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参考人(
緒方貞子君)
藤田先生、長く
アフガニスタンの方に御関心持っていただいて御
承知のことが多いと思いますが、私、実は先月
アフガニスタンに出張してまいりまして、ちょうど
カルザイ大統領の第二次の
政権というものがかなりきちっとした形で、閣僚も就任されたというときに参りまして、そういう
意味じゃ、危険はいろいろございますけれ
ども、
安全管理の面というものも
JICAもかなり腐心してやっておりますが、いいときに行ってきたと思っております。新しい
国連の
特別代表も就任されたところでした。
御
質問の
タリバンの問題なんですが、御
承知のとおり、
タリバンを一掃するということは不可能でございます。それは不可能でもあるし、軍事的な
手段で抑えられる面と、軍事的な
手段では抑えられない面というのがあるということも重々御
承知のとおりだと思いますが。
タリバンについては、非常に
タリバンが
中心になっていたマルジャというところは、最近は軍が行動されてかなりそこを抑えられたんですが、分散していると。その分散している各地においてどうやって、特にかなりの強力な形で抑えなきゃならない分子と、それからまた
生活のためにある
意味じゃ変身できる可能性のある
タリバンの人と、それからまた国境の反対側におります、周辺国にいる
人たちというものをどういう形で、きちっとした形で、
タリバン兵がもっと平和的な形で国の再建に当たるような
方向へどうやって持っていくかということは大きな問題だということは、十分
政府の方も御存じですし、私も十分それは
認識しておりますんですが、職業訓練というもの、まず第一に、だれをどこに、どこの職業訓練所に連れていくかということからして、私
どもが指示してすぐできることではないわけでございます。ただ、五年間に五十八億ドル、そして
タリバンとの問題の解決のための五千万ドルというものを基金にお出しになるということは大変広く評価されておりまして、
日本は非常にいい
方向を出してくださったということは皆さんおっしゃっていらっしゃいました。
ただ、どういう形でそれを進めていくかについては、まだこれからいろんな形で、
現場との
関係、それから
国連、あるいは各国との相談の下で決めていかれるんだろうと思うんですが、訓練所にだれが行くのか、どこに訓練所を置くのか、どういう人が来るかということからいろいろな形で調査しておりまして、まず第一に、職業の可能性が高いものは何なんだろうかと。
一つ農業はもちろんあるわけですが、農村にいる
タリバン兵が、非常に疲弊した農村で
自分だけが職業訓練を受けて農民になるということも非常に難しいことでございまして、いずれにしても
仕事をたくさんつくるのは大事だということは分かっておりまして、今、私
どもの方で進めておりますのは、
一つが農村開発、もう
一つはカブール首都圏の大開発なんです。
このカブール首都圏は、現在のカブール首都も道路がもう非常にめちゃくちゃに混雑と、壊れておりまして、カブール首都圏の中の道路、住宅等々についてもいろいろやらなきゃならないことがございますが、首都圏のすぐ北にございます地域がこれから大きく開発して、カブール首都圏として現在のカブールとそれに付随した地域を、
農業とも、それから
人々の住居として発展させたいという希望が
アフガニスタン側からございまして、その開発調査は
JICAがいたしたところでございまして、その調査に基づいてその
事業を広げるということについてアフガン
政府の方からも要請が出てきておりまして、そういう大きな地域開発、たくさんの
事業が、道路から住居から物を造っていく、そういう
事業が起こるとそこに非常にたくさんの就業者が必要になってくるので、それは
一つの大きな
タリバン対策につながっていくだろうというようなお話もございました。
それからもう
一つ、ただ、あちらの
大臣、今内務
大臣をされましたけど、きっと先生も御存じ、アトマルさんという、最初は
農業大臣、その後、
教育大臣で
日本のこともよく御存じの方が、治安のこと全体を御覧になるに当たって、
タリバンの
人たちに
仕事を与えるのは大事だけれ
ども、彼らだけに与えるわけにはいかないから、どうしても地域開発の範疇でそういう
人たちに対する職業訓練とそれから就職というものは見ていかなきゃならないだろうというようなお話もありましたので、これは非常に大事な
仕事ですが、その
仕事を
実施するに当たっていくプロセスについてはまだまだ工夫もそれから
協力も必要なことだというふうに理解しております。