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2010-04-22 第174回国会 参議院 外交防衛委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年四月二十二日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  四月二十日     辞任         補欠選任      姫井由美子君     徳永 久志君  四月二十一日     辞任         補欠選任      徳永 久志君     行田 邦子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田中 直紀君     理 事                 喜納 昌吉君                 佐藤 公治君                 山根 隆治君                 佐藤 正久君                 山本 一太君     委 員                 犬塚 直史君                 大石 尚子君                 北澤 俊美君                 行田 邦子君                 榛葉賀津也君                 福山 哲郎君                 岸  信夫君                 西田 昌司君                 舛添 要一君                 浜田 昌良君                 山口那津男君                 井上 哲士君                 山内 徳信君    国務大臣        外務大臣     岡田 克也君        防衛大臣     北澤 俊美君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    中井  洽君    内閣官房長官        内閣官房長官  松野 頼久君    副大臣        法務副大臣    加藤 公一君        外務大臣    福山 哲郎君        防衛大臣    榛葉賀津也君    大臣政務官        防衛大臣政務官  楠田 大蔵君        防衛大臣政務官  長島 昭久君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        法務省刑事局長  西川 克行君        法務省矯正局長  尾崎 道明君        防衛大臣官房長  金澤 博範君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○刑事に関する共助に関する日本国ロシア連邦  との間の条約締結について承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付) ○刑事に関する共助に関する日本国欧州連合と  の間の協定締結について承認を求めるの件(  内閣提出衆議院送付) ○刑を言い渡された者の移送及び刑の執行におけ  る協力に関する日本国タイ王国との間の条約  の締結について承認を求めるの件(内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 田中直紀

    委員長田中直紀君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十日、姫井由美子君が委員辞任され、その補欠として徳永久志君が選任されました。  また、昨日、徳永久志君が委員辞任され、その補欠として行田邦子君が選任されました。     ─────────────
  3. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  刑事に関する共助に関する日本国ロシア連邦との間の条約締結について承認を求めるの件外二件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として法務省刑事局長西川克行君外二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 刑事に関する共助に関する日本国ロシア連邦との間の条約締結について承認を求めるの件、刑事に関する共助に関する日本国欧州連合との間の協定締結について承認を求めるの件及び刑を言い渡された者の移送及び刑の執行における協力に関する日本国タイ王国との間の条約締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  三件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 大石尚子

    大石尚子君 委員長、御指名ありがとうございます。民主党の大石尚子でございます。  ただいま議題となった二条約、一協定、これを国会が承認することにより、私は、日本並び関係各国の国境を越えた犯罪捜査、訴追並び受刑者の更生及び社会復帰等の促進、向上が期待されると考えております。  ですが、ここで二点ほど、福山大臣質問させていただきたいと思います。  まず第一点は、日本ロシア刑事共助条約について、第三条1の(1)、これは政治犯罪に関する共助拒否に関連してでございますが、国際テロ犯罪は、他のこれは関連する国際協定などとの兼ね合いから共助拒否の対象となり得る政治犯とはみなされない、そういう場合があると、読ませていただくと解釈できるような気がいたします。  そこで、共助拒否できる政治犯罪拒否できない国際テロ犯罪具体例を一、二お示しいただきたいと思います。
  7. 福山哲郎

    ○副大臣福山哲郎君) おはようございます。大石委員お答えを申し上げます。少し、重要な御指摘なので丁寧にお答えをさせていただきたいと思います。  日・ロ刑事共助条約第三条の1の(1)は、先生指摘のように、被請求国中央当局が請求された共助政治犯罪に関連すると認める場合には共助拒否することができるという旨を規定しております。  それでは、政治犯罪とは一体何なのかということを議論しなければいけなくなりますので、政治犯罪とは一般に、一国の政治体制の変革を目的とし、あるいはその国家内外政策影響を与えることを目的とする行為であって、その国の刑罰法規に触れるものとされており、例えば、独裁体制国家における民主化運動などがこれに当たる場合があり得ると考えられますが、具体的に何が政治犯罪であるかについては、個々のケースによって、犯罪内容目的社会的影響等を総合的に勘案しつつ、結果としては判断をすることになります。  一方、この本条約の第三条の1の(1)の第二文には、この条約の適用上、両締約国において効力を有する国際協定に定める犯罪であって、当該犯罪政治犯罪とみなされない旨を当該国際協定が規定するものに該当する場合には、共助拒否することができないとされています。その国際協定というのは二つありまして、一つ爆弾テロ防止条約上における爆弾テロ行為、それからもう一つ核テロリズム防止条約におけるテロ行為等が挙げられるというふうに認識をしております。
  8. 大石尚子

    大石尚子君 ありがとうございました。  それでは二番目の質問。これは、日本EU刑事共助協定についてでございますが、第十一条1の(b)、共助拒否事由にまた関連してでございます。  日本が請求された共助実施、提供により、EU死刑制度を廃止しておりますので、EU国民死刑を、特にポルトガルについては無期拘禁刑をも含めて科し得る場合、これは拒否事由に該当させ得ることを殊更に明文化した、これは何となく不公平、そういう気持ちを抱くのですけれども。そして、この同じような協定アメリカEUの同協定には明文化されていないと聞いております。これもまた不公平であるのではないかという気がいたしますので、この不公平、不平等感に関しまして、交渉過程に何か問題があったのかないのか、御見解を伺いたいと思います。
  9. 福山哲郎

    ○副大臣福山哲郎君) お答えを申し上げます。  一般に、刑事共助協定の下では、自国の重要な利益を害する場合には各国共助拒否し得ることとなっております。それで、我が国としては、重要なこの利益死刑を科し得るケースが含まれ得ることに対して異論がないということ、すなわち、EUとの関係において死刑理由とした共助拒否もこうした場合の一つとして確認をさせていただきました。  また、ポルトガル国内法制上の制約を踏まえれば、無期拘禁刑を科し得るケースがこれに含まれ得るということにも我が国としては異論がないので、EU側の要望を受け、このような解釈を協定確認をしたということでございます。  結果として、刑事共助条約協定は、相手国との共助迅速化効率化を図るとともに、共助確実性を高めるものであるので、各々の法制の差異により各国がなし得る共助の範囲に差が生じ得ることはやむを得ないというふうに考えております。  また、先生のもう一つ質問である米とEU協定の問題ですが、EU米国締結をしている刑事共助協定について言えば、我が国EUとの間のこの協定とは異なっておりまして、既存の二国間協定米国と各EU加盟国間を補完するための補助的な協定であります。つまり、EU各国アメリカはそれぞれ二国間をやっていまして、それを補完をするための補助的な協定であるため、拒否に関する規定自体がそもそも存在をしていないと承知しておりまして、本協定と一概に比較できるものではないと思いますので、不公平とか交渉過程で我々が何か問題があったというふうには承知をしておりません。
  10. 大石尚子

    大石尚子君 ありがとうございます。  条約協定交渉過程につきましては、各国との並びで、是非不平等、不公平を今後とも私どもが感じないで済むように積極的に交渉していただきたいと思います。  続きまして、これは議題とちょっと離れるのですけれども、今朝の新聞各紙報道にも関連いたしますが、最近の中国海軍等の動向などから、私は、日本排他的経済水域を中心とする我が国領海をこれからしっかり守っていくということ、その重要性を大変痛感いたしております。  そこで、沖ノ鳥島日本固有領土であるということを示す上で、私、実は三十四年ほど前に、十六ミリの記録映画だったのですけれども沖ノ鳥島に関する映画を見たのを思い出したんです。  それで、ちょっと後追いで調べてみましたら、この事のもたらす意味について、後ほど外務大臣の御見解を伺わせていただきたいと思いますが、一九七六年、昭和五十一年、これは日本アマチュア無線連盟の創立五十周年記念特別行事といたしまして、それで沖ノ鳥島から世界各国電波を発信したわけでございます。そのときは、一九七六年の五月三十日から六月三日にかけてあの沖ノ鳥島にアングルを立て、発電機を持ってきたりいろいろなアンテナを立てたり、そして七十八時間ぶっ通しで沖ノ鳥島において、コールサイン7J1RL、これが多分コールサインだったと思うんですが、電波を発信いたしました。そのときに、世界各国が待っていて、七十一カントリー、八千九百三十一局と交信したそうでございます。そのことで、アメリカアマチュア無線連盟、いわゆるARRLは、沖ノ鳥島日本セパレートカントリーとして認めたという記事を読んでおります。  いわゆる沖ノ鳥島DXペディションと言われておったようでございますが、この事のもたらす意義岡田外務大臣はどのようにとらえておられるのか、御見解を伺いたいと存じます。
  11. 福山哲郎

    ○副大臣福山哲郎君) 大石先生からの御指摘をいただきまして、済みません、私はアマチュア無線に余り、よく存じ上げていないので、御指摘をいただいて、この一九七六年に日本アマチュア無線連盟実施した沖ノ鳥島DXペディションということについて初めて承知をしましたが、外務省としては、同行事実施されたことについては承知していますが、詳細については承知していないということでございました。  いずれにしましても、我が国は歴史的に沖ノ鳥島を島として有効に支配してきており、同島我が国固有領土であることに疑問の余地はないと考えております。  我が国としては、歴史的に島としての地位を確立してきた沖ノ鳥島は、国連海洋法条約に従って、領海排他的経済水域及び大陸棚を有すると考えておりますので、また一方で、沖ノ鳥島我が国領土であることについていかなる国からも異論が示されたことはないというふうに承っております。
  12. 大石尚子

    大石尚子君 こういう日本国民のいろいろなイベントを沖ノ鳥島でされたということは余り聞いてないのですけれども、こういう事例の積み重ねというものがやはり大変私ども領土領海を主張していく上に大事なのではないかと私は思っております。  最後に一言外務大臣の御見解、お聞かせいただけませんでしょうか。
  13. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) 今副大臣答弁したとおりでありますが、我が国は歴史的に沖ノ鳥島を島として有効に支配してきており、同島我が国固有領土であることに疑問の余地はございません。我が国としては、歴史的に島としての地位を確立してきた沖ノ鳥島国連海洋法条約によって領海排他的経済水域及び大陸棚を有すると考えております。なお、沖ノ鳥島我が国領土であることについていかなる国からも異論が示されたことはございません。
  14. 大石尚子

    大石尚子君 ありがとうございます。  私はこのアマチュア無線連盟事例についての御見解を伺いたかったのでございますが、お二方で御意見、御見解ございます方は一言、まだ二分くらい時間があるのでお述べいただければ幸いでございます。
  15. 福山哲郎

    ○副大臣福山哲郎君) 大石先生指摘のように、アマチュア無線の皆様がこのような活動をされたことについては事実として承知をいたしました。また、こういった沖ノ鳥島に関するいろんな活動についても、外務省としてもしっかりと把握をし、理解をしながら進めていきたいと思っておりますが、沖ノ鳥島我が国固有領土であることについてはいささかも疑問の余地はないというふうに思っております。
  16. 大石尚子

    大石尚子君 時間がそろそろ参るようでございますので、これをもって私の質問を終了いたします。  ありがとうございました。
  17. 山本一太

    山本一太君 今日は、日・EU刑事共助協定、それから日・ロの共助条約、さらには日・タイ受刑者移送条約と、この三本の条約について質問をさせていただく前に、まず松野長官一言伺いたいと思います。  今日、私はこの委員会瀧野官房長官出席を求めました。さらには、内閣官房専門調査員須川清司さんの出席も求めました。この二人が来なくて、なぜ松野長官が来られたんでしょうか。
  18. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) 私がここで答弁させていただくべく御出席をさせていただきました。
  19. 山本一太

    山本一太君 前回委員会松野長官がここに出席をされて、私、官房長官の件についてお聞きをした。これは聞いてないから分からないというお話だったんですね。質問通告がないから分からない。ここで須川専門調査員のことについてもお聞きをした。これも質問通告がないんで細かいことはよく分からないというふうにおっしゃいました。  今日はきちっとこの須川専門調査員のことについても松野長官質問通告をさせていただいています。さらには、この瀧野副長官を呼んだ理由はもうもちろん御存じだと思います。この徳之島をめぐる問題について瀧野副長官をお呼びしました。今日はそのお二人の代わりに松野長官来られているということですから、前回委員会のように、私は中身をよく知りませんと、こういう答弁は受け入れられませんけれども、きちっとそれはお答えいただけるんですね。
  20. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) 答えられる内容についてはできるだけ誠実にお答えをさせていただいているつもりでございます。
  21. 山本一太

    山本一太君 その言葉をしっかり受け止めて後ほど質問させていただきたいと思いますが。  いつも言うんですけれども、この委員会、参議院の外交防衛委員会ネット中継されています。私の地元の有権者で何人か毎回見ている方がおられて、また連絡が来ました、この間の防衛省官房長に引き続いて。前回松野長官が大変そっけのない、私聞いていませんという答弁をされて、その間、こうやってあくびをする姿がこのネット中継で配信されました。こういう態度は是非やめていただきたいと思いますし、もう官房長官、あくびする暇もないほど毎回呼びますからね、毎回呼びますから。ですから、今日もしっかりとした答弁をしていただきたいと思います。  以上を申し上げて、まず、この三つの条約についての質問からさせていただきたいと思います。  さっき大石委員の方から日・EU刑事共助協定に関する質問がありました。これはちょっと何となく不平等なんじゃないかと、いつもの御丁寧な表現でおっしゃっていましたが、これは私は明らかに不公平だと思います。  これはもう日・EU刑事共助協定でいうと、死刑を科し得る犯罪、これは日本では殺人罪とか、これ資料によれば強盗致死罪等が該当するんですけれども、これに関する刑事共助については、これは請求国と被請求国との間で共助実施条件合意がある場合を除いて共助拒否できるというふうに、これ十一条の1(b)でなっています。  福山大臣、よく御存じだと思いますが、これ一言で言えば、EU死刑制度がない、日本には死刑制度がある。死刑になる可能性がある例えば犯罪を犯した人がEUに帰国したとか、EU諸国に入国した。この場合はEUはこれは捜査協力拒否できるということであって、日本の場合は同じ権利はないわけであって、これはやはりちょっと不公平ではないかという見方もあるところですけれども、これについては外務省、副大臣でしょうか、福山大臣、どういうふうにお考えになっていますか。
  22. 福山哲郎

    ○副大臣福山哲郎君) 先ほどもお答えを申し上げましたように、自国の重要な利益を害する場合には各国共助拒否し得ることになっておりまして、日・EU刑事共助協定については、我が国としては死刑理由とした共助拒否もこうした場合の一つとして確認をしたということでございます。  我が国からEU加盟国に関し死刑を科し得る犯罪に係る共助要請を行う場合には、その事案性質等について、当然ですが当該EU加盟国協議をすることになります。我が方としては、その協議の中で、犯罪への適切な対処の観点から、両国が満足することのできる共助条件について合意が得られるように、その事件事案事案について努力をしていくことになります。そのような状況合意が得られる場合には、当然ですが共助は行われることになるというふうに思っておりますし、この条約のない状況においても、今、現在ですね、条約がまだ発効していない状況においても、EU側は我々からの共助要請については死刑理由共助実施しないことができることは変わらないので、それならば、条約の下でより迅速性効率性、そして直接当局に我々が交渉協議ができることによってこの問題について対応したいというふうに思っておりますので、我々としては、今回、死刑理由とした共助拒否もこうした重要な利益に該当する場合だと考えて、確認をさせていただいたということでございます。
  23. 山本一太

    山本一太君 今副大臣がおっしゃった当該国相手国に対する確認は非常に大事なところなので、そこは是非しっかりやっていただきたいと思います。  これについてもう一つだけ、今度は外務大臣一つ質問したいと思うんですが、これ、署名前の国家公安委員会会議でも、この問題、これちょっと不平等なんじゃないかという問題が指摘されたというふうに報道されていますが、これはもう中井国家公安委員長記者会見でおっしゃっているので間違いないと思いますけれども、この委員会で様々な懸念が示されたということは認めた上で、岡田外務大臣と会談して、二人で政治判断を行って、本協定について閣議で了承したと、こういうふうに中井国家公安委員長がおっしゃっているんですけれども岡田大臣にお聞きしたいんですが、どういう政治判断を行ったのか、二人で話し合って、この死刑の問題で様々な意見が出されている本協定にどういう話合いをして署名を行ったのか、外務大臣の方にお聞きしたいと思います。
  24. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) 中井大臣とは、今まさしく福山大臣説明をしたそういったことを私からお話をいたしまして、その上で御理解をいただいたということでございます。
  25. 山本一太

    山本一太君 少し突っ込みたいところなんですけれども時間もないので、改めて福山大臣にお願いしたいと思いますが、とにかく条約の構成としてはややどうも不平等ではないか、不公平ではないかという懸念がありますので、相手国への確認についてはこれはしっかりやっていただきたいと思います。  この日・タイ受刑者移送条約についても一つだけ気になることがありますので、これについても御質問させていただきたいと思います。  この受刑者移送条約、ずっと読んでみましたが、これはもちろん意味があるだろうというふうに思います。特に多国間受刑者移送条約、これCE条約と呼んでいるらしいんですけれども、ここに加盟している国に加えて、特にこの条約に加盟していない、締約国ではないタイとの間でこういう受刑者移送条約締結には意義があるというふうに思いますが、一つちょっと私が気になるのは、これはやっぱり被害者視点ですね。  これ、加害者が母国に帰って被害者の目の届かないところに行ってしまう、目の届かないところで例えば加害者がすぐ自由の身になってしまうと。これはやっぱり被害者観点からするとなかなかやりきれないものがあるんではないかと。これは被害者にある意味でいうと第二の被害を与えるような制度であってはならないと思いますが、この点についてはどのように外務省、見ているんでしょうか。
  26. 福山哲郎

    ○副大臣福山哲郎君) 山本委員の御指摘は大変重要な御指摘だというふうに思っております。  まず重要なことは、原則としては、受入れ国移送国の裁判所が命じた刑の性質期間を受け入れることが原則ということになっております。そうでないと、今委員が言われたように被害者側気持ちは非常に大切にしなければいけないというふうに思っておりまして、移送した途端無罪放免みたいなことがないように、これはもう原則として、先ほど申し上げました刑の性質期間を受け入れることとなっております。  さらには、移送実施するに当たっては、我が国国内法制上、移送相当性を法務大臣が慎重に判断するものと外務省としては承知をしております。  また、被害者を有する事件を犯した外国人受刑者送出移送実施するに当たっては、被害者等意見をあらかじめ確認した上で、その意見移送実施するかどうかの判断をする上での重要な要素として考慮したいというふうに考えております。
  27. 山本一太

    山本一太君 今の御答弁、大変大事だと思うんですが、福山大臣、ちょっとこの件で資料を少し調べていて驚いたんですけれども、例えばスウェーデンスウェーデンタイとの間でこの二国間受刑者移送条約締結しています。これ、スウェーデンでは、判決をした国への敬意から、言い渡された刑を引き続き執行すると、政府はこういう立場を取っているわけなんですね。ところが、一つちょっとケースを見付けたんですが、タイで麻薬を使用して刑期四十年、四十年の刑期を宣告されたスウェーデン人移送後八年で釈放されたと、こういう報道を、随分、十年ぐらい前の報道なんですが、それをちょっと見付けて愕然としたんですけれども。  いずれにせよ、この被害者視点というものをしっかり考えていただきたいと思います。一言だけ御答弁お願いします。
  28. 福山哲郎

    ○副大臣福山哲郎君) 大変重要な御指摘でございますので、法務省とも協議をしながら対応していきたいと思います。
  29. 山本一太

    山本一太君 それでは、この三条約については大体概要についての質問を終わりましたので、普天間基地移設問題の方に移らせていただきたいと思います。  昨日、鳩山総理谷垣総裁党首討論がありました。その中で谷垣総裁鳩山総理に対して、総理が何回も明言をしている、日本国民とも約束をし、この間は日米のワーキングディナー、これ会談と呼べるのかどうか分かりませんけれども、十分間、実質恐らく二・五分間ぐらい普天間のことについて話し合った中で五月末までに決着をしますと言って、アメリカ側との公約にもなったこの五月末決着の定義について、これはどういうことですかというふうに谷垣総裁が突っ込んだところ、御存じだと思いますが、総理はこう答えました。  何度も申し上げておりますように、これはまず沖縄の県民の皆さん、国民の皆さんと申し上げてもよいかと思います、さらには移設先になる可能性のある方々の御理解も必要だと思います。そして、アメリカもこれは理解してくれなければ当然話にならないこともよく理解しています。そのような三者というもの、これは連立政権でありますから連立の合意というものも必要だと理解しておりますが、それを行っていきながら、しっかりといわゆる私が申し上げている決着というものを行ってまいります。五月の末までという、その時期を変えるつもりはありません。  これはもう普通に考えれば、総理はこのことについてコミットしたと、退路を断ったというふうに考えるべきだと思います。  そこで、北澤防衛大臣にお聞きしたいんですが、前回委員会で、北澤防衛大臣が私の質問に対していつものように率直にお答えいただいたわけですが、この来月末の決着について私がお聞きをしたところ、大臣は、私はあらゆる場面を想定しなければならない、鳩山総理大臣の決意に基づいて最大の努力はするが、相手のあることであり、来月末までに完全に決着するということは私の立場で申し上げるわけにはいかないというふうにおっしゃっています。  これ、防衛大臣、総理が党首討論で改めてこの五月末の決着はアメリカ側の了解も得る、移設先の了解も得る、沖縄の皆さんの了解も得る、そして連立与党の了解も得ると、これが条件でこれをやると言っているわけなので、これ防衛大臣の発言と矛盾すると思うんですけれども、この発言は修正なさるんでしょうか。
  30. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 先日のは一万五千人と言われる大会の状況を背景にしての御質問でありましたので、状況を想定しながら申し上げたわけでありますが、昨日、総理が改めて党首討論という極めて重い場所で決意を言われたわけでありますから、それに向かって私は全力を尽くすと、こういう決意であります。
  31. 山本一太

    山本一太君 またこれも大変、防衛大臣、重い発言だと思いますが、少なくともおとといは、来月末までに完全に決着するということは私の立場で申し上げるわけにはいかないというふうにおっしゃっていましたが、総理の決意を受けて、これはもう当然五月末までに決着させると、こういうことを今おっしゃったということですね。
  32. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 先ほど山本委員も言われましたように、相手は米軍、そしてまた地元、連立与党と、様々なハードルを越えなきゃいけませんので、極めて大変なことではありますが、総理の決意でありますから、私はその総理の決意に基づいて最大の努力をするということを申し上げておきたいと思います。
  33. 山本一太

    山本一太君 おとといの発言のニュアンスとはちょっと違うと思います。これは防衛大臣も総理の強い決意を受けて発言を修正されたというふうに私は今受け取らさせていただきました。  岡田外務大臣についてはもう一貫して鳩山総理の言っている決着の定義が決着の定義だというふうにおっしゃっているので、それについて伺うことはいたしません。  昨日の党首討論で、また、谷垣総裁がこういうふうに鳩山総理に迫りました。今日はテレビでたくさん国民も見ておられる、職を賭して五月にはこの問題を解決すると国民に約束してくださいと谷垣総裁鳩山総理に迫りました。  鳩山総理はこういうふうにお答えになった。御存じだと思います。当然のことながら、私は、一つ一つの政策の実現に向けて、自分自身の覚悟というものを国民の皆さんに示しながら行動してまいってきているつもりです、したがって、今回の普天間の問題に関しましても五月末までに、そのように期限を切って行動をしているところです、私も、必ず関係閣僚と協力をしながら最終的な結論というものを五月末までに出させてもらう、その決意を改めて国民の皆さんに申し上げておきますと、改めて総理が五月末までに必ず約束を守って決着をさせるということをおっしゃった。  さらには、党首討論の一番最後、私、一言一句聞き漏らさずに総理の言葉を聞いたわけですが、鳩山総理、こうおっしゃいました。まさにすべての政策の実現に向けて職を賭して頑張るということは言うまでもありません。  すべての政策というのは当然、今、日米同盟の最大の懸案になっているこの普天間基地の移設問題も当然含まれると思いますが、そこで、岡田大臣に御感想を聞きたいんですけれども、これは、五月末までに決着できなかった場合に、これはもう総理は職を賭すと、こういう覚悟を示したんだというふうに理解してよろしいんでしょうか。この普天間基地移設問題について、政策決定の中で重要な役割を果たしている五人の閣僚のお一人としての御見解を伺いたいと思います。
  34. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) 昨日、今委員が読み上げられたやり取りがあったわけでございます。総理が昨日述べられたとおりであります。
  35. 山本一太

    山本一太君 職を賭してというのはもちろん普天間問題にも係ることだというふうに外務大臣がおっしゃったと私は理解いたしました。  北澤防衛大臣、いかがでしょうか。──いや、もうお聞きしましたから大丈夫です。もう簡潔に分かりやすい御答弁いただきましたから、どうぞ北澤防衛大臣。──いや、北澤防衛大臣に聞いているんです。  じゃ、どうぞ外務大臣
  36. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) 委員がいろいろ今おっしゃいましたが、私が申し上げたことは、昨日総理が述べられたとおりであるということを申し上げた、それ以上でもそれ以下でもございません。
  37. 山本一太

    山本一太君 総理が述べられたのは、すべての政策の実現に向けて職を賭して頑張るということですから、そのままだというふうに外務大臣がお認めになったということだと思います。  防衛大臣、いかがでしょうか。今同じ質問をさせていただきます。これは総理が退路を断って覚悟を示すというふうにおっしゃったことと理解してよろしいんでしょうか。防衛大臣も政策決定に大変重要な役割を果たしておられる立場からお答えいただきたいと思います。
  38. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 総理が、先ほども申し上げましたように、国家基本政策委員会という極めて重い場所で言われた発言でありますから、私はその発言を真摯に受け止めていたいと。  それから、一般論でありますが、これは政治家に限らず、物事に決意を持ってやるときに職を賭してという言葉を使うのは、一般的には様々な意味があるというふうに思います。
  39. 山本一太

    山本一太君 余り突っ込みたくないんですが、一般的に様々な意味があるというのはどういうことでしょうか。政治家が職を賭してと言ったら、もうそれはその職を懸けて、できなければ辞める、できなければ議員バッジを外す、できなければポストを降りる、こういう意味だと思いますが、ちょっと今の御発言の定義について、簡潔でいいですからお答えいただきたいと思います。
  40. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) これは、命懸けとか職を賭してとか、様々な表現があるわけでありまして、これは総理の発言を私は申し上げておるわけではなくて、一般論として申し上げた次第であります。
  41. 山本一太

    山本一太君 大臣、職を賭すと言ったらほかの意味は私はないと思いますが、これ突っ込んでいると時間がなくなってしまうので、これ以上はこの件については言いません。  実は、昨日の党首討論を私ずっと見ていて一つ大変気になることがあります。これは岡田外務大臣に是非お聞きしたいと思うんですが、総理はこの党首討論の中でこういうふうにおっしゃいました。地元よりもまず、地元よりもまず本当にこの腹案がアメリカに対して理解をされるかということを水面下でしっかりやり取りをしなければならないと。  これ、私、非常に違和感を覚えたんですね。二国間が外交交渉をやると。まずは地元の了解を得て、きちっと日本側のポジションを固めてからアメリカとの外交交渉に臨むというのが流れではないでしょうか。これ見ると、まるで地元の合意よりも先にアメリカと議論をしなきゃいけない、何かアメリカの言質をもらわなきゃいけないみたいになっていますが、これについては、冷静に外交を進められておる論理的な岡田外務大臣としてはどういうふうに思われますか。
  42. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) 以前から申し上げておりますように、地元の理解、そして日米間の合意ということのために、これは同時並行的に進めなければいけない、そういうことで水面下でやり取りを行っているということであります。どちらかをまず一〇〇%固めて、その上で他方に、つまり地元とアメリカですね、ということは、いずれが先にやるにしてもちょっと考えられないことで、それは相互にやり取りをしながら最終的に決定していくということだと思います。  委員はいろいろおっしゃいますけれども、現在の日米合意案、これも日米では合意されましたが、そして地元の市はそれで了解したわけですが、県は必ずしもそういうことではなかったはずであります。  我々としては、地元の理解とそして日米間の合意ということを目指して最善の道を今試みているところであります。
  43. 山本一太

    山本一太君 辺野古案について一々またここで繰り返し申し上げるつもりもありませんが、少なくとも日米の間は完全に合意ができていた、そして県知事も苦渋の決断で受け入れていた、地元の名護市長も受け入れていたと、今とは全然違うということだけは申し上げたいと思います。  それから、外務大臣のこれも発言とは思えませんけど、片一方、一方を固めてから行くということは考えられないというような今ことを言いました。こっちをちょこちょこやって、あっちをちょこちょこやって、アメリカ側の交渉をやって、地元での交渉もやって、両方一〇〇%でもなくて並行して進んでいくと、こんな私は稚拙な外交はないと思うんですね。  だってアメリカ側からすれば、大臣アメリカ側からすれば、例えば日米で合意した案だって地元の反対があったら実現しないんですから、その前に協議をしたって意味がないと思うに決まっている。しかも、どうもこの言葉の中には、アメリカ側に責任転嫁をしたいと、どうもそういう私は鳩山政権の意図が透けて見えるような気がいたします。  少なくとも、同盟国とはいえ、外交交渉をやっていく、日本の国益にかなうようにいろんな交渉をやっていくと。そのときに足下も固まっていなくて、相手方から、それはいいですけどまず国内のオーケー取れるんですかと、移設先の合意取れるんですかと言われて交渉に臨む、外交交渉としてこれほど稚拙なやり方はないと思いますけれども外務大臣、どう思われますか。
  44. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) どういうふうに交渉をするかというのは政府にお任せいただきたいと思います。
  45. 山本一太

    山本一太君 いや、お任せすると心配なので私申し上げているんですが。  もう一回お答えください。地元の合意も取れない状況の中で外交交渉をする、これは極めて稚拙な手法だというふうに外務大臣は思われませんか。
  46. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) 我々は我々のやり方で進めているところでございます。その内容について詳しくお話しすることはございません。
  47. 山本一太

    山本一太君 これはちょっと今の答弁は受け入れられないんですけれども、ほかにも質問があるので、次の委員会でまた改めてこの点は質問をさせていただくとして、松野長官、お待たせいたしました。毎回お呼びしますから、あくびをする暇もないくらい私が質問させていただきますので、真摯な御答弁をお願いします。  そこで、瀧野官房長官の電話の話ですね。これは、瀧野副長官が徳之島の三町長に電話をしたと、そして官房長官に会ってくださいというふうに言ったということですが、これは、松野長官、なぜ官房長官瀧野副長官に命じてこの三人の町長に電話をさせたんでしょうか。
  48. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) 山本委員承知のように、十八日に普天間基地移設の反対の大規模な集会が徳之島で行われました。その状況について首長の町長の皆さんがどのようなとらえ方をされたのかということをお聞きするために三町長にお電話をしたというふうに聞いております。  以上です。
  49. 山本一太

    山本一太君 官房長官が島民集会の状況を聞きたかったということですが、なぜ島民集会の状況官房長官は把握したかったんでしょうか。
  50. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) 今お答えさせていただいたように、非常に大規模な集会であったと、そして島民の皆さんのお気持ちが一体どういうことなのか、またその状況を首長さんがどういう形でとらえられているのかということを聞きたかったということでございます。
  51. 山本一太

    山本一太君 それを聞きたかったことがなぜかというふうにお聞きしているんですが。  じゃ、もう一つちょっとお聞きしたいと思うんですけれども官房長官記者会見で三町長との面会について聞かれて、とにかく午前中と夕方と言うことがころころ変わってくるので、ちょっともう私も官房長官の言うことはカメレオンみたいでフォローできないんですが、三町長との会合について聞かれて、そういう機会があればお会いして説明したいというようなことをおっしゃっていますが、これはどういう意味でおっしゃったんでしょうか、官房長官は。
  52. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) そういう状況がございますので、まずお会いして状況をお伺いしたいと。そしてまた、どういうお話お話をしたいというふうに申したというふうに承知をしてございます。
  53. 山本一太

    山本一太君 副長官、そういう状況というのはどういう状況でしょうか。
  54. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) 大規模な集会が行われたということでございます。
  55. 山本一太

    山本一太君 副長官、何で瀧野副長官に三町長とコンタクトを取ってくれと官房長官が指示したのか。さらに、なぜ記者会見で、もし三町長に面会できるような機会があれば考えたいというような意味をおっしゃったのか。つまり、徳之島が、徳之島が移設先の有力な案だからですよね。だって、大規模な集会があるから電話してくれと、ただ大規模な集会がどこかであるから興味があるので電話してくれと官房長官は言うわけないですよね。  ということは、お聞きしたいんですが、内閣官房長官として、この徳之島は、これは政府の案として考えているんでしょうか。
  56. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) 現段階で、普天間飛行場の移設先というのは政府として具体的な案が固まっているわけではございません。そしてまた、その移転先の個別名に関しては、もう先生十分御承知のように、これからいわゆる交渉が始まっていくという状況の中で、その予見を与えるようなことはお答えは差し控えたいというふうに思っておるところでございます。
  57. 山本一太

    山本一太君 副長官、予見を与えるようなことって、官房長官が三町長に電話してですよ、官房長官に会ってくれと言っているわけでしょう。これ以上の予見ってあるんでしょうか。  じゃ、ちょっと言い方変えますが、徳之島は政府の案なのかどうかはともかくとして、これは有力な候補地の一つなんですね、政府として考えている。
  58. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) 内容内容でございますので、委員も十分御承知だというふうに思いますけれども、やはりそういう予見を与えるような御答弁は本日は差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
  59. 山本一太

    山本一太君 外務大臣にお聞きしたいと思います。  官房長官官房長官に指示して徳之島の三町長に電話を入れて、官房長官と会ってくれと言ったと。これは、少なくとも徳之島は政府が考えている移設先の候補地の一つだと、こういうふうに、どう考えてもそうとしか理解できませんけれども、そういう解釈でよろしいんでしょうか。
  60. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) この場で何度も申し上げておりますように、五大臣の間で一定の幅を持った考え方を共有し、そして活動しているところでございます。その共有している中身については、現時点で申し上げる、そういうことは差し控えたいと考えております。
  61. 山本一太

    山本一太君 外務大臣、じゃ、なぜ官房長官瀧野副長官に命じて三町長に電話を入れさせたんでしょうか。なぜこの大規模集会のことを知りたかったんでしょうか、官房長官が。それは、もうこの徳之島も選択肢、候補地の一つに入っているからだと、これもう火を見るよりも明らかですよね。少なくともこの官房長官の行動を見て、これは確実に政府にとっては徳之島は移設先の候補地の一つだと、これぐらいはきちっとやっぱり、今おっしゃったこの普天間基地問題を決定していく上で大事な役割を果たされている、ましてやこれから日米交渉を担当される外務大臣としてお答えください。徳之島ももちろんこれは移設先の候補地の一つになっているということですね。
  62. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) 政府として何らかの意思決定を行った段階ではそれは明らかにすべきというふうに思いますが、それ以前の段階でその中身について何かお話しすることは私は差し控えたいと思います。
  63. 山本一太

    山本一太君 それは、ちょっと申し訳ないんですけど、答弁としては納得できません。  官房長官の指示で官房長官が徳之島の三町長に電話して、官房長官に会ってくれと言ったと。それは、徳之島が候補地の一つでなければ全く考えられない。その候補地の一つになっているとさえも言えないと。これはやっぱりこの委員会で隠すべきことでは私はないと思いますので、もう一回御答弁お願いします。
  64. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) 私の答弁は、従来からこういう答弁を申し上げております。そのことは委員もよく御存じのはずでございます。(発言する者あり)
  65. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  66. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 速記を起こしてください。
  67. 山本一太

    山本一太君 外務大臣、もう一回お聞きします。  官房長官が、地元の三町長に電話して官房長官に会ってくれと言ったと、この島民大会の様子を知りたいから電話したと。これは当然徳之島が移設先の候補地として浮上しているから、これどう考えても、だから電話をしたということで、徳之島は政府が考えている移転先の一つだというふうに言っていいんでしょうか。
  68. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) 官房長官官房長官をして電話をしたということは私も報道承知しておりますが、あれだけの人口の島で大規模な集会が行われたということですから、それはどういうことだったのかということを把握したいと思うのは、それは当然理由のあることであると。それが別に委員のおっしゃるようなことでなくても、官房長官として知りたいというふうに考えたというのは別に不思議なことではないというふうに思います。  いずれにしても、政府の中で意思形成途上にあるまだ決定をしていない途中の段階で何か具体的なことを申し上げるということは、私は差し控えたいというふうに考えております。そこは、委員もかつて与党として活動されたわけですから、そういったことについては当然委員が私の立場なら同じ答えをされるというふうに思います。
  69. 山本一太

    山本一太君 いや、私が外務大臣だったらもっと率直に言っただろうと私は思います。  このタイミングで官房長官が町長に電話して、普天間基地以外の問題だったらこれはもうどう見たっておかしいと思いますので、ちょっと納得できませんが、より率直な北澤防衛大臣にお聞きしたいと思います。  これだけのことがあって、この徳之島が、普通で考えればこの徳之島は少なくとも政府の移設先の候補地の一つになっていると、これはだれがどう考えてもそうとしか思えないんですけれども、そういう解釈で、大臣、よろしいんでしょうか。
  70. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 山本委員の立場からすればそういうふうに思いたいんだろうなということはよく分かりますけれども内容については先ほど外務大臣が申し上げたとおりであります。
  71. 山本一太

    山本一太君 非常にお二人の大臣答弁は歯切れ悪いというか、本当におかしいと思います。もうだれがどう見ても、客観的に見れば、このタイミングで官房長官がわざわざ官房長官に地元の三町長に電話させると、これはもう普天間基地問題以外はもちろんないと思いますが。  そこで、また松野長官の御答弁を求めたいと思いますけれども前回質問で私、須川清司内閣官房専門調査員のことをお聞きしました。これ一月二十五日に、民主党の牧野聖修衆議院議員とそれからこの須川さん、この方々が徳之島を訪問して三町長を前に官房長官に会ってほしいと言ったわけですが、これは当然内閣官房としては御存じだったわけですね。
  72. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) 内閣官房としてそのことは存じ上げておりませんでした。
  73. 山本一太

    山本一太君 内閣官房として知らなかった。これもう愕然としますけれども、この専門調査員の業務というのは何なんでしょうか、そもそも。
  74. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) 専門調査員には二つ身分がございまして、要は公務として活動する場合、いわゆる政務三役、内閣官房の下に全員の専門調査員の身分を置かれまして、そしてその下で公務として働く場合には、官房長官なりの指示をもらって、そして公務として活動するということでございます。  ただ、私的な身分も持ってございますので、給料は全く公費では出ていないという状況でございますので、私的な身分の部分と、公務に関しては守秘義務だけは守らなければいけないということがございますので、公務としての身分と私的な部分の身分と、二つの身分がございます。
  75. 山本一太

    山本一太君 そうすると、今度須川さんが徳之島に行かれたというのは、これは、この旅費は公費で出たんじゃないということでしょうか。
  76. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) 昨日、山本委員から御指摘をいただきましたので確認をいたしましたところ、公費からの支出は一切ないということでございます。
  77. 山本一太

    山本一太君 そうすると、この須川さんが、資料をちょっとチェックしてみたんですけれども、沖縄とグアムに出張していると。このときは、今官房長官がおっしゃった、あれですか、公務になるわけでしょうか。これは公費で沖縄とグアムに出張しています。これは、普通で考えれば米軍再編とか普天間移設問題に係る出張というふうに推量できますが、そういうことなんでしょうか。
  78. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) その沖縄とグアムの出張に関して、まだ御通告いただいてなかったもので、細かい部分の確認はしてございません。
  79. 山本一太

    山本一太君 御通告いただかなかったって、須川さんの問題で質問すると言ったんですから、御通告いただかなかったというのはそれは不正確ですからやめていただきたいと思うんですが。これ、ちゃんと調べてください。私が調べたところでは、これは公費でグアムとそれから沖縄に出張していると。  今、官房長官が、専門調査員は公務の場合と私的な身分もあるとおっしゃいましたね。ただ、守秘義務だけは掛かっていると。これ、須川さん、公費でグアムとか、それから沖縄にも行っている。当然、官邸の内情にも詳しいし、政策もよく知っている。  この守秘義務って、じゃ、どうやって担保するんですか。一月二十五日に民主党の国会議員と行って、この中身、かなり具体的なことを話されたようにも私は聞いています。三町長から直接聞きましたから。こういうときにどうやって、じゃ、この方の守秘義務というものを政権として担保するんですか。
  80. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) その専門調査員が守秘義務を担保するということでございますけれども一般の公務員と同じように一応守秘義務というものが掛かっているという認識でございます。
  81. 山本一太

    山本一太君 全然答えになってないですね。公務員ですよね。公務員として知り得ることを軽々に外に漏らしちゃいけないということですよね。  これ、一月二十五日に、官房長官にも言わず、内閣官房も知らず、勝手に民主党の衆議院議員にこの人が付いていった。公費でグアムとか沖縄に出張するこの専門調査員が勝手に付いていったわけですよね。そこでかなりいろいろな話をしていると。これ、どうやって、だから守秘義務をこの人に守らせるんですか。それを聞いているんですよ。
  82. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) どういう内容を話したかということを私も把握をしてございませんけれども、ただ、公務員の身分と同じように守秘義務は担保されているはずでございます。
  83. 山本一太

    山本一太君 その守秘義務は担保されているはずですということ自体が非常に私はおかしいと思うんですね。  これ、また引き続き次の委員会でも質問させていただきますけれども、やっぱり公務の仕事と私的な仕事、例えば党務をやっていた方々が政調がなくなって専門調査員になったという経緯があったんですねとこの間お聞きしたら、松野長官はそういう経緯もありましたというふうにおっしゃっていますから、ここ、しっかりちゃんと分けていかないと私はおかしいと思います。  それから、もう一言言えば、官房長官が何か知らなかったということは、まあ普通は考えられない。官房長官が知らない間に専門調査員が、官房の、勝手に徳之島に行って、勝手に三町長に会っていろいろと議論をしている。しかも、官房長官に会ってくれと言っている。こういう物すごく乱暴で稚拙なアプローチが、この民主党政権の、徳之島の島民の人たちの気持ちを逆なでしているんですよね。ですから、ここは副長官、かなりきちっと調べてください。それで、公費でグアムと沖縄に行ったということも調べてください。  場合によっては、場合によってはですね、この須川さんのまた出席を求めたいと思いますけれども、果たして公務員として本当にこういう、一月二十五日に民主党の国会議員にくっついていって地元の町長三人といろいろ議論する、交渉する、これが本当に適切なのかどうか、本当にこのポジションにいていい人なのかどうか、そこら辺もしっかり詰めていきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  84. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) 御指摘の点、しっかり調べておきたいというふうに思っております。
  85. 山本一太

    山本一太君 来週も再来週もお招きいたしますので、是非、内閣官房のお立場をいろいろとお話しをいただきたいと思います。  ここで改めて委員長に申し上げたいんですけれども官房長官出席を改めて求めたいと思いますし、また、今日は松野長官前回よりも少し調べてこられたようですが、やはり須川専門調査員もここにきちっと来ていただいて、この徳之島の経緯についてはしっかり情報開示していただきたいと思いますので、そのことも要求をさせていただきます。  あと一分ありますので、外務大臣一言だけお聞きしたいと思います。  前回質問のときに、国連安保理非常任理事国入りの話をしました。今から二〇二〇年ぐらいまでアジア枠についてはもうほとんど埋まっていると。これについて日本政府としてどうするんですかと質問したら、それは言えないというふうにおっしゃったんですけれども、それは余りにも外務大臣答弁としてはそっけないというか味気ないというかですね、というふうに思いますので、一言、どういう戦略でいくのか、もう二〇二〇年までずっと埋まっちゃっていますから、場合によっては、今まで最長でも六年しか空かなかった安保理の非常任理事国のシートを日本が十年間失うかもしれないという状況ですので、これについてどういう戦略で臨むのかだけ簡潔にお答えいただきたいと思います。
  86. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) 私は、言えないというのは具体的なことは言えないと申し上げたわけでありまして、非常任理事国入りを目指すと、チャレンジするということについてはそのとき申し上げたはずでございます。  具体的にいつチャレンジするのか、どういうやり方でその目的を達成するのか、そういうことはまさしく今外務省が責任を持って考えるべきことで、そういう手のうちを公にするということができないことは委員もよくお分かりのはずだと思います。
  87. 山本一太

    山本一太君 この問題も引き続きやらせていただきたいと思いますが、今日は松野長官をお招きして、官房長官が電話したことも総理は知らなかったとおっしゃっていると。専門調査員が徳之島に行ったことも官房長官は知らないと。鳩山内閣、全く政策決定プロセスが機能していないなということを確認をさせていただきました。  引き続きまた質問させていただきますので、続けて真摯な答弁をお願いしたいと思います。  以上、終わります。ありがとうございました。
  88. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 先ほどの要望の件につきましては後刻理事会で協議いたします。
  89. 佐藤正久

    佐藤正久君 自由民主党の佐藤正久です。  条約に関する質問に入ります前に、まず普天間基地移設の問題について質問をさせていただきます。  今週の日曜日、二十五日に沖縄では普天間移設の県内移設等に関する集会が開かれるというふうに聞いております。防衛大臣、この集会については存じておられますか。
  90. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 報道承知しています。
  91. 佐藤正久

    佐藤正久君 防衛大臣は地元調整担当の大臣の一人であり、また沖縄の防衛局も抱えている。やっぱり関心がなければ絶対いけないはずだと思います。  じゃ、その二十五日の大会の開催の時期、場所、そして名称、これ目的関係していますので、これを御答弁いただきたいと思います。
  92. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) チラシその他が防衛省資料としてありますので、まさかそんな細かいことまで質問されると思いませんので、書類見付かり次第きちんと間違いのないように御答弁申し上げます。
  93. 佐藤正久

    佐藤正久君 これ、本当大きな、沖縄県民にとっては、この前も委員会でも指摘させていただきましたけれども、本当に皆さん一生懸命になってこの準備をしているんですよ。当然、沖縄の防衛局、大臣の部下の方たちもいろんな面で情報収集をされている。この委員会にも沖縄出身の委員の方もおられる。非常に目的、名称一つ取っても、それから思いが伝わる。名称は、米軍普天間基地の早期閉鎖・返還、県内移設反対と国外・県外移設を求める県民大会、そこに思いが入っているんですよ。午後の三時、まさに山内委員の地元の読谷村の運動広場で開かれる。これは本当に大きな大会で、防衛省も大きな関心を持っている。しっかり官僚の方々も、私が普天間移設のこれは質問をすると言っているわけですから、質問も取りにも来ないで、おかしいですよ。  そして、じゃ、その二十五日の当日、三時、防衛大臣はどちらにおられる予定ですか。
  94. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) このチラシ、普天間基地を国外・県外へ、私たちの意志を日米政府に示そう、四・二五県民大会、米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と、県内移設に反対し国外・県外移設を求める県民大会、場所は読谷村運動広場、実行委員会事務局という名称でこのチラシがございます。  それから、このとき私がどこにいるかというのは、まだ日程は決めておりません。
  95. 佐藤正久

    佐藤正久君 これ非常に大きな大会で、十万人を目指しているという報道もございます。事後のやっぱり沖縄の方の痛み、思いを共感するという意味では、ここをどういう形でその情報を収集しながら当たるかと。非常に大事な大会だと思いますので、しっかりと対応していただきたいというふうに思います。  これについては、また確認をさせていただきたいと思います。大臣は、先ほど覚悟を持ってやると山本委員答弁に答えられました。その言葉を信じたいと思います。  それでは、その二十五日の県民大会につきまして、平野官房長官が仲井眞知事に電話をされたと。喜納委員記者会見によりますと、知事に参加してほしくないと自粛を求めたという発表がありました。これは事実ですか。
  96. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) お答え申し上げます。  私の方では、そういう事実を承知してございません。(発言する者あり)  そういう事実を承知してございません、私は。
  97. 佐藤正久

    佐藤正久君 今、そういう報道があるんですね。事実だと、これが仮に本当に平野官房長官が参加をしてほしくない、自粛してほしいということを言っていたとしたら、これは大変なことですから。集会の自由はだれにも認められているわけですから。実際、平野官房長官は電話をしたということは認められていると。  これについては、どういう内容を、本当に今参加してほしくないということを言ったと、これについては後ほど確認の上、私の方にまた再度説明をしていただきたいというふうに思います。  これ本当大きなことで、知事が出る出ない、物すごくこれは、県内移設、目的が書いてあるように、早期の閉鎖・返還、そして県内移設反対、国外・県外移設を求めるという大きな大会で、議長もあるいは那覇市長もその実行委員の一人。知事が参加するしない、極めて大きいものです。それを中央政府の地元と調整の官房長官が電話をして万が一でも出るなと言ったら、これは大変なことだと思いますから。  防衛大臣、今のやり取りを聞いてどういう感想をお持ちですか。
  98. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 今、松野官房長官承知をしていないということでありますから、そういう事実はなかったのかなというふうに感じました。
  99. 佐藤正久

    佐藤正久君 松野官房長官は事実だと言ったんですよ。(発言する者あり)承知をしていないということですね。でも、これは先ほど通告しているんですよ、これを質問するから答えてくださいと。だったら、やっぱり官房長官が来ないと駄目だ。通告しているのに来ない、本当に。(発言する者あり)それを通告しているんですよ。それは今でも、今からまだ時間がありますから、事務方に聞いて確認させてください、通告しているんですから。これ二十五日のを聞きますと言っているんですから。
  100. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) 先ほど、そのような事実は承知していないというふうに答弁をさせていただきました。
  101. 佐藤正久

    佐藤正久君 だから、官房長官の方に確認してください、事務方いるんですから、委員会終わるまでに。じゃ、官房長官に、官房長官に聞いてくださいよ。官房長官が電話してないということですか、今、意味は。官房長官が電話をしたかどうか、そしてどういう内容か、確認できるじゃないですか、まだ時間があるんですから。何で確認しないんですか。
  102. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) そのような事実は承知していないという御答弁をさせていただいているわけでございます。(発言する者あり)
  103. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 佐藤君、続けてください。
  104. 佐藤正久

    佐藤正久君 私は、通告したのは、平野官房長官が二十五日の知事の参加について電話したかどうかと、これを通告していますよ。それについて代表して答えるって言ったじゃない、理事会で。それを承知して……。どうですか。おかしいじゃないですか。官房長官に代わって答えるって。おかしいじゃないですか。(発言する者あり)
  105. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) いやいや、今ずっとお答えをさせていただいているように、そのような事実は承知していないというふうに御答弁させていただいているんです。(発言する者あり)
  106. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  107. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 速記を起こしてください。
  108. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) 先ほどお答え申し上げた部分ございますけれども、ただ、一般論として非常にナイーブな問題でございます。多分、佐藤先生専門家でございますので一番よくお分かりではないかというふうに思いますけれども、そういう地元とのやり取り、これは、私は今承知しておりませんけれども一般論で申し上げて、地元とのやり取り、だれとだれがどういう話をしたということを余りお答えする、お答えは差し控えるべきではないかということでもございます。
  109. 佐藤正久

    佐藤正久君 先ほど、官房長官記者会見で認めたというメモが入っております。よく分かりません。言っていることが全然違いますよ。官房長官は電話したと午前中の記者会見でそう認めたというメモも入っているんですよ、詳しく分かりませんけれども。  だから、その辺りも全然閣内で、官房長官の代わりに来られているんでしょう。そういう理事会での約束なんですよ。だったら、もうすぐ確認するぐらいの行為があってもしかるべきですよ。  また、瀧野官房長官が徳之島の方に電話をした、それがテレビカメラの前でその映像が撮られたと。これは不幸かもしれません。だけど、その後、総理は、知らないと、知らぬ存ぜぬ、それは瀧野官房長官に聞いてくれと。余りにも冷たい。本当に内閣の閣内が、とりわけ官邸がうまく情報交換がされているのかと非常に不安を感じます。  非常に、この今の時期でまさに平野官房長官が知事に電話する、これは大きな話ですよ。中身は言える言えないは別ですよ。でも、電話したかどうか、それを官房長官が認めていると、らしいというメモまで入っていると。これは確認の上、後で説明を願います。  では、次の質問に行きます。  官房長官は、地元調整のスケジュール、これはあるんだと、安心してくれと決算委員会で明確に答弁をされました。防衛大臣も、確認をしたところ、そのスケジュール等は共有しているというふうに委員会答弁をされました。  現在の地元との調整状況、地元がどこかとは言えないでしょうけれども、地元との調整状況、スケジュール、これは当初の予定どおりですか、防衛大臣
  110. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 状況について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  111. 佐藤正久

    佐藤正久君 一昨日の山本委員への答弁だと、非常に地元との調整はいろいろ難しいということも言われて、その結果として五月末の決着の解釈も、総理とは違って、こういう方向で調整するというのを決めるのも一つの決着だということまで言われた。かなり発言がぶれているような気がしないでもない。  そういう中で、五月末まで総理は職を賭して頑張るという決意を言われた。しかも、それぞれの連立与党とも、米側とも、地元との合意も得る。あと四十日ありません。本当に必死にならないといけないという時期だと思います。一日でももったいないというような状況だと思います。そういう一日でももったいないという状況を、防衛大臣、地元調整担当の防衛大臣、お持ちですか。
  112. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 調整に時間が必要だということは全くそのとおりでありまして、でき得れば多くの時間をそれに費やしたいということでありますが、御案内のように、国会対応もありまして、大変厳しい日にちの中で努力をいたしております。
  113. 佐藤正久

    佐藤正久君 本当に、地元の調整とかアメリカの調整、本当に時間が足らないと、普通みんなそう思うと思いますよ。命懸けでやると総理まで言われた。国会というのは連休期間はありません。聞くところによりますと、防衛大臣はインドの方に外遊をされる、外務大臣は八日間アフリカの方に行かれるという情報も伝わってきます。  非常に時間がないという中で、こういう外遊というものとやっぱり地元調整、これをはかりに掛けたときに、本当にこれでいいのかなと。調整が予定どおり進んでいればそれはいいと思いますよ。でも、なかなかそうではない状況において、本当に外遊の方をされて、本当に受入先といずれ発表する地元の方々はどう思うかと。  防衛大臣、地元の方々の立場に立って、仮に防衛大臣が外遊されたらどういうふうに思われると感じますか。
  114. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 外遊ではなくて、インドの国防相からの招請で、国防相会談をすると、こういうことであります。
  115. 佐藤正久

    佐藤正久君 外遊の定義は別にしても、そういう非常に大事なときにアメリカ担当の外務大臣と地元対応の防衛大臣日本を離れる。それはやっぱり普通の国民からすると、とりわけ不安を感じている、受入先かもしれないと言われる人たちは非常に心が痛むと思いますよ。私はそれが普通の感覚だと思います。  そして、一昨日、確認しました。それで、二十五日の集会、反対集会、これが沖縄の方で開かれる。その反対集会が終わってから、総理の言われる腹案というものをまさか示すということはないでしょうねということを質問しました。ところが、明確な否定はありませんでした。ということは、二十五日の集会の前に発表するかもしれないし、もしかしたら、二十五日の集会が終わってから、その以降に腹案が発表されるかもしれない。おとといからもう二日たちました。昨日、鳩山総理も強い意思を表明されました。  防衛大臣にお伺いします。二十五日の反対集会の後に腹案を発表するということはないと明言できますか。
  116. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 岡田外務大臣、ありますか。(発言する者あり)
  117. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) 今の委員お話は私に関してのものでもありますから答弁させていただきたいと思いますが、外務大臣として様々な課題を抱えております。  私がアフリカに参りますのは、横浜で開かれたTICADⅣのフォローアップ会議、アフリカに対する支援というものをどうしていくかという非常に重要な会議で、アフリカ各国から外務大臣あるいは開発大臣が恐らく二十数名は集まる会議でございます。  もちろん、最終的にどうするかというのはそのときの状況判断するしかありませんが、何か外遊という言葉の中に、遊ということですから非常に軽いものであるかのような印象を与えるようなそういうことはやはりお避けいただきたいと思います。外務大臣も、そして防衛大臣も仕事をしっかりと行っていく中で優先順位を考えているということで、国民に誤解を与えかねないようなそういう発言は是非お考えいただきたいというふうに思っております。
  118. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 私のインド訪問についても、今、岡田外務大臣と全く同じでありまして、あたかもそのことがこの普天間の移設問題よりもはるかに軽い行動を取っているようなことを決め付けて言われるのは、私は、少なくても自衛隊員として海外にも行ったことのある佐藤委員の言葉とすれば、これは野党で与党をただ非難、中傷するということであれば分かるわけでありますが、国家のことを……(発言する者あり)  よろしゅうございますか。
  119. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 不規則発言は慎んでください。どうぞ。
  120. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 御存じだと思いますが、今日は、質問通告にもありますが、中国の艦隊が様々な行動を取っている中で、私とインドの国防相との間で中国の防衛力の増強そして行動について率直な意見交換もしておりましたんで、そういう意味では極めて重要なものと私は位置付けておるわけであります。  後半の質問は、私はただいまの状況で明らかにするわけにはまいりませんので、御理解をいただきたいと思います。
  121. 佐藤正久

    佐藤正久君 私は外遊するのが悪いとは一言も言っていませんよ。言っていませんよ。(発言する者あり)言っていませんって。ただ、こういうのがあると。だから、こういう場合、優先順位、当然考えると。  それで、やり方としては、本当に今五月末までに命懸けでやるという状況の中で、そこは当然最終的には判断をされる、それは政府の責任ですよ。それは、地元対応はじゃ副大臣にやらせるから大臣はこっちに行くんだとか、当たり前の話です、組織でやるんですから。それで、アフリカの方も八日間もある。だったら、場合によっては、一部は外務大臣が行って一部は副大臣かもしれないと。いろんなやり方はあると思いますよ。やることは、みんないろんな範疇やっているんですから。大臣一つだけって、それは無理ですよ。  ただ、今この状況の中で、やはり地元調整が非常に大事だと、アメリカの調整が大事だというときに、やっぱりそれを大臣が外国に行かれたときにどういうふうに地元の方が考えるかという部分もしっかり考慮要件の中に入れてやらないといけないと、当たり前だと思いますよ。いろんなことを考えて、最終的に決めるのはそれは政府ですよ。私は悪いなんか一言も言っていませんからね、今の質問の中で。あたかもそういうことを言うと、それは全くおかしいと思いますよ。  そしてまた、二十五日の前に言う言わない、これはややもすると徳之島の二の舞になりますよ。徳之島も、十八日の前だったら、町長が言うように官房長官と会う可能性もあったかもしれない、十八日過ぎたから無理だと言われました。だから、二十五日の集会の持つ意味というのは非常に大きいんですよ。集会が終わってから、嫌なことが終わってから、それから説明する。これはややもすると、こそくだというふうに住民の方は思うかもしれない。大臣たちが考えている以上にこの集会の準備、本当大変なんですから。どういう思いでどれだけの準備でやっているか、それは本当に理解していただきたいと思います。  そしてまた、十八日の徳之島の集会、これは当初は予定されていました。これが実は四月二十五日の沖縄の大会が終わってから五月に延ばそうという動きも一時ありました。ところが、やっぱり予定どおりに十八日に開くんだというふうに変わりました。防衛大臣、なぜそういうふうに変わったか、徳之島にも情報を持っているようですから、お分かりでしたら御答弁願いたいと思います。
  122. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 承知しておりません。
  123. 佐藤正久

    佐藤正久君 私が九日の日に三町長とお会いしたときのその話の中で、十八日に決めた理由一つとして、防衛省の地方協力局長から総務省の方を通じて会いたいという打診があったと。あっ、これはやっぱり腹案というのは徳之島の可能性があると、これが大きな判断一つだと言われていました。  地方協力局長はどういうねらいで徳之島の町長と会いたいというふうに言ったんでしょうか。
  124. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 局長は様々な人とお会いをしたりしておりますが、この件について局長がそのような指示を出したということはないというふうに私は報告を受けております。
  125. 佐藤正久

    佐藤正久君 では、町長たちは間違った情報に基づいて十八日の方に変更したという認識でよろしいですか。地方協力局長はそういうお願いをしたことはないと明確にここで否定すると。いいですか。
  126. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 今の質問は、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしまして、最初の質問は、町長が間違って聞いているということでありますが、それは、町長がどういうルートでそういうことを承知をしたか、私には分かりません。
  127. 佐藤正久

    佐藤正久君 もう一回聞きます。  じゃ、井上協力局長が総務省の方を通じて町長の方に会いたいという事実はないと明確に否定するということですか。
  128. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 私はそのように報告を受けております。
  129. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは非常に大事なポイントで、大臣が知らないところでそういうことがもしも行われていて、結果として十八日の大会が行われたと。これはもしかすると物すごく大きな、普天間基地の移設交渉において大きな影響を与えたかもしれない。  是非確認してください。確認の上で、再度この委員会の場で答弁をしていただきたいというように思います。また聞きます。これ本当、大事なポイントですから。承知をしていないんではなくて、確認をしてください。
  130. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 答弁も正確に聞いていただきたいんですが、承知をしてないとなんて言っていませんよ。そういう報告は受けていませんと、こういうふうに申し上げた。
  131. 佐藤正久

    佐藤正久君 じゃ、再度確認をして、この委員会で報告を、答弁をしていただきたいというように思います。  非常にこれは大きなポイントで、十八日の集会がもしかしたら五月だったかもしれない。それは腹案が徳之島かどうか分かりませんよ。でも、それが徳之島であるという状況になっていくとしたら、かなりこれは大きな、私は、大臣の知らないところで動いている一つの大きな要因だと、結果に大きく結び付く要因の一つかもしれないと思います。またこの件については委員会の方で質問をさせていただきます。  それと、総理は、昨日の党首討論の中で、徳之島の方々に不安を押し付けて申し訳ないと言いながらも、徳之島案というのを否定しませんでした。否定しませんでした。抑止力、地政学の観点から沖縄からは遠く離れられない、しかし極力県外の思いは持っていると言われました。  防衛大臣は、抑止力の観点あるいは運用面の観点から総理を支える立場の閣僚です。地政学上あるいは抑止力の観点から沖縄から遠く離れられない。大体どのぐらいのイメージですか。
  132. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 委員会でも再三にわたって申し上げておりますが、沖縄を中心にして一定の地域でないと海兵隊の持つ能力を担保することはできないというふうに申し上げております。
  133. 佐藤正久

    佐藤正久君 その一定とはどのぐらいの範囲ですか。
  134. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) それは米軍、なかんずく海兵隊が活動を円滑にできる範囲ということであります。
  135. 佐藤正久

    佐藤正久君 報道ベースでは、アメリカの方は六十五海里、地上部隊とヘリ部隊の距離は六十五海里ということを提示しているという報道ありますけれども、これは事実ですか、防衛大臣
  136. 北澤俊美

    国務大臣北澤俊美君) 今朝の新聞で見ましたが、私は承知しておりません。
  137. 佐藤正久

    佐藤正久君 全部の流れがですが、どう考えても徳之島と。先ほど山本委員が言われましたけれども、抑止力の観点から沖縄から遠く離れることはできない、明確に徳之島案を否定しない、瀧野官房長官が電話をしている、そしてまた、平野官房長官記者会見で徳之島入りも否定しない色気を見せている。ベクトルが何かずうっと徳之島の方に向いている。不安なんですよ、皆さん。なかなかそれを、腹案を明らかにしない。どれだけ今徳之島の方々が不安に思っているか。そこは真剣に考えてこれからの行動を取っていただきたい。総理は命懸けで臨むんだ、防衛大臣も覚悟を持って臨むと言われました。これ、本当重たいと思いますよ。  そういう中で、地元調整は非常に大事だと思います。やり方も非常に考えないといけないと思いますよ。瀧野官房長官は、まさかテレビが、前で町長が話をしているとは思わなかったと認められました。私は信じられないのは、官邸の方が徳之島にどれだけプレスの方が入っているか、そういうことを承知していないのかと不安になりました。普通、地元調整をやる、そういう担当の部署であれば、当然そういうのは考慮の上でいろいろ交渉をやる。  官邸の方は、そういうマスコミがどれだけ徳之島の方に入っている状況確認していないんですか。副長官、お願いします。
  138. 松野頼久

    内閣官房長官松野頼久君) もちろん様々な地域の様々な状況というものはなるべく把握しようというふうに努力をしているところでございます。
  139. 佐藤正久

    佐藤正久君 やはりある意味、危機管理が本当危ないんじゃないかというふうに感じてしまいますよ。今、地元調整、非常に微妙なのに。相当なプレス入っているんですよ、昨日の党首討論のときも各町長のところにテレビカメラがあるぐらいですから。そういうことを分かった上でやらないと。みんな不安なんですから。否定をしない、役人の方がアプローチをする、そういう中で本当に痛みが分かっているのかという感じがします。  時間ありませんので、中国海軍の艦艇の動きについて質問させていただきます。  二十一日に再度、中国海軍のヘリが「あさゆき」に近接しました。これは八日と同様、非常に危険な行為です。隊員の安全にもかかわる行為です。だから直接、八日の日は現場の艦艇から途中を飛ばして統幕の方に速報が上がっている。八日の近接を受けて、外務省の方は十二日から十四日まで四回も申入れをしたというふうに説明を受けました。なぜ四回も申入れをしたのに、また二十一日再発したんでしょうか。外務大臣の所見をお伺いいたします。
  140. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) なぜそういったことが二度繰り返されたかということは、それは中国側でないと分かりませんので、私から責任ある答弁はできません。
  141. 佐藤正久

    佐藤正久君 じゃ、この二回目が行われたと。どういう認識をお持ちですか。
  142. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) こういった、八日に起きて、また立て続けに二十一日も起きたと、同様の事案が立て続けに発生したということについて、外交ルートを通じて中国側に抗議を行ったところであります。
  143. 佐藤正久

    佐藤正久君 今回の、私は、二回もされる、ある意味、それまでのいろんな流れ、潜水艦が浮上して沖縄本島と宮古島の間を通る、そういうのを含めましても、やっぱりある意味、示威行為という的な判断もできるのではないかと。  それに比べて、政府側の対応が遅く、抗議も弱い。前回の四回の申入れも、確認という程度の弱いものだと。この事案が隊員の命にかかわる危険な行為というような認識を本当に中央が持っているのかという感じがします。実際、だから現場の方は危ないと思ったから直接すぐ上げているのに、それから、八日から申入れまで四日も掛かっている。しかも、外務大臣に報告があったのは四日後だと、十二日だと。余りにも危機管理意識が薄いと思います。しかも、国民への発表も、八日から五日たった十三日と。  これは、中国はやっぱり日本側の反応見ていると。遅いな、弱いな。ましてや日中首脳会談でも、事務方の方が一生懸命説明したのに、首相は直接的に取り上げなかった。  いろんな要因、これはやはり余りにも日本の対応が遅くて弱い。特に、防衛省の中央と事務方と外務省の事務方、この間の連携、危機意識、少ないというふうに、外務大臣、思いませんか。
  144. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) 今委員いろいろおっしゃったわけでありますが、首脳会談に関しましては、鳩山総理から胡錦濤主席に対して、防衛当局間の海上連絡メカニズム創設といった、東シナ海における日中間での危機管理メカニズムの構築を進めていく必要があるという指摘を行ったところであります。その思いというのは当然八日に起きたこと、あるいはその後起きたことについて認識をしたからこそこういう提案を行ったということであります。  我々が危機意識が薄いというのは何を根拠に言っておられるか分かりませんが、我々はこういったことについてきちんと対応してきた、そういうふうに考えているところでございます。  そして、委員にちょっと私、前回、立て続けて二回言われましたので、少し考え方が違うのかなと思ってお聞きしましたのは、潜水艦が海上に浮上してそして通ったということを示威的行為というふうに委員はとらえられているようでありますが、もちろんそういう見方も可能かもしれませんが、普通、潜水艦が浮上して航行するということは、例えば領海上を潜水艦が通過するときは海中ではなくて浮上して航行しなければいけないと、国際法上、そういうふうに考えられていると思います。そういうことも考え合わせると、必ずしも示威行為と考えるべきなのかどうか、もちろん通ったのは領海ではありません、公海上ではありましたけれども、そこは少し考え方、違う考え方もあるのではないかというふうに私は思っているところでございます。
  145. 佐藤正久

    佐藤正久君 今の、外務大臣は全然危機管理の問題はなかったという答弁だったというふうに感じます。本当ですか。でも、外務委員会の、衆議院の方ではそれは危機管理意識が薄かったというふうな答弁をされているのに、今度は参議院の方ではまた違うことを言われる。  だって、八日の日に防衛省から外務省の方に連絡が行って、大臣に上がったのは十二日でしょう。四日間ですよ。隊員の命の尊さ、本当分かっているのかということを言いたいですよ。本当危ない行為なんですよ、これは。だから現場は速報で上げた。防衛省の方も八日の日に外務省に伝えて、申入れをしてくれと言っているじゃないですか。  防衛省の方も、この渡したペーパーを見ていただきたいんですけれども、八日に事故が起こった。なぜ、発表が十三日、遅くなったんですかと聞いたところ、事態対処課長は二つのことを言われました。艦艇の訓練が続いているんだ、一つの区切りが付いてから発表すればいい。もう一つは、外務省の方に申入れをしている、申入れの状況を見てから発表すると。二つのことを言われました。  非常に疑問を感じました。本当に隊員の命を、重要性を感じているのかと。八日、起きたらすぐ発表していいでしょう。実際に、二十一日のときはその日のうちに発表しているじゃないですか。何でこう発表の基準が違うんでしょうか。  防衛省、この発表の基準の違い、八日の日は五日間掛かって、今回は即日。その理由が、外務省の申入れを待っていた、あるいは一連の行動を待っていた。これ本当なんですか。
  146. 長島昭久

    大臣政務官(長島昭久君) 佐藤委員も御経験があろうと思いますのでよくお分かりの上での御質問だと思いますけれども、七日から八日まで訓練していたわけです。そしてその後、八日に「すずなみ」に対して接近行為が行われた。これは危険な行為だということで、直ちに統幕に来た、そして内局に言った、そして官邸にもその日のうちに知らせた、外務省にも知らせた、これが一連の行為であります。  発表がじゃそれから五日たったのはなぜかと。理由は今委員が事態対処課長から聞いたということでお話しになったその二点に尽きるわけですけれども一つは、危険な行為があった、その後まだ彼らの行動が続いている、そして沖縄本島と宮古島の間を抜けて太平洋に進出している。一つの行動全体を把握して、それがどういう意図に基づいたものなのか、どういう事実なのかということをきちんと整理をした上でないと、それは軽々しく公表などできない。これは御理解いただけると思います。  あわせて、これ、仮に公表しましたと、そうしたら、恐らく佐藤委員は、じゃ抗議したのかとかいう、こういう話に当然国民の皆さんもなるはずなんです。ですから、外務省からきちんと申入れが終わっていることを確認した上で我々は国民の皆さんに対する公表に踏み切った、このように御理解いただきたいと思います。
  147. 佐藤正久

    佐藤正久君 全く理解できません。九日の日にはせずに、二十一日は発表しているじゃないですか。だから九日に発表して、隊員の命と外務省の調整、どっちが大事なんですか。危険な行為なんですよ。こういうことをやはり中国側に伝えるためにも、やっぱり二十一日と同じように九日の日に発表する。当たり前ですよ。しかも、一連の流れが続いている。十日に抜けた。十日に発表すればいいじゃないですか。また、十二日に申入れをした。十二日に発表すればいいじゃないですか。何で十二日じゃないんですか。  あたかも、こう見ると日中首脳会談が終わるのを待って発表したようにしか見えない。ずっと中国は日本の対応を見ている。対応が弱い。何にも発表もしない、申入れもない。そういうふうにやっぱり見られてしまう。何で、九日の日に一回発表をして、また十日の日に発表したっていい。抗議、中国への申入れ、そんなのはやっていますと、今調整中ですと、いいじゃないですか。隊員の命と現場のその思いというのが全く中央が分かっていないんじゃないかと。速報上げたこの時日、全然二十一日と八日、おかしいと思いますよ。  理由をもう一度お願いします。
  148. 長島昭久

    大臣政務官(長島昭久君) 前段につきましては、現場の思いを中央が分かっていないと、それは元自衛官のお立場からの御感想なのかもしれませんが、これは我々も現場の危険性ということを十分そんたくした上で、その上で公表に踏み切るに当たって事実関係にそごがないかどうかきちっと調べる、そういう時間的なものは必要だと、このように理解をしておりますので、そこは御理解いただきたいと思います。  それから、早まった理由は、これは当然のことながら、連続して起きたわけです。初めての事例と違って、二度目だったわけです。ですから、私どももこれは早く申入れをしなきゃいけないということで、これは外務省の方もそのように考えて、一連の活動と併せて事実関係を整理した上で、二回目ですからね、整理の時間もそんなに掛からなかった。そして、外務省は、中国への申入れ、その日のうちにやったわけです。そして、私どももそのことについて公表したわけです。  現場の危険性、隊員の命を軽んじて、外務省との申合せのタイミングに合わせてと、そちらを優先したわけではありません。両方そんたくした上で、タイミングとしては外務省の申入れの後にきちんとした情報を整理した上で公表に踏み切った、このように御理解いただきたいと思います。
  149. 佐藤正久

    佐藤正久君 防衛省の方は、事態対処課長は、いろいろそのやり取りをして調べるのにやっぱり数時間掛かったと。だから、それを調べてから大臣に報告をして外務省に申入れしたと言うんですよ、八日中に。だったら隊員の命を考えたら、九日にやってくださいと何でアプローチしないんですか。おかしいですよ。大臣のところに行ったのが十二日なんですよ、外務大臣の方に報告されたのが。九日の日も平日ですよ。そう考えたら、八日中に外務省の方に要請しているんですよ。何でそういうところを、早く申入れしてくれ、働きかけないんですか。逆に外務省の方の課長に聞いたところ、外務省の方は、発表を外務省の申入れが終わるまで待ってくれとは言っていないと言うんですよ。全然合っていないじゃないですか。  九日の日、申入れしましたか、外務省の方、早くやってくれと。
  150. 長島昭久

    大臣政務官(長島昭久君) 佐藤委員、これは単に軍事的な観点だけでこの問題とらえることはできないと思うんです。軍事的な問題でももちろんありますけれども、もちろん国際政治がかかわる問題なんです。外交の問題でもあるんです。そういうことを総合的に勘案して私たちは行動をしているということを是非お考えいただきたいと思います。
  151. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) 今の議論を聞いておりまして、まるで我々政府が自衛隊員の命を軽んじているかのような、そういう御質問は私は容認できません。  これはまず、今回の事故が起きて、継続的にそういうことが繰り返されていたということであれば、委員の言うようなこともあるいは当たるかもしれませんが、取りあえずそれが一回起きた。そして、そのことについての事案の法的評価を行う必要もあったわけであります。そして、どういうふうに申し入れれば最も効果的かということを考えて、十二日に本省の幹部が在中国大使館の公使とともに外交部幹部に直接申入れを行ったということであります。  今、長島政務官も言いましたけれども、どのようにして抗議を行うべきか、それが最も適切かということはまさしく政府の中で考えるべきことでありまして、我々は自衛隊員の命を軽んじる、そんなことは全く考えておりませんし、そういう誤解を招きかねないようなそういう発言は是非慎んでいただきたいというふうに思います。
  152. 佐藤正久

    佐藤正久君 全く私は理解できません。実際、外務大臣は、衆議院の方では危機管理上問題があったと発言しているじゃないですか。何で答弁が変わるんですか。実際、外務省の職員から外務大臣が報告を受けたのは四日後でしょう。これだって普通ですか。それをもって、私はもっと連携すべきだと。防衛省の方も早く申入れをやってくれというふうに言うべきだし、それも言っていない。片や外務省の方は申入れまで発表を待ってくれなんか言っていないと。全然合っていないじゃないですか。
  153. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 時間が過ぎておりますので、質疑をまとめてください。
  154. 佐藤正久

    佐藤正久君 今回の事案、いろんなことを考えても、日本の対応の遅さ、弱さ、中国への過度の配慮という部分がいろんな形で中国の動きを増長しているという危惧がぬぐえません。これについてはまた部門会議の方でも引き続き調査をしていきたいというふうに思います。  以上で質問を終わります。
  155. 榛葉賀津也

    ○副大臣榛葉賀津也君) 我々も現場の隊員を思って当然行動し、外務省に申入れをしているわけでございますが、先ほど長島政務官が答弁したように、外交的な問題、トータルを考えてやはり外務省でも判断をされている。  やはりそのときそのときによって、公表のタイミングというのはそのときの状況によって変わりますから、過去の事案においても、二〇一〇年三月十八日の場合は翌日にすぐ発表をされています。他方、その前の年の二〇〇九年六月十九日のケースは、十九日に進んで、帰りが二十五日でした。これ前政権ですが、発表は一週間後の六月二十六日に発表をされています。  ですから、ケース・バイ・ケースでこういった発表のタイミングというのはやはり変わってくるということは是非御理解をいただきたいと思います。
  156. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  最初に、日・ロ、日・EU刑事共助条約協定について質問したいと思っていますが。  この条約締結されますと、従来は国際捜査共助に関する法律の適用で共助を行っているわけですね。変更点が二点ありまして、一つは、従来はまず外交ベースがやるというものが、今後は中央当局、つまり法務大臣国家公安委員長などが共助についてできるというふうになるわけですが、もう一点あるのが、いわゆる双罰性の問題なんですね。  つまり、国際捜査共助に関する法律の場合は、第二条第二号に書いてありますように、両方の国でいわゆる双罰性がないと共助ができないということになっているわけです。ところが、この二国間協定条約が結ばれますと、双罰性の要件がない場合には共助を断ることができるなんですね。断らなくてもいいということのそういう理解ですが、このとおりでよろしいんでしょうか。福山大臣から御答弁いただきたいと思います。
  157. 福山哲郎

    ○副大臣福山哲郎君) そのような判断でよろしいと思います。
  158. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ということは、日本国内法制がなくても、日本の治安当局なり法務大臣判断でこれは捜査をすべきだということについては捜査ができるということだと思うんですね。  それで取り上げたいのが、いわゆる国際組織犯罪防止条約関係なんですよ。  この条約については、既にアメリカ、中国、香港というのは加盟しています。今回の対象になっているロシアEUも加盟していると。ところが、日本は加盟できてないんですよ。理由御存じのように、当時民主党さんが反対されて国内担保法ができなかったという状況があるわけですよ。これを今日は挙げたいと思っているんですが。  まず、今までの過去の経緯を聞きたいんですが、既にこの二国間条約がある米国、中国、香港について、こういう、先方からこの国際組織犯罪防止条約の関連で刑事共助要請があったかどうか、二国間協定条約に基づいて。それについてまずお聞きしたいと思います。
  159. 福山哲郎

    ○副大臣福山哲郎君) 御指摘米国、中国、香港からのマネーロンダリング等に係る犯罪についての共助要請を受け、共助実施した事例は存在すると承知しております。
  160. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 外交当局から、そういう要請があって捜査をしたという事例はあると答弁ありました。  じゃ、その要請を受けて、国内で法務大臣として判断をして捜査をしたかどうか、それぞれ、法務副大臣国家公安委員長から御答弁いただきたいと思います。
  161. 加藤公一

    ○副大臣(加藤公一君) 御指摘の国からのマネーロンダリングなどを含めました組織犯罪共助要請を受けてそれを実施をした事例はあるということは福山大臣からの御答弁のとおりでございまして、法務省としても同じようにお答えをさせていただきたいと思います。
  162. 中井洽

    国務大臣中井洽君) 警察におきましては、これまで米国、中国及び香港との関係刑事共助条約に基づきマネーロンダリングに係る共助要請を受け、共助実施したことはありません。ただ、日本から香港へ共助要請したことはございます。
  163. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今、大臣から日本から香港に共助要請した例があるとありますけれども、そういう場合は、日本には法制上これを規制する法律がないんですが、それでも共助要請するとしたわけですね。
  164. 中井洽

    国務大臣中井洽君) 個々の事件については詳しく申し上げられませんが、一件あると承知をしております。
  165. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 じゃ、今後の話をお聞きしますが、同じように今後、条約協定ができますと、ロシアEUとの関係で、国内には担保法がありませんけれども、また我が国はこの条約に入っていないけれども、このマネーロンダリング等の案件でこの二国間から要請があった場合、日本として積極的にいわゆる共助を行うと、また、場合によっては先方の国に対して共助要請するということがあり得ると、またそういう姿勢であるということを確認したいんですが、これ御答弁、どなたですか。
  166. 福山哲郎

    ○副大臣福山哲郎君) 委員指摘のように、国際組織犯罪に対し我が国ロシアEU各国協力して対処していくことは非常に重要であるというふうに思っておりますし、今回の条約共助協定においては、被請求国条約に規定する共助拒否し得る場合を除き請求された共助を速やかに実施する義務を負うというふうに思っております。  これらの条約の下で、ロシアEU加盟国から国際犯罪組織に係る刑事共助の請求がなされる場合には、この義務を履行するため、条約の規定に従って適切に対応することとなるというふうに承知しております。
  167. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 国内法制を見ておられる法務副大臣としてはいかがですか。
  168. 加藤公一

    ○副大臣(加藤公一君) 御指摘のようなケースにつきましては、日本EU刑事共助協定におきましては、強制処分についてのみ双罰性を欠くことは裁量的拒否事由ということになってございますし、また日・ロ刑事共助条約につきましては、強制処分及び任意処分共に双罰性を欠くことは裁量的拒否事由ということになってございますが、いずれにいたしましても、法務大臣共助を行うか否か判断をしていくことになりますので、これは、もちろん個別具体的な個々の事情に基づいて判断をすることではございますけれども共助実施することが相当な事案につきましては、今申し上げた双罰性を欠くようなケースであったといたしましても積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
  169. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今までの御答弁で、国際組織犯罪、いわゆるマネーロンダリングについてやはり日本は積極的に対応すべきだと思っているんですね。ところが、これが残念なことに、国内担保法ができなくて条約加盟ができていないと。私はちょっと問題だと思っているんですよ。  今お聞きしましたら、とはいうものの、二国間協定の結果を受けて捜査共助をしているし、要請もしているということなんですから、そろそろこのことについて民主党さんも与党になったんだから決着を付けられたらどうですかということなんですよ。この点について中井大臣に聞いてもいいですか。
  170. 中井洽

    国務大臣中井洽君) 極めて個人的な答弁になって恐縮ですが、当時、民主党内にもいろんな意見があって、与党から修正等のお話もかなりあり、また当時、衆議院の法務委員会はかなりぎすぎすした関係にあってなかなかこういう難しい法案をじっくりと相談できる環境でもなかったということもあって、かなりの方が御努力いただいたんですが、残念な結果に終わったと。  過般、アメリカからもさる長官がお見えになって、この法案のことについてのお申入れもございました。また、いろいろな外国のこういう捜査関係の方がお越しになると、やはり言及がございます。私どもも、そういった状況にかんがみて、政府内あるいは与党内、十分議論を進めるべきだと私自身は考えています。
  171. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 柔軟に検討していきたいという趣旨の御答弁をいただいたと思っているんですが、外務大臣としてもいかがでしょうか。この条約日本が入っていないというのは、いわゆる自由主義経済国第二位の立場にありながら、マネーロンダリングというものはやっぱり国際連携をしてしっかりと取り締まっていくという必要があるんですが、外務大臣の御決意をお聞きしたいと思いますが。
  172. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) 委員指摘の、マネーロンダリングを防ぐということはそれは重要なことだというふうに思います。ただ、一方で国内法というのを拡大していく。刑法というのは非常に厳格な構成要件の下で適用されるというものでありますから、その解釈が非常に広がるようなそういう余地を無制限に認めるべきでないと。これは人権という観点からすれば当然そういうことも考えなければならない。そのバランスをどういうふうに取っていくかという問題だと思います。  こういう問題は与党、野党ということではなくて、立場は変わりましたが、我々も与党になって学ぶことも当然ありますし、与野党でどういった現実的な解決が可能かよく話し合っていただくべきそういう事案ではないかというふうに思っております。
  173. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 是非、これについては、与党になられて各国からどういう要請があるかということを肌身で感じられたと思いますから、これについてはちょっと検討を進めていただきたいと思っています。  次の話に移りたいと思っておりますが、まず、日・タイ受刑者移送条約関係なんですけれども、これ見ますと、薬物事犯が物すごく多いんですよ。タイにいる日本受刑者二十名中十三名、三分の二が薬物事犯。二〇〇〇年から二〇〇九年までの十年間の日本受刑者百六十名全体を見ても百十九名という、四分の三が薬物事犯なんですね。  それで、この関係でいうと、中国で四月六日に一人、九日に三人、死刑執行があったわけですよ。  この件でまず法務副大臣にお聞きしますけれども、中国では覚せい剤五十グラム以上の密輸に対して懲役十五年から無期懲役又は死刑となっていますが、同様の犯罪の場合、日本の場合はどういう罪刑となっていますか。
  174. 加藤公一

    ○副大臣(加藤公一君) もう先生も十分御案内のとおり、我が国におきましても覚せい剤の密輸等については厳格な規制が設けられてございます。  具体的には、覚せい剤取締法の四十一条に規定がございまして、営利目的による輸出入、製造については、無期又は三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金と。これが業として行われる場合につきましては、無期又は五年以上の懲役及び一千万円以下の罰金というように定められております。
  175. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今答弁ありましたように、死刑はないんですよね。このような刑罰の重さの違いというのはあるんですが、これをまず外務大臣、どのように受け止められますか、特に中国の関係で。
  176. 福山哲郎

    ○副大臣福山哲郎君) これはもうそれぞれの刑法ですから、主権の問題ですので、各国がいかなる犯罪にいかなる刑を科すかは基本的には各国における犯罪情勢や刑事政策等を踏まえて決められるべきものであって、国内問題に属する問題であると考えております。
  177. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 国内問題ということなんですが、それではお聞きしますけれども、この薬物事犯で我が国に比して厳罰化されていまして、死刑まで規定されている国というのをこれちょっと読み上げていただけますか、福山大臣。その中で、特に我が国受刑者がいる国、過去十年間で。
  178. 福山哲郎

    ○副大臣福山哲郎君) 過去十年間に邦人受刑者がいた国・地域のうち、平成十四年に行った調査の時点で、薬物犯罪の最高刑として死刑が規定された国・地域は、ベトナム、シンガポール、タイ、大韓民国、中国、フィリピン、マレーシア、台湾、アラブ首長国連邦でございます。
  179. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今言われた八か国・地域が日本受刑者がいた国ですけれども、それ以外を含めると、二十二か国・地域、死刑があるんですね。  それで、実は今回、中国で残念なことに四名が死刑になったわけですが、果たしてこのことを日本人が知っているのかということなんですよね。余りにも軽い気持ちで薬物に海外で手を染めて死刑まで受けているということは問題じゃないかと。この辺についての普及啓蒙というか教育がどういうふうにされているんでしょうか。外務大臣にお聞きしたいと思いますけれども
  180. 福山哲郎

    ○副大臣福山哲郎君) まさに委員の御指摘はそのとおりでございまして、外務省としては、海外安全ホームページや各在外公館のホームページで国別に薬物犯罪事例や留意事項等を掲載するとともに、「海外安全虎の巻」など海外安全パンフレットの配布を通じて薬物犯罪に対する量刑等を紹介しつつ、薬物にかかわらないよう注意を喚起しておりますし、実際、この間の中国での死刑執行された後ですが、岡田大臣からは、海外においては薬物犯罪というのは非常に量刑の面で重くしている国が多いということ、それから、特にアジアの地域では最高刑が死刑となっている国が多いことを承知した上で、余り軽はずみな行動を取らないようにというようなことを強く大臣からも会見の場で申し上げた次第でございます。
  181. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 でも、何となく外務省が積極的にやっている感じはしないんですよね。だって、今の答弁だって、大臣答えてと言ったのに副大臣だったじゃないですか。  そういう意味では、中井大臣にちょっとお聞きいたしたいんですけど、警察がやっぱりしっかりやらなきゃいけないですよね、国内だけじゃなくてね。やっぱり警察の言うことというのはみんな一般の人はよく聞くんですよ。海外に行くとこれは死刑なんですよということを併せて、国内だけで「ダメ。ゼッタイ。」じゃなくて、海外についてはこれ厳しいんだということは警察も協力してしっかり普及広報をやるべきと思いませんか。
  182. 中井洽

    国務大臣中井洽君) 承っておきますし、一度研究して、どういう方法や手法があるか考えてみたいと思っています。  なお、こんなときで恐縮ですが、中国の過般死刑になりました人の中に、八王子の惨殺の事件について証言があるといったことについても、私どもは十分、中国当局の御協力を得て調べてございます。私も死刑で抗議あるいは頼みをしなくてもいいのかと確認を取りましたが、あの件については余りきちっとした証言ではなかったということがございまして、私自身は余りあの死刑の問題に関与しなかったというところであることを付言申し上げます。
  183. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 しっかりと外務省と警察も連携しながらそういうことを、基本的にはこういう薬物事犯、特にこういう密売については厳罰で臨むというのは重要だと思っています。しかし、それをしっかり認識させるということも併せてやらなければ、軽はずみというのはなくならないと思いますので、ここは厳しくお願いしたいと思っております。  次に、薬物の国内対策に話移りたいと思っているんですが、国内受刑者に対する薬物依存症離脱プログラムというのが実施されてきていると思うんですが、この実施時間が非常にほかのカリキュラムに比べて短いんじゃないかと、こういう批判があるんですが、現状及び改善の方向について法務副大臣から御答弁いただきたいと思います。
  184. 加藤公一

    ○副大臣(加藤公一君) 御指摘のほかのプログラムと比べて短いというのが、比較の対象がちょっと私承知していないものでありますから、薬物依存症離脱プログラムの現状について少し御説明をさせていただきたいと思いますけれども。  現在、一単元を五十分といたしまして、それを十二単元というのを一つの標準プログラムとしてこの薬物依存症離脱プログラムというものをまとめてございます。これを約、ケースによってですが、三か月から六か月の期間を掛けて実施をいたしておりまして、その内容につきましては、ダルクなどの民間自助団体の御協力どもいただきながら、例えばグループワークであるとか、講義もありますし、それから、いわゆる視聴覚教材というものを使うケースもございますし、また、あるいは個別の面接、面談なども実施をすると、こういう方法を適宜組み合わせてこのプログラムを運営をいたしております。  その中で、薬物の依存症についての理解を深めたり、あるいは薬物使用に関する自己洞察をする、あるいは薬物使用の影響について理解をさせる、そして何よりも再犯防止についての方策について指導するというようなことを実施をいたしております。これがまだ始まってからそう長期間たってございませんけれども、既にスタートいたしておりますが、データの蓄積を進めまして、どういう効果があるのか、あるいは改善するべき点はどんな点なのかということも今後検討してまいりたいと思いますし、その時間の幅につきましても、今のままが本当に適切かどうかということもその中で検討、検証をさせていただきたいと思っております。
  185. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 特にお聞きしたいのは、まず薬物事犯者全員受けられているのかと、このプログラムはという一点と、もう一点は、最低何時間は受けられるかと、この二点、明確に御答弁願います。
  186. 加藤公一

    ○副大臣(加藤公一君) 最低は、今申し上げた一単元五十分掛ける十二単元というのが一つのプログラムでございますので、それを受けるということになれば、それがワンセットということになります。  今申し上げたのは矯正施設の中の話でございますので、これは薬物犯罪で収容された場合にはこのプログラムを受けてもらうということにしてございますが、また保護観察などで社会での処遇をしているケースにつきましては、その特別遵守事項にプログラムを実施をするようにということになっておりますれば、それは保護観察の中で実施をしてまいりますし、またその規定がなくても御本人が希望すればそれも受けられるという対応もさせていただいております。
  187. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今、最低十二単位、十二時間というのは長いかどうかというところなんですよね。非常に短いと思いますね。  実は、このタイタイという国はこの薬物依存プログラム、薬物の犯罪者全員に行われていまして、かつ一・五年の長期プログラム又は六か月の短期プログラムあるんですよ。こういう期間を掛けているんですよ。再犯防止に効果を上げていまして、一・五年のプログラムを受けた人の再犯率は四%に減っているんですよ。これ日本ももうちょっと勉強したらどうですかね。むしろ、これ受刑者移送しない方がいいんじゃないかということを言われちゃいますね、これだと。日本のプログラム遅れています、本当に。  同じように、日本人の受刑者の人数が多い中国又はフィリピンなんかの状況でも、いわゆる保健関係の部局との連携がちゃんと取れているんですよね。その辺が本当に日本でされているのかと。  例えばフィリピンの場合も、裁判所の指示に基づいて十八か月を超えない期間にアフターケアを実施される、この期間中にリハビリに成功した場合には訴えを免れて退院できるという、こういうこともされているんですよ。中国の場合でも、麻薬の自己使用に対しては、犯罪としての処罰ではなくて、行政処罰ということで麻薬中断措置を中心に実施されているという考え方なんですね。いわゆる密輸に対してはもう厳罰でやる、しかし中毒患者についてはむしろ依存症としてしっかりとケアをしている。というのが、何となく日本は、中毒患者の方は、「ダメ。ゼッタイ。」と言うだけで、このケアが十分にされていないというのが、非常にこれタイやフィリピンよりも遅れているという状況なんですよ。この辺、関係省庁と連携してほしいんですね。  特にそれを強く感じたのが、いわゆる初犯の方、初犯は執行猶予になるわけですよ。この薬物事犯で執行猶予になっている方の大体の人数、そのうち、こういう中毒依存からのプログラムを受けている比率はどれぐらいあるんですか。
  188. 加藤公一

    ○副大臣(加藤公一君) まず冒頭、先に申し上げておきたいと思いますのは、先生の今の御指摘といいますか問題意識は私も全く同感でございまして、大変有り難い御示唆をいただいたなというふうに思っております。  その中で、御質問の数字でございますけれども、平成二十年、一年間、これ暦年でありますけれども、暦年一年間で、大麻取締法、麻薬及び向精神薬取締法、覚せい剤取締法、あへん法、いわゆる麻薬特例法の各違反被告事件におきまして執行猶予判決を受けた者の総数が五千七百九十八名でございます。そのうち、覚せい剤取締法違反の罪によって保護観察付の執行猶予の判決が確定した者というのが三百七十六名おります。  実際、保護観察付執行猶予者に対する覚せい剤事犯者処遇プログラムというのがこの保護観察の期間中に実施をされるわけでありますけれども、これスタートしたのが平成二十年の六月からでございますので、二十年、暦年一年間ということではございませんが、平成二十年が六月から十二月で百五十七名、平成二十一年が三百四十五名という数字でございます。
  189. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 この数字聞くと、暗たんたる気持ちになっちゃうんですね。日本は「ダメ。ゼッタイ。」とは言うんですよ、やるなと言う。ところが、いざいったんやった人、初犯者ですよね、この人に対するケアがほとんどなされていない。だって、今聞いたら、年間で初犯者で執行猶予になった人間が五千七百九十八名、そのうち覚せい剤で保護観察になっているのが三百七十六名、たった六%ですよね。ということは、それ以外の人は何もケアされていないということでしょう。それは、結局こういう人は依存症ですから、これ。結局二回、三回と手を染めるのは目に見えているわけですよ。そこをなぜ何もしないのか。  これ、ただ捕まえればいいという発想じゃないんだと思うんですよ、警察も。ここは本当に各省庁間の連携をもう一遍つくらないと、実はこの覚せい剤は本当にこれ再犯率が物すごく高いんですよ。先ほどタイの例で、一・五年間のプログラムを受けると再犯率が四%になった。これはすごい数字でありまして、たしか日本の覚せい剤の場合は再犯率が六割ぐらいじゃないですか。それをどう減らすのかということを考えないと、捕まえればいいという発想じゃなくて、これは大変だと思うんですね。  中井大臣に、ちょっとこれ、せっかく今日大臣に来てもらったんですから、音頭を取ってもらって、法務省、警察、また厚生労働省と、どうしても壁があるわけですよね。壁を取っ払ってやらないと、いつまでたっても薬物は変わらないんですよ。  実は私これをやっていますのは、お聞きしますけど、急に話変わっちゃうんですが、中井大臣は夜回り先生って御存じでしょうか、夜回り先生って。
  190. 中井洽

    国務大臣中井洽君) はい。
  191. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 実は私、高校の同級生なんですよ。一緒に彼とも夜回りやっているんですけど、本当に日本の薬物行政はおかしい。駄目駄目と言うだけであって、依存症としてのケアが全くされていない。  彼のアドバイスをいただいて、ダルクにも行ってみました。本当に、特に初犯の執行猶予の方に全く自分たちは関係ないという立場でそれぞれ法務省も警察も厚生労働省もいると。そこを何もしなくて、結局、四回、五回と手を染めて、もう人生どうしようもないとなって初めてやめる気になるというんですよ。そこの手前でなぜ止めれないのか。この最低を是非作っていただきたいと、中井大臣、お願いしたいと思うんですが。
  192. 中井洽

    国務大臣中井洽君) 加藤法務副大臣が申し上げたように、浜田先生のおっしゃる思いは私もそのとおりだと感じております。  内閣は、福島特命大臣を中心に麻薬対策の本部を設けてございまして、そこで既に鳩山内閣になりましてから一度会合も開かれております。  なおまた、私の方から事務方に対しまして、ただいまお話ございました五千数百人の執行猶予の方々がどうして強制的にダルク等のプログラムを受けるようにしないんだと、それを途中でやめたら収監してしまう、こういう強制力も含めてやらないと、なかなかこれは治らないじゃないか、こういったことを強く申し上げております。一日も早く、若いときに薬という悪習を抜いてしまう、このことが一番大事だと考えています。  なおまた、こういう制度、私も大臣になって見ましたが、成人男子と書いてあるんですね。それは少年法の関係もいろいろあるわけでございます。したがって、その五千数百人のうち少ししか受けないという結果も出ている。これらトータルで一度議論をし直して、有効な処方、とにかく治療を優先さす、御指摘のようなことを十分配慮できる方向というものを考えていきたいと思います。
  193. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  本日は、日・タイ受刑者移送条約でありますけれどもタイにいるより日本移送された方がちゃんと適切なプログラムを受けられるということになりますことをしっかりとお願いしまして、私の質問を終わらさせていただきます。
  194. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  議題の三条約刑事事件の取扱いに関しての条約でありますので、関連して、日本における米兵関係者の犯罪行為の取扱いについて質問をいたします。  この間、日米間の密約の下で米軍優遇にゆがめられているということを質問をしてまいりました。  まずお聞きしますけれども、一九五三年の日米合同委員会合意によって、日本に第一次裁判権がある米軍関係者の犯罪について、裁判権の行使、不行使を米側に通告をする期間が定められております。期間内に通告しなければアメリカ側に裁判権が行使し得ることになり、我が国は裁判権を行使することができなくなるわけでありますけど、この期間は何日と定められているでしょうか。    〔委員長退席、理事山根隆治君着席〕
  195. 加藤公一

    ○副大臣(加藤公一君) お尋ねの期間につきましては、御指摘の日米間の合意によりまして、我が国の法令によって六月以下の懲役以下の刑に当たる罪などの一定の軽微な罪につきましては、当該犯罪についての最初の通知の日の翌日から起算をして十日以内、その他の更に重い罪につきましては、同様の起算日から二十日以内に裁判権行使の通告をすべきものとされております。  ただ、付言をいたしますと、我が国において裁判権行使の決定を留保したいという旨の通知をいたしました場合には、十日以内に通告すべき事件については更に五日、二十日以内に通告すべき事件については更に十日、猶予が与えられるということでございます。
  196. 井上哲士

    ○井上哲士君 私、今手元にこれ、一九七二年に法務省刑事局が発行した検察資料一五八、合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料というのを持っております。  これは、国立国会図書館に所蔵されておりまして、法務省がこれは秘密扱いなので公開するなという申入れをし、いったんは非公開、黒塗りになりましたけれども、今は国民的批判もありまして公開をされているものであります。  この中で、今の裁判権行使、不行使を通知すべき期間について、これらの事件捜査処理上、時間的な制約を受けることになっているというふうに刑事局自身が書いているわけですね。なぜこういう米軍関係者の犯罪の起訴に時間的な制約を設けたんでしょうか。
  197. 加藤公一

    ○副大臣(加藤公一君) 多少長めになって恐縮でございますけれども、経緯も含めて御説明を申し上げたいと思います。  昭和二十七年の四月に発効いたしました行政協定において、米軍事件については米国側が専属的裁判権を行使するものというふうにされました。その後、翌年の十月に発効した改正後の行政協定におきまして、我が国は、米軍人等に対し、我が国の領域内で犯す罪で我が国の法令によって罰することができるものについて裁判権を有するということにされました。他方で、米国側が、専ら米国の財産等に対する罪や米軍人等の身体、財産に対する罪、あるいは公務執行中の作為、不作為から生ずる罪については第一次裁判権を有するということにされ、残りの部分については我が国が第一次裁判権を有するということになりました。この内容でありますけれども、当然今の日米地位協定にも引き継がれているところであります。    〔理事山根隆治君退席、委員長着席〕  こうなりますと、米軍の事件については、我が国米国側の双方の裁判権が競合するという場合があるところでありまして、この一次裁判権を有する当局というのをあらかじめ定めるということが必要になります。実際、そのときに一次裁判権を定めても、そちら側が、その一次裁判権を有する国がいつまでも裁判権を行使しないと、ずるずる引っ張るということになりますと、これは二次裁判権を有する国からすれば決してそれが相当だとは言えないということになるところでございまして、できるだけ速やかに他方の国の当局に裁判権を行使するか否かを通知をしようということを決めたというふうに理解をいたしております。
  198. 井上哲士

    ○井上哲士君 官僚はそういう答弁書を書いたんでしょうけれども、今紹介したこの実務資料には解説でこういうふうに述べているんです。  これらの合意事項にあるように、裁判権行使の通知期間を比較的短期間に限定する合意がなされたのは、軍隊の構成員等の移動は随時何の拘束もなく行われるべきものであるという本来の性格にかんがみ、構成員等に対する処分を不確定なままにしておくことは軍行動に支障を来すものであることが了解されたからであると、こういうように内部でちゃんと説明しているんですよ。いかがですか。
  199. 加藤公一

    ○副大臣(加藤公一君) 今御指摘のように、通告の期間が短いではないかという件につきましては、米国の軍人等について配置の移動というのが随時行われる可能性があるということを考えて、その一次裁判権の行使、不行使を迅速に通告すべきということに決めたというのはそのとおりだと思います。
  200. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、軍の論理なんですよ。軍の都合を優先させて米軍優遇になっている。この間質問した中で、例えば米軍関係者の起訴率が低いということも明らかになりましたけれども、ここにやっぱりこういう問題があるということなんですね。これしっかり検証していただきたいと思います。  それで、こういう結果、事件が起訴にならなかったという場合に、被害者が不服の場合は検察審査会の制度があります。これは、法的拘束力がある起訴議決制度が導入されまして、つい先日、明石の歩道橋事件で初めて強制起訴になって注目をされております。  ちょっと追加して一点確認をしておきたいんですけど、公務中の犯罪アメリカ側に第一次裁判権がありますね。公務中かどうかの最終判断は裁判所が決定するんだということを先日、法務省から答弁がありました。  そうしますと、実際は、捜査段階で公務証明書が出されると、日本が反証しなければこれは米側の第一次裁判権のある事件という取扱いがされますね。当然これは日本は起訴できないわけでありますが、この公務中かどうかのこういう検察判断を、是非を、この検察審査会というのは審査の対象にできるんでしょうか。
  201. 加藤公一

    ○副大臣(加藤公一君) 検察審査会法上は、検察審査会に対してその処分の当否の申立てをすることができるということになってございますので、今お尋ねのその公務性、行為の公務性ということについても審査ができるのではなかろうかと思いますが、今済みません、私の知識ではその程度しかちょっとお答えができません。
  202. 井上哲士

    ○井上哲士君 しかし、裁判権はアメリカ側に行っているわけですね。それでも審査の対象になるんですか。ちょっと大事なことなので、もう一回確認します。
  203. 加藤公一

    ○副大臣(加藤公一君) その公務性があるかないかというのが日本側の検察側の判断というレベルであれば、それについても審査ができるんではないかという理解であります。
  204. 井上哲士

    ○井上哲士君 じゃ、更に聞きますけれども日本に第一次裁判権がある米兵犯罪で検察が期限内に起訴の判断をしなかった場合、また不起訴とした場合、これは、被害者は検察審査会に審査を申し立てることは当然できるということでよろしいですね。
  205. 加藤公一

    ○副大臣(加藤公一君) それは御意見のとおりだと思います。
  206. 井上哲士

    ○井上哲士君 そうしますと、その場合に、検察審査会で起訴相当ないし不起訴不当という議決が出た場合は、検察は再検討、捜査をして起訴か不起訴かを再び判断をするということになるわけですが、こういう米兵犯罪の不起訴についてそういう議決を検察審査会がした場合にはどういう効力を持つんでしょうか。
  207. 加藤公一

    ○副大臣(加藤公一君) 実はこれは先生、正直申し上げて大変鋭い御質問でございまして、検察審査会法上、検察審査会が当該事案について起訴相当の議決あるいは不起訴不当の議決をした場合には、検察官といたしましてはそれを参考にして事件を再検討するということになります。改めて起訴、不起訴の処分をしなければならないということで定められているわけでありますけれども、米軍との合意で申し上げるならば、不起訴の段階で、つまり日本側が一次裁判権を行使をしないということになりますと、裁判権そのものは今度は米国側が持っているということになりますから、このときにどうするかというのは実は一つの大きな課題であることは事実でございます。  日米地位協定上は、米軍人等が米軍当局により裁判を受けた場合に、無罪の判決を受けたときあるいは有罪の判決を受けて服役をしているときなどは、我が国当局は同一の犯罪について重ねてその者を裁判してはならないというふうに規定をされておりますから、そのケースについては問題は発生をしないと思いますけれども、米軍当局が裁判権を行使をしていない場合につきましては、現在までのところ、把握している限りで前例もございませんし、それを定めた資料というものもございませんで、なかなか確定的なことが申し上げられません。  これは、それゆえ先ほど申し上げたとおりでありまして、大変大きな課題だろうというふうに思います。
  208. 井上哲士

    ○井上哲士君 これは、実は検察資料一三四という部外秘の資料があります、質疑回答集というのがありますけれども、この中で、大阪の地検から問い合わせしているんです。それに対して法務省刑事局はこう言っているんですね。裁判権がなくなったのであるからいかんともし難い。建議あるいは勧告として了知されたいと。こういうことをもう、これは昭和四十年の資料でありますけれども、しているんです。  ですから、そうなりますとこの検察審査会というのは、起訴独占主義を取ってきたけれども、そこに国民から選ばれた検察審査会の起訴議決によって強制起訴するという制度もつくったわけですよ。ところが、この米軍関係者の事件被害者だけはそれを反映をさせることができない。いかんともし難いと、こうしているんですね。私はこれは本当に大きな問題だと思います。結局、日本にとって実質的に重要であると認める事件についてのみ第一次裁判権を行使するというあの密約が土台にある中でこういう様々な矛盾ができていると思うんですね。  時間もあれなので、外務大臣、最後お聞きいたしますけれども、この裁判権をめぐる密約について、外交文書の公開の中で優先順位を考えるという旨の答弁がこの間ありました。ただ、私は、これは過去の話じゃなくて、今申し上げたように現実に起きている、今の刑事司法の中で取扱いがずっと続いているわけですね。ですから、直ちにこれは調査をして、法務省とも一緒になって、まさに政治主導で検証していただきたいと思いますけれども外務大臣、いかがでしょうか。
  209. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) 今委員指摘のこの密約といいますか、一九五三年に、日米地位協定の前身である行政協定について、我が国が一定の場合に刑事裁判権を放棄することを日米間で秘密のうちに合意していたのではないかという指摘があるということは承知をしております。  ただ、これ、現時点においてそういう取扱いを行っているわけではないというふうに考えておりますので、現在効果があるというものではない、そういうふうに考えているところでございます。
  210. 井上哲士

    ○井上哲士君 時間ですので、終わります。
  211. 山内徳信

    ○山内徳信君 今日は衆議院の本会議がございまして、私の持ち時間全部はできません。三分の一ぐらい質問をさせていただきます。  外務大臣は四月二十日の午後の記者会見で、普天間飛行場の移設先について、日本の外というのは考えられない、政府としてしっかりと国内で移設先を決定すると述べていらっしゃいます。そのことについて質問をいたしますが、国外移設という可能性まで外務大臣が否定するような発言は、これはいかがなものかと、こういうふうに思っております。  そこで、五月いっぱいに決めると鳩山総理は昨日も党首討論でおっしゃっております。このことは非常に厳しい状況に置かれておるというふうに私は考えておりますが、やはり五月いっぱいに決着を付けるということでございますか、外務大臣にお伺いいたします。
  212. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) 昨日、党首討論において鳩山総理の述べられたとおりであります。
  213. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、今の状況を見ますと、やはり県内移設の道もそれから県外移設の道も厳しい状況に置かれておると考えます。具体的には十八日の、この間の徳之島のあの住民大会を見てそういうふうに感じましたし、四月二十五日の沖縄における県民大会、これも十万人規模で今関係者が取り組んでおりますから、これも厳しいと、こういう状況にありますが、そういう状況の中にあっても、外務大臣としては国内で移設先を決着をさせたいという、そういうお考えで今もおるんですか。
  214. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) 海兵隊がそこに存在することによって、日本国内に存在することによって果たしている日本の安全、あるいはアジア太平洋地域における平和と安定、そういったことを考えますと、海兵隊を日本の外に出すということは考えにくいことだというふうに私は一貫して申し上げております。
  215. 山内徳信

    ○山内徳信君 それならばもう論理破綻ですよ。地政学というのも、抑止力というのも、今の海兵隊を移すということも論理が破綻しております。もっと真剣に考えてくださいよ。なぜ海兵隊を八千名も沖縄から移すのと私が質問したら、沖縄の負担軽減と、答弁はこう返ってくるのは私は知っておるんですが、もう少し、外務大臣は外、世界を眺めていく、そういう立場ですから、余り内向きだけに、そして可能性を否定することがあってはいかぬのです。  そこで、お手元にこの横文字の資料を差し上げてあります。これは通告してございません。今朝、事務所に入りましたらこれが届いておりました。  これは北マリアナ連邦議会、向こうも上院、下院ございまして、これは普天間基地を受け入れる決議を行ったというものであります。そして、下院は来週の火曜日に予定しておると、こういうふうに言われております。この出典は、これは星条旗新聞ですね、アメリカの。スターズ・アンド・ストライプという新聞でございますが、そこにこういうふうに書かれておりまして、もう時間がありませんから、ゆっくり目を通して、これは是非、北澤防衛大臣の方も是非目を通していただきたいと思います。  そういうことでないと、やはりこれは県内、国内、もうふん詰まって身動き取れない状況になっているわけです。そして、沖縄から八千名の海兵隊を出す、グアムに移すということは、これアメリカの大きな流れなんです。したがいまして、是非目を外にも向けていただきまして、是非御検討をして、鳩山政権として、当初は不可能と思っていたが最終的にはできたなと。ですから、二百キロ離れたら難しいと言っておるようですから、沖縄におる海兵隊は。離さずに全部向こうへ持っていって、グアム、サイパン、テニアンを海兵隊の拠点にすればいいということなんですよ。  これについての前向きの答弁を、検討してみたいというぐらいおっしゃってくださいよ。せっかく横文字の資料を差し上げてございますから。どうぞ。
  216. 岡田克也

    国務大臣岡田克也君) 昨日も党首討論において、総理からも、これは言い方は違うんですが、沖縄から余り距離的に遠くまで海兵隊を移すことは必ずしも適当ではない旨述べておられるわけであります。私は総理の考え方と同じでございます。
  217. 山内徳信

    ○山内徳信君 これで終わりますが、自らの道を閉ざすような発言は総理も外務大臣も使ったらいかぬのですよ。  終わります。
  218. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、刑事に関する共助に関する日本国ロシア連邦との間の条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  219. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、刑事に関する共助に関する日本国欧州連合との間の協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  220. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、刑を言い渡された者の移送及び刑の執行における協力に関する日本国タイ王国との間の条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  221. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  222. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会