○
国務大臣(
仙谷由人君)
公務員が従事していただいている
仕事というのは、直接
間接にこれは
公共サービスとなって
国民のところに返ってくるはずでございます。
そうだといたしますと、この
公共サービスが、
国民が、こういう
公共サービスを直接
間接にしていただいていることによって、
取引行為にしても、あるいは
日常生活にしても、
市民社会における
生活にしても、そのことが円滑に進むための
環境整備としてこういう
公共サービスがあるというふうに感じていただいて、そして、たまたま直接そのことによって受益をするというか、
自分がそのことで安心して、あるいは自らの活動が充実して行われたということで
感謝をしていただけるということになれば一番いいんだろうと私は思ってきたわけであります。
ところが、ともすれば、先ほど申し上げました
縦割りあるいは
先例踏襲主義というようなことがあって、
国民の目から見たら一体全体何しているんだと、
仕事のための
仕事をつくって我々とは
関係のない無駄なことをやっているんじゃないかと、あるいは
公務員の
定数があるものですから、その
定数を賄うために
仕事をまたつくっているんじゃないかというような
非難、
批判がこの間の、自民党でいえば
無駄撲滅ということになってまいりましたし、我々の方から、
政権交代前の
民主党からいえば、やっぱり
行政を刷新するために無駄の排除を徹底してやらなければならない。長妻現厚生
労働大臣的に言うと、あれ
HAT—KZだったですか、何かそういう
五つの標目に表れるような無駄があるということで、無駄を徹底的に野党的にこれをえぐり出さなければならないと。
こんな話になってきて、そういう無駄なことばかりやっている
公務員はけしからぬと、こういう風潮も一方にあるはずでありますが、本来は時代的にもう必要のない
公共サービスあるいはもうやめた方がいいような公共的な
仕事というふうなものをやっぱりその
時代時代で的確に剔抉し、というかえぐり出して仕分をしていかなければならないということが本当はあったんだろうと私は思っておりますが、どうもそのことが、やはり
ガバナンスの方からの要請もなく、
現状維持の延長線上でシーリングを掛けて一律に減らすとか増やすとか、そういうことをやっていけば何とかこの国はもつんではないかと、そんなことが続いてきたのが現在の事態で、考えてみますと、そこに従事する
公務員の
方々も非常にお気の毒だといえばお気の毒、
つまり余り手ごたえのない
仕事をやっていくと。まあ一年か二年過ぎてそのうち
職場が変わればいいわみたいな話になってきておる
部分も少々あったのではないかと
思います。
これも、結局のところ、
一つはやっぱり
国会及び
国民の
監視が甘かったというか、なかなか直接的な
監視になっていない。あるいは、もう少し言いますと、これは
枝野さんとこの十数年間そういう
議論をしてきたわけでありますが、直接的なオンブズマンのような
制度がきちっと確立していないために、
生活現場からの
公共サービスに対するクレームというか
異議の
申立てが、直接その
一つ一つが裁定をされるということもなく、さらには、そのことが
国会に上がってこないことはないわけですが、今、
加藤委員がおっしゃられたような構造問題として、
改革方向がこうだという
議論がなかなかされにくいということがあったのではないかと
思います。
先ほど申し上げましたように、
行政監視院の問題でありますが、この
行政監視委員会でもいいわけですが、ここが、
衆議院であれ
参議院であれ、あるいは
参議院の方が
予算よりも
決算というもしコンセプトでこれからの
参議院のレーゾンデートルをおつくりになるということならば、
思い切って
参議院の
予算もこの
監視委員会の下の
調査機能に掛けていくと、
プロフェッショナルを雇い込んでここで
業務監査をちゃんとやると、
国民の声がここに直接来て、その声に基づいて調べていくと。
その調べた報告を基にここで
議論がされて、さあ、じゃ改めてどういうふうに
遂行体制といいましょうか
執行体制を変えていくのか、あるいはそういう
行政サービスを、
公共サービスをもうやめるんだったらやめるというふうに
国会のこの
委員会の中で切り分けていくのかと、そういう
機能が私は必要だなというのをここ数年来考えてまいったわけでありますけれ
ども、なかなか我々も忙しくて、これに専念するといいましょうか、
委員会の
調査機能を充実して、そこと
議論をしながら、そこをある種指揮してそういう
方向で動き出せなかったというのが実情で、その辺が私
どもも反省をしなければならないと
思います。
ちょっと長くなって恐縮ですが、実は
行政刷新を受け持って、現在も
枝野大臣がそれをなさっていただいておるわけですが、
職員の声、
国民の声という
ハトミミという
部局をつくって、
職員あるいは
国民の
方々から声を聞く
仕組みをつくりました。
一番くだらないように見えて割と大変な問題なのは、
出張の問題について
公務員の
方々から
問題提起が多々ありました。霞が関の
職員の
方々は
出張に出掛けるときになぜか「のぞみ」に乗れないと、「ひかり」で行けと言われておるということとか、あるいは
旅費計算の方法が何か非常にややこしい、安いチケットを探すのに一日掛けて探して、たどり着くまでの道筋をちゃんと書いて出さなければいけないとか、あるいは
旅費の
精算が大体三か月ぐらい掛からないと
精算できないと。まあ
民間の
会社では、こんなことをしている
会社は必ず一年か二年のうちにつぶれるというふうなことが平気で行われていると。
このことに政治の側もあるいはその他の側も
指摘をして、早急に
是正をすると。この十年間、
IT化とか
eガバメントとか、そういう
言葉がもうこの
永田町かいわいを飛び交いながら、何の
IT化もされず、
旅費の
精算に十九も二十も
決裁印が必要な書類が回って、三か月以上も掛からないと決裁できないというようなことが一方であると。
これは
公務員の
方々にとってみれば、士気を阻喪し、やる気をなくする。まあ日常的な、くだらないといえばくだらないのかも分かりませんけれ
ども、これは大変な問題であるといえば大変な問題。そして、その十九も二十も
判こを取る間に掛かる
人件費たるやどのぐらいのものなのかと考えたら、これはやっぱり大変な構造問題だなと、考えて
議論がされて早急に
是正をされなければならないと。
ただ、例えば今の
日本の
制度の上でこれを
是正をすることを命ずることができるのはどの部署なのかというふうに考えましたら、いや、今度新しくできた
行政刷新なのか総務庁の
行政管理の
部局なのか財務省なのか総理
大臣官房なのか、もうよく分からないようになっているという、この事態が私は今の病膏肓、その病状の深さを表しているんじゃないかと、そんなふうに思っておりまして、
加藤委員がおっしゃるように、まさに構造問題であることをちゃんと私
どもが認識をし、
指摘をして、
改革方向を
議論で生み出していくということが重要だと。おっしゃるとおりだと
思います。