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2010-03-25 第174回国会 参議院 総務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年三月二十五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十五日     辞任         補欠選任      高嶋 良充君     行田 邦子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 泰介君     理 事                 加賀谷 健君                 武内 則男君                 林 久美子君                 礒崎 陽輔君                 世耕 弘成君     委 員                 行田 邦子君                 土田 博和君                 外山  斎君                 友近 聡朗君                 那谷屋正義君                 内藤 正光君                 長谷川憲正君                 吉川 沙織君                 木村  仁君                 末松 信介君                 関口 昌一君                 谷川 秀善君                 溝手 顕正君                 魚住裕一郎君                 澤  雄二君                 山下 芳生君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     原口 一博君    副大臣        総務大臣    渡辺  周君    大臣政務官        総務大臣政務官  小川 淳也君    事務局側        常任委員会専門        員        塩見 政幸君    政府参考人        総務省自治行政        局長       久元 喜造君        総務省自治財政        局長       久保 信保君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○市町村合併特例等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、高嶋良充君が委員を辞任され、その補欠として行田邦子君が選任されました。     ─────────────
  3. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  市町村合併特例等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務省自治行政局長久喜造君外一名を政府参考人として出席求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 市町村合併特例等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 外山斎

    外山斎君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新日本外山斎です。  今日は合併特例法に関しまして質問をさせていただきます。質問時間が短いので早速質問に入らせていただきますが、私の選挙区であります宮崎においても二十三日に二つの新たな市が誕生いたしました。これでひとまず国の進めた平成の大合併一区切りを迎えようとしているわけでありますが、確かに合併特例法によって平成の大合併は進みました。  この大合併には、地方分権に向けた市町村財政基盤強化と、あと人口減少時代に備えた行政効率化といった二つの主な目的があったと言われております。合併によって確かに二つ目的効果として表れ、行政規模が大きくなったり専門職員を置けるようになったりとプラス評価もありますが、一方で、身近だった役所が遠くてよそよそしいものに変わったという声も聞こえてきております。特に行政側住民側合併に対する評価に大きなギャップがあるのではないかと思いますが、原口大臣合併特例法によって進めた平成の大合併をどのように評価されているのかお聞かせください。
  7. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 外山議員におかれましては、まさにイギリスの大学で国際関係論を学ばれておられますけれども、全国最年少で、選挙区候補としては大変立派な成績で国会へ来られています。新しいパラダイムを是非おつくりいただきたいということをお願い申し上げ、今の御質問お答えしますと、まずは、この間、合併に伴う様々な御努力を払ってこられた全国皆さんにこの場を借りてお礼を申し上げたいと思います。その上で、合併についてのポジティブな評価がある中で、一部はやはり中心部だけ良くなって周辺部は寂れただとか、役場が遠くなって不便になっただとか、旧市町村地域の伝統、文化、地名などの喪失といった否定的な評価があるのは事実だと思います。  ただ、合併というのは将来の地域を見据えて行われるものであって、やはりその効果が表れるまでは十年ぐらい掛かるのかな、だから早計な合併の総括というのは避けなければいけないと、そう思っています。  ただ、この度、合併の検証を総務省として独自に行って三月五日に公表させていただきましたが、それは合併に伴うメリットだけじゃなくて影の部分についても総括して、様々な課題の把握に努めました。これからの地域主権基盤となる市町村の在り方については、合併から多様な選択肢への転換を図ることを明確にしたところでございまして、なお市町村の自主的な取組をしっかり支えてまいりたいと、このように考えております。
  8. 外山斎

    外山斎君 ありがとうございます。  それでは、今回の改正で、三十一日までで失効する現行の合併特例法の第七条の一項で認められている三万人特例、要するに、地方自治法では市昇格人口要件を五万人と規定しておりますが、合併しようとしている自治体に対しては三万人以上でいいよという要件を緩和する特例があります。今回の改正案ではこの特例部分が削除されております。この特例をなくすと、合併をしたいと思っている小規模自治体合併協議等がますます進まなくなるのではないかと思いますが、なぜ今回三万人特例を外すことになったのか教えてください。
  9. 小川淳也

    大臣政務官小川淳也君) お答え申し上げます。  この間の合併に対する積極的な推進策によりまして、三千二百余りあった市町村が千七百余りということで、この十年ぐらいで急激に進んだわけでございます。今大臣御答弁申し上げましたとおり、この評価成果については一定の期間を置いてしっかりと見定めたいという思いがございます。  そこで、今回御審議いただく法律でございますが、積極的な推進策についてはひとまずこれをおかせていただき、一方、引き続き、あくまで自主的に合併をしたいという町村についてはその円滑化を図っていくという方向感で内容を御審議いただいているわけでございまして、この人口三万市特例、通常は五万でありますが、これを三万に引き下げたこの特例については、まさに積極的に合併推進していくという立場に立った特例であるという認識に基づき、今回の案では廃止を前提に御審議をいただきたいということでございます。
  10. 外山斎

    外山斎君 この三万人特例でありますが、私の地元でも一時小さい自治体合併推進しようとしていて、三万人特例合併しようとしていたんですが、やっぱり三万人に満たないということで合併自体をあきらめたということもあります。三万人特例前提合併を協議している自治体はこれはもう既にあるわけでありますから、行政サービス低下を招かないようにやはり三万人規模の市を目指したいといった自治体に対して、今後どのような対応や措置をとられようとしているのかお聞かせください。
  11. 小川淳也

    大臣政務官小川淳也君) 引き続き、管内の町村なりから相談があった場合には、その求めに応じる形で、都道府県なり、あるいはもちろん総務省としても十分な助言なりアドバイスに当たっていきたいという思いはございます。  その上で、仮にこの三万市特例を存続なり、あるいは場合によっては必要ではないかというお尋ねを仮にいただくとすれば、ここは議員もよく御存じの上でのお尋ねだと思うんですが、過去、国会内で議員同士で御議論をいただいた上でこの特例を設けてきたという歴史的な経過もございますので、ここは十分国会での御審議なり御議論をしっかりと尊重してまいりたい、そういう立場に立って今回御審議をいただきたいと思います。
  12. 外山斎

    外山斎君 お答えありがとうございます。  是非、この三万人特例をなくしたことが障害となって合併ができなくなったと言われないようにしていただきたいと思いますし、今後も地域課題に対処できる受皿としての基礎自治体づくりに取り組んでいる地域の様々な方々の声に対して、政府としても柔軟に聞いていただきたいと思っております。  それでは、次の質問に移らせていただきますが、合併によって市町村規模が大きくなったり、議員数職員数が減ったということで、住民の声が届きにくくなったという御指摘もいろいろあります。総務省が今月三月に発表した「「平成合併」について」の「これからの基礎自治体の展望」の章の中では、地域におけるコミュニティー組織NPO住民、企業の力を集結し、行政地域協働を進めることによって地域で必要となるサービス地域全体で支えていく仕組みづくりが必要であると書かれております。私もこの意見には賛成であり、コミュニティー組織行政一緒になって地方自治を支えることが大切なのではないかと思っております。  私の選挙区でもあります宮崎市は、平成十八年に近隣の三町と合併し、新宮崎市になりました。自治会加入率低下などで地域が抱える課題解決は困難になりつつあるとの認識の下、NPOなど住民主体町づくり推進を進め、地域協議会を設置し、それぞれの地域自治区で地域課題を自ら発見し解決する取組を行っております。  ただし、これらの活動には財源が必要となりますので、宮崎市では、地域課題解決活動費地域コミュニティ税という形で導入し、平成二十一年から実施しております。このような地域活性化目的とした独自の新税の導入は全国でも初めてと聞いておりますが、実は一月に渡辺大臣宮崎に視察に来ていただき、このような地域コミュニティー活性化に対する先行した取組を御覧いただきました。  そこで、実際に御覧いただいて、このような新しい形での住民主体コミュニティー活性化への取組についてどのような感想を持たれ、どのように評価されているのかお聞かせください。
  13. 渡辺周

    ○副大臣渡辺周君) 宮崎市の地域の会費とも言える地方税住民税のうち、三千円の均等割に更に五百円をコミュニティ税という形で市民の皆さんから負担をしていただき、そしてそれを地域の十六のコミュニティー団体にある意味では運営を任せる。非常にこれは、私は、そもそもの均等割税金自体が、夕張と横浜と宮崎市と、この三つだけがあまたある全国自治体でやっていらっしゃいますけど、やはりこれは一つ地域力を高める新しい公共、まさに我々が目標とする新しい公共、そのやっぱり一つモデルケースだというふうに感じました。  いろいろと私たちが地域主権を進める上で、国から県、県から市、市から今度は地域コミュニティーというふうに進める上で、やっぱり住民皆さん納税意識を高めて、そして何よりも税金をどう大事に使うかという意識をはぐくみながら、里山をつくられたり、あるいは本当に大勢の地元方々が無償でボランティアとして集まってコミュニティーセンターつくったり、いろいろエピソードを聞く中で、やっぱり一つの私はこれからある共同体づくりの原点があるだろうというふうに思います。  非常にそういう意味では、私は、宮崎市の取組は先駆的な取組総務省としても新年度予算の中でわずかな額でありますけど地域共同体をつくるという調査費を計上しておりますけれども、やはり宮崎市の例も、これ一つモデルケースとして是非注目すべき地域ではないかなというふうに思っております。
  14. 外山斎

    外山斎君 ありがとうございました。  今後、このようなコミュニティー活性化取組を進める場合に国としても是非サポートをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
  15. 木村仁

    木村仁君 自由民主党木村仁でございます。  私は、この法律賛成立場から、討論じゃなくて質疑をさせていただきたいと思います。  今、民主党の代表の方からも御質問がありましたが、いよいよこの十年に及ぶ大合併に幕を引いてオーソドックスな合併推進特例法に変わるわけでありますが、どの合併でもそうでありますけれども、少しまだまだ生煮えのところがあったかなという気がしないでもありません。  大臣御就任の後すぐかと思いますけれども、地方制度調査会が十年たったんだからそろそろ幕を引こうやという提案をしたようでありましてこの立法になったわけでありますが、大臣としてのこの平成の大合併に対する全体的な評価、及び、ここで特例法を大改正してオーソドックスな姿に戻ることについてどのような御感想をお持ちか、お教えいただきたいと思います。
  16. 原口一博

    国務大臣原口一博君) ありがとうございます。先日も大変大所高所から御指導賜りまして、ありがとうございました。  まずは、この平成の大合併区切りを付ける法改正でございますけれども、その前提として、委員が先導してこられた広域市町村圏施策を始め様々な施策があったればこそここまで来れたというふうに思いますし、合併を進めてこられた方々、これは大変な困難の中に打ちかって、そして行政効率化公共サービスの確保ということで頑張ってこられた皆さんにこの場を借りてお礼を申し上げたいと思います。  その上で、今のお尋ねでございますが、合併評価専門職員配置など住民サービス提供体制充実強化、あるいは広域的な町づくりへの取組、適正な職員配置公共施設の統廃合など、行政効率化といったことがやはり大きな意義としてございます。ただ、まだ十年でございますので、これからその合併成果というのは住民皆さんに実感していただくというものだと思います。  一方、先ほど外山委員にもお答えしましたけれども、影があることも事実でございますが、合併推進一区切りいたしますけれども、引き続き市町村行財政基盤強化は大変重要でございまして、今後、自主的に合併を選択する市町村に対しては、合併円滑化する観点から特例措置を講ずる必要があるというふうに考えております。  今回、一区切りをさせていただくに当たって重ねてお礼を申し上げて、答弁とさせていただきたいと思います。
  17. 木村仁

    木村仁君 我々は、明治の大合併昭和の大合併、そして平成の大合併と、市町村の数を劇的に減少する改革を三度にわたって行ってきたわけでございますが、明治の大合併のときには、合併基準として三百戸ないし五百戸を単位として合併をしなさいということで、非常に短期間の間に七万一千以上ありました市町村を一万五千八百二十という数まで減少をいたしております。非常に明確な基準がありました。  それから、昭和の大合併のときには人口八千人が基準であったと思いますが、標準というか、をめど合併を進めようと。八千人というと、ちょうど、当時の健全な地域社会では大体小学生が人口の一割、それから中学生が人口の五%。一〇%、五%でありますから、八千人というと、小学校が八百人、中学が四百人で、中学校一つとして小学校二つとすればほぼ八千人になるというめどを立てて合併をさせた。そのときの需要というのは、ともかく新制中学立派なものをつくろうと、そのためにはそれだけの規模がなければいけないという形で話が進んだものですから、これまた学校学校ということで非常に力があったんだと思います。  今度の場合はそこ辺りが必ずしも明確ではないと。行政改革大綱平成十二年十二月一日で、合併後の市町村の数を全部で千個にしようということを目指す。それから、もう一方では、人口一万人以下の市町村をなくしていこうじゃないかというような努力目標が一応立てられたわけでありますけれども、しかし地域の実情が非常に複雑になってきた今日でありますので、どうしても順調に進まなかった部分があったのかと思います。千という目標は達成されておりません。千七百三十で止まっておりますし、それから一万未満小規模町村がなお四百五十九団体あると。  それから、各県によって、これはその県の風土とか県民の気分とかによって違うんでしょうけれども、良く合併したところと、それから余り良く合併しなかったところがあって、かなり県によってばらつきがあると、こういう状態でありますし、それから比較的規模の大きい都市の周辺の整理がなかなか付かなかったと、こういう面があったのではないかと思います。  私も、十年たって一応区切りを付けることにはもちろん賛成でありますけれども、先ほど大臣お答えになりましたように、今後も規模合理化というのは進めていかなければいけないと。それなら、その意思は合併特例法にも入っておりますし、元々、地方自治法の第八条の二ですかに、知事合併の計画を立てて、そしてそれを市町村勧告をして、そしてやってもらうと、その報告は総務大臣にも来るという制度があるんですね。これはいまだかつて使われたことがないと思うんです。それを使う前に昭和二十八年の合併特例法ができて、その特例法の方でどっと進んでいきましたので使っていない。それから、日本地域社会の実態としても、知事勧告して合併させるというのはどんなものかなということ。それから、合併特例法の中に合併協議会をつくりなさいというのを知事勧告する制度がありました。これも一つも使われなかったと。  こういうことでありますから、これが有力な武器になるとは私は思いませんけれども、地方自治法の中にそういう宣言はしてあるわけでありますから、それを一つのエネルギーの糧にしながら、大臣としてもう少し、一万人未満規模市町村減少するということについて御努力をなさったらどうかと思いますが、いかがでございましょうか。
  18. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 大変大事な御指摘をいただいていると思います。  私、明治の大合併昭和の大合併平成の大合併、今委員お話しをいただきましたけれども、過去二回の大合併教育中心として今委員お話しのように大合併が行われています。明治の大合併は、小学校や戸籍の事務処理を行うため三百から五百戸を標準として全国一律に町村合併を実施。昭和の大合併は、中学校一校を効率的に設置管理していくために人口規模八千人を標準として町村合併推進しています。つまり、すべての制度改革はその中に教育中心となっている、すべての制度は自らの制度を学び、あるいはそれを支える人材の供給ということを中心に置いていると、これがとても大事な理念だというふうに思います。  ですから、今、緑の分権改革ICT維新ビジョンというのも、この中心は全部が教育です。社会はそのシステムの中に教育をビルトインしていなければ、あるいはイノベーションをビルトインしていなければ発展しないという基本的な考え方でございます。その上で、委員の御指摘のとおり、一般法、つまり地方自治法の第八条の二に規定された都道府県知事勧告がございます。  いずれにせよ、今後は、多様な選択肢の中で自主的に合併を選択する市町村に対し国や都道府県が必要な支援を行うことが必要であるというふうに考えておりまして、改正合併特例法においても、合併推進に向けた国、県の積極的な関与は廃止いたしますけれども、合併協議推進のためのあっせん、調停の権限というものを廃止する一方で、改正法の中でも、都道府県市町村求めに応じて市町村相互間における必要な調整を行う、あるいは市町村合併に関する助言情報提供等措置を講ずる、これは可能でございまして、今委員お話し一般法自治法の規定も全く同じことでございまして、様々な観点から、総務省といたしましても、合併推進したいという自治体について支援をこれまでどおり行ってまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  19. 木村仁

    木村仁君 年を取ってきますと、ちょっと昔のことを言いたくなる、できるだけ抑制をしておりますが。  昔、小沢一郎様という自治大臣がおられました。私どもに全国を三百の市町村に分けろということを強く言われたことがあります。何が頭にあったのかというと、あるいは小選挙区が頭にあったのではないかと。小選挙区と市町村を同じ地域にすれば一番いいのかなと思っておられたのではなかろうか、ではあるまいかという気がいたしますが、我々の思想にも若干合っている面がありました。  地理学の深遠なる理論だそうですけれども、私は余り深遠だとは思いませんが、一国の統治機構は七の乗数がいいというんです。一は一ですね。その次は七です。日本も多分道州制なんかやり始めると、七とか八とか九とかそういう数字になるんでしょう。それから、その七倍が、七、七、四十九ですから今の都道府県一緒です。その七倍というと、幾つになるんですかね、ちょっとさっき計算したら三百四十幾つかになるんです。だから、三百から四百というのは実は、小沢一郎様ならずとも、いい数字なんですね。だから私は、千というのは非常に中途半端な数字じゃなかったかなと、目標としても、と思うんです。  そうすると、広域市町村圏を設定したときに、あれがたしか三百四十ぐらいだったと思うんです。それから、大都市周辺大都市行政圏というのを設定したのが四十ぐらいだったと思う。だから、その三百四十プラス四十ぐらいで全国市町村で再編成すると、その地理学の先生も喜ぶいい数字になったんじゃないかなと私は今もって思っているわけです。  そして、これから地域主権という政策を遂行していかれるためには、それぐらいの市町村になれば非常にいいんじゃないかと。ほとんど人の手を借りずに地域行政をやっていける。そして、地方制度の中にも地区自治区とか、地域自治区というんですか、そういう制度が入り、それは合併特例だけでなくて一般制度としても入ってきましたので、そういうものをうまく使っていけば、将来は長い目で見ればいい姿になるんじゃないかなと思います。  しかし、なかなかそう言ってもそううまくはいかないわけでありますから、この今の与えられた千七百、そして四百五十九ですかの一万未満小規模町村があるということを前提にして、地域主権という理想をどういうふうにして追求していかれるか、その点をお伺いしたいと思います。
  20. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 私、その七という数字、とても大事な数字だと思っています。私は地理学じゃなくて心理学ですけれども、例えば、ここでぱっと物を見せて、一遍に幾つこれ丸がありますかと。人間認識できる数は七だそうでございまして、非常にその七というのは人間認識にも親和性マジックナンバーといいますけれども、親和性の高い番号で、ですから、今委員お話しのように、将来的にどれぐらいに再編していくかという目安は、私は七の乗数であるという御意見は誠に理にかなったものであるというふうに考えております。  そこで、地域主権は、まさにそういう基礎自治体に対して義務付け、枠付け、今多くの見直しを行うとともに、都道府県から市町村への権限移譲前提であるというふうに思っております。そして、基礎自治体が担う役割を更に拡大した上で、税源、財源もそこへ移譲していくという考え方が必要だというふうに考えています。  なお、三百については実際に、当時代表だったと思いますが、小沢現幹事長とも話をしました。三百という数字を私たちのマニフェストに残した方がいいのか、あるいは連邦制といったものについてもどうするのかと。連邦制というのは、私たちは天皇制を、象徴天皇を憲法に頂く国でございまして、これは連邦制は日本には向かない。じゃ、自治体の数を、基礎自治体の数をどのようにすればいいかと。それを、じゃ、あらかじめ三百と明定した方がいいのかと。いや、それは地域が決めることだ、その数も地域が決めることじゃないかということで、マニフェストからはその三百という数字を激論の末に落としたということでございますが、今委員お話しをいただいておりますように、地域主権改革を進めると、自らの地域が自らを責任を持ってつくっていくというそういう姿になっていくものと期待して改革を進めているところでございますので、御指導、御協力をお願いを申し上げたいと思います。
  21. 木村仁

    木村仁君 よく分かりました。  ただ、改革というのはなかなか難しいもので、えいやとやるのがいいのか、地域の実情に即してといいながらやるのがいいのか。日本の実情から見れば、地域の実情に即して、どうしても嫌だというものは合併できないなと。原子力発電あるいは火力発電が一基あれば金が豊かだから決して合併しないということで、府中市なんというのは、昔は広島市内府中町で届いたんですね。指宿に行くと、特攻隊の兵隊の方が最後にお母さんに出した手紙があります。それを見ると、広島市内府中町と書いてある。これは何とか自動車のあるところで、それで広島市内府中町だけど、ちゃんとした府中町で、今、市になっているんじゃないかと思いますけど、まだ独立している。(発言する者あり)町のままだそうですが、しかし、もう物すごく裕福ですから、絶対合併しないと。  だから、そういうことはしようがないとして、掛け声を掛けてやるという手もあるのかもしれないなという気はします、時代に合っているかどうかは別として。例えばスウェーデン、これはもうまさに地理学の理論で線を引っ張って合併させちゃった。イギリスの市町村の再編成の場合でも、御党の代表の方がお詳しいかと思いますけど、やっぱり委員会をつくってばっと割って、それで合併をしてもらったというようなことが再編成はあります。ある意味ではそういう力も必要ではないかというふうに思わないでもありませんが、なかなかそれは難しいんだろうと思います。  そこで、小規模市町村を何とかして効率性を高め、能力を高めて、そして市町村日本の地方行政基盤になるという体制をつくっていかなければいけないわけでありますが、なかなかそうはいきません。私も、まず国の権限都道府県に下ろす、そのときには当然都道府県権限市町村に下ろすということをやらなければいけないということで、これまでもいろいろ議論があったんだと思いますし、条例で下ろすことができると。そうすると、下ろすことができるといったら、何というんですか、嫌な仕事ばかり市町村に下ろすなんていう話もありますけれども、そういう制度もつくりました。  それで、今地方制度調査会は、もし人口一万以下の町がちゃんとした行政をやる能力がなければ、その部分は、移譲した権限の中のその部分はまた県が代行するような制度でいいんじゃないかと、こういうことを示唆しておりますけれども、私はその提言には反対したい気持ちなわけです。もう市町村として独立している以上は県のお世話にはならない。県は将来どうなるか知りませんけれども、だんだん権限をなくしていって、なくなってしまってもいいなと。その上に道州制が乗るのかどうかは別として、そういうともかく市町村優先の体制を取っていくという面からすれば、県に頼らない方がいいんじゃないかなと。  そういうことで、広域行政とかあるいは地域連携、そして私、PPPと、パブリック・プライベート・パートナーシップと書きましたけれども、あるいは統制が利く範囲では民間の企業に代行してもらうと。民間委託の発展形でありますが、そういう形で、もうそろそろ県に頼らないで、市町村人口一万といえども何らかの工夫をしてやっていくという体制の方がいいんではなかろうかと思っておりますが、いかがでございましょうか。
  22. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 委員と全く同じ考えを私は有しております。  まさに、それは補完性の原理というものはとても大事だというふうに思いますが、その補完性の原理が出てくる背景は、一九三一年のローマ法王のピオ十一世の回勅に出てくるこれは用語でございますけど、歴史的に言うと。イタリアのファシズム、ドイツのナチズムの台頭という政治、社会状況を背景に、個人の諸権利が奪われないように、より下位の社会集団に問題の解決を任せるべきであると、これが基本的な補完性の原理の考え方だと思います。  だとすると、そこに一義的な権利があるんであれば、今委員がおっしゃるように、基礎的自治体が自らのその権限に応じた責務を負うということが極めて大事であって、垂直補完という形よりも、今おっしゃったような市町村間の広域連携、機関の共同設置、PPP、パブリック・プライベート・パートナーシップですね、新しい公共ということを鳩山政権は言っていますけれども、公益というのは何も官だけが担うものではない。市民公益といったものを活用して、そして、基礎自治体の力そして責任を更に更に強くしていくということが委員がおっしゃるように私は肝要であるというふうに考えております。
  23. 木村仁

    木村仁君 余り意見が合うとこっちも恐ろしくなりますが。  次に、小規模市町村の対策というのが一つ必要であり、それからやっぱりフォアランナーというか、そういうものがあった方がいいという意味で中核市あるいは特例市という制度は貴重な存在ではないかなと思っております。  ただ、どうしてもそういう権限移譲なんかを考えていくと、こういうきめ細か過ぎるような制度になっていくわけでありまして、私は、人口二十万が特例市ですか、それから中核市だと三十万、もうほぼ面積基準なんかなくなっちゃって人口だけでいっているようでありますけれども、二十万であれ三十万であれ、これはもう大差がないと思います。だから、いっそこの中核市、特例市の制度を一本化して、あるいは中核市ということにしちゃって、もう二十万以上なら二十万以上でどんどんこの指定をしていくと。今、中核市が四十一ですか、それから特例市がやっぱり四十一あるようでありまして、その中から熊本市や相模原市がやがて政令指定市になっていくわけでありますが、今八十幾つあるとすれば、もうそれをどんどん数を増やして、そこに権限移譲一つの戦略地点として頑張ってもらうということをしたらいいんじゃないかなという思いがありますが、いかがでありましょうか。
  24. 小川淳也

    大臣政務官小川淳也君) 私も委員と全く同じ考えを持っております。今の御指摘でありますが、特例市あるいは中核市、人口要件で様々に社会福祉関連ですとかあるいは都市計画の業務の配分を変えているということでございます。  実は、私自身も愛知県の春日井市で勤務をさせていただきました。ちょうど二十万人台後半から三十万人に差しかかるころでありましたが、生まれ育った町、高松が三十万人、しかし、同じ人口でも非常に町の性格は違うなということを強く思ったことがございます。ある圏域の中心都市として機能している町もあれば、同じ人口でも例えばベッドタウンとして大きくなった町もある。  ですから、一概に人口要件だけという考え方も含めてこれはよく議論をする必要があろうかと思いますが、いずれにしても、この中核市、特例市を始めとして、細分化されているこうした制度については、現在、行財政検討会議という場を原口大臣に設けていただきまして鋭意議論を進めているところでございまして、今日の御指摘も踏まえて、しっかりこの点、議論を進めたいと思っております。
  25. 木村仁

    木村仁君 次に、大都市の制度でございますが、今、政令市が十八、やがて二十になるそうでありますが、そうするとほぼ一巡するわけであります。その後はなかなか出てこないだろうと。というのは、七十万というのを人口めどにしております。この七十万というのはどういう数字かというと、どういう数字か分からぬということで、法律には五十万以上となっているわけでありますから、歴代の自治大臣考え方で、まあ八十万にして、やがて百万になる可能性があれば指定するとか、そういうことでありました。  最初の政令指定市というのは本当に力のある指定市でありましたから、ほかとは違って力があったんですけれども、その後、広島とか仙台とか、やがて百万になるだろうというところは指定されました。その後はまた、合併の過程で七十万でいいじゃないかということで七十万にしておるわけであります。  私は、もうそれならいっそのこと、また法定の、法律で定めている五十万に立ち返って、五十万以上の都市はどんどん政令指定市にすると。どんどんといったって、そんなに数はありません。ですから、例えば九州でいえば鹿児島市は五十万超えていますが、これを七十万まで持っていこうとするとまた巨大な合併をしなきゃいけなくなると。そういうことでなくて、五十万以上あればそれなりの実力を持っているし、それなりの権限の受皿として力を持っているわけでありますから、そういう意味で、五十万の原則に返って積極的に指定することにしてはどうかなあと。ここは、なあぐらいの話でありますが、どう思いますか、御意見をお伺いします。
  26. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 先ほどの基礎自治体議論にも関連するんですが、私は一つの大きな方向性を委員がおっしゃっているんだというふうに思います。  今、岡山市や、近年でいきますと、指定都市で、今度相模原市ですね、指定都市が十九市となる予定でございますが。なお、委員の御地元の熊本市は、平成二十二年三月二十三日の合併人口が七十二万七千九百七十八人となられて、大変な合併で大きな市をおつくりいただいております。その中で、やはり大規模合併が行われた場合には合併特例として弾力的な指定を行ってまいりましたが、これは平成二十一年度末までに合併した場合に限り適用されるものでございます。  ただ、今後このような考え方でいいのか、先ほど小川政務官が御答弁させていただきましたが、私をトップとした地方行財政検討会議を開催して、都市の姿も多様化している、あるいは市町村の姿は大きく変貌しておりますので、大都市制度を含めて基礎自治体の在り方についてこの場で今御議論をお願いしているところでございまして、委員の御指摘の方向を十分踏まえた結論を導いていきたいと、このように考えております。
  27. 木村仁

    木村仁君 それからその次は、いわゆる圏域、広域連携の話でありますが、定住自立圏というのが今展開されていると思います。ちょっと私、数字調べてきませんでしたが、今幾つあって、それから今後幾つぐらい指定されるのか、そこをもし、事務方の方で結構ですから、教えていただければ幸いですが。
  28. 小川淳也

    大臣政務官小川淳也君) 現在の定住自立圏の圏域数でございますが、二十六圏域ということでございまして、鋭意取組が進んでいる状況でございます。
  29. 木村仁

    木村仁君 やがて指定されるかもしれないという候補地域があるでしょう。それはもうちょっと数多いんじゃないんですか。
  30. 小川淳也

    大臣政務官小川淳也君) ちょっと確認をして、後刻お答え申し上げます。
  31. 木村仁

    木村仁君 この定住自立圏というのも一つ考え方だろうと思います。かつての広域市町村圏は、全国を律儀に割っていったわけですね。それも一つ考え方で、そのまま合併してしまえば私の理想の数になったような気がするんですけれども、まあそれはもう一応廃止してしまったので。今度は定住自立圏を、これはアメーバみたいな組織のようです。中心市を決めて、その機能ごとに合理的な範囲を決めて、そこで広域連携をつくっていくということで、話を聞いておりますとどうも、何というんですかね、全国的ではない、ユビキタスというんですか、どこに行ってもありますということではないようであります。  しかしそれは、やっぱり中心地というのは、第一級の中心地から第二級、第三級といろいろなレベルで中心地というのはあるわけでありますから、どんな地域であれ中心地がないということはないと私は思いますので、その中心地という概念をもう少し広げていただいて、もう全国どこに行っても定住自立圏というのはありますよという形に持っていかれて、そしてその外縁が、一つ市町村の区域で区切るんではなくて、この機能についてはこの区域、この機能についてはこの区域で、オーバーラップしてもそれはいいのかもしれませんけれども、そういう制度に持っていかれると地域主権の実現が早くなるんじゃないかなと思いますが、御意見をお伺いします。
  32. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 今もう、ちょっと背筋が寒くなるぐらい私の考え方と同じなんで、何で違う政党なのかなとその一方で考えておりましたけれども。  まさにおっしゃるように、アメーバ型というか、多層、多重の、私たちはよく世耕筆頭ともお話をして、リナックス型と言っているんです。オープンリソースで様々なネットワークが多重に重なり合う、そういう組織が一番強い組織だと思っておりまして、委員が御指導いただいた広域市町村圏施策は、あれはたしか全国で三百三十四の圏域を設定なさっていたと思いますが、私たちはあえてその数字目標として出すことはございませんけれども、今の定住自立圏構想についても、これは中心要件というものがございまして、人口四万人超、昼夜間の人口比率が一・〇というような要件を設けておりますが、私は、むしろ逆にどこからでも、ファウンテンといってどこからでも泉のようにわき起こる、歴史と伝統と様々な共同体を一にする人たちがそれを自発的に自治体としてつくっていくという考え方を取っておりますので、このことについては見直しをしていきたいというふうに思っております。  以上です。
  33. 小川淳也

    大臣政務官小川淳也君) 大変恐縮です。先ほどのお尋ねに関連して補足をさせていただきます。  二十六圏域とお答えを申し上げましたのは、既に周辺市も含めて協定を締結した圏域でございます。  委員の先ほどのお尋ねでございますが、中心市として、今大臣御答弁申し上げました昼夜間人口比率などを踏まえた中心市として宣言した市が四十七市ございまして、更に広げて申し上げますと、その資格があるであろうと見込まれる都市が二百四十三市という状況でございます。
  34. 木村仁

    木村仁君 大体、そうしますとかなり普遍的な制度になっていく可能性があると思います。  昼夜間人口なんか考え方というのはどうでもいいんですね。相模原市なんか政令指定市になったってもうほとんど東京の方に出てくる。今、川崎市だって、横浜市でもそうでしょう、昼夜間比率はもう出ていく人の方が多いんですから。中心地というのは、探せばいろいろな意味中心地というのはありますから、是非そういうお願いをしたいと思います。  ちょっと技術的なことを一、二お聞きして質問を終わりたいと思いますが、この大合併の中で合併特例債というのがつくられました。これ私もコンピューターでたたいて、例えば天草市というのができたら幾ら発行するんだろうなと思ったら、恐ろしいほどの数字が出てくるわけですよ。天草は二つになりました、上天草と天草市というのが。一つだったらもう七百五十億か何か、すごい数字で地方債が出せるようになっております。  ところが、なかなか、今の御時世でありますから、合併したからといってどんどん箱物を造っていくわけにはいかないということで、かなりその利用が、利害の調整という意味で使えないという部分と、市民一般がそれほど借金することには積極的でないという意味で、非常に抑えられていると思います。これはたしか十年間にやれということでありますから、まだあと五、六年か残っているわけですよね。  そして、総額が、聞いたところでは十一兆八千六百億円あるそうです。そのうち今使ったのが二兆四千四百三十一億円ということですから、かなりまだすき間があって、恐らくこれを全部使うということは必ずしも健全ではないのかもしれませんけれども、これを思い切って使っていけば単独事業が増えて、民主党の、現政権の意向には反するかもしれませんけれども、やはり合併した以上はある程度物的な環境も良くなっていかないと、何のために合併したんだろうかと。  熊本市でも、平成三年に飽託四町というのが合併しました。ところが、財政的に悪くなっちゃって合併条件が果たせないんですね。したがって、合併したけど何の役にも立たぬということで、次に合併しようという地域の人が話を聞きに行くと、何にもなりませんよと。合併なんか何にもならぬと言うから、熊本市はどんどん遅れてきた。本来ならもっと早く指定市にならなきゃいけなかったんだと思いますが。  そういうことで、この評価をどういう具合に考えておられるか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  35. 渡辺周

    ○副大臣渡辺周君) 今御指摘がありましたように、今、合併特例債の発行可能総額が十一兆八千六百億円、今まで活用されたのが、これは委員数字とちょっと違っておりまして、総務省の方では二兆六千七百億円が起債実績ということでございます。初期資金として五%あれば、九五%の充当率、七〇%の交付税算入という、三分の二が国で面倒を見てくれるという地方にとっては誠に有り難い特例債でありますけれども、主な使途としては、二一%が道路、基金の造成が二〇%、学校教育施設に一六%ということで、意外と基金の造成に使っているところが多いと。それにはやはり、道路で、例えば旧自治体同士を結んでいるところならばこれは合併のネットワークということで道路を造れるんですが、ある自治体の生活道路となりますとこれは使えないとか、極めて使い勝手の悪いものになっているということもあろうかと思いますが。  いずれにしても、実際この特例債というものをなぜ活用されないのかということも含めて、これはやっぱり箱物を造っても使われなければ維持費掛かるだけで、市町村合併が先行したところではいろいろ、いろんな自治雑誌に出ているように失敗して、廃校になったエリアで子供ミュージアムを造って失敗したとか、プール造って、結果的には民間のプールもできちゃったものだから結局撤退せざるを得なくなったとか、二十三万冊の蔵書を持つ図書館造ったら十万冊しか本がないとか、もういろんなそういう失敗例見ていますから使うことに大変慎重になっていると思います。  ただ、反面で、こういう制度があることをどう活用すればある程度長期的にやっていかれるかということについては、少しこの機会に、一段落したのを機会に、この特例債というものをもう一回性格を分析する必要はあろうかというふうに考えております。
  36. 木村仁

    木村仁君 時間が迫ってまいりましたので、あとは要望にとどめたいと思います。  一つは、事業所税です。これは、県が企業誘致するときに、例えば熊本市に立地したら損ですよと、周りの方、郡部に造れば事業所税掛かりませんということで、郡部に誘致するものです。これが合併するとなったら当然事業所税が、かなり高いですよね、付いてきますので、合併しにくいという事情もあったのではないかと思います。宮崎市もそうですよね。合併しちゃうと三十万超えて事業所税取らなければいけなくなっちゃう。これは大変なコスト高に企業にとってはなりますから大変だということでありました。地域によっては、知恵を出して、五年の不均一課税の後にまた何年か減免をするというような形であれするとかやっております。  それからもう一つ合併しても、農地や土地利用関係が変わらないと。せっかく大きな市に合併したのにその部分は変わらないから少しも都市の発展性がないと、そういうことで悩んでいるところがあるわけであります。これは各団体、農水省や建設省に行きますと、どうぞどうぞ、どんどん変えてくださいと言うけれども、現実にはそんな簡単に変わるものじゃないんですよね、用地関係というのは。そういうところはひとつ総務省も力を添えていただいて、せっかく合併したのならば、そういう問題を少し克服していい町づくりができるように御協力をいただきたいということが一つであります。  それから、自治区を育てていくということは住民の意思をよく反映していくということで、将来大事な部分になっていくかと思いますので、その部分の御努力もお願いをいたしたいと思います。  要望でありますから、もうお答えは要りません。  終わります。
  37. 澤雄二

    ○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。  平成二十三年度にも破綻すると見込まれている地方議員の年金制度についてお伺いをいたします。  初めに、この市町村合併特例法によっていわゆる平成の大合併が進みました。全国市町村の数は、平成十一年の三千二百三十二から今月末には千七百三十、実に四六%減となります。合併特例法目的は見事果たしたものと思います。  ここで大臣の御所見をお伺いするつもりでございましたが、ちょっと時間がなさそうなので、直ちに地方議員の年金の質問に入らせていただきます。  合併特例法目的は見事に果たしました。しかし、大きな問題が起きました。皆さん御存じのように、今、市町村議員の年金が破綻をしようとしています。二十三年度には積立金が枯渇をします。これによって年金制度は破綻してしまいます、このままだと。なぜこのような事態を迎えたのか、原因は明らかであります。この平成の大合併で年金を支える現職議員の数が激減しました。六万人いた市町村議員は三万五千人になりました。四割減少であります。このため、逆に年金を受け取る方は、受給者は七万九千人から九万四千人に二割増加いたしました。実に一人の現職議員が三人の退職者を支えなければいけない異常な事態になっているわけであります。こんな年金制度は世界中に一つもありません。一人が三人を支えるというような年金制度はありません。  大臣はこの事態をどのように認識されていらっしゃいますか。
  38. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 合併に大変御努力をいただく中で、今、澤委員がおっしゃったような、まさに地方議会議員の激減、そして地方議会議員年金そのものの財政への大きな打撃、これは大変危機的なものであるというふうに考えております。  そして、幾つか地方議会の方からも案が出てきておりますけれども、政府といたしましては、民主主義の学校である地方議会、ここで民主主義の大変大きな部分を担ってくださっている地方議会議員の身分あるいは権能、そして働きを支えるということが極めて重要であると、このように考えております。
  39. 澤雄二

    ○澤雄二君 この二十三年度にも破綻すると言われている地方議員の年金制度でありますけれども、今総務省は地方議会議員年金制度検討会、これ十二月に報告書が出されましたが、この報告書を中心に速やかに対応策を得るべく検討を急がれているんだと思いますが、いつごろまでに改正案を出させるお考えでしょうか。
  40. 渡辺周

    ○副大臣渡辺周君) 今御指摘のように、年金制度の検討会、様々な案を併記して提出をされております。  これは地方議員の処遇にかかわるものでもございますので、地方議会関係者の意見も丁寧に聞きながら結論を見出すことが必要だとは思います。しかし、平成二十三年度の費用に係る地方財政措置法改正が必要になる部分もございますので、これはもう遅くとも今年中、平成二十二年ですね、今年中には対応方針を決定しなければならないだろうというふうに考えております。
  41. 澤雄二

    ○澤雄二君 先ほど大臣の答弁にもありましたけれども、この問題考える上での一つ大事な問題を確認をしておきたいというふうに思います。  民主党地域主権の確立をマニフェストに掲げられております。その準備のための法案を今国会に出されるということになっています。公明党も地域主権の実現を目指しております。この地域主権地方分権を確立するためには、優秀な人材を地方で確保しなければこれは絶対に成功しません。その大きなかぎが地方議会であります。  私も、支部会ですとか、それから政治学習会ですとか、選挙の応援だとか陳情だとか視察だとかということで、多摩地域、もちろん東京区部もそうでありますが、多摩地域の市議会議員と日常的に活動を共にしております。ここで会う皆さん方というのは、市町村議員の方というのはもうびっくりするぐらい仕事をされています。一年間で千件を超える市民相談に応じるというのは、これはもう普通の状況になっています。そして、その一つ一つの市民相談に応じて実現された実績というのは星の数ぐらいあります。もちろん、ほかの仕事を兼職するという余裕はその方たちにはありません。  ある市会議員は、車を使わないで自転車で全部移動しているとお話を伺いました。雨も降るし風も吹くし雪も降るし、暑いし寒いし、車を使った方が合理的じゃないかとお聞きしました。そうしたら、その議員の方はこういうふうに答えました。毎日市民の顔が見たいんです、自転車だと見れるんです、毎日町が変わっていく様子が見ることができるんです、どこが便利になってどこが不便になってどこが困っているかが分かるんです、だから私は自転車を使っているんです、こういう答えをされた市会議員の方もいらっしゃいました。選挙のときだけに旗を掲げて、自転車に乗っているぞというのとはちょっと訳が違います。この方は三期十二年間で自転車に乗った距離が八万七千五百キロと、よく計算されたなと思うんですが、地球を二・一周する距離であります。本当に地方議員の方というのは仕事をされているというふうに私は認識をしています。  先ほど申しましたが、地方分権地域主権を実現するためにはこういう地方議会に優秀な人材を確保することがどうしても必要であります。  今の市会議員の方たちは、総務省が実態調査をされていますが、決して富裕層の方ではありません。かつてあった時代とはもう違います。人材を確保するために、市町村議員が将来の不安がなくて老後も安心して過ごせる、こうした安心に基づいた活動をされるためには、どうしても安定した年金制度の確立が必要だと思いますが、大臣の御所見を伺います。
  42. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 私は、地方議会は先ほど申し上げましたように民主主義の学校であり、今、澤委員がおっしゃるように、そこに大きな、今御紹介されたような高い志を持たれた方々が、そして優秀な方々がお集いになるというのは極めて大事であるというふうに思います。  一方で、議員はボランティアなんだから報酬もゼロあるいは支えもゼロという、そういう考え方方々もいらっしゃいます。しかし、私は、それはボランティアの定義を間違っていると思います。ボランティアでも、そこにはしっかりとした支えがなければできません。公益を支える人たちに対して、じゃ、皆さんがどのような財政的な支援やあるいは公的な措置を認められるかということが大事なことであって、議員は何でもかんでもボランティアで、そしてただでやればいいということであれば、逆にそれは民主主義そのもの、国民や市民が政治に参加する機会を奪ってしまうことにつながると、私はそのように考えています。  ただ、一方で、地方議会の中にも物すごく多様な、これ各党各会派でまとまった意見があるんじゃありません。私が今のように言うと、今度は民主党の中でも、おまえは何ということを言うんだ、河村と友達なのに全然違うじゃないかと言う人もいます。いや、全然違うんです。国民の理解と安定的な制度存続のために公費を追加投費をすべきではないという意見も有力に、これは都議会の中でも、あるいは御党の中にもおありになるかも分かりません。  したがって、地方議員の処遇にかかわるものであり、今六団体、地方議会議長会や多くの皆さん、御意見をいただいているんですが、もう少し結論には時間が掛かるのかなと、そのように考えております。
  43. 澤雄二

    ○澤雄二君 私も大臣と全く同じ意見でございます。地方議員は土日のボランティアでやればいいんだと、論外であります。土日のボランティアで、一年間一千件の市民相談なんか応じられません。それを少しでも実現するためにはどれだけ働かないと実現できないか、それが市民を守るということです。本当に名古屋の市長はそのことを御存じなのかなと、土日でできるわけないだろうと、私はそういうふうに思っております。  ただ、今御意見がありましたように、いろんな国民の声があります。地方議会の議員年金は特権的でけしからぬという意見があります。本当にそうでしょうか。そのことをちょっと検証してみたいというふうに思いますが、確かに国会議員の年金は国費が七割負担していましたから、これは特権的だろうという批判も当たるのかなと。でも、国会議員の年金は、だから廃止をされました。この国会議員の年金のイメージがそのまま地方議員にもなっていて、議員の年金はけしからぬというイメージになっているんじゃないかな、そういう誤解もあるかなと私は思っております。  少し実態を見てみたいと思いますが、まずどれぐらいの年金をもらっているか。お配りしている資料一、御覧ください。  市会議員は右から二番目、百二万六千円であります、平均です。町村議会議員は六十七万八千円であります。一番左に老齢年金が書いてありますが、百五十二万六千円でございます。市民の木鐸として一生懸命働いてきた地方議員、市会議員は、わずか年間百二万六千円しか年金受け取れません。これが特権的だと言えるでしょうか。  それから、保険料率を御覧ください。  一か月の報酬に対してどれだけ年金の掛金を払っているかという額でございますが、老齢年金は、一番左ですね、五・七五七%であります。以下、国家公務員共済、地方公務員共済、こうなっていますが、市議会議員見ていただくと一三・六%であります。厚生年金、共済年金に比べて実に二倍以上の掛金を支払っています。これが地方議員議員年金の実態であります。平成十四年と十八年の改正があって、保険料率が四五%も引き上げられています。  それから、自己負担率という数字がありますが、厚生年金、共済年金は五対五と言われていて五〇%が自己負担率でありますが、地方議員の割合は四対六と言われています。四が公費で六が自己負担、今の数字でいうと五九・二%が自己負担率であります。  こうやって実態を見てくると、むしろ地方議員の年金というのは、特権的というよりもほかの年金制度に比べて冷遇されているのが地方議員の年金制度じゃないかというふうに考えますが、大臣、どうでしょうか。
  44. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 大変詳細な数字をお示しをいただきました。  他の年金制度、特に国会議員の互助年金、まあ国会議員の年金についても、これは年金という名前は付いていましたけれども、本来は退職金ではないかという議論がございました。この間、三百五十万人の従業員を擁する企業のトップの方とお話をいたしました。その方は三十階建てのビルにお住まいだそうで、私たちのように議員宿舎の台所に寝ている人間ともう比べようもないような、それぐらいの違いでございます。  ただ、国民が今何を求めておられるかというと、やはり国民全体に年金の安心や、国民全体に年金の様々な給付に対する公正感というのがないのも事実でございまして、ですから、地方議会がこのような状況にあるということをしっかりと踏まえて私たちも国民の御理解をいただくということがとても大事なのではないかと、そのように考えております。
  45. 澤雄二

    ○澤雄二君 この地方議員の年金制度改正というのは、本当に国民の理解がないとできないんです。特権だって言われると抵抗できないんですね、選挙がありますから。だから、地方議会の議員の年金制度は実はこんな実態なんだということをもっと政府は国民に周知徹底する必要もあるんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  46. 渡辺周

    ○副大臣渡辺周君) まさに私も大臣も地方議会に一時期籍を置いたことがございます。やはり、議員と名の付く人間の実態はなかなか分かっていただけないと。  委員が御指摘のように、本当に年間百件の市民相談に乗っている方もいれば、(発言する者あり)千件ですか、こういう方もいらっしゃれば、本当に国会は連日メディアで取り上げられますけど、例えば私のおりました県議会ですとなかなかマスコミも取り上げてくれなくて、余り身近な行政テーマでもないという中で、自分の活動説明するのが非常に難しかった、また客観的に取り上げてくれないという部分のいら立ちもあったわけですが。  実際、議員の実態、本当にどんなことを、役割や活動しているかということは、これは各地方公共団体あるいは議会が議会便りなんかを出してますけれども、なかなかそういうものではどうしても目に触れにくい。ですから、何らかの形でこれをオープンに議論をして、この年金制度のことも包み隠さずこういう実態なんですということを私はやっぱりある程度出していくことも必要で、その上でまさに住民がどう判断するかということ、これは理解していただくかあるいは理解していただけないのかですけれども、いずれにしても、私は住民の目にさらされることが必要であろうなというふうに考えております。
  47. 澤雄二

    ○澤雄二君 いろんな公的機関を使って周知徹底していただきたいというふうに思います。  それと同時に、大臣、オープンアクセスで記者会見を公開されていますよね。それをインターネットで流されたりなんかしていますから、そういう記者の皆さんたちにも、実はこういう実態なんだと、こういうことを踏まえて今検討しているんだというようなこともやっていただければ有り難いなというふうに考えております。  先ほど話をしましたが、地方議会議員年金制度検討会の報告が去年十二月に出されました。今、これを中心に検討されているんだと思いますが、この報告内容についてちょっとお伺いをいたします。  なぜ市町村議員の積立金が枯渇するような事態を迎えたのか。それは、平成十八年の地方議員年金制度改正のときには、十八年、三年前ですね、市町村合併の進展による影響に対する対応策を講じるための改正でありました。つまり、合併が進んだら議員が減るぞと、そのために対応しなきゃいけないということをあらかじめ推測して十八年に改正をしたはずでございます。つまり、そのときの推測が正しければ議員の数が減っても十分年金制度は守られていたはずなんですね。三年半前、四年前の改正案審議でも政府はそのように答弁をされていました。大丈夫です、守られますというふうに言っていました。だから、地方議員は四十何%も掛金が上がって給付が何十%減ってもそれを甘んじて受け入れて、三年半前の改正に応じたわけでございますね。ところが、その四年前の改正があったときの予測が実は大幅に違っていたと、これが破綻を迎えた原因であります。  資料の二を御覧ください。十八年の見通しでは、平成二十三年の市町村議員数を三万七千九百五十九人というふうに予測をしていました。しかし、去年行われた調査ではそんなものではなくて、三万二千まで減ってしまうという調査結果であります。また、議員の平均月額報酬も、四年前の見通しでは三十九万三千円余りと予測していました。しかし、もっと減って、去年の予測では三十五万五千円余りであります。つまり、四年前の改正のときの予測と乖離がそれぞれ一五%、一〇%ございます。これが破綻の最大の原因でございます。  政府が諮問をした、まあ前政権がやったことではありますが、政府が諮問した検討会が報告書、予測を出して、そしてその予測を基に四年前の改正案を出した。つまり、両方とも政府の責任でやったことであります。そして、一方で、平成の大合併を進めたのも政府であります。ですから、これは前政権がやったことではありますが、こういう事態を迎えたのはひとえに政府の責任だと思いますが、大臣、どうでしょうか。
  48. 原口一博

    国務大臣原口一博君) これは今委員の御提出いただいた資料を見ましても、乖離率が一五と乖離率が一〇ということは、これほど短期間に乖離をしてしまえばこれは財政はもちません。それはもう常識だと思います。  ただ、前政権がなさったことではありますけれども、前政権もここまではやはり予期できていない、そういう事態もあったんだと思います。と申しますのも、月額報酬が四万円もこの間に下がるというのは、これはなかなかやっぱり予測できません。それから議員数も同じことだというふうに思います。だから、このことをもって前政権の法律がおかしかったと責めるということは、それはやはり少しアンフェアだと思いますが、しかし、いずれにせよ、だからといって政府が責任を免れることができるかといえば、そこは言い訳はできないのかなというふうに考えております。
  49. 澤雄二

    ○澤雄二君 十二月に出された検討会の提案内容について少し考えさせていただきたいというふうに思いますが、資料三にその案の概要が書いてあります。一番左は独自案、これ市議会議長会が出したものですが、これは後でお話をいたしますが、検討会が出した三つの案というのは、一つは廃止案であります、年金制度そのものをやめてしまうと。それから、存続する場合の二つの案、A案、B案と出されています。  これを見ると分かりますが、廃止をすると総額で一兆三千億円の財源が必要になるというふうに試算をされています。その負担も地方公共団体が負担するんだということを検討会が言われております。これ廃止すると、先ほど申しました、地方議会に大事な人材確保しなければいけないのに、議員になっても老後の生活が保障される年金制度がなくなるということになりますので、ここに本当に人材が集まるのかなという心配があります。  大臣の御所見を伺いますが、この今年中に出されると言われた改正案で廃止という選択肢はあるのでしょうか。
  50. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 私は数次にわたって記者会見でも申し上げていますが、澤委員とほぼ同じ認識を持っているので、廃止という選択肢を頭の中に入れたくないということをずっと言い続けてきておるわけです。  ただ、これはあくまで公費負担、相手のあることでございますから、地方議会が御理解をいただくこと、あるいは公費を投入するにしても国民の理解なくしてはこれはできないわけで、先ほどからるる委員お話しをいただいておりますように、国民に丁寧に御理解をいただく、あるいは議会選挙でもって、統一地方選挙もございます、ただちょっと時期的には統一選の方が先に、結論を出さなきゃいけないのに先に行ってしまいますのでその辺悩ましいところ、先というのは時間が後という意味でございますが、悩ましいところでございますが、私の頭の中には今廃止という選択肢は入っておりません。
  51. 澤雄二

    ○澤雄二君 私も廃止はないだろうというふうに考えていますが、もう少しこの検討会の報告書について議論させていただきますが、これ見れば分かりますが、存続する場合のA案、B案、共に給付水準が一〇%、五%カットされます。今でも少ない年金が更に少なくなります。一方、掛金を見ると、一七・五%、一七%それぞれ引き上げられます。今でも大変な年金制度になっているのに、これ以上給付が減って掛金が高くなる。これは地方議員には耐えることができると思いますか。
  52. 原口一博

    国務大臣原口一博君) いや、本当にここはもうナローパスと言うしかないんです、答弁とすると。  私も、地方議会で六年でしたから議員年金はございませんけれども、国会も十一年八か月かな、ですからないわけですけれども、それにしても、私たちの代だけで決めていい話なのかということで、何とか存続をということで、財政の規律とあるいは国民の理解とのぎりぎりのところで出してきておるわけですが、大変厳しい数字であると考えております。
  53. 澤雄二

    ○澤雄二君 資料三の一番左側には、市議会議長会が出した独自の提案というのも一緒に載せております。これによると、この独自案では給付水準は減らしませんと。報酬の掛金も現状と同じですと。一六%ですね。現状も一六%、これ引き上げませんという独自案が出されています。  この議長会が出した独自案は本当に妥当なのかと。それで、検討会では、これだと公費負担が増えていきます、五割を超えていきます、こんな公費負担が五割を超えるような制度は国民の理解が得られるのかという意見も出されています。  本当に国民の理解が得られないのかということを少し議論したいと思いますが、資料四を御覧ください。  検討会では、市町村合併が進んで、そのことによって市町村議員の年金財政に影響を与える総額を二千六百三十四億円というふうに試算をされています。既に激変緩和措置として国は七百五十一億円支出をされています。ですから、合併で影響を与えた二千六百三十四億円からもう既に七百五十一億円は国が措置をされておりますから、引きますと千八百八十三億円、右の一番下に出ています千八百八十三億円、右の上にも出ています、これがまだ措置されないで残っています。国が推進した市町村合併によって年金財政に穴を空けた千八百八十三億円、これが措置されていないで終わっています。この責任を国に議長会の独自案では全部払ってくれというふうに求めています。私は、その要求は合理的ではないかというふうに考えています。  また、今の制度は、先ほど申し上げましたけれども、議員個人と公費の負担が四対六、個人が六、公費が四。ほかの年金制度は五対五になっています。だから、議員年金もほかの年金制度と同じように負担割合を五対五にしてくれということも求めています。  もう一つ、この議長会の案が妥当かどうかを考えるときに大事な視点がありますが、市町村合併によって議員数が減りました、先ほど言いましたが。議員数が減ったことで、全国で毎年議員報酬分一千百億円が節減されています。つまり、合併によってそれだけ資金が増えた、無駄遣いが減った、議員報酬分千百億円でございます。これ、資料五の一番下に一千百億円、書いておきました。  それで、一体国の負担がどれだけ増えればこの議長会の案が実現できるかというのを総務省の資料に基づいて計算をいたしました。一番下に議長会の案が書いてございます。一年当たり三百五十億円、これだけ公費負担をすると議長会案は実現します。一千百億円毎年節減できているわけですから、この中から三百五十億円出せば議員年金は今より悪くなることはない、そういう数字でございます。  ですから、今検討されている政府改正案の中に、今まで余り考えられていなかったかもしれないけれども、この議長会案についても是非前向きに検討をしていただきたいと思いますが、大臣、どうでしょうか。
  54. 原口一博

    国務大臣原口一博君) これ、市議会議長案の御提案に対しては、結果的に当面の公費負担率が六割以上になる、それから財源不足に対して地方議員の追加負担がなくてすべて公費で負担することについては、果たして地域住民皆さんあるいは国民の皆さんの理解が得られるんだろうかという御意見があって、検討会としての案には取り上げられておりません。  いずれにせよ、合併全体も先ほど国の責任だと、その責任を回避することはできないというお話をしましたが、これを御決定いただいたのも地方議会の先生方でございまして、やはりここのところは地方議員の処遇にかかわるものでございまして、今委員が貴重な千百億節減という数字を出していただきましたが、もう少し時間を掛けて検討し、結論を見出すことが必要であるというふうに考えておりまして、各党各会派あるいは地方六団体の御意見もしっかりと、国、地方協議の場も今回法律措置するわけでございますが、伺いながら、今の御意見を参考にさせていただきたいと、このように考えております。
  55. 澤雄二

    ○澤雄二君 先ほど申しましたけれども、市町村合併を進めることによって年金財政に穴を空けた額でまだ未措置の分が千八百八十三億あるわけです。これを措置するということですから、いっときは六割を超えるかもしれませんが、決して言っていることは無理ではない。しかも、議員の数が減ったことによって毎年一千百億円節減されています。ですから、それをそこに振り向ければ議長会の案も十分実現可能だというふうに考えることができますので、地方議会を守るために、また市民一人一人に会ってその生活を守っているのが市町村議員でございますので、是非前向きに検討していただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  56. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  合併特例法に基づく国、都道府県の強力な関与によって平成の大合併推進されてきました。その結果どうであったのか。私には合併して良かったという話は余り聞こえてきません。  今年の一月に和歌山県田辺市を訪ねて真砂充敏市長と懇談をいたしました。配付した資料の地図にあるように、田辺市は二〇〇五年五月に旧田辺市、龍神村、中辺路町、大塔村、本宮町が合併して現在の姿になりました。人口は八万二千人。山間部にある旧二町二村は過疎化が進んで、それぞれ三千人ほどの住民が暮らしています。真砂市長は、旧中辺路町の町議、町長を経て、合併後の田辺市長になったという珍しい経歴の方であります。ですから、過疎地の実情もよく御存じですし、合併後一千平方キロにもなった広大な市域全体に行政サービスを提供する御苦労も経験されております。今地方にある問題はすべて田辺市にありますという言葉が印象的でした。  田辺市は、過疎地である旧町村住民の中に、合併で寂れるのではないかとか住民サービス低下するのではないかという不安があることを踏まえて、職員による声掛け運動とか、過疎集落ふれあい体験事業などに取り組んできました。二〇〇九年度過疎地域自立活性化優良事例団体として総務大臣賞を受賞もされております。しかし、それでも過疎の進行は止まっておりません。  真砂市長は、地方が元気になろうと思ったら農林水産業です、一次産業が元気になれば雇用も生まれ、Iターンも生まれるとおっしゃっていました。まさしく真理だと思います。小手先の対策ではない、林業など第一次産業再生のための本腰を入れた政策が急務となっていると強く感じました。と同時に、だからこそ、これまで山間部で人々の暮らしを支えてきた旧町村をなくしてしまっていいのだろうかとの疑問もわいてまいりました。  市長との懇談後、私は大塔行政局、これは旧役場であります、龍神行政局を訪ねまして、声掛け活動の効能や林業活性化努力、バイオマス発電などについて聞かせていただきました。確かに、職員が一軒一軒住民を訪ねて、例えば簡易水道の出が悪くなったなどの要望を直接聞いてきめ細かな行政サービス努力をされておりました。しかし、やはり旧役場の時代と比べると職員の数はもう激減をしておりますので、そういう声掛け活動努力にも限界があるということも感じました。  それから、この旧田辺市の中心部から大塔行政局、龍神行政局と車で移動したんですけれども、完全な山間地なんですね。もう谷筋を縫うように、山の峠を越えるようにして長い距離を走る。三十分以上掛かったわけですけれども、走りながら、どうしてここが一つの市になったんだろうと率直に感じました。地理的にも歴史的にも果たして一体感ができるのだろうかということを強く感じました。これは国による上からの合併押し付け推進の罪深さを私は感じたわけであります。  そこで、原口大臣に、平成の大合併の、先ほど全体の評価は聞きましたので、特に影の部分についてどのように認識しているのか伺いたいと思います。
  57. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 委員お話しのように、この田辺市は高齢化率が二六・四%と物すごく高い高齢化率、しかも財政力指数、その他の指数も大変厳しゅうございます。その中で、総務大臣としては、合併に御苦労いただきました皆様に対する感謝はこれはもう絶対に忘れてはならないことだと思います。合併の果実をしっかりと確実なものにする、それも総務省としての責務だと。これは前の政権がやったことだから私たちは知らないということは、そんな無責任なことは言えない。  その上で、今の影の部分ですけれども、これはやはり面積とそれから歴史要件、そういったことが非常にこれ、面積最小の県が、小川政務官おりますが、香川県、これが一千八百七十七平方キロですから、もう県の半分にも及ぶ大きな面積でございます。ですから、影の部分として見ると、中心部だけが良くなって周辺部が寂れただとか、今声掛け運動ということがございますが、公共の果たす役割がやはり遠く感じられると、こういったこともございますでしょうし、もっと言うと、伝統や文化、地名などの喪失でもって自らのその地域に対する愛着、こういったものが失われてはならないというふうに思います。  いずれにせよ、過去二回の合併と違うところを私も今ずっと勉強していますけれども、それは先ほど木村先生にもお答えしましたが、教育あるいは伝統や文化、地域のきずなという視点を失うとその合併は大変厳しいものになるんではないかと、このように危惧しているところでございます。  以上です。
  58. 山下芳生

    ○山下芳生君 多くの自治体合併に突き進んでいった背景に何があったのかと。全国自治体の多くは、バブル崩壊後、国の景気対策に基づく過大な公共投資による債務の増大、一九九九年以降の段階補正の縮小や三位一体改革による地方交付税の大幅な削減で地方財政を悪化させました。小規模自治体ほどその影響が大きく、財政が厳しくなりました。それと併せて、二〇〇五年度の合併まで合併特例債や合併算定替えなどの財政措置が延長されたと。  私は、平成の大合併では国によるこうした兵糧攻めからの生き残り策として市町村合併を選択せざるを得なかった自治体が多くあったと思います。国が財政的に自治体合併せざるを得ない状況に追い込んだと言わざるを得ない面があると思いますが、その点、総務大臣、いかが認識されておりますでしょうか。
  59. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 三位一体改革が、地方分権の理念とはまた別に、小規模自治体、あるいは財政力の小さければ小さい自治体であればあるほど厳しい状況に追い込んだと、これはやはり数値も物語っているところでございまして、否めないというふうに思います。兵糧攻め、よくあめとむちという言葉が使われますけれども、合併をしなければもう財政的にももたないんだという強迫観念にも似たものが地域の中にあったというのは、それは否定をできない。ただ、一方で、将来を見据えて、より効率化していくんだ、より行政が身近な質の高い公共サービスをするんだ、そういう思いもあったことも事実でございます。  いずれにせよ、今後は地域の自給力と創富力を高める地域主権社会、たとえ過疎であっても大変豊かな町というのはヨーロッパには幾つもあります。それはなぜかというと、その違いは、やはり泉のように富がわき上がっていく、そして自らの地域のことは自らで決定できると、ここがやはり大きな違いだと思いますので、新政権としては今回、小規模自治体を含む市町村に対して交付税の配分率も変えました。そういったことで更に支援をしてまいりたいと、このように考えております。
  60. 山下芳生

    ○山下芳生君 私も、日本にも小規模自治体でも合併しないで頑張っているところは多くあると思います。  昨年十一月、岩手県北部の山合いにある九戸村を尋ね、岩部茂村長とお会いいたしました。人口七千人の九戸村は、合併せず自立した村として頑張っています。村長さんは、やっぱりここで生まれた限りはできればここで生活したいとだれしも思っている、東京へ出ていっても、九戸はどうなっている、どうなっているといつも気にしている、できるならいつかは帰りたいと思っている、そんな人におらほの村はええことやっていると安心してもらいたいとおっしゃっていました。その立場から、農業の担い手育成のために村独自で新規就農者に三年間月十万円の支援をしている、農協と協力してピーマン、ネギ、トマト、ニンジンの価格保証をやっているということも教えていただきました。  それから、四年前に訪ねた奈良県南部の山奥にある下北山村の上平一郎村長との懇談も印象的でした。人口一千二百人の村で、毎年赤ちゃんが十人生まれる目標を立ててほぼ達成しておられます。雇用の場づくりの研究、村営住宅の建設、都会の小学生を一年ないし三年間村の小学校に留学してもらう。そのための寮も造って、それをきっかけに親御さんも移り住んでくるということも起こっておりました。  私は、これらの現場に行って、過疎の地域に村役場があること、そして地域をどうやって守るのかを懸命に考える村の職員さん、そしてその方々と力を合わせる村民の皆さん住民皆さんがいらっしゃることがいかに地域の人々の暮らしと文化を維持する上で重要不可欠な役割を果たしているか、よく分かりました。もしも役場がなかったら、こういう地域に密着した施策をだれが考え実践するか、もう考えただけでも恐ろしくなったわけであります。  住民行政が知恵を出し合い協力し合って地域を守る、まさに地方自治の原点だと感じたわけですが、ほかにもこういう努力をされている自治体はたくさんあります。私は、ふるさとを守り、国土を保全し、都市部に食料を供給してくれるこうした小規模自治体日本の宝だと思います。こうした自治体が引き続き持続可能となるような財源の保障など必要な支援を行っていくべきだと思いますが、もう一度大臣認識を伺いたいと思います。
  61. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 私もこの間、同じ岩手県の紫波町という町へ参りました。お近くだと思います。そこは食料の自給率が実に一七〇%でございました。子供たちのアンケートの結果も見ました。それはやはり、みんなが力を出し合って町や村を守っていく公共に対する高い意識で、何をやってほしいかという子供たちのアンケートを見ましたら、自分が通っている田んぼのあぜ道や川を残してほしいんだと、自分が経験をしたあの祭りを残してほしいんだと。まさに、自分の暮らしの中そのものを残してほしいということでございました。  今委員お話しのような観点から、今回、全国的な合併推進については一区切りを付けて、国、県による積極的な関与を廃止するわけですけれども、これからは、今委員がおっしゃったように、地域主権社会の基礎となる市町村の在り方についても多様で、しかし、それはあめとむちとかでこうするんだという、それは甘いこと言えません、確かに行政需要は増大しているし、財政は厳しい。だから、効率化というのはとても大事ですけれども、多様な選択肢への転換を図るためには、今委員がおっしゃったような地域公共に対する思い、やはり良質な公共サービスを受けた人は、それは国家に対する信頼も地域に対する信頼も高いし、より積極的な活動をしてくださいます。そういったことを大事にこれからの下支えをしていきたいと、このように考えています。
  62. 山下芳生

    ○山下芳生君 私も、岩手県柴波町は何年も前から注目していて、藤原町長の下、地産地消、町産材で造る公共施設など非常にすばらしい実践がされている。よく訪問していただいたとうれしく思います。  ただ、最後に、原口大臣、衆議院の総務委員会大臣は、経団連や多くの経済界の皆さんとともにタスクフォースをつくって、この夏に一つの、道州制を射程に入れた姿を描き切ってみたい、道州制は射程に入っているとお述べになっています。また、基礎自治体への権限移譲を積極的に推進したい、例えば三十万人という行政のマンパワーがあれば権限についても実施できる基礎体力があるのではないかと答弁をされております。これ、道州制を射程に入れた、三十万人の基礎自治体ということになれば、更なる市町村合併につながらざるを得ないんじゃないかと思いますが、この辺りはいかがお考えなんですか。
  63. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 先ほどリナックス型と言いました。それから、三十という言葉も本当は出したくはない言葉なんですけれども、それは、私たち総務省がこんなふうにならなきゃいけない、三百に整理しなきゃいけないと、そんな考え方は持っておらないわけです。  むしろ、山下委員お話しのように、地域が自らの選択と自らの責任において地域をつくっていく、多様な自治体という考え方、先ほどの木村先生のお言葉を借りれば、アメーバのように多様なものがあっていいと、いや、あるべきだというふうに考えていて、ただ道州制の議論は、これは経済でも今地域間競争あるいは都市間競争、他国との、様々な地域が自らの資源を、例えば私の九州でいえば、それぞれが港湾を造るのを争うのではなくて、その道州という一つの形の中でどこに戦略的に配分をすればいいかということで、先ほどの基礎自治体や小規模市町村の概念とこれが矛盾するものではないというふうに私は考えておるわけで、道州を地域が選択したからといって、あめとむちでこういう今おっしゃったような地域を無理無理合併に持っていくとか、そんな考え方は持っておりません。
  64. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  65. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  若干、まず合併がもたらした問題点から見ていきたいと思います。  一九九九年、平成十一年以来、ほぼ半数近い四六・五%、一千五百五の市町村が消滅をしました。これだけの市役所、町役場が消えて、そこに働く職員議員が減らされたわけですが、まず事務的に聞きますけれども、大合併前と現在で、職員数議員数、財政規模はどのように変わったのか、町村に重点を置いてお答えいただきたいと思います。
  66. 久元喜造

    政府参考人(久元喜造君) 平成合併が始まったとされます平成十一年の数字と直近の数字の比較について順次御説明を申し上げます。  まず、市町村職員数でありますが、これは特別区、一部事務組合等を含んだ数字でありますが、平成十一年四月一日で約百五十四万人、これが平成二十一年四月一日現在で百三十一万人、一四・八%の減ということになっております。  市町村議員定数でありますが、これは特別区を含んだ数字ですけれども、平成十一年末で六万百十三人、平成二十年末で三万五千六百三十一人、四〇・七%の減ということになっております。  特別区を含む市町村の決算規模でありますが、平成十一年度決算で約五十三兆三千億円、平成二十年度決算で約四十七兆八千億円、一〇・二%の減ということになっております。
  67. 又市征治

    ○又市征治君 すごく職員や、先ほども出ましたが、議員がべらぼうに減って議員年金ももたない、破綻状態と、こういう状況までもたらしているわけですが、町村で八兆五千四百億円、市の増額を差し引いても五兆四千二百億円と地方財政が縮小し、地域経済に大きな縮小効果をもたらした、こういうことになっています。  一体だれにとってメリットがあったのか。つまり、歳出や人員が減っても住民に恩恵は全くなく、サービスが切り下げられた。かといって、自治体の、じゃ歳入に余裕ができたかといえば、そうでもない。つまり、よく言われる交付税の五兆円削減や補助金の三兆円削減などで国が地方向けの支出を減らした、こういう格好になっているわけです。  建前いろいろと言われるけれども、しかし、どういう自治体をつくるんだ、理念、姿、こういうものが全くないまま、国の支出を減らすための地方財政の効率化という名の縮小ではなかったのか、私はそのように思います。住民サービスを忘れて形式上、数字上の効率化に走ったことが現在の地方の疲弊を生んだ、その象徴が合併だった、こういう論者が非常に多い。地方へ行くと本当に町役場があったところが廃れてしまっている。もう四年、五年たってもそんな状態になってきているというのはあちこちで散見をする。  逆に、小規模自治体であっても、今ほどもありましたが、こうしたかねと太鼓で大合併推進をされたけれども、あるいは財政的な圧力を受けたけれども、しかし、合併ができない、あるいは合併をしないで小さいながらも頑張っていこう、こういう自治体もあるわけで、例えば今、人口一万人未満でもまだ四百五十九町村が残っている。この人たちは自らの判断でそうした圧力に屈せず頑張る、あるいは、先ほどから岩手県の話がよく出ましたけれども、私も前に川井村の例をここで言ったことがありますけれども、合併をするとなったら村を分村しなきゃならない、どこへもくっつきようがない、広大である。だから、そういうところだから、もうそこで残るしかない。こういうところに財政圧力掛けるなんというのはもうとんでもない話ということを前に申し上げたわけですけれども。  そうした、言ってみれば、小さくてもよいけれども、住民生活の隅々にまで目を行き届かせて現在の自治を守りたいと、こう頑張っている自治体が、先ほど来もありましたがたくさんあるわけでありまして、連立政権になって原口大臣小規模自治体、財政困難な市町村支援する方向を打ち出されたわけですけれども、大変に朗報だと、こう思っておいでになる、こういう小規模で頑張ってきた、あるいはこれからも頑張っていこうとしているこうした市町村に対して、大臣のむしろ激励のメッセージをいただきたい、私はそう思います。
  68. 原口一博

    国務大臣原口一博君) これはまさにこの総務委員会委員の皆様がおまとめいただいてお作りいただいたあの新過疎法に象徴されるように、過疎の地域が安心して自立的、持続的な地域経営を行えるように、切れ目のない事業の下支えをここにいらっしゃる先生方がしていただきました。  私は、小規模市町村の皆様に申し上げたいのは、地域の自給力と創富力、ちょっと変わった言葉ですけれども、富を生み出す、つくる力、これを高める地域主権社会の実現を目指しております。  この地域主権社会というのは、だれか中央で先に行ってその人のおこぼれにあずかるなんというそういうことではなくて、むしろ、森にわく美しい清水の泉のように、地域が持っている資源、伝統や歴史や文化、あるいは地域が自ら作る食品や一次産業を中心とした豊かな自然の恵みを基に、地域がまさに富がわき上がっていくような地域をつくることが重要だということで、今もソフト事業や様々な支えをしておるところでございまして、これからは、小さくてもきらりと光る、そういう安心の自治体、あるいは新しい公共ということを目指して頑張ってまいりたいと思います。  以上でございます。
  69. 又市征治

    ○又市征治君 この合併推進のためのおかしな財政措置幾つかありましたが、その一つに、地方交付税の合併算定替えというのがありました。合併前と同じに旧市町村を別々に算定して差額を補てんしますよというわけですけれども、いずれは段階を追って削られる、こういうことですね。しかも、法改正で十年据置きが五年に短縮をされています。単年度で六千九百九十億円という数字をもらいましたが、これは交付税の別枠なのかそれとも内数なのか、事務的な問題ですが、お聞きをしたいと思います。
  70. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 地方財政計画を策定をいたします際に、これは御案内のように、給与関係経費でございますと全国職員数でございますとか、あるいは一般行政経費でございますと各種のいろんな施策の地方負担額、こういったものを私どもといたしましてはでき得る限り実態に即した形で把握をして、必要な歳出を計上しようと努力をしております。  そして、それに基づきまして、歳入歳出で財源不足額が出てきますと、それを適切に補てんをして、そして所要の地方交付税総額を確保するといったことを行っております。来年度の場合には十六兆九千億でございますけれども。  ただ、この交付税総額を確保する過程におきましては、御指摘がございました市町村合併取組といった事情、状況、これを反映させているということではございませんけれども、市町村合併によって、例えば職員数でございますと、例えば標準団体であります十万人の理論的に計算した職員数、これに直ちに合併して十万になったところが移行できるということではございませんから、一定期間、合併算定替えといった措置を講ずることによって合併前の市町村ごとの財源不足額をはじくということにいたしております。  したがいまして、この合併算定替えというものを設けることによって、ある意味では実態を交付税で見ているということでございまして、地方財政計画上の例えば給与関係経費の考え方と交付税上の合併算定替えの考え方というのはそごを生じているというふうには考えておりません。
  71. 又市征治

    ○又市征治君 だけれども、前にも申し上げたけれども、合併しない自治体の交付税総額が毎年約七千億円削られるということになるわけで、国は何も負担していない、こういうことになるんじゃないですかね。  合併特例債というのもあって、償還を後年度の交付税で算定するということは、合併しない自治体の交付税総額から削って回すという意味で、二重の差別的手法だと私は思うんですね。  年次別発行額及び地方債総額に占める割合と残高、これはどのぐらいになっていますか。
  72. 久元喜造

    政府参考人(久元喜造君) 年次別の数字はちょっと持ち合わせておりませんので、総額で申し上げますと、これまでの旧合併特例法に基づきまして発行されております合併特例債、二十年度までの総額は約二兆六千七百億円となっております。  平成二十年度における合併特例債の発行額は約七千百億円でありまして、地方債計画額の全体が普通会計分で約九兆六千百億円でありますけれども、これの約七・四%を占めております。
  73. 又市征治

    ○又市征治君 今いただいた数字、中身見てみますと、道路が二一%、学校教育施設が一六%と、本来、普通の地方債で措置すべきものに合併特例債が使われている。また、起債しながら基金に積んで経常経費的に使われているのが二〇%もある。地方にとって使い勝手はよいかもしらぬけれども、合併する団体だけに付けて、しない団体には付けないという性格の本当は事業じゃないはずなんですね。だから、何かいろんな理屈を付けられているだけで、結局、かねと太鼓と言ったのはそういうことの意味ですよ。  そして、合併特例債も将来の交付税から天引きで返済するという仕組みですから、臨財債と同じ弊害を持っていると、こう言わざるを得ません。  さて、こうした財政的差別があったほか、住民の参政権の上でもおかしな法体系を持ち込んだこと、これは私はもう大反対をいたしました。合併推進での住民投票だけを合法化をする、しかしその逆は認めないと、こういう中身ですね。投票結果についても、議会が否決しても住民投票結果が優先をする、ただし合併推進の場合だけという、こういう極めて一方的な条項ですよ。  これによる発議調べてみましたら、結局は四百八件行われたけれども、住民投票結果で否決したのは一割、四十件あり、合併協議会までたどり着いたのは二割強、九十二件、合併したのは一割弱の三十九件と、こうなっています。こう見ると、この合併推進だけを法制化した強引な規定というのは逆効果で、極めてあしき前例を残した、こう言わざるを得ません。  残念だけれども、この規定そのものは今度の法律でも残っていくんだろうと思うんですが、大臣、一般的な住民投票を認める法制化というのは長年の我々が主張してきたことだと思うんですね。是非、連立政権の下でその方向に向かって努力を願いたいと思いますが、御見解を伺います。
  74. 原口一博

    国務大臣原口一博君) これ、合併特例法における合併協議会設置に係る住民投票は、住民の将来の町づくりへの意見を尊重するため、合併の協議をする場の設置についてのみ住民投票の対象とするものでございまして、合併そのものについては議会の議決によって決定されます。  ただ、これはその合併協議会設置に向けた住民発議が行われた後、議会がその提案を否決した場合に限って住民投票という形で住民にその判断を任せるものというものでございまして、代表民主制を補完するものということでございますが、今委員お話しのように、住民投票制度、これは一般的な、その在り方についてはやはり今委員がおっしゃるように大変、住民参加について、あるいは民主主義の基盤でございますので、地方行財政検討会議において今の委員の御指摘を踏まえて御議論いただいて、しかるべき方向性を連立政権として出してまいりたい、このように考えております。
  75. 又市征治

    ○又市征治君 まだ質問あったんですが、時間の関係で終わりにしたいと思いますが。結局は、大きいことはいいことだ、おお、いいことだと、こう言って、催眠商法まがいの大合併にあおられて、自治体は前後の判断をする余裕もなく、むしろ突っ込んでいった。  この間、さっき澤さん言われましたけれども、私も地元の議長会が会いたいと言うから会いました。こんな合併、国策でやられて、おれらの年金はどうなっていくんだと、こうおっしゃるから、それを推進したのはあんた方もそうなんだと、責任もあるんだと、こう言って、私も率直に申し上げたんですが。  いずれにしても、こんなことになろうとは思っていなかったというやっぱりみんな思いなんですよね。だから、結局、国が措置するからみたいなこと言われるものだから、みんなそれで走った、だけど、今になってみるとという、こういう思いがやっぱりあるわけです。  そういう意味で、結局、そういう反省をやっぱりしっかりすべきだ。平成の大合併と言われた政策がやっぱり矛盾だらけのうちに一定の収束を迎えようと。この法案は、余りにも強引だったこういう合併推進政策というものを若干自然体に結び付けて、やはり自分たちの地域をどういう地域社会にしていくのか、大臣、さっき言われているけれども、もう自立的にいける、そういう地域をつくっていこう、こういう格好で自然体に近づけていこうということですから、そういう意味では、消極的でありますが、私はこれは賛成をいたします。  今後は、やっぱり合併しなかった市町村を始め、合併して矛盾が出てきた旧町村地域あるいはいわゆる限界集落問題、こういったことなど、もっと住民地域に視点を移した地域振興政策というものを是非とも推進いただくように、これまでも大臣、そういう決意を述べていただいておりますけれども、更に進めていただくようにお願いをして終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  76. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  77. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、市町村合併特例等に関する法律の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。  第一の反対の理由は、改正案は、市町村合併に対し国や都道府県が積極的かつ強力に関与することを始め、平成合併推進してきた合併押し付けの仕組みを大幅に削除するものでありますが、合併の可否についての住民の参加、意思の反映が十分に保障されていないという合併特例法の問題点は基本的に変わっていないからであります。  旧合併特例法は、一九九五年に合併推進目的とした方向に大きく転換され、その後も改正が重ねられてきました。特に、二〇〇四年には総務大臣による市町村合併促進の基本方針策定や勧告合併推進のための都道府県知事権限強化などが盛り込まれ、合併押し付けの集大成となったのであります。  平成合併によって、全国市町村数は三千二百三十二から本年三月末までに一千七百三十まで激減することになります。全国各地で住民サービス低下行政住民相互の連帯の弱まり、周辺部の衰退など深刻な弊害を顕在化させています。  そもそも、合併するかしないかという自治体にとって最も重要な問題は、住民の十分な参加と圧倒的な同意によって決定されるべきことであります。本改正案には、有権者の五十分の一以上の署名をもって合併協議会の設置を請求できる住民発議制度合併推進側だけに与えられているなど偏った内容が残ったままであり、合併に対する住民の参加、意思の反映が十分に保障されていないという問題点は基本的に変わっておりません。  第二の理由は、鳩山政権は、権限移譲の受皿となる基礎的自治体行財政基盤強化が必要だとしています。これは、前政権と同じように、市町村合併しかないという状況に追い込んでいくことになるからです。  前政権は基礎的自治体行財政基盤強化が必要だとして平成合併を進めてきました。幾ら強制でなく自主的にといっても、権限移譲の受皿にふさわしい基礎的自治体づくりのために行財政基盤強化を迫るものであり、市町村合併選択への不安から解き放たれることはないのであります。  本改正案は、行く行くは合併を選択せざるを得なくなる市町村にその一歩を踏み出させるために使われることにもなるものです。  以上の点を指摘し、反対討論を終わります。
  78. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  市町村合併特例等に関する法律の一部を改正する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  79. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、礒崎君から発言を求められておりますので、これを許します。礒崎陽輔君
  80. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 私は、ただいま可決されました市町村合併特例等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新日本、自由民主党改革クラブ、公明党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     市町村合併特例等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項についてその実現に努めるべきである。  一、法の目的市町村合併推進から自主的な市町村合併円滑化に改められたことを踏まえ、関係制度の適正な運用に努めるとともに、自主的な合併を選択する市町村に対して必要な支援を行うこと。  二、近年、市町村合併が政策的に推進されてきた経緯を勘案し、合併市町村の行財政運営や住民参加、住民サービスの状況を引き続き調査・分析し、合併市町村が新たなまちづくりや地域活性化に取り組むことができるよう必要な措置を講ずること。  三、市町村合併の進展を踏まえ、市町村住民に最も身近な地方公共団体として更に自立性を高めるため、市町村への適切な財源移譲を伴う権限移譲を積極的に推進するとともに、自主財源の充実等地方税財政制度の確立に向け、地方との誠実な協議を行うこと。  四、事務の適切かつ効率的な処理のための広域行政の在り方や市町村合併を選択することが困難な小規模市町村における事務執行の在り方などについて、引き続き検討を進めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  81. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) ただいま礒崎君から提出されました附帯決議案を議題として、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  82. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 多数と認めます。よって、礒崎君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、原口総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。原口総務大臣
  83. 原口一博

    国務大臣原口一博君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  84. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時六分散会