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2010-04-12 第174回国会 参議院 行政監視委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年四月十二日(月曜日)    午後一時三分開会     ─────────────    委員異動  三月十五日     辞任         補欠選任      松浦 大悟君     林 久美子君      山下 芳生君     大門実紀史君  三月十六日     辞任         補欠選任      平山  誠君     横峯 良郎君      大門実紀史君     山下 芳生君  三月十七日     辞任         補欠選任      渕上 貞雄君     近藤 正道君  三月十八日     辞任         補欠選任  ツルネン マルテイ君     尾立 源幸君      山下 芳生君     大門実紀史君      近藤 正道君     渕上 貞雄君  三月十九日     辞任         補欠選任      尾立 源幸君 ツルネン マルテイ君      大門実紀史君     山下 芳生君  三月二十四日     辞任         補欠選任      川合 孝典君     蓮   舫君  三月二十五日     辞任         補欠選任      蓮   舫君     川合 孝典君  三月二十六日     辞任         補欠選任      川合 孝典君     大久保 勉君  三月二十九日     辞任         補欠選任      大久保 勉君     川合 孝典君  三月三十一日     辞任         補欠選任      塚田 一郎君     野村 哲郎君  四月一日     辞任         補欠選任      野村 哲郎君     塚田 一郎君  四月二日     辞任         補欠選任      森田  高君     亀井亜紀子君  四月五日     辞任         補欠選任      亀井亜紀子君     森田  高君  四月八日     辞任         補欠選任      谷合 正明君     風間  昶君  四月九日     辞任         補欠選任      横峯 良郎君     加賀谷 健君      塚田 一郎君     山本 順三君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         渡辺 孝男君     理 事                 加藤 敏幸君                 主濱  了君                 藤原 良信君                 前川 清成君                 南野知惠子君     委 員                 岩本  司君                 加賀谷 健君                 川合 孝典君                 田名部匡省君             ツルネン マルテイ君                 土田 博和君                 中谷 智司君                 白  眞勲君                 林 久美子君                 平山 幸司君                 松岡  徹君                 森田  高君                 愛知 治郎君                 浅野 勝人君                 中山 恭子君                 山内 俊夫君                 風間  昶君                 山下 芳生君                 渕上 貞雄君    国務大臣        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地域主        権推進))    原口 一博君        文部科学大臣   川端 達夫君        国務大臣        (内閣官房長官) 平野 博文君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣行政刷        新))      枝野 幸男君        国務大臣     仙谷 由人君    大臣政務官        総務大臣政務官  階   猛君    政府特別補佐人        人事院総裁    江利川 毅君    事務局側        常任委員会専門        員        富山 哲雄君    政府参考人        文部科学省初等        中等教育局長   金森 越哉君        厚生労働大臣官        房年金管理審議        官        石井 信芳君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関  する調査  (行政組織公務員制度公務員倫理在り方  のうち国家公務員制度改革及び独立行政法人制  度改革について)     ─────────────
  2. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、松浦大悟君、平山誠君、谷合正明君及び塚田一郎君が委員辞任され、補欠として林久美子君、風間昶君、山本順三君及び加賀谷健君が選任されました。     ─────────────
  3. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会政府参考人として、理事会協議のとおり、文部科学省初等中等教育局長金森越哉君外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査議題といたします。  本日は、行政組織公務員制度公務員倫理在り方のうち、国家公務員制度改革及び独立行政法人制度改革について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 こんにちは。民主党・新緑風会・国民新日本加藤でございます。  今日は、仙谷大臣枝野大臣江利川総裁始め、大臣ほか来ていただきまして、行政監視委員会政府との質疑を行いたいというふうに思います。  今、参議院の方は決算委員会ということも動いておりまして、衆議院決算行政監視が同一委員会でございますけれども参議院決算委員会行政監視とを分けておりまして、行政監視という委員会の目的というのもまた参議院なりの理解の中で、こういう形で質疑応答をやらせていただきたいというふうに思います。  今日は国家公務員制度改革ということで、これも国会の中では長年にわたっていろいろと議論がされてきました。基本法が、修正案を含めて一昨年ですか、二〇〇八年に成立をしております。  いろいろと議題なり争点はあるわけでありますけれども、昨年のいわゆる政権交代ということで、民主、国民新党、社民党による連立政権が樹立されていろいろと従来とは違う取組が展開されてきたわけでありました。また、公務員制度関係におきましては国家公務員法改正案が既に国会に上程をされているということでございますので、今日のタイミングで、まず仙谷大臣には、国家公務員制度改革の目標なり理念、考え方と、新政権立場でどのようなお考えで臨んでいかれようとするのか、大きくとらえている部分も含めましてお答えをいただきたいと思います。
  7. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) まずは、参議院のこの行政監視委員会にお招きをいただいたことに改めて感謝を申し上げたいと存じます。  といいますのは、私の隣におります枝野議員もそうでありますが、一九九六年の元々の民主党がつくられて国会民主党という政党が姿を現したときから、私ども行政監視院というものが国会にどうしても必要だと。専門的な調査機能を持った上で、この行政監視というものが本格的に行われなければならないと。数字からの決算監査とでもいいましょうか、数字からの行政監視。それから、会社でいえば業務監査とでもいいましょうか、職務遂行国会が主となって監視をし、チェックをしていくと、このことが国会機能としても半分ぐらいはあるのではないかといいましょうか、基本にそのことはあるのではないかという、そういう思い問題提起をし、この間いろんなことを考えて提案をしてきたわけでありますが、これは日本が明治以来の行政優位の下で行われてきた国家経営という癖といいましょうか、体質からなかなか離れないということもありますし、現代国家がやっぱり行政国家と言われるように、どうしても行政サービスといいましょうか行政領域が肥大化すると。これは日本に限らずどこでもそうでありますけれども、そういう中で、やはり国家公務員一人一人が緊張感を持って国民全体の奉仕者として職務を遂行できると、そのもろもろの条件を整えなければならないと、そんなふうに国家公務員の問題と行政監視のこの相関関係を考えているからでございます。  今の加藤委員の問いに私なりにお答えいたしますと、私は、この仕事に就いたときに、私の部署の職員に対してだけでありますけれども、こういうふうに呼びかけをさせていただきました。  つまり、日本公務員、今いろんな批判非難にさらされているわけでありますが、一つは、やはり無謬主義が余りにも強過ぎるのではないかと。したがって、間違いがあったときには公務員皆さん方も間違いを認めて素直に謝るところから始めようということであります。  それから二番目には、余りにも省益に固執することといいましょうか、固執することといいましょうか、省益固執主義が目に余るということがあるのではないか。やっぱり省益よりも国益、あるいはもう少し言えば国民益を考えようということをお話をしました。そのことによって、自分たち子供たちから見て、あれは役人の子供だとか、あれは公務員子供だというようなことを学校へ行って言われるところから、いや、やっぱり公務員の息子さんはすばらしいとか、公務員はすばらしいということを言われるようにしようということであります。  それからもう一つは、やはり行政プロフェッショナルになろうと。そのためには内向き志向を改めなければならないということを申し上げました。  さらに、前例踏襲主義といいましょうか、先例踏襲主義といいましょうか、このことから脱却して行政のイノベーションを生み出していこうと、そういう思いで、志で仕事をしてほしいというふうに申し上げたわけであります。  さらには、五つ目でありますが、どうしても官と民の関係で上から目線ということに知らず知らずのうちになってしまうことが往々にしてありますので、国民目線で考えて国民目線で語れるように自らを絶えず自戒をしようということを申し上げたわけであります。  最終的には、そういうことができるようになれば多分国民からありがとうと言われる公務員になることができるのではないか、国民から感謝される公務員になろうではないかということを申し上げたところでございます。  そういうことを、理念といいましょうか、目指す方向ということなんでしょうけれども、そのことが全体の奉仕者であるということにもなると思いますし、基本法の第一条に記載されておりますように、能力を高めつつ、国民立場に立って、責任を自覚して、誇りを持って職務を遂行することができるということになるのではないかと思います。  そしてもう一つ、私は、公務員制度の問題でいろんなことが批判されます。そして、ある党の方々からは、これは労働組合があるからこういうふうにモラルハザードを起こしているんだという一方的な非難もございます。  私は、この職場といいましょうか、労働現場において片一方だけが悪いということは決してあり得ないというふうにずっと物事を見てまいりました。民間会社労働組合が強いからあの会社は駄目なんだということをもし言われても、そんな状態にほうっておいてある経営者が駄目だからそうなっているんじゃないかということを必ずマーケットでも社会の中でも批判をされて、会社全体としてこれは評価が落ちていくということが普通の姿でございます。  ところが、この公務員公務職場は、あの労働組合が悪いともう言ってしまえばすべて問題が解決したかのような話になる傾向がないわけではない。本当は、労働組合に対応する使用者立場、つまり当局とでもいいましょうか、つまり使用者がちゃんとして、そういうふしだらな行為やあるいは行き過ぎた権利主張をちゃんと理をもって説得をして新たなガバナンスをつくればいいだけの話であります。  ところが、日本のこの公務職場公務員職場を見ますと、どうも労働組合は存在するわけでありますが、これに対応する使用者というのはどこにおるんだろうかと、つまり労使の当事者のうち使がどこに存在するんだろうかと。これは、人事院という存在があるから使は存在しなくてもいいんだと言わんばかりのことがこの日本公務職場でまかり通っているんではないかと、これではガバナンスもマネジメントもあったものではないと、こういうふうに最近ずっと思っております。  したがいまして、これからの私どもの作業は、この国家公務員制度改革するということは、改めて使用者側責任体制を、つまりガバナンス体制組織経営をできる仕組みをつくっていく、体制をつくっていく、そのことも併せて極めて重要な問題だなというふうに考えながら、今公務員制度改革に取り組んでいるところでございます。
  8. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 一言で言えば、公務員制度の問題で今日的に課題を抱えていることの中で、いわゆる使用者ですよね。だから、労働組合があれば当然それに対応する使用者という概念がありますけれども使用者というのがいまいち明確になっていないということが一つ問題点ではないかという御指摘については、私もそれは非常に大きな課題であって今後の公務員制度改革の中の争点であり、現実に民間の企業が持っているような労働担当役員とかいう、そういうふうな、全面的にすべてを引き受けて、労働組合とも一〇〇%以上誠意を持って交渉し得るし、結果については責任を取ると、そういうふうな体制について、私は、新政権が今大臣が言われたような問題意識を持って取り組まれるということは非常に重要であり、賛意を表明をしたいというふうに思います。  それと同時に、ここ数年間、公務員バッシングという言葉があり、いろいろと問題を発生した、その問題を一つ発火点にして類焼、延焼していくような形で問題が拡大をし、公務員さん、公務員皆さん方にとってはいささか疲れぎみ批判を受けてきたということもあり、かつ職業像としての公務員のイメージが随分低下をしたということも事実であります。  もちろん原因が公務員皆さん方の自らの中にあるということですから、これはまあそれで仕方のない部分もありますけれども、ただ、非常に表面的なそういう問題指摘、あるいはモグラたたき的な問題指摘ということのみでは私はなかなか事の真相には迫り切れていないのではないかということから、また、今日答弁席にお立ちの皆さん方も、野党時代にも舌鋒鋭くいろいろな形で問題を摘出されたと、このように思っておりますけれども、私も労働組合民間でずっと仕事をしてきましたし、連合でも仕事をさせていただいたし、官の皆様方とも仕事の内容ではよく付き合っておりますから、官民、労使関係どうかということについてはそれなりに経験があるわけでありまして、私の民間立場から、今はこういうふうな国民から持たれている公務員制度で起こっている問題の中で、一人一人の倫理的な意識の問題だとか、そういう職業倫理に帰すべき課題もあれば、やはり構造的な業務体制だとか業務処理在り方だとか、そういうふうな言ってみるとシステムからくる、行政組織運営全般から発生する部分も出てくるのが公務員バッシングの問題で、今申し上げたのは倫理的な職業倫理にかかわる問題ではなくて能率の問題であり、課題があるのにすぐに手を付けないとか、いろいろ課題があってもなかなか責任が明確でないとか、そういうふうな形での問題指摘というのは、やっぱり構造的に、設置法に基づいて省庁が設置されて、それぞれ法律上に規定されているという役割の中で、民間組織組織人として取るべき責任のありようと官の行政組織上の位置付けが与えられた人たちが取るべき責任ということのそごもあって、なかなかこの理解が進んでいないというふうなところもあるというふうに思います。  したがって、公務員制度改革というのは、個々の働く公務員さん自身の変革を求めるという部分と、やっぱり組織的な、言ってみると人事部局はあるようでないわけですから、本質的に働く人たちに対して能率だとかそういうふうな人事管理と言われている民間部門が持っているような部門というのは、探してみるとずばっと当たるところはないわけですので、そういうようなことも含めて改革点というのは、単に職業倫理という点にかかわらず、やっぱりそういう構造的な職務遂行システム全体の在り方というところも手を付けなければなかなか改革にいかないんではないかということで、やや問題指摘が少し抽象的で申し訳ないんですけれども、この辺のところで感想があれば大臣の簡潔なお答えをいただきたいと思います。
  9. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 公務員が従事していただいている仕事というのは、直接間接にこれは公共サービスとなって国民のところに返ってくるはずでございます。  そうだといたしますと、この公共サービスが、国民が、こういう公共サービスを直接間接にしていただいていることによって、取引行為にしても、あるいは日常生活にしても、市民社会における生活にしても、そのことが円滑に進むための環境整備としてこういう公共サービスがあるというふうに感じていただいて、そして、たまたま直接そのことによって受益をするというか、自分がそのことで安心して、あるいは自らの活動が充実して行われたということで感謝をしていただけるということになれば一番いいんだろうと私は思ってきたわけであります。  ところが、ともすれば、先ほど申し上げました縦割りあるいは先例踏襲主義というようなことがあって、国民の目から見たら一体全体何しているんだと、仕事のための仕事をつくって我々とは関係のない無駄なことをやっているんじゃないかと、あるいは公務員定数があるものですから、その定数を賄うために仕事をまたつくっているんじゃないかというような非難批判がこの間の、自民党でいえば無駄撲滅ということになってまいりましたし、我々の方から、政権交代前の民主党からいえば、やっぱり行政を刷新するために無駄の排除を徹底してやらなければならない。長妻現厚生労働大臣的に言うと、あれHAT—KZだったですか、何かそういう五つの標目に表れるような無駄があるということで、無駄を徹底的に野党的にこれをえぐり出さなければならないと。  こんな話になってきて、そういう無駄なことばかりやっている公務員はけしからぬと、こういう風潮も一方にあるはずでありますが、本来は時代的にもう必要のない公共サービスあるいはもうやめた方がいいような公共的な仕事というふうなものをやっぱりその時代時代で的確に剔抉し、というかえぐり出して仕分をしていかなければならないということが本当はあったんだろうと私は思っておりますが、どうもそのことが、やはりガバナンスの方からの要請もなく、現状維持の延長線上でシーリングを掛けて一律に減らすとか増やすとか、そういうことをやっていけば何とかこの国はもつんではないかと、そんなことが続いてきたのが現在の事態で、考えてみますと、そこに従事する公務員方々も非常にお気の毒だといえばお気の毒、つまり余り手ごたえのない仕事をやっていくと。まあ一年か二年過ぎてそのうち職場が変わればいいわみたいな話になってきておる部分も少々あったのではないかと思います。  これも、結局のところ、一つはやっぱり国会及び国民監視が甘かったというか、なかなか直接的な監視になっていない。あるいは、もう少し言いますと、これは枝野さんとこの十数年間そういう議論をしてきたわけでありますが、直接的なオンブズマンのような制度がきちっと確立していないために、生活現場からの公共サービスに対するクレームというか異議申立てが、直接その一つ一つが裁定をされるということもなく、さらには、そのことが国会に上がってこないことはないわけですが、今、加藤委員がおっしゃられたような構造問題として、改革方向がこうだという議論がなかなかされにくいということがあったのではないかと思います。  先ほど申し上げましたように、行政監視院の問題でありますが、この行政監視委員会でもいいわけですが、ここが、衆議院であれ参議院であれ、あるいは参議院の方が予算よりも決算というもしコンセプトでこれからの参議院のレーゾンデートルをおつくりになるということならば、思い切って参議院予算もこの監視委員会の下の調査機能に掛けていくと、プロフェッショナルを雇い込んでここで業務監査をちゃんとやると、国民の声がここに直接来て、その声に基づいて調べていくと。  その調べた報告を基にここで議論がされて、さあ、じゃ改めてどういうふうに遂行体制といいましょうか執行体制を変えていくのか、あるいはそういう行政サービスを、公共サービスをもうやめるんだったらやめるというふうに国会のこの委員会の中で切り分けていくのかと、そういう機能が私は必要だなというのをここ数年来考えてまいったわけでありますけれども、なかなか我々も忙しくて、これに専念するといいましょうか、委員会調査機能を充実して、そこと議論をしながら、そこをある種指揮してそういう方向で動き出せなかったというのが実情で、その辺が私どもも反省をしなければならないと思います。  ちょっと長くなって恐縮ですが、実は行政刷新を受け持って、現在も枝野大臣がそれをなさっていただいておるわけですが、職員の声、国民の声というハトミミという部局をつくって、職員あるいは国民方々から声を聞く仕組みをつくりました。  一番くだらないように見えて割と大変な問題なのは、出張の問題について公務員方々から問題提起が多々ありました。霞が関の職員方々出張に出掛けるときになぜか「のぞみ」に乗れないと、「ひかり」で行けと言われておるということとか、あるいは旅費計算の方法が何か非常にややこしい、安いチケットを探すのに一日掛けて探して、たどり着くまでの道筋をちゃんと書いて出さなければいけないとか、あるいは旅費精算が大体三か月ぐらい掛からないと精算できないと。まあ民間会社では、こんなことをしている会社は必ず一年か二年のうちにつぶれるというふうなことが平気で行われていると。  このことに政治の側もあるいはその他の側も指摘をして、早急に是正をすると。この十年間、IT化とかeガバメントとか、そういう言葉がもうこの永田町かいわいを飛び交いながら、何のIT化もされず、旅費精算に十九も二十も決裁印が必要な書類が回って、三か月以上も掛からないと決裁できないというようなことが一方であると。  これは公務員方々にとってみれば、士気を阻喪し、やる気をなくする。まあ日常的な、くだらないといえばくだらないのかも分かりませんけれども、これは大変な問題であるといえば大変な問題。そして、その十九も二十も判こを取る間に掛かる人件費たるやどのぐらいのものなのかと考えたら、これはやっぱり大変な構造問題だなと、考えて議論がされて早急に是正をされなければならないと。  ただ、例えば今の日本制度の上でこれを是正をすることを命ずることができるのはどの部署なのかというふうに考えましたら、いや、今度新しくできた行政刷新なのか総務庁の行政管理の部局なのか財務省なのか総理大臣官房なのか、もうよく分からないようになっているという、この事態が私は今の病膏肓、その病状の深さを表しているんじゃないかと、そんなふうに思っておりまして、加藤委員がおっしゃるように、まさに構造問題であることをちゃんと私どもが認識をし、指摘をして、改革方向議論で生み出していくということが重要だと。おっしゃるとおりだと思います。
  10. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 大臣のお話の、十三時二十九分から触れられた、今のところが大事なんです。今のところを私なりに翻訳して、翻訳する必要もないんですけれども、言い方を変えますけれども、昨年、新政権ができてから無駄の削除ということで、無駄をとにかく省こうと、既にできておった補正予算の無駄も省こうということでいろいろ努力をされたんですけれども。私ももう三十年近く霞が関でいろんな方と仕事上ずっと付き合ってきたのでいろいろお話を聞きますと、無駄はないんだと、元々無駄があるような予算は組まないんだと。自分たちに決められた法律上だとかルール上は全部無駄ではないんだと。それを無駄だ無駄だと言われたって、無駄でないものを無駄だと言われたって、それがいまいち分からないし、削れ削れと言われても、要るものを削ってどうするんですかという、文化ショックのような、そういうふうな思いのはざまにもあって、なかなかそう簡単に司令部が思っているような形には動かない。  三十万にも及ぶ出先を含めたこの大きな組織民間で言うたら最近ではNTTぐらいなものですけれども、そういう万を超える組織で現実、仕事の仕方という、簡単に言えば仕事の仕方、日常的にやっている仕事の仕方ですよね、これをやっぱり改革をしていくというのはもう本当に大変なことなんだと思いますし、私も民間でも大変だったということなんですね。  だから、無駄でないと思っている人を、無駄を省けと言ってもそれはどうにもならないときに一番大事なことは、これは無駄だと本人たちが思わなあかんわけですよね。本人たちが無駄だと思って、そして無駄を省けばいい、褒められるんだと、この仕組みさえつくってしまえば、これは後は優秀な方がたくさんおられるし、どの人に会っても、やっぱり役人として自分は一生懸命頑張るんだと、そしてそれは国民のためになるんだという気概は大きなものがありますよ、今の公務員皆さん方。その公務員皆さん方をして、皆さん方が思っている改革方向にどう動かしていくのかというこの仕掛けがなかなか簡単ではないし、そう簡単に成功事例があるということではないんです。  先ほど申されました出張旅費精算に時間が掛かるとか、「ひかり」で行けよとか、片一方で効率と。高い給料取っておる人が自分の乗る、キャリアだと、つまり飛行便をどれにするのか、新幹線の便をどうするのかというところに「のぞみ」が使えないという制約でやってしまうとか、それは元々システム自体に能率とか効率ということが組み込まれてなくて、責任は取らなくてもいいとか、外からがあがあ言われる、ちょっとした重箱の隅をつつかれるようなことをいかに回避するかという発想でスタートしているということで、経済成長する時代はそれでもったかも分かりませんけれども、非常に経済が困難であり国民の数が減っていくという状況の中で、行政仕組みとしてそこをどう考えるかというのが大きいなということでありました。  これは、単に一回だけの話ということでは済みませんし、現在上程されている改正法案の議論の中でも衆参の中でいろいろ議論されていきますので、この委員会でも予定はしておりましたけれども、時間の関係でそこは省かせていただきたいと思います。  そこで、次にお聞きしたいのは、いわゆるキャリアシステムとして言われている幹部候補生、幹部職員の運営なりこの問題点でありまして、過去これも何回にもわたって問題提起をされています。そこで、ずばりお聞きしますけれども大臣自身、このキャリアシステム、どこが問題でどうしたいとお思いなんでしょうか。
  11. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) このキャリアシステムは、私が見ておりましたら民間と決定的に違うのは、同期の方々が同時に横並びで昇進をするということが誠に不可思議な制度だなと。ただ、お一人お一人見ますと、そもそも極めて優秀な方々が多く、そして私から言わせれば割と無駄の多い国会の答弁書書きに深夜あるいは徹夜で忙殺されるという、本来の能力が摩滅、消耗させられるシステム、そういう部分が随分あるなという感じがしております。  それからもう一つは、私自身、これは日本の企業社会もそうでありますけれども公務員社会もやっぱり女性のキャリアをもちゃんと訓練、教育をして、つまり経営人材といいましょうか幹部人材として教育をして、そこに位置付けていくということが決定的にここまでは弱かったんだろうなと。そのことによって、諸外国行きますと何とか局長とか何とか長で、女性がいっぱい我々のトイメンにも出てきますけれども日本の場合にはやっぱり非常に厚生労働省を除いてはほとんど女性幹部というのは目に付かないと。カナダなんか行きますと最高裁判所の長官まで女性が出てこられてびっくり仰天したことがありますけれども。  そこのやはり何というんですか、幹部、いったんこのキャリア試験に合格してキャリアとして採用されると、まず課長さんぐらいまでは横並びでいってしまうと、そこに使用者、先ほどから申し上げております使用者がはっきり自覚的にいないために、育てるとかそういうのもないし、だから結局年功序列で横並びでずるずるといってしまうという、ずるずるというよりもそれがいいんでしょうけれども、よかったんでしょうけれども、いってしまうということで、これはそういう二つの点から、あるいはこの女性の幹部職の問題を入れれば三つぐらいの大きい問題があるのかなと思います。  先般もある講師の方々に来ていただいたんでありますが、やっぱり何といいましょうか、入社時のというか、採用時の試験結果が微妙に影響しながら、同期で横並びで上がっていくからどうしても組織防衛というか、あるいは何というんですか、課益局益主義に陥って、その方がうまく最終的にいくんだという意識にとらわれてきておる人と、キャリアでなくても国民の元に足を運んで、そこで自らを鍛えて考えに考えて仕事をしている人であれば、元々のキャリアがどうであれ、大きく四十ぐらいを超えるとむしろ差が付いてくると。だから、いわゆるこのキャリア試験に合格しておるかどうかというようなことと関係のない実力主義というか実績主義の人事配置が行われるように、つまり各省においても、あるいは政府全体においても、そういうガバナンスが目指されないと、生き生きした公務員職場といいましょうか、公務遂行ということにはならないんではないか。改めてキャリアシステムの問題についてはそのように感じているところでございます。
  12. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 民間でいえば、昭和三十年代は中学校を卒業して技能訓練生、現場で社内教育を受けて現場の班長になっていくというコースがあって、だからよく、これも企業によって差があるんですけれども、中卒で所長になったとか部長になったとか、そういうふうな伝説、神話のような話も結構あったし、工業高校を卒業していても事業本部長になられた方も、企業それぞれたくさんあるわけですから。逆に言うと、そんなふうに、まあ言ってみたら世界の強いメーカーと戦っておるときに何やら大学出たとか出えへんとかいうことが議論にもならない、今この人がおらなあかんという、そういう臨場感、そういうことの中から人事というものは展開されてきておるわけですよね。  日本の歴史を見ると、明治は国をつくっていくことから、帝国陸海軍もそういう風潮にあったけれども、師範学校ができて陸軍大学ができてくると、金時計もらったとかもらわぬとか、本当に現場の臨場感ある必要性から人事配置をしていくということから離れていくということは、一つ傾向としてやっぱりあるんだと。だから、それをどう変えていくかということは、先ほど言ったように、ジョブストラクチャーと言われている、法律から業務が規定をされてくると。何でこれ一生懸命せないかんのかいうたら、上司が命令しておるんじゃないんですよ、上司なんていないんですよ、私が見た限りは。全部法律事項だとか規則事項だとか省令の必要性があるから一人一人が徹夜で仕事しておるわけだから。おまえ、これ徹夜であしたの朝までやれといった、霞が関、官庁街で僕は課長なんか見たことないと。みんなそういう状況の中でやっているという、ジョブストラクチャー、仕事の特性と要請の中からそういうような形態も出てくることも事実ですから、今言ったことはなかなか難しいんですけれども。  そこで、能力・実力主義ということで、これも時間があったら五時間ぐらい私、さしでやりたいんですけれども民間でもこの能力主義、実力主義ということと、もう一つは実績給与とか、様々この三十年間、もっと言うと四十年間、議論をし尽くしてきたんですけれども、結論は出ていないんです、結論は出ていないんです。これが一番ということは、試行錯誤はされたけれども、そう簡単なものではなかったと。  そこで、まず総務省の階政務官、それから人事院の総裁に、能力・実力主義の導入について何が問題なのか、どう考えているのか。入口のお話とかそういうふうなことはいいんです、私は与党の立場で質問しているんですから、後でこう言ったああ言ったということは言いませんから。やっぱり端的にここがこうなんだとかいうことを私は答弁をいただきたいと思いますけれども
  13. 階猛

    大臣政務官(階猛君) お答えいたします。  委員御案内のとおり、平成二十一年度から新しい人事評価制度が導入されました。それまでの年功序列であるとかキャリアシステムに基づく評価、人事制度ではなくて、新たに国家公務員法第二十七条の二という条文が導入されまして、職員の採用後の任用、給与その他の人事管理は、職員の採用年次及び合格した採用試験の種類にとらわれてはならず、人事評価に基づいて適切に行われなければならないというふうになったわけです。  ということで、今、能力と実績主義というふうになっておりますが、能力というのは、言うなれば、会社でいえばストック、バランスシートの問題、実績というのは、会社でいえばフロー、PLの問題、損益計算書の問題だと思います。そちらのそれぞれについてどういう、定性的ではなくて定量的に客観的に評価していくか、そういう問題があると思います。  それから、ストックの部分とフローの部分をどういう割合で、どちらにどれだけ重きを置いて評価するのか、そういう問題があると思います。  そういったことが今後の課題ではないかというふうに認識しております。
  14. 江利川毅

    政府特別補佐人江利川毅君) 公務員の能力評価につきましては、元々、国家公務員法上三十三条に成績主義ということが入っております。  それで、成績主義の評価の仕方につきまして、これまでは組織内での様々な勤務評価や内部での工夫によってしてきたわけでありますが、これをより透明性、明確性を持つものにしようということで、今、階大臣政務官からもお答えがありましたが、十九年の改正国家公務員法によりまして、成績主義、新しく人事評価制度が導入されたわけでございます。これは、各省において昨年の十月から実施されておりますので、この成果が人事に生かされている段階ではまだございません。この夏の賞与、ボーナスであるとか、あるいは来年一月の昇給昇格の問題のときには反映されるわけでございます。  こういう成果を見ながら、法律の目的であります客観性、透明性、そういうものを持った人事評価ができるようにしてまいることが大事だというふうに思っております。
  15. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 入口の段階ですから、そうそう皆さん方がいろいろ経験を踏まえた上で議論をするという状況にはないので、余り深入りはしませんけれども。何のために評価するの、評価のために評価するわけじゃないんですから、一生懸命いい仕事してもらいます、一生懸命勉強して足らないところを補ってもらいますというふうに、本人が頑張ろうという気になってもらうのが評価なんですよね。  民間でいうと、査定の上手な課長なんという言葉がないんですよ。査定がうまくてどうするの。あの課長は査定がうまくてね、そんなものはあほらしくて話にもならない。査定なんかうまいより仕事せんかいと、みんなが気持ちよく頑張るような雰囲気つくるのが課長の仕事だろうがというのが実はベースにあるわけですから。いまだ余り入っていないのに先に水掛けるようなことは言いませんけれども、すべての管理職が朝から晩まで査定のことばかり、人事評価ばかり、斜めがどうだとか、いろんな、斜めだとか上下左右をよく見てとか、ああでもない、こうでもない、何百ページものマニュアル見ながらやっておる暇、これは時間の無駄だということも現実にあるわけであります。  だから、そういうようなことでいくと、人事評価だとか能力主義とかいうふうなことが、生き生きと職場の中でみんなが納得してやれるというのは何ですかといったら、それはやっぱり臨場感があるということです。やっぱり仕事の中で緊張感があって、この体制でうまくやるためにはこういうフォーメーションが要るんだと。そのフォーメーションで彼が一番よく頑張ったと。これは一緒に仕事やっている連中はよく分かっているわけですから、そこのところを、私は、江利川総裁には頭に置いていただきたいということと、そのことと賃金との関係ということが出てくるわけですよね。  評価をしたら必ずそれを反映させるということですから、特に一時金だとか賃金に評価をしていく、最終的にはその人のキャリアパスをどうしていくかという形でやっていくというようなことが世の中の専門家、コンサルタントはいろいろな提案をしてきておるというふうに思うわけであります。  しかし、私の経験からいえば、賃金制度だとか人事評価システムというのは簡便であれば簡便の方が良かったと、これが私の経験なんです。人事評価がすばらしい会社が株が上がったことはないんですよ。だから、今、国家公務員皆さん方国民目線の中でどういう評価が発生するかといったときに、すごい透明感のある評価システムができて、いやあ、あれは大したもんだということが、お茶の間でみんなが賞賛するということはまずない。あくまでも方法論ということであって、それはまあ三秒で済めばいいことですしね。三時間、四時間、五時間みんなで大騒動して評価をやっていくような、それもまた無駄と、生産性の言わば無効成分と、こういうベクトルでいえばそういうことになっていくということを少し申し上げまして、今後の生きた議論にあれをさせていただきたいというふうに思います。  さてそこで、公務員制度の問題で私は極めて大きい問題というのは、やっぱり官民比較という視点が結局のところ決着が付いてないんですね。官がいい民がいい、これ民間でいったって今すごいですよね。三十年来の社歴を持つような企業がどんどん倒れていきますから。古いからいいということでもないし、入ったときには高い賃金だったけれども、もう某航空会社のように二割カット、三割カットというふうな状況で、五%ずっとカットしていく中でね、現実の水準というのは随分下がっているという、これはなかなか民間でいうと栄枯盛衰という側面もある。  その中で、非常に雇用が安定化して非常に長期安定、長々々期安定雇用が保障されているという身分、働き方の中の人たちの生涯所得という視点はどうなんだとか、それをどう評価するんだとか、これは民間からいうと相当にこう、これはどうなっておるんですかというポイントがあるんだけれども、残念ながら人事院の出される資料といいましょうかデータというのは、さすがお役人のルールの中で作られていますから、そういうふうなビビッドな、生き生きとした質問に対してビビッドなお答えは出せていないというところがなかなかこれ、いつまでたってもお役人はいい目しておるんじゃないかというような批判が絶えないということもありますけれども、この辺のところは人事院総裁、どうでしょうか。
  16. 江利川毅

    政府特別補佐人江利川毅君) 官民比較を一つの生涯所得と、生涯賃金というもので考えるべきではないかと、これは一つの御所見ではないかというふうに思います。  ただ、現在の我が国におきましては、人事院機能というのは御案内のとおりですが、一つは中立公正性の確保というのがございますが、もう一つ労働基本権制約による代償機能ということになっておりまして、現在の公務員の賃金について民間賃金と比較しながら勧告するというのが機能でございます。  退職金をどうするか、あるいは年金世代がどうかということにつきましては、それぞれ別の観点から別の省庁が持っていると。年金などにつきましても、官民の格差是正とあるいはその被用者年金の一元化という議論が行われておりまして、そういう中で見ているわけでございます。全体を足し合わせてどうかというのも一つの御議論でありますが、一つ一つ制度が官民比較してどうなっているかという、そのトータルの中で判断するというのも一つの方法ではないかというふうに思っております。
  17. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 まあ江利川総裁は、私は人事院の総裁としては非常に適格性を持っていると賛成をしましたけれども、今お答えになったそのお答えというのは、まさにジョブストラクチャーから来ている答弁なんですよ。今の答弁は、私の質問に対して、あるいは私の後ろにおる国民が同じような質問を持っていることについては充足されていない答弁ですよね。でも、あなたが悪いんじゃないんですよ。あなたの持っている総裁という、法律だとか行政組織の中の位置付けから来る答弁の限界性ということは、御本人が一番分かっておるわけでしょう。  今、そういうことなんですよ。最高の人材をして答え切れない。お客様の質問に対して満たされないということは、今言ったように、人事院の今置かれている立場だとか、法律で決まっているとか、省庁間の関係の中で決まっているその立場からしか答弁ができない。つまり、行政サービスとしては今のところは合格点でないですねと、この局面はと。それはやっぱり構造的に発生している問題ですよと。  だから、人材がもう精いっぱい全力を尽くして職業倫理も守って、最高の人材が最高の仕事をしたとしても、構造的な制約から大したアウトプットは出せていないという部分も結構たくさんあって、そのことをどうするかという議論をやっぱり本気でやらないといかぬし、本気だけでやっても相当に時間も掛かるということを申し上げて、最後に枝野大臣にお聞きしたいことは、独立行政法人、これ、いろいろ長い時間を掛けて今日のこの状況になって、基本的には独立行政法人はこれ橋本行革のときの目玉としてイギリスのエージェンシー制度を模倣して導入されたんですけれども、何となくやっぱりちょっと継ぎはぎ的な制度部分があって、非常にコスト削減だとかそういう要請にこたえる余り、例えば研究開発機関なんかはやっぱりちょっと本質的なところが合わなくなっていると。  研究開発は、今、あした何の成果があるんやと、こう言われたって答えられぬですよ。だけど、企業は十年、二十年、三十年手掛けていって、やっぱり二十年やってきてよかったね、やっとマーケットで、電池とかいろんなことを含めて、LEDだって大変時間掛かっているんですよね。当座、分からなかったんですよ。これ、終わりになるか分からない。じゃそれまで何十億投資したのか、全部無駄だと、そういう視点の無駄と、こう言われたら研究開発なんて取り組めない。  十年、二十年、しかし三十年、日本の将来だとか企業の将来を考えたときに、やっぱりその時代における商売のネタをどう今から苦労してつくっていくかという視点も大事だということを含めて、私はこの辺のところを、研究開発の分野についてやや問題も発生しておるんではないかと、こんなふうに思っておりますけれども大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  18. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 質問ありがとうございます。  御指摘いただきました問題意識を共有いたしておりまして、独立行政法人制度は政府仕事をアウトソーシングすると、その方向性自体は決して間違ったものではなかったというふうに思っていますし、それから、そうした中で一つの、一くくりの制度としてはその中で行政コストをできるだけ縮減するという意味で一定の成果を上げたのだろうというふうには思っています。  ただ、例えば今御指摘いただきました研究開発法人が最も典型でありますけれども、アウトソーシングするということまではいいとしても、例えば他の独立行政法人と横並びで、例えば人件費を圧縮しろとかあるいは給与の体系を準じた形でやれと。ところが、研究開発の場合は大変優れた研究者の方を公務員的な人事給与体系の下で引っ張ってキープするということはなかなか困難なことであろうというふうに思いますし、御指摘をいただきましたとおり、いわゆる政府予算のような単年度での効率を見ていくとか、あるいは一つの研究を単年度で区切って予算をしていく、決算をしていくというようなやり方が果たして通用するのかとか、様々な意味で他の独立行政法人とはかなり違った性格を持っていると。  実は、研究開発が一番この成長戦略などとの絡みでそのずれが問題だということが喫緊の課題になっておりますけれども、それ以外のものを見ても、それぞれその事業を行うに当たって、あるいはアウトソーシングするに当たって最も機能的なやり方になっているかというと、独立行政法人という一つの共通の箱をつくってしまって何でもほうり込んだということがあるものですから、必ずしもそうはなっていないのではないかと、こういった問題意識を持っています。  四月の二十三日から独立行政法人を中心とした事業仕分の第二弾を行います。もちろん、それぞれの独立行政法人が行っている事業の中に無駄がないかということをしっかりとえぐり出そうというふうに思っておりますが、同時に、今申し上げましたように、もっとそれぞれの役割、それぞれの機能を発揮できるような仕組みにして、特に研究開発などは後押し、加速をしなければならないという部分があるということもしっかりと前提として、どういう形をつくればより研究開発を加速できるのかというような視点も含めて独立行政法人の在り方を抜本的に見直すような事業仕分を行い、そしてその結果を踏まえて、これは特に研究開発法人は古川副大臣と鈴木寛副大臣を中心に各省横断で研究開発法人の在り方についての検討を別途進んでいますので、そことも連携をさせて抜本的な見直しを進めてまいりたいというふうに思っております。
  19. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 ありがとうございます。  研究開発部門といっても、これ聖域じゃないですから、いっぱい私ども聞いているんです、結構無駄があるというのが。テレビに出た人に集中して、出張旅費一億も付いてどうするんだとか、まあまあいろんな半分冗談みたいな話も出てきて、これはやっぱり手入れてきっちりしてもらわないけませんけれども、しかし研究開発という特性からくるやっぱり仕組みということを考えないと、角を矯めて牛を殺すということにもなりかねないというふうに思います。  最後に、管理改革、管理改善ということをやっていくということは大変だし、行政においても国の仕組みにおいてもやるべきだと思うんですけれども、やっぱり会社がおかしくなってくると、業績が二期連続赤字だとか、そういうときに何が起こるかというと、御本社なんです。これ本社と言わずに御本社というのは嫌みの意味で御を付けているんですけどね。御本社がいろいろ求めてくるんですよ。管理改善であれはどうなった、はい報告書、これはどうなった、報告書、報告書、報告書。だから、現場のスタッフの仕事のほとんどが御本社に対する報告書を作るために全部やっちゃうということで、これ御本社による業務改革妨害活動と私は呼んでいたんですけれども、そんなこんなで、本当に現場を、臨場感のあるいい仕事をやらせるためには、管理部門在り方も、これも大事なんです。  管理部門自身が自分のアリバイづくりのために報告書いっぱい、山のようになって、役員会でこんなにやってますと。でも業績上がらへんやないか、株価下がっとるやないかと。こんなもん、あんた、書類を一メーターそろえたからといって株価は一円でも上がるものではありません。マーケットは評価をしないというふうなことを含めて、私は新政権としての改革に対する、それから、やっぱり限界があります、上から目線でやるのは。幾ら指導者といえども。やっぱり私は労働組合でやってきて、労働貴族だとかいろいろ言われていますけれども、何たることだと思いますよ。私たちやってきたのは、すべての組合員からやっぱり信頼されないと、だれが付いてきますかね。  そういうような意味で、やっぱり改革というのは、やる人、一人一人の公務員さんが、そうだ、それは必要だと、そうなんだ、だから私はこうします、これはこうだと。出張旅費、おかしいでしょう、こんなの無駄でしょうという、そういうことが一人一人がやれるようにせないかぬのですよ。だから、私たちは小集団活動とかいろいろな、あの手この手でいろいろなことを考えて、それは何でといったら、一人一人が本気で納得して、分かりました、やりましょうと。これをやる以外ないんですよ。それさえできれば、後のことは現場で派生するんですよ、うまい仕組みというのは。そのことを含めて、これは新政権の活躍する大臣あるいは政務三役、人事院総裁に対する応援の言葉ということにいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  20. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 自民党の愛知治郎でございます。本日は、四大臣にお越しをいただきました。よろしくお願いをいたします。  実は、この委員会の場ではもちろんなんですけれども、四大臣とは個人的にもお話をちゃんとやり取りをするのは初めてでございまして、是非よろしくお願いいたしたいと思います。  また、今日は、基本的な質疑の内容は行政組織公務員制度公務員倫理在り方で、国家公務員制度改革及び独立行政法人制度改革についてが主要な議題と伺っておりますが、初めてということもございますし、四大臣基本的な考え方をまずお伺いしたいと思うとともに、私の考え方なんですけれども、そもそも公務員制度、いろんな制度を今議論されていると思うんですけれども、どんな制度にしたところで、やはり意思決定をするというのは政治の側だと思っておりますし、政治の意思決定に従ってすべての公務員さんたちは動いていくんだと思っておりますけれども、この点について、まあ変わりないと思うんですけれども、まず基本的な見解ということで、仙谷大臣に確認の意味を込めて質問したいというふうに思います。
  21. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) つくづく私は、制度半分、それから人間が半分というふうにいつも思っております。とりわけこの行政あるいは政治の世界というのは、政治的な意思決定を政治家がまずは責任を持って、あるいはリスクを取ってやらないと物事が動いていかないはずであると。  ところが、政治家の意思決定なしに動いてきた部分がこの戦後の日本の政治、行政関係であったのではないかというのがやっぱり一つの大問題で、おっしゃるように、政治が責任を持ってどこかで意思決定をするというのがまずありきだと考えております。
  22. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。多分この点についての問題意識というのは変わらないと思うんですが、とらえ方はちょっと違うと思うんです。  といいますのも、私は特に、善きにつけあしきにつけということだと思うんですけれども、初当選したときは小泉さんが総理大臣でしたけれども、その当時はしっかりとしたリーダーシップを、いろんな価値観ありますけれども、総理大臣が指示をして、それに従って組織が動いていたように私は感じておりました。やはり政治のリーダーシップをしっかり発揮していくことで、どういった制度の下においてもその組織というのは動いていくものだというふうに私は考えています。要は、どんな制度であろうとも、やはり政治の側の姿勢の問題だと思うんですけれども。  そこで、今日、基本的なお尋ねをしたかったのは、昨今において、これは初めて政権を取られてアイドリング期間というのもあったかとは思うんですけれども、やはり鳩山政権において、その政治姿勢というか、リーダーシップの在り方について、私は疑問を持たざるを得ない状況にあるというふうに考えております。  今日は、平野官房長官にもお越しいただきました。各論について幾つか、今までの経緯についてお尋ねしたかったんですが、まずは普天間の問題についてお尋ねをしたいというふうに思います。これは政権を取る前からいろんな考え方があるのは分かるんですけれども、その後、この普天間をめぐって一番問題だったのは、私はいろんな選択肢があって議論するのはいいと思うんですが、各大臣が各々の考え方でいろんな方面で発言をされていた、これが混乱に拍車を掛けたんじゃないか、非常に問題だと思っているんです。  この点について、まず問題意識内閣を統括するというか、調節する役割である官房長官にお尋ねしたいというふうに思います。
  23. 平野博文

    国務大臣(平野博文君) 今、先生からの御指摘で普天間基地ということを申されましたが、鳩山政権樹立をさせていただいたときの基本的な考え方は、やっぱり政治主導でやりますと、政治家主導ではありませんと、政治主導でやりますと、こういう考え方の下に政権運営をマネジメントしていくということでございます。その上において、この鳩山政権基本的なところは連立政権であると、こういうことも一つの特徴の政権だと認識をいたしております。すなわち、社民党、国民新党の皆さんと一緒に政権運営に当たると、こういうことでございます。  したがって、政治主導で動いておりますから、物事の決め方の問題は、閣僚懇談会、あるいは各閣僚がそれぞれの思いで物事を発言をする、これは非常に了とすると、こういうことの判断に立っております。しかし、決めたときには、当然最終意思決定は閣議でございますから、決めたときには当然その意思に従うと、こういうことで、決めていくプロセスの中、すなわち、それぞれの関係閣僚同士の発言、それぞれの思いがありますから、それについては別に否定をするものではないし、閣内の不一致とよく言われるわけでありますが、それは全く私は違うと、こういうことでございます。  加えて、連立政権でありますから、基本的なところについては、基本政策の閣僚委員会という、社民党、国民新党の党首と民主党の党首クラス、いわゆる菅副総理を入れての基本的、さらには、時には総理も入って最終意思を確認し、最後に閣議決定をすると、こういう政治プロセスでございますので、その中においての不穏当な発言等々、私はそういうふうに認識をいたしておりません。
  24. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 考え方は初めてやり取りをさせていただいて伺いましたけれども、私は逆に言うとそこがやはり問題だと、一番の問題だと思いますし、私は正反対の考え方を持っております。  といいますのも、現実問題として、普天間について個別具体的な話ですけれども、嘉手納の統合案であるとか沿岸案であるとか、それから県外、グアム、サイパン、いろんな話が出てきました。こういった話が出るたびに混乱したのは事実でありますし、交渉が逆に難しくなったのもこれ結果だと思うんですね。だからこそ、決まっていないことを、いろんな意見を持っているにしても、やはり対外的に発信するのはしっかりとコントロールして慎むべきだというふうに私は考えています。  改めて見解を伺いたいと思います。
  25. 平野博文

    国務大臣(平野博文君) 政府の見解として私はお述べになっていないというふうに理解をいたしております。  ただ、先生御指摘の、そういうことでマスコミ報道等々にそういう疑念を抱く、あるいは予断を与えるような発言というのは私は決して好ましくはないと思っていますが、そういう趣旨で各閣僚が発言していると私は理解をいたしておりません。
  26. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 現実的に私もやってみて、私は経験ないですから、そこに直接入ってやった経験はないですけれども、なかなか物事を進める政治というのは難しいなとつくづく感じられているとは思うんです。でも、だからこそ修正するべき点はしっかりと修正をして、そういった内閣の姿勢というのもきっちりと、その修正の上で改めて方針を立ててやり方を変えていかなくちゃいけないと思っているんです。普天間についてはこれから総理がどういうふうな考え方を持っているか、また地元との交渉、アメリカとの交渉、様々な問題が出てくると思うんですけれども、ここで言う議論ではないので、それは外交防衛委員会等で多分議論をされると思います。  ただ、もう一点違うテーマで、先日同じようなことがありました。郵政についてであるんですけれども、郵便貯金の上限額をめぐって、これは私が所属している、通常所属して理事を務めている財政金融委員会での議論でもあったんですが、菅財務大臣と亀井金融担当大臣、亀井大臣は郵政改革担当大臣ということですかね、で意見が食い違って、聞いた聞かない、言った言わないという議論が報道されていました。  これについてはやはり、閣内についての意思統一の在り方についてもそうですし、最終的な意思決定は総理がしたと言うんですけれども、そのプロセスについては先ほどの普天間と同様、大変問題じゃないかというふうに思うんですが、この点について改めて見解を伺いたいと思います。
  27. 平野博文

    国務大臣(平野博文君) 御意見はいろいろ、今日までそれぞれの政党が抱えている政策課題としての違いは当然、国民新党の亀井大臣、菅副総理との間で歴史的な違いがあるということは私はあるんだろうと思います。しかし、少なくとも連立を組む上においての郵政問題に関しては、三党合意をした上で亀井大臣が郵政担当大臣としての任務に就かれているわけでありまして、その間、亀井大臣、さらには総務大臣の下でそれぞれ政策会議を十回近く議論の下に積み重ねてきたわけであります。  そういう中で、一部メディアの中で、今先生御指摘の口論的な部分というのは私は決して好ましいものではないという認識を持ちました。したがいまして、もう少し今までの過去の議論のことを含めて閣僚間で共有すべきということで、つい先日でございますが、総理の主導の下に、関係閣僚の下で意見交換をし、総理が一任を取り付けて決定をいたしたということで、経過の中で好ましくないところはあったことは否めないと、私はそういう認識をいたしております。
  28. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 厳しいことを申し上げるようでありますけれども、そういった調整こそ、官房長官が内閣の各閣僚間の調整というのをするべき立場にあるんじゃないでしょうか。その点について、平野官房長官、どのように対応されたのか、また、自分の混乱を招いたという責任についてどう考えているのか、お伺いをしたいと思います。
  29. 平野博文

    国務大臣(平野博文君) 今までの政治のプロセスはどういうふうにしておられたかはよく分かりません。官房長官の使命という役割からいけば、今までだったらそういう問題が起こらないように事前調整を全部していくという、事務次官を通じて全部していくというのが今までの政権の運営だっただろうというふうに認識していますが、先ほど冒頭述べましたが、一義的には関係閣僚間でそれぞれの分担管理をしておるわけでございますので、その関係閣僚の下でしっかりお詰めをいただくと、こういうことが基本原則でありまして、すべて官房長官がその中に入って物事を決めていくというシステムに今の内閣においてはしてございません。  ただ、先生おっしゃるように、官房長官の役割というのはそういうトラブル、あるいはそういう政策的な詰めの問題、物事にはいろいろあると思いますから、そういう意味で、もっと私が入っていくことがいいのかどうかというのは内閣として少し調整が要るのだろうというふうに思っております。
  30. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 まさに今日が初めてですから、問題を指摘させていただきましたが、事務次官会議等を廃止して政治家同士でやるという話であるならば、やはりそういったこともしっかりと考えた上でやっていかないとこのような混乱という結果が出る、そのことを指摘させていただいて、次同じようなことがあれば、しっかりと責任を問うていきたいというふうに考えています。  では、こういった基本的な考え方についていろいろお話をさせていただきたかったんですが、今日改めて憲法、もっと根本的な問題ですね、憲法の話をさせていただきたかったんですが、せっかく原口大臣にも来ていただいたので、先日参議院においても審議が開始されました地域主権の関連法案についてお尋ねをしたかったんですけれども。  私も本会議場で我が党の議員とのやり取りを聞いて答弁も伺っていたんですが、この地域主権、この意味について御答弁いただいたんですけれども、ここに議事録もあるんですが、何度読み返しても私には少なくとも理解できないんですね。この地域主権、言葉地域主権ですけれども、どのような意味でどのような意図でこの言葉を使っておられるのか、改めてこの場でお伺いしたいというふうに思います。
  31. 原口一博

    国務大臣(原口一博君) 愛知委員におかれましては、私、お父様ともう一つ政権をつくりたいとずっと行動を御一緒させていただきました。そして、ある国の国防大臣と初めて会談を行われたのもお父様でありました。そういう意味で、国の主権ということを私たちは大変大事に、国家主権という意味でも大事にしているわけです。  その上で、今回の地域主権ということでございますけれども日本国憲法の下で言われている主権、後で御答弁をさせていただきますが、大体三つの意味がございます。一つは、国家権力が他のどんな力にも制約されず最高、独立であること、これは主権国という意味で使われます。主権が侵害されることがないようにという場合の主権もこれです。あるいは、国民及び国土を支配する権利、統治権、これは国権と同義に使われる意味での主権でございます。それに対してもう一つ、国政の在り方を最終的に決定する力、これは主権在民であるとか国民主権という言葉がございます。私たちは、この前二者ではなくて三番目の意味、つまり主権者たる国民が、日本国憲法の理念の下に、住民に身近な行政は地方公共団体が自主的、総合的に広く担うようにするとともに、地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようにする、まさに責任改革を行いたいんだと。私たちは、国民は、国家をしっかりと支える責務を持っています。それと同時に、地域に対しての責任を果たしていこうではないかということでございまして、是非御理解をいただきたい。  憲法九十二条にございます地方自治の原則、これは明示はされていません。ただ、次の三つだと考えられています。団体自治、住民自治、補完性の原則。この補完性の原則に沿って憲法の理念を、国民主権を更に広げたものだというふうに御理解をいただけると有り難いと思います。
  32. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 今のお答え、まさに一般的な主権の定義について、国家権力が他のどんな力にも制約されず最高、独立であることといった云々、今お話をされたと思うんですけれども、それは十分理解をしておりますし、その答弁も何度も確認をさせていただきました。  また、おっしゃられている意味は、多分そういった意味での旧来から使われている主権とは、この地域主権、同じような主権の意味合いとはちょっと違うんだということを言っているんだということも理解理解というか、意味合い、言わんとしていることは分かったんですが。  ただ、例えば、例えばなんですけれども、これは通告をしていたんですけれども国民主権という言葉を単純に英訳したらどういうふうな言葉になるでしょうか、お伺いしたいと思います。英訳。
  33. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 英語が苦手なので発音が正確で正しいかどうか分かりませんが、ザ・サバランティー・オブ・ザ・ピープルというふうに、例えばいわゆる行政情報公開法を法務省が仮訳をしておりますが、そこに国民主権という言葉の訳としてザ・サバランティー・オブ・ザ・ピープルと訳しておりまして、これが一般的だろうというふうに考えております。
  34. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  多分、サバランティーというのかな、サバランティーというような言葉だと思うんですが、主権という言葉は。私が辞書で引いて、私も詳しくないので普通に調べたら、ポピュラーサバランティーという言葉なのかなというふうには思っておりましたが。  これは国民主権の英語訳なんですけれども、それをそのまま当てはめて地域主権という言葉にすると多分ローカルサバランティーというんですかね、そういった言葉になるとは思うんですけれども、こういう言葉の意味だけでは全く違いは分からないし、私は、先ほどから原口大臣の説明を聞いても理解ができないのと同じように、外国人でもそうですし、一般的な方もやはりどういったものなのか分かりにくい、分からないというのが正直なところではないでしょうか。  私自身はこういった言葉の使い方はするべきではないと思いますし、誤解を与えるようなやり方、気持ちは時間を掛ければ分からぬでもないですけれども、やはり制度として、そして言葉として、こういった言葉を使うのは好ましくないと思うんですけれども、改めて原口大臣の見解を伺いたいと思います。
  35. 原口一博

    国務大臣(原口一博君) これ日本国憲法を英訳をした文章だと、さらに今のサバランティーという言葉で分かりやすいんじゃないかと思います。サバラン・パワー・リサイズ・ウィズ・ザ・ピープル、つまり国という主権国家に正統性を与えるものは一体何なのかと。つまり、それは主権者たる国民がそれを決定するんであるというこの崇高な原理。つまり、私たちは、じゃ補完性の原理というのは一体何なのかと、自らが地域でできることは地域でやるんです、サバランするんですという意味でありますから、そのまさに主権の存する国民が、だれか中央で官僚機構の権限を地域に分権するという、そういう意味だけではなくて、自らが積極的に地域をつくっていく権限を有するんだということを言ったものでございまして、英語にするとむしろ愛知委員がおっしゃってくださったように余計に分かりやすい言葉になるんじゃないかと、私はそう考えています。
  36. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 これは私の頭の問題かもしれないんで、理解できないのは今でも変わらないんですが。  例えば、これも、これで終わりにしますけれども、具体的には多分総務委員会とかでもっと深い議論がされると思うんですけれども、今、つい先ほどあった普天間の問題なんかそうですけれども国家の意思決定と地域の意思決定が違ったとき、主権が両方あるというのはおかしいんですよね、最終的に意思決定は一つですから。そういった場合にはどのような考え方で対応されるのか、ちょっと伺いたいと思います。
  37. 原口一博

    国務大臣(原口一博君) 今、普天間のお話がございましたけれども、国防や外交は国が有する責務でございます。ですから、国防を担う国がそれを決定をし、そして地域に御協力を求めるという形でございまして、補完性の原理、今委員がおっしゃったように、地域がもし国防を担う権限とそして責務を有していればその地域に主権があるなんということはあり得ないわけですね。  ですから、地域主権という言葉を分解して、地域に主権があるんだというふうに間違って考えて、誤解をされる議論というのがよくあるわけですけれども、私たちはそのことを言っているんじゃなくて、主権者たる国民が自らの責任と自らの判断において地域をつくる、このことを申し上げておるので、今の国防上のそごというものは起こらないものと考えております。
  38. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 そこはやはり一番分かりにくいところですし、多分国民の皆さん誤解されていると思いますよ、実際に。  地域の方でも、例えば普天間の辺野古もそうですけれども自分たちの意思がはっきり示された、だからあそこに基地を造ることは、移転されることはないだろうと思っていると思うんです。しかも、民主党の皆さんは地域主権だという言葉を使って、地域のことは地域で決めるんだと、その権限があたかも主権があるようにおっしゃられておるので、多分誤解されていると思います。これはしっかりと、それをひもといていくのは大変な作業になると思うんですけれども、改めてその点は指摘させていただきたいと思います。  今日は、実は全体的な議論をまたしたかったので確認の意味で質問をさせていただきましたけれども、多分同僚議員が総務委員会等でしっかりと議論すると思いますので、私の質問は原口大臣はもう結構ですので、あとは委員長にお諮りをしたいというふうに思います。
  39. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) じゃ、原口担当大臣、退席して結構でございます。
  40. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 では、改めて、先ほどこの一点についても、各論ではありましたけれども、相当私は今の現政権の考え方に不安を持っておるんですが、実は、そもそも論をもう一点お話しさせていただきたいと思います、憲法論なんですけれども。  私が、先ほど申し上げたんですけれども、所属して理事も務めておるんですけれども、財政金融委員会で実は菅大臣と憲法についていろいろやり取りをさせていただきました。私自身はこの問題について通告をもう先週の木曜日にはしておりますので、その中でしっかりと議事録を見てくださいというふうに言っておりましたので見ていただいていると思うんですが、菅大臣、副総理でもあるんですけれども、菅大臣の憲法認識というのを聞いて私は驚きました。随分極端な考え方を持っておるんだなと思ったんですが、例えば、一点について、三権分立についての考え方も相当彼は独自の考え方を持っているというふうに思います。  この点について改めて、これは多分、枝野大臣がこういった法令について、解釈については担当されていると聞いたので、菅大臣の御発言に関して、三権分立の御発言に関して見解を伺いたいというふうに思います。
  41. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 恐れ入ります。どこかで行き違いがあったのかもしれません、その菅大臣の議事録そのもの、直接私のところに事前に来ておりませんが、三権分立についてお答えをいたしますと、よく俗には三権分立と言われておりますが、日本国憲法は三権分立という言葉を置いておりません。それから、大学レベル以上の憲法の教科書では、講学上、一般的には権力分立原則というふうな規定、日本国憲法について解説をしているのが一般的であるというふうに考えております。  それは、立法と司法と行政がそれぞれ独立して牽制をし合ってという意味では、三権が分かれて別々に権力を行使するという意味では、一般的な意味では三権分立ということであるかというふうに思いますが、この権力分立システムを取っている国の中においても大統領制の国と議院内閣制の国とでは三権の関係というのにはそれぞれ違いがありまして、一義的に三権分立という言い方を必ずしもしない方が正確ではないかと一般的には言われているというふうに認識をしております。  日本国憲法の場合は、御承知のとおり議院内閣制を取っておりますので、立法府、行政府と司法府との間は完全に分離されておりますが、立法と行政は、行政を担う内閣が立法府である国会の多数意思によって選ばれていて、その多数意思によって行政の行動が、まさにこの委員会がそうでありますが、監視をされているという意味で、この二つの関係は、他の、三つ目の司法との関係とは若干異なっているという意味で、一般的には権力分立原則、その形態としては議院内閣制と、こういう整理、位置付けをするのが正確だろうというふうに認識しております。
  42. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 まず、ちょっと通告うまくいっていなかったのか、議事録を見ておいてくださいと言ったんですが御覧になっていなかったということなので、改めて申し上げます。  菅大臣が言っていたのは、私は憲法学者の言っている統治論の考え方は根本的に間違っているところが多いと思っています、つまりは三権分立といったような考え方は憲法のどこにも書いていないんですねということを言っておられました。確かに三権分立という言葉は書いてないかもしれないですけれども、実質的にそういった統治機構になっていると。図らずも、今、枝野大臣もおっしゃられたと思うんですが。  ただ、少しとらえ方が違っておりまして、私はしっかりとした三権分立だとは思っております。もちろん、国会内閣総理大臣を選出をして、その関係はありますけれども、逆に内閣からすると解散権がありますから、総理大臣に関して言えば、また司法に関しても違憲立法審査権もありますから、そういった意味で、三権というのはしっかりと抑制、均衡の原理が統治論の中にも表れていると私は考えて三権分立であるというふうに考えているものなんですが、その点について改めて、菅大臣は特に立法機関、我々国会が優先的だというような発言もされておりましたけれども、改めて見解をお伺いしたいと思います。
  43. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 今の菅大臣の議事録の発言がそのとおりだとすると、多くの憲法学者が言っているようにという三権分立という部分は若干事実認識が違うかなと。多くの憲法学者は三権分立とは言っていないと逆に私は思っています。むしろ正確に権力分立原則というふうにおっしゃっているというふうに思っておりまして、これは言葉の定義、位置付けをどういう言葉を使ってどう議論するかという話で、本質的な問題ではないというふうに思っています。  純粋な意味で三つが完全にばらばらになっているわけではないという意味で、例えば、大統領型を典型的な三権分立とすれば、議院内閣制は若干それよりは、少なくとも二権の間が近いという意味で、典型的な三権分立とは違うので三権分立とは言わない方がいいとするべきなのか、それとも、三つが分かれているということはそのとおりなので、恐らく中学校レベルの社会科の教科書では三権分立と書いているというふうに思いますので、そのことが間違っているというわけではないと。ただ、一般的に私の知る限りでは、大学レベルの憲法の議論においては、講学上、日本を三権分立と言うと大統領型との議論の混乱などが生じるので、余り使わない方がいいのではないかと、その程度の意味であるというふうに思っています。
  44. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 この委員会ではこういった問題についてずっと議論するものではないと私は考えていますので。ただ、今日は基本的な認識をお伺いしたいと。非常に、ほかの、しかも副総理がそういった発言をしていたので、それを危惧してお伺いをしたんですが。  今日は最後に一つだけ確認をしたかったんですけれども、その財政金融委員会でよく使っていた芦部先生の憲法の教科書の一部分を引用させていただきたいと思うんですが、これにも同じように書いてあるんですけれども、権力分立は国家権力が単一の国家機関に集中すると権力が濫用され、国民の権利、自由が侵されるおそれがあるので、国家の諸作用を性質に応じて立法、行政、司法というように区別し、それを異なる機関に担当させるよう分離し、相互に抑制と均衡を保たせる制度であり、そのねらいは国民の権利、自由を守ることにある、権力分立がすぐれて自由主義的な政治、組織の原理であると言われる、こういうふうに書いてあるんです。  この点についての認識はどう考えるか、お伺いしたいと思います。
  45. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 恐縮ですが、多分、今の読んでいただいたところも、主語は権力分立はと書いてあるように、まさに日本国憲法は権力分立原則取っておって、その考え方は今読んでいただいたように理解をするのがオーソドックスであり、私自身もそう考えております。
  46. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 私はそう言っていただけるとすごく安心をするんですけれども、菅大臣とのやり取りでは少し違った理解をしておりましたんで、菅大臣の発言はちょっと違った意味合いを含んでいたと思っておりましたので、しっかりと確認をしたかったと思うんですが、もう一点、この点についてはもう最後にします。  菅大臣がその場で、こういった問題あるからこそ、また政権の考え方、共通認識を持たなくちゃいけないからこそ、この国会においてしっかりと議論すべきだし、その点については整理すべきだという考え方を私が申し上げたところ、菅大臣も、いわゆる憲法審査会というものの中で一般的には大いに議論していただくことは私も賛成というふうにおっしゃっておられました。そのための国会であり、憲法審査会、法律でもそれを設置して議論するということだったと思うんですけれども、私もそこで是非しっかり議論するべきだと思いますけれども大臣の見解を伺いたいというふうに思います。
  47. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 憲法審査会は、議会においてどういう段取りでどうされるかということでございます。  権力分立原則、先ほど来議論になっております中で、私は国務大臣だからといって発言が制約されていることは基本的にはないし、何でも遠慮なく申し上げているつもりでございますが、ただ、立法府と行政府との関係というところはかなり権力分立原則の中で気を付けなければならないポイントだろうというふうに思っておりまして、行政府の一員としては、国会の皆さんに、この委員会のような行政監視の観点から一定のコントロールをしていただいたり、あるいは法律案を御議論をいただいたりということの関係立場の中にあるものでありますから、国会の中の運営について行政府の人間が行政府の立場として聞かれたときにお答え、意見を申し上げるということは、これは従来の慣習からもそうであったというふうに思っておりますが、差し控えた方が立法府と行政府との関係ということでは適切ではないかと。  そういった意味で、私自身の意見はございますが、ここは国会の中で、衆参それぞれの院の中で御協議をしてお決めをいただくことであるというふうに思っております。
  48. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 やはり、でも、我々立法府で、もちろん立法府の中だけでということもありますけれども行政も直接かかわっておりますし、その点について、まさにおっしゃるとおりに、お互いの役割、どういう立場でどういう役割を果たしていくのかというのは整理をしなくちゃいけないと思っております。  この点について、じゃ、官房長官にもどのようにあるべきかということを改めてお伺いしたいと思います。具体的には、憲法審査会についてどのような見解を持っているか、お伺いしたいと思います。
  49. 平野博文

    国務大臣(平野博文君) 今、枝野大臣が申し上げたことでございまして、やっぱりこれは国会の中での御議論、これを進めていただく中で関係するところがあれば関係していくということでありますが、一義的には、やっぱり国会の中での審査会の在り方について、あるいは進め方について御議論いただくことだと私は認識をいたしております。
  50. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございました。  是非、こういった問題はしっかりと憲法審査会で議論させていただきたいと思います。  また、改めてですけれども、官房長官におかれましては、私がお尋ねしたいことはもうすべて終了しましたので、結構ですので、委員長にお任せをしたいと思います。
  51. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 平野内閣官房長官、退席、結構でございます。
  52. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 では、改めて、公務員制度在り方についてお尋ねをしたいというふうに思います。  まず、一点ですけど、聞きたかったことがあったんで、先ほどの菅大臣とのやり取りでもあったんですけれども、その点について、まず仙谷大臣にお尋ねをしたいと思います。  実は、政治主導ということでいろんなことが言われておりまして、また、政治家の国会議員の内閣での立場についても様々な見解、民主党さんは持たれていると思うんですが、特に大臣や政務官、そういったミニスターと呼ばれる方々政府に、百人以上でしたっけ、とにかく多く採用していくという考え方を持たれているというふうに聞いておったんですが、先日、イギリスの行政特別委員会というところで、そういった政府に閣僚や閣外大臣らいわゆるミニスターが百十九人もいることについて、多過ぎて政府の効率性を害している、三分の一ほど減らすべきだと結論付ける報告書が発表されております。  これについて私が菅大臣にお尋ねをしたところ、いろんな考え方があるだろうけれども、取りあえずやってみるべきだ、やってみてからだという話をされておったんですが、それでは困るんですね。この点について、仙谷大臣の見解をお尋ねしたいと思います。
  53. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 私もそれほどイギリスの制度及びその運用がどうなっているかということに詳しいわけではありませんが、まずは、官僚のシステム日本と全然違うと。つまり、国会議員との接触禁止がイギリスの官僚組織にはあるというふうに聞いております。  それから、国会審議の在り方が全く違うと。つまり、こんなに頻々と大臣国会に呼び出される、時間が拘束されるということはどうもイギリスはないようでございます。いいか悪いか別にして、そういうことだというふうに聞いております。  それから、先ほど来の御議論を聞いておりまして、つまり行政、これ、先生がお得意の英語で訳するとどうなるのか。つまり、アドミニストレーティブパワーになりますかね、行政権力。それから、御承知のように、日本国憲法にも書いてありますけれども国会でいわゆる権力の正統性を付与されるこの権力はエグゼクティブパワーというふうに普通訳される。つまり、日本語がこれを行政権力というふうに訳しているところに混乱があるのではないかと。  つまり、執政、政治を執り行う執政権とでも訳した方が正しいのではないかというのがこの間、我々が議論をしているところでございまして、イギリスはイギリスでその執政権に基づいて任務分担を、閣外相を含めて百十数人ですかの閣僚、日本でいえば大臣、副大臣なのかも分かりませんけれども、いろいろの任務分担をしてやってきたと。ただ、これが余りにも、何というんですか、目立とうとする人が多過ぎたとか何かそんなこともあったのかも分かりませんが、かえってよく見えなくなっているというようなことが言われております。  ただ、イギリスの議会自身は、どなたを、つまり政府の人間あるいは行政庁の役人を呼んで議論するのかどうか分かりませんけれども、第一読会、第二読会、第三読会ですか、それから、逐条審議というふうなものが行われるようでありますね、各委員会においては。本会議及び各委員会で週一日、例の党首討論のようなああいう政治議論が行われるというやり方もやっておるようでありますから、やっぱり各国、積み上げてきた議論の仕方と法律の作り方と予算の作り方、これについての議会の決定権の問題とか、先ほど来お話しになっています憲法議論をどこでどのようにするか。つまり、政府の人間が、つまり執政を担う人間が入るべきなのか、それとも、それはそもそも議会固有の権限の範囲だから、内閣には憲法改正案の提出権限はないのであるからして、内閣は憲法遵守義務があるほか、余り憲法のことには触れない方がいいとかないとか、その辺の区分けとけじめというのは大変難しいなというふうに思っておるところで、これから日本は、やっぱり一つは議会の議論で改めて何をつくっていくのかということをまず考える、つまり国民に最も開かれた場所で合意形成をするという、そういう役割を議会でつくるのか、これはまあ政策の方ですが。それともう一つは、議会が行政監視の実を上げるためにどういう機能組織あるいは運営の仕方を持つのかと。やっぱりここがまずあって、それで行政府、政府の中に議員、特に与党議員がどのように入っていくかと、これを考えて日本的な制度なり運営、やっていけばいいんだと思います。  国民がよく分かって、次の選挙あるいは各種選挙にそのことをもって投票という格好で、あるいはほかの格好でもいいわけですが、参画できると、そのための政治だというふうに私は考えております。
  54. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 私がお伺いしたのは、与党議員が内閣にどれぐらい入っていくのか。民主党さんは、現政権ではもっと増やすべきだというふうに言っていると聞いていたので。ただ、イギリスの例でいうと、その先駆けであるというか、そういったことをやってきたイギリスは多過ぎるという結論が出ているんでどう思いますかということだったんですが。  いろんなことを御答弁されてよく分からなかったんですけれども、ここははっきりと方針は示していくべきだと思いますし、それ以前に議論が必要であれば堂々と議論すべきだと思うんです。特に、先ほどからやっていますけれども国会の中でやるべきだと思っています、私は。  ちなみに、付け加えて言いますと、現政権はもちろん民主党さんが総理大臣に鳩山総理を出して第一党として政権を担っておるわけですけれども、これは国会の中でも多数を占めておるんです、衆議院でも参議院でも。やはりそれを決定していくのは民主党さんの責任でもありますから、それは民主党から選出された閣僚としての考え方をお伺いしたいと思ってお伺いしたんです。  改めてですけれども、どうあるべきか、ここで議論すべきかということを民主党選出の閣僚としてお伺いしたいというふうに思います。
  55. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 大臣や副大臣や政務官が多いか少ないかという議論に収れんしますと、私は、例えば今の内閣府というところにも身を置いていますけれども、これは大臣が大変数がまだまだ少ないというふうに思いますし、厚生労働省あるいは総務省、総務大臣、厚生労働大臣の任務分担を見てみますと、一人でなさるのはこれは無理があると、あるいは利害相反関係にどこかで陥らざるを得ないような事柄について一人の大臣のところで役割というか機能を併せて持っているというのはこれはいかがなものかと、こういうふうに私自身は思いますので、日本の場合にはこの十七人の大臣体制というのは少ないと、もっと省庁も大臣も分けた方が機能的にいい仕事ができると、こういうふうに実感的に思っております。
  56. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 この点では私の考え方は全く違いまして、政治家の役割というのは意思決定にあると思っているんです。究極的に言うと政治家、総理なんかはそうなんですけれども、リーダーのやるべきことというのは私二つしかないと思っているんです。意思決定をすることと責任を取ること、これしかないと思います。どのような正しい決定を下して、しっかりとその結果について責任を取るかというのが大事ですから、人数が多ければ逆に、先ほどの議論でもあったとおりに、意思決定がはっきりしなくなって現場は混乱するということが出てくるんじゃないか、それを危惧しておりますので、意思決定の在り方をしっかりと考える方が私は大事だというふうに考えています。  時間がなくなったので、あと三分しかありませんけれども、最後、公務員在り方についてお伺いをしたいと思います。  今の話とも関連をするんですけれども、政治が意思決定をして公務員がその意思決定に従って仕事をする、また大局的な判断を政治家がして、専門的な知識を持って事務的な仕事をしていくのが一般的に公務員だと、いろんな役割分担の仕方があると思うんですけれども基本的にはそういう形だと思うんですが、その公務員についてですけれども、まず本当にそもそもどうあるべきかという議論を私はすべきだと思っております。  天下り一つについてもそうなんですけれども民主党さんは天下り根絶するって言っているんですよね。改めてちょっと確認したいんですけれども、天下りについてどのような姿勢でおられるのか、伺いたいと思います。
  57. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 昨年の九月二十九日の閣議でも、天下りのあっせんの根絶ということを決めております。もう少し申し上げれば、退職金も何回ももらうような天下り、あるいはそういう進駐軍が、いつもその組織の、エージェンシーならエージェンシーの上に進駐軍が来て全く意気阻喪するような、士気が阻喪するようなそういうこと、あるいはそこになおかつ利権関係が、民間会社であれば利権関係があるようなところに関係しておった官僚が行くという、こういう再就職するというような格好は絶対に許しちゃならないと思っています。
  58. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 時間がなくなってしまいましたので私自身がお話をさせていただきますけれども基本的には天下りは根絶していこうと、いろんな問題が出てくるので根絶していって、その一方で人件費は削減していくという話をされていると思うんですが、そうなると、公務員自身の、先ほど公務員のやりがいという話もされていたと思うんですが、条件が余りにもおかしくゆがんできちゃうんじゃないかと思います。  イギリスの例で、私は詳しくはないんですけれども、例えば諸外国の例で、そういった天下りをしっかりと禁止している、日本のような天下りはないのかもしれないけれども、その代わりに年金であるとか公務員の条件、しっかり安心して働けるような環境というのは正式にしっかりとした制度がつくられているというふうに一般的に聞いておりますが、その点もしっかり踏まえた上で、やはり人材としてうまく活用する、悪いことは絶対させない、当然ですが、人材として活用できるような公務員制度というのを構築していかなければいけないと思いますが、その点についての明確なビジョンというか方向性というのがさっぱり分からないんです。  その点について最後、時間がなくなりましたので、お伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  59. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) ハッピーリタイアメントをされて年金で暮らしていくという、イギリスやヨーロッパはそういうケースが多い。例えば今度のギリシャは、五十七歳で大体もうお辞めになって年金で暮らしていくと、こういうふうなお話も聞くわけでございますが、私は日本人というのは、もう六十であるいは六十五でもそうですが、その後働かないでおられるかというと、そうはなかなかいかないのではないかという気がいたします。  で、自民党さんの方で、公務員の年金の特例加算でございましたか、あれについてもこれを減額するという主張と法案を出されておったこともあるような気もいたしますので、そして今の国家の財政的な観点からいいまして、あるいは今アジアを取り巻く賃金の下方平準化というこの大きな流れから見ましても、先生のおっしゃるのは理屈としては成り立っても現実にはなかなかこれは容易ならざる話だなというふうに今感じました。
  60. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 終わります。
  61. 風間昶

    風間昶君 公明党の風間でございます。  先ほど仙谷大臣が、この国会行政監視が必要だという御発言を加藤委員の質問に対して御答弁されておりまして、まさに国権の最高機関である国会国民に代わって政府及び官の活動を監視するのが本来の行政監視であるというふうに思いますが、そこで、先ほど加藤さんは、お一人お一人の倫理の問題もさることながら、システム上の問題を言及されましたので、私はむしろ逆に倫理の問題をきちっと確認をしておきたいというふうに思います。  この委員会では広く公務員に関する問題を扱いますけれども、私は、結論的には、国家公務員制度でまず憲法にうたわれている主権在民というのを徹底すべきだというふうに思っているわけでございます。今日ほどある意味では官の政治、行政における様々な重大問題になったことはないわけですね。薬害肝炎、事故米あるいは年金の記録消失、官製談合、地方労働局の不正経理などなど、挙げればもう、まさにこの続発する公務員の不祥事に官僚内閣制が対応できなかったからこそ政権交代が起こったんだとも言えるんではないかと私は思っているわけで、そこは認識共有できると思います。  まさに、今日の我が国というのは主権在民の民主国家でありますから、公務員というのは戦前の天皇の官吏ではなくて全体の奉仕者であるということはきちっと憲法十五条にうたわれておりますし、先ほど大臣も一人一人が国民全体の奉仕者として職務遂行していくということを、憲法十五条をお述べになられたとおりでございまして、だから、政府及び官というのは全国民に共通する社会一般の利益、いわゆる公共の利益を実現するためにのみ存在しているというふうに、これまさに国家公務員法でも九十六条で規定されているところでございます。  ところが、先ほどから話がありますように、この非民主的な人事慣行であるキャリアシステムあるいは天下り、もういまだに戦前からの官イコール公イコール国という概念で、観念で行政が運営されているという状況が蔓延して、結果的に、国民に対して公務の民主的で能率的な運営を保障するという国家公務員法の目的、これ第一条にありますけど、これが妨げられているというふうに私は認識せざるを得ないと思っています。  だから、この主権在民ということをきちっと徹底することが大事だというふうに思っていまして、この認識をやはり大前提に置く必要があるんではないかというふうに思いますが、仙谷大臣のお考えを伺いたいと思うんですけれども
  62. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 風間委員基本的な認識を共有しているというふうに今実感をしました。  その上で、野党の時代にいわゆる国会の同意人事というものを担当することになりまして、この問題、まあ単に党派的あるいは政局的に賛成とか反対とかいうんじゃなくて、まじめにちょっと勉強をしてみますと、実はこれは国民公務員の選定罷免権、多分十五条の三項だったような気がしますんですが、その公務員の選定罷免権に基づいてあの種の条項があるんだというふうに学問上書かれているということに改めて気が付きまして、そうだとすると、私はこれを、今、風間委員がおっしゃった、公務員、存在そのものが主権在民という、何というんですか、認識あるいは考え方の下にすべてが構想されなければならないとすれば、その主権在民を国民の側からもやっぱりあらゆる機会に、何というんですか、運動していくというか、そういう意識に基づいて国民の側からも監視をしていくというか牽制していくということがないと、先ほどおっしゃったように、いつしか惰性に流れ、腐朽するといいましょうか、朽ち果てるというか、それで腐臭ふんぷんたるものになることがあるという御指摘のようになると。だから、やっぱりこれは議会なり、つまり国会なり、国会の附属機関でもいいわけでありますが、あるいは全然第三者的な機関でもいいわけですが、制度的にふだん国民公務員のビヘイビアを監視できる仕組みをどうつくるのかということもまた一つ課題なのかなというふうに考えております。
  63. 風間昶

    風間昶君 大臣の一番最初に御発言されたときに、私ちょっと聞き違えたらごめんなさい、あれしていただければと思いますが、国会行政監視が必要だと。と同時に、国会監視、チェックする機能が必要だというのは今の大臣のお言葉とも受け止めさせていただいたんですけど、国会行政監視をするのは大事なんだけど、国会をまた管理、チェックする、これ、国民の方がやるわけなんですけど、選挙なり何なりを通じてですね、そういう意味合いを持ってとらえていけばいいんでしょうか。それが属機関ではないけど、第三者機関というふうにも考えていいんでしょうか。
  64. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 後者の意味で、意味でというか、後者のようなことを申し上げたつもりは全くありません。  つまり、衆議院であれ参議院であれ、決算行政監視委員会であれ行政監視委員会であれ、ここが行政監視の実を上げるためにどのような制度的な担保を自分のところで持つかと、あるいは自分のところの附属機関として持つかと、あるいは自分のところの附属機関でなくても、連携できる、例えばオンブズマン制度なんていうのはそうだと思いますよ。議会オンブズマンという議会の下に付いたオンブズマンもあれば、もうちょっと独立したオンブズマンがあって、議会に報告するとか議会と連携するとかというやり方も行政監視のやり方としてどうもあるようでございます。  私は、どちらかといいますと衆議院だけを見ているからそういうふうに思えるのかも分かりませんが、あるいは政治家の方が国会職員皆さん方の持つ優秀な能力を使い切ってないのかも分かりませんけれども、やっぱり専門的な調査という観点からは国会はまだまだ弱いと。特に、行政監視というレベルから、もう少し専門的な方々や、あるいは極端に言えば警察や検察の力を借りて、出向でも求めて、そういう調査機能を持ってもいいぐらいだなという、そういうことまでも考えておりまして、やっぱりもう少し調査機能が充実された方がいいと、人的、質的にもいいのではないかと、そういうふうに思っておるものですから、先ほどああいう発言をしたということでございます。
  65. 風間昶

    風間昶君 分かりました。  じゃ、ちょっとまた引き戻して、主権在民を徹底すべきであるということはまさに大臣もそのとおりだというふうに、私と同じだと思います。  そこで、この主権在民に基づく運営するためには、公務員はまさに全国民に共通する社会一般の利益のために勤務するという、国家公務員法で言われているわけですけど、私はもう一つ職務の遂行にあっては不偏不党、中立性ということを旨として全力でこれに向かわなきゃならないということが必要じゃないかというふうに思っています。  とりわけ一般公務員職務遂行にはやはり政治的中立の確保というのが極めて大事で、そのためには人事行政が中立公正に行われなきゃならないというふうに思っていまして、だけれども、現実的には、今日的には、政治主導による幹部公務員人事が追求されているように思えてなりませんし、それがまた一般公務員職員職務遂行に中立を脅かすような状況になっているとすら考えられるわけでありまして、本来、公正中立に働かなきゃならない、職務遂行しなければならない公務員制度へ政治が過度に介入するということが、一般公務員職員職務遂行に政治的中立性を失わせる、それが逆に今度、逆にというか、それが主権在民に反する公務運営を生み出す結果になっていくんでないかと危惧いたします。  したがって、私はこの人事行政の中立的公正を確保する仕組みをもう一つどのように確保していくのかということが極めて重要な検討課題だと思いますが、この件に関してのお考えはどうでしょうか。
  66. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 中立公正という言葉があるわけでございますが、必ずしも日本国憲法を始めとする公務員制度の規定の中に中立という文言は、何というんですか、常套句のように使われておりますけれども、中立という法律概念というか用語が使われているというのは余り見当たらないというか、私もそう思います。  公務員の中立性というのは何だろうかと、あるいは公務員行政の中立性というのは何だろうかと、こういうふうにやっぱり問題を立ててみますと、国家公務員法の第三条の二項には、人事行政の公正の確保という用語が出てくるわけでありますが、人事行政の中立公正の確保という言葉はここには書かれておりません。  それから、実は、今ここに持っておりますのは、公務研修・人材育成に関する研究会という、こういうパンフレットでございます。これは、実は人事院公務員の研修をどうしたらいいんだろうかという観点で、諸外国のことを調べながら有識者に議論をしてもらって昨年の二月にまとめられたものであるようでございます。  その中に、今日の公務員については、政官関係のあるべき姿の実現のため、政治に従うこと及び政治を支えることに向けた育成を適正に行うこともとりわけ重要であると、こういうふうに書かれているわけであります。その前に、全体の奉仕者としての意識の徹底と。全体の奉仕者としての意識と、あるいは全体の奉仕者というところに、党派的に偏らない、つまり、中立でなければならないということとほぼ同義の要請があるのかなと。しかし、先ほど申し上げたような、政治に従い政治を支えるための意識や能力の涵養というようなことになりますと、政治に従ってこれは果たして中立というような言葉がここへぴたっとくるのかという議論になるわけであります。  私は、この間、日本の戦後の政治も政権交代がなかったことによって、やっぱり中立というものがどうも、何というんですか、もう一つ訳が分からなくなっている。  例えば、税務署の職員や警察官や検察官や、つまり、あるいは裁判官も含めてですね、法執行を担う公務員方々は、法執行あるいは彼らの判断過程において、これは好きだ嫌いだ、右だ左だ、何々党の支持者だからどうのこうのとか、だれだれから声が掛かった掛からないとか、そういうことからは全く自由あるいは独立不羈、あるいはおっしゃる中立公正でなければならないと思います。  ただ、特に霞が関のキャリアの方々のように、政策の企画立案というようなことを考えますと、これ企画立案の前提たる調査とか事実を認識することにおいては客観的でなければなりませんけれども、ある政治がこういう方向で政策を立案してほしいということを政治が決めたときに、いや、私は中立ですから、そんな民主党さんの言う方向で政策立案できませんというふうに言われたら、これはどうにもならないというか、ことであります。  ただ、その方向性に従うことが果たして中立という概念とどう符合して、いや、公務員の本来の使命の企画立案の中立というのは、今ここでお示ししたように、人事院ですらお書きになっているように、政治に従い、政治を支えるための意識や能力を涵養して、そういう官僚が中立公正な官僚なんだと。つまり、政権が替わろうと何しようと、替わった政権方向性あるいは要請に基づいて自らの能力を発揮することが中立公正なんだと、こういう解釈でいくしかないかなというふうに思います。  それからもう一つは、公務員評価の問題は、先ほどから申し上げておりますように、公正な評価がなされなければならないと思いますし、そのためには評価者が心して、好き嫌いやあるいはあいつは昨日まで自民党を支持していたように見えるからちょっと点を低くしておこうとか、その反対のことをやるというんでなくて、やっぱりその行動と職務遂行の実績あるいは能力、それを見て公正に評価すべきだと、そういうふうに考えております。
  67. 風間昶

    風間昶君 今の私のとらえ方がもしあれだったらまた、大臣、お述べいただきたいと思います。  企画立案については中立公正で必ずしもなくてもいい、あるいは一党に、ある党にシフトしなくてもいい、自由度があってもいいというふうな受け止め方で、一方、法の執行をする公務員は独立不羈、中立公正でと、こう何か二つに分けられて私話しされたかのように伺ったんですけど、それじゃまずいんじゃないかと思うんですね。やっぱり、公務員法九十六条で、すべての職員国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務しとなっていますから。  そこで、私は、最初に戻りますけど、その国民全体の奉仕者としてという前に、国民主権という、主権が国民にあることを自覚した上で国民全体の奉仕者としてという言葉がきちっと明確に入った方がすっきりすると思いますし、もう一つは、その職務の遂行に当たって、やはり企画立案と法律そのものを執行する公務員の方との二つに立て分けることなく、両方に係れるようにこの中立公正を旨としという言葉を入れた上で、全力を挙げてこれに専念しなければならないという方が私はすっきりするんでないかというふうに思いますが、いかがですか。
  68. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 結局、企画立案に携わる人と執行に携わる人、それは別に固有名詞として一人の人間が、あるときは企画立案に携わり、あるときは執行に携わるということは十二分にあるわけですが、その場合場合によってそこのところは中立公正の中身が変わってくるというふうに理解するしかないんだろうと私は思っております。  例えば、これ、さっきの人事院のお書きになった政治主導を支える全体の奉仕者像という、新しい時代の職業公務員の育成というパンフレットを見ますと、こういうくだりもあります。職業公務員には、選挙を通じて国民によって選ばれた時々の政権に従い、その方針を的確に把握し、専門家として選択肢を提示するとともに、着実に政策を実施することで、政権を適切に支えていくことが求められると、こういう記載があるんですね。  それで、先生のおっしゃる国民主権あるいは主権在民というのは、その時々の選挙によっては国民主権の大方の選択というものがそこに表れるわけでありますから、その国民主権に基づきというか従い、公務員はその職務を遂行しなければならないというふうに問題立ったときに、選挙の終わった後、多数派を占めて政権を担う、その政権にやっぱり従って方針を的確に把握するということになること自身は、それがまさに中立公正の意味になるんだろうなと思います。  ただ、これは他の野党から見たら、あの公務員は手のひらを返したように時の政権に追随をしておると、これは中立と言えるのかと、こういう議論になる余地が全くないわけではないわけですが、これは今まで政権交代が行われていなかったという歴史的な経緯の中で、あたかも中立公正という文句を、何というのかな、文句じゃない、言葉を外に出して言いながら、実は某党の族議員と一緒になって某党の手先のようなことをして走り回る公務員というのは、たまたま見ましたね、我々。そういうのを中立公正というお題目の下で庇護する必要は全くないと私は思いますけれども。  だから、中立公正というのは、やっぱり職務の中身とそれから職位によっても相当違ってくるのではないかということを考えております。これは先生方と余り神学論争にならないような議論をすべきテーマだなと、この間、思っているところです。
  69. 風間昶

    風間昶君 これは、私まだ十分大臣の御発言把握できていませんので、またの機会に譲りたいと思います。まさに神学論争をやっても余り生産性はないわけであります。  ただ、きちっとやはり規則というか国家公務員法の中に入れ込むことが一つの大きなハードルになっていく、抑止力にもなっていくと、不祥事につながらないという、そういう意味で私は感じているものですから、また新たにちょっと議論をしたいと思います。  それからもう一つ、鳩山総理の施政方針演説の中に新しい公共というふうにありますが、これは、官が独占していた領域をNPOなどの新しい担い手、NPOだけじゃないと思いますけれども、そういう意味では、鈴木副大臣が教育の問題で、官イコール公、公ね、教育分野でいうなら公立高校というのは今まで官立高校だったと、そうではなくてこれからは公共立としたいという。これはまさにこの新しい公共ということを言い得て妙だなというふうに副大臣の発言を思っているんですけれども。  だけれども、私は、結果的にこのNPOなどの方々の積極的な参加で官の方の責任と役割というのがあいまいになってしまっては、これは本末転倒だと思っております。そういう意味で、NPOの方々がまさに行政の単なる下請にならないようにするためには、この新しい公共ということの部分をどうやはりきちっとこのジャンルで、公務員制度改革の中のジャンルで位置付けるかということが極めて大事じゃないかというふうに思うんですが、そこはどうでしょうか。
  70. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 公共という、パブリックでしょうけれども、この中身というのはやっぱり時代時代で変わってくるんだと思うんですね。公共事業の典型と言われています例えば農業土木のかんがい排水施設というのは、まあこれは農林省、元の名前でいうと構造改善局のお得意の事業であったわけですが。  よく考えてみますと、多分戦前は明治、大正、昭和の初年はある種の農村の自然共同体の中で名主か庄屋か、あるいは区長か何か知りませんけれども、その地域の地主さんが、地主さんで名望家が村人を動員して用水を造ると、だから何とか用水というふうに名前の付いたのがいろいろ全国各地で残っていますよね。いわゆるそれは官そのものでもないし、税金で造らなかったんだけど、みんなが自然共同体の中で公部分自分一人のためだけじゃない、その地域の社会の生産のための装置を造ろうじゃないかというふうなことで、公共的性格が極めて強い設備を造る、あるいは集まりを持つ、文化共同体ができるというふうな、そういう世界があったんだろうと思います。  ところが、ある種現代国家というふうに位置付けられて、やっぱり国家なり地方自治体が、中央政府なり地方自治体がどんどん面倒を見るべきだし、見なければ人々の生活が安定しないという、つまり一人一人が自然共同体から解き放たれてというか、自然発生的にはその共同体が解体をさせられる過程があって、それで一人一人が個々アトム化することと対応して、これはいわゆる税金を使ってでも官公が出ていかざるを得ないと、こういうことにここまでなってきたと。ただこれは、これをどこまで続ければいいのかということもありますし、官が税金をもってやるというためにはそれなりのまたこれ制約もあるわけですね。例えば、生活保護の世界はミーンズテストが必要だとか、あるいは非常に多くの書類を徴求しなければいけないとか、そういう問題が出てくると。  そうじゃなくて、その機能自身を担う人が、市民が担うんだけれども、その仕事は公共的なものだと。じゃ、その資金をどうするのかといったときに、それはできれば寄附とか持ち寄りでできればいいんじゃないんでしょうかと。持ち寄りについて、じゃ税額控除というふうなことはやった方がいいのではないかと。大体論理としてはそういうふうになってきておって、私は、これからはできる限りそういう市民の、つまり法律関係だけではない、つまりこの社会の中の人間同士の関係性みたいなことで、鈴木寛参議院議員風にいえば、まさにテーマコミュニティーがあらゆるところにつくられると。そのテーマコミュニティー一つ一つが新しい公共といえば新しい公共と、NPOであろうが元の自治会であろうが敬老会であろうが、それは形は何でもいいんでと言うと語弊がありますが、どのようなものでもそこでの行われている人々との関係と活動そのものが新しい公共というふうに我々が範疇付けしたいものであるというケースはこれからどんどん出てくるんじゃないでしょうか、そんなふうに思っています。
  71. 風間昶

    風間昶君 枝野大臣、済みません、時間がないのでもうあれなんですけれども、一言。  独法通則法の廃止がゴールだというふうなメディアの報道もありますけれども、一言で言うと、この独法のどこに問題があって、なぜ廃止するのかということを是非教えていただきたいと思いますけれども
  72. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 報道いろいろされておりますが、ゴールとは申し上げたんですが、今すぐに独法通則法廃止を当面の目標としているわけでは必ずしもありません。  これから仕分等をした上でそういった方向になるのではないかというのが見通しでございますが、いずれにしても、今の独法制度は大変多種多様、特に国との関係行政との関係が多種多様なものを一つの独立行政法人通則法という箱の中にほうり込んでしまっているので、あるものについては国の関与が弱過ぎるし、あるものについては国の関与が強過ぎるし、あるいは会計や人事の制度についてもそれぞれちょっとずつ適正なものからずれがあると、こういう認識を持っているものですから、それぞれの行うべき業務に最も適したガバナンスの形態をつくっていけば、結果的に箱そのものは空っぽになる可能性が高いのではないかと、こういう見通しを立てているということでございます。
  73. 風間昶

    風間昶君 終わります。
  74. 山下芳生

    山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  去る三月二十九日、大阪地裁において、一九九八年十月に過重な勤務環境の中でうつ病を発症して過労自死された、当時大阪府堺市立中学校の女性教諭T先生五十一歳の公務災害を認める判決が下されました。  原告であるT先生の夫Aさんは、二〇〇〇年十月に地方公務員災害補償基金に公務災害の認定を申請しましたけれども、同基金大阪支部は、二〇〇四年十二月に公務外の認定処分を行い、その後、夫Aさんの審査請求、再審査請求とも棄却をいたしました。その間、八年もの歳月が費やされたわけであります。しかし、大阪地裁の判決は、T先生が自死されたことと公務との間に相当因果関係が認められるとして、公務外の災害と認定した処分を取り消すよう命じたわけであります。大阪の読売新聞は一面で「学級崩壊で自殺 公務災害」と報じ、各紙とも大きく取り上げました。  T先生は、一九七六年から大阪府堺市立の小学校、中学校で教壇に立ち、一九九六年、新たな中学校に赴任されました。翌年、二年生の担任になったのですが、当時、学校はいわゆる荒れた状態にありました。T先生も、男子生徒におなかを殴られる、職員室でいすに座ったまま引き回される、体育大会では生徒が担任の先生を引っ張るタイヤ引きリレーで無視され、一人取り残される、授業中に生徒から取り上げた漫画を奪い返された上、隠されるなど、数々の問題行動に直面します。  T先生の夫Aさんの裁判での意見陳述書を読むと、それでもT先生は学校の荒れを何とかしたいと、改善したいと心から思っていたことがよく分かります。T先生は、このままでは暴力が当たり前、最低限の学力も身に付かないまま、大切な成長期をいたずらに過ごしてしまうことになると、そう心配されていました。教師としての良心がある以上、この問題から逃げることはできないと思っていました。  そのように多くの教師が真剣に考えていたのですが、残念ながら学校としての対応がなく、教師が個人的に必死で対応をしていました。授業中のエスケープや妨害で授業が成立しないため、生徒が後でも分かるようにとT先生は毎晩夜遅くまで自宅でプリントを作っていました。最低限の学力を身に付けさせるのは教師の責任だからです。でも、せっかく作ったプリントが紙くずや紙飛行機にされて飛ばされるのを見るのはたまらぬと訴えていたそうであります。  実は、担任になって二か月後、T先生は心療内科でうつ病と診断され、医師からは三か月休職の診断書が出されました。しかし、学校側から、先生が休むと子供が見捨てられたと思う、頑張ってください、こう言われて、結局休まないことになりました。そして、十一月、漫画事件が最後の授業となり、緊急入院され、そのまま休職して自宅療養を続けましたが、翌年の十月、五十一歳で自死されたわけであります。とてもつらかっただろうなと思います。また、自分の妻がこういう亡くなり方をしたらたまらなく悔しいだろうなと思いました。  大阪地裁の判決は、うつ病発症後も休業せずに勤務し続けたのは学校側の事情によることが大きい上、そのような中で勤務を継続するT先生に対して学校側からの何らかの軽減措置や支援策が講じられた形跡は認められないこと、T先生は過酷な環境下において強度の精神的ストレスが積み重なった状態にあったと言え、公務としての過重性は優に肯定することができるとして、T先生の死と公務との間に相当因果関係が認められるとしたわけであります。  原口総務大臣、私は、この判決は、当然とはいえ良識ある判決だと思います。ちょうど今日が控訴期限ですが、私はこれは控訴すべきではないと思います。T先生の自死が公務災害であることを行政がきちんと認めてこそ、学校現場で起こっている問題を社会に提起し、再発防止のための対策を取ることができると思います。  総務大臣、いかがでしょうか。
  75. 原口一博

    国務大臣(原口一博君) 山下委員お答えいたします。  冒頭、そのT先生の御冥福を心からお祈り申し上げます。  この事案は、堺市の公立中学校の先生が心身の変調を訴え自死をされた事案でございます。基金は公務外と認定しましたが、今委員がおっしゃったように、大阪地裁では公務災害と認める判決があったと承知しています。個々の事案については基金において控訴するかどうかの判断をしていただくべきものでございますが、基金からはこの事案については控訴しない方針であるというふうに聞いています。  その上で、質問の、いろんな議論をする中で私極めて問題だと思ったのは、公務起因性を判断するに当たり困難な点として、地方公務員災害補償基金認定の理由書というものを手元に持っていますが、これ、うつ病に対する基本的な認識を私は間違っているんじゃないかと思っています。例えば、対教師暴力を受けていたのは本人だけではなく、数回にわたり対教師暴力を受けている同僚職員もいたと。これが困難な理由の中の一つに挙げられているわけです。要するに、ほかの人も受けているんだから、あなたが受けたことは大したことないじゃないかと言わんばかりの話なんです。逆に、それほど暴力が深刻化していたという観点がどうしてないのかと。私、総務省の中で、この理由書がいかに合理性を欠いているか研究をするようにという指示をしたところでございます。
  76. 山下芳生

    山下芳生君 やっと十二年の思い行政に届いたというふうに思います。  川端文部科学大臣に伺いますけれども、T先生は、私は、教師として誠実に、そして懸命に奮闘されたと思います。それでもこうした悲しい、悔しい出来事が学校現場で起きていることを文部科学大臣としてどう思われますでしょうか。
  77. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) もう十二年前の話でございますが、改めて御冥福をお祈りしたいというふうに思いますし、先ほどいろいろ事実関係をお述べになりました。私も地裁の判決の中の要旨を見させていただいて、まあ当事者でないので事実関係つまびらかに承知する立場でありませんが、今先生御紹介ありましたような事例が裁判でも引用されていたということは多分事実なんだろうというふうに思いますし、そういう意味では、休職をされ、一年足らずのときに自死をされるという間の御本人の思いと苦しみは計り知れないほどの重いものであったというふうに思っております。  そして、本来、我々の立場でいえば、学校現場においてそういうことが当然起こらないように、そしてそれは学校現場基本的には校長先生が総監督責任者でありますので、校長先生がそういう管理者の立場で、教育現場に万一そういうことが起こらないようにというリーダーシップを発揮すると同時に、一人で抱え込まないように、みんなで相談をしてしっかり対応するようにということを周知徹底をしているところでありますし、一方でカウンセリング体制等々の充実も図っているところでありますが、そういう中でこういう事態が起こったことは極めて遺憾なことであろうと思いますし、逆に言えば、いろんな体制を取ってきたのは、こういうようなのも踏まえながら、現在そういうことが二度と起こらないようにという体制をこれからもしっかり充実して取っていくべきだと考えております。
  78. 山下芳生

    山下芳生君 今大臣からおっしゃられたように、この問題というのはT先生だけの問題ではありません。  このところ学校の荒れが広がっているという指摘があります。文科省、過去十年間の公立小中高等学校における校内暴力の発生件数、どうなっていますか。
  79. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) お答えを申し上げます。  過去十年間の公立小中高等学校の校内暴力の発生件数ということでございますが、私どもの児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査によりますと、平成十一年度の公立小中高校における校内暴力の発生件数は三万一千五十五件でございまして、うち対教師暴力が四千八百七十七件、器物損壊が一万七百二十二件となってございます。また、平成二十年度の公立小中高校における校内暴力の発生件数は五万三百七十八件でございまして、うち対教師暴力は七千八百四十八件、器物損壊が一万六千二百八十四件でございまして、いずれも平成十一年度より増加しているところでございます。
  80. 山下芳生

    山下芳生君 資料の一に詳しい数字を配付しております。三万件から五万件に、学校内暴力行為は十年間で六割も増えました。学校の荒れが急速に広がっていると思います。その下で、教師の病気休職、精神疾患が増加しております。  文科省、過去十年間の教員の病気休職者数と、そのうち精神疾患による休職者数はどうなっていますか。
  81. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) お答えを申し上げます。  平成十一年度における公立学校教員約九十三万九千名のうち病気休職者数は四千四百七十名でございまして、うち精神疾患による病気休職者数は千九百二十四名でございます。また、平成二十年度における公立学校教員約九十一万六千人のうち病気休職者数は八千五百七十八人でございまして、うち精神疾患による病気休職者数は五千四百人となってございます。
  82. 山下芳生

    山下芳生君 資料の二に数字を配付しております。この十年間で病気休職者数は約二倍になりました。そのうち精神疾患による病気休職は二・八倍です。病気休職者数に占める精神疾患の割合も四三%から六二%に増加をしております。  T先生の公務災害認定を求めておられた大阪教職員組合の先生たちに聞きますと、こういう声が返ってきます。教員定数がぎりぎりで、自分のクラスのことで精いっぱい、隣のクラスを支える余裕がありません。今、不登校の子が複数いるクラスも珍しくないのです。そうしたクラスの担任の負担は大きい。まじめな人ほど自分の能力、力不足と考えてしまって、大きな悩みを抱えてしまう。教師が孤立しています。  私は、根本的な解決方法は二つだと思います。一つは教師の数を増やすこと、そしてもう一つは少人数の学級にすること、文部大臣、この二つ、いかがでしょうか。
  83. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) 御指摘のとおり、教員の勤務状況は、残業時間が増えているというのは実態としてありまして、一か月平均で、一か月当たりで平日が三十四時間、休日は八時間、合計四十二時間一か月当たり残業しております。そして、授業準備に十分時間が取れていないと感じている教員は、小学校ではとても感じる、割と感じると答えた教員が九割を超え、中学校では約八五%ということでありますので、授業の準備でさえ大変、できないということですから、先生御指摘のようにほかのことまで手が回らない実態があることは事実だというふうに思っております。  そういう意味で、御指摘のように、まず数は増やさなければいけないということで、平成二十二年度予算では四千二百人の定員増、これは自然減を差し引いて三百人増でありますが、平成二十年度が千人増で実質三百人減、平成二十一年度は八百人増で実質千百人減に比べて、久方ぶりに増員の定数を確保させていただきました。  同時に、二十三年度以降の学級編制、これは昭和五十五年以来四十人学級というのは変わっておりませんので、学級編制あるいは教職員定数改善の在り方について本格的な議論に着手をいたしまして、現在有識者のヒアリングを開始して幅広い意見を伺っております中で、今年の夏までに来年度概算要求に向けて取りまとめるように、中央教育審議会の御審議を見ながら、その目標で進めることにしております。
  84. 山下芳生

    山下芳生君 今かなり増やしたんだ、進んだというお話でしたけれども、私は、これまでの対策では不十分だったというのははっきりしていると。だからさっき紹介したような数字が出ているわけですね、現場の実態にとても追い付いてなかったと。今大臣から答弁のあった四千人で本当に大丈夫かというのも極めて心もとないことだと思っております。十年間で二・八倍精神疾患で休む教師が増えたと。私は、こうした先生、それから暴力行為や不登校という形でSOSを発する子供たち、当事者の問題であるとともに、授業が成り立たないという状況は、すべての子供たちの学ぶ権利にかかわる問題だとも思います。だから、いろいろやっています、こうやりましたというだけでよしとしないで、真剣に緊急に抜本的な教師の増加を図ることが必要だということを申し上げておきたいと思います。  それから、教師の絶対数の不足とともに、正規の任用ではなくて、臨時的任用、非常勤の講師が増えていることも問題だと思っております。  資料の三に、公立学校の教員のうち臨時的任用と非常勤講師が占める割合をお示ししております。小中高、特別支援学校全体で、常勤換算で一〇・三%、実数だと一六・四%にも臨時、非常勤の先生の割合がなっております。これでいいんだろうかと。様々な困難を抱える子供たちが増え、学校の荒れが広がっている今こそ教師が、個人的な対応ではなくて集団として、そして系統的に子供たちとしっかり向き合うことが求められていると思います。  定数内で臨時、非常勤が増えていることはそれに逆行すると。定数増とともに正規の任用に切り替えていくということが大事だと思いますが、文部大臣、いかがでしょうか。
  85. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) 先ほど申し上げましたように、絶対数の教員を増やすことが一番大事なことであるという認識は我々もそのとおりに思っております。そういう中で、現実には都道府県の教育委員会、地方において、正規教員を補完する意味でいわゆる臨時的任用教員、非常勤講師、非常勤講師の場合は特に専門的な部分をごく短時間受け持っていただくという部分も含めてでありますから、そういう創意工夫の中で進めることの幅は各都道府県の教育委員会に任されておりますからそれに基本的にはゆだねておりますが、しっかりとした授業が正規教員で図られることが大前提であることは申すまでもございませんので、そういう部分でまずは定員増が可能となるような四千二百人の定数改善を行いましたと同時に、先ほど申し上げました学級編制の在り方等々、来年度予算編成に向けて取り組んでまいりますが、趣旨としてはまさにきめ細かい充実した授業ができるというのが本意でありますので、それに向けて頑張ってまいりたいと思っております。
  86. 山下芳生

    山下芳生君 私は今の実態を各都道府県の創意工夫というふうに位置付けるのはいかがなものかと思います。  臨時、非常勤の先生方がどんな実態で、そしてどんな思いで働いているか、「人が人として大切にされる学校を 臨時教職員黒書二〇〇九」、これ兵庫県高等学校教職員組合がまとめられたものですけれども、それを読んで私、身につまされました。ちょっと生の声を紹介します。  複数の学校を兼務することが多く、持つ授業の種類が多くなり、仕事、予習や準備を家に持ち帰らざるを得ない状態です。私の場合、実質四教科の予習や準備をしなければならず、週に二日は徹夜状態で仕事をしなければなりません。非常勤二十歳代の先生。  八月、十二月、三月の給料がほとんどないのは生活していく上でかなり厳しいです。非常勤三十代の先生。  一年ごとの更新になるので次年度に引き続き任用されるかとても不安です。非常勤二十代の先生。  正規採用を目指して毎日頑張っている臨時・時間講師に対して報いるような採用をしてください。早く採用されて働きたいです。非常勤三十代の先生。  こうした若い先生たちのためにも、そして子供たちのためにも、正規の採用をうんと拡大する。これは、地方に任せるんじゃなくて、国としてこれはやっぱりきちっと対応することが大事だと思いますが、最後に文部科学大臣、どうでしょうか。
  87. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) 一連の定額裁量制というんですか、の中でこの部分をどういうふうにするかは、地方分権を進める中で、いわゆる義務教育の国庫負担金の税源移譲を含めて、一連の改正の中で、現状そういうふうな仕組みになっているということを申し上げました。  そういう中で、本当に教育現場を支える部分がしっかり担保されているのかどうかというのにはいろんな声が上がっていることも私も承知をいたしております。そういうのも踏まえながら適切に指導をすることが責務であろうというふうに思っておりますし、その前提としても、定数をまず増やすということに今年度は最大の予算獲得をいたしまして、学級編制を含めて外形的な仕組みの中でそういう事態が回避できるように取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  88. 山下芳生

    山下芳生君 定数内で非常勤、臨時が増えていることを、なぜそうなっているか、国の責任、裏に財政的な負担を減らしたというのがありますから、しっかりとそれを見てただしていっていただきたいということを申し上げて、終わります。
  89. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 社会民主党渕上貞雄でございます。  国家公務員制度改革及び独立行政法人の制度改革が確実に推進されている中にありまして、国家公務員制度改革、独立行政法人の制度改革において、雇用問題が比較的に軽んじられているのではないかというふうに思います。  そこで、改革に当たってどのように雇用問題をとらえているのか、またどのような認識をされているのか、仙谷大臣にお伺いいたします。
  90. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 私自身は、公務員であろうと民間であろうと、今先生がおっしゃられた、雇用がなくなるとかなくならないとか、そういうことについては同じ原則でなければならないというふうに考えているところでございます。  したがいまして、いわゆる民間での事業所閉鎖あるいは工場閉鎖に伴う整理解雇というのがやむを得ないという状況に至った場合でも、これは転職のあっせんあるいは職種転換、配置転換、それから希望退職募集と、つまり整理解雇の回避の努力というのが使用者側には課せられていると。したがって、広く言えば中央政府と、国ということでありますが、中央政府全体としてもその種の回避義務を尽くしてからでなければ分限免職ということはあり得てはならないというふうに考えております。
  91. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 では、今年の一月に日本年金機構が生まれまして、国から権限を委任された業務日本年金機構の名で実施をしております。国から事務の委託をされた業務を国で実施するというものでございますが、国は財政責任、管理運営責任や機構への指導監督権限を有していることで、当然今の機構の実施については十分把握されているものと思われます。  そこで、厚生労働大臣にお伺いをいたしますが、機構の設立に当たっての計画は、約二万二千人が機構に雇用され、うち一万人が有期雇用するということになっておりますが、実際どのような雇用実態になっているのか、お伺いをいたします。
  92. 石井信芳

    政府参考人(石井信芳君) お答え申し上げます。  日本年金機構の発足に先立ちまして、発足時点の基本計画ということで、先生お尋ねの職員数に関する記述がございます。この基本計画におきましては、日本年金機構発足時の職員数、約一万七千八百三十人と定められております。本年一月、日本年金機構、設立され発足いたしました。その一月時点での職員数は一万七千二百七十六人でございます。先ほど申し上げました基本計画上の職員数との差が約五百六十人でございます。  ただ、その後、こうした差の分の補充でありますとか、あるいは現在取り組んでおります年金記録問題に対応するための任期付きの正規職員、さらには有期の雇用職員、これらの職員の採用を行いまして、今月四月一日時点での職員数を申し上げますと二万三千二百七十八人でございます。
  93. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 日本年金機構の職員労働条件についてというものが昨年の十二月の二十二日に出されております。その中で、労働時間について新たな仕組みを導入するとして、弾力的労働時間制度、変形労働時間制、フレックスタイム制、みなし労働時間等の活用を可能とするとありますけれども、この弾力的な労働時間に運用されている労働者の数はどの程度か、それから適用労働時間制ごとに教えていただきたいと思います。
  94. 石井信芳

    政府参考人(石井信芳君) お答え申し上げます。  日本年金機構におきましては、一か月単位の変形労働時間制を採用いたしております。また同時に、始業時刻そして終業時刻の変更ルールを設けておりまして、こうしたことで業務の繁閑に応じた計画的な勤務運用、そして効率的な業務遂行を図っておるわけでございます。これらのいずれにつきましても、お客様へのサービスを向上させるという面から、お客様が年金事務所等にお見えになる状況などを踏まえた現場の実態に応じて年金事務所長などが個々の職員の勤務時間シフトを行っておるものでありますので、実際に勤務時間をシフトしている職員の人数については把握をしておりません。  また、就業規則では、一年単位の変形労働時間制、フレックスタイム制、そして裁量労働制を定めておりますけれども日本年金機構は現時点ではまだ発足して間もないこともございますので、これらについては現時点では具体的な運用は行っていないところでございます。
  95. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 今年の一月に発足をして四か月ぐらい経過したことになっておりますが、この間の時間外労働の実態はどうなっているのか、各月並びに一人平均の時間外労働の実態をお教え願いたい。それから、代休制度が導入をされているようですが、その実態について教えていただきたい。
  96. 石井信芳

    政府参考人(石井信芳君) お答え申し上げます。  まず、超過勤務の状況でございます。  日本年金機構の正規職員及び任期付きの正規職員のこれまでの時間外勤務の各月の一人当たりの実績につきましては、本年一月が約二十時間、そして二月が約十八時間であると承知をしております。  次に、代休の取得状況でございます。  日本年金機構の職員が本年一月から二月までの間に代休を取得いたしました日数は六十八日でございます。
  97. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 年金機構の事業に要する予算については国からの交付金が元となっておるようでございますが、このため超過勤務に係る予算にも限度があるというふうに言われております。時間外労働をすれば当然その支払をしなければなりません。超過勤務に係る予算に限度があるということは支払をしない超過勤務もあることを示唆するものですが、そのようなことは許されると思っていますか、いかがでしょうか。
  98. 石井信芳

    政府参考人(石井信芳君) 日本年金機構では、労働基準法に基づきまして時間外勤務の実績に応じて手当を支払うということにしておりまして、本年一月分、また二月分につきましては適正に支払を行っております。また、三月分についても適正な支払を行う見込みであるというところでございます。  二十二年度始まりましたけれども、今年度におきましても交付金の範囲内で適正な予算執行に努めさせてまいりたいと考えております。
  99. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 先ほど一人平均の時間外労働の実態をお聞きいたしましたが、問題ないようにも思いますが、本当にそのような実態なのかどうか。いわゆるサービス残業というものはないのか、業務内容に大きな変化がないのか、職員への負担だけが増えているようなことはないのかどうか、それから時間外労働の繰越しというようなことは行われているんでしょうか、いないんでしょうか、その点いかがでございましょうか。
  100. 石井信芳

    政府参考人(石井信芳君) お答えを申し上げます。  日本年金機構におきましては、管理者が業務の遂行の上で必要と判断した場合にのみ三六協定内において時間外勤務を命じております。この命じた時間外勤務につきましては、労働基準法を遵守し、適切に時間外勤務手当が支給されているものと聞いております。
  101. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 最後に大臣にお伺いいたしますけれども、これまでの年金機構の時間外労働の実態について今お聞きをいたしましたが、必ずしも労働条件が確保されているようには思えないのであります。中には労働基準法を逸脱しているような実態も見聞をしているところですが、見る限りにおいて、業務量は今まで以上に増えている中で精いっぱい頑張っているというのが現場の実態ではないかと思います。そして、これまでどおりの労働意識で勤務をしているということが実態であり、それを期待している機構の意識が見え隠れするのではないかと思われます。機構が必ずしも私は悪いというふうには思っているわけではありませんけれども、しかし、制度改革をして負担を一番強いられているのがそこで働いている労働者ではないかというふうに思っているところでございます。  今までの答弁を聞きましても、経過時間が短いというようなこともあって十分なお答えはいただけませんでしたけれども、改めて、大臣改革に当たっての雇用と労働条件についてはやはりきちっと対応すべきだというふうに考えるんでありますが、その点、大臣はいかがお考えでしょうか。
  102. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) いわゆる社会保険庁問題で私の立場で何かお答えできるかどうか、ちょっと今頭を巡らせておるんでありますが、一般論としては誠にそのとおりだと思います。  そして、多分これは、年金機構という格好になりますれば特殊な公法人という定め方でございますが、いわゆる労働基本権を持った労働組合が存在するのでございましょうし、それから、行政的にもいろいろこの間の経緯もございますので、これは問題を具体的にそういう違法なあるいは不当、不正な職場実態があるんだったら堂々と私は提起されるべきだというふうに思っております。  どうも公務職場及び準公務職場といいましょうか、それに近いようなところで問題をできるだけ表ざたにしないで物事を解決しようという風潮がもう相当数あると。これがやっぱり私は事態を悪くさせて、うみがたまりにたまってから大問題になったときに結局被害を受けるのは僕は国民だと思いますけれども、結局大問題になってから責任回避に何かあたふたするというのが一番良くないのではないかと。  早いうちに、そういう違法な事実があるのであれば、これは労働基準監督署に申告するという手もありましょうし、団体交渉を要求するという手もありましょうし、あるいは国会でも具体的にこういう職場でこういう実態があるじゃないかということをちゃんと提起してこういう公法人についても行政監視の実を上げると。早いうちにそういう、何というんですか、いかがわしい芽は摘み取ると、これにこしたことはないと、こういうふうに思います。
  103. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 よろしくお願いを申し上げます。  終わります。
  104. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二分散会