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2010-04-13 第174回国会 参議院 総務委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年四月十三日(火曜日)    午後二時四十分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 泰介君     理 事                 加賀谷 健君                 武内 則男君                 林 久美子君                 礒崎 陽輔君                 世耕 弘成君     委 員                 高嶋 良充君                 土田 博和君                 外山  斎君                 友近 聡朗君                 那谷屋正義君                 内藤 正光君                 長谷川憲正君                 吉川 沙織君                 木村  仁君                 末松 信介君                 谷川 秀善君                 二之湯 智君                 溝手 顕正君                 魚住裕一郎君                 澤  雄二君                 山下 芳生君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地域主        権推進))    原口 一博君    副大臣        内閣府副大臣   大塚 耕平君        総務大臣    渡辺  周君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        津村 啓介君        総務大臣政務官  小川 淳也君        厚生労働大臣政        務官       山井 和則君    事務局側        常任委員会専門        員        塩見 政幸君    政府参考人        内閣法制局長官  梶田信一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○地域主権改革推進を図るための関係法律の整  備に関する法律案内閣提出) ○国と地方協議の場に関する法律案内閣提出  ) ○地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  ) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地域主権改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣法制局長官梶田信一郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 地域主権改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案、国と地方協議の場に関する法律案地方自治法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 皆様こんにちは。自由民主党礒崎陽輔でございます。  今日は、地域主権改革等三法について、自由民主党及び改革クラブを代表いたして質問を申し上げます。  今回、三法案地域主権改革法協議の場の法律地方自治法の一部改正案出ております。なぜ一括で議論をしなきゃならぬのか、何で総務委員会議論しなきゃならぬとか、いろいろ疑問もあったわけでございますが、いろいろのお話合いの結果そうなったわけでございます。  これで、一番最初法律地域主権改革推進を図るための関係法律整備に関する法律と出ておりますが、中身を見ますと、政府の中に会議を置くということと、あと分権委員会が進めてきたいろんな見直しのごく一部を入れておるだけでありまして、なかなか地域主権改革全体がどうこうというような全体像は全く見えていない、ある意味寂しい法律であるという感じは正直いたしております。  そうした中で、今何が一番議論されているかというのは、御提案のあった本会議において各党から質疑がございました。地域主権とはいかなる意味であろうかというような問いがございまして、それに対して原口総務大臣からもいろいろお答えがあったわけであります。簡単に言うと、よく分からぬ点もありますけれども、地方分権と言うと非常に受動的な感じがするから、地域主権というような言葉を使ってもっと主体性を持たせた方がいいというような、そういうふうな言葉大臣が使われたわけじゃありませんけれども、私が解題して申し上げればそんなことかと思います。  正直に言いますと、我が自民党与党時代においても、党として使ったことはないとは思うんですが、党の人間あるいは地方の議会なんかで地域主権という言葉を使っていた例が全くないことはありません。私も最初に聞いたとき、面白いことを言うなとぐらいに思ったことはあります。それは最初に正直に私も言っておこうと思うわけでありますけれども。ただ、それを、今日最初議論したいのは、法律用語として使うのがどうかということを私はいろいろ調べてみたわけであります。  今から答弁を求めますけれども、自民党時代法律というか、戦後の我が国の法律を見ても、余り新語を使った法律って実際ないんです、題名の中にですね。新語といっても少し説明が要るわけでありますけれども、新しい造語、漢字というのは幾らでも長くできますから、新しい造語を使ったというのは、それは腐るほどあります。例えば構造改革特別区域法というのがありますけれども、これは構造改革を進めるための特別の区域で、別に日本語としては、それぞれの単語というのは既存の日本語辞書にある単語を使ったのでありますけれども、これについては事前内閣法制局とも少し議論させていただきましたけれども、地域主権というのは、地域主権と言っても全然意味が分かりません、地域主権という四文字熟語じゃないかと。これは法制局、それでいいですかと言ったら、法制局はそれで全く結構ですと、そこは四文字熟語であることは否定をしませんという答弁もいただいておるわけでありますけれども。  そうすると、その地域主権というのはまだ、民主党だけが使っているとは私もさっきも言ったように申し上げませんけれども、新語であることは間違いないんです。こういった例というのは、私も調べてみましたけれども、今までの日本法制の中で新語を使った法制というのは見られないと思うんですが、これについてちょっと法制局、いかがでしょうか。
  6. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) お答えします。  地域主権改革という用語、これは今御指摘がございましたように、法令上は今回の法案で初めて用いたものでございます。ただ、御案内のとおり、法律題名の中にその法律が設けようとしている制度、あるいはその法律が規定しようとする対象につきまして、新しい概念用語を表記いたしまして、その意味法律定義して用いているという例は御承知のとおりございます。  今回の法案では、改正後の内閣設置法の第四条一項第三号の三におきまして、地域主権改革というものを法律定義いたしまして、この語を今回の法律題名に使わせていただいておるというところでございます。
  7. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 回答をちゃんとしてほしいんですね、御答弁をちゃんと。  私の言っておるのは、別に法制的に間違っておると言っておるわけじゃありません。別に地域主権という言葉を、今回の場合は地域主権改革と六文字定義しておるわけでありますけれども、法律の中で定義をして、それを題名に使うというのが純法制的に言って間違っているわけじゃない。ただし、私の聞いておるのは新語を、新しい言葉法令題名に使っている例はありますかと聞いておるわけで、別に法制的に間違っておると言うわけじゃないわけであります。  今の内閣設置法定義したというのは、それは今のこの並びの話ですから、それを例にしてもらうと困るわけですけれども、今までそんな法律題名がありましたでしょうか。
  8. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) お尋ねの新しい語、用語というものをどのように理解するかということにもよると思いますが、一般的に、その定義をした語を法律に用いるという場合に、その定義語自身は大変短い言葉を使う例が多うございます。そういうことから、その意味内容について誤解を招かないようにその法律の中で、先ほど申し上げましたように、いろいろその定義意味内容を規定するということになっております。  そういうことから、新しい語というのは、どうしてもその法律で独特の使用用語を用いるという例は幾つかございます。例えば、中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律整備等に関する法律というのが平成十一年の法律として成立しておりますけれども、この中央省庁等改革という用語につきましては、これは中央省庁等改革基本法、これは平成十年の法律でございますが、その第一条の中に具体的に中央省庁等改革定義を置きまして、これをその他の法律題名に用いているという例でございます。
  9. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 私は別にけしからぬとまだ言っておるわけじゃないんで、もうちょっとちゃんとした答弁してほしいんですね。  中央省庁等改革っていったら、皆さん新語ですか、これ。中央省庁等改革という日本語日本語で書いておるだけじゃないか。中央省庁中央省庁です。等はちょっと別にして、中央省庁改革だから、別に普通の日本語使っておるんじゃないですか。  地域主権というのは四文字熟語でしょう。じゃ、地域主権というのは四文字熟語であることはお認めになりますか。それと今のお話どうですか。
  10. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) 地域主権というのは、今おっしゃるように四文字熟語として用いられてきたところでございます。  法律上、どこかの時点で新しい用語使用するということになるわけでございますが、お尋ね趣旨地域主権というその用語につきましては、実は政府閣議決定文書でしばしば使われてきております。それを法律上の用語として今回使用したというものでございます。
  11. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 長官、誤解しておるんです。別に法制局が間違ったと言っておるわけじゃなくて、法制的におかしいと言っておるわけじゃなくて、そういう新語を使った例はありますかというのが私の問いかけ。ちゃんと答えてください。
  12. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) 新語というものをどういうふうに定義するかということにもよるわけでございますが、実際に世の中に使われている言葉、それは新語ではないということであれば、今回の地域主権という言葉も実際に政府関係文書では使われておるわけでございますから、そういう新語定義によりますれば、全く今回の法律で新しく用いたというものではないわけでございます。
  13. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 ちゃんと答えてほしいんですけれども、新語といったって、それはそうでしょう、全く新しい言葉がぱんと出てくるわけじゃなくて、新語といったってそれは一定期間使用経歴はあるから当然どこかで使われるわけで、今日できました言葉というわけじゃないでしょう。それは一定使用経歴はあるんでしょうが。だから、今言ったような意味で、だからいいんですよ、悪いと言ってないですよ、地域主権と同じような意味新語を使った例がありますかと聞いているんですが、ちゃんと答えてください。
  14. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) 繰り返しになりますけれども、新語定義の話でございまして、初めて法律に登場した言葉だと、それを新語だというふうに定義するならば、それは今までも幾つ法律定義して、ある言葉を使うという例はございます。
  15. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 ぼちぼち最後にしますよ、これで。  もう一回言いますけれども、地域主権というのは四文字熟語だというのはさっき認めたわけですよ。今までの法令を私はすべて見てきました。現行法制全部見てきました。タイトルぐらいは全部見てきました。それから、一部改正法内閣法制局にお願いして調べてもらいました。その中で、辞書にないような、辞書にないようなですよ、言葉を使った例は一つもないと私は聞いておりますが、私の認識間違っていますか。
  16. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) 今、辞書にないようなということをおっしゃいましたけれども、悉皆的に、今手元で調べたものを持っておるわけではございませんが、行政でいろいろ使うような用語につきまして、それを法律上の概念として、用語として用いるということは、これは例としてはあると思います。
  17. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 ちょっと質問続けられないですね。  昨日まで私は担当内閣参事官議論しました。内閣法制局参事官の言うのには、法令にはありませんと言う。要は地域主権というのと同じような意味新語を使った例はありませんと聞いていますし、これは手元にないというのはいいかげんでしょう。これはちゃんと通告していますよ。地域主権というのは新語(単純な造語でない新しい概念を表す語句)を題名に使った立法例はあるのかと、ちゃんと私は質問通告していますよ。質問通告もしているし、事前に、これは事実確認の問題だから、政策の問題じゃないから、そんな法令があるかと言ったら、内閣法制局参事官はありませんと私の方に回答しているんですよ。  そんな答弁続けるのなら、委員長、これは続けられません。
  18. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 内閣法制局梶田長官、もう一度答弁願います。
  19. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) 担当者の方からいろいろ御説明をしたと思います。今先生おっしゃる新語を使ったことがないと言われる場合の新語というものを定義する必要があるわけでございますが、それがどういう趣旨のものか、新語というのはどういう意味なのか、当方では必ずしも正確に理解することが困難であるということでございますので、責任あるお答えを申し上げるとすれば、先ほど言ったように、非常にあいまいといいますか、明確ではございませんけれども、新語というものを私が先ほど申し上げましたような形で定義するならば、それはそういう使った例はあるということでございます。
  20. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 礒崎陽輔君質疑を進めてください。(発言する者あり)  もう一度、礒崎陽輔君、はっきりと説明をしてください。質疑してください。(発言する者あり)  ちょっと速記を止めてください。    〔速記中止
  21. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 速記を起こしてください。  礒崎陽輔君質問内容は、地域主権というような新語題名に使った立法例はあるのかないのかということでございますので、梶田長官、もう一度、新語題名に使った立法例はあるのかないのかということですから、答えていただきたいと思います。
  22. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) お答えします。  繰り返しになりますが、新語定義でございまして、初めて法律に用いられたという言葉であるとすれば、それは幾つも例はございますということを申し上げました。  それから、今、地域主権という言葉辞書に載っていない用語ではないかという御趣旨お尋ねがございました。私どもが調べた限りにおきましては、地域主権という言葉辞書の中に載っているというものではございません。(発言する者あり)載ってございません。(発言する者あり)
  23. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  24. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 速記を起こしてください。  新語というもののとらえ方が礒崎陽輔君長官との差があるように思いますので、もう一度、この場でこのまま続けていっても結論が出ないと思いますから、もう一度正確に一度法制局の方から礒崎陽輔さんに御説明を願って、今の回答に、答えるのかどうか、改めて進めていただきたいと思います。  礒崎陽輔君もそれでよろしいですか。──じゃ、そのように進めたいと思いますので、法制局への質問はこの程度にとどめて、次の質問に移っていただきたいと思います。
  25. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 それは私の立場で。
  26. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) まだあるわけ。  じゃ、この新語のとらえ方については後日に回していただきたいと思います。
  27. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 委員長からそういう御指示が出たので、後日のことはいいですけど、ただ、一言言っておきますけど、私は内閣法制局参事官と、こういう意味質問をするからと、新語というのはこういう意味だからちゃんととらえてくださいと事前にすり合わせしておるんですよ。それでそういう答弁をしちゃ全くけしからぬじゃないですか。もうただじゃおきませんよ、そんなこと言いましたら、本当に。しっかりやらせていただきますよ、議論を、議論をしっかりやらせていただきますよ。  時間がもったいないわけでありまして、そうしたら、総務大臣地方政府基本法の制定ということを考えているというんですけれども、この地方政府という用語は例えば法令に使うことができる用語でしょうか、どうでしょうか。
  28. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) 今お話ございました法案につきまして私ども具体的に相談を受けているわけではないわけでございますが、一般論として今お尋ねがございました。  お答えいたしますと、地方政府という用語につきましては、現行法律上も使用の例がございます。具体的に申し上げますと、財政構造改革推進に関する特別措置法の第四条第一号などにおきまして、地方公共団体財政赤字額定義している部分に、国民経済計算の体系における地方政府貯蓄投資差額と、こういう用語がございます。また、国内法令ではございませんが、条約上もいわゆる租税条約などにおきまして地方政府という語が用いられるところでございます。  したがいまして、法律が規定いたします個別具体的な内容に応じて検討する必要があるというふうに考えますけれども、およそ地方政府という語を用いることができないというわけではないというふうに考えておるところでございます。
  29. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 それはそういう答弁をするんでしょうけど、国際統計の上では、国際統計英語のローカルガバメントというのを日本でそのまま地方政府と訳して統計上そう使っているのは私もよく知っております。今日は地方政府法というのは出ていないから、これは余りこれ以上深めませんけど。はっきりせぬ答弁法制局がしますね。やっぱりこれも政治主導だからですか。  枝野大臣担当大臣に置いたのは、私は別に悪いと思いません。やっぱり法制局だって、役人が全部最後決めるというんじゃなくて、ちゃんと担当大臣がおって、しかるべき責任ある政治家が判断するというのは私はいいと思うんです。いいと思うんですけれども、それはあくまできちんとした法制局としての理屈、論理が立つようなことであって、その上に大臣が立ってしっかりやってくれるんであれば私はいいと思うんですが、今聞いていると何か心配ですね。私は別にいいとか悪いとか言っておるんじゃなくて、事実確認をしておるわけなんですよ。  今言ったように、もう答弁は求めませんけれども、地域主権のような意味での新語を使ったのは今まで一例もありません。それはさっき言ったように、私は全部の現行法制タイトルは調べてまいりました。そして、内閣法制局参事官にも一部改正法タイトルも調べてもらいました。私が言う意味での、私が言う意味でというのは、今長官はしらばくれましたけれども、私は内閣法制局参事官と私の言った意味新語というのはちゃんと詰めております。その意味で私と内閣法制局の間で詰めた感じでは、ないんです。  ただ、全くないかというと、少しあるんですね。片仮名法というのがありまして、こんなのがある、十九年のエコツーリズム推進法というのがある、それから二十一年のバイオマス活用推進基本法、こんなのは恐らく法律用語としてはエコツーリズムバイオマス新語でありますけれども使っております。あと病気名前というのがあるんですね。性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律というのがあるんです。これは病気名前ですけれども、こんなのは皆さん聞いても、それはしようがないなと思うような例ばっかりですね。  何が言いたいかというと、さっき言ったように、必ずしも民主党スローガンだと言うつもりはありません、自民党の一部も使ったことがありますから、私はそこは正直に申し上げますけど。ただ、こういうような、スローガンのような言葉法律名に使った例はないということは私は言いたいんですけど、原口大臣、少し分かっていただけますでしょうか。悪いと言っているんじゃありませんよ。
  30. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 今の御議論を伺っていまして、公共サービス基本法を作るときに同じ議論をした記憶がございます。公共サービスということの定義について、これも与野党で御議論いただいて、その意味においては、今、礒崎委員がおっしゃる新語であったかも分からない。公共サービスについての定義とは何かというのを私たちは一年半ぐらい議論をして、その範囲についてまあこれぐらいだということで与野党で御議論をさせていただきました。  いずれにせよ、理念をしっかり明確にするということで、昨日も行政監視委員会で御議論がありましたけれども、やはり私たちが申し上げているこの地域主権考え方は、憲法前文にある考え方、「ここに主権国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」といった場合の考え方でございまして、英語で言うと、ザ・サバランティー・オブ・ザ・ピープルということでございまして、まさに礒崎委員がおっしゃった、サバランティーという言葉の中には自主の、自らが決定する、自らの責任において決定するというのがこの原語の意味でございまして、主権者たる国民地域のことは地域で決めるんだと、自らが決めるんだということの意味だというふうに御理解を賜れば有り難いと思います。
  31. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 そこまでは聞いていないんですけど、公共サービスも少しそういう意味があるのは私も否定しませんけど、極めて例はまれなんです。  もう一つ例を挙げると、私が安全保障担当内閣参事官をしていたときに国民保護法というのを作ったんです。作ったと言うと悪いから、起案をしたんですね。これはでも、国民保護法というんじゃなくて、武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律というのがこれが正しい名前。  最初、私は国民保護法でどうかと内閣法制局に相談したら、そんなのは日本語じゃないと言われたんです、日本語じゃないと。ちゃんと付けろと、全然国民保護じゃ何のことか分からぬと。それで武力攻撃事態等と付けると、それで措置も付けると。そうすると、武力攻撃事態等における国民保護措置のための法律だったらまだいいんですけど、それでも駄目だと、国民保護という四文字熟語辞書には載っていないと言われたんですよ。最後にのを入れろと言われて、国民保護のための措置、のを入れないと通らなかったと。そんなこともあるんです。  大昔じゃないんですよ、これは二十年前の話ですけど、総合保養地域整備法というのは、これは国土庁所管法律ですけど、どういうわけか、国土庁が忙しかったものですから、当時自治省の財政局におった私が起案をせいと言われまして、一生懸命作ったら、リゾートという言葉を使っちゃいかぬという話になりまして、それがどういうわけか、私がしゃべったわけじゃないんですが、朝日新聞のコラムにどんと載ったんですよね。そのときに、法制局総務主幹という人に呼ばれまして、おまえがしゃべったんだろうといってえらい怒られた記憶もありまして、全くこれは関係ない話でありますけど。リゾートという言葉も駄目だったんです。でも最近は、今言ったように、エコツーリズムとかバイオマスという言葉も使えるようになったので、少し法制局も変わってきたんだと思うんですが。さっき言ったように、国民保護法はつい最近ですからね。国民保護は駄目だと言われたんですよ、のを付けろと、国民保護と。  要は、今までの法制局、少なくとも自民党政権時代の法制局は、辞書に載っていないような言葉法律を作っていいということはなかったんですよ。造語はいっぱいありますよ、さっき言ったように、漢字は幾らでも組み立てるのは皆さんよく御承知ですから。造語定義して使うのはそんなのは幾らでもあるんですが。  要は、さっき言ったように、四文字熟語ということは長官もきちんとお認めいただいたわけで、四文字熟語新語だということはもう明らかでありますから、そういうものを使った例はないんです。だから、法令用語も時代とともに変わってくるわけでありますけれども、そういうことをまず客観的に理解をしていただきたいと。  その上で、何が言いたいかというと、やはり法律というのは、これは天下の公器であります。公器というのは公の器であります。公の器ということは、やはり与党、野党じゃなくて、少なくとも使う日本語ぐらいは与野党で、すべての国会議員が了解できるような日本語で書いてもらわなきゃならぬ。その言葉が全体でどういう意味になるか。意味だったら、これはいろいろもちろん御議論は当然あって、なかなか全員が賛成というふうにはいきませんけれども、日本語ぐらいはすべての国会議員が了解できるような言葉を使ってほしいと思うわけであります。  法制局はこんな事態になることまで考えていないようでしたが、我が自民党では、今やっぱり地域主権という言葉は国家の主権との関係でおかしいのではないかという議論が出てまいっております。やはり言葉というものは国民全体が理解できるものにしていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  32. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 先ほどの国民保護法関係でいいますと、やはり礒崎委員が御苦労されたように、今の論点というのは大変大事な論点であるというふうに思います。だれから見ても多義の解釈があるというのは、法律としてはそれは好ましいものではございません。  ですから、先ほどの国民保護法制の文言のコンテクストでいうと、主権の存する国民が自らの責任において自らの地域を責任を持ってつくっていく、活気に満ちた地域社会をつくるための改革の根底を成す、その法律であるというようなことを文言にすれば、旧来から、今おっしゃったような国民保護法が、さっきおっしゃった武力攻撃事態における云々というような形になっているのと同じような多義性を排除したものになるんだろうというふうに考えております。大事な御指摘であると考えております。
  33. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 大臣、率直にお答えいただきましたけれども、さらに誤解を解く意味で言いますけれども、私は単語の使い方を言っているだけでして、法律の中で定義して使える言葉はいっぱいあるんですよ、それは。私は、一つ一つ単語、今度の地域主権というのは四文字熟語です、これは地域主権といっても何のことだかさっぱり意味は分かりませんから、これは地域主権という四文字熟語で、それもさっき言ったように民主党だけが使っているとは言いませんけれども、これは民主党のマニフェストに載っている言葉であります。だから、そういう言葉をやはり法令用語に使うというのは私は望ましくないと思います。そういっても、大臣が御起案をなさり、法制局も審査したわけだから、確かにおっしゃるとおりですという答弁はそれはしてくれないとは思いますけど、少し大臣も、私の言っていることは理解をいただきたいんです。  ましていわんや、今日は出ているわけじゃないから、さっきも言ったように詰めた議論はしませんけど、大臣総務省の中で地方政府基本法というのを考えていると。これはこの前、木村委員の方からも質問がありましたけど、日本には地方自治法という美しい言葉法令名があるわけでありまして、憲法にも地方自治については法律で定めると書いてあるわけでありまして、憲法の中にも地方自治の章があるわけで、そこから出てきた地方自治法というのは憲法の附属法でありますから、そういう今後議論なさるときには、与党だけ使うような言葉法律を作るようなことはないようにしてほしいと思うんです。  具体な話は結構ですが、私の言ったようなことを少し御理解いただけますでしょうか、大臣
  34. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 法律議論の中では大変大事な御議論だと思っております。たしか地方分権という言葉が出てきたときも、これも人口に膾炙し法的な理解が進むまでにやっぱり一定の時間が掛かっていると思います。この地方分権というのは一体何なのか。私たちは今では当たり前のように使っています。これは国家主権地方に分けることができるのかと。いや、そうではないんですね。霞が関に集中をした様々な権限、行政上の権限を分けるんだという、そういったことを主に意味する言葉だと思いました。  いずれにせよ、礒崎委員がおっしゃるように、法律の中における多義性を排除し、そして万人に共通の理解を促すようなそういう努力をこれからもしてまいりたいというふうに考えています。
  35. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 その中で、今の地域主権に話を戻しますが、地域主権という言葉はさっきも大臣説明がありました、そういう意味で使うんだという話がありましたけど、これを地方分権と読み替えるとどのように困ると大臣はお考えでしょうか。
  36. 原口一博

    国務大臣原口一博君) そこのところを随分議論を党の中でもあるいは内閣でもしてきたわけでございます。一回中央に集めた権限を単に分ける、それだけでいいんであろうかと。先ほど英訳のサバレンティーという言葉を使わせていただきましたけれども、主権者たる国民がその統治の権限を国に与えているのと同じような意味で、しっかりとした地域を自らの責任においてつくっていくんだと、その責任の改革を私たちはすべきであるという意味においてこの地域主権改革という言葉を用いているということでございます。
  37. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 我々は、やっぱり主権との関係をどう考えるかと。主権というのは二つあって、主権在民の主権と国家の主権と、私たちはそう思うわけでありますが。  じゃ、せっかくまだ長官いらっしゃいますから、日本憲法地方自治というのはどういうところから出てきているのか。これは憲法を見ても直接は関係ないので、ちょっと憲法解釈のような話になろうかと思いますけれども、地方自治というのはどういうところにその淵源があるとお考えでしょうか。法制局の御見解をお聞きします。
  38. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) 地方自治権の淵源ということだろうと思いますが、憲法、御承知のとおり第八章で地方自治という章がございまして、その中で九十二条、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」と、こういう規定がございます。  したがいまして、法律的に申し上げますれば、地方公共団体行政権能がどのように認められるかということにつきましては、地方自治の本旨を十分考慮しながら、いわゆる立法裁量の問題といたしまして国、具体的には国会の判断にゆだねられていると、その制定する法律の定めるところによって定まるというふうに憲法上はなっておるというふうに考えております。
  39. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 ということは、地方自治は法律によって定まるんだと、一言で言うとそういう御答弁だったと思うわけでございますが、そうすると、要は国のいろんな権限を一部地方に分担させておると、そういう考え方でよろしいんでしょうか。
  40. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) 地方自治をめぐる今お尋ねの点につきましてはいろんな学説がございます。その学説がどれが正しいかというのは私どもが言う立場じゃございませんが、法律的に申し上げますれば、今申し上げましたように、地方団体の権能というのは、これは法律でもって地方団体に与えるというのが今の憲法考え方であろうというふうに考えております。
  41. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 同じことを答弁されても答弁にならぬので、そうでしょうと言っているんです。だから、その意味は、国の権限を地方に分担してもらうという意味ですかと聞いておるんですから、それはちゃんと答えてください。
  42. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) 趣旨でございますが、基本的には今申し上げましたような法律構造になっておるということでございます。したがいまして、国がその権能を地方団体に与えるという見方ができると思います。
  43. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 少し変わって、国が与えるというような言葉になってきましたから。  そうしたら、これは大臣、基本的にそこの、言葉をどう使うかはちょっとおいておいてもいいですけれども、地方自治というものが、国の権能を国が法律地方に、今長官は与えるという言い方をしました、私はもう少し丁寧に分担するという言葉をさっきから使っておるわけでありますけれども、そういうことの御認識は、大臣もそれはよろしいんでしょうか。
  44. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 法制局長官が与えるという言葉を使われましたけれども、今、礒崎委員がおっしゃったような分担という方がより正確ではないかというふうに思います。  加えて、憲法九十二条、今長官お話しされました地方自治の本旨、これは住民自治、団体自治、そして補完性の原則であるというふうに、いろんな解釈がございますけれども、解すことができて、まずは地域でできることを地域でやり、そしてそこでできないものを国又は広域自治体が分担をすると、こういう解釈でよろしいかと思います。
  45. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 大臣にもう一つお伺いしますけれども、そうすると、そのこと自体を地方分権と言うことに間違いがあるわけじゃないんですよね。
  46. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 全く間違いではございません。ですから、私たちも緑の分権改革ということを一方で言っておるわけでございまして、主権意味は、国家権力が他のどんな力にも制約されず、最高で独立であること、主権国という意味で使う場合もございますし、今御議論がございますように、国民及び国土を支配する権利、統治権、国権と同義の意味で使う場合もございます。  私たちは、そこに憲法が想定をしている地方自治の本旨に基づいて、その補完性の原則として主権者たる国民が自らの責任において地域に対する役割を担っていく、責任を担っていくという意味でこの地域主権改革ということを申し上げているところでございます。
  47. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 いい議論ができました、大臣とは。だから、最後のところは、もちろん与党、野党立場違いますので意見は違いますけれども、大臣も、別に地方分権という言葉が間違っておるわけではないと、ただ、今回の法律大臣がおっしゃっているような意味地域主権という言葉を使いたかったと、そういうことなんですよね。だから、法制局も余り構えないで、私は事実を聞いておるだけなんですよね、事実を。  だから、もう質問はしませんけれども、さっき言ったように、新しいやり方なんですよ、地域主権というような全く新語法律題名にするというのは。それは是非とも今日御出席の委員の各位にも御理解をいただきたいと思います。だから、それに対して私たちは、やはり国の主権との関係で安易に主権という言葉を使うべきではないというのが我が自由民主党考え方でありまして、単にスローガンのような言葉として簡単に主権という言葉を使ってほしくないという気持ちはもちろんありますが、そこは野党の自民党の言っていることとしては理解をいただけるのではないかと思います。私も大臣のおっしゃっていることは理解はできます。最後の結論のところはもう少し審議時間をしっかり取ってもらってもう一回議論をしたいと思いますが。  法制局は、いいですから、別に法制局が間違ったことをしたと私は言っておるわけじゃないので、客観的なことを聞いているわけだから、そんなに構えた答弁をする必要私はないと思いますよ。別に内閣法制局だから、今の与党の内閣に仕えるのはそれは当たり前のことですから、それも私はおかしいとも言いませんけれども、事実確認ぐらいはもうちょっと素直にきちんとやってもらわないと、そのためにさっきも二十分以上長官との議論で、三十分近く議論で取った。内閣法制局が審議を妨害するようなことじゃ困るんですよ。その辺はやっぱり後で、委員長が詰めてくれと言いましたから、その御指示の下にしっかりともう少し話を詰めさせていただきたいと思います。  じゃ、この話はそれぐらいにして、地域主権そのものの議論はまた場所を変えてしていきたいと思います。  次に、国と地方協議の場について御説明いたしたいと思います。  これも何度も本会議質問がありましたけれども、あれだけ地方が総理大臣を議長にしてほしいという要望をしておきながら、大臣答弁は総理大臣が忙しいからだとおっしゃいましたけれども。この前も本会議場で一人ぽつねんとしておったというような記事が載っていましたけれども、そんなにお忙しいのかどうか知りませんけれども、どうしてこれ地方の意見聞いてくれなかったわけですか。
  48. 原口一博

    国務大臣原口一博君) これは、地方協議の実効性を確保するという観点から、各政策に責任を有する関係大臣地方側代表者を議員とし、その間で直接実質的な議論を行える、こういう構成としたものでございまして、地方がおっしゃっているように、総理を構成員とはいたしませんが、協議の場の招集を総理大臣が行う、議長等の指定は総理大臣が行う、また総理はいつでも協議の場に出席し発言することができるということでございまして、これはやはり国側の責任者として総理がおりますものですから、協議の場の全体の議長というよりか、むしろ一歩下がってその協議を受けて、地方がおっしゃること、あるいは国の方から地方に対してお願いをしたいこと、その主体を確保したということでございまして、協議の場において総理が強いリーダーシップを発揮することとしたもので、制度骨子の協議を通じて地方側にも御理解をいただけたものと認識をしております。
  49. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 今でも大臣答弁を聞いていると、やっぱり戦前の言葉を思い出すんですけれども、帷幄上奏という言葉があるんですね。天皇陛下にものを上げるのに、帷幄というのは幕のことであります、幕の向こうに天皇陛下が見えないんだけれども、こっちの方から天皇陛下に申し上げることを帷幄上奏というんですけれども、何かそんな感じがしますですね。  ちゃんとやっぱり総理大臣が出てきて親しく話をしたらどうですか。本当に忙しければそのときは出てこれないので、副議長さんが議長の代理を務めるということでもいいと思うんですけれども。何かやっぱり、私は、そこまでやると本当に国と地方が対等になって、国の責任者も出るし、地方から責任者というのか分かりませんが、代表者ですね、地方の代表者と国の責任者が仲よくテーブルを囲んで議論するといい場所になるんだと私も思うんですが。同じ答弁になるんでしょうから、これは言いませんけど。  もう一つ残念なことがあるんですね。だから、議長はこれは内閣総理大臣が指名するとなっているわけでありますけど、これはもう答弁の中で、だれかと言ったら、内閣官房長官だと言うんですね。これを聞いて私は愕然としました。何で総務大臣じゃないんでしょうか。私は、地方のことが一番分かっているのは総務大臣なはずです。一生懸命原口大臣地方のためにやってくれているはずであります。内閣官房長官忙しいでしょう、普天間問題だけであんなに忙しいわけですから。そんな忙しい人を議長にしないで、ここはやっぱり地方のことが一番分かっている原口総務大臣に総理が駄目なら議長をやってもらいたいというのは本当の私たちの気持ちなんでありますけど、そこはいかがでしょうか。
  50. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 有り難いお言葉を賜りまして。  私たちは、だれを議長とするかということで、官房長官を想定しておるわけでございますが、今の議員の御意見も踏まえて、より精密な制度設計に努めてまいりたいと、このように考えています。
  51. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 ただ、もう官房長官を予定していると御答弁なさっているわけですから、また違う答弁なされるとやや困るんですけど、そこはうるさくは言いませんけど。  原口大臣はしょっちゅう、政府の税制調査会、代理と言っていますけど、しようがないですけど、これもやっぱり私から見れば、たまに会長も交代ぐらいでいいですよね、政府税調でも一回一回。全部ずっと財務大臣がやることないと思いますよ、国税と地方税両方やっておるわけだから。地方税を議論するときは総務大臣が会長になると、そのくらいしないと、財政の議論もこの前から原口大臣と相当やらせてもらいました、やっぱり最後は国のことしか考えないようなところから押し込められるんですよ。やっぱり地方の意見を代表するのは私は総務大臣だと思いますから、一層御遠慮せずにそういうことはやってもらいたい。これは与党、野党ではありません。地方自治のために私も申し上げたいと思います。  そこで、地方六団体の方なんですけど、これは一人ずつしか入れないんですね、原則は。一人ずつ六団体の代表ということになっております。それはしようがないかと思うんですが。六団体も昔は結構まとまりが良くて非常に意見が一本化しやすい団体だったわけでありますが、最近は、もちろん総務省の言うことは全く聞かないのは当然のことでありますし、六団体の中もなかなかまとまりにくい、そういう状況が出てきている。  これはある意味いいこと、いろんな意見が出てきて私は悪いことだとは思わないんですけど。そうなるときに、会長の代表権というものがきちんと担保されるのかどうか。本当に今の会長が、会長だからもちろん会を代表すると恐らく六団体の規定の中には書いているんだと思いますけれども、本当に会長がきちんと代表できているかどうかということのチェックが私は要るんじゃないかと思うんですが、その辺ちょっとどうですか。
  52. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 法制化に当たって、今の礒崎委員の御指摘は私たち議論をいたしました。一方で、地方側の構成員は地方自治法政府への意見申出等が規定されていまして、これは地方自治法第二百六十三条の三で規定されている首長、議長の全国連合組織である地方六団体の代表としたものでございます。  一方で、今委員がおっしゃっている問題意識は大変大事でございまして、意見が非常に多様化しております。また、大都市、政令市、こういったものも生まれております。大塚副大臣のところでこの間一括交付金についてのアンケートを全国にお願いをしましたら、七百以上の本当に率直な御意見が参りました。そういうそれぞれの御意見についてもしっかりとした配慮をしていくべきだと、このように考えております。
  53. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 ちょっと答弁にはなっておらぬと思うんですけれども。私の聞いているのは、六団体の会長がきちんとその団体を代表しているかどうかということをきちんと議論をしなきゃならぬのじゃないですかと聞いておるわけであります。  というのは、何を言っているかというと、これも六団体が意見書を出せるという法制を作るときに少し議論があったんですけど、きちんとした法律上の位置付けが六団体そのものにはないんですよね、そういうことをやる。そして、その六団体を例えば地方自治法の中できちんと位置付けて、もちろんその中で議事機関を、どこまで書くか、ある程度自主性に任せていい部分とそうでない部分があるんでしょうけれども、六団体が意見の取りまとめをちゃんとやるような公的な組織として位置付ける。それはある意味では格上げにもなるわけであります。そういったことをやって、それでその代表としてここに、その協議の場に呼んでくるというようなことができれば、より地方の意識を的確に私は代表できると思うんですが、その辺についていかがでしょうか。
  54. 原口一博

    国務大臣原口一博君) おっしゃるように、この国・地方協議の場においてどのような権能、それからだれが代表するのかという議論を考える上で大事な御議論であるというふうに思います。  ちょっとこの法制化に当たっては大塚副大臣のところでも検討しておりますので、補足の答弁をお許しいただければと思います。
  55. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 御下問の件は、この六団体の代表者がその代表たる位置付けに明確にあるのかどうかということをどうやって担保するのかと、こういう御趣旨であったと思いますが、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、この六団体は、先生は、公的な位置付けについてあいまいな御認識であるかの御質問と承りましたが、先ほど申し上げましたように、地方自治法上意見申出権のある公的な組織だというふうに認識をしております。  その上で、この法案を作るに当たって地方側から出てまいりました意見、提案の中に、地方六団体の代表者を地方側の代表者としてほしいという地方側の御要望でもありましたので、先生御下問の趣旨はしっかりと担保されているものと考えております。
  56. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 担保の方は私もしつこく言いませんけど、是非六団体の法的位置付けをするということも、これ昔からの私課題であると思いますので、それはそれとしてまた御検討をいただきたいと思います。  次に、分科会についてお伺いをいたしますが、分科会というのは大体そこの、我々と同じように、資格を持った人の分科会だとすると、大臣の方は関係大臣を集めればいいんでしょうけれども、地方の方は一人ずつしか代表がいないんですね。議員以外の者を会議に出せるという規定はもちろんあるのは承知しておりますけれども、分科会というのはどういう構成になるというふうにお考えですか。どちらでもどうぞ。
  57. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 御質問の分科会につきましては次のように規定をされております。議長は、分科会を開催し、特定の事項に関する調査、検討を行わせることができるというふうになっておりますので、これは先生今御質問のように、そもそもこの協議の場の委員である各代表ないしは国側のメンバーによって構成をされますが、この分科会の運営については多少の弾力性があるものというふうに認識をしております。
  58. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 私が心配しておるのは、さっき言ったように、一人しか代表がいないで分科会というのも変なんですね、地方の側から見ると。私が聞きたいのは、議員以外の人が分科会の、何というんですか、分科会の委員かどうか知りませんけど、分科会の構成員になることはできるんですか。
  59. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 元々、地方側の議員に臨時の議員というものが法案の中には位置付けられておりまして、各六団体、この連合組織が指定する者を臨時の議員とできますので、もし議員の中からだけ分科会を構成するということになれば、その臨時の議員も含めてメンバーを選定することになりますが、さらには、先ほど弾力性というふうに申し上げましたが、分科会が特定の事項を検討するに当たって、例えばこの協議の場が有識者をこの分科会に参加をさせることが必要だということで合意ができれば、そのような対応もあり得るものと考えております。
  60. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 私が内閣法制局のようなことを言う必要はないわけでありますけれども、この九項を見ましても、議員でないものを議案を限って臨時に協議の場に参加させると、これは副議長のところだ、ちょっと違うところを読みましたけれども、要は、協議の場に参加させると書いていますよね。協議の場に参加させるというのは議員にはならぬのじゃないかと思うんですね。だから、臨時に参加する人が議員でなければ分科会に出られないのかとちょっと心配をしておりますので、その辺は、さっきも言ったように私がここで法令の審査をしておるわけじゃありませんので余り言いませんけれども、ちょっとその辺が気になりますので、柔軟な対応をしていただけるということでございますので、それはしていただきたいと思います。細かい話ですので、何かあったら御意見を伺いますが。  あとは、やっぱり何を議題にするのかということが非常に漠然としておりまして、それはある程度法制上は仕方がないと思うんですけれども、実際に一体、これを議案にするというようなことはどうやって、だれがどんなふうに決めるのか、そこをちょっと御答弁いただけませんでしょうか。
  61. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 協議の対象につきましては、この法案の中にも列挙をしている表現として、国と地方団体との役割分担に関する事項、地方行政地方財政、地方税制その他の地方自治に関する事項、少し長いですが、経済財政政策、社会保障に関する政策、教育に関する政策、社会資本整備に関する政策その他の国の政策に関する事項のうち、地方自治に影響を及ぼすと考えられるものというふうに列挙をしてございますので、その定義に当てはまる個別の事項を議員の発議によって議案が決まってくるものというふうに理解をしております。
  62. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 それは法制的にはそうなんでしょうけれども、できるだけ、つくる以上は活用してほしいわけですよね。活用しないつもりでつくるわけでは恐らくないと思いますけれども。  やっぱり恣意的な運用は困るわけですので、地方公共団体としっかりと、何といいますか、どういうことを議案にするかということをよく議論をして、せっかくつくったんですから、できるだけ広範に活用する方がいいと思いますが、ちょっと大臣、いかがでしょうか。
  63. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 全く同じ認識を持っています。  実は先週も麻生知事会長とお会いをいたしまして、国・地方協議の場、そこでどんな議論をこれからやりましょうかと。  例えば今、子ども手当についての法案を御審議をくださいましたけれども、二十三年度に向けて、いわゆる現金給付とそれからサービス給付の割合、あるいは国、地方における役割の分担、こういったことについても個々具体の予算の編成。  それから、少し私が今危惧をしておりますのは、先ほども少し出ておりましたけれども、先生がおっしゃった、国の庭先だけきれいにして、今少し一部で出てきているのはプライマリーバランス論です。国、地方のプライマリーバランスを一定にしなさいと。地方の方はもうプライマリーバランス、この間、血のにじむ思いで全体としては成し遂げているわけです。均衡をしている。それに対して、国の方はまだそれができていない。国、地方で合わせてプライマリーバランスを維持せよといえば、また地方側に更なる歳出努力、削減努力を押し付けることにもなりますねと、そういうことはもうやめましょうと。  例えば、こういう財政運営の基本方針でありますとか、税の基本方針でありますとか、幅広く議題にさせていただきたいと思いますので、御指導をよろしくお願いいたします。
  64. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 繰り返しになりますけれども、せっかくいいものをつくるわけですから、なるほどしょっちゅうよく活用しておるというような状況になるような運用をお願いをいたしたいと思います。  時間が残り少なくなってまいりましたが、最後に出先機関改革が残っているんですね。これは私も大きく期待をしております。なかなか今までやろうやろうと言ってもいろんな反対論があってできなかったものであります。これも政権がせっかく交代したわけでありますから、是非とも出先機関改革をやってほしいと思うんです。  その中で、これは鳩山邦夫さんが総務大臣をしているときにも何回か質問をしました。あのときにも大臣に申し上げたんですが、今回の出先機関の改革地方分権改革として位置付けられていることは私は物すごくおかしいと思うんです。  出先機関というのは国の機関ですから、それの整理統合というのは、もちろん地方分権を図っていかなければならないという観点もある、もちろんあります。その観点からもやっていかなきゃならないけれども、私が不思議に思ったのは、そういうことでやるものだから、出先機関の整理の対象が地方関係のある役所しか入っていないんですよ。総務省にもありますけれども、地方関係ない国だけの役所、行政評価事務所であるとか、一番大きいのが財務省の財務局だとか、税はちょっと仕方がないかもしれませんけれども、こういうところが分権改革として位置付けられているために出先機関の整理の検討の対象から除外されておるんです。  こんなことをやると霞が関の中でのこれは平等性も保てませんし、一部の役所がうまいことやったなという話に絶対なると思うんで、そういうことだけは原口大臣にも申し上げて、絶対許さないでほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
  65. 原口一博

    国務大臣原口一博君) これも大変大事な御視点だと思います。  私たち地域主権改革の観点からだけでこの出先を、今度権限仕分をいたしますけれども、それだけではなくて、行政改革行政刷新の視点を持って、果たしてこれが出先である必要があるのか、それは中央で行うこともできるし、逆に言うと民間に渡すこともできるんじゃないか、そういう行政改革の視点も非常に大事でございまして、今財務省の出先をお話をされましたけれども、聖域なく見直していくんだということを枝野行政刷新大臣と合意をして進めておるところでございます。
  66. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 それは本当に大事なことでありますので、よろしくお願いをしたいと思います。  法制局との議論で大分時間を取りましたので、少し残すことになりますけれども。あと、今日もそうなんですけれども、公務員の人件費の話も聞こうと思いましたけれども、総務省では答弁できぬと言うんですね。大臣のところまで行った話じゃないかと思いますけれども、要はそれは内閣府の行革のところでやっているから答弁できないと言うんです。  総務省というのは、さっき出た中央省庁改革のときに、全省庁にわたるのをしっかり監督すると、内閣府のように一格上ではないけれども、ちょっと上ぐらいで総務省というのはつくったはずなんですよ。その中に中央の管理と地方の管理と両方入れて、それを一人の総務大臣というところできちっと行政の管理をしようということになったわけでありますから、最後大臣にお聞きしたいのは、そういう公務員の管理が非常に総務省じゃ分からぬというのじゃ困るわけでありますから、さっきの人件費の二割削減の問題、これも早急に結論を出していただきたいと思いますし、また総務省でもそれはちゃんとやっているよというような体制をつくってほしいと思うんですが、その二点について最後にお伺いします。
  67. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 総人件費改革、それから公務員の改革、これについて総務省としてしっかりとグリップをしてやってまいりたいと思います。  また、今日も四大臣会合を行いましたけれども、来年に向けた新しい新採のことも決めなければいけません。ところが現状は、部署によっては、どなたがⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種で、どこにどれぐらいいらっしゃるかという数字も即時に分からないというような現状も分かりました。  今、礒崎委員がおっしゃったように、総務省としての横ぐしの機能をフルに発揮をして、そしてスリムで効率的な行政、そして働きがいのある公務員制度といったことでしっかりと頑張ってまいりたいと考えております。  ありがとうございます。
  68. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 時間が参りましたが、我々も一緒にできることは一緒にやってまいりたいと思いますが、いろいろとまた議論もしないといかぬところもたくさんあるようでございますので、二巡目以降の議論でまたしっかりとさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  69. 二之湯智

    二之湯智君 自民党二之湯です。  私は、地方自治法の一部改正、そして、その中でも特に議会の機能強化、あるいは議員個人の身分の問題について若干質問をしたいと思います。  今回、法定、いわゆる上限の撤廃ということが、改正が上程されているわけでございますけれども、平成十一年の地方自治法改正でいわゆる法定上限は定められたけれども、定数は条例で定めなさいと、こういうことでございますけれども、現在、全国の都道府県始め全国自治体の議会で法定いっぱい定数を持っているという議会はほとんどないと思うんですね。ほとんどが行財政改革に協力して、議会もかなり低い定数を条例で定めていると、こう思うんですが、一体今現在の全国自治体の議会の状況はどうなっておるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  70. 小川淳也

    大臣政務官(小川淳也君) 現在御審議をいただいております法定数、上限でございますが、これに満たない、これに下回る定数を定めている地方自治体は、都道府県におきましては四十七団体中四十六団体、しかしながら、残る一団体は和歌山県でございまして、既に条例改正済みでございます。そういう意味では、すべてが下回っております。一般市におきましては七百八十三団体中六百三十五団体、これも八〇%を超えております。町村におきましては九百九十四のうち九百七十ということで九七%以上が下回っており、最後に東京都の特別区でございますが、二十三団体中二十団体ということでほとんどがこれを下回る状況でございます。
  71. 二之湯智

    二之湯智君 今お話のありましたように、全国の地方議会はほとんど法の改正なくても法定数を下回った条例を施行しているわけでして、来年の統一地方選挙を恐らくにらんでもっと減ってくるんじゃないかと。  今回いわゆる上限を撤廃したということと議会の機能強化、自由度といわゆる機能強化ということがちょっといま一つ私には分かりにくいんですが、今度いわゆる上限を撤廃したというその経過、三議長会が本当にこれを何とかしてほしいという、かつていろいろな運動があったのか、そしてこれがどんな意味を持つのか、こういうことをちょっとお伺いしたいと思いますが。
  72. 小川淳也

    大臣政務官(小川淳也君) お尋ねの件でございますが、過去経過を少し整理をいたしますと、今回、第二十九次の地方制度調査会の答申としてこのような考え方が既に述べられていたわけでございます。これが平成二十年の開催でございますが、この間、七月二十四日付け、町村議会議長会からこの上限値を撤廃してほしいという意見を具体的にいただいております。都道府県議長会や市議会議長会からはこうした具体的な形ではいただいておりませんが、この調査会のそもそも委員として御審議に参加をいただいたという経過がございます。  これがどれほど自由度を高めるかという点なんですけれども、委員最初お尋ねのとおり、ほとんどが実際はこの上限を下回る定数を定めているわけでございまして、この点に限って言えば、目下のところ極めて大きな影響が直ちに出るということではないかもしれません。  ただ、一方、この点はよく大臣にも御相談申し上げながら進めてまいりたい点ですが、今現在、議会の在り方を含めてより大きな選択の幅を広げていくことを議論しておりまして、こういう中では、例えば今のような人口区分で定数をきちんと上限定めるということは、一人一人の議会の議員の在り方も平準化していることが前提になっているわけでありまして、より多様な形での議会の在り方、議員の在り方があり得るという議論に立てば、こうした制度の上限の撤廃は将来的には大きな効果をもたらす可能性があるというふうに考えております。
  73. 二之湯智

    二之湯智君 三議長会のうちの都道府県議長会、市議会議長会がそういう要望をしなくて、町村議長会だけがそういう上限撤廃してほしいと、こういう意味の、その町村議長会の意図はどういうところにあったんでしょう。
  74. 小川淳也

    大臣政務官(小川淳也君) 定かにきちんと事実確認をした上でお答えすべきと存じますが、現行規定は、委員もよく御存じのとおり、最少人口から、あるいは人口が増える段階に一人だとか上限はこうだとか、非常に細かな規定になっておりまして、これは、委員も長らく議長会の代表として、あるいは京都市議会において大変な重責をお務めになられたわけでございまして、非常に手足を細かく縛られた自由度のない制度。これはやはり、先ほど来分権の議論あるいは地域主権議論ございますが、こういった観点からも是非、むしろ自治体議会を信頼してほしい、任せてほしいというような意思の表れではなかったかというふうに推察をいたしております。
  75. 二之湯智

    二之湯智君 どこの議会でも今、定数を減らしておりますですね。私、必ずしも住民の多様な意見を吸収するというのは、議員を減らすということが果たしていいのかどうかということですね。だから、首長のいわゆる行財政改革に議会がどこまで協力しなければならないかという、その辺がいつも私、議論の分かれるところだと思いますが。  余りにも極端に議員の数を減らすということは、今町村合併でもかなりの議員の数が減った、その上まだ議員の数を減らすとなりますと、本当に広いところにたった一人か二人しか町会議員がいないとか、そういうことになってしまうんですね。ますます、町村合併って一体何だったんだろうと、非常に住民からとったら議員が遠く感じる、役所が遠く感じると、こういう思いを非常に住民の皆さん方が持っておると思うんですが、大臣、この点どうでしょうか、いかがお考えでしょうか。
  76. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 二之湯先生は全国市議会議長会の会長もお務めなさり、大変大事なお仕事を、地方分権の先頭に立ってこられた、その先生の御意見は大変重いと思っております。  この間、又市先生にもお答えをいたしましたけれども、私は、議会議員というのは、様々な民主主義におけるそれぞれの主権者の権利を行使をする、そういうことからすると、少なければいいという話ではないと思います。逆に言うと、多様な意見、あるいは今過疎地のお話をされましたけれども、そこに住む人たちの声、あるいは代表して議会に届ける、その権利を逆に抑制することがあってはならないと私は考えています。  ともすれば、この間、この十五年ぐらいの議論は、議員というのは少なければ少ない方がいいんだと、議員というのはまるで行政改革と同じような論理で減ればいいんだということが少し行き過ぎてきたのではないかと、私はそのような反省も総括があるべきではないかと。だからといって、私がどこかの議会に増やしてくださいとか減らしてくださいと総務大臣の立場として言えるものではございません。それを御判断いただくのは地域のまさに主権者であるというふうに考えております。
  77. 二之湯智

    二之湯智君 地方議会というのは住民からとったら非常に見えにくいと、よく言われているように、地方議会と日本銀行だけがさっぱり何をしているのか分からないと、こういう議論が言われているところでございまして、だからもっともっと減らせ、もっと給料も減らせ、定員も減らせと、こういう議論がよく飛び交うわけでございまして、これは大変住民受けするわけですね。しかし、もっと乱暴な意見を挙げれば、もう地方議会なんて要らぬのじゃないかと、こういう意見も一方にあるわけですね。  しかし、憲法九十三条では、法律の定めるところにより、地方公共団体にはいわゆる議事機関として議会を設置すると、またもう一つ、二項では、地方公共団体の住民がこれを選挙すると、こういうこととなっておりますから、地方議会をなくするということは憲法改正しなければなくならないということでいいんでしょうかね、大臣
  78. 原口一博

    国務大臣原口一博君) まさにおっしゃるとおりであると思います。憲法が想定している地方自治、そして地方議会の役割、これは極めて重要でございまして、先ほど申し上げましたように、地方議員の権能、私も先生と同じ地方議会の出身でありますけれども、例えば百センチの視点ということで町をずっと見てまいりました。そのときに、小学校一年生の目の高さで町を見たときに何が見えてきたかというと、子供たちの姿を隠している生け垣が見えてきました。それを減らすだけで子供たちの命を守ることができる。  地域の住民に近いところ、そしてより現場に近いところで御努力をくださっている地方議会の議員の役割というのは、増えることはあっても減ずることはないと、このように考えております。
  79. 二之湯智

    二之湯智君 よく議員の定数問題で議論されるのは、いわゆる道府県会議員、政令指定都市の中にある道府県会議員が、つまりその権限、仕事の量に比べて非常に数が多いのではないかと言われるんですね。  この間も、京都府知事選挙が十一日に終わったんですが、私も京都市内で演説するときに、京都府知事を市民の皆さん方にいかに重要な仕事をしているかということを説明するのがなかなか難しかったんですね。それで、また、恐らく民主党の前原国土交通大臣もどこかの委員会で、政令指定都市の道府県会議員は数が多いのではないかと、ある意味では、極端なことを言えば要らないんじゃないかと、こういうような発言をしたようなことがホームページに載っておりましたけれども。  今、例えば京都なんかは特に、人口の五五%がいますと、つまり権限の少ない京都市内からの選出の府会議員が京都市を除く府会議員よりも数が多いと、こういう逆転現象が起こっているわけですね。そうすると、つまり府下の府会議員さんは、直接権限が及ばないところの議員さんが多くて、府政全体のことが京都市選出の議員さんによって決められてしまう、これはおかしいんではないかと、こういう議論があるわけなんですね。ただし、今のように人口によって、有権者の数によって定数が決まるとなりますと、どうしてもそういう形になってしまうんですね。だから、定数というものは必ず人口によって定められなきゃならないのか。これは憲法の法の下の平等という大きな原則がありますけれども、この辺がなかなか難しい問題ですね。  地方制度調査会でもこの問題をいっとき議論したようでございますけれども、憲法上ちょっと問題があるんじゃないかという結論になって、いまだに減数、いわゆる定数の削減が実現しないんですが、大変難しい問題だと思いますけれども、大臣、どのようにお考えになりますか。
  80. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 二之湯先生と同じ問題認識をやっぱり私も持っておりまして、京都府では、京都府議会の定数が六十二に対して京都市選出の定数が三十五名でございます。先般、相模原市が誕生しまして、県内三つ目の政令市が誕生しました神奈川県では、百七の定数に対して政令市の選出議員が六十七人になるという。  私も静岡の県議会におりました。当時は静岡市も浜松市も政令市ではありませんでしたけれども、隣の愛知県の名古屋市を見ておりまして、よく意見交換をすると言っておりました。まさに市議会の議員の方がいろいろ忙しくて、県議会なかなか、県立病院と県警と県立高校の話以外余りないんだと、こういう本当に話を聞いています。  これ、難しいのは、ただ、先生おっしゃったとおり、法の下の平等がありまして、裁判起こされて定数減らしたら、一票の格差が発生した場合どうするんだということになります。ですから、権限と定数というものが実は比例する形にはなっておりませんけれども、ただ、これはいろいろ学識経験者や現場の政治に携わる方々と話をすると同じ問題意識を持っておりまして、これをどういう形でできるかということは、法の下の平等という問題がありますけれども、やっぱり行財政の検討会議等で一つのテーマとして、政令市における選出の在り方というものは何らかの形で検討していくべきだろうなということは私どもも同じ問題認識を持っております。
  81. 二之湯智

    二之湯智君 極端なことを言いますと、京都市と同じぐらいの行政面積持っている一つの郡部の区がたった一人しかいないと、いわゆる最近はもう過疎化現象で。これでは、一人の人間で八百平方キロぐらいの住民ニーズを、課題をどのようにして処理していくのかと。これは深刻な問題であるわけでございますから、これは当然真剣に考えてもらいたい。  以前、戦前は五大都市の市会議員と県会議員あるいは府会議員は兼務したんですね。昭和二十二年の新しい自治法ができた後も昭和二十五年まで、公職選挙法が施行されるまでこれは兼務していたんですよね。だから、私は兼務制度というのは非常にいい制度だなと。なぜその兼務制度が撤廃されたかというと、いわゆる一地方自治体の議会議員は他の自治体の有給の議員を兼ねることができないと。だが、無給だったらいいのかと、こういう議論にもなるんじゃないかと思うんですが、その当時いろんな議論が展開されたと思いますけれども、もしその当時のことが分かれば教えていただきたい。
  82. 小川淳也

    大臣政務官(小川淳也君) この点は正確に事実関係を調べた上でお答えすべきだと思いますが、何分にも戦前の都道府県政は官選知事の下で、そういう意味では、自治組織としての形態は、現在、日本憲法下におけるそれとは幾分性格が異なった点もあろうかと思います。  それも含めて、この点、大変重要な問題意識をいただきましたので、改めて事実関係なり、その背景にある考え方をよく整理をいたしたいと思います。
  83. 二之湯智

    二之湯智君 次に、今、議決事件の範囲の拡大が改正をされようとしておるんですが、このいわゆる議決事件の拡大というのは、これは三議長会がかねてから要望しておったことでございます。特に地方自治法九十六条一項では十五件のいわゆる議決事項が列挙をされております。そして、二項では、条例をもってこれを追加することができると、このようになっております。  ところが、なかなかこの二項を使って、そしていわゆる議決事件を追加していこうという地方自治体というのはないんですね。これは議会側の意識が低いのか、それとも地方分権地方分権と言ったって、また執行部側と議会との綱引きというのがあるんですね。いわゆる執行部側は、そんなことは追加しなくても、話合いで解決できるんじゃないですかといって議会を説得して、いわゆる条例として議決事件を追加しないと、こういうことになると思うんですが、今この二項を使って議決事件を追加している自治体というのはどれぐらいあるのか、教えていただきたいと思います。
  84. 小川淳也

    大臣政務官(小川淳也君) 平成十九年の四月一日現在の調査でございますが、都道府県四十七団体中三十団体がこの自治事務に関して条例により議決事件を追加しております。主な例としては、行政全般に係る基本計画の策定や男女共同参画の分野等でございます。また、市区町村においては、千八百四団体中二百二十八団体において議決事件を追加しているという状況でございます。
  85. 二之湯智

    二之湯智君 この追加の議決事件も恐らく、私詳細は聞いていませんけれども、余り大したものがないんではないかと。結局、追加しましたという程度のお茶を濁したような追加になっているんじゃないかと、このように思うんですが、よほど地方議会がしっかりしないと、せっかくこういう法の改正が成っても、なかなかこれがうまく活用できないんじゃないかと。かねてから有識者の皆さん方は、もっと地方議会、改正改正と言うんじゃなくて、二項を使いなさいと、このようによく指摘されたんですが、なかなか使い切れていないと、こういうことでございます。  次に、今度いわゆる自治事務じゃなくて法定受託事務においてもいわゆる議決事件として追加できると。私、法定受託事務というのは、いわゆる戸籍の事務だとか、国勢調査だとか、あるいは旅券の交付とか、あるいは国政選挙、こういうことが思い浮かぶわけでございますけれども、こういうことに関して、議決事件に追加するということはどんなような条例が一体可能となるのか、この辺をちょっと教えていただきたいんですが。
  86. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 御指摘の点でございますけれども、自治事務と同様に地域形成にかかわる基本計画等が考えられるところでございます。都道府県においては、海岸保全基本計画、河川整備基本方針、あるいは地すべり防止工事の基本計画、あるいは農業経営基盤の強化促進ということが考えられます。また、市町村としては、流域水害対策の計画ということでございまして、こうした点が例として挙げられようかと思います。
  87. 二之湯智

    二之湯智君 これは今の法定受託事務のいわゆる条例ですね。
  88. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) そうです。
  89. 二之湯智

    二之湯智君 なかなか難しい議決事件ですから、これが本当に生かし切れるかどうか、なかなか大変だと思います。  次に、行政機関の共同設置が今提案されておりますけれども、今回の改正で議会事務局とか監査委員の事務局の共同設置が認められましたですね。これ、確かにいいことだと思うんですね。小さい自治体ではなかなか、一つの議会事務局といったって職員が二人ぐらいしかいない、もう何でもかんでもやらなきゃいかぬといって、専門的知識もないと、こういうことが実態ですね。  しかし、私もよく思うんですが、なかなかこの議会事務局とか監査委員事務局というのは、果たして共同事務局を持っても独立性は確保できるのかと。今度の改正の目的は、もちろん行政の効率化と同時に、その性格上、いわゆる執行部、長からの独立性の確保、あるいはまた監視機能の強化と、こういうことも想定して共同事務の設置というものを考えられると思いますけれども、どこまで果たしてこれが機能を発揮できるか、この点について意見を伺いたいと思います。
  90. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 大事な問題意識を共有させていただいていると思います。  議会事務局や監査委員事務局については、特に共同設置をすることによって調査業務に専ら従事する職員の配置が可能となると。私も県議会、佐賀県議会にいさせていただきましたけれども、やっぱり事務局の数というのは一定でございまして、その中でどれほど専門的な、あるいは能力を向上させ、首長からの独立性を確保するかと、これはやはり大きな課題であるというふうに思います。  今回共同設置される事務局の職員の身分の取扱いについては、規約で定めるところによっていずれかの構成団体の職員とみなされることになるわけでございますが、さらに、関係地方公共団体において人事管理の在り方についても十分に工夫をしていただき、共同設置の効果が発揮されることを期待をいたします。  一人事務局がいなくなると、もうそれで、何というんでしょうか、非常に不都合なことになるということはあってはかえってならないんではないかと、そういうことで今回自由度を増したというふうに御理解をいただければと思います。
  91. 二之湯智

    二之湯智君 今、都道府県もそうでしょうし、政令指定都市でもそうでしょうけれども、いわゆる議会事務局の局長、監査委員の局長、これは任命権者が長じゃないと思いますね。今度の場合、共同事務局を持った場合の任命権者というのはどうなるんでしょう。
  92. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) この点につきましても、それぞれの事務局出身者でございますので、任命権者はそれはそれぞれが採用された役場の長ということになります。
  93. 二之湯智

    二之湯智君 そうすると、いわゆる議会事務局は議長、監査委員の場合は、多分監査事務局長が今まで任命権者だったけれども、今度は長になるということですか。
  94. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 例えば、事務局の職員でございますので、町役場なら町役場で採用されたときの任命権者は当然それは長でございます。
  95. 二之湯智

    二之湯智君 そうすると、議会事務局の今事務局長の任命権者は議長ですね、議長なんですよ。
  96. 小川淳也

    大臣政務官(小川淳也君) 恐れ入ります。  ちょっと実務的に改めてこれまでの議論を整理をいたしましたところ、任命権者は変わらない、現行どおりでございまして、委員がお持ちの問題意識のとおりでございます。ですから、議長が議会事務局職員を任命をし、代表監査委員が監査委員の事務局員を任命するというのが正確な取扱いでございます。
  97. 二之湯智

    二之湯智君 今日は、共同設置ともう一つ大臣、都道府県に議会事務局があります。政令指定都市も大体三、四十人の議会事務局がございます。そこの任命権者はいわゆる議長なんですね、議長。  ところが、この任命権者の権限をほとんどの都道府県議会議員、政令指定都市のいわゆる議長は振るえないんですよ。つまり、私は市会議長のときに、自分のいわゆる目を付けた職員を議会事務局長に採用したんですが、随分と抵抗あったんですよ。それで、私のところへ来る京都府下のある町の議長さんも、二之湯議長が京都市のときに任命権者として局長を任命したからそれをやろうと思ったけれども、いわゆる長の人事異動の中で、渦の中でかき消されてしまったと、こういうことですね。  それで、この間も、私、出身の京都市議会に行きましたら、新しく議長秘書になりましたと。えっ、あんた、あと一月やないのといったら、一月でも結局定期異動の人事異動の中で、議長の秘書までもいわゆる役所の人事異動で転勤させられてしまうと。任命権者としての権限を振るえないという非常に弱いところがあるんですね。  だから、日本の場合、非常に制度としてはいいんだけれども、監査委員もそういうことになっているんですけれども、すべて、選管もそうですけれども、全部そこで働いている事務局の職員は、結局もう長の人事の中に組み込まれてしまって、形だけは任命権者になっているけれども、全くそれは、いわゆる法律どおりの機能が発揮できていないと、こういうことになっているんですが、こういうことについて、大臣、いかがお考えでしょう。
  98. 原口一博

    国務大臣原口一博君) おっしゃるように、これは議会、市議会あるいは町村議会、ここの事務局の人事あるいは予算といったものがやはり独自で自己完結をするということが一番望ましいわけでございますが、現実は、私どものところも議会事務局長がその後教育長まで行きました。  それは、一体これは何なんだと、教育長は執行部からある意味独立したところでございますけれども、本当の意味での議会の独立、あるいは執行部からのチェックということからすると、やはり本来的に行政府の方が、行政を担う方が大きくて、議会の方のまだ基盤やあるいは権能といったものがその重要性にかんがみて十分ではないということも言えるんではないかと思います。  私たちも、今、国・地方協議の場でも議長会の皆様から、そういう権限をしっかりと確認し、拡大をし、そして本当の意味での民主主義の学校、地方議会の権能をしっかりと支える制度が必要なんではないかという御提案をいただいているところでございます。
  99. 二之湯智

    二之湯智君 議会事務局がしっかりしなければ、議員も長に対して鋭い質問あるいは言いたい質問もできない、また監査委員の事務局も長から独立しないとなかなか厳しい監査報告も書けない、これが地方の実態ですから、この辺はいかにして独立性を確保するかということについてやはり心を砕いてもらいたいと、このように思います。  次に、今の議会事務局あるいはまた都道府県には議会図書館、これよく言われているのは、都道府県では議会事務局は必置義務、議会図書館も必置義務ですね。ところが政令指定都市、政令指定都市も要求しているというんじゃないけれども、つまり都道府県と政令市の扱い方が法律上非常に差別的だと。つまり、横浜のように三百二十万からですか、いる政令市と、言っては悪いですけれども、鳥取とか島根のように百万以下の議会でも、一方が必置義務、一方が設置することができると、こういうことですね、法律上は。これはいつも私、おかしいことになっているなと。どうしてこういうことが改正されないのか、この辺をちょっとお伺いしたいと思うんです。
  100. 小川淳也

    大臣政務官(小川淳也君) 二之湯委員には、大変申し訳ございません。私どもが昨日のうちに幾つかきちんと正確に通告を受け止めるべき事項がこの間幾つかございました。おわびを申し上げたいと思います。  これも改めてちょっと事実関係をよく確認をいたしたいと思いますが、義務付けのようなことがどこまで本当にやるべきで、どこからはある程度自由な裁量に任せるべきかといったような議論が過去あったように思いますので、改めてちょっとこの点も整理をさせていただきたいと思います。
  101. 二之湯智

    二之湯智君 そういうことで、そうしたら、もうお互いが、都道府県も政令指定都市と同じように、市町村と同じように設置することができるという条項に変えればこの差別条項はなくなるわけですね。私は、そういうことにしていかなきゃ、いや、実態は、なくなったら大変ですよ、そういうことをよくひとつ御認識いただきたいと思うわけでございます。これはこれでおいておきます。  次に、今、地方議会で一番関心の深いのは政務調査費ですね。平成十二年の地方自治法改正によって、地方議員に調査研究に資するために政務調査費を交付することができると。これは多分衆議院の総務委員長委員長提案で、各会派、共産党さんも含めてこれは成立した。このときに実は私、全国市議会議長会の会長をしておりまして、当時、いわゆる全国の自治体で調査研究費というものをいわゆる自治体の長が各県議会あるいは市議会の会派に交付していたんですね。これは団体交付金の一種なんです。ところが、これがどうも第二の給料じゃないか、やみ給料じゃないか、あるいは非常に収支報告がずさんだと、こういうことで市民オンブズパーソンからかなり厳しく追及されたと。そこで、自由に使えるいわゆる調査費が欲しいという運動を超党派で運動したおかげでこういうことになったわけでございます。  そのときに、都道府県議会議長会は、公設秘書を是非認めてほしいという運動を展開されていました。それで、市議会議長会始め町村議長会は、もっとこの調査研究費を自由に使えるようにしてほしいと、こう言って、妥協の産物として、この政務調査費で人件費にも充当できると、こういうことになれば、いわゆる公設秘書もそれで賄えるじゃないかということで、都道府県議長会とそして市議会議長会が、お互いが歩み寄ってこういう法律になったんですが。なったところ、えらい使い勝手が悪いというか、今、全国の市議会あるいは都道府県議会でも、人件費は三分の二までとか、事務所は三分の一か二か二分の一まで認めましょうとか、後援会の機関紙の制作費の半分は認めるけど認めないとか、非常にもう使い勝手が悪い。私が一生懸命その当時運動したので、あんた何てことしてくれたんやと、逆にしかられているような感じなんですが。  これもう少し、せっかくこういう制度をつくってもらって、もう少し使い勝手のいい、地方議員さんがもっと前向きに政治活動に使えるようなそんな形にならないものか、この点を大臣に伺いたいんですが。
  102. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 私も県議会議員時代に、二之湯先生がおっしゃるのと同じ政務調査費の改革ということで議論をしました。そもそも、政治活動の自由、あるいは様々な、国会で言うと立法調査、こういったものについては公開性、透明性が求められるものであって、その中に一つ一つのパーテーションというか枠があって、あれはいかぬ、これはいかぬと言うのは、それはやはり行き過ぎだと私はそのとき議論をいたしました。  ただ、この間非常に、国会もそうですけれども、議会に対する市民の目や国民の目が厳しゅうございまして、そこでそういう事前規制を入れているんではないかと考えておりますが、本来あるべき姿は、私は、政治資金規正法のときも公職選挙法のときも申し上げましたけれども、本来は政治活動の自由を担保すると、これが一番大事であって、あれもいかぬ、これもいかぬ、これもいかぬと言って萎縮をさせて、そして結果それが社会のダイナミズムを失わせたり、民主主義の基本を失わせたり、多様な代表を国会や市議会、県議会、町村議会に送り出すことを妨げるものであってはならないと、このように考えております。
  103. 二之湯智

    二之湯智君 最近はその政務調査費のいわゆる支出報告書にも、一円からの領収書もちゃんと保管しなさいと、そして報告書はきっちりと、市民がだれが見ても透明性が確保できるようにしなさいと、こういうことになっておりますので、今大臣が言われたように、もっと自由に使えるような、そんな方途をこれからも考えてもらいたいなと、このように要望をいたしておきます。  次に、地方会議員は、今一番要望しているのは、議決権の拡大でもあるいはいわゆる上限の撤廃でもなくて、地方会議員として、いわゆる地方自治法に、議員が今人事委員とか選挙管理委員会のような非常勤の職員と同じような位置付けだと、これをもっと公選職として、法律に明確にこの職責と職務について位置付けてほしいと、こういう運動をやっているわけですね。  地方制度調査会はどういう結論だったか知りませんけれども、ここ二、三年来その運動を展開して、せんだってはようやく報酬を議員報酬ということにして、あるいはちょっと議員の活動の範囲を広げると、こういうことがやっと実現したんですが、公選職というのはなかなか実現しないんですね。  しかし、今、都道府県会議員とかあるいは政令指定都市の市会議員は、もうほとんど国会議員と同じような活動ですね。スケールが小さいだけで、やっていることは、もう一日二十四時間同じような活動をしているわけですね。何とか地方議員の身分の法的な位置付けというものができないものか、大臣の所見を伺います。
  104. 原口一博

    国務大臣原口一博君) これも与野党で、先生方御理解をいただきまして、自治法の改正、そして今先生おっしゃる地方議会の議員の先生方の報酬について、これは二年前の国会でしたか、私も提案者としてここで御説明をさせていただきましたけれども、まず第一歩というか、ささやかな一歩を先生方のお力で前に進めていただいたところでございます。  先ほども申し上げましたけれども、地方議会というのはやはり車の両輪であり、民主主義の学校と言われる地方政治を担う上で大変大事なものでございまして、六団体、特に議長会の皆様とのお話合いで一歩も二歩も前に進めていかなきゃいけないテーマであると、このように認識をしております。
  105. 二之湯智

    二之湯智君 これは是非、要望いたしておきます。  次に、第二次地方制度調査会でも、地方議員のいわゆる進出をもっとしやすくするために住民に門戸を広げていこうと、そして、例えば女性が参加しやすい、あるいは一般のサラリーマンも議員になりやすい、働く人にも門戸を広げようとか、そういうことが提案をされておりますですね。一方、やはりできるだけ優秀な人に地方議会にも参画してもらわなきゃいかぬ、出馬をしてもらわなきゃいかぬ。最近は、恐らく与野党問わず、地方議員になかなかなり手がなくなってきたと。これはやっぱり身分が非常に不安定だと、こういうことですね。それはあると思うんですね。  ところが、最近、地方会議員の年金が非常に財政が危機的な状況になってきたと、こういうことでございまして、一方で、もうこれ以上掛金を上げてもらったら困る、給付のカットをしてもらったら困る、それならもうこの年金をやめてしまえというような、こういういろんな意見があるようでございます。しかし、この年金の財政はあと一年もしないうちに破綻してしまうんじゃないかという、そういうような状況にあるわけですが、大臣、この地方会議員年金というのは、前も私、鳩山総務大臣のときに尋ねたんですが、大臣は、地方会議員年金が必要か、あるいはまたもっとほかの方法を考えるべきだと、このような考え方をお持ちかどうか、ちょっとお伺いしたいと思うんですが。
  106. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 私は、自分が地方議会の出身であるからというわけではございませんで、原則論として地方議会は民主主義の学校であると、先ほどから何回も答弁をさせていただいておりまして、そこにいわゆる代表制のミスマッチがあってはならない。女性であるとか働く人であるとかそういう方々が積極的に議員となり、そして地域の意見を代表していただくということが極めて重要であるというふうに思います。  互助の精神にのっとり年金を給付する制度を設けていただいているのが地方会議員年金でございますが、今委員がおっしゃるように、それはもう破綻の危機にあります。急速な合併、議員数の激減、ですから私どもといたしましては、地方六団体、議会議長会に対しても幾つか案を出しまして、地方会議員年金というものを廃止するという立場には立たないで、何とかこれを維持するためには何が必要かということを今話合いをさせていただいているところでございます。
  107. 二之湯智

    二之湯智君 もう都道府県会議員とか政令指定都市の議員は、ボーナスも含めて、掛金が大体百五十万ぐらいになっているんですよね。四年間ですと六百万、三期十二年間務めるとそれはかなりの額になりますから、若い人はそんな高い年金を払うんならもうやめてくれと言いますし、お年寄りの年金いわゆる既裁定者の方は、もうこれ以上カットされたら自分の生活にも支障が出ると。退くにしたって進むにしたって大変な難しい問題を抱えておるんですが、やはり今大臣がおっしゃったように、急激な町村合併、あるいは低金利ということもあるんですよね。いっとき千数百億あった金がほとんど一%ぐらいしか回らないという、運用益が出ないというそういうこともありますし、長寿化ということもあるわけなんですが、できるだけ各界各層から多くの優秀な意欲ある人が地方議会に出てもらうためには何らかの身分保障が必要だと、こう思うんです。  しかし、これ以上カットしますと、平成十四年にはいわゆる二〇%カットしたんですか、それから十八年には一二・五%カットした、それで総務省はこれで二十年大丈夫ですと大見えを切ったら、もう三年もたたないうちに、いや大変でしたと、計算間違いしましたと、これでは地方議員は非常に不信感を持つのも当然だと思うんですが、公費を上げろと、もっと上げろと、こういうこともなかなか今の財政状況から難しいと思うんですが、もう一度、大臣考え方聞かせてください。
  108. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 地方会議員年金制度検討会の報告書、これは平成二十一年十二月二十一日において、継続する案としてA案、B案の二案が提示されておるものでございます。この二案は、国民の理解を得るためには、給付水準の引下げ、掛金の引上げ、負担金の引上げなど、公費ですね、今おっしゃった、公費でどれぐらいまで見ることができるのかと。  これはやはり二之湯先生、ぎりぎり五割を超え六割に近いというものがどこまで国民の皆さんに御理解をいただけるかというのは、正直私は、この厳しい財政状況の中で、一般の年金も大変厳しゅうございます。ですから、私は緑の分権改革ということでも申し上げていますが、成長なくして財政再建なしなんです。みんなが収縮する中でどこにお金を回すかという議論をやっている限りにおいては、内向きでなかなか生産的な議論にはなりません。議論自体が非常に暗く、そしてうつむいた形になっております。  是非、私といたしましては、この議員年金、存続すべきだと私は考えているんです。ただ、そこに向かう公費の負担の額については、やはりそこにも制限があるんだということも事実なので、なお地方議会関係者の方々の御意見を伺いながら、もう少し時間を掛けて、そして結論を導いていきたいと、このように考えておるところでございます。
  109. 二之湯智

    二之湯智君 この地方議会年金は、地方公務員共済組合に今強制加入なんですね。だから、私だけは入らないというわけにはまいらない。しかし、給付はそれぞれの各共済会から給付されるという。同じように選挙された首長の場合は、二元代表制の一方はこのいわゆる地方公務員共済組合に加入できて、議員はできない。これを、議員もそこの組合に給付してもらえるような、加入をすることができないのか。制度的に大変難しい問題でしょうか。
  110. 小川淳也

    大臣政務官(小川淳也君) 現在の地方公務員等共済組合法におきましては、加入の対象を常勤職員というふうにいたしておりまして、直接はやはり首長ということになります。  少しこれは歴史のある話でございまして、地方会議員年金制度そのものが、元々は公的年金というよりはお互いの互助年金という形でスタートをし、そもそも創設当初は掛金だけで賄われてきたという歴史も一方にあるわけでございます。  これらを十分頭に入れながら、今大臣が申し上げたような趣旨、時代の変化や国民の理解、そういったものを総合的にこれから少しお時間をいただいて議論をさせていただきたいと考えております。
  111. 二之湯智

    二之湯智君 それでは、年金はこれぐらいにしまして、次に礒崎議員が質問されていない国と地方協議の場の問題について質問をいたします。  私いつも、自分自身が六団体の長を一つしながら、六団体というのはどういう組織なのかなと、ちょっと疑問に思っているところもあるんです。つまり、六団体の長、いわゆる事務総長、事務次長は総務省のいわゆる局長経験者、ほとんどが。ほとんど同期に近い方。そして、次長も大体総務省を早期に退職されて、横滑りで来られる。つまり、事務総長と次長がすべて同期だと、六団体の。この方たちが国と地方協議の場に行って、果たして大臣総務大臣の前で堂々と独立性を保って渡り合えるかどうか、こういうことをいつも疑問に思うんですが、大臣、どうでしょう。
  112. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 今は本当に地方六団体も、これまでの総務大臣はさぞ、何というか、雲の上の存在だったのかなと、今は、言いたい放題とは言いませんけれども、大変忌憚のない御意見をいただいておるところでございまして、それだけ総務省も本来の姿に近づいたのかなというふうに思っております。  ただ、今委員がおっしゃるように、そのトップお二人が総務省の出身であり、ある意味今まではやっぱりピラミッドの統治のための総務省といったところがなかったのか。あるいは今でも、他省のことを言うことはあれですけれども、もう有無を言わせず国がやるんだから何か文句あるのかと、あるんだったら言ってこいと、後でひどい目に遭わすぞと言わんばかりの対応をしているまだ政権交代の意義が分かっていないようなところも一部見受けられるとの御批判をいただいております。そういったことについては、総務省並みに自由に物が言える、そういう風通しの良い六団体との関係をつくりたいと思っております。
  113. 二之湯智

    二之湯智君 これからは、多くのプロパーの職員も育っておるわけでございますから、たまには、たまにはですよ、いや、プロパーの職員が事務総長になったなとか次長になったなと、そういうまた人事もあっていいんではないかと。それによって初めて国と地方協議の場が活性化してくるんではないかと、こう思うわけです。  それで、地方六団体の話になるわけでございますけれども、先ほども申しましたように、今、政令指定都市はこれで相模原入れて十九ですか、熊本が入りますと二十になる。人口は恐らく二千七百万人ぐらいになるんじゃないかと思うんですね。そして、横浜と、横浜は三百六十万、私先ほど三百二十万と言いましたが、三百六十万、北海道の歌志内が四千五百人、これを市議会で一くくりにするのはちょっと無理があるんじゃないかと。もう全然課題が違ってきているわけですね。それを全国市長会、全国市議会議長会と一くくりにするのはちょっと無理があるんじゃないか。  そして、政令指定都市も、是非とも政令指定都市市長会、政令指定都市議長会、これを二つを全国的連合組織として認めて、地方八団体としてほしい。先ほど、それぞれの問題によっては分科会が設けられて、そこに恐らく政令市の代表も入ってもらいましょう、こういうことになるんですが、政令市からすると、やはり堂々とした地方自治法にはっきりと位置付けられたそういう連合組織にしてほしいと、こういう強い要望があるんですが、大臣、どうでしょう。
  114. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 率直に地方八団体としてはどうかと、先ほど委員がおっしゃったように、横浜市のように三百六十万人から北海道の小さな町のように六千人規模の、千差万別です。  ですから、私たちはマニフェストにおいて、大都市制度についてもちゃんとやりますよというお話をさせていただいて、この場合、全国的連合組織と、現行法の解釈として言えば、今の委員がおっしゃったことにポジティブな答弁、肯定的な答弁というのは、現行法の組織の解釈上はできないわけでございますが、一方で、私は今の二之湯先生と同じ問題意識を共有しておりまして、国・地方協議の場、若しくは地域主権戦略会議、この中にも北橋北九州市長に入っていただいて、今の法制ではカバーできない御意見を伺える方に代表となっていただいておるところでございます。
  115. 二之湯智

    二之湯智君 これは、いつも市町村という一くくりで政令指定都市もくくられると、政令指定都市も非常にプライドがありますので、この辺もひとつよく考えていただきたい。  最後に、この地方分権、先ほどから地域主権というような言葉定義でいろいろと問題ありましたけれども、地方分権を進める上で、いろんな会ができるわけですね。つまり、地域主権戦略会議、そして国と地方協議の場、そして内閣総理大臣の諮問機関として地方制度調査会があるわけですね。あれもあるこれもあると、船頭多くして船山へ登る、そんな感じになるんじゃないかと。一体どこが最後この問題を決めるんだという、この辺が非常に不明確、いわゆる決定権の最終会議が分からないんですが、やはり内閣総理大臣が議長を務める地域主権戦略会議が最終決定権を持っているんですか。
  116. 原口一博

    国務大臣原口一博君) まさにおっしゃるとおりでございまして、私はこの職に就かせていただいたときに、いろんな審議会なりタスクフォースがございました。できるだけこれは整理した方がいい。そして、船頭多くして船山に登るというようなことになってはならないので、地域主権戦略会議、これは総理が議長で強力なリーダーシップを発揮してくださっていますが、この地域主権改革の戦略の検討、具体化、推進を任務とする改革の司令塔であり、エンジンであるというふうに考えております。  それに対して、国・地方協議の場は、自民党さんも、あるいは公明党さん、その他の党もマニフェストで掲げておられましたけれども、しっかり法制化をして、地域の意見を吸収できる、あるいは協議を行うための場をつくろうと。  それに対して、地方制度調査会は地方制度に関する重要事項を調査審議するため内閣府に設置された審議会でございまして、総務省においては地方行財政検討会議を開催して、先ほど礒崎委員がお触れいただきましたけれども、地方自治法の抜本的な見直し案、つまり国の憲法に準ずる地方自治法改正案を検討しているところでございまして、できるだけ相乗的な効果が発揮され、連携して検討を深めていく、このことが大事だというふうに考えておるところでございます。
  117. 二之湯智

    二之湯智君 最後になりますけど、私も今ずっと、狭い京都府下だけしか知りませんけれども、ずっと歩いていますと、限界集落というだけじゃなくて、中山間地域でももう大変お年寄りの夫婦が多くて子供の姿が見かけない、若い人の姿が非常に見かけるのが少ない。もう十年、二十年たったら日本はどうなるんだろうと大変心配するわけですね。だから、本当に地方に人が住むように、住んでやっぱり生き生きとした輝く地域をつくらないと、私は日本の将来は大変心配になるんですね。  だから、原口大臣も、いわゆる地方議会出身として、あるいはそれほど大きな県の出身の議員ではないわけでございますから、やはりしっかりと地域の活性化のために、地方が元気になるために一生懸命頑張ってもらうようなひとつ活動をこれからも期待して、私の質問を終わります。
  118. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  日本共産党は、地域主権の名の下に、これまで多年にわたる国民の努力で築き上げてきた社会保障に対する国の責任を放棄するということには断固反対であります。今回の地域主権改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案、いわゆる地域主権改革一括法案を読みますと、その危惧を一層強くせざるを得ません。  法案では、一府七省にかかわる四十一の法律が改定されることになっております。その中には、国民の安全にかかわる規制でありますとか、子供の発達にかかわる基準も多く含まれております。これらを地域主権の名の下に一括して地方に言わば丸投げしてしまっていいのかと、慎重に検討しなければならないと思います。  そこで、具体的に聞きますけれども、一括法案では児童福祉法の改定も提案されております。その児童福祉法の現行四十五条には、厚生労働大臣は児童福祉施設の設備及び運営について最低基準を定めなければならないとあります。ところが、改定案では、この厚生労働大臣とか最低基準という文言がばっさり削られまして、都道府県は児童福祉施設の設備及び運営について条例で基準を定めなければならないというふうに変えられております。現行の児童福祉法には最低基準という文言が数えますと九か所出てまいりますけれども、今回九か所とも削除されております。  まず、厚生労働省の山井政務官に来ていただいていますけれども、こういう改定になるというのは間違いありませんね。
  119. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) このことについては、まさにこの委員会で今議論されているところだと承知しております。
  120. 山下芳生

    ○山下芳生君 九か所削られようとしているということであります、うなずいておられますので。  そこで、厚生労働大臣が現行定めております児童福祉施設の最低基準というのは、この最低基準がなくなるわけですから、これ全部なくなるわけですけれども、山井政務官、現在、厚労省の省令で定められている児童福祉施設の最低基準の第二条、最低基準の目的には何と書かれてありますでしょうか。
  121. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) お答え申し上げます。  児童福祉施設最低基準は、児童福祉施設に入所している者が、明るくて衛生的な環境において、素養があり、かつ適切な訓練を受けた職員の指導により、心身共に健やかにして、社会に適応するように育成されることを保障することを目的としていると、児童福祉施設最低基準省令の第二条でございます。
  122. 山下芳生

    ○山下芳生君 私も昨日、改めて読みまして感動を覚えました。すばらしいことが書いていますね。明るくて衛生的な環境とか、素養があり、かつ適切な訓練を受けた職員とあります。これは、子供たちが心身共に健やかに発達できる環境を国が責任を持って保障するんだという決意が私には感じられました。  それだけではありません。御紹介いただいた省令の最低基準の第三条には、最低基準の向上という項目がありまして、そこには、都道府県知事は、その監督に属する児童福祉施設に対し、最低基準を超えてその設備及び運営を向上させるように勧告することができるでありますとか、厚生労働大臣は、最低基準を常に向上させるように努めるものとすると、こうあります。これもすばらしい内容だと思います。子供たちの健やかな発達のために国が保障する水準は時代とともに逐次高めなければならないという、後退させてはならない、そういう哲学が感じられる文言だと思います。  そこで、山井政務官に伺いますが、私は児童福祉法のこの最低基準に込められた決意、哲学、これは絶対になくしてはならないと思いますが、政務官、いかがですか。
  123. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) 山下委員、御質問ありがとうございます。  山下委員御指摘のように、やはり保育の最低基準をしっかりと保障していくという決意、理念というものは非常に重要なことだというふうに思っております。本当に幼いお子さんたちは、今の環境あるいは保育が不十分であるとかそういう声を上げることができないわけですから、それはしっかり公が守っていく必要があると思っております。
  124. 山下芳生

    ○山下芳生君 そうおっしゃるんだったら、何で最低基準を削除するのかということになるんです。これまでと全然違うことになりますね。子供の発達を保障する水準を、これまでは国が直接定めて全国どこの子供たちにもその水準を提供する、そしてその水準は時代とともに引き上げるとしていたこれまでのやり方はもうやめると、今回の法改定でですね、になるわけですよ。最低基準をなくして都道府県が定める基準にゆだねるというのはそういうことだと思います。これをやりますと、国の責任、子供たちに最善の環境を提供しようという決意や哲学を投げ捨てるものだと、私はならざるを得ないと思っております。そうじゃないんですか。
  125. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) 投げ捨てているわけではございませんで、児童福祉施設最低基準は、上記の目的を達成するために、これを下回った基準での児童の育成が行われないための、文字どおり最低基準として国が定めているものでありますが、今回、最低基準を地方自治体の条例に委任したとしても、社会情勢の変化等を踏まえ、地方自治体において引き続きその向上に努められるべきものであると考えており、最低基準を向上させるという理念が失われるものではないと考えております。
  126. 山下芳生

    ○山下芳生君 山井政務官はそうお答えになりましたけど、そうすると、今現行の最低基準の向上という同じ考えを法改定後の都道府県が定める条例にも入れさせるんですか。厚生労働省令で定める基準にも基準の向上という文言を入れるんですか。入れるんですね。
  127. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) そのことは今後検討していきたいと思っておりますが、とにかく最低基準を向上させるという理念は、これは今回の法案によって変わるものとは全く思っておりません。
  128. 山下芳生

    ○山下芳生君 いやいや、変わりますよ。  だって、現行のこの向上という文言は現行の最低基準の中に入っているんですから、さっき私、紹介しましたけど、都道府県あるいは国は向上させるものだということが書いてあるわけですね。これがなくなるんですよ。幾ら山井さんが大事にせなあかんと言ったって、これなくなるんですから。なくなった後これ大事にするんだったら、国が今度基準を定める基準の中にこういう基準の向上というのが入らないと、これ保証ないじゃないですか。どうですか。
  129. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) この法案趣旨は、最低基準を低下させていくということではなくて、地方自治体の創意工夫あるいは地方自治体の地域のニーズに応じてより向上させていくということを目的としていると、そういうふうに承知しております。
  130. 山下芳生

    ○山下芳生君 地方自治体のニーズということは言うんだけど、国が責任持って向上させる、維持させるということは保証ないと、今の答弁を聞いてもそう思います。  もう一つ聞きたいんですけれども、児童福祉法の改定案四十五条の二項にある厚生労働省令で定める基準に従い定めるものとするの中にある、厚生労働省令で定める基準というのは、現在の児童福祉法の最低基準として定められている内容と同一なのかということなんですね。  資料に、保育所とその他の児童福祉施設の最低基準として定められている主な内容を配付しております。一枚目は保育所ですけれども、例えば職員の配置基準ですと、〇歳児は三人に保育士が一人、三対一。一、二歳児は六対一、三歳児は二〇対一、四歳以上児は三〇対一。それから、設備の基準で〇、一歳児を入所させる保育所は、乳児室の面積は一人当たり一・六五平米以上、ほふく室の面積は一人当たり三・三平米以上。それから、二歳以上児を入所させる保育所の場合は、保育室又は遊戯室の面積は一人当たり一・九八平米以上とありますね。二枚目に、乳児院とか児童養護施設などが載っておりますけれども、ここでは看護師、それから児童指導員、保育士、栄養士などの基準がそれぞれ定められております。  ここで定められている基準の内容、水準が今度省令の中で定める基準と同一なのか、そのとおりこのままなるのか、これはいかがですか。
  131. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) 山下委員、御質問ありがとうございます。  この地域主権改革の実現に向けては、厚生労働省としてもその取組を推進していく所存でありますが、御指摘のように、児童福祉施設においてはその施設や運営の基準を適切に定めることにより、子供の健やかな育ちを保障することが重要であると考えております。  特に、今回の法案でも、児童福祉施設最低基準については次の三点、つまり、設置する従業者及びその数、そして二番目に居室の床面積、三番目、児童の適切な処遇及び安全の確保、秘密の保持、健全な発達等に密接に関連するものとして厚生労働省令で定める事項といった児童に対するサービスの質に大きな影響を与える基準については、遵守すべき基準として、厚生労働省令で定める全国一律の基準に従い、都道府県等は条例を設置することとしております。さらに、児童福祉施設最低基準に関しては、子供の健やかな育ちに深刻な影響を生じてはならないと考えておりまして、その厚生労働省令で定める基準については、現行の基準を基本に考えております。  いずれにしましても、具体的な基準については、この法案の審議を踏まえ改正法施行までに厚生労働省において検討し、基準について規定したいと考えております。
  132. 山下芳生

    ○山下芳生君 今、現行を基準に考えているとお述べになりましたけど、しかし、法律ができた後省令で決めると、基本的には、最終的には。だから、基本はそういうふうに今考えておられるんですけど、そのままなるという保証は私はないと思うんですね。しかし、ここが一番おっしゃるように大事だと思うんですよ。厚生省令の内容が今の最低基準以上になるのか、以下なのか、それとも同じなのか、これが明らかにならなければ、条例へ委任されてどうなるかが分からないわけですね。  子供の発達保障にとって一番極めて重要な基準がどうなるかは、私は、当然この法案を審議している国会に一つ一つ出してもらって検討しなければならない。これは一番大事な問題ですからね。これは、内容が今、これから決める、基本に考えているということだけど、どんなものが、どう検討されているのか、ここへ出していただかないとこれは審議できないです。国会の責任を果たせないと思いますが、出してください。
  133. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) 山下委員、御質問ありがとうございます。  これについては、私たち厚生労働省の立場としては、厚生労働省令で定める基準については現行の基準を基本としたいと考えておりますし、具体的な表示については今回の審議を踏まえて改正法施行までに検討し、基準について規定したいと考えております。  そして、山下委員が危惧されている点は厚生労働省でも議論はしてまいりました。私もそもそも学生時代に児童福祉施設でボランティアをしておりまして、その中で、本当に子供たちのために何ができるかということで政治を志した人間でありまして、その辺りについては長妻大臣原口大臣の間でも、また厚生労働省と総務省の間でも、今回のことによって、やはり地方自治体の方が現場に近いところにいるわけですから、そういうところが御判断されることによって最低基準が下がる、そういうことがないように当然してまいりたいと考えております。
  134. 山下芳生

    ○山下芳生君 やっぱり現行を基準にと、基本にという表現で、それが上がるのか下がるのか、そのままなのかというのはやっぱり分からないですね。でも、そこが一番大事なんですよ。これ出してもらわないと責任果たせないです。  委員長、私は政府に、当委員会に、この最低基準、児童福祉法だけじゃないですけれども、かかわる基準がどうなるのか、資料として出していただくよう要求したいと思います。
  135. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 今後、理事会で協議をさせていただきます。
  136. 山下芳生

    ○山下芳生君 その状況を踏まえてしっかりと審議をしたいと思います。  それで、私、山井政務官もいろんな児童福祉施設で働いてこられたということですが、児童養護施設というのがございます。家庭内虐待などの理由から、親子分離して保護する必要のある子供たちが入所し発達を保障される施設だと思います。  私、先日、甲府市にある社会福祉法人山梨立正光生園の児童養護施設を訪ねまして、加賀美理事長、山田施設長からお話を伺いました。加賀美理事長は、全国の児童養護施設の団体の御代表もされていた方であります。大学で教鞭も執られていた方で、戦災孤児の収容保護から始まった日本の児童養護施設の歴史、あるいは、九〇年代半ば以降、児童相談所への虐待相談が増加して施設の満杯状態が都市部から地方へと拡大していることなどを丁寧に説明していただきました。  加賀美理事長、こうおっしゃっています。虐待を受けた子供たちは、夜暗くなると恐怖感に襲われて夜泣きしたり、夢遊状態になったり、トイレにも行けなくなったりします。職員のところに来て、起きて起きてと言う子もいます。子供間の暴力に走る場合もあります。子供六人に職員一人という職員の配置基準を下げることになったら、子供間暴力や施設から子供への暴力が増える。そうなれば、もう子供たちを集団で世話するのはやめた方がいいと、こうおっしゃっていました。これ以上下げるんだったら、もう集めるのやめた方がいいと、非常に重い、ずしりとした言葉だと思います。  一方で、加賀美理事長は、今年も六人、この施設から高校を卒業し社会へと出ていった子供がいます。一人は看護師になりたいと看護学校に進学しました。あとの五人は就職を決めることができました。今の高校生の就職難の時代にです。ほとんど子供だけで、自分で選択権を持って、僕はこれになりたいと就職先を決めましたと、こう語るときの理事長の表情は本当にうれしそうでありました。そして、必ずこの子たちは自立してタックスペイヤーになれる、社会の担い手になれると語る目は、確信と決意に満ちておられました。国の不十分な制度の中でこんな子育ちができるのは、現在この施設では住み込み制度という大変きつい、きつい労働条件の下で職員の皆さんが歯を食いしばって頑張ってくれているからだと声を詰まらせる場面もありました。  私は、今の最低基準というのは、そういうぎりぎりの中で、職員の皆さんの自己犠牲的精神で、そして子供の成長、発達を支えていると思います。これが地域主権の名の下で下げられるようなことがあったら、私は社会の後退だと思います。残念ながら、今のこの法案ではそれが維持向上させられる保証がない、そういう心配するんですね。  山井さん、どうですか。絶対そんなことはあってはならない。その保証、どこにあるんですか。
  137. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) 山下委員にお答えを申し上げます。  今回御審議いただいている法案においては、児童養護施設等の最低基準を廃止するのではなく、基本的に条例に委任することとしましたが、直接児童に対する処遇の質に大きな影響を与える基準として、今御指摘の人員配置基準や居室の面積基準などについては遵守すべき基準として全国一律の最低基準を維持することとしております。  その他の基準については参考とすべき基準として地方自治体の判断で定められることとしておりますが、各自治体においてはそれぞれ適切な基準を定めるなど、処遇の質が確保されるように適切な措置を講じていただきたいと考えております。  私も、学生時代、一番児童養護施設でボランティアをして痛感しましたのが、やはり虐待を受けたお子さんたちは本当に多くの専門性のある職員が必要でありまして、山下委員御指摘のように、今の基準が最低限のぎりぎりだというふうに思っておりますので、是非これをこれからやはり地方自治体の創意工夫も含めて引き上げていただきたいと思っておりますし、原口大臣からもこういう地域主権地方分権というのはやはりサービスを良くするための分権であるということをいつも御指導いただいておりますので、そういう思いと承知をしております。
  138. 山下芳生

    ○山下芳生君 本当にこれまでそういう施設で活動されてきた政務官だったら、こういう状況にはもっと危惧をして、そんなことはあってはならないと、最低基準は国の責任として守るんだと、すべての子供たちにこの基準は守って提供するんだという立場に立って当然だと思いますよ。それが、残念だけど、地域主権の名によって上がるんじゃないかと、そんな甘い考えじゃ駄目ですよ。地方の財政大変なんだから、地方にゆだねたら、下がることはあっても上がることはないという危惧いっぱい出ていますよ。本当に私は、そういう立場では駄目だと思います。  それから、一つ一つ、ですからちゃんと審議しないと駄目ですよ。どうなるのか、法律を通してから任せてくださいと、任せられないですね。ちゃんと国会で一つ一つ審議すると。それを全部後で政令にゆだねる、省令にゆだねるんだったら、政治主導の名が廃りますよね、そう私は思います。  それから、もう一つ聞きたい。  改定案では、都道府県が条例で基準を定める場合に、厚生労働省令で定める基準に従い定めるものとされているのは、現在の最低基準の事項すべてではありません。改定案四十五条、児童福祉法ですけれども、二項二号では、設備に関する事項であって児童の健全な発達に密接に関連するものとして厚生労働省令で定めるものとか、同三号では、運営に関する事項であって、厚生労働省令で定めるものとあります。つまり、今の最低基準の事項が全部そのまま従わなければならないものとはならないんです。それをどうするかというのは省令で決めるとなっている。  そうすると、例えば、現在保育所には調理室を置かねばならないということが定められております。これは、先ほど山井政務官が読んでいただいた三つの基準でいいますと、一でも二でもありません。面積基準でも人員配置基準でもありません。これは省令でどうするかはこれから決められるんです。これが一体どうなるのかということが問われる。今分からないです。  それから、二枚目には、乳児院とそれから児童養護施設の職員配置、それはさっき言いましたね。  それから、三枚目には、それら乳児院、それから児童養護施設にもやっぱり調理室が今は必置規定になっておりますけれども、それから、養護施設には静養室というものも置かなければならない。乳児院には観察室とか診察室というのも置かなければならない。これは、このままこれも定めて守らなければならないことになるのかどうかは、これは省令にゆだねられることなんですね。それでいいのかと。これどうなるんですか。
  139. 山井和則

    大臣政務官(山井和則君) 山下委員、御質問ありがとうございます。  確かに、今回の法案においては、児童福祉施設の最低基準について、先ほど申し上げましたように、配置する従業者やその数、そして居室の床面積、そして三番目に児童の適切な処遇及び安全の確保、秘密の保持、健全な発達等に密接に関連するものとして厚生労働省令で定める事項といったこの三つに関しましては、サービスの質に大きな影響を与える基準として遵守すべき基準として、全国一律の基準に従い都道府県等は条例を制定することとしております。  それで、今、山下委員御指摘の、例えば調理室ですね、この調理室、児童福祉施設における調理室の設置や保育所における保育の内容などに関しても、この三番目の厚生労働省令で定める事項という中に入れたいというふうに考えております。
  140. 山下芳生

    ○山下芳生君 これも、今調理室はそうおっしゃいましたけど、いっぱいあるわけです、そういうものがね。一つ一つどうするのかということをやっぱり委員会、国会でちゃんと審議しないとこれは駄目です。これも是非きちっと出していただきたい。  委員長、これも検討していただきたいと思います。
  141. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 理事会で検討させていただきます。
  142. 山下芳生

    ○山下芳生君 調理室の件ですけど、先ほど、訪ねた山梨の児童養護施設の理事長さんがこう言っておりました。子供の育ちというのは、生理的欲求、すなわち食べること、寝ること、排せつすることを充足させるプロセスの中で人と人との関係性をつくることにあると。ですから、もし調理室が外されて、調理が外注化されて、どこかで作ったものがそのままできましたというんで持ってこられるんだったら、調理、食べることを通じて人と人との人間性というのが奪われちゃうと。目の前でお母さんが作っている、目の前で職員さんが料理してくれている、自分たちのために作ってくれている、それが出されたというその関係性の中で育ちというのがあるんだというふうに、僕はなるほどなと思いました。  そういうものがこの地域主権の名によって奪われたりしたら、子供の育ち、発達が阻害されることになると思います。ですから、一つ一つ吟味しなければならない問題を一括してやるのは間違いだということを申し上げて、質問を終わります。
  143. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  144. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地域主権改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案外二案の審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時七分散会