○北村茂男君 自由
民主党の北村茂男です。
私は、自由
民主党・
改革クラブを代表して、ただいま
趣旨の
説明がありました
高速自動車国道法及び
道路整備事業に係る国の
財政上の
特別措置に関する
法律の一部を改正する等の
法律案について質問いたします。(
拍手)
鳩山
政権は、
高速道路政策を一体どうしたいのでしょうか、新たな
高速道路の建設費用を一体だれに負担させようというのでしょうか、
高速道路の
原則無料化の旗はおろそうとせず、その一方で、
料金引き下げの財源を
高速道路建設に転用し、
料金の実質値上げも容認しようとしています。鳩山
政権による
高速道路政策は、まさに支離滅裂であると言わざるを得ません。
以下、ただいま
議題となりました
法律案に沿って、関係大臣にその見解を伺っていきたいと思います。
鳩山
政権は、コンクリートから人へという考え方のもと、公共
事業予算について、これを抑制する
方針を示しており、
道路予算についても、
原則として新規
事業は行わないことといたしております。
ところが、昨年十二月、各県連や地方の要望を受けて
民主党幹事長室が取りまとめた
民主党の
平成二十二年度予算重点要望において、
高速道路会社による
高速道路整備を推進するため、
利便増進事業を抜本的に見直すことが盛り込まれてからは、従来の新規建設抑制の
方針が大きく変わってしまったのではないでしょうか。
ただいま
議題となりましたこの
法律案では、
高速道路利便増進事業の範囲について、これまでの
料金引き下げや
スマートインターチェンジの
整備に加え、
高速道路の
整備等を新たに追加することといたしております。
これは、東京外郭環状
道路等の
整備や、関越自動車道上越線等の
高速道路の暫定二
車線区間の四
車線化など、昨年十月に、
平成二十一年度補正予算の国土
交通省関係
事業に係る執行の見直しを行い、凍結をしてしまっていたものを、
民主党の要望を受けて復活させるために改正を行うものと考えざるを得ません。
今回、法改正を行い、
高速道路利便増進事業の範囲を拡大することとした理由について、まず
前原国土交通大臣に伺いたいと思います。
民主党の予算に関する重点要望に関しては、
前原大臣は、昨年十二月の記者会見において、
利便増進事業を抜本的に見直して国が
高速道路会社に対して支援をすることについて、これは我々が今まで申し上げてきた
道路整備と全く違う考え方でございまして、これを二十二年度でということはとてもじゃないけれども無理であります、党としてのまとまった議論だとも認識をしておりませんと、否定的な見解を述べておられます。
このように発言していた大臣が、今、御自分がおっしゃっていたことに全く反する
法律案の
趣旨説明を行っているのであります。大臣は、昨年の御自身の発言の重みをどのように考えておられるのでしょうか。どうして御自分の考えを変えられ、このような
法律案を提出されたのかについても、重ねてお聞きをいたしたいと思います。
この
法律案では、
高速道路の
整備過程の
透明性を確保するとうたわれておりますが、本
法律案が成立してしまうと、
高速道路建設費は、
高速道路会社への
道路資産の貸付料の減額という形で賄われることになり、
政府の意のままに
高速道路建設が行われることになるのではないでしょうか。
国会でのチェックも難しくなり、
国民の監視の目が行き届きにくいところで、党利党略などによる利益誘導のために
高速道路建設が決まっていくというおそれを感じますが、
前原国土交通大臣の見解を改めて伺っておきたいと思います。
次に、
法案に関連し、
高速道路の
料金引き下げ
施策についてお伺いをいたします。
現在、
高速道路利便増進事業の財源である三兆円のうち、二・三兆円を使って
高速道路の
料金引き下げが行われておりますが、国土
交通省は、四月九日に、
高速道路の再検証結果と新たな
料金割引を
発表いたしました。
今回
発表されました
料金割引は、
普通車二千円、大型車五千円などの
上限料金を設けることとしており、この
法律案成立後、六月中に試行的に
導入することとされております。
二十二年度の
激変緩和措置として、時間帯割引、大口・多
頻度割引を残すこととしておりますが、
激変緩和措置の後の対応は全く不明であり、トラック業界などの輸送業者への影響が大いに懸念をされるところであります。時間帯割引の
廃止では、
上限価格以下の利用が多いトラック
事業者にとっては実質値上げとなるとの
意見もあります。また、これまで休日限定であった
普通車の割引が平日にも広がることで、鉄道やバスなどの利用者が減る懸念もあります。
この新たな
割引制度は、現行の
料金割引制度と比較して、平均的な利用者そして多くのトラック
事業者等に対しては、実質値上げになるのかあるいはそうでないのか、また、競合する他の輸送機関である鉄道
事業者等にはどのような影響が生じると考えているのか、
答弁を願いたいと思います。
しかし、この
制度に関して、一昨日、仙谷国家戦略担当大臣は、地元徳島市内の街頭演説で、
高速道路の新
料金制度で本州四国連絡
道路の
上限料金が他の
地域より割高に設定されたことに関し、幾ら
前原大臣が親しい同志でもこんなことは許してはならないと発言し、近く見直しを求める一方、馬淵国土
交通副大臣は、昨日の会見で、これを明確に否定する発言をするなど、早くも閣内不一致の様相であります。
民主党は、マニフェストにおいて
高速道路の
原則無料化を掲げ、
高速道路は無料にすると
国民に約束をされました。それにもかかわらず、今回の
法律改正を行い、
料金引き下げの財源を削ることで、無料化の
社会実験区間を除き、結果として、休日等については値上げとなり、その一方で、
高速道路の
新設等を行おうとしております。これでは、
高速道路が無料化されることを信じて
民主党に投票された
国民の理解が得られないのではないでしょうか。
高速道路の
原則無料化を
政権公約に掲げながら、無料化の
対象は三十七路線五十区間と全国のごく一部にすぎず、一方で、高速
料金の実質値上げを
導入する。これでは、
高速道路の
原則無料化の公約は、
前原大臣、あなたの野党
時代における昨年二月の予算
委員会での発言、その表現をおかりすれば、まさに、やるやる詐欺ではありませんか。
高速道路の無料化をやるのかやらないのか、やるならいつまでにやるのか、
国民に明確に示す必要があると考えますが、
前原国土交通大臣の見解を改めて伺っておきたいと思います。
今回の新たな
料金割引によって、平日の利用者増加による渋滞の増加や、環境
政策に逆行するCO2排出量の増加などが懸念されます。渋滞等の課題の
解消などに対し、どのような
政策効果があると考えるのか、改めて大臣の見解を伺っておきたいと思います。
また、地方において、これまで以上の
地域経済活性化の
効果が見込まれるのかどうかについても、原口総務大臣にその見解を伺っておきたいと思います。
あわせて、
民主党の
高速道路原則無料化の
方針は、マニフェストでは、流通コストの引き下げを通じて生活コストを引き下げる
目的があるとされていますが、今回の新たな
料金割引は物流においてどのような
効果が得られるとお考えなのか、
前原国土交通大臣にお伺いいたしたいと思います。
さらに、
高速道路無料化の
社会実験や
上限料金制度では、
首都高速、
阪神高速を除き、ETC車載器の有無にかかわらず
対象となるため、
料金所の渋滞
解消、キャッシュレス化による
利便性の
向上、管理費の節減などのETC推進による従来の
政策目的が消滅をしてしまいます。これまでにETCの車載器を購入した利用者に対しては、今回の
措置をどのように
説明されるつもりなのか、
前原大臣にお伺いをいたします。
続いて、
高速道路の建設について質問をいたします。
今回の法改正によって、
高速道路利便増進事業三兆円の枠を利用して、
高速道路会社により建設等が行われることとされておりますが、その財源はもともと国の税金であります。
道路公団
時代には、年三千億円の国費が投入されて
高速道路建設がなされていましたが、
道路公団民営化後は、
高速道路会社への
高速道路建設のための国費投入がなくなり、
料金収入の範囲で
道路建設が行われ、経営努力の結果、
料金引き下げも可能になりました。
こうした
高速道路会社に国費投入をしないという
道路公団民営化の基本的な考え方に反し、法改正により国費を投入するということは、
道路公団
時代の復活を意味するのではないでしょうか。
高速道路会社による
高速道路の
整備に国費を投入することについて、
前原国土交通大臣の見解を求めます。
公共
事業の削減と言いながら、このような手段を使ってまで建設するというのであれば、コンクリートから人へという
方針を修正し、
道路の必要性をしっかりと検証した上で、堂々と予算をつけて
道路整備を
実施すべきではないかと考えますが、
前原国土交通大臣の見解を伺っておきます。
次に、
国土開発幹線自動車道建設法の
廃止についてお伺いをいたします。
これまでは、
国土開発幹線自動車道建設会議、いわゆる
国幹会議において、国
会議員も
委員として参加し、
学識経験者とともに、
高速道路の基本
計画、
整備計画についての
審議を行ってまいりました。
国幹会議のあり方については、さまざまな
意見が出されていたことは承知をいたしておりますが、
国幹会議をあえて
廃止せずとも、
審議のあり方を見直すことで十分な成果を上げることも可能であったのではないでしょうか。今回の法改正により、
国幹会議を
廃止し、
社会資本整備審議会で
審議を行う理由について、
前原国土交通大臣の見解を伺いたいと思います。
国幹会議は、国権の最高機関である
国会の指名を受けた
国民の代表者である国
会議員が構成員として入っていましたが、
社会資本整備審議会では、
学識経験者のみであります。
高速自動車国道の
整備について
透明性をどう確保されるのか、また、
国会によるチェックのあり方をどのように考えており、
国会での議論はどのように反映されるのかについて、
前原国土交通大臣にお伺いをいたします。
次に、
高速自動車国道の
整備についての
事業評価のあり方についてでありますが、今回の法改正では、
高速自動車国道の
整備効果を広く
国民に明らかにするため、国に対し、
事業評価の結果の
公表を義務づけることとしております。
高速道路の
整備の必要性を判断するための
基準のあり方について、どのように考えているのでしょうか。
また、現在は、走行時間短縮、走行経費減少、
交通事故減少の三便益に基づいた金銭換算の可能な費用便益分析が行われておりますが、救急患者の搬送ルートを確保する、いわゆる命を守る道としての
効果など、金銭換算が難しい
道路の
効果についても考慮して
評価ができるようすべきであると考えますが、費用便益分析を見直す必要性についてどのように考えているのか、
前原国土交通大臣に伺います。
最後に、
高速道路のあり方についてお伺いをいたします。
前原国土交通大臣は、今後、
国幹会議において
審議が行われ既に決定されている基本
計画、
整備計画の扱いについては、変更はされない旨を発言されております。
高速自動車国道の予定路線一万一千五百二十キロメーター及び
整備計画路線九千四百二十八キロメーターについて完成させる考えはあるのか、お伺いをいたします。
また、
前原国土交通大臣は、三月十六日の記者会見において、昭和六十二年六月二十六日の
道路審議会答申に基づいて決定された高規格幹線
道路一万四千キロメーターの
計画に関して、見直す考えを表明しております。
地方にとっての
高速道路の必要性を原口大臣に対し、そして、今後の
高速道路の
整備のあり方についてどのように考えているのかを
前原国土交通大臣に、それぞれ見解をお伺いして、私の質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣前原誠司君
登壇〕