運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2010-03-16 第174回国会 参議院 財政金融委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年三月十六日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月九日     辞任         補欠選任      大島九州男君     田村耕太郎君      松浦 大悟君     水戸 将史君      井上 哲士君     大門実紀史君  三月十一日     辞任         補欠選任      風間 直樹君     藤末 健三君      水戸 将史君     植松恵美子君  三月十二日     辞任         補欠選任      植松恵美子君     水戸 将史君      藤末 健三君     風間 直樹君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大石 正光君     理 事                 大久保 勉君                 藤田 幸久君                 円 より子君                 愛知 治郎君                 林  芳正君     委 員                 尾立 源幸君                 風間 直樹君                 川合 孝典君                 川上 義博君                 自見庄三郎君                 田村耕太郎君                 富岡由紀夫君                 前田 武志君                 水戸 将史君                 峰崎 直樹君                 尾辻 秀久君                 鴻池 祥肇君                 鶴保 庸介君                 中川 雅治君                 牧野たかお君                 若林 正俊君                 荒木 清寛君                 白浜 一良君                 大門実紀史君    国務大臣        財務大臣     菅  直人君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        亀井 静香君    副大臣        内閣府副大臣   大塚 耕平君        財務大臣    峰崎 直樹君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        津村 啓介君    事務局側        常任委員会専門        員        大嶋 健一君    政府参考人        国税庁次長    岡本 佳郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (財政政策等基本施策に関する件)  (金融行政に関する件) ○平成二十二年度における財政運営のための公債  の発行の特例等に関する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○所得税法等の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○租税特別措置適用状況透明化等に関する法  律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 大石正光

    委員長大石正光君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、大島九州男君、松浦大悟君及び井上哲士君が委員辞任され、その補欠として田村耕太郎君、水戸将史君及び大門実紀史君が選任されました。     ─────────────
  3. 大石正光

    委員長大石正光君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として国税庁次長岡本佳郎君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大石正光

    委員長大石正光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 大石正光

    委員長大石正光君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等基本施策に関する件及び金融行政に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 林芳正

    林芳正君 自民党の林芳正でございます。  今日は所信に対する質疑ということでいろいろ質問を作っておりましたら、菅大臣の方に集中してしまいまして、亀井大臣には、大変恐縮ですが、質問をまた次回したいと思いますけれども、今日は菅大臣の方が中心になるというふうに御理解いただけたらというふうに思いますが、前回予算委員会でも少し議論をさせていただきましたので、今日は財政金融委員会ということですが、菅大臣経済財政担当大臣も兼務されておられますので、そちらの方も少し触れることはあろうかということで、津村政務官も、大変恐縮ですが、御陪席をいただいておるところでございます。  この間成長戦略議論を少しさせていただいたときに、第三の道ということを菅大臣がおっしゃっておられまして、どういうものか、なかなかぱっと聞いて分からなかったものですから、この間予算委員会でやらせていただきましたら、菅大臣から、言葉自体ブレア首相のときの理論的指導者ギデンズさんという方が政治において使われた言葉を私なりに経済言葉に使わせていただいたということでありますということでございましたので、少しこのギデンズさんとか第三の道というのをウィキペディアなどで調べてみますと、いろいろなことがやっぱり書いてございました。  ブレア政権のときは今より大分前でございますので、今とは大分政治状況違うということでありますが、要するに保守主義と左の方のその第三の道と、新自由主義的なサッチャーとそれから社会民主主義、昔のいわゆる左派というもののその次の第三の道と、こういうことでありましたので、政治的な路線お話だということでありましたけれども、実はその中にいろんな経済政策に示唆があるようでございまして、まず面白いなと思いましたのは、結果の平等ではなく機会の平等を目指すと。それから、福祉ネガティブウエルフェアからポジティブウエルフェアということで、これはどういうことかなと思って少し読んでみますと、弱者を手当てすると、これがネガティブウエルフェアと言うそうでございますが、依存型福祉と書いてありました。そうではなくて、家族形成や就労を含めて社会参加動機付けを持つ者を支援すると、自立型福祉ということで、これは保守の人が言う福祉に近い概念だなと私は聞いていて思いました。  底にいる人を救うというよりは、むしろ底をトランポリンのように跳ね返ってきてもらって戻ってくると、こういうようなことなので、結局保守の理念に近いような印象を私は持って、したがって、実はこの第三の道が余りうまくいかずに英国の労働党員というのは七年で半分になってしまったということも実は歴史的事実としてあるわけでございますが。  菅大臣が第三の道とおっしゃるときは、こういう政治思想言葉経済自分なりに使ったんだということですから、今、私が申し上げたような結果の平等よりは機会の平等だとか、それから所得税法人税減税なんというのは続けてやっていたというようなこと、それから今の福祉考え方などについては、菅さんがおっしゃる第三の道の中ではどういうふうになっておられるかということをまずお聞きしたいと思います。
  7. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 私も、改めてこの第三の道ということを問われるというので、ちょうど一九九八年にブレア当時のイギリスの首相が朝日新聞に「「第三の道」とは」ということで寄稿をされておりまして、それを改めてざっとですが読んでみました。  前回のときには、まさに前回のとき申し上げたように、この第三の道というのは私は全体としては政治的なスタンスを述べられたという認識をしておりましたので、そういう意味では、政治的なスタンスを述べられたこの第三の道という言葉を今日の経済政策の私なりの考え方に半ば借用させていただいたんだということを申し上げたわけでありますが、改めて読んでみますと、今御指摘もいただいたように、かなり経済分野についてもいろいろと述べられておりまして、その考え方も、全部とは言いませんが、かなり共通だなというふうに思っております。  例えば、一部だけ読み上げてみますと、経済の側面から見れば、私たちの手法は、これはブレア首相言葉ですが、自由放任でも国家干渉型でもない、マクロ経済安定性向上依存ではなく自立を促す税・福祉政策の推進、教育水準向上インフラ整備を通じた国民労働能力養成、特に未来型知的産業の育成、それが政府の役割だとか、あるいは福祉雇用政策では、第三の道は、可能な限り職を生み出すような社会保障改革意味する、労働意欲をなくするような税を減らすことで雇用を創出し、公平な労働基準を作り出す、こういうふうにも述べられております。  そういう点で、今幾つかのことを林議員の方からも言われましたが、一〇〇%同じとは申し上げませんが、方向性としては、私がイメージしている第三の道、経済における第三の道も、ブレア首相の言われた第三の道の中の経済的な表現もかなり共通性が高いなと、このように感じました。
  8. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございます。  私も若干そういうところがあるのかなと思いながらこれを読ませていただいておったわけですが。  一方で、この間も少しその議論に入りかけてなかなか行けなかったんですが、いわゆる成長戦略お作りになって第三の道ということを菅大臣はおっしゃっているんですが、成長戦略中身そのものは今大臣おっしゃったようなその政策というのが入っているんでございますが、今日改めてお配りするまでもなかったんですけれどもマニフェストをお手元に改めてお配りしておりますが、こちらの方の政策は今おっしゃったようなことと若干違うような、子ども手当にしても実質無償化にしても、家計に直接政府お金を入れて、そこから消費が出てくるというような基本的な考え方で、これはこれで一つ考え方で一貫しているのかなと思いますが。  今おっしゃったような、例えば自立をする人をつくっていくということを考えますと、若干このマニフェストの作られたときと、それから経済成長戦略を作られて第三の道とおっしゃったときとは少し考え方が変遷しているのかなというような感じがしないでもないんですが、いかがでございましょうか。
  9. 菅直人

    国務大臣菅直人君) マニフェストというものは、もちろん総選挙に当たって今やらなければならない政策の重点的なものを提示をしたわけであります。  今回の成長戦略はもちろんそういうものと全く無関係ではありませんが、改めてこの二十年間近い、バブル崩壊日本経済成長が停滞していると、そういうもうちょっと長いスパンを見たときに、どうすればこうした状況から脱却できるかという、過去の長さも含めて、未来の長さも含めて、もうちょっと長い目で考えて、特に成長というところに焦点を当ててその考え方を一定程度まとめたわけであります。  この中では、もし必要ならまた読み上げますが、フルテキストの方では、第一の道、第二の道、第三の道ということを少し詳しく説明してありまして、端的に言えば、公共事業依存の第一の道と構造改革的な第二の道が必ずしもこの二十年間の間でうまくいっていないと、そこで雇用需要中心とした第三の道にという大きなフレームで申し上げていると。そういう点では若干、何といいましょうか、パースペクトというのが、見方の差があるという御指摘であれば、そういうふうに言われる部分もあるかもしれません。
  10. 林芳正

    林芳正君 多分、ギデンズさんとかブレアさんがおっしゃっているときの第三の道というときの第一の道というのは、旧来型の社会主義というか社会民主主義的な政策があって、そこにサッチャーが出てきて構造改革をやって、格差が広がったんで第三の道へ行くと。菅さんのおっしゃっている第二の道は大体一緒なんですけれども、第一の道のところが公共事業をずっとやっていて駄目だったというところだけはちょっと違うんだと思うんですが、これを、マニフェストを見ていてちょっと気になるのは、まさにギデンズさんとかブレアさんが第一の道というふうに呼んで、そこからは自分たちはオールドレーバーじゃなくてニューレーバーなんだということで脱却しようとしていた施策が、どうもこのマニフェスト施策を見ていると思い出されちゃうわけですね。ですから、私も、このマニフェストを一生懸命全部やるというよりは、この間お作りになった成長戦略をやるという方が、私はですよ、いいと思って今実は聞いているんですが。  なぜこういうことを聞くかというと、限られた財源の中でどちらを重点的にやるかと。お金が幾らでもあれば、このマニフェストで約束したこともどんどんやるし、成長戦略でこの間骨子を出されて、この六月ぐらいまでに肉付けをされるものも予算や税で裏付けをしていけますし、両方できると思うんですが、これだけ財政が逼迫していると、やっぱり優先順位、どちらをやっていくのかということがどうしても出てくるんではないかなと、こう思うんで、マニフェスト選挙でお約束した大事な国民との約束でありますが、一方、成長戦略もこの間骨子を出されて、これもやっていくということになると、その考え方整理をされていないと非常に一方でちぐはぐなことになりはしないかなと、こう思って実はお聞きをしているんですが、何か御感触というかお考えがありますでしょうか。
  11. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 率直に申し上げて、来年度の予算はいよいよ最終盤に掛かっておりますけれども、その次のことを考えるときにはいろいろ考えなければならないと率直なところ思っております。  もちろんマニフェストで掲げたことの実現を目指すという基本的スタンスは変わりませんが、今林議員からもお話がありましたように、例えばリーマンショックもありましたし、過去のいろんな成長に戻っていない問題、あるいは世界的に見ても、ギリシャに象徴されておりますが、リーマンショックの後の財政出動によって、日本は特にですが、財政的な公債残高の比率が高まっている等々のことを含めて、まさにこれから予算成立後に議論しなければいけない観点は、マニフェスト実現努力ももちろんしなければならないわけですが、それを超えてこれから十年、もっと言えば二十年とも言えますが、そういう方向での、やはり経済成長をいかに取り戻すかという、そういう観点からの本格的な議論が必要であろうと。それには、税制の在り方から、あるいは年金制度在り方から、そういった社会インフラの根本の議論も併せて議論をする必要があるだろうと、このように考えております。
  12. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございます。  今のお話で少し整理をされてきた感じもするんですが、もう一つ、実は前回予算委員会でこの第三の道の議論をしたときに、例えば二つぐらい種類があると大臣おっしゃっておりまして、供給需要を生むのではなくて、需要があってこその供給が生きてくるというのが第三の道だと。その一つは、介護や医療とか保育というところで、潜在的な需要があるんだけれども、サプライがないために需要が出てこないと。だからこれを政府が出して、手当なんか出してこれやっていくというのが一つと。もう一つは、全く新しい製品が生まれ出されると新しい需要が生まれますと、例えばグリーンイノベーションとおっしゃっているんですが。  一つ目は分かるんです。政府が、公助、自助、共助、どれにするかは別として、介護サービスを増やすということをやれば、今待っている人が出てくると。それは多分潜在的に需要があるものということだと思うんですが、もう一つの方は、まさに実は供給需要を生む、イノベーションで新しいものできれば、それは今まで全くなかった需要が、こういうものがあるのかといって買うということですので、実は私はそっちの方が望ましいとは思っていますが、やはり、要するに需要があって供給が出てくるという場合は、むしろ最初の方だけではないのかなと、こう思ったんで、そこのところの考え方の御確認をしたいんですが、いかがでございましょうか。
  13. 菅直人

    国務大臣菅直人君) かなり的確に御理解をいただいていると思います。  まさに、グリーンイノベーションと申し上げているところは、新しい製品や、例えばiPadのようなものとか、あるいはそんなに技術的には新しくありませんが、例えば部屋の断熱のためにガラス窓を二重にするとか、そういうことによって新しい需要が生まれてくる分野があると思っております。そういう点では、今言われたことは部分的にはそのとおりです。  ただ、もうちょっと言いますと、少なくとも私が見る限り、小泉総理時代のいわゆる小泉竹中路線と言われた構造改革と言われたものは、もうちょっと、そういうグリーンイノベーション的なものも含まれていたかもしれませんが、ちょっと、もっと大きな意味を持っていたと思うんです。つまりは、供給サイド効率を上げることが、そのことが日本経済を伸ばすんだと、こう言われたんです。一見そのとおりなんです。  しかし、これには前提があります。完全雇用状態であれば、例えばカルロス・ゴーンさんが日産効率化するために半分の人をリストラして、それでもリストラされた人はまた効率の高い分野に就職できれば、それは一つ企業二つ企業がどんどん効率を高くすれば全体が高くなるわけです。しかし、デフレ状況完全雇用状態でない中でそのことをやると、確かに日産効率のいい会社に生まれ変わるかもしれないけれども、それでリストラされた人はそのまま失業者なり、例えば非常に安い賃金の派遣労働者でとどまらざるを得ない。そうすると、それをトータルしてみると、トータルしてみると決して私は経済が国全体として回復していることにはつながらなかった。もっと別な言い方をすると、戦後のように物が不足しているときは、あるいは私は少し年上ですが、小学校、中学校のころ初めてテレビが出てきた、洗濯機が出てきた、そういう時代にはそういうものをどんどん供給すれば、それは供給需要を生むわけですけれども、今もう一回、テレビをあと百万台造る、車を百万台造るといっても、それでストレートに需要が生まれるとは思いません。  ですから、そういう意味では、私は第二の道というのはやはり時代背景だと思います。物が不足しているとき、あるいは、今で言えばグリーンイノベーションのように新しいものについては供給需要を生み出しますけれども、単に既存のものを効率化しただけでは必ずしも需要を生み出さない。それをやればうまくいくといって失敗したのが第二の道だというのが私の認識です。
  14. 林芳正

    林芳正君 大変興味深いお話で、供給サプライサイド改革をするときに効率化するということがよく言われているわけですが、今のお話ですと、そうすると、例えば日産自動車はああいう供給効率化をしない方がよかったということでございましょうか。
  15. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 全くそうではありません。  一つ一つ企業がそういう努力をされるのは当然のことです、それは国内、国際的に競争するのは。ただ、それによって当時、特に今も議論になっている、例えば労働自由化がされたわけです。つまり派遣労働でいいじゃないかと、そういう形でどんどんどんどんある種の自由化というか、そういうことがされたわけです。ですから、個々企業がより、まあ言葉はあれですが、首の切りやすい、リストラしやすい労働者を選ぶというのは、それは個々企業経営者としては当然の選択かもしれませんが、政府としての選択として間違っていたと申し上げているんです。  そのやり方が日本経済を立て直すことになるかといったら、現実にならないで、格差が拡大しただけじゃありません。格差が拡大しただけじゃなくて、格差が拡大した上に経済成長もなかった。もちろん、一時的には外需が非常に盛んになりましたから、一時的にはデフレが若干止まったようにも見えましたが、今回のリーマンショックで一番打撃を受けたのが日本であったということは、逆に言えば、当時が外需が非常に伸びたことによって一時的な、何といいましょうか、景気の回復に見えたわけですが、トータルとしての私は経済成長路線には乗っていなかったために、今回のリーマンショックにおける逆に言うと打撃が他の国よりも大きかったと、このように見ています。
  16. 林芳正

    林芳正君 ちょっと今の話は面白いんで、用意していた質問をやるより面白いかなと思って、ちょっと続けさせていただきますが。  そうすると、ミクロでは個々企業効率化することは必要だと、ただマクロで、じゃその効率化されて出てきた人をどうするかという政策がなかったと。こういうことになりますと、例えば製造業派遣みたいなものは残しておいて、どんどん出てもらって、出てきた人をマクロでどうするかを政府が考えればいいんだと、そういうふうにおっしゃっているんでしょうか。
  17. 菅直人

    国務大臣菅直人君) この労働分野は、先ほど林委員も言われたように、いろいろな対応の仕方があります。さっきトランポリンということも言われましたが、私もある時期からそういうことを言っていますけれども、つまり雇用状態終身雇用でなくなった中で、だれがある種のスキルアップのための機会を提供するのかと。従来は終身雇用が特に製造業においても多かったですから、ほかでも多かったですから、企業単位スキルアップがなされた、教育がなされたわけですが、今の時代はなかなかそれができなくなっている。そういうものをどういう形で社会が用意するのかとか、これは社会構造全体の大きな改造が必要になります。  ですから、部分的に余り言われるとややちょっと違うところが出るんですが、先ほど申し上げたのは、企業は許されたルールの中で効率化しようとする努力をするのは当然のことだと思いますし、それはそれで大いにやればいい。ただ、許されたルールが余りにもマーケットに任せればいいという考え方になったために、その結果が格差の拡大と同時に残念ながら経済回復につながらない結果になったという意味で、第二の道を推進した政策的な間違いがあったと、こう申し上げているんです。
  18. 林芳正

    林芳正君 どれぐらい労働市場流動性を重んじるのか、雇用安定性を重んじるのかと、まあ政策論だと思うんですが。  それはおいておいたとして、効率化企業ミクロでやって、マクロで、じゃ政府が何をしたらいいのかということが菅さんが今おつくりになっている成長戦略ではどういう考え方になっているのかということと、それから、経済が結局そのリーマンショックで駄目になったというところは、結局外需で一五%のうち七%ぐらいなくなったと、こういうことでありますから、そこはちょっと、何というんですか、システムというよりはそういう産業構造みたいな違いがあったわけでございまして、ちょっとそれとこの制度論をごっちゃにすると何かおかしくなっちゃうような気がするんで、一緒にしていいのかということと、ちょっと二つほどお聞きしたいと思うんですが。
  19. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 私も考えながらいろいろなものを進めているんですが、今のことに一〇〇%マッチした議論になるかどうか分かりませんが、やはり私は一つのキーは雇用にあると思っております。需要あるいは供給を生み出す雇用。やはり雇用というところが、つまりは五パーとか六パーといった失業状態、あるいは潜在失業率がもっと日本は高いとも言われていますが、そういう状態の中でやらなければいけない経済対策というのは、雇用を生み出してそこから新たな生産、それはサービスかもしれません、サービス的な生産、そういうものにつながる分野だと思っております。ですから、介護については共通認識だと言われましたけれども、介護のところにお金を投じることは雇用を生み出すと同時にサービスを生み出すわけですから。  それで、もう少し言いますと、私、今旧経企庁のいわゆるスタッフの皆さんによく聞くんですよね。一つは、そういう福祉分野お金を投じることと他の分野に投じることでどちらの経済成長が高くなるのか、マクロ的にちょっと計算してみてもらえないかということを一つ聞いています。  もう一つは、これまでは景気が良くなりかけたときに消費税とか何かを上げると、景気に水を差してそれでストップしてマイナスになるという分析が一般的でしたけれども、果たして本当にそうなのかと。つまりは、場合によったら思い切って何らかの項目で増税して、その費用を介護とかなんとかに振り向けた方がマクロ的には経済成長にもつながるんではないかと、そういう過去の消費税を引き上げたときの影響についてもう一回マクロ的に分析をし直してみてくれということも今指示をいたしております。  そういう意味で、まさにマクロ的な成長に戻すために、今の日本状況からいえば、雇用を生んで需要供給につながる分野が最も効果的ではないかと、お答えになったかどうか分かりませんが、そういう考え方でこの第三の道ということを提唱しております。
  20. 林芳正

    林芳正君 確かに、雇用をつくるというのはもう世界中が額に汗をしながらいろんな政策を打ってジョブクリエーションをやっているわけですが、そのときに、大臣、やっぱり私が前も申し上げたし今日も申し上げたいのは、政府の支出とか、例えば全量買上げというのがありますが、何らかのルールを公が作ることによってできる雇用というのがあると思います。医療、介護もそうですね。エネルギーの全量買取りというのもそうかもしれませんが。しかし、その部分だけでやっていくと、この間も申し上げたように、非市場性のGDPの部分というのがどんどんどんどん大きくなっていくと。ですから、実はそこでない部分で、民の中でやっぱり新しい需要供給があって、そこに雇用が生まれるというところがないと、だんだんだんだん、大きな政府というとあれですが、民間活力みたいなのがなくなっていくというのがあるんで、そのことはお考えになっておられると思いますが、是非経済戦略、骨子、中身のところは我々が前に作ったやつもかなり入っておりますので方向性そんなに違わないと思うんですが、そこの部分をむしろ主にしていただいて、それをバックアップするところが、いわゆる官がつくる雇用みたいな考え方をしていただいた方が私はいいんではないかと思っております。  それから、消費税とかある税をきちっと恒久財源として持つことによって社会保障が安定するというのは、実は私が菅さんの前任だったときの白書に書かせていただいたんです。それは、いわゆる非ケインジアン効果ということですが、要するに、将来ともずっと恒久財源が、例えば消費税があってこれは福祉へ全部いくということになれば、なるほど社会保障制度は安定するなと。そうすると、余り保険料を払いながら自分もまた自分の貯蓄をするということが減ってきて、その分、可処分所得になって消費に回るだろうというようなことはまさに前から言われておりますので、下の人に指示をすればすぐそういうのが出てくると思いますけれども、まさにそういう考え方が相まって成長していくというものをトータルで戦略でつくっていただきたいと。そのときにどれぐらい官製のところでやってどれぐらい民でやるかというのはいろいろ政策論あるわけですが、なるべく第三の道ということも、実はギデンズさんが言っているのは、実はそういうネガティブではなくてポジティブウエルフェアとか、所得税法人税減税というのを継続したというところから見ると、やっぱり解はその辺にあるのではないかなと、こう思いますので、是非そちらの方向で、今まさにお考えになられながらやっておられるということですので、この六月か五月に出されるときに肉付けをそういう考え方方向へ少し持っていっていただきたいというふうに思います。  そのときには、さっき申し上げたように、マニフェストこれだけやるというお約束をされておられますので、全部で十六・八兆円掛かるということですが、それとこの成長戦略をどう優先順位を付けるかということと、もう一つはやっぱりそれで収支償うのかという財政お話があるわけでございます。  前回、枝野大臣にどれぐらいの、今度仕分を第二弾やられるというので、歳出削減を目標とされておられるのかということをお聞きしたときに、枝野さんはそれ自体で歳出削減の目標を定めるようなことはしないんだということをおっしゃっておられまして、例えば公益法人とか独法についても、制度改革を要することでございますから、もし早ければ二十三年度予算に影響を与えることはできるかなということで、非常に慎重な言い方をされておられるわけでございますから、ここから何兆円というオーダーでなかなか財源が出てくるということはちょっと考えにくいなと思うんです。  そういうことでありますと、マニフェストはお約束どおりやりますと、成長戦略も肉付けをしていって財政や税の手当てもしますということになりますと、かなりこの予算というもの、二十三年度は中期財政フレームで三年分ぐらいお作りになるということで入ってくるわけですが、十兆円ぐらいマニフェストとかいろいろ見ますと調整額が出てきてしまうと、これをどういうふうにやっていくのかというのがある程度財政フレームが出たときになるほどそうするのかということが一般の方や市場の方が見てなるほどと思わないと、非常に財政運営に対するコンフィデンスというのが損なわれるような気がいたすわけでございますが、その辺はどういうお考えでございましょうか。
  21. 菅直人

    国務大臣菅直人君) その問題のちょっと前に戻って一点だけ申し上げますと、先ほど林さんが、同じ大臣をやっておられるころに安心あるいは安定という形に言われたというのは、それはある部分共通なんですが、もうちょっと積極的に考えているんです。つまり、安心、安定するから消費が増えるというワンクッション置いたんじゃなくて、直接に医療とか介護という分野そのものが経済成長分野ではないかと思っているんです。もちろん費用は場合によったら混合診療のような形で個人負担もあるかもしれません。あるいは保険料なり税で投入する。そうすると足らないときはどうするかという問題は当然出ます。  しかし、逆に、時々私はほかの委員会でも申し上げるんですが、何か道路や橋を造ると投資で、この福祉分野は負担という言い方をされるんですが、私は、どちらも政府支出なり個人支出なんですから、それが投資につながるのか、つまりは後の経済成長につながるのか、それとも後の経済成長の足を引っ張るのかであって、そういう意味ではこの分野は後の経済成長につながる分野ではないかというふうに見ているという意味で、より積極的な見方をしているということをちょっと申し上げておきたいと思います。  それから、今おっしゃったことは、枝野新大臣が事業仕分を含めてこれから取り組んでくれることでもありますし、仙谷戦略大臣も公務員制度の問題でまた取り組んでくれるということで努力していただいていますので、そこにはそれなりの期待を持っております。と同時に、おっしゃるように、今想定されるいろいろな歳出というものを考えたときに、それが今見えてくる歳入の中でどう実現できるかというのは、率直に申し上げて大変高いハードルだと思っております。  ですから、そういうことも含めて、税制の議論も本格的に始めてもらわなければならないということで、今、まずは専門家委員会の方に所得税の方から議論を始めていただいていますが、そう遠くない時期には、法人税は、これは先日、総理からは引下げの方向を少し示唆したような発言もありましたけれども、法人税の在り方、さらには消費税の在り方、これは年金財源ということも以前我が党言っておりましたので、年金の制度の根本改革についてもそういう場をつくりました。そういった中で議論することが必要だと、このように思っております。
  22. 林芳正

    林芳正君 中期財政フレームとそれから成長戦略の肉付けた最終版になるんでしょうか、それが出てくるタイミングというものが割と近い時期だというふうにおっしゃっておられるので、そのときに、去年の十二月に政府お作りになった、税制改正大綱というのをお作りになっておられると思うんですが、あれをもう一度そこで、大綱なるものをリバイズして、せっかく今から、我々のときは国会で税法の審議している間に何でやるんだなんて怒られるので遠慮してやっていなかったんですが、それを今やられるということでございますけれども、せっかく議論をして、そこでトータルで今、菅大臣がおっしゃるようなことが入るのであれば、きちっとそれはトータルで、税制は税制でこういうふうにもう一度大綱を、異例ですけれども、半年前に決めたやつをもう少し踏み込んでやるというようなものを出されて、それに基づいて歳入は確定するので、中期財政フレームはこうなりますと、それと同時に、成長戦略はこういうものなので、この中期財政フレームでこれを後押ししますと、税制大綱とですね、そういうふうにされれば、かなりこの信頼度というんですか、ああこうなんだというのは増すと思うんですが、そういうお考え、ありませんでしょうか。
  23. 菅直人

    国務大臣菅直人君) やはりこの税制等の議論については、これまでの党として申し上げてきたこととの関係もありますし、また社会保障との関係もありますので、もちろん六月の中期財政フレームの中では何らかの形はお示しをしたいと思っておりますが、どの段階でどこまで、どういう表現ができるかというのはまさにこれからの議論です。  その中であえて言えば、これはまだ少し触れるのは早いかもしれませんが、例えば年金の制度の在り方については、これは自民党あるいは公明党の議員の皆さんからも、こういう制度は与野党を超えた議論が必要ではないかということは以前から言われておりますし、かつて我々が野党の時代にそういう呼びかけをいただいたこともあります。当時はいろいろな判断で必ずしもそういう土俵にのらなかったこともあったわけでありますが、そういう問題とか、率直に申し上げて、税の改正についても、この間、多分この十年間ぐらいで四百兆ぐらい借金が増えた中で、半分が税収の落ち込み、半分が社会保障の増大というのが大体の分析だと思いますので、そういう大きな構造を変える上で、場合によっては党派を超えた議論もお願いをしなければいけないんじゃないかなと、私はそういうふうにも思っております。
  24. 林芳正

    林芳正君 実は、我々が与党のときに一回か二回、円卓を囲んでいただいて──四回でございますか、失礼いたしました。峰崎大臣はそのときメンバーで当たられたと思いますが、やっているんですね。  そのときに、やっぱりどうしても最後なかなか先に進めなかったのは、基本的にどうするのかというところが相入れなくて、そこから先に進めなくなったと。要するに、被用者のやつをまず一つにして、それから国民年金とどうするかというのを、その二段階で考えるというのが我々の案だったんですが、民主党さんの案は全部一つにすると、こういうことだったんで、それがなかなか基本論のところでいかなかったということでございますので、その辺も実際にやるということになると出てくると思いますが。  私は補正の予算のときにも申し上げたんですけれども、この税の議論とか年金の議論はいつでも一緒にやる準備ありますよと言って、当時は鳩山総理はまず党内でと、こうおっしゃっておられましたので、今の菅大臣の御発言はそれより大分進歩してきたなといって歓迎をいたしたいと、こういうふうに思いますが。  やはりこの中期財政フレームになぜこだわるかというと、やっぱりみんなが非常に注目をしておりまして、一体どうやってこの財政を運営していくのかということは非常に皆さんが関心を持っておられます。これは市場関係者はもちろんでございますし、一般の方もやっぱりいろいろ話してみますと、このままで本当に財政がもつんでしょうかというのは結構聞かれるんですね。財政が破綻するというのは一体どういうふうになることでしょうかというのも時々聞かれるんで、いや、それはアルゼンチンとかああいうふうに最後はなるリスクだってあるんですよというようなことを私は言うんですが、なかなか、デフレでゼロ金利なんていっているときに、いや、ハイパーインフレになっちゃうんですよと言っても説得力というか緊迫感がないんですね。今までそう言っていたけれども、結局そうならないじゃないかと、オオカミ少年みたいな話になっちゃいまして。  ただ、これは、私は最近言うのは、雨が降っているから火薬庫にどんどんどんどん火薬を積んでも火が付かないんだと。しかし、国債が増えているということは火薬は積んであるんで、晴れたとき、すなわち景気が良くなって資金の需要が出てきて金利が上昇局面になったときにはどおんといくんですよと言うと、まあ半分ぐらい、なるほどそうかなみたいな顔はしていただけるわけで、これはもう非常に財政というのは全体の話ですので、自分の仕事がどうなるとか福祉や税の負担がどうなるという話よりちょっとやっぱり一段階遠いところにあるなということでありますから、まさにヨーロッパの例を見ても与野党協議をしてやるということは必要なプロセスかもしれないと、こういうふうに思うんですが。  総理おっしゃるように、まず政府・与党の案というのが骨格ぐらいこの中期財政フレームでも出てきて、こう考える、我々こう考えるというのでテーブルに着くということであろうと、こう思いますので、今はそういうことでやっておられるということだと思うんですが。  もう一つ、先ほどお配りしたマニフェストの中で、社会保障の自然増、大体毎年一兆円なんでございますが、これがないんですね。この間、うちの丸川委員菅大臣で大分やり取りされて、この右側の財源を生み出す方の工程表の話を大分されたようでございます。私もちょっとこれ最初誤解をしていたのかもしれませんが、四年間で左も十六・八、右も十六・八というふうになっているものですから、当然、やる方の所要額七・一、十二・六、十三・二となっているのが、多分この財源を生み出す方も毎年それぐらいでやっていくんだろうなというふうに理解をしていたんですが、どうもそうではなくて、制度論とかもあるんで、必要があれば、トータルでは最終的に十六・八、十六・八で合うんですが、この途中では国債を発行してでもやることもあり得ると。ただ、今こういう財政状況なんで、そういう判断をしなかったと、こういう御説明でした。  なるほどなと思ったんですが、ただ、この十六・八というのは四年間の累計ではないものですから、結局、最後に十六・八兆削って十六・八兆余計に出してつじつまが合ったんですが、途中の分は累積債務としては残ってしまうということなんで、この面積を全部一定にしないといけないと。さらに、今一兆円の話をしましたのは、ここに一兆円が入っていないので、四年間でいうと四兆円分はこのまま十六・八、十六・八でやると更に自然増として乗っかってしまうと、そういうことなんでございまして、それを多分、菅大臣のところで出された機械的試算というのはまさに正直にその分が出てきていると、こういうことでございますので、その分も含めるとやっぱりかなりこのマニフェストを実際には絞り込んでいくという作業が必要になると、こう思うんですが、最近、何か政策の評価をされるというのを新聞で読んだこともあるんですが、このマニフェストの、何というんですか、仕分みたいなことは考えておられるんでしょうか。
  25. 菅直人

    国務大臣菅直人君) もちろん、私がすべてやっているわけではありませんが、マニフェストについても、これは党とも連動した形で議論をするということになっておりまして、内閣では仙谷戦略担当大臣中心になって取り組まれることになっております。  それで、いろんな物の見方、考え方があるわけですが、今、一つは今年度予算をベースにして考えますと、やはりこの経済情勢の中で予算のトータルの規模をどの程度維持していかなければならないかというその観点が一方で常にあるわけです。よく申し上げていますように、私たちは、だから一次補正についても決して額が多過ぎるということで反対をしたわけではなくて、内容的に問題だということを申し上げたわけで、今回の予算もある意味では麻生内閣とそう規模が変わらない、あるいは多少増えた部分もありますが、そういう規模を維持したのは、やはり今のリーマンショックのこの状況の中では財政出動が景気刺激的な意味で必要だという認識でそういう選択を取ったわけです。  さらに、来年度を含めてその部分をどう考えなければならないかというのがどうしても一方にあるということは御理解をいただけると思うんです。そのことと、中には、景気対策であればそれは補正予算で短期的な中でやればいいので、制度的な問題はまた別なんだという、その考え方も分からないわけではありません。ただ、この間、財政出動つまり歳出の中身を大幅に見直すことは、これはかなり大胆に進んでいることは御理解をしていただけると思うんです。いい悪いの評価は後の評価ですが、大胆に歳出の中身を変えております。  ですから、この四年間というのかこの政権の中で、やはりそういう中身の変更と一種の景気対策と、それからまさに大きな中期的な意味での財政構造をいかにして健全化するかということが、ある意味でいや応なく一緒に考えなければならない中にあるわけです。  そんなことで、余り答えになっているかどうか分かりませんが、今そういう二元、三元、四元ぐらいの要素を、二〇一〇年度の予算はもちろんもう既に議論を終盤に差しかかっていますが、二〇一一年度の予算を提示するときまでに、当面は三年間ぐらいを見通した中でどうしていくのか、さらには十年ぐらいを見通した中でどういう目標でいくのかということを改めて提示をしなければと思っております。  そんな意味で、今言われました、例えば社会保障の自然増が一兆円ぐらいあるということもよく理解をしておりますが、そういうものを中長期に安定的にどうやって見出すかということでいえば、やはり先ほど財政調整ということも言われましたけれども、それは歳出ばかりではなくて歳入の分野も含めて議論をし、一つ方向性を見出していかなければならないと、こう思っております。
  26. 林芳正

    林芳正君 やはりさっき申し上げたように、歳入の方がきっちり土台ができて、その上に中期財政フレームができるという意味では、この六月ぐらいの税制改正大綱というのは大変大事ではないかなと思ったので、これはもう先ほどお答えいただきましたのでお答え要りませんが、もう一度申し上げておきたいと思います。  今、一兆円のこともおっしゃっていただいたように、実はこのマニフェストにはその部分がないんで、実際はこのマニフェストから出てきた財源から一兆円を引いたもので使ってもらわないと合わないということになるわけでございます。  それから、デフレとか円高についても随分予算委員会でもやり取りをさせていただきましたが、円高につきましては、私と補正予算のときにちょっとやり取りをさせていただいて、菅大臣はこういうふうにおっしゃっておられますが、「日銀は二度にわたる一つの方針を政府の考えとほぼ沿って出されました。」と。これ、デフレの話の続きなんですが、「一つは、三か月後の金利を〇・一に抑えるという施策で、少なくとも、ドバイ・ショックによって八十四円まで高騰していた円が、その施策」、この日銀の施策ですね、を含め、「あるいは政府の発表した経済政策も含めて、九十円台に少なくともその後戻ることができました。」と、こういうふうにおっしゃっておられまして、私もそのときちょっとあれっと思ったんでございますが、財政政策で、若しくは、多分この経済政策政府が発表したというのは、まさにこの一月の終わりぐらいの予算委員会ですから、菅大臣の頭の中には成長戦略のことがあったのかなと推測するんですが、どういうような財政政策を取ると為替が、ここでおっしゃっているのは八十四円まで行ったのが九十円台になったと、こうおっしゃっているんですが、そういう為替相場にこういう結果をもたらすというふうにお考えになっておられますでしょうか。
  27. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 一つはやはり規模の問題、一次補正を一部削りましたが、二次補正でそれを超える規模の補正を出しました。それから、先ほど来申し上げているように、二〇一〇年予算についても、いろいろ議論の上、九十二兆円規模のものを出しました。つまり財政として、今の景気の状況は、やはり財政がある程度後押しをするんだという意思はそういう形で示したつもりです。  それに加えて言えば、もちろん中身はいろいろあります。雇用は、これはだれが考えても、緊急な問題としてもできることはすべてやるといいましょうか、そういう方針でいろいろ手当てを打ちました。  政府ができる役割として、そういう財政出動、さらには雇用、もちろん将来的には成長ということになりますが、そういうメッセージを政府としては送っているので、日銀においても日銀としての努力を期待するということで、日銀の方も十二月一日、〇・一パーというもの、あるいは十二月のたしか十八日でしたか、プラスゼロから二%というデフレ目標ということで、円高とデフレの関係というのはなかなか難しいようですが、そういう姿勢は示していただいたと、このように思っております。
  28. 林芳正

    林芳正君 余りここ、こだわるつもりもないんですが、財政を出動するということと、それから、それが成長につながるということによって円安になるというお考えのように聞こえてしまうんですが、そういうお考えということでございましょうか。
  29. 菅直人

    国務大臣菅直人君) いや、円高円安の問題は、これは公式的な答弁になりますが、やはりマーケットの見方でありまして、そういう点ではマーケットが他の国との比較を含めてどうなるかと。若干ごっちゃになったかもしれませんが、デフレということでいえば、やはり財政がある程度景気刺激的なことで需要を拡大するという形を取ることでデフレのギャップ、なかなか縮まらなくて頭を悩めていますが、そういうデフレに対する若干の効果はあるだろうと。  日銀の行動については、どちらかといえば、金融政策を通して、これも両面ありますけれども、そうした過大なデフレに対するインフレ的効果はあると思います。  円高の問題は、これはなかなか、私も財務大臣になったときに少し発言をしましたら、それが良かったという人とまずかったという人と両説あったわけですけれども、やはり円の問題は、今は九十円台ですが、いろんな要素が絡まっていますので、これは安定していることが必要だという認識で、異常な状況になればそれは何らかの手段が必要になると思いますが、基本的にはマーケットに任せておくということなんではないかと思っています。
  30. 林芳正

    林芳正君 まさに、前の藤井大臣にも申し上げたことがあるんですが、私が政務次官でいたようなぐらいのときには、経済のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいという、もう南無阿弥陀仏みたいな、お経以外は何も言わないというようなことでしたので、そのころに比べれば随分いろんなことを言っていいようになったんだなと思っておりますけれども。  まさに大臣おっしゃったように、基本的にはマーケットだと。ただ、私がちょっとお聞きしたかったのは、経済の、何というんですか、成り立ちとして、財政政策が回り回って円安方向になるというのは若干、例えば、私がこれを聞いて何かあるかなと思って考えたのは、例えば石油の備蓄を増やすとか、そうしますと買いますから、たくさん。  そうすると、一時的にはそういうことはあるかもしれないというふうに思ったんですが、マクロで需給ギャップを埋めていくとデフレが少しインフレになっていって、それが回り回って為替に影響するというのはないわけではないでしょうけれども、ちょっとそこが違和感があったので、今の、最後におっしゃった呪文みたいなところにずっと近づいておいていただいた方が無難かなということだけ申し上げさせていただきたいと思います。  それから、今少しデフレお話もしていただきましたが、やはり一義的には日銀の金融政策ということが果たす役割は多いわけですが、財政として、じゃ、どうやってやっていくのかと。これは諸外国、アコードやったりいろいろやったりして苦労しているんですが、やっぱり財政当局と通貨当局が相互に信頼関係があるというか、押し付け合わないということが非常に大事ではないかなと思うんですが。  今、日銀と財務大臣というのは、当時は経済財政諮問会議がございましたんで、しょっちゅう、あれがあると一緒に会って、会議の始まる前とか後に一緒に会って話していてもだれも不思議に思わない。今あれがなくなってしまったんで、ああいう自然にコミュニケーションを取る場というのが何か減っちゃったような気がするんですが、それはいかがでございましょうか。
  31. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 昨日も、月例経済報告のときには大体総裁出席されますので、ただ、昨日は私は予算委員会で出られなかったんですが、そういう場は定期的に、フォーマルにはあります。あとは、必ずしもフォーマルではない形ではいろいろ意見交換はしております。  定例化という話も以前あったんですけれども、現在のところ定例化というところまではやっておりませんが、場合によればもう少し機会をフォーマルな形でも増やしていいのかなと。インフォーマルというのはあくまでインフォーマルですから余り申し上げられませんが、適宜コミュニケーションは取っているつもりです。
  32. 林芳正

    林芳正君 実は、大蔵政務次官のときの記憶ですと、当時はそういうのがなかったんで、例えば政務次官と副総裁が会うとか、大臣と総裁が会うというと、会うだけでニュースになって、わあっとこうなっていて、そのころからすると、経済財政諮問会議とか、今おっしゃった月例のときに会って、そこで二言、三言いろんなコミュニケーションを取るというのが実は非常に大事で、それをやっても全然だれも不思議に思わないという状況というのはとても貴重だと思うんですね。  ですから、大臣今おっしゃったように、インフォーマルというふうにすると、人は隠されると見たくなるので、何話したんだとすぐ言われるので、そんなことする必要ないんです。フォーマルに決めて、その場で議事録も出して、ただその会議が始まる前、後でいいですね、幾らでも立ち話はできるわけですね、実は。ですから、是非それはフォーマルなやつをぴしっとやっていただいて、正々堂々と、会った場所で議事録に残る議論もきちっとしていただくとともに、会議で物理的に一緒におられるわけですから、そこでいろんなお話を是非していただいたらというふうに思います。  時間が愛知さんの時間になりましたので、税法のときにもう少しやりたいと思いますが、暫定税率の、この間、総理とは禅問答みたいなやり取りをさしていただきましたけれども、御提案があったと総理がおっしゃったので、どういう御提案ですかと言ったら、世論調査と論調と町の声だと、こう言われたので、余り御提案のような気がしなかったわけでございますけれども。  トリガー条項というのがございます。私はこれを最初説明聞いたときに、いや、何だか大丈夫かなと、ガソリン値下げ隊のときも随分現場が混乱したということが言われておりますが、今度はやっぱり、この値段がある程度のところまで行くと税金がなくなって、また戻ると税金も戻るということで、流通、いろんな方が携わっていらっしゃいますので、現場の混乱があるんじゃないかなと、こういうふうに思いますが、その辺は大丈夫でございましょうか。
  33. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) トリガー税制の問題、ちょっと林委員質問していただいて、実は衆議院の私の答弁でちょっと補強しておきたいという点があったので、大変いい機会だと思いますので、是非私の方で答弁させていただきたいんですが。  それは、このトリガー税制がなぜ出てきたのかというときに、これは十二月十八日の党が、民主党の方からの正式申入れがあったからやったんだろうということに対して、いや、これは税調でも随分議論してきたんだというお話をいたしました。  その税調なんですが、私の頭の中には旧野党時代の民主党の税制調査会でございまして、ちょうど二〇〇八年に大変ガソリン価格が高騰いたしたときに、こういうときにガソリン税の暫定税率分が下がることぐらいはいいんじゃないんだろうかと、こういうような議論をしたことがあって、実はそういう、ある意味では新しい政府税調になってからは実は、そのときが始まったということでありますが、過去にそういう議論があったということだけはこの機会に補強し、また、そういう意味でいうと誤解を招いた回答だったなと思っておりますので、これを修正をさせていただきたいというふうに思っているわけでございます。  問題はこのトリガー税制で、これはある意味では、私たちからしてもなかなかこういう税制というのは、関税ではこういうことの経過はございますけれども、なかなか一般の普通の税の中に、価格がこれだけ上がったら税が下がるとか、そういうのは非常に珍しいというか、なかなか私たちとしても、これは暫定的なものとして、なるべく早くこういう事態は解消した方がいい仕組みなのではないだろうかというふうには思っています。  ただ、今おっしゃられたように、これは現場段階で、これ庫出税ですから、過去のいわゆるガソリンスタンドのレベルでいくとどれだけ在庫を持っているのかとか、そういった議論というものをきちんとしなきゃいけないということが出てくるわけで、中には、いや、もう百六十円ぐらいを超しそうだという直前になるとみんなで、まあカルテルじゃないですけれども、協定してしまうというようなことが出てくる可能性ありますので、是非そういったところは通産省やあるいは公正取引委員会等も十分連携しながら、こういったものの弊害が起きないように、またガソリンスタンドの皆さん方に迷惑掛からないようなやり方を我々としては進めていきながら、先ほど申し上げたような視点に立ってこの点についての考え方整理しているところでございます。
  34. 林芳正

    林芳正君 余りずうっとやっているようなものでないという率直な御答弁ありましたので、まさにこれもそうなんですが、せっかく、繰り返しちょっとしつこいようですが、今から議論を税について始めるということであれば、是非それはかちっとした見える形でこうだというものをつくられて、税についても、それで中期財政フレームとやっぱり経済成長の最終的な戦略というものを是非お作りいただきたいということを申し上げて、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  35. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 自民党の愛知治郎です。よろしくお願いいたします。同僚の林委員質問に続いて、私からも質問させていただきたいと思います。  本日は菅大臣亀井大臣の所信に対する質疑ということでお時間をいただいたんですが、亀井大臣におかれましては前国会でも質疑をさせていただきました。必然的に、今回私自身菅大臣とは初めて議論をさせていただくということもございまして、菅大臣の方が質疑時間は多くなると思うんですけれども、御容赦いただきたいと思います。もちろん、いろいろ前国会に引き続き亀井大臣にも様々な分野、特にゆうちょ銀行についてなどの議論をさせていただきたいと思いますので、後ほど質問させていただきたいと思います。  また、今、最後なんですけれども、林委員質疑をされた暫定税率については峰崎大臣も御答弁されていたようなので、私はこれに対しては非常に思い入れもありますし、あのときの経緯もありますから、しっかりと議論をさせていただきたいというふうに思います。  早速なんですけれども、菅大臣におかれましては、本来であればこの場での議論は藤井大臣とやり取りをするはずだったんですけれども、突然辞任をされて、期せずして大臣になったと思うんですが、その点について、しっかりと今までの経緯も踏まえて議論をさせていただきたいと思っていたんですが、先ほど林委員質問はさすがだなと思ったんですけれども、林委員も閣僚経験者ですから、大臣同士、その大臣レベルの議論をしていたというふうに思うんですけれども、私はそんなに知識もないですし、それほどすごい議論ができるとは思っていないので、胸を借りるつもりで、またシンプルに分かりやすく、率直なところをお伺いしたいというふうにも思いましたので、是非そのような答弁をいただきたいなというふうに思います。  菅大臣におかれましてはいろいろございました。以前は政権に着かれて、そのときに厚生大臣もやられて、しばらく野党という立場でもう十五年ぐらいたちましたかね、ずっと頑張られてこられました。民主党の代表になられたこともあるんですけれども、いろいろ紆余曲折を経てやっと悲願である政権交代を成し遂げて、今財務大臣ということでその座に着かれておると思うんですけれども、この政権交代ですね。政権交代によって政権の座に着いて何を手にしたのか、何を手にされたのか、改めて政治家として、今政権の座に着いて手にされたものは何であるかということを、率直な感想を聞かせていただきたいと思います。
  36. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 私は従来から、多くの政治家はそうですが、やはり少なくとも二つの政党があって、あるいはグループがあって、時折政権交代することこそが、やはり民主主義的な議会制民主主義の本来あるべき姿だと、こう思い続けておりました。そういう意味では、もちろん九三年に一時的に細川政権等がありましたけれども、あるいは私の参加した自社さ政権もありましたが、本格的に大きな政党から大きな政党に政権交代するというのは今回初めてでありますので、その意味は、今申し上げたように、やはり国民が一方の政権がうまくいかないときには他方に移ってやっていけると、そういう意味で非常に大きい、その意味が一番大きいと思います。  あえてそれに加えて言えば、先ほど林議員とも議論させていただきましたが、今度は二つの党、もちろん三つ目、四つ目もありますが、党が政権をそれぞれが経験をする中で、場合によっては、従来片方の党だけが政権党で片方はずっと野党というときと比べて、次元の変わった議論ができるということも期待もしております。それは税とか年金だけではありません。実は、国会の運営も、例えば今よく岡田外務大臣がシャトル何とか外交ってやっていますが、本当ならもうちょっとゆっくり時間を取って行くべきだし、またほかの閣僚もトップセールスなどでもっと自由に外国に出る方が国益になると思うんですが、これは我々自身の反省も含めて、従来は閣僚がいなければ審議ができないなんということも言ってきたこともちゃんと覚えておりますけれども、これからはそういうものも、両方が運転席に座ったという経験を持つ中で、日本在り方を率直により深く議論できるのかなと、こんなふうにも改めて思ったところです。
  37. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございました。  政権交代をする意義についてお話をされたと思うんですけれども、その点については実は私も全く同感でありまして、漫然と一つの政党がずっと長期にわたって持ち続けることの弊害というのは確かに感じておりましたし、十五年前から政治改革という話をされていたときに、その目的を達成されたということが一つの成果だというふうに思いますし、そのことについて異論を申し上げるつもりはありませんし、おっしゃるとおりだと思います。  ただ、私自身が今お伺いしたかったのはもう一つありまして、政権交代によるいろいろな効果、果実というのはあるんでしょうけれども、交代云々ではなくて、民主党さんは政権を取ったわけですから、政権の座に着いて今手に入れたもの、様々なものがあると思うんですけれども、それについても改めてお伺いしたいと思います。
  38. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 手に入れたと言われる意味が必ずしも答えになっているかどうか分かりませんが、やはり内閣を構成して、そこでいろいろな施策実現をすると、その少なくとも政権を持つという意味ではイニシアチブを持つことができるということだと思います。  少し中身でいえば、いろんな例があると思いますが、従来、例えば野党の時代には、いろいろな公共事業在り方を批判したり、あるいは外交における機密の扱いなども批判したりいろいろしてきたわけですが、一〇〇%とはもちろん言えませんけれども、私たちが政権を取る中でそれを変更したり、あるいは今回の密約問題などでは少なくとも過去の政府が否定していたことを変えたり、そういうことでのイニシアチブというかリーダーシップを取れるという、それが得たものというのか、そういう立場になったということは十分自覚しております。
  39. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ちょっと分かりにくい質問で申し訳ありませんでした。  おっしゃるとおりだと思います。いろんなことが、野党時代には主張してきたけれどもできなかったこと、それが実現できるようになったと。様々な権限を手に入れたし、力を手に入れたんだと思いますが、私自身が実は、ちょっと遠回しな言い方をしたんですが、お答えいただきたかったのは一つなんです、責任ということであります。政権を取ったということは、様々な権限を持った、実現する力を持ったということでありますけれども、同時に、大きな大きな責任を手に入れることになった。入れざるを得ないと言った方がいいかもしれないですけれども、そのことを是非、お答えいただきたかったのもあるんですけれども、改めてしっかりと御理解をいただいて、これからの政権運営をしていっていただきたいというふうに思います。  そのことをお話ししたくて今遠回しに言ったんですが、やはり私自身も、まだまだ経験浅いですけれども、与党時代にいろんな経験をさせてもらいました。なかなか思いどおりにいかないなというのをもうしみじみと味わわされたというか、さんざんそういう思いをしたんですが、今いろんな問題が起こって大変だと思うんですけれども、やはりそれはしっかりと責任を持ってすべての問題に当たっていただきたい。国民から見ても大丈夫かという声が一番大きいんで、その点は是非よろしくお願いいたしたいと思います。  ちなみに、先ほど冒頭申し上げたんですが、藤井大臣から菅大臣は引継ぎをされました。実は財務大臣になって一番大きい仕事というのは予算の編成だと思うんですけれども、それはほとんど多分藤井大臣がされて、それを引き継いだと思います。  菅大臣財務大臣である以上、本当だったらその予算のすべて、編成から、最初の段階からかかわって自分考え方も入れたかったと思うんですが、いい面も悪い面もすべて藤井大臣政策、考えを引き継いでこられたと思うんですけれども、当然その引き継がれたことに対して、すべてにおいて責任を持つということでよろしいんでしょうか。
  40. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 実は私、鳩山内閣が誕生したときに、いわゆる国家戦略担当大臣ということになりまして、その最初のテーマが予算編成の在り方懇談会というのをつくりまして、今度中期財政フレームの中で生かされると思いますが、複数年度予算というもの等を検討いたしました。  また、実はこの予算編成の中でも、例えばマニフェストに盛り込まれた予算の調整は、総理の方からあるいは藤井財務大臣からも国家戦略担当の私の方で調整をやってくれということも依頼をされまして、そういう仕事もやってまいりました。そういう意味では、藤井財務大臣から引き継ぐという以上に共同してこの予算を作ってきたというふうな意識でおりますので、当然のことながら、前の大臣がこうだったからそれは関係ありませんなんということを言うつもりは全くありません。
  41. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 こんな質問をしてまた恐縮だったんですけれども、当然のことだと思いますし、安心もいたしました。  ちなみにこの質問を、次の質問をしたいがためにあえて今の質問をしたんですが、先日、本会議において総理に質問したときにも私はそういう話をしたんですが、民主党の皆さんが過去の政権の負の遺産じゃないですけれども、自民党のせいだというような言い方をしているのを聞いて、そのせいにして例えば借金が減るとかすべての問題が解決するんだったらいいですけれども、自民党のせいに幾らしたとしても借金が減ることはないですし、今から、これからどうするかというのが一番大事だと思いますし、それを分かって政権の座に着かれたわけですから、是非しっかりとした解決案を出していっていただきたいというふうに思います。  実は、参考までになんですが、今日お配りさせていただいた公債残高の累増という表がありますが、これは財務省からいただいたんで皆さん見たことは多分あると思うんですけれども、私が初当選したとき、平成十三年ですけれども、その後半に当たるんですが、国とそれから地方を合わせて七百兆円近いもう既に借金があった。私自身はそれを分かった上でもちろん立候補して国会議員になって、その問題を改善、改革をしていこうというふうに取り組んでいったんですけれども、いろいろ政権は替わりましたけれども構造改革をして、十六年辺りからですか、プライマリーバランスがほとんど黒字化に近づいてきた。  最終的には、昨年でありますけれども、二十一年度にリーマンショックもありまして相当公債の残高増えてしまったんですが、やはりこういったこともしっかり引き継いだ上で、分かった上で、じゃ現実的にこれからどうするかというのが筋論だと思いますし、皆さんはそれを分かって政権交代されて政権を取ったということですから、是非しっかりやっていただきたいんですが、じゃ、具体的にこれから、中期財政フレームという話もありますけれども、総論で恐縮ですけれども、財政をどのように改善していくのか、その方針、考え方菅大臣にお伺いしたいというふうに思います。
  42. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 愛知議員が言われる、また言いたい思いというのはそれはそれとしてよく分かっているつもりです。ですから、単純にもちろん過去の政権のことを単に批判して我々が責任を逃れるつもりはありません。  ただ一方で、まさになぜこういうふうになってきたかというその原因をしっかり検証しないと、単にここまでは来たけど後はこうすればいいんじゃないかと言っただけでは私は逆にうまくいかないんではないか。ですから、私が中心になってまとめたこの新成長戦略も、最初のところは確かに、林大臣時代やいろんな時代にいろんなものを出されて、内容は見る人によればほとんど同じじゃないかということも言われる場合もあります。しかし、じゃなぜそれが過去においてうまくワークしなかったのか、そういうことをしっかり押さえていかないとこれから先も同じ間違いを繰り返すことになりかねないと思っております。  今後のことについて一般的なことは申し上げられますが、もうちょっとさかのぼって言うと、私は、先ほどの林議員との議論の中でも少し申し上げようかと思ったんですが、やはり八〇年代のバブル、それからバブルの崩壊、これが今日まで私は日本経済にとっては尾を引いているというふうに見ています。私は実は、今の愛知さんと同じぐらいに、一年生議員、二年生議員のときから土地問題をずっとやっておりましたが、大体あの時代で土地の値段だけでも一千兆円ぐらい上がって一千兆円ぐらい下がりました。注目されるのは銀行の不良債権でありましたけれども、個人もそういう上昇と下降の中であったわけで、やはり個人消費や、あるいは企業もたくさんの土地を持っていましたから、上がって下がったわけです。もちろん、株価も三万八千円か九千円から三分の一に下がりました。ですから、私は、戦後四十年間かなりうまくいったのが、その四十年のちょうどバブルの崩壊以降の二十年がうまくいっていない。その大きな節目はやはりあの土地バブルにあった。他の国もいろいろバブルがあります。しかし、主に金融バブルで、私が見るところでは比較的短期間でそれをクリアしていくわけですが、日本はそのクリアがなかなかできていないところにそこがあるのかなと一つは思っております。  そういう中でやはりこの状態を変えていくには、よく言われるように、一つはパイをいかにして大きくするか、成長路線にどう持っていくかということと、それから、これが非常に増えた理由として一般的に言われているのは、先ほども申し上げましたが、税収が減ったことと、それから主に社会保障の費用が増えたこと、これが二つの大きな要因だと言われていますし、私もそのように思っています。  そういう意味では、パイを大きくすることと、ある意味では税収も含めたそういったことをどうするのか。それから、社会保障については、これを抑えるというよりも、先ほど来申し上げているように、負担という考え方を超えて、この分野成長がより促進されるんだと。そのためにはどういう形で負担をすることが必要なのか、そういうまさに制度論も含めて入っていかなければならないと。そういうものを組み合わせることによって、何とか、まずはGDP比を安定させて、将来は、もちろんプライマリーバランスということも念頭にはありますが、残念ながら今すぐプライマリーバランスの目標を立てるにはやや早過ぎるのかなということで、まずはGDP比の安定を目指してそういう組合せで考えていくべきではないかと、このように思っております。
  43. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  今後しっかりとした議論をしなくてはいけないのは当然だと思いますが、ただ、可能であればもう一回、この感想というか今までの実績についてお伺いをしたかったんですが、少なくともこの表を見る限りは、いろいろ批判はされておりますけれども、構造改革によって財政収支が黒字化に近づいたという一時期のこの実績だけは結果として残るのではないでしょうか。まあリーマンショックという特別な事情があったので二十一年度は極端な数字にはなってしまいましたけれども。  こういった構造改革を進めて財政の現在の状況を解決した上で、先ほど菅大臣がおっしゃられたとおりに、社会保障の増大に対しては消費税等の財源論をしっかり議論して対応すべきだと私は思っていたので、偶発的な事情、リーマンショックがあったにせよ、それまでの方向性は正しかったと、少なくとも財政については正しい方向で歩んできたんだと私は考えていますが、その点についての菅大臣の見解は、過去の自民党のやってきたこれはプラスの部分だと思うんですけれども、見解をお聞かせいただきたいと思います。
  44. 菅直人

    国務大臣菅直人君) そこは残念ながら全く見解を異にします。そのために、この間、第一の道、第二の道ということで、過去の政策の、間違いと私は思っておりますが、それを具体的に指摘をしているんです。  今特に言われました、その小泉政権からリーマンショックに至る過程でやられた政策は、大きくいえば構造改革でありますが、先ほどの議論を聞いていただいたと思いますが、私は、デフレ下においての構造改革はよりデフレを促進すると。先ほど言ったように、個々企業がより効率化することそのものは大いに結構なことですが、社会全体としてデフレ状況でやらなきゃいけないのは、需要をいかに生み出すかであって、供給側をいかに効率化するかということに政策が集中して、その一環として、労働行政などもいわゆる派遣とかいったものが全部解禁されていくわけですけれども、結果は、格差が大きくなっただけではなくて、経済成長そのものがそれによって回復したかというと、残念ながらしなかった。  確かに、一時的にプライマリーバランスがやや縮小したことは事実ですけれども、それも今一般的に言われているのは、やはり外需依存度がより高まった。つまり、アジアの成長等を含めたアメリカの消費もまだ高かったですから、それに対する輸出が好調なことによって、確かにその部分ではプライマリーバランスが少し黒字に近づいたというかゼロに近づきましたけれども、逆に、その近づいた原因となった外需リーマンショックによって一番打撃を受けるわけですね、世界の不況ですから、世界のデフレですから。そうすると、結果として、一番プラスになったからこそ、一番同じ原因で大きな需要減を引き起こしたわけですから。私は、それをトータルして見たときに、残念ながら、愛知さんが言われるように、この時代は歴史で良かった時代だとは全く思いません。
  45. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございました。  その点では見解が全然違うので、残念といえば残念なんですが。ただ、それ以上に、これからの時代を見据えて新しい案があると、第三の道があるということでしょうから、しっかりやっていただきたいと思いますし、それを検証していきたいというふうに考えております。  ところで、腑に落ちない点があるんですけれども、今の御答弁にも関連はするんですけれども、財源論なんですが、マニフェスト、あの選挙のときにもおっしゃっていましたけれども、民主党の皆さんがおっしゃっていましたけれども、改めてお伺いしたいと思うんですが、予算の組替えと、それから無駄遣いの根絶で財源は大丈夫だと、こんなの余裕で確保できると何度も何度も、テレビ等でもそうですし、いろんなところで民主党の方々、発言されていたと思いますし、国民の皆さんもそういうふうに記憶していると思います。  予算の組替えと無駄遣いの根絶で財源は確保できる、それを信じて投票した人も相当いると思うんですが、この点について改めて、そのときにおっしゃられていたことがそのままいまだにそれは引き続いているのか、それで財政の問題、財源は確保できるのか、見解をお伺いしたいと思います。
  46. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 率直に申し上げて、当時、この二百七兆ですか六兆の中から無駄を削減することによって相当の財源が生まれるだろうということで、マニフェストにそういうことを、言わば前提としてこの工程表を提示をさせていただいたわけですが、なかなか初年度を含めて当初考えたとおりまではできていないことは認めざるを得ないと思っております。  そういう中で、今審議をいただいている予算でいえば、その間に約三・三兆円の財源を今申し上げたような中で捻出をする中で、三・一兆円を使ってマニフェストの幾つかの項目、まあ暫定税率を除くほぼすべての項目でありますけれども、それにその財源を充てて、ある意味での初年度の予算は作って今皆さんに御審議をいただいているわけです。来年以降どうなるかということで、これも更に努力をしなければならないと思っております。  しかし、それによってすべての財源を生み出すところまでやれる、やれない、これはもちろんまだあきらめているわけではありませんが、全力を挙げてやっていく。と同時に、これも先ほど林議員とのお話で私からも申し上げたように、今、急激な税収減とか、あるいはマニフェストを超える長さでのいろいろなまさにここで示されたこういった問題とか、こういった問題を含めて考える中では、このマニフェストに盛り込んだ中身だけではなくて、それを超えた税制の議論とか年金の議論とか成長議論とか併せてやっていかなければならない、このように考えております。
  47. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 もちろんおっしゃったことを最後まで実現しようと取り組むということは大事なことですし、是非頑張っていただきたいんですが、ただ一方で、このままの状態でずるずる続けていくというのもやはり問題があると思うんですよ。  国民としてはなぜ不安に思っているかというと、本当にできるの、できないのと。何かちょっとできそうにないなというのは感じているんだけれども、いや、一方で、まだまだ頑張ります、できます、できる可能性がありますなんて言われていると、じゃ、どっちなんだと。覚悟も必要なんですね。いずれ将来に対して、例えば消費税だったら消費税、しっかりと負担しなければ国はもたぬと。逆にそれをやることで、先ほどの議論もありましたけれども安心が生まれて、ああ、将来も大丈夫だという保証がされるのであればマインドも緩んできて消費をどんどん拡大していこうという気分にもなるんですけれども、今分からないんです、どうなるか。  民主党さんの言っていることが、今までマニフェストで言ったことは、菅大臣がおっしゃられたとおりにちゃんと果たせるのか、いや無理なのか、そこが非常に不安だし、そこは明確に駄目なら駄目と。ある程度見込みが、あのときに政権に着いていなかったから分からなかった事情もあったし、いざやってみたらこういう事情だった。で、難しいということであれば、それはしっかり国民に開示をして事情を説明して、さらに、いや申し訳なかったと、あのときは野党でできると思っていたけれどもできなかったという謝罪をした上で、でないと次のステップに進めないと思うんですね。  ちなみに、個人的な話で恐縮なんですが、先日、中学生時代からの同級生と話をしまして、私は自民党で頑張っているからよろしくとずっと言ってきたんですが、実は彼は民主党さんに投票したみたいなんですけれども、でも言っていました。悪いけど自民党じゃできそうにないし、まさかできるとは思わなかったけれども、それでも民主党の方がいいんじゃないかと思って期待して投票したんだけど、何かうそみたいじゃないか、これは一度謝ってほしいよなというふうに漏らしておりました。それが正直な感想でもあると思うんです。  そういう点について、今後の方針、是非こういった声を聞いていただいて、また議論を先に進めるためにも明確に姿勢を打ち出していただきたいと思うんですが、菅大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  48. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 大変、愛知議員からある意味では優しい気持ちでの御指摘をいただいていると思っております。  一つのめどが六月の中期財政フレーム、これは先ほどの林議員も言われたように、いろんな意味で注目をされております。逆に言えば、まずは来年度の予算を成立をさせていただいて、そして四、五、六とあるわけですから、その中で努力すべき努力は全力を挙げて努力をし、そして成長戦略の肉付けも行い、そういう中でどこまでマニフェストを含めて更にやり切れるか。場合によったら、今御指摘をいただいたように、今回もすべてはできなかったわけですが、そういうことも含めて、ここまではやれるけれども、ここまでは残念ながらやれませんということを認めざるを得なくなるか。そこは、本当のところ、この間の更なる努力だと思っております。  それが遅いじゃないか等いろんな議論はありますが、これはあえて多くは言いませんけれども、八月末の政権交代でしたから、ここまでのところは私が見るところはぎりぎり年内編成と年度内成立というところを重点を持ってやってきたわけで、これから六月までに若干の時間はありますけれども、決してそんな先の話じゃありませんので、その間にしっかりした方向性を見出したいと、このように思っております。
  49. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 菅大臣にちょっと優しいと言われたので、心外ではないんですけれども、そんなつもりは全然ないんですよ、実は。いろんな思いもありますし、厳しく指摘するところは指摘しなくちゃいけないと思っておるんですが、それ以上に、実は、先ほど林議員も話していましたけれども、私自身はもっと危機感の方が上にあって、正直申し上げて本当にこの国の財政は破綻しちゃうんじゃないかと思っているんですよ、このままでいくと。その危機感があるので、批判だけしていればその状態が解決できるのかといえば、そうじゃないんであれば、提案でも何でもしなくちゃいけないですし、ぐっとこらえて、いろんな言いたい思いはあるけれどもこらえて、国のために力を合わせていかなくちゃいけないんじゃないかという思いで申し上げたので、優しくするつもりは全然ないので、その点はちょっと誤解をしないでいただきたいというふうに思います。  次の問題なんですが、もう一枚のペーパーがあります。こちらを見ていただきたいと思うんですが、もう一点、今年のこれからの収支なんですけれども、私自身、やはりこの今回の予算ですね、これも先日の本会議での質問で取り上げさせていただいたんですが、今年の当初予算は、国債発行額が税収を上回ったという予算を当初予算から組んでしまったということなんですけれども、二十一年度の補正予算後はもちろんいろんな状況があったので、補正を景気対策として積み重ねたというのはあるんですけれども、今年こういった状況になったというのは、総理の答弁を聞いてびっくりしたんですけれども、国債の増発というものは極力抑えると、それを行わないで、依存しないで必要な財源というものを確保してきた、そのように考えているというんですが、少なくとも、この数字を見ると、十分な財源を確保して組んだ予算とは思えないんですが、この点について、やはり税収の見込み、大幅に下がったとは言いますけれども、昨年よりかは上がっているんですね。これは当然予期できたと思うんですけれども、二十一年度の税収よりかは今年の見込みは上がっているんですね。  だから、この状況というのは、少なくとも三十七兆円前後であろうかというのは予測できたと思うんですね。だけれども、国債発行額の方が増えてしまった。これは見込みが甘かったんじゃないかと思うんですが、その点について菅大臣の見解を伺いたいというふうに思います。
  50. 菅直人

    国務大臣菅直人君) これは若干、もしかしたら愛知議員の思い違いかもしれませんが、実は、昨年の麻生内閣のときの当初予算の税収見積りは四十六兆だったわけです。それが結果として九兆下がったものですから、それで第二次補正を私たちが政権取った後にそれを減額して、その分は国債で穴埋めしたわけです。ですから、二十一年度の予算の税収見積りは四十六兆、当初予算は四十六兆だったわけです。  私たちは、現実、三十六兆まで下がりましたので、この二十二年度について、もうちょっと緩い予測も可能だったかもしれませんが、余り変わらないだろうということで三十七兆四千億という税収見積りをしたので、決して甘い数字とはこの数字は思っておりません。逆に、昨年の四十六兆がやはりかなり過大な見積りではなかったかと思っています。二十一年度がですね。
  51. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 いや、それはいいんですけれども、過去の政権の見込みについては。  ただ、少なくとも今年については、だから三十七・四兆円、その程度だろうということを分かった上で予算を組んで、結果として国債が四十四兆円になった、国債発行額が税収を上回った予算を組んだということでいいんですよね。
  52. 菅直人

    国務大臣菅直人君) いや、それはもちろんその事実関係はそのとおりですが、こうなった一つ考え方は、いわゆる予算総額をどの規模にするかという、何度もいろんな機会に言っていますが、我々はもちろん規模だけを問題にしているんじゃなくて、中身も大きく変えなきゃということで、中身の変えることは非常にやっていましたが、やはりリーマンショック、世界的なそれこそ対応を間違えれば大恐慌にもなりかねないと言われたこの中で、やはり平成二十一年度予算も補正も含めてかなり大きなものになりましたが、平成二十二年度予算もやはり基本的には景気刺激的なスタンスは維持する必要があるだろうということで、規模はそういう判断も含めて考えました。その中で税収が確かに落ち込んでおりますので、あとはそれこそ財政、いわゆる無駄の削減とか、あるいは特別会計等のいわゆる埋蔵金と言われるものなどをできるだけ捻出することによってこうした予算を作ったわけです。  総理が言われた意味は、これは私もよく答弁するんですが、いわゆる事業仕分等で、あるいは一部の基金の返還等で三・三兆円の無駄の削減ないしは返還金を生み出して、その三・三兆円の範囲内で新規政策であるマニフェストの費用に三・一兆充てたという、その部分を無駄の中から出したんだという部分を言っておられるという意味だと私はとらえております。
  53. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ちょっとよく分からないというか、分かりにくいんですが、私の理解力が足りないせいか分からないんですが、少なくともこの数字を見る以上は、今までおっしゃっていたことは、国債に頼らないと、それで財政運営していくというようなお話をされていたと思うんですけれども、国債に頼っているんですね、少なくとも税収よりか国債発行額の方が多いんですから。  国債に頼って予算を組んでいることは事実だと思うんですが、その点についてはどういうことなんですか。
  54. 菅直人

    国務大臣菅直人君) いや、ですから、国債を四十四兆で、税収が三十七兆の見通しだという意味で、税収よりも国債が額が多くなっている、上回っているということは、それはそのとおりの事実であります。ただ、これも、過去のことは余り言っちゃいけないかもしれませんが、実は二十一年度の予算も結果としてはそうなったわけですね。つまり税収が九兆円下がりましたから、結果的にその穴埋めを含めて五十三兆の国債、ここに書いてありますように、二十一年度も最終的には五十三兆の国債と、九兆減りましたから約三十七兆の税収になってしまったわけです。  ですから、国債を当てにしてどんどん新しい事業をやったかという御質問であれば、総理が言われたように、新しいマニフェストに関する費用は何とか削減の中から出したけれども、トータルとしてはこういう数字になったということです。
  55. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 やはりちょっと分かりにくい。数字は単純に見ると、多分国民もそうですけれども、少なくとも、いろいろおっしゃられますが、三十七・四兆しか税収がないのに、借金である国債発行は四十四・三兆円していると。これはやはり不安に感じて当たり前なことだと思いますし、私もいかがなものかと思います。  それこそ、先ほどおっしゃられたように、その前の年はリーマンショックの影響がどれぐらい出るか分からなかった、相当税収が落ち込んでしまった、想定外のことが起きたのは事実ですけれども、十分に分かった上で予算を組まれているということなんで、私はこの状態がいいとは思いませんから、是非解決をしていただきたい。少なくとも、今はこういう予算を組んでしまったんですが、来年度からはしっかりとそうではない予算にしていただきたいというふうに思います。  続いて、先ほど国債に頼らないという、私の認識はそうだったんですけれども、見解が違うということらしいんですが、もう一つ、財源確保についても先ほどの話と通ずるところがあるんですけれども、これは赤字国債に頼らないと同時に増税はしないという理解でいたんですね。要は、先ほどマニフェストの話をしましたけれども、予算の組替えと無駄遣いの根絶によって財源は確保できる、イコール増税に頼ることではないというのが国民の理解だと思うし、少なくともあの時点で議論されていた、おっしゃられていたことだと思うんですけれども、この点についての見解というのを改めてお伺いしたいと思います。
  56. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) マニフェストを御覧になっていただいたらお分かりのように、実は増税をしないということは、税による負担増が二・七兆円その他を計上しているわけですよ。つまり、我が内閣においては、消費税については引上げがないということは約束をしておりましたけれども、そういう税制上の様々な租特の見直しとか、あるいはいわゆる扶養控除とか、配偶者控除も廃止ということは一応打ち出しておりましたけれども、それも明らかにこれは負担増につながっていくわけですよね。そういうことはかなり、これは私、打ち出したときに、マスコミの中からはこれは痛みを国民に強い、ある意味では非常に、割と識者からは評価をされたところではなかったかなというふうに思っていますから、そういう意味で一般的に増税なんか一切しませんよということではないということだけは間違いないんじゃないでしょうか。
  57. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 分かりました。その点について様々な分野政策すべてということではないというのはもう当然だと思いますし、それは理解いたしました。ただ、今期せずしてなのか意図してなのか分からないですけれども、消費税は増税しないということをおっしゃられました。  一方で、これも本会議で私は質問をさせていただいたんですが、菅大臣に、そのまま同じ質問をさせていただきたかったんですけれども。少なくとも国民が単純に考えたのは、マニフェストのときに予算の組替えと無駄遣いの根絶で財源は確保できる、大丈夫だと、さらに消費税、四年間と言いましたが、消費税は上げないということであるならば、新たな消費税の増税のような負担はせずに財源は確保できるというのが国民の理解だと思いますし、そう思って民主党に一票を投じた人というのは本当に多かったと思うんです。この点について、その思いがまだ残っておりますし、その中で、皆さん、消費税というのは別に上げなくていいんだ、上がらないんだというのが約束だと思っていますから、同時に消費税を今から議論しましょうというのはやはり違和感を禁じ得ないと思うんですが、その点についての菅大臣の見解を伺いたいと思います。
  58. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 三党で政権をつくるときの合意の中では、昨年の衆議院で、選挙の結果、政権を担当している間は消費税は上げないというそういう表現になっていることは事実であります。  それで、今言われたのは、財源が確保できることが前提であれば消費税の議論は必要ないんではないかという趣旨だと思いますが、実は昨年の暮れの税制大綱の中でも、この消費税の在り方社会保障制度の抜本改革の検討などと併せて検討していくというのを昨年暮れの税制大綱でも盛り込ませていただいております。  私たち考え方は、消費税の議論を一切しない、四年間一切しないということを言ったつもりは、これはありません。議論議論としてやるべきだということで大綱にも盛り込ませていただきました。  確かに、じゃ、これから四年というか三年半というか、やらないでいいかということは、それはいろいろ議論があり得るわけですが、一般論でありますけれども、そういう税制の大きな変更をするときにはやはり国民の皆さんにそのことを問うということも必要だという考え方でも我が党基本的には一致をしております。
  59. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ということは、やはり国民は誤解している、国民に誤解させているということですよね。財源に関していえば、予算の組替えと無駄遣いの根絶で大丈夫だから、別に大きなそれ以外の負担は要らないというふうに思っているんじゃないでしょうか、国民は。はっきりとそれとは別に、やはり社会保障を考えた上でも消費税というのはこのままの税率で、水準では国家財政はもう破綻してしまう、駄目ですよということを言わなくちゃいけないんじゃないでしょうか。その点について財務大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  60. 菅直人

    国務大臣菅直人君) いや、ですから、マニフェストに関していろいろの御指摘があることはよく、よくといいましょうか、理解しておりますし、それに対しては先ほど来答弁をしているわけですが、社会保障の問題、例えば、これは三党連立ですからまだ三党連立の正式な案ではありませんが、例えば最低保障年金制度を我が党は提案をしてきたわけですが、その場合にはその最低保障部分については税で充当すべきだという考え方も示しておりますし、また、この間、税収そのものが、景気の悪化で減収になった法人税のような部分もありますけれども、場合によっては、制度をこの十年間だんだんと所得税などはフラット化されたことによって、かなり構造的に制度的にも余り税収が伸びなくなった、あるいは減少したというところもあります。ですから、そういう議論をすることについては、特に私は国民の皆さんに何かそういった議論は一切しないということを申し上げたということはなかったと思っています。
  61. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 繰り返しになりますけれども、予算の組替えと無駄遣いの根絶で財源が確保できるという、そこの論理を変えない限りなかなか前に議論は進めないというふうに思いますので、しっかりと考えてこれからの対応を検討していただきたいと思います。  もう一つ、時間もなくなってきましたので違う点に移りたいんですが、たばこ税についてお伺いしたいというふうに思います。  今回、相当大幅な増税をすることになったと聞いておりますが、これも本会議でも質問したんですけれども、改めて、どういった目的で今回これだけ大幅なたばこ税の増税をするんでしょうか、お答えください。
  62. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) これは、実は、税制調査会を新しく改組して発足するときに総理大臣から諮問をいただいたわけであります。つまり、来年度の税制改正において是非こういう観点から改革をしてもらいたいと。その中に総理からは、健康に対する負荷を踏まえた課税へ、そのために必要な事項についての検討をするようにと、こういう指示が下りたわけであります。それを受けて税制調査会の中で、これは全委員といいますか、参加した人たちの中でたばこ税の引上げに対する反対という意見はほとんどございません。  問題は、幾ら上げるべきかということについての議論は相当議論いたしました。それで、やはりこれは健康目的というところで、私たちはやはり、当初はニコチンやタールの含量によって、それによってたばこの値段を上げてはどうだろうというような議論もしたんですが、これはフィルターで全部吸収されちゃうとかいろんな理屈があってなかなか難しかったんですが、しかし、いずれにしても、健康目的ということであるからには、今まで一円程度しか上げたことのない実績しかないものですから、これはなかなか大変だったわけですが、かなり、五円という、一箱に換算すると普通の商品でいいますと大体三百円から一箱四百円ということで値上げになっていったと。税収そのものは一本につき三円五十銭ですけれども、これは増収目的というよりも、どちらかというと価格を上げることによってそういう健康を留意する、そういう目的のために今度の引上げということを考えたわけであります。
  63. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 まさに私の考えていること、危惧していることをそのままおっしゃっていただいたということなんですけれども、税とはそもそも何ですかということを前国会でも話をさせていただきましたし、この前の本会議でも話をさせてもらいましたけれども。  いろんな健康についての経費が掛かりますよね。そのための財源として、特にたばこを吸われている方にはいろんな健康被害も出るでしょうし、医療費等のコストも掛かるでしょうし、その分の財源を負担していただくというのは普通の税の議論だと思うんですね。先ほど反対される方がいなかったという話だったんですが、私自身は、与党にいたときもずっとそうなんですけれども、段階的に徐々に引き上げていくことについては私も賛成をしておりました、賛成をしてきました。  ただ、今回の目的は全く違っていて、消費抑制ですよね。たばこの消費を抑制しよう、せよと。その目的のために大幅に増税をすると。これは税の目的じゃないと思うんですね。元々税じゃなくてそれは規制的な手段ですから、罰金であるとか、ほかの規制的手段でやるべき話であって、税の元々の目的とは全然違うんじゃないか、私はそこを危惧しているんです。おっしゃられていることは分かりますけれども、原則論を前にも申し上げましたが、その点についての見解を伺いたいと思います。
  64. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) おっしゃるとおり、通常、税の果たしている機能って何だろうかなというときには、やはり私は財源調達機能と。日本の税制で一番欠けているのはこれですわね。通常、十分性の原則というふうに言うんですけれども、これが欠けていることは間違いありません。  ただし、この機能だけかというと、これ、環境税論議とも絡んでくるんですが、実はやはり、税という一つ経済的な仕組みといいますか、こういうやり方を通じてこういう様々な外的な問題点を市場の中に取り込んでいくという、いわゆるそういうやり方というのは、課徴金だとかあるいは今おっしゃられた負担金だとか、様々な手法はあると思うんです。その中で税という手法も、ある意味では問題点を市場の中で解決する方法として、経済的な手法として、私は一つの方法として、機能としてあり得るというふうに思っていますので、これは、それがすべて税の機能だというふうには言いませんけれども、こういう機能も含めてこれからは二十一世紀考えていく必要があるんじゃないんだろうかというふうに思っています。
  65. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 機能とか効果については、様々な効果があると思います。これもまた議論したかったんですけれども、消費税の議論で、先ほど菅大臣が、増税をすることによって消費の抑制機能だけじゃないと、いろんな機能がある、効果が出てくるだろうという話もされましたけれども、それは効果の面については税制様々な効果はあると思うんですが、今言っているのは目的なんですね、そもそもの目的。増税したことによって結果としてこういう効果が生まれるというのは、もう当然分析してしかるべきだし考えてしかるべきですけれども、そもそもその税によって抑制しようという目的を持っている時点でやはり税の本質から外れるんじゃないかというのが私の考え方なんです。  実は、この議論をしっかりとしたかったんですが、もう時間がなくなりましたので、これは国税、また議論をしっかりすると思いますので、そこでやらせていただきたいと思います。  大変申し訳ない、亀井大臣にはもっと前から質問する予定だったんですけれども、長くなっちゃったんで、最後に質問したかったんですが、二点。  一点は、事務的な数字をお伺いしたかったんですけれども、先日成立した中小企業の資金の円滑化法ですね、これについての実績がどうなっているか、お伺いしたいと思います。
  66. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 数字ですので私から御報告をさせていただきます。  去年の十二月までの実績を各金融機関が自主的に報告をした内容でございます。主要行全体で十二月末までの実績、申込みが一万五千五百四十二件、金額にいたしまして八千百八十五億円。そのうち実行されたもの、つまり条件変更が行われたものが三千百四十三件、金額にして二千八百二億円。あとは謝絶をしたということではありませんで、審査中等々で今日に至っております。
  67. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございました。  一番私自身が危惧をしていたのは住宅ローンの方で、元々は中小企業のためにということでやられたと思う。もちろん、等ですから住宅ローンも入っていたかもしれないし、生活に困っている人にとってみればすごく有り難い話なんですけれども、これから積み上がって、今の実績プラスどんどん増えていったとして、金融機関の財務状況を圧迫して、それが結果として貸し渋りにつながるんじゃないかという懸念は抱いておるんですが、その点について亀井大臣の見解を伺いたいと思います。
  68. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 現在の各金融機関の預貸状況等を見ましても、ある意味では、残念ながら今借り手がなくなってきているんですよ。そういう私は経済全体で深刻な状況があると思いますよ。私は、昨日、広島の銀行、また信金、信組等の方々とお会いして率直な意見交換をしたときも、我々が数字で取っておるよりか、そういう方々のお金を貸しておられる立場から見られたら、今の中小零細企業の経営実態というのは極めて深刻な状態だということを私は話を聞きながら痛感をしてきました。  今、例のモラトリアム法案がどの程度効果上げているということなんですが、これも私は一つ意外だと言ったらおかしいんですが、皆さん方がおっしゃるのは、自分たちもちゃんと今までも相談に乗ってそうした借金の繰延べ、いろんな措置を十分とってきたと思っておったんだけれどもとおっしゃるんですよね。ところが、この法律が出た後、従来の数字の三倍、五倍、そうした相談が殺到したとおっしゃる。だから、自分たちが日ごろの営業においてそういう面を借り手について余り配慮してこなかったんじゃないかという、今私ども反省しているんだという率直な意見を各信金、信組の理事長等から話を受けまして、これは非常に率直な感想を受けたわけでありますけれども、今深刻なのは、異口同音におっしゃるのは、もう仕事がない、そういう悲鳴を借り手の方がもう異口同音に上げているということを言ってこられました。私は本当に深刻な状況だと思います。  この内閣、やはり仕事を、しかももうかるような形でどうその地域地域に出していくかということを真剣にやっていかなければならない。ここに菅大臣がいらっしゃいますけど、予算が上がってこれを執行した後、やはりそういう問題について、我々としては予算を執行しておりゃいいという、そういう気持ちではなくて、ちゃんと仕事が日本じゅう出ていく状況をつくる努力をしなければ大変な事態になるなということを昨日も私は実感をしてまいりました。
  69. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 終わります。
  70. 大石正光

    委員長大石正光君) 午後零時五十五分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後零時五十六分開会
  71. 大石正光

    委員長大石正光君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等基本施策に関する件及び金融行政に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  72. 白浜一良

    ○白浜一良君 公明党の白浜一良でございます。  これ通告していないんですが、菅大臣、今日は一斉に報道されておりますが、鳩山政権半年ということでございまして、菅大臣は副総理ということで政権の中軸としてこの半年間やってこられたわけでございますが、実際の責任ある立場で行政を担当されているというのは大変なことだと思うんですが、半年たっての感想をまずお伺いしたいと思います。
  73. 菅直人

    国務大臣菅直人君) ちょうど九月十六日から、おっしゃるように半年たちました。  私の立場で申し上げますと、政権が誕生してまず考えたことは、今の経済情勢を考えると、年内に予算編成をすることと。それは十二月二十五日に予算編成ができ、次には二次補正予算、さらには本予算をそれぞれ成立させることと。二次補正が通過をし、今、本予算の最終場面に来ていると。そういう意味では、そうした経済財政の運営については、いろいろ問題点はあったにしろ、一応のやるべきことはやってきたというふうに感じております。  ただ、政権全般をめぐっては、政治と金の問題を含めて、あるいは普天間の問題など大変大きな課題が存在して、結果として国民の皆さんの支持が低下してきているのは大変残念だと。何とか、これから政策的にやるべきことをやって、理解を回復して、支持を回復していくために全力を挙げたいと、このように考えております。
  74. 白浜一良

    ○白浜一良君 これは総論的な話なんで、これ以上議論はしませんけれども、実際に政権を担当されるというのは大変それは責任が重いわけでございます。  政策というのは継続性がございますから、すべてが今の政権の責任じゃないのは当然ですけど、だけれども、今起こっている問題というのは、それは一〇〇%立ち向かわなきゃならないお立場であるわけでございまして、賢明なかじ取りをやっていただきたいと、このことを申し上げたいと思います。  まず取り上げたいのはデフレという問題なんですが、昨年末、末でもないですかね、あれは十月か十一月ですか、菅大臣デフレ宣言をされましたですね。ただ、私は思いましたのは、そのときにデフレという認識をされたら、どのようにそのデフレに対して対策を取るかということが大事でございまして、その割には、昨年秋の臨時国会ではデフレ対策と言われるような、対応する施策というのは一切国会には出していらっしゃらない。関連でいうと、金融のモラトリアム法案ぐらいなんですよね。  ですから、冒頭おっしゃったように、確かに時期的にはいわゆる年末までに予算を組み上げなきゃならない、また補正も考えていらっしゃる、どういう補正するかという、これ同時に考えなきゃならない、大変な時期であったことは私もよく承知しております。  しかし、デフレという認識されながら、こういう手を打つんですよという、そういう何というか、対処というか、具体的な取組がなかったというふうに私は思うんですが、この点はどう思われますか。
  75. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 当時私は、経済財政担当という立場で内閣府の担当のスタッフといろいろ議論をいたしておりました。ある意味では、議員がおっしゃるように、このデフレということについて私も当時から事務方に、どういう場合にデフレ状況にあるとか、そういうことを表現するのが一つ考え方なんだと、国際的には二年ぐらいデフレ状況が続いているとか、そういういろいろなことも私としてはある意味では初めて知識として知ったこともありました。  そういう中で幾つかの兆候が、六か月連続前年比消費者物価がマイナスになるとか、あるいはGDP成長率が二四半期連続マイナスになるとか、日銀の見通しなどでも今後二年程度物価下落の状況が続きそうだとか、そういうことがありまして、そういう状況に立ち至った中では基本的にデフレ状況にあるということを、客観的にそういう状況になっているという以上はそういうことを言うべきだろうという結論に達したわけであります。  同時に、今言われましたように、それに対してどういう対応をするか。当時は十月の二十三日に緊急雇用対策を出し、一次補正の見直しと二次補正についての議論が多分始まっていた段階だと思います。確かに、見ようによっては、デフレ対策という表現で直接次々と新たなことを提案したかと言われれば、今言いました十月二十三日の雇用を通して需要を拡大するという、そういうことについては幾つか申し上げてきましたけれども、あとについては、日銀のデフレというものの認識を、どういう表現をしたらいいんでしょうか、必ずしもはっきりしておりませんでしたので、日銀に対しても政府としてはデフレ状況にあるということを言うことによって日銀にも同様な認識をお持ちいただきたいというか、元々二年程度は続くという見通しは出されていましたので、そういう中での日銀の政府と並行しての対応も期待をすると、そういうことも含めて客観的なデータということをベースに十一月の時点でデフレ状況にあるということを申し上げたところです。
  76. 白浜一良

    ○白浜一良君 今申されたように、そのことは物すごくよく分かったんですよ。デフレ認識をされて日銀に金融施策を期待されると、そういう意図というかは強く感じました。  しかし、これは当たり前でございますが、デフレ対策というのはこれ需給ギャップをどう埋めるかということもあるわけで、そういう面では金融施策財政施策両輪が必要だと、これは当たり前の話でして、それはもう大臣認識されていると思うんですが、いかがですか。
  77. 菅直人

    国務大臣菅直人君) まさに一般的にはおっしゃるとおりで、財政によってデフレギャップをある程度埋めていく、さらにはその成長というか需要拡大によって、成長によって埋めていくということが政府として、財政としてできる大きな要素だと思っております。  ただ同時に、私も、その後のことも含めて言えば、なぜ私は先進国の中でも日本だけがこれほど長期にデフレ状況から脱却できないのか。私が申し上げたのは十一月ですが、長く言えば十年ぐらいデフレ状況から完全に脱却はできていないわけでありまして、私は、その原因が他の国と違う原因がどこにあるのかと、これも率直なところ、事務方にもよく検討してみろと聞くんですね。まだ一〇〇%これだということは申し上げられませんが、今日朝、林議員との議論でもしていたんですけれども、やはり長く見れば、あの八〇年代後半のバブルとバブルの崩壊が、単に金融の不良債権がその後長時間掛かって処理されたということはありますけれども、私は、日本経済に非常に根っこのところでそうしたデフレ要因を残して今日に至っているのではないかと、このようにも最近いろいろな議論を通して感じているところです。  そういう意味では、金融政策もこれも常に両説あります。私も、今日、明日と日銀の金融政策決定会議がやっておられますので注目して見ておりますけれども、そういった長期的な経済の動向、それに対する財政などの、あるいは成長を目指す意味では、広く言えばまあ規制というのかルールの変更も含めて、そういった成長路線への転換と金融政策と相まって、できるだけ早い時期のデフレ脱却を実現したいと、このように考えております。
  78. 白浜一良

    ○白浜一良君 今大臣がおっしゃったように、財政政策といいましても、成長戦略と申しますか、中長期的なそういう対策もこれは必要なことは間違いございません。しかし、需給ギャップという点でいうと、やっぱり現実の需要をどう喚起するかということも大事でございまして、私はそういう面で残念に思いましたのは、いわゆる麻生政権時代の補正予算を凍結されましたですね。少なくとも、需要不足という面で見れば、それを継続された上で私は新政権としての経済対策を打つべきであったろうと。ここを凍結した分だけ需要が減るわけですから、何ぼ新しく新政権で補正予算を組み上げられたといっても、これは不足するのは当たり前でございますが、私は少なくとも、政権が替わったのでやっぱり新しいことをやりたいと、それはもうよく分かります。それはもう前提にいたしますけれども、少なくても、いわゆる需給ギャップという点でいいますと、いわゆる第一次補正を、麻生政権のですね、それを凍結されたというのは、このいわゆるデフレという傾向性の一点から見るとマイナスであったと、少なくともそういう認識をされるべきじゃないかと、このように思うわけですが、いかがですか。
  79. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 私は、そこは非常に何度も何度ももういろんな方から、そういう特に自民党、公明党の皆さんから指摘をされましたが、そこは、何といいましょうか、凍結という意味内容に私は二つ意味があったと思っております。  それは、やはり歳出の中身を変えなければ日本の極端に言えば政治は変わらない、あるいは日本財政の構造は変わらないという思いが一番強くありました。まさにコンクリートから人へという表現に象徴されておりますが、つまりは、そういう歳出の中身を変えることがなければ、たとえ一時的にいろいろあっても、中期的、長期的には、日本財政自身もですし景気も良くならない。それは、過去の十年間あるいは二十年間を見ている中でそういう判断をしていたということであります。  そのことと、短期的に、それでももう決めたものだからそのままやったらよかったじゃないかということは、言われる意味は分からないわけではありませんが、私たちはあのときの麻生内閣の十五兆円の一次補正について規模が大き過ぎるといって批判したわけではありません。まさに中身についてワイズスペンディングとは言えない中身だということで批判をし、そして一部凍結をいたしましたけれども、それを超える規模の二次補正を出しまして、確かに凍結から二次補正までの若干の時間的な間はありましたけれども、二次補正を成立をさせていただいて今執行しているところであります。  そして、凍結した中身もよく見ていただくと、元々二年度、三年度に使うというものをある意味で二年度、三年度まで凍結したというものもありまして、確かに数字上は翌年に少しマイナス効果も出ておりますけれども、二次補正までトータルして見ればプラスの経済効果になっているわけで、そこは御指摘はいただきましたけれども、全体を見ていただければ、そうした意味でのデフレに対してもきちっと対応してきたと考えております。
  80. 白浜一良

    ○白浜一良君 もう済んだ補正予算なのでこれ以上議論しませんけれども、歳出の見直しとおっしゃったと。しかし、確かにいわゆる基金的なものもございました。だけれども、それだけじゃないんですね、凍結されたのは。私はそういう言い方は決して厳密じゃないと、このように思いますし、ましてや、もう凍結されたのは二十一年度の第一次補正予算でございまして、新政権が第二次補正予算をつくられたと、こういうことになるわけでございますけれども、その第二次補正予算も歳出の見直しされたというような中身を感じられません。規模的にも小さいと、このことだけ申しておきたいと思いますが。  そこで、つい最近、昨年の十―十二月期のGDPのいわゆるデフレーターが発表されまして、マイナス二・八%と、こういう発表がございました。それで、需給ギャップでいいますとマイナス六・一%だと、金額にして三十兆円と、こういうふうに一般的にこれは言われております。  大変なこれは需給ギャップがあるわけでございますが、この発表された需給ギャップ、デフレというものをどう埋めていこうとされますか。
  81. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 先ほど来申し上げているように、デフレの脱却、特に需給ギャップというのは、単純に言えば需要が増えるか供給能力が下がるかによって、ギャップですから、それが埋まるわけでありますが、政府としてやるべきことはいかにして需要を増やしていくかということの努力中心であろうと、このように思っております。  そういう意味で、この間、先ほど来議論がありますが、政権交代の後に緊急経済対策をまとめて二次補正の予算を提出をし、これは先ほど金額でいうと凍結したものよりはかなり大きくなっておりますが、さらには二十二年度の本予算の成立を待ってその二次補正と本予算が切れ目なく執行されていくと。さらには、新成長戦略を、今肉付けをしておりますけれども、需要を拡大していくということを柱に、中心に据えた戦略を立案し推進すると、そういうことによってこの需給ギャップを埋めていきたいと、このように考えております。
  82. 白浜一良

    ○白浜一良君 今予算審議中なんで、多分それ以上のことはもうお立場上言えないのはよく分かっておりますが。  今日も午前中の質疑で、亀井大臣、急に、突然で申し訳ございませんが、亀井大臣は、もうかる仕事が大事だ、金融だけじゃない、内需拡大も必要だと、こういうことを一貫してこの予算審議の中でもおっしゃっておりますが、何か含むところはございますか。
  83. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 含むところと言われるとあれですけれども、私は、先ほどから委員指摘のように、このデフレギャップというかデフレスパイラル、深刻だと思いますよ。もう数字に表われていること以上に特に中小零細企業を襲っている状況、私は放置できないところに来ておると思います。  私は、幾何や解析解くみたいな余り数値にとらわれたそんな政策をやっていったら間違うと思いますよ。もう統計数字なんていうのはある意味ではいいかげんなんですよ。私も長く政治家やっていますけど、全部がいいかげんとは言いませんけれども、ある面ではつくられた数字という面も強いわけで、問題は、我々政治家は実体経済をどう見るか、その見る目があるかないかということが私は極めて重要だと思いますね。  そういう面からいうと、この鳩山政権、前政権の後、十年も続いたこの中脱却するための必死の努力菅大臣が提唱している第三の道ということもずっとやっておられますけれども、私は、自公政権が余りそう注目しなかった福祉経済、これに強く着目をされてその中から内需を出していくという考え方、私は正しいと思うんです。  ただ、こういう百年に一度かというような世界を覆っている不況の中で、日本は更にデフレスパイラルという二重の苦しみの中から脱出するには、これは言わば漢方薬みたいな話であって、やはり外科手術、あるいは思い切った内科的な処方を実施をしなければ、私は大変な事態に入っていくというように基本的に考えている。それには、もうこの十年来続いた財務省が演出した財政規律という呪縛からどう解き放たれるかと、私はこれはポイントだと思いますよ。常に、財政規律、財政、これは子供だって分かる話だけれども、そういうことによって取るべき大胆な政策を取れなくなってきている。私は自公政権も同じだと思います。この政権も、そういう意味では、霞が関の上から目薬差すようなことをやったって効くはずない。要は財源なんですよ、簡単に言いますと。  それについて、特別会計から思い切って民主党も財源をつくると言っておったんだけれども、私はまだやれると思いますよ。だけど、そんなに大型な対策を打つだけの財源はなかなか難しい。そうなると、税収が三十七兆から更に上がるという、そんなトリックみたいなことが起きない以上は結局国債なんですよ、だれが考えたって。それを、今のように建設国債や赤字国債で金太郎あめのような形でこれを単純に出して、この額はどうだ、こんなことを言っているから駄目なんですね。  思い切って国債の中身を、私はこの間日銀総裁にも言ったんだけれども、例えば日銀が直接引き受けて、それを、財源をつくって菅大臣に差し上げたらどうかって私が言った。別に問題ないんです、こんなことやってみたところで長期金利に影響があるわけでもないし。そういうことをやるとか、あるいは無利子非課税国債を検討するとか、これ財源について、こんな百年に一度の、世界の国を襲ってないようなデフレスパイラルから脱するためには尋常な方法ではできない、それには財源なんですよね。  そういうことについて、私は、鳩山政権でこの本予算を成立させて速やかに執行した後は、菅大臣が、私はそういうことを含めて、アメリカだってそうでしょう、日本から二百兆円以上金借りていて、中国から百兆金借りて、赤字国家ですよ、アメリカは。そういう国が、オバマ大統領、七十兆以上の緊急対策をやる。そのうちの七〇%は公共事業ですね。中国だって同じでしょう、六十兆以上。  そういうことをやっているときに、もっとそれよりか重い病にかかっている日本がちまちましたことをやっておって救われるはずがない。これは子供が考えて、赤子が考えても分かる話だと思いますよ。  私は、菅大臣はすばらしい財務大臣だと思っておりますから、その辺りのことを今後しかと私は検討し取り組んでいただけるだろうと、このように期待をいたしております。
  84. 白浜一良

    ○白浜一良君 踏み込んだ御発言をされまして、国債を日銀引受けというのはこれはなかなかのことでございますが……(発言する者あり)いや、私が言うのは簡単なんですが、政府の側でやるのはこれは大変なわけでございまして。  これは今踏み込んだ金融担当大臣お話ございましたけれども、菅大臣、何かちょっと抑制しておかないとあかんでしょう、御発言しておいてください、ちょっと。
  85. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 先ほど来申し上げているように、この間、二次補正を出すに当たっても本予算を組むに当たっても、もちろん連立の中で亀井金融担当大臣ともいろいろな議論をする中で、最初から全く同じということではありませんが、そういう議論を通して、私はまさに景気に対する対策にもしっかり目配りをし、一方ではいわゆる国債マーケットに対しても信認を失わないようにぎりぎりの手当てを打ち、そういう中で、この予算でいえば四十四兆円という国債発行にとどめたというか、それでもかなり大きいわけですが、そういう形であったと思っております。  もちろんデフレ状況がまだ続く中では更なる政策的な手当ても必要になるかと思いますが、今国債の問題、場合によっては政府短期証券とか、さらには中には政府紙幣を出してといったような議論もありますし、今お話のあった無利子国債等の話もあります。  そういうものも、いろいろな意見や、いろいろ私も私なりにそうした議論を聞きながら議論をしておりますけれども、何とか国債発行と、この間でいえば埋蔵金と言われたものの活用と、さらに事業仕分等々を含んで、何とか、同じことですが、景気対策という側面、その面とマーケットの信認というものの両方を両立するような道を探っていきたいと。  その場合に、これも先ほど来の議論でちょっと申し上げたんですが、若干踏み込んだんですが、一般的には増税というのが景気の腰折れを招くというのが過去の例だと言われているわけです。しかし、本当にそうなんだろうかと今内閣府で検討させています。つまりは、確かに消費税を上げるときは直前に駆け込み需要がありますから、上げた直後はどんと下がるんですね。しかし、ある幅で見ると、それがどういう経済効果があったのかというのは使う中身によってかなり違ってくる。これは消費税だけに限りません、ほかの税もそうです。  ですから今、福祉経済というお話亀井先生からしていただきましたけれども、従来は福祉お金を使うということは負担という言い方をされて、例えば公共事業の場合は投資という言い方をされて、投資は将来何かを生む、負担は将来逆に重荷になるという言い方だったんですが、私は必ずしもそうでないんじゃないかと。負担という言い方をされた医療、介護あるいは保育といった分野で逆に経済が発展する、そういう分野と見ることも十分可能ではないかと。  こういうことも含めて、まあ知恵を出せという言い方がちょっと簡単過ぎるかもしれませんが、ルールの変更やいろんな知恵を出すことによって需要を拡大していくという道を求めていきたいと、こう考えております。
  86. 白浜一良

    ○白浜一良君 今いろいろおっしゃいましたけれども、私も需要拡大という面、特に内需という面でいえば、福祉経済と言われるような、そういう社会保障全般に資するような支出というものは、本当にある意味で投資にもなる、そういうふうに私自身は思っていますし、我が党もどちらかというとそういう意見に近いわけでございますが、それは賛成でございます。  内需を喚起するといいましても、昔みたいに公共事業で、まあこれは一〇〇%そのまま跳ね返りがございますから、仕事が済んで。でも、そういう時代じゃないというふうに言われています。しかし、いわゆる直接国民手当という形で還元しても、それがそのまま消費に回る保証は何もないわけでございますから、内需のポイントというのは、やっぱり国民が安心してお金を使える、そういうセーフティーネット、社会保障というものをどう築いていくかということ、これが一番私はベースだと、こういう認識しています、ここはある程度共有できるわけでございますが。  その上で、私はちょっとこれから少し御意見を伺いたいんですけれども、需要喚起という面でいいましたら、私は、内需というのは日本の国はやっぱり限界がある。というのは、いわゆる少子化が進んでいます。人口減少の過程に入っていると。少なくとも日本の国内で需要が、じゃこれから経済を牽引するほど増えていくのかと。日本が移民政策とか取って、人口もどんどんアメリカみたいに膨らんでいくと、そういう国ならば考えられます。しかし、それだけの国の方向付けは今していないわけでございますから、それはもう人口が減っていくという面でいえば、やっぱり内需はそんな飛躍的に日本経済を引っ張っていくようにならないんじゃないか、だから日本という国は内需と外需と合算して経済成長を図ると。私はこういう路線を取る以外にないと、これ私の考えでございます。  それで、そういう面では、私は国の施策として、やっぱり世界中でもうけようという、そういう日本の産業に対する支援が弱いんじゃないかと。お隣の韓国は、やっぱり国の人口が少ないということもございますし、韓国の主要産業というのは、世界で物を売ろうと、もうはなからそういう発想でやっていますよね。それが韓国の政府がサポートしていると。それが、まあサムスンにしても現代自動車にしても世界で市場を開拓している大きなルートになっているわけで、私は、日本経済を考えましても、要するに内需拡大というのは大事なことで、そのベースはやっぱり社会保障だと、そこから個人消費を増やしていく流れをつくらないかぬということが一つ一番大事だということと、もう一つは、そういう外需というんですか、やっぱり世界の国々に日本のいい商品を買ってもらうというような努力を産業界と国が一体になってやっていくべきじゃないかと、私はそういう認識をしているわけでございますが、菅大臣、いかがでしょう。
  87. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 基本的に、今白浜先生の言われたことは、私たちも全く同感であります。この新成長戦略、昨年の十二月三十日に、まだ基本方針という段階ですが、その中に出した大きな六本の柱の一つが、アジアというフロンティアの開発ということを柱に立てました。  おっしゃるように、最近は原子力発電所の受注なども韓国に先を越されたり、また今のサムスンとかヒュンダイのように、日本以上に巨大な企業が次々に誕生して大きな競争力を持って韓国を始め多くの新興国は進んでいると。  そういう中にあって、日本がアジアの成長をどういう形で日本成長につなげていくのかと。例えば、インフラ整備の技術力は日本は相当高いものを今でも持っているわけですが、そういったものを中国やあるいはインドやそういうところのインフラ整備にうまくつなげていく。その場合には、ODAといったものも、ある意味でのそういった戦略的な形にも活用できるように考えていく。  また、トップセールスという言い方がよくされますけれども、これは午前中の議論でも少し申し上げましたが、これは別に私たちにも責任があるんですが、なかなか大臣や総理大臣がそういう目的のために海外に出ていくことが今の国会の仕組みでは難しいところも率直なところありまして、そういうこともまさに与野党が十分話し合って、そういう目的にはある意味で優先的に総理や閣僚に出てもらうと。  そういったあらゆる面での努力を組み合わせて、今お話しをされたようなアジアの成長日本成長につなげていくという努力をするという点では全く同感であります。
  88. 白浜一良

    ○白浜一良君 それで、ちょっと具体的なことを申し上げます。  これ、大臣、所管じゃないので、私は、だけれども所管の大臣財務大臣として申し上げてほしいんですけれども、自動車でいいますとハイブリッド車の次は電気自動車と言われています。これ、ポイントはいわゆる高速充電器なんですね。充電するところがあっちこっち造らないと役に立たないわけでございますが、その充電プラグを国内自動車メーカー集まって、それで統一しようと、こういう動きを国内のメーカーが集まってやったんですね。ここからが大事で、この日本がそういう意思形成していることが国際基準になっていくかどうかということがこれ勝負でございまして、これはヨーロッパもアメリカも開発していますからね。  そういう面で、私は、副総理でもあるわけですから経産大臣とか外務大臣に、そういう先行してそういうものは国際的な世論形成に努力すべきだよと、こういうことを私は積極的に御発言いただきたいと、このように思うわけですが、いかがですか。
  89. 菅直人

    国務大臣菅直人君) おっしゃるように、今の世界の状況の中で標準化とか今言われた国際基準を自分の国の企業中心にしたものにできるかどうかというのは、ある意味では従来の特許とかそういうものと、それにも劣らないぐらい大きな影響があるという認識をしております。  内閣ができた直後に原口大臣がたしか南米の幾つかの国を訪れて、地デジのデジタル放送のシステムを幾つかの国が採用してくれるということに努力をしてくれておりました。  まさにそういった意味では、日本は電池では世界のトップランナーの一つだというふうに思っておりますので、そういうものを含めてもっと、ちょっと言葉は過去の言葉に近いかもしれませんが、かつて日本日本株式会社と言われるぐらいに、場合によったら役所と政治家と企業がある意味で力を合わせて経済発展を推進したわけですが、ややこの十年、二十年はそういうやり方そのものが半ば否定され、あるいは組み立たなくなっていると。逆に言えば、もう一度、そういった役所と政治家と企業が国際マーケットの中で打ち勝っていくためにはもっと密接な協力をするという体制を再構築することも十分あっていいのではないかと、今のお話を聞きながら改めてそう思ったところです。
  90. 白浜一良

    ○白浜一良君 しっかりお願い申し上げたいと思います。  もう時間が来てしまいました。  最後に、今日の新聞報道で、そうかなと、これ本当かなと思ったことがございますので菅大臣亀井大臣にお伺いしたいんですが、菅大臣は外為特会の見直しという今日新聞報道されておりました。来年度予算を組むのは今年度以上に大変だろう、いろいろ御苦労されていると、そういう一端が出たのかも分かりませんけれども、そういう見出しが一つ出ていましたですね。それはどういうお考えなのか伺いたいのと、あと、亀井大臣はモラトリアム法案、今日も午前中議論がございましたけれども、必要だということで、来年の三月までが、期限が来ますけれども、もう一年ぐらい延期したらどうだと、長期にわたると、この問題は、ということが報道されていましたが、それぞれ御所感を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  91. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今日の新聞に出ていた趣旨での外為の見直しというのは、実は、先ほどの記者会見でも申し上げたんですが、実は直接的な指示はいたしておりません。ただ、一般的に特別会計の見直しということは全体でも、あるいは財務省についてもするようにという指示をしております。  その上で、外為というのは、もうよく御承知のとおりの性格を持っていて、確かにある意味ではお金はたまってはおりますけれども、一方では為替差損もかなり大きくなっておりまして、そこの扱いはどの程度までどう活用していいのかというのは、やはり為替差損が発生していることを考えると、やはりある程度の慎重さが必要ではないかと、このように認識しております。
  92. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私は、今の状況においては、当初予期した以上に資金繰りの円滑化には寄与しておると思いますが、なぜ時限立法にしたかといいますと、もう法律がなくても金融機関が社会的責任をきっちりと果たしていただけるような状況にいたしますという意味で時限立法にしたわけでありますが、今後とも必要である状況であれば延長するということも、これは当然考えたいと思います。
  93. 白浜一良

    ○白浜一良君 終わります。
  94. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  今日は金融行政の方に絞って質問をさせていただきますので、亀井大臣と大塚副大臣にお願いしたいというふうに思います。  先日、予算委員会亀井大臣とは議論をさせていただきまして、あのときに大臣が、人間を大事にする経営、あるいはそういう社会が重要だと言われたのは大変感銘を受けたところでございますし、大臣はいろいろ言葉で言われるだけではなくて、実際にモラトリアム法案もそうだし、郵政の問題もそうですから、実際に施策として進めてこられた御努力に本当に敬意を表しているところでございます。  今日、実は、郵政のことで私のところにメールが来たのでちょっと御紹介いたしますけれども。北海道の大樹町というところがございますが、大きな樹木の樹と書くんですけれども。これ、十勝の南の方の襟裳岬に向かう海沿いの方でございますけれども。そこの旭浜簡易郵便局というのが、例の郵政民営化の嵐の中で休止に追い込まれてしまったと。その旭浜というのは漁村集落で、五十戸ほどの住民が住んでおられるというところの簡易郵便局が廃止に追い込まれたわけですけれども、これが営業再開ということになったらしいんですね。郵便業務のほかに今度郵便貯金も取扱いができるようになったということで、大変住民の皆さん喜んでおられまして、廃止された後、十キロ以上離れた別の郵便局まで行かなきゃいけないことになっていて、この三年間大変な思いをされたそうでございますけれども。八十五歳になるおばあちゃんは、この三年間、遠い、石坂というところなんですけれども、そこの局まで行かなければならなかったと、それが今度再開されて、大変便利になって有り難いというふうに、ちょうどそういうメールも我が党の町会議員からですけれども、そういうふうに変わってきているということでありましたので、是非、先ほど言われた人間に温かいといいますか、そういうことを頑張っていっていただきたいと思いますけれども、一言ございましたら。
  95. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) ユニバーサルサービスのネットをきちっと整備をいたして、これを活性化していきますが、その基本はそこに働いている方々が生き生きと希望を持って仕事をしていただくこと、また、その地域社会の方々から本当にある面では頼られて役に立つ、そうした存在であることを目指してこの改革を進めてまいります。
  96. 大門実紀史

    大門実紀史君 本当に、この前取り上げた非正規雇用問題でもそういう観点で是非頑張っていただきたいと思いますけれども。  亀井大臣、大学時代にマルクスを究められたという話を聞いたことがございますが、どの程度究められたのか、もし一言あれば。
  97. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 究められたなんておっしゃいますと、もう穴があったら入りたいわけでありまして、私は大学四年間、体育の時間は出ましたが、教場には入ったことがございませんで、極めて不勉強な男でございました。
  98. 大門実紀史

    大門実紀史君 この間、私とはいろいろ共通するところがございますので、国共合作でやっていきたいと思っているところでございます。  今日は、具体的な問題としては、この金融行政におけるリスクのある金融商品の販売、この前は契約社員問題を取り上げましたけれども、全体として過度なノルマ主義の問題をちょっと取り上げさしていただきたいと思いますけれども。  私、この委員会では何度も取り上げてきているんですけれども、要するに、投資信託とかリスクの高い金融商品を過度のノルマで売らせるということは利用者保護にとっても大変危険なことであるということでございますけれども、まず今、金融庁の監督指針では、このノルマ主義、過度のノルマ主義について、金融商品販売に関して、どういうふうに規定されているのか、少し解説をお願いしたいと思います。
  99. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 大門委員にお答え申し上げます。  委員も今お配りをいただきました資料の冒頭のページに、主要行等向けの総合的な監督指針の該当部分を記載していただきました。また、アンダーラインまで引いていただいておりますけれども、そこに記載してありますとおり、例えば収益追求と法令等遵守を適切にバランスさせ、営業を牽制する十分な内部統制や経営管理態勢が導入されているか、また、営業部員や役職員の給与・賞与体系が短期的な収益獲得に過度に連動し、成果主義に偏重していないか等の指針を明確に定めております。  また、毎年毎年の監督に当たっての重点事項を明確化するための今年度の方針においても、短絡的な利益追求などにより、ゆがんだインセンティブに動機付けられていないか、あるいは、リスク性の商品販売において、顧客の属性や経験に応じ適切かつ柔軟な説明が行われているか等を明確に定め、金融行政の運営にそれを盛り込んでいる次第でございます。
  100. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  この②の方に書いてございますけれども、営業部員や役職員の給与・賞与体系がそういう過度にノルマに連動してはならないということが書かれているわけですけれども、これに給与、賞与どころか首を懸ける、解雇を懸けてきたということで、この間、契約社員問題、ゆうちょも含めて改善の方向にやってもらっているところでございます。  二枚目の資料、まず全体の金融機関の前に、まだ日本郵政で行われているノルマ主義についてちょっと指摘したいと思うんですけれども、二枚目の資料ですね。  これは、ある郵便局で配られた、事業活動方針及び営業目標額という冊子として配られた中にある参考資料でございます。何を意味しているかというと、参考資料で文言はないんですけれども、まず最初に、郵便局、郵便局員に対する信頼度ということを載せております。社会的に世の中で信頼されている人は職種的にはこう見られておりますよという調査の結果を載っけております。まず一番はお医者さんが信頼される、二番目に郵便局員だと、三番目警察官、ずっとこう来るわけですね。つまり、郵便局員というのは非常に信頼されているよというのがまず一つ目で言いたいことですね。  左下です。左下は顧客IDを数多く保有する企業。これは何を言っているかというと、要するに顧客情報とかつながりとかをたくさん持っているのは、これも日本郵政が断トツだよと言っているわけです。ほかのNTTとかに比べて顧客とのつながりが非常にあるよと、預金者が多いよということですね、今までの。右側に行きますと、事業領域、成長市場ということで、ちょっと濃いコピーで申し訳ないんですけれども、金融のところは、個人金融資産が一千四百兆が二千兆までマーケットとしては拡大するよと言っているわけでございます。  この三つの資料は何を言い表しているかというと、郵便局というのは信頼がある、お客さんが今までのつながりが多い、なおかつ金融市場はこれから発展をする、だから売れると、投資信託は売れる世界だと、こんなことを郵便局の中の資料で言っているわけでございます。  次の資料ですけれども、三枚目は、投信の、個人名は消しておきましたけれども、だれが今販売トップテンかというのをずっとこうやって出しているわけでございます。  ついでに言えば、四枚目ですね。この投信の個人実績というのは正社員の方でございますが、資料四番目は、この前予算委員会指摘しましたけれども、契約社員、EP社員、エキスパート社員ですね、契約社員についてもこうやって、今日何人の方がこれだけ売上げを出したと。けしからぬのは、下の方に書いていますけれども、この前大臣も是正するとおっしゃっていただいた、規定額に満たないと継続契約ができない場合があると、首にするというようなことを、こんなことをこれはメールニュースみたいなことで各郵便局に、これは郵便局会社の方ですけれども、ゆうちょ担当から連日のようにこういうものを送って販売をあおっているわけでございます。  私、この郵便局の投資信託の販売は、高齢者の方が預金者で多いので大変危険であると、なかなかリスク度とか理解しにくいわけですよね。そういう方々にこうやってノルマ、あおってあおって、売れ売れということをやるのは大変危険であるということで、もうこの委員会で二、三回指摘して、特に二〇〇六年のときはまだ郵政公社だったと思いますが、かなりその後是正をして、こういう、前は報奨金を出したり、あるいは郵便局に張り出したりやっていたんですけれども、しばらくそれが収まったんです。で、二〇〇八年のときにもちょっとまたこういうことが出てきたので指摘したんですけれども。  要するに、西川社長になってですね、率直に申し上げて、西川社長になってひどくなったなと思っておりました。西川さんは三井住友で頭取のときに、三井住友は投資信託の販売で主要銀行でトップになったんですね。二兆円以上売ったと思いますけれども、それを指揮した方でございまして、こういう社員を追い立ててといいますか、おしりたたいて売らせるというのは経験済みでございましたから、その手法を入れた中で、この前大問題になっている契約社員をノルマ達成しないと首を切るということも、私は率直に言って西川さんのグループが考えついたことだというふうに思います。  まず、こういう経営をしていいのかと、日本郵政、郵便局がですね。お年寄り相手に、もう半分以上お年寄りですから、もうこういうノルマ主義がまたはびこっていますので、特にお年寄りの被害がもう増えておりますから、こういうノルマ主義、過度のノルマ主義、やめさせてもらいたいと思うんですけれども、亀井大臣、いかがですか。
  101. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 委員指摘のような状況は、私の個人事務所のファクスにもう何万と来ておりまして、二度パンクいたしました。もうその中身の中で、本当に大変な状況が私に対して直訴されておるわけでありまして、齋藤社長に対してこれもう抜本的にきっちりと見直すようにとお願いをし、現在もう精力的に取り組んでおられますので、きちっとやると私は確信をしております。
  102. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非、被害者が増えない、更に広がらないうちにきちっとしてほしいと思います。  こういう現状の情報は私のところには絶えず来ますので、また改善がなければ御指摘をしたいと思いますので、至急お願いしたいと思います。  もう一つは、民間銀行の方なんですけれども、実はこれは去年の六月に、民間銀行レベルでいきますと、あおぞら銀行問題を私この委員会で取り上げて、あおぞら銀行では金融商品販売のノルマを達成しない契約社員を解雇するというようなことをやっておりまして、そのちょうど解雇通告を受けた方について、なおかつそういう規定について是正を求めたところ、解雇はストップになって継続されて、なおかつその契約もそういうノルマ主義は見直すということで見直していただきました。  ただ、実はその去年の六月に私取り上げたときに、五枚目に資料を配りましたけど、これと同じものをその委員会で配りました。つまり、住友信託銀行、これも同じことをやっていますよということでこの場で指摘をして、あおぞら銀行、住友信託銀行両方について是正をさせるべきだという質問をして、当時は与謝野大臣でしたけど、それはやっぱりおかしいということと、あるいは三國谷局長でしたけど、適切な対処をしますということになって、実は、聞きましたら、金融庁としては、あおぞらだけではなくて、この住友信託にもきちっと、今回こういう国会で取り上げられて、大臣もこういうことを言われて、局長もこういうことなのでということで、両方に対してきちっと金融庁は当時指導されたらしいです。  ところが、今現在も、あおぞら銀行は直しましたけど、住友信託の方は同じことをやっております。これは何でなんでしょうか。
  103. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 金融庁の指導監督、検査がうまくいっていないということだと思いますので、鋭意努力をいたします。
  104. 大門実紀史

    大門実紀史君 これは、それで全体、大臣としての御答弁、結構です。  大塚さんに、ちょっと実務的になりますので。大臣がこう言われたらもう間違いなくすぐ是正されると思うんですけどね。  どういう経過かと申し上げますと、金融庁も、当時の金融庁ですね、当時の金融庁の担当もちょっと生ぬるいなと思うのは、両方に一応指導したんです。その後、人事の入替えとか、担当者が替わったとかで、どうなったかということをちゃんと受けていなかったんですよ。住友信託の方は、分かりましたと、それだけではないほかのことも含めて雇用については判断をしますみたいな、口頭で金融庁に返したんですね。なめられたわけです、金融庁としては。  それで、この契約書はそのままでやっているということなので、つまり金融庁として国会質疑大臣も答弁された内容についてフォローしていなかったということなんですね。フォローしていれば、これを見て、これはもう駄目なんだよとなったと思うんですけどね。  そういうことがありますので、実務的な面も、国会で取り上げられたことはちゃんと大臣の答弁どおり徹底されるように、事務局、役人のフォローのこともやってもらいたいと思いますし、もう一つお願いしたいのは、これは一応先ほどもありましたけど、主要行向けの監督指針には明確になっております。もちろん、第二地銀も信金、信組もそれに準ずるというようなことになっているんですけど、この間、金融庁に調べてもらったら、主要行でこういう契約社員をノルマで切るというのをやっているのは、もう残っているのは、今残っているとしたら住友信託以外はありませんということで、それは信用いたします。  ただ、第二地銀あるいは信金、信組の中で、こういう国会でまだ取り上げていませんし、徹底されていませんし、国会質疑を全部みんな聞いているわけではありませんので、やられている可能性があるわけです。このことは、もう日本郵政も正す、あおぞらでも正した、そういう経過で、もう住友も今日正されると思いますので、もしも第二地銀とか信金、信組でやられていることが、可能性がありますので、ちょっとその辺、何らか連絡文書か何かで改めて徹底してほしいと思うんですけど、実務的なことなので大塚さんの方でお願いいたします。
  105. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) どのような手段によって各業態に徹底するか、しっかり内部で検討いたしまして、大臣も御答弁されたわけでございますので、その趣旨に従って適切に対処させていただきます。
  106. 大門実紀史

    大門実紀史君 よろしくお願いします。  それでは、もうそのことはきちっとやっていただけるということで、若干時間残っておりますので、別の問題で大臣に御質問いたします。  去年の十一月の二十六日だったと思うんですけど、私、この委員会で不良債権という呼び方について、変えたらどうかというお話をさせていただきました。これはもう御存じのとおり、竹中路線の中で不良債権処理ということで、不良が付くともう早く処理しなさいと、こういうことで処理する対象として進んできて、この間は再生支援する対象として見ていこうということですね、あのモラトリアム法案もそうですけれどもね。いい方向になっているなと思うので、不良債権という言葉を変えたらどうですかということを提案をして、大臣も、言葉は大事だからと、例えば何かいいものがあれば提案してほしいということもございましたので、私は金融の関係者に、不良債権に代わるものとして、言い方として何かないですかということを私なりに募集したといいますか、聞いてまいりますと、再生支援債権とか別枠債権とか見守り債権とか、スランプ債権というのもございましたけれども、いろんな名称が来ております。昔は分類債権という言葉でやったんですね。不良なんて言わないで、分類すべき債権と。正常債権か分類すべき債権かとやってきた時代もございます。  いずれにせよ、名前はこちらから提案をするものではないと思うので、いろんな意見を聞きながらですけれども、再生支援する対象だというふうな、そういうふうなことが分かるような名前に改めてきちっと検討してもらいたいと思います。金融庁の役所の方は余り積極的ではありません。法令の中に九つ不良という言葉が出てくるらしいですね。そういうのが面倒なのかどうか分かりませんけれども、やっぱりこれ大きな問題だと思うので、是非名称のことは検討してもらいたいと、引き続き検討してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  107. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) おっしゃるように、名称というのは極めてイメージとしても大変大事だと思いますので、これはいろんな呼び方等検討をいたしまして、これは変えたいと思っています。  大塚副大臣、あなたやってください、ちゃんと。
  108. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 御指示でありますので、しっかり対応させていただきます。  それに付随して、一言付言をさせていただきますと、不良債権、何をもって不良かというのが、これが、考える起点が銀行側から見て良か不良かということになっているわけであります。どのような与信先であっても、資金を借りるときに、ビジネスをしてプロフィットを上げて銀行にも利息を払うという気持ちで最初は借りているわけでありますので、だれも最初からローパフォーミングにしようとは思っていないわけであります。  そのことは同様に、金融機関のいろんな経営姿勢に影響している物の考え方の非常に大きな構造的なある意味欠陥だとも思いますので、御指摘の趣旨を踏まえてしっかり対応させていただきます。
  109. 大門実紀史

    大門実紀史君 非常にいい答弁、真っすぐな答弁をいただきましたので、今日は質問することがもうこれで終わりましたので、終わります。
  110. 大石正光

    委員長大石正光君) 両件に対する質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  111. 大石正光

    委員長大石正光君) 平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案所得税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置適用状況透明化等に関する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取します。菅財務大臣
  112. 菅直人

    国務大臣菅直人君) ただいま議題となりました平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案所得税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置適用状況透明化等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  平成二十二年度予算は、国民生活が第一、コンクリートから人への理念の下、国民生活に安心と活力をもたらす施策を充実させた、命を守るための予算であります。家計を直接支援し、国民の生活を守るため、マニフェストの工程表に掲げられた主要事項である子ども手当、農業の戸別所得補償、高校の実質無償化等の施策を実施することとしております。  一方、こうした新規施策実現するに当たっては、行政刷新会議における事業仕分等を通じた予算の全面的な組替えや公益法人等の基金の返納等による歳入の確保を図っております。  財政投融資特別会計財政融資資金勘定からの受入れ四兆七千五百四十一億円及び外国為替資金特別会計からの受入れ二兆八千五百七億円を含め、その他収入としては十兆六千二億円を見込んでおります。  以上のように、税収が大幅に減少する中、歳出歳入両面において最大限の努力を行った結果、新規国債発行額については四十四兆三千三十億円となっております。  本法律案は、こうした国の財政収支の状況にかんがみ、平成二十二年度の適切な財政運営に資するため、同年度における公債の発行の特例に関する措置等を定めるものであります。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、平成二十二年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書の規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることとしております。  第二に、平成二十二年度において、特別会計に関する法律第五十八条第三項の規定にかかわらず、財政投融資特別会計財政融資資金勘定から四兆七千五百四十一億円を限り、一般会計の歳入に繰り入れることができることとしております。  第三に、平成二十二年度において、特別会計に関する法律第八条第二項の規定による外国為替資金特別会計からの一般会計の歳入への繰入れをするほか、同特別会計から三千五百億円を限り、一般会計の歳入に繰り入れることができることとしております。  第四に、平成二十二年度において、特別会計に関する法律第八条第二項の規定による食料安定供給特別会計調整勘定からの一般会計の歳入への繰入れをするほか、同勘定から百四億六千八百三十五万四千円を限り、一般会計の歳入に繰り入れることができることとしております。  次に、所得税法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  政府は、支え合う社会実現するとともに、経済社会の構造変化に適応し、国民が信頼できる税制を構築する観点から、税制全般にわたる改革の一環として、個人所得課税、法人課税、国際課税、資産課税、消費課税、市民公益税制、納税環境整備、租税特別措置等について所要の措置を講じるため、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、個人所得課税について、年齢十六歳未満の扶養親族に対する扶養控除及び特定扶養親族のうち年齢十六歳以上十九歳未満の者に対する扶養控除の上乗せ部分を廃止する等の措置を講ずることとしております。  第二に、法人課税について、資本に関する取引等に係る税制の整備、特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度の廃止等を行うこととしております。  第三に、国際課税について、外国子会社合算税制を見直す等の措置を講じることとしております。  第四に、資産課税について、住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税措置を拡充する等の措置を講ずることとしております。  第五に、消費課税について、揮発油税等及び自動車重量税に係る十年間の暫定税率の廃止等の見直し、たばこ税の税率の引上げ等を行うこととしております。  第六に、市民公益税制について、所得税の寄附金控除の適用下限額の引下げを行うこととしております。  第七に、納税環境整備について、所得税、法人税及び相続税等の脱税犯に係る懲役刑の上限の引上げ等の罰則の見直し等を行うこととしております。  その他、情報基盤強化税制の廃止など既存の租税特別措置整理合理化を図り、あわせて中小企業投資促進税制等の適用期限を延長するなど、所要の措置を講ずることとしております。  最後に、租税特別措置適用状況透明化等に関する法律案について御説明申し上げます。  政府は、租税特別措置に関し、適用の状況の透明化を図るとともに、適宜、適切な見直しを推進し、もって国民が納得できる公平で透明性の高い税制の確立に寄与するため、適用の実態を把握するための調査及びその結果の国会への報告等の措置を定めることとし、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。  第一に、法人税関係特別措置で一定のものの適用を受ける法人は、適用額明細書を法人税申告書に添付しなければならないこととしております。  第二に、財務大臣は、適用額明細書の記載事項を集計する等の方法により、適用の実態を調査することとしております。  第三に、財務大臣は、毎会計年度、当該調査の結果に関する報告書を作成し、内閣は、これを国会に提出しなければならないこととしております。  その他、行政機関の長等は、政策評価を行うため、財務大臣に対し、当該調査に関する情報の提供を求めることができるなど、所要の措置を定めることとしております。  以上、平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案所得税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置適用状況透明化等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げた次第であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。  以上です。
  113. 大石正光

    委員長大石正光君) 以上で三案の趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  114. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 今、亀井大臣が帰られましたけれども、亀井大臣が国債は幾らでも発行できるんだというお話がありました。私は、この三法案、非常に三つとも関連性が高くて、そして日本の喫緊の課題であるこの困難な財政状況、これを何とか解決するのにうまく使っていけば使える法案ではないかと思っておりますので、そういう意味で、更に踏み込んでいただきたいという願望を込めまして、提言中心になりますが、お話をさせていただきたいと思います。  昨今、ギリシャの悲劇ということが世界を震撼させました。あのギリシャだって実は対GDP比の公債比率というのは一一〇%にすぎません。もう釈迦に説法ですが、日本は二〇〇%、ここまで来ています。日本は特殊な事情があると、資金も余剰があるし金利だって上げられる余裕があるし税金だって増やせばいいんだと、そういうような考えがあります。国債市場の大きさや深さだって違うんじゃないか、そういうことも言われますが、しかし、十五年間名目GDPが全く成長していないこの日本経済にとって、どの選択肢を取ってみても私はかなりきついんじゃないかと思っています。  そういう観点で、特に、この後お伺いしますが、公債特例法に関しては財政規律の観点から財務大臣のお考えを伺いながら提言をしてまいりたいと思います。  まず、租特ですね。租特の透明化、これも非常に意義が、大きな法案だと思っています。これから税制の抜本改革をやっていって、残念ながら今の財政状況だと、どのぐらいの将来になるか分かりませんが、税制の抜本改革の中で国民の皆さんに更なる負担をお願いしていく、こういうことが避けられなくなってくるんじゃないかと思います。そういうときに、租特の透明化を通じて税の公平性と透明性、これを国民の皆さんに更に提供していく、これは非常に意義のあることだと思ってこの法案を読ませていただきました。  いろいろ、本当によくできている部分がありまして、四条、五条、特に財務大臣の集計ということなんですが、租税特別措置の適用企業の法人数や適用額、これらを集計するとありますが、私は更に踏み込んでいただいて、それらを企業規模別、地域別、業種別、そういう属性に分けて、各種法人企業統計とか経済統計とクロスチェックを掛けて、本当にこの租特の目的であった経済対策とか景気対策、これの効果を分かりやすく迅速に明示できる形にすべきだと思いますが、この集計の方法について財務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  115. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 田村委員にはかつては自民党におられた時代からもこの法案に対していろいろ質疑をいただきまして、恐らく衆議院の方でもこの法案に対して全会一致で賛成をしていただきました。  その意味で、今お話を聞いていて、これを是非更にある意味では資料として価値の高いものにしてほしいということで、集計の方法は、企業規模別あるいは業種別などの観点で当然のことながらこれは集計をするということで進めていこうと思っていますし、私、昨今の税と企業との関係を見るときに、実は企業というのが非常に分割したり合併したり、あるいは持ち株会社ができたり、いろんな方法ができていますので、そういったことを立体的に明らかにするためには、租税特別措置がそういう企業ではどのように取り扱われているのか、こういったことも明らかにすることによって今の租特が一体どんな効果を発揮しているのか、こういった点を是非明らかにしていきながら、国会に対しても報告をし、これは当然のことながら国民の皆さん方にもオープンにしていけるように努力をしていきたいというふうに考えています。
  116. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 非常に的確なお答え、ありがとうございました。  そういう形で、いろんな属性、クロスチェックを掛けてさらに分かりやすい資料にしていただいて、この法案の中には国会に提出すると、行政の長の要請があったときには提供するという書きぶりでしたが、副大臣のお答えでは国民にきちんと公開するということですので、それをお願い申し上げたいと思います。  また、この法案についてもう一つだけお聞かせいただきたいのは、この法案の趣旨はこれからの財政規律をしっかり高めていく上で非常に有意義だと思っています。それはこの集計結果を、例えば各政策目標のベンチマーク、目標値みたいなものを作って、それと比較して、この租特のコストパフォーマンスがどうだったのか、政策効果がどうだったのか、こういうことをしっかり検証していく。  こういう土台をこの租特を基にして作っていただければ、これからの国債で調達したお金、税金で調達したお金、これ国民のどの時期かによるだけ、違うだけで国民の負担にほかなりませんので、そのお金でどれだけの効果を実際出したのか、出すのか、この辺りを正確に計っていって、事前事後にお伝えするということが絶対これからの財政運営では欠かせなくなると思いますので、その辺り、政策効果を詳しく検証していく、ベンチマークなんかを作って結果も予測して、その結果の予測と本当の結果、これも比べていく、ここまでやっていただければ有り難いと思うんですが、いかがでしょう。
  117. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 租税特別措置全体の金額がたしか七兆円ぐらい、そのうち半分がナフサということで、租税全体の中で占める割合というのはそれほど大きくないわけでありますが、今御指摘のあったように租税特別措置という、ある意味ではかなり、法人税に関していえばもうかった企業お金をさらに優遇措置をすることによって所期の目的、すなわち経済効果を高めていくということにあるわけですから、本当にどの程度それがきちんと連結できているのかといった点についての検証を、この透明化法を通じて出てくるデータと、そして事前に予測された様々な、BバイCと言っていいんでしょうか、各省から要望するときに出てくるデータがございます、これらをきちっと後から点検してみると。  そういう意味では、これは予算上の措置としてもそうですが、決算上からも非常に重要なポイントを成すんじゃないかというふうに思っておりますので、今の御指摘の点を踏まえながら、今度どういう点検の仕方がいいのか、ベンチマークの設定の仕方といったようなことも含めて検討していきたいなというふうに考えております。
  118. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 ありがとうございました。  やっぱりここまで財政状況が来ますと、調達したお金をどう使うかということに関して国民みんなで監視していくというたたき台が必要となってくると思われますので、是非ともよろしくお願いします。  次に、公債特例法の方に行こうと思うんですが、ギリシャの話や対GDP比率の話をしましたが、私は、この日本の国債発行というのは、消化の観点からいえば二〇一三年が一つの大きな曲がり角になるんじゃないかと思います。これは私の勝手な考えなんですけど、これ、国際会計基準が導入される年なんですけど。  今の会計基準だと国債の売買というのはある意味で生命保険会社や銀行にとってうまみがあるわけです。しかしながら、これからの新しい国際会計基準では取扱いが全く変わりますから、私はやっぱり銀行や生命保険会社に聞いてみても、今までのようには買えないという方が多いです。これは、大口の顧客であった銀行や生命保険会社だけではなくて、GPIF、公的年金基金もそうです、ゆうちょもそうなってきます。大口の買手が今までのように買えなくなってくる。  ですから、国債発行に頼ったような、今年は税収よりも多いワニの口と言われるような状況になっていますけど、こういう状況が放置できない、本当に消化されないということが現実味を帯びてくると思います。  ということで、財政の世界では、もう釈迦に説法ですけど、世界の理念として共通に持たれているものがペイ・アズ・ユー・ゴーということで、財務大臣におかれましては申し上げるまでもないですけど、新しい政策をやるときには財源をしっかり確保してから打ち出すということで、新しい政策をやるんですけど、多分出てくるよと、探せば出てくるよという考え方ではなかなかこれからは財政運営ができないと思います。  これからまたマニフェストを党でも政府でも一緒になって作ることになると思いますが、是非ともこのペイ・アズ・ユー・ゴー原則、新しい政策をやるときには必ず財源を見付けてから、確保してからやるんだと、こういう理念を、もう釈迦に説法かもしれませんが、持っていただくということを大臣に確認させていただきたいと思います。
  119. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 田村委員の方からペイ・アズ・ユー・ゴーをしっかり守ることを確認したいということであります。  考え方としてこういう考え方を持たなければならないということはもちろん重々よく承知をしております。逆に言いますと、現在御審議いただいている予算の中でもマニフェストに関する予算がありまして、マニフェストを作成する中ではその財源についても一定の見通しを持った中で提案をしてきたつもりでありますけれども、率直に申し上げまして、例えば暫定税率などの引下げまではそれに見合う財源が初年度では見出せない中で、初年度見出せた財源、約三・三兆の中からやれることを優先度を置いて実行したということであります。  今後の問題を考えると更にハードルがなかなか高いわけでありまして、そういう意味では来年以降の予算について、マニフェストに盛り込まれた二年度以降、更に新たにいろいろな必要な予算等についての要望も出ている中で、どこまでこのペイ・アズ・ユー・ゴーという原則を守り切れていくのか。これには、歳出のカットと同時に、場合によっては税制等を含めた議論も併せて詰めていかなければならなくなる。  そういうことも考えて、やはりもうこの予算審議がそう遠くない時期に一つの成立を迎えると思いますので、その中では、もう一度連立三党、場合によっては与野党を超えて、今の危機的な財政状況の中での財政運営について議論をする必要があるのかなと、このように考えております。
  120. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 今大臣が言われました、世界中の財政再建の事例を見ると、大臣が言われた歳出カットと増税、それに加えてやっぱり経済成長ですね、成長をさせて税収を増やして、それで借金を返していくと、この三つをバランスよくやることが大事だということが研究者の間で確認されています。  経済成長に関しては、先ほどの白浜委員の御質問に対しても菅大臣から力強いお答えがありました。経済成長を促していくので、いろんなやり方があると思うんですけど、後でこれも議論させていただきたいんですけれども、所得税法の一部を改正する法律案の中でいろいろ税制に関して細かく変更されている点があるんですが、税をやはりインセンティブとして経済成長を促している事例が、レーガノミックスなんか特にその代表例ですけど、世界であるともう確認できます。ですので、やっぱり税を経済のインセンティブとして使っていくということが欠かせないと思っています。  技術革新を起こさせていく、また、お金を持っている人からお金を持っていない人へもっと早くお金が移動するような税のインセンティブの与え方もあると思うんですけど、この税制というものを増税一辺倒で考えるのではなく、経済成長に資する形で呼び水として、インセンティブとして考えるという考え方が必要だと思うんですけど、大臣経済成長させるインセンティブとして税制を使っていく、これに対するお考え、いかがでしょうか。
  121. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 午前中の委員の、自民党の、お名前すぐ忘れちゃったんですけど、愛知議員のですね、たばこ税の議論をしたときも、税の目的って何だろうねというときに、もちろん徴税という、一般的にあるわけでありますが、先ほど私は健康だとかあるいはそういう環境とか、そういうことを入れました。明らかにやはりもう一つの要因として、やはりこれがどう経済に刺激を与えていくのかという観点というのは一つの方法として私はあり得るんだろうと思います。  その際に、やはりよく指摘されるのが法人税の多い少ないというところですね。やはり法人税収が少ない方がいいんじゃないんだろうかというような意見も出てまいりました。世界的に見て今、日本の法人税収の問題も、かなり世界的に税の引下げ競争というのが起きてまいりました。私は、日本の税制、税率というのが非常に、結構表面税率高いということは私も分かるんですが、実際上の税の負担の水準ですね、実効税率、この課税ベースをやはり広げて、そしてやはり考えていかなきゃいけないし、何よりも負担ということに関して言えば保険料の負担も入ってまいります。これらを含めて是非検討していかなきゃいけないなと。  もう一点、課税ベースという点では、減価償却の在り方もかなりこれも改善されて、世界で最もある意味では狭い減価償却というか、早く減価償却するような仕組みになっています。  これらを総合的に考えながら、どういうことをやはりきちんとやっていかなきゃいけないのかという点の議論をしっかりとやりながら、やはり日本の税制がこういう企業の皆さん方にとってある意味では障害にならないように、しかしある程度の税収も調達をしていかなきゃいかぬという、この辺りのはざまを我々はしっかりと踏まえながら、これからの税制を検討する際に考えていきたいなと思っています。
  122. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 ありがとうございます。  法人税の話が出ましたが、法人税、今大体実効税率四〇%で八兆円の収入になっています。単純計算すると、二〇%、半分にしたら四兆円。四兆円足らなくなるんですけど、四兆円になると。二〇%というと世界中で競争できる税率になります。一番安いのが香港、シンガポールの一五パー、一六パーぐらいで、欧米の中では二〇%台の法人税というのはありませんので、これを、四兆円を失うけど世界的に競争力を持つ税制にするということをどう見るのか、この辺り、一つ考え方だと思います。  また後でちょっと細かく具体的に質問させていただきますが、もう一つは資産課税ですね、資産課税。贈与税と相続税の関係、相続税の補完が贈与税と言われるんですけど、この辺りを、日本の個人金融資産の三分の二を高齢者が持っていて、今の相続人の平均年齢が六十歳を超えている。老老相続になっていて、お金を使わない人からお金を使わない人にしか資産の移転が起きていない。この辺りも日本の、お金の流通速度というのが経済成長に大きく関係しているわけですから、お金をもっと使う世代に早く移すということも税で考えたらいかがなものかと思っていますので、これは後で質問させていただきます。  あと、白浜議員との話にもありましたが、外需を取っていくということですが、菅大臣が国家戦略担当のときに、竹中平蔵さんとの議論で、需要が先か供給が先かという議論があったと、これは報道で、伝聞でしか、現場にいませんでしたのでそういう話を聞いたんですが、じゃ需要はどうかというと、外需はしっかりあると思っています。世界のインフラマーケットというのは二〇三〇年までに二十五兆ドルと言われています。今のドルで二千三百兆円ぐらいですか、つまり日本のGDPの五年弱ぐらいあるわけですから、日本の持っている技術、原発や新幹線とか、そういうものをしっかり売っていけば、トップセールスも大事ですし、李明博さんは三回行って六回電話を掛けたと言っていましたから、六回ぐらい、お忙しかったら電話掛けるという作戦もありますし、親書は出されるということになったみたいですけれども、あとは民民でやる場合の相手の、その仲介者のバックグラウンドチェックなんかもやっぱり在外公館を通じて、例えば中東なんかとやるときに民間がだまされている事例で、私が皇太子の親戚だとかいう人が何万人もいるとかでね、それでだまされている例とかも結構中国でも中東でもありますので、本当にそうかというのを在外公館がバックグラウンドチェックしてあげるとか、こういうことだってできると思いますので、これは質問じゃなくて、そういうことを積極的にやっていただきたいと思っています。  私も、外貨準備を含めた今日のニュース、非常に関心を持って読ませていただきました。この特例法の中で、財融特会や外為特会、食料安定化基金の方から幾らかお金が入っているわけですけれども、一般会計の中に。なぜこの額でなぜこの財源なのかということの説明が更に求められるところではありますが、私としては、国全体のお金の使い方として、更に良くしていただきたいというところがありまして、どういうことかといいますと、継続する政策であるという前提で立てられている政策の財源にワンショットのお金を充てていくというのはちょっとどうだろうと思う点があります。  今、企業お金の使い方でも、僕は国でも当てはまると思うんですけれども、資産・債務管理という考え方がありまして、調達したお金の使い道というのは性質や期間をできるだけマッチングさせるべきだと、それが一番企業の負担にならない使い方であるということなんですけれども、やっぱり継続する政策に充てる財源は、やっぱり継続して見込める財源を充てるべきではないかと、資産・債務管理の観点からはそう思いまして、例えば外貨準備に限らず国有財産はたくさんあるんですけれども、各種積立金とかこういうものも一括して運用をして、その運用をしたリターンの部分だけを財源として使っていく、こういう発想がいいのではないかと思っております。  といいますのも、国が持っている資産というのはかなり大きくて、アメリカと比較すると、これいろんな統計によって数値は違いますが、大体有意な統計を見てみますと、GDPはアメリカの三分の一なんですけれども、国のバランスシートは大体五倍近くあるんじゃないかと言われていまして、日本は国が国土の二五%ぐらいの国有地を持っていると言われますし、比較的大きな外貨準備や公的年金なんか、国有財産というものを金融資産でも不動産でも持っている国だと言われます。実際はそうなんですけれども、こういうものをしっかり運用していって、その運用益で返していくと。国家ファンドというとまた反対も起こるんですけれども、そうではなくて、やっぱり財産を、ここまで来たら、国債を発行するのももう窮地の手段だとしたら、やっぱり国にある財産、割って国民に均等に返せないものというのは国が持ち続けるしかないわけですから、持ち続けるのを、単にずっと持っているだけじゃなくて、やっぱりしっかり運用していって、投資をしていって稼いでいって、その中でリターンの部分でしっかりと継続財源みたいな形にして政策に充てていく、こういう考えがあってしかるべきだと私は思うんですが、大臣、いかがでしょう。
  123. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今、実は成長戦略の肉付けを考える中で、財務省においても自ら管理している国有財産等を使っての成長戦略がつくれないかということを今指示をいたしております。  余り具体的な場所は言うのは控えたいと思いますが、過去の例で言えば、六本木のあの防衛庁跡地なども売却がいいのか、場合によってはPFI等のやり方で民間資金を導入し、同時に、言わば家賃収入といいましょうか、あるいはそういう収入を生み出すのがいいのか、そういうふうな考え方も含めて財務省においてもそういった成長戦略を自らの問題としても考えるようにという指示をしているところです。  そういう意味では、一般的に運用を図るということは大いに考えるべきだと思いますが、この例えば外為特会などでのお金をどう考えればいいのか。これなどは、一方では短期政府証券で円を借り入れて、それでドルを買って、それを外国で運用していると。結果としては金利の差の分によって毎年かなりの運用益が出ている。それも一般会計にこの間も繰り入れてプラスになっているわけですが、だからといってそういうことを積極的にどこまでやるのがこういういろいろな特別会計の性格上認められるのか、あるいは許されるのか、これは一番大きい母体は多分年金特会だと思いますが、これについてもこの間実は閣内でもいろんな議論があります。  そういったことを含めて、あるそれぞれの国の資産の性格をも含めて活用することの適正な範囲というものも検討しながら、同時に、ある意味では、おっしゃるとおり、やれる範囲は有効活用をもっと促進すべきだと、このように考えております。
  124. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 外準の話なんですけれども、ちょっと前までは中国がアメリカの国債を一番持っていたわけですけれども、あっという間に実はまた日本が一番持っている国になりまして、中国の方はまた多様化を始めているということです。  その外準は今言ったような資金調達の方式で、主に円売り介入に使われる資金で、円安の経済効果というのは、私はもうやっぱり円安による日本全体の経済効果というのを正確に測ると同時に、そのコストになっているアメリカの国債を持ち続けるリスクとリターン、これもしっかり測って、さっきの政策効果の検証ではないですけれども、外準をこれだけのサイズで円売り介入という目的だけに使っている経済効果とそのコスト、アメリカの国債を中心にというか、もう偏る形でずっと持ち続けることの政策の検証というのも資産の運用の観点とは別にやっぱりそろそろすべきではないかと思っているんですけれども、今日の報道の話と併せて、大臣、この辺りいかがですか。
  125. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 実は他の委員の方にもお答えしたんですが、今日の報道そのものは若干私が指示をしてと書いてありますが、私が指示をしたのはもうちょっと一般的な特別会計についての見直し、これは財務省だけではなくて全般にわたっての見直しということを少し前に言ったことがあります。ただ、報道そのもののように個別にこの外為に限っていろいろ言ったというのはやや報道が先走っているところです。  それはそれとして、今のお話のように、この外貨準備というものを私も、今約百兆円ですか、その規模あるわけですけれども、その規模が適正なのかどうかということも含めて検討すべきだろうと。ただ、この分野については、御承知のように、ある程度の運用益を生んでいることも現在事実でありますので、そういう意味では、必ずしも一切運用益を生んでいない分野とはある意味では活用ができている部分もあるのかなと、こういうふうに見ております。
  126. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 そのとおりだと思います。利益を生んでいる部分もあると思うんです。  為替の介入に使うお金なんで、特に円ドルの関連で使うお金なんでドル建てのものを持たなきゃいけないということはあると思うんですが、ユーロや人民元に多様化するという観点も近い将来出てくると思いますけれども、この議論も出てくると思いますが。円建てでも今の、ちょっと内容が全部公開されていないんでどれぐらいがどうかというのは分かりませんけれども、アメリカ国債偏重ではなく、ドル建てでしたらアメリカの株でもアメリカの不動産でもアメリカの金融派生商品でも、少しは多様化できるんじゃないかと思うんですけれども。細かい議論をして済みません。この辺り、いかがでしょうか。
  127. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) この問題は、かつてソブリン・ウエルス・ファンドを議論したときのことを思い出すんですが、その意味で私たちは、今おっしゃられたように、今、日本の持っている資産をどのように運用していくかと、それをかなり効果的に進める方法があるんじゃないかという問題提起はよく存じているわけでありますが、例えば、先ほどは外為特会の問題もおっしゃいましたけれども、例えば公的年金のところなんかは、アメリカのいわゆる公的年金も、これは全部、非市場性国債で運用しているわけですね。  たしか、二年前にあのソブリン・ウエルス・ファンドの問題が提起されて、田村議員は非常に熱心にやっておられました。しかし、あのとき、もしそのままソブリン・ウエルス・ファンドを使って、例えばリーマンショックの原因になった仕組み債その他サブプライムローン問題などに巻き込まれたら一体どうだっただろうかという、その意味で、非常にある意味ではリスキーな点がたくさんございますので、これらの点はよくやっぱり我々は考えて対応しなきゃいけないんじゃないんだろうかなと。  その意味で、いろんな資産を持っておりますけれども、この資産をどう活用するかということと同時に、その資産と負債の関係をよく見ながら我々も対応していかなきゃいけないんじゃないかなと、こう思っております。
  128. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 外準の議論をしますと、私、外貨準備というのが一つのこれからの国債発行の、国債のスタイルのモデルになるんじゃないかと思っていまして、今までみたいに、何に使うか分からないけどとにかく国債で何とか返すから買ってくれみたいな売り方、こういう売り方がやっぱりあと三年ぐらいでできなくなってくると思うんですね。やっぱり外為とか外準というのは、ある意味円売り介入というプロジェクトに使う資金としてはっきり集められていますから、ある意味プロジェクトがはっきりした資金になっていると思うんですね。調達と、その調達したお金の使途が非常に明快であると。  これからの国債というのは、僕はプロジェクト債みたいにしないとなかなか売れないんじゃないかと思っています。つまり、今までみたいな、もう色の付いていない、何に使うか分からない国債ではなくて、この国債はこういうプロジェクトに使って、将来云々の、これぐらいのリターンが出ますよと。こういう売り方で売っていかないとなかなか大量の国債は消化できないし、またこういう売り方を癖を付けていけば、日本財政責任や財政感覚、財政錯覚というものが政治の中でも行政の中でも国民の中でもなくなっていくんじゃないかと思っていまして。  これ、財務省でもいろいろ今でも議論があると思うんですけれども、プロジェクトごとのリスク、リターンをできるだけ市場の共通言語であるぐらいにしっかりと正確に計算して、プロジェクト債として、プロジェクトファイナンスみたいな形で国債を出していく、プロジェクトごとの国債を発行していく、こういうことを少しずつ増やしていくべきだと思うんですけれども、こういうお考え、いかがでしょうか。
  129. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 今御指摘の、これは国外、国内問わずという理解をしてよろしいですね。  よく、たしか荒井議員も先日、予算委員会で同じような議論をされていまして、志のある思いでその国債を、例えば環境国債だとかあるいは様々なそういうものを発行したらどうだということなんですが。  実は、そうなると、一つ一つの国債のロット、単位が非常に限られてまいりますよね。もちろん、外為のように百兆近くなることも、もちろん過去の、まさに円売り、円を売っていたという経過があって結構たくさんなっているものもありますが、そういう志というかプロジェクトごとのあれになってくると、国債のいわゆる流動性の問題、あるいはそれに係るコストの問題、こういった点を含めていくと、考え方の上で私は今我々が国債として発行している財投債と非常に考え方が似ているんじゃないだろうかと。  そういう意味で、財投債をきちんとある程度確保して、そして今、田村議員がおっしゃるようなプロジェクトに応じてそれを融資して、そしてそれがリターンが返ってくる。しかし、そこは国がやっているわけでありますから、もうけのためにやっているわけではないけれども、しかしある程度のリターンが期待できるところがあると、しかし非常にリスクはありますよと。  こういう分野は、私は今の財投債をある程度発行しながら進めていけば、一つのこれは国債市場の中でこれはもう運用されていますので、その方が私は合理的ではないかなというふうに考えています。
  130. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 まさに財投債を進化させたようなものを今考えていて、ちょっと説明が下手で申し訳なかったんですけれども、そういうことですね。  そうしないとなかなかもう買ってもらえなくなるんじゃないかと思っていまして、ロットの問題もありますし、借換えの需要も出てきますよね。しかし、本当にそういう、外国に買ってもらうにしろ、国内で新しい会計基準の下で金融機関に買ってもらうにしろ、やっぱり、何というんでしょう、どれぐらいのリターンがあって本当にこれが有用に使われているのかということを財投債より進化した形で担保するようなものに徐々にしていかないとなかなか消化されないし、そういう形にしていった方が残高のマネジメントもやりやすいんじゃないかと私は思っているんですが、こういう細かい話はまたの機会にさせていただきます。  次に、先ほど言いました税の話をさせていただきたいんですけれども、法人税の話はおっしゃるとおりで、法人税に関して言えば、面白いインセンティブをいろいろ付ければ今の税制でもいけるかもしれない。  今の税制、税率はやっぱり下げなきゃいけないですけれども、その下げ方も変えられるんじゃないかと思うんですけれども、例えば今問題になっているのは、内部留保とかいろいろな議論があります。企業の収益をできるだけ被雇用者に還元している企業、これをよしとするとするんでしたら、労働分配率で企業を測って、労働分配率を高めにはじき出している企業に対しては減税をしていくと、法人減税をしていく。こんな法人減税のスタイルって非常に面白いと思うんですけれども、いかがですか。
  131. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 非常に私どもも租税特別措置議論するときに、このいわゆる租特で法人の方々に優遇措置をした場合に、その優遇措置が経済として、経済的なリターンとして発展をしてくる、そういう意味でのある意味では目的というのは結構多いんですけれども、その際、雇用にどれだけ跳ね返ってくるかという点をこれはもう少し考えてみる必要があるのかなと。  例えば研究開発税制というのがあるんですが、これはたしか平年度高いときで六千億か七千億ぐらいの減税規模を誇った大変大きい租特なんですが、この租特で企業がその租税特別措置を使って例えば開発をする、開発をしたものが国内の投資になってそれが国内の雇用を増やしているのかというと、どうもそうじゃなくて、海外に出向いていって海外で雇用してどんどん広がっているんじゃないかと。こういった点はもう少し租特の在り方としてもっと雇用という側面を重視してはどうかなという、そんな考え方を我々、今検討しつつあるんです。実際それができるかどうかというのは、どの程度できるかは分かりません。  今、租税の中で事業承継税制のところで唯一雇用のいわゆる条件というのを付けていますけれども、そういったことがほかの税の中にそれが取り込めるかどうか、これは検討してみたいと思いますが、ただ、おっしゃる労働分配率というのはちょっとややマクロな概念で、個々企業ごとの労働者の報酬、付加価値に対して占める労働者の報酬がどのぐらいの割合かというのは、これは恐らく企業の経営戦略その他にも全部かかわってくるし、労使の力関係で賃金水準やその他も決まってくると思うので、ここはなかなか、個々のいわゆる労働分配率というのはなかなかこれは一つの基準にはなりにくいなというふうに考えています。
  132. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 それで、私が危惧しているのは、北風と太陽だったら、北風政策みたいなのがまかり通ったら経済成長はなかなか難しいなと思っていまして、北風というのは無理やりコートを脱がせよう、風で脱がせようみたいな話で、とにかく担税力のある人や法人、これをターゲットに、そこにより重い税を掛けていこうみたいな議論があるとしたら、それは非常に残念なことだと思うんですけど。  例えば、高所得者の所得税を上げていこうという議論があります。ただ、その高所得者の所得税を上げることがどれだけ税収として見込めるかというと、まあ去年の大体年収二千万の人が高所得者だとするともう〇・八%、人口の〇・八%ぐらいになっています。この人たちの税を上げることが税収にどれぐらいの意味があるかというとどうかなと思いますし、もう一つは、この人たちやこういう稼げる企業、この人たちは、開かれた経済ですからより安い税を求めて、まあ今もう御存じのとおりシンガポールへの大量退去が起こっていまして、シンガポールは中央銀行、MAS自体が営業しているらしいですね。もう、何々さん、親の介護から子供の教育まで全部面倒見て家も用意する、その代わりこれだけ持ってきてくれと。あそこは相続税も贈与税もゼロですし、所得税の最高税率二〇%、法人税一六%ですから、そういう方がこのままいけば増えてしまう可能性もあると思うので、これからは北風よりも太陽の方が税収は増えるんじゃないかと思うんですけど。じゃ、今、その点で。
  133. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 私も今おっしゃられている田村委員の御主張について理解できないわけではありません、税が高ければ高いほどそれが一体どういう影響をもたらすかということあるんですが。この理論が私は破綻したんじゃないかと思っているのはトリクルダウン効果です。つまり、いわゆる高い所得を得る人が元気出して、そして経済を引っ張っていく。企業もそうですが、経済引っ張っていったら、それは必ず中所得あるいは下流のところまで流れていくんだという、このトリクルダウン効果、日銀の方々はダム論というふうにおっしゃっていましたけれども。私はこの間ずっと見て、そのいわゆるトリクルダウン効果というのがやっぱり日本の場合に本当に起きたのかなというと、私は起きなかったんだと思うんです。  そこは、田村議員、取れるところからどんどん取ればいいという発想を私ら持っているわけではないんですが、そのいわゆる前に、高い所得の取れる人をどんどん取らして、そしてそれが実は経済を引っ張り、それが滴り落ちて中堅所得や下層まで下りてくるんだと、こういうトリクルダウン効果という考え方は、私はやはり間違いじゃないかなと思っているんです。どちらかというと、今日そういう中でやはり貧富の格差あるいは所得の格差の拡大というのが、これはシュンペーターもケインズも実は言っているんですけれども、その格差が実は失業問題を生み出してくる大きな要因になってくると。  だから、そこはやはりある程度の税を負担をしていただいて、先ほど菅大臣がおっしゃっているように医療とか介護とか子育てとか教育とか、そういうところに実はしっかりと再配分をしていくと。それが実は日本経済の非常に安定した基盤をつくり上げて、その下で市場競争を展開していくと、こういう形になっていくのが私は一番いいスタイルだろうというふうに考えています。
  134. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 その効果が出なかったとしたら、私は原因は資産課税にあるんじゃないかと思っているんですけど。といいますのも、ちょっと冒頭に申し上げましたが、日本の個人金融資産の三分の二、これが高齢者の手元にあって、その方々の相続が行われている年代が大体九十代から七十代みたいな平均像になっていまして、老老相続で本当にお金が使われていない。この前テレビでびっくりしたんですけど、もう本当に、これは社会保障の問題かもしれませんけど、九十五歳の方が老後が心配で貯金がやめられないという映像が出ていました。まあこれは社会保障のせいかもしれません。  しかし、やっぱり本当に、もう家も持っていて、もう子育ても終わって、もう欲しいものがないという方からもう欲しいものがないという方に資産がずっと移転し続けていますと、その下の世代、そのまた下の世代、四十代、五十代というのはマイナスの所得に統計上なっていまして、住宅ローンや教育ローンに追われる反面、株式投資なんかは一番やっているんですけど所得はマイナス、ローンに追われていると、三十代、四十代、五十代ですね。この辺に生前贈与が加速されてお金が行けばさっきのトリクルダウン効果が起こってくると思うんですけど、そのためには贈与税を下げて、ゼロにして、相続税をその代わり思いっ切り上げると、こういうことをやっていけば、死ぬまで持っていたらそれは損だということで生前贈与が加速されて、より消費性向、投資性向が高い人たちに早くお金が渡ると思うんですけど、これ是非考えていただけないでしょうか。
  135. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) ちょっとそこのところは私やや、いわゆる今老老で、つまり九十歳ぐらいの人が七十歳ぐらいの人に相続をしているというこのスタイルは余りいいスタイルではないということで、これは私もそう思ってはいるんです。  ただ、私はなぜこの日本人の相続財産がそうやって増え続けているのか。とりわけ金融資産が、貯蓄率は今ずっと長期的には平均すると低下をしているんですが、個人の金融資産というのは一千四百三十兆ぐらいまで今上がっているんではないでしょうか。それはやはり日本の将来の社会保障の水準が、老後の例えば医療の問題、老後の介護の問題、あるいは自分の孫や子供のことを考えると、とてもじゃないけれども今大変だと、そんな思いみたいなものが総合化されて実は貯蓄に回っていくわけですよね。ですから、この間の減税政策というのは大半が貯蓄に回ったというふうに申し上げて私はいいと思っているんですが、そういうふうになると、やはり実はそのお金は蓄積されていくと。そうすると、高額に蓄積される人とそうでない人の差が出てくると、こういう問題が実は起きてきているわけであります。  とりわけバブル以降、バブルのときに土地の問題が非常に高うございました。ですから、今相続税の基礎控除五千万、それから法定相続人一人当たり一千万円のいわゆる基礎控除がございますね。こういったものが非常に高くなっているために、実は相続税そのものも小さくなっているわけですが、そういう意味で、私はやはりこの今の相続税あるいは贈与税の在り方も、そういう日本のいわゆる所得再配分機能の低下がこういう問題をもたらし、社会保障のレベルが余りにも低過ぎるがゆえにそういうふうに蓄積せざるを得ないと、こういうところに実は今の日本の現状があるんじゃないんだろうか。  そうすると、やらなければいけないのは、そういう贈与税を軽くして相続税だけを重くするというんじゃなくて、もっと今の通常の日本のいわゆるフローの所得なり、今これからも所得税から入って議論をしているわけですけれども、そういう再配分機能をどのように高めていきながら、そして遅れている日本社会保障水準をいかに充実させていくかということをまずは力を入れていかなきゃいけないんじゃないかなと。その上で、今おっしゃられたような老老の問題は高齢化の中で非常に起きていますので、どうやったらその資産がそういう意味でうまく活用できるかという点はその後の問題じゃないんだろうかなというふうに考えておりまして、まずはそういった現状のそういう所得の再配分機能をどのように高めていくのかといったところを私はやはりまず重視していく必要があるんじゃないかなと、こう思っております。
  136. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 資産課税に関しては、資産課税それだけで時間をいただきたいぐらい申し上げたいこともいろいろあるんですけど、例えば相続税と贈与税というのは相続税の補完が贈与税だという考えがあるんですけど、両方最高税率五〇%ですよね。しかし、相続税というのは平均的な家庭、奥さんと子供二人がいる場合は八千万円から五〇%掛かってくるんですけど、贈与税に関しては一千万円から掛かってきますよね、五〇%。つまり、フランスとかドイツ、ほかの資産課税をしっかり取っている国と比べるとバランスが非常に悪いと思うんですね。贈与に対して厳し過ぎると。だからやっぱり贈与が起きない。どちらかというと持ち続ける問題があるんじゃないかと思うんですけど、これはまだほかにも質問したいことがありますので、これはまた議論をさせていただければと思っています。  もう一つ。太陽のことなんですけど、太陽政策ですけど、もう一つは。この前私が出たテレビで面白いマニフェストがありまして、納税にマイレージをという話があったんですね。納税をすればするほど何かいいことがあるみたいな。その納税意欲を上げていくということも大事だと思うんです。確かに脱税に対して重い罰を科すということも大事ですけど、人々が納税したくなるような仕組みというのも是非徴税側にはつくっていただきたいと思っていまして、例えば極端な例ですけど法人税ですね、法人税四〇%でも納めたいと思う人だって、いろんなシナリオ、仕組みをつくればあるんじゃないかと思うんですね。例えば、過去五年間の法人税の納税の実績額、これと相当のものを、もしその企業が何か経営危機に陥った場合ですね、それは高い利益を出している会社なんかはやっぱりいろんなことが将来起こってきますから、そのときに政府金融機関なのか民間金融機関なのか分かりませんけど、そういうときに借入れをその同額、過去の五年間の納入と同じ額を政府が保証してやると。そうしたら、生命保険みたいなものですよ、そうしたら、しっかり納税するようになるんじゃないかと思って。  これを、このアイデアをいろんな中小企業経営者に聞いてみたら、だったらもう節税なんかやめて、もっとしっかり増やして納税するようにするよという方々がいらっしゃって、そういうことが続いていけば、もうけるのもうまくなって、企業体質が強くなって、将来の不測の事態というのもなかなかあり得なくなるということで、コストフリーで税収が増えるんじゃないかと思いまして、こういう納税にインセンティブを付けるような仕組みというのはいかがですか、やるべきだと思うんですけれども。
  137. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) その納税のインセンティブの前に、先ほど、私どもはもう何から何まで贈与税とか相続税の関係を強くしようというだけじゃなくて、今年の税制改正は、昨年、自民党、公明党さんが、五百万円までのいわゆる家を建てるときの、ありましたですね、それで五百万円までオーケーということで、これを一千五百万円、来年度、それからその次の年が一千万というふうに、やや従来のちょっと金持ち優遇じゃないかと言われるようなところまで、これは専ら景気対策です。これは本当に、当面するリーマン以来の景気をどうするかという観点で、かなり激論はありましたけど、そういう提起もしましたので、そういう観点も持っているということだけは頭に入れておいていただきたいんですが。  今の納税のインセンティブのところなんですけれども、実は、私ども前々から、税をやっている連中に、やはり表彰というか、いわゆる勲章、叙勲といったところなんですね、何とか褒章とかいろいろありますけれども、やはり税を納めているというのはすごくやっぱり国家に対して非常に貢献していただいているわけですから、そういう意味での納税を、インセンティブというのは一つの方法としてあり得ると思います。  それから、今おっしゃった、企業が過去納めた税金分に相当するものを今度は借りる、もらうんじゃなくて借りるというやつですよね、そういう、まあそれが、果たしてそれが実際上、リスクとリターンの関係でまた貸す場合のいろんな関係は出てくるのかもしれません。  今ある制度の中でいえば、過去一年間さかのぼって、いわゆる利益を上げたときに翌年赤字になっちゃったと、そうするとリターンできる仕組みというものを入れたらどうだろうということで、これはかなり制度上議論して、今たしか租特の中に入ってきていると思います。それから、これから、今赤字を出したところは、七年間なら七年間でこの損金が次の利益から相殺されると、そういう仕組みというものは今の中に入っているわけですけれども、それより更に大きいものをということになると、それをどういう形で仕組めるかというのはちょっと私の頭の中にはなかなか浮かばないんですが、何とか、いわゆるインセンティブをどう、納税しようというインセンティブが付けられるかどうか、これは少し考えてみたいなというふうに思っております。  ただ、これはちょっと私どもが今議論することではないのかもしれませんけれども、年金の議論なんかのときに、所得比例年金というふうな場合に、今、国民年金などの場合は定額制で、しかも支給そのものも定額ということで収まっていますね、月額六万六千円と。これを本当に所得比例にして、高い所得を払ったら高い給料にするというふうにした方が果たしてインセンティブは生まれるんじゃないかと、こういうふうな議論なんかも出ているんです。しかし、そうはいってもなかなか、自営業の方々がそう簡単に今の定額制から今度高い水準に上がるかどうかという議論はありますが、そういう他の分野の、つまり保険の問題だとかそういったところでのインセンティブというものもまた少し検討してみる価値はあるのかなというふうに思ったりしています。
  138. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 まさに今言われた住宅に関する贈与税の部分ですね、これもう拡充していただきまして、去年私が議員連盟をつくって、五百万円というのも緊急経済対策の中で林先生辺りに一生懸命やっていただいたんですけど、なかなか、金持ち優遇というのにかなりはね返されまして、私は、金持ち優遇というか、お金持ちに使ってもらわないと経済は回らないんじゃないかと。  お金持ちでない方に使っていただくというのは、やっぱりそれはもう消費者金融みたいな世界になりますから、お金持ちにいかに使っていただくかということで考えていただきたいなということでいろいろ一生懸命やっていたんですけど、これを拡充していただきまして、その点はもう感謝申し上げます。  それで、ただ、贈与税に関しては、細かい話で恐縮なんですけれども、この相続税法の一部改正の中で定期金に関する権利の見直し、これで有期定期金というやつですね、残存期間三十五年超というやつを二〇%という現在価値で評価してくれるというところがなくなっちゃったわけで、これ結構、生前贈与を年金保険みたいな形でやっていた方々には使い勝手が良かったものなんですけれども、これが、現在価値で二〇%って、これ計算したらかなり正しいと思うんですけれども、この辺がなくなっちゃったということはちょっとまあ残念だったなと思っているんですけれども、この辺はまあ質問はしませんが。  道路財源に関してなんですけれども、例えばこれからの必要な道路を造っていくための財源というのは、高速道路の無料化とかいろいろ言われていまして、これもかなり地方にとってはいい面もあるんですけれども、JRなんかはかなり収入を落としていますし、高速バス辺りもかなりきつい面が出てきています。  高速道路で無料化する云々のほかに、私、一般道でも混雑するところは今のGPSとETCの機能を連携させて有料化しちゃえばいいと思うんですね。込む一般道路辺りですね。これシンガポールがERPというやつで、混雑緩和のため、そしてCO2削減のため、そして道路財源確保のために高速道路でない混雑する一般道にも、あそこはまだ門みたいな、ゲートみたいなのを作っていますけれども、日本のETCやGPSの機能を使えば、混雑や放置自動車の多いところ、この辺りを通るには、そのときにはお金が掛かるとか。  また、自動車重量税も、購入時にワンショット、一発で掛けてしまうんじゃなくて、自動車重量税、その重量によっては例えばもうETCの中のデータに入れて、高速道路を通るたびに重い車を走っている人には重い負担をお願いするというようなランニングのリターンにした方がいいと思うんですけれども、この辺りいかがですか。
  139. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 一般道の場合、たしかロンドンだとかヨーロッパの主要都市の中で、この地域の中に入るときは税が、税というか料金掛かりますよというような仕組みを入れているところがあったやに聞いております。  そういう意味では、私どもの専門の領域じゃありません、国土交通の領域だと思いますが、そういう議論というのはこれからもあり得るんだろうというふうに思います。ただ、その場合は全車両がETCを搭載しなきゃいけないとか、あるいはそういうものがちゃんと、きちんとこの区域内というのがカバーされなきゃいけないとかいろんな条件が要るんだろうと思いますが、私は一つの非常に重要なアイデアであるんだろうというふうに思っております。  もう一つの自動車重量税とかそういった点について、実は自動車重量税そのものも、実はこれは重量に応じてこれも比例的に税額が高くなるような仕組みを持っていますので、そういう点では、今おっしゃられたような点はこの中で、しかも車検ごとにこれ自動車重量税というのは徴収していく仕組みになっていますので、そういう意味ではそういった中である程度対応をしているのではないだろうか。  よりそれを多角的にというか、ETCを使って走行距離だとか走行した地域だとか、そういうもので細かくやれという御指摘がもしあるとしても、なかなか今のような段階でここは比較的いいんではないかなというふうに思っているんですが、まだ、より精密にそういった点を厳しくやった方がよければ、いいというような意見があればまた検討してみたいと思いますが、今の段階ではそういうことで対応できているんじゃないだろうかと思っています。
  140. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 最後に、新しい公共の観点ということがありましたが、その観点からすると、この寄附金の控除額、五千円から二千円に引き下げていただいたんですけれども、これゼロにしたらいいかと思うんですけれども、一気になしにしちゃったらいかがでしょう。
  141. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 実は今年から、今まで五千円だったのが二千円というふうに下がったんですね。ゼロでいいじゃないかと。これ調べてみたら、諸外国はこの寄附金控除のところは大体ゼロ、ゼロ円からになっております。  財務当局の方にちょっと聞いてみたんです。何で、もう二千円まで来たらもうゼロでいいじゃないかと、こういう話したら、百円、二百円の領収書を付けて云々かんぬん、言ってみれば手間が云々かんぬんになっているんですが、まあ百円、二百円でその分を税の控除にというふうにはなかなかならないんで、今、鳩山総理の思い入れの多いところでございますし、菅財務大臣も、先日は税額控除、すなわち、ある金額を限ってもう半分税額控除なんて言わない、五〇%と言わないで、とにかく一〇〇%だっていいじゃないかというような意見が先日も出されておりましたし、今のような点を、やっぱり我々としてはそういう執行上の問題というのはこれは無視できないんで、執行上の問題は十分我々は判断しますし、寄附とは何ぞやということについての原理原則もしっかりさせなきゃいけないんですが、しかし、今の日本の寄附文化というものが余りにもやっぱり弱過ぎる。特に政治家の皆さん、私もそうですが、個人の献金を受けようとしても、なかなかこれが広がらない。  そういったことを、できる限りそこをブレークスルーするには、ある段階でそういう、ちょっと今までの常識から考えたらなかなか難しいことを突破しなきゃ私はできないんじゃないかなというふうにも思ったりしておりますので、ここは、新しい公共は四月の終わりに大体方向性というか、ある程度の論点を整理させたいと思っていますので、今の論点をしっかりと受けて議論をしていきたいと思っております。
  142. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 本当に最後に、大臣と副大臣に国有財産の有効活用、これに尽力されることをお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  143. 水戸将史

    水戸将史君 民主党の水戸将史でございます。  最後の質疑となりますので、いましばらく菅大臣峰崎大臣にお付き合いいただきたいと思っております。  特に、菅大臣にはこの委員会で相まみえることができまして、本当に感激をしております。今までも、どちらかといえば、どちらかといえばというよりも、ほとんど菅大臣とじかに会うたびに私は選挙の話しかしたことがありませんので、初めて政策的なお話を拝聴できるということで、今日も楽しみにしてまいりました。  本題に入る前に、若干先ほど田村委員からもお話がございましたけれども、菅大臣の景況感につきましてのコメントをいただければと思っております。  と申しますのは、つい先日の新聞記事でもございました。財務省が、これ四日なんですけれども発表した、昨年、二〇〇九年の十月から十二月の法人企業統計、三か月間なんですけれども、この統計結果につきまして、経常利益が前年同期に比べて二年半ぶりに増えた一方、設備投資は十一四半期連続でマイナスだったというような記事でございます。  これにつきまして、菅大臣の、この企業動向、経常利益は二年半ぶりに増えたけれども、一方では設備投資はまだまだ連続してマイナスであるということについての御感想はどうなのかなということをお聞きしたいと思っています。よろしくお願いします。
  144. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今おっしゃるように、先般公表した法人企業統計調査では、企業収益には改善が見られておりますが、まだその水準も必ずしもそう高いところまでは行っておりません。同時に、設備投資はずっと減った後、多少下げ止まり傾向はありますけれども、まだ大変低い水準で来ております。  このことをどのようにとらえるかということですけれども、今後家計の支援による個人消費の拡大、さらには産業、新たな分野での産業と雇用を生み出していくという、そういうことでの自律的な回復軌道に乗せるために今の予算も含めて早期成立によってその後押しをしていただきたいし、また新成長戦略の具体化によってもそうしたことを推し進めていきたいと思っております。  多少、そういう用意された答弁以外で私なりに思っていることを申し上げますと、やはり設備投資がなかなか戻ってこないのは、いわゆる需給ギャップと言われる中で、もちろん政策的には需要を大きくしていくという方向でプッシュしているつもりなんですが、ある意味では民間的には、簡単に言うと供給力が大きいわけですから、それが需要につながらない部分をどうしても抑える力が働いて、それが結果として新規投資をなかなか回復させてきていないのではないかと。つまりは、需給ギャップを縮めたいというその力が、需要の増大という政策的なことと、場合によっては企業ごとに自らの供給力の余分な部分を多少下げていこうという、そういうことが相まった形でまだ残っているんではないかと。この設備投資が回復してくるとかなり本格的な回復基調に戻ったと言えるんではないかと期待をしているところです。
  145. 水戸将史

    水戸将史君 ありがとうございました。  それでは、今の大臣の御感想としては、設備投資というのはもうちょっと連続して下がっていく危険性もあるのか、それとももうほとんどこれ下げ止まりなのかという、今見極め的なことになるんですけれども、どういう思いでございますか。
  146. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 若干の期待感を含めて言えば、下げ止まり傾向が出ておりますので、そろそろ下げ止まりからできれば上昇の方向へと移っていく、若干の期待も込めてでありますが、そういうぎりぎりのところまで来ているのではないかと期待しています。
  147. 水戸将史

    水戸将史君 私もそのように期待をしている一人であります。  先ほど田村委員からも若干法人税率のお話がありました。ほとんど副大臣から御答弁があったので、大臣に改めてお伺いしたいんですけれども、確かにこれはさきの参議院の予算委員会におきましても、鳩山総理自らも、このような法人税率はやはり下げていくべきである、下げるのが筋であるみたいな御答弁をされたわけでありました。実際今、法人実効税率は四〇・六九%ですね、日本は。菅大臣はこれは高いと見ているのか、諸外国に比べてですね、どうなのかということについて率直な御感想をよろしくお願いします。
  148. 菅直人

    国務大臣菅直人君) この税率そのものをそのまま比較すれば、やはり世界的な水準あるいはアジアの水準からいえばやや高いと見ております。  ただ、よく言われることは、併せて社会保険料等の法人負担分、企業負担分を考えると、これはいろんな国との比較になりますけれども、併せて考えれば一概にすべての主な国よりも負担が大きいということではないと、そういうふうに認識しております。
  149. 水戸将史

    水戸将史君 確かに今の認識は、本当にただ税率だけを直線的に見ても、その関連する企業者負担というか事業者負担というのはそれだけじゃありませんものですから、総合的に企業の負担がどうあるべきかということはやっぱり大きな議論にこれからもなってくると思っております。そういう中で、やはり企業の国際的競争力とか海外の様々なお金を呼び込むという、投資意欲を高めるというような算段もこれ必要だと思っているんですね。  副大臣、これから法人税率云々に関しまして、当然、税率を直接判断基準として見ていく場合もありますし、課税ベース、いわゆる課税標準額を、減価償却の問題等々、そういうものを総合的に企業の経営実態に合わせた中においてのやはり税の体系をどうすべきかということについても広い視野で見直していく必要があるんじゃないかと私自身は思っているんですけれども、副大臣はどういう御認識ですか。
  150. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 先ほど私、田村委員の方にお答えしたように、本当に課税ベースを考えるときには、当然、何が損金に算入され、あるいは減価償却を加速度償却するのか、それともそれが平均以上に長いのか、そういう意味では非常に多面的に見ていかなきゃいけないというふうに思います。  それと同時に、御覧になったら分かるんですけれども、地方の法人税が高いんです、日本の場合は。ドイツと並んで非常に高うございます。その意味では、地方の法人税をどうしたらいいのかということで、これは東京都なんかもそうだと思いますが、法人二税、とりわけ法人事業税が景気変動で上がったり下がったり、これは地方税に適してないんじゃないかというふうにかねてから言われているんですね。  そういった意味で、これはこれから先、税源配分といいますか、国と地方の税の在り方というところでは、この法人税の在り方というのは是非やっぱり検討してみる必要がある点だろうというふうに思っております。
  151. 水戸将史

    水戸将史君 本当にそういういろんな分野というんですか、エリアを広げればいろんな見方があると思います。  また、民主党も特に中小企業に対しての税率の見直し等々も、今までもこれについての検討をすべきであるということも言ってまいりましたけれども、今後法人に対する、大中小等々、それに関して、どういう形でこれからの道筋として取り扱っていくようなお気持ちなのかということを、どちらでも構いませんけれども、御答弁いただきたいと思うんです。
  152. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 大企業とか中小企業とか、分けてですか。
  153. 水戸将史

    水戸将史君 そうそう。
  154. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 我々、これは民主党がマニフェストを作ったとき、日本の圧倒的多数を占めるのが中小企業でございますので、この中小企業の皆さん方が元気が出る、活力が出るということで、この間、ベンチャー企業の問題も含めて税の在り方や様々な優遇措置などもやってまいりましたけれども、そういう意味でいうと、この中小企業の優遇措置の問題も含めて、先ほどあったように、今、税率を一一%、ちょうど一八%まで下げているんですけれども、これを更に一一%まで下げてくれというのが党としてのマニフェストの非常に大きな柱になっているんですけれども、この一一%に下げる以上は、当然先ほどのペイ・アズ・ユー・ゴーの原則、このペイ・アズ・ユー・ゴーの原則で、とにかくじゃその財源は、新規財源、なかなか新しいものを持ってくるというのは大変なことでありますんで、じゃ既存の中小企業関係租税特別措置をやっぱり見直してみようじゃないかと。そうすると、中小企業関係だけで数千億の租税特別措置ございますので、それは十分に実は下げる財源は持っていると思っております。  そういう意味で、中小企業に対する法人税の在り方については、今申し上げたように、これもやはり基本は課税ベースを広げて、そして税率を下げていくという方向で、マニフェストで約束したことを実現できるようにしていったらいいんではないんだろうかなというふうには考えております。
  155. 水戸将史

    水戸将史君 その方向で是非時計の針を進めていただきたいと思っております。  今日、皆さんのお手元にお配りしたのはちょっとまた別な観点なんですけれども、やはりもちろん本税をちゃんと捕捉をして徴収する、納める側ももちろん一定の義務としてちゃんとしたものをちゃんとした形で納めにゃいけないということなんですが、しかし、さはさりながらもなかなか、取りっぱぐれと言っちゃあれですけれども、滞納分もあるということで、今日はあえてこの一覧表を掲載をしたものをお配りをさせていただいております。  この表の説明は割愛させていただきますけれども、何しろ今までの昨年度末分と新規発生分ということも含めて、もちろんこの一年間でいろんな形で国税職員の方々も御努力をされて、そして捕捉の網を掛けていくということで、地道な努力もされていると思うんですね。本当に地道な苦労もされていると思います。  そういう中で、特にこの一覧表の中で顕著になりつつあるのは、全体の滞納分の中においても、特に消費税の部分がかなりウエートが高まりつつあるのかなという気がしてならないんですね。いろんな要因があるんでしょうけれども、消費税、特に中小企業とか企業関係ですよね。預り金として一時期企業の手元に残るわけでありますが、これに関して、どうしても昨今の経営が厳しいとそれを使い込んでしまうというんですか、なかなかそういう形で、時期が来て本来納めるべき消費税を納め切れないというような企業も増えているのかなという気もするんですけれども、副大臣、この状況、消費税の滞納分の比率が高まっているんです。これについてどういう分析をされていますか。
  156. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 今おっしゃられたように、消費税、結構ある意味では、執行という点においてなかなか厳しい税なんですね。  かつて、地方に料飲税というのがございました。二千五百一円以上は一〇%の料飲税が掛かりますよと。それは全部手元に置いているんですね、そのお店屋さんで。しかし、ついついそこを手を出して使っちゃって、納税するときにないという、そういう現状があって、その意味では納税する期間を、一年に二回とかというやつを例えば六回にするとか、そういう改善を加えてきているというふうに思いますが、いずれにしても、結構、滞納額が依然として、かなり努力をしているんですけれども、結果的にはこういう状況になっています。  その意味で、これは国税庁、組織を挙げて未然防止のために整理促進に取り組んでいるわけでありますけれども、引き続き、やはり消費税というのは、国民の皆さんからするともう一面、益税が発生しているんじゃないかという意味で、企業に対するかなり懐疑の目で、疑いの目で見られている時期がございました。そういったものをやっぱり払拭するためにも、こういう滞納というのはできる限りなくしていくという、そういう努力を進めていかなきゃいけないし、信頼を勝ち得ていかないと、今五%ですけれども、これ将来、将来ですね、どうしても上げようという動きというのはトレンドとして出てくると思いますので、そのときにはもっとやはり大変厳しい状況になっていくんじゃないだろうかなというふうに思っております。
  157. 水戸将史

    水戸将史君 滞納する側にとってはいろんな事情も、やむを得ない事情もあるかもしれません。しかし、そうはいうものの、納めるべきものはちゃんと納めていただこうというのも、これは国民の義務の一つとして、やはりこれはある意味シビアに取り扱っていかなきゃいけないという側面があると思います。  もうこの十年間も当然、御案内のとおり、所得税の納税者数もこれはずっと増えておりますし、法人税の申告件数もこれ増えているんですね。そういう中において、いわゆる徴収事務というんですか、先ほど言ったようにいろんな形で御苦労されている方々がいるんですけれども、非常に事務的なことに複雑化をしまして、業務が質的にも量的にも非常に拡大しているということでございますので、やはりちゃんとした形で捕捉をするということを含めて、やはりある程度悪いのは見逃さないというような、そういう気持ちも含めて、この滞納分というのはやはりなるべく速やかに的確にこれは徴収していく必要があると。  そういう中において、当然今、国家公務員の削減計画が厳しい中にありましても、やはりこれ国税職員の数の、質の一定の確保というものが必要になってくると思うんですね。特に、これから我々自身も、納税者憲章等々を含めて、やはり納税者側の権利もこれ一定以上高めていこうという中においての、更正の請求の期間の延長とか、また歳入庁構想等々ありまして、やはり税務職員並みのそういうスキルアップした人材も一定以上確保していく必要があるということも、これからの視野に入れていく必要があると思いますものですから、是非こういう環境整備を整えていく必要があるかなと私自身は思っているんですけれども、これについて副大臣はどういう思いがありますでしょうか。
  158. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 非常にタイミングのいいときの質問だったなというふうに思っていますが。  と申しますのは、今、納税環境整備をめぐって、税制調査会の専門家委員会の中に小委員会を発足をさせました。立命館大学の三木義一先生が座長で、八名の委員で、その中に私ども税制調査会のPTのメンバーも入ってこの議論をすることになりました。今お話しなさったように、国税通則法関係あるいは納税者権利憲章、そういった観点から、納税者の権利という問題と、それから納税者の義務の問題と、こういったもののバランスの問題を含めてしっかりと議論をし始めたところでございますので、この点については引き続き、恐らくこの半年程度時間が掛かるんじゃないかと思いますが、しっかりと結論を出していきたいなというふうに思っております。  そこで、実は国税職員の定数問題なのであります。これ、私どもが毎年、税の議論をするときにこの問題について議論をしてまいりました。そして、時に附帯決議なども出していただいた経過がございます。改めて、これ我々税務当局といいますか、主税局を含めた財務省としての見解を披瀝をしておきたいというふうに思います。  まさに税務行政を取り巻く環境というのが、第一に所得税法及び法人税法等の申告件数が増加をしていると、第二番目に高水準で推移する滞納残高、先ほども御指摘されたとおりです。さらに第三点としては、経済取引が非常に国際化をし、また広域化をし、しかも高度情報化社会と言われる中での大きな手口が変わってきているというふうに、それから四点目としては、不正な手口の巧妙化ということで、脱税といいますか、そういった点も非常に巧妙化をしてきているということで、非常に質量共に税務行政を取り巻いている環境は厳しさを増しているというふうに申し上げていいと思います。  そうした中で、国税庁については非常にIT化による事務の効率化ですね、KSKシステムとか、あるいはアウトソーシングの推進などに努めているわけでありますが、それでも対応困難な業務量の増大については、税務行政の困難性及び歳入官庁としての重要性にかんがみ、所要の定員、機構が確保されるよう努めてきたところでございます。  今後とも、税務行政をめぐる環境は厳しさを増すと考えられますが、現下の厳しい財政事情も踏まえながら、まずはIT化、あるいはアウトソーシング化により対処するように努めながら、それでもなお対応困難な業務量の増大については所要の定員、機構の確保について関係各方面の理解が得られるように一層の努力をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  159. 水戸将史

    水戸将史君 それに沿った形で是非善処願いたいと思っております。  それでは本題の方に入っていきたいと思っております。租税特別措置法の透明化法案ですね。  今回これが大きな話題を呼んでいるわけでありますが、私自身もこれに関しては非常に思い入れが強くございました。というのは、もうもちろん峰崎大臣始め今日お見えの先輩、同僚の議員の皆さんからも御指導いただきながら、過去二回、私も野党的な立場としてこの法案を提案者として、この参議院の財金もそうですし、衆議院の財金も委員会に赴いて私から説明をしてきた経過がございました。ですから、やっと日の目を見たのかなという思いが深くしておりますけれども。  そういう中において、今回のこの透明化法案の趣旨ですね、やはり今までの自分の記憶を思い起こしながら、より一層高めていきたいなと思っておりますので、是非簡潔に今回の透明化法案の趣旨を御説明いただきたいと思っています。
  160. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) ありがとうございます。  今までは議員立法だったわけでありますが、今回は閣法で出させていただいたわけでございます。  この趣旨というのは一体何だろうかなということであります。第一点目は、やはり税制における既得権益の一掃と、納税者の視点に立って公平で分かりやすい仕組みということで、従来ともすれば、やはりこれは政官業の癒着の象徴的なものではないかというふうに言われてきた租税特別措置をゼロベースから見直しをして整理合理化を進める必要があるのではないか。  また、他方、租税特別措置の中には適用実績の把握や効果の検証が十分とは言えないものが見られます。これは、野党時代もそうでありますが、今回税制調査会などを検討したときにも、本当にこれは効果が上がっているんだろうか、それに客観的に堪えられるような検証を受けているんだろうかということが非常に疑問の点が随分多うございました。  その意味で、まずは適用実態を明らかにする、その効果を検証できる仕組みという点で、この租特透明化法案を提起をしたわけであります。  その意味で、今度はこれを国会に提出をして、調査をして国会に報告をすると、そしてそれを国民の目に、先ほど田村委員にもお話をいたしましたけれども、国民の目から明らかにして、是非これが適切な見直しが進むように、そのための重要な法案だと、こういうふうに位置付けていきたいと思っております。
  161. 水戸将史

    水戸将史君 実際にこの法案が今国会で成立をした暁には今後どういう具体的な手順で進めていかれるのか、それをちょっと簡潔にお答えいただきたいと思うんですが。
  162. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) この提出の手続ということですか。
  163. 水戸将史

    水戸将史君 そうです。
  164. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) これは、本法案は二十二年の四月一日から施行するということになっておりますので、この適用を最初に受ける法人の事業年度は二十二年四月から開始するというふうになります。この場合は申告書、明細書が提出されるのは、基本的には事業年度が一年の場合ですね、一年という事業年度を取っている場合は二十三年四月以降になってくると思います。  他方、法人の事業年度の開始時期は各法人によって違いますので、一年分、二十二年の四月から二十三年の三月までの一年という、ちょうど年度でありますけれども、この一年分の法人の申告書、明細書がすべて提出されるのは二十四年の七月末まで掛かると、こういうことになります。大変時間が掛かるわけであります。  国会への報告は、そのことを受けてやりますので二十五年一月に始まる通常国会に出てくるということで、やや大変時間が掛かる調査になるというふうに見ております。
  165. 水戸将史

    水戸将史君 それはもちろんタイム的に、やはり企業は一年間ということをベースにしていますので、当然、そういう若干の時間が掛かることはこれは私もやむを得ないことだと思っております。  峰崎大臣中心として、昨年の年末、大変忙しいさなか、十回ぐらいの延べプロジェクトチームを立ち上げられて、これについていろんな形で検討されたことを私も承っています。そういう中において、私も過去二回、野党提案としてこの租特透明化法案を出してきた経過がありましたけれども、それと比較して若干違う点が何点かあるんですね。これはもちろん与党となってやはりいざ実際にいろんな多面的な角度から検討してやっぱりより精度を高めてきたとは思うんですけれども、さはさりながらも、やはり我々自身が野党として提案したものと若干異なる部分がありますものですから、これはどうしてこれが抜け落ちてしまったのかな等々を含めて、私から御質問をしていきたいと思っているんですね。  まず第一点は、今までの野党案ではこの透明化を具体的に進めるための手段として、まず財務省等による適用実態調査二つ目の手段として会計検査院による検査、三つ目の手段として行政機関による政策評価を通じた政策への反映と、この三つの手段を通じて透明化を高めていこうという、そういうような形で今までは組み立ててきましたけれども、今回はこの会計検査院と行政機関等々はやらないで財務省等による適用実態調査でこれは判断していこうというふうになっているわけであります。これはどうしてでしょうか。
  166. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 御指摘のように、今の会計検査院における租特の調査をやってください、あるいは政策評価法に基づく正当性の検証もやってくださいということが入っていたんですが、実は閣法を提出する際に総合的に検討して見ていただいたわけでありますが、その検討をしていただいた結果、一つは、現行の会計検査院法で租税特別措置に関する検査に必要な規定はもう整備されていると、もう既にあるわけでありまして、しかも会計検査院というのは憲法上の独立機関になっているものですから、その独立性にも十分配慮したということでこの点については一応外したということでございます。  二点目の、総務省で租税特別措置にかかわる政策政策評価法に基づく事前及び事後評価の対象に加えるという方向で、これは三月いっぱいにこれは閣議でその決議がなされるというふうに聞いております。これはいわゆる法律事項ではないわけでありますが、閣議で政令に決めると、こういう状況になっていまして、これは恐らく我々がこういう法案を出したことの影響で、実は内閣としてこれを取り上げていったものだというふうに理解をしております。
  167. 水戸将史

    水戸将史君 二点目といたしまして、元々は昨年までのものに関しましてはこの租特透明化法案のふるいに掛けられるというか俎上に上げられるものはもうすべてを対象にしていたと思ったんですけれども、今回はやはりそれを、いろんな基準を設けたんですか、AからB、C、Dの四段階を設けて、特にAの課税の免除や繰延べなどの税負担の軽減等を図るもののみ、いわゆるこれは政策税制という言い方、位置付けをされておりますが、これだけを対象にして、B、C、Dという、四ランクに分けた中においてのB、C、Dをこれを対象にしなかったんですね。つまり、三百十ある租税特別措置法の適用を受ける項目があるんですけれども、その二百四十一だけを対象にしていこうという形でやっていくような措置をとられたというように聞いているんですけれども、これはなぜでしょうか。
  168. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) これは税負担の軽減等を図る措置だけではなくて、例えば租税回避の防止を図るための措置、例えば移転価格税制とか、あるいは納税手続の特例に係る例えば措置、例えば利子所得に係る支払調書の特例、これは源泉で支払調書を出さなくていいといったような問題、こういったものは必ずしも税負担の軽減につながらないというものも入っているものですから、その点でB、C、Dというものを手続の中に加えなかったということでございます。  また、今般の租税特別措置の見直しは、税制における既得権益を一掃しようということが主な目的でございますので、特定の政策目的の実現のために税負担の軽減等を図る措置を見直しの対象にするということにしたわけで、先ほど申し上げた移転価格税制の問題とか、あるいは利子所得に係る支払調書の特例といったようなことについては、これはその趣旨から外れるということで排除したわけでございます。
  169. 水戸将史

    水戸将史君 それからあと、公表の仕方なんです。何をもって国会に提出するのか、どういうものを国会につまびらかにするかということで、これにも、当然法案の中にも盛り込まれておりますが、やはり適用数、適用額の総額と、それから高額適用額という、これも我々自身も、逆に昨年までは答弁者側として、どこまで公表するんだということをしばしば質問で我々自身が答えた記憶があるんですけれども、今回どこまでという、明確にすべきものは、高額適用額という部分は、これは実名を記載して具体的に本当にやるというようなイメージなんでしょうか。
  170. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) これは企業名を公表するという問題、特に高額で上位例えば十社とか十五社とか、これはこの委員会でも随分議論になったわけであります。これはかなり、率直に調べてみまして、我々は絶えず予算の面における補助金と同格に扱うべきじゃないだろうか、隠れ補助金だと、こういう位置付けをしたわけでございます。  じゃ、補助金の方は具体的なそういう大きな企業名とか、こういうところまで行っているかとなると、なかなかそこまでは実はよくよく調べてみると行っていない。そういうことからすると、補助金が明らかになっていないのに、租特だけ先に先行してやったっていいじゃないかという意見もなきにしもあらずだったんですが、しかしそこまでやらないで、業種別、資本金別、こういったマトリックスを作ってA社、B社というような形である程度、目的が、我々としてはそれが本当にどういうところに、偏ってやしないかとか、そういう適用実態の現実を見て効果を調べようとしたものですから、その程度で取りあえず最初の段階では足りるのかなというふうに思って、その点については補助金とある意味では横並びで整理をしたというところでございます。
  171. 水戸将史

    水戸将史君 これ、租特法の第三条になるんでしょうか、これは適用対象法人、租特の適用になっている法人は必ずどのぐらいそういう恩恵にあずかっているかということを、これを詳細を明らかにするための適用額明細書を添付しなきゃいけないとあるんですね。これ、義務的でございます。しかし、義務とはしているわけでありますが、仮に提出しなかった場合とか、虚偽記載があった場合、当然これは適用を受けさせないよというふうになるわけでありますけれども、一定の例外措置もありますし、またこの条文を読むと、その後、誤りのない適用額明細書を提出すると、その後がという意味なんでしょうか。いわゆる、最初は不記載とか虚偽記載とかというものに対してはもちろん当然そういう租特は適用させないよという話になるわけですけれども、その何というんですか、救済ではないんでしょうけれども、誤りのないものをまた提出したらいいよと、一定の猶予期間があるのかなというような気もするんですけれども、これはどういう取扱いなんでしょうか。
  172. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) この適用額明細書を、これは調査を行うための基礎的な資料になっているわけでありますけれども、この調査の結果は国会に報告をするわけでありまして、内容の正確性を確保することが非常に重要だというふうに考えております。  そのために、適用額明細書の不提出あるいは虚偽記載ということについては法人関係特別措置を適用しないことにしております。そういうことで、事実上の罰則は、罰則というか、こういう適用をすることによってそのとがをしているんですが、ただし、単なる添付漏れとかあるいは誤記、つまりこれは単純なミスだと、ミステークだと、事務的なミスだということも想定されるわけで、事後的に誤りのない適用額明細書を提出した場合には、故意の不提出やあるいは虚偽記載の場合を除いて法人関係特別措置の適用ができる旨の規定を設けたと、こういう趣旨でございます。
  173. 水戸将史

    水戸将史君 分かりました。現場が混乱しないように、また説明を徹底化していっていただきたいと思っております。  実際の適用実態調査の結果を受けて、ここからが本当の大仕事になると思うんですね。  じゃ、この租特が今の時代の流れにおいて、これは妥当かどうかという、客観的な判断基準を設けてやっていく必要があるんですけれども、実際いろんな実態調査が出てくる、金額も分かる。まあ公表するか否かということはこれからもあるかもしれませんけれども、事実、個々企業が分かるという中において、どういう基準というか、どういう定量的なというか、数字的なものをもってしてこれを適否を決めていくのかという、これからの具体的な判断基準というんですかね、根拠というのはどういうふうに設定されていくおつもりですか。
  174. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) これはよくふるい、ふるいというのは、何というんですか、穀物を整理して細いものを落とすとか落とさないとか、そういうふるいというわけ、これを作り上げたんですが、これを租税特別措置で見直しの指針という形で六項目にわたって整理をしたわけです。六つテストがありますよ、六つの網の目がありますよと。  一つは、大きな背景にある政策に今日的にこれは適用することが合理的かどうかという点でございますけれども、一つ認められるのは、法律に規定されて租税特別措置をやりなさいと、こう書いてあるものは、あるいは所轄官庁から要求出たときにその政策体系の中にちゃんと位置付けられている、優先度や緊急性の高いものだ、こういうふうに明確に法的な根拠や政策体系の中に位置付けられているものは合理性があるじゃないか。それから、実際に、この当初の政策目的が既に達成されて終わっていやしないか。つまり、目的は終わっているのに漫然と続いているかどうか、この点は合理性というふうに判断をいたしました。  それから、次に有効性と。果たして税が使うことが有効なのかどうかということで、これで三点目のふるいとして、適用数が想定外にもうわずかだと。例えば、研究開発税制のところで、いわゆる高水準型というのがあるんですけれども、この高水準型というのは医療関係の製薬メーカーが非常に多くて、非常に想定外にそこに偏っているねということで、こういうものは非常に有効性の観点からしたら問題があるんじゃないか。あるいは、政策評価法に基づく所轄官庁の事後評価などにおいて税収減を是認するような有効性、つまり費用対効果ですね、BバイCと、これが果たしてあるかどうかというのがこの四点目の項目として挙げられる。  そして、ちょっと長くなりますが、大きな補助金やその他の政策手段と比較してやっぱりこれは税の方が相対的に優れているねという相当性があるかどうかという点で、五項目めのふるいは、この政策目的にかかわる他の支出措置や義務付けがある場合に適切かつ明確に役割分担がなされているかどうか。  それから、六点目として、適用実態などから見てその政策目的に達成するための政策手段として的確であり、かつ課税の公平原則に照らして国民の納得できる必要最小限の特例措置になっているかどうか。  このことを六項目を挙げながら、大体、存続期間として見た場合は十年以上延びるというのはこれはちょっと余り長過ぎやしないかね、あるいは使っている方が非常に少なくて、せいぜい二けたぐらいしか使ってないぞと、こういうものもちょっとやはり問題だねというような議論をしてまいりました。  ということは、今度は租特透明化法に基づく調査に基づいて今のような観点からもしっかりと調べ上げていくということが必要になってくるんだろうと思います。
  175. 水戸将史

    水戸将史君 もちろん、適用実態調査を終えた後、国会でもいろいろと議論になると思いますけれども、やはり一定の基準と根拠を持ちながら説明責任を果たしていく必要はあるかなと、私も深くそれは感じている次第でございます。  副大臣、先ほどちょっと私のお聞きしたことにダブるかもしれませんが、やはりこの租特透明化法案の中においても、先ほど言ったように対象とならない項目があるんですね。先般、副大臣のコメントが載った記事も私、拝読しておりますが、例えば金融課税の関係で、株式譲渡益とか配当課税等々、金融課税の一体化を我々自身はこれから目指していこうという中において、将来的には副大臣自身も、また政府の中でも検討されていると思うんですが、総合課税の方に移行すべきじゃないかというふうに副大臣もいみじくもおっしゃっていたと聞いておりますが、それについてどういう思いでいられますか。
  176. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) これは実は大問題なんですね。今おっしゃられたように、金融所得とそれから勤労所得、その他所得をどういうふうに課税したらいいのかと。これは、シャウプ税制以来、基本的な大きな考え方、多分日本の今のいわゆる所得税法は総合課税論に立っていると思います。  しかし、その場合、そういうところから外れている項目ですね、何でチェックしないのかということなんですが、政策税制措置については今申し上げたように今後四年間でふるいに掛けてやるわけでありますが、これ以外のいわゆる大きな論点になりそうなところは、実は今、先ほど菅大臣もおっしゃられたように、この六月をめどにしながら、過去の所得税、法人税あるいは消費税、あるいは環境税、こういった、資産税もそうでありますが、そういう大きな税目について、その在り方、これは何が問題だったのかと、こういった点についての理論上及び現実に進められた政策の結果どういうふうに問題が起きてきているのかと、こういった整理を専門家委員会で進めていただくことになっております。  そうした中で、ある意味では、この政策税制措置以外の項目についてのチェックも我々としてはやり、不断の見直しを掛けていくということになると思いますが、そこである程度の理屈の整理はされるのかなというふうに思っております。  それはやはりグローバル化した時代、すなわちシャウプさんの時代はまだ国境が閉じられている世界ですよね、一九四九年、五〇年ごろですから。そういう時代においてある意味では支配的だった税制の考え方も、多分、一九八〇年代以降、レーガン税制なんかが出てくる以降やはり大きく変わってきているし、また今日的にもまた変わってきているんだと思うので、そこら辺の税の理屈をきちっと整理してもらおうというふうに考えておりまして、そういう中での点検、そして改革項目になっていくんじゃないだろうかというふうに思います。
  177. 水戸将史

    水戸将史君 ありがとうございました。  そのお気持ちを聞いて、私も気を強くいたしました。  おっしゃるとおり、今回租特の対象外になってしまったという今副大臣おっしゃったとおり、例えば源泉分離課税である利子所得とか申告分離課税であるキャピタルゲイン、株式の売却益等々、やはりこれから総合課税化を目指していくならば、その適用実態は、やっぱりこの租特でやるのがいいのか、ほかの手段がいいのかは別といたしましても、していく必要があると。  これによってもちろん増税になる方もあるし、減税になる方もいらっしゃる、所得によって違いますからやっぱりいろんな陰ひなたが出てくるわけでありますけれども、しかし、さはさりながらも、やはりちゃんとした形でその実態を、この租特によってどういうような恩恵をあずかっているのかということを含めて、こういうものについてももう一段踏み込んだ形でやっていくべきだと私は考えていますので、租特透明化法案以外の手段で今行うという話も承っておりますものですから、是非その所得の実態を把握をしていただきたいと。
  178. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) そして、今の御指摘で、例えば金融所得は金融所得だけで総合的に金融所得の一元的な課税と。さらには、所得税とそれを将来どうするかは別にしても、そうなってくると必ず番号制が入ってくる必要があります。今、菅大臣の下で、菅会長の下で、この番号制の問題について、内閣府で菅大臣が会長になって今番号制度の導入に向けて努力をしております。  これは、かつてもう自民党時代あるいは旧政府税調も、番号制をとにかく入れなさいということが何度も指摘されながらできていなかった課題で、これはもう是非党派を超えて実現をさせていきたいし、今いろんなものを見ても、各党派の、会派の皆さん方の政策を見ても、これに対して批判的なところというのは少なくなっておりますので、私は是非これを早急に実現できるように、この半年ぐらいの間に対案的なものができるように進めてみたいなというふうに思っています。  それ以降のパブリックコメントが大変だと思いますけれどもね。
  179. 水戸将史

    水戸将史君 よろしくお願いしたいと思っております。  この租特透明化法の第四条なんですが、これは今度は財務大臣の方なんですけれども、そもそもこの租特透明化法の対象になるのは、先ほど申し上げましたとおり法人税関連だけなんですね。法人税関連特別措置についてのみこれは対象、ふるいに掛けられるんですね。租特の適用というのは別に法人税のみならず、所得税もありますし、様々なものがあるんですね。  この法人税関連につきましては、財務大臣はちゃんとした調査をしなきゃいけないというふうに縛りがあります。しかし、それ以外のものに関しましては、もちろん所得税が特にそうなんですけれども、個人から出される申告書等々、それを税務署長に対して財務大臣は、その提出される調書等を利用して、そして実態を把握することをこれは求めることができると。財務大臣は、各税務署長に対して納税者に関する様々な書類を整理してその説明を求めることができるという、できる規定なんですね。努力規定というんですか。  私、何が言いたいかというと、もちろん菅大臣みたいに公明正大で正義感あふれる大臣財務大臣でずっとあればいいと、あらなきゃいけないんですけれども、いやいやそれは菅大臣じゃないですよ。例えば、仮によこしまな財務大臣、そもそもこの租特ができた経過というのは、いろんな団体からの圧力とか要望があって、それで特典の中において恩恵を授けてきたというような経過があるようにも聞いていますものですから、やはりこれを更に公明正大にふるいに掛けるには、やっぱり一定の基準というんですか、ちゃんとしたものを設けていかなきゃいけないんですけれども。  この第四条は、今言ったように、第四条の第二項は、財務大臣が求めることができるとあります。例えば、所得税関連でも再三再四委員会等でも話題になりました。例えば肉食牛ですか、肉用牛ですか、あれ租特あるんですけれども、百万円以下の売上げに関しては今たしか非課税だったと思うんですね。これはもう今の時代においてなぜ牛肉だけなんだという話もありまして、いろんな話でもう時代の中ではそぐわないんじゃないかということで、今までもそういうことを指摘をしておりましたけれども、先ほど言ったように、そもそもこの租特のふるいに掛けられるものは法人税関連だけでありまして、所得税に関しまして、そのほかの税目に関しましては、財務大臣のいわゆる意思においてそれをやるかやらないかを決めることができるんですね。  ですから、先ほど言ったように、もしかして今後将来的に、仮にいろんな形であつれきがありまして、やりたいと思ってもできないようなそういうことがあっちゃいけないなと、私もそれをちょっと、杞憂でございますけれども、危惧しているわけでありますので、是非、この法人税関係以外にもやっぱりもうちょっときちっとした形で、努力義務じゃなくてちゃんとした形で捕捉をしていく必要があるんじゃないかなと、適用実態をちゃんとした把握をしていく必要があるんじゃないかと私は思っておるんですけれども。  今回はこれでいいと思うんですけれども、これから、先ほど言ったように、そもそも我々自身の案としては、そんなフリークエンス、すべてのものを対象にしようというのが昨年までの野党案でありましたものですから、是非、もうちょっと法人税関連以外も広げていく必要があるんじゃないかと私は思っておるんですけれども、これ、今後の検討課題にはなりませんでしょうか。
  180. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 御指摘のような論点は必ず出てくるだろうと思いますが、例えば所得税なんかの世界へ入ってくると、相手はもうほとんど国民全体が、納税者全体が対象というふうになってまいります。その意味で、この必要性があるときにはやっぱりやっていかなきゃいけないというふうに思います。  ただし、今般の租特透明化法においては、やっぱり納税者の事務負担というものもあるわけで、適用額明細書の提出を求める対象というのは法人税関係特別措置に限定をしたんですが、実は適用実態を把握すべき租特の中で、他の税目にも、国税庁の行う各種標本調査や徴収事務を担う他省庁の統計などを活用することによって適用額や適用件数の把握に努めることにしているんですが、結構、適用額全体を把握できるものがあるんです。  先ほどの肉用牛の売却による農業所得の課税の特例ですね、牛一頭百万円というやつですが、これは所得税ですけれども、これは国税庁統計年報というところにここは出てきております。どこまでそれが我々の要望に近いものかということについての点検はあると思いますが、それはちゃんとできている。  例えば、登録免許税というのは、住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減と、これは登録免許税の対象なんですが、これは法務省の民事・訟務・人権統計年報というところに全部これも記載されているということでございますので、あるいは、所得税にせよ、贈与税が掛かる問題や、航空機燃料税だとか登録免許税だとか、そういう税目ごとに完全にきちんととらえられる統計もきちんと残っておるということでございます。  それでもなおかつ、これはやっぱりちょっと問題はありそうだねと、所得のある意味では分布状況あるいは租特の適用状況からしても、個人用所得もちょっとこれは逸脱しているなというようなことがあれば、それこそ財務大臣の権限でその税目をきちんと調査をするということは可能になるようにしていきたいなと思っています。
  181. 水戸将史

    水戸将史君 これからも、これがいよいよスタートするという予定でございますものですから、我々自身は今までも本当にこの思いを、私自身もひとしおありますものですから、是非これを施行して、そしていろいろな形で、もちろん試行錯誤もあるかもしれませんけれども、やはり適用実態を含めて、やはり現実に照らして今の税制の在り方を問いただしていきたいと思っていますし、それを強く要請して、私の質問を今回終わらさせていただきます。  ありがとうございました。
  182. 大石正光

    委員長大石正光君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十七分散会