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2010-03-11 第174回国会 参議院 総務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年三月十一日(木曜日)    午後零時十一分開会     ─────────────    委員異動  三月九日     辞任         補欠選任      近藤 正道君     又市 征治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 泰介君     理 事                 加賀谷 健君                 武内 則男君                 林 久美子君                 礒崎 陽輔君                 世耕 弘成君     委 員                 高嶋 良充君                 土田 博和君                 外山  斎君                 友近 聡朗君                 那谷屋正義君                 内藤 正光君                 長谷川憲正君                 吉川 沙織君                 木村  仁君                 末松 信介君                 関口 昌一君                 谷川 秀善君                 二之湯 智君                 溝手 顕正君                 魚住裕一郎君                 澤  雄二君                 山下 芳生君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     原口 一博君        国務大臣     亀井 静香君    副大臣        内閣府副大臣   大塚 耕平君        総務大臣    渡辺  周君        総務大臣    内藤 正光君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        田村 謙治君        総務大臣政務官  小川 淳也君        総務大臣政務官  階   猛君        総務大臣政務官  長谷川憲正君    事務局側        常任委員会専門        員        塩見 政幸君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○行政制度公務員制度地方行財政選挙、消  防、情報通信及び郵政事業等に関する調査  (行政制度地方行財政消防行政情報通信  行政等基本施策に関する件)  (郵政改革基本施策に関する件)  (平成二十二年度人事院業務概況に関する件)     ─────────────
  2. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る九日、近藤正道君が委員を辞任され、その補欠として又市征治君が選任されました。     ─────────────
  3. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のうち、行政制度地方行財政消防行政情報通信行政等基本施策に関する件、郵政改革基本施策に関する件及び平成二十二年度人事院業務概況に関する件を議題として、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 林久美子

    林久美子君 民主党の林久美子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  昨年夏の政権交代以降六か月ということで、連日、予算委員会原口大臣亀井大臣、御奮闘いただいておりますことに感謝を申し上げたいと思います。  本日、お昼の時間を使っての委員会ということでございますので、できるだけ簡潔にお伺いをしてまいりますので、よろしくお願いをいたします。  まず、郵政改革法案について、亀井大臣にお伺いをいたします。  民営化分社化によって大変に利用者利便性が低下をしてきたり、経営基盤が劣化をしてきているという中でございまして、何とかこの国会でこの郵政改革法案、成立をしたいというのが現在の政府の強い思いであるというふうに存じております。そうした中で、現場からすれば、かなりそれぞれの会社に分かれたことによって会社間の壁というか、こういったものもできておりまして、なるべく早くその姿を明らかにしてもらいたいという声も聞かれております。  そこで、早速お伺いをしたいと思います。  いつまでにこの郵政改革法案をまとめられるおつもりなのかということと同時に、先日の所信表明の中で三社体制でというお話をいただきましたが、もう三社体制で決まったという理解でよろしいのかどうか、亀井大臣お願いいたします。
  5. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 現在、各党また各方面、国民皆様方の御意見をいろいろと精力的に聞かさせていただいている最中でございますが、いよいよもう法案提出へ向けての最終段階で、原口大臣とも今緊密な連絡を取りながら最終結論を出そうとしておりますが、大体来週辺りには出したいということで頑張っております。  それから、一応我々、素案として三社体制でいこうというあれを出したわけでございますが、いろんな方々からいろんな意見もいただいておりますけれども、現在のところ、やはり素案に出しておりますとおり三社体制でいきたいと、このように考えています。
  6. 林久美子

    林久美子君 ありがとうございました。  来週辺りには法案も出てくるし、三社体制でというお話でございました。その上で、やはり郵便局には是非ユニバーサルサービスを維持、発展、展開をしていただきたいというふうに思うわけでございますが、そこで気になるのが、では、このユニバーサルサービスというのは一体どういう業務に課していくのかと。本来であれば政府が担うべき役割郵政会社の方に担ってもらうということになるかと思うんですが、どういう業務ユニバーサルサービスを課すのか。逆に言えば、どういうものはユニバーサルサービスから外すのかというのを教えてください。
  7. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) ユニバーサルサービスについては、交通の便利、情報等いろんな関係から、便利のいいいわゆる都市部と、山間部島嶼部、こういう地域状況が違いますけど、一応我々としては、こういう郵便関係だけじゃなくて金融関係についてもそうしたサービスが行き渡っていく、そういう状況にしたいと、このように考えております。
  8. 林久美子

    林久美子君 ということは、保険ユニバーサルサービスの対象には入らないということですか。
  9. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 保険も含めて金融ということを申し上げたわけでございます。
  10. 林久美子

    林久美子君 ということは、郵便貯金保険、そうした業務ユニバーサルサービスを課すということかと存じ上げます。となると、その三つを果たして初めてユニバーサルサービスの義務を提供しているということになると思うんですが、それはやはりその三つを果たす郵便局郵便局として法律の中に位置付けられるということになるのかなというふうに思うのですが、現在検討されている法案で、この郵便局というものの規定はどのようなものになさるおつもりでいらっしゃるのか、お伺いさせてください。
  11. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) いわゆる郵便局の中には、場合によっては貯金保険業務をやらないという局も出てこようかと思います。
  12. 林久美子

    林久美子君 現在の直営郵便局簡易郵便局を見ていますと、やはり保険なんかは提供していないところも幾つかあるようでございまして、やはり全国各地あまねくユニバーサルサービス、特にやはり郵便とか貯金とかいうことに関してはとりわけということになるかと思うんですが、ただ、そのユニバーサルサービス、ネットワークはやっぱり維持していくという視点を是非大切に御検討いただきたいということをお願いをさせていただきたいというふうに思います。  そして、こうしたユニバーサルサービス展開する上で、これはもう今更申し上げるまでもございませんけれども、中山間地域過疎地などでは採算が取れない地域というのも当然出てくるかと思います。しかしながら、そこをまげて何とかしっかりと利用者皆さんのアクセスの機会を担保していきたいということかと思うんですが、このユニバーサルサービス赤字のところも含めて展開していくのにどれぐらいコストが掛かるのか、長谷川政務官お願いできますでしょうか。
  13. 長谷川憲正

    大臣政務官長谷川憲正君) 大変重要であり、かつまた難しい御質問をちょうだいいたしました。と申しますのは、学問的に恐らく、研究者の方などにお伺いをしますと、ユニバーサルサービスコストというのは、郵政事業全体の業務の中のどの部分とどの部分がいわゆる国がユニバーサルサービスとして期待をするものであって、それにどれだけのコストが掛かるのかという非常に細かな計算をすることになるんだろうと思いますが、私どもはそれはやっておりません。  その理由は、これはもう明治以来の伝統でございますけれども、国が税金をつぎ込んで郵政事業をやるわけではございませんで、郵政事業そのもの努力によって全体の経費を賄ってもらう、そのことによって国の期待するユニバーサルサービスを提供していただくということでございますので、特段学問的な意味での分計はやっていないわけでございます。むしろ私は、特に今回は、今大臣からお答えを申し上げましたように、郵便貯金簡易保険サービス全国的に展開をする、そういう形でユニバーサルサービスとして位置付けるということでございますので、全国郵便局網を維持する経費、それ全体をむしろユニバーサルコストと考えていただいて、それをこれからの経営展開の中でいかに郵政事業そのものに賄ってもらうかという工夫をしていくことだというふうに思っております。  そういう意味で申しますと、全国郵便局を維持しますのに今一兆二千億ほどのお金が掛かるわけでございまして、この経費をこれから、株式会社ということが前提になっているわけでございますから、民営化に伴いまして税金費用も随分増えているわけでございますので、それらを含めて全体の経費を賄うような工夫を今度の設計の中でやっていくつもりでございます。
  14. 林久美子

    林久美子君 ありがとうございました。  問題は、そのコストを、今政務官からお話がございましたが、会社そのもの企業努力によって賄ってもらうんだというお話がございました。最初この議論がスタートしたときは、じゃそのコストをどうやって賄ってもらうのかと。今御存じのように、やはりいろいろな規制が掛けられております。預金限度額、あるいは保険の商品がかなり絞られているとか、そうしたものをやはり外すことで収益基盤を強くしていかなくてはならないと。アメリカのAIGなどは、現在アメリカ政府出資比率が八〇%を超えているということも伺っておりますが、こうしたところですら業務に対する規制は掛けられていないということを伺っております。  今一兆二千億円というお話もございましたけれども、こうしたものを、ただでさえ今郵便局というのはかなり貯金の額も減ってきて、保険契約数も落ちてきて、このままいけば経営基盤そのものが怪しくなって、もつかもたないかのところまでいくんじゃないかというような状況の中で、なおかつユニバーサルサービスを国の代わりに果たしてくださいよねというのは、余りにもやっぱり難しい酷な話なんだろうと思います。  ですから、それにきちっと対応できるように、限度額の撤廃、保険の第三分野への参入、そろそろ結論を出していただきたいというふうに思っているんですけれども、亀井大臣、この辺りについてはいかがでしょうか。
  15. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 今、長谷川政務官から申し上げましたけれども、ユニバーサルサービスをそうした金融保険分野についてもきっちりと政府が課していくという、そうしたことをやりながら、税金を投入しかもしないで、自助努力でそういう費用を賄えということでありますから、それが可能なやはり経営にしなければならない。そういう観点から、現在いろんな制約が、いわゆる小泉改革の下でなされたこの郵政事業の中においてもいろんな手足が縛られておるのが現実であります。それをどういう形で今後やっていくかということ、まさにこれが今我々が検討をしている中の焦点の面であります。  私は、新しい郵政がどんどん手足自由になって、いわゆる民業を圧迫してそこのけそこのけで荒稼ぎをしていくような、そんな状況に私はするつもりはありません。メガバンクに対抗する巨大なメガバンクを新しくつくるということが目的ではございませんので、そういう観点からも私は今後の日本郵政在り方について検討したい。  ただ、一つ、今、日本郵政既に取り組んでおるわけでありますが、雇用形態が今御承知のように、小泉改革の下で人間人間扱いしない、安く使えばいいということがはやり病のように今大企業を含めてなされております。現在大企業、三分の一ぐらいが非正社員というところが多いと思いますが、何と日本郵政は半分ぐらいが非正社員と。同じ仕事をしておって正社員に比べて三分の一以下の収入しかないというのがたくさんいらっしゃるわけで、これを今、斎藤社長に抜本的に、日本雇用のあるべきモデル、これを日本郵政がつくるんだという立場で抜本的に変えるようにということを強く要請をいたしており、現在それに今取り組んでおりますが、これによっていわゆる人件費コストは二、三千億程度は上がるというように私は大体、アバウトですけれども、そういう感じもしておるわけであります。  そういうことについて批判の声もありますが、私は、人間人間扱いといいますか、人間として大事にしながら経営をやっていく、その費用というのは原価だと私はこのように思っておるわけでありまして、そういう観点に立って、なお日本郵政税金を使わない、自前でユニバーサルサービスをやっていけるにはどうしたらいいかということで、今、原口大臣とも細かい協議を重ねながらやっておる最中であります。
  16. 林久美子

    林久美子君 先ほどの一兆二千億のコストと、人件費で、なるべく正社員化ということで二、三千億掛かると、こうしたものを賄えるだけの強い収益基盤をつくるための規制在り方規制の外し方を、業務の拡大ですよね、を考えていかれるというふうに受け止めさせていただきたいというふうに思います。  では、原口大臣に続いてお伺いをさせていただきます。  本日、実は緑の分権改革についてもお伺いをしたかったのですが、今回、補助金という形ではなくて委託という形で、本当に国が全面的に支援をする形でそういう取組全国に広げていこうという、非常に私も共感する取組をいただいたなというふうに思っておるんですが、実はこれを聞きたかったのですが、ちょっと時間がございませんので、後ほど土田委員の方がこの分権改革について聞かれるということでございますので、そちらの方にお譲りをしたいというふうに思います。  その上で、今回、地方交付税大幅に御努力をいただいて増やしていかれたということでございまして、ほぼ三位一体の改革前の水準にまで戻ったというふうに伺っております。それでもなお地方自治体からすると、必要最低限経費がかなりもうかさんできていて、経費削減努力はしているけれどもまだまだ厳しいと、こんなこともあんなことも地域住民のためにしたいけれども、なかなか思うようにいかないんだという声を聞かせていただいています。  やはり、国は、地方自治体が、地方公共団体がなるべく住民に対する行政サービスの質を落とすことなく住民皆さんに向き合えるような仕組みをつくっていくということが大事だというふうに思うんですが、いまだにやはり地方自治体を苦しめるような制度が一部残っているところがございます。先日、ちょっと予算委員会のときにも聞かせていただいたのですが、法人課税に係る還付加算金なんですね。景気が悪いときこそどうしてもこういったものが大きくのしかかってきてしまっております。  そこで、これは小川政務官にお伺いをしたいのですが、昨年度の全国都道府県還付加算金総額と最近の傾向を教えていただけますでしょうか。
  17. 小川淳也

    大臣政務官小川淳也君) お答えを申し上げます。  平成二十年度の還付加算金総額でございますが、九十八億九千万円というふうに把握をいたしております。また、その傾向でございますが、やはり景気悪化をいたしますと還付をする金額が増える傾向にございまして、最近のところは増加傾向でございます。
  18. 林久美子

    林久美子君 今のは都道府県でお伺いしたんですが、多分市町村を加えるともっと多い金額に、百億をはるかに超える金額還付加算金として地方自治体にのしかかっているということになるのだと思います。  これはもうかねがね申し上げておるんですが、やっぱり本則は今七・三%という率なんですよね。これが今特例基準割合で四%プラス公定歩合で四・三%になっているわけでございますが、昭和三十八年で七・三%の本則が定められて四十七年間も据え置かれてしまっているということを考えても、やはりこれは、総務省だけで簡単にできる話ではないかというふうにも思うんですが、是非これは、地域の頑張りを、地域自立をしっかりと応援をしていくんだという原口総務大臣だからこそ、是非この点を見直していただきたいというふうに思いますのと同時に、何らかの財政措置を今考えていらっしゃるのかどうかお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
  19. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 林委員におかれましては、本当にこれは一貫して御主張で、この長い間やはり改革がされてなかったと、私も同じ問題意識を持っております。  還付加算金利率は、今お話しのように、国税地方税共通して平成十一年度以降特例基準割合が適用されて、平成二十二年度中は四・三%となっています。四パープラス公定歩合という形ですね。今般の景気の急激な悪化に伴い、特に地方法人課税中間納付分、この還付も急増していることに伴い還付加算金額も多額に上っていると承知しています。  都道府県法人課税中間納付還付に係る還付加算金、先ほど小川政務官からも言いましたけれども、百九十億円という形になっているわけでございまして、この還付加算金利率在り方については、私、税調会長代行でございますから、国税も含めて総合的な観点から検討したいと。そして、地方団体意見を踏まえつつ、税調で幅広い観点から議論しますが、平成二十一年度の還付加算金額の急増に対しては特交措置を講ずる方向で調整をしています。もうじきこの結果が出てきますけれども、特交は今まである意味外から見えにくいということを言われましたが、明確な基準を示して、そして今の委員が御指摘のあった不合理な部分を少しでも是正できるように特交配慮をしてまいりたい、このように考えております。
  20. 林久美子

    林久美子君 ありがとうございました。  本当にこれは制度として、中間納付を納めていただいた分に対して、収益が下がったらどんと利率を足して返さなきゃいけないということになると、これはもう言わずもがな地方自治体にとってはかなりこたえる制度でございます。  この度特交で、しかも明確な基準を設けて、見える形で措置をいただけるということでございますけれども、その点は大変有り難くも思いつつ、どうか税調の方の議論でもやっぱり本筋のところをしっかりと見直していただいて、地方自治体が伸びやかに地方住民皆さんに対してしっかりとした行政サービスを講じていくことができるような御支援を賜りますようにお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  21. 土田博和

    土田博和君 土田博和です。  昨年十月、参議院選挙で当選させていただいて、まだ四か月しかたっておりません。その私に質問機会を与えてくださった議員の方々、本当に感謝しております。  私、三十五年間の医療現場の生活を通じまして、今日は地域医療観点から皆様に少し質問をさせていただきたいと思っています。  鳩山内閣の命を守る政治ということですね、定住自立圏という構想を述べられております。つまり、今現状はいわゆる五万ぐらいの都市お互い市立病院を持ちたがる、こういう中でお互いにばらばらな医療政策機能分担なしで、相変わらずそういうことを繰り返している。  平成二十年に公立病院改革のガイドラインというのが出ました。しかし、一向に遅々としてそういうものは進まないということですが、原口総務大臣質問いたします。そういう定住自立圏構想を推進するに当たって、いわゆる機能分担なくして共倒れ的な市立病院公立病院の建設に関してどういうような意見をお持ちか、お聞かせ願いたいと思います。
  22. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 土田委員お答えいたします。  四か月前、委員のところへも行かせていただきましたが、まさに地域医療を支え、先頭に立ってくださっている委員、心から敬意を表したいと思います。  その上で御質問でございますが、やはり市町村役割分担により二重投資の防止や既存資源有効活用を促進する、こういう効果がまさに定住自立圏構想の中にあって、ばらばらに競い合っていたのでは医療という限りある資源を効率よく国民に提供することができなくなると、こう考えておりまして、現在四十六市が中心市宣言を行い、うち二十三圏域協定締結等により定住自立圏が形成され、具体的な政策分野ごと市町村間の役割分担、これをされておるわけですが、特に地域医療の確保はどの圏域でも重要な課題になっておりまして、現在形成されているすべての定住自立圏において、民間病院を含め地域医療に関連する市町村間の役割分担、これが実施されているところでございます。  御指摘のように、この定住自立圏の形成を通じた市町村間の役割分担によって圏域全体で住民の命と暮らしを守る有機的な地域医療が確保される、これが必要であると、このように考えております。
  23. 土田博和

    土田博和君 ありがとうございます。  二十二年の地方財政計画でも病院事業費というのは七千二百億弱の財政措置が計画されております。前年比三百三十億増加ということで、非常に心強い限りです。  ただ、日本企業というものが九〇%が中小企業で担われている、そういう中で、日本医療界でも九〇%が民間病院が頑張っているわけですね。その中で、公立病院支援という明確な所見を述べられておりますけど、その頭の中に民間病院配慮とかそういうものは実際に入っているでしょうか。原口総務大臣お願いいたします。
  24. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 当然、医療というものは公立病院だけでできるものではございません。民間医療機関がしっかり支えてくださるからこそ、まさに国民の命の安心、そして健康への安心というものができるというふうに考えておりまして、ただ、効率的な経営を行ってもなお不採算となる経費については地方交付税により措置をしておりますが、やはり委員お話しのように、医療に向かう資源そのもの、これを増やしていかなきゃいかぬと、私はそう考えておるところでございます。
  25. 土田博和

    土田博和君 原口大臣が述べられましたように、医療界でも過去三回にわたる診療報酬改定でダウンダウンダウンの連続でした。今回初めて若干ながらプラス改定ということで非常に大きな期待をしております。ただし、今七千数億円の財政措置にかかわらず、昨年、平成二十年、トータル的に国公立病院赤字が二千億弱という状況になっております。そして、民間病院公的病院が担う医療と大体八〇%は同じような医療をやっているわけで、かつ従業員給料が、医師を除けば、約二割弱安い給料でみんな頑張っているという現実是非皆さんお知りおきいただきたいと思っています。  私のいる静岡でも、日本の大動脈たる東海道沿線においても公立病院というのは今ばたばたいっています。過大な設備投資、それからどれだけの患者さんが来てくれるかというそういう調査不足、それから人口当たり本当に静岡でもワーストスリーに入る医師不足という中で、渡辺大臣質問をしたいと思っています。  伊豆半島、相変わらず高齢化がどんどん進んでいます。その中で、渡辺大臣に関しては、ドクターヘリの先駆け的導入、それから医大の誘致等で本当に日夜頑張っていただいていますけど、伊豆半島を含め地域医療医師の状態とか病院の状態について少し質問をしたいと思います。
  26. 渡辺周

    ○副大臣渡辺周君) 今、土田委員から、同じ静岡県の選出でございまして、伊豆半島の実情はもう委員も本当に御認識のとおりでありまして、静岡県の場合は人口十万人当たりの指数が百七十六・四人、全国平均の二百十二・九人を大幅に上回って、今まさにワーストに入るというふうにおっしゃいましたけど、我々、静岡県は全国都道府県の中でも裕福な方だと言われる中でもこういう現状でございます。  まさに伊豆の方に行きますと、例えば眼科医がなくて、眼科の先生が西伊豆にクリニック、これは清水の方が駿河湾からフェリーに乗ってやってこられるんですね、土日だけ。朝、前を通ったら随分お年寄りが並んでいて、何かあるのかなと思ったら、皆さん一週間ぶりに来る先生を待って、そこに、朝の九時ぐらいから開くんだけれども、もう七時半ぐらいから地域のお年寄りが待っていらっしゃると。やっぱりそれは、目の不具合を抱えられて来られた方々にしてみると、本当にお医者様が来られることが、本当に待ちわびている時間なんだろうなという状況にも何度もお遭いをしたことがあります。  ドクターヘリやドクターカーというのは、これはあくまでも補完的な手段でございまして、先日も八戸の市立病院に私行ってきました。今週月曜日には自治医大に行ってまいりまして視察をしてまいりました。お医者さんのこれから定員を増やして養成をしていくことはもちろんなんですが、それまでの間、補完的な意味でドクターヘリやドクターカーといったものの整備は必要と思いますが、やはり本質的にはそこにお医者さんがいる、お医者さんがいることによって、まず地域方々安心をするという。やっぱり医師の不足というのか偏在というのか、これは私どもの郷里を例に取るまでもなく、全国的にこれから本当にこれは解決していかなければならない問題だと。  高齢社会の中で、是非とも、お医者さんが増えていくようなことにつきましては、現役の医師の立場から是非我々総務省の三役にもいろいろアドバイスいただきたいと思います。ありがとうございます。
  27. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 改めて申し上げますが、委員長の指名をもって御発言をいただくように、恐縮と存じますが、お守りいただきたいと思います。
  28. 土田博和

    土田博和君 今日、くしくも九十八番目の空港がオープンしました。全国でまだ十七か所しかドクターヘリが整備されていない状態です。一刻も早く過疎地医療の切り札としてそういうものを整備していただきたいと思っています。それから、夜間の自衛隊ヘリも是非利用できるような体制を組んでいただきたいと思っています。  この過疎地医療、そういうものに関して地域医療の何が切り札になるか、私はICTの利用だと思っています。その中で、光の道として原口大臣が提唱しています、遠隔医療モデルとして、今いろんな内藤大臣を始めとして画期的な地域の試みを行っております。  そこで、内藤大臣に、今現在、どのレベルまでICTを利用した遠隔治療というものが行っているか、簡単にお答え願えれば幸いです。
  29. 内藤正光

    ○副大臣内藤正光君) 土田委員指摘のように、我が国が喫緊に解決すべき課題といたしましては、医師不足であったり、医師の偏在でございます。そういった問題に対して、ICTを活用した遠隔医療というのは大変有効な対策になると考えております。  実際、先月ですが、原口大臣を始めとする政務三役で岩手県の遠野市にお邪魔をいたしました。そこで、高齢者を遠隔で診ている、予防医療という観点でも大変有効でありますし、また妊産婦に対しても適用しておりまして、期間中十数回にわたって診断を受けなきゃいけないんですが、その多くを遠隔で対処している、そのことによって妊婦の負担がかなり軽減されている。そういった有効性も私たち身を持って感じているところでございます。  そこでなんですが、まず一つ申し上げさせていただくのは、さきの政権下ではございますが、総務大臣と厚生労働大臣との共同でもって懇談会が立ち上げられました。そして、この懇談会の下、総務省としては全国で十か所の遠隔医療のモデル地域を設けて、これまでエビデンスの積み上げを行ってまいりました。そして、間もなくその成果が取りまとめられる予定でございますが、その取りまとめられた成果を踏まえて、また厚労省と総務省とで今後遠隔医療の実現に向けての論点整理を行ってまいりたいというふうに思っております。  そして、もう一つだけ申し上げさせていただきたいと思います。それは、この遠隔医療の問題は何も厚労省と総務省だけの問題ではなくて、鳩山内閣が一丸となって取り組んでいかなければならない問題でございます。  そこで、その一つとしてIT戦略本部の在り方も徹底的に見直しを行っていきたい。今までは専門家任せでなかなか省庁の縦割りを飛び越えることができなかった。そこで、政治主導の体制へと切り替えることで省庁縦割り意識をなくし、そしてIT戦略本部が掲げる重点的な戦略目標の中にICTの活用による遠隔医療の実現というものもしっかり位置付けて、鳩山内閣としてこの遠隔医療を含む医療分野のICT化を進めてまいりたいと思っております。
  30. 土田博和

    土田博和君 今非常に力強い意見をいただき、ありがとうございました。  私も、過疎地で、医師の資格、医師の診察なしで、いわゆる今NP、ナースプラクティショナーという、そういう人をいわゆるデジタル放送を通じたウエブカメラなんかで双方向性のテレビ会議のように利用していくことがこれから大きな地域医療の力に私はなると思っています。是非、原口大臣も進めているようなEHRですか、個人データをどんどんそういう社会保障カードに載せていって、無駄な医療をなくして、遠隔医療も含めて整備していっていただきたいと思っています。  それから最後に、郵政に関してですけれども、私も郵政の一丁目一番、つまり財投へのいわゆる非常に不明朗な資金の漏出、そういうものが止まったということ、それからいわゆる親方日の丸的な対応が減ったということで非常に大きな満足をしております。ただし、局の中で三つのパーテーションに分けたり非常に無駄な、大きな改善をする余地も含んでいます。  その中で、今後、今三%ぐらい郵便事業というのはどんどん減ってきています。そして、くしくも民主党が進めているいわゆる電子化、電子化の流れでますます私は郵便事業というものは厳しい状況に入っていくと思うんですけれども、その中で、亀井大臣に、今後の業務拡大の中で、他業種に余りストレスを与えない、先ほども出ました、範囲の中で、地域過疎地医療を、いわゆる保健師なんかと提携して何か強力な共同作業を進めていくアイデアとかありましたら教えていただきたいと思います。
  31. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 委員御案内のように、郵便局というのは例の改革なるものによってずたずたにはなりましたけれども、まだ原形をとどめておるところもあるわけでございまして、やはりそうしたネットワーク、これは機械ということじゃなくて、具体的にお年寄りとあるいは要介護者との接触をする、そういう仕事をしておるわけでありますから、介護事業あるいは医療事業との接点というのは極めて多いと。これを地域のために、また国民全体の福祉のために使っていけると思いますので、これも今後の大きな検討課題だと思いますが、委員からも是非具体的な知恵をいただきたいと、このように思っております。
  32. 土田博和

    土田博和君 ありがとうございました。  とにかく、私の生まれた一九五〇年、おぎゃあと生まれた赤ちゃんが二百三十万人、それから、二十年前ですね、これが百二十万人、去年が百三万人になっています。このままいくと二十年後にはついに五十万人台に突入していきます。非常に大きな日本のクライシスだと思います。  これを打破するのは、私は医者ですから、医者の表現を使いますと、いわゆる隅々まで血液を行き渡らせるためには、まず一番大事なのは出血を止めること。出血というのは私は無駄だと思っております。これを徹底的に排すること。そして、今弱っているデフレという状態の中で輸血をしなきゃならない。そして、これが私は国債の発行だと思っております。ただし、輸血というのは、出血を止めてから輸血をするというのが基本でありまして、同時にうまく並行してやっていただきたい。そして、たまったこの血液を隅々までやる力というのは、私は心臓の力。ただし抵抗、地域にある、血管の抵抗があると心臓の収縮というのはできないんですね。その抵抗こそ私は規制改革だと思っております。そして、この心臓の収縮力こそ民主党が掲げている、原口大臣が掲げている原口ビジョン、そういうものによって、ICTを利用した大きな革命ですね、そういうものによって安心、安全な医療、そして活気ある経済づくり、そういうものを推進していってほしいと思っています。  お金は、皆さんも御存じのように、銀行にある限りただの紙切れです。それをいかに若い世代へ消費として大きな循環の力として回していっていただくか。これを是非私のお願いとして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  33. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 暫時休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      ─────・─────    午後四時五十二分開会
  34. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のうち、行政制度地方行財政消防行政情報通信行政等基本施策に関する件、郵政改革基本施策に関する件及び平成二十二年度人事院業務概況に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  35. 澤雄二

    ○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。  原口大臣に、大臣が提起されている言論の自由を守るとりでについてお伺いをしたいと思っております。  これは大臣、何を何から守るんでしょうか、だれをだれから守るんでありましょうか。大臣はよくこういうことを言われていました。政権だとか政党だとかが放送に介入するのを防ぐんだ、守るんだと、そのお考えは今でもお持ちでございましょうか。
  36. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 言論、表現の自由は民主主義の基本でございまして、その守られるべき主体は国民でございます。  言論の自由を守るとりでとは、この表現、言論の自由を政治や行政といった権力から守るものでございまして、なお、表現、言論の自由は、放送や報道を自由に表現、発信する権利のみならず、その受け手が安全、健全な環境において情報を取捨選択できる権利、あるいはすべてひとしくアクセスできる権利、情報教育を受ける権利、これは消費者基本法、先生にも大変御高配をいただきましたが、その基本法に書いておりますようなそういう様々な情報に関する権利、これが保障されてこそ成り立つものだと認識をしております。
  37. 澤雄二

    ○澤雄二君 国民の知る権利を守るというのは、全くそのとおりであると思います。  国民の知る権利を守る、だれから守る。今、報道、放送という話をされました。それはそういう認識でよろしいんでしょうか。報道、放送から国民の知る権利を守るということは、同時にそれは放送、報道に対して何か規制が行われるということを表裏で意味しないでしょうか。
  38. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 放送、報道から守ると申し上げたわけではありません。表現、言論の自由は、放送、報道を自由に表現、発信する権利のみならず、その受け手が健全な環境において情報を取捨選択できる、あるいはすべてひとしく情報にアクセスできる。つまり、国民の側が知る権利を、だれかは知る権利を行使できて、だれかは行使できない、こういったことがあってはならないということを申し上げているわけで、放送、報道に対する規制のことを申し上げているのではございません。放送、報道の表現の自由の権利はもとよりというふうに御理解をいただければと思います。
  39. 澤雄二

    ○澤雄二君 放送、報道の自由を守るということは確認させていただきました。  今、平等に取捨選択できていないとおっしゃいましたけれども、どういう現実をそう認識されているんでしょうか。
  40. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 例えば、これは日本の中であるわけではないと思いますけれども、独裁国家において情報が一元的にだれかから一方的な情報が流されると、こういったものを想定しておるわけでございます。
  41. 澤雄二

    ○澤雄二君 順次、順番に聞いていきたいというふうに思っておりますが、独裁国家はそういう取捨選択はできなかった、全くそのとおりだと思います。その独裁国家がなぜできなかったか。  それから、大臣は、記者会見、その他雑誌でもこういうことを言われています。かつて日本は太平洋戦争に突入していったということもその例に挙げられています。これは、まさに言論統制が行われたからそういう事態になった、だから一番大事なことは、そうさせないためには言論の自由を守るということだと、これは同じ認識だと思っています。ですから、今、日本国民が取捨選択ができないというような事態には私はなっていないというふうに思います。  そういう認識の前提で、国民の知る権利を守るためだということを理由に何か報道に規制を加えられるということは、まさにかつて日本が太平洋戦争に突入していったのと同じような事態になる可能性があると。そこのところを区別といいますか、一体のものだと思うので、もう一回きちっと認識を説明していただけますか。
  42. 原口一博

    国務大臣原口一博君) まさに澤委員がおっしゃるとおりだと思います。何かの名分で放送や報道に対して圧力を加えたり、このことをやめるように介入したりといったことは、かつてこの委員会でも、私、検証戦争責任のプロジェクトを持ち出してお話をさせていただきましたけれども、表現の自由が侵害をされてしまえば、あるいは、当時は軍部からでしたけれども、軍部がまさに言論統制をするということであればそれは表現の自由というものは貫徹できないと、このように考えております。
  43. 澤雄二

    ○澤雄二君 憲法が定めている表現の自由というのは、絶対的な表現の自由を憲法は定めております。何か限定な土俵の中で表現の自由を日本の憲法は定めているものではないということを申し上げて、少し詳しくお聞きしたいというふうに思っております。  いわゆる大臣関係者発言についてでございます。資料一でお配りをしておりますけれども、一月十九日の記者会見で、記者の質問に答えて大臣はこのように答えられています。大臣の答弁を申し上げます。関係者という報道は、私は、それは私の立場、あるいは人権を保障する立場からすると、何の関係者なのか分からないわけです。検察の関係者なのか、あるいは被疑者の関係者なのか。少なくともそこは明確にしなければ、電波という公共のものを使ってですね、やるにしては私は不適だというふうに考えていると、このように言われています。  大臣は先ほども報道の自由は守るとおっしゃいました。十二月の記者会見でも、総務省という大きな権限を持ったところがじかに様々な言論や放送に間違っても介入することがあってはならないというふうに述べられているのに、この十九日の記者会見は、大臣が言われた守らなければいけないものを逆に干渉をされている、私はそういうふうに感じました。  そこで、伺います。大臣は、情報源、ニュースソースの秘匿についてどのような認識をお持ちでございましょうか。
  44. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 情報源のニュースソースは、その表現や放送、報道の自由にかかわることでございますから、それは秘匿をされるべきものであると、このように考えております。
  45. 澤雄二

    ○澤雄二君 そのとおりでございます。  情報源は開示するものだというふうに大臣は記者会見で述べておられます。民放連の報道指針にもそうあるじゃないかと言われています。確かにあります。原則としてニュースソースは、情報源は開示するものとあります。しかし、同じ報道指針はその後にこう続いています。ただし、情報の提供者を保護するための目的で情報源を秘匿しなければならない場合、これを貫くことは放送人の基本的倫理であるというふうに定めています。イギリスBBCの報道規範も全く同じような規定をしています。  ニュースソースの秘匿は放送、報道の自由を守ること、そしてそれが国民の知る権利を守ることだというふうに思っております。ニュースソースを秘匿することで取材が可能になります。取材が可能になるから報道することができる。報道することができるから国民の権利が守られる。かつて言論統制されたときにはそれができなかったから不幸な歴史に陥っていったというふうに思っております。  続いて伺いますが、この関係者というクオートの仕方、これは、是非はともかくとして、この関係者というクオートも実はニュースソースを秘匿するために使っているんだということは理解していただいていますね。
  46. 原口一博

    国務大臣原口一博君) これは、委員の資料にそのときの問いと私の答えを正確に出していただいて、ありがとうございます。  問いは、捜査当局のリーク情報のみを基にした集中報道の在り方というものについてどう考えるかという問いでございました。つまり、報道が一色になって、そして一方的なリーク情報によって、推定無罪の原則、こういったものを無視した集中報道、メディアスクラムといったことということでございまして、まさに委員がここに出していただいているように、私は、検察はリークをしていないと、こういう前提に立って、その関係者というのは、リークをしていないわけですから、だれのことか分からないと。一方で、公的な立場にある者は、イニシャライズ、自分の立場をはっきりさせて、そして言わなきゃいけないというのが一方にありまして、公的な立場にある者に対して言ったもので、この仮定の質問に対して答えているものでございまして、特定の事案についてニュースソースを明らかにせよと言ったものではないということを御理解をいただければと。  委員がおっしゃるように、取材やあるいは報道のその基となるものを秘匿をしなければ放送、報道、表現ができない場合もたくさんございますので、その具体的なことについておかしいと言ったことではないということを御理解をください。
  47. 澤雄二

    ○澤雄二君 大臣はそういう答弁を衆議院でもされておりましたので、ですから、今日、全文これを出させていただきました。これをこのまま読んだら、今の大臣の答弁が不適なのか不適じゃないのかということは、皆さんがお感じになることだというふうに思います。  それから、今の御答弁にありましたが、公的機関の方の発言、公的機関の発言であってもイニシャライズできないことはあります。  それで、質問を続けますが、私は前職、テレビ局の報道センターの編集長というのを経験させていただきました。これは、ニュースそれから報道番組、制作の現場のすべての最高責任者をやっておりまして、そういう立場からしますと、やっぱり大臣の、公共放送としては不適であるというのはどうしても見過ごすことができない。それで今日時間をいただいて質問をすることにいたしました。  すべてのニュースは、今大臣が言われたように情報源を開示しています。全部開示しています。開示していないニュースは一つもありません。しかし、様々な取材の中で情報源を守るために固有名詞でクオートできない記事もたくさんあります。そのことは理解していただけますか。
  48. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 理解をしております。
  49. 澤雄二

    ○澤雄二君 それから、先ほどのこのQアンドAでありますけれども、大臣は否定されましたので一応確認のために申し上げますが、この質問をされた記者の方というのはインターネットニュースの記者だと大臣おっしゃっていますね。つまり、マスメディアの方ではありませんね。新聞、ラジオ、テレビ。インターネットニュースの記者というのはどういう方か私はよく分かりませんが、いわゆるマスメディアではないだろうと。若しくは、日経の記者を経験されていて、日経がやっているインターネットニュースの記者ですか、よく分かりませんが。つまり、この質問内容を聞いているとマスメディアの記者ではないだろうなということが直感で分かります。  大臣も否定をされていますが、問いのところですね、小沢幹事長をめぐる、小沢幹事長及びその周辺をめぐる疑惑について、報道がほぼ一色になっております。その特徴として、検察当局による、恐らくリーク情報と思われる情報の垂れ流しで、こう決め付けられています、この方は。  そこで、申し上げたいというふうに思いますが、今回の事件で検察のリークがあったかどうか私は知りません。知りませんが、なかったと思っています。よしんば、仮にリークがあったとしても、そのリークだけでマスメディアは記事にすることは絶対にありません。普通の事件、事故、通常の事件、事故でも、警察発表があって、報道する前の短い時間でございますが、この短い間に我々はできる限りの裏付け取材をします。そしてその上で、何々警察署の発表によりますとというクオートもわざわざ付けるんであります。  関係者、この関係者ということでありますが、大臣はこの日の質問で、二枚目ですね、資料の二でございますが、争いのあるところについては、その発信源については、特に被疑者が逮捕されて、そして、検察側と弁護側と二つしかない場合にはそれ以外というのはあり得ないわけで、そのあり得ないということについては、どちらかというサイドをはっきりさせるという姿勢は大事ではないかというふうに言われています。  この場合、争い事があって被疑者が逮捕されているというときでも、必ずしも検察側、捜査当局側と被疑者側の二つしか関係者がないということはありません。取材する方はいろんなことを取材します。例えば、ゼネコンについて長い間取材をしていることもあります。地方自治の人に話を聞いていることもあります。政府のほかの部署の人に話を聞いていることもあります。被疑者の家族や友人に取材をしていることもあります。それらを総合的に取材したもので判断をして記事を書いています。そのときに関係者、特に今回みたいに政治に大きな影響を与える事件のときには、そのニュースソースを秘匿するために関係者というクオートをします。  だから、大臣が言われているように、必ずしも二つしかないということではないので、そのことを了解していただけるでしょうか。
  50. 原口一博

    国務大臣原口一博君) お答えいたします。  先ほどイニシャライズをすべきと言ったところを、ちょっと委員、明確に申し上げておいた方がいいなと思いまして、これはイニシャライズ、つまり自分が、私が例えば公的機関、もちろんそうですね、総務大臣総務大臣ということであれば総務大臣として発言しますよということであって、それをマスコミに求めているわけじゃないんです、さっきのイニシャライズという意味は。  イニシャライズをすべきというその主語は、マスコミにしてくださいと言っているんじゃなくて、公的な機関がそれはだれのものか分からないものを垂れ流すというのは、それはよくないでしょうと。ここを、資料一を御覧になれば、私はそこを明確に言っているんで、私たちは検察がリークをしていないという閣議決定をしていると。つまり、検察はだれのものか分からないものは、情報は流していないと。その上で、関係者ということはだれのものか分からないというのはあり得ないということを申し上げているわけでございまして、今委員がおっしゃるように、一般論として、取材の側がそれはいろんなニュースソースを持って、この二つだけでなく取材をして報道される、それはあり得ることだと考えております。
  51. 澤雄二

    ○澤雄二君 これはちょっと質問には予定をしておりませんでしたが、公的機関は必ずイニシャライズをはっきりして伝えるべきだというお話がありましたが、大臣はオフレコの懇談というのはされていませんか。
  52. 原口一博

    国務大臣原口一博君) オフレコの懇談はほとんどしません。私は、やる場合は全部オープンで、人に言えないようなことは言いません。
  53. 澤雄二

    ○澤雄二君 こういう制度がいいことか悪いことかというのは、それは議論があると思います。ただ、私も政治部の記者を長くやっておりましたけれども、オンレコの懇談、オフレコの懇談、完全オフレコの懇談というのがあります。つまり、ニュースソースを明らかにしてもらっては困るんだという取材の仕組みがその中にありました。今あるかどうか知りません。  つまり、原口大臣というクオートをしなくても、何といいますか、方向性を誤らせないためにいろんな角度から取材するためにオンレコ、つまりイニシャライズして、原口総務大臣とイニシャライズして書いていいもの。オフレコの懇談というのは、総務省首脳というクオートで書いていいもの。完オフというのは、一切その内容を記事にしてはならないよというような暗黙の了解といいますか、そういうのがあります。ただ、懇談をしていてこれはどうしても直接クオートして記事を書かなきゃいけないというときには、大臣、今のその発言はオンレコにしてくださいという要求はよく出すことでございます。  ただ、そういうルールがあります。そういうルールを全部なくせとおっしゃっていますか。
  54. 原口一博

    国務大臣原口一博君) そんなことを言っているわけではございません。  例えば争いがあって、一方向と二方向があって、一つが権力側であるとしたら、その権力側が、これは私たちはないという前提で言っているんですよ、その権力の側が自分を有利にするためにオフレコで、自分の身分をはっきりしないで情報を操作するというのは、冒頭私が委員お答えをしましたように、戦争のときと同じような情報操作になるんじゃないかということを申し上げているわけで、これ別に相手が嫌疑について争いがなければ、私はそれはオフレコということも許されると思いますが、権力を持った側が自らが権力をもって知り得た情報でもってそれを、この方が御質問になっているように、私たちはそれはあくまでないという前提で答えているんですけど、もしあったとするんだったら、それはよくないですねということを申し上げているんです。是非御理解をいただければと思います。
  55. 澤雄二

    ○澤雄二君 十九日の会見、今大臣が言われたような意味であればいいと思いますが、ただ、もしそういうことをおっしゃるんだったら、検察がリークをしていないという閣議決定をしているわけですから、関係者という報道は、私は、それは私の立場、あるいは人権を保障する立場からするとと言ってそのまま続けられていますので、もっときっぱりと、検察のリークで今報道されているわけではありませんとか、そういう前提の上で話をされた方がよかったのかなというふうに思います。  それから、先ほども申し上げましたが、仮に検察のリークがあったとしても、そのリークを記事にすることは決してありません。ありとあらゆるものを取材した上で、それをどう判断するかということに基づいてマスメディアは報道をしております。  インターネットニュースがどういう方かよく分かりませんが、多分そういうマスメディアの報道の実態、どういうものを取材してどういう形でそれを伝えていくかということを余り御存じのない方が質問されているなというのを感じましたので、そのこともこれからも、記者会見をオープン化されていますから、いろんな方が多分大臣の前でいろんな発言をされると思いますので、その方がどういう立場で何を知ってどういうことを質問しているんだということをきちっと認識した上で判断をされた方がいいのかなということを、ちょっと一言余計でございますが、申し上げたいというふうに思います。  それから、ニュースソースの秘匿、それから言論の自由でございますけれども、ICT分野における今後の国民の知る権利を保障する在り方についてのフォーラムですか、ここで議論されるときは、今大臣も答弁ではっきりとおっしゃいましたけれども、仮に限定的であっても、言論の自由、表現の自由というのを規制するものではなくて、国民の知る権利を守る、表現の自由を守る、その立場で議論を進めていっていただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。  それからもう一つ、この記者会見の頭にもありますけれども、いわゆるクロスオーナーシップについて。これは一つの資本が新聞やラジオ、テレビ等のメディアを支配する、それがクロスオーナーシップ、クロスメディアとか言われていますね。大臣は、三月一日に開かれました、先ほど申しました今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラムの第三回会合で、今国会に提出予定の放送法、これの附則のところで、クロスオーナーシップの見直しについて所要の措置を行うということを盛り込まれました。  今この時点で、どういう理由でクロスオーナーシップの見直しをされると思われたんでしょうか。
  56. 原口一博

    国務大臣原口一博君) これは、この総務委員会でも数次にわたって御議論がございました。  通信と放送、その事業者が相互に乗り入れるという状況になったときに、大きな資本が、例えば今の放送の場合には、新聞と放送局、これが新聞社がバックアップしてつくっていますけれども、それさえも壊れて通信の大きな資本で一色になってしまう、こういう今現に起きていることも、取材の現場やあるいはジャーナリズムの現場、先生が編集の責任者をされていた時代と今とを考えてみると、非常に現場のビジネスモデルが壊れてきています。そうなると、ジャーナリストの、今年随分失業した人も出ている、そういう中で新たな大きな資本が、すべての放送局、あるいは新聞、そしてラジオ、そういういわゆるマスメディアと言われるものを一色にしてしまう、これはまずいんじゃないかと。  この委員会でもたしか、これは内藤大臣が野党時代に御議論されたと思いますが、イギリスでは五%ぐらいですか、制限があると。これは今すぐどうこうという話じゃないけれども、将来にわたって言論の自由や放送、報道の自由、取りも直さずジャーナリストの自律性、独立性というものを担保するためには、やはり一つの会社で全部一色になるということも、それについて議論をしておくべきだと、こういう危機感からでございます。
  57. 澤雄二

    ○澤雄二君 ということは、今はそのクロスオーナーシップによる何か被害といいますか、影響はないというふうに思っていらっしゃる、これから起きることの可能性について対処しようとされているということでしょうか。
  58. 原口一博

    国務大臣原口一博君) これはいろんな御議論があると思います。私がこのクロスオーナーシップ規制ということで、これはFCCと民主党のマニフェストには書いてあるんですが、私はこのFCC的なものをつくるべきではないという、いわゆる規制としてのFCCではなくて、言論のとりでとしてのものですと申し上げているわけです。  私が射程にあるのは、視野にあるのは、むしろこの先のことであって、ただ、現状もクロスオーナーシップ規制にかんがみて問題があるという意見があるのは事実で、私はそれを真っ向から否定するものではありません。
  59. 澤雄二

    ○澤雄二君 よく言われます新聞とテレビの資本の持ち合い、株の持ち合いですね。日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、それぞれ読売、毎日、産経、朝日と世間では言われています。それぞれ新聞社がテレビ局の株をどれぐらい持っているかって御存じですか。
  60. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 例えば今お話のありましたTBSの場合は、前は毎日新聞が株を保有をしていたというふうに思いますが、今はその保有はないというふうに認識をしています。それぞれ株の保有率については調べれば分かりますが、大きなものはないと思います。
  61. 澤雄二

    ○澤雄二君 済みません、これも質問する予定ではなかったので、私も資料を持ってくればよかったんですけれども。  今おっしゃったように、TBSとフジテレビについては新聞社は株持っていません。つまり、現状ではもうそういうクロスオーナーシップということの弊害は危惧もない状況になっております。  将来起きるかもしれないということでございますが、一つ、最初の質問にもあったことですから、危惧を持たれるといけないので申し上げておきますが、この資料三ですね、例えば、何かあると、すべてのチャンネルが同じことを同じように報道してしまえば、それは多元的なものを見るということについて非常に厳しい、あるいは一つの巨大な資本が、新聞も雑誌も、あるいはテレビもラジオも全部だと、すべてを統合すれば、その資本の思惑によって言論が一色になるというようなことを言われていますけれども、何か大きな事件、事故が起きたときに、そのことに報道が集中することはしようがないことですよね。  大臣は編集の自由ということについてどういう認識をされていますか。
  62. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 編集の自由はそれぞれの放送局にあるものであって、侵すべきではないというふうに考えています。
  63. 澤雄二

    ○澤雄二君 そのとおりであります。  私も、ですから報道にいたときに一番力を入れたのは、いろんなニュースが飛び込んでくる、その中でどのニュースを選んでテレビで流すか、どのニュースをどういう順番で流していくか、一つ一つのニュースをどれぐらい時間掛けて放送するか、ボリュームですね、選択、順位、ボリュームと、これが一番大事な仕事で、一番力を入れておりました。これが編集の自由でございます。その編集の自由があるから、国民が今一番知りたいニュースは何だろうかということをそこで選択し、順位を決め、ボリュームを決めて放送をいたします。だから国民の知る権利が守られる。  そのときに、国民が知りたいと思うニュースが大きなものがあれば、そこにいろんなメディアが集中していくことは仕方がないことだと思われませんか。
  64. 内藤正光

    ○副大臣内藤正光君) 私からお答えをさせていただきます。  おっしゃるように、本当に社会的に大きな事象、事件が起きた場合に、ありとあらゆるメディアがそれに集中することは当然だと思います。ただ、私どもが提唱させていただいておりますこの問題意識は、やはり一部例えば政治的に偏向している、そういうような報道がありとあらゆるメディアで展開をしてしまう、そういうことにならないように、つまり一言で言うならば、報道の自由、国民の知る権利を守るという、そういう観点でこのクロスオーナーシップという問題をこれから議論していこうということでございます。
  65. 澤雄二

    ○澤雄二君 ですから、一番最初に申し上げました。表現の自由、報道の自由というのは絶対的な自由なんです。何か限定的に土俵を決められて、その中で自由が与えられるものではないんです。クロスオーナーシップの規制をこれから強化されるのかどうか分かりませんよ。されるということになると、それはまさに言論、表現の自由の中に、ある土俵をつくるということなんです。それは全く違う次元で議論しなければいけないこと。  ですから、大臣が言われた、ファシズムが台頭する、太平洋戦争に突入する、そういうようなことが今後あってはいけないんだと言われました。あれはまさに言論統制があったから、言論、表現の自由が絶対的に認められなかったからそういうことになっていった。同じようなことを権力として、政府としてやろうとしていることは間違いですよと申し上げているんですが。
  66. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 放送法の第三条、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と、これはとても大事な条文なんですね。私はそのことを踏まえて、逆にその干渉されないものが、だからこそ一つの資本で言論を一つに統制されてしまえばいけないということを申し上げているんで、委員がおっしゃっているのを別の言葉で言い換えていると、そのように認識をしています。
  67. 澤雄二

    ○澤雄二君 かつてファシズムが台頭した、かつて太平洋戦争に突入していった、だから同じようなことがあってはいけない、それは分かります。だけど、だれがそんなことが起きると思っているんでしょうか。起きるかもしれません。それは必死になって我々も国民を守らなきゃいけないかもしれません。しかし、それを先取りして、それが、クロスオーナーシップがその原因になるからそこは規制しなければいけない、こういうことは成立するんでしょうか。
  68. 原口一博

    国務大臣原口一博君) かつての言論の一色統制は、私が国会の議事録や当時の歴史資料に当たったところによると、これは暴力によるものでした。軍部の暴力あるいは権力の暴力でした。しかし、言論の統制って軍部や暴力だけかなと思うと、今は逆に言うと、これだけ格差が広がり資本の差も広がってくると、資本の力、資本によるエンクロージャー、あるいは情報そのものを持っていることによるエンクロージャー、私はそれに対してはしっかりと危機感を持って対応することが大事だと、このように考えています。
  69. 澤雄二

    ○澤雄二君 もしそういうことが起きるんであれば、それは何とか防ぎたいなというのは、国民が全員が多分思っていることだと思います。  質問を続けさせていただきます。そのことに関連します。  資料の四を御覧ください。先ほども申し上げました放送法の改正案の附則でございます。これはもう国会に提出されたのかな、間もなく提出される、この中に線が引いてあります。「新聞社、通信社その他のニュース又は情報の頒布を業とする事業者と新放送法第二条第二十三号に規定する基幹放送事業者との関係在り方を含めて検討を加え、」というふうに書いてございます。  この新聞社、通信社、その後、その他のニュース又は情報の頒布を業とする事業者の中に通信会社は含まれていますか。
  70. 原口一博

    国務大臣原口一博君) ニュース又は情報の頒布を業とする事業者とは、条文中に挙げてございます新聞社や通信社のほか、例えば出版社が挙げられます。  お尋ねの通信事業者については、電話や電子メールなど、他人に通信を媒介するサービスのみを提供する限りにおいては情報の頒布を業とする事業者には該当しないと考えられます。  他方、通信事業者が自ら、先ほどインターネットニュースとおっしゃいましたが、私は記者がどなたかは分かりません。ただ、通信事業者が自らニュース又は情報の編集、頒布を行う場合には情報の頒布を業とする事業者に該当すると考えられると思います。
  71. 澤雄二

    ○澤雄二君 その通信事業者の線引き、これは物すごく難しいと思うんです。それは大臣が一番最初に言われた、時間があればそのことを議論したいんですが、通信と放送の融合だと言われましたね。私は、融合はない、連携だと思っていますが……
  72. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 融合という言葉使ってないですよ。
  73. 澤雄二

    ○澤雄二君 済みません。失礼しました。ありがとうございます。  その連携の時代の中で、様々な形態のビジネスが新しく出てこようとしています。それは多分ほとんどが、いろんな通信会社がそのビジネスの中に入ってくると思います。それはなぜかというと、この新しいビジネス形態は、そういうメディアのツールを使ったビジネス形態はお金が掛かります。例えば、テレビ局が今立ち上げようとしている新しいビジネスがありますが、それはイニシャルコストが掛かるのでとてもテレビ局だけではその資本に耐え得ない。そういうところにNTTとかドコモとかKDDIとかソフトバンクが入ってくる可能性は幾らでもあると思うし、入ってこなければそういう新しいメディアを、ビジネスを立ち上げられないということもあります。  今ちょっと申し上げましたが、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日がお金を出し合って、そこにNTTドコモが入って新しいビジネスを立ち上げようとしています。商社も入っています。広告代理店も入っています。それはどういうビジネスかというと、アナログ波が停波されたときのその波を使って、携帯電話を使って新しい事業を行うというビジネスモデルであります。これ、ドコモが五〇%以上出資をしています、五一%。  つまり、こういう新しいビジネスが、新しいメディアが出てこようとしているときに、このクロスオーナーシップの規制というのはその芽を全部摘んでしまう可能性があるんです。これから議論だから分かりませんよ、どうなるか。そういう可能性のある議論もされているんだと。  新聞も、先ほど言われました、非常に経営が厳しくなっています。取材するコストは変わらないんだったら、その取材して得たいろんな情報をいろんなメディアを使って、ツールを使ってビジネスにしたいと新聞社も考えています。多分そこには通信事業者その他も入ってくるんだと思います。  ですから、クロスオーナーシップを議論するときには、このことを常に念頭に置いて、どういう規制を掛ければいいんだということを慎重に考えていかないと、大臣が考えていらっしゃる、いつも言っていらっしゃる、それこそ成長産業の芽を摘む可能性があるということをよく御認識いただきたいと思います。
  74. 原口一博

    国務大臣原口一博君) ありがとうございます。まさに委員と同じ問題意識を持っています。  健全な競争、そしてしっかりとした言論や放送や報道の自由、これを守っていくことが私たちの目標であって、規制することが目標ではありません。クロスオーナーシップ規制については、この参議院の総務委員会でも何回も御議論がありました。イギリス並みにすべきであるというような御議論もあれば、いや、そういうものは今は不必要であるという御議論もあったわけです。  ですから、先ほどの情報の頒布を業とする事業者についての範囲についても、今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラムなど様々な場面で御議論をいただいて、そして規制ありきということを私たちは考えているのではないということは是非御理解をいただきたい。  ただ、その一方で、何回も申し上げますが、暴力に代わる資本の囲い込み、資本で一色になる、それはこの自由主義の日本においてはないのかも分かりませんが、しかし、そのことについての議論はやはりしておかなきゃいけないんじゃないかというのは率直に言って私の問題意識でございます。
  75. 澤雄二

    ○澤雄二君 そういうことがあっては、要するに政治をつかさどっている我々がその使命を果たしていないんだというふうに思いますが、もしメガメディアみたいなことを想定されて今言われているんだったら、もしそれがNTTであるとするとですよ、あるとすると、NTTはまさに二〇一〇年問題を今議論されているわけですから、そういう視点でも議論されていけばいいんじゃないかなというふうに私は思いますが、ちょっと時間がなくなってきたので、もう一つ、ちょっと大事なことをお伺いしたいというふうに思っています。  資料の五を御覧ください。  放送の多様性を確保するための具体策であります。これ、なぜか分かりませんが、総務省のホームページは多様性で、ほかからもらった資料では放送の自由をと書いてある。これはまあいいです。この場で言論、放送にとってのとりでをつくりたいと再三申し上げてまいりましたけれども、多様な言論、放送の実現手段の確保が重要だと考えています。すなわち、様々な表現者、クリエーターが放送にアクセスでき、互いに切磋琢磨でき、より良いコンテンツ、番組を作り上げる機会と権利が保障されることが必要ではないかと思っていると、こういうふうに言われています。様々なクリエーターが放送にアクセスできる機会と権利というふうに言われています。  権利というのは必ず表裏で義務があります。つまり、この多様なクリエーターに権利を与えるということは、これに裏打ちされた義務付けられるものが必ず出てまいります。大臣がおっしゃっているこの放送の中に地上波の基幹局は含まれていますか。
  76. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 地上波の基幹局……
  77. 澤雄二

    ○澤雄二君 基幹放送としての地上波、今の地上波のテレビ局。
  78. 原口一博

    国務大臣原口一博君) メディアという場合、ありとあらゆるメディアを指しております。ただ、ここで私が申し上げた問題意識は、主にインターネット、つまり放送や新聞といったものよりも、逆に言うと、インターネットメディアでプラットホームだけ提供をすれば、プラットホームをつくっている、つまり場をつくっている人だけがお金を、要するに課金モデルをうまく利用できて、そしてそこでコンテンツを配信している、あるいはジャーナリストですとか表現者が非常に今厳しい状況にあると、そのことが頭にあってこれを申し上げているのであって、特定の放送に何かしら責務を持たせるとか、アメリカでたしかありましたね、プライム何とかという、プライムタイムでしたっけ、何分の一かはほかの人に作らせなきゃいけないとか、あるいは香港に行くと、MVNOといってキャリアがMVNOに何%かは出さなきゃいけないというのがありますけれども、そんなことを想定して言ったんではなくて、むしろインターネットの中における様々なプラットホーム、上位のレイヤーだけが大きな力を持って、そしてひいては表現者やジャーナリストが隅っこに追いやられるといったことについての危機感を申し上げたものでございます。
  79. 澤雄二

    ○澤雄二君 じゃ、確認しておきますので、一言だけ、それで正しいかどうかだけおっしゃってください。  大臣がフォーラムであいさつされた中身でありますが、様々な表現者、クリエーターが放送にアクセスでき、互いに切磋琢磨でき、より良いコンテンツ、番組を作り上げる機会と権利が保障されるということについては、現在の地上波のテレビ局にそれを、ある一定の枠を開放するようにというようなことを求めるものではないということでよろしいですか、いいか悪いかだけで。
  80. 原口一博

    国務大臣原口一博君) それでよろしいです。もっとここ正確に、これは話し言葉なんで、放送、通信というふうに言うのが正確であったと思います。
  81. 澤雄二

    ○澤雄二君 今大臣が少し申されましたけれども、私が危惧しているのは、かつてアメリカのFCCがフィンシンルールというのを三大ネットワークに義務付けをいたしました。それは今大臣が言われたとおりであります。それはプライムタイム、夜の七時から十一時までの時間帯の六割の番組を自分の子会社でないプロダクションに発注すべしというルールを定めました。  何が起きたかというと、テレビ局は、これは日本でいうゴールデンタイムと等しい時間帯ですから、小さなプロダクションは受注できません。魅力ある番組作って大きい番組を作らなきゃいけないから受注できないと。そうすると、何が起きたかというと、大きなハリウッドのプロダクションがそれを全部受注することになったんです。結果的に物すごい番組コストが上がっていきました。ERという番組がありました。あれは主役級五人ぐらいいたんですが、一人一本一億円のギャラであります。このコストにテレビ局は耐えることができませんでした。だから、ABCがディズニーに買収されたように三大ネットワークは全部異業種に買収されていくんです。これがFCCが定めたフィンシンルールであります。もうこれは取り払われています。  実は、なぜこんなことを質問するかというと、三年前の放送法改正のときに松原懇というのがつくられました。この松原懇の最終答申に実はこのフィンシンルールが、一回も懇談会で議論されていないのに入り込もうとしていました、最終答申案に載っかっていました。私はもう深夜大議論をしまして、結局それは外してもらいました。  つまり、何か分かりませんが、どこかにそういう意思があるとそういうものが突然この放送、報道の自由の中に入ってくるおそれがあります。ですから、総務大臣というのはまさに表現、報道の自由の中の大事な大臣でございますので、多分今回随分勉強をされたと思いますから、大臣の発言は大変に重いものだという御理解をしていただきたいというふうに申し上げておきます。  ですから、先ほどの表現の自由、報道の自由とかということについては、それはどこまで、何を守らなきゃいけないかというのはあくまでもメディア側が自主的に判断をするものだと。民放連でいえばBPOがあります。決して政府が介入するものではなくて、自主的な自浄作用でもってそういうことをさせる、それが言論の自由、報道の自由を守るということであると思っております。  時間があれば、三年前の放送法改正の話ですね、大臣も民放大会でおっしゃっていましたよね、かつて、三年前に我々も大変な闘いをしましたと、報道の自由を守るために。そのことについて少しお互い話もしたかったなと思っていますが、時間が来ましたので、機会がありましたらさせていただきたいと思いますが。  今日はどうもありがとうございました。
  82. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時四十一分散会