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2010-04-14 第174回国会 参議院 国民生活・経済に関する調査会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年四月十四日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月二日     辞任         補欠選任      若林 正俊君     佐藤 昭郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         矢野 哲朗君     理 事                 大河原雅子君                 佐藤 公治君                 轟木 利治君                 古川 俊治君                 吉田 博美君                 澤  雄二君     委 員                 一川 保夫君                 川合 孝典君                 川崎  稔君                 谷  博之君                 津田弥太郎君                 中谷 智司君                 広田  一君                 広野ただし君                 山根 隆治君                 吉川 沙織君                 米長 晴信君                 石井 準一君                 泉  信也君                 塚田 一郎君                 松 あきら君                 山下 芳生君    事務局側        第二特別調査室        長        五十嵐吉郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国民生活経済に関する調査  (「幸福度の高い社会構築」について)     ─────────────
  2. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ただいまから国民生活経済に関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告申し上げます。  去る二日、若林正俊君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) 国民生活経済に関する調査を議題とし、「幸福度の高い社会構築」について委員間の意見交換を行います。  本調査会は、これまで三年間にわたり、「幸福度の高い社会構築」をテーマ調査を進めてまいりました。  本日は、これまでの調査を踏まえ、最終報告書を取りまとめるに当たり、委員各位の御意見をお述べいただきたいと思います。  議事の進め方でありますけれども、まず各委員からお一人五分以内で御意見表明を行っていただきたいと思います。また、その後、時間がございましたら、必要に応じて午後三時三十分ごろまでを目途に、委員相互により自由に意見交換を行っていただきたいと存じます。その辺は様子を見ながら筆頭間でもって進め方を協議をいただきたいとも思います。おおむね三時半ということで御予定いただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構であります。  それでは、これより適宜指名いたしますので、御意見をお述べいただきたいと思います。  まず、谷博之君、お願い申し上げます。
  4. 谷博之

    谷博之君 冒頭、御紹介をいただきました谷博之でございますが、お許しをいただきまして若干意見を述べたいと思っております。  実は、私は今まで、先生方も皆そうだと思いますが、様々な福祉社会保障の問題についてのかかわりの深い方々でございまして、そういう中であえてこういう発言をするのは恐縮なんですが、私の所属しております党の中で障害者政策などを中心活動をさせてきていただいた、そういう立場の人間でございまして、そういう視点から若干「幸福度の高い社会構築」というテーマに沿って意見を申し上げたいと思っております。  御案内のとおり、国連で障害者権利条約というのが採択をされて、その後、世界では七十数か国がこの条約批准をしておりますけれども日本はまだその批准まで至っておりません。少なくともその批准に当たっての一定の条件づくりというのがやっぱり必要なわけですけれども、なかなかそういう意味での条件が十分とは言えないという、こういう現状であることはもう御案内のとおりだと思うんです。  よくその中に言われておりますように、障害を持つ方もあるいはそうではない方も、いわゆる共に生きるという、インクルーシブなそういう社会構築ということになると思うんですが、それを果たしていくためには、少なくとも、どういう立場方々がどういう生活をしても、それらの生活をする上に当たって合理的な配慮というものがやっぱり十分担保されなければいけないというふうに言われています。  例えば、車いすで生活をする方が日常生活を送る上で大変支障を来すというふうなことが起きた場合に、それらに対して当事者からのそういう意見が出たときに、正当な理由があってそれができないということが言えない限りは、やはりそれは社会なり行政なりの責任であるというふうなことになってくると思います。  そういうことで、例えば聾唖者の方や盲人の方々が自分のコミュニケーション社会の中で伝達しようとしても、それが不十分な状態にあるということになれば、それはその障害を持つ方々のために例えば手話とか点字というものがあるのではなくて、それは健常者と言われている方がそういうふうな障害を持つ方とのコミュニケーションを図る上で必要なやっぱり伝達手段であるということ、こういうことを考えれば、例えば手話は言語であるというふうに言われていますけれども、そういうふうな手話一つ取っても、やっぱりそこに共に生きるという立場からのそういう制度なり仕組みというものがきちっと保障されなければいけないと、こういうふうに考えています。  したがって、幸福度といいますか、この社会における幸福度ということの一つの大きなバロメーターとして、今申し上げたようなところに対しての制度仕組み、そして様々なやっぱり意識の変革というのが行われていかなければ、本当意味の幸せな社会とは言えないんじゃないかというふうに考えているところです。  したがって、今政府の中でも、こうしたことを、やっぱり障害を持つ方当事者が、自らがそういう社会をつくるために新たな障害者政策をつくっていこうということで、今までのような、国や自治体が何かを決めて当事者方々にそのことをお示しをして、その仕組みで従っていくということではなくて、そういう当事者方々中心にしてそういう制度仕組みをつくろうという動きが今年からスタートしたということでありまして、そういう点ではその動きというものも、具体的には制度改革推進本部というところで、今、月二回のペースでそういう議論当事者の皆さんを中心にして行われ始めています。  そういう方々の考え方というものがしっかりと国なり行政なりに反映されてくることによって、本当意味での障害者が主人公であるという、そういう大きな社会というものが構築されてくるのではないか。それがその国の幸せ度をやっぱりある程度見ていく上での大きな私は指針になるというふうに考えているところです。  以上申し上げて、終わります。
  5. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございます。  それでは、順次発言をお願いしたいと存じます。  山下芳生君、お願いします。
  6. 山下芳生

    山下芳生君 日本共産党山下芳生です。  私は、だれもがお金心配なしに安心して医療を受けることができる社会こそ幸福度の高い社会だと思います。残念ながら、現在はこれに逆行している状況にあると言わなければなりません。例えば、高過ぎる保険料が払えずに保険証を取り上げられ、病院に行くことができない方が後を絶ちません。さらに、保険証を持っている人であっても、一割とか三割の窓口負担が必要なことが深刻な受診抑制受診中断を招いていることも重大だと思っております。  例えば、全日本民医連という団体が、国民健康保険など死亡事例調査報告というものをまとめておりますけれども、これを見ますと、保険証があるのに、窓口負担が高いために病院に行けずに亡くなった例が年間十例紹介をされておりました。  例えば、五十代の男性は、膵臓がんと診断されながら経済的困窮のため、抗がん剤治療、一回一万円の治療を中断し、その後強い腹痛にて来院、入院するも、二か月弱で死亡された。入院当初から、この方は検査や治療を受けられなかったことを悔やんでおられたそうです。  それから、六十代の男性も、生活保護水準ぎりぎりの生活の中で、胃がんの治療を一年間中断されてしまったと、その結果、入院はされましたけれども、八か月で死亡されたと。入院時の所持金は四千円しかなかったという例などなどであります。  この点、当調査会参考人質疑で、長野原村清水村長意見を述べられたことは、この国の進むべき道を示唆していただいているとして大変教訓的だったと思います。  清水村長は、村づくりのコンセプトは、まず幸せな生活、これはやっぱり健康が第一だとおっしゃった上で、二番目の柱として、健康を維持するために費用の心配をせずに健診や医療を受けることができるようにすることだと、こう報告していただきました。  具体的には、六十五歳以上の高齢者、十五歳までの子供たち、そして重度心身障害者母子家庭などはいずれも自己負担額償還給付方式無料化しているという報告でありました。始めてから二十年くらいは医療費は低くなりませんでしたが、早期発見早期治療で、最近では長野県八十市町村ある中で、原村平均医療費は七十五位以下をキープしていると。医療費が増加するならばやる価値はないが、長期的には医療費は下がるのだから、是非国制度としてやった方がいいという御提言だったと思います。大変参考になる御意見だったと思います。  私も、先日の予算委員会で高過ぎる医療費窓口負担を引き下げることを求めて鳩山首相に質問をさせていただきましたが、総理からも、お金がないから医療が受けられないというような状況日本で起きているということは大変これは悲惨なことで、そのようなことがないような社会にしていかなければならない、基本的にはそのように思うと、窓口負担が高いゆえに十分な医療が受けられないで亡くなられるということが極力なくなるような社会を目指していくために、私どもとしても新たに検討してまいりたいと、医療費窓口負担の軽減を総理が検討をされたということも大事だったと思っております。  一兆三千億円あれば高齢者子供医療費無料にすることができるという試算もあります。経済大国である日本には、そうした医療費負担社会全体で支えることができる能力は既に備わっていると思います。  私もいろいろ町を歩きますけれども高速道路無料にするんやったら医療費無料にしてくれという声は大変強いというふうに実感をしております。お金心配なしで医療介護が受けられてこそ、幸福ある社会だと言えるのではないかということを述べて、意見表明とさせていただきます。  ありがとうございました。
  7. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございました。  中谷智司君、続いてお願い申し上げます。
  8. 中谷智司

    中谷智司君 民主党中谷智司です。  本調査会に私も出席させていただいて大変勉強になりました。ありがとうございました。  この調査会における参考人皆様からの御意見議論を通して、幸福度を感じるかどうかは私たちの心の持ち方による部分が大きい一方、地域取組社会保障制度などの充実により、私たち幸福度を高める支援ができるということも分かりました。  また、企業自治体や大学など、様々なところで私たち国民安心して暮らせる、幸せを感じる地域社会づくりに取り組んでおられることも分かりました。そういった活動をされている皆様方に、改めてここで敬意を表します。  私たち政治家は、政策をつくったり法律を作ったりすることによって私たち国民が幸せを感じるためのサポートをすることができます。私たち国民幸福度を高めるためにどんな政策が必要だろうかと感じながら、本調査会出席をさせていただきました。  私は、本調査会でもお話をさせていただいたことがありますけれども、徳島県に上勝町という町がありまして、ここでは七十歳を超えるような、あるいは八十歳を超えるようなおじいちゃんやおばあちゃんが生きがいを持って幸福度を感じながら生活をされている、そういうふうなことをお話をさせていただきました。  ここで何が大切かというと、やはりそれぞれの方々出番があって生きがいを感じられるかどうか、これはお年寄りだけではなく若い人たちにとっても言えることなんだと思います。私は、やはり若い人あるいはお年寄り方々それぞれにターゲットをきちんと絞って、その方が出番を感じられ、そしてそこで生きる喜び、生きがいを感じられるような政策をこれから打ち込んでいくことが必要ではないかと思います。  そして、もう一つ申し上げたいのは、今回参考人方々からお話をお伺いをしたり、あるいはここで委員方々から御意見が出て、そこで様々なアイデアが出てまいりましたが、最終的に私たち政策法律を作り上げていくときには現場の皆様方意見日本全国で住まわれている方々のお知恵をきちんといただいて政策に練り上げていくことが必要なんだと思いました。  本調査会出席をさせていただいて大変勉強になりました。ありがとうございました。
  9. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございます。  松あきら君、お願いします。
  10. 松あきら

    松あきら君 公明党の松あきらでございます。  当調査会に三年間も在籍していたのは私一人だそうでございまして、責任を感じる次第でございますけれども。  幸福度の高い社会というのは、一言で言えば大変もちろん漠とした、しかし重要なテーマであります。大変ユニークで、また大変に勉強になったこの三年間、調査会でありました。  私なりにこの議論を振り返ってみますと、幸福度の高い社会というのは必ずしも国の経済力が直接影響するのではない、国民皆様にとって一人一人がいかに暮らしやすい社会になっているかというのが重要な、大事な点であるということが明らかになったというふうに思います。  かつての戦争混乱期から半世紀以上が経過をしまして、我が国経済復興のみならず経済先進国としてのポジションを得ました。しかし、ここに来て御存じのように経済が低迷しまして、まさに少子高齢化団塊世代のリタイア、社会構造の大きな変化に、今社会全体が少し右往左往している状況であると思います。これを日本経済の沈没だと言う人もいますし、いや、そうじゃないんだと、ある程度進んで成熟したんだと、こうおっしゃる方もいます。  今日の社会議論では、経済格差仕事の不安、老後の不安など、これが強く訴えられているところでございます。これからの政治がするべき仕事を考える上で、その幸福度という観点で社会をとらえ直すということは非常に重要な作業だと思います。  しかし、先ほども申し上げましたように幸福というのは主観的なものでありまして、だれかがだれかの幸福の何たるかを決めるという、これは、そういうことはあり得ないわけであります。客観的に測れないものが幸福であります。また、時代地域、個人によっても変化をいたしますけれども政治は、少なくとも現時点での大多数の幸福というものを構築するためには、相対的ではあっても、幸福のための社会環境を整備するということが必要だということは、もう言うまでもないというふうに思います。  そこで、これまでの議論に出てきたもので今の日本課題をどのように克服するかを確認しますと、便宜的に三つに分けられるのかなというふうに思います。一つ幼児児童世代二つ目社会を担う若年層から中年層時代、そして現役をリタイアして老後に暮らす、この三つの層、三つに分けられるかなというふうに思います。  幼児児童世代については余りここでは焦点を当てて論じてはこなかったと思いますけれども、次世代をどう育成するか、これは社会にとって大きなテーマであります。現政権は巨額の予算を必要とする子ども手当の実施をされようといたしておりますけれども、肝心の幼児教育の質あるいは施設整備などの課題、これに十分な道筋が付いていない。これは私どももちろん全体の責任でございますけれども、それは感じております。  また、角度は違いますけれども、この幼年期接種が望まれるワクチン行政ども非常に遅れているんですね。やっとHibや肺炎球菌は承認されましたけれども、これは任意接種でございますから、これも先進国では一番遅れている。国の取組というのは、更に幼児児童に対してはかなり遅れていると思います。また、携帯電話あるいはインターネットのメディアリテラシーというものも、これもなかなか進んでいない。社会がどのようにこの世代を育てていくか、これを明確にすることが、彼らが成長したときの幸福度に影響するというふうに思う次第でございます。  それから二つ目の、社会を担う若年層から中年層課題としては、やはりワークライフバランスなどの課題は多く議論がされました。この層が直面する現実的な課題、これは解決することが非常に幸福度というものに対して影響するわけでございますけれども、特に女性にとりましては、仕事あるいは結婚、出産、子育て、親の介護まで、この年代というのは様々な問題が集中する年代でもあるわけでございます。私自身国会で妊婦健診あるいは出産育児一時金、育児休業給付一括給付、あるいは最近では女性特有がん検診無料クーポンなど、整備拡充に取り組んでまいりましたけれども、最終的には財政当局との折衝が大きな壁だったんですね。やっぱりこれを動かさなきゃいけないということがありました。  しかし、十分とはもちろんもちろん言えませんけれども女性の諸問題に関する理解は、少しずつですけれども、進んできたように思います。やはり女性の直面する問題解決に取り組むことは、幸福度の高い社会構築する上で大きな比重を占めるというふうに思っております。やはり女性が働きやすい社会は思いやり、安心のある社会、具体的にはワークライフバランスが機能している社会ではないかというふうに思いますし、参考人からもそうした企業自治体実例を聞くことができて、非常にこれは参考になりました。しかし、ちなみに、最近これは厚労省が発表した、女性完全失業者が二〇〇九年で急増したということで、百三十三万人になったということで、これは非常に大きな問題だなというふうに思っております。  三つ目の、現役をリタイアして老後を暮らす世代、これは社会保障制度が大きな関心事になるわけでございます。アメリカ、フランス、スウェーデンなどの現状参考人から聴取させていただきましたし、いろいろお話を伺いました。医療介護の質的問題についても先進的な取組をしている企業施設お話も伺いました。  今、この世代政治的な発言力も非常に大きくて、負担についても敏感なように思います。もちろん、これは今のこの社会構築してきたという、そういった世代なので、これは当然のことだとは思いますけれども、この世代が十分に納得していただくというのはかなり難しいですけれど、やはり年金、医療介護などについて、これは政党政治的に競争的に政策を提示するのではなくて、むしろ政党の枠を超えて、私は協調して、協力をしてコンセンサスを導くために更に真摯な議論をしていかなければならないというふうに思います。その上で、国がグランドデザインをきちんと示す、我が国の中長期の方針を内外に明らかにすることで多くの国民皆様安心感を持っていただけるのではないかと思います。  スウェーデンお話も度々伺いまして、高負担・高福祉社会でございますけれども国民の多くはそれを納得しているということでございます。著名なテニスプレーヤーのビョルン・ボルグさんですか、この方も高額の税金で海外へ出られましたけど、また今は帰国をされたというふうに伺いました。スウェーデンは国の在り方というものを明確にしておりますので、こうした話も聞こえてくるのではないかというふうに思います。  これまでの議論で、日本の置かれた現状やあるいは諸外国の実例事例問題解決事例など数多く伺いまして、幸福度の高い社会構築に対して政治が何をすべきかというヒントは数多くいただいたように思います。それらの構築のために向かって私どもが更に努力を重ねていく決意を持たなければいけないと思っております。  今後は、このヒアリング、議論の内容を国民皆様にも広く知っていただいて、多くの御意見国会にいただければ幸せに思います。  以上でございます。
  11. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございました。  続きまして、川合孝典君、お願いします。
  12. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。民主党川合孝典でございます。  ふだんなかなか考える機会のない幸福度というテーマについて様々な意見聞く機会本当与えていただきまして、私自身にとりましても非常にためになったというふうに思っておりますし、調査会長始め理事の皆様には本当に心からお礼を申し上げたいと思う次第でございます。  その上で、私自身が今感じていることについて少しお話をさせていただきます。  幸福度というのが何なのかということを様々な参考人皆様から話をお伺いいたしまして、どれもごもっともというふうに思うんですけれども、結局のところ、幸福、幸せというもののとらえ方というのは個々人によって千差万別であるという、やっぱり原則、基本的なところに立ち返ってまいりました。その上で、じゃ個々人にとっての幸せのとらえ方というのも、やはりその価値観が、経済的なものに価値観を求めるのか、若しくは趣味に価値観を求めるのか、家族の幸せに価値観を求めるのかと、これも様々なわけでございますから、そういう意味で、具体的な尺度というものをあえて設定するということはやはり難しいんだなということが正直私の感想でございます。  その上で、私が思いますのは、幸福度を高めるということは、言い換えれば、不幸な方をいかに減らすのかという目線からアプローチする必要があるのではないかと。それは、将来に見通しが立たない、希望が持てないということが不幸だと感じることの根底にあるのだとすれば、その要因をいかに取り除いていくのかというところに目線を当てた我々としては政策を打ち出していかなければいけないんだろうなというふうに考えております。  具体的には、やはり一番問題なのは、今、日本には最低保障、いわゆる賃金社会保障もそうですが、特に最低賃金一つ取りましても、その概念が明確になっておりません。基本的には経済原則が優先して、その上で支払能力に応じて最低賃金というものが何となく導き出されているような気がいたしますし、その結果として、端的に言えば、最低賃金では生活ができない方が大勢おられる、そういう状況がまかり通ってしまっているということでありますので、最低限人が人として暮らしていけるだけの所得、そして医療社会保障のサービスというものをいかに整えるのかという目線からアプローチする必要があるのであろうというふうに思っております。  ともすれば、経済優先企業業績優先という話になりがちですが、そもそも経済というのが人の幸せのための装置であるという目線に立ち返ったときに、我々としてはアプローチの方法を、人が生活していく上で必要なものが何なのか、そのことに立脚した上で経済がどうあるべきなのかという、そういう目線が今求められているんだろうというふうに思っております。  課題はたくさんございますけれども、私自身、そういう思いを持ってこれから取組を進めてまいりたいと思っておりますので、委員各位には是非とも御指導のほどよろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  13. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございました。  続きまして、泉信也君、お願い申し上げます。
  14. 泉信也

    ○泉信也君 自民党の泉信也でございます。  私は一年間の勉強でございましたので、レベルが相当違っておることをお許しいただきたいと思います。  玄田東大の先生がお話しになりました希望学ということについて、私は大変興味を持ったところでございます。  最初に提起された、IT社会で会社をお辞めになったお二人、先が見えたから辞めたという方と先が見えないから辞めた、取られた行為は相反しておるということでございましたけれども、どうしてこういうことが起きたのかということを最初に問題提起をなさったわけであります。働く希望そのものを失った、そこに共通した事態があったのではないか、こういう先生は問題提起をされながら論を進められたわけですが、私自身は、このことは恐らく、その一人一人の人生のねらい、思いが言うならば究極的に違ったから、同じ離職をする事態を招きながらねらった筋道が異なってきたのではないかというふうに思っておるわけであります。  それで、我々が小さいとき、子供の皆さん方に将来何になるかというふうなことを聞けば、学校の先生になりたいとか、あるいはお母さんになりたいとか、昔の言葉で言いますと看護婦さんになりたいというようなことをおっしゃって、その年齢にふさわしい夢を描きながら大きくなって、それがそのまま大人になるまで続く方が多かったとは思いませんけれども、その時々の夢を描くことができた。しかし、今子供たちに聞いてもそうした意識が非常に薄いという事柄でございまして、この社会がやっぱり夢を与え切れていない社会になっておるということになっておるのではないかと思っております。  したがって、玄田先生、随分ほかの分野でも分析をしていただいた資料がございますけれども、私は、玄田先生の言を借りれば、やっぱり家庭が子供たちに夢を与える、親が子供たちの行く末に対して示唆を与えるというふうなことが少なくなっているんじゃないか。また、もう一つは、社会がそういう子供たちをはぐくむという事柄が実現できていない、崩壊しておる。そういう事柄が夢を追っていく、あるいはその実現する過程ごとに幸福になっていくという事柄を断ち切っておるんではないかというふうに思うわけです。  ですから、その夢を追う過程では、恐らく何度も挫折をするだろうと。しかし、それを一つ一つ乗り越えていく、励ましてやるということを家族が、あるいは社会がやっていけば、恐らく子供たちは励まされながら、自分の夢を具体的に実現していくんではないかという思いを強く持ちました。  ですから、あの玄田先生の言葉だけ申し上げれば、希望の多くは失望に変わるんだと、だが、希望の修正を重ねることでやりがいに出会う。また、挫折は乗り越えられないこともある。ただ、乗り越えた先にこそ希望が待っていると、無駄な努力もいとわない姿勢が実現見通しのある希望につながると、こういうことを先生は言っていただいておるわけでありまして、我々の社会が、大人社会がもっと子供に温かく、そして厳しく生き方を教えていく、それがこの調査会で求めておる幸福度の高い社会を実現する、非常に歩みの遅い施策かもしれませんが、大切なことではないかと私は思いました。  以上でございます。
  15. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございます。  それでは、山根隆治君、お願いします。
  16. 山根隆治

    ○山根隆治君 参考人先生方お話をお伺いをさせていただき、いろいろな調査のレポートもございました。それらのお話を聞かせていただいて感じたところがございますけれども、それは、経済というのが必ずしも幸福に直結していないと、こういうお話であったかと思います。しかし、それは先進国や途上国等によって、社会環境の違いによっても大きく異なるものでございますけれども、大体そういった結論でもあったかと思います。  しかし、必要最小限の経済生活の保障プラスアルファの暮らし、これが私は幸福づくりにはやっぱり絶対条件であろうというふうに思っているところでございます。  そしてもう一つ、絶対条件だと私自身が思うところは、健康の問題でございます。肉体的な健康、そして精神的な健康ということもございますけれども、やっぱり健康あってのことだというふうにも思うところでございます。  今まで、明治維新以来、日本医療は、ここにもお医者さんいらっしゃいますけれども、西洋医学中心でずっとやってきました。それが限界に至っているというのは世界各国の医療従事者の共通したやっぱり認識になりつつあると思うんですけれども、今、統合医療というのが世界各国で注目をされているところでございまして、鳩山総理自身も統合医療に力を入れるんだということを施政方針演説の中でも明言をされたわけでございます。世界各国にある伝統医療というもの、そして西洋医学というものを融合させて健康づくりというものをしていく。つまり、治療医学からやっぱり予防医学へという今時点に立ち至っているんだろうと思いますけれども、そうした統合医療というものに力を入れることによって私は健康づくりというものは大きく前進するのだというふうに思っているところでございます。  そして、もう一つの絶対条件、この年、私は今六十二歳でありますけれども、なってきて思うところは、やはり心の満足が必要。その心の満足は何かというと、他者への奉仕をする、そういう行為によって自分自身の心の満足というのは一つにはあるというふうに思っているところでございます。  例えば、具体的なこれは提案の一つでございますけれども、これからの福祉社会を支えていくのには、国や経済だけでこの私たち日本福祉というものを支えることはもう限界があるんだろうというふうに思っております。つまり、国民が、お互いがお互いを助け合うという、そうしたシステムというものを新しい形でつくっていく必要がある。  例えば、北海道の御出身の若者が東京に来る。そして、東京から親を面倒を見ることはなかなかできない。しかし、おじいちゃんやおばあちゃんの介護ということも自分自身ではなかなかできない。そこを、例えば土曜日だとか日曜日に地域でのいろいろな施設介護の奉仕をするということによって、それが例えば点数制のようなものにして、それを預託していく。そして、自分自身のその預託というものが地域で、北海道のお父さんやお母さんや、あるいはおばあちゃん、おじいちゃんに還元するというふうな社会的なシステムというものをその中でつくっていくということを私は提案、一つしたいというふうに思っているわけであります。  他者への奉仕というものを社会としてこれをどうサポートしていくのかというのは、やはり制度設計がとても大切なことなんだろうというふうに思っているところであります。  経済、そして健康、そしてさらに奉仕、この三つが私は幸いの絶対条件だというふうに思うところでございまして、私の私見を述べさせていただきました。  以上です。
  17. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございました。  この辺でバランスを取らせていただきます。津田弥太郎君、どうぞお願いいたします。
  18. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 済みません。遅れてきたのに早く御指名をいただきまして、心より会長に御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。  私は、この参議院に来る前、三十年近く労働組合運動を続けてきた人間でございます。労働組合というのは、ある面ではメンバーの幸せをつくっていこうというのが目的でございます。  その幸せとは何かというときに、労働組合で考える幸せというのは、やはり雇用、これはやはり大変大事なことであると。それからもう一つは、生活という部分。雇用が確保され、そして言ってみれば人並みな生活ができる、これがやはり幸せになっていくためのまず最前提の条件ではないだろうか。その上で、山根先生がおっしゃったような心の問題やいろんなことが出てくるのではないのかな、そんなふうに思って活動をしてまいりました。  しかし最近、雇用とか生活という問題と同じくらい、今いみじくも申し上げました心の悩みというのは大変増えてまいりました。ある面では、働くということ、あるいは生活するということについては全く問題がないんだけれども、様々な事情で心の悩みを持ってしまう。メンタルヘルスなんという言葉が非常に今幅広く広がっておりまして、もちろんメンタルヘルス的な問題というのは過去にもございました。しかし、件数が全然違います。今非常にその件数が増えております。  これは果たして何だろうなというふうに考えますと、恐らくその原因の一つが人間関係、これは上司と部下との関係ということもありますでしょうし、あるいは同僚同士ということもありますでしょうし、営業職であればお客さんとの関係とか、そういうことも様々にあるんではないのかなと、そんなふうに思うわけでございます。  人間はある面では、その文字、そのとおり人が支え合って生きているという形で人という字を書くわけでありまして、一人では生きていけないと、多くの人たちが助け合って生きていくのが人間社会、当然のことでございます。しかし、その支え合って生きていくということが少し下手くそになっているのが、今の我々のこの近代社会においてそんな状況が出てきているとすれば、これはやはり新たな問題なのではないのかなと。そんな意味で、先ほど山根先生がおっしゃったような心の問題というところの切り口の一つとして指摘ができることになるのかなと、そんなふうに思うところでございます。  もちろん、社会保障が充実していくということはだれもが歓迎することでございますが、どんなに経済的に安心できるような状況が整っていっても、今申し上げましたような心の問題、人間関係にかかわる問題というのは全く別のことであって、そのことに対して今私たちは何が欠けているのか、そのことをしっかり分析をして対応していかなければいけない時代になってきているんではないのかなということを私は最近強く感じております。  もちろん、社会仕組みの中にも多くの原因があることも間違いないと思うんですが、何か根源的なところ、豊かになった我々の社会の中における何か失ったものがあるのではないのかな、そんなところにもしっかり目を向けていかなければいけないのではないのかな、そんなふうに思っているところでございます。  「幸福度の高い社会構築」というのが本調査会テーマでございます。そういう面で、我々は物質的な豊かさに対しては貪欲に取り組んできたんだけれども、もう一方で忘れてはいけない問題、つまり人と人とのかかわりというところ、思いやりというようなこと、そういうものが逆に失われてきたのではないかということを我々はしっかり認識をしながらこれからの社会構築していかなければいけないんではないのかな、そんなふうに思っているところでございます。  以上です。
  19. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございます。  引き続き、広田一君、お願いします。
  20. 広田一

    ○広田一君 会長、御指名ありがとうございます。広田一でございます。  本調査会が他の調査会と比べまして大変ユニークなのは、一つには、先ほど来お話がございましたように、幸福度というものをテーマにしていることであり、もう一つは、仮説ということを設定したことでございます。  その仮説の三番目に、「高負担・高福祉国家の国民は総じて国民幸福度が高い」という仮説を設定をしました。そのモデルとなるのがスウェーデンでございます。ですから、今私たちスウェーデンから一体何を学んでいくのか。つまり、あの国から高福祉・高負担が可能な背景を考えていかなければいけないのではないかなというふうに思います。  その背景として私は二つあるというふうに思っておりまして、一つは、やはり平和であることではないでしょうか。平和に勝る福祉はございません。スウェーデンは、あのナポレオン戦争以後、約二百年間戦争をしておりません。第一次、第二次世界大戦に巻き込まれていないわけでございます。ですから、政治は究極的に市民を決して裏切ることはない、そういう手ごたえが政治行政に対する信頼感をもたらしているのではないかなというふうに思います。ですから、自分たちが納めた税金は将来必ず返ってくる、こういう背景があるからこそ高負担というものに耐えることができるんじゃないかなと思います。  高福祉・高負担というのは、言い換えれば財源論とセットで政策論議ができることを意味していると思います。ある意味そのことができる政党政治は私は幸福ではないかなと思っているところでございまして、現在、我が国政治を考えたときに、財源論とセットをした政策論議が欠けている面があるのではないか、このことはやっぱり自戒を込めて今後考えていかなければならないんじゃないかなというふうに思っております。  もう一つスウェーデンが高福祉・高負担ができる一つの背景としては、社会資本というものが非常に充実をしているということでございます。大都市部が整備されているのはどの国も当たり前ですけれども、地方に行っても、ああ、ここまで整備しているのかということに驚かされます。そして、図書館の整備についても、こんな田舎にこれほど立派な図書館があるということにも驚かされるわけでございまして、今どこかの党がコンクリートから人へというふうに言っているわけでございますけれども、私は、コンクリートから人へ、つまり公共投資から人、医療福祉や教育にお金を回していくというのは、これからの、今の我が国の財政を考えれば大変理解をするところでございますけれども、しかしながら、私は、決してコンクリートと人というのは対立するものではないというふうに考えております。  人の命を守るコンクリートもあるわけでございまして、例えば災害、また救急搬送に寄与するような道づくりであるとか、また障害者高齢者活動範囲を広げるためのバリアフリーの町づくりであるとか、そして子供たち安心して通学できる通学路を整備するであるとか、やっぱりこういうところは必要であり、このことはやはりスウェーデンが長年取り組んできた社会資本の整備というふうな観点からも私たちは学んでいかなければいけないなというふうに思っております。  国家とは国民の家のことでございまして、考えてみれば、世界第二位の経済大国が八百二十兆円の借金を重ねながら、しかしながら地方に行けば行くほど惨々たる状況になっております。これまでの政権の税金の使い方がやっぱりおかしかったわけでございまして、政治を変えるとは税金の使い方を変えることでなければなりません。その意味で、コンクリートから人へというのは私は時代の流れであると同時に、先ほど申し上げたようなところも留意をすべきではないかなと思っております。  今後、財源論とセットで政策論議ができる政党政治をつくっていくこと、また、説得、納得、合意ですね、矢野会長が国対委員長当時大事にされたというふうに言われておりますこういったことを築いていくことが、私は少子高齢社会における国民幸福度の基盤をつくっていくことになるのではないかなというふうに思います。  以上です。ありがとうございました。
  21. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございました。  石井準一君、お願いします。
  22. 石井準一

    ○石井準一君 自民党の石井準一です。  幸せの指標が注目を始めました今日、国や地方団体で相次いで幸福感や幸福度調査を始めていると言われております。ここ十年二十年、心理学や経済学を中心に幸福の実証研究が世界的にも進んだとも言われております。  こうした中、国民生活経済に関する調査会におきまして「幸福度の高い社会構築」という調査項目で様々な専門分野で参考人の話を聞かせていただきました。自分自身も大変有意義な時間を委員皆様方と過ごさせていただいたなという思いで、会長始め委員皆様方に感謝の気持ちでいっぱいであります。  その中で、さきの樋口参考人の話の中で、少子高齢化、人口減少時代の姿及び経済国民生活幸福度について、社会保障制度の在り方を含め人生百年社会へ向けたシステムの転換の必要性について述べられておりました。  その中で、本当の国力がどこにあるかを忘れなければ何も心配をすることがないんだと、少子高齢化日本の国力を高める要因でもあるというようなお話もされておりました。  そうした中で、一番肝心なことは、やはり変えるべきもの、受け入れるべきものをしっかりと見極める知恵がこれから必要になってくるというようなお話をされていったことを非常に印象深く覚えております。まず大切なことは、私たちが人生百年で何が変わるのかをしっかりと見詰める覚悟と勇気を持つことであると、そして、変化の中に対応する全く未経験な社会のシステムをつくり出す、そうした取り組む決意の重要性も訴えておりました。  先ほど来お話ありますように、人生百年社会の到来は人類の長年の努力の夢の形であると、また、これは一定の平和と豊かさがもたらした夢の実現の形でもあると言われておりました。  そうした中で、本当の豊かさを見出していくには、幸せが年収や結婚や健康など人生の様々な重要領域でポジティブな結果を導いているということは事実でありますが、それでは幸福であればあるほど幸福で良いのか、そうした矛盾も出てくるというようなことも言われておりました。つまり、現在の幸福度にかかわらず、だれしもより高度の幸福感を求めるべきなのか、そうした矛盾も提起をされておりました。  幸せは人間にとって永遠の課題であり、その必要性を学んでいかなければならない、そうした観点からのお話もしておりました。  自分自身、環境をどのように良くしていこうという努力、改善、そうしたことを常に考えていく中で、幸福度を見出していく努力そのものはやはり一人一人が置かれている状況によって異なっていると。ならば、それをしっかりと実感をしながら自分に合った幸福度というものをしっかりと定義をしながら歩みを進めていくことの大切さを学ばせていただいたなというふうに思っております。  以上です。
  23. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございました。  それでは、米長晴信君、お願いします。
  24. 米長晴信

    ○米長晴信君 民主党の米長晴信です。  発言機会を与えていただいてありがとうございます。  私は、自分の実体験も交えてお話をさせていただきたいんですけれども、そちらに私の大先輩、澤委員がいらっしゃいますけれども、私、前職、フジテレビの報道をずっとやっておりまして、その中で五年間、ドイツのベルリン支局長というのをやっておりまして、いわゆる高福祉・高負担の国の一つに五年間住んでいたわけであります。  本当に高負担・高福祉にふさわしい、結構高い所得税、社会保障費等がのしかかってきまして、給料に、その分、病院の窓口はすべてただ。大学まで無料。ドイツ人は大学まで、教育に親が金払うなんていう感覚はそもそもないという社会でありまして、さらにはキンダーゲルトというのがありまして、キンダーゲルトとは子供お金という、直訳するとそうなんですけれども、いわゆる子供に一人当たり現金を支給するという制度もありまして、私も二人子供がいまして支給を受けておったわけでありますけれども。そういった高福祉の国において肌で感じた部分は、ワークライフバランスがそういった高福祉によってかなりやっぱり違うというところであります。  私も支局長という立場で部下を抱えておりまして、現地スタッフ何人もいたんですけれども、すべて夏休みを取るわけです、もう平気で四週間だの六週間だのと。六週間程度の休みを二回ぐらいに分けてという感じなんですけれども本当、一か月以上休むというのが、一年間の仕事をした対価として当然権利もあるし、それを楽しみにして一年間働くと。その一年一年もワークライフに組み込まれていまして、そういった長期休暇が実現していると。これは一つの幸福であるというふうに思います。  余談ではありますけれども、せっかくですので紹介させていただきますと、ドイツ人の典型的な余暇の先はスペインのマヨルカ島というところなんですけれども、ドイツ人らしいシステマチックな感じで、本当に安いんですよ、一週間行ってかなり。本当、国内旅行、我々で一、二泊分ぐらいのお金で行けちゃうわけですけれども。私はベルリンから行って、ミュンヘンから行って、フランクフルトから行ってと、いろんなところ、全ドイツ国土からマヨルカ島にほぼ同じ時間帯に到着するように設定されていまして、そこからバスで、それぞれの便から乗り換えて、マヨルカ島の東西南北ぐらいに分かれたバスがそれぞれの地域に行って、ドイツ人をスムーズに行かすと。そこまでシステマチックになっているというのは、やっぱりそういう需要があり、そういった余暇をしっかり過ごせるように民間でもそういった工夫がなされているということですけれども。  ただ、本当もっと蛇足ですけど、僕一番びっくりしたのは、マヨルカ島はスペインなんですけど、現地紙のうちの一つがドイツ語なんですね。ドイツ語の新聞がスペインであるということが示すように、相当やはり余暇でそういうところを過ごすというのが国民生活の環境として定着しているということでありますけれども。  日本で、じゃ日本人がそれをすぐできるかと、やってそれを幸せと感じるかというと、やはり社会保障制度等余りに懸け離れているものですから、恐らく日本人が、普通のサラリーマンが二週間を超えてゆっくり休み取るというマインドがそもそももうなくなっちゃっているんじゃないかと。ましてや、六週間休みますなんて言ったら、戻ったとき席ないというような不安すら覚えるような、そんな恐らくサラリーマンがほとんどだと思います。  したがって、日本人の休暇の取り方は、やっぱり何とか夏休みであろうとも取れて一週間、二週間、その程度。その程度だから、遠出しても、割と主要な観光地をくるくる回って帰ってくるというタイプの余暇の過ごし方というのがもう本当に染み付いておりまして、マヨルカ島のようなところ、何もない海岸沿いみたいなところに本当にぼおっと一か月いるということが恐らくそもそもできないように、それを幸福と感じないというようなところまで我々の社会、そういう社会になってしまっていると思いますので、そもそもどういったもの、そのワークライフバランス違うからといって、じゃ、こっちを目指すべきというところまでは、私現段階では論じることはできないと思うんですけれども、一方で、日本の世の中自体、やっぱりかなり変わってしまいました。少子高齢化が進む、お年寄りの人口が飛躍的にどんどんその率を高めている、貧富も拡大してきていると。今までの高度成長のときの消費ありき、使い捨てありきという飽食の時代から、ちょっと一歩考えて、ここからの日本の将来を真剣に考えなきゃいけない時代に来ているんじゃないかなというふうに思います。  そういうことをしっかりと考える上で、本調査会本当にすばらしい参議院ならではの調査会だというふうに、私、今国会からの参加の新人でございますけれども、こんな調査会があったのかというのを今まで実は知らなかったんですけれども。ただ、こういった、政党とかそういうものを超えて、日本幸福度、どういう可能性があるのかということを追求したことは、これは私は決して無駄にするべきではなく、この調査会の結論を是非とも今後切磋琢磨して、それぞれの政党で今後の日本人の在り方を考える上で是非参考にしていきたいというふうに申し上げまして、終わらせていただきます。  ありがとうございます。
  25. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございました。  大体、二人発表いただいて、こちらで一人ぐらいがちょうどバランスが取れると思いますので、御用意をいただきたいと思います。  吉川沙織君、お願いします。
  26. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 民主党の吉川沙織です。発言機会をいただきまして、ありがとうございます。  今まで、私自身は一年間の在籍となりましたけれども、幸福とは何か、様々な参考人の方からお話を拝聴して考える機会をいただきました。  日本社会幸福度は、経済は今はちょっと停滞ぎみですけれども経済成長をしてきたにもかかわらず、私たち幸福度は全体的に低下をしているということ、そして希望を持つことが幸福感や生活への満足感につながるということ、そしてまた、失業している人は総じて希望を持てない、幸福度が低いというお話を伺ってまいりました。また、所得が増えたとしても、なかなかそれが必ずしも幸福度でつながるとは限らないということ。失業者の幸福度を上げるためには、金銭的な分配よりも同額の資金で仕事をつくった方がよいという考え方もあります。私自身は、希望を持てる社会、どの世代の人も明日に夢や希望を持てる社会幸福度の高い社会ではないのかなと、いろんな参考人の方のお話を伺いながら感じてまいりました。  私は、現時点においては、参議院において議席をいただいている一番若い議員として今仕事をさせていただいております。この調査会でも二度ほど申し上げましたけれども、一番若い参議院議員として今はいますけれども、元々は会社員として仕事をさせていただいておりました。今、そのときよりもひどい状況と言われていますが、大学を出ても、高校を出ても、それ以外の学校を出ても、社会に出ようとしてどんなに働きたいと思っても、思うように職に就けないまま、若しくはどんなに働きたいと思っても職に就くことができないまま社会に出ざるを得ない、そういう若い世代方々が増えています。  今、三十代の失業者はどんどん増え、前年度比三割も増えたという、そういう統計も出ています。去年の秋以降、こんな放送が何度かされています。一つが、「助けてと言えない いま三十代に何が」ということで三十九歳で孤独死をした人の話が紹介をされ、その反響が余りにも大きかったために、今年に入ってからその続編として、「助けてと言えない 共鳴する三十代」、こういう番組がNHKにおいて放映をされました。  私自身本当に運良く正社員として職を得ることができて、今は国民の代表としてこの場で仕事をさせていただいているわけですが、ちょうど社会に出たのも、そして物心付いてどんどん成長するときも、バブル経済の状態を知らずに、社会に出ようとしたときはもうバブル経済が崩壊をした後で、右肩上がりの高度成長期というものを全く知らず、そしてまた今、無縁社会という言葉も生まれてきました。格差や貧困という言葉はたくさんありましたけれども、今は家族やそれ以外の人とのきずながどんどんどんどん弱まっていって、いずれ無縁社会が到来してしまうだろう、こういう番組も立て続けに放送されてしまいました。  また、二十代、三十代の死因の一位は自殺となっているのは先進国我が国日本だけというような状況になっています。  若い世代が明日に夢や希望を持てずして、幸福度の高い社会は到底実現できるとは思えません。それを打開していくためには、我々政治責任政治家がある程度ちゃんとした政策を示して、将来に夢や希望を持てる、そういう社会をつくっていかなければならないと思っています。  まず、この新しい年度に入って今日は四月の十四日、新しい年度が始まってまだ間がないような状況にありますけれども、三月に学校を卒業して職が決まらなかった学生さん、生徒さんが大勢いらっしゃいます。  今、日本の雇用慣行の大きなものの一つとして新卒一括採用というものがございます。これは予算委員会の方でも取り上げさせていただいたんですが、新卒のその一回きりのチャンスのときに、例えば今回みたいに日本経済状況が悪くて多くの企業やそれ以外の団体が採用の門戸を大幅に狭めてしまっていたり、あとは採用凍結という形でその門戸自身を閉ざしてしまっていた場合は、その一回きりのチャンスが非常に狭き門となってしまって、その人自身の、その若者自身の一生を台なしにしてしまう、希望を持てなくしてしまう、そういう採用慣行、雇用慣行が我が国にはあります。  新卒という枠をもう少し広げて、学校を卒業してから三年は新卒扱いとするなど、そういう弾力的な運用が求められていると思っています。もちろん、これは企業の側で努力することでもあるでしょうけれども政治がある程度強制力を持たせた形で、若い世代が明日にちょっとでも希望を持てるような、そういう場を提供していくことが必要だと思っています。  私自身は、前回の調査会のときにも申し上げましたが、とある研究所の統計結果では、日本は努力をすれば報われる社会だと思っている人の層が年齢を経ていくごとにどんどんそれが減っているという、そういうデータを御紹介させていただきました。小学校のときは頑張れば報われる社会と思っていたのに、中学校、高校、大学と進学するにつれて、現実を目の当たりにしてどんどん希望を持てなくなっていく。  ですから、私は、失業している人がちゃんと職を得られるようにすること、つまりまじめに働けば報われる社会をつくるということ、そして望めばだれもが誇りを持って働ける環境をつくっていくということ、そしてすべての世代の人、私自身世代に置き換えれば若い世代が明日に夢や希望を持てる、そういう社会をつくっていくことが幸福度の高い社会につながると信じて、これからも政治家の一人としてしっかり活動をしていきたいと思っています。  ありがとうございました。
  27. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございました。  続いて、塚田一郎君、お願いします。
  28. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。自由民主党の塚田一郎でございます。  私は、少子高齢化・共生社会調査会から移らせていただいて、今年、国民生活経済に関する調査会ということで、大変に関連のある分野でもありますし、大変貴重ないろんな提言を聞かせていただいて参考になったなというふうに思っています。矢野調査会長のリーダーシップの下、大変に活発な議論も行われたことも重ねて御礼を申し上げるところであります。  幸福度の高い社会という、こういうコンセプトはいつごろから日本人が考えるようになったのかなということを今ずっと考えておりました。というのは、高度成長期というのは、やはり国として経済が成長することにつれて国民幸福度というのはある程度満たされていったんでしょう。やはり経済成長で昨日よりも今日が物質的に豊かになることで、国民もそれに対して幸福度を増していったという時代が恐らく続いてきたんだと思うんですね。  それがある時期になって、バブル経済に至る過程で一つ経済成長のピークを迎えて、私はその経済幸福度の関係というのが一番興味があるテーマで一年間ずっと聞かせていただいていたんですが、恐らくその一九八〇年代後半ぐらいに、この前も幸福度一つの推移で見ると変化が生じていると、これはちょうどバブル経済に至った辺りでそういう感覚が変わってきていると。  当時、私はアメリカの方に留学をしていたんですが、アメリカ社会ではジャパン・アズ・ナンバーワンといって、日本が非常に経済的に脅威だと言われた時代でした。日本が非常にバブル経済お金がどんどんたまって、ニューヨークのロックフェラーのビルを買ったり、非常にその日本経済が脅威だというふうにアメリカでは言われていた時代一つ日本経済のピークだったと考えるならば、それ以降、つまりバブル経済崩壊以降の今日までの過程で、じゃ、日本人が求める幸福というのは何なのかということが今もう一度問い直されているんじゃないかなということをこの一年間の調査会を通じて私自身も考えてきたところであります。  一言で言えば、昔は、私の子供時代はアメリカのテレビドラマを見てアメリカ的な豊かな生活になりたいと思って成長してきたわけで、それが満たされて、これからまさに量から質ということなのかもしれませんし、物質的な豊かさから心の豊かさの部分なのかもしれませんし、それが今追い求めるゆとりというものなのかもしれませんし、そうした中で、じゃ今我々が欲しいものは何なのかと。よく経済議論されるんですが、もう買いたいものもだんだんなくなってきているんじゃないか。そういう中で、経済をどのように次の成長過程に我々が導くことができて、その中で日本人がどういう幸福感を次にまた求めていけるのかということが今我々として考えなければいけないところなのかなというふうに思っています。  一つのポイントは、やはり少子高齢化社会という現実にどう直面するか。これは、昨年まで少子高齢化・共生社会の中でいろんな議論をさせていただきました。間違いなく世界でもトップのレベルで少子高齢化が進んでいるという中で、どうやって社会進出、いわゆる共生社会の中で男性女性もそうした機会を得て社会の中で活躍できるか、あるいは定年制の見直しの問題ですとか、この高齢化の中でより長く働いていける環境を整備していくかということもあるでしょうし、もう一つは、今新しい政権でも切り口になっていますが、環境というような新たな価値観の概念をどう経済の中で高めていくのか、そういったところが私は必要になってくると思います。  どうしてもやはり人間というのは経済と私は切り離せない動物だと思っていまして、この調査会のタイトルがまさに国民生活経済に関する調査ということでありますので、経済の発展という中で国民幸福度というものもやはり満たされていく要素が強いと思います。もちろん人間は経済のみに生きるわけではありませんけれども、その辺りのところをもう少し私なりに勉強させていただいて、今後もまた提言をさせていただければなというふうに思っております。  どうもありがとうございました。
  29. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございました。  川崎稔君、お願いします。
  30. 川崎稔

    ○川崎稔君 民主党の川崎稔です。  今日は発言機会をいただきまして、ありがとうございます。  実は、私が申し上げようと思っていたことは今の塚田委員お話ともやや重複するような話になります。といいますのは、私も実は幸福度ということを考えたときに、ややもすると幸福度というのは経済を超えた概念というふうによくとらえられるんですけれども、私は、今回の議論を振り返りますと、やはり幸福度経済というのはセットというか裏腹の議論ではないかなというふうに感じることが多いので、そういった思いでちょっと申し上げたいなと思っております。  まず、私も実はこの調査会については二年在籍をさせていただきました。この二年間というのを振り返りますと、やはり非常に興味深い仮説というのがあったなということで思ったんですね。  例えば、昨年の二月ですが、人口減少によって一人当たり国民所得は高まり、国民幸福度も高まるという仮説について検証を行ったということもございました。  これ、よく考えてみますと、要は一人当たりの国民所得をどうとらえていくか、人口の増減というのをどう考えていくかということですから、ある意味で成長戦略そのものの議論なんですね。そういうことでいえば、今、政府あるいは政権の課題としての成長戦略という意味でも非常に政策的に興味深い示唆を含んでいるなというふうに振り返ったわけであります。  あるいは、昨年の四月には、実は休日・休暇が多い国が国の経済力を伸ばし、国民幸福度を高めるという、こういった仮説も検証させていただいたわけですが、御承知のとおり、休暇というのは休息という意味ももちろんありますし、経済活動としての個人消費というものの場ということにもなるわけですね。そうしますと、今政府からアイデアとして休暇の分散化という話が出てきております。これも経済政策の一環として休暇をどういうふうに生かしていくかということで議論が始まっているわけでございますが、ある意味で、こういった問題に結び付いていく議論をこの調査会で既に昨年させていただいていたんだなということを感じ、そういう意味で、本調査会のアプローチというのは非常に興味深いなということを自分でも振り返りながら思ったわけであります。  今年の二月に、例の幸福度、指標という問題を議論をさせていただいたわけですが、ウエルビーイング、これをどういうふうに指標として考えるか。もちろん、これまで国民福祉とかいろんな概念ございました。実は、私がそのときに質問を参考人の先生にさせていただいたのは、幸福度というのを水準としてどうとらえるか、あるいは変化率としてとらえるか、そのどっちで見ればいいんでしょうかということをちょっと実は質問させていただいたんですが、その後の本調査会議論で、先ほどもお話出ましたが、玄田先生の希望学という話がございました。希望学、幸福と希望というのはどう違うんだと大変私も興味深く拝聴させていただいたんですけれども、あのとき、幸福というのは続いてほしいものだと、それに対して、希望というのは今悪くても将来良くなるということで希望というものがあるんだと。言い換えますと、私が水準と変化率ということで質問をしたんですが、水準というのはまさに幸福なんだなと、それに対して変化率というのはまさに希望なんだなというふうに私なりに解釈をし直させていただいたんですね。そういう意味では、非常に幸福度というのが経済と常に裏腹にやはりあるなと思いながら考えたわけでございます。  そうすると、改めて経済ということを考えたときに、実は、幸福度という議論は主観的だから非常にとらえにくいというふうに私たちは思いがちなんですが、よくよく考えてみると経済というのは非常に主観的なものだと。実は、日銀の短観という調査、皆さんもお聞きになったことがあると思うんですが、これ非常に主観的な調査なんですね。経済をどう見ているかということを主観でアンケート調査をして、これを統計的に処理をするとほぼ経済の実体的な動きと同じ動きを示すというものでございまして、そういう意味では、経済もやはり主観という問題と実体というものを数字とセットで考えているということでいえば、幸福度についても主観的な問題だというふうに決して割り切る必要はなくて、非常にそういう意味ではいろんなアプローチで幸福度を測っていくことができるんではないかなというふうに感じたわけでございます。  まとめとしてということではないんですけれども、やはり実は先ほどからお話が出ておりますように、本調査会でこういう幸福度ということを議論しているんですよということを私も実は地元におりますときによく有権者の皆様に御紹介をします。大変やはり皆さん興味深く、ああ、そんな話をしているんですかということで驚かれます。やはり参議院という立場でこういった問題について取り組んでいるということは、やはり大変有意義な取組だと思っておりますし、こういったことをやはり国会の外に向かってもっともっとPRしていく必要があるんではないかなというふうに思っております。  そういうことも含めまして、幸福度の問題、それはやはり経済という問題にもあるいは命の問題とか豊かさという問題、すべて関係してくる問題でもありますので、改めてこういった議論を参議院の中で是非これからも続けていくべきではないかということを申し上げまして、私の意見とさせていただきます。  ありがとうございます。
  31. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございました。  続きまして、一川保夫君お願いします。
  32. 一川保夫

    ○一川保夫君 民主党の一川でございます。  私の前にもう十人以上の方が意見を述べられましたので、ほとんどそういった方々の御意見と重なっているわけでございますけれども、私なりに若干そのはざまの意見をちょっと述べさせていただきますと、皆さん方もそうでしょうけれども、私たちもこの東京と自分の選挙区を毎週行ったり来たりしておるわけですが、そういう中で、こういう幸福度とかいうようなことについていろいろと考えてみますと、地方と都会の幸福度とか、あるいはお年寄りと若者の幸福度、いろんなそれぞれの方々ですべていろんな物差しが違うと思いますから、非常にこういう問題を考えるときに難しいなということを痛感するわけです。  がしかし、政治家というのは、本当に信頼されるそういうセーフティーネットといったようなものをしっかりと完備していくというのが我々に課せられた仕事だなということも一方で痛感させられます。あとは、もう本人の努力なり、地域の皆さん方のいろんな連携の中で解決すべき問題があろうかと思いますけれども。  そういう中で、例えば田舎、私自身は田舎に生活しておりますけれども、山間地域生活しているお年寄りの方の幸福度というものと、こういう大都会に生活をしている若者の幸福度といったものは相当の開きがあると思いますけれども、田舎に生活されているお年寄りの皆さん方の幸福度というのは、自分の幸せというよりも、自分の家族の幸せのことを考えている方も結構おられますし、そういう面では自分の幸せよりも他人の幸せな姿を見て満足をしている方もいるわけでございますし、いろんな面で考えさせられる面がありますけれども。  ただ、どの時代でもなかなかこの問題は解決できないのかもしれませんけれども、所得の高い人が必ずしも当然幸せな状態ではないわけだし、明るさもそう持ち合わせていないような感じもします。一方で、所得の低い人の方が何となく明るくて活動力があるようなところも見受けられます。  そういうことを考えますと、本当にこういう政治の場にいる人間としてはどこに焦点を当てて頑張ればいいのかなというふうなことでちょっと悩むときもありますけれども、冒頭言いましたように、人間らしい生活を最低限送れるだけのセーフティーネット的な制度、信頼される制度を我々政治家はしっかりともう一回勉強し直してつくり上げることが非常に大事なことではないかなというふうに思っておりますので、これからも大いにまた皆さん方と一緒に勉強させていただきたいと、そのように思っております。  以上です。
  33. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございました。  それでは、澤雄二君、お願いします。  お手元に参考資料が配られていると思いますけれども参考にしていただきたいと思います。
  34. 澤雄二

    ○澤雄二君 私は、公明党の澤雄二でございます。  私も三年間この当調査会に籍を置かせていただきました。非常に勉強をさせていただきまして、いろんな角度、新しい視点の考え方を身に付けさせていただいて、感謝を大変しております。  この調査会テーマであります幸福とは何かと、その概念を規定化するのは、今までいろんな先生方言われていましたけど、大変難しいことであるというふうに思っています。調査会は無謀な挑戦をしたかもしれませんが、でも大変意欲的であったと思います。しかし、この幸福というのはやっぱり経済的指標では測れないんではないかというふうに考えています。  多くの参考人の方から三年間意見を聞いてまいりましたが、その方たち意見でやっぱり見えてきたことは、人とのつながりというのが幸福度を感じる大きな要素であるということが見えてきました。ブータンはなぜ幸福度が高かったのか。それは関西大学の草郷教授が、人と人とのつながり、人と自然とのつながりを尊重する価値観国民にあるからだというふうに言われました。横浜市立大学の白石教授は、安心とか思いやり、そういう人との関係が最も重要であるというふうに述べられています。  この人とのつながりというのは、仕事、ビジネスのように、利害関係のあるところの人間関係ではなくて、地位や権力とは無縁の世界での人と人とのつながり、その中で、自分は他者の役に立っているんだ、他者に評価されているんだと、そう感じることができれば幸福度は高くなる。家族のある人とない人で幸福度の差がありました。六十歳以上で幸福度が高くなるという調査がありました。仕事の利害から解き放たれた人間関係に生きがいを感じるからではないかというふうに思います。ボランティアとかNPO、NGOに従事している人の幸福度が高かったのも同じ理由だというふうに考えております。  人間は他者との活発な相互作用とか社会との豊かな結び付きの中でこそ創造性を発揮していくんではないかと、そのことが幸福度を高めるんではないかというふうに考えています。  しかし、こういう幸福度を得るためには、人間として誇りを持って生活できる、その生活が保障されなければ幸福を感じることはできない。これを保障することがまさに政治責任であるというふうに考えています。収入が少なくて結婚もできない、子育てもできない、病院にも行けない、老後も不安だ、これでは幸福度なんか感じている余裕はないからであります。その意味で、所得水準を維持することは極めて重要な課題であります。  今回のテーマである高負担・高福祉の国は国民幸福度が高いということでありますけれども、私は、前にも申しましたが、我が国においてはこのテーマは極めて難しいというふうに考えています。その理由の一つは、一億二千万人の人口を抱える我が国で所得の捕捉を公平に行うことはほとんど不可能だと思うからです。  時間がありませんので一言だけ付言しますと、今政府、民主党の政権でありますが、所得捕捉のために納税者番号、国民総背番号制度を導入を考えていますけれども、先日、国家戦略室にヒアリングをしました。これで捕捉率が一体どれぐらい上がるんだと聞いたら、そんなこととても検証できませんというふうに言っておりました。所得の捕捉がどれだけ向上するか分からない、つまり義務は物すごく強化をされる、しかし権利は行使できない。その一方で、この総背番号制の導入は完全な管理社会を実現していく可能性があります。皆さん御存じのとおりであります。ジョージ・オーウェルの「一九八四年」、「アニマル・ファーム」、この世界の現出はとても御免だというふうに考えております。納税者番号の導入は極めて慎重に行われるべきだろうというふうに考えています。  高福祉・高負担が難しい理由の二つ目は、我が国は鉱物資源やエネルギー資源を持っていませんから、高い成長率を維持しないと家計がこの高負担に耐えることはできないと考えるからであります。もう一つ、食料自給率が四一%と低い、このこともやがて地球温暖化と併せて高福祉・高負担を難しくする理由になるというふうに考えています。  しかし、今、様々な意見がありましたが、少子高齢化で増大する社会保障費の財源を確保する、これは政治の急務の課題であります。今その財源として消費税が議論されています。一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。今の国民の家計を考えると、今消費税なんか議論する、そんな状況ではとてもないというふうに考えております。  資料をお配りさせていただいております。これは、平成元年に消費税三%が導入されて以来、所得税と法人税の収入、税収の合計が幾らだったか、そして消費税を導入したことによって消費税の税収が幾らだったか、その推移であります。法人税、所得税の合計が赤で示してあります。これを見れば分かりますように、平成三年、元年に導入して二年間だけはわずかに増収になっていますが、それ以後、ずっと法人税、所得税の税収はマイナスであります。このマイナスと消費税の収入を比較すれば一目瞭然でありますが、消費税の増収分なんかはこの所得税、法人税の減収分ですっ飛んでいます。我慢できなくなって五%に上げましたが、このときは、一番高いのは平成十五年を見ていただきますと、減収分が十六兆、これに対して消費税の増収は九兆七千億でありますから、消費税を導入することによって税収は増えることは一度もなかったということであります。  どうしてこういうことが起きたのか。財務省はいろんな説明をします。私もいろんな説明をこの二、三年、聞いてきました。今日は時間がないので一つ一つ反証はしませんが、一言で言うと、いろんな言い訳をしていますが、二十年間こういう事態を改善できなかったということは財務省が言っている理由は何の説明にもなっていないということであります。  今回のリーマン・ショックで日本は、アメリカ、ヨーロッパに比べて被害が少ないはずでした。それは日本が持っている不良債権の額が欧米に比べてはるかに少ないからであります。でも、ふたを開けたら、GDPは、アメリカ、ヨーロッパはマイナス六ポイントだったけれども日本はマイナス一二ポイントまで下がりました。これはなぜか。これも詳しい理由を説明している時間ありませんが、それは景気を支える内需拡大、消費する力を日本国民はアメリカ、ヨーロッパほども持っていなかったということであります。  この十年間、イザナギ景気を超える景気拡大期が続きました。ですから、法人税が急激に増えたときもあります。しかし、この十年間で給与所得はマイナス二十二兆円まで落ち込んでいきます。このお配りした資料でも分かりますが、所得税は物すごい落ち込みをしています。それが一つの証拠でございます。国民は消費を支える力なんか今やなくなっています。格差の拡大と言われていましたが、今は貧困の拡大の時代だというふうにも考えています。こんなときに逆進性の高い消費税の議論なんかできるわけがないというふうに私は思っております。  では、財源はどうするのか。消費税に代わる財源はどうするのか。今、民主党がおやりになっている事業仕分は有力な手段だと私は考えています。ですから、公明党は五年前の総選挙でマニフェストで提案をしました。これから始まる独法、公益法人の仕分には実は期待しているところがあります。  一つ、そのときに気を付けないといけないのは、事業仕分のこれは原点でありますが、政策や事業ごとに切って捨てることは危険なところもあります。それは、前の仕分で先端技術の開発、スポーツですとか文化芸術振興の芽を摘んだというのは分かりやすい例であります。政策ごとに切って捨てるだけではなくて、その政策を実現していく過程、プロセスの無駄を見付けること、これが事業仕分の大事な使命だというふうに考えています。  かつて我が党が、小学校、中学校の天井の高さ、これは建築基準法で定められていますが、三メートル以上でありました。この制限をなくしました。四年間で二メートル七十まで下がりました。そうすると、三年間でそれだけで四百億円、財源が浮いたのであります。防衛省が、かつてまだ防衛庁の時代ですが、ファクスやコピー、これのリースを、一年リースを複数年リースに変えました。五年であります。民間企業で一年リースなんかしているところはありません。単年度予算だから一年リースしかできなかった。これ、財務省は猛反対しました。国庫債務負担行為になるからです。でも、そのときの防衛庁はやり抜きました。後で報告に来た。どれぐらい減った、五十三億円、一年間で減りました。その翌年、更に減っていますから、防衛省一省だけで複数年リースに変えるだけで七十億円、無駄な予算を削減をしています。こういうことが政策実行段階での無駄を省くということであります。これについて、民主党はこれからの事業仕分で是非目を向けていただきたいと思います。こういう政策過程の無駄は山ほどあります。  最後に、一つ幸福度を上げるための提案をさせていただきたいと思います。  昔、エンゲル係数というのが問題になりました。私が小学校のころであります。しかし、今エンゲル係数なんか問題になりません。今大きな問題になっているのは、エンゲル係数ではなくて、すべての所得の中に占める住宅費の割合であります。これが急激に上がってきています。特に問題なのは、年金生活をしている高齢者と、先ほど話があった年長フリーターという若者で正規雇用に入れない人たちが極めて深刻であります。これを仮に住宅費指数というふうに呼べば、この住宅費指数を引き下げること、引き下げることができれば、その以外の支出、消費であるとかそれから社会保障負担だとかにお金を回すことができます。この住宅費指数を下げるということを国の政策として考えるべきではないかと。  今、国、国交省は、もう我が国の住宅政策は終わった、安い住宅を供給するという制度は終わったと言っていますが、そうではなくて、もう一度国がかかわってこの住宅費指数を下げるという政策を考えるべきだと。そのために資産は国が持っている、それはUR、都市再生機構の資産であります。ですから、これからこのURも事業仕分にかかると聞いていますが、安易に民営化だけをすればいいという判断はしないでいただきたいというふうに民主党にお願いをしておきたいというふうに思っています。  単なるばらまきではなくて、国民生活水準を全体に引き上げる思い切った政策がこれから政治家として考えていくべきだ、その余裕の中で国民は初めて幸福度を感じることができるんだというふうに考えております。  以上であります。ありがとうございました。
  35. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございました。  それでは、広野ただし君、お願いします。
  36. 広野ただし

    広野ただし君 大分、現実に入られた議論の後ですので、ちょっと本当に恐縮でございますが。また、私も今回はまた勉強会かなと思っておりましたら、一時間前に五分ぐらいちゃんとしゃべれという話を聞きまして、大ざっぱな今までの考え方をちょっとまとめさしていただいてお話をさせていただくのは本当に恐縮でございます。  今までの経済成長路線とかいろんなことがあったと思いますが、やはりある一つの行き詰まりなり反省点を踏まえて幸福度を測る社会というものが来ているんじゃないかと思うんですね。  今いろんな話がありましたが、豊かな社会を超えたところに、やっぱり豊かな社会であってもいろんな幸福度の点では問題がいっぱいあるということだと思いますし、先ほどお話あった、戦争と平和ということで、我々はちょっと戦争に近い時代なものですから、やっぱり戦争のない、あるいは災害のない、そして事故のない、あるいはテロのない、そういう社会を前提にしての幸福度でないと、これはもう大変な悲劇がやっぱりあるわけで、まず、ある意味である程度達成された豊かな社会の中での幸福度ということなんじゃないのかなと思っております。  そういう中で、先ほどもありましたけれども、グロス・ナショナル・ハピネスですか、ブータンがトップということで私も非常に衝撃を受けたんですが。やっぱりこのGNHですか、これをもう一回国際的にしっかりと見直しをして、日本発のGNHのものも提示したらいいんじゃないかなと思っています。  やっぱり人口の小さい国と大きな国では、一億人を超すような、あるいは少なくとも五千万以上の国とのあれではいろんな課題が違って、なかなかハピネスを、幸福度を測ることではちょっと一遍に比較できるんだろうかという感じがしているんですが。  いずれにしましても、今まではお金で測れるもの、あるいは物的価値で測れるもの、それ以外に、幸福の場合はソフトな部分といいますか、それで測れないもの、これが物すごくあるんだと思います。その中で思いますのは、ですから、もし日本がいろんなそういうGNHを発信していくときに、大いにこれは専門家にまた勉強してやってもらわなきゃいけないと思うんですが、環境の問題はやはり非常に大きなものだと思いますね。それで、しかも環境は緑ですとか水ですとか空気ですとか、花がいっぱいのところですとか、あるいは景観ですね、すばらしい風光明媚なところ、あるいは都市景観でも、そういうものというものは大変大きな価値を持っていると思いますし、文化とか歴史、そういうものがやっぱりこれも幸福度には大きなものを持っていると思うんです。  また、ずっとありますように長寿ですとか健康ですね。これはやっぱり病を得て亡くなるというのは大変な悲劇なわけですから、やはりその逆の意味幸福度のことでは大事だと思います。  そしてまた、先ほどもありましたきずなの問題ですね。家族のこととか地域社会、縁社会といいますか、あるいは国家の中のものですとか、そういうものが非常に大きな役割を持っていると思いますし、ワークライフバランスの面でも、これもいろんな指標の一つになると思います。  それで、もう一つ忘れてならないのは、私は宗教だと思います。やっぱりメンタルな部分で宗教というのはいろんな課題、おかしな言葉使って申し訳ありませんが、幸福度なんかと非常に直結するようなところがある。じゃ、宗教が非常にウエートを占めた中世以前の世界はどうなんだろうかということを考えると、やっぱり豊かさというものがもう一つ十分じゃなかった点もあったろうし、もう一つ大きなそれぞれのところにおける格差というものもあって、貧困の問題ですね、これもあったでしょうから、すべて宗教だけということではないと思いますが。  いずれにしてもソフトなこと、今ソフトパワーとかという言葉が使われていますけれども、やっぱり経済価値あるいは物的価値以外のものを測る、ソフトなものをどうやって測るんだと、そういうことをこれは専門家でないと、いろんなけんけんがくがくとやってもらっていかないといけないと思いますが、そういう指標を私は日本としても発信していって、国際社会一つのルール化をして、一方ではGDPを発表する、また一方では日本発のGNHといいますかそういうものも発信して、合わせ技でやっていって、どっちがまたいいんだというようなことを大いに国際的にも競い合う時代が来ればいいのかなと思ったりしています。  それと、ちょっと言い落としましたけれども、文化の中でも、先ほどもありましたが、地域におけるいろんな文化というのがあります。これは、だから民族とかいろんなことを考えますと、文化の多様性というんですか、そういう中に、もう本当に様々な文化を、日本は特にそういうものを持っていると思いますけれども、これは非常に幸福度の上にとって大きな価値を持っていると思います。  ですから、いろんなことを、指標を作るときにいろんなものを入れてけんけんがくがくやっていただいて、それがまた一つの、それが国際的にあるいは国の中でも受け入れられていくとなると、それが大きな政策課題として、政策目標として、今までのGDP路線ばかりじゃない、あるいは成長戦略ばかりじゃない、何かいいことを政治の場からも発信できるんじゃないかなと思っております。  非常に雑な議論で申し訳ありませんでした。
  37. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございました。  続きまして、大河原雅子君、お願いします。
  38. 大河原雅子

    大河原雅子君 民主党大河原雅子でございます。  本調査会の三年目の、三つ目の「高負担・高福祉国家の国民は総じて国民幸福度が高い」という仮説に基づく三年目の調査に加えていただきまして、うれしく思っております。  このような幸福度の高い社会構築をみんなで調査しようということの背景は、今の現状が、やはり日本、真逆の状況にあるということなんだと思います。戦後のあの急激な成長に加えて、先ほども吉川委員から御紹介がありましたように、もうそうした日本のサクセスストーリーを全く知らない、右肩上がりの状況を知らない世代が存在しているという、私たちはもうそういうことを超えていかなきゃいけないということでこの調査会を持っているという、大変責任も重く感じておりますけど。  先ほどからの議論の中でも、幸福を感じる、それはやっぱり千差万別、どんな場面で、どんな瞬間に感じるかは違うと思います。しかし、玄田先生が希望学ということを提唱されていろいろやっておられますが、私はやはり希望の持てる社会ということがまずあるんだろうと思います。この中でも学んだことは、希望というのは単に何か願うということではなくて、何かを願ったときにそれが実現できる、しかも行動によって実現できるんだという、それが希望だと。だから、努力すれば報われる、こういうことが確実、先が見えてくる、あるいは自分の努力が報われるという感触がある、そういうことが実際見えてこなきゃいけないんだろうと思います。  私も何十年も前に、学生時代に家族社会学とか家族人類学とか学びましたが、当初から役割分業、ジェンダーという言葉も、そういう意味でいえば何十年も前からあった言葉なのに、いまだこの日本社会でそのことが普通に通用しない。国際社会の中でもこのジェンダー問題の解消なくして普通の社会はできないんだということがあるんですが。  この日本社会のサクセスストーリーを考えてみますと、やはり経済成長という大きな目標に、農村から都市に人口が移って、オフィスワーカーあるいはブルーカラーの工場労働者、そういう人を町に集めた。村で持っていた共同体の強い結び付きが、実は都市に来たらば、やはりそれが会社やあるいは家族というところに求められた、置かれたんだと思います。私の父もサラリーマンですが、夕食を一緒に食べた記憶がありません。ですから、企業戦士ということで父は父なりにサラリーマンとしての成功はあったと、満足感もあったと思いますけれども、家族にとってみたら、思い出してみるとお父さんと夕食を食べた記憶というのがやはり薄いんですね。例えば単身赴任で長期に家族がばらばらになる、こういうこともあったかと思います。  そして、この村のような社会の中で一人一人の孤立ということが今の日本社会の問題になってきていて、実は、一人一人は独立しているんですが、それが結び合って助け合ってというところになかなか行かない。大黒柱だから、妻だから、嫁だから、長男だから、長女だからというところで家族の役割を、介護やあるいは働きというところでもそうですが、一人一人のその役割に実はもう押しつぶされている人たちもたくさんいるということなんです。家族の在り方も、家族の形も変わりました。ですから、そういう方たちをやっぱり緩やかにつないでいける、強いきずなが個をつぶしたんだったらば、もっと緩やかなきずなでこの社会の連帯というか、新たなコミュニティーづくりをするということが私は必要なんだろうと思っています。  個人の社会保障の問題あるいは豊かさや富の再配分というのは、公平に公正に行われなければなりませんし、経済発展だって資源的にも環境的にも両立を図る、そういうことが求められています。それができないからいろんな問題も起こったわけです。ですから、そういう意味では、私たちが求める幸福度の高い社会構築というところでは、希望の持てる社会、しかも私は大きな政府とか小さな政府という議論はもう駄目だと、破綻をしていると思います。それについては、やはり持続可能な福祉の満ちた社会、これが私は目指されるべきじゃないかというふうに思っております。  いろんな参考人をお呼びいたしましたが、まだまだいろんな御意見を持った方もおられると思いますので、私は新政権の中で、やはり多様な方たちの生き方が満足できるものになるよう頑張りたいと思います。  ありがとうございました。
  39. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございます。  古川俊治君、お願いします。
  40. 古川俊治

    ○古川俊治君 私も一年間だけこの調査会に参加させていただきました。もう既にたくさんの議員の先生から大変勉強になる御意見をいただきまして、私は自分の関心からちょっとお話をさせていただきます。  多くの、本当にいろいろな参考人方々お話しいただきまして、大変多角的な見地から、それだけこの幸福の問題は難しいんだというふうに私も感じた次第でございます。雑駁に申し上げまして、皆さんのお話、幸福が、平均が高いというイメージよりは、どちらかというと大変不幸な、幸福でない人がいないという方に、平均値が高いというよりは標準偏差が少ない、下の方にいる人が少ないのが幸福度の高い社会というふうにお考えの方が多かったんではないかというふうに考えております。  そうした上で、私は自分の関心から考えてみますと、日本という社会、そしてこれは平和で物質的な充足というか、ある程度満たされている社会、これを前提にして考えた場合ですけれども、やっぱり一番の関心は、もう本当に様々な先生から御言及がございましたが、健康の問題だと考えております。  私、医者でございますので、そこで見ていますと、日々、ここの中でも恐らく年に一回か二回は医者にかかられる先生はいると思うんですけれども、そういう問題よりも、すぐに受けられる、医療が、それも大変大事だと思いますが、私が医者として見ていると、やはり大変な、通常の生活から大きな障害を持ってしまう、例えば難病の方、なかなか社会へ復帰していくことができないという方ですね、これをどう治していくか、どう助けていくか、こういう問題。  それからもう一つが、機能の障害、機能回復をどう支えて社会に復帰させていってあげるか。これは、突然の事故で背骨を折って若くして歩けなくなってしまった患者さんですとか、あるいは脳血管障害で、突然ある日から脳梗塞になってしまってもう社会になかなか対応できないという方々治療ですね、こういったものを進めていく。手前みそになりますけど、どうか医療の研究開発というところにはしっかりと予算を付けていただきたいと、これは本当にお願いをしたいと思っております。このことによって国民幸福度もやはり高くなるんであろうというふうに考えております。  まず、先ほど川崎委員の方から、実体とそれから主観というお話がございました。恐らく先生方、幸福といいますと主観と多く考えられている、今は私もまあそうなんだろうと思いますけれども、実はこれ実体の方も必ずございまして、幸福を感じるところというのは脳の辺縁といいまして、そこに海馬という部分がございます。そこで考えているんですね。ですから、幸福というのは、脳生理学的にはすべて解明できる、説明できる事象なんですね。  そうすると、例えばあと五十年後、これは吉川議員は随分まだ御活躍のころだと思いますけれども、そのころになると、五十年前の国会じゃこんな議論をやっていたのかというような話になって、調査会では生理学の話からこういった幸福を扱うというような場面が恐らく来るんだろうと。それがいいことか悪いことか分かりませんが、やはり科学を進めて、我々が適正にそれを推進していけばいい、幸福度が上がってくるというふうに考えますので、お願いをしたいと思っております。  それからもう一つが、私も法律家でございますので、憲法十三条には、やはりそこに国民の幸福追求権というのが実はしっかり書かれているんですね。この場合、幸福、そこにおける幸福は漠然としておりますが、一番の価値というのは、憲法の中では自己実現の可能性というものに置かれている。これは皆さんおっしゃっているように、確かに希望という問題に直結する問題だと考えております。  そのためには、どんな立場にあっても教育の均等というのがまず必要ですね、教育機会の均等。それから、資金的に厳しい方であっても、自分が何か社会的な援助を得て、それを達成していく機会を与えられると。自己実現のチャンスが広く開かれた社会。それから、これも先生方もうお話ありましたけれども、失業しても、万が一失敗をしてももう一回チャレンジできる、そうしたセーフティーネットのある社会というのが大変大事だろうと。  日本においては、例えば起業家精神が足りないと言われますが、起業家精神を持った人がやろうとしても、金融業界は個人保証を取ろうとしますね。そういったことが、本当にその起業の思いあるいは可能性に懸けてお金を貸してくれるんであれば個人保証を取られないような、そうした制度もお考えいただきたいと思っております。  以上です。
  41. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございました。  轟木利治君、お願いします。
  42. 轟木利治

    ○轟木利治君 民主党の轟木でございます。私の方からも発言をさせていただきます。  まず、私が最近、心の満足度を少し感じた事例から二点ほどお話をさせていただきますが、これは一つニュースで、テレビで報道されたことですけれども、外国人観光客が日本に来て何をグッドと、ナイスと感じるかということのアンケート、多分二百人か五百人ぐらいだったと思いますが、取ったということで、ベストファイブが発表されました。多分、私は富士山だとか北海道だとか日本食だとか、そういうものだろうなと思っていたんですが、断トツに一位になったのは日本人の親切さ、それから心遣い、そしてサービスだというのが第一位でございました。私もそれを見たときには何となくうれしく感じましたし、やっぱり日本人の持っている心というか、そういったものが評価されたんだろうなと。これをしっかり守っていかなきゃいけないし、内側から見ると、これがだんだん壊れつつあるんじゃないのかなという危惧もしております。  それからもう一点は、これ三月でしたけれども、中国の方で私の知人で、日本に旅行に来たと。関西から上がってきて東京に来たんで、一日フリーがあるんでということで、私が案内いたしました。その方は中国で医者をやっておりまして、御主人はもう亡くなって、子供さんを連れてきました。子供さんは三十六歳ぐらいで、脳に障害があって中国の上海では自立して働くことはしていません。一見はそう分からないんですけど、しゃべるとすぐ分かるという方でした。翌日がもう中国へ帰るということだったんですが、その人が一番最初に言ったのが、あした中国には帰りたくないと、ここにいたいと。これを何回も言うんですね。なぜだと聞いたら、日本人は私に対して優しいと。それは日本人として、いろんな教育も含めて、障害者に対する対応なり、そしてやっぱりその心遣いがあるんだろうなと思いますし、これは言っていいかどうか分かりませんが、中国では私はいじめられたということも言っていました。  そういったことを考えると、本当に外国から見た人たち日本人の心というものに感動する、そういったことは本当日本人のすばらしさであり、これは一朝一夕ではできない話で、長い伝統と文化が支えてきたことだろうと思います。それを内側から見たときに、その心が日本人としては普通にあったのが崩壊してきているんではないかという危惧がしております。  その一つの大きなのが、やっぱり日本社会保障制度、そういったものが国民に対して信用されてきていないというのが大きな原因であり、特に私は、各私の選挙活動での集会なんかで聞くと、一番何をしてほしいというと、やっぱり年金、こういったものの回復をしっかりしてほしいというのが一番多うございます。これは、年齢に問わず多くなっております。  それを考えると、国民の皆さんが政治に対して、また国に対して不信感を持ったのはやっぱり消えた年金問題から始まる老後現役時代はいいけれども現役を退いた後の生活保障というのが信用ができないというか、満足いくものではなくなってきていると、不安が多いということだろうと思います。それをやっぱり政治が、これは国が立て直していかなきゃいけない。  そういったときに、本来であれば高負担・高福祉というのが理想だとは思いますが、今すぐそれを求めても無理だと思います。まずは国民の納税義務というのが、国民の皆さんが税を納めることに対してどういった意識を持っているかと。前、スウェーデンの方が言われていましたけれどもスウェーデンは税は返ってくるものだということをはっきり言われておりましたけれども日本人に対して、国民がそういった思いがあるかどうか。大半の方が、税に対しては取られているというふうな思いになっているんではないかと。これはやはり、きちっと政治責任でクリーンに、そして透明に税の収入と支出をはっきりしなきゃいけない、こういったことが政治仕事だと思います。  そして、いろんな社会保障に関して言えば、私はまず確実に約束ができる制度、こういったものをきちっと政治の力で示す、そしてこれを確実に実行していく、このことがまず信頼関係、国民政治、国と国民との関係が築き上げられるものだと思います。それに対して、段階的に、もう少し高福祉にするんであればやっぱり財源的に皆さんから納めてくださいと、こういった社会をつくっていかなきゃならない。これは党派を超えて、やはり政治責任として私たちが築くべき大きな課題だと思っておりますので、今後そういったことに対しても私も力を注いでいきたいと思います。  以上でございます。
  43. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございました。  吉田博美君、お願いします。
  44. 吉田博美

    ○吉田博美君 自由民主党の吉田博美でございます。  それぞれ皆さん方、御出身県がありますけど、各県のお国自慢というのがありますけど、私ども長野県ではやっぱり何が一番大きなお国自慢かということで言いますと、まさしく長野県の平均寿命、男性の平均寿命は全国第一位なんですね。女性は、今までは三位だったんですが第五位ということで、まさしく高齢化率が全国でも十年先を行っているわけです。ところが、医療費は全国最低なんです。今一番予算の中でお金を取るのがそっちの方の関係なんですね。  だから、このことをしっかりと踏まえた中で、私どもは、実は先般、原村清水村長さんがお見えになりまして、そのときのお話を伺いましたことについて触れてお話をさせていただきたいと思いますが、原村は八ヶ岳の西北に位置する大変美しい高原の村ですけど、先ほど申し上げましたように長野県は全国一の高齢化、要するにトップですね。六十五歳以上の高齢者の就業率が全国でトップなんです。そして、原村長野県内の中で全国一なんですよ。ということは、原村は全国一の高齢者就業率の村と言ってもいいんですよね。  どういう村かといいますと、ぴんぴんころりの里、ぴんころ里ってどういう意味かといったら、ぴんぴん働いてころっと亡くなっちゃうという。だから、老衰が長野県は全国一位なんですよ。できるだけお隣の人の力を借りずに亡くなっていくということは、やっぱり高齢者の人がいかに働くチャンスを持つかということが大事だと思うんですよ。  仕事の効用には、単に収入面だけではなく、社会に役立つことができるという何となく満足感ですね、人とのかかわりの機会という連帯感、生きがいややりがいという充実感などがありますが、とにかく元気に働くことが健康の一番の秘訣だと言われますが、先ほど山下先生の方からありましたけど、原村では早期発見早期治療でみんな健康をテーマに各種健診、相談等を無料にするんですよね。そんなことなどから、高福祉が行われていることも高齢になっても元気に働く人が多い理由の一つだと思います。これで医療費も抑えることができるということです。  現在、私たちの国の六十五歳以上の高齢者は人口の二〇%、五人に一人だと。ところが、二〇五五年にはこれが四〇%強になりますと五人に二人になるとされております。  まず、仮説一の調査ですと、人口減少、少子高齢化による経済への影響を抑えるために、高齢者女性の労働参加率を高めることが不可欠であるとの指摘がありました。原村は夏場はセロリ、冬場アネモネの出荷量が日本一であります。農業地帯でありまして、自営業の多いのが自分の判断で何歳まででも働くことができます。しかし、雇用者が六十五歳を過ぎても働き続けるためには、そのための環境整備が必要なんです。朝夕遠くまで通勤する必要がない地域の中での就労の受皿づくりなどもその一つです。  また、参考人から指摘がありましたが、NPO活動を促進することによって生まれるボランティア的な就労なども今後ますます重要になるんではないかと思います。六十五歳以上の高齢者を積極的に雇用している企業事例を広く集めて紹介したり、あるいは税制上の優遇策を行うことなど、高齢者の雇用の場の確保策として有効であると考えます。  また、働きたい高齢者に対する雇用の場の提供は、高齢者にとっては収入を確保できる、また生きがいを感じることができる、健康を保つことができるなどの利点があり、地域社会にとっては助け合いの観点からも有意義であり、国にとっては人口減少、少子高齢化による労働力の急激な低下を緩和することができる、税収が期待できるなど、個人、社会、国の三者がそれぞれ良い点、利点があります。  また、参考人から最大の介護予防は就労の場をつくることができるという指摘がありましたが、就労によって介護の必要な人が減少したり介護期間が短くなるようであれば、必要な人に対してより手厚い介護が可能となります。高福祉につながります。いかにぴんぴんころりが大事かということでございますね。  私、団塊の世代の一人でありますが、再来年の二〇一二年になりますと団塊の世代は六十五歳になり始めます。元気いっぱいで達者な人が多く、まだ働ける、引退したくないという人も多いのですが、経験と知識をいっぱい持った人材が高齢だという理由で仕事がなくて冷たく扱われるという状況は、社会や国によっても大変もったいないことです。今、中国へ行くと、日本のそうした方をどんどんどんどん採用しておられる、それで中国の経済がどんどん成長していることを考えたときに、何となくおかしいんじゃないかと。  私ども政治の世界でも言えると思います。民主党さんは立派で、八十歳以上の方を公認されます。自由民主党は若手の中に、豊かな経験と非常に指導力のある政治家に対して、あれは高齢者だから駄目だとか批判をしている。だからこれは自由民主党の衰退になっているんじゃないかと私は思います。  今、日本企業を退職した技術者や管理者でアジアの中小企業などで働く人が増えています。先ほど言いましたが、それなりの待遇を受け、何よりも尊敬されていることが大きなモチベーションになっていると言われます。国内でも中小零細企業の活性化やベンチャー企業の支援などにこれまで培った経験と知恵を大いに生かしていただければ、我が国に一層の活力が生まれ、幸福度も高まるのではないかと思うところでございます。  団塊の世代は、どちらかというと収入よりも働きやすい勤務形態や職場環境、また意気に感じるというような職場の雰囲気を求めていると思います。国、自治体、そして事業主、NPOは、そのような実情を踏まえた取組を早急に強化すべきだと思います。高齢者が暮らしやすく働きやすい社会は、老若男女すべてが暮らしやすく働きやすい社会であり、幸福度の高い社会であると考えるところであります。  これ私の経験なんですけれども、やっぱり一番大事なことは、幸福度というのは気持ちの問題じゃないかと思うんですね。先ほど、たまたま古川先生とお話しする中で、精神的ないろいろな病のある人とはどういう人ですかというと、それは脳の原理で、何か分からないことをおっしゃったけど、詳しいことは分からないですけど、私自身は、どんな逆境の中にあっても常にいいように解釈すると。自分自身が一番誇っているのは、高校時代に、一年のたしか一学期の期末試験に四百四十八人中四百四十八番という成績を取りました。これは一番ですからなかなか取れる成績じゃないということで、いまだにそのことを自分の誇りに思っています。そうしたら、もうそれ以上下がることはないんですから。そこから上にいかに上がるかというと、これは幸福度だと思いますよ。こうしたやっぱり社会づくりをしていくことがいかに大事かと。自由民主党も今どん底にあっても、これから夢があるんだという気持ちになるということも大事で、これが幸福度じゃないかと思います。  以上でございます。
  45. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) それでは、最後になりますけれども佐藤公治君、お願い申し上げます。
  46. 佐藤公治

    佐藤公治君 民主党佐藤公治でございます。今日はこういった発言機会をいただきまして、ありがとうございます。  今、皆さんのお話を聞いておりまして、かれこれ三年前のこのスタートの時点を思い出すことが多々ございました。会長を始め、先ほどお話しされていた松先生、そして、今は亡きではありません、国土交通政務官になった藤本さん、彼らと随分話し合いまして、こんな無謀なことを調査会でやるのはいかがなものかと、けんけんごうごうがくがくやりました。  しかし、三年後どういう結果になるのか、我々にも想像が付かなかった最初のスタートでした。でも、今日こうやって皆さんの意見を聞いていると、この調査会というのは本当に意義があったなというふうに私は思い、そして、会長を始め藤本さんや松さんたちもそう思われているんじゃないかというふうに思うところがあります。  私は皆さん方々意見を聞いていて本当に、ああ、そういった考えもあるんだ、こういうふうにも思えるんだと、いろんなことを学ばせていただくことにより、本当に今日も一日勉強になったような気がいたします。  重なるところは省きまして、私自身がこの幸福といったことを考えたときに、確かに社会保障とか医療とか雇用とか労働とか、いろんなことが考えられますが、その究極は何かといえば、やはりこの日本の国の在り方ということ、それは日本人の姿、日本人の在り方ということが言えるんではないか。そこを突き詰めていくと、まさにそれは教育ということになっていくんではないか。教育ということになると、若い人たちだけのような話になりますが、私の言いたいのは、人づくりということでございます。人をどうやって、日本人はどうあるべきかということをやはりもっと政治家、与野党問わず議論を重ね、そこの部分で日本の将来のビジョンというのをこういう調査会を通じてつくり上げていくということ、また、一人一人の政治家が、政党がつくり上げていくことが大事なんではないかというふうに思います。  教育ということになると、御存じのように、家庭教育、学校教育ということがよく言われますが、そこには社会教育といったこと、これはまさに地域教育といったこと、こういったものが、今まさに地方が崩壊をしている、疲弊をしている、そういう中で、果たしてこの人を育てていく環境が整っているかということをもっと我々も考えていかなきゃいけない、そういうふうに思っているところがございます。  お話を聞いていると、きずなとか、まさにコミュニケーション能力といったこと、これはまた人間のその能力、これも教育とも直接関係のあることでもあり、こういったものを高めていくことも必要。そして、道徳観、倫理観といったことをきちっとやっぱりつくり上げていく。余りにも教育、こういったことを話をしていくと、余りにも押し付けがましい話にも聞こえ、人は不快になるかもしれませんが、私は、やはり社会として、国として、あるべき最低限のお互いのルールや道徳、倫理といったものはきちっと確立していくべきだというふうに私自身は思うところがあり、こういったことが今やはり、高度経済成長といったものにおいて失われたり又はなくしたり壊されてきた部分、もう一回見詰め直すべきところというのが多々あるように思えるところがあります。  そういった教育の中において私がやはり一番思うことというのは、そのコミュニケーション能力とも関係しますけれども、やっぱり日本語といったこと、私もまだまだ不十分ですけれども、こういったことをきちっと、日本語もこういったところへの、母国語といったものを大事に、又はこれは伝統文化でもあり、こういったことをまた育てていくことが、きちっともう一度やり直していくことが、もしかしたらコミュニケーション能力を高め、そしてまた幸福度というものを上げる大きな原点にもなるんではないかというふうにも感じたこともございます。  正直言って、こういったお話をしていくと話は尽きぬわけでございますけれども、最後に、私が言いたいことは、先ほどからのお話の中で数値化することができないかということをずっと思っておりました。そして、非常にそれが難しいというお話もたくさん聞いたんですけれども、川崎委員お話を聞いていると、何か数値化できるような気になってきていることも事実でございます。確かに難しいことはございますが、引き続き、私は幸福度の高い社会構築、こういったこと、この幸福度といったことを引き続き研究をしかるべき機関でしていただき、そしてある程度の数値化をしていくことが私は望ましいというふうに個人的には考えるところがあります。  最後でなかなかトリを務めるには、この後の会長お話もあると思いますので、私はもうこれぐらいにさせていただきまして、この一年間、そして三年間、本当に私はこの調査会がいいものだったということにおいては会長を始め委員の皆さん方々に感謝を申し上げ、最後の意見とさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  47. 矢野哲朗

    会長矢野哲朗君) ありがとうございました。  これで各委員意見の発表は終了するわけでありますけれども、先日の理事懇でもって、三年間務められた会長からも一言意見開陳をされたらどうなんだという有り難い御意見をちょうだいしたものでありますから、私からも御礼を兼ねて一言申し上げたいと思います。  今、佐藤筆頭理事からもお話がありました。三年前、松委員も当時理事として加わっていただきましたけれども、まさに漠として、結果的にどこまで意見を集約できるのかなという一つの問題意識もこれあり、このテーマ辺りはどうなんだろうなというふうな問題意識でもってスタートをさせていただきました。  反面、今各委員の御意見を拝聴するに当たり、長きは三年、短きは一年かもしれませんけれども、それなりに真剣に本当に取り組んでいただいた結果、立場立場で、それぞれの価値観でもって幸福度というふうな一つの発表をいただいて、その結果、間違いがなかったなというふうな改めて幸福を感じております。  一部、政党間の政策論争もあったようでありますけれども、私としては、確かに政治家として立場立場発言、これは当然のことでありますけれども、特に参議院における調査会、これ、私は三年前まで国対委員長を務めておりまして、毎週水曜日、調査会でもって日程が拘束されると。本当調査会というのは必要な活動なのかなというふうな疑問を大いに抱きました。ですから、スタート当初、十省庁における我が調査会の提言並びに決議等々どう生かされているかということで検証をさせていただきました。それぞれに我々の活動行政に反映されているというふうなことが確認できたものでありますから、それから改めてこの調査会活動をスタートしたわけでありますけれども。  今日に至りまして、逆に、私の私見でありますけれども、この参議院における調査会というのは、二院制を今後も継続するに当たって、参議院における私は独自の活動、大変価値ある政治活動というふうに位置付けさせていただきたいと思うんです。ですから、この三年間に一番変わったことは、当初私は与党でありました。現在、野党に相なりました。しかしながら、この立場は変わったとしても、衆議院でどんなに例えば国会が混乱しても、いや参議院において混乱をしても、調査会は整々と進めようじゃないかという一つの考え方は非常に重要な私は観点だと思います。それでこそ私は参議院という一つ立場が明確になるんではないかというふうな、一つの三年間の会長としての責任を一層自覚したわけであります。  ですから、是非とも、これからの国会運営、いろんな問題があろうかもしれませんけれども、特に改革協等々でもってより一層この調査会の位置付けというのを明確にして、逆に特別委員会なんというのはいつでもスタートできるわけでありますから、必要に応じてスタートすればいいんだ、常設は常任委員会と調査会というぐらいの一つの判断をしてもいいんではないかなぐらいの問題意識を持たせていただいてもいます。  いずれにせよ、そういった意味で、今後、今日の御意見を集約させていただいて、提言という形で取りまとめさせていただきたいと思うのでありますけれども本当委員各位の真摯な取組に心から感謝申し上げたいと思います。  なお、一昨年、調査会委員中心になりまして現地調査、アフリカに行ってまいりました。スーダン、そしてケニア、それからタンザニア、中谷君、御一緒させていただいたのでありますけれども、本来だったら、私は、調査をより深めるということで、党それぞれのいろんな理由があろうかもしれませんけれども、時の理事を、この団員構成で行くのが一番効果的なんではないかななんというような問題意識も当時持ったわけでありますけれども、とにもかくにも、失うものは何もないと、あのアフリカの地でもって本当に悲惨な生活環境、そういう中で、子供たち本当にあしたの希望を持って、輝いた目で本当に生き生きと活動している。ああいう現場を見たときに、その厳しさ、子供たちは選択する権利はありません。なぜこの国に生まれてきたんだろう、同じ地球に生を受けて、やはり日本という国として、そういう国々の子供たちに何ができるんだということをそれぞれに学ばせていただきました。大変勉強になったと思います。  せっかくの調査会、繰り返すようでありますけれども、海外視察ですか、現地視察、調査により一層効果がありますように、できますれば調査会の中で本当に派遣がされれば一番有効だななんというような問題意識も持たせていただきました。  長い間、三年間でありますけれども本当委員それぞれの御協力をいただきまして今日を迎えることができました。心から感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)  まだ時間が、三時半でありますから、予定された時間が、意見の交換ということもあるんですけれども、それぞれがかなり活発な御意見を発表いただいたということでお疲れになったと思いますので、多少早いかもしれませんけど、これにて散会いたします。    午後三時十二分散会