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竹内委員 大事な御
答弁だったと思うんですね。さらに別個で四万円引き上げたい、こういうことでございます。
先ほどのこのデータでいきますと十万円ぐらい差がありますので、全産業
平均ぐらいまではやはり早急に引き上げていくぐらいの力強さというか決意というか、そういうことがぜひ必要だろうと私は思っております。しかも、それだけのニーズがございますので。これはもう
答弁を求めません。
私がこう申しておる背景には、当然、既に私どもの代表等が申し上げておるように、介護総点検運動というのをやりまして、
全国で十万人を超える方々からヒアリング調査も行い、さまざまな声を聞いてまいりましたので、そういう声も背景にあるということも申し上げておきたいと思うわけでございます。
次に進めたいと
思います。
この一万五千円引き上げに必要な
予算なんですが、これは年間に直しますと大体千六百億円でございまして、今回の交付金
方式によって仮に四万円引き上げるならば年間総額約四千三百億円が必要だ、こういうふうに思うわけでございます。非常に大きな金額ではございますが、しかし、先ほどの子ども手当から比べればはるかに少ない、十分の一以下で済むという感じがするわけでございます。
先ほども申し上げたように、子ども手当は直接的には雇用の
拡大にはつながりませんが、しかし、この介護職員への交付金の増額はやはり直接的にかなりの雇用を生むわけですね。ここが非常に重要な点だと思っております。
資料の三枚目にございますように、介護職員の
皆さんは二〇〇〇年度には五十五万人程度だったんです。それが二〇一一年には大体百五十万人ということで、この十年で百万人ぐらい雇用が増大している。さらに、介護職員、これは専門的なヘルパーとかそういう方々でありますから、介護職員だけでさらに百万人ニーズがあるということでございます。関連の介護
従事者の方々まで含めると、もっと多くの雇用がふやせるのではないかなと推計されるわけでございます。
そういう
意味で、ここに力を入れれば、百万人の雇用が創出できるほかに失業率を低下させる、それから、このことによって正規雇用されれば少子化
対策にもなる、それから、高齢者の方々の不安解消にも役立つ、加えて、これだけの二百五十万人規模の正規雇用が生まれ、また、収入の水準が
平均賃金並みにまで引き上げられれば経済効果としても大きなものがある、このように思うわけでございます。この介護産業の重要性につきましては、もう先ほど御
答弁がありましたので、
答弁を求めません。
最後に
一つだけ御
質問をさせていただきたいわけでございますが、児童手当が手厚いことで知られるドイツの場合は、もう御存じだと
思いますが、金額は約百五十四ユーロ、約二万円、子供の数で増額されますけれども。それからまた、スウェーデンの場合も、千五十クローナ、一万三千六百円ということでございます。そういう
意味でいうと、子ども手当が二万六千円満額支給された場合にはいかに大きいかということがわかるわけでございますし、恐らく世界一の給付水準になるんだろうと思うわけであります。
私が申し上げたいことは、現金給付も大事なんですが、しかし、まずは、雇用を軸とした生活保障のビジョンというものがやはり先に立っているべきではないのかというふうに思うんですね。家計に直接税金を配分していくことは意義のあることだと
思いますけれども、しかし、その現金給付に過度に歳出が集中するのであれば、それはやはりばらまき批判を受けざるを得ない。雇用と経済が安定していく見通しがなければ、現金給付も貯蓄に回って、内需
拡大にもつながらないだろうと思うんです。
私は、むしろ雇用の安定こそ生活の安心と経済の活力に結びつける接点であるというふうに思っておりまして、そういう点から見ますと、残念ながら、今回の
予算は、財源の問題もあったんでしょうが、やや雇用政策が弱い感じがするわけでございます。簡単に言えば、子ども手当をもらっても失業してしまっては
意味がないわけでございますので、そういう
意味で今申し上げたわけでございます。
これも長
妻大臣よく御存じだと
思いますけれども、スウェーデン、ノルウェー、デンマークなどの北欧では、特に現役世代支援の方に力を入れておりますね、職業訓練とか能力開発とか。そのことによって、そういう積極的な
労働市場への支援が失業率を抑制してきたということはもう御存じのとおりだと
思います。
一方で、ドイツ、フランス、イタリアなどのいわゆる大陸ヨーロッパというところでは、年金中心に現金給付が肥大化してきて、人々を雇用につなげることができなかったという分析が最近なされております。
実際、
OECDの調査によりますと、ドイツ、フランス、イタリアの三国の年金給付水準は、先ほど申し上げたいわゆる北欧三国の一・五倍から二・四倍と高水準になっておりますし、一方で、ドイツ、フランス、イタリアの現役世代向けのそういう支出は、北欧三国の二分の一から三分の一程度だというふうになっておるわけでございます。失業率も、イタリアが八・四%、フランス八・九%、ドイツ九%と、これもまた北欧三国の二倍近くとなっておるわけでございます。
最近、ドイツでは、これまで児童手当などが手厚かったんですが、雇用が逆に縮小してしまい、財政赤字に苦しんでいると
指摘されております。私は、今回の
日本の子ども手当が突出して他の雇用政策とのバランスを欠いた場合には、ドイツなどの大陸ヨーロッパの轍を踏むことになるのではないかというふうに心配をしているわけでございます。
ドイツでは、近年、北欧の経験を踏まえて、雇用を支える形の社会保障へと転換を図り始めたと言われております。そういう
意味で、大丈夫かなと、本当に真剣に、
日本が世界の潮流から少し、一周おくれてはいないかということをちょっと心配しているんです。
このような視点から、これは私の見解ですけれども、子ども手当はそれなりに意義はありますが、しかし、雇用を補完する社会保障として、そういうことを軸としてやはりこれは大幅に見直して、児童手当の拡充程度まで歳出を抑制すべきではないかというのが私の考えなんです。むしろ、先ほど申し上げました介護職員への賃金引き上げの
措置など、積極的な雇用政策をもっと打ち出していった方がいいんじゃないか、これが大局観に立った為政者の責任であると考えておるわけでございます。
ちょっと長くなって大変恐縮でございますが、長
妻大臣に御見解を承りたいと
思います。