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2010-05-10 第174回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年五月十日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      石井  一君     藤田 幸久君      川崎  稔君     大久保 勉君      武内 則男君     広田  一君      外山  斎君     富岡由紀夫君      姫井由美子君     那谷屋正義君      山田 俊男君     衛藤 晟一君      加藤 修一君     荒木 清寛君  四月二十七日     辞任         補欠選任      水戸 将史君     大石 尚子君      礒崎 陽輔君     塚田 一郎君      鰐淵 洋子君     山本 博司君      近藤 正道君     又市 征治君  四月二十八日     辞任         補欠選任      大石 尚子君     水戸 将史君      塚田 一郎君     礒崎 陽輔君      山本 博司君     鰐淵 洋子君      仁比 聡平君     大門実紀史君  五月七日     辞任         補欠選任      大久保 勉君     行田 邦子君      那谷屋正義君     川崎  稔君      佐藤 信秋君     愛知 治郎君      山本 順三君     森 まさこ君      荒木 清寛君     風間  昶君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         神本美恵子君     理 事                 風間 直樹君                 亀井亜紀子君                 谷  博之君                 松山 政司君                 丸山 和也君                 山下 栄一君     委 員                 相原久美子君                 金子 恵美君                 川崎  稔君                 行田 邦子君                 富岡由紀夫君                 平山  誠君                 広田  一君                 藤田 幸久君                 松浦 大悟君                 水戸 将史君                 愛知 治郎君                 有村 治子君                 礒崎 陽輔君                 荻原 健司君                 中村 博彦君                 松村 龍二君                 森 まさこ君                 風間  昶君                 大門実紀史君                 又市 征治君    国務大臣        財務大臣     菅  直人君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        亀井 静香君    副大臣        内閣府副大臣   古川 元久君        内閣府副大臣   大塚 耕平君        財務大臣    峰崎 直樹君        防衛大臣    榛葉賀津也君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        津村 啓介君         ─────        会計検査院長   西村 正紀君         ─────    事務局側        事務総長     小幡 幹雄君        常任委員会専門        員        諸星 輝道君    裁判官弾劾裁判所事務局側        事務局長     石川 隆昭君    裁判官訴追委員会事務局側        事務局長     向大野新治君    国立国会図書館側        館長       長尾  真君    政府参考人        防衛省地方協力        局長       井上 源三君    説明員        会計検査院事務        総局次長     河戸 光彦君        会計検査院事務        総局第一局長   鵜飼  誠君        会計検査院事務        総局第二局長   小武山智安君        会計検査院事務        総局第五局長   真島 審一君    参考人        株式会社日本政        策金融公庫代表        取締役総裁    安居 祥策君        独立行政法人国        際協力機構理事        長        緒方 貞子君        株式会社日本政        策投資銀行代表        取締役社長    室伏  稔君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成二十年度一般会計歳入歳出決算平成二十  年度特別会計歳入歳出決算平成二十年度国税  収納金整理資金受払計算書平成二十年度政府  関係機関決算書(第百七十三回国会内閣提出)  (継続案件) ○平成二十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百七十三回国会内閣提出)(継続案件) ○平成二十年度国有財産無償貸付状況計算書(  第百七十三回国会内閣提出)(継続案件)  (国会会計検査院財務省金融庁国民生  活金融公庫日本政策投資銀行国際協力銀行  及び株式会社日本政策金融公庫の部)     ─────────────
  2. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る七日までに、武内則男さん、外山斎さん、姫井由美子さん、石井一さん、加藤修一さん、山田俊男さん、近藤正道さん、仁比聡平さん、佐藤信秋さん及び山本順三さんが委員辞任され、その補欠として広田一さん、富岡由紀夫さん、藤田幸久さん、衛藤晟一さん、又市征治さん、大門実紀史さん、愛知治郎さん、森まさこさん、風間昶さん及び行田邦子さんが選任されました。     ─────────────
  3. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 平成二十年度決算外二件を議題といたします。  本日は、国会会計検査院財務省金融庁国民生活金融公庫日本政策投資銀行国際協力銀行及び株式会社日本政策金融公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれも省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記を止めてください。    〔速記中止
  6. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  7. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 広田一

    広田一君 民主党・新緑風会・国民新日本広田一でございます。  本日は、大変な逆風の下、一人区で改選期を迎える私と富岡先輩にこういった質問の機会をつくっていただきまして、本当にありがとうございます。  また、菅財務大臣また峰崎大臣、本日はよろしくお願いを申し上げたいと思います。まだまだ与党慣れしておりませんのでどういった質問になるか分かりませんが、自民党政権時代決算でございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  早速質問に入らさせていただきます。  まず、平成二十年度決算における不用額についてお伺いをしたいと思います。  平成二十年度一般会計決算におきまして最も多く不用額計上しているものは一体何なのか、その金額一般会計に占める割合を併せてお伺いをしたいと思います。
  9. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 広田議員にお答えしたいと思いますが、その前に、今本当に、私も選挙区を回ったりあるいはいろんなことを聞いておるんですが、大変厳しい選挙戦ですね。特に一人区で、後でまた富岡議員も大変でございますが、二名区で二名の方もおられるので、本当にそれぞれ是非勝ち上がってきていただきたいなというふうに思います。  御指摘の点、一般会計決算で、平成二十年度でございますが、不用額総額は一兆八千百七十八億円生じておりまして、そのうち最も多くの不用額を生じたのは国債費でございまして、今ギリシャの問題で、今日、後で菅大臣の方からもお話があるかもしれませんが、ソブリンリスクの問題が非常に大きな問題になっていますので、今日は丁寧に、また数字を間違えないようにしっかりと私も答弁したいと思っていますが。その国債費金額ではどのぐらいになっているのかということを見ますと七千七百三十六億円ということで、ちなみにこれ一般会計不用総額に占める割合は四二・五%というふうになっているというふうに報告をしたいと思います。
  10. 広田一

    広田一君 次に、過去五年間におきまして同じように一般会計決算において最も不用額を出しているものは何か、同様にお伺いしたいと思います。
  11. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 過去五年間のこれ一般会計決算でどうなっているのかということでございますが、各年度とも最も多く不用額を生じていたのはやはり国債費でございます。  十九年度不用総額二兆二百十二億円のうち国債費は一兆一千七百七十一億円と、一般会計不用総額に占める割合は五八・二%。十八年度不用総額は一兆八千六十億円、国債費は八千七百八十二億円で、その占める割合は四八・六%。十七年度不用総額は一兆五千二百七十五億円、国債費は八千八百四十三億円、占める割合は五七・八%。そして、十六年度不用総額は一兆三千八百八十八億円、国債費は七千六百三十五億円で、一般会計不用総額に占める割合は五四・九%と、これで五年間という数字になります。
  12. 広田一

    広田一君 先ほど副大臣の方から御答弁をちょうだいしました。それぞれの年度において、一般会計決算において不用額の五〇%強、額にして七千億円の後半から一兆円に及ぶ金額に及ぶまで国債費が占めているというふうなことを考えますと、そうしますと、恒常的に国債利払い費については巨額不用額計上しているというふうな理解でよろしいんでしょうか。
  13. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 意図して出しているわけではなくて、その時々の経済見通し、そしてこれが足らない、実は利払い費が足らなくなっちゃったということのないような、その意味ではかなり保守的な観点からこの国債費金額計上をしているというふうに財務省としては努めているわけであります。
  14. 広田一

    広田一君 先ほど御答弁ございましたかなり保守的に見積もっているという事柄につきましては、またこの後議論をさせていただきたいと思いますけれども、ただ、決算結果としましては、こういった多額の不用額を出していることをかんがみますと、私は、その後の予算に必ずしもこの決算結果というものが反映されていないんじゃないかと、こういうふうな問題意識を持つわけでございます。  そのことを踏まえまして、次にお伺いしたいのが、まず、これほど巨額不用額を出している理由原因について何なのか。先ほど若干副大臣の方から御説明があったわけでございますけれども、例えば平成十九年度決算会計検査のあらましというふうな資料によりますと、財務省見解会計検査院見解が百八十度この不用額が出てきた原因理由について違っているわけでございますが、その当時のですね、その当時のそれぞれの不用額発生理由について御説明をいただければと思います。
  15. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 結論的に、それほど百八十度変わっているというふうには思っておりません。それは後でまた申し上げたいと思いますが。  国債費不用が発生する主な原因としては、まず第一に、当該年度補正予算編成時以降に発行された国債について予算積算金利を下回って発行できたと。ある意味では補正予算のときですから、秋になったりいろいろ、その時点において発行された国債の利回りが非常に予算積算金利を下回っていたということが第一番目にある。第二番目に、当該年度中に発行された国債について、年度内利払い日が到来した国債想定より少なかったと、こういう二つ事情などによって公債利子等予算額を下回ることが挙げられるというふうに見ております。  この点について今、会計検査院財務省の間で百八十度というふうにおっしゃっていましたけれども、見解が異なることはないんじゃないだろうかというふうに考えておりまして、その点、またもし質問等があればしていただければと思うんですが。  なお、十九年度会計検査報告においては、十八年度歳出決算記述に関し、金利要因のみを例に掲げていることについて正確ではないという指摘がありましたので、十九年度以降は歳出決算報告書についてはより正確で丁寧な記述とするように見直しを行っております。その点はあらかじめ皆様方に、この点を是正をいたしましたということを付記しておりますので、よろしく御理解いただければと思います。
  16. 鵜飼誠

    説明員鵜飼誠君) 会計検査院は、項、国債費予算額の九八%を占めております目、普通国債等償還財源等国債整理基金特別会計へ繰入れにつきまして、十八年度決算不用額が生じた具体的な原因事情を検査いたしました。  この目は、一般会計の負担に属する国債等償還利子等支払等に必要な経費に充てる財源として一般会計から国債整理基金特別会計に繰り入れるもので、十八年度におきましては主要銘柄である十年利付国債の当初予算における予算積算金利は二・〇%となっておりますが、補正予算作成時までの実績金利は一・七%から二・〇%となっており、こうした金利差等に伴い支払予定のなくなった国債利子額六千六百三十六億円につきまして補正予算において修正減少しており、この結果、国債金利に関しては補正予算決算に大きな差は生じておりませんでした。  そして、十八年度中の国債発行額は、当初予算での想定百三十三兆二千三百五十一億円に対して百三十二兆八千七百三十四億円となっておりましたが、発行時点年度の後半となり、年度内利払い日が到来しなかったものが予算での想定よりも多かったため、実際に年度内利払い日が到来した国債発行額は七十兆九百四十二億円にとどまったことなどによりまして、支払予定のなくなった八千五十六億円の国債利子不用となっておりました。  財務省平成十八年度歳出決算の項、国債費不用額は八千七百八十二億円であり、その不用理由は、歳出決算上、金利低下に伴い国債利子等が減少したこと等により、普通国債等償還財源等国債整理基金特別会計へ繰入れを要することが少なかったためと記載されておりましたが、十八年度決算において項、国債費不用額が生じた具体的な原因事情は、今申し上げましたとおり、国債発行時点年度の後半となったものが多かったために、年度内利払い日が到来した国債予算想定に比べて少なかったことなどによると認められまして、決算検査報告に掲記した次第でございます。
  17. 広田一

    広田一君 それぞれ御答弁をちょうだいしたわけでございますが、先ほど私が財務省会計検査院不用額発生理由が百八十度違うというふうに言いました一つの理由が、これまで財務省の場合は、利払いについて不用額が発生するのは、当初予算想定していた金利より実際の金利の方が低く推移をしたため、その差額分不用額として計上されているんだというふうな御説明をされておりました。  先ほどの会計検査院の方の御説明は、それはそれであるんだけれども、この点については当該年度補正予算において減額修正をしているわけでございますから、実際不用額が生じた主な理由というのは利払い期日が到来しなかったものにほぼ限定されるんじゃないかというふうなことでございまして、そう考えますと、想定金利が下回ったやつと利払い期日が到来しなかったことに伴う理由とすれば、私は中身が本質的にかなり違うんじゃないかなと、こういうふうに理解をしているわけでございます。この点については議論があるところでございますが。  次に行きますと、財務省が出された当該年度平成二十年度一般会計決算書不用額理由を見ますと、先ほど副大臣の方から御紹介がございました金利低下年度内利払い日が到来しなかったこと、この二つを挙げているわけでございます。そうしますと、これまで財政金融委員会とかを始め国会では金利低下のみを歴代財務大臣は御答弁で挙げていたわけでございますけれども、この点については実質的に修正をされたのか、見解をお伺いしたいと思います。
  18. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 広田委員質問、これ、私質問を受けて初めて、そうかと、私も元々、金利低下要因の方が多いんだろうと思ったんですよね。  ところが、調べてみるとそうではなくて、今検査院からも報告がありましたように、発行期日が遅れて、その年に発行はするけど利払いは翌年度回しになっていくといったものの方が大きいというのが実は実態として分かりましたので、そうすると、今までやはり金利低下などと、こう書いていたのは、説明としては、むしろ金利低下要因よりも、発行がずれたことに伴ってその年に金利を支払わなくてもいい事態が生ずると。  御存じだろうと思いますけれども、金利は、この国債利払いというのは一年間に二回に分けて開かれるということなんで、例えば十一月に発行して翌年の三月三十一日まで利払いが来ないというものも出てくるわけですね。そういったものが大きかったんだということを指摘を受けたんだろうというふうに思っていまして、平成二十年度中身で、もし必要であればお話を申し上げたいと思いますが、これ一定の仮定を置いて計算してみると、金利低下によるものが約八百億円、年度内利払い日が到来した国債想定よりも少なかったということによるものが六千五百億と。合わせて七千三百億円近いうち、圧倒的にやはり年度内利払い日が到来した国債想定よりも少なかったということの要因の方が大きいわけでありますので、今、私、広田委員が百八十度というふうにおっしゃった意味は、多分、ウエートの高い方を言うべきであって、ウエートの少ない方を「など」として表現しているのは余り適切ではないんじゃないかと、こういう指摘だろうと思いますので、これは翌年度からは直しておりますし、先ほどの会計検査院の御指摘をしっかりと承っていると、こういう理解でございます。
  19. 広田一

    広田一君 副大臣の方から非常に丁寧な御答弁をちょうだいしました。  これまで、同様の質問をした場合にはすべて金利低下ということを理由にしておりましたが、実際はそうではなかったということが今回の会計検査院指摘で分かり、その後、これに基づいた改善策というものを今後考えていかなければいけないんだろうと思います。といいますのも、この国債利払い費というのは非常に巨額に及びます。ですから、一定程度様々な見直しをすることによって、逆に言えば、これも後で若干質問しますけれども、大幅な額を縮減することができる分野でもありますので、是非とも更なる御検討をお願いしたいというふうに思います。  それで、少し具体的に中身についてお伺いをしたいんですけれども、平成十八年度に百三十三兆二千三百五十一億円というふうに見込まれておりました年度内利払い日が到来すると想定された国債発行額なんですけれども、これは平成二十年度の当初予算においては一体幾らになっているのか、お伺いしたいと思います。
  20. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 二十年度の当初予算において、今、十八年度は百三十三兆、それに対応するものという金額で言うと百十八兆円というふうに承っております。
  21. 広田一

    広田一君 そのうち、年度内国債利子が支払われた国債発行額は一体幾らになるでしょうか。
  22. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) これは発行時期のずれが生じておりまして、二十年度内利払い日が到来した国債発行額は約五十六兆円ということでございます。
  23. 広田一

    広田一君 そうすると、一体何%ぐらいになりますでしょうか。
  24. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 割っていただくと、約四八%ぐらいじゃないかなと、五〇%をちょっと切るぐらいじゃないかと思いますが。
  25. 広田一

    広田一君 平成十八年度の場合は百三十三兆二千三百五十一億円に対して七十兆九百四十二億円ということで、五二・六%にとどまっております。また、二十年度については五〇%を切っているというふうなことを考えますと、つまり約半分が利払い期日が到来しなかったというふうなことになるわけでございます。この点を確認した上でちょっと次の質問をしたいと思うんですけれども。  そうしますと、平成二十年度国債発行計画を見てみますと、発行について、例えば十年債は一・九兆円掛ける十二か月の二十二・八兆円というふうに、毎月毎月発行しますよということで平準化をされているわけでございます。利子支払期というのは、通常、発行日から四か月から六か月後に到来するというふうに言われておりまして、一方で、御説明があったように、百十八兆円分も利払い日が到来するということを考えますと、これ上期に集中して国債発行しなければならないということになるわけでございます。これが大前提になります。  そうであるとすると、上期に集中発行想定している当初予算平準化して発行するとしている国債発行計画とで考え方が相当違ってくるんですけれども、この点についての御説明をいただければと思います。
  26. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 大変重要な点を御指摘を受けていると思っておりますが、国債管理政策上は、我々は非常に平準発行というのが望ましいというふうに理解をしておりまして、一方では、そうは言いつつも、国債利払い費計上に当たっては、国債が国の信用の背景を成して我が国の金融市場の中核を成すものだと、非常に信用度が問われるところでございますので、それに応じたやはりプルデンシャルというか、非常にそういうものが求められているという観点に立つべきではないだろうか。  ここで少し、考え方としては非常に慎重なというか保守的なといいますか、そういう考え方を入れているわけでありまして、その際、利払い費については、今申し上げたように、やっぱり予算額が不足を来したり、あるいはそういう懸念を持たれてもいけませんので、十分な予算上の措置が必要であるということから、国債発行計画前提としつつも、発行の上期への前倒しを織り込むということで慎重な前提に基づいているということでございまして、多少、そこの平準化前倒しという考え方と、前倒しをしていながら、実はそれは平準化していけば、後ろの方で発行すればそれが、利払い費が入らなくなるということで、その差額が比較的多く生み出されてくると。ある意味では非常に慎重な対応をしているということを御理解いただければなというふうに思っております。
  27. 広田一

    広田一君 ただいまの御答弁を踏まえて一点確認したいんですけれども、冒頭、峰崎大臣の方から保守的に見積もっているというふうなお話、また先ほどもそういった言い方をされたわけでございますけれども、この点については私も十分に理解をすることができるわけでございます。  ただ、これまでの歴代財務大臣の御答弁は、繰り返しになりますけれども、国債金利想定金利を下回っているというふうなことを理由にされて、そのことを踏まえて、これはマーケットで決まることなので非常に予想し難いことなんだと、だから相当保守的に予算確保しているんだというふうなたてり、理屈立てだったと思います。  ただ、実態面として、これまで議論してきたように、実際は利払い期日が到来しないものがほぼ大宗を占めているということが分かったわけでございます。そして、その利払い期日が到来する、しないというふうなことは国債管理政策上大変重要なことでございますけれども、一方で、平準的に発行していくことがやっぱり望ましいというふうなことに立った場合は、私は、この平準化されている国債発行実態に合わせた見直しを進めることによりまして相当の金額について利払い予算計上といったものが結果的に縮減されていくんじゃないかなというふうに思いますけれども、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  28. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 広田委員の御指摘、私もこうして答弁に立つ前までは、金利低下の、金利がもしかすると上がったりすることに対するバッファーとしてある程度、比較的二%という、今は一・三とかになっていますけれども、それだけぐらいはバッファーがあればいいだろうというふうに思っていたわけですが、こういういわゆる平準化発行して、十年債であれば最初の年だけに該当するわけでありますが、そういう意味で最初の年で利払いが来ないものもかなりのウエートを占めているとすれば、これについてどういうふうに考えたらいいのか。  これは、単に利率の、市場によって決まってくる利率がどうなっていくかということと並んでいろんな検討材料があると思いますし、予算の策定に当たる財務省当局としても、今、広田委員指摘のような点についても十分検討した上で、これからどうあるべきかということについては慎重にやはり検討していきたいなと思っております。
  29. 広田一

    広田一君 是非ともよろしくまたお願いを申し上げたいと思います。  それでは、ちょっと若干別の視点でこの国債利払い費について何点か質問したいと思うんですけれども。  平成二十年度、今年度予算におきまして、国債利払い費につきまして概算要求と比べてどのような結果になったのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  30. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 平成二十年度の当初予算……
  31. 広田一

    広田一君 二十二年度
  32. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 二十二年度ですか。平成二十二年度において利払い費が、あっ、分かりました。  この平成二十二年度は、これ概算要求の段階で積算金利見直しをしました。これは概算の段階は二・五だったんですけれども、それを二・〇というふうに引き下げたわけでございまして、このいわゆる平成二十二年度予算においては、積算金利見直したことにより、利払い費は概算要求の段階から約一・二兆円減少するということでございまして、過去五年間も同様に概算要求に対し、最高でも一・七兆円の減額、最低では〇・六兆円、この間で、絶えず概算要求と実際に当初予算を策定した段階ではそういう形になっているということでございます。  これは、実は概算要求における積算金利というのは、将来の金利水準を見通すことが非常に困難だ、さっき市場でもう決まってくるということを申しました。これで前年度の要求時の積算金利を、これを基に機械的に算出したもので、予算の決定時においては、予算編成時点における経済金融情勢などを勘案しつつ、利払いに不足を来したり、そのような懸念を市場に持たれないように金利の設定を行っているというのが実態でございます。
  33. 広田一

    広田一君 御答弁をちょうだいしました。  一点、確認をしたいんですけれども、この概算要求のときの金利設定といったものが二・五%というのは、これはやはり相当保守的なのかなという感じがいたします。そこから二・〇%の方に〇・五%引き下げたわけでございますけれども、ここで各委員皆様方にも是非御理解していただきたいのは、わずか〇・五%引き下げるだけで約一兆二千億円予算が減額できるという。これは本当に、それほど逆に言えば巨額国債発行しているということにもなるでしょうし、そして適切な見直しをすることによってこれだけ予算も縮減をすることができるということの一つの象徴的な私は事例じゃないかなというふうに思っております。  ただ、一方で、概算要求時点で二・五%というふうに見積もっていたものを二・〇%にする場合の、御答弁の中にあった経済金融情勢、この間に何か特別に、例えば長期金利が下がっていったとか、情勢の変化等が具体的にあったんでしょうか。
  34. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) これは、恐らく概算要求の段階においては、一体どういう基準で設けているかということについては、先ほども申し上げたように、いわゆる前年度の対応ということで積算金利を基に機械的に算出をしていると。  問題は、その年の十二月に内閣府が経済見通しとか一応立ててくるわけでありまして、そういった経済見通しに従って長期金利がどういうふうに推移するかということもおおよそ推計をしていくわけですね。  ですから、その段階において何が起こっているかということがやはり予算を策定する場合の最後の、直近の段階でどういう見通しを立てるかということが重要になってくると思うんですね。やはり金利の上昇の問題やそういうものが見通し得る可能性があるとすれば、その段階で、概算要求の段階で概算の金利水準よりも変えないとか、そういうこともあり得ると思っておりますし、このソブリンリスク、これらの問題について、我々としてもやはりここは非常に慎重に見通しをして、先ほど申し上げたように、少なくとも利払いに不足を来したり、あるいはそういう懸念すら持たれないような状態に、我々は国家信用といいますか、財政当局としては最大限そこは配慮していくということに立っているわけでありまして、その点は是非理解をしていただければなと。  概算から下がっていく分については、夏の段階における概算要求の段階の設定水準と、それから十二月の段階で少し、いつもサバを読んでいるんじゃないかとよく言われるんですけれども、決してそういう観点で作っているわけではなくて、そういう一つのルール化されたもので、しかも市場の見通しをしっかり踏まえてやっていくということが一番重要なんじゃないかなというふうに思っております。
  35. 広田一

    広田一君 新政権になりまして、適切な、今後の経済情勢等を見通した上で金利を〇・五%引き下げた。中でも、繰り返し御答弁がありますように、利払い費について不足を来すことのないよう、このことによって国債マーケットに不必要な動揺がもたらされないように配慮もしながらこれだけの縮減をされたというふうなことというふうに理解をさせていただきたいと思います。  そういうことになりますと、これも少しお話がずれてしまうんですが、実は財務省の公表資料であるものの中に「徹底した予算の効率化」というふうな公表資料がございます。この中に概算要求段階からの歳出削減というふうな項目があるんですけれども、実はこの中に国債利払い費の概算要求からの減額というものが入っていないんですよ、実は。  私は、峰崎大臣がおっしゃったように、きちっと概算要求から客観的に見直して減額をしたというふうなことであるんだったら、やはり一兆二千億円という大変大きな額を概算要求段階から歳出削減したわけでございますから、この徹底した予算の効率化というふうなものの中に今回の利払い予算についての記述をすべきじゃないかなというふうに私自身は思うんですけれども、いかがでしょうか。
  36. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 恐らく財務省の公表資料というのは、御指摘の資料というのは、二十二年度予算編成に当たって、マニフェストの工程表の主要事項を実現するための行政刷新会議における事業仕分等を通じてすべての歳出について徹底的に見直しを行った結果、概算要求段階から一兆円の歳出削減を実現をして財源を確保したという、昨年の秋の概算要求をどう切り込んでいくかという、多分その数字を御覧になっているんだろうと思うんですね。  この一兆円と、その中には、一般歳出には国債費とか地方交付税とか決算調整資金繰戻しというのは含んでおりません。そういう意味で、御指摘されたものに入ってはいないわけでありますが、かなりこれは機械的に決まってくるものなので、マニフェスト工程表の主要事項を実現するための財源というふうにとらえるとしてはちょっとやはり適当でないのかなというふうに考えて歳出削減額には加えていないということでございます。  何度も強調していますけれども、いずれにせよ、しかし、このいわゆる利払い費あるいはこういった国の支払というものに対する疑念をいささかも持たれないように、やはりGDPで一〇〇%を超える世界で最も借金を抱えている我が日本としては、この点は慎重の上にも慎重を期しているというのは改めて強調しておきたいというふうに思っております。
  37. 広田一

    広田一君 そこで、ちょっとこの利払い問題について最後の質問になろうかと思うんですけれども。  今回の平成二十年度決算を見た場合に、本当にこの二十年度予算においての国債利払い費計上考え方というものが適切であったかどうか、この点についての御評価と、このことを踏まえて、先ほど来の議論から本当の不用額の発生理由といったものが利払い期日の到来が来なかったというふうなことであるんだったら、今後、私自身、きちっとした見直しをすることによってここについてこれまでと違う予算計上の仕方ができるんじゃないかなというふうに考えておりますけれども、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  38. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 今、広田委員の方から、不用額の中の半分前後を占める利払い費についていろいろと御質疑をいただいてまいりました。  私も今のお話を聞きながら、単年度でこういうことがあるのは、場合によってはそういうこともあり得るかもしれませんが、長年恒常的にかなり巨額不用額が立っているというのは、やはりいろいろ理由があるにしても少し適切さを欠いているのかなということをお聞きしながら考えておりました。  利払いについては、予算額の不足を来したり、あるいはそのような懸念を市場に持たれない、不測の混乱を招かないようにという、今、峰崎大臣から答弁させていただいたそういう観点が必要であったことはそのとおりでありますけれども、こうした観点から見てもやや見積りが不適切であったのかなと思っております。  そこで、御指摘のように、利払い費不用が発生していることは事実であり、引き続き必要な見直しを行いつつ、適切な見積りに努めてまいりたいと考えております。例えばですけれども、積算上どの時期に発行するかという、早い時期、遅い時期の比率などを少し変えればもう少し現実に近いところにも近づいてくるのではないか、こういうことを含めて、御指摘を踏まえて必要な見直しを行ってまいりたいと、このように考えます。
  39. 広田一

    広田一君 先ほど菅大臣の方から御答弁がございましたように、是非とも決算の結果とそして実態に合わせた予算計上見直しに取り組んでいただきたいというふうに思います。よろしくお願いを申し上げます。  それでは、続きまして、これは決算と直接関係ないんじゃないかというふうに言われるかもしれませんけれども、せっかくの機会でございますので、菅財務大臣の方に高速道路料金の原則無料化についてお伺いをしたいと思います。  今一番ホットな話題でございますけれども、この高速道路料金の新制度につきましては、御承知のとおり、現行の制度より高くなると感じる自動車ユーザーの方から大変反対の意見が出ているわけでございます。ただ一方で、私自身も今参議院の国土交通委員会の方で筆頭理事をさせていただいておるんですけれども、これまでの経緯を見ますと、本当に国交省の皆さん、様々な制約要因の中で、非常に考えて考えて大変苦労しながら今回の新料金制度というものをつくり上げているんだなというふうにも思うわけでございます。  そこで、この高速道路料金無料化の、日本で初めてこのことを提唱されました菅財務大臣から今回の新料金制度に対する御評価をまずお伺いしたいと思います。
  40. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) この高速道路無料化の考え方そのものは、元々、御承知のように高速道路というのはある段階で無料化するということが制度そのものの原則であったわけですが、それがある時期からいわゆるプール制という考え方に変えることによって、事実上、償還の終わった地域も含めて有料のままにしていくということになって今日に至っているわけです。  そういう中で、確かに高速道路、私はネットワークとして必要なものはきちっと整備する、それはそれでやるべきだと思うわけですが、一方では、高い高速道路料金のために、せっかく大都市から近い地域であっても、例えば本四架橋などのようなところで余りにも高いお金を払わなければいけないために、活用されるべき土地とかあるいはいろいろな流通というものが逆の、阻害されて日本経済全体の活力をそぐ要素がかなり大きくあるということで、そういう非常にマクロ的な観点から高速道路料金というものは無料化すべきという考え方を私も数年前から申し上げ、それがある形で今日のマニフェストにつながっていると、こう思っております。  ただ、この間のいろいろな無料化のことについては、御承知のように、国土交通省、交通大臣の方でいろいろと詳細を検討された中身でありまして、私も必ずしもその詳細な考え方を全部理解しているわけではありません。先月九日、国土交通省から発表された高速道路の新料金制度は、割引内容が複雑で、特定の曜日、時間帯に渋滞が発生している等の課題がある現行の割引を改め、試行的に上限料金制を導入し、簡素化等を図るため、国土交通省として政府の方針を示したものというふうに承知をいたしております。また、新料金制度の在り方について、前原国交大臣は、国会における審議を踏まえ、国土交通省において総合的に検討する旨表明されていると承知をしております。  なお、今般の新料金制度は、民営化時より行っている既存の会社割引の廃止や、既に債務承継した利便増進事業に係る財源の範囲内においてその組替えにより導入するものであり、仮に見直しを行う場合においても、これに応じた適切な組替えを行っていただく必要があると、このように考えております。
  41. 広田一

    広田一君 御答弁をちょうだいしました。  この問題につきまして、民主党の小沢幹事長と前原大臣の対立というのが報道で大きく取り上げられたわけでございますけれども、それはそれで注目を得たわけですが、私は、この対立がもたらした根本的な原因の一つというものが、実は料金引下げに充てる財源が大幅に減少したことにあるんじゃないかなというふうに考えております。  すなわち、一つは、これは民主党の要望からなんですけれども、利便増進事業の計画を見直して外環道などの高速道路の整備に一・四兆円割かねばならなくなったということ、そしてもう一つは、当初六千億円という無料化の社会実験がございました。このことによって、一説には約八割の全国の高速ネットワークが無料化になるというふうなものが一千億円に縮減されて、結果的には一八%しかカバーし切れなくなったと、そういった二つ要因が絡まって非常に料金引下げに充てる財源がなくなったということが今回の新料金制度の混乱の私は一つの原因じゃないかなというふうに考えております。  そういうことを踏まえた中で、先ほど大臣の方から、やはり利便増進計画の中を見直すことによって対応をしていただきたいという趣旨があったんですけれども、ぎりぎりの中でつくり上げたものについて、今回もし国会の論議等で更なる料金の引下げということになりますと、新たな財源というものを見付けていかなければならないわけです。  そして、私たちは無料化に向けて様々な取組をしていかないといけないということを考えた場合に、どういうふうな考え方財源措置をしていくのかということが大変重要になってきまして、これは国交省だけではなくて、お金を出す、査定する財務省考え方が非常に大きく私は影響するのではないかなというふうに思っております。  そこで、大臣自身、今後、引下げ、無料化に向けてどういった形で財源を確保していくのか。方法としては、債務承継額を増額するというふうな形を取らざるを得ないというふうに思っておりますけれども、この点についての基本的なお考えをお示し願えればなというふうに思います。
  42. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) それでは、取りあえず先に私の方からお答えさせていただきたいと思いますが、二十二年度の概算要求でたしか国土交通省から六千億出ていた。しかし、実際、非常に財政状況、昨年度予算編成のときも厳しい状況の中でぎりぎり一千億ということで、特にその間はやはり路線を限定して、鉄道にどんな影響があるか、その他の交通機関にはどんな影響をもたらし、渋滞はどんな状況になるか、それにきちんとこたえられるかと、こういったことについて、やはり一千億という範囲でやってもらいたいというところで昨年は折り合ったわけでございます。  これは、マニフェストにおいてもたしか四年間で段階的に進めると、こう書いてあったわけでありますので、今後もそういう観点で進めていきたいと思うんですが、ただ、財政的な状況というのは御存じのように非常に相当厳しいわけでありまして、二十三年度以降の予算編成と今後策定する中期財政フレーム、今、戦略室その他で財政運営戦略をつくっているわけでありますし、行政刷新会議等でも今歳出の見直しは進めているわけでありますので、それらを徹底したやはり歳入歳出の見直しの中で必要な財源を確保していこうということでございます。  問題は、あと、私の方からは取りあえず以上でございまして、この高速道路機構の保有する債務の扱いについては、ちょっと私のところでは、今のところはどんな対応をするのかということについての、これは大臣の方にお譲りいたしたいと思っております。
  43. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) これは先ほどもお答えしましたけれども、基本的な高速道路無料化の考え方と、今それを進めるに当たって、先ほど広田さん御自身が言われたように、当初はもうちょっと大規模な予算を元々充てて試験的であってもやっていこうというのから更に小さくなり、さらに、今御指摘のありましたように、それの中身をまた一部を新しいネットワークの方に使うと。二弾、三弾と中身がいろいろ変化をしてきている中で、財務大臣という立場でこの部分をこうしたらいいとか、この予算をこうしたらいいということはなかなか率直なところ申し上げにくい、また、今副大臣からもありましたように、財政的にも非常に厳しい中ですので申し上げにくいわけです。  ただ、あえて前向きなことで言うとすれば、私は、やはり造られたインフラを活用するということは、マクロ的な経済に見れば私は必ずプラスがあるはずで、例えば、よく私はアクアラインの例を分かりやすいから挙げるんですが、一兆四千億で造ったものが、高過ぎる値段で造ったわけですけれども、それを全然使わないで、三十年たって四十年たって一台も車が通らないで、それでよかったということにはならないわけですから、そういうことを考えると、やはりそこには何らかの工夫をする余地はまだまだあると思います。  そういった点で、特に四国については、私もいろいろ縁があって、広田さんの御地元もいろいろ歩かせていただいたりする中で、やはりそういった地域の経済がより活性化するという方向の中で物事を考えることによって、もう一度大きな観点から見直すというのか、考え方を整理して打開策を見付けることができるのではないかと、若干個人的な見解にとどまりますけれども、そのように考えております。
  44. 広田一

    広田一君 今回の高速道路料金の見直しというのは大変重要な問題になろうかというふうに思っております。  この引下げを考える場合は、例えば、土日千円を続けるだけで二千五百億円、年間必要でございまして、この財源措置さえどうするのかということを考えたら大変重要な問題になってまいります。手法といたしましては、もはや債務承継額というものを増額をする以外、恒常的にこの料金引下げを維持することも困難な情勢でございますので、今、国会審議を通じて料金制度、料金について見直すというふうなことを国土交通省も言っておりますが、それを担保する、実行するためにも、まさしく財源がなければできないことでございますので、是非とも財務省と国土交通省で緊密に連絡を取り合いながら、所期の目的を達するためにはどうすればいいのかというふうな議論を進めていただくように強く要請しまして、私の質問を終了したいと思います。  どうも失礼しました。どうもありがとうございます。
  45. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 富岡由紀夫でございます。広田議員に引き続きまして、質問させていただきたいと思います。  早速なんですけれども、まず亀井金融担当大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、今の日本の財政赤字の状況についてどのように御認識されていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。  EUでは、ギリシャが非常に財政赤字でいろんな今大混乱に陥っているという状況でございます。それと比較して日本はどうなのか。これから財政赤字の問題、我々日本政府もどういうふうに取り組んだらいいのか、そういった観点で今の日本の財政赤字の状況をどのように御認識されていらっしゃるのか、お伺いしたいというふうに思います。
  46. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) お答えを申し上げます。  議員御指摘の我が国の財政状況、今はいい状況にあるとは私も思っておるわけではありません。しかし、私もそう長く政治家やっておるわけでは今までありませんけれども、残念ながら、いつも、まあ財務省怒るかもしらぬけれども、財務省のトリックとも言ってもいいぐらいの財政危機論、それに乗せられて打つべき手を打たない、国力そのものを、これを強くしていくという努力を怠ってきた残念ながら歴史があります。これは橋本政権下においてもかつて起きました。また、小泉内閣、自公政権下においても財政危機だ、財政危機だと。財政規律という言葉を、水戸黄門じゃないけど印籠を持ち出すと、みんな黙ってしまって打つべき手を打とうとしないという中で日本の国力がどんどん落ちてきたのが現実だと思いますよ、これは、トータルとして言えること。委員御承知のように、私が政調会長やっていたときというのは五百五十兆ぐらいのGDP、今四百七十兆でしょう。もう当時から今にも財政破綻をすると、そういうことの中で緊縮財政路線に入っていっちゃったんですよ、ずっと。  今ギリシャのことを議員言われましたけれども、今のマスコミ、極めて危険な状況があると思いますよ。ギリシャと日本の状況はもう基本的に違っているということを、全然これを前提にしないで、あたかもギリシャの国債によるそうした危機の状況が日本でもすぐ次起きるんじゃないかというような全く無責任なことが、すぐギリシャ、ギリシャと言われておりますが、私は、基本的に全然違うと思いますよ。日本はまだ、だんだんおかしくなる、国力弱くなったけれども、今なお国債の消化については、議員御承知のように、もう御案内のように長期金利が上がるような状況じゃありません。金融機関においても、これは、消化余力というのはうんとあるわけですね、御承知のように。そういう今弱くなった国力の中においても、よその国に比べればまだまだ力がある日本なんです。今、なお、弱くなったけど、そういうときに国力をどう付けていくかという基本的なことを考えないで、ギリシャが大変だからというようなことで短絡的に打つべき手を打たないという私は愚かなことをこの鳩山政権がやってはならないと思っています。幸い、菅大臣という非常に、本当それは本人の目の前にいて言うのは妙な話だけれども、優れた方が財務大臣になっておられますから、今のこういう状況下において、基本はどう国力を強くするかということを考えないと駄目だと。菅大臣は第三の道ということを言っておられますね。今までやってきた一本調子と言ってもいいようなそうした財政・経済運営から、もっと内需を具体的に出していけれるような財政出動とは何なのかということを財務大臣、一生懸命考えておられる。私、正しいと思いますよ。  しかし、その中での福祉経済、極めて大事だ。もう長くなるのでいいかげんにしますけど、福祉経済は、私はかつて自公が、おろそかにしたとは言いません、そこまで。しかし、どちらかというとウエートを余り掛けなかった面に強く掛けていって、そこからの内需も期待するということ、私は菅大臣の言っていることは正しいと思う。  しかしそれだけで、この世界の不況の波をかぶる中で、世界にないデフレスパイラルと言ってもいい状況にある日本は二重苦の中からどう脱出をしていけるかと。福祉経済はどっちかと言えば漢方薬ですね。そうではないものを、日本から二百兆円も金借りているようなアメリカ、また中国でさえ大胆な財政出動をやっておるわけでしょう。その中において、アメリカに金を貸している日本がギリシャにおびえてやるべきことをやらないなんというのは私は愚の骨頂だと、このように思っています。
  47. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 大変ありがとうございました。  この後、是非財務大臣若しくは副大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、今の亀井大臣のいろんな御発言、御意見ございましたけれども、それを受けてどのように財務省としてはお考えなのか、日本の財政状況、財政赤字の状況についてどういう認識をされているのか、お伺いしたいと思います。  私は、個人的には、打つべきこと以上のことを打ってきた結果が今の財政赤字になってしまっているんじゃないかと思っているんですけれども、ここは見解の相違なんでこれ以上は申し上げませんけれども、財務省としては、財務大臣としてはどのように今の日本の現状、財政状況を御認識されているのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  48. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 私も財務大臣という職責に就いてまだ四か月ほどでありますが、時々言うんです、財務省が出す文書をそれ以前から見ておりますと、一枚の紙があると大体三、四か所財政健全化という言葉が入っているんで、私ちょっと嫌みな人間なものですから、あなた方はこれを書いておけば財政健全化ができると思って書いているの、それとも、言い訳的にいつも財政健全化を考えていたということを、後になって、ちゃんと私たちは言っていたけれどもやっぱり政治家が駄目だったからできなかったんだという言い訳で言っているのと、時々そういう嫌みも言っております。  私は、亀井大臣が言われることとある部分極めて共通しております。それは何かというと、経済の活力を増しそのパイを大きくしていかなければ、やはり日本のこの二十年間に及ぶ低迷した経済の中でどんどんシュリンクしていったのではまずいという、そういう大きなところでは意見が一致をしております。  ただ、そのときに、じゃ、端的に言えば、今年度予算でいえば四十四兆三千億の国債を出したわけですが、結局のところ、個人や個々の企業にお任せしていると、どちらかというと物を買ったり投資をするよりもお金のままで持っておりたいという意識が非常に強いのがまさにデフレでありますから、そういう個人や企業にお任せしていたのではお金が流れない、いわゆるデフレ状況がとどまらない。そこで、そういうお金を何らかの形で政府に引き取らせていただいて使ってきたわけです。  その引き取らせていただくやり方が二種類あるわけです。その一種類が国債でそれをお借りすると。政治家はやっぱり増税というのはなかなか厳しいですから、お借りする、そのうち返しますよということで借りてきたわけです。その結果が今日のような巨額の債務になっているわけです。もう一つのやり方は、税でいただいて、その代わり、そのいただいたお金を雇用や新たな経済の拡大に的確につながるようなものに使っていく。そういう道筋があると思っているわけです。  私は、今日の状況はいろんな意味で大きな転換のチャンスだと思っております。つまりは、今、亀井大臣も自民党の政調会長時代のことを言われましたけれども、まさに亀井大臣が政調会長の時代から、必ずしも日本経済がこの二十年間を見てみるとうまくいったわけではありません。  そういった意味では、今福祉経済という言葉も亀井大臣使っていただきましたが、福祉経済的な側面ばかりではなくて、グリーンイノベーションとか、あるいはアジアの成長をしっかりと日本の成長につなげていくとか、そういうもっと積極的な行動を日本は取っていくチャンスのときだと私は考えております。  しかし、そのときに、果たしてこれ以上債務を拡大する形で政府がお金を使うのがいいのか、それとも国民の皆さんの理解を得て、税でもって、税制改正によってそういうお金を政府がいただくことによって、いただくといっても単にため込むわけじゃありません、あるいは債務の償還に単純に充てるわけではありません。それを積極的に成長の分野に使っていくことがいいのか、私はその大きな判断が必要なときに今あると、こういう認識を基本的に持っております。
  49. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 この債務残高、借金が増えてきたのはバブルはじけた以降です。もう二十年近くありますけれども、経済対策ということで政府もずっと財政出動してまいりました。それに伴って赤字もどんどん累積していったというのが今日に至る経緯でございますけれども。  そうすることによって、財政出動することによってGDP、景気が、日本の経済が良くなったかというと、さっき亀井大臣がおっしゃったとおり上がっていません。二十年間ほとんどGDPなんか横ばいでございます。そうなってくると、同じやり方をやっていて本当にいいのかということをやっぱり今、菅大臣がおっしゃったように、私は見直す必要があるのかなというふうに思っております。  今までのような公共投資、公共事業中心のやり方をやっていて、二十年間やってきて、今の時点で将来明るい展望が描けているんであればそのやり方を踏襲しても私はいいと思いますけれども、二十年間やってきて、今、日本経済の見通し、将来明るいものが、持っている人がほとんどいないという現状を考えると、今までと同じやり方だけじゃやっぱり駄目なんじゃないかなというふうに思っております。  何が一番原因なのかということなんですけれども、いろいろあると思いますけれども、実は、法人収益の推移をちょっと調べてみましたら、二十年前、バブルのとき、法人の収益ですね、法人の営業収入、売上げですが、大体ピークで千五百兆円ぐらいあったと。平成十九年度、これはリーマン・ショックの前ですけれども、そのときも大体同じぐらいの、千五百兆円ぐらい法人収益があります。それで、利益の方はどうかというと、法人の利益、所得ですね、二十年前、ピークのとき五十兆円ぐらいありました。それが、平成十八年度、十九年度、これ、バブルのときより多いんですね。五十五兆円ぐらい法人収益が上がっているんです。法人全体の売上げは二十年前とほとんど変わっていない、利益はただ上がっているという状況です。だから、本当はバブルのときより日本全体の景気良くなっていなくちゃいけなんですけれども、なっていないんですね。  これはどこに原因があるかということですけれども、これはやっぱり一部の特定の大企業だけが利益を独占的に上げているというところに問題があるんだと思っております。バブルのときは大体法人の半分、二分の一ぐらいが黒字でした。ところが、今は三分の二から四分の三が赤字です。要は、日本全体の法人利益は上がっているんですけれども、利益が非常に偏ったところに集中しているというところに問題があるんじゃないかなと私は思っております。  そういったときに、やっぱりこの点についてメスを入れないと、幾ら政府が公共投資、いろんなことをやってもなかなか日本の経済は良くならない。日本の経済の一番の低迷している原因は、今言ったように、大企業はいいけれども、その下請、中小企業は非常に厳しい状況だという点が一番違うんだと思うんですね。  私は、あと調べてみましたら、法人税の問題、これもまた今議論されておりますけれども、二十年前、四三・三%でした。それが今三〇%、一三・三%法人税は下げました。法人税下げて、その下げた分のお金がどこに行ったかということなんですね。それが新たな会社の投資に行ったり、従業員の給料に行ったり、若しくは下請のところに少し利益を還元しようというところで行ったんであればいいんですけれども、実は行っていないんですね。  二十年前と比べて一三・三%法人税下げました。下げた分が平成十八年度で計算すると大体七兆円ぐらい減税したことになっているんです、七兆円ぐらい。ところが、その七兆円がどこに行ったかということなんですけれども、よくよく調べてみると、実はその七兆円が全部配当金で行っちゃっているんです。二十年前と比べると、配当金が二十年前は三兆円だったんです。それが十八年だと十六兆円ですか。ですから十三兆円ぐらい配当が増えていると。法人税を下げて七兆円減税しました。だけど、その法人税がどこへ行ったかというと、配当金という形で全部出ていっちゃった。更に上乗せされて十三兆円という形で出ていってしまっているということです。  要はどういうことかというと、法人税を企業に対して下げてあげたんですけれども、だれが喜んだかというと、企業の従業員でもないし下請企業でもない。みんな株主ですね。配当金を受け取った人だけがいい思いをしたというのがこの法人税引下げの私はこの二十年間だったんじゃないかなというふうに分析しております。そういうことを考えると、今法人税を下げる議論もされておりますけれども、本当にそれでいいのかということを私は考える必要があると思っております。  というのは、また、法人税、どういう企業が法人税納めているか、まあ利益を上げているかということなんですけれども、直近の法人収益の統計をいただきまして計算してみましたら、非常にやっぱり偏っているんですね。  日本には法人が二百六十五万社ほどあります。休眠会社除いて、実際動いている普通法人と連結法人を合わせて二百六十五万社ほどあります。そのうち法人利益、所得ですね、法人の利益、これを百億以上の法人所得上げている企業何社あるかというと、千二百二十五社ですね、連結法人入れて千二百二十五社。その千二百二十五社で日本全体の法人の所得のどれぐらいを占めているかというと、二十八兆円ぐらいですね。わずか千二百二十五社で日本全体の法人所得の半分ですね、五〇%、二十八兆円を上げているというのが実態です。日本全体では、これは十九年度ですけれども、五十六兆円の法人所得があります。連結法人と普通法人で五十六兆円の所得を上げていると。そのうちの半分が、全体のわずか〇・〇五%、千二百二十五社で全部利益を上げているというのが実態です。  さらに、もう少し金額のバーを下げてみますと、十億円以上の法人所得、利益を上げている企業が連結法人入れると五千五百五十四社あります。五千五百五十四社で幾らの利益を上げているかというと、三十九兆円上げています。五十六兆円のうちの七〇%。ですから、十億円以上とか大きな利益を上げている本当に数少ない企業で日本全体の法人所得、利益をほとんどそこが独占的に上げているということが今の現状なんですね。  ですから、一律に法人税を下げるといっても、ほとんどの企業は赤字ですし、若しくはほとんど利益を上げていないところですから、中小企業、九九%の中小企業は法人税下げてもほとんどメリットないんです。手元に残る分は変わらない。どこが一番恩恵を受けるかというと、今言ったように、十億以上とか百億以上の利益を上げている大企業は法人税引下げの効果があると。で、法人税下げたのはいいけれども、結局配当金でみんな株主に行ってしまっているという状況です。  では、何のために法人税下げているのかと。国際競争力という、いろいろな議論ありますけれども、国際競争力といっても、従業員をいじめて、下請企業をいじめて国際競争力を幾ら大企業が上げても私は意味ないんだと思いますね。日本の産業政策、しっかりと国が産業を支援するんであれば、やっぱり一番の目的は中小企業、下請で働いている大多数の、九九%の中小企業を助けないといけないと。そこをしっかりと頑張れるように支援しないといけないのが政府の役割であって、一部の大企業を支援して国際競争力を付けても、結局下請いじめ、中小企業いじめしていたんでは全く何のために大企業を支援しているのか分からなくなってしまうということです。  ですから、今のまま法人税をただ下げるだけだと大企業の手元に残る利益が増えるだけであって、手元に残った中からそれがどこに行くかというと、みんな配当金で行ってしまっているということですから、単純に法人税下げるというのは私はいかがなものかなというふうに思っております。政府のいろんな調査でも、社会保障費と合算で考えると、日本の法人税は決して高くないという意見結果も出ておりますから、その辺も踏まえて慎重にやっぱり法人税の議論は私はすべきだというふうに思っております。わずか全体の〇・二%ですね、五千五百五十、五千社ちょっと、〇・二%の企業が日本全体の七割の収益を上げているという、こういう状況こそ改めないと私はいけないんじゃないかなというふうに思っております。  そういうことを是非考えて、ただ一律、法人税が高いから下げた方がいいというんじゃなくて、何のために下げるのかと。峰崎大臣は、租税特別措置の透明化法のとき議論されました。その税制によってだれが恩恵を受けているのか、だれが損をしてだれが得をしているのか、そういうのがありました。法人税を今回下げるという議論ありますけれども、そのときに法人税のだれが得をしてだれが損をするのか、一般の中小企業はそれによってメリットがどれだけあるのか、これはやっぱりよく調べる必要が私はあるんじゃないかなというふうに思っております。  ちょっと一方的にお話しさせていただきましたけれども、もし御意見あれば伺いたいと思います。
  50. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 富岡議員とこの間、ずっと財政金融委員会で税制の話を聞かせていただいて、本当に税の持っている公平性の観点を非常に強調される、優れた政治的な発言されているなという、感心をしておりました。  今お話を聞いて、非常に多面的で、今日は亀井金融担当大臣もおられますので、是非一度考えていただきたい点があるのは、コーポレートガバナンス、つまり、企業はだれのものかというところが非常に私自身は、この国はやはり、これは、企業というのは株式会社のものだと、こういうふうに実は会社法の改正以来続いているわけですが、やはりこれはステークホルダーという観点に立たなきゃいけないんじゃないかということで、公開株式会社法ということを民主党時代に提起をし、今いわゆる会社法の改正の部会が開かれておりますから、そこにおいて、やはり付加価値、働いている人たちを含めて会社が生み出した付加価値がどのように分配されていっているのかと。  今御指摘の点は、たしか二〇〇四年にロナルド・ドーアが会社はだれのものかという岩波新書で書いた評がございまして、大変注目をされた点でございます。つまり、バブルの真っ最中におけるいわゆる付加価値がどのように分配をされていくかといったときに、一つは今御指摘のあった配当、もう一つは経営者の報酬です。これは、アメリカほどではないにしても、日本においてもかつては従業員と企業経営者というのはかなり一心同体的な側面を持っていた、それがやはり大きく変わってきたと。従業員の労働条件というのはほとんど増えていないと。こういう実態が、バブルの時代と、二〇〇〇年、特に小泉・竹中改革の時代以降変わってきている。こういう観点をやはりしっかりと我々自身は見て、そしてコーポレートガバナンスの在り方を変えていかなきゃいけないし、こういう指摘が一つあると思います。  もう一つは、今おっしゃったその法人税の改正が、一体じゃこれが企業の、経済の発展に役立ってきたかどうかという点についてもやはり警鐘を今鳴らされたんだろうというふうに思います。  我々は法人税が高ければいいというふうに言っているわけではなくて、やはり法人税というのはなかなか税として難しいところがございます。つまり、配当なんかに対して課税をすると、法人税で課税されてなおかつまた配当で課税されるという二重課税の問題などもあって、なかなか難しい。  これは法人擬制説とか法人実在説とか二つに分かれておりますけれども、所得税の前取りという考え方なんかもあるわけですけれども、私はやはりこの法人税というものは課税ベースを国際的に比較をするときにある意味ではきちんとさせなきゃいけないと同時に、これは大門委員がよく質問されるんですけれども、私も同じ見解に立っているんですけれども、法人税の引下げ競争をやったら限りなくボトムに行ってしまうよと。そういう意味で、国際的に、OECDの場はOECDの場で、かつて税の引下げ競争を何とか止めようじゃないかと、そういう中に先頭に立って日本も頑張ってきた経過がございます。  それだけに、今は世界的に金融危機の原因の問題などについても、いわゆるハーモナイゼーションということが指摘をされているわけですけれども、私はやはりこの法人税率についても、ある一定の幅の中に、これは確実に四〇%、四〇%とか、三五にしなきゃ駄目だというんじゃなくて、三〇から四〇の間とか、そういうある程度の幅の中にきちんと入れて、きちんとお互いにその中に行くように努力しようよと、こういう国際的な協定というものがやっぱり求められている分野じゃないだろうかというふうに思っていますし、これは租税法の大家である金子宏先生も法人税の中でそういう提言をなさっておりますので、そういう形へと進めながら、余りにも行き過ぎた法人税の税率の引下げ競争を何とかこれはやっぱりやめさせるべきだという観点に私は立ちながらも、今問題になっている法人税率が高い低いの議論のときには課税ベースをしっかり合わせるということはやはりしっかりと我々も議論していかなきゃいけないなと、こういう観点に立つべきだというふうに思っております。
  51. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 私も是非、やっぱり法人税というのは国際的にある程度同じレベルになるような話合いというのはやっぱり必要だと思います。そうしないと、一部の地域が法人税を下げて、みんな企業をここに、うちへいらっしゃい、いらっしゃいということになったんじゃほかのいろんな国の経済が成り立たなくなりますから、そこはやっぱり一定のルールづくり、一定の、ある程度のお互いの約束、紳士協定でもいいですけれども、そういうものがないとやっぱり難しいのかなと思っております。  あと、今、峰崎大臣がおっしゃったように、会社がだれのものかという議論はやっぱりもう一度やる必要があるのかなと思っております。今はどちらかというと、経営者は株主の方ばかり顔色をうかがっているわけですね。株主の配当を上げないといけない、企業業績を上げないといけない、そうしないと自分たちは首になっちゃうわけですから、そういう心配をしながら、自分たちの身を、びくびくしながらやっているというのが今の経営者だと思います。  やっぱり今の大企業の経営者はもう少し腹を据えて、うるせえと、株主から何を言われても、嫌だったら首切ってみろと、おれはその代わり中小企業、下請企業にもうけさせるんだ、従業員にちゃんと利益還元するんだ、給料上げるんだ、それがかえって自分たちの内需拡大、また巡り巡って自分たちの商品に、買ってもらえるようになってくるんだということを今の経営者はしっかりと、少し腹を据えて考え方を変えるようにしないと私はいけないんじゃないかというように思っております。株主から言われるままに、リストラしろ、はい分かりましたと、従業員の給料下げろ、正社員から非正規に変えろ、下請ももっとたたけ、単価抑えろと、それに言いなりになっているような経営者じゃ本当の経営者じゃないと私は思っております。そういったことも当然やらなくちゃいけないと思っております。  私は、個人的な提案なんですけれども、今言ったように、利益を上げている法人、実はリーマン・ショックまでは過去最高益をずっと上げているんですよ、日本の企業は。上げているんです。何だかんだいって、バブルがはじけて厳しい厳しいといいながら、日本全体の利益は過去最高をずっと上げております。だけれども、一般の人はそれは利益の享受を受けられない、その恩恵を受けられないというのが問題なので、じゃ、どうしたらいいかということなんですけれども、私はさっきの法人税の、法人所得、法人の利益の偏りを是正するようなやはり政府として何らかの手を打つ必要があるのかなというふうに思っております。所得税なんかは累進税率というのがありますね。金額幾ら以上になると高い税率がどんどん掛けられていくということであります。私は、法人税についてもそういうのも考えてもいいんじゃないかなと思っております。  先ほど言いましたように、例えば十億円以上上げているところについては三〇%だったものを三五%にするとか、また百億を超えた部分については、その超えた部分についてですよ、四〇%にするというような私は考え方も取ってもいいんじゃないかなと思います。そうすると、九九・八%の中小企業は、九九・八%のほとんどの企業は法人税が上がったなんということはないですから、上げられるのはさっき言ったように〇・二%の企業だけですから、そこだけにターゲットを絞ってやっても法人所得の七割に課税することができるわけですから、実効性は非常に高いと。だけれども、中小企業の大部分のところにはそういった法人税引上げの迷惑は掛けないということになりますから、ごくごく一部のところを、もうけ過ぎているところに対して少し税負担をお願いするというやり方を取ってもいいんじゃないかなと私は思っております。いろいろ、そうすると会社を分割して課税逃れがあるんじゃないかとかありますけれども、そこは連結のいろんな考え方を取って、やっぱり連結の企業については一体的に課税するというようなことをいろいろ工夫したりすれば、私は十分捕捉可能だと思いますし、できると思います。  それで、それをやることによってどういうメリットがあるかということなんですけれども、例えば、もうけ過ぎたら高い税金取られちゃうわけですから、会社としてもこれは余りメリットないわけですね。もうけ過ぎても高い税金で取られちゃうんだったら少しもうけ過ぎるのをやめて従業員に還元してやろうか、給料を少し上げてあげよう、会社のモラールも上がる、従業員のモラールも、士気も上がると。若しくは、もうけ過ぎて税金払うぐらいだったらもう少し下請企業に利益を還元させてやろう、もう少し下請にもうけさせてやろう、中小企業にもうけさせてやろうと、そういう私はインセンティブにもつながるんじゃないかなと思っております。  昔、会社は一生懸命利益を上げて、あっても税金取られるばかりだから、接待交際費が認められたときにはみんな接待やりましたね。接待交際費でどんどん使って、経費として計上してやっておりました。それと同じような効果が私は期待できるんじゃないかなと思っているんですね。高い税金を払うぐらいだったら従業員に喜んでもらうと、従業員に還元する、下請企業に還元すると、そういう効果も私は期待できるんじゃないかなというふうに思っております。  ちょっといろいろ技術的なところは、分割されたときに、それを逃れるときをどうやって捕捉するかというのがありますけれども、私はやってみる、検討してみる価値もあるんじゃないかと思いますけれども、もし御意見があればお願いしたいと思います。
  52. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 大変重要な指摘を受けているというふうに思っておりまして、やや個人的な見解も入るかもしれませんが、お話ししたいと思いますが。  今、中小企業の法人税率というのは、いわゆる三〇%が大企業だとすると二二%、そして、ただ八百万円までだったか、一八%、民主党は今一一%まで下げてくれというふうに提案してきているんですが、そういう意味でいうと、超過累進ではないけれども、そういう累進というものが一応は組み込まれているということだろうと思います。  私は、法人税の今税収が落ち込んでいる大きな要因の中に、実は繰越欠損というのがございまして、いわゆる利益が上がっても過去の借金が、つまり赤字分がずっと累積していると、これを七年間にわたって繰越控除ができるという仕組みになっております。その総額が、今、現時点においてどのぐらいの金額その七年間の繰越しに充てられているかというのを推計してもらったんですが、おおよそ約九十兆を超えているわけであります。これが、実はこのままずっと七年間にわたって延びていくわけです。  ドイツの例によりますと、毎年、黒字が例えば五億円出たと。そうすると、日本は、十億円の繰越しが、損金があるのならば、五億円は全然税金掛からないよと。しかし、七年間しかそれは繰り越せないよと、こういう話になっていて、今、大銀行が税金を納めていないというのは、その過去の不良債権を処理したときの名残が残っているわけですが、この点について、今、あるエコノミストからの提案で、この九十兆円をずっとこれ七年間にわたって継続されるときに、七年間を延ばしてもいいから、いわゆる五億円の利益があるんだったら、そのうちの六割はそれは繰越欠損にしていいだろう、四割は法人税の税率を掛けて、つまりならしたらどうだと。七年を十五年に延ばしつつそういう形で平準化をすると、法人税の税率が余りに極端に上がったり下がったりすることはないんじゃないのかと、こういう提案を受けたりなどもしております。  さらに、実は、これ企業会計基準の中で、例えば、今我々が経費で落ちていくときに、人件費というのはそのまま一〇〇%人件費で落ちるわけですけれども、人件費に限って一五〇%落としていいと。つまり、人件費が三割今掛かっていたとすれば、四五%まで人件費をコストで落としていいですと。こういうふうにすると、いわゆる企業が雇用に対して、つまり人を雇うことによってその人件費をきちんと比較的利益をそれに落としていけるという、そういう雇用インセンティブを非常に高めていくやり方を、税だけではなくて、今申し上げたように非課税になるものをどうするかとか、あるいは、余りこういうことを、いわゆる租特を透明化しようというか租特を簡素化しようというときにそういうことは余り良くない仕組みなのかもしれませんが、そういう人件費、雇用を増やしていくところに、特に国内の雇用を増やさなきゃいけませんので、そういったところにインセンティブを与えていくというのは非常に重要なんじゃないかというふうに私自身は考えておるわけです。  ちょっと長くなりますが、もう一点だけ申し上げたいと思うんですが、それは、いわゆるオーナー課税問題がございました。オーナー課税の問題で、黒字企業、赤字企業を問わず、オーナーで、自分が報酬を決められる権限を持っているオーナー企業の場合は、赤字企業といえども実は三千万円近い報酬をもらっていらっしゃる。そのいわゆる報酬額をどういうところへ定めていくかというのは、どうも二百七十万社ある中小零細企業の皆さん方の中に、オーナー企業の皆さん方は、どうもやはりそういった意味において、自分の所得、自分の給料をどういう金額で決められるかというときに、そこのやはり利益が上がる上がらないのぎりぎりのところを考えておられるような、そこはあるんじゃないんだろうかなというふうに見ておりまして、これは、この秋のオーナー課税の廃止についてもう一回見直しをしてみようというところの範疇に入っていきますが。  いずれにせよ、そういったところの問題も含めて、この問題は、非常にすそ野の広い、幅の広い検討をしていかなきゃいけない課題じゃないかというふうに考えています。
  53. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ありがとうございます。  是非、税制改正のときに、そういう、今までの考え方にとらわれない柔軟な発想で取り組む必要があると思います。今の雇用の刺激のための一五〇%経費の計上とか、あと国内の産業空洞化を防ぐための、そういったところにもすごいインセンティブを与えるような対策とか、そういうのは税制、金融面、いろんな面でやっぱり総合的にやらないと駄目だと思いますんで、その辺は是非よろしくお願いしたいと思います。  あと、それと、さっき法人税の、いろんな法人の収益の上げている実態を一部御紹介させていただきましたけれども、是非、税制改正やるときには、租税特別透明化法と同じように、これをやることによってだれが恩恵を受けるのかと、これをやることによってどれだけの人が喜ぶのかというところをやっぱり明確にする必要があると私は思っております。  これも財政金融委員会で、もう峰崎大臣には何度もお話聞いていただいているかと思いますけれども、例えば、所得税、累進制をどんどんなだらかにしてきましたね、所得税の累進制を。例えば、平成十一年度の改正のときには、所得税の累進税率、高額所得者ですね、この五〇%適用のところとか四〇%適用のところがありました。それを一律三七%に下げたんです。それによって何人の人がその恩恵を受けたかということなんですね。  税率を下げて国民みんなが喜ぶんであればそれはいいんですけれども、実は、喜んだ人というのはごくごく一部の人なんです。五〇%の人が三七に下げられて、喜んだ人は日本全体で八万人です、わずか八万人、〇・〇六%ですね、日本全体の国民のうちの〇・〇六%。四〇%の人が三七%に下がったと、この人もわずか十九万人です、〇・一五%。要は、累進税率を下げたということで、あたかも国民みんなが所得税下がってよかったなというような新聞報道をこのときされたんです。ところが、その恩恵を得る人というのは、わずか八万人、そして十九万人、ごくごくわずかな人しかいないというのが実態ですから、何のためにこれをやったのかと。  多分これは、そのときの政府の税制諮問会議か何かの、税調のメンバーが、多分大企業の幹部とか大金持ちの人が中心になって議論したんでしょうね。そうすると、そういった自分たちに都合のいいような、多分そういう誘導になっちゃうわけです。それは当然だと思います。お金持ちの人は自分たちの所得税下がった方がいいわけですからそういう議論になったと思いますけれども、そういうことをやっぱりしっかりと、このことによってだれがどれだけのメリットを受けるのかと、だれがメリットを受けて、だれが全く関係ないのかと、そこは明確にする必要があると思います。  あともう一つ、これも平成十五年度の相続税の改正のときに、相続税率が高額資産の相続税者に対する、七〇%から五〇%に下げられました。相続税が下がったということで、新聞、このときも大々的に報道をされましたけれども、それで恩恵にあずかった人はどれぐらいいるかというと、年間わずか五十人です。その七〇%から五〇%に相続税率を下げられて喜んだという人は、わずか年間五十人、もう日本全体の〇・〇〇〇〇四%です。ですから、だれのためにこういうことをやっているのかということをしっかり議論しないと私はいけないんだと思っております。ですから、今回法人税率を見直すときにもやっぱりそういったことも必要なのかなと思っております。  それとあと、是非、これはもう財政金融委員会でいろいろといつも議論になっておるんですけれども、大門さんなんかも議論しておりますけれども、証券優遇税制ですね。申告納税者の所得税負担率、お金持ちになればなるほど所得税の税負担が少なくなってくるということがあります。これは、原因としてはその証券優遇税制があるんだと思いますけれども、やっぱりそういったところも見直さないといけないのかなと思っております。  その証券優遇税制で、それこそ何十億円、何百億円という所得を上げている人はどれだけの人数がいるのかと。その人たちのために税率を下げているというようなことをやっているんじゃないかと。何やっているんだと。大多数の国民はほっぽかれて、一部の大金持ち、一部の大企業だけが恩恵を得るような税制改正、いろいろな制度改正、これが行われてきたのがこれまでの私は政治じゃないかなというふうに思っております。そこをやっぱり根本的に見直す必要が私はあると思っていますので、是非そこは、しっかりとまず統計的に足下をしっかり固めた上で議論していただきたいというふうに思っております。  あともう一点、金融資産を貯蓄から投資へという議論が、これずっと金融庁も今までの政府も行っておりました。貯蓄から投資へというのを、まあそういうキャッチフレーズはいいんです、いいんですけれども、それによってだれがメリットを受けるかということなんですね。  投資市場、株式市場を活性化させるということは、直接金融ですね、自分たちで資本調達ができるように、これはやりやすくなります。ですけど、それができる企業というのは上場企業ですね、日本でわずか四千社しかないんです。さっき言った日本の全体の二百六十万社ぐらいのうちの〇・一五%の企業です。  その企業は貯蓄から投資によって資本調達が自分たちがやりやすくなりますけれども、ほかの企業は全くそういうのは関係ないんです。幾ら投資市場が活性化しても、自分たちで投資市場で資金調達できないということは余り関係ないんです。かえって、銀行に預金している部分が株式行っちゃいますから、銀行の預金が減っちゃえば銀行の融資ができなくなってきます。中小企業にとっては逆のマイナスの効果になっちゃうんですね、銀行の預金が減っちゃえば融資の部分が減りますから。要するに、その減った分がどこに行ったかというと、投資市場、株式市場に行って大企業が資金調達しやすくなるということですから、これもよく考える必要があると思います。  それで、よくこの貯蓄から投資へというときに、アメリカの例が出されております。アメリカは金融資産の割合が株式とか投資信託が高いと、だから日本もそれに少し見習うべきだということで、もう少し貯金の比率を落として、株式投資、株式とか投資信託に上げなさいというよく説明があるんですけれども、これもよく考える必要があると思います。  アメリカの金融資産というのは、これはもう日本に比べ物にならないぐらい偏りがあります。アメリカは、上位一%の人です、三億人のうちのわずか一%の人が、全体の四割の金融資産を持っていますから。わずか一%ですよ、三億人の。三百万人の人が全体の金融資産の四割を持っていると。上位五%まで入れると、七割です、七割。上位一〇%、一割の人が全体の八割を持っているということです。  だから、さっきの、日本の大企業が非常に利益を上げているのと同じように、アメリカは個人のレベルでもごくごく大金持ちの人が莫大な資産を持っていて、一割の人が国全体の八割の金融資産を持っているということです。ですから、一割の人は、みんなもうお金の投資にはたけた人ですから、そういった人たちがみんな株をやっているんです。だから、結果として、アメリカの金融資産のうちの高い比率が株式に行っているということですから。アメリカのほとんどの、九割の人は、もう投資したくたってそもそもお金すら持っていないというのが実態です。  ですから、そういうことをよく考えないで、アメリカ全体の金融資産の比率が株式に、投資信託に高いから日本もやるべきだという議論は、私は単純にすべきじゃないというふうに思っております。その辺のよく構造とか実態を調べた上で議論しないと、おかしなことになっちゃうんじゃないかというふうに思っております。  非常に、ちょっと一方的にお話しさせていただきましたけれども、是非その点についてまた御感想もしあればお願いしたいと思います。
  54. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) どちらに。
  55. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 じゃ、もしできればお二方に。短時間でお願いします。
  56. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) じゃ、時間が迫っておりますので。峰崎大臣
  57. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 御指摘の点の私どもはいろいろ検討をしている最中でございますが、特に今、税制調査会の専門家委員会で、八〇年代以降の、特にレーガン、サッチャー以降の新自由主義的な流れにおける税の在り方がなぜこんな状態になっちゃったのかと、今、富岡議員問題意識と非常に共通した点を、税の調達機能の不足、それから所得再配分機能の低下、これについてしっかりとメスを入れてもらうという作業を今進めておりますので、またそれが分かり次第、皆さんにも報告できるようにしていきたいというふうに思っています。
  58. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 先ほど来お話を聞かせていただいておりまして、もうすごい政治家がいるな、率直なこれは私の感想です。国民新党においでいただいて、代表の座をあなたに譲りたいと、それぐらいの気持ちで私は今聞かせていただいていました。  おっしゃっていることについて、ほとんど私は賛成であります。今後の金融行政についてもしっかりと生かさせていただきます。
  59. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 これで終わります。
  60. 愛知治郎

    愛知治郎君 自民党の愛知治郎でございます。よろしくお願いをいたします。  本日のこの決算委員会の冒頭だったんですけれども、民主党の広田委員が一言言っていたのを覚えておりますが、民主党にとって大変な逆風の中での質問だという話をされておりました。私自身もそのとおりだと思っていますし、大変厳しい国民の批判にさらされている状況だと思います、鳩山政権、民主党は。  ただ、これは、それは実感されていると思うんですけれども、我々野党が何かをしたというわけではなくて、与党側の問題であるというふうに思いますし、そこは与党でやられている皆さんが、民主党の皆さんが一番よく分かっていることだと思います。  ちなみに、最後の富岡委員質問でいろいろ税の議論をされていたようですけれども、これは財金でしっかりやらなくちゃいけないと思うんですが、そういった議論を本来であればやはりしなくちゃいけないと思いますし、法人税の累進課税ですか、そういったものもやはりしっかりと議論していくべきだと、いい議論だと思います。  本来であればそういった議論を私自身もしたいんですが、ただ、この連休前から連休中ずっとかけてですけれども、今にかけてですが、本当に問題が、様々な問題があり過ぎたというか、多くあるので、その点についてこれは無視できないと思いまして、私も今日取り上げさせていただきたいと思います。  いろんな問題があったんですけれども、どれから取り上げようか多過ぎて迷っていたんですが、一つだけ、まず最初に取り上げさせていただきたかったのが、山岡国対委員長の発言をちょっと取り上げさせていただきたいと思います。民主党の国対委員長の発言、六日の日にした発言だと思うんですけれども。私はこの発言を聞いて改めて愕然としたんですが、山岡さんが、普天間や政治と金の話は直接国民の生活に影響しない、地方に行くと普天間は雲の上の話だという話をごあいさつの中でされたと。すぐにもちろん謝罪し撤回されたということなんですけれども、そもそもこの発言が出てくること自体が大変な問題だというふうに思っていますし、その見識を疑わざるを得ないというふうに思います。  まず、普天間についてなんですけれども、やはり安全保障に対する認識が余りにも甘過ぎるというふうに思いますし、浅はかで愚かなのかもしれないなんていう話がありましたけれども、そう言われても仕方がないんじゃないかというふうに思います。  というのも、これは国家の基本である安全保障なんですけれども、そもそも平和というものは黙っていて与えられるものではなくて、たゆまぬ努力を重ねることによって得られるものだと私は思っています。これは国民生活、まさに雲の上の話ではなくて、常に直結している話だと思いますし、これが実感できるようになったら逆に危機的状況ですから、そういった事態を起こさないために自衛隊始め多くの関係者が本当に汗をかいて努力をしている、そういうことを分かっていない余りにも安易な発言だと思います。もちろん沖縄の方々にとってみれば日々の生活ですから、何でこんな話が出てきたのかなというふうに思います。  また、政治と金の問題についても、私は余り取り上げてこなかったんですけれども、改めてこんな認識ではやはり取り上げざるを得ないというふうに思います。  そもそも、例えばなんですけれども、公共事業について一つ取り上げてみてもそうなんですけれども、私自身は公共事業が絶対悪という考え方は違うと思っています。やはり必要なものは社会資本整備していくべきだと思うんですが、この公共事業が問題視されたというのはやはり政治と金の問題が大きいと思うんです。本来あるべきその目的を政治と金の問題があるからこそねじ曲げられて、見直すべきじゃないかと言われる、こういった議論になる、これはやはり疑惑を持たれているからこそ本来あるべき姿がねじ曲げられてしまう。ちなみに、本当に必要な、地域にとって必要な社会資本整備や地域経済の活性化というものがなかなかできない、本来あるべき目的が果たされないということにも直結します。これは生活にも直結する問題であります。  その上でこのような発言が出てきたのは残念だと思うんですけれども、まず菅大臣に、副総理でもありますし、以前民主党において代表も務められた経験がある菅大臣に、この発言について見解をお尋ねしたいというふうに思います。
  61. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 山岡国対委員長の発言ということでよろしいですか。
  62. 愛知治郎

    愛知治郎君 はい。
  63. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 私も報道で耳にしまして、また、直後にその中に出ておられた沖縄出身の女性の地方議員の抗議というか、を受けて撤回をされたと聞いております。私もテレビで聞いている限りでは極めて不適切な発言であったと、撤回されたのは当然であったと、こう感じております。
  64. 愛知治郎

    愛知治郎君 こちら、我々は参議院ですから、衆議院の国対委員長の話なんですけれども、私が衆議院だったら多分質疑なんてとてもじゃないけどできない状態だと思いますが、あえてそれは衆議院の議論に任せたいと思います。  いずれにいたしましても、改めて伺いますけれども、この内容、発言については不適切だという見解を菅大臣もおっしゃられましたけれども、私が言ったとおりに、安全保障の問題であるとか政治と金についてのこの認識について改めて、私自身は、政府も、鳩山政権も与党も、与党というか民主党もこの問題については余りにも認識が甘いのではないかと考えていますが、その点についての見解も併せて伺いたいと思います。
  65. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 安全保障と政治と金というのはかなり、それぞれ重要ではありますが、かなり性格を異にしております。  政治と金についてもいろいろ御指摘を受けておりまして、これはもちろん今の状況が決して今のままでいいということで申し上げるつもりではありませんが、私も若干長い政治経歴になりましたが、いつの時代にもある中で、少しずつ良くなっている点もあるとは思っております。しかし、決してこれで十分だとは思っておりません。  安全保障の問題は、これは一言でなかなか言いにくいんですが、私がもうかなり以前ですけれども、「平和の代償」という本を学生時代に読んだことがあります。これは永井陽之助という政治学者が、最近亡くなられましたけれども、キューバ危機のときにアメリカにおられて、アメリカ国民があのキューバ危機に対してどのような態度で臨んだかと、広い意味でそういう、何といいましょうか、あのときは結果的には米ソの直接対決が避けられたわけですが、それに至るまでの過程とか、そういうことの中で、やっぱり平和を維持するには国民としてもそれなりの覚悟や代償というものを覚悟しなければならないんだという、まあ政治学者の文章ですからもうちょっと硬い文章でありますが、そういうものを読んで私もいろいろ考え、またその後、その先生の講義を受けたこともあります。  そういった意味で、安全保障というのがいつの時代においても極めて重要な、特に政治家にとっては国民の平和、安全、さらには世界の平和、安全を考える上で極めて重要な課題であると、このように認識をしております。
  66. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございました。  安全保障について、菅大臣の今の御発言というかお話というのはもっともだと思いますし、そのことについて非常に重要視していると、大事な話だと考えておられることには安心をしました。しかしながら、やはりこれは菅大臣個人の問題ではなくて、政権そしてそれを支える民主党の問題でもありますので、個人的な見解にとどまらず、党として、政権としての問題でもあることを併せて指摘をさせていただきたいと思います。  特にまた、政治と金についてなんですが、先日、私自身この決算委員会で、これは国土交通大臣、前原大臣とこの問題についてちょっと議論をさせていただいたんですが、連休前ですけれども、小沢幹事長の問題であります。  そのときは検察審査会の経緯、まだ発表はされていませんでしたけれども、そのときに、起訴相当という判断がなされたらどうすべきか見解を伺うということでやり取りをさせていただきましたが、まあ当然といえば当然なんですけれども、仮定の質問には答えられませんということで終わりましたけれども、改めて、本当だったら前原大臣伺いたかったんですが、小沢幹事長が検察審査会、全会一致で起訴相当という判断がされたということでありますけれども、この点についてどうすべきか、菅大臣見解伺いたいと思います。
  67. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) この間、検察さらには検察審査会、いろいろな形で、もちろんあの小沢幹事長の問題に限らず、いろいろな課題がいろいろな形で議論をされております。  若干、最近の検察のいろんなやり方を見ている中で、まだ判決は出ておりませんが、厚生労働省の女性の局長さんが逮捕されて、どうもそれは間違ったものではないかというふうにも見られておりますけれども、そういう問題などを見ていると、ややこの検察のやり方も本当にしっかりとしているのかなと思わざるを得ない面も、率直なところ、幾つかというか多々あるということも一方であります。  また、もう一方で、検察審査会というものが法改正によってかなり大きな影響力を持って、またそれに一般の方が入っている。私は、一般的に言えば、司法の中にも一般の方が入るという考え方は基本的には賛成です。ただ、そのことがどういう形で適切な結論になっていくのかというのは、ある程度の時間の長さの中で将来的に検証されていくんだろうとは思っております。  小沢幹事長の問題も、もうずっとこの間議論をされておりますから、私は、そうした起訴相当という形で一回目の検察審査会の結論が出たことは、ある意味では大変、ある意味厳しい結論だなと、そういう認識を持っております。
  68. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  私自身も真実がどうあったかも分からないですし、専門的なことはよく分からないんですけれども、ただ間違いなく言えるのは、世論調査でもそうなんですけれども、小沢幹事長に関して言えば、幹事長職を辞するべきだと、また議員も併せて辞職するべきだという声が八割を超えているということでもありますし、一般の方が入っている検察審査会でも全会一致で起訴相当と判断をして、この問題はしっかりと明らかにすべきだという判断をされた、その気持ちはよく分かりますし、私自身も全くの同感なんです。  だからこそ、その世論を、国民がそういった厳しい目で見ていることを十分分かっていると思うんですが、その上で政権としても党としても対応していかなければいけないというふうに思っておるんですが、ここが残念なんですね、この点について党内から、また政権内からもしっかりとした対応をすべきだという話がさっぱり上がってこない。これが私は一番問題だというふうに思います。我々、私の所属する自民党であれば、こういう問題が出たときというのは、多分党内の、党に所属する議員が黙っちゃいないというふうに思うんですけれども、これはおかしいなとつくづく思うんですが。  ちなみに、これもまた通告はしていないんですけれども、連立与党を組む立場として、閣内にいらっしゃる亀井大臣に同様にこの問題についての見解伺いたいと思います。
  69. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) どのように考えられるかという、私、頭が悪いんですかね、御質問の趣旨が私には正確に理解できませんが。  私は、自民党時代からもそういう立場でいろいろ発言もしましたけれども、国会議員であっても一般国民であっても法の下において平等であり、現在の法律の下においては、捜査機関から嫌疑を掛けられて司法手続に入っていっても無罪の推定が、これが働いておるという前提の中で、これはすべてが、人権というような問題等が、これが守られながら機能していっているんです。私は、国会議員であっても何であっても、私はそうした司法手続が完結をしていってそれが明確になるまで、いわゆるある意味では、素人裁判的に、人民裁判的にそういう問題を私は扱っていくということについては深く自制をしていかなければ、委員も御承知のように、我々の人類全体だって、日本人全体の営みの中においても、司法手続が完結した場合であっても、それが真実とは遠い結果であった場合もあるわけですよ。また、そうじゃなくて、司法手続の中で、当初からあいつは悪いやつだ、悪いやつだ、悪いことをしたといって大合唱を受けても、結果としてそれが無実であるということが証明をされていく場合もあるわけでしょう。こんな幼稚園みたいなことを私がここで言うのはどうかと思うんだ。だけど、私は、そういう基本のことを国会議員自体が、国会自体がわきまえていくということが私は国民の大事な人権を守っていく政治をやる上において基本だと、私はそのように思っています。その辺りのことを踏まえながら、あとは個々の議員がどう判断をしながら進んでいくかということであって、私は、その点を我々自身がわきまえながらやっていかなければ、国民全体の人権を守らなければならないという国会議員の大きな役割があるんです。そういう意味においても、私は議員の御質問がどういう趣旨だったかよく分かりませんが、私はそのように考えております。
  70. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございました。  私の趣旨は、党内からそういった批判の声というか、この問題に対してしっかり解決していこう、また国民の声にこたえていこうという姿勢が見られないからこそ、連立与党を組んでおられる国民新党側からはどういうふうに見られているのかなということで、突然ですけれども、質問させていただきました。  いずれにいたしましても、この問題、無視できる話じゃないですし、特に我々としても、常に、参考人であるとか証人喚問をすべきだと、そして国会の場で明らかにすべきだと求めてきたんですけれども、それをかたくなに与党は拒否をされて、民主党さんは拒否されて、しかも、また、参議院は参議院で求めていきますけれども、衆議院ではそれを拒否されている山岡委員長の見識も疑われている状態だということは、やはり国民が一番よく見ているというふうに思います。その点はしっかりと指摘をさせていただきます。  続きまして、もう一点なんですけれども、これは政権側ですけれども、やはり鳩山総理の問題です。脱税に関する問題についてなんですが、これは菅大臣に改めてお伺いをしたいと思いますけれども、直接国民の生活に影響しないということではないということだと思うんですけれども、特にこれは納税者の立場からすると税金を納めるのはやはり大変なんですよね。企業の経営者でもそうですし、税金をどうやって納めていくかと常に頭を痛めている問題でもありますし、相続に関してもそうなんです。  先祖代々何代も続いている土地とか家、財産を全部手放さなくちゃいけないということ、よくあるんですけれども、それほどまで切実な問題であるにもかかわらず、私がよく言われるのは、いまだに言われているのは、総理だからなぜ許されるのか、これはおかしいんじゃないか、知らなかったで済まされるのか、問題が明るみに出たら普通に通常の税金を納めるだけで済まされてしまうのか、重加算税がなぜ課されないのかということをよく言われますけれども、この点、徴税を担当する官庁のトップであります菅大臣見解を改めて伺いたいと思います。
  71. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) これも担当しているという趣旨で聞かれたのかもしれませんが、担当という意味でいえば当然ながら個別的なことにはお答えをしないということになるわけですが、もちろん一般的に、総理自身が認めておられる母上からの資金提供について、それを贈与という認識の下で納税をされたわけでありまして、私は、いろいろ専門家の方にも総理自身がきちっと相談された上での対応であったということでありますから、その手続的に、納税ということであれば、時期的な遅れとかいろんな問題点が全くないとは申し上げませんが、きちっとした形で納税は済んでいるという認識を私自身は持っております。
  72. 愛知治郎

    愛知治郎君 分かりました。そういうふうにお答えするとは思っていたんですが、いずれにせよ、国民はそれでは納得しないということであります。  ちなみに、もう一点、この問題について改めて副総理としての見解伺いたかったんですけれども、実は連休前に、これは四月の二十三日の本会議なんですけれども、公明党の浜田議員が本会議場で、「質問に入ります前に、一言申し上げます。」ということで言った言葉が印象に残っているんですけれども、四月の二十三日です、本会議場で浜田議員が、「鳩山総理、あなたはうそつきだ、そのように国民に思わせてしまった。」というふうに冒頭発言をしました。まあ聞いておられるかどうかは分からないんですけれども、その瞬間に民主党さん側から相当なやじが飛びまして、その後の質問全く聞こえなかったんですけれども、私も、その原稿というか議事録をずっと見させていただいたんですけれども、浜田議員はこう言っているんですね。予算委員会では、元秘書の裁判が終わったら、資料の返還を求めて国民に説明すると答弁していたのではないですか、それを一昨日の我が党の山口代表との党首討論ではこれを言下に突っぱねたと。全く無視したというのも、これも事実だと思いますし、それに対するお答えもなかったんですね。  改めてこれを聞いていると、うそつきだと言われてもしようがないんじゃないかと私自身も思うんですが、それに加えて、先ほどの普天間の話もそうですけれども、最低でも県外というふうにおっしゃられていたんですけれども、何だかそれも取り下げてしまった。で、この政治と金の問題について、資料提供をすると言ったにもかかわらずしない。これはやっぱり総理個人の問題もあるのかもしれないですけれども、政権として、これは与党としてもやはりいかがなものかと私は思いますけれども、この点についての見解を改めて菅大臣伺いたいと思います。
  73. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) それぞれ性格がかなり異なる趣旨のことかと思いますが、基本的には総理自身のお考えですので、私が余りそれを推測することは十分できませんが、資料に関しては、プライバシーにかかわることについては、その部分については必ずしもそこまでオープンにする必要がないというような趣旨のことは一月二十二日の予算委員会でも総理自身が若干触れられておりますので、その関係でどういうことを、それ以上の意味があるのか、私にはそれ以上のことはちょっと申し上げる用意がありません。  また、普天間の問題は確かに、これも総理自身認められているように、選挙において、少なくともという表現でしたでしょうか、県外ということを言われて、それを総理自身もかなり重く受け止めて努力をされてきた中で、今日それ自身必ずしも一〇〇%そういう形に、なかなか難しい状況を先日沖縄に出かけられて自ら沖縄の関係者に話をされたのかなと、こんなふうに受け止めております。
  74. 愛知治郎

    愛知治郎君 この問題については、やはり御本人にしっかりと問いただしていかなくてはいけないというふうに思うんですが、時間ももう随分過ぎてしまいましたので、今日の本題に移りたいと思います。  今の問題は、総理自身の問題というのは非常に大きいと思うんですけれども、この委員会、特に二十年度決算について審議しているわけですからそれについて伺いたいと思うんですけれども、私の記憶が確かであれば、この年というのは、我々が与党ではあったんですけれども、参議院においては第一党は民主党でした。で、そのときに行われたというか起こった事象として、暫定税率、ガソリン税等の暫定税率が失効したというのを、私は財金の筆頭理事でしたからいまだに覚えているんですけれども、改めて、このときの経緯も含めて、あのとき数を持っていた、参議院において数を持っていた民主党さんは審議もせずに暫定税率失効させたわけですけれども、なぜ暫定税率をあのとき失効させたのか、改めて伺いたいと思います。
  75. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 細かい日程までは全部は記憶しておりませんが、当時私は民主党の道路問題対策本部の本部長をしておりました。基本の問題は、愛知議員も御承知だと思いますが、私たちが一番問題にしたのは、いわゆる道路特定財源というものを今後十年間、たしか五十九兆円でしたか、それを改めて道路整備に使うという、そういう、つまりは十年間の延長の法案がたしか政府から出された。つまりは、これは時限立法でしたからですね。  そういう中で私たちは、こういう、まずは道路特定財源という制度そのものが、当初から暫定的に設けられたにもかかわらず三十四年間も続いてきていると。そして、必ずしも経済効果が高いものばかりではないものにももう当然のごとく使われているということを問題にしてきたわけです。  細かいことを言えば山のようにありますけれども、私も現実にあちこちに行ったら反対運動の婦人の団体に会いました。いろいろと言われましたのでよく聞いて帰ってきましたら、おそろいの服を、制服のような何かこうはっぴを着ておられたんですが、後でいろいろ調べてみましたら、その団体にちゃんといろんな経緯を通して特定財源からある種の費用が流されているわけですね。つまりは、道路特定財源を守るための運動にもいろんな名目でお金が流れている、そういう仕組みも当時明らかになったことがありました。そういった意味で、私たちが一番問題にしたのはその問題なんです。  そして、その中で、まさに十年間の期限が切れる切れないという中での国会のいろいろなやり取りの中で、結果としてそれが期限が切れたわけであります。それに対するいろんな評価等々あると思いますが、私は、そのことがその後の、たしか福田内閣だと思いますが、福田内閣は道路特定財源をやめるという、その行動につながり、今日につながっているわけですから、私は大変歴史的にも意味のあった活動であったと、今でもそのように思っております。
  76. 愛知治郎

    愛知治郎君 これはやはり、すぐ混同しそうなんですけれども、道路特定財源の問題と暫定税率の問題というのは全く別物ですから。あのときも三月中に福田総理が、これは道路特定財源見直して一般財源化すると確約をしておりますから、その上で暫定税率をそれ以降に切れさせたということですから、この暫定税率の問題と特定財源の問題というのは切り離して考えなくちゃいけないと思います。  いずれにいたしましても、私が今聞いたのは暫定税率の問題であります。そのときに、いろいろ政治ですから交渉はあると思うんですけれども、切れさせたのは事実ですし、またその後にマニフェストでも暫定税率はこれは廃止するということを国民に向けて確約をしておりますが、これを実質的に結局維持することになりました。  これはもう明らかな公約違反だと思うんですけれども、この点について、なぜ維持するのか、なぜ国民との約束をほごにしてまでこれを、暫定税率を維持することになったのか、考え方をお聞かせください。
  77. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) もう一度だけ念を押しておきますが、道路特定財源の問題と、今年度予算で暫定税率を、当初マニフェストに廃止を掲げたのを、それが守れなかったという問題は、若干確かに性格は違いますが、道路特定財源そのものと、あのときのですよ、二十年の暫定税率が切れる切れないは全く同じことですから。  つまりは、福田内閣は法律を変えないで宣言だけされたんです、当時。ですから、法律は十年間の延長ということがそのまま残っているんですね、そのときは。ですから、そこは、そのときのことは区別を政治的にされるのは結構ですけれども、実際上は私はそういう立場で、民主党の道路対策本部長で活動して、宮崎県の方でよく東国原さんとも議論しましたし、あるいは尾崎記念館で地方団体の皆さん、自民党の皆さんもたくさんおられましたが、その場に出かけていって私の考え方を申し上げたこともありました。  そういう意味では、この道路特定財源という、ある意味では日本の道路行政、更に言えば土建政治を象徴するものを変えさせたという意味では、私は極めて大きな意味のあった活動であったと、そのときの活動は今でもそのように思っております。  それに加えて申し上げれば、確かに、暫定税率を廃止するというマニフェストについては、残念ながらそれをそのとおりには守ることができませんでした。これについては、総理も、まあ私もそう思っておりますが、総理もそのことについて国民にできなかった理由も含めて謝罪をされました。その理由の一つは、これは政権交代直後に総理がいわゆる温暖化防止の二五%という目標を出されて、それとの整合性の問題。さらには、予算を組む上でいろいろ無駄遣いを見直すということで三兆円余りの財源は捻出できましたけれども、残念ながらその財源の範囲内ではこの二兆五千億近い暫定税率を廃止するところまでの財源には至らなかったので、税収も非常に下がっておりましたので、これ以上の国債発行というのは良くないだろうということで、そういう税制上の制約と温暖化の問題もあることも含めて、結果としてマニフェストどおりできなかったことは申し訳なかったと私も思っておりますし、総理もそのように表明されたと認識しております。
  78. 愛知治郎

    愛知治郎君 あのときの議論というのは、結局、先ほど十年間の延長措置と言いましたけれども、物理的な問題がありましたので、そのときはその法案でそのまま審議して通すしかなかったという事情もあります、期限が迫ってきていたので。そのときの事情、多分、峰崎大臣は一番よく知っていると思いますし、私も覚えておりますが。  いずれにせよ、これは当時の決算の審議ですから、改めて伺いますけれども、暫定税率が失効して、今財源の問題もお話しされましたけれども、地方行政の財源予算措置に対する欠損が生じてしまった。これに対して、何らかの影響は出たと思っておりますけれども、その点についての認識はいかがでしょうか。
  79. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) ちょっとすべて細かいところまで記憶しておりませんが、地方に対するマイナスについては、その影響を減殺する形でその後、そのときはまだ政権交代前だったと思いますが、財政的な補てんをされたと、そういうふうに認識しております。
  80. 愛知治郎

    愛知治郎君 それは我々がやった話ですけれども、いずれにしましても、地方の現場でこれは行政の執行上混乱が生じたと認識しているのか、それとも全く問題がなかったと考えているのか、見解伺いたいと思います。
  81. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 政策を変更する場合は多かれ少なかれ影響は出るんですよ、それは。ですから、影響が出るから、それは影響も、プラスの影響、マイナスの影響、受ける人にとってはいろいろです。影響が出るから影響出ないようにしましょうといったら、制度は変えることは何もできません。  ですから、まさに三十四年間にもわたって道路特定財源という形で巨額の費用が、言わば聖域だったわけですよ、御存じのように。つまり、国交省の中にあって、一切、まあ財務省がいいか悪いかは別としても、一切手が出せない費用として聖域だったものを、しかもその背景には、ほとんどすべの自治体の首長さんが維持しろという、国民的な世論調査をしたら逆に七割の人が一般財源化しろと言っているにもかかわらず、ほとんどすべての首長さんが維持しろと。なぜかと。維持しないでいいなんて言ったら、次のときの箇所付けでどうされるか分からないから。そういう形があったということはよくお分かりでしょう。  そういうものを壊すときに、じゃ、年度末に影響が出ないようにちゃんとできますというタイミングが、ちょうど期限が切れるか期限が切れないか。期限が切れるときに、そのまさにある意味でのところで、我々は当時野党ですから、しっかりとこれを廃止させるための最大限効果のある行動を取ったと。それによって若干の影響が出たことを別に否定するつもりはありません。しかし、それは十分その後のやり方で、それはその当時の政権の側がやられたことではありますにしてもちゃんと手が打てる話ですから、何かそれによってもう何か取戻しが付かないような、例えば極めて大きな問題というよりは、私は道路特定財源を廃止するということの方が圧倒的に大きな政治課題であったし、それは今日に至っても国民の皆さんは十分理解されている。今、道路特定税源をあのときのように戻してくれと言う首長さんが八割も九割もおられますか。私伺う限り、あれだけ言っていた東国原さんを含めて、一人もそんなことを聞いたことはその後はありません。
  82. 愛知治郎

    愛知治郎君 影響が今あっても問題ないという認識だと思うんですけれども、今後、今ガソリン価格が多分百四十円近くに上がってきていますよね。この前の、先日議論していた税制なんですけれども、たしか百六十円を超えるとトリガー条項が発動するということだったんですけれども、また歳入欠陥がそれによって生じるんじゃないかと私は危惧をしております。  この点についても、今の論理からいうと問題ないという認識なのでしょうか。それとも、やはりこれは問題だと考えるのでしょうか。見解伺いたいと思います。
  83. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) この議論をしたときに、率直に我々もいろんな意見交換をしたわけであります。そのときに、ちょうど平成二十年のこの時期が一番ピークの時期に差しかかって、我々は野党時代に、やはりこれだけ高くなった分を暫定税率分ぐらい返すというのは、これは国民の生活を安定させるために必要なんじゃないかという議論があったことは間違いないんです。  ただ、トリガー税制という形でこうやって組み込んでしまうと、今おっしゃられるように、なかなか、課税当局といいますか、財務省からすると、百六十円がこれ永遠に、三か月以上ずっと続かなきゃいけませんから、そう簡単には私どもも三か月以上ずっと平均して続くという事態を今想定しているわけではありませんが、万々が一そういうことが起きたときには、当然のことながらそれは約束事ですから、当然税収が落ち込んでくる、そうすると税収が落ち込んでくればそれに対する補正を組まなきゃいかぬということにはなるだろうと思うんですが、そこは私は国民生活を第一にということを考えた立場から、それは一つのやり方だったというふうに思っておりまして、愛知議員、確かにそうなると、こういうことによって混乱するじゃないかとか、いろいろなことが起きるじゃないかということについては、先ほど大臣がおっしゃったように、それはある程度の何かを考えるときには起きますと。ただ、私どもがこれ非常に危惧しているのは、やはり予算編成というときに、編成途上でこういうものが起きてくるということはなかなかやはりまずいことが起きるなというふうに私は思っていますので、なるべくこのトリガー税制というものについては、私どもは長くこれを続ける必要はないんではないだろうかと。  ただ、私たちが約束事として暫定税率分をこれを下げるという約束をしていた。しかし、これはこの秋に環境税の問題を含めて総合的にもう一回議論するわけですから、そのことの結論が出た段階では、この問題についてはなるべく早くこのトリガー税制というものの仕組みを廃止をしなきゃいけないなというふうに考えておりますので、その点、財政当局というか、余り大きな影響が出ないうちにこの問題は処理をしていきたいなというふうに考えています。
  84. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  これは財金でも随分議論をさせていただきましたし、問題認識をされているということだと思うんですけれども、先ほどの富岡委員議論と同じように、これは税制の抜本改革じゃないですけど、税制そのものをしっかり議論しなくちゃいけない課題だと思います。  ただ、私自身、随分時間が掛かりましたけれども、ここまで、今日どうしても聞きたかったことは、この歳入、税に対する、財源に対する基本的な認識なんですね。これについて見解をしっかりとただしていきたいというふうに思っておりました。  といいますのも、まあこれは質問に答えてもらわなくて結構なんですが、先ほど取り上げた普天間の問題について、これも大きな発言がありました。総理の発言なんですけれども、当時、海兵隊の存在が抑止力として沖縄になければならない理由はないと思っていた、ただ、学べば学ぶほど、海兵隊の役割を考えたとき、すべて連携して抑止力が維持できるという思いに至った、浅かったと言われればそのとおりかもしれないという発言は愕然としましたけれども。安全保障に対する認識が、総理がこんな認識しか持っていなかったのかというのはさすがに驚きましたが、同じように、この財政に対しての認識というのも果たしてどうなのかな、大変今心配に思っているんです。といいますのも、民主党さんは衆議院選挙のときにマニフェストでも掲げていましたし、皆さんが公約として、総理も言ったんだと思いますけれども、様々な十六・八兆円もの新たな施策を講じるときに、その財源予算の組替えと無駄遣いの根絶で確保できると断言をしていたんですね。  このことについて、この論理は破綻していると私は思うんですけれども、改めて認識が甘かったんじゃないか、そうであるならば根本的な部分からこの予算考え方組み替えてやり直さなくちゃいけないんじゃないかというふうに思うんですけれども、この点について、菅大臣、先ほどの予算の組替えと無駄遣いの根絶で財源が確保できると、あの当時の約束をどのように考えているのか、今どう認識しているのか、見解伺いたいと思います。
  85. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) マニフェストの議論、私は当時それは直接は担当しておりませんでしたけれども、かなりの議論がありまして、そしてああいった工程表も付けて、特に一般会計だけではなくて特別会計等を含めた二百七兆円の中から、幾つかの取組によって、最終的には今言われた十六・八兆を含めて無駄なり組替えでやっていくと。特に国と地方がいろんな意味で集権的な構造ですので、ダブっている部分をできるだけ地方主権の国家構造に変えることによってそれをやっていこうという大きな、ある種国の形を変えるということを含めた構想の中でマニフェストがまとまったと認識をしております。  その中で、この半年余りいろいろ努力をしてきた中でいえば、率直に言えば、確かに当初考えていたように順調にそうしたものが捻出できているとまでは申し上げません。先ほども申し上げましたように、暫定税率もそういう制約の中で、少なくとも今年度予算の中では実施できなかったわけであります。ただ、それではもう全面的にあきらめたかと言われれば、そうでもありません。まさに、今第二弾の仕分の後半がまた近くありますし、この地域主権の取組も、少なくとも取組の意欲としては総理は極めて強く持って、私も会合に出ております。ただ、これも国と地方のいろんな、出先機関をやめるとかやったときに果たしてどれだけの財源という形で生み出されていくのかどうかというのは、決してそう楽観的に見ているわけではありません。そういう意味でいえば、総括的に申し上げれば、確かに当初考えていたよりも相当に厳しい状況にあると、このように思っております。  ただ、あえて言えばこれは決して、まあ言い訳に聞こえるかもしれませんが、あえて言えば、数十年間ほぼ自由民主党が中心の政権が続いておりましたから、私たちとしては、そういう中で、とにかくすべてのものを開いてみた中でどこまでやれるかやってみようという意欲も含めて申し上げたわけで、そのことはまだまだ、まだ政権交代があって七か月ですから、まだまだこれからやらなければならないし、やれば効果の出るものもかなりあるとは思っております。ただ、繰り返しになりますが、だからといって当初考えたとおりに順調に財源が捻出できるとはなかなか思えない状況にあるということは率直に認めたいと思っております。
  86. 愛知治郎

    愛知治郎君 事業仕分の話をされたんで、今日、古川副大臣にもわざわざ来ていただいたんですけれども、ちょっと時間がなかったんで、この前の御答弁を改めて引用させていただきますけれども、古川副大臣は、「事業仕分、ともすると予算、要はマニフェストを実行するための財源確保のためにやっているように、そういうふうに思われているところはありますが、決してそうではございません。」というふうに御答弁されておりました。つまり、これで財源をしっかりと確保できるものではないということをお認めになったということだと思うんですけれども、それを踏まえて厳しいというふうにおっしゃられているとは思うんですけれども。  ただ、それは分かりますが、このマニフェスト自体を、じゃ取り下げて、これはできませんでした、認識が浅かった、甘かったということをお認めになるわけではないという御答弁だと思うんですけれども、そういう認識でよろしいんでしょうか、菅大臣
  87. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) どちらに。
  88. 愛知治郎

    愛知治郎君 いや、菅大臣に、今の認識は。  じゃ、まず最初に。
  89. 古川元久

    ○副大臣(古川元久君) せっかくお呼びをいただきましたんで、私も、今、愛知委員からもお話があった点。  先日、私が御答弁申し上げましたように、予算財源確保のためだけではないと。もちろん、この事業仕分によって無駄遣いをなくしていくということによって、その結果として財源が確保できる部分もあることは、それは私どもも当然考えているということはここで確認をさせていただきたいと思っておりますけれども。  まず、マニフェストで掲げた無駄の削減というのは、これはマニフェストで四年間でやるということでございます。先ほど菅財務大臣の方からお話がございましたように、私たち政権に着いて七か月、八か月という形でやってきております。  事業仕分で申し上げますと、昨年行った事業仕分は事業に着目して、この事業は必要かどうか、あるいはもう少し予算を縮減できるんじゃないかと、そういう形で昨年は事業の見直しを行いました。  今回第二弾でやっておりますことは、事業の見直しを通じて、その事業そもそもが行っている制度やあるいは行っている主体、実は、本当に無駄の削減やあるいは予算全体を大きく削減するようなところまで踏み込もうとする場合には、そういう制度、仕組みそのものや、あるいはそれを行っている主体の在り方そのもの、そこにまでやっぱり踏み込んでいかなきゃいけない、そのための準備を行っているわけでございます。  そういう意味では、私どもはこうした幾つかの事業の見直し、そして制度の見直し、そして主体が必要かどうかの見直し、そういったものをトータルに行っていって最終的にどこまで削れるかと。そのことは、内閣を挙げて全力で最大限努力して行ってまいりたいというふうに考えております。
  90. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございました。古川副大臣に答えていただいてよかったなと思うんですが。  実は、今はっきりと改めて御答弁いただいたんですけれども、仕分自体は、見直すこと自体は大切ですので積極的にやっていただきたいと思いますが、今おっしゃられたのは、四年間時間を掛けてしっかりとまずやるべきだという話だと思うんですけれども、逆を返すと、この公約で無駄遣いの削減、それと予算の組替えでという、財源を捻出するという話は生きているというふうに考えていいんだと思います。そして、四年間それを続けることによって、今は厳しいかもしれないけれども、あくまでもやり抜くという御答弁だったと思うんです。  一点、少なくとも暫定税率部分、二・五兆円についてはあきらめたということだと思うんで、十四・三兆円だと思うんですけれども、これはあきらめずにやり抜くということで理解してよろしいんでしょうか。菅大臣伺いたいと思います。
  91. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) どの部分がどうというよりも、四年間という意味は、暫定税率の問題も、場合によってはすべて含めて四年間を元々目標にしてマニフェストは作られているわけです。初年度の対応について、いろいろな経緯の中で御承知のような形で実行したもの、あるいは一部実行できなかったものがあるわけです。ですから、その大きな枠組みは今も生きていると考えて結構ですが、しかし、この間の議論も含めて、今、政権内あるいは与党等の中でもいろんな議論をやっておりまして、それをマニフェストに当初盛り込んだ形どおりに実行することが、一つはできるできないという問題と、それがより適切かどうかという新たな議論もありますので、そういうものを受け止めて、今鋭意、ある意味では参議院の選挙のマニフェストという議論も党の方ではしておりますけれども、大きな意味では来年度予算をも念頭に置いて改めて議論が活発に行われているということで。  大きな枠組みとしては現在もマニフェストは生きておりますけれども、その具体的な二年度分についての在り方についてはいろいろな議論が行われているというのが現状だと考えております。
  92. 愛知治郎

    愛知治郎君 私が最後に一番聞きたかった質問を改めてさせていただきたいと思います。  今、参議院選挙の話をされました。そして、マニフェストの話をされましたが、今民主党が与党にいる、政権交代が起こったというのの一番の大義がこのマニフェストに基づいた衆議院選挙だと思っております。参議院選挙でこのマニフェストを変えるようなことがあれば私はあの衆議院選挙の大義を失うと思いますから、もう一度国民に信を問うべきだというふうに思います。参議院選挙でのこの基本的な方向性のマニフェスト変更は許されないと私は考えていますし、また、鳩山総理の問題はいろいろあると思うんですけれども、まあこれだけ問題がある中でよく続いているなと思いますけれども、総理大臣の問題もしかるべき問題だというふうに思います。一説によると、鳩山総理がもし退陣するようなことがあれば菅さんが、菅大臣がなるんではないかというふうにも聞いておりますけれども、分からないですよ、それは。  でも、民主党さんがずっと言っていたことでもありますけれども、総理が替わったのであれば国民に改めて、衆議院選挙、解散をして信を問うべきだということは多分主張は生きていると思うんですけれども、マニフェストの問題と総理の問題、これはいずれまた解散権についても菅さんともやり取りをさせていただきたかったんですけれども、最後に今のマニフェストと総理の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
  93. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 私は、マニフェスト選挙というのは二〇〇三年、私が代表をした折に本格的に取り入れて、二〇〇三年の選挙でも衆議院で相当議席を伸ばさせていただきました。ですから、マニフェストが政権公約という形で極めて重要な要素であることはそのとおりだと思っています。  ただ、あえて言えば、昨年の政権交代に至った過程を私なりに分析してみると、この二十年間の日本の停滞の中で国民の皆さんが何とかこの二十年間の停滞を打ち破りたいと、私はその中で生まれた最初が小泉政権だったと思うんです。自民党をぶっ壊すと言って、まさにそれまでの自民党政治が何か行き詰まったと、行き詰まりだけはほとんど多くの国民が認識されたと。まだ民主党へというよりは自民党の中でそういう際立った発言をされた小泉さんに物すごい人気が集まって、ああいう結果に、数年間、五年間の政権が維持され、その後の政権が数年間続きました。しかし、結局何だったんだという思いの中で昨年の衆議院選挙が行われて、やはり自民党の中の政権交代では結局のところは何も変わらなかったじゃないか、そこで党を替えて本格的な政権交代を一回はやらせてみようと。当時から、別に私は世論調査の結果を全部言うわけじゃありませんが、当時から、マニフェストがいいから政権交代をしろというよりも政権交代そのものを期待する声が大変高かったわけです。  私は、政権交代を期待する国民の皆さんの一番の思いはこの二十年間の停滞をいかにして打ち破るかということにあると、私自身はそう思っております。ですから、これからの政権運営についても、もちろんマニフェストはできる限りそれを実行できるように頑張っていきますけれども、それ自体を自己目的にするというよりも、やはり二十年間の停滞をどう打ち破ってもう一度元気のいい日本に取り戻すかと、そこに最大の目標を置いて政権運営するのが、私は、この鳩山政権、民主党政権あるいは三党連立政権の歴史的な役割だと、こういう認識を持っております。
  94. 愛知治郎

    愛知治郎君 また認識が相当甘いと私は思います。  小泉政権のことはおいておいて、ただそのときに、私も覚えていますけれども、財源国債発行ですかね、宣言していたとおりにできなくてそれを超過したときに、まあ公約で言ったけれども大きなことを考えればこういった細かいことは大したことではないような発言をしたときに、小泉総理が、大ブーイングを受けたのを覚えております。  約束というのはそう軽々しく扱うものじゃないですし、政権交代に意義があるというふうにおっしゃられましたけれども、だからマニフェストはどうでもいいんだということにはならないと思います。そこは大変大きな問題ですし、その認識というのを改めていただかなくちゃいけないと思います。しっかりと約束は守るべきだし、それが守れないのであれば、もう一度国民に信を問うべきだとはっきり申し上げまして、私の質問を終わります。
  95. 森まさこ

    森まさこ君 自由民主党の森まさこです。よろしくお願いいたします。  質問の前に一言言わせていただきます。  愛知委員指摘されたとおり、山岡国対委員長の普天間は国民生活に直接関係する話ではないという発言は撤回して済む話ではないと思います。また、このゴールデンウイーク中、鳩山総理の最低でも県外という代表発言は民主党の公約ではないといった発言や、抑止力の認識についての発言、マスコミ各紙で一斉に批判をされましたが、それに加えて、仙谷大臣が、普天間で総理を辞任しなければならないというせせこましい話ではないといった発言がありました。沖縄県民をばかにした発言ばかりだと思いますし、ゴールデンウイーク中、有権者の皆様からの怒りを込めた指摘が多かったので、ここで一言指摘をさせていただきまして、質問に入らせていただきたいと思います。  本日は、亀井大臣金融議論をしたいと思って参りました。私、財政金融委員会に元は所属しておったのですが、今、法務委員会にいますのでなかなか亀井大臣議論する機会がなかったのですが、本日、決算委員会亀井大臣がお越しになるということで大変楽しみにして参りました。  二十年の十一月と十二月に参議院の財政金融委員会指摘をさせていただいた問題なんですけれども、今もまだ続いている問題でございまして、商品デリバティブの勧誘によって中小企業が苦しんでいるという問題でございます。この二十年に指摘させていただいたときには、中川昭一金融大臣にお答えをいただいたわけでございますが。  どういう問題かと申しますと、私の選挙区の福島県でも起きているんですけれども、メガバンクが地方にやってまいりまして、中小企業におたくはなかなか優秀だからうちが取引銀行になってあげようと言うわけですね。そうしますと、ふだんは地銀さんや信用金庫さんなどと取引をしている中小企業が、メガバンクさんに声を掛けていただくとうれしくなって取引銀行に早速なっていただくと。その後、しばらくしてからこの商品デリバティブの押し付け販売と申しますか抱き合わせ販売と申しますか、そういったことをしてくるということで、福島県でも大変多額の被害が起きている問題でございます。  この商品デリバティブというのは、法律的には経済産業省の所掌になるものでございますけれども、この商品デリバティブが銀行によって関与をしているものですから、今日は、やはりその銀行の監督庁である金融庁金融大臣である亀井大臣お話伺いたいと思っておるわけでございます。  これはやはり、取引をしているというそういった優越的地位の濫用という問題もあると思いますし、また幾つかの事例では、経営者本人のその意思の確認がきちんとなされていないと申しますか、わざと故意に確認をしていないのではないかと思われる節もあるところでございます。  そしてまた、最初に、そういう商品デリバティブの販売をするときに、その知識が余りないところにきちんとした説明をしていないという適合性の問題もございますし、元々この契約をしたときに最初に支払う金額と全く違った大きな損失が出ると、契約を解約すると、本当に巨額の解約金、清算金を取られるということを説明をしていないという、そういう問題もございます。  私は、こういった銀行が、特にメガバンクが、そうでなくても疲弊している地方へ行って中小企業にもう立ち直れないほどの大きな損失を与えるということ、大変問題視をしておりまして、二回ほど国会でも取り上げさせていただきましたけれども、金融庁の方は指導をするというようなお返事にとどまっていたわけでございますが、これについて亀井大臣が今後どのような対応をしていくのか、御見解をお伺いしたいと思っております。
  96. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 委員指摘のような実態があることは事実でございましたので、金融庁としては、委員からの厳しい御指摘、御指導も踏まえまして、金融機関に対してそうした優越的な地位、立場を利用してのそういう行為をしてはならないということについて、監督指針もこれを変えまして、その中にもきっちりと金融機関がそういうことをしてはならないように検査監督をしていくということを現在やっておるつもりでございます。  現在、金融機関がその社会的責任をきっちりと自覚をしてノーマルな金融業務をやるように、鋭意今監督指導をいたしております。
  97. 森まさこ

    森まさこ君 監督指針の改定をしていただいたということで、それを高く評価をさせていただきたいと思います。  ただ、時期的に見ますと、どうやら金融危機が起きてメガバンクが損失を抱えた、その損失を地域の中小企業にツケを回すような形で、その時期にちょうど被害が集中していたように思うのです。ですから、今後はもちろん監督指針を基にしてきちんとした監督が行われていくということを期待いたしますが、今まで起きたこの被害について金融庁としてはどのような対処をしていくんでしょうか。
  98. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 今までのした、金融庁としての、勧誘、勧奨等が極めて不適切な形でなされておる場合についてはもう当該銀行に対して厳しい対応を私はせざるを得ないと、このように考えておりますが、過去の個々の事案の中身について、どういうそういう形での勧誘をし、また押し付け等のそういうことを販売をやったのかという、これは実態をきっちりと押さえた上でこの損害賠償等についての処置について金融庁として指導をしなければならないと、このように考えております。
  99. 森まさこ

    森まさこ君 そうですね、私もこの被害に遭われた中小企業の社長さんに、つい最近、四月三十日にもお会いをしてお話を伺ってきたんですけれども、もう一年以上たちますが、誠実な対応がなされていないということでございます。  メガバンクと先ほどおっしゃいましたけれども、余りに不誠実な対応なんで名前を言うと、みずほ銀行でございます。是非、金融庁は監督権限を使って調査をしていただいて、この銀行に報告徴求をして、被害の実態を調査し、そしてその結果いかんによっては、今大臣がおっしゃっていただいたような厳しい処分をしていただきますようにお願いを申し上げます。
  100. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 現在もそうした金融庁としての調査努力はしておりますけれども、そうした個別事案につきまして、一般論じゃなくて具体的な調査、これをきっちりとやり、その中で議員御指摘のような極めて不適切な、銀行サイドとして責任を負ってしかるべき事案については、きちっとした対応を金融庁が責任を持ってやらさなければならないと、このように考えております。
  101. 森まさこ

    森まさこ君 ありがとうございます。亀井大臣の正義感に期待をしたいと思います。  次ですけれども、郵政改革について質問をさせていただきたいと思います。  私は、郵政改革について大きな転換があったと思いますが、本来、郵政事業とはどうあるべきかとの議論が尽くされていないのではないか、単に郵便局の組織維持という目的のために大局を見失った議論が先行しているのではないかという不安を覚えているところでございます。  政府は、先般、日本郵政に対する政府からの出資比率を三分の一超とし、郵政改革法案の成立に合わせて郵便貯金の預入限度額を二千万円に、かんぽ生命保険の保険加入限度額を二千五百万円に引き上げる方向で検討を行うというふうにされました。また、ゆうちょ銀行やかんぽ生命は届出によって新規業務を行うことができるというふうにされたところでございます。  一方、この郵政改革の基本理念の中には、経営の自主性、競争条件の公平性、地域経済の健全な発展及び民間の経済活力への向上への寄与などが挙げられております。  私は、先ほどのこの郵政改革の内容と基本理念の間に矛盾があるのではないかという疑問を持っております。特に、これらの郵政改革の内容によって預金のシフトが心配されておりますが、それが起きたときに地域経済に与える影響、つまり中小企業や農業者の皆様への貸出しが停滞して、結果として中小企業や農業者の皆様が立ち行かなくなっていくのではないかという不安を覚えているところでございます。このことについての亀井大臣の御見解をお聞かせください。
  102. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 議員御承知のように、一般金融機関の預金限度額は青天井でございます。それに対して、ゆうちょ銀行又は簡保につきましては限度額が設定をされて、手足を縛っておるわけであります。  これは、なぜそうなっておるかというと、これはすべて言わば国の機関という立場に立っての業務を遂行していくという前提の中において、やはり民間の金融機関との関係において限度を青天井じゃなくて一千万にすべきだという、そういうことで、まあいろいろ理由はありますけれども、あったと思いますけれども。  この度、やはり一つは、私は何も一般金融機関すべてを批判しておるわけではございませんけれども、先ほど来議員が御指摘のように、一般の金融機関がこの地域経済に対して、あるいは国の経済全体に対してきちっと責任を負う形の中で業務を展開をしてくれれば、私は、ある意味ではこの郵政のそういう意味での責任というのは非常に軽減されると思いますけれども、なかなかこれは言うはやすく難しいわけで、三菱銀行が山の中までに採算を無視をしてそうした業務を展開をしてくれるかということは不可能でありまして、まあ竹中さんの言ったように、そこに住むのが悪いんだと言ってしまえばそれまででありますけれども、日本人である以上はそういうサービスを最低きちっと受けられるということをやるのは私は国の責任だと思っておりますが、そういうことをやはりやっていただく。しかし、これを全部国の支配下に置いてやるんではなくて、やはり一般金融機関の持っておるような自主的な活力、そういうものもやはり発揮をしてもらいたいと、創意工夫もこれを発揮してもらいたいという観点から、持ち株も政府は三分の一超にとどめるという、そういう処置をしたわけでございまして、問題は、二千万にした場合、極端なシフトが起きるんじゃないかという、まあいろいろなことが言われておりますけれども、私はそう簡単なものではないと思います。じゃ、それで一挙にゆうちょ銀行の預金高が倍になるのかという、そんなことは私はあり得ないと思います。  また、従来とは違って業務のやり方も変えるわけでありますから、たんす預金になってしまっているような、そういう山間部のお金が預金化していくという形の中で郵貯のあれが増えるということは私もあると思いますし、また、一般の預金者の方々も、ある意味では、この一千万の限度額は取れたんで、もうちょっと預けようという、そういう意味でのシフトも起きるかと思いますけれども、私は、金融機関の皆さん方に申し上げているのは、商売をしておって、まあ商売ですね、相手方の条件が若干これは良くなると、限度額上がるというのは確かにそういう面では良くなるわけでありますが、そのことをもってこれは大変だ大変だと言っているんじゃなくて、それは、地域における中小企業や零細企業や一般の方々に対して、日ごろから金融機関としてきっちりとしたサービスをやっていくと、信頼関係をつくっていくという、そういう努力をきちっとやっていけば、じゃ今度限度額が二倍になったから郵貯の方に金を移そうという、そういう簡単なマターはこれは預金者は取るわけはないんであって、やはりそういう意味では、やはり金融機関が本来のそうした責務またサービスをちゃんとやっていくことによって、競争相手が若干条件が良くなったかもしれないけれども、それを乗り越えていくというぐらいな気概を持たないと、大変だ大変だと、相手方の競争条件を悪くしてくれというような、そんなことばっかり主張しておっては駄目だと、ちょっと乱暴な言い方ですけど、私はそういうことも言っておるわけであります。
  103. 森まさこ

    森まさこ君 メガバンクの話も引用されましたけど、みずほ銀行なんですけれども、地域で通常、その中小企業や農業者に融資をしているのは地銀さんを始めとする地域金融機関又はJAバンクでございまして、みずほ銀行のようなメガバンクがしているわけではないので、今は地域金融機関との比較でございますので、少しそこは前提が違うんですけれども、やはり先ほどの三分の一超であっても、やはり政府が関与しているということになりますと、暗黙の政府保証ということが言われておりますけど、私は暗黙どころか明確な政府保証と言っても過言ではないのではないかと思っております。  昨今の金融危機によって、金融機関の破綻リスクは現実味を帯びて国民のだれもが感じ取っているところだと思います。この中で、やはりこれが全く民業圧迫にならないというような断言はできないというふうに思っております。  特に、ゆうちょ銀行の預金残高は昨年九月の時点で百七十七兆円、世界的に見ても異例の資金規模です。日本のメガバンクを合わせても三百三十兆円です。これを取り扱う店舗数は全国に二万四千か所。大手銀行から農協まで合わせても五万六千か所ですから、その比較をしても半数に及ぶ店舗数という勢いでございます。  日本郵政グループを経営上の脅威とする中小・地域金融機関には、中小規模の都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、そしてJAバンクなどがございます。これらの金融機関にとっては、やはり政府保証の付いた半ば国営とも受け取れる日本郵政グループは、潜在的な脅威どころか明らかな脅威であるというふうに私には思えます。  私も金融庁時代、金融証券検査官というのをしておりまして、金融機関に検査を入った経験もございますけれども、地方の金融機関は、亀井大臣が満足できるような一〇〇%のサービスはそれはないし、トラブルもございますけれども、やはり今までの金融庁の指導の下、リレーションシップバンキングといって地域密着型の金融で一生懸命に、たまには怒られながらやってきたという、そういった経験もございます。  その中で、預金シフトは起こらないと考えていると今大臣がおっしゃいましたけれども、万が一預金シフトが起こった場合に地域経済がどうなるのか、それが私は心配なのでございます。小口預金は地域・中小金融機関の収益の柱であります。そして、その預金は、地域の産業、中小企業を資金的に支える重要な融資として活用されております。  中でも、JAバンクなどは、小口で寄せられた預金から得られる運用益で地域農業を支える様々な支援を行っています。例えば、各地域ごと、作物ごと、品種ごとに異なる農作物を作っていくための営農指導、農業に欠かせない機械や施設の購入のための貸付け、販売に関する指導、支援など、日本の農業を支えている事業に農協の銀行業務が重要な役割を果たしておりまして、ここに大きな人件費などを割いて行っています。  今、ちょうど冷害で野菜の値段が上がった、そういうことがマスコミでも報道されておりますが、こういった冷害の際には、やはり農業者の皆様方、生産者の皆様方に一番大きな損失が生じております。  そういった重要な役割を地域の中で果たしてきた地域の金融機関、そしてそこから融資を受けている様々な産業を衰退に追い込むおそれがあるのではないかという心配をしております。  亀井大臣は先ほど、きちんとした仕事をしていれば、信用があって、余り預金のシフトなどの心配しなくてもいいんじゃないかというお話ですけれども、例えばJAバンクなどはすべての金融機関の中でそのシェアはたった五%にすぎないんです。ですから、ちょっとの預金シフトで本当に大きな損失を被る。ところが、そのJAバンクが融資しているのは六三%以上が農業者の皆様なんです。JAバンクがこけたら、農業者の皆様の大きな損失になるんです。そこのところをゆうちょ銀行がじゃ補っていけるのかというと、私にはまだそのノウハウが育っていないというふうに思えます。  ですから、私のまた次の質問は、このことによって大きな、地域産業にまた地域経済に影響が出ないように、金融大臣としては地域金融機関に対してどのような処置を行って対処をしていくおつもりでしょうか。
  104. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私は、委員金融庁に御在職中に大変な優秀な職員として金融機関のそうした業務についても精通をしておられるということは私よく聞いておりますので、委員のそうした御指摘というのは私はしっかりと受け止めなければならないと、このように思っておりますけれども、ただ、そうした預金シフトがどの程度の規模で起きるか。前回の場合は一四%程度起きちゃっているということがありましたけれども、この度の処置によってそれがどうなるか。  私は結構、委員、これで憶病でもございまして、この法律成立時において限度額をそういたしますけれども、来年の十月時点でこれを施行していくときまでの預金シフトの状況を非常に私どもは注意深く見ていきたいと、このように考えておりまして、総理からも、その状況によっては限度額を下げたり、また元に戻したり上げたり、いろんな場合があるんだなという御指摘でございましたが、全くそのとおりでございますと。  しかし、将来に対する決して一〇〇%の私は予知能力もございませんけれども、現在の今の金融事情全体を見ましても、地域の零細企業と言ってもいいと思います、そういうところに対しての預貸率等を見ましても、残念ながら四〇%から五〇%程度を今推移している状況でありまして、そういう意味では、地方の中小の金融機関のそうした意味での預貸率なんかを見ましても、まだそうした中小企業、零細企業の面倒を見られる力、余力というのは現在私はあると思っております。  しかし、議員御指摘のように、そんなこと私はないと思いますけれども、相当私なりにいろんな状況を判断して決めたつもりでございますけれども、状況を見てそれはまたもう一度判断をする機会があると思います。  私は、何度も申しますけれども、金融機関自体が取引先、その他JAにいたしましても農民との間の非常に密着した形でこの関係を強く持っていくという、そういう日ごろからの活動を強化をしていくことによって、限度額が二千万になったから郵便貯金に預け直しをしようということには、私の家も農家で、今はやっておりませんが、私はそういうことにはやはりならないのではないかと。  やはり、農協に預けたからといって、信用金庫に預けたからといって、すぐこれが破綻につながる危険性があるなんということは今預金者は考える状況でもありませんし、今御承知のペイオフの限度額は一千万円ですけれども、そうした一つの保証も今あるわけでもありますし、私はこれ要らぬことを言っちゃったかもしれませんけれども、そうした中小金融機関に対して、メガバンクに対して、あなた方は預金を預かる上において信用力がないと思われているんであれば、信用力を付けるという意味で、じゃそのペイオフの限度額を引き上げるということも検討してもいいんですよということも提案をした経緯もございますけれども、それぞれの金融機関が預金者に対してどれだけの信用力を持つかという問題というのはやはりトータルの日ごろの金融機関の在り方にも関係してくることで、一概に郵貯の限度額が上がったからシフトしていくというものでもなかろうと、このように考えております。
  105. 森まさこ

    森まさこ君 預金シフトの状況を注意深く見てまたしかるべき対応をしてくださるという点は本当に有り難い御答弁でございました。    〔委員長退席、理事谷博之君着席〕  預貸率の話が出ましたけれども、確かに信用金庫さんなども預貸率の問題もございますけれども、だからといって、今度それではゆうちょ銀行がどんどん貸付けができるかと申しますと、それは貸すのはできると思いますよ、どんどん貸すのは資金があればできると思いますよ。問題は焦げ付いた場合なんですよね。滞納があった場合にどう処置していくかというのは、これはもう本当に私も検査をしてきましたけれども、難しい判断、目利き能力を要求されるところでございます。これがまた失敗しましたら、今度は預金者に対して大変な損害を与えてしまいますので、簡単に預貸率を上げて地域の方に貢献できるという、これは簡単にノウハウが積み上がるものではございませんので、私としてはやはり限度額を上げる前に、まずゆうちょ銀行の皆様がそういったノウハウを学んでいくというのとやっぱり並行して行っていただきたいなというふうに思っているところでございます。  また、日本郵政グループに関しては、残念ながらガバナンスの問題も看過できないものがございます。平成二十二年四月二十四日の読売新聞によると、日本郵政グループの従業員による貯金横領などの事件は二〇〇九年で四十二件起きており、被害総額は何と二十億円を上回っているということでございます。  また、私は消費者問題専門の弁護士を十五年間しておりましたけれども、消費者団体によりますと、郵便局窓口で扱っている金融商品のトラブルが非常に多いという報告がなされております。こういったことに対しては、通常の民間の金融機関に対しては金融庁がきちっと監督をしておりますが、今回の改正の中に、小規模郵便局での検査監督については業務の円滑な遂行に配慮して行うと、検査緩くしてくださいというようなことが書いてありまして、大変心配に思っているところでございます。  また、犯罪防止のために郵便局に設置をされている監視カメラ、これを職員の士気が下がるなどという理由で三十二億円も掛けて撤去するということを聞いております。民間では考えられないガバナンス、コンプライアンス意識の低さであるというふうに思います。  確かに、先ほど大臣がおっしゃられたように、ユニバーサルサービスの充実という観点では、やはり過疎地では必要性もあると思いますけれども、そのニーズがイコール限度額の引上げではないのではないかなと。やはり一部の金持ちの方のペイオフ対策で金持ち優遇になるだけで、そんなに預金シフトが起こらないというだけでもそういった金持ち優遇になってしまうのではないかという、そういう御意見も来ております。  時間がなくなってきてしまいましたけれども、私からは、この問題が決まるまでの間、閣内でもいろいろあったようでございますので、もう一度しっかりと話合いをしていただいて、じっくりと検討していただきたいというふうに思うんです。    〔理事谷博之君退席、委員長着席〕  特に民主党さんのマニフェストでは、二〇〇四年の参議院選挙公約では、金融情勢を見定めつつ、郵便貯金の預入限度額及び簡易保険の加入限度額の段階的な引下げを始めますと明記されておりますし、二〇〇五年のマニフェストでは郵貯・簡保を徹底的に縮小すると題して、預入限度額を更に五百万円に引き下げますというふうになっておりますので、是非、この問題は預金のシフトの問題だけではなく、またその運用についても、今日は時間がありませんけれども、いろいろな大変元気のいい提案も出ているようでございますが、運用についても大変心配な点もございます。ですので、こういった問題については元々の趣旨、本来郵政事業とはどうあるべきかと、そういう議論を国民的に議論を尽くして、そして閣内でも議論を尽くして、間違いのない方向で検討していただくようにお願いを申し上げます。  最後に、大臣から一言いただければと思います。
  106. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 大変貴重な意見をいただきましたが、今連立政権でございますので、郵政問題についてもすべて細目まで意見が一致をするわけではございませんけれども、連立を組むに当たって、また実はその前も一年以上にわたりまして鳩山総理、菅当時の代行、それと直嶋政調会長との間でずっとこうした問題を含めて議論を重ねてきたわけでありまして、別に民主党もある日突然コペルニクス的な転回をやったわけではありません。  郵政事業が未来に向かってどうあるべきかという現実を踏まえての議論の結果、三党で合意をしてこの法案ができたわけでございまして、いろいろと民主党においても政務三役会議、いろんな党内の議論、いろいろございました。それを十分我々としては酌み取りながらこの法案を提出いたしましたので、議員におかれましては、是非これについて御賛同を賜りますようにお願いを申し上げたいと思います。
  107. 森まさこ

    森まさこ君 地域金融機関の皆様方からは意見を聞いてもらえる機会が少なかったというふうなことで陳情が来ております。私ども自民党は、金融機関の皆様方にじっくりお会いをして御意見を伺ってまいりました。大塚副大臣の下で各金融機関が十五分ずつ意見を述べて、それに対する答弁もなくて終わってしまったというふうなことを申されておりますので、是非、関係金融機関の皆様方の御意見もじっくり聞いていただくことをお願いをいたしまして、次の質問に入らせていただきたいと思います。  次は、貸金業制度について質問をいたします。  貸金業法の改正でございますけれども、この度閣議決定をしていただきまして、完全施行となることが決定されましたこと、高く評価をさせていただきます。  私は、ちょうど金融庁におりましたときにこの改正貸金業法の担当の課長補佐でございまして、ちょうど改正の議論が始まったときから本会議で全会一致で改正法案が通るまで、ほとんどその間を一番長い期間担当をしていた課長補佐でございますので、完全施行ということで感無量の思いでございます。  ただ、一つ指摘をさせていただきたいのは、この度政務三役でつくられておりました貸金業制度に関するプロジェクトチーム、こちらが取りまとめをなさいまして、その中に借り手の目線に立った十の方策という文書を出されました。これを見ますと、その中には貸金業法一条に定める資金需要者等の利益の保護という目的にかなってうなずける項目もございます。しかし、多くは貸金業者側の要望を取り入れたものであり、改正貸金業法の趣旨にそぐわず、債務者に多重債務の負担を更に負わせるものになるのではないかというおそれがありますので、具体的に質問をさせていただきたいと思います。  そもそも手続的な問題でございますが、この貸金業法、またそれを含む多重債務問題については官邸の中に多重債務対策本部というものがございまして、亀井金融大臣が対策本部長でいらっしゃると思います。その対策本部の下に有識者会議というのが設置されておりまして、ここには日弁連の宇都宮健児現会長を含む多重債務問題に携わっておられた有識者の方々をメンバーとして構成されております。  ところが、今回の完全施行に至るまでは、政権交代後はこの対策会議や有識者会議というのがほとんど開かれず、政務三役だけの先ほどのプロジェクトチームが開かれまして、この十の方策が作られました。  私は、有識者会議の下で作られておれば、こんなにもやはり貸金業者側に偏った内容にならなかったのではないかということを考えております。最後にこの有識者会議が一回だけ開かれて、そこの意見を聞いたということでございますが、私はもっとこの有識者会議を活用していただきたかったというふうに思うのです。  そして、内容について時間のある限り申し上げますと、まず一つ目は、この十の方策の一番目でございますけれども、総量規制に抵触をしている者の借入残高を段階的に減らしていくための借換えの推進についてというふうにありまして、要するに、今度の貸金業法では総量の、量の規制が掛かりましたけれども、現在、今もう借りていて、その総量を超えている方がいます。その超えている方については、ほかのもっと金利の安い業者さんに借換えをさせることができますよと。そういうことによって、返していく期間を長くしたり金利を下げたりして段階的に返済をすることができるんですよと、そういう借換えをする場合には総量規制の例外とします、貸金業法の例外としますというふうに書いてあるんです。ちょっと聞くと良いことのように思いますけれども、私はこの条項は問題が大きいというふうに思っています。  と申しますのも、これまでも同じような問題がありまして、俗におまとめローンというんですけれども、多重債務に陥ってたくさん債務を抱えてしまった人が、例えばスター銀行という銀行に行って、おまとめをしてあげますよ、まとめてもらって、一つにまとまって毎月返す額が減ったから助かったように債務者は思うんですけれども、実はそこにはトリックがあって、今まで多いと思っていた債務は実はグレーゾーンの金利が入っていますから、そこで、弁護士や消費者相談に行って相談をすれば利息制限法よりも多い金利は払わなくてもいいということになって整理をし直す、計算をし直すとぐっと債務が減るはずなんです。  ところが、債務を減らさないまま、グレーゾーンの金利を抱えたままおまとめをしてしまうとグレーゾーンの金利は元金に入ってしまう。そこに更に新しい金利が付く。新しい金利はちょっと見低金利なので得をしたように思うんですけれども、実は二重金利になっているんですね。グレーゾーンの金利に新しい低金利が付いていくと、そのことによって更に多重債務から抜け出せなくなる。もしそのときにおまとめをできないとなれば、これは適切な機関に相談をして、そして債務の整理ができるわけでございます。  ですので、私はこの第一項めの案は大変問題が多いと思っておりますが、この十の項目というのは、実は法律改正で行われるんではなくて府令の改正でできるということになっておりますので、この国会では審議をされずに決まっていってしまうと。今パブコメに掛かっているようでございますが、私は元々の改正業法の多重債務を解決するという趣旨からすれば、このような大きな問題のある総量規制の例外を設ける場合には、やはり法律を改正するこの国会の場で話し合うべきであって、府令の改正で行うべきではないというふうに思っています。  ここまでお聞きになって、亀井大臣の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  108. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私は、完全実施に当たっての運用上の問題点を検討しろということでプロジェクトチームを立ち上げたわけでありますが、その視点は、あくまで借り手の立場に立ってこれをやってくれという基本的な指示をいたしまして、その中で検討をしてくれたわけであります。  議員御指摘のようなそういう一項目の問題なんかは、これも結局借換えという処置の中でこれを段階的に減らさしていくという。私はこれはある意味では多重債務者が軟着陸的にそれを減らしていくという、借換えという形の中で私はいい方法を思い付いたなというように褒めてやったわけでありますけれども、委員のちょっと御見解と違うわけでありますけれども。  あくまでやはり借り手の立場に立って、その中で、私は今度のことで一つ非常に大きな問題があると思いましたのは個人事業者ですね、個人事業者。これは一般の金融機関が緊急の融資に応じてくれないと。しかし、その資金を調達できなければ新しいビジネス機会を逃してしまうとか、場合によっては大変な事態に立ち至るという。  そういう事態において、この貸金業者というのがやはり機能をしておるという現実の問題があることも事実でして、そうした場合の総量規制のこれとの関係での運用で、個人事業者の収入といいますか所得をどうカウントしていくかというようなことは、個人のそうした、何というの、借りる人とは違った、個人事業者の場合は、私は事情があると思います。その辺りをこの際すぱっと大根を切るみたいな形で処理をしてしまったら、そういう人たちがやみ金にばっと走らざるを得ないという事態が起きるのではないかというやっぱり深刻な実態があるということも、私、不勉強ながら分かったわけでもありまして、そういう意味で、個人事業者のそうした状況をやはり解決できる、そうした法律の完全施行ということの中で工夫を一つはしてくれたと、このように思っております。
  109. 森まさこ

    森まさこ君 個人事業者の問題については、それは時間がないのでまた次の機会に議論をさせていただきたいんですが。それはそれで大変な問題がありまして、古くて新しい議論なんですけれども。そういった緊急の貸付けも、それこそゆうちょ銀行がしていただければいいと思うんですが。別に、消費者金融に行って、また更に多重債務を増やす必要はないと私は思っておるんですが。  先ほどの議論に戻りますけれども、おまとめをしてまたその金利金利が付いていくような問題がございますので、その多重債務の人が段階的に債務を減らしていくのは、これは、そういう目的自体はとても良いことなんです。ですから、まず多重債務であったときには、総量規制に掛かる方はまず相談機関に行ってくださいと。これは貸金業法十二条の九に決まっておりますから、相談機関に行って、全部その金利の計算を、引き直し計算をすればいいと思うんです。  引き直し計算をして、そしてそれでも債務が残る方がいますね。その残った、もう金利が全部付いていない債務をまた借り換えるんだったらば、それは問題がないし、借り換えるときにはセーフティーネットの貸付けや公的扶助、ゆうちょ銀行さん、そういったところでやはり面倒を見るべきであって、消費者金融で借りてその金利で返していけなかったわけですから、そこは、相談機関ではきちんとその方の収入や今後の返済計画を立ててアドバイスをしてくださいますので、私はやはりこの十の項目のうちの一番目、これは問題があり、まず相談窓口に行かせるべきだと、問題はその次だというふうにしていただきたいと思います。  今、弁護士会や消費者団体からこの第一項目めについては反対の意見が続々と金融庁に寄せられていると思いますので、大臣は是非それをお目通しいただいて、より良い方向に検討をしていただきたいというふうにお願いを申し上げます。
  110. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私はこの問題、本当に厄介な問題だということをつくづく感じたわけでして、しかも悪徳弁護士までが大量にこれに介入をしてきて食い物にしてしまっちゃっているという、コマーシャルまで打ってやっているという現状、私はこの間、日弁連の会長になったあの方にも申し上げたんだ。  また、その契約をするときにないんですね、どういう契約をしてはならぬということがないので、契約自由だということで、全く本人にはほとんど返っていかない形で懐に入っている。その中で、一つこういう危険があるらしいですね。借りた方に対して貸した方が、おっしゃるように、金利を正常な形で計算をしていったら、返還せにゃいかぬ部分を差っ引いたらもう債務はないと。債務がないにもかかわらず、その債務の返還を協議をするというような、今ちょっと議員が御指摘になられたような問題が現に起きてきている。  私は、それはある意味ではモラルの問題だと思いますね。そういうところの貸金業者のモラルの問題もありますけれども。しかし、ほっておくわけにはまいりませんので、その辺りをやっぱり金融庁は、しかと実態の中にまで手を突っ込んでいって解決をしていくということが必要だと思いますし、また、おっしゃるように、後をどうするかということになると、私は、ある意味では社会福祉等の分野ともこれはつながってくるんですよ、間違いなく。そういうことについて、自治体との関係等もありますね。  これを総合的にその部分の人たちをどうするかという対策を講じていかないと、やみ金といいましても、そういう方々が簡単にやみ金で救われるということはないとなると、それこそ命を絶たざるを得ないとか、そういう事態に一挙に追い込まれていくわけでありますから、これについては、金融庁プロパーだけで解決できる問題ではありませんけれども、責任を持って解決せにゃいかぬことでありますので、また委員、あなたのいろんな知恵を、別に野党だからって毛嫌いなんかいたしませんからどんどんと具体的な知恵を教えてください、うちはどんどん踏み込んでいきますから。政令だからといいましても、そのまた運用その他について、金融庁自体が字面だけで何も四角四面に判断する必要はないわけですよ。中身について、金融庁が責任持ってこれを運用していけばいい。その運用の中身について、是非ひとつ御指導をいただきたい。あなたの古巣でもありますから遠慮なくお願いしたいと思います。
  111. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 森まさこさん、時間が参っております。
  112. 森まさこ

    森まさこ君 ありがとうございました。終わります。
  113. 山下栄一

    ○山下栄一君 公明党の山下でございます。よろしくお願いいたします。  今日は、財務省金融庁、また政府金融機関ですけれども、中心は。国会会計検査院もございまして、私はそちらの方も光を当てさせていただきたいと思っておりまして、そちらからまず質問をさせていただきたいと思います。  まず、国会でございます。  私は、政権交代してプラスマイナス両方あるなと思っております。それで、特に参議院の行政監視機能といいますか、これは非常にますます重みを持ってきているなと感じております。与野党を超えて議会が、立法府が、衆議院、参議院、行政を監視すると、国民の代表としてという役割が非常に高まってきているなと思っております。事業仕分に待望、期待が高まるのもそういう観点があるのではないかというふうに思うわけでございます。法務委員長、行政監視委員長もさせていただきまして、そのことを痛切に感じた次第でございます。  そこで、国会法第四十三条の確認をさせていただきたいと思います。  議員の資質を、ある意味では刺激してくれるのが、私は参議院に所属しておりますが、参議院の法制局、院の法制局、それから調査室、まあ国会図書館もそうかも分かりません、であるなということを本当に感じております。  昭和二十二年に国会法ができまして、その冒頭からこの四十三条はあったようでございます。「常任委員会には、専門の知識を有する職員(これを専門員という)及び調査員を置くことができる。」と、こういう規定があるわけですけれども、この規定が私はちょっと形骸化しているということを感じております。  そこで事務総長に、この四十三条という規定が入っていった背景、変遷もあるようですけど、これは非常に私は重みのある規定だと思いますので、この規定が入った背景、そして総長はこの四十三条の重みをどのように考えておられるかということを確認させてください。
  114. 小幡幹雄

    事務総長(小幡幹雄君) お答えいたします。  先生から国会法四十三条の条文のお話がございましたけれども、趣旨は、昭和二十二年、国会法が制定されておりますが、常任委員会制度が採用されたのに合わせまして、常任委員会の審査の質を高めるための方策として、常任委員会の所管事項に関する各種の調査研究に従事して委員長委員の仕事を補佐する専門員、当時は専門調査員と言っておりましたけれども、配置する制度が導入されたものという経緯でございます。  先生がおっしゃるその四十三条の意義でございますけれども、まさしく今申し上げたとおり、専門性を有して国会議員、参議院議員を的確に補佐する、その能力を確保するということが一番大事なところではないかと思っております。
  115. 山下栄一

    ○山下栄一君 法制局の方々も議員立法等でお世話になっているわけで、非常に優秀な方が多いなと思っておりますが、この調査室長ですね、専門員というんでしょう、非常にお給料も高いと。ところが、専門性という観点でそういう人事が行われているのかなと、私がこれは体験したことでございます。  この専門員は、最初は専門員の人を二人置くということから始まったようですが、途中からは調査室という組織のトップだと、人事も行うと。その下で働く方々は、調査室長の見識、専門性、これがいいかげんであれば大変な影響を与えて全体的に調査室の質が低下してしまうという、そういう意味ではトップの人事は非常に重要だと。この専門性を持った人が就かないかぬということになっているんですけど、これが空文化しているのではないかというふうに私は思います。  どのような専門性をチェックして、そしてその人事をされているのかなということを非常に疑問に思っておりまして、ここを間違うと、一生懸命頑張っている人と頑張らぬ人とが、頑張りがいがないといいますか、そういうふうになってしまう。これは私自身が、もう具体的には言いませんが体験したことでございまして、ある意味じゃ、この調査室長、専門員という四十三条を、専門性を持った人を配置するんだというこの規定が空文化しないように、きちっとした人事の仕組み、システムをつくる必要があると。場合によっては登用試験、別にペーパーテストとは言いませんけれども、きちっとやって、専門性がないような人はそれは適さないということをきちっとやるべきだというように思いますけれども、そういうことが今は国民が求めている時代になってきたと。議員の質を高めるも高めないもとまでは言いませんけど、調査室の能力が上がれば霞が関以上の闘いができるということを感じますもので、ちょっと登用のこのシステムをきちっと整えるべきだと、いかがでしょうか。
  116. 小幡幹雄

    事務総長(小幡幹雄君) 先生から大変厳しい御指摘をいただきました。まさしくそのとおりであろうかと思います。  先生御承知かと思いますが、専門員の任命につきましては、議院事務局法の第十一条に基づきまして、各常任委員長の申出によりまして、議長の同意、それから議院運営委員会の理事会の承認を得た後に事務総長が発令するということになっております。  国会法上の専門性をどう担保しているかという点につきましてでございますが、まず任用に当たって、当該委員会に係る職務経験の実績等を踏まえまして、山下先生がおっしゃるような専門的な知見を十分有しているかどうかがまず第一でございます。あわせて、調査員を的確に指導監督する能力、もう一つは、あらゆる会派、あらゆる先生方の要請に対しまして的確に補佐できるバランスと申しますか、弾力性を有することも必要条件であろうかと思っております。それらを兼ね備えた上で常任委員会の審議を支えることができる能力を持った職員を登用すべく心掛けているところでございます。  また、専門性のチェックにつきましては、さらに、その任命に当たりまして、常任委員長を始め議長、それから議院運営委員会理事の各先生方から御了解いただくことをもって、あるいは任用後延長という手続もございますが、その際も事務総長が常任委員長と協議してその能力の検証をするというふうなシステムを取っておりますが、そういったことで基本的にはチェックが行われ担保されているものと考えておりますけれども、山下先生御指摘のような、もし資質、能力に足らざるところがあるということであればゆゆしき問題だと思っております。  現状の調査室の状況を若干申し上げさせていただきますが、近年の国会の状況、大変激変しておりますけれども、調査室自体のレファレンスの数等は大幅に増える傾向が続いております。そういう中で、少なくとも現在に至るまで、個々の調査室の専門員等について、若干対応の仕方に偏りがあるとか偏向が見られるというふうな御指摘は私直接は受けておりませんが、再度申し上げますと、能力、資質に足らざるところがあるということがあれば、これはまさしく山下先生おっしゃるように、現行のシステムをどう変えていくかということになると思います。  これ、私考えますに、最も適切な検証、チェックというのは、先生方日ごろお付き合いいただいていて、随時、率直な御意見なり御指摘をいただくことが第一であろうかと思います。山下先生から常日ごろ御助言をいただいているところでございますけれども、この際、先生方に改めて、そういう今の政治状況に当たって、補佐するスタッフに若干足らざるところ、問題があるということであれば大いに提起していただきまして、私ども率直にかつ積極的に承って、その上で、現行の先生御指摘の登用の在り方、その他についてシステムを変える必要があるということであれば、議運委員会の方の御指示も承った上で積極的に検討してまいりたいと考えているところでございます。
  117. 山下栄一

    ○山下栄一君 済みません。もちろん議長の下で、議運の委員長、それから各常任委員長の申出に基づいて人事やられるんでしょうけれども、実質は事務総局、事務局の方で大体御準備されてということだと思うんですね。だから、専門性をチェックするというのは、これ、やっぱりまず事務総局の段階で、戦略性そして計画性、順送り人事というふうなことになりがちなのを非常に感じますもので、この辺はやっぱりまた事務局としての戦略計画を、案を考えていただいて、そして議運等に提案いただくというようなことも必要ではないかというふうに思います。  人事交流もできるだけ積極的に、特に霞が関というよりもちょっと距離を置いた、例えば人事院とか会計検査院とか公正取引委員会とか、例えばですね、行政機関的なものであるならば、自治体とか、場合によっては海外の勤務もあるようですけど、思い切った人事交流も、それが実質の研修になると、お勉強の研修も大事かも分かりませんけど、人事交流というのも大事だなということを感じておりまして、そういうことも積極的にもっとやる案をお作りいただければというふうに感じております。よろしくお願いしたいというふうに思います。  以上、国会でございます。  それで、会計検査院でございますけれども、私は、この会計検査院という組織は、もう明治憲法の下からあったということが影響しているんでしょうか、体質が、体質は言い過ぎかも分かりませんけれども、三権を会計的な観点から監視するという大変な憲法九十条の権限を与えられているんだけれども、非常に遠慮がちにしか機能されておらないのではないのかということを何度も感じてまいりました。これは決算委員の方々もそうではないのかなというふうに思っております。憲法機関としての権威と威厳、そういう観点からの今の体制なのかなというふうなことも疑問に思っておるわけでございます。  第一条、院法第一条は、「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」と。しかし、情報公開法にしろ、ほかの、今、何か行政機関の中に入り込んでしまって、行政からも独立しているんです、行政からというか、内閣から独立しているんですよというふうなことね。内閣の監督下でも何でもなくて、三権から距離を置いておるわけですから、そういう観点からの場合によっては見直しも必要ではないかということを感じております。  具体的に申します。  院長に私の考えを、感想を聞いてもらいたいんですけど、まず採用試験を霞が関と別にすると。同じ試験で会計検査院に行くというようなことはちょっとまずいのではないかと。検査官だけ特別職にするんじゃなくて、丸ごと特別職にして定年までちゃんと保障すると。天下りなんか、もうしてもらわぬで結構ですわというふうにすると。例えば、六十五歳を、先行切って六十五歳の定年制を、院法改正は議員立法でやるべきなのかも分かりませんけれども、そういうようなことを提案したいなと思うぐらいでございます。  採用試験を別にする。特別職にする。トップの国会同意人事だけじゃなくて、職員の方もする。そして、専門性を、もう今どんどん世の中複雑化していますから、会計的な能力のある会計士、税理士さん、任期付きで採用されていることも部分的にはやっておられるんでしょうけれども、まだまだ少な過ぎるなと感じておりまして、多様な複雑化する時代の中で、きちっとなめられないようにチェックしようと思えばそれなりの能力も必要だと。そのためにはどういう戦略とそれこそ計画で職員を育てていくかということの、そのためには予算も財政法十九条にのっとって積極的に菅大臣お願いすると、お願いするというか要求するといいますか、それは基本的に守ってちょうだいと、削らぬようにしてちょうだいというようなことですね。ほかの概算要求と違うんだと、検査院の独自の、基本的に要求すれば、権威を持って要求して、基本的に認めてもらうと。これ認めないと仕事できませんというぐらいの迫力で財務省と渡り合うというふうなことも必要ではないかと。  いろいろ申し上げましたけど、それほど今、国民が会計検査院の役割、能力を期待しているという時代になってきているなと、ますます、と思いますけど、院長の御感想をお聞きしたいと。
  118. 西村正紀

    会計検査院長(西村正紀君) 会計検査院の独立性というのは極めて重要だと思っております。独立性というのは、具体的には検査院が検査を行うに当たって外部の制約や干渉を受けることがないと、また検査結果について公正、適切な判断ができるように、そういう独立性が大事だと考えております。  お尋ねの具体的な御提言でございますけれども、一つには採用試験を別にするというのも、以前からそういうお話もあるわけでございますが、検査院といたしましては、そういう別の試験にしたときに本当に広く優秀な人材が確保できるかどうか、その辺りも十分検討する必要があると考えております。特別職につきましては、これは、移行しますと新たに公平審査部門を設けたり、独立の、独自の俸給表を作るというようなことが必要になります。そこら辺りも十分考える必要があると思います。  また、定年の六十五歳への引上げということにつきましては、国家公務員制度の中でも国家公務員の定年を順次引き上げていくという検討がされると聞いております。検査院についても、我々はそういう中で検討していただけるものではないかと考えております。  いずれにいたしましても、検査院としての独立確保ということは極めて重要でございまして、公正性、中立性に疑念を持たれることのないような検査をやっていきたいと思っております。人材の確保、育成ということについても、これまで以上にいろいろと知恵を出していきたいと思っております。
  119. 山下栄一

    ○山下栄一君 ありがとうございます。  先ほど国会のところでも申し上げました人事交流等も、刺激を受け、心の新陳代謝ができるように、そういうことも大事ではないかなというふうなことも感じますし、先ほどおっしゃった、別の採用試験にすると人が集まらないんではないかというようなことは、私はちょっと消極的過ぎるなと。  鶏と卵どっちが先かというのは分かりませんけれども、検査院指摘が、例えば省庁横断的に鋭い指摘をし、そして説得力があるようなことを、個別のもちろん細部にわたる検査も大事なんですけれども、省庁横断的な、政策評価的な、政策の有効性もちゃんと明記されておるわけですから、そういう観点からの指摘もどんどんやっていただくと、大学生が、若者の意識が変わってきて、ああ、検査院行きたいなというふうになってくるのではないかというふうに思う面もございます。そんな簡単にいかないかも分かりませんけどね。  というふうなことを積み上げながら、国民の期待が高まりつつ、今、時代を迎えているので、若者の希望が、志望第一位は検査院だというふうになるような、そういう実績の積み重ねと、迫力のある、何といいますか、職員の質の向上といいますか、それを計画的にしていただいて、予算が伴う、大半が何か人件費のようでございますので、予算が、約二百億円の、その辺はこれはもうまた独自の財政法十九条の観点からの要求もできると思いますし、組織が建物を増やすとか引っ越しするとかいうようなことでお金増やす観点あったようですけど、人を配置する観点からやってもらいたいという強い要請を検査院の側から提案するというぐらいのことも、財政難の時期ですけど、それだったら国民は納得するのではないかというふうなことも感じまして、そういう二十一世紀、そういう時代を迎えていると、国民を味方にするような闘いを是非御期待申し上げたいというふうに思っております。  ありがとうございました。  次に、財務省の方に、特に菅大臣の方に御質問させていただきたいというふうに思うわけでございます。  それは、人件費でございます。  お手元にペーパーを配付していただいていると思うんですけれども、私、この人件費に対する関心が、今非常に民間の雇用が厳しくなっていると、特に若い方々が、もう終身雇用が崩れているからかも分かりませんけど、長期雇用、正規社員という言葉がありますけど、なかなかこれが難しいと。若者の雇用問題というのは極めて深刻な問題だと思いますけれども、そういうことになってくると、高度経済成長のころは反対やったかも分かりませんけど、今は公務員、国会議員もそうかも分かりませんが、に対する歳費、給料、退職金、年金、丸ごと関心が高まっていると。国会議員の定員削減せよと、公務員も行革推進法で人減らせという状況になってきているということだと思うんですね。  私は、国会は法律作って仕事を増やしておいて、本体の職員を減らせってどういうことやというふうに、整合性がないんじゃないのかと。法律作って予算を手当てしたら仕事増えるやないかと。仕事増えるのに霞が関とか出先も含めて、出先の問題はまた別の観点からかも、地方分権のあれかも分かりませんけど、何かおかしなことになっている、だから独立行政法人とか行政委託型の公益法人が必要になってくると。企画立案は本体でして実施部隊は独法とか公益法人、だから天下りとか随意契約とかそういうことになっていくということじゃないのかなということを最近痛切に感じるわけでございます。そういう意味で、国民の御関心が非常にこの人件費の方に向いてきていると。  ところが、私はこれの質問をするに当たりまして財務省、総務省、総務省の人恩局、行政管理局、定員法所管、人事院等にもお聞きしたんですけど、どうもこの人件費という言葉が定義がないと。  で、このプリントございますけれども、国家公務員の人件費五十八万人で五兆円だと、行政機関三十万人で三兆円と書いてございますけど、まず、分かりやすい例は、この三十万人という数は多分定員法、総定員法とも言うんでしょうか、あそこの上限が、今は三十三万人でしたかね、三十一万人でしたか、あれ上限ですね。ということは、あれは多分、正規職員という言い方がないんでしょうけど、常勤の職員ですかね、ということじゃないかなと思うんですね。だから、非常勤はどうなっているのかなと。  この中に非常勤職員約十四万人いらっしゃるという、これは総務省人恩局の数字ですけど、これもこの非常勤職員の定義がまたこれが難しいと。勤務時間法でしたかね、公務員の時間法にいうこの非常勤というのは常勤でない人みたいなことが書いてあると。給与法も定義があるけれどもはっきりしないねと。常勤と非常勤どこが違うんですかということすらはっきりしない状況で人件費ということを言っていると。で、人件費の定義も分からないと。とにかく数字はここにあるように出てきていると。  まず大臣にお聞きしたいのは、この中に非常勤職員、限りなく常勤に近い職員もおればアルバイトも、いろんな方いらっしゃるんでしょうけれども、この五兆千七百九十五億円の中に、非常勤職員の定義もはっきりしないことはしないんですけど、常勤でない人が入っているんでしょうかということを確認したいと思います。
  120. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 私が質問を前にして聞き取りをしましたところ、平成二十二年度予算における非常勤の国家公務員に係る人件費は七百六十五億円となっておりまして、これは人件費として計上しているもののみを集計したものであります。ですから、これはこの五兆円余りの中に入っていると。ただ、今先生がおっしゃったように、人件費に実質的にはなっているものでも人件費という形ではない物件費として計上しているものがありますので、その場合は人件費の項目にはそちらの方は入らないと、このような扱いになっております。
  121. 山下栄一

    ○山下栄一君 私もこれ、聞けば聞くほど分からない、ちゃんと答えてくれないんですよ。だれが全体的に分かっているのかなということを感じたんですね。  今大臣おっしゃったその七百六十五億円というお金は、この円グラフの中の、私が確認したのではこの国家公務員の給与費の三兆八千億に入っていないらしいんですよ。これ、要するに給料と退職金と、共済負担金というのは年金だという感じですわね。だから、給料の中にいろんな手当が入っていると思いますけど、給料と退職金と、この共済負担金は年金の感じだと思うんですね。  今おっしゃったこの七百六十五億円というのは、その次のもう一つ議員歳費、議員歳費というのは国会議員の給料やと思うんですが、義務教育費国庫負担というのは地方公務員だけれども国がお金出しているということだと思うんですね。この等の中にこれ非常勤職員が入っているというふうに私は聞いたんですけれども、違いますか。
  122. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 今御指摘いただいたとおり、私も実は先ほどまで聞いていたんですが、私の事務局に対する聞き方が不十分だったようでありまして、今山下議員が言われたように、先ほどの七百六十五億円はお示しになりましたこの円グラフの中でいうと、議員歳費、義務教育費国庫負担金等の中に含まれているということであります。
  123. 山下栄一

    ○山下栄一君 したがいまして、ちょっとこれもできたら大臣、陣頭指揮で調べていただけたらなと思うんですけどね。いろいろお聞きしたんですけど、なかなか的確な返事返ってこなかったんですね。  だから、その国家公務員給与費、この三兆八千億というのはいわゆる常勤職員だと、その常勤職員の退職金だと、その次の三千九百というのはね、その次は年金だと。  ところが、だから非常勤は、非常勤という、非常勤職員の定義も難しいんですけれども、例えば一年以上仕事する非常勤職員は退職金も年金も付くそうなんですよ。国家公務員法の適用もあると。そうなってくると、これ給料だけじゃなくて退職金もこの年金もセットで、国家公務員法の適用もあると、そういう非常勤職員いらっしゃると、それが七百六十五億円の中に入り込んでいくのかなとは思うんですけどね。  この非常勤職員も、総務省でいう非常勤職員のこの根拠法は何か国家公務員法らしいんですけど、それと、アルバイトはしかし入らないとか、再雇用の定年退職後の方々も入らないとか、だからその非常勤という言葉も、今大臣おっしゃったように物件費に、物件費と人件費違うはずなのに物件費の中に入っているやつもあると、庁費の中に謝金とかで人に払うお金も入っていると。  人に払うお金ですね、国民から見たら。この公務員というのもいろいろあるんでしょうけど、公務員の人件費というのは一体総額幾らですかということが非常にあいまいもことしていると。この表では五兆一千七百九十五億円だということになっているんですけど、ここでいう公務員部門の人件費というのはそういう意味で非常勤の職員の方々というのは入ってないわけでございますので、この辺はきちっとチェックしていただいて、できたら御報告いただけたら有り難いなと。  いずれにしても、人件費に対する関心が高まっているだけに、そして行革推進法も、あれ人件費削減という視点が強くて定員も減らせとかなっているんだけれども、あえてあいまいにしたくなるという気持ちも分からぬでもないですけど、こういうことははっきりさすということがやっぱり透明性のある今の政権にふさわしい取組ではないかなというようなことを感じまして、ちょっとこの辺、人件費の考え方を整理して、そして非常勤職員と常勤のどこが違うんですかと、労働省の定義とも違うようでございますので、常勤でないのは非常勤だみたいなそんなことでは駄目だと思いますので、この人件費の総額を精緻にちょっと一遍お調べいただいて当委員会に御報告願えると有り難いなというようなことを感じたんですけど、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  124. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 確かに、おっしゃるとおり、私も参与といったような人を任命するときに、いわゆる常勤、非常勤という、例えば週一回とか二回という意味と、同時に、ずっといてもらう人というそういう意味と、国家公務員の中での正規という意味と非正規という意味など、率直なところ、私にも必ずしもしっかりとした区別が現時点では付いておりません。  大変いい機会ですので、私も今の御指摘を踏まえて、もう少しだれが聞いても分かるような分類をして、それぞれにどのくらいの費用が掛かっているのか一度調べてみたいと、また機会があったらお知らせをいたしたいと、このように思います。
  125. 山下栄一

    ○山下栄一君 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。  それで、亀井大臣に関連してちょっとお聞きしたいんです。先ほど森議員からも特に金融行政に非常に、結びで郵政の見直しの御質問がございました。私はちょっとこの観点が、この預入限度額の問題も御質問したかったんですが、時間の関係で申し訳ないんですけれども、ちょっとこれは、今日大臣に是非確認させていただきたかったのは、今、日本郵政グループ、四十三万人いらっしゃると。それこそ今のお話じゃないけれども、非正規も入れてですね。そのうち二十万人が非正規社員ですね、株式会社日本郵政。これを十万人、取りあえず二十万人のうちの半分を正社員化するという計画があるということを、これ新聞報道でしか私よく分かっておりませんのですけれども。  これ、大臣、今二十三万人正社員で、あと十万人正社員入れると三十万人超えると。ということは、今の霞が関と出先も含めて同じ数になると。こういうことになってくると、ちょっとこれは、せっかく一生懸命民営化して、民営化という言葉も若干あいまいになってきているのかも分かりませんのですけれども、これ人件費がえらい高く付いてしまうと。そんな状況になって運営が、せっかく地方の郵便局を活性化しようと思っていても、その純利益のうちに人件費に取られてしまうと、これはちょっと逆行になってくるんじゃないかと。十万人の正社員化計画というのが、まあそんな急にやるわけじゃないんでしょうけれども、計画的にしろ、そういうことは非常に分かりにくいですねと。  今の菅大臣とのやり取りを踏まえまして、同じぐらいの、もっと別にこの日本郵政のところに、公務員じゃありませんけれども、そういうことについて、人件費も大変な金額になる、どのぐらい人件費増えるのかということももしお答えできるようでしたら、この十万人正社員にすることによって人件費どのぐらい増加するというようなことも含めて、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
  126. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私は、郵政改革の核心的な部分というのは、ただユニバーサルサービスを組織的に機械的に整備をするということではないと、このように思っております。やはり郵政事業を推進をしていくのは、赤い血の流れた生身の人間がこれを担っていくわけでありまして、これをコンピューター化、機械化、もちろん効率化ということは大事でありますけれども。  問題は、今のように、二十万と今言われましたが、もうちょっといると思いますよ。半数を超える職員が、中にはパートでなければならない業務もありますし、また職員本人がパートを望んでいる人たちもおられるわけであります。私も地方で非正規社員の方々にも集まっていただきましていろいろ意見等も聞きましたけれども、非正規社員の人のほとんどが、別に全員が正社員を望んでおられるわけではございません。  そうした中で、正社員として働きたいという強い意思を持ちながら、現に正社員と同じような仕事を何年もずっとやっておりながら、給料が三分の一あるいはそれ以下というような形で雇用されておる実態があるわけであります。もう郵政民営化という掛け声の中で現在の日本郵政の雇用形態はそうなっております。  私は、人間を人間として大事にしていくということをやらない日本郵政というのは、いかに事業を効率化をしていこうとしても、結局は、私は、地域のため、国民のため、国家のためのそうした事業は展開できないと、このように考えております。私の考え方が間違っておられると指摘されれば、ある面ではこれは人生観の違いになるかもしれませんが。  私は、安く人件費を不当に抑えて、それで利益を上げていくという、今の日本の社会、そうなっちゃっているんですよ。私は、委員はそれに賛成されるとは思いませんね。あなたの属しておる公明党にしても、また信仰しておられる宗教にしても、私はそういう立場は取っておられないと、このように理解をしておるわけでありまして、そういう意味で、この郵政改革の核心部分は今の日本の社会に一般化されておるそういう形態を変えるということだと私は確信をしておるわけでありまして、幸い、齋藤社長が私と全く同じ考え方でこの郵政改革に取り組んでくれております。  先日、私のところに参りまして今後の計画を説明いたしましたけれども、私は了といたしました。一応、二十万を超える人たちのうちの、全部調査終わっておりませんから正確な数字は分かりませんけれども、十万人に近い方が正社員を望んでおられるんじゃないかなという推計がありますけれども、当面、十一月、六万五千名の方々について、これを正社員に登用するためのこれを試験も実施をいたし、それに落ちられた方も更にまた挑戦できるという、そうした機会もつくりながら、もう優秀な正社員として十分やっていける方々については正社員として働いていただく、きっちりとした体制をつくっていただくわけであります。  この結果、当然人件費は上がっていくと、当たり前の話であります。それは、本来、日本郵政が払うべき人件費を払わないで利益にしておったわけでありますから、そんなものは利益と言えない、私はそのように考えておるわけであります。そうした人件費は原価でありますから、その原価を吸収しながら日本郵政の事業をどう展開をしていくかということに尽きると、私はこのように考えておるわけでありまして、日本郵政はそういう方向で今頑張ってくれております。
  127. 山下栄一

    ○山下栄一君 先ほど人件費の話をさせていただいた。今、国民の安心して就職というのが、雇用できる環境というのがなかなか保障できないということが、もう最大といいますか、非常に大きな課題になってきていると思います。若者の雇用もそうだと思います。  どこも正社員として採用したいんだけれども、先行きも不明だし、継続性、安定性から、会社がつぶれたら元も子もなくなるということから、人件費を削減しながらも、必死で踏みこたえながら経営しているというのが今の全体の姿やと思うんですね。ところが、日本郵政だけそういうことをやるんだったらみんなそうしてくれよという、それはある程度公的な権限を使って保障していくというやり方は、日本郵政だけでいいんでしょうかということになっていくと思うんです。ほかの特殊会社、そうかも分かりませんし、ほかのところもみんな、できたらそうしたいけれども、なかなかできないから苦しんでいるという状況が今日の実態だというふうに私は思います。  そういう意味で、大臣のこのお考えにはやはり無理があるんじゃないかなというようなことを思うんですけど、この十万人というのは何年、一挙にやれるものじゃないと私は思うんですけどね。どれぐらいこの人件費が増加するかということの、今頭に描いておられるのかということをちょっとお聞きしたいと思います。
  128. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 正確にこれを試算をしておるわけじゃございませんが、齋藤社長辺りの一応の推計では、三千億以上の、やはり現在のそういう理不尽な雇用によって払っておる費用に比べればアップするのではないだろうかと言っております。これは日本郵政の今後の営業の中で、しっかりと事業の効率化、またモラールが上がっていくということは、私はそれは事業の業績向上に直結をしていく。  今、私は議員とここで議論をしようとは思いませんけれども、議員ね、私は問題意識がちょっと違うと思いますよ。今の大企業を中心に行われている雇用形態というのが、ほぼ三分の一は非正社員化していますね。かつての日本はそんなことじゃありませんでしたよ、御承知のとおり。それをやはりこの十年来の、いわゆるリストラと称して、人間を安く使ったって構わないんだという、そういう私はある意味では政治主導の下でそういう経営が正当化されちゃったと。一番安易に付いたと思いますよ。安易に付いて、そうした経費を浮かしていくということにざあっと流れていってしまって、委員がおっしゃるように、世間もああ、そうだ、そうだと、人件費を削ればもっと経営が楽になるよという、そういう私は流れをこのまま続けてもらうわけにはまいらない。日本郵政のこの度の雇用面での改革というのが、日本の雇用のあるべき姿をつくっていくだろうと。ある意味では日本郵政は日本一の会社ですから、世界一の会社ですから、それが範を示していくという、それでもちゃんと経営をやっているということが私は大事だと、このように考えています。
  129. 山下栄一

    ○山下栄一君 ちょっと時間がなくなってまいりまして、私は行革推進法というのは、総人件費削減というか、抑制といいますか、そういうことで法律ができ上がっていると。日本郵政についてはそれはもう適用しないと、こういうことでしょうか。
  130. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 日本郵政は公務員ではございません。民間会社でございます。
  131. 山下栄一

    ○山下栄一君 いや、民間会社なんですけど、まあ独立行政法人等も準ずる規定がございましたもので、確認させていただきました。  日本政策金融公庫総裁、済みません、ちょっとお時間もうなくなってしまったんですけれども、同じこの人件費のことなんですけど、先ほどのこの円グラフの表も、あそこに福利厚生、あの国家公務員共済の九千何億という、あの中には福利厚生費が入っているんですね。入っていますね。だから、もう人件費の中に含まれているわけですけど、総人件費の中にも当然日本政策金融公庫も入っておられるんですけど、これちょっと総裁も御自覚をされていると思いますけど、今独立行政法人は、総務省挙げて法定外福利厚生費、これ独立行政法人が二年前の統計で百二十三億も法定外福利厚生やると。基本的にやめるということで、今、原口大臣のもう陣頭指揮で改革されております。ところが、特殊法人はその中に入っていないということでございます。  特にもう分かりやすい例は、昼、昼食のチケット、昼食代がこれ昭和二十年代からずっと旧政策銀行の時代から今も続いていると、今もあると。こんなことは今もうずっとあった独法も基本的に全部やめるということになっているんですけど、特殊法人がこの盲点というか、全然そういうことの意識がないのかなと。  総裁に是非、もうこういうところに公金、準公金といいますか、投入するというようなことは国民がこれは納得しないと。昼飯代、私もだれがやったか知らぬが、それをそんな規定を設けて、内部規定があると思うんですけど、法定外福利厚生費の中にカウントされて、一億円、一億円じゃないな、二億円以上、これ毎年、昼飯代だけですよ。そんな自分で払って食べよということだと思うんですけど、これ原口大臣もそうおっしゃっていましたけど、これはもうすぐやめるべきじゃないですかね。どうでしょうか。
  132. 安居祥策

    参考人(安居祥策君) ちょうど合併の準備をいたしましたときに、いろんな制度を私自身検討いたしました。そのときにいろんな問題ございまして、まず、社宅の費用につきまして大体倍にいたしました。それからあと、残業を何とか減らしていく。それから、何というか、福祉関連の、寮なんかございまして、これも全廃しようということで、いろんなことを計画して今進めてきております。  それからもう一つは、人件費につきまして、今までは実績評価がほとんどない制度でございまして、これを能力あるいは実績に基づいた評価をして変えていくというのを実は去年から今進めておりまして、全体的には来年の四月からスタートすると、こんな状況で変えてきております。  そうした中で、組合の方の御意見も伺いながら、食費というのは今おっしゃったように月三千五百円の食費補助をしているわけですが、結局これだけは少し残そうということで今残したというのが現状でございます。  これからそういう給与制度全体あるいはいろんなものを更に調整していく中で更に検討を進めてやっていきたいと思います。  以上でございます。
  133. 山下栄一

    ○山下栄一君 時間がなくなってしまったんですけど。  民間御出身の総裁でございますので、こういうことはもうだからこそ私は総裁にやってもらいたいというふうに、こんなことは国民は納得しないですよ。住居も、もう元々物すごい家賃が安いと。それも、自分たちの所有の住宅もあれば借り上げ住宅もふんだんにあると。それも検査院指摘して、四つの特殊法人の共通のルール作ったようなこと、そんな生ぬるい、もちろん遠慮がちに検査院指摘されたわけですけど、それを、職員の住宅は余っているのに借り上げ住宅をまた借りているみたいな、そんなこと自身がもう根本的に国民は納得しないと、そんな政策金融公庫ですかということだと思うんですよ。  したがって、法定外福利厚生費、おまけに家賃補助までプラスして、家賃が安いのにまた補助までしているという、そうした考えられない状況が法定外福利厚生費にはあるわけでございますので、これはきちっと総裁の責任の下にメスを入れていただきたいと、最後に御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  134. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 時間が参っておりますので、簡潔にお願いします。
  135. 安居祥策

    参考人(安居祥策君) 家賃につきましては、先ほども申し上げましたように、倍にしまして更にそれを上げていこうと思っておりますが、全体的に余り急激に上げるとやはり従業員の皆さんの懐にもすぐ響くわけでございますので、やや時間をいただいて進めてまいりたいと思います。そういう意味で御了承いただきたいと思います。
  136. 山下栄一

    ○山下栄一君 ありがとうございました。
  137. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  先ほどの亀井大臣の御見解には心からエールを送っておきたいというふうに思います。  今日は、私の方は、普天間基地問題が焦点になっておりますけれども、米軍再編そもそもが問い直されているということもあるかと思いますが、決算委員会ですので、米軍再編交付金の問題を取り上げたいというふうに思います。榛葉さん、海外からお帰りのところ、お疲れのところ大変ありがとうございます。  この米軍再編交付金については、要するに自治体に、米軍再編に伴う基地の移転とか訓練を受け入れた自治体にお金をあげるという、そのことによって国策に従わせようという極めて品の悪い交付金でございます。この再編交付金制度は従来の基地交付金とも違いまして、従来の基地交付金というのは、とにかく基地があることによる環境の悪化とか自治体とか住民の皆さんへの損害の補償という意味があるわけですけれども、この再編交付金というのは、今申し上げたように、米軍基地の受入れに賛成したところにお金をあげるというふうなものでございます。  資料をお配りいたしましたけれども、今どうなっているかということで、この再編交付金の内定通知額が書かれてございます。要するに、米軍基地や訓練の移転に反対したところには交付しないということで、それがはっきりと表れておりますけれども、例えばキャンプ座間の座間市は、十九年当時は市長さんが反対でございましたけど、容認派に変わってからお金を出すようになっておりますし、今焦点のキャンプ・シュワブ、名護市は反対の意向を示されたと、そういう市長さんになったということで、二十二年度の通知額が決まらないというか出さないということになっているわけでございます。  これは民主党が野党の時代、我が党と同じくこの再編交付金を含む米軍再編特措法に反対をされまして、この再編交付金についても厳しい批判をされました。当時、参議院の外交防衛委員会でも柳田議員が立派な反対討論をされております。  これは柳田さんが言われているんですけれども、交付金というものは、本来基地の存在に対して交付されるべきものですが、自治体の受入れ表明を交付の条件とするあめとむちで基地負担の受入れを迫る手法というのは、国民の税金の使い方として問題があると、財政支援を手段として自治体に圧力を掛けるやり方には地元から反発も出ているんじゃないかと、このような逆効果だということと、金銭によって懐柔する手法というのは、地方の主体性を無視するものでもあるということと、実際には工事が進んでいるにもかかわらず、負担受入れを表明しない場合は交付金を出さないことが住民感情を逆なでしている等々、的確な指摘をされております。  また、今日問題にいたしますけど、この再編交付金にかかわる事項というのは政令委任が多いために、具体的な算定方式の内容、根拠、交付金の総額についても当時の委員会で何度も質問し、資料要求を柳田さんがされましたけれども、納得いく回答は得られなかったと、このままでは国会の関与なくして金を出す権限を全面的に政府防衛省に与えてしまうことになり、容認できるものではないという立派な反対討論をされております。  その後、これはもうもちろん自民党、自公政権のときでございますけど、政権交代が行われたわけですが、民主党政権としてこの米軍再編交付金をどうされるつもりか、まず榛葉副大臣、いかがお考えでしょうか。
  138. 榛葉賀津也

    ○副大臣榛葉賀津也君) 大門委員にお答え申し上げます。  当時、民主党が様々な理由から、これは交付金だけではなくて米軍再編全体として様々な観点からこの再編特措法に反対したということは今先生御指摘のとおりでございます。  ただ、強引な方法で地域住民の方々に混乱や迷惑を掛けるということはこれ当然あってはなりませんし、行政に対する不信というものをあおってはいけないというふうに考えておりますが、他方、我が国の平和と安全、そして抑止力と基地の負担を軽減するために米軍再編を進めていくということは大変大切なことでございまして、これに御協力をいただく自治体に対しては何らかの支援をするというのは私はやはり必要であろうというふうに思っております。  いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、基地があることによって御負担をいただいているという自治体に対してどのような措置ができるかということについては、今後ともきちっと丁寧に御説明をしながら御理解を賜るように努力をしなければならないというふうに考えております。
  139. 大門実紀史

    大門実紀史君 せっかくお疲れのところ来てもらったのに、ちょっと意外な榛葉さんらしくない答弁だなと私は思います。  要するに、問題は、今も基地の交付金ってあるわけですね、これ以外に。これは、何度も申し上げませんけれども、民主党があれだけ批判をした、お金で賛成させようという意図が込められたもうありありと露骨な交付金だからあれだけみんなで反対を、私たちも批判をしたわけでございます。その部分について申し上げているわけでございまして、負担に対していろんな措置をするというのはほかにもやり方あると思うんですけれども、この交付金はそれじゃ民主党政権になってもこのままの形で続けられるんですか。
  140. 榛葉賀津也

    ○副大臣榛葉賀津也君) 鳩山内閣といたしましても、また防衛省といたしましても、米軍再編を一日もやはりきちっと仕上げていく、沖縄の基地の軽減を含めた御負担を軽減しながら、他方、抑止力もしっかりと担保していくという点においては、この米軍再編については粛々とやっていく努力をする必要があろうかと思っております。
  141. 大門実紀史

    大門実紀史君 榛葉さん、こっちの方を向いて答弁してもらえませんかね。  菅財務大臣、副総理として、このままの形でいいんでしょうか、この米軍再編交付金。何も見直す必要がないというお考えでしょうか。随分違うなと。この野党のときの言っていることと与党になって変わるというのは、幾つかのことはあるかも分かりませんが、これは非常にたちの悪い交付金ということであれだけみんなでぶったたいたやつを何も手を付けない、このままでいいということなんでしょうか。菅副総理としていかがですか。
  142. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 米軍再編交付金の対象事業の範囲は、駐留軍再編特措法の施行令二条において、住民生活の利便性の向上や産業振興に資するとの観点から幅広く定められており、具体的な事業については、対象市町村と防衛省との協議により、米軍再編により影響を受けるそれぞれの自治体のニーズに適した事業が選定されているものと承知をいたしております。このため、財政当局としては、予算計上の段階や実施計画承認の段階において、個々の市町村の具体的な事業についてまで財政当局として審査することはしておりませんが、一般論として、仮に有効性等に重大な疑義が提起される場合にはいろいろ検討しなければならないと思っております。  今御指摘のこの交付金の性格等について、私もこれまで余りこういう分野取り組んできませんでしたが、これからやはり防衛省なりそういったところとしっかり議論をした中で、おっしゃる意味は分からないではありませんが、今まさに普天間の問題等々を抱えておりまして、一般論として疑問を呈されることは理解はできますけれども、だからすぐに私の今の立場でどうということが言える立場ではなくて、やはり防衛省としっかり検討、議論した中で対応していきたいというふうに今答えるところはとどまるところです。
  143. 大門実紀史

    大門実紀史君 また一つ何のための政権交代かと問われることに私はなるんではないかというふうに思います、こんな重要な問題一つ直せないということではですね。  今日は、こういう交付金が、税金の使い方としても大変ずさんなものになるという点で、中身の問題をちょっと触れますけれども、これは十年間で一千億円を交付するというふうなことなんですが、そもそも一千億円の根拠など元々ございません。あのときの議論もそうです。先に総額ありきでございまして、防衛省が勝手な計算式こしらえて割り振りしているだけなんですけれども、具体例でいいますと、例えば米軍基地に真っ先に協力の手を挙げた石川県の小松市なんですけど、ここは十年間で約二十六億円交付するということ、まあ総額が先に決められていると。あとは毎年、市がいろんな事業、あれやってくれ、これやりたいと言って、それでお金を引っ張り出すということでございます。  私、この間、この小松市で行われている一つの事業を現地の調査も入って調べておりましたら、ちょうど日曜日の地元新聞が、北陸中日新聞がトップ記事で取り上げましたけれども、資料の二枚目にお配りをいたしました、小松市で建てられようとしております、建築中でございます、小松市立美術館分館建設ということで、事業でございます。  ちょっと時間の関係で、こちらでもう内容を申し上げますけれども、これは市立美術館の分館となっていますけれども、これは名ばかりで、真っ赤なうそでございます。そもそも市立美術館なんか小松市にはございませんので、本館がないのに分館というのはあり得ない話でございます。ここは、市が購入した、寄贈された美術品を収蔵する倉庫で、なぜこれが米軍再編交付金の対象になるのかと思いますが、全体建設費が約一億四、五千万円になるだろうと言われています。交付率は九十数%ですから、一億円以上国民の税金がここに使われるわけでございます。  私が実は調べてきましたのは、小松市というのは、御存じのとおり、自民党の元総理、森喜朗さんの森王国と言われてきたところでございます。この建設工事の請負業者はトーケンと下の方に出ていますけれども、これは森さんに献金をしている、森さんを支援する企業でございます、建築会社でございます。この収蔵庫に、これは収蔵庫なんですね、美術品を収蔵する倉庫なんですね。美術館ではございません。そこには、陶芸家の徳田八十吉さんという、人間国宝、代々人間国宝なんですけれども、の作品も収蔵されますが、この徳田さんのところも森さんに個人献金をしております。この事業を申請したときの市長も森さんと親密な市長さんでございました。  私は、あいまいなこの交付金、何でも使えるというこの交付金が、森ファミリーの政治案件に使われたという疑惑を持って調べているところでございます。大体こういうよこしまな交付金というのは、こういうよこしまな連中に食い物にされやすいんです。ですから、交付金全体を見直してもらいたいなということで今日は質問をしたいわけなんですけれども、そもそもこの事業そのものが無理筋の事業でございました。  資料のもう一枚目に、これは小松市の福祉文教常任委員協議会の議事録でございます。何が書いてあるかといいますと、これは、中部防衛局と小松市のやり取りについて、小松市の文化施設室長さんが市会議員の方々に説明をしているわけでございます。要するに、小松市は美術品の収蔵庫を造るのにどうしても国からお金を引っ張り出したかったわけですね。  一応、米軍再編交付金には地域の文化・スポーツ事業というのがありますので、これに当てはめようとしたわけですけれども、ただ、最初は、中部防衛局と防衛省は、美術品の収蔵庫には出せないと。しかし、何とかしてくれないかということで小松市が再三要請をして、政治家のプッシュもあったかも分かりませんけれども、そこで中部防衛局は、美術館ならば辛うじて出せるんじゃないかと。文化・スポーツ事業の一環と。ただし、その場合は市民に公開される必要があると。  それで、苦肉の策で、この収蔵庫に、私、見てきましたけれども、一、二メーターの小さな出窓を造って、そこを展示スペースだと言い張って美術館分館ということにしようと。それならば、中部防衛局も東京の防衛省、市谷の了承も得られるだろうということでオーケーをしたということでございます。  つまり、収蔵庫では出せないけれども、美術館分館ということにしてくれればこのお金出せますよということを中部防衛局と防衛省が判断をしてくれたんだということがこの議事録に載っているわけでございます。ですから、偽装工作といいますか偽装工事といいますか、をしたわけでございます。それで、国民の税金を一億円以上も引っ張り出すことに成功したと。議事録に書かれているのはそういうことでございます。  実は、今日は、私の質問はここまでの事実を述べて、交付金の在り方を財務省としてやっぱり再検証をすべきだと、お金の使い方としても、税金の使い方としても、そういう問題提起をして終わる予定だったんですけれども、ですから最初、榛葉さんをお呼びする予定ではなかったんですけれども。  ところが、金曜日に防衛省は、私、金曜日に質問通告をしたんです、そのときに防衛省が急に言うことを変えてきまして、急に説明を覆してまいりまして、榛葉さん、海外出張中だったので、そこにいる局長が判断、指示したんだろうと思いますけれども、四月に最初に私のところに説明に来たときは、この議事録にあるとおり、展示スペースを造ったので美術館分館ということにして交付金を出しましたと、市議会議事録にあるとおりのことを私に言っておりました。これ、当日来たのは防衛省の地方協力局の交付金担当の部員でございます。名前はちょっとかわいそうなので言いませんけれども、がそう言いました。  ところが、金曜日に質問通告をしたときに、呼んでもいないのに課長がわざわざ来まして、元々交付金は出せたんです、この議事録は違うんですと、元々収蔵庫でも交付金は出せたんです、収蔵庫でもよかったんだと、展示スペース、窓なんか造らなくても交付金は出せたんだというふうに急に防衛省の見解を私に対して変更いたしました。国会議員に対して最初の説明、虚偽の説明をしたわけでございます。  なぜ急に態度を変えたのかというと、私がこの議事録を入手したのを知って、この議事録が公の場に出れば、小松市が交付金を引き出すために窓を造ったとか収蔵庫でなく美術館分館としたとか、いわゆる偽装工事、偽装工作、このことに防衛省も、ここに書いてあるとおり、防衛省も了解をした、加担したということがばれてしまうと。そこで、元々交付金は出せたんだということに私に対する説明を覆したわけでございます。  ですから、小松市の山本室長がここで言っていることはうそだということになりますよね。そんな、ここに書いてあることを言った覚えはないと、市の作り話だということにですね。これはもう防衛省が責任を逃れるために、自分たちは関係ないんだということにするために急に私に対する説明を覆したわけでございます。小松市を裏切ったわけでございます。防衛省が味方を裏切ってどうするのかと思いますけれども、切り捨てたわけでございます。  私は、ですから、そういう話になると、もう小松市がばかみたいな話でございまして、最初は小松市もとんでもないと思いましたけれども、そうやって防衛省がそういうふうに態度を変えて自分たちは知らないんだと言うと、もう小松市がかわいそうになってくるぐらいでございます。同時に、市議会での議事録なんですよ、市議会での説明なんですよ、これは小松市民まで愚弄するものになるというふうに思います。  こういう話になったわけでございまして、私は、防衛省の役人というのは、もう前から私何度も質問していますけれども、最初うそばかりつきますから、やっぱり政治家同士で話をしたいということで榛葉さんに来てもらったわけでございます。  要するに、申し上げたいのは、こんなばかなことがあっていいのかと、途中で議員に対して説明を覆すとか。いずれにせよ、私が申し上げたかったのは、この事業は大変不可解な無理筋の事業でございます。  外国から帰ってこられてどんな説明、今も一生懸命横で説明していますけれども、そのままうのみにされるとは思いませんけれども、この事業をちゃんと検証したらどうですか、再検証。いかがでしょうか。
  144. 榛葉賀津也

    ○副大臣榛葉賀津也君) 海外出張中に決算委員会が開催され大門委員から御質問をちょうだいするということをお伺いし、帰国後すぐに私なりにこの問題を調べてみました。  先ほど委員が市立博物館はないとおっしゃいましたが、事実関係だけ言いますと、決して言葉じりを取るわけではございません、市立美術館という名称のものはございませんが、市立美術館は、小松市立博物館であるとか宮本三郎美術館であるとか、複数の美術館は存在いたします。  そして、私が調べたところ、若しくは私が調べさせたところで把握しているところでございますが、どうも市から最初この美術館の分館、貯蔵するものを造りたいという話があったときに、いわゆる周辺環境整備法、いわゆる第八条でやりたいと。ただ、これは騒音に対する補助でございますから、これではできませんということで、再編交付金ではどうですかということで様々なアドバイスはしたということは承知をいたしております。  ただ、私が役所から聞いたのではなく、自分の思いとして、この第二条の教育、スポーツ及び文化の振興に寄与する事業というものにこれ十分当てはまると思いますので、特段そんな小細工をする必要なくそのまま、もし貯蔵庫が必要であるならば、そういったもので提示をすれば普通に交付金として下りたのではないかなというふうに思っておりますが、いずれにせよ、もしその担当者がアドバイスなり何なりをして市役所に誤解を与えるような御迷惑なことがあったら、これは厳重に注意をしなければならないというふうに思っております。
  145. 大門実紀史

    大門実紀史君 榛葉さん、それ自分で調べたんじゃないでしょう。すべて私に説明したのと同じことを聞いてしゃべっているだけですよ。じゃ、この議事録は何なのかと。じゃ、あれですか、市議会でうその説明をしたんですか。誤解を与えるって、誤解じゃないです。再三確認して言われたんだと言っているわけじゃないですか。私、榛葉さんがそこまで突っ張るんだったら、私も榛葉さんとやり合うしかないんだけど。  そうしたら、この出窓、これもう要らないんだとすぐ言ってあげてくださいよ。これで余計な建設費掛けているんだから、防衛省に言われて。これは国民の税金で造られるんだから、防衛省が誤解を与えたと、すぐこの窓は造らなくていいと、私見てきましたらまだ建築中ですから、すぐそれまでに連絡してくださいよ。
  146. 榛葉賀津也

    ○副大臣榛葉賀津也君) この一日、二日で私が直接大門委員のように現場に行って話をしたわけではございません。当然、担当課であるとか過去の経緯を知っている者からまずヒアリングをしたと。私がだまされているのだと言われればそれまでかもしれませんが、少なくとも今、現時点で私の立場でできる限りの調査をさせていただいたということでございます。  いずれにせよ、最終的にどういうものにするかと、どういう名称にするかとか、どういう建物にするかというのは、これはやはり市の判断でございます。しかし、その市の判断に資するための現場での担当者の発言がもし誤解を与えるようなものがあったとするならば、更に調査をしてしっかりとこれは注意をしていきたいというふうに思います。
  147. 大門実紀史

    大門実紀史君 現場の責任に今度はするわけですよね、現場の。市谷の防衛省と確認したということをこの議事録で言っているわけだから、榛葉さん、そんな慌てなくていいですから、もう一、二回やりますので、ちゃんと調べてくれません、榛葉さんの頭で。榛葉さんの頭で、自分で見て。私は今日申し上げたかったのは、一個一個の話というよりも、この再編交付金が元々大ざっぱな基準の交付金でございますから、いいように使われますよと、国民の税金がね。こういうふうになりますよということを、決算委員会ですから、指摘をしたかったわけでございます。  そういう点で、また取り上げますので、まだ時間ありますから、今日いろいろすべてお答えにならなくて結構ですから、榛葉さん自身の目でもう一遍調べていただきたいと、いかがですか。それだけ一言。いかがですか。
  148. 榛葉賀津也

    ○副大臣榛葉賀津也君) しっかりと調査をしてまいりたいと思います。
  149. 大門実紀史

    大門実紀史君 終わります。
  150. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  今日は、財務省などの二〇〇八年度決算に関連をして、今後の財政運営について伺ってまいりたいと思います。  まず、小泉政権の財政健全化政策が開始された二〇〇一年から二〇〇七年を見ますと、公債発行額は、年による変動はありますけれども、全期間を通して見るならば、税収の伸びにも支えられて、公債依存度は三五・四%から三〇%に低下をしました。しかし、御案内のとおり、公債残高のGDP比は同時期に七九・五%から一〇五%へ増加をいたしました。GDP比の債務残高は、九九年以来一貫して主要先進国の中ではトップだったわけですね。  一方、二〇〇二年から二〇〇七年までは、イザナギ景気を超える戦後最長の景気回復過程が続いたと言われました。それを支えたのが政府の財政政策と言えなくもありませんけれども、しかし、国民はそれを全く実感することもなく、逆に、雇用形態の多様化の名の下に非正規労働者が大量に生み出されて、ワーキングプアなどという言葉が生まれる、こういう事態がありました。  そこで、お尋ねをしますけれども、自公政権下でのこの財政政策をどのように評価をなさっているか。財政健全化が進んだというふうにお考えだろうか、あるいは、むしろ財政危機を深化させたとお考えだろうか。菅大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  151. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 今御指摘がありましたように、少なくともこの期間、いわゆる債務残高は一貫して拡大をしている、これはもうだれが見ても客観的な状況だと思います。  その間に、例えば、ある程度債務残高が大きくなっても、よりその成長に資するもの、あるいは雇用やそういうものに資するものを投入することで、将来それを言わばいろんな形で財政再建に振り向けられるという考え方があったのかもしれません。特に小泉政権の下ではそういう言い方をしておりました。しかし、結果としては、そういう形にならないまま、更にリーマン・ショックといったものを迎えたわけであります。  私はこの間、この小泉政権の時代も含めて、もっと前から、なぜ日本がこの約二十年間、成長が止まって、そして財政がどんどん悪化してきたのかということを私なりに分析をし、いわゆる従来型の公共事業偏重の第一の道も失敗し、そして、小泉政権下のいわゆる企業がリストラを中心にした供給サイドの効率化をすればそれが日本の競争力を増してプラスになるんだということが、またそれが実はデフレ下でデフレを促進することになったと、そういう意味での間違いであったと。それを踏まえて、いわゆる第三の道という雇用を中心としたものに振り向けなきゃいかぬと、こういうことを申し上げていることは伝わっていると思いますが、そういう基本的な考え方からして、この期間の自公政権の財政政策は私は基本的には間違っていたと、このような認識を持っております。
  152. 又市征治

    ○又市征治君 ありがとうございました。  それで、もう少し突っ込みますが、小泉内閣は、二〇〇一年の閣議決定、すなわち今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針で、二〇〇二年から国債発行を三十兆円以下に抑制することを決定をし、また二〇〇二年の構造改革と経済財政の中期展望では、二〇一〇年代初頭のプライマリーバランスの黒字化をうたって、さらに一般歳出及び一般会計歳出全体を二〇〇二年度の水準以下に抑制する、こういう目標を立てたわけですね。そして、あの悪名高き骨太方針二〇〇六で、社会保障費を五年間で一兆一千億円削減をすることを決定をし、加えて三位一体改革の名の下で地方の交付税も削減をしていって自治体財政を大変疲弊をさせた、こういう状況がありました。  この第一期の二〇〇一年から景気回復過程が終えんをした二〇〇七年までの間に一般会計歳出は八十四兆八千億円余りから八十一兆八千億円余りに削減をされて、先ほど指摘しましたように、公債依存度は減ったけれども、しかしながら、財政健全化が進展したかどうかは別として、歳出が劇的に削減をされたことだけは確かだったと思うんですね。しかし、そのしわ寄せを国民生活がもろに受けて、経済格差などという次元ではなくて、多くの国民から社会的セーフティーネットが奪われる、こういう結果を生み出した。  私は、単なる歳出の削減、抑制による財政再建策が国民生活を疲弊させたと考えるわけですが、この点は菅大臣、いかがにお考えでしょうか。
  153. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 基本的には又市委員と認識を共にしております。ただ、あえて申し上げれば、小泉政権時代、三十兆という議論を私も予算委員会でやりまして、一つのそれは単年度の目標であり、また二〇一〇年代初頭のプライマリーバランスのいわゆる黒字化というのも中期的な目標で、それはそれで一つの、財政だけを見ればある種の目標という言い方ができたかもしれません。  しかし、先ほども申し上げたように、その目標を達成するには、本来なら、歳出カットなのか歳入増なのか借金なのか、それが将来に向かってどういう影響を残すのか、そういうことと、先ほど来申し上げた、どこにその歳出を振り向けるべきなのか、こういうものが総合して中期、長期の日本の社会の在り方、さらには財政再建の方向性が関連してくるわけでありますから、そういう点では、今おっしゃったように、急激に歳出を、特に地方への歳出を抑え、あるいは社会保障の、象徴的に言えば二千二百億円のそれを抑え込むと、そういうものを含めて、さらにデフレ下においてリストラを激しく進めたことによって格差が増大すると、社会の矛盾を拡大をしながら財政再建には結果としてはつながらなかったと、こう言わざるを得ません。
  154. 又市征治

    ○又市征治君 そういうことを受けて、鳩山連立政権はそのような新自由主義的な改革によって疲弊をした国民生活の再建、具体的には日本経済を内需主導の経済へと転換を図って、安定した経済成長を実現をして国民生活の立て直しを図っていく、こういう使命を持って誕生したと思うんですね。  今年度政府予算案はその使命を果たすための第一歩ということだったと思います。しかし、当面の生活再建に要する資金だけでも決して少なくはありませんでして、内閣一丸となった無駄の排除であるとか財源捻出努力にもかかわらず、とりわけ対前年比で大幅な税収不足、こういう状況も相まって、公債依存度は過去最高の四八%、GDP比の公債残高は一三四%、こういうことにならざるを得ませんでした。  こうした状況の下で、今後の財政運営をどうかじ取りしていくのかは大変大きな課題だろうと思います。そのために、国家戦略室に中期的な財政運営に関する検討会が発足したのはある意味当然かと思います。しかし、そこには、ちょっと問題なんですが、地方の代表などが入っていない、こういう私は問題意識持っています。一方で地域主権法を制定すると言いながら、国だけで今後の財政政策を協議するというのはいささか問題があるんではないのか、このように思います。この点は指摘するだけにしておきますけれども。  さて、この検討会が四月六日に論点整理をまとめましたけれども、財務大臣が、四月の下旬だったと思いますが、今国会にできれば、いわゆる財政再建法というんですか、の取りまとめを行いたいというふうにおっしゃっておるわけですが、この論点整理がこの中ではどういう位置付けになるのか、その点少し御説明いただきたいと思います。
  155. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 御承知のように、この中期財政フレームと、それから財政運営戦略、これは、約十年間を見通したものは、仙谷大臣の下の戦略室が中心になって取り組んでおられます。論点整理もその中の専門家の皆さんの意見の取りまとめという位置付けになっております。  一方、この法案に関しては、これは私、いろんなところでの委員会での議論を通して、やはり今後、この財政再建と日本の成長戦略なり社会保障なりを両立あるいは三つのものを成り立たせるためには、場合によっては、政権あるいは政権与党の中だけの議論だけではなくて、国会の場を通しての議論があることが望ましいのではないかという考えの中で、総理にいろいろ理解をいただいて、財政健全化法案というものの準備をすることについては了解をいただいて、連休前に少し進めたところです。結果的には、ちょっと連休前にはまだ十分な、与党内も含めて理解が十分でないという御指摘もありまして、連休を越したところであります。  ですから、位置付けとしては、この中期財政フレーム、あるいは財政健全化戦略というか、十年間の財政運営戦略といったものを念頭に置いて、矛盾しない形で、しかしより幅広く成長とか社会保障も含めた形での議論に供するための位置付けとしての法案の準備でという位置付けで準備をしていると。まだ出す出さないを決めているわけではありませんが、そういう位置付けです。
  156. 又市征治

    ○又市征治君 大筋そういう考え方には賛意を表したいと思うんですが、たまたまこの検討会のメンバーのお一人が論点整理の読み方、言わば解説書をお出しになっているわけですね。これは菅大臣も見ておられると思いますが、その中で、どのような大枠を中期財政フレームに取り入れるのかを論じて、次のように書かれております。  大枠に関しては、政策経費全体に対するシーリングの設定、二つ目には社会保障、公共事業費など大きな経費項目ごとのシーリングの設定、三番目に主要経費別ないし各省別のシーリングの設定などが考えられる。例えば二〇一一年から二〇一三年度において社会保障費は自然増の抑制、ここちょっと飛ばしますけれども、地方交付税交付金については、向こう数年に関しては地方税収との合計の伸び率ゼロといった縛りを掛けることが妥当ではないか云々と。こういう解説書を広範にお配りになっている。  自由闊達な論議はそれはいいですけれども、しかし論議の土俵というのは三党の政策合意でなきゃ私はならぬと思うんですね。ですから、私は他の委員会でもこの問題についてお聞きをしましたが、ある大臣は、シーリングという発想そのものが前の時代の遺物であり、シーリングをはめるという論議をするということは、どうぞ別の党の顧問になっていただいてやっていただいたらどうかと、こういうふうに痛烈に批判もなさっております。  したがって、この中期財政フレーム作りは必要でしょうけれども、連立政権ですから、与党を中心として、また地方代表も入れて論議をすべきだろうと、私はこのように思うわけでありまして、この点、端的に大臣の御見解伺いたいと思います。
  157. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 責任を逃れるわけではありませんが、この専門家の委員は戦略室の方でお願いをされ、財務省からも副大臣は出ておりますが、私はメンバーになっておりませんで、そちらで取りまとめられて、その後そういうものが出たというのは、ちょっと私、十分認識をしておりませんでした。  あえて少し話をさせていただければ、又市議員もお分かりのように、今後の日本の財政運営の難しさというのは、本当に先ほど申し上げた二重三重の難しさがあると思っております。もうこの数日間、私は、ギリシャの問題あるいはヨーロッパの問題などでも、いろいろG7の電話会談等で多少忙殺されておりましたけれども、つまりは、どの国、先進国の中で最も大きい債務残高を抱えながら、一方では福祉の面でもしっかりとやらなきゃいけない、一方では成長も止まっていると、こういう中にあって、まさにそういう議論を是非、与党三党、この間、法案については、私も福島党首含めて両党の党首にも御相談といいましょうか、申し上げたこともありますが、相当しっかりした議論をお互いしていかなければならないという、そういう認識でありますので、段取りは若干ちぐはぐがあるいはあるかもしれませんが、大きい流れとしては、しっかりとした議論を与党内、さらには政権内、場合によってはさらには国会内でやらせていただきたいというのが私からのお願いであります。
  158. 又市征治

    ○又市征治君 是非、そういう意味では、今年度予算を組む場合も税調などでも三党でしっかり意思統一をしながらやったわけでありますから、そうした点は御留意いただきたい。と同時に、こうした、人選を間違えて、一方で新自由主義的経済政策、批判をしながら、そういう論者をまたそのまま入れてやっているという格好ではこれは問題だという、こういう思いがありますから、この点を申し上げたわけです。  せっかく次に、峰崎大臣がお戻りになりましたから、特別会計の問題をちょっとまず冒頭、峰崎さんにお伺いしたいと思うんですが。  私はこの八年間、一貫してこの決算委員会の中で特別会計の見直しを主張してまいりまして、本委員会においても度重ねてこの見直しの決議を採択されてまいりました。それを受けて、また国民の批判の高まりも受けて、前政権でもこの特別会計の見直しが進められてきたことはこれは歓迎できることと、こういうふうに言いたいと思います。  特別会計の見直しの必要性は、その乱立による弊害だったと思うんですね。これについては特会の廃止や統合を促進することで、これは数合わせの感もありますけれども、平成十八年度の三十一特別会計から本年度末までに十七に削減をされることになりました。第二は、特会の密室性があったと思いますね。これについては、昨年、平成十九年度特会財務書類が初めて国会に提出されることに示されたように前進をしたと、こう思います。また、これまで聖域とされてきた特会の積立金、剰余金、これが一般会計に繰り入れられるようにもなってまいりました。確かに全体として特会見直しは進んできましたけれども、私はまだとても終わったというふうに言える状況ではないと、このように認識をしております。  そこで、お尋ねするわけですが、これまでの特会改革をどのように評価をされているか、峰崎大臣からお伺いしたいと思います。
  159. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 私も国会に出てちょうど今年で十八年たつわけで、今ほど、特に又市議員はずっと私、決算委員会でこの問題を追及されていた姿を見て本当に敬意を表しておりました。昔、私の友人で今井澄さんも、決算の今井ということでずっと決算を重視されておりまして、その中でも、この特別会計に照準を当ててきたというのは本当にここ恐らく十年なるかならないかぐらいじゃないかなと思いますね。  そういう意味では、先ほどもおっしゃられたように、非常にこれ各乱立をしているという側面を統合化しなきゃいかぬと。ただ、私は保険会計というのは、やはりSNA統計でいえば、いわゆる社会保障基金、政府の範疇に入ってきて、これはこれで一つの保険、保険料というか、社会保険という形での整理をしなきゃいけない分野があると思うんですが、それ以外の分野で、やはり統合化できるものとか、そういった点についてはきちっとやっていかなきゃいけないし、その点で非常にまだ私たちの目に付きにくい。それはなぜかというと、やはり予算審議というのが一般会計を中心にしてずっと審議してきたんですよね。それがゆえにどうしてもやはり特別会計にメスが入らないというところがあったんで、その点で、これから将来の予算審議に当たってもやはりきちんと特別会計もある意味ではディスクローズされるようになってきたという点では大いなる前進じゃないかと思うんです。  それと、あれはたしか東京大学もう辞められた醍醐先生という会計学の先生が、それぞれの特別会計ごとにどんな金額が余剰になってそれが繰越しされているかとか、非常に複雑な、私も聞いていてすぐよく分からないようなことがございました。  ですから、こういった点も、やはり公会計の在り方について、どんぶり勘定から徐々にこれを複式会計とか発生主義の会計に転換しつつありますので、こういうふうに会計の仕組みもやはり分かりやすくしていく、こういう観点も非常に重要になってきているかなと。決算委員会の役割というのは大変そういう意味では重要だし、それらをまた予算に反映していくという一つのサイクルを組み立てられればいいんじゃないかなというふうに思っております。
  160. 又市征治

    ○又市征治君 それで、もう一問特会問題で申し上げますけれども、この特別会計の統廃合についてはこの間再三指摘もしてまいりましたし、他の委員からもなされてまいりました。単なる数合わせ、あるいは見かけ倒れの統廃合がまかり通っているということであります。  例えば、平成二十年度に誕生した社会資本整備事業会計は、基本的には道路整備、それから治水、港湾整備、空港整備、都市開発資金融通が統合されただけで勘定はそのまま残っている、こういうことなんですね。今後、この特会の統廃合どのように進めようというふうに考えられておるのか。  また、先ほども述べましたけれども、この間特会のいわゆる埋蔵金はかなり発掘されて一般会計に繰り入れられましたけれども、今年度予算でいえば、財投特会からは四兆八千億を繰り入れ、積立金は一応ゼロになりました。外為特会からは、積立金には手を付けずに二兆九千億円繰り入れて、その他七特会から二千億円が繰り入れられた、こういう格好ですけれども、来年度予算編成に向けてこの特別会計の積立金、とりわけ私は外為特会の活用というものをずっと一貫して申し上げてきたわけですが、そういった点どのようにお考えになっているか、現時点での考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  161. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 先ほど統合といったときに、今の社会資本整備特会は、言ってみれば各今までのやつをホッチキスでとじているだけだという、そういう意味で、ある意味ではしっかりとメスを入れていかなきゃいかぬという点で、今、枝野大臣の下で事業仕分の問題を含めて、そういう特別会計あるいは特殊法人、独立行政法人、そういったところへどんどんメスが今入ってきておりますので、その点で、是非その点は進めていかなきゃいかぬなと思っております。  いわゆる特別会計から、旧来埋蔵金と言われていたやつなんですが、基本的に埋蔵金というのは、私はやはり、今非常に厳しいがゆえにストックのものを実はフローで使っているわけですけれども、これだけ一八〇%GDPで財政の赤字をためているわけですから、本来ストックのものはストックへ返していくというのが筋なんだろうというふうに思います。  ただ、そういう中で財政融資特会とかあるいは外為特会の中で毎年フローで上がってくるものも実は出てまいります。これは、これについては将来的に、今は財政投融資の金利が調達金利よりも高いがゆえに差額が利ざやとなってくるわけですけれども、これ逆転現象を起こす場合もあり得るわけですから、そういったときには非常に厳しい、逆に一般会計から繰り出さなきゃいかぬということが予想されるわけですけれども、今の段階、金利が非常にそういう低い段階で、今おっしゃられたように、この財源そのものはある程度私は現段階においても使うことはやむを得ないのかなというふうに思っていますが、おっしゃられるように、そういう来年度予算の中でどの程度使えるのかということについては、これはいわゆる負債とそれから資産、ALM管理、アセット・ライアビリティー・マネジメントといいますが、そういう観点をしっかり入れて、これは慎重に我々は、財務当局としてはやはり考えていかなきゃいけない分野じゃないかというふうに考えております。
  162. 又市征治

    ○又市征治君 本当はもう一問、税制の抜本改革についてお伺いしようと思ったんですが、大変丁寧な御答弁をいただいたものですから時間が来てしまいまして。  先ほど民主党の富岡さんですか、御質問をいただいた趣旨とほぼ同じであります。少なくとも、この間、法人税あるいは所得税など減税をやってきたけれども、そういう意味では、だれに一体全体その利益がもたらされたか、この間、企業の競争力は強化をされたけれども、利益が向上しても勤労者や国民に還元されていない、こういうこの間の経過や反省というものをやっぱりしっかり踏まえた上で、そういう意味で今後の予算編成あるいは税制改正問題、しっかりとこれ取り組んでいただきたい、その点だけ御注文申し上げて、終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  163. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 他に御発言もないようですから、国会会計検査院財務省金融庁国民生活金融公庫日本政策投資銀行国際協力銀行及び株式会社日本政策金融公庫決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時六分散会