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2010-03-23 第174回国会 参議院 財政金融委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年三月二十三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月十九日     辞任         補欠選任      水戸 将史君     植松恵美子君  三月二十三日     辞任         補欠選任      植松恵美子君     水戸 将史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大石 正光君     理 事                 大久保 勉君                 藤田 幸久君                 円 より子君                 愛知 治郎君                 林  芳正君     委 員                 植松恵美子君                 尾立 源幸君                 風間 直樹君                 川合 孝典君                 川上 義博君                 自見庄三郎君                 田村耕太郎君                 富岡由紀夫君                 前田 武志君                 峰崎 直樹君                 鴻池 祥肇君                 鶴保 庸介君                 中川 雅治君                 牧野たかお君                 若林 正俊君                 荒木 清寛君                 白浜 一良君                 大門実紀史君    国務大臣        財務大臣     菅  直人君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        亀井 静香君    副大臣        財務大臣    峰崎 直樹君        農林水産大臣  郡司  彰君    事務局側        常任委員会専門        員        大嶋 健一君    政府参考人        財務省主税局長  古谷 一之君        国土交通大臣官        房審議官     花岡 洋文君    参考人        日本銀行理事   中曽  宏君        社団法人日本経        済研究センター        理事長        慶應義塾大学商        学部教授     深尾 光洋君        筑波大学大学院        ビジネス科学研        究科教授     青山 慶二君        みずほ証券株式        会社金融市場調        査部長/チーフ        ストラテジスト  高田  創君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成二十二年度における財政運営のための公債  の発行特例等に関する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○所得税法等の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○租税特別措置適用状況透明化等に関する法  律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 大石正光

    委員長大石正光君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十九日、水戸将史君が委員辞任され、その補欠として植松恵美子君が選任されました。     ─────────────
  3. 大石正光

    委員長大石正光君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十二年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として財務省主税局長古谷一之君外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大石正光

    委員長大石正光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 大石正光

    委員長大石正光君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十二年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案外二案の審査のため、本日の委員会参考人として日本銀行理事中曽宏君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大石正光

    委員長大石正光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 大石正光

    委員長大石正光君) 平成二十二年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案所得税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置適用状況透明化等に関する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。おはようございます。今日は、ほかの委員会とちょっと重なっている関係で、順番を自民党、公明党の皆さんに配慮してもらって先に質問させていただきます。感謝を申し上げます。  この間、問題になっている都市農業の再生の問題、税制在り方について質問をいたします。郡司大臣にもわざわざ来ていただきまして、ありがとうございます。  都市農業重要性が、食料の問題だけじゃなくて環境問題も含めて叫ばれるようになって、予算委員会公述人でもJAの代表の方がこの都市農業問題に集中して御意見、御要望を述べられたところでございます。  まず、ちょっと資料をお配りいたしましたが、一枚目に、そもそも農地課税上の区分を表示してございます。都市農業で問題になるのは市街化区域農地でございますが、その解説といいますか、分かりやすい図になっております。農地とみなされる生産緑地の中の農地一般市街化区域内にある農地、三大都市圏特定市街化区域にある農地ということで、それぞれ評価課税の仕方が変わるというのを図にしてございます。要するに、宅地並み評価宅地並み課税になると大変重い負担になるということでございます。  二枚目の資料に、そういう市街化区域内の農地面積が激減しているという資料でございます。これ、都市計画法上、既に市街化を形成している区域はおおむね十年以内に優先的に市街化を図るべきというふうなことがございまして、そういう地域では農業振興地域指定を行うことができないということで、要するに市街化区域内の農地というのは農業施策の対象から除外されてきたと。これが農業をしていても固定資産税が、農地課税ではなく宅地並みになっている根拠でございますし、そのこともあってこれだけ農地面積減少していると。十五年間で約半減しているということでございます。  三枚目の資料は、三大都市圏特定市における農地面積ですけれども、これも同様に十五年ぐらいでほぼ半減している、農地面積がですね、ほぼ半減しているということでございます。  大変危機的な状況になっていると思うんですけれども、まず郡司大臣にお伺いいたしますけれども、こういう都市農業農地が減っている、激減した原因として農水省はどういうふうにお考えかをまずお聞かせいただきたいと思います。
  9. 郡司彰

    ○副大臣郡司彰君) 今、大門委員指摘になされましたとおり、いわゆる都市農地というものは減少をしているわけでありますけれども、これまた御説明の中でございましたように、市街化区域といいますのは、十年以内に計画的にあるいは優先的に市街化を図るべき地域ということでございますので、その原則からいたしますれば、農地減少をするということは結果として導き出される数字なのかなというふうに思っております。  ただし、そこの自治体生産者の方で契約を結んで農業を続けていこう、生産緑地指定をした、その地域について見れば保全をされている状態が一方では続いているのではないか、このように分析をしているところであります。
  10. 大門実紀史

    大門実紀史君 おっしゃるとおり、生産緑地のところは減ってはいないというのがこのグラフにもあるとおりでございます。  問題は、全部生産緑地にできるわけではございませんので、非常に、基準がございまして、簡単ではないというところでこの市街化区域農地が減っているということでございます。要するに、土地利用政策の結果減ったということが言えると思います。  具体的な話で、資料四枚目に埼玉県の川口市の、県全体ですね、川口市の状況の表を載せておきました。  ここでは、川口の中でいえば、どんな議論がされているかといいますと、これは埼玉新聞川口農業考えるという市長対談というのがございましたけれども、そこで市長さんがおっしゃるには、埼玉川口市でいえば、昭和四十五年当時千五百ヘクタール以上あったものが、平成十七年には四百七十五ヘクタールに減っている、このままでいくとあと二十年後には完全にこの町から農地がなくなってしまう、これでいいのかということで、何とか農地を維持したいということで、最大の問題は、農業生産額よりも固定資産税の方が高く、なおかつ相続にしてもかなり厳しい制約があると、こういう点を緩和してもらいたいということをおっしゃっております。  この市長対談で、税理士さんも、農家の経営は大体赤字だと、農産物の出荷で、経費で一番大きいのは固定資産税だということをおっしゃっております。農業をやりたくても土地を手放さざるを得ないというふうなことが続いているということで、税の負担がかなり重いということになっているわけでございます。  この点で、税の問題を含めて、農水省として各省庁に御要望されることがあったらお聞かせいただきたいと思います。
  11. 郡司彰

    ○副大臣郡司彰君) 埼玉県の事例を申し述べられましたけれども埼玉県は独特の体系をつくりながら農業を維持をしてきたところでございます。里山があって、水田があって、畑があって、そこで堆肥を作りながらというものがこれまでの形でしたけれども、それがなかなか思うような形で残せない、こういうような現状が続いてきたんだろうというふうに思っております。  そのような中で、私どももこの都市農地というものが多様な役割を果たしているのではないか、そのような観点から、これまでも都市農地に対する相続税納税猶予といった税制措置でありますとか、あるいはまた都市農業振興に必要な市民農園等支援等を行ってきたところでございます。  これに対しまして、先ほど指摘がございましたJA皆様方あるいは生産者皆様方からは、この相続税納税猶予というものを続けていただきたいということと、あるいはまた、今後の都市計画法などの計画の中で、例えば本人が生産を続けられなくなったときにでも、貸すことによってその農地保全できるような税制在り方というものも検討していただけないか、そのような意見を伺っているところでございますけれども、ただこれ、御指摘のとおり、私どもだけで判断をするものではございませんので、省庁とまたがった形でこれからの課題として検討していかなければいけない、そのように思っているところでございます。
  12. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  資料の五枚目に、JA、農協中央会の税制改正要望をそのまま載せてございます。下の方にございますけど、都市農地については、三大都市圏特定市では、宅地並み課税実施、その他の市町村では負担調整措置実施など、固定資産税の引上げが行われて、その結果、都市農地面積減少が続いていると。このままでは都市農業農地の果たす多面的機能の発揮が損なわれかねない状況にあるということで、このような中で、見直し検討されている都市計画法において、都市農地都市政策の中に明確に位置付け、関連する税制について見直しを行うことが必要だという要望を出されております。  先ほど申し上げました、この固定資産税の重さを数字で申し上げますと、資料の六枚目でございますけれども、これは一般農地特定市街化区域農地一般市街化区域農地のそれぞれの一平米当たり固定資産税の税額を計算したものでございます。要するに、一般農地の場合は一平米当たり〇・九五円、特定市街化区域農地が百八十二・九九円、一般市街化区域農地が五十・五二円ということで、つまり特定市街化区域農地一般の実に百九十二倍、一般市街化区域農地一般農地の五十倍以上ということになります。これは先ほど申し上げました川口市などでは、実に数百倍の課税額になる部分もございました。つまり、農業生産物でこんなに高い固定資産税を払い続けることはもう到底不可能でございまして、農業所得の数倍の固定資産税というのは、もう農業やめろと言っておるようなものでございます。  こういう中で、先ほど郡司大臣からあったとおり、今都市計画法抜本見直しという方向が進められているのも事実でございます。こういう大本には都市計画の問題があるわけですから、国交省に伺いますけれども、この都市計画法見直しの中で、この都市農地の問題はどういう方向議論されているのか、少し教えてもらえますか。
  13. 花岡洋文

    政府参考人花岡洋文君) お答えいたします。  私どもでは、昨年の六月に都市政策の基本的な課題方向検討小委員会報告といったようなものを取りまとめております。その報告におきましては、都市内の農地の多面的な機能といったものを都市が将来にわたって持続していくために有用なものとして、都市政策の面から積極的に評価をいたしまして、農地を含めた都市環境在り方をより広い観点検討していくべきとしているところでございます。  今後、人口減少高齢化といったものが進みまして、また地球環境問題への対応も求められるといったことを考えますと、効率的でコンパクトな町づくり、私どもではこれをコンパクトシティーといったふうに呼んでおりますけれども、こういった町づくりを進めていくことが肝要でございまして、その実現を目指す観点からも、都市内の農地在り方につきまして、引き続き重要な課題として考えていく必要があると考えておるところでございます。  なお、こうした都市内の農地在り方につきましては、都市行政のみならず農業政策税制など関係省庁との連携が不可欠でございますので、今後とも関係省庁と協力いたしまして総合的な観点から検討してまいりたいと考えております。
  14. 大門実紀史

    大門実紀史君 要するに、今までの都市計画でいきますと、市街化区域というのはできるだけ宅地にしなさいというような流れがあったわけですよね。人口減少もありますし、環境問題もありますし、農業多面的機能もあるから、必ずしも宅地にしろ宅地にしろじゃなくて、違う方向考えていくというような方向議論はされているということで、議論方向はしっかり見守りたいと思いますし、そういう視点を都市計画法改正に具体的に反映してもらいたいと思います。  もう一つ、この都市農業をやっていらっしゃる方の強い要望がございまして、これは予算委員会公述人の方もおっしゃっておりましたけれども平地林屋敷林の問題でございます。  私は、埼玉県三芳町の三富新田という現地を見てまいりましたけれども、畑がございましてその隣に林があるわけですね。その林の落ち葉とかを堆肥にしてその畑で使うというふうな、農地平地林というのは循環型の非常にいい役割を果たしているわけですけれども、この平地林に関していえば、相続税納税猶予制度、普通の農地ならば二十年間納税が猶予されるということですけれども平地林とか屋敷林にはそういう措置が、制度がないと。したがって、相続のときに相続税を払うためにその平地林を切り売りせざるを得ないというのが今の実情です。  どんどんどんどんその平地林都市部では減ってきておりまして、これは環境問題にも大きな影響を与えると。あるいは、平地林部分産廃施設とか倉庫を建てるとか、そういうことでないと税金の問題が負担が堪えられないというような状況になっておりまして、この平地林もどんどん減っているところでございます。  都市農業サミットというのがございまして、これは平成二十一年十月十九日でございますが、これは三大都市圏特定市が参加した都市農業サミットですけど、この共同宣言の中でこういうふうに言っております。農業生産に必要不可欠な施設用地都市における貴重な緑地空間を提供する屋敷林について、相続税軽減措置を講じられたいと。さらに、水の循環生態系保全に重要であり、農用地と密接な関係にある山林、平地林についても相続税軽減措置を講じられたいというふうな要望が出ております。  今まで財務省はこういう要望に対して、農地平地林は違うんだと、何が違うのか説明抜きに、ただ違うんだということの一点張りでございましたけど、どうなんでしょう、そろそろこういう循環型の農業とか環境考えると、そうかたくななことを永久に言い続けるのではなくて、若干こういうことも検討せざるを得ないんじゃないでしょうか。  ちょっと、峰崎さん、お考えございましたら。
  15. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) ちょっと済みません。今、私の……。
  16. 菅直人

    国務大臣菅直人君) じゃ、私が。実は四十年前に私が最初に取り組んだ市民運動がよりよい住まいを求める市民の会という、実はこの市街化、いわゆる農地宅地並み課税を、当時、自民党から共産党まで全部反対する中で、市民運動立場ですが、やっぱり住宅を安くサラリーマンが入手するにはしっかりやった方がいいんじゃないかという運動をやったものですから、実はもう古い話まで全部頭の中に思い出しております。それを全部言うと三時間ぐらい掛かりますので、二、三分にとどめたいと思いますが。  つまりは、日本土地政策の大失敗が私は根底にあると思います。ドイツなどでは、ここは畑とか緑というのは完全に守られます。その代わりここは住宅を造っていい。それは都市計画が非常にしっかりしていますから、自治体のいわゆる地区詳細計画で決められるわけです。しかし、日本の場合は、基本的には土地所有者自分土地をどう使ってもいいというのが原則でありまして、例外的にこれはこうしちゃいけない、あれはああしちゃいけないと。  そこで、一九七〇年代の初めに、今言われたように市街化区域という制度を導入して、ある意味では、農業に使うところと、それから都市的利用するところをちゃんと区分しようと。これは下水道など、私の選挙区の三多摩は典型的ですが、下水道などを引く上で、スプロールが広がると下水道を一キロ引いても、家が極端に言うと十軒しかないと。これじゃ困るので、やっぱり駅前のある範囲内はもう十年以内に道路や下水道を全部整備する、そこは市街化区域という形で位置付けよう、それから外は市街化調整区域なり一般農地保全しようと、そういう建前でやったわけですが、御存じのように、最初のうちは農業をするためには市街化区域内に入らないという動きもあったんですが、市街化区域内に入らないと宅地転用がしにくいということで、猛烈に市街化区域内に入ってしまったんですね。ですから、その辺りからして、実は非常に根源的な矛盾が起きてしまって、約四十年が経過してしまいました。  私も、原理的にはドイツのようなしっかりした都市計画の下でやるべきだと思っていますが、四十年たった今日の段階で今からどうするかというときには、今もう人口増も止まりましたし、あるいは都市への流入も止まりつつありますので、これからはいろんな経緯の中で残った農地はしっかりと守っていかなきゃいけない、このように考えております。これは考え方を変えたというよりも、四十年前の失敗が、あれこれ言うともう長くなり過ぎますからほどほどにしますが、実は土地バブルを招いたのもこういう、一般的に保有税をめちゃくちゃ安くして、そのために地価税ども導入したんですけれども、間に合わなかったんですけれども日本土地バブルが起きたのはそういう背景があります。  それから、今、大門さん御存じだと思いますが、農地については収益還元価格固定資産税相続税評価していました。だから、三多摩で坪十万、五十万するところが収益還元価格だと相続税で一反でたしか八百円ぐらいじゃなかったでしょうか、相続税で言って。ですから、そういうふうに収益還元で見るのか、いわゆる売買価格で見るのかで、元々何百倍という差が特に大都市においてはあったということも御存じだと思います。  余り長くなってはいけませんので、今の状況の中で私が考えますと、やはりその農地というものをいかにして緑地として、あるいは防災的な観点も含め、さらには都市に新鮮な野菜を供給する、そういう意味を含めてどのように位置付け直すかということが今改めて問われている段階だと思います。  そういう意味では、市街化区域に入りますと、もう今は、建設省、つまり国土交通省管轄に入って農水省管轄から事実上外れておりますけれども、もう一度、今日は農水省国土交通省も来られていますから、そういう皆さんがいろいろ協議をされて、そういう都市に住む人たちと、そして都市農地を耕している人たちとの合意ができる新しい形を見出す中で、そういう中では、場合によっては財務省という立場といいましょうか、税制という立場でもそれに見合った税制在り方考え直さなきゃいけないのかなと、こんなふうに思っております。
  17. 大門実紀史

    大門実紀史君 時間ございますのでもっとしゃべってもらっても結構なんですけれども、いや大変造詣深いなと、私よりも詳しいなと思ってびっくりいたしました。  おっしゃった点をお聞きしたかったことでございまして、この前公述人の方も、加藤さんというJAの方来られたんですけれども、もう大臣が、菅さんが言われるとおりの方向でお願いしたいということをおっしゃっていました。  つまり、今まで何度も、例えば固定資産税を下げてくれとか、財務省相続税何とかしてくれと言っても、それぞれ省庁自分の頭で狭いところで考えて、できません、できませんと。国交省も違う方向考えていると。もう各省庁ばらばらで、幾ら言っても動かなかったという点が、まあおっしゃるとおり、元々都市政策がどうだったのか、土地政策がどうだったのかというのはあるわけですけれども、それでずっと来て、JAの方々も、もう各省庁ばらばらでやるんじゃなくて、ちょっと都市農業都市環境の問題も含めて、全体で考える何か仕組みといいますか、JAの方おっしゃったのは、都市農業基本法のようなものを作ってもらいたいと。それに基づかないと各省庁がやっぱりばらばらで動いてしまうと。  都市農業基本法と言うかどうかは別として、私は本当に、財務大臣というよりも副総理としての菅さんに今日お聞きしたかったのはまさにその点でございまして、各省庁ばらばらに対応するんではなくて、都市農業都市環境をどうするかという点で、ちょっと総合的な検討に入ってもらいたいというふうに思うわけですけれども、その点だけもう一度、菅さんのお考えをお聞きしたいと思います。
  18. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 持論と立場で言えることと両面ありますが、先ほどドイツの例を挙げましたけれどもドイツの場合は自治体ごとに、この範囲農地なり林で残そうと、この範囲は開発しようと、そういうのを自治体の条例で決める形になっております。私は何年か前、もちろん野党時代ですが、そういう趣旨の都市計画法改正案というものを国会に出したことがあります。そういうふうにして、守るべきものはしっかり守っていくという形が私は本来の都市計画在り方だと思っています。  ただ、残念ながら、日本はそういうしっかりしたルールができないまま都市化が進み、かつ今のような状況になっていますから、もう一度、いわゆる日本土地が大ざっぱに言えば農林省管轄国土交通省管轄に実は見えないところで国が違うぐらいその扱いが分かれている。このことを改めてもう一度、特に都市に存在する農地については考えた上で、今JAの方が言われたという紹介のありました都市農業基本法といったような考え方をどういう共通の理念でやればいいのか。  特に、私も三多摩に住んでおりますので、農地生産緑地で守られていても、屋敷があるものですからどうしてもその屋敷の相続税が非常に高く付いて、結果としてはなかなか農地保全できない。つまり、農地そのものは生産緑地指定していれば固定資産税相続税も減免なり猶予があるわけですが、宅地部分がどうしても屋敷林を含めてありますので、なかなかできないと。  だから、場合によったら、中小企業の事業承継的な考え方も取り入れて、その代わり、その空間についてはある種のパブリックな利用というものをある程度認めるみたいなことも含めて、いざというときの防災的な機能も認めるということで、何らかの形で事業承継できるような考え方が導入できないかなと。  こんなことを含めて、機会があればもちろん、農水省国土交通省が中心だと思いますが、必要によってはそういった場をつくることに力を貸せる機会があれば貸したいと、このように思っております。
  19. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非もうその方向で御検討いただければ、今まで皆さんが御要望してきたことが、先が展望が見えてくるんではないかというふうに思います。  これで終わります。ありがとうございました。
  20. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まず、私からは公債特例法に関連をいたしまして質問いたします。  まず、中小企業対策予算につきまして、これで十分かという点について、財務大臣にお尋ねをいたします。  我が党は、昨年の衆議院選のマニフェストでは中小企業予算の倍増ということを明記をしたわけでございます。二十二年度の一般会計予算におきましては、前年度比で若干増加をしておりますけれども、率としては一・一%。二十一年度の七・三%増からは大きく上げ幅は後退をしているということでございます。  昨今のこうした経済情勢の中で、中小企業の活性化なくして経済の活性化はないわけでありますし、特に私は愛知県という物づくりの地域におりまして、製造業の空洞化ということも大変心配をしております。そういう意味では、今回の予算の中小企業対策費部分というのはやはりちょっとボリューム的には力不足と言わざるを得ないのではないかと思いますが、菅大臣の見解をお尋ねします。
  21. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 中小企業がまさに日本の、特に物づくりにとっての一番のベースを構成していて、そのある意味での健全な発展なくしては日本の物づくりがうまくいかないという認識は私も全く同感であります。  そういう中で、中小企業支援対策については、予算全体を必要性の高い分野に配分するという考え方の下で重点的に措置をしているつもりであります。  まず、二十一年度の二次補正予算では、中小企業の資金繰り対策について一兆円を超える予算を講じたところです。さらに、二十二年度予算においても、中小企業の活性化を図るために、一に中小企業の資金調達の円滑化、二に仕事をつくるための研究開発支援、三に中小企業の経営支援、下請取引の適正化に関する施策、こういったところに重点的に予算配分し、前年度比一・一%増の金額を確保しておりまして、所要の中小企業施策の実施に必要な措置を講じていると、このように考えております。  そういった意味では、本予算と一体に実行しております二十一年度の補正予算も含めていただければ、この政権が中小企業にもしっかり力を入れているということは御理解いただけるんではないかと思います。
  22. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 事業仕分で廃止になった中小企業支援策もあるわけでありますので、また具体論については別の機会にしっかり議論させていただきたいと思います。  今日は金融担当大臣にも来ていただいておりますので、今、二次補正で一兆円の資金繰りをやったということでございます。亀井大臣は今の中小企業のそういう資金繰りの実態を見て、補正予算なり、また新年度予算のこの資金繰り支援対策で十分なのか、更に大胆な資金繰り、貸し渋り防止対策をする必要もあるのではないかという点について、大臣の所見をお尋ねします。
  23. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 私は、政府の中小企業、零細企業、商店等に対する資金的な面での用意といいますか準備は、補正、本予算、今菅大臣がおっしゃいましたように相当進んでおると思います。  ただ、中小企業、零細企業の皆さん方と話をしたり、そういう方々に貸出しをしている中小の金融機関の方々と話をしておりますと、資金繰りについては、今もろもろの対策上、うまくいっているといったらあれですけれども、相当楽になってきているだろうと思います。しかし問題は、新しい仕事を含めて、仕事がないという悲鳴が物すごい状況で私は噴き上げておると思います。したがって、借金を猶予してもらう、そういうことをしてもらっても先々望みがもうなくなってきていると。ましてや、新しい設備投資をするための資金を借りるというような、そういう意欲が残念ながらなくなってきておるという非常に厳しい実態があります。  そういう意味では、中小企業については仕事を出していくということと、既にこれやっておりますけれども、例えば設備とか雇用について、そういう中小零細企業そのものに対する直接的な支援をやはり政府としては今後とも強化する必要があると、このように考えております。
  24. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、亀井大臣のそのお話は私も何回か聞いておりまして、私も、資金繰りを幾ら支援してもらっても返さなきゃいけないわけですから、将来の当てがないところにもう借りられないという話は私も聞いております。  そういう意味でいうと、中小企業に仕事をつくらなければいけないわけで、そうしますと、今菅大臣がおっしゃった、二次補正と併せて金融対策もやっているし、新年度予算は一・一%増で十分対策をやっているんだと、こういうことで大臣としてもよろしいんですか。私は、そういう意味ではもっとこれは、大臣まさにおっしゃったように、もっと直接的に中小企業を何らかの形で財政面で支援をする対策が必要であるというふうに思っているんですけれども大臣としては、その一・一%増のこの中小企業対策で十分だと、こういうお考えなんですか。
  25. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 今、与信力という面で見れば相当私は余裕があると思います。ある意味ではこれ残念な話ですけれども、信金、信組であると四〇%とか非常に低い水準でありまして、貸出し余力というのは現在も私はあると思います。それをいわゆるモラトリアム法案の実施により現在金融庁が強力な今監督指導をしておりますから、必要な金はやはりそうしたところに渡っていく状況はできている。問題は、何度も言います、もう仕事がないという、それを今全力で取り組まないと金融面の措置だけではどうにもならないんじゃないかと、こういう危機感を深めております。
  26. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、やややはり今回の対策だけでは不十分だということを、うなずかれましたけれども、そういう趣旨じゃないかと思いますが。  委員長金融担当大臣は、私の質疑ではもう結構ですので、退場されても結構ですけれども
  27. 大石正光

    委員長大石正光君) どうぞ大臣、退席していただいて結構でございます。
  28. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、外為特会積立金からの一般会計への繰入れにつきまして、法案に関連をして菅大臣にお尋ねいたします。  本法案では、二十二年度に発生が見込まれる剰余金から三千五百億円を一般会計に繰入れをすることができると定めております。また、特別会計に関する法律第八条第二項の規定に基づき、二十一年度に生ずる決算上の剰余金二兆五千七億円を全額一般会計に繰り入れるということにしてございます。  そうしますと、外為特会からの一般会計への繰入れといいますか、その依存というのは過去最大限に達しているという認識でこれはよろしいんでしょうか。
  29. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 御存じのように、今の中小企業対策を含めて、今の経済状況の中ではやはり財政規模そのものはある程度の大きさを確保しなきゃいけない、一方では国債を余り過大に出すとマーケットの信認が得られない、そういう中で税外収入ということを含めていろいろな特別会計等々の見直しを徹底的に進めまして、今、荒木委員言われたように、ぎりぎりのところまで出せるものを出す中でこの平成二十二年度の予算を組ませていただいたと、おっしゃるとおりだと思っております。
  30. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 菅大臣は、この外為特会の毎年の剰余金のほかに、二十兆円を超える積立金の件についても論及をされております。  これも一部、埋蔵金といいますか、一般会計で活用することが可能ではないかという議論でありますけれども、去る二月四日の参議院決算委員会におきましては、この二十兆円余の積立金について、場合によっては一時的な活用も可能かと思っておりますと、こういうことを言われていまして、繰り入れるというか、一時的に借りるということは、一般会計が借りるということは、一時的であれば構わないという趣旨にも聞こえるわけでありますけれども、もしこういうことをしますと、まさにこれは隠れ借金ということになってしまうんですが、改めて、積立金の一時的な活用ということについてはどういう趣旨で言われたのか、またどういう検討をされていくのか、お尋ねします。
  31. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 外為特会の積立金の性格はもう荒木委員御承知の上での御質問だと思いますが、現在は、為替評価損が二十五兆七千億で、積立金が二十兆六千億ですので、五兆円余りの為替損が生じているという状況であります。  そういった意味も含めて、せんだって、二月四日の決算委員会で答弁したときも、確かに、一時的な活用も可能かと思っておりますがということを含めて、今申し上げた為替差損も生じているということで、その性格も含めてよく議論が必要かと思いますという言い方をさせていただきました。  つまりは、今、荒木委員言われたように、かつても隠れ借金ではないかと言われるようなやりくりをした過去の例も幾つかあるわけですけれども、本来はそういうことは望ましくないと。ただ、予算編成の中でぎりぎりの努力をする中で、そういう過去の、余りいい例とはいいませんが、それに類する例もあり得ることも含めて、積極的にやりましょうという意味で申し上げたんではなくて、ぎりぎりのところでそういう検討もあり得るけれども、その場合にはよほどよく議論をしておかなきゃいけないという、そういう思いを述べたところです。
  32. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 財務大臣として財源のやりくりに大変苦労されているところがにじみ出ているとは思います。  それで、大臣としては、この外為特会の積立金の適正水準について現在の積立金の水準で十分だというお考えなのかどうか、この点、確認をしておきます。  本委員会でも、過去には、ほかの特別会計でありますけれども、積立金の水準が十分かどうかと、要するに高過ぎるんじゃないかというような議論も随分行われたこともありますし、外為特会の積立金の適正水準について財政当局の見解をお尋ねいたします。
  33. 菅直人

    国務大臣菅直人君) これは、いわゆる百兆近い外貨資産を持っていること自体についてのいろんな議論もあるわけですけれども、今の御質問は、それ全体というよりも、この積立金の水準がどの程度が望ましいかということの御質問だと思います。  これ、いろんな考え方があるんでしょうけれども、一つの考え方としては、現在保有している資産が外貨ですので、それの為替の変動を考えると、保有外貨資産の三〇%ぐらいが望ましい水準だという、そういう考え方もあるわけであります。ですから、現在の二十兆余りの積立金が、百兆近い外貨準備からして、そう過大とも言えない。ただ、現実は為替差損が生じているわけですから、それで埋めることができない状況にあるということを含めて言えば、余りはっきりした答弁ができなくて恐縮ですが、そう過大とも言えないのかなと。ただ、元々のこの為替差損をどう考えるかということの方がより重要なのかなと思っております。
  34. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、民主党のマニフェストの財源問題について何点かお尋ねをいたします。  これは言うまでもありませんが、もう公債残高が累増している現状の中では財政の持続可能性の確保が重要であることは言うまでもありませんし、また、こうした百年に一度という経済危機ではありますけれども、将来世代に負担を押し付けるといいますか先送りをすることはできるだけ避ける財政運営を行わなければならないことはもう一致をするところであると思いますが、この点につきまして財務大臣の認識を改めてお尋ねいたします。
  35. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 公債残高が大変増大してきておりまして、今、国、地方の長期債務残高が対GDP比で一八一%に達しておりまして、主要先進国の中で最悪の水準となっております。また、経済は着実に持ち直してきていると言われておりますが、なお自律性に弱く、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にあります。  こういう中で、これからの財政をどう考えていくのか。私は、二十二年度の予算が近く成立させていただければ、本当に本格的な議論に入らなければならないというふうに思っております。  せんだっても自民党の方で財政健全化責任法という法案を出されたようでありますけれども、今内閣としても、六月には中期財政フレームというものを作ろうということでいろいろ準備に入っております。政府としても、そうした中期財政フレームというものを出すのと並行して、場合によっては、まだ検討をこれから始めようと思っておりますが、財政健全化の道筋を法律という形で国会で御議論いただくのも一つの道かなと、政府も出し野党の皆さんも出して国会の場で議論をいただくのも一つの道かなと、そんなことも考えているところです。  いずれにしても、経済を発展させながら一方で財政の健全化を図っていくという、大変難しい道筋でありますけれども、これは本当のところ一党一派でできることではなくて、まさに国を挙げての超党派での取組が必要ではないかなと、こう思っております。
  36. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今大臣が言われた本格的な財政再建の議論をしなければいけないということは、是非昨年の選挙の前に言ってもらいたかったと、このように私は思います。  昨年の選挙は、自公当時の政権対民主党という中で、我々前政権では、二〇一〇年代半ばのそういう抜本税制改正、前提としては景気の回復と無駄の削減という条件を付けておりましたけれども、そういう主張を訴えました。一方で民主党は、大きく言えば政府の無駄を削減をすれば国民負担増なくしてマニフェストの施策ができるという、こういう主張であったと思います。  それで、選挙の結果はもう言うまでもないわけでありますけれども、ただ実際には、この二十二年度の予算を見る限り、そういう無駄の削減でマニフェストが実現できるということは幻想で、結局は将来世代に負担を先送りすることによってマニフェストの実現になったというふうに言わざるを得ないんではないでしょうか。
  37. 菅直人

    国務大臣菅直人君) そこは少し私は見方が違うんですね。つまりは、例えば今二〇一〇年半ばとか、あるいは二〇一〇年代初頭とか言われたその問題は、まさにこの二十年来、もうちょっと長く言えば長いですが、大変急激に高まっている公債をどうするかというそういう問題と、それからマニフェストに掲げた問題は、今回の予算でいえば、いろいろと仕分等の見直しとかあるいは一部基金からの返却などで三・三兆円のそういう無駄及びそういったものを捻出して、そしてそのうちの三・一兆円でマニフェストに盛り込まれた初年度の施策に充てさせていただきました。  ですから、その範囲だけでいえば、残念ながら暫定税率の引下げまでは、そういうところまでできなくて、その部分については総理も自ら国民の皆さんにおわびを申し上げたわけですが、例えば子ども手当とか、あるいは農業の戸別的所得補償とかそういったもの、あるいは高校の実質無償化とかいったものは、その三・三兆のうちの三・一兆を使って初年度については振り向けたわけでありまして、それを実行するために国債を増発したという構造にはなっていないというのが予算を提出する立場からの見方であります。  と同時に、先ほど言いましたように、だから大丈夫かといえば、元々ぎりぎりの国債発行といっても四十四兆を超える国債発行を来年度もお願いしているわけでありますから、決して中長期の財政が健全化していると、そういう方向に向かっているというところまではとても行けていないということもおっしゃるとおりでありますので、まさにその問題はその問題として、より大きな問題としてこれから本格的に取り組んでいきたいというのが私の見方です。
  38. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 その財政再建について本格的に議論していくわけでありますが、そのスケジュール感というか道筋についてちょっと説明していただきたいんですが、これが六月の中期財政フレームですか、その中にきちんとそういう財政再建の道筋なりあるいはその法律の骨子なり、法案ですか、法案も考えておられるのであれば、そういう骨子なりをそこに盛り込んでいくという、そういう理解でいいのかどうか確認しておきます。
  39. 菅直人

    国務大臣菅直人君) これは、来年度予算が成立してから本格的に議論を始める、これまでも若干の議論はしておりますが、基本的にはそういうスタンスでありますので、まだ余り詳しいことを申し上げる段階にはありません。  ただ、私のイメージの中にあるのは、六月に出すということを元々申し上げている中期財政フレームでは、やはりある程度の見通しを持って、どういう形で、歳入歳出含めてどういう方向で健全化を図っていくかという、そこはきちんと国民の皆さんに理解いただけるような中身にしていかなければならないと。  法律化についてはまだ十分、検討をこれから開始するわけですが、今、自民党から出された法案、あるいはかつて橋本政権下でしたか、出された法案も今精査をしておりまして、そういう法律の形を取ることがより好ましいのかどうかということも考えて、もしそういうものを考えるとすれば、ここはまだなかなか日程的なことが言いにくいんですが、秋の臨時国会になるのか、逆にこの通常国会の会期の中でもそういうものを提示することができるのか、それも含めてこれからの検討ということで考えていきたいと思っています。
  40. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 関連しまして、消費税の問題についてお尋ねをいたします。  これまで鳩山総理は、消費税は四年間は上げないし、議論もしないという、そういう姿勢だと理解をしておりましたが、財務大臣は三月から、今月から消費税の議論を開始するという方針に転換をされました。私は、これは英断といいますか責任ある決断であると、このように思っております。  そうしますと、今のこの六月に出す中期財政フレームにある程度財政再建の見通しについて方向性を言及するという中に、消費税が社会保障財源の柱であることは私はもう間違いないと思っておりますので、当然こうした消費税のことについても言及されるといいますか方向性が示されると考えてよろしいんでしょうか。
  41. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 消費税を議論しないということは総理もこの間言われてきているとは思いませんが、そういう中で、昨年の税制大綱にも、社会保障の問題とも関連して消費税の議論もしようということを昨年の暮れの大綱でも申し上げました。  その上で、二月の末に、三月からはそういった議論も、特に税制調査会の中に専門家委員会というものを設けましたので、そこでの議論には、この税だけということではなくて、消費税を含んでお願いしたいということを申し上げました。  さらには、最初は所得税から検討を始めるということでもお願いしておりましたが、三月も大分進行してまいりましたので、最近は総理からも法人税の在り方についても若干の言及が出ておりますし、そういう意味では、いよいよ消費税、法人税も含めて主要な税項目についてはしっかりと議論をしたいと。  それと同時に、これは今の御質問にかかわるところを超えるかもしれませんが、この間、景気が多少良くなったところで何か消費税をかつて上げたりしたら、それで景気が逆に腰折れしたという見方が強いわけですけれども、本当にそうだったのか。単に、駆け込み需要とその後の一時的な冷え込みをそれが景気の腰折れというふうに見たのか。  更に言えば、問題はそうしたときに何に使うかという問題でもあろうと。そういう意味では、単に税項目がどうだということだけではなくて、景気を良くするために逆に、私たちが言う言い方で言えば、雇用とか仕事をつくって雇用を生み出すところに税収を振り向けると。そういう、つまり景気を回復するために税をお願いするということもあり得るのかと、その辺りのマクロ的な検討も今それぞれのところで少し検討してみてくれと。  また、専門家の皆さんにも、これまでは税というと負担という考えでしたけれども、逆に言うと、デフレというのは金が循環しない状況ですから、ある意味で血液が循環しないときにはペースメーカーを入れて循環させると、極端に言えば人工心臓を入れて循環させると。そういうことを考えると、日本でお金が流れていない状況では、ある程度はちゃんと使い道を国民の皆さんに示して、それが雇用とか仕事につながるのであれば、逆にそのお金をいただいて、それを使ってまた国民に戻していくと。  そういう循環を、ある意味で税と財政の、何といいましょうか、組合せによってそれをきちんと透明な形で国民の皆さんに示すことによって、逆に、まあちょっと言い方を気を付けなきゃいけませんが、税の負担をお願いすることが景気を悪くするんじゃなくて逆に良くすることにつながるんだという、そういう絵がかけないかということを今それぞれの部署に検討をさせているところです。
  42. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 かつて橋本内閣のときに消費税を含む九兆円の増税がありまして、あれが景気をどん底に陥れたんだといって我々も批判しましたし、菅大臣も当時は野党としてそういう主張をされたんだと思いますので、ちょっとああいう整合性もよく考えていただいて、また慎重に議論をしていただければと、このように思います。  そこで、次に所得税法等改正案について何点かお尋ねいたします。  今も菅大臣から、総理からも法人税の議論があったと、これは引下げの検討ということで言われたんだと思います。私も本会議では同様のことを申しましたし、また民主党委員からもこの法人税率の国際的な比較ということで引下げについての言及が、問題提起があったと承知をしています。  そういう意味でいいますと、二十二年度の税制改正における経済活性化のための税制上の措置というのは、これはちょっと不十分ではないかと私は思います。確かに投資減税は盛り込まれておりますけれども、これは延長をするということで、特段それを拡大をするとかないわけでありますし、あるいは民主党がマニフェストにうたっていました中小企業の軽減税率の更なる引下げということについては財源問題等から先送りになったわけであります。  この点は残念でございますが、経済活性化のために今回の税制改正ではどういう対策を打っているのか、この点について御説明願います。
  43. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 我が国の成長戦略を考える上で私が最近申し上げているのは、従来の公共事業頼み、あるいは行き過ぎた市場原理主義でもない、雇用から需要を生み出すような第三の道を進むことが成長を考える上での道筋ではないかということを申し上げているところです。  税制在り方考える上ではこうした成長戦略との整合性も勘案する必要もあり、一般論としてはこうした経済の活性化の観点に税が大きな役割を、大きなといいましょうか、一定の役割を果たすことはそのとおりだと思っております。  二十二年度税制改正では、租税特別措置見直し当たり、中小企業の投資促進税制の適用期限を延長するなど中小企業にできる限りの配慮を行うほか、研究開発税制を延長する、また住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置については、経済対策のための臨時的な措置として非課税限度を大きく引き上げたことも御承知のとおりであります。  そういったことを含めていろいろ当面の措置もやっているわけですが、先ほども申し上げましたように、従来は、まさに荒木委員が御指摘になったように、減税をするのが景気対策、経済対策であって、増税は景気や経済にマイナスだという言い方もあったんですが、デフレ状況の中でいえば、お金をある意味で強制的に循環させるためには、借金ではお金は回りませんので、一部回ったとしても、そういう意味ではきちんとこういうことに、例えば福祉に振り向けるんだと、介護に振り向けるんだという形の中では、税をお願いして逆に振り向けていくことが仕事から雇用を生み成長戦略につながっていくと、そういう考え方もあり得るのかなと。より積極的な税の活用というものを考えられないかと、こういうことも先ほども申し上げましたようにいろいろ検討を事務方にもさせている、そういう状況であります。
  44. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私も、一方で消費税の増税に言及しながら、法人税、六兆円弱の税収だと思いますが、その引下げを言うというのはどういうことだというふうに地元のおしかりを受けることも多々あります。  ただ、本当に、繰り返しになりますけど、製造業を含めた空洞化の懸念というのは本当に強いわけですね。大手自動車メーカーも、今後部品の調達コストを三割削減をするということを言われております。そうなりますと、取引をしている下請の方はどう思っているかというと、もうこれは海外から調達するに違いない、到底我々はそんなコストダウンはできないというお話を聞いております。また、製造業の請負の原則禁止、原則といいますか禁止ですね、これは当然経営者からすればコスト増という要因になりますし、また最低賃金も今後引き上げられるというふうに聞いておりますし、それもコスト増になるわけですね。  私は、ますますもってそういう本当に空洞化の懸念というのが高まるのではないか、そういうことを思いますと、菅大臣、税収を上げることが景気を悪くすることではないとおっしゃっても、そもそも会社の数が減ってしまったのではもう税収の上げようはないわけで、私は、いろいろ難しい問題はあるんだと思いますけれども、法人税の引下げということはこれは前向きに検討すべきである、中小企業の軽減税率の引下げということも含めてといいますか、それを中心にでもいいですけれども、そういう空洞化への対策ということを考えると、やはりこの法人税については引下げということで手を打つということを、そういう方向考えてもらいたいと思いますけど、大臣はどういう見解ですか。
  45. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 法人税については、総理からもアジア近隣の国に比べても少し日本の水準が高いという問題意識が国会でも示されて、そういうことを背景にした見直しということも十分に検討をしなければならないと思っております。  また、中小企業についても、元々民主党の政策の中にはもっと引き下げるということが方向性としては示されておりますが、この予算の中ではそこまでなかなか財源的にも回らなかったということが事実であります。  ただ、これも先ほど荒木委員が亀井金融担当大臣議論されておりましたように、まさに今中小企業にとって最大の問題は仕事そのものがないということで、もちろん税率が上がれば、高ければ大企業も海外に移転するとかということもありますが、どちらかといえば、移転、移転でないという以上に仕事そのものがないという状況をどう打開していくのか。これはもちろん簡単なことではありませんが、ある意味では個人や企業が個人消費とか投資というものを非常に縮めて、お金のままで持っていたいという意識が非常に強い。つまり、先ほど申し上げたように、お金が回らなくなっている。  こういう中では、まさに中小企業にとっても大きな企業にとっても、仕事が生み出される、仕事を生み出すということは当然雇用が生まれる、そこには物であるかサービスであるかは別として生産が生まれるわけですから、そういう方向での景気、経済の回復というものを目指していくということが私はやはり必要なのかなと。  ですから、今言われた中小企業やそういうものに対する法人税の減税ということも一方では考えなければならないとは思いますけれども、一方ではより積極的にそういう仕事をつくるための財政資金をどうやって、借金でこれ以上使っていいのか、それとも税でお願いするのか、そこまで踏み込んだ議論が必要になっていると、このように認識しています。
  46. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それでは次に、控除から手当へという問題についてお尋ねをいたします。  格差是正や所得再配分の強化等の観点を含めまして、控除から手当へという考え方そのものは否定をいたしません。しかし、今回の所得控除の対応、税制改正での対応につきましては、高校生相当分の特定扶養控除の縮減や個人住民税の控除の廃止が唐突に決まった感が否めません。これは非常に苦しい台所事情でそうやりくりされたんでしょうけれども、しかしこれは民主党のマニフェストにはなかった項目でありまして、ちなみにマニフェストには所得税の配偶者控除、扶養控除を廃止をするということで、個人住民税の控除の問題ですとか特定扶養控除の問題については明記されていなかったわけでありますけれども、これは明確なマニフェスト違反ということになりますけれども大臣の認識を伺います。
  47. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 荒木委員から今御指摘を受けました。これは今回の予算審議あるいは税法の審議の中で御指摘を受ける点で、確かにマニフェスト上で、十六歳から十八歳までのいわゆる高校生の授業料の無償化問題のところ、及び住民税のところをこれはマニフェスト上に書いていなかったじゃないかという指摘を受けたわけであります。その点については確かにマニフェスト上書いていないということは間違いありません。  一つは、住民税の問題は、これは税制調査会で議論を始めたときに実は総務省の方から、国税をいわゆる所得控除、扶養控除を廃止をするということになると、関連上どうしても地方税も住民税も同じように控除していかないとなかなかつじつまが合わないという、これはかなりテクニカルな問題を指摘を受けまして、これは率直に申し上げて、私どもが政権を取る前に想定していたときには、余りこの住民税と国税との間の、なるべく地方には負担を掛けないという精神を持っていたものですから、住民税は今回は我々マニフェストに掲げるときはある意味では遠慮しておこうじゃないかと、これはやはり地方重視でいこうと、こういうふうに考えたんですが、地方の方は逆に、それはきちんとそうしてもらわないとなかなか仕組み上うまくいかないということで、実はこれをある意味では、住民の皆さん、国民の皆さんに、これはマニフェストに書かれていないけれども実践をさせていただいた。  高校の授業料問題なんですが、これは最後まで私どもは、予算編成の過程の中でどうしても、高校生の中にいわゆる所得制限というものが入ると、生徒さんの中に援助を受けている人とそうでない人の差が出るというのはこれはいかがなものだろうと、やはりここはユニバーサルに対応した法が必要なんじゃないんだろうか。そうすると、そのユニバーサルに対応するためには、財源上どうしてもここは何らかの、ペイ・アズ・ユー・ゴーじゃありませんが、税制上の措置がないとできませんよと。  こういう観点から、非常に厳しい対応で国民の皆さんにやや本当に説明するのがなかなか大変苦しいところはあるんですけれども、そういう観点から私どもはこの二十五万円の特定扶養控除の圧縮をお願いをしたと、これが率直なところの経過でございますので、この点は了解を願いたいと思います。是非、よろしくお願いしたいと思います。
  48. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 了解するというわけにいかないんですが。  マニフェスト違反かどうかということもさることながら、高校の授業料無料化なり、あるいは私立学校通学者への補助にしましても、所得制限なしと、ユニバーサルサービスということは私も賛成ですし、昨年、予算委員会公述人もそういうことをおっしゃっていて非常に説得力があったかと思います。  ただ、私は、より問題であると思っているのは、高校生に対するそうした授業料の補助をユニバーサルでするという見返りといいますか見合いで特定扶養控除を縮減というか、その後なくしたわけですけど、先週の本会議でも我が党の議員が指摘をしましたが、それによって実は所得の低い層で負担増になる人がいるという、ここがやっぱり一番問題だと思うんですね。  そこで、この点について、真に手当が必要な低所得者層でかえって負担増になる問題があるということについては、政府もそういう層が存在することは認めているわけでありますので、具体的にどういうケースで負担増になるというふうに認識しているのか、あるいはこのことについての適切な対応は今後どう検討していくのか、峰崎大臣に答弁を求めます。
  49. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 本当にもっともな御指摘だと思っております。  さきに高校の無償化のところでは、当然高等学校に全員入学してないじゃないかと、そうすると、九八%と聞いていますけれども、この二%の方々に対する手当というものは、これは年度でいいますと平成二十三年度の段階までに影響が出てまいりますから、それに対する予算上の手当てといったものを与党の中では検討していくということはお約束をしているところでございます。  それから、実は子ども手当の創設に伴って、扶養控除の廃止の中で、これは率直に申し上げまして所得税は二十三年分から、それから個人住民税は二十四年度分からということで適用されるわけでありまして、これ来年の、いわゆる中学校修了までの子供を扶養する世帯については二十二年度においては基本的に負担増になる世帯はないというふうに思っておりますが、二十三年度以降になりますと、この子ども手当の支給額によってくるわけでありまして、我々はマニフェストをできる限り約束どおり実現できるように努力をしていこうということで今努めているわけでありますが。  今よく御指摘受けるのは、この金額が一万三千円のままで、それから二十四年度になってくると住民税の負担のところで少しややはみ出す部分が出てきますねということが出てまいりますけれども、我々としては、そこは今の段階ではできる限りそのマニフェストに、実現できるように努力をしながら、そういった事態が出てくることに対する、そういうことがないように実現を努力していきたいなというふうに思っているところでございます。  一応、昨年の税制大綱を作るときにも、そういった点について分かっておりましたので、この点についての必要な対応を関係省庁検討していきたいなというふうに思っています。  それからもう一つ、控除を見直したときに、社会保障に実は連動してまいりますので、今、扶養控除あるいは特定扶養控除を縮減したりすることに伴う、いわゆる課税最低限が下がってくる、あるいは住民税の非課税世帯が課税世帯になってくる、こういったことが一体、社会保障やあるいは教育や様々な他の関連施策とどういう関係があるのか。これは、必ず私たちは影響を調べて、現実に適用される二十四年度、これは地方税が掛かってまいりますので、このときには、今PTをつくって、影響がどういうところに現れるのか、これを、影響を本当の意味負担増にならないように我々としては最大限努力をしていくということをお約束をしているところでございます。
  50. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いずれにしましても、控除から手当へということですけれども、これはいわゆるつまみ食い的にやるんじゃなくて、今の点も含めて受益と負担関係を十分検討した上で整合的に行わなければいけないということかと思います。  そこで、税制大綱には、今回先送りになりました配偶者控除及び成年扶養控除の廃止については、特に時期が明示されておりませんけれども、これは二十三年度に廃止をするということになるんでしょうか。
  51. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 本当にこれは、特に二十三歳から六十九歳までのいわゆる成年扶養控除、五百二十万人という大変な数字は、私もやや想像以上だったというふうに思います。この点については、しっかりとこれ我々議論をしていきたいと思っておりまして、今年所得税の、先ほど大臣の方からありましたように、専門家委員会の中で今ちょうど所得税制在り方についての議論しておりますので、このいわゆる扶養控除の在り方、この廃止の在り方、あるいは控除から手当へという、究極的には給付付き税額控除のことを考えていますが、その前段階として、例えばこれ税額控除の段階でとどめるとかいろんなことが考えられるだろうと思っておりまして、この点は是非、この秋の税制改正の論議の中でこの点は詰めていかなきゃいけないなと。  これは配偶者控除も同じでして、この配偶者控除に関しては、かねてから課税単位を世帯単位にするのかあるいは個人単位にするのかとか、あるいはこれは年金の三号被保険者問題とかその他も全部絡んでまいりますので、それらを含めて総合的にこの秋には議論をしていきたいと思っておりますが、なかなかこの秋、では直ちにそこで結論が得られるかどうかという、厳しい論議も展開をされていくだろうと思います。その意味で、必ずしも確約はできませんが、私たちとしては、できる限りこの秋の税制改正大綱に向けて、この方向性が出せるように努力をしていきたいなと思っております。
  52. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、配偶者控除なり成年扶養控除の廃止については、今副大臣おっしゃった給付付き税額控除とセットになってやらなければこれは問題が生じてくると、こういう理解でよろしいですか。
  53. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) その辺りのところなんですね。給付付き税額控除ということになると、当然税を払っていない方々に対する給付まで入ってまいります。そうなると、そこに至るにはやはり番号制度の導入も含めて、あるいは他の社会保障制度在り方も含めて考えなきゃいけないんで、そうなってくると、今大臣の方から、特に番号制度の導入についてはやや急ごうよという提起がございますが、そうはいっても国民的にしっかりとこれは納得していただかなきゃいけないんで、そうなってくると、直ちに給付付き税額控除ということになると、この秋に決着が付くということにはならない。何らかの方向性は出すことはできたとしても、現実にそれを実現できるかどうかという時期はやや先になるのではないかなと思っております。
  54. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それと、所得税の再配分機能の強化についてお尋ねいたします。  これは、累次にわたる改正で最高税率が引き下げられてきたわけでありますけれども、この格差の拡大という中で、改めて逆に最高税率を引き上げるべしという提案もありまして、私もこれは十分に検討しなければいけないと。仮にそれによって幾らの財源が確保できるということでないにしても、やはり一つのそういう考え方の問題として最高税率は上げるべきだというふうに思いますけれども、この点は大臣、副大臣はどういう見解でしょうか。
  55. 菅直人

    国務大臣菅直人君) おっしゃるように、所得税については、この十年間程度の累次の改正によって所得税がかなり引き下げられ、またその適用範囲がいろいろと拡大が行われた結果、所得再配分機能や財源調達機能がかなり低下してきていると認識しております。  こうした状況の下で、所得再配分機能の回復、所得税の正常化に向けて、税率構造の改革などについて今後税制調査会において本格的な議論をしてまいりたいと思っております。最高税率についても当然議論をすることになると思いますが、今、多少街頭演説等でそういうことに触れたこともありますが、やはり基本的には税制調査会の議論にまちたいと、このように思っております。
  56. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に租特透明化法案ですね、これは是非峰崎大臣にお尋ねいたします。  これは、昨年と一昨年の通常国会で参議院では可決したわけでありまして、我々は反対をしました。それは、やはり優遇措置を受ける個別企業名の公表をするということについて我々は問題提起をしたわけで、何かそうなるとそういう優遇を受けることが悪いことかのような、そういう萎縮させるような効果があるということで反対をしたわけでありますけれども、これが個別企業名の公表が盛り込まれなかった点については、過去二回における本委員会での指摘が反映されたものということで評価をしております。  しかし、最近、峰崎財務大臣は今後の個別企業名の公表に含みを持たせる発言もされているわけでありますけれども、その真意について副大臣からお尋ねいたします。
  57. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 私自身は含みを持たせるような発言をしたという記憶はないんですが、多分、もしかすると、やや本当はしたかったなという思いが多少残っていて、そういうニュアンスを感じられたのかもしれません。  と申しますのは、私自身は、何度もこの問題にメスを入れてみたいと思った大きな理由は、税の在り方として、公平性という観点から見て、やはり企業関係の租特は、非常にもうかっている企業に更に恩典を与えていくということの意味が、本当にそれが果たして必要なんだろうかということの必要性が実証できているんだろうかと。ともすると、やはりやや既得権をずっと持ち続けてきて固定化されたり、あるいは少数の企業だけ適用されたりして、これは俗に言うところの政官業の癒着の構造というものを、もしかしたらこの温床になっていやしないだろうか。  そういう思いが非常に強うございましたので、実は、いわゆる補助金をいただいているところからは政治家はやはり政治献金を受け取らないというルールがあったので、これはやはり隠れた補助金になっていやしないかという思いがあったんです。その意味で、できればもらっていらっしゃるということを、個別の企業名を明らかにすることでその点は明確にしたらいいじゃないかという思いは持っておりました。  ただ、補助金を調べてみたら、意外と個別企業名が出てくるというのはほとんどないというのが私もだんだん分かってまいりましたので、これはやはりそちらの方とのイコールフッティングということも考えれば、ある意味では、個別名は出ないけれども、匿名でいろいろ出てくれば、もう一つの大きな役割というか、本来の大きな役割であるいわゆる租税特別措置の今の適用が本当に法の目的というか、あるいはこの租特の目的がきちんと果たされているかどうかの検証ができればいいんじゃないかと、ここがメーンですから。そこを中心にしながらこういう結論を得たというところでございますので、私自身は余り今含みを持たせているというふうに思ってないんで、また何かもしそういった点が御指摘があれば、私も謙虚に受け止めたいと思います。
  58. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  59. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 自民党の愛知治郎でございます。よろしくお願いいたします。  今日は時間が限られておりますので、三十分しかないですから、急いで駆け足でいきたいと思うんですけれども。  亀井大臣せっかく来ていただいたんですけれども、いつも最後の方の質問になって十分に時間が取れないので、今日は最初から質問をさせていただきたいと思います。  いろいろ亀井大臣、御発言をされておるんですが、今日は国債についてちょっと見解を伺いたいというふうに思っておりました。  亀井大臣の持論は、先ほどもおっしゃっていましたけれども、中小企業の仕事がないと、だからこそどんどん財政出動をして景気を浮揚させていかなければいけない。そのために、財務省はいつでも財政規律、財政規律という話をしているが、そんなことにこだわっている暇はないと、もっともっと財政出動をしろと、足りなければ日銀が国債を引き受けてでも財源を捻出して財政出動をしろというのが持論だと思いますし、そのように発言されていたと思うんですけれども、改めてこの点についての見解を伺いたいと思います。
  60. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 私は、政府が経済対策をやる場合に、まず財源ありきという考え方は、これは平時のことであると思います。平時というのは、もう経済が、ある面では若干景気、不景気の波はありますけれども、順調に推移しておる場合においては、それはやはり入るを量って出るを制すという、そういう基本的な原則に従ってプライマリーバランス、これを考えながらやるのは私は当たり前だろうと思います。  しかし、経済がそうした状況でない中で、国民生活が極めて傷んでいっておる場合において、やはり政府が国民生活に対して責任を持つという立場において財政出動もしていくわけでありますから、その場合においては、やはり財源まずありきという形で必要な手を打っていくという考え方よりも、よりもと言ったらおかしいんですが、そういうことではなくて、正確に言うとなくて、やはり経済をきっちりとしていく、国民生活をちゃんとしていくにはどういう対策が必要なのかという、そういう立場から私は財政は考えられるべきことだと考えております。  それをやらないで、いわゆる単純な、赤ん坊でもと言ったらおかしいんですが、子供でも分かるようないわゆる単純な財政規律にとらわれての、そうした政府がこのマターを取っておると、結局はもう経済が死んで、国民生活は大変な状況になっていくと。これはもう経験しているんですね。愛知委員もそう感じたろうと思います。この十年間、我々は現にそれを体験しておるわけです。そうしたことの延長線上の財政運営をやっていいかどうかということだと思うんです、鳩山政権下においてやるべきことは。  そういう観点から、長くなって済みませんが、観点から考えた場合は、今財源といってみたところで、税収がないことは現実です。これはどうにもならないですね。今後、いろんな対策を打つにしても、来年度予算編成にしても、その財源をじゃどういう形で確保するかといえば、これは税収は急にくっと上がってくるわけでもなければ、特別会計を従来の役人の手に置いておかないで、政治が必要な積立て、何が必要なのかというような基本的な判断を含めて、そうした特別会計にきっちりと切り込んでいくというより、自分たちの手に取り戻すと、こんなことを言ったらおかしいが。財務省を中心とするそうしたところから取り戻すことをやってみても、ある意味では知れているんですね、知れている。  そうなると、じゃ、対策を今の経済情勢の中で打たないのかということになっちゃう。打たないでいいんならいいけれども、どんどんと縮小均衡的なものに入っていくことを避けるとなれば、一時的には借銭をしてでも、国債ですね、してでもやはり経済の基調を変えていく、そういうことを私はやるべきだと思います。  これは今言っていることじゃなくて、私はこれは実は橋本内閣のときから言い続けてきたことでありまして、長い話になりますが、橋本総理は私の言うことを聞いてくれませんで、予算委員会のテレビの中継している中で私は総理と対立したこともあったわけですが、御承知のように。そうした財政政策からアナウンスなき政策転換ということで橋本総理は変えられた。しかし、時既に遅し、マイナス成長に突入をしていって、参議院選挙も敗北、そういう経緯がありますね。私はその中で、小渕内閣、森内閣と政調会長を仰せ付かって経済政策のかじ取りをやらせていただきましたけれども、そうした中で財源をどう確保するかということなくしては、もう政策やりようがないんですね。  そういう中で、当面必要なものは残念ながら国債に頼らざるを得ないという措置もとったわけですけれども、おかげで二%成長行っちゃったんです、御承知のように。調べていただければ分かります。経済が成長しますと税収は上がるんです。当たり前の話ですね。経済が成長しないで税収を上げるなんというのは、税制を幾らいじくってみたところで、消費税を上げてみたところで、法人税を上げてみたところで、これはどうにもならないんですね。基本的には、やはり経済を成長させていくという政策を取る。そのための財源をどうするかという話なんですね。  私は、国債について、もう今言ったように、当面それしか頼る方法がないんであれば、出し方を考えるしかない、出し方をですね。だから、一つは、無利子非課税国債というようなそういう出し方もあるでしょうし、また、市場への影響を考えれば、もう日銀に抱かせるという方法ですね、こんなこと別に難しい話じゃないわけであって、そういうこともこれは方法としてはあり得るわけですね。  今大事なことは、固定観念にとらわれたことをやって、それはできるんならいいですよ、だけれども、できない場合はある意味では柔軟な財政運営、財源の確保ということを考えなければ、この百年に一度のこんな状況、しかもデフレスパイラルという世界の国が起きていないことが起きているこの日本状況、その基調を変えることは私はできないと思っているから、委員にとっては突拍子もないふうに感じられるかもしれませんが、一つは、私のつたない今までの経験の中からも、私はやはり財源を避けて政策なんかあり得ない、その財源については、いわゆる財政規律論者の軽薄なエコノミストの言っていることに振り回されて、すぐ市場関係者だとか、すぐ長期金利がどうだなんという、そんなことを言えば何か納得できるような、妙なそういうことの中で打つべき手が打たれないということは、私は犯罪だと思っております。
  61. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございました。丁寧に考え方を教えていただきました。  実は、大部分私自身もそのとおりだと思う部分もありますし、最後の一点だけはちょっと今から議論をさせていただきたかったんですけれども。  例えば、景気を浮揚させるために刺激策をどんどん打っていくべきだと、またこういう事態ですから財政出動もいとわずというのはまさにそのとおりだと思っております。特に、昨年などはそうだったんですけれども、麻生政権において相当大規模な財政出動をしましたけれども、リーマン・ショックの影響が相当あった。それまでずっと財政規律、財政規律という話をしていたんですが、ああいう事態が起こったから一気に景気対策を打てというのは、私も賛成しましたし、その時点ではやはり必要な対応だったというふうに今でも思っております。  今の状況におかれましても、亀井大臣言われているとおりに、しっかりとした措置をある程度打っていかなくてはいけない、そのことも非常に理解はできますし、やはり必要だというふうに考えておりますが、一方で、ある一定の時点においては、やはり国民のマインドもそうですけれども、今個人消費、あのときも言われていたんですけれども、個人消費が伸びない、そこの原因の一つに不安、将来に対する不安、現在も不安ですけれども、そういったマインドがありますので、やはり財政が将来にわたってもしっかりしているというメッセージを与えるというのは消費者のマインドを融解させていくためにも必要なことであると、一方でそういう見方もあるということも多分御理解いただけるというふうに思います。  いずれにいたしましても、最後の部分なんですが、国債をどうやって償還するか、財源を確保していくかについてなんですけれども、日銀に引き受けてもらうというのも、これはこだわりを捨ててあらゆる手段を動員してみたらどうかという御提案というか考えだと思うんですけれども、その点について議論をしたいというふうに思います。  今日、日銀にも来ていただいているんですけれども、まず、今日資料を配付させてもらっています、各国の通貨発行量という資料なんですけれども。私自身、財政が、また円の信用がどこで崩れていくのかいろいろ調べて、明確な基準もないですから勉強しているところでもありますし、また財務省、日銀共に明確な答えはなかなか出てこないんですが、その調べている一環として、じゃ日本円、通貨というのはどれぐらい発行されているのかと、改めて調べてみました。  そして、びっくりしたんですが、日本銀行券ですね、いわゆる円のお札であるとか通貨ですけれども発行残高が八十三兆円なんですけれども、ある意味でいうと八十三兆円しかないんですね。日本人の個人金融資産が千四百兆とか五百兆と言われていますけれども、通貨自体は八十三兆円しかない。  ちなみになんですけれども、日銀さんに来ていただいているんですが、円そのものの金融資産というか取引量は全体としてどれぐらいあるんでしょうか、お伺いしたいと思います。
  62. 中曽宏

    参考人中曽宏君) お答えいたします。  まず、日本銀行券の発行高と貨幣流通高を合計した通貨流通残高は、二〇〇九年十二月中の平均的な残高で、御指摘ございましたように八十三兆円でございます。  また、本日公表された資金循環統計によりますれば、国内部門と海外部門を合わせました金融資産残高の総額は、二〇〇九年十二月末時点で五千八百三十五兆円でございます。
  63. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。約五千八百兆、円の取引がされている、金融資産として認められているのは五千八百兆もあるんです。  通貨の発行残高が八十三兆、その約七十倍ですかね、以上の円が資産として流通しているという理解でいいと思うんですが、まさに、よくレバレッジとか悪い意味で使われることが多いんですけれども、てこの原理じゃないですけれども、七十分の一の円を元に、それこそ七十倍の五千八百兆円の取引がされている。ここの八十三兆円ですね、八十三兆円の部分がちょっと変動するだけでどれぐらいの影響が出るか分からない、だからこそ慎重にこの通貨というのを考えていかなければいけないというふうに思っているんですが、ちなみに日銀は今でも国債を相当買い入れて保有をしていると思うんですが、その残高はどれぐらいあるんでしょうか。
  64. 中曽宏

    参考人中曽宏君) お答え申し上げます。  現在の長期国債の保有残高、これは三月十日時点になりますけれども、五十二兆円でございます。
  65. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。長期はそうですけれども、すべて合わせてどれぐらいになりますか。短期も含めて。
  66. 中曽宏

    参考人中曽宏君) 今申し上げましたのは長期国債残高でございまして、このほかにいわゆる短期国債が二十一・八兆円ございます。
  67. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。七十三兆、四兆ぐらいですね。  大体この数字を見れば、現在発行している八十三兆円の大部分を国債を買うことに充てているという数字だと思うんですけれども、逆を返すと、発行残高以上に国債は買っていないということですし、それは買わないということで、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  68. 中曽宏

    参考人中曽宏君) 更に若干詳しく申し上げますと、私どもいわゆる銀行券ルールというものがございます。これは日本銀行が金融市場に対して国債を買い入れておりますけれども、これは将来にわたって金融調節の対応力を確保して、安定的な形で潤沢な資金を円滑に供給すると、こういう金融調節の観点から国債の買入れは実施しているところでございますけれども、こうした考え方に基づきまして、日本銀行では、国債買入れにより保有する長期国債の残高の上限を銀行券発行残高とすることとしております。これがいわゆる銀行券ルールと呼んでいるものでございます。
  69. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  ということは、もし国債をこれ以上買い入れようとすれば、発行高を増やさなくちゃいけないということですよね。今八十三兆円ですけれども、これ以上買入れをしようということであれば、そもそもの発行残高をどんどん増やしていかなくては買い入れられないということでいいんですよね。
  70. 中曽宏

    参考人中曽宏君) 詳しく申し上げますと、銀行券ルールのときに考えてございます銀行券の発行残高、これは七十六兆円、つまり八十三兆円のうちのコイン、貨幣を除いた銀行券の分が約七十六兆円ございますので、これを上限として考えてございます。それから、保有しております、いわゆる銀行券ルールを考えます場合は長期国債の保有残高を念頭に置いておりますので、こちらが五十二兆円になります。  ですから、したがいまして、単純な差は二十四兆円なんですけれども日本銀行は、御案内のように、今、年間約二十二兆円の国債を買い入れてございますので、この差というのは、今は二十四兆円ありますけれども、年間二十二兆円買い続けるわけですから、この差というのはだんだん縮小してまいるということになるわけでございます。
  71. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 議論が複雑になってきましたので、単純化して言いますと、いずれにせよ、国債をもっとどんどん引き入れていこうと、買い入れておこうとすれば、自然と日本銀行券を発行していかなくちゃいけないという理解をしています。  何が言いたいかというと、この各国の通貨発行高を見ても、びっくりしたんですけれども日本とアメリカのドルですけれども、実際、米ドル換算で、中段にありますけれども発行残高自体、余り変わりがないんですよね。市場規模としては、多分、GDPがそうですけれども、正確な数字じゃないと思うんですが、アメリカのドルの市場というのは、金融資産というのは多分日本の数倍、三倍、四倍あると思うんですけれども、なのにもかかわらず日本はもう八十三兆円も出している。これがもう既にマックスだと思うんですね。  さらに、さらになんですけれども、亀井大臣先ほど検討されるというか、そういう手もあるんじゃないかということを言っておられた国債の直接のこれは引受けということですね、についてなんですけれども、これはそもそもルール上、制度上認められているのか、できるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  72. 中曽宏

    参考人中曽宏君) これ、財政法五条というものが存在するというふうに理解しております。この財政法五条の本則によりますと、日本銀行による国債の直接引受けが禁じられておりますけれども、この考え方というのは、中央銀行の国債引受けによる財政支出を始めますと、支出の拡大ですとか通貨の増発に歯止めが利かなくなりまして、その国の一国の通貨あるいは経済運営に対する内外の信認が失われてしまう。そうしてしまいますと、経済の持続的な成長、あるいは物価の安定の基盤が損なわれてしまう、こういった考え方が背景にあるというふうに理解してございます。
  73. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  要は、やはりやるべきではないと、しかも法律上も決まっているということでいいんですよね。  この点についてなんですが、先日かな、私の記憶も定かではないんですけれども財務大臣とのやり取りでこういうことが認められるかというやり取りがあったときに、菅大臣の答弁が余りはっきりしていなかったんですね、私が理解できなかっただけかもしれないですけれども。この点について、こういった手法でこれからもやるつもりがあるのか、それとも明確に否定されるのか、菅大臣の見解を伺いたいと思います。
  74. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今まさに日銀の担当者から説明がありましたように、現在の財政法では直接に政府が発行した国債を日銀に買い取らせるということはできないルールになっていますから、どうしてもやるとなればこれは法律改正ですから、現在のところそういう形でやることは考えていません。
  75. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 現在のところは、制度もあってそういうことですけれども、将来にわたっても、今検討もしていない、考えていないということでよろしいんでしょうか。
  76. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今でもマーケットから相当の国債を日銀が買っていただいているというのか、おられるわけでありまして、先ほどの銀行券ルールですか、もその中での日銀の一つのたしか自主的なルール、これは法律じゃなくて自主的なルールになっているわけで、つまりそういう中でいろいろ日銀も政策的な発動をされておりますので、法律改正をしてこの直接の国債引受けをお願いするということは考えていません。
  77. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございました。  実は、亀井大臣のいろいろお話あったんですけれども、私自身の考え方からすると亀井大臣は確信犯だと思っているんです、いろんなことをどんどんどんどん提案をされて。  逆に周りがそれを抑えていくというそのバランスの中で、まあこれは政治家として経験を積まれているからそのような手法を取っているんだと思うんですが、ただ、がけから飛び降りるぞ飛び降りるぞと言っているときに、飛び降りようとして周りの人がぱっと支えるような状況だと思うんですが、余りやり過ぎると、例えば胴上げじゃないですけど、胴上げしているときにふと全員が手を放す瞬間が来るというのが私は危惧しておるんですが、いずれにいたしましても、それはいろんな考え方をお持ちで発言をされているんでしょうが、こういったルールも踏まえて、改めてで恐縮ですけれども、亀井大臣の見解を伺いたいと思います。
  78. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 私は、法律は国民生活を豊かにし幸せにするためにあるものだと、このように考えております。
  79. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  いずれにいたしましても、そこはしっかりと言うべきときはお互いに議論をして、また協力するところは協力をしながらやっていっていただけるというふうに思っていますので、くれぐれもマーケットをしっかりと見ながら御発言されて、慎重に対応をしていただいて、何か見解があればどうぞ。
  80. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 私は、先ほども言いましたけれども、マーケット、マーケットとおっしゃいますけれども、マーケットの一時的な短期的な反応、それも政策を遂行する場合には頭に入れにゃいかぬ大事なことであるかもしれませんけれども、問題はそうじゃなくて、経済自体をどう健全、活性化していくかということが基本なんであって、当面のマーケットの、パソコンをぱちぱちぱちぱちやっている人たちが一時的にそれでもうかるとか、もうかることにプラスになるとかならないとか、エコノミストがそれを材料に論文を書くとか余りそんなことに、私がこう言うとまた物議を醸すかもしれませんけれども、私はとらわれることなく、我々はやはり経済の実態を見ながら打つべき手を果敢に打っていく、市場関係者が間違った反応をしないように、場合によっては説明をし説得をしていくという努力をしないと、のっけから市場関係者がどう反応するだろうかとか、そんなことばっかり考えて経済運営やったら大変なことに私はなると思っています。
  81. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  分かりました。それはまた亀井大臣の経験もあるでしょうから、そのバランスの中でやっていただきたいと思います。  ただ、いつも思うんですけれども、やはり市場をなめちゃいけないなというのは、株でもそうですけれども、古くからいえば世界恐慌のときのブラックマンデーですか、チューズデーとかいろいろありますけれども、ああいったのがなぜ突然引き起こされるのか分からないですし、一度起きてしまうとこれは収拾が付かなくなるので、くれぐれも慎重にしていただきたいなと思います。  ちょっとテーマを変えまして、もう時間がなくなりましたので、景気、経済対策についてなんですけれども、中小企業税制について先日議論をさせていただきました。峰崎大臣の方からあったんですけれども、もう一枚目の資料を見ていただいて、主な中小企業支援税制ということで、租特を調べてみました。右側は租特による課税ベースの減免措置ということで、中小企業に対する租特の措置を抜き出して書き出したものでありますけれども峰崎大臣のこの前の答弁からすると、この中からしっかりと見直しをした上で財源を捻出して、その上で一八%を一一%にするといったマニフェストの政策を実行していくというお話をされていたようですが、その考え方でよろしいのでしょうか。
  82. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 実は、マニフェストをよく御覧になっていただくと、この中小企業の法人税率を一一%に下げるというときには、財源を確保しつつと、こう書いてあるんですね。それは、実はこのマニフェスト事項というのは、ある意味ではそういうペイ・アズ・ユー・ゴーといいますか、そうでなければこれはなかなか認め難いものですよということを申し上げました。  そういう意味で、じゃ、中小企業の皆さん方にそれこそ元気を付けていただくためにはどうしたらいいだろうかと。それは、一つはそういう税率をみんなだれしもが、一一%の税率なら本当にチャレンジをして景気を良くして、自分たちも頑張って、黒字になっても税率が下がるという、一つのだれしもが皆できるということが私も望ましいと思っています。そういう意味で、税率を下げるためには、これは法人税率のところも絡むんですけれども、やはり課税ベースをやはりある程度、狭まっているところありますから、これをしっかりとふさぎながら税率を下げていくと、これがやっぱり一番の王道だと思うんですね、税制改正、特に法人税率のことを考える上に当たって。  だから、そういう意味では、私は中小企業の場合においても、結構これを足していただくと、まあ交際費の不算入の問題は、逆に言えばどう取り入れるかというのはちょっと別問題ですが、これを除いても結構金額まだ残っておりますので、こういった点を本来は少しメスを入れながら、その一方で、一千百億と書いてありますけれども、中小企業の軽減税率を、これを下げていくための財源というのはどこかでやっぱりしっかりと確保しなきゃいかぬねと、そういう考え方は変わっておりません。
  83. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 中小企業のは多分一一%に下げると七%ですよね、これ大体二千億ぐらいだと思うんですけれども、これは二二から一八に下げたときの数字ですから、二千億ぐらいにはなると思うんですが。  ちなみに、改めてですけれども、一八%から一一%に、今、峰崎大臣は、広く一般にすべての企業が公平に受けられる、中小企業が受けやすくなるだろうということで、税そのもの、税体系の構造改革のような考え方を申し上げられたと思うんですが、私の理解からすると、また一般の人の理解からすると、あのマニフェストに載っていた一八%から一一%はそれほど複雑な議論ではなくて、景気対策として一時的に中小企業に対して特別に減税措置をしますよというメッセージだとは思っていたんですけれども、この点について、そもそも一八%を一一%に、中小企業の税制ですね、下げるとマニフェストで明示されたその意図というのは、経済対策、景気対策ではないのですか。このマニフェストの考え方について、これは菅財務大臣に見解を伺いたいというふうに思います。
  84. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 取りあえず申し上げたいと思います。  これはまさに私たちが中小企業の法人税率を下げることの目標はどういうところにあるのかということについては、これは景気対策という側面というのが非常に前面に出てきたことは間違いありません。非常に活力が乏しくなってきているので、少なくとも中小企業の皆さん方が努力をすれば、実は三割ぐらいしか黒字企業ないものですから、本当にそれをインセンティブを与えるためにも一定の役割を果たすのかなと。ただし、今申し上げたように、財源がというところとの絡みでございます。
  85. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  この議論は、それこそ先ほど亀井大臣がおっしゃられたとおりに前倒しで、財源云々と言っているよりかは実行していく。マニフェストにも載っている、しっかりと明示をしている政策でもありますし、まずは実行すべきだというふうには思っていましたけれども、それは政府というか、民主党さんの姿勢としてはやるべきじゃないかというふうには私は思っておりました。  いずれにいたしましても、これについてもまた、租特透明化法、先ほど公明党の荒木委員議論したんですけれども、これについてもまだまだ議論をしなくちゃいけないなというふうに思っていたんですが、今日はちょっと時間がなくなりましたので、この辺で質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  86. 大石正光

    委員長大石正光君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  87. 大石正光

    委員長大石正光君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、植松恵美子君が委員辞任され、その補欠として水戸将史君が選任されました。     ─────────────
  88. 大石正光

    委員長大石正光君) 休憩前に引き続き、平成二十二年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案外二案を一括して議題といたします。  本日は、三案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、社団法人日本経済研究センター理事長慶應義塾大学商学部教授深尾光洋君、筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授青山慶二君及びみずほ証券株式会社金融市場調査部長/チーフストラテジスト高田創君でございます。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いします。  議事の進め方でございますが、深尾参考人、青山参考人、高田参考人の順序でお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。  それでは、まず深尾参考人にお願いいたします。深尾参考人
  89. 深尾光洋

    参考人(深尾光洋君) 本日は、財政金融委員会にお呼びいただき、ありがとうございます。  本日は、成長力強化のためのマクロ経済政策と題しまして御意見を発表させていただきたいと思います。  日本経済は、デフレがずっと続いている状態であります。お手元の資料の下の段にある図でございますが、これがGDPデフレーターでございます。GDPというのは、御案内のとおり、日本経済全体の生産高であり、総売上高でありますが、その単価でありますGDPデフレーターは、一九九四年をピークに、現在までもう一五%ぐらい下がった状態にあります。ですから、もうデフレが九四年以降ずっと続いている。このために、日銀は金利を〇と〇・五%の間しか動かしていない、もうこれ以上下げる余地がないぐらいのところで動かしておりますが、景気がなかなか良くならない。その背景には、デフレになってしまった結果、売上げが減少し続けるといいますか、同じ数量を売り上げても売上げが減っていく。そうなると、金利が低くてもお金を借りてくれる人が少ないと、こういうことでございます。  おめくりいただきまして、上のグラフでございますが、赤い線が実質GDPで、黒い線が名目GDPでございます。この名目GDPは、ピークが二〇〇八年の第一・四半期で五百十兆円ちょっとあったわけでございますが、これが景気が低下しているために約四十兆円減っております。国民一人当たり、年収が三十万円減った状態になっているわけであります。だからこそ景気が悪いと。しかも、現在の名目GDP、名目売上高、生産高は一九九二年と同じぐらいのところまで落ちていることがお分かりいただけると思います。こういう状況ですと、当然税収も上がりません。現在は一般会計の歳出の半分以下しか税収で賄えないと、こういう厳しい状態になっております。  また、潜在成長率も大幅に低下してきております。下のグラフは、日経センターの金融班、私が主査をしております金融班が推計した潜在成長率ですけれども、一番下の潜在労働投入分、これは労働力人口が現在毎年一%ぐらいずつ減っております。六千万人ちょっと労働力人口がありますが、年間六十万人ずつ減っているという状態で、このために働く人の数が減っておりますので、これが潜在成長率を押し下げております。生産性の伸びは〇・六、七%、まあまああるわけですが、設備投資が非常に低迷しているために投資の寄与分が非常に低い水準まで来ております。現在は、御案内のように、法人企業統計季報を見ましても投資は償却を下回っている状態でありまして、資本ストックが余り増えていない、ほとんど増えない状態と。このために、潜在成長率はこの三つの要因を足しても〇・一%ぐらいまで低下している。仮に、投資が回復すれば〇・四、五%までは潜在成長率は回復すると思いますけれども、しかし、とても高い成長は見込めないと。特に人口が減っている状態ですので、生産性をちょっとやそっと上げても高い成長率には見込めない状態にあります。  また、デフレの見通しでございますが、一枚おめくりいただきまして、上のパネルですけれども、線が二本あります。太い線、赤で囲ってある部分がコアコアCPI、ですから消費者物価のうちエネルギーと食料品を除いたものでございますが、この見通しは、現在マイナス一・二ぐらいでございますが、これがマイナス一・二ぐらいでずっと続きそうだというのが私どもの見通しでございます。  この理由といいますのは、GDPギャップ、デフレギャップと言われますが、この細い線で見たところがマイナス四%ぐらい、つまりインフレにもデフレにもならない水準に比べて四%ぐらい低いところにあるためにデフレ状態が続いている。設備も人も稼働率が低い状態になっております。ホテルも埋まらない、飛行機の席も埋まらない、また人も余っている、こういう状況ですと物価が徐々に下がってまいります。設備の方は廃棄できるわけですが、人は廃棄できませんので、その分はどうしても物価の下落圧力になっていくということになります。このために、デフレがマイナス一・二%ぐらい続いて、しかも実質成長率の潜在成長力の方も〇・四、五%ということになりますと、マイナス成長が続いてしまう、マイナスの名目成長率が続いてしまう。そうしますと、税収が減っていくという危機的な状態になります。  日本経済の悪化を食い止めるためには、やはり強力な財政面からの刺激が必要だと思います。財政赤字が非常に拡大しているために、財政赤字を拡大しない形での景気刺激を考える必要があると考えております。  現在、巨額の財政赤字で国債残高が急増しておりますが、日本は対外債権国であり経常黒字が続いております。財政赤字は国内の貯蓄で全部賄えて、しかも少し余裕がある状態で、外国にも貯蓄を輸出している状態になります。このために、資本逃避による円安や金利上昇は避けられてきましたが、現在のような大幅な赤字が継続すると金利上昇のリスクはこれからどんどん高まっていくというふうに思います。そうなりますと、財政赤字を刺激しない形での景気刺激策というのを考えていって、これ以上国債発行を増やさないということが必要だと思います。  一つのやり方としては、消費税の段階的な引上げと、その大部分の税収を使った社会保険料の大幅削減であります。例えば、来年の一月から消費税を二%、現在の五を七に引き上げて、その後も毎年二ポイントずつ引き上げていく。そうしますと、これで三回分で六%、税収で十四兆円ぐらいになりますが、これで現在社会保険料で賄っている基礎年金給付の部分、基礎年金給付全部ではありませんで、うち社会保険料で賄っている基礎年金給付が十一兆円ぐらいございますので、これを税に切り替えていくと。定額の国民年金保険料を廃止して、厚生年金も保険料をその分に当たる一六%から一〇%、大体六%ぐらいカットできる。  これをやりますと、消費税を徐々に引き上げていくという期待による消費支出の前倒し、あるいは建設投資の前倒し、住宅の建設費も上がってまいりますのでそれの前倒し、それから給与の手取りの増加、それから年金財政への信頼性の向上、こういったことによって消費支出を拡大できるのではないかと。また、企業にとっても、企業負担分の年金がかなりありますので、折半になっておりますから、それが減るということによってパートから正規雇用へのシフトを促進できるというふうに思います。  ですから、消費税を引き上げつつ社会保険料をカットすることで景気刺激、一部税収に、増税に回しても、赤字の削減に回しても景気を刺激できるのではないかと。  もう一つのやり方は温暖化対策でございます。  鳩山政権の目標値、九〇年比マイナス二五%というのは非常に厳しい目標でございます。日経センターもシミュレーションをやっておりますが、これを炭素税だけで、あるいは排出権取引だけでやろうと思いますと、排出権取引の価格が五万円近くにならないと、二酸化炭素一トン当たり五万円近くにならないと目標は達成できないという非常に厳しい目標だというふうに認識しております。  ただ、むちだけといいますか、炭素税だけでやりますと五万円とか要るわけですが、炭素税と補助金の両側、あめとむちを両方使っていけば、私は二万円程度で可能ではないかというふうに考えております。そうしますと、化石燃料に対して、原油、石炭、天然ガスについて二酸化炭素一トン当たり最終的に二万円、二〇二〇年に二万円、当面二千円から炭素税を導入すると、その後も毎年炭素税を二千円ずつ引き上げて二〇二〇年までにトン当たり二万円にするという提案をしております。  既存の税をそのままにしておく必要がありますが、現在のガソリンに係る税金なんかは全部そのままにして、それに上積みしてこれだけを課すわけであります。トン当たり一万円課しますと、ガソリン税で大体リッター二十円ぐらいになります。一バレル当たり五十ドル程度の課税になります。ですから、かなり大きいわけでして、トン二万円ですとガソリンを四十円ほど値上げする。灯油も同じ四十円の幅で上がりますので、かなり重い税金になります。  これと同時に、この税収は相当になります。二万円の炭素税を二〇二〇年時点で課しますと、十六兆から十八兆円の税収になります。このうちの相当部分を太陽光発電や住宅、オフィスの断熱強化のためのリフォーム、あるいは企業の省エネ投資の補助金等に使えば、相当の景気刺激が可能であるというふうに考えます。  上記の一、二の政策を同時に行いますと、当面、物価を毎年一・八%程度押し上げます。ですから、消費税を二ポイント毎年引き上げて炭素税を毎年トン当たり二千円ずつ増加していく、これにより物価を一・八%程度押し上げますと、コアコア消費者物価を当面前年比プラス〇・六%程度に押し上げることが可能になります。もちろん、このコアコア物価には、炭素税は普通のコアコアに入りませんので、実はこれは炭素税も入れて消費者物価の上昇ということになりますので、消費者物価全体を大体プラス〇・五ぐらい、六までぐらい押し上げるというふうにお考えください。この結果、デフレ期待を払拭できるということになります。  他方、金融政策については、私は量的緩和の早期実施が望ましいと思っております。金利を下げる余地はもう〇・一しかございませんが、今後三年間見通しても物価がプラスにならないという見通しを日銀自らしている状況ですので、私は、量的緩和を当然すべきであって、金利はゼロに限りなく近づけるべきだと。無理やりゼロに押し下げるというのではなくて、金利をアメリカのように〇・二五以下というような形にして市場金利をゼロに近づけておく、これで量的緩和をすることによってマーケットの株式、株高や円安をある程度誘えるのではないかと。  ただ、効果としては、金融政策の効果は何といっても金利の引下げ効果でございまして、金利の下げ幅が〇・一しかありませんので、そんなに大きな効果を期待することはできません。しかし、これによって援護射撃といいますか、財政面でも増税と減税を一緒に行う、また増税により投資の補助金を出すといったことによって景気を良くしながら財政に対する信頼を回復して景気を押し上げていく、これが早急に必要ではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  90. 大石正光

    委員長大石正光君) ありがとうございました。  次に、青山参考人にお願いいたします。青山参考人
  91. 青山慶二

    参考人(青山慶二君) 筑波大学の青山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  私は大学で租税法を担当いたしておりまして、中でも国際課税を専門領域といたしておりますので、今回は税制改正法案中の国際課税関連の部分につきましてまずコメントさせていただきまして、残りの時間で租特透明化法案と今後の税制在り方一般につきまして意見を述べさせていただきたいと存じます。  国際課税のルールは、御案内のとおり国内法と租税条約がパッケージになって作用する領域でございますけれども、経済のグローバル化が進みまして、国境を越える取引から生み出される所得が質、量の両面で大きく拡大しております状況の下では、先進国そして発展途上国の別を問わず、納税者、歳入当局の双方から重要なインフラの一つというふうに位置付けられてございます。  近年は特に取引に占めます無形資産やサービスの取引の比重が高まっておりまして、また国際課税のプレーヤーの面で見ましても、多国籍企業のみならず、多様な事業体を利用した個人投資家など、多様化してきております。このことから、国際課税のルールにつきましては、取引環境や実体に即した不断の見直しと国際的な協調が必要とされるという特徴を有しております。  今回の税制改正法案には、このような観点から、従来課題となっていた幾つかの重要事項についての改正が盛り込まれていることが注目されるところでございます。そこでまず、中でも最も注目される改正といたしまして、外国子会社合算税制見直しでございます。資料のスライドの二枚目のところから具体的に書かせていただいてございます。  まず、いわゆるトリガー税率と申しますが、二五%以下従来であったものを二〇%以下に引き下げられております。外国子会社合算税制は、我が国に比して著しく税負担の低い国や地域にある子会社などの所得を親会社に合算して課税する制度ですけれども、今回のトリガー税率の引下げは、我が国の実効税率が五〇%から四〇%に下がり、それから諸外国、とりわけ我が国企業の主な進出先でございます周辺国の法人税率も下がってきているという国際的な潮流を勘案した時宜にかなった改正であろうというふうに考えております。  すなわち、我が国企業の主な進出先でございます中国、マレーシア、ベトナム、韓国といった国々においては実効税率が既に二五%以下の水準まで引き下げられてきております。いわゆるトリガー税率を下回るような状況になっております。このため、合算課税の対象とならない多くの子会社につきましても、税負担率の計算あるいは適用除外基準を満たしていることの立証作業、こういったものが納税者にとって相当の負担となっているというふうに承知しております。今回のトリガー税率の引下げは、我が国企業の事務負担を軽減し、その国際競争力を維持する効果があるというふうに考えております。  次に、子会社の所得が合算対象となるかどうかについての適用除外基準でございます。三つ目のスライドでございます。  これにつきましては、これまでは主な事業が株式の保有等であれば合算対象から除外されないこととされておりました。いわゆる持ち株会社等は合算対象にしてしまうということでございました。今回の法案によりますと、企業実体を伴っていると認められる統括会社につきましては、資産所得を除いて合算対象から除外することを認めることとされております。  これは、より具体的に申しますと、EUやASEANなど地域経済圏の形成が進展する中で、多国籍企業はグローバル経営を効率的に行う観点から地域ごとに海外拠点を統合する地域統括会社を設立いたしております。言わばミニ本社としてグループ傘下の企業収益の向上に寄与しているという実体があるわけでございますけれども、このような地域統括会社の活用自体は、基本的に租税回避目的で設立されたものとしてとらえるべきではございません。グローバルに展開するグループ企業、多国籍企業にとって必須のものであって、かつその地において事業活動を行うことに十分な経済合理性があるものというふうに評価することができるのではないかと思います。  他方で、今回の改正案では、資産運用的な所得として、外国子会社が受けるポートフォリオ株式、そして債券の運用による所得、それから使用料等につきましては、先ほどの適用除外基準を仮に満たしていたとしても親会社の所得に合算して課税することとしております。これはトリガー税率には引っかかるものの、適用除外基準を満たす特定外国子会社等に資産運用的な所得を付け替えるような租税回避を防止する措置というふうに位置付けられてございます。  より具体的に申しますと、我が国の外国子会社合算税制は、いわゆるエンティティーアプローチと申しまして、会社単位で所得の有無を判定する、言わばオール・オア・ナッシングの仕組みを取っておりますので、現行制度の下では、もし適用除外基準を満たす外国子会社に所得を付け替えたような場合にはそのような租税回避を防止できないという問題がございました。すなわち、本来であれば我が国で課税すべき所得であるはずのものが、外国子会社全体としては適用除外基準を満たすことによりまして、そのような所得も含めて子会社所得全体が合算課税を免れているということになっていたわけでございます。ここで、親会社、子会社間で容易に付け替えが可能な所得といたしましては、ポートフォリオ投資的な配当、利子等の資産性所得が考えられます。  今般の改正は、仮に適用除外基準を満たすような外国子会社であったとしても、このような一定の資産性所得については親会社の所得に合算するという改正です。私自身、外国子会社合算税制においては、特定外国子会社の移動可能な資産性所得などいわゆる受動的な所得については、租税回避防止の観点に立って、適用除外基準の充足いかんにかかわらず基本的に合算対象とすべきであると従来から考えてきておりました。  今回の改正案は、エンティティーアプローチの持つ執行の簡便性を生かしながらも、所得の性質を利用したいわゆるインカムアプローチ、これの典型例は実はアメリカで採用されているものでございますけれども、その要素を組み込むということで、租税回避防止のためによりきめ細かな対応を可能とするものであるというふうに考えます。  以上、トリガー税率の引下げ、そして適用除外基準の見直し、そして資産性所得の合算の全体像は四枚目の総括チャートにまとめられてございますけれども、これらは企業活動のグローバル化に即したものであると同時に、経済合理性や実体がないものを合算対象とするという外国子会社合算税制創設時の趣旨に照らしましても適切な対応であると評価されると考えます。  また、このほか、国際課税においては、相手国に存在する取引情報を入手する必要上、租税条約に基づく情報交換が的確に行われることが重要であります。今改正法案の租税条約実施特例法の改正は我が国の情報交換体制を強化するものでございまして、昨年のG20以降の国際協調の方向性と合致した時宜を得た改正であると考えます。  さらに、振替社債等の利子非課税制度の創設も国際的なスタンダードに合致したものであり、海外投資家のインバウンド投資を促進する効果があると思います。  二十二年度国際課税分野の改正を振り返りますと、平成二十一年度改正において、外国子会社からの受取配当益金不算入制度の導入といった重要な改正が先行して行われましたが、今回は、同改正を踏まえながら我が国企業の国際競争力を維持する一方で、租税回避を一層的確に防止するという二つの観点に立ち、しかも両者のバランスを考慮した有意義な改正案であると評価できるのではないかというふうに考えております。  こういった改正が企業活動や企業の税負担にどのような影響を与えるかについても今後とも注視していきたいというふうに思います。  次に、租税特別措置適用状況透明化等に関する法律案について一言所見を申し上げます。  今回の税制改正案策定の過程において租税特別措置見直し基準が定められ、それに沿って多くの措置がゼロベースで見直され、実際に縮減、廃止につながっております。公平性の観点からは、見直し基準で言及されました合理性、有効性、相当性による厳格な検証は必須と考えられますので、こうした取組は評価したいと考えます。  また、それと同時に、租税特別措置の効果を検証するため、いわゆる租特透明化法案が今回提出されております。これまでも増減収額の大きい租税特別措置についてはその見積額が公表されてきましたけれども、今回の法案が成立し実施に移されると、租税特別措置の適用実態が見積りのみならず実績ベースでも明らかになり、今後の租税特別措置見直しにも役立つものと理解しております。  最後に、今後の税制在り方について全般的な所見を申し上げます。  最近の我が国の財政の状況を見ますと、来年度予算は新規公債発行額が税収を上回るなど大変厳しい状況にあり、さらに高齢化の進展による社会保障支出の増加が見込まれる状況にあります。国際的に見た場合、リーマン・ショック以降、諸外国のフローの財政収支も悪くなってはいますが、債務残高について見ると、我が国の規模は諸外国に比べ格段に大きいものがあります。  現政権におきましては、支え合う社会を実現するとともに、経済社会の構造変化に適応し、国民が信頼できる税制を構築する観点から税制を全般的に見直すという方向性をお示しされ、今後、税制抜本改革に向けて具体的ビジョンが検討されると伺っておりますけれども、我が国財政の国際的な信認を確保していくためには、税の財源調達機能の回復を図る方向にかじを切っていくことが急務になっていると考えます。  また、国際課税は、国際的な経済活動の変化とともに、それへのタイムリーな対応が常に求められている分野でもございます。こうした国際的な経済活動への変化への対応も含めまして、経済社会の構造変化に適応した税制を引き続き目指していただくことを期待いたしまして、私の陳述を終わります。  御清聴ありがとうございました。
  92. 大石正光

    委員長大石正光君) ありがとうございました。  次に、高田参考人にお願いいたします。高田参考人
  93. 高田創

    参考人(高田創君) みずほ証券の高田でございます。  本日は財政金融委員会に参加させていただきまして、誠にありがとうございます。  私自身は、今回の場合は市場参加者ということで、私自身も四半世紀ばかり国債の市場に従事してきたということもございますので、そういう観点からお話をさせていただこうかと思います。  また、今回のこのペーパーでございますけれども、昨年十一月十三日、財政に対する信認の確保に関する検討会というものがございまして、そちらでも使わせていただいたものを少し発展させていただいたものということでございます。  私も先ほど申しましたように二十五年近くこの業務に携わっておりますけれども、ちょうど昨今で申しますと非常に国債に関する話題が強くなってきているなと感じております。特に最近、いろんな雑誌それから新聞等でも国債が本当に大丈夫なのかというような議論が行われているわけでございまして、ただ、私自身もこの仕事をやっておりまして、こうした状況は約十年近く前もこのような状況がございました。特にそのころも国債が本当に暴落するのではないかというようなこともございまして、私自身も「国債暴落」という本を書かせていただきながら対応した時期もございましたが、ただ私は、今回の状況の違いということになってまいりますと、今回は特にグローバルな状況日本だけの状況ではないという点が大きいのではないかと感じている次第でございます。  今回の私の資料でございますが、まず一ページ目をちょっと御覧いただければと思います。  こちらに各国の国債の不安状況を表わすものといたしまして、最近はクレジット・デフォルト・スワップと言われるものがございますけれども、こうしたものが非常に最近ビビッドに変動するようになってきたということでございます。  ここにはPIIGSと、何かこれは最近はピッグスという言葉らしくて、ちょっと前までだれも聞いたことがなかったような言葉でございますけれども、ここにございます、右側のところにあるような国の頭文字を取ったものがPIIGSというふうに言われておりますけれども、ちょっと前まで私も全くこんな言葉は知りませんでしたが、こうした国々の不安というようなものが言われ出してまいりまして、最近はそれに加えて、ここにはございませんが、STUPIDなんという、そういう頭文字までも言われるような状況にもなってきていると。  特に、今年になってからはギリシャの問題というものが大変話題になっておりまして、今日の新聞を御覧いただきましても非常に多いということでございまして、そうなってまいりますと、次は日本かと言われるくらいの状況も各国で言われていることでございまして、私も実は今月ヨーロッパを回ってまいりましたけれども、こうした日本に対しても不安というような声を述べる外国人投資家も非常に増えてきたなということを感じる次第でございます。  こういう状況の中で、日本国債の状況でございますけれども、二ページ目のところでございますが、これは日本の国債の金利がどういうことによって成り立っているのかというようなものをちょっと簡単な試算をしたものでございまして、ここでは黒い色になっておりますのをリスクプレミアムと申しましょうか、特に財政に関してこういう不安をという一つのインジケーターとして表したものでございますけれども、これは必ずしも財政というふうに結論付けるわけではございません。  しかしながら、ここに表れております四半期ごとので見てまいりますと、右から四つの棒が出ておりまして、特に右から四番目、昨年の一—三、それからこの二つでございますけれども、昨年の七—九、十—十二と、よりこういうようなものが上に伸びていると。こうしたものは、やはり財政に関する不安というものを市場がだんだんと意識したというふうに考えることもできるのではないかと思います。  次の三ページ目のところでございますが、こうした要因は、日本の国債の金利自体は現在のところ一・三%台ということで、数字づらから見ますと非常に安定しているように見えるわけでございます。ただ、この三ページ目のところでございますけれども、非常に日米の金利が連動しているということを考えてまいりますと、ここにもございますように、昨年の三月から四月、また昨年の十月以降十一月にかけてアメリカの動きとは別に日本の金利が急に上がり出したといったこと、この辺は、先ほど前のページと同様に、やはり財政に関する動向を市場がビビッドに表し出したと。  そういう意味で申しますと、私も実は参加いたしましたけれども、事業仕分を機に下がってきたというのは、ある程度こうしたものに対する一つの安心みたいなものもあったのではないかと思いますが、しかしながら、それ以降依然として、小康状態を続けているとはいいながら、まだ不安定な動きがあるというのも市場参加者の一致した見方ということでございます。  こうした状況の中で、財政に対する不安というものは、次の四ページ目のところにもございますように、ここにございます、要は税収と支出に対するアンバランスと申しましょうか、税が下がる一方で支出が拡大する、当然その結果として公債発行額が増加していくと、それに対する際限ない不安というものを市場参加者が持ち出しているというふうに考えることもできるのではないかと思います。  また、こうした状況は、次の五ページ目のところにございますように、日本だけではございません。しかしながら、財政といったものを意識し出すなら、各国では財政の出口戦略というものを意識し出していると。そういう状況の中で、グローバルな投資家も含めて日本はどうなんだというような点に関心を持ち出してきているというのも実際の状況ではないかと思います。  こうした状況の中、日本の国債の状況でございますけれども先ほどPIIGSと同じかという議論がございました。私は、そういう状況の中で日本の特徴というものは、ある面でいいますと、私は何年か前から申し上げているんですけれども、例えて申しますとお父さんとお母さんのやり取りみたいなものではないかと申し上げてまいりました。  これは、ある面で申しますと、日本は財政赤字が非常に大きいわけでありますが、日本の国内で完結している状況でございます。そういう意味では、この十年間も含めまして、国債を活用しながらある面でいえば調整を対応してきた。これは悪く言えば先送りの道具でございますけれども、よく言えば時間を確保できる特権を持った状態というようなことと言えるわけでございます。  しかしながら、昨今の状況考えますと、同じ家だからといってそこに安住していいのかというような意識というものも出てきている。そうなってまいりますと、同じ家だからこそ必要な信認を市場の中でどう確保できるのかという部分が問われているというふうに考えることもできるのではないかと思います。  また、こうした状況は、同じく例えて申しますと、日本の場合は赤字企業のようなものだというふうに考えることもできるのかもしれません。  私も、金融界に身を置く立場といたしまして、よく企業さんへの融資を担当しておりましたけれども、企業というようなものは別に赤字で倒産に至るわけではございません。要は資金繰りというふうに考えることができるわけであります。  その例えで例えて考えますと、日本の場合は、今、先ほど申し上げました収入と支出の関係から見れば明らかに赤字でございます。これが続く中で、場合によっては債務超過状態にあると言えるのかもしれません。しかしながら、そういう状況の中でも、投資家、国内の金融機関は、ある面でいえば国に対して融資を、それはある面でいえば国債への投資を続ける状況というふうに考えることができるわけであります。  しかしながら、その背景にあるのは、ある面でいえば国に対する、国の返済意思とそれに対する期待というふうに考えることができるわけでございまして、当然、企業でも同様でございますが、そうした赤字企業への融資というものには再建計画というものも必要になってまいります。ある面でいえば、市場というものは、そういう再建というものを意識しながら若しくは期待しながら投資を続けている状況というふうに考えることができるわけでございます。  先ほど、次はPIIGSかと、PIIGSの次は日本かと言われておるわけでございますけれども、次の八ページ目のところにございますように、確かにそのPIIGSのところに表れておりますような国々と同様に日本の場合の債務残高は非常に大きいわけでございまして、こうしたものが日本の国債に対する海外からも不安につながっていると見ることができるわけであります。  ただ同時に、このPIIGSとの違いということを考えてまいりますと、次の九ページ目のところにもございますように、これは各国の経常収支の状況でございます。これを見ていただきますと、PIIGSの問題は明らかにこの右側、要は経常収支の赤字にあるわけでございまして、日本の場合はそれと対比いたしまして左側、黒字状態にあるわけであります。  しかも、日本の場合は、次の十ページ目のところにもございますように、こうした黒字状態というものが一九七〇年代からと申しましょうか、非常に恒常的に続いているわけでございまして、こうした点が、先ほど申しました赤字企業であっても資金繰りが、またお父さんとお母さんの状況、家のような状況になっていると。  しかしながら、こうした状況ではあるわけでございますけれども、今後を考えてまいりますと、高齢化等の問題で黒字状態というものも本当にこれが続くのだろうかと。また、こうした状況の中で、日本の国内の投資家というものが日本にキャピタルフライト、資本投資を行わないで信認を保つことができるのかというような点が問われているわけでございます。  そうした状況を、先ほど申しましたように、再建というものに対する信頼と申し上げました。先ほど融資と同じと申し上げましたけれども、もう企業と同じように考えますと、要はバランスシートをどう見ながらファイナンスを続けるかという議論になってまいります。その点で、次の十一ページ目のところで日本のバランスシートを考えてまいりますと、どうも赤字状態にあるわけでございます。  そうした状況にあるにもかかわらず、ある程度国に対するファイナンスが続くということをある面で解釈して考えるとすれば、次の十二ページ目のところにございますように、国民負担率、租税に対する国民負担率が海外と比べても非常に低いと。こういうような状況の中、仮に例えば、次の十三ページ目のところにもございますように、例えば欧米並み、ここでは二三%を三五%に例えば仮に引き上げるという一つの試算を行ってまいりますと、毎期毎期の税収というようなものがここでは二十二兆円生まれるとしております。  こうしたものを現在価値に倒すと申しましょうか、例えば資産価値がこういうようなものにあるんだというような計算をいたしますと、ここにございます試算のように、債務超過というものが埋まり、場合によっては今後の国債の発行余力というようなものもある程度あると。逆に言えば、こうしたような解釈をしない限りはなかなか今の状態を正当化することができない状況にあるというふうに考えることもできるわけであります。ある面でいえば、こうしたものは一つの再建計画に対する状況、要は今後の経済成長とそれに対しての税負担というようなものを日本国が行い得ると。  当然、そうなってまいります中で市場というものが見てまいりますのは、この十四ページ目のところにあります、国債版マニフェストとさせていただきましたけれども、短期、中期、長期にわたる、ある面でいえば再建計画というようなものを暗黙のうちに市場というものが織り込みながら考えていると。ここの十四ページのところにあります計画というものは、あくまでも我々が一つの案として提案したものでございますけれども、逆に言えば、このような対応というものを市場はある面でいえば暗黙のうちに織り込みながらの状況というふうに考えることもできるのではないかと思います。  また同時に、こういうプロセスというようなものは、次の十五ページ目のところにありますように、市場、国債管理政策というふうに考えることもできるかと思いますが、こうしたものは単に発行体だけにとどまらず、市場参加者、また場合によっては金融当局、日本銀行といった、こういうようなものの総合的な対応の中で何とか信認を保つことができ得るような状況というふうに考えることもできるわけであります。  現在の状況、国債暴落に言われながらなっていないというものは、ある面でいいますと、この十六ページ目のところにございますように、現在は運用難という環境の中、金融機関というものが国債に資金を向ける。しかしながら、ここの中での不安というものは国民が海外に資金を持っていく、資本逃避と申しましょうか、また市場というものが不安を抱くということになりますと、こういう状態というものが維持できない。  要は、今の状況というものは、次の十七ページ目のところにありますように、貸出しがマイナスになるような需給関係、若しくは何とか市場の信認というものがつなぎ止められている中での状況考えることもできるわけであります。  そうなってまいりますと、日本国内、国内の中で対応できると申しましても、この十八ページ目のところにございますように、国債を通じてある面でいえば日本の意思というものが問われている状況、国債に対して何とか信認をまだ寄せている状況でございますが、そこにはあくまでも先ほど申しました成長期待と国の意思と、また場合によっては市場の中での対応というようなもの、こうしたものの信頼関係というものが問われているというふうに考えることもできるのではないかと思います。  また、最後のページになってまいりますけれども先ほど申しましたように、今回の状況日本国内だけではございません。グローバルで国債というものを通じながら、何とかどの国も再生を願おうとしている状況でございます。  しかしながら、先ほど挙げましたPIIGSの場合は、調達力が乏しい国は資金繰りがもてないと。そういう状況の中で、日本は何とかこの安定した調達力というものを一つの競争力と申しましょうか、として有しているわけでございます。  そういうような調達力というようなものを、国際競争力と申しましょうか、しかしながら、それはあくまでもそれを生かすための国の意思というものが求められているわけでもございまして、そういう状況の中で、私も、たまたま先々週海外の投資家と議論した中での意識というものは、あくまでもこうした状況の中で、時間を確保しながらも、日本が本当にできるのかというものが問われている状況ではないかと感じた次第でございます。  以上でございます。
  94. 大石正光

    委員長大石正光君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  95. 風間直樹

    ○風間直樹君 三人の参考人の皆様、今日はありがとうございました。  私からは、国債に関して若干お尋ねをさせていただきたいと思います。  まず最初に、郵政民営化の見直しと今後の国債の発行に関連して質問をさせていただきます。  二月上旬に政府が郵政民営化の見直し案を発表いたしました。この中で、御案内のとおり、それまでの郵貯の預け入れの限度額を一千万円から三千万円に上げると、こういう案が発表されたわけでございます。  これをめぐっては、この見直し案の発表以降、マスコミにおきまして非常に激しい論争あるいは評価がなされていると私は感じておりまして、特に、この上限設定の変更が、今後郵貯が残高をより一層国債で運用せざるを得ないという状況につながっていくのではないかと、こういう報道が随分見受けられるわけでございます。私も同様の認識と、また憂慮を持っております。  そこで、深尾参考人と高田参考人にお尋ねをしたいんですが、この民営化の見直しに伴う郵貯残高の限度額の上限変更、これが仮にも国債の購入を通して財政規律の弛緩につながるものではあってはなりませんし、また政府は今後とも無駄な歳出の削減の努力を続けていかなければならないと、こう考えております。また、もし市場原理に反するような形で政府が間接的にでも国債を買い支えるようなことになりますと、海外の投資家にとっても日本国債の魅力が低下することも懸念されると思います。  これまでも深尾参考人は無利子国債や政府支援に反対をされていらっしゃいますし、また一方、高田参考人はマーケットの長期金利上昇の予測に異を唱えていらっしゃいます。  そこで、両参考人に、郵政民営化に伴う郵貯の上限設定の変更と、これが国債価格及び長期金利にどのような影響を与える可能性があるかについてお尋ねをいたします。
  96. 深尾光洋

    参考人(深尾光洋君) 郵貯の上限金利を上げた場合に資金がどう動くかというのが一つのポイントであります。その場合に、郵便貯金の金利設定、これが都銀あるいは地銀の出している預金金利設定に比べて魅力的なものになるかどうかというところが一つのポイントになるかと思います。  郵便貯金は、昔は財投を使ってやや高めの金利で運用できていたということによって、高めの金利をオファーすることで資金を集めてきておりましたが、その部分がなくなったために、現在は大体同じ程度の金利を出すところにとどまっている。このために資金シフトはそんなには大きくないというのが現状だと思います。  仮に今三千万円に上限を引き上げた場合に、ある程度資金量が増える可能性があって、その場合には、運用としては、どちらかというと貸出しよりは国債運用といいますか債券運用が多めになるだろうというふうに思いますので、そうなった場合には多少長期金利に下方圧力といいますか、上昇を抑えるような圧力に働く可能性があると思います。  ただ、私自身は、上限金利の引上げはやはりゆうちょ銀行についての完全民営化を前提として外すのが適当だというふうに判断しておりますので、現状を引き上げること自体には反対でございます。
  97. 高田創

    参考人(高田創君) 郵便貯金の限度額引上げということになりますと、どのぐらいの部分が実際に郵貯に資金移動があるのかというのはいろいろ議論はあろうかと思いますが、少なくともある程度郵便貯金の方に流れるのは当然だろうなというふうには思っている次第でございます。  その場合に、現状の郵便貯金のところでの保有の資産というものを考えてまいりますと、一般金融機関に比べれば国債の保有比率が高いということを考えれば、ある程度やはり国債の市場に流れると申しましょうか、という部分はあろうかと思います。  そういう意味からいいますと、国債の需給面からすればある程度プラスに働きやすい、当然のことながら、金利の面は、ほかの状況というものを一定と考えれば、低下の方向に働きやすいという部分はあろうかと思います。  ただ、今郵便貯金の方もこうした資産の保有に関しては、当然のことながら実際の状況に対しての投資の中でどう考えていこうかということだろうと思いますので、あながち自動的に国債に振り向けるということではないのではないかと思います。  そういう意味では、こうした郵貯自体も、当然のことながら財政に対する規律というようなものが不安があれば、ここに対しての資金のところをどう考えようかといういろんな議論もおありかと思いますので、そういう意味でいいますと、こうしたところに関しては、先生の御指摘ございましたように、単に規律のところの弛緩ということよりも、市場参加者として同様にしてやはりこの財政規律というものをどのように意識していこうかというようなマーケット参加者としての視点というようなものも当然のことながら出てくるのではないかというふうに考える次第でございます。
  98. 風間直樹

    ○風間直樹君 ありがとうございました。  そこで、高田参考人にお尋ねをさせていただきたいと思うんですが、当委員会でも菅大臣あるいは亀井大臣に対しまして、委員の間から、今後の国債発行の余力をどの程度と見込むのかと、こういう質疑が度々なされているところでございます。  今日、高田参考人におかれましては、御提出いただきました資料の中で、日本の租税負担率が欧米並み、約三五%に上昇するケースと仮定をされた上で、その場合、追加的な国債発行余力は五百六十九兆円と試算、このようにされていらっしゃいます。  ちょっと現実に即して議論をさせていただきたいんですが、民主党政権は昨年八月の総選挙前に、当時野党でございましたが、マニフェストを発表いたしました。私、その場に参加をして、直接当時の鳩山代表から消費税に関する認識をその場で耳にしたわけでございますが、その場での説明は、政権を担当した場合、四年間は消費税は上げない、ただし議論はすると、記者の質問に答えてこのように明瞭に答えておられました。今現在、菅大臣が先般消費税に関するあのような御発言をされたこともありまして、今後この消費税の税率アップをどのようにするのかということがこれから言わば議論が始まるところだと認識をしております。  そうした中で、四年間は少なくとも、選挙で公約したこともあり、消費税率は上がりません。じゃ、四年後からはどうなるかというと、恐らくこれは次期総選挙で民主党も自民党もそれぞれの公約の中に明確にそれをうたった上で、国民の審判を経て、恐らく私は消費税の増税という形に行かざるを得ない現在は趨勢なんだろうと考えております。  そうしますと、少なくともこの四年間はまず消費税率のアップはないと。四年目以降はアップがあると。その場合、どの程度アップするか、これはまだ分からないわけでございますが、こうしたことを現実に想定した場合、高田参考人は今後の国債発行の余力というものを段階的にどのようにお考えになられますか、その辺のイメージをお伺いできれば有り難いと思います。
  99. 高田創

    参考人(高田創君) なかなか、結局、市場というものは美人投票みたいなものがございます。どのように意識するかという点もあろうかと思います。ここに今回挙げさせていただきましたのは一つの試算ということでございますので、ある面でいえば、そういうような余力若しくはそうした意思というようなものを判断しながら市場が暗黙のうちに織り込んだ状態が今の状態にあろうかと思います。  そういう面からいたしますと、ある面でいえば、先に対してこのような道筋を明確に示すんだというようなところを市場が好感するというんでしょうか、納得すれば、今すぐ上げないにしても、このような道筋というようなものを、説得力を持って考え得るようなことが道筋が示されるのであれば、市場の方は、何というんでしょうか、今すぐじゃなくても、ある程度安心してと申しましょうか、好感する部分はあるのではないかと思います。  ただ同時に、今申しましたようなこういう増税みたいな議論というものは、当然のことながらある程度の経済というものの状況というものも一つの存在でございます。ですから、ある程度成長と申しましょうか、景気の回復みたいなものと、それからそれに対しての税収の拡大というようなもののシナリオが描けるというような方向付け、こうしたものに対する、市場というものはあくまでもそうした方向性を意識するものでございますので、そういうシナリオが先であるにしても描ければ、市場というものに対して影響は及び得るのではないかと私は考える次第でございます。
  100. 風間直樹

    ○風間直樹君 続きまして、深尾参考人にお尋ねをしたいと思います。  参考人は、今日御提出をいただきました説明資料の中で、当面の日本経済の展望と題して、今後日本経済が高い成長率を見込めないと、その原因の一端として人口の減少が今後も続くことを挙げていらっしゃいます。私もこの点は同感でございます。  最近、経済新聞等の様々な論調を見ておりますと、そろそろこの人口の減少というものを前提にして、政府が今後の労働人口の維持ないし増加のためにどのような方策を打つかということを真剣に議論すべき時期に入ってきておるのではないかなと、こういう認識を私は持っているところでございます。  特に、一月ほど前だったと思いますが、日経が出しております日経ヴェリタスという新聞にメリルリンチ証券の菊地さんというアナリストが論考を出していらっしゃいまして、その中で、日本経済の今後の成長を見込む上で、移民政策の解禁というものを真剣に検討せざるを得ないだろうと。ただしと菊地さんは続けていらっしゃるんですが、民主党政権は、その支持母体、連合の性格もあり、この移民を労働力として入れるという策を取るのはなかなか困難だろうと、このように分析をしていらっしゃいます。  こうした様々な論調を背景にして、深尾参考人はこの人口減少、労働力の減少に対してどのような方策を打つべきとお考えになっていらっしゃるか、お尋ねをしたいと思います。
  101. 深尾光洋

    参考人(深尾光洋君) 私も労働力人口に対して移民政策を真剣に考える時期にもう来ているというふうに思っております。私も、日経センターのホームページの一番トップページの右端に私のコラムがありますが、そこにこれまで何回か書いておりますけれども、私は、未熟練労働の移民は日本に入れて同化するのが非常に難しいので、これについては慎重に考えるべきだと。しかし、知的な移民といいますか、非常にできる外国人を入れるという観点から人を入れるということを考えるべき時期に来ているというふうに見ております。  私の具体的な提言は、日本語能力試験というのが全世界五十か国以上で行われておりまして、年間五十万人以上が外国で受けております。特に中国、アジア諸国で受けているわけですが、この日本語検定、日本語能力試験一級レベル、これが大体年間五万人ぐらい合格者がございます。この日本語能力試験一級レベルというのは日本の大学で勉強できるレベルの水準でございますので、この能力のある外国人に対して積極的に就労ビザあるいは就学ビザを出していくべきではないかと。  現在の移民政策の考え方は特定の領域の専門家を入れるという考え方がベースでございまして、例えば看護師に入ってもらうとか、あるいはエンジニアに入ってもらう、あるいはコックさんに入ってもらう、こういう格好でありますが、私は、順序からいうと、看護師の試験を受けるよりは日本語能力試験を受ける方がはるかに難しいわけでございますので、日本語能力試験の一級レベルの人に入ってきてもらって、その人たちに自由に日本の中で仕事を選んでもらってはどうかと。  こういうレベルの方ですとみんなバイリンガルでございます。自国の、例えば中国語なりベトナム語なりタイ語がネーティブであって、それに加えて日本語ができる。そういう人に日本に入ってきてもらうことによって、平均所得は多分日本人よりも高くなると思われますし、日本企業や日本金融機関がアジアに進出する上で非常に有力な人材になると。  こういう人たちを年間私は五万人ぐらいから始めて、そうしますと、多分家族一人ぐらいは連れてくると思いますので、そういう人には例えば日本語検定の二級ないし三級ぐらいを義務付けて入ってきてもらうと。この上で、移民としてどんどん迎え入れていって、五年ぐらいの就労、平穏な就労の後はもう帰化を認めるか、あるいは永住権を認めるということにしてはどうかと。現在でも十年間平穏にやっておりますと大体は永住権が出るようでございますが、これを五年ぐらいに短くしてはどうかと。  これをやりますと、平均的な日本人の所得以上の所得を稼ぐ能力のある人をたくさん入れますので、駄目な日本人はそういう人におんぶできる、社会保険料とか税金の面でもおんぶできる。私は日本相撲協会方式と言っておりますが、日本相撲協会の番付上位陣はみんな外国人ですけれども、これで日本相撲協会の年金とか幹部の報酬は出しているわけでありまして、日本もそういうふうにしていったらどうかと。  また、安全保障の観点からも、日本語と現地の言葉ができる人が数万人単位で日本に入ってくるということは非常に相互理解にも資する。また、日本への溶け込みという観点からも、親が日本語ができますと子供は日本の学校に簡単に入ってまいります。特に小学校ぐらいであれば、一、二年で親が日本語の読み聞かせができれば学校にもちゃんと付いていけますので、そうしますと日本の社会に同化していって、犯罪率なども当然平均的な日本人よりも低いぐらいになるだろうというふうに見ております。  こういう形で、移民を日本の長期的な成長力を押し上げる戦略に使っていくと、こういう観点では、私は積極的に位置付けるべきだというふうに思っております。
  102. 風間直樹

    ○風間直樹君 ありがとうございました。  最後に、わずかな時間ですが、青山参考人に法人税について御所見をお尋ねしたいと思います。  今、日本の法人税率の議論がいろいろとなされておりますが、OECDの分析によりますと、EU諸国の場合、一貫して法人税率をこの間引き下げてきたにもかかわらず法人税収のGDP比は上昇していると、こういう結果が公表されているところでございます。  こうしたことを考えつつ、日本の法人税率というものを今後どうすべきかという点に関してお考えを伺いたいんですが、法人税率というのは当然ながらその利益の移転に影響を与えますし、同時に実効税率は投資先の決定に影響を与えるわけでございます。  このようなことを勘案しつつ、青山参考人の御所見をお尋ねしたいと思います。
  103. 青山慶二

    参考人(青山慶二君) 今御指摘のありましたように、ヨーロッパの諸国は近年どこもその法人税率を引き下げる方向にございます。その引き下げるに当たってはどのような方法を取っているかと申しますと、法人税の課税ベース自体を拡大する一方で、これは例えば租税特別措置などの見直し等を通じて課税ベースを拡大しながら税率を引き下げる。したがって、ある意味では税収面では中立的な改革案を持ちながらやる。  それから、先ほど指摘のありましたGDPに占める比率等につきましては、単にタックスベース、それから税率の変化だけでは決定できるものではございませんけれども、今申し上げましたような改革を取りますと、先ほど実効税率というふうにおっしゃいました。実効税率は個別に何かに投資しようとするときに最も効いてくる税率でございますけれども、その国に例えば自らの企業のベースを置こうとか、こういったふうなことを考える場合には、実効税率もさることながら、いわゆる表面税率、その国の法人税率がどうなっているのかということを企業は非常に注目して進出先の決定をいたします。  そういったことでいいますと、法人税率を下げるということは、インバウンド、アウトバウンドの投資をより促進する効果を持つことは明らかでございますので、私自身はヨーロッパのような法人税の改革の方向、すなわち課税ベースを拡大し税率を引き下げるような方向性というのは、我が国の経済活性化に向けても一つのいい参考になるのではないかと、このように思います。
  104. 風間直樹

    ○風間直樹君 ありがとうございました。  終わります。
  105. 林芳正

    ○林芳正君 自民党の林芳正でございます。  三先生方、ありがとうございました。ルールでございますので、着座のままちょっと失礼させていただきます。  まず、深尾先生にちょっとお伺いをいたしたいと思いますが、このいただいた資料の三の当面の日本経済の展望ということで、改めてこういうふうにグラフにしていただきますと、この先一体どうなるのかなというのが大変心配でございますが、これは二〇〇九年の三・四半期までということでございますので、最後の四半期の数字がもし少しお分かりであれば、この潜在資本投入量のところが、ここにお書きになっておられるように、設備投資がかなり減っているということでございますので、今移民のお話がありましたけれども、潜在労働投入量、その移民の政策が変わってそれから入ってくるというのは若干時間が掛かると思いますし、今いらっしゃる高齢の方とか女性の方をどんどん入れていくということはあっても、この潜在労働投入量の方はそれほど変わっていないと。全要素生産性の方も、まあ若干下がっていますが、これもそんなに大きく動いていないとすると、この潜在資本投入量というのが、設備投資は経営者の判断ですから、これを増やしていくということは、これだけ減っているわけですから急務だと思いますけれども、この辺りの将来の見通しと、それからもう少し足下までの状況をもしお分かりになれば御披露いただきたいと思います。
  106. 深尾光洋

    参考人(深尾光洋君) 日経センターは経済見通しを作っておりますけれども、設備投資についてはかなり弱い状況、若干のプラスですが、非常に低い伸びをここ二、三年見込んでおります。このために、投資水準は多少回復しますけれども、GDP、潜在成長率を大きく押し上げるところまでは行かないと。ですから、ここ二、三年を考えてみますと、展望してみますと、潜在成長率の水準は〇・三、四%ぐらいまでしか回復しないんではないかというふうに見込んでおります。  ただ、現在デフレギャップがございます。四%ぐらいデフレギャップがありますので、これを埋めるという形で稼働率を上げる、同じ設備で稼働率を上げるということによって成長を、四%ぐらい経済を押し上げるという、それだけの生産能力はまだ十分にあるという状況です。逆に言えば、デフレギャップ、つまり設備の稼働率が低い状態にあるので投資が余り出てこないという、鶏と卵の関係といいますか、そもそも生産水準が低いので投資が出てこない、このために潜在成長率も低い状態が続いていると。  労働の方は、大体年率一%弱で低下しております。女性の就労は増えておりますけれども、一人当たりの平均労働時間はむしろ減少ぎみでございまして、女性の労働投入全体として見ますとほぼ横ばい圏内、つまり女性の労働力率、働いている人の割合は増えていく見込みでありますけれども、一人当たりの労働時間はむしろ減少ぎみなために女性の労働投入はほぼ全体として横ばい、男性の方は減っておりますので、トータルでは労働力は低下をし続けると、こういう見込みでございます。
  107. 林芳正

    ○林芳正君 今、GDPギャップのお話がありましたが、いただいたやつの四番ですと、マイナス四になるのが、これは予測ですから二〇一二年ぐらいということでございましょうか。足下がこれで見ますとマイナス七ぐらいと、こういうことでございますので、マイナス四まで戻ったとしても今みたいなお話と。こういうことであるとかなりまだ厳しいなという感じがいたしますが。  それと、金融政策で御言及されておられる量的緩和の早期実施が望ましいということでございますが、具体的に今ゼロに戻した後、前回の局面ではゼロ金利にした後いわゆる量的緩和ということでいろんなことをやっていただいたわけですが、基本的にはゼロになった後の量的緩和はこの間やったようなこと、すなわち、長国の買入れは今でもやっておりますが、それからリザーブターゲット的なこと、そして時間軸ということがあるわけですが、その辺のメニューは前回どおりということでございましょうか。
  108. 深尾光洋

    参考人(深尾光洋君) メニューとしてはそんなに新しいものは考えにくいと思っております。ですから、一つは短期国債、中期国債辺りまでの少し長めのものも含めた買いオペの増額、これによって超短期の金利はほぼゼロ、それから中期ゾーンも少し金利を押し下げると。また、量的緩和をすることによって金融機関の手元流動性が相当増えてまいりますので、金融機関の資金繰り不安がどんどんなくなるということで貸出し態度も若干プラスになるということであります。  ただ、その効果といいますか、景気拡大効果はそんなに大きなものではないだろうと。GDPにして多分〇・一、二押し上げる程度であって、メーンの経済を押し上げる仕事はやはり財政面の何らかのアクションが必要だというふうに思います。
  109. 林芳正

    ○林芳正君 先ほど午前中、実は質疑で日銀の理事がいらっしゃって、愛知委員とのやり取りだったと思いますが、通貨の発行高と国債の保有高をそろえるルールという議論がございましたが、これはルール・オブ・サムみたいな話で、どこか法律に書いてあるわけではないと、こういうふうに私は理解しますが、午前中の質疑ですと、大体五十二兆持っていて、通貨の発行高が八十三兆ということを日銀の方からお聞きしましたが、このルールがちょっとグローバルスタンダードかどうかというのは私よく分からないんですが、そもそもこういうルールが必要なのかなということについてもし御見解があれば。
  110. 深尾光洋

    参考人(深尾光洋君) 私は、国債、特に長期国債の買い切りの金額については、やはりむやみに増やしますと、将来需要が減ったとき、銀行券の需要が減ったときに回収が難しくなる、できないわけではないんですが難しくなるという点がありますので、ある程度の目安はあった方がいいだろうと思っております。  といいますのは、現在の銀行券残高は異常に高い水準にございまして、市場金利が、特に預金金利が定期預金でも〇・一%以下というもう非常に低い水準ですので、預金しないで現金で置いておく傾向がかなり強まっております。このために銀行券需要が非常に高い状態ですが、将来どこかの段階で物価上昇率が少し上がってきて金利を上げるということをやりますと、銀行券が戻ってまいります。日銀のところに戻ってきて、銀行に預けられて、預けられた銀行券が日銀に還流するという形になります。そうしますと売りオペが必要になりますので、そのときに売れるものを持っていないと調整が難しい、そのためにある程度短期の売りやすいものを持っておく必要がある、こういう考え方だろうと思っております。
  111. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  続いて、青山先生にお聞きをしたいんですが、トリガー税率について、元々の税率が五〇から四〇になったということもあってという御説明があったので、この二五を二〇に下げるというのは相場観みたいな、この制度をほかの国も持っていて、やっぱり自分のところの税率の半分ぐらいというんですか、そういうものにしようとしているのかと、そういうのがあるのか。今回はまさに、中国、韓国、マレーシア、ベトナムみたいなのは外れるという効果があるということでございましたが、そういう水準ぐらいが税の理論として適当なのか、国際的な相場観があるのかということについてお伺いしたいと思います。
  112. 青山慶二

    参考人(青山慶二君) トリガー税率をどのように設定するのかというのは、そもそも外国子会社合算税制をどういう目的で制度設計しているかということにもかかわってくるわけでございます。  例えば、アメリカなどの場合は外国子会社合算税制を繰延べ防止と。要するに、親会社が常に最終的には海外の子会社の所得も全部自分のところに戻ってくるはずだと、それが戻ってくるまでに時間が掛かる繰延べを防止するんだと。こういうふうな考えになってきますと、税率差よりもその繰延べ自体を問題視するという税制でございます。そういうところは比較的自国の税率との差が小さい形で設定してございます。例えば、アメリカの場合ですと、自国の税率の九〇%かどうかというのが基準になってございます。  一方、日本と似たようなイギリスの場合は自国の税率の四分の三という基準を持っていますし、フランスは五〇%という基準を持っております。アメリカ以外のところは明確に繰延べ防止という形になってございません。日本と同じように租税回避防止の観点から制度設計されているものと思いますけれども、それについての相場観といいますのは、特に国際的にこれが相場だというものはございませんけれども、フランスも日本と同じような五〇%というものがございますし、一つの考え方ではなかろうかというふうに思います。
  113. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  もう一つ、昔、法人税の国際的な引下げ競争みたいなことをとらえてフィスカルダンピングみたいなことを言っておった時代が懐かしく思い起こされるわけでございますが、先生はいろいろな国際会議等出られて、最近はもう欧米の比較よりもアジアとの、ここにあるようにですね、比較になってきて、余りこういう二〇%台みたいな話、一〇%台みたいな話、法人税が出ても、余りこのフィスカルダンピングみたいな話は出てこないんですが、もうそういうものはこの世の中の流れだということで、余りそういう議論はもうないということなんでございましょうか。
  114. 青山慶二

    参考人(青山慶二君) OECDで最初にいわゆる租税競争プロジェクトがスタートした時点では、法人税率がゼロ又はほとんどないというのが一ついわゆる有害な税制のメルクマールとされてございました。しかしその後、そもそも法人税の負担をどのような水準に決めるのかというのは、これはある意味、それぞれの国が税制全体のパッケージの中で租税に対する主権の行使として決定するものであるという考え方が出てきて、二〇〇一年のOECDのレポートから、先ほども申し上げました法人税率がゼロ又はほとんどないという基準を有害な税制のメルクマールとするというのを廃止したわけでございます。  これは先ほど申し上げたような考えが背景にあるわけでございますけれども、しかし、このプロジェクトがスタートした時点に各国が考えておりました、いわゆるレース・ツー・ザ・ボトムと言いますけれども、租税競争をほったらかしにしておくとどんどん、どん底に向かって各国が行ってしまって、各国の税収がないがしろになってしまうんではないかという、その危機感についてはその後の租税競争プロジェクトの中でも依然として共有されているものだと思いますし、その基準がなくなったからといって、有害な税制考えるときに税率水準がどのようなものかというものが全く検討の念頭に入ってこないということはないのではないかというふうに思います。
  115. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  それでは、高田先生にちょっとお聞きしたいと思いますが、大変面白いグラフをたくさん作っていただきまして。  まず、二ページ目と三ページ目辺りで、このリスクプレミアムが黒いグラフで二ページ目書かれておりますが、これ計算するとこの注のところの式でこういうふうな計算だということですが、リスクプレミアムがこの九六年から九八年、二〇〇〇年のちょっと手前ぐらいまでマイナスになっているということで、これはどういうふうに理解すればいいのかなということと、それから、先ほど説明あったように、直近の二回、三回ぐらいでかなりリスクプレミアムが増えていると、これをどういう要因でこういうふうになってきているのかということと、それから三ページ目、我々いただいている紙、同じ紙になっているものですからちょっと併せて、この左と右のスケールがちょっと違うんで、どこか、ちょうどこの〇九年一月辺りがクロスするようにお作りになったと思うんですが、まず、この〇九の四ぐらいが多分一次補正で十五兆出したぐらいのときにぼんとうちが上に行って、その後九年の六月からアメリカに比べてずっと、トレンドは同じようなトレンドですが、少し下がってきて、〇九年の十月ぐらいがボトムになって、このときが多分政権交代かなと思って見ていたんですが、政権交代から事業仕分までぴゅっとこう上がるところと、それからまた事業仕分終わって下がった後、まあ若干じりじりとこう上がってきていると、で現在に至るということですが、この辺の要因というのはどういうふうに見ていらっしゃるか。
  116. 高田創

    参考人(高田創君) まず、最初のところのリスクプレミアムのところでございますけれども、これはあくまでも財政というわけではございませんが、市場の一つの不安みたいな部分だと思います。  そういう点から申しますと、最初に先生がおっしゃられた九六年若しくは大体九七年から八年にかけてなんですが、この時期はプラスではなくてマイナスになっているというのは、逆に言いますと、国債に対してよりみんなが欲しいというかプレミアムが付いちゃったという時期であります。  これはどういうことかといいますと、質への逃避という言い方でございまして、要は民間のものがみんな怖くてしようがないと。ちょうどこのころは金融危機の状況でございます。何しろ国債だったら安全だろうというようなことで急速に資金が国債に流れた状況でございまして、実はこうした状況というのは、部分的ではございますけれども、例えば足下で申しますと、二〇〇七年以降というんでしょうか、例えばちょうどサブプライム問題ですとか若しくは九八年になってからの、リーマン・ショックというか、そうしたときに一時的に生じた現象でもございます。  ただ、日本の歴史で申しますとやはり九七年から八年にかけて、これは戦後でも最大の金融危機と言われた時期でございましたので、そのころに明らかにこうした意味では逆にプラスに働いた時期が存在したということがお分かりいただけるかと思います。  逆に、足下の状況は、ちょうど先ほど右から四本の足を申し上げましたけれども、やはり昨年、二〇〇九年一—三にかけてぽんと跳ね上がったというのは、やはりある面でいえば補正だと思います。それから、七—九それから十—十二に関しては、やはり二〇一〇年度予算の編成に関して市場参加者が非常に不安を抱いたといったところがこうしたところに表れているのではないかと思います。  そういう観点から申しますと、この関連で次のページのところとある面では非常に整合的でございまして、次の三ページ目のところで申し上げますと、これは日米の金利、これは先生御指摘のように右と左が数字が違うものですからちょっと分かりにくいかもしれませんが、ただ、明らかにこの三ページ目左側のところにあります三月から四月の時期というのは、アメリカの金利はそんなに動いていないんですが、日本だけ跳ね上がったというのは、この時期のやはり補正に関して市場が非常に不安を抱いたというふうに考えることができようかと思います。  そういう意味から申しますと、先ほど後半と申し上げましたけれども、特にやはり九月ぐらいから十月の時期と申しましょうか、この時期は、やはり二〇一〇年度予算に対してこれどのぐらいに膨れ上がっちゃうんだろうかというような不安が出てきた時期というふうに考えることもできるわけでございまして、そういう意味では、足下の状況、特に今年に入ってからを申し上げますと、ほとんどアメリカと同じような動きをしておりますので、やや小康状態に入ったというふうに見てもよろしいかと思います。  一方、先ほど申しましたように、海外ではPIIGSと言われるような、いろんなほかの国の不安の状況も出ておりますので、こうした点についての不安を抱きながらも、日本の国債に関してはやや、何というんでしょうか、市場の関心が日本以外のところにも移った状況というふうに考えることも言えようかと思います。
  117. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  終わります。
  118. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私は、まず深尾参考人にお尋ねをいたします。  参考人の最後の提言が消費税の段階的引上げによる景気刺激策ということでございまして、興味深く拝聴しましたが、ただ、私も本当にそうだろうかという疑問はまだ払拭できません。  特に、実際に商売をしている商店街ですとか小売商業事業者は、もう今消費税を上げるなんというのはとんでもないと、このデフレの中でもう価格に転嫁できないといいますか、もう本当に大変なことになると言って、今も現に言っておられまして、やはりこの時期に消費税を段階的にせよ上げることが景気の刺激に結び付くということはなかなか理解しにくいわけですが、もう少しそのところを教えていただきたいのと、それから、段階的に先生の場合ですと六%分上げるという仮の提案がございますが、そうした場合のいわゆる低所得者に逆進性があるという、この対策はどう講じて解消すればいいのか、その点についてお話をお願いしたいと思います。
  119. 深尾光洋

    参考人(深尾光洋君) 一つは、消費税を一回だけ上げるのではなくて、事前に上げると宣言してスケジュールどおり上げていく、こういうのが一つの考え方でございます。これをやりますと、この前も消費税を上げたときに前倒し支出や住宅投資がかなりの程度刺激されましたが、これを継続的に三年ぐらいはできると。三回でやめるかどうかというのは途中でまたもう一回考え直す必要があるかと思いますが、じわじわと毎年二%ずつ上げていくことによって継続的に前倒し支出をずっと出し続ける。  現在はどうなっているかといいますと、デフレの下では後倒しのインセンティブが非常に強いわけであります。例えば、住宅のリフォームでも待っていた方が安くなる、あるいはマンションを買う場合でも待っていた方が安いと。こういうことになりますと、今みんなは、もうどっちかというと貯蓄をなるべくしておいて、待っていて、買いたいものがあっても後で買おうと、こういう行動を取っているわけでありますが、こういう将来への後倒しのインセンティブをなくすといいますか払拭する、これによって消費を刺激する、これが一つであります。  もう一つは、当然逆進性の問題ありますので、私のここでの提案は、現在定額で毎月一万六千円ぐらいだと思いますが、国民年金の負担を自営業者がしているわけですけれども、これを全廃する。三年掛けてじわじわ全廃できると思いますが、全廃してしまうと。そうしますと、日本に住んでいたことを証明すれば、これが全廃された後はそれだけで基礎年金がもらえるという状況にできます。  また、厚生年金につきましても、基礎年金の負担部分、これは今現在、厚生年金から基礎年金の給付のために七兆円ぐらい移転があったはずですけれども、これをやめることができます。そうしますと、厚生年金の保険料の負担が現在二十二兆円前後だと思いますが、このうちの七兆円分ぐらいをこの消費税に入れ替える、そういうことにしますと社会保険料を大幅に減らせる。例えば厚生年金保険料であれば、現在一六%をちょっと切っておりますが、これを一〇%ぐらいまでカットできると。そうしますと、人を雇っていますと、給料を払うのにそれに社会保険料を上乗せして払わないと手取りにならないわけですが、これが現在の一六が一〇ぐらいまで下げられる。  そうしますと、もちろん税収を増やすという、消費税の引上げ部分は景気にマイナスの部分がもちろんございます。将来の前倒しで支出するという面はプラスですが、しかし税収を抜かれるという点でマイナスがありますが、その大部分を社会保険料の削減、特に定額の社会保険料というのは実は非常に逆進的でございまして、所得がない人でも、余りない人でも払わなきゃいけないと。それをやめてしまえると。また、未納問題も一気に解決できる。これによって将来の所得の不安もなくすことができる。こういった点での景気刺激を入れれば、多少全体として増税ぎみであっても、景気に対しては若干のプラスを維持できるというふうに判断しております。
  120. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 深尾参考人に更にお尋ねしますが、段階的に予告をして消費税を上げるということについての前倒しの需要ということについては、前経団連の奥田会長も何か本で書いておられて、私も興味深く読みましたけど、ただ、本当にそういう、何といいますか、想定どおりいくんだろうかということは思うんですね。実際にそういうことをして景気を刺激した例というのは何かあるんでしょうか、よその国ででもですね、よその国でですか。
  121. 深尾光洋

    参考人(深尾光洋君) イギリスで一時的に消費税をといいますか付加価値税を下げて、将来上げるということをアナウンスすることで多少景気を刺激しようとした例がこの前の金融危機の後で行われました。また、これについては私も、フェルドシュタインというアメリカの学者がこれを提言していまして、私は実はそれより少し前にアメリカの上院の公聴会に招かれたことがありまして、そこで消費税をカットした上で徐々に引き上げることでデフレ対策にできるということを証言したことがございます。そういう意味では、そんなに目新しい議論というよりは、経済学者であれば、まじめに考えれば普通に考え付くようなタイプの政策でございます。  もちろん、消費税を掛けられる自営業者は反対するのは当たり前だと思いますが、同時に、その相当部分が社会保険料のカットになってあなた方に戻るんですよという説得をするのは政治家の方々の御努力が必要かというふうに思います。  また、これをすることによって財政に対する信頼あるいは社会福祉に対する信頼を取り戻すというのは非常に大事なことでありまして、現在の若者は、日本の社会保険、このまま続くとはだれも思っていないような状態であって、これは私もゼミの学生なんかに日本の年金ちゃんともらえると思うかと言うと、ほとんどだれも手を挙げない、必ずカットされるに違いないとみんな思っていますので、こういった状況をやはりどこかで変えないと、維持可能な状態にしないとやはり消費は出てこないんだというふうに思います。
  122. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、青山参考人にお尋ねいたします。  先行の二人の委員も法人税の引下げのことを言及されましたが、私も教えていただきたいと思います。  参考人のお考えは、課税ベースを広げる中で税率を引き下げるという、要するに、今のこの六兆円弱の税収を維持できる範囲でそういう組み直しをするというお考えだったかと思います。  ただ、私は愛知県に住んでおりまして、そういう物づくりの非常に盛んなところなんですけれども、いろんな要因で製造業の空洞化の懸念というのはまた一層高まってきている感じがするんですね。そうしますと、もうそういう、もう全体の税収は維持した中で税率を引き下げるという段階じゃなくて、もっと思い切った税率の引下げをしないとなかなか本当に歯止めが掛からないのではないかという気がしています。  それで、当然課税ベースを引き下げるとなりますと、租特の優遇措置を廃止をするということになれば、投資促進税制ですとかあるいは研究開発税制ですとか、まさに競争力を強化しようと思ってインセンティブを与えているところをやめなきゃいけないということで痛しかゆしになる感じがするんですね。ですから、全体の税収を維持するというところを超えても引き下げなければいけない状況ではないかと私は考えておりますけれども、いかがでしょうか。
  123. 青山慶二

    参考人(青山慶二君) 先ほど私が申し上げましたのは、ヨーロッパで行われたような税率引下げについてどのようにとらえたらいいのかということで申し上げたわけでございます。必ずしも我が国の法人税制自体をどのように改革したらいいのかということに向けての具体的な提案というわけではございませんでしたけれども。  今御指摘いただいた点につきまして申し上げますと、一つは、課税ベースを広げて、そしてその分税率を引き下げるということについて限界があるのではないかという御指摘が一点だと思いますが、その点については、確かに我が国の特に租特だけを見てみますと、どのような余地があるのかということについてはかなり限界があるところであろうというふうに思います。  租税法の立場で法人税を考えたときには、いろいろな、これは学問的な領域でございますけれども、オプションというのがございます。法人税の課税ベースをどのように構成するのか。今はまさに所得を積み上げる形で企業の帳簿に基づいて計算する方式でございますけれども、法人税の課税ベースを例えば付加価値をベースに組み直すとか、こういった選択肢も学者ベースではいろいろなところで検討されております。これは、例えば最近で申しますと、イギリスの中長期的な税制改正を研究するいわゆるミード・レポートに続くマーリーズ・レビューというのが行われておりますが、その中で非常に幅広い法人税の改革案というものが検討され、その中でどのような税負担が可能なのかといったことが検討されてございます。  私の申し上げた法人税の改革は、そういったものも含めて、学問的な観点ではいろんな選択肢を今後検討していく余地があるのではないかなというふうに思っておるわけでございます。具体的に、今の時点での法人税について、税収中立でどこまでやれるかということについては、申し訳ございませんが、私自身きちっと詰めたわけではございません。
  124. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に、高田参考人にお尋ねをいたします。  参考人の提言の中で、国債についての信認を維持するにはやはり財政再建についてきちんとこれは道筋を明確にするべきだと、こういうお話があったかと思います。先ほどその時期を問われて、その道筋が明確であればいいという御趣旨だったと思いますが、そうなりますと、もう景気が回復した段階でこの財政再建、増税ですね、するという、そういうことを明確にしておけばいいということであれば、それを前提にしますと、まだ経済対策として、景気対策としてしばらくは積極財政をする余地があると、このように理解していいということでございましょうか。
  125. 高田創

    参考人(高田創君) 今の御指摘でございますけれども、その辺に関しては、必ずしも、何というんでしょうか、支出を市場が認めているというよりは、どちらかといいますとバランスの問題なんではないかなというふうに思っております。  もちろん、景気の状況がままならない中でいえば、一定のサポートというものはやっぱり必要だというのは多分市場参加者だれでも考えていることなんだろうと思うんですが、一方で、こういう方向付けもない中で一方方向に増えるというようなことになってまいりますと、やはりこの信認と申しましょうか、規律に対する意識がどうも薄いのではないかといったところ、これが先ほど指摘させていただきましたように、市場でリスクプレミアムが跳ね上がってしまうという部分、これは当然起こり得る話でございます。  となりますと、ある面でいえば、これは両面というのはなかなか難しい状況ではございますけれども、やはりある程度成長の回復、要は、それが税収をもう一回上げ得るような環境とそれに対する意思というものをバランスよく考えてまいりませんと、どっちだけでもいいというようなものでは市場の方はなかなか満足しない部分というのはあるのではないかなと。  そういう意味でいいますと、これはある面では経済は生き物でございますので、非常にこの扱いと申しましょうか、非常に丹念に考えてまいりませんと、ちょっとしたことで変動してしまうというか、また、そうしたところを海外辺りから弱いところをつかれてしまうというか、こうしたものというのは今後やっぱり一、二年、非常に起こり得る状況なんではないかなというふうに考える次第でございます。
  126. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 お三方、ありがとうございました。
  127. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。  私は、率直に申し上げて、リーマン・ショック、金融大崩壊、そして百年に一度の世界経済危機と。その後、どうも経済学者の方とかエコノミストの方の話というのはもうそのまま余りうのみにしないような癖が付いて、どうしても懐疑的に今日のお話も聞いたりしてしまうんですけれども。  ちょっとそもそも論で聞きたいんですけど、例えば高田参考人ですけど、今日は何度も市場とかマーケットというお話が出てまいりました。実は、この市場という言い方とかマーケットという言い方は、もうあの竹中さんがいたときに、この国会の場でも彼はさんざん市場が判断をすると、マーケットに聞けと。あの村上ファンドの村上さんもマーケットに聞けと。そんな、あたかも何かマーケット、市場が神様、神の見えざる手、ちゃんと調整してくれるような、そんなことが平気で、今でも言う方いますけど、平気で議論されてきたんですけど、どうなんですか、このリーマン・ショックの後、高田さんなんか現場を見ていらして、高田さんにとってこの市場というのは一体何なんでしょう。
  128. 高田創

    参考人(高田創君) 非常に重い御指摘いただいたなというふうに感じますけれども、私にとりましては、先ほど申しましたように、何しろ二十五年近く携わってまいりましたので、そういう意味では、当時でいいますと、二十五年前でいいますと、ほとんど市場がなかったころでございました。そのころから、例えば金利面で申し上げましても、金融の自由化と申しましょうか、いう時代の流れでもございましたんで、そういう意味では、私が生きてまいりました八〇年代、九〇年代、そしてこの二〇〇〇年代と申しましょうか、ある面でいえば市場化への流れだったと思います。  そうした状況の中で、今先生がおっしゃられたように、私自身も実はここ数年間、特にリーマン・ショック以降若しくはサブプライム問題以降と申しましょうか、この流れが本当に市場だけでいいのかどうかということに関しては、やや、何というんでしょうか、いろんな目で見てきている状況でもございます。  私事になりますけれども、私自身は実は昨年、「金融社会主義」という本を書いておりまして、実はそこの中では、やはりこうした市場というものは我々も生きておりますから非常に重要でございますし、そこのメカニズムをいかに生かすかというのは当然のことではございますけれども、しかしながら、やはりこの市場というようなものをある面ではどういうふうにやってコントロールしていったらいいんだろうかと。余りに実体経済に乖離した動きというものはなかったのかどうかというものも含めてやはり考えていかざるを得ない部分もあるのかなと。  そういう意味では、ここ数年間というものは、ある面では市場というものの中で我々生きているんでございますけれども、一方でこれをどのようにコントロールなりしていったらいいのかということを問い直すべき局面という部分もやはりあるのではないのかなと。そこの部分はこれから英知を出してやはり考えていかざるを得ない。単に市場が神というわけでもなかなかいかない、そういう部分はやはり先生御指摘のようにあるのではないかと私自身感じたところでもございました。
  129. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  そういう点では、アメリカがオバマ政権になって、リーマン・ショックの反省からといいますか教訓から、かなり思い切った、国際連帯も必要なんでしょうけれども、アメリカとしても金融規制の幾つかのことをやるということで、強い意思でオバマさん進めております。例の責任料ですね。大手の金融機関に九百億ドルですか、金を出させて公的資金で埋めた部分は取り戻すとか、あるいはヘッジファンドの問題とか、いろいろ規制案がアメリカではかなり強く出ております。日本は、残念ながら民主党政権になっても余り金融の自由化路線が変わっていないと。ちょっと危ないなと私は思っているところでございますけれども。  そのアメリカの今かなりやっている、大変な議論にはなっておりますけれども金融規制についていかが思われているか。これは、高田参考人と深尾参考人の御両人に伺いたいと思います。
  130. 高田創

    参考人(高田創君) 先生おっしゃられましたように、アメリカにおいて、またグローバルにおきましても、この金融規制をどうしていくのかといった点については、ここ数年間、非常に大きな枠組みになっているかと思います。これは国際機関の中で申し上げましても、例えばバーゼル規制と言われたところでも同じような状況でございますし、また、特に今回オバマ政権については、今年一月以降、ボルカー・ルールと言われるような形で非常に斬新的な対応をしてきたというような部分もあるわけでございます。  こうした部分というのは、私はある面でいえば、先ほど申しましたように、やっぱり市場というものが一つある中で、どのようにしてコントロールしていくべきなのかという部分、それと同時に、私はある面でいえば、各国ともにある面ではやや独自の対応をしている部分というものもございます。そうなってまいりますと、もちろん各国ともにあるべきというような議論、また場合によってはそれが自己の国益にという部分も出てきている部分もあるのではないかと思うわけであります。  そういう状況の中で、我々日本としてどのような対応にしていくのかというのは、私は単に海外がやっているからだけの議論だけではなく、日本国内としてやっぱりどういうふうに金融があるべきなのかというようなこと、この辺のところをやはり独自の視点でもって考えていくといった部分も私はやっぱり必要なのではないのかなと。  そういう意味では、今いろんな、もう各国、各者争鳴の状況でございますけれども、そのような規制の中で、やはり我々としてもどういうふうにやるべきなのか、また完全に規制をどんどん掛けるというものがいいわけでもございませんですし、そこの部分の度合いというものもどうなのかといったところ、これは一つやっぱり考えるべき局面なのではないかなとまさに思う次第でございます。
  131. 深尾光洋

    参考人(深尾光洋君) 市場が機能するためには、売っているものの内容が消費者といいますか、買う方から見てよく見えないとうまく機能しない、これは自明であります。これがうまく機能しない双璧が医療と金融でございます。医療機関でもらう薬が本当に効くのか、あるいは副作用の方が強いのか、あるいはある治療が、お医者さんがもうかるだけなのか、本当に自分も治るのかと、この辺りはなかなか分からないわけであります。お医者さんにまじめな顔で入院しろと言われたら、嫌ですと言う人は余りいないと思うんですが、ベッドが空いているから入院しろと言われているだけかもしれないわけであります。  これと、この問題というのはやっぱり金融でもございまして、金融機関の売っている金融商品というのはなかなか物が見えにくい。このためにいろんな規制が行われているわけでありまして、金融業と医療産業についての規制がどこでもそれなりにある程度のレベルがあって、これがうまくいっていないとやはり消費者がだまされるといいますか、投資家サイドがだまされるということが起きる。これが大規模に起きたのがサブプライム問題だというふうに思っております。  そうしますと、何が問題かということを言いますと、一つは、商品の内容の開示をしっかりする、あるいはその金融機関の健全性をしっかり判断できる開示を行う。そのためには、連結決算の範囲とか、あるいは開示のときの資産の評価をどの程度するかと、こういったところがもうベースでございます。これがうまくいかないと大変なことになるわけです。  規制の水準がやはり国によって大分違っておりまして、そのために規制の弱いところでいろいろ取引をするということが実際行われていて、リーマンもどうも一部の取引を規制の弱いイギリスで行うことによって規制逃れをしていたと。普通、預かり資産は分別管理が必要でございますが、アメリカでも日本でも分別管理が義務付けられておりますが、イギリスではこれがないわけで、ヘッジファンドから預かった資産を自分自身の担保に使う、流用すると、こういうことによって自分の資金がなくてもお金を調達できてしまう。こういう問題が起きたりしております。  ですから、強化すべきポイントとしては、やはり開示のルール、それから評価のルール、特にデリバティブの評価は非常に怪しい部分がありまして、デリバティブ取引で勝ち負けがあると。デリバティブというのは要はかけ事でありまして、金融市場を使ったかけであって、負けたか勝ったかで、この金額は足したら必ずゼロになるはずでありますが、どうも足して勝ちの方が多いように見えます。といいますと、評価を各社自身に任されていて、自分のコンピューターモデルで推計するものですから、勝ちは多めに、負けは少なめに評価しますと利益をつくってしまえると、こういう問題が出てまいります。  こういったところでの評価のルールを必ずシンメトリックに、つまり勝ちと負けの額が同じになるように評価しなさいと。このためには、例えば証券取引所で売買することによってそれをだれの目にも明らかにしなさいと、こういった形での規制が必要であろうというふうに思っておりますし、これについてはこれまでも規制が強化されてきましたが、まだ不十分なところが大分あったということだと思います。  ただ、ボルカー・ルール、これは最近オバマ大統領が発表しましたが、私はボルカー・ルールについては少し疑問に思っております。つまり、銀行部門に自己勘定による投資を全面的に禁止するということはちょっと行き過ぎではないかなと。やはりしっかり評価をして、自己資本をしっかり持たせれば、私はそれで十分ではないかというふうに思っております。
  132. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございました。  青山参考人に伺います。  青山参考人お配りいただいた資料は、ちょうど私もこの前この委員会で同じ資料を配って質問をさせていただいたようなところでございますけれども。  先ほどもちょっとヨーロッパの税の話がございましたけれども、ヨーロッパは決して税の引下げ競争だけに特化しているわけではございませんで、ヨーロッパ、EUの考え方というのは、企業の競争力も大事だけれども人の生活ももっと大事だということで、その両立をEUの目的として掲げながらやっているということを忘れてはいけないと。企業だけ応援すればいいということではないので、そういうとらえ方がまず必要だということを申し上げた上でなんですけれども、このトリガー税率の引下げ、これは当面、企業負担を軽減するという点では分からなくもないし、企業の負担を軽減するのは重要なことだということを申し上げた上でなんですけれども、これは事実上、ただ今回、中国とかに合わせてトリガー税率を引き下げるということになると、委員会でも質問で申し上げたんですけれども、オランダなんかは、日本のトリガーが二五%だったものですから、何年か前に法人税を二五%以下に下げよう、二五%に下げようと思ったんですけれども、そうなると引っ掛かっちゃうので二五・五に、ぎりぎりトリガーに引っ掛からないように、日本企業を誘致するために抑えたりしているわけですね。  そうすると、今回これを下げますと、オランダだけではなくてほかの国も、日本企業が進出する国も下げてしまおうと、下げちゃおうということになって、なおかつ逆に言うと、法人税が下がるから、いろんな国が下げるからトリガーも下げると。両面で、両方が作用し合って法人税の引下げ競争にやっぱり影響するんではないかという危惧を持っております。そういうことを指摘されている学者の方もいらっしゃるわけですけれども。  その点、要するに引下げ競争をずっとやりますと、やっぱり先ほど青山参考人言われたように、結局はその国にとっては合理的かも分かりませんけれども、国際的に見ると合成の誤謬といいますか、みんなで下げ合ってしまうということがあるわけですね。そういう点で、もしコメントあれば一言いただきたいと思います。
  133. 青山慶二

    参考人(青山慶二君) 今おっしゃった、御指摘になった、トリガー税率を下げて、それが更に法人税率自体の引下げにつながっていって悪い形でのサイクルが始まるのではないかという御指摘でございますけれども、現在拝見していますと、ヨーロッパ、アジアとも既にもう二五%を割り込む形での法人税の引下げというものが一巡しているというふうに見られています。そういう意味では、今回の二五が二〇になったからといって、新たな引下げ競争というものが引き起こされるのかということについては、必ずしもそういう要因にはならないのではないかというのが私の印象でございます。  それからあと、ヨーロッパについては、先ほど指摘のありましたように、必ずしも企業だけではなくて、全体の税の問題をバランスを持って議論しているんだという御指摘はそのとおりだと思いますし、私自身もEUの税制改革の方向については、御案内のとおり、EUの中でいろいろな指令を作りましてハーモニゼーションをやってございますけれども、残念ながら直接税についてはそれらの中で最もハーモニゼーションが進まない。これらについてはそれぞれの国が独自の財政の判断に基づいて決めるんだということで、最も遅れている分野でございます。  そんな中で進んでいるのが、あえて申し上げますと、例えば無差別取扱い。これにつきましては、EUの無差別取扱い条項というのが非常に強力でございまして、直接税についても各国の国内法を拘束する形で非常に広まっていると、こういったことが言えると思います。これは、外国の投資あるいは国内の投資、内国人、外国人の間の取扱いの平等を図るという方向での改正でございます。この点だけ付け加えさせていただきます。
  134. 大門実紀史

    大門実紀史君 では、最後にもう一度、青山参考人に。  お配りいただいた資料の左下にございますけれども、今回の合算税制の対象株主の範囲見直しで、保有割合が五%以上を一〇%以上にすると。これについてどう評価されておられるのかということと、若干これ、ドイツでは一%以下でも出資していれば課税対象とするということになっておりまして、今まで、元々一〇%を五%にしたという経過もございます、課税逃れを防ぐために。それを今度また一〇%に戻すと。ここはかなり私は危険かなと思っております。例えば一〇%でも、これ十一人集まって一人九%ずつにしたら一〇〇%子会社をつくれるというような元々抜け道のある制度でありますけれども、ここはちょっと危ないなと思っているんですけれども、そういう危惧はございませんか。
  135. 青山慶二

    参考人(青山慶二君) これは、恐らく企業の海外進出に伴う持ち株割合の実態がどのような形で展開しているのかということと関連するところでございますけれども一般的に言えることは、今まさに多国籍企業が海外に進出する際に、もちろん一〇〇%子会社の形で出ていくこともございますけれども、いろいろな形で、非常に持ち株比率は少ないけれどもそのビジネスを共有していくという形になってくる多様なケースがございます。そういったときに、その持ち分だけ支配能力というのは当然少ないわけでございますし、そういった形での少ない持ち分に伴う租税回避のリスクというのは、当然のことながら比例的に少なくなってまいります。  この一〇%と五%のところにつきましては、先ほど大門議員の御説明にありましたように、いかようにでも、十人が集まればいいのか、二十人集まればいいのかというふうな形の議論がされたことはございましたけれども、現実に企業が海外でビジネスをやる場合に、それぞれの持分に応じてそのリターンを得るという形で、シリアスにまさにビジネスをやる場合には、恐らくその一〇%というのはかなり一般的に認められる水準なのではないか。これは、一つはIMFの直接投資の基準が一〇%ということでございますし、アメリカがタックスヘイブン税制を入れたときの基準も一〇%、現在も一〇%でやってございます。  それで、一つその直接的なコントロールを利かす。利かすということは、その分租税回避について対応すべきという切り口になるわけでございますけれども、それについての一〇%というのは一つの考え方として有力な考え方ではないかというふうに私自身は考えます。
  136. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう終わりますけど、それは国税庁の説明で、私が言ったのはペーパーカンパニーの場合のことを聞いているので、それは質問でまたやっていきます。  今日はありがとうございました。
  137. 大石正光

    委員長大石正光君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変お忙しいところ貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十七分散会