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2010-05-27 第174回国会 参議院 環境委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年五月二十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十五日     辞任         補欠選任      池口 修次君     直嶋 正行君      牧山ひろえ君     辻  泰弘君      中山 恭子君     市川 一朗君  五月二十六日     辞任         補欠選任      辻  泰弘君     牧山ひろえ君      直嶋 正行君     池口 修次君      市川 一朗君     中山 恭子君  五月二十七日     辞任         補欠選任      池口 修次君     川合 孝典君      岡崎トミ子君     大島九州男君      谷  博之君     神本美恵子君      広中和歌子君     米長 晴信君      松野 信夫君     外山  斎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山谷えり子君     理 事                 相原久美子君             ツルネン マルテイ君                 有村 治子君                 加藤 修一君     委 員                 池口 修次君                 大島九州男君                 岡崎トミ子君                 神本美恵子君                 川合 孝典君                 外山  斎君                 轟木 利治君                 広中和歌子君                 牧山ひろえ君                 松野 信夫君                 米長 晴信君                 神取  忍君                 川口 順子君                 谷川 秀善君                 中山 恭子君                 浜四津敏子君                 市田 忠義君                 荒井 広幸君    国務大臣        環境大臣     小沢 鋭仁君    副大臣        環境大臣    田島 一成君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        泉  健太君        経済産業大臣政        務官       高橋 千秋君        国土交通大臣政        務官       藤本 祐司君        環境大臣政務官  大谷 信盛君    事務局側        常任委員会専門        員        加藤 堅一君    政府参考人        環境省地球環境        局長       寺田 達志君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○地球温暖化対策基本法案内閣提出、衆議院送  付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、谷博之さんが委員辞任され、その補欠として神本美恵子さんが選任されました。     ─────────────
  3. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地球温暖化対策基本法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務大臣官房審議官滝本純生さん外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 地球温暖化対策基本法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 轟木利治

    轟木利治君 おはようございます。民主党轟木利治でございます。  本日は基本法案に対して御質問させていただきますけれども、本日、大変長時間になりますけれども、皆様方よろしくお願いいたします。  早速でございますけれども、まずこの法案の第一条に書かれています目的についてお伺いをしたいと思っております。条文の方には、法案法文の方には、危険な人為的干渉を及ぼすことにならない水準とか、大気中の温室効果ガス濃度を安定させると、こういった表現がされております。この目的というのは、私は、最終的には長期目標でございます二〇五〇年の八〇%に向けたその根拠を示すものだと思ってございます。そういった意味で、この法文内容国民皆さんが読んだところで、イメージは分かるんですが、具体的なきちっとした何かこれだというものがなかなか読みづらいんではないかと思ってございます。そういった意味で、その八〇%に向けた根拠についてお聞きしたいと思うんですが。  もう一点確認したいなと思うのは、実は二年前、この六月の環境委員会で私は、当時の環境大臣、前政権でございますけれども、同じ質問をさせていただきました。そのときに、温度ですとか、上昇温度ですとかそれからこの濃度の問題についてもお聞きしたんですが、そのときの答弁は、その温度だとか濃度についてはなかなか設定は難しいんだということで、国としてそれを設定したものではないというような答弁でございました。  したがって、ここでお聞きしたいのは、前政権のときのこの目的と今度の民主党政権のときの目的とは違ってきたのかどうかという確認と、その八〇%、数字的には当時は五〇%、世界半減ということでございましたけれども、この八〇と五〇というのは基本的には世界全体を見れば変わっていないと私は理解をしております。そういった意味で、この目的というのを国民皆さんに分かりやすい、端的に分かりやすい意味合いでの説明をいただきたいと思います。  以上です。
  7. 寺田達志

    政府参考人寺田達志君) お答え申し上げます。  まず、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準と申しますのは、地球温暖化による洪水、高潮などによる被害及び生物の多様性、食料の生産、人の健康などへの危険な悪影響を防止し得るような水準ということでございます。そのような水準大気中の温室効果ガス濃度を安定化させるということでございますけれども、これは簡単に申し上げますと、人為起源排出量と海洋などの自然による吸収量を均衡させ温度上昇を抑えるという意味でございます。  現在、人為起源排出量は自然による吸収量の約二倍近くに達しておりますので、かかる観点から、二〇五〇年までに世界全体で温室効果ガス人為的排出量を半減させることを目指すということが昨年のラクイラ・サミットで合意されておるというふうに承知しております。
  8. 轟木利治

    轟木利治君 ありがとうございました。  安心しました。前回の、前政権のときの説明と同じでございましたので。こういった問題は、政権が替わったからじゃなくて、やはり長期的な取組として方向性というのは同じだろうと思っております。したがって、先ほど言われましたように、自然界吸収と人為的に産業革命以降出してきたCO2とを同じレベルにするんだと、要は自然を壊しちゃいけないんだということだろうと思います。  私もこれまでいろんな集会等で申し上げてきたのは、なぜやらなきゃいけないかというのは、自然の吸収量が約百三十億トンぐらいだと言われております。人為的に、二〇〇〇年ベースでよく言われるのが二百三十億トン、直近でいえば二百七十とか二百八十億トンぐらい出てきていると。それを半減しなければバランスが取れないんだと、それによっていろんな自然界が壊れてしまうんだといった説明をしてきておりまして、皆さんも納得されているところでございます。そういった意味で一安心させていただいております。  じゃ、次に、これは大臣にお聞きしたいと思いますが、第十二条の基本計画でございます。その三項に、地球温暖化対策に関する事務を所掌する大臣等を書いてございます。この大臣とはどの大臣を今想定されているのか、その点についてお聞きしたいと思います。
  9. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 地球温暖化対策広範多岐にわたっておりますことから、対策を所掌する大臣としては、環境大臣のほか、経済産業大臣国土交通大臣農林水産大臣外務大臣などを想定をしております。具体的には、今後基本計画の詳細を検討する中できちっと決定をしてまいる予定でございます。
  10. 轟木利治

    轟木利治君 大変多岐にわたっているということでの多くの省庁が絡んで、そして一緒にやっていくんだという方向性十分理解をいたします。  ただ、若干、やはりこの基本法提案されたのは環境大臣でございますので、環境大臣リーダーシップを取るんだと、統括するんだと、そういった意気込みで是非やっていただきたいと思いますし、それぞれの大臣が所管するんですと言われると、項目によって大臣担当になるかどうかということで発言の重みも変わってくるかと思いますので、その点も是非環境大臣としてのリーダーシップを発揮していただきたいと思います。  次の質問に入らせていただきますが、第二十九条の国際的協調のための施策ということでございます。そこに書いてあるのが、技術及び製品の提供その他の取組を通じた自国以外の地域における温室効果ガス排出の抑制への貢献を適切に評価する仕組みの構築とございます。この評価する仕組みとは具体的にどのようなことを想定されているのかお聞きしたいんですが。  私の個人的な解釈からいけば、ここは、二五%の真水でない部分、その他の部分として最も私は重要な点ではないかと思っております。そういった意味で、そのことを前提に少しお聞きしますと、この二十九条の内容についてどこまで準備が進められているのかということ、そしてどの部署が、どの省が担当されるということになるのか。  そして、この関連でございますけれども、政府の新成長戦略で、日本民間技術世界排出十三億トン削減という項目もございます。このことは、この二十九条との関連で数値目標的にこの内数として理解していいのかどうか、そういった点についてもお聞きしたいと思います。
  11. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 轟木委員指摘のように、この海外でのまさに排出をどのようにカウントしていくかというのは、今後のいわゆる真水議論と直結する大変重要な御指摘だというふうに私どもも思っております。  この二十九条は、我が国企業がクリーンな技術製品を提供して外国で排出削減がなされた場合に、その貢献分を適切に評価し、これが我が国目標達成にも活用できるような仕組みをつくっていきたいということを想定をしているわけであります。  具体的には、現在の国連CDM、これだけでは不十分であると、こういう認識でございまして、既に五月の前半にボンで行われた閣僚級会合でも私からも提案をさせていただいておりますが、そういった国連CDMを更に拡充、充実させていくことと、さらにはまた、国連CDM以外にも、現在、二国間あるいは多国間、様々な議論があるわけでありまして、そういった中での仕組みを検討してまいりたいと、こう思っております。  担当部署については、一つ部署に限定するのではなく、環境省はもとより、外務省、経済産業省、そういった関係省庁とも協力をしてやっていきたいと、こう思っております。  それから、新成長戦略における十三億トンの目標との関係でありますけれども、この十三億トンを、これを決めたときにはまだそこまでの議論を詰めて十三億トンを決めたわけではございませんので、直接的な、いわゆるこれがそのまま、十三億トンがそのままいわゆる排出権であるとかそういったものになっていくということを想定して決めたものではありません。しかし、でき得る限りそういったものを有効に我が国排出権としてカウントできるように努力をしてまいることは当然のことと、こう思っております。
  12. 轟木利治

    轟木利治君 ありがとうございます。  評価という言葉を使っていただきましたけれども、要はこの提起に関しては環境省政策会議でも十一月の第一回目で大臣にも直接提案をさせていただきましたけれども、要は日本の優れた技術海外に提供してやっていくと。そのときに海外で減らした分の排出権日本もきちっと分け合う、こういった仕組みが必要なんだろうなと。そのときに企業としては当然技術を提供するというのはビジネスとしてやっていただければいいわけで、途上国に対しては、やはりそこで資金とかそういったものが不足しておりますので、そういったところを日本政府はどうやって援助していくかと、このことで排出権をお互いが確保できるような仕組みにしていただきたいと思います。このことが、逆に言えば、大臣がおっしゃられる環境経済を両立していくんだと、その企業起爆剤として、また経済成長として大きな柱としてなり得ると思いますし、このことが、日本環境技術世界を席巻できるようなシステムにしていただきたいと思います。  ただ、やはり気になるのが、大臣もおっしゃいましたけれども、京都メカニズムにおけるCDM、これは基本的に私はもうやめるべきだと思います。結局、世界で、このCDMに限って言えば、まあいろんな方法もあと二つぐらいありますけれども、CDMで限って言えば、一番その排出権として提供しているのは中国でございまして、約八四%ぐらい持っていると。結局そのCDMを抱え込んでいるのはどこだといったらイギリス、これが大体三九%、四割近く抱え込んでいると。なぜイギリスが抱え込むかというのはまた別の理由もあるかも分かりませんが。  そういったことよりも、本当にじゃ日本技術が適用されているか。その全体の今のCDMで登録されているのを見ても、省エネというのはたかだか六%ぐらいの比率しかなっておりません。そういった意味で一番水力が多いわけですけれども、そういった意味でいくと、本当にそのCDMが国益という形で考えたときに機能したのかどうかというのは私は大変疑問に感じております。京都メカニズムでこのシステムを調印したという前政権考え方自体をちょっと疑いたくなるところでございますけれども。  いずれにしても、今後は、ただ、これから心配するのは、COP15でもそうでしたけれども、国連という枠組みでやれるかどうかと、このことが非常に難しくなってきている。私は、今後のこのシステムを生かそうとしていけば、やっぱり二国間なり三国間なり、そういった小さな規模でのシステムというものを考えなきゃならないだろう。ただ、その削減されることの評価というか、測定されるのは国際的に認められたものでなければならない。この仕組みをどうつくっていくかというのが重要であって、これ、企業とか何かでなくて、やっぱり政治の、政府の、そして各省庁の仕事として重要なことだろうと思っております。  そして、私は、じゃ、これを進めるに当たってどういったシステムというかやり方がいいのかなと思いますと、当然ターゲットとしては中国なりがあると思います。  先日、大臣中国韓国の三者協議でこういったお話もされておりますけれども、ただ、中国がすぐ乗ってくるかどうかというのは非常に難しいところがあって、先ほど言いましたように、CDMで彼らはその売れるポケットを持っているわけですから、彼らが京都メカニズムをそのまま延長したいということはそこにもあると思います。  したがって、私はこの国際的ルールを作っていくパートナーとして、私はアメリカと協調して進めるべきではないかなと思っております。やはり世界に対する影響力の大きいアメリカと組むこと、そして逆にアメリカもユーザーになる可能性も非常に多いわけでございまして、日本の五倍排出を出しているわけですから、そういう意味ではアメリカと、これは水面下でやらなきゃいけないと思いますが、協調してやっていただきたい。  そして、実際にこの二国間でやるときには、これまで日本大変ODAなんかで友好に関係を結んできた東南アジアなんかを一つのモデルとしてやっていただいて、それを成功させて、中国なんかには中国の方から欲しいんだと言わせるぐらいのシステムを築いていただきたいなと思っております。  同じ排出温暖化対策についてはこれまでもアジアパートナーシップとかそういった形でもやられておりますので、そういうセクター別にもいろんな技術があろうと思っております。それをいかに政府が吸い上げて、それを交渉の材料としてやっていくかと、このことが大事だと思います。  大臣には最初の質問だけでございましたけれども、私の今の意見に対して何かコメントがあればいただきたいと思います。
  13. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 今の轟木委員の御指摘は、今後の国際交渉の本当に本質的な議論をついておられるわけでありまして、まさに国連中心としたそういう、今後気候変動の話が成り立ち得るのかどうかと。そうではなくて、二国間あるいは地域間、そういったものを先行させるべきであると、こういうふうな御意見と承りました。  そういう意見がかなり強くなっていることは事実でありますし、私もそういう意見を昨今はよく耳にいたします。ただ、まだ今、日本政府現時点において、いわゆる国連中心とした今の枠組みを更に改善して、中国アメリカを始めとする主要排出国を入れて、そしてその仕組みを充実させていくと、これが今の我が国の立場でありまして、現時点ではここはあきらめてはまだいけないと、こういうふうに思っております。ただ、委員のおっしゃる話も同時並行的にやれない話ではありませんから、そういった意味においては、先ほど御指摘もいただいた日中韓の三か国環境大臣会合でも私からも提起をさせていただきました。  中国CDMがあるからなかなか受け入れづらいだろうと、こういう御認識がありましたけれども、もちろんこのことはそう簡単に決まる話ではありませんが、中国のこれは周大臣というのは気候変動は直接担当ではなかったので、そういった意味ではちょっと気候変動担当の解振華大臣とは意見はどうなのか分かりませんが、少なくとも周大臣は前向きに、東アジアにおいて低炭素社会あるいは低炭素市場というのを考えていくことは有益だと思うと、お国に帰って首相を始め解振華大臣にもよく伝えたいと思うと、こういう一応コメントでございました。  でありますから、決して脈はないわけではないなと、こう思っておりますし、韓国李大臣は、これはもう本当に前向きでありまして、一緒にとにかく制度の検討もしていこうと、日本の方がある意味では実証実験を含めて先行しているから、そういったことを是非教えてくれと、そういう大変前向きな回答をいただいたわけでありまして、そういった意味では国連中心とした全体での合意、それを目指しつつ、同時にまた現実対応、これは誤りなくやってまいりたいと、こう思っております。
  14. 轟木利治

    轟木利治君 ありがとうございました。  このテーマは今までにない新たな取組としての方向性だと思いますので、是非日本世界リーダーシップを取れるような形で進めていただきたいと思いますし、若干、政府の中でも、発言の中で私気になるのは、よく二五%削減する中で真水でやる分、それから排出権を買ってくるんだというような、購入するんだという言い方。購入ということ自体が、私にとってはこの二十九条を生かせば、購入するわけじゃなくて得て当たり前だというこの施策なんで、よく真水でない分を金で買ってくるのかというような表現はちょっと私にとっては評価し得ない表現ではないかなと思っております。そのことをちょっと付け加えさせていただきますが。  次に、これも私は大事だと思っております。これも大臣にお聞きしたいと思いますが、第十九条でございます。革新的な技術開発促進等ということで、この項目に入っているのが、CCSとか水素還元製鉄などの革新的な技術、これに対して必要な施策を講ずると、こう書いてございます。この必要な施策というのはどういった具体的なイメージを持てばよろしいのか、その点についてお聞きをしたいと思います。
  15. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) CCS水素還元製鉄など革新的な技術につきましては、研究開発促進するために地球温暖化対策技術開発等事業等研究開発予算研究開発促進税制等の支援を政府全体で行っているところでございます。  グリーンイノベーション関係研究開発予算は、例えば二十二年度でいえば総額三千八百五十七億円ということでございまして、対二十一年度比で二〇・五%増額をさせております。等々、こうした施策を積極的に講じてまいりまして、革新的な技術革新促進を図ってまいりたいと、こう思っております。
  16. 轟木利治

    轟木利治君 是非、積極的な予算確保についてはお願いをしたいと思います。  今の段階で、私の知っている範囲でいきますと、水素還元製鉄では約百億ぐらいの予算が付いているわけですけれども、実際これを実証プラントまで持っていくにはその数倍は多分掛かるだろうと思っております。そういった意味も含めてお願いしたいと思いますし、若干この技術について意見を申し上げさせていただきますと、CCSにおいては、先日、政務官、そして環境省のメンバーの方が実際商業ベースで動いている北九州の設備を見ていただきました。  このCCSでいえば、まだ、そこの設備がされているのも、自家発からCO2を分離して、そしてそれを原料として、一般的によく言われるのはドライアイスとかそういうのを造っているということで商業ベースで動いているわけですが、EUもこの技術というのは相当前向きにやっております。EUなんかも二〇二〇年以降は新しい火力発電義務化するんだと、このCCS。ということも言われておりますし、日本でも今技術の確証というものを確立をしていただいておりますけれども、先日の環境省成長ビジョンではこの確立を、今まではどちらかというと二〇二〇年と言われた日付が二年前倒しになって二〇一八年ということで、やる気をそのまま出していただいて大変有り難いとは思うんですが。  ただ、よく言われるのは、これは埋めることもセットになっておりますので、地下に埋めたら地震が起きるんじゃないかというようなこともおっしゃる方もいて、これも科学的に立証しなきゃならないんですが、地層的に見ても、日本でも今探しておるわけですけれども、私は日本の地層からいくと埋めることは非常に難しいんではないかという判断をしております。  となると、EU義務化をして付けるということになると日本も当然付けなきゃいけない。これは、埋めるところが一番いいのは石油を掘った後、出した後なんかに埋め込むのが一番効率的だと言われております。それと、石油を、出てもまだ下にたまっている残った石油のときにCO2なんかを入れ込んで全部吸い上げると、この効率性も言われておりますし、いずれ、私は、ですから日本にはなかなか難しいかも分からないんで、先に技術確立して国際標準にして、それをやはり世界標準にしていくということが、今商業ベースでこのシステムをやっている企業というのは世界で二社ぐらいしかございません。その一社が日本企業でもございます。  そういった形を考えると、日本が席巻できるチャンスがある。しかし、日本の中で埋めれるかどうかというのはクエスチョンマークだと。そうすると、技術を提供すればその分また排出権をもらうとか、近いところでいえば、東南アジア等石油が出たところで、日本が埋めれないからそこで埋めてもらうということで排出権をペイにしてもらうといったようなシステムを考えていくと、これは非常に重要であると思っております。そういった意味でも、是非この開発についてはお願いをしたいということ。  そして、製鉄でいいますと、水素還元CO2がなくなるんだというイメージを持たれると思いますが、現実はそうではありません。鉄を造るのは、もう御存じだと思いますが、鉄鉱石と石炭を混ぜて還元して造っていくわけですが、そのときにCO2が大量に発生するわけで、鉄鋼の生産がエネルギーを大量消費して出るCO2だけであります。  そういった面では、プロセス的に出ていくということをまず理解していただきたいと思いますし、そして、この鉄鋼の水素還元も、石炭の代わりに水素を入れて還元させるということと、もう一つCCSをマッチングさせてペアにしてこのシステムというのはでき上がってきていると。これで今考えられている技術は現在の三〇%削減というレベルでございます。今度この委員会でも、今度の月曜日、そのプラントを持っている新日鉄の君津の方に視察に行っていただくということにもなっておりますが、是非また一度、大臣を始め皆様も見ていただきたいと思いますが。  ただ、心配するのは、私が懸念しているのは、今までの省エネというのは、日本のこのCO2削減する技術というのは省エネという形で考えていた。使う分だけエネルギーを使わなくて済むからコスト的にもうかる、利益が出ると、そういうことで普及してきたというのがあるんですね。でも、このCCSにしても水素還元にしても、エネルギーコストが下がるわけではありません。逆にエネルギーが掛かるという形になります。そうすると、この技術確立されてだけでは普及はしない。そのことを使うことが国際ルールにならないとこれは普及もしないわけでございまして、せっかく資金を投入して技術確立するんだということで頑張っていただくわけですが、そのルール作りはやっぱり政治がきちっと先行してやっていただかなきゃならないと思っております。このことを大変私は心配しておりますので、せっかくの日本技術が生かされることに対して最大の支援をお願いしたいと思います。  そして、一点、もう一つ付け加えると、よく言われるのは、CCS排出権の値段、CCSが今現状大体一トン当たり七千円ぐらいだと言われております。先日お邪魔したときには、五十ドルぐらい、国際レベルでいって五十ドルぐらいにしたいと。ですから、排出権と同じぐらいのレベルにしないとこれは普及しないんだというような感覚があると言われておりますが、私は、排出権というのは一回減らしたものを売買している、その値段とCO2を減らすための技術が同じに評価されるということはこれは正しいのかと。おかしいんじゃないかと。減らすための技術のコストであって、このCCSのコスト七千円というのも、設備の費用ではなくてランニングコストが掛かるという、ゼロからエネルギーコストが掛かるということなのでそのレベルになっていると。当然、このことも普及すれば設備の費用はだんだん低くなると思いますし、エネルギーコストも効率が出てくるとは思います。  そういった意味で、是非、最初に申し上げましたように、この革新的な技術というのは国際ルールをしっかり作らないと普及されないということですので、これはやっぱり政治の仕事として是非お願いをしたいと思います。  時間が半分ぐらいになってしまいましたので次に入らせていただきますが、これも大臣にお聞きしたいと思うんですが、第十二条、また基本計画になりますが、温室効果ガスに関する中長期的な目標について。この中期目標の設定については前提条件がありまして、すべての主要国による公平かつ実効ある国際的な枠組み排出量に関する意欲的な目標について合意したと認められる場合という前提が付いております。一方、二〇五〇年までに八〇%という長期目標についての前提条件は付いておりません。その長期目標の達成に向けては、今度は第十条の四項で、中期目標が設定されるまでの間においても基本的施策について積極的に講ずるということになっております。  したがって、ちょっとお聞きしたいのは、長期目標に向けて前提条件が設定されなかった場合にこの基本計画をどのように設定されていこうとされるのか。そして、条文にありますけれども、二〇三〇年、四〇年、ここも一応ポイントとして数値を設定していこうということ。そして、中期目標について、二五%について前提条件が整わなかった場合、こういう政策について基本計画をどのように策定されようとしているのか。  要は、ちょっとごちゃごちゃ言いましたけれども、お聞きしたいのは、グラフでいうと、一九九〇年が一〇〇だとすると二〇五〇年が二〇という数字になるわけですね、排出量からいけば。こういった線になって、一直線に線を結ぶんであれば単純になるんですが、現実はそうはもうなっていないと。一直線に結ぶと年率で、一・三三%ぐらいの年率でやっていかなきゃいけない。そうすると、二〇二〇年にはもう四〇%ぐらい削減していなきゃいけないという線になるわけですね。  そうすると、今あるのは京都議定書でやった六%、これが二〇一二年で最終になるわけですが、この六%は前回大臣も達成できるだろうということをおっしゃいました。その線と、今度二五という点ができるわけですね。六%達成して、実際二五%を目標として実行していくのが多分二〇一三年辺りから実効が出てくるんだろうと思いますが、そうすると、その七年間に関して言えば二・七%ぐらいの年率でやっていかなきゃ大変カーブは落ちるわけですね。そして、二〇二〇年から二〇五〇年を考えると、今度は一・八%ぐらいの年率で線を引けるということになるんですが。  要は、この線をどういったイメージで、八〇に向かって、前提条件もある中、描こうとされているのか。イメージで結構です、具体的なことはもう結構ですけれども、そういうところを若干心配しておりますので、お答え願えればと思います。
  17. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) まず、そのイメージということに対する答えになるかどうか分かりませんが、衆議院の方の環境委員会で、こうした問題に対して総理が答えたのは、最終的に二〇五〇年に八〇%を達成すればいいということだけではなくて、いわゆるそこの積分、図柄のところをできるだけ早く削減をして、積分の面積を小さくしたい、いわゆる排出をできるだけ少なくしていきたいと、こういう言い方を総理はおっしゃっておりました。そういうふうに我々も努力をしていかなければいけないと、こういうふうに思っているところでございます。  ただ、そういう基本的な考え方をベースにしながら、じゃ、二〇二〇年、三〇年、四〇年、五〇年、どういうふうにしていくかということは、今後基本計画を作っていく上で、各関係省庁、例えば経済産業省のエネルギー基本計画、こういったものも近くまとまってまいりますので、そういった大変関係のある案件と十分調整を取りながら決めてまいりたいと、こう思っているところでございます。
  18. 轟木利治

    轟木利治君 イメージは何となく分かりましたけれども、今大臣が言われたのは早めにできるだけ削減していくんだということですけれども、現実は逆に上になってこう向かっているという線図になっちゃいますので、是非強力な政策含めて、また、ですから先ほど言ったような、国内だけじゃなくて海外も含めてどうやるかということが非常なポイントになると私は思っております。  若干、じゃ個別の項目についてちょっとお聞きしたいと思うんですが、これは大臣じゃなくても結構ですけれども、第二条のところで、再生エネルギー、いろんな再生エネルギーを書いてございます。私が興味を持っているのは地熱でございまして、前も一回この委員会でお聞きしたこともあるんですが、環境大臣試案のロードマップにも三倍ぐらいにしたいんだということが書いてございます。この拡大に向けて、環境省のテリトリーの中でどういった拡大策を今後検討されようとしているのか、その点が今あればお聞きしたいと思います。
  19. 田島一成

    ○副大臣(田島一成君) 私の方からお答えを申し上げたいと思います。  この地熱発電は、地球温暖化対策を進めていく上では大変有効な再生可能エネルギーだというふうに認識をしております。ただ、委員も多分御承知のことと思いますけれども、非常にコストが高く付くという課題がございますけれども、今後、固定価格買取り制度等を導入するなど様々な方法を駆使いたしまして、採算性を向上させて進めていくことがやはり重要だろうというふうに思っているところでございます。  しかしながら、その一方で、環境政策全般をという御指摘も今いただきましたけれども、温暖化対策にとって大変重要だという一方では、例えば景観でありますとか自然環境への影響を危惧する声がございますし、また温泉が枯渇するといったような危惧する声、御意見もあることもその一方でまた現実問題挙がっております。現に、地熱発電がふさわしいと言われている土地の約八割が国立・国定公園の中にあるといった点もやはりクリアさせていかなければならない課題でございます。  環境省としては、まず温泉等々の熱源、また熱水資源が著しく減少したりすることがないように、やはり適正な管理手法等々を確立し、地域にも受け入れていただけるような温泉発電の推進といったようなものを取り組んでいくとともに、また立地の地域で共生できるそういった地熱発電を推進していくことを今後進めていきたいというふうに考えてはおります。
  20. 轟木利治

    轟木利治君 環境省のこれまでの範囲の中ではやっぱり温泉業者との、どうやって、厳密に言えば温泉が出る場所と地熱で持ってくるお湯の位置は多分違うと思うんですが、そこら辺をやっぱり科学的にこれは問題ないんだということを環境省一緒になって立証していただき、また説明等もしていただければと思います。  若干、副大臣がおっしゃいました中で立地の問題、国立公園等の問題、まあ国立公園でも二割は普通地域といって個別で検証できるところなんですが、前回も私もこの委員会で確認させていただいたときに提案したのは、地下のエネルギー、国立公園の地下のエネルギーを活用するという考え方のときに、当然敷地の中には発電所は駄目だというのが今の規定ですし、ではなくて、その外で、エネルギーをそこからもらうだけだということの発想については環境省としてはそのときには否定はされなかったわけですので、このことも、実際その地域、また環境評価ということも十分必要かと思いますが、そういった可能性もあるということも含めて検証願いたいと思いますし。  そういったことで、前回もちょっと廃棄物のところで申し上げましたけれども、環境省の中での規制の中での見直し、全体の見直しでそういう経済効果というのが、新しいシステムというのが、産業というのが発生し得るのではないかなと、そういったことも全体をまた見直して環境経済一緒に成長させると、そういった思いでも作業をしていただきたいなと思ってございます。  それから次に、これも大臣に大変重要なところですのでお聞きしたいと思うんですが、第十三条のところでございますけれども、国内排出量取引制度の創設とございます。ここの表現のところで、地球温暖化対策のための税についての検討と並行して検討とございます。この並行しての検討の意味合いについてお聞きしたいと思います。
  21. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) この意味は、同時に実施という必要はないけれども、両制度、大変ある意味では補完関係にもあると、こういうことなので、そういった関係に留意しながら、いわゆる地球温暖化対策税は来年度実施という、ある意味で税制大綱等に書かれ方になっておりますので、それに余り遅れることなく検討を行っていくべきだと、こういう意見政府の中でございまして、そういった意味では税と並行して検討し、基本法の施行後一年以内を目途に成案を得ると、こういうふうに書かせていただきました。  もう少しざっくばらんな言い方をすると、政府の中でもいろんな意見がございまして、冒頭私は、同時に実施する必要はないということは申し上げましたけれども、逆に、同時に実施した方が望ましいという意見も大変強くございました。私としてもそれは、できることならば同時であってもそれはもちろんいいわけでありますが、ただ、今の制度設計の状況からすると、税の方は来年度から実施を目指してと、こういう話になっているのに対して、なかなか排出量取引制度を今から全部制度設計を終えて来年の四月から実施というのは、これはもう物理的には難しいと、そういうことの中ででき得る限り遅れないようにしましょうと、そういう意味だというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。
  22. 轟木利治

    轟木利治君 大臣のおっしゃることは理解いたしました。  私が先走って心配しているのは、先ほど大臣もおっしゃいました補完関係、要はその絡みですね。心配するのは、排出量取引制度の制度そのものの中で、要は具体的に言うとオークションまで考えてこの税とのマッチングを考えられているのか。  要は、オークションで最終的にはやるんだという方向性があれば、これ、環境税としてもし考えた場合に二重に支払うところも出てくるわけです、企業なんかにしてみれば。そういったところを若干私は心配しておりまして、いや、オークションは基本的には考えてないんだと、税は税なんだと、別で考えて理解してもらっても結構だということであれば、安心して先ほどの並行という意味合いはタイミングの問題だということで理解するんですが、ちょっとその点についてもう一度お願いします。
  23. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 制度設計はこれからでございますので、余り先走って私が述べるのはある意味では控えた方がいいのかもしれません。  ただ、現状、オークションというような意見はそれほど強くないものというふうに私は感じております。でありますので、今後も委員意見等も十分いただきながら制度設計に入ってまいりたいと思いますので、今の時点で一〇〇%こうだということは申し上げられませんが、是非そういった答弁で御理解を賜りたいというふうに思います。
  24. 轟木利治

    轟木利治君 今の段階ということでは理解をさせていただきました。  同じく、この排出権でもうちょっと踏み込んだ質問をさせていただきたいと思いますが、よく言われるこの排出権取引制度の考え方で、表現には、排出量総量の限度、総量規制と、一単位当たりの排出量の限度、原単位ということで表現されております。基本にしつつという表現もありますけれども、環境省としてはどちらを推進されようとされているのか、お聞きしたいと思います。
  25. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 基本的に、今回のこの十三条は、いわゆる全体の総量を着実に削減する範囲で、補足的に原単位をどのように活用できるかを検討しながら総量削減を基本とした制度を設計、導入していくと、こういう思いでございます。  環境省としては、あくまでもいわゆるこれは排出量をコントロールしていくことがこの制度の本筋だと、こう思っておりますので、そういった意味では、総量のキャップをしっかりと掛けながら、しかし、そうはいってもそれだけではなかなか済まないいろんな諸条件がございますので、そういった中で原単位という話も検討をしながら、全体として総量をコントロールし、なおかつ日本経済環境にも合う制度を考えていきたいと、こういう趣旨でございます。
  26. 轟木利治

    轟木利治君 分かるんですが、じゃ、具体的にもうちょっと分かりやすく御答弁いただければと思いますが。こういう質問に変えたいと思いますが、排出権をやるときに、グランドファザリングとかベンチマークという手法があります、この説明はもう差っ引きますけれども、大臣としてはどっちを重要視したいと思われていますか。
  27. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) ちょっとこれはなかなか答えづらい御質問でありまして、今鋭意省内で議論をしているということで是非とも御理解をいただきたいというふうに思います。
  28. 轟木利治

    轟木利治君 分かりました。  イメージ的に、先ほど最初の大臣の御説明からいけば、グランドファザリング一本じゃないんだと、ベンチマークも含めて検討するんだというような意味合いで私は理解しておきたいと思います。  ただ、私は意見を申し上げさせていただきたいのは、今回のこの取引というのは、キャップを掛けるということがこれまでの前政権、今でも試行的にやられておりますが、それと大変違うところでして、前回でも総量の問題と原単位の問題は議論もさせていただきましたけれども、国が強制的に、量だとすればですね、総量を抑えるんだということで、それぞれの、特に製造業なんかにしてみれば生産を落とさざるを得ないという現象も出てくる。いや、そうじゃないんだと、そこにいろんな改革、技術をやって改善して原単位を確保して総量を抑えればいいんだということをおっしゃるのは当然だとは思うんですが、ただ、その改善をするにもコストと時間が掛かるわけでございます。  原単位で考えると、日本の原単位が世界でも悪いんだと、まだまだ改善しなきゃ、もう中以下にあるんだと、このレベルであれば、当然これは改善の余地というのは、必然的に、強制的にもやらなきゃいけない。ただ、今、日本の原単位というのは世界でトップレベルでございます。それが世界の四%しか出していないという実績につながっているわけで、これからやはり政府としては、原単位も世界トップを維持しながら、なおかつ発展させなきゃいけない、こういった使命もあると思うんですね。そういったときに、今総量だけで規制した場合に、企業としては、その技術がない、コストがない、時間が足りないというところは設備の稼働率を下げなきゃならない。設備稼働を下げるということは、原単位というのは設備がフルに動いて原単位を維持できるわけですから、設備稼働が落ちるということは原単位が悪くなるということになります。原単位、設備稼働が悪くなるということは、それを動かす人が要らなくなるということになります。そうすると雇用問題にも影響してくるという可能性があります。  こういったところも十分大臣は御理解されているとは思うんですけれども、日本世界の立ち位置、そしてこれからやらなきゃいけないこと、そして量を落とさなきゃいけないというこの二つのギャップがあるわけでして、是非そこら辺は慎重に検討していただきたい。経済も発展させるんだという意味でいけば私が今申し上げたことが全く否定されるわけではないと思いますので、もし、大変済みません、唐突で申し訳ない、もしよければコメントをいただきたいと思います。
  29. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 委員の御指摘十分理解をしているつもりでございます。  委員のいわゆる意見の中で、若干誤解といいますか、共通認識としてお互いに持っていた方がいいなと思うのは、いわゆるキャップを掛ける掛け方の問題でありますので、それが余りにもある意味では行き過ぎれば、委員が御指摘のように、生産量を落としてそれは達成しなきゃいけないと、こういう話になるわけでありますが、あくまでもキャップの掛け方によってそれは変わり得ると。必ずしも生産量を落とさなければいけなくなるんだと、キャップ・アンド・トレード式のいわゆる排出量取引制度を導入したらですね、ということには私はならないというふうに思っております。  でありますし、またロードマップを見ていただければお分かりのように、そういった日本のまさにエネルギー効率が極めて高いということを大前提にして、私の方は、二五%丸々日本削減するというあのロードマップの試算でもいわゆる産業界での削減は直近の二〇〇八年度比約一〇%と、こういう話でございますので、そういった意味ではまさに家庭だとかオフィス部門だとかそういったところに力点を置いておりますので、十分そういったところは頭に置いて対応してまいりたいと、こう思っているところでございます。
  30. 轟木利治

    轟木利治君 今の大臣コメントに大変期待をしておりますので、よろしくお願いいたします。  次に、第三十三条ですが、これも大臣が肝いりで入れたというお話もございました。やはりこの政策をやっていく上でその政策形成を行う仕組みの活用を図るということで、いろんな団体も含めて意見を聞いていくんだということも言われております。具体的にこの意見を、民意を反映していくという方法というのは何か今考えられているのかということと、何か委員会等をつくられようとしているのか、そういった面でも、その点についてお聞きしたいと思います。
  31. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) まず、この三十三条というものをあえて立てさせていただいたのは、委員も十分もう御理解いただいていると思いますが、この法案を作るに当たってこれまでのいわゆる政府が作ってきたやり方と一つ大きな違いがあったとすれば、その間に政権交代という話が入って、いわゆる法案を作成する準備段階が、我々はその当時は政府ではなくて民主党という中でやらせていただいたと。でありますので、政府としてその準備段階という意味では、ある意味では時間の掛け方はこれまでとはちょっと違ったのかもしれません。  そういった中で、様々各界の皆さんからもう少ししっかりと意見を聞く機会が欲しいと、こういう御要望もあったものですから、それは我々としては民主党としてやらせてもらったと、こういう思いではありますが、今後、この法案の中であえて一条を立てて、さらには基本計画、ロードマップ等々を決めていくときにしっかり各界の皆さんと話合いをしたいと、そういうことを改めて表明をさせていただいたというのがこの三十三条を起こさせていただいた意味であります。  具体的にはどうかということでございますが、特別な委員会を今つくるつもりはございません。現在あるいわゆる中央環境審議会の活用、その中でも例えば中長期ロードマップの問題、あるいは国内排出量取引制度の小委員会等々をつくって行ってまいりたい。さらにはまた、国民に対してオープンな議論を行う場として、既に五月の十八日に東京会場でスタートさせていただきましたが、六月に入って順次全国で、大阪、岡山、福岡、名古屋、仙台、北海道、こういった形で一般の国民皆さんとの議論をする場もつくらせていただきたいと、こう思っているところでございます。
  32. 轟木利治

    轟木利治君 分かりました。是非幅広い意見をいただいて議論をしていただきたいなと思います。そしてまた、是非そういった、これから技術の革新も大変重要でございますので、現場もしっかり見ていただいて、実態含めてやっていただきたいと。やっぱりこれまでにないオープンな形でやっていただければと思っております。  時間の関係もありますので、一つ飛ばしていただいて次の質問に入らせていただきますが、ロードマップについてちょっと確認をさせていただきたいと思います。  環境大臣が発表されましたロードマップの内容というのはこう理解しておけばよろしいですかということなんですが、このロードマップというのは、国内で削減する、要は真水で二五%削減するための施策としてこういうことをやっていくんだという理解でよろしいですか。
  33. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) そうです。  ただ、一点加えさせてください。あくまでも真水議論はまだ決定はできておりません。そういう中において、しかし基本法の審議の材料としてこうしたものが必要だと、こういうふうに私ども判断させていただいて、環境省としての材料ということで作らせていただきました。でありますので、最大限二五%そっくり国内で削減する、そういった場合にはどうかということで、その道筋を示させていただいたわけでありまして、是非経済界、産業界の皆さん方は、最大限がこれでございますので、これで努力をしていただければ、実際はもう少し内側と、こういう話にもなり得るわけでありまして、そういった最大目標と、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  34. 轟木利治

    轟木利治君 理解しました。  念押しになっちゃいますけれども、二五というのは、ここでまず国内の削減としての目標があると、先ほど、今日議論させていただきました二十九条なんかのその海外での実績含めて、そして排出量取引制度もそうかも分かりませんが、そういうものがきちっと確立されれば二五のこのロードマップというのは見直しもするんだと、そういった理解でよろしいですか。
  35. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) そのとおりでございます。少なくてもこれはあくまでもまだ小沢試案という形で出させていただきましたので、今後いわゆる政府の中で関係省庁議論をした上で政府としてのものも統一的に出していきたいと、こうも思っております。
  36. 轟木利治

    轟木利治君 よろしくお願いいたします。  最後の質問になりますが、余り議論されていないところで、ちょっと私も心配しているところでございまして、要は、京都議定書の六%と二五%の関係でございます。  京都議定書においては、二〇〇八年から一二年までの五年間においての平均値で六%削減と。これは大臣は、いろいろ中身はあっても達成可能だということを前回おっしゃいました。そうすると、起点は九〇年という同じところで、今度は二五%という削減目標を持つということになるわけですが、この六%の扱いというのは、二五%との関連性というのは、関係というのはどう理解しておけばよろしいのかと。端的に言うと、内数でいいんですかと、六%は、そういう質問でございます。
  37. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 内数でいいと思います。
  38. 轟木利治

    轟木利治君 大変積極的な御意見で、ちょっと今まで、事前でやったときはいろいろ議論が大分白熱したものですからあれですけれども。  ということは、大臣、そうやってすんなりおっしゃっていいのか、ちょっと私の方が心配になっちゃいますけれども、二五の内数で六は達成できたんだということになると、これはパーセントでいうとちょっと誤解を招く可能性がありますので量でいうと、一九九〇年が十二億六千万トンぐらいCO2日本が出していたわけですね。それが一〇〇の基準になると。二五%削減ということは、三億一千五百万トンぐらい削減しなきゃならないという数値になるわけでございます。京都議定書の六%というのは五年間ですから、五年間延べでいうと三億八千万トンぐらいになりますが、年でいうと七千六百万トンぐらいになります。  七千六百万トンを基準として考えたときに、そうすると、三億一千五百万トン削減をしなければならない量で、七千六百万トンはもう達成したんだから、残りの数字で、量でいいんだと、そういう解釈でいいんですか。
  39. 寺田達志

    政府参考人寺田達志君) 恐れ入りますけれども、二五%と六%の関係でいえば、それは当然二五の内側に六%があるわけでございますけれども、あくまで二五%と申しますのは基準年である一九九〇年とその目標年次でありますところの二〇二〇年の絶対量の比較でございまして、当然そこにおいては、その内側にありますところのクレジットの取扱いがどうなるのか、森林吸収がどうなるのかという、これ、今後の国際交渉にまつべき部分がございます。  我が国の六%の中には、現状の時点では、御存じのとおり、森林吸収の三・八%、あるいは政府が購入するCDM等の一・六%が含まれているわけでございまして、この部分が丸ごと同じルールで持ち越されるとかいうような話ではないということだけはお断りしたいと思います。
  40. 轟木利治

    轟木利治君 大臣と局長の答弁が、多分局長の方が後退したようなイメージで取られるんですが。  申し上げたいのは、六%をいろんなルールで、まあ基本的に、ざっくばらんに言うと、政府が買った一億トンと電力が買った二億五千万トン、森林吸収の三・八はまあポケットとしてもいいんですけれども、実際は真水であった〇・六がなかなか達成し得なかったと。ですから、グラフでいえばこう上がっていってきているということ。当然二五に向かっては、九〇年対比の対策でなくて、上がったところも下げなきゃいけないんで、先ほど言われたように、家庭部門では五〇%とかそういった比率になってしまうということは分かるんです。分かるんですが、まずここは、先ほど国際交渉の結果だということでおっしゃいましたけれども、一億トン政府が買ったと。これはやっぱり国民の税金で買っているわけですね。企業も、電力でいえば二億五千万トンぐらい、鉄鋼で五千六百万トンぐらい、これはキープですけど、今は。  結局、お金で買ってきたものが、それが何にも生かされないということは、結局捨てた金みたいな形になってしまうと。このことをやっぱり、日本は達成したという、国際ルールの中で主張をしていただいて、日本評価されるべきだと、これをきちっと守ったんだから、まあ方法は別にしても。そのことは十分主張していただいて、やるべき対策は、単純に二五であと一九じゃなくて、もっと増えちゃったんでもっとやらなきゃいけないんだというのがロードマップの中の項目だと思いますので、そのことは国際交渉においてしっかり主張していただきたい。これはもう国益が外へ出ちゃうだけの話になっちゃいますから、この点について、大臣、もう一度お願いいたします。
  41. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) まさにそれは冒頭の質問でも申し上げましたように、我が国として積極的にその点は提案もしてまいりたいと思いますし、国連中心とした仕組みづくり、それだけで足りなければ、二国間あるいはまた地域間、そういったことも十分踏まえてやってまいりたいと、こういうふうに思います。
  42. 轟木利治

    轟木利治君 是非、これまでのいろんな負担なり苦労を含めて、日本がやれるような形でお願いをしておきたいと思います。  終わります。
  43. 松野信夫

    松野信夫君 民主党松野信夫です。本日は、地球温暖化対策基本法案質問の前に、水俣病対策について若干お聞きをしておきたいと思います。  五月一日がいわゆる水俣病公式発見の日ということで、先日の五月一日の日には、歴代の総理として初めて鳩山総理大臣が水俣を訪問していただいて、水俣病犠牲者慰霊式で言葉も掛けていただいた。環境大臣も副大臣もおいでいただいたということでありました。また、鳩山総理も、犠牲者、被害者の皆さんに本当に優しく心を掛けていただいたなということで、私は大変評価をしているわけであります。  また、五月一日からは水俣病特措法に基づく被害者の救済の申請も始まったということでございまして、是非これが本当に被害者の要請に基づくものという形でしっかり救済が進むように政府にはお願いをしたいと思いますが、まず確認をしておきたいと思いますが、一番新しい申請の状況ですね。私が聞いているところでは、かなり周知されて申請者も増えてきているというふうに聞いておりますが、まずその申請の状況について教えてください。
  44. 田島一成

    ○副大臣(田島一成君) 先生にも御指導いただきながら、おかげさまで慰霊式が行われました五月一日から申請窓口の開所式も行い、申請受付をスタートさせていただいたところでございます。それに合わせまして、環境省そしてまた熊本県、鹿児島県、新潟県、それぞれで集中的にこの周知、広報をスタートをしてまいりました。  一番新しい数字ということで御質問いただきましたが、ちょうど先週末、五月二十一日現在の数字をお示ししたいと思います。五月一日からスタートをして三週間でございますけれども、各県から申請状況を聞き取りをいたしましたところ、合計で一万二千四百七十一名の申請があったというふうに報告を受けているところでございます。
  45. 松野信夫

    松野信夫君 もう三週間で一万人を超える、それだけ本当に多くの被害者の人たちが存在をしているということの裏付けでもあろうかと思います。  それで、現在はこの救済措置の申請が続々となされている。今後の見通しですけれども、今後は、恐らく公的な医療機関で診察を受けるという方もおられれば、被害者手帳に切り替えるという方もおられればということになるかと思いますが、実際の公的な医療機関での診断というものはいつごろからスタートして、どういうような処理状況になるものか、その辺の見通しをお願いしたいと思いますが、私は、数をこなせばいいというものでは決してないと、やっぱり丁寧に医療機関での診断をしていただきたいなと。  私も弁護士としてかかわった平成七年の政治解決のときも、実際の現場での診断が、それこそ五分、十分で簡単に済ませて、ほとんど症状なしということでたくさんの人が切り捨てられてしまった、こういう前例もありますので、是非そういうのも十分に踏まえて、公的な検診というものは丁寧にやってもらいたい。数をこなすのが目標ではありませんので、是非その点を十分に踏まえて進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  46. 田島一成

    ○副大臣(田島一成君) 今御指摘をいただきました公的診断につきましては、熊本県、鹿児島県、そして新潟県、いずれにおきましても六月からスタートをする、開始をする予定だということを聞いておるところでございます。今後、公的診断、そして判定作業がこの三県を含め関係県によって円滑にスタート、進めることができますようになるものというふうに認識を今しているところでございます。  ただ、今委員も御指摘をいただきましたように、過去の診断の状況の様々な問題点、私どもも今回特措法に基づいてスタートをさせていくに当たって、様々な問題点や過去の反省を踏まえて見直し作業もさせてもらってまいりました。  まずは、関係県が指定をする医療機関の医師によって行われていくわけでありますけれども、その際に用いられます診断書の様式につきましても、大幅に一つ一つチェックをし、最小限のデータを記入し、そしてまた所見として分かりやすく、またきちっとした判断ができるような様式を定めて、その取扱い方法でありますとか診断方法につきましても、それぞれ検診に当たっていただく医師に事前にきちっと研修を行わせていただいて、限られた時間の中で、とにかく数をこなせばいいわけではないという御指摘をいただきましたとおり、効率的ではあっても丁寧に診断が行われるように、その環境整備等々に取り組んできたところでございますので、今後もこうした事前研修等々をしっかりとやらせていただく中で、委員指摘いただきましたように、丁寧な公的診断が行えるようにその周知徹底を図っていきたいと考えておるところでございます。
  47. 松野信夫

    松野信夫君 是非、公的診断、丁寧にということはもう何度でも申し上げたいところでありますし、また、水俣病の医学はまだ十分に解明ができていない部分もありますけれども、一般的には末梢神経だとかあるいは中枢神経、この辺がやられる、とりわけ中枢神経が傷つけられる。症状が動いたりすることもありますので、その辺も十分に踏まえてやってほしいと思います。  それで、今日、委員皆さんのお手元に新聞記事も配らせていただいております。これ、いずれも地元の熊本日日新聞の記事でありますが、一つは五月一日の記事でありまして、一九七〇年代に水俣病の胎児性の患者と同世代の地域の人たちの身体機能が対照地域と比べるとどうなのか、こういうような調査をして、手先の器用さがどうかという点ではやっぱり劣っているということでありました。  これは環境省の方からもこういう調査費用を出して、それで当時は熊大の先生方に調査をしてもらったということでありまして、是非追跡調査が必要ではないか、こういう大学の先生方の指摘もありますので、十分な追跡調査をお願いしたい。とりわけ胎児性あるいは小児性の患者については、その病像自体が十分に解明されていないこともあります。是非これは特措法上の中にも調査という項目がありますので、追跡調査をやっていただきたい、こういうことであります。  それからもう一つは、五月二十二日の熊日新聞でありますが、これはまさに国立水俣病総合研究センター、いわゆる国水研、ですから自前の調査であります。これによりますと、チッソのアセトアルデヒド製造工程での水銀を含んだ工場排水が停止された一九六八年以降も新生児のへその緒の水銀値が高いと、こういう調査でありました。今回の特措法に基づく救済の疫学の要件としては、このチッソの排水が停止された六八年に懐胎したということも考慮に置いて、原則六九年の十一月までに出生したと、これを一応の救済対象者としているわけですね。  ただ、この記事にもありますように、排水の停止後もやっぱりへその緒では水銀の高濃度が確認をしているということですから、これも常識的に分かると思いますが、チッソの排水が停止されたら、それじゃ直ちにきれいな海水になるのかと。決してそうではないことはだれでも分かることでありまして、やっぱりこういうような点も十分に調査、解明をしながら、実際の救済についても、六九年十二月以降に生まれた人を一律に切り捨てるというのではなくて、一応政府の救済措置の中ではへその緒などの水銀データがあれば対象に含めましょうとなっているんですが、実際にはへその緒の水銀データがある人というのはごく一部だと思います。  ですから、なかなかそれだと救済が進まないということもありますので、是非こういう点も踏まえて、六九年の十二月以降の出生者も、できる限りいろんなデータ、いろんな疫学の要素を是非考慮していただいて幅広く救済をしてほしいと、こういうふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。
  48. 田島一成

    ○副大臣(田島一成君) 今御指摘をいただいております昭和四十四年十一月末以降に生まれた方についてでございますが、今回のこの救済策におきましては、熊本県そして鹿児島県におきましては、例えば、今御指摘いただきました、また新聞にも書かれておりますが、へその緒でありますとか胎毛筆、いわゆる赤ちゃん筆だとか、また妊娠中の母親の毛髪における高濃度のメチル水銀の暴露の可能性を示すデータなどをお持ちの方については、どこでこのメチル水銀の暴露を受けた可能性があるか原因を確認した上で、地域要件また症候要件と併せて総合的に判断するというふうにして、あとう限りの救済をしていきたいというふうに考えているところでもございます。  ただ、今回発表のございましたこの国水研の研究によっても、昭和四十四年以降に水俣湾地域で生まれた方に濃厚なメチル水銀の暴露というものが確認されなかったというふうに発表されているところでもあります。  環境省としては、今後、各研究機関や地方自治体とも連携をさせていただきながら、このメチル水銀が人の健康に与える影響等についても引き続き知見を収集してまいりたいと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  49. 松野信夫

    松野信夫君 是非追跡調査をお願いしておきたいと思います。  それでは、地球温暖化対策基本法について質問をさせていただきます。  まず、二五%という中期目標でございます。  基本法ではありますが、こういう具体的に二〇二〇年の中期目標が二五%という数字を掲げたというのは、私は高く評価できると思っております。まあいろいろな御意見がありまして、日本だけが二五%、突出しているじゃないか、あるいはそれに縛られて経済の発展阻害要因にもなるじゃないかと、まあまあいろいろ御意見はありますが、私は決して日本だけが突出をした数字を出しているということではないと考えております。  いろいろ資料ありますけれども、イギリスはプログラムでは三四%、フランスでも二〇%から三〇%ぐらい、さらにドイツは四〇%という、ヨーロッパ各国はかなり高い目標数値を掲げているわけでありまして、私は決して日本だけ突出したわけではないと、こう考えておりますが、まず大臣はこの世界との比較でどのように評価をしておられますか。
  50. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 委員の御認識と私の認識はほぼ同じだと、こういうふうに思います。  九〇年比二五%という目標は、省エネが進んでおります我が国にとってはかなり高い目標であることは事実でありますけれども、例えば、先ほどイギリス、フランス、ドイツの例ありますが、EUはこれはまた新興国が責任と能力に対応した貢献を行う場合は九〇年比三〇%減と、こういう数字を出しておりますし、豪州はこれまた大気中の温室効果ガスのレベルを四五〇ppm以下に安定させる合意がなされた場合は二〇〇〇年比で二五%減と、こういう数字を出しておりますし、ノルウェーは二度C目標に沿った排出削減に合意する場合には九〇年比四〇%減と、こういう目標を掲げております。  こういった数字を比べ合わせたときに、必ずしも日本だけが突出していると、こういうことでは私はないと、こういうふうに思っております。
  51. 松野信夫

    松野信夫君 それで、この二五%という目標については一応前提条件があるわけですね、この十条の第二項のところで。すべての主要な国が、公平なかつ実効性が確保された地球温暖化の防止のための国際的な枠組みを構築するとともに、温室効果ガス排出量に関する意欲的な目標について合意をしたと認められる場合に設定されると、こういう言うならば条件付になっているわけで、これについては様々なまた御意見があります。何でこんな条件を付けたのか、条件の内容がややあいまいではないかとか、こういう条件は不要だと、いろいろ意見があります。この辺を大臣としてはどういうふうにお考えかなと思います。  麻生政権のときには、二〇二〇年までに麻生政権の方では二〇〇五年比で一五%削減と、これは一九九〇年比に直しますと八%削減という中期目標を発表しました。鳩山政権での二五%は非常に世界的にも野心的な目標だということで評価がありました。麻生政権のときの目標では余り評価はなかったというふうに私は見ておりますが、ただし麻生政権のときには、主要国が枠組みを構築するとか合意ができたとか、そういうような条件は特になかったというふうに見ておりますので、一方では条件が付いている、一方では条件が付いてないと、こういうことではあるんで、どういう理由でこういう条件を付けたのか、この辺も含めて評価をお聞きしたいと思います。
  52. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) まず、麻生政権の数字でありますけれども、これは今委員が御指摘の条件が付いていないと、こういう話と同時に、この数字は国内の削減だけを示しておりますので、そういった点も加味して考えなけりゃいけないんだろうと、こういうふうに思います。必ずしもこれが余りにも低過ぎるというふうなことを申し上げるつもりはありません。しかし、まさに国際交渉の中でいわゆる各国を本当に引っ張っていける数字だったかどうかという点に関して言えば、それは、申し上げにくいんですが、不十分であったと、こういうふうに思います。  その二五%という数字は、これはいろんな受け止め方があるわけでありますが、少なくても世界各国が、ある意味日本というのはそこまでやるのかと、こういう意味で目を見開いて改めて日本を見直してもらった、そういう数字であったし、あるいはまた、国内においても、国民皆さん方がやはり温暖化対策というのをしっかりやらなきゃいけないんだと、そういう意味ではこの二五%という数字のやっぱり私はいい効果は極めて大きかったと、こう思っております。  その条件でありますけれども、これは総理がいつも答弁で申し上げますように、各国に、私もやるからあなたもやってくれと、こういう意味で、いわゆる働きかけるてことしての条件だと、こういうふうに総理として答弁しておりますし、私もそのように考えております。
  53. 松野信夫

    松野信夫君 世界各国に働きかけをするということであれば、私はそれはそれで評価をいたしますが、是非それをやっぱり実行しなければ何もならないと思います。せっかく国際的な枠組みの構築とかあるいは目標についての合意とかいうことで日本は二五%を目標に頑張ると、こういうメッセージを出しているわけですから、単にメッセージを発するだけじゃなくて、世界の各国に働きかけをして巻き込む、巻き込むための是非行動も起こしていただかないと、単なるスローガンやメッセージを上げただけでは世界の人たちは付いてこないと思いますので、その辺に向けた具体的な取組への決意も、もしよければ大臣からお聞きしたいと思います。
  54. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) まさにおっしゃるとおりでありまして、大事なことは、本当にこの地球全体で温室効果ガス削減して温暖化をストップさせると、このことが最も重要といいますか、そのためにやっているわけでありますから、まさにそのことを頭に置いて世界各国に、我々もやるからあなたたちもやってもらいたいという話を積極的に働きかけていかなければならないと、こう思っておりますし、具体的には、昨年のCOP15の場もそうでありましたが、先般、五月の前半にボンで行われました気候変動枠組み条約の閣僚級会合では全体会合でもスピーチをさせていただき、そういう訴えかけをさせていただくと同時に、バイの会談でも中国あるいはまた米国を始め、あるいはまたEUの代表を始め、皆さん方とそういう議論を、議論といいますか要請を交わしてきたところでございます。  さきの、また先週行われた日中韓の三か国の環境大臣会合でも私からも強く中国皆さん方にもそういう要請も申し上げ、そして、中国には、いわゆる中期目標に関して数字を挙げていただいたことはこれは評価をさせていただきたいと。しかし、その数字ではピークアウトの時期が明示できていないと、そこをしっかりと示してもらわないと、いつから減っていくんだという話を示してもらわないと世界各国は大変危惧を持っている。このまま二〇年まで行けば、今の中国の原単位的な目標でいえば、ある意味では世界排出量の半分に近くなっちゃうぞと、そういうことも強く申し上げて要請をしてきているところでございます。  そういった努力を、いろんな、国連中心とした全体会合あるいはまた各国との会合の中でも粘り強くやっていくことが重要と、こう思っております。
  55. 松野信夫

    松野信夫君 是非粘り強く、中国、米国等々、働きかけをお願いしたいと思いますが、実際のところはなかなかそう簡単ではないと。国際的な様々な思惑もありますし、それぞれの国はそれぞれ自国の経済状況等々複雑な状況もありますので、私は、そう簡単ではない、国際的な枠組みを構築する、あるいは目標についての合意ができるというものはそう簡単ではないと思います。  そうすると、もし二〇二〇年までにそういう枠組み構築が難しそうだと、こういうようなときに日本としてどうするか。そういうような枠組みができなければ、日本ももう、二五%目標出したけど、余り大したことやらなくていいんだというわけにはやっぱりいかないと思います。日本日本として、国際的な枠組みに対する働きかけ、これは一方で一生懸命やると同時に、国内でも削減に向けたことはしっかりやっていかなければ、これはもう示しが付かないだろうと思います。  その場合に、国際的な枠組みがなかなか難しいときに日本としてどれくらいの数値目標でいくのか。二五%というのはあくまで枠組みを前提としていますので、それがなかなか厳しい、難しいというときにも、私は気持ちとしてはやっぱり二五%を目指してやってほしいという思いはいたしますし、どんなに譲ったとしてもせめて、麻生政権のときは前提条件なしに一九九〇年比でいうと八%削減ということを言っていたわけですから、どんなに譲ったとしてもそれくらいはせめて数値としてはしっかり日本としてもやらなければいけないというふうに思いますが、大臣のお気持ちはどうでしょうか。
  56. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 委員と全く同じだと、こういうふうに思って聞かせていただきました。  これは、国際交渉の話といわゆるこの基本法の話と、二つ、ちょっと分けて申し上げたいと思いますが、国際交渉に関して言えば、いわゆるその条件が成り立たなかった場合には国際公約としての、公約としての責務はあり得ないと、こういう話になるわけであります。  じゃ、国内法、この基本法においてはどうかと、こういう話でありますが、二五%という中期目標は、それはその時点において、その適切な時点において政府として判断をいたしますけれども、法理論的にはなくなるわけであります。中期目標はなくなるわけであります。  しかし、同時に、この法案が成立しております論理的根拠は、長期目標八〇%というのは条件なしに掲げられておるわけでありまして、先ほど轟木委員との質疑の中でも申し上げましたように、でき得る限りその八〇%に向けて、いわゆる削減の面積を、削減の面積は大きくですね、ですから、早い段階からいわゆる削減をしていくための努力をしていかなければいけない、これが政府の方針でありますので、長期目標達成のために国内排出量取引制度、温暖化対策税、再生可能エネルギーの全量固定価格買取り制度を始めとして、そういった制度設計をしっかり行ってやっていくことに迷いなく進んでいきたいと、こう思っております。
  57. 松野信夫

    松野信夫君 まさに政策総動員でやらなければいけないと思いますが、それでは、具体的に再生エネルギーの点について次にお伺いをしたいと思いますが、これは基本法の十一条で二〇二〇年の時点で再生可能エネルギーが一〇%と、こういう目標を立てているわけで、これはこれで私は評価できる、まだ少ないぐらいだという気持ちもあります。ヨーロッパ諸国から比べれば、この一〇%、そんなに高い目標ではないと思いますが、ただしかし、現状から見ると、これなかなか大変な数字でありまして、飛躍的に再生エネルギーを高めていかなければ到底到達しないだろうと思います。  それで、この再生エネルギー、具体的には、この二条の定義のところで太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、バイオマスが掲げられ、そして第七号のところにその他で政令で定めるという記載があります。具体的には、この政令でどういうようなものを再生エネルギーとして定める予定なんでしょうか。
  58. 田島一成

    ○副大臣(田島一成君) 今御指摘をいただきました、その他の部分で政令で定めていこうとする再生可能エネルギーにつきましては、先ほどの冒頭にもいろいろと出ておりましたけれども、例えば自然界に存在します大気熱でありますとか、まだまだ普及段階にはございませんけれども、技術開発が進んでいくならばその可能性は非常に大きいといったような例えば波の力、波力だとか潮力、そういったものも想定できるのではないかと考えております。  ただ、今後、大気熱等々の算定方法でありますとか技術開発の進捗状況等々を踏まえて、十分に検討した上で政令で定めていくことが適当ということで掲げておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  59. 松野信夫

    松野信夫君 恐らく、再生エネルギーとしてその他で掲げるというのは、これから技術的な問題もありますのでそう簡単ではないと思いまして、私はやっぱりこの再生エネルギーの中では、主力となるとほかのところから少し文句出るかもしれませんが、実際のエネルギーの量としては太陽光が量的には一番期待をされるのではないかなというふうに思っております。是非、太陽光に対する様々な政策をフル動員をお願いをしたいなと思いますが。  これまでも導入に当たっては補助金あるいはRPSのような仕組みがありまして、また、今回法案では全量の固定価格買取り制度というものを導入するということでありまして、この補助金やRPS、あるいは固定価格買取りというものをどういうふうにうまく組み合わせるかというのがなかなか難しい点もありますけど、私は政策をうまくインセンティブを働かせる非常に重要な契機になると思います。例えば、買取り制度をやるので、補助金、RPSはもうやめてしまうというようなものであってはやっぱりならないと思います。補助金は補助金なりに初期投資の段階でやっぱりインセンティブを働かせる重要な役割も持っているわけで、是非そういう補助金、RPS、固定価格買取り、これを上手に組み合わせて政策を働かせてもらいたいなという気がいたしますが、この点はいかがでしょうか。
  60. 高橋千秋

    大臣政務官(高橋千秋君) この全量買取り制度の検討につきましては、直嶋経産大臣を座長としまして昨年の十一月の六日にプロジェクトチームを立ち上げさせていただきました。それ以降、いろんな団体や有識者からもヒアリングやったり、それからヨーロッパの方の事例も参考にさせていただきながらずっと今検討をしている最中でございまして、買取り価格の水準とか国民負担の在り方とかそれから補助制度、先ほどお話がありましたが、補助制度やRPS制度の在り方などの論点も今議論を行っております。  現在は、この制度のオプション、どれぐらい国民の方に負担をしていただかなきゃいけないとか、そういう部分のいろいろなオプションを広く国民の皆様にお示しをしまして、三月の末からホームページで皆様の意見を募集をさせていただいております。ホームページで意見を募集するだけじゃなくて、もう既にやったんですが、全国二十一か所でタウンミーティングのような形でやらせていただきまして、皆様からいろいろ御意見をいただいて、これも十分いろいろな意見を伺った上で今年の夏ごろまでに制度の大枠を決めたいというふうに思っております。
  61. 松野信夫

    松野信夫君 今年の夏ごろにということでありますが、恐らく論点として一つ考えられるのは、全量買取りをすると、その場合に買取り価格は例えば二十円なら二十円ということで一律というふうにしてしまうのか、あるいは電力量によって少し段階を設けるか、あるいは、例えば太陽光の場合は幾らにする、例えば小水力辺りは幾らにするというような形で、発電するものによって変えていくという方法もあるかと思います。  私は自分の個人的な思いでいうと小水力頑張ってもらいたいなという気が率直にありまして、確かにその思いはあるんですが、現実にはこの小水力の発電能力というのは、百キロワットとか、なかなか千キロワットまで行かない。けれども、これは、日本の場合、渓流が多かったり農業用水が非常にうまく設備が整っていたりすれば非常に大きな働きをする可能性も高いと思って、ですから、そういうのをうまく導入をするのであれば多少、そういう小水力についてはやや高めに買い取るとかいう手もあると思います。  是非そういうような政策お考えいただいて、必ずしも私は一律の買取り価格でなくてもいいのではないかと思っているんですが、この点はいかがですか。
  62. 高橋千秋

    大臣政務官(高橋千秋君) 委員指摘のとおり、水力については、昔からの大規模なダムの発電というのは有名でございますけれども、小規模についてはまだ進んでおりません。しかし、この買取りの価格について、御指摘のとおり、ものによって変えてもいいんじゃないかという御意見もたくさんの方からもいただいております。これも含めて今後検討をして御提示をしたいというふうに思っております。
  63. 松野信夫

    松野信夫君 それで、ちょっと念のために確認をしておきたい点がありまして、第十五条のところを見ますと、再生可能エネルギーの利用を促進するため、全量固定価格買取り制度の創設に係る施策を講ずるということで、これは、再生可能エネルギーの全量について、調達する制度という記載の仕方になっているんですが、これは要するに電力会社に買取り義務を課するということと意味は同じということでよろしいんでしょうか。
  64. 大谷信盛

    大臣政務官(大谷信盛君) はい、そういうことになります。  しっかりと言うならば、ここにある十五条の再生可能エネルギーに係る全量固定価格買取り制度とは、電気事業者に一定の価格、期間、条件で再生可能エネルギーの全量を買い取っていただくという制度でございます。
  65. 松野信夫

    松野信夫君 それから、小水力あるいはバイオ、太陽光、いろいろこういうのはまさに技術革新が必要でありまして、それこそが成長戦略の一端を担うことにもなるかと思います。そういう技術革新ということになりますと、特許、いろんな知的財産権が設定されるということは十分予想されるし、日本のまさにソフトパワーというものを発揮するためにもこの知的財産権の保護ということが必要かと思います。  それで、こういう特許権などの知財について、私の思いとすれば、できるだけ早く、安く権利設定ができるということは非常に必要なことだと思います。また、大企業はそれなりに社内に、特許の申請に係る手続、もうそういうスタッフもいますのでこれは簡単に対応できると思いますが、ベンチャーとかあるいは中小企業ですとそういうスタッフもなかなかいないということで、やっぱりいろんな形でサポートしていただかないと、せっかくのグッドアイデアが特許という形で保護されないということになりますので、そういう知財に関するサポートも含めてお願いしたいと思います。そういうのも含めて国家戦略を是非立ててもらいたいと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  66. 高橋千秋

    大臣政務官(高橋千秋君) 御指摘のとおり、この環境の分野については日本が最先端を走っていると言ってもいいと思います。  この技術につきまして特許を申請するに当たりましては、昨年の十一月から早期審査制度というのを始めております。これはいろいろな条件があるんですけれども、その中の一つに、この環境技術の特許申請につきましては通常よりかなり早く、普通ですと審査に入るまでに二十九か月ぐらい掛かるんですが、いっぱい出ているものですから、この環境技術に関してはそれを約二か月に短縮をして審査を開始するという制度を設けております。  それから、特に中小企業については、御指摘のとおり知的財産をどうやって守っていくかというのは大変費用も掛かるということで難しいところがあるんですけれども、経産省として弁理士とか専門家による特許の知的財産の取得に向けた中小企業向けの無料相談会というのを全国で七千四百回で約二万人ぐらい参加をしていただいております。今年度からは、弁理士とかそういう方が単独じゃなくて、ワンストップでいろんなことができるようにという形に変えさせていただいて、中小企業診断士とか、そういう方々も入って相談をさせていただいております。それから、出願段階において、研究開発を行っている中小企業とかが審査請求料の減免を受けられるという制度もございます。  そういういろいろな支援をさせていただきながら、この分野の技術を何とか守っていきたいというふうに思っています。
  67. 松野信夫

    松野信夫君 是非、エコ技術、しっかり日本開発してそれを保護していく、そういう方向でお願いしたいと思います。  もう時間ですので、最後の質問にさせていただきますが、地球温暖化対策税については、第十四条のところで、平成二十三年度の実施に向けた成案を得るよう、検討を行うものとするという、何かいささか持って回った表現だなという気がして、本当にこれ二十三年度の実施ができるのかどうかという気が正直しております。  この対策税は、成案を得るよう、検討を行うものとするという条文。ところが、排出権取引制度、これは第十三条ですが、こちらの方はこの法律の施行後一年以内を目途に成案を得るものとするということで、排出権取引の方は、成案を得るものとすると。対策税の方は、成案を得るよう、検討を行うものとするということで、このニュアンスが違うんですよね。  更に言うならば、第十五条のところの再生エネルギーに向けた全量固定価格買取り制度、これはいつからやるのかという記載がありません。ちょっと、そういうことで本当にいつから実施できるのかというものが少しあいまいな形に書き方としてはなっているような気がしてならないんですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。
  68. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) いずれも、これから制度設計を詰めていくと、こういうことがあるものですから、そういった意味では、確定的ないわゆる期限を設けなかったと。基本法でもございますので、基本方針、理念を書かせていただいたということでございます。  ただ、税に関しては逆に、委員の御指摘で、ああ、そうだったなとつくづく思ったんですが、逆に排出量取引制度の書きぶりに比べて、得るよう、検討を行うという書き方は確かにこちらの方が弱いのではないかと言われれば、そうかなと、こう思って聞かせていただきました。  これはあくまでも税制改正大綱の内容を踏襲して書かせていただいたわけでありまして、この税制改正大綱においては、いわゆる二十三年度の実施という言葉が入っている点が今までと全く違うことでございまして、通常は二十三年中に成案を得るようとか、そういう話が通常の先送りと、こういうことであれば、なるわけでありましょうが、ここの場面では、二十三年度の実施と、こういう言葉をあえて使わせていただいて、これは二十三年度からやらせていただきたいということを税制調査会でも決めていただいたものというふうに私としては理解をしております。  それに向けて、いろんな微調整、各軽減措置始め、そういった微調整をこの基本法が成立いたしましたら直ちに入らせていただいて、そして二十三年度から実施できるように準備をしたいと、こう思っております。
  69. 松野信夫

    松野信夫君 是非二十三年度からしっかり実施できるように取組をお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  70. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十四分休憩      ─────・─────    午後二時三十分開会
  71. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) ただいまから環境委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、広中和歌子さん、池口修次さん及び松野信夫さんが委員辞任され、その補欠として米長晴信さん、川合孝典さん及び外山斎さんが選任されました。     ─────────────
  72. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) この際、ツルネンマルテイさんから発言を求められておりますので、これを許します。ツルネンさん。
  73. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 本日は、民主党委員の遅刻により委員会再開が遅れましたことを深くおわびいたします。以降、このようなことがないように気を引き締めて対応いたします。理事懇談会では、平田国対委員長からもおわびをさせていただきました。
  74. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 委員長からも一言申します。  地球温暖化対策基本法案、これは大変に重要な法案でございます。衆議院では、この地球温暖化対策基本法案(閣法第五二号)を強行採決されました。自民党、公明党のそれぞれの議員立法は採決されないままであったわけでございます。これは民主主義のルールとしていかがなものか、非常に不正常な状態であるというふうに思います。このような状況で参議院に送られてきたわけでございますが、参議院の私、委員長としては、今日まで充実審議が図られるように努めてまいっておりました。  しかし、本日、参議院の環境委員会としての本格的な審議初日に、民主党の数が足りず午後のスタートが大幅に遅れたのは誠に残念でございます。二度とこのようなことを起こさないよう、与党は緊張感を持っていただきたい。厳重注意をいたします。     ─────────────
  75. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 再び、この際、委員異動について御報告いたします。  本日、岡崎トミ子さんが委員辞任され、その補欠として大島九州男さんが選任されました。     ─────────────
  76. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 休憩前に引き続き、地球温暖化対策基本法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  77. 川口順子

    ○川口順子君 自民党の川口順子でございます。  大臣には、日ごろから大変に温暖化の問題あるいはその他の問題で御苦労さまでございます。また、今日はほかの省の政務官にも御出席をいただいておりまして、お忙しい中、ありがとうございます。  まず、冒頭に申し上げたいと思います。  今回、一時間半、時間を無駄にすることになった。これは、もうただひとえに与党の責任感のなさ、政権を持つ党として法案をまとめようとする気持ちが全くない、欠如しているということからきていると思います。冗談ではない、言語道断です。  これは、先ほど委員長もおっしゃられましたように、衆議院で強行採決をして送られた法案でございます。そのような暴挙をしておいて、ここに来て第一日目、重要広範の大事な日に遅刻を、民主党の議員の質問が終わったらみんな来なくなってしまった。これ、何ですか。本当に遺憾であると思います。国民皆さんが、環境に特に関心を持っていらっしゃる皆さんがこの民主党の態度を見たら本当に愕然とし、がっかりするだろうと私は思います。  この前、予算委員会をやりましたときに、参議院予算委員会の第一日目に、遅刻三兄弟と我々は呼んでいますけれども、三人の閣僚が遅刻をして来た。これがそのときに、与党はこれから締めていきますということであったはずなのに、全くその効果が出ていないというふうに言わざるを得ません。  大臣も与党の一員でいらっしゃいます。大臣の御感想をお伺いをしたいと思います。
  78. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 今、委員長あるいはまた川口委員の方から御指摘があった点はまさにそのとおりだと思っておりまして、私もそういう政府・与党という意味でいえばそちらの側の人間なんですが、みんなで気を引き締めてしっかりやってまいる、改めて決意をしているところでございます。
  79. 川口順子

    ○川口順子君 田島副大臣の御感想をお伺いします。
  80. 田島一成

    ○副大臣(田島一成君) 大臣が今申したように、私どもも緊張感を持ってこの終盤国会しっかりと臨んでまいりたいと思っております。
  81. 川口順子

    ○川口順子君 大谷政務官の御感想をお伺いします。
  82. 大谷信盛

    大臣政務官(大谷信盛君) 政務三役として、緊張感を持ってやってまいりたいと思います。
  83. 川口順子

    ○川口順子君 後ほど申しますけれども、緊張感を持って、責任を持ってやるということの中には、きちんと説明すべきことを説明し、決して質問逃れをしないということも入っていると私は思っております。その点を十分に踏まえていただいて、御答弁をいただきたいと思います。  本題に入りますが、地球温暖化の問題、これは大変に重要な問題であって、我々取り組んでいかなければいけない、真正面から向き合って取り組んでいかなければいけない問題であると思います。自民党といたしましてもこの考え方は全くそのように思っておりまして、しからばこそ衆議院において対案を出させていただいたということでございます。  ただ、基本法であれば、またこの基本法を作るということが取組を前に押すために非常に重要であるという認識も私は民主党と自民党は共有をしていると思います。ただ、基本法であれば何でもいいということではない。基本法も、どのような取組をするのか、どのような取組をするのが一番実効性が上がるのか、そして費用対効果がいいのか、国民が納得して取り組むことができるのか、そういった観点から議論をしていかなければいけないと思います。その点において自民党の考え方は民主党の考え方と大きく異なるということでございます。  残念ながら、先ほど委員長がおっしゃられましたように、五月十四日に衆議院の環境委員会において、審議が最後まで尽くされていないにもかかわらず、強行採決に踏み切られました。これは重要広範でありますけれども、たかだか十八時間の審議しか衆議院ではしなかったということでございます。自民党案もそして公明党案も、内容の良しあしではなくて、数の力で審議半ばにして葬り去られたということでございまして、このような暴挙は大変に遺憾であるということを申し上げさせていただきます。  なぜこれが重要かということは申し上げなくてもお分かりいただけると思いますけれども、当然に民主主義のルールにのっとらなければいけないということと、もう一つ、この基本法の特殊性ということがあると思います。これは、国民の一人一人が取り組まなければいけないということでございます。  これをしてもらうためには、やはり国民のお一人お一人、社会の産業界であれ労働組合であれ、あるいはNGOの方であれ、そういった社会の各層が十分に納得をしなければいけない。だから、十分に審議をしただけでは足りなくて、十二分に審議をしなければ駄目な基本法案であるというふうに思っております。そういう点について、与党民主党の考え方はこの問題の重要性が分かっていないというふうに私は申し上げたいというふうに思います。  参議院は参議院らしく、先ほども申しましたけれども、十分に説明をしていただいて、きっちりと納得のいく答弁をいただいて、議論を進めていきたいというふうに私は思っております。  この問題、十分に説明をということで申し上げましたが、二五%の削減をするということの意味は、これは我が国経済成長なり、あるいは雇用なり、あるいは人々の所得なり、そういったことに大きな影響を与えるということですから、国民のお一人お一人に納得して物事を進めていただくためには、どういう影響が経済社会に及び得るのかということを説明をしていただかなければいけません。  しかるに、ここ衆議院の議論の過程を見ておりましたけれども、衆議院では政府としてのまとめた見解、これが全く提示をされていなかったということでございまして、衆議院におけるこの点についての度々の要求あるいは質問に対しても、資料の提供もいまだに政府としてのまとまったものはされていないということでございます。  私は、まず冒頭で、この参議院の環境委員会に、日本経済社会に対しての影響についての政府の統一されたまとまった見解を出していただきたいということを求めます。委員長、よろしくお取り計らいください。
  84. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 承知しました。
  85. 川口順子

    ○川口順子君 この点について、小沢大臣の感想をお聞きしたいと思います。
  86. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 委員の御質問の趣旨は、いわゆる国民生活への影響、あるいはまた産業界、経済界への影響、そういったことをお察しになって政府の統一した見解をと、こういうお話であろうかと思います。  この基本法は、あくまでも政府としての基本方針、理念を記させていただいた法案でございます。しかし、中長期の目標を持っておりますので、そういった意味では理念、基本方針を議論をしていただくに当たっての材料というのも必要になろうかと、こう私としても判断をさせていただいて、先般、環境相としての試案を出させていただきました。  しかし、これまた、委員も私の大先輩である、もう環境省、庁、省の大臣もお務めをいただいておりますので十分御存じだと思いますが、なかなかいわゆる将来見通しを政府としてまとめるというのは簡単な話ではございません。まして、また基本法のときにそういったものをこれまでの政府も出してきていたわけでもございません。そういう中で、私としては是非材料を提供したいと思って環境大臣試案を出させていただいたわけでございまして、あくまでもそれは議論のたたき台、材料ではございますけれども、是非その中で議論をさせていただいて、そしてまずは基本方針、理念、これを含んだ基本法を作らせていただき、そしてそれを踏まえた上で、それをベースにしてしっかりとしたいわゆるロードマップ、そういったものを政府として示させていただきたいと、こう順番として思っているところでございます。
  87. 川口順子

    ○川口順子君 通常の基本法でしたら、それは理念を語るという法律だということで済むかもしれません。これは基本法でありますけれども、中長期の目標、二五%、それから八〇%というもう大変な厳しい目標を掲げた法律なんですね。実体法の持つ国民一人一人の権利義務関係に影響を与えるという意味ではこれほど強く与える法律はない、実体法のグループに一緒にしましても、という法律であるわけです。その法律を、まとめにくいから、まとめにくいというのはよく分かります、分かりますが、まとめにくいからまず法律を通してちょうだい、その後でそういう影響については議論するからということでは、これは通らない。  まさに、環境大臣のお仕事が大変なことはよく分かりますけれども、基本法を出すからには、国民皆さんに一人一人に説明をしなければいけないということでありますから、まず説明するのが当然であって、それをベースに、どういう影響がありそうだから、そういうことを考えながら基本法を作りましょう、これが法律の考え方、作り方だと思います。もう一度御答弁ください。
  88. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) ロードマップに関しましては、これは環境相試案という形で出させていただきましたが、もし委員がかつてのいわゆる委員たちの政権におけるいわゆる国民負担と、こういう話を指しているんであれば、それは昨年の暮れにタスクフォースにおいて、これは全くオープンの場で議論をさせていただき、そして政府としても、それは副大臣会合で決定をし、閣僚委員会でもそれを承認し、発表させていただいているところでございます。  それに加えて、私としては、そのいわゆる昨年のタスクフォースのモデル分析というのは、いわゆる技術革新であるとかあるいはまた貯蓄率を含めた投資の在り方であるとか、そういったところがどうも分析に弱いと、こう思ったものですから、そういったものを加えた新しいモデルを環境省としてシミュレーションをさせていただいて、今回の試案で出させていただきました。  でありますので、昨年暮れのものは少なくても前政権と同じレベルの国民負担のモデルを出させていただいているということが一つと、それに加えて新たに四つのモデルを出させていただいて、今国民皆さんたちの前には七つのモデルがあるわけであります。モデルというのはそれぞれの特性を持ったものでございますので、それぞれのモデルの特性に合って議論を深めていただきたい、そういう思いで提示をしているわけでございまして、是非委員にはそこを御理解をいただきたいというふうに思います。
  89. 川口順子

    ○川口順子君 今大臣がおっしゃった副大臣級検討チームのタスクフォースですか、そこでの検討の結果の数字というのは本当に幅がありまして、お一人の方はマイナス一五・九%可処分所得が減るというふうにおっしゃられていますし、ほかの方、マイナス四・五、マイナス三・四という数字があるわけです。大臣のおっしゃっているのは、今おっしゃったような、イノベーションを前提にして考えれば経済成長が〇・四%増える、雇用が何人増えるというふうに出しているわけですね。これ、議論をするには余りにも幅があり過ぎる。  それから、この中長期のロードマップ見させていただきましたけれども、異なるモデルに基づいた異なる分析があたかも同じことの議論のように一つの紙に出されていまして、読む人がよほど注意深く読まなければそれらが異なったモデルをベースにしての結果であるというふうには分からない、なかなか分からない。そういうことについて、やはり産業界や労働組合や国民やそういう方々に丁寧に説明をして、幅がこれぐらい、幅はモデルによって結果が違うのはこれは当然そういうことになるわけですから、そういった考え方、こういう考え方をすればこうですよ、こういう考え方をすればこうですよということについて丁寧にこの場で、私たちは国民の代表ですから参議院の場で、委員会大臣の口からきちんとお話をいただきたいと思います。  また、大臣の口からだけではなくて、参考人の方にまさに影響について焦点を絞って、参考人招致も別途考えられているようですけれども、それとは別個に影響についての議論をする場というのを設けていただきたい、これは委員長の方にお願いを申し上げます。  それから、大臣については、大臣の口からそういう異なるモデルがいろいろあるんだということについて丁寧に御説明をいただきたい。今ではありません。今はちょっと別な質問がたくさんありますので、別途それもその御説明の時間ということでいただきたいというお願いをいたしますが、いかがでしょうか。
  90. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) これはもう国会の審議のやり方でございますので、理事の皆さんにゆだねさせていただいて、そういう要請があれば私としてはやらせていただきたいと思います。
  91. 川口順子

    ○川口順子君 前向きの御答弁をいただいたというふうに理解しておきます。  与党がこういうことの重要性を十分認識するかどうかというのを、労働組合やそれから財界や国民一人一人、NGOの方も含めてきちんとそれを見ていると私は思っております。  そこで、経産政務官、高橋政務官にお伺いをしたいんですが、この中長期ロードマップ、小沢試案ということで出されています。これを経産省としてはどう評価なさいますか。
  92. 高橋千秋

    大臣政務官(高橋千秋君) この環境省の中長期ロードマップにつきましては、中長期目標の達成に向けた対策施策のパッケージの案を小沢環境大臣の試案として出したというふうに承知をしております。  経産省では、今、地球温暖化対策の在り方について、エネルギーの基本計画について見直しの議論をさせていただいておりますが、成長戦略の観点も踏まえてこれは検討させていただいています。  このエネルギー基本計画の見直しと環境省の中長期ロードマップの試案、それから成長戦略議論、これは相互に連関をしているというふうに思っておりまして、政府全体として最終的に整合性の取れた形で取りまとめをしたいというふうに思っております。  先ほど委員指摘のとおり、いろいろな意見を聞くべきだというお話がありましたとおり、私どもでは環境・エネルギー政策に関する国民対話というのを全国九か所で今開催中でございまして、私も先日仙台へ行ってまいりましたが、いろいろな意見を、それこそ労働組合や財界の方やいろいろな方に集まっていただいて、私たちの説明をし、議論をしていただいているところでございます。
  93. 川口順子

    ○川口順子君 国民対話ということでいろいろ御説明をいただいているというのは大いに結構なことだと思います。その努力を続けていただきたいというふうに思っています。  いずれにしても、この中長期のロードマップというのは私は三つの点で問題があると思っていまして、一つは、政府の統一された見解ではないということでございます。要するに、シナリオの一つにすぎない。こういう政策を取ってこのようなことが起こればそうなるんだということを言っているだけでして、その前提が満たされるということも、あるいはそれに必要な予算が確保されるということも何ら担保されていない中で、一つの夢物語があるということであると思います。もちろん、それができれば非常に結構なことだと思いますが、そのためには多大な努力が必要で、いずれにしてもそれは政府の統一見解になる必要があるということで、政府の統一見解でないことが問題の一つ。  それからもう一つ、異なる立場を反映した、先ほども申しましたが、複数の考え方が提示されていないということが問題であって、それから、その三番目、透明性のある説明が十分に行われていない。この三番目については先ほどお願いをいたしました。  今日は時間の観点でそこまで聞けませんが、経産省のやっていらっしゃる基本計画の、エネルギーですね、の話とこれの関係成長戦略関係、これは私はまだまだ質問にお時間をいただきたいと思っておりまして、次の機会にじっくりと詰めた質問をさせていただきたいと思っております。  いずれにしても、そういうことを言わないで基本法を出して議論しろというのは、まさにこれはむちゃな話でありまして、民主主義、国民代表である我々に対してやることではない、国会軽視、国民軽視であるということであります。そして、何よりも問題なのは、そういうやり方では実際の取組において国民の行動を促進することができないということが問題であるというふうに思っております。  先ほど委員長に二点ほどお願いをいたしましたので、理事会で議論をしていただいて、そしてそういう説明を、参議院ですから、きちんと納得のいく説明をしていただきたいというふうに思います。  ちょっと話を変えたいと思いますけれども、今年十二月にメキシコでCOP16が開かれるわけでございまして、そのメキシコにおいて中期目標の数値、これはもう決まらないんじゃないかという見通しが早くも出ているわけでございますが、大臣はどういう見通しをお持ちでいらっしゃいましょうか。
  94. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 今年のCOP16では中期目標まとまらないんではないかという意見が報道ベースでいろいろとされておりますことは私も承知をしております。しかし、あきらめるのはいつでもできるわけでありまして、我々としては、本当に地球温暖化を一日も早くストップさせていくために、各国がある意味ではしっかりと同じ目標を持ってやっていくことが重要と、こういう思いでやらせていただいておりまして、私としては、現段階では、私としてはというよりも政府としては、この中期目標をCOP16において成立させていく、それを依然として目指している、そういう立場でございます。
  95. 川口順子

    ○川口順子君 今の御答弁大臣のお気持ちとしてはよく分かりますけれども、国会の議論促進するための情報の提供の仕方としては全く十分ではないと申し上げざるを得ません。  これは、基本法議論では、中期目標が前提条件に懸かっている、その前提条件についてどのようなことになりそうかということについての情報を国会に十分に与える必要があるんです、この議論をするためには。大臣の思いとしてこれをあきらめないで成功に導きたいというのは非常によく分かりますけれども、それは国際交渉に向かうときの大臣のお気持ちであって、基本法議論する大臣のお立場ではない。  もう一度情報の提供をしてください。
  96. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) それじゃ、少し事実関係に即して申し上げたいと思います。  昨年COP15が終了した後、今年の一月末までに各国がそのコペンハーゲン合意に基づいてそれぞれの目標数値を条約事務局に届け出ることになりました。そして、我が国としてはいわゆる前提条件付の二五%の目標数値を出させていただいたところでございます。  その後、閣僚級会合というようなレベルの会合は行われておりませんでして、その間、メキシコの大統領来日したときも、これは鳩山総理とメキシコ大統領との間で、COP16に向けて、しっかり日本も支えていくので、是非頑張っていきましょうと、そういう合意もさせていただきましたが、閣僚ベースの全体会合は、今月二日から四日にかけてドイツ・ボンで開催された気候変動に関する非公式閣僚級会合がその後の最初の会合でございました。COP16に向けた交渉において、コペンハーゲン合意の内容を基に議論を進めていくことについて、そこではおおむねの認識が得られたところでございます。  さらに、米国では、今月十二日、上院において気候変動・エネルギー関連法案提案をされております。また、中国について、今月二十二日に周生賢環境保護部長と会談した際、中国排出量のピークアウトの時期を早急に示し排出削減を進めるよう申し入れたところ、いずれピークアウトの時期を示す用意、意思があるということ等が表明をされております。また、来週五月三十一日からは、国連交渉の下での特別作業部会がドイツ・ボンにおいて開催されまして、COP16に向けた次期枠組みに関する交渉が行われます。  そうした会合を通じて今後ともしっかり取り組んでまいりたいということでございます。
  97. 川口順子

    ○川口順子君 中期目標の前提条件が満たされることになるのかどうかというのは、例えば企業の立場に立たれたら、企業としてはどのような投資をいつすべきかということを考えるのに非常に重要な情報なんですね。そういったことについての十分な情報を与える必要があるということを私は申し上げているわけです。それが取組につながるということであります。  私は、たまたまゴールデンウイークの終わりごろに北京の国家発展改革委員会の外郭団体のシンクタンクが主催をした会合がございまして、そこに行ってまいりました。各国何人かの幾つかの国の環境大臣も御出席でいらっしゃいまして、十人ちょっとで温家宝総理と環境問題について、一時間半びっしり温暖化の問題についてお話をする機会をいただきました。  そこで、そこに今度のCOP16をやるメキシコの環境大臣も来ていまして、彼が幾つか今度のカンクンでこういうことをまとめるつもりだということを言っておりました。その中には、中期目標はもう絶対に決めたいなどということは一つも入っていませんで、例えばREDDについては決めようとか、ピースピースについて幾つか言っておりましたけれども、その程度で終わっておりました。また、インドのラメシュ環境大臣もいまして、彼は、ちょっと時間があれば彼の言っていたジョークを御紹介したいと思いましたが、時間がないのでそれは省きますけれども、いずれにしても、カンクンでは終わらない、もう一つのCだ、UNFCCCとCが三つあるんだから、ケープタウンまではもう十分に行くよということで言っておりまして、そこの北京での会合の流れというのはずっと、とても中期目標が合意されるような状況にはカンクンでもならないし、その次、一年空けてということでも難しいんじゃないかということでございました。  ところが、我が国のこの基本法というのは、先ほども議論に出ていましたけれども、排出量取引についても、あるいは地球温暖化対策のための税にしても一年間でやるということになっているんですね。環境税にしても、あるいは実際に中期目標が全くできない、そういうことを前提にこれは考えなければいけない、そういう情報提供を大臣から私はしていただきたかったというふうに思っております。  それで、そのときに出ていたもう一つの話として、これは今二つのワーキンググループが走っていますが、京都議定書を延長すればいいじゃないかということを温家宝総理も言っていましたし、インドネシアの環境大臣も言っていましたし、イギリスから来た元副首相、労働党政権の人ですけれども、この人も言っていた。  我が国の方針として、当然、京都議定書の延長はないということでよろしいですね。
  98. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 私としては絶対にそういうことはないようにしたいと、こう思っております。
  99. 川口順子

    ○川口順子君 高橋政務官、お願いします。
  100. 高橋千秋

    大臣政務官(高橋千秋君) 我が国としましては、米国、中国を含むすべての主要国が参加する公平かつ実効的な国際的枠組みの構築というのを目指しております。  新しい一つの法的文書を速やかに採択することが必要であると考えておりまして、したがって、米国を除く先進国のみの削減目標を定める京都議定書の附属書の改正のみを二〇一三年以降の法的枠組みとすることは、我々も受け入れられないというふうに考えております。
  101. 川口順子

    ○川口順子君 それが政府の統一した見解であるというふうに理解をさせていただきます。しっかりとそれを守っていただきたいというふうに思います。  それで、その前提条件付きの中期目標について話を移していきたいというふうに思います。  まず、この基本法の施行日でございます。本来、法律の施行期日というのはその法律によって定められる、それから、政令にゆだねる場合がないわけではないですが、その場合であっても、例えば上限を決めて、いつまでにとか、あるいは公布後何年あるいは何か月を超えない範囲でというふうにはっきり書いて政令に委任するというのが通例であるというふうに私は認識をしておりますが、大臣認識についてお伺いをいたします。
  102. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 法律を施行すべき期限を定めずに、施行期日を政令で定めている例というのは幾つかございます。それに加えて、しかし、一定の判断が必要な条件を付した上で政令に委任した例というのは承知をしてございません。
  103. 川口順子

    ○川口順子君 幾つかあるとおっしゃいましたけど、それを、法律で何ら制限を付けないで施行期日を政令に任している例が幾つかあるとおっしゃいましたけど、何か教えていただけますか。
  104. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律、昭和二十七年法律第九十三号、特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律、昭和六十三年法律第五十三号、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律、平成六年法律第百十三号、警察法の一部を改正する法律、平成十一年法律第三十号がございます。
  105. 川口順子

    ○川口順子君 私はそれ一つ一つについて全部知っているわけではありませんけれども、いずれにしても非常に特異な例である、少ない例であるというふうに思います。それはなぜそうなんでしょうか。なぜそれが多くないんでしょうか。
  106. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 施行期日は、通常であれば発効して一年以内とか、そういういわゆる期日というのは決まるのが普通だというのは十分承知をしてございます。ただ、この法律に関して申し上げておきたいのは、この法律の作り方がある意味で特殊であるというのはそのとおりだと思っております。  しかし、なぜ、じゃこういう状況になっているかということになると、御案内のとおり、まず一つは、いわゆる中期目標がマイナス六%からマイナス二五%と大変大きくいわゆる政策目標が変わった。そして、しかし国際情勢は、先ほど来川口委員が御披露もいただきましたような様々な意見があってまだそれは確定している段階ではない。こういう状態の中で、じゃ、いわゆる法律を作らないで、具体的な、何といいますか、案件だけを進めていくことが適当かどうかという判断をしたときに、それはやはり、これだけ大きな政策判断の変更をしているわけですから、これは基本法としてしっかりと国民皆さんに示すことが重要だと。  しかし、これは繰り返しになりますが、国際情勢の中でまだその数字は確定はしていない。そういう特殊な状況において、我々としてはベストの判断として、いわゆる条件付のこの法律を作らせていただき、国民皆さんに提示をさせていただいたということでございます。
  107. 川口順子

    ○川口順子君 私の質問に答えていただいていないんですけれども、数歩先を歩いていらっしゃると申し上げたらいいのかもしれませんが。  私が伺っているのは、政令で施行日を、要するに法律が施行日を決めることを政令に委任するということはあるんですね。通常はそれは、一番あるケースは、何月何日に施行しますということを法律自体に書いてある。それがないとしても、上限を決めて、いつまでの範囲で政令で決めなさい、あるいは何か月以内に決めなさいという書き方をして、法律がその決め方を指定して政令に委任をしている。それはなぜでしょうかと伺っています。
  108. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 例えば先ほど申し上げました在外公館の名称及び位置を定める法律で申し上げますと、そういう理由と、こういうことでございますが、政府が相手国と交渉等を行うため、その交渉等がいつの段階でまとまるのかあらかじめ確定的に定めることが困難であることから、政令で定める日から施行すると、こう規定しているわけでありまして、そういったまさに条件、環境の下での法律であることがまさにその理由になっているのではないかと思っております。
  109. 川口順子

    ○川口順子君 まだ私が求めているようなお答えをおっしゃっていただいてないんですが、私が伺っているのは、何で通常の場合、法律あるいは法律が委任をして政令で決めるのか。それは政令で決める場合はあるんですが、何で無条件で政令で決めさせるということはないのかということを伺っているんです。その理由は何なんでしょうか。
  110. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) ちょっと私の理解力不足かもしれません。川口委員質問のその趣旨がよく分からないんでありますが、いわゆる何で通常の場合、無条件で法律が政令にゆだねないのかということですよね。それは、できる限り法律は、何といいますか、安定的なものにしたいと、こういうことからではないでしょうか。
  111. 川口順子

    ○川口順子君 かなり近い御答弁をいただいてありがとうございます。私の質問の仕方が悪かったかもしれませんが。  法律の施行日、その国会を通した法律があるとして、その法律がいつから施行されるかというのは、まさに国会の決めることであるからということなんです。法律事項なんです、これは。だから、無条件に政令にゆだねるということはほとんどない、あるいは全く皆無とは言いませんけれども、それはそういうことを逸脱しているからであります。その場合においても、条件あるいは理由を非常に明確にしているということであって、まさに大臣おっしゃった安定性、これがその理由でして、法律を決めて、その法律がいつから施行されるか分からないということであれば、民主主義社会において国会が何をしたか、全く無意味になってしまいます。  ですから、政府は、あるいは政府で決めることというのは、政府は法律の執行するところですから、その執行する期日は法律がちゃんと示唆をする、決める、指示する。法律自体で決めるか、あるいは、そういう条件だったらば決めなさいということを、こういう条件でしたがっていつまでに決めなさいとか、そういうこともはっきり言うということでして、法律は自己完結的でなくてはならないということが通常の政府あるいは国会、日本のガバナンスの問題として、これは憲法にも書かれているということであります。ですから、そこをまさに伺っていたわけでございます。  それで、この法の十条第一項の規定の施行期日ですけれども、これをこの法律はまさに政令に委任をするということをやっているわけです。さっき大臣が一歩先にそれについてどういう理由だということをおっしゃられました。ですが、私の立場からこれを申し上げますと、施行日はまさに法律事項でありますから、これを政令に委任をしてしまうというのは非常におかしいということであります。いつから執行するかということまでその法律が政令にゆだねてしまうということは民主主義にそぐわないということで、これは法律を作る立場のバイブルのように使われている、例えば吉國一郎さんとか、そういう人たちの書き物、著書についても言われている。そういう意味で、この法律は非常に例外的なケースをやってしまったということであります。  ということについて大臣コメントをいただきます。
  112. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 一つ共通認識を持たせていただきたいと思いますのは、この法律全体の施行日は、あくまでもいわゆる公布の日から施行すると、こういう形になっているわけであります。中期目標部分だけいわゆる政令でゆだねているわけでありまして、そういった意味においては法律としての形というのは、今、川口委員もおっしゃっていただいたものを私は十分備えていると、こう思っておるんです。
  113. 川口順子

    ○川口順子君 ちょっと済みません、終わりの方……
  114. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 十分備えていると思っているんです。法律としてのいわゆる条件は十分備えていると、こう思っております。
  115. 川口順子

    ○川口順子君 先ほど十条一項というふうに申し上げたので、大臣、誤解がないというふうに思っていたんですが、誤解があってはいけませんので、ほかのその中期目標にかかわらないところについて私は申し上げているわけではありません。あくまで十条一項についての議論をさせていただいております。その点についての認識は共有を双方しているというふうに私は理解をしております。  それで、施行期日の、いつからやるということについて、ですからこれは十条一項にかかわる部分なんですけれども、の定めを上限を限定しないで、そしてかつ、その判断が必要な条件を付して政令に委任をした立法例というのは今までありますか。
  116. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 先ほど申し上げましたが、いわゆる施行期日を政令で定めている例は承知しておりますが、それに加えて一定の判断が必要な条件を付した上で政令に委任した例は承知をしてございません。
  117. 川口順子

    ○川口順子君 おっしゃるとおりでして、施行期日の定めというのをいつまでにという上限も付さないで、ある条件、条件を書いてそれで政令に委任をした立法例というのは今までないんです。本邦初演をこの基本法はやったということでございます。問題は、その本邦初演をやって良かったことかどうかということで、私はやるべきではなかったということで議論をさせていただいております。  問題を幾つか分けたいと思うんですけれども、まず基本的に、これはさっきちょっと議論をさせていただきましたけれども、どういう条件がそろったらば法律を施行していいですよということ自体が法的な安定性を欠く、これは大臣御自身が、その安定性を欠くから基本的に法律で法律事項として施行期日は決めなければいけないんだというふうに認められたことでございます。  その次に、この前提が十分に明確かどうかということが問題になるわけでございます。それで、この十条一項について言うと、附則でも書いてございますけれども、三つ条件が付いております。一つは主要国の参加ということでございます。それからもう一つは公平かつ実効性のある取組、それから三つ目は意欲的な取組なんだという、三つ書いてあるわけですね。  まずお伺いしますが、主要国の参加というふうにお書きでいらっしゃいますけれども、主要国の参加の主要国というのは何でしょうか。
  118. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 主要国というのは、いわゆる中国アメリカを始めとするいわゆる排出国、排出量の大変大きな国々を含んでおりますが、しかし具体的ないわゆる国名に関しましては、現段階では確定してございません。
  119. 川口順子

    ○川口順子君 中国アメリカというのを例示に出されました。  インドというのはいかがでしょうか。
  120. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 入り得る国だと思っておりますが、先ほども申し上げましたように、まだ確定をしてございません。
  121. 川口順子

    ○川口順子君 よろしければ高橋政務官にお伺いをいたしますが、この主要国というのはどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
  122. 高橋千秋

    大臣政務官(高橋千秋君) 今、環境大臣がおっしゃったとおりだと思います。  当然、中国アメリカ等含めた、先進諸国含めた排出の大変多い国がその主要国になると思いますけれども、先ほど大臣が申し上げたとおり、まだ確定はしていないというのが我々の認識でございます。
  123. 川口順子

    ○川口順子君 まだ確定をしていないというふうにおっしゃいました。  それでは、どういう状況になったら確定するんでしょうか。
  124. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) これは衆議院の委員会のときも総理がお答えをしてございますが、しかるべき国際交渉の状況を見ながら適切な時点において政府として決定をさせていただきたいと思います。
  125. 川口順子

    ○川口順子君 適切なとおっしゃいました。適切というのはどういう意味でしょうか。
  126. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 国際交渉の状況を見つつ必要に応じて必要不可欠な時期に決定したいと、こう思っておるところでございます。
  127. 川口順子

    ○川口順子君 全然明確でない答えですけれども。  それでは、その判断の基準というのは何でしょうか。どういうことを、要素を基準に御判断なさいますか。
  128. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 先ほど川口委員がおっしゃっていただいたように、いわゆる主要国が入った枠組みができたかどうか、それからまさにそれが意欲ある目標になっているかどうか、あるいはまた、各国の条件がお互い公平性の観点からそんなに逸脱していないか、そういったもろもろの条件を踏まえた上で決めたいということでございます。  しかし、繰り返しになりますが、あくまでもこの法律そのものは、中期目標長期目標長期目標は条件が付いておりませんので、いわゆる法律の体系としてはそういうものがあり、中期目標に関してはそういう一定条件付になっているということを繰り返しでありますが申し上げておきたいと思います。
  129. 川口順子

    ○川口順子君 中期目標のところ以外のところでは、全く私はそういう今の議論はしておりませんので、その点について私が誤解していないということについて大臣は誤解をなさらないでいただきたいというふうに思います。  それで、主要国については、その考え方の基準も非常に大ざっぱ、全然分かっていないということだと思います。  それでは、もう一つ項目である、公平なかつ実効性が確保されたというふうに書いてありますが、公平、実効性、それぞれどういうことでしょうか。どういうことになったら、それが前提条件が満たされるというふうにお考えでしょうか。
  130. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) これも何度か予算委員会を含めて答弁をしてまいりましたが、繰り返しで恐縮でございますが、公平性については、温室効果ガス排出の責任、対策費用の負担能力、対策の実効性などの指標が国際交渉では取り上げられておりますが、国際的に統一されたものはございません。  実効性については、米国や中国など世界全体のCO2排出量に占める割合が大きな国の参加が重要と認識をしてございます。
  131. 川口順子

    ○川口順子君 今大臣がおっしゃったのは、公平性の考え方一つ取っても、国際的に合意された基準、ある具体的な枠組みが公平性の基準を満たすかどうかということを私今聞いていないんですけれども、公平性を考えるときの基準についても何も合意がないということをおっしゃっていらっしゃるわけですね。  国際的に合意がないということを前提に、我が国としてはどういうふうに考えていますかということをお伺いをしています。
  132. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) これは、もう委員もずっとこのお仕事をされておりましたのでお分かりだと思いますが、日本環境省はかつてこの公平性の基準というものを国際交渉の舞台に決めようではないかと、そういう提示をしたというふうに承知をしております。しかし、そこの国際交渉の場面ではそういったことは決定できなかったと、こういうことで、これまでそういった国際的に統一された基準ができていないということでございます。  そういう中にあって、じゃ、日本政府の基準というのはあるのかということでございますが、これは、今のようないわゆる国際交渉の状況の中で日本だけが唯一それを決めて交渉に臨むというのは必ずしも得策ではありませんので、現時点では明らかにしてございません。
  133. 川口順子

    ○川口順子君 御通告していませんけれども、高橋政務官に今の同じ質問を伺ってもよろしゅうございますか。公平の基準。
  134. 高橋千秋

    大臣政務官(高橋千秋君) 今大臣がおっしゃったとおりでございまして、我々は、環境省と経産省と全然違う意見を持っているわけではございません。大臣がおっしゃったとおりだというふうに思います。
  135. 川口順子

    ○川口順子君 要は、何も決まっていないということについては同じ意見であるということをおっしゃっているにすぎないということだと私は取らせていただきました。  一つ一つ本当にやっていきたいんですが、時間に制限があるので、今まで出てきたところは、主要な国というのが何かということも決まっていないし、日本国としての考え方の基準、それも分からない。いつになるか、それをいつになったら決められるかも、適切な時期とおっしゃるだけで分からない。公平かつ実効性というもう一つの条件についても、環境省がかつて何か提案をしたということはあったとしても、それは日本政府提案ではない、実効性についても同じことであるということでありまして、考え方の基準についても何も分からない、時期が来たら適当に決めるんだ、まあ適当とはおっしゃいませんでしたが、適切に決めるんだということをおっしゃられただけです。  実は同じ質問を、もう一つの条件である意欲的な目標、これの意味についてもお伺いをしたいと思いましたけれども、もう時間の制約もありますからちょっと飛ばして言いますと、これについても今何も決まったものはない、これを決める時期については適切な時期である、そして考え方の基準、これも今何も決まっていないということでよろしゅうございますか。
  136. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) それで結構だと思います。  ただ、物の言い方としまして、私流に言わせていただきますと、例えばどこかの時点で、国際交渉を決める上で政府が決断をしなければいけない。国際交渉のそのときにすべての条件を事前に明らかにして交渉に臨んでいるかといえば、それはそうではないんだろうと思います。この法律はその条件を持った、ある意味では先ほどから申し上げている特殊な法律であることは間違いございません。でありますので、国際交渉に臨むとき、すべていわゆるそういった条件を政府が決めてこれまでも臨んできたか、あるいはこれからも臨んでいけるかということに関していえば、私はそう奇異なことではないと、こう思っております。
  137. 川口順子

    ○川口順子君 大臣は二つのことを一緒にしておっしゃられているんですね。国際交渉をするときにいろいろな駆け引きがあり、表にあることをいつ出すかということは、それは提案として出るのは様々いろいろありましょう。だけど、基本法として、法律のある、十条一項ですけれども、その十条一項が中期目標として設けられるかどうかということを法律でそれに前提条件を付けている、これは法律の世界の話なんですね。交渉の中で何を言うかというのは、それはいろいろ政府としてありましょう。それは別に私は批判をしているわけではありませんが、法律にそういうあいまいな前提条件を付けて、そしてその法律の、その部分の施行期日をその前提条件が実ったかどうか、成就したかどうかということに懸からしめているという作りにしているのがこの法律なんです。  ですから、法律にしたときに、そういう作りをしている法律が適切な法律なのか、適切なというと言葉が悪くて、日本国憲法に照らして正しい法律なのか、違憲な法律ではないのかという議論を私はしているわけです。ですから、大臣の思いは分かりますけれども、今しているのは法律論なんです。ごっちゃにしないでいただきたいというふうに思います。  それで、今ずっと主要な国とかそういうことについて伺ってきたわけですけれども、大臣もお認めになったように、その前提条件は非常にあいまいであって明確でなくて、考え方の基準についてもあいまいであるということを大臣自身がさっきおっしゃられました。  先ほどから何を申し上げようと言っているかといいますと、十条一項についての条件が成就をしたかどうかということについての判断が非常に不明確であるということでして、これはまさに条件の不明確性、法律に書いてある、そして政令に施行日を委任をするというときの条件の内容が全然政府として決まっていない、考え方の基準すら決まっていないということであって、したがって、問題はそういうようなあいまいな条件を付けた、明確でない条件を付けて政令に委任をするということが憲法に照らして正しいかどうかという議論を今申し上げているわけです。  大臣も先ほどおっしゃられたような安定性、民主主義社会において法律というのは国会が決めるものである。したがって、その施行日においても国会が自ら決めるか明確な条件を付したときに決められる、付して政令に委任をするということからいえば、これは全くそれに反している。まさに条件は明確でないというのを大臣今おっしゃったわけですから、ですから明確ではないということで、このような法律は、最初の例だとおっしゃいましたけれども、本来あり得ない法律、違憲である法律であるということを私は申し上げているわけです。非常に問題な法律であるというふうに私は思います。法律の体を成していない法律であるというふうに思っております。これについての大臣の反論をお伺いしたいと思います。
  138. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) まず、結論から申し上げますと、法制局とも十分協議をした上で、決して違憲な法律ではないと、こういう判断をしてございます。  その理由は、先ほども申し上げましたように、例えば在外公館の名称及び位置を定める法律につきましても、その交渉等がいつの段階でまとまるのかあらかじめ確定的に定めることが困難であることから、政令で定める日から施行すると、こういう規定になって今までも法律はできているわけでございまして、そういった意味においては、この法律そのものも、中期目標部分に関しては国際交渉のその成果にゆだねられていると、そういった意味では極めてユニークな構成であることは間違いございませんが、しかし、国民に対してこうした二五%削減という大変大きな目標を示す、そういう意味では、現段階ではこれが最善のいわゆる記述の仕方だと、こう思っております。
  139. 川口順子

    ○川口順子君 今、大臣、二つ問題のあることをおっしゃられたと思います。  まず、内閣法制局がいいと言ったからいいんだということでございます。内閣法制局は確かに内閣に法令の解釈についてアドバイスするところではございますけれども、ここは国会でございます。国会は法律を作るところ。作る立場からおかしいのではないかということを言っている。法制局がいいと言うからそれで、国会はそれでいいと言えというのはおかしいということが第一点です。  それから第二点ですけれども、在外公館の設置法の法律ですけれども、それはちょっと今手元にないのでよく読んでいませんが、大臣の今御説明なさった範囲で聞くと、その付けている条件は非常に明確でございます。それは相手国との交渉が成立をしたということを言っているわけですね。それは在外公館を設置する話ですから、どこかに造るというときに相手国の了解が必要で、それが交渉ができるということは実った、成立したというのが非常に明快な条件なんですね。ですから、そこは明快でありますが、今の話というのは、先ほど来私が質問させていただいたように、主要国の定義も分からない、公平、実効性、これも分からない、それからもう一つの意欲ある目標というのも分からない。何が明確ですか。
  140. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) まず、済みません、分かったところから答えますと、法制局がいいと言ったからいいと言ったつもりはなくて、いわゆるこれが憲法に照らしてどうかということに関しては、法制局とも様々な協議を行った上で我々としては違憲ではないと、こういう判断をしたという意味で、法制局がいいからと、こういう話で言ったつもりではございません。それが一つと。  その後半部分の話が、済みません、もう一回、私、ちょっと意味が分からなくて取れませんでした。
  141. 川口順子

    ○川口順子君 質問の申し上げ方が明確でなくて、申し訳ありませんでした。  条件を付けて、その条件が成立をしたらば施行するという法律がほかにあると大臣は言われた、在外公館の設置に関する法律を例に挙げられたということでございます。それで、私はその法律を今手元に持っておりませんので、大臣がその法律について説明なさった範囲で物事を申し上げているんですけれども、それは、相手国との交渉が成立をいつするか分からないので、成立をしたらばその法律が施行されるということになっているというふうにおっしゃられているわけです。それは、条件は非常に明確だというふうに私は申し上げているわけです。なぜならば、在外公館を設置する、大使館にせよ総領事館にせよ、設置する場合には相手国の了解が、合意が必要ですから、その合意は白か黒、できたかできないかということであります。ですから、合意ができたらばこの法律の施行をしますというのは非常に明快であるんですね。ところが、この十条一項についての前提条件というのは三つ付いていますが、もう繰り返しませんけれども、先ほど大臣とお話をさせていただいたように、何一つ明確なものはない、その明確なものでないものを前提条件にして法律の施行をするというふうに決めているというのがおかしいではないですかということを申し上げているわけです。
  142. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 国際交渉のある意味では結果にゆだねられているという意味では極めてユニークな法律だという話は私も申し上げました。しかし、全体として、いわゆる長期目標があるので骨格としてはしっかりとしていると、これも申し上げました。  中期目標に関して、そこの部分に関してはっきりしたものが何もないと、こういうお話でありますけれども、しかしそれは、先ほども申し上げておりますように、国際交渉にかかわるものでありまして、あらかじめ確定的に定めることができないという条件の下でこの条文を立てておりまして、そういった条文を作るべきではないと、こういう御意見であればそれはそれで一つの考え方であると思いますが、私としては、そうはいってもしかし、国民皆さんにそれを提示する、そのことが私は重要だと、私といいますか政府としては重要だと思ってそれを立てさせていただいたということだと思います。
  143. 川口順子

    ○川口順子君 なかなか議論が煮詰まっていかないので非常に残念に思っておりますが。  国際交渉にかかわらしめているというのはいいんですよね。例えば、合意ができたらば、要するに京都議定書ツーができたらば施行しますというなら非常に明快です。これはその議定書なりなんなりが発効をするということをもって明確に分かる、ですからそれを条件に法律が政令に施行日をゆだねる、これはもう十分に明確な条件であると思います。  ところが、この十条一項というのは三つの前提条件を付けて、その前提条件の内容については全く明確でないんです。これは、大臣、お認めになりますね、明確でないということは。
  144. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 先ほどの、京都議定書の第二期間が始まる日とか、そういった条件に比べて不明確だということは私もよく分かります。
  145. 川口順子

    ○川口順子君 それは先ほど大臣がお認めになったことと全然違うことでして、京都議定書が成立したとか、何かそういう確定することより不明確だというのはそのとおりですけれども、先ほど大臣がずっとおっしゃった、私の質問に対して、ことは、三つの条件の内容、考え方の基準、それがいつ決まるか、そういうことについて一切今は分からないというふうにおっしゃったんです。要するに、明確で全くないということをおっしゃられたということで、これは議事録に既に残っていますのでこれは更にもう追及いたしませんけれども、とにかく明確でない。  ですから、私が申し上げているのは、明確でないことを前提条件に、ある法律の、十条一項ですけれども、それの施行を行うことに法律で書いてあるというのは、まさに全く無条件に政令でこの法律の施行はやっていいですよと言っているのに今の時点では等しいんです。  明治のころに、勅令で定める日から施行しなさいというような法律はたくさんできたわけですね。これは明治の時代でございまして、今は平成の、しかも民主主義がきちんと機能している国会を持っている国会での議論、そこに何か、何だかよく分からないけれども、そういうことを条件に法律を決めて法律の施行をさせる、これ全く法律としては体を成していない。今までそういう例がないということ自体、それがおかしいからそういうことをやられなかった、そういうことがなされなかったということでして、国会として政府にそこまで白紙委任をするということが本当に適切かどうかというのは、我が国の国会と政府の在り方、民主主義の統治機構の在り方、そういう広い観点から考えて非常に問題であると私は思っております。そういう意味で、この法律は欠陥法律である、あってはならない法律であるというふうに思っています。ということについて、大臣の反論があればお伺い、法律論をしております。
  146. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 先ほども申し上げましたけれども、いわゆる条件が全くなしに白紙委任をしているという話ではなくて、例えば、主要排出国がまさに構成される条件とかまたその意欲とか、そういった条件は付していることは御案内のとおりであります。それが定量的でないという意味ではそうでありますが、定性的でありますけれども、条件を付しております。  そういう中においては、この政令への委任としては許される範囲のものというのが政府の判断でございまして、欠陥法律だと、こういう御指摘に関しては、私の答えは、大変ユニークな法律であるけれども、国民にとっては大変意味ある法律だというふうに思っております。
  147. 川口順子

    ○川口順子君 大臣には法律論をしていただいていないと、私は伺っていて感じております。  この不明確であるということに国会の持つ法律についての権限を政府が犯しているということを、そういう疑念といいますか、そういう問題があると私は感じていて、それを申し上げているということです。  それから、更に付け加えますと、これを判断する、その前提条件が満たされたかどうかということを判断する者は政府であるというふうに政府はおっしゃっていらっしゃる、時間がないのでこれについて答弁を求めませんが、ということが今まで言われております。この政府が判断をする、不明確である前提条件を付けて、そしてそれが条件に、満たしているかどうかということを判断するのは政府自身、これぞ、この二つ併せますと、全く国会として政府に法律だけ作ってあとはもう好きにやってちょうだいというふうに白紙委任をしたそれそのものであるということであると私は考えております。  内閣法制局長官が明確な基準があると考えたというふうにおっしゃっていらっしゃいますようですけれども、今は何も答えられない、基準について何にも明確に答えられない、いつになったら明確になるということすら言えない、そういうような条件でありながら、条件が明確だからこれは合憲であると法制局長官がおっしゃられた、この判断について私はまさに疑問を呈しているわけです。国会議員として疑問を呈しているということでございます。  ですから、この法律が基本法、冒頭言いましたように、温暖化対策をするについてその基本法は大事ですけれども、この基本法、大事な基本法がこのような欠陥商品の基本法であるということについて、私は、遺憾を超えて、憲法上の大問題、政府による国会議員、国会の立法権の侵害であるとすら申し上げておきます。  それで、これは大臣からこの点についての法律論としての明確な反論がなかったというふうに思いますが、何かおっしゃりたいことあればどうぞ。
  148. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 是非申し上げたいと思いますが、まず、先ほど来繰り返しになりますが、国際交渉の決定権限は政府にありますね。これは委員もお認めになりますね。そして、その国際交渉で決定された場合においてこの中期目標がいわゆる成立すると、こういう二段構えになっているわけでありまして、何らおかしいことはないと、こういうふうに思います。
  149. 川口順子

    ○川口順子君 全く反論になっていないと思いますが。  国際交渉をするのはもちろん政府です。だけれども、その国際交渉の結果、それが協定、協定じゃなくて、行政協定は別ですけれども、条約であれば、それを締結をするのは国会の承認が必要なんです。国会が認めなければ条約にならないということでして、政府はそういう交渉をする権限はもちろん持っているということです。でも、それは国会が認めるということです。  ですから、この法案を少し私の申し上げた観点から改善をするためには、じゃ、その条件、それが成就したかどうか、こういう理由で政府としてはその条件が満たされたと考えます、したがってその十条一項は施行しますということについて国会の意見を聴く必要がある。国会の意見を聴いて、国会がそれでいいということを言うのであれば多少は改善をされるというふうに思いますが、不確定な、不明確な基準を作っておいて、それについて何も説明できない状況で政府がそれがその条件を満たしているかどうか判断をするということを含めて国会が政府に白紙委任をするということが適切かどうか、合憲かどうか、私はそういう法律を作る気持ちは全くないということを申し上げさせていただきたいと思います。  それで、本当に時間がなくなってきましたので、前提条件付の中期目標について更に申し上げたいというふうに思います。法律論ではなくて今度は実態面での話でございます。  先ほど申しましたように、メキシコでも決まらない、そしてケープタウンでもどうか。まあケープタウンで決まることを望んでおりますけれども。というような、当面、これはもちろん交渉の話ですから、いいように、大臣に頑張っていただいて、いい結果になることを望んでいますけれども、可能性としては、決まらない、一年以内には、今度のカンクンでは決まっていない公算が非常に強い、まず相当に高いと思います。それから、ケープタウンに行っても、ケープタウンが何月か私存じませんけれども、そこで決まれば非常にいいというのが客観的な国際的な今残念ながら流れだというふうに私は思っております。  そうした場合に、問題は、中期目標、その十条一項ですね、そこの部分が施行されない法律として行くということになるわけです。中期目標に前提条件を付けるべきではないというのが私の考え方でありますけれども、中期目標というのは、先ほど申し上げたように、現実感のあるところに目標設定をして、そして国民の行動をそこに向かって引き出していくこと、あるいは政府の政策をそこに向かって集中的にやっていく、そういう意味があるわけでございます。  ところが、この法律の作り方からいけば、実態的に中期目標はまずできない、少なくとも当面ですね、一年はできない、場合によっては二年間はできない可能性がある。そういうような法律を作るということであります。まさに無意味な、実態面からいっても無意味な法律であるというふうに思います。大臣、こんな無意味な法律を作ってもいいんですか。
  150. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 法案第十条第四項において、中期目標が設定されるまでの間においても八〇%削減という長期目標の達成に向けて積極的に基本的施策を講ずる旨を規定をしてございます。そういったおそれも含めてこうした規定を作らせていただきました。  八〇%削減は非常に意欲的な目標でありまして、直ちにその達成に向けた取組を始めることが必要でありますので、そういった意味におきましてはこの法律は極めて重要と、こういうふうに思っております。
  151. 川口順子

    ○川口順子君 二〇五〇年の話ですよね。ずっと、今から考えたら四十年先なんです。その二〇五〇年、先の目標があることが、今必要な、今投資が行われ、あるいは今技術開発が加速度的に進み、そういうことに具体的に大きな影響力を及ぼすというふうに大臣はお考えのようにお見受け、あるいはお聞きしましたけれども、人間の行動あるいは企業の行動というのはそれだけでは足りないですね。実は、二〇五〇年の目標だけでは十分ではないというふうに私は思います。大臣はそうお思いにならないということでよろしいですか。
  152. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) いずれにしましても、この法律自体は、我々の生きている間には、それほど大きなある意味では温暖化による問題が生じるというよりも、我々の子孫、子供や孫たちの世代のことを考えながら作っている法律だと、こういうふうに私は思っております。  そういった意味では、大変、ある意味では未来に向かってのイマジネーションを持ちながらこの法律というのは作られておるわけでありまして、二〇五〇年の目標というのは決して夢物語の話ではない。そこに関しては、御党も含めて何度もこれはその目標は確認をしているわけでありまして、そういったものを想定しながら日々の施策を積み上げていく、これは極めて重要なことではないでしょうか。
  153. 川口順子

    ○川口順子君 大臣らしからぬ御答弁だと思います。  大事なことは、できるだけ早くアクションを取ること。先に行ってアクションを取るんじゃなくて今取ることが大事だということはだれよりも大臣がよく御存じのはずで、そのために必要なのが中期目標であるわけでして、まあこのレベルについて、自民党は二五%は賛成しておりませんが、いずれにしても中期目標を作るということは重要であるというふうに考えておりまして、この政府案、これは中期目標を作らないという法律なんです、かなりの蓋然性を持って。  ということを問題にしているわけでして、早めに行動を取る。自民党案は特別行動期間というのを設けまして、最初の十年間に集中的に、予算も人も集中をして早くアクションを取りましょうということを言っております。政府案にはそのくだりはありません。五〇年に八〇%、これはもう共通でございますから、そこのところについての考え方は全く同じ。要するに、中期目標がない無意味な法律を作られた、実態的に言ってもですね、法律論の話はさっきしましたけど、ということを申し上げているわけです。  もう一つ、中期目標が欠如している状況になる蓋然性が高いということで、その問題は、十三条、十四条、排出量取引あるいはその税について、まあ文章の書き方はそれぞれ違いますが、一年以内に成案を得るとか一年以内に実施をすることを目途に検討するとか、そういうふうに書いてあるわけです。ところが、この一年以内に、非常に高い常識のレベルを持っていったとしても、この中期目標についてはこれは施行されていないという公算が大きい。じゃ、そのときに、排出量取引のキャップあるいはその仕組み、まあキャップですね、あるいは税の水準、何を基準にお決めになりますか。決められますか。
  154. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) これは、委員も今おっしゃっていただきましたが、蓋然性が高いと、こういう言われ方でありました。中期目標が欠如しているわけではなくて、中期目標の必要性は我々も十分認識をしているところでございます。しかし、今の国際環境の下においては国際交渉の結果にゆだねられていると、こういうことでありまして、中期目標の重要性に関しては全く異論はございません。  さらにはまた、早期にいわゆる集中的に取り組むことが必要だという委員の御指摘もそのとおりでございまして、だからこそ我々は一年以内のそういった制度設計を行うことが必要だと。あえていわゆる集中的というような言葉は使っておりませんが、そこはまさに御党の考え方と同じなのではないでしょうか。
  155. 川口順子

    ○川口順子君 全然言っていることがずれているというふうに私は思います。  私が伺っているのは、中期目標が、実際に交渉をしているから分からないというのはそのとおりなんですけれども、法律を作る以上は中期目標ができない可能性ということも当然に論理的な可能性として考えておかなければいけない。そのときの対応がないような法律は、法律ではない、欠陥法律なんです。という観点から、そういう状況になった、現に蓋然性高い、私はほとんどそういうことになると思いますけれども、一年以内に中期目標はない、そういう状況を前提に、論理的に、そのときはいかにして排出量のキャップあるいは税の税率、お決めになりますかという質問です。
  156. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) まず、その蓋然性が高いという川口委員の見通しに関しましては今までの経験を踏まえた達見だというふうには思いますが、そうならないように政府としてはまず精いっぱい努力をすることが必要だということと同時に、今の御質問でいえば、じゃ、どうやってそれを制度設計を行い得るのかという点に関しては、いわゆる二〇五〇年までに八〇%削減という意欲的な長期目標の達成に向け早期に取組を開始し、排出量を着実に削減していくことが必要でありまして、そのため、国内排出量取引制度や地球温暖化対策税については基本法の規定に沿って着々と制度設計を進めていくことが重要だと、こういうふうに思っておりまして、それは十分にでき得るものというふうに思っております。
  157. 川口順子

    ○川口順子君 伺えば伺うほど抽象的で、全然お答えになっていないお答えだと思わざるを得ないんですけれども。  一年以内に排出量のこれは成案を得ると書いてありますから、成案を得るというのは法律を作るということなんですね、常識的には。それから、二十三年度中、税については実施を、ちょっと正確な文章ではないかもしれませんが、目途に検討するということですね。具体的に税の税率は二十三年中にもう決まるんです。それから、排出量は法律にする以上はどれぐらいのキャップというのは決まるんです。あるいは方式ももちろん決まりますし。それをどうやって決めるんですかと。頑張りますということは答弁ではありません。これは、その法律の作り、そこにおいてこういう状況があったときに何と、どうするかということを聞いています。
  158. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 税に関しましては本年度中に決めるんです。二十三年度から実施なんです。
  159. 川口順子

    ○川口順子君 であれば、なおのこと。
  160. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) はい。でありまして、じゃそれはどういうベースで決めるのかと、こういう話でありますが、それは、先ほど申し上げましたように、長期目標、それをいわゆる最終的な姿にしまして、さらにはまた、これは何度も答弁で申し上げておりますが、二〇三〇年、二〇四〇年の見通し、先ほど経産省の方からもエネルギー基本計画の話がありました。そういったものも一緒に、これから政府として基本法ができましたらば統一的ないわゆるロードマップを作らせていただきます。それに沿ってキャップも決めてまいりたいと、そう思っております。
  161. 川口順子

    ○川口順子君 今の御答弁は、実は大変に大きな問題をはらんだ御答弁をなさったと思います。詰めたいんですけれども、ちょっとほかにたくさん質問がありますので、これについては、また次回、質問の機会をいただきたいと思っていまして、そのときに詰めさせていただきます。  次に移ります。目標達成計画です。よろしいですか、大臣。温対法の目標達成計画の話です。  目標達成計画との関係で、環境大臣のお立場というのはどういう役割、目標達成計画についてはどういう役割をお持ちになっていらっしゃいますか。
  162. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 京都議定書の目標達成計画のことでございましょうか。──はい。京都議定書の目標達成計画につきましては、前の閣議決定では、前の政権の閣議決定においては年二回のレビューを行うと、こういうことが決められていると承知をしておりまして、環境大臣はそれを実施するその衝にあると、こう思っております。
  163. 川口順子

    ○川口順子君 前の閣議決定というふうに強調なさいまして、そこに何が意味があるのか分かりませんけれども、おっしゃるように、目達計画では年二回レビューをするというふうに、これはレビューをし必要な施策を講ずるというふうに決まっています。これをなさっていらっしゃいますか。
  164. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 前政権で昨年の七月に行ったということは承知をしております。二回目のレビューに関しましては、昨年十二月に地球温暖化対策に関する閣僚委員会においてその総合的評価の進め方等を議論をいたしました。その際、私の方から、二〇〇八年度の我が国排出量の速報値等の報告も行い、二〇〇八年度単年度に限れば、吸収量の確保やクレジットの取得が順調に進むという前提の下で京都議定書の目標達成の目安に達しているという話も報告をいたしました。  今後のそのレビューに関しましては、いわゆる、これから我々としては、二五%と、こういう大きな中長期への目標を定めるわけでありますので、改めてその中長期目標を達成していくということを視野に入れて今後行っていくということを決めたところでございます。
  165. 川口順子

    ○川口順子君 温暖化への取組を真剣に民主党政権がなさる、連立政権がなさるおつもりであるならば、閣議決定されたことはきちんと守っていただきたいんですね。今の大臣答弁を聞いていますと、一生懸命に足下のところについての取組を進めようという雰囲気は全く感じられません。  昨年の二〇〇九年の六月、夏の見直し、それ以降、十二月にやったというふうにおっしゃっていらっしゃいますけれども、そのときに、これは二〇〇八年の値がどうであったかということについての数字は確かに速報が出、その後確報値も出ました。それは見ましたけれども、そのときに、必要なレビュー、どういう施策が更に必要かとか、そういう検討をすることになっているんです、そのときに。それはなさっていないというふうに私は思います。  閣議決定をしたことは、別な閣議決定でそれを変えない限りはきちんと守らなければいけない。それをやっていないのが民主党政権である。閣議決定によって、今の削減をしようということについて十分ではないというふうに私は申し上げざるを得ません。たまたま二〇〇八年は景気が悪かったりしてそれほど数値においては問題はなかったにせよ、内部をよく見ていけば必要な施策その他いろいろあったはずです。一歩一歩が大事だということを肝に銘じて考えていただきたいと思いますし、さらに、その目達計画では、二〇〇九年度、昨年度には、第一約束期間全体の排出量見通しを示して、総合的に評価をするということになっておりますが、これはなさいましたか。
  166. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) その点に関しましては、先ほど申し上げましたように、いわゆる二五%目標という話を我々は今度やっていくわけでありますので、そうした中において総合的にレビューを行うと決めたものでございます。
  167. 川口順子

    ○川口順子君 それは違う話です、大臣。二五%については二〇一三年以降のことを中心に考えるわけですけれども、目達計画というのは、京都議定書の締めのところ、二〇一二年までの間に何をやったかということを日本国としてやはり国際社会でも、国内で国民にも言っていかなければいけない。それができるかどうかということをチェックするのが目達計画の言っている趣旨、約束期間全体での排出量見通しを示して、総合的に何が必要かということを評価をするということです。  それをやっていないというふうに聞かざるを得ません。やっていないということ自体は実はもう大問題で、先のことにかまけるということもこれも大事ですけれども、足下のところで政府としてやらなければいけないことをやっていない、これが今の民主党政権である。非常に問題だと思います。御感想をいただきます。
  168. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) やっていないということではなくて、やり方を変えてやるということを決めたということでございます。それはなぜかというと、中長期目標の達成も視野に入れて、両者を一体的に検討することが適当であると、こう思ったからでありまして、国際的ないわゆる責任に関しましては、先ほど申し上げましたように、数値を取りまとめて明らかにすることにより果たさせていただいていると思っております。
  169. 川口順子

    ○川口順子君 逃げていらっしゃると思います。あるいは、ごまかしていらっしゃると思います。閣議決定をされている、目達計画は。その中にちゃんと書いてあるんですね。二〇〇九年度には、第一約束期間全体の排出量見通しを示し、総合的に評価することになっている。これをなさいましたかということを聞いています。これは閣議決定されていることですから、それをやらないということを別途閣議決定をしない限り、そして、別途そういう閣議決定をすることが京都議定書にコミットしている我が国の在り方として正しいと私は思いませんが、そういうことをしない限り、これは政府はやらなければいけないことなんです。それをサボったということを正直にお認めになったらいかがですか。
  170. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) ですから、違うやり方でやるということを決定をしたわけでございます。
  171. 川口順子

    ○川口順子君 政権が異なるといっても、閣議決定は閣議決定、日本の行政機構として、政府として決めていくことなんです。それを守らなかった、違うやり方をするということを考えたからそういうふうにやりますということが許されるわけはない。これはもう統治に対する、統治のメカニズムあるいは統治の秩序に対する挑戦であると思います。
  172. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) それはそうではなくて、いわゆる閣議決定というのはそのときの政府の在り方を決めていくと、こういうことであろうと思います。そのやり方に関しましては、我々は前の政権のものとは違うやり方でありますけれども、繰り返しになりますが、中長期的な目標と一体的に検討することが適当であると認識し、新たなやり方を行うということを決めたということでございます。
  173. 川口順子

    ○川口順子君 その方針は閣議で決定なさいましたか。
  174. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 閣僚委員会で決定をいたしました。
  175. 川口順子

    ○川口順子君 政権が替わるというのはこれからもあると思います。一つ内閣があるいは一つ政権が閣議で決めた、政府の決定として決めているわけですね。それを別な閣議決定で変えるということはあり得るだろうと思います。だけど、その閣議も開かないで、要するに政府の機構、政府の決定というのを、政権が替わったからといって黙って覆していいというものではありません、ということを強く申し上げたいと思います。  したがって、民主党政権は、やろうとしている、その足下のところでの取組をきちんとやろうとしているという熱意が感じられない、大変に残念ですが、そう言わざるを得ないということを申し上げたいと思います。  それで、本当にこれも詰めたいんですが、ちょっと国土交通省あるいは内閣府の政務官にも来ていただいておりまして、次に移したいと思います。  まず、都市の面的な開発についてでございます。  低炭素社会に今後行くについて、一つ大事な柱というのがエネルギーの面的な利用という考え方であるというふうに思います。それで、例えば京都議定書の目達計画にもこういうことは記されているわけですけれども、地域での低炭素対策ということが非常に重要であって、この対策として例えば、あるところで生じた熱、例えば廃棄物を燃やすところから生じた熱というのもありますし、それからその熱や電力を隣接する建物の間の中で融通し合うということはその効率的な使用という意味で非常に大事である。また、さっき廃棄物の話をしましたけれども、再生エネルギーですとか、あるいは今まだ利用されていない未利用エネルギーの利用拡大にも貢献をするというふうに私は思っておりまして、推進をする必要があるということを考えております。  そこで、二つちょっと問題があると思いますので、国土交通省の政務官に、藤本政務官にお伺いをいたしたいというふうに思います。  まず、ある大きさ以上の熱供給施設、これはむしろ経産省にまずお聞きをすることですが、以上の熱を供給する場合に、これは熱供給事業として熱供給事業法の許可が必要であるということである、これは特に伺いません、そういうふうに承知をしています、ということでございます。これは本省で許可ということになっているわけですけれども、そういう熱供給事業者が建物の間で、あるいはその地域に熱をあるいは冷水を配給をするというときに、これは道路を継続して使う、占用するということで道路管理者の許可が必要になるということでございます。これは道路法の三十二条に決められていると思いますけれども、水道、電気、ガス事業、このための道路の占用については道路法で特例が設けられていて、基本的には三十六条で許可が得られることになっていると承知をしています。  ところが、この熱供給事業、事業者、この場合は、経産省で事業者の許可を仮に取る、そして熱供給事業をやっている場合でも、道路の占用のこの三十六条での特例の対象になっていないものですから、今それを通達でやっていらっしゃるというふうに聞いていますが、地域またがったり、あるいは地域様々いろんなことがあるときに、これは、通達というのは、今後のさっき申し上げたような熱の利用という観点からこれだけ非常に劣後してしまうというか安定性がない、分かりにくいというふうに思うんですね。ですから、この熱供給事業者の許可を受けた者についても、通達ではなくて、道路法の三十六条の特例に載っけるべきではないかというふうに私は思いますが、お伺いをいたします。
  176. 藤本祐司

    大臣政務官(藤本祐司君) 川口委員にお答えいたしたいと思います。  熱供給事業、もう少し一般的に言うと、地域冷暖房とか、そういう言葉を使っておりますので、その方が分かりやすいかもしれませんが、要するに、義務占用物件、水道、ガス、電気、それと今、川口委員が御指摘いただきました熱供給事業、これが何が違うのかということがまず一つのポイントになるんだろうと思います。  水道、ガス、電気、これに関しては、いわゆる国民生活に密接に関連しているライフラインであるという位置付けになるんだろうと思います。そういう意味では、水道、ガス、電気、これらは一般の生活と非常に密接であるという意味での公益性が高いということが一点。そしてもう一つは、道路を最も多く占用する事業でありまして、いわゆる道路管理者との調整あるいは他の事業者との工事に関する調整というのがこれまでも大変実績が上がっておりまして、全国的に大変実績が高いものでございます。  こういうことから、これらの水道、ガス、電気、水道管あるいはガス管、あるいは電線、こういったところについては道路法においておっしゃるように第三十六条で特例が認められておりまして、占用許可基準に適合する際許可をするようにこれは義務付けられているというのが水道、ガス、電気です。  一方で、熱供給事業について言いますと、この義務占用物件とは若干異なっておりまして、法律上も、例えば土地収用法の土地収用適格性という点でも土地収用が認められる事業ではないというふうに位置付けられておりまして、公益性は認められるものの、水道、ガス、電気と比べると公益性はさほど高くないということが一点と。  もう一つは、現状で道路を最も多く占用する事業とは言えなくて、実際に、例えば地下埋設の道路占用状況でいいますと、水道管は全体の一二・五%、通信は六八%に対して、熱供給はわずか十五キロの〇・〇一%にすぎないという状況でございますので、これを定型的に取り扱うほどの実績もまだないということでございまして、もちろん、エネルギーの効率的な利用の促進ということを考えますとこの必要性というのは十分認められるものであるというふうには思いますが、あえて法律ではなくて、そういった今申し上げた理由で義務占用物件に準じた取扱いということで通達にさせていただいているのが現状でございます。
  177. 川口順子

    ○川口順子君 これは、二〇五〇年までに八〇%削減ということを考えたときに、非常に効果があるのが地域の面的な利用であるというふうに思いますし、国土交通省としてもそう思っていらっしゃると思います。ですから、今少ないからという観点ではなくて、これからどうやって地域の熱冷暖房を増やすかという観点から政策を考えていただきたい。  今通達でとおっしゃいましたので、これをより安定的に法律の改正にすることによって、これがもっと増えていって我が国の低炭素社会づくりに寄与するということになると思いますので、この点については前向きに対応を考えていただきたいというふうに思います。  それからもう一つ、特定の大きさ、ある一定の熱量以下の事業規模である、あるいはほかの理由もありますが、熱供給事業の適用から外れた場合に、これは道路占用許可の有無というのは自治体の裁量にゆだねられていまして、特にこういう地域冷暖房のような場合、あるいは二つの建物をつなぐというような小さい規模である場合に、地域を、例えば区をまたがるとそれぞれ取りに行かなければいけない、またその判断が非常に安定的でないというか同じではない、それぞれの自治体の裁量であるということがこの熱の融通を非常に難しくしている、阻害をしているというふうに私思うんですね。  ですから、より確実性が、その計画が、作る段階から大丈夫だ、これはできるというふうに見えるということが大事でして、今後もっと熱の融通の、あるいは導管を作るというようなことについて、道路占用がより易しくなる、見える、確実性が高まるというふうに考えていただきたいと思います。御答弁をお願いします。
  178. 藤本祐司

    大臣政務官(藤本祐司君) 先ほどの熱供給導管の道路占用の取扱いについても、その熱供給事業法の規定に基づいて道路に設けられる熱供給導管については、その公益性にかんがみて、原則としては通達の中でも占用許可を与えるものとするというふうにしてあるということがまず一点と、今御質問がありました熱供給事業法に基づく許可を受けていない事業、これに関しては、正直、その占用許可対象物件であるという理解がまだ進んでいないということがございまして、やはりまずは地方公共団体に対して道路占用許可の対象となり得るということをまず理解をするという意味での周知徹底をしていかなければいけないというふうに考えておりますので、今その許可を受けやすくすることを前提に検討はしております。
  179. 川口順子

    ○川口順子君 ゆっくり検討などとおっしゃらないで、早急に検討を進めていただいて、できるだけ早く、とにかくできることは何でもやらなければいけないという状況だと思うんですね。ですから、よろしくその問題意識を強く持っていただいて進めていただきたいというふうに思います。  もう一つ、ちょっと個別問題でお伺いをさせていただきたいと思うんですけれども、個人住宅用の太陽光の発電の品質あるいは施工上のトラブルが多発をしています。NPO法人で太陽光発電ネットワークというのがございまして、この太陽光発電では相当に強い活動をいろいろな各面にわたってしていらっしゃるところですけれども、そこと独法の産業技術総合研究所太陽光発電研究センターというところが調査をしたところによりますと、設置後、モジュールあるいはパワーコンディショナー、これが故障したり交換をした事例というのは四百八十三ケース調べて実に三三%あったということでございました。場合によっては交換をするというときのコストが当初の設置と同じぐらい費用が掛かってしまうというケースもあったようで、これも低炭素社会づくりを進めようという立場から太陽光発電には非常に期待が高まっているわけですけれども、こういう状況では前に進まないという問題があるということを非常に懸念をしております。  もう別に様々な問題がこれはございまして、販売時のトラブル、あるいは販売するときに設置だけさせて業者が逃げちゃうというようなケース、あるいは施工上に問題があって強風で倒れてしまったとか、あるいは雨漏りがしたとか、屋根へ設置するときに歩いてそこから雨漏りをするようになったとか、あるいは設置場所が正しくなくて、影とかそういったことで問題があるとか、発電量がこれはグリッドの関係もあってうまく流れないということがあったりとか、あるいは経年劣化が激しいとか、もう様々な問題が今生じ始めてきております。  これは、政府として早急にその手当てをしていかなければいけない問題であると思いますし、また、これ例えば十年保証しますなどと言って、じゃこの十年の寿命の定義が何なのかということについても、全くこれは法的にも措置がされていないということです。例えば、これが出力が低下しないということでその期間ということで寿命と言っているのか、あるいは建材機能で言っているのか、あるいは絶縁性能が劣化しないという範囲で言っているのか、全くこの寿命の定義すら政府のレベルでなされていない。  更に申し上げれば、その寿命を、寿命に達したということを一体じゃだれがチェックするのかということも不明確。それから、じゃその寿命に達した後、だれが回収をしてどのようにするのかということも不明確。そのときの費用をだれが負担するのかということも不明確。例えば、外国からも輸入をされるようになるでしょう。その品質がどうなのかということについてもよく分からない。  消費者がいろいろなこの低炭素社会づくりに非常に重要な太陽光発電の設備について様々な問題を抱え、それについて国は今何も手を打っていないというのが現状であると言わざるを得ません。販売形態にしてもそうです。それから各省庁縦割り、メーカーのところもばらばら、そういうのが現状だということをよく御認識をまずいただきたいということで申し上げていますが、そういったことについて消費者庁はよく御存じでいらっしゃいますか。そして、どのような対応をしようとしていらっしゃるか、お聞かせをください。
  180. 泉健太

    大臣政務官(泉健太君) ありがとうございます。今御指摘をいただいたような種々の問題が起こっていることを認識をしておりまして、特に国民生活センターに対しては非常に多くの相談が寄せられているということであります。  特に、今委員はどちらかといえば品質の面を中心にお話しされましたが、やはり相談で多いのは契約に関係するもの、これが非常に多いです。やはり不実告知、本来見込めないような計算で説明をしたりですとか、あるいは保証期間が非常に長い保証ができるようなことを説明したり、おっしゃられたようなものがたくさんあるというふうに認識をしております。数字で言いますと、全体でPIO—NET、一年間、二〇〇九年度ですけれども、二千二百五十九件、そのうち販売方法に関するものが千五百六十件、設備に関するものが四件、価格、品質、機能に関するものが八百七件、多少重複もありますけれども。おっしゃられたような品質に関するものはまだ余り来てはいないわけですが、しかし非常に重要だというふうに思っております。  それを踏まえながら、ちょうど昨年の十月の七日に国民生活センターと消費者庁の方で、国民に対してはまず契約に関するところを主にした注意喚起、これを行わせていただきました。そして、それだけではいけないということで、経産省の方にも要請をさせていただきまして、経産省の方へ要請をした後、十二月の十一日、太陽光発電協会の方が相談の窓口を設置をするというところにまずなっているということでありまして、ただ、恐らくこれだけでは不完全でして、導入に関する様々なトラブルだけではなくて、導入後のトラブル、そこにどう目を向けていくかということが今まさに課題なのではないかなというふうに認識をしております。
  181. 川口順子

    ○川口順子君 販売について多くの問題があるというのは、販売について余り申し上げなかったかもしれませんが、これも非常に多くの問題があるということは出てきておりまして、先ほど申し上げた三三%というのは、単にモジュールとパワーコンディショナーの取替えをしなきゃいけなかったという、に不具合があったということだけのケースですから、非常に様々な問題があるわけでございます。それで、今まさに御自身でおっしゃられたように、今までやっていらっしゃる取組は多といたしますけど、それだけではとても十分ではないということが言えるというふうに思います。  それで、経産省は、このメーカーですとか、そういったこと、供給側のことについて御担当でいらっしゃいますが、御意見をお伺いをしたいと思います。品質についてはなかなか、屋根の上にありますので、個人として設置した後、しょっちゅう見に行くということはできない状況なんですね。ということも踏まえて、経産省としての取組をお伺いしたいと思います。
  182. 高橋千秋

    大臣政務官(高橋千秋君) 委員指摘のとおり、いろいろな問題があるというのは我々も承知をしております。特に、先ほどの販売の方法についての問題で、我々は補助金等をいろいろ出しているわけですが、もう早く買わないと切れてしまうぞというようなことを言って買わしたりというような問題も起きたりしております。  それで、先ほど消費者庁の方から御答弁ありましたけれども、消費者庁の方といろいろ連携を取って、昨年の十月に太陽光発電協会の方に注意喚起をいたしまして消費者窓口をつくったわけなんですけれども、先ほど国交省の方が別の件で答弁をしていただきましたが、国交省とも連携をしながらこの設置工事の標準化の検討というのを今進めていかなければならないというふうに思っておりまして、製品、施工を質的に高める取組というのをやっていきたいというふうに思っています。  この中で、先ほど古くなった太陽光施設をどうするんだというお話がありましたが、これ、リユースだとかリサイクルの仕組みというのはまだでき上がっていない状況ですので、これについて検討するために、いろいろ学識経験者含めて検討しております。ただ、先ほどお話があったように、不十分な技術をもって施工するという場合が結構あるようでございまして、今はメーカーの方が、住宅メーカー等がそれぞれに施工の技術をレベルアップをする努力をしていただいているんですが、我々は、国交省とも検討しながら、この施工士のようなものを、資格のようなものをある程度つくっていく必要があるんではないか、標準化をしていく必要があるんではないかというふうに考えております。  それで、先ほど委員が産総研の資料をお示しになりましたけれども、これについてはまだ未公表でございまして、これから出すということでございますが、お話があったように、かなりの率でモジュール等の欠陥があるというお話がありましたが、実はこれ、あるメーカーが過去にリコールもやったりしております。それで、そのメーカー等に偏ったサンプル数になっているということもあってこういう数字が出ているところもあるんですけれども、経産省としては、パワーコンディショナーについての故障が多発しているという報告は受けてはおりません。ただ、いろいろ問題があるということは承知をしておりますので、これについても検討していきたいと思っています。  それから、出力の表示はあるけれども、寿命の問題がというお話がございました。産総研の方では出力の基準というのを提示して、各パネルメーカーが出力表示を行っております。これは、私も見させていただきましたけれども、非常に大きな施設で、太陽光パネルを置きまして、そこに光を、一定の光を与えて出力表示というのをつくっている実験施設がございますけれども、これは産総研がやっております。  ただ、消費者から信頼確保をするということが不可欠ですので、性能について、何年もつとか、そういう問題について、出力以外の事項について見える化というのを進めていくことが大変重要だというふうに思っておりますし、出力のみならず、太陽光パネルの寿命や長期信頼性等の性能についても評価方法、評価基準というのを設けていきたいというふうに考えております。
  183. 川口順子

    ○川口順子君 いろいろな取組を始めていただいているようで、問題意識は各省持っていていただいているのかなというふうに思いますが、いかんせん、政府、縦割りでばらばらということなんだと思います。消費者庁と経産省、あるいは経産省が国交省と話をしているというお話は伺いましたけれども、これ以外にも、例えば文科省ですとか農水省ですとか環境省ですとか、いろいろな関係のところはたくさんあって、ばらばらに取り組んでいるということではとても足りない。  まさに国が号令を掛けて、この太陽光発電については一つの柱にしよう、低炭素社会づくりの柱にしようと考えている部分でございますから、これは各省、一つのグループを、まさに、何でしょうか、閣僚委員会ですか、そういったようなものをつくって取り組んでいただくということが必要である。そうしなければ、この話が表に出ていくとみんな取り付けなくなります。私だってその話を聞いて、いや、これはもううまく、自分でやっても大丈夫かなと思いました。  ですから、そういう閣僚委員会のようなものをつくって政府が高いレベルで取り組んでいくということが大事だと思いますけれども、環境大臣、いかがでしょうか。
  184. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) まさに委員の御指摘はそのとおりだと、こういうふうに思います。  それぞれ所管はあるわけでありますが、縦割りを越えて、それぞれの大臣あるいはそれぞれの役所がお互いにまさに遠慮なくやっていくというのが鳩山内閣一つの特徴だと、こう思っておりまして、そういった意味では、閣僚委員会の下においてそういう議論を深めてまいりたいと思います。  具体的には、この基本法をとにかく早く上げていただければ、それに沿った形でいわゆるロードマップあるいはまたエネルギー基本計画の策定等々の議論を進めていく中で、そういったいわゆる設置の様々な問題、トラブル、そういったものへの対応も議論をし、対応してまいりたいと、こう思っておるところでございます。
  185. 川口順子

    ○川口順子君 基本法を早く上げることができるかは、大臣が満足のいく答弁をしてくださるかどうかに懸かっていると申し上げさせていただきます。  政府として閣僚委員会レベルで取り組んでくださるというふうに今お聞きをいたしまして、それは結構ですが、実は政府だけの取組では十分ではなくて、やはりこういった時代でございますから、市民セクターの活動を十分に深めていくということが私は大事なことだろうと思います。  特にこの太陽光発電というのは、自分の家に、屋根に乗っけている人も大勢いて、そこからくる知見というのが大変にあるわけでございます。ですから、そのユーザー同士の連携、賢いユーザーをたくさんつくっていくというための取組も必要であるというふうに私は思います。  なかなか日本の今までの政策で、市民の活動というものに対して行政の支援というのがなかなか足りないということがあちこちにあるわけですけれども、これはこれからの低炭素社会づくりの一つの大きな柱としてまさに、例えば相談員を市民社会の中から任命していただいて、その人たちが相談事業をやり、あるいはアドバイスをしていくといったような、そういう取組を支援をしていくということも大事なことだと思いますが、大臣の御回答をお願いします。
  186. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 相談員と、こういう御指摘がございました。我々、環境コンシェルジュと、こう呼んでおりまして、そういったまさにそれぞれの家庭あるいはオフィスが何をしたらいいかという話の相談を受けるような、そういう制度づくりをしてまいりたいと、こう思っております。  何をしたらいいかということをはっきりお示しすると同時に、今度はそのプランをサポートするいわゆる金融的なメカニズム、これはリースによる一括のいわゆる取付けと、こういう話を考えているわけでありますけれども、そういったことも是非進めたいと、こう思っております。そういった中にNGOの皆さんたちに大いに参画をしていただきたいと思います。
  187. 川口順子

    ○川口順子君 環境コンシェルジュというのもそれなりに大事な活動だと思いますけれども、こういった太陽光発電について考えますと、特殊な知識、特殊な経験あるいは特殊なアドバイスができる、要するに特殊性があるんですね。専門性があると申し上げたらいいと思います。ですから、環境コンシェルジュ一つでくくってしまうんではなくて、やはりそういう専門性のある人がアドバイスに乗るとかそういうことでないと、広く一般的にやるということではこれはうまくいかないというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
  188. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) そのコンシェルジュも十分専門性を持ってもらいたいと思っていますし、今の御指摘は今後の十分参考にさせていただきたいと思います。
  189. 川口順子

    ○川口順子君 まだまだたくさんありますが、時間が来ましたので、質問を終わります。
  190. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  191. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地球温暖化対策基本法案の審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十六分散会