○山下芳生君 その状況を踏まえてしっかりと審議をしたいと思います。
それで、私、山井政
務官もいろんな児童福祉施設で働いてこられたということですが、児童養護施設というのがございます。家庭内虐待などの理由から、親子分離して
保護する必要のある子供
たちが入所し発達を保障される施設だと思います。
私、先日、甲府市にある社会福祉法人山梨立正光生園の児童養護施設を訪ねまして、加賀美理事長、山田施設長から
お話を伺いました。加賀美理事長は、全国の児童養護施設の団体の御代表もされていた方であります。大学で教鞭も執られていた方で、戦災孤児の収容
保護から始まった
日本の児童養護施設の歴史、あるいは、九〇年代半ば以降、児童相談所への虐待相談が増加して施設の満杯状態が都市部から
地方へと拡大していることなどを丁寧に
説明していただきました。
加賀美理事長、こうおっしゃっています。虐待を受けた子供
たちは、夜暗くなると恐怖感に襲われて夜泣きしたり、夢遊状態になったり、トイレにも行けなくなったりします。職員のところに来て、起きて起きてと言う子もいます。子供間の暴力に走る場合もあります。子供六人に職員一人という職員の配置基準を下げることになったら、子供間暴力や施設から子供への暴力が増える。そうなれば、もう子供
たちを集団で世話するのはやめた方がいいと、こうおっしゃっていました。これ以上下げるんだったら、もう集めるのやめた方がいいと、非常に重い、ずしりとした
言葉だと思います。
一方で、加賀美理事長は、今年も六人、この施設から高校を卒業し社会へと出ていった子供がいます。一人は看護師になりたいと看護学校に進学しました。
あとの五人は就職を決めることができました。今の高校生の就職難の時代にです。ほとんど子供だけで、自分で選択権を持って、僕はこれになりたいと就職先を決めましたと、こう語るときの理事長の表情は本当にうれしそうでありました。そして、必ずこの子
たちは自立してタックスペイヤーになれる、社会の担い手になれると語る目は、確信と決意に満ちておられました。国の不十分な制度の中でこんな子育ちができるのは、現在この施設では住み込み制度という大変きつい、きつい労働条件の下で職員の皆さんが歯を食いしばって頑張ってくれているからだと声を詰まらせる場面もありました。
私は、今の最低基準というのは、そういうぎりぎりの中で、職員の皆さんの自己犠牲的精神で、そして子供の成長、発達を支えていると思います。これが
地域主権の名の下で下げられるようなことがあったら、私は社会の後退だと思います。残念ながら、今のこの
法案ではそれが維持向上させられる保証がない、そういう心配するんですね。
山井さん、どうですか。絶対そんなことはあってはならない。その保証、どこにあるんですか。