○澤雄二君 私は、公明党の澤雄二でございます。
私も三年間この当
調査会に籍を置かせていただきました。非常に
勉強をさせていただきまして、いろんな角度、新しい視点の考え方を身に付けさせていただいて、感謝を大変しております。
この
調査会の
テーマであります幸福とは何かと、その概念を規定化するのは、今までいろんな
先生方言われていましたけど、大変難しいことであるというふうに思っています。
調査会は無謀な挑戦をしたかもしれませんが、でも大変意欲的であったと思います。しかし、この幸福というのはやっぱり
経済的指標では測れないんではないかというふうに考えています。
多くの
参考人の方から三年間
意見を聞いてまいりましたが、その方
たちの
意見でやっぱり見えてきたことは、人とのつながりというのが
幸福度を感じる大きな要素であるということが見えてきました。ブータンはなぜ
幸福度が高かったのか。それは関西大学の草郷教授が、人と人とのつながり、人と自然とのつながりを尊重する
価値観が
国民にあるからだというふうに言われました。横浜市立大学の白石教授は、
安心とか思いやり、そういう人との関係が最も重要であるというふうに述べられています。
この人とのつながりというのは、
仕事、ビジネスのように、利害関係のあるところの人間関係ではなくて、地位や権力とは無縁の世界での人と人とのつながり、その中で、自分は他者の役に立っているんだ、他者に評価されているんだと、そう感じることができれば
幸福度は高くなる。家族のある人とない人で
幸福度の差がありました。六十歳以上で
幸福度が高くなるという
調査がありました。
仕事の利害から解き放たれた人間関係に
生きがいを感じるからではないかというふうに思います。ボランティアとかNPO、NGOに従事している人の
幸福度が高かったのも同じ理由だというふうに考えております。
人間は他者との活発な相互作用とか
社会との豊かな結び付きの中でこそ創造性を発揮していくんではないかと、そのことが
幸福度を高めるんではないかというふうに考えています。
しかし、こういう
幸福度を得るためには、人間として誇りを持って
生活できる、その
生活が保障されなければ幸福を感じることはできない。これを保障することがまさに
政治の
責任であるというふうに考えています。収入が少なくて結婚もできない、子育てもできない、
病院にも行けない、
老後も不安だ、これでは
幸福度なんか感じている余裕はないからであります。その
意味で、所得水準を維持することは極めて重要な
課題であります。
今回の
テーマである高
負担・高
福祉の国は
国民幸福度が高いということでありますけれ
ども、私は、前にも申しましたが、
我が国においてはこの
テーマは極めて難しいというふうに考えています。その理由の
一つは、一億二千万人の人口を抱える
我が国で所得の捕捉を公平に行うことはほとんど不可能だと思うからです。
時間がありませんので一言だけ付言しますと、今政府、
民主党の政権でありますが、所得捕捉のために納税者番号、
国民総背番号
制度を導入を考えていますけれ
ども、先日、国家戦略室にヒアリングをしました。これで捕捉率が一体どれぐらい上がるんだと聞いたら、そんなこととても検証できませんというふうに言っておりました。所得の捕捉がどれだけ向上するか分からない、つまり義務は物すごく強化をされる、しかし権利は行使できない。その一方で、この総背番号制の導入は完全な管理
社会を実現していく可能性があります。皆さん御存じのとおりであります。ジョージ・オーウェルの「一九八四年」、「アニマル・ファーム」、この世界の現出はとても御免だというふうに考えております。納税者番号の導入は極めて慎重に行われるべきだろうというふうに考えています。
高
福祉・高
負担が難しい理由の
二つ目は、
我が国は鉱物資源やエネルギー資源を持っていませんから、高い成長率を維持しないと家計がこの高
負担に耐えることはできないと考えるからであります。もう
一つ、食料自給率が四一%と低い、このこともやがて地球温暖化と併せて高
福祉・高
負担を難しくする理由になるというふうに考えています。
しかし、今、様々な
意見がありましたが、
少子高齢化で増大する
社会保障費の財源を確保する、これは
政治の急務の
課題であります。今その財源として消費税が
議論されています。一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。今の
国民の家計を考えると、今消費税なんか
議論する、そんな
状況ではとてもないというふうに考えております。
資料をお配りさせていただいております。これは、平成元年に消費税三%が導入されて以来、所得税と法人税の収入、税収の合計が幾らだったか、そして消費税を導入したことによって消費税の税収が幾らだったか、その推移であります。法人税、所得税の合計が赤で示してあります。これを見れば分かりますように、平成三年、元年に導入して二年間だけはわずかに増収になっていますが、それ以後、ずっと法人税、所得税の税収はマイナスであります。このマイナスと消費税の収入を比較すれば一目瞭然でありますが、消費税の増収分なんかはこの所得税、法人税の減収分ですっ飛んでいます。我慢できなくなって五%に上げましたが、このときは、一番高いのは平成十五年を見ていただきますと、減収分が十六兆、これに対して消費税の増収は九兆七千億でありますから、消費税を導入することによって税収は増えることは一度もなかったということであります。
どうしてこういうことが起きたのか。財務省はいろんな説明をします。私もいろんな説明をこの二、三年、聞いてきました。今日は時間がないので
一つ一つ反証はしませんが、一言で言うと、いろんな言い訳をしていますが、二十年間こういう事態を改善できなかったということは財務省が言っている理由は何の説明にもなっていないということであります。
今回のリーマン・ショックで
日本は、アメリカ、ヨーロッパに比べて被害が少ないはずでした。それは
日本が持っている不良債権の額が欧米に比べてはるかに少ないからであります。でも、ふたを開けたら、GDPは、アメリカ、ヨーロッパはマイナス六ポイントだったけれ
ども、
日本はマイナス一二ポイントまで下がりました。これはなぜか。これも詳しい理由を説明している時間ありませんが、それは景気を支える内需拡大、消費する力を
日本の
国民はアメリカ、ヨーロッパほ
ども持っていなかったということであります。
この十年間、イザナギ景気を超える景気拡大期が続きました。ですから、法人税が急激に増えたときもあります。しかし、この十年間で給与所得はマイナス二十二兆円まで落ち込んでいきます。このお配りした資料でも分かりますが、所得税は物すごい落ち込みをしています。それが
一つの証拠でございます。
国民は消費を支える力なんか今やなくなっています。格差の拡大と言われていましたが、今は貧困の拡大の
時代だというふうにも考えています。こんなときに逆進性の高い消費税の
議論なんかできるわけがないというふうに私は思っております。
では、財源はどうするのか。消費税に代わる財源はどうするのか。今、
民主党がおやりになっている事業仕分は有力な手段だと私は考えています。ですから、公明党は五年前の総選挙でマニフェストで提案をしました。これから始まる独法、公益法人の仕分には実は期待しているところがあります。
一つ、そのときに気を付けないといけないのは、事業仕分のこれは原点でありますが、
政策や事業ごとに切って捨てることは危険なところもあります。それは、前の仕分で先端技術の開発、スポーツですとか文化芸術振興の芽を摘んだというのは分かりやすい例であります。
政策ごとに切って捨てるだけではなくて、その
政策を実現していく過程、プロセスの無駄を見付けること、これが事業仕分の大事な使命だというふうに考えています。
かつて我が党が、小学校、中学校の天井の高さ、これは建築基準法で定められていますが、三メートル以上でありました。この制限をなくしました。四年間で二メートル七十まで下がりました。そうすると、三年間でそれだけで四百億円、財源が浮いたのであります。防衛省が、かつてまだ防衛庁の
時代ですが、ファクスやコピー、これのリースを、一年リースを複数年リースに変えました。五年であります。民間
企業で一年リースなんかしているところはありません。単年度
予算だから一年リースしかできなかった。これ、財務省は猛反対しました。国庫債務
負担行為になるからです。でも、そのときの防衛庁はやり抜きました。後で
報告に来た。どれぐらい減った、五十三億円、一年間で減りました。その翌年、更に減っていますから、防衛省一省だけで複数年リースに変えるだけで七十億円、無駄な
予算を削減をしています。こういうことが
政策実行段階での無駄を省くということであります。これについて、
民主党はこれからの事業仕分で
是非目を向けていただきたいと思います。こういう
政策過程の無駄は山ほどあります。
最後に、
一つ、
幸福度を上げるための提案をさせていただきたいと思います。
昔、エンゲル係数というのが問題になりました。私が小学校のころであります。しかし、今エンゲル係数なんか問題になりません。今大きな問題になっているのは、エンゲル係数ではなくて、すべての所得の中に占める住宅費の割合であります。これが急激に上がってきています。特に問題なのは、年金
生活をしている
高齢者と、先ほど話があった年長フリーターという若者で正規雇用に入れない
人たちが極めて深刻であります。これを仮に住宅費指数というふうに呼べば、この住宅費指数を引き下げること、引き下げることができれば、その以外の支出、消費であるとかそれから
社会保障の
負担だとかに
お金を回すことができます。この住宅費指数を下げるということを国の
政策として考えるべきではないかと。
今、国、国交省は、もう
我が国の住宅
政策は終わった、安い住宅を供給するという
制度は終わったと言っていますが、そうではなくて、もう一度国がかかわってこの住宅費指数を下げるという
政策を考えるべきだと。そのために資産は国が持っている、それはUR、都市再生機構の資産であります。ですから、これからこのURも事業仕分にかかると聞いていますが、安易に民営化だけをすればいいという判断はしないでいただきたいというふうに
民主党にお願いをしておきたいというふうに思っています。
単なるばらまきではなくて、
国民の
生活水準を全体に引き上げる思い切った
政策がこれから
政治家として考えていくべきだ、その余裕の中で
国民は初めて
幸福度を感じることができるんだというふうに考えております。
以上であります。ありがとうございました。