと思います。しかし、それがすべてリーダー責任に問われるのではなく、地理的、物理的な原因で出遅れる自治体もありますので、このような格差について今後どのように考えていくか、これから重要な問題になってくると思いますので、この点に関しての原口大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  6. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 委員がおっしゃるように、地域主権改革をやったからといって、まさに、国民が学ぶことなく、地域の方が学ぶことなく、漫然と今までと同じような依存と分配のリーダーを選んでいればそれは逆に格差は広がっていきます。ですから、この改革は何も甘いことを言っている改革ではなくて、責任改革だと。だれがどこに責任を持つのかと、主権者が自らの地域を自らの責任においてつくっていく。そういう意味では、今委員がおっしゃったように民主主義がうまく機能しなければ、かえって公共サービス格差は広がっていくことにもなりかねません。  しかし一方で、今委員がおっしゃったように、三位一体改革の様々な地方への大きなしわ寄せといいますか、そういったもので自らの地域がどうしようもなく格差が広がっているところもございます。  土曜日には、私、夕張を訪れました。五十年以上も前の石炭の炭鉱時代の住宅が、そうですね、もうおふろもなくて、むき出しのコンクリートブロックに囲まれた狭い部屋に独居の高齢者の方がお住まいでありました。じゃ、この方にその責任があるのだろうか、あるいは、この夕張の今の状況をその市の人たちだけの責任にできるのだろうかと。私はその答えはイエスとは言えないと思います。  ですから、私たちは、今回地方に向かう交付税を一・一兆円増やしましたし、来年度予算、御審議を賜り、御議決いただきましたけれども、より財政力の弱い地域あるいは過疎の地域、こういった地域傾斜配分ができるようにという様々な施策を行っているのも、今委員がおっしゃったように、自らの力だけではどうしようもない地域、あるいは公共サービス格差、これ以上拡大できない、是認できない格差というものもあるからにほかならないと、このように考えています。
  7. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございます。  確かに、そのリーダー首長を選ぶのは各住民であり、そういった選んだツケというものが回ってくるという部分もあるかと思います。そして、だからこそ住民がそれぞれしっかりと地域のことを勉強していかなければいけないという、これからの住民改革というのですかね、それも必要ではないかと思っておりますけれども、ただもう一つリーダーだけが賢ければ、いいリーダーであればいいかというとそうではなくて、地方自治体全体の能力向上も必要ではないかと思います。  原口大臣は、同じ本会議答弁の中で、地域主権改革とは、地域住民自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようにするための改革である、その担い手である地域住民自治体関係者地方自治体経営政策能力向上に努めることが何よりも重要であると述べていらっしゃいます。  自治体関係者からは、政策能力のある人材を抱えるのが現実にはなかなか大変であるという話をよく伺います。そういう現実がこれまで地方が国に依存してきた一因であるとも私は思いますけれども、地方自治体政策能力を持つことはこれから地域主権前提条件だと思いますけれども、この前提条件を備えるためにどうすればよいとお考えでしょうか、お伺いいたします。
  8. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 大変大事な御質問だと思います。  私も二十七で県会議員をさせていただいたときに、私の佐賀県は二十六年間同じ方が県会議長をされていて、県会議員さんの平均年齢というのも九州一高かったです。そして、何かを言えば、いや、今ごろ来た二十代の人間が何を言うんだというような風土が二十五年ぐらい前にはありました。しかし、そのときに私たちは横のネットワークをつくりました。例えば、当時の佐賀県ではこれが常識であるものも、岡山県では違う、あるいは富山県でも違う、愛媛県でも違う。やはりお互いの横のネットワーク、学び合うということがとても大事だというふうに思います。  地方自治体首長、職員や地方議員、そして地域にお住まいの方自らがそれぞれの意識改革に取り組むとともに、地方自治体経営政策能力向上に日々努める、まさに委員がおっしゃることはとても大事だというふうに思います。  そこで、広域自治体である都道府県や国が、人材の派遣やあるいは人材育成協力も含めて、こうした基礎自治体レベルの組織の支援をしていくことは大変重要であるというふうに考えています。  先ほども、渡辺大臣と島根県のある町のお話をしていました。そこは非常に交通の便は厳しいところですけれども、自らがもういろんな手当も要らないよと、あるいは町長さん自らがお給料を半分にしてもみんなでつくっていこうと、三百六十五日そこは窓口を開けているそうであります。  そういう全国自治体の先進的な事例も総務省として積極的に情報提供をして、そして、今、あれができない、これができない、ともすれば内向きな議論が多うございますけれども、いや、ここを突破すればできるんだと、そういうできるの方の例をたくさんお示しをしていきたい、そして、人材交流を通して意識改革も同時に進めてまいりたい、このように考えています。
  9. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございます。是非、いろんな情報を各地域に発信していただきたいと思っております。  さて、現政権には地域主権戦略会議行政刷新会議という二つの重要な会議があります。これに関連してお伺いしたいと思います。  一つ例を挙げますが、日本消防協会という財団法人があります。平成二十年度はこの法人に国から補助金四千四百万円が投入されております。そして、日本消防協会会長は、平成十八年五月三十日から、だれとは言いませんけれども、元消防庁次長が務めておりまして、任期が今年の五月二十九日までとなっておりますけれども、再選される可能性はあります。ほかにも消防庁からの天下りが在職しておりますけれども、補助金が投入されているからこそ、このような国の官僚天下りが在職しているわけではないかと思っております。上部団体天下り官僚がいて、国の影響力が各地域構成団体に及ぶというのは、やはり地域主権理念に反するのではないかという気がいたします。  行政刷新を進めると地域主権改革を進めることになり、地域主権改革行政刷新お互いに補完し合って効果を発揮していくのだと思います。地域主権戦略行政刷新との連携についての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。  また、通告しておりませんでしたけれども、消防協会につきましては、先日、四月五日、参議院決算委員会での大久保勉議員質問に対しまして、原口大臣からは、不透明でいわゆる公益特定政治活動に地位をもって利用することはあってはならない、実情を政務三役で検討するとお答えになっておりますけれども、現状でどのような検討がなされているのでしょうか。分かる範囲内でお願いいたします。
  10. 原口一博

    国務大臣原口一博君) まず後段からお話をしますと、政務三役会議議論をいたしまして、全国のいわゆる政治利用について調査をすることにいたしました。やはり補助金が入り、そして、大切な地域住民の財産と生命を守る、こういう大きな使命に燃えた方々集団でございますが、そういう集団であるからといって特定の不透明な政治利用はできませんので、そういった観点から調査ということにいたしております。  また、行政刷新会議地域主権戦略会議でございますけれども、地域主権戦略会議法制化後は内閣府に置かれる重要政策会議となり、総理を議長としまして、関係大臣と有識者を構成員として、地域主権改革戦略検討具体化推進を図る、まさに改革の司令塔になります。行政刷新会議は、まさにあの事業仕分に象徴されるように、私たち行政改革のエンジンであります。  今委員お話しになった特定団体、具体的なことについては私は触れませんけれども、HAT—KZシステム補助金天下り、そして特別会計随意契約、そして官製談合、この五つを私たちは今調査をしています。五代連続天下りポスト、あるいはあっせんによる天下りというものをこの政府天下り定義をしていますが、本当にそれだけなのかと。実際に検査機関が、その検査による権限を利用して、そして暗黙の圧力の下で天下りを受け入れている例、これは人質型天下りって言います。あるいは持参金型天下り特定公益法人天下りを受け入れれば、そこに補助金が行くと。あるいは新たな創業型の、目と目を合わせて、これとこれをつくろうじゃないかと新たな民間企業を立ち上げて、そして天下りをすると、こういったことについてもあるんじゃないかと。  実際に多くの方から御意見をいただいています。六月をめどにこういう天下りについても、天下りと思われる、今の政府あっせん天下りって言っていますから、それ以外の天下りと思われる事案についてもすべて明らかにして、国会に御報告をしたいというふうに考えております。  以上です。
  11. 姫井由美子

    姫井由美子君 是非大臣自ら現職、前職とも調べていただきたいと思います。日本消防協会は、歴代自民党国会議員会長をしておりますし、消防協会会長をいたしますと、財団法人消防育英会会長あるいは全日本消防共済会会長等、いろいろと歴任しておりますので、よろしくお願いをいたします。  それでは最後に、民主党は三十万人程度の基礎自治体について政令市並み権限を移譲するという方針をマニフェストで掲げております。基礎自治体への権限移譲について、中央省庁はかなり及び腰になっているといううわさも聞いております。各府省庁権限移譲できるかどうかについて回答を求めたところ、三月末の集計で条項ベースで二六%、項目ベースで三五%しか権限移譲するという回答がなかったということです。鳩山内閣一丁目一番地の改革です。是非行政全体で積極的に取り組むべきだと思います。  この数字に関して、原口大臣の御感想をお伺いしたいと思います。
  12. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 報道ベース数字が結構センセーショナルであったために、地域主権改革大丈夫かというお話をいただきました。現実に、先ほど項目ベースで三五%、条項ベースで二六%、この結果は三月三十一日の地域主権戦略会議報告をしたものであります。  ただ、各省の言い分を私がなぞる気はありませんけれども、その中には、補助金とセットであるもの、あるいはまだ、この国会でも御議論をいただいていますけれども、中央政府で一律に基準を決めなきゃいけない、中央政府がそのことを放しちゃいけないんだというようなお話がございます。  私は、そういうものに対する議論をしっかりと分解して、例えば高齢者障害者支援策どうなっているのか、国と地方でどうなっているのか。県と市町村事務権限が分かれていることで何が起きているのか。例えば、一例を挙げますと、身体障害者手帳交付介護保険事務所の指定、特養老人ホームの認可、これは委員がなさっていた県の仕事です。しかし、介護保険社会福祉現場事務市町村がやっているんです。町づくりについても、商店街整備計画の認定や開発行為や農振法の許可は県がやっています。しかし、市町村にはそれに当たる権限はないんです。  まさに現場を知る人が現場で決定をし、そして現場を支える、この形にするんだということを強力に進めてまいりますので、是非委員の強い発言力と、そして説得力地域主権改革に御協力をいただきたいと思います。
  13. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございました。是非現場の分かりやすい役割分担を進めていきたいと思っております。  今回のこの地域主権は、国と地方が対等な関係になるという新しい政治の仕組みだと思っております。是非、一緒に取り組みたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  14. 古川俊治

    古川俊治君 続きまして、自由民主党古川俊治の方から質問を続けさせていただきます。本日、質問の機会を与えていただきまして、総務委員会先生方に深く感謝申し上げます。  主権地域主権という話なんですけれども、その定義については内閣設置法の四条一項三号に記載されております。ただ、少なくとも主権と言っているんですね、地域主権主権。そう言うからには、これに意味があるんだと思いますけれども、その主権という意味は何なんでしょうか、原口大臣
  15. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 主権という意味講学上、以下の三つ意味に用いられます。現行の法令上も同様の意味で用いられています。一つは、国家権力がほかのどんな力にも制約されず最高、独立であること。これは主権国とか非主権国という言い方をしますね。あるいは国民及び国土を支配する権利。統治権、国権と同義に使われます。  私たちがここで言っている主権というのは、まさに憲法前文にあるサバランティー、つまり国政在り方を最終的に決定する力。国民主権君主主権等の使われ方がありますけれども、まさに主権在民主権でございまして、地域主権とは、憲法前提としつつ、地域のことは地域に住む住民責任を持って決める、活気に満ちた地域社会をつくるための改革の根底を成す理念として掲げているものでございまして、サバランティーという言葉には、まさに自主的にという意味がございますけれども、国民主権の内容を豊かにする方向性を示したものと御理解いただければ有り難いと思います。
  16. 古川俊治

    古川俊治君 原口大臣、今のは私も同じ辞書を引きまして、法律学用語の辞典の第三版というやつで、有斐閣のやつですね、そのように出ておりまして、私も現行法を全部網羅して、この三つ、少なくとも三つ意味に用いられたことを確認いたしました。  その上で伺いますが、そうすると、一番の意味国政在り方を最終的に決定する力という意味主権を使っているというふうになりますと、地域在り方を最終的に決定する力は地域が持つという趣旨でよろしいでしょうか。
  17. 原口一博

    国務大臣原口一博君) まさに先ほど申し上げました国政在り方を最終的に決定する方々、つまり国民主権を持つ方々が、国民主権のその主権の存する国民が自らの地域責任を持ってつくると、こういう意味でございます。
  18. 古川俊治

    古川俊治君 ですから、そのとおりに読みますと、地域在り方を最終的に決定するのは地域であると、地域のことは責任を持って地域が決めるということですね。今、大臣がなぞらえて、それを地域の力、そういうふうにおっしゃっていますから、そういうことだと思います。  それは、じゃ後でもう一度お聞きしますけれども、今度、地方という言葉の場合は、憲法上、地方自治というものが保障されておりまして、地方公共団体定義も確立しております。制度の上でも主体が明確だと私は考えているんですが、地域主権、この地域と言う場合、地域とは何なんでしょうか、一体。
  19. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 今委員がおっしゃった地方という言葉は、国あるいは中央政府に対するまさにルーラルな地域、このことを地方というふうに呼ぶ場合があります。  私たちが言っている地域というのは、まさに、単なる東京から離れた地域ということではなくて、自らが自らの主体性を持って、先ほど基礎自治体お話がございましたけれども、自らがつくり上げていくその身近な存在、憲法九十二条にある補完性の原理に基づいて、地域のことは地域でと言う場合に使うその地域のことを申し上げているところでございます。
  20. 古川俊治

    古川俊治君 そうすると、憲法九十二条にある補完性の原理を裏付ける言葉として地方はふさわしくないという御理解ですね。
  21. 原口一博

    国務大臣原口一博君) これは地方を排除しているものではありません。私たちは、緑の分権改革ということでも言っていますし、地方分権ということを、それを排除するものではございません。
  22. 古川俊治

    古川俊治君 そうすると、地方地域の違いは何なんでしょうか。明確にお答えください。
  23. 原口一博

    国務大臣原口一博君) まさに、中央から遠ければ遠いほど価値が低くなる、そういう意味地方と使うときがございます。私たちは、基礎自治体日本の中の津々浦々の様々な自治体あるいはきずなを持ってつくってくださっているところについて、より積極的な、自らがつくっていくという意味を込めて地域という言葉を使っています。
  24. 古川俊治

    古川俊治君 東京地方、関東地方という言葉も使うと思いますけれども、別に離れているかどうかの問題ではないと思いますけれども、その地域のことを地方と言っているんじゃないですか。
  25. 大塚耕平

    ○副大臣大塚耕平君) 委員から御下問の質問はいろんな方々から時としてお受けをするわけでございますが、地域的な広さでいえば、今まさしくおっしゃったように関東地方とか東海地方、そういう広域性と比べると、地域の方がより住民に身近なという意味合いが込められているものというふうに理解をしております。そういう観点でいうと、若干、広域性、狭域性の面で区別ができるものではないかなというふうに理解もしております。
  26. 古川俊治

    古川俊治君 一般的に用いられている地方とか地域、これはもう国民の間でも用いられている言葉を、勝手に意味というのを政府は解釈すべきでは、つくるべきではないと思っています。これ以上繰り返してもしようがないんで、次に行きますけれども。  地域主権、これは実を言うと法律上の新語であるというふうにお聞きしていますけれども、この点、先日の礒崎議員の質問に関して法制局から、地域主権というように複数の単語を組み合わせた複合語で、個々の単語を単に組み合わせた意味を超える意味を表すこととなった熟語であって一般的な辞書に掲載されていない用語であるとすれば、可能な限り調査した結果、政府提出法案の題名中そのような用語を用いた例はなかったと言っているんですね。  ということは、この法案の場合、わざわざ辞書にも載っていない新語を使ったということになるんですが、それはなぜなんでしょうか。お答えできるのならば、だれでもいいです。答えてください。
  27. 大塚耕平

    ○副大臣大塚耕平君) もう委員は既に法案の内容をよくお読みいただいていることかと思いますが、地域主権改革という言葉定義をさせていただいております。そして、この地域主権改革ということが、この国の抱えている今国と地方関係における課題を解決する上で非常に重要な観点から定義すべきものであるということから定義をし、この法律を提出させていただいた次第でございます。
  28. 古川俊治

    古川俊治君 それは地域主権があるという意味でしょうか、原口大臣
  29. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 地域主権があるという言い方を私たちはしておりません。
  30. 古川俊治

    古川俊治君 法文の理解というのは、これ司法上どこでもそうなんですが、一般の社会通念に従ってなされます。これは実務上、そうじゃないと日本語であるべき法文が読めませんので、そのように理解するんですけれども。  一般社会通念では、国民主権といえば国民、まさに国民主権があることを言っているんですね。国家主権といえば国家の主権意味しています。地域医療といえば地域の医療のことを言っているんですよ。地域産業といえば地域の産業です。そうであれば、地域主権を、これを社会通念に従って読めば当然地域主権があることになるんですけれども、あるいは地域主権という意味ですね。そうではないというのは、これは明らかに一般社会通念に反していると思うんですけれども、内閣法制局、この点、いかがなんでしょうか。
  31. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) 委員御承知のとおり、地域主権という言葉、これは政府が閣議決定等におきまして用いてきた言葉でございます。  こういった言葉を法律で使用することについてどうかという趣旨であろうと思いますが、一般的に申し上げまして、内閣により重要な施策を推進する、それに関して用いられるような用語につきましては、その施策を推進するために内閣が法案を今回のように提出する場合には、その用語をその法案におきまして使用することをまず検討すること、これは内閣政策を明らかにするという意味でむしろ自然なことではないかというふうに私どもは考えているところでございます。  今回の法案におきましても、鳩山内閣の重要課題であります、法律で定義しております地域主権改革というものを推進するための法案であるということで、その地域主権改革あるいは地域主権というのは、政府が取り組もうとしておる政策を示す語として既に閣議決定等におきまして用いられておるところでございまして、私どもとしては相当程度定着しているのではないかというふうに考えておるところでございます。  こういったことから、法案の目的、内容に照らしまして地域主権改革という用語が最もふさわしいということで法案に使用したところでございます。
  32. 古川俊治

    古川俊治君 ちょっと長過ぎますよ。短い質疑時間ですから、もっと的確に答えてください。  今のお話ですと、地域主権という言葉が、既に今の現政権がその言葉を取り扱っているから一般社会通念になったということでよろしいですか、まとめると。そういうことですね。
  33. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) 一般的に辞書で用いられている言葉ではございませんが、私ども政府の行います施策としてこういう言葉を使ってきておるところでございます。それを使わせていただいたということでございます。
  34. 古川俊治

    古川俊治君 国民が今地域主権と聞けば、当然、一般国民ですよ、地域主権があること、あるいは地域主権意味するんですよ。  今長官のお答えは、地域主権という言葉は、新政権地域主権と言って政策を進めてきたから、もうそれでそれを法文に、その新語を辞書に載っていなくても使うことは問題がないというお答えでしたけれども、一般社会通念に従っているというお言葉でございましたけれども、この社会通念というのは、国民が本当に日々生活していく中でその基盤となる意識であって、本当に多くの日常的な出来事を通じて長い時間を掛けてこそ変わってくるんですよ。そういうものをいきなり、政府が替わって政策として取り上げたからって、それが社会通念が変わるというのは余りに傲慢なんじゃないですか。  どう考えるんですか、法制局長官。
  35. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) これを使わせていただいたことにつきまして今申し上げたとおりでございますが、法令上の用語といたしましては地域主権改革という言葉を挙げまして、それで、いろんな今のような御議論があるかと思いますが、法令上は具体的にこの地域主権改革定義、意義をはっきり書きまして、現に法案の中に書いておるところでございます。
  36. 古川俊治

    古川俊治君 ですから、地域主権というふうに取れる用語を、違った定義をすることを許容すること自体が問題だと私は申し上げているんですよ。  それは、だから、今のお答えですと、もう既に使われているからそうしたというお答えですけれども、それは辞書にも載っていないし、地域主権という言葉が、その示す意味が本当にふさわしくなければしようがないじゃないですか。  これ以上繰り返してもしようがないんで、次、申し上げますけれども、(発言する者あり)これ、繰り返しても同じこと答えると思いますので。  地方分権という言葉があります。いいですか、地方分権という言葉がございまして、先ほどの姫井委員もおっしゃっていましたけれども、鳩山総理自身、二十一年の十月八日、これ地方分権改革推進委員会の三次勧告について、勧告が最大限実現されるよう内閣を挙げて速やかに取り組む所存であるという談話を発表しているんですね。また、十二月十五日には、この第三次勧告の中心である国と地方協議の場の法制化や、義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大を内容とする地方分権推進計画を閣議決定しております。  今回の法案はこの閣議決定に従ってできてきているという経緯なんですけれども、そうすると、まさにこれは地方分権なんじゃないですか、やっていることは。
  37. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 地方分権改革推進委員会は旧政権において設置された委員会であり、そして、そこでの勧告を総理は最大限尊重するということをお話をされました。  ですから、委員質問意味が私にはうまく取れませんけれども、私たち地方分権という言葉を何も排除しようとしているわけじゃないんです。今まで長く続いた中央集権の体質から脱却して、地域の方、住民一人一人が自ら考え、主体的に行動し、その行動と選択に責任も伴う地域主権へとこの国の在り方を大きく転換していく、これが平成二十一年の九月十六日の閣議決定でございます。この閣議決定に沿って法律を作っています。
  38. 古川俊治

    古川俊治君 質問意味が分からないというのは、簡単な質問ですよ。地方分権改革地方分権推進計画を閣議決定されているんですね。それを受けて法律を作ったって今おっしゃったから、それはまさに地方分権推進しているんじゃないですかとお聞きしているんですよ。
  39. 原口一博

    国務大臣原口一博君) その意味においては、地方分権推進しています。
  40. 古川俊治

    古川俊治君 それだったら、なぜ地域主権なんでしょうか。全く同じじゃないですか。
  41. 原口一博

    国務大臣原口一博君) この内閣設置法の改正では地域主権改革について、日本憲法理念の下に、住民に身近な行政は、地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするとともに、地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようにするための改革、これを地域主権改革定義しているわけです。地域主権という語は、以上のように定義される地域主権改革の根底を成す、地域のことは地域に住む住民が決めるという理念を表すものです。  私は、委員是非御理解をいただきたいのは、憲法九十二条、この九十二条の地方自治の原則、これは一体何なのかと。そのことについてはいろんな議論がありました。私たちは近年、この意味の中に補完性の原理、まさに地域のことは地域で決める、これを豊かにしたものであるというふうに御理解をいただければというふうに思います。
  42. 古川俊治

    古川俊治君 それは地方自治で、地方分権改革の中でも十分尊重されております。ですから、まさに、別に地域主権と名前を変えたからって、地方分権ですよ、やられていることは。まさに地方分権推進されているわけでありまして、一々一々、その理念がどうか、やられていること、実態を見てほしいと思います。  さらに、これは、原口大臣、これ普通にお考えを述べていただければいいんですけれども、十二月十六日のMSN産経ニュースによれば、鳩山総理はラジオ番組で、九条の話ではなく、地方と国の在り方を大逆転させる地域主権に関する憲法改正をしたい気持ちはあると語ったと報道されているんですね。これは日本を連邦国家にするという意味だと思うんですけれども、当然、国民議論を先にしなきゃいけなくて、総理大臣としては余りに唐突、今更ながら無責任発言だと思うんですけれども、原口大臣、どうお考えになりますか。
  43. 原口一博

    国務大臣原口一博君) その報道については接していませんので、一般論で答えさせていただきますが、私たち地域主権改革というのは連邦制を意味するものではございません。地域の権力が国家権力に対し最高、独立であるというようなことを考えているものでは全くございません。
  44. 古川俊治

    古川俊治君 残念ながら、これは総理に確認できないので、いずれお聞きしなきゃいけないと思うんですけれども。  先ほどのお答えで道州制についての議論がございましたけれども、現在、道州制の導入に向けたタスクフォースを日本経団連と共同で設置して議論が進んでいるという、質問主意書でもそういうお答えですけれども、今の議論状況を教えてください。
  45. 原口一博

    国務大臣原口一博君) これまで数次にわたりタスクフォース、開催をしていただいて、先ほど姫井委員にお答えをいたしましたけれども、基礎自治体に自らの地域は自らつくる権限をしっかりと持っていただいて、その基礎自治体がそれぞれの連合において、それぞれの話合いにおいて道州制を志向するということであればその道州制についてしっかりと支えていこうと、この方向で今御議論をいただいて、近々中間報告をさせていただけるというふうに聞いております。
  46. 古川俊治

    古川俊治君 地域主権改革と道州制というのはどういう関係になりますか。
  47. 原口一博

    国務大臣原口一博君) まさに私たちは、この地域主権改革において、地域のことは地域で決めるという形にしていきたい。  そして、その地域が一義的にサービスを担う主体はどこになるのかと。私たちの場合は、一気に道州という形ではなくて、基礎自治体にしたいというふうに考えているわけです。その基礎自治体の決定において道州が決まっていく。先ほどお答えしましたけれども、中央政府で八つに分けて、そこが、ここからここまでが道州ですよというような決定の仕方はしないというふうに考えております。
  48. 古川俊治

    古川俊治君 全く意味不明な御発言だと、私は今、全然分かりませんでしたけれども。  じゃ、次に行きますけれども、普天間の問題ですね。これは、もう連発される鳩山総理の誠に無責任発言とともにマスコミを大いににぎわせておりますけれども、御存じのように徳之島でも、昨日、地元の皆様が本当に大反対の大規模な集会を開かれたということが大々的に報道されております。島民人口二万七千百六十七人のところで、集会に参加された方でも一万五千人規模というんですね。過半数は大幅に超えているということになりまして、実際島民の大多数の方々が反対であると、基地の誘致にですね、ということだと思うんですね。  約束の期限の五月の末まで残り一か月半もないということでありまして、それまでに沖縄にせよ徳之島にせよ、到底地元の御理解が得られると私は考えないんですけれども、地域主権ということになりますと、大臣は、地域主権とは、憲法前提としつつ、地域のことは地域に住む住民責任を持って決める、活気に満ちた地域社会をつくるための改革の根底を成す理念であるというふうに御答弁されているんですね。  そうであれば、たとえ外交、防衛上の問題が絡もうとも、当然その地域の関心事項というものは関連してくるわけですから、基地を造るかどうかという問題においても地域住民の決めたことに従わなきゃいけない、まさに地域地域が決めるということになりますから。どういうふうに外交、国防上の問題を処理していくんでしょうか。
  49. 大塚耕平

    ○副大臣大塚耕平君) 大変難しい御質問をいただいたわけでありますが、この外交上の問題と内政上、国と地方在り方をどういう構造に組み立てていくかということを同じプラットホームの上で議論することは大変難しい課題だというふうには思っております。  ただ、地域のことは地域で決めるというその考え方に照らせば、すべてその地域住民の皆さんの生活にかかわる事項であれば、当然地域の皆さんの意見というものは十分にお伺いをしなければならないというふうに思っております。ただ、その一方で、外交というのは国家と国家の関係でございますので、これはまた別のメルクマールで判断をしなければならない要素もあると思います。  そういったことを総合的に判断すべき事案でございますが、私及び原口大臣も所管ではございませんので、この御質問に対しては以上のような答弁にさせていただきたいというふうに思います。
  50. 古川俊治

    古川俊治君 だって、地域主権なんでしょう。地域主権だったら、地域のことは最終的に責任を持って地元の住民が決めるということをお答えされているじゃないですか。外交の問題であろうが、国防の問題であろうが、地域主権なんじゃないですか。
  51. 原口一博

    国務大臣原口一博君) だから、憲法九十二条を出しているわけです。補完性の原理。  委員は、まさか地域が外交や安全保障を担えるというふうには思ってはおられないと思います。まさに、地域が自らの責任においてできることは基礎自治体が広くその事務事業を担い、次いで広域自治体が、そして広域自治体が担えないものは国が担うという考え方に基づいておるわけでございまして、──委員、よろしいですか、答えていますので、地域が外交や安全保障を担えるんだったらその責任地域にありますけれども、それを担うのは国であります。
  52. 古川俊治

    古川俊治君 補完性の原理だったら、なぜ主権なんですか。それこそ分権でしょう。まさにそう書いてあるんですよ、憲法には。
  53. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 先ほどから何回も申し上げていますけど、地域主権があるという、地域主権をばらばらにしてお考えになっているからそのような考え方になると。  私たちは、先ほど三つ意味での主権という言葉を言いました。国民主権なんです。主権者たる国民が自らの地域のことを自らが責任持って決めるということを言っているだけでありまして、地域主権があるということを申し上げているんではないということを御理解ください。
  54. 古川俊治

    古川俊治君 先ほど主権三つ意味とお聞きしたときに、一番最初の、国政在り方を最終的に決めると、そういう意味だとおっしゃったじゃないですか。ですから、地域主権ってばらばらに考えるって、その主権ということに意味があるとおっしゃっているでしょう、ちゃんと。だから、主権なんですよ、まさに。そうじゃなきゃ、読めませんよ、この言葉は。  何で主権なのにそんな制約を受けなきゃいけないのか、何で補完性の原理に主権が置かれなきゃいけないのかということをお聞きしているんです。
  55. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 三つ意味があると申し上げたのは、いわゆる統治の権利、あるいは統治を正統付ける権利、これは国民にあるわけです。そして、その国民が、主権者たる国民が統治の正統性を与えた結果、国が、まさに、先ほど三つ意味を申し上げましたけれども、唯一無比の、他国から侵略されない、あるいは他国から権限を、その国民の生命、財産を守るための外交、安全保障というものがあるわけでございまして、そこのところは、委員地域主権を分けて御議論されているので混乱をされているんじゃないかと思います。
  56. 古川俊治

    古川俊治君 先ほど大臣は、地域主権主権という意味がその一番目の意味だとおっしゃったんですよ。だから、大臣も、地域主権という言葉が少なくとも地域主権に分かれるということを前提お話しているじゃないですか。そうじゃなきゃ、私の質問に答えられないはずでしょう。
  57. 原口一博

    国務大臣原口一博君) よろしいですか。もう一回正確に申し上げますよ。  国家権力が他のどんな力にも制約されず最高、独立であること、この意味での主権ってありますよね。それから、国民及び国土を支配する権利、これは統治権という意味主権と使われます。  私が申し上げているのは、国政在り方を最終的に決定する力、主権在民、まさにこの主権者たる国民が、憲法九十二条における地方自治の原則に沿って自らの地域を自ら責任を持ってつくっていきましょうと、この改革地域主権改革だと申し上げているところでございます。
  58. 古川俊治

    古川俊治君 だから、地域主権の中における主権というのはそういう意味だというふうに大臣はおっしゃっているんですよ、まさに。ですから、そうすると、国防上のものであっても、外交上のものであっても、地域住民責任を持って決めなければ矛盾するでしょう。今おっしゃっていること、ここ一体として成り立っていないですよ、正直言って。  仙谷大臣、これは国家戦略を私進める上でも大変難しいと思うんですけどね、国家戦略進める上で地域主権ということをどう御理解されるんでしょうか。
  59. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) こういうふうにお考えをいただきたいと思います。  地域主権改革日本という国家の戦略課題なのかどうなのか。当然のことながら大きな戦略課題に現在はなっていると私どもは考えております。  そのときの地域主権改革というのはどういうものなのか。つまり、昨年の地方分権推進委員会の勧告にも書かれていたと思いますが、今や、旧来、地方公共団体というふうに呼んできた団体は完全自治体若しくは地方政府としての機能を果たさなければならないと、こういう勧告の文章があったと思います。分権という言い方でも別に悪くはないんだけれども、これは日本中央集権的な統治の在り方の国家、国と称するものが持つ権限地方にあるいは地方公共団体に分けてやるよと、こういうイメージが余りにも強くて、現に義務付け・枠付けの問題も含めて分けてあげないよという中央諸官庁のこのベクトルが非常に強い。  ここで我々が、地方政府地方のガバナンスを確立をする、あるいはガバナンスが強くならなければ日本という国自体も、国家自体もこれからのグローバリゼーションの下で生き抜いていけないという観点から、地域地域でアイデンティティーを確立しながらガバナンスを確立していく。自立、自発性、自治、そのことに基づいてより自己統治に近づくようなそういうガバナンスを確立することが日本戦略課題である、こういうふうに私どもは位置付けておるところであります。
  60. 古川俊治

    古川俊治君 答弁が長いんで。  原口大臣、四月七日の参議院会議における二之湯議員の質問が、義務付け・枠付けの見直しが進んでいない現状に対して、族政務三役でないかと御指摘申し上げたところ、大臣は明確な反論をしなかったというふうに報道されているんですね。その毎日新聞の四月八日の報道なんですが、原口氏や鳩山由紀夫首相が族政務三役との指摘を内心では肯定しているからだとされているんですよ。大臣はこのような族政務三役、省益のみに固執する族なのかどうか、端的にお答えください。
  61. 原口一博

    国務大臣原口一博君) ちょっと距離があって聞きづらいんで、族政務三役っておっしゃった……
  62. 古川俊治

    古川俊治君 族政務三役との指摘を内心では肯定しているというふうに、あなたが自分で肯定されているというふうに毎日新聞が報道しているんですが、あなたは族なのかとお聞きしているんです。
  63. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 私が族なのかということですか。私は族ではありません。
  64. 古川俊治

    古川俊治君 族ではない。そうすると、大臣は今後もこの地方分権改革委員会の第三次勧告を進めていかれるというふうにお答えされていますけれども、地方団体、御存じのように十二月十五日、地方分権改革推進委員会の第三次勧告における最も基本的な地方からの要望百四件についても、勧告どおりの見直しは三十六件、三分の一程度にとどまったことについて非常に不本意と言わざるを得ないとして、義務付け・枠付けの更なる見直しを求める声明を発表しているんですね。  大臣がこういう族ではないとおっしゃるんなら、勧告どおりに進めるんですか、これから。
  65. 原口一博

    国務大臣原口一博君) おっしゃるように、勧告どおり進めたいと思っています。  今パーセント、条項では三十幾つということですけれども、項目数でいうと約八割がイエスなんですね。残りの二割は何かというと、先ほど申し上げたような保育園のいわゆる全国一律の基準であるとかそういったものなので、補助金とセットになっているものについては、これから補助金改革、一括交付金化と含めて義務付け・枠付けを撤廃していく、このように考えています。
  66. 古川俊治

    古川俊治君 これ地方団体、これは福祉分野、今ちょうどお話がございましたので申し上げますと、一部実施の二十五条項中十七条項が保育所の福祉施設の基準の条例に関するものでありまして、そのうちの一部が、基準の撤廃又は大幅な緩和を勧告されているのに対して、いまだ国の基準に従えというような見直ししかできていないということで、地域は大変怒っているんですね。  自治体の裁量の乏しい従うべき基準というのが多数存在することは、地域のことは地域に住む住民が決めるという地域主権考え方にそもそもそぐわないと、また形式的な事務の増大だけを招きかねないというふうに言っているんです。私もそのとおりだと思うんですけれども、住民の暮らしに直結する行政地域の実情をよく知る自治体にゆだね、廃止又は参酌すべき基準など地方の実情を反映できる規定への振替を行うべきであると地方は言っているんですね。  あなたが、原口大臣が族ではないとおっしゃるんなら、なぜできないのか、合理的な理由、説明責任を果たしてください。
  67. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 私は全くそのとおりのことを考えています。それで、まだ各省からの整理が付いていないのは、国の最低基準というものを国がなくしてしまえば、旧政権下においても予算も削られてしまう、最低基準さえ守ることができない、したがって国は全国一律の最低の基準はなくすべきでないと、こういう御議論があるからであります。しかし、私はそれは、地方に任せれば地方は余計低い基準を作るというのはまさに民主主義そのものに対する否定ではないかと、このように考えています。
  68. 古川俊治

    古川俊治君 そうすると、夏に向けてやるというお答えでよろしいですか。
  69. 原口一博

    国務大臣原口一博君) その答えで結構です。
  70. 古川俊治

    古川俊治君 夏になると、今のこの保育所の保育士の配置基準ですとか、あるいは居室面積のことというのは、これは地方が決められるようになりますね。
  71. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 先ほど申し上げました、補助金との関係あるいは一括交付金との関係を整理した上で基準を撤廃をしていきたい、地方にお任せをしていきたいと思っています。
  72. 古川俊治

    古川俊治君 それは夏までにやりますか。もう一回お願いします。
  73. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 夏にまとめる地域主権戦略大綱の中に取り込めるように今協議をしているところでございます。
  74. 古川俊治

    古川俊治君 もう一度お聞きします。夏までにやるんでしょうか。夏までにやるのかどうか、もう一度お願いします。
  75. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 大綱に入れます。
  76. 古川俊治

    古川俊治君 大臣が族ではないとおっしゃって、今それほどやろうという御趣旨でございますから、そう思っているという御趣旨でございますから、もし、できない可能性があるということはないと思うんですね、私は。だから、やるんですね、夏までにやるとお答えですね。
  77. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 夏の地域主権戦略大綱に、補助金と一括交付金との整理をし、そしてこの義務付け・枠付けについては原則撤廃ということで入れ込もうというふうに考えています。
  78. 古川俊治

    古川俊治君 では、医療法のことについてちょっと伺いますけれども、山井政務官でも結構でございますけれども、今、医療法による、例えばいわゆる四疾患五事業の事業目標、それから医療連携体制に関する事項、医療連携における医療機能に関する情報の提供を定めなければならないとしている規定を、地方は廃止又は例示化、大枠化すべきだという分権委員会の勧告があるんですね。これは夏までに直すんですか。
  79. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) 古川委員にお答えを申し上げます。  地域主権改革の実現に向けては厚生労働省としてもその取組を推進していく所存でありますが、古川委員も御存じのように、医療については全国どの地域でも一定水準以上の医療が受けられる体制を整備していくことが重要と考えております。  今お示しになりました三つの点、例えば救急医療、周産期医療等にかかわる目標、医療提供体制等、そして地域医療支援病院等の整備目標、その他医療体制の確保に関する必要な事項については廃止又は例示化というふうに勧告をされておりますけれども、厚生労働省としては、医療計画に定める事項のうち、地域医療支援病院等の整備目標については一定程度の整備が進んでいること、また、その他医療提供体制の確保に関し必要な事項については、現行規定においても都道府県の自主性、裁量性に配慮した規定であることから、第三次勧告のとおり例示化するものとしたものであります。  また他方、第三次勧告のうち、救急医療、周産期医療等にかかわる整備、医療提供体制等については、救急、周産期の患者受入れ等が問題となる中で、全国どの地域でも一定水準以上の医療を受けられるように国を挙げて救急医療、周産期医療等の医療提供体制の再建に取り組む必要があるから義務付けを存置とすることとしております。
  80. 古川俊治

    古川俊治君 それは夏までに見直さないということですか。
  81. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) まさに今これ国会で審議もしているわけですし、この後、地域主権戦略会議でも議論がなされるというふうに承知をしております。
  82. 古川俊治

    古川俊治君 夏までにやるんでしょうか、やらないんでしょうか、明確にお答えください。やる予定に入っていないという理解でよろしいですか。
  83. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) 原口大臣も先ほど答弁をされましたが、これから総務省そして政府を挙げて、このことについては地方分権地域主権推進のために取り組んでまいりたいと考えております。
  84. 古川俊治

    古川俊治君 先ほどの答弁と違うんですけれども。先ほど大臣はやるというふうにおっしゃいましたから。  山井政務官にお聞きしますけれども、都道府県が作成している医療計画ってどういうものか、政務官は当然熟知されていると思うんですね。その中のこの四疾病五事業なんですけれども、例えば医療連携体制に関する事項についてはどのように計画されているか御存じですか。
  85. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) 医療連携体制については、その体制をきっちりと整備していくというふうに規定されていると承知しております。
  86. 古川俊治

    古川俊治君 ここに埼玉県の医療計画があるんですよ。これに、連携体制について定められている計画ってここに載っているのは、このポンチ絵がかいてあるだけなんですよ、どこから取ってきたのか知りませんけれども。これはそれだけです、ぽっとかいてあって。内容はほとんど何もないです、これは。これ一冊読んで分かりますけれども、はっきり言って内容なんてほとんど実質的なものは何も書いていないですね、この中を見ただけで。  事業目標といったって全国のを勘案して書いていますから、ほとんど個別のところ意味がないんですね。患者さんが実際見ても、自分がどういうふうにすればいいのか、全くなっていません。これは私、埼玉県の例で今、地元なんで、ありましたからお示ししましたけれども、ほかの都道府県はもっとひどいところもあります、正直言うと。  これ、そもそもこういう規定を作って、やって、実態がこういうものだということをお考えになったことはありますか。
  87. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) 古川委員にお答えを申し上げます。  御存じのように、今、医療崩壊等非常に深刻な問題が起こっております。その中で私たち厚生労働省としては、政府を挙げて地域主権を進めていくという中で、基本的に従えるものは地方自治体に任せていく、しかし、どうしても国が挙げて医療崩壊の防止や医療の再建、そういうものについて取り組んでいかねばならないものに関しては厚生労働省としてこれからも取り組んでまいりたいと、そういうふうに考えております。
  88. 古川俊治

    古川俊治君 ただポンチ絵を挙げて、そこに入っている医療機関の名前を出していくだけで、それで本当に地域医療の崩壊を防げるのかとお聞きしているんですよ。
  89. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) そのことに関しましては、今まで本当に医療崩壊、医師不足が深刻化してまいりました。その中で、どこまでをこれから国が責任を持ってやっていくのか、また都道府県にどこまで任せばいいのか、また市町村はどういう取組をするのか、そういうことについてはこれからも総務省政府を挙げて、地域戦略会議の中でもしっかりと議論をしてまいりたいというふうに考えております。  何よりも、やはり医療崩壊、医師不足対策というものに対する国民の不安というのは非常に高くなっておりますから、その辺りについては、地域主権のこととやはりバランスを取りながら、国のナショナルミニマムの整備ということをしっかり取り組んでまいりたいと思います。
  90. 古川俊治

    古川俊治君 地域のことは地域がまさにやった方がいいというのは当然のことなんですよ。特に医療なんかは、その地域住民がどうかという事情が全く国では把握できないはずですから、その地域で進めるべきです。  これは例えば、今、地域支援病院はもう整備されたところもあるからという話でしたけれども、それだったら、例えば、がんであればがん拠点病院ですとか、周産期母子医療センター、周産期であればですね、そういうところだって整備ができているところはあるはずなんですね。そしたら、そこはもうやらなくたっていいじゃないですか。どうして差を求めるんですか、そこに。
  91. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) 古川委員にお答えを申し上げます。  確かに、都道府県整備が進んでいるところもあります。しかし、残念ながら一方では整備が進んでいないところもございます。ですから、私たちも、オール・オア・ナッシングですべて国がやるべきとかすべて地方自治体に任せていいという議論をしているわけではなくて、やっぱりある一定以上のレベル、国民が周産期医療や救急医療、小児医療をしっかりと受けていける、そういうふうなところをどこまでを都道府県に任せられるのか、また国が今リーダーシップを取るべきところはどこなのか、そのことについて今真摯に議論をしているところでございます。
  92. 古川俊治

    古川俊治君 今後ますます進めていただきたいと思うんですけれどもね。  特別養護老人ホームのこれも居室の大きさの基準あるいは居室面積の基準、それから人員の基準なんですけれども、これについても地方からかなり強い要望が出ておりますが、夏までにこれも変えていただけますか、原口大臣
  93. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 私は今、古川委員は本質的な御指摘をされていると思います。つまり、中央政府で何でもかんでも最低の基準を作っているというけれども本当に見切れているのか、それは実質、その住民サービスを受ける市民の側から見ると一体どうなのかということだと思います。  今委員の御指摘についても、夏の地域主権戦略大綱の中にしっかりと書き込みたいと考えています。
  94. 古川俊治

    古川俊治君 実際、その地域でちょっと例えば一人急にスタッフ、職員が急病になっちゃった、倒れちゃったら、もうそこで退所させなきゃいけないということになっちゃうんですね。それはもう非常に不合理であるし、保育所も一応地域では全部待機児童がいないように見えても、実は一番近くの保育所ではなくて大変遠いところに割り当てられているというような場合も多々あるんですね。私自身も何回も経験しました、そういうことを。ですから、やっぱり地域のことは、地域のニーズというのは一番地域が分かっているわけですから、是非それで進めていただきたい。大変有り難いお言葉だと思っています。  最後に、地方議会の議員数についてちょっと伺いたいんですが、大臣地方議会の議員もやられたという話ですから。  今回、上限撤廃という話なんですね。ところが、上限というのは余り現実味なくて、今どこの自治体でも削減削減という話なんですよ。私は、むしろ地方議員の下限というのはどうなんだろうという気がいたしまして、河村たかし名古屋市長は市議会の二月の定例会に、市議会議員の数を現在の七十五人から三十八人にする、そういう案を提出したと報道されているんですね。議会改革というのは議会が自ら進めるべきであって、監視を受けるべき立場である行政府からこうした提案をするというのはいかがなものかと私は思うんですが、その良しあしはさておいて、住民の意思をくみ上げる機能あるいは行政を監視する機能ということで地方会議員の最低の人数というのは考えなくていいんでしょうか。お考えをお述べください。
  95. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 私は今、委員と同じ問題意識を持っていると思います。だからといって、今回の法案は自由度を高めただけでございますから、あくまでその地方の議員数をお決めになるのは地方の皆さんであります。  その上でお答えをすると、議員は少なければ少ないほどいいんだという考え方はある意味極端だと思います。自らの政治に参加する権利、あるいは行政をチェックするための機能、地方議会には大変大きな機能もございます。そういった機能の中でバランスの取れた定数というものをお決めいただくのが望ましいと、私はそのように考えています。
  96. 古川俊治

    古川俊治君 現に半数という提案もなされるようなので、その点は省庁としてもしっかり、何かの委員会でも立てるなりして御審議いただきたいと思います。よろしくお願いします。  以上で質問を終わります。
  97. 山本香苗

    ○山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。二十分しかございませんので、早速質問に入らせていただきます。  まず、地域主権改革につきまして、地域主権改革を実現させた後の国の姿につきまして本会議で伺いました。その際に大臣は、国、地方協議をしながら、しっかりとつくっていくべきものだと考えておりますと答弁されておりました。これは要するに、現時点で地域主権国家というものについての具体的な考え方が鳩山内閣にはないということでしょうか。
  98. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 違います。  逆に言うと、それを中央政府だけが、国・地方協議の場を通じてその形を決定しようとしているときに、私たちが一方的に、先ほど申し上げました八つの道州がいいとか三百の基礎自治体がいいとか、そんなことを申し上げる段階にないということを申し上げたところでございます。
  99. 山本香苗

    ○山本香苗君 では、国と基礎自治体による二層構造という考え方は取らないということでよろしいんでしょうか。
  100. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 国と地方自治体、二層構造というのをアプリオリに考えているわけではありません。まずはこの中央集権の体制を基礎自治体に分権をし、そして先ほど申し上げました補完性の原理に基づいて、基礎自治体ができないことはより広域な自治体で、あるいは産業基盤というと、例えば関西圏などというのは一つの関西州というものをつくった方が、どこに港湾を造り、どこに空港を造り、産業政策としても合理的だと、そういう御判断をされれば道州といったことも視野に入ると、このように考えています。
  101. 山本香苗

    ○山本香苗君 ですから、国と基礎自治体による二層構造という考え方は取らないんですかということを聞いているんです。
  102. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 一義的に二層だけが構造だとは考えていません。
  103. 山本香苗

    ○山本香苗君 選択肢の一つとして残っているということでしょうか。
  104. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 国・地方協議の場でそのように決定されれば、二層制も排除するものではございません。
  105. 山本香苗

    ○山本香苗君 では、ちょっとよく分からなくなってきたんですけれども、原口大臣は、三月十一日の総務委員会、衆議院の方の総務委員会ですね、その場におかれまして、地域主権戦略大綱に道州制について盛り込みたいという御発言をされておりまして、また先ほどの委員方々の御質問の中でも道州制について前向きな御答弁をされているという印象を持ったわけなんですが、国と基礎自治体の二層構造というのが選択肢の一つとして残っていて道州制ということ、どっちが鳩山内閣としての、大臣の個人的な考えではなくて、鳩山内閣としての考え方なんでしょうか。
  106. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 多分、山本委員は、私たちが明確な国、地方のデザインを私たちだけでつくっていくと。キャンバスを私たちは白地だと思っているわけです。その白地の中で、例えば全国一律に二層である必要はない、先ほど申し上げたように、関西が関西州というものを、道州というのを選択されるんであればそれを視野に私たち支援をしていきたいと、こういうことを考えているわけでございます。
  107. 山本香苗

    ○山本香苗君 地域主権という新しい言葉をお使いになって地域主権国家をつくると語っていらっしゃる以上、鳩山内閣において、国と地方協議するのは当たり前のことでありますけれども、内閣としての具体的な考え方というものは国民に示す責任があると思うんです。  つきましては、この地域主権国家というものが何たるものなのかと、その具体的な姿について鳩山内閣としての統一的な見解を出していただきたいと思いますが、委員長、お取り計らい、よろしくお願いいたします。
  108. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 今申し上げたのが統一的見解です。  ここにちょっと絵をかきましたけれども、今は中央にお金を集めて、それを地方に分配するといういわゆるピラミッド型です。委員は恐らく、これを二層制にするのか八つの道州制にするのか、その形を示せということをおっしゃっていると思いますけど、今の多くのいわゆる柔軟な組織形態というのは、何も一つの型に押し込むというような形ではないんです。私はよくリナックス型のシステムと、世耕筆頭ともよく情報通信の話をするんですけれども、ソリューションに優れた組織というのは、あらかじめこういうピラミッド型に、あるいはこういう型枠にはめるんだと決めてやるものもそれもあります。しかし、むしろ今のように変化の非常に早い時代は、リナックス型のように様々なプラットホームが重層的にお互いお互いを補完する、こういう組織の方が強いんですね。そのことを申し上げているんで、まさに組織論についても申し上げているところでございます。  これを国、地方との合意で、国民的な合意でもってつくり上げていこうということでございますので、是非御理解をいただければと思います。
  109. 山本香苗

    ○山本香苗君 いや、大臣いろいろとお話されるんですけれども、片方では道州制について前向きなことを言われているようであって、最終的に地域主権戦略大綱ですか、そこにも盛り込みたいとおっしゃっていながら、ちょっといろんな要素をほかの要素と、具体的じゃないところが、たくさんあいまいな部分があるように思えて仕方がないわけなんです。本会議のときにもお伺いした中にも具体的な御答弁がございませんでした。是非とも統一的な見解を出していただきたいと思います。
  110. 原口一博

    国務大臣原口一博君) いや、今のいわゆる柔軟な組織形態というのが答えなんですね。だから、山本委員は逆に私にこんな絵をかけということを教えてくだされば、今私が申し上げているのは、数学でいうと四次元解析みたいな話なんです。ですから、まあ余計難しくなるかな、道州制というのをその地域の皆さんが志向されるというのであれば、それは上からかぶせたこういう八つの道州制ではなくて、私たちはそこへもお手伝いをしますよと。  ただ、私たちが今中央政府としてやることは、まず基礎自治体にパワーを付けてもらって、基礎自治体権限を下ろしていくことです、権限を持っていただくことですということを申し上げているので、絵でこんなものをかけと言われればかくことはできると思いますが、何も本会議で道州制を視野に、それたしか衆議院の総務委員会で自民党の方に対するお答えだったと思いますが、道州制についても私たちはそれを視野に入れているという答弁をしたと考えております。
  111. 山本香苗

    ○山本香苗君 いや、盛り込みたいと明確におっしゃっておられたので。
  112. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 射程に入っているということ、今、盛り込むというのは地域主権戦略大綱のことなんですね、地域主権戦略大綱の中にはその道州制について射程に入っているということも、先ほど申し上げました、古川委員にお答えをした道州制のタスクフォースの結果についても射程に入れながら盛り込みたいという意味でございます。
  113. 山本香苗

    ○山本香苗君 基礎的な自治体を強くしていくという流れはそうなんですけれども、最終的なビジョンのところが明快じゃないとその基礎自治体どういう運営していくかというところも明快にならないんじゃないかと思うので、そこのところを突き詰めて、鳩山内閣としてこれから、決め打ちじゃなくて、鳩山内閣としてどういう形を例えば国と地方協議の場で提案していくのかとか、そこのところがはっきりしないといけないんじゃないかと。地域主権国家って私たちがつくった言葉じゃなくてそちらがつくった言葉ですから、そこをはっきりさせてくださいと言っているんです。
  114. 原口一博

    国務大臣原口一博君) いや、地域主権国家というのは何も私たちの専売特許じゃなくて、前回もこの参議院総務委員会で御質問がございましたけれども、旧与党の方々もお使いになっていた言葉です。私たちの専売特許にしていただいても結構なんですけれども。  その上で、道州についてどのように考えるかというと、恐らく、補完性の原理でいうと、基礎的なサービス、あるいは先ほど古川委員がおっしゃったような住民の命であるとかあるいは福祉であるとか、そういういわゆるサービス給付については基礎自治体が、より住民に近いところが持つのが一番合理的だと思います。その上で、じゃ、道州は何をやるのかと。恐らく道州は産業政策あるいはもっと広域なリスクヘッジ、そういったものを道州に期待をして、そして多くの方々が道州制についての御議論をされているものだと考えています。
  115. 山本香苗

    ○山本香苗君 もう時間がなくなってきていますので、次の方に行かせていただきたいと思いますが、地域主権戦略会議、原案におきまして十五人以内という形で定められているわけでございますけれども、私は、事前にいろいろ話を聞きますと、構成員必ずしも十五人にせなあかんというわけではなくて、この会議構成員の中に十五人という形の枠をつくらないでもうちょっと入れて、地域主権戦略会議構成員地方団体のメンバーの方を入れた方が国と地方協議の場と連携がうまくいくんじゃないかなと思うんですけれども、大臣、御見解いかがでしょうか。
  116. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 私も、この会議をつくるときに山本委員と同じことを申しました。六団体のそれぞれの方に入ってもらう。ただ、この六団体を八団体にしろとか、それからそれぞれの担当大臣とのマッチングといったことで、やはり国・地方協議の場というものがあるのであれば、地域の方の委員の人選については、より変革を前に進めていらっしゃる、あるいは六団体といっても、逆に今度は地域性についても、北海道から一人とか関西から一人とか、そんなことを申し上げるとかなりのメンバーになってしまいますので、そこで私たちは今の方々に決めさせていただいたところです。  なお、大都市、今、大都市が非常に増えていますので大都市の代表も一人加わっていただくべきじゃないかということで、北九州の北橋市長さんに加わっていただいているところでございます。
  117. 山本香苗

    ○山本香苗君 是非、私は本会議の中でも、ここと、いわゆる地域戦略会議と国と地方協議の場、うまく連携していくためには、大臣最初におっしゃっていただいたように、六団体の推薦するような方々を入れていただいた方が本当はもっとうまくいくんだと思うんです。是非ここをもう一度お考え直しをいただきたいなと思います。  国と地方協議の場なんですが、総理の位置付けにつきまして、議長となっていないと。それについては、地方の事前に御説明して理解を得たというふうに御答弁いただいているわけなんですけれども、総理が議長となることは今後の課題として残っているという認識はお持ちでしょうか。
  118. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 私たちは、地域主権戦略会議、ここがまさに鳩山総理の強いリーダーシップの下で、国、地方で御協議をいただいたところについて地方からの御意見を実現するエンジンだと、あるいは改革の司令塔であるというふうに考えておりまして、委員は国と地方協議の場の実務検討グループの議事録を非常に詳しく御覧いただいておられると聞いておりますので、山田京都府知事が再三再四お述べになったことも御存じだと思います。  その上で、やはりエンジンの方、先ほど古川委員にもお答えをしましたけれども、実行するんだと。ある意味、私たち地方がお考えのことと同じベクトルを持っているわけでございまして、その変革のエンジンの方にしっかりとした総理のリーダーシップが振るえるようにということで今の形になっているというふうに御理解をください。
  119. 山本香苗

    ○山本香苗君 いえ、聞いているのは、そこにも、その議事録読んでいただくように、再三再四にわたって言われているわけで、とにかく今回の法案はこれでいこうと、だけれどもこの点についてはまだ課題として残っているからこれからも協議していきましょうねという認識も国側として持っていただいていますよねと。
  120. 原口一博

    国務大臣原口一博君) これは実務検討グループの中でお話をしたとおりでございまして、何も私たちは総理が入っていけないなんて考えているわけじゃないんです。むしろ、この国・地方協議の場を積極的に、これから子ども手当でありますとか様々なことについても御協議をいただいて決めていかなきゃいけません。機動的にやっていきたいということでこういう形になっていますが、委員の御指摘のとおり、すべてを排除しているわけではございません。
  121. 山本香苗

    ○山本香苗君 すべてを排除しているわけではございませんというのは、そういう認識を持っているということですか。
  122. 原口一博

    国務大臣原口一博君) すべてを排除しているわけではないという認識を持っています。
  123. 山本香苗

    ○山本香苗君 私、排除しているかしていないかということを聞いているんじゃなくて、そういう課題が残っていますよねという認識を持っていますよねと。
  124. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 認識を持っています。
  125. 山本香苗

    ○山本香苗君 すんなりそう言っていただければよかったんですが。  第八条で、協議の場において協議が調った事項については、議員及び参加した者は、その協議の結果を尊重しなければならないというふうにありますけれども、協議が調った事項という場合の調ったか調っていないかの判断基準は一体何なのかと。また、だれがどういう形で判断するんですか。
  126. 原口一博

    国務大臣原口一博君) この国と地方の代表者が合意形成を目指すという協議の場の性質から、協議が調ったという判断についても、構成員全員の総意によりなされることを想定をしています。  いずれにしても、地方側の意見を踏まえつつ、協議の実効を上げていくために努力することが重要で、協議が調った場合でも、じゃ、ここで議論があったのは、地方側に拒否権があるのかという議論なんですね。しかし、そういう場合においても国の政策立案等は制約されないものと今は考えているところでございます。
  127. 山本香苗

    ○山本香苗君 いや、最後の部分がちょっとよく分からないんですが、全員の総意で決めるという話であるのであれば、今拒否権と、地方の方に拒否権があるかどうかということが課題となったという話なんですが、全員の総意でしか決められないという形になるのであれば、事実上拒否権が地方側にもあるというふうに理解してよろしいですか。
  128. 原口一博

    国務大臣原口一博君) いや、想定していると言ったわけで、それはできるだけ、協議ですから穏便にまとまることを想定しているのであって、場合によっては一部の方に異論がある、先ほどおっしゃった地方団体の中でもやはり利害や方向性は微妙に違うわけです。同じ市長会、これ以上踏み込んだ答弁はしませんけれども、大都市とそれから地方の方とでは随分違うわけです。そういう中でも構成員全員の総意によりなされることを想定していますけれども、地方側に、じゃ、そこで拒否権があるとした場合には、これも橋下知事やいろんな方々議論をしてきましたけれども、憲法上の制約もある。  やはり決めるのはこの国会、国権の最高機関である国会であって、国・地方協議の場の協議先生方国会を縛ったり、政府そのものを縛るということにはまだ無理があるというふうに考えています。
  129. 山本香苗

    ○山本香苗君 基本的には構成員の皆さん方が全員が合意するということを基本として考えておられると。それ以外のケースというのは、地方の中でまとまらなかったというぐらいのことしか想定をされていないということですか。
  130. 原口一博

    国務大臣原口一博君) いや、それは協議ですから、テーマによってはいろいろあると思います。子ども手当の例を出しても──ちょっと墓穴を掘るといけませんのであれですけれども。分かりやすいんだけど、政権としてはリスクがあるのでちょっとやめておきます。何の例にした方がいいのかな。いろんな例があると思いますよ。
  131. 山本香苗

    ○山本香苗君 ちょっと済みません、時間が迫ってまいりまして。  これはまた同僚委員が突っ込んで聞いていただくと思いますけれども、協議の結果の効力のところ、ここのところはどう担保されるんでしょうか。
  132. 大塚耕平

    ○副大臣大塚耕平君) 協議の結果調った事項については、地方側の議員の皆さんはそれぞれの行政の中でそれを実行すべく、条例にするのかどのような対応にするのかはその事案によって変わってくるものと思います。もちろん、国側の議員についても、これを法律にすべきものがあれば法律にすることになると思いますし、それぞれが所管の権能を使って協議の結果を行政に反映するということになると思います。
  133. 山本香苗

    ○山本香苗君 参考人質疑の中でも、先ほどの話じゃないんですが、総理が構成員じゃないから尊重義務から外れて、本当に協議結果を国が守れるのかと、そういった懸念の声も上がっていたわけであります。  私はそれを聞きながら、総理の名代として官房長官が入っているわけなんですよね。官房長官もいて、また原口大臣もいて、国側がその協議結果を守らないということはあり得ないと思っているんですが、よろしいでしょうか。
  134. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 実際にこの法案におきまして、協議が調った事項については、議員及び臨時に参加した者は協議結果を尊重しなければならないと。総理についても、求められれば参加をいたしますし、しっかりと尊重をしてまいります。
  135. 山本香苗

    ○山本香苗君 時間ですので、終わります。
  136. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  鳩山政権地域主権改革というのは地域のことは地域で決めるんだということで、一見いいことかなという印象を持つんですが、しかし、よく見ると、私は、現政権の目指す内容で進みますと、逆に地域のことを地域で決めることが今以上にできなくなるんじゃないかということを心配します。  具体的に危惧される内容を質問いたしますが、地域主権改革一括法の義務付け・枠付けの見直しというのはまずは第一弾ということで、引き続き国から地方への、あるいは都道府県から市町村への権限移譲が進行するというふうに言われております。現在の市町村の単位では受け切れないのではないかという問題が起こります。  そこで、原口大臣に伺いますけれども、地域主権改革を進めていきますと、一定規模の基礎自治体、受皿づくりを市町村に迫ることになるのではないでしょうか。
  137. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 私は、受皿づくりとともに、地域の創富力、富を生み出す力、これがポイントだと思っています。すべてをワンセットで、例えば千人、二千人の自治体でできるかどうか、それはやはり疑問もあります。  しかし、山下委員、前回お約束をしたとおり、私夕張に行ってきました。夕張のあの状況を見てみると、逆に夕張をむさぼったものは一体何なのかというのを、もう夕張にいて今までもずっと考え続けています。要するに、自分のところを自分で決めることが本当にできたのか。委員夕張行かれたと思いますけれども、驚くほどたくさんの住宅があるんですね。驚くほどたくさんの住宅があって、しかもその一つ一つ炭鉱時代の住宅で、むき出しのコンクリートのブロックのおうちですよ。おふろもない。銭湯も今統合しようとしている。  今おっしゃるような基礎自治体に向かうということは事実だと思うんです。そのパワーを集めるということは事実ですけれども、だからといって地域のことが地域で決められなくなるという御心配は、私はそういう懸念がなくなるようにしていきたいと思いますけれども、なかなか私たち考えているところとは違うというふうに申し上げたいと思います。
  138. 山下芳生

    ○山下芳生君 ここに、二〇〇九年四月二十二日、「霞が関の解体・再編と地域主権の確立」という、当時の民主党分権調査会の会長玄葉光一郎さんがまとめたレポートがあります。この文書は次の内閣で了承されまして、当時原口大臣民主党ネクストキャビネットの総務大臣だったわけですが、ここには基本理念、基礎的自治体重視の新しい国の形とあって、地方分権国家の母体を住民に一番身近な基礎的自治体とし、全国を最終的には三百程度の基礎的自治体にすることを目標とすると、こうあります。  それから、当面目指すべき国の形として、当面というのは過渡的な五年ないし十年後のイメージだそうですが、そこには第二次平成の合併等を推進することにより、現在の市町村を当面七百ないし八百程度に集約し、基礎的自治体能力の拡大に努めると、こうありますけれども、やっぱりこういう方向に、更なる市町村の合併にこの方向は行かざるを得ないというふうになるんじゃないですか。
  139. 原口一博

    国務大臣原口一博君) いい御質問をいただきました。その文章を全部書き換えたんです。三百、七百という数字も、それからこの間、合併特例法の一部改正案について御審議を賜りましたけれども、私たちはもうここで一区切りしようと、単なる財政合わせ、行革の地方再編というのはやめようということで、今委員がお示しの文章を私たちは衆議院選挙に向けてずっと議論をしていって、三百という数字も七百という数字も落としているということも御理解をください。
  140. 山下芳生

    ○山下芳生君 そう言うんですけれども、実際自治体の側にとってはそう思っていないと思いますよ。  十五日に当委員会で参考人質疑をやりまして、東国原知事が参考人として来てくださいました。そこで、地方分権という流れ、国から権限や財源、義務付けや枠付けを地方に移譲するとなりますと、受皿として、例えば具体的に言うと河川、道路、港湾あるいは農地等々を権限、財源、義務付け・枠付け等々を移管されますと、これは市町村単位ではとても受けられませんと。これは結論として、道州制であるとか広域自治体、連合といった形になっていかざるを得ない、それが地方分権化の流れだと、私は考えておりますと、こうやっぱり受け止めているんですね。権限、財源を移譲されれば受皿として広域化せざるを得ないと、これが地方分権地域主権の流れではないかと。やっぱりそうなるんじゃないですか。ならないんですか。
  141. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 私、その東国原さんと基本的に考え方違います。  なぜかといえば、創富力、地域が持っている力、先ほど山本委員にもお答えをしましたけれども、それを私たちが三百だ、七百だというふうに上からかぶせるんだったら、さっきの八つの道州制と何ら議論は変わらないんですね。それを決めるのは地域の、あるいは国・地方協議の場で決めていこうじゃないかというのが私たち考え方で、まずは補完性の原理によって地域でできることは地域で決めるんだということで、先ほど古川委員が後半大変いい御質問をしていただきましたけれども、国で全部決めるって言いながら、実際の現実はすかすかのペーパーだけと、こっちの方がよほどひどいじゃないかということで、私たちは大きく、これはどのぐらい議論しましたかね、何十時間と議論をして、そこのペーパーから私たちは脱却しているということを是非御理解をください。
  142. 山下芳生

    ○山下芳生君 どうもなかなか理解できないんですね。  しかし、基礎自治体がそういう方向に行くであろうということは先ほどちょっとおっしゃったんですよね、受皿として。そうすると、やっぱり小さい自治体では受皿になり得ないと、新たな合併に向かわざるを得ないということに、これ必然なんじゃないですか。そういうふうにみんな自治体の御代表の方は受け止めているんですが、そうじゃないんですか。
  143. 原口一博

    国務大臣原口一博君) いや、だから、そういうふうに受け止めるから、中央の集権というのはいつまでたっても自分たちに来ないんじゃないんでしょうか。  先ほど海士町という、これ、隠岐島の海士町という島根県の町の話をさせていただきましたけれども、人口二千人の町がいかに創富力を高め、いかに三百六十五日、港から来る人たちにその地域に移住をできるような窓口をつくり、いかに豊かで自らの自治体をされているか。そのことを見れば、何も小さいからといって受皿にならないというのは、まさに地方分権考え人たちの敗北論じゃないかと、私はそのように思います。
  144. 山下芳生

    ○山下芳生君 言っている理念は分かるんですけど、現実そんなことになるのかということを各市町村長さん、知事さんたちは心配しているんじゃないかと思うんですね。  私、平成の大合併について影の部分があると、この間、原口大臣とも議論させていただいて、確かにあると。周辺部が寂れるとか、行政が遠くなるとか、原口大臣もおっしゃいました。そして、原口さんは、合併をしなければもう財政的にももたないんだという強迫観念にも似たものが地域の中にあったというのは、それは否定できないと。要するに、国からの押し付け合併的な面があったということは否定できないというふうにおっしゃったんですが、私はこの地域主権改革ということで、権限、財源を移譲することによって地域が合併せざるを得ない状況になっていくなら、これ形を変えた国からの押し付け合併にならざるを得ない。そうなったら、ますます地域が寂れ、地域のことを地域で決めるような議会もなくなれば受皿もなくなると、そのことを心配しているんだということを問題提起して、終わります。
  145. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  大変時間が短いんで三問ぐらいに絞りたいと思いますが、端的に御答弁いただきたいと思います。  二〇〇〇年の地方分権一括法以降、未完の第一次地方分権改革を更に進めることが期待をされたわけですけれども、それが旧政権市町村大合併のあらしによってむしろ逆行してしまった、私はこのように見ています。  昨年、政権交代が実現をいたしまして、我が党含めて生活再建を掲げる連立政権ができたわけですが、その政権がこの法案を提出をした。この背景には、長年の旧政権によるやっぱり地方自治の形骸化や市場経済万能の新自由主義によって、地域の経済や社会あるいは住民の暮らしが破壊をされたことに対する国民の強い批判があったことをこれは忘れるわけにいかないと、こう思います。  そこで、この地域主権という用語自体は、先ほども大臣がおっしゃったように、何も今の政権の新用語ではなくて、旧政権の時代に作られて、そしてまた、それは道州制への一里塚という格好での提起をされてきた経緯もこれはまあ実はありました。しかし、ここで言われた道州制というのは、むしろやはり新自由主義の立場に立って、効率化の名目でより現在の地方自治を破壊をする、あるいは地方行政を巨大化、統制化をする、こういう方向で、主権者たる地域住民政治参加あるいは地域民主主義を遠ざけるという、こういう傾向を持っておったがゆえに、私たちはこれはずっと一貫して反対をしてまいりました。  そこで、今回の法案というのは、地域のことは地域住民責任を持って自らで決めていこうという自治を確立をしていく、こういう意図を持って出しているものであって、これを直ちに道州制そのものを前提にするなどということはないものだというふうに私は認識をしていますが、この点、明確にしていただきたいと思います。
  146. 原口一博

    国務大臣原口一博君) まさにおっしゃるとおりでございまして、結果として道州制を視野に入れることはあっても、それが今のおっしゃるような効率やあるいは押し付けの地方分権ではないと。まさにこの基本方針、二十一年九月十六日閣議決定したもので総理はこのようにおっしゃっています。今後、日本が目指すべきは、すべてを政府に依存する政府万能主義でも、格差を生み、弱者を切り捨てながらすべてを民間にゆだねる市場原理主義でもありませんと。その上で、今、又市委員がおっしゃったように、住民による行政を実現する地域主権、自立を目指す個人が他者を尊重しながら互いに支え合う自立と共生、これが基本にあるというふうに考えております。
  147. 又市征治

    ○又市征治君 ありがとうございました。  次に、去る十五、十六日、総務委員会では参考人質疑、八人の方から御意見をいただきましたが、かなり手厳しい意見もございました。  例えば、義務付け・枠付け一万件のうち今回の緩和はたった百十件余りにすぎないじゃないか、あるいは地方団体総務省天下り団体だと、それとの協議に法的根拠を与えるよりもっと直接国民の声を聞けとか、あるいはまた、保育では多くの自治体が国基準を上回っている、それを、その基準を撤廃すればむしろ引下げになるじゃないか、あるいは一般財源化とは削る自由だ、ナショナルミニマムをすべからく一般財源化すれば、今の自治の実情から見て、これは発言力の低い領域というものを削ることになる、その実例が公立図書館などだということなどなどのかなり厳しい意見もございました。  いずれも私は、分権自治あるいは住民自治の拡充を求める立場から重要な批判や意見であったと、こんなふうに受け止めるわけですが、大臣、これらについても十分これは今後の中で尊重し、あるいは検討いただいて具体化をされていくものだというふうに思いますが、その御認識を伺いたいと思います。
  148. 原口一博

    国務大臣原口一博君) この場を借りて、参考人の皆様、それから質疑をしてくださった先生方にお礼を申し上げたいと思います。  今、又市先生がおっしゃったとおりでございまして、やはり何といっても三位一体改革のあの不信は、地方にとってはもうぬぐい難いです。何か新しい制度をつくろうとすると、逆に、権限をくれる権限をくれるとか言いながら財源は減らすとか、あるいは自由裁量は増やすと言いながら国の責任は減らすとか、この不信が物すごく強いです。  しかし、現実に今のように中央で何でもかんでもやっていたのではその公共サービス格差を埋める財源さえなくなってくるのも事実でございまして、今委員がおっしゃったようなことに配慮し、また地方団体総務省天下りだと、これも厳しい、たしか総務省の御出身の方がおっしゃったんで、まあそんなに間違いじゃないと思いますけれども、しっかりとした御意見を踏まえて地域主権を前進させていきたいと思います。
  149. 又市征治

    ○又市征治君 それじゃ最後に、この地方の疲弊と言われる現状を回復するのに何が必要か。私はこの間、大臣と何度もこれは財政問題について論議をさせていただきました。今回の法案の国と地方協議のテーマのうち、財政面についても幾つか提起もいたしました。今日は、地域主権担当大臣という、こういう立場で、内閣全体の立場からお尋ねをしたいと思うんですが。  この地方協議には、地方交付税地方財政計画といった、財務省なども一緒にかかわってくるこういうテーマも当然含むだろうし、協議では自治体の要求が反映されるように、これはもう総務大臣の立場から言うならばそれは努力をするということでありましょうけれども、地域主権改革担当大臣として、これは政府を代表してこれらの問題もしっかりと協議の場のテーマに挙げていく、こういう決意を是非今日は伺っておきたいと、このように思います。
  150. 原口一博

    国務大臣原口一博君) まさに地方を回復させるためには、独自の財源、そして税源、そして交付税、こういったものが必要であります。  そこで、逆に又市委員にもお願いでございますが、また貧乏神のような昔の失敗者の人たちが、財政至上主義を旗頭に何かしら地方を削減してやれという動きがございます。今まで一般歳出と言っていたものを、政策歳出というような造語を生み出しまして、そして、国、地方のプライマリーバランスを減らすんだなどということを外で言っている人がいます。これは非常に危険なことで、地方の方はもうプライマリーバランスどころか回復をして、絞っても絞ってももう何も出ないようなぞうきんのようになっていると。そこまでやって国の歳出努力を地方に転換する、こんなことを考えている人もいるやに聞いておりますので、是非委員におかれましては、そういうものをはね飛ばす強い政治力で御支援を賜りますようにお願い申し上げ、決意に代えたいと思います。
  151. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。ありがとうございました。
  152. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。  まず、原口大臣にお伺いいたします。  地域主権のその理念の共有についてでありますが、地方分権が国から自治体に向けて権利を分け与えるというその発想に対して、地域主権主権者たる国民が自らの地域を自らの責任でつくっていく、この理念は四月七日の参議院会議での原口大臣の答弁ですが、それだけに、その理念を国と地域が共有しなければ改革は成し遂げられないというふうに考えます。  そこで、原口大臣にお伺いいたします。  地域主権改革のその理念はどの程度国民に共有されているのでしょうか。そのための国民議論の喚起も必要ではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
  153. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 糸数委員にお答えいたします。  糸数委員がおっしゃるとおりだと思います。私たちは、地域のことは地域で決める。特に、私もかつて沖縄担当をさせていただいておりました。美しい海、ちゅら海、平和な島、そのために何ができるのか。それは、自らが決めるということがとても大事だと思います。  その上で、私たち国民議論を喚起するために幾つかの方策を考えています。一つは緑の分権改革。これモデルをつくって、そして成功事例を国民の皆さんに共有していただく。もう一つは、新しい公共と申しまして、今まで中央集権体制とともに何が集権してきたかというと、やっぱり官だけが公を担うと。これ、次の税制改正大綱の中にも盛り込みたいと、渡辺大臣を中心に市民公益税制といったものを今議論をしています。つまり、公益の担い手を市民化する、自由化する、そういうことで、自らの地域をつくることによって学んでいける、こういう体制を国としてもつくってまいりたいと考えております。
  154. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  続きまして、地域主権戦略会議についてでありますが、本年の夏までに地域主権戦略大綱を策定するとしていらっしゃいますが、この大綱策定に当たっては、更なる義務付け・枠付けの見直しや、それから出先機関改革など、個別の検討課題はもとより、地域主権改革後の国の姿形、地方の姿形を指し示すべきではないかというふうに思います。国の在り方地方在り方のビジョンを是非お聞かせください。
  155. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 基本的な在り方は、やはりこれまでの新自由主義に対する新たな地域在り方なんだと思います。だれかが先に行けばほかの人たちがおこぼれのようにその果実がもらえるという考え方ではなくて、私たちは、様々な地域の資源あるいは伝統歴史や自ら誇りにしているもの、それを生み出すことによって、ファウンテンと言っていますけれども、泉のように地域の力あるいは温かいきずなが形成されていく、こういう地方の形を考えておるところでございます。しかし、これは先ほど答弁させていただきましたけど、私たちが一方的に押し付けるものではなくて、キャンバスは国、地方国民みんなでつくっていきましょうと、このような考え方を持っています。
  156. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  先ほどから何度もこの質問出ておりますけれども、道州制についてお伺いしたいと思います。  沖縄県は、平成十六年に道州制等の研究会を設置いたしておりまして、講演会やシンポジウムなど開催されています。少なからずとも県民的に大きな関心を寄せておりまして、例えば四月の十六日、沖縄特例地域推進超党派有志会というのが結成をされました。これは、四月の十六日、沖縄県庁内で記者会見が開かれておりまして、道州制度における沖縄の特例型単独州の推進を提言されています。  その世話人になっておりますのが沖縄社会大衆党元委員長で仲本安一さんという方が中心になっておりまして、これ、沖縄の依存経済やそれから基地問題を解決するためには、先ほどからお話がございますけど、中央集権国家では困難であり、その自治と財政の大幅な権限移譲とそれから一国二制度による琉球州政府あるいは沖縄特例県などの設立以外には道はないということで、メンバーの皆さんが記者会見をいたしまして宣言をされています。  この会は、沖縄県内の大学の学識経験者のほかに、例えば元の県の首脳でありますとか、それから報道関係者でありますとか、三十名の方が提言をいたしまして提唱されておりますが、その中で、世話人のお一人であります仲地博沖縄大学の副学長が、中央主導ではない沖縄の自立とその自治をどうするのか、これ沖縄主導で主体的に将来性を指し示す県民運動が必要だということで、県議会の方で記者会見が行われておりまして、この趣意書に関しては、県知事やそれから県議会議長、それから市長会あるいは町村会、そして広く県民に提言をしてこの運動を広げていきたいというふうにお話をしております。  そこで、原口大臣が提案していらっしゃいますこの地域主権戦略の工程表、いわゆる原口プランの道州制についてでありますが、地域主権改革と道州制の関係をどのようにとらえていらっしゃるのか、これまでもお話ございましたけれども、道州制をどのようにその視野に入れていらっしゃるのか、改めてお考えをお伺いいたします。
  157. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 大変大事な御指摘だと思います。  この道州制という言葉は、私はある意味非常に慎重にこれまで使ってまいりました。と申しますのも、先ほど又市委員お話しのように、単なる効率性、単なる経済合理性、それから、上からのいわゆるかぶせのピラミッドを八つつくるということは、こんなおぞましい国はない。そうではなくて、地域が自ら選択をされた道州制、今お話しのように、沖縄の御提言にございましたような一国二制度でございますとか、あるいは依存体質からの脱却、那覇の土地も非常に幾つも公共事業が重なりますから、単価も非常に高うございます。基地の負担だけでなくて、公共事業の負担も沖縄の県民が負っておられると、私はそのことを沖縄の方々と幾晩もお話をしました。  沖縄に住んでいる人しか分からない、そのことを自らの道州という形で決定をされる、そういう自立とまさに創富力、こういったものを私たちもしっかりと支援をしていけるような、そういう道州制を視野に考えてまいりたいと考えています。
  158. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございます。  大臣おっしゃいますように、地域主権、この理念はやはり国民にそれを理解されて、そしてそれを実行に移して改革を成し遂げる。かなり厳しい課題や問題が山積していると思います。特に重要なのは、国の府省やそれから自治体、そして地域住民意識改革でありますが、沖縄は、今大臣おっしゃいますように、あらゆる課題というのが、例えば基地問題にしてもそうですし、経済の課題にしましても、今までの政権によるかなりの県民に対する負担などもございます。  そういうこともありまして、県民といたしましては、やはり道州制を目指しまして、経済的自立も含めたあらゆる観点から沖縄の独自の道州制としての考え方を今まとめているところでありますが、時間もありませんので、最後に原口大臣のこの地域主権改革に懸ける御決意をお伺いいたしまして、終わりたいと思います。
  159. 原口一博

    国務大臣原口一博君) ありがとうございます。  まさに沖縄がそうでありますけれども、平和の島、美しい島、自らが、たしか委員は多くの方に観光地を御案内をされたというふうに聞いておりますけれども、本当に自らの地域に住む人でないと分からないすばらしいものがたくさんあります。  私たち地域主権改革というのは、何も国権をだれかに分け与えようというものではありません。自らの地域を自らの責任においてしっかりとつくっていく。そのためには、中央集権という形で邪魔をしているものがあります。あるいは、先ほど夕張お話をしましたけれども、余計なことを、富を簒奪するために多くの力のある人たちが入ってきて、そして富だけ取り出して、あとは年老いた独居の方、こんな地域があってはならないと私は考えています。  是非委員におかれましても、沖縄の様々な歴史を踏まえて、本当の意味での平和の島をおつくりになる、その御努力に敬意を表して、私の決意としたいと思います。  ありがとうございます。
  160. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  終わります。
  161. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 他に御発言もないようですから、本連合審査会は今回をもって終了いたします。  これにて散会いたします。    午後二時二十七分散会