○
参考人(
汐見稔幸君)
汐見でございます。よろしくお願いいたします。(
資料映写)
お言葉に甘えまして、座ったままで御
報告させていただきます。
私の方の
報告につきましては、お手元に二枚とじの
レジュメと、
資料用に作りました
パワーポイントのスライドを印刷していただいたものがございます。適宜この
パワーポイントの映像を見ていただきながら、この
レジュメに沿ってお話を進めさせていただきます。
私の御
報告は三つのテーマに一応分けてありますが、
最初は、もうこの
データ等については御承知だとは思うのですが、改めて整理するということと
課題をそこから抽出するということで、
地域における
子育て支援の現状について御
報告いたします。
次世代育成の
行動計画を策定するということが義務付けられた
辺りから、大体数年前
辺りから、
子育て支援の
取組は点から面に展開してまいりました。そのために、
自治体と
民間の
取組は相当率直に言って進んできたと申し上げてよろしいと思います。
ここに若干の数をちょっと分かる限りで示しておきました。
地域子育て支援拠点事業と申しますのは、今までつどいの広場、それから
子育て支援センター、別々だったのを一本化したものでありますが、
平成二十年度の
データで申しますと、これだけですね、大体今五千か所弱になっております。このひろば型が今千二百五十一か所ですが、一応これを五千か所まで広げる等の
目標が定められています。
それから、新しく始まりましたこんにちは
赤ちゃん事業というものも少しずつ
取組が始まっております。これは、
支援を本当に必要とする人が実は
センターにはなかなか来てくれない、こちらから出向いていかなければまずいのではないかということで数年前に始まって、少しずつ今広がっていますが、生後四か月までの
出産家庭を訪問して様々な相談に乗ったり、場合によってはニーズにこたえる
対応をするというようなことでして、ただ、今のところ、
専門性を持った方でないと下手に、各
家庭を訪問するわけですから、できませんので、
保健師さんを
中心とした
事業になっていますので、そこの
広がりがいま一歩であるというところに
課題があります。
それから、
放課後児童健全育成事業。これは、例えば
学童保育というふうに呼ばれているものですが、幼児までは
保育所があって、両親が共働きの
家庭だとか単親で働いている
家庭へのサポートはかなり手厚く行われています、
待機児はもちろんあるんですが。ところが、
小学校へ行くとそれがうんと減ってしまうという問題がございまして、今その数を急速に増やさなけりゃいけないということで様々な
取組がされています。
それから、
放課後子ども教室というのは、これは
文科省が初めて、
放課後の
子供に対して何らかの
対策を打たないと、
学校から帰った
子供たちについて、例えば
家庭の中に入って
テレビゲームをやっているだけだとかということが放置されたままであるということに
対応した
事業でございます。
これは今、主に七割、八割は
小学校で
放課後、授業が終わった後に、今度は退職した
先生方だとかあるいは
地域の様々なサポーターに来ていただいて、
子供たちに例えば将棋を教えてやるとか、あるいはいろんな遊びを教えてあげるとか、あるいは
学校の勉強の手伝いをしてやるとかというようなことを
学校のようなところを
拠点に始めた
事業でございますが、これは大体今九千か所弱ぐらいまで広がってきています。
等々、もっとたくさんあるのですが、そういう
取組がかなり広がってまいりまして、
出生率が一・二台から一・三七まで戻ってきた。まあわずかですが、その一番の要因は、こういう
地域の
子育て支援の
広がりだというふうに私どもは考えております。
それから二番目に、こうした
自治体、国が取り組んでいる
事業以外に、
子育てに関するたくさんの
NPO等の
支援団体ができていまして、私、今、こっちへ来る前も、ある
地域のそういう
NPOの
取組のところにちょっと行ってきたのですが、実に多様な
取組が展開されております。最近では、若者の
就業支援等の
NPOも増えてきてまいりました。
ただ、
日本の
NPOの
一つの大きな限界なのですが、その
NPOの
活動をサポートするファウンデーションというのが余りございませんので、
補助金に頼らざるを得ないということで、
補助金の総枠がまだまだ
活動の全体に対しては少ないという問題がございまして、
日本的な
補助システムをどうつくるのかという
辺りが
課題になっています。
それから、全体としてどう評価するかということですが、
余り車に乗せて連れていかないと遊ばせられないということになりますと、なかなか出かけられません。ちょっと歩いたらたまり場があるかというようなところ、そういう環境をつくっていく必要があるんですが、そういうことを
目標にする限り、まだまだだというふうに考えざるを得ません。
小学校だけで大体二万五千ぐらいございますが、せめて例えば
最初のうち
子育て支援拠点事業を、今五千か所弱ですが、これが例えば二万か所ぐらいになっていかないと、気楽にいつでもどこでもというふうにはなかなかならない。面の世界に今広がってはいますけれども、まだまだ
課題は大きいということです。
それから、この反面という、四、五、六のところなんですが、新しい問題が実はその反面でたくさん出てまいりました。
例えばここに、四番に書いたのは
東京の
児童公園の問題です。
これは昨年の十一月に
NHKの「
クローズアップ現代」で取り上げられて、かなり知られるようになりましたけれども、最近、
東京の
児童公園はだんだん
子供の数が、遊ぶ数が減っているのですが、そうなればなるほど、そこである意味では頑張って遊んでいる
子供たちの声がうるさいということで苦情が
役所にもたくさん持ち込まれている。
特にこの場合、
NHKでやっていたのは
足立区でしたが、
足立区の
子供たち、まだ遊んでいるんですが、その近所の特に
高齢者が生活を妨害されるということで
役所の方に訴えていく。それが一例、二例であればまあ何とかなだめるんですけれども、たくさん来るために
対応せざるを得なくなった。どう
対応しているかというと、
公園に
立札を立てて、この
公園では
子供たちは声を出して遊んではいけませんという
立札を立ててあります。もちろん
遊戯は
禁止です。現在の
公園はほとんどが
遊戯は
禁止です。
だから、サッカーもドッジボールも野球も一切できませんが、そこへもってきて、走り回って声を立てたらいけないということで、その
テレビでは、ベンチでふて腐れている
子供、ポケットからDSみたいなものを出して遊んでいる
子供たちに遊ばないのって聞いたら、だって声出しちゃいけねえんだもんということで、つまんねえよというようなことが報道されていました。
同時に、訴えた
高齢者の
女性にインタビューしておりまして、うるさいですかと言ったら、もう本当うるさいのよね、もう私
たちは静かに暮らしたいのにということをおっしゃった後に、でもこの
公園以前からありましたよね、以前はうるさくなかったんですかって言ったら、そういえばそうね、昔はそんなうるさいとは思わなかったわ。何が違うんですかって言ったら、昔はだれが遊んでいるか分かったのよね。今はどこのだれが遊んでいるかさっぱり分からない。
子供の顔と名前が一致しているときには、それほどうるさいと思わない。つまり、ああ、あの子ね、あの子の家、たしか離婚して大変だったのよ、大きくなったわねとか、ああ、ケンちゃん、ああ、あそこはね、何かお父さん酒飲んで大変だったけれども、今どうなのかしらと。そういうことを知っていると、その
子たちが遊んでいたら元気で活発、
子供っていいわねっていう気持ちになれるのが、全然知らない
子供たちが遊んでいるともう騒音にしかならないという、
地域というものが何かということの大事なヒントが出ているような回答をされていました。
やっぱり、
高齢者と小さな
子供がほんの幼いころからお互いに交流して、その
家庭についてそれなりに知っているという
社会をつくっていかない限り、
子供はやっぱりうるさいという形で忌避されて、その
子供の数はどんどん減っていきますから、増える
高齢者に対して圧倒的に不利になっていきます。
ここにちょっと書いておきましたが、なぜ今、
お茶大の
学長だった
本田和子先生は「
子どもが忌避される
時代」という本をお書きになっていますが、どんどん
社会から少しずつ嫌がられていくという
社会になっている。
その理由の
一つは今のようなことですが、それ以外に、
時代の
変化が早過ぎて、小さな
子供がお
年寄りを余り尊敬しなくなっている。これはもう
時代の
変化が早いときは、お
年寄りは必ず余り尊敬されなくなります、知恵袋じゃなくなりますから。場合によっては化石になってしまうものですから。それで、今度は若い人の流行だとかがお
年寄りは全く理解できない。何であんな服着るのかね、何であんなにズボン下げてあんなことするのか、何でへそ出しルックするのかねと。
そういうことで、コミュニケーションしなくなって、やっても多分通じないということがありますね。そういう形で、
子供あるいは若い
世代と
高齢者がふだんからほとんどコミュニケーションしなくなってしまって、不気味がるという
状況が起こっていますね。
子供たちって怖いわよねというような感じになっていく。そういう
社会現象がございます。
そういう問題と、それからもう
一つは、
テレビなんかを通じて
子供の問題が報道されたときというのは大体否定的なことだとか、心配する、また
事件が起こった、
子供が虐殺された、あるいは
子供が親を殺した等の
事件がいっぱい報道されて、
子供って本当はみんな個人的に接するとすごく面白い
子たちがたくさんいるんだけれども、そういうイメージがだんだん持てなくて、非常に不気味に思ってしまうという
状況もある等々が重なりまして、
地域社会で
子供が本当にいなくなってきて、ようやく
公園に出てきたらうるさいと言われるという、そういう問題が起こってきているという問題、これは何とかしなきゃいけないという問題になってきました。
それから五番目に、
危険社会ということで、
不審者等ですが、これは実は
日本だけではなくて
イギリスやアメリカでもそうなんですが、親の方が危ないからといって
子供を外に出さなくなる。
放課後外で遊んではいけませんということで、最近不審者問題がたくさん出ましたから、私の
子供たちが通っていた
学校も夕方親は必ず迎えに行かなければいけないと義務付けられています。
そうすると、働いている
女性だととっても大変なものですから、
専業主婦の
女性が一手に三、四人連れて帰るというようなことがあるんですが、そういう
状況ですので、
放課後かばんをほうり出してどこかへ行って遊んでくるねという
状況には全くなっていないということが分かりました。
実は、面白い
研究書が出ていまして、
イギリスですけれども、
イギリスでは実はそうやって
子供たちを外に出さなくなってきました。そうすると、家の中にいると、ある確率で
子供が虐待されてしまうんですね。外に出して不審者に何かいろんな危害を加えられる確率と家の中で親に虐待されてしまう確率とどちらが高いかというと、家の中の虐待の確率の方がはるかに高いそうです。
ですから、危険を避けるということでかえって
子供たちは危険な環境に置かれているというような
研究書が既に
イギリス辺りでは出ています。同じようなことが
日本でも起こりつつあるということで、
子供が少なくなってくるということが新しいいろんな問題を生み出しているということでございます。
それから、そういうことを考えますと、
文科省が始めました
放課後子ども教室、それから、今度
学童保育と一体化した
放課後子どもクラブといった
取組がありますが、ちょっとあちらの画面を、これは、びーのびーのというのは、このつどいの広場の今事務局があるところですが、この写真はパンフレットですので一応顔写真は出すことはオーケーになっているものなんですが、こういうところが今、先ほど言った、たくさん広がっていってですね、このびーのびーのというのは、つどいの広場のひろば型です。
それから、
保育園に併設してやるのがここに書いてあります
センター型というものですが、これは私が非常にいいところだと思って推薦してきたあゆみ
保育園というところなんですが、熊本市内にあります。いつもこういう雰囲気でやっています。
それからもう
一つ、児童館でやるのが、こういう児童館のリソースを大事にしてやっているのがこの児童館型なんですが、この三つのタイプが今少しずつ広がっているというのは、これなんです。
それから、これは
データを見ていただければいいと思うんですが、この写真は、私の知人である私立
小学校の校長と
幼稚園の園長を長くされていた宮原洋一さんという方の出されている写真集です。この方は、仕事の半分はカメラマンです。この方が
最初に撮り始めた写真が一九七〇年前後の
東京、川崎等の都会の
子供たちでした。定年されて写真を整理しようとしていたら、この
最初に撮った
子供の写真というのはとっても面白いということに気が付いて、捨てるのは忍びないということで整理して、それを「もう
一つの
学校」という本にして出版されました。写真集ですが、当時の
子供の様子が非常によく分かる解説付きです。
これは七〇年前後ですが、こうやって一歳、二歳の
子供たちが外で遊んでいるのに対して
高齢者が世話をするということが行われていました。これはほんの一部ですけれども、こういう姿があったわけですね。
これは夏ですけれどもね。
子供たち、特に小さな
子供たちが遊ぶと、そこにおじいちゃん、おばあちゃんが見ていてあげるということですね。
それから、
子供たちもこういうダイナミックな遊びを皆でやっていたわけです。いつもこうやって外で群れて遊んでいるという、こういう姿がございました。
この
子供たちの姿が、実はこれは一九七〇年前後なんですが、一九八〇年代に入りますと、こういう写真を撮れなくなった。撮れなくなったということは、こういう
子供の姿がいなくなってしまったと。そして、その
子供の姿が町から消えていった途端に
学校でいろんな校内暴力だとかいじめだとかが一斉に始まったという、これは非常にきれいにはっきりと浮かんでいるということをおっしゃっていました。
そういうことをちょっと見ていただきたいために、こういう資料を添付しました。
ちょっと急ぎます。
それと六番、一の六のところで、結局、
放課後子どもクラブのような、
放課後子供たちを町から排除しないでやるというところに新しい意義が出てきております。
ここにもう
一つ次のテーマがあるんですが、ちょっとこれを見ていただきたいのですが、実は
日本の
子供たちの学力低下問題が深刻になっていることはお聞き及びだと思うんですが、これはOECDが行っておりますPISA
調査という学力
調査です。
OECDがなぜ学力
調査をしているかといいますと、OECDって、二十一世紀持続可能な資本主義というものを掲げて、各国の
経済がそれに向けてどういう貢献をしていくかということについてのいろんな
調査をして提言したりしているところなんですが、そういう持続可能な資本主義の
社会づくりにとって一番大事なのは、石油があるだとか鉄鉱石があるということよりも、これからは人材が豊かであるかどうかということが各国の
経済力の中で一番大事になってくると。そういう判断をして、各国の教育によって持続可能な
社会づくりのための人材というのはどれだけ育っているかということを
調査するということを始めたのです。これがPISA
調査というものです。
二〇〇〇年から始まりました。二〇〇三年、二〇〇六年ということでずっと三年に一回やっていくんですが、この
調査が始まるまでは
日本の若者は、これ十五歳でやります、義務教育が終わった段階で学力が高いと言われていたんですが、一回目は確かに高かったんですが、これは、二回目の二〇〇三年で読解力については八位から十四位までおっこちてしまいました。三回目は十五位までおっこちてしまいました。読解力については八位、十四位、十五位ですね。それから、数学については一位、六位、十位。それから、科学については二位、二位、六位という形で、参加国の中でやるごとに一番下がっているのが実は
日本です。
なぜこうやって下がってしまうのかということをいろいろ分析しているんですが、これは
一つちょっと御承知おきいただきたい
データなんですが、これは今の読解力の点数を点のいいものからレベル五、その次はレベル四ということで点数で分けていったときに、最後のレベル一とレベル一未満を見ていただきたいんですが、これは
社会へ出たときにちょっと仕事ができるかなという程度の読解力なんですが、
日本は二割弱、一九%います。トップだったフィンランドはたった五・七%、二位の韓国も六・八%で、つまり、
社会的に落ちこぼれていくという、そういう層を必死に防いでいるために平均的な学力が上がっているということです。
日本は、
学校で
最初に
小学校一、二年生で付いていけなさそうだなという
子供に対する
社会からのサポート
システムはございません。それは塾へ行ってやってくれという形で私費でやっています。そうすると、貧困の問題が重なってきますと、ほったらかしにされてしまう
子供たちはずっとほったらかしにされてしまうという、そういう構造があるわけですね。
放課後子どもクラブとか
子ども教室というのへ来させたときに、単に遊ばせるだけじゃなくて、そこで落ちこぼれない
子供たちをどうつくっていくのかということを公費でやっていかなきゃいけない
時代を私は迎えていると思っていまして、遊ぶ力と同時にこういう問題もやっていただきたいというのがお願いなんです。
それから、これは藤沢市の教育
委員会がずっと取っている
データで、中学三年生の
子供たちをもう一九六五年から毎年取っています。貴重な
データです。単純なアンケートなんですが、あなたはもっと勉強したいですか、今ぐらいがちょうどいいですか、もう勉強はいいですかってやったら、こうやって、もっと勉強したいというのは一貫して減り続けています。そして、もう勉強はいいというのはどんどん増えています。
これは、
日本の私は最大の危機だと思っています。
子供たちは勉強したくないんです。逃げているんですね。難しくなる
社会を担わなきゃいけない
子供たちは勉強なんかもういいよというふうになってきているという現実をほっておいて、政治もヘチマもない。つまり、これからを担う
子供たちが本当はもっと僕らより勉強してくれなきゃいけない。
ただ、受験で圧力を掛けてきたことの要するにツケだと思っています。何で勉強するのかといったときに、こうこうこうだから勉強しなきゃいけないんだというのではなくて、やらないと、おまえ高校行けないぞとかになると、今受験の圧力は効きません、もう大学の定員とそれから受験者数はほぼ同じですから。ですから、それに代わる、勉強って大事だなというふうな動機付けをするような教育に切り替えていかないと、この現実はどんどん広がって、
日本の学力低下はとどまるところがなくなっていく可能性があります、そういう問題もあって。
あと、済みません、時間がちょっと来たのでこの辺であれしますが、二枚目のところは、
少子化対策については、実は
少子化対策という形で政策的にやっている国はヨーロッパにはほとんどございません。フランスぐらいなんですが、フランスの場合は、核家族になった場合にやらなきゃいけない項目は大家族と同じぐらいあるのにかかわらず、それを小さな家族でやらなきゃいけないので、そこには
社会的な
経済支援をやっていかなきゃいけないということで、
日本の何倍もの
経済支援をやっています。
それが
少子化対策で、今
出生率が二ぐらいまで回復しています。ほかの国も二ぐらいまで回復しているところも多いんですが、特に、親が産むかどうかについては不介入の方針ですね。それはプライバシーにかかわることなので、国家が決めるべきじゃないということです。
にもかかわらず回復しているところが多いということは、別のやり方をやっているからです。
参考のためにちょっと書いておきましたけれども、北欧はやっぱり男女共同参画
社会をつくらなきゃいけない、そのためには
保育制度を
充実しなきゃ無理だという形ですね。
それから、
イギリスなんかは、ブレア政権のときになって、特に貧困層が増えているところですね、移民が多いところですね、そこで不審者が増えていくということがあるので、そういうところに思い切った投資をして、その貧困
地域の
子供の
家庭支援と
子供の
保育について膨大な投資を行いました。シュアスタートと言いますけれども、貧困
地域にチルドレンズ
センターを
中心とした総合施設を造っているんですが、
最初九か所から始まりまして現在千二百か所ありまして、これを今二千か所まで増やすと。そのために何兆円とこれだけで独自のお金をつくっていますが、それでかなり回復しています。
あとは、ここに書いておきましたのは学力
対策。今先進国は皆、
日本と同じような理由で少しずつ学力低下が起こっていますが、それを克服するためには幼児期から丁寧に
社会的な投資をしていかなきゃいけない。金のある家はちゃんとやるけど、そうじゃない家は駄目だという、こういう
社会は危ないというわけですね。
ですから、幼児教育の公教育化ということが起こっています。つまり、公費でやる。つまり、ただにしています。ただになっていない国というのはもうほとんどありません。今三歳からほとんどただになっています。そういうふうな形で今変わってきているということですね。
あと、三番目に私が書かせていただいたのは、
地域が今のような形になっていくと大変まずいので、先ほどのおばあちゃんやおじいちゃんと、その若いお母さん、そして孫の
世代とがお互いに交流できる場を必死になってつくっていかなきゃいけない。そのためには、働いているお父さんが
地域に帰ってくるのが楽しみだというような
地域をつくらなきゃいけない。
地域に遊ぶところ、楽しいところがなければいけないということですね、
一つのお祭りなんですが。
そのためには、少なくとも労働時間短縮の問題と同時に、ワーク・ライフ・バランスと言いますけれども、ワークはあるけれども、ライフの訓練は
日本の男性はされていないんですね。
地域に帰ったときにこうやって楽しむんだという訓練は一切されていません。ですから、なかなか進まないんですが、そこのところを何か、例えば
コミュニティーカフェみたいなものをたくさんつくるとかお祭りをするとか、例えばここにちょっと書きましたけれども、国を挙げて
家庭菜園を推奨していくということで、そこで
地域ごとに協同でお父さん方が集まらざるを得ないというような場所をつくっていくというようなことを何か考えていただきたい。
それから、二番目に書いたのは、バギーで歩いているお母さんを見たら必ず赤ちゃんに声を掛けようという、そういう国民運動のようなものを展開していくというようなことをやって、
子育てしているお母さん方が祝福されているという気持ちを感じるような
社会にしていかなきゃいけない。
それから、三番目に書いたのは、田舎の方と都会の方とが交流するためには、一人の人間が二
拠点を持っているという
社会をつくっていく必要があると私は思っているのですが、そういうふうなことを具体化していくと、田舎が実は貴重なところになっていくという展望が切り開かれるんじゃないかということで、少子
社会の
一つの提案であります。
どうも失礼いたしました。